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第5回 医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会
日時
令和7年10月29日(水)10:00~12:00
場所
AP赤坂グリーンクロス 4階 Aルーム
東京都港区赤坂2-4-6赤坂グリーンクロス 4階
東京都港区赤坂2-4-6赤坂グリーンクロス 4階
議事
○門野室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより、第5回「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、全ての構成員の方に御出席いただく予定でございましたが、交通事情がございまして、山本座長、木下正一郎構成員が遅れての御到着となります。また、井本構成員はオンラインでの出席に変更なさっております。
事務局ですが、本日、医政局長は公務により欠席しております。
審議官、地域医療計画課長、医事課長は公務により遅れての到着となります。
なお、審議官は公務により途中退席となる予定でございます。
前回に引き続き、オブザーバーとしまして、日本医療機能評価機構の上田茂専務理事、日本医療安全調査機構の宮田哲郎常務理事、文部科学省高等教育局医学教育課の松本晴樹企画官、参考人として日本助産師会より山本副会長にオンラインで御出席いただいております。
本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
オンラインの御出席の方は、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、御発言の場合は挙手機能やコメント等を用いて意思表示をいただくようお願いいたします。座長の指名に基づき、御発言をお願いいたします。
御発言の際には、記録のため、最初にお名前をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
机上に、議事次第、座席表のほか、資料1「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)について」。
資料2「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)」。
資料3「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)補足資料」をお配りしております。
不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○門野室長補佐 それでは、以降の進行は山本座長に代わりまして長谷川座長代理にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○長谷川座長代理 皆さん、おはようございます。長谷川でございます。
山本座長は交通事情で遅れてお見えになるということですので、私が代わって座長を務めさせていただきます。
それでは、議事に入ります。
本日の議題は、「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)について」となります。
それでは、資料1、2について、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局の地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の加藤でございます。
お手元の資料の1が、この検討会報告書の概要版としてお作りしているものでございます。それで、2のほうが本編というか、文章編でございます。そして、資料3がその補足資料となってございます。これから資料2を中心に、一部、資料3で補足を行いながら御説明をさせていただきたいと思いますので、資料2をお手元にお持ちいただければと思います。
まず、画面共有をいたしますので少々お待ちください。
それでは、画面共有ができているかと思いますので、こちらを御説明いたします。
今回、第1回からこれまで、4回にわたりまして本検討会において様々に御議論をいただきました。その内容を事務局のほうで取りまとめた案としてお作りしております。
構成といたしまして、「はじめに」から「おわりに」まで5つのパートでございまして、まず「はじめに」と「基本的な考え方」の部分で、本検討会の経緯でございますとか、これまでの流れをお示ししております。そして、3.で「現状と課題」、4.で「今後の方向性」をお示しし、最後に「おわりに」ということを入れております。全体は大部になりますので、ややかいつまんで要点のみの御説明とさせていただければと思います。
2ページ目の「はじめに」でございますが、こちらはこれまでの経緯です。平成13年に当室が設置されたというところから、今回の検討に至るまでの経緯を記載しております。特に、今回の検討につきましては、医療安全推進総合対策に示されたもののうち、医療機関における安全管理体制の整備の部分と、医療事故調査制度に関する部分と、主にこの2つの点について御検討いただいたということを記載しております。
続きまして、「基本的な考え方」でございます。
本検討会の基本となる医療の「安全文化」に関する内容を中心に記載してございますが、1点、検討会の中で現在医療のリスク自体にも変化が起きている。そして、医療安全上のリスクが高まっていることからも、医療安全の継続的な向上が重要であるということの御指摘がございました。ここにつきまして、補足資料で1点、事務局のほうで資料を作っておりますので御提示させていただきたいと思います。
補足資料の2ページ目でございます。
こちらは複数の研究の論文の中からデータを並べておりますけれども、多疾患併存の患者ですね。1人の患者に複数の疾患が同時に併存している方に関しましては、診断の安全性に関するインシデントの発生率、30日以内の再入院率がいずれもそうでない患者に比べて高いというようなデータがございます。これは、国内、国外、様々なデータでございます。
また、医療事故情報収集等事業というものを行っておりますけれども、各医療機関から様々な医療事故に関係する情報を収集しているというものでございます。これは、1医療機関当たりの事案報告数を見ますと、制度開始当初2005年と、直近の2023年とのデータの中でかなり大きな増加が見られるということがございます。
こういったところで、実際、医療現場において医療安全上の対応というところはかなり大きな部分を占めており、その重要性、または業務の量というものも一定程度高まっていることが考えられたということを記載しております。
そのほか、持続可能な医療安全の施策が重要であるということですとか、国際的なデータも交えながら議論をしていくということが書いてございます。
4ページ目からが現状と課題でございまして、まず「医療機関における医療安全管理体制」の部分から御説明をいたします。
医療機関における医療安全管理体制は事例を把握し、学習へとつなげる事例報告、学習の仕組みというものが基本かと思いますけれども、この点につきまして様々なテーマを御議論いただきました。具体的には5つのトピックに沿って議論いただいておりますので、その経緯をこちらに書いてございます。
その5つのテーマですが、まず1つ目は重大事象の把握の部分、そして次が報告分析・改善策立案の部分、そしてその改善策に実際に取り組むという部分、また加えて管理者のガバナンスの部分と、医療安全に係る外部からの支援の部分、この5つについて御議論をいただいたというふうに承知しております。
それぞれのテーマにつきまして、現状と課題をまとめたものが次のページからになります。
まず重大事象の把握に関してでございます。現状の制度の中で、各医療機関において重大事象を把握していただいているところですが、他方で、より確実な重大事象の把握を行うために、特定の定義を明確に定めたものについて報告をいただくといった仕組みを国際的にも国内でも実施していただいているということを御紹介させていただいております。
そして、厚生労働科学研究におきまして諸外国の例なども参考にしながら、そういった患者への影響度と回避可能性に基づく具体事象のリストというものを作成いただいているということでございます。
続きまして、報告の分析、改善策の立案についてでございます。
こちらは、具体的に言うと「医療安全管理者」に関する議論があったかと思います。医療安全管理者につきましては、医療情報ネット(ナビイ)に基づく集計によると、約95%の病院が医療安全管理者を配置しているというデータがございました。
また、厚生労働省では、「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」というものを作成しており、そういった研修の充実というところも進めております。診療報酬ではそういった研修を受講している方が施設基準の一つとなっておりますけれども、約半数の病院が医療安全管理者の指針に即した研修を受講した医療安全管理者を配置しているということが分かりました。
一方で、診療報酬上はそういった研修を受講した医療安全管理者に関する制度がございますけれども、医療法に基づく制度の中では明確にこういった医療安全管理者の位置づけが定まっていないということもございました。
また、医療安全管理者の方につきましては主に看護師であることが多いという一方で、事務職など、医療有資格者ではない方が調整役といったような形で医療安全の向上に効果的な役割を果たしていただいているという例も御紹介いただいております。
そして、もう一点、医療安全管理者の指針におきましては、継続的な学習ということの重要性も示されておりますということをお示ししております。
続きまして、「管理者によるガバナンスの強化」という部分でございます。
管理者は、院内で発生した重大事案に対して適切な対応を取るということが業務の一つかと思いますが、その管理者が行う対応について細かい点については特段定まっておりません。
また、医療機関によっては、なかなか管理者の権限が及びづらくなっているといった場合もありまして、組織として適切に対応するにはそういった管理者の権限をもう少し明確化した上で、日頃から管理者が医療安全管理委員会や医療安全管理者と連携していくことが重要であるということの御指摘がございました。
また、国内でそういった取組を実際にやっていただいている例もあったというふうに記載しております。
続きまして、改善策への取組でございます。
現在の医療安全管理の体制につきましては、医療安全推進総合対策というものが基本になって様々な制度、または構成が検討されてきたというふうに承知しておりますが、この医療安全推進総合対策の中には医療安全管理委員会、医療安全管理者、そして医療安全推進担当者というものがございました。
医療安全管理者に関しましては先ほど申し上げましたけれども、これは残りの医療安全管理委員会と医療安全推進担当者の部分について記載をしております。
医療安全管理委員会は医療法施行規則上で定まっている機関でございますけれども、その構成員が具体的にどういうことを行うのかということについて、あまり細かいところは定まっておりません。
医療安全推進担当者については、医療法に関係する制度の中では明確なものは定まっていないという状況でございます。
現状、様々な医療機関の中で様々な体制を組んで医療安全に取り組んでいただいておりますので、こういったもともとの医療安全推進総合対策に記載されていた機関や役割を持つ方々について、現状をもう少し把握する必要があるのではないかといった課題を示しております。
続きまして、医療安全に係る外部からの支援ということで、ここは主にピアレビュー、相互評価というものと、あとはネットワークのことについて記載をしております。
ピアレビューの仕組みにつきましては、特定機能病院同士のピアレビューの仕組みでございますとか、あとは診療報酬で設定されている特定機能病院以外の医療機関同士のピアレビューというものがございますが、特定機能病院とそれ以外の病院とを結び合う制度というのは現状存在していないということをお示ししております。
あとは、ネットワークに関しても特定機能病院ですとか、そもそも診療報酬の加算などを取っていないような医療機関も含めた多様な医療機関が参画するネットワークを構築いただいている事例を御紹介いただきました。
ここまでが医療機関の中における医療安全管理の現状と課題でございまして、ここからが「医療事故調査制度」に関する現状と課題の部分でございます。
医療事故調査制度につきましては、医療安全全体の中で申し上げますと、「事例を把握し学習へと繋げる仕組み」というものが基本にございますけれども、プラスして医療法に基づく医療事故調査制度というものがございます。様々な経緯の下でこういった制度が出来上がったものでございますけれども、この最初の部分ではそういった制度の発足の経緯でございますとか、あとはそれぞれの用語に関するものの御説明をしております。
そして、本検討会の中で御議論いただきました5つのテーマについて抽出したということを記載してございます。
その5つのテーマというものが、医療事故の判断の部分、次が院内調査とセンター調査の部分、そして再発防止に関する部分と、支援団体による部分と、最後は普及啓発、周知促進の部分というものでございます。
そして、その次からがそれぞれのテーマにのっとった現状と課題の御説明になります。
まず、医療事故判断の部分でございます。
医療事故判断に当たりましては、もともと医療法施行規則において当該医療機関の死亡・死産を確実に把握するための体制を確保するということが求められているということと、あとは医療事故が発生した際に組織として管理者が判断するということが求められております。
これに対しまして、関係者へのヒアリングでは、患者団体より本制度に真摯に向き合っている医療機関もある一方で、報告すべき医療事故が適切に報告されていないのではないかと疑義を抱かざるを得ない事案もあるという御指摘をいただいております。
そのほかの構成員からも、人口で補正した都道府県別医療事故発生報告件数や、病床規模が同等の医療機関においても報告数にばらつきがあるといった御指摘がございまして、患者、国民の視点に立って医療機関が行う医療事故判断の信頼性及び質の向上を図ることが必要であるということが示唆されたと書いてございます。
続きまして、これに対して病院団体へのヒアリングでございますとか、厚生労働省科学研究における研究などにおきましては、そういった死亡・死産を確実に把握する、及び組織的な医療事故判断を医療機関で実践する上で、その死亡事例をスクリーニングする体制の構築でございますとか、医療事故が疑われる事例が発生した際の検討会議の整備など、それらの対象事例の把握と医療事故判断のための組織的なプロセスを策定すること、または記録を残すことの重要性ということの御指摘をいただいております。
加えまして、通知では遺族等から医療事故が発生したのではないかという申出があった際に、医療事故には該当しないと医療機関の管理者が判断した場合には、その理由を分かりやすく説明するということが定められております。また、センターからはそういった御相談が遺族からあった場合には、求めに応じて医療機関への伝達ということを行っております。
一方で、そういった申出でございますとか御相談に対して、医療機関側の対応が不十分であると親族が受け止めている事例も散見されるということを御指摘いただいております。
こうした指摘に対しまして、病院団体側の取組として医療事故に該当するのではないかという申出に対応できる体制の構築でございますとか、申出があった場合には検討するように団体の方に注意喚起をしていただいているといった事例も御紹介いただいております。
ここからはまたちょっと別の話題にはなりますけれども、医療事故の判断につきまして、これは管理者が行うということでございますので、管理者の理解が重要であるということがございました。
一方で、管理者が研修を受講した割合というものは御回答いただいた医療機関の4割弱であったということがございました。
加えまして、もちろん管理者の理解というものも必要なのですけれども、制度に関する適切な理解を有する方がそういった管理者の医療事故判断を支援することの重要性ということも併せて示唆されたということを記載しております。
あとは、センター合議というものがセンターのほうではございまして、その実積が一定程度累積しているということを記載しております。
ここからは、院内調査とセンター調査の部分になります。
院内調査におきましては、医療法において行わなければならないというふうにはなってございますが、あまり詳しいことについては規定がないという状況でございます。そのため、院内調査及びその報告書の内容や質にはばらつきがあるということを御指摘いただいております。
それに対しまして、一部の支援団体のほうで指針でございますとかワークブック、または研修を行っていただいておりまして、そういった質の向上にも取り組んでいただいているということを記載しております。
続いて、センター調査についてでございます。センター調査につきましては、院内調査の参考とするという観点でございますとか、広く医療界における再発防止に活用するといった観点で、センター調査結果報告書の公表を求めるといった御意見がございました。
一方で、センター調査は様々な学会などの御協力の下に実施されておりまして、人的資源を含む調査環境が院内調査と異なっているということなどから、センター調査を院内調査の参考とすることは難しいのではないかといった御意見でございますとか、センター調査報告書は個別性が高いもので、一つの報告書だけで再発防止への効果を考えるのは限定的であり、また、詳細な説明がなく文書のみを示すと誤解を与えるといった可能性もあることから、提言などによる再発防止、普及啓発のほうが効果的ではないかといった御意見もございました。
加えまして、産科医療補償制度などを参考に、センター調査結果報告書の要約版の公表を検討してはどうかといった御意見もございました。
ただ、産科医療補償制度の原因分析報告書は分娩に特化しているものに対しまして、医療事故調査制度のほうは幅広い診療領域を対象としているものでございますので、医療機関や個人の特定につながらない様式化を進めることは可能かどうか、慎重な検討が必要なものというふうに考えられました。
一方で、本検討会ではセンターによる事業が調査も含めてでございますが、当時者以外には分かりづらいということから、その透明性を向上することでございますとか、センターが持つ資源を有効活用できるように、法令の範囲内で情報発信をしていくべきというような御指摘もございました。
