2025年11月28日 中央社会保険医療協議会 総会 第631回議事録

日時

令和7年11月28日(金)消費税分科会終了後~

場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 高町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 鈴木順三委員
  • 伊藤徳宇委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」からの報告について
  • 調剤について(その2)
  • 個別事項について(その10)人口・医療資源の少ない地域、救急医療、業務の簡素化

議事

○小塩会長
ただいまより、第631回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、永井委員、田島専門委員が御欠席です。
カメラの頭撮りはこの辺りということでお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。
同分科会の飯塚分科会長より御報告をいただきまして、その後に事務局より補足をお願いいたします。
それでは、飯塚分科会長、よろしくお願いいたします。
○飯塚分科会長
消費税分科会長の飯塚敏晃です。
医療機関等における消費税負担に関する分科会については、本日、消費税の補てん状況を把握して、その結果を踏まえ、令和8年度診療報酬改定における対応等について審議を行いました。
審議におきましては、様々な御意見をいただきましたが、審議の結果、令和8年度診療報酬改定においては、調査により得られた補てん状況を踏まえ、消費税上乗せ分の見直しは行わないとすることとしました。一方で、今後の補てん状況の把握の在り方や個別の医療機関間でのバラつきへの対応について引き続き議論を行うこととしましたので、御報告いたします。
詳細については、事務局から資料により説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
それでは、総-1-1を御覧いただければと思います。
先ほど医療機関等における消費税負担に関する分科会のほうで御説明をさせていただいておりますので、簡単に説明させていただきますが、まず総-1-1、4ページを御覧いただければと思います。
補てん状況の把握方法ということでありまして、支出につきましては、先日御報告いたしました医療経済実態調査(医療機関等調査)の回答を使用しまして、各医療機関等の課税経費を算出しているということであります。収入に関しましては、いわゆるNDBを用いまして消費税の上乗せ点数を把握しているということでございます。
5ページを見ていただきますと、この調査については幾つかの留意点がございます。サンプル調査であるといったことがありますし、それから、3回の改定を経ておりますので、そういったところがこの中には踏まえられていないといったところが留意すべき点としてあると思います。
6ページを御覧いただければと思いますが、その上で補てん状況の把握結果全体というものをお示ししております。下の段が令和5年度、上の段が令和6年度となっておりますけれども、令和6年度で申し上げますと医科全体が101.5%、病院が104.9%、一般診療所が93.5%、歯科診療所が90.1%、保険薬局が103.7%という数字になっているということでございます。
7ページ以降、病院種別ですとか開設主体別といったものをお示ししております。
同様に14ページ以降、一般診療所、個人立と医療法人別といったことを歯科診療所、保険薬局についても同様にお示ししているということでございます。
総-1-2を御覧いただければと思います。
下の段のほうには先ほども掲載いたしました全体の補てん率というところがありますけれども、さらに各種別ごとの課税経費率などを掛け合わせたものとして一番右側に全体補てん率というものを用いて表示しております。これがいわゆるマクロでの補てん率ということでお示ししているものでございまして、令和5年度が103.1%、令和6年度が100.3%ということでございました。
これにつきまして、上の段を見ていただきますと、この103.1%、100.3%という数字を踏まえまして、2つ目の○でございますけれども、令和8年度診療報酬改定においては診療報酬の上乗せ点数の見直しは行わないこととしてはどうかということを提案しています。
一方で、令和元年に行われた10%への引上げ以降、改定を3回重ねてきていますので、今後の補てん状況の把握を行うべきか、行う場合にどのような把握を行うか、そして、個別の医療機関間でのバラつきに対応できる診療報酬上の対応の方法があるかといったことについて引き続き議論してはどうかという提案を申し上げました。
先ほどの分科会では8年度改定での対応は行わないというところは御了承いただいたものと思いますけれども、3つ目の○についての論点ですが、把握は行うべきであるといったことですとか、その中での種別ごとのバラつきといったものについて研究する必要があるといった御意見、それから、そもそも課税に転換するべきではないかといった委員からの御意見もありました。そういった御意見を踏まえまして、今後引き続きこういう検討の仕方を事務局のほうで検討してまいりたいと思っております。
この総会でも委員の皆さんからいただいた御意見がございましたら、それを受け止めて、分科会での御意見と併せて次の持ち方というものを検討してまいりたいと考えている次第でございます。
説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
分科会の結論に盾突くようですみませんが、総-1-2を見ていただければ分かると思いますが、補てん率100.3%で令和5年度の補てん状況が103.1%、これは年を並べるということは、トレンドが見てとれます。要するに令和5年から令和6年度にかけて全体補てん率は3%近く下がっているのです。このインフレ基調の中で恐らく物価が上がっていけば消費税は上がっていきます。今回の令和8年度改定において、最終年は令和9年度になります。そうすると、これから7年度、8年度、9年度、3%ずつ補てん率が下がるとすると、9年度はマイナス9%ぐらい、要するに91%ぐらいしか補てんされていないということになるのです。だから、これはトレンドを読み間違えている可能性があって、現状はそうかもしれませんが、今のインフレ基調というトレンドがある中で実際に補てん率は下がっていっている。このトレンドをどう見るかというところを考えると、現状の6年度に100%だから上乗せ点数の見直しを行わないというロジックは通らないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○小塩会長
小阪委員から御質問がございました。事務局、いかがでしょうか。
○吉田保険医療企画調査室長
各委員からの御意見も伺ってみたいとは思いますが、例えば令和4年度は全体というところが98.9%でございました。一方で、令和5年度は103.1%ということで上昇しているわけであります。物価の伸びというのも確かにCPIなどの数字を客観的に見てもあるわけですけれども、他方で診療報酬によって消費税の手当がされている入院基本料等の基本料部分というのも受診延べ日数の増加に伴って増加するといったことも起こります。そういった意味で言いますと、トレンドというところを伸ばして将来的なところでの推測の中で対応するべきなのかどうかというのは御議論いただければと考えております。
○小塩会長
小阪委員、いかがでしょうか。
○小阪委員
ありがとうございます。
ただ、これは分かってからその後マイナス分補てんしていただけるのでしたらそれでいいのですけれども、それを放置されて次のときに乗せると、マイナスになった分は毎回毎回の診療報酬改定の中でマイナスのまま残ります。ということは、全部超過債務として累積で残ってきますので、その方式を考えていただく。将来を見据えずにやるということは、一般的常識から考えるとおかしいかなと思っております。
それで、ちょっとだけ言いたいのは、課税方式に関しましては、松本委員からさっき御意見がございましたけれども、四病協だけでなくて10病院団体が入っております日本病院団体協議会も課税方式を要求しておりますので、一応付け加えておきます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
私からは要望という形になります。
今回、精緻な結果を御報告いただきました。ありがとうございました。正直に申し上げまして、この数字を見させていただきいささか驚きがございました。なぜかといいますと、我々病院団体のほうで直近同じような消費税の補てんの調査を行って、10月の終わりに公表してございます。そこでは一般病院の補てん率というのは100%をかなり大きく下回っているという結果が出ていたものですから、今回厚生労働省事務局さんが計算いただいて100%を超えているという結果を見させていただいて、驚いたわけでございます。もちろんn数も違いますし、客体も違いますし、さらに言いますと、使った経営のデータが実調は令和6年、5年、我々は令和5年のデータで調査をしておりますので、そういうような違いがあることは事実でございますので、今回の報告が間違っているとは言えません。
ですので、今回御説明いただいた内容に関しましては、私自身、事務局を信頼しておりますので、一旦は納得させていただこうと思います。しかし、ここからがお願いになるのですが、一つはやはりなぜこのような違いが出るのか、これはなかなか検証が難しいのです。厚労省さんを信じるしかない状況に今なっておりますが、我々の調査と厚生労働省さんの調査で何がどう違うのかというのに関して、少し事務的に検討するような形の場をつくっていただけたらと思っております。
2つ目なのですけれども、先ほどの分科会のほうでも継続してバラつきを含めて分析をしていくというような方向になったということで、今までの分科会と違ってかなり突っ込んだ議論、意見が出ていたかと私自身は思いました。先ほどの小阪委員からの発言もそうなのですけれども、消費税の問題というのはかなりしっかりと検討いただく必要があります。場合によっては本当に診療報酬で対応するのは無理かもしれないという結論が理論的にはあり得ると先ほど室長はおっしゃられましたけれども、問題を解決するためにはどういう方法があるのか、それにはどれぐらいの限界があるのかということをしっかりと分科会のほうで御検討いただくよう今後も継続して進めていただければと思います。要望でございます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。御要望をいただきました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございました。
まず消費税の補てん状況調査なのですけれども、これは診療報酬による消費税の補てんが的確に機能しているかどうかを確認する重要な調査なので、引き続き続けるべきと思っております。
それから、何人かの委員の先生からもありましたけれども、今、物価が高騰していて、影響を受けています。また、施設ごとのバラつきという問題、年ごとのバラつきということがあるのではないかと思っています。正直、現在の補てん方法というのはどうしても限界があると思います。そうした中で、この消費税の対応は非常に難しい問題ですけれども、まず引き続きどう精緻化していくかということ。それからもう一点、抜本的解決に向けてどうしていくかという検討をする必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
