2025年11月14日 中央社会保険医療協議会 総会 第627回議事録

日時

令和7年11月14日(金)9:30~

場所

全国都市会館 2 階大ホール

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 永井幸子委員
  • 高町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 鈴木宇徳委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 費用対効果評価専門組織からの報告について
  • 入院について(その5)
  • 在宅について(その4)
  • 個別事項について(その7)長期収載品の選定療養①

議事

○小塩会長
おはようございます。
ただいまより、第627回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、鈴木委員、永瀬委員、笠木委員、田島専門委員が御欠席です。
カメラの頭撮りはこのあたりということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「費用対効果評価専門組織からの報告について」を議題といたします。
本日は、同専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。田倉委員長より御説明をお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。
中医協総-1-1の資料を御覧ください。
「医薬品等の費用対効果評価案について」ですが、エルレフィオ皮下注について、費用対効果評価案を策定いたしましたので、御報告いたします。
なお、当面の間は、専門組織での検討状況についても、資料に記載をしております。
2ページ目を御覧ください。
対象品目名は、エルレフィオ皮下注です。
効能または効果は、再発または難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)となっております。
費用対効果評価専門組織で決定した費用対効果評価案を記載したものについて、上段に示しております。
下段に補足として、分析対象集団のICERの区分を記載しております。
3ページ目からは、参考としてエルレフィオ皮下注の費用対効果評価案策定に関わる主な検討事項を記載しております。
なお、本品目については追加分析を行っており、5ページ目に記載をさせていただいておりますが、その中で本品目の費用対効果評価分析に用いた、Matching adjusted indirect comparison、通称MAICと呼んでおりますが、こちらの間接比較の解釈については、諸事情の条件等できる範囲で個別に検討する必要があるのではないかといった意見がございました。
御説明する内容は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
事務局から補足はございますでしょうか。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局、医療技術評価推進室長でございます。
中医協総-1-2を御覧ください。
「パキロビッドの費用対効果評価に係る分析再開について」になります。
上段の経緯に記載してありますとおり、本薬剤は、令和5年3月8日の中医協総会において対象品目として指定され、費用対効果評価専門組織において、次の○のとおり議論をされております。
2つ目の矢羽根にありますとおり、オミクロン株流行下での本薬剤の有効性について、英国で行われておりますRCTのPANORAMIC試験が患者登録を完了しており、この結果を踏まえた検討を行うため、一定期間の分析中断をすることが妥当であるとされ、3つ目の○に移りますが、令和6年9月11日に中医協総会において、期間を最大1年とした分析中断が承認されたところでございます。
下段の「現状と方針」に移ります。
1つ目の○、令和7年9月2日に国立保健医療科学院からPANORAMIC試験を実施している英国オックスフォードの研究班に問い合わせをしたところ、公表時期は不明との回答をいただいているところでございます。
2つ目の○に移りますが、令和7年9月26日の費用対効果評価専門組織において、方針について御議論がなされまして、3つ目の矢羽根にありますとおり、分析再開について、また、4つ目の矢羽根にありますとおり、再分析を実施する期間として3か月が妥当ではないかとの議論がされました。
以上を踏まえまして、本剤につきましては、費用対効果評価分析を再開することとしてはどうかと考えております。
事務局からの説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
後から御説明のありましたパキロビッドについてなのですけれども、最大1年間とした分析の中断期間を経過し、リアルワールドデータが公表されていることを踏まえまして、まずは、利用可能なデータを用いて分析を再開し、PANORAMIC試験の結果が公表された場合には、改めて再評価について検討することは、妥当な判断だと考えております。
あわせて、リアルワールドデータを活用する際の課題につきましても、整理することをお願いいたします。
1点確認でございますが、1-2の4ページの分析評価の流れに照らし合わせますと、大体先ほど書いてあります3か月間というプラスに専門組織での評価を加えますと、大体半年後ぐらいに結果が出てくると、そういう理解でよろしいか確認させていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
1点御質問がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○梅木医療技術評価推進室長
その認識でよいかと思います。
○松本委員
承知いたしました。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
○松本委員
はい。
○小塩会長
ほかは、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
小阪でございますが、まず、再開すべきかどうかということなのですけれども、臨床的に言うと、デルタ株はもうはやっていないので、それを含めた検証が、これからの臨床に関して、何か有用なデータを出すのかどうか?、再開するにしても、臨床研究でよくやられますようなサブ解析をして、きっちりデルタとオミクロンを分けないと、臨床家が使うときに、この薬は有効かどうか、デルタとオミクロンが混ざったもので有効かもしれませんが、オミクロンに本当に有効なのかどうかということが分からないうちに評価されてしまうというのは、少し臨床医学的には違和感を感じます。やはり対象が変われば、臨床研究も変わるというのが医学的な常識ですので、対象を混ぜてしまうというのは違和感があります。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの小阪委員の御指摘について、何か事務局からコメントはございますでしょうか。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。
ここは総会の場で、再開の是非についての話でございますので、分析の手法等については、また別途ということでございますが、御意見を踏まえながら、できることがあるかどうかも含めて検討していきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
小阪委員、よろしいでしょうか。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
それでは、ほかに御質問等ないようでしたら、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
○田倉委員長
失礼します。
○小塩会長
続きまして「入院について(その5)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「入院(その5)」をお願いいたします。
本日のテーマですけれども「回復期リハビリテーション病棟について」「リハビリテーションについて」「病棟における多職種連携について」となってございます。
リハビリテーションについては、入院だけではなくて外来の部分も含まれますけれども、回復期リハビリテーション病棟との関係が強いので、この資料中で一体的に扱わせていただくことにいたしました。
まず、最初に「回復期リハビリテーション病棟について」です。11ページまでは、現在の施設基準や病床数の推移等についてお示ししております。
8ページ、病床数の数については、今も伸びてきているという状況にございます。
13ページ「回復期リハビリテーション病棟に求められる役割」でございますが、ADLの向上による寝たきりの防止及び家庭復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うための病棟及び病室となってございます。
14ページ、回復期リハビリテーション病棟における重症患者基準というのがございまして、新規入院患者のうち重症の患者の割合が4割以上ないし3割以上といった基準がございます。
こうした方々、FIMで見ると55点以下といったところになります。どれぐらいの患者さんが実際に入院されているかというのが左下に書いてございます。
その中には、FIMでいう20点以下の患者も一部含まれますが、そういった方々が、入院時、退院時のFIMの上がり方を比べる、FIM利得と書かせていただいていますけれども、比べた場合にどれぐらい上がっているかというのが右にございまして、全体と比べると運動20点以下の方については、FIM利得の上がり方が少ないということが分かります。
15ページが、この重症患者割合の導入経緯、そして、16ページが、重症患者割合の満たしている状況をヒストグラムでお示ししたものです。
17ページは、実績指数の概要と目的を書いているものでございます。
実績指数というのは、FIMの得点の上がり方、病棟の中での全員の和を病棟の総入院日数で割ったものということでございますので、どれだけリハビリの効果が出ているかということを総括的に病棟全体で示す指数と捉えてございます。
その計算対象において、以下の患者を除外できるという除外対象患者が決まっておりまして、この趣旨としては、リハビリをして効果が上がっても、FIM利得という形では結果が表現されない患者さん、例えば、失語症の患者さんに、そこの部分のリハを行っても運動利得という形では表現されないために、そうした方々の入棟が制限されない仕組みとして設けているというものでございます。
どういった方が対象になるかというと、その下の5個の点がございますが、そこの5個の点に該当する方、そうした方々の中から3割以下の範囲で除外できるとなってございます。
除外患者の割合を高くすると、もともとの趣旨とは別に、リハビリテーションの効果が得られにくい患者さんの入棟が認められやすくなるという関係にあると考えてございます。
18ページ、リハビリテーションの実績指数の分布でございまして、病棟ごとのヒストグラムを書いてございます。
19ページは、除外基準に該当する患者さんの割合、右下が合計でございますけれども、8割、9割という病棟が多くなってございます。
特に、真ん中の上に赤く囲んでございますけれども、80歳以上の方が占める割合も高くなってございます。
20ページ、こうした基準に該当する方のFIM利得が上がらないかどうかということでございますが、年齢80歳以上の方であっても全体の平均とおおむね同じ程度ではないかということ。
そして、認知の24点以下、運動20点以下の方は少し低いということでございますので、次のページ以降で、さらなる分析を行っております。
21ページ、FIMの認知項目の得点が24点以下の患者さんの運動利得を見た場合、15点以上の方に関しては、患者全体と同程度であるのに対して、もともと14点以下の方に関しては、患者全体よりも低いという傾向があると考えられました。
また、22ページでございますけれども、運動項目20点以下や認知項目14点以下の患者さんにつきまして、FIM利得を平均リハ実施単位数の比較で見た場合に、平均リハ実施単位数にかかわらず、FIM利得がほとんど得られない患者さんがいらっしゃることや、FIM利得が得られる患者さんがその中にはいらっしゃいますけれども、リハ量を3単位から大きく増やしていっても利得の増加が得られにくいということが分かってございます。
23ページが、FIMの仕組みでございまして、どういった領域があるか、そして、それぞれの領域ごとに1点~7点の点数をつけるという仕組みであることをお示ししています。
24ページが、移動やセルフケア、トイレ動作についてどれぐらいまで上がると在宅復帰が進みやすくなるかということを示しておりまして、4点~5点や5点~6点のところまで上がると在宅復帰が進みやすくなるということが分かります。
25ページは「日常生活機能評価表について」ということでございますが、先ほどの重症患者割合については、日常生活機能評価とFIMのいずれかを測って基準を満たせばいいということになってございます。
なお、26ページにありますように、この2つの評価については、非常に重複部分が多くなってございます。
27ページからは、次のテーマでございますが、28ページ、リハビリテーションの役割として、疾患により低下した身体機能・ADLを向上させるということだけではなくて、残存する身体機能を活用して、生活機能を回復していくという大きな目的がございます。
こうした取組を促す施策として、29ページにあるような排尿自立支援加算というのを設けたり、30ページ、摂食嚥下機能回復体制加算というのを設けたりしております。
なお、この摂食嚥下機能回復体制加算については、言語聴覚士が、この加算に専従である必要があるというルールになってございます。
31ページは、退院前訪問指導の実施による効果を現しているものでございます。そして、32ページが、それにかかる時間を表しております。