センターでは調査手法などをまとめたマニュアルを整備しておりますけれども、これは公開されていないというところもございます。
他方で、これは公開しない内部資料として作成されておりますので、もし仮に公表するということになりましたらセンターによる整理でございますとか、第三者を含めた議論などが必要だということも御議論いただいております。
ここからが、「再発防止による医療安全向上の促進」という部分でございます。
再発防止に向けましては、センターのほうで提言でございますとか警鐘レポートですとか、そういったものを出していただいております。これに対しまして取組をいただいておりますけれども、さらなる取組を進めるための分析なども必要だということを記載しております。また、製品開発にもつながっているということでございます。
他方で、センター調査の実施に当たりましては専門家の方などに御参画いただいているのですけれども、センター調査結果報告書の取扱いについて、遺族でございますとか当該医療機関への交付以外に特段の定めがなく、再発防止に向けた活用が明確になっていないというような課題も指摘されております。
続きまして、支援団体の部分でございます。
最初のほうに書いてございますのが、支援団体や協議会の説明でございます。その支援団体の状況の調査を厚生労働科学研究で行っており、その調査結果によりますと、支援団体のそれぞれの提供している支援の内容ですとか活動実績がまちまちであるということでございますとか、いずれにしても全体として人材に対する課題というものが示唆されております。
地方協議会につきまして、これも活動の状況にばらつきがあるということも明らかになっておりますし、また中央協議会の活性化を望むような声も上がったということを書いております。
最後が、国民への周知促進というところでございます。
医療事故調査制度に関しましては、センターのほうで広報資材を作成いただいておりますし、そのほかいろいろな活動を行っていただいておりますが、なかなかまだ医療従事者も含め、国民に十分周知が行き届いていないというような指摘がございます。特に、医療事故という言葉のイメージの差なども御指摘をいただいたというふうに記載しております。
最後のポイントが、医療安全支援センターという都道府県や市町村など自治体で行っている取組でございますが、この医療安全支援センターは医療安全に関する情報発信もその業務の中に含まれているのですが、あまり医療事故調査制度に関してそういったものがセンターの運営要領には記載がないということも課題としてお示ししております。
以上を踏まえました「今後の方向性」が、15ページから後ろになります。
まず、改めまして「医療機関における医療安全管理体制」の部分から御説明いたしますと、重大事象の把握に関しまして厚生労働科学研究において検討された患者への影響度が高く、かつ回避可能性が高い12の事象ですね。こちらの中身は補足資料のほうにございますけれども、これにつきまして病院等において医療安全管理委員会等に報告すべき重大事象に含めることが適当であるということを記載しております。
もう一つ、B類型というものがございました。これは、患者への影響度は高いけれども回避可能性は必ずしも高くないとされた事象でございますが、こちらに関しましては医療安全管理委員会等に報告すべき重大事象に含めるよう努めるということで、努力をしていただくことが適当であるということを記載しております。
続きまして、医療安全管理者の部分です。報告分析・改善策立案と書いてございますが、主に医療安全管理者のことでございます。
医療安全管理者に関しましては、組織として医療安全に取り組む体制を整備し、それを推進するという観点から、医療安全管理者を医療安全管理委員会と連携し、当該医療機関の医療安全に責任を持つ者、またはその責任者から指示を受けて業務を行う者として医療法の制度上に位置づけまして、その役割等を明確化すべきであるということを書いております。
その際に、医療機関の規模に応じて提供している医療の内容でございますとか、医療安全に係る資源が異なるということ、または医療安全管理部門などにおきまして事務職など、医療有資格者ではない方におかれましても重要な役割を果たしていただいているという現状を踏まえまして、医療安全管理者の要件を医療有資格者であったりとか、特定の研修の修了といったことに限らず、多くの医療機関がその機能に応じて適切に配置ができるようにすることが適当だということをお示ししております。
これに関しましても補足資料を御用意してございます。補足資料の7ページ目ですが、検討会の中でもそのほかの医療安全管理に関わる方々との整理をするべきであるというような御意見を頂戴しておりましたので、もう少しそこを横並びでお示しをしております。
今回、新たに規定を行うべきというふうにこの報告書の案に書いてございますのは、一番左の部分でございます。一番左の医療安全管理者というところは、左から2番目にございます診療報酬上の医療安全管理者と名前は同じでございますけれども、より広い概念を考えております。特に資格・要件、研修の部分で、診療報酬上の医療安全管理者につきましては、その資格が限定されていたり、研修が必須であるといったことになってございますが、今回の新たに規定するものにつきましては、そういったものがより緩和されているというところでございます。
他方で、業務に関しましては、一定程度それはそろっている必要があると思いますので、トータルの概念といたしましては今回新たにつくられるもの、医療安全管理者という広い概念があって、そのうち特定の条件、要件を満たしている方が診療報酬の施設基準に記された医療安全管理者になると、そういった立てつけになるというふうに御理解をいただければと思います。
そう考えた場合の配置を考えますと、診療報酬上の医療安全管理者、これは入院基本料等加算でございますので、入院が可能な全ての医療機関で加算を届け出ることができるというふうになってございます。
また、右側の緑で書いてございます医薬品安全管理責任者でございますとか医療機器安全管理責任者、これも全ての病院、診療所、助産所に配置ということでございますので、そういった並びを考えますと、医療安全管理者につきましては全ての病院、入院入所施設を有する診療所や助産所に配置するということが適当ではないかと書いてございます。
そのほか、病院においては管理者との兼務は不可ということで、逆に病院以外のものにつきましては管理者との兼務ができるということ、また医薬品安全管理責任者やほかの役職との兼務ができるということ、これも既存の医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者の規定などを参考にしながらお示しをしているところでございます。
補足資料の8ページ目以降は、もう少し医療安全管理に関する体制をあくまでもイメージとして、こういったところにいる方々が医療安全管理者ですよということをイメージできるように例を幾つかお示しをしております。大きな病院、中くらい、小規模みたいなイメージでございます。あくまでもこれは参考です。
再び本文のほうに戻りますと、その上で大半の病院で医療安全管理者が既に配置されているということでございますとか、入院入所施設を有する診療所や助産所でも医療安全管理委員会の設置は医療法で義務づけられているということに鑑みまして、入院入所施設を有する全ての病院等に対して医療安全管理者の配置を求めることが適当というふうに記載しております。
なお、医療安全管理者の方につきまして、研修は必須ではないのですけれども推奨されるということ、また継続的な学習というのも重要である。そういったことについて、厚生労働科学研究等で検討が行われることが望まれるということを書いてございます。
続きまして、管理者のガバナンスの部分でございます。
管理者のガバナンスが適切に発揮されて、医療機関で発生した重大事象に対応が適切に行われるように、その権限については個別の診療継続の可否も判断ができるということを含めて、必要な対応を明確化するということを記載しております。
続きまして、改善策への取組でございますが、先ほど御説明いたしました医療安全管理委員会の構成員の役割でございますとか、医療安全推進担当者の位置づけ、役割について現状の把握を進めることが望まれるということを書いてございます。
最後のピアレビューとネットワークに関しましても、ピアレビューについては特定機能病院も含めた形でさらなる推進をすることが重要であるということ、ネットワークに関しましても地域の事情に即して推進するべきであるということを書いてございます。
ここからは「医療事故調査制度」に関する今後の方向性でございます。
医療事故調査制度で、まず医療事故の判断の部分でございます。
医療事故の判断に関しましては、医療事故が疑われる事例を適切に抽出し、効率的かつ機能的に報告を行う体制を強化するということを目的といたしまして、全死亡・死産事例のスクリーニング方法でございますとか、医療事故判断のための検討会議の開催手順といった、もともとの省令に基づいて医療機関を把握している全死亡・死産の中からそれをチェックして、医療事故に該当する可能性のある事例を抽出し、そして必要に応じては支援団体などに事故支援を求めながら、最終的にその該当性を判断するまでのプロセスを各医療機関において整備をするということ、そしてそれを医療安全管理指針に記載するということを求めるべきとしております。
併せまして、そういったプロセスの判断結果や理由などの記録も保存をするべきであるということを書いてございます。
このプロセスに関しまして、これは院内の部分のみならず、センターからの伝達も含めまして、遺族などから医療事故ではないかといった申出があった際に、その申出に対して改めて医療事故への該当性を組織として判断する際のプロセスというもの、そしてその結果を遺族に御説明するプロセスというものも併せて御検討、整備していただいて、この医療安全管理指針に記載していただくということも求めるべきであるということ、そして判断結果とその理由並びに遺族への対応についても記録の保存をするべきであるということを書いております。
続きまして、医療事故判断に携わる方の研修の部分です。
医療事故かどうかを適切に判断するためには、医療事故判断に携わる方が制度を十分に御理解いただくことが不可欠でございますので、そういった方に対して医療事故調査制度に関する研修を受講することを求めるべきであるとしております。
この研修を受講する方は管理者が望ましいのでございますけれども、管理者以外の方が受ける場合には受けた方が管理者の医療事故判断を支援することを求めるということを書いてございます。
なお、こうした研修に関しましては、対象とする医療機関につきまして、病院でございますとか、分娩を含む手術を行っている入院・入所施設を有する診療所・助産所を対象として考えることが適当であるということを記載しております。
そして、受講対象者につきましては管理者が望ましいということは通知でも既に申し上げてございますので、厚生労働省としては厚生科学研究などを活用しながら管理者が受講するべき内容の整理、よりコアとなる知識の整理ということでございますけれども、また管理者が受講しやすい環境の整備というものにも併せて努めていくべきであるということを書いてございます。
最後の部分のパラグラフですが、まずはセンターのほうでこれまで蓄積されたセンター合議の一般化・普遍化した情報発信を行っていくべきであるということを書いてございます。
続きまして、院内調査とセンター調査の部分でございます。
院内調査につきましては、既に支援団体などからお示しいただいております指針でございますとか研修、こういったものがさらに充実されるべきであるということ、また関連資料は院内調査の際に活用することが推奨されるべきであるということを書いてございます。
センター調査につきましては、透明性向上といった観点でセンターにおいて一定の整理を行い、第三者を含めて議論をした上で、将来的にセンター調査マニュアルの提示を目指すことが適当であるとしております。
また、そのマニュアルの提示と合わせまして、参考例として複数の架空事例報告書の作成及び提示を行うことが適当であるということも記載しております。
これに関しましては、センターは自らの持つ医療安全に関する資源が社会で広く有効活用されるように、その活動内容につきまして医療界を含めた国民全体に理解が広く得られるような形での情報発信を進めていくことが重要だということを記載しております。
また、最後にセンター調査報告書の公表につきまして、これは本検討会において様々御議論を頂戴いたしましたので、論点を整理した上でさらなる検討が必要なものと考えられるというふうに記載しております。
続きまして、再発防止への取組でございますが、センターで行っている再発防止の取組はさらなる推進が必要だということが書いてあり、後段はセンター調査報告書につきまして一般化・普遍化した上での再発防止への活用ということが明確化されるべきであるということを書いております。
続きまして、「支援団体による支援の充実」についてでございます。
支援団体につきましては、改めて現状の体制でございますとか今後の意向などを確認した上で、支援団体の再整理を行うべきであるということをまず1つ目に書いてございます。
続きまして2つ目の部分は人材育成でございまして、支援を提供できる人材の育成を推進するべきであるということを書いてございます。
次の部分が、各地方協議会での支援団体の紹介、情報提供がスムーズにできるように支援団体に対して提供可能な支援内容でございますとか活動実績を協議会、厚生労働省に定期的に情報共有いただくことを求めるべきであるということを書いてございます。
また、最後に地方協議会と中央協議会につきまして活動が活発に行われることが望まれるということを書いてございます。
そして、最後の部分、「国民への制度に関する周知促進」でございます。
本制度が国民に広く周知、理解されるということが、制度の円滑な運用の上で最も重要なことであるというふうにまず書いてございます。
そのために、関係各者が幅広く制度の普及、啓発を推進するべきであるということを書いてございます。
後段は、医療安全支援センターにつきまして、これは都道府県、保健所設置市、二次医療圏など、より住民に近いところでそういったものを設置していただいておりますので、医療安全に関する情報発信をさらに進めるという中に、医療事故調査制度も含めて発信をいただきたいと考えてございます。
最後に「おわりに」でございます。
今後、この方向性につきましては速やかに省令改正など必要な対応を行うべきであるということ。
2つ目の部分は、本検討会は様々な御議論をいただきまして、多くの点において議論の方向性は一致しましたが、継続的な議論が必要な課題でございますとか、今回の見直し後のフォローアップなどございますので、ワーキンググループを設置するなど継続的な検討を行っていくべきであるということを書いてございます。
最後は、今後高齢化社会が進むにつれまして、冒頭にリスクの多い患者が今後増えていくということを申し上げましたが、医療が提供される場についても多様化が進んでいく中で、そういった高齢化社会における医療安全の継続的な検討の重要性、または医療現場における「安全文化」の醸成に向けた機運が高まることを期待しているということを書いて終了としております。
○長谷川座長代理 どうもありがとうございました。
それでは、構成員の皆様から御意見、御質問等を頂戴したいと思いますが、いかがですか。
南須原構成員、どうぞお願いします。
○南須原構成員 北海道大学病院の南須原です。
1回目のときに、私は医療安全の文化の醸成というか、そういうことで学生を含めた医学部教育のほうでも大事ではないかという発言をしたのですけれども、どこかに入っていましたか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。ありがとうございます。
すみません。御説明は割愛しておりましたが、3ページ目の基本的な考え方の3つ目の○の4行目、「あらゆる医療有資格者に対する卒前・卒後を通じた医療安全教育や医療安全対策における患者・家族との協働等の医療安全対策も取り入れながら、持続可能で質の高い取組を目指していく必要がある。」というふうに記載しております。
○長谷川座長代理 松本さん、どうぞ。
○松本企画官 文部科学省企画官の松本でございます。
そのような御発言もあり、オブザーバーとして呼んでいただいているものと考えておりますけれども、今、医学教育課のほうで医師、歯科医師、薬剤師、看護師のコアカリキュラムを担当しておりますが、それぞれの職種で医療安全に関する記載がございます。特に医療のほう、医師のほうですけれども、コアカリキュラムを見直すたびに広げておりまして、例えば医療事故のところなどの記載等もございます。
それで、来年度から新たなコアカリキュラムに向けた見直しのための調査研究班も立ち上がるところでございまして、そちらのほうでも制度上の対応なども反映して検討をしていくべきものだと考えておりまして、卒前教育における医療安全のところに関しても文科省としてしっかり取り組んでいくというふうに考えております。恐らくかなりタイトな検討会のスケジュールだったので、文科省からのヒアリングということは今回難しかったと思いますけれども、機会を捉えて文科省としてもコアカリキュラムでこういう医療安全の対応をしているよということを発信していければと考えております。
以上です。
○長谷川座長代理 ありがとうございます。
宮脇構成員、お願いします。
○宮脇構成員 宮脇です。
全体で真摯に今後の医療安全の推進に向けて、この10年間の実態を踏まえた各関係者の方々に報告いただいて、今後の改善に向けた大事な点が見えてきたのかなと思うのです。
ただ、私のところに寄せられる相談は、死亡事例だけではなくて重度の障害であるとか、出産を機に遷延性意識障害で寝たきりになった方々とか、私たちから見ると死亡事例は本当に医療安全の一部だなと考えていまして、重度障害であるとか、遷延性意識障害とか、そういう面での医療事故についてどうするのかということも、この医療事故調査制度は死亡に限定されているのですけれども、どこかで今後の方向性として全体をしっかりと医療安全を進めていくんだということで課題として記述いただければと思うのですけれども、いかがですか。
○長谷川座長代理 加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
