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- 2025年11月26日 中央社会保険医療協議会 総会 第630回議事録
2025年11月26日 中央社会保険医療協議会 総会 第630回議事録
日時
令和7年11月26日(水)調査実施小委員会後~
場所
全国都市会館 2 階大ホール
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 飯塚敏晃委員
- 笠木映里委員
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 城山英明委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 永井幸子委員
- 高町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 伊藤徳宇委員
- 茂松茂人委員
- 江澤和彦委員
- 黒瀬巌委員
- 小阪真二委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 小松和子専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 調査実施小委員会からの報告について
- 入院について(その7)
- 個別事項について(その9)データ提出加算
議事
○小塩会長
それでは、ただいまより、第630回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、鈴木委員、田島専門委員が御欠席です。
それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りは、この辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「調査実施小委員会からの報告について」を議題といたします。
まず、調査実施小委員会の本田小委員長より御報告をお願いいたします。
○本田小委員長
ありがとうございます。調査実施小委員長の本田です。
第25回医療経済実態調査につきまして、先ほど開催されました調査実施小委員会で議論をいたしましたので、その結果を報告いたします。
この調査は、病院や診療所などにおける医業経営などの実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として実施したものです。医療機関などの調査については、令和5年度、令和6年度の2事業年度の状況を、保険者調査については令和5年度、令和6年度の事業報告などの状況をそれぞれ調査しています。
日々の診療などで多忙を極めておられる状況の中、調査に御協力いただいた医療機関、保険薬局、保険者の皆様、関係者各位の皆様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
それでは、具体的な内容につきまして、事務局からお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
それでは、まず第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)につきまして、総-1-1を基に御説明をさせていただきたいと思います。
まず総-1-1でございますけれども、調査の概要を記載してございまして、先ほど調査実施小委のほうでも御報告いたしましたので、非常にかいつまんで御報告させていただきたいと思いますが、今回の調査は例年と同様に抽出調査ということでやっておりまして、有効回答率が50%を上回り、多くの医療機関等に御協力をいただいたということでございます。
それでは、総-1-2を基に御説明をさせていただきたいと思いますが、総-1-2を投影していただけますでしょうか。
資料をめくっていただきまして、右下のスライド番号1番を御覧いただきますと、年度別の損益率の状況①(病院)ということで表示されてございます。損益率というのが医業利益率に相当するもの、それから、総損益率が隅括弧で表示されておりますけれども、こちらが概ね経常利益率に相当するものということで病院のほうは表示をしてございます。
次のページを御覧いただきますと、診療所でございまして、こちらのほうは損益率ということで概ね経常利益率に相当するものが表示されているということでございます。また、個人につきましては、下の注記にございますけれども、損益差額の計算上、開設者(院長等)の報酬に相当する部分が費用に計上されていないといった状況から、医療法人よりも損益率が数字上高く表れているといったことがございます。
次のページを見ていただきますと、歯科診療所、保険薬局についての損益率が表示されてございます。
以下4ページ以降、保険薬局につきまして、例えば店舗数ですとか調剤基本料別、立地別といったものを表示しているということになっております。
右下の8ページ以降が実調の非常に分厚い報告書の中から各施設ごとの損益率の平均、中央値といったものを見ながらヒストグラムで分析をしているということになっております。
右下14ページを見ていただきますと、各収益・費用項目の構成比率と伸び率といったものにつきまして、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局ごとに表示しております。
19ページ以降、給与に関する項目ということで記載しておりまして、21ページにはその分布、病院長または院長、それから、医師の給与の分布を表示しております。
最後、22ページ、23ページが年度別の資産・負債の状況となっております。
総-1-3のほうを見ていただきますと、こちらは次のページを見ていただきますと、切り口ということで前回MCDBで切ったような切り口で病院のほうを医療経済実態調査でもやってみたということであります。
先ほど実施小委のほうで飯塚委員から主要な結果の比較、MCDBと医療経済実態調査の関係の比較ということも御要望としてありましたので、そういったことは今後分析といったものをどういうふうにできるかやってみたいと思っております。
まず医療機関等調査についての説明は以上でございます。
○宮崎数理企画官
続きまして、保険者調査でございます。こちらもポイントのみに絞って御説明させていただければと思います。
資料は総-1-4を御覧ください。
こちらは保険者調査の結果でございまして、2ページ、3ページが決算状況でございます。
資料2ページ、6年度の決算状況の速報を御覧ください。
左側、表の真ん中あたりに経常収支差というところがございます。こちらを見ていただきますと、協会けんぽが6,489億円黒字、組合健保も黒字となっておりまして、右のほうに行っていただきますと、市町村国保、こちらも1,311億円で黒字という形になっております。
保険給付費及び後期高齢者支援金につきまして、協会けんぽ、組合健保ともに支出が増加している状況でございますが、保険料収入がいずれも増加しているということで、前年度と比較して収支が改善しているというところでございます。
なお、前期高齢者納付金につきましては3分の1の報酬調整が導入されておりますので、協会けんぽで減少、組合健保で増加になっております。
市町村国保につきましては、収入、支出ともに加入者数の大幅減、毎年4%程度減というところを受けまして、収入、支出はいずれも減っておりますが、結果として黒字になっているといったところでございます。
続きまして、資料の3ページ、4ページが適用状況及び給付状況を示したものでございます。
こちらは資料4ページを御覧いただければと思います。
6年度の速報となっております。協会けんぽの被保険者数が2,573万人で前年度プラス2.0%、組合健保が1,689万人で前年度プラス1.3%ということで、被用者化が進んでいる面もありまして、こちらはプラスになっているという状況でございます。
一方で、先ほど少し言及したとおり、市町村国保の被保険者数は2,204万人とありますが、こちらは前年度比でマイナス4.6%といった形になっております。
続きまして、5ページは組合健保につきまして各保険者の保険料率と収支比率の関係を見たものでございます。右の上の図1を御覧いただきますと、保険料率が高い保険者ほど収支比率が低い、すなわち収入に対する支出の割合が低くなる傾向があるということが分かります。
続きまして、6ページでございますが、こちらは組合健保の各保険者の保険料率と財産比率の関係を見たものでございます。右上の図3を見ていただきますと、保険料率が高い保険者ほど財産比率が低い、すなわち支出に対する財産割合が低くなるといった傾向があることが分かります。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ちょっとだけ、資料1-2の8ページに全体の病院のグラフというか分布図が出ていますが、1ページを見ていただくと、これは設立母体別にかなり違っていまして、かつ国立、公立、公的は中央値のほうが悪い。医療法人立は中央値よりも平均値が悪いということで、恐らくこの2つはグラフの分布がかなり違うと思うのです。平均値と中央値がひっくり返るというのは、グラフの頻度別の分布が違うので、これを2つ一緒に出されると実態がよく分からないと思いますから、本体にはあるのかもしれませんけれども、やはりグラフの種類の違うもの、設立母体別に分けたものをまた提示していただいて、分析に使わせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○小塩会長
中央値と平均値の扱いについて、お願いします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
分厚い資料の方ですけれども、今、御指摘の国立とかそういったところについては表のほうにもありません。表示の仕方などは改めて一回検討させていただきます。今すぐには手元に資料とかで出ているわけではありませんので、やり方を検討させていただきたいと思います。
○小塩会長
小阪委員、よろしいでしょうか。
○小阪委員
よろしくお願いします。恐らく山の形が右山なのか左山なのかで頻度が変わるので、それが一緒になって1つというのは気になりますので、よろしくお願いします。
○小塩会長
ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特にほかには御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、報告のあった件につきましては、中医協として承認し、今後、医療経済実態調査を踏まえながら議論を進めていくことにしたいと思います。
なお、診療報酬の改定率そのものにつきましては、予算編成過程を通じて内閣が実数決定するものとなっておりますが、中医協においても今回説明がございました医療経済実態調査等を踏まえて、改定率について議論を進めていき、その結果を厚生労働大臣に意見として進言することは可能ですし、そうしたいと思います。
これまでの改定の例ですと、今後、この実態調査の結果を踏まえて、1号側委員全体としての御意見、2号側委員全体としての御意見をそれぞれまとめていただいて、さらにその後、両者から次期改定に対する御意見を提出していただいて議論を行っておりますので、今回もそのようにしたいと思います。スケジュール等につきましては事務局とも相談しながら対応を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、「入院について(その7)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「入院(その7)」の資料をお願いいたします。
2ページが目次となっておりまして、急性期入院医療、高度急性期入院医療、いずれもその2となってございまして、これまで御議論いただいた論点についてさらに詳しく御議論いただくためのものでございます。
まず、4ページから急性期入院医療でございまして、5ページ、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度、現在評価されているA項目、B項目、C項目を掲載しております。
6ページには、その項目を用いて各病棟が満たすべき基準となる数値をお示ししております。これまでの議論の中で、こうしたもの、特にC項目にあるような手術に関する評価は重くなされるけれども、手術のない症例についての評価がどうしても重くなりにくいというような御指摘等をいただいてきたところだと理解しております。
7ページがこうしたことに関連して内科学会からいただいている案として、内科系疾病に関連したA・C項目への追加案をいただいております。
8ページに追加の候補のリストというのもいただいております。
また、9ページは10月8日にこの件について御議論いただいたときの資料でございますけれども、重症度、医療・看護必要度において、救急搬送患者に関する評価を高めるために考えられる方法として、1つ目の救急搬送の受入れによる入院後の該当日数を増やすという方法のほか、2つ目の救急搬送の受入れを指数化して該当患者割合に合算するというような方法もあるということ。また、この場合には入院しない場合値までの日数が短い場合についても評価対象に含めることができるため、入院延長へのインセンティブが生まれにくいのではないかといったことを資料として提示させてだきました。
10ページがその際の皆様方の御意見を抜粋しておりますけれども、こうした内容を踏まえてシミュレーションを行うようにということで御意見をいただいていたところでございます。そこで、今回事務局としてシミュレーションを行った内容を御説明させていただきます。
11ページが救急搬送受入件数を活用したシミュレーションの大まかな方法でございます。現在の該当患者割合に、まず内保連の提案する候補に沿ってA・C項目を追加し、さらに病床数当たりの年間救急搬送件数に一定の係数を掛けたものを該当患者割合に加算をするという方法でシミュレーションをさせていただいております。一定の係数につきましては定まった値があらかじめあるわけではございませんので、幾つかの値を入れてみて、それについて御報告をさせていただくものでございます。
12ページが係数として0.05というのを入れた場合のシミュレーションでございますけれども、現行の分布、そして、A・C項目の追加と救急に関する件数の係数を掛けて加算したものの比較をお示ししております。
グラフは棒グラフとなっておりますけれども、薄い青色でお示ししているのが救急搬送件数の病床当たりで中央値よりも少ない病院でございまして、濃い青色となっているのが中央値よりも多い病院ということでございます。濃い青で表示されている病院のほうが分布がより右に大きく動いているということが分かります。
13ページは、先ほどの係数を0.05の半分と1.5倍ということで3段階に分けて同じ推計をしたものでございまして、このグラフの右に動く度合いがそれぞれによって異なっているということになります。
14ページは、さらに病床数当たりの救急搬送の多い少ないだけではなくて、手術なし症例が多いか少ないかということを含めて4つに分割して、その平均値を見たものとなってございます。例えば手術なし症例が多いかつ救急搬送の多い病院でありますと、実線の青い丸で囲っておりますけれども、現行では25.9%というのが該当割合の平均値となるところ、今回のシミュレーションでは35.1%と9.2%上昇したということでございます。
もともと、現行ですと手術なし症例が多い病院にとっては救急搬送が少なくても多くても看護必要度の平均値にあまり大きな差はなかったところでございますけれども、今回のシミュレーションの前提に基づけば、A・C項目を追加し、また、救急件数の加算分を追加すると、今の手術なし症例が多く救急搬送件数の多い病院において全体の平均ぐらいまで看護必要度の平均値が上がってくるということになります。
15ページは、今の平均値でお示ししたシミュレーションを棒グラフでお示ししたものでございまして、こちらを御覧いただくと分布がより鮮明にお分かりいただけるのではないかと思います。現行ですと、手術のない症例が多い病院で救急が少ないところと救急が多いところはどちらかというと分布の左のほうにありましたけれども、この加算を行った後のシミュレーションによれば、手術のない症例が多く救急が多い病棟においては分布の左のほうではなくて真ん中ぐらいまで上昇しているということでございます。
16ページは、入院料の異なる病棟が併設されている場合の今回のシミュレーションにおける取扱いをお示ししております。入院しなかった場合も含めて救急搬送を係数に反映するためには、同一医療機関内に複数種類の病棟がある場合に、救急搬送件数をそれぞれの病棟に配分して計算をする必要がございます。今回のシミュレーションにおきましては、救急搬送のうち、入院した件数は入院した病棟への加算に反映させています。また、入院せずに外来のみで帰宅した件数については、救急搬送からのそれぞれの病棟への入院件数を用いて案分し、各病棟への加算に反映させております。
16ページの下の段にございますけれども、1,000件の救急搬送件数があり、その病院において540件が急性期一般病棟に入院し、地域包括ケア病棟に60件が入院したという場合でございますけれども、入院件数の9割と1割がそれぞれの病棟に入っているということでございます。計算の過程を省きました結果としては、1,000件の9割を急性期一般病棟に、そして、1,000件の1割を地域包括ケア病棟に計上するというような形で按分されていることになります。
17ページでございますが、地域包括医療病棟についても同じ方法でシミュレーションを行ってございます。こちらのほうも病床数当たりの救急搬送数が多く、また、手術なし症例が多い病院において、現行の医療・看護必要度は比較的低い値となってございますけれども、ここにおいてシミュレーションの結果としては最も医療・看護必要度の値が上がるということでございます。
18ページはここまでの論点でございまして、急性期一般入院料や地域包括医療病棟入院料の重症度、医療・看護必要度では、救急搬送受入件数が多くとも手術なし症例が多い病院では基準を満たしにくい病院がある一方、内科系疾病に関連したA・C項目の追加と救急搬送受入件数に応じた加算を行うことで、手術なし症例や救急搬送への対応の評価が適切に反映され得ることを踏まえ、これらの入院料に係る重症度、医療・看護必要度への加算を行うことについてどのように考えるかとさせていただいております。
19ページからはDPC制度についてでございます。
論点としては、まず25ページ、医療機関群についてということでございます。現在のDPC制度においては、基礎係数を定めるための医療機関群として大学病院本院群とDPC特定病院群、DPC標準病院群を置いております。
26ページにその理由を書いてございますけれども、医療機関群ごとの様々な診療の特性を反映するという目的で、このような3つの群を置かせていただいているということでございます。
27ページが現行の包括点数と包括範囲出来高点数の比ということでございまして、基礎係数の設定の基になるような値が載っていると御理解いただければと思います。
オレンジ色の大学病院本院群、青色のDPC特定病院群においては、現在においても医療機関群として設定されている群でございますけれども、それ以外の緑とグレーのところについては現行においては1つの群として設定されているところでございます。これを救急搬送1,200件以上と救急搬送1,200件未満の病院に分けて分類して分析をした場合に、このような差が生じているということが分かります。
続いて、28ページからが医療機関別係数、とりわけ29ページの複雑性指数について資料をお示ししております。
30ページが現行の複雑性指数の分類でございまして、医療機関群別にこのような数字を取っているということでございます。
31ページが今回提起する課題についてお示ししているものでございます。
現行の複雑性指数は、1入院当たりの包括範囲出来高点数が高い診断群分類の患者数が多い場合に高い評価がなされる仕組みとなってございます。そのため、1日当たりの包括範囲出来高点数が全DPCの平均未満であるが、平均在院日数が長いことにより、複雑性係数により高く評価される診断分類が存在しているということでございます。
