- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) >
- 2025年11月21日 中央社会保険医療協議会 総会 第629回議事録
2025年11月21日 中央社会保険医療協議会 総会 第629回議事録
日時
令和7年11月21日(金)診療報酬改定結果検証部会終了後~
場所
航空会館 7階大ホール
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 飯塚敏晃委員
- 笠木映里委員
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 城山英明委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 永井幸子委員
- 高町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 鈴木順三委員
- 茂松茂人委員
- 江澤和彦委員
- 黒瀬巌委員
- 小阪真二委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 小松和子専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 診療報酬改定結果検証部会からの報告について
- 歯科医療について(その2)
議事
○小塩会長
それでは、ただいまより、第629回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、伊藤委員、笠木委員、田島専門委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはこのあたりということで、お願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」を議題といたします。
本日は、永瀬部会長より御報告をお願いいたします。
○永瀬部会長
診療報酬改定結果検証部会長の永瀬です。
令和6年度診療報酬改定の結果検証に関わる特別調査につきまして、資料総-1にありますとおり、令和7年度に実施した「(1)長期処方やリフィル処方の実施状況調査」「(2)後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」「(3)医療DXの実施状況調査」「(4)かかりつけ歯科医の機能の評価等に関する実施状況調査」「(5)かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響及び実施状況調査」の調査結果の報告書を取りまとめましたので御報告いたします。
資料については、事務局より御説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
令和6年度診療報酬改定の結果検証調査、令和7年度分につきまして、5つのテーマについて検証調査を行いまして、調査の報告内容につきましては、各調査ごとに外部有識者で構成されました調査検討委員会におきまして、具体的な検討を行っていただいたところでございます。
今回、御用意した資料としましては、それぞれ調査ごとに調査の全体の概要をまとめたパワーポイント、それから調査の報告書及び調査票といったものについて御用意をしているところでございます。
先ほど検証部会のほうで御承認をいただきまして、これから御簡単にではございますけれども、御紹介をさせていただきたいと思っております。
それでは、順次、行ってまいりますけれども、まず、検-1-1から御説明させていただきたいと思います。
長期処方、リフィル処方の実施状況調査ということでございまして、検-1-1をおめくりいただきますと、この令和6年度から引き続いて実施している調査につきましては、調査の概要等を記載しております。
続きまして、検-1-2のほうで、本当に数点ずつ各調査について御説明をさせていただきたいと思っておりますけれども、まず、19ページのほうを御覧いただきますと、病院・診療所調査の中で、この上のほうで、今後の見通しということで、患者希望があれば検討するといったことがあった一方で、リフィル処方箋の発行実績がない病院・診療所では検討には消極的といったところの御回答があったということでございます。
20ページのほうを御覧いただきますと、下のほうの段のところに、リフィル処方箋を発行している、発行が適している患者さんという調査項目がございます。先ほど部会の中で御質問があったところで、とっさにお答えができませんでしたけれども、ここの中で御覧いただきますと、症状が安定している患者というところが非常に多いというところがあります。あとは、遠隔地に住んでいる通院患者を減らしたいといったところがあるといったことを御紹介させていただきたいと思っております。
続きまして、検-2-1のほうにも進んでいきたいと思いますけれども、こちらは、後発医薬品の実施状況調査ということでございます。
こちらも令和6年度から引き続いて実施した調査ということになっております。資料の調査の概要については、検-2-1を御覧いただければと思います。
検-2-2のほうから少し御説明をさせていただきたいと思いますけれども、25ページを御覧いただきますと、後発医薬品に関する供給体制についてでございます。こちらは、保険薬局の認識といたしまして、支障を来しているということでありますし、1年前と変わらないといった御回答を受けたということでございます。
49ページのほうに飛んでいただきますと、そちらのほうは、病院調査のほうで同じように供給体制ということでありまして、悪化したという回答をいただいているということでございます。
83ページのほうに飛んでいただきますと、患者調査のほうから御紹介させていただきますけれども、ジェネリック医薬品に対する認知度ということでございまして、こちらは非常に認知度が高いという結果をいただいておりますが、一方で、99ページのほうを御覧いただきますと、バイオ後続品、バイオシミラーについて認知度が非常に低いといったところの調査結果が出ているということでございます。
続きまして、検-3-1でございます。医療DXの実施状況調査ということでございます。
本調査は、今回初めて実施した調査ということでありまして、調査項目のほうを御覧いただきますと、医療DXに関する診療報酬の算定状況ですとか、電子処方箋システム、電子カルテ情報共有サービスの導入状況といったものを調査しているということでございます。
中から御紹介いたしますと、まず、44ページのほうを御覧いただければと思います。
44ページのほうには、保険薬局調査のほうでございますけれども、電子処方箋システムの導入状況といったところが掲げておりまして、導入しているといったところが非常に多かったといったところでございます。
ちなみに、その下のほうには、同一グループによる店舗数ごとの、そういった状況というのも御紹介をしているところでございます。
続きまして、4-1のほうに進んでいきたいと思います。かかりつけ歯科医の機能の評価等に関する実施状況調査ということでございまして、こちらのほうは、また同じように調査項目については、4-1の中で3ページになりますけれども、口腔管理体制強化加算等各診療報酬の届出状況とか、多職種連携の取組等と、そういったものを調査しているということでございます。
4-2のほうから御説明をさせていただきたいと思いますけれども、例えば37ページ以降、39ページにかけて、患者調査として継続的に通院している歯科医療科に求めていることといったことを調査しておりまして、治療方針、費用、予後等を分かりやすく説明してくれる医療安全や院内感染に対する体制が整備されている、専門医である歯科医師がいるなどスタッフの経験、診療実績が豊富であるといったことを重視されているといった結果が出てきているということでございます。
最後、検-5-1でございまして、総ですね、かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響及び実施状況調査ということでございます。
こちらも5-1に従って御説明させていただきたいと思いますけれども、調査対象項目等につきまして、ごめんなさい、5-1のほうに御説明させていただいております。
最後、5-2のほうを御覧いただきたいと思いますけれども、例えば、23ページを御覧いただきますと、かかりつけ薬剤師として患者さんから相談を受けた具体的な内容ということで、保険薬局調査のほうから御紹介いたしますと、薬の飲み合わせに関する相談といったことや、それから薬の副作用に関する相談といったものが見られるということでございます。
一方で、38ページのほうを御覧いただきますと、病院調査のほうで、医薬品の処方薬局での調剤後のフォローアップの必要があると考えられる患者さんの属性ということで、服薬アドヒアランスが不良な患者さんといったものや、それから特に副作用に注意すべき薬剤を処方された患者さんといったものに対するフォローアップが必要ということを考えているという調査結果というのもありました。
いずれの調査につきましても、非常に調査項目が多岐にわたりますので、詳細については、本日、この場では御説明を割愛させていただいておりますけれども、そういった形で、また、改定の検証調査ということで、様々いろいろな形で、今後の改定の議論にも使っていきたいと思いますし、この中を見ていただいて、また、今後の検討に資するような形で進めていきたいと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
詳細に調べていただいてありがたいのですが、少し気になるのが、患者のインターネット調査についてでございます。
48ページを見ていただくと、特に年齢別のところで、定期的に受診している医療機関が、10代以下だと41%ないのですね、要するに、行っていない人たちが40%ぐらいいる。
それから、50ページを見ていただくと、定期的に処方を受けている疾患が、10代以下だと56%ぐらい。
○小塩会長
すみません、小阪委員、資料をどの資料か特定していただけますか。
○小阪委員
資料というか。
○吉田保険医療企画調査室長
事務局でございます。長期処方、リフィル処方箋の報告書だと。
○小塩会長
分かりました。よろしくお願いします。
○小阪委員
それを見ていますと、50ページ目、定期的に処方を受けている疾患がないというのが、10代以下が56.7%、この状況で、その後は、全部有効回答を使ってリフィルの実績を見てしまう。そうすると、もともと定期的に行っているところがなくて、かつ定期的に受けている処方がないのに、実績がないと言われると、これはかなりミスリードを生む資料なのですね。書面のほうは、薬局に来ている人にまだ渡しているからいいけれども、どこの医院にも行っていない、それから定期的に通って処方を受けていることもない人たちを集計の中に入れてしまうというのは、かなりミスリードを起こしてしまう可能性があるので、やはりそのところは、ちゃんと調査するときに考えてやっていただかないといけないし、結果を出すときに、定期的に処方を受けている患者さんだけを選ぶとかをしないと、リフィルの実施率が悪いですね、この年代と言われても、もともとリフィルを出す必要も、長期処方を出す必要もない人たちを入れてしまっているので、これは考え直していただきたいなと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
今の点について、長期的に処方を受けている人の扱い、それに限定したほうがいいという御意見ですけれども、いかがでしょうか。
○吉田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。保険医療企画調査室長でございます。
