第3回高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会議事録

日時

令和7年11月5日(水)14:00~

場所

厚生労働省専用第15会議室

出席者

参集者(敬称略・五十音順)
漆原 肇
榎原 毅 (座長)

甲斐 裕子
坂下 多身
島田 行恭
松尾 知明
松岡 かおり
松田 晋哉(オンライン出席)

松田 文子
松葉 斉

事務局
安井 省侍郎(安全衛生部長)
土井 智史   (安全課長)
奥野 正和 (主任中央産業安全専門官)
吉岡 健一 (副主任中央産業安全専門官)
中地 建太 (中央産業安全専門官)
長山 隆史  (主任中央労働衛生専門官)

議題

(1)高年齢者の労働災害防止のための指針について
(2)その他

議事

○副主任中央産業安全専門官 定刻となりましたので、ただいまより、第3回「高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会」を開会いたします。議事に入る前に構成員の交代がありましたので、御紹介させていただきます。日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長山脇様に代わりまして、日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長の漆原様に御参画を頂いております。
○漆原構成員 連合の漆原です。よろしくお願いいたします。
○副主任中央産業安全専門官 続いて、構成員の出席状況について報告いたします。本日は御都合により、飯島構成員と石﨑構成員が御欠席となっております。また、松田晋哉構成員におかれましては、オンラインでの御出席となっております。これ以降の議事進行を榎原座長にお願いいたします。
○榎原座長 それでは議事に入りますので、円滑な進行に御協力くださいますようよろしくお願いいたします。また、傍聴の皆様におかれましては、カメラ等はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
 最初に、事務局からオンラインによるZoomの操作方法、配布資料等について説明をお願いいたします。
○副主任中央産業安全専門官 事務局より説明をいたします。Zoomの操作方法の説明となります。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクの設定をオフでお願いいたします。また、オンライン参加の構成員の先生におかれましては、御発言される場合は御発言がある旨をチャットに書き込んでいただいて、座長から指名されましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をお願いいたします。そのほか、進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットへの書き込み、又は事務局へのメールにて御連絡をお願いいたします。
 続いて、配布資料について説明いたします。資料は、お手元のタブレットで配布させていただいております。会場で参加されている方におかれましては、お手元のタブレット、オンライン参加の皆様におかれましては事前にお送りしているファイルを御確認ください。資料1は、議題(1)に係る松尾構成員の提出資料。資料2は、議題(2)に係る高年齢者の労働災害防止のための資料について。資料3は、石﨑構成員の提出資料。資料4は、飯島構成員の提出資料となっております。このほか、参考資料として、開催要綱、構成員名簿と前回検討会の議事録を御用意しております。過不足や乱丁などありましたら、事務局までお申し付けください。
○榎原座長 それでは、議題(1)に移ります。松尾構成員から検討会に対して資料の提出がありました。松尾構成員から10分程度で御説明いただき、その後、質疑応答の時間をとりたいと思います。それでは、松尾構成員、よろしくお願いします。
○松尾構成員 改めまして、労働安全衛生総合研究所の松尾です。前回、前々回と会議の中で、体力測定や運動の話がありました。その中で、私も2、3発言をさせていただきましたが、その発言の背景にあるような私たちの研究について紹介をさせていただき、情報提供をさせていただきたいと思います。
 次のページをお願いします。こちらは、この会議の中で再三取り上げられているエイジフレンドリーガイドラインの中の一節ですが、高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応として、個々の労働者の健康や体力の状況に応じて、適合する業務を高年齢労働者とマッチングさせるよう努めることということが事業者に求められています。それを図に示すと、こういったことになるのかと思います。私たちの問題意識として、今回の指針や通達の中に入れていくということではないのですが、将来的な課題として、このマッチングの方法について、現ガイドラインでは事業者任せの書き方になっている面があるのかと。判断材料となる資料やエビデンスの提供が、今後必要になるのではないかということを思っております。例えば、前回、前々回の会議の中でもありましたが、転倒(つまずき)の要因で、「何もないところでつまずいた」「足のもつれ」があります。これも前回の会議で出てきたと思いますが、高年齢労働者の方が例えば60歳で定年を迎えて新しい職に就くに当たって、軽度な肉体労働が必要なサービス業等に就いた場合に、1年未満の比較的就業時間が短い段階で災害に遭うというようなことが、統計上出ております。こういったことから考えると、足のもつれや何もないところでつまずいたということと併せて考えると、「疲れやすさ」に関わるような体力に着目する必要があるのではないかと思っております。
 次ページです。その「疲れやすさ」の指標となる体力として、全身持久力というものがあります。「転倒等リスク評価セルフチェック票」の体力項目に掲げられている5つぐらいの体力測定項目がありますが、全身持久力はこれらとは少し視点の異なる体力評価です。今、掲げられているセルフチェック票の中には、下肢筋、敏捷性、バランスを評価する体力項目が挙げられていますが、全身持久力はそれらとは少し違うのです。そこに幾つか説明が書いてありますが、簡単に言うと、全身持久力は「活発な身体活動を維持するための体力」ということで、正に疲れやすさに関わるものです。この体力は、実はかつてのTHPの中でも重要視されてきたもので、体力の中では代表的な体力項目です。なぜ代表的かというと、下に幾つかエビデンスを示していますが、例えば有名なのが、喫煙よりも死亡リスクとの関わりは、この全身持久力、CRFという言い方をしますが、CRFのほうが、影響が強かったというものや、労働者の観点でいくと、30代、40代、50代の中年期のCRFが低いと、高齢期の疾患発症、死亡、あるいは医療費にも関わるというような有名な研究が幾つかあります。
 そういったことで、アメリカ心臓協会などは、こんなに大事な体力なのに定期的に検査できないのは何とかする必要があるのではないかということを、かねてから言われているのですが、最近も2024年の論文の中で特集号を組んだりして、盛んに訴えています。何でこれをできないのかという大きな理由が、VO2max(最大酸素摂取量)という言葉を皆さんお聞きになったことがあるかもしれませんが、全身持久力をある程度正確に測るためには、最大酸素摂取量を測定する必要があり、これは簡単ではないためです。
 次のページです。ただ、これは学校ですと、子どもたちは20mシャトルランで毎年スポーツイベントとして測定しています。私が子どもの頃は、踏み台昇降や12分間走などをやっていました。20mシャトルランがいいのは、全力を出し切るので、全身持久力をある程度正確に測定できるのです。文科省の体力テストの実施項目の中にも、20~64歳の推奨の体力テストとして20mシャトルランが出ているのですが、多分これをやったことがある労働者の方はほとんどいないのではないかと思いますが、なかなかできないのです。であれば、労働者用の評価方法を作ろうということを、この10年ぐらいやってきました。
 次のページです。今日は細かいことは避けますが、例えばstep testも今まであるものよりも、もう少し精度が高いものや運動強度を抑えたものを作ろうと。これは心拍数で評価するのですが、右下にあるように、体力が高い方はステップ運動をすると心拍が上がりにくくて下がりやすい、体力が低い方は上がりやすくて下がりにくいので、そういう違いを、VO2maxを推定するのに、そういった数値を使っていこうといったものです。
 次です。推定には、重回帰分析を使っています。詳細の説明は今日は避けますが、SEEという言葉を少し、皆さん記憶にとどめておいていただきたいのですが、これは、step testで最大酸素摂取量を推定した場合の誤差を見たときに、これは小さいほうがいいのですが、4.05程度だったということを論文で報告しました。
 次のページです。step testをやらなくても、質問紙でどれぐらい評価できるのかというようなこともやっています。質問項目を、先行研究やその他の情報を含めて開発をしました。
 次のページです。そうすると、先ほどは4.05であったSEEが、質問紙を使うと4.29と少し悪くなると。前回発言させていただいたので、質問紙でも体力テストをしても、そんなに変わらないというのはこの辺りなのですが、4.29とそれでも質問紙のほうが若干悪くはなります。
 先ほど写真を出しましたが、VO2maxを正確に測るには、自転車やランニングマシーンを使って、マスクをして疲労困憊まで運動をしなければいけないのです。それを、何百人、何千人という被験者数でやっている海外の疫学調査研究はたくさんあるのですが、そういった研究で心血管疾患や医療費などとの関係が示されているのですが、それと同じような結果がこの質問紙を使っても得られるので、このような質問紙による推定法もある程度使えるのではないかということを示した研究になります。
 次ページです。最初に戻りますが、マッチングの方法として、現ガイドラインで事業者任せの書き方になっているので、今回の指針、通達の中には含められないにしても、宿題としてというか、将来的にこういうマッチングができる資料が必要になるのではないかと。先ほどの全身持久力(CRF)がMETsで表されます。一方でMETsというのは、運動、身体活動の強度の単位になるので、いろいろな仕事をMETsで表すことが可能です。実際に「METs表」というものが既にあるのですが、これだけではなかなか「この仕事がどの程度きついのか」が分からないので、それをもう少し整理して提供できるようにしようと。下に書いてありますが、私たちがいろいろとこれまで経験する中で、やはりこれは労働者個人がウェブサイト等で簡単に「マッチング」できるようにしないと、事業場で人前では運動をしたくない人もいたり、企業が労働者の体力を評価することはどうなのだという問題が必ず出てきたりしますので、まずは労働者自身がウェブサイトなどで自身の体力を評価できるような仕組みが必要になるのではないかといったことを研究として目指しているわけです。ただ、今の段階では、体力測定のほうの研究は進んでいますが、「この仕事がどれぐらいきついのか」というところを示していくことが、今後の課題と思っています。
 次のページお願いします。step testについて、私たちは企業何社かにステップ台を持ち込んで測定会をやったのですが、従業員に1か所に集まってもらって運動してもらう方法は、以前の会議でも伝えましたが、煩雑さもありますし、「人前で運動したくない」といった問題も出てきます。最近はコロナもあったことでますますこういった事業場での測定会がやりにくくなったこともありましたので、そうであれば、家で自分のスマホを見れば体力評価ができるように、心電計がなくても今は良い、手首に装着するスマートウォッチなどがありますので、そういったものを使えば評価できるような形にしていきましょうという研究もしています。その研究についても論文で報告しており、今はウェブサイトで労働者個人が体力評価をできる状態にはなっています。
 次です。測定の方法が分かったら、やはり、これも今後の宿題なのではないかと思いますが、では、その「疲れにくさ」を改善するためにはどうするのかという情報も提供していくべきだろうということです。皆さんお聞きになったことがあるかもしれませんが、最近の15年ぐらいの研究でHIIT(High-intensity interval training)をテーマとした研究が、体力科学研究の中で非常に盛んになっています。今回のことには直接関係ないのですが、TABATAプロトコル、TABATA trainingが有名ですが、これは世界で一番短い時間でVO2maxを改善させる方法として世界中に知られているものが、日本人が開発したものというのは誇らしいことです。田畑先生は立命館大学の先生です。ただ、TABATAプロトコルは、我々一般人にはきつすぎて、そのままの内容では実践が難しいです。最近この15年間でPubMedヒット数と書いてありますが、何でこれだけ論文数が増えているかというと、アスリートではなくて疾患者や体力低位者にHIITを適用する研究が盛んに行われるようになったためです。そういった中で、エビデンスとして確立されているのが、VO2max、CRFを改善するためには、所要時間より運動強度の影響が非常に大きいということが、コンセンサスとして得られています。言い方は悪いですが、ダラダラと運動を1時間するよりも、10分でもグッとある程度の強度でやったほうが、この「疲れやすさ」に関わる全身持久力には効果的ということが研究としては分かっています。
 次ページです。そういう方法として、体力が低い人でもできる方法を、私たちの研究所やその他の研究機関から提案されています。私たちの研究所は、宇宙飛行士さんが宇宙に行くとVO2maxがグッと低下するのですが、宇宙での微小重力の状態と地上で座位時間が多く心臓に負荷が掛からない状態はマッチする部分があるので、宇宙で体力が低下した宇宙飛行士さん用に開発されたトレーニング方法が、座位時間が多く体力が低下した労働者にも適用できるということで、今、労働衛生の中で3×3のJ-HIATプロトコルを提案する研究も行っています。こういったものや、もっと有名なものとしては、信州大学の能勢先生や増木先生らが開発しました「インターバル速歩」というものがあります。これは、今は実は海外でJapanese Walkingといいまして、ワシントンポストやニューヨークタイムズで紹介されていて、信州大学には海外からオファーというか取材が殺到しているらしいのですが、非常に良いプロトコルで日本発のものです。私たちのJ-HIATプロトコルは3×3、つまり「3分間の高め強度の運動を2分の休息期をはさんで3回」というものなのですが、増木先生たちのインターバル速歩も3分間少し高め強度の速歩をして、2、3分ゆっくり歩く方法を繰り返しましょうというもので、たまたまなのですが、「3分ぐらい少し高い強度の運動をするといい」というのが共通しています。これらはCRFを向上させる策として、エビデンスとしてしっかりあるので、このような、労働者に提案できる、日本発で世界に誇れる研究成果があるということをお伝えしておきたいと思います。
