第10回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事録)

日時

令和7年11月11日(火)14:30~

場所

オンライン・対面による開催(中央合同庁舎第5号館 専用第22~24会議室(18階)東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

○山川座長 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第10回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。構成員の皆様方、お忙しいところ御参集を頂き、誠にありがとうございます。本日は、勇上構成員と冨髙構成員が御欠席とのことです。冨髙構成員の代理として、日本労働組合総連合会総合政策推進局労働法制局局長の漆原肇様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 本日の研究会は、Zoomによるオンラインでの開催と会場からの御参加の両方になっております。会場には、倉知構成員、眞保構成員、田中伸明構成員にお越しいただいております。オンライン御参加の新田構成員は途中で一時離席の予定で、大谷構成員は途中で退席の予定となっております。村山職業安定局長がただいま来られました。原田障害者雇用対策課課長補佐は、公務のため途中から参加される予定です。
 開催に当たり、事務局から説明があります。
 
○河村障害者雇用対策課長 事務局です。本日もZoomを使ったオンライン参加を頂いておりますので、簡単にオンラインの操作方法のポイントを御説明申し上げます。研究会の進行中、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言の際には画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、座長から発言の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗っていただいてから御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。そのほかのZoomの操作方法については、事前にお送りしたマニュアルを御参照いただければと思います。また、会議進行中トラブル等がありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御了承いただければと思います。オンラインに係る説明は以上です。
 
○山川座長 カメラでの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。では、議事に入ります。今回も、第5回から第9回までの議論に引き続き、ヒアリング項目ごとの議論を続けたいと思います。今回は、「障害者雇用の質」というテーマについて議論を行います。議論に当たり、事務局から用意されております資料1について説明を頂きます。その後、構成員の皆様から御意見を頂きたいと考えております。それでは、事務局から説明をお願いします。
 
