第2回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成ワーキンググループ」議事要旨

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和7年10月15日(水)15:00~17:00

場所

厚生労働省12階共用第9会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2)

出席者

○構成員(五十音順、敬称略)
  • 大木 勇雄
  • 金子 龍太郎
  • 川上 憲人
  • 菊池 幸男
  • 清田 素弘
  • 今藤 琢也
  • 坂下 多身
  • 泰楽 秀一
  • 谷田 泰
  • 松岡 かおり
  • 宮島 佳子
  • 森口 次郎
  • 渡辺 哲
○厚生労働省
  • 佐々木 労働衛生課長
  • 富賀見 メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長
  • 藤井 産業保健支援室長補佐
  • 加藤 中央労働衛生専門官
○オブザーバー
  • (独)労働者健康安全機構

議題

(1)小規模事業場におけるストレスチェックの実施状況について
(2)小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル(案)について
(3)その他

議事

(1)小規模事業場におけるストレスチェックの実施状況について
 ストレスチェックサービスを提供する健診機関やEAP機関から小規模事業場におけるストレスチェックの実施状況について、ヒアリングを行った。
 
(2)小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル案について
 マニュアル案についての議論を行った。主な意見は以下のとおり。
【マニュアル案全体について】
・ 現状だと全体の流れがつかみづらいため、ストレスチェック実施にかかる全体のフローチャートを作成し、掲載すべきではないか。(清田構成員)
【ストレスチェック制度の趣旨・目的について】
・ 小規模事業者の理解をどのように深めるかというところがとても大きな部分。小規模事業場の方たちは、なぜ今回50人未満の事業場で義務化になったのか、単に法律で決まったからというだけではなくて、その意味合いとして、もともとのストレスチェック制度が50人以上の事業場で義務だったこと、その後でもメンタルヘルス不調が増えてきたため、50人未満にも広げた、という経緯を入れていただければと思う。 一次予防、二次予防、三次予防などの中の、一次予防というところでストレスチェックがあるという内容を「意義」の所に入れていただいて、ストレスチェックの位置付けというのを分かるようにしたらどうか。(松岡構成員)
・ ストレスチェック制度については、一貫して義務化されてはいないものの、元来、ストレスチェック実施から集団分析・職場環境改善まで一体の制度である旨、改めて記載を頂きたい。(金子構成員)
【実施義務について】
・ パート社員や契約社員、非正規の方、外国人労働者も、必要な労働条件、時間であれば義務対象となるということについて、まとめて記載いただけないか。(金子構成員)
・ 「事業場」という言葉の定義が曖昧なため、労働安全衛生法に基づく定義を記載いただきたい。(松岡構成員)
【事業者による方針の表明について】
・ 「事業者による方針の表明」について、高ストレスである労働者が安心してストレスチェックを受検できるように、受検しやすい業務上の配慮が受けられることが望ましい点というものを、記載いただきたい。(菊池構成員)
【社内ルールの作成・周知について】
・ ストレスチェック制度実施ルールの具体例があまりにも就業規則に近い体裁であり、特に就業規則の作成義務のない10人 以下の企業には対応が難しいのではないか。もう少しシンプルなルールの記載例を参考として提示すべきではないか。 (清田構成員)
【実務担当者の選任について】
・ 実務担当者の選任について、恐らく小規模事業場で、まず決まるのは実務担当者ではないかと思う。実務担当者を決めて、実施者と実施事務従事者をどうするのかということを話していくので、小規模事業者が初めてやるときに、どのような順番で考えていくのかということが分かるような書き方のほうがいいかなと思う。(松岡構成員)
【ストレスチェックの委託先の選定・契約について】
・ ストレスチェックの委託先の選定・契約について、もともとは、事務局から説明があったとおり現行のストレスチェックのマニュアルでは、なかなか優良な実施機関を見つけるは難しいのではないかということを申し上げさせていただいたのだが、今回、逆の形で、外部機関のほうに回答をさせるということで、そういう考え方もあるのだなと勉強になった。実施機関の負担にならなくて、自分たちはちゃんとしている組織なのだということをアピールする場になるのであればワークすると思った。(坂下構成員)