 次のページです。そういった研究があるのですが、ここからは、散々、前回、前々回と発言させていただいている者として、「体力測定・運動実践を考える上で留意すべきこと」を、是非皆さんにお伝えしておきたいと思うことが、次のページからです。私たちは10年ぐらいCRF評価をするための検査法を多方面からいろいろと考えてきているのです。例えば、この実験は、運動をしていない人たちがしっかりと運動をして、VO2max(CRF)を改善させ、その後、運動をやめてまた元の座位中心の生活に戻ったときの、VO2maxの実測値と推定値の変化をみたものです。実測値として呼気をしっかりマスクで取って測定すると、赤い線のような変化をするのです。推定値が、これに付いてくるかどうかは非常に重要です。なぜかというと、例えば体力検査をして今年の体力が10であった方が、1年間一生懸命ウォーキングやランニングをして実際に体力が15になったときに、10から15への変化を推定値でしっかりと表現してあげられなければ、体力評価の意味がなくなってしまうためです。これを私たちが作った検査法による推定で可能かどうかを検証した実験です。
 右側を見ていただきますと、WLAQというのは質問紙法での結果で、JSTというのがstep testでの結果です。JSTでは悲惨な結果が出ましたが、何でこうなるかというと、先ほど20mシャトルランが子どもたちには非常にいいですよというのは、全力まで運動をさせることで推定精度が高まるからなのです。それに対し、私たちは「最大下」という言い方をしますが、測定時の運動強度を落として体力を評価しようとすると、どうしてもこういう問題が出てくるのです。全身持久力を心拍数で評価をすると、理論的には体力が高い人は心拍数が抑えられるというのはあるのですが、心拍数はブレが大きいので、これを表現するのがなかなか難しいというのが、この研究から分かります。一方で、質問紙の場合は、同じような集団、運動習慣のない人たちが2か月間同じような運動をした結果が質問への回答として表現されましたので、step testよりは少し良い結果が出たというのがからくりですが、こういった結果になってしまうのです。
 次のページです。そのため私たちは、この誤差を補正する方法を提案する研究もやっています。今回はJSTやWLAQなどを紹介していますが、これほど1つの測定項目を徹底的にいろいろな方面から研究しているのは、世界的にも余りないのです。ここでお伝えしたかったのは、いろいろな体力測定法が提案されていますが、体力測定はその1つ1つがどれもいまお示ししたような、精度に関わる課題をもっているということです。例えば、その中で今、転倒等リスクチェックが提案されていますが、その1つ1つが事業場で正確に測れるのかというと、非常に難しかったりします。しかも、これは前から議論になっていますが、基本的に転倒と体力に関する先行研究は、寝たきり予防の観点から行われてきましたので、その研究のエビデンスを少し元気な前期高齢者、最近では准高齢者とも言いますが、そういった少し元気な方々にそのまま当てはめていいのかということや、残念ながら、この転倒等リスクチェックについては、最近のタイの研究で日本のこのリスクチェックを使っているのですが、この方法では転倒が予見できませんというのがエビデンスで出ています。
 1つの研究だけで何とも言えない部分はありますが、このリスクチェックだけで転倒予防できるかというと、それは難しい可能性があるということ、またそれだけではなく、私たちの体力測定の研究から分かるように、体力測定の1つ1つがそれぞれ大きな課題をもっていることは、是非お伝えしておきたいです。現場で体力測定をするというのは非常に難しいということも、お伝えしておきたいと思います。
 次のページです。もう1つお伝えしておきたかったのは、東京圏の労働者1万人ぐらいを対象とした疫学調査からのデータです。この調査では、労働者の方々に、「運動は健康に良いと思いますか」という質問をしているのです。そうすると、93%、ほとんどの方が運動は健康に良いと頭では分かっているのです。しかし、「運動習慣はありますか」と問うと、この調査に限らず大体どの調査でも2、3割で出てきます。これは、もう何十年と一緒です。7割ぐらいが運動習慣はない、習慣化できないのですが、その方々に聞いてみると、その7割ぐらいは、できれば運動習慣をつけたいと思っているのです。
 次のページです。では、何でできないのかというところを聞いてみると、時間がない、お金がないと。これも、毎回大体同じような答えが聞けます。時間がない、お金がないのではないのですよね。優先順位が低いということなのです。何でそういうことが分かるかというと、私たちの調査ではないですが、Netflixの1日の平均視聴時間が1時間以上と。これは、結構驚異的だなと思いますが、Netflixは観られるけれども運動はできないというのは、自分もそうですね。どちらかというとNetflixを観ますので。そういった運動の必要性を頭では分かっていてもやらない、やれない。これこそが、私たち体力科学研究者の誰もが否定できないコンセンサスであり、最大の未解決テーマです。事業者や労働者に運動実践を求めるのは必要なのですが、こういったことを分かっていながら、求めるにしてもその辺りの配慮がないと、できないものをやれと言って、できませんでしたね、結果が出ませんでしたねというのは、私たちは運動の習慣化が難しいことをある程度知っていることですので、良くない面があるように思います。求めすぎるのも負担になってしまうだけで現場ではなかなか浸透しにくい面があると。もちろん、私は運動をしないほうがいいと言っているのではないです。運動は必要なのですが、求め方はやはり細心の注意というか、この辺りを知っておいて求めていかなければいけないかと思います。
 最後ですが、これも前回もお伝えしましたが、健康経営をやっている企業様に、職場介入をさせてくれということで、オフィスの一角をフィットネスルームにして、そこで社員さんに勤務中に運動をやっていいよということで、役員の方に許可をもらってやりました。参加者に事後のインタビューをするとポジティブな意見も出てくるのですが、私たちはネガティブな意見に注目しており、「運動をする姿を人に見られたくない」、「運動ができる人の隣ではやりたくない」、「戦闘モードの仕事中は運動の気持ちになれない」、「職場だと知っている人が多いので嫌だ」といった意見がありました。こういったことも、ある意味1つのエビデンスですので、その辺りも考慮した指針であり、通達でありというところの書きぶりが重要になるのではないかと思います。以上です。
○榎原座長 ありがとうございました。前回の議論で御発言いただいた所の裏付けのデータ等、多岐にわたり御紹介いただきましてありがとうございます。それでは、松尾構成員からの発表について、皆様のほうから御質問等がございましたら御発言をお願いします。御発言のある方は、会場の構成員につきましては挙手を、オンライン参加の構成員は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いします。いかがでしょうか。島田構成員、お願いします。
○島田構成員 ありがとうございます。同じ研究所ですけれども、あまり研究のことを知らなくて興味深く聞かせていただきました。体力をつけるということは疲れにくくするという意味にもなるということで、よろしいですか。
○松尾構成員 項目によると思いますが、今回、紹介した全身持久力というところに着目すると、そういう要素も出てくるかなと思います。
○島田構成員 仕事をする場合、おそらく、数分の運動でなく、1日中、仕事をする場合もあると思いますが、その場合、集中力が続くかどうかというような観点も関係するのではないでしょうか。先ほど、Netflixだと1時間でも観られるというのは、それに集中して面白いから観てしまうという場合もあると思います。そのような方法で、持久力をつけるという考え方があるかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○松尾構成員 今回紹介した心肺持久力(CRF)は全身持久力とも言われる体力ですので、疲れにくさというのは正におっしゃるとおり持久力ですね。ただ、一方で精神的な部分のというか、集中力とこの体力が関係するかというと、ひょっとしたらCRFというのはいろいろな面で研究されているので、探せばエビデンスはあるのかもしれませんけれども、コンセンサスが得られている状況ではないのかなと思います。
○島田構成員 ありがとうございます。
○榎原座長 そのほか、いかがでしょうか。甲斐構成員、お願いします。
○甲斐構成員 ありがとうございました。長年の研究に敬意を表したいと思います。質問ですが、この全身持久力は本当に私たち体力科学にとっては大事な体力で、松尾構成員もおっしゃったように病気との関連のエビデンスが非常によく出ています。私も勉強不足なのですが、この全身持久力が労働災害と関連するエビデンスはあるのでしょうか。素朴な疑問で申し訳ないです。
○松尾構成員 そうなんですよね。これが転倒と関係するかというのを私たちは調べていて、基本的にあまりやられていないのです。転倒をやっている体力科学の研究者たちに聞いてみると、バランスとか俊敏性などに目がいくということなので、持久力という観点ではあまり研究対象としていないですという答えが返ってきます。高年齢労働者の災害というのは転倒だけではないので、そういう観点でもこの方面から検討することは必要だなと思った次第です。一つだけ見つけて、実際に一つだけかどうか分かりませんが、海外の論文で転倒と関係するというのがあるにはあるのですけれども、その1報をもって関係していますとは言えないかなと思いますので、そんな状況かと思います。
○甲斐構成員 ありがとうございます。あと、運動習慣がない人の73%が「できれば運動習慣を身につけたい」という回答だったと思います。スポーツ庁などの調査でも、Intention-Behavior Gapと言うんでしょうか、やりたいと思っているけどできない人が結構いるというのは、どの調査を見ても出てくるのですが、こういう人たちへのサポートをどうすればいいのか。是非、松尾先生の見解を教えてください。
○松尾構成員 スライドに示しましたけれども、正にこれが私たちの最大の未解決テーマかなと思います。もう30年前で私が学部生のときですけれども、30年前のスポーツ経営学の授業で教授が、今、アメリカのフィットネスクラブ参加率は10%なんだと。日本は3%で10年後には日本も10%になるからとおっしゃったのです。今、どれぐらいかというと3%です。なので、ここを解決するために、こうすればいいという答えが、今、私もあるわけではないです。ただ、甲斐さんも含めて私たちの最大の解決しなければいけないテーマであるし、ひょっとしたら解決できないテーマかもしれないかなと思っています。
○榎原座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。オンラインのほうからありますか。特にはないですか。1点、私のほうから確認をさせてほしいのですが、今の全身持久性体力で労働災害をダイレクトに説明できるようなエビデンスは、まだまだこれからの課題だということでした。今日の御発表のポイントは、いわゆる業務のマッチングをちゃんと図るために体力の測定が必要だと、そういう認識でよろしいのでしょうか。
○松尾構成員 ありがとうございます。正にそうですね。マッチングするに当たって、職業の身体的負荷というのが「METs」で表現できるのに対し、全身持久力も同じように「METs」で表現できるのです。なので、この辺のマッチングを個人個人の労働者で正確に予測するのは不可能かもしれませんけれども、目安情報と言いますか、そういったことを提供していくことは必要なのかなと思っています。
○榎原座長 学術的にもそういったところの研究が切望されているというのが、よく分かりました。そのほかいかがでしょうか。松田文子構成員、お願いします。
○松田(文)構成員 2点、質問させてください。1点目は、先ほど甲斐構成員もおっしゃっていたところとの関連です。全身持久力と転倒災害との関係というのは、なかなかエビデンスがまだないというお話をされていたと思います。例えば欠勤率とか、転倒に限らず働き辛くなるといったことについて、エビデンスあるいは先生の御経験から、そういうのはあるのかという点です。もう1点は、先ほど榎原座長もおっしゃっていたこととの関連です。実際の仕事とのマッチングが大事だという中で、今回、作業強度としてMETsで表せるということをおっしゃっていましたが、仕事は幅広いことを指すのでMETsだけに拠らない部分もあり、例えば作業速度の要請だったり、正確さ、精神的負荷などいろいろなものが関わってくると思います。そういった要素をどう考慮するかについて、伺いたいです。まず大事なのは作業強度であり、それを数値で表せるものとしてMETsがあり、やはりまずはMETsを中心に考えていくということになるのでしょうか。
○松尾構成員 ありがとうございます。例えばプレゼンティーズムとか最近ではメンタルとの関わりですね、この全身持久力というのは代表的な体力項目ですので、労働衛生の中でも、こういう論文がありますとすぐには出ないですけれども、プレゼンティーズムやメンタルヘルスとの関わりというのは、既に論文としてあるのではないかと思います。今、おっしゃった作業速度といった点に関しては、確かにこの全身持久力では表現できない部分なので、全ての労働の作業管理と言いますか、そこと全身持久力が関わるというような説明は難しいだろうと思っています。
 ただ、先ほどの話に帰りますと、疲れやすさと言いますか、この仕事で1日を通してどれぐらいの作業強度があって、身体活動の強度があって、それに耐えるというか、それにしっかり馴染むためにはこの程度の体力が必要ですという視点のみに注目したときに、この全身持久力とかMETsというのが生きてくるので、全ては説明できないけれども、大ざっぱに中心的な所が表現できると、そういう認識でおります。
○松田(文)構成員 ありがとうございます。
○榎原座長 ありがとうございます。甲斐構成員、手短にお願いします。
○甲斐構成員 1個だけ追加させてください。先ほどから、分かっているけどできないのが最大の問題だということでしたが、WLAQとか非常に面白いと思ってずっと見ていますけれども、例えばこういう測定をして行動が変わるというのは、労災対策を考えていく上でものすごく大事だと思います。こういう質問票であったりJSTであったりというのを測定する、調査することで、自分は体力が落ちていることに気づいて行動が変わるといった面はないのでしょうか。
○松尾構成員 正に私もそのとおりだと思っています。体力測定もそうですが、運動を事業場でするのは難しいですけれども、企業によってはそういうことをイベント的にやれる所も少なくないと思いますので、そうすることによって意識が高まるというか、別に体力が上がらなくても転倒への意識が高まるところにもつながっていきますので、体力が重要なのは間違いないですが、なかなかできないことも我々は知っていますし、やることによって意識が高まる、雰囲気が高まることに使っていくほうが、むしろ今は現実的なのかなと思います。
○榎原座長 活発な御意見、ありがとうございました。それでは時間もございますので、御紹介いただいた内容も踏まえて次の議題に移りたいと思います。議題(2)の「高年齢者の労働災害防止のための指針について」の議論に移りたいと思います。資料2を御覧いただければと思います。事務局から説明をお願いします。
○副主任中央産業安全専門官 事務局から御説明いたします。資料2について、まず、構成の御説明ですが、前回、前々回の検討会で頂いた御意見を基に指針の案文、それから通達に盛り込む事項をお示しし、検討いただくための資料となっております。2ページに目次がございます。前回に引き続き論点1から論点8、及び「大臣指針に基づく措置の促進等について」ということで整理をしております。
