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- 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第243回議事録(2025年12月10日)
中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第243回議事録(2025年12月10日)
日時
令和7年12月10日(水) 9:30~
場所
全国都市会館 2 階大ホール
出席者
- 構成員等
-
- 城山英明部会長
- 小塩隆士委員
- 本田文子委員
- 笠木映里委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 永井幸子委員
- 奥田好秀委員
- 江澤和彦委員
- 黒瀬巌委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 藤原尚也専門委員
- 越後園子専門委員
- 荒川隆治専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 令和8年度薬価改定について
議事
○城山部会長
ただいまより第243回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は全員が御出席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。
(カメラ退室)
○城山部会長
よろしいですか。
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体として、日本製薬団体連合会。
日本ジェネリック製薬協会。
日本製薬工業協会。
米国研究製薬工業協会。
欧州製薬団体連合会。
再生医療イノベーションフォーラム。
日本バイオシミラー協議会。
日本バイオテク協議会。
日本医薬品卸売業連合会より意見を聴取するため「意見陳述者一覧」に記載の皆様に御出席いただいております。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑を行いたいと思います。
関係団体の皆様は、最初に自己紹介をしていただいた上で、時間厳守でプレゼンテーションをお願いいたします。円滑な議事進行に御協力ください。
それでは、まず、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会及び日本ジェネリック製薬協会よりお願いいたします。
よろしくお願いします。
○安川日本製薬団体連合会会長
おはようございます。
日本製薬団体連合会の会長を務めております、アステラス製薬の安川でございます。
本日は、意見陳述の時間をいただきまして、ありがとうございます。
今、議長から御紹介があったように、まず、日本製薬工業協会、PhRMA、EFPIAの3団体から企業の開発動向の変化などについて説明いたします。
その後、私から令和8年度薬価制度改革の論点整理案を踏まえて、業界の意見を述べさせていただきます。
最後に、ジェネリック協会の川俣会長より意見を述べる予定でございます。
それでは、3団体、順にお願いいたします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
皆様、おはようございます。
日本製薬工業協会の宮柱でございます。
本日は、3団体を代表して、2024年度薬価制度改革が企業の開発動向に与えた影響の総括として、本年7月の意見陳述以降の状況を御説明いたします。
資料薬-1の2ページ目をお願いします。
調査概要となります。
2024年度薬価制度改革による企業の開発動向の変化を探るため、これまで計3回にわたり調査を実施してまいりました。
第2回、第3回調査では、個別の製品開発に関するエピソードに絞って調査を行っております。
3枚目です。
本年7月の中医協にて報告した資料の再掲となります。
前回、6月の調査時点で、青枠で囲んでおりますⅣ、Ⅴ、合計43の製品が、薬価制度改革を受けて開発が促進されたことが確認されており、今回も前回報告と同様に、特にPMDA相談、あるいは治験着手に至った製品数等について、具体的に御紹介させていただきます。
スライド4です。
第1回調査では、制度改革実行当初の調査であったことから、PMDA相談、あるいは治験着手にまで至った製品は確認できませんでしたが、今回の第3回調査では、PMDA相談が31製品、治験着手が20製品、合計51製品まで増加したことが確認されました。
2024年度薬価制度改革を受けて、国内開発を加速させる動きが見られており、社内での国内開発の意思決定後、当局へのアクションへ進む製品が増えていることが確認されております。
スライド5枚目になります。
続きまして、それら事例の概要をお示ししております。
今回の調査では、ドラッグ・ラグ改善につながる開発・申請予定時期の前倒しの実施が合計23製品、また小児開発の新たな実施、新たな成分・適応症開発の実施がそれぞれ16製品、12製品確認することができました。
スライド6枚目です。
では、何が国内開発の前向きな行動変容を後押ししたかについて、御説明いたします。
後押しとなった薬価制度改革の要素として挙げられた主な項目は、特に迅速導入加算の導入、小児開発に対する評価の充実となります。
本アンケート結果から、2024年度のイノベーション評価の拡充を行った薬価制度改革により、国内開発にポジティブな影響が生じたことが確実に見てとれると考えております。
なお、今後は、2024年度薬価制度改革単独での影響を検証することは難しくなってくるものと想定しております。
スライド7枚目「総括」となります。
計3回の調査結果を通じて、2024年度薬価制度改革が国内の開発・申請予定時期の前倒し、小児・新たな成分・適応症にわたる新規開発へ確かな前向きの変化を生み出したことが改めて確認されました。
この流れを止めることなく、日本の患者さんにより早く、より多くの治療の選択肢を届けるため、私たち製薬企業は全力で医薬品開発・上市に取り組んでおりますが、現在、世界の製薬産業は大きな環境変化が起きています。
それは、米国での最恵国待遇価格政策の発動です。
これにより、日本における新薬開発や上市の判断に直接的な影響を及ぼしつつあります。
今、まさに日本がイノベーションの評価に当たり、いかなる薬価制度、方針を示すのか、各国及び世界の関係者が注目しています。
ドラッグ・ロスをこれ以上拡大しないために、革新的医薬品の価値を正しく評価すること、つまり、革新的医薬品の特許期間中の薬価維持、そして、そもそも合理性を欠く市場拡大再算定の共連れは廃止いただくよう、強く要望いたします。
また、国際情勢を鑑みて、特許期間中の薬価維持のさらなる充実の観点より、次々期薬価制度改革を待たず、期中での機動的な対応を強く要望します。
続いて、PhRMA、EFPIAから意見を述べさせていただきます。
○傳米国研究製薬工業協会在日執行委員会委員
私、PhRMAの傳より、米国の最恵国待遇価格について、以後「MFN」という表現にてコメントさせていただきます。
スライド資料の8ページ目を御覧ください。
MFN政策に関する日本国内での開発や上市への影響を確認するため、PhRMAでは、日本国内の会員企業に対しまして、継続的な調査を行っております。
本日は、先月末に実施しました結果を9月と比較した形で御報告させていただきます。
資料左側の円グラフを御覧ください。
MFNへの対応について、グローバル本社と議論を開始したと回答した企業は、9月と比べますと増加傾向にあります。
最新の調査では、14社中10社まで上がっております。
また、左下にございますように、既にそのうち6社において、米国への価格の波及を懸念しまして、グローバル本社から日本における価格の見直しを求められている状況です。
資料右側に、グローバル本社との議論の具体的な内容を示しております。
MFNの影響により、日本国内での目標価格の引上げが求められているほか、目標価格を下回る場合には、日本国内での薬価収載を見送ることを含めた検討、あるいは、既に日本国内での薬価収載を遅らせる判断等が行われている企業があることが分かってきております。
結語になります。
このように、米国でのMFNの動きが、日本国内での新薬上市にネガティブな影響を与え始めていること、また、そうした影響の懸念が大きくなっていることを御理解いただき、特許期間中の製品の薬価がさらに引き下がるような改革が起こることのないよう、改めて強くお願い申し上げます。
私からは以上となります。
続きまして、EFPIAからのコメントを申し上げます。
○菊池欧州製薬団体連合会理事
EFPIAの菊池でございます。
本日は発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。
スライドを1枚送っていただけますでしょうか。
PhRMAからお話がありましたように、革新的な医薬品に関わる各国の費用負担の公平性という課題がアメリカから提起されております。
加えて、ヨーロッパ各国でも、日本と同様に、医薬品アクセスの向上と、制度の持続性の両立という大きな課題に向き合っております。
こういった背景から、このスライドにお示ししましたフランスのみならず、諸外国におきまして、薬価制度を含む医薬品関連の制度の見直しに向けた動きが進んでおります。
このような環境変化の下、日本の患者さんにより迅速に革新的医薬品を届け続ける環境を整備するためには、2024年薬価制度改革におけるイノベーションのさらなる推進の動きを止めないことが重要と考えております。
一方で、12月3日の論点整理に示されました外国平均価格調整の見直しにつきましては、他国も制度等を検討している中、日本が先んじて見直しをするのではなく、他国の動向も確認しつつ、慎重に検討するべきと考えております。
そして、イノベーションの適切な評価の論点として御提案いただいておりますように、これらの国際的な背景を踏まえ、機動的な対応が可能となるよう、引き続きの御検討をよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
ありがとうございました。
○安川日本製薬団体連合会会長
引き続きまして、私から各団体を代表いたしまして、令和8年度薬価制度改革に対する業界の意見を述べさせていただきます。
スライドの2ページ目をお願いいたします。
これまでの陳述でも申し上げてきたとおり、革新的新薬や医療上の必要性の高い医薬品を継続的に日本の患者さんに届けるためには、昨今の米国における政策等の影響を踏まえつつ、インフレ経済下における物価・賃金上昇などを機動的に薬価へ反映するなど、薬価上の措置を行う必要があります。これは、我々製薬企業や医薬品を取り扱う各ステークホルダーだけではなく、国民が最先端の医療を受けられるようにするためにも、非常に重要な対策であります。
長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却の推進、及び薬価改定においてメリハリを強化することについては、私ども製薬企業も十分に理解しておりますが、これはイノベーションの推進や安定供給の確保に関する対策とセットで実施されるべきであります。これは、中医協の議論においても、委員の先生から御意見をいただいていると記憶しております。
しかしながら、先日示された論点整理案では、長期収載品の薬価引下げの見直しに関わる内容が多く、特にイノベーションの推進とバランスが取れていないように見受けられます。
特に市場拡大再算定の特例の名称変更は、国民皆保険維持のためとの説明がありましたが、そもそもなすべきことは、国民の幸福度を最大化することであり、現制度を維持することではございません。
制定から64年以上が経過した現代の制度には、種々無理が生じているということを様々な場面で御説明申し上げてまいりました。現行の国民皆保険制度を維持するために名称を変更するという案には断固反対いたします。
次のスライドをお願いいたします。
先ほど理由を述べたとおり、特例拡大再算定は廃止すべきです。
現行の国民皆保険を維持するために、名称を変更して、特例再算定を継続し、特定の品目の薬価を大きく引き下げるのは、全く筋の違う方法論であり、改めて断固反対いたします。
再算定による薬価引下げは、臨床現場で高い評価をいただいたイノベーティブな新薬の価値を引き下げるということであり、企業にとっては、単年度の影響にとどまらず、その後享受することが見込まれていた利益を失い、新薬開発への投資のための原資を大幅に損なうことにほかなりません。
そうなれば、最終的には、日本において国民が最先端の医療を受けられなくなるという悲惨な状況を生み出しかねないことを御理解いただきたい。
国民皆保険の維持は、薬価制度の見直しや、企業努力だけでかなうものではありません。国民一人一人が制度への理解を深め、現状の制度が抱える問題に対する認識を高めていただくことが必要であり、その上で、国民の意見を取り入れた議論を行うべきであります。そのような活動をぜひ国に主導していただきたいと思います。
その上で、創薬イノベーションとの両立を図りつつ、価格調整以外の手法も含めた対策案について、製薬企業も当事者として参画し、中医協の枠にとらわれることなく、議論することが必須だと思います。
次のスライドをお願いします。
そもそも日本の薬価制度では、市場実勢価格に基づく個別評価が原則とされているにもかかわらず、効能の一部が再算定の対象品と重複しているという理由だけで類似品とみなし、他の製品に適用された引下げ率を用いて薬価を引き下げる再算定の共連れは、制度の趣旨や公平性の観点から、合理性に欠けております。
加えて、薬価を引き下げられるタイミングが、外的要因である他社の売上状況に依存するため、自社での予測が難しく、事業の予見性を著しく損なう要因となっており、廃止すべきです。
今般、特許期間中の革新的な新薬の薬価が維持されることをより分かりやすくするという目的で、新薬創出加算の見直しを御提案いただいているにもかかわらず、外的要因により発生する不合理な引下げである共連れを継続することは、適切な対応ではないと思っております。
次のページをお願いします。
5ページ目は「新薬創出等加算の見直しについて」でございます。
見直し案では、革新的新薬の創出、ドラッグ・ラグ/ロスの解消を促進するため、新薬の市場実勢価格に基づく薬価改定を猶予するという制度の位置づけが示されています。
また、市場全体の平均乖離率は、既に4.8%にまで縮小が進んでおります。
医薬品の取引の中から、流通コストや医療機関の経営原資に充てられている現状を踏まえると、一般的に考えても限界に近い状況であり、乖離率を基に薬価を見直すという仕組みそのものを見直す時期なのではないかと考えております。
これらの現状に鑑みれば、現状、平均乖離率を超える品目であっても、要件を満たした品目は原則対象とし、薬価を維持すべきと考えます。
次のスライドをお願いします。
続きまして「外国平均価格調整の見直しについて」です。
冒頭、海外製薬団体からもお話しいただきましたが、米国で進む最恵国待遇(MFN)価格政策については、今まさに日本がいかなる制度・方針を示すのか、各国及び世界の関係者が注視しております。
このような国際情勢を踏まえれば、直ちに見直しを実施する状況にはなく、時期については慎重に判断すべきと考えます。
次のスライドをお願いします。
7ページは、いわゆるG1/G2ルールの見直しについてです。
示されたとおりの見直しが実施されれば、長期収載品の薬価は大幅に引き下がることになります。
G1ルールでは、最終的に長期収載品と後発品が同薬価になるため、ルール見直しの際は、医療上の必要性、安定供給を確保する観点から、適切な配慮について併せて検討すべきと考えます。
長期収載品から後発品に速やかに道を譲るために、G1撤退ルールについては、例えば置き換え率が80%を超えた時点で、原則撤退を認めるなど、思い切った見直しを行う必要があると考えております。
続きまして、スライド8~10にかけては、薬価の下支え制度について意見を述べておりますが、これまで陳述で述べてきたとおりですので、詳細は割愛させていただきます。
本日は、1点のみ改めて申し上げます。
現在の継続する物価・賃金上昇等の影響を最も受けているのは、これらに該当するような医薬品です。今回の薬価改定においても、安定供給確保のため、適切に薬価へ反映するよう、柔軟な対応をお願いいたします。
スライド11以降には、今申し上げた以外の対応の方向性案について、個別に意見を記載しておりますので、併せて御確認ください。
私からは以上でございます。
続けて、川俣会長よりお願いいたします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
日本ジェネリック製薬協会会長の川俣でございます。
本日は陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
資料の2ページ目を御覧ください。
不採算品再算定の適用をいただいた品目について、これまで全体の供給状況ですとか、供給量について御説明してまいりましたが、より詳細な分析をいたしましたので、御報告申し上げます。
スライド左側にお示ししました表は「先発品」「長期収載品」「後発医薬品」「その他医薬品」といった薬剤区分ごとの供給量の増減と適用品目数でございます。
供給量をグラフ化しますと、右側のとおりとなります。
これにより、適用品目数は「その他医薬品」が最も多いわけですが、供給量については「後発医薬品」の増加が最も多いことが確認されております。
3ページ目を御覧ください。
個別品目ごとの分析事例としては、抗菌薬(注射剤)の一例をお示ししております。
供給量については、2023年度は少し落ち込むものの、2024年度には供給量が回復しており、直近では全品目が通常出荷となっております。
本日は時間の都合上、Appendix資料に企業ごとの分析や、出荷対応状況の集計結果を載せておりますので、御参照いただければと思います。
4ページ目を御覧ください。
不採算品再算定の適用をいただきました企業は、医療需要の動向を見極めながら、必要と考える品目の供給量を増やし、供給状況の改善に努めてまいりました。
例としてお示ししました品目のように、供給量を増やし、供給不安を解消できた品目もある一方、供給量を増やしても限定出荷を解除できない品目や、需要と供給のバランスが取れて、通常出荷に落ち着いたような品目もございます。供給量の増加と供給不安の解消は、必ずしも一致するものではないということでございます。
供給不安を解消できていない品目につきましては、日本ジェネリック製薬協会の中に新たに設置いたしました「安定供給責任者会議」において分析を行いまして、効果的な供給不安解消策を検討し、着実に実行してまいるところでございます。
5ページ目を御覧ください。
ここからは、令和8年度の薬価改定について示された対応の方向性に関する意見を申し上げます。
「後発医薬品の価格帯集約」につきましては、品目ごとの改定とする方向性に賛同するとともに、この対応について感謝申し上げるところでございます。
企業指標の活用は、供給不安の解消に向けて努めている企業が、今後も継続して安定供給体制を強化していくことを後押しするものであり、国民に安定的に医薬品を供給し続けることにつながるものと考えております。
なお、収載6年以降も、安定供給に資する品目については、適正な価格改定を受けられるよう、引き続き御検討をお願い申し上げるものです。
6ページ目を御覧ください。
「薬価の下支え」についてです。
基礎的医薬品につきましては、令和6年度及び令和7年度に不採算品再算定を受けた品目はもちろん、重要供給確保医薬品も対象にしていただくべきと考えております。
不採算品再算定につきましては、医療上の必要性の高い医薬品の安定供給を確保するために、必要なコストが適切に薬価に反映され、安定供給に尽力する企業が下支えを受けることができるよう、見直しをお願いいたします。
最低薬価につきましても、物価上昇を踏まえた見直しの継続とか、新たな剤形の設定についても御対応いただければと考えております。
後発医薬品メーカーは、企業間の連携・協力を通じまして、品目数の適正化を進めております。生産効率をさらに向上させるとともに、品質の確保された医薬品の安定供給の実現と情報発信に努めてまいります。
