2025年11月7日 中央社会保険医療協議会 総会 第625回議事録

日時

令和7年11月7日(金)10:00~

場所

全国都市会館 2階大ホール

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 永井幸子委員
  • 高町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 小阪真二委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 外来について(その3)
  • 入院時の食費・光熱水費について(その1)
  • 個別事項について(その6)入院から外来への移行

議事

○小塩会長
おはようございます。
ただいまより、第625回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、鈴木委員、伊藤委員、笠木委員、田島専門委員、上田専門委員が御欠席です。
それでは、頭撮りはこのあたりでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「外来について(その3)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-1「外来(その3)」をお願いいたします。
2ページ目、次でございます。今日は「療養・就労両立支援指導料について」と「情報通信機器を用いた診療について」に分けて御説明させていただきます。
4ページ、治療と仕事の両立支援対策につきましては、このような取組が行われております。
5ページ、両立支援の中で、現在、診療報酬上で主治医の意見書を評価する枠組みを、上に書いてございます。
企業が勤務情報提供支援を行い、主治医に勤務情報提供書をお渡しして、それを受けて主治医の方が、主治医意見書を書くという枠組みになってございます。
下の「『治療と仕事の両立支援カード』を用いる場合」というのは、労働者が端緒となり、企業のほうに申出をして確認を受けた上で、就労状況に関するカードを主治医に提出されて、それを受けて意見書を書いていただくというパターンで、こうしたことの評価についてお諮りをするものでございます。
7ページが、現行の指導料の要件を正確に記載したものでございまして、先ほどの5ページの図の上のほうを想定したものとなってございます。
8ページが、現行の算定回数でございますけれども、なかなか数としては少ない状況が続いております。
9ページが、がん診療連携拠点病院等における指導料の状況。
そして、10ページが、算定患者の主傷病名をまとめてございます。
11ページが、両立支援コーディネーターが携わったことがある疾患。
そして、12ページが、現在ガイドライン等がつくられている疾患ということでございます。
また、13ページ、指導について長期間を要したことがある事例をまとめてございます。
14ページが、論点でございます。
算定対象疾患について、現行では、悪性新生物等の7疾患に限られておりますけれども、その扱いについて、また、勤務状況が、事業者の確認を受けて医療機関に提供されること、就業の継続に配慮が必要な方が対象となるということを前提にして、さらに推進することができるかどうかということでございます。
それから、2回目以降の指導について、算定上限である3か月以上の期間にわたって指導が継続された実態を踏まえ、その算定条件を見直すことについても併せてお諮りをいたします。
15ページからが「情報通信機器を用いた診療について」でございます。
16ページに目次がありますが、D to P、D to P with D、D to P with Nに分けて御説明をさせていただきます。
19ページ、D to Pに関してでございますけれども、診療の算定状況で、東京都で行われているもの、そして、東京都以外で行われているものに分けて、患者さんの都道府県と同じか、異なるかということをお示ししておりますけれども、東京都で行われるオンライン診療については、異なる都道府県に向けて行われているものが多く、東京都以外に関しては、同一の都道府県内で行われているものが多いということが分かります。
20ページが、一般の対面診療との比較において、情報通信機器を用いた診療については、若い患者さんが多いということでございます。
また、21ページ、東京都で行われているものについては、一層若い患者さんが多いということが分かります。
22ページでございますけれども、他の医療機関への紹介等につきまして、患者の所在が医療機関と近い場合、それから、遠い場合に分けて集計をいたしておりまして、医療機関が遠い場合については、同一の場合と少し異なる数値となってございます。
また、対面診療を行える体制の整備に当たって、事前の合意がないような場合があるということも、自由記載欄の中で触れさせていただいております。
24ページが、施設基準の定例報告をまとめてございまして、診療を実施した場所の中で医師の自宅や医療機関のほか、社内、出張先、一部国外で行われているものもあったということをお示ししております。
25ページが、処方等に関する指針の記載をまとめてございます。
26ページ、27ページが、初診に係る傷病名と再診に係る傷病名でございますけれども、27ページ、例えば適応障害、月経困難症といったのが挙がっておりまして、少し気になる広告がありましたので、28ページ、29ページにお示ししておりますが、例えば、休職の診断書を即日受取り可能であるという広告がなされている例、そして、29ページ、オンラインでピルの処方を保険診療で行うことができる旨を広告している例でございます。
30ページ、向精神薬の処方については、初診では行わないことをウェブサイトに掲示していることを要件としております。
また、31ページ、向精神薬の処方に限らないかも分かりませんけれども、重複投薬のチェックなどについては、電子処方箋を利用する枠組みなどもございますので、こういったものを踏まえた検討が必要ではないかということでございます。
32ページからは、D to DやD to P with Dについてでございます。
34ページが、現行の遠隔連携診療料の点数や要件。
そして、35ページが、その算定回数、非常に少なくなってございます。
また、36ページが、D to P with Dなどのオンライン診療に期待される役割。
37ページは、患者さんがその場にいるわけではなく、D to D、医師同士が関わる類型もあるということでございます。
38ページ、現行の例を示しております。
39ページが、詳しくなってございますけれども、D to P with Dの報酬につきましては、遠隔連携診療料や、遺伝カウンセリング加算、こうしたものがその例になると考えます。
また、D to Dに関しましては、画像診断や集中治療室の遠隔支援加算など、幾つかの診療報酬の評価がございます。
40ページに、こうしたものを、今後さらに考えるに当たって考慮すべき視点として、どのようなものがあるかということを提示させていただいております。
D to P with DやD to D型の保険診療を推進するに当たって、有用性や効率性、非代替性、安全性、こうした視点が必要ではないかということを、この場でも御議論いただければと思っております。
41ページが、その上で遠隔診療の活用が想定されるシーンでありますけれども、D to P with D型のオンライン診療として、例えば希少性の高い疾患で、地理的に近隣の医療機関では診断、治療が困難な疾患について、専門の医師と地域のかかりつけ医と連携して治療方針を決定する場合ですとか、在宅医療において、一部の診療科や多職種チームでなければ対応困難な場合というのが、この有用性や非代替性、効率性などの視点に照らしても、D to P with D型のオンライン診療の必要性があるということになるのではないかということで提案をさせていただくものでございます。