○河村障害者雇用対策課長 資料1をお手元に御用意ください。1~3ページが、過去の制度改正の際の議論の経緯です。本日のテーマであります障害者雇用の質について、比較的はっきりとこの論点の中に出てきたのが、1ページの平成30年当時の研究会の報告書です。1ページの冒頭ですが、障害者雇用について量的に進展してきた一方で、雇用の質に着目した取組が必要だということが指摘をされた上で、〇の2点目、雇用の質をどう捉えていくかという点について、障害当事者御本人や家族の視点からもいろいろな言及があったけれども、処遇・待遇の改善という点が重要な論点であると指摘をされました。下半分は、障害のある方が正社員比率が低いということが挙げられた上で、雇用形態と処遇改善等の間に関係性が高いということが指摘をされているところです。
 2ページです。そうは言っても、障害特性や御本人が置かれた状況によって、例えば体力面の制約等がある場合もあるということが指摘をされた上で、希望や特性に応じて安心して働き続けられることが重要な視点であると言われております。その上で、下の○ですが、今後雇用の質の向上を図っていくためには、障害のある方の能力、希望が適正に評価をされ、また、その特性に配慮をした措置が講じられること等が重要であると指摘をされているところです。
 続いて3ページは、前回、令和4年開催の分科会の意見書です。一番上の○は、今後は数の進展に加えて、質の要素が重要だということが指摘をされた上で、○の2つ目は障害のある方の能力を正当に評価し、それに相応しい適当な雇用の場を提供していくという考え方。あとは、適正な雇用管理の重要性が指摘された上で、次の○にかけて適正な雇用管理の観点では、キャリア形成の支援の視点が重要であると言われております。その上で○の4つ目は、障害のある方の持てる能力をしっかりと発揮できるように、障害特性に応じた業務の選定。障害特性とその業務の間のマッチングや再構築、業務の側をいろいろとデザインし直すというようなことについて、重要であるという御指摘が出ております。その上で、下から2つ目の○ですが、質を高めるという観点で、定着支援も同時に重要であるという視点が示されているところです。
 続いて4、5ページは、本研究会の中でのこれまでの御指摘の要約です。詳細は割愛いたします。中小企業で行っている「もにす認定」を参考に、大企業も含めて質を評価していく指標、仕組みが必要ではないかという御意見が出された上で、質の評価で優れている企業について、実雇用率で評価をすべきではないかと。量の概念として、言ってみれば質が良い分を量を多めに算定をするというような趣旨であると理解をしております。一方で、量と質を同じ指標の中で評価することは難しいという趣旨の御意見も、同時に頂戴をしているところです。その上で、この部門でやっているような満足度調査のような取組が重要ではないかというような御指摘や、能力が正当に評価されて処遇に反映されていくような仕組みが重要であるという御指摘を頂戴してきております。
 続いて5ページは、障害者雇用ビジネスの関連のこれまでの御意見です。冒頭に、貴重な雇用機会の創出の場であって好意的受け止めもあるけれども、障害者雇用本来の理念に反するのではないかという趣旨の御意見も頂戴をしております。その上で、一番下ですが、何かしらガイドラインの作成、あるいは規制の要否の検討が必要ではないか等の御意見を頂戴してきているところです。
 6ページ以降は、現行制度の御紹介を少し申し上げます。6ページは、障害者雇用促進法の理念等です。第3条は、障害のある労働者が経済社会を構成する労働者の一員として、能力発揮の機会を与えられるべきものであるということが基本理念として規定をされております。その上で、第5条の事業主の責務の部分ですが、前条の所に書かれている障害のある方が有為な職業人として自立しようとする努力に対しての事業主が協力する責務を負うということが言われた上で、障害のある人は能力を正当に評価をして、相応しい適当な雇用の場を提供するという観点と、あとは適正な雇用管理、また職業能力の開発、向上を行うことによって、雇用の安定を図るように努めなければならないということが規定されております。
 7ページは、前回、令和4年改正の一部の概要です。正に、この第5条の責務規定の下の欄の赤字の部分、職業能力の開発、向上に関する措置という文言が、法令上付け加えられたところです。
 8~10ページは、御参考の公務部門の質の向上に係る取組です。公務部門については、平成30年当時の障害者雇用率の不適切形状の事案を踏まえ、当時の改正において、8ページに記載のあります障害者活躍推進計画を策定することとなっております。この計画の中では、下半分の1の(2)ですが、目標として採用定着に関する一般的な目標に加えて、御本人の満足度、ワーク・エンゲージメントに関する目標設定をすることとなっております。そのほか、具体的な規定事項については、2にあるようなものを規定することになっております。
 その詳細を策定指針の形でお示したのが、9ページです。10ページは、先ほど出てまいりました御本人の満足度やワーク・エンゲージメントに関する取組として、左側に調査項目がありますが、各省庁で、自身の役所の中での、御本人たちの仕事の内容や作業環境、職場環境等への満足度を調査をして、それに基づいていろいろと役所としての取組を反省して、取組を改善していくというような営みを続けているところです。こちらは、全省庁分をまとめていた令和2年当時のものを抜粋をさせていただいておりますが、その後の各省庁においてこうした取組を継続しております。
 11ページ以降が、「もにす認定制度」の創設関係の資料です。11ページは、平成30年改正のときに「もにす認定制度」が創設されておりますが、当時の議論で、端的に表れておりますが、下半分が平成31年の分科会の意見書です。意見としては、中小企業について、例えば0企業、特に量の面を中心に取組が停滞している状況があることが問題意識として挙げられた上で、量の点も含めて質も評価する仕組みとして、「もにす認定制度」の創設に至っている経緯があります。
 その上で、「もにす認定制度」の概要が12ページにあります。中断の辺りの認定基準の項目の赤字を御覧ください。「もにす認定制度」においては、まず量の面として不足数が0で1人以上の雇用があるという最低限の設定を行った上で、質を中心とするいろいろな項目について加点方式で強みとするところで点を積み上げていって、合計得点を見て認定をするような仕組みになっております。 
 具体的には13ページですが、左側の半分に取組、アウトプット関係の項目が○1~○10まで並んでおります。こちらには多岐にわたる項目がありますが、その中の下の欄を御覧ください。取組関係のこの部分の合格最低点として、5点となっており、強みとできる所で加点をしていって、点を積み上げて合計点数で判断をするというような枠組みになっております。右側の上の欄が、成果、アウトカムの欄です。数的側面と質的側面の両面を見て、評価をする形になっております。左側の一番上の体制づくりの所を例にとりますと、14ページにありますとおり、例えば体制づくりの○1の組織面をひとつとっても、多岐にわたる取組、例えば、社長さんが職員に向かって理解促進のためのメッセージを発信しているといった取組が幾つか並んでおります。これに2要素以上該当すれば2点が加点されて、1要素であると1点が付くと。先ほどのような合計得点に至れば認定が受けられるというような仕組みになっております。
 15、16ページは、中小企業を中心とする質の向上に向けても大変重要な、前回の改正で設けられた障害者雇用相談援助事業の関係です。こちらは、皆様御承知のとおり、同じように障害者雇用に取り組んでおられる民間の企業を中心に、そこの会社に認定を受けていただいて、認定事業主からこれから障害者雇用に頑張って取り組んでいこうという会社に支援を行って、求人を出すところまで至ったときに、真ん中辺りの支給額の所ですが、中小企業の場合は80万円の助成金が支援を行った企業側に出されると。民々間での実務的な支援を応援する仕組みとして設けられております。支給件数についても、少しずつ出てきているところです。
 17ページ以降は、幾つかデータを紹介させていただきます。17ページは、障害のある方の障害種別に見た平均勤続年数です。世の中全体でいきますと、男女でやや差がありますが、12年とか14年ぐらいになってきているのに対して、身体の方は大分それに近づいてきておりますが、精神の方ですと直近で5年3月と短い傾向があります。ただ、平均勤続年数に関しては、集団の中での新規採用の方が増えますと、退職動向にかかわらず平均の勤続年数は下がる傾向がありますので、一部評価が難しい面もあるかと思います。
 18ページは定着率で、もっと短い12か月ぐらいまでのスパンで見たものです。精神の方が、定着率が低い傾向は変わっておりません。19ページは、障害のある方々が昇進の経験があるかというデータです。本来は、もう少し手前の昇級や昇格といったデータもあるとよいのですが、大変恐縮なのですが、昇進のデータしかありません。身体の方は、比較的経験のある方が多くなっておりますが、ほかの障害種別の方ですと低い傾向もあります。20ページは、雇用形態です。障害のある方の正社員比率が4割強ぐらいになっております。これは日本全体で見ますと、7割と3割ぐらいが正規、非正規の比率かと思いますので、低い傾向があります。
 21ページ以降が、JEEDの調査研究の御紹介です。こちらの調査研究は、今年度末まで、来年3月までを実施期間としてやっていただいているもので、中途段階でJEEDさんからデータをお出しいただいている報告になります。2番の赤枠が2つありますが、この2種類の調査が企業アンケート調査です。企業規模・業種で層化抽出したサンプリングの対象に対してのアンケート調査と、そこの会社から上がってきた質の向上につながった事例、これは最大2事例まで出していただいていますが、その事例をピックアップした調査の2つの構成になっております。
 22ページ以降は、この企業アンケート調査に回答いただいている企業規模、それから障害者雇用の経験年数があります。ただ、一般企業ですと、300人未満の会社が大勢になっております。23ページを御覧ください。それに伴って、上の段に雇用障害者数が出ておりますが、やはり3人ぐらいまでの雇用障害者数である一般企業が非常に多くなっております。一方で、右側に特例子会社の集計がありますが、やはり特例子会社のほうがある程度の規模の雇用数を持っております。量の関係も大きく影響しているかと思われますが、以降、質の取組関係についての一般企業と特例子会社の間で、そこは取組の進展度合に大分濃淡がある現状がみてとれる形になっております。
