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第36回アルコール健康障害対策関係者会議 議事録
社会・援護局障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室
日時
令和7年11月17日(月) 15:00~17:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム(B101会議室)
(東京都港区新橋1-18-1)
(東京都港区新橋1-18-1)
議題
1.第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について
・教育の振興等
・第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について
2.その他
・教育の振興等
・第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について
2.その他
議事内容
○小野室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第36回「アルコール健康障害対策関係者会議」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
また、本日は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけた上で、お名前を名乗ってできるだけはっきりと発言いただきますようお願いいたします。また、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御案内している「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不具合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所については、後日、議事録を公開いたしますので、そちらで御確認をお願いいたします。
本日、野村部長、アルコール健康障害対策推進室長の乗越課長、アルコール健康障害対策推進官の平田室長は、他の公務の関係で欠席となります。
さらに、アルコール健康障害対策統括推進官の海老名課長は、遅れての参加予定となっております。
本日の委員の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、小野里委員、勝嶋委員、渋木委員、塚本委員、長嶺委員、林委員、稗田委員、松下会長、米山委員となっております。オンラインでの御出席が、石井委員、上村敬一委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、志田委員、白石委員、平川委員、山口委員となっております。現在、19名中19人が御出席されていますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
さらに、本日は関係省庁より、警察庁、法務省、国税庁、文部科学省、こども家庭庁、国土交通省よりオブザーバーとして参加いただいております。
以上、よろしくお願いいたします。
撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
この後の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1-1「文部科学省提出資料『飲酒防止等に関する文部科学省の取組』」。
資料1-2「医療、福祉等関連分野におけるアルコール依存症の教育状況」。
資料1-3「アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性(1.教育の振興等)」。
資料2-1「アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)の作成方針につい
て」。
資料2-2「アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)」。
そのほか、参考資料1から6までを用意しております。
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
以上となります。
○松下会長 それでは、議事次第の「2 第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」です。
本日は「教育の振興等」「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)について」の議論を進めたいと思います。
まずは、1点目の「教育の振興等」について、文部科学省より飲酒防止等に関する文部科学省の取組について御説明をお願いいたします。
○文部科学省 文部科学省健康教育食育課の髙橋と申します。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、文部科学省の取組につきまして、資料に沿って御説明申し上げます。
まず、2ページを御覧ください。
学校においては、小中高において、学習指導要領に基づき、発達段階に応じた飲酒等に関する指導が行われております。
この学習指導要領というのは、全国的に一律の教育水準を確保し、実質的な教育の機会均等を保障するための基準でございまして、おおむね10年ごとの改訂をしてございます。
ここに記載してありますのは、小中高それぞれの指導要領における飲酒等に関する主な内容でございます。
小学校体育科では、飲酒は健康を損なう原因となることを指導することとしておりまして、飲酒は判断力が鈍る、呼吸や心臓が苦しくなるなどの影響がすぐ現れること、飲酒を長い間続けると肝臓などの病気の原因になることの影響があることなどを学んでおります。
中学校保健体育科では、飲酒は心身に様々な影響を与え、健康を損なう原因になること。また、飲酒が個人の心理状態や人間関係、社会環境が影響することから、それぞれの要因に適切に対処する必要があることを指導することとしております。
具体的には、飲酒は思考力、自制力、運動機能を低下させたり、事故などを起こしたりすること。急激に大量の飲酒をすると、急性中毒を起こし、意識障害や死に至ることもあること。常習的な飲酒は、肝臓病や脳の疾病など、様々な疾病を起こしやすくなること。未成年の飲酒については、体に大きな影響を及ぼし、依存症になりやすいこと。飲酒は好奇心、投げやりの気持ち、過度のストレスなどの心理状態、断りにくい人間関係、宣伝、広告や入手しやすさなど、社会環境によって助長されるため、それらに対処する必要があることなどが学ばれております。
高校保健体育科では、飲酒は生活習慣病などの要因になること、その対策には、個人や社会環境への対策が必要であることなどを指導することとしておりまして、飲酒による健康課題を防止するには、正しい知識の普及、健全な価値観の育成など、個人への働きかけや法的な整備を含めた、社会環境への適切な対策が必要であること。
好奇心、自分自身を大切にする気持ちの低下、周囲の人々の行動、マスメディアの影響などが、飲酒の開始や継続の要因になることなどが学ばれております。
次の3、4ページでございますが、この指導要領の改訂は10年ごとに行われると申し上げましたが、現在、昨年の12月に諮問を受けまして、中央教育審議会において専門的かつ総合的に議論をされているところでございます。
5ページを御覧ください。
文部科学省では、指導の充実に向けた取組として、指導者用の資料ですとか、教材を作成し、学校保健の担当者が集まる場において活用を促しております。
また、毎年開催いたします全国大会において、研究協議を行うなど、取り組んでいるところでございます。
審議中の中央教育審議会での議論も踏まえながら、引き続き指導の充実を図ってまいりたいと思っております。
次のページを御覧ください。
6ページ以降は、医学教育課からの御説明となります。お願いします。
すみません、では、6ページ、7ページは、今、オンラインで参加しておりまして、音声トラブルだそうなので、先に8ページ、9ページのほうを御説明させていただきます。
8ページを御覧ください。
「家庭に対する啓発の推進」でございます。
20歳未満の飲酒を防止するための家庭における取組に資するよう、厚生労働省作成の保護者向けの啓発リーフレット「こどもにお酒を飲ませてはいけない~20歳未満の飲酒を防ぐために~」というリーフレットをホームページにおいて掲載することにより、保護者等への周知を図ってございます。
次をお願いします。
9ページですが、文部科学省では、青少年を取り巻く有害環境対策を推進しており、その一環として、アルコールをはじめとした薬物、ギャンブル等への依存症を予防するための啓発講座、依存症予防教室や依存症の理解を深めるための普及啓発シンポジウムを開催しております。
令和6年度には、埼玉県や神奈川県、大阪府において、全6回開催し、オンラインも含めて約200名の方に御参加をいただきました。
アルコール依存症に関するチェックテストや、依存症予防教育の専門家によるトークセッション等を実施しました。
この事業成果につきましては、取組事例集としてまとめてウェブサイトで公開するとともに、活用等について周知を図っております。
それでは、すみません、先ほど説明ができなかった6ページについて、オンラインで。
○文部科学省 失礼します。高等教育医学教育課の赤岩でございます。
それでは、改めて御説明させていだきます。
高等教育医学教育課の赤岩と申します。よろしくお願いします。6ページを御覧ください。
「大学等における取組の推進」ということで、大きく2点書かせていただいております。
1点目、会議における講演等、2点目で通知の発出というところでまとめさせていただいております。
1点目でございますけれども、大学等の教職員が集まる会議等において、飲酒に伴うリスクや20歳未満の飲酒防止等の啓発資料、こちらを活用いたしまして、学生に周知啓発するように要請してございます。
また、下段の通知ですけれども、学生や教職員に向けてアルコール関連問題の啓発指導に努めるよう、通知を各種発出しているところでございます。
引き続き様々な機会を通じまして、この周知を図ってまいりまして、各大学等における入学時のガイダンス等によって、また、学生に正しい知識の普及を図るなど、各大学等の取組を促してまいりたいと考えてございます。
続きまして、7ページを御覧ください。
こちらは「医学部等における教育の充実について」というところでございます。
アルコール依存症に対する対策基本法、基本計画を踏まえまして、アルコール依存症問題に関して十分な知識を有する医療人材の確保、養成、資質の向上と、こちら図るために、アルコール依存症に関する教育の充実について各大学に周知し、啓発等の取組を促してございます。具体例として、その下に今年度も行っている周知の実績を書かせていただいております。
また、右側でございますけれども、モデル・コア・カリキュラムということで、各大学が策定するカリキュラムのコアになる部分を抜き出しまして、モデルとして体系的に整理したものがモデル・コア・カリキュラムでございますが、この中にも医学教育、看護学教育それぞれ依存症に関して定めておりまして、こういった内容を各大学において取り組んでいただいているという状況でございます。
そして、参考として各大学が進めている取組もお示しさせていただいております。
引き続き、これらの取組を通じまして周知・啓発等の取組を促していきたいと考えてございます。
音声トラブルで申し訳ございませんでした。御説明は以上でございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続き、事務局より、資料1-2及び資料1-3について御説明をお願いいたします。
○米田推進官 事務局でございます。資料1-2を御覧ください。
1枚の紙となっておりますが、医療、福祉等関連分野の教育状況ということであります。
真ん中の四角のところが、社会福祉士、精神保健福祉士の養成カリキュラムについてです。
アルコール依存症に関する知識、認識が円滑に進むよう、複数の科目において、心の健康や社会問題といった視点でアルコール依存症について学習しているところです。
その下の2つ目のポツですけれども、特に精神保健福祉士については、現代の精神保健の課題と支援の「⑥精神保健に関する発生予防と対策」というところで、社会問題としての依存症対策、個人及び家族への依存症対策、SBIRTSといったアルコール問題に対する対策が想定される教育内容の例として示されております。
また、その下の看護職についてです。保健師助産師看護師国家試験出題基準というのがありまして、そちらにおいて、依存症対策ですとか、アルコール健康障害対策に関する項目が盛り込まれており、看護職として具有すべき基本的な知識及び技能として位置づけられております。
続いて、資料1-3を御覧ください。
これまで、この会議でなされてきた議論ですとか、先ほどの文部科学省からの説明、また、先ほどの私からの説明、こうしたものを踏まえまして、次期計画における「1.教育の振興等」という基本的施策の部分ですが、これについては、以下のような方向性としてはどうかということでございます。
まず、1つ目が「学校教育等の推進」です。
教職員等を対象とした会議等の場においてや、また、2つ目のポツの大学等の教職員が集まる会議等において、アルコール依存症当事者やその家族に対する相談支援のガイドライン等を周知することなどについて記載してはどうかということです。
また「職場教育の推進」でございます。
過度な飲酒による影響や、飲酒による不適切な状態での動作や判断によって、事故や事件を招いてしまう行為などの飲酒に伴うリスクについて、より一層の理解が進むよう、事業者に取組を促すことを記載してはどうか。
また、運輸事業に関しては、アルコール・インターロック装置の普及促進を図ることについて記載してはどうかということでございます。
最後に「広報・啓発の推進」であります。
アルコール関連問題に関する情報を、職域・地域を含む社会全体に対し周知するため、飲酒ガイドラインの分かりやすい広報資材などを作成することについて記載してはどうか。
また、国、地方公共団体、関係団体、事業者等は、飲酒ガイドラインの内容にも重点を置いて啓発することとしてはどうかということで、こうした方向性で御議論をいただければと思います。
説明は以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、文部科学省及び事務局からの説明について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。
発言される際は、会場参加の委員は挙手の上、また、オンライン参加の委員は挙手機能を御使用いただいて、私のほうから指名させていただきますので、御発言いただくよう、御協力のほどお願いいたします。
稗田委員、お願いします。
○稗田委員 稗田です。御説明ありがとうございました。
私は、教育現場にいる立場とソーシャルワークの要請をしている立場から、お願いしたいというか、御意見を申し上げていきたいと思います。
まず、資料の1-1「学習指導要領における飲酒等に関する主な内容」のところで、小中高とありますけれども、今回の第3期の見直しは、皆様が御存じのとおり、家族、こども、ヤングケアラーということにおいて、そこにも焦点を当てると推進していただいているところですので、この辺りは文科省で、一番大事なのは、小中高の1次予防のところで、例えば、親がそういう課題を持っているとか、自分はヤングケアラーという認識をしていないかもしれませんけれども、非常に、自分のこどもの権利が侵害されているような、そういうことについて、どう指導していくかということを、特に教員の側のマニュアル、5ページですけれども「指導の充実に向けた取組」のところに「教員・外部講師対象」というのがありますけれども、これは、私も拝見させていただきましたが、すごくよくできてはいるのですけれども、やはり家族が、そういうことで相談できるところとか、居場所とか、そういうことも教員が知っておくことは重要なのではないかと思いまして、この点について、少し工夫をして入れ込んでいただきたいと思います。
すみません、続けてで申し訳ないのですけれども、資料の1-2のところですけれども「医療、福祉等関連分野におけるアルコール依存症の教育状況」につきましては、ここについては基本計画にありますが、アルコール依存症の問題を位置づけること等と書いてございますけれども、こちらは、第1期の見直しのときに、筑波大学のヨシモト先生をはじめとする、教育の効果測定のところをやらせていただいたのですが、そのときと今とでは、あまり変わっていない。
例えば、国家試験に依存症のことについて出るのですけれども、本当に医学的な知識を問うことに終始していることでありますので、このアルコール依存症の問題と、それから回復に対する支援における価値とか、倫理とか、方法とか、技術とか、そういう包括的なものをきちんと位置づけると、医学も看護もそうですけれども、対人援助職のカリキュラムの中にそれを位置づけるということを加えていただきたいと思います。
それから、社会福祉士、精神保健福祉士に関しては、ここに調べていただいておりますけれども、実は、精神保健福祉士のほうは、随分と入っているように見えますけれども、精神保健福祉のカリキュラム改訂のときに、この基本法の計画の中でこれを指摘したので、カリキュラムの改訂の際に、精神保健福祉士のほうでは随分と依存症のこのような項目を入れたという経過があります。
一方、社会福祉士については、そのときのカリキュラム改訂がありまして、こちらも随分と要望しましたけれども、今、ほとんどの教科書に入ってはいますけれども、依存症とはどういう病気かぐらいのことで、きちんとした回復の支援や、先ほど申し上げたスティグマとか、知識とか、方法とか、技術とか、そういうことがほとんど触れられていないという状況です。
ですので、現場では、例えば医療ソーシャルワーカーもそうですけれども、介護の現場にいるとか、そういうソーシャルワーカーたちが、ほとんど依存症のことについて、やはり相変わらず、どうやって関わっていいのか知らないということが、現場で引き続き起こっていることがありますので、ぜひ、ここに問題視するだけではなくて関わり方ですね、回復の方法、それから価値、そういう社会的な排除の対象となりやすいところも含めて、先ほど申し上げた文言を、ぜひ入れていただきたいと思います。
教育に関しては以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
小松委員から挙手いただいています。では、小松委員、お願いします。
○小松委員 今の稗田委員の意見に追加して、今、ASKの依存症予防教育アドバイザーという方たちが、当事者や家族、回復した人たちを中心に結構お勉強をして、それで、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取ったりしている方たちもいらっしゃるのですね。
その方たちが実習に出てみると、全然依存症のことをやらない。ただ、非常にアルコール依存症は、併存疾患が多い病気です。統合失調症も鬱病も双極性障害も認知症も非常に多い。それで、依存症の問題が絡むと、非常に現場でのケースワークとかが大変になる。だけれども、そこら辺を実習でも何もほとんどやっていない、知識だけなので、本当に途方に暮れたままになっているということがございます。
ですから、やはりカリキュラムの中で、実習の中にも、その依存症が絡むケースを入れるということも必要ではないかと思います。
取りあえず、以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、会場から米山委員、お願いします。
○米山委員 私は、この文科省の学習指導要領における飲酒等に関する主な内容で、2ページの部分について意見があるのですけれども、小中高で依存症に関する知識をきちんと得られるような取組をしていくことは、大変よろしいかと思うのですけれども、やはり、駄目、絶対駄目の延長的な教育であるとよくないのではないかということを考えておりまして、やはり、いろいろな社会環境ですとか、人間関係とかが影響するという、その先に、やはりこの依存症は病気であるということと、相談、治療として自助グループにつながることで、回復があるのだということを、きちんと含める必要があるのではないかと思うのです。
そうすれば、どこに相談できるかとか、ヤングケアラーの方たちが希望を持って、病気であっても回復できるのだと思えると思うのです。ですので、そういった回復に向かうルートも含めた指導要領にしていったほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
勝嶋委員、お願いします。
○勝嶋委員 教育現場という意見で、まず、2ページの学習指導要領における小中高の、このことについては、現場では、やはりこのとおりに実施をしております。
ただし、高校でいえば、保健という授業でやっているのですが、1年間で35時間の中で、いろいろな健康被害等も含んだ学習をしておりますので、この飲酒に関わることで割ける時間が2時間というところで、その限られた時間の中で、教師によっては、先ほどの5ページの指導の充実に向けた取組の資料を使いながら、具体で説明する、それは教師によっても温度差があるのですけれども、かなり入念に取り組む教師については、こういった資料も伴いながら展開をしております。
今回、資料1-3の基本的な施策の本文というところで、この1点目、2点目は非常にいいかと思います。なかなかアルコール依存症の当事者、その家族に対する相談支援ということなのですが、先ほどの学習指導要領に沿ってというのは、広くということで一時的な予防にはなると思うのですが、実際にそういう当該者の生徒については、やはり、今、東京都でいえば、カウンセラーさんが2人配置されて、週に1人が1回ずつ来て、週に2回相談を受けられるような状況で、かなり盛況というか、どこの学校もスクールカウンセラーさんの休み時間を取る時間がないぐらい案件が入ってきます。
その中で、やはり父親がアルコール依存症であると、そういった相談もありますので、個別に対応するには、相談、カウンセラーさん等を使いながら、解決に向けて寄り添っていくことは大事かと思います。
あと、私の現場では、特に高校では、そんなに昔ほど、高校生がアルコールを飲んで問題行動を起こすということは少なくなったように感じておりますので、やはり課題は大学生かなと思っておりますので、この2点目の大学に向けての取組というのは、非常にいいかと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
オンラインのほうで、上村敬一委員が挙手をされています。上村委員、お願いいたします。
○上村(敬)委員 上村でございます。
