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第4回 医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会
日時
令和7年10月1日(金)10:00~12:00
場所
AP虎ノ門 C+Dルーム
東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル(NS虎ノ門ビル)
東京都港区西新橋1-6-15 日本酒造虎ノ門ビル(NS虎ノ門ビル)
議事
○門野室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより、第4回「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、今村構成員、井本構成員より御欠席と御連絡をいただいております。その代理参加については後ほどお諮りさせていただきます。
また、前回に引き続き、オブザーバーとして、日本医療機能評価機構の上田茂専務理事、日本医療安全調査機構の宮田哲郎常務理事、文部科学省高等教育局医学教育課の松本晴樹企画官、そして、今回、参考人として日本助産師会より山本副会長に御出席いただいております。
本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
オンラインで御参加いただいております構成員の皆様に御注意いただきたい点につきまして御連絡申し上げます。
御発言時以外は、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、御発言の際は挙手機能やコメント等を用いて意思表示をいただくようお願いいたします。座長の指名に基づき、御発言をお願いいたします。
また、御発言の際には、記録のため、最初にお名前をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
机上に、議事次第、座席表のほか、資料1「医療事故調査制度に関するこれまでの議論の整理を踏まえた今後の進め方等について」をお配りしております。
不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○門野室長補佐 それでは、以降の進行は山本座長にお願いいたします。
○山本座長 皆さん、おはようございます。
それでは、議事に入ります前に、先ほど言及がありました代理出席についてお諮りをしたいと思います。
本日の検討会につきましては、公益社団法人全日本病院協会常任理事の今村構成員の代理として同協会常任理事の細川参考人を、また、公益社団法人日本看護協会常任理事の井本構成員の代理として同協会課長の内山参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山本座長 ありがとうございます。
特段の御異議がないと認めましたので、代理出席についてお認めいただいたものとさせていただきたいと思います。
細川参考人、内山参考人、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。
本日の議題は、「これまでの議論及び今後の進め方について」ということになります。
まずは、資料1について事務局から説明をお願いした後、適宜項目を区切りながら御議論いただきたいと思います。
それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長
医療安全推進・医務指導室長でございます。
それでは、お手元の資料1「医療事故調査制度に関するこれまでの議論の整理を踏まえた今後の進め方等について」を御覧いただければと思います。
こちらは前回も同じ内容でございましたが、前回は左上の医療機関の中における医療安全管理体制の整備について御議論いただいたところでございますが、本日は主に左下の②にある医療事故調査制度について御議論いただければと思っております。
3ページ目から5ページ目までにかけまして、第2回の検討会でいただきました主な御意見を並べておりまして、事務局のほうで幾つかのカテゴリーに分けております。
それをまとめましたのが6ページ目の資料でございまして、本日はこの5つのテーマに沿って御議論いただければと思っております。1つ目が医療事故判断の質の向上、2つ目が院内調査の質の向上、3つ目が再発防止による医療安全向上の促進、4つ目が支援団体等による支援の充実、5つ目が国民への制度に関する周知促進となっております。
それでは、早速、医療事故判断の質の向上について、資料の御説明をさせていただきたいと思います。
医療事故判断につきましては様々御意見を頂戴いたしまして、ここからさらに3つの論点に分けております。1つ目がまず医療事故を組織として判断する際のプロセスの明確化、2つ目が医療事故判断に携わる者の制度理解の向上、3つ目が判断を支援する環境の整備ということで、この3つのさらに細かい論点を御説明できればと思います。
1つ目でございます。判断するプロセスに関してでございます。医療法では、まず医療事故が発生した際には、病院の管理者が医療事故調査・支援センターに報告するということが定められております。
それに関連いたしまして、省令のほうで医療機関の加入者には当該医療機関における死亡・死産を確実に把握するための体制の確保というところが求められておりますし、また、通知のほうで医療事故が発生した場合の院内の体制を整備するということが求められております。
他方で、死亡事例が発生することの把握と事故が発生した後の対応があるのですが、死亡から事故の判断にどのようにつなげていくのかという部分のプロセスについて、安全管理のための指針に記載することは現状明記されていないといったところがございます。
追加といたしまして、関連する内容としては、通知のほうに医療事故の判断に当たりましては組織としての判断を行うということと、遺族等に対してその理由を分かりやすく説明するといったことが定められているところでございます。
先ほどのプロセスの部分につきましては、法令や行政文書の中での定めがない中で、現場での取組として、全日本病院協会でこういった提言を出していただいているということは第2回で御説明いただいたところでございますし、あと、日本医療法人協会のほうでは死亡全例チェックシートを作成いただいていると承知しております。
また、これも第2回で御発言があったかと思いますけれども、日本医療機能評価機構のほうでは死亡症例が医療事故調査制度の対象であるかをスクリーニングする体制が構築されているかといった点についても第三者の観点から評価いただいているとお伺いしております。
厚生労働省のほうでは、関連として研究班を組織いたしまして、「医療事故の機能的な報告体制構築のための手引き」というものを作成しております。
この手引きでは14ページの図のような院内での体制の一例をお示ししております。これは比較的大きな医療機関に該当するようなやや大きめの組織だと思いますので、規模に応じて、これを全てやるのではなく、エッセンスを抽出して対応していただくことが必要なのかと思いますけれども、こういった体制を整備することの重要性と、もう一つ、それぞれの段階において記録を作成しておく。そして、保存しておくということが事後的に検証する観点からも重要であるということをお示ししているところでございます。
実態の例といたしましては、こちらは横浜市立大学附属病院の取組としてこういった組織をつくっていただいているということ。また、記録に関しましても、いわゆる様式の一例を提供いただいたところでございます。もちろんこれも全ての医療機関が大学病院ではございませんので、病院の規模に応じた取組を進めていただくことが重要かと思いますけれども、まさに16ページの赤枠で囲っておりますような医療事故の該当性をどう判断したのか、その理由は何だったのかといったエッセンスを記載していただくということは重要なのではないかと考えております。
そして、遺族等からの求めに応じての対応ということでございます。こちらはなかなか統計を取るのは難しいとは思っておりまして、事務局のほうで準備できているのがこちらの資料でございますが、第2回の検討会で御発表がございましたように、センターに遺族等から御相談があった際に、その求めに応じて医療機関のほうに伝達をしていただいております。その件数でございますが、こういった数の御相談がこれまで医療機関に伝達されております。
こういった遺族等からの御相談に関しましては、そういったセンターからの伝達も含めまして、その御相談が医療事故と疑われる場合に、医療事故判断につなげていくための体制を院内で整備していただきまして、また、遺族等への対応の状況を記録に残していただくということも事後的な検証のために重要なのではないかと考えております。
以上をまとめました議論の方向性でございますけれども、まず1つ目といたしましては、医療機関が医療事故の判断を行うプロセスについて、自施設の医療安全管理指針に明記することを求めることについてどのように考えるのかという点。
また、2つ目が、医療機関へ医療事故判断の理由等に関する記録の保存を求めるということについてどのように考えるのかという点。
3つ目は、遺族等からの医療事故に関する相談に対しまして、医療事故が疑われる場合には、その判断につなげられるように院内のプロセスを医療安全管理指針に明記することを求める。また、この場合についても、遺族等への対応ですとかそれぞれの判断理由に関する記録の保存を求めるということについてどのように考えるのかという点を方向性として挙げさせていただいております。
続きまして、制度の理解の向上に関してでございます。医療事故調査・支援センターをはじめ、研修は支援団体も含めて様々な団体で実施していただいているところでございます。また、事務連絡等で管理者の積極的な研修の受講の推進でございますとか、医療計画などでも研修の受講を推進しているところでございます。
こちらが実際に行われている研修でございまして、センターのほうが日本医師会に委託して行っている管理者・実務者セミナー、管理者と実務者両方を対象にしているものでございます。
こちらは全日本病院協会のほうでお取り組みいただいている、これも管理者・実務者双方を対象にしたセミナー研修でございます。
他方で、WHOなどでは管理者に着目したガバナンスやリーダーシップの強化の重要性というところの指摘がございましたり、オーストラリアやイギリスなど、一部では管理者に特化した研修をつくって受講を促したり、場合によっては一部義務化したりといった取組を進めていると聞いております。
関連いたしまして、研究班のほうでも医療安全管理部門の専従・専任医師等の資質向上に向けた研究というところにおきまして、まさに管理者が理解しておくべきコアとなる知識というものが何なのかというところを現在整理しているところでございます。
いずれにいたしましても、医療事故の判断をする場合、これは最終的には管理者が行うものでございますけれども、やはり組織として判断をしていただくからには、そういった判断に携わる方が制度を理解していただくということが大変重要ではないかと考えております。そういった観点で、最終的に判断を行うべき管理者が制度を熟知しているということが理想だとは思いますけれども、管理者がそういった研修を受けていない場合であったとしても、制度を熟知した方が判断に携わっていただき、組織としての判断を最終的に行っていただくということが重要ではないかと考えております。
24ページ目からは関連データで、これは第2回の検討会でも提出いただいた資料でございますけれども、医療安全担当者、管理者などの担当者レベルの方が受講されている場合において、医療事故調査制度の報告経験がある割合が高いというもの。これは病床規模別に見ても、どの病床規模においてもそういった傾向が見られております。
26ページ目が管理者に限ったものでございまして、管理者が受講しているかどうか、管理者が受講している場合も、全体で見ると受講経験がある場合のほうが医療事故調査の報告経験割合が高いという結果が出ておりますが、こちらは第2回のときに委員から御指摘をいただいて、病床規模別にさらなる分析をということでございましたが、やはり病床規模の状況によってデータが必ずしも同一の傾向ではないということがございました。20~99床の間においては、受講経験がない場合のほうが報告の割合が高いという結果も出ております。
いずれにいたしましても、管理者向けの研修というのは、まさに研究を進めていただいておりますので、そういったところでコアとなる知識を整理していきたいと思っております。
28ページ目からは、研修と医療事故との関係を病床の規模で見ていった場合の考え方についてのデータでございます。医療事故の報告自体は、やはり病院、特に病床規模が大きいほど報告の実績の割合が高いというデータがございます。他方で、1~19床、いわゆる有床診療所につきましても、有床診療所の報告件数自体は105件となっておりますが、うち分娩を含む手術に起因する、または起因した疑いを含む報告が74.3%ということでございまして、こういったものについては有床診療所で行われている医療の中でも比較的リスクが高いものなのかなと考えております。
以上の観点から、30ページ目に議論の方向性を3つお示ししておりまして、1つ目が医療事故調査制度に関する研修受講を入院・入所施設を有する病院等の医療事故の判断に携わる方、管理者が望ましいと考えておりますが、そういった方へ求めることについてどのように考えるのか。
この場合、管理者が仮に受講していない場合、修了していない場合につきましては、研修修了者が医療事故の判断に携わり、管理者の判断の補助を行うことを求めるということについてどのように考えるのか。
3つ目が、研修受講を求めることにつきましては、先ほど入院・入所施設を有する病院等と申しましたが、そのうちの有床診療所や助産所につきましては、事故報告の多くが手術(分娩を含む)に起因しているということを踏まえて、そういったことを踏まえた対応として考えていくことについてどのように考えるのかといった議論の方向性をお示ししております。
続きまして3つ目、管理者の判断支援環境の整備でございます。
医療事故の判断の部分につきましては、医療事故調査・支援センター及び支援団体がその支援を行っているところでございます。
そして、通知においても、管理者がそういった支援を受けられるということをお示ししております。
実際に判断に当たり、相談を行った医療機関は大体22.7%という調査でございましたが、受けた結果につきましては、かなりの医療機関から役に立ったといった反応をいただいております。
こちらはセンターの判断の支援の体制でございまして、いわゆるセンター合議というものでございます。体制を組んでいただいておりまして、実際にこれまでに578件のセンター合議の対応をいただいております。これにつきまして、センター合議の相談実績も蓄積しておりますので、今後、報告された事例、報告されなかった事例を含め、検証を行っていく予定であるということを第2回の検討会で御発表いただいております。
以上を踏まえまして、医療事故調査・支援センターにおけるセンター合議に関する検証などを踏まえた上で、医療事故判断の参考となる情報をセンターから医療機関に提供していくということをどのように考えるのかといった方向性をお示ししております。
ここまでが医療事故の判断に関わる部分で、ここからが院内調査の質の向上に関する内容になります。
院内調査の質の向上につきましても論点を3つ挙げさせていただいておりまして、1つ目が院内調査を実施する医療安全管理者、実務担当者への教育、2つ目がセンター調査の透明性、3つ目が外部からの支援等による院内調査の質の向上ということで、3つ目に関しましては支援団体のテーマと直結するものでございますので、後ほど支援団体の議論の中で御説明できればと思っておりますので、実質的には2つ御説明いたします。
まず、1つ目が院内調査実施担当者への教育などということで、そもそも医療法では医療事故が発生した際には速やかにその調査を行わなければならないということが定められておりまして、省令の中で調査を行うための情報が列挙されております。他方で、それ以上深い部分は、何か定められているものですとか参考になるもので厚生労働省からお示ししているものは特にないという状況でございます。
センターのほうでも報告書のフォーマットを公開させていただいているところでございますが、御覧いただけると、ちょっと小さいですが、右側にございますように、これを見ただけですぐに報告書ができるのかというと、ちょっと難しいのかなと思っております。
そういった状況もございまして、現状、39ページ目から41ページ目にかけてございますように、様々な団体が現場で活用いただけるような参考書やワークブックといったものを発行いただいておりまして、こういった参考書を参考にしながら、実際に事故の調査を進めていただくということが重要ではないかと考えております。
もう一つ、実際に携わる方のトレーニングということで、全日本病院協会と日本医療法人協会のほうで合同の研修も実施いただいておるところでございます。
こういった観点から、まずは院内調査の質を向上させるためには、まさにそういった参考資料でございますとか研修を充実していくことが第一だと思っておりまして、その資料の使用でございますとか研修の受講を推奨していくということについてどのように考えるのかという議論の方向性をお示ししております。
続きまして、センター調査の透明性につきましてでございます。こちらは、第2回のほうでセンター調査の透明性を向上させていくことによって院内調査の質にもつながるのではないかという御指摘があったと承知しておりますが、他方で、センター調査というものの性質を鑑みますと、院内調査よりもかなり大規模で、専門家が多く集まって、一つ一つの事例を二次的に院内調査の後から調査するという観点でございますので、それを院内調査に直接持っていくということにはハードルが一定程度あるのではないかと承知しております。
他方で、センターの調査につきましては、44ページ目の法令で定めておりますように、センター調査の結果は管理者と遺族に報告しなければならないという形になっておりますし、内部資料につきましては法的義務のない開示請求には応じないといった観点で、なかなか外からは見えづらいというところがあろうかと思います。
45ページ目にもお示ししてございますが、センター調査自体はマニュアルに沿って行っているところでございますが、そのマニュアル自体も内部文書ということで公開はされておりませんし、報告書自体も公表されているものではございませんので、なかなか分かりづらいといったところがあるかと思います。
第2回の際にも、産科医療補償制度のことに関しても参考にするべきではないかといった御指摘も頂戴したところでございます。産科医療補償制度に関しましては、原因分析報告書の作成に当たっての考え方が公開されておりまして、一定の整理を行った上で原因分析報告書の要約版というものが公表されているところでございます。
そういった原因分析報告書というものは分娩に特化したものでございますので、記載内容ですとか判断基準などを体系的に整理し、様式化されておるところでございます。
他方で、センター調査報告書につきましては、分娩といった特定の事象に限ったものではもちろんなく、全ての診療領域に関してターゲットとしているさらに詳細な調査報告書になりますので、産科医療補償制度のように個人の特定につながらないもの、単位様式化というものをどのぐらいやればそういうことが個人の特定につながらないのかといったことも含めて、かなり慎重な検討を行わないと、産科医療補償制度と同じような対応をすることはなかなか難しいのではないかと考えております。
以上を踏まえまして、47ページ目の議論の方向性でございますが、まずはセンター調査のマニュアルに関して、現状は公開を前提としておりませんので、提示していくに当たっては一定の整理が必要かと思いますので、まずはセンターにおいて一定の整理を行った上で、それを公開しても大丈夫かどうかということを第三者を含めて議論を行い、将来的にはそういったマニュアルを提示していくことを目指すということについてどう考えるのかという点。
もう一つが、そういったマニュアルの提示に関する議論を経た上で、併せてセンター調査マニュアルを踏まえた参考例として一般化した架空の事例報告書、架空のセンター報告書の提示を目指すということについてどのように考えるのかという2点を議論の方向性としてお示ししております。
3つ目の支援団体につきましては後ほど御説明いたします。
続きまして、3点目が再発防止による医療安全向上の促進というところでございます。こちらは論点は1つでございまして、センターが作成した成果物やセンター調査報告書等の利活用の促進というところでございます。
センターの業務といたしましては、調査分析のみならず、その再発防止策を普及啓発していくということが大きな使命になっているところでございます。
いずれにいたしましても、これは個別事例ではなく、集積した一般化・普遍化した報告・普及というところでございます。
過去、これまでにセンターで出していただいた提言でございますけれども、実際にその提言を医療現場のほうで活用いただいているかどうかということを調査していただいております。これも第2回の資料からの抜粋でございますが、物によってはかなり現場で御活用いただいているというところもある一方で、なかなか活用が難しいというものもあろうかと思います。こういった点につきまして、また引き続き調査分析も必要かなと思っているところでございます。
また、調査支援センターの提言書に基づいて、製品開発に結びついたという事例もあるとお伺いしております。
こういった個別の提言でございますとか警鐘レポートといったものにつきましては、院内調査報告書を基に作成されております。センター調査報告書と調査報告書は、同じ1つの事例について2つの報告書があって紛らわしいところではございますが、センター自らが行う調査報告書につきましては、法令上、管理者と遺族に報告をするということが定められているのですが、これが再発防止に使えるかどうかということにつきましては明確に定められているものがございませんので、使えるのか。1つの事例について、院内調査報告書は確かに再発防止の警鐘レポートですとか提言に使えるけれども、センター調査報告書はどうなのかというところが不明瞭なまま現状は来ているというところでございます。
以上を踏まえまして、まずはセンターが作成していただいている再発防止策の医療機関の実装でございますとか製品開発といった取組はぜひ今後とも推奨していくということについてどのように考えるのかということ。
もう一つは、今申し上げたように、院内調査報告書ではなく、センター調査報告書につきましても一般化・普遍化した形で再発防止に活用するということについてどのように考えるのかというこの2点を議論の方向性としてお示ししております。
続きまして、4つ目でございます。支援団体による支援の充実ということで、こちらも論点は1つでございます。支援が可能な支援団体の整理と支援団体等による支援の充実という部分でございます。
支援団体につきましては、55ページにございますように医療法に定められているものでございまして、併せて省令のほうでは支援団体が共同で協議会を組織することができるということになっております。この協議会は中央組織(中央協議会)として全国に1か所、地方協議会として都道府県に1か所ずつ現在設置されているところでございます。
支援団体でございますとか連絡協議会の状況につきまして、研究班で実態調査を行っていただきまして、第2回の検討会で御発表いただいております。この中で、支援団体自体の環境の変化なども踏まえまして、支援を提供できる支援団体を改めて確認することも必要ではないかといった御指摘があったと承知しております。
地方協議会の状況でございますが、これも支援団体のリストを管理しているとお答えいただいている団体が7割ぐらいあるというところ。また、支援団体が行っている支援の内容を把握しているのかというところに関しましても、一部でも把握しているというところは8割程度であったというデータでございます。