 24ページは、障害のある方の配置場所です。左側の一般企業のほうは、ほぼ一般社員と同じ混合配置になっておりますが、右側の特例子会社のほうはテレワークや契約先での配置を含めて、多様な形になっている状況です。25ページは、参考として、障害のある方が担当されている業務です。26ページは、障害者雇用において重視している事項です。枠囲みの辺りを障害者雇用経営戦略のひとつと考えて、障害のある方の戦力化を目指す、あるいはコア業務、より中心的な仕事に貢献をしてもらう。また、新たな職域等の開拓を目指すという辺りについての重視姿勢が、左側の一般企業と右側の特例子会社で濃淡が出ているところはあります。
 27、28ページは、能力開発、評価・処遇等と、その取組について、取組の実施数で見たものです。例えば27ページの左の業務とのマッチングに関する取組の個数ですが、取組の内容自体は右下の表にあるような、複数の手段で能力特性の把握をするですとか、入所前の実習やインターンシップを行う等の取組が並んでおりますが、その個数を見たものです。特例子会社が5つ全てをやっているという回答が体制を占めている中で、左側の一般企業との間で取組の濃淡があるところです。同様に、右側のOJTについても、比較的大きな差が出ているところです。それらについて、29、30ページに個別の項目でかみ砕いたものがありますので、御参照いただければと思います。
 続いて31ページは、質の向上に取り組んでいく上での企業としての課題感です。こちらは、一般企業と特例子会社とも共通して、障害特性の深い理解をした上で業務と組み合わせていくような諸々のノウハウ関係の不足について、課題感をお持ちの企業が非常に多くなっております。また、下のほうにあります能力発揮先となる業務の安定的確保についても、課題感をお持ちの管理者が多くなっております。32ページは、質の向上に取り組む上で、より実施が必要と感じている制度等が掲載をされております。
 33ページ以降が、同様に事例調査で取った項目の紹介になります。33ページは、役職にどのぐらい就いているかというデータです。34ページは、障害のある方御自身が働くこと、キャリアに関する希望として、どういう考えを持っていらっしゃるかというものです。こちらも、左と右共通して、同じ会社でできるだけ長く働きたいという希望が最も多く出ております。その下の能力を伸ばしたい、あるいは幅広い能力を身に着けたい、後輩の育成指導に関わりたい、あるいは周囲の役に立ちたい等の考えが非常に強く出ております。その上で、安定した収入を得たいですとか、私生活のバランスをとりながら働きたいというような希望が多く出されているところです。35ページは、同じものを障害種別で分けて見たものですが、ほぼ同じ傾向があるかと思っております。
 36ページは、今度は雇用の質の向上に役立ったと企業が考えておられる取組です。こちらも、一般企業と特例子会社で共通して、一番上の辺りの業務と障害特性とのマッチングをしっかりやるということですとか、職務上の役割を増やしていく。その少し下にありますように、業務に関する指導、OJT関係。また、下から5つ目辺りにあります、配属部署内での相談・コミュニケーションを丁寧にとるという辺りが多く上げられているところです。37ページは、同じものを障害種別で見たものですので、御参考です。
 続いて、38ページからは、障害者雇用ビジネス関係の資料を少し付けております。後ほどの論点で出てまいりますが、障害者雇用ビジネス関係については、次回の研究会の中で中心的に御議論いただきたいと思っております。次回までに最新のデータを御用意したいと思いますが、昨年末の段階で就業障害者数としては、9,300人を超える形になっております。39ページは、その伸びを示したものです。40ページは、ビジネスモデルのよく使わせていただいている図ですので、御参考です。41ページは、こういった障害者雇用ビジネスに対して、私ども厚労省として望ましい取組のポイントをリーフレットでお示しをするということを、これまでの取組としてやってきているところです。
 42ページは、こういった障害者雇用ビジネス関係では、日本障害者雇用促進事業者協会、促進協と略称で呼ばれている団体ですが、業界団体が近年できております。目的の所にありますが、様々な批判的な御意見も含めて、社会との積極的な対話を通じて、信頼性を上げていこうということを目的として設立されております。事業内容としても、業界の健全な発展として、例えば事業点検等の取組をされております。その取組の一部が、43ページにあるような適格事業者認定制度や、44ページにあるような障害者雇用支援アドバイザーとして、協会に所属している職員たちにEラーニング等で研修を受けさせて勉強をしてもらって、チェックに合格するとその修了が得られるというような取組が開始されておりますので、紹介させていただきます。
 45ページ以降は、自身の企業で雇用が難しい場合の通算の仕組みとして、特例子会社や算定特例等がありますので、御参考で付けております。
 48ページ以降が、今回の議論の論点となっております。48ページは、先ほど御覧になっていただきました障害者雇用促進制度における基本的理念を再度掲載しておりますので、説明の都合上割愛をいたします。
 49ページは、先ほど御覧になっていただきましたデータについて、少し要約をして書いております。データを見ていきますと、相対的に特例子会社のほうが一般企業よりも能力発揮に向けた取組が進展している傾向がありますが、一般企業のほうが障害のある方の戦力化する、社内のより中心的な業務への貢献を目指していくということを重視する傾向が、やや弱い傾向があるかとは思います。その上で、能力発揮を促していくために重要と考えられるような個々の障害のある方の能力特性と職務との間のマッチングや再構成、それから、マッチングをした後も定期的に状況確認をしてチューニングをしていくような取組が、必ずしも十分ではないのではないかと。それから、多くの方が昇進の経験がないと。やはりステップアップの前提には、いろいろな業務に取り組んでいく機会を増やすとか、リーダー役を経験する等の機会が重要ですが、そういったもの、あるいは、中長期的なキャリア形成を考えた計画的な取組が必ずしも十分ではないかもしれないと。一方で、先ほど御覧になっていただきましたとおり、障害のある方御本人は安定的な雇用とともに、自らの能力の向上や能力発揮の結果を評価をして処遇に反映していってもらうことを希望された上で、やはり人の役に立ちたいという考えが強く出されているところです。
 一方で、一般企業、特例子会社ともに、障害特性を十分に踏まえた上で、障害の方の能力を十分に発揮していってもらうためのノウハウに関しての不足の課題感が、多く挙げられております。また、能力発揮先として相応しい業務を安定的に開拓・確保していくことも、同時に課題となっております。
 50ページは論点○3です。まず、「質」として重視されるべき要素については、以上のようなものを踏まえると、以下が中心的な要素と考えられるのではないかという形で、1)~5)まで案を挙げさせていただいておりますので、本日は追加やいろいろなお考えがあればお出しいただければと思っております。1)能力発揮の十分な促進として、例えば先ほどのような職務の選定・創出、そして障害特性との間のマッチングの問題。あるいは、成長を促す方向でのOJT教育訓練機会の確保等を挙げております。2)能力発揮の成果を事業体としての事業活動に十分に活用していくという視点を書いております。3)適正な雇用管理として、採用から配置、最後は退職に至るまでの計画的なマネジメントの実施や、障害特性に配慮した働きやすさを高める措置について記載をしております。4)発揮した能力に対する正当な評価と反映として、評価結果に相応しい職務の不要も含めた配置、あるいは処遇への反映を挙げております。5)能力発揮に相応しい雇用の安定を図っていくということを挙げております。
 こうした「質」として重視すべき要素について、法令で明示する方向で検討してはどうかとしております。もちろん御議論次第ではありますが、ある程度丁寧に示そうとすると、法令として告示の形でガイドライン等を設けていくことが重要であるかと思っております。そのためには、やはり法令上の告示の根っこになる規定を、法律において正に1)~5)に掲げた内容について努めることが重要だという旨を書くようなイメージを持って提案をさせていただいております。
 続いて51ページは、こうした「質」を日本全国で高めていくためにとっていく政策的な対応の案として、現行の中小企業対象の「もにす認定制度」について、新たに大企業を対象にしていってはどうかと。その際には、認定基準について改めて相応しいように見直しを図ってはどうかと。その際、障害のある方御本人の「質」に対する満足度、ワーク・エンゲージメントについても重要な要素として勘案してはどうかと。同様に、認定に際して「質」として重視すべき中心的な要素に関しては、例えば達成を必須とするとか、あとは取組み姿勢等に加えてデータ等の客観的な指標も組み合わせる等の視点も併せてもって検討していってはどうかという御提案をしております。
 さらに、その下の○ですが、「質」を高めていくことに対しては、一定の負担が生じることも想定されますので、負担の調整を図る制度である調整金(報奨金)、あるいは助成金などにおいて、認定事業主に対する配慮を検討してはどうかとしております。一方で、雇用率、量の方に反映をすべきではないかという御意見もこれまで頂戴しておりますが、「質」が高い分、量を減らすということをしますと、社会全体として提供する雇用量が減っていくことは望ましくはありませんので、適当ではないのではないかということで、案として書いております。
 52ページは、障害者雇用ビジネスについてです。先ほど御覧になっていただきましたが、短期間で大きく増加をしております。この背景としては、やはり法定雇用率を達成するために求められる現実的なハードルを乗り越えることが、現時点においてなかなか容易でないと考える企業が増えていて、そのニーズが増えているのではないかということが考えられます。その上で、先ほどの調査結果のデータでも多くの企業からノウハウ不足の課題も挙げられておりますので、ある程度こういった傾向が中長期的に継続するのではないかという想定を持った上で、本研究会でもいろいろな御指摘を頂戴してきております。その上で、先ほど紹介申し上げたような業界団体でも、適正化を目指す動きが生まれてきているところでもありますので、そのような動きもしっかり踏まえつつ、次回の研究会で議論を深めることとしてはどうかという形です。ビジネスについて中心的な御議論を頂くのは次回の研究会とさせていただいた上で、その前提ともなります障害者雇用の質全体について、本日は特に中心的に御議論いただければ大変有り難いと思っております。
 説明が長くなり、申し訳ございません。以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。それでは、障害者雇用の質に関しまして意見交換に移りたいと思います。毎回お願していることですが、御発言の際には挙手をしていただいて、お名前をおっしゃってから発言されるようお願いいたします。御質問、御意見等ございますでしょうか。では、山口構成員、お願いします。
 