まず、2点、先ほどから出ています、資料の1-1の2ページ目です。「学習指導要領における」というところなのですけれども、今回の基本計画で、先ほどからも話題に出ています、ヤングケアラーの問題等々が指摘されています。
小学生の学習指導要領の中では、あくまでも健康被害、本人がどういう影響を受けるかという点を教育するというのが視点のようなのですけれども、中学生では、人間関係とかに影響を与えるという話をするよということを、先ほど説明を受けました。小学生こそ、実はそういった問題が必要なのではないかなと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
もう一つ、資料の1-2で、今回、教育の現場において、社会福祉士や精神保健福祉士及び看護職に関しての教育状況の説明資料があるわけなのですが、保健師あるいは養護教諭、学校現場で直接関わってくる方々あるいは地域で直接関わってくる方々、こういった方々に関しての教育なりの現状はどのようになっているのでしょうか。
特に、今回の基本計画の中に各所で触れられていますけれども、アルコールの健康障害というのは、精神医学的な問題のみならず、内科的な問題、生活習慣病の一環として捉えるべき病態であります。
それで、主に地域や産業保健の中で関わる人たち、第一義的に関わるのは、保健師なのではないかと思います。
それで、先ほど小松委員もおっしゃいましたけれども、実際実習に行くと、あまりそういった現状を見ていないと、ただ、実際に現場に出て行くと、アルコールが関わる事例に関して介入をしなくてはいけない場面がたくさんある。
それで、実際、知らない、できない、よく分からないという声は、保健の皆さん方から私の耳にも届くことであります。ですので、実際ここの辺りの教育状況も教えていただけたらと思います。
以上でございます。
○松下会長 それでは、事務局からお願いします。
○厚生労働省 厚生労働省医政局看護課でございます。
ただいま御質問いただきました保健師の教育という観点で言いますと、まず、保健師の国家資格については、看護師の国家資格を有することが前提となりますので、看護師国家試験の出題基準について記載させていただいている内容については、保健師も同様に学ばせていただいているところでございます。
加えまして、保健師国家試験の出題基準の中では、ヤングケアラーなどのキーワードも入れさせていただいているところでございますので、そういう内容も含めて教育をいただいているところかと考えております。
事務局からは以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかは、長嶺委員、お願いします。
○長嶺委員 ありがとうございます。長嶺でございます。2点ございます。
先ほどから稗田委員や小松委員がおっしゃっていました、教育のところなのですけれども、ほかの資料2-2にも入っています、家族や当事者を相談場所に導きたいという内容があるのですが、やはり先ほどから、お二人の委員なども、あと、上村委員もおっしゃっていたように、専門職の方たちが現場を知らないで、テキスト上の知識しかないということで、結局、家族側が専門士を育てるというか、教えるということで、私たち家族側としては、誰に相談していいのと困っているのが現状です。
ですので、やはり専門の方たちの教育を充実させないことには、家族などの相談につながりにくいと思いますので、その辺を申し上げさせていただきます。
あと、資料1-1、文部科学省の資料、ありがとうございます。少しお伺いしたいのですけれども、大学における取組の推進のところになります。
これは、素案にも少々入っているかと思うのですけれども、入学時のガイダンスのときに飲酒のことについて、啓発をするということはあるのですけれども、結局、新入生が入ってきて、先輩たちとのサークル飲みなどがあったときに、一気飲みなどの危ない飲酒行動が起きるという想定が一番イメージしやすいかと思うのですが、そのときの上級生たちの教育というのが、新入生のときで止まってしまう、上級生になったときに、自分の立場が上がることで力を発揮したいという欲が出てきますので、その辺の進級時における教育はどうなっているのかというのをお伺いできればなと思っております。
以上です。
○松下会長 文部科学省から、お願いできますか。
○文部科学省 高等教育局学生支援課でございます。長嶺委員、御意見ありがとうございます。
現状、20歳未満の飲酒というところで、入学時という例示をさせていただいているところですけれども、当然、学年が上がるにつれて、学生生活を取り巻く状況も様々変わっておりますので、例示として進級時という言葉を入れることも考えられるのではないかと、御意見を聞いて考えております。
また、これは全ての大学ではないかもしれませんが、部活動やサークルの長が集まる会議を各大学で実施しておりますので、我々会議等の場では、そういった機会を通じて、ぜひ飲酒の問題について、その指導となる部長さんにも理解してほしいということは、常に周知啓発を努めているところでございます。
以上でございます。
○長嶺委員 ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、会場から、塚本委員、お願いします。
○塚本委員 先ほどから、大学(での飲酒教育)についての意見がたくさん出ていて、私もいいなと思いました。勝嶋委員がおっしゃったように、大学生が飲酒について知ることがすごく大切だと、今、実感しています。
それは、ASKのほうに、それこそ未成年飲酒であったりとか、一気飲みで救急搬送されたりとか、そういった事例が発生した場合、アルコールの基礎知識を教えてくださいと依頼があって、結構大学に行く機会が多いのです。
そんなときに話を聞くと、やはり、飲酒教育を受けていないという人、学校が、その場合大半なのです。ですので、やはり、あまねくと言ったら何ですけれども、先ほど上級生たちを対象にという話もありましたけれども、事故が起きていない大学に話を聞くと、実際に上級生たちを対象に(飲酒教育の講座を)受講しないと、例えばサークル活動に参加ができないようにするとか、上級生も巻き込んだアルコール教育をしているなと感じているので、そういったうまくいっている例を参考にして進めていただけたらなと感じました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで石井委員が挙手いただいております。では、石井委員、お願いします。
○石井委員 資料1-3なのですが、1ポツのところ、相談支援のアルコール依存症当事者や、その家族に対する相談支援のガイドラインということが、ここに2か所明記されているのですけれども、そのガイドラインは、どのようにしたら、私のような者が見ることができますでしょうか。既にもうできているものを指しているのでしょうか。そうだとしたら、どうやったら見ることができるのかなと、読ませていただくことができるのかなと思って御質問しました。
○松下会長 では、事務局からお願いします。
○米田推進官 事務局でございます。
この相談支援のガイドライン自体は、今あるものではありませんで、この計画に基づいて、今後作成する予定としております。また、後ほど素案の説明の際にも触れさせていただければと思います。
以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで、平川委員から挙手をいただいています。お願いします。
○平川委員 ありがとうございます。平川です。
私は思ったのですけれども、最近、若い人は、あまりお酒を飲まなくなってきたように思うのです。
一方で、女性の飲酒とか、若年化、こどもが飲むようなケースが多くなっていて、その辺について、小学校、中学校の指導内容は、何か変更を考えていらっしゃるのかどうか、少しお聞きしたくて手を挙げました。
以上です。
○松下会長 それでは、文部科学省からお願いします。
○文部科学省 文部科学省でございます。御質問ありがとうございます。
今回、資料でお示ししております学習指導要領の指導内容につきましては、説明でも申し上げましたが、中央教育審議会での議論を経ていきます。
それで、今まさに議論が始まっているところでございまして、どのように変わっていくのかというのは、今の段階では、お伝えできないところでございますが、議論をこちらとしても注視しまして対応を考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで白石委員より挙手をいただいています。お願いいたします。
○白石委員 内科医の白石と申します。
文部科学省の方にお伺いしたいのですが、今日は、アルコールの会議なので、アルコール関係の話は出ていますが、非常に限られた時間の教育時間の中で、いわゆる薬物、喫煙、SNS、ゲーム、それから性教育などの、その比率といいましょうか、何か指針があるのか、それとも何かトレンドで毎年変わっているのか、アルコールは、時間が取れないということでしたけれども、本当に、今、自分に小さい子がいないのが幸いだと思うぐらいの時代になっています。
ぜひ、文部科学省のほうでは、それは、大体どんな指針で時間割を決めていらっしゃるのか、お伺いしたいのですが。
○松下会長 では、お願いします。
○文部科学省 御質問ありがとうございます。
今、具体的には申し上げられないのですけれども、教科によってトータルの時間数というのが決まっておりまして、具体的にこれに何時間というのは、学校や先生の裁量に基づいて実施するというのを前提にしていますので、一概に何時間というのを細かく文科省のほうでは指定をしていないところでございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、オンラインで小松委員が挙手をされています。小松委員、お願いします。
○小松委員 文部科学省の方に少しお尋ねなのですが、それから、先ほど委員の方からも、スクールカウンセラーが非常に忙しくなっている、そのぐらい相談件数が増えているという話がございました。
ただ、親御さん、保護者の方がアルコールの問題を抱えている、そのお子さんたちというのは、なかなか自分たちからは、SOSを出さない。私は、大人になってからの元ヤングケアラーの患者さんをたくさん見ていますけれども、相談をした経験がほとんどない。
そういうお子さんたちを、何かスクリーニングをするとか、そういうことはお考えでしょうか。
というのは、発達障害の場合ですと、学校の先生が、この子は少し怪しいのではないかなと、そういう調査を経年的にやっておられていて、それに基づいて特別支援学級の要員とか、そういうのも決めているということも少し伺っておりますので、そこら辺については、今どうなっているか、特に小学生、中学生ぐらいの、なかなかSOSを出せないこどもたちへのスクリーニングはどうなっていますでしょうか。
○松下会長 文部科学省、お願いします。
○文部科学省 御質問ありがとうございます。
アルコールの問題に限らず、学校の先生、担任や養護教諭が、普段からのこどもの様子を見ておりまして、例えば、気になることがあれば、個別に話を聞くなりして、必要な機関に繋いでいくことが、通常の学校で行われているものと思いますので、そのような普段の取組の中で、声が出せないこどもというのを先生方が見つけていく、もしくは、これから厚労省のほうでガイドラインを出されるそうなので、そういうものを使って、私どももより一層対応ができるように周知をしていきたいと考えております。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで金城委員が挙手をされています。金城委員、お願いいたします。
○金城委員 金城です。よろしくお願いします。
今回挙げていただいた資料1-1の医学部等の専門教育の充実について、主にアルコール依存症に関する教育というところがメインに組み込まれていると思うのですけれども、まだ、医療専門職の中でもアルコールの健康被害全般に関して、高血圧や、がんに関して、十分知識が行き渡っていない部分があると思うので、依存症に加えて、それ以外の身体疾患に関するアルコールの影響に関しても、卒前教育の中に含まれていくと、アルコール対策が進んでいくのではないかなと思います。いかがでしょうか。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、勝嶋委員、お願いします。
○勝嶋委員 先ほどのスクールカウンセラーの対応等というところなのですが、現場の声で言いますと、なかなかクラスにいて、担任がそれを見極めて、この子はというところも、正直なところ、40人クラスを抱えているので難しいところです。
やはり学校は、何か通報があったとか、兄弟がこうだとか、SOSをようやく発して、それでカウンセラーさん、担任がもちろん話を聞くのですけれども、つなげて、もちろんアルコール依存症の方が家族にいるということは言わないです。そういった暴力を受けたというところで、複合的なところから、実は父親がアルコール依存症だったということで、暴力があれば、児相とかにつなげていますけれども、そういったところで、かなり繊細というか、相当何か問題行動が起きないと、なかなか学校現場では、そういったところまで入り込めないというのが現状です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、米山委員、お願いします。
○米山委員 今、お話が出ている養護教諭なのですけれども、養護教諭は、看護職からなる方法と教育からなる方法と大きく2通りあって、教育系の方は、そういった疾病に関するような教育が不十分なのではないかと思われます。そのため、養護教諭への卒前教育及び卒後の研修等も強化していただけるとよいかなと思いました。
それから、高校生のアルコールの問題というのは減っているということを伺っていますが、お酒は飲まないけれども、例えばオーバードーズですとか、リストカットですとか、そういった別の行動で表している方が増えているのではないか。それは、やはり自殺の問題にもかなり深刻な関連があると思いますし、そういうところも含めて、相談できるような体制をつくっていく、表書きはアルコール対策ですけれども、そういった問題も含めて対処できるようにしていったほうがいいのではないかなと思いました。
以上です。
○松下会長 ほかには、いかがでしょうか。
小松委員、挙手をされていますか。
では、小松委員、お願いします。
○小松委員 先ほど文科省の方からお返事を一旦いただいた、担任の先生とか、そういう方たちが目配りをしていればということについては、現場のほうで勝嶋委員が、やはり、非常に諸外国に比べても大人数の学級なので、なかなかそこまでは目が届かないと、かなり本当に大層な事例化してからでないと、なかなか拾えないというお話があって、本当にそうだと思うのです。誰にも相談できていなかったという、そういう方たちがもう大多数です。
それで、もっと早い時期にスクリーニングとかができないものかということを、ぜひ検討していただきたいと思います。
取りあえず、私の発言は以上です。
○松下会長 ありがとうございます。
まだ、御質問等あるかもしれませんが、次の議事もございますので、この質疑応答は、これまでとしたいと思います。
続きまして、議事次第の2「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」の2点目「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)」について議論させていただきたいと思います。
まずは、資料2-1、2-2について事務局より、御説明をお願いいたします。
○米田推進官 事務局でございます。
まず、資料2-1を御覧ください。
「アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)の作成方針について」でございます。
今年に入ってから、これまで5回開催してきましたが、本日までの議論を踏まえて、事務局において、基本計画の改定案、第3期計画案の素案を新旧対照表の形式で作成しております。
全体の構成については、基本的に現行の計画を踏襲しておりますが、重点目標については、前回も御議論いただきましたとおり、これまでの2項目から3項目としております。
また、第3期計画に新規の施策を盛り込む一方で、なるべく全体の分量を増やさないこととするため、第2期までに一定の成果を上げることができたものは削除するなど、全体的にめり張りをつけたものとしております。
重点課題の評価・検証のための関連指標に係る数字等の現状のデータについては、今後、定期的に、あるいは機動的に最新の数字に更新できるように、閣議決定の対象とはせず、本計画とは別の資料として掲載することとしております。
そうした方針のもとで作成したものが、資料2-2の新旧対照表でございます。
これについて、時間の関係もありますので、ポイントを絞って説明をさせていただきます。
左側が現行計画、右側が改定案で、赤い字で書かれてあるところが変更点ということになります。
まず「はじめに」については、全面的に改定をしておりまして、分量についても凝縮したコンパクトなものとしております。
続きまして、しばらく飛びますが、8ページを御覧ください。「基本的な方向性」でございます。
こちらについては、9ページの「(5)アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援」ということで、重点目標にも記載した内容を、この「基本的な方向性」のところにも記載をしております。
続きまして、10ページでございます。
「III アルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題」でございます。
まず、1ポツのところで、第2期の評価をしておりますが、これについては、本年4月に、この会議で現行計画の取組状況を評価いただきまして、今日も参考資料6としてつけておりますけれども、その中身について基本的に記載をしております。
続きまして、12ページ以降を御覧ください。
「2.基本計画(第3期)の重点課題」ということです。
まず「(1)アルコール健康障害の発生予防」についてですけれども、こちらについては、13ページの「重点目標」を御覧ください。
生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合、これまで男性、女性を分けておりましたが、下にあるとおり、健康日本21で、男女合わせた全体の値を書いておりますので、それで10%としていることに加えまして「一般に女性は男性に比べて肝臓障害等の飲酒による臓器障害をおこしやすく、アルコール依存症に至るまでの期間も短いことが知られている」ということで、女性に係る目標値が別途設定されていることも踏まえまして、特に女性については6.4%まで減少させることという重点目標に変えております。
また、14ページの「評価・検証のための関連指標」であります。
これまでは、基本計画の中で現状のデータとして数字も載せておりましたが、これについては、今日の参考資料の5にもお配りをしておりますけれども、別の資料として、数字は掲載をして管理をしていきたいと考えております。
また「(2)アルコール健康障害の進行・重症化予防、再発予防・回復支援」という重点課題の2つ目であります。
これについては、15ページの「取り組むべき施策」を御覧ください。
真ん中の辺り、かかりつけ医、地域の内科・精神科、救急等と専門医療機関との連携のための資材(以下「手引き」という。)を作成する。また、手引きや飲酒ガイドラインを活用し、連携を促進すると、こういった記載としております。
また、16ページの「重点目標」につきまして、1つ「医療機関へつながった新規患者数の増加」を追加しております。
また、17ページでございます。
「評価検証のための関連指標」として、(2)の「マル2 依存症専門医療機関における新規受診患者数」、また、(4)の「マル2 飲酒ガイドラインの認知度」「マル3 アルコール依存症に関する医療従事者の研修受講数」、これらについて、新たに加えております。
18ページ、3つ目の「重点課題」として「アルコール健康障害の当事者及びその家族(こどもなど)への支援」を加えております。
続きまして、20ページからが「IV 基本的施策」でございます。
まず「1.教育の振興等」については、先ほど御議論いただく前の事務局の案として載せておりますので、先ほどの御意見を踏まえまして、今後検討をさせていただければと思います。
飛ばしまして、27ページの基本的施策の2つ目「不適切な飲酒の誘因の防止」でございます。
「(1)広告」の1つ目の○を御覧ください。27から28ページにかけてでございます。
「酒類業界は、不適切な飲酒を誘引することのないよう、広告・宣伝に関する自主基準について、業界内での周知徹底を図り、遵守を継続するとともに、酒類の交通広告については、特段の配慮を行い、状況に応じて自主基準の見直しを行う」としております。
また、29ページ「(3)販売」でございます。
「また、20歳未満の飲酒防止、飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブルの防止や、泥酔者等への酒類販売防止等の社会的要請への対応が困難な無人店舗での酒類販売を行わないよう、酒類業者への指導を継続する」と、新たに加えております。
続きまして、31ページから「3.健康診断及び保健指導」でございます。
このうちの32ページ、(1)の1つ目の○であります。
アルコール健康障害の早期発見・早期介入の取組を推進するため、健康診断や保健指導において、飲酒ガイドライン等を参考に、アルコール健康障害に関する正しい知識の周知・啓発を推進する。また、標準的な健診・保健指導プログラムにより、特定健診で肝機能障害を認めた場合の対応方法や、アルコール健康障害に早期に介入するための手法の普及を図るとしております。
続きまして、33ページ「(3)職域における対応の促進」でございます。
「また、アルコール健康問題に関する産業保健スタッフ等への研修や人事労務担当者等を対象とした事業者向けセミナーを通じて、飲酒ガイドラインや、専門医療機関、自助グループ等の取組の認知度向上を図り、職域において健康に資する取組を促進する」としております。
続いて、34ページからの「4.アルコール健康障害に係る医療の充実等」でございます。
35ページ(1)の上から2つ目の○です。
「今後作成する手引きを活用し、かかりつけ医、地域の内科・精神科救急等と専門医療機関との連携を進め、より身近な場所で、アルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する」としております。
また、36ページの1つ目の○でございます。
アルコール健康障害の早期発見、早期介入のため、飲酒ガイドラインや手引などを用いた研修を医療従事者に対して実施し、重症度に応じた専門的な治療やリハビリテーションに関わる人材育成を図る。研修の実施に当たっては、アルコール健康障害の自助グループやソーシャルワーカーとも連携する。なお、受講者の利便性の観点などから、オンデマンドによる開催について検討を進めることとしております。