例をお示ししておりますが、誤嚥性肺炎のように1日当たりの医療資源投入量が多くない、包括範囲出来高点数が多くない病気であっても、平均在院日数が長いような病気においては1人当たりの出来高点数は高くなる傾向がございまして、こういう病気をたくさん診ておられる医療機関において複雑性指数が高くなるというような傾向が生じているということでございます。特に誤嚥性肺炎の患者の割合が非常に高い病院などにおいて、複雑性指数が特別に高くなるというような現象も生じていると承知しております。
32ページがこの複雑性指数などの係数の設定に至った経緯の資料を幾つか出させていただいておりますけれども、まずDPCにおいては急性期を評価するというような性格、そして、急性期はどういうものかという議論が行われたかということが32ページでございます。
そして、33ページ、新たな機能評価係数を検討する際には、急性期を反映した係数を前提としようということで設定された経緯、そして、34ページ、幾つか指数について、こうした視点で評価をされているという経緯をお示ししております。
続いて、35ページでございますが、地域医療指数についての論点でございます。
36ページ、臓器提供についても、今、ここに示しているようなポイントで評価をしているところでございますが、37ページ、38ページ、以前に御議論いただいたように認定ドナーコーディネーターの配置に関する評価といったものが考えられるのではないかということでございます。
また、39ページのグラフは1日当たりの入院の最大数に対する日ごとの入院数の割合の変動係数ということで、入院患者数が日ごとにどれぐらい変化するかということをお示ししているものでございます。縦軸が入院数の最大値に対する割合でございますので、縦軸の上のほうの病院というのは稼働率が高い病院ということになりますし、このグラフを見ていただくと、左上から右下のほうに向かって点が伸びておりますので、稼働率の高い病院においては、入院患者数の変動係数が低い。入院患者数が日ごとにあまり変わらない。稼働率が低い病院においては患者数の変化が日ごとに大きいということでございます。
40ページでございますけれども、入院患者数のばらつきが極度に低い病院と一般的な平均的な病院において入院患者数の推移がどのように異なっているかということをお示しさせていただいております。救急応需などを地域の事情に応じて行った場合にどの程度の入院患者数の変動が起こる状態が標準的かというようなことを踏まえて、こうした分析を行っていく必要があると考えてございます。
それから、41ページからは定量評価指数についてでございます。
42ページ、DPC標準病院群における地域シェアというものでございますが、こういったものが地域医療指数の定量評価係数の中で反映され得る元になっているデータでございます。救急搬送件数が多い病院において高くなっておりますけれども、右側の救急搬送件数の少ない病院においてもそうした地域シェアの分布がこのようになっているということでございます。
43ページは、これを領域別に分けて見た場合と全診断群分類での地域シェアを見た場合というのを散布図にさせていただいております。横軸が全診断群分類での地域シェア、縦軸が領域別の地域シェアでございますので、安全診断群分類での地域シェアが低くても特定の領域だけ見れば地域シェアが高いというような病院については左上のほう、黄色い丸で囲っているようなところに点が来るという形になってございます。こうした病院の評価の在り方について御検討いただくために、このような資料を用意させていただいております。
続いて、点数設定方式についてでございます。45ページからが点数設定方式における入院期間Ⅱについてということでございます。現行の方法では入院期間Ⅱというのが平均在院日数により定義されておりまして、この日を境に包括点数表の点数が変わってくるということになってございます。
46ページが平均在院日数と在院日数の中央値の関係でございまして、診断群分類ごとに見ると、大半の分類で中央値のほうが短いとなってございます。
47ページは、診断群分類の例として退院日数がこのように分布しているというものでございますけれども、この診断群分類ですと入院期間Ⅰや入院期間Ⅱの日に退院されている患者さんが多いということが分かりますし、また、分布としては右に尾を引いていて、中央値のほうが入院期間Ⅱの平均値よりも左にあるであろうということもこの分布からお分かりいただけるかと思います。
48ページはDPC対象病院におけるクリニカルパスの導入状況で、採用している病院も多くございまして、入院期間の設定に際して主として参照しているものとして診断群分類点数表上の入院期間Ⅱの平均在院日数のところを参照しているという病院が多くなってございます。
49ページは、平均在院日数と中央値がどれぐらい違うかということを縦軸に置いて、入院日数のばらつきを横軸に置いてその相関を見たものでございますけれども、診断群分類によっては平均値と中央値の差が比較的多くなっている分類もございますので、こうした点にも留意をする必要があるのではないかということでございます。
続いて、算定ルールについてでございます。
51ページがDPC制度における再転棟ルールということでございますが、7日以内にDPC算定対象となる病棟等に再入院した場合につきましては、同一傷病においては当該再入院は前回の入院と一連の入院とみなすというルールがございます。
52ページが再入院の頻度を退院後の日数別に見たものでございますけれども、7日までは抑制されていて、8日のところで入院するという方が比較的多くなっているということでございます。
それから、53ページ、持参薬の使用に関するルールでございますけれども、入院の契機となる傷病に対する持参薬の使用は、特別な理由がある場合を除き、認めないというようなルールとなってございます。
54ページ、持参薬が使用されるとどういう不都合が起こるかということを模式的にお示ししておりますけれども、持参薬を使用した場合には、そういった病院において診療報酬の支払いが二重に行われるというようなことになるということでございますし、一方で持参薬をしない病院にとっては入院中に本来支払われるべき報酬が支払われないというような結果になるということでございまして、ルールの明確化が必要だと考えてございます。
55ページにおいては、入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用割合ということで、0~5%というお答えの病院もありますけれども、比較的多い病院もあるということでございます。
ここまでの論点が59ページにございます。DPC制度に係る論点ということでございますけれども、基礎係数について、救急搬送件数等に基づいて評価を分けることについてどう考えるか。
それから、複雑性係数について、1入院当たりの包括範囲出来高点数による現行の評価から入院初期までの包括範囲出来高点数による評価へ移行することについてどのように考えるか。
それから、認定ドナーコーディネーターの配置を新たに体制評価指数により評価することについてどのように考えるか。
それから、1日当たり入院数の最大値に対する日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低い医療機関に対する体制評価指数による評価の在り方についてどのように考えるか。
それから、全診断群分類の地域シェアによる現行の評価、定量評価指数についてそのような評価から領域ごとの評価へ移行することや定量評価指数の重みづけを見直すことについてどのように考えるか。
入院期間Ⅱを平均在院日数から在院日数の中央値に移行することについてどのように考えるか。
また、算定ルールについても、資料に記載のような点を論点とさせていただいているところでございます。
続いて、60ページからが高度急性期入院医療についてでございます。
まず、ICU(特定集中治療室)用の重症度、医療・看護必要度でございます。
64ページ以前にお示しをしている表でございますけれども、現行の評価項目でないものにつきましても、試みに重症患者であるということが推察されるような幾つかの項目について、該当割合を入院・外来分科会調査のほうで測定するということを行っております。
仮にこの3つを加えた場合のシミュレーションも併せて行っておりまして、65ページが現行、そして、66ページがこの3つの項目を加えた場合ということでございまして、若干ではございますけれども、該当患者割合の分布が右に移動して、少し平均値が上がっているということになります。
それから、67ページが入室日のSOFAスコア基準の該当患者割合でございまして、特定集中治療室管理料1、2では高い傾向があるなど、御覧のような傾向となってございます。
68ページからがハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についてでございます。
69ページ、こちらも同様に現行の評価項目でない幾つかの項目について試みに測定をいたしております。
70ページが現行の分布でございまして、仮にこれを加えた場合の分布を71ページにお示しをしております。
続いて、脳卒中ケアユニット入院医療管理料についてでございます。
74ページは以前にお示ししているものでございますけれども、超急性期脳卒中加算、すなわち脳卒中の血栓溶解を行われている患者さん、また、経皮的脳血栓回収術を行っている患者さん、こうした方の数の分布をお示ししているものでございまして、非常に多い医療機関もありますけれども、少ない医療機関もあるということが分かります。
75ページは、脳卒中ケアユニット入院医療管理料算定患者だけではなくて病院全体で見た場合ということで、もう少し多くなっておりますけれども、やはりばらつきはあるということでございます。
76ページは脳卒中ケアユニット入院料の算定患者における医療資源投入量などを先ほどの長期急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収率などの実施の件数に応じてどのような差があるかということを見たものでございまして、真ん中のDPC包括の場合の1症例1日当たりの医療資源投入においてもこのような差があるということが分かります。
78ページが論点でございます。特定集中治療室管理料につきまして、基準に該当する治療室割合のシミュレーション結果やSOFAスコアが一定基準である患者割合の現状を踏まえ、3つの項目を新たに基準へ追加することや、SOFAスコアが一定基準である患者割合要件の適切な水準についてどのように考えるか。
また、ハイケアユニット用入院医療管理料につきましても、同様に2つの項目を新たに基準に追加することや、要件割合の適切な水準についてどのように考えるか。
脳卒中ケアユニット入院医療管理料につきましては、超急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収述に関する病院の実績により、脳卒中ケアユニット入院医療管理料算定患者の医療資源投入量等に下がったことを踏まえ、その評価の在り方についてどのように考えるか。
以上を論点とさせていただいております。御審議をよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、まず18ページの重症度、医療・看護必要度の論点についてコメントいたします。
1つ目の○では、内科の評価に配慮した見直し案についてシミュレーションを示していただきましたが、幾つかの点でさらなる検討が必要であると考えております。まず、A・C項目の追加の影響について、14ページの急性期一般入院医療1の表では、救急搬送数や手術症例の多い少ないにかかわらず、いずれの項目においても平均値ではA・C項目の追加による影響がプラス1.1~プラス1.2%となっています。また、17ページの地域包括医療病棟の表においても同じくプラス0.5~0.7%となっており、これらの各項目に差が見られない状況になっています。したがいまして、今回のシミュレーションに用いた内科系項目では目的とする効果が得られていないと考えますので、再考をお願いしたいと要望いたします。
次に、11ページで説明されているシミュレーションの方法ですが、救急搬送件数には入院しなかった場合が含まれております。これは入院件数を増加させるインセンティブとならないようにするためと理解しておりますが、特定の病棟に入院している患者さんの重症度、医療・看護必要度を判定する際に、入院しなかった患者や軽症の救急患者を考慮することは基準の在り方として広く理解を得ることは難しいのではないかとも考えております。
また、12ページでは見直し案による1,110病院のシミュレーションが示されておりますが、現在、急性期一般入院料1を算定している全ての病棟を対象としてシミュレーションを行うことは不可欠であると要望いたします。現在の医療機関の危機的な状況を踏まえれば、今回はシミュレーション結果を踏まえてどの辺りをカットオフにするのかという議論をするような状況ではなく、基準を変更しても現在基準を満たしている全ての病院が新たな基準に該当することを確認するためにシミュレーションを行う必要があることは強く申し上げます。
なお、内科系に配慮した加算係数の設定が提案されておりますが、これは見方を変えれば相対的に外科系の医療機関の評価が下がるということにもなりますが、今回は適切に評価されていない内科系の疾患を見直すという観点から議論すべきであることは改めて申し上げます。
続きまして、59ページのDPC制度に係る論点についてコメントいたします。
まず、1つ目の論点の医療機関別係数についてでございます。最初の○では、救急搬送件数が年間1,200件未満の医療機関とそれ以上の医療機関で基礎係数を分けることが提案されておりますが、27ページのグラフを見ますと、グレーのドットで示された救急搬送件数が年間1,200件未満の標準病院群は包括出来高点数のばらつきが多くなっております。グリーンのドットで示されている1,200件以上の病院群と同程度の病院も数多くありますし、それ以上の病院も示されており、これだけのばらつきを無視してひとまとめに医療機関別係数を設定するのは無理があると考えております。
また、今回は救急搬送件数年間1,200件を基準としておりますが、救急搬送件数には地域差もありますし、全病床数の一部をDPC病床にしているケアミックス型の病院も数多く参加している中で、1,200件という基準が妥当と言えるのかどうか検証する必要があります。
さらに、年間1,200件未満の病院については、5つ目の○にあるように、地域医療係数によって評価する方向性が示されております。基本的には脳卒中、心血管、がん、周産期の単価専門病院を想定して評価する対応であり、賛同するものであります。一方で、ケアミックス型の1,200件未満の中小病院などは、包括内の出来高点数が高くても医療機関別係数が下がるだけになってしまうことも懸念されますので、医療機関別係数の見直しについては負の影響を受ける医療機関がないのか慎重に検討する必要があると考えております。
2つ目の○の複雑性指数につきましては、これまで課題とされていた誤嚥性肺炎など、平均在院日数が長いことにより高く評価される診断群分類への対応であると理解はいたしますが、現状、入院主病名のうち、誤嚥性肺炎の頻度は急性期病棟においてもトップランクに位置しており、誤嚥性肺炎の入院患者の多い医療機関に与える影響、また、今回の見直しによる他の診断群分類に与える影響につきましては詳細な確認が必要と考えております。
また、3つ目の○の認定ドナーコーディネーターの配置につきましては、事務局への質問となりますが、38ページを見ますと、ドナーコーディネーターの認定は来年の2月以降に開始されることになっておりますが、このスケジュールで令和8年度改定時において体制評価指数で評価することができるのでしょうか。こちらは質問となります。
続きまして、4つ目の○の病床稼働率が高い医療機関の体制評価指数の取扱いについては、地域の需要変動に柔軟に対応できる体制でないということで、体制評価指数を引き下げる方向が示唆されております。しかしながら、地域の実情や疾患によってはやむなく特定の病院に入院が集中することもありますし、そもそも入院の受入れを断らないということは地域医療の観点から重要なことであります。こうした状況の中で、単に高稼働率を維持していることだけでペナルティーを果たすような扱いは行うべきではなく、もう少し丁寧な検討が必要であると考えております。
2つ目の論点の点数設定方式につきましては、入院期間Ⅱを平均在院日数から中央値に変更するということですが、論点にあるとおり、標準化が一定程度進んだ診断群分類を吟味して選定すべきであり、入院期間Ⅱを著しく変更する場合は激変緩和措置を講じることは当然でありますが、49ページに変動係数ごとの入院期間Ⅱの変動率のグラフが示されておりますが、本件についても一医療機関ごとに及ぼす影響について詳細な検証をすべきであります。
3つ目の論点の算定ルールについてでございます。1つ目の○の再転棟ルールについては、52ページを見ますと、8日目以降の再転棟がかなりあることが示されておりますことから、現場への影響を考慮して、再転棟に至った臨床上の理由などを分析の上、検討していただきたいと考えております。
2つ目の○の持参薬ルールにつきましては、論点に示された方向には異論ありませんが、緊急入院の際の手持ちの薬や飲み余っている薬を患者さんが病院や医師の方針ではなくやむを得ず持参した際に入院中に使用する場合を認める現在の取扱いは維持すべきと考えております。
続きまして、78ページの高度急性期入院医療の論点についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の論点の特定集中治療室管理料についてでございます。蘇生術の成功、抗不整脈薬剤の使用、緊急ペーシングの3つを新たに基準に追加することにつきましては、66ページのシミュレーション結果を見ますと、該当患者割合などはほとんど変わりありません。したがいまして、項目を追加するとしても該当患者割合の水準は変更する必要はないと考えております。
また、67ページでは入室日におけるSOFAスコアの該当患者割合が示されておりますが、SOFAスコアは1996年に提唱されており、集中治療の技術や薬剤が進歩したことにより、現代の医療環境において適切に評価できないという課題もあったことから、このたび、約30年ぶりに改定され、SOFA-2スコアとして、先月の29日に公表されたばかりであります。したがいまして、資料のデータからも現状問題はないため、現行基準である10%を維持しつつ、今後、改定版への対応も検証していく状況にあり、さらには、データ入力ソフトの改修あるいはコスト負担についても検討しなければならず、次回改定におけるSOFAスコアの該当患者割合を議論するような状況ではないと認識しております。
続いて、2つ目のハイケアユニット入院医療管理料についてでございます。抗不整脈薬剤の使用、緊急ペーシングを新たに基準へ追加することにつきましては、先ほどの特定集中治療室管理料と同様に、71ページのシミュレーション結果を拝見しますと、該当患者割合などはほとんど変わりませんので、項目を追加するとしても該当患者割合の水準を変更する必要はないと考えますし、水準を見直すのであれば実態把握を行うべきと考えております。
最後の3つ目の論点の脳卒中ケアユニット入院医療管理料につきましては、超急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収術に関する実績について病院間で大きな差があることが指摘されております。前回議論しました際には、実績が少ない医療機関においてどのような医療が提供されているのかもう少し詳しく見た上で検討する必要があると主張させていただいたところでございます。74ページや75ページの資料においても、実施件数がゼロの医療機関はごく少数であり、まずはこれらの医療機関におけるSCUの活用状況について個別に確認してはどうかと考えております。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員から1点御質問がございました。59ページ、認定ドナーコーディネーターについてですけれども、事務局、回答していただけますでしょうか。
○林医療課長
御質問でございますけれども、38ページの認定ドナーコーディネーターはこれから養成するということで、令和8年度にこの評価が実際の係数に反映するのかということでございますけれども、おっしゃるとおりでございまして、どうしてもラグが生じます。令和7年度の後半に実績を満たしたものについて、直ちに令和8年度、最初から係数に反映するのは難しいかも分かりませんけれども、毎年係数を見直していくということが可能でございますので、2年ごとの改定ということであると、次の年度からは反映される可能性があると考えています。
○江澤委員
