2025年12月3日 中央社会保険医療協議会 総会 第632回議事録

日時

令和7年12月3日(水)薬価専門部会終了後~

場所

全国都市会館 2 階大ホール

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 永井幸子委員
  • 高町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 薬価調査、特定保険医療材料価格調査の結果速報について
  • 医療技術評価分科会からの報告
  • 個別事項その11(届出や算定方法の明確化)
  • 入院時の食費・光熱水費について(その2)
  • 医療経済実態調査の結果に対する見解について
  • その他

議事

○小塩会長
それでは、ただいまより、第632回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、会議の公開につきましてはYouTubeによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、鈴木委員、伊藤委員、田島専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこの辺りということでお願いします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「薬価調査、特定保健、医療材料価格調査の結果速報について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医政局医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
去る6月25日の総会で御承認いただきました調査計画に基づき実施しました令和7年度薬価調査及び特定保険医療材料価格調査の速報値がまとまりましたので、御報告を申し上げます。
お手元の資料の総-1-1、まず、薬価調査の結果についてでございます。
本年9月の取引分につきまして、10月31日までに報告があったものの速報値でございますが、平均乖離率は約4.8%となっております。昨年9月の調査では約5.2%でございましたので、それと比較いたしますと、0.4ポイント乖離幅が縮小したことになります。
次に、資料1ページの下段に後発医薬品のシェアをお示ししております。本年9月時点における後発医薬品の数量シェアは88.8%となっております。昨年と比較しますと3.8ポイント数量シェアが増加したことになります。また、後発医薬品の金額シェアにつきましては68.7%となっておりまして、昨年と比較しますと6.6ポイント増加したことになります。
次のページ、速報値の内訳といたしまして、分野別の乖離率をお示ししております。
また、参考といたしまして、流通ガイドラインにおいて価格交渉の段階から別枠として個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉することとされました医薬品の主な分野の乖離率をお示ししております。
また、その下の参考2でございますが、昨年度、最低薬価の引き上げを行ったことを踏まえまして、今回、公表事項の見直しを行いまして、最低薬価品目の乖離率を新たにお示ししているところでございます。
次に4ページ、平均乖離率の内訳を投与形態別、主要薬効群別にお示ししております。詳しい御説明は資料を御覧いただければと思いますので、説明のほうは割愛をさせていただきたいと思います。
次に、総-1-2、特定保険医療材料価格調査についてでございます。
医療機器につきましては少量多品種であるため、ダイアライザー、フィルム、歯科材料、保険薬局調査分については9月の1か月分、それ以外につきましては5月から9月の5か月分、または7月から9月の3か月分の取引を対象といたしました。
11月12日までに販売側から報告のあったものを速報値として御報告をいたします。平均乖離率につきましては約1.3%となっております。材料につきましては前回調査が令和5年度でしたけれども、こちらでは約2.5%でしたので乖離率は小さくなっております。
私からの報告は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
乖離率は分かったのですが、またいつもの論点なのですが、平均値だけ出していただいていて中央値は出ていない、分布が分からない。医薬品に関しましては4.何%の乖離率がありますので、ある程度逆ザヤになっているのも少ないかと思いますが、特定医療材料に関しまして1.3%まで下がっていますので、分布を見ると逆ザヤになっているものがかなり出ているのではないかという危惧があります。
ですから、中央値なり分布図で本当に逆ザヤになっているものはどれぐらいあるのか、逆ザヤになっているということは医療機関の負担になるわけですから、それをそのままにするのか上げるのか、そういう議論をするのであれば、分布図がないと、1.3%まで乖離率が下がってしまいますと、かなりマイナスというところが出る可能性が高くなると思いますので、そういうデータを示していただけませんでしょうか。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま、小阪委員から平均値だけではなくて中央値とか分布についてのデータはないかという御質問がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
これらの調査につきましては、御案内のとおり、統計法に基づく統計調査としておりまして、この内容については調査の客体にとって機密性の高い情報ということであり、公にすることによりまして取引の価格交渉への影響を与える恐れがあるということで、調査計画において公表事項を制限しているところでございます。
今、御指摘いただきましたさらなる詳細な分析結果の公表ということでございますけれども、公表事項の拡大につきましては、販売業者への影響が大きいと考えられることから慎重な検討が必要だろうと、これまでも考えてきたところでございます。いずれにいたしましても、関係者の皆様方の意見をよく聞きながら、引き続き考えていきたいと考えております。
○小塩会長
小阪委員、いかがでしょうか。
○小阪委員
しようがないのかもしれませんけれども、なかなかこれだけの資料では議論しにくいのです。よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
薬価調査と材料価格調査の結果について、歯科の立場からコメントさせていただきます。
今回の薬価調査におきまして、歯科用薬剤だけが平均乖離率がマイナスになっている状況であります。特に歯科治療で日常的に使用する歯科用局所麻酔剤は平成27年から乖離率がマイナスで、いわゆる逆ザヤ状態が続いており、令和6年においては過去最大のマイナス12.5%という状況となっており、今回の調査でも同様のマイナス12%になっております。この状況は歯科医療機関にとって現状の物価高騰にさらに追い打ちをかける厳しい状況となっており、不採算品の価格の見直しのみならず、厚生労働省から関係方面に適正な価格での流通取引をお願いしていただければと思います。どうかよろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、薬価調査の速報値につきましては平均乖離率が4.8%ということですので、前回が5.2%ということでございましたので、薬価差の縮小がさらに進みましたけれども、一方、原材料費や流通コストの上昇が指摘されている割にはあまり進んでいないということからしますと、おおむね同じレベルかなという印象を受けました。