また、右側、D to D型の遠隔診療につきましても、こうした視点で、これまで認められている評価についても整理ができるのではないかと考えてございます。
42ページが、D to P with D型の実施状況で、実績があるというところについては、少なくなってございますが、その中でも、これまでの診療報酬の評価にあるものや、それ以外のものについても、実際に試みられているような例があるということが分かります。
43ページは、皮膚科領域における取組の例でございます。
44ページからが、D to P with Nでございます。
45ページ、規制改革実施計画の中で、現行のオンライン診療所を看護師が行うことについて、診療報酬の算定方法に不明確な部分があるという指摘を受けてございます。
47ページが、この想定される診療形態と、どこが不明確なのかということ併せてお示しする資料でございますけれども、医師と同一の医療機関の看護師がオンライン診療を行う居宅に看護師が訪問する場合でありますとか、訪問看護ステーションの看護師がオンライン診療を行う居宅に訪問する場合があると考えられます。
その場合に、右下に書いてございますけれども、訪問時に緊急に医師の診察が必要であると判断した場合や、あらかじめ、訪問看護と医師の診察を同時刻に予定している場合、また、予定した訪問看護がない中で医師の診察の補助の目的で訪問した場合、こうした場合に照らして、この看護師の訪問について、どのような診療報酬上の位置づけを設けるかということについて、明確化が必要ではないかと考えてございます。
48ページ、49ページが、現行の訪問看護の仕組みや報酬体系でございます。
医療保険から給付される訪問看護だけではなくて、介護保険から給付される場合もあるということでございます。
50ページが、D to P with Nで実施される診療の補助行為でございます。
こうした補助行為の一つ一つの行為の診療報酬の算定については、平成28年度の診療報酬改定で、記載のような明確化を図ったものと考えてございます。
51ページからが個別の事項でございまして、同じく52ページに規制改革実施計画に御指摘を書いてございますけれども、外来栄養食事指導料については、対面とオンラインを組み合わせた指導計画策定が算定要件とされていると。
一方、こうした算定要件が、オンライン診療の特性を十分に生かした活用が進まない一因となっているという指摘を受けております。
51ページが、この情報通信機器を用いた評価について記載をしたものでございます。
55ページに詳細を書いてございますけれども、下の枠の3のところで、事前に対面による指導と情報通信機器による指導を組み合わせた指導計画を策定するということが求められてございます。
58ページに論点をまとめさせていただきました。
D to Pにつきまして、直接の対面診療を行える体制の整備状況について、患者に対して他医療機関への受診を指示するのみの事例がある場合や、医師が国外から情報通信機器を実施した事例があることなど、オンライン診療の実態を踏まえ、オンライン診療の有効で適正な推進のための評価の在り方についてどのように考えるか。
オンライン診療の適切な実施に関する指針や医療広告ガイドラインを遵守していない事例がみられることを踏まえ、施設基準のさらなる明確化についてどのように考えるか。
オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針における遠隔医療に期待される役割や、これまでの診療報酬上の評価を踏まえ、D to P with D 型及びD to D 型の遠隔医療の診療報酬上の評価を一定の考え方を踏まえて検討することについてどのように考えるか。
遠隔連携診療料に関する調査結果や事例等を踏まえ、上記の一定の考え方に沿った、入院、外来及び在宅におけるD to P with Dの対象疾患や評価の在り方についてどのように考えるか。
D to P with Nについて、看護師等の所属や定期的な訪問時に行われるか等の看護の提供形態の違いを踏まえ、看護師の訪問に係る評価を明確化することについてどのように考えるか。
情報通信機器を活用した外来栄養食事指導料の推進の観点から、オンラインのみでの実施も可能であることの明確化や、電話と情報通信機器を同様としている取扱いについて、どのように考えるか。
こうしたて観点も含めまして、情報通信機器を用いた診療について御議論いただければと思います。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、まず、14ページの論点についてコメントいたします。
まず、1つ目の○につきましては、対象疾患を拡大し、また、6ページに示されております、両立支援カードも活用するなどして、治療と仕事を両立する患者さんの支援を拡充すべきと考えております。
ただ、患者さんの支援に際しては、主治医と産業医など企業側との連携ができていることが大事でありますので、対象疾患を拡大する際には、両者の支援体制がきちんと整備されていることを前提とすべきでありますし、また、両立支援カードにつきましても、患者さん御自身で作成されるものではありますが、企業側がしっかりと確認していることを前提にすべきであります。
また、2つ目の○の算定上限については、資料13ページの実態も踏まえまして、算定上限が3か月の設定は見直すべきと考えております。
なお、産業医の専任義務のない従業員50人未満への事業所への配慮についても、今後、検討が必要になろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、58ページの論点について意見を申し上げます。
まず、D to Pのオンライン診療の適正な推進でございます。保険診療でオンライン診療を行う際には、対面診療を提供できる体制を整える必要があり、患者さんの急変時などの場合、自院で必要な対応を行い、やむを得ない場合は連携している医療機関で対面診療を実施することが原則となっております。
しかしながら、こうした施設基準であったり、指針を定めたとしても、医療機関が実際に遵守しているかどうかは、対外的には明らかになっていない点が問題であります。
現在、厚生労働省では、指針を遵守しているかどうかを確認するためのチェックリストを作成していると伺っておりますことから、そうしたリストを医療機関のホームページに公表するなどして、これまでも繰り返し主張しているとおり、施設基準のさらなる明確化を図るべきだと考えております。
続いて、D to P with Dにつきましては、今後、電子処方箋や医療情報連携ネットワークの拡充が見込まれることなどを踏まえますと、患者さんの状況や症状などを踏まえて、対象を拡大していくことも考えられると思いますが、中医協において、評価の在り方を議論する際には、まず、あるべき姿などを指針などで定める必要があると考えております。
これは、事務局への質問となりますが、そういったものは、現在ありますかどうか教えていただければと思います。
次に、3つ目のD to P with Nにつきましては、現場の実態や安全性などを踏まえまして、算定方法を明確にすべきと思いますが、これにつきましても、まずは指針などを定めた上で明確化する必要があると考えております。
最後の外来栄養食事指導料につきましては、電話や情報通信機器で初回であれば30分以上、2回目以降は20分以上の指導が求められており、この時間要件が普及の障壁にもなっていると思いますが、オンラインのみでの実施も可能であることを明確化することについては異論ありません。
時間要件については、現状の設定が妥当であるかどうか検証する必要もあろうかと思います。
また、現在、電話で実施している医療機関があるようでしたら、患者さんの指導に影響が生じないように、電話での指導につきましても配慮する必要があると考えております。