あと、支援の質を確保するための取組ですね。これも中にはそういった研修などを実施していただいている団体があると承知しております。
こちらは地方協議会の協議会や研修回数のグラフでございまして、あともう一つ、こちらも第2回で御指摘いただきましたように、相談しやすい環境づくりということで、宮崎県の医師会の事例なども御紹介させていただいているところでございます。
61ページ目は、そういったことを踏まえまして、議論の方向性といたしまして、まず、各支援団体が現在も支援の意向があるのかということでございますとか、どういった体制で支援を行うのかということ。また、支援の状況などを定期的に確認いたしまして、支援団体を適宜再整理するということについてどのように考えるのかという点が一つ。
2つ目が、そういった支援を求める医療機関に対しまして適切に情報が提供できるように、支援団体に対しまして一定の定期的な活動状況を提出していただきまして、それを協議会と共有することで、協議会がうまく医療機関に支援団体をつなぐことができるように進めていけばどうかということ。
3つ目が、支援団体の支援に携わる方に対しても研修を整備して、支援ができる人を増やしていくという人材育成を進めていくことについてどのように考えるのかという3点を議論の方向性として挙げております。
最後が国民の制度に関する周知促進ということでございまして、論点もまさにその普及啓発活動の促進というところでございます。
まず、医療事故調査・支援センターにおきましては、その使命といたしまして医療安全施策の普及啓発というものもございますので、これまで様々な取組をいただいているところでございます。具体的には、こういったリーフレットでございますとかポスターを作成いただいておりますし、あとは第2回の検討会でもこういった市民公開講座を予定されていたり、新聞広告を掲載していただいていたりといった取組を御説明いただきました。
他方で、医療安全支援センターによる情報提供については、やはりホームページが中心というところでございまして、ほかにもいろいろ活動はあるのですけれども、どうしても見てもらわないとなかなか情報が取れないというところがあるかなと思っております。
そういったことを踏まえますと、医療事故調査制度に関しまして、医療安全支援センター自身の対応というのも重要かと思いますけれども、そこも含めまして、幅広い関係者が普及啓発を促進していくということが重要かと思いまして、そのことについてどのように考えるのかといったところを最後の議論の方向性としてお示ししております。
長くなりましたが、以上になります。
○山本座長 ありがとうございました。
それでは、議論に移りたいと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、若干区切りながらお願いしたいと思いますが、まずこの資料における論点の1.医療事故判断の質向上、この点につきまして、資料の7ページの一番下のあたりに3つぐらい論点が掲げられて、それぞれについて御検討いただいているわけでありますが、この論点は特に区切りませんので、どの点からでも結構ですので、御意見、御質問があればいただきたいと思います。御自由に御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
木下正一郎構成員。
○木下(正)構成員 木下正一郎です。
全体的に区切ってということなので、全体的に賛成ではあるのですけれども、ちょっと不十分ではないかとか、あるいはこういう方向性を考えているというのはまた個別に述べさせていただくとして、この点について記録の保存というのはぜひしていただきたいなと思っています。
それで、たしか担保、検証ということができていないのではないかということが書かれていたかと思うのですが、判断がしっかりされているかということの検証も院内でしっかりしてほしいなと思っています。今、監査委員会というのがあると思うのですけれども、そこなどに院内で提出していただいて、その監査委員会などでしっかりと検証できるような記録を保存していってほしいと願っています。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに。
宮脇構成員、お願いします。
○宮脇構成員 御苦労さまです。
全体としてかなり丁寧に検討されているなという印象なのですよね。遺族が医療事故の判断で感じるのは、要するに、事前に死亡のリスクの説明があったのか。それから、記録があるか。もう一つは死亡するリスクを回避するための準備がされていたか。この3つで予期していたかどうかということを振り返って皆さん判断しているのですけれども、そのどれもされていない場合に、最終的には管理者の総合的判断でこれは予期していた範囲に入るという形で、この制度には入らないということで届出されなかったりすることで、非常に苦しんでいる相談が結構あるのですよね。
それから、事故の当事者も、そのことについて遺族には大変申し訳ないということで、このことについてきちんと調べて届出しますと現場ではお話ししていたのだけれども、管理者の判断ということで面会することすらできない。丁寧な説明を求めても、病院としてそういう結論なのだから、あとは何かあったら弁護士に相談してくれということで、対話のところが全く遮断されて行き場がなくなる。それで、遺族も苦しんでいるのですけれども、事故を起こした当事者もそのことで、自分たちは逃げる、隠す、ごまかすという気持ちはなくて、正直に向き合いたいのだけれども、病院としてそれができないことによって一生その重みを背負うというか、本当に苦しんでいるお話も聞くのです。
だから、この制度をちゃんと運用していくために、それができるかどうかは今後の鍵だと思うのですけれども、そのことで、管理者の判断のプロセスをちゃんと記録に残すということは今後の改善にとってすごく大きいと思うのですけれども、ただ、それが再発防止にどうリンクしていくのかが見えないのです。記録するだけだとそのままになってしまうかなと。せっかく記録されているものを今後の報告につなげたり、予期せぬという判断がもっと社会的にもそうだよねという共通認識に遺族も含めてなるようにするために、今回の丁寧に記録して遺族に説明するということについては納得できるのですけれども、それが再発防止にどう結びついていくかのプロセスがまだ見えないなと思うので、そこを今後の課題として残しているかなと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局はコメントはいいですか。
髙宮構成員。
○髙宮構成員 今の宮脇構成員の発言に関係するのですけれども、今日の資料の9ページの2つ目の文章で「医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由はわかりやすく説明すること」とあって、今度は17ページで、センターに遺族の方が相談して、センターから病院のほうに問合せをしても11%しか報告がなされていないということで、結局そこの齟齬が病院と遺族との感情のもつれになっているのではないかなと思うのです。ただ、10年前にこの事故調査制度ができる前の大綱案のときにはポリスパワーが入っていたので、結局成立しなかった。今回のはポリスパワーを排除することで成立した。しかも、支援団体というものができたので、ここの遺族に対してその理由を分かりやすく説明することと同時に、センター等の支援団体にその判断を仰ぐというようなことをやることによって、第三者、支援団体の判断を説明することによって、遺族の方も納得していただけるような結果になるのではないかなと思うのです。
日本精神科病院協会では、医療安全管理者養成研修会のときに、私の講義で会員病院の医療安全管理者になる人たちに病院で判断するなと。事故が起こったらすぐに精神科病院協会に相談しろと。その相談で該当しないとなったら、遺族の方にそう説明しなさいと。
現実問題には、該当すると答えを返しても5割がスルーされてしまうのですけれども、そのことは、やはりこちらが該当すると判断したら、あなたたちもちゃんと報告しなければ駄目ですよということも講義で厳しく説明しているので、何とかそういう第三者機関の判断を入れることで御遺族の方も納得できる環境になっていくのではないかなと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
○山本座長 ありがとうございます。
それでは、事務局から。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。現状の制度の仕組みといたしましては、まさに支援団体とかセンターがセンター合議でございますとか法律上の支援が可能であるといったことをお示ししてございますので、医療機関においてそういった判断に悩まれる際に外部から支援をしていただくということは大変重要なのだろうと思っております。
他方で、制度そのものの根幹といたしましては、管理者が判断を行うという制度の立てつけになってはおりますので、そのバランスを取りながらうまく遺族の方との関係性を構築していただくということが現状の制度運営というところになるのかなと思っております。
そういった現状を考えますと、まずは遺族からの御相談があった際に、それにどう対応していくのかが決められていないと、まず院内でまずそこを決めていないと、どうしてもそこで対話を止めてしまう方向に進みがちでございますし、どう対応したのかの記録を取っていないと、本当に人が変わるだけで言っていることが変わってくるとか、様々な問題が発生するようになるかと思いますので、まずはプロセスを院内で明確化していただくこと、その際には今御指摘にありましたような支援団体と相談というところもプロセスの一つとして考えていただくことが重要ではないかなと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
藤原構成員。
○藤原構成員 ありがとうございます。日本医師会の藤原です。
今、加藤室長からお話しいただいたのですが、この仕組みの本質というのは今さら申し上げるまでもなく、再発防止のための施策をどういうふうに各医療機関で考えて進めていただくかということ、再発防止は大きな仕組みの中でというのはあるとしても、医療機関において再発防止を自分たちで検討していく。その最初の入り口のところで自分たちで判断してもらう。そこに悩まれることがあれば支援団体が相談に応じます、という立てつけだと思っておりますので、支援団体の判断に従って医療機関が動くというのは本質的には違うものだと思いますし、仕組みとしてもそうなっているものと私は理解しております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
今、構成員の先生方皆さんのお話を伺っていて、髙宮構成員のお話も、的確に助言していただけるのでしたら、それを参考にするのはいいことだと思うのですけれども、私自身が患者遺族としての活動や取組と、もう一つ、病院の中の医療対話推進者として院内の患者相談窓口の担当を20年担ってきた中で、医療事故を判断してもらうべきではないのではないか不信感を持ってしまう遺族が少なくないということと、判断されなかった場合に、その理由を分かりやすく説明することという今まさにご紹介いただいたことですが、判断しなかった場合は、ほぼ説明されていないということを本当に多くのところから聞こえてきているのですけれども、そのときに、支援団体が何かそれ以上の助言をされるとなると、私が聞いている限りでは、院内の管理者が判断に非常に迷っていて、それを支援団体に相談したら、これは医療事故に該当しないと思うとはっきり答えられている支援団体が結構ありました。それに対しても、病院長である管理者が、支援団体がそうおっしゃっているのだから、これは該当しないと判断するとして、動いていたことが動かなくなるという事実もあるので、支援団体には、やはり適切な助言のために質を上げていただかないと、今の段階ではリスクがあるのではと感じました。
それからもう一つ、該当しない理由を分かりやすく説明することというところも、病院の中で医療事故の疑いがあるときに遺族対応は非常に緊張するので、相談窓口などを充実させて医療安全管理者と連携して対応する仕組みをつくらないと幾ら判断を適切に、事故調査を適切にと言っても、遺族対応が非常に難しいということは研究、アンケートの結果などでも出ていると思いますので、そこに向けてもしっかり取組を進めていただきたいと願っています。
そして、記録の保存についてですけれども、これもやはり言った、言わないに、なってしまうので、記録をしていくかというのを院内でもしっかり決めて、それを徹底することで後々何かトラブルが起こるようなことがあっても、そこでしっかり示したり御説明できたりすると思いますので、記録の保存についての徹底は、ぜひ実施していただきたいと思っております。
このようなことが大事で、患者も遺族も、医療従事者に対しても、これらの支援を充実させないと、ここで議論されていることが上手に機能していかないのではないかと、現役の医療対話推進者としても心配しているところです。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
支援団体の問題についてはまた4でもその支援の充実という点が指摘されているかと思いますけれども、藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 たびたび申し訳ありません。
今御指摘があった内容も踏まえてですけれども、9ページの通知は、下線を引いていただいていますけれども、組織として判断するということと、遺族等に対してその理由を分かりやすく説明する、本当に基本的なことなのだろうなと思います。それを記録にして残すということで、それで実効性があるのかと宮脇構成員も今言われましたけれども、自分はちゃんと組織として判断した過程と、それから、遺族に対して説明したという内容をきちんと記録に残すことというのは、医療の現場でずっと働いてきた者としては、やはりそれはかなり質を上げることにつながるのではないかと思っています。なかなかイメージしにくいかもしれないのですけれども、現場ではやはりきちんと記録を残すということはすごく大事なことだと。カルテの記録がまさにそうですけれども、とても意味のあることにつながるのではないかと私は思います。
感想です。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
南須原構成員、どうぞ。
○南須原構成員 北海道大学病院の南須原です。
私は今まで管理者としてずっとやってきましたので、北大で検討に当たったのが10年間で20から25ぐらいあったと思うのですよね。そのうちの10例報告していますけれども、全部記録を残しています。特に医療に起因したか起因していないかの理由、予期したかしなかったかの理由は必ず残した。それを総合判断で、これは報告対象、報告対象ではないというのを必ず決めているのです。10年ぐらいたつと、結構それがいい勉強になるのです。何かのときにあの事例はどうして報告したのだろうか、あの事例はどうして報告しなかったのだろうかというとき、その記録がすごく役立つのです。だから、病院にとっても判断の記録を残すというのは非常に医療事故調査制度の理解につながると思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 ありがとうございます。日本病院会の岡でございます。
判断の質向上の中で、出発点は全死亡例のスクリーニングをしっかりする。ここはしないと結局何も上がってきませんので、やはり全症例のスクリーニング、参考資料の83ページを見ますと、死亡事例があってスクリーニングを行っていない施設はわずか20%なのです。なので、医療安全管理指針にこういう全死亡例のスクリーニングの方法を明記するということは私は賛同したいと思います。
ここは院長が個人でスクリーンするわけではなくて、医療安全管理者あるいは医療安全管理室の職員が複数名でしますので、そこをしっかり記録に残す。そこから疑義があるものに対しては院内で事例検討会をしますので、そこもしっかり議事録を残して記録に残す。最終的に院長が医療事故調査制度に上げるかどうかの判断、その判断の根拠もやはり記録に残す。こういうようなことを医療安全管理指針に明記することに関しては私は賛同しますし、ここから出発して質はこれから上げていくことでまずやはり報告制度の、しっかりやるという過程、プロセスを明記することに関しては私は賛同したいと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
それでは、米村構成員、お願いいたします。
○米村構成員 本日の事務局からの御提案の内容は基本的には全て賛成したいと思っております。
今議題に上がっている医療機関管理者の判断質向上ということで、記録を残すといったことも当然必要でしょうし、院内体制を充実させるということも必要であろうと。それらは全て有意義な方向に働いていくと思いますし、そうなることを期待したいと思っております。
ただ一つ、この問題に直接関わるかどうかはよく分からないのですけれども、私が元来思っておりますのは、医療事故判断について、医療事故であると判断するか、医療事故でないと判断するかによって大きく状況が変わる。それを医療機関管理者に判断させるというこの仕組み全体がどうもうまくないのではないかという気がしてならないところであります。現状の法律の立てつけはそうなっておりまして、医療事故に該当すれば、法的な医療事故調査義務が課せられ、センター報告義務が課せられ、そういった手続が全て動くということになるわけですが、ひとたび医療事故に該当しないということになるとそれらが全てゼロになるというのがどうにも私には様々な問題を引き起こしている源なのではないかという気がしてならないわけであります。
私自身、いろいろな医療機関において医療安全講習のようなものをする場合もあるわけでして、医療安全の先生方とお話しする、あるいは医療安全に関する識見の非常に高い医療機関の管理者、その他のスタッフの皆様とお話しさせていただく機会もあるわけですが、意識の高い医療機関ほど、厳密に法的な医療事故に該当しなかったとしても、やはり医療事故調査を行うべきだと。それによってきちんと院内体制を見直し、御遺族の方々にも説明する根拠をつくり、きちんとした事故対応をしていくということがトータルでその医療機関の医療安全の向上に資するのだと。医療事故に当たるかどうかというようなところで、入り口のところでがちがちとやるということにほとんど意味はないのだというような御意見もよく聞くのです。
やはりそういった観点も踏まえて、医療事故に該当しなかったとしても、きちんとした医療事故調査を行っていくということに対するインセンティブを設ける、あるいはそういったところをきちんと評価していく。そういう仕組みをつくったほうがトータルでこの問題を顕在化させなくするのではないかというような気が私はしております。
これは医療事故調査制度全体に関わる話なので、この論点だけの問題ではないと思いますけれども、ここにお集まりの先生方の御意見もぜひお伺いしたいと思いますし、事務局のほうでも、医療事故に該当しない場合にどうするのかということについて、もう少し具体化した形での指針なり方向性をお出しいただくということを御検討いただきたいと思っている次第であります。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。医療事故の判断自体を管理者が行うというのがまずそもそもの制度の根幹になっておりますし、その点に関してはこの制度が出来上がる際にも様々な御議論があった上で出来上がったものだとは思っております。
他方で、今御指摘いただきました医療事故に該当しなかった場合でございますが、これはまさに院内で発生した事案に対して、医療機関において自らがどう医療安全を確保していくのかというところがポイントになってくるのだと思います。それに加えて、御遺族の方や、亡くなっていらっしゃらない場合ももちろんあるのだと思いますが、そういう場合はもちろん医療事故に該当しないのだと思いますけれども、そういった患者の方との関係性を別途構築していくという2つの部分が重要になっていくのだと思っております。
まさに前回の検討会においては、院内における医療安全管理体制の強化のための内容を御検討いただいたところでございまして、医療事故に該当しなかった場合の院内の医療安全の強化ということにつきましては、こういった場も含めてまた様々な議論をできればと。院内でしっかりとPDCAサイクルを回していただいて、どうやってそれを再発防止につなげていくのかということを検討していただける体制をつくっていただければと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
恐らく米村構成員の問題提起は、今の御回答を超える部分も含むより根本的かつ重要な御指摘であったかと思いますが、この検討会でそれをどこまで引き受けることができるのかという問題ももちろんあろうかと思いますので、これは事務局のほうで引き取っていただいて、どういう形で検討するかを含め、引き続き御検討いただければと思います。
菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 医療法人協会の菅間です。
今の点と絡んで、極めて重要と思っていますけれども、この検討会の冒頭、森光医政局長から、今回の検討会は、医療事故調査制度等の医療安全に係る全体を議論してほしいという話だったと思います。今日は医療事故調査制度に重点をおいているわけですが、医療法で定義された医療事故は特定の状況で亡くなった病態だけを指しています。本当は北大の南須原先生がおっしゃられるように医療事故はもっと広いわけです。本検討会では厚労省から提示された医療安全施策の全体像の図の➀医療事故情報収集等事業の医療事故を含めて、どういうふうに対策を練っていくか考えていくべきなのだろうと思います。
ただし、10年前に制定された医療事故調査制度では、医療事故調査制度における医療事故の定義は本来、①医療事故情報収集等事業の広義です。しかし、これに関しての医療法に記載が一切ありません。医療法の施行規則で説明されているだけであって、そこが政策上、立法上の曖昧になっています。改めてこの点を考慮し、医療事故調査制度に関しては、法律で定まっている定義に従ってきちんと議論し、さらに広義の医療事故の定義で、医療安全施策の全体で議論されるべきではないかなと私は考えます。医療安全における些細なヒヤリ・ハット相当の医療事故対策を積み上げて、最終的に医療関連死相当の医療事故対策につながるように制度設計を考えることが、本検討会の冒頭の目的だったと思います。このところを改めて整理しながら進めていただければと考えます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
藤原構成員、何か。
○藤原構成員 もしかすると私はピントがずれているかもしれないので、医療事故と判断されなかったものをどうするかという話だとして、医療事故ではないと判断されたものの再発防止策は何だろうという感じが今したのですけれども。
○南須原構成員 さっきの宮脇さんの御発言に対してですよね。
○藤原構成員 患者さんから学ぶという話であれば、それはそもそも医療とはそういうものだと思いますので、その中でどう対応するのかというのをちゃんと区別して考えたほうがいいのかなと思って聞いていました。
○山本座長 ありがとうございます。
今、対象になっている項目は、制度理解の向上、研修の話も一応対象に含まれているのですが、これについてはいかがですか。
木下正一郎構成員。
○木下(正)構成員 では、研修のところを。制度理解の向上ですね。管理者を対象とするかというところに限って意見を述べたいと思っているのですけれども、私としては、管理者が望ましいというのではなくて、管理者も当然受けていただきたいという希望を持っております。そのように考えるのは大きく3点ほど理由がありまして、先ほど来出ているように、制度上は管理者が判断者となっている。組織として検討すると言われても、最終の判断者はしっかりとした研修を受けていただく必要があるのではないかというのがまず一点です。