また、依然として医薬品のカテゴリーや投与形態、薬効分類についよって乖離率にばらつきがございます。3スライド目にございますけれども、例えば後発医薬品については8.7%、また、参考2に示されております最低薬価品目については、見直しを図ったにもかかわらず7.3%ということで、こうした状況にどのような背景があるのか、薬価専門部会の業界ヒアリングで関係団体から御説明いただければと思っております。
また、後発品のシェアが数量・金額ともに拡大しており、数量シェアについては長期収載品の選定療養要領を導入した影響が大きいと思いますが、金額シェアについては薬価の下支え等による単価の影響や数量が伸びた影響を精査することも必要だと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。ほかには特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
続きまして「医療技術評価分科会からの報告について」を議題といたします。本日は、同分科会の森尾分科会長より御報告をお願いいたします。
○森尾分科会長
医療技術評価分科会長の森尾でございます。
令和8年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価方法等につきまして、11月20日に医療技術評価分科会を開催いたしました。そこで検討された内容を御報告申し上げます。
まず、資料の総-2を御覧ください。「令和8年度診療報酬改定に向けた医療技術の評価方法等について(案)」について御説明を申し上げます。
まず、1ポツの現状についてでございます。1つ目の○にございますように、令和8年度診療報酬改定に向けて、分科会におきまして学会等から提出された医療技術評価・再評価提案書に基づき、新規医療技術の評価及び既存技術の再評価に関する検討を行っております。今回、807件の提案書が提出されており、ヒアリングやワーキンググループの意見も踏まえ、事務局において「医療技術評価分科会における評価の対象となる技術(案)」を作成し、分科会において御議論いただきました。
一方、提案書とは別に、令和6年度診療報酬改定で保険収載された技術のうち、ガイドライン等で記載ありとされたものや、レジストリの登録を要件として保険適用された技術について報告書の提出を求めることとなっております。医療技術の体系的な分類について、研究班より整形外科領域におけるKコードの見直し案が示され、令和8年度診療報酬改定に向けては、分科会で引き続き具体的な対応の検討を進めることとしております。
次に2ポツ、令和8年度診療報酬改定における対応でございます。(1)評価の対象等として、令和6年度診療報酬改定までの取扱いや、令和7年2月3日の分科会における検討を踏まえた取扱いを示しております。
2ポツの(2)医療技術の再評価に係る報告書についてでございますが、対象となる技術について報告書の提出を受け、事務局においてヒアリングを行ったところでございます。ガイドライン等で記載ありとされた技術については、ガイドライン等における当該技術の推奨度が高くなったものが10件、当該技術の位置づけが変化していないものが106件ございました。また、レジストリ登録を要件とされた40件の技術について、症例の登録数が少ない等の理由のため解析が行われていないものが22件、解析が行われたものが18件ございました。
(3)医療技術の体系的な分類についてでございますが、整形外科領域におけるKコードの見直し案について、関連学会との調整を踏まえ、総-2 参考1の31ページ以降のとおりの見直し案を示しております。
次に3ポツ、令和8年度診療報酬改定に向けた医療技術等の進め方について(案)でございます。
(1)評価の対象等についてでございます。参考2に示しておりますが「医療技術評価分科会における評価の対象となる技術(案)」に基づき、11月20日の分科会において検討いただきました。参考2の2ページにお示ししておりますように、807件の提案のうち713件、その内訳は新規285件、既存428件が評価の対象となり、薬事承認が確認できない等の理由により、評価の対象とならないものが94件でございました。また、先進医療会議で議論が行われる予定の技術が28件、保険医療材料等専門組織で医技評での審査が必要とされたものが5件であり、これらにつきましては、今後、医技評で評価を検討させていただきます。
(2)報告書についてでございますが、レジストリの登録を要件とされた技術のうち、有効性・安全性が確認された技術について、関連学会と協議した上でレジストリの登録を引き続き要件とすべきかどうかを分科会において検討することとしております。
最後に(3)医療技術の体系的な分類についてでございますが、整形外科領域におけるKコードの見直し案について、令和8年1月をめどに開催予定の分科会において報告し、令和8年診療報酬改定で対応を行うこととするとしております。
以上、御報告させていただきます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等はございますでしょうか。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
日進月歩で高度化・革新化していく医療技術を常に国民に還元していくことは非常に大切なことであり、今回も学会等から提出されました多岐にわたる提案書について御検討いただいた医療技術評価分科会の関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。
次期改定に向けまして、引き続きの御検討を何とぞよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
分科会の御提案に沿いまして、令和8年度改定に向けた評価を進めていただくことに異論はございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。ほかには特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
森尾分科会長、どうもありがとうございました。
○森尾分科会長
ありがとうございました。
○小塩会長
続きまして「個別事項について(その11)届け出や算定方法の明確化」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3、個別事項について(その11)をお願いいたします。
2ページが目次となってございます。
1つ目、医療機関の移転・再編時等における施設基準の取扱いについてでございます。
4~5ページに現行の取扱いを記載しております。
6ページは参考までに病院再編時におけるDPCへの継続参加の取扱いについて、以前この場で御議論いただいた内容をお示ししております。
7ページにまとめてございまして、現在の課題について私どもの認識を書かせていただいております。保険医療機関の移転・再編時等に、その施設基準を引き継ぐ取扱い、遡及指定と呼ばせていただいておりますけれども、この運用につきまして、大きく2つのカテゴリーに分かれておりまして、同一日に保険医療機関の廃止、新規開設を行う場合、これは開設者変更などの場合が当てはまりますが、それと保険医療機関の廃止を伴わずに診療機関のみ移転する場合という大きく2つのカテゴリーにつきまして、表に書かれているような主な要件があるということでございます。このそれぞれの定義であるとか、また、それぞれの運用につきまして、十分に明確でない部分があると認識をしてございます。
課題①~④ということで書かせていただいておりますけれども、こうしたことについての明確化を図ることによって、保険医療機関の移転・再編時における不確実性を軽減させていただいて、予見性を高めるような取扱いが必要なのではないかと考えてございます。