私からは以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、再生医療イノベーションフォーラムよりお願いいたします。
○廣瀬再生医療イノベーションフォーラム副会長
再生医療イノベーションフォーラム理事副会長の廣瀬でございます。
本日は、意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
2ページを御覧ください。
現在、令和8年度薬価改定に向けて、論点整理をいただいているところですが、再生医療等製品に対する市場拡大再算定の適用につきましては、その特徴を踏まえつつ、令和10年度の制度改革に向けて、引き続き御議論いただくとされており、当団体といたしましても、継続した議論に協力させていただきたいと考えております。
3ページを御覧ください。
再生医療等製品は、2007年のジェイス以来、直近では21品目が承認されており、今後は、研究開発において日本が世界をリードしていますiPS細胞由来の再生医療等製品の承認も見込まれています。
再生医療等製品は、多様なモダリティーから構成されており、その特徴を踏まえた価格制度が必要と考えておりますが、本日は、ex vivo遺伝子治療のCAR-T細胞製品を例に挙げて説明させていただきます。
4ページを御覧ください。
こちらは、CAR-T細胞製品の治療の概略です。
患者さんから採取した末梢血のT細胞に、企業の細胞処理施設でキメラ抗原受容体(CAR)と言われる遺伝子を導入した後に、細胞を増殖させ、元の患者さんの体内に戻す治療方法です。
患者さんの体外で遺伝子を導入して戻すことから「ex vivo遺伝子治療」と呼ばれておりまして、CAR遺伝子を持つT細胞が患者さんの体内で増殖し、がん細胞を攻撃することで治療効果を発揮します。
繰り返し服用が必要となる既存の医薬品とは異なりまして、単回投与で長期にわたって有効性が持続するという特徴を持っています。
また、患者さん自身の生きた細胞を用いる個別化された治療方法であることから、1製品ごとのオーダーメードの治療になります。
5ページを御覧ください。
こちらには、CAR-T細胞製品の製造プロセスを示しました。
既存の医薬品との違いとして、高度な専門知識や熟練技術を持つスタッフが複数名必要となる労働集約的な個別生産であること。
原材料につきましても、患者由来の細胞による少量からの生産で複雑な製造・輸送・短い保管期間並びに厳しい品質検査基準が求められます。
特に検査につきましては、患者由来の生きた細胞を用いるため、全てのプロセスにおいて、多種多様な品質管理試験が必要となることが挙げられます。
6ページを御覧ください。
こちらは、研究開発から製造、流通等に至るまでの再生医療等製品と既存医薬品との違いを表したものです。
再生医療等製品につきましては、これらのプロセスにおいて、既存医薬品とは異なる知財、人材、コスト、原材料や専門設備が必要となります。
製造については、患者ごとに個別化された製品もあり、需要が増加したとしても、1つの製品を製造することにおける費用の削減は困難であります。
また、再生医療等製品の多くは、希少疾患を対象としており、対象患者が少ないため、多額な投資を行っても、収益の確保は困難であることも挙げられます。
最後のスライドです。
複雑な製造や個別化製造を踏まえた対応として、再⽣医療等製品の市場拡大再算定の対象からの除外について、継続した御検討をお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、続いて、日本バイオテク協議会よりお願いいたします。
○関日本バイオテク協議会理事
日本バイオテク協議会でございます。
本日は、意見陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
会長の森に代わり、理事の関より御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。
本年9月17日の中医協薬価専門部会にて、弊協議会よりお示ししました原価計算方式における2つの課題につきまして、その後の中医協にて御検討いただきましたこと、感謝申し上げます。
3ページを御覧ください。
「原価計算方式における一般管理販売費率の上限撤廃」につきまして、12月3日に御提示いただきました、条件を満たす場合は平均的な係数を超えて計算すること、特例的な上限70%を超えて計算することも可能であることを明確にする、という御提案につきまして、弊協議会は賛同いたします。
その際、どのような要件を満たせば、平均的な係数や上限70%を超えて計算することが妥当と判断されるか、その要件を御提示いただけますと、さらに希少疾病用医薬品などの開発促進につながるものと考えます。
御検討をよろしくお願いいたします。
4ページを御覧ください。
「原価計算方式における開示度の取扱い」についてですが、海外の独立企業との取引など、申請企業の努力だけではどうすることもできない難しさがあることを御理解いただけたことに改めて感謝申し上げます。製薬企業の務めとして、開示度向上に向けた努力を継続してまいります。
本件について、引き続き御検討をどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
御清聴ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続いて、一般社団法人日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
皆様、おはようございます。
日本医薬品卸売業連合会会長の宮田でございます。
本日は、意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
次のページを御覧ください。
まず「持続的な医薬品の流通に係る4つの環境要因」についてであります。
取り巻く環境に改善が見られず、医薬品卸の自助努力のみで安定供給を支えるのは困難となってきております。流通改善をさらに推進することに加え、制度面での対応との相乗効果で医薬品の安定供給基盤を維持・強靱化することが必要であると考えております。
次のページをお願いします。
流通改善に関して、単品単価交渉への理解がいまだ浸透していない状況を御説明いたします。
薬価基準制度の趣旨を踏まえ、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉を行うことが基本とされておりますが、表が示すように、一部の医療機関・薬局グループとの交渉において、単品単価交渉率が依然として低い数字となっております。
12月3日に乖離率の速報値が発表された際に、平均乖離率と比べ、後発医薬品や最低薬価品の乖離率が平均乖離率を上回っているとの御指摘を受けております。
医薬品卸は、得意先の理解を得ながら価格交渉を進め、後発医薬品や最低薬価品の乖離率は前年度より改善しているものの、個別の取引条件が加味されない総価取引・総価交渉がいまだに解消されていないことが大きな要因と推測しております。その結果として、一部のカテゴリーで平均乖離率を上回っていると思われます。
しかし、前年と比して改善している点については、御理解いただきたいと考えております。
全ての流通当事者が、流通改善ガイドラインの趣旨に沿った取組を進め、総価交渉を解消し、単品単価交渉の推進に努めることが重要であると考えております。
次のページをお願いします。
「仕入原価の上昇と流通不採算」についてであります。
医薬品卸の仕入原価が右肩上がりに上昇しており、また、後発品や長期収載品では、多くが流通不採算となっております。
特許品においても、流通経費が仕入原価に反映されていない品目があり、約25%が流通不採算となっております。
次のページを御覧ください。
出荷調整の状況であります。
限定出荷が安定供給の問題となっておりますが、20円未満の限定出荷数量が82.6%を占め、圧倒的に多い傾向が示されています。供給不安の解消のためには、低薬価品の薬価下支えが必要不可欠であると考えております。
次のページを御覧ください。
ここでは、薬局における薬価を上回る購入状況について、一例として、保険薬局の354店舗の調査データを示させていただきます。
薬価を上回る購入価になっている品目のうち、57%を薬価20円未満の品目が占めており、差損の55%を占めております。
低薬価帯の品目を取り扱うことにより、医療機関や保険薬局の差損が生じかねない構造になっていると考えております。
次のページをお願いします。
医薬品卸の流通コストや設備投資、物価高騰の影響について御説明いたします。
医薬品が生命関連商品であることを考えれば、平時・有事を問わず、医薬品卸には品質の厳格な管理を含め、多様な対応が求められます。
それに応じて、設備やシステム、人材への絶え間ない投資が必要となります。
こうした投資を医薬品ごとの流通コストとして算出することは困難でありますが、これらは必要不可欠なことであります。
物価高騰や人件費上昇の影響で、こうした投資が難しくなってきております。
次のページをお願いいたします。
最後に、意見を4点申し述べさせていただきます。
1点目、医薬品の安定供給に支障を及ぼす中間年の薬価改定については、廃止していただきたい。
2つ目、薬価改定の基本となる単品単価交渉・契約をさらに推進していただきたい。
具体的には、流通改善ガイドラインの実効性のある改訂と周知、流通当事者へのインセンティブの付与です。
3点目、薬価収載時に算定のベースとされた流通経費が仕入原価に反映されるようにしていただきたい。
具体的には、流通改善ガイドラインの改訂を通じた明記と厚生労働省によるフォローアップであります。
最後に、4点目でございます。
医薬品卸が負担している流通コストにおける物価高騰への対応を検討していただきたい。
具体的には、20円未満の薬価の引上げと、頻発する自然災害・サイバー攻撃・パンデミックに備えたBCP対応への設備投資等やイノベーションにより高度化する新薬のGDP準拠への対応等でございます。
以上をもって、当連合会の意見陳述とさせていただきます。
何とぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
以上で、予定された一通りの御説明をいただきましたので、これから質疑に移りたいと思います。
御質問、御意見等はいかがでしょうか。
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
いろいろと御説明いただきまして、ありがとうございました。
私からは3点質問させていただければと思います。
1点目は、資料1につきまして、現状、治験着手に至った事例等が増えているという前向きな御報告をいただきました。
こういった傾向は、今後も継続して続くようなものなのでしょうか。それについてお伺いしたいと思います。
2点目は、資料薬-2の3ページでございます。
右下に、市場拡大再算定の特例の名称変更は断固反対という記載がございます。
この件に関しましては、創薬されるお立場と、そういった恩恵を享受する患者さんの立場、そして、何よりも公費と国民の保険料、患者さんの一部負担で成り立っている皆保険の公的医療保険制度に、これらの大変複雑な連立方程式の最適な解を求めるのは非常に難しい問題だというのは十分に認識しておりますが、我が国は、独自の公的な医療保険制度がある中で、断固反対ということは、まず、現状の名称を維持するという理解でよろしいでしょうかということ。
それから、2つ目の四角に「価格調整以外の手法も含めた対応策」とありますので、もしお考えが現時点でありましたら、もう少し具体的にお伺いできればと思っております。
最後に、3点目ですが、薬-3の日本ジェネリック製薬協会について御質問させていただきます。
かなり長きにわたって、当初は、いわゆる企業のコンプラ問題に端を発したと思っておりますが、これほど長く供給不安定が続くとは誰も思っておらず、5年間ぐらい続いている。
何を申しているかというと、いまだに現場の医療機関・薬局等においては、大変な労力を要しており、本来ならその労力は、患者さんの服薬に関する指導であったり、あるいはハイリスク薬剤の丁寧な指導であったり、そういったところに充当する時間が、かなりそういった不安定供給に対する業務に日々割かれているのが日常だと思っています。
以前も同じことを質問しましたが、本会としては、少しでも解消する方向に、今、不採算品再算定など、当然、制度はいろいろと後押ししている中で、特に安定供給の責任者会議を設置され、前向きに取り組まれていると伺っておりますが、そういったところは、今、どういった状況にあるのか。
我々は本当に切なる思いで、日々、そこが非常に労力を増し、ひいては患者さんの治療提供とかにも大きく影響している部分でございますので、今後の見通しについてお伺いできればと思います。
以上、3点、御質問でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
そうしましたら、3点質問をいただきましたので、それぞれお答えいただければと思いますが、最初はどうしましょう。
○安川日本製薬団体連合会会長
ありがとうございます。
1つ目は製薬協の宮柱会長、2つ目は私から、3つ目は川俣会長から回答申し上げます。
○城山部会長
では、その順序でお願いします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
江澤委員、御質問ありがとうございます。
1点目のドラッグ・ラグ/ロスに関する制度によるポジティブな影響が今後も継続するかという御質問であったかと思います。
本日御紹介させていただいたとおり、過去3回の調査で、制度改革後の企業の意思決定で、既に治験に着手したといった実際の開発行動に結びついていることがまずは報告されたものと我々としては考えております。
研究開発には中長期にわたって非常に多額の投資が必要となりますので、制度の予見性や一貫性が担保されれば、持続的な効果が期待できると捉えております。
ただし、本日申し上げましたが、次期薬価制度改革がどうなるか、また、米国の最恵国待遇価格政策のもとで、創薬および国際競争力をどのように日本が保持していくか、これらの観点から日本の位置づけが非常に重要になります。次期制度改革において予見性や一貫性の担保が実現することで、この動きも継続するものと捉えております。
○安川日本製薬団体連合会会長
それでは、2つ目。
私がしゃべりましたスライドの3ページで、2点質問をいただいたと考えております。
1つ目は、イノベーションの評価と公費、保険料のバランスをいかに取っていくか、最適な解を出すのは難しいと思うけれども、業界として、制度維持をどう考えているかという御質問と理解いたしました。
多分、同じような議論が言葉を替え、本会で何回も議論されたと思いますが、ちょっと時間をいただきまして、業界の立場を述べさせていただきたいと思います。
業界の立場というか、製薬業界の経営者という立場でどう考えているかということでございますが、まず、我々は営利団体でございます。慈善のボランティアではございません。
多くの会社は株式会社です。巨大な富を持っている人がクローズドのカンパニーを営んでいるわけではございません。
ということで、株式を全世界に対して発行し、それらの投資家の資金を基に会社を運営しております。その投資家に対して、十分なリスクを取っていただいた見返りにお金をお支払いする、あるいは株価を維持する、向上していくということで、我々は世間に存在することが許されております。
これがまず大前提でございまして、一方で、世の中には格付会社なるものが存在しております。
昨今ではコンプライアンス、あるいは環境問題、人権問題全てクリアに加えて、短期ではROE5%以上を確保しろと。
これが達成されない場合には、経営者、あるいは会社そのものが存在することが不適切であるというシグナルを全世界に向けて出されてしまいます。我々はこれとも闘わなければいけません。
彼らの合格ラインであるROE5%も、彼らが丼勘定でやっているものではなくて、全世界、自由主義経済の諸国の中で、今の経済成長率とか、ちゃんと価値あるものを適切な値段で商売していれば、ROE5%は確保できるでしょうと。そういう計算の下、示されている数字だと思っております。
我々は、長年の経営努力で、非常に筋肉質な体質になっております。
弊社の例で申し上げても、一時期2,400人ほどいたMRは、現在、800人にまで減っておりまして、これ以上の経営努力はなかなか難しいような状況に来ております。
こういう中で、今の日本の薬価制度だと、ROE5%は全然達成できません。
ジェネリックの方々は、もう少し厳しい状態にありまして、設備の更新なども難しいような状況になってきております。
それなどを考慮しますと、ROE5%を稼げるような薬価をつけられないのであれば、現行制度は大きく見直すべき、あるいは原資を確保するほかの方法を模索すべきではないかというのが我々の経営者としての意見でございます。
こう言ってしまうと、世の中には経済的に恵まれない人もいるのだから、では、そういう人はどうやって救うのだというのが次の質問になってくると思いますが、そのような社会のネットワーク、経済的に恵まれない方にどういう手を差し伸べるかというのは、全く別の社会問題であって、厚生労働省の方々に考えていただくようなアジェンダではないかと考える次第でございます。
2点目の御質問は、緑の枠の中の2つ目のポツ、価格調整以外の手法は何かということでございますが、これは、私のプレゼンの中で述べさせていただきましたが、医療費の中で、今、薬剤費は20%しかない。
この制度全体を維持させるというか、もっと大きな視点で言えば、健康保険法をどう維持していくか。昭和31年か、昭和32年につくったものをそのまま使い続けていくのは無理があるので、どういう方法にすれば一番いいのか。
これを議論するためには、広く国民にもこの社会問題を理解させ、国民からの代表も募り、我々当事者も入った中で、中医協という枠を超えて、日本の健康保険をどのようにしていくべきか、考える時期ではないかと。
こういう趣旨のことを申し上げましたし、同じことを先週、議員の方々、あるいは厚労、文部、経産、財務のお役人がいる中でも、私は同じようなことを申し上げました。
こういうことを申し上げたつもりでございます。
以上、2点目の御質問に回答申し上げました。
○城山部会長
では、まず、3点目をコメントいただいて、その後、また御質問いただければと思いますので、川俣会長。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
確かにジェネリック医薬品の供給問題は、いわゆるコンプライアンス問題に端を発したものではございますが、2020年からジェネリック医薬品の数量シェアが格段に伸びてきた状況でございまして、2022年の段階では80.7%まで行きましたので、大体この辺りで供給量としては十分なのではないかと考えていたところが、2023年には82.7%、2024年には85%、2025年には90%という状態でございまして、それぞれ年度ごとに40億錠とか60億錠、トータルで100億錠以上の需要が拡大している状況でございます。
我々は、コンプラ問題に対応すべく、補償生産を行ったわけですが、増産すればするほど、数量シェアが伸びていくような環境になっております。
私どもジェネリック製薬協会の主要14社におきまして、大規模な設備投資を行っておりまして、実は2700億円もの設備投資を実施、計画しているところです。これに基づいて増産可能数量を上げていく取組をいたしております。
また、これに加えて、御指摘のありました少量多品目生産で非効率になっている生産実態につきまして改善していく、いわゆる品目の片寄せを行って、より効率のよい製造ができるような取組も今行っているところでございます。
ジェネリック製薬協会としては、会員企業に対して、自分たちの設備投資が過剰であるのかどうかということを心配されている企業のために、実態分析を行いまして、決して過剰ではない、まだまだ足りないということを会員企業に対して通知しまして、より前倒しをした設備投資を進めるようにとお願いしているところですし、また、効率化に向けた品目統合について進めるように要請しているところです。
