2025年12月10日 中央社会保険医療協議会 総会 第634回議事録

日時

令和7年12月10日(水)9:30~

場所

全国都市会館 2 階大ホール

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 永井幸子委員
  • 高町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 鈴木順三委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 費用対効果評価専門組織からの報告について
  • 令和7年度補正予算案の閣議決定について
  • 令和8年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について

議事

○小塩会長
それでは、ただいまより、第634回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、伊藤委員、田島専門委員、小松専門委員が御欠席です。
会議冒頭のカメラの頭撮りはこの辺りということで、お願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。
田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。
中医協総-1の資料を御覧ください。
「医薬品等の費用対効果評価案について」ですが、トルカプ錠について、費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告いたします。
なお、当面の間は、専門組織での検討状況についても資料に記載しております。
2ページ目を御覧ください。
対象品目は、トルカプ錠です。
効能・効果は「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」となっております。
費用対効果評価専門組織で決定した費用対評価案を記載しております。
さらに、補足として「分析対象集団のICERの区分」を記載しております。
3ページ目を御覧いただけますでしょうか。
こちらからは、参考として「トルカプ錠の費用対効果評価案策定に係る主な検討事項」を記載しております。
御説明いたします内容は、以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
これで値段が下がっていくのはよく分かるのですが、費用対効果で、わざわざ費用と効果を見ているわけですので、最適使用をどうするのか、ガイドラインをどうするのか。
診療ガイドラインも関係してくるだろうと思います。
これまで医学的に診療ガイドラインをいろいろとつくってきましたが、これだけ医療の費用が高騰してきた中で、費用対効果、もしくは費用がどれぐらいかかるということをまるで無視した診療ガイドラインはつくれないと思うのです。
この前の肺がんの診療ガイドラインは、この薬を使うと、年間幾らかかるかというのを載せました。
医療を持続的にやるためには、医学的なことだけでは医療は継続しないので、厚労省さんにお願いしたいのは、学会と提携して、診療ガイドラインの中に費用という概念をどうやって組み込んでいくのか、本当にこの人にこれだけの金をかけるのかということを考えるようにしてほしいと思います。
これは、人の命をお金ではかるようで、非常に心苦しいのではありますが、そのことを少し考えていかないと、今の保険制度が持続的に行えないということなので、肺癌学会などがそのお金をわざわざ載せる段階になっている現状においては、少し流れがあるのでしょうから、学会等とコラボして、少し経済的なところをガイドラインに入れるような動きをしていただければと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
御要望として承りますが、事務局、よろしいですか。
それでは、ほかに御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
○田倉委員長
失礼いたします。
(田倉委員長、福田参考人退室)
○小塩会長
続きまして「令和7年度補正予算案の閣議決定について」を議題といたします。
本件は報告事項です。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○水谷医政局総務課長
医政局総務課長でございます。
資料2「令和7年度補正予算案の閣議決定について」に沿って御説明申し上げます。
1ページ目を御覧いただけますでしょうか。
令和7年度補正予算案につきましては、閣議決定の上、現在国会で御審議いただいているところでございます。
そうした前提の下、予算案の中身につきまして、特に医療の関係の支援パッケージを中心に御説明申し上げます。
1ページでございますが、厚生労働省の補正予算案関係では、全部で2兆3252億円。
そのうち、左上のⅠでございますが「医療・介護等支援パッケージ」といたしまして、1兆3649億円。
そのうち、医療分で1兆368億円を計上いたしてございます。
この中身につきましては、その後で御説明申し上げます。