医療安全全体というものに関しては、まさにその事例を把握し、学習へとつなげるといった重大事象、これは死亡であろうと、死亡でなかろうと、そういった医療機関の中で起きたものを全て把握して、それに対して医療機関の中で必要な検討を行い、それを改善に向けたPDCAサイクルを回し、そして患者の方に、または患者の関係者の方にもそこを丁寧に説明していく。それは全ての基本かと思いますので、そこについてはこちらにも記載させていただいているところでございます。その上で医療事故収集等事業もございますし、医療事故調査制度、この2つのそういった情報を全国的に集めるというような仕組みで対応をやってきているというのが医療安全の全体像にはなろうかと思います。
今回の検討の中では、その中で院内での医療安全の取組と医療事故調査制度について検討を進めてきましたけれども、引き続きそれ以外の部分も含めて医療安全全体をフォローアップしていくということは重要かと思います。
そういった観点で、「おわりに」という部分にも今後の検討が続けられるような形で書かせていただいているところでございますので、そういった死亡以外の事例についての取組も重要であるということはこの全体の中では書かせていただいているかなという認識でございます。
○長谷川座長代理 米村構成員、お願いします。
○米村構成員 米村でございます。
今の宮脇構成員の御発言ともかなり関係するのですけれども、19ページの最後から2つ目の○の(国民への制度に関する周知促進)のところで、最後に「本制度の医療従事者を含む国民への普及啓発を推進すべきである。」となっております。恐らくこれは14ページの課題のまとめに関するところ、14ページの一番上の○のところで「医療従事者も含め、国民に十分に周知されていないとの指摘がある。」と言及されておりまして、これとの見合いでこのような表現に19ページのほうもなっているのだろうと思うのですが、私の個人的な意見を申し上げますと、医療従事者の制度に関する理解が一般国民と同じでは困るのであります。やはり医療従事者は自分が実際に医療事故に近い事例を経験したときに、すぐに管理者に報告してもらう。それによって、院内の医療安全対策が進むように協力してもらう。そういうことを日々の業務の中で実践していただかないといけないということがあるわけですので、医療従事者に関しては一段高いものを求めるべきではないかという気がしております。
したがって、ここの部分は国民に対しては周知促進で結構ですけれども、医療従事者に関しては教育研修を実施する。できれば、医療安全管理者が主体的にそういった教育研修を実施していく。そのような形の文言を書き加えていただくことを御検討いただければ大変ありがたく思います。
以上です。
○長谷川座長代理 では、加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
医療従事者の方について、ここでは医療従事者を含めた国民に十分周知されていないという指摘という形で書いてございますけれども、医療従事者に対してより一段高い理解が求められるということは御指摘のとおりかと思います。
文言の書き方は、研修を求めるみたいなこと自体は今回の議論の中には直接入っていたものではないと思いますが、高い理解が求められるという点につきましては御指摘の内容のとおりというか、そういったことはこれまでも書いてきてございますので、そこと齟齬が出ないように文言を調整させていただければとは思います。
先ほど宮脇構成員から御指摘いただいた点につきましても、ニュアンスは含めているつもりでございますけれども、もう少し変更の余地がないかということにつきましては引き続き検討ができればと思います。
○長谷川座長代理 髙宮構成員、お願いします。
○髙宮構成員 既に医療機関においては年に1回、院内の職員に対する医療安全の研修会というものを医療安全管理者がやっておりますので、米村構成員の御心配は必要ないかと思っております。
○長谷川座長代理 加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 研修をやっているという上で、さらに高い理解を求められるということだと思いますので、そのさらに高い理解を求められるという事実自体がもう少し記載できるかどうか調整できればと思っております。
○長谷川座長代理 菅間構成員、お願いします。このトピックスについてですか。
○菅間構成員 今の宮脇構成員、あるいは米村構成員が話されたことと関連してお話します。いろいろな観点から、この検討会でまとめてくださっていると思うのですけれども、宮脇構成員が言われたことも含めて、何となく結論が曖昧になってしまっているように思います。
特に今後の方向性、方針として、医療安全管理体制と医療事故調査制度と2つに分けて整理されているのですけれども、前提の原則として、医療事故調査制度の対象となる死亡事例にならないように、医療安全管理体制を整理することが重要です。この医療安全管理体制と事故調査制度の関係から、できれば、方針の(1)と(2)の前のところに原則的なことを2、3行加えていただけると、両者の関係が明瞭になると思います。
この検討会は、初めに森光医政局長が言われたように、単に医療事故調査制度のみならず、医療安全の全体像をもう一回見直しながら整理しましょうということで始まっています。そうした文言を「今後の方向性」の原則として、何行か加えてくださると、さらには米村構成員が言われた点も加えてくだされたら、より明確になるのではないかと思います。「おわりに」のところに書きましたとの説明ですと、何となくピントがぼけた終わり方になってしまうと感じました。
以上です。
○長谷川座長代理 ありがとうございます。
米村構成員、お願いします。
○米村構成員 先ほど髙宮構成員がおっしゃったことに関してですけれども、私もつい先日、某大学で医療安全講習会の講師を務めて、院内の医療従事者の皆さんにお話をしてきたなどのこともございまして、現状の仕組みはよく理解しているつもりでございます。
ただ、この医療事故調査制度をきちんと説明するという形でその医療安全講習が機能しているかどうかは、それぞれの医療機関の運用に任されているというのが現状だろうと思いますので、この制度をきちんと理解していただき、実践につなげていただくということを現状の医療安全講習会の仕組みの中であってもぜひ実践していただきたい。そのメッセージをやはり厚労省から発するということに大きな意味があると考えております。
以上です。
○長谷川座長代理 ありがとうございます。
では、加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 菅間構成員からいただいた御意見も含めて、本日いただいた御意見は可能な限り全体的に反映できるように、事務局で再度整理はさせていただければと思います。
○長谷川座長代理 ここで、山本座長が見えたので、座長を交代させていただきたいと思います。
では、山本座長、こちらで。
(山本座長 座長席へ移動)
○山本座長 誠に申し訳ございませんでした。列車が全く動かない状態で、1時間近く電車の中に閉じ込められておりました。誠に恐縮ではございますが、議論を再開させていただければと思います。
それでは、引き続き御意見、御質問等を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 日本病院会の岡でございます。
今回提出された報告書(案)は、医療事故判断の質向上や院内調査の質向上に寄与するものでありますし、かつ対策がいまだ不十分な医療機関にとっても早い段階で取り組むことができるのではないかと思いますので、この内容については賛同しておきます。
その中で1つ確認というか、質問なのですけれども、17ページの死亡事例のチェックで、プロセスを明確にしてその判断結果及び理由を記録・保存、また、遺族からの申出の説明の判断結果も記録・保存とあります。当然記録と保存は必要だと思います。
この中で、院長、管理者のガバナンスという面で、こういう死亡事例のチェックというのはある意味医療安全管理者とか、あるいは医療安全管理委員会でチェックしている。それを最終的に院長が本当にちゃんとチェックしているか。このプロセスの中でこれをしっかり組み入れるということを明記するか、あるいは記録・保存の前に管理者の確認という文言を入れていただいたほうが、やはり管理者のガバナンスという意味ではいいのではないかと思いますので、プロセスの中にも医療安全管理指針の中でちゃんと院長の確認ということを明記する方向で提示するのか、あるいはこの中で記録・保存プラス管理者の確認ということを明記するのか、そこだけお聞かせください。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局から何かございますか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
院内で発生している死亡事例の把握につきましては、そもそも管理者が把握するということが医療法施行規則上で定められております。当該医療機関における死亡・死産を確実に把握するための体制を確保することが管理者に求められていますので、もともとの死亡・死産事例を管理者が把握するというわけではなく、組織として把握することが管理者に求められているというつくりになっておりますので、この中で、最後の判断のプロセスを管理者がどこまで直接携わるのか、これは各医療機関である程度定められているところだと思いますが、プロセスの中での管理者の役割は確かに定めていただくことが重要だと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 全日本病院協会の今村でございます。
タイトな日程の中で、かなり網羅的にまとめていただいたものだと思っております。
全日本病院協会と日本医療法人協会が合同で長年やっておりました研修につきましては、私からプレゼンのときに御案内したとおりでございます。我々は継続研修は非常に重要だと思っておりまして、これに関しまして、今回も16ページの2段目に反映していただきまして、本当にありがたいことだと思っております。
日進月歩の医療の技術の複雑化、高齢化、様々な理由によって求められる研修要件も変わってまいります。ですから、我々の団体を含めて、現状に即したアップ・トゥー・デートな内容であると、いつも信じて理由を持って提供しているつもりなのですけれども、それが果たして現状に即したレベルの高いものなのかどうか、それぞれの研修の内容につきましても、厚生労働省で定期的にサーベイしていただいて、場合によってはどんな研修が今後必要なのかということも、研修を提供している団体と意見交換の場を持つなどして、レベルを上げていっていただく機会を定期的に持っていただくのはどうかと思っています。
あと、医療安全管理者養成研修の中では、どうしても集合研修というものが必要でございます。例えば我々のところでいきますと、RCAとFMEAというものを提供しておりますが、遠方の方々が継続研修、実地の研修で来るに当たっては非常に負担があります。昨今、宿泊費もめちゃくちゃ上がっております。費用負担のことはこの場で言う立てつけではないと伺っておりますが、こういったことを考えますと、研修を提供するほうも、研修を受講させるほうの負担も、昨今も病院経営が非常に厳しい中で、負担感が強くなっている。しかし、これは絶対にやらなければいけないということで、このあたりは何らかの支援をお願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。
それから、違う話なのですが、最後の国民への理解の促進というところで、全国に394か所の医療安全支援センターがあって、様々に普及啓発をされていると書いてあるのですけれども、地元ではあまり実感しないのです。かねてから申し上げておりますけれども、医療事故というと、イコール医療過誤だといまだに思われている向きもございます。しかし、例えば交通事故というと、いろいろとあると皆さん思うわけでありまして、医療事故という言葉の定義はどういったものなのかということ、これもしっかりと国民に知らせていく必要がさらにありまして、それが医療従事者も前向きに、様々なインシデント・アクシデントの報告をしやすくすることにもつながると思っております。ですので、医療安全支援センターの各所の取組に関して、また厚労省のガバナンスを強化していただいて、こんなことをしてくださいということで、お尻をたたいていただければと思っております。
3つ目ですが、今回の10年目に際しての検討会は、非常に有意義であったと思っております。最後に今後も継続的にフォローアップをしていきたいと書いてあって、これはぜひまた形あるものにしていただいて、バランスの取れた様々な団体構成で定期的に議論を深めていっていただきたいと思っております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
よろしいですか。
木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 木下です。
私がこうあってほしいと意見を申し上げた点で、議論の方向性として取り入れていただけなかったものもあるのですけれども、今回、医療の安全を推進していく幾つもの方策が示されたと思っておりますし、議論の取りまとめとして、今回御提案いただいたものには賛同したいと思っております。もちろん本日指摘された意見は、また取り入れていただくことをよろしくお願いします。
そして、この検討会で詰め切れなかったところはまだありますし、そもそも医療事故調査制度を含む医療安全の在り方を継続的に検討していくことは重要ですので、「5.おわりに」のところで書いていただいたワーキンググループを設置するなど、継続的な検討を行っていくという点は、必ず実行に移していただくことを強く要望いたします。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。長谷川構成員、お願いします。
○長谷川構成員
2点ございます。
1点目は、宮脇構成員が発言された内容とほぼ同じでありまして、10年前に医療事故調査制度が導入された、これは非常に画期的なことだと私自身は評価しています。
ただ、残念なのは、法律の中で医療事故という言葉は、医療に起因する予期せぬ死亡しか入っていないのです。だから、どうもそれだけが独り歩きする。ただ、死亡に至らない医療事故というのは多々ありまして、どうしても事故調の議論となると、そちらの部分がおろそかになるといいますか、影が薄くなるというか、私自身も同じような印象を持っています。医療に関わって健康被害を起こすことは非常にたくさんある。その中にあっての医療事故調査制度であって、やはりきちんと検知して分析したり、それが可能なように医療機関の体制整備が重要だということは、宮脇構成員ももっと強調すべきであると発言されていたと私は理解しましたが、私もぜひお願いしたいと思います。
もう一点ございまして、これは今村構成員の御発言と少し関係しますが、16ページの一番上、医療安全管理者について研修を受講しやすい環境整備についてです。診療報酬ですと、医療安全体制加算では退院患者1人について幾らというかたちで決められています。このような診療報酬の仕組みでは、規模が小さい病院では患者さんの数が少なく十分な収入が得られない。なおかつ、スタッフの数が少ないので、なかなか人を割いて研修に出すというのは難しいのです。そういったことを踏まえて考えると、やはり規模等を考慮して、何らかの形で配置や研修を促進する仕組みが必要であると思います。この文言は病院規模への配慮を含む文言でありますかという確認です。それが入っているかどうかお答えいただきたいし、入っていなかったら文言を入れてくださいというお願いです。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局、いかがですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
受講しやすい環境整備というものについて、現状で何か特定のものをイメージしているわけではございませんので、どういったことができるかも含めて、今後、検討できればと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
私も幾つか要望することをお伝えして、かなり網羅して書いていただけたと思いますので、今日、様々な構成員がご指摘されたことをさらに反映していただければ、おおむね賛同したいと思っております。
その中でも、私は有資格者以外の事務職などの人たちも含めていただいたほうがよいのではないかということとか、ワーキンググループのことなどを入れていただいたことは、今後につながることになるのではないかと期待しております。
長谷川構成員や宮脇構成員もおっしゃったことですけれども、死亡事故以外の重大事象も多いわけですから、今後、その取組を議論せざるを得ないと思います。なので、ぜひともそういったことも含めてワーキンググループでも取り上げていただきたいと思います。死亡事故以外のことについて、今後、取り組むのは当然のことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思いました。
もう一つ、患者家族・遺族の立場から見たときに、先ほど米村構成員もおっしゃっていましたけれども、国民は医療事故調査制度だけでなく、医療機関の医療安全管理体制についてのことを知らないという方がまだまだ多いと思います。
一方、私どものように、医療事故を経験した家族はこの重要性を認識し、とても意識しています。意識している人たちから見ると、あまり進んでいないのではないかと見えてしまう。
もう一方、医療従事者としては、私も病院の職員なので、思うところなのですけれども、逆に急速にこの取組が進んでいるような感じで、ついていけていない印象があります。実際に私も講演活動をしておりますし、医療対話推進者の養成研修をNPOで担っておりますので、たくさんの聞こえてくる医療従事者の声からしても、ついていけない人とか、周知が行き届いていない現状など、そういうのを私個人のレベルでも感じております。
それぞれ立場が違う人たちの中で認識に大分差があるという中で、もう一つ、例えば医療事故の事故調査制度もそうですし、医療事故対応のことですけれども、これも研究のアンケートなどからもお示しいただいていますが、遺族に対しての説明、対応の困難さの悩みなども、実際、医療従事者の皆さんから聞かれているということがあります。ここは今回の資料では配付されていないのですけれども、その前の回についていました患者相談窓口の設置のところについても、しっかり連携して意識していただけたらと思います。