これらの分析を基に、2027年度ぐらいには需要を供給が上回るという計算ができております。
これに向けて、私ども協会としても、着実に計画を進めてまいりたいと思っておりますので、御理解のほど、お願いしたいところでございます。
○城山部会長
江澤委員、いかがでしょうか。
○江澤委員
まず、2点目の御回答をありがとうございます。
もちろん、企業の経営者のお立場ということで、十分に中身については理解しております。
一方で、1961年(昭和36年)にできた医療保険制度をどう持続するかというのは、我が国にとっても最大の命題であります。
先ほど2列目以降の人がお考えになることだと第三者的に申し上げたのは、私は非常に残念だと思っていて、これは製薬業界も、我々も、医療提供側も、あるいは保険者側も、あるいは国民全てが真摯に取り組む課題で、厚労行政だけが考えるのは違うのではないかと僕は思っています。
何のために中医協があるのかと考えると、これはみんなで考えていく、先ほどの複雑な方程式をどう解き明かすのかということは大変重要だということは申し上げたいと思いますし、我々も当然、企業の立場も理解した上で発言しているつもりですから、全てがどこで最適な解を求めるのかというのは、真摯に取り組んでいただければと思っております。
○安川日本製薬団体連合会会長
すみません。私の説明の順番が悪かったかもしれません。
経済的に恵まれない方へのセーフティーネットワークは別の問題で、それは社会セーフティーネットワークの話なので、この場とは違うのではないかと思いまして、それは厚労省の方々のエリアではないかと申し上げて、その前の健康保険法の維持とか、この辺は、我々も別に丸投げするわけではなくて、一緒に考えていきたい。
○江澤委員
申し訳ないのですが、今のは貧しい方も含めた上で申し上げました。
制度とは、全ての国民に対して、当然、所得の少ない方も含めて守っていくのが制度でありますので、その部分だけを切り取って別だと言うのは、公的な国民皆保険の中の考え方には相入れないと思っていますので、そういった意味で申し上げたので、御理解いただければと思います。
続きまして、3つ目は、なかなかお答えにくいと思うのですが、将来、いつまでというのは、なかなか期限が切れない問題だとは理解していますが、今の毎回出ているような対策だと、我々としては先が見通せないと思っています。
特に目を向けていただきたいのは、個々の医療機関や薬局の現状がどういった状態なのかをつぶさに見ていただきたいと思っておりますし、我々の医療機関においても、日々、本当に苦労している現場がありますので、それが全国の医療機関の悲鳴だと御理解いただきたい。その上で、どうなのか。
こういう全体的な対策とか、全体的なパーセントがこうだというのは、もちろん改善していただきたいと思いますが、最終的には、個々の医療機関の状況がどうだということがファイナルアンサーだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
関連で、これは、国のいわゆる安全保障にも関わるような大きな問題だと認識している中で、事務局にお伺いしたいのですが、国として、この辺りはもう少し積極的に関与して対応していかないと、なかなか克服できない問題だと思うのですが、もしお答えいただけるのでしたら、お願いいたします。
○城山部会長
では、関連して、今の点は、事務局からいかがでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医政局医薬産業振興課長でございます。
医薬品の安定供給に関しましては、ただいまジェネリック協会の皆様からもお話がありましたが、まず、足元の対策として、国としては増産要請を行い、さらに、それに対する財政支援を行っているところでございます。
加えて、少量多品目生産という業界の構造問題に対応していくことも同時に必要でございます。
これにつきましても財政支援を行っておりまして、先般の薬機法改正で造成されました基金についても、今回御審議いただいております補正予算において、800億を超える金額を計上しているところでございます。
また、個々の企業の取組に加えて、システムとしても安定供給を組み込んでいくということで、供給確保医薬品制度とか、供給管理責任者の設置といった対応をしております。
また、先ほど委員からも薬価の下支えのお話がございましたが、流通におきましても、医療上の必要性の高いものについては別枠品とするようなガイドラインの改正も行うなど、総合的に対応に取り組んでおるところでございまして、まだまだ現場は厳しいのだという御指摘をしっかりと受け止めて、引き続き、業界と共に安定供給に取り組んでまいりたいと考えております。
○城山部会長
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
ありがとうございます。
ぜひ国としても具体的な時系列、目標年度を定めて取り組んでいただきたいと要望したいと思います。
以上でございます。
○城山部会長
ありがとうございました。
宮柱会長、お願いします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
製薬協の宮柱です。
少し追加コメントをさせてください。
江澤委員がおっしゃったとおり、国民皆保険をどのようにしていくか、国民の負担をどのように考えるか、そして、我々は研究開発型の企業ですので、革新的な医薬品を国民にどのように届けることができるのか、製薬企業としてもこのような複雑な議論に積極的に参画していきたいと考えています。
先ほど御質問の中にあった点で、1つだけコメントさせていただきます。
資料薬-2の3ページで市場拡大再算定の名称変更に触れられていたかと思いますが、既に申し上げているとおり、国民の負担を考えるに当たって、それを薬価だけで議論するものではないと考えております。
つまりは、名称の変更の反対だけではなく、市場拡大再算定の特例の中身そのものについての廃止を要望しているが、その合理性をもっと高めるような制度、そして、それに見合った名称にしていただきたいと考えておりますし、本日述べたような合理性のない市場拡大再算定や共連れのような制度は、イノベーションの評価を著しく損なっていると捉えております。
以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
各団体におかれましては、御説明いただき、ありがとうございました。
幾つか意見と質問をさせていただければと思います。
まず、資料薬-2の3ページ目についてです。
市場拡大再算定の特例の見直しについてですが、前提条件が変わらずに、特例の対象となるということは、市場で真に有用性が確認され、市場規模が拡大した医薬品だと考えております。
イノベーションの評価と国民皆保険維持とのバランスを考慮した検討が必要で、真に有用性のある医薬品については、適切にイノベーションを評価することが必要だと考えています。
一方、イノベーションが乏しくて、市場が縮小した側の薬剤については、適正化が必要ではないかと思いますが、これについて、業界側のお考えをお聞かせいただければと思います。これが1点目です。
2点目ですが、資料の5ページ目と10ページ目に、乖離率の考え方について言及がありました。
先ほど乖離率に基づく薬価制度の在り方を見直すべきだという御発言もありましたが、乖離率が縮小しているため、今後、安売りしなくても、平均乖離率を超えることが考えられるのではないかと思っております。
また、薬局・医療機関にとっては、管理コストや廃棄損コストを賄うためにも、一定の薬価差は必要ですが、現在の薬価差の中で管理コストを賄えない薬局も少なくない状況となっております。
そもそも4.8%の乖離率は、サプライチェーン全体の視点の中で果たしてどうなのか、薬局・医療機関にかかるコストを賄うための必要な薬価差とはどういうものなのか、過度な薬価差とはどういうものかということは、今後、一度整理していく必要があるのではないかと考えております。
それから、7ページ目についてですが、重要供給確保医薬品の見直しの趣旨に鑑みれば、B群も含めるべきという意見には賛同します。
その上で、医療上の必要性の観点からは、追加すべき医薬品については、A群、B群に限らず、適宜追加していくべきだと考えております。
また、資料にはありませんが、10月の中医協で示された薬価基準から削除する506品目がありました。
その中でお伺いしたいことですが、削除に向けた経過措置期間は、来年3月までとなっております。
経過措置期間については、流通状況などを踏まえて、延長が必要な場合、企業からの申出により、延長可能となっていますが、これまで延長されたものは、正直、そう多くはありません。
経過措置期間を過ぎると、使用できなくなったり、残った医薬品は、廃棄されるため、薬局・医療機関の負担となるとともに、医療資源の無駄にもつながっています。現状の供給不安の中では、医薬品供給への影響もあります。
経過措置期間に関しては、最終ロットの使用期限までにしていただきたいと現場では考えていますが、これに関して、企業側としてのお考えを教えていただければと思います。
次に、日本ジェネリック製薬協会様に質問なのですが、安定供給責任者会議に関して御説明がありましたので、ここは下げておきますが、資料薬-3の中で、後発医薬品の各種ルールを見直すに当たり、まずは大前提として、安定供給に貢献する企業が正しく評価される形にすべきと考えております。
その中で、質問になりますが、今回、AGの新規収載時に、先発品の薬価と同一とすると提案されていますが、これに関しての受け止めをお聞かせいただければと思います。
また、G1ルールの見直しなどで、長期収載品の適正化が進んで、後発品への置き換えが進んでいくことが考えられます。置き換えへの対応について、業界として各企業をどのようにリードしていくのか、支援することがあれば、お考えをお聞かせいただければと思います。
もう一点、先ほど薬価差の縮小の話がありましたが、今回の中では、平均乖離率を超えない品目を対象とすべきと記載されていますが、先ほどお話ししたように、いわゆる安売りしなくても、今後、超えてしまうことが起きてくるのではないかと思っていますが、そのことに関してどのように考えているか、お聞かせいただければと思います。
あと、4ページ目に、供給不安の解消の対策について、個々の企業だけではできないものに関しては、協会がしっかりと取り組むという意見表明がありましたので、ここはしっかりと取組をしていただきたいと思っております。
次に、日本バイオテク協議会様ですが、資料薬-5の中で、具体的な開示の評価方法について、何か業界としての考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
最後に、日本医薬品卸売業連合会ですが、薬-6の3ページ目です。
卸と一部の医療機関・薬局のグループの本部交渉・価格交渉の中で、単品単価交渉がされていない場合があるということで、66%が単品単価交渉を行っていないということでしょうか。ここは念のため、確認させていただければと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
4つの資料について御質問があったので、それぞれについて御担当のところからお願いしたいと思いますが、まず、資料薬-2について、3点ほど御質問があったかと思いますが、まず、安川会長からでよろしいでしょうか。
○安川日本製薬団体連合会会長
資料薬-2につきまして、1つ目が、市場が縮小した薬剤の取扱い。
2番目が、乖離率4.8%はどう思うか、あるいはそれを上回った薬剤でも、薬価調整をしないほうがいいのではないかという観点。
3つ目が、経過措置についての御質問だと理解しました。
1つ目ですが、一番考えられるケースは、まず、Aという薬剤が先に上市していて、その後、Bという薬剤が同じ適応について上市されたと。
Bのほうが明らかに効果がいい、あるいは安全性に改善が見られたなど、決定的な差があったような場合が一番典型的だと思っております。
この情報化の時代ですので、そういう明らかにBのほうがいいという情報が医師の先生方のところに行けば、自動的に速やかに市場は置き換えられ、薬Aは天寿を全うすると思っておりますので、自動的に市場からなくなっていくということで、何ら措置をする必要がないようなケースではないかと思っております。これは、たくさん弊社でも経験がございます。
もう一つは、例えば先行品のAという薬が適応1~3と持っていて、そのうちの適応1については、先ほど申し上げたようなことが起こったけれども、適応2・3については代替品もなく、患者さんを救うための唯一の手段であるような場合もあると思いますので、ケース・バイ・ケースで柔軟な対応をしていただくのが一番いいのではないかと考えます。
2つ目の御質問は、平均4.8%のところでございますが、自由取引下においては、償還価格である薬価が事実上取引価格の上限となるのが通常、時折、委員の方が発言されるけれども、企業が安売りをしていなくても、常に一定の価格差は生じる仕組みになっているのが今の慣行でございます。
森先生の御意見のとおり、平均乖離率がこれだけ縮小している状況において、製薬企業の立場以上に、医療機関・薬局、医療品卸のステークホルダーの皆様にとっては、平均乖離率を基準とした薬価見直し制度は、もはや限界に来ているのではないかということでは同感でございます。制度にとらわれず、実勢取引価格を基に引き下げることを前提とした現行の薬価改定ルールそのものを見直す時期ではないかと考えております。
3つ目、経過措置についての御質問ですが、これは厚労省の御指導に従うというのが業界の立場でございます。
○城山部会長
多分、量が多いので、まず、これについていかがでしょうか。
○森委員
ありがとうございました。
まず、最初のA、Bのところなのですが、Aが上市され、次にBが上市され、Bがすごく評価されて売れた場合、前提条件が変わらず評価されたときには、下げるのを考えてほしいということは、私もそのとおりだと思います。
一方、イノベーションが乏しく、Aのほうが売れなくなって、撤退していけばいいのですが、販売が続いている場合どうするかというと、ここはメリハリということを考えていかないと、他に評価をつけるのはなかなか難しいかなと思っており、真に評価されたものに関して、しっかりと考えていくべきではないかと考えます。
それから、経過措置は、先ほども言いましたが、もったいないと思うのです。
正直、使えるものを使わない、例えば安全上の問題で、回収とかがあって、経過措置が切れたものは別ですが、最終ロットの最終期限まで使わせていただければと思います。
特に今、これだけの供給不安がある中で、今回の削除する品目の中にも、例えば感染症の治療薬等も入っていましたが、そういうものに関しては、感染症患者は常に来るわけではありませんから、最後まで使わせていただきたいと思っております。
もう一つ、今、様々な新薬が開発されていて、1品目で複数の適応を持っていて、様々な部位の同一疾患への適応拡大がされている医薬品もあります。
そういうものを類似薬としてどう見ていくかが課題で、そこはしっかりと考えながら進めていくべきではないかと考えております。
以上です。
○城山部会長
今のは御意見ということで、よろしくお願いします。
続いて、薬-3ですか。
川俣会長、いかがでしょうか。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
今の薬価の経過措置期間の話でございまして、GE薬協としても、今後、かなり多くの品目の薬価削除願を申請する形になろうかと思います。
今までは、品目がさほど多くなかったということもありましたので、あまり先生方に御迷惑をおかけすることはなかったのだろうと思いますが、今回、上期で500、下期で恐らく1,000品目ぐらい薬価削除という形になるところでございますが、供給停止事前報告書を提出させていただいて、薬価削除願を出すまでの間は、確実に安定供給を続けなければならないわけです。
その後、経過措置期間に入る期間が短いということで、医療機関様における在庫が無駄になってしまうという状況の中で、これまで我々としては、薬価削除願を出す前に、少し生産を絞っていたり、そういうケースが認められたということでございますので、今後においては、薬価削除願を出すまでは着実に安定供給を行って、経過措置期間に入った時点で供給は停止。停止はするのだけれども、市場の流通品については保険適用できますよという環境に置いていただくのが、限りある資源をより有効に活用できる方法だと思いますので、御検討のほど、よろしくお願いしたいと思うところです。
また、4.8%の平均乖離率を超えるか、超えないかというところでございます。
現在も逆ざやの問題で、一部御迷惑をおかけしているようなものがあるわけですが、4.8%以内で価格コントロールするのは、我々としても非常に苦労するところですし、医療機関の先生方においても必要な経費があろうかと思いますので、そのはざまで我々が苦労して、また、卸連の方々にも御迷惑をおかけしながら、安定供給に努めてまいるところでございますので、不採算品再算定の適用ルールについては、一定の御配慮をいただきたい。全体の平均乖離率と、長期収載品やジェネリック、後発医薬品の平均乖離率とまた違うところにありますので、その辺りも見ていただいた対応をしていただければと考えているところです。
これでよろしいでしょうか。
○城山部会長
最初の御質問に、もうちょっと個別のものが幾つかありましたか。
御確認いただければと思います。
○森委員
AGの質問になります。
AGと価格が同じになることに関しての受け止めをお願いいたします。
○安川日本製薬団体連合会会長
オーソライズドジェネリックの価格についての御質問だと思っておりますが、物量で言いますと、20%ぐらい。
ジェネリックが80%として、そのぐらいの物量がありまして、適応あるいは薬剤によっては、もっと高い市場占有率があると理解しておりますので、価格等を調整する場合には、何らかの経過措置がないと、安定供給、急にどちらかが売れなくなって、どちらかがカバーしなければいけないというのは、時間のかかる話でございますので、ルールの変更をするなら、時間を十分に取ってしていただきたいと考えております。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
そうしますと、先発医薬品メーカーからすると、市場を明け渡すことの一つとして、価格が同じになることに関しては、特に何もないということですが、そうなったときに、AGよりも後発品の使用が進むことが考えられ、安定供給の体制をしっかりと取っていただきたいと思います。これが1点。
それから、先ほどの平均乖離率のところですが、安売りをしていて、不採算品再算定を申請するのはあってはいけないことだと思いますが、これだけ乖離率が縮小された中で、意図せず超えてしまうときに、不採算品再算定を申請できないことが起こるのではないかと心配しています。
定価があれば、販売価格と差は出るものです。定価が薬価ですので、薬価で医療機関・薬局に入ってきたときに、管理コストも、廃棄損耗コストも出ません。
物を動かす、管理するということは、一定のコストがかかりますので、そこは一定のコストがある中で、今、4.8%という乖離率が、サプライチェーン全体としてどうなのかということは考えていかなければいけないのではないかと思います。
○城山部会長
今の点はよろしいですか。
そうしましたら、続いて、資料薬-5についても御質問があったかと思いますので、いかがでしょうか。
○関日本バイオテク協議会理事
資料薬-5は、日本バイオテク協議会でよろしいでしょうか。
○城山部会長
森委員、バイオテク協議会に対しても何かございましたね。
○関日本バイオテク協議会理事
日本バイオテク協議会の関でございます。
御質問ありがとうございました。
開示度の評価方法については、独立企業間の取引分を除外して算出する方法が考えられると考えております。
特に海外企業と我々国内企業の独立した企業同士の取引の場合、開示が困難な場合が多いため、これを除いて開示度を算出いただくことが考えられます。
