第207回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和7年12月12日(金)16:30~18:03

場所

厚生労働省 18階 専用第22~24会議室
千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館

議題


1.医療保険制度における出産に対する支援の強化について
2.医療保険制度改革について
3.後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について
4.医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)

議事

議事内容
○姫野課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第207回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、原委員、横本委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、北川委員、城守委員より途中退席との御連絡もいただいております。
 本日の会議は、傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。
 なお、会議冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして佐藤みゆき参考人、原委員の代理といたしまして井原辰雄参考人、横本委員の代理といたしまして井上隆参考人、以上3名の出席につき御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は、「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」、「医療保険制度改革について」、「後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について」、「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について」、こちらは案ですけれども、この4つを議題といたします。
 では、まず「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」を取り上げます。
 事務局より資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
 資料1のファイルをお開きください。「医療保険制度における出産に対する支援の強化について」というタイトルです。
 1ページ目以降、4ページまで、前回、この医療保険部会におきまして論点を4つお示ししました上で様々な御議論を賜りました。
 細かいところは割愛をいたしますけれども、例えば1ページ目、論点①に関しては、分娩の経過が多様であることを踏まえた基本単価の設定、支給について、縷々御意見を頂戴いたしたところです。
 2ページ目、論点②としては、手厚い人員体制あるいは設備で対応している施設、あるいはハイリスク妊婦を積極的に受け入れる体制を整備している施設を評価すべきという点に対する御意見を頂戴したところです。
 3ページ目、現行の出産育児一時金が出産に伴う一時的な経済的負担の軽減を目的としている、また、50万円を下回る場合、こういったケースを踏まえた上で、どういう方策が考えられるか。
 4ページ目ですけれども、論点④、例えば妊婦が希望に応じて施設を選択できるようにした上で、可能な施設から新制度に移行していくといった方策を講じることについて、どう考えるかという点です。
 これら4点について御意見を頂戴したところです。
 その上で、5ページ目、6ページ目に今日御議論いただきたい事項ということで、事務局のほうで整理をさせていただきました。
 まず5ページ目、御議論いただきたい点(1)ですけれども、こちらのほうはこれまでの議論におきまして、ある程度議論として様々な御意見をいただいております中でも、多くの先生方から同じような趣旨の御意見をいただいており、方向性としておおむね一致しているのではないかという点について、上の箱の部分について6点ほど黒ポツを記載しています。前回と重複いたしますので細かい点は割愛をいたしますけれども、一次施設、周産期医療体制をしっかり守っていくという観点から、現行の整理等々を確認しているところです。それを図示したものが5ページ目の下図ですけれども、保険診療以外の分娩対応について今、出産育児一時金50万円が払われており、この中には産科医療補償制度の1.2万円の掛金も入っていますけれども、これについては現行の出産育児一時金に代えた上で現物給付化、全国一律の給付水準とした上で、右側には、手厚い体制、あるいはハイリスク妊婦等の受入体制を整備している施設に対する加算、こういった形で対応してはどうかというものだと理解をしております。
 それから、保険診療、これは今でも療養の給付という形で、それぞれのケースにおいて整理をし、請求されていますけれども、この取扱いについては従来どおりです。
 一番下は、それぞれの施設と妊婦さんの1対1の対応関係において個別に発生しているものですが、個室でありますとか、あるいはお祝い膳等々ございます。アメニティー等のサービスについては見える化を徹底した上で、妊婦御自身が納得感を持ってサービスを選択できるような環境をつくっていく。これについては自己負担という形で対応していくということで整理をしてはどうかという点については、おおむね意見のほうが一致しているのではないかと思っております。
 右側のほうに赤でレイアウトしておりますけれども、黒点線で妊婦本人に対する現金給付、こういう取扱いをどうしていくのかという点が今後の課題になってくるわけです。
 それを踏まえた上で、6ページ目に本日御議論いただきたい点(2)ですけれども、2つほど事務局のほうで整理をしています。
 まず、①番目の論点ですけれども、先ほどの5ページ目の図の一番右側の妊婦本人に対する現金給付、前回も御議論を頂戴したわけですけれども、様々な御意見がございました。ポツが2つございますけれども、まず1点目、法的な性格として、現行の出産育児一時金が出産に伴う一時的な経済的負担の全体の軽減を目的としていることから、その性格を引き継ぐべきではないだろうかという御意見があった一方で、法律を変えて給付の性格が変更されれば、それは引き継ぐ必要はないのではないかという御意見がございました。
 それから、保険料財源以外で実施をしている他の施策とのすみ分けを整理すべきではないかという御意見、あるいは保険料を御負担いただいている方々の御理解が得られるのか、そういう観点から検討が必要ではないだろうかという御意見があった一方で、他方で、現在、出産費用が50万円を下回る場合には差額が発生しており、出産に伴う負担軽減に寄与していたという御意見もございました。
 そういうことを踏まえて、医療保険制度の観点からの支援の在り方について、本日さらに議論を深めていただければと考えています。これが論点の1点目です。
 それから、論点の2点目、新たな給付体系への移行時期についてです。これについても前回様々な御意見を頂戴いたしました。
 例えば1つ目のポツですけれども、現在の妊婦さんは自己負担が年々上昇する中で出産をしており、できる限り早い段階での施行を求めるという御意見がございました。他方で、個々の施設が対応できるよう十分な時間的な余裕を確保すべきではないかという御意見もございました。
 また、本来は新たな給付体系へ一本化することが法的な安定性の観点から重要であり、移行期の対応はあくまでも時限的な経過措置であるべきであるという御意見もございました。
 これらの御意見も踏まえながら、妊婦が希望に応じて施設を選択できるようにした上で、可能な施設から新制度に移行していただくという方策を講じることについて、さらに議論を深めていただければと考えています。
 また、6ページ目の一番下に、箱の下に「(※)」を書かせていただきました。現物給付化を行う部分、あるいは妊婦本人に対する現金給付、ここは先ほど今日御議論いただきたい点と御紹介申し上げましたけれども、具体的にどのような給付水準にするのかという点については、新たな給付体系を施行する際の出産費用の状況や各種のデータ等々に基づいて検討していくものであると考えています。
 7ページ目以降、資料をつけていますけれども、これまで御紹介した資料が中心ですので、説明は割愛をさせていただきます。
 事務局からの説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら挙手にてお知らせいただければ幸いです。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 まず、御出席なさっている専門委員の方から御発言をお願いしたいと思います。
 では、石渡委員、よろしくお願いします。
