2025年12月5日 中央社会保険医療協議会 総会 第633回議事録

日時

令和7年12月5日(金)9:30~

場所

全国都市会館 2 階大ホール

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 永井幸子委員
  • 高町晃司委員
  • 鈴木順三委員
  • 伊藤徳宇委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 個別事項について(その12)後発医薬品・バイオ後続品の使用体制②
  • 個別事項について(その13)精神医療②
  • 個別事項について(その14)技術的事項
  • 賃上げについて(その1)

議事

○小塩会長
おはようございます。ただいまより、第633回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、奥田委員、田島専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこのあたりということで、お願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「個別事項について(その12)後発医薬品・バイオ後続品の使用体制②」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-1「個別事項について(その12)」でございます。
10月17日に御議論いただきました、後発医薬品とバイオ後続品の使用体制の続きでございます。
2ページを御覧ください。
令和6年度改定の内容と答申書附帯意見でございます。
3ページは、前回の御意見と長期収載品の選定療養における中医協での御議論の内容をまとめたものでございます。
4ページからは、まず、後発医薬品でございます。
5ページ~9ページにかけては、前回同様の資料で、後発医薬品の現状や加算状況、流通改善ガイドライン等についてとなっております。
10ページを御覧ください。
令和7年度の検証調査で、薬局における流通改善ガイドラインについての認知度と取組状況を調査した結果でございます。
薬局の約半数に流通改善ガイドラインが認知されておらず、ガイドラインの内容への取組状況についても、多くの項目で半数以上が未実施であることを示しております。
11ページを御覧ください。
薬局における後発医薬品安定供給体制に係る現状でございます。
現時点で、後発医薬品の供給体制は支障を来していると答えた薬局が78%ございました。
12ページ、病院においても、後発医薬品の供給体制は「悪化」、後発医薬品に係る対応業務が「増えた」と答える病院は半数を超えております。
13ページを御覧ください。
処方箋料、一般名処方加算に関する令和6年度改定の概要をお示ししております。
14ページ、「処方箋料」と「処方料」の算定回数合計のうち、「処方箋料」の算定回数が占める割合や、「処方箋料」の算定回数のうち、「一般名処方加算」の算定回数が占める割合は、いずれも増加傾向となっております。
15ページを御覧ください。
検証調査において、令和6年度改定による、「処方箋料の見直し」による処方への影響を医師に聞いたところ「特に処方の判断に変化はない」が最も多い結果でございました。
16ページ~18ページは、地域フォーミュラリに係る現在の取組状況等の資料を提示しております。
19ページが課題と論点でございます。
論点の1つ目は、後発医薬品の使用率や使用促進のみならず、医薬品の安定した供給体制を支える取組を促進する観点から、流通改善ガイドライン等を踏まえ、多くの医薬品の在庫管理を含めた体制について報酬上の評価をどのように考えるか。
2つ目、後発医薬品の使用促進の推進の観点から、処方箋料、一般名処方加算等の評価の在り方についてどう考えるかとしております。
20ページからは、バイオ後続品の使用促進についてでございます。
21ページは、医療保険部会における「先行バイオ医薬品の保険給付の在り方の見直しに係る論点」でございます。
こちらに、患者がバイオ後続品を選択できる環境整備を進めることについて言及をしております。
22ページ、バイオ医薬品は、現在、一般名処方マスターや一般名処方加算の対象とはされておりません。
23ページを御覧ください。
バイオ後続品とバイオ先行品を取り扱う薬局の負担についてでございます。
バイオ後続品は、保冷庫管理の必要性や薬剤が高額であることから在庫を抱えることへのリスク等の管理上の負担が生じることに加えて、医師からも、薬局薬剤師に期待することとして、患者に対してバイオ後続品の品質や有効性・安全性について説明を行うことへの期待が高いという調査結果を示しております。
24ページは、医療機関において設けているバイオ後続品使用体制加算の概要でございます。
この加算は、バイオ後続品のあるバイオ医薬品を使用する患者の入院初日に算定するものでございますが、入院日時点において、バイオ医薬品を使用するか否か不確定であるケースがあるなどの課題がございます。
25ページが課題と論点でございます。
論点1つ目、バイオ後続品使用促進の観点から、バイオ医薬品に係る一般名処方マスターの掲載を検討してはどうか。あわせて、バイオ医薬品についても、一般名処方加算の対象としてはどうか。
2つ目といたしまして、バイオ後続品の提供体制を整備するために、薬局における在庫管理のコスト等に鑑み、バイオ後続品と取り扱う薬局の体制の評価についてどのように考えるか。
3つ目といたしまして、バイオ後続品の使用促進に当たって、バイオ後続品はバイオ先行品と同一成分ではないことを踏まえ、患者への品質や有効性、安全性等の説明について、診療報酬上の評価をどのように考えるか。
4つ目といたしまして、バイオ後続品使用体制加算につきまして、入院日時点において、バイオ医薬品を使用するか否かが不確定であるケースがあることから、その算定日について見直すことについてどのように考えるかとしております。
26ページ以降は参考資料でございます。
説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、各論点に沿って、意見を申し上げます。
まず、19ページの後発医薬品の安定供給・使用促進等についてでございます。
以前にも説明いたしましたし、また、12ページの調査結果にも示されておりますように、医薬品の供給体制は一向に改善しておらず、薬局のみならず、医療機関においても、院内処方に関わる業務量は以前よりも確実に増加しており、追加的コストも生じている状況にあります。
薬局からの問い合わせも非常に増えており、やり取りの頻度も増しています。すなわち、現状は医薬品の在庫管理には、多大な労力を要しているところでございます。患者さんに必要な医薬品を安定して供給するためにも、そうした追加的コストへの評価は欠かせないと考えております。
また、流通改善に向けたガイドラインの重要性も認識しておりますが、ただ、現場では、毎日綱渡りで医薬品の確保をしているような状況でありますので、まずはガイドラインを周知していく段階にあると考えております。
処方箋料については、前回改定で大きく引き下げられたわけですけれども、医薬品の供給が不安定な中で、供給が停止あるいは制限された品目を毎日のように把握し、その日に処方できる医薬品や代わりとなる品目を検討するといった、これまでにない負担が生じております。また、患者さんに対しても医薬品の変更等について追加的な説明を要するなどの対応が求められており、医師が処方箋を出すことについても、これまでにない負担が増している状況にあります。
このような状況を踏まえれば、院内処方と比較した上で、処方箋料を引き下げるという議論は、現場の実態を踏まえておらず、全くの論外な議論であり、一般名処方加算ともどもしっかりとした評価が必要であると考えております。
続いて、25ページのバイオ後続品についてでございます。
これまでも議論してきたとおり、バイオ医薬品は化成品とは異なり、有効成分が同一ではありません。したがいまして、バイオ後続品への切替えは、主治医の医学的な判断に基づいて、患者さんと相談して決まりますので、主治医と薬局薬剤師の連携は必須の上で、一般名処方加算の対象とすることについては、進めていただきたいと思います。
一方で、バイオ後続品の提供体制に関するコストや、患者さんへの御説明等は医療機関でも同様でありますので、薬局のみならず、医療機関での強化の在り方も含めて、検討すべきであります。
また、バイオ後続品使用体制加算については、算定日が入院初日となっていることが問題だと思いますので、バイオ後続品の使用に取り組んでいる医療機関が適切に評価されるよう、退院日への見直しがなされるべきと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
論点に従ってコメントをさせていただきます。
これまでも何回かコメントをしていますけれども、まず、19ページ目の後発医薬品に関する論点についてです。
後発医薬品の使用割合が上がっても、薬局では、患者さんが選択できるよう、先発医薬品と後発医薬品の両方の在庫を抱えて管理しています。もちろん、そこには廃棄による損失のリスクも伴います。後発医薬品の使用については、患者さんへの説明、変更調剤、新規収載される後発医薬品の情報収集や備蓄など、後発医薬品の使用割合によって、薬剤師の業務が変わるものではありません。
さらに、11ページ目にあるように、約8割の薬局が後発医薬品の供給不安により業務に支障を来しており、1年前に比べて、さらに悪化した薬局が約25%もあります。
こうした状況の中、同じ11ページ目の右下にありますが、ほぼ全ての薬局で後発医薬品を入手できないために、代わりに先発医薬品を調剤しており、こうした対応に係る先発医薬品の手配、在庫することや、その管理、患者さんへの説明、先ほど江澤委員のほうからもありましたけれども、医師への問い合わせ、相談など、医療現場では追加的な業務負担がかかっている状況が続いています。
また、先発医薬品を入荷することで対応して、次の調剤までに後発医薬品の手配ができれば、その先発医薬品は、使うことはないため、薬局負担の廃棄になる場合があります。
このような状況の中、後発医薬品調剤体制加算が使用促進のみならず、使用の維持、そして安定供給に対応する薬局・医療機関を支える大きな役割を持っています。
後発医薬品の使用割合の維持や使用促進はもちろん、患者さんのために医療現場が安定した医薬品の提供体制を確保し、支えるための評価は引き続き不可欠です。単に廃止すべきではありません。
次に、25ページ目のバイオ後続品に関する論点についてです。
バイオ後続品の使用促進については、その特性を踏まえた形での使用促進の取組が必要です。
ポツの1つ目ですが、バイオ後続品はその特性から、バイオ先行品からの切替えは困難さが伴い、後発医薬品と同じような切替えなどは行うことができません。
一般名処方であれば、医学的に変更可ということが明らかに分かり、患者さんの意向を確認の上、先行バイオ医薬品か、バイオ後続品か薬局で選択可能となりますので、一般名処方マスターへの掲載については検討を進めていくことが望ましいと思います。
ポツの2つ目と3つ目についてですが、バイオ医薬品は高額なため、薬局での在庫負担が大きいことや、卸への返品ができないという課題があります。
そのため、途中でバイオ先行品からバイオ後続品に変更されたときや、他剤に変更されたとき、薬局では大きな廃棄リスクが生じます。また、患者さんにバイオ後続品についての理解を得るためには、後発医薬品のときよりも丁寧な説明を要します。
バイオ後続品の使用促進は重要なものと理解していますので、薬局でも積極的に取り組めるよう、患者さんへの説明負担、在庫やその管理、廃棄リスクを支える評価が必要です。
また、後続品に変更されたとき、先行品と、例えばデバイスの操作方法が変わることもあります。これらの対応については医師との連携が重要で、連携促進の観点も踏まえた評価をお願いします。
また、バイオ後続品の使用促進においては切替えが困難なため、安定供給が大前提となります。製薬企業による生産体制はもちろん、卸の流通体制を含め、国として安定供給の体制確保をお願いします。
また、薬局、医療機関で不動在庫となったバイオ製剤は、大きな廃棄リスクとなるため、流通体制の整備が不可欠です。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
次に、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
バイオ後続品の話でございます。25ページでございますが、2番目に、薬局における在庫管理コストに鑑みと書いてあります。23ページに、高額、いろいろ安定性が低い注射薬ということが書かれているわけですが、これは、薬局でも非常に負担になりますが、病院においても同じことが起こるわけです。
それで、特定機能病院、がん拠点病院、それから、急性期拠点では、1回数百万もしくは1000万を超えるような医薬品も存在します。それを在庫で持たなければならない。それから、それを管理しなければならないということに関して、どのように評価していただけるのか、薬局だけが、管理と、それから高額薬の在庫に関して評価されて、病院は評価されないのかどうか、この辺を考慮していただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか、ほかは、いかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、後発医薬品について、19ページの論点に沿ってコメントをいたします。