精緻な補てん状況をお示しいただきまして、ありがとうございます。全体的には100%を超えているということでございますけれども、歯科診療所においては全体で90.1%、法人におきましては85.3%と15%マイナスという厳しい結果になっております。ここ数年、物価高騰等、また、ICTの普及により高額投資等があり、一つの要因となっているとは思いますけれども、バラつき等をきちんと把握していただきながら分析をしていただき、次の改定につなげていただければと思います。どうかよろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
特にほかには御意見、御質問等はないようですので、本件につきましては、中医協 総-1-2にまとめてあります対応案につきまして、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。それでは、報告のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「調剤について(その2)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
総-2の2ページを御覧ください。
本日は「調剤について(その2)」として、こちらの4つの事項について御議論いただければと思っております。
まずは薬局の在り方についてでございます。3ページは前回改定の答申書付帯意見でございまして、かかりつけ機能を発揮、地域医療に貢献する薬局の整備を進めるため、質の高い薬学的管理の提供への転換を推進するため、引き続き検討ということになっております。
4ページ、5ページは、2015年(平成27年)作成の薬局ビジョンの資料になります。
6ページ、この薬局ビジョンでは、薬局の目指すべき姿として面分業の推進を提示しておりますが、処方箋集中率を見ますと、策定から10年経過した現在においても多くの薬局は依然として立地に依存している状況ということが示されております。
7ページ目は薬局の各都道府県の増減、8ページ目、右側、全体の薬局数が増えているというものです。左側でございますが、薬局の平均薬剤師数でございます。こちらはあまり増えておらず、薬局の規模は大きくなっていないことを示しているものかと思っております。
9ページ目、薬局・薬剤師の地域の偏在により生じる課題を挙げております。
10ページからは医薬品の提供拠点に係る評価体系の見直しについてでございます。
はじめは報酬体系の簡素化についてでございます。
11ページ、近年、診療報酬が複雑化しており、簡素化が求められております。各オンライン薬剤管理指導料及びその加算、在宅の重複投薬関係の管理料につきましては、他の指導料、管理料に類似のものがあるというものでございます。
12ページからは調剤基本料関係についてでございます。
13ページ、調剤基本料別の損益率、損益差額を示しております。調剤基本料2を算定する薬局において損益率及び損益差額が高く、特別調剤基本料Aを算定する薬局においては損益率及び損益差額がマイナスとなっていることが分かるかと思います。
次の14ページ、調剤基本料別の薬局における土地賃借料、建物賃借料になります。特別調剤基本料Aを算定する薬局において土地賃借料、建物賃借料の額が高く、敷地を有する医療機関等との不動産取引による影響が考えられます。
15ページは薬局立地別の損益率になります。損益率の増加は医療モール内及び特別調剤基本料A算定薬局を除いた500床未満の病院敷地内の薬局でみられ、また、損益率が高いのは医療モール内、特別調剤基本料A算定薬局を除いた診療所敷地内の薬局でございました。
16ページは処方箋応需状況別の損益率、損益差額でございます。医療モールを含む複数の特定の医療機関から処方箋を多く受けている薬局ではいずれも増加し、相対的に高い値でございました。
17ページは地域別の損益率、損益差額であり、特別区の薬局でいずれも増加。
18ページ、法人店舗数別の薬局の損益率、損益差額。
19ページは処方箋受付回数別の損益率、損益差額になります。こちらのほうでは処方箋受付回数が月当たり600回以下の小規模な薬局におきましては損益率、損益差額ともマイナスでございました。
20ページ、処方箋集中率が高い調剤基本料1算定薬局の現状を示しております。処方箋受付回数600回を超え、調剤基本料1を算定している薬局では、集中率が高い薬局ほど備蓄品目数が少ないにもかかわらず、他の加算よりも高い点数の後発医薬品調剤体制加算3を算定しております。なお、この中には21ページに示しております医療資源の少ない地域にある薬局も含まれているため、留意が必要と考えております。
22ページ、特別区または政令指定都市にある調剤基本料1を算定している薬局について、処方箋集中率が85%以上の薬局は全体に比べて損益率が少し高く、23ページは特別区において処方箋受付回数600回を超え、処方箋集中率85%以上で調剤基本料1を算定している薬局につきましては、地域支援体制加算や在宅薬学総合体制加算の算定割合が特別区全体の薬局よりもかなり低い結果でございました。
24ページ、右側ですが、薬剤の一元管理をされている患者は、一元管理をされていない患者に比べ、服用薬剤数が少ないという研究結果がございました。
25ページは門前薬局についてでございます。薬局ビジョンにおいて、いわゆる門前薬局など立地に依存し、便利さだけで患者に選択される存在から脱却することを目指すということになっておりますが、病院への調査の結果から、約7割の病院には門前薬局が存在しているということでございました。
26ページ、27ページは、敷地内薬局における令和6年度の診療報酬改定時の検証項目、附帯意見及びその意見になります。
28ページ、特別調剤基本料A算定薬局数は令和6年度診療報酬改定後より微減となっております。
29ページ、前回お示しいたしました、へき地等、自治体運営医療機関の敷地内薬局の具体的な内容でございます。地域医療提供継続のため、県あるいは地域の薬剤師等とも協議等を行い、また、賃借料等も高いものではないというものでございました。
30ページ、医療モールにおける処方箋集中率についてでございます。現行調剤基本料2において、月の処方箋受付回数が4,000回を超える場合、処方箋集中率は処方箋受付回数が多い上位3つの保険医療機関の合計処方箋集中率が基準となっておりますが、医療モール内に医療機関が3つ以上存在する場合について、立地に依存しているということは変わらないのですが、この基準を下回ることがございます。
31ページ、処方箋集中率の計算についてでございます。門前薬局であるにもかかわらず、意図的に単一建物居住者あるいは在宅患者訪問薬剤管理指導料等を算定しない単一建物診療患者の処方箋をまとめて応需することで処方箋集中率が下がり、より点数が高い調剤基本料が算定できるというようなことがございます。
32ページからは地域支援体制加算関係になります。
33ページ、地域支援体制加算の地域別届出状況でございます。特別区や政令指定都市以外の地域では地域支援体制加算の届出割合が低い傾向でございました。
34ページは薬局における調剤室の面積についてでございます。構造設備規則において薬局の面積は定められておりますが、地域支援体制加算等の要件である備蓄品目数は増えているため、ニーズに合わせた対応をするために求められるものを記載しております。
35ページはセルフメディケーション関連機器の設置状況、36ページ左は高額医薬品を含む高額レセプト件数、こちらのほうは年々増加傾向であること。右側は高額薬剤レセプトへの対応は、店舗数の多い薬局の比率が高いことを示しております。
37ページは、未だ一部で薬事未承認の研究用試薬・検査サービスが販売されているというものでございます。
38ページからは在宅薬学総合体制加算についてでございます。
39ページ、在宅薬学総合体制加算、いわゆる在総加算でございますが、地域別届出状況で特別区や政令指定都市以外の地域では届出が少ない傾向でございました。
40ページは地域別に見ました在宅患者訪問薬剤管理指導料1、いわゆる居宅に1人の年間算定件数であり、特別区が多い状況でございました。
41ページは、薬局にとって負担の大きい在宅等に関連する処方箋に対応するものにつきまして、全レセプトと比べまして、常勤換算が2人以下の薬局では少なく、5人超の薬局では多く実施しているという状況でございました。
42、43ページはこれまでの現状と課題、それから、44ページは論点でございます。
論点の1つ目といたしまして、調剤報酬全体の簡素化についてどのように考えるのか。
2つ目は、薬局の調剤基本料別、立地別、地域別、同一グループの店舗数、薬局処方箋回数、処方箋集中率の区分別の収益状況等を踏まえ、調剤基本料についてどのように考えるか。
3つ目は、医薬分業の趣旨を踏まえ、いわゆる門前薬局の在り方についてどのように考えるのか。
4つ目、特別調剤基本料Aのただし書きの適用範囲、へき地等における診療所敷地内薬局への特別調剤基本料Aの適用、薬学管理料の算定制限等について、収益状況等を踏まえ、どのように考えるのか。
5つ目、医療機関が3つ以上存在する医療モールや遠方の高齢者施設等の入居者の処方箋を受け入れている事例等を踏まえ、適正化の観点から、医療モールの在り方や処方箋集中率の算出方法についてどのように考えるか。
6つ目、7つ目は、都市部とそれ以外における薬局の支援体制加算の届出状況の差を踏まえ、実績要件の区分についてどのように考えるのか。また、その他の要件の見直しについてどのように考えるか。
8つ目といたしまして、在宅薬学総合体制加算について、都市部とそれ以外における薬局での届出状況の差を踏まえ、在宅薬学管理の実績要件とかかりつけ薬剤師同等の実績要件についてどのように考えるかとしております。
45ページからは対人業務の見直しになります。
46ページは調剤管理料、47ページは調剤管理加算の算定の要件等と中医協での御意見を記載しております。いずれも患者に分かりやすい、より対人業務への評価へとの御意見でございました。
48ページは、重複投薬・相互作用等防止加算につきまして、中医協での御意見と右側に具体的な業務内容を記載しております。
49ページからは服薬管理指導関係になります。
50ページは吸入薬指導加算についてでございます。現状、インフルエンザ吸入薬指導においては、喘息、COPDと同程度の時間を要し、また、感染症対策として個室指導を行っている場合もございますが、診療報酬上の評価がないというような状況でございます。
51ページは服薬指導のフォローアップについてでございます。服薬指導後の患者フォローアップにより、副作用検出率が上昇するということが報告されております。
52ページからはかかりつけ薬剤師関係でございます。
53ページはかかりつけ薬剤師に関する主な御意見、54ページはかかりつけ薬剤師に対する患者の評価についてでございます。検証調査の結果でございますが、かかりつけ薬剤師がいる患者では、いない患者に比べまして服薬指導が役に立ったという回答の割合が高い結果となりました。
55ページはかかりつけ薬剤師に対する後ろ向きな意見、56ページ、業務ノルマを課している薬局のうち、約半数の薬局でかかりつけ薬剤師指導料の算定回数やかかりつけ薬剤師に関する業務ノルマがあるというものでございました。
57ページは、かかりつけ薬剤師指導料の創設前からかかりつけ薬剤師業務を実施しているため、患者との関係も考慮して、患者に上乗せの料金を請求していないというような意見があったということでございます。
58ページは、薬剤師の勤務年数の調査結果及び約1.4%の薬局で、派遣薬剤師がかかりつけ薬剤師指導料を算定しているという結果でございました。
59ページは現状と課題、60ページは論点となっております。
60ページの論点の1つ目、対人業務を評価する観点から、調剤管理料の日数による点数区分についてどう考えるのか。