私からは以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、D to P with Nについて、看護協会の専門委員から意見を求めることについて、御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま江澤委員から御質問がございました、D to P with Dについて指針があるかどうかという確認ですけれども、いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長でございます。
今の御質問の点につきまして、D to P with Dの全体をどう進めていくかといった指針は、基本方針レベルのものはあると聞いておりますけれども、指針と呼べるものは、なかなかないのではないかと思います。
事例集が出ていたりとか、あるいは個別分野の中で、こうした診療をどうするというものはあるかもしれませんけれども、そういう意味では、こうした場での御議論も踏まえて、これから、ある意味、歴史をつくっていく分野になっていくのではないかと思います。
○小塩会長
江澤委員、よろしいでしょうか。
○江澤委員
オンライン診療は全般にわたり、指針の遵守ということが、まず、大前提になると思いますので、今後、まだ作成されていない部分があるようでしたら、しっかりとした指針の整備、そして、現場への周知をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からは、14ページ、療養・就労の両立支援指導料に関する論点に関してだけ、1つ発言をさせていただきます。
8ページに示されているとおり、過去累次にわたり対象疾患は拡大されてきました。しかし、12ページに様々なガイドラインが出ておりますが、腎疾患、精神疾患、不妊症など、就労と療養の両立を進めるべき疾患は、ほかにも存在しております。
対象疾患の限定を外し、労働されておられる方が就労上配慮を受けたいという意思表示をされる場合には、幅広い疾患で療養・就労の両立支援指導料を算定可能とするよう、対象を拡大していくべきだと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
では、小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
小阪でございますが、情報通信機器を用いた診療のD to P with Dのことでございますが、現状、離島は少し別なのですけれども、中山間地において、JRは廃線になりますし、運転手不足でバスは減便になります。高齢者になると免許の返上を求められます。
この中で、新しい地域医療構想で、急性期の基幹機能ということがあると、専門医という者が、やはり基幹機能の病院に集中してくる可能性があります。
そうすると、中山間地の病院に関しては、非常に専門医が少なくなって、中山間地の住民において専門医療に対するアクセスが非常に悪くなることが危惧されますので、このD to P with D、それから、遠隔連携診療料の疾患の拡大をお願いしたいと思います。
これは、先ほどプラットフォームの話が出ましたけれども、あれが使いにくいのが、マイナンバーカードがないといけないので、そうすると、専門医のほうは、患者さんがおりませんので、マイナンバーカードがないがために情報を取得できないという問題がありますので、現状の運用の中であれば、地域医療情報連携ネットワークがあるのであれば、それを有効利用するのがいいのではないかと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
6ページの治療と仕事の両立支援カードの様式、見開き面というのがございますが、これは、以前に示されていたもので、現在は注釈が入っていると思うのです。事業主の全て責任を見るという、そちらのほうでいいのですね、これは古いほうカードだと思うのですが、その辺はいかがですか。
○小塩会長
茂松委員から御質問ですけれども、6ページのカードは、新しいものかということですが、いかがでしょうか。
○林医療課長
これは、研究の途上のものを記載しておりますけれども、上の5ページのほうにありますように、企業の確認を求めるといった、そういったことについては、今、検討していただいていますので、実際には、もう少し修正したものを想定しております。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
○茂松委員
ありがとうございます。
どうしても中小企業のところに産業医が50人未満に行っていませんので、その事業上と、かかりつけ医との間の連携というのは非常に重要になるかと思いますので、この環境整備をしっかりお願いしたいと思っております。
特に、メンタル、ストレスチェック制度も50人未満も義務化になりますので、その辺を含めますと、本当にそこの環境整備が非常に重要であろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
よろしいですか。では、続きまして、先ほど江澤委員からD to P with Nについて、看護の立場からのコメントをいただきたいという御要望がございましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
資料の47ページに整理していただいたとおり、D to P with Nの診療形態としては、医師と同一の医療機関に所属する看護師が実施する場合もありますが、訪問看護ステーションの看護師が実施する場合もあります。
また、予定された訪問看護がなく、D to P with Nの診察の補助のみを目的として訪問する場合もあり、そのような場合にも資料の50ページにありますように、診療の補助行為等を実施しております。
それぞれのケースで、看護師の訪問に係る評価が明確化されることがオンライン診療の推進の上で必要だと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、1号側の委員の御意見を伺います。
まず、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、14ページの療養・就労両立支援指導料についてコメントいたします。
治療と仕事の両立は、現役世代の保険者である健保組合にとって非常に重要な課題であり、主治医にも積極的に関わっていただきたいと考えております。
ただ、資料の8ページを見てみますと、まだまだ指導料の算定は低調であり、また、9ページには、その最大の理由がスタッフの確保が困難ということですので、4ページにもあります、両立支援コーディネーターを活用した枠組み、あるいは6ページに紹介されております支援カードを使った円滑な運用を検討すべきと考えます。
また、対象疾患につきまして、現在の7疾患に限らず、支援が必要な患者が多いと思います。
一方で、診療報酬で評価するには、主治医が適切に関与できるかどうかということが重要となります。
資料の12ページを見てみますと、ガイドライン、マニュアル、手引が作成されている疾患が示されており、このうちアレルギー疾患、関節リウマチや、不妊症、精神疾患、腎疾患は、現在、対象になっておりませんので、少なくともこれらは追加すべきと考えます。
算定期間の上限については、実態を踏まえて見直すことに異論はございません。
続きまして、58ページの情報通信機器を用いた診療について、論点に沿ってコメントいたします。
1点目のD to Pの適切な推進についてですけれども、まず、適切な対面診療への切替えが可能かという視点で見てみますと、19ページ以降には、東京の医療機関をほかの地域からオンラインで受診する患者が多く、また、21ページ等を見てみますと、特に40歳未満で、その傾向が強いことや、ほかの市町村からアクセスした患者に対面診療が必要になった場合に、患者の近くにある医療機関を紹介することは、直ちに問題とは言えませんけれども、患者にほかの医療機関の対面受診を指示するのみというのは、是正すべきではないかと考えます。