最初に、少し総論的な話になりますけれども、以前から申し上げておりますとおり、長期収載品の選定療養を導入したことにより、今回、7ページにも示されておりますが、後発品の切替えが一段と進み、もはやインセンティブとしての体制加算は役割を終え、むしろ減算を主体とした仕組みにすることが基本ではないかという認識を持っております。
一方で、医薬品の流通や在庫の管理に追加的なコストがかかっているということであれば、どのような対応が必要なのかと。これに関しては検討の余地はありますけれども、一昨日報告がございました薬価調査の結果、薬価の下支えが必要だと言われていた後発品で8.7%の薬価差益、また、これは後発品に限ったことではないですが、最低薬価品目では、令和7年度改定で底上げをした3%を超える7.3%の薬価差益がありました。
いずれにしても医療機関や薬局の薬剤管理コストについては、様々な要素を考慮して総合的に判断すべきだということを、まず、最初に申し上げさせていただきたいと思います。
その上で、1つ目の論点についてですが、10ページの流通改善ガイドラインへの対応状況ですが、左側の表を見ますと、薬局の半数がガイドラインを知らないという数字が出ておりますけれども、これに関しましては、正直かなり驚きました。ガイドラインの中には、医療機関や薬局側に求められることも多数書いてあるにもかかわらず、この結果であるということがどうなのかということは非常に疑問を持っております。
また、右側の表で、赤で囲まれている取組の少ない項目を見てみますと、一番上の偽造品の混入防止や、少し離れて下のほうにございます、GS1コードの活用は、薬局と販売事業者間のやり取りの中での話で、これはこれでしっかり対応すべきだと思いますが、残りの2つは、地域全体に関わる話ではないかと思います。
現在問題となっております医薬品の供給不足の要因として、例えば、地域全体では足りているにもかかわらず、一部の薬局が過剰な在庫を持つことや、急な配送を求めることによって全体の在庫に偏在が生じているのであれば、それによって資料の11ページや12ページにありますように、ほかの薬局や医療機関で後発品の確保に支障を来し、場合によっては長期収載品を使用しなくてはならなくなり、結果として医療保険財政の持続可能性にも影響を及ぼすというものでございます。
したがいまして、冒頭に申し上げましたが、かかり増し経費を考慮する場合でも、一律の対応ではなく、相当にメリハリの利いた対応をすべきだと思います。
次に、2つ目の論点についてですが、まず、処方箋料の関係で、資料の14ページの左の折れ線グラフを見てみますと、前回改定で処方箋料を引き下げたにもかかわらず、引き続き院外処方率は伸びております。
以前に申し上げましたとおり、既に医薬分業率の目標を達成したことに加えて、今回のデータからも、インセンティブとして処方箋料を高くする時代は終わったということは明確です。
前回格差の是正といいまして、医療側の皆様に変な期待を持たせましたけれども、今回は処方箋料の引下げということで、明確に主張させていただきます。
続きまして、15ページに移っていただきまして、上の表を見てみますと、処方日数を増やしたという回答はごくわずかで、長期処方が進んでいるとは言えないということでございます。
さらに、特別調査の報告があった際にも申し上げましたとおり、リフィル処方は全くと言っていいほど進んでおりませんので、患者負担の軽減や医療保険財政の観点からも、処方箋料の引下げと併せて、特定の疾患や高齢者に限らず、幅広い患者についても長期処方やリフィル処方の積極的な活用を促すための仕組みを検討すべきです。
また、16ページ以降に紹介されております、フォーミュラリの作成については、事例の件数を見てもまだ少なく、まだまだ取組が限定的となっております。
フォーミュラリの何を診療報酬で評価するかについては、判断が難しいところではございますが、まずは地域の取組に参加することを医薬品の処方や調剤に関連する評価を要件として位置づけることはあり得るものだと思います。
次に、一般名処方加算についてですが、まず、14ページの右側の折れ線グラフを見てみますと、処方箋料に占める割合が一定のペースで増加しております。
次に、15ページに進んでいただきまして、左下の表を見てみますと、1年前に比べて、一般名処方の件数が増えたと、42.3%の医師が回答し、その右の一般名処方が増えた理由を見てみますと、41.8%が加算の点数が引き上げられたからと回答しておりますが、少なくとも、14ページの折れ線グラフを見る限り、マクロでは、令和6年度に算定割合が大きく伸びているとは言えない状況でございます。
先ほどの15ページに戻っていただきまして、右下の表では、オーダーリングシステムの変更などの院内体制が整備されたからという回答が57.1%で最も多くなっております。
少し前の6ページまで戻っていただきまして、上の囲みにございます、一般名処方加算の位置づけを見てみますと、2つ目の黒丸で、処方箋を発行するシステム等の導入・運用コストが、評価の一部に入っているという説明がございます。
導入コストを恒常的に診療報酬で手当することについては同意しかねますけれども、システムの運用に対する手当という側面は、ある程度理解できるものでございます。
また、先ほどの14ページまで進んでいただきまして、右側の図を見てみますと、棒グラフの下の部分の加算2、すなわち1品目でも一般名処方が含まれる場合に算定する低い点数の加算については、それほど伸びておりません。仮に一般名処方加算を残すのであれば、システムが導入されれば一般名で処方し、銘柄は薬局が判断することが基本となりますように、一般名処方加算を組み替えることも必要だと考えております。
その際には、電子カルテ情報共有サービスの本格導入を踏まえ、医療DX推進体制整備加算も整理すべきだということも指摘させていただきたいと思います。
続いて、25ページのバイオ後続品についてですが、保険者の立場としては、薬事制度で先行品との同等性が認められており、財政負担を軽減する観点から、ぜひ積極的に活用していただきたいと考えております。
全体としては、まずは患者の理解を得るために、医師や薬剤師から患者に説明する手間や、薬局の在庫管理に伴うコストに対する評価ということで、事務局から示された方向性について検討することに異論はございません。
一般的な後発品との違いも踏まえ、医療現場だけでなく、厚労省から国民に対する周知広報も必要であり、当然、我々保険者からも加入者に周知する必要があると理解をしております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
松本委員からもありましたように、後発医薬品の体制加算につきまして、以前からも申し上げているとおり、長期収載品の選定療養の導入により、後発医薬品の使用状況が大きく変化していることを踏まえると、このまま維持ということにはならないと考えております。
後発医薬品の使用は、患者さんにとっても、医療機関にとっても、当然のこととして受け入れられたフェーズに至ったと考えており、そうした状況を踏まえて、使用状況に応じた加算という方法はなじまなくなったと考えております。
一方、医薬品の供給状況の悪化により、病院や薬局等で追加的な業務が生じているという実態についても検討が必要ということは、一定理解ができるところです。ただ、そもそもガイドラインの認識が不十分であるという点は、大きな課題だと捉えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員のお手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
私からも19ページの論点、後発薬品の安定供給・使用促進に関して申し上げます。
今までも触れられておりますが、10ページの流通改善ガイドラインについて、薬局の認知度を見ると、半数が知らないという状況でありますので、安定供給に向けて適正な在庫確保などの取組が進むよう、さらなる周知をお願いしたいと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
江澤委員、お手が挙がっていますので、江澤委員からお願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
何点か追加でコメントをさせていただきます。
まず、今回の資料で、先ほど1号側からの意見がありました地域フォーミュラリが紹介されております。この地域フォーミュラリについては、地域の医師会や薬剤師会など経済的な利害関係がない地域の医療関係者が相談し、納得した上で取り組んでいることが必須で、前提条件となります。
そうであるとすれば、診療報酬によってインセンティブをつけるなどして、特定の医薬品の使用を強引に推奨するようなことは、望ましい姿ではありません。
まずは、処方権は医師にあることを明確にした上で、不適切な事例が、好ましくない事例が起こらないように、十分に配慮して慎重に取り組むべきものと位置づけておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
また、一般名処方加算については、15ページで、いろいろ調査結果が出ており、一般名処方加算は、点数が引き上げられたからという理由が挙げられておりますけれども、今回、この選択肢から考えると、相対的にこの回答が選びやすかったということだとも理解しております。本来であれば、後発医薬品の供給体制に不安があるために、一般名処方に協力している医療機関も多くあるはずでありますので、この現状の供給不安定の中においては、こういった解釈には注意が必要でありますし、したがいまして、一般名処方加算についても、しっかりと現在の状況を踏まえた評価が必要だと思っております。
また、後発体制の医薬品の加算につきましても、今の医療現場をしっかりと見ていただくと御理解いただけるものと思っておりますが、現場は、日々大変苦労している状況の中で、今、このタイミングで体制加算を引き下げるとか、役割が終わったというのは、これは、あまりにも時期尚早な議論だと思っております。これまでの医療機関などの取組によって、ここまで後発医薬品のシェアが高まってきているわけでありますので、そういったことも背景に、そして、今の供給不安定も相まって、今の状況を維持しているという状況は御理解いただきたいと思いますので、むしろ我々としては、この労力に対して新たな評価もいただきたいというぐらいの思いでございます。
また、最後に処方箋料につきましては、前回、大幅に引き下げられております。そういった中で、外来診療の経営にも大きな打撃が数字としても結果で出ています。
そういった状況の中で、また、今のこういった供給不安定の中で、あるいは現場の今の取引の状況を鑑みて、今回処方箋料を下げるということは、全く受け入れられないと我々は考えております。
もう少し現場の実態を踏まえた上で、いろいろ評価をしていただきたいと思っておりますし、処方箋料は、これまで長きにわたり、いろいろこれまでの診療報酬改定の経緯によって、今の報酬設定がなされているところがありますので、一概に、たった1回の議論で、やれ適正化だのとか、院内処方に合わせるとかいった乱暴な意見というのは、全く相入れないものということは意見したいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
2点ありまして、まず、最初の後発医薬品に関する論点ですけれども、7ページの資料に、後発品の利用割合が増えているという現状があります。
ただ、院内処方における後発薬への置き換えというのは6割程度ということで、院外処方に比べて大変低い現状です。
現在、院内処方というのが、大体全体の2割程度と理解しております。2割のうちの4割が先発品ということになると、この100%に足りない多くの部分は、実は院内処方における先発品の利用ということがかなりあるのではないかと思います。
また、院内処方に行けば先発品がもらえるというメッセージを発しないということも重要ですので、この院内処方での後発品利用を進めていくということをしっかりお願いしたいと思います。
2点目ですけれども、先ほど2号委員から、高額医薬品の在庫に関して、在庫ロスが発生するという御指摘がありますけれども、1点教えていただきたいのですが、こういった高額な医薬品の購入と契約の慣行に関して、まず、2点なのですけれども、そもそも在庫を抱えるのか、あるいは利用が決まってから、こういった高額品を購入するのかというのが、まず1点。
もう一点は、契約に関して全て買い切るというのが慣行になっているのかと、2点教えていただければと思います。
○小塩会長
今、飯塚委員から在庫の話で御質問がございましたが、森委員、いかがでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
まずは、買い取るのかという話ですけれども、例えば、厳格な温度管理を要する医薬品に関しては、返品ができないということが流通改善ガイドラインで定められていますので、例えばバイオ製剤に関しては、一度購入したものは返品できません。うちの薬局でも先行品を使っていた患者さんが、バイオシミラーに変更になり不動在庫になって困ったということを経験しております。
それから、事前に在庫するのかということですけれども、例えば、次回から使うことが分かれば、もちろん在庫しておきますけれども、正直言って、高額な医薬品で、使うか、使わないかわからない医薬品を薬局に置いておくというのは、なかなかできることではないので、基本的に初めて投与されるときには、処方されてから手配をしています。ただ、次回患者さんが来る日に合わせて、一度投与したものに関しては、次回分は在庫をしています。
○小塩会長
飯塚委員、よろしいでしょうか。
○飯塚委員
ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、よろしいですか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
先ほど1号委員の先生から、選定療養が始まって使用割合が上がったという話があったのですけれども、確かに昨年の10月で3%ほど使用割合が上がりました。そのために、4月から患者さんへ丁寧な説明をして準備をしてきて、一定程度選定療養の役割があったと思っています。
ただ、その後の経過を見てみますと、12月に後発品の新規収載があり、一度使用率が下がっています。これは、いつものことだと思うのですけれども、新しい薬が出たときに、もう一度説明をして理解を得るのですが、まだ切り替えないという人もいて下がって、その後、戻ったのですけれども、その後、使用率が上がっていません。ということは、後発医薬品調剤体制加算は、やはり維持することにもなっており、今、自分たちにとっては非常に重要な原資となっているということを御理解いただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
医療現場では、本当に医薬品の供給が、何か少しずつよくなってきているように、データでは出てきているのですけれども、大阪府の薬剤師会などは5年間の経過をずっと見て、その経過で見ると、決して全くよくなっていないのですね、むしろ悪くなってきているという結果がはっきり出ておりますので、この現場で、この処方を変えるとか、そういうことの意見交換をなされるのが全くおかしいのではないかなと、まず、供給がきちんとできる中での話であろうと思いますので、その辺は御理解いただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
後発医薬品の体制加算について、鳥潟委員と私からもコメントをいたしましたけれども、申し上げているのは、これに関する体制加算というもの、今の加算について、資料の6ページに説明がございますけれども、やはり性質が変わっていっているのであれば、そういう形でしっかりと、ということではないかということを申し上げているのであって、今、言われたとおり、いろいろなコストと、流通とか、在庫の管理に関してコストがかかるということに関しては、理解はするけれども、本当にこの対応でいいかという問題提起をしておるということは御理解をいただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
我々もその名称を変えて、こういう現場で困っていることに対しての加算をするのだということであれば、全然理解はするのですが、そういうことなしに、はい、切りますよということでは理解ができないということで御理解をいただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応をお願いいたします。
続きまして「個別事項について(その13)精神医療②」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「精神医療②」をお願いいたします。2ページが目次となっております。
最初のほうは、かいつまんでお話しします。少し説明しますと、4ページ、精神疾患を有する外来患者数の推移でございます。
平成29年と令和2年のところで、患者調査の算出方法が変わっておりますので、そこは連続して比べることができないのですけれども、外来患者数は、経年的には増えてきており、足元では横ばいになっているということ、また、気分障害や神経症性障害などの患者が多くなっているということが分かります。
6ページが、精神科を主に標榜する診療所数が赤で書いてございますけれども、こういった形で伸びてきているという状況です。
そして、8ページから個別の論点に入っていきたいと思います。
9ページ、通院・在宅精神療法の現在の報酬の構造となってございます。
精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合という要件になってございまして、さらに精神保健指定医以外の場合と精神保健指定医による場合によって、評価に差がついております。
また、初診日に60分以上というところについては高い評価、また、それ以外も含めまして、30分未満と30分以上で評価は分かれていると、そういう構造になってございます。
10ページ、初診、再診の割合でございますけれども、30分以上実施された場合のうち、一定程度は初診患者に対する精神療法であったということでございまして、60分以上の初診というものだけではなく、30分以上の初診というのも相当数あるということが分かります。
11ページ、初診で行われるべき診療の例をお示ししております。
12ページ、障害保健福祉部でまとめた報告書の中で、初診待機が課題になっている旨の言及がございます。
13ページからが、早期診療体制充実加算についてでございます。
14ページ、これは前回の診療報酬改定で創設されたものでございまして、早期に重点的な診療等を実施するとともに、質の高い診療を、継続的に行う体制を評価するということで、施設基準としては、例えば、診療所では初診日に60分以上の通院・在宅精神療法が一定以上行われていることであるとか、診療所、病院共通して時間外診療や精神科救急医療の提供を行っていること、また、指定医の配置や多職種の配置などが要件となってございます。
15ページ、この届出を行っていない理由として挙げられているものが、時間外診療の提供に関する要件を満たすことが困難、救急医療提供に関する要件を満たすことは困難であるためといったものや、30分や60分といった診療実績の要件を満たすことが困難であるためということが挙がってございます。
時間外診療に関連しては、16ページにありますように、自ら24時間体制を構築する診療所だけではなく、病院との連携によって構築する診療所もあるのではないかということを挙げさせていただいております。
17ページからが、情報通信機器を用いた精神療法についてでございます。
18ページ、これも前回の診療報酬改定で設けられた通院精神療法の情報通信機器を用いて行った場合というものでございますけれども、これにつきましては、情報通信機器を用いた精神療法に係る指針に沿った診療ということでございまして、対象としては、過去1年以内の期間に対面診療を行ったことがある患者となってございます。
19ページが、届出医療機関数と算定回数となってございます。
20ページ、このほど障害保健福祉部の検討会でまとめられた指針によりますと、再診の場合だけではなくて、オンライン初診精神療法についても、精神療法に十分な経験がある医師が診察を行うことを前提として、行政が対応を行っている未治療者、治療中断者等に対して、診察を担当する医療機関と訪問指導等を担当する行政との連携体制が構築されており、患者のそばに保健師等がいる状況、そうした要件、また、患者自身の希望がある場合という要件、あと、下のほうにも赤線を引いておりますけれども、時間外や休日の対応といったものについても、確保した上で行ってはどうかという指針が示されてございます。
21ページ、規制改革実施計画においては、初診のオンライン精神療法につきまして、検討して、所要の措置を講じることが求められてございます。
22ページからが、児童思春期支援指導加算についてです。
23ページ、これも令和6年度診療報酬改定で求められた評価でございます。
この中では、例えば、これも初診待機が課題になってございますので、一番下の行にありますけれども、初診を実施した20歳未満の患者の数が月平均8人以上であることなどの要件を付加してございます。
そして、25ページが届出状況となってございますが、都道府県ごとの届出で、ゼロの県もあるといったことでございます。
26ページ、届出を行っていない理由として、人員の配置などを行っていないというものもございますが、加えて、過去6か月間の初診を実施した患者数の要件を満たせないということも伺ってございます。
27ページ、初診待機の状況、定量的なデータは少し古いものでございますけれども、現在においても、こうした初診待機の課題が継続していると認識をしてございます。
28ページからが、公認心理師についてでございます。
29ページ、公認心理師の概要でございまして、平成29年に施行された法律でございます。
当初の5年間は、経過措置的な試験が行われてございまして、そうした現任者の試験については、令和4年で終了しているという状況でございます。
30ページに、現在の登録者数、そして勤務の分野がまとめられてございます。
31ページでございますけれども、公認心理師は新たな心理職の資格でございますので、これが創設されたときに、それまで臨床心理技術者を評価した点数につきまして、公認心理師と改める一方で、経過措置として、それまで従事した臨床心理技術者についても、引き続き対象でとするということとなってございましたので、これについて、今後の取扱いを検討する必要があると考えてございます。
また、32ページ、令和6年診療報酬改定で設けられた心理支援加算でございます。この公認心理師が、心理支援を30分以上実施した場合の点数でございますけれども、この対象患者につきましては、外傷体験を有し、心的外傷に起因する症状を有するものとなってございます。
33ページ、現在、算定を行っていない理由として、対象患者がいないといったものも挙がってございます。
34ページ、この対象となっている部分、精神疾患の全体像の中で言うと、F43.1と赤で書いておる外傷後ストレス障害というところになりますけれども、もう少し大きく見ていくと、F40台、神経症性障害,ストレス関連障害などの分類の中の1疾患になるということでございます。
35ページ、このF40台の患者さんに心理支援を行った場合の効果のエビデンスについての資料となってございます。
36ページからは、認知療法・認知行動療法でございまして、これは、精神療法の一種で、ものの受け取り方、悲観的に考えがちになるような考え方を変えていくような治療法ということでございます。
37ページ、現行の評価でございまして、医師及び看護師が共同して行う場合を評価してございます。
38ページ、公認心理師によって、このようなアプローチによる支援を行った場合についても効果があるというデータになってございます。
40ページからが、精神保健福祉士の病棟専従の関係でございます。
41ページ、一昨日の議論の中で専従要件について、精神診療に関する専従要件を、今後、御議論いただきたいと申し上げました。
42ページ、精神保健福祉士、現在、病棟ごとの専従となっている要件が多数ございますけれども、病棟を移動しても、あるいは病棟を出ても継続して支援するというニーズがあるということでございます。
43ページは、障害保健福祉部の検討会のまとめでございます。
最後46ページ、論点でございます。
精神科外来において初診をより積極的に診療する体制を確保する必要があることや、精神保健指定医が地域で果たす役割をさらに評価する観点からの、通院・在宅精神療法における初診・再診の評価の在り方について。
また、早期診療体制充実加算、地域の救急医療体制を担う病院との連携体制を構築した上で、取り組む診療所についても評価の対象とすることについて。
また、情報通信機器を用いた精神療法について、初診精神療法についての評価について。
それから、児童思春期支援指導加算の評価の在り方について。
臨床心理技術者に関する経過措置の終了について。
そして、公認心理師の心理支援加算の対象疾患の拡大や、認知行動療法的アプローチに基づく心理支援の評価について。
認知療法・認知行動療法の実施に際して毎回医師の介入を求める要件等を緩和することについて。
最後に、精神保健福祉士の専従となっている職務の範囲を柔軟化することについて。
こうしたことを論点とさせていただいております。
御審議をお願い申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、46ページの論点に沿ってコメントをさせていただきます。
まず、最初の外来医療についてであります。
1つ目の○で示されている、初診をより積極的に診療する体制を確保する必要性や、精神保健指定医が地域に果たす役割をさらに評価することについて異論はありませんが、通院精神療法、在宅精神療法ともに、初診日に60分以上の設定がありますが、30分以上で対応できる初診患者さんも多くいらっしゃることから、初診日に30分以上の評価を設定し、精神科の初診待機問題の解消を図っていくことも検討すべきことであります。
また、精神保健指定医は、確かに精神医療審査会など、地域の精神科医療にも貢献しておりますが、それ以外の医師であっても、精神障害を有する患者さんにとって、かかりつけ医として機能している場合もありますので、現場を踏まえて、バランスを踏まえた対応も必要と考えております。
2つ目の○の早期診療体制充実加算については、施設基準で求められている内容が過度に厳しい内容であることから、届出医療機関が少なく、地域の精神医療提供体制を拡充するためにも緩和が必要であると考えております。
論点にあります、地域の精神科救急医療提供体制を担う病院との連携体制を構築した診療所について、評価対象とすることに賛同いたします。
あわせて、初診30分以上の診療実績についても、現状の診療実態を踏まえて、入退院支援やカンファレンスの実施などの病診連携のもと、早期に対応し、地域の精神医療提供体制に貢献している病院や診療所については、要件を緩和することも検討に値すると考えております。