2つ目、6種以上の内服薬に対する評価をする調剤管理加算についてどのように考えるのか。
3つ目、医療DXの進展により重複投薬や相互作用の機械的な検出が可能となる一方、検出された重複投薬や相互作用について薬学的疑義照会の手間がかかることを踏まえ、重複投薬・相互作用等の防止加算についてどのように考えるのか。
4つ目、時間と労力が必要なインフルエンザ等の急性疾患に対する吸入指導は評価がなされていない現状を踏まえ、吸入管理指導加算の算定対象についてどのように考えるのか。
5つ目、調剤後のフォローアップによる副作用検出率の向上を踏まえ、フォローアップ業務に対する調剤報酬上の評価についてどのように考えるのか。
6つ目、かかりつけ薬剤師は患者の意思により選択されるべきであるが、かかりつけ薬剤師指導料の同意取得数や算定数にノルマを課している薬局があることや、薬局に行くたびにかかりつけ薬剤師の同意を求められる患者がいる現状を踏まえ、かかりつけ機能をさらに推進する観点から、かかりつけ薬剤師指導料の在り方についてどのように考えるかとしております。
61ページからその他になります。
62ページ、薬剤調製料の無菌製剤処理加算についてでございます。現在6歳未満の乳幼児患者においては無菌調製を高く評価しておりますが、15歳未満の小児でも年齢に応じた調製が必要となる場合があるというものです。
63ページは、薬担規則において、患者への経済上の利益提供により、患者を自分の薬局に誘引してはならないとされておりますが、事務連絡で示しております1%を超えてポイントを付与している薬局も存在しているというものでございます。
64ページは、処方箋受付サイトの利用後にアンケートを回答した謝礼を渡す事例がございます。謝礼の原資が薬局から支払われた手数料の一部である以上、当該謝礼は患者への経済上の利益の提供に当たるおそれがございます。
65ページ、配送料無料であることをホームページ等で宣伝した上で患者希望により薬剤を配送した場合、患者への経済上の利益の提供に当たるおそれがございます。
66ページは、現状と課題・論点でございます。
論点といたしまして、6歳以上の小児に対する無菌製剤処理加算をどのように考えるのか。そして、過度な患者誘引につながるおそれのあるポイント付与や配送料無料の広告についてどのように考えるのかとしております。
67ページ以降については参考資料をお示ししております。
御説明は以上となります。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
各論点について発言させていただきます。少し長くなりますけれども、御容赦いただければと思います。
まずは、44ページ目の論点の調剤報酬簡素化についてです。医療の高度化、それから、医薬分業の進展等により薬剤師業務は本当に大きく変化しました。医薬分業元年と言われた昭和49年当時は対物中心の業務でしたけれども、現在は対物業務を基盤とした上で医療DXを活用した対人業務、行政と連携して地域への安定的な医薬品提供に取り組み、地域の医療を面で支える業務へ変化してきました。業務の拡がりとともに評価項目も増えてきています。例えば今日出ていた注射薬の無菌調剤、こういうものは私が薬学部を出た頃は行われていませんでした。そうした求められる業務、評価すべき業務、そして、やったことを評価するという原則を踏まえて、簡素化ありきではなく評価すべきことは評価し、整理できる項目等を整理することに異論はありません。
次に、調剤基本料関係です。平成4年までは単一の調剤基本料での評価でしたけれども、医薬分業の進展に伴い、当時、月5,000枚を超えるような超大型の薬局が出てきたため、大型薬局は別扱いとなり、その後も処方箋枚数の多い薬局、企業は処方箋枚数や集中率という軸で区別をしてきました。あくまでも調剤基本料は1が原則です。19ページ目の調査結果では、600枚以下の薬局は赤字、調剤基本料1で1,800枚以下の薬局は1,800枚以上に比べて損益率、損益差額も低い状況です。特に中小の薬局は損益差額が低く、経営基盤は脆弱です。これまでの方針を踏襲し、基本料1を原則として処方箋枚数の多い薬局などに関する対応を検討すべきと考えます。
ポツの2つ目の門前薬局についてですが、医薬分業の趣旨や地域包括ケアシステムを踏まえ、目指すのはかかりつけ薬剤師・薬局による面分業です。長年薬局を経営していて近隣に医療機関が開設されることもあり、門前薬局を定義することは難しいですが、25ページ目を御覧いただければと思いますけれども、25ページ目のように病院の前に薬局がずらっと並んでいるような姿はあるべき姿と逆行しています。特に同一企業が病院の正門と裏門の両方に薬局を出していたり、病院の両隣などに複数出店していたりする事例も見受けられますので、ここへの対応が必要です。
ポツの3つ目の敷地内薬局への対応ですが、ここで事務局に質問になります。調剤基本料Aのただし書きの適用範囲は、令和2年改定当時、従来から存在する医療モールへの配慮として除外規定を設けたという理解でよいか確認をさせてください。
次に、ポツの4つ目の医療モールについてです。30ページ目のとおり、上位3の医療機関の処方箋集中率を合わせる基準がありますが、大型の医療モールが増加している状況であることを踏まえると、処方箋集中率の取扱いは実態を踏まえた見直しが必要であると考えられます。また、いわゆる医療ビレッジも同様の対応が必要と考えます。
次に、地域支援体制加算、在宅薬学総合体制加算関係についてです。地域支援体制加算は前回の改定で調剤基本料1の薬局は大幅な要件の見直しや強化を行い、大幅な点数の適正化も行われました。連続での大幅な見直しには現場はついていけません。特に地域支援体制加算の算定要件を満たすのは難しいとの声が現場から多く寄せられており、届出薬局も減少しています。地域医療に貢献する薬局が評価されるような形での要件の見直しが必要と考えます。
次に、23ページ目に調剤基本料1の薬局の届出状況が示されておりますが、体制整備して機能を有する薬局は評価されるということだと考えます。ただし、薬局の勤務薬剤師数は中央値で1.8人と多くが中小の薬局であることや、都市部と地方では人口構造や医療資源、薬局へのアクセスなどに差があることは配慮が必要です。薬剤師会の調査では、月平均で処方箋受付の医療機関数で多い県では約100施設、少ない県では約20施設と約5倍の開きがあり、地域で処方箋集中率などに差がある状況です。また、訪問診療がされていない地域もあり、薬局の努力だけではどうしても在宅の実績要件を満たすことができない場合もあります。在宅薬学総合体制加算についても同様に地域差の配慮が必要ですが、地域差については実態を把握して慎重に進めるべきと考えます。
次に、60ページ目の調剤管理料関係についてですが、令和4年度の改定で当時の調剤料で評価している業務が分かりにくいという指摘や、投薬日数によって調剤料が異なることは合理性がないという指摘を踏まえ、調剤料で評価していた項目を整理し、対物業務を評価した薬剤調製料、対人業務を評価した調剤管理料に分けました。薬剤調製料は指摘を踏まえ、投与日数によらない一律の評価に見直しました。調剤管理料は評価内容、投与期間による薬学的分析の違いなどの業務の実態を踏まえ、現在の評価体系となりました。調剤管理料で評価している項目は医薬分業の理念であり、薬剤師が独立した立場で行う患者情報の収集、処方監査、薬学的分析、調剤設計、使用期間中の記録管理など多岐にわたります。薬剤師の本質的な業務であり、業務の実態を踏まえた評価であるべきと考えます。
また、ポツ3つ目の重複投薬・相互作用等防止加算については、医師が処方時にオン資のアラートなどで確認したものは処方されないと思います。また、オン資でアラートが出るのは医療保険の範囲であって、例えば労災、公害、自由診療などは対象外ですし、同一成分の重複と相互作用は禁忌のみで、例えば類似薬の重複や相互作用注意などのアラートは出ません。また、重複投薬などのチェックはOTC医薬品やサプリメントなどについても行う必要があります。重複投薬・相互作用防止加算は、患者情報や医薬品情報、オン資以外の情報も活用し、薬剤師が薬学的知見に基づき、医師へ疑義照会を行い、処方変更等があったときに算定できるものです。薬局で医療DXを活用して、それまで収集・蓄積した患者情報、かかりつけ機能を生かしてさらなる質向上に取り組んでいきたいと思います。
次に服薬管理指導関係についてです。インフルエンザ薬の吸入にも指導が必要で、薬局では感染対策を実施の上、練習器を用いて丁寧に指導し、確実に吸入できることを確認して、その場で吸入してもらいます。インフルエンザ薬の吸入指導に関する評価は必要と考えます。
フォローアップについてですが、処方の長期化、高齢化、新薬開発などにより、フォローアップ業務はますます重要で、適正使用の推進、服薬アドヒアランスの向上、副作用の早期発見、受診勧奨や医療機関へのフィードバックにつながるため、評価の充実が必要と考えます。
次にかかりつけ薬剤師関係ですが、かかりつけ薬剤師は患者の求めに応じて対応することが本来のあるべき姿であり、同意書の取得や算定をノルマ化することは本来のあるべき姿ではありません。安全で個別最適化した質の高い薬剤師サービスのためには、かかりつけの推進とともに、かかりつけ薬剤師による一元的・継続的・全人的な薬学管理を通した質の高い業務を評価するような見直しが必要と考えます。
次に、66ページ目の薬剤調製料関係についてですが、注射薬の無菌調剤を行う場合、6歳以上でも年齢に応じた細やかな調製・手技が必要で、添付文書では小児は15歳未満と規定されており、特に用量について注意が必要となっています。評価の対象範囲を15歳まで広げていただきたく思います。
その他の項目です。
まずはポイント付与や配送料無料ですが、調剤ポイントは中医協で検討され、2012年10月以降禁止となり、2017年には63ページ目のとおり指導基準が明確化されています。禁止後も一部の店舗でポイント付与やその宣伝を店頭やネット上で行っているところがありますし、64ページ目のようにギフトカードが受け取れるものもあります。それは処方箋受付サイトを利用する薬局が業者に支払う手数料から支払う仕組みになっています。また、近年、dポイントなど加盟店やネットショッピングの利用で付与されるポイントもあり、そのポイントを付与している薬局もあります。これらのポイントも薬局から支払う手数料で付与されています。適切な健康保険事業の運営の点からも、こうしたポイント付与、ホームページの宣伝等の禁止の明確化を行い、指導基準の対象として厳正な対処をすべきと考えますし、報酬上での対応も考えられるものと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
森委員から1点御質問がございました。特別調剤基本料へのただし書きでしたか。それについてということですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
事務局、薬剤管理官でございます。
御質問は令和2年度に設置されました、ただし書きというところで、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除くというところの趣旨が医療モール等を前提にしていたというものでございますが、我々としてはそのような理解でございます。
○小塩会長
よろしいでしょうか。お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
先日、業界誌で日本最大級の敷地内薬局の2階に診療所が今月開設したと報道がありました。経緯は不明ですが、敷地内薬局には強い対応を講じていますが、意図的なルールのすり抜けを狙っていると言わざるを得ない事例が続いています。これ以上敷地内薬局が出店しない対応が必要ですし、ただし書きは削除すべきです。また、ただし書きの意図的な解釈を狙って出店した薬局への対応も必要と考えます。