また、資料の24ページにもありますが、日本の医療機関に勤務する医師が海外から国内の患者を診療することは、甚だ疑問と言わざるを得ないところでございます。
オンライン診療の指針の範囲内で、どのような対応が可能なのか、技術的な観点からも事務局で対応案を御検討いただきたいと思います。
また、オンライン診療の実施に関する指針や広告ガイドラインから逸脱する事例については、保険診療上のルールとして不適切であることは明確にし、指針とガイドラインの遵守を改めて徹底すべきだと考えております。
続きまして、D to P with Dについてでございますが、40ページに示されております考慮すべき視点、あるいは41ページの活用が想定されるシーンを踏まえますと、医療の質の確保や医療資源の有効活用といった観点から、診療報酬で評価する遠隔医療の条件のようなものは改めて整理し、事例を収集しながら活用の幅を広げていくことが考えられます。
現在の遠隔連携診療料は、疾患が限られており、ほとんど算定されておりませんけれども、42ページに示されております活用実績のある疾患を追加することや、43ページにある皮膚科領域における専門医と地域の医師による連携を新たにD to Dとして評価することはあり得るものだと考えます。
次のD to P with Nについてですけれども、診療報酬の取扱いを明確化することには、異論はございません。
最後に、外来栄養食事指導料についてでございますが、医師の指示で作成した計画に基づいて実施することを前提として、オンライン診療のみで可能な旨を明確化することに異論はございません。
ただ、電話と情報通信機器では栄養状態を判断するための情報量に違いがあることを踏まえ、評価にも差をつけるべきだと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
オンライン診療につきましては、人口減少地域での医療を維持する観点から、一定の確保が必要になっている一方、患者さんにとって適切な医療を提供できているかという観点も非常に重要だと考えております。
対面診療を行える体制整備や、医療広告についての事例が紹介されていますが、患者さんにとって利便性があるからといって、際限なく十分な体制が取れていないオンライン診療が広がっていくのではなく、まずは医療を提供する側で、適切な診察や対面診療への切替えが可能な体制を確保していくことが重要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
まず、療養・就労両立支援指導料に関しまして、治療と仕事の両立支援の取組を進めることは重要ですので、就業上の継続に配慮が必要な患者が対象であるということを前提に、見直すことに異論はございません。
疾病を抱える労働者が離職することなく、働き続けられる支援に資するよう、適切に対応することが必要と考えます。
それから、情報通信機器を用いた診療に関しましては、推進に当たっては、医療安全やプライバシーの確保と、安易な受療行動を誘発することのないようにすることが前提と考えます。
その観点から、D to Pに関しては、オンライン診療の適切な実施に関する指針やガイドラインを遵守していない事例もあるとのことですので、施設基準の明確化など、適切に対応を図ることが必要と考えます。
D to P with Dに関しましては、大学病院や専門病院などの医師との連携以外にも、資料の42ページもありますが、医療的ケア児や、訪問診療における眼科など専門医等の連携に活用している事例があるとおり、僻地など医療資源が乏しい地域への医療提供、医療的ケア児への診察や不訪問診療における専門医との連携に向けて推進を図っていくことは重要ですので、期待される役割や事例などを踏まえて検討していくことが必要と考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
奥田委員、お手が挙がっています。お願いします。
○奥田委員
ありがとうございます。
私は、情報通信機器を用いた診療について、簡単にコメントしたいと思います。
情報通信機器を用いたオンライン診療について、不適切な事例は排除されるべきではありますけれども、D to P、D to P with D、D to P with N、いずれについても、基本的にはより活用が進む方向で検討すべきと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
飯塚委員、お手が挙がっています。お願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
19ページの資料に、医療機関の住所が東京都の場合に、患者の所在地が東京都と異なる割合が高いと、そういうオンライン診療のデータが挙がっております。
東京のほうは人口が多いので、より専門化した医療機関が存立できるということがあります。他県には、身近にそういった医療機関はないので、遠隔地からも利用したいというのは、患者にとっても非常に潜在的にメリットがあると思います。
事務局に質問なのですけれども、東京以外から東京の医療機関を利用する場合、どのような医療の利用が特徴的なのか、もし現時点で把握されていれば、御紹介いただけませんでしょうか。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局、御回答をお願いいたします。
○林医療課長
ありがとうございます。
今の御質問の点、今回分析をさせていただいた点で申し上げますと、21ページにあるように、年齢が若い方が多いというところについて、お示ししているところでございます。
どういった疾患が多いとか、どういった医療行為と、十分に分析できていないところはあるかも分かりませんけれども、そういったところで違いがあると、分かっている分についてお示しをさせていただきました。
○飯塚委員
ありがとうございます。
どのような医療が利用されているかということで、オンライン診療のメリット、それから不適切な利用というのですか、もしあるとすれば、そういうものの把握ができると思うので、そういう点に関しても、今後見ていただけるとありがたいかと思います。
○小塩会長
はい、分かりました。ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいですか。特にほかには御意見がないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局においては、本日いただいた御意見を踏まえて、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「入院時の食費・光熱水費について(その1)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「入院時の食費・光熱費について(その1)」を御覧ください。
まず、食費についてでございます。資料の3ページ、食費につきまして、保険給付される入院時食事療養費、それと、標準負担額の関係についてお示ししております。
4ページ~6ページまで、これまでの変遷、基準額等についての動きをお示ししております。
また、7ページが、過去2回の改定における食費の基準額の改定内容についてお示ししています。
8ページ、入院時の食費の基準が令和6年、7年にそれぞれ30円と20円引き上げられましたが、その結果として、給食提供に関して見直したことについてお伺いをしたものでございます。
委託費を増額したというお答えや、引上げ額以上経費が増加しているため、給食の内容を変えて、経費の節減を行った。食材料を安価なものに変更したなどのお答えが多くなってございます。