了解いたしました。実態を踏まえて対応していただければと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
次に太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
私からも幾つかの論点に関しましてコメントさせていただきたいと思います。
まず18ページ、重症度、医療・看護必要度の論点でございます。今回、14ページに急性期一般病棟におけるシミュレーション上の変化、及び17ページにおいて地域包括医療病棟における変化が示されております。内科系入院の比率が多いと考えられる病床数当たりの救急搬送件数の受入れの多い病院がより必要度が改善していることが示されており、内科系への配慮という面では一定機能していると考えます。ですので、この見直しの方向自体に私は異論はございませんが、当然これだけの数字が動くということを想定しますと、いわゆる割合①、割合②の基準値も見直しが検討されることになるのではないかと思います。ただ、この見直しはその設定の仕方により非常に大きな影響が出てくると想定されますので、基準値をもしこのプランに沿って見直していくという際には、かなり詳細なシミュレーションを行う必要があるかと思います。
内科系への配慮というものに関しましては特に異論はございませんけれども、現行、多くの病院が置かれている状況を考えますと、できる限り大きな影響が出ないような形の制度変更を検討しなければいけない状況ではないかと思います。
続きましてDPCの論点、59ページに移らせていただきます。
まず初めに、医療機関別係数の論点でございます。この救急搬送件数1,200件により基礎係数を区分するというのが提案されているということだと思います。先ほど江澤委員からもありましたけれども、この救急の1,200件という数字そのものが適切なのかどうなのかというものに関して、これはもう少し詳細なシミュレーションが必要だろうと思います。病院ごとの1,200件というものがいいのか、病床数当たりの救急の台数のほうがいいのか、様々な医療資源投入量に変化を及ぼす要素というのはあるかと思います。このままこれで進めていくということではなく、もう少し詳細に、とにかく基礎係数というのは非常に病院にとって重いものでございますので、慎重に検討していくことが必要ではないかと思います。
2つ目の複雑系係数の問題に関してです。これも以前からDPCワーキングでは様々指摘されてきているところでございます。ですので、大きな方向性としては私自身異論はございませんが、もしこれをやるにしても、これに関しましてもどれぐらいの病院がどれぐらいの影響を受けるのかというものをしっかりとシミュレーションをしていただいて、その影響の大きさにある一定程度配慮しながら進めていく。慎重に進めていく必要があると思います。
続きまして、4つ目の事業変動の関係の論点でございます。これに関しましては、機能評価係数で評価すべきものなのかそのものについて、この論点の設定に唐突感がございます。現在の病院の置かれている経営状況では、極力病床稼働状況を高めて維持するしかない状況となっており、病院運営は現場で様々な取組をしております。日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低いということをもって評価を下げるというのであるならば、より必要性が分かるような形の資料を出していただく必要があるのではないかと思います。
その次の地域シェアに関して脳卒中等の一部の領域を評価するというものに関しましては、よりきめ細かく地域における病院の機能を評価することであり、特に異論はございません。
続きまして、算定ルールについての論点でございます。
1つ目の入院期間Ⅱの論点でございます。この見直しは、多分見直しの規模によっては病院の現場の運営に非常に大きな影響を及ぼすということが想定されます。今回示されておりますが、まずは標準化が一定程度進んだ診断群分類とは全体の診断群分類の何%ぐらいなのか、また、それぞれ入院期間Ⅱが短くなる程度というものがどの程度なのか、各病院への影響がどれぐらい出るのか、より詳細な資料を御提示いただきたいと思います。あまり大きな変化は現状では許容できる状況ではないということは再度申し添えさせていただきます。
再転棟ルールでございます。52ページの資料では、多くの病院で7日目の再転棟が多いように一見見えますが、当然7日前後でも一定の頻度で再転棟が行われているということが分かります。医療的な必要性により再転棟が必要な患者は必ず存在し、多くの病院は意図的に7日を狙って再転棟などは行っていないと私は考えます。一部の限定された病院の例が殊さら誇張されているのではないかと思います。今回提示された1年間のデータで前後と比較して7日は200件程度多いにすぎません。それをもって、全ての病院に影響が出るような制度変更を行う必要があるのか、慎重に検討すべきであると思います。また、もしこれを検討していくのであるならば、どのような病院または疾患で再転棟が多いかなど、より詳細なデータの分析が必要であると考えます。
持参薬ルールに関しまして、ルールの周知を行うことに関しては特に異論はございません。
続きまして、78ページの高度急性期入院医療の論点でございます。
特定集中治療室管理料に関してですが、項目の追加に関しましては特に異論はございません。ただ、先ほど江澤委員からもありましたが、その影響は非常に小さいものであり、基準値の変更というものは必要ないと考えます。
また、SOFAスコアのほうになりますが、集中治療室の運用は人的な配置も含め非常に大変であり、各病院は苦労しながら運用しているという実態があります。救急からの不安定な患者や入院中の急変患者、術後不安定の患者など、様々な患者が治療室を利用しており、SOFAにより点数で現行利用している患者が利用できなくなるような見直しは避けるべきであります。集中治療が必要な患者を入室させづらいような制度改正というものは、患者の医療上の安全を脅かす可能性もございます。SOFAの基準に関しましては現行から変更すべきではないと思います。
ハイケアユニット入院医療管理料の項目の追加及び基準値に関しても同様でございます。
脳卒中ケアユニット入院管理料に関してです。病院全体として超急性期脳卒中加算、経皮的脳血栓回収術の件数をある一定程度要件を設定するということはやむを得ないとも考えます。ですけれども、多くのSCUが現行どおり運用できるよう、その設定は非常に丁寧に行うべきであると考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
3つほどになります。
18ページのところでございますが、救急の外来を評価していただくということなのですが、新しい地域医療構想等におきまして、高齢者救急等を分担していかなければいけないという中で、診療報酬的にも下り搬送の評価が行われたわけです。ただ、これが病棟の重症度、医療・看護必要度に反映するなると、逆方向に軽症でもいいからこれを取っておけば病棟の重症度が上がるのだというようなトレンドが出てしまうと、これは明らかに地域医療構想に逆行するような軽症救急患者の取り合いみたいなことが起こる可能性がありますので、評価するとしても、そういうようなことが起こらないような設計をお願いしたいと思います。
次は59ページの論点で、3つ目の認定コーディネーターに関しまして、認定コーディネーターは脳死のときに働く人なのです。そうしたら、脳死が救命救急センターで年間何例あるかといったら、そんなにたくさんはないわけです。ですから、いるいないぐらいの評価ならいいのですけれども、専任、専従などというのをつけられますと、何もしない仕事の人を1人雇うということになりますので、これは非常にゆるい基準として評価していただければと思います。
次に算定ルールの2つ目の持参薬ルールでございますが、持参薬を使うか使わないか、保険上のお金の話からいうとさっきの図が正しいのですが、全てのマクロからいうと、あるものを使わないというのは非効率でございまして、薬剤がどんどん出ていくだけということになりますので、やはりこれは一定のルールが必要だと思います。さすがに予定入院が分かっているのに明らかに外来で出してそれを持ってこいというのは問題でありますが、緊急入院の場合、特に今、心不全、呼吸不全のような臓器不全の入院が増えております。そうすると、皆さんも図を見たことがあると思いますけれども、増悪と寛解を繰り返しながらADLが落ちていきますので、増悪はいつ起こるか分からないわけで、同じ薬を使いながら緊急入院してくるわけです。その患者さんの同じ薬を使うことを禁止して、また薬が出てくる。これは薬が重複するだけであまりいいことだとは思えないです。
それからもう一つ、これはいろいろなDPCの難しい問題と医療DXとも関わってくるのですが、3文書6情報で薬剤情報を出すわけですが、それがDPCの部分が入ってきた場合に、使ったか使わないかという情報がなければ重複に飲んでいるようなデータになったり、非常にせっかくの3文章6情報の薬剤情報が信用ならないものになりますので、そこに処方したものをどのように載せていくかということをちゃんと解決した上でやらないと、3文書6情報を進めようとしても、3文書6情報の薬剤は役に立ちませんよねと。DPCであれしていると二重に処方されている情報が出てきますねということでは困るので、そこは整理をしていただきたいと思います。
最後、ちょっとだけ気になるのは57ページのDPCのクリニカルパスのところなのですけれども、クリニカルパスの中で90%がつくっていて、60%が平均の期間Ⅱを基準に決めていると。これは書き方が病院が作為的にやっているように書かれているのは心外でして、各クリニカルパスの退院日を各病院で全て分析できたらいいのですけれども、そうでない場合、何かの基準が要るのです。今、入院期間Ⅱというものが基準として示されていて、中央値はこれまで示されていなかったわけですから、やはり平均のⅡを使わざるを得ない。基準としてあるもの、やはり示されたものが恐らくクリニカルパスの根拠になりますので、恐らく中央値にしても中央値を退院日にするというクリニカルパスができますので、その辺は御考慮いただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まずは、短期間に精緻なシミュレーションを実施いただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。
入院医療につきましては、急性期の医療資源を集約化・重点化することなど、これまで以上に病床機能や医療機関機能の分化や連携を進めて地域の医療提供体制を最適化すべきと考えておりますが、今回、要件の緩和あるいは厳格化ということではなく、患者の状態や医療資源の投入量、地域で果たしている役割を適切かつ公平に評価する指標について議論する場であると理解しております。したがいまして、各委員のほうから基準値の設定についてもいろいろコメントが出ておりますけれども、これについては改めて議論があるという前提で今回はコメントしたいと思っております。
まずは18ページの一般病棟用重症度、医療・看護必要度に関する論点でございますけれども、手術の有無や救急搬送と予定入院の違い等によって不公平感があり、あるべき病棟の役割が適切に評価されていないという指摘が今回の出発点であると理解をしております。一方、何らかの指標を見直した場合に、地域の医療ニーズや医療の在り方と離れたところで病院側が新しい指標に適合していくということも望ましい姿ではないと認識しております。
そうした視点で11ページあるいは16ページに示されたシミュレーションの考え方を見てみますと、8ページで紹介されている内科学会が提案するA・C項目の追加候補については、外来との関係も含めまして、より一層の精査は必要ですけれども、少なくともある程度手術なし症例を評価に追加することは理解ができるものでございます。
また、救急搬送について、搬送後の日数を延長するのではなく、外来を含めた病院全体の救急搬送の受入件数を対象病棟に按分し、一定の係数を掛けた値を加算することは、外来で対応できる救急患者は外来での治療にとどめることやケアミックスに対応できるということで、概念としては合理的ではないかと考えております。
その上で、12ページ下側のシミュレーション結果を見てみますと、濃い青で示されております救急搬送が多いほど該当割合が大きく上昇し、また、14ページへ目を移しますと、急性期一般入院料1のうち、濃い赤の救急搬送が多く、手術なし症例が多い病棟で該当患者割合が全体平均の35.4%と概ね同じである35.1%となり、その左の救急搬送は少ないけれども手術が多い病棟との差が現行に比べて縮小していること。また、そうした中でも一番右の救急搬送も手術も多い病棟の該当患者割合が最も高く、救急も手術も少ない病棟が最も低いということで、こうしたバランスが取れているという印象は受けております。
また、15ページのシミュレーション結果に目を移しても、概ね妥当な変化だと受け止めますけれども、逆に言いますと、救急搬送が多く手術が少ない病棟についてこれ以上に評価を加えますと、少し配慮し過ぎではないかという疑念も感じております。
これは事務局に質問でございますけれども、今回は加算係数は中を選ばれておりますけれども、例えば低である2.5%、あるいは高である7.5%にした場合に、このバランスがどのような形になるのか御説明いただければと思います。
次に、17ページに目を移しますと、地域包括医療病棟についても、ただいま申し上げました急性期入院料1と同様に概ね妥当な印象を受けておりますけれども、ほかの病棟についても改めてシミュレーションをお願いしたいと考えます。
続きまして、DPC制度について59ページの論点に沿ってコメントいたします。
医療機関別係数に関する論点の1つ目の標準病院群については、以前にも指摘しましたとおり、27ページに示されております救急搬送1,200件以上と未満に分けた場合に、包括範囲出来高点数が異なることを踏まえますと、やはり基礎係数は分けるべきだと考えます。
2点目の複雑性係数でございますけれども、31ページに例示されております誤嚥性肺炎をDPC病棟で対応することは必ずしも否定するものではございませんが、相対的に入院期間が長い症例を高く評価することは、短時間で集中的に急性期の治療を実施し、速やかに安定した状態に持っていく考え方に言わば逆行するものであり、入院から一定期間に限り評価するよう、取扱いを見直すべきだと思っております。
3点目の認定ドナーコーディネーターにつきましては、以前申し上げたとおり、配置の有無を体制評価指数に反映すべきと考えます。これによる影響については診療報酬とは別の枠組みになるかもしれませんが、ドナー側の意思が適切に移植につながっているのか、国としてのフォローアップをお願いしたいと思います。
次に4点目の患者数の変動についてですが、40ページの上のグラフを見てみますと、水色の線のDPC病院の平均が濃い青の線である地域全体の患者数とはほぼ重なっており、地域の需要変動に柔軟に対応していると考えることはできますけれども、一方で、赤い線で示されました変動係数が著しく小さい病院の場合、患者数の線がほぼというか常に地域全体より上に位置しているということが分かります。事務局のコメントでは需要変動への応答性に乏しい可能性があると表現されておりますけれども、私としては地域の医療ニーズよりも病床を埋めることを優先しているという印象さえ受けております。先ほど別の委員からも経営の観点で病床利用率に関する言及がございましたけれども、病床利用率を高めることは否定いたしませんが、急性期医療においては突発的な入院に対応できるようにしておくことも重要であり、地域医療係数にあります体制評価指数において考慮することが必要だと考えております。
ただし、機能評価係数Ⅱについては、34ページの具体的な方法に示されているとおり、相対評価ですので、一方の評価が下がればもう一方の評価が上がるということを意味いたします。今回の見直しにより、患者を選別してベッドコントロールしているところに言わば空床補償のようなものになることも望ましくありませんので、事務局においてはこの辺りのバランスを十分に考える形でお願いをしたいと思います。
次に、5点目の定量評価指数については、地域で果たしている役割をより適切に評価するということであれば、事務局の提案に異論はございません。
続きまして、点数設定方式についてですが、46ページに示されておりますように、ほとんどの診断群分類で半数の医療機関が平均在院日数より短い期間で退院している中で、47ページのように一部の診断群分類で1日当たり点数が下がる入院期間のⅠやⅡまで入院する患者が多いことや、48ページに示されているとおり、クリニカルパスで入院期間Ⅱを退院の目安にする傾向が見られることを踏まえますと、さらなる標準化を進めるためには入院期間Ⅱの基準を在院日数の中央値に見直すということには賛同するものでございます。
また、49ページに目を移しますと、激変緩和の必要性は一定の理解はいたしますが、見直しの影響がどの程度の場合に配慮するのか考え方を明確化していただき、将来的には中央値に統一することを目指すべきだと考えております。
次に、大きな論点の3つ目にございます算定ルールについてですが、52ページの再転棟に関するデータを見る限り、入院期間を通算する基準の7日を超えた8日目が最も多くなっており、自然な姿というよりも、この再転棟ルールを十分に意識し、影響していると言わざるを得ません。少なくとも同一傷病の場合は7日間を超えても一連の入院とすべきだと考えます。
また、持参薬の取扱いについては、患者の二重負担や保険者による二重給付を防止するためにも、入院での処方を徹底していただきたいと思います。資料55ページを見てみますと、相当数の医療機関で入院の契機となった傷病に対して持参薬を使用する患者が一定程度存在しております。これが患者への説明だけで十分なのか、今後も引き続き実態を把握すべきだと考えております。
続きまして、高度急性期入院治療についてですが、78ページの論点に沿ってコメントいたします。
まずICUについては、資料64ページを見ますと、救急救命入院料2を除きますと、動脈圧測定だけで63ページにあります該当患者割合の基準をクリアしており、また、65ページ、66ページのデータを見比べますと、先ほどほかの委員からもありましたけれども、蘇生術などの3項目を追加する影響はごくわずかとなっております。
また、資料62ページに戻っていただきまして、分科会の検討結果を見ますと、動脈圧測定について、中間ユニットがない医療機関において集中治療室で行うことがあるとの御意見が紹介されておりますけれども、そうしますと、動脈圧測定の評価を現行どおりとした場合、他の評価項目を設定する意義がほとんどないようにも思われます。事務局には少し手間となるかと思いますが、評価項目からの削除や重みづけを変えた場合にどうなるのか、改めてシミュレーションをお願いしたいと思います。
また、SOFAスコアについては、67ページを見る限り、要件化されていないICUの5、6でさえもほとんどの治療室がグラフの右側になり、現行のICU1、2で5点以上が1割以上、ICU3、4で3点以上が1割以上という基準では重症患者の受入実績が管理料に反映できていないと考えますので、評価区分に見合った妥当な基準に見直すべきだと考えます。
次に、ハイケアユニットについては、資料70ページ、71ページを見比べてみますと、新たに2項目を追加することで基準②で要件を満たすユニットが増加することを踏まえれば、仮にこの2項目を追加するのであれば、基準①の該当患者割合は少なくとも今回のシミュレーション結果で71ページの左の表に1.5割、2割、2.5割と書いてありますけれども、ここにある2.5割まで引き上げることが妥当であり、さらに高い基準に見直すことも検討する余地があると考えます。
最後に脳卒中ケアユニットについては、74ページ、75ページを見てみますと、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の実績がないユニットが一部にあり、病院としても対応していない場合がある一方で、76ページにはこれらの実績が多い病院ほどいわゆる急性期の機能が高いということが分かります。したがいまして、脳卒中ケアユニットについては、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の実績に応じて評価を細分化することも考えられると思います。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員から1点御質問があったかと思います。急性搬送に関するシミュレーションについてですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長です。