それから、ちょっと話が長くなるのですけれども、この制度ができる歴史として、2012年から2013年にかけて医療事故に係る調査の仕組み等の在り方に関する検討部会というのが全13回にもわたって開かれて、ようやくこの制度ができたという歴史があります。その中で、医療者の先生方、医療界を代表して出てこられている先生方は、これからは医療界を挙げて医療事故に取り組むのだとおっしゃっていただきました。それを聞いて、それまでは第三者機関中心の医療事故調査制度を患者側は希望していたわけですけれども、医療界の先生方がそこまで言うのであれば、それを信用して医療事故調査制度は院内事故調査を前提・中心とする制度で了承しようと態度を改めた経緯があります。そういう歴史的経緯を踏まえると、いまだに管理者が望ましいとかと言っているのは10年もたって進歩がないのではないかと正直に思います。
それと、もう一点としては、今日も報告でもしていただきましたけれども、効果として管理者が受講している場合は報告経験が多いという成果にも現れているので、ぜひ管理者の研修は必要ではないかと考えております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
事務局からどうぞ。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御指摘ありがとうございます。
管理者の研修に関しましては、御指摘のとおり、管理者が受けていただくのが一番よいのだろうと制度の構造上は考えるところでございます。
他方で、管理者のほうが受けやすい環境の整備というのがまだ十分にできているのかというところは一つ考えなければいけないポイントかと思っております。全ての管理者の方に受けていただくには、やはり一定の的を絞った研修を整備していくことですとか、あとはオンラインですとか、どんな方でも受けられるような環境の整備というものをやっていく必要があろうかと思います。
あと、データに関しましても、27ページ目にございますように、小規模の場合はうまく傾向がそろっていなかったり、それも恐らく管理者の方に受けていただくべき研修というのがターゲットとニーズと準備できているものというところのアンマッチですとか、あとは環境が十分ではないといったところもあろうかと思います。そこは10年間整備が不十分であったというような御指摘は甘んじて受けるところでございますが、まずはそういった環境整備ですとか研修の充実というところを行っていきながら、状況をまた検討していければなと思っているところでございます。
○山本座長 それでは、岡構成員、お願いします。
○岡構成員 ありがとうございます。
管理者の研修はもちろん必要だと思いますけれども、私も医療安全管理者養成研修を数年前に受けましたけれども、やはり35時間ぐらいのeラーニングと8時間のオンライン演習ですね。やはりオンライン演習の時間を取るのはかなり難しいのと、制度的に、今、事務局からもあったように、この研修が何を指すかということですけれども、その後も養成研修講座を院長全員が受けるというのはキャパシティー的に無理だと思うのです。この制度設計は今後考えていただくということで、私も日本医師会の委託の管理者・実務者セミナーというのは全く知らなかったですけれども、5時間ぐらいでこういうのがeラーニングできるのであれば、こういう研修はいいと思うのですけれども、実際に研修は何を指しているのかと。今ある安全管理者養成研修だとキャパシティー的に全病院の院長が受けるということだと何十年かかるかなと思うので、そこは事務局は何を想定している、あるいはこれから想定するということなのでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
今御指摘いただきましたとおり、40時間以上ある研修を全ての病院の管理者が受けるのは現実的ではないというのはそのとおりだと思っております。まさに今、研究班のほうでコアとなる内容を詰めていただいているところでございますので、管理者・実務者セミナーは5時間のものを基本としながら、そこからさらにどういったものがポイントとなる研修なのかというのをまた検討できればと思っております。
○岡構成員 分かりました。そのような形で進めていただければいいかなと思います。
〇山本座長 豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
私も今の事務局からのご説明を聞いて、基本的には賛成ではあるのですけれども、やはり院長、管理者の研修受講は望ましいと思っております。
実際に私どものようなNPOの団体などでもクリニック、診療所の医師からご相談を受けることもあって、情報が入ってきていないという悩みを持たれている先生方の声を聞いています。確かに、診療所で事故が発生することは病院よりも少ないとは思いますけれども、それでも例えば産科に関してはかなり高度なことを診療所レベルで行わなければならないということもありますので、診療所も全て含まれるのであれば、院長が全く情報を得られない、研修を受けられないというのは、むしろ良くないのではないかと思っております。
そして私はセンター調査の総合調査委員も担っておりますけれども、1つの病院で事故が起きていることばかりではなくて、診療所で何かが起きて、その後に中小の病院、二次救急、三次救急の病院に搬送されるというように2つ、場合によっては3つの医療機関が関わったりしていることがあります。そのときに医療機関ごとに認識や意識が違ってくるとトラブルのもとにもなると思いますし、事故を起こしていない医療機関が調査をしなければならないというような負担にもなってくるのかと思いますので、もちろん最終的に亡くなられた医療機関が関わらなくていいということではないのですけれども、やはり診療所の先生方もしっかりとこの制度への理解、参加をしていただくということがとても大事だと思いますので、その意味で管理者が受けやすい研修や環境の整備ということを急務でお願いできたらと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
木下浩作構成員。
○木下(浩)構成員 全国医学部長病院長会議から出ております木下でございます。
管理者もしくはその関係者が教育を受ける機会を与えるということに関しては大賛成でございます。ただ、先ほどの合議体をもってしてでも、3割ぐらいの医療機関からの報告がなされていないといったことからすれば、十分理解をしたとしても、合議体からの報告を受けて、それでも報告をしなかったということになってしまうので、理解というよりも、この制度そのものに対して何かそのほかの誤解が生じている可能性もあると思うのです。そうしますと、管理者全てに対して詳細な管理の制度の教育を行うということよりも、制度全体としての位置づけは医療安全上の再発防止なのだということを含めた周知といったものが、国民全体の周知促進ということが最後の議論に出てきますけれども、そのような内容でもいいのではないかと思います。まずはこういったことに取り組んでいるのだよということを、政府広報でも結構でしょうし、様々なところから周知するということを前提にした後に、特定の方々には専門的なより深い知識を得ていくという段階をもってしてもいいのではないかなと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
ほかに。
藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 いろいろ出たのであまり言うこともないのですけれども、何度も言うように、9ページに「組織として判断する」と書いているので、そういう意味では院長だけとしなくてもいいのかなというのが一つ。
あと、何度も言うように、やはり医療機関は規模が小さくなればなるほど院長の担っている役割はとんでもなく大きいので、さらに負荷をかけるよりは、「管理者が望ましい」という姿勢はそれでいいと思うのですけれども、判断するにあたって管理者を支援する人が勉強をする機会を持ってもらうという仕組み、取組が良いのではないかと思います。
あと、先ほど日本医師会が委託を受けている管理者・実務者セミナーとあるのですが、あれは実はeラーニングも入っていまして、eラーニングも含めると例年1,000人近くの方に受講していただいています。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
米村構成員、お願いします。
○米村構成員 1点だけですけれども、先ほど藤原構成員からでしたでしょうか。医療事故に該当しない場合にどういうふうに再発防止をするのかという御発言があったかと思うのですけれども、それは法律上の医療事故として扱われる事例が、現状、いわゆる一般的な意味での医療事項と呼ばれ得る事例の一部にすぎないということの理解が十分に行きわたっていないということなのではないかと思った次第です。
一般に医療事故として扱われ得る、少なくとも民事訴訟などでは通常の医療過誤訴訟として十分賠償責任の対象になり得るような事例であっても、医療法上の医療事故に当たらない場合というのは幾つかあります。一番はっきりしているのは死亡事例に当たらない場合です。高度の後遺障害などが残ったとしても、まだ患者さんが御存命である場合には医療事故に当たらないわけです。ほかにもいろいろなケースはあり得るのですけれども、先ほど豊田構成員から言及が少しあったような気がしたのですけれども、幾つかの医療機関、複数医療機関が関わっているような事例で、最後の死亡事例に直面した医療機関にとって予期していない死亡であったとしても、前医で何かしらの医療事故が関わっているというようなケースもあり得ます。
そういうようなことも含めて考えれば、やはり法律上の医療事故に当たらなくても、いろいろと医療事故として検討する。あるいは医療事故としてではなくても、何かしらの形で原因究明を行い、きちんとその背景を明確にしておくことが将来の医療安全にとってプラスになるという事例というのはかなり多く存在するのだろうと思います。
ですから、これは直近で議論されていた研修をどうするのかということに関わるわけですけれども、研修をするということ自体に意味があるのではなくて、何をお伝えするのか、何を御理解いただくのか。これは管理者であれ、病院の医療安全スタッフであれ同じことだと思うのですが、そういった研修の中に何を内容として盛り込むのかということをきちんと整理できないと、あまりやっても意味がないということになってしまうと思います。
私自身の意見としては、単に法律上の立てつけとして医療事故というのはこういうふうに医療法で定義されています。ですから、こういうことを判断してくださいと。それはほとんどの医療機関の管理者は御存じだと思います。それを御存じの上で、しかし、現状の様々な問題が生じているということがあるわけですので、やはりもう少し制度の形式的な定義だとか解釈指針ということだけではなくて、それももちろん盛り込んでいただくほうがいいと思いますけれども、それだけではなくて、そもそも医療安全とは何なのか、そもそも医療事故というのは何なのか。そういった中で、どのように医療機関が対応することが今求められているのか。その中でこの医療法上の医療事故調査制度というのはどういうふうな扱いになっていて、どのような対応が法律上義務づけられているのか。そういうことをトータルとして伝達するような研修である必要があるのではないかと考えている次第です。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 菅間です。
今の点に関してはそのとおりだと思うのですけれども、実際に医療事故という名称がいろいろな意味で使われているので、先ほどの繰り返しになりますが、基本的に医療事故情報収集等事業で使う医療事故という名称と医療事故調査制度で使う医療事故は違います。名称を変えるべきなのではないかなと思います。どちらを変えるかは別ですが。
もう一点、先ほどの藤原先生の追加になりますけれども、医療機関の管理者の研修に関しては、管理者の要件になりますので、義務づけるのであれば、医療法自体をきちんと改正して明記しないと無理があるのではないかなと私は思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
児玉構成員、どうぞ。
○児玉構成員 医療現場で法律上の定義に何にも当てはまらないような患者さんあるいは御家族、御遺族と管理者を中心とした医療スタッフとの対話がうまくいっているときもあれば、それが対立の芽をはらんでいるものがあり、とりわけ死亡事案については、いつも全ての事例で、対話による納得への道と、それから、確率は低いですが、対立が生じるというような場面も多々ある中で、本当に10年前いろいろな議論を経てできたこの医療事故調査制度というのは、ほかの国でいろいろ成立している医療事故関連の調査制度と比較すると、管理者の自主性、患者家族の理解、納得、それから、支援団体からセンターに至るまでの第三者性というものを組み合わせて、あまり法的強制というかほとんど法的強制を入れない対話と連携の中で信頼の関係の修復を目指していくような非常にファジーな面がある。ただ、他方、対話を重視するという意味では、一定の役割を果たしてきた制度だと私は思っています。
皆さんがおっしゃるとおり、各医療団体等で多数のマニュアルが出ていて、要件論、法律論については語り尽くされている面があると思いますが、私がぜひ管理者の方々に伝えてほしいのは、管理者には2種類あって、よくこの制度を使いながら、うまいコミュニケーションのプロセスを実現しているという経験を持っている組織や管理者もいらっしゃいます。他方、この制度を使うことで、それがかえって対話やコミュニケーション、納得へのプロセスを歩めなかった、うまくいかなかった経験を持っておられる管理者の方もいらっしゃると思う。そのときに、もともとこれは法律の要件で強制したり、公権力が介入したりするということを想定していない。もともとポリスパワーが入ってこないという先ほどの髙宮先生の御発言もありましたけれども、そういうコミュニケーションの仕組みですので、管理者の方にぜひ伝えていただきたいのは、例えば南須原先生のところのように多数の経験を経て、恐らく多数繰り返されているのは、そのコミュニケーションで得られるものが患者さんの側にも医療機関の側にもあったという成功体験だと思います。そういうものを、例えばアネクドータルな形であったとしても、同じ要件を見て同じ法律論の議論をしていても意見が合わなくなるのは、具体的な体験に差があるからなのではないかと。よい体験を双方から、患者側からも医療機関側からも共有していただくような研修であってほしいなということを申し上げたく思って発言しました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
宮脇構成員、どうぞ。
○宮脇構成員 先ほどの児玉構成員のお話のとおりだと思うのです。対立の方向になっていくのは、ほとんどが対話を打ち切られた。打ち切られてしまって行き場所がなくなって、私たちのところに相談に来たりという形で、病院のほうが説明を分かるまで尽くしますという姿勢があれば対立にはなっていかなくて、多くの人が何とかその病院でいろいろな意味で誠意を感じられるような対応が欲しいと切実に思っているのですよね。そういうことを管理者研修のところでも今回伝わるというか、恐れないでほしい。遺族を恐れず、最初はうまくコミュニケーションが取れなくて、それから、病院の説明もうまく理解できなくても、数を重ねることで病院のほうも分かるように説明していくし、それから、聞くほうもその思いで自分たちも段階を踏まえて理解していく。紛争化しないことが再発防止にも本当につながっていくなと思うし、それで遺族の方も事故の大変さから立ち直っていける。私たちに話すだけでも夜眠れるようになりましたとかそういうことなので、本当にささやかなのですけれども、そういう対話のところがどうやって押さえられるかと。管理者の方々がそういう認識をしていただくと、もっと穏やかな事故に対するいろいろな対応ができるようになるし、安心して報告したり、病院の中での職員の関係とか院長に対する信頼も高まるのではないかと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
この1の点につきましては、ここに書かれてある中身それ自体については、私の理解ではおおむね構成員の皆様からの御賛同が得られているのではないかと理解しました。ただ、一部の項目については、管理者の研修等を含めて、これよりもっと先に進むべきではないかという御意見も構成員からは示されたところかと思いますので、基本的には本日の御提案、御議論を基にして取りまとめに向けて事務局のほうで御整理をお願いしたいと思いますが、一部の項目については引き続き御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
それでは、よろしければ、もうちょっと区切ろうかと思っていたのですが、時間の関係もございますので、私の認識ではこの1が今日の一番大きなポイントだったのではないかと認識しておりますので、2から5までの項目ですね。既に再発防止の問題でありますとか、あるいは支援団体の支援の問題とか、若干御議論いただいた点も含まれているとは思いますけれども、2の院内調査の質の向上等も含めて、2から5をまとめて御議論いただきたいと思いますので、どの点からでも結構ですので、御発言いただける点があれば御発言をいただきたいと思います。
南須原構成員、どうぞ。
○南須原構成員 南須原です。
質の向上で、今日医師会の藤原先生がいらっしゃるのでお願いしたいというところもあるのですけれども、やはり私たちのような大学病院であれば自己完結というのはできるのですけれども、多くはできないわけですよね。そうすると、例えば判断の根拠、それから、場合によっては調査員の派遣も支援になりますよね。そうすると、学会等がその役割を果たす場合もありますけれども、そのプロセスすら分からないというクリニックなり小さな医療機関はいっぱいあるのですよね。やはり地域の支援団体、医師会が中心でしょうし、その連絡協議会、北海道も実は連絡協議会はあるのですけれども、10年間で1回しか開いていないのです。ただ、北海道の支援体制としては、私も副会長なので非常に頑張ってやっているのですけれども、都道府県によって差があるでしょうし、年1回中央でやるというのは義務なのでしたか。どうなのでしたか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 中央が設置されていることが望ましいとされており、協議会の開催は義務とはなっていません。
○南須原構成員 なので、中央のほうでもそういうのを年1回やるとかして、全ての都道府県の地域支援団体がレベルアップするような取組というのをぜひやっていただきたいと思っているのですけれども。
○藤原構成員 ありがとうございます。
このたび、厚労科研でいろいろ調べて、把握した現状を踏まえますと、しばらく開催していなかった中央協議会というのもありますし、あともう一つは、いわゆる都道府県の中での連絡協議会的なものも、言い訳のように聞こえるかもしれませんが、コロナ禍の5年間、都道府県医師会レベルでは仕事の大半をコロナ対応がかなり占めた部分もあることから、開催数に影響がありました。もちろんそれで医療安全をないがしろにしていたわけではないですけれども、今、中央協議会については企画中ですので、取り組ませていただきたいと思っていますし、その中で全体的なレベルアップを考えていかなくてはいけないと思います。この間も御説明しましたように、コロナ禍でもいろいろな取組をされたところもあったのです。協議会を開いたり、研修会を開いたり、それをどういう工夫でされてきたのかということも含めて、好事例の横展開というのは地方ごとに事情が全く違うので難しいのもよく分かるのですけれども、何とか取り組んでいきたいと思っていますので、温かい目で見ていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 今、支援団体の話が出たので、まずそこからお話しさせていただきたいと思います。私も中央の連絡協議会に期待していまして、ぜひ開いていただきたいなと思っています。そこから質のアップに向けた具体的議論などを行っていただきたいと思います。
それで、地方と中央は上、下という関係にはないと思っていますし、トップダウンではないと思っているのですけれども、何か地方から情報を得て、上がってきた情報に基づいて、やはり中央のほうでもメッセージを発信できるようなことがあればぜひしていただきたいなというところが期待です。
ほかの点もよろしいですか。
まず、本日のスライドの47ページなのですけれども、議論の方向性についての1つ目の○で、第三者を含めて議論を行い、将来的にセンター調査に関するマニュアルの提示を目指すことについてとあるのですが、やはり私としてはセンター調査のマニュアルがあるというのに将来的に提示するという理由がよく分からないと思っていまして、あるのであれば速やかに皆さんに開示すればよいのではないかなと思うのです。
センター調査のマニュアルがトップですとか、それから、それに従いなさいなんて言うつもりは毛頭ないのですが、一方で40ページ、41ページあたりですかね。いろいろなマニュアル、ハンドブック、ガイドラインというのが出ていて、私もこんなにあるとは思っていなくて全部は読み切れていないです。ただ、この中にも趣が違うものがあると理解しています。その中で、医療事故調査・支援センターというところは調査を行うに当たってどういうふうなやり方をして判断しているのだというのを知りたいというのは、この制度の立てつけからして調査に当たる人たちの当然の考えではないかなと思うのです。そうすると、そのマニュアルは示しておくべきだろうと。それを忠実にやっていくか、それとも参考程度にするのかは各医療機関の判断だろうと思っています。ですから、速やかに開示していただきたい、提示していただきたいというのが私の願いです。
それともう一つ、センター調査報告書の公表というのを今回構成員を務めるに当たってぜひお願いしたいと思っておりました。今回の議論の方向性の中でもそれは先送りのような空気が漂っているのですけれども、私がセンター調査報告書の公表を求めるのは、一つは医療事故調査のためであり、もう一つは医療事故の再発防止のためであると考えています。
医療事故調査のためというのは、さっきのマニュアルと同様ですけれども、実際の医療事故調査、センター調査がどういうふうに行われてきたかというのを目にすることによって、どういうものを報告しなければならないか、そして、どういうふうな調査の手順を踏んでいけばよいかというものの非常に参考になる、有益なものになると理解しています。
今回、論点整理の中でサンプルの提示というのを言っていただいています。もしかすると、事故調査の質向上という点を考えるとそれで足りるのかもしれないのですけれども、サンプルを提示いただく場合には、少なくとも複数のケースのサンプルを示していただきたいなと思っています。例えば手術についての報告が多いということが言われていましたけれども、手術の場面が問題になっているとか、診断の場面が問題になっているとか、あるいは報告自体は多少判断者の判断に左右されるところはあるけれども、管理に関わる問題もどう扱うのかとか、そういうふうなサンプルが欲しいと思います。
それで、話がちょっと脇に逸れましたが、もう一つ、センター報告書を公表するという点において。医療事故防止、再発防止につながるという点では、これもさっきの2012年、2013年の検討部会で話し合われていましたけれども、あの中でも匿名性とか個人情報に配慮することは当然として、公表することを前提に話が進んでいたと理解しています。それと、2015年の施行前の施行に係る検討会でも、あれはいろいろな議論が出て、匿名性の確保というところまではたどり着いたけれども、公表しないという結論に達したのかというと、そうではなくて先送りにされたという理解です。