○石渡委員 日本産婦人科医会の石渡でございます。このような発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 これまでも繰り返し申し上げてきましたが、2024年の出生数は日本人68万、その分娩は病院が54%、診療所が45%、合わせて医療機関が99%を担っております。また、助産所が0.5%、自宅その他が0.2%となっております。そして、世界に冠たる良質な周産期医療を国民に提供しているわけであります。
 例えば周産期死亡率は2014年時点で出生千あたり2.6で、これは世界で一番少ない状況。妊産婦死亡率は出生数10万あたり3.5で、人口1億人以上の国では断トツに日本は少ない状況です。ちなみにアメリカは18.7%でありまして、日本の6倍です。
 ところが、我が国の安心・安全なお産を支えてきた地域の産科診療所の経営は、物価の高騰あるいは人件費高騰もあり危機に瀕しております。産科診療所の経常利益を見ても、この2年間でも40%以上の赤字になっておりますし、また、その後の物価高騰が持続しておりますので、今、60%赤字になっているということも聞いております。
 したがって、分娩費用の無償化を進めるに当たっては、一次施設が守られるような制度設計としていただくことが絶対に必要な条件だと思っております。
 次に、事務局から大枠が示されている制度が、一次施設を守ることになるのか。これは一つに給付水準をどこまで引き上げられるかということと、また、施設に対する加算をどこまで現場に配慮したものにできるかにかかってくると思っております。
 給付水準でありますが、本会の調査では、中規模の産科診療所、大体300~400の分娩を扱っているいる産科診療所でありますが、出産原価、これは正常分娩に係る入院から分娩、産褥、新生児管理、保育に係る各職種の労務時間と各職種の人件費を掛けたものであります。また、救急事態に備えた人件費及び費用、それから直接経費としましては、主要機材の費用であるとか薬剤費、それから消耗品等の費用、間接経費としましては、施設運営に関わる費用、さらに利益率を考慮すれば、今まで3~4年間ずっと赤字が続いているわけですけれども、施設を維持するためには1分娩当たり約70~75万円と試算されております。
 このため、制度の詳細についての検討が今後始まりますが、引き続き産科医療現場をよく知る関係者が関与して意見を述べられる、そのような機会をつくっていただくことを切に希望いたします。
 新たな制度への移行は、地域や施設ごとの状況を踏まえつつ、十分な時間の余裕を持って進めていく必要があると考えております。拙速な変化は周産期医療の崩壊の危険をはらんでおります。新たな制度にするにしても、可能な施設から順次移行する形とすることで、施設にも対応の自由度が確保されることになると考えております。医療関係者や妊婦に混乱が起きないように、国からしっかりと説明していただくことを切に希望いたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、亀井委員、よろしくお願いします。
○亀井委員 日本産科婦人科学会の亀井でございます。意見を申し上げる機会をいただきまして、ありがとうございます。
 前回、先週の第206回の当部会での審議内容につきまして、その直後に我々日本産科婦人科学会内でも検討いたしました。改めてここで申し上げますけれども、御提案がありました一律の基本料金の設定については、極めて拙速な御提案であると考えております。ただ、一方で、妊産婦さんたちの早急な経済的な負担軽減、実質無償化への取組、これらについては妊産婦さんたちの御希望もありますので、早期の実現が望ましいと考えてもいます。
 今後につきましては、妊産婦さんの負担軽減、それから現在の周産期医療体制の維持、これらの内容について、分娩取扱施設、それから妊産婦さんたち双方にとって納得のいくような議論を、財源の検討も含めまして進めていただければと考えています。
 また、今回の御提案の中で、資料の最後のページにありましたような、保険診療についての妊産婦さんの負担をどう扱うかについては、一言申し上げておきます。分娩に伴って必要となる医療行為につきましては、従来どおり保険診療として請求をして、同様の給付を受けられるようにしていただきたいとは思いますが、一方で、この資料にあるような母体、胎児の救命のために多くの医療資源を投入した場合の高額医療費の取扱いについても同様に無償とするのか、慎重に議論を進めて、議論の結果につきましては、国民に誤解のないような形で周知をいただきたいと思っております。
 我々は、たとえ過疎地域に居住をしておられても、母親も胎児も誰一人残すことなく、無事に分娩、出産を終えて、元気に退院させてさしあげたいと考えています。産科医療の問題点は、直前まで元気であった母親、胎児が、ある日突然、何の前ぶれもなく急変してしまうことです。このような場合には、施設までのアクセス時間が非常に問題になります。
 改めて、このことについて簡単に説明させていただきますと、国際的には、自宅から分娩取扱施設までの移動時間が1時間を超えれば、母親も胎児も重篤な合併症の発症率、死亡率が明らかに上昇することが知られております。また、国内の厚生労働科学研究の報告でも、大都市圏福岡でさえ、1時間以上の通院時間をかけて通院するような妊婦さんはほとんどおられなかったと報告をされています。
 今後、医療DXが普及しまして患者医療情報が共有できるようになれば、過疎地域に居住の妊産婦さんたちでもリスクの評価が可能となり、このようなアクセスに関する問題は多少とも軽減されると期待しております。それまでは、現行の周産期医療体制を維持していただく以外に、母児の医療安全を確保する有効な方法はないと我々は考えております。
 今回の支援体制、この変更が実現された結果として、アクセスの悪さのために母体や胎児の生命が脅かされることがないように、地域にかかわらず安心・安全な出産をいただけるように、一次施設に対する給付水準、我々高次施設に対する恒常的な保険財源にとらわれない形での体制加算も御考慮いただきたいと思います。
 最後になりますが、新たな支援制度を導入することが決定した場合には、内容の詳細な議論について、引き続き我々アカデミアとしても関与させていただく機会をいただきたいと思います。新たな負担の軽減策が少子化の流れにとどめを刺してしまうようなことがなく、歯止めとなるような形の大胆な施策となることを我々は切望しております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、新居委員、よろしくお願いいたします。
○新居委員 発言の機会をいただき、ありがとうございます。NPO法人manmaの新居と申します。
 まず改めて、最近出産をした当事者の一人として、出産に対する経済的負担がこの新制度によって軽減されるということへの強い期待をお伝えしたいと思います。
 これまで申し上げてきたとおり、子育ての入り口でかかる大きな経済的負担は、妊娠、出産に係る費用であると感じています。今の若い世代の多くは、子育てはお金がかかるぜいたく品であるというようなイメージを持っていますし、そのことがこどもを持つことへの不安であったりとかハードルの高さにつながっていると考えています。
 そんな社会の中で、子育ての入り口の妊娠、出産の段階で、2桁万円の多額の自己負担があったりとか、費用負担の全体像が退院のときまで見通しづらいというような環境が、子育てが社会からサポートされていないという実感を与え、子育ての孤独感や不安感を強くしたりですとか、将来的なこどもを2人目、3人目を持つというようなことに対する希望を持ちづらくさせるものであると感じています。
 去年からの検討会から続く一連の議論を通じまして、妊娠、出産にかかる想定外の出費の多さであるとか、それに対する経済的な負担感について、様々なヒアリングを通じて当事者の声を拾い上げていただいたということについて、多くの妊産婦にとって、自分たちの抱える日々直面していた課題が政府に届いたというような希望を感じられるようなものであったと思っています。
 一つの政策がまるっと子育て家庭を救うというようなことはないと思うのですけれども、まずは大きな一歩として、出産にかかる費用を無償にするということが、子育て家庭がこの国において社会全体で支えられ、経済的に応援されるものであるということを子育ての入り口から感じられるような施策になるということを期待しています。
 その観点からも、出産の経済的負担軽減に資する新しい制度について、ぜひ早期に実現をしていただきたいと思っていますし、せっかく大きな改革を実行するのでありますから、その中身が本当の意味で妊産婦さんにとってよいものになるように、制度設計の細部まで工夫を凝らしていただきたいと考えております。このような考えを踏まえて、論点についてそれぞれ意見を申し上げます。
 まず、現金給付についてです。前回も申し上げたとおり、妊婦のための出産に伴う経済的負担の軽減を目的として、今回、新制度について議論を行っていますが、逆に経済的負担が増えたというような妊婦の声が出てしまうようなことがあると、本来の新制度の意味や意義が伝わらず、妊婦に受け入れてもらえないということになることをとても懸念しています。仮に新たな給付が現物給付のみとなった場合、前回も申し上げたとおり、既存制度において出産に50万円かからず、差額を入院準備であるとか帝王切開になった場合の自己負担分に充てられていた方にとっては、新制度に移行することで、結果的にそういうことができなくなり、逆に経済的負担が増えるということになってしまうかと思います。