37ページの一番下の○でございます。(2)番でございます。
保健師やソーシャルワーカー等の職員が、依存症のスクリーニングやカウンセリング、専門医療機関への紹介、自助グループ等へのつなぎを行うことにより、依存症患者の早期発見、早期対応が図られるよう、好事例の収集・周知を行うこととしております。
続きまして、40ページからの「5.アルコール健康障害に関連して飲酒運転等した者に対する指導等」でございます。
41ページ(1)の上から3つ目の○でございます。
刑事施設において飲酒運転による受刑者に対するアルコール依存回復プログラムの実施施設を拡大したことを踏まえ、刑事施設や保護観察所における指導の充実について検討することとしております。
また、42ページの1つ目の○でございます。
「飲酒運転の根絶に向け、交通安全教育等の機会や都道府県警察のウェブサイトにおいて、アルコール依存症のスクリーニングテスト等について、積極的に広報を行うことで、アルコール依存症のおそれのある者やその家族の気付きのきっかけとなるような取組を進めること」としております。
44ページ「6.アルコール依存症の当事者及びその家族に対する相談支援等」についてです。
45ページの上から2つ目の○でございます。
「こども・きょうだい(ヤングケアラーを含む。)、配偶者など、当事者の家族が抱える課題の解決に向けた支援がなされるよう、都道府県等において、精神保健福祉センターや保健所等と、児童福祉部門や女性支援部門等の関係機関との連携を強化する」としております。
また、46ページの一番下でございます。
「国において、アルコール依存症当事者やその家族に対する相談支援が地域で包括的に行われる事例の収集に取り組むみ、ガイドライン等を作成する」としております。
47ページの1つ目の○でございます。
「アルコール関連問題を有する当事者の家族の身体的健康・精神的健康・経済的困難と、当事者の子どもへの影響などの実態について調査を行う」としております。
また、少し飛びまして最後の53ページを御覧いただければと思います。
こちらについては、大きな推進体制ということでありまして、そのうちの「3.アルコール健康障害対策推進基本計画の見直しについて」という項目の中の記載であります。
「基本計画(第3期)でも、重点目標及び基本的施策の目標の達成状況について定期的に調査・点検を行い、計画全体の進捗状況の把握とともに、アルコール健康障害対策の効果の評価を行うことにより、目標達成に向けた取組を推進する」と修正をしております。
以上が、計画の素案でございます。本日は、こちらについて御意見をいただければと存じます。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明について、御意見や御質問をお願いしたいと思います。
発言時は、会場参加の委員は挙手の上、また、オンライン参加の委員も挙手機能を御使用いただいて、私が指名してから発言いただくよう、御協力をお願いいたします。
それでは、会場から稗田委員、お願いします。
○稗田委員 ありがとうございます。稗田です。
これまでの要望とかを反映していただいて、本当にありがとうございます。
その上でですけれども、もうひと押しという感じで申し訳ないのですが、幾つか述べさせていただきたいと思います。
まず、資料2-2の1ページの「はじめに」のところに、ぜひ入れていただきたい文言を3つほど挙げさせていただきます。
まず「また、アルコール健康障害は」から「危険性が高い」というその後に、そのため、WHOの疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD-11においては、当事者に健康障害がなくても他者への害(家族への暴言・暴力)、飲酒運転等があれば、危険な使用として診断することが可能になっているということを、ぜひ、将来的なことになりますので、お願いしたいところです。
3つ目は、2ページになりますけれども、こども基本法のところですけれども、ヤングケアラーへの支援が強化されたというところ、そこに、さらに令和6年、2024年に改正、施行された配偶者暴力防止法では、命令の発生要件が生命・身体に対する重大な危害から生命・心身、心と体に対すると拡大されていますので、それを重大な危害に拡大される等の強化が行われているということを入れていただきたいと思います。
もう一つ、その後「以上を踏まえ」のところで「令和4(2022)年のWHO総会において」の後、令和7年の非感染性疾患の予防と、管理及びメンタルヘルスとWell-beingの促進に関する第4回国連総会ハイレベル会合政治宣言にもグローバル・アルコール・アクションプラン2022から2030の実施を加速するよう記されていることも、ぜひ入れていただきたいと思います。
続きまして、すみません、ちょっと機会がないので、もう一つは気になったことですけれども、ヤングケアラーや家族、こどもということを非常に積極的に取り入れていただきましたが、文言の統一というところをもう少し見直していただくといいかと思います。
「きょうだい(ヤングケアラー)」ということ、ヤングケアラーをやはりきちんと入れたほうがいいかなと思います。ちょうどこの週末に、日本子ども虐待防止学会という大きな学会に参加させていただきましたけれども、ヤングケアラーが本当に浸透している、ヤングケアラーのケアをどうしたらいいかということが、現場の方たちも、これからやっていかなくてはいけないということを皆さんおっしゃっていましたので、やはりヤングケアラーという言葉をしっかり入れ込んでいただくこと、入れ込んでいる部分もあれば、そうでないところもありますので、ぜひ、これを入れて意識化を図るということを、依存症対策においても虐待防止等で後押しになるのではないかなと思っております。
それから、15ページなのですけれども、すみません、どんどん言ってしまって申し訳ないのですが「取り組むべき施策」の左側に、上から2つ目の黒ポツですけれども「連携体制を地域の実情に応じて整備する」というのは修正がなかったのですが、ここの地域ということが非常に曖昧で、これまで、もっと小さい狭い地域単位で施策を見直していくということがあったかと思いますので、ぜひ政令指定都市及び市区町村レベルでの整備ということを入れていただきたいと思います。
それから、21ページのところは、今、申し上げたようにヤングケアラーということが落ちて、その家族とか、家族に集約されている文言が気になりますので、ここをお願いしたい。
それと、21ページの「学校教育法等の推進」のところで、右の○の2つ目のところに、文科省、厚労省、そして、こども家庭庁も、やはりきちんここの会議に入っていくことは重要ではないかと思いますので、それを御検討いただきたいと思います。
その次の22ページになりますけれども、それは、先ほど申し上げましたとおり、やはり教育に問題だけではなくて、回復支援における価値、倫理、知識、方法、技術、これは専門職の大原則ですけれども、それを全て包括的なものとして位置づけて推進することを入れていただきたいと思います。
それから、すみません、飛びまして45ページのところなのですけれども「こども・きょうだい(ヤングケアラーを含む。)」と、この言い方が一番分かりやすいかなと思いましたので、このように統一したらいいのかなと思います。
それから、新規に入れていただいたのは、本当にすごい前進だったなと思っておりまして、ぜひここに教育機関ということを、例えばスクールソーシャルワーカーとかスクールカウンセラーは、教育委員会から派遣されたりしていますので、ぜひ教育機関を入れていただきたいと思います。
それから、46ページになりますけれども、この研修のところですが、右側に、やはり教育機関というのを入れていただきたいのと、もう一つは、研修を実施する際に、これからおつくりになるということですが、相談のガイドラインなどを踏まえ、回復支援のための、やはり、先ほど申し上げた回復支援の包括的な知識や技術、価値、それを含めるということを、はっきりその範疇を入れていただかないと、恐らく今までとあまり変わらないかなと、何を入れたらいいのかというところが、カリキュラム上でばらばらであるということがありますので、これから、カリキュラムは改訂されていきますので、その改訂ごとにこれが抜け落ちていけば、やはり、今までやった話し合いが水の泡になってしまうかなと思いますので、そういう具体的な専門職としての必須要件をきちんと入れていただきたいと思いました。
すみません、長くなりましたが、以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで、志田委員、小松委員、上村真也委員、金城委員が挙手をされています。
それでは、この順番で、まず、志田委員からお願いいたします。
○志田委員 ありがとうございます。
まず、私のほうから簡単に申し上げますと、基本計画基本法で多飲という言葉を使うべきではないということについて、お話しできればなと思います。
まず、参考資料の基本法ですが、平成29年4月1日現在、2017年4月1日現在となっています。
その中で第12条4に、政府はアルコール健康障害に関する状況の変化を勘案し、必要があるときは基本計画を変更しなければならないとなっています。
その後、前の会議でもお話ししたのですけれども、2018年に『ランセット』にメタアナリシスが掲載されて、アルコールの害は直線的で、昔あったようなJカーブ神話のようなものは、もうない。健康被害を最小にするためには、飲酒量はゼロであるべきであるということが、その中には書かれていました。
また、例えば、女性の乳がんに関しては、2017年のジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーに出ているものでございますけれども、例えば、毎日350mLの缶ビール1缶を飲んでいるような状況でも、有病率はゼロの人と比べると有意差が出てしまうということがデータとして示されていたりとかします。
これが、やはり第12条4にあった状況の変化に当たると思いますので、それを勘案し、変更する必要があるというのが2025年現在であるのかなと思います。
その中で、基本法と基本計画を拝見しますと、その中に何度か多飲という言葉が出てきています。この多い少ないというのは、個人の認識に大きな差が出てくるところかなと思います。
私はそう思っていませんが、多くの国民は毎日350mLの缶ビール1本飲むことを、そんなに問題と認識していないのではないかなと思います。
そうすると、第7条にある国民のアルコール健康問題の理解を深めねばならないというところも、引き続き推進していかなければならないのかなと思いますが、例えば、先ほどの2017年のジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーの中では、350mLの缶ビールを1本毎日飲むことは、もう中等量飲酒者と記載されています。
ですので、多分、これはほとんどの方が少量飲酒とか、ほとんど問題ない飲酒量と認識していると思いますが、世界的には、そういう感じではなくなってきているというところからも、やはり多飲という言葉を使い続けるのは、国民に誤解を与えてしまうのではないかなと思います。
ですので、例えば、資料2-2の最初の多飲という言葉も、摂取という言葉に変えていただきたいなと思います。
多飲でなくても、先ほど申し上げましたように、がんのリスクが高まってしまうということが、今、もう分かってきていますので、そういったところで多飲という言葉を使うのは、少し問題になるかなと思いますし、あとは基本計画の2ページにも、アルコールの多飲が様々ながん等の疾患や自殺等のリスクを高めると指摘されているとありますので、この部分を残すのであれば、やはりアルコール摂取に変えるべきかなと私などは何かを考えています。
あと、2-2の資料の22ページのところになるのですけれども「職場教育の推進」という中で「過度な飲酒による影響や」と書いてありますが、ここは、読み方によっては、過度な飲酒でなければいいのかと取られてしまうように、私などは読んでしまったりとかします。
ですので、基本的には少量の飲酒であっても、いろいろ問題が起こってくるということがあるので、あのぐらい、言ってみれば、呼気の濃度がだんだん小さくなってきているというのが、警察に飲酒検問で捕まるかどうかというところにも出てきていると思いますので、ここにも「過度な」という言葉を入れるのは、私は誤解を招くと思いますので、ここも「過度な」というのは入れるのかどうなのか、もしくは、ここの「不適切な状態での」というところより前の文章は、もう抜いてしまってもいいのではないかなというぐらいに思っているところでございます。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、小松委員、お願いします。
○小松委員 私、発言要旨を少しまとめるために、若干資料スライドを用意しておりますので、事務局の方、お願いいたします。
すぐ2枚目に移ってください。
WHOが推奨しているSAFER、この前も少し言及いたしましたけれども、これは10年前の京都(ISBRA京都大会)で、『WHOがベストバイ、非常にお買い得と提唱した』と報告された施策がバージョンアップしたものなのです。
Sがアルコール入手の制限の強化、Aが飲酒運転対策の推進と徹底、Fがスクリーニング・簡易介入、治療へのアクセスを容易にする、Eがアルコールの広告・スポンサーシップ・プロモーションの禁止または包括的制限の実施、Rが酒税や価格政策によるアルコールの値上げと、これを全面的、包括的に、もうそろそろ推進すべき時期ではないかと思います。
特に私は、これに沿って少し強調したいのは、先ほども出ていましたけれども、他者への害ですね、これを防ぐ視点というのが、今後の第3期計画の目玉になるかと思います。
特に家族、配偶者、こどもへの支援の強化、それから飲酒運転防止、これは御本人の害ではなくても、他者への害です。そして、ICD-11では、他者への害があれば、危険な使用という診断名がつきまして、治療対象になるのですね。これがAとFに当たります。
2番、SBIRTSの推進ですね、SBIRTSを第2期で入れていただきました。特に入り口のSの整備、それと適切な診療報酬の検討、これはFに当たると思います。
それから、3番、SBIRTSの推進、今度は出口のSである自助グループへの実効性あるつなぎ、これもFだと思います。
4番、啓発に健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを注意深く用いると、これがとても大事になるかと思います。
それで、非常に今回うれしかったのは、新たな数値目標を設定してくださった。それから定期的な見直しをするというのが文言に入って、しかも数値目標のほうは別表にしてくださると、本当に事務方の本気度が分かって、非常にありがたいと思います。計画推進を加速できると思います。
次のスライドをお願いします。
アルコール使用障害の医療体制の理想像というのは、こういうピラミッドだと思うのです。一番下が相談機関、これが10ぐらいだとすると、プライマリーの医療機関が5ぐらいあって、専門医療機関は1であると、10対5対1と、これが、日本ではほぼ理想的に整備されているのが認知症での体制整備だと私は考えています。
地域包括支援センターがこれだけあり、認知症診療医が2,689名もいる、これは、日本精神神経学会が養成したものですね。それから認知症疾患医療センターというのもこれだけあると。
次のスライドをお願いします。
では、アルコールはどうなっているかというと、こういう感じです。これが実態。先ほどの10対5対1で見ますと、相談窓口2に対して、プライマリーの診療医は何とデータがない、誰も測っていないというか、やっているは人あまりいない。そして、専門医療機関が1と非常にいびつなのですね。それで、専門医療機関はどこもアップアップです。このままでは、やはりまずいと思うのです。
それで、私なりに少し考えたものが、次のスライドをお願いします。
日本を含む21か国が参加したワールド・メンタル・ヘルス・サーベイズの分析なのですね。これで見ると、大体どこの国も鬱病とかに比べると、アルコール依存症というのは、非常に治療の必要性の認識も低いけれども、医療者と相談するのは、さらにぐっと低くなって、効果的な治療はさらにぐっと低くなると、これは岡山県の宋先生から好意で引用させていただいていますが、こんな感じなのですね。
これをどうやって変えていけばいいかと、次のスライドをお願いします。
やはり、本人家族がより円滑に支援に結びつくように、切れ目のない支援体制を整備すると、そのように基本計画にも書かれておりまして、ここは変わっていないわけなので。ですから、やはり診断基準を満たしている人たちをどうやって拾うかと。専門医以外でも効果的な、真ん中の四角に書いてあるように、AUDITというスクリーニングをしないとどうにもならないです。それは、先ほども文科省の方にも少し質問をしましたけれども、どういう実態になっているか、スクリーニングで拾わないことにはどうしようもないですからね。
その後で、やはりかかりつけ医、それから拠点以外の精神科医、つまり今まであまりアルコールに手を出していない精神科医がきちんとそれを見て、それで脱落を防いでいくと。そして、内科の先生やかかりつけの先生方は、心の連携指導料というのが、もう少し適用範囲が広くなれば、非常に切れ目のない支援体制というのが、今よりは整備されていくのではないかと思っております。
次のスライドをお願いします。
実際に、私どものような総合病院の精神科で、アルコール使用障害診療をやっていて、何をどうしてほしいかという希望を取りましたら、この赤丸で囲んであるところですが、アルコールの問題がある患者さんへの総合病院でのスクリーニング、AUDITなどについて、診療報酬がつくことというのが、非常に大きなトップワンだったのですね。
つまり、そのぐらい現場では困っているのです。困っているけれども、ワーカーさんたちはなかなか手が出せない。診療報酬がつかないことに関わるのは、非常に難しい。本当に退院促進で毎日目まぐるしく動き回っているので。でも、ここができれば、いろいろやりようがあるというのは、私どもの論文にしました調査にも、いろいろ書いてございます。
次のスライドをお願いします。
そういうことなので、やはり、もちろん診療報酬に関しては中医協マターであるということは重々承知しております。そして、診療報酬に関わる適切な知見の集積に努めるということは第2期計画で書いていただきましたので、その範疇の中でなのですけれども、こういう現状があるということは、ぜひ、知っていただきたい。
そして、すみません、1回少しこのスライドを前に戻していただけますか。これは、WHOや国連総会ハイレベル会合が強く推奨する不適切な飲酒の誘因防止策の、先ほどのAとFは説明いたしましたが、SAFERですね、これのSとEとR、これに関して、日本の現状がどうかというと、少し下のほうに下ろしてください。スポーツ動画配信サービスのダズンというのがあるのだそうですけれども、ビールメーカーがコラボしている手法で、視聴者の感情が高まるゴールの瞬間に合わせて、ファンゾーンで、はい、乾杯しましょうという広告をやっていると。あるいは、これは、今もまだ放送されているそうですが、次の期には、終わりになるかもしれないという話が出ていますが「酒のつまみになる話」というフジテレビ系のバラエティ番組ですね。ゲストが酒のつまみになれば何をしゃべってもオーケーというルールのもとに、事前に飲んだ飲酒量が冒頭で、このように書いてあるのですね、右側に、すごいですよ。それで、冒頭で表示されて、番組中に飲酒しながら、飲酒しながらですよ、本音や失敗談を語り合うと、かつてウォッカを30杯飲んで泥酔状態となったゲストもいるというのですね、この番組スポンサーには、洋酒やビールのメーカーさんが入っていらっしゃると。これはいかがなものかと思うのですね。
もう少し下に進んでいただけますか。
これを、やはり何とかしていかなければいけないと思うのです。本当にウォッカを30杯飲んで泥酔状態と、泥酔で済んだのは、このゲストさんは、かなり身体依存ができていて、耐性が形成されているからだと思うのですね。こういう状態をこのまま、自主規制で本当にいいものなのかしらということの問題提起をして私の発言を終わります。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、上村慎也委員、お願いします。
○上村(真)委員 上村です。
時間もありますので、私からは1点に絞ってお話ししようと思います。
私からは正しい知識・理解の啓発の推進のところで、とりわけ飲酒ガイドラインについて要望したいと思います。
飲酒ガイドラインについては、策定時の議論でも、これまで広く用いられてきた節度ある適度な飲酒という指標を残すべきなのではないかという議論があったと思うのです。
しかし、少量飲酒のリスクが明らかになって、WHOの方針もあって、低リスクの飲酒の量というのを明示するのは困難だということで、最終的に節度ある適度な飲酒という表現は外されました。そういう経緯があったのですけれども、実際にできた飲酒ガイドラインでは、その2倍の飲酒量に当たる生活習慣病のリスクを高める飲酒量、この数字が唯一の数字として残されました。
その結果、一部のメディアによって、男性は40g、女性は20gまで飲んでいいのだという誤った誤解を生みかねない報道というのが広がりました。
こうした誤解が広がってしまうと、せっかくいいものをつくって周知・広報しても、むしろ逆効果のメッセージになってしまうので、厚生労働省は、この間の経緯を踏まえた上での広報資材をつくっていただきたいと思っています。
そこで、この計画の中に何らかの形で、例えば、注釈とか、あるいは※マークで追記するような形で、次のような文言を入れることを検討していただきたいと思っています。
具体的には、飲酒量について「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」まで飲んでもいいという誤解を招かないよう留意する。もしくは、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は許容量ではないことに留意する。こういった文言を入れられないかという検討をしていただきたいと思っています。
最後に、これに関連して、実際にこれから広報資材を作成、公開する際は、十分な知見を有した専門家であるとか、関連団体であるとか、そういった方とコミュニケーションをしっかり取っていただいて、その意見を十分に反映していただくように、この場でお願いしておきたいと思います。
これが、今回、厚生労働省さんがつくるものというのが、今後、地方自治体などがつくる印刷物のある種のひな形になるような気がしますので、その辺り、くれぐれもよろしくお願いします。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、金城委員、お願いいたします。