今回、医療対話推進者の議論まで、この中に盛り込むのは難しいと承知しておりますけれども、そこを意識していただかないと、実際にいざ事故調査を行うといっても、患者・家族・遺族の方々とのコミュニケーション、説明や、やり取りにおいて、患者側にも不満がありますし、医療従事者側も非常につらいという声があります。
医療対話推進者の配置については、業務指針で示されておりますし、令和5年度、令和6年度の厚労科研で「医療対話推進者の質向上と医療機関内の医療安全部門との連携に向けての研究」が行われていて、医療安全との連携を強化しましょうという動きになっていますので、ぜひコミュニケーションの問題、患者・家族、医療従事者の支援の問題についても、議論の中に取り入れていただきたいと考えております。そのためには、早急な検討会などの設置は難しいと思いますので、例えば医療対話推進者の制度上の位置づけなども含めて、ワーキンググループの議論の中に入れていただけたらと思っております。
また、高齢化社会においてというところで、高齢者のことや介護連携のこともこの中にお示しいただいていますが、介護事故とか、介護の安全についても取り組まなければならない中で、管轄が違うかもしれませんけれども、高齢者の方が施設と医療機関を行ったり来たりするということでつながっておりますので、ぜひそういったことについても、ワーキンググループ等で連携して情報共有や、周知の面などでも話し合って、一緒の水準で進めていけるように、こちらについてもワーキンググループの検討の一つとして入れていただくことを望んでおります。
長くなって失礼いたしました。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
児玉構成員、どうぞ。
○児玉構成員 今回は全国の医療機関の医療安全と医療事故調査制度にフォーカスをしておりますので、管理者中心の形になっているのは、これはこれで合理性があると思います。
報告書(案)の6ページの一番下、管理者によるガバナンスの強化、16ページの上から3分の1ぐらいのところが管理者によるガバナンスの強化ということで、補足資料でいただいている8ページ、9ページ、10ページも、いずれも管理者がトップの姿になっております。
修正を要するというところまでは思っていないのですが、医療法第19条の2で、特定機能病院の開設者は、当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる措置を講じなければならないとありまして、1号は管理者の権限を明らかにすること、2号は開設者側で選任した監査委員会を設置しております。3号は当該管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制、4号はその他当該管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務の適切な遂行に必要なものとして厚生労働省令で定める措置ということで、これは平成28年のいわゆるガバナンス検討会でかなり深く議論されて、これは私の個人的経験と印象にすぎないところではありますが、重大事故が連続してしまったような、言わば有事の状態になったときに、管理者のリーダーシップだけではなかなか事態を収拾するのが困難で、その場合に、今、申し上げたような医療法第19条の2に定めるツールを駆使して、管理者も含めて病院の医療安全システムの再建を図っていくということもございました。
最初に申し上げたとおり、今回はこれでよいかとは思いますが、そこも視野には入っているはずですね、という確認です。
○山本座長 事務局、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
関連法令は改めてさらった上で、今、御指摘いただいた点も踏まえて、実際の通知や省令の改正作業の中で気をつけるようにしたいと思います。
○山本座長 御指摘ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
井本構成員、お願いします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の井本でございます。
本日は、交通事情の関係で、検討会の現地に伺えず、申し訳ありませんでした。
また、事務局におかれましては、タイトな中、報告書(案)について取りまとめ、ありがとうございます。
私からは「4.今後の方向性」の「(1)医療機関における医療安全管理体制」について御意見を申し上げたいと思います。
まず(報告分析・改善策立案の質向上)の○にあるとおり、医療安全管理者を医療法の制度上に位置づけることにより、医療機関の規模等にかかわらず、組織として医療安全に取り組む体制の強化が図られることを今後期待したいと思っております。明確に記述いただいて、ありがとうございます。
また、次の段落の要件のところで、医療資格があることや特定の研修の修了を求めないということについても、今後、広く取組がされるという観点で賛同したいと考えますが、経験上もやはり重大事象の分析というのは、それなりに専門的な知識が必要とされることから、こういった方たちも一緒にやっていくということは、院内での体制整備も大変重要かと思われます。そういった場合に、組織で支援や連携体制が組まれるような記述ができましたら、この報告書の中にも追記いただければと思います。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 度々すみません。
補足資料の7ページ目、新たに規定した医療安全管理者というところでございます。これに関して、最初、私が説明を受けたときによく分からなくて、結構たくさん伺って、ああ、なるほどと分かったのです。私の理解が悪いというだけなのかもしれませんけれども、全ての医療機関にこれを説明するときには混乱するような気がしまして、これはもうちょっと分かりやすくならないか。
例えば新たに規定するほうが、ベン図で言うところの広い範囲であって、診療報酬が算定される医療安全管理者はその中の一部というか、そういったところであるということを伺いますと、ポンチ絵で分かりやすく変えていただくとか、ここは私が言うことではないのですけれども、ちょっと思いまして、同じ管理者という名前であるならば、分かりやすくならないかと思った次第でございます。
あと、豊田構成員がおっしゃったように、事務職の存在はこれから非常に大きいところでございます。場合によっては司法のほうとの連絡ですとか、例えば医師や看護師だけでは何ともならないところが結構ございまして、この文言を改めて見ますと、事務職側が受けてもいいですよみたいな、そんな形に聞こえなくもないので、事務職などというのを明記してしまってもいいのではないか。そうしますと、事務の方々が胸を張って研修に行けるのではないかと思っております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局、いかがでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
本文には事務職などみたいなことを書いてございますが、補足資料に書いていないという御指摘だと思います。文言の修正はまた整理して、対応できるところは対応したいと思います。
ポンチ絵的なものに関しましては、制度を周知する過程で上手くできる形をまた考えなければと思います。
○山本座長 ありがとうございます。全体として分かりやすく、誤解が生じないように、ぜひ工夫をいただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
髙宮構成員、どうぞ。
○髙宮構成員 日本精神科病院協会の髙宮です。
10年前にこの制度ができたときから何回も繰り返して言うのですけれども、ポリスパワーを外して、支援団体という、いわゆるお友達団体による支援を始めたことが、我が国における医療事故調査制度の大きなポイントではないかと思います。
たまたま我々の日本精神科病院協会は、昭和53年に医療安全委員会を発足しておりましたので、現在では月に3回ほど、会員病院から届く事故報告書を医療安全委員会に出していただいて検討し、いろいろと指導しているわけですけれども、30人ほどの会議なのですが、多少の援助は出ますけれども、手弁当的な色彩がかなり強いので、支援団体の充実ということを今回取り上げていただいておりますので、そういった支援団体に対する補助みたいなものも多少考えていただければうれしいと思います。大分財政が厳しい折、過度なお願いかもしれませんが、何とぞよろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
南須原構成員、どうぞ。
○南須原構成員 北海道大学病院の南須原です。
先ほどの児玉構成員の御質問の中で思ったのですけれども、管理者と言ったときは様々なものがあります。北大の場合であれば、総長が開設者です。病院の管理者は私なのです。でも、今、多くの公的病院、市立病院とか、県立病院には、病院長の上に病院管理者がいます。さらにその上に市長がいるわけです。市立病院をつくっているのは市長なわけです。そうすると、細かいこと言うと、管理者が何を指すかというのは、病院の規模とか、設置母体によって違うのでしょうか。一般的には病院長でいいと思うのですけれども、質問です。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御指摘ありがとうございます。
ここで書いている管理者というのは、医療法で定められている管理者ということで、医療機関の届出を行っていただく際に、管理者というところに書いてあるお名前のことを想定しております。
○山本座長 先生が管理者ということだと思います。よろしいでしょうか。
○南須原構成員 総長ではないということですね。
○山本座長 ほかはいかがでしょうか。
○豊田構成員 豊田です。
医療事故調査制度のことなのですけれども、医療事故調査制度の中で再発防止の部分とか、報告書を要約版でも公表していただきたいこととか、そういうお話が出てきている中で、慎重にしていきたいということ自体理解しているところがあるのですが、調査報告書は当該医療機関と当該遺族の方にしか渡されないので、例えば学会に対しての提言を、学会が見ることができないという状況を、とても残念に思っています。
これは医療安全調査機構の中で議論していただくものなのか、どこで検討していただけるものでしょうか。そのまま出せないというのであれば、何らかの形で個人情報に配慮した方法で届けられないかというのは、センター調査に携わる委員の皆さんもおっしゃっていて、私もその一人なのですけれども、センター調査では再発防止の提言をしっかり考えていただいていると思いますので、これを出さないのは誰のためにもならないと思っています。医療従事者の願いでもありますし、当然患者や遺族の願いでもあると思いますので、そのことをご承知おきいただきたくて、発言させていただきました。
○山本座長 事務局、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
今回の報告書の中でも、「センター調査結果報告書についても一般化・普遍化した上で、再発防止に活用することができることを明確化すべきである」ということを記載してございますので、まずそういった形で、学会に対する提言につきましても、一般化・普遍化した形で積極的に活用できるようになるということはあると思っております。
その上で、センターの具体的な運用につきましては、センターの中でも御検討いただけると思いますし、我々も連携をして、必要なものについてはまた検討を進めていければと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○木下(浩)構成員 木下浩作でございます。
今までの議論の中で、センター調査を含めまして、事故が発生した後の最終的な結論が出るまでの期間がかなり長いということが指摘されていると思います。例えばAJMCの中でも、特定機能病院などは結構遅いということが言われていますけれども、そのようなところで迅速化できる仕組みなり、あるいは提言も一つ含められないかと思っています。
ただ、そうなってしまう背景も幾つかございますので、その背景の分析や今後の課題などの議論は、先ほどございましたけれども、ワーキンググループとか、そういったところで議論いただいた後でそういったものが明確化されれば、より分かりやすいし、遺族も報告書が出るのが遅いから何かあったのではないかと、より勘ぐるところもございますので、ぜひそこの点についても言及できる範囲でやっていただきたいと思います。
○山本座長 事務局、どうぞ。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
最終的にはいただいた御意見を整理させていただければと思いますけれども、御指摘の点については、多分にセンターの実運用に関わる部分がございますので、どこまで今回の報告書のスコープの中に入るかということは、再度検討できればと思います。
○木下(浩)構成員 先ほど医療者側への支援というものもございましたので、そういったものの充実ということであれば、関連して書けるのではないかと思いますので、御検討ください。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにはどうでしょうか。
藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 皆さんが発言されて、私が最後に残ったような感じですので、最後にまとめるような感じでお話をさせていただきたいと思います。診療というのは、患者さんと医療者の間の信頼関係がないとそもそも成立しないし、始まらないものだと思います。そういうことを現場の医療者は日々考え、信頼関係の礎に医療安全というものがあるのだろうと思いますし、去年からこの仕組みに関わるようになって、改めてそう思っています。
厚労科研で調査した支援団体の取組について、この検討会で私から御報告させていただいた際の議論の中でもありましたが、医療環境が厳しい中で、支援団体や医療機関の取組を挙げていただいたのですけれども、お金の問題ということではなくて、それ以前に人がいなくなる中で、医療界は現在も背伸びをしています。
この取組は本当に必要なものだと思いましで、これはぜひ進めていかなければいけない。進めることによって、医療安全をさらに高めていかなければいけないという思いを持っています。その中で、国としてこの仕組みを大きく育てていかなければいけないという観点に立ったときに、国としてもその点の支援は常に考えていただかなければいけないと思っております。
個々の医療機関における医療安全の取組はなかなか見えないものです。何かが起こったときにこういう取組がある、なしということが分かるだけで、でも、日常的に診療をするに当たって医療安全を考えていない医療機関があるのかというぐらい根底のところで、そこの部分は、基本的には十分に評価されることがなくてもやってきたわけです。
報告書案の文章の中で書いていただいていたように、医療の技術が上がっていけば、リスクも高まっていく。高齢化がこの先進めば、やはりリスクが高まっていくというのはそのとおりだと思いますし、そうなったときにどこまで個々の医療機関の努力で頑張れるのか。それは連携という話もありました。連携加算の話もありましたけれども、ああいうことも進めながらやっていくとなれば、個々の医療機関に頑張ってくださいということだけではない、国としての支援というか、後押しは必要だろうと思いますので、考えていただければありがたいと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。大丈夫ですね。
それでは、おおむね御意見等をお出しいただけたものと承知しました。
本検討会は、本年6月から本日まで計5回開催して、長時間にわたって充実した議論をいただいてきたと思います。
本日御提案いただいた医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)に関しましては、私の認識ではこれまで御議論いただいたことが基本的に反映されているものと理解しております。今日、私が伺った御意見でも、おおむねそのような評価をいただいたと思います。
そこで、今後でありますけれども、本日も幾つか御意見をいただいて、私が出席している中でも文言の修正というか、書きぶりの御修正の提案がありましたし、私がいなかった段階でもそのような御提案があったと伺っております。
そこで、恐縮ですけれども、最終的な取りまとめにつきましては、私に御一任をいただいて、事務局とともに、それから、今日、誠に申し訳なかったのですが、私が直接伺えなかった御意見につきましては、議事録を精査させていただくとともに、長谷川座長代理とも御相談をさせていただいて、取りまとめをさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○山本座長 ありがとうございます。よろしゅうございましょうか。
それでは、そのような形で、最終的な取りまとめを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日用意した議題については以上になりますが、特に構成員の皆様からないようでしたら、これで議事を終了したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 本日の議論を踏まえた取りまとめ、今後のスケジュール、予定しているものがあれば、教えていただける範囲で教えていただければと思います。
○山本座長 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
また精査をした上でということになりますので、今の時点でいつまでにということはなかなか難しいのですけれども、できる限り努力して、早めに出せるように準備したいと思います。
○山本座長 できる限り早めにということで、お許しをいただければと思います。
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、本検討会については、これで一旦の区切りということになります。誠に充実した御議論をいただけましたこと、私からも御礼を申し上げたいと思います。
ただ、報告書(案)でもございますように、先ほど来ずっと出ているワーキンググループ、フォローアップ等についての作業は、継続的な検討を行うという形での提言がされておりますので、事務局におかれては、引き続き今後の検討体制等を御検討いただければと思っております。