なので、ここで再発防止に向けた公表というものをしっかりしていただかなくてはいけないのではないか。そして、再発防止のためですので、公表するに当たっては、全文をただ単に個人情報のところをマスキングすればいいという話ではなくて、要約版、まさに産科医療補償制度でもやっているような形でもよいのではないかと考えています。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 今の点についてですけれども、かなり微妙だと思います。立場によって再発防止に関わることになると捉えることもできますけれども、多くの場合は、担当した医療機関あるいはドクターに対する責任追及の方向に流れてしまう可能性があると思います。
実際に7月に都内の某私立医大のERCP後の事例が、センター調査報告が基となって訴訟になった話が新聞あるいはNHKに出ていたのは事実です。今行われているセンター調査報告の中身に関して、きちんと第三者も入れながら議論した上で、今後、どのように一般に公表するか、改めて検討することが必要だと思います。現状では、今すぐ出したほうがいいというのはちょっと問題です。私ども日本医療法人協会は中小病院の団体ですが、そのように思います。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 日本病院会の岡でございます。
今、菅間構成員がお話しした内容と同じなのですけれども、センター調査報告書の内容あるいは院内調査報告書も同じなのですけれども、やはりその内容というのは当該医療機関の置かれた様々な状況もありますし、あるいは報告書に記載し切れない内容もありますので、実際に我々もそこを医療安全担当者が御家族に報告書に沿って丁寧に説明して初めて正確に理解できるものであります。したがって、それらの状況が全く分からない第三者が報告書だけを読んでも正しく理解もできないと思いますし、それがまた新たな混乱を生じるもとになると思いますので、私はやはりこの報告書の公表に関しては明確に反対したいと思います。
まずはセンター調査に関するマニュアルを示すということはしていただいて結構だと思いますし、あるいは今センターが取り組んでいる成果物などを利活用したもので積極的な医療安全の質を向上すると。まずそこを目指すべきであって、やはり単に報告書、文書だけの公表は必ず誤解を招くと思いますので、こちらは私は反対したいと思います。
○山本座長 木下浩作構成員、どうぞ。
○木下(浩)構成員 木下でございます。
先ほど申しました私の所属している全国医学部長病院長会議で、医療安全の質に関してのアンケート調査を毎年やっております。医療事故調査制度に関してのアンケート調査の結果でも毎年同じような結果なのですが、院内調査に関しましては、医療安全の質の向上に対する評価では、80の医科大学の回答ですけれども、この回答でも90%以上の施設から非常に有用である、もしくは有用であるといった結果です。
ところが、センター調査に関する医療安全の質の向上に対する評価では、それが半数ぐらいになってしまうのです。この背景にどのような評価がされているのかというところは不透明ということが挙げられていると思います。そうであれば、マニュアルに関しては法律の立てつけの外だと思いますので、ここは開示できるのではないかなと思っていますので、これは直ちに開示していただきたいと思っています。
○山本座長 ありがとうございます。
長谷川構成員、どうぞ。
○長谷川構成員 長谷川でございます。
センターの持っている資源をいかに活用するかといった御議論だと思います。マニュアルについてはやはり手法の話なので、非常に資源をたくさん使えるセンターと、そうではない小さな医療機関とか、いろいろな状況を考えないといけないのですけれども、やはり一つのお手本として非常に得るところが大きいと思いますので、それを何らかの形で公開していただくということに私も賛成です。
センター調査の事例については、先ほどから御議論があるように、やはり医療機関の個別性が大きいのです。だから、その辺りの情報をしっかり見ないと、1つの報告書から何かの教訓を得るというのは非常に難しい。医療機能評価機構でも認定病院が医療事故を経験した際には詳細な報告書をいただいて見させていただくのですけれども、やはり非常に難しいのは個別性の問題です。あと、一次資料を持っておられるのは当該医療機関であり、それにどこまでアクセスできるかという問題があります。私もやはり限界があるという意見です。ただ、センターとしましては、類似の医療事故について報告事例を集積させた形で提言を出しておられます。だから、現在はそちらのほうの信頼性が高いと考えます。
医療事故の報告対象かについての適切な判断に関してはセンターのほうにいろいろな形で御相談があります。それについて、例えばこういった事例に関してはこういった考えの下にいわゆる事故調と該当すると判断したとか、あるいはしなかったというのは非常に大きな財産ですので、センター同意の下に、何かの形で使えるような形で公開していただくとよろしいかと思います。これは提案です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに。
木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 木下です。
議論の流れはおおむね理解はするのですけれども、1点だけ理由づけとしてそこはちょっと違うのではないかというところだけははっきり申し上げたいのですけれども、スライドの4ページですかね。「個別の報告書の公表は責任追及の流れに繋がりかねず」とあるのですけれども、公表という行為が新たな責任追及につながるとはとても考えられない。センター調査報告書は遺族と医療機関に交付されることになっていますので、公表が新たな火種になるというのは弁護士としては全く理解できないです。
○山本座長 ありがとうございました。
宮脇構成員、どうぞ。
○宮脇構成員 今の木下(正)構成員のとおりで、実物が当事者の病院と遺族に渡されて、それがどのように使われるかについてと公表していくというのは、全く公表されていなくても、実際に使う人が使っているわけなので、公表することが紛争化を招くということは実態としてはないと思っています。
それからもう一つ、私、医療過誤原告の会のホームページで、センター調査報告書がどういうものかというのもほとんどの方が目を通したことがないということで、遺族の方の要望で実物を5例ほど公表しているのですが、それともう一つ、それに対比して院内調査報告書もあるのですが、それは内容は公表しなくてページ数だけ公表しているのですけれども、私たちから見るとこんなに違うのかとびっくりする内容です。センター調査報告書は、事故に至るプロセスが非常に明快というか丁寧にやられていて、それに対するいろいろな検証がとても納得できる。最終的にどの方々が判断したのかも全部掲載されている。一方では、院内調査報告書は責任ないということが強調されていて、どういう検証をされたのかとか、誰が検証したのかというのが分からない調査報告書で、私たちのところに来る遺族のそれを見ると、こんなに差があるのかということなので、今回サンプルでも一応出していただけるということは、院内調査報告書の水準を上げるという点ではとても大事かと思いますし、私たちから見ると、各病院で病院任せになっているところで、非常に調査をやっていく。どこまで踏み込んで調査していくのかは各病院のところで苦労していて、そのことに対するサポートができていないのだなという思いがありますので、サンプルの形でも手がかりとなることをサポートしていくということはとても大事かなと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
髙宮構成員。
○髙宮構成員 日本精神科病院協会の髙宮です。
先ほど木下(正)構成員が個別の報告書を公表することで新たな火種になることはないとおっしゃられたと私は理解したのですが、もちろんセンター調査報告書は病院と遺族の2か所しか出しません。ただ、最近問題になっているのが、例の愛知県愛西市のコロナワクチン、あれは市役所内事故調査委員会ですかね。そこの報告書が市役所のホームページに公表されて、その後、結局、ワクチンを接種した医師が責任追及でネットで攻撃されたというような事例があったりしたので、この公表というのは、遺族の方、それから、病院に対する提示ではなくて、ホームページでの公表という意味ではないかと私は理解しているのです。
それと、先ほども言いましたけれども、今回の医療事故調査制度はポリスパワーを排除した代わりに支援団体とともにできたので、支援団体のほうに移りますが、先ほど宮脇構成員がおっしゃった病院と遺族の対話の場にいかにこの支援団体を組み入れるかということも検討していったほうがよろしいのかなと感じております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがですか。
藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 たびたびすみません。
このセンター調査のマニュアルについてなのですけれども、自分もセンター調査に関わっています。実はマニュアルについて今いろいろ話題になっていて、それはさておき、これはあくまでセンターが作ったマニュアルであるということがまず一つ。
それから、そのマニュアルを踏まえてというか、それにがっちりのっとってということではないと思うのですけれども、学会の先生方が部会を構成して、その先生方が検討した結果がこのセンター報告ということになります。本当に個別に微に入り細に入り書いてあります。検討するときにも本当に時間をかけて、自分も全部読みますけれども、本当に細かい文言も直すぐらいの感じです。その中で大事にしているのは、本当に個人の攻撃にならない、個人の特定にならないようにということ、それから、個々の医療機関が特定されないようにということも含めて、本当に純粋に何が起こったのかというのをきちんと検証して、それを再発防止につなげたいという検討を非常に慎重にやるのです。
ですから、そのマニュアルを公表して院内調査に活用してくださいというと、相当ハードルが上がるだろうなという気がするので、それについては慎重に考えて、これは日本医療安全調査機構もあることですから、そちらのお考えも聞かれるのでしょうけれども、慎重に扱われたほうがよろしいかと思います。マニュアルの怖いところは、医療にかかわらず何事もそうですけれども、マニュアルどおりにやっていればいいよねとなることがあって、それが本当に質を上げることにつながるかというと、自分としては疑問を感じるところもあります。
あともう一つはセンター調査報告結果の公表という観点なのですけれども、センター調査報告書は本当に非常に細かく書かれています。細かく書けば書くほど逆に個人を特定しやすくなるという部分はあるのかもしれないですよね。その中にあって、第2回の検討会で宮脇構成員の御発表にもありましたが、少ない例ですけれども、センター調査報告書を遺族の方が非常に評価してくださっているという資料がありました。それは多分今の質だからだと思うのです。要するに、遺族の方が何が起こったのかが分からなくて悩んでいたものが、それを読むことによって、納得はできないかもしれないけれども腑に落ちるとか、そういうことだったのだということで理解ができる、理解ができるか腑に落ちるかは分からないですけれども、そのための報告書なのですね。それが公表される、即公表されるとなったときに、どこまで関係者から聞き取れるだろうか、どこまで話してもらえるだろうかということもやはり考えなくてはいけないかと思います。
木下(正)構成員が先ほど来言われているところも理屈の上で分からないわけではないのですけれども、大事なことは再発防止にきちんとこの仕組みをつなげるということですし、そのためのセンター調査報告ということですので、そこがもし損なわれるようなことになると本末転倒なのではないのかなという気がしますので、その点は慎重に考えて判断されるべきものではないかなと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
米村構成員、お願いします。
○米村構成員 時間の関係があるかと思いますので、別の論点で大変恐縮ですけれども、支援団体に関するところと院内体制に関するところで1点ずつコメントを申し上げたいと思います。
まず支援団体の役割が重要で、こちらの中身を充実させていくということは大変意味のあることだろうと思います。他方で、支援団体だけに頼っていていいのかということも私は思っておりまして、これは前々回でしたでしょうか。御紹介があったかと思うのですけれども、地域によっては地域医療連携の一環として医療安全の対策を複数医療機関で共同して行っている例があるという話を伺いました。これは大変すばらしい取組だと私は思っているのですけれども、支援団体ではなくて近隣の医療機関に医療安全に詳しい専門家がいて、その専門家が他の医療機関、周辺医療機関についてもある程度アドバイスをしたり、医療事故調査のサポートをしたりというようなことができる体制があるのであれば、それも医療安全全体にとっては大変よいことなのではないかと思います。制度設計に当たっては支援団体によらない形の支援というのもぜひ御検討いただき、また、そういった方向性を促進するような何かを考えていただきたいというのがまず1点目でございます。
それからもう一点、院内体制の充実は、今、直前でも医療機関の中に詳しい医療安全の担当者がいてという話をしました。先ほども医療機関の管理者にはなかなか業務負担が重くて、必ずしも管理者自身が全てをできないという話もあったと思います。そういったことも全て併せて、医療安全担当者としてきちんとした人を配置するということは大変重要なことだろうと思います。ただ、これも前々回私から申し上げたような気がするのですが、医療機関の経営状況などを踏まえても、そういった専門家をきちんと雇用して職務に当たってもらうというような形を取るのはなかなか大変というところもございます。そういうこともありまして、医療安全対策を行っている医療機関に対する診療報酬加算というのをもうちょっと手厚くしてあげるというようなことも考えるべきなのではないかと思っております。少なくとも単に医療安全管理委員会のようなものを設けているというだけではなくて、きちんとした専門家を雇用しているというところを診療報酬上適切に評価していくということもまた現状では必要なのではないかと思っております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
豊田構成員、どうぞ。
○豊田構成員 豊田です。
ある程度想像していたことですけれども、患者の立場で発言する人と医療従事者の方では、互いに別の捉え方をしてしまっているのか、よい方向に行くと信じて発言している私どもの声が悪い方向に行くのではないかと思われて反対されているのかなと思ったりします。遺族は対立したくてこういう報告書を公表してほしいとお伝えしているわけではなくて、よい方向に行くと信じてお伝えしていますし、児玉構成員もおっしゃっていましたけれども、実際にそれでよい体験をされている医療機関と遺族も一定程度おられるわけです。
そういう、本当によかったこともしっかり知っていただいて取り組んでいただくことが大事ですし、よい方向になると思うからいろいろ広げてしっかりやっていったほうがいいとおっしゃってくださるのが米村構成員のご発言ではないかと思いますので、今すぐ話がかみ合うかというと難しいのかなとも思いますので、見直しの検討会を10年単位ではなくてもっと短い期間で行っていただくとか、検討会の開催だとハードルが高く厳しいのであれば、それぞれの課題やテーマが分かってきているので、ぜひワーキンググループなどを設置していただいて、今日も大分いろいろなことが具体的に皆さんから出てきたと思いますので、ぜひそういったもので話合いを継続していただくということをお願いしたいと思います。
また、私どもからすれば、医療安全管理者の配置は必ずしていただきたいと思っています。それは医療従事者にとってよいことだと思うからですけれども、その現状が難しいという反対が出たりするわけですから、そこについてもう少し具体的に議論できる場をつくっていただきたいと思いますし、それから、人材不足の問題もあると思いますけれども、それについては以前も申し上げましたが、医療有資格者以外の人材もいるはずで、私のような事務職への安全教育と、その事務職の活用でかなりいろいろ現場サポートできる点があると思いますので、ぜひそういった人たちのことについても検討していただく場面をつくっていただきたいと思います。
私自身、医療対話推進者を長年担ってきているのですけれども、医療対話推進者の業務指針が今年改定されるということをお聞きしていますので、そこでは医療事故の対応時に、医療安全管理者との連携によるサポートなどが現行の業務指針に既に盛り込まれています。そういうところも具体的にどうしたらよいのか分からなくて、これまで人材の活用ができていなかったという背景もあると思いますので、そういったことも含めて、事故調査制度以外のものも含め、医療安全全体を含めてですが、医療事故に関して、どういった取組が必要で、どういった人材が必要で、何が妨げになってこうなってしまっているのかということを話し合う場をぜひ継続してつくっていただきたいと願っております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに。
木下正一郎構成員。
○木下(正)構成員 時間も押し迫っているので、結論だけ申し述べます。
今、豊田構成員から提案のあった検討の場を持って検討、議論を継続していくことに強く賛同します。
○山本座長 ありがとうございました。
藤原構成員。
○藤原構成員 すみません。2分で終わります。
今、米村構成員が言われた、いわゆる地域の中での連携は、医療安全に関する地域連携加算がありましたよね。ただ、いわゆる感染症の連携加算に比べても加算は結構安いのではないかなと思うのです。それは厚生労働省として医療安全を重視しているとは見えないと思うので、余計なお世話ですけれども、やはりきちんと対応していただいたほうがいいかなと思います。
あともう一つは、それと別にいわゆる地域医療連携推進法人というのがあって、個々の医療機関で勉強する機会、研修する機会というのがなかなか難しい状況で、連携法人の中だと割といろいろなところで順繰りというか交代でということで実はできていますので、そういうのもうまく活用すると良いと思いました。
それから、先ほどお話ししましたように、自分もセンター報告に関わるなかで、医療機関の経営の話をするのもこの場ではどうかと思ってあまり言わなかったのですけれども、再発防止策の中でこうすることが望ましいと言っていても、厳しい中で望ましいことがなかなか今できない。もしかすると特に大学病院みたいな大きなところではもっと大変かもしれないのですけれども、取り組むべきことがある程度見えたとしても、なかなか現状では取り組めないというか取り組みにくいという状況もあると思うので、今この場の問題ではないかもしれないのですけれども、その辺も国として検討していただければありがたいと思いました。
あと、最後に1点、5番目の最後にある国民への制度に関する周知促進は、これが一番大事なところだと思うのですよね。この制度の仕組みが何かが分かることで、むしろ医療機関がそこに取り組むというか、患者ご家族ご遺族にお話しするハードルを下げると思うのです。ですから、先ほどあった医療事故調査制度の「医療事故」というネーミングはどうだという問題もあるのですけれども、それも含めてここは論点の最初に出してくださいというぐらい僕は大事なところではないかと思っておりました。最初に木下(浩)先生が言っていただいたのでそのとおりだと思いました。
以上です。
○山本座長 岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 すみません。30秒で終わります。
今、最後にあった国民への周知はぜひ進めていただきたいのですが、非常に難しいと思います。この名前で、我々も医療事故調査制度で医療事故という言葉を使うと、イコール医療ミスがあったと。そこからまず両者の信頼関係を築くということが非常に時間がかかって大変なのです。なので、これはもともと医療安全の質向上を目的にしていますし、医療事故調査制度という名前は仕方がないのですけれども、パンフレットを作るときに、例えば医療安全確保及び事故調査制度とか、そのように変えるチャンスがどこかにあれば、お互いに信頼関係を築けると思うのです。実際に医療安全支援センターという名前もありますので、ぜひ何らかの形で医療安全確保というような名前を入れながら、こういう調査制度を広く周知するというようなことも考えていただければと思います。
以上です。
○山本座長 宮脇構成員。
○宮脇構成員 国民への普及啓発ということなのですが、私たちは木下正一郎構成員と一緒に医療安全の推進について、毎月駅頭でチラシの配布を18年間やり続けているのですけれども、ほとんど受け取ってくれない。やはりそういう点では非常に厳しいなと思うのですよね。
2019年に世界患者安全の日を9月17日にWHOが制定していただいて、オレンジ色のシンボルカラーを利用しながら、各地を9月17日に照らしたいということで、東京都も頑張っていただいて、都庁だけでなく、隅田川の橋梁の13のうち10個の橋についてオレンジ色にライトアップして、すさまじい迫力ですけれども、私たちもそのライトアップの見学ツアーという形で、うちの団体で10人ほど9月17日に歩いたりしたのですけれども、全国の都道府県にぜひこういう9月17日のライトアップのイベントも含めて取り組んでいただきたいと私たち市民のうちの構成員が全国都道府県に要請を出したところ、26の都道府県から返事があって、いろいろ検討しますということで、去年は熊本城とか、今年は松本城とか、結構お城が取組を始めたなと。それから、高崎観音は群馬が頑張っていますけれども、大船観音とか、そういうのが身近に広がってきている。こういうのを市民団体と一緒に厚労省も取り組んでいって、そういう形で大きくアピールするというのが取り組まれていくと、啓発が医療関係者だけではなくて、そういう巻き込んだ運動として医療安全の推進等の大事さが主に共有できていけばいいなと願っているところです。
以上です。
○山本座長 髙宮構成員。
○髙宮構成員 確かに保健所とかにポスターが貼ってあるのですけれども、誰も見ないのですよね。
話は変わりますけれども、私、8年前に全国で最後になった宮崎いのちの電話を立ち上げて、なかなかその周知がうまくいかないので、去年からテレビで1分間のコマーシャルを去年は80本流したのですけれども、それでかなり宮崎県民のインパクトをもらうことができて、いろいろなところで髙宮さん、髙宮さんとか言われてしまうのですけれども、どこにも行けない人生になってしまったのですけれども、ですから、ぜひこの医療事故調査制度についてのテレビコマーシャルを、大臣でも結構ですし、誰か芸能人を使っても結構ですから、そういうコマーシャルを目に入れてしまうのですよね。そういうことが必要ではないかなと感じております。
○山本座長 貴重な御提案をありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
この2から5までの部分につきましても、先ほどと同じかと思いますが、事務局提案の基本的な方向性についてはおおむね構成員の御賛同を得られたものではないかと思いますが、一部の項目、とりわけセンター調査報告書の公表等につきましては、なおもっと先に進むべきではないかというような御議論を含めて御議論があるところかと理解しました。
ということですので、本日いただいた御議論を基にして、事務局には取りまとめに向けての整理をお願いしたいと思いますし、残された項目というかその一部について、さらに、豊田構成員、木下正一郎構成員からは今後の進め方についての御提案なども頂戴したように思いますので、そういったことも含めてさらに御検討いただければと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の御議論はこの程度としたいと思いますけれども、事務局から次回の開催についてお願いします。