 3ページを御覧ください。前回、前々回に頂いた御意見をこれまでの御意見として整理しております。その下に御意見を踏まえた方向性を対応方針として記載しております。さらに、その下には指針の案文について、現行のエイジフレンドリーガイドラインとの対応関係が分かるように記載をしております。下線部分がエイジフレンドリーガイドラインからの変更点となっております。また、この変更点の中で多く出てきます「高年齢労働者」という言葉をエイジフレンドリーガイドラインで使っておりますが、これを指針の中では労働安全衛生法の法令の言葉に合わせて「高年齢者」と置き換えをしております。この指針案の枠の外、4ページ、通達に盛り込む事項ということで、指針に盛り込めないものの通達で書くことをこちらで整理しております。
 続いて、内容について御説明いたします。お戻りいただき、改めて、3ページの論点1から御説明いたします。論点1の趣旨です。これまでの御意見として、「ゼロ災」という言葉について理念の部分に書き込んでもらいたいという御意見がある一方で、ゼロ災というのがニュアンスが強いという御指摘もあったところです。これを踏まえ、対応方針としては検討会の御議論を踏まえ、改正労働安全衛生法の条文と整合性を図り、労働災害防止を図るための措置であることを指針に明記いたします。また、ゼロ災の趣旨を踏まえた文言は通達に盛り込ませていただきたいと考えております。
 指針の案文については3~4ページを御覧ください。3ページの部分ですが、今回、この指針は労働安全衛生法に基づく指針であることを明確にするために、趣旨の第一段落のところを大きく書き換えております。
 4ページ、通達に盛り込む事項です。先ほどのゼロ災の趣旨というものをここに盛り込んでおり、一人の被災者も出さないとの基本理念の実現に向け、高年齢労働者の労働災害を少しでも減らし、労働者一人一人が安全で健康に働くことができる職場環境の実現に向けて取り組むこと。それから、請負の形式による契約により業務を行う者についても、この指針を参考にすることを記載したいということです。この最後の「請負の形式による」という部分については、現行のガイドライン、すぐ上の部分ですが、趣旨の一番下のところ、なお書きで書かれているものです。引き続きこれを通達の中で書かせていただくことを考えております。
 続いて、5ページ、第2 事業者が講ずべき措置です。これまで、これについて特段御意見を頂いていないところではありますが、対応方針として別紙を参照しているような箇所、黄色の網掛け部分を現行ガイドラインに付けておりますが、これについては通達に記載をいたします。また、事業者を主体とした指針であるため、「事業者が講ずべき措置」に第2のタイトルを修正いたします。通達に盛り込む事項として、黄色の網掛けになっているところ、事業場における安全衛生管理の基本的体制及び具体的取組の体系については図解をして記載いたします。
 続いて6ページ、論点2の(1)経営トップによる方針表明及び体制整備ということで、これまでの御意見として、7ページの現行のガイドライン、ア、イ、ウ、エと4点取組の例を書いておりますが、こちらについて中身を精査した上で、ア、イ、それから、ウ、エに切り分けて記載をしていただけないか。また、ウに関連して、関係労働者の意見の聴取について、もう少し書くべきではないかという御指摘を頂いております。対応方針として、現行ガイドラインのア~エについて、「経営トップによる方針表明及び体制整備」(ア、イ)と「安全衛生委員会等における調査審議等」(ウ、エ)の2項目に分割をして指針に記載させていただき、併せて、労働安全衛生規則第23条の2に基づき、小規模事業場に求められている関係労働者の意見聴取の機会を活用すべきことも指針の中に記載するということです。
 7ページ、下線部分を御確認ください。特に、1の(1)のイの部分、①、②とありますが、現行ガイドラインのウ、エの順番を入れ換えて書いております。安全衛生委員会が設けられている事業場においては、その委員会の中で調査・審議をしていただく。その上で、そういった委員会が設けられていない事業場においては、労働者の意見を聴く機会を通じて労使で話し合っていただくという、法令に準じた書き方にしております。8ページの通達に盛り込む事項はございません。
 続いて、9ページ、論点2の(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施です。これまでの御意見として、リスクアセスメントについて、もう少し噛み砕いた書きぶりが必要であること。また、3点目に、リスクアセスメントをして、その後の本質的な安全対策・工学的対策・管理的対策・保護具の着用という順番で対策を検討して措置をしていくことについて明記をしたほうがいいということ。また、労働者が頑張って体力を付けなくても、安全な作業現場になるということ。これが大事だという御指摘を頂いております。続いて、エイジアクション100についても、網羅的ではありますが、全部やらなければいけないという誤解を与えると取り組みづらいという御指摘。また、経営者が表明して組織体制を作り、その後、リスクアセスメントを実施していく。そのリスクアセスメントの結果を踏まえて、優先順位を付けて取り組んでいくという、この構図自体は変えないほうが良いのではないかという御意見を頂いております。
 対応方針としては、リスク低減措置の基本的な考え方を指針に明示する。また、別紙を参照している箇所については通達により示す。併せて、エイジアクション100のチェックリストについては、業種別に優先して取り組むべき事項が示されていることを補足して、通達に記載をいたします。リスクアセスメントやヒヤリハットに関しては、厚生労働省HPの各事例を参考にする旨を通達に記載し、理解向上を促します。また、フレイル、ロコモティブシンドロームの定義については、第1回の検討会の中で事務局から御提案しておりますが、通達に記載するということです。
 指針案について10ページを御覧ください。下のほう、現行ガイドラインにはない記載が左側の指針案に下線が引かれております。こちらはリスクアセスメント指針を踏まえてリスク低減措置の具体的な取組の仕方について書いている部分となります。ア、イ、ウ、エと4点あり、ア 危険な作業の廃止・変更等といった本質的な対策を取っていただく。イ 手すりの設置や段差の解消等といった工学的対策。ウ マニュアルの整備等の管理的対策。エ 身体負荷を軽減する個人用の装備の使用を書いております。
 11ページ、下のほうの現行のガイドラインで、フレイルやロコモティブシンドロームの定義に下線を引いて書いております。左側の指針案においては、その部分を削除しておりますので空欄となっております。12ページ、通達に盛り込む事項については先ほど御説明したとおり記載いたします。
 13ページ、論点3の(1)身体機能の低下を補う設備・装置です。これまでの御意見として、職場環境の対応の観点で、暑熱作業への対応では、涼しい場所の確保が必要という話があり、これは必ずしも高齢者に限られない話ではあるが、特に高齢者はそれが必要だということを示せないかという御意見を頂いております。
 また、高齢者の場合、感覚器の老化が危険予知にマイナスに働いている可能性がある。例えば、警報の高音域がなかなか聞き取れない場合があるので、こちらについて措置をしたほうがいいということです。対応方針としては、暑熱な環境への対応について、特に高齢者に対して必要である旨を指針に記載する。また、感覚器の老化については、年齢によらず聞き取りやすい中低音域の音を採用すること等が現行のガイドラインに既に記載されておりますので、引き続き、指針に記載をしたいということです。また、通達を参照している箇所、黄色網掛け部分は通達でお示しいたします。こちらは指針の中で御確認ください。
 14ページ、一番下のほうに、暑熱な環境への対応ということで、「一般に、年齢とともに暑い環境に対処しにくくなることを考慮し」ということを指針に追記したいとのことです。その上の項目、危険を知らせるための視聴覚に関する対応ということで、警報音等の記載をしております。引き続き記載するということで、特段、下線は引いておりません。
 15ページ、下のほうの黄色の部分、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を引用している部分については、これを指針からは削除した上で通達に盛り込むとのことですので御確認ください。
 続いて16ページ、論点3の(2)高年齢労働者の特性を考慮した作業管理です。これまで特段御意見を頂いておりませんが、対応方針としては、職場における熱中症対策の強化に係る労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行(令和7年6月1日施行)を踏まえた修正を考えております。修正箇所は17ページ、暑熱作業への対応の3ポツ目です。こちらについても御確認をお願いいたします。
 続いて18ページ、論点4の(1)健康状況の把握です。こちらについては特段御意見を頂いておりませんが、対応方針として、健康診断等の取組については「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」に記載されていることから、本指針においては、高年齢者について特に留意すべき項目を示すこととし、取組の参考となる取組例は通達に記載をいたします。なお、分かりやすさの観点から取組例の一部を指針に例示いたします。現行ガイドライン、右側の網掛け部分は削除しておりますが、こちらについては通達に盛り込む事項としております。また、分かりやすさの観点からの例示ということで、19ページの現行ガイドラインの下から2つ目のポツの部分を指針案に記載をしております。
 続いて、20ページ、論点4の(2)体力の状況の把握です。この部分については、これまで非常に多くの御意見を頂いており、整理をしております。項目としては4項目に分けており、1 体力チェックの実施に関すること、2 体力の範囲に関すること、3 体力チェックの対象に関すること、4 体力チェックの方法に関することの4つで整理をしております。御意見の説明については、次の22ページの対応方針の御説明で代えさせていただきたいと思います。
 幾つかございますが、指針案の1の(2)において、リスクアセスメントの結果を踏まえ、体力チェックを含めた(指針案2~5に示す)事項を優先順位の高いものから実施することが記載されております。その上で、体力の範囲の考え方は通達に記載いたします。体力チェックの対象について、事業場の実情に応じて高年齢者だけでなく身体機能の低下が始まりかけている若年期も含めて実施することが望ましいことを通達に記載いたします。体力チェックについて、国が標準的手法や基準値を設けることについては、前回の検討会で御意見があったと思いますが、こちらについては、御意見がまとまっていないという整理として、この部分は指針、通達には記載せず、引き続き、検討することとして報告書に記載することと考えております。
 体力チェックに評価基準を設ける場合、高年齢者が従事する職務の内容等に照らして、合理的な水準に設定するべきであることを明確化するため、従事する職務の内容に照らす旨を指針に記載いたします。併せて、職場環境の改善や高年齢者の体力の向上に取り組むことが重要であること、また、評価に当たっては、仕事内容に対して必要な能力等が有るかという観点にも留意する必要があることを通達に記載いたします。体力チェックを行う場合には、対象者の状況に応じて高負荷にならないように安全に十分配慮することを通達に記載をいたします。体力チェックについて、転倒等リスク評価セルフチェック票に限らず、労働者が自ら体力の状況を把握できるオンラインツール、質問紙による推定等の様々な手法を活用できることを明確化するため指針に記載したい。併せて、それらの手法に係る解説を通達に記載したいと考えております。この部分については、先ほど松尾先生から御発表があったということです。
 最後のオンラインツールの部分ですが、23ページの指針案を御覧ください。現行ガイドラインの中で黄色の網掛けになっている「厚生労働省作成の「転倒等リスク評価セルフチェック票」等を活用すること」とありますが、ここについて、その他、労働者が自ら体力の状況を把握できるオンラインツール、質問紙による推定等を活用するということで、例示を追加したいと考えております。体力チェックの選択肢を広げるところからの追記です。
 24ページ、通達に盛り込む事項です。体力の範囲は、歩行能力等の筋力、バランス能力、敏捷性等の労働災害に直接的に関与するものとし、事業場の実情に応じて感覚機能や認知機能等を含めて差し支えないこと等を通達に記載いたします。体力チェックに際して、事業場の実情に応じて高年齢者だけでなく身体機能の低下が始まりかけている若年期も含めて実施することが望ましいことも通達に記載いたします。そのほかの項目は御確認いただきたいと思います。
 25ページ、論点4の(3)健康や体力の状況に関する情報の取扱いです。ここについてこれまで御意見も特段いただいておりませんので、現行のガイドラインの記載をそのまま指針案として書いております。
 26ページ、論点5 高年齢労働者の体力に応じた対応 (1)個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置です。ここについてこれまで特段の御意見は頂いておらず、対応方針もございませんが、そのまま現行のガイドラインを指針案に記載したいと考えております。
 続いて、28ページ、論点5の(2)高年齢労働者の状況に応じた業務の提供です。これまでの御意見として、高齢者の体力の低下に伴って、配慮が重要であり、当該労働者を排除しないことを含めて指針に書き込みをしていただきたい。高齢者は体力がないから仕事から排除することにならないようにすべき。高齢者の場合、定年退職後、それまでやっていた仕事とは別の内容の肉体労働的な仕事に就くことが多い。このことが労働災害につながっている可能性があるという御指摘を頂いております。
 それから、在宅勤務者は身体活動が低い集団であり、在宅勤務が長期に及ぶと筋力等の身体機能が低下することにも配慮が必要であるという御指摘を頂いております。これについての対応方針として、高年齢者の業務内容の決定に当たっては、健康や体力の状況に応じて適合する業務をマッチングさせること、更に個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には、業務内容に応じ、健康や体力の状況のほか、職場環境の改善状況も含め検討すること等を指針に記載をいたします。また、在宅勤務が長期間に及ぶと筋力等の身体機能が低下する場合があることに留意することを通達に記載いたします。
 29ページの指針案を御確認ください。下線部分として、「高年齢者の業務内容の決定に当たっては」を追加で挿入しております。また、次の段落で「個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には」ということで、「業務内容に応じ、健康や体力の状況のほか、職場環境の改善状況も含め検討することとし」ということで、その下に考慮点を書いております。通達に盛り込む事項は、在宅勤務が長期間に及ぶと筋力等の身体機能が低下する場合があることに留意すること、となります。