○山口構成員 こんにちは。愛知県中小企業団体中央会の山口です。御説明ありがとうございました。既に障害者雇用をしている企業においては、雇用の質をどのように上げていくかという点においては、大変、大切であると思っております。ただ、雇用をする側から実感を申し上げますと、私の経営する会社と、それから就労支援A型事業所の両方で障害者の方を雇用しておりますが、A型事業所で優秀な方には弊社の一般就労への移行を打診しますが、やはり、本人が勤務先を変えるということの不安感など、そういった反応が必ずも積極的なものばかりとは言えない状況でございます。
 A型事業所、一般就労を問わず、障害者の方たちの多くに共通していることは、まずは安心して働くことができるかどうかで、職場環境や業務に慣れて継続的に働くことができれば、次の段階として能力開発やキャリアアップといったことにつながるのではないでしょうか。その場合には、本人の希望を踏まえながら、企業としても障害者の方のための教育訓練や能力評価・処遇といった制度を整備していく必要があると思いますが、もう1つ重要な点として、支援担当者や業務の指導員などのサポート側の能力開発や職場定着が鍵であると感じております。
 人数の少ない中小企業において、自社内では支援担当者を配置することはそんなに簡単ではなく、その担当者に専門知識が不足している場合は、外部の研修などを活用してノウハウを身に付けるには時間も労力もかかります。通常の業務に加えてとなれば、負荷も多くなります。また、企業アンケート調査を見ますと、特例子会社は障害者に対する業務指導や評価・処遇などのノウハウを比較的蓄積していると思いますので、一般企業が参考にできる取組の収集、展開を図ることや、また、企業が専門人材を配置し、十分なサポートを行うために必要な支援策の充実もお願いいたします。
 なお、昨年度から、相談援助事業の就労支援を行う認定事業者への助成ですが、1年間の認定事業者数と認定事業者を活用した企業の件数について、当初の予定より多いかどうか、活用した企業による評価などもあれば教えていただきたいと思います。私からは以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。ただいま、最後に相談支援に関する御質問がありましたので、事務局から何かございますでしょうか。
 