33ページ、休日リハに係る現在の要件ということでございます。
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算などと比べると、少し古くできたこともあって、要件が厳しくはない形になってございます。
34ページ、しかしながら休日リハをやっておられる実施単位数というのは、かなり実績が高くなっていることも分かります。
35ページからが「退院支援と地域連携」についてということです。
36ページ、回復期リハビリテーション病棟に高次脳機能障害の患者さんが比較的多く入院されております。
37ページですけれども、入院中の後、退院支援に向けて適切な連携を進めていくといったことも課題となってございます。
38ページは、高次脳機能障害の支援拠点機関に関する資料を載せております。
39ページ、地域支援事業の参加率、そして、40ページ、地域リハビリテーション活動支援事業の概要をお示ししております。
42ページが、ここまでの論点でございます。
回復期リハビリテーション病棟につきまして、重症患者の範囲や入棟を求める割合、そして、実績指数の在り方や、それらを要件とする入院料の範囲等について論点とさせていただいています。
その際、除外対象患者の割合が高い一方で、除外対象でない患者と同様にFIM利得を得られる分が含まれることや、実績指数の除外対象となる患者が3割を超えていること。
また、歩行やトイレ動作が5点か6点程度まで改善した場合には、在宅復帰の割合が大きく上昇することなどを着眼点として挙げさせていただきました。
それから、日常生活機能評価表につきまして、現場の負担軽減の観点から、その役割についてどのように考えるか。
続いて、43ページでありますけれども、上位の区分入院料において排尿自立支援加算や摂食嚥下機能回復体制加算等の届出を求めることについて、どう考えるか。また、摂食嚥下機能回復体制加算において専従要件となっている言語聴覚士の扱いについて、どう考えるか。
退院前訪問指導に関する回復期リハビリテーション病棟における評価方法について。
それから、休日リハビリテーションに関する施設基準、提供量の基準等の在り方について。
最後に、高次脳機能障害の退院支援として、支援拠点機関や障害福祉サービス事業所等の情報提供を行うことについてと、地域リハビリテーション活動支援事業等の総合事業へ市町村の求めに応じて協力することを推奨する病棟の範囲等について、論点として挙げております。
続いて「リハビリテーションについて」でございます。
44ページ~51ページで、現行の評価等についてまとめてございます。
53ページから、急性期のリハビリテーションについてでございます。
53ページが、前回改定で変更のあった現在の早期加算や、早期リハ加算、急性期リハ加算の算定構造となってございます。
リハビリテーションを開始した日から、14日目ないし30日目まで算定できるということでございまして、リハビリテーションを、例えば入院から3日までに開始しなくてはいけないと、そういったルールはないわけでございますが、この期間までにリハビリテーションを行った場合に算定されるという構造になってございます。
54ページ、脳卒中に関する早期リハビリテーションの介入の効果ということで、発症後24~48時間といった早期のリハビリテーション、早期に開始をすることの効果が検討されているものでございます。
55ページが、初期加算等の算定要件と算定状況でございますけれども、初期加算は、先ほど申し上げましたように、例えばリハビリテーションを9日目に開始すれば、9日目~14日目まで算定できるという構造となってございます。
発症早期、すなわち発症から3日目ぐらいまでに開始をされているものも多くなってございますけれども、入院からかなり時間がたってから算定が開始される場合もあるということでございます。
また、56ページは、金曜日に入院された方については、3日目までのリハビリの開始というのが、なかなか得難いこととなっているということであります。
続いて、58ページ、リハビリテーションにおける専従等の要件でございます。
ピンクで書かれているリハビリテーション料などの項目については、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士の専従要件があるというものでございます。
そして、太枠で囲っているもの同士の間では、他のサービスを併せて実施していいこととなってございますが、それ以外のサービスについては、専従の従事者については実施できないことになっているのが現状でございます。
59ページ、医療機関の療法士が、介護保険施設等に助言をする場合もあることがございます。
60ページ、疾患別リハビリテーション料の上限単位の現行の規定と、それから、61ページ、前回の改定において運動リハビリテーション料の算定単位が、1日6単位までに回復期リハビリテーション病棟において定められたという内容でございます。
62ページ、これらをまとめたものでございますけれども、回復期リハビリテーション病棟においては、運動器リハビリテーションの上限が6単位と定められていたことになりますけれども、それ以外の病棟においては、引き続き、6単位に制限する規定が対象となっていないということでございます。
63ページが、また違うトピックスでございますけれども、ベッド上から全く体を離さずに寝たまま行う訓練ということで、可動域訓練など、そういった訓練が行われることがあるわけでございますけれども、他の歩行訓練などとの違いを表しております。
また、64ページが、そうした訓練を必要とする患者さんに長い時間の訓練を行った場合の効果などについてお示ししております。
65ページからは、院外でのリハビリについて、実際の目的などについてまとめてございまして、67ページが、実施の状況でございますけれども、3単位までではなくて4単位以上実際にはかかっているということが出ております。屋外等でのリハビリテーションについては、入院患者に対して、1日に3単位に限り算定できるという現行のルールを併せてお示ししております。
69ページが「退院時リハビリテーション指導料」でございまして、この算定回数の推移を示しておりますが、70ページ、算定患者さんにつきまして、入院中にリハビリテーションを行わなかった患者さんや、その中でも入院日数が非常に短かった患者さんも含まれているということが分かります。
71ページは「摂食機能療法」についてでございます。
看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士、また、作業療法士が行うということでございますが、72ページ、食事観察や食事介助のみで算定しているというお答えも一部あったということを示しています。
73ページが、リンパ浮腫複合的治療料についてでございます。重症の場合200点、それ以外の場合100点ということで、それぞれ40分以上、20分以上という要件もございます。
算定回数は比較的少ないと認識しております。また、74ページにありますように、こうしたサービスが提供できていない地域もあるということでございます。
75ページ、実際には、提供時間が比較的長いという調査結果もございます。
76ページからが書類の作成に関してです。
77ページ、リハビリテーション実施計画書とリハビリテーション総合実施計画書の様式が別のものになっているということをお示ししています。
また、78ページ、リハビリテーション総合計画評価料でございますけれども、算定や計画書の作成については、月1回に限りとなっている一方で、患者さんへの説明については、3か月に1回以上となっているといった違いもございます。
79ページ「目標設定等支援・管理料」。これは、介護保険へのリハビリテーションの移行を促す目的で創設されたものでございますけれども、こうした当初の目的については、かなり達成されつつあるということでございます。
80ページが、総合実施計画書の記載項目、そして、81ページが目標設定等支援・管理料の記載項目となってございます。
83ページから論点をまとめてございます。
まず、急性期のリハビリテーションについて、初期加算の在り方や、休日のリハビリテーション実施体制の評価について、どのように考えるかとしております。
続いて、84ページでございますけれども、疾患別リハビリテーション料の専従要件や評価の在り方について、どのように考えるか。
その中で、疾患別リハビリテーション料において専従の療法士の配置を求めていることや、運動器リハビリテーション料の上限が1日6単位とされた一方で、入院する病棟によって異なる扱いになっているものがあるということ。床上で離床せず行うリハビリについて、単体での効果が高くないことなど、そして、医療機関外での疾患別リハビリテーションを、1日60分を超えて実施している医療機関が一定程度あること、こうしたことを着眼点として挙げさせていただいております。
また、その他でございますけれども、退院時リハビリテーション指導料の対象患者、摂食機能療法を食事観察や介助のみで行っている場合について、リンパ浮腫複合的治療料について、1回の指導に比較的長い時間を要することについて、リハビリテーション実施計画書とリハビリテーション総合実施計画書の様式の類似や、作成頻度と説明頻度の乖離、こうしたことを踏まえた計画書の在り方について、目標設定等支援・管理シートとリハビリテーション総合実施計画書の重複項目が多いことを踏まえた計画書や評価の在り方について、こうした論点をまとめさせていただきました。
続いて、85ページからが「病棟における多職種の連携について」でございます。
まず「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」についてです。
86ページが、前回の改定で設けられた算定要件や施設基準をまとめてございます。
まず、これについての評価ということだと思いますが、88ページ、届け出ていない理由としての医療機関のお答えを挙げさせていただいております。
従事者の確保、また、土日祝日のリハ料の提供単位数などが理由として挙がってございます。
89ページは、自治体の介入状況でありますけれども、リハビリが早期に開始されている割合が高いことが分かります。
また、90ページ、休日リハの実施状況についても算定ありのところは非常に高いことが分かります。
91ページ、算定されている患者さんにおいては、要介護度の高い方や高齢の患者さんが多かったこと。
また、92ページ、ADLの低下割合においては、算定している医療機関において施設基準を上回る達成状況になっていることが分かります。
93ページ、低栄養についても加算を算定しているところのほうが、評価が適切に行われている。
そして、94ページ、肺炎の方においても、この加算を算定しているところのほうが早く食事の摂取が復活していることが分かります。
95ページ、96ページは、歯科治療が必要な入院患者の状況や、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定との関係について、お示しをしているものでございます。
続いて、97ページからが病棟に配置された専門職の役割ということでございます。
99ページが、各入院料において、リハビリテーション関係の療法士の配置について、どのようなルールになっているか、目的の規定等も含めてお示ししております。
100ページ、こうした療法士の方々の実際の業務の例をお示ししております。
また、101ページですが、そうした効果に関する調査の結果等をまとめてございます。
102ページが、こうした指導を行っている実施割合、病棟ごとにまとめたものでございます。
103ページが、こうした病棟における病棟業務の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の関与の状況をお示ししています。
また、104ページからは、管理栄養士の病棟での業務状況をお示ししております。
106ページが、配置の現行の評価。
そして、107ページが、その中でも特に特定機能病院入院料においては、入院医療管理体制加算において、専従の管理栄養士の配置が求められておりまして、それ以外の業務ができない形になっているということでございます。
また、108ページ、管理栄養士の病棟配置や多職種連携が要件となっている特定入院料や加算において、栄養サポートチーム加算の出来高算定や併算定ができないというルールをお示ししております。
109ページからが「病棟業務における多職種の関わり」ということでございます。
110ページのような看護業務のタイムスタディ調査が行われまして、111ページ、以前にもお示ししていると思いますが、看護業務の全体像として、こうした内容が行われています。
患者のケアの中には、排泄介助や食事の世話、体位交換、身の回りの世話といった内容が含まれてございます。
こうしたことも含めまして、様々な職種が、どういった病棟での業務をされているかということを、112ページ~116ページまでにまとめさせていただいております。
また、117ページは「臨床検査技師の病棟配置の効果」ということで、採血や検査の説明などが行われているという内容でございます。
118ページが、入院料ごとの病棟の職員数の現状、そして、119ページが、タスク・シフト/シェアの取組の現状でございます。
120ページ、ここまでをまとめまして、病棟業務の多職種連携において、各職種が関与する業務や、そうした職種が関わることによるメリットをまとめさせていただいております。
122ページが論点となってございます。
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算につきまして、要件が厳しいという御意見もありますが、届出をしている病棟では、よい結果を出していることが分かります。
口腔衛生など、リハビリテーション以外の取組も促していくといった観点も含めまして、本加算の評価の在り方や要件について、どのように考えるかとしています。
また、特に高齢者の多い急性期の病棟などにおいて、多職種における協働を促し、ニーズに応じて病棟に多職種を含めて配置をするなどの、より柔軟な対応を可能にすることについて、どう考えるか。その際、病棟に配置している管理栄養士や療法士の病棟での業務を推進することについて、どう考えるか。管理栄養士が特定機能病院で専従配置の場合も退院患者の支援を継続的に行うことについて、どのように考えるか。