9ページ、委託業務に関する状況で、委託事業者から値上げの申出があった等の割合をお示ししています。
10ページは、CPIの動向です。
11ページは、これまでの主な意見。
12ページが、入院時食事療養費に係る詳細な構造をお示ししています。
また、13ページが、特別食加算の概要と算定状況。
14ページが、嚥下調整食、これは、現在、特別食加算の対象ではございませんけれども、これの必要な患者さんの割合をお示ししています。
15ページが、普通食と嚥下調整食の食材費を比較したもので、嚥下調整食のコストがかかっていることが分かります。
16ページが、嚥下調整食の提供による効果でございます。
また、写真が2つございますけれども、見た目を改善したり、また、適切な栄養量をしっかり確保するということでADLの改善があったという内容です。
17ページは、嚥下調整食を上手につくると、このような見栄えなど、食欲をそそるようなものをつくることも可能であるということでございます。
18ページは、特別な料金を受けることによる食事の提供のルールでございますけれども、1食当たり17円を標準として社会的に妥当な額の支払いを受けることができるといった定めがございます。
19ページ、入院患者の食事に関して、多様なニーズを踏まえた対応を行っておられる医療機関についての調査結果でございます。
21ページ、ここまでの論点です。
令和6年6月、令和7年4月の2回の見直し後も、引き続き食材費等の高騰が続いている状況を踏まえ、さらなる入院時の食費の基準額の見直しについてどう考えるか。
嚥下調整食について、調理に係る食材費とともに、患者の栄養管理やQOL向上の観点から評価の在り方についてどのように考えるか。
入院患者の食事に関する多様なニーズを踏まえ、追加料金の支払いを受けることができる内容や1食当たり17円としている標準価格について、どのように考えるかとさせていただいております。
この後が「入院時の光熱水費について」でございます。
23ページ、これに関する概要でございます。
入院時に必要な光熱水費は、1日当たりの総額と自己負担を国が定め、その差額を保険給付としておりまして、入院時生活療養費と生活療養基準額、標準負担額の関係を図にお示しさせていただいております。
療養病床に入院する65歳以上の方について、入院時生活療養費の光熱水費において評価をしているということでございます。
そのルールの変遷が、24ページにございます。
また、光熱・水道支出のCPIの動向を25ページにお示ししています。
26ページは、介護保険における対応でございまして、令和6年8月から、この居住費の基準費用額が見直され、60円引き上げられたという内容でございます。
28ページに論点を書いております。
近年の光熱・水道費の高騰を踏まえた対応を行う観点から、家計における光熱・水道支出を勘案して行われた令和6年度介護報酬改定による多床室の居住費の基準費用額の引上げを踏まえ、入院時の光熱水費の基準額の見直しについてどのように考えるか。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、まず、21ページの論点についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の○の入院時の食費につきましては、今回の資料にも示されているとおりであり、もはや説明を要すまでもないと思いますが、医療現場は本当に大変な状況にあります。
確かに令和6年6月、令和7年4月と、直近で2回引き上げられましたが、米の価格の高騰などもある中で、栄養管理もした上で、1食当たり690円というのは限界を超えており、引上げが必要であると強く主張いたします。
次に、嚥下障害の患者さんに適した食事は、適度な粘りがあり、口の中でばらばらにならず、食塊形成がよく、気管にも入りにくいものであります。
したがいまして、食物のテクスチャーに着目する必要があり、食材の適度な固さ、密度、硬さの均一性、適度な粘度、凝集性、付着性などが大切となります。
こういったことを考慮しつつ、見た目や盛りつけにも配慮した食事の提供は、嚥下障害の患者さんが口から食べることを可能にすることに加え、患者さんの満足度も高いものとなりますが、一方で、手間や労力、コストが相当かかりますので、嚥下調整食の食材費を評価することに加えて、そうしたものをより評価すべきと考えております。
最後の特別メニューの料金につきましては、1食当たり17円を標準と定めるのも、時代には全く合致していないと思われますので、見直しを行うべきであると考えます。
続きまして、28ページの論点ですけれども、入院時の光熱水費の基準額についても、光熱水道費の高騰を踏まえて、引上げが必要であると考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
太田委員、続きまして、お願いいたします。
○太田委員
私も食費の基準額の論点だけ、一言触れさせていただきます。
9ページの一番上に、委託事業者から値上げの申し出があり、契約変更に対応したというのが、全面委託で71.8%ということになります。
これは、様々な価格交渉を各医療機関、病院は業者とやっておりますけれども、現在はのまないと撤退しますという形で、委託業者から言われているところがほとんどで、言い値でのまざるを得ないという状況になっています。
これが、かなり多くの病院でコストの上昇に見舞われている一因となっておりますので、ぜひとも物価の上昇に伴う食費の基準額の見直しというものは行っていただきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
ありがとうございます。
入院の食費に関して少し申し上げたいと思います。
基準額等は、もう既に言われましたので、嚥下調整食についてなのですが、嚥下調整食費は、高齢者が増えていますので、非常に出る頻度が高く、嚥下の状態によりかなり様々なものをつくらなければいけない、非常に負担になっております。
もう一つ、特別食に関しましても、今までの特別食というのは、糖尿病職であったり、高血圧食であったり、高脂血症食であったり、要するに高いものを削っていく特別食だったのですね。
ただ、今は高齢者が増えて、そして、この前の改定でもGLIM分類が入ってきて、低栄養ということになりますと、何かというと、プラスアルファで食べさせなくてはいけないのですが、高齢者は、やはり食が細っております。それから、非常にこれまでの食事で好みが偏っている人がたくさんいます。この人たちにどれだけ食べさせられるかというのが、治癒を促進したり、病気を治したりするときの非常に大事な点になるので、これからは、追加していく部分の費用を勘案した特別食というのをつくっていかないと、高齢者たちはみんなフレイルになって、疾患が治らずに入院期間が長くなって医療費を圧迫すると思いますので、特別食ですとか、食事療養の在り方、これまでの削るものではなくて、プラスアルファ、少ない量でたくさんのエネルギーを取らせたり、蛋白を取らしたりということをできるような仕組みにしていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
それでは、入院時の食費について、21ページの論点に沿ってコメントいたします。
1点目の食品の基準額については、食材費や調理費の高騰を踏まえて引き上げることになれば、患者の負担増に直結いたします。
8ページを見てみますと、過去2回の引上げ後に、給食の質が上がったと回答した施設は、わずかとなっております。
現場が大変な事情も、あるいは先ほど来も出ておりますけれども、御努力も十分理解はしておりますが、3年連続の負担増になるとなった場合には、患者の理解が得られますよう、食事の質には最大限の配慮をお願いしたいということでございます。