 続いて30ページ、論点5の(3)心身両面にわたる健康保持増進措置です。ここについても多くの御意見を頂いており、当初からTHPの指針等に書かれているものについて、その指針を引用し、具体的な記載は通達に記載したいと提案している部分です。こちらについてはTHPの記載を削除することで身体機能の維持向上について事業者に求められる事項からはなくなってしまうのではないか。また、完全に落とすのではなく、簡単でも良いので何らか残したほうが指針としては分かりやすいのではないかという御意見を頂いております。また、上から4番目の○に、身体機能の維持向上のための取組をやりましょうという「高年齢労働者を対象として、身体機能の維持向上のための取組を実施することが望ましいこと」、対策例の3~5にあるようなフレイルやロコモの対策については、事業者に求められる事項として残していただきたいという御意見を頂いております。
 31ページ、こちらについての対応方針ですが、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」及び「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき取り組むべきである旨は指針に残し、対策例については通達で記載したいと考えております。また、身体機能の維持向上については労使が協力して取り組むべき旨を通達で記載いたします。現行のガイドラインを御確認ください。その2段落目、「集団及び個々の高年齢労働者を対象として、身体機能の維持向上のための取組を実施することが望ましいこと」については、これまでの資料の中では、この部分は紫色の網掛けになっておりましたが、先ほども御説明したとおり、指針に残したほうがいいとの御指摘を頂いておりますので、この部分の網掛けを外した上で指針案の第一段落に移した上で記載しております。また、THPの指針の部分は、ただ引用するだけではなく、具体的に何をしたらいいのかを少し噛み砕いて解説として記載しておりますので、併せて指針案を御確認いただければと思います。
 32~33ページは通達に盛り込む事項です。先ほど御説明したとおり紫色の網掛けはそのまま通達に盛り込み、また、身体機能の維持向上については労使が協力して取り組むことも記載したいと考えております。
 続いて、34ページ、論点6 安全衛生教育(1)高年齢労働者に対する教育です。これまでの御意見として、複合介入の必要性などについて御意見を頂いております。どの複合介入のエビデンスでも教育のファクターが重要であるという御指摘を前回の検討会の中で頂いております。また、包括的に転倒、腰痛対策、熱中症など、安全衛生委員会で年間計画など立てるときにそのようなマルチプル・アウトカムの着想で教育を組むようなことも入れてもらえるといいという御意見。一方で、転倒へのアプローチと腰痛へのアプローチが複合的であることは大事だが、アプローチの仕方は必ずしも同じではないのではないか。アプローチが違ってくる部分があるのではないかという御意見も頂いております。それから、高齢者は転倒につながるような医薬品を飲んでいることも多い。降圧薬や睡眠剤など、こういったことのためにも正しい服薬に関する健康教育などの対策も必要ではないかという御指摘を頂いております。
 対応方針として3点あり、高年齢者の労働災害防止の取組として教育を含む複合介入を行うことで労働災害が減少していることを踏まえ、安全衛生教育の重要性について通達で記載をいたします。安全衛生教育の年間計画を立案する際には、単一の災害にのみ焦点を当てるのではなく、行動災害一般に共通する教育も行うことが望ましいことを通達に記載いたします。最後に、転倒につながるような医薬品を服薬している場合には、転倒につながる恐れがあることを通達に記載したいと考えております。
 35ページからの指針案については大きく変更なく、現行のガイドラインを基本的にはそのままいただき、先ほどの3点は通達に盛り込む事項として整理をしております。
 37ページ、論点6 安全衛生教育(2)管理監督者等に対する教育です。こちらについて、これまで特段の御意見は頂いておりませんので、現行ガイドラインの記載をそのまま指針にさせていただくという整理で指針案を作成しております。
 続いて、39ページ、論点7 労働者と協力して取り組む事項です。これまでの御意見として、若い世代に対し、20~30年後は自分たちの問題になるという観点で、将来的な環境作り、体力、健康づくりをしましょうというアプローチを盛り込めたらいい。この部分、先ほどのTHPの部分で、健康の記載が大きく削除されているところから、この部分だけに健康という言葉が頻出してくることになるとバランスが悪いという御指摘を頂いております。それからヒヤリハットの事例についても周知ができたらいいのではないかという御指摘。また、企業だけの責任、従業員だけの責任ということではなく、労使共に取り組むべき点もあるのだという御指摘を頂いております。
 対応方針としては、事業者が講じる措置に係る指針であることから、第3の項目のタイトルを「労働者と協力して取り組む事項」と変えている上で、具体的取組については通達に記載いたします。それから、ヒヤリハットに関しては、厚生労働省HPの各事例を参考にする旨を通達に記載し、理解向上を促したいと考えております。
 指針案の40ページを御確認ください。具体的な取組事項については、こちらは全て通達に盛り込む事項としております。それから、ヒヤリハットについても厚生労働省HPの事例集を参考にすることを通達で記載いたします。
 続いて、42ページ、論点8 国、関係団体等による支援です。こちらについては御意見を頂いておりませんが、予算事業に係る事項については、指針ではなく通達に記載することは初回から御説明しているとおりです。43ページ、オレンジ色の網掛けがある部分を中心に修正をしております。44ページは通達に盛り込む事項ということで、エイジフレンドリー補助金、厚生労働省の事業について通達に記載したいということです。
 45ページ、大臣指針に基づく措置の促進等についてということで、周知・広報等についてですが、これまでの御意見として、現状のガイドラインは長すぎる。もっとシンプルにしたほうが周知しやすいのではないか。また、ガイドラインの認知度が低いことが大きな問題で、周知をどのようにしていくかが大きな課題である。また、この検討会についても12月にまとめることになりますが、その周知を短期間で図らなければならないということで、速やかに指針化をしていただきたいという御意見を頂いております。
 対応方針として、御意見の内容を報告書に記載することとし、行政として取組を進めていきます。その上で指針を分かりやすく解説したリーフレットやパンフレットを作成し、周知・広報等に努めていきたいと考えております。
 最後に、46ページは調査・研究・その他の御意見ということで整理しております。これまでの御意見としては、国際的にも高齢化が問題となっているので、世界に参考となるようなエビデンスをそろえていただけると有り難いという御意見。転倒の研究はありますが、75歳以上で、寝たきりにならないことを目的とした調査で、職域の調査はほとんど行われていないのが実情。年齢としても、60歳以上、70歳前後を対象としたものは余りないという御指摘を頂いております。
 一方で、高年齢労働者を雇用する企業のグッドプラクティスは確かにあり、現行のガイドラインに沿ったような展開で事業場を動かしている企業もあるという御紹介を頂いております。その他にもいろいろと御意見を頂いており、報告書の取りまとめまでに整理できるものと、引き続き、積み残しの課題となるものがあるのではないかと理解している。積み残しとなる課題についても、どのような場で継続検討するのかということも含めて、検討結果に記載いただきたいという御指摘を頂いております。
 対応方針として3点ございます。御意見の内容を報告書に記載することとして取組を進めてまいります。本検討会で紹介された文献等については、報告書の中で御紹介したいと考えております。引き続き検討することとされた積み残しの課題については、調査研究や指針に基づく取組の状況等を見つつ、検討を行う旨を報告書に記載したいと考えております。
 ここまで、長い時間になりましたが御説明は以上です。
○榎原座長 ありがとうございました。議論に入る前に、本日御欠席の石﨑構成員、飯島構成員より御意見を事前に頂いておりますので、資料3及び資料4について、事務局から説明をお願いします。
○副主任中央産業安全専門官 それでは、資料3、石﨑構成員から頂いている御意見4点を紹介させていただきます。論点2 (2)の部分について、「身体負荷を軽減する個人用の装備の使用」について、その具体例を通達で記載していただきたいという御意見を頂いています。
 それから、論点3 (1)の部分について、「一般に、年齢とともに暑い環境に対処しにくくなることを考慮し」を追記しているところですが、高年齢者は年齢とともに、暑さを認識しにくくなるというようなことがあると聞いています。この点について、専門の先生方の御意見を踏まえて、修正等を御検討いただきたいということです。
 3点目として、体力が労働能力と直結しないにも関わらず、労働者本人が望まない中で体力チェックを強制されるケースや、それが雇用の継続や人事評価に直接影響するのではないかという不安を抱くケースが生じているおそれも完全に否定できないように思うので、論点4(2)にあるように、体力チェックの目的・位置づけについて労働者に説明し、理解を得た上で実施するという点や、論点5(2)以降に記載されているように、体力を踏まえて配慮につなげていくという点について周知をお願いしたいということで御意見を頂いています。
 4点目の御意見が、論点7の部分について。ヘルスリテラシーの向上については、重要な点だと思いますので、通達だけではなく、指針の中でこの表現を残していただきたいという御要望を頂いております。
 続いて、資料4、飯島構成員の紹介資料です。資料4は横置きのものになりますが、こちらの論文を1本御紹介いただいております。日本全国の60~75歳の就業高年齢者5,000人を対象とした調査研究です。この中で、「過去6か月で月に2kg以上の体重減少があったか」、また、「過去2週間に理由なく疲れを感じたか」というような項目があります。こちらについて、この2項目は、職場におけるフレイルの早期兆候として、転倒や労働災害の予防に資するスクリーニング指標として有効であることが考えられます、という論文の御紹介が1本ございます。
 それから、資料2として、筋肉減弱(サルコペニア)に対する診断アルゴリズムについて、アジアサルコペニアワーキンググループが2019年に発表されているものを御紹介いただいております。この中で簡易評価の方法というのがあります。①下腿周囲長(又は「指輪っかテスト」)というもので基準値を下回って、更に握力、それから5回椅子立ち上がりテストというものでのスコアが下回った場合には、サルコペニアの可能性が高いものとして疑うという簡易評価の方法があることの御紹介。また、これ以降に、更にエビデンスの蓄積があって、ちょうど今日、11月5日に2025年版というのがリリースされる予定なので、そちらも見たほうがいいのではないかという御紹介がありました。
 これらは、いずれも医療機関といった専門的な機関ではなく、産業現場、職場でも測定評価が可能な指標の1つとしての、様々な測定方法がある中での御紹介ということです。私からの御説明は以上となります。
○榎原座長 ありがとうございます。それでは、この御欠席の構成員の意見も踏まえまして、この資料2について議論ができればと思います。論点がたくさんありますので、前回と同様に、区切って議論したいと思います。指針についての議論が中心となりますが、通達に盛り込む事項についても、過不足がないかを併せて御意見いただければと思います。たくさん論点がありますが、論点8まで議論ができればと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず論点1~3の所、これは資料2で言うと3~17ページまでについて、まずは議論をしたいと思います。構成員の皆様から、何か御意見等ありますでしょうか。お願いします。
○漆原構成員 11ページ「エイジアクション100」について、この「エイジアクション100」は2018年頃に中災防で作成され、その後1回改定があったと承知しています。今回、ガイドラインを指針に格上げするに当たり、改めて、「エイジアクション100」をリニューアルする予定があるのか伺います。仮にリニューアルをするのであれば、チェックリストの数を100個に限定することなく内容の充実をはかっていただきたいと考えます。なお、業種別、あるいは作業別に優先的に取り組む事項を踏まえて新たなチェックリストとすることで、活用しやすいものとなるような工夫もお願いしたいと思います。
○榎原座長 漆原構成員、コメントありがとうございました。この辺りにつきましては、事務局としては業種別に整理するということでしたが、そのほか方針はございますでしょうか。今の御意見のように、今回、この指針ではなく通達のほうの中身にはなりますが、「エイジアクション100」について、少しアップデートしてもいいのではないかという御意見ですが。
○安全課長 御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり「エイジアクション100」につきましては中災防で開発したものです。指針の検討をこの検討会で行っているという情報を中災防にもお伝えしていまして、「エイジアクション100」の見直しについて中災防でご検討いただくようにお願いをしている状況です。
○松岡構成員 松岡です。14ページの所にはなります。先ほど石﨑構成員から論点3の暑熱の環境への対応について、「一般に、年齢とともに暑い環境に対処しにくくなることを考慮し」等と記載されておりました。14ページの一番下の所について意見させていただきます。高齢者については、体内の水分が不足しがちであること、また、暑さによる感覚機能や身体の調節機能の低下により自覚症状が乏しくなることを踏まえ、小まめの水分補給や、マスクの適切な使用等、また、実際に暑いときに、本人へ周囲から声掛け等が必要になると思っております。14ページは高齢者に必要な職場の環境改善という項目であり、作業環境を説明する部分と分かれて書いてあるので、どのような整理で書き込むべきかと思いました。前回よりは良くなっているのですが、こういった御意見もあったので、御検討いただければと思いました。
○榎原座長 御提案、ありがとうございます。この辺りは、では、少し事務局のほうで整理、検討させていただく形でお願いできればと思います。そのほかいかがでしょうか。松葉構成員、お願いします。
○松葉構成員 松葉です。7ページの所です。今回、安全衛生委員会等を設けていない事業場においての労使で話し合うことということをしっかり書いていただいてあり、また、それについても、更に具体的に下に書いていただいていて、大変いい状況かと思っておりました。有り難いと思っています。そうは言いながら、ここの部分について、結構、大きい所だからできるのだよ、小さい所では実際にこういうことはなかなかできないのではないかとなりがちですが、その部分を補足するような意味で、もう少し通達か、あるいは広報のパンフレットとかで、そういう事例を紹介するのはどうかと思っています。ちなみに、今回、本当に30人程度の小さな事業場の事例を、もし差し支えなければ事前に事務局に出させていただいているのですが、紹介させていただいてもよろしいでしょうか。中地さん、すみません、ありがとうございます。