一方、29ページ目にあるように、へき地医療対策等のため、過疎地における住民への医療と医薬品へのアクセスの確保は必要です。無薬局地域等、必要な医薬品へのアクセスが困難な場合、例外的な対応は検討してもよいかと考えます。その場合であっても、ただし書きのような事案が発生しないよう慎重に対応すべきであり、過疎地、無薬局地域で行政が関与したもので、例えば地方薬事審議会などで認めるなどの要件とし、極めて限定的・例外的な取扱いをすべきと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
私からは44ページの論点についてコメントさせていただきます。
まず、調剤報酬の簡素化につきまして、重複している内容の簡素化とともに残すべき必要な項目の整理が必要と考えております。
次に、調剤基本料関係の最初のポツにつきまして、調剤基本料1において、処方箋の受付回数が少なく集中率が高い部分については、特に小規模の薬局の運営には配慮してこれまでの考え方を踏襲していくべきとも考えております。
2つ目のポツにつきましては、利便性のみならず、薬局の機能に応じた適正配置の観点が必要と思います。
3つ目のポツの敷地内薬局については、10月24日に開催された総会において、特別調剤基本料Aの適用を回避する目的で同一建物内に診療所を誘致した事例が問題となったわけですが、15ページを見ますと、そうした薬局の損益率は高くなっておりますが、公平性の観点からは問題があると思っております。したがいまして、先ほどから出ておりますただし書きの適用範囲につきましては、森委員もおっしゃっておられますが、当初の趣旨を逸脱した抜け道とならないように、ただし書きの削除も含めた見直しも必要と考えております。
一方で、へき地等の診療所における敷地内薬局に対する特別調剤基本料Aの適用につきましては、前回、実際の事例を十分分析の上、どういった配慮が必要なのか検討していく必要があると主張させていただきましたが、実際にはまだ1事例のみということでございました。したがいまして、これだけで今後の扱いを一般化するのは難しい状況ですけれども、今回の事例につきましては、賃借料も大分低く設定されており、問題とされているようなビジネスモデルとは異なることが確認できましたので、行政の関与を前提として例外の要件を検討する必要があると考えております。
4つ目のポツについては異論ございません。
最後に60ページの服薬管理指導関係の論点につきまして、いずれの論点についてもかかりつけ医と十分な連携が図られるようよろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
処方箋の集中に関しましてですが、医療機関は薬局を指定できません。ということは、処方箋をもらった患者さんがどこに動くかということをまず主眼に考えなくてはいけなくて、患者さんの視点から見ますと、門前もしくは敷地内が近い、便利で、薬剤情報の集約に関しましては、マイナカード、これから電子処方箋がやってくると、どこの薬局でもちゃんと全ての薬品が見える。この上に調剤基本料が下がるとなると、近い安いとなると、基本的に患者がそちらに行くというのは経済的原理から見ると間違いないのです。だから、患者のペイシェントフローをどうするかということを考えないと、幾ら調剤基本料を下げても患者さんから取ったら安くなるので、患者さんは自由に薬局を選べる。これは非常に大きな問題だと思いますので、本当に診療報酬でやれるのかどうかは分かりませんが、そういう患者のペイシェントフローをどうするかという観点を持たないと、これはずっと解決しない問題だと思います。本当に敷地内薬局でかつ処方箋料が下がっていたら、処方箋料は安いし、調剤料は安い、かかった医療機関のところで薬はもらえる、いいことだらけになってしまうので、それをどういうふうに是正するかという視点は必要だと思います。
次に、61ページに薬剤管理のフォローアップのところがあるのですが、長期処方も増えていますし、恐らくこれからマルチプルな処方も増えてくる中で、医師の視点から見ますと何が大事かというと、本当に患者の服薬アドヒアランスはちゃんとしているのか。実際、いろいろなところの発表を見ますと、家に山ほど処方箋の薬が残っているということが起こっています。これは非常に無駄な医薬品が処方されて、医療費を使っているということもありますし、医者から見ますと、飲んでいると思っていた薬を飲んでいなくて症状が改善しないから次の薬を出してしまうとか、そういうことにもつながるので、やはりここの服薬アドヒアランスのきっちりした管理と薬局と医師の医薬連携をきっちりしていかないといい医療につながらないと思いますので、その辺の御考慮をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
最初に薬局の在り方について少し総論的にコメントを差し上げたいと思います。資料の6ページにも出ておりますけれども、薬局ビジョン策定後の状況がそこに分かりやすく整理されておりますけれども、2025年まで、今年でございますけれども、全ての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つという目標は達成できていないどころか、むしろ逆の方向に進んでいると言わざるを得ません。門前薬局は当たり前で、医療モールの1階に薬局が店を構えている風景も珍しくなくなり、最近では、本日も先ほど来意見が出ておりますけれども、敷地内薬局をどうするかということばかりが毎回この調剤報酬に関する議論になっております。
患者にとって薬局は処方箋を持っていって薬をもらうところというのが一般的なイメージでございますが、そこで薬剤師に何か新たに相談をするとか指導を受けるという感覚は正直あまりないのではないかと思います。
7ページを見てみますと、薬局の数は減少している都道府県も一部ございますけれども、大都市圏では依然として増えております。資料の8ページに目を移しますと、全体として薬局数が増加する一方で、平均の薬剤師数は3~4人の間でほぼ変化がなく、小規模乱立状態になっております。
薬剤師の方々には、これまでの10年間で薬局ビジョンのとおりに進まなかったからといって、この先の10年で薬局の立地を門前から地域へ移行しなくてよいという話には決してならないということを十分に認識していただきたいと思います。
今後は機能と立地を同時に変えていくことが必要です。病院と薬局における薬剤師の偏在を是正することも念頭に置き、薬剤師を集約化して薬局を大規模化し、地域の医薬品供給拠点としての役割を果たし、在宅を含めた本来のかかりつけ薬剤師機能を効果的・効率的に発揮すべきだということを最初に主張させていただきます。
以上の認識に基づきまして、44ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず簡素化についてですが、11ページに示されております在宅患者オンライン薬剤管理指導料や在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料を服薬管理指導料や調剤管理料に一本化することが考えられます。
また、役割を終えた加算を整理することも簡素化の観点で重要です。今回の資料には挙がっておりませんけれども、例えば後発医薬品調剤体制加算についてはインセンティブとしての役割は終えたと思いますので、減算の仕組みを残しつつ、廃止または地域支援体制加算への統合などを検討すべきだと考えます。また、医療DX推進体制整備加算についても、おおむね全ての薬局に電子処方箋が普及したことやマイナ保険証の本格化を踏まえて廃止し、減算の仕組みに見直すことも十分あり得るものだと考えております。
続いて、2点目の調剤基本料についてですが、先ほどの簡素化の観点からも、薬局の立地が変わっていく中で、将来的には一本化が望ましいとは考えておりますが、現時点では薬局のあるべき姿も念頭に、経営効率の違いを踏まえた評価を徹底すべきだと考えます。
資料の20ページを見てみますと、最も点数の高い基本料1の薬局のうち、先ほど言及がありましたけれども、処方箋600回超かつ集中率85%の薬局では、薬剤師の人数や医薬品の備蓄が少なく、効率的に後発医薬品を調剤しているということが分かります。特に大都市のこうした薬局は22ページを見てみますと損益率が高く、23ページでは薬局の機能が限定的ということですので、現在の小規模薬局の乱立を是正するためにも、基本料1からは除外すべきだと考えます。
また、25ページを見てみますと、左のグラフが示すように約7割の病院に門前薬局があり、その下のグラフには中には5つ以上の門前薬局がある病院が一定程度あるということです。薬局を経営する皆さん方は、当然薬局ビジョンの存在、内容は御存じで、2025年以前に門前から地域へ立地を移す段階に入ることは承知していただいていると思っております。13ページを見てみますと、基本料2を算定する薬局で損益率が高いことも示されておりますので、病院に依存する門前薬局の評価は適正化すべきだと思います。
また、敷地内薬局につきましては、資料27ページに示されておりますグループ減算も選択肢になり得るとは認識しておりますが、28ページを見てみますと、特別調剤基本料Aの薬局は微減となっており、むしろ医療機関と特別な関係にありながら特別調剤基本料Aを算定しない薬局が新規に指定されております。
また、資料15ページに戻っていただきますと、現在は特別基本料Aに該当しない医療モールや敷地内の薬局で損益が高いことも踏まえますと、令和8年度改定ではまずはへき地等に自治体が誘致する場合等には十分配慮しつつ、医療機関からの経済的な独立が担保されていない薬局を幅広く特別調剤基本料Aの対象とすることを優先してはどうかと考えます。
また、処方箋集中率につきましては、30ページにある医療モールにある薬局の場合、処方箋枚数が上位3番目までに限らず、モール内にある全ての医療機関を集中率の分子に含めるべきだと考えます。
また、31ページにあります在宅患者については、訪問指導の有無にかかわらず、処方箋が複数枚の場合に1枚とカウントするか、集中率の計算から除外して分母を小さくすることにより、門前薬局等のすり抜けは是正すべきだと考えます。
次に地域支援体制加算についてですが、資料の33ページ、実績要件の満たしやすさについては人口規模によって異なると考えられますので、大都市と地方、特に医療資源の少ない地域で実績基準の該当区分数を変える余地はあり得るものだと考えます。
その他の要件についてですが、まず、41ページに目を移しますと、薬剤師が5人を超える場合に在宅や夜間休日対応、高額薬剤などには積極的に取り組んでいることが分かります。
また、34ページに戻っていただきますと、備蓄品目の増加やバイオ後続品を保管するための保冷庫の設置等、多様なニーズに対応できる調剤室が必要ということです。冒頭に申し上げました薬剤師の集約化、薬局の大規模化を進め、機能を強化する観点から、薬剤師の人数や調剤室の面積を要件化すべきではないかと考えます。
そのほか、35ページのセルフメディケーション関連機器の設置や、36ページにあります高額薬剤に関する望ましい案内については推進していただきたいと思います。
次に在宅薬学総合体制加算についてですけれども、39ページに示されているとおり、地域差はございますが、これは右から2番目の数字になりますけれども、医療資源の少ない地域でも3分の1程度の薬局が届出を行っており、在宅薬剤管理等に関する年間24回の実績要件が必ずしも厳しいとは言えないのではないかと思います。