こうした論点も含めまして関連する部分について、御審議いただければ幸いでございます。
説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、42ページと43ページの論点について申し上げます。
リハビリテーション実績指数・重症患者割合の1つ目の○につきまして、14ページの資料では、入棟時のFIM運動項目20点以下はFIM利得が低く、重症患者の基準から外すべきではないかと示されていると認識しております。
リハビリテーションの効果をより評価するという意味では、あり得るかとも思いますが、一方で、14ページの資料の右下の箱ひげ図を見ますと、平均値はさほど変わらず、上下に幅広く、FIM利得を一定以上獲得している事例も多いことが分かります。
したがいまして、改善している事例と改善が乏しい事例の詳細な分析、すなわち、どういった疾患や病態にどのようなリハビリテーションを行った場合に改善が見られるかについて検証が必要であり、一概にFIM運動項目20点以下は改善しないと決めつけて、重症基準の対象外とすることについては慎重に対応すべきであり、これらの患者さんが、回復期リハビリテーション病棟への入院が阻害されないようにしなくてはならないと考えております。
2つ目の○の実績指数からの除外対象患者について、資料では、FIM運動項目利得に関して、患者全体と80歳以上の患者のグループ間で同程度であること、また、FIM認知項目15点以上のグループでも同様であることから、80歳以上やFIM認知項目15点以上の患者は、リハビリテーションの効果が期待できるため、除外対象患者から外すことが現場に支障のないことを確認の上、検討する方向で考えるべきと思います。
また、歩行やトイレ動作の5点、6点までの改善をより評価することに異論ございません。
3つ目の○の日常生活機能評価表につきましては、これは、看護必要量を評価しているものであり、FIMとの違いとして排泄や入浴の項目の有無、認知項目の重みの差異があり、FIMに一本化するかどうかについては、より精緻な検証も必要と考えております。
次に、より質の高いリハビリテーション評価についてでございます。
1つ目の○の上位区分の入院医療において排尿自立支援加算や摂食嚥下機能回復体制加算などの届出を求めるのであれば、より上位の区分の入院料で評価していくことが必要であろうと思っております。
また、摂食嚥下機能回復体制加算において、言語聴覚士が専従要件となっていることにつきまして、言語聴覚士は、医療現場ではまだまだ不足していますが、対応を要するニーズは高まっており、幅広く対応していただくためにも、専従要件は緩和すべきと考えております。
次に、2つ目の○の退院前訪問指導について、取組の成果が出ており、多職種で長時間を要している実態を考慮すると、包括評価ではなく、出来高評価に見直すべきと考えております。
3つ目の○については、回復期リハビリテーション病棟3~5においても、休日を含めたリハビリテーション提供体制を施設基準とすることや、回復期リハビリテーション病棟における休日リハビリテーション提供料を、平日の平均提供量の8割以上とする方向性は推奨すべきことではありますが、対応できない要因があるとすれば、実情を踏まえて徐々に誘導を図っていくべきと考えております。
続いて、退院支援や地域連携の取組についてですが、高次脳機能障害の患者さんの退院支援として、支援拠点機関や障害福祉サービス事業所などの情報提供を要件とすることや、回復期リハビリテーション病棟3~5においても、地域リハビリテーション活動支援事業などへの協力が望ましいと推奨することに賛同いたします。
続きまして、83ページ、84ページの論点について申し上げます。
まず、急性期のリハビリテーションについてでございます。
初期加算等について、より早期から算定するする仕組みとするとともに、在院日数が短いことから、早期に手厚く評価する見直しが必要と考えます。
あわせて、休日のリハビリテーション実施を高める方策についても検討が必要であります。
次に、疾患別リハビリテーションについてでございます。
専従の療法士の配置を緩和し、幅広い業務に従事できるよう見直す必要があることや、62ページの仕組みについて、整合性を図ることに異論ありません。
次に、床上で行うリハビリテーションについては、資料の64ページの右側のグラフの赤枠を見ますと、リハビリテーション提供量の多いほうが平均値と中央値がやや改善しており、FIM運動項目利得のより高い事例もやや増えており、また、平均リハビリ実施単位数3単位以上のいずれの群においても、FIM利得30~80の大きく改善している事例があり、これらの改善する事例があることには、留意すべきであります。
したがいまして、要介護4または5で、入院時運動FIM20点以下の患者さんが、1日3単位を超えるリハビリテーションを実施しても、全ての患者さんに効果がないと決めつけるべきではないと申し上げます。
特に、廃用性の機能障害は、進行防止も改善も期待できる病態であり、本件について診療報酬上のリハビリ実施単位数の評価に制限を設けることは、見直すべきと考えております。
医療機関外の疾患別リハビリテーションは長時間を要するものであり、実態に見合う評価とすべきと思います。
次に、その他のリハビリテーションに関わる算定区分についてでございます。
退院時リハビリテーション指導料の算定対象患者について、疾患別リハビリテーション料を算定している患者とすることに反対するものではありませんが、入院中にリハビリテーションを実施していなくても、例えば高齢の患者さんやその御家族に対して、退院後の生活において必要な動作の回復を図るための訓練などについて指導を行った場合であっても、現状では算定できるとされていること。
また、退院後早期の在宅リハビリテーション提供が推奨されており、そのために退院時指導をする必要もあり、慎重な検討が必要と考えております。
摂食機能療法の介入について、食事観察や介助のみの介入は該当しないことに異論ございません。
加えて、リンパ浮腫複合的治療は、現行の20分や40分の評価に対して60分を要している実態を踏まえて見直すことに賛同いたします。
続いて、リハビリテーションに関わる書類作成業務についてでございます。
リハビリテーション総合実施計画書は、多職種で共同して作成評価を行うもので、リハビリテーション総合計画評価料は、月1回算定できるのに対して、3か月に1回以上作成するリハビリテーション実施計画書とは異なる位置づけであること。
目標設定等支援・管理シートは介護保険のリハビリテーションへの移行、すなわち生活期リハビリテーションにおける活動参加に重きを置いており、それぞれ目的や用途が異なっておりますので、簡素化については、現場の実態を踏まえた対応が求められます。
また、頻度については、一律に決められるものではなく、症例ごとにリハビリテーションは異なりますので、主治医の判断により柔軟に対応できることが必要と考えております。
最後の122ページの論点について申し上げます。
まず、1つ目の○については、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算などにおいて、療法士の配置基準を専従要件から専任要件への緩和や、要介護者や高齢者のADLが低下しやすい患者さんに特化した重点的取組を促進する仕組みも考えられると思います。
また、口腔に対する取組がまだ不十分な実態であり、入院時に歯科受診の必要性の有無をスクリーニングする仕組みも検討すべきと考えております。
続いて、2つ目の○につきましては、管理栄養士や療法士を病棟に配置することは、患者さんの治療に有効であり、看護職員の負担軽減も期待できるものと思います。
また、管理栄養士が多職種とミールラウンドを行うこと、あるいは療法士がリハビリテーションとは異なる位置づけとして、病棟の他の従事者へのトランスファーの指導を行うことや、特定機能病院の管理栄養士が退院支援により、退院後の管理栄養士との連携を図ることも有効な取組と考えております。
私からは以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員からの意見を聞くことについて御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私のほうからも、論点に沿って全部ではないですけれども、意見をさせていただければと思います。
まず、42ページの実績指数・重症患者割合の部分でございます。
私も、先ほど江澤委員もおっしゃられましたけれども、14ページで見ますと、右下の図、中央値は明らかに運動FIM20点以下では低いと見えますが、平均値はほとんど同じ値になっていることに注目しております。
これは、運動FIM20点以下の患者でも利得が大きく得られる患者が半数程度いるということだろうと思いますので、一律に全ての入院時にFIM点数が低い重症患者を除外するということは、リハビリテーション効果の高い患者の除外につながる可能性があると思います。
また、22ページにおいて、運動FIM20点以下または認知項目14点以下の患者では、リハ量の増加による利得が得られにくいという形で示されてございますが、私の記憶では、入院分科会での資料では、リハ量の増加と利得の関係について、脳血管疾患、廃用症候群、運動器において異なるという資料が、たしか示されていたと記憶しております。疾患をまとめて一律に扱うということは、十分なリハビリが必要な患者へのリハビリ投入が不足する可能性があります。
ですので、重症患者の範囲や入棟割合の見直しそのものは否定しませんが、データを丁寧に分析し、集中的なリハビリが、必要な患者に必要なリハビリが提供されるよう配慮する必要があると考えます。
続きまして、3つ目の○になります。日常生活機能評価表とFIMの関係になります。
これも先ほど江澤委員も触れられましたが、一見、2つの評価は同じような形で見えますけれども、二つの違いは、示されておりますような認知機能の比重だけではないと、私自身認識しております。
例えば、FIMにおいて、ベッドから車椅子に移乗するというもので評価される項目というのは、126点中の7点、5.6%になりますが、日常機能評価では、ベッドから車椅子に移乗することでいいますと、当然、まず座位が保持できなくてはいけないですし、起き上がれなくてはいけないですし、移乗もできなくてはいけないということで、全部足し算すると、19点中の5点、26%になります。
ですので、日常生活機能評価とFIMの評価では、当然重複する項目は多いのですが、各費目の比重というものは大きく変わっていることが言えます。
そのため、確かに業務改善という意味で、測定を簡素化することは1つの考え方としてはあり得るのだろうと思いますが、これを廃止した場合には、入院患者の特性によっては、重症度を満たさなくなる病棟や改善率が得られなくなる病棟というものも生じる可能性があります。
ですので、まずはしっかりと精査をしていただいて、本当にそのような形の取組で十分なのかというのを一度御検討いただきたいと思います。
続きまして、回復期の休日のリハビリ、43ページの上から3つ目の部分に関して、少し触れさせていただきたいと思います。
回リハの病棟では、休日のリハビリの実施状況というのは、おおむね7割以上となっております。
これは、リハ・栄養・口腔連携体制加算の休日リハビリの基準である、平日の8割に近い数字まで来ているということでございますので、8割に基準をまとめるということは、質の高いリハビリにもつながり、その方向で進めるべきであるとは思います。
ただ、急激な基準及び加算の要件の厳格化というものは、現場に大きな影響が出ます。その方向に促しつつ適切な経過措置の期間を設定するなど、十分現場が対応できるような形での配慮をお願いしたいと思います。
続きまして、83ページ、84ページのリハビリの論点の1つ目、急性期のリハビリテーションでございます。
急性期のリハビリの1つ目の論点ですけれども、高齢入院患者が急性期病棟でも増加している中、入院早期からのリハビリテーションの介入というものは非常に重要だと、私どもは認識しております。
また、休日におけるリハビリテーションの体制の拡充は、我々も充実させていかなければならないと思っております。
その点で、早期リハの加算の算定をより入院早期に重点化することは、急性期病棟における早期のリハビリの介入を促すことに資すると思います。
ただ、各施設、休日のリハビリテーション実施体制の充実に努力はしておりますが、人的な制約などから、なかなかスムーズに進んでいないという面もあります。現場が入院早期からのリハビリ介入に積極的になるように、適切な点数の設定をぜひ御検討いただきたいと思います。
続きまして、この辺は江澤先生とかぶりますので飛ばします。
最後の122ページの論点に行かせていただきたいと思います。
1つ目のリハ・栄養・口腔の加算の部分でございます。
先ほどありましたが、この基準、平日の8割以上という非常に厳しい要件が設定されております。
もちろん、質の高いリハビリテーションには休日を含め、継続してリハビリを提供することは重要で、我々も努力していかなければいけないと考えておりますが、人的資源の問題もあり、多くの病院の取組も、まだ道半ばというところだと認識しています。
この加算を普及させて、質の高いリハビリ提供体制を地域で普及させていくためには、本加算をさらに評価し、より多くの病院が取り組んでいくことを促していくべきだと思います。
また、休日のリハビリの基準、現在8割ですけれども、場合によっては、もう一段階低い基準を設定することも、多くの病院がより取り組むことができることの一助になるのではないかと思いますので、一考に値するかと思います。
2つ目の多職種の連携の話です。
病棟で多職種が協働してケアに当たることは、今後の人的資源が限られる中、質の高い入院医療を提供していく上で、非常に重要な論点だと思います。
人員配置基準をより柔軟にしていくよう、取り組んでいくことに関しましては、私ども賛成でございます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
3つほど論点として述べたいと思います。