○門野室長補佐 次回開催につきましては、後日また連絡させていただきます。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございました。
それでは、これにて本日は閉会とさせていただきたいと思います。
本日も長時間にわたり、熱心な御議論をありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日は、今村構成員、井本構成員より御欠席と御連絡をいただいております。その代理参加については後ほどお諮りさせていただきます。
また、前回に引き続き、オブザーバーとして、日本医療機能評価機構の上田茂専務理事、日本医療安全調査機構の宮田哲郎常務理事、文部科学省高等教育局医学教育課の松本晴樹企画官、そして、今回、参考人として日本助産師会より山本副会長に御出席いただいております。
本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
オンラインで御参加いただいております構成員の皆様に御注意いただきたい点につきまして御連絡申し上げます。
御発言時以外は、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、御発言の際は挙手機能やコメント等を用いて意思表示をいただくようお願いいたします。座長の指名に基づき、御発言をお願いいたします。
また、御発言の際には、記録のため、最初にお名前をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
机上に、議事次第、座席表のほか、資料1「医療事故調査制度に関するこれまでの議論の整理を踏まえた今後の進め方等について」をお配りしております。
不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○門野室長補佐 それでは、以降の進行は山本座長にお願いいたします。
○山本座長 皆さん、おはようございます。
それでは、議事に入ります前に、先ほど言及がありました代理出席についてお諮りをしたいと思います。
本日の検討会につきましては、公益社団法人全日本病院協会常任理事の今村構成員の代理として同協会常任理事の細川参考人を、また、公益社団法人日本看護協会常任理事の井本構成員の代理として同協会課長の内山参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山本座長 ありがとうございます。
特段の御異議がないと認めましたので、代理出席についてお認めいただいたものとさせていただきたいと思います。
細川参考人、内山参考人、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。
本日の議題は、「これまでの議論及び今後の進め方について」ということになります。
まずは、資料1について事務局から説明をお願いした後、適宜項目を区切りながら御議論いただきたいと思います。
それでは、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長
医療安全推進・医務指導室長でございます。
それでは、お手元の資料1「医療事故調査制度に関するこれまでの議論の整理を踏まえた今後の進め方等について」を御覧いただければと思います。
こちらは前回も同じ内容でございましたが、前回は左上の医療機関の中における医療安全管理体制の整備について御議論いただいたところでございますが、本日は主に左下の②にある医療事故調査制度について御議論いただければと思っております。
3ページ目から5ページ目までにかけまして、第2回の検討会でいただきました主な御意見を並べておりまして、事務局のほうで幾つかのカテゴリーに分けております。
それをまとめましたのが6ページ目の資料でございまして、本日はこの5つのテーマに沿って御議論いただければと思っております。1つ目が医療事故判断の質の向上、2つ目が院内調査の質の向上、3つ目が再発防止による医療安全向上の促進、4つ目が支援団体等による支援の充実、5つ目が国民への制度に関する周知促進となっております。
それでは、早速、医療事故判断の質の向上について、資料の御説明をさせていただきたいと思います。
医療事故判断につきましては様々御意見を頂戴いたしまして、ここからさらに3つの論点に分けております。1つ目がまず医療事故を組織として判断する際のプロセスの明確化、2つ目が医療事故判断に携わる者の制度理解の向上、3つ目が判断を支援する環境の整備ということで、この3つのさらに細かい論点を御説明できればと思います。
1つ目でございます。判断するプロセスに関してでございます。医療法では、まず医療事故が発生した際には、病院の管理者が医療事故調査・支援センターに報告するということが定められております。
それに関連いたしまして、省令のほうで医療機関の加入者には当該医療機関における死亡・死産を確実に把握するための体制の確保というところが求められておりますし、また、通知のほうで医療事故が発生した場合の院内の体制を整備するということが求められております。
他方で、死亡事例が発生することの把握と事故が発生した後の対応があるのですが、死亡から事故の判断にどのようにつなげていくのかという部分のプロセスについて、安全管理のための指針に記載することは現状明記されていないといったところがございます。
追加といたしまして、関連する内容としては、通知のほうに医療事故の判断に当たりましては組織としての判断を行うということと、遺族等に対してその理由を分かりやすく説明するといったことが定められているところでございます。
先ほどのプロセスの部分につきましては、法令や行政文書の中での定めがない中で、現場での取組として、全日本病院協会でこういった提言を出していただいているということは第2回で御説明いただいたところでございますし、あと、日本医療法人協会のほうでは死亡全例チェックシートを作成いただいていると承知しております。
また、これも第2回で御発言があったかと思いますけれども、日本医療機能評価機構のほうでは死亡症例が医療事故調査制度の対象であるかをスクリーニングする体制が構築されているかといった点についても第三者の観点から評価いただいているとお伺いしております。
厚生労働省のほうでは、関連として研究班を組織いたしまして、「医療事故の機能的な報告体制構築のための手引き」というものを作成しております。
この手引きでは14ページの図のような院内での体制の一例をお示ししております。これは比較的大きな医療機関に該当するようなやや大きめの組織だと思いますので、規模に応じて、これを全てやるのではなく、エッセンスを抽出して対応していただくことが必要なのかと思いますけれども、こういった体制を整備することの重要性と、もう一つ、それぞれの段階において記録を作成しておく。そして、保存しておくということが事後的に検証する観点からも重要であるということをお示ししているところでございます。
実態の例といたしましては、こちらは横浜市立大学附属病院の取組としてこういった組織をつくっていただいているということ。また、記録に関しましても、いわゆる様式の一例を提供いただいたところでございます。もちろんこれも全ての医療機関が大学病院ではございませんので、病院の規模に応じた取組を進めていただくことが重要かと思いますけれども、まさに16ページの赤枠で囲っておりますような医療事故の該当性をどう判断したのか、その理由は何だったのかといったエッセンスを記載していただくということは重要なのではないかと考えております。
そして、遺族等からの求めに応じての対応ということでございます。こちらはなかなか統計を取るのは難しいとは思っておりまして、事務局のほうで準備できているのがこちらの資料でございますが、第2回の検討会で御発表がございましたように、センターに遺族等から御相談があった際に、その求めに応じて医療機関のほうに伝達をしていただいております。その件数でございますが、こういった数の御相談がこれまで医療機関に伝達されております。
こういった遺族等からの御相談に関しましては、そういったセンターからの伝達も含めまして、その御相談が医療事故と疑われる場合に、医療事故判断につなげていくための体制を院内で整備していただきまして、また、遺族等への対応の状況を記録に残していただくということも事後的な検証のために重要なのではないかと考えております。
以上をまとめました議論の方向性でございますけれども、まず1つ目といたしましては、医療機関が医療事故の判断を行うプロセスについて、自施設の医療安全管理指針に明記することを求めることについてどのように考えるのかという点。
また、2つ目が、医療機関へ医療事故判断の理由等に関する記録の保存を求めるということについてどのように考えるのかという点。
3つ目は、遺族等からの医療事故に関する相談に対しまして、医療事故が疑われる場合には、その判断につなげられるように院内のプロセスを医療安全管理指針に明記することを求める。また、この場合についても、遺族等への対応ですとかそれぞれの判断理由に関する記録の保存を求めるということについてどのように考えるのかという点を方向性として挙げさせていただいております。
続きまして、制度の理解の向上に関してでございます。医療事故調査・支援センターをはじめ、研修は支援団体も含めて様々な団体で実施していただいているところでございます。また、事務連絡等で管理者の積極的な研修の受講の推進でございますとか、医療計画などでも研修の受講を推進しているところでございます。
こちらが実際に行われている研修でございまして、センターのほうが日本医師会に委託して行っている管理者・実務者セミナー、管理者と実務者両方を対象にしているものでございます。
こちらは全日本病院協会のほうでお取り組みいただいている、これも管理者・実務者双方を対象にしたセミナー研修でございます。
他方で、WHOなどでは管理者に着目したガバナンスやリーダーシップの強化の重要性というところの指摘がございましたり、オーストラリアやイギリスなど、一部では管理者に特化した研修をつくって受講を促したり、場合によっては一部義務化したりといった取組を進めていると聞いております。
関連いたしまして、研究班のほうでも医療安全管理部門の専従・専任医師等の資質向上に向けた研究というところにおきまして、まさに管理者が理解しておくべきコアとなる知識というものが何なのかというところを現在整理しているところでございます。
いずれにいたしましても、医療事故の判断をする場合、これは最終的には管理者が行うものでございますけれども、やはり組織として判断をしていただくからには、そういった判断に携わる方が制度を理解していただくということが大変重要ではないかと考えております。そういった観点で、最終的に判断を行うべき管理者が制度を熟知しているということが理想だとは思いますけれども、管理者がそういった研修を受けていない場合であったとしても、制度を熟知した方が判断に携わっていただき、組織としての判断を最終的に行っていただくということが重要ではないかと考えております。
24ページ目からは関連データで、これは第2回の検討会でも提出いただいた資料でございますけれども、医療安全担当者、管理者などの担当者レベルの方が受講されている場合において、医療事故調査制度の報告経験がある割合が高いというもの。これは病床規模別に見ても、どの病床規模においてもそういった傾向が見られております。
26ページ目が管理者に限ったものでございまして、管理者が受講しているかどうか、管理者が受講している場合も、全体で見ると受講経験がある場合のほうが医療事故調査の報告経験割合が高いという結果が出ておりますが、こちらは第2回のときに委員から御指摘をいただいて、病床規模別にさらなる分析をということでございましたが、やはり病床規模の状況によってデータが必ずしも同一の傾向ではないということがございました。20~99床の間においては、受講経験がない場合のほうが報告の割合が高いという結果も出ております。
いずれにいたしましても、管理者向けの研修というのは、まさに研究を進めていただいておりますので、そういったところでコアとなる知識を整理していきたいと思っております。
28ページ目からは、研修と医療事故との関係を病床の規模で見ていった場合の考え方についてのデータでございます。医療事故の報告自体は、やはり病院、特に病床規模が大きいほど報告の実績の割合が高いというデータがございます。他方で、1~19床、いわゆる有床診療所につきましても、有床診療所の報告件数自体は105件となっておりますが、うち分娩を含む手術に起因する、または起因した疑いを含む報告が74.3%ということでございまして、こういったものについては有床診療所で行われている医療の中でも比較的リスクが高いものなのかなと考えております。
以上の観点から、30ページ目に議論の方向性を3つお示ししておりまして、1つ目が医療事故調査制度に関する研修受講を入院・入所施設を有する病院等の医療事故の判断に携わる方、管理者が望ましいと考えておりますが、そういった方へ求めることについてどのように考えるのか。
この場合、管理者が仮に受講していない場合、修了していない場合につきましては、研修修了者が医療事故の判断に携わり、管理者の判断の補助を行うことを求めるということについてどのように考えるのか。
3つ目が、研修受講を求めることにつきましては、先ほど入院・入所施設を有する病院等と申しましたが、そのうちの有床診療所や助産所につきましては、事故報告の多くが手術(分娩を含む)に起因しているということを踏まえて、そういったことを踏まえた対応として考えていくことについてどのように考えるのかといった議論の方向性をお示ししております。
続きまして3つ目、管理者の判断支援環境の整備でございます。
医療事故の判断の部分につきましては、医療事故調査・支援センター及び支援団体がその支援を行っているところでございます。
そして、通知においても、管理者がそういった支援を受けられるということをお示ししております。
実際に判断に当たり、相談を行った医療機関は大体22.7%という調査でございましたが、受けた結果につきましては、かなりの医療機関から役に立ったといった反応をいただいております。
こちらはセンターの判断の支援の体制でございまして、いわゆるセンター合議というものでございます。体制を組んでいただいておりまして、実際にこれまでに578件のセンター合議の対応をいただいております。これにつきまして、センター合議の相談実績も蓄積しておりますので、今後、報告された事例、報告されなかった事例を含め、検証を行っていく予定であるということを第2回の検討会で御発表いただいております。
以上を踏まえまして、医療事故調査・支援センターにおけるセンター合議に関する検証などを踏まえた上で、医療事故判断の参考となる情報をセンターから医療機関に提供していくということをどのように考えるのかといった方向性をお示ししております。
ここまでが医療事故の判断に関わる部分で、ここからが院内調査の質の向上に関する内容になります。
院内調査の質の向上につきましても論点を3つ挙げさせていただいておりまして、1つ目が院内調査を実施する医療安全管理者、実務担当者への教育、2つ目がセンター調査の透明性、3つ目が外部からの支援等による院内調査の質の向上ということで、3つ目に関しましては支援団体のテーマと直結するものでございますので、後ほど支援団体の議論の中で御説明できればと思っておりますので、実質的には2つ御説明いたします。
まず、1つ目が院内調査実施担当者への教育などということで、そもそも医療法では医療事故が発生した際には速やかにその調査を行わなければならないということが定められておりまして、省令の中で調査を行うための情報が列挙されております。他方で、それ以上深い部分は、何か定められているものですとか参考になるもので厚生労働省からお示ししているものは特にないという状況でございます。
センターのほうでも報告書のフォーマットを公開させていただいているところでございますが、御覧いただけると、ちょっと小さいですが、右側にございますように、これを見ただけですぐに報告書ができるのかというと、ちょっと難しいのかなと思っております。
そういった状況もございまして、現状、39ページ目から41ページ目にかけてございますように、様々な団体が現場で活用いただけるような参考書やワークブックといったものを発行いただいておりまして、こういった参考書を参考にしながら、実際に事故の調査を進めていただくということが重要ではないかと考えております。
もう一つ、実際に携わる方のトレーニングということで、全日本病院協会と日本医療法人協会のほうで合同の研修も実施いただいておるところでございます。
こういった観点から、まずは院内調査の質を向上させるためには、まさにそういった参考資料でございますとか研修を充実していくことが第一だと思っておりまして、その資料の使用でございますとか研修の受講を推奨していくということについてどのように考えるのかという議論の方向性をお示ししております。
続きまして、センター調査の透明性につきましてでございます。こちらは、第2回のほうでセンター調査の透明性を向上させていくことによって院内調査の質にもつながるのではないかという御指摘があったと承知しておりますが、他方で、センター調査というものの性質を鑑みますと、院内調査よりもかなり大規模で、専門家が多く集まって、一つ一つの事例を二次的に院内調査の後から調査するという観点でございますので、それを院内調査に直接持っていくということにはハードルが一定程度あるのではないかと承知しております。
他方で、センターの調査につきましては、44ページ目の法令で定めておりますように、センター調査の結果は管理者と遺族に報告しなければならないという形になっておりますし、内部資料につきましては法的義務のない開示請求には応じないといった観点で、なかなか外からは見えづらいというところがあろうかと思います。
45ページ目にもお示ししてございますが、センター調査自体はマニュアルに沿って行っているところでございますが、そのマニュアル自体も内部文書ということで公開はされておりませんし、報告書自体も公表されているものではございませんので、なかなか分かりづらいといったところがあるかと思います。
第2回の際にも、産科医療補償制度のことに関しても参考にするべきではないかといった御指摘も頂戴したところでございます。産科医療補償制度に関しましては、原因分析報告書の作成に当たっての考え方が公開されておりまして、一定の整理を行った上で原因分析報告書の要約版というものが公表されているところでございます。
そういった原因分析報告書というものは分娩に特化したものでございますので、記載内容ですとか判断基準などを体系的に整理し、様式化されておるところでございます。
他方で、センター調査報告書につきましては、分娩といった特定の事象に限ったものではもちろんなく、全ての診療領域に関してターゲットとしているさらに詳細な調査報告書になりますので、産科医療補償制度のように個人の特定につながらないもの、単位様式化というものをどのぐらいやればそういうことが個人の特定につながらないのかといったことも含めて、かなり慎重な検討を行わないと、産科医療補償制度と同じような対応をすることはなかなか難しいのではないかと考えております。
以上を踏まえまして、47ページ目の議論の方向性でございますが、まずはセンター調査のマニュアルに関して、現状は公開を前提としておりませんので、提示していくに当たっては一定の整理が必要かと思いますので、まずはセンターにおいて一定の整理を行った上で、それを公開しても大丈夫かどうかということを第三者を含めて議論を行い、将来的にはそういったマニュアルを提示していくことを目指すということについてどう考えるのかという点。
もう一つが、そういったマニュアルの提示に関する議論を経た上で、併せてセンター調査マニュアルを踏まえた参考例として一般化した架空の事例報告書、架空のセンター報告書の提示を目指すということについてどのように考えるのかという2点を議論の方向性としてお示ししております。
3つ目の支援団体につきましては後ほど御説明いたします。
続きまして、3点目が再発防止による医療安全向上の促進というところでございます。こちらは論点は1つでございまして、センターが作成した成果物やセンター調査報告書等の利活用の促進というところでございます。
センターの業務といたしましては、調査分析のみならず、その再発防止策を普及啓発していくということが大きな使命になっているところでございます。
いずれにいたしましても、これは個別事例ではなく、集積した一般化・普遍化した報告・普及というところでございます。
過去、これまでにセンターで出していただいた提言でございますけれども、実際にその提言を医療現場のほうで活用いただいているかどうかということを調査していただいております。これも第2回の資料からの抜粋でございますが、物によってはかなり現場で御活用いただいているというところもある一方で、なかなか活用が難しいというものもあろうかと思います。こういった点につきまして、また引き続き調査分析も必要かなと思っているところでございます。
また、調査支援センターの提言書に基づいて、製品開発に結びついたという事例もあるとお伺いしております。
こういった個別の提言でございますとか警鐘レポートといったものにつきましては、院内調査報告書を基に作成されております。センター調査報告書と調査報告書は、同じ1つの事例について2つの報告書があって紛らわしいところではございますが、センター自らが行う調査報告書につきましては、法令上、管理者と遺族に報告をするということが定められているのですが、これが再発防止に使えるかどうかということにつきましては明確に定められているものがございませんので、使えるのか。1つの事例について、院内調査報告書は確かに再発防止の警鐘レポートですとか提言に使えるけれども、センター調査報告書はどうなのかというところが不明瞭なまま現状は来ているというところでございます。
以上を踏まえまして、まずはセンターが作成していただいている再発防止策の医療機関の実装でございますとか製品開発といった取組はぜひ今後とも推奨していくということについてどのように考えるのかということ。
もう一つは、今申し上げたように、院内調査報告書ではなく、センター調査報告書につきましても一般化・普遍化した形で再発防止に活用するということについてどのように考えるのかというこの2点を議論の方向性としてお示ししております。
続きまして、4つ目でございます。支援団体による支援の充実ということで、こちらも論点は1つでございます。支援が可能な支援団体の整理と支援団体等による支援の充実という部分でございます。
支援団体につきましては、55ページにございますように医療法に定められているものでございまして、併せて省令のほうでは支援団体が共同で協議会を組織することができるということになっております。この協議会は中央組織(中央協議会)として全国に1か所、地方協議会として都道府県に1か所ずつ現在設置されているところでございます。
支援団体でございますとか連絡協議会の状況につきまして、研究班で実態調査を行っていただきまして、第2回の検討会で御発表いただいております。この中で、支援団体自体の環境の変化なども踏まえまして、支援を提供できる支援団体を改めて確認することも必要ではないかといった御指摘があったと承知しております。
地方協議会の状況でございますが、これも支援団体のリストを管理しているとお答えいただいている団体が7割ぐらいあるというところ。また、支援団体が行っている支援の内容を把握しているのかというところに関しましても、一部でも把握しているというところは8割程度であったというデータでございます。
あと、支援の質を確保するための取組ですね。これも中にはそういった研修などを実施していただいている団体があると承知しております。
こちらは地方協議会の協議会や研修回数のグラフでございまして、あともう一つ、こちらも第2回で御指摘いただきましたように、相談しやすい環境づくりということで、宮崎県の医師会の事例なども御紹介させていただいているところでございます。