40ページに目を移しますと、この加算の届出薬局のうち、個人宅の患者を対象とする在宅患者訪問薬剤管理指導料1を一定の薬局が算定しております。今後、自宅への訪問を推進する観点で在宅患者訪問薬剤管理指導料1の要件を設定するのであれば、実態を踏まえ、最初は地域差を考慮することは十分にあり得るものと考えます。
続きまして、対人業務の見直しについて、60ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず調剤管理料に関してですが、内服薬について、処方日数によらず、まずは一律の点数にすべきだということです。46ページの下の囲みの1つ目で、調剤管理料は医薬分業の根幹を成す重要な対人業務の評価という主張が記載されておりますが、これが対人業務とは正直なかなか患者側には伝わりにくいと思いますので、少なくとも評価を充実するということではなく、財政中立で整理すべきだと考えます。
また、調剤管理加算については、47ページにありますが、最初の調剤や処方内容が変わった場合に限定しておりますが、そもそも薬学的分析は調剤管理料で評価されており、患者としては6種類以上だから加算だと言われてもなかなか納得できないものではないかと思います。また、ポリファーマシー是正を阻害していないことも明確に示されておりませんので、調剤管理加算は廃止が妥当だと考えます。
次に、重複投薬・相互作用等防止加算についても、繰り返しになりますが、電子処方箋の普及を踏まえた対応が不可欠です。48ページに記載のとおり、機械的なチェックの後に疑義照会の専門的な判断や手間を評価しているということであれば、加算の廃止とまでは申し上げませんが、疑義照会は薬剤師として当然の義務であり、機械的なチェックによる手間の減少を踏まえた評価の適正化や加算の位置づけを改めて明確にすることを主張いたします。
続いて、服薬管理指導料については、吸入管理指導加算の対象にインフルエンザ等の急性疾患を追加すること、また、服薬指導後のフォローアップによる副作用の検出を評価することについては異論はございません。
最後となりますが、かかりつけ薬剤師の関係については、資料の54ページを見てみますと、かかりつけ薬剤師がいる患者では服薬指導が役に立ったと回答した割合が高いということでございますが、右の表の薬の効果・効能や副作用の理解が深まったという回答はかかりつけ薬剤師がいない患者のほうが高いことが示されております。また、資料の56ページを見てみますと、かかりつけ薬剤師になることや指導料の算定回数をノルマにしている薬局が一定数ある一方で、57ページでは、かかりつけ薬剤師の業務を実施しているのにもかかわらず、患者に配慮して関連する指導料を算定していない薬剤師もいるということが示されています。したがいまして、かかりつけ薬剤師であることだけをもって調剤報酬で評価することは適当ではないと考えます。一方で、かかりつけ機能の強化が必要ですので、かかりつけ薬剤師として実施した業務の内容を評価するのであれば、患者の理解は得られるのではないかと思います。
最後に、66ページの論点については、1点目の無菌製剤処理加算の対象年齢を15歳未満まで拡大することには異論はございません。
また、2点目の過度な患者の誘引を禁止するルールについては、健全な保険調剤を徹底するためには厳格に対応すべきだと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
門前薬局ではなく、患者さんの服薬情報を一元的かつ継続的に管理し、薬物治療をしっかりとサポートするかかりつけ薬局への移行がなかなか進んでいない。むしろ、門前薬局がいまだに増加している状況が見てとれます。診療報酬において大規模化して効率的にかかりつけ機能や地域の拠点薬局としての機能を果たす薬局を評価し、門前薬局とはしっかりとメリハリをつけていくことが重要と考えます。
そうした中、事務局から示された資料を見ますと、処方箋集中率が高い調剤基本料1を算定している薬局の実態や処方箋集中率等の要件をすり抜けている事例などが紹介されており、抜本的な対応にはならないものの、実態を踏まえた要件の見直しも着実に行っていく必要があると考えます。
また、患者さんが服薬指導等でかかりつけ薬局のメリットを実感できることが納得のある負担につながると考えております。御指摘のとおり、かかりつけ薬剤師指導料はかかりつけとして役割を果たしていることを評価すべきと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
かかりつけ薬剤師指導料が2016年に新設されてから、約10年間が経過しました。しかし、処方箋の受付回数に占める、かかりつけ薬剤指導料の算定割合は5%未満という状況です。この制度が始まったとき、国民はかかりつけ薬剤師という概念がほとんどありませんでした。そして、10年にわたって診療報酬上のインセンティブを設けた成果がほとんど出ていないという状況だと思います。
かかりつけ薬剤師は、一人の薬剤師が一人の患者の服薬状況を1か所の薬局で管理し、かつそれを継続して行う機能という患者にとっても非常にメリットのある制度です。しかし、残念ながら、せっかくの制度が機能していないのが現状ではないかと思います。このような状況を打開するためには、小手先の対処ではなく、抜本的に制度そのものを見直す必要があるのではないかと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
ありがとうございます。
29ページのへき地等自治体による敷地内薬局に関する議論についてということで、基礎自治体の中にはやはり人口がかなり減少していて、かつ医療機関の大変乏しいエリアというのは全国各地に存在しています。そういうエリアにおいては、何らかの原因で医療機関が例えば撤退してしまってということになると、たちまち地域医療が崩壊してしまうおそれがあります。そういう際には、基礎自治体としては住民の暮らしが守れなくなるということに直結しますので、自治体が関与してしっかりと様々な医療機関を誘致しようと動くのは極めて自然な流れでありまして、今回のこの事例のような案件というのはこれから全国各地で出てくるのではないかと思います。
そういった意味においては、そういう流れについてはぜひ後押しをしっかりしていただきたいと。自治体が関与することは極めて自然な流れでありますので、そういうものを後押ししていただきたいと思いから、まず今回の事例をしっかりと分析、研究していただいた上で、今後の見直しについては検討いただきたいなと思っております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
少し総論気味ではあるのですけれども、まず9ページの資料に都市部で大変薬局が小規模で乱立しているという記述がありまして、これは私個人としては実感が大変ある。さらには、近年、多くのドラッグストア等でも調剤が可能となって、非常に多くの薬局がある。これは現在の診療報酬あるいは施設基準がこういった小規模での参入を可能としているということかと思います。ただ一方で、これらは個別に薬剤の在庫を抱えておりますし、ITにも投資をする、あるいは薬剤師も雇用するということで、社会全体として資源配分はこのままでいいのかというのは少し非効率性を感じざるを得ないところです。
一方で、病院には薬剤師が足りないということが繰り返しこの場でも議論されているということです。こういった小規模の乱立を可能とする診療報酬や施設基準というのは、やはり見直していくことが必要と。また、薬剤師の雇用をより病院でできるような形の検討が必要かなと考えています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ここで様々な意見をありがとうございますと言っていいのかどうか分からないですけれども、非常に厳しい意見もありましたが、まずそこはしっかりと受け止めさせていただいて、是正すべき点は是正していきたいと思っております。
薬局ビジョンの話がありました。ビジョンができてから10年ということで、今後もビジョンに従ってかかりつけ薬剤師・薬局というものを進めていくというのは非常に重要なことだと思っております。確かに今、かかりつけ薬剤師指導料の算定は全体の1.4%ということで、算定という意味ではなかなか進んでいないかもしれません。ただ、中医協の調査の中でも3か月以内に同一の薬局を利用した患者さんが75%いるということで、少しずつ進んできているのではないかと思っています。患者さんのいわゆる受診動向ですので、全て同じ薬局にということはいかないですけれども、これはしっかりと同じ薬局を利用していただく、そして、同じ薬剤師が対応することによるメリットというものを十分に感じていただかなければいけないのではないかと思っています。患者調査の中でも、かかりつけ薬剤師は自分の生活状況や習慣を理解して指導してくれることや自分の薬を全て把握して指導してくれるというアンケート調査の結果も出ていますので、しっかりと機能を果たしていきたいと思っております。
もう一点、規模の話がありました。最初にお話ししたように、中央値でいうと一薬局平均1.8人の薬剤師です。そこに来る患者さん、その周りに住んでいる住民の数から、規模を大きくすることも、集約することもできない、それ以上、薬剤師も雇えないなど様々なことはあると思います。まず重要なことは何かと言ったら、一つ一つの薬局がその薬局の機能を強化すること。それと今求められているのは、薬局単独ではなくて、薬局間連携してしっかりと地域を面で支えるということが重要だと思っています。ですので、2点目はそういうことにしっかりと取り組んでいくということと、もう一つは薬局が過剰な地域、病院前に何件も薬局があるところにさらに入り込んでいくところに関してはしっかりと対応していかなければいけないと思っています。
変わりゆく地域社会の中で、国民がどこに住んでいても必要な医療、医薬品にアクセスできて、安心・安全に薬物治療を受けられる体制が必要です。そのためには、今お話ししたように個々の薬局が機能を強化して、薬局間連携によって面で地域を支えていくこと、そして、かかりつけ機能を強化して医師、歯科医師、看護師等と連携してより個別最適化した質の高い薬学管理指導となるよう取り組んでいきたいと考えております。
そうしたより質の高い薬学管理指導、調剤業務を支える基盤となるのが調剤管理料になります。調剤管理料は薬剤師の本質的な対人業務であり、調剤管理料で評価している内容、そして、投与期間や薬学的分析の違い、業務の実態等を踏まえて、これまでどおりの評価方法としていただきたいと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ほかには御意見、御質問などないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「個別事項について(その10)人口・医療資源の少ない地域、救急医療、業務の簡素化」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3「個別事項について(その10)」を御覧ください。
2ページ目が目次となっておりまして、人口・医療資源の少ない地域について、救急医療について、業務の簡素化について資料を御説明させていただきます。
まず1つ目の人口・医療資源の少ない地域についてでございます。5ページから概況を書いておりますけれども、例えば6ページ、7ページにおいては人口の少ない二次医療圏を中心に診療所数の減ってきている医療圏があるというようなことをお示ししております。その他、へき地医療等についての現在の取組状況等についてお示ししております。
13ページから具体的な論点に入ります。