委員御指摘のとおりのところは、かなりあると思っております。同じ資料総-1-1-2になります。その資料の45ページのほうに、患者調査のほうの郵送調査と、それからインターネット調査の調査対象について書いてございますけれども、インターネット調査については、直近3か月以内に保険薬局に処方箋を持参した患者さんということで、そちらを3,000人に至るまで抽出していくということでやっております。これは、インターネット調査に登録いただいているモニターに関して、その選定の仕方、技術的に可能なのかどうか、まさにこの長期処方とかリフィル処方に関しては、定期的に受診をされている患者さんというところを対象像とするということは、確かに御指摘のとおりでございまして、そういったところは、今後の調査の中でも、きちんとそういったものを踏まえて対応していきたいと思います。
インターネット調査会社の設定の中で、どれぐらいそういった対象を、定期的に受診しているとか、そういうコンディションというか、条件を抽出できるかどうかと、そういった技術的な論点もございますが、御指摘については、おっしゃるとおりだと思っておりますので、そういったところも踏まえて、今後対応していきたいと考えております。
○小塩会長
小阪委員、よろしいでしょうか。
○小阪委員
ありがとうございます。
できればやっていただきたいですし、もしそれができないとして、よく臨床研究とかでやられるのは、除外例、脱落例として、そういう人たちは、もともとそのベースに持ってきたときに、この検証には値しないから抜いていくということをされてもいいのではないかと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
まず、膨大な調査結果を取りまとめいただきました、検証部会の先生方と、事務局に感謝を申し上げます。
御報告いただいた内容につきましては、いずれも大変重要なデータですので、事務局におかれましては、今後の資料に活用していただければと思いますけれども、私からは、本日はリフィル処方箋に絞ってコメントしたいと思います。
資料の1-1-2の72ページに、NDBデータの集計が記載されており、これを見てみますと、リフィル処方箋の算定回数は令和6年11月時点で、全処方箋の0.07%であり、令和4年度改定で見込みました医療費ベースでマイナス0.1%に及ばないことは、もう明らかでございます。
この0.1%マイナス効果は、外来受診を減らすことが本質でございますので、長期処方と併せて通院頻度を適正化する必要があると考えております。
そうした観点で、資料の32ページを御覧いただきたいと思いますが、ここにリフィル処方箋の普及に向けた課題というのを挙げられておりまして、その3-23、3-28ともに、医師の回答で最も多いのは患者への周知で、これは継続的な対応が必要でありますけれども、その次に多いのが、処方日数、量に制限のある医薬品をリフィル処方にできないことであり、長期処方、リフィル処方の経験の有無や、病院、診療所にかかわらず、4割前後の医師の方がこれを課題だと認識していることが分かります。
現行の仕組みでは、処方制限のない医薬品にリフィル処方を限定しておりますが、処方制限のない医薬品については、長期処方を積極的に活用し、むしろ処方制限のある医薬品にリフィル処方を解禁し、薬剤師による薬学的管理を受けながら、患者の通院負担を軽減することを推進すべきだと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、リフィル処方についてのみ、コメントをさせていただきます。
今回の調査を見ましても、これは従前からの傾向として、患者さん側への周知という課題というのは、まだ継続していると思いますから、その周知をしていくことがまず重要であるということ。
それから、医師側の調査でも、リフィル処方箋を発行した場合でも、特定疾患処方管理加算が算定可能となったことの周知がまだ足りないこともありますので、いずれにしましてもリフィル処方の認知度向上について検討するのが、まず優先事項であると思いますし、あと、新薬も発売1年以内は長期処方のいろいろな制限がついており、これは、やはり薬の安全性をしっかり担保していこうということで、いろいろ取組がありますから、そういった点については、また、総合的にいろいろ検討していただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
続きまして「歯科医療について(その2)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○和田歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。
資料総-2を御覧ください。
歯科医療(その2)につきまして、ポイントを絞って御説明をさせていただきたいと思います。
2ページ目が、今回御議論いただく内容となっております。
5ページを御覧ください。
まず「歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療」についてでございます。
6ページ目は、歯科の機能的な疾患の代表である、口腔機能発達不全症と口腔機能低下症の概要を、7ページ目は、これらの疾患を有する患者に対する小児口腔機能管理料などの算定状況をお示ししています。
続いて、8ページを御覧ください。
検証調査結果におけます、小児口腔機能管理料または口腔機能管理料を算定していない理由をお示ししております。
本管理料の対象は、口腔機能発達不全症または口腔機能低下症の診断基準を満たしていることに加えまして、別途、要件が設けられているために赤枠で囲まれている診断基準を満たしている患者はいるが、算定要件を満たさないと回答した者が一定数存在していることが分かります。
続いて、9ページでございます。
この図は、歯科疾患を有する患者や口腔機能に問題のある患者が、どの管理料で算定しているか示したものでございます。
現行の口腔機能管理料などの対象とならない、図の真ん中の囲み部分の関連学会の診断基準に該当しているものの、口腔機能の管理料などに該当しない患者について、特別な管理が行えるよう、対象患者の見直しを図っていきたいと思っています。
10ページは、外来時に算定する歯科疾患管理料と訪問時に算定する歯科疾患在宅療養管理料の比較でございますが、取扱いなどが一部異なっていることを表でお示ししております。
11ページは、歯科疾患管理料の管理内容でございます。
近年、歯科医療機関を受診する患者像の多様化によりまして、口腔の状況以外の様々な情報を基に管理が行われておりまして、検証調査結果におきましても管理計画の策定、説明などの負担感については、初回と再診で変わらないという回答が最も多くなっておりましたので、この前のスライドの内容を踏まえまして、歯科疾患管理料の取扱いを見直したいと思っております。
12ページ~14ページは、義歯、いわゆる入れ歯の管理に関する内容でございます。
12ページは、義歯の確認事項、指摘事項は義歯の形態などによって異なること。
また、13ページは現行の診療報酬上の取扱いをお示ししており、これらの状況を踏まえて、義歯の管理に係る評価の算定単位の見直しなどを行いたいと思っています。
続いて、15ページ~17ページは、歯周病の継続治療に関する内容でございます。
16ページを御覧ください。
歯周病安定期資料と歯周病重症化予防治療を比較しておりますけれども、歯周病の程度を示す歯周ポケットの深さの違いはあるものの、内容が類似していること。
また、17ページでお示ししているように、歯周ポケットの深さは臨床上変化することから、これらの治療については統合したいと思っております。
18ページ~20ページは、小児の咬合機能の獲得に関する装置の内容でございます。
19ページに、子供の入れ歯、いわゆる小児義歯の内容や使用状況を、そして20ページでございますが、装置の調整や修理に関するデータを掲載しております。
これらの状況を踏まえまして、小児義歯の位置づけや、小児保隙装置の調整や修理の評価を設定したいと考えております。
21ページ~24ページは、歯科矯正に関する内容でございます。
22ページは、関係学会が作成した歯科矯正相談に係る結果報告内容の様式でございます。
また、23ページは、歯科矯正治療の保険適用の対象となる疾患の一覧をお示ししています。
さらに、24ページでございますが、現在、歯科矯正事業の適用となっていない生まれつき歯がない先天性欠損歯が顔面骨格に及ぼす影響をデータでお示ししております。
これらの状況を踏まえまして、歯科矯正につきましては、相談に係る結果、説明様式の統一と連続した、3歯以上の先天性欠損歯を有する患者を対象にしたいとこのように考えております。
25ページ目からは、多職種連携についてでございます。
26ページを御覧ください。
このスライドでは、周術期口腔機能管理と回復期口腔機能管理の評価体系をお示ししています。
27ページでございます。
周術期口腔機能管理に係る計画書の例をお示ししており、28ページでございますが、検証調査結果におきまして、管理計画の変更の状況と変更した理由をお示ししております。
計画の変更を行ったケースが多かったという結果でございますので、管理計画を見直した場合の評価を新たに設定したいと考えております。
続きまして、29ページでございます。
一部の処置行為の算定条件として、周術期等口腔機能管理料などが対象となっていないことを表にお示ししており、整理が必要と考えております。
30ページは、医科あるいは調剤報酬で評価されている歯科医療機関や歯科医師との連携の評価の一覧でございます。
31ページ、32ページは、先日の中医協の入院(その5)でも御議論いただきました、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算に関する内容でございます。
33ページは、歯科点数表における医科歯科連携の評価、この内容につきまして、患者さんの状況ごとにどの項目で評価されているか、あくまで一般的なケースでございますけれども、整理したものでございます。
本加算の対象となる患者さんに対して、口腔の管理が行えるよう、歯科点数表においても対応を図りたいと、このように思っております。
続きまして、34ページからは、生活習慣病管理料の内容でございます。
35ページでお示ししているように、糖尿病患者の医科歯科連携の効果は、様々な文献などで報告されているところでございます。
しかしながら、36ページを御覧いただきたいと思うのですけれども、赤枠で囲まれているように、糖尿患者に対して、十分に連携が図られていないという状況でございますので、37ページにお示ししているように、歯科点数表の中で、医科との情報共有がさらに進むように対応を図っていきたいと思っております。
続きまして、38ページからは、歯科衛生士・歯科技工士の定着・確保についてでございます。
39ページ、40ページは、歯科衛生士の従事者数の状況などをお示ししております。
続きまして、41ページを御覧ください。
本スライドは、歯科衛生士の業務を評価している令和6年度改定で新設されました口腔機能指導加算の概要と算定割合を、そして42ページは、口腔機能指導加算の算定実績をお示ししております。
令和7年度の期中改定で、この加算の点数の引上げを行ったところでございますが、左側のグラフでは、その影響が出ているものと認識しております。
また、右側のグラフは検証調査結果でございますが、本加算を算定していない理由として、専門的な指導を行う歯科衛生士の確保、指導時間の確保、こういった回答が多い状況でございました。
続きまして、43ページでございますが、指導に円滑に取り組むに当たり工夫している点として、院内教育、研修の受講という回答が多く見られたところでございます。
また、右側の円グラフにおきましては、本加算が人材定着・確保に寄与した程度を聞いており、現時点では分からないという回答が半数を占めたところでございます。