○河村障害者雇用対策課長 雇用相談援助事業につきましては、比較的施行当初に、なかなか支援側に回っていただく認定事業主さんの手挙げの状況が必ずしも芳しくなかったところがあり、いろいろな働き掛けの中で今の活動に落ち着いてきたという背景があるかと思っております。一方で、雇用相談援助事業の、例えば助成の設計自体についても、今、運用を開始した後で様々な御意見を頂いているかと思います。そういった課題感につきまして引き続き、皆様方からもお寄せいただいた上で、望ましいやり方に向けて考えてまいりたいと思っております。以上です。
 
○山川座長 山口構成員、何かございますか。
 
○山口構成員 いいです。ありがとうございました。
 
○山川座長 ありがとうございます。例えば、実際に事業者がどういう支援を行っているのかとか、そういう具体的なイメージがつかめると、利用もしやすいのかなとも思ったところです。個人的な感想ですけれども。では、大谷構成員、お願いします。
 
○大谷構成員 お世話になります。育成会の大谷です。よろしくお願いいたします。すみません、途中退席なものですから、先に少しだけお話をさせていただければと思います。処遇改善、それから待遇等々について、やはり障害をお持ちの方にとってはかなりウエイトが大きい部分があり、私もちょうどこの間、知り合いの女性の方とお話したときに、15年同じ所に通われて、15年目にやっと正社員化にしていただいたと。15年掛かったということで言っておられました。正社員化ということは喜ばしいことなのですけれども、やはり、通常よりも、そこまで掛かってしまう。また、同じ所に長期勤務するということは、かなり難しいことなのかなというのを実感させられました。
 やはり、その辺を鑑みて、待遇等も、もう少し柔軟性を持っていただければ。また、中には同じ職場内で別な部署に変わりたいという希望を持たれている方もかなりあるようにお聞きしております。2、3人の方から、「私も、あっちの部署もやってみたいんだけれども、変わらせてくれない」とか、そういうこともありますので、そういう細かい配慮もしていただけると、もう少し長期的な雇用も可能になるのかなと思います。
 それから、もう1点、次回に雇用ビジネスのほうは討論されるということでございますが、これは一例としてですが、鳥取県で行われている事業の中に、施設外就労の一環として、B型に通っておられる方を県内地区の1か所に集められて、企業より仕事を頂いて、そこで工賃をアップする方法を取られているという件の報告もあります。ですので、こういう形の認識になればいいのですけれども、なかなかそういう形にはならないとは思いますので、その辺を鑑みながら検討していただければと思います。雇用ビジネスについては、やはり農業関係が多いので、農業に関してはかなり収益の上がらない事業だということもありますので、その辺もしっかり考えていただければと思います。以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。では、清田構成員、どうぞ。
 
○清田構成員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田でございます。雇用の質の向上につきまして、障害者雇用で質が重視されるということは、全く異論なく、法令記載のとおり、「適正な雇用管理並びに職業能力の開発向上に努めるべき」ということも十分承知はしているところです。また、資料50ページに示されております各要素は、重要な要素であるということも十分理解しております。
 他方で、規模の制約から取り得る選択肢も限定的、かつノウハウの不足といった課題を抱える中小企業においては、これらの要素を十分に満たした障害者雇用を行うことは簡単ではないと思っております。御紹介いただきましたJEED調査においても、一般企業と特例子会社の取組に差は生じており、「もにす認定」も十分に進んでいないという現状を含めますと、これらの要素を満たす雇用を十分に取り組めてないというのが実態であると思っております。
 そうした中、これらの要素が法律面にまで明示されるということについては、これから障害者雇用を進める企業に対して一定の高いハードルを示すことにもつながるのではないかと考えます。それにより、企業の取組を萎縮させるようなことが起きないのかという懸念がございます。繰り返しとなり恐縮ですが、質の向上を進めることに対しては異論はないものの、中小企業において、どのような雇用が質が高い雇用なのか、中小企業で働く障害者が求めていることは何なのかという点を、いわゆる先進的な好事例だけではなく、一般的な現状も含めて丁寧に実態を把握し、政策面での検討をお願いしたいと思います。
 続いて認定制度についてです。大企業も対象とした雇用の質に関する認定制度を設けること自体には異論はございませんが、規模によって取組可能な範囲というのは異なる中で、大企業と中小企業を同一の基準で判定するようなことについては違和感を覚えます。企業規模ごとでの異なる基準を設けていただくことを、是非、検討いただきたいと思っております。
 加えて、新たな認定制度をゼロから作るのではなく、もし仮に、既存の「もにす認定」を見直していくという方向の場合、既存の「もにす認定」を取得している中小企業が受ける影響について留意いただき、移行措置についても、是非、検討いただきたいと思っております。
 最後ですが、質の向上への取組に向けて負担が生じ、それに対して調整金・報奨金の支給を検討するということにつきまして、納付金財政に余裕があるとは言えない現状において、財政の影響も踏まえた慎重な検討が必要ではないかと思っております。既存の支援策の枠組みを活用してこれらの負担の軽減を図るという視点も含めて検討いただきたいと思います。私からは以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。倉知構成員、お願いします。
 
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。まとまりのない中で、少し整理しながらお話したいと思います。まず、今回、提案いただいた認定についての内容というのは、質の向上の指標になるという意味では非常に意義があることだと思っています。問題は、それを企業が実現していくためには、やはり支援が必要なのではないかなと思っています。
 中小企業に対しては雇用相談援助事業という制度を作って、進めていくということを意図してやっていると思います。自分自身の法人でも雇用相談援助事業をやり、10件ぐらいは支援しているのですが、やはりこれをやってみると、量を達成するということだけではなくて、質の向上というところもかなり支援をしていると思っています。
 例えば、障害者雇用として会社全体で取り組んでいくのだという意識が持てるような支援をしたりとか、または、障害者雇用のメリットも含めて、企業トップの意識を変えていくような働き掛けとか。あとは、職員・従業員に障害のある方と一緒に働くことについての理解の向上であったりとか。または、仕事の切り出しであったりとか、地域の支援機関に求人情報を提供して障害のある方の応募を促し、そして障害のある方がその企業にうまく適応できるようなマッチングのサポートもし、そして、その後も適応できるようなサポート、こういうことを雇用相談援助事業ではやっているわけで、そういう意味では、これはすごく大事な支援だなと思っています。
 ただ、この制度は量の達成のところに目を向けた制度なので、質のところまで支援するには、もう少し制度設計が必要で、そこまでやり切れないうちに終わってしまうなというのは感じています。このような企業に対する支援があって、うまくいくのかなというのは本当に感じています。
 そうなると、では大企業に対してはどうなのかということです。大企業に対して、雇用相談援助事業が関わるというのは現実的ではないと思っています。となると、何かの形で大企業の雇用の質の指標が達成できるような支援がないと、やはり難しいのではないかと思っています。ただ、「もにす認定」も、良いと思っているのですが、果たして大企業がそれの認定を求めるのかどうかは、私もよく分かりません。
 大事なことは、大企業の雇用の質を高めていくための支援をどうやるのかということはこれから考えなければいけないことだと思います。例えば、今日最後に出ました、私はあえて「代行ビジネス」と言っているのですが、雇用代行ビジネスのかかわりは量だけの支援をしていて、質については逆に下げているという現実があると思っています。ここが、質を上げるというところまで関わるような支援ができるのであれば歓迎したいと思っているのですが、現実はそうなっていません。それについては、また次回、提案をしたいと思っています。私からは以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。雇用相談援助事業の対象の例も教えていただいて、大変ありがとうございました。ほかにありますか。それでは漆原様、よろしくお願いします。
 