回復期リハ病棟の質の話が出ているのですが、少し気になるところとして、量の問題です。一部地域では半径12km以内には、1つでも回復期リハ病棟があると、12km以内につくってはいけないと、それは、病床数に関係なくつくってはいけないとされております。
少し論点の回復期から離れますが、地域包括ケア病棟も病床数280でしたかね、以下でないといけない。
現状、地域医療構想及び新しい地域医療構想で病床転換を進めている中で、診療報酬でつくってはいけないという阻害する項目があるというのは、少し病床転換を阻害する可能性がありますので、よく検討の上、その辺の規制は緩和していただきたいと思います。
次は、84ページの論点でございますが、リハの書類のほうでございます。
77ページのところに、Q&Aでしたか、医者でなければならないと。現状、医師の働き方改革で、タスクシェアを進めている中で、なぜ医者でなければならないのか、特にリハにおきましては、施術者はほとんどリハ技師です。医師が施術するということは、非常に特殊な例を除いてありません。
ということは、施術者であるリハ技師は、当然、その計画をよく読み込んで施術をするわけでありまして、タスクシェアの観点から言いますと、よく分かった現場で患者さんに接する人が説明するほうが、利便性があるのではないかと考えます。できるものなら緩和をお願いしたいと思います。
次に、最後の122ページの論点でございます。
リハ・栄養・口腔連携加算でございますが、これは、94ページの中に書いてありますが、誤嚥性肺炎に対する効果が示されております。
口腔状態が悪く、かつ栄養が悪く、それでリハビリテーションが必要、これは基本的に想像すれば、高齢者あてはまる人が多くいるということです。なかなか若い人が、口腔状態が悪くて、嚥下ができずにリハビリテーションが必要ということは少ないと思いますので、この加算に関しましては、やはり高齢者に対して広くやられることによって、効果が出ると思いますので、基準として、高齢者を見る医療機関において、導入しやすいような施設基準なり、アウトカム評価なりということをしていただいて、広く進めて患者さんのメリットになることを考えていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
あとは、よろしいですか。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
122ページの1つ目の論点について、歯科の立場でコメントをさせていただきます。
リハ・栄養・口腔連携体制加算の件ですけれども、95ページの資料にも示されていますように、入院患者には口腔衛生状態がよくない方が約3割もおられるというデータや、入れ歯についても、そもそも持参していないケースも合わせると、約4割の方が何らかの治療が必要であり、口腔機能障害は85%の方に見られるというデータも示されております。
当初から何度も発言をさせていただいていますが、歯科標榜のある病院は約2割であり、96ページのデータでは、加算の算定によらず、退院後の歯科受診は1割弱であることが示されております。
本加算は急性期の患者を対象にしておりますけれども、口腔の治療が必要であるにもかかわらず、施設基準上の課題があり、結果的に歯科との連携も進みにくい状況となっていることも考えられます。
前回改定で新設された本加算による急性期における医科歯科連携がさらに進み、口腔の治療が必要な患者の歯科受診につながるよう、加算の内容について御検討いただきますようお願い申し上げます。
また、急性期以外にも医科歯科連携を進めていくことは大変重要ですので、この点についても可能な範囲で御検討いただきたいと思います。
歯科からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
あとは、よろしいですか。
続きまして、1号側の委員の方々の御意見を伺うのですけれども、その前に、先ほど江澤委員から御提案がございましたが、看護の立場からのコメントをいただきます。
木澤専門委員、よろしくお願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
資料122ページの2つ目の論点について、意見を述べます。
特に高齢者の多い急性期の病棟等においては、高齢患者は術後の回復や治療自体にも時間を要し、在院日数が長くなる傾向があります。
そのため、看護職員は24時間頻回かつ注意深い状態観察とアセスメントを行い、状態悪化を早期発見し、適切な介入を実施しています。
こうした状況に加え、急性期の治療と並行して、入院早期から退院を見据えた支援を強化し、生活を支える機能を維持できるように支援するためには、病棟のニーズや必要性に応じて、看護師の配置に加え、多職種が協働・連携することも有効だと考えられます。
資料の112~116ページでお示しいただいているような、患者にとって必要な診療・治療、患者のケアを必要なタイミングで提供するためには、各職種が個別に関わるのみではなく、多職種が有機的に連携できる状況を整える必要があります。
状態が変動しやすく、注意深く対応しなければならない患者さんが増えておりますので、医療安全を担保する上でも重要な観点だと考えております。
資料の119ページにありますように、タスク・シフト/シェアの取組が進んでいる医療機関の工夫としては、看護管理者や各職種の代表者が集まって、病棟での各職種の業務分担の整理や見直しを行っている現状もありますので、病棟におけるマネジメント機能をより一層強化し、多職種間の協働・連携を効果的に進めることが期待されます。
私からは以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
回復期リハビリテーション病棟につきましては、42ページの論点に沿ってコメントいたします。
基本的には、回復が見込まれる患者に専門的なリハビリを集中的に実施し、早期の在宅復帰につなげる機運を高めるために、全体としては要件の厳格化が必要だと考えております。
まず、重症患者の基準についてですが、資料の14ページを見てみますと、先ほどからも出ておりますけれども、入棟時のFIMが20点以下の場合にFIM利得が小さいことが示されており、こうした患者は、ほかの病棟で対応するほうが望ましいと思いますので、事務局におかれましては、対象範囲から除外した上で、入院料の区分ごとに重症患者の割合のシミュレーションをお願いしたいと思います。
続きまして、リハビリテーションの実績指数についてでございますが、18ページに示されておりますけれども、現在、要件化されておりません入院料2と4にも基準を設定してアウトカムを高めていくべきだと思います。
また、資料の19ページを見てみますと、全ての施設で除外基準に該当する患者が4割以上であることが示されており、3割以下の範囲で除外する患者を選別している可能性があると感じております。
したがって、資料の20ページ~22ページに示されておりますけれども、FIM利得が全体と同程度である80歳以上と、認知の15~24点につきましては、少なくとも実績指数の対象に含め、一方で、運動の20点以下や認知が14点以下につきましては、一定量のリハビリを実施する場合に計算対象とした上で、除外の範囲を3割から絞り込むべきだと考えます。
また、24ページを見てみますと、退棟時のFIMが低い場合でも4点~5点、5点~6点で自宅退院割合が大きく増えており、介助から部分介助、自立への移行を評価することはある程度理解するものでございます。
続きまして、2号側の委員から意見が出ております、日常生活機能評価についてでございますけれども、資料にもありますとおり、FIMとの項目の重複が多く、両方測定することは効率も悪く、また、負担の減につなげるためにもFIMに統一すべきだということでございます。
続きまして、質の高いリハビリテーションを推進する観点からは、生活機能の回復や、退院前訪問指導を評価する方向に異論はございません。
休日のリハビリについては、資料の34ページを見てみますと、全ての入院料区分において、1日に平均2単位以上提供されておりますので、既に要件となっている入院料の1、2や加算については基準を引上げ、入院料の3~5については、新たに要件化して、平日と休日でリハビリの実施状況に差が生じないようにすべきと考えます。
次に退院支援や地域連携の取組については、資料の36ページを見てみますと、回復期リハビリ病棟に高次脳機能障害のある患者が一定数存在することが示されており、また、37ページの枠囲みには、こうした患者が退院するときに、相談窓口の情報を伝えることが課題になっていることを踏まえますと、回復期リハビリ病棟の役割として、高次脳機能障害の患者に対する退院支援を位置づけるべきだと考えます。
また、38ページに示されております、地域支援事業についてですが、既に7割の回リハ病棟が参加していることから、入院料の1と2については参加を義務づけ、そのほかの入院料についても参加を推奨することが考えられると思っております。
続いて、リハビリテーションについて、83ページ、84ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、急性期のリハビリについてですが、資料の55ページを見てみますと、初期加算を算定した患者のうち、発症から4日目以降の割合が36%を占めております。
また、56ページには、週末の金曜日に入院した場合、3日以内にリハビリを開始する割合が低いこと、土日祝日のリハビリ実施割合が平日の半分以下ということがデータで示されております。
54ページにありますが、脳卒中に対して2日以内のリハビリが推奨されていることを踏まえますと、初期加算について、入院からリハビリ開始までの日数や、休日にリハビリを中断しないことを要件化すべきと考えます。
次に、疾患別のリハビリテーション料についてですけれども、62ページにございますが、前回の令和6年度改定では、1日6単位を超えて運動器のリハビリを実施しても、ADLの明らかな改善が見られないとのデータに基づきまして、回復期リハビリ病棟の算定上限を見直したことを踏まえますと、ほかの病棟も運動器リハの算定上限を1日6単位に統一すべきです。
また、資料の63、64を見てみますと、ベッド上の訓練については、スタッフの負担も小さく、1日3単位を超えてもFIM利得に明らかな改善が見られないことが示されておりますので、評価の適正化や算定上限の厳格化が必要だと思います。
そのほかのリハビリに関しては、70ページにあります、退院時リハビリ指導料については、入院中にリハビリを実施した患者のみに算定を限定し、入院早期からのリハビリ開始にもつなげるべきだと思いますし、また、72ページにあります、摂食機能療法については、食事の観察や介助だけでは算定できないことを明確化すべきではないかと考えます。
書類作成業務については、業務の簡素化につながりますので異論はございませんが、評価の適正化もセットで対応をお願いしたいと思います。
続いて、122ページにあります多職種連携についてコメントいたします。
リハ・栄養・口腔連携体制加算については、90ページにあります土日祝日のリハビリあるいは92ページに示されております、急性期病棟におけるADL低下の抑制、さらには93ページにあります低栄養からの回復といった成果を、連携により担保することが重要だと認識しております。
先ほど、大杉委員のほうから、96ページにあります、口腔衛生や口腔機能の取組を推進する観点の御発言がございましたけれども、これにつきましては、退院後の歯科受診率を要件とすることも考えられると思っております。
最後に、特に高齢者の多い病棟については、複数の医療ニーズや、場合によっては介護ニーズまで対応することが想定されるため、限られたスタッフで効率的に業務を分担することの重要性は十分認識しておりますが、人員配置要件の緩和については慎重に判断させていただきたいと思っております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
最初に、まず、回復リハビリテーション病棟につきましてですが、寝たきり防止や家庭復帰を目指してリハビリを集中的に行うという役割を踏まえて、入院料の基準を考慮した患者さん受入れではなく、なるべくリハビリの効果が得られる患者さんへのリハビリに注力していただけるよう、重症患者割合や除外対象の範囲、除外対象でない患者の受入れ促進といった実績指数の在り方について見直すべきと考えております。
急性期のリハビリにつきましては、なるべく早期にリハビリを開始できるよう、初期加算等の要件を見直すべきと考えています。
最後、多職種連携につきまして、多様な職種の方が専門性を生かして、患者さんへ効果的な医療を提供していくことは重要であり、特にリハビリ病棟は、多くの専門職の方が配置されていることが分かります。
そうした中で、各専門職の病棟業務への関わりを深め、多職種による協働を促すことで、柔軟な対応を可能としていくことは重要なことと考えております。
以上になります。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
回復期リハビリテーション病棟、そして、リハビリテーションにつきましては、求められる機能、役割などを踏まえ、実態に即して、患者にとって質の高いリハビリの提供を退院支援や、地域の連携の取組につなげることが必要と思いますので、その観点から適切に見直していくという方向に異論はございません。
続いて、122ページの論点、病棟における多職種連携につきましては、質の高い医療提供の観点から、各専門職種が関与し、連携することは重要であり、特に高齢者の救急受入れなどを行っている病棟においては、患者のADLの維持・向上、リハビリや栄養・口腔管理の実施をさらに推進していくことが必要と考えております。
一方、論点の○の2つ目にあります、ニーズに応じて病棟に多職種を含めて配置をするなどの柔軟な対応を可能にするという点につきましては、資料の112ページからお示しいただいている病棟において、診療・治療に係る業務分担状況を見ますと、各職種がそれぞれの専門性を生かして関与しているということは分かりますが、主に実施していると回答している割合は限られている状況と思います。