61ページ目は、そういったことを踏まえまして、議論の方向性といたしまして、まず、各支援団体が現在も支援の意向があるのかということでございますとか、どういった体制で支援を行うのかということ。また、支援の状況などを定期的に確認いたしまして、支援団体を適宜再整理するということについてどのように考えるのかという点が一つ。
2つ目が、そういった支援を求める医療機関に対しまして適切に情報が提供できるように、支援団体に対しまして一定の定期的な活動状況を提出していただきまして、それを協議会と共有することで、協議会がうまく医療機関に支援団体をつなぐことができるように進めていけばどうかということ。
3つ目が、支援団体の支援に携わる方に対しても研修を整備して、支援ができる人を増やしていくという人材育成を進めていくことについてどのように考えるのかという3点を議論の方向性として挙げております。
最後が国民の制度に関する周知促進ということでございまして、論点もまさにその普及啓発活動の促進というところでございます。
まず、医療事故調査・支援センターにおきましては、その使命といたしまして医療安全施策の普及啓発というものもございますので、これまで様々な取組をいただいているところでございます。具体的には、こういったリーフレットでございますとかポスターを作成いただいておりますし、あとは第2回の検討会でもこういった市民公開講座を予定されていたり、新聞広告を掲載していただいていたりといった取組を御説明いただきました。
他方で、医療安全支援センターによる情報提供については、やはりホームページが中心というところでございまして、ほかにもいろいろ活動はあるのですけれども、どうしても見てもらわないとなかなか情報が取れないというところがあるかなと思っております。
そういったことを踏まえますと、医療事故調査制度に関しまして、医療安全支援センター自身の対応というのも重要かと思いますけれども、そこも含めまして、幅広い関係者が普及啓発を促進していくということが重要かと思いまして、そのことについてどのように考えるのかといったところを最後の議論の方向性としてお示ししております。
長くなりましたが、以上になります。
○山本座長 ありがとうございました。
それでは、議論に移りたいと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、若干区切りながらお願いしたいと思いますが、まずこの資料における論点の1.医療事故判断の質向上、この点につきまして、資料の7ページの一番下のあたりに3つぐらい論点が掲げられて、それぞれについて御検討いただいているわけでありますが、この論点は特に区切りませんので、どの点からでも結構ですので、御意見、御質問があればいただきたいと思います。御自由に御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
木下正一郎構成員。
○木下(正)構成員 木下正一郎です。
全体的に区切ってということなので、全体的に賛成ではあるのですけれども、ちょっと不十分ではないかとか、あるいはこういう方向性を考えているというのはまた個別に述べさせていただくとして、この点について記録の保存というのはぜひしていただきたいなと思っています。
それで、たしか担保、検証ということができていないのではないかということが書かれていたかと思うのですが、判断がしっかりされているかということの検証も院内でしっかりしてほしいなと思っています。今、監査委員会というのがあると思うのですけれども、そこなどに院内で提出していただいて、その監査委員会などでしっかりと検証できるような記録を保存していってほしいと願っています。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに。
宮脇構成員、お願いします。
○宮脇構成員 御苦労さまです。
全体としてかなり丁寧に検討されているなという印象なのですよね。遺族が医療事故の判断で感じるのは、要するに、事前に死亡のリスクの説明があったのか。それから、記録があるか。もう一つは死亡するリスクを回避するための準備がされていたか。この3つで予期していたかどうかということを振り返って皆さん判断しているのですけれども、そのどれもされていない場合に、最終的には管理者の総合的判断でこれは予期していた範囲に入るという形で、この制度には入らないということで届出されなかったりすることで、非常に苦しんでいる相談が結構あるのですよね。
それから、事故の当事者も、そのことについて遺族には大変申し訳ないということで、このことについてきちんと調べて届出しますと現場ではお話ししていたのだけれども、管理者の判断ということで面会することすらできない。丁寧な説明を求めても、病院としてそういう結論なのだから、あとは何かあったら弁護士に相談してくれということで、対話のところが全く遮断されて行き場がなくなる。それで、遺族も苦しんでいるのですけれども、事故を起こした当事者もそのことで、自分たちは逃げる、隠す、ごまかすという気持ちはなくて、正直に向き合いたいのだけれども、病院としてそれができないことによって一生その重みを背負うというか、本当に苦しんでいるお話も聞くのです。
だから、この制度をちゃんと運用していくために、それができるかどうかは今後の鍵だと思うのですけれども、そのことで、管理者の判断のプロセスをちゃんと記録に残すということは今後の改善にとってすごく大きいと思うのですけれども、ただ、それが再発防止にどうリンクしていくのかが見えないのです。記録するだけだとそのままになってしまうかなと。せっかく記録されているものを今後の報告につなげたり、予期せぬという判断がもっと社会的にもそうだよねという共通認識に遺族も含めてなるようにするために、今回の丁寧に記録して遺族に説明するということについては納得できるのですけれども、それが再発防止にどう結びついていくかのプロセスがまだ見えないなと思うので、そこを今後の課題として残しているかなと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局はコメントはいいですか。
髙宮構成員。
○髙宮構成員 今の宮脇構成員の発言に関係するのですけれども、今日の資料の9ページの2つ目の文章で「医療事故には該当しないと判断した場合には、遺族等に対してその理由はわかりやすく説明すること」とあって、今度は17ページで、センターに遺族の方が相談して、センターから病院のほうに問合せをしても11%しか報告がなされていないということで、結局そこの齟齬が病院と遺族との感情のもつれになっているのではないかなと思うのです。ただ、10年前にこの事故調査制度ができる前の大綱案のときにはポリスパワーが入っていたので、結局成立しなかった。今回のはポリスパワーを排除することで成立した。しかも、支援団体というものができたので、ここの遺族に対してその理由を分かりやすく説明することと同時に、センター等の支援団体にその判断を仰ぐというようなことをやることによって、第三者、支援団体の判断を説明することによって、遺族の方も納得していただけるような結果になるのではないかなと思うのです。
日本精神科病院協会では、医療安全管理者養成研修会のときに、私の講義で会員病院の医療安全管理者になる人たちに病院で判断するなと。事故が起こったらすぐに精神科病院協会に相談しろと。その相談で該当しないとなったら、遺族の方にそう説明しなさいと。
現実問題には、該当すると答えを返しても5割がスルーされてしまうのですけれども、そのことは、やはりこちらが該当すると判断したら、あなたたちもちゃんと報告しなければ駄目ですよということも講義で厳しく説明しているので、何とかそういう第三者機関の判断を入れることで御遺族の方も納得できる環境になっていくのではないかなと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
○山本座長 ありがとうございます。
それでは、事務局から。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。現状の制度の仕組みといたしましては、まさに支援団体とかセンターがセンター合議でございますとか法律上の支援が可能であるといったことをお示ししてございますので、医療機関においてそういった判断に悩まれる際に外部から支援をしていただくということは大変重要なのだろうと思っております。
他方で、制度そのものの根幹といたしましては、管理者が判断を行うという制度の立てつけになってはおりますので、そのバランスを取りながらうまく遺族の方との関係性を構築していただくということが現状の制度運営というところになるのかなと思っております。
そういった現状を考えますと、まずは遺族からの御相談があった際に、それにどう対応していくのかが決められていないと、まず院内でまずそこを決めていないと、どうしてもそこで対話を止めてしまう方向に進みがちでございますし、どう対応したのかの記録を取っていないと、本当に人が変わるだけで言っていることが変わってくるとか、様々な問題が発生するようになるかと思いますので、まずはプロセスを院内で明確化していただくこと、その際には今御指摘にありましたような支援団体と相談というところもプロセスの一つとして考えていただくことが重要ではないかなと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
藤原構成員。
○藤原構成員 ありがとうございます。日本医師会の藤原です。
今、加藤室長からお話しいただいたのですが、この仕組みの本質というのは今さら申し上げるまでもなく、再発防止のための施策をどういうふうに各医療機関で考えて進めていただくかということ、再発防止は大きな仕組みの中でというのはあるとしても、医療機関において再発防止を自分たちで検討していく。その最初の入り口のところで自分たちで判断してもらう。そこに悩まれることがあれば支援団体が相談に応じます、という立てつけだと思っておりますので、支援団体の判断に従って医療機関が動くというのは本質的には違うものだと思いますし、仕組みとしてもそうなっているものと私は理解しております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
今、構成員の先生方皆さんのお話を伺っていて、髙宮構成員のお話も、的確に助言していただけるのでしたら、それを参考にするのはいいことだと思うのですけれども、私自身が患者遺族としての活動や取組と、もう一つ、病院の中の医療対話推進者として院内の患者相談窓口の担当を20年担ってきた中で、医療事故を判断してもらうべきではないのではないか不信感を持ってしまう遺族が少なくないということと、判断されなかった場合に、その理由を分かりやすく説明することという今まさにご紹介いただいたことですが、判断しなかった場合は、ほぼ説明されていないということを本当に多くのところから聞こえてきているのですけれども、そのときに、支援団体が何かそれ以上の助言をされるとなると、私が聞いている限りでは、院内の管理者が判断に非常に迷っていて、それを支援団体に相談したら、これは医療事故に該当しないと思うとはっきり答えられている支援団体が結構ありました。それに対しても、病院長である管理者が、支援団体がそうおっしゃっているのだから、これは該当しないと判断するとして、動いていたことが動かなくなるという事実もあるので、支援団体には、やはり適切な助言のために質を上げていただかないと、今の段階ではリスクがあるのではと感じました。
それからもう一つ、該当しない理由を分かりやすく説明することというところも、病院の中で医療事故の疑いがあるときに遺族対応は非常に緊張するので、相談窓口などを充実させて医療安全管理者と連携して対応する仕組みをつくらないと幾ら判断を適切に、事故調査を適切にと言っても、遺族対応が非常に難しいということは研究、アンケートの結果などでも出ていると思いますので、そこに向けてもしっかり取組を進めていただきたいと願っています。
そして、記録の保存についてですけれども、これもやはり言った、言わないに、なってしまうので、記録をしていくかというのを院内でもしっかり決めて、それを徹底することで後々何かトラブルが起こるようなことがあっても、そこでしっかり示したり御説明できたりすると思いますので、記録の保存についての徹底は、ぜひ実施していただきたいと思っております。
このようなことが大事で、患者も遺族も、医療従事者に対しても、これらの支援を充実させないと、ここで議論されていることが上手に機能していかないのではないかと、現役の医療対話推進者としても心配しているところです。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
支援団体の問題についてはまた4でもその支援の充実という点が指摘されているかと思いますけれども、藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 たびたび申し訳ありません。
今御指摘があった内容も踏まえてですけれども、9ページの通知は、下線を引いていただいていますけれども、組織として判断するということと、遺族等に対してその理由を分かりやすく説明する、本当に基本的なことなのだろうなと思います。それを記録にして残すということで、それで実効性があるのかと宮脇構成員も今言われましたけれども、自分はちゃんと組織として判断した過程と、それから、遺族に対して説明したという内容をきちんと記録に残すことというのは、医療の現場でずっと働いてきた者としては、やはりそれはかなり質を上げることにつながるのではないかと思っています。なかなかイメージしにくいかもしれないのですけれども、現場ではやはりきちんと記録を残すということはすごく大事なことだと。カルテの記録がまさにそうですけれども、とても意味のあることにつながるのではないかと私は思います。
感想です。以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
南須原構成員、どうぞ。
○南須原構成員 北海道大学病院の南須原です。
私は今まで管理者としてずっとやってきましたので、北大で検討に当たったのが10年間で20から25ぐらいあったと思うのですよね。そのうちの10例報告していますけれども、全部記録を残しています。特に医療に起因したか起因していないかの理由、予期したかしなかったかの理由は必ず残した。それを総合判断で、これは報告対象、報告対象ではないというのを必ず決めているのです。10年ぐらいたつと、結構それがいい勉強になるのです。何かのときにあの事例はどうして報告したのだろうか、あの事例はどうして報告しなかったのだろうかというとき、その記録がすごく役立つのです。だから、病院にとっても判断の記録を残すというのは非常に医療事故調査制度の理解につながると思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 ありがとうございます。日本病院会の岡でございます。
判断の質向上の中で、出発点は全死亡例のスクリーニングをしっかりする。ここはしないと結局何も上がってきませんので、やはり全症例のスクリーニング、参考資料の83ページを見ますと、死亡事例があってスクリーニングを行っていない施設はわずか20%なのです。なので、医療安全管理指針にこういう全死亡例のスクリーニングの方法を明記するということは私は賛同したいと思います。
ここは院長が個人でスクリーンするわけではなくて、医療安全管理者あるいは医療安全管理室の職員が複数名でしますので、そこをしっかり記録に残す。そこから疑義があるものに対しては院内で事例検討会をしますので、そこもしっかり議事録を残して記録に残す。最終的に院長が医療事故調査制度に上げるかどうかの判断、その判断の根拠もやはり記録に残す。こういうようなことを医療安全管理指針に明記することに関しては私は賛同しますし、ここから出発して質はこれから上げていくことでまずやはり報告制度の、しっかりやるという過程、プロセスを明記することに関しては私は賛同したいと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
それでは、米村構成員、お願いいたします。
○米村構成員 本日の事務局からの御提案の内容は基本的には全て賛成したいと思っております。
今議題に上がっている医療機関管理者の判断質向上ということで、記録を残すといったことも当然必要でしょうし、院内体制を充実させるということも必要であろうと。それらは全て有意義な方向に働いていくと思いますし、そうなることを期待したいと思っております。
ただ一つ、この問題に直接関わるかどうかはよく分からないのですけれども、私が元来思っておりますのは、医療事故判断について、医療事故であると判断するか、医療事故でないと判断するかによって大きく状況が変わる。それを医療機関管理者に判断させるというこの仕組み全体がどうもうまくないのではないかという気がしてならないところであります。現状の法律の立てつけはそうなっておりまして、医療事故に該当すれば、法的な医療事故調査義務が課せられ、センター報告義務が課せられ、そういった手続が全て動くということになるわけですが、ひとたび医療事故に該当しないということになるとそれらが全てゼロになるというのがどうにも私には様々な問題を引き起こしている源なのではないかという気がしてならないわけであります。
私自身、いろいろな医療機関において医療安全講習のようなものをする場合もあるわけでして、医療安全の先生方とお話しする、あるいは医療安全に関する識見の非常に高い医療機関の管理者、その他のスタッフの皆様とお話しさせていただく機会もあるわけですが、意識の高い医療機関ほど、厳密に法的な医療事故に該当しなかったとしても、やはり医療事故調査を行うべきだと。それによってきちんと院内体制を見直し、御遺族の方々にも説明する根拠をつくり、きちんとした事故対応をしていくということがトータルでその医療機関の医療安全の向上に資するのだと。医療事故に当たるかどうかというようなところで、入り口のところでがちがちとやるということにほとんど意味はないのだというような御意見もよく聞くのです。
やはりそういった観点も踏まえて、医療事故に該当しなかったとしても、きちんとした医療事故調査を行っていくということに対するインセンティブを設ける、あるいはそういったところをきちんと評価していく。そういう仕組みをつくったほうがトータルでこの問題を顕在化させなくするのではないかというような気が私はしております。
これは医療事故調査制度全体に関わる話なので、この論点だけの問題ではないと思いますけれども、ここにお集まりの先生方の御意見もぜひお伺いしたいと思いますし、事務局のほうでも、医療事故に該当しない場合にどうするのかということについて、もう少し具体化した形での指針なり方向性をお出しいただくということを御検討いただきたいと思っている次第であります。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
事務局、お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
御指摘ありがとうございます。医療事故の判断自体を管理者が行うというのがまずそもそもの制度の根幹になっておりますし、その点に関してはこの制度が出来上がる際にも様々な御議論があった上で出来上がったものだとは思っております。
他方で、今御指摘いただきました医療事故に該当しなかった場合でございますが、これはまさに院内で発生した事案に対して、医療機関において自らがどう医療安全を確保していくのかというところがポイントになってくるのだと思います。それに加えて、御遺族の方や、亡くなっていらっしゃらない場合ももちろんあるのだと思いますが、そういう場合はもちろん医療事故に該当しないのだと思いますけれども、そういった患者の方との関係性を別途構築していくという2つの部分が重要になっていくのだと思っております。
まさに前回の検討会においては、院内における医療安全管理体制の強化のための内容を御検討いただいたところでございまして、医療事故に該当しなかった場合の院内の医療安全の強化ということにつきましては、こういった場も含めてまた様々な議論をできればと。院内でしっかりとPDCAサイクルを回していただいて、どうやってそれを再発防止につなげていくのかということを検討していただける体制をつくっていただければと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
恐らく米村構成員の問題提起は、今の御回答を超える部分も含むより根本的かつ重要な御指摘であったかと思いますが、この検討会でそれをどこまで引き受けることができるのかという問題ももちろんあろうかと思いますので、これは事務局のほうで引き取っていただいて、どういう形で検討するかを含め、引き続き御検討いただければと思います。
菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 医療法人協会の菅間です。
今の点と絡んで、極めて重要と思っていますけれども、この検討会の冒頭、森光医政局長から、今回の検討会は、医療事故調査制度等の医療安全に係る全体を議論してほしいという話だったと思います。今日は医療事故調査制度に重点をおいているわけですが、医療法で定義された医療事故は特定の状況で亡くなった病態だけを指しています。本当は北大の南須原先生がおっしゃられるように医療事故はもっと広いわけです。本検討会では厚労省から提示された医療安全施策の全体像の図の➀医療事故情報収集等事業の医療事故を含めて、どういうふうに対策を練っていくか考えていくべきなのだろうと思います。
ただし、10年前に制定された医療事故調査制度では、医療事故調査制度における医療事故の定義は本来、①医療事故情報収集等事業の広義です。しかし、これに関しての医療法に記載が一切ありません。医療法の施行規則で説明されているだけであって、そこが政策上、立法上の曖昧になっています。改めてこの点を考慮し、医療事故調査制度に関しては、法律で定まっている定義に従ってきちんと議論し、さらに広義の医療事故の定義で、医療安全施策の全体で議論されるべきではないかなと私は考えます。医療安全における些細なヒヤリ・ハット相当の医療事故対策を積み上げて、最終的に医療関連死相当の医療事故対策につながるように制度設計を考えることが、本検討会の冒頭の目的だったと思います。このところを改めて整理しながら進めていただければと考えます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
藤原構成員、何か。
○藤原構成員 もしかすると私はピントがずれているかもしれないので、医療事故と判断されなかったものをどうするかという話だとして、医療事故ではないと判断されたものの再発防止策は何だろうという感じが今したのですけれども。
○南須原構成員 さっきの宮脇さんの御発言に対してですよね。
○藤原構成員 患者さんから学ぶという話であれば、それはそもそも医療とはそういうものだと思いますので、その中でどう対応するのかというのをちゃんと区別して考えたほうがいいのかなと思って聞いていました。
○山本座長 ありがとうございます。
今、対象になっている項目は、制度理解の向上、研修の話も一応対象に含まれているのですが、これについてはいかがですか。
木下正一郎構成員。
○木下(正)構成員 では、研修のところを。制度理解の向上ですね。管理者を対象とするかというところに限って意見を述べたいと思っているのですけれども、私としては、管理者が望ましいというのではなくて、管理者も当然受けていただきたいという希望を持っております。そのように考えるのは大きく3点ほど理由がありまして、先ほど来出ているように、制度上は管理者が判断者となっている。組織として検討すると言われても、最終の判断者はしっかりとした研修を受けていただく必要があるのではないかというのがまず一点です。