44ページでございますが、関連学会におきまして、口腔機能低下症などに対する指導方法の研修が計画されておりますので、こうした研修を活用していくことも必要ではないかと思っております。
45ページでございます。
こちらは、歯科疾患管理料などの変遷をお示ししておりますが、機能的な疾患、器質的な疾患に対する管理料は加算ではなくて、それぞれ本体の評価として位置づけられておりますので、口腔機能指導加算につきましても、これに倣って位置づけを見直したいと考えております。
46ページからは、歯科技工士に関する内容でございます。
46ページは、歯科技工士や補綴物の製作工程。
47ページは、歯科技工士と歯科医師の連携を評価した、こちらも令和6年度の改定で新設された歯科技工士連携加算の概要など、さらに、48ページでございますが、歯科技工士連携加算の算定実績などをお示ししております。
続きまして、49ページを御覧ください。
検証調査結果におきまして、本加算を取り組むに当たり、工夫している点をお示ししています。
また、右側の円グラフでございますが、本加算が人材定着・確保に寄与した程度を聞いておりまして、先ほどの歯科衛生士の加算の傾向と同様ですけれども、現時点では分からないという回答が約半数を占めています。
続きまして、50ページでございます。
先日の中医協でお諮りいたしました、12月1日保険適用となる材料を使用した、3Dプリンターによる義歯、こちらをスライドの中段にお示ししております。
歯科技工士の業務負担の軽減からも、こうした技術を歯科技工士との連携に活用することも必要と考えてございます。
これらの状況を踏まえまして、歯科技工士連携加算の見直しを行いたいと考えてございます。
続いて、51ページからは歯科治療のデジタル化等でございます。
52ページは、3か月ごとに中医協に御報告をしている歯科用貴金属の随時改定の変遷。
そして、53ページは、歯科治療のデジタル化による効果。
54ページは、歯の部位や金属材料の使用の有無によるクラウン、いわゆるかぶせ物の内容を整理してございます。
点線で囲まれている内容が、近年、目覚ましく普及しております、コンピューターを用いて設計をするCAD/CAM冠と呼ばれるものでございます。
55ページを御覧ください。
一般の患者のケースにおきましては、このCAD/CAM冠の適用となる症例の条件が細かく設定されております。
一方で、表の右側の金属アレルギーを有する患者につきましては、特に要件が設定されておりません。
また、次の56ページではCAD/CAM冠が、装着する部位の違いによって保存期間の有意差が認められなかったという論文も示されておりますので、これらの状況を踏まえまして、CAD/CAM冠の咬合指示要件の見直しをしたいと思っております。
57ページは、かぶせ物などを2年間保証しているクラウン・ブリッジ維持管理料の対象を整理したものでございます。
この前で御説明した要件の見直しなどを踏まえまして、患者に不利益が被らないように、本管理料の対象範囲を設定したいと思っております。
続いて、58ページを御覧ください。
局部義歯、いわゆる部分入れ歯のクラスプやバーと呼ばれる附属品の概要と、実際に臨床で使用されている歯科鋳造用金銀パラジウム合金と歯科鋳造用コバルトクロム合金の比較でございます。
現在は、表にお示しをしているように、歯科鋳造用コバルトクロム合金が多く使用されている状況を踏まえまして、運用を明確にしたいと思っております。
59ページは、光学印象についてでございます。
光学印象は、歯の型を専用のカメラを使って採取する技術でございまして、その制度がクラウン、かぶせものでも高いことが論文でも示されておりますので、現在の対象に、このCAD/CAM冠を追加する方向で検討したいと思っております。
60ページからは、その他についてでございます。
61ページは、歯科点数表の取扱いの明確化などが必要な内容。
そして、62ページでは、歯科点数表の簡素化が必要な内容。
さらに、63ページ、歯科点数表の告示項目名や、要件の見直しなどが必要な項目を整理しております。
また、64ページにつきましては、歯科点数表の麻酔薬材料の整理が必要な項目を、この前のスライドも併せまして、それぞれ具体例も交えながら列挙をしてございます。
これらの内容につきましては、歯科診療の実態を踏まえまして整理したいと考えてございます。
今、御説明させていただいた内容を、現状と課題として、65ページ、66ページにお示ししております。
そして、67ページ、68ページに各項目の論点をお示ししています。
まず、歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療につきましては、1つ目の○で、口腔機能管理料、小児口腔機能管理料、歯科疾患管理料の対象者や評価などに関する論点。
新製有床義歯管理料の算定単位の見直しなどに関する論点。
歯周病安定期治療及び歯周病重症化予防治療の統合などに関する論点。
2つ目の○で、小児義歯の位置づけ、装置の調整修理などに関する論点。
3つ目の○で、歯科矯正相談料の様式、歯科矯正治療の対象患者に関する論点。
4つ目の○で、その他、歯科固有の技術に関する論点をお示ししています。
続いて、多職種連携につきましては、1つ目の○で、周術期等口腔機能管理計画策定料の要件の見直しなどに関する論点。
2つ目の○で、医科歯科連携のさらなる推進に資する歯科点数表の評価に関する論点をお示ししています。
続いて、68ページになります。
歯科衛生士・歯科技工士の定着・確保については、1つ目の○で、歯科衛生士の業務を評価した口腔機能指導加算の要件や評価の位置づけなどに関する論点。
2つ目の○で、歯科技工士連携加算の対象範囲、施設基準の見直しと、歯冠修復及び欠損補綴の評価や取扱いの見直し明確化などに関する論点をお示ししています。
続いて、歯科治療のデジタル化につきましては、1つ目の○で、CAD/CAM冠等の要件の見直しと、この要件の見直しを踏まえた、クラウン・ブリッジ維持管理料の対象や評価などに関する論点。
2つ目の○で、局部義歯に附属されるクラスプやバーの取扱いに関する論点。
3つ目の○で、光学印象の対象に関する論点をお示ししています。
その他につきましては、①~④にお示ししている内容の歯科点数表の明確化、合理化などの内容をお示ししております。
長くなりましたが、説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
67、68ページの論点に沿って、意見と要望を述べさせていただきます。多少長くなりますことを御容赦いただきたいと思います。
まず、歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療についてです。
1つ目の○のポツの1つ目に関連して、小児口腔機能管理料や口腔機能管理料については、9ページのイメージ図で示されておりますが、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の診断基準は、学会の指針等で定められているものの、管理の対象にならない患者さんが存在しており、必要な治療や管理をより幅広く行えるよう、診療報酬上の位置づけを見直すことに賛成いたします。
また、歯科疾患管理料についてですが、これまで様々な議論を経て現在の評価となっております。歯科疾患の重症化予防のために、個人個人に応じた管理を計画しており、その説明も実施しているところであります。
超高齢社会を迎え、11ページに示されているような基礎疾患の有無や服薬情報など、診療の都度確認を行った上で、これらの情報を基に管理を行っていることや、入れ歯の治療を通じて、口腔機能の管理を行うケースもあるので、こうした状況を踏まえつつ、患者さんの納得が得られるような方向で御検討をお願いいたします。
次に、新製有床義歯管理料について、これまで1口腔単位とされておりましたけれども、義歯は上下で形態は違っており、装置の形態に応じた管理に見直すことは妥当であり、賛成いたします。
次に、歯周病安定期治療及び歯周病重症化予防治療については、両者とも歯周病の症状を重症化させないという点において、重要な治療行為であります。
治療内容がほぼ同じでありながら、口腔内の歯周ポケットのわずかな変化によって請求項目が異なることは、歯科医師と患者さん双方にとって理解しにくいので、分かりやすく治療が円滑に行われるような内容にしていただきたいと思っております。
続いて、2つ目の○の小児の咬合に関連して、資料の20ページにありますように、小児の咬合の獲得において重要な保隙装置は、歯の発育状況等に応じて、細かい調整が必要ですので、調整や修理の評価をぜひお願いいたします。
続いて、3つ目の○の歯科矯正に関連して、歯科矯正相談料につきましては、前回改定で新設されましたが、まだまだ取組が少ないので、関連学会の示した考え方に沿って運用が進むように御検討ください。
また、これまで矯正治療の対象ではない、先天性欠損を伴う患者を追加することは、24ページに示されましたデータを見ても妥当と考えますので、よろしくお願い申し上げます。
続いて、4つ目の○の歯科固有の技術についてですが、臨床実態を踏まえ、柔軟に取扱い等を見直す必要があると考えておりますので、これらもよろしくお願いいたします。
多職種連携についてですが、1つ目の○の周術期等口腔機能管理計画策定料につきましては、現場の意見を伺いながら推進が進むように御検討をお願いいたします。
また、2つ目の○に関して、30ページには、他分野との連携について詳細を記載していただいておりますが、糖尿病、口腔機能管理等、医科との連携がさらに推進されるよう、より実効性の高い運用の御検討をお願いいたします。
スライド68の歯科衛生士、歯科技工士の定着・確保についてですが、歯科診療所にとって重要な歯科衛生士及び歯科技工士の定着・確保は非常に重要な課題と考えております。
1つ目の○の歯科衛生士業務に関連して、口腔機能指導加算については、41ページに示されておりますが、歯科衛生実地指導料と比較すると、算定が少ない実態が示されており、実地指導の加算となっているために、実地指導の要件である15分実施した上で、さらに口腔機能の指導を行わねばならず、取組がなかなか進まない要因になっていると考えられます。
現状の限られた診療時間の中で、歯科衛生士が指導に取り組めるような実態に沿って御検討ください。
2つ目の○の歯科技工士と歯科医師の連携関連した歯科技工士連携加算については、前回改定で新設されており、技工士との連携は、技工物の精度を上げるためにも重要と考えています。しかしながら、歯科診療所に勤務する歯科技工士は約1割程度と少ないため、歯科技工士との連携が重要です。
最近では、技工物のデジタル化も進んでいるため、これらの技術のメリットを連携にも活用できるような制度設計をお願いいたします。
また、歯科技工士の処遇改善には、技工物の点数の引上げも重要であると考えていますので、こちらも併せて御検討をお願いいたします。
歯科治療のデジタル化等についてですが、歯科用貴金属の素材価格は、金をはじめ上昇傾向にあり、業務負担の観点からもデジタル化とともに、歯科におけるメタルフリーの技術の拡充は、次期改定において必要不可欠ですので、推進をお願いいたします。
また、57ページの資料にありますように、クラウン・ブリッジ維持管理料につきましては、長い変遷の中である一定の役割を果たしてきたと思います。昨今のCAD/CAM技術の材料の物性の向上等を加味しつつ、現場の意見を伺いながら、実態に即した要件や見直しとなるようお願いいたします。
2つ目の○に関して、歯科用金属価格の高騰もあることから、局部義歯におけるバーやクラスプについて、原則コバルトクロム合金を使っていくことは、ある程度理解しています。
一方で、操作性などの観点から、コバルトクロム合金で対応できない症例についても配慮をお願いいたします。