○金城委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料2-2について記載の流れに沿って、4点述べます。
1点目は、計画全体のことですけれども、アルコール健康障害の捉え方というか、文言の部分で、例えば「はじめに」の部分や重点課題1の(1)基本的施策の1などにおいて、特に依存症に限定する場合を除いては、がんや高血圧などの生活習慣病も含む、アルコール健康障害として記載したほうがいい部分もあるのではないかと考えております。
現行の「はじめに」の案の部分では、アルコール性肝疾患と依存症が例示という形で挙げられていますが、がんや高血圧といった疾患への影響を言及することで、本計画が対象とする疾患が広いものであるということが分かりやすくなると思います。
例えば、17ページの関連指標に関しては、アルコール依存症に対する正しい知識の理解ということになっていますが、アルコール健康障害に関して、例えば、がんに関する知識があるのか、を盛り込むというのも1つの案と思っております。
そういった視点でいくと、先ほど志田委員が発言されていたように、「多飲」や「過度な」という表現も、今後は変えていったほうがいいのではないかと思っています。
2点目は、同じく「はじめに」の部分で、先ほど小松委員が指摘されていたこととも関連しますが、国際的動向についての記載ですが、WHO global alcohol action plan 2022~2030の名称のみが記載されていますが、SAFERやBest buysのような具体的な方向性、国際的な流れに簡潔に触れて、日本のこの計画も国際的な流れに沿って進められているということが分かると、国民の理解が得やすいと思いました。
3点目は、23ページの本日の初めの議題にあったところと関連するところですが、厚生労働省が分かりやすい広報資材を提供するということで、先ほどの上村委員の話にあったように、飲酒のガイドラインについても詳しく説明していくことは、非常に大切でよいことだと思います。さらに、これが地域、学校、職域で、健康教育を担う方が活用できるような資材としても整備されていくと、直接国民に周知するのと併せて、広く適切な情報、正確な情報が、信頼できる元から出たものとして行き渡っていくのではないかなと思いました。
最後4点目は、職域における飲酒対策の推進について、22ページに記載がありますが、交通労働災害の防止の観点で、と、交通労働災害の防止に限定されています。現在、職域におけるアルコール対策を考えたときに、疾病や労働災害の予防、生産性低下の予防という観点も含めて、職域での教育を推進していくのがいいと思います。33ページの職域の健康診断保健指導、職域における対応の促進の項と併せて、職域での早期発見、早期介入についても職域で推進していけるような記載があるといいと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、会場から、林委員、お願いします。
○林委員 全日本断酒連盟の林と申します。よろしくお願いします。
4か所ほど、文言を足してもらいたくて挙手しました。よろしくお願いします。
P15の「取り組むべき施策」の中の2番目です。「各地域において、アルコール依存症をはじめとする」と始まっていて、連携体制の後に「SBIRTS開始学校」を入れてもらいたいと思います。これは、内科医や産業医の先生方にも、アルコール医療イコールSBIRTSを浸透させるためにもぜひ入れてもらいたいと、検討してもらいたいと思います。
次に、33ページの「(3)職域における対応の促進」に○が1つありますけれども、その下に文言を足してもらいたい。今から言います。○として、職場内で産業保健部門と安全管理部門が連携を図り、保健指導と飲酒運転防止を組み合わせた取組が進むように図る。
具体的には、保健指導において、アルコールチェックに反応するなど、飲酒傾向が強い人に対するアルコール教育、減酒のサポート、受診の勧奨など、この文章をぜひ足してもらいたいと思っております。
次に、39ページ、この同じ文言を、P51に足してもらいたいのですけれども、○として、アルコール依存症の当事者及びその家族に対する支援を、○が1つありますけれども、その下に付け加えてもらいたいのが、専門医療機関から自助グループへの実効性のあるつなぎに努める。自助グループの機能、効果を伝えて参加を促したり、患者やその家族が自助グループの人たちと実際に会う機会を設けるなど工夫する、この文言を入れてもらいたいのと、これをP51のところにも足してもらいたい。
あと2点あります。
P51の○として目標、地方公共団体において、その後に、会場の提供や広告など、この文面を足してもらいたい。
すみません、時間を取って、以上でございます。
私のほうからは、以上、文言を足してもらいたいという要望でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、会場から塚本委員に挙手をいただいております。また、ウェブでは江澤委員、上村敬一委員に挙手をいただいておるので、塚本委員、江澤委員、上村委員の順番でお願いします。
○塚本委員 よろしくお願いします。
私から文言の付け足しなので、幾つか簡潔に伝えたいと思います。
まず1つは、15ページの上から2つ目のところ、先ほどSBIRTSの話が出ていましたけれども、やはり私もここで連携体制の後にSBIRTSという文言をぜひ入れてほしいなと思いました。1期には入らず、2期で初めて文言として入って、3期では重点課題に昇格させたいという思いがあります。
先ほど、小松委員の中からWHOが推進しているSAFERの話もありましたけれども、まさに、SBIRTSのことだと思うので、入れてほしいなと思います。
そして、2つ目が25ページです。
最後のところに「アルコール依存症の回復者が体験談の講演等を行う社会啓発活動の活用を図る」とありますけれども、この後に、ただし、飲酒量について、生活習慣病のリスクを高める飲酒量まで飲んでいいという誤解を招かぬよう留意するという文言を付け足してほしいというところです。先ほど、上村委員の話にもありましたけれども、飲酒ガイドラインについては、本当に我々が懸念したとおり、男性は40(グラム)、女性は20(グラム)を飲んでいいという誤解の報道が数多い状況です。
先週、アルコール関連問題啓発週間でありましたけれども、その関連するニュースの報道でも同じような状況でした。このため、ぜひこの文言を入れてほしいと思います。
そして、3つ目です。
33ページ、先ほど林委員からお話がありましたように、私もここの中で付け足しとして、2つ目の「職域における対応の促進」のところです。「職場内で産業保健部門と安全管理部門が連携を図り」という文言が、かなり重要ではないかなと思います。これは、対象は厚生労働省と警察庁と国土交通省に当たると思うのですけれども、ここ数年起きている悲惨な飲酒運転事故の裁判などで、加害者の供述というのを詳しく見ていくと、やはり産業保健部門と安全管理部門が連携を図れていない例というのが多発しているなと感じているからです。
続いて、4つ目です。あと少しです。4つ目、41ページです。
2つ目の○のところ、プラスして「医療機関における治療や、相談を受けにいくきっかけとなるよう取組を行うとともに」の後に、違反者の飲酒パターンや、依存傾向等を含めた調査を実施し、受講者自身の気づきのきっかけとなるようにという文言を付け足してほしいと思います。以下は同じです。
ASKでは、2008年のこういった調査を使っていて、それ以降、もし、データがあるのならほしいくらいという状況になっています。先日、1つの例があるのですけれども、ASKで飲酒運転防止の講義を行っていたときに、アルコール依存症の当事者がこんなことを言っていました。
その人が受けた飲酒運転の違反者講習の中で、このうちの半分近くは、また講習に戻ってくると、つまり再犯してしまうよと言われたそうなのです。当事者は反省もしているし、自分ではない、自分は絶対に再犯しないと心に誓ったそうなのですけれども、数年後、やはり再び飲酒運転を起こして検挙されてしまった。そのときに自分がその半分近くに含まれていたということにショックを受けて、依存症と認めるきっかけの1つになったという話をしていたのです。
これは、1つの例ではありますが、再犯者率とか、依存のおそれがあるかとか、一時多量飲酒の割合など、やはり知っておいたほうがいいのではないかなと思いました。
5つ目、次の42ページです。
地域における飲酒運転防止条例の制定状況などを含めた最新の取組事例を収集周知するというところの最後に、もう一つ文言を付け足してほしいなと思います。
具体的には、アルコールチェックが義務づけられている事業者においては、その適切な実施に加え、事業者への教育と減酒のサポート、アルコール依存症の疑いがある場合は、受診を促す等の取組を行うよう周知する。これも対象は警察庁、国土交通省と厚労省だと思うのですけれども、先ほど言ったように、ここ数年の悲惨な飲酒運転の事故は、加害者側がアルコール依存傾向の強いということは明らかになっているので、緑ナンバーとか、事業所の白ナンバーとか、多数の人が、今、アルコールチェックを行うようになっている現状から、チェッカーを鳴らしたら始末書ではなくて、ぜひ介入のチャンスにしてほしいという狙いから、こういう文言を付け足してほしいと思いました。
最後です。46ページです。
最後の項目に付け足してほしい言葉があります。「国において」の前なのですけれども、今、都道府県のアルコール健康障害対策推進計画の見直しが今期から始まることになっていますけれども、ガイドラインが間に合わないという状況になっているのです。
各自治体のヒントになる内容を書いたほうがいいなと思って、その具体例ということで、この「国において」の前に、具体的に家族の相談支援においては、DVや虐待がある場合は速やかに担当部署につなぐ危機対応に加え、依存症についての知識、こどもを含めた家族への深刻な影響、家族自身のケアのために有効な自助グループへの参加についてなど、様々なサポートが必要になる。少し長いのですけれども、こういった文言を付け足してください。
それこそ事例収集も後に書いてあるのですけれども、時間がかかるのが常になっているので「相談支援が地域で包括的に行われる」の後は、早急にガイドライン等を作成する、また、事例の収集にも取り組むという文言に修正をお願いしたいと思います。
長くなりましたが、以上です。
○松下会長 それでは、江澤委員、上村敬一委員、長嶺委員の順でお願いします。
では、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。2点申し上げます。
本日の参考資料6の1ページに示されていますけれども、アルコール性肝疾患で受診した患者数が、令和5年に7万1000人と増えております。これは、統計手法の違いによって、患者さんの数が増加しておりますが、その統計手法の違いを考慮しても増えていると認識しております。
したがいまして、今後、この数だけでは、なかなか対策が取りづらいので、入院・外来の種別や、あるいは疾患別の人数の把握も必要ではないかと考えております。
また、その右側には、同じく死亡者数が出ておりますが、こちらも令和5年に6,211人と増えています。
資料2-2の3ページには、令和5年の5,480人の死亡者数のうち、約8割がアルコール性肝硬変との記載もございました。
こちらの死亡者数につきましても、アルコール性肝がん、アルコール性肝硬変などの疾患別人数の把握によって対策を取っていくことも必要ではないかなと思っております。
2点目は、資料2の13ページに、生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている者の割合を、男女合わせた全体の値として10%まで減少されると、見直しの記載がございます。
こちらは、健康日本21からの引用によるものと思いますけれども、現状アルコール性肝疾患の受診した患者数や死亡者数が増えている状況下において、この10%がアルコール健康障害対策推進基本計画として妥当であるかどうか、科学的に検証する必要があるのではないかと思っています。
また、国民の飲酒率も、じわじわと変化しておりますので、飲酒している国民の数を分母として、目標値を定めていくことも検討する必要があるのではないかと思っております。
以上、2点ございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、上村敬一委員、お願いいたします。
○上村(敬)委員 ありがとうございます。上村でございます。
私のほうからは、15ページ、先ほどから複数の委員から指摘されています、取り組むべき施策のアンダーラインのところなのですけれども、地域で連携を促進するということですが、連携そのものは何も異論はありません。ただ、ここに私はどうしても切れ目のない連携という、切れ目のないという言葉をどうしても入れてほしいなと思っております。
これは、高齢者介護の世界で、今、地域包括ケアシステムというのが叫ばれていまして、精神科においてもそれをすべきだという議論があるわけですけれども、連携は必要ですけれども、なかなかその連携がうまくいかないのは、途中で切れてしまうのですね、どこからつなげて、どこにつなげてと、先ほどから出ていますように、地域保健でもそうですし、地域保健あるいは産業保健、そして学校、そういったところから、どこにつなげるか、そして、その後どこにつなげるか、そして、そういった人たちが、みんなで支援をしていこうということで、そこで、その後の支援体制の前に包括的という言葉があるといいかなと思っています。
なぜ、こう思ったかというと、これは少し飛ぶのですけれども、46ページには、きちんと地域で包括的に行われるという文言を使われておられるのですね。一番下のところですね、相談支援が地域で包括的に行われると、ここでは書かれているのですよ。ですので、患者さんを中心とした連携が必要なのですけれども、それが実効性のあるものにしていくためには、切れ目のないという言葉が必要ではないかなと思っております。
それに関してなのですけれども、先ほど小松委員のほうから診療報酬に関しての意見がありました。私も大賛成なのですけれども、どうしても診断・治療の入り口というところでは、医療が関わってくることになります。それ以前のところの相談というところは、ある程度パブリックな、これは行政が行っていく部分だと思います。
しかし、医療が関わってくる部分というのは、どうしても私ども、医療行為は診療報酬で規定されております。診断・治療だけではなくて、その後の連携、先ほど小松委員は、こころの連携加算のことをおっしゃっていましたけれども、それに関わる、例えば診療所においてワーカーとか心理士とかが必要になってきます。診療所協会の以前の調査において、なぜ依存症は医療にかかれないかというと、ただ単に診察だけが問題だというだけではなくて、さらにそこに関わるパラメディカル、コメディカルのスタッフを雇用できないといった問題がありました。
ですので、これに関しては、38ページのところなのですけれども、診療報酬に関しての言及がここの一文しかないのですけれども、38ページの一番下のところに、診療報酬の在り方の検討を資するようにと、その前のところのアンダーラインですけれども「に係る医療の充実に」と書いてあるのですけれども、医療と連携の充実、連携という言葉がここに入って、連携そのものにも診療報酬の在り方をきちんと検討できるような、その知見を集積することが必要ではないのかなと思いました。
私からの意見は以上でございます。
○松下会長 では、続いて、長嶺委員、お願いします。
○長嶺委員 ありがとうございます。長嶺でございます。
第2期のときには、私、家族のケアに対しての文言がなかったことから、今回、これだけ家族、こども、兄弟、ヤングケアラーと文言を入れてくださったこと、大変感謝しております。
その点において、少しバランスがこども寄りに寄り過ぎていないかなというところも懸念しております。
確かにこども、ヤングケアラーに対してとても支援を手厚くしていただきたい部分はあるのですけれども、結局、依存症当事者からの害だけではなく、非依存者であるパートナーや、片方の親からの情緒的ケアが、やはりこどもに対しての発育やトラウマなどに及ぼすということは、先日のASKの発表研究データにもありましたし、面前DVという言葉もございます。ですので、配偶者を含めた家族へのトータル的なバランスのいい文言にしていただければなと思っております。
時間がないので、本日は、これで以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、小野里委員、お願いいたします。
○小野里委員 小野里でございます。
文言についての意見は、本日ないのですけれども、先ほどお話がありましたとおり、こういった保健政策に関しては、国際的な枠組みに沿ってやるべきだという意見につきましては、これは私も大賛成でございまして、そのとおりかなと思っております。また、科学的根拠に基づいて計画はつくられるべきかなと思っております。
一方、本日のお話の中でも一部、少し我々が考えていること、我々が知っている認識と異なっているような部分もございました。ぜひ計画策定に当たっては網羅的に、科学的根拠ですとか、国際的な動きというものをしっかりと正確に見た上で、策定をしていただければありがたいなと思う次第でございます。
例えば、先ほどWHOと国連ハイレベルミーティングの話がございました。その中にSAFERという話がございました。これは、我々の認識でいきますと、確かにWHOのほうでSAFERというお話は出ているのかなとは思いますけれども、本年9月25日に行われた国連ハイレベルミーティングの中では、このSAFERという文言は国連加盟各国の間で合意されていないと、そういう認識でございましたので、是非、各所から海外の情報を入手し、また科学的な根拠というのを収集した上で、計画を策定していただけるとありがたいと思っております。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
続いて、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
5点ほどあるのですけれども、まず1点目です。
2-2の資料の17ページなのですけれども、評価検証のための関連指標というところで、他科から精神科に紹介するという事例の数も重点目標の中に入れてはいかがかなと考えました。
医療機関において、他科から紹介によってつながった新規患者数、そういったものも診療報酬等で、心の医療、そういった紹介でつながった数というのがどのぐらいあるか、それを増やしていくということで挙げてはいかがかなと考えました。
2点目は、27ページです。小松先生のお話にもあったのですけれども、酒造業の関係者の方は、このWHOのお話とかは違うのではないかということもありましたが、やはり私は、不適切な飲酒の誘因というところを、若者向けにはもっと力を入れていく必要があるのではないかと考えています。
業界の方は、自主規制で頑張っていらっしゃるということなのですけれども、今やその自主規制が追いつかない状況があるのではないか、コントロール不能なのではないかと感じるのです。それは、スポーツ動画配信サービスなどで見られるように、今まで予測できなかったような手法でどんどん広告が広がっている。それによってアルコールの害、こどもたちに対して、こういった楽しいときにはお酒がつきものであるとか、誤った知識がすり込まれている現状というのがあるのではないかと考えます。ですので、何らかの対応というのが必要になってくるのではないかと考えます。
3点目は、42ページ、飲酒運転のところなのですけれども、交通事故を起こした方が、先ほど塚本委員のお話にもありましたが、繰り返して事件を起こしてしまう。やはりそういった方は依存症の可能性が高いと思いますので、これは、アルコールに関する研修といいますか、そういうものが任意でとか、推奨のレベルではなくて、義務化する必要があるのではないかと考えます。
これは、やはり、他者への影響というところで、飲酒運転による被害が甚大であるということをもっともっと認識する必要があるのではないかなと思いました。
それから、4つ目が自殺対策に関してなのですが、44ページでしょうか、申し訳ありません、探しきれないのですけれども、自殺対策とアルコール依存症対策の関係機関連携の強化というのは、もう既に各自治体、都道府県レベルでは行われてはいると思うのですけれども、未遂者対策において、先日あるところで、自殺予防に関連した活動をしている精神科医が、自殺もやむを得ない事例があると自分は考えているという少しがっかりする発言がありまして、依存症の方でどうにもならない人がいるのではないかと思うという発言をされていたのです。
ですので、自殺対策の関係者の方にも、改めて依存症に関する啓発活動というのは、もっと力を入れていく必要があるのではないかなと考えました。
5点目は、学校保健との連携というところで、先ほどのこども、兄弟への支援を強化するというところ、保健所とか児相等と連携というのがあるのですが、学校というところが含まれていないので、そこを含めたほうがよりケアが、支援が充実できるのではないかなと考えました。
その中に、もし可能であれば、アルコール健康障害の特性を踏まえたこどもたちの生きにくさを支援する研修の実施など、幅を含めて書き込んでいただいたほうがいいのかなと考えました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そろそろ予定の時間が近づいておりますが、最後にこれだけは言っておきたいということがありましたら、いかがでしょうか。
では、稗田委員、お願いします。
○稗田委員 すみません、稗田です。
取りこぼしをしました、42ページなのですけれども「(2)暴力・虐待・自殺未遂等をした者に対する指導等」が修正なしになっているのですが、すみません、ここを少し付け加えていただきたいのは、やはりこれを最初にアウトリーチするのは、今までのいろいろな調査等で精神保健センター、保健所、それから救急医療機関ではないかと思うのです。
ですので、救急医療機関ということをきちんと入れていただきたいということが1つと、それから、家族等のその家族のところに、実はヤングケアラーとか、そのこどもの課題が見えているのだけれども手が出せないという、そういうことが実情として、いろいろな調査とか、事例検討で出されていますので、それをぜひ加えていただきたいと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
もし、また、ほかに御意見等ございましたら、11月19日水曜日までに事務局宛てに御連絡をいただきたいと思います。
それでは、本日の議論は、ここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