そのほか、全体像で御覧いただきますと、左下のⅢでは、医師偏在の是正、看護師確保、救急・災害医療体制、周産期医療、あるいは医療DX、生涯を通じた歯科健診等につきまして、必要な予算を計上してございます。
また、右上のⅣでございますが「創薬力強化に向けたイノベーションの推進、医薬品等の安定供給確保や品質・安全性の確保等」について、必要な予算を計上してございます。
2ページ目でございますが、医療分野の支援パッケージの全体像を示してございます。
「③施策の概要」に、ア~カまで並んでおります。
こうしたメニューにつきまして、この後のページで簡潔に御説明してまいります。
まず、3ページでございます。
「医療分野における賃上げ・物価上昇に対する支援」ということで、合計5341億円を計上してございます。
このうち、賃上げ分で1536億円、物価上昇対応分で3805億円となってございます。
4ページに、実際の交付額、単価表をお示ししてございます。
「病院」につきましては【基礎的支援】として、これは1床当たりということになりますが、賃金分で8.4万円。
物価分で11.1万円ということになります。
物価分は、基本的に全ての医療機関に行くことになりますが、賃金分は、当然のことでございますが、賃上げをしていただけるところに行くということでございます。
こうした基礎的な支援をベースといたしまして、その下の表【救急に対応する病院への加算】につきましては、救急車受入れ件数に応じまして、1施設当たりの加算額をこの表に記載のとおり、加算することにしてございます。
また【基礎的支援】の表の横に※が書いてございますが、こうした医療機能の特性に配慮した形で単価設定をするという観点から、救急だけでははかり切れない観点もあろうかと存じます。全身麻酔の手術件数、あるいは分娩取扱数という観点からの加算も、救急加算とは併給しない形で加算できるようにいたしてございます。
ここで見ている物価分になりますが、※2を御覧いただきまして、食費と光熱水費につきましては、従前どおり、重点支援地方交付金による支援が行われますので、それ以外の物価高騰分ということで、ここに必要な支援額を計上しているものでございます。
その下の「有床診療所」「医科無床診療所・歯科診療所」「保険薬局」「訪問看護ST」は、記載のような単価となってございます。
また、お戻りいただきまして、3ページを御覧いただきますと、基本的にこの施策のスキームは、都道府県を経由してお配りするような形を想定してございますが、真ん中の※にございますが、病院につきましては、国からの直接執行を予定してございます。年度内の支給を予定して、スケジュールを組むという形で取組を進めてございます。
5ページにお進みいただきますと「施設整備促進支援事業」ということで、462億円を計上してございます。
「③施策の概要」を御覧いただきまして、医療提供体制施設整備交付金、医療施設等施設整備費、地域医療介護総合確保基金(Ⅰ-1)の交付対象となる医療機関に対しまして、平米数に応じた建築資材高騰分の補助を行うものでございます。
6ページにお進みいただきますと、福祉医療機構(WAM)による優遇融資ということで、564億円。
これは、今年4月から、無利子・無担保のいわゆるゼロゼロ融資を行ってございます。こうしたものを継続して行うために、必要な費用を計上してございます。
7ページにお進みいただきまして、同じくWAMでございますが、今般の補正予算で新しく資本性劣後ローンを提供するために、240億円を計上してございます。
「③施策の概要」を御覧いただきまして、地域で必要な医療機能を有していながら、債務超過等により必要な新規融資が受けられなくなっている民間病院に資本性劣後ローンを提供することにより、財政状況を改善させ、民間金融機関からの融資再開につなげる趣旨のものでございます。
8ページにお進みいただきますと「医療分野における生産性向上に対する支援」ということで、国費で200億円計上してございます。
「③施策の概要」に【生産性向上に資する取組のイメージ】と書いてございますが「ICT機器の導入による業務の効率化」。
例えばスマートフォンによるカルテ閲覧・情報共有、インカムのようなものを導入する費用として、必要な額を支援させていただくものでございます。
9ページにお進みいただきますと「病床数の適正化に対する支援」ということで、これは新しく「病床数適正化緊急支援基金」を創設して、ここに3490億円計上してございます。
これは、医療需要の変化を踏まえた病床数の適正化を進める医療機関への支援を行うものでございまして、令和6年度補正予算でも同様の事業を行ってございました。
単価につきましては、1床当たり410万4000円。
ただし、休床の病床の場合には、1床当たり205万2000円。
こうした単価で御支援させていただくものでございます。
10ページは「産科・小児科医療機関等に対する支援」ということで、72億円。
これは「④施策のスキーム図」に支援の対象となるもの。
分娩数が減少している分娩取扱施設。
分娩取扱施設が少なく、当面、集約化が困難な地域に所在する施設。
妊婦健診等の産前・産後の診療を行い、近隣の分娩取扱施設との連携体制を構築している施設。