それでは、検討会はこれで終了させていただきたいと思います。本日は、誠にありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、全ての構成員の方に御出席いただく予定でございましたが、交通事情がございまして、山本座長、木下正一郎構成員が遅れての御到着となります。また、井本構成員はオンラインでの出席に変更なさっております。
事務局ですが、本日、医政局長は公務により欠席しております。
審議官、地域医療計画課長、医事課長は公務により遅れての到着となります。
なお、審議官は公務により途中退席となる予定でございます。
前回に引き続き、オブザーバーとしまして、日本医療機能評価機構の上田茂専務理事、日本医療安全調査機構の宮田哲郎常務理事、文部科学省高等教育局医学教育課の松本晴樹企画官、参考人として日本助産師会より山本副会長にオンラインで御出席いただいております。
本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
オンラインの御出席の方は、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、御発言の場合は挙手機能やコメント等を用いて意思表示をいただくようお願いいたします。座長の指名に基づき、御発言をお願いいたします。
御発言の際には、記録のため、最初にお名前をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
机上に、議事次第、座席表のほか、資料1「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)について」。
資料2「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)」。
資料3「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)補足資料」をお配りしております。
不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○門野室長補佐 それでは、以降の進行は山本座長に代わりまして長谷川座長代理にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○長谷川座長代理 皆さん、おはようございます。長谷川でございます。
山本座長は交通事情で遅れてお見えになるということですので、私が代わって座長を務めさせていただきます。
それでは、議事に入ります。
本日の議題は、「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)について」となります。
それでは、資料1、2について、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局の地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の加藤でございます。
お手元の資料の1が、この検討会報告書の概要版としてお作りしているものでございます。それで、2のほうが本編というか、文章編でございます。そして、資料3がその補足資料となってございます。これから資料2を中心に、一部、資料3で補足を行いながら御説明をさせていただきたいと思いますので、資料2をお手元にお持ちいただければと思います。
まず、画面共有をいたしますので少々お待ちください。
それでは、画面共有ができているかと思いますので、こちらを御説明いたします。
今回、第1回からこれまで、4回にわたりまして本検討会において様々に御議論をいただきました。その内容を事務局のほうで取りまとめた案としてお作りしております。
構成といたしまして、「はじめに」から「おわりに」まで5つのパートでございまして、まず「はじめに」と「基本的な考え方」の部分で、本検討会の経緯でございますとか、これまでの流れをお示ししております。そして、3.で「現状と課題」、4.で「今後の方向性」をお示しし、最後に「おわりに」ということを入れております。全体は大部になりますので、ややかいつまんで要点のみの御説明とさせていただければと思います。
2ページ目の「はじめに」でございますが、こちらはこれまでの経緯です。平成13年に当室が設置されたというところから、今回の検討に至るまでの経緯を記載しております。特に、今回の検討につきましては、医療安全推進総合対策に示されたもののうち、医療機関における安全管理体制の整備の部分と、医療事故調査制度に関する部分と、主にこの2つの点について御検討いただいたということを記載しております。
続きまして、「基本的な考え方」でございます。
本検討会の基本となる医療の「安全文化」に関する内容を中心に記載してございますが、1点、検討会の中で現在医療のリスク自体にも変化が起きている。そして、医療安全上のリスクが高まっていることからも、医療安全の継続的な向上が重要であるということの御指摘がございました。ここにつきまして、補足資料で1点、事務局のほうで資料を作っておりますので御提示させていただきたいと思います。
補足資料の2ページ目でございます。
こちらは複数の研究の論文の中からデータを並べておりますけれども、多疾患併存の患者ですね。1人の患者に複数の疾患が同時に併存している方に関しましては、診断の安全性に関するインシデントの発生率、30日以内の再入院率がいずれもそうでない患者に比べて高いというようなデータがございます。これは、国内、国外、様々なデータでございます。
また、医療事故情報収集等事業というものを行っておりますけれども、各医療機関から様々な医療事故に関係する情報を収集しているというものでございます。これは、1医療機関当たりの事案報告数を見ますと、制度開始当初2005年と、直近の2023年とのデータの中でかなり大きな増加が見られるということがございます。
こういったところで、実際、医療現場において医療安全上の対応というところはかなり大きな部分を占めており、その重要性、または業務の量というものも一定程度高まっていることが考えられたということを記載しております。
そのほか、持続可能な医療安全の施策が重要であるということですとか、国際的なデータも交えながら議論をしていくということが書いてございます。
4ページ目からが現状と課題でございまして、まず「医療機関における医療安全管理体制」の部分から御説明をいたします。
医療機関における医療安全管理体制は事例を把握し、学習へとつなげる事例報告、学習の仕組みというものが基本かと思いますけれども、この点につきまして様々なテーマを御議論いただきました。具体的には5つのトピックに沿って議論いただいておりますので、その経緯をこちらに書いてございます。
その5つのテーマですが、まず1つ目は重大事象の把握の部分、そして次が報告分析・改善策立案の部分、そしてその改善策に実際に取り組むという部分、また加えて管理者のガバナンスの部分と、医療安全に係る外部からの支援の部分、この5つについて御議論をいただいたというふうに承知しております。
それぞれのテーマにつきまして、現状と課題をまとめたものが次のページからになります。
まず重大事象の把握に関してでございます。現状の制度の中で、各医療機関において重大事象を把握していただいているところですが、他方で、より確実な重大事象の把握を行うために、特定の定義を明確に定めたものについて報告をいただくといった仕組みを国際的にも国内でも実施していただいているということを御紹介させていただいております。
そして、厚生労働科学研究におきまして諸外国の例なども参考にしながら、そういった患者への影響度と回避可能性に基づく具体事象のリストというものを作成いただいているということでございます。
続きまして、報告の分析、改善策の立案についてでございます。
こちらは、具体的に言うと「医療安全管理者」に関する議論があったかと思います。医療安全管理者につきましては、医療情報ネット(ナビイ)に基づく集計によると、約95%の病院が医療安全管理者を配置しているというデータがございました。
また、厚生労働省では、「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」というものを作成しており、そういった研修の充実というところも進めております。診療報酬ではそういった研修を受講している方が施設基準の一つとなっておりますけれども、約半数の病院が医療安全管理者の指針に即した研修を受講した医療安全管理者を配置しているということが分かりました。
一方で、診療報酬上はそういった研修を受講した医療安全管理者に関する制度がございますけれども、医療法に基づく制度の中では明確にこういった医療安全管理者の位置づけが定まっていないということもございました。
また、医療安全管理者の方につきましては主に看護師であることが多いという一方で、事務職など、医療有資格者ではない方が調整役といったような形で医療安全の向上に効果的な役割を果たしていただいているという例も御紹介いただいております。
そして、もう一点、医療安全管理者の指針におきましては、継続的な学習ということの重要性も示されておりますということをお示ししております。
続きまして、「管理者によるガバナンスの強化」という部分でございます。
管理者は、院内で発生した重大事案に対して適切な対応を取るということが業務の一つかと思いますが、その管理者が行う対応について細かい点については特段定まっておりません。
また、医療機関によっては、なかなか管理者の権限が及びづらくなっているといった場合もありまして、組織として適切に対応するにはそういった管理者の権限をもう少し明確化した上で、日頃から管理者が医療安全管理委員会や医療安全管理者と連携していくことが重要であるということの御指摘がございました。
また、国内でそういった取組を実際にやっていただいている例もあったというふうに記載しております。
続きまして、改善策への取組でございます。
現在の医療安全管理の体制につきましては、医療安全推進総合対策というものが基本になって様々な制度、または構成が検討されてきたというふうに承知しておりますが、この医療安全推進総合対策の中には医療安全管理委員会、医療安全管理者、そして医療安全推進担当者というものがございました。
医療安全管理者に関しましては先ほど申し上げましたけれども、これは残りの医療安全管理委員会と医療安全推進担当者の部分について記載をしております。
医療安全管理委員会は医療法施行規則上で定まっている機関でございますけれども、その構成員が具体的にどういうことを行うのかということについて、あまり細かいところは定まっておりません。
医療安全推進担当者については、医療法に関係する制度の中では明確なものは定まっていないという状況でございます。
現状、様々な医療機関の中で様々な体制を組んで医療安全に取り組んでいただいておりますので、こういったもともとの医療安全推進総合対策に記載されていた機関や役割を持つ方々について、現状をもう少し把握する必要があるのではないかといった課題を示しております。
続きまして、医療安全に係る外部からの支援ということで、ここは主にピアレビュー、相互評価というものと、あとはネットワークのことについて記載をしております。
ピアレビューの仕組みにつきましては、特定機能病院同士のピアレビューの仕組みでございますとか、あとは診療報酬で設定されている特定機能病院以外の医療機関同士のピアレビューというものがございますが、特定機能病院とそれ以外の病院とを結び合う制度というのは現状存在していないということをお示ししております。
あとは、ネットワークに関しても特定機能病院ですとか、そもそも診療報酬の加算などを取っていないような医療機関も含めた多様な医療機関が参画するネットワークを構築いただいている事例を御紹介いただきました。
ここまでが医療機関の中における医療安全管理の現状と課題でございまして、ここからが「医療事故調査制度」に関する現状と課題の部分でございます。
医療事故調査制度につきましては、医療安全全体の中で申し上げますと、「事例を把握し学習へと繋げる仕組み」というものが基本にございますけれども、プラスして医療法に基づく医療事故調査制度というものがございます。様々な経緯の下でこういった制度が出来上がったものでございますけれども、この最初の部分ではそういった制度の発足の経緯でございますとか、あとはそれぞれの用語に関するものの御説明をしております。
そして、本検討会の中で御議論いただきました5つのテーマについて抽出したということを記載してございます。
その5つのテーマというものが、医療事故の判断の部分、次が院内調査とセンター調査の部分、そして再発防止に関する部分と、支援団体による部分と、最後は普及啓発、周知促進の部分というものでございます。
そして、その次からがそれぞれのテーマにのっとった現状と課題の御説明になります。
まず、医療事故判断の部分でございます。
医療事故判断に当たりましては、もともと医療法施行規則において当該医療機関の死亡・死産を確実に把握するための体制を確保するということが求められているということと、あとは医療事故が発生した際に組織として管理者が判断するということが求められております。
これに対しまして、関係者へのヒアリングでは、患者団体より本制度に真摯に向き合っている医療機関もある一方で、報告すべき医療事故が適切に報告されていないのではないかと疑義を抱かざるを得ない事案もあるという御指摘をいただいております。
そのほかの構成員からも、人口で補正した都道府県別医療事故発生報告件数や、病床規模が同等の医療機関においても報告数にばらつきがあるといった御指摘がございまして、患者、国民の視点に立って医療機関が行う医療事故判断の信頼性及び質の向上を図ることが必要であるということが示唆されたと書いてございます。
続きまして、これに対して病院団体へのヒアリングでございますとか、厚生労働省科学研究における研究などにおきましては、そういった死亡・死産を確実に把握する、及び組織的な医療事故判断を医療機関で実践する上で、その死亡事例をスクリーニングする体制の構築でございますとか、医療事故が疑われる事例が発生した際の検討会議の整備など、それらの対象事例の把握と医療事故判断のための組織的なプロセスを策定すること、または記録を残すことの重要性ということの御指摘をいただいております。
加えまして、通知では遺族等から医療事故が発生したのではないかという申出があった際に、医療事故には該当しないと医療機関の管理者が判断した場合には、その理由を分かりやすく説明するということが定められております。また、センターからはそういった御相談が遺族からあった場合には、求めに応じて医療機関への伝達ということを行っております。
一方で、そういった申出でございますとか御相談に対して、医療機関側の対応が不十分であると親族が受け止めている事例も散見されるということを御指摘いただいております。
こうした指摘に対しまして、病院団体側の取組として医療事故に該当するのではないかという申出に対応できる体制の構築でございますとか、申出があった場合には検討するように団体の方に注意喚起をしていただいているといった事例も御紹介いただいております。
ここからはまたちょっと別の話題にはなりますけれども、医療事故の判断につきまして、これは管理者が行うということでございますので、管理者の理解が重要であるということがございました。
一方で、管理者が研修を受講した割合というものは御回答いただいた医療機関の4割弱であったということがございました。
加えまして、もちろん管理者の理解というものも必要なのですけれども、制度に関する適切な理解を有する方がそういった管理者の医療事故判断を支援することの重要性ということも併せて示唆されたということを記載しております。
あとは、センター合議というものがセンターのほうではございまして、その実積が一定程度累積しているということを記載しております。
ここからは、院内調査とセンター調査の部分になります。
院内調査におきましては、医療法において行わなければならないというふうにはなってございますが、あまり詳しいことについては規定がないという状況でございます。そのため、院内調査及びその報告書の内容や質にはばらつきがあるということを御指摘いただいております。
それに対しまして、一部の支援団体のほうで指針でございますとかワークブック、または研修を行っていただいておりまして、そういった質の向上にも取り組んでいただいているということを記載しております。
続いて、センター調査についてでございます。センター調査につきましては、院内調査の参考とするという観点でございますとか、広く医療界における再発防止に活用するといった観点で、センター調査結果報告書の公表を求めるといった御意見がございました。
一方で、センター調査は様々な学会などの御協力の下に実施されておりまして、人的資源を含む調査環境が院内調査と異なっているということなどから、センター調査を院内調査の参考とすることは難しいのではないかといった御意見でございますとか、センター調査報告書は個別性が高いもので、一つの報告書だけで再発防止への効果を考えるのは限定的であり、また、詳細な説明がなく文書のみを示すと誤解を与えるといった可能性もあることから、提言などによる再発防止、普及啓発のほうが効果的ではないかといった御意見もございました。
加えまして、産科医療補償制度などを参考に、センター調査結果報告書の要約版の公表を検討してはどうかといった御意見もございました。
ただ、産科医療補償制度の原因分析報告書は分娩に特化しているものに対しまして、医療事故調査制度のほうは幅広い診療領域を対象としているものでございますので、医療機関や個人の特定につながらない様式化を進めることは可能かどうか、慎重な検討が必要なものというふうに考えられました。
一方で、本検討会ではセンターによる事業が調査も含めてでございますが、当時者以外には分かりづらいということから、その透明性を向上することでございますとか、センターが持つ資源を有効活用できるように、法令の範囲内で情報発信をしていくべきというような御指摘もございました。
センターでは調査手法などをまとめたマニュアルを整備しておりますけれども、これは公開されていないというところもございます。
他方で、これは公開しない内部資料として作成されておりますので、もし仮に公表するということになりましたらセンターによる整理でございますとか、第三者を含めた議論などが必要だということも御議論いただいております。