急性期の病棟において、高齢患者が多いからといって、軽症や中軽症の方だけを受け入れているわけではないと思いますので、まずは、現場の実態について、より丁寧に確認することが必要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
病棟における多職種の協働・連携は、質の高い医療の提供につながるという点において、患者にとっても重要なことだと認識しています。
ただ、配置のより柔軟な対応という点については、この間の議論を踏まえますと、医療の質や安全性を担保するという点において不安な側面があるのではないかと懸念しております。
多職種の協働・連携というのは、それぞれの職種が専門性を生かして、患者のために質の高いチームとなって機能することが重要だと考えます。それぞれの職種が、お互いの業務を補完し合う連携や協働になってしまっては、逆に専門性が阻害されて質が下がってしまうことになると思います。このようなことがないように、慎重な議論を進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいですか。
では、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。追加でコメントをさせていただきます。
まず、14ページですけれども、右下の箱ひげ図ですが、いわゆる横ラインの中央値には差がありますが、このバッテンの平均値は、全体と運動FIM20点以下にさほど差がありません。
また、右側の運動FIM20点以下のグラフの70点を超えるところに、プロットの一部に度数分布が見られます。
これは、何を申し上げているかというと、我々も臨床の場でよく経験いたしますが、特に器質的障害のない、いわゆる寝たきり、廃用性の機能障害によるADLの低下は、あるいは時を経ても十分に改善することをしばしば経験します。フレイルが可逆性で元気にちゃんと適切なケアあるいは治療、リハビリテーションを行えば改善するところも、そういったところに要因があるわけです。
したがいまして、中央値が低く、平均値が等しいということは、そういった患者さんの中で、かなり大きく改善する患者さんが一定程度いらっしゃるということは十分理解していいかないといけませんし、これは、リハビリテーションを現場でやっている立場としては、すごく分かることなので、この辺りは一概に20点以下がどうだとか、決めつけるのはいかがなものかと思っております。
仮に、もし、この重傷基準から運動FIM20点以下を除くのであれば、現在の4割とか3割といった基準は、当然低く見直す必要がございますし、逆に言うと、運動FIM20点以下の方を改善した場合には、より重みをつけた評価をしていくことも考えられると思っています。
次に、日常生活機能評価ですけれども、恐らくFIMのほうが多く利用されていると思いますが、これは、ぜひ激変緩和という意味で、施設によって大きく日常生活機能評価を、もし縮小していくのであれば、施設によって、特段大きな影響が出ることがないのかどうかは、ぜひ精査をしていく必要があると思います。
それから、地域リハビリテーション活動支援事業の回リハの1、2について義務化という御意見もありましたけれども、これは、地域リハビリテーション活動支援事業は、リハビリ専門職を地域支援事業における通いの場とか、あるいは自治体の職員の指導のために派遣するスキームになっているわけですけれども、当然回リハ病棟にはリハ専門職が多いので、ぜひ協力すべきだというのは思っておりますけれども、これは、あくまでも市町村の地域支援事業で、市町村からの依頼によるものでありますから、その辺りは、各市町村の実情によって異なると思いますので、柔軟な対応も必要かと思っております。
最後に64ページでございます。
こちらも右下のグラフがございますが、この3単位以上のところを見ると、緩やかではございますが、平均値が少し右肩上がりになっていることも拝見いたしますし、何よりも、その赤枠の上の部分にFIM利得が非常に高い、すなわち大きく改善している部分が、いずれの群においても、上位にFIM利得30~80辺りに度数分布が見られます。
ということは、このように大きく劇的に改善する方もいらっしゃるので、こういった方が取り残されることのないように、しっかりと診ていく必要がありますから、一概にこういった方に対して、要介護4または5で運動FIM20点以下の患者さんについて、4単位以上のリハビリテーションを提供しないような仕組みというのは、これは、まずもってあり得ないと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
飯塚委員、お願いいたします。お手が挙がっています。
○飯塚委員
ありがとうございます。
14ページ辺りの回リハのアウトカム評価に関する議論ですけれども、これはアウトカム評価なのでリスクの調整をかなり丁寧に考えることが、まず、大変重要だと考えます。
今の14ページの議論で、運動の20点以下を実績指数から除くべきかという議論をしておりましたけれども、1つ考えておかなくてはいけないことは、除外基準に該当する患者、この運動20点以下とした場合に対しては、実績指数には含まれないということになりますので、この方々に対して、リハビリが十分に提供されないことが十分考えられると思います。
つまり、除外基準というのは、入院後にも誰にリハを提供するかに関して選別を起こさせる、そういう可能性が非常に大きいと思います。
したがって、除外基準に関しては、かなり慎重に、まず考える必要があるということと、もう一点は、そもそも除外をして、リハはそれほどしなくてよいということなのであれば、そもそも回リハに入院する必要があるのかという点にも絡んでくるので、かなり慎重な議論が必要だと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
一言だけ追加いたします。
今、飯塚委員もおっしゃられたと思いますけれども、今、我が国の病棟の中では、リハビリテーションを集中的にボリュームも多く提供する、最もふさわしいリハビリテーションを多く提供している病棟、そして中身も充実している病棟は、やはり回リハ病棟のほかはありませんので、やはりこういったFIM利得20点以下の方が、ほかの病棟で対応というのは好ましくないと思いますし、こういった方々が、入院する病棟が限られるということは、これは人権的にもあってはならないと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
特にほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「在宅について(その4)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○和田歯科医療管理官
歯科医療管理官でございます。「在宅(その4)」でございます。総-3を御覧ください。
「歯科訪問診療について」と「薬局における訪問薬剤管理指導について」でございます。
まず、前半の歯科部分について、私のほうからポイントを絞って御説明をさせていただきたいと思います。
5ページを御覧ください。
本スライドでは「在宅歯科医療に係る診療報酬上の取扱い」をお示ししております。
右側の上段の表の歯科訪問診療料でございますが、同一建物の訪問歯科診療の人数と、1患者当たりの診療時間に応じて、きめ細かく評価しております。
また、必要に応じて訪問歯科衛生指導料などが算定できる仕組みとなっております。
続いて、6ページを御覧ください。
6ページ目は、令和6年度診療報酬改定における歯科訪問診療料の見直しなどをお示ししております。
続いて、7ページを御覧ください。
こちらは、在宅(その1)でも御説明した内容ですけれども、特に右側の居宅療養高齢者において、需要に対して供給が十分ではないことをお示ししております。
8ページ目でございますが、歯科訪問診療料の算定状況と診療時間別の割合をお示ししております。
9ページを御覧ください。
こちらも在宅(その1)で御説明した内容となりますが、患家における歯科訪問診療、そして、外来診療との1日当たりの平均点数、また、1日当たりの患者数を比較したデータでございます。
10ページを御覧ください。
要介護者の患者に対する1か月当たりの歯科訪問診療1~5の回数を示しており、訪問診療全体のうち、主に居宅を対象としている1人に対する歯科訪問診療1の回数が最も少ない状況となってございます。引き続き、歯科訪問診療1の充実を図ってまいりたいと思っております。
11ページを御覧ください。
11ページは、歯科訪問診療2~5、複数の患者に対する20分未満の診療時間の内訳をお示ししております。
歯科訪問診療4と歯科訪問診療5の10人以上の訪問歯科診療を行っているケースでは、6割以上が10分未満の診療時間となっております。
続いて、12ページを御覧ください。
過去の調査におきまして、平均診療時間は訪問先によらず、おおむね20分以上だったことを踏まえまして、歯科診療報酬上は診療時間20分の有無による評価体系を設定しております。
なお、個々の歯科治療にかかる時間も右の表に掲載しておりますが、訪問歯科診療を行う場合は、一定程度、診療時間を要するものと理解をしておりますので、この前のスライドも踏まえつつ、適正に運用されるよう対応を図ってまいりたいと、このように思っております。
続きまして、13ページを御覧ください。
ここからは、在宅療養支援歯科病院や在宅療養支援歯科診療所の施設基準の見直しに関連する内容となります。
本スライドは、在宅療養支援歯科診療所、在宅療養支援歯科病院の主な施設基準と評価をお示ししております。
一番右側の在宅療養支援歯科病院につきましては、令和6年度診療報酬改定で新設されたこともあり、届出数が22と少ない状況となっております。
14ページを御覧ください。
歯科系を標榜する病院の歯科訪問診療の実施割合をお示ししております。
続いて15ページでございます。
在宅療養支援歯科病院の届出を行っていない理由として、施設基準の要件のうち、訪問診療1~3を合計18回以上算定していないという回答が最も多くなっておりました。
続きまして、16ページでございます。
歯科系の診療科を標榜する病院では、約7割の病院で歯科診療所において、歯科訪問診療の継続が困難な患者の受入れ実績があることをお示ししております。
続いて、17ページを御覧ください。
在宅療養支援歯科診療所2を届け出ている施設が、2よりも施設基準の要件が多い在宅療養支援歯科診療所1の届出を行っていない理由を聞いております。
スライドに記載されている項目の連携に関する算定実績の施設基準を満たさないという回答が最も多い状況でした。
続きまして、18ページを御覧ください。
歯科訪問診療に係る歯科医療機関の取組として、研修歯科医を受け入れている一部の市が医師臨床研修施設におきましては、研修中に歯科訪問診療を実施して教育体制を確保するなど、現状の訪問診療の提供に加えまして、今後の歯科医療提供体制の確保に資する取組を行っていただいております。
こうした状況ですとか、先ほど御説明した内容も踏まえまして、施設基準の見直しを図ってまいりたいと思っております。
続いて、19ページを御覧ください。
在宅歯科医療推進加算でございます。本加算は、患家での歯科訪問診療を推進するための加算として運用しておりますけれども、施設基準が、先ほど御説明した在宅療養支援歯科診療所などと類似しておりますので、整理が必要と考えてございます。
20ページからは、訪問歯科衛生指導料についてでございます。
算定状況は、訪問歯科衛生指導料のうち、3の単一建物診療患者10名以上の増加が著しく、約85%を占めております。
その一方で、少数の患者さんに対する指導が十分に行われていない状況となってございます。
続いて、21ページを御覧ください。
先ほど御説明いたしました歯科訪問診療料の傾向と同様に、訪問歯科衛生指導料におきましても、1か月当たりの平均指導回数は、1名に対する指導が最も少ない状況となっておりました。
また、特別な関係に当たる建物のみに訪問歯科衛生指導を実施している医療機関も存在していたところでございます。
22ページを御覧ください。
歯科訪問診療料と訪問歯科衛生指導料の評価区分などを表にしたものでございます。
歯科訪問診療料につきましては、前回改定で人数に応じたきめ細かい評価に見直しを行っておりますので、歯科訪問診療料の評価を踏まえて、訪問歯科衛生指導料についても対応を図ってまいりたいと思ってございます。
23ページを御覧ください。
「在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料について」でございます。
本指導料は、歯科医師が回診や食事観察等に参加し、口腔機能評価に基づく管理、指導を行った場合の評価でございます。
中ほどの表の左側の告示で示している管理と、右側で示している指導では実施している内容が異なりますので、告示と通知の内容を整理する必要があると考えております。
また、24ページでございます。
在宅歯科栄養サポートチームで、情報通信機器を活用して診療を行った場合の有効性が示されてございます。
これまで御説明させていただいた内容を現状と課題として、25ページに示してございます。
26ページの論点でございます。
1つ目の論点は、歯科訪問診療1の充実や、在宅歯科医療推進加算の見直しなどに関する論点。
2つ目は、多人数に対する歯科訪問診療の適正運用に関する論点。
3つ目は、在宅療養支援歯科診療所と在宅療養支援歯科病院の施設基準の見直しに関する論点。
4つ目は、訪問歯科衛生指導料の評価の見直しに関する論点。
最後は、在宅歯科栄養サポートチームと連携指導料の取扱いの見直しに関する論点をお示ししております。
歯科訪問診療に関しては以上でございます。
○清原薬剤管理官
続きまして、38ページからは「薬局における訪問薬剤管理指導について」でございます。薬剤管理官でございます。
39ページを御覧ください。
こちらは、前回改定での答申書、附帯意見と、今年8月にいただきました主な意見でございます。
40ページからは、在宅薬学総合体制加算、いわゆる在総加算でございまして、41ページは、人口規模別に見ました訪問診療需要の変化の予測でございます。多くの市町村では、訪問診療の需要が増加する見込みでございます。