3つ目の○に関連して、光学印象については、その精度も上がってきており、患者さんの負担も少なくなることから、拡大する方向で異論はありません。
その他について、その他、記載されている論点につきましては、当然の整理と思います。御検討いただきたく要望します。
特に麻酔に伴った場合の薬剤料の算定につきましては、ぜひお願いしたいと思います。
私からは以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、67ページの論点のうち、多職種連携についてコメントをさせていただきます。
2つ目の○の医科歯科連携につきましては、口腔の適切な管理を行うことで、在院日数の短縮あるいは誤飲性肺炎の抑制にもつながるなど、口腔と全身の関係については広く知られており、いろいろ効果的な取組によるポジティブなデータも出てきているところであります。
また、高齢化が進む中で介護分野においても、歯科との連携について取り組まれておりますので、医科歯科連携の重要性は、これまで以上に増しており、介護施設と歯科医師あるいは歯科衛生士の連携というのも十分参考になるものではないかと思っております。
したがいまして、医科歯科連携に関わる歯科点数の評価につきましては、積極的に推進していただければと思っております。
具体的には、歯科を標榜する病院であれば、院内の歯科が行う口腔ケアあるいは歯科受診の取組を積極的に評価すべきでありますし、また、歯科を標榜しない病院であれば、入院中の患者さんに対する歯科医療機関からの訪問診療が積極的に行われるよう、事前の情報共有や、治療後のフィードバックの評価の在り方について、課題を整理した上で検討を進めてはどうかと考えております。
次に、資料の33ページですけれども、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算において、歯科医師の役割などを評価するということについては賛同いたしておりますが、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は急性期病棟における加算であり、また、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算というものがありますけれども、これは地域包括療養病棟における加算であり、両者とも算定要件のハードルが高く、現状算定が低調となっております。
したがいまして、この部分だけの連携であれば、効果が乏しいかなと思っているところでございます。
包括期病棟や慢性期病棟の入院患者さんの歯科受診の必要性は、急性期病棟の入院患者さんよりもむしろ高いことも想定されます。
したがいまして、入院患者さんに幅広く必要な歯科受診が手当できるような対応はよろしく御検討をお願いしたいと思います。
続きまして、糖尿病の患者さんの医科歯科連携については、これは、我々も推進していけるよう取り組んでまいりたいと思っております。
最後に、37ページの歯周病ハイリスク患者加算につきまして、医療機関に対する歯科治療や口腔内状況のフィードバックを要件となっていないと記されておりますので、歯科側から連携を強化する取組を積極的に評価することも、患者さんにとって有益ではないかと思っております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
歯科医療につきましては、ライフステージや患者特性によって口腔機能の課題が異なることを踏まえまして、技術進歩も念頭に入れた上で、効率性を意識し、限られた歯科医療資源で必要なニーズを過不足なく充足することが基本だと考えております。
こうした認識に立ちまして、67ページ、68ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、最初に生活の質に配慮した歯科医療についてでございますが、患者の多様性に配慮し、生涯にわたる治療や、管理を推進する方向性はある程度理解できますけれども、充実だけではなく適正化もセットで対応すべきだと考えます。
3ページに紹介されております、その1でも指摘いたしましたが、歯科疾患管理料については、まず、適切に運用がされているのかというところに、疑問を感じておるところでございます。
具体的に申し上げますと、資料の10ページを見ていただきますと、趣旨に記載されているとおり、歯科疾患管理料は継続的な管理を必要とする患者に対して、同意を得た上で管理計画を作成し、その内容について説明した場合に算定するという記載になっておりますが、その一番下の参考を見てみますと、1か月間の算定回数が初診で493万回、再診で1345万回ということで相当多いですけれども、再診が初診の3倍弱でございますので、初診と再診のバランスを考えますと、長く継続的に管理しているというよりも、初回だけ、もしくは数回の通院で終わるパターンが多いのではないかという印象を受けております。
また、資料の11ページの左側にある棒グラフを見てみますと、口腔内の管理だけでなく、基礎疾患の有無、服薬状況、歯磨きの状況等を把握しており、また、右の円グラフに目を移しますと、負担は初診と再診で変わらないという回答が多く、歯科医の立場に立ちますと、手間というのは、十分理解はできますけれども、しっかり計画の説明をしていただいて、患者が納得した上で、継続的な管理にするという趣旨が徹底されますように、運用を明確にすることが不可欠だと考えます。
事務局の提案は初診月の減算の廃止と、義歯の治療だけの場合も算定可能にするものだと推察いたしますが、その場合、保険財政にもかなりの影響があるものと思われます。
さらに、高齢者の口腔機能低下症や、子供の口腔機能発達不全症についても、資料の9ページにありますとおり、学会の診断基準に該当する患者について、これまでより幅広く、口腔機能管理料や、小児口腔機能管理料を評価するのであれば、これも同様の財政影響が生じるものと思われます。
したがいまして、歯科疾患管理料につきましては、運用面で継続的な管理を徹底するだけでなく、ベースとなる点数の適正化とセットで対応することを強く主張いたします。
次に、歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療については、16ページに比較がございますけれども、以前にも指摘いたしましたが、患者には違いが分かりかねますので、この2つを統合するという案には賛同するものでございます。
さらに歯周病の管理は、あくまで治療の一環として保険給付するものですが、一度始まると病態によらず、3か月ごとの通院がいつまでも続いて、事実上の健診やメンテナンスとして運用されている懸念があるものと思います。
歯周病の状況に応じて、治療間隔が長くなることもあれば、人によっては短くなることもあるはずですので、その点を運用ルールとして明確にすべきだと考えております。
続きまして、多職種連携に関する論点ですけれども、連携そのものが、もちろん目的ではなく、患者にメリットをもたらすことが真の目的となりますけれども、30ページの算定回数等を見ますと、件数等に相当ばらつきもあり、本当に活用されているのかという印象も受けますので、まず、しっかりと効果を検証することを指摘させていただきたいと思います。
その上で、周術期等口腔機能管理計画については、治療計画の変更に対応する必要性は理解ができますので、最初に計画をするときとは全然手間が違うと思いますので、その点を踏まえた妥当な評価にすべきだと考えます。
また、歯科受診が必要な糖尿病の患者や高齢者について、医科の入院や外来と連携することは、ぜひ推進していただきたいと思います。
次に、68ページの歯科衛生士や歯科技工士の定着・確保についてですが、令和6年度に評価を充実し、さらに令和7年度に、期中に緊急的な追加の対応を行ったところですけれども、歯科衛生士については、資料の42ページを見てみますと、口腔機能指導加算の算定が令和7年2月~3月にかけて増加しておりますけれども、一方、43ページ目を移しますと、人材定着・確保への影響が、現時点では分からないという回答が半分近くを占めております。
また、歯科技工士については、48ページを見てみますと、これも連携加算の算定が令和7年2月から3月にかけて少し増加しているように見えますけれども、2月はもともと稼働日が少ないということもありますので、その前の1月と3月、4月を比べますと、ほぼ増えておらず、49ページを見る限りでは、人材定着・確保への影響は、こちらも現時点では分からないが過半数を超えており、評価を充実した効果が出ているとは言えないというのが率直な受け止めでございます。
したがいまして、少なくとも令和8年度改定で、さらに評価を引き上げるということは時期尚早であり、人材確保や定着につながるよう、運用を改善すべきだと考えます。
次に、歯科治療のデジタル化についてですが、これについては、ぜひ積極的に進めていただきたいと考えます。
歯科用貴金属の価格変動による影響を受けないためだけではなく、業務の効率化あるいは歯科医療の質の向上をさせるためにも、技術革新は必要不可欠だと思います。
診療報酬改定のタイミングだけでなく、期中においても新たな材料の保険導入を目指すことを、企業を含めまして、歯科業界の関係者に要望するものです。
また、補綴物維持管理料については、患者に不利益が生じないよう、適切に見直すべきだと考えます。
最後のその他の項目については、実態を踏まえた明確化や、合理化ですので異論はございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療、多職種連携に関して申し上げます。
まず、1点目ですが、8ページで、口腔機能管理料、小児口腔機能管理料を算定していない理由につきましてお示しいただきました。前任の佐保が、9月の会議で質問していたと聞いておりますので、今回、調査結果から示していただき、ありがとうございます。
診断基準を満たしている患者でも算定要件を満たさないという回答に加え、診断基準や算定基準が複雑という回答も一定見られますので、要件の見直しに当たりましては、その点も含めて検討いただき、必要な患者に必要な管理が行われるようにしていくべきと考えております。
また、子供の健全な発育のためにも、正常な咬合の獲得に向けた対応は必要と考えますので、小児の保隙装置、歯科矯正相談に関しましては、質の担保も含めて、適切に対応を図ることが重要と考えております。
2点目の多職種連携ですが、これは重要と考えますので、これまでの意見なども踏まえ、着実に連携が進むよう適切に対応いただきたいと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
御意見等いろいろありがとうございます。
初診時に継続管理が必要と判断した患者さんが、次回、来院しなくなるというケースはございます。患者さんに対して、歯科医師側も継続管理の重要性の周知を努めてまいりますけれども、歯科疾患の管理については、患者さんの理解があって継続できるものなので、各方面から周知を努めていただければと思います。
また、長期的な継続管理を行うと喪失歯が減少するため、良好な口腔状態を維持できることが認められており、重症化予防の点からも、長期に来院される患者さんが増えておりますので、再診時が大きいと思っております。
長期的な維持管理の評価も、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
口腔機能低下症について、学会の診断基準と管理料の対象患者基準がずれている点について、是正が必要なことは理解できますが、算定しない理由として診断に必要な機器を持っていないという回答も多くなっております。管理に必要な機器であれば、きちんと整備されている医療機関で管理がなされるようにしていくべきだと考えております。
また、歯科衛生士や歯科技工士の確保につきまして、加算を算定しない理由として、人材不足や多忙、必要性を感じないという理由が多くなっています。