次回の会議では、本日の御議論を踏まえて修正した計画案をお示しして、取りまとめに向けた御議論を賜りたいと考えておりますので、事務局におかれましては準備をお願いいたします。
最後に事務局から、何かございますでしょうか。
○小野室長補佐 本日は、ありがとうございました。
次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
○松下会長 それでは、第36回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。
本日は御多忙のところ、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
また、本日は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけた上で、お名前を名乗ってできるだけはっきりと発言いただきますようお願いいたします。また、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御案内している「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不具合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所については、後日、議事録を公開いたしますので、そちらで御確認をお願いいたします。
本日、野村部長、アルコール健康障害対策推進室長の乗越課長、アルコール健康障害対策推進官の平田室長は、他の公務の関係で欠席となります。
さらに、アルコール健康障害対策統括推進官の海老名課長は、遅れての参加予定となっております。
本日の委員の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、小野里委員、勝嶋委員、渋木委員、塚本委員、長嶺委員、林委員、稗田委員、松下会長、米山委員となっております。オンラインでの御出席が、石井委員、上村敬一委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、志田委員、白石委員、平川委員、山口委員となっております。現在、19名中19人が御出席されていますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
さらに、本日は関係省庁より、警察庁、法務省、国税庁、文部科学省、こども家庭庁、国土交通省よりオブザーバーとして参加いただいております。
以上、よろしくお願いいたします。
撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
この後の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1-1「文部科学省提出資料『飲酒防止等に関する文部科学省の取組』」。
資料1-2「医療、福祉等関連分野におけるアルコール依存症の教育状況」。
資料1-3「アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性(1.教育の振興等)」。
資料2-1「アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)の作成方針につい
て」。
資料2-2「アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)」。
そのほか、参考資料1から6までを用意しております。
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
以上となります。
○松下会長 それでは、議事次第の「2 第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」です。
本日は「教育の振興等」「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)について」の議論を進めたいと思います。
まずは、1点目の「教育の振興等」について、文部科学省より飲酒防止等に関する文部科学省の取組について御説明をお願いいたします。
○文部科学省 文部科学省健康教育食育課の髙橋と申します。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、文部科学省の取組につきまして、資料に沿って御説明申し上げます。
まず、2ページを御覧ください。
学校においては、小中高において、学習指導要領に基づき、発達段階に応じた飲酒等に関する指導が行われております。
この学習指導要領というのは、全国的に一律の教育水準を確保し、実質的な教育の機会均等を保障するための基準でございまして、おおむね10年ごとの改訂をしてございます。
ここに記載してありますのは、小中高それぞれの指導要領における飲酒等に関する主な内容でございます。
小学校体育科では、飲酒は健康を損なう原因となることを指導することとしておりまして、飲酒は判断力が鈍る、呼吸や心臓が苦しくなるなどの影響がすぐ現れること、飲酒を長い間続けると肝臓などの病気の原因になることの影響があることなどを学んでおります。
中学校保健体育科では、飲酒は心身に様々な影響を与え、健康を損なう原因になること。また、飲酒が個人の心理状態や人間関係、社会環境が影響することから、それぞれの要因に適切に対処する必要があることを指導することとしております。
具体的には、飲酒は思考力、自制力、運動機能を低下させたり、事故などを起こしたりすること。急激に大量の飲酒をすると、急性中毒を起こし、意識障害や死に至ることもあること。常習的な飲酒は、肝臓病や脳の疾病など、様々な疾病を起こしやすくなること。未成年の飲酒については、体に大きな影響を及ぼし、依存症になりやすいこと。飲酒は好奇心、投げやりの気持ち、過度のストレスなどの心理状態、断りにくい人間関係、宣伝、広告や入手しやすさなど、社会環境によって助長されるため、それらに対処する必要があることなどが学ばれております。
高校保健体育科では、飲酒は生活習慣病などの要因になること、その対策には、個人や社会環境への対策が必要であることなどを指導することとしておりまして、飲酒による健康課題を防止するには、正しい知識の普及、健全な価値観の育成など、個人への働きかけや法的な整備を含めた、社会環境への適切な対策が必要であること。
好奇心、自分自身を大切にする気持ちの低下、周囲の人々の行動、マスメディアの影響などが、飲酒の開始や継続の要因になることなどが学ばれております。
次の3、4ページでございますが、この指導要領の改訂は10年ごとに行われると申し上げましたが、現在、昨年の12月に諮問を受けまして、中央教育審議会において専門的かつ総合的に議論をされているところでございます。
5ページを御覧ください。
文部科学省では、指導の充実に向けた取組として、指導者用の資料ですとか、教材を作成し、学校保健の担当者が集まる場において活用を促しております。
また、毎年開催いたします全国大会において、研究協議を行うなど、取り組んでいるところでございます。
審議中の中央教育審議会での議論も踏まえながら、引き続き指導の充実を図ってまいりたいと思っております。
次のページを御覧ください。
6ページ以降は、医学教育課からの御説明となります。お願いします。
すみません、では、6ページ、7ページは、今、オンラインで参加しておりまして、音声トラブルだそうなので、先に8ページ、9ページのほうを御説明させていただきます。
8ページを御覧ください。
「家庭に対する啓発の推進」でございます。
20歳未満の飲酒を防止するための家庭における取組に資するよう、厚生労働省作成の保護者向けの啓発リーフレット「こどもにお酒を飲ませてはいけない~20歳未満の飲酒を防ぐために~」というリーフレットをホームページにおいて掲載することにより、保護者等への周知を図ってございます。
次をお願いします。
9ページですが、文部科学省では、青少年を取り巻く有害環境対策を推進しており、その一環として、アルコールをはじめとした薬物、ギャンブル等への依存症を予防するための啓発講座、依存症予防教室や依存症の理解を深めるための普及啓発シンポジウムを開催しております。
令和6年度には、埼玉県や神奈川県、大阪府において、全6回開催し、オンラインも含めて約200名の方に御参加をいただきました。
アルコール依存症に関するチェックテストや、依存症予防教育の専門家によるトークセッション等を実施しました。
この事業成果につきましては、取組事例集としてまとめてウェブサイトで公開するとともに、活用等について周知を図っております。
それでは、すみません、先ほど説明ができなかった6ページについて、オンラインで。
○文部科学省 失礼します。高等教育医学教育課の赤岩でございます。
それでは、改めて御説明させていだきます。
高等教育医学教育課の赤岩と申します。よろしくお願いします。6ページを御覧ください。
「大学等における取組の推進」ということで、大きく2点書かせていただいております。
1点目、会議における講演等、2点目で通知の発出というところでまとめさせていただいております。
1点目でございますけれども、大学等の教職員が集まる会議等において、飲酒に伴うリスクや20歳未満の飲酒防止等の啓発資料、こちらを活用いたしまして、学生に周知啓発するように要請してございます。
また、下段の通知ですけれども、学生や教職員に向けてアルコール関連問題の啓発指導に努めるよう、通知を各種発出しているところでございます。
引き続き様々な機会を通じまして、この周知を図ってまいりまして、各大学等における入学時のガイダンス等によって、また、学生に正しい知識の普及を図るなど、各大学等の取組を促してまいりたいと考えてございます。
続きまして、7ページを御覧ください。
こちらは「医学部等における教育の充実について」というところでございます。
アルコール依存症に対する対策基本法、基本計画を踏まえまして、アルコール依存症問題に関して十分な知識を有する医療人材の確保、養成、資質の向上と、こちら図るために、アルコール依存症に関する教育の充実について各大学に周知し、啓発等の取組を促してございます。具体例として、その下に今年度も行っている周知の実績を書かせていただいております。
また、右側でございますけれども、モデル・コア・カリキュラムということで、各大学が策定するカリキュラムのコアになる部分を抜き出しまして、モデルとして体系的に整理したものがモデル・コア・カリキュラムでございますが、この中にも医学教育、看護学教育それぞれ依存症に関して定めておりまして、こういった内容を各大学において取り組んでいただいているという状況でございます。
そして、参考として各大学が進めている取組もお示しさせていただいております。
引き続き、これらの取組を通じまして周知・啓発等の取組を促していきたいと考えてございます。
音声トラブルで申し訳ございませんでした。御説明は以上でございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続き、事務局より、資料1-2及び資料1-3について御説明をお願いいたします。
○米田推進官 事務局でございます。資料1-2を御覧ください。
1枚の紙となっておりますが、医療、福祉等関連分野の教育状況ということであります。
真ん中の四角のところが、社会福祉士、精神保健福祉士の養成カリキュラムについてです。
アルコール依存症に関する知識、認識が円滑に進むよう、複数の科目において、心の健康や社会問題といった視点でアルコール依存症について学習しているところです。
その下の2つ目のポツですけれども、特に精神保健福祉士については、現代の精神保健の課題と支援の「⑥精神保健に関する発生予防と対策」というところで、社会問題としての依存症対策、個人及び家族への依存症対策、SBIRTSといったアルコール問題に対する対策が想定される教育内容の例として示されております。
また、その下の看護職についてです。保健師助産師看護師国家試験出題基準というのがありまして、そちらにおいて、依存症対策ですとか、アルコール健康障害対策に関する項目が盛り込まれており、看護職として具有すべき基本的な知識及び技能として位置づけられております。
続いて、資料1-3を御覧ください。
これまで、この会議でなされてきた議論ですとか、先ほどの文部科学省からの説明、また、先ほどの私からの説明、こうしたものを踏まえまして、次期計画における「1.教育の振興等」という基本的施策の部分ですが、これについては、以下のような方向性としてはどうかということでございます。
まず、1つ目が「学校教育等の推進」です。
教職員等を対象とした会議等の場においてや、また、2つ目のポツの大学等の教職員が集まる会議等において、アルコール依存症当事者やその家族に対する相談支援のガイドライン等を周知することなどについて記載してはどうかということです。
また「職場教育の推進」でございます。
過度な飲酒による影響や、飲酒による不適切な状態での動作や判断によって、事故や事件を招いてしまう行為などの飲酒に伴うリスクについて、より一層の理解が進むよう、事業者に取組を促すことを記載してはどうか。
また、運輸事業に関しては、アルコール・インターロック装置の普及促進を図ることについて記載してはどうかということでございます。
最後に「広報・啓発の推進」であります。
アルコール関連問題に関する情報を、職域・地域を含む社会全体に対し周知するため、飲酒ガイドラインの分かりやすい広報資材などを作成することについて記載してはどうか。
また、国、地方公共団体、関係団体、事業者等は、飲酒ガイドラインの内容にも重点を置いて啓発することとしてはどうかということで、こうした方向性で御議論をいただければと思います。
説明は以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、文部科学省及び事務局からの説明について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。
発言される際は、会場参加の委員は挙手の上、また、オンライン参加の委員は挙手機能を御使用いただいて、私のほうから指名させていただきますので、御発言いただくよう、御協力のほどお願いいたします。
稗田委員、お願いします。
○稗田委員 稗田です。御説明ありがとうございました。
私は、教育現場にいる立場とソーシャルワークの要請をしている立場から、お願いしたいというか、御意見を申し上げていきたいと思います。
まず、資料の1-1「学習指導要領における飲酒等に関する主な内容」のところで、小中高とありますけれども、今回の第3期の見直しは、皆様が御存じのとおり、家族、こども、ヤングケアラーということにおいて、そこにも焦点を当てると推進していただいているところですので、この辺りは文科省で、一番大事なのは、小中高の1次予防のところで、例えば、親がそういう課題を持っているとか、自分はヤングケアラーという認識をしていないかもしれませんけれども、非常に、自分のこどもの権利が侵害されているような、そういうことについて、どう指導していくかということを、特に教員の側のマニュアル、5ページですけれども「指導の充実に向けた取組」のところに「教員・外部講師対象」というのがありますけれども、これは、私も拝見させていただきましたが、すごくよくできてはいるのですけれども、やはり家族が、そういうことで相談できるところとか、居場所とか、そういうことも教員が知っておくことは重要なのではないかと思いまして、この点について、少し工夫をして入れ込んでいただきたいと思います。
すみません、続けてで申し訳ないのですけれども、資料の1-2のところですけれども「医療、福祉等関連分野におけるアルコール依存症の教育状況」につきましては、ここについては基本計画にありますが、アルコール依存症の問題を位置づけること等と書いてございますけれども、こちらは、第1期の見直しのときに、筑波大学のヨシモト先生をはじめとする、教育の効果測定のところをやらせていただいたのですが、そのときと今とでは、あまり変わっていない。
例えば、国家試験に依存症のことについて出るのですけれども、本当に医学的な知識を問うことに終始していることでありますので、このアルコール依存症の問題と、それから回復に対する支援における価値とか、倫理とか、方法とか、技術とか、そういう包括的なものをきちんと位置づけると、医学も看護もそうですけれども、対人援助職のカリキュラムの中にそれを位置づけるということを加えていただきたいと思います。
それから、社会福祉士、精神保健福祉士に関しては、ここに調べていただいておりますけれども、実は、精神保健福祉士のほうは、随分と入っているように見えますけれども、精神保健福祉のカリキュラム改訂のときに、この基本法の計画の中でこれを指摘したので、カリキュラムの改訂の際に、精神保健福祉士のほうでは随分と依存症のこのような項目を入れたという経過があります。
一方、社会福祉士については、そのときのカリキュラム改訂がありまして、こちらも随分と要望しましたけれども、今、ほとんどの教科書に入ってはいますけれども、依存症とはどういう病気かぐらいのことで、きちんとした回復の支援や、先ほど申し上げたスティグマとか、知識とか、方法とか、技術とか、そういうことがほとんど触れられていないという状況です。
ですので、現場では、例えば医療ソーシャルワーカーもそうですけれども、介護の現場にいるとか、そういうソーシャルワーカーたちが、ほとんど依存症のことについて、やはり相変わらず、どうやって関わっていいのか知らないということが、現場で引き続き起こっていることがありますので、ぜひ、ここに問題視するだけではなくて関わり方ですね、回復の方法、それから価値、そういう社会的な排除の対象となりやすいところも含めて、先ほど申し上げた文言を、ぜひ入れていただきたいと思います。
教育に関しては以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
小松委員から挙手いただいています。では、小松委員、お願いします。
○小松委員 今の稗田委員の意見に追加して、今、ASKの依存症予防教育アドバイザーという方たちが、当事者や家族、回復した人たちを中心に結構お勉強をして、それで、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取ったりしている方たちもいらっしゃるのですね。
その方たちが実習に出てみると、全然依存症のことをやらない。ただ、非常にアルコール依存症は、併存疾患が多い病気です。統合失調症も鬱病も双極性障害も認知症も非常に多い。それで、依存症の問題が絡むと、非常に現場でのケースワークとかが大変になる。だけれども、そこら辺を実習でも何もほとんどやっていない、知識だけなので、本当に途方に暮れたままになっているということがございます。
ですから、やはりカリキュラムの中で、実習の中にも、その依存症が絡むケースを入れるということも必要ではないかと思います。
取りあえず、以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、会場から米山委員、お願いします。
○米山委員 私は、この文科省の学習指導要領における飲酒等に関する主な内容で、2ページの部分について意見があるのですけれども、小中高で依存症に関する知識をきちんと得られるような取組をしていくことは、大変よろしいかと思うのですけれども、やはり、駄目、絶対駄目の延長的な教育であるとよくないのではないかということを考えておりまして、やはり、いろいろな社会環境ですとか、人間関係とかが影響するという、その先に、やはりこの依存症は病気であるということと、相談、治療として自助グループにつながることで、回復があるのだということを、きちんと含める必要があるのではないかと思うのです。
そうすれば、どこに相談できるかとか、ヤングケアラーの方たちが希望を持って、病気であっても回復できるのだと思えると思うのです。ですので、そういった回復に向かうルートも含めた指導要領にしていったほうがいいのではないかと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
勝嶋委員、お願いします。
○勝嶋委員 教育現場という意見で、まず、2ページの学習指導要領における小中高の、このことについては、現場では、やはりこのとおりに実施をしております。
ただし、高校でいえば、保健という授業でやっているのですが、1年間で35時間の中で、いろいろな健康被害等も含んだ学習をしておりますので、この飲酒に関わることで割ける時間が2時間というところで、その限られた時間の中で、教師によっては、先ほどの5ページの指導の充実に向けた取組の資料を使いながら、具体で説明する、それは教師によっても温度差があるのですけれども、かなり入念に取り組む教師については、こういった資料も伴いながら展開をしております。
今回、資料1-3の基本的な施策の本文というところで、この1点目、2点目は非常にいいかと思います。なかなかアルコール依存症の当事者、その家族に対する相談支援ということなのですが、先ほどの学習指導要領に沿ってというのは、広くということで一時的な予防にはなると思うのですが、実際にそういう当該者の生徒については、やはり、今、東京都でいえば、カウンセラーさんが2人配置されて、週に1人が1回ずつ来て、週に2回相談を受けられるような状況で、かなり盛況というか、どこの学校もスクールカウンセラーさんの休み時間を取る時間がないぐらい案件が入ってきます。
その中で、やはり父親がアルコール依存症であると、そういった相談もありますので、個別に対応するには、相談、カウンセラーさん等を使いながら、解決に向けて寄り添っていくことは大事かと思います。
あと、私の現場では、特に高校では、そんなに昔ほど、高校生がアルコールを飲んで問題行動を起こすということは少なくなったように感じておりますので、やはり課題は大学生かなと思っておりますので、この2点目の大学に向けての取組というのは、非常にいいかと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
オンラインのほうで、上村敬一委員が挙手をされています。上村委員、お願いいたします。
○上村(敬)委員 上村でございます。
まず、2点、先ほどから出ています、資料の1-1の2ページ目です。「学習指導要領における」というところなのですけれども、今回の基本計画で、先ほどからも話題に出ています、ヤングケアラーの問題等々が指摘されています。
小学生の学習指導要領の中では、あくまでも健康被害、本人がどういう影響を受けるかという点を教育するというのが視点のようなのですけれども、中学生では、人間関係とかに影響を与えるという話をするよということを、先ほど説明を受けました。小学生こそ、実はそういった問題が必要なのではないかなと思いましたので、意見を述べさせていただきました。