○漆原代理構成員 連合の冨髙構成員の代理で出席をさせていただいております漆原です。御説明いただいた雇用の質についてですが、論点に挙げていただいた質の要素というのは、いずれも重要なポイントだと思っております。障害の種別や程度あるいは就労先の職場によっては、その実現が困難と考えられる要素も入っているかもしれませんが、職場の障害者の一人一人の特性を正しく理解した上で、全ての障害者が質の高い雇用の対象者となるような仕組みを目指して、検討を進めていく必要があると考えています。そういう観点から、法令に雇用の質として重視する要素を明記した上で、企業における現場での取組の推進・支援をしていくことが重要ではないでしょうか。
 そのうえで、要望を申し上げます。P50の○3、質として重視するべき要素の5)についてです。1)~5)まで順に読み進めると、5)の「能力発揮に相応しい」という文言は、「能力開発に取り組んで高い能力を発揮し続けなければ、雇用は安定しない」とも受け取られかねないと懸念しています。雇用の質を高める観点からすると、そもそも雇用の安定は大前提だと考えます。もちろんこの表現が第5条からきていることは理解しているのですが、当事者やその家族、更には経営者、施設の管理者などがミスリードしないようにすべきだと思います。この部分の「能力発揮に相応しい」という文言を取っても、それ以前の所に「能力発揮」との記載はあるので、適切に理解されるのではないかと考えます。
 次に、認定制度の対象の拡大についてです。雇用の質の評価に当たっては、産業や企業規模ごとに置かれた状況が異なることや、職種や障害特性などの前提条件や、多様な環境を踏まえた制度設計としていただくことが大切だと考えています。まずは、質の要素ごとの客観的かつ公正・公平、いわゆるばらつきのない評価をできる仕組みとすることが重要です。例えば、障害者本人による満足度や、ワーク・エンゲージメントは雇用の質を図る上で非常に重要ですけれども、定量的にどう評価するのかという作り込みはそんなに簡単ではないのだろうなと考えているところです。
 そのためには、評価項目によっては、例えばプロセスを重視するなど、職種や障害特性に応じた柔軟な基準設定というか、運用上の工夫というのも一部に考えられるのではないかと思っているところです。いろいろな企業さんにとっては過大な負担になるというような御意見も当然あろうかと思いますが、そういったところにも配慮しつつ、全ての企業が積極的に取り組まれる、そういう取組を促すような制度設計にしていただければと考えているところです。
 その一方で、新たな制度設計で構築されたものが悪用されたり、形式的なものとならないよう、評価結果を基に、個々の企業でPDCAサイクルを機能させる仕組みやチェック体制の構築も、併せて検討をすべきと考えます。
 先ほど調整金、助成金の話がありましたが、雇用の質を高めるには、企業において、それなりの負担が生じることも当然理解はしています。財政の制約もあることからすると、調整金や助成金も必要になりますが、そうした支援は、障害を持つ労働者の、賃金を継続的に補填するようなことにならないよう、職場環境の改善などを進めるための資金と位置付けて給付をするような仕組みにしていただきたいと思います。
 更に、論点の記載のとおり、質の高い雇用であるからといって雇用率を優遇するような扱いは、今回の考え方からすると適当ではないと考えます。一方で、質が著しく低い雇用を法定雇用率で同等に扱うことが妥当かについては、検討すべきではないかと考えているところです。まずは、質を高める取組みを行う企業を積極的に支援する方向で制度を構築した上で、将来的には、一定の質以上の雇用を担保するような仕組みに発展するような仕組みが望ましいと考えています。また、障害を持つ労働者がその能力を十分に発揮するためには、個々の企業において障害特性に合わせた適切な教育・訓練の機会の提供も必要ですし、そのサポート体制も当然求められています。同時に、公的な職業訓練も併せて充実させていく必要があると考えているところです。
 長くなって大変申し訳ございません。最後に障害者雇用ビジネスの話がありました。本日は多くは申し上げませんが、障害者雇用ビジネスを実際に利用している企業がこれだけ増えており、多くの障害者が就職している現状を踏まえると、まずは実態把握が必要です。その上で、障害者雇用ビジネスを利用している企業について、どのような取組みがあれば、将来的に社会に期待されるような障害者雇用の形に移行できるのか、また、どのようなビジネスモデルが適正なのかについても、その道筋を具体的に次回の研究会の中で議論できればと考えております。以上です。
 
○山川座長 ありがとうございます。続いて、先ほどお手の挙がっていた田中伸明構成員、お願いします。
 
○田中(伸)構成員 日本視覚障害者団体連合の田中です。御説明ありがとうございました。私からは、事務局から御提案いただいた論点○3と論点○4については基本的に賛成、賛同の立場でございます。論点○3、質を高めるための中心的な要素を5項目挙げていただきましたが、これについて少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、1つ目の要素の1)、マッチングについてですが、アンケート等からもノウハウの不足を感じるという結果が出されております。やはり、これについては障害特性に専門性を持ったジョブコーチの育成と配置が非常に重要になってこようかと思います。事業者と障害者、なかなか当事者同士ではどういった業務が適切かというところにおいて、
話合いがうまくいかないということもあろうかと思います。是非、第三者の視点を入れるという点からも、このジョブコーチ、障害特性に専門性を持ったジョブコーチの育成、配置というものを内容として御検討いただきたいと。これについては、是非派遣型でのジョブコーチ制度を拡充していただいて、事業者の皆様が利用しやすい形を作るのが適切ではないかと考えております。
 次に、3つ目の要素ですが、2)の中に、働きやすさを高める措置というものがあります。これについては、まず、業務に関する相談窓口の拡充も具体的な内容の1つとしていただければと思います。やはり障害の方、働いている方の御意見をお聞きすると、直属の上司の理解が不十分である場合には、居づらさ、働きづらさを感じることが多いという報告も受けております。業務についての相談窓口を直属の上司だけではなくて、部局全体あるいはその部局以外の所に設置して、マッチングについて相談できるといった具体的な、相談をしっかり取り扱ってくれる場というものが、働きやすさには必要になってこようかと思いますので、この点も内容として御検討いただけたらと思います。
 また、これは働きやすさに関係するかと思いますが、障害特性に応じた情報保障を拡充させていただくという点も、1つ、内容として御検討いただきたいと思っております。これは質を高める要素全般に関わることかもしれませんので、場合によっては6つ目の要素としていただいてもいいぐらい大きなことかと思います。コミュニケーションというのは、やはり職場においても非常に重要になってまいりますので、この情報保障への取組という点も、是非内容として御検討いただきたいと思います。
 5つ目の雇用の安定に関する部分ですが、この点については、例えば、一定の症状で雇用されていたところ、働いている間に症状が悪化するという障害のある方もおられます。こういった場合に、一定期間の休暇を与えていただくということも、雇用の安定にはつながるだろうと思います。視覚障害の場合を例に取りますと、視力は少し見えていたのだけれども、業務を続ける中で視野が狭くなる、あるいは視力が失われていくという場合には、自分の症状に合った形の対応を行う、必要なスキルを取得するなどの対応を行う一定の時間がどうしても必要になります。そういった場合に、一定の休暇期間を設けていただけると、障害が悪化した場合にも、しっかりと自分で対応して、これまでの自分のスキルというものを当該企業の中でいかしていけるということにもなろうかと思っております。
 もにす認定については、大企業の拡大について賛同するところです。その基準について、障害者自身における質に対する満足度等についても十分に考慮していただけるという提案になっておりますので、この点は賛同いたします。また、質の評価について、これを雇用率の算定において反映させるというところについては、事務局の御意見のとおり、適当ではないと考えております。私からは以上です。
 