3つ目の○のオンラインで行う初診の精神療法については、現在、検討されている指針の見直しを踏まえて検討する必要があり、オンライン診療が適切に行われる観点から、20ページにありますように、初診については、一部の例外を除いて行うべきではなく、今後、科学的知見を検証しながら、実施する医師の経験や、対象とする患者さん、あるいは行政との連携体制なども踏まえて、慎重に検討していくべきものと考えております。
4つ目の○の児童思春期支援指導加算については、23ページの施設基準に示されている過去6か月間に、初診を実施した20歳未満の患者の数が月平均8人以上であることという施設基準が、一般の医療機関には過重な要件になっております。
26ページにおいても、月平均8人以上という施設基準を満たせない医療機関が一定数あることが示されておりますし、地方や中小規模の医療機関では、診療体制上の制約や、地域における対象者人口の少なさから、この要件を満たすことが非常に厳しくなっております。
本来、この加算は、児童思春期の精神科医療の裾野拡大と、初診待機期間の解消を図るべく創設された加算ですが、そうした加算の趣旨と異なり、今、申し上げたような医療機関においては算定が困難となっておりますので、地域における思春期のメンタルヘルス対応を強化するためにも、この施設基準については、緩和すべきと考えております。
続いて、2つ目の論点である個別的事項についてでございます。
1つ目の○の公認心理師の経過措置については、現在、経過措置を利用している医療機関の状況を把握し、現場に混乱が生じないように配慮した上で検討すべきであります。
また、2つ目の○の心理支援加算の対象疾患の拡大や、認知行動療法的アプローチに基づく心理支援の評価を新たに行うことについては、おおむね異論はありません。
心的外傷の有無にかかわらず、支援を必要とする患者さんも多くいらっしゃいますので、公認心理師による支援として、どのような患者さんが適切であるのか、丁寧に検討するのがよいと考えております。
認知療法・認知行動療法については、37ページを見ましても、極端に算定件数が少なくなっておりますので、毎回の医師の面接要件を緩和するなどして、さらなる普及を図っていくことも考えるべきと思います。
最後の3つ目の○の精神保健福祉士を病棟に専従で配置することについては、医療の質の確保という観点でも、場所ではなく職務に専従していれば問題ないはずでありますので、そうした意味で、柔軟な対応を可能にすべきであります。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
私からも46ページの論点に従いまして、少し発言をさせていただきます。
まず、初めの論点、○でございます。精神科の外来診療において、初診待機が問題になっているということが12ページに示されております。
また、10ページ、11ページに示されておりますが、60分以上に限定された初診の精神療法の評価ですが、精神科の初診におきましては、30分以上かけているというものも多数あることが示されております。30分以上についても評価するということは合理的であると考えます。
また、質の担保のため、精神保健指定医またはその指導を受けている精神科医により、初診診療が行われた場合と、そうでない場合の評価というものは、明確に区分すべきであると考えます。
また、初診前に行政が実施する相談支援等について、医療機関受診への連携を評価するということが書かれておりますが、それも意義があることだと考えております。
2つ目の早期診療体制充実加算の論点に関してです。
早期診療体制充実加算は、算定件数が少ないですが、算定しにくい理由としまして、15ページにおきまして、時間外対応及び救急提供体制の要件、一定時間以上の診療実績が厳しいことが示されております。
これは、診療所だけではなく、精神科病院にとってもハードルであります。診療所、病院に限らず、見直しが必要と考えます。
また、時間外対応等については、対応が困難な医療機関が対応可能な医療機関との間で、平時からの連携や必要に応じた情報共有を行うことを評価することは理解いたしますが、その際の実態の確認の方法については、十分に検討する必要があるかと思います。
また、現行の加算点数は、14ページにありますが、診療所と病院では点数設定に差異がありますが、これも見直すべきではないかと考えます。
3つ目、情報通信機器の論点でございます。
情報通信機器を用いた診療体制については、20ページの指針案に従い、適切に実施することが大前提だと考えます。
初診時の向精神薬投与や、緊急時対応が困難な遠方からの診療などについて、既に不適切事例が報告されており、質の担保のための一層の精査が必要だと思います。
また、指針案では、平時からの十分な連携体制の確保を求めていますが、早期診療体制充実加算の場合と同様に、実態を確認する手法を慎重に検討すべきであると考えます。
児童思春期でございます。これも江澤委員からもありましたが、過去6か月に初診を実施した20歳未満の患者数が月平均8人以上という要件が、算定の上で高いハードルになってございます。
また、算定開始までの実績づくりの期間が長いことも障害となっており、実態を踏まえた要件緩和を要望いたします。
公認心理師の論点に関してですが、経過措置に関しまして、終了する方向性については、おおむね同意いたします。
ただし、既に公認心理師の確保が困難な地域等においては、実情を鑑みて対応を検討する必要があると思っております。
2つ目の○でございます。
心理支援加算の対象疾患をICD-10におけるF40分類全般へ拡大すること。また、認知行動療法の要件緩和については妥当と思います。
なお、治療者としての重要性が増すことから、同一の公認心理師が継続的に関われる仕組みを検討していくべきだと思います。
最後の○でございます。
精神保健福祉士については、入院前から退院後までシームレスな関わりが求められますが、40ページに示されておりますとおり、病棟専従配置等を求めている入院料は多く、それがなかなか実現できない体制となっております。業務量が増大する中、効率化を図るためにも、専従要件を見直す方向性に賛成いたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、46ページの論点に沿いまして、まず、外来医療についてコメントいたします。
通院・在宅精神療法については、11ページに鬱病の例が出されておりますけれども、鬱病で把握すべき情報のリストが出ておりますけれども、こうした精神疾患の特性を踏まえますと、初診時にしっかり時間をかけることが重要であり、現在の60分以上という基準は維持すべきだと考えます。
一方で、資料の11ページに目を移しますと、初診の患者でも60分かからずに対応している実態が一定程度あり、また、11ページに挙げられている情報を全て把握して、適切な診断ができるのであれば、12ページにあります、初診待機を減らしていくために、初診時と再診時の評価を分けることは理解ができます。
ただ、6ページにありますように、精神科を標榜する診療所は右肩上がりで増え続けており、7ページにありますように、精神医療の入院外の医療費がかなり伸びておりますので、質の担保は不可欠となります。
論点にありますとおり、あくまでも精神保健指定医の役割を評価するものですので、指定医以外とのメリハリの中で対応すべきだと考えます。
次に、早期診療体制充実加算については、資料の16ページに示されているような枠組みで、時間外の対応を担保することにより、早期の対応を推進することはあり得ますけれども、一方で資料の14ページにあります、3年以内の評価について、病院が20点、診療所が50点ということで、実績要件が異なることによる評価ということは理解をしておりますけれども、ここまでの差が妥当なのかについては疑問を持っております。
今回、診療所の体制要件を緩和するのであれば、点数に関しても見直しが必要だと考えます。
また、オンラインの通院精神療法につきましては、18ページにも示されておりますが、前回改定で厚労省の指針が整備されたことを踏まえ、指定医による再診に限ることを条件として評価を了解したという経緯がございます。
今回、規制改革実施計画が示され、それを受けて、その指針が改訂されるということは十分理解しておりますが、19ページに示されております、届出や算定が限定的というデータのみをもって、中医協でその評価あるいは基準等を議論することは、いささか無理があると思います。
事務局側には、なぜ指針で初診を認めたのかといったことや、前回改定の検証結果など、実態が分かるデータを改めて示していただきたいと思います。
次に、児童思春期支援指導加算については、25ページに目を移しますと、加算の届出が3施設以下の都道府県が全体の3分の1程度あり、また、26ページに示されております理由については、患者数が月平均8人未満という回答が4割程度ということになっております。
一方で、24ページに目を移しますと、20歳未満の精神疾患が増加していることを踏まえますと、この月平均8人以上の実績要件を、即緩和するということには、いささか疑問を感じます。
ただ、多職種によるしっかりとした体制を整えているにもかかわらず、その地域に患者が少ないということはあり得るかと思いますので、実績に応じて評価を細分化する余地はあると考えております。
続きまして、最後に個別事項につきましては、事務局から示された方向性について基本的には異論ございませんが、公認心理師による支援については、保険診療として評価する限りは、将来的なことも含めまして、一定妥当な範囲があるということは指摘させていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
初診待機の課題がある中、患者さんが早期に専門的な知見の深い精神保健指定医の初診を受ける体制を確保していくことは重要であると考えます。
一方で、現行、診察時間で評価が分かれていますが、見直しを行う際には、精神疾患の診察に当たって、必要な問診や医師とのコミュニケーションが確保され、診療の質を担保することも併せて検討する必要があると考えます。
次に、初診のオンライン精神療法については、既に行政による対面の対応が行われている患者さんに対して、行政職員が患者のそばにいるときに診察が行われるという限定的なケースと理解をいたしました。
基本的に精神疾患について、診断の基礎となる初診は対面で実施すべきと考えていることを申し添えておきます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
精神保健指定医が地域で果たす役割、入院患者の地域移行や定着などに積極的に取り組む診療所を評価する方向に異論はありませんが、質の高さ、担保をどのように見るのかという点については、11ページに示されております、把握や注意すべき情報のリストなど、学会のガイドラインも踏まえ、検討する必要があるのではないかと考えます。
また、児童思春期の精神疾患患者の受入れ体制の確保につきましては、各医療機関において、初診待機を短縮するための取組が進むようにしていくことも重要と考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
精神療法に特化したことではないのですが、9ページに、通院在宅精神療法というのがございまして、30分以上30分未満、初診日に60分以上と時間で制限されているわけですが、これから医療者も減っていく、そして、ICT等を含めて医療の効率化を進めたときに、分数で規定されてしまうと、何をやっても効率化はできないわけですね。働き方改革の中で、1日働く時間が7時間45分であれば、その間にできる療法というのは、初診というのは決まってしまいます。
ですから、このような規定がある場合に、本当に効率化で、この分数を下げられないのかということは、これから検討していただいて、もし下げられるのであれば、効率化に進むような設定にしていただければと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
江澤委員、お手が挙がっています。お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
1点だけ申し上げます。早期診療体制充実加算です。
14ページに、算定要件、施設基準が出ております。この施設基準を満たすことが大変ハードルが高く、届出医療機関数が全然伸びていないということで、せっかくこの加算ができた趣旨が生かされていないのが、今の実態だと思っています。
そういった中で、この初診30分以上の診療等の診療実績がありますけれども、ここに2つ並んでおりますが、これは、診療では、両方を満たすという形で、今の点数設定になっています。
先ほど、1号委員からもありましたけれども、むしろ、病院の場合の、この20点というのは、むしろこれだけの要件であれば、引き上げていくべきではないかと思いますし、せっかくの加算の趣旨を鑑みると、もう少し算定医療機関が増えるように、要件緩和はいろいろ必要ではないかと思っています。
特に、過去6か月間の30分以上または60分以上の通院在宅精神療法の最低算定回数を、通院在宅精神療法の算定回数で割ったものが5%以上という要件もなかなか、現場からは厳しいという意見が多く聞かれております。
したがいまして、本来の目的である、しっかりと精神科の病院と診療所が連携体制を構築して、いろいろ早期に患者のためにしっかりと取り組めるような提供体制を構築していれば、こういったものも見直していくことには値するのではないかと思っておりますので、今後、なるべくこういったものが地域で活用されるように、よろしくお願いできればと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑は、このあたりといたします。今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「個別事項について(その14)技術的事項」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3「個別事項について(その14)技術的事項」となってございます。