14ページ、医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬上の評価につきまして、特別な地域を定めまして、14ページの表にあるような要件緩和等を行ってございます。
15ページがこのルールの経緯でございまして、導入の経緯や要件の見直し等の経緯をお示ししております。
16ページが現在対象の地域となっているところでございまして、そのリストをお示ししております。
17ページでございますけれども、この地域の決め方でございますけれども、17ページの下の半分に書いているような基準に基づきまして、直近の統計を用いてこれまで定めてきたところでございます。令和6年度改定以後、37医療圏がございますけれども、これを一番新しい統計を用いて見直したとしますと、7つが新たに該当し、5つが要件に該当しなくなり、39になるということでございます。
続いて、人口の少ない地域の外来医療についてということでございます。
19ページ、20ページ、入院・外来部会でのヒアリングの結果を示しています。
21ページ、D to P with Nについて以前にお示しした資料でございますけれども、以前議論したものに加えて、左下でございますけれども、医療機関に医師がいない時間に看護師さんがいらっしゃって、そういったところとオンライン診療を行うというようなことも考えられるところでございます。
22ページ、二次医療圏の人口や人口密度の分布を書いてございます。左側のサンプル図の中で特に人口の少ないところ、人口密度の少ないところを拡大すると右のほうになりますけれども、そういった中でも人口20万以下あるいは人口密度200以下といった非常に人口の少ない、人口密度の少ない二次医療圏があるということでございます。
23ページ、そうした小規模の二次医療圏において医療を確保するための様々な医療機関の支援の在り方について以前お示しした資料でございます。
24ページ、この中で②と①に当たるような人口の少ない状況の中でどういった連携支援が行われ得るかということを模式的に示したものでございまして、緊急時や増悪時に対応できるような医療機関がその地域の中にある中で、そういったところから診療所等への運営の支援や在宅患者等への診療の実施が行われ、また、そういったところで受診されている患者さんを緊急時、増悪時に受け入れるというような地域での病院の在り方も考えられるのではないかということでございます。
26ページ、論点でございます。
医療資源の少ない地域について、直近の統計を用いて見直しを行うこととしてはどうか。
また、見直しによって当該地域から除外された医療圏に存在している医療機関で現に入院料等の届出を行っているものについては、2年間の経過措置を設けておりますけれども、運営の安定性を確保する観点からその期間を延長することについてどう考えるか。
また、人口の少ない地域における外来診療体制を確保する観点から、人口・人口密度が少ない二次医療圏において様々な取組を行うような医療機関について評価を行うことについてどのように考えるかとさせていただきました。
続いて、27ページから救急医療についてでございます。
29ページから33ページまで現在の概況、取組等についてお示ししております。
個別の論点が34ページから始まります。
36ページが救急患者連携搬送料、前回の診療報酬改定で設けられました評価の概要でございます。
37ページがその届出医療機関数と算定回数をまとめたものとなってございます。数字としてはそれほど多いところまでは至っていないという認識でございまして、38ページ、届け出ていない理由として、要件の達成、例えば緊急用自動車を保有していない、搬送に同乗するスタッフが確保できないなど、様々なお声をいただいているところでございます。
39ページ、救急患者連携搬送料の算定患者を医療機関ごとに見た場合、何人ぐらいいるかということございます。最大値のところはそれなりの数字が入っておりますけれども、中央値、平均値のところは非常に小さくなってございます。また、受入患者についても下に表を載せております。
40ページ、41ページは患者等搬送事業の概要でございまして、医療機関が救急車を持っていない場合もこうした搬送の方法があるという資料。
そして、42ページ、これは別の評価でございますけれども、救急搬送診療料の中では時間がかかったときの加算というのを設けているというような参考例でございます。
43ページからが救急外来についてでございます。
45ページ、現行の評価として院内トリアージ実施料というものがあるということ。
そして、47ページ、夜間休日救急搬送医学管理料というものがあるということをお示ししておりますが、こうした評価でされているもの以外にも様々な救急医療の体制確保の取組があるということでございます。
49ページは地域の救急医療に関する取組状況ということで、地域の様々な取組にどの程度の医療機関が参加しているかということをお示ししています。
50ページは救急医療機関の検査体制でございまして、24時間の検査体制、自院での検査体制などを確保している状況をお示ししています。
また、51ページからは人員の配置でございまして、看護師の配置、そして、52ページが看護師・薬剤師・救命救急士の人数、53ページが夜間・深夜における院内職員の人数ということでございまして、救急外来に応需するための様々な医療機関の御努力をお示ししております。
54ページは施設、設備です。医療機関の構造としてもこういった形になっているような医療機関の例でございます。
55ページは、救命救急センターにおいてはこのような施設評価の例があるということで、これは参考にお示しするもの。
56ページでございますけれども、救急外来における診療においては、個別の診療の内容については、図の上のほうに書いてあるとおり、様々な点数で評価をされておりますけれども、24時間救急診療を応需する体制の確保そのものについてはあまり評価している点数がないということをお示ししています。
57ページからが救急入院医療に関する評価ということで、58ページに救急医療管理加算の算定要件や算定患者をお示ししております。救急医療管理加算1のほうは下の表の1から12のいずれかの状態を対象とするものであり、救急医療管理加算についてはそれに加えて13その他の重症な状態といったところを対象とするという違いもございます。
59ページ、救急医療管理加算の算定回数、そして、60ページが救急搬送されて入院された患者さんにおいての初日の算定状況でございます。
また、61ページが救急医療管理加算を算定する医療機関の救急搬送件数をまとめてございます。
論点は63ページでございます。
まず救急患者連携搬送料でございますけれども、自院等の救急自動車で搬送できない場合や搬送先が遠距離な場合における救急患者連携搬送料の評価の在り方について、また、受入れ側、医療機関における評価の在り方について挙げております。
続いて、救急外来の応需体制につきまして、夜間休日を含めて医師・看護師等を配置し、検査・処方等が可能な体制を整えている。こういった体制を取る救急医療機関における救急外来診療を評価することについて。
最後に、救急入院医療に関する評価として、救急医療管理加算の評価の在り方について論点とさせていただきました。
64ページからが業務の簡素化についてでございます。
68ページでございますが、記録や書類作成の業務で簡素化の必要性があるものとして、医療機関から多く挙がっているものとして計画書の作成や記名押印などが挙がってございます。
69ページは診療報酬算定の留意事項通知で示す医療機関で使っていただく各種様式の中でも様々記載の形式などがばらついているものもございまして、こうしたものが電子化の妨げになっているというようなこともあるのではないかと認識しています。
また、70ページ、入院診療計画書でございますけれども、これについては2つ論点ございますが、まず下に赤で囲んでおりますけれども、押印や署名を求めるような様式となっているという点。
それから、71ページ、医療法上、入院診療計画書というものは交付して説明を行わなければならないというものでございますけれども、入院した日から起算して7日以内といった短期の入院については除外されているところでございます。診療報酬上は、いかに短い入院であってもこの計画書を交付しなければならないとなっているところでございます。
72ページ、署名押印につきましては、規制改革推進の観点からも指摘を受けてございます。
73ページにそうしたものを求めている書面の例をお示ししております。
74ページです。考え方を少し整理するために分類をしておりますけれども、院内や医療機関と患者本人との間で使用するものや他機関との間で使用するものということで分類をさせていただいております。例えば院内で使用したり、院内で直接患者に手渡されるものについては、医療従事者の署名は記名で代替し得るのではないかといった考え方を幾つか記載させていただいてございます。
75ページが課題と論点でございます。
医療DXへの対応を見据え、既存の様式も含め、各種様式の共通項目については可能な範囲で記載の統一を図ること。
入院診療計画書のような業務負担の大きい計画書やその他の煩雑な計画書について、簡素化への見直しを行うこと。
署名、記名・押印について、代替方法で担保できるものについては廃止すること。こうしたことを論点に挙げさせていただきました。
続いて、届出に係る業務の簡素化についてでございます。
77ページ、施設基準の届出につきましては、医療機関から厚生局や都道府県事務所のほうに行っていただいておりますけれども、この届出についてのオンライン化を推進しておりまして、対象となる施設基準の数を増やすということを順次行っているところでございます。
78ページ、入院料の施設基準に係る届出の添付様式の例として、様式の9でございます。病棟ごとの職員の必要数と実際の配置数を記載して、それがしっかりと確保されているということを確認する書類でございます。こうした様々な書類がございます。
79ページ、例えばこの様式の9は入院患者の数や看護要員の算出の際に項目によって小数点以下の処理方式が異なっておりまして、必要数について小数点以下を切り上げるというような取扱いとなっているほか、項目によって取扱いが異なっているということが分かります。
それから、80ページ、記載の項目の中でもあまり使われていない、あるいは実態から見てなかなか書きにくいような項目もあるということでございます。
81ページでございますけれども、毎年8月1日現在で施設基準の適合性を確認して、その結果について報告を行うということになっておりまして、毎年自己点検を行っていただき、報告を提出していただいています。その際、幾つかの報告様式については対象となる場合には記入をして提出を求めるということをお願いしております。お願いしている様式の例を下に黄色いところでお示ししております。
また、こうした様式がないと確認ができないかということでありますと、一番下の○に書いてございますけれども、施設基準等の適合性の確認や実績の把握方法としては、自己点検を行う以外に臨場による確認や様々な指導等を行っているということでございます。
82ページは歯科診療報酬における保険適用の判断に係る取扱いについてということでございまして、事前に保険適用について厚生局に判断を求めるとされているものがございますけれども、その中でも適用の基準について明確化されているものがあるということでございます。
83ページ、論点でございます。
施設基準等届出につきまして、オンライン化の進展にも資するように届出様式の削減や届出項目の最小化に取り組むこと。
それから、様式の9について、業務の簡素化の観点から、注意事項の記載の整理や少数点以下の処理を可能な限り統一する等の見直しを行うことについて。
それから、施設基準の届出等でございますけれども、毎年、厚生(支)局長や厚生労働省に報告を求めている様式を他に代替方法がないものや次期診療報酬改定に必要なものを限定したり、添付書類を省略するなど簡素化を図ることについて。