独立企業間以外の取引については、基本的に企業努力で開示できるという前提に立った考え方でございます。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
努力して開示度を向上するという中で、なかなか難しいことかもしれませんが、次々改定に向けて、ここはしっかりと現状を見ながら検討していくべきだと考えています。
以上です。
○城山部会長
そうしましたら、最後に薬-6ですね。
いかがでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
卸連の宮田でございます。
御質問ありがとうございます。
3ページの資料は、令和6年9月末時点での取引を対象に厚生労働省のほうで調査していただきまして、流通改善ガイドラインの実効性を高めるために、価格交渉の在り方、形態は、今どういう形態があるのか、実態を調べる目的で行っていただいた調査結果でございます。
39回の流改懇でも、この資料が厚生労働省から出されて、議論されているのですが、御指摘があるように、2のグループ、あるいは本部一括の交渉をしているようなケースにおいては、34%が単品単価交渉で、66%が単品単価交渉になっていないという御指摘のとおりでございます。
進んでいないわけでございますので、これは継続的に調査しながら、流通改善ガイドラインの遵守の相互理解を深めていくことが非常に重要であると考えておりますので、ぜひ御協力をよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
ということは、これは、そういう医療機関と薬局のグループから総価での交渉を求められているということでよろしいですか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
実態として総価交渉になっているということです。
ベンチマーク、あるいはコンサルタントが入った部分や、価格交渉を代行する業者の交渉が入っているということでございます。
○城山部会長
森委員。
○森委員
ありがとうございます。
先ほど流通当事者間というお話がありましたが、求められても、受けるかどうかは、卸が毅然とした態度で、ぜひこれをやってほしいと思います。
私も流改懇の委員を十何年やっていましたが、この問題はずっと続いています。求めるほうが悪いのか、受けるほうが悪いのかということがずっと問題になっているところなので、しっかりと取組をしていただきたいと思います。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
御指摘を真摯に受け止めて、しっかりと取り組んでまいります。
ただ、乖離率が圧縮してきている現況では、流通改善ガイドラインが、少しずつではございますが、浸透してきているのかなという実感を持っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
1点だけ気になったところは、薬-6の6ページ目を見ていただいて、逆ざやのところなのですが、この中で、特に低薬価品ということもあったのですが「1000円以上10万円未満」の品目が結構あります。
これは、高価な薬の中で逆ざやが出てきてしまっているということなので、今日、この場でお答えできないとおもいます。これは製薬企業の問題もあるかと思うのですが、なぜこういうところで逆ざやが出てきているのか。
例えば10万円の薬が1錠残ってしまったら、大変なことになると思います。
今、一般的な薬局の月の最終的な収益は、税抜きで12~13万です。2錠残ったらマイナスということになりますので、こういうことがなぜ起きているのか。
低薬価品がいいというわけではありませんが、ここは、こういうことがないような形で、サプライチェーン全体でしっかりと考えていかなければいけないと思います。
以上です。
○城山部会長
問題提起ということでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
ありがとうございます。
詳細については、資料がございませんので、確認させていただきます。
ありがとうございます。
○城山部会長
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
協会の方々、御説明をどうもありがとうございました。
2号側からたくさん質問が出ましたので、私からは質問1件とコメント1件です。
私からの質問は、薬-6に関してです。
薬価調査の結果を見ますと、速報値の内訳で、令和7年度薬価改定で最低薬価を3%引き上げたにもかかわらず、最低薬価品目の乖離率が7.3%ということで、値引きをしても、下支えによって薬価が戻ることで、こうした事態が生じているのではないかと思わざるを得ません。
8ページに示されておりますが、これまでも流通ガイドラインを踏まえ、適切な価格形成に取り組まれていたと思いますが、その結果、会員企業の動きにどのような影響があったのか、教えていただきたいのが一つと、8ページの2にありますが「流通改善ガイドラインの実効性のある改訂」とは、具体的にどんなことを示されておるのか、教えてほしいというのが質問です。
あと、コメントでございますが、複数の委員の方から、薬価の平均乖離率が縮小しているので、薬価差をさも是認するかのような発言が出ておりますが、そもそも調整幅が、そういった管理コストを考えた上で認められていることは御承知かと思います。
また、こうした過度な薬価差については、4大臣合意の中で、国民に還元するという政府方針が示されております。
それに従って薬価改定、さらには、中間年改定も行われていることを忘れずにいただきたいとコメントしておきます。
私からは以上です。
○城山部会長
それでは、最初の御質問の部分について、いかがでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
御質問ありがとうございます。
背景から少しお話しさせていただきますが、現在の価格交渉の在り方は、先ほど森先生からも御質問がございましたが、現在、医療機関・保険薬局も経営が相当厳しい中で、まさしく先ほど江澤先生からお話があったように、我々医薬品卸だけが需給調整で大変な思いではなくて、医療機関や保険薬局も、そういったことで大変時間、労力がかかっている中で、価格交渉の在り方の中に、3ページに示させていただいていますように、ベンチマーク、あるいはコンサルタントを使った一括交渉とかがあるわけです。
価格交渉をやる前提として、前年度の加重ベースを基本としてスタートすることが、一般的な商習慣としてまだまだ続いているわけでございます。
そういう中で、医薬品卸も当然、需給調整、あるいは業務負荷がある中で、別枠品、あるいは新創品もそうですが、そういったものについて、現場では、担当のMSも含めて除外交渉を一生懸命にやっております。
ただし、そういう中でも、前年の加重がまだまだベースになっているということで、先ほども意見陳述の中でお話しさせていただいていますが、総価交渉の取引がまだまだ残っているということでございます。
先ほど森先生から厳しい御指摘がございましたが、ここについては、相互の理解の下、解消していかなくてはいけないのですが、今、松本先生から御指摘があった最低薬価品目を上げていただいたのに、また下がっているではないか、価格調整に使われているのではないかというような御質問ではないかと思いますが、実態として、2023年度が12.4%、昨年度が12.1%、今回は7.3%ということで、こういう価格交渉の実態がある中でも平均乖離率を超えてしまっていますが、前年度の加重を併せ持った中では、圧縮というか、改善の方向に向かっていることと、後発品についても、9.4%が8.7%ということで、使用量が増えている中で、改善の方向に向かっているということは御理解いただきたい。
そういう中で、流通改善ガイドラインの実効性を高めるということで、今、未妥結減算制度の中で、価格妥結をした報告書を保険薬局・200床以上の医療機関が出すのですが、その報告書と、医薬品卸側の参考資料という形で、同じ設問項目を得意先にお持ちして、そういった価格交渉の在り方や流通改善の実効性を高めるための項目が書かれているものをMS、営業担当者と現場が突き合わせて、流通改善ガイドラインをちゃんと進めるために、相互の理解を深めるコミュニケーションの機会をつくっていただいているということです。
今年初めてスタートしていますが、まだまだ認識が薄いところはございますが、そういうところをしっかりと進めることによって、先ほどの総価取引、あるいは返品の在り方とか、いろいろなことで流通上の問題を提起しておりますので、そういった中で、今回の全体の平均乖離率の4.8%よりも高い値引き率にはなってしまっておりますが、そういう状況であるということは御理解していただきたいということでございます。
以上でございます。
○城山部会長
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
ありがとうございました。
個々のケースなり、御尽力されていることは承知いたしますが、我々は細かい交渉の状況を存じ上げているわけではございませんので、数字がベースになってしまいますので、厳しい言い方になることも御理解いただきたいということでございます。
それと、流通改善ガイドラインの改訂はいいのですが、先般指摘しましたが、流通改善ガイドラインを知らない方が関係者で5割もいらっしゃるということですので、ここに「周知」とありますが、これは1号側に厳しくなりますが、皆さん方もその一員だと思っておりますので、それについては十分に御理解いただきたいと思います。
ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
日本ジェネリック製薬協会様にお伺いしたいと思います。
令和6年度に不採算品再算定が適用されました品目について、幾つか個別事例として、企業別の供給量をお示しいただき、ありがとうございます。
一つお伺いしたいのですが、10ページのケースなのですが、この場合、Eの企業様は、適用したにもかかわらず、0になっているということで、最終的に供給停止ということで、市場から撤退したかと思います。市場から撤退する予定の品目や、加えて、数量シェアが極端に低い品目の不採算品再算定の適用については、慎重にならざるを得ないと考えております。
この表なのですが、例えば全部まだ限定出荷の領域で、通常出荷になっていないと。
私たちが一番見たいのは、限定出荷、通常出荷はゴールではなくて、需要に対してどれだけ満ちていくのかというところを最終的に見たいのですが、そういった表というか、そういったものはあまり出てきていないという印象の中で、去たん剤のこの項目に限って言えば、今後、どのような動きになっていくのか、興味のあるところなのです。
例えばAの企業様は44.1%のシェアを持っていますが、AとBの企業様のシェアをどんどん伸ばしていくことによって、通常出荷に持っていこうとされていくのかという見方で合っているのかどうか。1点はそこです。何か御意見があれば、お聞かせいただきたい。
もう一点は、価格帯集約において、企業指標の活用が事務局案として示されているかと思います。
現在、テストというか、言葉は忘れましたが、適用前の、企業指標公表前のテスト期間だと理解しております。
来年度は、いよいよ企業指標、個別企業の評価結果の公表が必要と考えておりますが、その点については、十分に準備ができているという理解でよろしいかどうか。
その2点をお伺いしたいと思います。
○城山部会長
それでは、川俣会長、お願いします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
不採算品再算定を適用いただいた品目の増産・減産、残念ながらやめざるを得ないと判断したものについて、それぞれの理由があろうかと思います。
自分たちの利益の追求のためだけにやめるということではなくて、このメーカーの調達をしていた原薬の供給が停止されてしまって、新しいところに切り替えることができないという判断でやめざるを得なくなったケースもあったように聞いております。
また、適用された後に、価格が非常に膠着して、より薬価差益があるほうに流れていくというような市場動向もありますので、意図せず流れてきてしまって、増産はしているのだけれども、まだ限定出荷が解除できていないというような悩みの状況にありまして、これを私ども協会の中では、安定供給責任者会議を立ち上げまして、そこの中で情報共有をしていこうと。君たちがどれだけ増産できるのかという情報を理解した上で、また、やめざるを得ないと判断された方々の情報で、どのぐらいの期間、どのぐらいの量をやめるのかということも共有した上で、先生方に御迷惑をおかけしないような対策で取り組もうと思っているところでございます。
よろしいでしょうか。
また、企業指標につきましては、既に我々は今、A区分なのか、B区分なのか、C区分なのかということ自体は理解しております。
来年度以降、これが公表されることになったとしても、それによって、我々が何か対応を変えることはないだろうと思っています。
ただ、B区分やC区分の人たちの供給を真摯にされているメーカーさんのものが、B区分だからよくないということで、A区分に流れてくるということになりますと、また需給バランスが崩れるということもありますので、その辺りは、我々としても需要予測を十分にやった上で、増産対応できるような余力があることが望まれると考えております。
ありがとうございます。
○城山部会長
鳥潟委員、よろしいでしょうか。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
今の御説明で理解はしたつもりでございます。
引き続き、企業間の調整をお願いしたいと思っております。
1点だけ。
例えば今回、10ページの表で、Eの企業様は、この薬に対しては供給停止になったわけですが、ほかのまだ供給が満ちていないところに調整いただいているというような理解でよろしいと思います。
ありがとうございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
永井委員、お願いします。
○永井委員
御説明ありがとうございました。
患者が必要とする医薬品・医療機器へのアクセスの確保の観点から、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、創薬イノベーションの推進は重要と考えますので、革新的医薬品の評価などについては、資料薬-1の7ページの「総括」にありますとおり、米国の動向なども鑑みながら、適時検討し、対応することが必要と考えます。
また、流通改善ガイドラインについて、質問をしようと考えていたのですが、他の委員から質問等ありましたので意見のみ申し上げます。医薬品の安定供給確保に向けて、流通の改善は重要であり、資料薬-6の5ページ、6ページに、薬価帯別の出荷調整状況や、薬局における薬価を上回る購入状況の例などをお示しいただいているとおり、低価格品の下支えは重要と認識しております。
資料薬-6の8ページに御意見があります「流通改善ガイドラインの実効性のある改訂と周知」に関しましても、さらに周知いただき、実効性を高めていただきたいと考えております。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょう。
どうぞ。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
すみません。
先ほど森先生から、1万円以上10万円の商品はどんなものがあるのかということでございますが、例えばオプスミット錠、あるいはオムジャラ錠。
10万円以上50万円以下でそのようになっているのは、ヌーカラの皮下注がそういう状態にあるということでございます。
ペン製剤とか錠剤内服よりも、注射剤のほうが多いのかなと。自己注射の関係のものがそういう状況になっているようでございます。
以上です。
○城山部会長
よろしいですか。
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
その問題で1点だけ。
先生から厳しいと言われてしまったので、何でこだわっているかというと、総価で取引をすることになると、どの薬も例えば10%引きになってきます。
そうなると、仕切り価を適切に設定していても、結局、安く売られてしまう。それで予期せぬ薬価の下落が起きます。そうなると、最終的には安定供給に支障を来すことになって国民が困る。この構図を何とかしようと、流通改善に取り組んできたのに、いまだに総価取引が続いている。
これは何とかしなければいけないという思いで、ふだんは優しいのですが、厳しく言いました。
○城山部会長
よろしいでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
ありがとうございます。
○城山部会長
ほかはいかがでしょうか。
奥田委員、よろしくお願いします。
○奥田委員
ありがとうございます。
私からは、簡単にコメントだけ申し上げたいと思います。
既に複数の委員の方々から質問、意見が出ていましたが、薬-2の3ページの市場拡大再算定の特例の名称変更の件について、国民皆保険の維持のための対応という趣旨は十分に理解しておるのですが、販売額が大きく拡大するということは、医療現場において、その医薬品の価値が認められているということでもありますので、「国民負担軽減価格調整」という名称案のニュアンスは、若干異なるような感じがしました。
今回の名称変更は、うまく趣旨が示されているかどうか、定かではないという印象を受けたという点だけコメントしておきたいと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
1点だけ御質問です。
今、AGについて、価格設定をどうするかという議論がある中で、今後、AGの開発とか生産について、もし全体的な見通しが分かれば、教えていただければと思います。
○城山部会長
どなたからでしょうか。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
すみません。
どういう趣旨でございましょう。
○江澤委員
例えば今、AGの価格設定の議論については、後発品、あるいはバイオであれば、シミラー製品をどう促進するかという観点もありつつ、その上で、先発品とAGの価格設定をどうするかという議論があるのは御周知のことかと思いますが、今後、AGの生産が増えて、どんどん拡大していくのか、あるいは場合によっては、今後、そんなに生産は増えずに、収束していくものなのか、あるいは今後、新規に開発が検討されているのか、その辺について、見通しについてお伺いしたいということであります。
○城山部会長
よろしくお願いします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
今、AGの薬価上の取扱いについて御提言いただいているところであると理解しているのですが、取扱いの状況によって、AGの存在意義も含めて、大きく変わってくるものと思います。
恐らく、オーソライズドジェネリック自体をジェネリック医薬品(後発医薬品)として認知しない形になりますと、AGの製造数量はほぼゼロになってしまうと思います。
もちろん、我々通常のジェネリック医薬品の製造企業としては、その市場を見込んだ上での生産計画を立てますので、新規品におきましては、発売するときに、どのぐらいの在庫量を持った上で発売に踏み切るのかという計算をする中で、AGがある場合とない場合は、計算がそもそも違うのです。
AGがないから、自分たちは市場の20%、この会社は15%取れるだろうという計算をする中で、AGがなかったからといって、安定供給ができないということはないと思います。
ただ、現状、例えばAGが市場の50%ぐらいを占めていて、残りの30%が通常ジェネリックですというときに、AGが急になくなってしまいますと、その分を通常ジェネリックでカバーできるのかという問題が出てくると思いますので、その辺りについては、きちんと時間を追った形の対応が必要だと、安川会長からもお願いしたところでございます。
○城山部会長
よろしいでしょうか。