14ページのシミュレーションについて、13ページの加算係数を低い、中、高とした場合にどのようなイメージになるのかという御質問でございました。
14ページを御覧いただきますと、濃い赤の救急搬送が多くて手術なし症例が多いというところの数字と一番左の全体平均というのを比べていただく場合に、現行においては25.9と28.3ということで2.4%の開きがございます。A・C項目を追加した状態でも27.0と29.4で2.4%の開きがございます。そして、加算係数を中とした場合の今回のシミュレーションでは、これが0.3%、差が0.3%まで縮まるということでございました。仮に加算係数を低いというほうにすると、2.4と0.3のちょうど真ん中ぐらい、1.3%の差になるものでございます。また、加算係数が高いとした場合には、0.3ではなくてさらに差が逆転して、逆の向きに0.8%の差が生じるということでございまして、数字だけ申し上げると、救急の加算をしなければ2.4の差であるところが低い加算だと1.3、そして、今お示しした0.3、さらに高いほうまで行くと逆転して0.8ということでございます。
○小塩会長
松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
はい。ありがとうございました。
○小塩会長
ほかはいかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
重症度、医療・看護必要度について、内科学会の提案に加えて、救急搬送受入件数を踏まえたシミュレーションを行っていただきました。これを見る限り、手術なし症例であったとしても救急搬送の受入件数が多い医療機関が一定評価できる形になっていると思います。あとは、このシミュレーションを踏まえまして、一定の係数や患者割合基準を具体的にどのように設定するかが重要であり、新たな地域医療構想における医療機関機能や病床機能の定義と整合が取れるよう、メリハリのついた評価ができる基準設定とすべきと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
まず18ページの論点、重症度、医療・看護必要度につきましては、今回示していただきましたシミュレーションや分布の変化を踏まえ、手術なし症例や救急搬送への対応を適切に評価していくことが必要と考えます。
続きまして、59ページの論点、DPC制度、78ページの論点、高度急性期入院医療につきましても、データや入院・外来分科会の意見なども踏まえまして、適切に見直すことが必要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
高町です。ありがとうございます。
臓器提供の院内コーディネーターに関して、配置するメリットについて触れられていますが、一方で、家族への説明が誘導的になってしまわないかという不安を感じます。臓器提供をコーディネートする際の公平性や透明性が担保されているか等についても検証を併せて進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、幾つか追加でコメントさせていただきます。
まず、入院期間Ⅱについて、平均在院日数を中央値に見直すということとか、医療機関別係数を新たに設定すること、あるいは誤嚥性肺炎などにおける複雑性の評価を見直すということで、これも大変大きな見直しになります。今日、実調でもあれだけの結果が出ておりますし、MCDBでもこれまで医療機関が倒れるかどうかの経営危機にあるということは誰もが分かっていることであり、そういった中でこれだけ大きな見直しあるいは変更を行うということは大変危険なことであると申し上げたいと思います。
したがいまして、先ほども申し上げましたが、1軒ごと、1医療機関ごとにしっかりシミュレーションしないと、地域の医療提供体制が下手をすると崩壊につながることになりかねませんので、その辺りは、まず今の医療経営の危機がベースにあって、その上でどこまで見直すのか、あるいは適正化をするのかというのは、しっかりそれを踏まえた上でないと、通常の改定の状況ではないということはまず前提として御理解いただきたいと思っています。
したがいまして、ICU、HCUにおきましても、特に現状何か問題があるかというと、そうではないと認識しておりますし、SOFAにつきましても、先ほど申し上げましたように、現代の医療現場を適切に評価していないということで30年ぶりに見直しがなされたところで、今、まずそういったところに対して手を入れる状況ではないと申し上げたいと思います。
したがいまして、まずは診療報酬改定によって医療機関が倒れてしまうことは決してあってはならないことでありますので、そういった状況も踏まえながら、丁寧に精緻なシミュレーションを行った上で慎重に慎重に検討していただきたい事項だと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
江澤先生からいろいろコメントいただきましたけれども、冒頭に申し上げましたが、今回は必ずしも要件の厳格化であるとか精緻化だけを主張しているわけではございませんので、今、新たな地域医療構想も進めていく中で、地域医療体制を構築するためにはどういった指標で見ていくかということの議論かと思っておりますので、基準値そのものがどうこうはもちろん経営につながることは十分承知しておりますけれども、やはりこちら側も変わっていかないと、医療の体制だけでなく、我々の保険財政のほうにも危機が迫っているということは十分御承知おきいただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
1点だけ。先ほど松本委員から指摘された集中治療室の動脈圧測定を外した場合をシミュレーションを行うことそのものはいいのだろうとは思うのですが、過去の改定で、ずっと集中治療室もそうなのですけれども、重症度、医療・看護必要度はほとんど処置だけになってきた経緯があります。集中治療のICUの現場は、当然、我々はICU管理が必要な患者を入れています。ICUに入れる必要もない人を過剰にぽんぽん入れるなんてことは現場はやっていないのです。そのため集中治療室の稼働率は、大きく下がったときもあれば上がったりという感じで動いているところがほとんどの病院だと思います。
現在の重症度で一番評価されていないのは、本当に不安定で危ない患者さんというのを見るための評価項目が今何もなくなってしまっているのです。先ほど内科系の重症度の話で、以前は心電図モニターだとか様々な病態の不安定さを把握していくための項目が重症度、医療・看護必要度には過去あったのですが、どんどん歴史的になくなっていきました。とにかく何かやっている、何か高度な処置をやっているということだけが必要度として評価されていく流れになってきています。特にICUは非常に不安定な患者さんをしっかりと見守って、何かあったらすぐ対応するという機能が非常に重要なのです。必ず何かをやっていないと集中治療にならないというようなものではないのです。先ほどの患者さんの安全に影響を及ぼす可能性があるという発言は、そういう視点からしておりますので、当然、今後議論は進んでいくわけですけれども、ぜひとも慎重に御検討いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
飯塚委員からお手が挙がっております。よろしくお願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
8ページで内科系の重症度、医療・看護必要度をこれらの声を考慮して調整しようという提案があって、私は少し懸念があるので質問、コメントさせていただきたいのですけれども、この提案は、今、太田委員からコメントがあったものと関係しますけれども、ある特定のインプットのありなし、あるいは行った診療行為で指標を作成するというもので、そういった行為が誘発される危険性というのはやはりあるのだろうという懸念を一つ持っています。
一方で、7ページの資料の左側の山、ピラミッドがありますけれども、診療の負荷というのがAからEのランクづけができるとされています。このように診療の負荷が区別できるのであれば、どの行為を行ったか、どういうインプットをしたかというよりは、どういった種類の診療を行ったかで指標を作成することもできるのではないかなと考えられますけれども、その場合、特定の診療行為の誘発が行われるということは少ないのかなと思いますけれども、そのような指標というのはやはり難しいのか、あるいは検討されたか、まずは事務局に質問をさせていただきたいというのが1点目。
それから、36ページの資料のほうですけれども、こちらは機能評価係数ということで見直しという議論ですけれども、3つ目に医療の質向上に向けた取組というものがありまして、これは今回赤枠はないので論点に挙がっていないようです。しかしながら、医療の質指標に関しては、現状、この項目は3つにとどまっていると私は理解しています。利用者から見ますと、病院の質、医療の質というのは非常に把握しにくいということで、3つの指標で何が分かるかというのが率直な感想です。今回の改定も含めて、今後、着実にこういった質の指標の公表を拡大していくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま飯塚委員から御質問と御意見がありますけれども、前半のA・C項目への追加について、事務局から回答していただくようなことはございますでしょうか。
○林医療課長
医療課長でございます。
御質問の趣旨が正確に理解できているかどうか確認させていただきたいのですけれども、診療の負荷とおっしゃったときに、疾患名による分類ができるかとおっしゃったのか、診療の行為による分類ができるかとおっしゃったのか、音が一瞬飛んだ気がいたしまして、趣旨をもう一度教えていただけないでしょうか。すみません。
○小塩会長
飯塚委員、お願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
7ページの資料で、内保連のほうで基本的にはピラミッドの上に行くほど診療の負荷が上がって、そこの中には今回抽出された行為が入っているということになっているので、そもそも診療の負荷が上がるということに合意があるのであれば、また、そういうふうな診療が特定できるのであれば、そういった診療をやったことによって指標をつくるという考え方もできるのではないかという質問なります。
○林医療課長
分かりました。
診療の負荷ということでございますけれども、この分類の中でもいろいろな切り口があると思います。病名という切り口もあると思いますし、診療行為という切り口もあると思います。病名に関しては、以前そういった検討がなされて、ここの表の中に特定内科診療というのがありますけれども、そういった切り口でどういったことができるかということを検討して一部取り込んでいるということはございます。ただ、同じ病名であっても、例えばCランクのところに肺炎と書いてありますけれども、肺炎といっても非常に重いものから軽いものまであるというようなことであったり、病名に頼ると異なる病名をつけるということを誘発するのではないかとか、いろいろな懸念もあるということだと思いますので、一概に病名だけでこのA、B、C、Dという分類するのに限界もあるということかと思います。
あと、診療の負荷ということに関して、検査を用いる場合と注射や手術などを用いる場合、これまでも紆余曲折を経ているのがこの医療・看護必要度だと思っておりまして、あまりにも誘発されるようなものが多いものについてはこれまで淘汰され、比較的誘発が起こりにくいものが残っているというような経緯をたどっていると認識してございます。
○小塩会長
飯塚委員、よろしいでしょうか。
○飯塚委員
ありがとうございます。経緯等を理解しました。
一つは、もし今回改定で医薬品の注射薬だとか行為を追加して評価をするということになった場合に、当然ですけれども、そういった行為がどういうふうに今回改定を踏まえて変化したかというのはつぶさに把握する必要があるというのがまず一点で、それはお考えかと思いますが、お願いしたいと。
また、やはりこういったインプットで指標をつくるということは非常に危険性が高いので、先ほどちょっと申し上げたように、医療の質あるいはアウトカムというものをしっかり把握して公表するということを同時に着実に進めていくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
さっき、医療の質向上に向けた取組のところで公表する事業がこれだけでいいのかという御質問がございましたけれども、私もちょっと前に公表事業の9指標の機能評価機構の委員をやっておりますけれども、会議で問題になったのは、データがどこまで医療の広告規制に引っかかるか。広告で言ってはいけないことがたくさん決められておりまして、何とか一とか、随一とか、そういうのは全然使っては駄目なので、だから、本当に実績指数をどこまで公表するかというのは医療の広告規制等を含めて考えないといけないですので、診療報酬だけで考えられないところがあると思いますので、その辺は法改正なども含めて考えていただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいですか。
ほかには特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとさせていただきます。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「個別事項について(その9)データ提出加算」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長でございます。
総-3「データ提出加算について」でございます。
資料3ページ、診療実績データの提出に係る診療報酬上の現行の評価をお示ししております。入院、外来、在宅、リハビリテーションそれぞれにつきましてデータ提出加算というものを設けておりまして、一部の診療報酬において提出を要件としているといったものもございます。
4ページがデータ提出の加算の届出を要件とする入院料でございますけれども、これまでこのように拡大されてきておりまして、かなり増えてきているということでございます。
5ページ、精神病棟入院基本料における届出状況についてでございます。赤で囲んでいる精神病棟入院基本料の15対1から20対1についてはデータ提出加算の要件となっていないところでございますけれども、他の病棟を併設している病院においては要件となっているといったことによりまして、一定の割合でデータ提出加算の届出が行われているということでございます。
それから、6ページがデータ提出加算の経過措置についてでございますけれども、電子カルテが未導入であるといった正当な理由がある場合には、一定の条件の下、当面の間の経過措置を講じておりまして、そうしたこともあって、要件となっている病棟においても、右側の赤い部分に書いてあるとおりでございますけれども、1割か2割程度の病棟においてデータ提出加算の届出がなされていないような病棟種別があるということになります。
続いて、8ページから提出を求めるデータについてでございますけれども、簡素化の必要性があるものとして、医療機関のお声の多いものとしてDPCデータの様式1というのがございます。
9ページ、様式1に関しましては、これまでからデータの収集項目の改廃が行われてきておりますが、様式1としてデータを収集すべきもの、また、することが妥当ではないと考えられるものなどを見直していく必要があると考えてございます。
10ページにつきましては、事務局で検討して、今回、既存の調査項目の中で削除しても差し支えないのではないかと思うものを挙げさせていただいたところです。
また、11ページにおきましては、一部の項目について修正や新たな測定が必要ではないかと考えて挙げさせていただいているものでございます。
12ページは様式1の作成や提出のスケジュールについてでございますけれども、例えば療養病棟のように平均在院日数が非常に長い病棟においては、退院や転棟時に様式1を提出するということでございますと、非常に長い先まで何年も作成されないような患者さんもいらっしゃるということでございまして、入院中であっても入院期間が長くなりそうな場合には一定の時期に様式1を提出していただくというような方法もあるのではないかということを御提案させていただくものでございます。
14ページ、論点です。データ提出加算の届出を要件とする入院料につきまして、新たに精神病棟入院基本料の15対1、18対1、20対1についてデータ提出加算の届出入院料の届出の要件とすることについてどう考えるか。
また、この経過措置についてでございますけれども、電子カルテの普及状況等の検証も行い、終了時期について検討していくこととしてはどうか。
提出を求めるデータにつきまして、様式1の見直しを含め、提出を求めるデータ等を見直すことについてどのように考えるか。
以上の論点をまとめさせていただきました。御審議をお願い申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
まず、1つ目の論点のデータ提出加算を要件とする入院料につきましては、論点にあるとおり、経過措置については継続しつつ、拡大していく方向性は否定するものではありません。ただし、5ページを見ましても、精神病棟入院基本料の15対1から20対1は現状データ提出加算の届出状況がかなり低くなっております。この背景として、電子カルテの導入がなされていないこと、また、データ提出に対応できるスタッフなどのマンパワーが十分でないことなども影響していると思われますので、次の論点にございますように、電子カルテを導入していない医療機関が電子カルテを導入するまでの期間は経過措置を継続すべきであること、また、提出データの簡素化を図るなどして現場の負担軽減を行うことも併せて実施すべきと考えております。
2つ目の論点の提出を求めるデータにつきまして、医療機関の負担軽減や必要なデータに絞って調査するという方向性に異論はございません。もっとも、11ページに示されている新設が検討されている主な項目はあくまでも例であり、実際には医療機関の負担を踏まえて、必要性を吟味した上で実施可能なものから導入していくべきと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
最後の論点の電子カルテが普及すると人がデータを入力するのがやめられるのかという論点なのですが、普及しただけではやめられないというのが現状でございまして、今、恐らくいろいろな検討ができているのは、電子レセになって、ちゃんとレセ電コードが書かれて、構造化されたデータとして出しているのです。今、様式1は自動的にそれが取れないとなると、電子カルテの中のその項目の標準様式というものを全て決めていかなければいけない。それが終わって初めて手間なくデータ提出が電子カルテから取れるということですので、電子カルテが普及しただけでも、恐らく今、かなりばらばらなデータベースを使いながらやっていますので、全国の電子カルテの項目が標準化される、これがやはり最終的にやめられる条件で、電子カルテだけではやめられる条件にならないということだけ分かっていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
14ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず1点目の精神病棟について、提出データを活用して診療報酬を精緻に設計するなど、この加算は政策判断にとって重要ですので、届出を要件化することには賛成するものでございます。
2点目の電子カルテの関係につきましては、当面経過措置を継続することはやむを得ないですけれども、来年夏頃に電子カルテの普及計画が厚生労働省から示されると聞いておりますので、現段階で2030年まで経過措置を継続するということに合意したものではないということは改めて指摘いたします。
3点目の提出を求めるデータについては、事務局案には異論はございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
データベース加算につきましては、医療の質の向上のためにもデータの活用は重要ですので、提出の向上に向けて精神病棟入院基本料について届出を要件とすることが必要と考えます。