 今日の資料の16ページにもありますけれども、これまで約6割の方が出産育児一時金の50万円から正常分娩対応の費用を引いてお釣りがあったというようなことを資料でもお示しいただいていますけれども、このような状況を踏まえれば、6割の方が出産育児一時金の余剰が分娩以外の保険診療ですとか入院準備に充てられていたと捉えられると思います。
 それが今回の新制度に伴ってなくなってしまうと、かなりの数の妊婦さんにとって、逆に新制度になると支援が減るというような実感を持つ方もいらっしゃるのではないかと思っています。そのような観点で、分娩対応に関する無償化という現物給付に加えて、一定の現金給付が必要なのではないかと思っています。それによって、これまで出産育児一時金以内で出産をして、その分について様々な出産にかかる費用に充てられていた人たちに、また同様の支援が減らないようにサポートできるのではないかと思っています。
 また、多胎児で出産をされることが決まっている方ですとか、第一子が帝王切開であった方など、もう既に帝王切開があることが決まっている方もたくさんいらっしゃるかと思います。このような方については、帝王切開になった場合は無償ではないのだというような落胆の声も上がっていると私も感じております。このように、帝王切開になるか否かについては妊婦がコントロールできるものではないというような背景を踏まえても、やはり現金給付があれば、このような方の声にも応えられるのではないかと思っています。
 私自身は、帝王切開ではなかったのですけれども、今後の議論の対象として、例えば帝王切開についても出産育児一時金の範囲内で産むことができたという方もいると伺っております。つまり、帝王切開であっても正常分娩の費用負担よりも少なかったという方もいらっしゃったと理解をしています。当然、高度な医療が提供される帝王切開のほうが高くなるのかなという中で、帝王切開のほうが安くなっている方がいるというところについては矛盾を感じるところでありますので、今後、給付水準の検討の中では、帝王切開の場合の保険診療と、保険診療以外に出産育児一時金が支払われている部分の費用がどうなっているのかということを正常分娩と比較して、明らかにして、議論していく必要があると考えています。
 そもそも、これまでも妊婦のための出産に伴う経済的負担の軽減を目的として、出産の保険適用を議論してきたという背景を踏まえて、今回仮に保険適用が実現した場合に、出産育児一時金が上がっても、病院の値上げによって実質的な妊婦の負担が減らなかったり、分娩費用とサービスの費用が曖昧になったまま妊婦が支払いをしており、費用に対する納得感や理解のないまま高額なお金を払ったりしていたという出産を取り巻く問題が解決するということをまず期待をしていますし、その上で、新制度に移行することで、経済的負担がかえって増える人がいないような制度設計をすべきであると考えています。
 前回の検討会でも、既に妊婦のための支援給付などの各種支援があるという意見もあったかと思いますが、これらは必ずしも現金で支給されるものではなく、カタログギフトの形式になっていたりとか、地域内で使える電子チケットになっていたりしますので、必ずしも出産準備や出産費用に充てられるものではないと感じています。その観点からも、やはりこれらとは別に出産にかかる費用を支援するための現金給付が必要であると考えています。
 そして最後に、制度の施行時期についてです。多くの妊婦にとっては、出産費用は妊娠が分かった段階で真っ先に浮かぶ大きな費用負担であるということを先ほども申し上げました。私自身も、妊娠が分かってすぐに、1年以内に高額な出産費用がかかるということが不安になって、計算をしたりとか、貯金の計画を立てたりということをしたことを覚えています。このような不安が多い中で、標準的な出産にかかる費用が全ての妊婦に対して無償になれば、産むということへの経済的な負担感であったり不安から妊婦が解放されることになるかと思います。
 当然、出産費用が無償になったからといって、すぐにこどもを産もうというような単純な変化が起こるわけではないと思いますが、これだけこどもを持つことに対する経済的不安感が根強い社会の中において、様々な経済的支援を積み重ね、こどもを持ちたいと願う人たちを支えていくことに大きな意義があると考えています。出産費用は子育ての前段階での最大の出費であって、この費用が無償になるということは、妊娠期から社会全体で支えていくという大きなメッセージになると感じています。
 改めて、出産の無償化によって出産にかかる経済的負担から妊婦が解放され、安心して出産に臨める妊婦が増えることを期待しています。この観点からも、改めて先延ばしにせず、早い段階での新制度への移行を期待します。
 また、前回、段階的な移行についても御提案がありましたが、この施設はまだ旧制度、この施設は新制度というふうな形になってしまうと、妊婦に混乱が生じるということを懸念しています。改めて行政や医療機関からの丁寧な説明が重要であると考えています。
 また、仮に移行期間で新制度に移行しないという施設が多くなってしまうと、実質的な先延ばしになってしまうということも懸念をしています。このような観点から、仮に現段階で段階的な制度を設けるとしても、最初の段階から新制度に移行する医療機関がなるべく多くなるということを期待しています。
 以上、長くなりましたが、この制度が早期に実現され、妊婦の経済的負担や不安の軽減に資することを強く期待をしています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、宮川委員、よろしくお願いします。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。日本助産師会理事の宮川祐三子と申します。
 前回に引き続き、日本助産師会として、医療保険部会に出席の機会をいただき、感謝申し上げます。
 6ページの2項目について、意見を述べさせていただきます。
 まず①です。今回の新たな制度の検討においては、出産費用の無償化と掲げている以上、妊産婦にとってはできるだけ費用負担を軽減することが望ましいと考えます。例えば助産所においては、妊産婦の希望もあり、出産後の家族構築のため、夫を含む家族へのケアも行っていますが、これは分娩費用にはなかなか算定しづらい項目です。
 また、助産業務ガイドラインを遵守して対応している中で、分娩中に搬送となるケースがあります。その場合、臨時応急の処置や救急搬送や連携に係る費用などは、算定はできておりません。妊産婦さんへの全額自己負担となってしまいます。このように、助産所を含み様々な機関が連携して妊産婦を支援することはとても重要だと思います。
 また、分娩中に搬送ということを申し上げました。周産期医療提供体制の内容になるかとも思いますが、助産所や自宅における分娩の途中で搬送になった場合など、妊産婦や胎児、新生児の安全のために、安心してお産できる環境整備として、産婦人科、小児科等の医療連携を有機的に行えるような検討をお願いいたします。
 新たな給付制度において、妊産婦の経済的負担とならない仕組みと助産所の経営維持の両立ができる検討を強く希望します。
 次に②についてです。妊婦が希望に応じて施設を選択できるようにすることはとても大事なことですが、新たな給付体系への移行時期については、妊産婦が混乱しないように、不公平感を感じないようにお願いしたいです。
 新制度への移行については、妊産婦にとっては早い時期での施行が望ましいと認識しています。ただし、施行時期の措置期間は必要だと思いますが、その期間によっては、産み控えを招かないような、国民に対し丁寧な説明が必要と考えます。重ねて申し上げますが、新たな出産の給付体系が、妊産婦さんが希望する出産場所を選択するにあたって不利益を被る方がおられないような制度設計をお願いいたします。
 地域に根差している助産所が地域のセーフティーネットとして機能できるよう、当会として努力したいと思いますので、助産所における新たな制度に対応したシステム開発や給付事務の対応への十分な準備期間も御考慮いただきますよう、お願いいたします。
 最後に、前回も申し上げましたが、新たな出産の給付体系に係る具体の検討は今後も継続すると理解しております。妊産婦さん、そして支援する専門職や医療機関の双方をつなぐ検討となるように、その検討の過程においては、助産師の立場からも継続的に参画させていただきたく思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 17時で御退席と聞いていますので、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 本日、所用で中座をさせていただきますので、議題1のコメントに続いて、議題4のコメントも重ねてさせていただければということをお許しいただければと思います。
 まず、出産の部分ですが、本日5ページに示されております新たな現物給付の体系に関しましては、全国どこの地域においても分娩施設が運営可能となるような制度設計をしっかりとお願いしたいと思います。
 その上で、6ページの論点に沿って少しコメントさせていただきたいと思います。