次に、2つ目の論点の嚥下調整食についてでございますが、資料の16ページに見た目の改善により、エネルギー摂取量の増加やADLの改善が認められるというデータが示されております。
医療の質の向上につながる嚥下調整食については、評価を充実する余地があると考えております。
一方、論点にはありませんけれども、資料の12ページに示されております食堂加算につきましては、入院・外来分科会の取りまとめでも、あまり食堂が活用されていないのであれば、実態に応じて取扱いを見直すことを課題として指摘させていただきたいと思います。
次に、3点目の特別料金についてでございますが、資料の19ページを見てみますと、特別なメニューの食事でも、追加の料金を徴収していない医療機関が多いことが分かります。
理由が分かれば、診療側から御説明いただきたいと思いますが、医療現場で判断に迷う部分があるのであれば、取扱いを明確化した上で、食事の内容や標準額を現状に合わせて見直すことも理解をするものでございます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
今、特別料金についての御質問がありましたけれども、2号側の委員の方で回答していただける方はいらっしゃいますでしょうか。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
今のは、食堂加算についてということでよろしいですか。
○松本委員
いや、そうではなくて、特別料金の特別メニューについて、新たな料金を徴収していないという理由について、もし、お分かりであれば、教えていただきたいということでございます。
○江澤委員
私の経験上では、今、介護施設のみならず、医療機関においても行事食とか、お楽しみ食みたいなものは、かなり提供しているところが多いと認識しており、現実的には、別に特別な料金は徴収していないというのがほとんどだというのが、私の認識であります。
ただ、一方で、今後の物価高騰、賃金上昇などを踏まえますと、一応そういったものとか、先ほどの食堂加算みたいなものは、ぜひ現状どおり残しておき、今後の実態を調査した上で見ていく必要があると思いますし、特に医療も入院も入院生活ですから、しっかりとQOLを高めて、そして、治療効果に相乗するということを多くの医療機関が、今、考えていますので、その辺はそういった御理解をいただければ、ありがたいと思います。
○小塩会長
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
特別料金については、御事情は理解いたしました。
食堂加算については、また別でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
物価指数の伸びを踏まえまして、入院時の食費の基準額や特別食の追加料金の見直し、入院時の光熱水道費などの基準額の見直しは、一定やむを得ないと考えております。ただし、基本的には自己負担額の引上げにより対応いただくものと認識しております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
物価や水道光熱費の高騰を踏まえた対応そのものについては理解をいたしますが、この高騰は、患者自身の生活にも影響することですので、この間の入院時の食費引上げによる影響はどうなのか、患者への負担増という点も含めて検討する必要があろうと考えております。
また、嚥下調整食につきましては、様々な工夫によりADLの改善などが認められたという報告もあるということですし、患者の栄養管理やQOLの向上の観点から評価する方向に異存はございません。
入院時の食事というものは、療養の一環であるという基本を踏まえて考えていくことが重要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
どうもありがとうございます。
松本委員から、食堂加算の議論は今後の検討でよろしいかと思いますが、一言だけコメントをさせていただきますと、もちろん、最近の病院では、アメニティーに非常に配慮して、いろいろな工夫をしたり、これまで病院になかったようないろいろな設備を具備しているところが増えていると思っております。
その上で、今、我々が目指しているのは、例えば寝たきりの方であれば、まず、端座位を取り、ベッド離床をすると、非常にADLが上がるというデータは、いろいろな論文等でも示されております。
したがって、もちろん食堂というアメニティーもありますけれども、我々が非常に重視しておりますのは、昔は、昭和の頃の病院は、ベッド上で御飯を食べるイメージがあったかもしれませんが、最近では、なるべくベッドから離床して食事を取る、しかも座位でしっかり食事を取ることを目指しておりますので、そういった効果もあろうかと思いますので、一応、現場のコメントだけさせていただきました。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
今のに追加してですが、やはり患者さん入院期間のつらい状況を楽しくしていくために、コンサートをしたり、お誕生日会をしたり、いろいろなことをしていく。それを一々患者さんから取れるわけがないのですね。それが一番病院の現状ということを御理解いただければと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには特に御意見等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、御対応いただくようにお願いいたします。
続きまして「個別事項について(その6)入院から外来への移行」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3、個別事項(その6)の御説明をさせていただきます。
2ページが、短期滞在手術等基本料の概要となってございます。
左側、短期滞在手術基本料1は、日帰りの場合に手術代等に上乗せをして評価されているもの。
右側、短期滞在手術等基本料3については、4泊5日までの場合で手術料を等含めて評価されているものでございます。
3ページが、その適用対象をまとめたものとなってございます。外来で病院、診療所、それぞれ短期滞在手術基本料1の届出がない場合と、ある場合の評価方法をお示ししております。
また、入院につきましては、DPC対象病院のDPC算定病床とそれ以外、そして、DPC対象病院以外の病院、有床診療所それぞれについてお示ししてございます。
4ページが、それぞれの評価方法による主な請求点数ということでございます。外来と入院において、同じ手術を行った場合にどのような点数の差があるかがお分かりいただけるとともに、入院においても支払い方式によって、短期滞在手術基本料3とDPC算定、出来高算定の間では差があるということが分かります。
また、短期滞在手術等基本料1の算定がある場合と、ない場合においても検査を包括しているということでございますけれども、短期滞在手術基本料1の点数とほぼ同じぐらいの点数差があるということでございます。
5ページからが、入院/入院以外での比較でございます。これは、細い縦の棒が一つ一つの病院ということでございますけれども、ここに掲げてございます手術等を入院で実施するか、入院外で実施するかについて、病院ごとに比率を掲載したものでございまして、全ての患者さんに入院で実施をしているという例も相当数あることが分かります。
6ページが、白内障手術について、外来手術の割合をOECD加盟国、日本で比べたものでございますけれども、外来実施割合が低いほうに日本は属していると考えますし、また、都道府県別では、かなり差が出ているということです。
7ページが、短期滞在手術を入院で実施する理由でございまして「臨床上、入院での周術期管理を行う必要性が高いため」という回答が多くなってございます。