○江澤委員
理解いたしました。
ありがとうございます。
○城山部会長
ほかはよろしいでしょうか。
そうしましたら、ほぼ御意見、御質問も出尽くしたということかと思いますので、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきます。
今後、事務局において、今日いただいた御意見も踏まえ、御対応いただくようにお願いいたします。
本日の議題は、以上であります。
次回の日程については、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の「薬価専門部会」はこれにて閉会とします。
どうもありがとうございました。
ただいまより第243回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は全員が御出席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。
(カメラ退室)
○城山部会長
よろしいですか。
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体として、日本製薬団体連合会。
日本ジェネリック製薬協会。
日本製薬工業協会。
米国研究製薬工業協会。
欧州製薬団体連合会。
再生医療イノベーションフォーラム。
日本バイオシミラー協議会。
日本バイオテク協議会。
日本医薬品卸売業連合会より意見を聴取するため「意見陳述者一覧」に記載の皆様に御出席いただいております。
まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑を行いたいと思います。
関係団体の皆様は、最初に自己紹介をしていただいた上で、時間厳守でプレゼンテーションをお願いいたします。円滑な議事進行に御協力ください。
それでは、まず、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会及び日本ジェネリック製薬協会よりお願いいたします。
よろしくお願いします。
○安川日本製薬団体連合会会長
おはようございます。
日本製薬団体連合会の会長を務めております、アステラス製薬の安川でございます。
本日は、意見陳述の時間をいただきまして、ありがとうございます。
今、議長から御紹介があったように、まず、日本製薬工業協会、PhRMA、EFPIAの3団体から企業の開発動向の変化などについて説明いたします。
その後、私から令和8年度薬価制度改革の論点整理案を踏まえて、業界の意見を述べさせていただきます。
最後に、ジェネリック協会の川俣会長より意見を述べる予定でございます。
それでは、3団体、順にお願いいたします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
皆様、おはようございます。
日本製薬工業協会の宮柱でございます。
本日は、3団体を代表して、2024年度薬価制度改革が企業の開発動向に与えた影響の総括として、本年7月の意見陳述以降の状況を御説明いたします。
資料薬-1の2ページ目をお願いします。
調査概要となります。
2024年度薬価制度改革による企業の開発動向の変化を探るため、これまで計3回にわたり調査を実施してまいりました。
第2回、第3回調査では、個別の製品開発に関するエピソードに絞って調査を行っております。
3枚目です。
本年7月の中医協にて報告した資料の再掲となります。
前回、6月の調査時点で、青枠で囲んでおりますⅣ、Ⅴ、合計43の製品が、薬価制度改革を受けて開発が促進されたことが確認されており、今回も前回報告と同様に、特にPMDA相談、あるいは治験着手に至った製品数等について、具体的に御紹介させていただきます。
スライド4です。
第1回調査では、制度改革実行当初の調査であったことから、PMDA相談、あるいは治験着手にまで至った製品は確認できませんでしたが、今回の第3回調査では、PMDA相談が31製品、治験着手が20製品、合計51製品まで増加したことが確認されました。
2024年度薬価制度改革を受けて、国内開発を加速させる動きが見られており、社内での国内開発の意思決定後、当局へのアクションへ進む製品が増えていることが確認されております。
スライド5枚目になります。
続きまして、それら事例の概要をお示ししております。
今回の調査では、ドラッグ・ラグ改善につながる開発・申請予定時期の前倒しの実施が合計23製品、また小児開発の新たな実施、新たな成分・適応症開発の実施がそれぞれ16製品、12製品確認することができました。
スライド6枚目です。
では、何が国内開発の前向きな行動変容を後押ししたかについて、御説明いたします。
後押しとなった薬価制度改革の要素として挙げられた主な項目は、特に迅速導入加算の導入、小児開発に対する評価の充実となります。
本アンケート結果から、2024年度のイノベーション評価の拡充を行った薬価制度改革により、国内開発にポジティブな影響が生じたことが確実に見てとれると考えております。
なお、今後は、2024年度薬価制度改革単独での影響を検証することは難しくなってくるものと想定しております。
スライド7枚目「総括」となります。
計3回の調査結果を通じて、2024年度薬価制度改革が国内の開発・申請予定時期の前倒し、小児・新たな成分・適応症にわたる新規開発へ確かな前向きの変化を生み出したことが改めて確認されました。
この流れを止めることなく、日本の患者さんにより早く、より多くの治療の選択肢を届けるため、私たち製薬企業は全力で医薬品開発・上市に取り組んでおりますが、現在、世界の製薬産業は大きな環境変化が起きています。
それは、米国での最恵国待遇価格政策の発動です。
これにより、日本における新薬開発や上市の判断に直接的な影響を及ぼしつつあります。
今、まさに日本がイノベーションの評価に当たり、いかなる薬価制度、方針を示すのか、各国及び世界の関係者が注目しています。
ドラッグ・ロスをこれ以上拡大しないために、革新的医薬品の価値を正しく評価すること、つまり、革新的医薬品の特許期間中の薬価維持、そして、そもそも合理性を欠く市場拡大再算定の共連れは廃止いただくよう、強く要望いたします。
また、国際情勢を鑑みて、特許期間中の薬価維持のさらなる充実の観点より、次々期薬価制度改革を待たず、期中での機動的な対応を強く要望します。
続いて、PhRMA、EFPIAから意見を述べさせていただきます。
○傳米国研究製薬工業協会在日執行委員会委員
私、PhRMAの傳より、米国の最恵国待遇価格について、以後「MFN」という表現にてコメントさせていただきます。
スライド資料の8ページ目を御覧ください。
MFN政策に関する日本国内での開発や上市への影響を確認するため、PhRMAでは、日本国内の会員企業に対しまして、継続的な調査を行っております。
本日は、先月末に実施しました結果を9月と比較した形で御報告させていただきます。
資料左側の円グラフを御覧ください。
MFNへの対応について、グローバル本社と議論を開始したと回答した企業は、9月と比べますと増加傾向にあります。
最新の調査では、14社中10社まで上がっております。
また、左下にございますように、既にそのうち6社において、米国への価格の波及を懸念しまして、グローバル本社から日本における価格の見直しを求められている状況です。
資料右側に、グローバル本社との議論の具体的な内容を示しております。
MFNの影響により、日本国内での目標価格の引上げが求められているほか、目標価格を下回る場合には、日本国内での薬価収載を見送ることを含めた検討、あるいは、既に日本国内での薬価収載を遅らせる判断等が行われている企業があることが分かってきております。
結語になります。
このように、米国でのMFNの動きが、日本国内での新薬上市にネガティブな影響を与え始めていること、また、そうした影響の懸念が大きくなっていることを御理解いただき、特許期間中の製品の薬価がさらに引き下がるような改革が起こることのないよう、改めて強くお願い申し上げます。
私からは以上となります。
続きまして、EFPIAからのコメントを申し上げます。
○菊池欧州製薬団体連合会理事
EFPIAの菊池でございます。
本日は発言の機会をいただき、誠にありがとうございます。
スライドを1枚送っていただけますでしょうか。
PhRMAからお話がありましたように、革新的な医薬品に関わる各国の費用負担の公平性という課題がアメリカから提起されております。
加えて、ヨーロッパ各国でも、日本と同様に、医薬品アクセスの向上と、制度の持続性の両立という大きな課題に向き合っております。
こういった背景から、このスライドにお示ししましたフランスのみならず、諸外国におきまして、薬価制度を含む医薬品関連の制度の見直しに向けた動きが進んでおります。
このような環境変化の下、日本の患者さんにより迅速に革新的医薬品を届け続ける環境を整備するためには、2024年薬価制度改革におけるイノベーションのさらなる推進の動きを止めないことが重要と考えております。
一方で、12月3日の論点整理に示されました外国平均価格調整の見直しにつきましては、他国も制度等を検討している中、日本が先んじて見直しをするのではなく、他国の動向も確認しつつ、慎重に検討するべきと考えております。
そして、イノベーションの適切な評価の論点として御提案いただいておりますように、これらの国際的な背景を踏まえ、機動的な対応が可能となるよう、引き続きの御検討をよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
ありがとうございました。
○安川日本製薬団体連合会会長
引き続きまして、私から各団体を代表いたしまして、令和8年度薬価制度改革に対する業界の意見を述べさせていただきます。
スライドの2ページ目をお願いいたします。
これまでの陳述でも申し上げてきたとおり、革新的新薬や医療上の必要性の高い医薬品を継続的に日本の患者さんに届けるためには、昨今の米国における政策等の影響を踏まえつつ、インフレ経済下における物価・賃金上昇などを機動的に薬価へ反映するなど、薬価上の措置を行う必要があります。これは、我々製薬企業や医薬品を取り扱う各ステークホルダーだけではなく、国民が最先端の医療を受けられるようにするためにも、非常に重要な対策であります。
長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却の推進、及び薬価改定においてメリハリを強化することについては、私ども製薬企業も十分に理解しておりますが、これはイノベーションの推進や安定供給の確保に関する対策とセットで実施されるべきであります。これは、中医協の議論においても、委員の先生から御意見をいただいていると記憶しております。
しかしながら、先日示された論点整理案では、長期収載品の薬価引下げの見直しに関わる内容が多く、特にイノベーションの推進とバランスが取れていないように見受けられます。
特に市場拡大再算定の特例の名称変更は、国民皆保険維持のためとの説明がありましたが、そもそもなすべきことは、国民の幸福度を最大化することであり、現制度を維持することではございません。
制定から64年以上が経過した現代の制度には、種々無理が生じているということを様々な場面で御説明申し上げてまいりました。現行の国民皆保険制度を維持するために名称を変更するという案には断固反対いたします。
次のスライドをお願いいたします。
先ほど理由を述べたとおり、特例拡大再算定は廃止すべきです。
現行の国民皆保険を維持するために、名称を変更して、特例再算定を継続し、特定の品目の薬価を大きく引き下げるのは、全く筋の違う方法論であり、改めて断固反対いたします。
再算定による薬価引下げは、臨床現場で高い評価をいただいたイノベーティブな新薬の価値を引き下げるということであり、企業にとっては、単年度の影響にとどまらず、その後享受することが見込まれていた利益を失い、新薬開発への投資のための原資を大幅に損なうことにほかなりません。
そうなれば、最終的には、日本において国民が最先端の医療を受けられなくなるという悲惨な状況を生み出しかねないことを御理解いただきたい。
国民皆保険の維持は、薬価制度の見直しや、企業努力だけでかなうものではありません。国民一人一人が制度への理解を深め、現状の制度が抱える問題に対する認識を高めていただくことが必要であり、その上で、国民の意見を取り入れた議論を行うべきであります。そのような活動をぜひ国に主導していただきたいと思います。
その上で、創薬イノベーションとの両立を図りつつ、価格調整以外の手法も含めた対策案について、製薬企業も当事者として参画し、中医協の枠にとらわれることなく、議論することが必須だと思います。
次のスライドをお願いします。
そもそも日本の薬価制度では、市場実勢価格に基づく個別評価が原則とされているにもかかわらず、効能の一部が再算定の対象品と重複しているという理由だけで類似品とみなし、他の製品に適用された引下げ率を用いて薬価を引き下げる再算定の共連れは、制度の趣旨や公平性の観点から、合理性に欠けております。
加えて、薬価を引き下げられるタイミングが、外的要因である他社の売上状況に依存するため、自社での予測が難しく、事業の予見性を著しく損なう要因となっており、廃止すべきです。
今般、特許期間中の革新的な新薬の薬価が維持されることをより分かりやすくするという目的で、新薬創出加算の見直しを御提案いただいているにもかかわらず、外的要因により発生する不合理な引下げである共連れを継続することは、適切な対応ではないと思っております。
次のページをお願いします。
5ページ目は「新薬創出等加算の見直しについて」でございます。
見直し案では、革新的新薬の創出、ドラッグ・ラグ/ロスの解消を促進するため、新薬の市場実勢価格に基づく薬価改定を猶予するという制度の位置づけが示されています。
また、市場全体の平均乖離率は、既に4.8%にまで縮小が進んでおります。
医薬品の取引の中から、流通コストや医療機関の経営原資に充てられている現状を踏まえると、一般的に考えても限界に近い状況であり、乖離率を基に薬価を見直すという仕組みそのものを見直す時期なのではないかと考えております。
これらの現状に鑑みれば、現状、平均乖離率を超える品目であっても、要件を満たした品目は原則対象とし、薬価を維持すべきと考えます。
次のスライドをお願いします。
続きまして「外国平均価格調整の見直しについて」です。
冒頭、海外製薬団体からもお話しいただきましたが、米国で進む最恵国待遇(MFN)価格政策については、今まさに日本がいかなる制度・方針を示すのか、各国及び世界の関係者が注視しております。
このような国際情勢を踏まえれば、直ちに見直しを実施する状況にはなく、時期については慎重に判断すべきと考えます。
次のスライドをお願いします。
7ページは、いわゆるG1/G2ルールの見直しについてです。
示されたとおりの見直しが実施されれば、長期収載品の薬価は大幅に引き下がることになります。
G1ルールでは、最終的に長期収載品と後発品が同薬価になるため、ルール見直しの際は、医療上の必要性、安定供給を確保する観点から、適切な配慮について併せて検討すべきと考えます。
長期収載品から後発品に速やかに道を譲るために、G1撤退ルールについては、例えば置き換え率が80%を超えた時点で、原則撤退を認めるなど、思い切った見直しを行う必要があると考えております。
続きまして、スライド8~10にかけては、薬価の下支え制度について意見を述べておりますが、これまで陳述で述べてきたとおりですので、詳細は割愛させていただきます。
本日は、1点のみ改めて申し上げます。
現在の継続する物価・賃金上昇等の影響を最も受けているのは、これらに該当するような医薬品です。今回の薬価改定においても、安定供給確保のため、適切に薬価へ反映するよう、柔軟な対応をお願いいたします。
スライド11以降には、今申し上げた以外の対応の方向性案について、個別に意見を記載しておりますので、併せて御確認ください。
私からは以上でございます。
続けて、川俣会長よりお願いいたします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
日本ジェネリック製薬協会会長の川俣でございます。
本日は陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
資料の2ページ目を御覧ください。
不採算品再算定の適用をいただいた品目について、これまで全体の供給状況ですとか、供給量について御説明してまいりましたが、より詳細な分析をいたしましたので、御報告申し上げます。
スライド左側にお示ししました表は「先発品」「長期収載品」「後発医薬品」「その他医薬品」といった薬剤区分ごとの供給量の増減と適用品目数でございます。
供給量をグラフ化しますと、右側のとおりとなります。
これにより、適用品目数は「その他医薬品」が最も多いわけですが、供給量については「後発医薬品」の増加が最も多いことが確認されております。
3ページ目を御覧ください。
個別品目ごとの分析事例としては、抗菌薬(注射剤)の一例をお示ししております。
供給量については、2023年度は少し落ち込むものの、2024年度には供給量が回復しており、直近では全品目が通常出荷となっております。
本日は時間の都合上、Appendix資料に企業ごとの分析や、出荷対応状況の集計結果を載せておりますので、御参照いただければと思います。
4ページ目を御覧ください。
不採算品再算定の適用をいただきました企業は、医療需要の動向を見極めながら、必要と考える品目の供給量を増やし、供給状況の改善に努めてまいりました。
例としてお示ししました品目のように、供給量を増やし、供給不安を解消できた品目もある一方、供給量を増やしても限定出荷を解除できない品目や、需要と供給のバランスが取れて、通常出荷に落ち着いたような品目もございます。供給量の増加と供給不安の解消は、必ずしも一致するものではないということでございます。
供給不安を解消できていない品目につきましては、日本ジェネリック製薬協会の中に新たに設置いたしました「安定供給責任者会議」において分析を行いまして、効果的な供給不安解消策を検討し、着実に実行してまいるところでございます。
5ページ目を御覧ください。
ここからは、令和8年度の薬価改定について示された対応の方向性に関する意見を申し上げます。
「後発医薬品の価格帯集約」につきましては、品目ごとの改定とする方向性に賛同するとともに、この対応について感謝申し上げるところでございます。
企業指標の活用は、供給不安の解消に向けて努めている企業が、今後も継続して安定供給体制を強化していくことを後押しするものであり、国民に安定的に医薬品を供給し続けることにつながるものと考えております。
なお、収載6年以降も、安定供給に資する品目については、適正な価格改定を受けられるよう、引き続き御検討をお願い申し上げるものです。
6ページ目を御覧ください。
「薬価の下支え」についてです。
基礎的医薬品につきましては、令和6年度及び令和7年度に不採算品再算定を受けた品目はもちろん、重要供給確保医薬品も対象にしていただくべきと考えております。
不採算品再算定につきましては、医療上の必要性の高い医薬品の安定供給を確保するために、必要なコストが適切に薬価に反映され、安定供給に尽力する企業が下支えを受けることができるよう、見直しをお願いいたします。
最低薬価につきましても、物価上昇を踏まえた見直しの継続とか、新たな剤形の設定についても御対応いただければと考えております。
後発医薬品メーカーは、企業間の連携・協力を通じまして、品目数の適正化を進めております。生産効率をさらに向上させるとともに、品質の確保された医薬品の安定供給の実現と情報発信に努めてまいります。
私からは以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
それでは、次に、再生医療イノベーションフォーラムよりお願いいたします。
○廣瀬再生医療イノベーションフォーラム副会長
再生医療イノベーションフォーラム理事副会長の廣瀬でございます。
本日は、意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