 まず、①の論点です。妊婦さん本人に対する現金給付ですけれども、本日の資料の16ページの円グラフにもございますとおり、協会けんぽの加入者のデータにおかれましても、約8割の方が診療報酬の算定があるということですので、その場合、妊産婦の方には3割の自己負担が発生するということになります。
 分娩を安全に提供するためには、療養の給付として提供すべき医療行為は引き続いて保険診療として対応すべきと考えますが、保険診療の自己負担分に関しましては、先ほどから委員の方もおっしゃっておられましたとおり、これまで出産育児一時金から支払ってきたケースも多いと認識しています。そうしたことを考えますと、標準的なケースについて無償化するとともに、保険診療分の自己負担などに活用可能な現金給付を設定するということも必要ではないかと考えます。
 次に、論点②は前回も述べましたとおりでございまして、我が国の正常分娩はこれまで自由診療で行われてきたという歴史もあります。今回、新たな制度を導入するということになれば、妊産婦さんや現場の医療提供者にとっては大変大きな制度変更ということになりますので、新たな制度への移行につきましては十分な時間をかけて、準備のできた分娩施設から順次移行できるという仕組みとしていただきたいと考えています。
 続きまして、議題4の「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について」もコメントをさせてください。
 資料4の2ページの1.の医療機関の業務のDX化の推進の1つ目の○の部分です。ここには、業務の効率化等に計画的に取り組む病院を公的に認定して、対外的にも発信できる仕組みを地域医療介護総合確保法に創設するということが議論されています。
 ここに関しましては、御案内のとおり地方の病院、また民間の中小病院というのは、まず地方においては人手不足も非常に厳しいと、さらには、その運営状況も厳しいということで、その経営状況は大変危機的な状況になっているという現実があります。公的に認定される病院が、仮に都市部の病院とか大規模な病院に偏って、地方の病院、また中小病院が非認定という傾向が大変多くなりますと、地域医療の信頼性に悪影響を与えるおそれもありますので、評価に関しましてはあまり実質的なコストを要する計画に偏ったものとならないように、慎重な検討を行っていただきたいというか、行っていくべきではないかと考えています。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
 論点①につきまして発言をさせていただきます。出産費用の無償化につきましては、一昨年の政府のこども未来戦略にも示されまして、出産等の経済的負担の軽減の観点から、少子化対策の加速化プランの一環として検討が続けられてきたものでありまして、その方向性には賛同しております。
 その観点から、まず保険適用による無償化の適用範囲につきましては、帝王切開など出産の実態を踏まえて適宜決定をしていくべきではないかと考えております。この論点に示されております妊婦本人に対する現金給付につきましては、経済的な負担の軽減という観点を否定するものではございませんが、ただ、保険制度の下でこれを行うべきかどうかということにつきましては、もう少し整理が必要ではないかと思います。
 すなわち、自己負担が生じていないにもかかわらず、保険で給付されてしまうということがあり得ること、また、医療保険の他の項目では負担増などの検討も行っているということもありますので、その一方で、現金給付を導入するということの整合性や社会的な受け止めを考える必要があるのではないか。また、妊婦のための支援給付制度など、ほかの子育て支援策との関係なども整理をしていく必要があるのではないかということを考えますと、医療保険制度の中で対応するということにはやはり違和感を覚えます。現金給付の仕組みは、本来、子育て支援策として、公費の下で検討すべき事項ではないかと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤参考人、よろしくお願いします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
 出産に対する新たな給付体系の具体的な制度設計に当たりましては、地域の周産期医療提供体制が維持されるよう、現場の実情を十分に踏まえるとともに、医療機関だけでなく、妊婦自身や被保険者など国民全体において、十分な理解と納得感が得られることが重要であると考えております。
 また、これまでの現金給付と新制度の現物給付が混在することは、妊婦にも保険者にとっても分かりにくく、混乱を招くおそれがありますことから、新制度への移行時期も含め、丁寧な検討をお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 まず、第1点目については、今まで必ずしも制度で意図されないところで差額が発生していたのではないかと思うのです。そうしますと、それを維持すべきだということは正当化しづらいのではないかと考えます。
 一方で、出産の費用を無償化して、妊婦の経済的負担を軽減するというところからしますと、帝王切開というのは日本では特に妊婦の選択ではなくて、医学的な理由で医師の判断で行われるものだということを前提とすると、つまりこれは選択的なものではなくて、出産に必要な費用として、妊婦にとっては避けることができずに生じるものだとすると、それを3割負担で妊婦が負担するというのは非常に負担が重いのではないかと思います。なので、帝王切開とか、そのほかの出産に必要な医療利用は、完全に患者負担をゼロにするとなるといろいろな問題も生じるかもしれませんが、何らかの軽減が必要であろうと思います。
 ただし、海外では、妊婦の希望で、妊婦がある意味誤解というか十分な健康知識がなくてすごく帝王切開を望むとか、供給側の何らかの経済的なインセンティブとか何かの理由があって、十分経膣分娩が可能なのに帝王切開が選ばれることが増えてしまうというような事例も非常にあるようなので、日本でもそういうことが起きないように、帝王切開にやたらに誘導しないような制度設計が必要だと思います。しかし制度の趣旨として、帝王切開になった妊婦さんが、3割負担ではあるし、非常に高額な費用がかかった場合は高額療養費制度も適用されますけれども、あまり負担が重くならないような仕組みが必要であろうと思います。
 2点目、新たな給付体系への移行時期についてなのですけれども、時間がかかるということの理由が、私が現場を知らないということもありますが、よく分からないのです。何にどれだけ時間がかかるのか、どうしてそんなに時間がかかるのかということを明らかにしていただかないと、これは議論が難しいのではないかなと思いました。
 例えば、この制度は嫌だからできるだけ参加したくないという医療機関が、とにかく参加時期を遅らせるということになってしまうと、いつまでも移行できないということになってしまいかねないので、どうしてそんなに移行期間が必要なのかということを、もしどなたか御説明いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひお願いしたいと存じます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 1点、なかなか答えづらいかもしれないようなクエスチョンがございましたけれども、どなたか回答できる方はいらっしゃいますか。なければ事務局が調べてということになるのかもしれませんけれども。
 では、お願いします。
○佐藤課長 これまでのこの医療保険部会におきましても、特に現場の先生方から、制度に対する様々な御理解でありますとか、例えばルールが変わった場合に、先生方もそうですし、あるいは患者の皆様にも周知をしていかなければいけない。そこに対する一定の準備期間は必要ではないだろうかという趣旨の御意見はいただいていたと思います。そういうことを踏まえた上で、今、中村委員からもお話がございましたけれども、様々なことを踏まえながら、制度がしっかりと円滑に実証できるようにしていくことが一番大事だろうと思っておりますので、そういう観点から、今日改めて御議論いただきたい論点としてお出しをしているところです。
 改めて事務局のほうでもこれまでの御意見等々を整理して、どういうことができるのか、何が課題なのかという点についてはしっかりと見極めていきたいと考えています。
 以上です。
○田辺部会長 回答をありがとうございました。
 では、田島委員、よろしくお願いします。
○田島委員 田島でございます。それでは、発言をさせていただきます。
 町村部では一次施設が少なく、妊婦が長距離移動や宿泊を伴うことが多いため、出産費用以外の負担が大きゅうございます。現物給付化の導入により、町村部の妊婦の負担が増すことがあってはならない。よって、地域の実情に配慮した制度としていただきたい。
 また、新たな給付体系への移行時期については、町村部では一次施設が1か所しかない地域もあります。その施設が移行準備に時間を要する場合に、町村部の妊婦だけが不利になることも考えられます。準備が整った施設から新制度に移行する仕組みとする場合には、地域の事情に応じた特段の支援を検討願いたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 では、林委員、よろしくお願いします。