8ページが、その具体的な理由でございますけれども、出血リスクでありますとか、全身状態が不良、術後合併症、また、全身麻酔を行う必要性が高いなどの回答がございました。
9ページは、短期滞在手術等基本料の算定回数をまとめてございまして、令和4年度診療報酬改定において、施設基準の変更があって、以後、算定回数が伸びていることが分かります。
10ページ、論点でございます。
短期滞在手術等基本料3について、短期滞在手術の外来移行を促す観点から、短期滞在手術等基本料の対象手術のうち、主として外来で実施される手術について、臨床的に入院で実施する必要性が乏しいが入院で実施した場合の点数と、病院の外来で実施した場合との点数差を縮小する方向で見直すことについて、どのように考えるか。
短期滞在手術等基本料3の対象手術を実施した場合の評価について、様々な算定方法が混在していることなど等を踏まえ、病院がDPC対象病院であるかどうかにかかわらず、短期滞在手術等基本料3を算定するよう見直すことについて、どのように考えるか。
短期滞在手術等基本料1について、検査料等を包括した点数として設定されているが、短期滞在手術等基本料1を算定する場合としない場合の手術実施月の点数の差等を踏まえ、診療の実態に見合った評価とすることについて、どのように考えるか。
こうした点について、御議論をいただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
それでは、10ページの論点について意見を申し上げます。
まずは、短期滞在3についてでございます。
1つ目の○では、臨床的に入院で実施する必要性が乏しいが、入院で実施した場合に着目して点数を見直すことが提案されておりますが、臨床的に入院で実施する必要性については、非常に多岐にわたる要素が含まれているものと考えております。
対象となる疾患の病態はもちろんのこと、個々の患者さんの全身状態や、併存している疾患の有無、あるいは服用薬の影響といったことはもちろん、そのほかにも高齢の患者さんであれば、認知機能の低下もしばしば伴い、入院により術後管理などが必要であると判断されることもあり、臨床上は医学的必要性に迫られて、やむを得ず対応している部分もありますので、現場の実態をよく踏まえて御判断いただく必要があろうかと思います。
また、入院で実施した場合の点数と、病院の外来で実施した場合との点数差を縮小する方向で見直す。そのことで、入院から外来への移行を促す提案もなされておりますが、経営状況の厳しい折に、経営悪化を来すようなことは厳に慎むべきと考えております。
そもそも入院から外来への移行を進めるのであれば、病診連携を深め、地域の医療資源を有効に活用する方法なども考えられる中で、点数によって強引に誘導していくようなやり方についても、現在の医療機関の窮状も踏まえれば、慎むべきと考えております。
また、2つ目の○の病院がDPC対象病院であるかどうかにかかわらず、短期滞在手術等基本料3を算定するよう見直すことにつきましては、平成30年度の改定において、傷病名は複数の手術処置などを加味したDPC上の分類のほうが、短期滞在よりも実態に即した評価が可能ということで、DPCによる評価を優先したものと理解しており、そうした経緯を踏まえて整理する必要があると考えております。
また、短期滞在の場合、入院する病棟の種別や入院料の加算の有無にかかわらず、一定の点数とされておりますが、全ての病院、病棟で同じ点数で評価することの適切性についても十分に検討する必要があると思います。
続いて、短期滞在1についてでございます。
4ページでは、出来高で算定した場合と比較して、短期滞在1を算定したほうの点数が高く、包括評価の効果が限定的であるという分析が示されておりますが、手術料に包括されている医療材料費や人件費などのコストが高騰している現状において、出来高点数と短期滞在1のどちらの点数が、診療の実態に即しているのかを慎重に見極めていく必要があります。
包括点数を引き下げるということは、実態を精査した上で、説得力ある根拠のもと検討すべきであり、やみくもに差を縮小するという理由のみをもって行うものではないことは申し上げたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私も10ページの論点、特に短3のほうに関して発言をさせていただきます。
8ページに示されておりますとおり、ある一定の患者を内視鏡的ポリープ切除術、水晶体再建術を入院で施行することが必要な患者というのは、実際に存在しております。
特に出血リスクの高い症例、先ほど江澤先生からもありましたけれども、認知症により安静を保つことが困難な症例、全身状態が不良な症例などでは、入院での手術治療というのは必要であります。
ただ、5ページに示されておりますように、入院での症例が100%の医療機関があるなど、症例による判断だけでなく、医療機関の考えにより入院手術が適用されている医療機関が一定数ある可能性は、否定し難いものだと思います。
しかし、この問題への対応として、点数差を縮小するという形で対応することは、適切に症例を選択して入院手術を行っている医療機関にも影響を及ぼすことになります。ですので、適切に対応している医療機関に影響が出ないような対応策を、ぜひとも事務局としては御検討いただけたらと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
小阪でございますが、先ほども申し上げましたように、中山間地において専門医療へのアクセスが非常に悪くなっていることがありまして、特に大腸ポリープだと前処置から含めて、大腸ポリープをやって、その日に帰れと言われると、もう全然交通手段がないような地域もありますので、この中で、これまでも大都市型、地方都市型、過疎地型といろいろな分析をされてきましたので、どの地域が入院でやっていて、どういうところが外来でやっているか、これをちゃんと精査していただいた上でやらないと、患者さんが、本当に夜中になって交通機関もないのに、どこかに放置されるということがないようにお願いしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員
ありがとうございます。
私も大腸のポリープ切除についてお話をしたいと思います。先ほど中山間地域の問題も指摘いただきましたけれども、逆に東京あるいは大都市の場合には、独居老人がこれからどんどん増えてまいります。
高齢者の場合、大腸がんになってから手術をするというのは、非常に困難を伴いますので、ポリープの段階で、侵襲の少ない段階で切除していく、こういったことが重要になってまいります。しかし、独居老人が、手術後に自宅に帰られて急変する可能性というのは非常に高いです。下剤を飲んでいますので、それだけ脱水症にもなっています。そういったリスクを考えると、点滴をして一泊入院をした方がよい場合も多々あると思います。ですから、健康な高齢者であっても、急変の可能性があるということを鑑みると、一律的に入院が悪いとかということはあり得ません。そこをしっかりと考慮していただいて、医療者側の判断がしっかりとできるような、そういった点数設定にしていただきたいと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
短期滞在手術等基本料につきましては、10ページに示される論点の方向性には賛同するものでございます。
まず、短期滞在3については、外来で可能な手術等は外来で実施することが基本だと思っております。
主に外来で実施されている手術については、入院で実施しなければならない具体的な症例を明確化し、それ以外については、外来への移行を促す観点から評価を適正化するべきと考えます。
また、同様の手術であれば同じ点数とすることが患者にとって公平であり、DPC対象病院であるかどうかにかかわらず、短期滞在3を算定することにそろえるべきだと思います。