8ページの論点でございますけれども、保険医療機関が移転・再編等を行う場合における経営上の予見性の確保や、個別性に応じた遡及指定の柔軟な取扱いを可能にする観点から、以下の見直しついてどのように考えるかとしております。
遡及指定の取扱いルールについて、機能移転の場合の取扱いを参考に一本化するということ、また、記載させていただいているような様々なルールにつきましても明確化を図っていくというようなことについてお諮りをするものでございます。
続いて、9ページからが専従要件の範囲についてでございます。
10ページ、これまで専従要件については厳しすぎるという御意見もいただいている中、平成30年度改定においては記載のような見直しを行いました。
また、11~12ページが専従要件に関しまして、次回改定に向けて中医協でこれまで御議論いただいた内容をお示ししております。
13ページ、その他の専従要件のある診療報酬の項目を挙げております。このうち上の表の医療安全対策加算や感染対策向上加算につきまして、専従の職員が加算に係る業務を行えない時間に行うことができる業務をお示しするといったことが可能かどうかというような課題があると考えてございます。
また、2つ目の箱につきましては、専従の理学療法士等につきまして、病棟に専従であっても病棟の患者に係る院外における指導等を行うことがあるのではないかといった課題があると考えております。
3つ目の箱に記載されている内容につきましては、今後、精神医療に関する議論をするときに改めてお諮りをしたいと思います。
14ページの論点でございます。医療安全対策や感染対策向上加算の専従者において、月のうち一定時間までは院内で他の業務に従事可能とすることについてどのように考えるか。また、病床規模の大きい医療機関において要件を満たす2名の従事者が業務を分担できることとすることについてどのように考えるか。地域包括ケア病棟における専従の理学療法士等が入院患者の退院支援等に係る業務であれば、院外の活動に従事できることを明確化することについてどのように考えるかとさせていただいております。
15ページからが特定入院料の届け出及び施設基準の取扱いについてでございます。
16ページに病室・病床単位で算定することのできる特定入院料を挙げてございます。
17ページ、このように特定入院料を複数届け出られる組み合わせがありまして、実際にそういった届け出がなされている例もあるということでございます。こうしたことによって、特定入院料は1つの病棟の中で幾つでも届け出ることができるのか、そうしたことの取扱いが十分定まっておらず、病棟・病床の機能分化といった観点からもルールを決める必要あるのではないかと考えてございます。
18ページでございますが、病棟内で算定する入院料が異なる病床がある場合につきまして、これまでルールの明確化に努めてきたところでございますが、平均在日数や在宅復帰率等においてルールの明文化がなされていない部分があるということでございます。
19ページは論点でございます。入院料に応じた機能が適切に発揮され、病棟運用が過度に複雑化しないようにする観点から、1つの病棟で届け出ることのできる特定入院料の範囲及び個数を明確化することについてどのように考えるか。病棟内の異なる入院料を算定する病床に入院する患者を原則として在宅復帰率や平均在日数の計算の対象外であることを明確化することについてどのように考えるかとさせていただいております。
20ページからが常勤職員の常勤要件に係る勤務時間数についてでございます。
21ページが現行のルールでございまして、常勤の医師とは当該保険医療機関で週4日以上勤務しており、所定労働時間が週32時間以上である者をいうというルールとなってございます。
22ページ、公務員の勤務時間については平成20年に1日当たり8時間から7時間45分へと改定されているということでございます。先ほど申し上げた週32時間以上のルールというのは以前からあるルールでございますけれども、こうした中で、地方分権改革に関する提案の中でも、週4日ということであるのであれば、7時間45分掛ける4日の31時間でも常勤として捉えることができるのではないかという提案をいただいております。
23ページが論点でございまして、こうしたことを踏まえて、現行の入院基本料の施設基準等における常勤職員の所定労働時間の要件についてどのように考えるかという論点を出させております。
24ページからが健康診断等と初再診料等の関係についてでございます。
25ページに現行の取扱いにつきましてお示ししている通知や疑義解釈を抜粋させていただいております。
26ページに整理をさせていただいておりますが、健診等と関連する疾病に対して保険診療を実施する場合、当該保険医療機関に保険診療を受診したことのない患者、あるいは治療中の患者で精査・治療中の疾病と関連しない健診等を受けた場合、こうした場合に同日に1回の受診で実施した場合に再診料が算定できるのかといった、ここの表で言いますと黄色の部分のところが十分に明確でないということでございます。なお、青い部分は算定できる、赤い部分は算定できないということで明確化がなされてございます。
27ページが論点でございます。健診等受診後に、健診等と関連する疾病について同日に1回の受診で保険診療を実施する場合、現行の初診療の取扱い等に再診料等は算定できないことを明確化してはどうか。健診等受診後に健診等と関連する疾病について後日に別受診、または翌日以降に保険診療を実施する場合には、現行の保険診療における再診料の取扱いと同様に、再診料等を算定できることを明確化してはどうかとさせていただいております。
29ページ、情報通信機器を用いた場合の医学管理等に係る評価でございます。この話題につきましては、29ページ下の参考にございますけれども、令和4年度診療報酬改定において情報通信機器を用いた医学管理に係る評価の整理として、①~⑤に該当するものを除いてオンライン診療でも指導料等を一定算定できるというような整理がなされているところでございます。この整理に沿った場合、プログラム医療機器等指導管理料につきましても対象となり得るのではないかということでお諮りをするものでございます。
30ページは論点でございますが、プログラム医療機器等指導管理料に情報通信機器を用いた場合の規定を設けることについてのように考えるかとさせていただいております。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、各論点について意見を述べさせていただきます。
まずは8ページの移転・再編時等の取扱いについてですが、論点に示された方向性に異論はございません。手続が不明確であったり時間がかかりますと、その間、保険診療が止まってしまうことから、患者さんの疾病管理や保険医療機関の存続にも関わってきます。あまりなじみのない話かもしれませんが、実際、医師会にはそうした相談も寄せられておりますので、ぜひとも現状に即した扱いに見直した上で、ルールを明確化していただきたいと思います。
続いて、14ページの専従要件の明確化につきましては、論点に示された方向に賛同いたします。
1つ目の○の医療安全や感染対策といった業務は、担当者がしっかりと責任を持って対応することが不可欠な業務でありますが、それはその業務に必要な範囲内でのことであって、一切他の業務をしてはいけないとか、他の人と業務を分担してはいけないということではないはずであります。
また、2つ目の○の入退院支援等における院外での活動についても、特定の業務に専従しているのであれば、業務する場所については柔軟に判断すべきであると考えております。