【 調査票の配布・回収・受検勧奨について】
・ 労働者によく周知されていればよいが、されていなければ全く知らない者からストレスチェック実施の連絡が来ることになる。従業員が何も知らされずに、いきなりストレスチェックが送られてくると混乱するだろう。(今藤構成員)(坂下構成員)
【ストレスチェック結果の保存について】
・ 実施機関が変更になった場合、事業場が過去データの引継ぎを希望すると新旧の実施機関で直接やりとりしなければならなくなる。同じ57項目であったとしてもデータセットの仕様は機関によって異なるため、新旧の実施機関での確認・調整が必要。誤りがあってはならないデータであるため念入りなチェックまたはデータ置き換え用システム構築も必要。(今藤構成員)
・中小企業が独自でデータを保持し続けることは困難と考えられるので、データの授受・管理をどうすべきか、マニュアル内で明確にお示しいただきたい。(清田構成員)
【面接指導の申出・勧奨について】
・ 面接指導を希望する労働者の中には業務負荷が高いことも少なくない。そのため、高ストレスとされた者が面接指導を受けることができるよう、事業者が業務負荷の軽減など、業務上の配慮することが必要であることについても記載いただきたい。(菊池構成員)
・ 面接指導が必要な労働者の面接指導の申出について、実施者や面接指導の申出を行う労働者以外の第三者(申出を行う労働者の上司・同僚など)に分からないよう、適切な方法で面接指導の申出を促す仕組みも重要と考えているが、その点どのように記載するか。(菊池構成員)
【面接指導の実施について】
・ 「医師の意見書」から事業者の経営改善に向けた気づき、意識改革につながるような追記を期待する。(及川構成員)
・ 医師面接指導の申出があった場合、当該労働者の個人結果を担当医師に渡すための手続きを検討する必要がある。(今藤構成員)
・ 面接指導を実施するに当たり、対象となる労働者の労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様、作業負荷の状況等の勤務の状況や職場環境等に関する情報を事業者から入手しなければ適切な面接指導につながらないと考えるが、この点について記載してはいかがか。(菊池構成員)
【面接指導以外の相談対応について】
・ 「こころの耳」相談窓口の案内は、強くアピールした方が良いと思う。高ストレス者でも、会社に知られるのを嫌い、面談を希望しない人も多くいると思う。(渡辺構成員)
【集団ごとの集計・分析について】
・ 職場環境改善の実施事項では、「事業者は、集団分析結果を活用し、職場環境のストレス要因の低減に取り組むことが望まれます。」と記載されている。職場環境改善にあたっては、ストレスチェックの結果のみならず、労働組合や衛生推進者等による職場巡視などを通じて把握した日常的な職場の状況を含め、複合的な情報をもとに改善策が検討されることが重要と考える。そのため、高ストレス者への就業上の措置や職場環境改善の検討プロセスにおいては、労働組合も含めた関係者との連携が重要である旨、記載を頂きたい。(金子構成員)
【職場環境の改善について】
・ 職場環境改善の事例について、対人関係のストレスが高かった職場における事例についても、追記することとして頂きたい。(金子構成員)
【不利益取扱いの禁止について】
・ 7④の3ポツ目に掲げられた不利益措置は、医師への意見聴取等の必要な手続きを経ずに行われることが問題なのであって、本人の疾病障害や適性などから、客観的には不利益な措置がとられることはあり得る(そうしないと、却って本人の疾病を発症させたり、病状を悪化させたりする)ことを、もう少し明確に示していただきたい。(三柴構成員)
【外部委託ではなく自社で実施する場合の留意点について】
・ 自社で実施するという場合には、実施体制や責任の所在を明確化するとともに、事業者や実施事務事業者がプライバシー保護や不利益取り扱いに関する違反した場合には、罰則が適用される可能性があることについて、記載することとしていただきたい。(宮島構成員)
【巻末資料④について】
・ 小規模事業所からのストレスチェックに関する問い合わせ先として、産保センターを載せていただければと思う。希望があれば、メンタルヘルス促進員が個々の事業所を訪問し、個別に指導を行っている。(渡辺構成員)
・ ヒアリングをお聞きしていて思ったのだが、やはり57項目と80項目が大多数を占めているという中において、巻末紙上で 57項目と23項目のみの記載となっているので、ここに80項目も盛り込んでいただけないか。(金子構成員)