休日・夜間の入院を要する小児救急患者受入れなど、地域に不可欠な小児医療の拠点となる機能を持つ病院に対して、必要な支援をさせていただくものでございます。
11ページにお進みいただきますと、マイナ保険証の利用促進につきましても、224億円を計上してございます。
駆け足でございますが、説明は以上でございます。
よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
1つだけ。
マイナ保険証の利用促進でございますが、224億円の中に、上の初めの予算のところで「公費負担医療制度等のオンライン資格確認」が入っております。
前、厚労省の担当者さんが説明に来ていただいたときには、制度が違うので、かなり改修費用を必要とするという説明を受けたのですが、ここには、簡単に今の仕組み自体でいけるようなポンチ絵が描かれていて、この中に入っている公費医療等のオンライン資格確認をやるための仕組みがどのようになっていて、そこに補助が出るとか、そういうことをもう少し書いていただけないものでしょうか。
これは、簡単にカードリーダーだけやればいいような、今のいわゆる保険者からの保険確認ができるようなスキームで描かれておりますが、新しく入った項目、公費医療の部分がまるで抜けているのですが、この辺はどのような説明になるのでしょうか。
○小塩会長
小阪委員から御質問いただきましたが、事務局。
お願いいたします。
○井上保険データ企画室長
今の御質問の件でございますが、資料の1ページを御覧いただきまして、Ⅲの項目、医療・介護の確保、DXの推進等のところで、6つ目にマイナ保険証の利用促進ということで、今、取組の説明がありましたが、公費負担医療の関係については、その下に記載があろうかと思います。ここの中に含まれているのではないかと思います。
以上です。
○小阪委員
分かりますが、恐らく、これは仕組みが変わってくるのですね。
恐らく、マイナンバーカードで保険確認をするのではないかと思うのですが、違いますか。
○小塩会長
事務局、いかがでしょうか。
○井上保険データ企画室長
申し上げます。
マイナ保険証で公費負担医療の関係も行っていくものですが、この224億円について申し上げますと、マイナ保険証の利用促進ということで、システム改修や、次の規格のカードリーダーとか周知広報ということで、マイナ保険証に特化したものについて、この224億円の中で計上させていただいているものでございます。
○小阪委員
分かりました。
この項目は分かりましたが、新しいほうを説明してほしいのです。これは、今やっていることの継続なので。
○小塩会長
事務局、よろしいでしょうか。
○井上保険データ企画室長
御要望については、今日、資料をおつけしていなくて、また、担当部局もおりませんで恐縮ですが、共有させていただければと思います。
○小阪委員
よろしくお願いいたします。
○小塩会長
よろしくお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。
飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
4ページの賃上げの資料なのですが、賃上げ分の支援額は、医療機関に全てお任せする形なのか、あるいは中医協でも、例えば病院の看護師や薬剤師が非常に少なくなっているといった議論がありますが、そういったところに重点的に配分されるような計画になっているのか、教えていただけますか。
○小塩会長
御質問がありましたが、事務局、いかがでしょうか。
○水谷医政局総務課長
医政局総務課長でございます。
まず、賃上げ支援につきましては、私どもとして、医療機関の経営状況も踏まえながら、医療機関が従事者の賃金を3%分、半年間引き上げられる規模で措置するという考え方で積算してございます。
一方で、お配りの仕方は、1床当たりということでお配りしていることからもお分かりいただけますとおり、当然、各医療機関で雇われている従事者の方の人数も、あるいは職種も違うということでございます。
一方で、医療機関は、今、大変厳しい経営状況に直面しておられますので、私どもは、先ほど病院につきまして、直接執行も含めてと申し上げたとおり、補正予算が成立しますれば、できる限り早く医療機関へお届けすることも考えながら、仕組みとして設計しているところでございます。
令和6年度の補正予算におきましても、医療従事者の賃上げをするために必要な支援ということで、補正予算でお配りしたときも、同じような考え方で1床当たりということでお配りしているものでございます。
そうした意味におきまして、私どもとして、ここでお配りしたお金、賃上げ支援相当分につきましては、当然、賃上げに充てていただくことが前提になりまして、そうしたことについて、私どもとして実績や報告を求めることは、スキーム図にも記載しておるとおりでございますが、実際にどの従事者の方にどれぐらい充てるかにつきましては、医療機関にお任せをする。そうしたことを基本的な制度設計として考えてございます。
以上です。
○小塩会長
飯塚委員、いかがでしょうか。
○飯塚委員
分かりました。
そうしましたら、実際にどのように配分されたかということについても、恐らく、後々、ほかの施策と併せて見ていくことになるのかなと思います。
ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
失礼しました。
まず、小阪委員。
○小阪委員
今のお答えからいうと、補正で大変なので、1床当たり幾らくれるということは分かるのですが、当然、賃上げすれば、翌年以降、給料を下げるわけにはいかないわけで、その部分は、ちゃんと次の診療報酬改定で確保されるということでございましょうか。
○小塩会長
ちょっと答えにくいかもしれませんが、事務局、いかがでしょうか。
○林医療課長
事務局でございます。
医療課長でございます。
診療報酬の改定率につきましては、今後、内閣において決めるということでございます。
こうした補正予算の措置も踏まえた形で、今後の検討ということだと思いますが、今後、決まった上で御報告することになると思います。
○小塩会長
小阪委員、よろしいですか。
それでは、永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員
ここで1床当たりということで、今、御説明いただいたのですが、ほかの診療所や歯科診療所などは1施設当たりということで、あまり規模の評価は考えずに支援するということなのでしょうか。
○小塩会長
事務局、今の御質問はいかがでしょうか。
○水谷医政局総務課長
御質問どうもありがとうございます。
令和6年度の補正予算におきましても、こうした賃上げ、あるいは職場環境の改善のための支援ということでお金を支援させていただくときに、病院につきましては1床当たり、診療所、訪問看護ステーション等につきましては1施設当たりという考え方でお配りさせていただきました。
病院は、皆様方御案内のとおり、病床数も小規模なものから大規模なものまでかなり開きがございます。
また、今回、救急の加算、あるいは全麻の手術件数、分娩件数等のインジケーターとして入れたように、担っていただいている機能にもかなり違いがある。
そうしたものを反映させるために、1床当たりという考え方に加えて、施設の機能を評価する。そうした考え方で単価を設定させていただいてございます。
一方で、診療所につきましては、有床診でございます場合には、当然、1床当たりという考え方でやらせていただいてございますが、もちろん、診療所につきましても、担っている機能に当然違いはあろうかと存じますが、やり方としては1施設当たりという形で整理させていただいているところでございます。
以上です。
○小塩会長
永瀬委員、よろしいでしょうか。
○永瀬委員
分かりました。
つまり、緊急的にということなのでしょうか。
規模によってとか、地域によってとか、いろいろと差はあるような気がしたものですから、質問させていただきました。
ありがとうございます。
○水谷医政局総務課長
御質問ありがとうございます。
もちろん、中医協は、診療報酬について御議論いただく場ですから、まさに診療報酬の世界の中で、こうした医療の機能につきましてきめ細かく御議論いただいて、点数としてきめ細かくやっていただく。そうしたスキームがまさに診療報酬であると承知してございます。
一方で、補正予算における緊急的な支援を現場に早くお届けするという観点からは、どうしてもそうした意味で、ある程度丸めた形でやることは私どもは必要なことだと思っておりまして、そうした一般財源による支援を迅速にお届けするという観点と、今の医療の機能に配慮するという観点は、私どもなりにバランスを取りながら、こうした考え方で御支援させていただいているつもりでございます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかに御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、ほかには特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
続きまして「令和8年度診療報酬改定に関する基本的な見解(各号意見)について」を議題といたします。
12月3日の総会で、医療経済実態調査の結果に対して、1号側委員、2号側委員それぞれの御見解をいただいたところです。
本日は、各号側委員それぞれから次期診療報酬改定に関する見解を提出していただいております。
そこで、その資料の御説明をお願いしたいと思います。
それでは、最初に、1号側委員から資料の説明をお願いいたします。
松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、資料総3-1につきまして、支払側7名を代表いたしまして、松本より御説明いたします。
基本的には、これを読み上げさせていただく形にさせていただきたいと思います。
令和8年度診療報酬改定に関する1号(支払側)の意見。
まず(基本認識)でございますが、これまで長期にわたり物価・賃金が停滞する中で、高齢化に相当する医療費の増加に加え、医療の高度化等により医療費が高騰し続け、被保険者と事業主の保険料負担は既に限界に達している。今こそ成長と分配の好循環による保険料負担の抑制と医療保険制度の安定化が不可欠である。