2ページが目次でございます。技術的事項でございますので、一つ一つ案件が並んでおります。
3ページ、まず全身麻酔についてでございます。現在の全身麻酔の評価体系でございますけれども、吸入麻酔と静脈麻酔ということで分かれている。また、マスクまたは気管内挿管による麻酔を行うかどうかというところで、上下分かれているということでございます。
4ページ、麻酔の分類でございますけれども、まず、この全身麻酔の定義といったところ、どの程度の鎮静を図っていくかというところについて、今の算定要件では、明確に示しているものではございませんけれども、こうした視点があるということ。
それから、5ページ、マスクによる換気を行っているかどうかということでございますけれども、マスクや声門上器具、気管内チューブ、いろいろな気道確保があるということでございまして、実態を踏まえた検討が必要ではないかということでございます。
それから、6ページからロボット手術の評価についてです。
7ページ、内視鏡手術用支援機器を用いた内視鏡手術につきまして、平成24年度の診療報酬改定以降、順次保険適用されておりまして、現在、32項目が保険適用されております。
診療報酬上の評価としては、基本的には既存技術と同程度とすることとされてございまして、既存技術と比較して追加評価をされている、優越性があるような手術ということでいうと6項目ということでございます。
評価は大方同じになっているわけでございますけれども、9ページを御覧いただくと、医療材料費ではかなり違ってございまして、ロボット手術においては、腹腔鏡下等のロボットを使わない手術よりも、コストが高いということでございます。
10ページが、現在の施設数や算定回数をお示ししているものです。
12ページが、臓器移植に関係することでございます。
これまでの御議論の中で、ドナー側の体制の確保や、その評価について御議論いただいたところでございますけれども、手術を受けるレシピエント側の評価についての論点ということになります。
手術料においては、外保連試案などに基づいて、手術の時間や、そこに係る人数などを基に、手術の費用の相対関係の調整というのを、これまで行ってきているということでございますが、臓器移植において、この資料で言いたいことは、手術の時間以外にも臓器移植特有の様々な業務が発生し、その臓器のあっせんや脳死判定が行われてから手術が終わるまでに、多くの人手が関わっているということでございます。
13ページからが、遺伝性乳がん卵巣がん症候群についてです。
14ページにございますけれども、これにつきまして、現行のルールとしては、遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる、乳がんもしくは卵巣がん患者につきまして、この予防切除が保険適用の対象となってございますので、例えば、片側の乳がんの手術をされた方が、もう片方の予防切除を受けられるといったことについては、保険適用されてございますが、そういった、まだ発症されていない方においても、乳がんの罹患率は非常に高いことが見込まれるという中で、関係学会において、未発症の段階での乳房切除についても、エビデンスが示されているということでございます。
そうしたことを踏まえた、発症前の保険適用の在り方についての論点ということでございます。
16ページが、フィブリノゲン製剤の投与にかかる検査についてということでございます。
フィブリノゲン値の測定について、手術室等で迅速に行う場合があるということでございまして、現在の評価の中では、一般的な検査と分かれていないわけでございますけれども、こうしたことについてコストがかかっているということでございます。
それから、17から睡眠医療ということですが、18ページ、CPAP療法の保険診療の基準でございますけれども、このAHIという指数が、20というところで日本では基準となってございますが、各国においては、より広い基準で、このCPAP療法が行われているということでございます。
また、19ページ、終夜睡眠ポリグラフィーにつきまして、もともと医療機関の中で行うことが多かったものでございますが、近年では、在宅で実施される機械が開発されまして、これを送付して行う場合ということが生じてきてございます。
診療報酬上は、入院で実施する場合と在宅で実施する場合に差がない経緯となってございますので、この点の評価について論点とさせていただいています。
続いて、21ページからが情報通信機器を用いた医学管理等についてでございますけれども、今回お示しているのは、脳深部刺激療法、これはパーキンソン病などの不随意運動症の治療方法として、神経の刺激、装置を体内に埋め込むような治療でございます。
これにつきまして、指導管理が必要なわけでございますけれども、22ページにありますように、遠隔からこの装置の利用状況等についてモニタリングをして、指導を行うといったプログラム医療機器が薬事承認されてございます。遠隔で治療設定の機能の変更が可能であるということでございまして、こうした対面診療と遠隔プログラミングを適切に組み合わせた治療というものが考えられるということになります。
続いて、23ページは、外来栄養食事指導が情報通信機器で行うことができるということでございますが、論点となりますのは、24ページ、在宅療養指導料、これは、保健師、助産師、看護師が指導を行う場合でございますけれども、在宅で指導を行うのではなくて、在宅での療養のために、外来等で指導を行う場合を想定して設けられている点数でございます。
対象患者としては、この24ページの左側に書かれているような方ということでございます。
25ページ、例えば糖尿病患者については、情報通信機器を活用した、こうした在宅療養指導ができるのではないか、また、26ページ、慢性心不全患者についても、再入院の回避などの効果があるのではないかといったデータが出てございます。
続いて、28ページ、カルタヘナ法遵守に係る対応でございます。
遺伝子治療薬等に用いられるウイルスベクターは、カルタヘナ法という飛散防止など、生物多様性の確保を図るための法律がございますけれども、これにおける遺伝子組換え生物等に該当するため、その取扱いに当たっては、第三者への曝露・拡散防止の観点から、規定を遵守する必要があるということでございます。
このための消耗品の費用負担、手順書の整備、関係者への訓練など、あるいは個室の管理といったこともあるかも分かりませんが、そうした対応が求められているということでございます。
29ページ、慢性心不全の再入院予防についてでございます。
30ページ、移行期の心不全管理と心臓リハビリテーションということで、こうした時期において多職種による多面的な介入を行うことが重要とされていると。
31ページが、診療実態でございまして、処方薬等のばらつきの状況をお示ししてございます。
32ページは、多職種の介入によって、退院後の新イベントの累積発生率が低下したなどの報告がございます。
33ページ、現行様々なサービスといいますか、診療を組み合わせて、こういった対応をしていく必要があるということでございまして、こういったものをしっかりと連携してマネジメントをしていくことが必要であるということになろうかと思います。
34ページからが、心大血管リハビリテーション料における慢性心不全患者の基準についてということで、35ページに内容がございますけれども、この基準でございますが、心不全の可能性が高い基準ということで、心不全診療ガイドラインラインにおいて、このNT-proBNP値が400pgから300pg/mLに変更されたということでございますので、診療報酬上の基準についても、現在、この400というのが用いられている部分についての変更をお諮りするものでございます。
続いて、36、37ページからが診療報酬における使用医薬品についてでございます。
37ページにございますように、治療の一環として用いられるワクチン、ここでの例は、ペグセタコプランというもの、この薬理作用から免疫抑制的な機能があるということでございまして、あらかじめワクチンを接種することが求められておりますが、このワクチンが保険適用されていない、薬価収載されていない場合の取扱いが必要であるということでございます。
また、38ページ、致死率の高い重点感染症について、国が薬剤を備蓄あるいは保有管理する場合がございますけれども、こうしたものも薬価収載されているわけではございませんので、こうしたものを使用する必要がある場合の取扱いが必要ということになります。
39ページでございますが、薬価収載されていないものを保険診療に使う場合の取扱いとして、現行、例えば、投薬または注射の適否に関する反応試験に用いる医薬品などを表に整理して、使用できるという取扱いとさせていただいてございますので、こうした表に追加するといった方法があり得るということになります。
最後、43ページから論点となります。
全身麻酔の評価の在り方、ロボット手術の評価の在り方、臓器移植において、移植側施設における体制整備に係る特殊性を踏まえた評価について、それから、乳がん卵巣がん未発症患者に対するBRCA遺伝子検査等を診療報酬上の評価の対象とすることについて、迅速フィブリノゲン測定の診療報酬上の評価について、CPAP指導管理料と終夜睡眠ポリグラフィーの評価についてどう考えるか、それから、プログラム医療機器を用いた脳深部刺激療法の管理の評価について、そして、在宅療養指導料の情報通信機器等を活用した場合の評価について、カルタヘナ法の遵守に関する診療報酬上の評価について、慢性心不全の治療管理の評価の在り方について、心大血管疾患リハビリテーション料における慢性心不全の対象患者に係る基準について、保険診療上必要となる治療の一環として用いられるワクチンの保険償還について、致死率の高い重点感染症に対する即応的な治療手段となる危機管理等医薬品の保険償還についてということで、論点とさせていただいてございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、43ページ、44ページの論点に沿ってコメントをさせていただきます。
まず、全身麻酔の評価については、臨床現場の実態に応じた評価を検討することも考えられますが、専門的な内容である一方で、広く行われている手技でもありますので、学会の御意見なども踏まえつつ、丁寧に検討を進めるべきであると考えております。
次に、ロボット手術の評価は、算定回数に応じた評価ということも考えられますが、算定回数については、これまで議論してきたとおり、地域の医療提供体制において差が生じます。
また、算定回数が伸びない背景には、保険償還されない医療材料費が高いことや、施設基準における術者要件が厳しいなど、様々な背景がありますので、こちらも丁寧に検討すべきと考えております。
臓器移植施設の体制整備については、12ページに示されているような体制の構築や業務の内容は、臓器移植普及のために必要なものでありますので、こうした取組を評価すべきと考えております。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群については、関係学会のガイドラインを踏まえて評価を検討してはどうかと考えております。
検体検査などのうち、迅速フィブリノゲン測定については、一般的な検査と明らかに異なりますので、現行の評価とは区別して評価すべきであります。
次に、睡眠医療についてでございます。
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料における対象患者は、18ページに示されている各国の状況を踏まえて、見直しを検討してはどうかと思います。
また、終夜睡眠ポリグラフフィー検査についても、近年の検査機器の進展や示されているエビデンスを踏まえて、評価方法を検討してはどうかと考えております。
情報通信機器を用いた医学管理のうち、脳深部刺激療法につきましては、薬事承認の内容や、関連学会の手引きを踏まえて、遠隔からの管理を評価することを検討してよいと考えております。
また、在宅療養指導料については、資料に示されているような自己注射を行っている糖尿病の患者さんや、慢性心不全の患者さんに対してオンラインで指導することも考えられますが、診療報酬上の評価については、エビデンスのレベルを踏まえた上で検討すべきだと考えております。
カルタヘナ法の遵守に関わる追加的業務や、コストについては企業のみならず、医療機関であっても一定程度負担している状況ですので、コストに見合った評価がなされるべきであります。
慢性心不全の再入院予防については、現行の診療報酬上の評価に加えて、どのような評価が必要となるのか、よく整理した上で、エビデンスに基づき追加的評価の必要性について検討すべきと考えております。
心大血管リハビリテーション料における慢性心不全者の基準については、ガイドラインに準じて基準を変更すべきであります。
最後の診療報酬における使用医薬品については、治療の一環として用いられるワクチンや危機対応医薬品を療担規則の別表3に収載することで、混合診療となる懸念が生じないようにするとともに、そのコストについても医療機関が持ち出しで負担することがないようにすべきであります。
私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員から意見を聞く機会について御検討いただければ、幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私も43ページのロボット手術の評価について発言をさせていただきます。