もう一つ、資料の1-2で、今回、教育の現場において、社会福祉士や精神保健福祉士及び看護職に関しての教育状況の説明資料があるわけなのですが、保健師あるいは養護教諭、学校現場で直接関わってくる方々あるいは地域で直接関わってくる方々、こういった方々に関しての教育なりの現状はどのようになっているのでしょうか。
特に、今回の基本計画の中に各所で触れられていますけれども、アルコールの健康障害というのは、精神医学的な問題のみならず、内科的な問題、生活習慣病の一環として捉えるべき病態であります。
それで、主に地域や産業保健の中で関わる人たち、第一義的に関わるのは、保健師なのではないかと思います。
それで、先ほど小松委員もおっしゃいましたけれども、実際実習に行くと、あまりそういった現状を見ていないと、ただ、実際に現場に出て行くと、アルコールが関わる事例に関して介入をしなくてはいけない場面がたくさんある。
それで、実際、知らない、できない、よく分からないという声は、保健の皆さん方から私の耳にも届くことであります。ですので、実際ここの辺りの教育状況も教えていただけたらと思います。
以上でございます。
○松下会長 それでは、事務局からお願いします。
○厚生労働省 厚生労働省医政局看護課でございます。
ただいま御質問いただきました保健師の教育という観点で言いますと、まず、保健師の国家資格については、看護師の国家資格を有することが前提となりますので、看護師国家試験の出題基準について記載させていただいている内容については、保健師も同様に学ばせていただいているところでございます。
加えまして、保健師国家試験の出題基準の中では、ヤングケアラーなどのキーワードも入れさせていただいているところでございますので、そういう内容も含めて教育をいただいているところかと考えております。
事務局からは以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかは、長嶺委員、お願いします。
○長嶺委員 ありがとうございます。長嶺でございます。2点ございます。
先ほどから稗田委員や小松委員がおっしゃっていました、教育のところなのですけれども、ほかの資料2-2にも入っています、家族や当事者を相談場所に導きたいという内容があるのですが、やはり先ほどから、お二人の委員なども、あと、上村委員もおっしゃっていたように、専門職の方たちが現場を知らないで、テキスト上の知識しかないということで、結局、家族側が専門士を育てるというか、教えるということで、私たち家族側としては、誰に相談していいのと困っているのが現状です。
ですので、やはり専門の方たちの教育を充実させないことには、家族などの相談につながりにくいと思いますので、その辺を申し上げさせていただきます。
あと、資料1-1、文部科学省の資料、ありがとうございます。少しお伺いしたいのですけれども、大学における取組の推進のところになります。
これは、素案にも少々入っているかと思うのですけれども、入学時のガイダンスのときに飲酒のことについて、啓発をするということはあるのですけれども、結局、新入生が入ってきて、先輩たちとのサークル飲みなどがあったときに、一気飲みなどの危ない飲酒行動が起きるという想定が一番イメージしやすいかと思うのですが、そのときの上級生たちの教育というのが、新入生のときで止まってしまう、上級生になったときに、自分の立場が上がることで力を発揮したいという欲が出てきますので、その辺の進級時における教育はどうなっているのかというのをお伺いできればなと思っております。
以上です。
○松下会長 文部科学省から、お願いできますか。
○文部科学省 高等教育局学生支援課でございます。長嶺委員、御意見ありがとうございます。
現状、20歳未満の飲酒というところで、入学時という例示をさせていただいているところですけれども、当然、学年が上がるにつれて、学生生活を取り巻く状況も様々変わっておりますので、例示として進級時という言葉を入れることも考えられるのではないかと、御意見を聞いて考えております。
また、これは全ての大学ではないかもしれませんが、部活動やサークルの長が集まる会議を各大学で実施しておりますので、我々会議等の場では、そういった機会を通じて、ぜひ飲酒の問題について、その指導となる部長さんにも理解してほしいということは、常に周知啓発を努めているところでございます。
以上でございます。
○長嶺委員 ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、会場から、塚本委員、お願いします。
○塚本委員 先ほどから、大学(での飲酒教育)についての意見がたくさん出ていて、私もいいなと思いました。勝嶋委員がおっしゃったように、大学生が飲酒について知ることがすごく大切だと、今、実感しています。
それは、ASKのほうに、それこそ未成年飲酒であったりとか、一気飲みで救急搬送されたりとか、そういった事例が発生した場合、アルコールの基礎知識を教えてくださいと依頼があって、結構大学に行く機会が多いのです。
そんなときに話を聞くと、やはり、飲酒教育を受けていないという人、学校が、その場合大半なのです。ですので、やはり、あまねくと言ったら何ですけれども、先ほど上級生たちを対象にという話もありましたけれども、事故が起きていない大学に話を聞くと、実際に上級生たちを対象に(飲酒教育の講座を)受講しないと、例えばサークル活動に参加ができないようにするとか、上級生も巻き込んだアルコール教育をしているなと感じているので、そういったうまくいっている例を参考にして進めていただけたらなと感じました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで石井委員が挙手いただいております。では、石井委員、お願いします。
○石井委員 資料1-3なのですが、1ポツのところ、相談支援のアルコール依存症当事者や、その家族に対する相談支援のガイドラインということが、ここに2か所明記されているのですけれども、そのガイドラインは、どのようにしたら、私のような者が見ることができますでしょうか。既にもうできているものを指しているのでしょうか。そうだとしたら、どうやったら見ることができるのかなと、読ませていただくことができるのかなと思って御質問しました。
○松下会長 では、事務局からお願いします。
○米田推進官 事務局でございます。
この相談支援のガイドライン自体は、今あるものではありませんで、この計画に基づいて、今後作成する予定としております。また、後ほど素案の説明の際にも触れさせていただければと思います。
以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで、平川委員から挙手をいただいています。お願いします。
○平川委員 ありがとうございます。平川です。
私は思ったのですけれども、最近、若い人は、あまりお酒を飲まなくなってきたように思うのです。
一方で、女性の飲酒とか、若年化、こどもが飲むようなケースが多くなっていて、その辺について、小学校、中学校の指導内容は、何か変更を考えていらっしゃるのかどうか、少しお聞きしたくて手を挙げました。
以上です。
○松下会長 それでは、文部科学省からお願いします。
○文部科学省 文部科学省でございます。御質問ありがとうございます。
今回、資料でお示ししております学習指導要領の指導内容につきましては、説明でも申し上げましたが、中央教育審議会での議論を経ていきます。
それで、今まさに議論が始まっているところでございまして、どのように変わっていくのかというのは、今の段階では、お伝えできないところでございますが、議論をこちらとしても注視しまして対応を考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで白石委員より挙手をいただいています。お願いいたします。
○白石委員 内科医の白石と申します。
文部科学省の方にお伺いしたいのですが、今日は、アルコールの会議なので、アルコール関係の話は出ていますが、非常に限られた時間の教育時間の中で、いわゆる薬物、喫煙、SNS、ゲーム、それから性教育などの、その比率といいましょうか、何か指針があるのか、それとも何かトレンドで毎年変わっているのか、アルコールは、時間が取れないということでしたけれども、本当に、今、自分に小さい子がいないのが幸いだと思うぐらいの時代になっています。
ぜひ、文部科学省のほうでは、それは、大体どんな指針で時間割を決めていらっしゃるのか、お伺いしたいのですが。
○松下会長 では、お願いします。
○文部科学省 御質問ありがとうございます。
今、具体的には申し上げられないのですけれども、教科によってトータルの時間数というのが決まっておりまして、具体的にこれに何時間というのは、学校や先生の裁量に基づいて実施するというのを前提にしていますので、一概に何時間というのを細かく文科省のほうでは指定をしていないところでございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、オンラインで小松委員が挙手をされています。小松委員、お願いします。
○小松委員 文部科学省の方に少しお尋ねなのですが、それから、先ほど委員の方からも、スクールカウンセラーが非常に忙しくなっている、そのぐらい相談件数が増えているという話がございました。
ただ、親御さん、保護者の方がアルコールの問題を抱えている、そのお子さんたちというのは、なかなか自分たちからは、SOSを出さない。私は、大人になってからの元ヤングケアラーの患者さんをたくさん見ていますけれども、相談をした経験がほとんどない。
そういうお子さんたちを、何かスクリーニングをするとか、そういうことはお考えでしょうか。
というのは、発達障害の場合ですと、学校の先生が、この子は少し怪しいのではないかなと、そういう調査を経年的にやっておられていて、それに基づいて特別支援学級の要員とか、そういうのも決めているということも少し伺っておりますので、そこら辺については、今どうなっているか、特に小学生、中学生ぐらいの、なかなかSOSを出せないこどもたちへのスクリーニングはどうなっていますでしょうか。
○松下会長 文部科学省、お願いします。
○文部科学省 御質問ありがとうございます。
アルコールの問題に限らず、学校の先生、担任や養護教諭が、普段からのこどもの様子を見ておりまして、例えば、気になることがあれば、個別に話を聞くなりして、必要な機関に繋いでいくことが、通常の学校で行われているものと思いますので、そのような普段の取組の中で、声が出せないこどもというのを先生方が見つけていく、もしくは、これから厚労省のほうでガイドラインを出されるそうなので、そういうものを使って、私どももより一層対応ができるように周知をしていきたいと考えております。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで金城委員が挙手をされています。金城委員、お願いいたします。
○金城委員 金城です。よろしくお願いします。
今回挙げていただいた資料1-1の医学部等の専門教育の充実について、主にアルコール依存症に関する教育というところがメインに組み込まれていると思うのですけれども、まだ、医療専門職の中でもアルコールの健康被害全般に関して、高血圧や、がんに関して、十分知識が行き渡っていない部分があると思うので、依存症に加えて、それ以外の身体疾患に関するアルコールの影響に関しても、卒前教育の中に含まれていくと、アルコール対策が進んでいくのではないかなと思います。いかがでしょうか。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、勝嶋委員、お願いします。
○勝嶋委員 先ほどのスクールカウンセラーの対応等というところなのですが、現場の声で言いますと、なかなかクラスにいて、担任がそれを見極めて、この子はというところも、正直なところ、40人クラスを抱えているので難しいところです。
やはり学校は、何か通報があったとか、兄弟がこうだとか、SOSをようやく発して、それでカウンセラーさん、担任がもちろん話を聞くのですけれども、つなげて、もちろんアルコール依存症の方が家族にいるということは言わないです。そういった暴力を受けたというところで、複合的なところから、実は父親がアルコール依存症だったということで、暴力があれば、児相とかにつなげていますけれども、そういったところで、かなり繊細というか、相当何か問題行動が起きないと、なかなか学校現場では、そういったところまで入り込めないというのが現状です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、米山委員、お願いします。
○米山委員 今、お話が出ている養護教諭なのですけれども、養護教諭は、看護職からなる方法と教育からなる方法と大きく2通りあって、教育系の方は、そういった疾病に関するような教育が不十分なのではないかと思われます。そのため、養護教諭への卒前教育及び卒後の研修等も強化していただけるとよいかなと思いました。
それから、高校生のアルコールの問題というのは減っているということを伺っていますが、お酒は飲まないけれども、例えばオーバードーズですとか、リストカットですとか、そういった別の行動で表している方が増えているのではないか。それは、やはり自殺の問題にもかなり深刻な関連があると思いますし、そういうところも含めて、相談できるような体制をつくっていく、表書きはアルコール対策ですけれども、そういった問題も含めて対処できるようにしていったほうがいいのではないかなと思いました。
以上です。
○松下会長 ほかには、いかがでしょうか。
小松委員、挙手をされていますか。
では、小松委員、お願いします。
○小松委員 先ほど文科省の方からお返事を一旦いただいた、担任の先生とか、そういう方たちが目配りをしていればということについては、現場のほうで勝嶋委員が、やはり、非常に諸外国に比べても大人数の学級なので、なかなかそこまでは目が届かないと、かなり本当に大層な事例化してからでないと、なかなか拾えないというお話があって、本当にそうだと思うのです。誰にも相談できていなかったという、そういう方たちがもう大多数です。
それで、もっと早い時期にスクリーニングとかができないものかということを、ぜひ検討していただきたいと思います。
取りあえず、私の発言は以上です。
○松下会長 ありがとうございます。
まだ、御質問等あるかもしれませんが、次の議事もございますので、この質疑応答は、これまでとしたいと思います。
続きまして、議事次第の2「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」の2点目「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)」について議論させていただきたいと思います。
まずは、資料2-1、2-2について事務局より、御説明をお願いいたします。
○米田推進官 事務局でございます。
まず、資料2-1を御覧ください。
「アルコール健康障害対策推進基本計画の改定案(素案)の作成方針について」でございます。
今年に入ってから、これまで5回開催してきましたが、本日までの議論を踏まえて、事務局において、基本計画の改定案、第3期計画案の素案を新旧対照表の形式で作成しております。
全体の構成については、基本的に現行の計画を踏襲しておりますが、重点目標については、前回も御議論いただきましたとおり、これまでの2項目から3項目としております。
また、第3期計画に新規の施策を盛り込む一方で、なるべく全体の分量を増やさないこととするため、第2期までに一定の成果を上げることができたものは削除するなど、全体的にめり張りをつけたものとしております。
重点課題の評価・検証のための関連指標に係る数字等の現状のデータについては、今後、定期的に、あるいは機動的に最新の数字に更新できるように、閣議決定の対象とはせず、本計画とは別の資料として掲載することとしております。
そうした方針のもとで作成したものが、資料2-2の新旧対照表でございます。
これについて、時間の関係もありますので、ポイントを絞って説明をさせていただきます。
左側が現行計画、右側が改定案で、赤い字で書かれてあるところが変更点ということになります。
まず「はじめに」については、全面的に改定をしておりまして、分量についても凝縮したコンパクトなものとしております。
続きまして、しばらく飛びますが、8ページを御覧ください。「基本的な方向性」でございます。
こちらについては、9ページの「(5)アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援」ということで、重点目標にも記載した内容を、この「基本的な方向性」のところにも記載をしております。
続きまして、10ページでございます。
「III アルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題」でございます。
まず、1ポツのところで、第2期の評価をしておりますが、これについては、本年4月に、この会議で現行計画の取組状況を評価いただきまして、今日も参考資料6としてつけておりますけれども、その中身について基本的に記載をしております。
続きまして、12ページ以降を御覧ください。
「2.基本計画(第3期)の重点課題」ということです。
まず「(1)アルコール健康障害の発生予防」についてですけれども、こちらについては、13ページの「重点目標」を御覧ください。
生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合、これまで男性、女性を分けておりましたが、下にあるとおり、健康日本21で、男女合わせた全体の値を書いておりますので、それで10%としていることに加えまして「一般に女性は男性に比べて肝臓障害等の飲酒による臓器障害をおこしやすく、アルコール依存症に至るまでの期間も短いことが知られている」ということで、女性に係る目標値が別途設定されていることも踏まえまして、特に女性については6.4%まで減少させることという重点目標に変えております。
また、14ページの「評価・検証のための関連指標」であります。
これまでは、基本計画の中で現状のデータとして数字も載せておりましたが、これについては、今日の参考資料の5にもお配りをしておりますけれども、別の資料として、数字は掲載をして管理をしていきたいと考えております。
また「(2)アルコール健康障害の進行・重症化予防、再発予防・回復支援」という重点課題の2つ目であります。
これについては、15ページの「取り組むべき施策」を御覧ください。
真ん中の辺り、かかりつけ医、地域の内科・精神科、救急等と専門医療機関との連携のための資材(以下「手引き」という。)を作成する。また、手引きや飲酒ガイドラインを活用し、連携を促進すると、こういった記載としております。
また、16ページの「重点目標」につきまして、1つ「医療機関へつながった新規患者数の増加」を追加しております。
また、17ページでございます。
「評価検証のための関連指標」として、(2)の「マル2 依存症専門医療機関における新規受診患者数」、また、(4)の「マル2 飲酒ガイドラインの認知度」「マル3 アルコール依存症に関する医療従事者の研修受講数」、これらについて、新たに加えております。
18ページ、3つ目の「重点課題」として「アルコール健康障害の当事者及びその家族(こどもなど)への支援」を加えております。
続きまして、20ページからが「IV 基本的施策」でございます。
まず「1.教育の振興等」については、先ほど御議論いただく前の事務局の案として載せておりますので、先ほどの御意見を踏まえまして、今後検討をさせていただければと思います。
飛ばしまして、27ページの基本的施策の2つ目「不適切な飲酒の誘因の防止」でございます。
「(1)広告」の1つ目の○を御覧ください。27から28ページにかけてでございます。
「酒類業界は、不適切な飲酒を誘引することのないよう、広告・宣伝に関する自主基準について、業界内での周知徹底を図り、遵守を継続するとともに、酒類の交通広告については、特段の配慮を行い、状況に応じて自主基準の見直しを行う」としております。
また、29ページ「(3)販売」でございます。
「また、20歳未満の飲酒防止、飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブルの防止や、泥酔者等への酒類販売防止等の社会的要請への対応が困難な無人店舗での酒類販売を行わないよう、酒類業者への指導を継続する」と、新たに加えております。
続きまして、31ページから「3.健康診断及び保健指導」でございます。
このうちの32ページ、(1)の1つ目の○であります。
アルコール健康障害の早期発見・早期介入の取組を推進するため、健康診断や保健指導において、飲酒ガイドライン等を参考に、アルコール健康障害に関する正しい知識の周知・啓発を推進する。また、標準的な健診・保健指導プログラムにより、特定健診で肝機能障害を認めた場合の対応方法や、アルコール健康障害に早期に介入するための手法の普及を図るとしております。
続きまして、33ページ「(3)職域における対応の促進」でございます。
「また、アルコール健康問題に関する産業保健スタッフ等への研修や人事労務担当者等を対象とした事業者向けセミナーを通じて、飲酒ガイドラインや、専門医療機関、自助グループ等の取組の認知度向上を図り、職域において健康に資する取組を促進する」としております。
続いて、34ページからの「4.アルコール健康障害に係る医療の充実等」でございます。
35ページ(1)の上から2つ目の○です。
「今後作成する手引きを活用し、かかりつけ医、地域の内科・精神科救急等と専門医療機関との連携を進め、より身近な場所で、アルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する」としております。
また、36ページの1つ目の○でございます。
アルコール健康障害の早期発見、早期介入のため、飲酒ガイドラインや手引などを用いた研修を医療従事者に対して実施し、重症度に応じた専門的な治療やリハビリテーションに関わる人材育成を図る。研修の実施に当たっては、アルコール健康障害の自助グループやソーシャルワーカーとも連携する。なお、受講者の利便性の観点などから、オンデマンドによる開催について検討を進めることとしております。
37ページの一番下の○でございます。(2)番でございます。
保健師やソーシャルワーカー等の職員が、依存症のスクリーニングやカウンセリング、専門医療機関への紹介、自助グループ等へのつなぎを行うことにより、依存症患者の早期発見、早期対応が図られるよう、好事例の収集・周知を行うこととしております。
続きまして、40ページからの「5.アルコール健康障害に関連して飲酒運転等した者に対する指導等」でございます。
41ページ(1)の上から3つ目の○でございます。