一方で、第25回医療経済実態調査の結果、令和6年度における一般病院の平均損益率は、前年度から0.2ポイント改善したものの、7%程度の赤字であり、病院の経営を安定化させることや、医療機関に勤務する方々の賃金を引き上げる必要性は理解できる。ただし、医療法人の一般診療所と歯科診療所、法人の薬局はいずれも平均損益率が5%程度の黒字で、病院と診療所・薬局の経営状況には格差がある。さらに、病院の中でも相対的に急性期の病院で赤字が大きく、回復期と慢性期の病院で赤字が小さい等の機能別格差や、同じ機能の中でも施設間格差があることを強く認識すべきである。
また、新たな地域医療構想、かかりつけ医機能報告制度、医師偏在是正の総合的な対策パッケージ、医療DXの推進や医療のICT化等の動きは、さらなる少子高齢化に伴う医療ニーズの変化と地域差の拡大を念頭に、限りある医療資源を有効活用し、患者にとって安全・安心で効果的・効率的な医療を目指すものであり、スピード感を持って取り組む必要がある。
(診療報酬改定・薬価改定の方向性)。
基本診療料の単純な一律の引上げは、病床利用率や受療率の低下による影響を含めて医療機関の減収を医療費単価の増加によって補塡する発想であり、患者負担と保険料負担の上昇に直結するだけでなく、医療機関・薬局の経営格差や真の地域貢献度が反映されず、非効率な医療を温存することになるため、妥当ではない。
地域において医療ニーズに沿う形に医療機能の分化・強化・連携を推進し、医療提供体制を最適化することや、医療機関の経営マネジメントを強化し、それぞれの医療機関・薬局において医療DXやICTを活用しながら各医療職が活躍できるよう、組織運営を効率化する視点が必要である。
薬価制度・材料価格制度の改革においては、医療保険財政の持続可能性、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給という3つの視点が重要である。
【要望事項】。
現役世代を中心とした保険料負担の抑制と物価上昇局面での保険給付の両立を図り、将来にわたり国民皆保険制度と医療提供体制を維持するために、医療の在り方を着実に改革して医療機関・薬局の経営を健全化し、確実に医療従事者の賃上げを担保すること。
充実すべき部分についても、税制や補助金との明確な役割分担を前提として優先順位を意識し、確実な適正化とセットで真にメリハリの効いた診療報酬改定を行うこと。
その際には、診療所・薬局から病院へ財源を再配分する等、硬直化している医科・歯科・調剤の財源配分を柔軟に見直すこと。
医薬品・医療材料について、ライフサイクルに応じた市場のすみ分け、根拠に基づく適切な価格設定と適切な使用方法、費用対効果評価制度のより一層の活用を追求すること。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、2号側委員から資料の説明をお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、令和8年度診療報酬改定に対する2号側委員の意見を代表して、江澤から申し上げさせていただきます。
診療報酬は、全国一律の公定価格として厚生労働大臣により定められ、国民にとって安全で、安心できる医療を提供するための原資であり、原則2年ごとに改定される際に、その間の2年間の賃金や物価の動向が適切かつ十分に反映されるものでなければならない。
しかし、昨今、急激な物価高騰・人件費上昇が見られる中、診療報酬の改定がこれらの社会情勢に追いついておらず、医科・歯科医療機関及び薬局等は経営状況が著しく逼迫しており、閉院や倒産が過去最多のペースとなっている。病院の約7割、診療所の約4割、歯科診療所・薬局の約3割が赤字であり、この状況は業界として、かつてない異常事態と言える。
また、診療報酬は、医学の進歩・高度化に対応するための設備投資、患者ニーズの多様化に応える医療従事者の確保及び拡充に不可欠な役割を担っている。
令和8年度診療報酬改定においては、地域の医療提供体制をこれ以上崩壊させないためにも、その基盤となる医科・歯科医療機関及び薬局等の経営が、国民の安全・安心な医療の実現に資するよう、その健全化が早急に実現されなければならない。
これまで「適正化」という名の下で社会保障費は削られ続けてきた。
令和8年度診療報酬改定においては、骨太方針に示されているごとく、財源を純粋に上乗せするいわゆる「真水」による思い切った対応が必要であり、賃金上昇と物価高騰、高齢化、医療の高度化・技術革新に対応し、経営基盤の強化を図るための大幅なプラス改定が求められる。
「医療における賃上げが人材確保を支え、地域医療提供体制を守る」。
第25回医療経済実態調査において、病院、診療所ともに給与費は伸びているものの、他産業の賃上げを大きく下回った。
歯科医療機関においても、人材確保の観点から賃上げ対応しているものの、歯科衛生士等の給与水準は依然として低い水準であり、スタッフ給与のさらなる引上げは喫緊の課題となっている。
薬局においても、同一グループの店舗数規模、調剤基本料の区分などの違いにかかわらず、全ての薬局において給与費が増加している。従業員の賃上げに積極的に取り組んでいるが、その内訳は管理薬剤師または薬剤師の処遇改善よりも事務職員の賃上げ対応を優先して、いずれの薬局においても他産業への人材流出に苦慮している。