ここからが、「再発防止による医療安全向上の促進」という部分でございます。
再発防止に向けましては、センターのほうで提言でございますとか警鐘レポートですとか、そういったものを出していただいております。これに対しまして取組をいただいておりますけれども、さらなる取組を進めるための分析なども必要だということを記載しております。また、製品開発にもつながっているということでございます。
他方で、センター調査の実施に当たりましては専門家の方などに御参画いただいているのですけれども、センター調査結果報告書の取扱いについて、遺族でございますとか当該医療機関への交付以外に特段の定めがなく、再発防止に向けた活用が明確になっていないというような課題も指摘されております。
続きまして、支援団体の部分でございます。
最初のほうに書いてございますのが、支援団体や協議会の説明でございます。その支援団体の状況の調査を厚生労働科学研究で行っており、その調査結果によりますと、支援団体のそれぞれの提供している支援の内容ですとか活動実績がまちまちであるということでございますとか、いずれにしても全体として人材に対する課題というものが示唆されております。
地方協議会につきまして、これも活動の状況にばらつきがあるということも明らかになっておりますし、また中央協議会の活性化を望むような声も上がったということを書いております。
最後が、国民への周知促進というところでございます。
医療事故調査制度に関しましては、センターのほうで広報資材を作成いただいておりますし、そのほかいろいろな活動を行っていただいておりますが、なかなかまだ医療従事者も含め、国民に十分周知が行き届いていないというような指摘がございます。特に、医療事故という言葉のイメージの差なども御指摘をいただいたというふうに記載しております。
最後のポイントが、医療安全支援センターという都道府県や市町村など自治体で行っている取組でございますが、この医療安全支援センターは医療安全に関する情報発信もその業務の中に含まれているのですが、あまり医療事故調査制度に関してそういったものがセンターの運営要領には記載がないということも課題としてお示ししております。
以上を踏まえました「今後の方向性」が、15ページから後ろになります。
まず、改めまして「医療機関における医療安全管理体制」の部分から御説明いたしますと、重大事象の把握に関しまして厚生労働科学研究において検討された患者への影響度が高く、かつ回避可能性が高い12の事象ですね。こちらの中身は補足資料のほうにございますけれども、これにつきまして病院等において医療安全管理委員会等に報告すべき重大事象に含めることが適当であるということを記載しております。
もう一つ、B類型というものがございました。これは、患者への影響度は高いけれども回避可能性は必ずしも高くないとされた事象でございますが、こちらに関しましては医療安全管理委員会等に報告すべき重大事象に含めるよう努めるということで、努力をしていただくことが適当であるということを記載しております。
続きまして、医療安全管理者の部分です。報告分析・改善策立案と書いてございますが、主に医療安全管理者のことでございます。
医療安全管理者に関しましては、組織として医療安全に取り組む体制を整備し、それを推進するという観点から、医療安全管理者を医療安全管理委員会と連携し、当該医療機関の医療安全に責任を持つ者、またはその責任者から指示を受けて業務を行う者として医療法の制度上に位置づけまして、その役割等を明確化すべきであるということを書いております。
その際に、医療機関の規模に応じて提供している医療の内容でございますとか、医療安全に係る資源が異なるということ、または医療安全管理部門などにおきまして事務職など、医療有資格者ではない方におかれましても重要な役割を果たしていただいているという現状を踏まえまして、医療安全管理者の要件を医療有資格者であったりとか、特定の研修の修了といったことに限らず、多くの医療機関がその機能に応じて適切に配置ができるようにすることが適当だということをお示ししております。
これに関しましても補足資料を御用意してございます。補足資料の7ページ目ですが、検討会の中でもそのほかの医療安全管理に関わる方々との整理をするべきであるというような御意見を頂戴しておりましたので、もう少しそこを横並びでお示しをしております。
今回、新たに規定を行うべきというふうにこの報告書の案に書いてございますのは、一番左の部分でございます。一番左の医療安全管理者というところは、左から2番目にございます診療報酬上の医療安全管理者と名前は同じでございますけれども、より広い概念を考えております。特に資格・要件、研修の部分で、診療報酬上の医療安全管理者につきましては、その資格が限定されていたり、研修が必須であるといったことになってございますが、今回の新たに規定するものにつきましては、そういったものがより緩和されているというところでございます。
他方で、業務に関しましては、一定程度それはそろっている必要があると思いますので、トータルの概念といたしましては今回新たにつくられるもの、医療安全管理者という広い概念があって、そのうち特定の条件、要件を満たしている方が診療報酬の施設基準に記された医療安全管理者になると、そういった立てつけになるというふうに御理解をいただければと思います。
そう考えた場合の配置を考えますと、診療報酬上の医療安全管理者、これは入院基本料等加算でございますので、入院が可能な全ての医療機関で加算を届け出ることができるというふうになってございます。
また、右側の緑で書いてございます医薬品安全管理責任者でございますとか医療機器安全管理責任者、これも全ての病院、診療所、助産所に配置ということでございますので、そういった並びを考えますと、医療安全管理者につきましては全ての病院、入院入所施設を有する診療所や助産所に配置するということが適当ではないかと書いてございます。
そのほか、病院においては管理者との兼務は不可ということで、逆に病院以外のものにつきましては管理者との兼務ができるということ、また医薬品安全管理責任者やほかの役職との兼務ができるということ、これも既存の医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者の規定などを参考にしながらお示しをしているところでございます。
補足資料の8ページ目以降は、もう少し医療安全管理に関する体制をあくまでもイメージとして、こういったところにいる方々が医療安全管理者ですよということをイメージできるように例を幾つかお示しをしております。大きな病院、中くらい、小規模みたいなイメージでございます。あくまでもこれは参考です。
再び本文のほうに戻りますと、その上で大半の病院で医療安全管理者が既に配置されているということでございますとか、入院入所施設を有する診療所や助産所でも医療安全管理委員会の設置は医療法で義務づけられているということに鑑みまして、入院入所施設を有する全ての病院等に対して医療安全管理者の配置を求めることが適当というふうに記載しております。
なお、医療安全管理者の方につきまして、研修は必須ではないのですけれども推奨されるということ、また継続的な学習というのも重要である。そういったことについて、厚生労働科学研究等で検討が行われることが望まれるということを書いてございます。
続きまして、管理者のガバナンスの部分でございます。
管理者のガバナンスが適切に発揮されて、医療機関で発生した重大事象に対応が適切に行われるように、その権限については個別の診療継続の可否も判断ができるということを含めて、必要な対応を明確化するということを記載しております。
続きまして、改善策への取組でございますが、先ほど御説明いたしました医療安全管理委員会の構成員の役割でございますとか、医療安全推進担当者の位置づけ、役割について現状の把握を進めることが望まれるということを書いてございます。
最後のピアレビューとネットワークに関しましても、ピアレビューについては特定機能病院も含めた形でさらなる推進をすることが重要であるということ、ネットワークに関しましても地域の事情に即して推進するべきであるということを書いてございます。
ここからは「医療事故調査制度」に関する今後の方向性でございます。
医療事故調査制度で、まず医療事故の判断の部分でございます。
医療事故の判断に関しましては、医療事故が疑われる事例を適切に抽出し、効率的かつ機能的に報告を行う体制を強化するということを目的といたしまして、全死亡・死産事例のスクリーニング方法でございますとか、医療事故判断のための検討会議の開催手順といった、もともとの省令に基づいて医療機関を把握している全死亡・死産の中からそれをチェックして、医療事故に該当する可能性のある事例を抽出し、そして必要に応じては支援団体などに事故支援を求めながら、最終的にその該当性を判断するまでのプロセスを各医療機関において整備をするということ、そしてそれを医療安全管理指針に記載するということを求めるべきとしております。
併せまして、そういったプロセスの判断結果や理由などの記録も保存をするべきであるということを書いてございます。
このプロセスに関しまして、これは院内の部分のみならず、センターからの伝達も含めまして、遺族などから医療事故ではないかといった申出があった際に、その申出に対して改めて医療事故への該当性を組織として判断する際のプロセスというもの、そしてその結果を遺族に御説明するプロセスというものも併せて御検討、整備していただいて、この医療安全管理指針に記載していただくということも求めるべきであるということ、そして判断結果とその理由並びに遺族への対応についても記録の保存をするべきであるということを書いております。
続きまして、医療事故判断に携わる方の研修の部分です。
医療事故かどうかを適切に判断するためには、医療事故判断に携わる方が制度を十分に御理解いただくことが不可欠でございますので、そういった方に対して医療事故調査制度に関する研修を受講することを求めるべきであるとしております。
この研修を受講する方は管理者が望ましいのでございますけれども、管理者以外の方が受ける場合には受けた方が管理者の医療事故判断を支援することを求めるということを書いてございます。
なお、こうした研修に関しましては、対象とする医療機関につきまして、病院でございますとか、分娩を含む手術を行っている入院・入所施設を有する診療所・助産所を対象として考えることが適当であるということを記載しております。
そして、受講対象者につきましては管理者が望ましいということは通知でも既に申し上げてございますので、厚生労働省としては厚生科学研究などを活用しながら管理者が受講するべき内容の整理、よりコアとなる知識の整理ということでございますけれども、また管理者が受講しやすい環境の整備というものにも併せて努めていくべきであるということを書いてございます。
最後の部分のパラグラフですが、まずはセンターのほうでこれまで蓄積されたセンター合議の一般化・普遍化した情報発信を行っていくべきであるということを書いてございます。
続きまして、院内調査とセンター調査の部分でございます。
院内調査につきましては、既に支援団体などからお示しいただいております指針でございますとか研修、こういったものがさらに充実されるべきであるということ、また関連資料は院内調査の際に活用することが推奨されるべきであるということを書いてございます。
センター調査につきましては、透明性向上といった観点でセンターにおいて一定の整理を行い、第三者を含めて議論をした上で、将来的にセンター調査マニュアルの提示を目指すことが適当であるとしております。
また、そのマニュアルの提示と合わせまして、参考例として複数の架空事例報告書の作成及び提示を行うことが適当であるということも記載しております。
これに関しましては、センターは自らの持つ医療安全に関する資源が社会で広く有効活用されるように、その活動内容につきまして医療界を含めた国民全体に理解が広く得られるような形での情報発信を進めていくことが重要だということを記載しております。
また、最後にセンター調査報告書の公表につきまして、これは本検討会において様々御議論を頂戴いたしましたので、論点を整理した上でさらなる検討が必要なものと考えられるというふうに記載しております。
続きまして、再発防止への取組でございますが、センターで行っている再発防止の取組はさらなる推進が必要だということが書いてあり、後段はセンター調査報告書につきまして一般化・普遍化した上での再発防止への活用ということが明確化されるべきであるということを書いております。
続きまして、「支援団体による支援の充実」についてでございます。
支援団体につきましては、改めて現状の体制でございますとか今後の意向などを確認した上で、支援団体の再整理を行うべきであるということをまず1つ目に書いてございます。
続きまして2つ目の部分は人材育成でございまして、支援を提供できる人材の育成を推進するべきであるということを書いてございます。
次の部分が、各地方協議会での支援団体の紹介、情報提供がスムーズにできるように支援団体に対して提供可能な支援内容でございますとか活動実績を協議会、厚生労働省に定期的に情報共有いただくことを求めるべきであるということを書いてございます。
また、最後に地方協議会と中央協議会につきまして活動が活発に行われることが望まれるということを書いてございます。
そして、最後の部分、「国民への制度に関する周知促進」でございます。
本制度が国民に広く周知、理解されるということが、制度の円滑な運用の上で最も重要なことであるというふうにまず書いてございます。
そのために、関係各者が幅広く制度の普及、啓発を推進するべきであるということを書いてございます。
後段は、医療安全支援センターにつきまして、これは都道府県、保健所設置市、二次医療圏など、より住民に近いところでそういったものを設置していただいておりますので、医療安全に関する情報発信をさらに進めるという中に、医療事故調査制度も含めて発信をいただきたいと考えてございます。
最後に「おわりに」でございます。
今後、この方向性につきましては速やかに省令改正など必要な対応を行うべきであるということ。
2つ目の部分は、本検討会は様々な御議論をいただきまして、多くの点において議論の方向性は一致しましたが、継続的な議論が必要な課題でございますとか、今回の見直し後のフォローアップなどございますので、ワーキンググループを設置するなど継続的な検討を行っていくべきであるということを書いてございます。
最後は、今後高齢化社会が進むにつれまして、冒頭にリスクの多い患者が今後増えていくということを申し上げましたが、医療が提供される場についても多様化が進んでいく中で、そういった高齢化社会における医療安全の継続的な検討の重要性、または医療現場における「安全文化」の醸成に向けた機運が高まることを期待しているということを書いて終了としております。
○長谷川座長代理 どうもありがとうございました。
それでは、構成員の皆様から御意見、御質問等を頂戴したいと思いますが、いかがですか。
南須原構成員、どうぞお願いします。
○南須原構成員 北海道大学病院の南須原です。
1回目のときに、私は医療安全の文化の醸成というか、そういうことで学生を含めた医学部教育のほうでも大事ではないかという発言をしたのですけれども、どこかに入っていましたか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。ありがとうございます。
すみません。御説明は割愛しておりましたが、3ページ目の基本的な考え方の3つ目の○の4行目、「あらゆる医療有資格者に対する卒前・卒後を通じた医療安全教育や医療安全対策における患者・家族との協働等の医療安全対策も取り入れながら、持続可能で質の高い取組を目指していく必要がある。」というふうに記載しております。
○長谷川座長代理 松本さん、どうぞ。
○松本企画官 文部科学省企画官の松本でございます。
そのような御発言もあり、オブザーバーとして呼んでいただいているものと考えておりますけれども、今、医学教育課のほうで医師、歯科医師、薬剤師、看護師のコアカリキュラムを担当しておりますが、それぞれの職種で医療安全に関する記載がございます。特に医療のほう、医師のほうですけれども、コアカリキュラムを見直すたびに広げておりまして、例えば医療事故のところなどの記載等もございます。
それで、来年度から新たなコアカリキュラムに向けた見直しのための調査研究班も立ち上がるところでございまして、そちらのほうでも制度上の対応なども反映して検討をしていくべきものだと考えておりまして、卒前教育における医療安全のところに関しても文科省としてしっかり取り組んでいくというふうに考えております。恐らくかなりタイトな検討会のスケジュールだったので、文科省からのヒアリングということは今回難しかったと思いますけれども、機会を捉えて文科省としてもコアカリキュラムでこういう医療安全の対応をしているよということを発信していければと考えております。
以上です。
○長谷川座長代理 ありがとうございます。
宮脇構成員、お願いします。
○宮脇構成員 宮脇です。
全体で真摯に今後の医療安全の推進に向けて、この10年間の実態を踏まえた各関係者の方々に報告いただいて、今後の改善に向けた大事な点が見えてきたのかなと思うのです。
ただ、私のところに寄せられる相談は、死亡事例だけではなくて重度の障害であるとか、出産を機に遷延性意識障害で寝たきりになった方々とか、私たちから見ると死亡事例は本当に医療安全の一部だなと考えていまして、重度障害であるとか、遷延性意識障害とか、そういう面での医療事故についてどうするのかということも、この医療事故調査制度は死亡に限定されているのですけれども、どこかで今後の方向性として全体をしっかりと医療安全を進めていくんだということで課題として記述いただければと思うのですけれども、いかがですか。
○長谷川座長代理 加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
医療安全全体というものに関しては、まさにその事例を把握し、学習へとつなげるといった重大事象、これは死亡であろうと、死亡でなかろうと、そういった医療機関の中で起きたものを全て把握して、それに対して医療機関の中で必要な検討を行い、それを改善に向けたPDCAサイクルを回し、そして患者の方に、または患者の関係者の方にもそこを丁寧に説明していく。それは全ての基本かと思いますので、そこについてはこちらにも記載させていただいているところでございます。その上で医療事故収集等事業もございますし、医療事故調査制度、この2つのそういった情報を全国的に集めるというような仕組みで対応をやってきているというのが医療安全の全体像にはなろうかと思います。