そうした際に、本体に組み込む対応や、要件の緩和をすることが人材定着や、何より患者さんの適切な治療につながるか少し疑問がございます。全体的にさらなる評価を行っていく方向の論点が多い印象です。患者さんの口腔環境改善のために必要なことだと思いますが、歯科医療全体としての効率化や適正化も重要な視点であり、例えば、評価体系や算定単位の見直し、要件の統合といった評価の在り方を見直す場合など、そうした視点も忘れずにお願いしたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには御意見等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
それでは、ただいまより、第629回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、伊藤委員、笠木委員、田島専門委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはこのあたりということで、お願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」を議題といたします。
本日は、永瀬部会長より御報告をお願いいたします。
○永瀬部会長
診療報酬改定結果検証部会長の永瀬です。
令和6年度診療報酬改定の結果検証に関わる特別調査につきまして、資料総-1にありますとおり、令和7年度に実施した「(1)長期処方やリフィル処方の実施状況調査」「(2)後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」「(3)医療DXの実施状況調査」「(4)かかりつけ歯科医の機能の評価等に関する実施状況調査」「(5)かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響及び実施状況調査」の調査結果の報告書を取りまとめましたので御報告いたします。
資料については、事務局より御説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
令和6年度診療報酬改定の結果検証調査、令和7年度分につきまして、5つのテーマについて検証調査を行いまして、調査の報告内容につきましては、各調査ごとに外部有識者で構成されました調査検討委員会におきまして、具体的な検討を行っていただいたところでございます。
今回、御用意した資料としましては、それぞれ調査ごとに調査の全体の概要をまとめたパワーポイント、それから調査の報告書及び調査票といったものについて御用意をしているところでございます。
先ほど検証部会のほうで御承認をいただきまして、これから御簡単にではございますけれども、御紹介をさせていただきたいと思っております。
それでは、順次、行ってまいりますけれども、まず、検-1-1から御説明させていただきたいと思います。
長期処方、リフィル処方の実施状況調査ということでございまして、検-1-1をおめくりいただきますと、この令和6年度から引き続いて実施している調査につきましては、調査の概要等を記載しております。
続きまして、検-1-2のほうで、本当に数点ずつ各調査について御説明をさせていただきたいと思っておりますけれども、まず、19ページのほうを御覧いただきますと、病院・診療所調査の中で、この上のほうで、今後の見通しということで、患者希望があれば検討するといったことがあった一方で、リフィル処方箋の発行実績がない病院・診療所では検討には消極的といったところの御回答があったということでございます。
20ページのほうを御覧いただきますと、下のほうの段のところに、リフィル処方箋を発行している、発行が適している患者さんという調査項目がございます。先ほど部会の中で御質問があったところで、とっさにお答えができませんでしたけれども、ここの中で御覧いただきますと、症状が安定している患者というところが非常に多いというところがあります。あとは、遠隔地に住んでいる通院患者を減らしたいといったところがあるといったことを御紹介させていただきたいと思っております。
続きまして、検-2-1のほうにも進んでいきたいと思いますけれども、こちらは、後発医薬品の実施状況調査ということでございます。
こちらも令和6年度から引き続いて実施した調査ということになっております。資料の調査の概要については、検-2-1を御覧いただければと思います。
検-2-2のほうから少し御説明をさせていただきたいと思いますけれども、25ページを御覧いただきますと、後発医薬品に関する供給体制についてでございます。こちらは、保険薬局の認識といたしまして、支障を来しているということでありますし、1年前と変わらないといった御回答を受けたということでございます。
49ページのほうに飛んでいただきますと、そちらのほうは、病院調査のほうで同じように供給体制ということでありまして、悪化したという回答をいただいているということでございます。
83ページのほうに飛んでいただきますと、患者調査のほうから御紹介させていただきますけれども、ジェネリック医薬品に対する認知度ということでございまして、こちらは非常に認知度が高いという結果をいただいておりますが、一方で、99ページのほうを御覧いただきますと、バイオ後続品、バイオシミラーについて認知度が非常に低いといったところの調査結果が出ているということでございます。
続きまして、検-3-1でございます。医療DXの実施状況調査ということでございます。
本調査は、今回初めて実施した調査ということでありまして、調査項目のほうを御覧いただきますと、医療DXに関する診療報酬の算定状況ですとか、電子処方箋システム、電子カルテ情報共有サービスの導入状況といったものを調査しているということでございます。
中から御紹介いたしますと、まず、44ページのほうを御覧いただければと思います。
44ページのほうには、保険薬局調査のほうでございますけれども、電子処方箋システムの導入状況といったところが掲げておりまして、導入しているといったところが非常に多かったといったところでございます。
ちなみに、その下のほうには、同一グループによる店舗数ごとの、そういった状況というのも御紹介をしているところでございます。
続きまして、4-1のほうに進んでいきたいと思います。かかりつけ歯科医の機能の評価等に関する実施状況調査ということでございまして、こちらのほうは、また同じように調査項目については、4-1の中で3ページになりますけれども、口腔管理体制強化加算等各診療報酬の届出状況とか、多職種連携の取組等と、そういったものを調査しているということでございます。
4-2のほうから御説明をさせていただきたいと思いますけれども、例えば37ページ以降、39ページにかけて、患者調査として継続的に通院している歯科医療科に求めていることといったことを調査しておりまして、治療方針、費用、予後等を分かりやすく説明してくれる医療安全や院内感染に対する体制が整備されている、専門医である歯科医師がいるなどスタッフの経験、診療実績が豊富であるといったことを重視されているといった結果が出てきているということでございます。
最後、検-5-1でございまして、総ですね、かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響及び実施状況調査ということでございます。
こちらも5-1に従って御説明させていただきたいと思いますけれども、調査対象項目等につきまして、ごめんなさい、5-1のほうに御説明させていただいております。
最後、5-2のほうを御覧いただきたいと思いますけれども、例えば、23ページを御覧いただきますと、かかりつけ薬剤師として患者さんから相談を受けた具体的な内容ということで、保険薬局調査のほうから御紹介いたしますと、薬の飲み合わせに関する相談といったことや、それから薬の副作用に関する相談といったものが見られるということでございます。
一方で、38ページのほうを御覧いただきますと、病院調査のほうで、医薬品の処方薬局での調剤後のフォローアップの必要があると考えられる患者さんの属性ということで、服薬アドヒアランスが不良な患者さんといったものや、それから特に副作用に注意すべき薬剤を処方された患者さんといったものに対するフォローアップが必要ということを考えているという調査結果というのもありました。
いずれの調査につきましても、非常に調査項目が多岐にわたりますので、詳細については、本日、この場では御説明を割愛させていただいておりますけれども、そういった形で、また、改定の検証調査ということで、様々いろいろな形で、今後の改定の議論にも使っていきたいと思いますし、この中を見ていただいて、また、今後の検討に資するような形で進めていきたいと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
詳細に調べていただいてありがたいのですが、少し気になるのが、患者のインターネット調査についてでございます。
48ページを見ていただくと、特に年齢別のところで、定期的に受診している医療機関が、10代以下だと41%ないのですね、要するに、行っていない人たちが40%ぐらいいる。
それから、50ページを見ていただくと、定期的に処方を受けている疾患が、10代以下だと56%ぐらい。
○小塩会長
すみません、小阪委員、資料をどの資料か特定していただけますか。
○小阪委員
資料というか。
○吉田保険医療企画調査室長
事務局でございます。長期処方、リフィル処方箋の報告書だと。
○小塩会長
分かりました。よろしくお願いします。
○小阪委員
それを見ていますと、50ページ目、定期的に処方を受けている疾患がないというのが、10代以下が56.7%、この状況で、その後は、全部有効回答を使ってリフィルの実績を見てしまう。そうすると、もともと定期的に行っているところがなくて、かつ定期的に受けている処方がないのに、実績がないと言われると、これはかなりミスリードを生む資料なのですね。書面のほうは、薬局に来ている人にまだ渡しているからいいけれども、どこの医院にも行っていない、それから定期的に通って処方を受けていることもない人たちを集計の中に入れてしまうというのは、かなりミスリードを起こしてしまう可能性があるので、やはりそのところは、ちゃんと調査するときに考えてやっていただかないといけないし、結果を出すときに、定期的に処方を受けている患者さんだけを選ぶとかをしないと、リフィルの実施率が悪いですね、この年代と言われても、もともとリフィルを出す必要も、長期処方を出す必要もない人たちを入れてしまっているので、これは考え直していただきたいなと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
今の点について、長期的に処方を受けている人の扱い、それに限定したほうがいいという御意見ですけれども、いかがでしょうか。
○吉田保険医療企画調査室長
ありがとうございます。保険医療企画調査室長でございます。
委員御指摘のとおりのところは、かなりあると思っております。同じ資料総-1-1-2になります。その資料の45ページのほうに、患者調査のほうの郵送調査と、それからインターネット調査の調査対象について書いてございますけれども、インターネット調査については、直近3か月以内に保険薬局に処方箋を持参した患者さんということで、そちらを3,000人に至るまで抽出していくということでやっております。これは、インターネット調査に登録いただいているモニターに関して、その選定の仕方、技術的に可能なのかどうか、まさにこの長期処方とかリフィル処方に関しては、定期的に受診をされている患者さんというところを対象像とするということは、確かに御指摘のとおりでございまして、そういったところは、今後の調査の中でも、きちんとそういったものを踏まえて対応していきたいと思います。