それから、ちょっと話が長くなるのですけれども、この制度ができる歴史として、2012年から2013年にかけて医療事故に係る調査の仕組み等の在り方に関する検討部会というのが全13回にもわたって開かれて、ようやくこの制度ができたという歴史があります。その中で、医療者の先生方、医療界を代表して出てこられている先生方は、これからは医療界を挙げて医療事故に取り組むのだとおっしゃっていただきました。それを聞いて、それまでは第三者機関中心の医療事故調査制度を患者側は希望していたわけですけれども、医療界の先生方がそこまで言うのであれば、それを信用して医療事故調査制度は院内事故調査を前提・中心とする制度で了承しようと態度を改めた経緯があります。そういう歴史的経緯を踏まえると、いまだに管理者が望ましいとかと言っているのは10年もたって進歩がないのではないかと正直に思います。
それと、もう一点としては、今日も報告でもしていただきましたけれども、効果として管理者が受講している場合は報告経験が多いという成果にも現れているので、ぜひ管理者の研修は必要ではないかと考えております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
事務局からどうぞ。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御指摘ありがとうございます。
管理者の研修に関しましては、御指摘のとおり、管理者が受けていただくのが一番よいのだろうと制度の構造上は考えるところでございます。
他方で、管理者のほうが受けやすい環境の整備というのがまだ十分にできているのかというところは一つ考えなければいけないポイントかと思っております。全ての管理者の方に受けていただくには、やはり一定の的を絞った研修を整備していくことですとか、あとはオンラインですとか、どんな方でも受けられるような環境の整備というものをやっていく必要があろうかと思います。
あと、データに関しましても、27ページ目にございますように、小規模の場合はうまく傾向がそろっていなかったり、それも恐らく管理者の方に受けていただくべき研修というのがターゲットとニーズと準備できているものというところのアンマッチですとか、あとは環境が十分ではないといったところもあろうかと思います。そこは10年間整備が不十分であったというような御指摘は甘んじて受けるところでございますが、まずはそういった環境整備ですとか研修の充実というところを行っていきながら、状況をまた検討していければなと思っているところでございます。
○山本座長 それでは、岡構成員、お願いします。
○岡構成員 ありがとうございます。
管理者の研修はもちろん必要だと思いますけれども、私も医療安全管理者養成研修を数年前に受けましたけれども、やはり35時間ぐらいのeラーニングと8時間のオンライン演習ですね。やはりオンライン演習の時間を取るのはかなり難しいのと、制度的に、今、事務局からもあったように、この研修が何を指すかということですけれども、その後も養成研修講座を院長全員が受けるというのはキャパシティー的に無理だと思うのです。この制度設計は今後考えていただくということで、私も日本医師会の委託の管理者・実務者セミナーというのは全く知らなかったですけれども、5時間ぐらいでこういうのがeラーニングできるのであれば、こういう研修はいいと思うのですけれども、実際に研修は何を指しているのかと。今ある安全管理者養成研修だとキャパシティー的に全病院の院長が受けるということだと何十年かかるかなと思うので、そこは事務局は何を想定している、あるいはこれから想定するということなのでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
今御指摘いただきましたとおり、40時間以上ある研修を全ての病院の管理者が受けるのは現実的ではないというのはそのとおりだと思っております。まさに今、研究班のほうでコアとなる内容を詰めていただいているところでございますので、管理者・実務者セミナーは5時間のものを基本としながら、そこからさらにどういったものがポイントとなる研修なのかというのをまた検討できればと思っております。
○岡構成員 分かりました。そのような形で進めていただければいいかなと思います。
〇山本座長 豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
私も今の事務局からのご説明を聞いて、基本的には賛成ではあるのですけれども、やはり院長、管理者の研修受講は望ましいと思っております。
実際に私どものようなNPOの団体などでもクリニック、診療所の医師からご相談を受けることもあって、情報が入ってきていないという悩みを持たれている先生方の声を聞いています。確かに、診療所で事故が発生することは病院よりも少ないとは思いますけれども、それでも例えば産科に関してはかなり高度なことを診療所レベルで行わなければならないということもありますので、診療所も全て含まれるのであれば、院長が全く情報を得られない、研修を受けられないというのは、むしろ良くないのではないかと思っております。
そして私はセンター調査の総合調査委員も担っておりますけれども、1つの病院で事故が起きていることばかりではなくて、診療所で何かが起きて、その後に中小の病院、二次救急、三次救急の病院に搬送されるというように2つ、場合によっては3つの医療機関が関わったりしていることがあります。そのときに医療機関ごとに認識や意識が違ってくるとトラブルのもとにもなると思いますし、事故を起こしていない医療機関が調査をしなければならないというような負担にもなってくるのかと思いますので、もちろん最終的に亡くなられた医療機関が関わらなくていいということではないのですけれども、やはり診療所の先生方もしっかりとこの制度への理解、参加をしていただくということがとても大事だと思いますので、その意味で管理者が受けやすい研修や環境の整備ということを急務でお願いできたらと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
木下浩作構成員。
○木下(浩)構成員 全国医学部長病院長会議から出ております木下でございます。
管理者もしくはその関係者が教育を受ける機会を与えるということに関しては大賛成でございます。ただ、先ほどの合議体をもってしてでも、3割ぐらいの医療機関からの報告がなされていないといったことからすれば、十分理解をしたとしても、合議体からの報告を受けて、それでも報告をしなかったということになってしまうので、理解というよりも、この制度そのものに対して何かそのほかの誤解が生じている可能性もあると思うのです。そうしますと、管理者全てに対して詳細な管理の制度の教育を行うということよりも、制度全体としての位置づけは医療安全上の再発防止なのだということを含めた周知といったものが、国民全体の周知促進ということが最後の議論に出てきますけれども、そのような内容でもいいのではないかと思います。まずはこういったことに取り組んでいるのだよということを、政府広報でも結構でしょうし、様々なところから周知するということを前提にした後に、特定の方々には専門的なより深い知識を得ていくという段階をもってしてもいいのではないかなと思いました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。
ほかに。
藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 いろいろ出たのであまり言うこともないのですけれども、何度も言うように、9ページに「組織として判断する」と書いているので、そういう意味では院長だけとしなくてもいいのかなというのが一つ。
あと、何度も言うように、やはり医療機関は規模が小さくなればなるほど院長の担っている役割はとんでもなく大きいので、さらに負荷をかけるよりは、「管理者が望ましい」という姿勢はそれでいいと思うのですけれども、判断するにあたって管理者を支援する人が勉強をする機会を持ってもらうという仕組み、取組が良いのではないかと思います。
あと、先ほど日本医師会が委託を受けている管理者・実務者セミナーとあるのですが、あれは実はeラーニングも入っていまして、eラーニングも含めると例年1,000人近くの方に受講していただいています。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
米村構成員、お願いします。
○米村構成員 1点だけですけれども、先ほど藤原構成員からでしたでしょうか。医療事故に該当しない場合にどういうふうに再発防止をするのかという御発言があったかと思うのですけれども、それは法律上の医療事故として扱われる事例が、現状、いわゆる一般的な意味での医療事項と呼ばれ得る事例の一部にすぎないということの理解が十分に行きわたっていないということなのではないかと思った次第です。
一般に医療事故として扱われ得る、少なくとも民事訴訟などでは通常の医療過誤訴訟として十分賠償責任の対象になり得るような事例であっても、医療法上の医療事故に当たらない場合というのは幾つかあります。一番はっきりしているのは死亡事例に当たらない場合です。高度の後遺障害などが残ったとしても、まだ患者さんが御存命である場合には医療事故に当たらないわけです。ほかにもいろいろなケースはあり得るのですけれども、先ほど豊田構成員から言及が少しあったような気がしたのですけれども、幾つかの医療機関、複数医療機関が関わっているような事例で、最後の死亡事例に直面した医療機関にとって予期していない死亡であったとしても、前医で何かしらの医療事故が関わっているというようなケースもあり得ます。
そういうようなことも含めて考えれば、やはり法律上の医療事故に当たらなくても、いろいろと医療事故として検討する。あるいは医療事故としてではなくても、何かしらの形で原因究明を行い、きちんとその背景を明確にしておくことが将来の医療安全にとってプラスになるという事例というのはかなり多く存在するのだろうと思います。
ですから、これは直近で議論されていた研修をどうするのかということに関わるわけですけれども、研修をするということ自体に意味があるのではなくて、何をお伝えするのか、何を御理解いただくのか。これは管理者であれ、病院の医療安全スタッフであれ同じことだと思うのですが、そういった研修の中に何を内容として盛り込むのかということをきちんと整理できないと、あまりやっても意味がないということになってしまうと思います。
私自身の意見としては、単に法律上の立てつけとして医療事故というのはこういうふうに医療法で定義されています。ですから、こういうことを判断してくださいと。それはほとんどの医療機関の管理者は御存じだと思います。それを御存じの上で、しかし、現状の様々な問題が生じているということがあるわけですので、やはりもう少し制度の形式的な定義だとか解釈指針ということだけではなくて、それももちろん盛り込んでいただくほうがいいと思いますけれども、それだけではなくて、そもそも医療安全とは何なのか、そもそも医療事故というのは何なのか。そういった中で、どのように医療機関が対応することが今求められているのか。その中でこの医療法上の医療事故調査制度というのはどういうふうな扱いになっていて、どのような対応が法律上義務づけられているのか。そういうことをトータルとして伝達するような研修である必要があるのではないかと考えている次第です。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 菅間です。
今の点に関してはそのとおりだと思うのですけれども、実際に医療事故という名称がいろいろな意味で使われているので、先ほどの繰り返しになりますが、基本的に医療事故情報収集等事業で使う医療事故という名称と医療事故調査制度で使う医療事故は違います。名称を変えるべきなのではないかなと思います。どちらを変えるかは別ですが。
もう一点、先ほどの藤原先生の追加になりますけれども、医療機関の管理者の研修に関しては、管理者の要件になりますので、義務づけるのであれば、医療法自体をきちんと改正して明記しないと無理があるのではないかなと私は思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
児玉構成員、どうぞ。
○児玉構成員 医療現場で法律上の定義に何にも当てはまらないような患者さんあるいは御家族、御遺族と管理者を中心とした医療スタッフとの対話がうまくいっているときもあれば、それが対立の芽をはらんでいるものがあり、とりわけ死亡事案については、いつも全ての事例で、対話による納得への道と、それから、確率は低いですが、対立が生じるというような場面も多々ある中で、本当に10年前いろいろな議論を経てできたこの医療事故調査制度というのは、ほかの国でいろいろ成立している医療事故関連の調査制度と比較すると、管理者の自主性、患者家族の理解、納得、それから、支援団体からセンターに至るまでの第三者性というものを組み合わせて、あまり法的強制というかほとんど法的強制を入れない対話と連携の中で信頼の関係の修復を目指していくような非常にファジーな面がある。ただ、他方、対話を重視するという意味では、一定の役割を果たしてきた制度だと私は思っています。
皆さんがおっしゃるとおり、各医療団体等で多数のマニュアルが出ていて、要件論、法律論については語り尽くされている面があると思いますが、私がぜひ管理者の方々に伝えてほしいのは、管理者には2種類あって、よくこの制度を使いながら、うまいコミュニケーションのプロセスを実現しているという経験を持っている組織や管理者もいらっしゃいます。他方、この制度を使うことで、それがかえって対話やコミュニケーション、納得へのプロセスを歩めなかった、うまくいかなかった経験を持っておられる管理者の方もいらっしゃると思う。そのときに、もともとこれは法律の要件で強制したり、公権力が介入したりするということを想定していない。もともとポリスパワーが入ってこないという先ほどの髙宮先生の御発言もありましたけれども、そういうコミュニケーションの仕組みですので、管理者の方にぜひ伝えていただきたいのは、例えば南須原先生のところのように多数の経験を経て、恐らく多数繰り返されているのは、そのコミュニケーションで得られるものが患者さんの側にも医療機関の側にもあったという成功体験だと思います。そういうものを、例えばアネクドータルな形であったとしても、同じ要件を見て同じ法律論の議論をしていても意見が合わなくなるのは、具体的な体験に差があるからなのではないかと。よい体験を双方から、患者側からも医療機関側からも共有していただくような研修であってほしいなということを申し上げたく思って発言しました。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
宮脇構成員、どうぞ。
○宮脇構成員 先ほどの児玉構成員のお話のとおりだと思うのです。対立の方向になっていくのは、ほとんどが対話を打ち切られた。打ち切られてしまって行き場所がなくなって、私たちのところに相談に来たりという形で、病院のほうが説明を分かるまで尽くしますという姿勢があれば対立にはなっていかなくて、多くの人が何とかその病院でいろいろな意味で誠意を感じられるような対応が欲しいと切実に思っているのですよね。そういうことを管理者研修のところでも今回伝わるというか、恐れないでほしい。遺族を恐れず、最初はうまくコミュニケーションが取れなくて、それから、病院の説明もうまく理解できなくても、数を重ねることで病院のほうも分かるように説明していくし、それから、聞くほうもその思いで自分たちも段階を踏まえて理解していく。紛争化しないことが再発防止にも本当につながっていくなと思うし、それで遺族の方も事故の大変さから立ち直っていける。私たちに話すだけでも夜眠れるようになりましたとかそういうことなので、本当にささやかなのですけれども、そういう対話のところがどうやって押さえられるかと。管理者の方々がそういう認識をしていただくと、もっと穏やかな事故に対するいろいろな対応ができるようになるし、安心して報告したり、病院の中での職員の関係とか院長に対する信頼も高まるのではないかと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
この1の点につきましては、ここに書かれてある中身それ自体については、私の理解ではおおむね構成員の皆様からの御賛同が得られているのではないかと理解しました。ただ、一部の項目については、管理者の研修等を含めて、これよりもっと先に進むべきではないかという御意見も構成員からは示されたところかと思いますので、基本的には本日の御提案、御議論を基にして取りまとめに向けて事務局のほうで御整理をお願いしたいと思いますが、一部の項目については引き続き御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
それでは、よろしければ、もうちょっと区切ろうかと思っていたのですが、時間の関係もございますので、私の認識ではこの1が今日の一番大きなポイントだったのではないかと認識しておりますので、2から5までの項目ですね。既に再発防止の問題でありますとか、あるいは支援団体の支援の問題とか、若干御議論いただいた点も含まれているとは思いますけれども、2の院内調査の質の向上等も含めて、2から5をまとめて御議論いただきたいと思いますので、どの点からでも結構ですので、御発言いただける点があれば御発言をいただきたいと思います。
南須原構成員、どうぞ。
○南須原構成員 南須原です。
質の向上で、今日医師会の藤原先生がいらっしゃるのでお願いしたいというところもあるのですけれども、やはり私たちのような大学病院であれば自己完結というのはできるのですけれども、多くはできないわけですよね。そうすると、例えば判断の根拠、それから、場合によっては調査員の派遣も支援になりますよね。そうすると、学会等がその役割を果たす場合もありますけれども、そのプロセスすら分からないというクリニックなり小さな医療機関はいっぱいあるのですよね。やはり地域の支援団体、医師会が中心でしょうし、その連絡協議会、北海道も実は連絡協議会はあるのですけれども、10年間で1回しか開いていないのです。ただ、北海道の支援体制としては、私も副会長なので非常に頑張ってやっているのですけれども、都道府県によって差があるでしょうし、年1回中央でやるというのは義務なのでしたか。どうなのでしたか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 中央が設置されていることが望ましいとされており、協議会の開催は義務とはなっていません。
○南須原構成員 なので、中央のほうでもそういうのを年1回やるとかして、全ての都道府県の地域支援団体がレベルアップするような取組というのをぜひやっていただきたいと思っているのですけれども。
○藤原構成員 ありがとうございます。
このたび、厚労科研でいろいろ調べて、把握した現状を踏まえますと、しばらく開催していなかった中央協議会というのもありますし、あともう一つは、いわゆる都道府県の中での連絡協議会的なものも、言い訳のように聞こえるかもしれませんが、コロナ禍の5年間、都道府県医師会レベルでは仕事の大半をコロナ対応がかなり占めた部分もあることから、開催数に影響がありました。もちろんそれで医療安全をないがしろにしていたわけではないですけれども、今、中央協議会については企画中ですので、取り組ませていただきたいと思っていますし、その中で全体的なレベルアップを考えていかなくてはいけないと思います。この間も御説明しましたように、コロナ禍でもいろいろな取組をされたところもあったのです。協議会を開いたり、研修会を開いたり、それをどういう工夫でされてきたのかということも含めて、好事例の横展開というのは地方ごとに事情が全く違うので難しいのもよく分かるのですけれども、何とか取り組んでいきたいと思っていますので、温かい目で見ていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 今、支援団体の話が出たので、まずそこからお話しさせていただきたいと思います。私も中央の連絡協議会に期待していまして、ぜひ開いていただきたいなと思っています。そこから質のアップに向けた具体的議論などを行っていただきたいと思います。
それで、地方と中央は上、下という関係にはないと思っていますし、トップダウンではないと思っているのですけれども、何か地方から情報を得て、上がってきた情報に基づいて、やはり中央のほうでもメッセージを発信できるようなことがあればぜひしていただきたいなというところが期待です。
ほかの点もよろしいですか。
まず、本日のスライドの47ページなのですけれども、議論の方向性についての1つ目の○で、第三者を含めて議論を行い、将来的にセンター調査に関するマニュアルの提示を目指すことについてとあるのですが、やはり私としてはセンター調査のマニュアルがあるというのに将来的に提示するという理由がよく分からないと思っていまして、あるのであれば速やかに皆さんに開示すればよいのではないかなと思うのです。
センター調査のマニュアルがトップですとか、それから、それに従いなさいなんて言うつもりは毛頭ないのですが、一方で40ページ、41ページあたりですかね。いろいろなマニュアル、ハンドブック、ガイドラインというのが出ていて、私もこんなにあるとは思っていなくて全部は読み切れていないです。ただ、この中にも趣が違うものがあると理解しています。その中で、医療事故調査・支援センターというところは調査を行うに当たってどういうふうなやり方をして判断しているのだというのを知りたいというのは、この制度の立てつけからして調査に当たる人たちの当然の考えではないかなと思うのです。そうすると、そのマニュアルは示しておくべきだろうと。それを忠実にやっていくか、それとも参考程度にするのかは各医療機関の判断だろうと思っています。ですから、速やかに開示していただきたい、提示していただきたいというのが私の願いです。
それともう一つ、センター調査報告書の公表というのを今回構成員を務めるに当たってぜひお願いしたいと思っておりました。今回の議論の方向性の中でもそれは先送りのような空気が漂っているのですけれども、私がセンター調査報告書の公表を求めるのは、一つは医療事故調査のためであり、もう一つは医療事故の再発防止のためであると考えています。
医療事故調査のためというのは、さっきのマニュアルと同様ですけれども、実際の医療事故調査、センター調査がどういうふうに行われてきたかというのを目にすることによって、どういうものを報告しなければならないか、そして、どういうふうな調査の手順を踏んでいけばよいかというものの非常に参考になる、有益なものになると理解しています。
今回、論点整理の中でサンプルの提示というのを言っていただいています。もしかすると、事故調査の質向上という点を考えるとそれで足りるのかもしれないのですけれども、サンプルを提示いただく場合には、少なくとも複数のケースのサンプルを示していただきたいなと思っています。例えば手術についての報告が多いということが言われていましたけれども、手術の場面が問題になっているとか、診断の場面が問題になっているとか、あるいは報告自体は多少判断者の判断に左右されるところはあるけれども、管理に関わる問題もどう扱うのかとか、そういうふうなサンプルが欲しいと思います。
それで、話がちょっと脇に逸れましたが、もう一つ、センター報告書を公表するという点において。医療事故防止、再発防止につながるという点では、これもさっきの2012年、2013年の検討部会で話し合われていましたけれども、あの中でも匿名性とか個人情報に配慮することは当然として、公表することを前提に話が進んでいたと理解しています。それと、2015年の施行前の施行に係る検討会でも、あれはいろいろな議論が出て、匿名性の確保というところまではたどり着いたけれども、公表しないという結論に達したのかというと、そうではなくて先送りにされたという理解です。
なので、ここで再発防止に向けた公表というものをしっかりしていただかなくてはいけないのではないか。そして、再発防止のためですので、公表するに当たっては、全文をただ単に個人情報のところをマスキングすればいいという話ではなくて、要約版、まさに産科医療補償制度でもやっているような形でもよいのではないかと考えています。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 今の点についてですけれども、かなり微妙だと思います。立場によって再発防止に関わることになると捉えることもできますけれども、多くの場合は、担当した医療機関あるいはドクターに対する責任追及の方向に流れてしまう可能性があると思います。