○林委員 それぞれ1点ずつ申し上げたいと思います。
 まず、1つ目です。論点①に関しては、全国一律の給付水準で現金給付するという仕組みの中で、給付体系の見直しによって窓口自己負担が増加することのないよう、公費からの負担軽減策などの支援策も含めて、公平性・納得性の観点から考える必要があると考えています。
 ②に関しては、段階的ではなく、あくまで例外としての取扱いとなるよう、関係者の意見も踏まえて具体的な対応策を検討していただきまして、今回の支援の強化が全ての妊婦の方に届くよう、着実に進めていただきたいと考えています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、島委員、よろしくお願いします。
○島委員 ありがとうございます。
 6ページの①に関しましては、5ページに示されているような概念図、こういう形で新たに制度をつくるという方向性に関しては異存ございませんが、今、議論が出ておりましたように保険診療の部分は現在3割負担ですので、出産に関して無償化という話をしておりますから、当然ここも無償化すると。ただ、そういった場合に、3割の負担額というのはかなり大きゅうございますので、非常に高額な場合は高額療養費制度を使う、それでも自己負担が増えた部分に、妊婦本人に対する現金給付といったところがあってもいいのではなかろうかとは思っております。
 それから、論点の2つ目ですが、新たな制度を立ち上げて、実際施行するということになった場合、参考の資料にもありますように、2割弱ぐらいの分娩が正常分娩です。当然、異常分娩を扱えるところが正常分娩も扱っているはずなので、むしろ周産期医療が崩壊しないよう、値づけも含めて十分に検討して、それから国民の理解も得た上で、できるだけ同時に開始するのが望ましいのではなかろうかと私自身は思っております。ただ、どうしてもタイミングを決めてもそこではやれないという特別な理由があるところは別にして、基本的には同時にやれればいいのではなかろうかと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
 現金給付の関係で2点ばかり発言をしたいと思います。
 1点目はアメニティーという言葉の意味合いとも関係するのですけれども、実際上どういうものがあるのか。つまり、新しく保険給付ができて、そこから外れてくるものの中で、本当に世の中で必要であるものであるとすると、自己負担になりますと、特に低所得層の方たちは実際上そういうことの恩恵に浴することができないということになりますので、アメニティーというのはどういうものがあるのかということをよく見極めて、そして場合によれば、そういう部分も今日の図を拝見すると現金給付のところに少し赤いところがかかっておりますので、その辺りで検討する余地があるのかなと思っております。
 なぜそういうふうに申し上げるかというと、特にこういう議論になりますと、すごく正確性というか厳密性を求めるのですけれども、医療保険の体系を考えますと、例えば葬祭とか埋葬の関係の給付になりますと、そこまで厳密に金額を算定しているのかというとそういうわけでもない部分がありますので、そういう点からいえば、実際上、今行われていることを踏まえて、これまでもかなりこだわってきたのですけれども、出産育児と言っておりますので、そういった部分を検討する余地があるのではないかというのが1点であります。
 もう一点は、先ほど来出ているお話とも少し関連するのですけれども、無償化ということがどこまでカバーするかというイメージが、こういう議論の場と国民レベルで違っているとまずいと思うのです。そうしますと、正常分娩、異常分娩という話がありましたけれども、もう一つあるのは新生児の医療というところだと思うのです。そうしますと、これまでも議論がありましたように、マイナ保険証のところも特急発行とたしか言っていましたでしょうか。そういうことをしてもタイムラグがあったりしますので、そういった点も含めて、一連の流れの中でどのぐらいの負担が発生するのか、その辺りを見極めてこういうものも議論する必要があるのではないのかなと思っております。したがって、少し射程の範囲を広げて、どういうお金がかかってくるのか、エビデンスに基づいて今後はさらに進めていく必要があるかと思っております。
 同時に、一斉にスタートするかどうか、これも今後の話だと思いますけれども、フィージビリティーの問題がありますので、実証的にいろいろとやってみて、全面的に展開できるかどうか、その辺りも少し今後検討していく中で考えていくことかなと思っております。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 6ページの論点に沿って幾つかコメントを申し上げます。
 まず①については、妊産婦の経済的負担の軽減のために議論を重ねてきたことを踏まえますと、出産費用の給付体系の見直しによって、妊産婦の方に新たな不利益が発生するというのであれば、何らかの支援が必要であるということは理解ができます。
 ただ、5ページの表にも出ています妊婦本人に対する現金給付ですけれども、前回の部会でも申し上げたのですが、やはり保険で給付するものなのか、また、そういう面で、保険料負担者の納得感ですとか、さらには自治体から支給されている伴走型支援の給付との整合性から、慎重に検討すべきであると思っていまして、保険適用の範囲とは切り離して、公費で手当てすべきではないかと考えております。
 次に、②については、これも前回の発言の繰り返しになりますが、対応可能な施設から新制度に移行していくという方策はやむを得ないとは思いますけれども、保険者から見ても、新制度、旧制度の両方の支給事務が発生することになりますので、保険者の意見も聞いた上で御検討いただきたいと思います。また、新旧両方の給付体系が混在する場合に、先ほども意見がございましたが、新旧どちらの産科医療機関で分娩するかを選べるという妊婦の方もいれば、地域によっては選べない妊婦さんが発生することも考えられますので、仮に新旧両方の給付体系を併存させるとした場合でも、時限的なものとすべきと考えております。
 もう一点、先ほど来いろいろな御意見が出ていますが、現在、保険適用の対象となっていない正常分娩と、保険適用の対象となっている帝王切開等の異常分娩の取扱いの整合性をどう図るかというのは大変重要な課題だろうと思っております。異常分娩等の保険対象となっている費用については、本来、自己負担が発生しているはずですけれども、その中で現在、現金給付で支給されている出産育児一時金がどのような位置づけにあって、どのように使われているのかというのがポイントになると思います。
 今回、保険対象とすることで、基本的には現物給付に移行することになると思いますけれども、そもそも現在、各医療機関で正常分娩と異常分娩の価格決定がどのように行われているのか、その辺りも不明な点が多くて、これが現物給付化することによって、現物給付の部分と保険診療の部分が明確化されることになろうかと考えております。いずれにせよ、新たな給付体系の構築に当たっては、今現在の取扱いを整理した上で、こういった課題を整理、解決すべきだということも考えておりますので、従来から申し上げていますけれども、そのためにも見える化を十分行った上で、全国一律の水準で現物給付とするという方向性に沿ってぜひ進めていただきたいと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 論点につきまして、1点目の現金給付を新たにということですけれども、現物給付とは別に、妊婦本人に対する現金給付を創設することについては、出産に関する費用負担の軽減、これまでも差額を受け取っていたケースへの配慮を考えると、一定限やむを得ないものと受け止めております。
 他方、これまで議論してきた出産育児一時金を現物給付化するという方針を考えると、考え方として、別途、現金給付を新たに創設することは、本来であればなじまないものであるという点は申し上げておきたいと思います。そうした観点からは、なかなか保険料を負担する方々の理解も得づらいと考えておりますので、経緯に関しましては一定限理解しますが、仮に現金給付を創設する場合には、その給付額について、保険財政への影響等を十分に配慮した上で設定していただく必要があると考えております。
 2点目の移行時期につきましては、医療保険の現物給付とする以上、全国一律の扱いであることが望まれます。新制度への一律移行を原則とするとともに、対応できない施設においても、早期の移行を促進するというようなやり方で進めていっていただければと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 ありがとうございます。
 実際のところ、前提となる地域医療を守るということについて、基礎的自治体の立場からは、一次施設が守られること、それから周産期医療提供が確保されることは、非常に必要なことだと認識をしております。特にこれは地方において大切なことだと思っております。