ただし、電子カルテ導入に関する経過措置につきましては、あくまでも経過措置でありますので、終了する時期を決めてきちんと対応することが必要と考えます。
また、提出を求めるデータにつきましては、必要な項目は残すことを前提に、適切に見直すことに異論はございません。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかには特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
本日の総会での議論は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
それでは、ただいまより、第630回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、鈴木委員、田島専門委員が御欠席です。
それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りは、この辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「調査実施小委員会からの報告について」を議題といたします。
まず、調査実施小委員会の本田小委員長より御報告をお願いいたします。
○本田小委員長
ありがとうございます。調査実施小委員長の本田です。
第25回医療経済実態調査につきまして、先ほど開催されました調査実施小委員会で議論をいたしましたので、その結果を報告いたします。
この調査は、病院や診療所などにおける医業経営などの実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として実施したものです。医療機関などの調査については、令和5年度、令和6年度の2事業年度の状況を、保険者調査については令和5年度、令和6年度の事業報告などの状況をそれぞれ調査しています。
日々の診療などで多忙を極めておられる状況の中、調査に御協力いただいた医療機関、保険薬局、保険者の皆様、関係者各位の皆様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
それでは、具体的な内容につきまして、事務局からお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
それでは、まず第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)につきまして、総-1-1を基に御説明をさせていただきたいと思います。
まず総-1-1でございますけれども、調査の概要を記載してございまして、先ほど調査実施小委のほうでも御報告いたしましたので、非常にかいつまんで御報告させていただきたいと思いますが、今回の調査は例年と同様に抽出調査ということでやっておりまして、有効回答率が50%を上回り、多くの医療機関等に御協力をいただいたということでございます。
それでは、総-1-2を基に御説明をさせていただきたいと思いますが、総-1-2を投影していただけますでしょうか。
資料をめくっていただきまして、右下のスライド番号1番を御覧いただきますと、年度別の損益率の状況①(病院)ということで表示されてございます。損益率というのが医業利益率に相当するもの、それから、総損益率が隅括弧で表示されておりますけれども、こちらが概ね経常利益率に相当するものということで病院のほうは表示をしてございます。
次のページを御覧いただきますと、診療所でございまして、こちらのほうは損益率ということで概ね経常利益率に相当するものが表示されているということでございます。また、個人につきましては、下の注記にございますけれども、損益差額の計算上、開設者(院長等)の報酬に相当する部分が費用に計上されていないといった状況から、医療法人よりも損益率が数字上高く表れているといったことがございます。
次のページを見ていただきますと、歯科診療所、保険薬局についての損益率が表示されてございます。
以下4ページ以降、保険薬局につきまして、例えば店舗数ですとか調剤基本料別、立地別といったものを表示しているということになっております。
右下の8ページ以降が実調の非常に分厚い報告書の中から各施設ごとの損益率の平均、中央値といったものを見ながらヒストグラムで分析をしているということになっております。
右下14ページを見ていただきますと、各収益・費用項目の構成比率と伸び率といったものにつきまして、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局ごとに表示しております。
19ページ以降、給与に関する項目ということで記載しておりまして、21ページにはその分布、病院長または院長、それから、医師の給与の分布を表示しております。
最後、22ページ、23ページが年度別の資産・負債の状況となっております。
総-1-3のほうを見ていただきますと、こちらは次のページを見ていただきますと、切り口ということで前回MCDBで切ったような切り口で病院のほうを医療経済実態調査でもやってみたということであります。
先ほど実施小委のほうで飯塚委員から主要な結果の比較、MCDBと医療経済実態調査の関係の比較ということも御要望としてありましたので、そういったことは今後分析といったものをどういうふうにできるかやってみたいと思っております。
まず医療機関等調査についての説明は以上でございます。
○宮崎数理企画官
続きまして、保険者調査でございます。こちらもポイントのみに絞って御説明させていただければと思います。
資料は総-1-4を御覧ください。
こちらは保険者調査の結果でございまして、2ページ、3ページが決算状況でございます。
資料2ページ、6年度の決算状況の速報を御覧ください。
左側、表の真ん中あたりに経常収支差というところがございます。こちらを見ていただきますと、協会けんぽが6,489億円黒字、組合健保も黒字となっておりまして、右のほうに行っていただきますと、市町村国保、こちらも1,311億円で黒字という形になっております。
保険給付費及び後期高齢者支援金につきまして、協会けんぽ、組合健保ともに支出が増加している状況でございますが、保険料収入がいずれも増加しているということで、前年度と比較して収支が改善しているというところでございます。
なお、前期高齢者納付金につきましては3分の1の報酬調整が導入されておりますので、協会けんぽで減少、組合健保で増加になっております。
市町村国保につきましては、収入、支出ともに加入者数の大幅減、毎年4%程度減というところを受けまして、収入、支出はいずれも減っておりますが、結果として黒字になっているといったところでございます。
続きまして、資料の3ページ、4ページが適用状況及び給付状況を示したものでございます。
こちらは資料4ページを御覧いただければと思います。
6年度の速報となっております。協会けんぽの被保険者数が2,573万人で前年度プラス2.0%、組合健保が1,689万人で前年度プラス1.3%ということで、被用者化が進んでいる面もありまして、こちらはプラスになっているという状況でございます。
一方で、先ほど少し言及したとおり、市町村国保の被保険者数は2,204万人とありますが、こちらは前年度比でマイナス4.6%といった形になっております。
続きまして、5ページは組合健保につきまして各保険者の保険料率と収支比率の関係を見たものでございます。右の上の図1を御覧いただきますと、保険料率が高い保険者ほど収支比率が低い、すなわち収入に対する支出の割合が低くなる傾向があるということが分かります。
続きまして、6ページでございますが、こちらは組合健保の各保険者の保険料率と財産比率の関係を見たものでございます。右上の図3を見ていただきますと、保険料率が高い保険者ほど財産比率が低い、すなわち支出に対する財産割合が低くなるといった傾向があることが分かります。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ちょっとだけ、資料1-2の8ページに全体の病院のグラフというか分布図が出ていますが、1ページを見ていただくと、これは設立母体別にかなり違っていまして、かつ国立、公立、公的は中央値のほうが悪い。医療法人立は中央値よりも平均値が悪いということで、恐らくこの2つはグラフの分布がかなり違うと思うのです。平均値と中央値がひっくり返るというのは、グラフの頻度別の分布が違うので、これを2つ一緒に出されると実態がよく分からないと思いますから、本体にはあるのかもしれませんけれども、やはりグラフの種類の違うもの、設立母体別に分けたものをまた提示していただいて、分析に使わせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○小塩会長
中央値と平均値の扱いについて、お願いします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
分厚い資料の方ですけれども、今、御指摘の国立とかそういったところについては表のほうにもありません。表示の仕方などは改めて一回検討させていただきます。今すぐには手元に資料とかで出ているわけではありませんので、やり方を検討させていただきたいと思います。
○小塩会長
小阪委員、よろしいでしょうか。
○小阪委員
よろしくお願いします。恐らく山の形が右山なのか左山なのかで頻度が変わるので、それが一緒になって1つというのは気になりますので、よろしくお願いします。
○小塩会長
ほかに御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特にほかには御質問等はないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、報告のあった件につきましては、中医協として承認し、今後、医療経済実態調査を踏まえながら議論を進めていくことにしたいと思います。
なお、診療報酬の改定率そのものにつきましては、予算編成過程を通じて内閣が実数決定するものとなっておりますが、中医協においても今回説明がございました医療経済実態調査等を踏まえて、改定率について議論を進めていき、その結果を厚生労働大臣に意見として進言することは可能ですし、そうしたいと思います。
これまでの改定の例ですと、今後、この実態調査の結果を踏まえて、1号側委員全体としての御意見、2号側委員全体としての御意見をそれぞれまとめていただいて、さらにその後、両者から次期改定に対する御意見を提出していただいて議論を行っておりますので、今回もそのようにしたいと思います。スケジュール等につきましては事務局とも相談しながら対応を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、「入院について(その7)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「入院(その7)」の資料をお願いいたします。
2ページが目次となっておりまして、急性期入院医療、高度急性期入院医療、いずれもその2となってございまして、これまで御議論いただいた論点についてさらに詳しく御議論いただくためのものでございます。
まず、4ページから急性期入院医療でございまして、5ページ、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度、現在評価されているA項目、B項目、C項目を掲載しております。
6ページには、その項目を用いて各病棟が満たすべき基準となる数値をお示ししております。これまでの議論の中で、こうしたもの、特にC項目にあるような手術に関する評価は重くなされるけれども、手術のない症例についての評価がどうしても重くなりにくいというような御指摘等をいただいてきたところだと理解しております。
7ページがこうしたことに関連して内科学会からいただいている案として、内科系疾病に関連したA・C項目への追加案をいただいております。
8ページに追加の候補のリストというのもいただいております。
また、9ページは10月8日にこの件について御議論いただいたときの資料でございますけれども、重症度、医療・看護必要度において、救急搬送患者に関する評価を高めるために考えられる方法として、1つ目の救急搬送の受入れによる入院後の該当日数を増やすという方法のほか、2つ目の救急搬送の受入れを指数化して該当患者割合に合算するというような方法もあるということ。また、この場合には入院しない場合値までの日数が短い場合についても評価対象に含めることができるため、入院延長へのインセンティブが生まれにくいのではないかといったことを資料として提示させてだきました。
10ページがその際の皆様方の御意見を抜粋しておりますけれども、こうした内容を踏まえてシミュレーションを行うようにということで御意見をいただいていたところでございます。そこで、今回事務局としてシミュレーションを行った内容を御説明させていただきます。
11ページが救急搬送受入件数を活用したシミュレーションの大まかな方法でございます。現在の該当患者割合に、まず内保連の提案する候補に沿ってA・C項目を追加し、さらに病床数当たりの年間救急搬送件数に一定の係数を掛けたものを該当患者割合に加算をするという方法でシミュレーションをさせていただいております。一定の係数につきましては定まった値があらかじめあるわけではございませんので、幾つかの値を入れてみて、それについて御報告をさせていただくものでございます。
12ページが係数として0.05というのを入れた場合のシミュレーションでございますけれども、現行の分布、そして、A・C項目の追加と救急に関する件数の係数を掛けて加算したものの比較をお示ししております。
グラフは棒グラフとなっておりますけれども、薄い青色でお示ししているのが救急搬送件数の病床当たりで中央値よりも少ない病院でございまして、濃い青色となっているのが中央値よりも多い病院ということでございます。濃い青で表示されている病院のほうが分布がより右に大きく動いているということが分かります。
13ページは、先ほどの係数を0.05の半分と1.5倍ということで3段階に分けて同じ推計をしたものでございまして、このグラフの右に動く度合いがそれぞれによって異なっているということになります。
14ページは、さらに病床数当たりの救急搬送の多い少ないだけではなくて、手術なし症例が多いか少ないかということを含めて4つに分割して、その平均値を見たものとなってございます。例えば手術なし症例が多いかつ救急搬送の多い病院でありますと、実線の青い丸で囲っておりますけれども、現行では25.9%というのが該当割合の平均値となるところ、今回のシミュレーションでは35.1%と9.2%上昇したということでございます。
もともと、現行ですと手術なし症例が多い病院にとっては救急搬送が少なくても多くても看護必要度の平均値にあまり大きな差はなかったところでございますけれども、今回のシミュレーションの前提に基づけば、A・C項目を追加し、また、救急件数の加算分を追加すると、今の手術なし症例が多く救急搬送件数の多い病院において全体の平均ぐらいまで看護必要度の平均値が上がってくるということになります。
15ページは、今の平均値でお示ししたシミュレーションを棒グラフでお示ししたものでございまして、こちらを御覧いただくと分布がより鮮明にお分かりいただけるのではないかと思います。現行ですと、手術のない症例が多い病院で救急が少ないところと救急が多いところはどちらかというと分布の左のほうにありましたけれども、この加算を行った後のシミュレーションによれば、手術のない症例が多く救急が多い病棟においては分布の左のほうではなくて真ん中ぐらいまで上昇しているということでございます。
16ページは、入院料の異なる病棟が併設されている場合の今回のシミュレーションにおける取扱いをお示ししております。入院しなかった場合も含めて救急搬送を係数に反映するためには、同一医療機関内に複数種類の病棟がある場合に、救急搬送件数をそれぞれの病棟に配分して計算をする必要がございます。今回のシミュレーションにおきましては、救急搬送のうち、入院した件数は入院した病棟への加算に反映させています。また、入院せずに外来のみで帰宅した件数については、救急搬送からのそれぞれの病棟への入院件数を用いて案分し、各病棟への加算に反映させております。
16ページの下の段にございますけれども、1,000件の救急搬送件数があり、その病院において540件が急性期一般病棟に入院し、地域包括ケア病棟に60件が入院したという場合でございますけれども、入院件数の9割と1割がそれぞれの病棟に入っているということでございます。計算の過程を省きました結果としては、1,000件の9割を急性期一般病棟に、そして、1,000件の1割を地域包括ケア病棟に計上するというような形で按分されていることになります。
17ページでございますが、地域包括医療病棟についても同じ方法でシミュレーションを行ってございます。こちらのほうも病床数当たりの救急搬送数が多く、また、手術なし症例が多い病院において、現行の医療・看護必要度は比較的低い値となってございますけれども、ここにおいてシミュレーションの結果としては最も医療・看護必要度の値が上がるということでございます。
18ページはここまでの論点でございまして、急性期一般入院料や地域包括医療病棟入院料の重症度、医療・看護必要度では、救急搬送受入件数が多くとも手術なし症例が多い病院では基準を満たしにくい病院がある一方、内科系疾病に関連したA・C項目の追加と救急搬送受入件数に応じた加算を行うことで、手術なし症例や救急搬送への対応の評価が適切に反映され得ることを踏まえ、これらの入院料に係る重症度、医療・看護必要度への加算を行うことについてどのように考えるかとさせていただいております。
19ページからはDPC制度についてでございます。
論点としては、まず25ページ、医療機関群についてということでございます。現在のDPC制度においては、基礎係数を定めるための医療機関群として大学病院本院群とDPC特定病院群、DPC標準病院群を置いております。
26ページにその理由を書いてございますけれども、医療機関群ごとの様々な診療の特性を反映するという目的で、このような3つの群を置かせていただいているということでございます。
27ページが現行の包括点数と包括範囲出来高点数の比ということでございまして、基礎係数の設定の基になるような値が載っていると御理解いただければと思います。
オレンジ色の大学病院本院群、青色のDPC特定病院群においては、現在においても医療機関群として設定されている群でございますけれども、それ以外の緑とグレーのところについては現行においては1つの群として設定されているところでございます。これを救急搬送1,200件以上と救急搬送1,200件未満の病院に分けて分類して分析をした場合に、このような差が生じているということが分かります。
続いて、28ページからが医療機関別係数、とりわけ29ページの複雑性指数について資料をお示ししております。
30ページが現行の複雑性指数の分類でございまして、医療機関群別にこのような数字を取っているということでございます。
31ページが今回提起する課題についてお示ししているものでございます。
現行の複雑性指数は、1入院当たりの包括範囲出来高点数が高い診断群分類の患者数が多い場合に高い評価がなされる仕組みとなってございます。そのため、1日当たりの包括範囲出来高点数が全DPCの平均未満であるが、平均在院日数が長いことにより、複雑性係数により高く評価される診断分類が存在しているということでございます。
例をお示ししておりますが、誤嚥性肺炎のように1日当たりの医療資源投入量が多くない、包括範囲出来高点数が多くない病気であっても、平均在院日数が長いような病気においては1人当たりの出来高点数は高くなる傾向がございまして、こういう病気をたくさん診ておられる医療機関において複雑性指数が高くなるというような傾向が生じているということでございます。特に誤嚥性肺炎の患者の割合が非常に高い病院などにおいて、複雑性指数が特別に高くなるというような現象も生じていると承知しております。
32ページがこの複雑性指数などの係数の設定に至った経緯の資料を幾つか出させていただいておりますけれども、まずDPCにおいては急性期を評価するというような性格、そして、急性期はどういうものかという議論が行われたかということが32ページでございます。
そして、33ページ、新たな機能評価係数を検討する際には、急性期を反映した係数を前提としようということで設定された経緯、そして、34ページ、幾つか指数について、こうした視点で評価をされているという経緯をお示ししております。