また、本日の論点にはございませんが、例えば病棟の看護職員の夜勤配置が規定の2名配置の場合の急患対応について、病棟運営に支障がなく短時間対応の際は、病棟を外して急患対応することについても検討の余地があるのではないかと思っております。
続いて、19ページの同一病棟内における複数の入院料の届け出についてですが、それぞれの医療機関が建物の面積やスタッフの人数等も考慮した上で合理的な病棟運営を行っておりますので、現場の実情を踏まえた上で御検討をお願いいたします。
また、23ページの常勤職員の所定労働時間を法律に準拠して短縮することにつきましては異論ございません。
続いて、27ページの健康診断等と初再診料等の関係については、これまで明確な取扱いが示されていなかったこともあり、現場の運用実態を精査する必要があると考えております。また、ルールを明確化するといたしましても、これまで明確になっていなかったことを踏まえ、令和8年度改定後に施行される新たなルールとして、過去に遡及することなく実施すべきであります。なお、こういった留意事項に係る見直しは中医協に諮らずとも機動的に見直すべきであり、今後も現場の運用を踏まえ、必要な対応を十分に講じていただくよう要望いたします。
30ページのプログラム医療機器に関わる指導管理をオンラインで行った場合の規定を設けることについては異論ございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からは14ページの専従要件に関する論点に関して意見をさせていただければと思います。今回提案されております医療安全対策加算及び感染対策向上加算に関して、専従者の可能な業務を拡大することに関して賛成いたします。また、2名の従事者が専従業務を分担できるように変更することに関しても賛成いたします。2つ目の専従のセラピストの従事できる業務に関して、院外活動を含むことを明確化することに関しても賛成いたします。
今回改定では、事務局から資料11~12ページに出されておりますが、専従要件に関して緩和する方向で様々提案いただいており、その方向性を支持しております。今後、全国で生産年齢人口が急激に減少していく我が国の医療において、いかに少ない人数で地域の医療提供体制を維持していくか、我々も真剣に模索をしております。そのような中、我々はもっと大胆に専従要件そのものを医療安全上必要な最低限の規定を残して撤廃することを病院団体として希望しております。
医科点数表が厚いということは全てのここにいる人は御存じなのですが、ここに持ってきたのがいわゆる基本診療料、特定診療料のところに書かれている専従の部分になります。こんな小さな字で印刷しましても30ページぐらいになります。現場が今、医療DX、AI、ICTを活用して工夫して医療提供を効率化しようとしておりますが、専従要件や他の人員配置要件により、それが滞る現実もございます。各点数に関して、その点数の算定に必要な業務を定義し、それがなされているのであれば、人員配置にかかわらず算定を認める、いわゆるプロセスアウトカム評価に転換していくべきであると考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
それでは、2点ほど論点を述べたいと思います。
専従要件に関しましては、先ほど太田委員が言われましたようにDXが進み、少しずつ時間が少なくてもできるようにという効率化を進めているわけですので、これは撤廃していただきたいわけですが、。まず、何が大事かというと、プロセスとして何がちゃんとされ行われているかということが非常に大事で、そこに人がいるだけで、されて行為が行われていなければ意味がないということだと思います。ですから、何をすべきかということを明示していただいたほうがいいと思います。
ここの論点には、業務のない時間に実施可能な業務が示されていないということで、業務がないとき、要するにするべきことがないときに何をするかを示すなどということになっているので、業務として何をしなければいけないのかということを示していただいて、それ以外の時間はある程度加算の業務は終わっているわけですから、特に制限なくさせていただくというのが普通の考え方ではないかと思います。業務がない時間に実施可能な業務を示すのであれば、ちゃんと加算を取るために必要なこれだけのことは全部終わっておいてくださいということを示していただいたほうがいいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
2点目でございますが、論点の27ページの人間ドックの初再診です。これは前も救急のトリアージのときに言いましたけれども、初再診のやり方が非常に難しくて、ルールがありますので、何が起こるかといいますと、同じ機関にかかると取れないか、もしくは再診料、別のところに行けば初診料が取られる、ですから、逆に言うと、健診専門の医療機関であるとか、人間ドックで取って異常が見つかって、普通の医療機関に行くと初診料が取られるけれども、医療機関に附属した健康診断・人間ドックで引っかかれば、そのまま再診料になる。そういうところで軽い高血圧ですとか、ちょっとした腎機能低下などが見つかっても、近くの診療所に行くと、下手をすれば初診料が取られる。その大きな医療機関でかかれば再診料で済む。
ということで、患者の側から見ますと、大きな医療機関にかかっているほうが診療費は少なくて済むという誘導をしかねない可能性がございますので、初再診の考え方に関しては抜本的に考えたほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
私からも5の健康診断等と初再診料等の関係について発言をさせていただきます。
27ページ目の論点に記載されている部分は、これまでの運用をより明確にするといった視点だと思いますけれども、できるだけ具体的なケースを列挙し、現場での運用等に混乱を来さないように御配慮をお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
全体としては取扱いが不明確な部分や考え方が統一されていないものを整理するということでございますので異論はございません。
基本的には事務局から示された方向性に沿って進めていただきたいと思いますが、その上で、幾つかのポイントでコメントさせていただきます。
まず、14ページの専従要件について、ほかの委員からもコメントがいろいろ出ておりますけれども、限られた人材の有効活用や業務分担は非常に重要でございますが、逆に加算で評価している業務に支障が出ることや責任が曖昧になることがないように、運用面での配慮をよろしくお願いしたいと思います。
次に、19ページの特定入院料の届け出や施設基準の取扱いについては、病棟の機能を最大化するために望ましい組み合わせということを意識し、特定入院料の範囲や個数は明確化すべきだと考えております。また、病棟室や病室の機能を適切に評価する観点で在宅復帰率や平均在院日数は、原則その入院料を算定する患者のみを対象とすることに賛同いたします。
27ページの健康診断等と初再診料と等の関係について、これもほかの委員から御意見が出ておりますが、健診に引き続き関連する疾患で保険診療を行った場合には、初診料だけでなく再診料を算定できないことは、我々としてはぜひ明確化していただきたいと考えます。
また、健診の後に改めて受診した場合に初診料の算定を付加不可とし、再診料を算定することにも賛同するものでございます。運用面の工夫もぜひお願いをしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