今回の検討の中では、その中で院内での医療安全の取組と医療事故調査制度について検討を進めてきましたけれども、引き続きそれ以外の部分も含めて医療安全全体をフォローアップしていくということは重要かと思います。
そういった観点で、「おわりに」という部分にも今後の検討が続けられるような形で書かせていただいているところでございますので、そういった死亡以外の事例についての取組も重要であるということはこの全体の中では書かせていただいているかなという認識でございます。
○長谷川座長代理 米村構成員、お願いします。
○米村構成員 米村でございます。
今の宮脇構成員の御発言ともかなり関係するのですけれども、19ページの最後から2つ目の○の(国民への制度に関する周知促進)のところで、最後に「本制度の医療従事者を含む国民への普及啓発を推進すべきである。」となっております。恐らくこれは14ページの課題のまとめに関するところ、14ページの一番上の○のところで「医療従事者も含め、国民に十分に周知されていないとの指摘がある。」と言及されておりまして、これとの見合いでこのような表現に19ページのほうもなっているのだろうと思うのですが、私の個人的な意見を申し上げますと、医療従事者の制度に関する理解が一般国民と同じでは困るのであります。やはり医療従事者は自分が実際に医療事故に近い事例を経験したときに、すぐに管理者に報告してもらう。それによって、院内の医療安全対策が進むように協力してもらう。そういうことを日々の業務の中で実践していただかないといけないということがあるわけですので、医療従事者に関しては一段高いものを求めるべきではないかという気がしております。
したがって、ここの部分は国民に対しては周知促進で結構ですけれども、医療従事者に関しては教育研修を実施する。できれば、医療安全管理者が主体的にそういった教育研修を実施していく。そのような形の文言を書き加えていただくことを御検討いただければ大変ありがたく思います。
以上です。
○長谷川座長代理 では、加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
医療従事者の方について、ここでは医療従事者を含めた国民に十分周知されていないという指摘という形で書いてございますけれども、医療従事者に対してより一段高い理解が求められるということは御指摘のとおりかと思います。
文言の書き方は、研修を求めるみたいなこと自体は今回の議論の中には直接入っていたものではないと思いますが、高い理解が求められるという点につきましては御指摘の内容のとおりというか、そういったことはこれまでも書いてきてございますので、そこと齟齬が出ないように文言を調整させていただければとは思います。
先ほど宮脇構成員から御指摘いただいた点につきましても、ニュアンスは含めているつもりでございますけれども、もう少し変更の余地がないかということにつきましては引き続き検討ができればと思います。
○長谷川座長代理 髙宮構成員、お願いします。
○髙宮構成員 既に医療機関においては年に1回、院内の職員に対する医療安全の研修会というものを医療安全管理者がやっておりますので、米村構成員の御心配は必要ないかと思っております。
○長谷川座長代理 加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 研修をやっているという上で、さらに高い理解を求められるということだと思いますので、そのさらに高い理解を求められるという事実自体がもう少し記載できるかどうか調整できればと思っております。
○長谷川座長代理 菅間構成員、お願いします。このトピックスについてですか。
○菅間構成員 今の宮脇構成員、あるいは米村構成員が話されたことと関連してお話します。いろいろな観点から、この検討会でまとめてくださっていると思うのですけれども、宮脇構成員が言われたことも含めて、何となく結論が曖昧になってしまっているように思います。
特に今後の方向性、方針として、医療安全管理体制と医療事故調査制度と2つに分けて整理されているのですけれども、前提の原則として、医療事故調査制度の対象となる死亡事例にならないように、医療安全管理体制を整理することが重要です。この医療安全管理体制と事故調査制度の関係から、できれば、方針の(1)と(2)の前のところに原則的なことを2、3行加えていただけると、両者の関係が明瞭になると思います。
この検討会は、初めに森光医政局長が言われたように、単に医療事故調査制度のみならず、医療安全の全体像をもう一回見直しながら整理しましょうということで始まっています。そうした文言を「今後の方向性」の原則として、何行か加えてくださると、さらには米村構成員が言われた点も加えてくだされたら、より明確になるのではないかと思います。「おわりに」のところに書きましたとの説明ですと、何となくピントがぼけた終わり方になってしまうと感じました。
以上です。
○長谷川座長代理 ありがとうございます。
米村構成員、お願いします。
○米村構成員 先ほど髙宮構成員がおっしゃったことに関してですけれども、私もつい先日、某大学で医療安全講習会の講師を務めて、院内の医療従事者の皆さんにお話をしてきたなどのこともございまして、現状の仕組みはよく理解しているつもりでございます。
ただ、この医療事故調査制度をきちんと説明するという形でその医療安全講習が機能しているかどうかは、それぞれの医療機関の運用に任されているというのが現状だろうと思いますので、この制度をきちんと理解していただき、実践につなげていただくということを現状の医療安全講習会の仕組みの中であってもぜひ実践していただきたい。そのメッセージをやはり厚労省から発するということに大きな意味があると考えております。
以上です。
○長谷川座長代理 ありがとうございます。
では、加藤室長、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 菅間構成員からいただいた御意見も含めて、本日いただいた御意見は可能な限り全体的に反映できるように、事務局で再度整理はさせていただければと思います。
○長谷川座長代理 ここで、山本座長が見えたので、座長を交代させていただきたいと思います。
では、山本座長、こちらで。
(山本座長 座長席へ移動)
○山本座長 誠に申し訳ございませんでした。列車が全く動かない状態で、1時間近く電車の中に閉じ込められておりました。誠に恐縮ではございますが、議論を再開させていただければと思います。
それでは、引き続き御意見、御質問等を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 日本病院会の岡でございます。
今回提出された報告書(案)は、医療事故判断の質向上や院内調査の質向上に寄与するものでありますし、かつ対策がいまだ不十分な医療機関にとっても早い段階で取り組むことができるのではないかと思いますので、この内容については賛同しておきます。
その中で1つ確認というか、質問なのですけれども、17ページの死亡事例のチェックで、プロセスを明確にしてその判断結果及び理由を記録・保存、また、遺族からの申出の説明の判断結果も記録・保存とあります。当然記録と保存は必要だと思います。
この中で、院長、管理者のガバナンスという面で、こういう死亡事例のチェックというのはある意味医療安全管理者とか、あるいは医療安全管理委員会でチェックしている。それを最終的に院長が本当にちゃんとチェックしているか。このプロセスの中でこれをしっかり組み入れるということを明記するか、あるいは記録・保存の前に管理者の確認という文言を入れていただいたほうが、やはり管理者のガバナンスという意味ではいいのではないかと思いますので、プロセスの中にも医療安全管理指針の中でちゃんと院長の確認ということを明記する方向で提示するのか、あるいはこの中で記録・保存プラス管理者の確認ということを明記するのか、そこだけお聞かせください。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局から何かございますか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
院内で発生している死亡事例の把握につきましては、そもそも管理者が把握するということが医療法施行規則上で定められております。当該医療機関における死亡・死産を確実に把握するための体制を確保することが管理者に求められていますので、もともとの死亡・死産事例を管理者が把握するというわけではなく、組織として把握することが管理者に求められているというつくりになっておりますので、この中で、最後の判断のプロセスを管理者がどこまで直接携わるのか、これは各医療機関である程度定められているところだと思いますが、プロセスの中での管理者の役割は確かに定めていただくことが重要だと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 全日本病院協会の今村でございます。
タイトな日程の中で、かなり網羅的にまとめていただいたものだと思っております。
全日本病院協会と日本医療法人協会が合同で長年やっておりました研修につきましては、私からプレゼンのときに御案内したとおりでございます。我々は継続研修は非常に重要だと思っておりまして、これに関しまして、今回も16ページの2段目に反映していただきまして、本当にありがたいことだと思っております。
日進月歩の医療の技術の複雑化、高齢化、様々な理由によって求められる研修要件も変わってまいります。ですから、我々の団体を含めて、現状に即したアップ・トゥー・デートな内容であると、いつも信じて理由を持って提供しているつもりなのですけれども、それが果たして現状に即したレベルの高いものなのかどうか、それぞれの研修の内容につきましても、厚生労働省で定期的にサーベイしていただいて、場合によってはどんな研修が今後必要なのかということも、研修を提供している団体と意見交換の場を持つなどして、レベルを上げていっていただく機会を定期的に持っていただくのはどうかと思っています。
あと、医療安全管理者養成研修の中では、どうしても集合研修というものが必要でございます。例えば我々のところでいきますと、RCAとFMEAというものを提供しておりますが、遠方の方々が継続研修、実地の研修で来るに当たっては非常に負担があります。昨今、宿泊費もめちゃくちゃ上がっております。費用負担のことはこの場で言う立てつけではないと伺っておりますが、こういったことを考えますと、研修を提供するほうも、研修を受講させるほうの負担も、昨今も病院経営が非常に厳しい中で、負担感が強くなっている。しかし、これは絶対にやらなければいけないということで、このあたりは何らかの支援をお願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。
それから、違う話なのですが、最後の国民への理解の促進というところで、全国に394か所の医療安全支援センターがあって、様々に普及啓発をされていると書いてあるのですけれども、地元ではあまり実感しないのです。かねてから申し上げておりますけれども、医療事故というと、イコール医療過誤だといまだに思われている向きもございます。しかし、例えば交通事故というと、いろいろとあると皆さん思うわけでありまして、医療事故という言葉の定義はどういったものなのかということ、これもしっかりと国民に知らせていく必要がさらにありまして、それが医療従事者も前向きに、様々なインシデント・アクシデントの報告をしやすくすることにもつながると思っております。ですので、医療安全支援センターの各所の取組に関して、また厚労省のガバナンスを強化していただいて、こんなことをしてくださいということで、お尻をたたいていただければと思っております。
3つ目ですが、今回の10年目に際しての検討会は、非常に有意義であったと思っております。最後に今後も継続的にフォローアップをしていきたいと書いてあって、これはぜひまた形あるものにしていただいて、バランスの取れた様々な団体構成で定期的に議論を深めていっていただきたいと思っております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
よろしいですか。
木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 木下です。
私がこうあってほしいと意見を申し上げた点で、議論の方向性として取り入れていただけなかったものもあるのですけれども、今回、医療の安全を推進していく幾つもの方策が示されたと思っておりますし、議論の取りまとめとして、今回御提案いただいたものには賛同したいと思っております。もちろん本日指摘された意見は、また取り入れていただくことをよろしくお願いします。
そして、この検討会で詰め切れなかったところはまだありますし、そもそも医療事故調査制度を含む医療安全の在り方を継続的に検討していくことは重要ですので、「5.おわりに」のところで書いていただいたワーキンググループを設置するなど、継続的な検討を行っていくという点は、必ず実行に移していただくことを強く要望いたします。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。長谷川構成員、お願いします。
○長谷川構成員
2点ございます。
1点目は、宮脇構成員が発言された内容とほぼ同じでありまして、10年前に医療事故調査制度が導入された、これは非常に画期的なことだと私自身は評価しています。
ただ、残念なのは、法律の中で医療事故という言葉は、医療に起因する予期せぬ死亡しか入っていないのです。だから、どうもそれだけが独り歩きする。ただ、死亡に至らない医療事故というのは多々ありまして、どうしても事故調の議論となると、そちらの部分がおろそかになるといいますか、影が薄くなるというか、私自身も同じような印象を持っています。医療に関わって健康被害を起こすことは非常にたくさんある。その中にあっての医療事故調査制度であって、やはりきちんと検知して分析したり、それが可能なように医療機関の体制整備が重要だということは、宮脇構成員ももっと強調すべきであると発言されていたと私は理解しましたが、私もぜひお願いしたいと思います。
もう一点ございまして、これは今村構成員の御発言と少し関係しますが、16ページの一番上、医療安全管理者について研修を受講しやすい環境整備についてです。診療報酬ですと、医療安全体制加算では退院患者1人について幾らというかたちで決められています。このような診療報酬の仕組みでは、規模が小さい病院では患者さんの数が少なく十分な収入が得られない。なおかつ、スタッフの数が少ないので、なかなか人を割いて研修に出すというのは難しいのです。そういったことを踏まえて考えると、やはり規模等を考慮して、何らかの形で配置や研修を促進する仕組みが必要であると思います。この文言は病院規模への配慮を含む文言でありますかという確認です。それが入っているかどうかお答えいただきたいし、入っていなかったら文言を入れてくださいというお願いです。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局、いかがですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
受講しやすい環境整備というものについて、現状で何か特定のものをイメージしているわけではございませんので、どういったことができるかも含めて、今後、検討できればと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
私も幾つか要望することをお伝えして、かなり網羅して書いていただけたと思いますので、今日、様々な構成員がご指摘されたことをさらに反映していただければ、おおむね賛同したいと思っております。
その中でも、私は有資格者以外の事務職などの人たちも含めていただいたほうがよいのではないかということとか、ワーキンググループのことなどを入れていただいたことは、今後につながることになるのではないかと期待しております。
長谷川構成員や宮脇構成員もおっしゃったことですけれども、死亡事故以外の重大事象も多いわけですから、今後、その取組を議論せざるを得ないと思います。なので、ぜひともそういったことも含めてワーキンググループでも取り上げていただきたいと思います。死亡事故以外のことについて、今後、取り組むのは当然のことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思いました。
もう一つ、患者家族・遺族の立場から見たときに、先ほど米村構成員もおっしゃっていましたけれども、国民は医療事故調査制度だけでなく、医療機関の医療安全管理体制についてのことを知らないという方がまだまだ多いと思います。
一方、私どものように、医療事故を経験した家族はこの重要性を認識し、とても意識しています。意識している人たちから見ると、あまり進んでいないのではないかと見えてしまう。
もう一方、医療従事者としては、私も病院の職員なので、思うところなのですけれども、逆に急速にこの取組が進んでいるような感じで、ついていけていない印象があります。実際に私も講演活動をしておりますし、医療対話推進者の養成研修をNPOで担っておりますので、たくさんの聞こえてくる医療従事者の声からしても、ついていけない人とか、周知が行き届いていない現状など、そういうのを私個人のレベルでも感じております。
それぞれ立場が違う人たちの中で認識に大分差があるという中で、もう一つ、例えば医療事故の事故調査制度もそうですし、医療事故対応のことですけれども、これも研究のアンケートなどからもお示しいただいていますが、遺族に対しての説明、対応の困難さの悩みなども、実際、医療従事者の皆さんから聞かれているということがあります。ここは今回の資料では配付されていないのですけれども、その前の回についていました患者相談窓口の設置のところについても、しっかり連携して意識していただけたらと思います。
今回、医療対話推進者の議論まで、この中に盛り込むのは難しいと承知しておりますけれども、そこを意識していただかないと、実際にいざ事故調査を行うといっても、患者・家族・遺族の方々とのコミュニケーション、説明や、やり取りにおいて、患者側にも不満がありますし、医療従事者側も非常につらいという声があります。