 こちら、今、映していただいていますが、交換日誌を使ったコミュニケーションリスクアセスメントと。御本人たちはリスクアセスメントとは認識していませんが、実際に。次のスライドをお願いします。こちらは「ドロップファーム」という、茨城県にあるミニトマトを栽培し、それをジュースに加工して販売もしているという、一貫した事業をやっている32人の事業場です。右下が社長さんです。次、スライドをお願いします。こういった事業場では、従業員が高齢と言いますか、50代以上の方が大半という状況で、最高齢で66歳の方がいらっしゃいます。
 次、お願いします。毎日、一番上の段が今日やった作業の内容、今日やった作業についての感想と伝達事項が次の欄に書いてあって、それに対して、チームのチーフのコメント、アドバイス、そういうものが一番下の欄に書いてあります。チームというのは5、6人のチームで、チーフと毎日この交換日誌をやる。この交換日誌の中で、ちょっとあそこに穴があいていて怖かったよとか、そのような情報が挙げられてきて、それに対してどうしましょうというチーフのアドバイス等がなされています。もちろん、安全衛生だけではなくて様々なことが書かれるのですが、その中でのリスクアセスメントの手法としては非常に効果的かと思っています。
 ちなみに、これは継続的に毎日ずっとやっているものですから、御本人のいろいろな変化も捉えられて、いわゆるメンタルヘルスの不調の兆候などもこれで把握できることも含めて、非常に効果的だと感じました。こちらの事例を前回御紹介したカインズの担当者の方にお話したら、「いいですね、うちもこれをやりたいけれど、うちみたいな大きい所では、とても追い付かないのでスマホに頼ることになる、本当はこういうことがいいのだと思います。」などというお話もあり、こういうきめ細かな対応の紹介も含められたらと思います。ちょっとお時間を頂いてすみません。御紹介は、以上です。
○榎原座長 なかなか面白い交換日誌ですね。リスクコミュニケーションの1つのあり方としてある事例を御紹介いただきました。そのほか、どなたか御意見等。松田文子構成員、お願いします。
○松田(文)構成員 松田です。16ページについて、特に今まで余り意見が出ていなかったのかと思うのですが、作業管理のことを書かれている所の中で、最初に、「筋力といった体力の低下等の」という表現があります。指針案の2行目ですか、ちょっと下のほうを見ていくと、共通的な事項に、注意力の話や、複数の作業を同時にさせる場合とか、要するに、体力等だけでは読み切れない部分があるように思います。この辺りは認知機能に関わることであるので、もし可能であれば、少し言葉を補足していただけたらいいと思いました。以上です。
○榎原座長 16ページ目の、ここの共通的な事項の3つか4つ目のポツとか、この辺りですね。注意力、判断力とか集中力とか、いわゆる認知的な機能の話も含まれていますということですね。
○松田(文)構成員 そうですね。共通事項の前に書かれていることは、体力の話だけです。敏捷性とか持久性とか筋力といったようなというだけなので、ちょっとこれだけだと、この3つ目、4つ目の内容がカバーしきれていないと思うので、言葉を補ったほうがいいかと思いました。以上です。
○榎原座長 この辺りの文言の修正は可能なのですか、事務局としては。
○副主任中央産業安全専門官 今、現状、「等」というのが付いている中に多分含まれているのかとは思いますが、これはもう少し分かりやすくしたほうがいいという御指摘かと受け止めておりますので、そこについては少し検討させていただければと思います。
○榎原座長 そうですね、「持久性、筋力といった体力、及び認知能力等」とか、少し足したほうがいいのかもしれないですね。ありがとうございます。お願いします。
○安全衛生部長 24ページの通達に盛り込む事項の一番上に、体力の範囲という定義は御指摘を踏まえて入れていまして、「歩行能力等の筋力、バランス能力、敏捷性等の労働災害に直接的に関与するものとし、事業場の実情に応じて感覚機能や認知機能等を含めて差し支えないこと」とは書いてあるので、こういう感じでよろしいですか。
○松田(文)構成員 すみません、そういうところで十分読み切れる部分もあるかとは思うのですが、その手前の部分に、わざわざ「敏捷性や持久性、筋力といった体力の低下等の」と銘打たれているので、ちょっとこのままだと、後ろのつじつまが合いづらいかと思ったので、整合性を取っていただく方がよいと思います。先ほど座長にもおっしゃっていただきましたが、認知機能であるとか理解力のようなものとかの関わりかと思ったので、発言させていただきました。確かに通達まで読ませていただくと、先ほど、体力というのはここまで含むものだということで定義付けを頂いているとは思うのですが、ここの指針の部分だけ読むと誤解を招きやすいかとは思うので、少し言葉の補足が必要かという意味合いで申し上げました。
○榎原座長 今の24ページの記載との整合性をという観点でいくと、「敏捷性、持久性、筋力及び感覚、認知能力といった体力の」というように、体力の中身に全部含めて言うと。差し支えないということですので、この辺りは作文を少し、読む方に意図が正しく伝わるように事務局でブラッシュアップいただければと思います。御意見ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。特にそのほかはよろしいですか。
 ちょっとすみません、私からも一点、理解が追いついていないところがあるかもしれませんので教えてください。10ページの指針案の(2)の真ん中の辺りで、「リスクアセスメントの結果も踏まえ、以下の2から5までに示す事項を」とあるのですが、これは下はアからエまでになっているので、これはアからエまででしょうか。この2から5というのはどこになるのか、すみません、確認をさせてください。
○副主任中央産業安全専門官 まず、10ページの記載が、6ページにあります「安全衛生管理体制の確立等」という、この1の中にございます。その上で、2が13ページから出てきます。13ページの「職場環境の改善」が2になります。それから3が、さらに進みまして、18ページ、「高年齢者の健康や体力の状況の把握」、そして4が、さらに進んで、26ページ、「高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応」です。それから、5が35ページの「安全衛生教育」で、2から5ということで整理をしております。
○榎原座長 説明ありがとうございました。大変よく分かりました。あと、そのほかいかがでしょうか。オンラインのほう、松田晋哉先生とかも、特に御意見はよろしいですか。では、坂下構成員、お願いします。
○坂下構成員 経団連の坂下です。論点1~3につきましては、これまでの議論を踏まえた修正になっていると、理解しているため、特に問題はありません。以上です。
○榎原座長 おおむねこの方針でよろしいかということです。松岡構成員、お願いします。
○松岡構成員1点だけ、論点2の最後の12ページに、フレイルとロコモティブシンドロームのことが通達の方に書かれると記載されております。先ほどもう一人の構成員の先生から、サルコペニアのお話もあったので、一言だけ意見を申し上げます。特にサルコペニアについては、食事についての問題が1つあります。今まで高齢者のときは動脈硬化を進展させないために、適正な糖尿病の食事、コレステロールに気を付けること、野菜を多く摂取すること等で食事指導が進んでいきます。しかし、サルコペニアとかフレイルに焦点を当てると、考え方が逆転し、タンパク質を摂って、筋力を作るような、もともとの栄養を口から摂ることを重要視する場面が出てくる。この対象をどこに置くかという議論はあると思いますが、考え方を変える必要のある場面がある。栄養がないのにもかかわらず、運動だけ行っても体力が付かないという現状があるため、フレイルとかサルコペニア等を書く場所があるとするならば、そのような内容も付け加えていただけますとよいかと思いました。
○榎原座長 ありがとうございました。今、松岡構成員から頂いた御意見も、恐らくこの辺りは通達の記載で補足する形になるかと思います。貴重な御意見をありがとうございます。松田晋哉構成員、よろしくお願いします。
○事務局 今、移動中で発言が難しいということで、チャットで意見を頂いておりますので、代読をさせていただきます。松田晋哉先生からの御発言として、まず高齢者に適応した設備等の開発については、高齢者がどのような設備や手順で働きにくさを感じているかという現状に関する調査が必要であると考えます。そして、調査で把握された課題に対して、人間工学的にどのような改善ができるのか、AIの活用なども含めて検討することが必要かと思います。こちらについては厚労科研のほうでやっていただければと思います。
 高齢者の体力を職域で把握することはなかなか難しいかと思います。高齢者の場合、再雇用で、しかも1年単位の契約であることが多いため、事業者が体系的に体力を把握する体制を作ることには無理があります。高齢者の職場の多くが中小零細企業や、小規模な販売業であることもこのような仕組みを入れることを難しくします。資料1の御説明であったように、多くの労働者は健康づくりとして運動が必要であると感じながらも、それができていないという事実に着目する必要があります。現状を考慮すると、高齢になっても働かざるを得ない人が多いかと思います。その際、就こうとしている職業がどのぐらい体力を必要とするのかという情報があり、その上で自分の体力を測定するような枠組みがあると良いと思います。多くの自治体では健康づくりのために、健康測定の機会を設けていますので、そのような場所で御自分の体力を知り、足りない場合はそれを向上させるようなプログラムが地域単位であると良いのではないでしょうか。自助努力を促進するような枠組みが必要であると考えます。
 イギリスのワーキング・フォー・トゥモロウという報告書でも紹介されていますが、働くこと自体が健康に良い効果をもたらすという面もあります。労働が高齢者の体力向上に及ぼす影響に関する研究も必要であると考えます。また、体力に応じた労働時間の管理などの視点もあってよいのではないでしょうか。飯島先生に私たちの研究成果を紹介していただき、ありがとうございました。フレイルという観点では、栄養面でも介入が必要です。高齢労働者の体力向上のための食生活指針のようなものも必要であると思います。かという現状に関する調査が必要であると考えます。そして、調査で把握された課題に対して、人間工学的にどのような改善ができるのか、AIの活用なども挙げさせていただければと思います。
○松田(晋)構成員 すみません、2回送ってしまったので。
○事務局 ここまででよろしいですか。かしこまりました。松田構成員、以上でよろしいですか。
○松田(晋)構成員 はい。
○事務局 かしこまりました。以上になります。
○榎原座長 移動中のなかなか発言しにくい中、チャットでのコメントを頂きましてありがとうございます。非常に多岐にわたり、御意見等いただきました。例えば、高齢者に適合した設備とかの開発、現状に対する働きにくさの調査については、論点8で今後、更に必要な調査課題を報告書の中でもまとめるというところもありますので、松田構成員から頂いた御意見等は、そちらのほうにも反映させていただければとは思っております。ありがとうございます。
 そのほか、どなたか手を挙げられていませんか。よろしいですか。おおむね論点1~3については、全体の方向性としては事務局よりお示しいただいた対応方針で、皆様御同意いただいていると思いますので、細かな所は精緻にブラッシュアップしていただいて、まとめていただければと思います。ありがとうございます。
 続いて論点4と5です。こちらはちょっとボリュームが多かった所です。4と5について、資料2の18~34ページについての議論に移ります。高年齢労働者の体力の把握方法の部分です。御意見等あればお願いします。会場の方は挙手を、オンラインの方はチャットに書き込みを頂ければと思います。松尾構成員、よろしくお願いします。
○松尾構成員 先ほど私が発表させていただいた内容や、松田先生の先ほどのご指摘の中でもあったところですが、非常に細かいのですが、通達の24ページ、16ページの体力の項目が並んでいる所で、通達について今回どこまで話し合うのか明確ではないですが、一応、メモ代わりに発言をしておきます。最初の「歩行能力等の筋力、バランス能力、敏捷性」とありますが、16ページには「持久性」とあるので、先ほど私がお話させていただいた全身持久力の項目も含めていただいたほうが、現状では、転倒ということに焦点を当てすぎているような印象がありますので、「全身持久力」も入れていただくとよいのではないかと思っております。以上です。
○榎原座長 ありがとうございます。全身持久力というキーワードを是非ということです。そのほかはいかがですか。漆原構成員、お願いします。
○漆原構成員 先ほどの石﨑先生から、雇用や評価の話で、チェックを受けるか否かかという視点でご意見があったかと思います。例えば、体力等を把握した結果、身体機能の低下が認められた場合、事業者としては労働災害の予防という観点から、体力向上を推奨することは理解できます。一方で、石﨑先生の御指摘のとおり、体力と労働能力は必ずしも直結しないということとともに、労働者の身体機能向上の成果が出るまでは一定の時間を要することも考えられるため、まずは事業場の改善を行うことを含め、雇用の維持・継続の取り組みは当然あってしかるべきと考えます。
 身体機能の低下が認められるから、安全確保という名目で、ほかの部署に配置転換されるということが本当に良いかどうか。むしろ、安全に働くことを担保できるように、事業場の改善を同時に行うよう検討いただきたいと思います。
 もう一点は、THP指針について、ほかの構成員から前回、前々回において意見があったと聞いていますが、今回THP指針に関する記載を削除したとしても、取り分け中小規模事業場において、THP指針に基づいた取り組みが重要であるということは変わりないので、THP指針に関して改めて周知・広報をお願いしたいと思います。なお、今回策定する指針においても、THP指針に基づいた取り組みも相まって効果が出るものであり、通達で削除したために取り組みが後退することが無いようにしていただきたいと思います。
○榎原座長 多岐にわたる御意見、御提案をありがとうございました。最後のTHP指針の広報とも併せてみたいな所は、最後の大臣の所でも広報の話がありますので、それはほかとの調整ももちろんいるとは思いますが、そういったところでもお互い連携しながら進めることは、企業の中でも大事なことかと思います。その辺りも少し検討の余地はあるかと思って伺っておりました。今、石﨑構成員の御意見等も踏まえて御意見を頂いています。確か労働者の雇止めというか、雇用の面の話につながらないようにという議論は、第1回のときも御意見を頂いておりまして、28ページの論点5に、これまで、「当該労働者を排除しないことを含めて、指針に書き込みをしていただきたい」ということも御意見等いただいておりました。この辺りについて、現在の文案のほうでは、明確な形では書いていますかね。29ページの上から6行目、「個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には、業務内容に応じ、健康や体力の状況のほか、職場環境の改善状況も含め検討することとし」という一文を追記しているということです。そのような形でいかがですか。何か御意見はありますか。
○漆原構成員 ここでは、配置転換など、具体的な記載がなかったものですから、記載を見る限りは先ほど発言させていただいた所が本当に担保されるのかという点が気がかりです。
○榎原座長 御意見をありがとうございます。坂下構成員、お願いします。