今回、資料のほうで、ロボット手術の資料を出していただいております。9ページにロボット手術と、腹腔鏡下等手術の償還できない医療材料費というのが、これだけの差があるというのが出ております。
もちろん、8ページに示されておりますように、ロボット支援下の内視鏡手術を保険収載したときに、中医協におきまして、いわゆる診療報酬上は優越性を示すまでに至っていない手術については、既存技術と同程度とするのが適切という整理になっているということは認識しておりますが、あまりにも、今、様々な基幹病院で行われているロボット手術というものの採算性が問題になっています。
今回の資料ではないですが、消化器外科ですとか、外科系のドクターのなり手が少なくて、今、非常に大変な状況になっているという状況も中医協で報告されています。
ロボット手術というものに関しての評価が、なかなか診療報酬の論理的整合性で難しいのであるならば、いわゆる腹腔鏡下手術など、手術料を大幅に上げることによって、そのロボット手術の持ち出し部分というのをある一定程度カバーできるような形の対応というのも一考に値するのではないかと思います。
10ページにロボット手術の、いわゆる算定医療機関675施設というのが出ておりますし、1施設ごとの算定回数にこれだけ差があるという資料も出されております。
しかし全国で675というのは、日本の人口を割り返しますと、20万人に1か所ということになります。今、地域医療構想で、様々な集約化や基幹病院では外科的なドクターがしっかりと対応できるというのを模索しつつあります。これぐらいの医療機関に、しっかりと対応できる外科医が大学等から派遣されてきて、しっかりと医療提供体制を維持するということは重要であると思います。
この問題は、なかなか難しい論点だということは十分分かっておりますけれども、今の外科系の医療が置かれている状況を、全体的に認識していただく中で、御対応、御検討いただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
まず、43ページの論点ですが、全身麻酔の評価についてでございますが、これは非常に特殊な話でございますけれども、5ページにラリンジアルマスクというのが出ております。これは気管内挿管と、それからマスク換気の中間にあるということで、この図では非常に短時間から中時間で、低~中侵襲手術と書かれておりますが、実は一部、非常に気管チューブを入れてしまうと到達しにくいところ、口頭から上部気管というときの手術は、手術をするために、そこに視野を確保するために、このラリンジアルマスクで換気をせざるを得ないというような症例も存在しますので、やはり実態をしっかり把握した上で、これをどういう位置づけというのか、それを考えていただければと思います。
次は、ロボット手術でございますが、これは、太田委員も言われましたように、以前の診療報酬改定のところの議論があることは事実でございます。
ただ、今、非常に償還不能の材料自体が上がってきておりますし、それから、内視鏡手術等で取れる加算、自動縫合器ですとか、凝固切開装置加算、これの値段が上がっています。加算の点数が上がっていませんので、かなり逆ざやなものを加算で取って手術をしているという現状もありますので、何年かに一度は、実勢価格を踏まえた上で加算等、費用の計算をして、手術料もしくは加算の値段というのを決めていただければうれしいなと思っております。
それから、遺伝性乳がん卵巣症候群の概要の中で、がんを発症していない患者にやるべきかどうかということですが、これは、今、国が言っている攻めの予防医療からいうと1次予防、要するに病気を発症させないというのが一番攻めなのですね。ですから、病気が発症することは、かなり確率が高いBRCAの変異に対して、本人の希望をしっかり聞いた上で手術をするというのは、非常に大事な視点ではないかと思います。
ですから、これからの診療報酬改定を考えるときに、1次予防という視点が非常に大事で、禁煙指導であるとか、そのように病気にさせない医療というものが、やはりこれから進んでいかないと、病気になれば、今、医療の技術は進歩していますので、高額薬が出てきたり、それを使わざるを得ないということで医療費が膨らんでいきます。病気が減れば、やはり医療費が減るということは間違いありませんので、なるべく発症させない医療というものに評価を上げていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいですか、それでは、1号側の委員の御意見も伺いたいのですが、その前に、先ほど江澤委員から御提案がございましたが、看護の立場からの御発言をお願いいたします。
木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
論点の7番目、情報通信機器を用いた医学管理等の2つ目の○のところですけれども、外来では在宅自己注射が必要な糖尿病患者や慢性心不全等の患者に対して、看護師等が自己注射や器具装着上の指導や、服薬状況の確認、食事や運動に関する指導、生活環境や家族状況等、生活環境や支援体制を含めたアセスメントや療養上の指導を個別に行っております。
資料の25~26ページにありますように、情報通信機器等を用いた療養指導においても、セルフケアの向上により、在宅等での療養継続の効果が期待できます。
遠隔でも有効な支援を行うことが可能であり、DX推進の観点からも推進すべきと考えております。
また、論点の9番目ですが、慢性心不全患者の疾患特性から考えて、心不全の増悪を避けるための多面的な介入が適時適切に実施されることの重要性は、資料にあるとおりです。
既に院内の多職種が互いに連携しながら、患者・家族の状況に応じてチーム医療を提供している病院も多くあり、専門性の高い看護師も個別の療養指導や、退院後の医療・介護サービスとの連携等を行っていると聞いております。
33ページにある現行の報酬を整理し、ぜひ、慢性心不全患者へのケアが、外来から入院を通して連携して行われるようにすべきだと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿ってコメントいたします。
まず、全身麻酔についてでございますが、4ページにも示されておりますが、患者の状態に応じた気道確保等の対応が行われることや、鎮静レベルが高い場合に慎重な管理体制が推奨されていることを踏まえますと、施設基準の厳格化や気道確保の方法によって評価にメリハリをつけるべきだと考えます。
次に、太田委員や小阪委員からも言及がございましたロボット手術についてでございますが、8ページにありますとおり、既存技術と有効性・安全性が同程度であれば、評価も同じという考え方は、現段階では崩すべきではないと考えております。
ただ、一方で、9ページにも示されておりますけれども、技術料に包括されている材料費が割高であることは、事実として受け止めております。
10ページには、約6割の病院はロボット手術の実績が年間150回未満ということで、極めて高額な医療機器が十分に活用されているということになっていないと理解をしております。
仮に、コストに着目して評価を見直すのであれば、急性期拠点病院を集約化するという方向性も踏まえまして、ロボット手術の実績に着目して、重点的に対応すべきだと考えております。
次に、臓器移植についてでございますが、12ページにも示されておりますように、多くても年間30件程度で、いつ発生するか分からない手術のために、日頃から体制を整備しておくことを、手術料で評価するには限界があると思っております。
例えば、DPCの係数に反映させることも考えられますが、どのような対応が必要かつ可能であるのか、事務局には具体案の検討をお願いしたいと思います。
次に、HBOC、遺伝性乳がん卵巣がん症候群についてでございますが、完全に未発症の手術を保険適用することには、正直かなり慎重にならざるを得ないという印象は持っております。
公的医療保険で予防給付を行わないという原則から逸脱しないのか、その辺りの整理をしっかり行っていただきたいと思います。
次に、フィブリノゲン製剤の投与判定については、手術室で行う迅速検査と一般の検査で評価を分けることには、異論はございません。
次に、睡眠医療についてでございますが、18ページにもありますCPAP療法の導入基準を緩和するのであれば、ガイドラインで推奨されている4時間以上の使用が担保されない場合には減算すること、また、19ページにあります終夜睡眠ポリグラフィーについて、在宅で実施する場合に患者や家族が検査装置を取りつけることで、医療機関の負担が一定程度軽減されることを踏まえまして、在宅の評価を適正化すべきだと考えます。
次に、情報通信機器を用いた医学管理についてでございますが、21ページ以降に示されております、プログラム医療機器を用いた脳深部刺激療法のオンライン診療や、在宅自己注射と慢性心不全の患者に対する看護師等によるオンライン療養指導について、対面と組み合わせて実施する場合の評価を新設することには、異論はございません。
また、28ページにございます、カルタヘナ法の遵守に係る対応を考慮して、遺伝子治療薬を投与する患者の医学管理を評価することについても異論はございません。
次に、慢性心不全の再入院予防については、資料の30ページに記載のとおり、多職種チームによる介入を入院中から退院後まで継続して行うことが重要だということでございますが、31ページを見てみますと、ガイドラインで推奨されている薬物治療や心臓リハビリテーションの実施状況にはばらつきがある。すなわち、入院中に必ずしも実施されていないということが示されております。
一方で、32ページに目を移しますと、多職種の介入によりイベントの発生を抑制できることや、病院が地域の医療機関をサポートする事例があり、こうした取組の必要性は十分に理解できるところでございます。
地域の医療機関を積極的に支援する病院について、入院中の心不全に対するチーム医療を評価することはあり得るものだと考えます。
続きまして、心大血管疾患リハビリテーション料における慢性心不全患者の基準の見直しについては、異論はございません。
最後に治療の一環として用いられるワクチンや危機管理等医薬品については、薬価収載されていなくても、混合診療にならないことを保険診療のルール上で規定することが考えられると思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
先ほどのロボット手術の150件以下が六十何パーセントという話でございますが、ロボット手術の特質上、非常に手術を始めるまでの準備に時間がかかるということと、それから、ロボットのアームの動きというのは、人間の手よりもかなり遅いのですね。だから一つ一つの手術に時間がかかるということで、なかなか同じ機械で縦に2列やれるということは非常に少ないです。ということで、要するに症例数の多いところというのは何台も持っています。1台でやれる限界は、恐らく200から250であろうと思いますので、250超えると、1台でやっていれば、もうフルで回っていますので、高額医療機器を有効に使っていないというのは、少し言い過ぎかなと思います。
さすがに、多いところは複数台を持ってやっていますので、これだけ多いということで、ロボット手術の特質上、少し時間がかかり過ぎるという、これはデメリットなのですけれども、この辺を考慮すると、200弱やっていれば、かなりの回転率だと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
ただいまのロボット手術の評価に関する件ですけれども、今後の新たな地域医療構想の議論を踏まえましても、今後、医療資源の投入量の多い高度なこれらの手術は、当然、急性期の拠点機能を担う医療機関に集約される方向には間違いないと認識しております。
ですから、そういった方向性は進めていくべきだと考えておりますけれども、一方で、地域によっては、特に人口過少地域においては、件数というものがなかなか確保できず、今回も救急搬送件数とか、全麻の手術の件数において、地域のシェア率を見ていくべきではないかという論点も出ており、いずれにしましても全国一律の診療報酬でございますので、地域によって格差が生じないような仕組みも併せて念頭に置いておく必要があると思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「賃上げについて(その1)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。総-4「賃上げについて(その1)」をお願いいたします。
2ページが目次となってございます。
4ページに、医療機関等における賃上げに係る施策の整理ということで、これまでの様々な施策をまとめてございます。
診療報酬に関係しているものは、赤で記載をさせていただいております。
今回(その1)ということでございますので、こうしたこれまでの施策の結果あるいは課題、そういったものを整理させていただいて、今後の議論につなげていただくということを目指して資料をまとめているものでございます。
5ページが、6年の診療報酬改定におけるベースアップ評価料等を用いた賃上げのイメージ。
そして、6ページが、それに基づいて医療機関が、計画段階で賃金増率がどれぐらいだったかというものでございますけれども、令和6年度のもの、そして、令和6年~7年度のものをまとめてございます。
7ページは、実績値でございまして、令和5年度と令和6年度を比較した実績値となってございます。
8ページは、ベースアップ評価料の対象以外の医療機関も含めたデータということになりますが、青いほうが届出あり、赤いほうが届出なしの場合でございまして、上の段が病院、下の段が一般の診療所、それぞれの給与の平均年収伸び率を医療経済実態調査からまとめたものでございます。