2ページを御覧ください。
現在、令和8年度薬価改定に向けて、論点整理をいただいているところですが、再生医療等製品に対する市場拡大再算定の適用につきましては、その特徴を踏まえつつ、令和10年度の制度改革に向けて、引き続き御議論いただくとされており、当団体といたしましても、継続した議論に協力させていただきたいと考えております。
3ページを御覧ください。
再生医療等製品は、2007年のジェイス以来、直近では21品目が承認されており、今後は、研究開発において日本が世界をリードしていますiPS細胞由来の再生医療等製品の承認も見込まれています。
再生医療等製品は、多様なモダリティーから構成されており、その特徴を踏まえた価格制度が必要と考えておりますが、本日は、ex vivo遺伝子治療のCAR-T細胞製品を例に挙げて説明させていただきます。
4ページを御覧ください。
こちらは、CAR-T細胞製品の治療の概略です。
患者さんから採取した末梢血のT細胞に、企業の細胞処理施設でキメラ抗原受容体(CAR)と言われる遺伝子を導入した後に、細胞を増殖させ、元の患者さんの体内に戻す治療方法です。
患者さんの体外で遺伝子を導入して戻すことから「ex vivo遺伝子治療」と呼ばれておりまして、CAR遺伝子を持つT細胞が患者さんの体内で増殖し、がん細胞を攻撃することで治療効果を発揮します。
繰り返し服用が必要となる既存の医薬品とは異なりまして、単回投与で長期にわたって有効性が持続するという特徴を持っています。
また、患者さん自身の生きた細胞を用いる個別化された治療方法であることから、1製品ごとのオーダーメードの治療になります。
5ページを御覧ください。
こちらには、CAR-T細胞製品の製造プロセスを示しました。
既存の医薬品との違いとして、高度な専門知識や熟練技術を持つスタッフが複数名必要となる労働集約的な個別生産であること。
原材料につきましても、患者由来の細胞による少量からの生産で複雑な製造・輸送・短い保管期間並びに厳しい品質検査基準が求められます。
特に検査につきましては、患者由来の生きた細胞を用いるため、全てのプロセスにおいて、多種多様な品質管理試験が必要となることが挙げられます。
6ページを御覧ください。
こちらは、研究開発から製造、流通等に至るまでの再生医療等製品と既存医薬品との違いを表したものです。
再生医療等製品につきましては、これらのプロセスにおいて、既存医薬品とは異なる知財、人材、コスト、原材料や専門設備が必要となります。
製造については、患者ごとに個別化された製品もあり、需要が増加したとしても、1つの製品を製造することにおける費用の削減は困難であります。
また、再生医療等製品の多くは、希少疾患を対象としており、対象患者が少ないため、多額な投資を行っても、収益の確保は困難であることも挙げられます。
最後のスライドです。
複雑な製造や個別化製造を踏まえた対応として、再⽣医療等製品の市場拡大再算定の対象からの除外について、継続した御検討をお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
○城山部会長
ありがとうございました。
それでは、続いて、日本バイオテク協議会よりお願いいたします。
○関日本バイオテク協議会理事
日本バイオテク協議会でございます。
本日は、意見陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
会長の森に代わり、理事の関より御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。
本年9月17日の中医協薬価専門部会にて、弊協議会よりお示ししました原価計算方式における2つの課題につきまして、その後の中医協にて御検討いただきましたこと、感謝申し上げます。
3ページを御覧ください。
「原価計算方式における一般管理販売費率の上限撤廃」につきまして、12月3日に御提示いただきました、条件を満たす場合は平均的な係数を超えて計算すること、特例的な上限70%を超えて計算することも可能であることを明確にする、という御提案につきまして、弊協議会は賛同いたします。
その際、どのような要件を満たせば、平均的な係数や上限70%を超えて計算することが妥当と判断されるか、その要件を御提示いただけますと、さらに希少疾病用医薬品などの開発促進につながるものと考えます。
御検討をよろしくお願いいたします。
4ページを御覧ください。
「原価計算方式における開示度の取扱い」についてですが、海外の独立企業との取引など、申請企業の努力だけではどうすることもできない難しさがあることを御理解いただけたことに改めて感謝申し上げます。製薬企業の務めとして、開示度向上に向けた努力を継続してまいります。
本件について、引き続き御検討をどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
御清聴ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
それでは、続いて、一般社団法人日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
皆様、おはようございます。
日本医薬品卸売業連合会会長の宮田でございます。
本日は、意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
次のページを御覧ください。
まず「持続的な医薬品の流通に係る4つの環境要因」についてであります。
取り巻く環境に改善が見られず、医薬品卸の自助努力のみで安定供給を支えるのは困難となってきております。流通改善をさらに推進することに加え、制度面での対応との相乗効果で医薬品の安定供給基盤を維持・強靱化することが必要であると考えております。
次のページをお願いします。
流通改善に関して、単品単価交渉への理解がいまだ浸透していない状況を御説明いたします。
薬価基準制度の趣旨を踏まえ、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉を行うことが基本とされておりますが、表が示すように、一部の医療機関・薬局グループとの交渉において、単品単価交渉率が依然として低い数字となっております。
12月3日に乖離率の速報値が発表された際に、平均乖離率と比べ、後発医薬品や最低薬価品の乖離率が平均乖離率を上回っているとの御指摘を受けております。
医薬品卸は、得意先の理解を得ながら価格交渉を進め、後発医薬品や最低薬価品の乖離率は前年度より改善しているものの、個別の取引条件が加味されない総価取引・総価交渉がいまだに解消されていないことが大きな要因と推測しております。その結果として、一部のカテゴリーで平均乖離率を上回っていると思われます。
しかし、前年と比して改善している点については、御理解いただきたいと考えております。
全ての流通当事者が、流通改善ガイドラインの趣旨に沿った取組を進め、総価交渉を解消し、単品単価交渉の推進に努めることが重要であると考えております。
次のページをお願いします。
「仕入原価の上昇と流通不採算」についてであります。
医薬品卸の仕入原価が右肩上がりに上昇しており、また、後発品や長期収載品では、多くが流通不採算となっております。
特許品においても、流通経費が仕入原価に反映されていない品目があり、約25%が流通不採算となっております。
次のページを御覧ください。
出荷調整の状況であります。
限定出荷が安定供給の問題となっておりますが、20円未満の限定出荷数量が82.6%を占め、圧倒的に多い傾向が示されています。供給不安の解消のためには、低薬価品の薬価下支えが必要不可欠であると考えております。
次のページを御覧ください。
ここでは、薬局における薬価を上回る購入状況について、一例として、保険薬局の354店舗の調査データを示させていただきます。
薬価を上回る購入価になっている品目のうち、57%を薬価20円未満の品目が占めており、差損の55%を占めております。
低薬価帯の品目を取り扱うことにより、医療機関や保険薬局の差損が生じかねない構造になっていると考えております。
次のページをお願いします。
医薬品卸の流通コストや設備投資、物価高騰の影響について御説明いたします。
医薬品が生命関連商品であることを考えれば、平時・有事を問わず、医薬品卸には品質の厳格な管理を含め、多様な対応が求められます。
それに応じて、設備やシステム、人材への絶え間ない投資が必要となります。
こうした投資を医薬品ごとの流通コストとして算出することは困難でありますが、これらは必要不可欠なことであります。
物価高騰や人件費上昇の影響で、こうした投資が難しくなってきております。
次のページをお願いいたします。
最後に、意見を4点申し述べさせていただきます。
1点目、医薬品の安定供給に支障を及ぼす中間年の薬価改定については、廃止していただきたい。
2つ目、薬価改定の基本となる単品単価交渉・契約をさらに推進していただきたい。
具体的には、流通改善ガイドラインの実効性のある改訂と周知、流通当事者へのインセンティブの付与です。
3点目、薬価収載時に算定のベースとされた流通経費が仕入原価に反映されるようにしていただきたい。
具体的には、流通改善ガイドラインの改訂を通じた明記と厚生労働省によるフォローアップであります。
最後に、4点目でございます。
医薬品卸が負担している流通コストにおける物価高騰への対応を検討していただきたい。
具体的には、20円未満の薬価の引上げと、頻発する自然災害・サイバー攻撃・パンデミックに備えたBCP対応への設備投資等やイノベーションにより高度化する新薬のGDP準拠への対応等でございます。
以上をもって、当連合会の意見陳述とさせていただきます。
何とぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
以上で、予定された一通りの御説明をいただきましたので、これから質疑に移りたいと思います。
御質問、御意見等はいかがでしょうか。
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
いろいろと御説明いただきまして、ありがとうございました。
私からは3点質問させていただければと思います。
1点目は、資料1につきまして、現状、治験着手に至った事例等が増えているという前向きな御報告をいただきました。
こういった傾向は、今後も継続して続くようなものなのでしょうか。それについてお伺いしたいと思います。
2点目は、資料薬-2の3ページでございます。
右下に、市場拡大再算定の特例の名称変更は断固反対という記載がございます。
この件に関しましては、創薬されるお立場と、そういった恩恵を享受する患者さんの立場、そして、何よりも公費と国民の保険料、患者さんの一部負担で成り立っている皆保険の公的医療保険制度に、これらの大変複雑な連立方程式の最適な解を求めるのは非常に難しい問題だというのは十分に認識しておりますが、我が国は、独自の公的な医療保険制度がある中で、断固反対ということは、まず、現状の名称を維持するという理解でよろしいでしょうかということ。
それから、2つ目の四角に「価格調整以外の手法も含めた対応策」とありますので、もしお考えが現時点でありましたら、もう少し具体的にお伺いできればと思っております。
最後に、3点目ですが、薬-3の日本ジェネリック製薬協会について御質問させていただきます。
かなり長きにわたって、当初は、いわゆる企業のコンプラ問題に端を発したと思っておりますが、これほど長く供給不安定が続くとは誰も思っておらず、5年間ぐらい続いている。
何を申しているかというと、いまだに現場の医療機関・薬局等においては、大変な労力を要しており、本来ならその労力は、患者さんの服薬に関する指導であったり、あるいはハイリスク薬剤の丁寧な指導であったり、そういったところに充当する時間が、かなりそういった不安定供給に対する業務に日々割かれているのが日常だと思っています。
以前も同じことを質問しましたが、本会としては、少しでも解消する方向に、今、不採算品再算定など、当然、制度はいろいろと後押ししている中で、特に安定供給の責任者会議を設置され、前向きに取り組まれていると伺っておりますが、そういったところは、今、どういった状況にあるのか。
我々は本当に切なる思いで、日々、そこが非常に労力を増し、ひいては患者さんの治療提供とかにも大きく影響している部分でございますので、今後の見通しについてお伺いできればと思います。
以上、3点、御質問でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
そうしましたら、3点質問をいただきましたので、それぞれお答えいただければと思いますが、最初はどうしましょう。
○安川日本製薬団体連合会会長
ありがとうございます。
1つ目は製薬協の宮柱会長、2つ目は私から、3つ目は川俣会長から回答申し上げます。
○城山部会長
では、その順序でお願いします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
江澤委員、御質問ありがとうございます。
1点目のドラッグ・ラグ/ロスに関する制度によるポジティブな影響が今後も継続するかという御質問であったかと思います。
本日御紹介させていただいたとおり、過去3回の調査で、制度改革後の企業の意思決定で、既に治験に着手したといった実際の開発行動に結びついていることがまずは報告されたものと我々としては考えております。
研究開発には中長期にわたって非常に多額の投資が必要となりますので、制度の予見性や一貫性が担保されれば、持続的な効果が期待できると捉えております。
ただし、本日申し上げましたが、次期薬価制度改革がどうなるか、また、米国の最恵国待遇価格政策のもとで、創薬および国際競争力をどのように日本が保持していくか、これらの観点から日本の位置づけが非常に重要になります。次期制度改革において予見性や一貫性の担保が実現することで、この動きも継続するものと捉えております。
○安川日本製薬団体連合会会長
それでは、2つ目。
私がしゃべりましたスライドの3ページで、2点質問をいただいたと考えております。
1つ目は、イノベーションの評価と公費、保険料のバランスをいかに取っていくか、最適な解を出すのは難しいと思うけれども、業界として、制度維持をどう考えているかという御質問と理解いたしました。
多分、同じような議論が言葉を替え、本会で何回も議論されたと思いますが、ちょっと時間をいただきまして、業界の立場を述べさせていただきたいと思います。
業界の立場というか、製薬業界の経営者という立場でどう考えているかということでございますが、まず、我々は営利団体でございます。慈善のボランティアではございません。
多くの会社は株式会社です。巨大な富を持っている人がクローズドのカンパニーを営んでいるわけではございません。
ということで、株式を全世界に対して発行し、それらの投資家の資金を基に会社を運営しております。その投資家に対して、十分なリスクを取っていただいた見返りにお金をお支払いする、あるいは株価を維持する、向上していくということで、我々は世間に存在することが許されております。
これがまず大前提でございまして、一方で、世の中には格付会社なるものが存在しております。
昨今ではコンプライアンス、あるいは環境問題、人権問題全てクリアに加えて、短期ではROE5%以上を確保しろと。
これが達成されない場合には、経営者、あるいは会社そのものが存在することが不適切であるというシグナルを全世界に向けて出されてしまいます。我々はこれとも闘わなければいけません。
彼らの合格ラインであるROE5%も、彼らが丼勘定でやっているものではなくて、全世界、自由主義経済の諸国の中で、今の経済成長率とか、ちゃんと価値あるものを適切な値段で商売していれば、ROE5%は確保できるでしょうと。そういう計算の下、示されている数字だと思っております。
我々は、長年の経営努力で、非常に筋肉質な体質になっております。
弊社の例で申し上げても、一時期2,400人ほどいたMRは、現在、800人にまで減っておりまして、これ以上の経営努力はなかなか難しいような状況に来ております。
こういう中で、今の日本の薬価制度だと、ROE5%は全然達成できません。
ジェネリックの方々は、もう少し厳しい状態にありまして、設備の更新なども難しいような状況になってきております。
それなどを考慮しますと、ROE5%を稼げるような薬価をつけられないのであれば、現行制度は大きく見直すべき、あるいは原資を確保するほかの方法を模索すべきではないかというのが我々の経営者としての意見でございます。
こう言ってしまうと、世の中には経済的に恵まれない人もいるのだから、では、そういう人はどうやって救うのだというのが次の質問になってくると思いますが、そのような社会のネットワーク、経済的に恵まれない方にどういう手を差し伸べるかというのは、全く別の社会問題であって、厚生労働省の方々に考えていただくようなアジェンダではないかと考える次第でございます。
2点目の御質問は、緑の枠の中の2つ目のポツ、価格調整以外の手法は何かということでございますが、これは、私のプレゼンの中で述べさせていただきましたが、医療費の中で、今、薬剤費は20%しかない。
この制度全体を維持させるというか、もっと大きな視点で言えば、健康保険法をどう維持していくか。昭和31年か、昭和32年につくったものをそのまま使い続けていくのは無理があるので、どういう方法にすれば一番いいのか。
これを議論するためには、広く国民にもこの社会問題を理解させ、国民からの代表も募り、我々当事者も入った中で、中医協という枠を超えて、日本の健康保険をどのようにしていくべきか、考える時期ではないかと。
こういう趣旨のことを申し上げましたし、同じことを先週、議員の方々、あるいは厚労、文部、経産、財務のお役人がいる中でも、私は同じようなことを申し上げました。
こういうことを申し上げたつもりでございます。
以上、2点目の御質問に回答申し上げました。
○城山部会長
では、まず、3点目をコメントいただいて、その後、また御質問いただければと思いますので、川俣会長。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
確かにジェネリック医薬品の供給問題は、いわゆるコンプライアンス問題に端を発したものではございますが、2020年からジェネリック医薬品の数量シェアが格段に伸びてきた状況でございまして、2022年の段階では80.7%まで行きましたので、大体この辺りで供給量としては十分なのではないかと考えていたところが、2023年には82.7%、2024年には85%、2025年には90%という状態でございまして、それぞれ年度ごとに40億錠とか60億錠、トータルで100億錠以上の需要が拡大している状況でございます。
我々は、コンプラ問題に対応すべく、補償生産を行ったわけですが、増産すればするほど、数量シェアが伸びていくような環境になっております。
私どもジェネリック製薬協会の主要14社におきまして、大規模な設備投資を行っておりまして、実は2700億円もの設備投資を実施、計画しているところです。これに基づいて増産可能数量を上げていく取組をいたしております。
また、これに加えて、御指摘のありました少量多品目生産で非効率になっている生産実態につきまして改善していく、いわゆる品目の片寄せを行って、より効率のよい製造ができるような取組も今行っているところでございます。
ジェネリック製薬協会としては、会員企業に対して、自分たちの設備投資が過剰であるのかどうかということを心配されている企業のために、実態分析を行いまして、決して過剰ではない、まだまだ足りないということを会員企業に対して通知しまして、より前倒しをした設備投資を進めるようにとお願いしているところですし、また、効率化に向けた品目統合について進めるように要請しているところです。
これらの分析を基に、2027年度ぐらいには需要を供給が上回るという計算ができております。
これに向けて、私ども協会としても、着実に計画を進めてまいりたいと思っておりますので、御理解のほど、お願いしたいところでございます。
○城山部会長
江澤委員、いかがでしょうか。
○江澤委員
まず、2点目の御回答をありがとうございます。