○山川座長 ありがとうございます。オンラインでお二人、手が挙がっておられます。では、まず新銀構成員、お願いします。
 
○新銀構成員 全国精神保健福祉会連合会の新銀です。丁寧な御説明ありがとうございます。家族の立場から発言いたします。論点○3の質として重視すべき要素ですけれども、1)~5)の点について重視すべき中心的な要素について、法令において明示することは、本来は明示してほしいと言いたいところですけれども、企業側の現場を見ると、時期は慎重にならざるを得ないのではないかなというように考えております。雇用の質について注目すべき点は、やはり実際に働いている障害者自身のキャリアに関する希望だと見立てております。同じ職場で働きたい、周囲の人や社会の役に立ちたい、安定収入を得たい、幅広い経験や能力を身に付けたいといった要素と、一方では、体調管理を考えた上で私生活のバランスを取りながら働きたいという希望が大きいというところです。
 しっかりと役に立って働きたいと希望をしている一方で、自身の体調管理を最優先しながらバランスを取って働きたいという、この2点が働いている職場において十分理解されることが必要だと考えております。この理解がなければ、結局は長期にわたる就労が難しくなるのではないかと考えております。特に精神障害の場合は、体調のアップダウンもあったりするところから、やはり自分の体調管理を優先しながら、でも、なおかつ職場の中でとか、誰かの役に立ちたいという希望は十二分に持っているというところでは、ちょっとアンバランスなところがあるかのように見えるのですけれども、その辺をお含みいただけるような職場環境作りが必要だというように考えております。そのような理由で、むしろその企業への支援が必要になってくるのではないかと考えております。
 企業への支援についてということでは、様々な方法があると思うのですけれども、家族の立場で言いますと、もう障害の理解という言葉に尽きます。共に働く職場の、具体的な中身、その辺の工夫を障害者とともに設計できる環境作りを是非求めたいと思っております。以上です。
 
○山川座長 ありがとうございます。それでは、新田構成員からお願いします。
 
○新田構成員 経団連の新田でございます。声、届いておりますでしょうか。
 
○山川座長 大丈夫です。お願いします。
 
○新田構成員 冒頭出席の後、中抜けして大変失礼いたしました。皆さんの御意見を承知していないため、他の委員と発言内容に重複があるかもしれませんが、その点は予め御容赦いただければと思います。
 私からも論点○3と○4について申し上げます。まずは、障害者雇用の質を高めていくという観点で取り組んできた方向性については全く異論はございませんし、引き続きノーマライゼーションの考え方の下で企業として取り組んでいくことに、何ら異論はございません。
 一方で、論点○3を見ますれば、○1から○5までの項目が示されていて、主にもにす認定等々で使われているような項目も散見されますが、あえて法令に明示することについては、慎重に考えるべきだと考えております。特に、雇用の質の向上に係る企業の取組みにおいて、論点○4にも関わるところになりますが、適切な評価が非常に大事だと考えております。どのような取組みが今後評価されるのかという点と併せて、検討すべきではないかと思っております。
 そういった観点で、論点○4におきまして、大企業を対象として任意の認定基準制度を設けることや、認定事業所に調整金を支給することについて、一定の配慮をするという方向性は一定程度理解はできるものの、その下に「雇用率の算定に反映することは適切ではないのではないか」という方向性が示されていることについては、そこはお金の問題ではないと私は考えております。質を向上させたことについて、企業側としては法定雇用率をしっかり達成するために一生懸命取り組んできておりまして、お金というよりはきちんと雇用率の方で何かしらの評価する、そういった仕組みがやはり必要だと考えているところです。
 最後に、今回の論点ではないのですが、例えば今回の論点や前回の論点を見ていると、事務局から提出される論点というものが障害者雇用というよりも、福祉的な観点が強いように感じております。もちろん、それは一定程度理解するものの、今我々が議論しているのは障害者雇用の話ですので、今後もっと活発な意見交換・審議ができるように、丁寧な運用・進行を是非事務方には御検討いただきたいと思っています。私からは以上です。
 
 
○山川座長 ありがとうございました。福祉的な観点と雇用の観点、更に若干噛み砕いていただけるとどういう違いがあるということになるのでしょうか。
 
○新田構成員 個別具体的な話になってしまいますので、次回以降、必要に応じてお伝えできればと思います。
 
 
○山川座長 分かりました。それでは次回以降、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。渡邊構成員、お願いします。
 
○渡邊構成員 筑波大学の渡邊でございます。御説明ありがとうございました。
 私からも論点○3、○4を中心にコメントさせていただきたいと思います。まずは論点○3に関してなのですが、障害者雇用の質として重視されるべき中心的な要素について法令上明示すべきかどうかといった方向性について、私はこれは法令において明示する方向で検討すべきであるというように考えております。この法令で明示といったようなものにもいろいろな段階があろうかと思います。最初から事業主に具体的な措置を講じるように義務付けるというのは現状を踏まえれば難しいと思っておりますが、例えば努力義務といったような形ででも明らかにする必要があるのではないでしょうか。法的に根拠のある形で指針等を策定して、事業主が取り組むべき内容といったようなものを明示するといったことが、今後の障害者の雇用の質を確保した形で障害者雇用の推進といったものに資するというように考えております。
 更に、論点○4の方に移りますが、もにす制度等に大企業を含める方向性についてです。大企業を含めて、事業主に対する取組に対しての評価制度とする方向性に賛成したいと思います。御説明にもありましたように、現在のもにす制度を前提としますと、こちらは中小企業を対象として策定されておりますので、大企業にとって妥当かどうかといったようなところについて、更なる検討・見直しといった必要なものが含まれているかと思います。そういった点を考えますと、評価項目ですとか指標、認定基準、そういったようなものについて適切な見直しを行った上で、大企業も含めて事業主全体に対する評価制度というものを設置するといった方向性が望ましいというように考えております。
 更に、先ほど指針等において事業主が取り組むべき内容を明示することが望ましいというようにお話させていただきましたが、このもにすのような制度、評価制度において、その評価項目等と事業主が取り組むべき具体的内容といったようなものが有機的に関連付けられるような、そういったような工夫が必要ではないかというように考えております。
 また、こういった評価制度において認定される企業に対して、その取組に対しての評価を設けるといったようなこと、これについてはあってもよいのではないかというように考えております。ですが、その際の評価の方法に関しては、事務局の御説明の資料等にもございますように、雇用率において行うというのは適切だとは考えておりません。どちらかといえば、調整金等のような経済的な負担を緩和する方向性で検討するのが望ましいというように考えております。私からは以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。眞保構成員、お願いします。
 