42ページでは、二次医療圏で見ますと、在宅患者数は全国的に多くの地域で増えるとされております。
43ページは、第8次医療計画における訪問薬剤管理指導に関する記載。
44ページは、都道府県別の在総加算の届出状況でございます。
45ページは、無菌調剤設備の使用状況の資料でございます。在総加算2では、要件の1つに無菌調剤設備を有することとなっておりますが、約3分の2の薬局では、1年間無菌製剤処理加算の算定実績がなく、46ページでは、クリーンベンチの簡易型を設置している薬局では、約85%が、使用実績がないというものでございました。
47ページは、無菌製剤処理の実績で、届出薬局数は大きく伸びておりますが、算定薬局数は緩徐に伸びている状況でございます。
48ページを御覧ください。
在総加算2の要件には、勤務する薬剤師数は2名以上としておりますが、訪問薬剤指導を行っている薬局は、その他の薬局と比べて薬剤師数が多く、処方箋の集中率が低い傾向でございました。
また、49ページでは、同一建物内に患者1人を訪問する在宅患者訪問薬剤管理指導料1は、複数人患者を訪問する同指導料2または3に比べて、麻薬や抗がん剤を含む処方回数などが多く、より高度な薬学的管理を行っており、50ページでは、同一建物内に複数の患者がいる場合のみの在宅を行っている薬局を取り出してみますと、訪問指導の回数が年間100回超の薬局が7割以上でございました。
52ページを御覧ください。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定日の間隔は6日以上と規定されておりますが、患者都合などにより、訪問日をずらした場合には算定できないケースがあります。
53ページを御覧ください。
在宅患者訪問薬剤管理指導料では、開局時間外での対応を要件として求めておらず、実際に連絡がつかないことから、他の薬局が夜間休日対応も含め、代わりに依頼を受けるケースがあるというものでございます。
なお、在総加算では、要件として開局時間外での対応も求めております。
54ページは、訪問看護療養費では、医師が複数名訪問する必要があると認め、その旨、指示書に記載した場合には、評価対象となる加算がございますが、薬剤師の場合では、そのような記載がないというものでございます。
55ページからは「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」についてであります。
58ページを御覧ください。
医師との同時訪問では、その場の処方提案ができるなどが示されており、より充実した薬剤管理につながるということが示されております。
60ページは、介護施設等からの薬局に対する見返り要求が少なからずあるというもので、その内容は、金銭、お薬カレンダー・配薬カードなどの物品、サービス提供などでございました。
61ページは、これまで御説明をしました現状と課題をまとめたものでございます。
62ページは、論点となっております。
論点の1つ目は、課題で列記しているとおり、在総加算について、無菌調剤設備があるのに使用実績がない薬局が多いこと、在宅を行っている薬局では、薬剤師数が相対的に多いこと、同一建物内に患者が1人である場合のほうがより高度な薬学的管理が行われていること等を踏まえて、その在り方について。
2つ目は、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定間隔について。
3つ目は、訪問薬剤管理を実施しているのに、閉局時間、特に休日夜間に連絡がつかない薬局があることについて。
4つ目は、必要性がある場合での複数名で患者宅に訪問する場合の評価について。
5つ目は、医師との同時訪問における処方内容調整がなされた場合の評価について。
最後に、介護施設等からの薬局に対する見返り要求について、どのように考えるかとしております。
63ページ以降は参考となります。
説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
それでは、最初に、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
26ページの論点に沿って意見をさせていただきます。
1つ目の論点に記載されている在宅歯科医療推進加算は、19ページに記載がありますが、主に歯科訪問診療1を多く行っており、在宅へ移行する歯科診療所を増やすという視点で評価していた加算でありますが、在宅療養支援歯科診療所と内容が類似していることで、施設基準の簡素化につながるのであれば、賛成をいたします。
それに伴い、かかりつけ歯科医として、歯科訪問診療を推進する観点で、特に居宅等への歯科訪問診療が取組みやすくなるような評価や、運用の見直しをお願い申し上げます。
2つ目の論点については、同一建物居住者への多数の歯科訪問診療を適正に実施するための対応と理解はしておりますが、現場では、多数の患者だけではなく、患者や少数患者に実施している歯科診療所もありますので、これらの歯科診療所にとって煩雑にならないよう配慮をお願いいたします。
3つ目の論点の在宅療養支援歯科病院につきましては、その数がまだまだ少ないということで、資料にもありますように、歯科診療所の後方支援機能の研修、教育機能を評価していただくことに賛成いたします。
また、歯科医師臨床研修施設は、歯科訪問診療を実施している割合が高く、教育体制も充実していることから、施設基準に加味すること等も含め、必要だと考えております。
4つ目の訪問歯科衛生指導については、施設等における要介護者の誤嚥性肺炎や発熱発症抑制のため、非常に重要な役割を果たしております。
少人数の対象者に対しては、指導が十分に行われていない状況ですので、これらは、評価する方向でお願いしたいと思います。
また、特別な関係に当たる建物への対応なども含め、実態に即した対応を検討していただきたいと思います。
最後の論点であります。在宅歯科栄養サポートチーム連携指導料は、評価の対象を指導にすることで、歯科医師の指導を受けた歯科衛生士を追加することや、ミールラウンドや食事指導などについて、オンラインを活用していく方向性には賛同いたします。
現場での推進がうまく図れるよう、お願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
62ページ目の論点に従って、コメントをさせていただきたいと思っております。
在宅薬学総合体制加算は、在宅医療に積極的に取り組む薬局、高度な薬価管理を実施する薬局を評価するものであり、在宅医療の受入れ体制整備は重要であるため、本加算の評価の充実が必要と考えます。
資料の47ページ目にあるように、無菌製剤処理加算の届出薬局数が増加して、無菌製剤処理加算の算定回数も増加していますが、算定している薬局の数は伸びていません。無菌製剤の受入れ体制を整備していても、対象となる患者が少ないため、そもそも調剤の機会がないことが原因と考えます。
外来、在宅で無菌調剤が必要な患者は増加しており、受入れ体制の整備は必要ですが、受入れ体制を整備していても、当該患者が来るとは限りません。無菌調剤の受入れ体制の整備は重要ですが、そのような実情があることを踏まえた要件を設定すべきであると考えています。
また、50ページ目のデータにもありますが、単一建物当たりの1人の患者への訪問は、移動の効率性がよくなく、各御家庭の状況によって柔軟な対応が求められるなど、いわゆる施設と異なる側面があるものと考えます。
しかし、地域の安心な在宅医療の提供を実現するためには、こうした個人宅への在宅訪問にしっかり取り組む体制がある薬局を増やしていくことが必要であり、それに資するような要件設定と、加えて、それに見合う在宅対応薬剤師への高い評価が必要と考えます。
次に、論点の2つ目についてです。
資料の52ページ目では、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は6日以上の間隔となっていますが、患者さんの都合等により、5日目に訪問することがあります。そうした場合、訪問指導を行っても、要件を満たさずに、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できません。患者都合等により訪問日が変更になったときには、柔軟な対応ができるようにしていただきたいと考えます。
次に、論点の3つ目についてですが、夜間や休日、開局時間外の緊急時に、在宅患者に対応できる体制を整備することは重要で、自薬局だけで対応できない薬局については、対応できるよう、地域の薬局間連携で体制を構築して整備を進めていくべきと考えます。
次に、4つ目の論点についてです。
訪問看護においては、暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる患者さんに対しては、複数名による訪問看護が診療報酬上で評価されています。
他方で、訪問薬剤管理指導においては、このような複数名による訪問が診療報酬上評価されていませんが、薬剤師が訪問時に暴力行為や迷惑行為等を受けたケースだけではなく、独居等で女性の薬剤師がハラスメントまがいの行為をされたケースも報告されています。
患者特性に応じて、複数名訪問の必要性があるときには、訪問看護と同様の仕組みをお願いしたいと思います。
次に、論点5つ目についてです。
在宅(その3)でも発言しましたので簡潔に発言しますが、医師と薬剤師が同時に訪問し、薬学的問題点を医師と共有しながら処方の見直し等を行うことは有用で、全てのケースでの同席は困難ですが、このような取組が進むような支援が必要と考えます。
最後に、論点の6つについてです。
10月1日の在宅の議論の際にも発言しましたけれども、60ページ目に示されていますが、令和7年度の薬局及び医療機関における実態調査においても、介護施設から薬局に患者を紹介する対価として金銭等を要求された事例があるとの結果が示されました。
このような事例は現場での問題として、実際に薬剤師会にも報告されています。介護施設からの要求は、例えば、介護施設で使用する設備の贈与、誤嚥を防ぐ、とろみのついたお茶やお湯を出すサーバーや、医薬品の保管棚の贈与などを要求された。また、関連法人への金銭の支払いなどもありました。施設の都合等で患者さんの薬局選択の自由が妨げられることがあってはならないと考えます。
薬局が施設に金銭等を支払っているのであれば、薬担規則に従って厳格な対応をお願いしたいと考えております。
他方で、介護施設側には規則がありませんので、関係部局と連携して、金銭等の要求を防ぐような仕組みを早急にお願いします。
先日、この件についてパブコメへの回答がありましたが、関係部局からは検討するとの回答でした。この回答についてうがった見方をすると、検討はするものの、介護施設に対する実際の対応はしないとも受け取れます。患者さんの不利益につながるおそれがあることから、早急な対応をお願いします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、論点に沿って幾つか意見を述べさせていただきます。
まず、26ページの歯科訪問診療に関わる論点についてでございます。
現状、入院患者さんのうち、主病名を誤嚥性肺炎とする患者さんは、あらゆる入院基本料の中において、トップランクを占めております。
また、退院とか退所時に、口腔内は適切に保たれていても、再入院とか再入所するときには、劣悪な状況になっていることは、しばしば経験します。
また、在宅の高齢者の方々、要介護者の方々において、歯科受診が必要でありながら歯科受診ができていない方が大半であります。
こういったことを考えますと、在宅における歯科医療提供体制の構築、また、歯科在宅医療の提供の充実は喫緊の課題であると認識をしております。
したがいまして、3つ目の○ですけれども、在宅療養歯科支援病院、現状、届出がまだ22病院しかないということでございますので、ここは、しっかりと在宅歯科医療の提供が充実するように、本日の資料にも届出ができない理由が、15ページ等に出ておりますが、しっかりと要件を緩和し、在宅の歯科医療が充実するようにお願いしたいと思っております。
もう一点は、4つ目の◯の訪問歯科衛生指導料について、こちらも充実が非常に求められる分野でございますので、より評価を高め、しっかりと取組が推進するようにお願いしたいと思いますし、介護報酬で同様の居宅療養管理指導もございますけれども、こちらも算定が低調でございますので、こういった体制をどのように進めていくのか、また、余力のある医療機関等において、在宅へ応援をしていただくと、そういったことも検討していく必要があろうかと思います。
続きまして、62ページの訪問薬剤管理指導についてでございます。
先ほど森委員からも御意見がございましたけれども、1点目につきまして、無菌調剤というものが、こちらの在宅薬学総合体制加算の2の施設基準にもあり、46ページにありますように、簡易型のクリーンベンチというものが、現場ではいろいろ設置されているところですけれども、IVHとかの無菌調剤等は多くの調剤薬局でも対応可能かと思いますけれども、特に抗がん剤の非常に暴露リスクの高いような特殊な薬剤については、これをこういった設備で行うかどうかについては、しっかりと体制の整備も含めて、あるいは調剤薬局の薬剤師さんの労力あるいは経験値も含めて、どこで行うのか、可能であれば、医療機関の外来化学療法等でできるのかどうか、そういったことも検討する必要があると思います。
また、あわせまして、調剤薬局の薬剤師さんで、こういった無菌調剤の経験が乏しいのであれば、実際に取り組んでいる医療機関からの支援というのも可能ではないかと思っております。
最後に5つ目の論点で、医師と薬剤師の同時訪問の評価については賛同いたします。
ただ、一方で、現状、医師も人材が必ずしも足りておらず、業務が多忙であるので、薬剤師が訪問しながら、例えば医師は医療機関で、ICTで連携をして、共同して指導していくということも対応が可能ではないかと思っておりますので、そういった視点も含めまして、ぜひ推進していただければと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