職種によっては、非常にnが少なくなっているものもございますが、その点は御容赦いただきたいと思います。
10ページから賃上げに関する診療報酬上の評価の方法でございますが、11ページ、現在、診療報酬の中にあるものとして、看護職員処遇改善評価料と入院ベースアップ評価料がございます。
それぞれについての施設基準等の資料をまとめてございます。12ページ、13ページが看護職員処遇改善評価料、そして、14ページが令和6年度の実績、15ページは関連した夜勤手当の推移をまとめてございます。
16ページは、入院ベースアップ評価料創設時の検討の経緯といたしまして、病院や有床診療所における評価の設定について、一律の評価を設定するか、点数を複数に分け、病院ごとに評価を設定するか、約2年前の中医協で御議論をいただいた際の資料でございます。
こうした論点について御議論があった上で、②、点数を複数に分け、病院ごとに異なる評価とするということになり、それでまとめられた施設基準が17ページ~20ページということになります。
21ページは、ここまでのところを整理する目的の資料でございますけれども、診療報酬において、今後も賃金改善に関する評価を行う場合には、様々な方法が考えられると考えてございます。
考えられる方法としては、賃金総額や賃金改善総額そのものを評価の基礎とする方法、こういった方法がベースアップ評価料として取られておりますけれども、こうしたものについては、正確ではありますが、給与総額や賃金改善総額の算出に医療機関側で手間がかかっているという御指摘がございます。
その他の方法をとして考えられるものを幾つか挙げさせていただきますと、給与総額に近い指標を基礎とする方法、例えば、社会保険収入総額を基礎とする、あるいは常勤換算人数を基礎とするといった方法があり得るのではないか。
介護職員等処遇改善加算においては、この収入総額を基礎とした形で額が決まっているということになります。
そして、下のほうに行きますと、基本診療料や特定の診療報酬項目に上乗せをする方法や、基本診療料に一定額を上乗せをする方法といったものが考えられるということになります。
事務負担は、下のほうに行くほど小さくなりますが、その精緻さと事務負担というとこにトレードオフがあると考えてございます。
22ページは、過去の賃金改善を今後の報酬に反映する方法ということでございます。既に、①、看護職員処遇改善評価料と、②、ベースアップ評価料という2つの制度がございます。仮に、こうした制度をそのまま残した上で新たな制度をつくるということになると、3種類の制度が並ぶということになりますので、そうしたことの課題についてまとめたものでございます。
表のほうでございますけれども、体系をそのまま維持して、過去の仕組みによる賃金改善額を今後もそれぞれ算出して、加算区分を算出するということになると、例えば、新たな制度ができると、3種類の改善額を医療機関側で算出するということになります。
経年的に医療機関の給与体系が変化していくと、賃金改善額の算出がそもそもできなくなるといった可能性もあると考えてございます。
また、令和8年度の賃金が、令和7年度と同等以上の場合には、令和7年度に取得していた加算区分をそのまま維持していただいて、その先の賃金改善部分についてのみ新たな評価を考えるという方法があり得るのではないか。
また、基本診療料に溶け込ませる等によって、医療機関が過去の賃金改善額を算出する必要のない方法というのが考えられるのではないか。
また、これ以外に、①、②、そして、今後仮に何か制度があるとすれば、そういったものをまとめて、1つの新たな評価方法によって反映して対応するといった方法もあり得るのではないかということで、そういった概念の整理をしているものでございます。
ちなみに、23ページからは、外来ベースアップ評価料の算定状況でございますけれども(Ⅰ)がベースとなっておりまして、外来におけるばらつきは、ベースアップ評価料(Ⅱ)のほうで表現されるわけでございますが、(Ⅱ)の算定がどういったところで行われているかということをお示ししております。
24ページが、診療科ごと算定回数を(Ⅰ)と(Ⅱ)に分けたものとなってございます。
また、25ページが、(Ⅱ)の中でも1~8までございますので、どういった診療科で、このベースアップ評価料の高い水準のものが取られているかということが分かります。
26ページは、ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定割合が多いところにおける、その他の併算定されている診療行為ということでございまして、例えば、人工腎臓が行われているところにおいては、ベースアップ評価料(Ⅱ)と併算定される医療機関が多いということが分かります。
27ページからは、簡素化についてでございます。
28ページでございますけれども、病院について見ますと、規模の小さい病院でベースアップ評価料を届け出ておられないところがあるということ。
また、29ページ、届け出ていない病院において、その理由としては、届出内容が煩雑なためというのが非常に多かったということでございます。
こうしたこともございまして、小規模な医療機関にできるだけお手間をかけないようにということで、施行後もこの簡素化に取り組んでまいりました。30ページに、その簡素化の経緯を書いてございます。
31ページ、ベースアップ評価料の届出に係る記載項目と必要性についてまとめたものでございます。
報酬区分の決定に必要な情報、そして、医療機関における賃金改善の計画作成や、国における実態把握を目的とした情報ということで、大きく2つに分かれます。
そして、報酬区分の決定に必要な情報につきましては、①、②、濃い青色で書いてございますけれども、初再診料の算定回数や延べ入院患者数、そして、対象職員の給与総額、こうしたものを算出していただいて、そこから自動的に計算されるようなシートを御提供しているということでございます。
ただ、外来ベースアップ評価料(Ⅰ)のみを算定をされる医療機関におきましては、この給与総額を届出時に記載する必要は、必ずしもないということで簡素化を行ったところでございます。
また、紫の部分につきましては、医療機関における計画の作成や、国における実態把握等を目的としておりまして、賃金改善の見込み額や、基本給等総額を出していただいておりますけれども、加算区分そのものには影響がないところでございます。
また、賃金改善の実績額につきましては、診療報酬を算定していただいたことに関する結果の報告として必要なのではないかということで、報告書を提出していただくこととしているものでございます。
33ページ、課題と論点ということでございますが、賃上げに係る報酬上の評価については、精緻な評価を行うことと、医療機関の事務負担の軽減を図ることとの間にトレードオフがある中で、評価体系の在り方や、看護職員処遇改善評価料やベースアップ評価料による賃上げの評価を継続する際の評価方法等についてどう考えるか。
また、賃上げに係る診療報酬の届出に当たり、事務負担等のために小規模医療機関等において届出が難しい状況であることを踏まえ、算出すべき数値や届出様式の簡素化の在り方についてどのように考えるか。
今日は、まず、こうした論点について御議論いただければ幸いでございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、33ページの論点についてコメントをいたします。
今回は、具体的な内容というよりは、方向性についての議論と受け止めておりますので、総論的な意見を申し上げたいと思います。
まず、1つ目の論点の評価の方法につきましては、基本的に賃上げに必要な評価は、本来、初診料、再診料、入院基本料といった基本診療料を中心に上乗せする必要があると考えております。
精緻な評価を目指すことにより、手続が煩雑になったり、対象職種が限定されるなどの課題が生じております。
少なくとも今後の処遇改善は、事務職等も含めて、全ての医療従事者を念頭に置いて行うべきものであることは強く要望いたします。
本来の基本診療料の性格を踏まえ、基本診療料を中心とした上乗せを行うことで、賃上げに必要な資金が確実に医療機関に届くようにするべきであります。
また、配分につきましても、個々の医療機関の雇用の実情に応じて、必要な職種に配分できるよう、医療機関に裁量を委ねることが当然であります。
その上で、診療報酬上の評価によって、職員の賃金がどの程度上昇したかを医療機関が事後的に報告すれば、今後の評価の在り方を検討していくことも可能となりますことから、基本診療料を中心とした上乗せを行うと精密な評価ができなくなるという指摘も当たらないと考えております。
次に、2つ目の簡素化につきましては、ただいま申し上げたことも踏まえて、必要最低限のものに簡素化すべきであります。
31ページで言いますと、右下の国において、賃金改善の動向の把握目的のみに活用するための情報については、少なくとも届出時には不要な情報であり、必要に応じて事後的に調査すればよいものでありますので、こうした項目は省略して、さらなる簡素化を図るべきと考えております。
私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員から意見を聞く機会について御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
33ページの論点、2つまとめてになりますが、医療従事者の処遇を他産業と同様に改善していくということは、日本の医療を守るために非常に重要であります。
しかし、診療報酬体系は極力シンプルであるべきであり、また、各医療機関における従業員の処遇というものは、各医療機関が、地域の労働市場を勘案しながら労使の話し合いで決定するべきものであると思います。
診療報酬制度で賃上げを子細に設定して促すことは、できる限り避けるべきだと思います。
現在の病院医療では、看護職員処遇改善評価料、2024年改定におけるベースアップ評価料の2階建てとなっておりますが、さらに3階建てにすることは、診療報酬請求上の事務作業が膨大になることから、極力避けるべきだと思います。
今回、賃金、物価動向に配慮して、ある程度の入院基本料など、基本診療料の引上げを検討できる環境下においては、各医療機関が自院の環境を考慮して、適切に職員の処遇改善ができる環境を整えるべきであると思います。
もちろん病院経営が厳しい中、想定される賃上げが確実に行われるか保障できない制度となるわけでありますが、医療従事者は、どこも人不足の状況であり、ある程度の自由度は医療機関経営側に与えても、他の医療機関との処遇比較の必要性から、相対として適切な処遇改善が行われるものと考えます。
また、もし、そのような対応が難しく、何らかの診療報酬上の要件を設定しての処遇改善関連の評価料を設定せざるを得ない場合、職種の設定や同一法人内の賃金体系を維持できるよう、法人単位での賃上げ要件を設定するなど、効率的な医療機関経営に支障を来さないような配慮は絶対に必要であると考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
賃上げに関しまして、手法というのは、いろいろな手法があるとは思います。ただ、やはり賃上げの率というのがしっかり他産業並みになりませんと大変なことになります。今日の朝のNHKでもやっていましたけれども、看護師不足で病棟が開けられないということで、その看護師にインタビューしたところ、業務の過激さの割にはりには賃金が少ないという意見のわけですね。
今、本当に他産業並みに上がってこない、激務であるというところで、看護養成課程の募集率、充足率は確実に下がってきておりまして、これは恐らく3年~4年後に、今以上の看護師不足が発生します。それが、もし、賃上げをされるとして、他産業並みになったとして、下がってしまったものは、3年か4年後にしか復帰してこないです。要するに3年~4年養成にかかりますので、これが、もし医師、薬剤師にまで及べば、募集が増えても6年~7年充足されないという事態が起こります。6年~7年と言いますと、来年が2026年ですから、もう2030年を超えてしまいます。2030年を超えてくると、急激に生産年齢人口が減ってきて、今度募集して、充足をさせようとしても、それに応募できる年齢の人たちが減ってしまうということになります。今賃金を上げずに1回医療崩壊を起こしてしまうと、恐らく未来永劫充足されることはないだろうと考えますので、早急に賃上げできるだけの補助もしくは診療報酬改定をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
では、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
論点に沿って、歯科の立場で発言をさせていただきます。
まず、賃上げに関する診療報酬上の評価の方法についてですが、本会といたしましても、あらゆる手段を講じて、歯科外来在宅ベースアップ評価料の周知をしましたが、伸び悩んでいる状況であります。
厚生労働省におかれましても、届出医療機関数の伸びが芳しくない状況を踏まえ、段階的に様式の簡素化を実施していただきましたけれども、令和6年度の改定当初に抱いた煩雑な印象が尾を引いたことは現場感覚としてあります。
また、簡素化を進めていただいておりますけれども、事務員がいないマンパワーの少ない小さな歯科診療所にとっては、届出の事務負担は非常に大きいものと感じております。
さらに、小規模な歯科医療機関においても、賃金改善計画に沿った賃上げを行う予定が、スタッフの退職や休職等に至るケースが比較的多く、年間を通して計画どおりに進まない部分もあります。