短期滞在1については、資料の4ページを見てみますと、先ほども言及がございましたけれども、包括評価による効率化の効果が限定的ということですので、診療実態に見合った評価に適正化すべきだと思います。
最後に、本日の事務局提案とは別の内容になりますけれども、9ページの下の表を見てみますと、経皮的シャント拡張術・血栓除去術初回が3番目に多くなっております。この手術は、前回の透析に関する資料の中で、算定回数が増加傾向にあることや、地域差があるとのデータが示されていました。これと短期滞在1の関係性についても留意すべきだということを問題提起させていただきたいと思います。
それと、私から1件、診療側に質問がございますけれども、7ページのところの短期滞在手術を入院で実施する理由の中で「経営上、入院での実施が望ましいため」というのが一定算定されています。この意味合いについて、ぜひ御説明をいただきたいというのが、私の要望でございます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
松本委員から御質問がございましたが、2号側の委員の方で回答をしていただける方はいらっしゃいますでしょうか。
では、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
まず、医療機関も当然、健全経営が担保されないと立ち行かなることは十分御理解いただけると思います。
その上で、ある意味では、経営上という理由は、たくさん趣旨があると思うので、ここでお答えになっている方がどのようなことで、このような選択肢を選ばれているかは定かではありませんけれども、1つは、今、大変過去に経験のない医療機関の経営危機の状態にあることが、まず背景にあり、その上で総合的に判断をして、このように書かれていると思いますし、ここを見ますと、これは複数回答になっております。複数の選択肢を選べる回答様式になっておりますから、たまたまほかの選択とともに附随して選択した可能性もありますけれども「経営上、入院での実施が望ましいため」という言葉だけでは、我々も判断しかねる部分はありますが、総合的に、このようにお答えになったのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小塩会長
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
総合的ということですと、私どもは、実態は分かりませんけれども、こういったことに正直に回答されているなという印象を持ったということをお伝えしておきたいと思います。
○小塩会長
ほか、永井委員、お手が挙がっています、お願いします。
○永井委員
ありがとうございます。
入院から外来へ移行を促すことについては重要と考えます。その観点から、実態を踏まえながら適切に見直しを図っていくことが必要と考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員
すみません、先ほど松本委員からシャント拡張術と、それから血栓除去術に関して、なぜ入院が必要かという話がございましたけれども、シャントが詰まる、シャントが細くなる、要するに透析が回せない状況で来るのですね。ですから、それをやった後に、本当にこのシャントを使うかどうかは別として、何らかの形で透析を回さないと、患者さんが、非常に状態が悪くなってしまう。
ですから、よくカテーテルを入れたり、そういう形で透析を回して帰すとなると、どうしても入院が必要になるということで、シャントの場合は、手術だけでなく、その裏に透析ができないという現状でシャントを拡張している、血栓を除去しているということを御理解いただければと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
今、2号側の委員の皆様から、いろいろな状況をお伺いして、確かにそうなのだろうなと納得したところではございますが、やはり入院から外来への移行を促す観点から点数差を縮小して、つまり入院で行った場合の評価の引下げを行っていくべきではないかとは考えます。
その場合には、やはり先ほど太田委員がおっしゃったように、当然、お医者様の御意見も十分酌めるような形で、患者側も納得するような形での点数配分というのがあるかと思いますので、そちらは事務局のほうに十分勘案していただきたいかと思います。
やはり、正しいところに正しい人を置いていくということが基本にあるのではないかと思っておりますので、それは、よろしくお願いしたいかなと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
奥田委員、お手が挙がっています。よろしくお願いします。
○奥田委員
ありがとうございます。
既にほかの委員も発言しておりましたけれども、短期滞在手術等基本料の10ページの1つ目の論点に、主として外来で実施される手術について、臨床的に入院で実施する必要性が乏しいという書きぶりであって、基本的には、やはりこれを読む限り、外来へ移行させることが望ましいと思います。
個々の患者の状況は、当然考慮すべきであるとは思いますけれども、入院で実施した場合の点数を外来で実施した場合の点数に近づけていく方向で検討すべきと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
小阪先生から、先ほど御説明をどうもありがとうございました。
そういった個々の疾患の状況について、別にどうこうございませんけれども、例えば、9ページを見ていただきますと、短期の1の算定回数がずっと増えているということは、この表から明確でございます。
先日の透析の資料のときに、増加傾向にあるということと地域差が出ているということがございましたので、そういうものをクロスで見て、やはり確認する必要があるだろうという問題提起でございますので、個々の症例については、おっしゃるとおりだと思いますので、それについても今後は、ぜひ、確認もさせていただきたいと、そういうお願いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
シャントにつきましては、前回で御議論させていただいたと思っております。前回申し上げましたように、非常に血管のもろい方とか、非常に頻回にシャントトラブルを繰り返す方もいらっしゃり、それから、それを施術する医師は、腎臓の専門家もあれば、血管外科の専門家もあれば、いろいろな医療機関によって対応がありますから、当然一定程度地域差が出るというのは、我々も当然そうなのだろうなと思っています。
ですから、その中で、まずは、そういうシャントトラブルを起こすような患者さんは、前回もしっかりと、まず、実態を把握してと、お願いしたところでございますので、その上で、また、御検討いただければと思っております。
もう一点は、8ページにありますように、我々も医学的なリスクを踏まえて、入院か外来かを適用しております。
私も以前、大腸内視鏡など、日々相当やっておりました時期がございますけれども、やはり2センチ未満でも、ポリープのストークと言って茎があるのですけれども、そこが太いとか、かなり接着面が多い場合については、ポリープを養う血管がかなり太くて、ポリペクをした後も出血が止まらないという経験もしたことがありますし、やはり実際にいろいろなケースがございますので、ぜひその辺は、医学的な適応で判断しており、先ほど、経営上という御意見もありましたけれども、我々は、医は算術ではないということは、ぜひ御理解いただければと思っております。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、ほかには御意見ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。