インターネット調査会社の設定の中で、どれぐらいそういった対象を、定期的に受診しているとか、そういうコンディションというか、条件を抽出できるかどうかと、そういった技術的な論点もございますが、御指摘については、おっしゃるとおりだと思っておりますので、そういったところも踏まえて、今後対応していきたいと考えております。
○小塩会長
小阪委員、よろしいでしょうか。
○小阪委員
ありがとうございます。
できればやっていただきたいですし、もしそれができないとして、よく臨床研究とかでやられるのは、除外例、脱落例として、そういう人たちは、もともとそのベースに持ってきたときに、この検証には値しないから抜いていくということをされてもいいのではないかと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
まず、膨大な調査結果を取りまとめいただきました、検証部会の先生方と、事務局に感謝を申し上げます。
御報告いただいた内容につきましては、いずれも大変重要なデータですので、事務局におかれましては、今後の資料に活用していただければと思いますけれども、私からは、本日はリフィル処方箋に絞ってコメントしたいと思います。
資料の1-1-2の72ページに、NDBデータの集計が記載されており、これを見てみますと、リフィル処方箋の算定回数は令和6年11月時点で、全処方箋の0.07%であり、令和4年度改定で見込みました医療費ベースでマイナス0.1%に及ばないことは、もう明らかでございます。
この0.1%マイナス効果は、外来受診を減らすことが本質でございますので、長期処方と併せて通院頻度を適正化する必要があると考えております。
そうした観点で、資料の32ページを御覧いただきたいと思いますが、ここにリフィル処方箋の普及に向けた課題というのを挙げられておりまして、その3-23、3-28ともに、医師の回答で最も多いのは患者への周知で、これは継続的な対応が必要でありますけれども、その次に多いのが、処方日数、量に制限のある医薬品をリフィル処方にできないことであり、長期処方、リフィル処方の経験の有無や、病院、診療所にかかわらず、4割前後の医師の方がこれを課題だと認識していることが分かります。
現行の仕組みでは、処方制限のない医薬品にリフィル処方を限定しておりますが、処方制限のない医薬品については、長期処方を積極的に活用し、むしろ処方制限のある医薬品にリフィル処方を解禁し、薬剤師による薬学的管理を受けながら、患者の通院負担を軽減することを推進すべきだと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、リフィル処方についてのみ、コメントをさせていただきます。
今回の調査を見ましても、これは従前からの傾向として、患者さん側への周知という課題というのは、まだ継続していると思いますから、その周知をしていくことがまず重要であるということ。
それから、医師側の調査でも、リフィル処方箋を発行した場合でも、特定疾患処方管理加算が算定可能となったことの周知がまだ足りないこともありますので、いずれにしましてもリフィル処方の認知度向上について検討するのが、まず優先事項であると思いますし、あと、新薬も発売1年以内は長期処方のいろいろな制限がついており、これは、やはり薬の安全性をしっかり担保していこうということで、いろいろ取組がありますから、そういった点については、また、総合的にいろいろ検討していただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
続きまして「歯科医療について(その2)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○和田歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。
資料総-2を御覧ください。
歯科医療(その2)につきまして、ポイントを絞って御説明をさせていただきたいと思います。
2ページ目が、今回御議論いただく内容となっております。
5ページを御覧ください。
まず「歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療」についてでございます。
6ページ目は、歯科の機能的な疾患の代表である、口腔機能発達不全症と口腔機能低下症の概要を、7ページ目は、これらの疾患を有する患者に対する小児口腔機能管理料などの算定状況をお示ししています。
続いて、8ページを御覧ください。
検証調査結果におけます、小児口腔機能管理料または口腔機能管理料を算定していない理由をお示ししております。
本管理料の対象は、口腔機能発達不全症または口腔機能低下症の診断基準を満たしていることに加えまして、別途、要件が設けられているために赤枠で囲まれている診断基準を満たしている患者はいるが、算定要件を満たさないと回答した者が一定数存在していることが分かります。
続いて、9ページでございます。
この図は、歯科疾患を有する患者や口腔機能に問題のある患者が、どの管理料で算定しているか示したものでございます。
現行の口腔機能管理料などの対象とならない、図の真ん中の囲み部分の関連学会の診断基準に該当しているものの、口腔機能の管理料などに該当しない患者について、特別な管理が行えるよう、対象患者の見直しを図っていきたいと思っています。
10ページは、外来時に算定する歯科疾患管理料と訪問時に算定する歯科疾患在宅療養管理料の比較でございますが、取扱いなどが一部異なっていることを表でお示ししております。
11ページは、歯科疾患管理料の管理内容でございます。
近年、歯科医療機関を受診する患者像の多様化によりまして、口腔の状況以外の様々な情報を基に管理が行われておりまして、検証調査結果におきましても管理計画の策定、説明などの負担感については、初回と再診で変わらないという回答が最も多くなっておりましたので、この前のスライドの内容を踏まえまして、歯科疾患管理料の取扱いを見直したいと思っております。
12ページ~14ページは、義歯、いわゆる入れ歯の管理に関する内容でございます。
12ページは、義歯の確認事項、指摘事項は義歯の形態などによって異なること。
また、13ページは現行の診療報酬上の取扱いをお示ししており、これらの状況を踏まえて、義歯の管理に係る評価の算定単位の見直しなどを行いたいと思っています。
続いて、15ページ~17ページは、歯周病の継続治療に関する内容でございます。
16ページを御覧ください。
歯周病安定期資料と歯周病重症化予防治療を比較しておりますけれども、歯周病の程度を示す歯周ポケットの深さの違いはあるものの、内容が類似していること。
また、17ページでお示ししているように、歯周ポケットの深さは臨床上変化することから、これらの治療については統合したいと思っております。
18ページ~20ページは、小児の咬合機能の獲得に関する装置の内容でございます。
19ページに、子供の入れ歯、いわゆる小児義歯の内容や使用状況を、そして20ページでございますが、装置の調整や修理に関するデータを掲載しております。
これらの状況を踏まえまして、小児義歯の位置づけや、小児保隙装置の調整や修理の評価を設定したいと考えております。
21ページ~24ページは、歯科矯正に関する内容でございます。
22ページは、関係学会が作成した歯科矯正相談に係る結果報告内容の様式でございます。
また、23ページは、歯科矯正治療の保険適用の対象となる疾患の一覧をお示ししています。
さらに、24ページでございますが、現在、歯科矯正事業の適用となっていない生まれつき歯がない先天性欠損歯が顔面骨格に及ぼす影響をデータでお示ししております。
これらの状況を踏まえまして、歯科矯正につきましては、相談に係る結果、説明様式の統一と連続した、3歯以上の先天性欠損歯を有する患者を対象にしたいとこのように考えております。
25ページ目からは、多職種連携についてでございます。
26ページを御覧ください。
このスライドでは、周術期口腔機能管理と回復期口腔機能管理の評価体系をお示ししています。
27ページでございます。
周術期口腔機能管理に係る計画書の例をお示ししており、28ページでございますが、検証調査結果におきまして、管理計画の変更の状況と変更した理由をお示ししております。
計画の変更を行ったケースが多かったという結果でございますので、管理計画を見直した場合の評価を新たに設定したいと考えております。
続きまして、29ページでございます。
一部の処置行為の算定条件として、周術期等口腔機能管理料などが対象となっていないことを表にお示ししており、整理が必要と考えております。
30ページは、医科あるいは調剤報酬で評価されている歯科医療機関や歯科医師との連携の評価の一覧でございます。
31ページ、32ページは、先日の中医協の入院(その5)でも御議論いただきました、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算に関する内容でございます。
33ページは、歯科点数表における医科歯科連携の評価、この内容につきまして、患者さんの状況ごとにどの項目で評価されているか、あくまで一般的なケースでございますけれども、整理したものでございます。
本加算の対象となる患者さんに対して、口腔の管理が行えるよう、歯科点数表においても対応を図りたいと、このように思っております。
続きまして、34ページからは、生活習慣病管理料の内容でございます。
35ページでお示ししているように、糖尿病患者の医科歯科連携の効果は、様々な文献などで報告されているところでございます。
しかしながら、36ページを御覧いただきたいと思うのですけれども、赤枠で囲まれているように、糖尿患者に対して、十分に連携が図られていないという状況でございますので、37ページにお示ししているように、歯科点数表の中で、医科との情報共有がさらに進むように対応を図っていきたいと思っております。
続きまして、38ページからは、歯科衛生士・歯科技工士の定着・確保についてでございます。
39ページ、40ページは、歯科衛生士の従事者数の状況などをお示ししております。
続きまして、41ページを御覧ください。
本スライドは、歯科衛生士の業務を評価している令和6年度改定で新設されました口腔機能指導加算の概要と算定割合を、そして42ページは、口腔機能指導加算の算定実績をお示ししております。
令和7年度の期中改定で、この加算の点数の引上げを行ったところでございますが、左側のグラフでは、その影響が出ているものと認識しております。
また、右側のグラフは検証調査結果でございますが、本加算を算定していない理由として、専門的な指導を行う歯科衛生士の確保、指導時間の確保、こういった回答が多い状況でございました。
続きまして、43ページでございますが、指導に円滑に取り組むに当たり工夫している点として、院内教育、研修の受講という回答が多く見られたところでございます。
また、右側の円グラフにおきましては、本加算が人材定着・確保に寄与した程度を聞いており、現時点では分からないという回答が半数を占めたところでございます。
44ページでございますが、関連学会におきまして、口腔機能低下症などに対する指導方法の研修が計画されておりますので、こうした研修を活用していくことも必要ではないかと思っております。
45ページでございます。
こちらは、歯科疾患管理料などの変遷をお示ししておりますが、機能的な疾患、器質的な疾患に対する管理料は加算ではなくて、それぞれ本体の評価として位置づけられておりますので、口腔機能指導加算につきましても、これに倣って位置づけを見直したいと考えております。
46ページからは、歯科技工士に関する内容でございます。
46ページは、歯科技工士や補綴物の製作工程。
47ページは、歯科技工士と歯科医師の連携を評価した、こちらも令和6年度の改定で新設された歯科技工士連携加算の概要など、さらに、48ページでございますが、歯科技工士連携加算の算定実績などをお示ししております。