私も14ページの専従要件の明確化に関して申し上げたいと思います。医療安全対策や感染対策は非常に重要と考えますので、対策が進むよう、専従の趣旨や医療の質の担保を前提に、一定の範囲で柔軟性を持たせることに異論はございません。ただし、医療安全対策や感染対策のリーダーシップを取るべき特定機能病院と、これらの対策の底上げをするための地域の医療機関とでは分けて考える必要もあるのではないかと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。特にほかには御意見等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「入院時の食費・光熱水費について(その2)」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いいたします。
○林医療課長
総-4、入院時の食費・光熱水費について(その2)をお願いいたします。
2ページが目次となってございまして、まず、食費のほうから御説明をいたします。
3ページ、11月7日に入院時の食費・光熱水費について御議論いただきました。
その際の資料を4~5ページにつけております。
また、6ページにつきまして、そのときは8月までのデータでございましたけれども、CPIの動向について、9月、ないし10月まで見ておりますけれども、引き続き上がっているという状況がございます。
7ページ、入院時の食費に係る論点でございます。入院時の食費の基準額については、これまでの改定で引き上げを実施いたしましたけれども、その後も食材費等の上昇が続いている。令和7年4月に行った引き上げの検討時期と引き上げ後の令和7年4月から9月と資料に書いてございますけれども、正確には10月でございますので、9月を10月に訂正をさせていただきますが、10月までの間を比較すると、食料の物価は6.50%上昇している。これに食材費等を勘案する自己負担額の510円を乗じると33円となることを踏まえ、入院時の食費の基準額について、例えば40円引き上げることとしてはどうかということをお諮りさせていただきます。
参考のところに令和7年4月から9月平均と書いてございますけれども、4月から10月の平均でございます。数字の125.6は10月までの平均を記載しているものでございます。
医療保険部会についても入院時の標準負担額、自己負担額の観点から御議論いただく必要がございますので、中医協でこの時期に数字が入っているのは例外的でございますけれども、これを含めて御議論いただきたいと思います。
続いて、入院時の光熱水費についてでございます。
同様に9ページ、11月7日に中医協総会において御議論いただきました。
また、10ページに光熱・水道支出のCPIの動向、これも9月までにアップデートさせていただいております。
12ページが論点でございます。
昨今の光熱・水道費は特に足下で大きく上昇しているところ、入院時の生活療養費の光熱水費の基準額(総額)については、平成18年の創設時から据え置かれている。
介護保険では令和6年度介護報酬改定において、家計における光熱水道支出を勘案し、多床室の居住費の基準費用額を60円引き上げている。
近年の光熱・水道費の上昇や、令和6年度介護報酬改定における対応を踏まえ、入院時生活療養費の基準額(総額)について、例えば60円引き上げることとしてはどうかとさせていただいております。これにつきましても医療保険部会において、併せて標準負担額の観点から御議論いただいているところでございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
まず、7ページの食費に関する論点ですが、今回の調査結果を見ましても、過去2回の引き上げ分は委託業者からの増額要請に対応するか、引き上げ額以上に経費が増加しているため、食材料費を安価なものに変更するなど、物価上昇に追いついていない状況が明らかになっております。今回は過去の食料物価の上昇に応じて40円の引き上げが提案されておりますが、物価や賃金は直近においても値上がりしており、今回改定以降もその傾向が続くことも考えられますことから、今後の経済情勢や医療保険部会で議論される患者負担の在り方も見極めながら、注意深く検討すべきであると考えております。
続きまして、12ページの光熱水費に関する論点でございます。介護保険部会では令和6年度改定で60円引き上げましたが、その後も光熱水費は上昇しておりますので、こちらも食費と同様、今後の経済情勢や医療保険部会で議論される患者負担の在り方も見極めながら、注意深く検討すべきであると考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
食事療養費に関する論点として7ページですが、40円が妥当かというと、恐らく今回だけであれば33円上がっていて、人件費も上がっているので40円上がれば妥当なのかもしれませんが、総-3の論点の8ページに経営上の予見性の確保という言葉が出ているのです。
予見性ということから考えると、今これだけ物価上昇している中で、あと2年、40円でもつのかという予見ことは、私たち病院経営者から見ると予見できないのです。ずっと物価が安定してしまう、人件費がこのままでいくということは予見できないということで、今回は途中に30円まで上げていただいたので、そのような対策をしていただけるのか、もしくは歯科用貴金属のように実勢価格を見ながら価格を調整していただけるのか、何らかの形がないと、2年間40円で済ませてくれというと、かなりな赤字を覚悟しなければいけないということになりますので、その補填のやり方ということを検討していただければありがたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、7ページの食費の基準額につきましては、食料の物価上昇率6.5%を単純に自己負担額に換算すると33円になり、そこに調理費等を換算して10円単位で端数が出ないように40円引き上げるということですので、これまでの考え方と同様に患者負担でに対応するものと理解をしておりますが、仮に今後も食材費が上昇していく中で、さらに基準額を引き上げる場合には、今回とは逆に経営努力の中で端数を吸収していただくことも検討すべきだと考えます。
また、以前から申し上げているとおり、患者の理解も得られるように、食事の質に配慮することに加え、より効率的な病院給食の運営についても、引き続き最大限の努力をお願いしたいということでございます。
続いて、12ページの光熱水費については、在宅患者との公平性の観点から介護保険にそろえる形で、療養病棟に入院する65歳以上の自己負担を60円引き上げるものと理解をしております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
私からも7ページの論点、入院時の食費に関しまして申し上げます。
食料物価の上昇率を換算すると33円とのことで、40円の引き上げが提案されております。これは5ページの委託業務の値上げに関して示されているように、価格が上がっているのは食材費だけではないということも勘案してのことだと受け止めております。この間も患者の自己負担だけが引き上げられてきましたが、入院時の食事というものは療養の一環ですので、保険給付の部分も併せて検討が必要ではないかと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。ほかには特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「医療経済実態調査の結果に対する見解について」を議題といたします。11月26日の総会で医療経済実態調査の結果が報告されたところですが、本日は1号側委員、それから、2号側委員、それぞれから同調査の結果に対する見解が提出されております。