 それは前提のようなお話で、それを申し上げた上で、今日はぜひ言葉のことを発言させていただきたいのです。というのは、今朝の新聞報道などでも、既に混乱というかややこしいと思うところがあるのですが、現物給付、現金給付、無償化、実質無償化、こういう言葉が様々語られるわけです。その言葉自体が独り歩きしてしまうということが非常に懸念されます。例えば現物給付と言ったときの現物は何を指しますか、分娩そのものを指すのでしょうかというようなことで、我々はこの世界にいるので非常に分かりやすく、理解を相互にし合って語っているのですけれども、一般の方に現物給付と言ったときに、理解が必ずしも容易ではないかなという感じがしております。
 例えば自治体がやるこども医療費の窓口無料なんていうのは比較的分かりやすいのです。ところが、ここ数日、世の中に小学校の給食の無償化という話が出ていますよね。政策の中身とその用語がぴったりとマッチしているかどうかというのが大議論になっているわけであります。したがって、言葉が独り歩きするということを避けるためには、正確な説明をしなければいけないこととともに、適切な用語選択をこれからしていくようにしたいと思っておりまして、改めてこの後、新しい制度を詰めていくに当たって、シャープに選んでいくということについては大切なことだなと思っておりますので、この点、発言させていただきます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、菊池部会長代理、よろしくお願いします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
 前回の繰り返しになるのですが、給付の法的性格論から見た場合に、今回の給付体系の見直しは、金銭給付から現物給付に切り替えること、そして、そのこと自体、サービス提供の在り方として望ましいことからすれば、差額分を補塡するということについては、法的期待利益の観点からも配慮の必要性は低いと思われます。
 やや技術論になりますが、仮に法律上、今回の見直しによる新たな給付が療養の給付ではなく療養費の構成を取るとしても、現在の家族療養費がそうであるように、事実上現物給付として支給され得るものであれば、実質的な現物給付と位置づけられると考えられます。
確かに今回、資料6ページの記述にありますように、出産に伴う一時的な経済的負担全体の軽減に係る要素を別途勘案するかという問題はなお残ります。ただ、これも前回述べましたように、勘案するとしても全ての出産への制度的対応を考える必要があると思います。この点で、従来の出産育児一時金に含まれていた産科医療補償制度掛金分を別途支給するという考え方は理解できるところであります。それに加えてさらに金銭給付を行うとすれば、どのような趣旨の下に行うのか、性格づけが重要です。
 2024年子ども・子育て支援法等改正で、子育てに係る経済的支援の強化策として、前回も述べましたが、妊娠期の負担の軽減のため、妊婦のための支援給付を創設し、10万円相当の経済的支援策を導入し、その財源として医療保険料に上乗せする形で子ども・子育て支援金が設けられ、来年度から徴収が開始されます。こうした経済的支援策とは別個の法的性格を持つ給付として、医療保険本体の保険料財源を活用して、一律に行うべき金銭給付とは何か、子ども・子育て支援金制度との差別化をどう図るかについて、慎重な検討をお願いしたいと思います。
 私としては、こうした金銭給付の性格づけとは別に、先ほども議論に出ておりましたが、出産に伴う経済的負担の軽減という観点からは、従来から療養の給付として行われてきた正常分娩の枠を超えた保険診療において生じる自己負担自体の軽減をどう考えるかという議論も、また別途検討対象となり得るのではないかと考えられます。この場合、出産に伴う一律の経済的支援策というより、個別に生じることのある保険診療の自己負担の軽減策として整理することもでき得るのではないかと思われるところです。
 それから、新たな給付体系への移行に当たっては、相応の移行期間が必要であることは理解できると前回も申し上げましたが、繰り返しになりますが、将来的には一本化を図ることが重要であり、附則に規定し、時限的な経過措置として位置づける必要があると思います。
 その理由として、金銭給付と現物給付の並立が法的安定性の観点から望ましくない、フリーアクセス、受診機会の平等、差別的医療の禁止といった価値を毀損しかねない、金銭給付を残すとなると現状の問題点を未解決のままにしかねないと、いったことが挙げられます。移行期間をどの程度設定するかにもかかわりますが、移行期間においても新たな給付体系への移行を促すための措置、現物給付化を図る施設に対する相対的優遇に向けた配慮といったものが取られてよいのではないかと考えられます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきます。本日の意見も踏まえながら、さらに議論を深めていただければと存じます。
 専門委員の皆様方におかれましては、貴重な御意見ありがとうございました。次の議題に移りたいと思いますので、本日はここで御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。
(専門委員退室)
○田辺部会長 次に、「医療保険制度改革について」を議題といたします。
 事務局より説明をお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
 資料2をお開きください。「協会けんぽにおける予防・健康づくりの取組等」です。資料は1ページのみです。以下は参考資料ですので、1ページのみ御紹介を申し上げたいと思っております。
 協会けんぽを設立されましたのが平成20年(2008年)の10月ですけれども、それ以来、予防・健康づくりへの様々な取組を行っている状況です。今後こういった取組を一層強化していく等々の観点から、以下の取組を進めていくことを検討しております。1点目、2点目という形で記載しています。
 まず、1点目として予防・健康づくりの取組の一層の強化ということでございまして、協会けんぽの加入者は、主に中小企業で勤務されておられる方あるいは御家族の方が多いわけですけれども、医療費の適正化でありますとか、あるいは加入者の健康の保持増進を一層推進し、現役世代への取組をより強化するということで、様々な健診体系の見直しでありますとか重症化予防対策の充実に取り組んでいるところです。
 こういった取組を一層推進していく観点から、協会けんぽが加入者の年齢ですとか性別、健康状態等の特性に応じたきめ細かい予防・健康づくりを適切かつ有効に実施をしていくということを明確化していくということを検討しています。
 こういった取組、保険者による予防・健康づくり、もちろん全ての保険者に実施していただいておりますけれども、保険者協議会等々も通じまして、地域の関係者がさらに連携・協力して取り組んでいただくことを推進していきたいと思っております。
 2点目です。毎年度の収支見通しの作成ということでございまして、協会けんぽにおきましては現在、法律上2年ごとに今後5年間の被保険者数・総報酬額の見通し、あるいは給付費・保険料額等の収支の見通しを作成し、公表するものとされています。ただ、実際にはもちろん毎年こういう取組を実施していますので、そういう形で現在、協会けんぽで実行上の措置として実施をしております毎年度の収支見通しの作成も明確化していくことを検討していきたいと考えています。
 事務局からの説明は以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、御意見等あれば挙手にてお願い申し上げます。
 北川委員、お願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 御紹介いただきましたが、協会けんぽにおきましては、予防・健康づくりの取組として、来年度からは、人間ドックに対する補助や若年層を対象とした健診、令和9年度からは被扶養者に対する健診を生活習慣病予防健診と同等にするなど、保健事業を一層強化・拡充していく動きとなっております。
 また、来年1月からは電子申請も開始しまして、それと前後いたしますが、一昨年より準備してまいりましたけんぽアプリもスタートいたします。
 これによって、今後10年計画ではあるのですけれども、直接加入者とパーソナルに結びつく健康づくりを支援していく予定です。
 けんぽアプリにつきましては、4000万人と直接つながるけんぽDXという考え方で、これはオープンなインフラとしまして、健保連さんや国保中央会さんとも既に連携体制を取らせていただいておりまして、将来的にはさらなる広いインフラに成長していくことを期待しているというような次第です。
 今回の1番の明確化につきましては、こうした協会けんぽの取組について応援していただくという趣旨であると受け取っております。引き続き、よろしく御指導いただければと思っております。
 なお、資料の3ポツ目に記載されております、保険者による予防・健康づくりは全ての保険者に求められる取組であり、保険者協議会等を通じて、地域の関係者がさらに連携・協力して取り組むということにつきましては、協会けんぽとしましても、今後とも引き続き努力してまいりたいと考えております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、井原参考人、よろしくお願いいたします。