刑事施設において飲酒運転による受刑者に対するアルコール依存回復プログラムの実施施設を拡大したことを踏まえ、刑事施設や保護観察所における指導の充実について検討することとしております。
また、42ページの1つ目の○でございます。
「飲酒運転の根絶に向け、交通安全教育等の機会や都道府県警察のウェブサイトにおいて、アルコール依存症のスクリーニングテスト等について、積極的に広報を行うことで、アルコール依存症のおそれのある者やその家族の気付きのきっかけとなるような取組を進めること」としております。
44ページ「6.アルコール依存症の当事者及びその家族に対する相談支援等」についてです。
45ページの上から2つ目の○でございます。
「こども・きょうだい(ヤングケアラーを含む。)、配偶者など、当事者の家族が抱える課題の解決に向けた支援がなされるよう、都道府県等において、精神保健福祉センターや保健所等と、児童福祉部門や女性支援部門等の関係機関との連携を強化する」としております。
また、46ページの一番下でございます。
「国において、アルコール依存症当事者やその家族に対する相談支援が地域で包括的に行われる事例の収集に取り組むみ、ガイドライン等を作成する」としております。
47ページの1つ目の○でございます。
「アルコール関連問題を有する当事者の家族の身体的健康・精神的健康・経済的困難と、当事者の子どもへの影響などの実態について調査を行う」としております。
また、少し飛びまして最後の53ページを御覧いただければと思います。
こちらについては、大きな推進体制ということでありまして、そのうちの「3.アルコール健康障害対策推進基本計画の見直しについて」という項目の中の記載であります。
「基本計画(第3期)でも、重点目標及び基本的施策の目標の達成状況について定期的に調査・点検を行い、計画全体の進捗状況の把握とともに、アルコール健康障害対策の効果の評価を行うことにより、目標達成に向けた取組を推進する」と修正をしております。
以上が、計画の素案でございます。本日は、こちらについて御意見をいただければと存じます。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明について、御意見や御質問をお願いしたいと思います。
発言時は、会場参加の委員は挙手の上、また、オンライン参加の委員も挙手機能を御使用いただいて、私が指名してから発言いただくよう、御協力をお願いいたします。
それでは、会場から稗田委員、お願いします。
○稗田委員 ありがとうございます。稗田です。
これまでの要望とかを反映していただいて、本当にありがとうございます。
その上でですけれども、もうひと押しという感じで申し訳ないのですが、幾つか述べさせていただきたいと思います。
まず、資料2-2の1ページの「はじめに」のところに、ぜひ入れていただきたい文言を3つほど挙げさせていただきます。
まず「また、アルコール健康障害は」から「危険性が高い」というその後に、そのため、WHOの疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD-11においては、当事者に健康障害がなくても他者への害(家族への暴言・暴力)、飲酒運転等があれば、危険な使用として診断することが可能になっているということを、ぜひ、将来的なことになりますので、お願いしたいところです。
3つ目は、2ページになりますけれども、こども基本法のところですけれども、ヤングケアラーへの支援が強化されたというところ、そこに、さらに令和6年、2024年に改正、施行された配偶者暴力防止法では、命令の発生要件が生命・身体に対する重大な危害から生命・心身、心と体に対すると拡大されていますので、それを重大な危害に拡大される等の強化が行われているということを入れていただきたいと思います。
もう一つ、その後「以上を踏まえ」のところで「令和4(2022)年のWHO総会において」の後、令和7年の非感染性疾患の予防と、管理及びメンタルヘルスとWell-beingの促進に関する第4回国連総会ハイレベル会合政治宣言にもグローバル・アルコール・アクションプラン2022から2030の実施を加速するよう記されていることも、ぜひ入れていただきたいと思います。
続きまして、すみません、ちょっと機会がないので、もう一つは気になったことですけれども、ヤングケアラーや家族、こどもということを非常に積極的に取り入れていただきましたが、文言の統一というところをもう少し見直していただくといいかと思います。
「きょうだい(ヤングケアラー)」ということ、ヤングケアラーをやはりきちんと入れたほうがいいかなと思います。ちょうどこの週末に、日本子ども虐待防止学会という大きな学会に参加させていただきましたけれども、ヤングケアラーが本当に浸透している、ヤングケアラーのケアをどうしたらいいかということが、現場の方たちも、これからやっていかなくてはいけないということを皆さんおっしゃっていましたので、やはりヤングケアラーという言葉をしっかり入れ込んでいただくこと、入れ込んでいる部分もあれば、そうでないところもありますので、ぜひ、これを入れて意識化を図るということを、依存症対策においても虐待防止等で後押しになるのではないかなと思っております。
それから、15ページなのですけれども、すみません、どんどん言ってしまって申し訳ないのですが「取り組むべき施策」の左側に、上から2つ目の黒ポツですけれども「連携体制を地域の実情に応じて整備する」というのは修正がなかったのですが、ここの地域ということが非常に曖昧で、これまで、もっと小さい狭い地域単位で施策を見直していくということがあったかと思いますので、ぜひ政令指定都市及び市区町村レベルでの整備ということを入れていただきたいと思います。
それから、21ページのところは、今、申し上げたようにヤングケアラーということが落ちて、その家族とか、家族に集約されている文言が気になりますので、ここをお願いしたい。
それと、21ページの「学校教育法等の推進」のところで、右の○の2つ目のところに、文科省、厚労省、そして、こども家庭庁も、やはりきちんここの会議に入っていくことは重要ではないかと思いますので、それを御検討いただきたいと思います。
その次の22ページになりますけれども、それは、先ほど申し上げましたとおり、やはり教育に問題だけではなくて、回復支援における価値、倫理、知識、方法、技術、これは専門職の大原則ですけれども、それを全て包括的なものとして位置づけて推進することを入れていただきたいと思います。
それから、すみません、飛びまして45ページのところなのですけれども「こども・きょうだい(ヤングケアラーを含む。)」と、この言い方が一番分かりやすいかなと思いましたので、このように統一したらいいのかなと思います。
それから、新規に入れていただいたのは、本当にすごい前進だったなと思っておりまして、ぜひここに教育機関ということを、例えばスクールソーシャルワーカーとかスクールカウンセラーは、教育委員会から派遣されたりしていますので、ぜひ教育機関を入れていただきたいと思います。
それから、46ページになりますけれども、この研修のところですが、右側に、やはり教育機関というのを入れていただきたいのと、もう一つは、研修を実施する際に、これからおつくりになるということですが、相談のガイドラインなどを踏まえ、回復支援のための、やはり、先ほど申し上げた回復支援の包括的な知識や技術、価値、それを含めるということを、はっきりその範疇を入れていただかないと、恐らく今までとあまり変わらないかなと、何を入れたらいいのかというところが、カリキュラム上でばらばらであるということがありますので、これから、カリキュラムは改訂されていきますので、その改訂ごとにこれが抜け落ちていけば、やはり、今までやった話し合いが水の泡になってしまうかなと思いますので、そういう具体的な専門職としての必須要件をきちんと入れていただきたいと思いました。
すみません、長くなりましたが、以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで、志田委員、小松委員、上村真也委員、金城委員が挙手をされています。
それでは、この順番で、まず、志田委員からお願いいたします。
○志田委員 ありがとうございます。
まず、私のほうから簡単に申し上げますと、基本計画基本法で多飲という言葉を使うべきではないということについて、お話しできればなと思います。
まず、参考資料の基本法ですが、平成29年4月1日現在、2017年4月1日現在となっています。
その中で第12条4に、政府はアルコール健康障害に関する状況の変化を勘案し、必要があるときは基本計画を変更しなければならないとなっています。
その後、前の会議でもお話ししたのですけれども、2018年に『ランセット』にメタアナリシスが掲載されて、アルコールの害は直線的で、昔あったようなJカーブ神話のようなものは、もうない。健康被害を最小にするためには、飲酒量はゼロであるべきであるということが、その中には書かれていました。
また、例えば、女性の乳がんに関しては、2017年のジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーに出ているものでございますけれども、例えば、毎日350mLの缶ビール1缶を飲んでいるような状況でも、有病率はゼロの人と比べると有意差が出てしまうということがデータとして示されていたりとかします。
これが、やはり第12条4にあった状況の変化に当たると思いますので、それを勘案し、変更する必要があるというのが2025年現在であるのかなと思います。
その中で、基本法と基本計画を拝見しますと、その中に何度か多飲という言葉が出てきています。この多い少ないというのは、個人の認識に大きな差が出てくるところかなと思います。
私はそう思っていませんが、多くの国民は毎日350mLの缶ビール1本飲むことを、そんなに問題と認識していないのではないかなと思います。
そうすると、第7条にある国民のアルコール健康問題の理解を深めねばならないというところも、引き続き推進していかなければならないのかなと思いますが、例えば、先ほどの2017年のジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーの中では、350mLの缶ビールを1本毎日飲むことは、もう中等量飲酒者と記載されています。
ですので、多分、これはほとんどの方が少量飲酒とか、ほとんど問題ない飲酒量と認識していると思いますが、世界的には、そういう感じではなくなってきているというところからも、やはり多飲という言葉を使い続けるのは、国民に誤解を与えてしまうのではないかなと思います。
ですので、例えば、資料2-2の最初の多飲という言葉も、摂取という言葉に変えていただきたいなと思います。
多飲でなくても、先ほど申し上げましたように、がんのリスクが高まってしまうということが、今、もう分かってきていますので、そういったところで多飲という言葉を使うのは、少し問題になるかなと思いますし、あとは基本計画の2ページにも、アルコールの多飲が様々ながん等の疾患や自殺等のリスクを高めると指摘されているとありますので、この部分を残すのであれば、やはりアルコール摂取に変えるべきかなと私などは何かを考えています。
あと、2-2の資料の22ページのところになるのですけれども「職場教育の推進」という中で「過度な飲酒による影響や」と書いてありますが、ここは、読み方によっては、過度な飲酒でなければいいのかと取られてしまうように、私などは読んでしまったりとかします。
ですので、基本的には少量の飲酒であっても、いろいろ問題が起こってくるということがあるので、あのぐらい、言ってみれば、呼気の濃度がだんだん小さくなってきているというのが、警察に飲酒検問で捕まるかどうかというところにも出てきていると思いますので、ここにも「過度な」という言葉を入れるのは、私は誤解を招くと思いますので、ここも「過度な」というのは入れるのかどうなのか、もしくは、ここの「不適切な状態での」というところより前の文章は、もう抜いてしまってもいいのではないかなというぐらいに思っているところでございます。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、小松委員、お願いします。
○小松委員 私、発言要旨を少しまとめるために、若干資料スライドを用意しておりますので、事務局の方、お願いいたします。
すぐ2枚目に移ってください。
WHOが推奨しているSAFER、この前も少し言及いたしましたけれども、これは10年前の京都(ISBRA京都大会)で、『WHOがベストバイ、非常にお買い得と提唱した』と報告された施策がバージョンアップしたものなのです。
Sがアルコール入手の制限の強化、Aが飲酒運転対策の推進と徹底、Fがスクリーニング・簡易介入、治療へのアクセスを容易にする、Eがアルコールの広告・スポンサーシップ・プロモーションの禁止または包括的制限の実施、Rが酒税や価格政策によるアルコールの値上げと、これを全面的、包括的に、もうそろそろ推進すべき時期ではないかと思います。
特に私は、これに沿って少し強調したいのは、先ほども出ていましたけれども、他者への害ですね、これを防ぐ視点というのが、今後の第3期計画の目玉になるかと思います。
特に家族、配偶者、こどもへの支援の強化、それから飲酒運転防止、これは御本人の害ではなくても、他者への害です。そして、ICD-11では、他者への害があれば、危険な使用という診断名がつきまして、治療対象になるのですね。これがAとFに当たります。
2番、SBIRTSの推進ですね、SBIRTSを第2期で入れていただきました。特に入り口のSの整備、それと適切な診療報酬の検討、これはFに当たると思います。
それから、3番、SBIRTSの推進、今度は出口のSである自助グループへの実効性あるつなぎ、これもFだと思います。
4番、啓発に健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを注意深く用いると、これがとても大事になるかと思います。
それで、非常に今回うれしかったのは、新たな数値目標を設定してくださった。それから定期的な見直しをするというのが文言に入って、しかも数値目標のほうは別表にしてくださると、本当に事務方の本気度が分かって、非常にありがたいと思います。計画推進を加速できると思います。
次のスライドをお願いします。
アルコール使用障害の医療体制の理想像というのは、こういうピラミッドだと思うのです。一番下が相談機関、これが10ぐらいだとすると、プライマリーの医療機関が5ぐらいあって、専門医療機関は1であると、10対5対1と、これが、日本ではほぼ理想的に整備されているのが認知症での体制整備だと私は考えています。
地域包括支援センターがこれだけあり、認知症診療医が2,689名もいる、これは、日本精神神経学会が養成したものですね。それから認知症疾患医療センターというのもこれだけあると。
次のスライドをお願いします。
では、アルコールはどうなっているかというと、こういう感じです。これが実態。先ほどの10対5対1で見ますと、相談窓口2に対して、プライマリーの診療医は何とデータがない、誰も測っていないというか、やっているは人あまりいない。そして、専門医療機関が1と非常にいびつなのですね。それで、専門医療機関はどこもアップアップです。このままでは、やはりまずいと思うのです。
それで、私なりに少し考えたものが、次のスライドをお願いします。
日本を含む21か国が参加したワールド・メンタル・ヘルス・サーベイズの分析なのですね。これで見ると、大体どこの国も鬱病とかに比べると、アルコール依存症というのは、非常に治療の必要性の認識も低いけれども、医療者と相談するのは、さらにぐっと低くなって、効果的な治療はさらにぐっと低くなると、これは岡山県の宋先生から好意で引用させていただいていますが、こんな感じなのですね。
これをどうやって変えていけばいいかと、次のスライドをお願いします。
やはり、本人家族がより円滑に支援に結びつくように、切れ目のない支援体制を整備すると、そのように基本計画にも書かれておりまして、ここは変わっていないわけなので。ですから、やはり診断基準を満たしている人たちをどうやって拾うかと。専門医以外でも効果的な、真ん中の四角に書いてあるように、AUDITというスクリーニングをしないとどうにもならないです。それは、先ほども文科省の方にも少し質問をしましたけれども、どういう実態になっているか、スクリーニングで拾わないことにはどうしようもないですからね。
その後で、やはりかかりつけ医、それから拠点以外の精神科医、つまり今まであまりアルコールに手を出していない精神科医がきちんとそれを見て、それで脱落を防いでいくと。そして、内科の先生やかかりつけの先生方は、心の連携指導料というのが、もう少し適用範囲が広くなれば、非常に切れ目のない支援体制というのが、今よりは整備されていくのではないかと思っております。
次のスライドをお願いします。
実際に、私どものような総合病院の精神科で、アルコール使用障害診療をやっていて、何をどうしてほしいかという希望を取りましたら、この赤丸で囲んであるところですが、アルコールの問題がある患者さんへの総合病院でのスクリーニング、AUDITなどについて、診療報酬がつくことというのが、非常に大きなトップワンだったのですね。
つまり、そのぐらい現場では困っているのです。困っているけれども、ワーカーさんたちはなかなか手が出せない。診療報酬がつかないことに関わるのは、非常に難しい。本当に退院促進で毎日目まぐるしく動き回っているので。でも、ここができれば、いろいろやりようがあるというのは、私どもの論文にしました調査にも、いろいろ書いてございます。
次のスライドをお願いします。
そういうことなので、やはり、もちろん診療報酬に関しては中医協マターであるということは重々承知しております。そして、診療報酬に関わる適切な知見の集積に努めるということは第2期計画で書いていただきましたので、その範疇の中でなのですけれども、こういう現状があるということは、ぜひ、知っていただきたい。
そして、すみません、1回少しこのスライドを前に戻していただけますか。これは、WHOや国連総会ハイレベル会合が強く推奨する不適切な飲酒の誘因防止策の、先ほどのAとFは説明いたしましたが、SAFERですね、これのSとEとR、これに関して、日本の現状がどうかというと、少し下のほうに下ろしてください。スポーツ動画配信サービスのダズンというのがあるのだそうですけれども、ビールメーカーがコラボしている手法で、視聴者の感情が高まるゴールの瞬間に合わせて、ファンゾーンで、はい、乾杯しましょうという広告をやっていると。あるいは、これは、今もまだ放送されているそうですが、次の期には、終わりになるかもしれないという話が出ていますが「酒のつまみになる話」というフジテレビ系のバラエティ番組ですね。ゲストが酒のつまみになれば何をしゃべってもオーケーというルールのもとに、事前に飲んだ飲酒量が冒頭で、このように書いてあるのですね、右側に、すごいですよ。それで、冒頭で表示されて、番組中に飲酒しながら、飲酒しながらですよ、本音や失敗談を語り合うと、かつてウォッカを30杯飲んで泥酔状態となったゲストもいるというのですね、この番組スポンサーには、洋酒やビールのメーカーさんが入っていらっしゃると。これはいかがなものかと思うのですね。
もう少し下に進んでいただけますか。
これを、やはり何とかしていかなければいけないと思うのです。本当にウォッカを30杯飲んで泥酔状態と、泥酔で済んだのは、このゲストさんは、かなり身体依存ができていて、耐性が形成されているからだと思うのですね。こういう状態をこのまま、自主規制で本当にいいものなのかしらということの問題提起をして私の発言を終わります。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、上村慎也委員、お願いします。
○上村(真)委員 上村です。
時間もありますので、私からは1点に絞ってお話ししようと思います。
私からは正しい知識・理解の啓発の推進のところで、とりわけ飲酒ガイドラインについて要望したいと思います。
飲酒ガイドラインについては、策定時の議論でも、これまで広く用いられてきた節度ある適度な飲酒という指標を残すべきなのではないかという議論があったと思うのです。
しかし、少量飲酒のリスクが明らかになって、WHOの方針もあって、低リスクの飲酒の量というのを明示するのは困難だということで、最終的に節度ある適度な飲酒という表現は外されました。そういう経緯があったのですけれども、実際にできた飲酒ガイドラインでは、その2倍の飲酒量に当たる生活習慣病のリスクを高める飲酒量、この数字が唯一の数字として残されました。
その結果、一部のメディアによって、男性は40g、女性は20gまで飲んでいいのだという誤った誤解を生みかねない報道というのが広がりました。
こうした誤解が広がってしまうと、せっかくいいものをつくって周知・広報しても、むしろ逆効果のメッセージになってしまうので、厚生労働省は、この間の経緯を踏まえた上での広報資材をつくっていただきたいと思っています。
そこで、この計画の中に何らかの形で、例えば、注釈とか、あるいは※マークで追記するような形で、次のような文言を入れることを検討していただきたいと思っています。
具体的には、飲酒量について「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」まで飲んでもいいという誤解を招かないよう留意する。もしくは、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は許容量ではないことに留意する。こういった文言を入れられないかという検討をしていただきたいと思っています。
最後に、これに関連して、実際にこれから広報資材を作成、公開する際は、十分な知見を有した専門家であるとか、関連団体であるとか、そういった方とコミュニケーションをしっかり取っていただいて、その意見を十分に反映していただくように、この場でお願いしておきたいと思います。
これが、今回、厚生労働省さんがつくるものというのが、今後、地方自治体などがつくる印刷物のある種のひな形になるような気がしますので、その辺り、くれぐれもよろしくお願いします。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、金城委員、お願いいたします。
○金城委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料2-2について記載の流れに沿って、4点述べます。
1点目は、計画全体のことですけれども、アルコール健康障害の捉え方というか、文言の部分で、例えば「はじめに」の部分や重点課題1の(1)基本的施策の1などにおいて、特に依存症に限定する場合を除いては、がんや高血圧などの生活習慣病も含む、アルコール健康障害として記載したほうがいい部分もあるのではないかと考えております。