まず、1号側委員から資料の御説明をお願いいたします。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
それでは、支払い側を代表いたしまして、第25回医療経済実態調査に関する分析結果の見解を説明させていただきます。資料は総-5-1を御覧いただきたいと思います。
資料の構成は最初の3ページが分析結果のまとめということで、内容的には損益差額、費用構造、資産・負債という3項目で言及し、その後ろに細部資料という2部構成となっております。
細部資料の内容は4ページ以降5本立ての構成になっておりまして、目次と出典等に関する説明に続いて5~13ページまでが損益差額率の経年比較に関する部分、14ページ以降は費用構造の経年変化に関する部分、33ページ以降は資産・負債等の経年比較に関する部分ということで、その後、40ページ以降につきましては次回調査に向けた意見と提言並びに参考資料という形にさせていただいております。
資料のほうは御覧いただくと分かると思いますが、各ページの一番下段のところ、黄色い欄に特に注目すべき点を記載しておりますので、後ほど御高覧の際に参考にしていただければと思っております。
それでは、資料のほうは枚数が多くございますので、今回は分析結果のまとめのほうを説明させていただきます。
分析結果の最初のまとめの1ページ目は、損益差額率に関する分析結果でございますけれども、そこにも記載のとおり、医療機関別、一般病院の開設者別、さらには病院の機能分類別という形で分析を実施いたしました。
1つ目の医療機関別でございますが、令和6年度における一般病院の平均損益差額率はマイナス7.3%であり、令和5年度からコンマ2%改善いたしましたが、まだまだ経営の健全化の必要があると感じております。
一方、診療所と保険薬局の平均損益差額率については、一般診療所では、そこにも記載のとおり、個人・医療法人とも黒字であり、いずれも令和5年度から縮小はしたものの、底堅く推移しております。また、歯科診療所では、個人が27.6%、医療法人が5.5%の黒字、保険薬局では個人が11.2%、法人が4.9%の黒字であり、歯科と調剤についてはともに令和5年度とおおむね同水準の黒字が維持されていると理解をしております。
続きまして、開設者別の損益差額率ですが、資料にもありますとおり、平均の損益差額率は、医療法人のマイナス1%から公立の18.5%まで非常に大きなばらつきが見られております。そこで、病床利用率と平均損益差額率を分析しました結果、いずれの開設者も病床利用率が高い病院群で平均損益差額率が高く、医療法人では病床利用率が80%以上の場合に平均損益差額率が1%の黒字となっていることが分かります。また、非常にマイナス幅が大きかった公立に関しては、病床利用率80%以上でも平均損益差額率がマイナス13.4%となっておりますが、参考として総務省のデータから令和5年度の病床利用率と医業収支比率の関係を分析いたしました。
資料の51ページ、その結果、公立における医業収支比率のばらつきの4割弱を病床利用率の違いで説明することができたものでございます。
51ページのところに参考として2つの率を分析した結果を載せておりますけれども、4割と申しますのが、そこにRの二乗と書いてありますが、0.3882というものをおおむね4割という形で換算しているものでございます。
続きまして、3つ目の機能分類別の医業利益率でございますが、これは先日の厚生労働省によります医療経済実態調査の分析結果から、いずれの機能分類でも赤字になっておりますが、回復期、慢性期は相対的に赤字幅が小さく、高度急性期、急性期A、急性期Bについては相対的に赤字が大きくなっていることが分かっております。また、赤字病院の割合につきましても、回復期の40%から急性期Bの73%まで一定の違いが見られております。
続きまして、2ページ目の費用構造に関する分析に移りますが、ここでは2つの観点から実施しております。1つ目が医療機関別の医療介護費用の構成比率と損益差額率、2つ目は医療機関別の職員給与ということでございます。
令和6年度における収益に占める費用の構成比率と損益差額率を令和5年度と比較しましたところ、一般病院については材料費と委託費の比率は上昇しておりますが、反面、医薬品費、減価償却費、給与費、その他の費用の比率が低下し、トータルでは損益差額率のマイナスが縮小した結果となっております。
一方で、国公立では材料費と委託費に加えて、給与費とその他の費用の比率も上昇し、これは損益差額率のマイナスが拡大する方向になっております。
続きまして、一般病院の給与費比率でございますが、病床規模別に見てみますと、200床を境に違いがございまして、200床未満の場合は20~99床に比べて、100~199床の給与比率が高くなっておりますけれども、200床以上になりますと、200~299床、300床以上、500床以上と病床規模が大きくなるほど、給与費比率が低い傾向が見られております。
また、医療法人の一般診療所では委託費を除く費用の比率が全体的に上昇し、損益差額率のプラスが縮小しております。
また、医療法人の歯科診療所では、材料費、委託費、その他の費用の比率が上昇いたしましたが、減価償却費と給与費の比率が低下し、損益差額率のプラスが拡大しております。
次に、医療機関別の職員給与に関してのデータでございますが、令和6年度における院長の平均年収は、一般病院の場合は、いずれの開設者も令和5年度の水準を下回りましたが、医療法人の一般診療所では、有床償無床償のいずれも令和5年度水準を上回り、病院と診療所の院長給与の格差が拡大した方向となっております。
また、一般病院の主な医療従事者の平均年収は、令和5年度から6年度にかけて医師が4万円、薬剤師が12万円、看護職員が13万円、医療技術員が8万円の上昇となっており、職種別の給与水準を踏まえますと、看護職員、薬剤師、医療技術員の上昇率が高く、令和6年度の診療報酬改定による一定の政策効果が見られたものと判断しております。
続いて、個人を除いた一般病院の令和6年度における主な医療従事者の平均年収を開設者別に見てみますと、医師は医療法人がほかの開設者より高く、薬剤師、介護職員、医療技術員は、医療法人がほかの開設者と比べて低いですが、医療法人の平均年収を令和5年度と比較しますと、医師は低下、薬剤師、看護職員、医療技術員が上昇しているということになっております。
最後に、資産・負債等に関するところでございます。最初に、純資産比率と流動比率を見てみましたが、令和6年度における純資産比率は、一般病院が全体で38.3%、一般診療所の個人では61%、医療法人では71.8%、歯科診療所が個人では48%、医療法人で49.6%、保険薬局が全体で29.1%であり、令和5年度と比較した場合、一般病院と保険薬局では低下しておりますが、一般診療所と歯科診療所では上昇したという形でございました。
続いて、流動比率でございますが、一般病院は全体で183.9%、一般診療所が個人では589.4%、医療法人で540.8%、歯科診療所が個人で465.8%、医療法人では313.4%、保険薬局が全体で134.9%であり、令和5年度と比較したところ、一般病院、一般診療所の個人立、歯科診療所の医療法人、保険薬局で低下しておりますが、一般診療所の医療法人と歯科診療所の個人は上昇しております。
参考として、資料の35ページに財務総合政策研究所の公表データを調べて比較してみました。単純に比較できないことは承知しておりますが、令和5年度における非製造業全体の流動比率は151%ということで、先ほど説明した比率については非常に高かったということが示されております。