歯科診療報酬について、事前承認を求めるものとされているもののうち、通知等で明確化されているものについて事前承認の対象から除外することについて。
こうしたことを論点に挙げさせてだきました。御審議をお願い申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、まず26ページの人口・医療資源の少ない地域の論点についてコメントさせていただきます。
最初の論点の医療資源の少ない地域の扱いにつきましては、論点に示されていますように対象地域を見直した上で、それによって特例的な扱いの対象外となってしまう医療機関については経過措置を延長すべきと考えております。
また、14ページに示されている特例的な扱いについては、現場のニーズを踏まえて、よりよいものへとブラッシュアップしていくことも重要であると考えております。
次に、2つ目の論点の人口の少ない地域の外来医療の論点についても、資料や論点でも示されているような方法で地域の外来医療の確保に取り組んでいる医療機関を支援することは大変重要であると考えております。
ただ、評価の仕方についてなかなか難しいところもあると感じております。例えば23ページで申し上げますと、①のへき地診療所などや②のへき地診療所などへの支援を実施する病院を支援する、③の拠点的機能を有する病院を診療報酬で評価する場合、③の医療機関を受診されている患者さんにしてみれば、御自身の診療には直接的には関わらない地域医療への貢献について御負担をお願いする形になります。あるいは外来で負担することが難しいということであれば、DPCの地域医療指数での評価や、あるいは診療報酬ではなく補助金等で支援することも考えられますが、厚生労働省としても慎重に検討していただきたいと思っております。また、離島・へき地においてD to P with N等のオンライン診療を活用することも賛同いたしますが、臨床的にオンライン診療では対応できない症状や疾患も当然ありますので、その辺りも含めた検討が必要と考えております。
次に、63ページの救急医療に関する論点についてコメントさせていただきます。
1つ目の論点である救急患者連携搬送料につきましては、今回、民間搬送業者の活用、長時間加算の導入、受入れ側病院の評価の3点が提案されていると理解しており、いずれも検討に値すると考えております。
もっとも、救急患者連携搬送料で評価するいわゆる下り搬送は、今後の救急医療の在り方として国全体で推進していくようなものではなく、あくまでも地域の医療提供体制等に応じて行われるものでありますので、診療報酬上の評価によって地域の医療提供体制をゆがめないように注意することは大変重要であると考えております。
民間搬送業者の活用については、一定のルールの設定が必要であるのかどうか。また、各地域の普及状況によって地域により活用のしやすさの差異がどうであるのかなどについて検討が必要と考えております。
また、受入れ側病院の評価についても、緊急に対応を要しますので、ぜひ適切な評価が必要と考えております。また、下り搬送ではなく、逆に受入れ側の病院が迎えにいくことについても検討の余地があると考えております。
次に、2つ目の論点である救急外来応需体制に係る評価につきましても、救急外来の中には複数の専門職が関わるものであり、どういった医療機関を想定しているのかなどの体制の考え方を十分に検討する必要があり、まずは55ページで示されているような現行の様々な加算との関係を整理することが先決と考えております。また、3つ目の○にも関係しますが、救急医療管理加算との関係性の整理も必要となります。いずれにしましても十分な議論を要するものであり、性急な対応は行うべきでないと考えております。
続きまして、75ページの診療に係る業務の簡素化に関する論点については、論点に示された内容に異論はございません。現場の負担や医療上の必要性を踏まえた上で見直しを進めていくべきと考えております。
最後に、83ページの届出に係る業務の簡素化に係る論点についても異論はありませんが、3つ目の○の施設基準の定例報告、いわゆる81報告については、例えばオンライン診療については指針の遵守状況をしっかりと報告していただくことが必要と思いますが、そのほかのものは基本的には簡素化するなど、内容によってメリハリをつけるのがよいと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からは、63ページの救急に関する論点に関して発言をさせていただければと思います。
まず、初めの救急患者連携搬送に関する論点でございます。38ページにこの届出の状況が示されております。まだ17%ということであります。もちろん地域によって救急の応需体制というのは違いますけれども、もっとこれは活用されてもよい点数ではないかと思います。
そういう意味で、同じところに算定要件の取組を妨げているものが出ていたかと思いますけれども、しっかりと算定要件で不要と思われる要件は緩和する方向で検討いただければと思います。
また、受入れ側の医療機関への評価を設定するということも救急患者の適切な医療機関での入院を進めていく上で重要であると思いますので、御検討いただければと思います。
続きまして、救急外来の応需体制に関する評価になります。先日から様々な医療経済実態調査ですとかMCDBが出ておりますが、救急に積極的に対応している病院の経営がより悪化しているということが示されております。救急の応需体制の維持には、今回示されておりますとおり、様々な職種のスタッフを夜間も含め配置し、維持しなければなりません。地域で救急に積極的に対応している医療機関を支えるために、救急関連の点数に関しましてはよりしっかりと対応いただければと思います。
現行ですと、院内トリアージ実施料、夜間休日救急搬送医学管理料という点数がございます。これを積極的に評価を上げていくという方法論もあるかと思いますし、また、これらの点数というのは初診に限られている点数でございます。もし評価を広げていくときに、再診にも広げるなどの方法論もあるのではないかと思います。
ただ、先ほど江澤委員からの発言を聞いていてなるほどと思ったのですが、これは体制を評価する新たな点数も検討されていると読むべき論点だったのかなとも思います。もしそうだとしますと、これは結構大きな救急に対する診療報酬上の点数の見直しということになるかと思います。当然、その次の論点であります救急医療管理加算との関係性も慎重に検討すべき状況になってくると思いますので、これに関しましては、江澤委員と一緒ですけれども、しっかりと整理をしていただいて、どのような検討がなされていくのかというものを見させていただいて判断させていただければと思います。
私からは以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
2点ほどお願いしたいことがあります。お願いといいますか、26ページの人口の少ない、もしくは医療資源の少ないところに対する緩和なのですけれども、15ページにこれまでの経過というのが出ていますが、ずっと中医協資料を見せていただくと、これの後の検証で取れているという率が非常に低いのです。その後にちゃんと取れない理由というのが書かれていて、これをずっと続けているので、実際問題であれば、ちゃんとその取れない理由を勘案した上でPDCAサイクルを回して、実効性がある、要するに医療資源の少ないところでも取れるような緩和をしていかなければいけないと思うのですが、ずっとこれまで取れる率が少ないということで、ちゃんとチェックをした上で実効性のある緩和ということをお願いしたいと思います。
次の論点でございますが、63ページにはないのですけれども、62ページの現状のところにあります院内トリアージ実施料でございます。これは細かいことは45ページに出ておりますが、初診料を算定した場合にしか取れないのです。初診料は非常に複雑な仕組みがありまして、通則のところの注に医療機関にかかっている患者は新たな疾患が発生しても再診料を算定すると書かれています。ということは、新たな疾患で来ても再診料なのです。これはちょっと変な話で、別の疾患を2つ抱えて同日に来ると、2回目の初診料は算定できます。日が変わると再診料にされます。これは整合性が取れないと思いますし、実際問題、かかりつけになったりするようなところでありますとかカバー率の高い医療機関であれば、全ての患者さんが何らかの形でかかっていれば算定は再診になるということです。院内トリアージ実施料はほぼ取れないということになりますので、そこは不整合が起こるのではないか。新たな疾患が起こっているにもかかわらず、再診料にされるがために院内トリアージ実施料は取れないということになります。
それから、もう一つ大きな問題として、そういうルールがありますと、複数科を抱えた病院でありますと、ずっとかかっている、例を出しますと高血圧でかかっておりますと、耳鼻科の疾患になろうが骨折しようが再診料で受診できるのですが、診療所だと内科診療所で高血圧、高脂血症でかかっていますと、耳鼻科に行くと今度は初診料を取られますよね。それから、骨折で行くと整形外科で初診料を取られます。これは役割分担で逆紹介を進めるということの足かせになる可能性がありますので、やはりこの注に関しましてはもう一度再検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員からの意見を聴く機会について御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ほかに2号側の委員の方から。
では、続きまして大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
3の業務の簡素化の中の届出に係る業務の簡素化について、82ページに歯科診療報酬における保険適用の判断に係る取扱いも取り上げていただき、ありがとうございます。
ブリッジや小児義歯に係る事前承認を除外するという提案には、医療機関の請求に係る負担軽減や請求手続の迅速化の観点から賛成をいたします。
また、施設基準の届出や8月1日定例報告等の毎年地方厚生局長に報告を行っている様式についても、簡素化につながる方向で引き続き御検討をよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
そういたしましたら、先ほど江澤委員から御提案がございましたが、木澤専門委員から看護の立場からの御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
救急医療の論点の2つ目、救急外来応需体制に関する評価について意見を申し上げます。資料の56ページで示されていますように、救急外来では現在直接的な評価がされていないものの、24時間救急診療を応需する体制を確保し、地域の救急医療に関する取組などにも貢献している施設もあります。これらの施設においては、医師や看護師等を十分に救急外来に配置して速やかな治療や検査ができる体制を確保し、また、入院が必要ではない方への対応も行っております。
看護職員はこの中で、到着前後の情報収集や院内トリアージ、患者の症状・状態の観察、状態の判断、アセスメント、検査・処置の準備、医師との協働による初期対応、病棟との調整・引き継ぎなど幅広い対応を行っています。さらに、診察後に帰宅する患者も一定数おり、独居・老老世帯の高齢者も増えていますことから、患者・家族への説明や帰宅後の注意点に関する再受診のタイミングや療養指導、搬送先や地域の医療・介護施設との情報連携など、療養継続や地域との連携に向けた支援も担っております。