○坂下構成員 経団連の坂下です。漆原構成員から御発言がありましたが、私も1回目の会合からずっと申し上げているとおり、そもそも、この指針のベースになっているエイジフレンドリーガイドラインの認知度が非常に低いため、しっかりとした指針を早く作って、周知していくことが重要であるということは全く同じ意見です。
 法令に基づく指針になりますので、指針にふさわしい文章、形式にしていくことが重要だと思っております。細かいことや、いろいろ強調したいこともたくさんあるかもしれませんが、そういったものは通達や実際の周知の段階でパンフレットやリーフレットを使うなど、そういったところで図っていくことだと認識しております。全てを指針に記載し、かなりの長文のものが出来上がり、それを事業者に対応するように言っても、それは無理のあることだと思います。長くなれば長くなるほど事業者に読まれなくなってしまうと思っております。
 また、漆原構成員も指摘されていましたが、特に体力を企業側が把握して、その結果が労働者本人にとって不利にならないように配慮することは当然ですが、やはりこの辺りはプライバシーも含めて機微な情報が入ってきますので、情報の取扱いについてはしっかり周知の段階で誤解がないようにしておくことが重要だと思います。以上です。
○榎原座長 松田文子構成員、お願いします。
○松田(文)構成員 先ほど漆原構成員がおっしゃったことと重なる所ですが、高齢労働者を排除しないという話は、この検討会の中ではずっと出ていると認識しています。皆さん共通でおっしゃっていることで、私も何回か発言させていただきました。実際の指針案を見ると、そのニュアンスを読み取るのが難しいという印象を持っていました。
 今、坂下構成員のお話をお伺いして、周知の所でそこをしっかりやっていくという意見もあるかもしれませんが、やはり、非常に大切な労働力であることには変わらないと思いますので、排除してしまうことを防いでいくことはとても大事なことだと思います。トーンとしては私は弱いかなという印象を受けたのですが、指針なので、いろいろと書きぶりもあるかと思いますので、そうしたことが誤解がないように伝わるようにしていただけたらいいなと重ねて思います。以上です。
○榎原座長 ありがとうございます。甲斐構成員、お願いします。
○甲斐構成員 甲斐です。先ほど皆さんがおっしゃっている不利益にならないというのは、論点4には「個々の労働者に対する不利益な取扱いを防ぐため」というのが一応あるので、もしかしたらこの辺を膨らませるのがいいのかなと、議論を聞きながら思っていました。
○榎原座長 すみません、何ページですか。
○甲斐構成員 25ページです。これはガイドラインほぼそのままの部分だと思いますが、今、ほぼ意見がない所ですが、ここが一番もしかしたら大事かと、少し膨らませてもいいのかなと思いました。この情報をどう取り扱っていくのかという点です。
 あと、今まで余り議論になっていない部分ですが、労働災害は、どうしても50歳以上の女性で多いというのが現状としてありまして、戻りまして24ページの通達に盛り込むの所に、「事業場の実情に応じて感覚機能や認知機能等を含めて」とありますが、もしかすると、骨密度も入れるというのはいかがでしょうか、骨密度を測ると労災が減るというほどのエビデンスはないと思いますが、50歳以上の女性で多いというのは、やはり、骨密度が関係しているであろうというのは推定されるので、指針ではなくてもいいと思いますが、通達には入れて、注意喚起はあってもいいかと思います。
 同じく24ページですが、体力チェックで、詳細ないろいろなやり方があるというのを示すのが大事という、先ほどからのお話だったので、国が出しているものとして新体力テストは入れたほうが、文部科学省のものですが、これは65歳以上もできるようになっておりますので、この辺も入れておかれるのは必要ではないかと思っております。
 また、同じく24ページの通達の上から2つ目の○、「高年齢者だけでなく身体機能の低下が始まりかけている若年期」ということで、多分、これは若年期からやりましょうという意味で入れていると思いますが、始まりかけているみたいな人だと、弱っている人だけやればいいという感じがちょっとするので、これは多分、書きぶりが誤解を招きそうな気がするので、身体機能の低下は若年期より開始するので、若年期からやったほうがいいという書きぶりのほうが誤解は招かないのではないかと思います。
 先ほど松岡構成員からの御指摘で、保健指導において、職域だとどうしてもメタボのほうにいってしまって、食べる量、摂取エネルギーを減らす指導のほうがどうしても多くて、これが高年齢労働者に応用されてしまうと、すごくフレイルが心配になりますので、多分、この辺は論点5、33ページ辺りだと思いますが、「フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくり活動を実施すること」の辺りを、通達でいいと思うのですが少し膨らませて、保健指導の際には留意するということをしっかり書いたほうが、実際現場では注意喚起がなされるのではないかと思いました。以上です。
○榎原座長 多岐にありがとうございます。安井部長、お願いします。
○安全衛生部長 ありがとうございました。骨密度の関係ですが、必ずしもエビデンスがないというお話があったところと、骨密度を測るとなると、さらに体力テストよりもハードルが高くなって、今回法改正したときも、骨密度の話は幾つか出ているのですが、積極的には入れてこなかったという経緯があって、これも良し悪しがあると思うのですが、その辺はいかがですか。
○甲斐構成員 マストにはしなくてもいいと思っておりますが、例えば、地域でも骨密度検診をやられているのです。必ずしも職場でこれをやらなければいけないということではなくて、例えば、そういうものを積極的に受けに行きましょうとか、受けに行くときにお仕事の配慮をしましょうというような書きぶりでもいいので、通達の部分でいかがかなと思ったのですが。やはり、50歳以上の女性で多いということについて、指針全体をながめていて、もう少し配慮があってもいいように思うのですが、いかがですか。後で松岡先生の御見解も医学的な立場で聞きたいです。
○安全衛生部長 要は、体力は改善する余地があるのですが、骨密度は非常に改善が難しいのです。骨密度は低いですという人は雇わないのですかという話にすぐつながるので、非常にセンシティブに捉えたいとは思っております。そういった面で御意見を頂ければと思います。
○甲斐構成員 ありがとうございます。骨密度をドラスティックに改善するのは確かに難しいと思いますが、低下しないように注意することは可能です。例えば、食事や運動など、適切な対応によって下がらなくすることはできると思います。あと骨密度を測定して低いとなったときに、現場を見ていると、低いということは、私は転んで手をついたら折っちゃうかもしれないんだという注意喚起にはものすごくなって、本人はすごく気を付けるのではないかと考えます。
○榎原座長 この辺りは医学的観点で、松岡構成員からも御意見を頂けますか。
○松岡構成員 この年齢期の骨密度というのは基本的には大事な話だと思います。一方、職場で働く中にどのように組み込むかということには、議論があるかと思います。健康診断の項目に入れるかという議論も出ていたかと思いますが、この中でクローズアップするよりは、全体の話として骨の弱い方がいるから、それに対応した健康教育をする等で、測定よりは知識を持っていただくという整理でもよいかと思います。これから体力が落ちる可能性のある方も含んだ指針になるため意識付けをすることでよいと考えます。職場ではそのぐらいでもいいかなという気はしています。
○甲斐構成員 ありがとうございます。
○榎原座長 非常に重要な議論です。ありがとうございます。本当に、おっしゃるように50歳以上の女性の方で非常に多いというのは、第1回目の事務局からの資料でもお示しのとおりです。ここの所も、理想としてはきちんと何か介入できればいいのですが、なかなか抜本的に骨密度を高めるような介入の手段がないということもありますし、現場で行う上では負担も高くなって、検診項目に加えることは現実的ではないという、非常に、フィージビリティの観点も加味すると、今、松岡構成員がおっしゃったように、50代を過ぎてくると骨密度の低い方がいらっしゃると。そういう知識を提供したり意識づけをするというところは、通達に書くのは非常にリーズナブルなことかとは私も思います。そういう形の方針でもよろしいですか。坂下構成員、お願いします。
○坂下構成員 度々の発言、お許しいただきありがとうございます。今の議論に関して、事業主の立場から基本的な考え方を申し上げます。
 ここで議論している指針というのは、事業者に対して求めるものなので、当然に業務起因や業務増悪、正に松岡先生もおっしゃっていた、職場に関係するものであることが必要だと思います。何かしらの対応を企業に求めるのであれば、それに必要なエビデンスは不可欠であると思っております。一般健診の検査項目の議論でもそうですが、基本的な考え方として、事業者としては譲れない部分になりますので、その部分を強調させていただければと思います。
○榎原座長 ありがとうございます。いろいろと御意見はありますが、おおむねの流れとしては、通達のほうで知識共有みたいなことはさせていただくと。もちろん業務起因性みたいな観点でいくと、骨密度が低くなっているという状態自体は、労働とは別に関係ないという話です。しかし、もしも転倒とかが起こったときに、手をついた場合、若い人は骨折にはならないが50代女性の方は骨折してしまうという状況もあるので、全く業務起因性がないかと言いますと、そうとは言い切れません。そういう面では、通達の中で情報を提供することは利用者にとっても利益のある情報かと思いますので、知識提供の方向で、事務局にて素案を御準備いただければと思います。漆原構成員、お願いします。
○漆原構成員 33ページのフレイルやロコモに関して、地域と職域の連携の記載がありますが、この間、連携はそれほど進展しているようには思えないところがあります。特に中小企業にとっては、地域の人材の活用は重要なポイントであって、地域と職域の連携を進めていくことは職場におけるいろいろな対策を実施していく上でとても重要なものであると考えています。ところが地域側では地域内の中小企業・事業場で就労している労働者に関する情報が不十分であることなどもあり、なかなか連携が進まないという課題もあるのかもしれません。地域と職域の情報交換をこれまで以上に進めるための具体的な記載が必要ではないでしょうか。転倒対策や服薬対策も実は地域の中で十分取り組みがなされているところですので、それをどう連携していくかという記載が指針の中にあった方がいいのではないかと思います。以上です。
○榎原座長 御意見ありがとうございます。地域との連携について、もう少し具体的に何か連携方法を記載してほしいとのことですが。この辺りは実際に何か記載のしようはあるものなのですか。
○安全課長 補足させていただきます。43ページの(5)、「職域保健と地域保健の連携及び健康保険の保険者との連携の仕組みの活用」ということで、連携の強化という視点で、現状記載をしているところです。それを更に進めるためにもう少し取組を強化できないかという御指摘かと考えております。
○榎原座長 今すぐここで具体的な案を出すのはなかなか難しいと思いますので、こちらは持ち帰りにさせていただいて、事務局のほうで検討させていただければと思います。ありがとうございます。そのほか、いかがですか。松葉構成員、お願いします。
○松葉構成員 松葉です。こちらも情報提供になりますが、私ここ数年エイジフレンドリーに関しての講演をする機会が多く、例の50代を超えた女性の災害発生率が急に増えるというグラフを見せた瞬間に、参加している女性の方々が、がっかりした顔をされて、その背景として骨密度の低下に伴う骨折の影響について話をすると、皆さん納得の様子でうなずくのです。そういった意味合いで、先ほどから話が出ている教育効果という観点での活用。骨密度というキーワードという観点で活用していくことは、どこかで触れていただけると有り難いです。
 先ほどお話がありましたが、画期的に改善することは現状としては期待できるわけではないし、また、測定することを強く求めるということも高いハードルになり得るので難しいと思いますが、教育効果という点ではうまく表現できたらと思います。
 別な点で、29ページ、指針案の下から5行目、「何らかの疾病を抱えながらも働き続けることを希望する高年齢者の治療と仕事の両立を考慮すること」という文章が入っていて、ここはすごく大事ではないかと思っています。というのは、整形外科的な治療をしながら仕事をしている人が数多くいます。実際に、整形外科へ行くと、スポーツでけがした若者と、仕事をしながら体を傷めた50代以上の方々が大勢リハビリを受けているという状況があります。ところが、そういったことは余り実際に職場では考慮されていることは少ないのではないかと。このようなことに対して配慮をすることを求めるような表現ができないか。ちなみに両立支援は特定な疾患に関しての両立支援の指針ということになるので、その点でそれを引用するのはなかなか難しいかと思いますが、両立支援の考え方をもう少し通達なりで強調することはできないかと感じています。以上です。
○榎原座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。併せて、今日は第3回目ですので、おおむね今日の段階でいただいたものを指針、または通達等で反映する形になるかと思いますが、そのほか是非、これはという御意見がもしありましたら、構成員の皆様には事前にお伝えしていますが、今日は当初の予定は16時なのですが、少し時間を延長する可能性があるということを御了承いただいています。本日は非常に大事な検討会のところだと思いますので、少し時間超過をお許しください。安井部長、少し補足をお願いいたします。
○安全衛生部長 治療と仕事の両立については、今回の労働安全衛生法の改正とは別に、労推法という別の法律を改正しまして、それに基づく指針として就業と治療の両立に関する指針を、現在、検討会で検討しているところですので、そちらについては恐らくほぼ同時期に出ると思いますので、その指針をこちらで引用するようにしたいと考えています。
○榎原座長両立支援は、通達のほうで引用するということです。そのほかいかがでしょうか。オンラインのほうもよろしいですか。そうしますと、ここの論点4と5についても大体意見は出そろったということでよろしいでしょうか。基本的には今回のこの指針、特に高齢対策等を行っていない事業者に対しても実効性のある形で、現場でできるような指針にしていくということも大事な観点かと思いますので、通達の中身も非常に重要になってくるかと思います。是非、通達のほうで加えたいことや加えたほうがいいと思われることがありましたら、積極的に御意見を頂ければと思います。
 それでは、続きまして論点の6から8、これは資料2の35~45ページについての議論に移りたいと思います。御意見等がありましたら頂けますか。島田構成員、お願いいたします。
○島田構成員 体力の所でお話しようかなと思っていたのですが、今回、全体として体力チェックや教育をいつやるのですかということが書かれていないと思います。例えば教育を行うにしても、転職や異動で、新しい作業に取り組む人は当然、教育をしないといけないと思います。また、未経験の業種に就くときにも当然必要だと思います。一方で、例えば製造業などは20年、30年、40年とずっと働き続けている間に、次第に体力が衰えてくるということもあると思います。また、30年も働けば作業に慣れていて、危険な作業でも自分の技術的なものでカバーして、危険な作業を行っていることを気にしなくなるといったこともあります。そのため、ある程度の年齢に達したところでも改めて教育を実施するということや、そのときの体力に応じた教育をどのような方法で実施したらよいのか、危険性があるということの気付きを与えるような教育も必要であると考えます。