もちろん、企業の経営者のお立場ということで、十分に中身については理解しております。
一方で、1961年(昭和36年)にできた医療保険制度をどう持続するかというのは、我が国にとっても最大の命題であります。
先ほど2列目以降の人がお考えになることだと第三者的に申し上げたのは、私は非常に残念だと思っていて、これは製薬業界も、我々も、医療提供側も、あるいは保険者側も、あるいは国民全てが真摯に取り組む課題で、厚労行政だけが考えるのは違うのではないかと僕は思っています。
何のために中医協があるのかと考えると、これはみんなで考えていく、先ほどの複雑な方程式をどう解き明かすのかということは大変重要だということは申し上げたいと思いますし、我々も当然、企業の立場も理解した上で発言しているつもりですから、全てがどこで最適な解を求めるのかというのは、真摯に取り組んでいただければと思っております。
○安川日本製薬団体連合会会長
すみません。私の説明の順番が悪かったかもしれません。
経済的に恵まれない方へのセーフティーネットワークは別の問題で、それは社会セーフティーネットワークの話なので、この場とは違うのではないかと思いまして、それは厚労省の方々のエリアではないかと申し上げて、その前の健康保険法の維持とか、この辺は、我々も別に丸投げするわけではなくて、一緒に考えていきたい。
○江澤委員
申し訳ないのですが、今のは貧しい方も含めた上で申し上げました。
制度とは、全ての国民に対して、当然、所得の少ない方も含めて守っていくのが制度でありますので、その部分だけを切り取って別だと言うのは、公的な国民皆保険の中の考え方には相入れないと思っていますので、そういった意味で申し上げたので、御理解いただければと思います。
続きまして、3つ目は、なかなかお答えにくいと思うのですが、将来、いつまでというのは、なかなか期限が切れない問題だとは理解していますが、今の毎回出ているような対策だと、我々としては先が見通せないと思っています。
特に目を向けていただきたいのは、個々の医療機関や薬局の現状がどういった状態なのかをつぶさに見ていただきたいと思っておりますし、我々の医療機関においても、日々、本当に苦労している現場がありますので、それが全国の医療機関の悲鳴だと御理解いただきたい。その上で、どうなのか。
こういう全体的な対策とか、全体的なパーセントがこうだというのは、もちろん改善していただきたいと思いますが、最終的には、個々の医療機関の状況がどうだということがファイナルアンサーだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
関連で、これは、国のいわゆる安全保障にも関わるような大きな問題だと認識している中で、事務局にお伺いしたいのですが、国として、この辺りはもう少し積極的に関与して対応していかないと、なかなか克服できない問題だと思うのですが、もしお答えいただけるのでしたら、お願いいたします。
○城山部会長
では、関連して、今の点は、事務局からいかがでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医政局医薬産業振興課長でございます。
医薬品の安定供給に関しましては、ただいまジェネリック協会の皆様からもお話がありましたが、まず、足元の対策として、国としては増産要請を行い、さらに、それに対する財政支援を行っているところでございます。
加えて、少量多品目生産という業界の構造問題に対応していくことも同時に必要でございます。
これにつきましても財政支援を行っておりまして、先般の薬機法改正で造成されました基金についても、今回御審議いただいております補正予算において、800億を超える金額を計上しているところでございます。
また、個々の企業の取組に加えて、システムとしても安定供給を組み込んでいくということで、供給確保医薬品制度とか、供給管理責任者の設置といった対応をしております。
また、先ほど委員からも薬価の下支えのお話がございましたが、流通におきましても、医療上の必要性の高いものについては別枠品とするようなガイドラインの改正も行うなど、総合的に対応に取り組んでおるところでございまして、まだまだ現場は厳しいのだという御指摘をしっかりと受け止めて、引き続き、業界と共に安定供給に取り組んでまいりたいと考えております。
○城山部会長
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
ありがとうございます。
ぜひ国としても具体的な時系列、目標年度を定めて取り組んでいただきたいと要望したいと思います。
以上でございます。
○城山部会長
ありがとうございました。
宮柱会長、お願いします。
○宮柱日本製薬工業協会会長
製薬協の宮柱です。
少し追加コメントをさせてください。
江澤委員がおっしゃったとおり、国民皆保険をどのようにしていくか、国民の負担をどのように考えるか、そして、我々は研究開発型の企業ですので、革新的な医薬品を国民にどのように届けることができるのか、製薬企業としてもこのような複雑な議論に積極的に参画していきたいと考えています。
先ほど御質問の中にあった点で、1つだけコメントさせていただきます。
資料薬-2の3ページで市場拡大再算定の名称変更に触れられていたかと思いますが、既に申し上げているとおり、国民の負担を考えるに当たって、それを薬価だけで議論するものではないと考えております。
つまりは、名称の変更の反対だけではなく、市場拡大再算定の特例の中身そのものについての廃止を要望しているが、その合理性をもっと高めるような制度、そして、それに見合った名称にしていただきたいと考えておりますし、本日述べたような合理性のない市場拡大再算定や共連れのような制度は、イノベーションの評価を著しく損なっていると捉えております。
以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
各団体におかれましては、御説明いただき、ありがとうございました。
幾つか意見と質問をさせていただければと思います。
まず、資料薬-2の3ページ目についてです。
市場拡大再算定の特例の見直しについてですが、前提条件が変わらずに、特例の対象となるということは、市場で真に有用性が確認され、市場規模が拡大した医薬品だと考えております。
イノベーションの評価と国民皆保険維持とのバランスを考慮した検討が必要で、真に有用性のある医薬品については、適切にイノベーションを評価することが必要だと考えています。
一方、イノベーションが乏しくて、市場が縮小した側の薬剤については、適正化が必要ではないかと思いますが、これについて、業界側のお考えをお聞かせいただければと思います。これが1点目です。
2点目ですが、資料の5ページ目と10ページ目に、乖離率の考え方について言及がありました。
先ほど乖離率に基づく薬価制度の在り方を見直すべきだという御発言もありましたが、乖離率が縮小しているため、今後、安売りしなくても、平均乖離率を超えることが考えられるのではないかと思っております。
また、薬局・医療機関にとっては、管理コストや廃棄損コストを賄うためにも、一定の薬価差は必要ですが、現在の薬価差の中で管理コストを賄えない薬局も少なくない状況となっております。
そもそも4.8%の乖離率は、サプライチェーン全体の視点の中で果たしてどうなのか、薬局・医療機関にかかるコストを賄うための必要な薬価差とはどういうものなのか、過度な薬価差とはどういうものかということは、今後、一度整理していく必要があるのではないかと考えております。
それから、7ページ目についてですが、重要供給確保医薬品の見直しの趣旨に鑑みれば、B群も含めるべきという意見には賛同します。
その上で、医療上の必要性の観点からは、追加すべき医薬品については、A群、B群に限らず、適宜追加していくべきだと考えております。
また、資料にはありませんが、10月の中医協で示された薬価基準から削除する506品目がありました。
その中でお伺いしたいことですが、削除に向けた経過措置期間は、来年3月までとなっております。
経過措置期間については、流通状況などを踏まえて、延長が必要な場合、企業からの申出により、延長可能となっていますが、これまで延長されたものは、正直、そう多くはありません。
経過措置期間を過ぎると、使用できなくなったり、残った医薬品は、廃棄されるため、薬局・医療機関の負担となるとともに、医療資源の無駄にもつながっています。現状の供給不安の中では、医薬品供給への影響もあります。
経過措置期間に関しては、最終ロットの使用期限までにしていただきたいと現場では考えていますが、これに関して、企業側としてのお考えを教えていただければと思います。
次に、日本ジェネリック製薬協会様に質問なのですが、安定供給責任者会議に関して御説明がありましたので、ここは下げておきますが、資料薬-3の中で、後発医薬品の各種ルールを見直すに当たり、まずは大前提として、安定供給に貢献する企業が正しく評価される形にすべきと考えております。
その中で、質問になりますが、今回、AGの新規収載時に、先発品の薬価と同一とすると提案されていますが、これに関しての受け止めをお聞かせいただければと思います。
また、G1ルールの見直しなどで、長期収載品の適正化が進んで、後発品への置き換えが進んでいくことが考えられます。置き換えへの対応について、業界として各企業をどのようにリードしていくのか、支援することがあれば、お考えをお聞かせいただければと思います。
もう一点、先ほど薬価差の縮小の話がありましたが、今回の中では、平均乖離率を超えない品目を対象とすべきと記載されていますが、先ほどお話ししたように、いわゆる安売りしなくても、今後、超えてしまうことが起きてくるのではないかと思っていますが、そのことに関してどのように考えているか、お聞かせいただければと思います。
あと、4ページ目に、供給不安の解消の対策について、個々の企業だけではできないものに関しては、協会がしっかりと取り組むという意見表明がありましたので、ここはしっかりと取組をしていただきたいと思っております。
次に、日本バイオテク協議会様ですが、資料薬-5の中で、具体的な開示の評価方法について、何か業界としての考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
最後に、日本医薬品卸売業連合会ですが、薬-6の3ページ目です。
卸と一部の医療機関・薬局のグループの本部交渉・価格交渉の中で、単品単価交渉がされていない場合があるということで、66%が単品単価交渉を行っていないということでしょうか。ここは念のため、確認させていただければと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
4つの資料について御質問があったので、それぞれについて御担当のところからお願いしたいと思いますが、まず、資料薬-2について、3点ほど御質問があったかと思いますが、まず、安川会長からでよろしいでしょうか。
○安川日本製薬団体連合会会長
資料薬-2につきまして、1つ目が、市場が縮小した薬剤の取扱い。
2番目が、乖離率4.8%はどう思うか、あるいはそれを上回った薬剤でも、薬価調整をしないほうがいいのではないかという観点。
3つ目が、経過措置についての御質問だと理解しました。
1つ目ですが、一番考えられるケースは、まず、Aという薬剤が先に上市していて、その後、Bという薬剤が同じ適応について上市されたと。
Bのほうが明らかに効果がいい、あるいは安全性に改善が見られたなど、決定的な差があったような場合が一番典型的だと思っております。
この情報化の時代ですので、そういう明らかにBのほうがいいという情報が医師の先生方のところに行けば、自動的に速やかに市場は置き換えられ、薬Aは天寿を全うすると思っておりますので、自動的に市場からなくなっていくということで、何ら措置をする必要がないようなケースではないかと思っております。これは、たくさん弊社でも経験がございます。
もう一つは、例えば先行品のAという薬が適応1~3と持っていて、そのうちの適応1については、先ほど申し上げたようなことが起こったけれども、適応2・3については代替品もなく、患者さんを救うための唯一の手段であるような場合もあると思いますので、ケース・バイ・ケースで柔軟な対応をしていただくのが一番いいのではないかと考えます。
2つ目の御質問は、平均4.8%のところでございますが、自由取引下においては、償還価格である薬価が事実上取引価格の上限となるのが通常、時折、委員の方が発言されるけれども、企業が安売りをしていなくても、常に一定の価格差は生じる仕組みになっているのが今の慣行でございます。
森先生の御意見のとおり、平均乖離率がこれだけ縮小している状況において、製薬企業の立場以上に、医療機関・薬局、医療品卸のステークホルダーの皆様にとっては、平均乖離率を基準とした薬価見直し制度は、もはや限界に来ているのではないかということでは同感でございます。制度にとらわれず、実勢取引価格を基に引き下げることを前提とした現行の薬価改定ルールそのものを見直す時期ではないかと考えております。
3つ目、経過措置についての御質問ですが、これは厚労省の御指導に従うというのが業界の立場でございます。
○城山部会長
多分、量が多いので、まず、これについていかがでしょうか。
○森委員
ありがとうございました。
まず、最初のA、Bのところなのですが、Aが上市され、次にBが上市され、Bがすごく評価されて売れた場合、前提条件が変わらず評価されたときには、下げるのを考えてほしいということは、私もそのとおりだと思います。
一方、イノベーションが乏しく、Aのほうが売れなくなって、撤退していけばいいのですが、販売が続いている場合どうするかというと、ここはメリハリということを考えていかないと、他に評価をつけるのはなかなか難しいかなと思っており、真に評価されたものに関して、しっかりと考えていくべきではないかと考えます。
それから、経過措置は、先ほども言いましたが、もったいないと思うのです。
正直、使えるものを使わない、例えば安全上の問題で、回収とかがあって、経過措置が切れたものは別ですが、最終ロットの最終期限まで使わせていただければと思います。
特に今、これだけの供給不安がある中で、今回の削除する品目の中にも、例えば感染症の治療薬等も入っていましたが、そういうものに関しては、感染症患者は常に来るわけではありませんから、最後まで使わせていただきたいと思っております。
もう一つ、今、様々な新薬が開発されていて、1品目で複数の適応を持っていて、様々な部位の同一疾患への適応拡大がされている医薬品もあります。
そういうものを類似薬としてどう見ていくかが課題で、そこはしっかりと考えながら進めていくべきではないかと考えております。
以上です。
○城山部会長
今のは御意見ということで、よろしくお願いします。
続いて、薬-3ですか。
川俣会長、いかがでしょうか。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
今の薬価の経過措置期間の話でございまして、GE薬協としても、今後、かなり多くの品目の薬価削除願を申請する形になろうかと思います。
今までは、品目がさほど多くなかったということもありましたので、あまり先生方に御迷惑をおかけすることはなかったのだろうと思いますが、今回、上期で500、下期で恐らく1,000品目ぐらい薬価削除という形になるところでございますが、供給停止事前報告書を提出させていただいて、薬価削除願を出すまでの間は、確実に安定供給を続けなければならないわけです。
その後、経過措置期間に入る期間が短いということで、医療機関様における在庫が無駄になってしまうという状況の中で、これまで我々としては、薬価削除願を出す前に、少し生産を絞っていたり、そういうケースが認められたということでございますので、今後においては、薬価削除願を出すまでは着実に安定供給を行って、経過措置期間に入った時点で供給は停止。停止はするのだけれども、市場の流通品については保険適用できますよという環境に置いていただくのが、限りある資源をより有効に活用できる方法だと思いますので、御検討のほど、よろしくお願いしたいと思うところです。
また、4.8%の平均乖離率を超えるか、超えないかというところでございます。
現在も逆ざやの問題で、一部御迷惑をおかけしているようなものがあるわけですが、4.8%以内で価格コントロールするのは、我々としても非常に苦労するところですし、医療機関の先生方においても必要な経費があろうかと思いますので、そのはざまで我々が苦労して、また、卸連の方々にも御迷惑をおかけしながら、安定供給に努めてまいるところでございますので、不採算品再算定の適用ルールについては、一定の御配慮をいただきたい。全体の平均乖離率と、長期収載品やジェネリック、後発医薬品の平均乖離率とまた違うところにありますので、その辺りも見ていただいた対応をしていただければと考えているところです。
これでよろしいでしょうか。
○城山部会長
最初の御質問に、もうちょっと個別のものが幾つかありましたか。
御確認いただければと思います。
○森委員
AGの質問になります。
AGと価格が同じになることに関しての受け止めをお願いいたします。
○安川日本製薬団体連合会会長
オーソライズドジェネリックの価格についての御質問だと思っておりますが、物量で言いますと、20%ぐらい。
ジェネリックが80%として、そのぐらいの物量がありまして、適応あるいは薬剤によっては、もっと高い市場占有率があると理解しておりますので、価格等を調整する場合には、何らかの経過措置がないと、安定供給、急にどちらかが売れなくなって、どちらかがカバーしなければいけないというのは、時間のかかる話でございますので、ルールの変更をするなら、時間を十分に取ってしていただきたいと考えております。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
そうしますと、先発医薬品メーカーからすると、市場を明け渡すことの一つとして、価格が同じになることに関しては、特に何もないということですが、そうなったときに、AGよりも後発品の使用が進むことが考えられ、安定供給の体制をしっかりと取っていただきたいと思います。これが1点。
それから、先ほどの平均乖離率のところですが、安売りをしていて、不採算品再算定を申請するのはあってはいけないことだと思いますが、これだけ乖離率が縮小された中で、意図せず超えてしまうときに、不採算品再算定を申請できないことが起こるのではないかと心配しています。
定価があれば、販売価格と差は出るものです。定価が薬価ですので、薬価で医療機関・薬局に入ってきたときに、管理コストも、廃棄損耗コストも出ません。
物を動かす、管理するということは、一定のコストがかかりますので、そこは一定のコストがある中で、今、4.8%という乖離率が、サプライチェーン全体としてどうなのかということは考えていかなければいけないのではないかと思います。
○城山部会長
今の点はよろしいですか。
そうしましたら、続いて、資料薬-5についても御質問があったかと思いますので、いかがでしょうか。
○関日本バイオテク協議会理事
資料薬-5は、日本バイオテク協議会でよろしいでしょうか。
○城山部会長
森委員、バイオテク協議会に対しても何かございましたね。
○関日本バイオテク協議会理事
日本バイオテク協議会の関でございます。
御質問ありがとうございました。
開示度の評価方法については、独立企業間の取引分を除外して算出する方法が考えられると考えております。
特に海外企業と我々国内企業の独立した企業同士の取引の場合、開示が困難な場合が多いため、これを除いて開示度を算出いただくことが考えられます。
独立企業間以外の取引については、基本的に企業努力で開示できるという前提に立った考え方でございます。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
努力して開示度を向上するという中で、なかなか難しいことかもしれませんが、次々改定に向けて、ここはしっかりと現状を見ながら検討していくべきだと考えています。
以上です。
○城山部会長
そうしましたら、最後に薬-6ですね。
いかがでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