続いて、35ページでございますが、地域医療指数についての論点でございます。
36ページ、臓器提供についても、今、ここに示しているようなポイントで評価をしているところでございますが、37ページ、38ページ、以前に御議論いただいたように認定ドナーコーディネーターの配置に関する評価といったものが考えられるのではないかということでございます。
また、39ページのグラフは1日当たりの入院の最大数に対する日ごとの入院数の割合の変動係数ということで、入院患者数が日ごとにどれぐらい変化するかということをお示ししているものでございます。縦軸が入院数の最大値に対する割合でございますので、縦軸の上のほうの病院というのは稼働率が高い病院ということになりますし、このグラフを見ていただくと、左上から右下のほうに向かって点が伸びておりますので、稼働率の高い病院においては、入院患者数の変動係数が低い。入院患者数が日ごとにあまり変わらない。稼働率が低い病院においては患者数の変化が日ごとに大きいということでございます。
40ページでございますけれども、入院患者数のばらつきが極度に低い病院と一般的な平均的な病院において入院患者数の推移がどのように異なっているかということをお示しさせていただいております。救急応需などを地域の事情に応じて行った場合にどの程度の入院患者数の変動が起こる状態が標準的かというようなことを踏まえて、こうした分析を行っていく必要があると考えてございます。
それから、41ページからは定量評価指数についてでございます。
42ページ、DPC標準病院群における地域シェアというものでございますが、こういったものが地域医療指数の定量評価係数の中で反映され得る元になっているデータでございます。救急搬送件数が多い病院において高くなっておりますけれども、右側の救急搬送件数の少ない病院においてもそうした地域シェアの分布がこのようになっているということでございます。
43ページは、これを領域別に分けて見た場合と全診断群分類での地域シェアを見た場合というのを散布図にさせていただいております。横軸が全診断群分類での地域シェア、縦軸が領域別の地域シェアでございますので、安全診断群分類での地域シェアが低くても特定の領域だけ見れば地域シェアが高いというような病院については左上のほう、黄色い丸で囲っているようなところに点が来るという形になってございます。こうした病院の評価の在り方について御検討いただくために、このような資料を用意させていただいております。
続いて、点数設定方式についてでございます。45ページからが点数設定方式における入院期間Ⅱについてということでございます。現行の方法では入院期間Ⅱというのが平均在院日数により定義されておりまして、この日を境に包括点数表の点数が変わってくるということになってございます。
46ページが平均在院日数と在院日数の中央値の関係でございまして、診断群分類ごとに見ると、大半の分類で中央値のほうが短いとなってございます。
47ページは、診断群分類の例として退院日数がこのように分布しているというものでございますけれども、この診断群分類ですと入院期間Ⅰや入院期間Ⅱの日に退院されている患者さんが多いということが分かりますし、また、分布としては右に尾を引いていて、中央値のほうが入院期間Ⅱの平均値よりも左にあるであろうということもこの分布からお分かりいただけるかと思います。
48ページはDPC対象病院におけるクリニカルパスの導入状況で、採用している病院も多くございまして、入院期間の設定に際して主として参照しているものとして診断群分類点数表上の入院期間Ⅱの平均在院日数のところを参照しているという病院が多くなってございます。
49ページは、平均在院日数と中央値がどれぐらい違うかということを縦軸に置いて、入院日数のばらつきを横軸に置いてその相関を見たものでございますけれども、診断群分類によっては平均値と中央値の差が比較的多くなっている分類もございますので、こうした点にも留意をする必要があるのではないかということでございます。
続いて、算定ルールについてでございます。
51ページがDPC制度における再転棟ルールということでございますが、7日以内にDPC算定対象となる病棟等に再入院した場合につきましては、同一傷病においては当該再入院は前回の入院と一連の入院とみなすというルールがございます。
52ページが再入院の頻度を退院後の日数別に見たものでございますけれども、7日までは抑制されていて、8日のところで入院するという方が比較的多くなっているということでございます。
それから、53ページ、持参薬の使用に関するルールでございますけれども、入院の契機となる傷病に対する持参薬の使用は、特別な理由がある場合を除き、認めないというようなルールとなってございます。
54ページ、持参薬が使用されるとどういう不都合が起こるかということを模式的にお示ししておりますけれども、持参薬を使用した場合には、そういった病院において診療報酬の支払いが二重に行われるというようなことになるということでございますし、一方で持参薬をしない病院にとっては入院中に本来支払われるべき報酬が支払われないというような結果になるということでございまして、ルールの明確化が必要だと考えてございます。
55ページにおいては、入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用割合ということで、0~5%というお答えの病院もありますけれども、比較的多い病院もあるということでございます。
ここまでの論点が59ページにございます。DPC制度に係る論点ということでございますけれども、基礎係数について、救急搬送件数等に基づいて評価を分けることについてどう考えるか。
それから、複雑性係数について、1入院当たりの包括範囲出来高点数による現行の評価から入院初期までの包括範囲出来高点数による評価へ移行することについてどのように考えるか。
それから、認定ドナーコーディネーターの配置を新たに体制評価指数により評価することについてどのように考えるか。
それから、1日当たり入院数の最大値に対する日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低い医療機関に対する体制評価指数による評価の在り方についてどのように考えるか。
それから、全診断群分類の地域シェアによる現行の評価、定量評価指数についてそのような評価から領域ごとの評価へ移行することや定量評価指数の重みづけを見直すことについてどのように考えるか。
入院期間Ⅱを平均在院日数から在院日数の中央値に移行することについてどのように考えるか。
また、算定ルールについても、資料に記載のような点を論点とさせていただいているところでございます。
続いて、60ページからが高度急性期入院医療についてでございます。
まず、ICU(特定集中治療室)用の重症度、医療・看護必要度でございます。
64ページ以前にお示しをしている表でございますけれども、現行の評価項目でないものにつきましても、試みに重症患者であるということが推察されるような幾つかの項目について、該当割合を入院・外来分科会調査のほうで測定するということを行っております。
仮にこの3つを加えた場合のシミュレーションも併せて行っておりまして、65ページが現行、そして、66ページがこの3つの項目を加えた場合ということでございまして、若干ではございますけれども、該当患者割合の分布が右に移動して、少し平均値が上がっているということになります。
それから、67ページが入室日のSOFAスコア基準の該当患者割合でございまして、特定集中治療室管理料1、2では高い傾向があるなど、御覧のような傾向となってございます。
68ページからがハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度についてでございます。
69ページ、こちらも同様に現行の評価項目でない幾つかの項目について試みに測定をいたしております。
70ページが現行の分布でございまして、仮にこれを加えた場合の分布を71ページにお示しをしております。
続いて、脳卒中ケアユニット入院医療管理料についてでございます。
74ページは以前にお示ししているものでございますけれども、超急性期脳卒中加算、すなわち脳卒中の血栓溶解を行われている患者さん、また、経皮的脳血栓回収術を行っている患者さん、こうした方の数の分布をお示ししているものでございまして、非常に多い医療機関もありますけれども、少ない医療機関もあるということが分かります。
75ページは、脳卒中ケアユニット入院医療管理料算定患者だけではなくて病院全体で見た場合ということで、もう少し多くなっておりますけれども、やはりばらつきはあるということでございます。
76ページは脳卒中ケアユニット入院料の算定患者における医療資源投入量などを先ほどの長期急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収率などの実施の件数に応じてどのような差があるかということを見たものでございまして、真ん中のDPC包括の場合の1症例1日当たりの医療資源投入においてもこのような差があるということが分かります。
78ページが論点でございます。特定集中治療室管理料につきまして、基準に該当する治療室割合のシミュレーション結果やSOFAスコアが一定基準である患者割合の現状を踏まえ、3つの項目を新たに基準へ追加することや、SOFAスコアが一定基準である患者割合要件の適切な水準についてどのように考えるか。
また、ハイケアユニット用入院医療管理料につきましても、同様に2つの項目を新たに基準に追加することや、要件割合の適切な水準についてどのように考えるか。
脳卒中ケアユニット入院医療管理料につきましては、超急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収述に関する病院の実績により、脳卒中ケアユニット入院医療管理料算定患者の医療資源投入量等に下がったことを踏まえ、その評価の在り方についてどのように考えるか。
以上を論点とさせていただいております。御審議をよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、まず18ページの重症度、医療・看護必要度の論点についてコメントいたします。
1つ目の○では、内科の評価に配慮した見直し案についてシミュレーションを示していただきましたが、幾つかの点でさらなる検討が必要であると考えております。まず、A・C項目の追加の影響について、14ページの急性期一般入院医療1の表では、救急搬送数や手術症例の多い少ないにかかわらず、いずれの項目においても平均値ではA・C項目の追加による影響がプラス1.1~プラス1.2%となっています。また、17ページの地域包括医療病棟の表においても同じくプラス0.5~0.7%となっており、これらの各項目に差が見られない状況になっています。したがいまして、今回のシミュレーションに用いた内科系項目では目的とする効果が得られていないと考えますので、再考をお願いしたいと要望いたします。
次に、11ページで説明されているシミュレーションの方法ですが、救急搬送件数には入院しなかった場合が含まれております。これは入院件数を増加させるインセンティブとならないようにするためと理解しておりますが、特定の病棟に入院している患者さんの重症度、医療・看護必要度を判定する際に、入院しなかった患者や軽症の救急患者を考慮することは基準の在り方として広く理解を得ることは難しいのではないかとも考えております。
また、12ページでは見直し案による1,110病院のシミュレーションが示されておりますが、現在、急性期一般入院料1を算定している全ての病棟を対象としてシミュレーションを行うことは不可欠であると要望いたします。現在の医療機関の危機的な状況を踏まえれば、今回はシミュレーション結果を踏まえてどの辺りをカットオフにするのかという議論をするような状況ではなく、基準を変更しても現在基準を満たしている全ての病院が新たな基準に該当することを確認するためにシミュレーションを行う必要があることは強く申し上げます。
なお、内科系に配慮した加算係数の設定が提案されておりますが、これは見方を変えれば相対的に外科系の医療機関の評価が下がるということにもなりますが、今回は適切に評価されていない内科系の疾患を見直すという観点から議論すべきであることは改めて申し上げます。
続きまして、59ページのDPC制度に係る論点についてコメントいたします。
まず、1つ目の論点の医療機関別係数についてでございます。最初の○では、救急搬送件数が年間1,200件未満の医療機関とそれ以上の医療機関で基礎係数を分けることが提案されておりますが、27ページのグラフを見ますと、グレーのドットで示された救急搬送件数が年間1,200件未満の標準病院群は包括出来高点数のばらつきが多くなっております。グリーンのドットで示されている1,200件以上の病院群と同程度の病院も数多くありますし、それ以上の病院も示されており、これだけのばらつきを無視してひとまとめに医療機関別係数を設定するのは無理があると考えております。
また、今回は救急搬送件数年間1,200件を基準としておりますが、救急搬送件数には地域差もありますし、全病床数の一部をDPC病床にしているケアミックス型の病院も数多く参加している中で、1,200件という基準が妥当と言えるのかどうか検証する必要があります。
さらに、年間1,200件未満の病院については、5つ目の○にあるように、地域医療係数によって評価する方向性が示されております。基本的には脳卒中、心血管、がん、周産期の単価専門病院を想定して評価する対応であり、賛同するものであります。一方で、ケアミックス型の1,200件未満の中小病院などは、包括内の出来高点数が高くても医療機関別係数が下がるだけになってしまうことも懸念されますので、医療機関別係数の見直しについては負の影響を受ける医療機関がないのか慎重に検討する必要があると考えております。
2つ目の○の複雑性指数につきましては、これまで課題とされていた誤嚥性肺炎など、平均在院日数が長いことにより高く評価される診断群分類への対応であると理解はいたしますが、現状、入院主病名のうち、誤嚥性肺炎の頻度は急性期病棟においてもトップランクに位置しており、誤嚥性肺炎の入院患者の多い医療機関に与える影響、また、今回の見直しによる他の診断群分類に与える影響につきましては詳細な確認が必要と考えております。
また、3つ目の○の認定ドナーコーディネーターの配置につきましては、事務局への質問となりますが、38ページを見ますと、ドナーコーディネーターの認定は来年の2月以降に開始されることになっておりますが、このスケジュールで令和8年度改定時において体制評価指数で評価することができるのでしょうか。こちらは質問となります。
続きまして、4つ目の○の病床稼働率が高い医療機関の体制評価指数の取扱いについては、地域の需要変動に柔軟に対応できる体制でないということで、体制評価指数を引き下げる方向が示唆されております。しかしながら、地域の実情や疾患によってはやむなく特定の病院に入院が集中することもありますし、そもそも入院の受入れを断らないということは地域医療の観点から重要なことであります。こうした状況の中で、単に高稼働率を維持していることだけでペナルティーを果たすような扱いは行うべきではなく、もう少し丁寧な検討が必要であると考えております。
2つ目の論点の点数設定方式につきましては、入院期間Ⅱを平均在院日数から中央値に変更するということですが、論点にあるとおり、標準化が一定程度進んだ診断群分類を吟味して選定すべきであり、入院期間Ⅱを著しく変更する場合は激変緩和措置を講じることは当然でありますが、49ページに変動係数ごとの入院期間Ⅱの変動率のグラフが示されておりますが、本件についても一医療機関ごとに及ぼす影響について詳細な検証をすべきであります。
3つ目の論点の算定ルールについてでございます。1つ目の○の再転棟ルールについては、52ページを見ますと、8日目以降の再転棟がかなりあることが示されておりますことから、現場への影響を考慮して、再転棟に至った臨床上の理由などを分析の上、検討していただきたいと考えております。
2つ目の○の持参薬ルールにつきましては、論点に示された方向には異論ありませんが、緊急入院の際の手持ちの薬や飲み余っている薬を患者さんが病院や医師の方針ではなくやむを得ず持参した際に入院中に使用する場合を認める現在の取扱いは維持すべきと考えております。
続きまして、78ページの高度急性期入院医療の論点についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の論点の特定集中治療室管理料についてでございます。蘇生術の成功、抗不整脈薬剤の使用、緊急ペーシングの3つを新たに基準に追加することにつきましては、66ページのシミュレーション結果を見ますと、該当患者割合などはほとんど変わりありません。したがいまして、項目を追加するとしても該当患者割合の水準は変更する必要はないと考えております。
また、67ページでは入室日におけるSOFAスコアの該当患者割合が示されておりますが、SOFAスコアは1996年に提唱されており、集中治療の技術や薬剤が進歩したことにより、現代の医療環境において適切に評価できないという課題もあったことから、このたび、約30年ぶりに改定され、SOFA-2スコアとして、先月の29日に公表されたばかりであります。したがいまして、資料のデータからも現状問題はないため、現行基準である10%を維持しつつ、今後、改定版への対応も検証していく状況にあり、さらには、データ入力ソフトの改修あるいはコスト負担についても検討しなければならず、次回改定におけるSOFAスコアの該当患者割合を議論するような状況ではないと認識しております。
続いて、2つ目のハイケアユニット入院医療管理料についてでございます。抗不整脈薬剤の使用、緊急ペーシングを新たに基準へ追加することにつきましては、先ほどの特定集中治療室管理料と同様に、71ページのシミュレーション結果を拝見しますと、該当患者割合などはほとんど変わりませんので、項目を追加するとしても該当患者割合の水準を変更する必要はないと考えますし、水準を見直すのであれば実態把握を行うべきと考えております。
最後の3つ目の論点の脳卒中ケアユニット入院医療管理料につきましては、超急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収術に関する実績について病院間で大きな差があることが指摘されております。前回議論しました際には、実績が少ない医療機関においてどのような医療が提供されているのかもう少し詳しく見た上で検討する必要があると主張させていただいたところでございます。74ページや75ページの資料においても、実施件数がゼロの医療機関はごく少数であり、まずはこれらの医療機関におけるSCUの活用状況について個別に確認してはどうかと考えております。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員から1点御質問がございました。59ページ、認定ドナーコーディネーターについてですけれども、事務局、回答していただけますでしょうか。
○林医療課長
御質問でございますけれども、38ページの認定ドナーコーディネーターはこれから養成するということで、令和8年度にこの評価が実際の係数に反映するのかということでございますけれども、おっしゃるとおりでございまして、どうしてもラグが生じます。令和7年度の後半に実績を満たしたものについて、直ちに令和8年度、最初から係数に反映するのは難しいかも分かりませんけれども、毎年係数を見直していくということが可能でございますので、2年ごとの改定ということであると、次の年度からは反映される可能性があると考えています。
○江澤委員
了解いたしました。実態を踏まえて対応していただければと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
次に太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
私からも幾つかの論点に関しましてコメントさせていただきたいと思います。