他産業、公務員等、世間並みに政府の方針である賃上げをさらに進めていくためには、一層簡素な方式で多くの歯科医療機関が賃上げできるような仕組みが必要と感じております。
前回改定の経験を踏まえて、次期改定は、当初から賃上げに取組やすい簡素な仕組みを構築することが、医療機関や医療従事者に向けた賃上げに対する政府の強いメッセージになると思います。ぜひとも御検討をお願いいたします。
また、コ・デンタルスタッフである歯科技工所に勤務する歯科技工士の処遇は、制作物に対する技工料の評価を通じて、処遇改善に寄与していますので、前回改定と同様に、制作物に関する技術料の評価の充実もお願いしたいと思います。
以上であります。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、先ほど江澤委員から御提案がございましたので、看護の立場から、木澤専門委員の御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
物価高騰や人材確保の厳しさが続く中、職責に見合った適切な賃金水準の確保は、人材流出を防ぎ、医療提供体制を維持する上で不可欠です。
報酬上の評価の方法を考えるに当たり、着実な賃金改善のためには、現場の職員の給与が改善されているかどうか把握できる必要があると考えます。
また、従来の加算等も含めて、評価の在り方を検討することになると思いますが、ベースアップ評価料や看護職員処遇改善評価料等ができたことにより、ようやく手当されてきた面がありますので、見直しにより、現在働いている方々の給与がかえって引き下げられるようなことがないよう、さらなる処遇改善に向けた丁寧な制度設計が必要だと思います。
また、現在のベースアップ評価料においては、基本給または決まって毎月支払われる手当に関して改善を図ることになっておりますが、本会実施の看護職員を対象とした賃金調査によると、ベースアップが行われた場合であっても賞与が減った方、変わらなかった方が合計で約6割と、実質的な処遇改善につながっていない可能性もあります。
15ページの資料でも病院勤務、看護職員の夜勤手当額については、10年以上ほとんど上がっておらず、割増賃金のみの支払いにとどまる施設も、4.4%あるという結果になっております。
今回の見直しにおいては、非常に厳しい経営状況にある医療機関等を支援し、夜勤手当等の改善にも取り組むことができる仕組みを検討する必要があると考えております。
論点の2つ目に関しましては、幅広い医療機関で賃上げが行われる必要があるという観点から、小規模の医療機関等では、事務負担に配慮し、賃金改善の見込み額を省略可とするなど、届出内容の簡素化等を図っていく必要があると考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
本日は、江澤委員からもありましたけれども、賃上げに関する議論の1回目でございますので、33ページの論点に沿いまして、基本的な考え方についてコメントをしたいと思います。
まず、1点目に挙げられております評価の方法についてでございますけれども、精緻な仕組みにすれば、医療機関の事務負担が大きくなるというトレードオフの関係については、一般論としては理解をしております。
ただ、21ページに示されている表の中で、事務負担が最も大きいところの特徴に書かれております、給与総額や賃金改善総額の算出に手間を要するというのは、ある意味では、労務管理としては当たり前であり、通常行われていることではないかと感じますので、そうした手間に当たると思っております。
もともと我々としては、経営マネジメントの中で賃上げの財源を賄うべきだと申し上げているところもあり、評価の在り方を議論することは否定いたしませんが、事務負担が大変だから見直すということではなく、患者負担や保険料財源をどう配分するかという視点も十分加えた上で整理すべきだということは、指摘させていただきたいと思います。
次に、2つ目の論点についてでございますが、28ページと29ページを見てみますと、内容が煩雑なために、特に小規模な病院で届出が少ないということで、実態把握に影響がない記載項目を削除することや、様式の簡素化については、異論はございません。
最後に、今後の議論に向けて、まず、ベースアップ評価料が賃上げに全て使われたのかということや、前回の改定で入院基本料や初再診料を引き上げたことで、若手の勤務医師や事務職員等の賃上げにつながったのかということも論点になると思いますので、事務局には、準備のほうをお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
賃上げについて、報酬上の評価で対応する場合、被保険者や事業主の保険料負担や、患者さんの自己負担の増加につながることとなります。
そうした方々の納得が得られるように、医療機関や薬局の特性や状況に応じて、可能な限りきめ細やかに、公平かつ確実に賃上げにつながる対応を検討していくことが必要と考えております。
その際、前回のベースアップ評価料につきましては、基本的には届け出ていた医療機関では、賃上げが着実になされていたと受け止めています。診療科や診療行為別に算定回数に差がある点など、改善を図る必要がないかについては、さらなる実態の分析を行う必要があると思います。
一方、届出の簡素化については、可能な範囲で対応する必要があると考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
33ページの論点、賃上げに係る評価方法や簡素化に関して、労働者の処遇改善にきちんと充てられているのか、その効果を確認できるようにする必要はございますが、申請、報告における事務負担を軽減する方向に異論はありません。
なお、今回の論点にはございませんが、32ページの課題におきまして、入院外来分科会から看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料の統合、そして、夜勤手当の引上げについても検討事項として挙げられております。
これらは、今後の議論になろうかと思いますが、仮に、看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料を統合するとすれば、それぞれの評価料を算定している医療機関が困ることがないよう、丁寧に検討するとともに、算定区分の決定方法や施設基準などの違いをどうするのか、例えば、算定区分の決定方法は、人件費総額のパーセントより常勤1人当たりの金額のほうが事務的にも簡便になるのではないかと考えます。また、看護職員処遇改善評価料の施設基準には、救急件数などがありますが、それだけでなく、手術件数なども考慮するなどの必要があるのではないでしょうか。
また、夜勤手当の引上げは、人材確保に向けて重要と考えますので、どのような仕組みとするのか、事務局案を示していただきたいと思います。
なお、現在、ベースアップ評価料において、事務職や給食調理員など、対象外の職種がありますが、医療現場で働く全ての労働者が対象となるよう、対象拡大を検討すべきと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
私も本日は総論ということで、少し意見を述べさせていただきます。
私も基本料の中から、本来は賃上げがあるべきだと思っております。ただ、やはり、こういった公共価格の制度の中で抑えられてきたという現実もあると考えますので、この辺については、また、大きく魅力ある職種ということでやっていくべきだと思います。
その中で、ある意味では医療関係の方々は、ライセンス的な資格を持った仕事をされています。ですから、そういったことをもう少し評価をする、ただ、それが今まで、本当は基本料で評価されるべきだったものが、こうやって上がっていないということも、やはり、先生方、経営者の方々に問題もあるのかもしれません。
そういうことも踏まえますと、もう少し、しっかりと労務管理の中で、やはり今回御提案があるような中身で、しっかりと個々に賃上げが行くような形でお願いをしたいと思います。
その中で、やはり現実問題として、労働時間から考えると、看護師さんとかの方々は、高卒のアルバイト料と時給単価が変わらなくなっているような実態だと思います。ですから、そういうことを踏まえた上で、魅力ある職場ということであれば、私はどちらかというと、厚生労働省さんの事務方のほうにも少しお願いしたいのですけれども、やはりガイドライン、最賃ではないのですが、やはり業界として特定職種の最低賃金みたいな形で、ある程度目安をつけて、それに皆さんが合わせるという形、そうしないと、次の世代の人たちが、魅力的に、これだけ給料をもらえるのだったらやってみよう、みんなのためにやってみようとなるような形をやっていかないと、こうやってこつこつ上げていくのは、確かに大切かもしれないですけれども、それは、世間に対して魅力ある職種だという発信ができているのかということにもなると思いますので、そういったことで、各論に入っていって検討していただきたいと思っています。
私のほうは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
江澤委員、お手が挙がっています。お願いします。
○江澤委員
ありがとうございます。
まず、先ほど御意見もございましたけれども、ベースアップ評価料は100%職員に届くための報酬として請求がなされる仕組みになっています。
同様なもので言いますと、介護分野では、長年、介護職員の処遇改善加算というものがあり、これも全て職員に届くための加算として位置づけられており、そうでないと請求できない仕組みになっておりますので、そこは、まず誤解のなきようお願いしたいと思います。
また、総括的に申し上げますと、現在、病院の7割、診療所の4割が赤字の状況で、確かに前回の改定で、基本診療料で若手の医師とか、ベースアップ評価料の対象外の事務職員とかの手当をするよう、若干の見直しがなされましたけれども、現在の経営状況は、そんな余裕がある状況ではないので、まずは、しっかりと経営基盤がある中で、職員の処遇とか賃金アップというのは当然できるわけですから、まずは今の経営の状況をしっかりと踏まえていただきたいと思っています。
現在、医療業界からも他産業への人材の流出あるいは先般の医療部会でも出ましたように、あらゆるエッセンシャルワーカーの養成校の学校の定員割れ、これは顕著になってきています。
少子化の進行の速度よりも、社会保障に飛び込んでくる若者の減少速度のほうが大きい状況にもなっています。これは、現在の我々のフィールドが、労働が、仕事が大変きつい割に賃金が低いというのが、かなり定着してきていると危惧を覚えています。
特に医療機関の経営が悪いということが、これだけたくさん報道されますと、非常にネガティブキャンペーンにもなっているわけです。当然赤字の会社に就職して、いつ潰れるかどうか分からない心配を抱えますし、赤字の会社であれば、賃金が上がることも期待できないというのは、誰でも容易に想像がつきます。
したがいまして、職員の処遇をしっかりと、やはり人材確保をどう考えていくのかという幅広い視点で議論をする必要がありますし、その基盤となるのは、やはり健全経営の担保です。
先ほど少し経営者に対する言及もございましたけれども、我々、私も経営者ですけれども、職員の処遇を何よりも当然一番考えて、優先して長年経営を行ってきております。
そういった中で、まずは、しっかりとした経営基盤があり、そして、職員の処遇改善に資するような仕組みをどう考えるかということで、今日は総括的な意見交換ということですから細かいことは申し上げませんが、まずは今の状況を踏まえた上での、何ができるのかというのは、しっかり考えていただきたいし、その上で、これまでの実態をどう評価してくのかという今後の議論につながるように、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からも少し追加で話をさせていただきます。
先ほど支払い側の委員の先生から、いわゆる我々医療職、資格を持っているプロフェッショナルとして魅力ある職場を提供できていなかったのではないかという、おしかりのようなコメントをいただきました。
我々もぜひとも魅力的な職場にしていきたいと思っております。そうあるべきだという認識を1号側の先生方とも共有できたというのは非常にありがたいと思います。
今回の診療報酬改定というのは、先ほど、小阪先生のほうからありましたけれども、今後の日本の医療にとって大きな影響を及ぼすタイミングの改定になると考えております。
ぜひとも、しっかりとした魅力ある医療現場につながるような改定を、特にこの賃上げに関する論点の対応に関しましても、お願いしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
今回の医療機関のということで発言を控えていたのですが、全体の話ということだったのでお願いしたいと思います。
先日の医療経済実態調査の中でも、薬局の勤務薬剤師の平均年収480万円と出ていました。それから、事務職員の平均年収は270万円です。賃上げ状況を見ると、薬剤師は年間で1万4000円、事務職員が二万数千円だったと思います。ぜひ、しっかりと薬局の職員に関しても賃上げの対応ができて、医薬品供給拠点として、しっかりとした経営が維持できる、そういう対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
今日は総論ということなのですけれども、これから各論に入りますけれども、いかがでしょうか、総括的なコメントでも結構ですけれども、よろしいでしょうか。
それでは、ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。