続きまして、設備投資額でございますが、令和6年度と比較してみますと、一般病院が30.3%の増加、一般診療所は1.3%の増加、歯科診療所は12.3%の増加、保険薬局は16.5%増ということで、いずれも増加しており、一般病院では特に大きく増加して、歯科診療所と保険薬局でも一定程度の増加が見られたところでございます。
最後に、長期借入金についても見てみましたが、令和6年度における長期借入金を令和5年度と比較いたしますと、一般病院では1.5%増加したものの、一般診療所はマイナス4.1%、歯科診療所はマイナス5.5%、保険薬局はマイナス4.5%という形で、長期借入は減少しているということが分かりました。
今の説明では、こうした説明のバックデータについてはあえて説明いたしませんでしたが、資料編のほうで御確認いただければと思っております。
最後でございますが、病院と診療所、薬局では、損益差額や費用構造に差があるだけではなく、流動比率、長期借入金、設備投資の状況も異なっておりました。また、病院においては機能による医業利益率や病床規模による費用構造の違いが確認されております。令和8年度の診療報酬改定では、こうした経営状況の差異や、補助金による病床削減による病床利用率の改善効果、医療機関機能の分化・連携を通じた、経営の健全化を念頭にメリハリのある対応が不可欠であるということを改めて主張させていただきます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、2号側委員から資料の説明をお願いいたします。江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
今回の医療経済実態調査の結果報告に対する2号側の見解を述べさせていただきたいと思います。まず、医科については私から、そして、歯科・薬局は、それぞれ大杉委員、森委員から見解を述べ、最後に私からまとめを述べさせていただきます。
資料をめくっていただきまして真ん中のところに、28分のという形でページ表記をしておりますので、そちらでお願いしたいと思います。
まず、最初の見解に続きまして、28分の5ページの下の図、令和6年度の一般病院全体の損益率はマイナス7.3%、赤字施設の割合は67.6%と、前年度に続き約7割に上り、厳しい経営状況となっております。
28分の6ページの上の図、全病床に占める精神病床の割合が80%以上の病院では、医業利益率がマイナス4.2%からマイナス6.1%に悪化し、令和6年度の赤字割合が約7割となっております。
続きまして、同じく28分の6ページの下の図、令和6年度の医療法人の一般診療所の損益率は、平均値で令和5年度の8.3%から令和6年度は4.8%に、中央値では5.6%から2.7%に大幅に悪化し、赤字施設の割合は37.4%、約4割に上っております。損益率の中央値は平均値よりも大幅に下回っており、令和6年度は2.7%であります。また、令和6年度の赤字施設の割合は約4割に上りました。このように病院の約7割、診療所の約4割が赤字という看過できない状況になっております。
続きまして、28分の7ページの上の図、一般病院はいずれの開設主体も医業収益は増加しましたが、総損益率は悪化し、増収減益となりました。総損益率が悪化した要因は、賃金・物価の上昇によるコスト増のほか、新型コロナ関連の補助金や特例の終了による影響が大きいものと考えられます。
28分の7ページの下の図、医療法人の一般診療所では、入院収益なし・ありともに医業収益は減少しました。損益率は平均値・中央値ともに令和5年度から大幅に悪化し、減収減益となりました。
続いて28分の8ページ、医業・介護費用は、物価・人件費等の高騰の影響を受け、給与費や材料費等の諸費用が病院・診療所とともに上昇しました。物価高騰が続く中で、費用を抑え続けることには限界があると考えております。
続いて、28分の9ページ目の上の図と下の図にありますように、給与費は大きく伸びているものの、病院・診療所ともに他産業の賃上げを大きく下回っております。この状況が続けば、医療人材の他産業への流出に歯止めがかからず、人材確保がより一層困難になることが危惧されます。
次は飛ばしまして、28分の12~13ページにありますように、一般病院の総損益率は、ほぼ全ての地域で悪化し、どの病床規模でも悪化し、また、急性期一般、地域一般のいずれの入院基本料を算定している病院でも赤字がさらに拡大しております。現在の診療報酬では経営が成り立たないことが浮き彫りとなっております。
さらには28分の13ページの下の図にありますように、令和7年3月決算の医療法人では、令和6年度全体に比べて損益率が低い傾向にあり、特に減収減益の診療所ではその傾向が強く見られております。物価上昇は継続しており、令和7年度はさらに経営が悪化し、赤字の施設が増加する可能性が高いと考えております。
以上のとおり、病院・診療所ともに経営の悪化は深刻であり、存続が危ぶまれる状況が明白になりました。病院は既に瀕死の状態で、ある日突然倒産するということが全国で起きております。診療所も約4割が赤字であり、規模が小さく脆弱な診療所は、これ以上少しでも逆風が吹けば経営が立ち行かなくなります。既に医療機関の倒産が過去最多のペースとなっており、継承にも支障を来し、閉院が大幅に増え、地域医療の崩壊を招きかねません。物価・賃金が上昇する中でも、病院・診療所が存続できるよう、緊急かつ十分な対応が求められます。
医科の分は以上でございます。
続きまして、歯科の見解を大杉委員からお願いいたします。
○大杉委員
医療経済実態調査の結果に対する見解を歯科のほうから述べさせていただきます。
個人立歯科診療所の経営状況は回復基調には至っておらず、直近2事業年度の損益率は対前年度比で辛うじて横ばいであり、逼迫した状況が続いているところであります。昨今の物価高騰や賃上げの状況を踏まえると、零細医療機関である歯科診療所は、依然として厳しい状況が続いていることには変わりがありません。特に医業費用の内訳は、28分の16の下段にお示ししておりますけれども、委託費の中の技工委託費は5.9%増、金パラ価格は金が最高値をつける中、令和7年に再び上昇しており、経費等の増加は明らかであり、引き続き物価高騰の影響を強く受けていることが推測されます。
また、歯科衛生士等の給与水準は、28分の16の上段にお示ししておりますけれども、一般病院の医療技術員の方よりも低い水準にとどまっており、また、歯科診療所の歯科衛生士の給与は病院勤務の歯科衛生士よりも低い水準でありました。個人歯科診療所における歯科衛生士の賃上げの状況は、骨太の方針2025年でも示された2025年春季労使交渉の平均賃上げ率5.26%には到底及ばず、このままの状態が続けば、歯科衛生士等の雇用にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
個人立歯科診療所の損益差額は28分の17の上段にお示しのように、平均値と中央値、最頻値には差があり、最頻値は500万~750万であります。
また、28分の18の下段にお示ししましたように、消費者物価指数との長期的な比較においても上昇傾向が見られず、地域の歯科医療を支える小規模歯科診療所の管理者の高齢化も進んでいます。こうした状況下で、これ以上の経営努力には限界があり、歯科医療機関の継続が危機に瀕する可能性があります。国民の健康を守る歯科医療及び口腔健康管理の充実を図るためには、迅速かつ抜本的な対応が必要と考えます。よろしくお願いを申し上げます。
○森委員
保険薬局に関して見解を述べさせていただきます。資料の19ページ目、そこにあります右右下のパワーポイントの番号でこの後は説明をさせていただきたいと思っています。
まず、2ページ目、保険薬局は9割が法人で、今回、回答の9割6分が法人で占めております。また、個人立は損益差額に開設者の給与等が含まれておりますので、法人率の集計を使って説明をさせていただきたいと思っております。