医療対話推進者の配置については、業務指針で示されておりますし、令和5年度、令和6年度の厚労科研で「医療対話推進者の質向上と医療機関内の医療安全部門との連携に向けての研究」が行われていて、医療安全との連携を強化しましょうという動きになっていますので、ぜひコミュニケーションの問題、患者・家族、医療従事者の支援の問題についても、議論の中に取り入れていただきたいと考えております。そのためには、早急な検討会などの設置は難しいと思いますので、例えば医療対話推進者の制度上の位置づけなども含めて、ワーキンググループの議論の中に入れていただけたらと思っております。
また、高齢化社会においてというところで、高齢者のことや介護連携のこともこの中にお示しいただいていますが、介護事故とか、介護の安全についても取り組まなければならない中で、管轄が違うかもしれませんけれども、高齢者の方が施設と医療機関を行ったり来たりするということでつながっておりますので、ぜひそういったことについても、ワーキンググループ等で連携して情報共有や、周知の面などでも話し合って、一緒の水準で進めていけるように、こちらについてもワーキンググループの検討の一つとして入れていただくことを望んでおります。
長くなって失礼いたしました。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
児玉構成員、どうぞ。
○児玉構成員 今回は全国の医療機関の医療安全と医療事故調査制度にフォーカスをしておりますので、管理者中心の形になっているのは、これはこれで合理性があると思います。
報告書(案)の6ページの一番下、管理者によるガバナンスの強化、16ページの上から3分の1ぐらいのところが管理者によるガバナンスの強化ということで、補足資料でいただいている8ページ、9ページ、10ページも、いずれも管理者がトップの姿になっております。
修正を要するというところまでは思っていないのですが、医療法第19条の2で、特定機能病院の開設者は、当該特定機能病院の管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務が適切に遂行されるよう、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる措置を講じなければならないとありまして、1号は管理者の権限を明らかにすること、2号は開設者側で選任した監査委員会を設置しております。3号は当該管理者の業務の執行が法令に適合することを確保するための体制、4号はその他当該管理者による当該特定機能病院の管理及び運営に関する業務の適切な遂行に必要なものとして厚生労働省令で定める措置ということで、これは平成28年のいわゆるガバナンス検討会でかなり深く議論されて、これは私の個人的経験と印象にすぎないところではありますが、重大事故が連続してしまったような、言わば有事の状態になったときに、管理者のリーダーシップだけではなかなか事態を収拾するのが困難で、その場合に、今、申し上げたような医療法第19条の2に定めるツールを駆使して、管理者も含めて病院の医療安全システムの再建を図っていくということもございました。
最初に申し上げたとおり、今回はこれでよいかとは思いますが、そこも視野には入っているはずですね、という確認です。
○山本座長 事務局、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
関連法令は改めてさらった上で、今、御指摘いただいた点も踏まえて、実際の通知や省令の改正作業の中で気をつけるようにしたいと思います。
○山本座長 御指摘ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
井本構成員、お願いします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会の井本でございます。
本日は、交通事情の関係で、検討会の現地に伺えず、申し訳ありませんでした。
また、事務局におかれましては、タイトな中、報告書(案)について取りまとめ、ありがとうございます。
私からは「4.今後の方向性」の「(1)医療機関における医療安全管理体制」について御意見を申し上げたいと思います。
まず(報告分析・改善策立案の質向上)の○にあるとおり、医療安全管理者を医療法の制度上に位置づけることにより、医療機関の規模等にかかわらず、組織として医療安全に取り組む体制の強化が図られることを今後期待したいと思っております。明確に記述いただいて、ありがとうございます。
また、次の段落の要件のところで、医療資格があることや特定の研修の修了を求めないということについても、今後、広く取組がされるという観点で賛同したいと考えますが、経験上もやはり重大事象の分析というのは、それなりに専門的な知識が必要とされることから、こういった方たちも一緒にやっていくということは、院内での体制整備も大変重要かと思われます。そういった場合に、組織で支援や連携体制が組まれるような記述ができましたら、この報告書の中にも追記いただければと思います。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 度々すみません。
補足資料の7ページ目、新たに規定した医療安全管理者というところでございます。これに関して、最初、私が説明を受けたときによく分からなくて、結構たくさん伺って、ああ、なるほどと分かったのです。私の理解が悪いというだけなのかもしれませんけれども、全ての医療機関にこれを説明するときには混乱するような気がしまして、これはもうちょっと分かりやすくならないか。
例えば新たに規定するほうが、ベン図で言うところの広い範囲であって、診療報酬が算定される医療安全管理者はその中の一部というか、そういったところであるということを伺いますと、ポンチ絵で分かりやすく変えていただくとか、ここは私が言うことではないのですけれども、ちょっと思いまして、同じ管理者という名前であるならば、分かりやすくならないかと思った次第でございます。
あと、豊田構成員がおっしゃったように、事務職の存在はこれから非常に大きいところでございます。場合によっては司法のほうとの連絡ですとか、例えば医師や看護師だけでは何ともならないところが結構ございまして、この文言を改めて見ますと、事務職側が受けてもいいですよみたいな、そんな形に聞こえなくもないので、事務職などというのを明記してしまってもいいのではないか。そうしますと、事務の方々が胸を張って研修に行けるのではないかと思っております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局、いかがでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
本文には事務職などみたいなことを書いてございますが、補足資料に書いていないという御指摘だと思います。文言の修正はまた整理して、対応できるところは対応したいと思います。
ポンチ絵的なものに関しましては、制度を周知する過程で上手くできる形をまた考えなければと思います。
○山本座長 ありがとうございます。全体として分かりやすく、誤解が生じないように、ぜひ工夫をいただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
髙宮構成員、どうぞ。
○髙宮構成員 日本精神科病院協会の髙宮です。
10年前にこの制度ができたときから何回も繰り返して言うのですけれども、ポリスパワーを外して、支援団体という、いわゆるお友達団体による支援を始めたことが、我が国における医療事故調査制度の大きなポイントではないかと思います。
たまたま我々の日本精神科病院協会は、昭和53年に医療安全委員会を発足しておりましたので、現在では月に3回ほど、会員病院から届く事故報告書を医療安全委員会に出していただいて検討し、いろいろと指導しているわけですけれども、30人ほどの会議なのですが、多少の援助は出ますけれども、手弁当的な色彩がかなり強いので、支援団体の充実ということを今回取り上げていただいておりますので、そういった支援団体に対する補助みたいなものも多少考えていただければうれしいと思います。大分財政が厳しい折、過度なお願いかもしれませんが、何とぞよろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
南須原構成員、どうぞ。
○南須原構成員 北海道大学病院の南須原です。
先ほどの児玉構成員の御質問の中で思ったのですけれども、管理者と言ったときは様々なものがあります。北大の場合であれば、総長が開設者です。病院の管理者は私なのです。でも、今、多くの公的病院、市立病院とか、県立病院には、病院長の上に病院管理者がいます。さらにその上に市長がいるわけです。市立病院をつくっているのは市長なわけです。そうすると、細かいこと言うと、管理者が何を指すかというのは、病院の規模とか、設置母体によって違うのでしょうか。一般的には病院長でいいと思うのですけれども、質問です。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御指摘ありがとうございます。
ここで書いている管理者というのは、医療法で定められている管理者ということで、医療機関の届出を行っていただく際に、管理者というところに書いてあるお名前のことを想定しております。
○山本座長 先生が管理者ということだと思います。よろしいでしょうか。
○南須原構成員 総長ではないということですね。
○山本座長 ほかはいかがでしょうか。
○豊田構成員 豊田です。
医療事故調査制度のことなのですけれども、医療事故調査制度の中で再発防止の部分とか、報告書を要約版でも公表していただきたいこととか、そういうお話が出てきている中で、慎重にしていきたいということ自体理解しているところがあるのですが、調査報告書は当該医療機関と当該遺族の方にしか渡されないので、例えば学会に対しての提言を、学会が見ることができないという状況を、とても残念に思っています。
これは医療安全調査機構の中で議論していただくものなのか、どこで検討していただけるものでしょうか。そのまま出せないというのであれば、何らかの形で個人情報に配慮した方法で届けられないかというのは、センター調査に携わる委員の皆さんもおっしゃっていて、私もその一人なのですけれども、センター調査では再発防止の提言をしっかり考えていただいていると思いますので、これを出さないのは誰のためにもならないと思っています。医療従事者の願いでもありますし、当然患者や遺族の願いでもあると思いますので、そのことをご承知おきいただきたくて、発言させていただきました。
○山本座長 事務局、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
今回の報告書の中でも、「センター調査結果報告書についても一般化・普遍化した上で、再発防止に活用することができることを明確化すべきである」ということを記載してございますので、まずそういった形で、学会に対する提言につきましても、一般化・普遍化した形で積極的に活用できるようになるということはあると思っております。
その上で、センターの具体的な運用につきましては、センターの中でも御検討いただけると思いますし、我々も連携をして、必要なものについてはまた検討を進めていければと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○木下(浩)構成員 木下浩作でございます。
今までの議論の中で、センター調査を含めまして、事故が発生した後の最終的な結論が出るまでの期間がかなり長いということが指摘されていると思います。例えばAJMCの中でも、特定機能病院などは結構遅いということが言われていますけれども、そのようなところで迅速化できる仕組みなり、あるいは提言も一つ含められないかと思っています。
ただ、そうなってしまう背景も幾つかございますので、その背景の分析や今後の課題などの議論は、先ほどございましたけれども、ワーキンググループとか、そういったところで議論いただいた後でそういったものが明確化されれば、より分かりやすいし、遺族も報告書が出るのが遅いから何かあったのではないかと、より勘ぐるところもございますので、ぜひそこの点についても言及できる範囲でやっていただきたいと思います。
○山本座長 事務局、どうぞ。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
最終的にはいただいた御意見を整理させていただければと思いますけれども、御指摘の点については、多分にセンターの実運用に関わる部分がございますので、どこまで今回の報告書のスコープの中に入るかということは、再度検討できればと思います。
○木下(浩)構成員 先ほど医療者側への支援というものもございましたので、そういったものの充実ということであれば、関連して書けるのではないかと思いますので、御検討ください。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにはどうでしょうか。
藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 皆さんが発言されて、私が最後に残ったような感じですので、最後にまとめるような感じでお話をさせていただきたいと思います。診療というのは、患者さんと医療者の間の信頼関係がないとそもそも成立しないし、始まらないものだと思います。そういうことを現場の医療者は日々考え、信頼関係の礎に医療安全というものがあるのだろうと思いますし、去年からこの仕組みに関わるようになって、改めてそう思っています。
厚労科研で調査した支援団体の取組について、この検討会で私から御報告させていただいた際の議論の中でもありましたが、医療環境が厳しい中で、支援団体や医療機関の取組を挙げていただいたのですけれども、お金の問題ということではなくて、それ以前に人がいなくなる中で、医療界は現在も背伸びをしています。
この取組は本当に必要なものだと思いましで、これはぜひ進めていかなければいけない。進めることによって、医療安全をさらに高めていかなければいけないという思いを持っています。その中で、国としてこの仕組みを大きく育てていかなければいけないという観点に立ったときに、国としてもその点の支援は常に考えていただかなければいけないと思っております。
個々の医療機関における医療安全の取組はなかなか見えないものです。何かが起こったときにこういう取組がある、なしということが分かるだけで、でも、日常的に診療をするに当たって医療安全を考えていない医療機関があるのかというぐらい根底のところで、そこの部分は、基本的には十分に評価されることがなくてもやってきたわけです。
報告書案の文章の中で書いていただいていたように、医療の技術が上がっていけば、リスクも高まっていく。高齢化がこの先進めば、やはりリスクが高まっていくというのはそのとおりだと思いますし、そうなったときにどこまで個々の医療機関の努力で頑張れるのか。それは連携という話もありました。連携加算の話もありましたけれども、ああいうことも進めながらやっていくとなれば、個々の医療機関に頑張ってくださいということだけではない、国としての支援というか、後押しは必要だろうと思いますので、考えていただければありがたいと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。大丈夫ですね。
それでは、おおむね御意見等をお出しいただけたものと承知しました。
本検討会は、本年6月から本日まで計5回開催して、長時間にわたって充実した議論をいただいてきたと思います。
本日御提案いただいた医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会報告書(案)に関しましては、私の認識ではこれまで御議論いただいたことが基本的に反映されているものと理解しております。今日、私が伺った御意見でも、おおむねそのような評価をいただいたと思います。
そこで、今後でありますけれども、本日も幾つか御意見をいただいて、私が出席している中でも文言の修正というか、書きぶりの御修正の提案がありましたし、私がいなかった段階でもそのような御提案があったと伺っております。
そこで、恐縮ですけれども、最終的な取りまとめにつきましては、私に御一任をいただいて、事務局とともに、それから、今日、誠に申し訳なかったのですが、私が直接伺えなかった御意見につきましては、議事録を精査させていただくとともに、長谷川座長代理とも御相談をさせていただいて、取りまとめをさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○山本座長 ありがとうございます。よろしゅうございましょうか。
それでは、そのような形で、最終的な取りまとめを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日用意した議題については以上になりますが、特に構成員の皆様からないようでしたら、これで議事を終了したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 本日の議論を踏まえた取りまとめ、今後のスケジュール、予定しているものがあれば、教えていただける範囲で教えていただければと思います。
○山本座長 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
また精査をした上でということになりますので、今の時点でいつまでにということはなかなか難しいのですけれども、できる限り努力して、早めに出せるように準備したいと思います。
○山本座長 できる限り早めにということで、お許しをいただければと思います。
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、本検討会については、これで一旦の区切りということになります。誠に充実した御議論をいただけましたこと、私からも御礼を申し上げたいと思います。
ただ、報告書(案)でもございますように、先ほど来ずっと出ているワーキンググループ、フォローアップ等についての作業は、継続的な検討を行うという形での提言がされておりますので、事務局におかれては、引き続き今後の検討体制等を御検討いただければと思っております。
それでは、検討会はこれで終了させていただきたいと思います。本日は、誠にありがとうございました。
照会先
医政局 地域医療計画課
代表:03-5253-1111(内線4105・4038)