小阪委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
○小阪委員
ありがとうございます。
1点だけ、46ページと47ページでございますが、クリーンベンチを買ったけれども使っていないところが84.6%ということなので、これは、ストラクチャー評価を入れたがために、無駄な投資を呼び込んでしまったという例だと思います。
そして、薬局数も届出薬局数が増えているにもかかわらず、算定薬局数は増えていないということですので、評価をストラクチャーでやるのか、プロセスでやるのか、非常に問題があるかなと思いますところと、それから、必ずしも全ての薬局が、こういうものを受け入れたときにできなければいけないのか、薬局間の役割分担と薬局間連携で何とかならないのか、そういうことは、これから考えていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
あとは、よろしいでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
在宅につきましては、従来から申し上げておりますけれども、ニーズが増える分野ですので、歯科や調剤についても、限られた医療資源で効率的・効果的な対応を推進する観点で、適正化と充実をセットで検討することが基本だろうと考えます。
それでは、まず、歯科について、26ページの論点に沿ってコメントいたします。
1点目と2点目の論点であります歯科訪問診療料についてですけれども、7ページを見てみますと、居宅の高齢者で需要と供給に著しい乖離があり、施設系とは明らかに状況が異なっております。
したがいまして、居宅系と施設系のメリハリの中で加算等による評価を整理しつつ、居宅の訪問歯科を推進する方向性については、おおむね賛同するものでございます。
また、診療報酬には直接関係ございませんけれども、こうした訪問診療に必要な設備等の整備については、引き続き推進をいただきたいと思っております。
続いて、資料の11ページを見てみますと、同一施設の患者数が多くなるにつれて、診療時間が極端に短い割合が高いことが分かっております。
一方で、12ページの左の図を見てみますと、訪問先にかかわらず、第一四分位数の所要時間が20分以上、一方、右の図を見てみますと、個々の治療行為にかか る所要時間の平均値や中央値が、ほぼ15分以上ということで、全体の診療時間は、通常であれば20分以上はかかるはずだと考えられます。
人数が多い訪問歯科で診療時間が極端に短くなっていることは甚だ疑問であり、この部分の適正化は不可欠だと考えます。
次に、3点目の在宅療養支援歯科診療所と在宅療養支援歯科病院につきましては、小規模な歯科診療所が多い中で、ほかの歯科診療所からの依頼で患者を受け入れた実績や研修・教育体制を加味しつつ、地域で在宅患者を中心的に支える歯科医療機関の役割分担を進めることには、一定程度理解するものでございます。
続きまして、4点目の衛生指導についてですが、これも資料の20ページを見てみますと、単一建物10名以上が大きく伸びており、21ページに目を移しますと、単一建物に患者が1人の場合は、1か月当たりの訪問回数がほかに比べて少ないことが分かります。
人数によって訪問の手間や時間が異なると思いますので、歯科訪問診療料を参考にして、訪問歯科衛生指導料につきましても、メリハリのある評価に区分を細分化すべきだと思います。
最後の論点であります、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料につきましては、24ページを見てみますと、情報通信機器を活用した診療により、摂食嚥下障害関連の有害事象の発生を減少させるデータが示されていることからも、食事の観察や口腔衛生指導など、オンラインで実施する場合の評価を検討することについては異論ございません。ただ、対面の場合とは点数は当然異なるものだと考えます。
続きまして、訪問薬剤管理指導について、62ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、1点目の在宅薬学総合体制加算については、先ほど小阪委員からも発言がございましたけれども、45ページを見てみますと、無菌製剤処理設備を整備して、加算2の届出を行っているにもかかわらず、65.5%の薬局は過去1年間に処理の実績がないことが分かっております。
また、46ページに目を移しますと、簡易型のクリーンベンチでさえ、84.6%の薬局で使用実績がないことから、やはり加算の施設基準に無菌設備を位置づける必要性は乏しいと考えるものでございます。
2点目の在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定間隔については、患者都合等の一定条件を満たす場合に限るのであれば、6日以上の間隔を空けなくても算定できるようにすることについては、理解をするものでございます。
3点目の休日夜間の連絡がつかない薬局については、資料の53ページを見てみますと、やむを得ず、ほかの薬局が代わりに対応するような事例が一定程度見られることから、訪問薬剤管理指導料の要件として、時間外対応は明確化すべきだと考えます。
4点目の精神疾患の患者に対する複数名訪問については、訪問看護と同様に医師の指示書に基づいて適切に運用することを前提として検討の余地はあるものと考えます。
5点目の医師との同行訪問につきましては、前回、在宅の際にも申し上げましたけれども、メリットがあることは十分理解をしております。
また、薬剤師にも手間がかかることから、一定の評価はあり得るものと考えますが、ただ、重複投薬や相互作用のチェックは、電子処方箋の普及状況から見ますと、業務的には相当効率化ができているはずだと思います。
したがいまして、この在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料については、ベースの点数を適正化することとセットで、同行訪問の評価を検討することが考えられると思います。
最後に、介護施設等からの見返り要求については、相手から求められた場合でも、金品の提供を禁止することを明確化した上で、介護施設等にも周知することにより、こうした事態が起きないように徹底すべきものだと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
今、松本委員からもございましたが、歯科訪問診療につきましては、効率的な対応が可能な同一建物の患者への訪問診療が増加しており、同一建物の患者数が多いほど診療時間が短くなる一方、訪問診療回数が増えています。
また、訪問歯科衛生指導につきましても、同一建物に患者さんが10人以上いる訪問に集中しており、こちらも同一建物の患者が多いほど、訪問診療回数が増えているというデータが出ておりました。
この点、患者さんの状態に応じた治療が過不足なく行われているものか、訪問回数は適正なのか少し疑問であり、適正化を進めていくとともに、必要量が賄えていない居宅の患者さんへの訪問診療が増えていくように、評価を見直していくべきと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
私からは、論点、62ページ、訪問薬剤管理指導に関しましてです。前回も申し上げましたとおり、ポリファーマシー対策の推進を図ることは重要ですので評価する方向に異論はございませんが、同行している割合は限られておりますので、前回、ほかの委員の方から御指摘もあったように、ICTの活用なども含め、対策の推進に向けた方策の検討が必要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
全体的なコメントをさせていただいて、あと幾つか意見がありましたので、コメントをさせていただきたいと思います。
在宅医療においても薬物治療が不可欠で、2040年以降に在宅患者はピークを迎えることが予測されております。
質と量の面からの体制整備が必要で、裾野を広げること、それから、医師、歯科医師、看護師等と連携して、個々の患者の療養状況に合わせた質の高い在宅医療、薬剤師サービスの提供が求められています。
また、第8次医療計画にもありますように、麻薬調剤、無菌製剤処理、そうした高度な薬学管理、連絡が取れないという話が、今、ありましたけれども、24時間対応といったことが可能な薬局機能を地域単位で配置して整備していくことが必要だと考えております。
無菌製剤に関して、クリーンベンチ等の設置という話がありましたけれども、私の薬局も8年前に無菌室をつくりました。それは、これまでうちの薬局で対応していた患者さんが在宅医療になったときに、最後までうちの薬局で対応したいという思いでつくったものになります。
8年間やって、正直言って受け付けた患者は2人です。この3年間は、一度も使っていません。ただ、受入れ体制を整備したい、そして、自分が対応していた患者を、その後も責任を持って対応したいという思いで整備をしてきたものです。
そうしたことから、体制整備をどう評価するかというのは、非常に慎重に考えていただきたいと思っております。
また、重複投薬・相互作用防止加算ですけれども、仮に、オンライン資格確認で様々な情報を集めて、医師に疑義照会をしても、変更とならなかったときには評価をされるものではありません。あくまでも薬学的知見に基づいて医師に疑義照会をした上で、薬が変更になる、飲み方が変更になるなど、そういうことによって評価を得られるものですので、点数に関しては、ぜひ御配慮をいただきたいと思います。
私のほうからは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには、特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「個別事項について(その7)長期収載品の選定療養①」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
それでは、総-4に基づきまして、資料を御説明させていただきます。
まず、3ページのほうを御覧いただきまして、医薬品のライフサイクルのイメージということでお示ししております。
革新的新薬の場合につきましては、革新性をきちんと評価した上で、特許期間中は新薬創出加算等で薬価を維持すると、そういった形で研究開発コストを回収しやすくしまして、次のイノベーションへの再投資につなげると。
他方で、特許が切れまして後発医薬品が出てくるというタイミングになりましたら、そちらへの速やかな置換えを進めていくことをイメージとしては考えておるところであります。
そういった意味でありまして、4ページでございますけれども、前回の診療報酬改定の中で、長期収載品の保険給付の在り方の見直しということでありまして、選定療養の仕組みを活用して、仕組みを導入することで、こちらについて一定の御負担をいただくということになっております。
具体的には、一番下の箱でありますけれども、保険給付のほうで、この後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険の給付の対象とすると。
他方で、選定療養にかかる負担として、その価格差の4分の1については、選定療養ということで患者さんのほうに御負担をいただくこととなっているということであります。
5ページ目、6ページ目以降は、いろいろと書き物が書いてありますが、6ページのほうを御覧いただきますと、昨年の大臣折衝事項の中でも、この選定療養の仕組みを用いた長期収載品の保険給付の在り方の見直しについては、さらなる活用に向けて、引き続き検討するということになっております。
昨今取りまとめられました、官民協議会のワーキンググループの議論の整理ではありますけれども、先発品企業は、特許期間中における新薬の売上で研究開発投資を回収しと、それで、後発品の上市後は、先発品は原則として市場から撤退することが、目指すべき産業構造であるということで書かれているということであります。
8ページ、9ページ目であります。
9ページ目を御覧いただければと思いますけれども、現在、この保険給付の在り方ということでありまして、医療保険部会のほうでも御議論をいただいているということであります。
既に2回ほど御議論をいただいておりまして、直近の11月6日のほうの御意見ということで、御紹介していきたいと思いますので、9ページのほうを御説明させていただきますが、様々な御意見をいただいております。
例えば、一番上の○で申し上げますと、より積極的に選定療養を活用すべきということであって、患者負担の影響等を踏まえつつ負担額を拡大していくべきといったもの。
それから、4つ目の○でありますが、医療上の必要性あるいは納得感といったところで考えていくしかないといった御意見。
それから、下から3つ目になりますが、後発医薬品の安定供給に向けた取組に着実に対応した上で検討を進めていただきたい。
その下でありますけれども、患者さんの自己負担の問題などでありますけれども、もう少し精査をし、その分析を踏まえた上で、十分見直しの議論を進めていきたいと、そういった御意見が示されているということでございます。
10ページ目以降、この選定医療の施行後の状況ということでございまして、まず、11ページを御覧いただきますと、昨年の10月から、この制度が始まっているということでありますけれども、10月を境にして、数量ベースでの後発医薬品割合が4ポイントほど上がっている状況になっているということであります。
12ページでございますけれども、現在、後発医薬品、医薬品全体の供給というところに、かなり課題がある状況でありますけれども、限定出荷といったものが左上の円グラフでも結構な割合でありまして、状況を改善している状況にはありますけれども、右下の部分の限定出荷の理由というところで、需要増というところが非常に多くの割合を占めているということであります。
13ページのほうは、今度、特別の料金を患者さんからいただいておりますので、そちらの状況を分析しているというものであります。
レセプト件数、これは令和6年11月のレセプト件数でございます。下側の※印にありますが、医科・歯科で院内処方された件数と、それから調剤レセということで、全体で合わせて7500万ほどのレセプトの中で見ておりますけれども、5%ほどが、この選定療養の対象となっているということであります。