卸連の宮田でございます。
御質問ありがとうございます。
3ページの資料は、令和6年9月末時点での取引を対象に厚生労働省のほうで調査していただきまして、流通改善ガイドラインの実効性を高めるために、価格交渉の在り方、形態は、今どういう形態があるのか、実態を調べる目的で行っていただいた調査結果でございます。
39回の流改懇でも、この資料が厚生労働省から出されて、議論されているのですが、御指摘があるように、2のグループ、あるいは本部一括の交渉をしているようなケースにおいては、34%が単品単価交渉で、66%が単品単価交渉になっていないという御指摘のとおりでございます。
進んでいないわけでございますので、これは継続的に調査しながら、流通改善ガイドラインの遵守の相互理解を深めていくことが非常に重要であると考えておりますので、ぜひ御協力をよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
ということは、これは、そういう医療機関と薬局のグループから総価での交渉を求められているということでよろしいですか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
実態として総価交渉になっているということです。
ベンチマーク、あるいはコンサルタントが入った部分や、価格交渉を代行する業者の交渉が入っているということでございます。
○城山部会長
森委員。
○森委員
ありがとうございます。
先ほど流通当事者間というお話がありましたが、求められても、受けるかどうかは、卸が毅然とした態度で、ぜひこれをやってほしいと思います。
私も流改懇の委員を十何年やっていましたが、この問題はずっと続いています。求めるほうが悪いのか、受けるほうが悪いのかということがずっと問題になっているところなので、しっかりと取組をしていただきたいと思います。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
御指摘を真摯に受け止めて、しっかりと取り組んでまいります。
ただ、乖離率が圧縮してきている現況では、流通改善ガイドラインが、少しずつではございますが、浸透してきているのかなという実感を持っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
1点だけ気になったところは、薬-6の6ページ目を見ていただいて、逆ざやのところなのですが、この中で、特に低薬価品ということもあったのですが「1000円以上10万円未満」の品目が結構あります。
これは、高価な薬の中で逆ざやが出てきてしまっているということなので、今日、この場でお答えできないとおもいます。これは製薬企業の問題もあるかと思うのですが、なぜこういうところで逆ざやが出てきているのか。
例えば10万円の薬が1錠残ってしまったら、大変なことになると思います。
今、一般的な薬局の月の最終的な収益は、税抜きで12~13万です。2錠残ったらマイナスということになりますので、こういうことがなぜ起きているのか。
低薬価品がいいというわけではありませんが、ここは、こういうことがないような形で、サプライチェーン全体でしっかりと考えていかなければいけないと思います。
以上です。
○城山部会長
問題提起ということでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
ありがとうございます。
詳細については、資料がございませんので、確認させていただきます。
ありがとうございます。
○城山部会長
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
協会の方々、御説明をどうもありがとうございました。
2号側からたくさん質問が出ましたので、私からは質問1件とコメント1件です。
私からの質問は、薬-6に関してです。
薬価調査の結果を見ますと、速報値の内訳で、令和7年度薬価改定で最低薬価を3%引き上げたにもかかわらず、最低薬価品目の乖離率が7.3%ということで、値引きをしても、下支えによって薬価が戻ることで、こうした事態が生じているのではないかと思わざるを得ません。
8ページに示されておりますが、これまでも流通ガイドラインを踏まえ、適切な価格形成に取り組まれていたと思いますが、その結果、会員企業の動きにどのような影響があったのか、教えていただきたいのが一つと、8ページの2にありますが「流通改善ガイドラインの実効性のある改訂」とは、具体的にどんなことを示されておるのか、教えてほしいというのが質問です。
あと、コメントでございますが、複数の委員の方から、薬価の平均乖離率が縮小しているので、薬価差をさも是認するかのような発言が出ておりますが、そもそも調整幅が、そういった管理コストを考えた上で認められていることは御承知かと思います。
また、こうした過度な薬価差については、4大臣合意の中で、国民に還元するという政府方針が示されております。
それに従って薬価改定、さらには、中間年改定も行われていることを忘れずにいただきたいとコメントしておきます。
私からは以上です。
○城山部会長
それでは、最初の御質問の部分について、いかがでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
御質問ありがとうございます。
背景から少しお話しさせていただきますが、現在の価格交渉の在り方は、先ほど森先生からも御質問がございましたが、現在、医療機関・保険薬局も経営が相当厳しい中で、まさしく先ほど江澤先生からお話があったように、我々医薬品卸だけが需給調整で大変な思いではなくて、医療機関や保険薬局も、そういったことで大変時間、労力がかかっている中で、価格交渉の在り方の中に、3ページに示させていただいていますように、ベンチマーク、あるいはコンサルタントを使った一括交渉とかがあるわけです。
価格交渉をやる前提として、前年度の加重ベースを基本としてスタートすることが、一般的な商習慣としてまだまだ続いているわけでございます。
そういう中で、医薬品卸も当然、需給調整、あるいは業務負荷がある中で、別枠品、あるいは新創品もそうですが、そういったものについて、現場では、担当のMSも含めて除外交渉を一生懸命にやっております。
ただし、そういう中でも、前年の加重がまだまだベースになっているということで、先ほども意見陳述の中でお話しさせていただいていますが、総価交渉の取引がまだまだ残っているということでございます。
先ほど森先生から厳しい御指摘がございましたが、ここについては、相互の理解の下、解消していかなくてはいけないのですが、今、松本先生から御指摘があった最低薬価品目を上げていただいたのに、また下がっているではないか、価格調整に使われているのではないかというような御質問ではないかと思いますが、実態として、2023年度が12.4%、昨年度が12.1%、今回は7.3%ということで、こういう価格交渉の実態がある中でも平均乖離率を超えてしまっていますが、前年度の加重を併せ持った中では、圧縮というか、改善の方向に向かっていることと、後発品についても、9.4%が8.7%ということで、使用量が増えている中で、改善の方向に向かっているということは御理解いただきたい。
そういう中で、流通改善ガイドラインの実効性を高めるということで、今、未妥結減算制度の中で、価格妥結をした報告書を保険薬局・200床以上の医療機関が出すのですが、その報告書と、医薬品卸側の参考資料という形で、同じ設問項目を得意先にお持ちして、そういった価格交渉の在り方や流通改善の実効性を高めるための項目が書かれているものをMS、営業担当者と現場が突き合わせて、流通改善ガイドラインをちゃんと進めるために、相互の理解を深めるコミュニケーションの機会をつくっていただいているということです。
今年初めてスタートしていますが、まだまだ認識が薄いところはございますが、そういうところをしっかりと進めることによって、先ほどの総価取引、あるいは返品の在り方とか、いろいろなことで流通上の問題を提起しておりますので、そういった中で、今回の全体の平均乖離率の4.8%よりも高い値引き率にはなってしまっておりますが、そういう状況であるということは御理解していただきたいということでございます。
以上でございます。
○城山部会長
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
ありがとうございました。
個々のケースなり、御尽力されていることは承知いたしますが、我々は細かい交渉の状況を存じ上げているわけではございませんので、数字がベースになってしまいますので、厳しい言い方になることも御理解いただきたいということでございます。
それと、流通改善ガイドラインの改訂はいいのですが、先般指摘しましたが、流通改善ガイドラインを知らない方が関係者で5割もいらっしゃるということですので、ここに「周知」とありますが、これは1号側に厳しくなりますが、皆さん方もその一員だと思っておりますので、それについては十分に御理解いただきたいと思います。
ありがとうございました。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
日本ジェネリック製薬協会様にお伺いしたいと思います。
令和6年度に不採算品再算定が適用されました品目について、幾つか個別事例として、企業別の供給量をお示しいただき、ありがとうございます。
一つお伺いしたいのですが、10ページのケースなのですが、この場合、Eの企業様は、適用したにもかかわらず、0になっているということで、最終的に供給停止ということで、市場から撤退したかと思います。市場から撤退する予定の品目や、加えて、数量シェアが極端に低い品目の不採算品再算定の適用については、慎重にならざるを得ないと考えております。
この表なのですが、例えば全部まだ限定出荷の領域で、通常出荷になっていないと。
私たちが一番見たいのは、限定出荷、通常出荷はゴールではなくて、需要に対してどれだけ満ちていくのかというところを最終的に見たいのですが、そういった表というか、そういったものはあまり出てきていないという印象の中で、去たん剤のこの項目に限って言えば、今後、どのような動きになっていくのか、興味のあるところなのです。
例えばAの企業様は44.1%のシェアを持っていますが、AとBの企業様のシェアをどんどん伸ばしていくことによって、通常出荷に持っていこうとされていくのかという見方で合っているのかどうか。1点はそこです。何か御意見があれば、お聞かせいただきたい。
もう一点は、価格帯集約において、企業指標の活用が事務局案として示されているかと思います。
現在、テストというか、言葉は忘れましたが、適用前の、企業指標公表前のテスト期間だと理解しております。
来年度は、いよいよ企業指標、個別企業の評価結果の公表が必要と考えておりますが、その点については、十分に準備ができているという理解でよろしいかどうか。
その2点をお伺いしたいと思います。
○城山部会長
それでは、川俣会長、お願いします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
不採算品再算定を適用いただいた品目の増産・減産、残念ながらやめざるを得ないと判断したものについて、それぞれの理由があろうかと思います。
自分たちの利益の追求のためだけにやめるということではなくて、このメーカーの調達をしていた原薬の供給が停止されてしまって、新しいところに切り替えることができないという判断でやめざるを得なくなったケースもあったように聞いております。
また、適用された後に、価格が非常に膠着して、より薬価差益があるほうに流れていくというような市場動向もありますので、意図せず流れてきてしまって、増産はしているのだけれども、まだ限定出荷が解除できていないというような悩みの状況にありまして、これを私ども協会の中では、安定供給責任者会議を立ち上げまして、そこの中で情報共有をしていこうと。君たちがどれだけ増産できるのかという情報を理解した上で、また、やめざるを得ないと判断された方々の情報で、どのぐらいの期間、どのぐらいの量をやめるのかということも共有した上で、先生方に御迷惑をおかけしないような対策で取り組もうと思っているところでございます。
よろしいでしょうか。
また、企業指標につきましては、既に我々は今、A区分なのか、B区分なのか、C区分なのかということ自体は理解しております。
来年度以降、これが公表されることになったとしても、それによって、我々が何か対応を変えることはないだろうと思っています。
ただ、B区分やC区分の人たちの供給を真摯にされているメーカーさんのものが、B区分だからよくないということで、A区分に流れてくるということになりますと、また需給バランスが崩れるということもありますので、その辺りは、我々としても需要予測を十分にやった上で、増産対応できるような余力があることが望まれると考えております。
ありがとうございます。
○城山部会長
鳥潟委員、よろしいでしょうか。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
今の御説明で理解はしたつもりでございます。
引き続き、企業間の調整をお願いしたいと思っております。
1点だけ。
例えば今回、10ページの表で、Eの企業様は、この薬に対しては供給停止になったわけですが、ほかのまだ供給が満ちていないところに調整いただいているというような理解でよろしいと思います。
ありがとうございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
永井委員、お願いします。
○永井委員
御説明ありがとうございました。
患者が必要とする医薬品・医療機器へのアクセスの確保の観点から、ドラッグ・ラグ/ロスの解消、創薬イノベーションの推進は重要と考えますので、革新的医薬品の評価などについては、資料薬-1の7ページの「総括」にありますとおり、米国の動向なども鑑みながら、適時検討し、対応することが必要と考えます。
また、流通改善ガイドラインについて、質問をしようと考えていたのですが、他の委員から質問等ありましたので意見のみ申し上げます。医薬品の安定供給確保に向けて、流通の改善は重要であり、資料薬-6の5ページ、6ページに、薬価帯別の出荷調整状況や、薬局における薬価を上回る購入状況の例などをお示しいただいているとおり、低価格品の下支えは重要と認識しております。
資料薬-6の8ページに御意見があります「流通改善ガイドラインの実効性のある改訂と周知」に関しましても、さらに周知いただき、実効性を高めていただきたいと考えております。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょう。
どうぞ。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
すみません。
先ほど森先生から、1万円以上10万円の商品はどんなものがあるのかということでございますが、例えばオプスミット錠、あるいはオムジャラ錠。
10万円以上50万円以下でそのようになっているのは、ヌーカラの皮下注がそういう状態にあるということでございます。
ペン製剤とか錠剤内服よりも、注射剤のほうが多いのかなと。自己注射の関係のものがそういう状況になっているようでございます。
以上です。
○城山部会長
よろしいですか。
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございます。
その問題で1点だけ。
先生から厳しいと言われてしまったので、何でこだわっているかというと、総価で取引をすることになると、どの薬も例えば10%引きになってきます。
そうなると、仕切り価を適切に設定していても、結局、安く売られてしまう。それで予期せぬ薬価の下落が起きます。そうなると、最終的には安定供給に支障を来すことになって国民が困る。この構図を何とかしようと、流通改善に取り組んできたのに、いまだに総価取引が続いている。
これは何とかしなければいけないという思いで、ふだんは優しいのですが、厳しく言いました。
○城山部会長
よろしいでしょうか。
○宮田日本医薬品卸売業連合会会長
ありがとうございます。
○城山部会長
ほかはいかがでしょうか。
奥田委員、よろしくお願いします。
○奥田委員
ありがとうございます。
私からは、簡単にコメントだけ申し上げたいと思います。
既に複数の委員の方々から質問、意見が出ていましたが、薬-2の3ページの市場拡大再算定の特例の名称変更の件について、国民皆保険の維持のための対応という趣旨は十分に理解しておるのですが、販売額が大きく拡大するということは、医療現場において、その医薬品の価値が認められているということでもありますので、「国民負担軽減価格調整」という名称案のニュアンスは、若干異なるような感じがしました。
今回の名称変更は、うまく趣旨が示されているかどうか、定かではないという印象を受けたという点だけコメントしておきたいと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
江澤委員、どうぞ。
○江澤委員
1点だけ御質問です。
今、AGについて、価格設定をどうするかという議論がある中で、今後、AGの開発とか生産について、もし全体的な見通しが分かれば、教えていただければと思います。
○城山部会長
どなたからでしょうか。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
すみません。
どういう趣旨でございましょう。
○江澤委員
例えば今、AGの価格設定の議論については、後発品、あるいはバイオであれば、シミラー製品をどう促進するかという観点もありつつ、その上で、先発品とAGの価格設定をどうするかという議論があるのは御周知のことかと思いますが、今後、AGの生産が増えて、どんどん拡大していくのか、あるいは場合によっては、今後、そんなに生産は増えずに、収束していくものなのか、あるいは今後、新規に開発が検討されているのか、その辺について、見通しについてお伺いしたいということであります。
○城山部会長
よろしくお願いします。
○川俣日本ジェネリック製薬協会会長
ありがとうございます。
今、AGの薬価上の取扱いについて御提言いただいているところであると理解しているのですが、取扱いの状況によって、AGの存在意義も含めて、大きく変わってくるものと思います。
恐らく、オーソライズドジェネリック自体をジェネリック医薬品(後発医薬品)として認知しない形になりますと、AGの製造数量はほぼゼロになってしまうと思います。
もちろん、我々通常のジェネリック医薬品の製造企業としては、その市場を見込んだ上での生産計画を立てますので、新規品におきましては、発売するときに、どのぐらいの在庫量を持った上で発売に踏み切るのかという計算をする中で、AGがある場合とない場合は、計算がそもそも違うのです。
AGがないから、自分たちは市場の20%、この会社は15%取れるだろうという計算をする中で、AGがなかったからといって、安定供給ができないということはないと思います。
ただ、現状、例えばAGが市場の50%ぐらいを占めていて、残りの30%が通常ジェネリックですというときに、AGが急になくなってしまいますと、その分を通常ジェネリックでカバーできるのかという問題が出てくると思いますので、その辺りについては、きちんと時間を追った形の対応が必要だと、安川会長からもお願いしたところでございます。
○城山部会長
よろしいでしょうか。
○江澤委員
理解いたしました。
ありがとうございます。
○城山部会長
ほかはよろしいでしょうか。
そうしましたら、ほぼ御意見、御質問も出尽くしたということかと思いますので、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきます。
今後、事務局において、今日いただいた御意見も踏まえ、御対応いただくようにお願いいたします。
本日の議題は、以上であります。
次回の日程については、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の「薬価専門部会」はこれにて閉会とします。
どうもありがとうございました。