現行の「はじめに」の案の部分では、アルコール性肝疾患と依存症が例示という形で挙げられていますが、がんや高血圧といった疾患への影響を言及することで、本計画が対象とする疾患が広いものであるということが分かりやすくなると思います。
例えば、17ページの関連指標に関しては、アルコール依存症に対する正しい知識の理解ということになっていますが、アルコール健康障害に関して、例えば、がんに関する知識があるのか、を盛り込むというのも1つの案と思っております。
そういった視点でいくと、先ほど志田委員が発言されていたように、「多飲」や「過度な」という表現も、今後は変えていったほうがいいのではないかと思っています。
2点目は、同じく「はじめに」の部分で、先ほど小松委員が指摘されていたこととも関連しますが、国際的動向についての記載ですが、WHO global alcohol action plan 2022~2030の名称のみが記載されていますが、SAFERやBest buysのような具体的な方向性、国際的な流れに簡潔に触れて、日本のこの計画も国際的な流れに沿って進められているということが分かると、国民の理解が得やすいと思いました。
3点目は、23ページの本日の初めの議題にあったところと関連するところですが、厚生労働省が分かりやすい広報資材を提供するということで、先ほどの上村委員の話にあったように、飲酒のガイドラインについても詳しく説明していくことは、非常に大切でよいことだと思います。さらに、これが地域、学校、職域で、健康教育を担う方が活用できるような資材としても整備されていくと、直接国民に周知するのと併せて、広く適切な情報、正確な情報が、信頼できる元から出たものとして行き渡っていくのではないかなと思いました。
最後4点目は、職域における飲酒対策の推進について、22ページに記載がありますが、交通労働災害の防止の観点で、と、交通労働災害の防止に限定されています。現在、職域におけるアルコール対策を考えたときに、疾病や労働災害の予防、生産性低下の予防という観点も含めて、職域での教育を推進していくのがいいと思います。33ページの職域の健康診断保健指導、職域における対応の促進の項と併せて、職域での早期発見、早期介入についても職域で推進していけるような記載があるといいと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、会場から、林委員、お願いします。
○林委員 全日本断酒連盟の林と申します。よろしくお願いします。
4か所ほど、文言を足してもらいたくて挙手しました。よろしくお願いします。
P15の「取り組むべき施策」の中の2番目です。「各地域において、アルコール依存症をはじめとする」と始まっていて、連携体制の後に「SBIRTS開始学校」を入れてもらいたいと思います。これは、内科医や産業医の先生方にも、アルコール医療イコールSBIRTSを浸透させるためにもぜひ入れてもらいたいと、検討してもらいたいと思います。
次に、33ページの「(3)職域における対応の促進」に○が1つありますけれども、その下に文言を足してもらいたい。今から言います。○として、職場内で産業保健部門と安全管理部門が連携を図り、保健指導と飲酒運転防止を組み合わせた取組が進むように図る。
具体的には、保健指導において、アルコールチェックに反応するなど、飲酒傾向が強い人に対するアルコール教育、減酒のサポート、受診の勧奨など、この文章をぜひ足してもらいたいと思っております。
次に、39ページ、この同じ文言を、P51に足してもらいたいのですけれども、○として、アルコール依存症の当事者及びその家族に対する支援を、○が1つありますけれども、その下に付け加えてもらいたいのが、専門医療機関から自助グループへの実効性のあるつなぎに努める。自助グループの機能、効果を伝えて参加を促したり、患者やその家族が自助グループの人たちと実際に会う機会を設けるなど工夫する、この文言を入れてもらいたいのと、これをP51のところにも足してもらいたい。
あと2点あります。
P51の○として目標、地方公共団体において、その後に、会場の提供や広告など、この文面を足してもらいたい。
すみません、時間を取って、以上でございます。
私のほうからは、以上、文言を足してもらいたいという要望でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、会場から塚本委員に挙手をいただいております。また、ウェブでは江澤委員、上村敬一委員に挙手をいただいておるので、塚本委員、江澤委員、上村委員の順番でお願いします。
○塚本委員 よろしくお願いします。
私から文言の付け足しなので、幾つか簡潔に伝えたいと思います。
まず1つは、15ページの上から2つ目のところ、先ほどSBIRTSの話が出ていましたけれども、やはり私もここで連携体制の後にSBIRTSという文言をぜひ入れてほしいなと思いました。1期には入らず、2期で初めて文言として入って、3期では重点課題に昇格させたいという思いがあります。
先ほど、小松委員の中からWHOが推進しているSAFERの話もありましたけれども、まさに、SBIRTSのことだと思うので、入れてほしいなと思います。
そして、2つ目が25ページです。
最後のところに「アルコール依存症の回復者が体験談の講演等を行う社会啓発活動の活用を図る」とありますけれども、この後に、ただし、飲酒量について、生活習慣病のリスクを高める飲酒量まで飲んでいいという誤解を招かぬよう留意するという文言を付け足してほしいというところです。先ほど、上村委員の話にもありましたけれども、飲酒ガイドラインについては、本当に我々が懸念したとおり、男性は40(グラム)、女性は20(グラム)を飲んでいいという誤解の報道が数多い状況です。
先週、アルコール関連問題啓発週間でありましたけれども、その関連するニュースの報道でも同じような状況でした。このため、ぜひこの文言を入れてほしいと思います。
そして、3つ目です。
33ページ、先ほど林委員からお話がありましたように、私もここの中で付け足しとして、2つ目の「職域における対応の促進」のところです。「職場内で産業保健部門と安全管理部門が連携を図り」という文言が、かなり重要ではないかなと思います。これは、対象は厚生労働省と警察庁と国土交通省に当たると思うのですけれども、ここ数年起きている悲惨な飲酒運転事故の裁判などで、加害者の供述というのを詳しく見ていくと、やはり産業保健部門と安全管理部門が連携を図れていない例というのが多発しているなと感じているからです。
続いて、4つ目です。あと少しです。4つ目、41ページです。
2つ目の○のところ、プラスして「医療機関における治療や、相談を受けにいくきっかけとなるよう取組を行うとともに」の後に、違反者の飲酒パターンや、依存傾向等を含めた調査を実施し、受講者自身の気づきのきっかけとなるようにという文言を付け足してほしいと思います。以下は同じです。
ASKでは、2008年のこういった調査を使っていて、それ以降、もし、データがあるのならほしいくらいという状況になっています。先日、1つの例があるのですけれども、ASKで飲酒運転防止の講義を行っていたときに、アルコール依存症の当事者がこんなことを言っていました。
その人が受けた飲酒運転の違反者講習の中で、このうちの半分近くは、また講習に戻ってくると、つまり再犯してしまうよと言われたそうなのです。当事者は反省もしているし、自分ではない、自分は絶対に再犯しないと心に誓ったそうなのですけれども、数年後、やはり再び飲酒運転を起こして検挙されてしまった。そのときに自分がその半分近くに含まれていたということにショックを受けて、依存症と認めるきっかけの1つになったという話をしていたのです。
これは、1つの例ではありますが、再犯者率とか、依存のおそれがあるかとか、一時多量飲酒の割合など、やはり知っておいたほうがいいのではないかなと思いました。
5つ目、次の42ページです。
地域における飲酒運転防止条例の制定状況などを含めた最新の取組事例を収集周知するというところの最後に、もう一つ文言を付け足してほしいなと思います。
具体的には、アルコールチェックが義務づけられている事業者においては、その適切な実施に加え、事業者への教育と減酒のサポート、アルコール依存症の疑いがある場合は、受診を促す等の取組を行うよう周知する。これも対象は警察庁、国土交通省と厚労省だと思うのですけれども、先ほど言ったように、ここ数年の悲惨な飲酒運転の事故は、加害者側がアルコール依存傾向の強いということは明らかになっているので、緑ナンバーとか、事業所の白ナンバーとか、多数の人が、今、アルコールチェックを行うようになっている現状から、チェッカーを鳴らしたら始末書ではなくて、ぜひ介入のチャンスにしてほしいという狙いから、こういう文言を付け足してほしいと思いました。
最後です。46ページです。
最後の項目に付け足してほしい言葉があります。「国において」の前なのですけれども、今、都道府県のアルコール健康障害対策推進計画の見直しが今期から始まることになっていますけれども、ガイドラインが間に合わないという状況になっているのです。
各自治体のヒントになる内容を書いたほうがいいなと思って、その具体例ということで、この「国において」の前に、具体的に家族の相談支援においては、DVや虐待がある場合は速やかに担当部署につなぐ危機対応に加え、依存症についての知識、こどもを含めた家族への深刻な影響、家族自身のケアのために有効な自助グループへの参加についてなど、様々なサポートが必要になる。少し長いのですけれども、こういった文言を付け足してください。
それこそ事例収集も後に書いてあるのですけれども、時間がかかるのが常になっているので「相談支援が地域で包括的に行われる」の後は、早急にガイドライン等を作成する、また、事例の収集にも取り組むという文言に修正をお願いしたいと思います。
長くなりましたが、以上です。
○松下会長 それでは、江澤委員、上村敬一委員、長嶺委員の順でお願いします。
では、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。2点申し上げます。
本日の参考資料6の1ページに示されていますけれども、アルコール性肝疾患で受診した患者数が、令和5年に7万1000人と増えております。これは、統計手法の違いによって、患者さんの数が増加しておりますが、その統計手法の違いを考慮しても増えていると認識しております。
したがいまして、今後、この数だけでは、なかなか対策が取りづらいので、入院・外来の種別や、あるいは疾患別の人数の把握も必要ではないかと考えております。
また、その右側には、同じく死亡者数が出ておりますが、こちらも令和5年に6,211人と増えています。
資料2-2の3ページには、令和5年の5,480人の死亡者数のうち、約8割がアルコール性肝硬変との記載もございました。
こちらの死亡者数につきましても、アルコール性肝がん、アルコール性肝硬変などの疾患別人数の把握によって対策を取っていくことも必要ではないかなと思っております。
2点目は、資料2の13ページに、生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている者の割合を、男女合わせた全体の値として10%まで減少されると、見直しの記載がございます。
こちらは、健康日本21からの引用によるものと思いますけれども、現状アルコール性肝疾患の受診した患者数や死亡者数が増えている状況下において、この10%がアルコール健康障害対策推進基本計画として妥当であるかどうか、科学的に検証する必要があるのではないかと思っています。
また、国民の飲酒率も、じわじわと変化しておりますので、飲酒している国民の数を分母として、目標値を定めていくことも検討する必要があるのではないかと思っております。
以上、2点ございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、上村敬一委員、お願いいたします。
○上村(敬)委員 ありがとうございます。上村でございます。
私のほうからは、15ページ、先ほどから複数の委員から指摘されています、取り組むべき施策のアンダーラインのところなのですけれども、地域で連携を促進するということですが、連携そのものは何も異論はありません。ただ、ここに私はどうしても切れ目のない連携という、切れ目のないという言葉をどうしても入れてほしいなと思っております。
これは、高齢者介護の世界で、今、地域包括ケアシステムというのが叫ばれていまして、精神科においてもそれをすべきだという議論があるわけですけれども、連携は必要ですけれども、なかなかその連携がうまくいかないのは、途中で切れてしまうのですね、どこからつなげて、どこにつなげてと、先ほどから出ていますように、地域保健でもそうですし、地域保健あるいは産業保健、そして学校、そういったところから、どこにつなげるか、そして、その後どこにつなげるか、そして、そういった人たちが、みんなで支援をしていこうということで、そこで、その後の支援体制の前に包括的という言葉があるといいかなと思っています。
なぜ、こう思ったかというと、これは少し飛ぶのですけれども、46ページには、きちんと地域で包括的に行われるという文言を使われておられるのですね。一番下のところですね、相談支援が地域で包括的に行われると、ここでは書かれているのですよ。ですので、患者さんを中心とした連携が必要なのですけれども、それが実効性のあるものにしていくためには、切れ目のないという言葉が必要ではないかなと思っております。
それに関してなのですけれども、先ほど小松委員のほうから診療報酬に関しての意見がありました。私も大賛成なのですけれども、どうしても診断・治療の入り口というところでは、医療が関わってくることになります。それ以前のところの相談というところは、ある程度パブリックな、これは行政が行っていく部分だと思います。
しかし、医療が関わってくる部分というのは、どうしても私ども、医療行為は診療報酬で規定されております。診断・治療だけではなくて、その後の連携、先ほど小松委員は、こころの連携加算のことをおっしゃっていましたけれども、それに関わる、例えば診療所においてワーカーとか心理士とかが必要になってきます。診療所協会の以前の調査において、なぜ依存症は医療にかかれないかというと、ただ単に診察だけが問題だというだけではなくて、さらにそこに関わるパラメディカル、コメディカルのスタッフを雇用できないといった問題がありました。
ですので、これに関しては、38ページのところなのですけれども、診療報酬に関しての言及がここの一文しかないのですけれども、38ページの一番下のところに、診療報酬の在り方の検討を資するようにと、その前のところのアンダーラインですけれども「に係る医療の充実に」と書いてあるのですけれども、医療と連携の充実、連携という言葉がここに入って、連携そのものにも診療報酬の在り方をきちんと検討できるような、その知見を集積することが必要ではないのかなと思いました。
私からの意見は以上でございます。
○松下会長 では、続いて、長嶺委員、お願いします。
○長嶺委員 ありがとうございます。長嶺でございます。
第2期のときには、私、家族のケアに対しての文言がなかったことから、今回、これだけ家族、こども、兄弟、ヤングケアラーと文言を入れてくださったこと、大変感謝しております。
その点において、少しバランスがこども寄りに寄り過ぎていないかなというところも懸念しております。
確かにこども、ヤングケアラーに対してとても支援を手厚くしていただきたい部分はあるのですけれども、結局、依存症当事者からの害だけではなく、非依存者であるパートナーや、片方の親からの情緒的ケアが、やはりこどもに対しての発育やトラウマなどに及ぼすということは、先日のASKの発表研究データにもありましたし、面前DVという言葉もございます。ですので、配偶者を含めた家族へのトータル的なバランスのいい文言にしていただければなと思っております。
時間がないので、本日は、これで以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、続いて、小野里委員、お願いいたします。
○小野里委員 小野里でございます。
文言についての意見は、本日ないのですけれども、先ほどお話がありましたとおり、こういった保健政策に関しては、国際的な枠組みに沿ってやるべきだという意見につきましては、これは私も大賛成でございまして、そのとおりかなと思っております。また、科学的根拠に基づいて計画はつくられるべきかなと思っております。
一方、本日のお話の中でも一部、少し我々が考えていること、我々が知っている認識と異なっているような部分もございました。ぜひ計画策定に当たっては網羅的に、科学的根拠ですとか、国際的な動きというものをしっかりと正確に見た上で、策定をしていただければありがたいなと思う次第でございます。
例えば、先ほどWHOと国連ハイレベルミーティングの話がございました。その中にSAFERという話がございました。これは、我々の認識でいきますと、確かにWHOのほうでSAFERというお話は出ているのかなとは思いますけれども、本年9月25日に行われた国連ハイレベルミーティングの中では、このSAFERという文言は国連加盟各国の間で合意されていないと、そういう認識でございましたので、是非、各所から海外の情報を入手し、また科学的な根拠というのを収集した上で、計画を策定していただけるとありがたいと思っております。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
続いて、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
5点ほどあるのですけれども、まず1点目です。
2-2の資料の17ページなのですけれども、評価検証のための関連指標というところで、他科から精神科に紹介するという事例の数も重点目標の中に入れてはいかがかなと考えました。
医療機関において、他科から紹介によってつながった新規患者数、そういったものも診療報酬等で、心の医療、そういった紹介でつながった数というのがどのぐらいあるか、それを増やしていくということで挙げてはいかがかなと考えました。
2点目は、27ページです。小松先生のお話にもあったのですけれども、酒造業の関係者の方は、このWHOのお話とかは違うのではないかということもありましたが、やはり私は、不適切な飲酒の誘因というところを、若者向けにはもっと力を入れていく必要があるのではないかと考えています。
業界の方は、自主規制で頑張っていらっしゃるということなのですけれども、今やその自主規制が追いつかない状況があるのではないか、コントロール不能なのではないかと感じるのです。それは、スポーツ動画配信サービスなどで見られるように、今まで予測できなかったような手法でどんどん広告が広がっている。それによってアルコールの害、こどもたちに対して、こういった楽しいときにはお酒がつきものであるとか、誤った知識がすり込まれている現状というのがあるのではないかと考えます。ですので、何らかの対応というのが必要になってくるのではないかと考えます。
3点目は、42ページ、飲酒運転のところなのですけれども、交通事故を起こした方が、先ほど塚本委員のお話にもありましたが、繰り返して事件を起こしてしまう。やはりそういった方は依存症の可能性が高いと思いますので、これは、アルコールに関する研修といいますか、そういうものが任意でとか、推奨のレベルではなくて、義務化する必要があるのではないかと考えます。
これは、やはり、他者への影響というところで、飲酒運転による被害が甚大であるということをもっともっと認識する必要があるのではないかなと思いました。
それから、4つ目が自殺対策に関してなのですが、44ページでしょうか、申し訳ありません、探しきれないのですけれども、自殺対策とアルコール依存症対策の関係機関連携の強化というのは、もう既に各自治体、都道府県レベルでは行われてはいると思うのですけれども、未遂者対策において、先日あるところで、自殺予防に関連した活動をしている精神科医が、自殺もやむを得ない事例があると自分は考えているという少しがっかりする発言がありまして、依存症の方でどうにもならない人がいるのではないかと思うという発言をされていたのです。
ですので、自殺対策の関係者の方にも、改めて依存症に関する啓発活動というのは、もっと力を入れていく必要があるのではないかなと考えました。
5点目は、学校保健との連携というところで、先ほどのこども、兄弟への支援を強化するというところ、保健所とか児相等と連携というのがあるのですが、学校というところが含まれていないので、そこを含めたほうがよりケアが、支援が充実できるのではないかなと考えました。
その中に、もし可能であれば、アルコール健康障害の特性を踏まえたこどもたちの生きにくさを支援する研修の実施など、幅を含めて書き込んでいただいたほうがいいのかなと考えました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そろそろ予定の時間が近づいておりますが、最後にこれだけは言っておきたいということがありましたら、いかがでしょうか。
では、稗田委員、お願いします。
○稗田委員 すみません、稗田です。
取りこぼしをしました、42ページなのですけれども「(2)暴力・虐待・自殺未遂等をした者に対する指導等」が修正なしになっているのですが、すみません、ここを少し付け加えていただきたいのは、やはりこれを最初にアウトリーチするのは、今までのいろいろな調査等で精神保健センター、保健所、それから救急医療機関ではないかと思うのです。
ですので、救急医療機関ということをきちんと入れていただきたいということが1つと、それから、家族等のその家族のところに、実はヤングケアラーとか、そのこどもの課題が見えているのだけれども手が出せないという、そういうことが実情として、いろいろな調査とか、事例検討で出されていますので、それをぜひ加えていただきたいと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
もし、また、ほかに御意見等ございましたら、11月19日水曜日までに事務局宛てに御連絡をいただきたいと思います。
それでは、本日の議論は、ここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
次回の会議では、本日の御議論を踏まえて修正した計画案をお示しして、取りまとめに向けた御議論を賜りたいと考えておりますので、事務局におかれましては準備をお願いいたします。
最後に事務局から、何かございますでしょうか。
○小野室長補佐 本日は、ありがとうございました。
次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
○松下会長 それでは、第36回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。
本日は御多忙のところ、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。