3ページ目、まず、法人の収益の伸び率ですけれども、プラス2.2%ということで低い水準となっております。真ん中のところを見ていただければと思います。
一方、費用を見ていただければ、全ての費用が伸びており、給与費で4.5%、医薬品費で2.1%、水道・光熱費で4.3%ということで伸びが出ております。
そうした中、前年と比べて損益差率・差額ともにマイナスとなっております。
右側の最頻階級を見ていただければと思います。最頻階級は一般的なに薬局の経営状況を表すものとなると思います考えております。多くの薬局がそこに所属している階級になり、ます。見ていただければ、そこは収益も低く、かつ損益差額、損益率も低くなっております。損益差率に関しては前年2.2%から1.7%に減少、損益差額に関しては、そこに198万と税引き前が出ていますけれども、税引き後に直しますと、月に12~13万円程度しかなくいということで、かなり厳しい経営状況となっております。
加えて、ここにありませんけれども、法人立のうち3割弱の薬局ではいわゆる赤字となっており、いる非常に厳しい経営状況に陥っております。
次に7ページ目、同一グループにおける店舗数別の集計が出ております。左側から1店舗、2店舗から5店舗、6店舗以上、それから、右に行くに従って大きな店舗になっていますけれども、特に1店舗及び2~5店舗は、それ以上の店舗数規模のグループと比べると損益差額は小さく、非常に小規模のところは特に厳しい経営状況になっていることが見て取れるのではないかと思いますっております。
次に、15ページ目に薬剤師等の給与の状況が出ております。前年ですけれども、勤務薬剤師に関しては平均で480万円、事務職員に関しては272万円という平均給与となっております。
賃上げの状況は、薬剤師、管理薬剤師ともに年額で1万4500円、事務のほうは精一杯頑張ったのですけれども、それでも年額2万7200円ということです。江澤委員のほうからもありましたけれども、他産業の賃上げ状況と比べて、本当に比べられない、大きく下回るような状況になっています。特に事務職員においては平均年収272万円ですので、薬局の現場では人材流出が非常に進んでいて、募集しても集まらないということが続いております。
最後に19ページ、全体を通してということですけれども、薬局の経営状況、物価、賃上げ等への影響により厳しい経営状況が続いております。特に最頻階級の損益差額の規模は小さく、また、保険薬局の3割弱が赤字となって極めて厳しい経営状況にあります。
次の20ページ、特に1店舗及び2~5店舗の損益状況が厳しくて、経営基盤は極めて脆弱になります。このままではさらなる賃上げ、物価高に対応することは困難のみならず、地域医療における医薬品供給に支障を来すことになると考えております。
日本薬剤師会の調査でも1年前よりも経営が悪化した薬局が8割、1年後どうなるかと聞いたら、9割の薬局でさらに厳しくなるという調査結果が出ております。何よりも薬局が経営を維持できること、賃上げ、物価高騰に対応できるようにお願いしたいと考えます。
私からは以上です。
○江澤委員
以上、今回の医療経済実態調査結果から、医療機関等の直近の経営状況は、昨今の物価、人件費等の急激な高騰への対応に困窮し、以前にも増して非常に厳しい状況にあることが明らかになりました。特に患者さんに質の高い医療を継続的に提供するためには、医療従事者等に対する賃上げと人材確保が急務であります。診療報酬という公定価格で運営する医療機関等にとって、賃上げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高騰にも対応するためには十分な原資が必要であり、対応は待ったなしの状況でございます。そのためには、令和8年度診療報酬改定が担う役割は、かつていないほど極めて重要であります。
以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
1号側、2号側、それぞれから非常に短い期間に詳細な資料を作成していただきまして本当にありがとうございました。お礼を申し上げます。
それでは、ただいまの御説明につきまして何か補足すること、あるいは質問等はございますでしょうか。
それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
1号側の資料の中の資産・負債のところでございますが、設備投資額のところを見ていただきますと、6年度における設備投資額を5年度と比較すると、一般病院が30.3%増、一般診療所が1.3%増、歯科診療が12.3%、保険約16.5%ということで、一般診療所の場合は、設備をかなり控えて全体の経営の効率化を図っていくということで、この辺の御理解をいただきたい。病院においては当然新しい機械を入れていくということで更新をしていけるところがあります。
ただ、診療所においては規模が小さいということがございますし、診療所の場合は、例えば1年間の売上げが1億円から1億5000万ぐらいしかございません。その中で、2.何%といいますと、本当に250万とか、300万とか、年間でそれぐらいの額しか余裕が来ないという中で、機械を購入していくということが非常に厳しいことを御理解いただきたいと思っております。
それと、先ほどの意見交換でもございましたが、人員配置というところで病院についてはいろいろな人員配置を言われて、そちらに人件費がどんどん取られていったということがございますし、今の人材派遣・人材紹介会社のほうにも流れていっていることを御理解いただきたいと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
1号側のほうから何かリプライすることはございますでしょうか。よろしいですか。
ほかはいかがでしょうか。ほかには特に御意見・御質問等がないようですので、本件についてはこの辺りとしたいと思います。
本日の御報告、それから、議論も踏まえて、後日、1号側委員、2号側委員から、次期改定に対する意見を提出していただきたいと思いますので、各号の委員におかれましては御準備をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から「その他」として資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料の総-6でございますが、先週11月26日に第25回医療経済実態調査につきまして御報告をいたしました。その中で、飯塚委員、小阪委員からそれぞれ追加の資料の御要望をいただきました。
本日、この資料の詳細な御説明は省かせていただきますけれども、5ページ目以降、例えば医療経済実態調査、MCDBの比較といったものをお示ししております。
また、15ページ以降、病院の開設主体別等の損益率の分布につきましてお示しをしてございます。
大変申し訳ございません。最後の20ページですけれども、損益率の分布⑦ということでございまして、こちらに一般病院・精神科病院と書いてございますが、これは表記の誤りで精神科病院の誤りでございますので、ここの点のみ、申し訳ありませんが修正をさせていただければと思います。説明は改めまして省かせていただきますけれども、資料を御参照いただければと存じます。
事務局からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について何か御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、特に御質問等がないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。