○眞保構成員 法政大学の眞保です。貴重な資料を見せていただきありがとうございました。JEEDの調査の中間報告等は、この研究会がなければちょっと中間で見ることができなかったかなというように思います。
 この中で、障害者の多くが安定的な雇用とともに、自らの能力向上や能力発揮に対する評価・処遇への反映を希望し、周囲の人の、社会の役に立ちたいと考えているとございました。このことは、障害者雇用促進法の第4条にあります「職業に従事する者として自ら進んでその能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するよう努める」という法律の基本理念を障害のある労働者が体現している証左だというように思います。
 これを支援するために、質として重視されるべき要素についてやはり明示して、法整備していく必要があると考えております。その上で、雇用の現場の取組を評価する方法として、中小企業を対象とするもにす認定制度の認定基準等を見直して大企業を認定していく制度は、雇用の質を担保する取組として有益と考えます。人的資本経営として人に投資していく、その方向性を示すものになると考えるからです。
 また、従業員満足度やワーク・エンゲージメント等の指標はどのような形でやるかは難しいのですけれども、現在、東証のコーポレートガバナンスコードでも人的資本に関する情報開示が求められているところでもありますので、障害者雇用においても実施を検討するということもあってよろしいかと思います。
 質の向上に努めている企業に対してどのようなインセンティブを設計するか。これはこれまでも多くの構成員の皆様からのお話がありましたように、十分に検討して、今後考えていく必要があるかというように思っております。以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。倉知構成員、お願いします。
 
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。ちょっと、先ほど言い足りなかったことがあるので少し付け足してよろしいでしょうか。
 
○山川座長 お願いします。
 
○倉知構成員 質の向上というところで提案いただいた論点というのは、目標とか方向性を示すものであり、これを法令でしっかりと目標として書くというのは重要なことであり、それを具体的にしていく指針を作るということも大事なことかと思っています。問題はそれをどう達成するかというところなのですが、例えば達成指導のような命令とか経済的な支援とか幾つか出ていますが、やはり大事なことは具体的な方法です。技術的な支援がどうしても大事なので、それをどう作っていくかというところはしっかりと議論していく必要があるのではないか、そのような気がしています。以上です。
 
○山川座長 ありがとうございました。では、本日御欠席の勇上構成員から書面で御意見を頂いておりますので、事務局から紹介をお願いします。
 
○河村障害者雇用対策課長 勇上先生から頂戴している御意見について読み上げをさせていただきます。
 学務のため欠席いたしましたが、書面にて意見を提出いたします。研究会資料で示唆されているとおり、雇用の質として重視すべき中心的要素を法令上明確にした上で、優れた取組を評価・普及させることが望ましいと考えます。具体的には、現行のもにす認定について大企業も対象に含めるとともに、調整金や報奨金等によりインセンティブを付与する方向性が考えられます。
 なお、現行のもにす認定では、雇用の質的側面として満足度、ワーク・エンゲージメント、数的側面として定着状況が位置付けられています。しかし、研究上は満足度が定着状況と密接に関連する概念とされていることから、両者は同一の指標として扱ってもよいかもしれません。
 また、論点○4にあるとおり、雇用の質に関しては質項目とする等、制度設計については今後検討の余地があると考えます。以上、簡単ではありますが、今回の論点に関する私の意見を述べさせていただきました。
 以上でございます。
 
○山川座長 ありがとうございます。一当たり御意見は伺いましたけれども、更に言い残しや追加という御希望がありましたらお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 様々な有益な御意見を頂きまして大変ありがとうございます。特にまとめるという趣旨ではございませんけれども、かなりの構成員から支援の重要性という御指摘がございましたので、その辺りも改めて検討を深めていただければと思います。また、これは個人的な見解ですが、論点○3の質の要素について、そもそも障害者雇用の質とは何かという問題、この点も種々御意見があったかと思います。令和4年の改正において、質も考慮するということを示すために現行法第5条の条文で「能力開発等」を盛り込んだという経緯がございます。この点につきましては、資料1の7ページにありますように、キャリア形成の支援を含めて適正な雇用管理をより一層積極的に行うことを求めるという、キャリア形成に比較的主眼を置いたので現在の第5条のような条文になっているのかなという感じを、その当時私も審議会の場にいたものですから記憶として残っています。今日いただいた御意見は、それ以外も含めた質というものについての御意見をいただいたように感じております。
 また、その質を向上させるための手法についても多様な御意見を頂きまして、ある意味、雇用率制度というものに関する理解にも関わることではあるかなと思っております。まとめという趣旨ではないのですが、個人的な感想ではございます。いずれにしましても、様々な御意見を頂きましたので、今後更に具体的な議論につなげていけるように事務局の方でも改めて御対応をお願いいたします。
 それから、先ほど、最初に事務局から説明がございましたように、いわゆる障害者ビジネスについては次回の研究会で議論を行いたいと予定しております。本日、先ほどビジネスに関する最新の動きとして業界団体が設立されて、その業界団体として適性化を目指す動きがあるという御説明がありました。こうした業界団体の動きも把握した上で議論を行うということが優益かと思いますので、次回の研究会におきましては本日説明のありました日本障害者雇用促進事業所協会からもお話を伺った上で議論を行ってはいかがかと思います。以上、よろしいでしょうか。特段ございませんでしたら、次回の日程について事務局から説明をお願いします。
 
○原田障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。次回、第11回の開催は皆様に確保いただいている日程の中で調整し、追って御連絡させていただきます。以上です。
 
○山川座長 それでは、これをもちまして本日の研究会は終了いたします。皆様、お忙しい中、御参加いただきまして大変ありがとうございました。