 それから、もう1つ、管理監督者の教育もありますが、当然、管理監督する人、経営者が担う場合もありますが、その人たちに高齢者の特性を理解してもらうということが重要だと考えます。たとえば、管理監督者の方々にも実際に働く人、高年齢労働者が働くところを観察していただいて、その上で体力的に難しいとか、作業に無理があるのではないかなどを把握するということも、教育の内容として伝えていただく記載があるとよいと思います。もちろん通達レベルでもよいです。○榎原座長 島田構成員、ありがとうございます。今まで、ここの教育の所で欠けていた貴重な観点です。教育のタイミングの話、あとは管理監督者の心構えというか、そういったところについても重要な御示唆を頂きました。この辺りも通達で明示をする形で対応できるといいのではないかと思います。そのほかいかがでしょうか。松葉構成員、お願いいたします。
○松葉構成員 何度もすみません。39ページ、40ページにかけて、労働者と協力して取り組む事項の所なのですが、前回、この若い世代に対して20~30年後はというような意見、私から出させていただいたのですが、その点はこの指針が実際に長期的に定着していく意味合いでは重要なのではないかと考えています。その点で、現在、指針案で、労働者と協力して取り組む事項としてこの文章がありますが、例えばこれに加えて、「また、我が国の少子高齢化は今後も進むと推定されており、このことを若年者が自分事として認識し、自らも高年齢労働者労働災害防止対策の推進に積極的に取り組むことが必要である。」という、そのような書きぶりが含められたら、今のこの指針が高年齢労働者だけの問題ではないということを強調できるのではないかなと感じますが、その点で少し御検討いただければと思います。
○榎原座長 御意見ありがとうございます。ご意見は指針の中に記載か、通達、どちらのイメージでしょうか。
○松葉構成員 私のイメージだと、指針の中に書き込んでいただくのがいいかなと。要は現状のエイジフレンドリーガイドラインにしても、その名前を出した瞬間に年寄りの問題というようなことで、流してしまう面があり、それが高年齢者の話だけではないと、企業全体として将来に向けて考えて取り組んでおかなければいけないことだと。それは正に現状、若い世代の人たちも一緒に取り組んで協力してもらうということを強調するところかなと、そのような認識です。
○榎原座長 趣旨は理解できました。ただいまの松葉構成員の御意見について、いかがでしょうか。ほかの構成員の先生方から何か御意見はありませんか。
○安全衛生部長 御意見ありがとうございます。幾つか論点があると思うのですが、まず1つは法律上の指針ということで、高年齢労働者に配慮した措置を求める指針ということが、大きなスコープとして一定の限定があるということ、それに伴って教育の対象者が、高年齢者と管理監督者ではなく、もともとそういう若年の方に教育をするということがスコープに入っていないというところがあります。ただ、今の御指摘を踏まえるとすれば、管理監督者に対する教育という中に、そういう観点もあって、体力の低下というのは若い頃からでも始まる可能性があるなど、そういった話を管理監督者に御理解いただくというのはあり得るかなと思います。
○松葉構成員 ありがとうございます。
○榎原座長 この辺りの議論も、第1回目からほかの構成員からも頂いていたところかと思います。特に年をとってからではなくて、エイジマネジメントの観点で若い世代からもきちんと取り組んでほしいということがありましたので、管理監督者の教育の中で、もし可能であれば、事務局で検討いただければと思います。
 あと、すみません、多分、前回、私の発表で、この論点6の中で複合介入の話をさせていただきました。複合介入で、もちろん教育が大事なのですが、むしろ論点3の(1)、どちらかというとアプローチの対策で複合的に組み合わせるということが大事なので、この論点6で通達の中に記載いただけるといいのですが、どちらかというと論点3の(1)のほうが場合によっては合うかなと思って、今、見ながらちょっと思いました。その辺り、どこの通達に載せるのかもちょっと御検討いただければと思います。
 そのほかいかがでしょうか。坂下構成員、お願いいたします。
○坂下構成員 ありがとうございます。この高齢者、管理職、また労働者に対する教育は非常に重要だと思います。というのも、1回目の会議の資料の中にもありましたが、ガイドラインの周知がなかなかなされていない理由の多くに自分事として受け止めていないようなところがあるように思われるからです。自分は健康だ、自分は若いといった振る舞いがあるような気がしますので、そのマインドセットを変えるような取組はこの指針だけではなかなか難しいため、指針をしっかり努力義務として施行し、それをもとにしっかりと周知を図っていくことが重要だと思います。
 今日の松尾先生の資料の中にも、Netflixは1時間観るが、自分で体力を向上させないといけないと思っても、なかなかやらないというのは同じような文脈かなと思っています。ここの書きぶりについては指針にふさわしい簡潔な書きぶりになっていると思います。あとは、しっかり周知を図っていくということが重要だと思っています。以上です。
○榎原座長 非常に指針にふさわしい書きぶりになっているという御評価を頂きました。ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。漆原構成員、お願いいたします。
○漆原構成員 「転倒につながるような医薬品を服用している場合に転倒につながる恐れがあることを通達に記載する」という点について、地域においてもそのような内容の啓発が行われていると承知しています。その上で、事業場ということで考えると、副作用については、視力や認知機能の低下をはじめ、要因が複数ある内のリスクの1つとも考えられるのではないでしょうか。そのため、通達においては、副作用の情報を単体で提供して教育を行うというよりも、松尾先生の発言にあったようなツールの中に、体力の低下と合わせ、服用している薬によっては、その副作用によってめまいが起きる可能性があるといったことを、複合的なリスクの視点から周知をするほうが、むしろ効果的ではないのかと思います。例えばオンラインツールの中で、バランス感覚の衰えに加え薬の服用、あるいは多剤服用がどれだけのリスクになるのかということが、労働者本人により認識されたほうが、効果的ではないでしょうか。また、職場では、歩いている際の転倒だけではなく、フォークリフトを運転している方もいれば、切断や加工作業を目の前で行っている方もいて、その場合のめまいのリスクを果たしてどう考えるのか、単に転倒という視点で収めていいのかとも考えています。なお、オンラインツールやセルフチェックの内容に入れることが難しいとしても、医師の監修の下で何らかのアウトプットを検討頂ければと思います。以上です。
○榎原座長 今、御意見いただいた点について、何か御意見はありませんか。松岡構成員、お願いいたします。
○松岡構成員 医師会の松岡です。服薬のアセスメントの話かと思いますが、服薬にも種類があり、それにプラスして複合的なものになると結局、薬の副作用や労働への影響については1個ずつ薬剤師さんに聞くような形になるかなと思います。例えば飲んでいるか、飲んでいないかであれば、そのチェックリストのようなものが使える場合はあるかもしれませんが、その多種多様な薬の副作用等の内容になると、一概にはいかないので、私としては難しいと思っています。また高齢者の方になってくると、何の薬をどういう形で飲んでいるか、余り把握していない方も実はいらっしゃって、まず御自身が何を飲んでいるかという薬のチェックから始めなくてはいけないようなレベルではないかと思います。それ自体が分からなければ、次に進めないということです。
 また、これについては治療と仕事の両立支援にも関わってくる事項なので、その中で一元的にやるかということも、懸案事項かと思いました。
○榎原座長 松尾構成員、お願いいたします。
○松尾構成員 今の漆原構成員と先ほどの松葉構成員の御発言のところで、体力科学的な観点で少しフォローという意味の発言になるかなと思いますが、今、先生がおっしゃったことも確かにそうだなと思いながら聞いていました。一方で、体力科学の転倒予防という観点で、これは繰り返しになりますが、寝たきり予防という観点での研究、後期高齢者を対象とした研究という限定は付くのですが、それでも体力と同じように服薬が、非常に影響力が大きいというのも、これはエビデンスとして出ているので、私も漆原先生のお話を聞きながら、服薬も確かにいろいろな種類があるので、それを全て書くというのは難しいにしても、何かしらもう少し、体力をこれほど前面に出すのであれば、服薬も同じようにとまでは言わなくても、もう少し書いてもいいのかなと聞きながら思いました。
 先ほど松葉先生のお話で、若い頃から意識をしたほうがという部分も、体力的な観点でいうと、確かに高齢になって運動を始めても、もちろん回復はするのですが、やはり若い頃から意識をしている人が、高齢になって、しっかり意識をし続けられるというようなエビデンスはありますので、そういう観点からも、指針に入れるのか通達に入れるのかという議論はあるのかもしれませんが、確かに指針の所で部長から、高齢者のものだというお話がありましたので、そのとおりだなと思いながらも、一方で、そういった内容も少し含めると、体力科学の研究者としては「分かっているな」というような感覚になりますので、入れていくというのも非常にいいことなのではないかなと、効果的なのではないかなと思いました。以上です。
○榎原座長 活発な御議論ありがとうございます。何度発言していただいても、全然問題ないので、そこは気兼ねなく御発言いただければと思います。皆さんの利益につながることだと思いますので、そこは遠慮なくお願いします。
 今、御指摘いただいた点も、薬の服薬の所は今回、指針の中にも追記されていますが、今、漆原委員からもおっしゃっていただいたように、複合リスクとしてやはり周知するということは大事なポイントの1つかなとは感じました。併せて、松岡委員からも御指摘がありましたが、とは言え、なかなか、どこまで書くのかというところも当然あるかと思います。私も第1回目の検討会以降、この服薬関係と転倒のシステマティックレビューを幾つか調べてみたのですが、1つは向精神作用薬系、いわゆる抑うつ薬などは、確かに転倒のリスクは1.36倍から1.68倍ぐらい高めます。メタ解析の結果なども出ていたりします。
 一方で、例えば降圧薬、血圧の薬などは実は余り結果が一貫していない。転倒につながるというものもあれば、つながらないというものもある。なかなかまだメタ解析上は、エビデンスが整理できていないということ。あとはポリファーマシーの話、多剤併用も確かに転倒のリスクと関係するという話もあるのですが、かと言って、それで多剤を服薬することを止めてもらったからといって、転倒が減るというわけでもないところもあって、なかなか細かいところまで書くと、まだエビデンスとしては十分整理し切れないところはあるかなという印象は持っています。むしろ薬を飲まれている方自体は、お医者さんや薬剤師さんから、副作用の周知を受けているので知っていて、むしろ管理監督者の方に、高齢者が服薬している可能性もあるので、服薬と転倒が一応関係することもある、ということを知ってもらうことも大事なポイントかなと思います。
 今、労働者側の所に記載されていますが、場合によっては、これは管理監督者に対する教育のほうに記載をしていただいたほうが、実態と合うのかなという印象を持ちましたが、坂下構成員、お願いいたします。
○坂下構成員 すみません、管理監督者の教育の中にそういった服薬のリスクを入れた場合、会社としてはどのような対応が求められるのでしょうか。管理監督者は、自分の従業員に服薬しているかどうかを確認して、服薬している場合は転倒のリスクがあるような仕事だから気を付けなさいと周知することが求められるのでしょうか。ちょっとその辺が、企業が何をしなければいけないのかが分からなかったので、教えてください。
○榎原座長 御指摘の点を伺って、確かにそういう話になると。確かに企業側が、もしもこういうものが載ると、では企業はどうすればいいのですかという話は確かにあります。おっしゃるとおりだと今、思いました。もちろん、この辺は非常に機微な情報で、服薬情報ですね。確かにおっしゃるとおりだと思います。松尾構成員、お願いいたします。
○松尾構成員 さっきの骨密度の所と一緒で、やはり服薬をしている、どの種類がということは、確かに議論はあると思いますが、服薬が転倒に影響するというエビデンスは固いものがあるので、それは教育の所で、企業にしても労働者にしても、知っていただくという必要はあるように思います。ですから、先ほどの骨密度の議論と一緒の文脈でもいいのではないかなと思いました。
○榎原座長 ありがとうございます。まず知識として知っていただく。そこで具体的に何か、事業所側にそれについて従業員に対して何かアクションをという話ではなく、重要な知識の1つとして伝えるのはいいのではないかという御意見ですね。
 安井部長、お願いいたします。
○安全衛生部長 松岡構成員もおっしゃったのですけれども、服薬というと、ある意味、治療と就業の両立支援の一場面にもなりますので、両立支援指針は引用する形にさせていただきます。その通達でちょっと書くことはできるかと思います。両立支援指針の中でどこまで書くかという話もあるのですけれども、この件については、そういった観点で受け止めたほうがいいのではないかと思います。
○榎原座長 そのほかには特によろしいですか。お願いします。
○漆原構成員 今回は、最後の論点8も入っているという理解でよろしいでしょうか。
○榎原座長 はい。
○漆原構成員 論点2において、労働安全衛生マネジメントシステムの話がありましたが、ISO25550という高齢者の就業環境の整備に関する規格が別途あって、その中には高齢者の採用も含まれており、健康支援のプログラムや職場環境の改善整備など、高齢者が生産的に働く機会を提供するための職場環境の要件が示されています。また、2022年に改訂がされており、常にこの規格に沿って高齢者の対策を実施している事業場もあることを想定すれば、同規格と今回の指針や通達の内容の整合性を保つことは、事業場の取り組みやすさにつながるのではないかと思います。職域と地域という安衛法を超えたISOの枠組みになりますが、そういう観点から通達に記載をいただきたいと思います。
○榎原座長 貴重な情報提供をありがとうございます。この辺りについて事務局のほうで、少し何か検討されていますか。
○副主任中央産業安全専門官 マネジメントシステムの件については、現状、その規格の中では高齢者対策というのが必須事項にはなってないわけです。なので、この現行ガイドラインの中では、高齢者対策に取り組むのであれば、マネジメントシステムの中に取り込んでやっていただくこともあり得る、という選択肢をお示ししているというように認識をしております。その上で、ISO25550を御紹介いただきましてありがとうございました。今、事務局のほうではそのISO規格を取り寄せ中で、まだ一つ一つの精査はできていないところではありますけれども、現状において概要のようなものを調べて把握している限りにおいては、大きく外れている点はないかと思っております。