○井原参考人 ありがとうございます。国保中央会でございます。
 予防・健康づくりの取組の一層の強化の2ポツ目のところで、明確化の検討という点につきまして、1点要望を述べさせていただきたいと思います。
 私どもは、先ほど北川委員のほうからお話しがありましたように、協会けんぽとの関係におきましては、令和5年度、令和6年度の2年間で、市町村国保と協会けんぽが共同して進める健康づくりモデル事業を実施し、そこで得られた知見を踏まえまして、今年度、国保と協会けんぽの枠組みを超えた市町村の住民の方々の健康づくりに取り組んでいるところです。
 したがいまして、明確の検討に当たりましては、地域の健康課題を踏まえまして、国保を含め、データ連携が非常に重要であると思いますので、他の保険者との円滑なデータ連携強化の推進という点も取り入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、中村委員、よろしくお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。
 協会けんぽに限らず、予防・健康づくりというのは非常に重要だと思うのですけれども、そういうことに対して予算化も進められていくと思いますので、そういった場合に、その効果を完全に独立の立場から研究者が検証できることが大事だと思うので、ぜひそういったことが可能になるようなデータ整備であるとかデータ利用の機会を設けていただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、林委員、よろしくお願いします。
○林委員 協会けんぽにおいて、安定的な財政運営の下で予防・健康づくりの取組を積極的に行うことは重要と考えていますが、これはどの保険者にとっても同様と考えますので、協会けんぽだけではなく全ての保険者で取組が進むよう、国として支援をしていただくようお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 協会けんぽにおける予防・健康づくりの取組を一層強化するという方向性については賛同いたします。こうした保険者から加入者への取組は、協会けんぽにとどまらず、積極的に推進していただきたいと思います。
 加えまして、以前も申し上げましたが、健康維持への努力というのは加入者自身の義務、責務であると思います。若いうちから、自らの健康は自ら守るという意識を醸成することが、将来の健康リスクの低減と負担抑制につながると考えます。
 その際、行動変容を促すには、インセンティブによる誘導よりも、健康づくりの努力に対する表彰といった手法のほうが、加入者のやる気を引き出し、主体的な取組につながるのではないかと考えます。頑張っている方へのリスペクトが重要だと思います。ぜひ御検討をお願いいたします。
 商工会議所といたしましても、健康経営を推進し、職域における健康増進を進めてまいりたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきます。本日の意見も踏まえつつ、議論を深めていただければと存じます。
 次に、「後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について」を議題といたします。
 事務局から資料が提出されておりますので、資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○日野課長 高齢者医療課長でございます。
 お手元の資料3をお開きいただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして、1ページを御覧いただければと思います。
 後期高齢者医療の保険料賦課限度額です。後期高齢者医療制度におきまして、給付と保険料負担のバランスという観点から、年間の保険料に限度額を設けているところです。平成20年に制度がスタートしたときは、国保の仕組みを横目に見ながら、50万円と設定をしたところです。後期高齢者医療制度は2年に一度保険料の改定をすると。それに合わせて見直しをするということで、偶数年度にこれまで見直しを行ってきて、見直しをしない年もあれば引き上げた年もあるといった感じで推移をしてきております。
 直近でいいますと、令和6年度に66万円から80万円に大幅に引上げを行っております。こちらは後期高齢者の保険料の負担率の見直しを行った関係で、それとセットでの見直しを行ったところです。
 2ページを御覧いただければと思います。
 令和8年度、9年度の保険料の賦課限度額です。枠囲いの2つ目の○にありますとおり、近年、物価・賃金が上昇していて、後期高齢者の所得も上昇している。一方で、医療給付費も増加が見込まれているということ。それと2つ目のポツにありますとおり、出産育児支援金の激変緩和措置の終了など、こういったところの影響も出てくるということを踏まえまして、賦課限度額につきまして、今年は80万円を85万円に引き上げてはどうかと考えております。80万から85万円ということですので、2年間ですので単年に直すと3%ぐらいというイメージになるかと思います。
 これを見直した場合にどういう影響があるかというのが左側の図にあります。後期高齢者の保険料は均等割と所得割に分かれていまして、負担割合48%と52%というふうにフィックスをされています。限度額を引き上げますと所得割のほうに影響が出てきまして、上限が上がっていくと。一方で、所得割の52%というのは変わらないので、面積が増えた分、傾きが下がっていくと。結局は所得割の中での再配分ですから、現役と比べて高齢者の負担を増やすという形ではなくて、高齢者の中での再分配をしていくという考え方になります。ですので、所得割のある高所得者の方の負担が増えて、中所得者ぐらいの方の負担が減ると。それが、右側にありますけれども、例えば年収400万の方でいえば、80万円の場合ですと、令和8年度の据置きのところを見ていただきますと、例えば30万円になるところが29.7万円ということで、上昇率が低下をすると。その分、その下にあります限度額80万円とか85万円の方については、例えば5万円増えて6.3%増えていくという構造になっているということになります。
 こういう限度額に当たる方がどれぐらいの方かというのが、左下にあります。年金収入と給与所得が同程度の方というパターンで示していますが、80万円の場合ですと、970万円とか1090万円、賦課限度額が85万円になると年金収入1020万円、年金と給与収入が同程度の方は1150万円ということで、かなりの所得の方が対象になってくるということです。
 私からの説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願い申し上げます。
 では、實松委員、よろしくお願いします。
○實松委員 實松です。よろしくお願いいたします。
 賦課限度額は、給付と負担のバランスを保つために設けられており、制度運営上重要な仕組みであると認識しています。令和8年度の見直しにつきましては、物価・賃金、そして所得、医療給付費がいずれも上昇傾向にあることを踏まえると、一定の引上げはやむを得ないと思っております。また、負担能力に応じて支え合うという制度の基本理念にも沿うものであると考えます。
 一方で、被保険者の理解を得るためには、引上げ幅、特に5万円という引上げ水準の設定根拠について、丁寧に分かりやすく説明することが不可欠であると感じています。負担能力に応じて支え合う制度の理念を損なわないよう、影響を受ける方への周知と丁寧な情報提供をぜひお願いしたいと思います。
 また、新設される子ども・子育て支援納付金についても、医療分との公平性を確保しつつ、分かりやすい情報提供をお願いします。
 制度の持続性と被保険者の理解につながる形での検討をお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、佐藤参考人、よろしくお願いします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
 後期高齢者医療の保険料負担につきましては、対象となる方の理解と納得が得られるよう、国において丁寧な周知をお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 では、ほかに御意見がないようでしたら、本議題に関する方向性につきましては、おおむね御了承いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。それでは、本議題につきましてはこれまでといたします。ここの了承を基に、先に進めていただければと存じます。
 それでは、最後に「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)」を議題といたします。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○西川企画官 医政局医療政策企画官でございます。