続きまして、49ページを御覧ください。
検証調査結果におきまして、本加算を取り組むに当たり、工夫している点をお示ししています。
また、右側の円グラフでございますが、本加算が人材定着・確保に寄与した程度を聞いておりまして、先ほどの歯科衛生士の加算の傾向と同様ですけれども、現時点では分からないという回答が約半数を占めています。
続きまして、50ページでございます。
先日の中医協でお諮りいたしました、12月1日保険適用となる材料を使用した、3Dプリンターによる義歯、こちらをスライドの中段にお示ししております。
歯科技工士の業務負担の軽減からも、こうした技術を歯科技工士との連携に活用することも必要と考えてございます。
これらの状況を踏まえまして、歯科技工士連携加算の見直しを行いたいと考えてございます。
続いて、51ページからは歯科治療のデジタル化等でございます。
52ページは、3か月ごとに中医協に御報告をしている歯科用貴金属の随時改定の変遷。
そして、53ページは、歯科治療のデジタル化による効果。
54ページは、歯の部位や金属材料の使用の有無によるクラウン、いわゆるかぶせ物の内容を整理してございます。
点線で囲まれている内容が、近年、目覚ましく普及しております、コンピューターを用いて設計をするCAD/CAM冠と呼ばれるものでございます。
55ページを御覧ください。
一般の患者のケースにおきましては、このCAD/CAM冠の適用となる症例の条件が細かく設定されております。
一方で、表の右側の金属アレルギーを有する患者につきましては、特に要件が設定されておりません。
また、次の56ページではCAD/CAM冠が、装着する部位の違いによって保存期間の有意差が認められなかったという論文も示されておりますので、これらの状況を踏まえまして、CAD/CAM冠の咬合指示要件の見直しをしたいと思っております。
57ページは、かぶせ物などを2年間保証しているクラウン・ブリッジ維持管理料の対象を整理したものでございます。
この前で御説明した要件の見直しなどを踏まえまして、患者に不利益が被らないように、本管理料の対象範囲を設定したいと思っております。
続いて、58ページを御覧ください。
局部義歯、いわゆる部分入れ歯のクラスプやバーと呼ばれる附属品の概要と、実際に臨床で使用されている歯科鋳造用金銀パラジウム合金と歯科鋳造用コバルトクロム合金の比較でございます。
現在は、表にお示しをしているように、歯科鋳造用コバルトクロム合金が多く使用されている状況を踏まえまして、運用を明確にしたいと思っております。
59ページは、光学印象についてでございます。
光学印象は、歯の型を専用のカメラを使って採取する技術でございまして、その制度がクラウン、かぶせものでも高いことが論文でも示されておりますので、現在の対象に、このCAD/CAM冠を追加する方向で検討したいと思っております。
60ページからは、その他についてでございます。
61ページは、歯科点数表の取扱いの明確化などが必要な内容。
そして、62ページでは、歯科点数表の簡素化が必要な内容。
さらに、63ページ、歯科点数表の告示項目名や、要件の見直しなどが必要な項目を整理しております。
また、64ページにつきましては、歯科点数表の麻酔薬材料の整理が必要な項目を、この前のスライドも併せまして、それぞれ具体例も交えながら列挙をしてございます。
これらの内容につきましては、歯科診療の実態を踏まえまして整理したいと考えてございます。
今、御説明させていただいた内容を、現状と課題として、65ページ、66ページにお示ししております。
そして、67ページ、68ページに各項目の論点をお示ししています。
まず、歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療につきましては、1つ目の○で、口腔機能管理料、小児口腔機能管理料、歯科疾患管理料の対象者や評価などに関する論点。
新製有床義歯管理料の算定単位の見直しなどに関する論点。
歯周病安定期治療及び歯周病重症化予防治療の統合などに関する論点。
2つ目の○で、小児義歯の位置づけ、装置の調整修理などに関する論点。
3つ目の○で、歯科矯正相談料の様式、歯科矯正治療の対象患者に関する論点。
4つ目の○で、その他、歯科固有の技術に関する論点をお示ししています。
続いて、多職種連携につきましては、1つ目の○で、周術期等口腔機能管理計画策定料の要件の見直しなどに関する論点。
2つ目の○で、医科歯科連携のさらなる推進に資する歯科点数表の評価に関する論点をお示ししています。
続いて、68ページになります。
歯科衛生士・歯科技工士の定着・確保については、1つ目の○で、歯科衛生士の業務を評価した口腔機能指導加算の要件や評価の位置づけなどに関する論点。
2つ目の○で、歯科技工士連携加算の対象範囲、施設基準の見直しと、歯冠修復及び欠損補綴の評価や取扱いの見直し明確化などに関する論点をお示ししています。
続いて、歯科治療のデジタル化につきましては、1つ目の○で、CAD/CAM冠等の要件の見直しと、この要件の見直しを踏まえた、クラウン・ブリッジ維持管理料の対象や評価などに関する論点。
2つ目の○で、局部義歯に附属されるクラスプやバーの取扱いに関する論点。
3つ目の○で、光学印象の対象に関する論点をお示ししています。
その他につきましては、①~④にお示ししている内容の歯科点数表の明確化、合理化などの内容をお示ししております。
長くなりましたが、説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
67、68ページの論点に沿って、意見と要望を述べさせていただきます。多少長くなりますことを御容赦いただきたいと思います。
まず、歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療についてです。
1つ目の○のポツの1つ目に関連して、小児口腔機能管理料や口腔機能管理料については、9ページのイメージ図で示されておりますが、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の診断基準は、学会の指針等で定められているものの、管理の対象にならない患者さんが存在しており、必要な治療や管理をより幅広く行えるよう、診療報酬上の位置づけを見直すことに賛成いたします。
また、歯科疾患管理料についてですが、これまで様々な議論を経て現在の評価となっております。歯科疾患の重症化予防のために、個人個人に応じた管理を計画しており、その説明も実施しているところであります。
超高齢社会を迎え、11ページに示されているような基礎疾患の有無や服薬情報など、診療の都度確認を行った上で、これらの情報を基に管理を行っていることや、入れ歯の治療を通じて、口腔機能の管理を行うケースもあるので、こうした状況を踏まえつつ、患者さんの納得が得られるような方向で御検討をお願いいたします。
次に、新製有床義歯管理料について、これまで1口腔単位とされておりましたけれども、義歯は上下で形態は違っており、装置の形態に応じた管理に見直すことは妥当であり、賛成いたします。
次に、歯周病安定期治療及び歯周病重症化予防治療については、両者とも歯周病の症状を重症化させないという点において、重要な治療行為であります。
治療内容がほぼ同じでありながら、口腔内の歯周ポケットのわずかな変化によって請求項目が異なることは、歯科医師と患者さん双方にとって理解しにくいので、分かりやすく治療が円滑に行われるような内容にしていただきたいと思っております。
続いて、2つ目の○の小児の咬合に関連して、資料の20ページにありますように、小児の咬合の獲得において重要な保隙装置は、歯の発育状況等に応じて、細かい調整が必要ですので、調整や修理の評価をぜひお願いいたします。
続いて、3つ目の○の歯科矯正に関連して、歯科矯正相談料につきましては、前回改定で新設されましたが、まだまだ取組が少ないので、関連学会の示した考え方に沿って運用が進むように御検討ください。
また、これまで矯正治療の対象ではない、先天性欠損を伴う患者を追加することは、24ページに示されましたデータを見ても妥当と考えますので、よろしくお願い申し上げます。
続いて、4つ目の○の歯科固有の技術についてですが、臨床実態を踏まえ、柔軟に取扱い等を見直す必要があると考えておりますので、これらもよろしくお願いいたします。
多職種連携についてですが、1つ目の○の周術期等口腔機能管理計画策定料につきましては、現場の意見を伺いながら推進が進むように御検討をお願いいたします。
また、2つ目の○に関して、30ページには、他分野との連携について詳細を記載していただいておりますが、糖尿病、口腔機能管理等、医科との連携がさらに推進されるよう、より実効性の高い運用の御検討をお願いいたします。
スライド68の歯科衛生士、歯科技工士の定着・確保についてですが、歯科診療所にとって重要な歯科衛生士及び歯科技工士の定着・確保は非常に重要な課題と考えております。
1つ目の○の歯科衛生士業務に関連して、口腔機能指導加算については、41ページに示されておりますが、歯科衛生実地指導料と比較すると、算定が少ない実態が示されており、実地指導の加算となっているために、実地指導の要件である15分実施した上で、さらに口腔機能の指導を行わねばならず、取組がなかなか進まない要因になっていると考えられます。
現状の限られた診療時間の中で、歯科衛生士が指導に取り組めるような実態に沿って御検討ください。
2つ目の○の歯科技工士と歯科医師の連携関連した歯科技工士連携加算については、前回改定で新設されており、技工士との連携は、技工物の精度を上げるためにも重要と考えています。しかしながら、歯科診療所に勤務する歯科技工士は約1割程度と少ないため、歯科技工士との連携が重要です。
最近では、技工物のデジタル化も進んでいるため、これらの技術のメリットを連携にも活用できるような制度設計をお願いいたします。
また、歯科技工士の処遇改善には、技工物の点数の引上げも重要であると考えていますので、こちらも併せて御検討をお願いいたします。
歯科治療のデジタル化等についてですが、歯科用貴金属の素材価格は、金をはじめ上昇傾向にあり、業務負担の観点からもデジタル化とともに、歯科におけるメタルフリーの技術の拡充は、次期改定において必要不可欠ですので、推進をお願いいたします。
また、57ページの資料にありますように、クラウン・ブリッジ維持管理料につきましては、長い変遷の中である一定の役割を果たしてきたと思います。昨今のCAD/CAM技術の材料の物性の向上等を加味しつつ、現場の意見を伺いながら、実態に即した要件や見直しとなるようお願いいたします。
2つ目の○に関して、歯科用金属価格の高騰もあることから、局部義歯におけるバーやクラスプについて、原則コバルトクロム合金を使っていくことは、ある程度理解しています。
一方で、操作性などの観点から、コバルトクロム合金で対応できない症例についても配慮をお願いいたします。
3つ目の○に関連して、光学印象については、その精度も上がってきており、患者さんの負担も少なくなることから、拡大する方向で異論はありません。
その他について、その他、記載されている論点につきましては、当然の整理と思います。御検討いただきたく要望します。
特に麻酔に伴った場合の薬剤料の算定につきましては、ぜひお願いしたいと思います。
私からは以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、67ページの論点のうち、多職種連携についてコメントをさせていただきます。
2つ目の○の医科歯科連携につきましては、口腔の適切な管理を行うことで、在院日数の短縮あるいは誤飲性肺炎の抑制にもつながるなど、口腔と全身の関係については広く知られており、いろいろ効果的な取組によるポジティブなデータも出てきているところであります。