実際に7月に都内の某私立医大のERCP後の事例が、センター調査報告が基となって訴訟になった話が新聞あるいはNHKに出ていたのは事実です。今行われているセンター調査報告の中身に関して、きちんと第三者も入れながら議論した上で、今後、どのように一般に公表するか、改めて検討することが必要だと思います。現状では、今すぐ出したほうがいいというのはちょっと問題です。私ども日本医療法人協会は中小病院の団体ですが、そのように思います。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
岡構成員、お願いします。
○岡構成員 日本病院会の岡でございます。
今、菅間構成員がお話しした内容と同じなのですけれども、センター調査報告書の内容あるいは院内調査報告書も同じなのですけれども、やはりその内容というのは当該医療機関の置かれた様々な状況もありますし、あるいは報告書に記載し切れない内容もありますので、実際に我々もそこを医療安全担当者が御家族に報告書に沿って丁寧に説明して初めて正確に理解できるものであります。したがって、それらの状況が全く分からない第三者が報告書だけを読んでも正しく理解もできないと思いますし、それがまた新たな混乱を生じるもとになると思いますので、私はやはりこの報告書の公表に関しては明確に反対したいと思います。
まずはセンター調査に関するマニュアルを示すということはしていただいて結構だと思いますし、あるいは今センターが取り組んでいる成果物などを利活用したもので積極的な医療安全の質を向上すると。まずそこを目指すべきであって、やはり単に報告書、文書だけの公表は必ず誤解を招くと思いますので、こちらは私は反対したいと思います。
○山本座長 木下浩作構成員、どうぞ。
○木下(浩)構成員 木下でございます。
先ほど申しました私の所属している全国医学部長病院長会議で、医療安全の質に関してのアンケート調査を毎年やっております。医療事故調査制度に関してのアンケート調査の結果でも毎年同じような結果なのですが、院内調査に関しましては、医療安全の質の向上に対する評価では、80の医科大学の回答ですけれども、この回答でも90%以上の施設から非常に有用である、もしくは有用であるといった結果です。
ところが、センター調査に関する医療安全の質の向上に対する評価では、それが半数ぐらいになってしまうのです。この背景にどのような評価がされているのかというところは不透明ということが挙げられていると思います。そうであれば、マニュアルに関しては法律の立てつけの外だと思いますので、ここは開示できるのではないかなと思っていますので、これは直ちに開示していただきたいと思っています。
○山本座長 ありがとうございます。
長谷川構成員、どうぞ。
○長谷川構成員 長谷川でございます。
センターの持っている資源をいかに活用するかといった御議論だと思います。マニュアルについてはやはり手法の話なので、非常に資源をたくさん使えるセンターと、そうではない小さな医療機関とか、いろいろな状況を考えないといけないのですけれども、やはり一つのお手本として非常に得るところが大きいと思いますので、それを何らかの形で公開していただくということに私も賛成です。
センター調査の事例については、先ほどから御議論があるように、やはり医療機関の個別性が大きいのです。だから、その辺りの情報をしっかり見ないと、1つの報告書から何かの教訓を得るというのは非常に難しい。医療機能評価機構でも認定病院が医療事故を経験した際には詳細な報告書をいただいて見させていただくのですけれども、やはり非常に難しいのは個別性の問題です。あと、一次資料を持っておられるのは当該医療機関であり、それにどこまでアクセスできるかという問題があります。私もやはり限界があるという意見です。ただ、センターとしましては、類似の医療事故について報告事例を集積させた形で提言を出しておられます。だから、現在はそちらのほうの信頼性が高いと考えます。
医療事故の報告対象かについての適切な判断に関してはセンターのほうにいろいろな形で御相談があります。それについて、例えばこういった事例に関してはこういった考えの下にいわゆる事故調と該当すると判断したとか、あるいはしなかったというのは非常に大きな財産ですので、センター同意の下に、何かの形で使えるような形で公開していただくとよろしいかと思います。これは提案です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに。
木下正一郎構成員、どうぞ。
○木下(正)構成員 木下です。
議論の流れはおおむね理解はするのですけれども、1点だけ理由づけとしてそこはちょっと違うのではないかというところだけははっきり申し上げたいのですけれども、スライドの4ページですかね。「個別の報告書の公表は責任追及の流れに繋がりかねず」とあるのですけれども、公表という行為が新たな責任追及につながるとはとても考えられない。センター調査報告書は遺族と医療機関に交付されることになっていますので、公表が新たな火種になるというのは弁護士としては全く理解できないです。
○山本座長 ありがとうございました。
宮脇構成員、どうぞ。
○宮脇構成員 今の木下(正)構成員のとおりで、実物が当事者の病院と遺族に渡されて、それがどのように使われるかについてと公表していくというのは、全く公表されていなくても、実際に使う人が使っているわけなので、公表することが紛争化を招くということは実態としてはないと思っています。
それからもう一つ、私、医療過誤原告の会のホームページで、センター調査報告書がどういうものかというのもほとんどの方が目を通したことがないということで、遺族の方の要望で実物を5例ほど公表しているのですが、それともう一つ、それに対比して院内調査報告書もあるのですが、それは内容は公表しなくてページ数だけ公表しているのですけれども、私たちから見るとこんなに違うのかとびっくりする内容です。センター調査報告書は、事故に至るプロセスが非常に明快というか丁寧にやられていて、それに対するいろいろな検証がとても納得できる。最終的にどの方々が判断したのかも全部掲載されている。一方では、院内調査報告書は責任ないということが強調されていて、どういう検証をされたのかとか、誰が検証したのかというのが分からない調査報告書で、私たちのところに来る遺族のそれを見ると、こんなに差があるのかということなので、今回サンプルでも一応出していただけるということは、院内調査報告書の水準を上げるという点ではとても大事かと思いますし、私たちから見ると、各病院で病院任せになっているところで、非常に調査をやっていく。どこまで踏み込んで調査していくのかは各病院のところで苦労していて、そのことに対するサポートができていないのだなという思いがありますので、サンプルの形でも手がかりとなることをサポートしていくということはとても大事かなと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
髙宮構成員。
○髙宮構成員 日本精神科病院協会の髙宮です。
先ほど木下(正)構成員が個別の報告書を公表することで新たな火種になることはないとおっしゃられたと私は理解したのですが、もちろんセンター調査報告書は病院と遺族の2か所しか出しません。ただ、最近問題になっているのが、例の愛知県愛西市のコロナワクチン、あれは市役所内事故調査委員会ですかね。そこの報告書が市役所のホームページに公表されて、その後、結局、ワクチンを接種した医師が責任追及でネットで攻撃されたというような事例があったりしたので、この公表というのは、遺族の方、それから、病院に対する提示ではなくて、ホームページでの公表という意味ではないかと私は理解しているのです。
それと、先ほども言いましたけれども、今回の医療事故調査制度はポリスパワーを排除した代わりに支援団体とともにできたので、支援団体のほうに移りますが、先ほど宮脇構成員がおっしゃった病院と遺族の対話の場にいかにこの支援団体を組み入れるかということも検討していったほうがよろしいのかなと感じております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかにいかがですか。
藤原構成員、どうぞ。
○藤原構成員 たびたびすみません。
このセンター調査のマニュアルについてなのですけれども、自分もセンター調査に関わっています。実はマニュアルについて今いろいろ話題になっていて、それはさておき、これはあくまでセンターが作ったマニュアルであるということがまず一つ。
それから、そのマニュアルを踏まえてというか、それにがっちりのっとってということではないと思うのですけれども、学会の先生方が部会を構成して、その先生方が検討した結果がこのセンター報告ということになります。本当に個別に微に入り細に入り書いてあります。検討するときにも本当に時間をかけて、自分も全部読みますけれども、本当に細かい文言も直すぐらいの感じです。その中で大事にしているのは、本当に個人の攻撃にならない、個人の特定にならないようにということ、それから、個々の医療機関が特定されないようにということも含めて、本当に純粋に何が起こったのかというのをきちんと検証して、それを再発防止につなげたいという検討を非常に慎重にやるのです。
ですから、そのマニュアルを公表して院内調査に活用してくださいというと、相当ハードルが上がるだろうなという気がするので、それについては慎重に考えて、これは日本医療安全調査機構もあることですから、そちらのお考えも聞かれるのでしょうけれども、慎重に扱われたほうがよろしいかと思います。マニュアルの怖いところは、医療にかかわらず何事もそうですけれども、マニュアルどおりにやっていればいいよねとなることがあって、それが本当に質を上げることにつながるかというと、自分としては疑問を感じるところもあります。
あともう一つはセンター調査報告結果の公表という観点なのですけれども、センター調査報告書は本当に非常に細かく書かれています。細かく書けば書くほど逆に個人を特定しやすくなるという部分はあるのかもしれないですよね。その中にあって、第2回の検討会で宮脇構成員の御発表にもありましたが、少ない例ですけれども、センター調査報告書を遺族の方が非常に評価してくださっているという資料がありました。それは多分今の質だからだと思うのです。要するに、遺族の方が何が起こったのかが分からなくて悩んでいたものが、それを読むことによって、納得はできないかもしれないけれども腑に落ちるとか、そういうことだったのだということで理解ができる、理解ができるか腑に落ちるかは分からないですけれども、そのための報告書なのですね。それが公表される、即公表されるとなったときに、どこまで関係者から聞き取れるだろうか、どこまで話してもらえるだろうかということもやはり考えなくてはいけないかと思います。
木下(正)構成員が先ほど来言われているところも理屈の上で分からないわけではないのですけれども、大事なことは再発防止にきちんとこの仕組みをつなげるということですし、そのためのセンター調査報告ということですので、そこがもし損なわれるようなことになると本末転倒なのではないのかなという気がしますので、その点は慎重に考えて判断されるべきものではないかなと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
米村構成員、お願いします。
○米村構成員 時間の関係があるかと思いますので、別の論点で大変恐縮ですけれども、支援団体に関するところと院内体制に関するところで1点ずつコメントを申し上げたいと思います。
まず支援団体の役割が重要で、こちらの中身を充実させていくということは大変意味のあることだろうと思います。他方で、支援団体だけに頼っていていいのかということも私は思っておりまして、これは前々回でしたでしょうか。御紹介があったかと思うのですけれども、地域によっては地域医療連携の一環として医療安全の対策を複数医療機関で共同して行っている例があるという話を伺いました。これは大変すばらしい取組だと私は思っているのですけれども、支援団体ではなくて近隣の医療機関に医療安全に詳しい専門家がいて、その専門家が他の医療機関、周辺医療機関についてもある程度アドバイスをしたり、医療事故調査のサポートをしたりというようなことができる体制があるのであれば、それも医療安全全体にとっては大変よいことなのではないかと思います。制度設計に当たっては支援団体によらない形の支援というのもぜひ御検討いただき、また、そういった方向性を促進するような何かを考えていただきたいというのがまず1点目でございます。
それからもう一点、院内体制の充実は、今、直前でも医療機関の中に詳しい医療安全の担当者がいてという話をしました。先ほども医療機関の管理者にはなかなか業務負担が重くて、必ずしも管理者自身が全てをできないという話もあったと思います。そういったことも全て併せて、医療安全担当者としてきちんとした人を配置するということは大変重要なことだろうと思います。ただ、これも前々回私から申し上げたような気がするのですが、医療機関の経営状況などを踏まえても、そういった専門家をきちんと雇用して職務に当たってもらうというような形を取るのはなかなか大変というところもございます。そういうこともありまして、医療安全対策を行っている医療機関に対する診療報酬加算というのをもうちょっと手厚くしてあげるというようなことも考えるべきなのではないかと思っております。少なくとも単に医療安全管理委員会のようなものを設けているというだけではなくて、きちんとした専門家を雇用しているというところを診療報酬上適切に評価していくということもまた現状では必要なのではないかと思っております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
豊田構成員、どうぞ。
○豊田構成員 豊田です。
ある程度想像していたことですけれども、患者の立場で発言する人と医療従事者の方では、互いに別の捉え方をしてしまっているのか、よい方向に行くと信じて発言している私どもの声が悪い方向に行くのではないかと思われて反対されているのかなと思ったりします。遺族は対立したくてこういう報告書を公表してほしいとお伝えしているわけではなくて、よい方向に行くと信じてお伝えしていますし、児玉構成員もおっしゃっていましたけれども、実際にそれでよい体験をされている医療機関と遺族も一定程度おられるわけです。
そういう、本当によかったこともしっかり知っていただいて取り組んでいただくことが大事ですし、よい方向になると思うからいろいろ広げてしっかりやっていったほうがいいとおっしゃってくださるのが米村構成員のご発言ではないかと思いますので、今すぐ話がかみ合うかというと難しいのかなとも思いますので、見直しの検討会を10年単位ではなくてもっと短い期間で行っていただくとか、検討会の開催だとハードルが高く厳しいのであれば、それぞれの課題やテーマが分かってきているので、ぜひワーキンググループなどを設置していただいて、今日も大分いろいろなことが具体的に皆さんから出てきたと思いますので、ぜひそういったもので話合いを継続していただくということをお願いしたいと思います。
また、私どもからすれば、医療安全管理者の配置は必ずしていただきたいと思っています。それは医療従事者にとってよいことだと思うからですけれども、その現状が難しいという反対が出たりするわけですから、そこについてもう少し具体的に議論できる場をつくっていただきたいと思いますし、それから、人材不足の問題もあると思いますけれども、それについては以前も申し上げましたが、医療有資格者以外の人材もいるはずで、私のような事務職への安全教育と、その事務職の活用でかなりいろいろ現場サポートできる点があると思いますので、ぜひそういった人たちのことについても検討していただく場面をつくっていただきたいと思います。
私自身、医療対話推進者を長年担ってきているのですけれども、医療対話推進者の業務指針が今年改定されるということをお聞きしていますので、そこでは医療事故の対応時に、医療安全管理者との連携によるサポートなどが現行の業務指針に既に盛り込まれています。そういうところも具体的にどうしたらよいのか分からなくて、これまで人材の活用ができていなかったという背景もあると思いますので、そういったことも含めて、事故調査制度以外のものも含め、医療安全全体を含めてですが、医療事故に関して、どういった取組が必要で、どういった人材が必要で、何が妨げになってこうなってしまっているのかということを話し合う場をぜひ継続してつくっていただきたいと願っております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
ほかに。
木下正一郎構成員。
○木下(正)構成員 時間も押し迫っているので、結論だけ申し述べます。
今、豊田構成員から提案のあった検討の場を持って検討、議論を継続していくことに強く賛同します。
○山本座長 ありがとうございました。
藤原構成員。
○藤原構成員 すみません。2分で終わります。
今、米村構成員が言われた、いわゆる地域の中での連携は、医療安全に関する地域連携加算がありましたよね。ただ、いわゆる感染症の連携加算に比べても加算は結構安いのではないかなと思うのです。それは厚生労働省として医療安全を重視しているとは見えないと思うので、余計なお世話ですけれども、やはりきちんと対応していただいたほうがいいかなと思います。
あともう一つは、それと別にいわゆる地域医療連携推進法人というのがあって、個々の医療機関で勉強する機会、研修する機会というのがなかなか難しい状況で、連携法人の中だと割といろいろなところで順繰りというか交代でということで実はできていますので、そういうのもうまく活用すると良いと思いました。
それから、先ほどお話ししましたように、自分もセンター報告に関わるなかで、医療機関の経営の話をするのもこの場ではどうかと思ってあまり言わなかったのですけれども、再発防止策の中でこうすることが望ましいと言っていても、厳しい中で望ましいことがなかなか今できない。もしかすると特に大学病院みたいな大きなところではもっと大変かもしれないのですけれども、取り組むべきことがある程度見えたとしても、なかなか現状では取り組めないというか取り組みにくいという状況もあると思うので、今この場の問題ではないかもしれないのですけれども、その辺も国として検討していただければありがたいと思いました。
あと、最後に1点、5番目の最後にある国民への制度に関する周知促進は、これが一番大事なところだと思うのですよね。この制度の仕組みが何かが分かることで、むしろ医療機関がそこに取り組むというか、患者ご家族ご遺族にお話しするハードルを下げると思うのです。ですから、先ほどあった医療事故調査制度の「医療事故」というネーミングはどうだという問題もあるのですけれども、それも含めてここは論点の最初に出してくださいというぐらい僕は大事なところではないかと思っておりました。最初に木下(浩)先生が言っていただいたのでそのとおりだと思いました。
以上です。
○山本座長 岡構成員、どうぞ。
○岡構成員 すみません。30秒で終わります。
今、最後にあった国民への周知はぜひ進めていただきたいのですが、非常に難しいと思います。この名前で、我々も医療事故調査制度で医療事故という言葉を使うと、イコール医療ミスがあったと。そこからまず両者の信頼関係を築くということが非常に時間がかかって大変なのです。なので、これはもともと医療安全の質向上を目的にしていますし、医療事故調査制度という名前は仕方がないのですけれども、パンフレットを作るときに、例えば医療安全確保及び事故調査制度とか、そのように変えるチャンスがどこかにあれば、お互いに信頼関係を築けると思うのです。実際に医療安全支援センターという名前もありますので、ぜひ何らかの形で医療安全確保というような名前を入れながら、こういう調査制度を広く周知するというようなことも考えていただければと思います。
以上です。
○山本座長 宮脇構成員。
○宮脇構成員 国民への普及啓発ということなのですが、私たちは木下正一郎構成員と一緒に医療安全の推進について、毎月駅頭でチラシの配布を18年間やり続けているのですけれども、ほとんど受け取ってくれない。やはりそういう点では非常に厳しいなと思うのですよね。
2019年に世界患者安全の日を9月17日にWHOが制定していただいて、オレンジ色のシンボルカラーを利用しながら、各地を9月17日に照らしたいということで、東京都も頑張っていただいて、都庁だけでなく、隅田川の橋梁の13のうち10個の橋についてオレンジ色にライトアップして、すさまじい迫力ですけれども、私たちもそのライトアップの見学ツアーという形で、うちの団体で10人ほど9月17日に歩いたりしたのですけれども、全国の都道府県にぜひこういう9月17日のライトアップのイベントも含めて取り組んでいただきたいと私たち市民のうちの構成員が全国都道府県に要請を出したところ、26の都道府県から返事があって、いろいろ検討しますということで、去年は熊本城とか、今年は松本城とか、結構お城が取組を始めたなと。それから、高崎観音は群馬が頑張っていますけれども、大船観音とか、そういうのが身近に広がってきている。こういうのを市民団体と一緒に厚労省も取り組んでいって、そういう形で大きくアピールするというのが取り組まれていくと、啓発が医療関係者だけではなくて、そういう巻き込んだ運動として医療安全の推進等の大事さが主に共有できていけばいいなと願っているところです。
以上です。
○山本座長 髙宮構成員。
○髙宮構成員 確かに保健所とかにポスターが貼ってあるのですけれども、誰も見ないのですよね。
話は変わりますけれども、私、8年前に全国で最後になった宮崎いのちの電話を立ち上げて、なかなかその周知がうまくいかないので、去年からテレビで1分間のコマーシャルを去年は80本流したのですけれども、それでかなり宮崎県民のインパクトをもらうことができて、いろいろなところで髙宮さん、髙宮さんとか言われてしまうのですけれども、どこにも行けない人生になってしまったのですけれども、ですから、ぜひこの医療事故調査制度についてのテレビコマーシャルを、大臣でも結構ですし、誰か芸能人を使っても結構ですから、そういうコマーシャルを目に入れてしまうのですよね。そういうことが必要ではないかなと感じております。
○山本座長 貴重な御提案をありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
この2から5までの部分につきましても、先ほどと同じかと思いますが、事務局提案の基本的な方向性についてはおおむね構成員の御賛同を得られたものではないかと思いますが、一部の項目、とりわけセンター調査報告書の公表等につきましては、なおもっと先に進むべきではないかというような御議論を含めて御議論があるところかと理解しました。
ということですので、本日いただいた御議論を基にして、事務局には取りまとめに向けての整理をお願いしたいと思いますし、残された項目というかその一部について、さらに、豊田構成員、木下正一郎構成員からは今後の進め方についての御提案なども頂戴したように思いますので、そういったことも含めてさらに御検討いただければと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の御議論はこの程度としたいと思いますけれども、事務局から次回の開催についてお願いします。
○門野室長補佐 次回開催につきましては、後日また連絡させていただきます。ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございました。
それでは、これにて本日は閉会とさせていただきたいと思います。
本日も長時間にわたり、熱心な御議論をありがとうございました。
照会先
医政局 地域医療計画課
代表:03-5253-1111(内線4105・4038)