 資料4をお願いいたします。こちらの資料は、12月8日の医療部会で御議論いただき、御了承いただいたものです。一部、保険医療機関に関する内容がありますので、医療保険部会でも御議論いただくものです。
 資料の1ページ目です。下線部だけポイントを絞って御説明させていただきます。
 2040年に向けて、医療機関の業務効率化・職場環境改善について、必要な制度的対応を含めて取り組むことが必要だと考えております。そのために、医療機関の業務のDX化の推進を支援するということで、まず今回の令和7年度補正予算案におきまして、国費200億円を計上しております。また、別途、都道府県負担分として100億円がございます。合計公費300億円での支援を行うということにしております。
 その下ですけれども、こうした支援を受けてDX化を推進する上で、医療機関から必要なデータを収集し、分析していくこととしたいと考えております。
 その次です。医療の質や安全の確保と同時に、持続可能な医療提供体制を維持していくという観点から、診療報酬上求める基準の柔軟化を検討していきたいということであります。
 それから、一番下の○です。こうした医療機関の伴走支援のために、都道府県の医療勤務環境改善支援センターの体制拡充・機能強化を図っていきたいと考えております。
 2ページ目です。
 1つ目の○です。業務の効率化に積極的・計画的に取り組む病院を公的に認定していく仕組みを創設したいと考えております。
 その次の○です。併せまして、医療機関の責務の明確化ということで、医療法上の医療機関の管理者におきまして、現在の勤務環境改善の措置に取り組むよう努めるということに加えまして、業務効率化にも取り組むよう努める旨を明確化したいと考えております。併せまして、健保法上の保険医療機関の責務としても、業務効率化・勤務環境の改善に取り組むよう努める旨を明確化したいと考えております。
 資料の説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお知らせいただければ幸いです。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 内容がいい悪いということよりは、考え方を整理したほうがいいのだろうという視点で発言をさせていただきます。
 業務改善というところまでは、これまでの保険医療機関の責務的なことからいえば分かるわけですけれども、勤務環境、労働環境ということになりますと、まさに職場の内部のことになりますので、そこまで健康保険が踏み込むのかどうかということに関して、一定の整理をする必要があるのだろうと思っております。私もまだあまり詰めたわけではありませんけれども、今日の御説明を聞いていて、勤務環境というものがひいては医療の内容であるとか質に関わるといったようなことであれば、健康保険に規定するという一つの理屈はあるかなと思いますし、また、実際上は診療報酬でそういった部分まで踏み込んでいるわけですので、そういった点でも、こういった規定を明確化するようなこともあるかなと思いました。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 終わりのほうにありました医療人材の不足の問題について申し上げたいと思うのですが、一つは、資格を持っているけれども活用されていないとか働いていない人の活用。これはいろいろな領域で既にやられていますけれども、一層そういう努力が必要ではないかということで、例えば働きやすい環境、特に看護師さんなんかですと出産、育児を経て辞めてしまうという方がありますので、そういう方が働きやすい環境をつくるということとか、あるいは短時間正社員みたいな扱いはできないか。要するにパートで非常に安く使われるから嫌だという人もいますので、その辺りは資格を持っている方の活用をもっと考えてもいいと思います。
 もう一つ、養成校の定員割れは前から言われておりますが、一つは最近の若い人たちがそういう地味な仕事をやりたがらないというか、どちらかというと収入が高くて華やかなITとかAIとかそっちのほうに行ってしまうという面もあるのですが、もう一つは養成校の授業料が結構高いのです。そこの辺りの奨学金などはどうなっているのか。例えば大学なんかについては、奨学金を充実するとかいろいろなことが言われていますけれども、養成校についての財政的な支援とかそういうことも考えていいのではないか。このままいくと医療も介護も本当に働いてくれる人がいなくなって、これからどうなるのか大変不安ですので、その辺をぜひ、考えていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 労働人口が減少していく時代ですので、医療の現場においても人材確保が非常に難しくなってきております。そういう状況ですので、DXの推進は効率化を図るという意味でも必須の要件となってきているというのが今の現状です。
 ただ、ITとかAIといったものを導入するに際してはそれなりの費用がかかりますし、それから、導入のところで結構公的に補助していただいておりますが、ランニングコストもかかるのです。今は、そこに関しては全然支援がないというような状況です。今回の補正予算でいろいろ金額をつけてもらっておりますが、我々も2ページの黄色のマーカーが引いてある保険医療機関の責務として、業務効率化・勤務環境改善といったことは、それぞれの施設が一生懸命考えているのが現状ですが、施設の能力差もありますので、これはあくまでも努力義務ということで今、理解しておきたいと思っております。
 それから、診療報酬上で施設基準というものがありまして、こういう資格を持った方が何人いればこれだけの入院基本料が取れますとかいったような中身になっていますけれども、先ほどから言っていますように、だんだん人が足りなくなってくるので、これを確保するのがなかなか難しくなってきております。特に専従要件ということで、ほかの仕事ができないとうたってあるのですが、どんどん業務効率化を図ることによって、やるべきことがきちんとやれたら、ほかのこともやっていいと変えてもらわないと、現場は非常に苦しいというのが実情ですので、私の言いたいところはそういうところです。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、林委員、よろしくお願いします。
○林委員 1のDXの推進の○の3つ目です。診療報酬上求める基準の柔軟化を検討ということに関しては、前のほうに記載がありますように、医療の質や安全の確保が大前提となりますので、その上で現場の実態を踏まえ、慎重に検討していくべきだと考えています。
 安全・安心で質の高い医療を担保するためには、それを担う人材確保が欠かせません。そのために医療現場で働く方の勤務環境の改善は不可欠ですから、業務の効率化が働く方にとっての職場環境の改善につながるよう、しっかり支援していただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
 今回お示しいただきました案につきましては、医療現場における人手不足が危機的な課題となる中、これまでの議論を踏まえまして、医療機関の業務効率化等に医療界全体、そして国主導で取り組む方向性を整理いただいたものであり、賛同いたします。
 今後、国全体での取組水準の向上を図るため、国におかれましては、財政面や技術的支援の強化をお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、任委員、よろしくお願いします。
○任委員 資料の1ページについてですけれども、医療機関の業務におけるDX化の推進の際には、導入支援や継続的な支援の枠組みが必要であり、効果等のエビデンスについても収集・分析していくことは重要です。DX化による効果については、医療機関ごとにシステムや状況等が様々であることも踏まえ、実態が正確に把握できるよう、丁寧に詳細な分析をしていただきたいと思います。
 以前にも申し上げましたが、現段階では、業務のDX化により、超過勤務を多少減らすことができても、直ちに人員自体を減らすことにはつながらないと認識しています。先ほど林委員もおっしゃっておりましたが、診療報酬上で求める基準の柔軟化については、患者に提供される医療、看護の安全の担保の観点、職員の労務負荷への影響を十分に考慮し、慎重に検討する必要があると考えます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 様々な御意見をいただいたところでございますけれども、おおむねでございますけれども、今回の案で御了承いただいたということでよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。それでは、このような対応をさせていただきたいと存じます。
 ほかに何か全体を通じまして御意見等ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、御意見もないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
 本日は、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。
 それでは、これにて閉会いたします。