○榎原座長 このISOの規格も、もちろん動向は今少し調べていただいているということで、この辺りを調べていただいたら、次回の検討会のときにフィードバックを頂ければと思っております。おおむね著しく齟齬があるということはないという認識でおります。ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。松岡構成員、よろしくお願いします。
○松岡構成員周知の部分で思っていることです。エイジフレンドリーガイドラインから指針に格上げすることになると思いますが、今回、「エイジフレンドリーガイドライン」という名前がどうなるのかと思っています。若いときからの、今後の対策も併せて考えてほしいという印象を持てるような、言葉を何か作るのはいかがでしょうか。「エイジフレンドリー」と言われたときに、受け取る側たちはどう思うのかと感じます。
 この言葉を使って周知をなさるのか、高齢者も若い人たちも、自分事のように思うような、何かキャッチーな言葉ができればよいと私は思います。この言葉が普段使われるかが気になっています。初回でご説明いただいたアンケート調査に、「自分はまだ年寄りではない」とか、「自分事とは思わなかった」という言葉が出てくるため、周知のときの文言はお考えいただいて、自分でも進んでいくエージングに対するものとか、何か取り組みやすいような名前にしていただきたいと思いました。
○榎原座長 普及啓発をする上で、また同じ名前のままがいいのかどうかというのは、言われてみると確かに、そういう観点が私には全く頭になかったので、ありがとうございます。ちなみにどなたか、こういうネーミングならというような妙案のある方はいらっしゃいますか。
○松岡構成員 アンチエイジング。
○榎原座長 それが分かるというか。確かに大事な観点ではあります。普及するというところで、エイジフレンドリーだと何となく高齢者だけというような印象で、多くの方が無関心というところがもしかしたらあったのかもしれないですね。とは言え、今すぐ妙案もなかなかないと思うのです。安井部長、お願いします。
○安全衛生部長 エイジフレンドリーは、もともとWHOなどが言い出したと伺っています。高齢者の身体的・心理的な特性を配慮して、誰もが年齢に関係なく、安心して働ける安全で健康的な職場環境を目指す言葉ということで、このガイドラインができたときからずっとその言葉を使っています。普及率は低いという御批判はあるものの、一応それなりに知られているということもありますので、ここで変えてしまうと、また一から出直しというところもあります。ほかに適切な言葉があるのかについては、まだ調べたいと思いますけれども、そういった諸外国で使われている言葉ということも含めて検討していきたいと思います。
○榎原座長 そういう経緯があったとは存じ上げませんでした。情報提供、ありがとうございます。先ほどのISO25550という規格などは、「インクルーシブ」とか「インクルージョン」というのをよく使っていますね。確かに今はいろいろな言葉があって、何を使えばいいのか、なかなか難しいところもありますので、そういう御意見があったということですが、ネーミングまで変えると大幅な変更になりますので、今回はエイジフレンドリーガイドラインのまま行かせていただきます。実際の中身で広く皆さんに知っていただけるように、皆さんで協力して周知活動を進めていただければと思っております。そのほかにいかがでしょうか。よろしいですかね。
 それでは、最後に残されている大臣指針に基づく措置の促進等のところです。こちらについて、もし何か御意見がありましたらお願いします。ちょうど今の周知・広報の話とか、45、46ページ辺りの調査・研究のことですね。周知・広報などについても御意見等があればお願いできればと思います。これまで周知・広報について頂いた意見は4点ほどですね。できるだけシンプルにしたほうがという話とか、認知度が低いのが問題だとか。ここの問題認識は、皆さんも共有しているところかと思います。一応これは12月でまとめて、あと4か月で周知を図らなければならないということもあって、このガイドラインを前提に、速やかに指針化を行っていただきたいということもあります。そのほかに何か。松田文子構成員、お願いします。
○松田(文)構成員 少し、全体的なことになってしまうのですが、よろしいでしょうか。今回の検討会の中で、指針と通達と報告書の3つを作るというように整理されていたかと思うのです。今回の周知・広報等を見ますと、報告書に記載する取組を進めていくとか、指針を分かりやすくして、周知・広報に努めていくといったことが記されているかと思いますが、実際にやるとなったときは、通達が大事になるかと思うのです。通達完成度をどのように上げていくとか、どのタイミングで出すとか、若しくは通達を分かりやすくする工夫とか、その辺りの通達の取扱いについて、この検討会の中で、どの程度意見をもむのか、あるいは、そういうところは事務局のほうでやっていただくのか、それをどういうタイミングで出すとか、それをどういうように広報するとか、通達に関して、その辺りについて少し教えていただけたらと思います。
○安全課長 通達の扱いですけれども、通達の内容については、この場で詳細を詰めるものではなく、本日、前回、前々回いただいた御意見を踏まえて、事務局で意見の趣旨を受け止めて書き下していくというように考えております。通達の内容については、指針の解釈や説明、留意事項をまとめたものになると思っています。通達を発出するタイミングについては指針の公表と同時を考えております。また、通達のほかにも、全体像が分かりやすくなるようなものができないか、解説書的なものが作れないかということについても検討したいと思っています。
○安全課長 通達の扱いですけれども、通達の内容については、この場で詳細を詰めるものではなく、本日、前回、前々回いただいた御意見を踏まえて、事務局で意見の趣旨を受け止めて書き下していくというように考えております。通達の内容については、指針の解釈や説明、留意事項をまとめたものになると思っています。通達を発出するタイミングについては指針の公表と同時を考えております。また、通達のほかにも、全体像が分かりやすくなるようなものができないか、解説書的なものが作れないかということについても検討したいと思っています。
○榎原座長 よろしいでしょうか。
○松田(文)構成員 ありがとうございます。
○榎原座長 坂下構成員、お願いします。
○坂下構成員 今日の御議論を聞いていて、改めて思ったのですが、高齢の方は服薬をしている、転びやすい、熱中症に弱いなど、様々な問題を抱えています。今回、この指針では高齢者に絞って記載することになりますが、例えば服薬については、労推法のほうで治療と仕事の両立支援の努力義務の指針作成をしていますので、同じようなタイミングでリリースしており、熱中症についても今後議論が行われていくと聞いておりますので、すべてが関連しているのだと考えられます。したがって、どのような形で周知をしていくのがいいのか。関連性がうまく分かるようにするなど、先ほど事務局がおっしゃっていたような、全体像が分かるようなものがあってもいいのかなと思いました。
 企業の立場からすると、指針に記載されている内容を実際にどう実践するかを考える際に、一番参考になるのは、松葉先生にたくさん御紹介いただいたような、企業の具体的な取組事例だと思います。例えば、実際に経団連が周知をしていくといったときには、そういった企業事例などもセットにしながら、各企業の、特に中小の事業者に取組事例の紹介をお願いしていくことになるのだろうと思っています。
○榎原座長 松田構成員、お願いします。
○松田(文)構成員 いろいろな所から啓発をしていただくというところを踏まえますと、通達の内容は「これは通達でいいので」というような発言として、いろいろな方が意見をおっしゃっていたと思うのです。恐らくどういう書きぶりになるかというのが、ここの構成員の皆さんは気になっているのではないかと、私は思っています。そういう意味では、この会議体の中で、もむことは難しいかもしれませんが、何らかの形で、内容が分かるのがいいかなというように思っているところです。やはり通達に盛り込んでくだされば、これで指針からは落としていただいてもというように、皆さんもいろいろな所でバランスを取った御意見を頂いているように思います。その自分の思いというか、発言した内容がちゃんと踏まえられるのかという懸念はあるのではないかと思うので、御考慮いただけたらと思います。以上です。
○榎原座長 御意見、ありがとうございます。事務局から何かありますか。
○安全課長 基本的には、構成員の皆様から御発言いただいた内容に沿って書かせていただくつもりです。その内容を具体的に皆様に御照会するのは、なかなか難しいかと思っておりますけれども、趣旨を踏まえて適切に記載させていただきたいと考えております。
○安全衛生部長 報告書をまとめますので、報告書の中に指針本文に書く事項というか、指針案と通達に書く事項ときちんと書き分けて、報告書で一応ピン止めします。報告書に書いてあることをきちんと通知に移すというような形にしますので、報告書案を見ていただいて、通知で盛り込むべき事項で付け加えるべき点があれば、報告書の文案のところで御議論いただければと思います。
○榎原座長 では、報告書で御意見を確認いただければということですね。甲斐構成員、お願いします。
○甲斐構成員 最後に質問させてください。先ほどの解説書とかリーフレットとかパンフレットというのは、現場に周知するにはものすごく助かるのですが、これはいつ頃の予定でしょうか。
○榎原座長 事務局、御予定はいつ頃ですか。
○甲斐構成員 スタートは一応4月からですよね。なので、どうなのかなと思いました。
○副主任中央産業安全専門官 まずは指針や通達を確定させた上で、なるべく早くというところを目指していきたいと思っております。
○榎原座長 なるべく早くということで、よろしくお願いいたします。そのほかにいかがでしょうか。調査・研究等についてもよろしいですか。もし何かありましたらどうぞ。事務局からお願いします。
○副主任中央産業安全専門官 事務局から1点。話が戻ってしまうのですが、石﨑先生から頂いている御意見の中の4番目に、ヘルスリテラシーの向上について、指針にそのまま残してほしいという御意見を頂いております。もし可能であれば、この部分について何らかの御議論を頂けたらと思います。このまま残すという形であれば、それでいいと思いますし、ほかの御意見があれば、また、それを踏まえさせていただきたいと思っております。
○榎原座長 これは論点7ですね。
○副主任中央産業安全専門官 論点7です。
○榎原座長 元の案で言うと、40ページの右側の一番下の欄ですね。いわゆる「健康や医療に関する情報を入手、理解、評価、活用できる能力(ヘルスリテラシー)の向上に努める」という部分を残してほしいという御意見ですね。これについていかがでしょうか。お願いします。
○安全衛生部長 こちらは前回も御議論になったと思うのです。ヘルスリテラシーのように重要なマターを、労働者だけに押し付けられているのではないかという御意見があったので、今回、そういうものの記載はかなり見直したところです。こういった点がもし重要であれば、例えば教育の中、管理監督者の教育の中に盛り込む、あるいは高齢者の教育の中に盛り込むという形で対応するのが良くて、労働者がヘルスリテラシーの向上に努めなければいけないという文脈で、この指針の中に入れるのは難しいかと思いました。
○榎原座長 安井部長からのコメント、ありがとうございます。基本的にリテラシーは教育のマターなので、もし入れるとしても、場所は確かに論点8のほうがより適切かと思います。どなたかほかに御意見等はありますか。経団連の坂下さんなど、特にこの辺りについて御意見はよろしいですか。
○坂下構成員 率直に申し上げて、大企業の場合だと健康経営に積極的に取り組んでいる会社も多く、リソースもありますので、いろいろなことができると思います。他方、中小零細、小さな会社の場合、あれもこれもそれも全部となったときに、なかなか難しいという気がするので、そういった実態も踏まえた議論が必要ではないかと思います。事業者の立場でコメントをしていますので、労働者の論点7ではなく論点8になったとしても、どうしても企業として何をすべきなのか、どういったものが求められるのかが気になるところです。これを企業が自主的に行う分にはいいと思いますし、奨励されるべきものだろうと思いますが、企業がどこまでやるかというのは率直に感じるところです。
○榎原座長 ただいまの件について、ほかにいかがですか。リテラシーの扱いについて。漆原構成員、お願いします。
○漆原構成員 「労使」のみならず、コラボヘルスのような形で保険者も含めて、いろいろなプレーヤーがいるのではないかと思います。リテラシーの向上に努めるのは誰なのかというところかと思いますが、事業者や労働者、保険者、かかりつけの医療機関など、関係者全体が協力すべき内容ではないかと受け止めています。単純にここで記載するか否かというと、少々違和感があると受け止めています。
○榎原座長 正に様々なステークホルダーが連携して取り組む事項だということですよね。そういう面では高齢労働の指針の中で、あえてそれに触れる必要があるのかというところは、確かにおっしゃる御意見としてはあるのかと思います。もちろん重要だということは、みんなも理解しているところかと思います。安井部長、お願いします。
○安全衛生部長 正に座長がおっしゃったように、ヘルスリテラシーが重要であるという知識を教育でお伝えするということで、要するに知識としてお伝えすることではないかと思うのです。誰かがリテラシーの向上に努めなければいけないという、義務客体を定めるのは難しいかと思いました。
○榎原座長 実際にリテラシーの向上に努めるような介入を、事業所・労働者ともに要求するのはスコープ外になるかなという感じがするのです。あくまでもヘルスリテラシーの知識を知ってもらうことが重要だというのは、指針又は通達などでも、ほかの並びとの兼合いでいいかと思います。そのような形で、知識を供与するという視点でまとめるという形にさせてもらえればと思います。そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。松田先生、よろしくお願いします。代読をお願いできますか。
○事務局 松田晋哉先生が入力されているのですが。
○榎原座長 松田晋哉先生、御発言は難しいですか。ちょっと画面が小さくて見えないので、事務局で代読いただけますか。
○事務局 入力されているのですけれども、今消えてしまいました。発言はないそうです。
○榎原座長 大丈夫ですかね。ありがとうございます。それでは、この3回で皆様からの御意見等は、おおむね集約できたと承知しております。これを基に事務局で内容を整理いただいて、次回、ほぼ最終案に近いようなものを御提示いただければと思っております。大幅に時間が過ぎてしまいましたけれども、最後に次回の日程等について、事務局から御説明をお願いします。
○副主任中央産業安全専門官 次回、第4回の検討会は、12月8日の14時開始を予定しております。場所などの詳細については、後ほど御案内をさせていただきます。
○榎原座長 以上をもちまして、第3回「高齢年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会」を終了いたします。本日は長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。