また、高齢化が進む中で介護分野においても、歯科との連携について取り組まれておりますので、医科歯科連携の重要性は、これまで以上に増しており、介護施設と歯科医師あるいは歯科衛生士の連携というのも十分参考になるものではないかと思っております。
したがいまして、医科歯科連携に関わる歯科点数の評価につきましては、積極的に推進していただければと思っております。
具体的には、歯科を標榜する病院であれば、院内の歯科が行う口腔ケアあるいは歯科受診の取組を積極的に評価すべきでありますし、また、歯科を標榜しない病院であれば、入院中の患者さんに対する歯科医療機関からの訪問診療が積極的に行われるよう、事前の情報共有や、治療後のフィードバックの評価の在り方について、課題を整理した上で検討を進めてはどうかと考えております。
次に、資料の33ページですけれども、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算において、歯科医師の役割などを評価するということについては賛同いたしておりますが、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は急性期病棟における加算であり、また、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算というものがありますけれども、これは地域包括療養病棟における加算であり、両者とも算定要件のハードルが高く、現状算定が低調となっております。
したがいまして、この部分だけの連携であれば、効果が乏しいかなと思っているところでございます。
包括期病棟や慢性期病棟の入院患者さんの歯科受診の必要性は、急性期病棟の入院患者さんよりもむしろ高いことも想定されます。
したがいまして、入院患者さんに幅広く必要な歯科受診が手当できるような対応はよろしく御検討をお願いしたいと思います。
続きまして、糖尿病の患者さんの医科歯科連携については、これは、我々も推進していけるよう取り組んでまいりたいと思っております。
最後に、37ページの歯周病ハイリスク患者加算につきまして、医療機関に対する歯科治療や口腔内状況のフィードバックを要件となっていないと記されておりますので、歯科側から連携を強化する取組を積極的に評価することも、患者さんにとって有益ではないかと思っております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
歯科医療につきましては、ライフステージや患者特性によって口腔機能の課題が異なることを踏まえまして、技術進歩も念頭に入れた上で、効率性を意識し、限られた歯科医療資源で必要なニーズを過不足なく充足することが基本だと考えております。
こうした認識に立ちまして、67ページ、68ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、最初に生活の質に配慮した歯科医療についてでございますが、患者の多様性に配慮し、生涯にわたる治療や、管理を推進する方向性はある程度理解できますけれども、充実だけではなく適正化もセットで対応すべきだと考えます。
3ページに紹介されております、その1でも指摘いたしましたが、歯科疾患管理料については、まず、適切に運用がされているのかというところに、疑問を感じておるところでございます。
具体的に申し上げますと、資料の10ページを見ていただきますと、趣旨に記載されているとおり、歯科疾患管理料は継続的な管理を必要とする患者に対して、同意を得た上で管理計画を作成し、その内容について説明した場合に算定するという記載になっておりますが、その一番下の参考を見てみますと、1か月間の算定回数が初診で493万回、再診で1345万回ということで相当多いですけれども、再診が初診の3倍弱でございますので、初診と再診のバランスを考えますと、長く継続的に管理しているというよりも、初回だけ、もしくは数回の通院で終わるパターンが多いのではないかという印象を受けております。
また、資料の11ページの左側にある棒グラフを見てみますと、口腔内の管理だけでなく、基礎疾患の有無、服薬状況、歯磨きの状況等を把握しており、また、右の円グラフに目を移しますと、負担は初診と再診で変わらないという回答が多く、歯科医の立場に立ちますと、手間というのは、十分理解はできますけれども、しっかり計画の説明をしていただいて、患者が納得した上で、継続的な管理にするという趣旨が徹底されますように、運用を明確にすることが不可欠だと考えます。
事務局の提案は初診月の減算の廃止と、義歯の治療だけの場合も算定可能にするものだと推察いたしますが、その場合、保険財政にもかなりの影響があるものと思われます。
さらに、高齢者の口腔機能低下症や、子供の口腔機能発達不全症についても、資料の9ページにありますとおり、学会の診断基準に該当する患者について、これまでより幅広く、口腔機能管理料や、小児口腔機能管理料を評価するのであれば、これも同様の財政影響が生じるものと思われます。
したがいまして、歯科疾患管理料につきましては、運用面で継続的な管理を徹底するだけでなく、ベースとなる点数の適正化とセットで対応することを強く主張いたします。
次に、歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療については、16ページに比較がございますけれども、以前にも指摘いたしましたが、患者には違いが分かりかねますので、この2つを統合するという案には賛同するものでございます。
さらに歯周病の管理は、あくまで治療の一環として保険給付するものですが、一度始まると病態によらず、3か月ごとの通院がいつまでも続いて、事実上の健診やメンテナンスとして運用されている懸念があるものと思います。
歯周病の状況に応じて、治療間隔が長くなることもあれば、人によっては短くなることもあるはずですので、その点を運用ルールとして明確にすべきだと考えております。
続きまして、多職種連携に関する論点ですけれども、連携そのものが、もちろん目的ではなく、患者にメリットをもたらすことが真の目的となりますけれども、30ページの算定回数等を見ますと、件数等に相当ばらつきもあり、本当に活用されているのかという印象も受けますので、まず、しっかりと効果を検証することを指摘させていただきたいと思います。
その上で、周術期等口腔機能管理計画については、治療計画の変更に対応する必要性は理解ができますので、最初に計画をするときとは全然手間が違うと思いますので、その点を踏まえた妥当な評価にすべきだと考えます。
また、歯科受診が必要な糖尿病の患者や高齢者について、医科の入院や外来と連携することは、ぜひ推進していただきたいと思います。
次に、68ページの歯科衛生士や歯科技工士の定着・確保についてですが、令和6年度に評価を充実し、さらに令和7年度に、期中に緊急的な追加の対応を行ったところですけれども、歯科衛生士については、資料の42ページを見てみますと、口腔機能指導加算の算定が令和7年2月~3月にかけて増加しておりますけれども、一方、43ページ目を移しますと、人材定着・確保への影響が、現時点では分からないという回答が半分近くを占めております。
また、歯科技工士については、48ページを見てみますと、これも連携加算の算定が令和7年2月から3月にかけて少し増加しているように見えますけれども、2月はもともと稼働日が少ないということもありますので、その前の1月と3月、4月を比べますと、ほぼ増えておらず、49ページを見る限りでは、人材定着・確保への影響は、こちらも現時点では分からないが過半数を超えており、評価を充実した効果が出ているとは言えないというのが率直な受け止めでございます。
したがいまして、少なくとも令和8年度改定で、さらに評価を引き上げるということは時期尚早であり、人材確保や定着につながるよう、運用を改善すべきだと考えます。
次に、歯科治療のデジタル化についてですが、これについては、ぜひ積極的に進めていただきたいと考えます。
歯科用貴金属の価格変動による影響を受けないためだけではなく、業務の効率化あるいは歯科医療の質の向上をさせるためにも、技術革新は必要不可欠だと思います。
診療報酬改定のタイミングだけでなく、期中においても新たな材料の保険導入を目指すことを、企業を含めまして、歯科業界の関係者に要望するものです。
また、補綴物維持管理料については、患者に不利益が生じないよう、適切に見直すべきだと考えます。
最後のその他の項目については、実態を踏まえた明確化や、合理化ですので異論はございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
歯科疾患・口腔機能の管理等の生活の質に配慮した歯科医療、多職種連携に関して申し上げます。
まず、1点目ですが、8ページで、口腔機能管理料、小児口腔機能管理料を算定していない理由につきましてお示しいただきました。前任の佐保が、9月の会議で質問していたと聞いておりますので、今回、調査結果から示していただき、ありがとうございます。
診断基準を満たしている患者でも算定要件を満たさないという回答に加え、診断基準や算定基準が複雑という回答も一定見られますので、要件の見直しに当たりましては、その点も含めて検討いただき、必要な患者に必要な管理が行われるようにしていくべきと考えております。
また、子供の健全な発育のためにも、正常な咬合の獲得に向けた対応は必要と考えますので、小児の保隙装置、歯科矯正相談に関しましては、質の担保も含めて、適切に対応を図ることが重要と考えております。
2点目の多職種連携ですが、これは重要と考えますので、これまでの意見なども踏まえ、着実に連携が進むよう適切に対応いただきたいと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
御意見等いろいろありがとうございます。
初診時に継続管理が必要と判断した患者さんが、次回、来院しなくなるというケースはございます。患者さんに対して、歯科医師側も継続管理の重要性の周知を努めてまいりますけれども、歯科疾患の管理については、患者さんの理解があって継続できるものなので、各方面から周知を努めていただければと思います。
また、長期的な継続管理を行うと喪失歯が減少するため、良好な口腔状態を維持できることが認められており、重症化予防の点からも、長期に来院される患者さんが増えておりますので、再診時が大きいと思っております。
長期的な維持管理の評価も、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
口腔機能低下症について、学会の診断基準と管理料の対象患者基準がずれている点について、是正が必要なことは理解できますが、算定しない理由として診断に必要な機器を持っていないという回答も多くなっております。管理に必要な機器であれば、きちんと整備されている医療機関で管理がなされるようにしていくべきだと考えております。
また、歯科衛生士や歯科技工士の確保につきまして、加算を算定しない理由として、人材不足や多忙、必要性を感じないという理由が多くなっています。
そうした際に、本体に組み込む対応や、要件の緩和をすることが人材定着や、何より患者さんの適切な治療につながるか少し疑問がございます。全体的にさらなる評価を行っていく方向の論点が多い印象です。患者さんの口腔環境改善のために必要なことだと思いますが、歯科医療全体としての効率化や適正化も重要な視点であり、例えば、評価体系や算定単位の見直し、要件の統合といった評価の在り方を見直す場合など、そうした視点も忘れずにお願いしたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには御意見等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