まず18ページ、重症度、医療・看護必要度の論点でございます。今回、14ページに急性期一般病棟におけるシミュレーション上の変化、及び17ページにおいて地域包括医療病棟における変化が示されております。内科系入院の比率が多いと考えられる病床数当たりの救急搬送件数の受入れの多い病院がより必要度が改善していることが示されており、内科系への配慮という面では一定機能していると考えます。ですので、この見直しの方向自体に私は異論はございませんが、当然これだけの数字が動くということを想定しますと、いわゆる割合①、割合②の基準値も見直しが検討されることになるのではないかと思います。ただ、この見直しはその設定の仕方により非常に大きな影響が出てくると想定されますので、基準値をもしこのプランに沿って見直していくという際には、かなり詳細なシミュレーションを行う必要があるかと思います。
内科系への配慮というものに関しましては特に異論はございませんけれども、現行、多くの病院が置かれている状況を考えますと、できる限り大きな影響が出ないような形の制度変更を検討しなければいけない状況ではないかと思います。
続きましてDPCの論点、59ページに移らせていただきます。
まず初めに、医療機関別係数の論点でございます。この救急搬送件数1,200件により基礎係数を区分するというのが提案されているということだと思います。先ほど江澤委員からもありましたけれども、この救急の1,200件という数字そのものが適切なのかどうなのかというものに関して、これはもう少し詳細なシミュレーションが必要だろうと思います。病院ごとの1,200件というものがいいのか、病床数当たりの救急の台数のほうがいいのか、様々な医療資源投入量に変化を及ぼす要素というのはあるかと思います。このままこれで進めていくということではなく、もう少し詳細に、とにかく基礎係数というのは非常に病院にとって重いものでございますので、慎重に検討していくことが必要ではないかと思います。
2つ目の複雑系係数の問題に関してです。これも以前からDPCワーキングでは様々指摘されてきているところでございます。ですので、大きな方向性としては私自身異論はございませんが、もしこれをやるにしても、これに関しましてもどれぐらいの病院がどれぐらいの影響を受けるのかというものをしっかりとシミュレーションをしていただいて、その影響の大きさにある一定程度配慮しながら進めていく。慎重に進めていく必要があると思います。
続きまして、4つ目の事業変動の関係の論点でございます。これに関しましては、機能評価係数で評価すべきものなのかそのものについて、この論点の設定に唐突感がございます。現在の病院の置かれている経営状況では、極力病床稼働状況を高めて維持するしかない状況となっており、病院運営は現場で様々な取組をしております。日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低いということをもって評価を下げるというのであるならば、より必要性が分かるような形の資料を出していただく必要があるのではないかと思います。
その次の地域シェアに関して脳卒中等の一部の領域を評価するというものに関しましては、よりきめ細かく地域における病院の機能を評価することであり、特に異論はございません。
続きまして、算定ルールについての論点でございます。
1つ目の入院期間Ⅱの論点でございます。この見直しは、多分見直しの規模によっては病院の現場の運営に非常に大きな影響を及ぼすということが想定されます。今回示されておりますが、まずは標準化が一定程度進んだ診断群分類とは全体の診断群分類の何%ぐらいなのか、また、それぞれ入院期間Ⅱが短くなる程度というものがどの程度なのか、各病院への影響がどれぐらい出るのか、より詳細な資料を御提示いただきたいと思います。あまり大きな変化は現状では許容できる状況ではないということは再度申し添えさせていただきます。
再転棟ルールでございます。52ページの資料では、多くの病院で7日目の再転棟が多いように一見見えますが、当然7日前後でも一定の頻度で再転棟が行われているということが分かります。医療的な必要性により再転棟が必要な患者は必ず存在し、多くの病院は意図的に7日を狙って再転棟などは行っていないと私は考えます。一部の限定された病院の例が殊さら誇張されているのではないかと思います。今回提示された1年間のデータで前後と比較して7日は200件程度多いにすぎません。それをもって、全ての病院に影響が出るような制度変更を行う必要があるのか、慎重に検討すべきであると思います。また、もしこれを検討していくのであるならば、どのような病院または疾患で再転棟が多いかなど、より詳細なデータの分析が必要であると考えます。
持参薬ルールに関しまして、ルールの周知を行うことに関しては特に異論はございません。
続きまして、78ページの高度急性期入院医療の論点でございます。
特定集中治療室管理料に関してですが、項目の追加に関しましては特に異論はございません。ただ、先ほど江澤委員からもありましたが、その影響は非常に小さいものであり、基準値の変更というものは必要ないと考えます。
また、SOFAスコアのほうになりますが、集中治療室の運用は人的な配置も含め非常に大変であり、各病院は苦労しながら運用しているという実態があります。救急からの不安定な患者や入院中の急変患者、術後不安定の患者など、様々な患者が治療室を利用しており、SOFAにより点数で現行利用している患者が利用できなくなるような見直しは避けるべきであります。集中治療が必要な患者を入室させづらいような制度改正というものは、患者の医療上の安全を脅かす可能性もございます。SOFAの基準に関しましては現行から変更すべきではないと思います。
ハイケアユニット入院医療管理料の項目の追加及び基準値に関しても同様でございます。
脳卒中ケアユニット入院管理料に関してです。病院全体として超急性期脳卒中加算、経皮的脳血栓回収術の件数をある一定程度要件を設定するということはやむを得ないとも考えます。ですけれども、多くのSCUが現行どおり運用できるよう、その設定は非常に丁寧に行うべきであると考えます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
3つほどになります。
18ページのところでございますが、救急の外来を評価していただくということなのですが、新しい地域医療構想等におきまして、高齢者救急等を分担していかなければいけないという中で、診療報酬的にも下り搬送の評価が行われたわけです。ただ、これが病棟の重症度、医療・看護必要度に反映するなると、逆方向に軽症でもいいからこれを取っておけば病棟の重症度が上がるのだというようなトレンドが出てしまうと、これは明らかに地域医療構想に逆行するような軽症救急患者の取り合いみたいなことが起こる可能性がありますので、評価するとしても、そういうようなことが起こらないような設計をお願いしたいと思います。
次は59ページの論点で、3つ目の認定コーディネーターに関しまして、認定コーディネーターは脳死のときに働く人なのです。そうしたら、脳死が救命救急センターで年間何例あるかといったら、そんなにたくさんはないわけです。ですから、いるいないぐらいの評価ならいいのですけれども、専任、専従などというのをつけられますと、何もしない仕事の人を1人雇うということになりますので、これは非常にゆるい基準として評価していただければと思います。
次に算定ルールの2つ目の持参薬ルールでございますが、持参薬を使うか使わないか、保険上のお金の話からいうとさっきの図が正しいのですが、全てのマクロからいうと、あるものを使わないというのは非効率でございまして、薬剤がどんどん出ていくだけということになりますので、やはりこれは一定のルールが必要だと思います。さすがに予定入院が分かっているのに明らかに外来で出してそれを持ってこいというのは問題でありますが、緊急入院の場合、特に今、心不全、呼吸不全のような臓器不全の入院が増えております。そうすると、皆さんも図を見たことがあると思いますけれども、増悪と寛解を繰り返しながらADLが落ちていきますので、増悪はいつ起こるか分からないわけで、同じ薬を使いながら緊急入院してくるわけです。その患者さんの同じ薬を使うことを禁止して、また薬が出てくる。これは薬が重複するだけであまりいいことだとは思えないです。
それからもう一つ、これはいろいろなDPCの難しい問題と医療DXとも関わってくるのですが、3文書6情報で薬剤情報を出すわけですが、それがDPCの部分が入ってきた場合に、使ったか使わないかという情報がなければ重複に飲んでいるようなデータになったり、非常にせっかくの3文章6情報の薬剤情報が信用ならないものになりますので、そこに処方したものをどのように載せていくかということをちゃんと解決した上でやらないと、3文書6情報を進めようとしても、3文書6情報の薬剤は役に立ちませんよねと。DPCであれしていると二重に処方されている情報が出てきますねということでは困るので、そこは整理をしていただきたいと思います。
最後、ちょっとだけ気になるのは57ページのDPCのクリニカルパスのところなのですけれども、クリニカルパスの中で90%がつくっていて、60%が平均の期間Ⅱを基準に決めていると。これは書き方が病院が作為的にやっているように書かれているのは心外でして、各クリニカルパスの退院日を各病院で全て分析できたらいいのですけれども、そうでない場合、何かの基準が要るのです。今、入院期間Ⅱというものが基準として示されていて、中央値はこれまで示されていなかったわけですから、やはり平均のⅡを使わざるを得ない。基準としてあるもの、やはり示されたものが恐らくクリニカルパスの根拠になりますので、恐らく中央値にしても中央値を退院日にするというクリニカルパスができますので、その辺は御考慮いただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まずは、短期間に精緻なシミュレーションを実施いただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。
入院医療につきましては、急性期の医療資源を集約化・重点化することなど、これまで以上に病床機能や医療機関機能の分化や連携を進めて地域の医療提供体制を最適化すべきと考えておりますが、今回、要件の緩和あるいは厳格化ということではなく、患者の状態や医療資源の投入量、地域で果たしている役割を適切かつ公平に評価する指標について議論する場であると理解しております。したがいまして、各委員のほうから基準値の設定についてもいろいろコメントが出ておりますけれども、これについては改めて議論があるという前提で今回はコメントしたいと思っております。
まずは18ページの一般病棟用重症度、医療・看護必要度に関する論点でございますけれども、手術の有無や救急搬送と予定入院の違い等によって不公平感があり、あるべき病棟の役割が適切に評価されていないという指摘が今回の出発点であると理解をしております。一方、何らかの指標を見直した場合に、地域の医療ニーズや医療の在り方と離れたところで病院側が新しい指標に適合していくということも望ましい姿ではないと認識しております。
そうした視点で11ページあるいは16ページに示されたシミュレーションの考え方を見てみますと、8ページで紹介されている内科学会が提案するA・C項目の追加候補については、外来との関係も含めまして、より一層の精査は必要ですけれども、少なくともある程度手術なし症例を評価に追加することは理解ができるものでございます。
また、救急搬送について、搬送後の日数を延長するのではなく、外来を含めた病院全体の救急搬送の受入件数を対象病棟に按分し、一定の係数を掛けた値を加算することは、外来で対応できる救急患者は外来での治療にとどめることやケアミックスに対応できるということで、概念としては合理的ではないかと考えております。
その上で、12ページ下側のシミュレーション結果を見てみますと、濃い青で示されております救急搬送が多いほど該当割合が大きく上昇し、また、14ページへ目を移しますと、急性期一般入院料1のうち、濃い赤の救急搬送が多く、手術なし症例が多い病棟で該当患者割合が全体平均の35.4%と概ね同じである35.1%となり、その左の救急搬送は少ないけれども手術が多い病棟との差が現行に比べて縮小していること。また、そうした中でも一番右の救急搬送も手術も多い病棟の該当患者割合が最も高く、救急も手術も少ない病棟が最も低いということで、こうしたバランスが取れているという印象は受けております。
また、15ページのシミュレーション結果に目を移しても、概ね妥当な変化だと受け止めますけれども、逆に言いますと、救急搬送が多く手術が少ない病棟についてこれ以上に評価を加えますと、少し配慮し過ぎではないかという疑念も感じております。
これは事務局に質問でございますけれども、今回は加算係数は中を選ばれておりますけれども、例えば低である2.5%、あるいは高である7.5%にした場合に、このバランスがどのような形になるのか御説明いただければと思います。
次に、17ページに目を移しますと、地域包括医療病棟についても、ただいま申し上げました急性期入院料1と同様に概ね妥当な印象を受けておりますけれども、ほかの病棟についても改めてシミュレーションをお願いしたいと考えます。
続きまして、DPC制度について59ページの論点に沿ってコメントいたします。
医療機関別係数に関する論点の1つ目の標準病院群については、以前にも指摘しましたとおり、27ページに示されております救急搬送1,200件以上と未満に分けた場合に、包括範囲出来高点数が異なることを踏まえますと、やはり基礎係数は分けるべきだと考えます。
2点目の複雑性係数でございますけれども、31ページに例示されております誤嚥性肺炎をDPC病棟で対応することは必ずしも否定するものではございませんが、相対的に入院期間が長い症例を高く評価することは、短時間で集中的に急性期の治療を実施し、速やかに安定した状態に持っていく考え方に言わば逆行するものであり、入院から一定期間に限り評価するよう、取扱いを見直すべきだと思っております。
3点目の認定ドナーコーディネーターにつきましては、以前申し上げたとおり、配置の有無を体制評価指数に反映すべきと考えます。これによる影響については診療報酬とは別の枠組みになるかもしれませんが、ドナー側の意思が適切に移植につながっているのか、国としてのフォローアップをお願いしたいと思います。
次に4点目の患者数の変動についてですが、40ページの上のグラフを見てみますと、水色の線のDPC病院の平均が濃い青の線である地域全体の患者数とはほぼ重なっており、地域の需要変動に柔軟に対応していると考えることはできますけれども、一方で、赤い線で示されました変動係数が著しく小さい病院の場合、患者数の線がほぼというか常に地域全体より上に位置しているということが分かります。事務局のコメントでは需要変動への応答性に乏しい可能性があると表現されておりますけれども、私としては地域の医療ニーズよりも病床を埋めることを優先しているという印象さえ受けております。先ほど別の委員からも経営の観点で病床利用率に関する言及がございましたけれども、病床利用率を高めることは否定いたしませんが、急性期医療においては突発的な入院に対応できるようにしておくことも重要であり、地域医療係数にあります体制評価指数において考慮することが必要だと考えております。
ただし、機能評価係数Ⅱについては、34ページの具体的な方法に示されているとおり、相対評価ですので、一方の評価が下がればもう一方の評価が上がるということを意味いたします。今回の見直しにより、患者を選別してベッドコントロールしているところに言わば空床補償のようなものになることも望ましくありませんので、事務局においてはこの辺りのバランスを十分に考える形でお願いをしたいと思います。
次に、5点目の定量評価指数については、地域で果たしている役割をより適切に評価するということであれば、事務局の提案に異論はございません。
続きまして、点数設定方式についてですが、46ページに示されておりますように、ほとんどの診断群分類で半数の医療機関が平均在院日数より短い期間で退院している中で、47ページのように一部の診断群分類で1日当たり点数が下がる入院期間のⅠやⅡまで入院する患者が多いことや、48ページに示されているとおり、クリニカルパスで入院期間Ⅱを退院の目安にする傾向が見られることを踏まえますと、さらなる標準化を進めるためには入院期間Ⅱの基準を在院日数の中央値に見直すということには賛同するものでございます。
また、49ページに目を移しますと、激変緩和の必要性は一定の理解はいたしますが、見直しの影響がどの程度の場合に配慮するのか考え方を明確化していただき、将来的には中央値に統一することを目指すべきだと考えております。
次に、大きな論点の3つ目にございます算定ルールについてですが、52ページの再転棟に関するデータを見る限り、入院期間を通算する基準の7日を超えた8日目が最も多くなっており、自然な姿というよりも、この再転棟ルールを十分に意識し、影響していると言わざるを得ません。少なくとも同一傷病の場合は7日間を超えても一連の入院とすべきだと考えます。
また、持参薬の取扱いについては、患者の二重負担や保険者による二重給付を防止するためにも、入院での処方を徹底していただきたいと思います。資料55ページを見てみますと、相当数の医療機関で入院の契機となった傷病に対して持参薬を使用する患者が一定程度存在しております。これが患者への説明だけで十分なのか、今後も引き続き実態を把握すべきだと考えております。
続きまして、高度急性期入院治療についてですが、78ページの論点に沿ってコメントいたします。
まずICUについては、資料64ページを見ますと、救急救命入院料2を除きますと、動脈圧測定だけで63ページにあります該当患者割合の基準をクリアしており、また、65ページ、66ページのデータを見比べますと、先ほどほかの委員からもありましたけれども、蘇生術などの3項目を追加する影響はごくわずかとなっております。
また、資料62ページに戻っていただきまして、分科会の検討結果を見ますと、動脈圧測定について、中間ユニットがない医療機関において集中治療室で行うことがあるとの御意見が紹介されておりますけれども、そうしますと、動脈圧測定の評価を現行どおりとした場合、他の評価項目を設定する意義がほとんどないようにも思われます。事務局には少し手間となるかと思いますが、評価項目からの削除や重みづけを変えた場合にどうなるのか、改めてシミュレーションをお願いしたいと思います。
また、SOFAスコアについては、67ページを見る限り、要件化されていないICUの5、6でさえもほとんどの治療室がグラフの右側になり、現行のICU1、2で5点以上が1割以上、ICU3、4で3点以上が1割以上という基準では重症患者の受入実績が管理料に反映できていないと考えますので、評価区分に見合った妥当な基準に見直すべきだと考えます。
次に、ハイケアユニットについては、資料70ページ、71ページを見比べてみますと、新たに2項目を追加することで基準②で要件を満たすユニットが増加することを踏まえれば、仮にこの2項目を追加するのであれば、基準①の該当患者割合は少なくとも今回のシミュレーション結果で71ページの左の表に1.5割、2割、2.5割と書いてありますけれども、ここにある2.5割まで引き上げることが妥当であり、さらに高い基準に見直すことも検討する余地があると考えます。
最後に脳卒中ケアユニットについては、74ページ、75ページを見てみますと、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の実績がないユニットが一部にあり、病院としても対応していない場合がある一方で、76ページにはこれらの実績が多い病院ほどいわゆる急性期の機能が高いということが分かります。したがいまして、脳卒中ケアユニットについては、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の実績に応じて評価を細分化することも考えられると思います。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員から1点御質問があったかと思います。急性搬送に関するシミュレーションについてですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長です。
14ページのシミュレーションについて、13ページの加算係数を低い、中、高とした場合にどのようなイメージになるのかという御質問でございました。