令和7年度最低賃金はプラス6%強、人事院勧告はプラス3.62%、また「骨太の方針2025」でも示された2025年春季労使交渉の平均賃上げ率は5.26%等となっているが、医科・歯科医療機関、薬局等においては、とてもこれらに対応できる状態とはなっていない。
この状況が続けば、医療人材の他産業への流出に歯止めがかからず、人材確保がより一層、困難となり、医療提供体制に支障が生じることが危惧される。
「物価高騰への対応」。
第25回医療経済実態調査では、医業・介護費用は、物価・人件費等の高騰の影響を受け、給与費や材料費等の諸費用が病院、診療所ともに上昇した。物価高騰が続く中で費用削減のみでこれをしのぐことには限界がある。
歯科医療機関においても、経費等の増加は明らかであり、特に金パラ価格は令和7年に入ってから再び急騰しており、歯科材料や医療機器等の価格上昇も含め、引き続き物価高騰の影響を強く受けていることが推測される。
薬局のうち、特に「1店舗」「2~5店舗」の損益状況は厳しく、さらなる賃上げ・物価高騰に対応することは極めて困難である。また、依然として医薬品供給不足の状態が続き、医薬品確保に係る業務及び備蓄医薬品の管理コストもさらなる負担増となっている。
これらの実態は、もはや自助努力では、到底対応できない状況に陥っており、急激な物価高騰へ対応し得る大幅な診療報酬改定が不可欠である。
「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革のさらなる推進」。
令和6年4月から始まった医師等の働き方改革に関しては、働き方改革を支える目的として設定された「地域医療体制確保加算」や、医師から他の医療関係職種へのタスク・シフト/シェアに活用された「医師事務作業補助体制加算」など、これまでに多くの診療報酬項目により、医師等の働き方改革の推進、医療従事者の負担軽減が図られてきた。
これらの診療報酬項目については、様々な検証等調査により、その効果が認められているところであり、令和8年度診療報酬改定においても、この歩みを着実に継続し、全ての医療従事者の負担軽減を加速させていくため、現場に有効に活用されるような見直しと評価の継続が求められるものである。
また、業務効率化・職場環境改善のさらなる推進に関する検討が行われており、各医療機関等における医療DXの取組が業務の効率化に大いに効果的であり、全ての医師・歯科医師が医療を継続できることを前提として、推進していくべきものである。
そのためには、DX化の推進に伴い生じる多大な費用負担に対する支援は、導入時の費用支援だけでなく、維持に係る費用、各種電子化の取組の費用やサイバーセキュリティー費用などの負担を含む全体的な視点を持った十分な対応が必要である。
さらに、DXに対応できない医療機関等も、見通しをもって、DX化に踏み切れるような工夫も必要である。 「経営基盤強化へシフトするための『真水』による大幅な診療報酬改定とする」。
令和8年度診療報酬改定は、患者さんへの質の高い医療を継続的に提供するために、医療従事者に対する賃上げとその人材確保が急務であり、経営基盤を強化し、経営の安定化にシフトするための極めて重要な改定である。
国民の安全・安心を守るために医療の質を向上させる取組を進める中で、物価高騰、賃金上昇への対応に加え、医療DX対応に向けた環境整備の必要性もあることから、十分な「真水」による財源を確保することで、この局面を乗り切るべきである。その際、病院、診療所、薬局などを分断するような改定率議論ではなく、医療提供体制全体を俯瞰した改定率の決定が必要であり、医療界一丸となって対応していく必要がある。
公定価格で運営する医療機関等が賃上げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高騰にも対応するため、令和8年度診療報酬改定では、十分な財源が必要であり、対応は待ったなしである。
以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
1号側委員の皆さん、2号側委員の皆さん、極めて短い期間に意見をまとめていただいて、本当にありがとうございました。御礼申し上げます。
前回の令和6年度改定のプロセスを振り返りますと、まず、医療経済実態調査に対する各号側の見解。
次に、次期診療報酬改定に関する各号側の見解。これはただいま報告していただいたものです。
そして、薬価調査の結果等を踏まえまして、公益委員のほうで厚生労働大臣に対する意見書の素案を作成いたします。
その上で、それを総会で議論していただいて、意見書を取りまとめていただきます。
それを中医協から厚生労働大臣への意見書として提出したところです。
令和8年度の改定におきましても、前回と同様に、中医協としての意見をまとめて、それを厚生労働大臣に提出するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
それでは、本件につきましても、そのように進めさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。