社会のセーフティーネットでもある救急外来で必要な場面に即応できる体制を確保するため、救急外来応需体制については、必要な体制を整え、地域の救急医療を担う医療機関については評価すべきであると考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、1号側委員の御意見を伺います。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
それでは、まず人口や医療資源の少ない地域について、26ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、1点目の直近の統計で対象地域を見直すことについては異論はございません。
2点目の経過措置の期間についてでございますが、来年度以降、新たな地域医療構想や医師偏在対策に関する地域の協議が行われると思いますので、そうした動きも十分念頭に置いた対応をお願いしたいと思います。
3点目の外来医療体制の確保については、24ページに示されたイメージで、医師派遣、巡回診療、オンライン診療や遠隔医療を組み合わせたネットワークを構築し、緊急時には連携する拠点病院で対応する方向性は理解できますが、診療報酬で評価する場合には、該当する地域、医療機関の基準を明確にして対象を設定することが必要となります。22ページに二次医療圏の分布が示されておりますが、少なくとも人口規模と人口密度のいずれも一定基準を下回る医療圏に絞ることや、対象とする医療機関の範囲や、何を評価するかについて具体的な案を事務局にはお示しいただきたいと思います。
続きまして、救急医療について63ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず1点目の救急患者連携搬送料についてですが、38ページに示されているとおり、届出は限定的となっておりますが、一方、39ページに目を移しますと、急性疾患の治療を終えた患者にまで算定がされておりますので、算定対象の患者は整理すべきだと思います。
一方で、下り搬送を活用し、地域の医療資源を有効活用することも重要となります。40ページ、41ページに紹介されております消防庁の取組等に基づき、安全性の担保を前提とした上で、自院の緊急用自動車を使わずに下り搬送した場合にも算定を可能にすることはあり得るものだと考えます。
また、遠くの病院しか搬送先が見つからず、搬送が長時間にならざるを得ない等、適切に運用されるのであれば、長時間加算を検討する余地はあると考えます。
また、受入れ側については、現在地域包括ケア病棟の初期加算で評価しているものと認識しておりますが、この加算の取扱いやほかの病棟で受け入れた場合の評価を検討するのであれば、議論に必要なデータの準備をお願いしたいと思います。
次に救急外来についてですが、45ページにあります救急搬送でない患者を緊急度の判断を院内トリアージ実施料で評価し、一方、救急車で時間外に運ばれてきた患者については夜間休日救急搬送医学管理料で評価しているものと理解しております。入院の医療資源を必要な患者に重点化する観点からは、緊急外来を推進すべきであり、院内トリアージ実施料など既存の評価を再編し、55ページの救命救急センターの評価も参考にしながら、56ページに示されております現行では直接的な評価を実施していない体制や取組については、救急外来の充実度に応じて評価することは十分あり得るものだと考えております。
続きまして、救急入院についてでございますけれども、以前から改定のたびに支払側からは救急医療管理加算の対象範囲の明確化を主張してきております。資料の60ページを見てみますと、下から2つ目の特定機能病院における加算の算定患者割合が6割程度ありますけれども、一方、上から2つ目の急性期一般入院料2~6でも特定機能病院と同程度の6割程度算定されているということは、非常に算定割合が高いのではないかという印象を受けております。このデータだけでは運用が不適切と言うつもりはございませんけれども、患者の状態を評価する指標に基づいて定量的な基準を設定する必要があることは指摘させていただきたいと思います。
また、61ページに目を移しますと、救急車等やウォークインの受入患者数がそれぞれ年間500件以下の医療機関が一定程度ある一方、かなり積極的に対応している医療機関も見られます。救急患者の対応実績に応じて評価にメリハリをつけることもあり得ますが、ほかの評価との重複や入院が誘発されないよう丁寧に検討すべきだと考えております。
最後に、業務の簡素化については、75ページ、83ページの論点で示された方向に異論はございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
医療資源の少ない地域の見直しや経過措置期間の延長については異論ありません。
その上で、人口の少ない地域で外来診療体制を確保するために、オンライン診療は重要な位置づけであると考えます。以前、オンライン診療の広告事例などが紹介されており、不適切な事例については厳格に対応する必要がありますが、一方、医師の確保が難しい局面でこそオンライン診療は効果を発揮するものであり、いざというときの医療機関連携とセットにして進めていくべきと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
私からは2点発言させていただきたいと思います。
1点目ですが、医療資源の少ない地域については質と利便性の確保が重要だと考えます。そのためには、救急や高度医療のより大きな視野での集約化を進めるべきだと思います。また、外来の通常診療においても、在宅医療との組合せなど、できるだけ集約化を進めるべきだと考えます。そういった地域ごとの適切なグランドデザインを後押しするような診療報酬体系を検討すべきではないかと思います。
2点目ですが、医療DXへの対応を見据えて記載を統一化し、標準化されたデータの連携で業務負担の軽減につなげるということには賛同いたします。ただ、医療DXと患者との情報共有を進めていくツールとして生かしていくという観点が抜けていることをいつも残念に思っています。医療DXによって患者との情報共有を進めると、例えば電子カルテの内容を患者と共有すれば、インフォームドコンセントにおいて医師の業務負担の軽減につながると考えます。しかし、現在ではスマートフォンのマイナポータルに見られる診療情報でさえ、現状では中医協が決めた診療報酬の点数についても連携されておらず、患者への情報共有は進められていません。今後、医療DXに関する議論を進めていく上で、患者との情報連携、情報共有を進めるというメリットを生かしていくという観点も御考慮いただければと考えています。
私からは以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
まず、人口・医療資源の少ない地域について申し上げます。26ページの論点のとおり、人口・医療資源の少ない地域における情報通信機器を用いた診療の活用を進めていくことが有効であるとは思います。
オンライン診療につきましては、以前も発言いたしましたけれども、不適切な事例は排除していく必要があります。ただ、今回は人口・医療資源の少ない地域における診療体制の確保への活用と限定されておりますけれども、そういったことに限らず、基本的にはもっと広く活用を進めていく方向で検討していくべきと考えております。
それから、業務の簡素化ですけれども、これは皆さん同意だと思いますけれども、医療分野における人材確保が困難になっていく中で、医療現場における業務負担軽減による業務効率化を進めていくということは重要であり、その観点から簡素化として示された論点について異論はなく、賛同いたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
1点だけコメントさせていただきます。
救急医療管理加算はこれまでの最近の診療報酬改定でも毎回かなり議論してきたと認識しております。これまでも、意識障害とか呼吸不全、心不全の重篤な状態の根拠を記載するとか、前回の改定では、その他の重症な状態が5割以上の場合には診療報酬点数を半減するような厳しい見直しもなされたところでございます。かなり中身の細かい検査の数値についてもいろいろ議論がなされたところでございます。そういった中で、救急医療管理加算の対象患者というのはかなり確定した範囲で限定されていると我々は現場として思っています。
その中で、60ページに救急医療管理加算の算定状況がありますけれども、そういった改定を経た上でのこのデータというのは、我々としては入院を要する重症な救急搬送の患者さんを非常に積極的に受けている医療機関の結果だと思っておりますので、この辺りはしっかりと、もちろん今後の推移も見ていく必要はありますけれども、かなりしっかりと救急対応ができていると我々としては好意的にこの結果は受け止めております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員
ありがとうございます。
先ほど高町委員が御指摘されたことは非常に重要なことだと思います。やはりこの医療DXは誰のためにあるのか。もちろん医療機関でもありますけれども、最終的な目標、最高の目標はやはり患者さんと医療機関がしっかりと情報連携をすること、それによって医療の質を上げていくことが大切だと思います。
その点でいいますと、例えば私は規制改革推進会議というのはあまり好きではないのですけれども、72ページに明記されておりますように、電磁的な方法によって作成し、また、電磁的な方法で情報提供が可能になるように進めていくということが明記されております。
その観点から言っても、例えば生活習慣病に関しては、患者さんとのふだんのやり取り、そして、ふだん患者さんがどういう生活をされているのか。そういったことを詳細に、お互いに情報共有していく。それを医療DXを使っていくという観点で考えると、やはりPHRですとかそういった新しい方法を用いながら行っていく必要があろうかと思います。
それを考えると、現場の負担や医療上の必要性を踏まえた上で、生活習慣病の療養指導に関しては、紙に書いてそれに患者さんにサインをしてもらうということよりも、やはり電磁的にお渡しして、そして、患者さんにふだんから利用していただく。それによって、患者さんも紙を持って歩くなんてことは当然あり得ないわけですから、スマホでしたら、今の普及率を考えれば、十分に毎日そのスマホを持って歩いているときに自分の状況を確認しながら入力もしていただける。それをまた1か月後に医療機関にかかったときに医師に見せてくれる。あるいはそれを取り込むこともできる。我々にとっても、紙に打ち出して、そしてサインをもらってとなると、今度は受付のスタッフがそれをまたコピーしたり、PDFにして、それを保管しなくてはいけない。これが一日に40も50もやっていれば、受付の業務負担は逆に医療DXによって増えてしまう可能性もあるわけですよね。ですから、それでは全く本末転倒でございますので、そういったことを考えると、電磁的にお渡しして、それによって例えばチェックボックスに電磁的にお渡したということが証明されてしまえば、署名をいただく必要はないし、受付のスタッフに医師が本当に渡したかどうかを疑われてしまうから、確認のためにPDFに落として入れてくれとかというばかなことを言う必要もないので、そこは今後業務の簡素化に関して具体的な検討に入るときにはぜひ御考慮いただければなと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
ほかには特に御意見等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて引き続き対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。