14ページを御覧いただきますと、濃い赤の救急搬送が多くて手術なし症例が多いというところの数字と一番左の全体平均というのを比べていただく場合に、現行においては25.9と28.3ということで2.4%の開きがございます。A・C項目を追加した状態でも27.0と29.4で2.4%の開きがございます。そして、加算係数を中とした場合の今回のシミュレーションでは、これが0.3%、差が0.3%まで縮まるということでございました。仮に加算係数を低いというほうにすると、2.4と0.3のちょうど真ん中ぐらい、1.3%の差になるものでございます。また、加算係数が高いとした場合には、0.3ではなくてさらに差が逆転して、逆の向きに0.8%の差が生じるということでございまして、数字だけ申し上げると、救急の加算をしなければ2.4の差であるところが低い加算だと1.3、そして、今お示しした0.3、さらに高いほうまで行くと逆転して0.8ということでございます。
○小塩会長
松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
はい。ありがとうございました。
○小塩会長
ほかはいかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
重症度、医療・看護必要度について、内科学会の提案に加えて、救急搬送受入件数を踏まえたシミュレーションを行っていただきました。これを見る限り、手術なし症例であったとしても救急搬送の受入件数が多い医療機関が一定評価できる形になっていると思います。あとは、このシミュレーションを踏まえまして、一定の係数や患者割合基準を具体的にどのように設定するかが重要であり、新たな地域医療構想における医療機関機能や病床機能の定義と整合が取れるよう、メリハリのついた評価ができる基準設定とすべきと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
まず18ページの論点、重症度、医療・看護必要度につきましては、今回示していただきましたシミュレーションや分布の変化を踏まえ、手術なし症例や救急搬送への対応を適切に評価していくことが必要と考えます。
続きまして、59ページの論点、DPC制度、78ページの論点、高度急性期入院医療につきましても、データや入院・外来分科会の意見なども踏まえまして、適切に見直すことが必要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
高町です。ありがとうございます。
臓器提供の院内コーディネーターに関して、配置するメリットについて触れられていますが、一方で、家族への説明が誘導的になってしまわないかという不安を感じます。臓器提供をコーディネートする際の公平性や透明性が担保されているか等についても検証を併せて進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、幾つか追加でコメントさせていただきます。
まず、入院期間Ⅱについて、平均在院日数を中央値に見直すということとか、医療機関別係数を新たに設定すること、あるいは誤嚥性肺炎などにおける複雑性の評価を見直すということで、これも大変大きな見直しになります。今日、実調でもあれだけの結果が出ておりますし、MCDBでもこれまで医療機関が倒れるかどうかの経営危機にあるということは誰もが分かっていることであり、そういった中でこれだけ大きな見直しあるいは変更を行うということは大変危険なことであると申し上げたいと思います。
したがいまして、先ほども申し上げましたが、1軒ごと、1医療機関ごとにしっかりシミュレーションしないと、地域の医療提供体制が下手をすると崩壊につながることになりかねませんので、その辺りは、まず今の医療経営の危機がベースにあって、その上でどこまで見直すのか、あるいは適正化をするのかというのは、しっかりそれを踏まえた上でないと、通常の改定の状況ではないということはまず前提として御理解いただきたいと思っています。
したがいまして、ICU、HCUにおきましても、特に現状何か問題があるかというと、そうではないと認識しておりますし、SOFAにつきましても、先ほど申し上げましたように、現代の医療現場を適切に評価していないということで30年ぶりに見直しがなされたところで、今、まずそういったところに対して手を入れる状況ではないと申し上げたいと思います。
したがいまして、まずは診療報酬改定によって医療機関が倒れてしまうことは決してあってはならないことでありますので、そういった状況も踏まえながら、丁寧に精緻なシミュレーションを行った上で慎重に慎重に検討していただきたい事項だと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
江澤先生からいろいろコメントいただきましたけれども、冒頭に申し上げましたが、今回は必ずしも要件の厳格化であるとか精緻化だけを主張しているわけではございませんので、今、新たな地域医療構想も進めていく中で、地域医療体制を構築するためにはどういった指標で見ていくかということの議論かと思っておりますので、基準値そのものがどうこうはもちろん経営につながることは十分承知しておりますけれども、やはりこちら側も変わっていかないと、医療の体制だけでなく、我々の保険財政のほうにも危機が迫っているということは十分御承知おきいただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
1点だけ。先ほど松本委員から指摘された集中治療室の動脈圧測定を外した場合をシミュレーションを行うことそのものはいいのだろうとは思うのですが、過去の改定で、ずっと集中治療室もそうなのですけれども、重症度、医療・看護必要度はほとんど処置だけになってきた経緯があります。集中治療のICUの現場は、当然、我々はICU管理が必要な患者を入れています。ICUに入れる必要もない人を過剰にぽんぽん入れるなんてことは現場はやっていないのです。そのため集中治療室の稼働率は、大きく下がったときもあれば上がったりという感じで動いているところがほとんどの病院だと思います。
現在の重症度で一番評価されていないのは、本当に不安定で危ない患者さんというのを見るための評価項目が今何もなくなってしまっているのです。先ほど内科系の重症度の話で、以前は心電図モニターだとか様々な病態の不安定さを把握していくための項目が重症度、医療・看護必要度には過去あったのですが、どんどん歴史的になくなっていきました。とにかく何かやっている、何か高度な処置をやっているということだけが必要度として評価されていく流れになってきています。特にICUは非常に不安定な患者さんをしっかりと見守って、何かあったらすぐ対応するという機能が非常に重要なのです。必ず何かをやっていないと集中治療にならないというようなものではないのです。先ほどの患者さんの安全に影響を及ぼす可能性があるという発言は、そういう視点からしておりますので、当然、今後議論は進んでいくわけですけれども、ぜひとも慎重に御検討いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
飯塚委員からお手が挙がっております。よろしくお願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
8ページで内科系の重症度、医療・看護必要度をこれらの声を考慮して調整しようという提案があって、私は少し懸念があるので質問、コメントさせていただきたいのですけれども、この提案は、今、太田委員からコメントがあったものと関係しますけれども、ある特定のインプットのありなし、あるいは行った診療行為で指標を作成するというもので、そういった行為が誘発される危険性というのはやはりあるのだろうという懸念を一つ持っています。
一方で、7ページの資料の左側の山、ピラミッドがありますけれども、診療の負荷というのがAからEのランクづけができるとされています。このように診療の負荷が区別できるのであれば、どの行為を行ったか、どういうインプットをしたかというよりは、どういった種類の診療を行ったかで指標を作成することもできるのではないかなと考えられますけれども、その場合、特定の診療行為の誘発が行われるということは少ないのかなと思いますけれども、そのような指標というのはやはり難しいのか、あるいは検討されたか、まずは事務局に質問をさせていただきたいというのが1点目。
それから、36ページの資料のほうですけれども、こちらは機能評価係数ということで見直しという議論ですけれども、3つ目に医療の質向上に向けた取組というものがありまして、これは今回赤枠はないので論点に挙がっていないようです。しかしながら、医療の質指標に関しては、現状、この項目は3つにとどまっていると私は理解しています。利用者から見ますと、病院の質、医療の質というのは非常に把握しにくいということで、3つの指標で何が分かるかというのが率直な感想です。今回の改定も含めて、今後、着実にこういった質の指標の公表を拡大していくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま飯塚委員から御質問と御意見がありますけれども、前半のA・C項目への追加について、事務局から回答していただくようなことはございますでしょうか。
○林医療課長
医療課長でございます。
御質問の趣旨が正確に理解できているかどうか確認させていただきたいのですけれども、診療の負荷とおっしゃったときに、疾患名による分類ができるかとおっしゃったのか、診療の行為による分類ができるかとおっしゃったのか、音が一瞬飛んだ気がいたしまして、趣旨をもう一度教えていただけないでしょうか。すみません。
○小塩会長
飯塚委員、お願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
7ページの資料で、内保連のほうで基本的にはピラミッドの上に行くほど診療の負荷が上がって、そこの中には今回抽出された行為が入っているということになっているので、そもそも診療の負荷が上がるということに合意があるのであれば、また、そういうふうな診療が特定できるのであれば、そういった診療をやったことによって指標をつくるという考え方もできるのではないかという質問なります。
○林医療課長
分かりました。
診療の負荷ということでございますけれども、この分類の中でもいろいろな切り口があると思います。病名という切り口もあると思いますし、診療行為という切り口もあると思います。病名に関しては、以前そういった検討がなされて、ここの表の中に特定内科診療というのがありますけれども、そういった切り口でどういったことができるかということを検討して一部取り込んでいるということはございます。ただ、同じ病名であっても、例えばCランクのところに肺炎と書いてありますけれども、肺炎といっても非常に重いものから軽いものまであるというようなことであったり、病名に頼ると異なる病名をつけるということを誘発するのではないかとか、いろいろな懸念もあるということだと思いますので、一概に病名だけでこのA、B、C、Dという分類するのに限界もあるということかと思います。
あと、診療の負荷ということに関して、検査を用いる場合と注射や手術などを用いる場合、これまでも紆余曲折を経ているのがこの医療・看護必要度だと思っておりまして、あまりにも誘発されるようなものが多いものについてはこれまで淘汰され、比較的誘発が起こりにくいものが残っているというような経緯をたどっていると認識してございます。
○小塩会長
飯塚委員、よろしいでしょうか。
○飯塚委員
ありがとうございます。経緯等を理解しました。
一つは、もし今回改定で医薬品の注射薬だとか行為を追加して評価をするということになった場合に、当然ですけれども、そういった行為がどういうふうに今回改定を踏まえて変化したかというのはつぶさに把握する必要があるというのがまず一点で、それはお考えかと思いますが、お願いしたいと。
また、やはりこういったインプットで指標をつくるということは非常に危険性が高いので、先ほどちょっと申し上げたように、医療の質あるいはアウトカムというものをしっかり把握して公表するということを同時に着実に進めていくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
さっき、医療の質向上に向けた取組のところで公表する事業がこれだけでいいのかという御質問がございましたけれども、私もちょっと前に公表事業の9指標の機能評価機構の委員をやっておりますけれども、会議で問題になったのは、データがどこまで医療の広告規制に引っかかるか。広告で言ってはいけないことがたくさん決められておりまして、何とか一とか、随一とか、そういうのは全然使っては駄目なので、だから、本当に実績指数をどこまで公表するかというのは医療の広告規制等を含めて考えないといけないですので、診療報酬だけで考えられないところがあると思いますので、その辺は法改正なども含めて考えていただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいですか。
ほかには特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとさせていただきます。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「個別事項について(その9)データ提出加算」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長でございます。
総-3「データ提出加算について」でございます。
資料3ページ、診療実績データの提出に係る診療報酬上の現行の評価をお示ししております。入院、外来、在宅、リハビリテーションそれぞれにつきましてデータ提出加算というものを設けておりまして、一部の診療報酬において提出を要件としているといったものもございます。
4ページがデータ提出の加算の届出を要件とする入院料でございますけれども、これまでこのように拡大されてきておりまして、かなり増えてきているということでございます。
5ページ、精神病棟入院基本料における届出状況についてでございます。赤で囲んでいる精神病棟入院基本料の15対1から20対1についてはデータ提出加算の要件となっていないところでございますけれども、他の病棟を併設している病院においては要件となっているといったことによりまして、一定の割合でデータ提出加算の届出が行われているということでございます。
それから、6ページがデータ提出加算の経過措置についてでございますけれども、電子カルテが未導入であるといった正当な理由がある場合には、一定の条件の下、当面の間の経過措置を講じておりまして、そうしたこともあって、要件となっている病棟においても、右側の赤い部分に書いてあるとおりでございますけれども、1割か2割程度の病棟においてデータ提出加算の届出がなされていないような病棟種別があるということになります。
続いて、8ページから提出を求めるデータについてでございますけれども、簡素化の必要性があるものとして、医療機関のお声の多いものとしてDPCデータの様式1というのがございます。
9ページ、様式1に関しましては、これまでからデータの収集項目の改廃が行われてきておりますが、様式1としてデータを収集すべきもの、また、することが妥当ではないと考えられるものなどを見直していく必要があると考えてございます。
10ページにつきましては、事務局で検討して、今回、既存の調査項目の中で削除しても差し支えないのではないかと思うものを挙げさせていただいたところです。
また、11ページにおきましては、一部の項目について修正や新たな測定が必要ではないかと考えて挙げさせていただいているものでございます。
12ページは様式1の作成や提出のスケジュールについてでございますけれども、例えば療養病棟のように平均在院日数が非常に長い病棟においては、退院や転棟時に様式1を提出するということでございますと、非常に長い先まで何年も作成されないような患者さんもいらっしゃるということでございまして、入院中であっても入院期間が長くなりそうな場合には一定の時期に様式1を提出していただくというような方法もあるのではないかということを御提案させていただくものでございます。
14ページ、論点です。データ提出加算の届出を要件とする入院料につきまして、新たに精神病棟入院基本料の15対1、18対1、20対1についてデータ提出加算の届出入院料の届出の要件とすることについてどう考えるか。
また、この経過措置についてでございますけれども、電子カルテの普及状況等の検証も行い、終了時期について検討していくこととしてはどうか。
提出を求めるデータにつきまして、様式1の見直しを含め、提出を求めるデータ等を見直すことについてどのように考えるか。
以上の論点をまとめさせていただきました。御審議をお願い申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
まず、1つ目の論点のデータ提出加算を要件とする入院料につきましては、論点にあるとおり、経過措置については継続しつつ、拡大していく方向性は否定するものではありません。ただし、5ページを見ましても、精神病棟入院基本料の15対1から20対1は現状データ提出加算の届出状況がかなり低くなっております。この背景として、電子カルテの導入がなされていないこと、また、データ提出に対応できるスタッフなどのマンパワーが十分でないことなども影響していると思われますので、次の論点にございますように、電子カルテを導入していない医療機関が電子カルテを導入するまでの期間は経過措置を継続すべきであること、また、提出データの簡素化を図るなどして現場の負担軽減を行うことも併せて実施すべきと考えております。
2つ目の論点の提出を求めるデータにつきまして、医療機関の負担軽減や必要なデータに絞って調査するという方向性に異論はございません。もっとも、11ページに示されている新設が検討されている主な項目はあくまでも例であり、実際には医療機関の負担を踏まえて、必要性を吟味した上で実施可能なものから導入していくべきと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
最後の論点の電子カルテが普及すると人がデータを入力するのがやめられるのかという論点なのですが、普及しただけではやめられないというのが現状でございまして、今、恐らくいろいろな検討ができているのは、電子レセになって、ちゃんとレセ電コードが書かれて、構造化されたデータとして出しているのです。今、様式1は自動的にそれが取れないとなると、電子カルテの中のその項目の標準様式というものを全て決めていかなければいけない。それが終わって初めて手間なくデータ提出が電子カルテから取れるということですので、電子カルテが普及しただけでも、恐らく今、かなりばらばらなデータベースを使いながらやっていますので、全国の電子カルテの項目が標準化される、これがやはり最終的にやめられる条件で、電子カルテだけではやめられる条件にならないということだけ分かっていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
14ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず1点目の精神病棟について、提出データを活用して診療報酬を精緻に設計するなど、この加算は政策判断にとって重要ですので、届出を要件化することには賛成するものでございます。
2点目の電子カルテの関係につきましては、当面経過措置を継続することはやむを得ないですけれども、来年夏頃に電子カルテの普及計画が厚生労働省から示されると聞いておりますので、現段階で2030年まで経過措置を継続するということに合意したものではないということは改めて指摘いたします。
3点目の提出を求めるデータについては、事務局案には異論はございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
データベース加算につきましては、医療の質の向上のためにもデータの活用は重要ですので、提出の向上に向けて精神病棟入院基本料について届出を要件とすることが必要と考えます。
ただし、電子カルテ導入に関する経過措置につきましては、あくまでも経過措置でありますので、終了する時期を決めてきちんと対応することが必要と考えます。
また、提出を求めるデータにつきましては、必要な項目は残すことを前提に、適切に見直すことに異論はございません。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかには特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
本日の総会での議論は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