右側に、特別な料金の分布を見ておりますけれども、特別な料金の分配、1,000円未満が90%、3,000円未満で99.8%という状況であるということであります。
一方で、例えば、1万円以上というものも322件、そういったものがあるということでございます。
続きまして、14ページ以降、この中医協の改定結果検証の調査をしておりますので、そちらのほうの状況の中で御紹介をしていきたいと思いますが、14ページを御覧いただきますと、これは全体の処方箋の件数の中で、1品目でも一般名処方が含まれている処方箋が52.8%、全てが一般名処方になっている処方箋も40.5%ということで、一般名処方が非常に進んでいるという状況が見て取れるかなと思っています。
一方で、長期収載品のほうで、銘柄名で処方されていて、かつ医療上必要であるという変更不可のものが1.1%であったりとか、患者希望でそういうものになっているというのが0.8%、そういったものもあるということでございます。
15ページのほうでございますけれども、こちらは、保険薬局におきまして、一般名で処方された医薬品における対応の状況ということであります。
一般名で処方された場合に、後発医薬品を調剤した品目数が82.7%、一方で、長期収載品のほうを調剤した品目数が8.2%となっているということでございます。
16ページのほうを御覧いただきますと、今度は長期収載品の銘柄名で処方された医薬品に関してでありますけれども、73.6%が、これを後発医薬品に変更して調剤したということであります。
25.4%が、長期収載品をそのまま調剤したということでありまして、その中を見ますと、患者希望というのが17.8%、医療上の必要性というところで23.3%、在庫状況によりということで43.9%といったものがあるということでございます。
17ページを御覧いただきますと、保険薬局、それから、この後も出てきますが、医療機関等において、どのようなことで課題があるかということをお伺いしたものであります。
調査が令和7年、今年の1月ということで制度施行から3か月ほどたった時点での調査でありますけれども、患者への説明や、患者からの質問への対応にかかる負担が大きいといったもの、それから、後発医薬品を選択する患者さんが増えたということでございます。
そういったものが幾つか続いてまいりますけれども、24ページのほうを御覧いただきたいと思いますけれども、患者調査のほうもしております。
こちらは、左側に郵送調査、右側にインターネット調査となっておりまして、かなりここから先の部分については、少し傾向が異なる部分がございますので、少し御説明させていただきますと、郵送調査のほうは、調査の設計といたしまして、先ほど御紹介いたしましたような保険薬局調査で調査の御協力をいただいて、対象施設において受診をされた患者さん、来局された患者さんについて、調査票をお渡しして回答していただいているということであります。
一方で、インターネット調査のほうは、その調査の直近3か月間において保険薬局に処方箋を持って来局された方を絞り込みまして、そこから、性とか年代別ということで、等分に無作為抽出をしたということで、こちらは合計1,000になるまで調査のほうをしているという形になっておりまして、認知度等において、かなり違いがあると。
インターネット調査におきましても、保険薬局に処方箋を持って来局されたということでありますけれども、認知度の差というのは、そういったところもある中で出てきているということでございます。
25ページのほうを御覧いただきますと、そういった今の前提がある中ではありますけれども、まず、特別の料金を支払った経験のある方に対して、どの程度でジェネリック医薬品に切り替えるのかということでありますと、郵送調査のほうでは、特別の料金が幾らであろうと、先発医薬品を選択するという方が28.3%ということでございました。
一方で、26ページのほうを御覧いただきますと、特別の料金が2倍程度になるという価格差の半分ということになりますけれども、その程度になれば、切り替えるという御回答が、インターネット調査のほうでは多かったということでございます。
そういった調査も踏まえまして、最後のところで論点でございますけれども、29ページのほうを御覧いただきまして、一番下側の論点でございます。
令和6年10月以降の施行状況を踏まえまして、長期収載品の選定療養の具体の要件などについて、どのように考えるかということであります。
例えば、現在、患者希望で長期収載品を使用した場合に、その価格差の4分の1相当というものを患者負担としておりますが、この水準を価格差の2分の1とか4分の3または1分の1ということに引き上げることについて、どのように考えるかということでございます。
最後、※印についても若干説明させていただきますが、医療保険部会のほうで、この長期収載品の選定医療についても御議論をいただいておりますけれども、この論点に加えまして、先行バイオ医薬品の関係、それから、いわゆるOTC類似薬についても御議論いただいております。
そちらのほうの議論の進捗も踏まえまして、今後、中医協においても必要な御議論をいただくということを予定しているということでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
まず、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、論点について申し上げます。29ページの論点についてでございます。
まず、総論といたしまして、長期収載品の選定療養については、制度導入からまだ1年が経過したばかりであり、現場では、いまだ患者さんへの御説明であったり、制度の周知が不十分である点が課題とされておりますことから、まずは、そうした課題への取組を優先していくべきであろうと考えております。
続きまして、個別の論点についてコメントいたします。
1つ目の○では、要件の在り方が論点とされておりますが、医療上の必要性があると認められる場合や、薬局に後発医薬品の在庫がない場合など、後発医薬品を提供することが困難な場合は、選定療養の対象外とする扱いについては、今後も堅持していくべきと考えます。
2つ目の○の患者負担額につきましては、現在、薬価専門部会において、長期収載品の価格引下げルールを早期に適用することも提案されており、その結果によっては、長期収載品と後発医薬品の価格差が縮小するスピードが速まることも予想されます。
今回は、患者負担額の水準を2分の1~1分の1までの範囲で引き上げることが提案されておりますが、検討の際には、そうした薬価制度改革の内容も踏まえつつ、まずは、どういった理由で患者さんが長期収載品を希望されていらっしゃるのか、治療上やむを得ない理由があるのかどうか、特別な料金の負担をどう感じておられるのかなどの実態を把握した上で、検討する必要があると考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。論点に従ってコメントをさせていただきます。
まず、11ページ目にも示されていますけれども、昨年の10月から長期収載品の選定療養が導入されました。
後発医薬品の使用率が伸び、一定の効果があったものと思いますが、それは導入前から医療現場では丁寧な説明を行っていたことなど、医療現場の努力によるものだと考えております。
また、現状、選定療養というものについて、国民の理解が一定程度得られるようになりましたけれども、17ページ目にありますように、今でも調剤のたびに説明を行う必要があり、業務上負担となっています。
特に処方が変更になったとき、患者の負担金額が変更した場合など、その説明や、納得いただくためにかなりの労力がかかっていることを御理解いただきたいと思っています。
今、江澤委員からありましたけれども、13ページ目に特別の料金の分布が出ていますが、仮に負担率を価格差の2分の1とした場合、患者さんは、今よりも倍の負担金額となります。患者負担の影響等の点から、どのような患者、薬、ケースで長期収載品を希望しているのか、また、負担金額が増加しているのかなどを分析した上で、慎重に検討を進めるべきだと考えます。
また、現在、患者が利用している保険の種類によって、特別な料金を徴収するのかどうかなどの対応が異なり、苦労しています。
関係部局と連携いただき、現場が対応に困らないよう、保険の種類によらない統一した対応を整理するなどの対応をお願いします。
最後に、後発医薬品の使用促進、それから、長期収載品の選定療養は、医薬品の安定供給が前提ですが、供給不足はいまだに続いており、患者に迷惑をかけ、現場は大変疲弊しています。
業界からのヒアリングで、これからも、しばらくの間は解決されないことが示されています。後発医薬品の使用促進や長期収載品の選定療養の対応については、引き続き供給不安に関する配慮は必須です。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
本日の論点では、長期収載品の選定療養の患者負担ということでございますけれども、長期収載品につきましては、安定供給の観点が第一であり、現状でも、まだまだ不安定だという声を聞いておりますので、安定供給については、大前提でよろしくお願い申し上げます。
また、これまでの議論にも出てきていますように、小児や慢性疾患を抱えている方、低所得者等の必要な方への配慮もよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、29ページの論点に沿ってコメントいたします。
まず、1つ目の選定療養を適用する要件についてでございますが、依然として後発品の限定出荷等の状況が続いていることを踏まえますと、後発品を使用できる環境にある長期収載品について、選定療養の対象とするということで理解をしております。
一方で、医療上の必要性の判断につきましては、より精査が必要だとも考える次第でございます。
続きまして、2点目の価格差の取扱いについてでございますが、資料の25ページ、26ページの患者調査の結果を見る限りでは、特別な料金が現在の2倍、3倍、4倍程度になる場合に後発品に切り替えるとの回答が一定程度あることから、価格差の全額を負担することで、より後発品を使用するインセンティブを効かせることが妥当だと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
制度導入前後でジェネリック医薬品の使用割合が大きく増加しており、使用促進に大きく貢献していることが分かります。
また、制度導入後1年以上が経過し、患者の皆様に制度が十分浸透してきたと考えております。
引き続き、安定供給の課題はあるものの、そうしたケースも含め、医療上の必要がある場合は選定療養の対象外にする仕組みが確保されており、そうした中、制度導入後の使用割合は横ばいとなっている状況を踏まえ、特別の料金をさらに引上げ、使用促進を図るべきと考えております。
特別の料金についてですが、ジェネリックと先発品の差額と同額にする方向で見直しを図っていくべきと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
13ページ、選定療養の対象となった特別料金の分布について、先ほど御説明にもございましたが、1万円以上というのもございますので、どういった方が該当しているのかなど、分析をしていただき、患者への影響なども踏まえて、丁寧に検討していくことが必要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
ありがとうございます。
29ページの論点の中の価格差の部分ですけれども、他の1号委員からも御発言がありましたけれども、他の1号委員からの意見に同意をさせていただきたいと思いますし、後発医薬品のさらなる普及への取組をしっかり進めていくべきであると考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、オンラインで奥田委員、お手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
革新的な医薬品のイノベーションへの適切な評価を推進しつつも、医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、長期収載品をはじめとした医薬品の保険給付の在り方を見直すことが必要であると考えております。
今回、提案されました長期収載品について、前回改定で選定療養を導入した後の状況を検証して、今後、長期収載品の選定療養の仕組みを、さらに進めていくことを検討していただきたいと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
飯塚委員、お手が挙がっています。
○飯塚委員
ありがとうございます。
若干論点のかぶったところで質問なのですけれども、まず、事務局に質問なのですが、院内処方で先発薬しかない場合、先発薬を院内調剤してもらっても特別な費用を払わなくてよいという理解で、まず、よろしいでしょうか。
○小塩会長
事務局、いかがでしょうか。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長です。
御質問、御理解のとおりでございます。
○小塩会長
飯塚委員、どうでしょうか。
○飯塚委員
ありがとうございます。
そうしましたら、17ページのところで、資料を御提示いただいていまして、やはり、今後、後発薬への置換えというのは、選定療養制度の役割がかなり大きくなっていくという示唆が得られたのかと思います。
しかし、院内の処方に関しては、今、御確認いただいたように、選定療養制度の効果は比較的限定的と想像します。
一方で、先日の薬価の専門部会の報告では、院内処方における後発薬への置換えというのが、まだ60%台ということで、調剤薬局と比べると非常に低いということです。
今後、院内処方だと先発薬が安く買えると、もらえるといったことにならないように、また、院内処方においても後発薬への置換えが進むように、その他の施策も含めて、事務局には推進していくようにお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。