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- 2025年10月27日 第8回厚生労働省統計改革検討会 議事録
2025年10月27日 第8回厚生労働省統計改革検討会 議事録
日時
場所
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
出席者
構成員(五十音順、敬称略)
- 梶木 壽
- 川口 大司
- 神林 龍
- 小峰 隆夫(座長)
- 吉川 洋
- 美添 泰人
議題
- (1)厚生労働省統計改革工程表の進捗状況等について
- (2)その他
議事
- 発言内容
○髙橋参事官
まだ川口委員は到着されておりませんが、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。ただいまから「第8回厚生労働省統計改革検討会」を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
最初に、開催に当たりまして、山田厚生労働審議官から御挨拶をさせていただきます。お願いいたします。
○山田厚生労働審議官
本年7月に厚生労働審議官を拝命いたしました山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、構成員の皆様におかれましては、御多忙のところ検討会に御参集いただきまして、ありがとうございます。
厚生労働省では統計の不適切な取扱いを反省し、厚生労働省統計改革ビジョン2019や、厚生労働省統計改革工程表に基づき、統計改革の5つの柱として、1つには統計の品質保証を推進するガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施、2つ目に、業務の正確性の確保及び省力化・効率化を推進する情報システムの適正化、3つ目に、ガバナンスの強化や計画的な人材育成を行う組織改革・研修の拡充等、4つ目として、データの有効活用に向けたデータの利活用・一元的な保存の推進、5つ目として、エビデンスに基づく政策立案を推進するEBPMの実践を通じた統計の利活用の促進、そういったものに取り組んでいるところであります。
私自身、この検討会をはじめとした一連の統計の不適切な取扱いをした後の再出発に当たっては、様々関わらせていただきましたので、立場を変えてこの場に再度出席することになり、感慨深いものがあります。本日は、今申し上げたような取組の進捗状況を報告させていただき、構成員の皆様の御意見を賜りながら、着実に厚生労働省の統計改革を引き続き進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○髙橋参事官
続きまして、事務局を紹介させていただきます。政策統括官の原口です。政策立案総括審議官の河野でございますけれども、急遽ほかの用事が入りまして、不在となっております。続きまして、政策立案・評価推進官の菊池です。審査解析室長の篠山です。統計企画調整室長の飯島です。雇用・賃金福祉統計室長の渡邉です。世帯統計室長の笹木です。政策企画官の白木です。私が企画調整担当参事官の髙橋です。よろしくお願いいたします。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。資料につきましては、お手元にあります議事次第、資料1、資料2、そして参考資料が1~3と、以上、議事次第の1枚紙を含めまして6点となります。資料の不足等がございましたらお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
以降の進行を小峰座長にお願いできればと思います。お願いいたします。
○小峰座長
よろしくお願いいたします。議事次第に沿って進めていきたいと思います。まず、議題の1としまして、厚生労働省統計改革工程表の進捗状況等について、事務局から御説明をお願いいたします。
○白木企画官
それではまず、資料1ですけれども、「統計改革ビジョン連絡会議開催実績」という資料を御覧ください。統計改革につきましては、後で個別に御説明いたしますとおり、5つのグループを設けて推進しているところですが、それぞれの取組を関係者間で共有するために、省内で統計改革ビジョン連絡会議というものを開催しております。こちらにありますとおり、参加者は政策統括官、政策立案総括審議官をはじめとして、局内の幹部やグループの長が出席しまして、個別の取組の進捗状況について議論を行っております。前回の検討会以降は3回開催いたしました。
続いて、資料2について、具体的な進捗状況を報告させていただきます。
○飯島室長
続きまして、資料2を御覧ください。資料2の2ページに目次がございますが、私からは1.ガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施から3.組織改革・研修の充実等の3点をまとめて御説明いたします。
資料2の4ページを御覧ください。まず、取組の実績となりますけれども、1つ目が標準ガイドライン・業務マニュアル等に基づく業務遂行です。厚生労働省では令和5年度に委託業者を活用して、省内全86統計について、業務マニュアルの整備状況の点検を実施しており、その結果を取りまとめた業務結果報告書において、問合せ対応の記録、秘匿処理や結果表審査のマニュアル化などが提案されていることを踏まえ、本年3月に厚生労働省統計標準ガイドラインの一部改正を行いました。
また、令和5年度から約70の各種ガイドライン・要領等をまとめた統計関連マニュアル集と、統計誤りなど約15の問合せ先をまとめた統計関係問合せ先を各統計所管課室に提供していますが、本年4月の人事異動を踏まえ、改めて統計所管課室にこれら統計関連マニュアル集等を周知しているところです。また、本年5月には業務マニュアルを整備する意義やメリットを示した上で、適切に業務マニュアルの改定・策定を行うよう、各統計所管課室に周知しています。
2つ目です。PDCAサイクルに基づく点検・評価です。当省では令和2年度から6年度までのPDCA実施計画に基づき、これまで省内の87調査について、計画的にPDCA点検・評価を実施してきましたが、本年1月には令和7年度から11年度までの新たなPDCA実施計画を策定し、85調査について計画的に点検・評価を実施しております。今回の対象期間におきましては、32調査について点検・評価を完了しており、11調査で15件の調査計画との不整合がございました。具体的な事例につきましては参考資料3にもう少し詳しく記載しておりますので、参考資料3を御覧いただければと思います。参考資料3の4ページをお開きください。不整合がありました15件のうち、調査計画上と実際の調査実施期間が乖離していた事例が5件、計画上の公表期日よりも遅れて調査結果を公表していた、いわゆる公表遅延が4件と多くなっております。
次のページを御覧ください。調査実施期間の乖離につきましては調査客体である市町村の提出期限を記載すべきところを、経由機関である都道府県から厚生労働省への提出期限を記載していたものなどがございます。また、公表遅延の原因につきましては、不適切なシステム改修によるものや調査担当者間の連携不足によるもの、更に遅延調査票への対処で例外的に作業が発生したものなどがありました。これらにつきましては、システム改修や業務内容の明確化などを行い、いずれも計画どおり公表することとしております。
恐縮ですが、もう一度資料2にお戻りいただき、4ページの丸2です。3ポツ目ですけれども、32調査のうち30調査について統計の品質確保・向上の観点からも点検・評価を実施しました。この結果、オンライン調査の導入などに伴う調査計画の見直し・改善、業務マニュアル等の整備・充実・改善や、調査票の提出月だけでなく、事由発生月での集計を追加するといった、遅延調査票への対応等の見直し・改善が行われていることを確認しております。
3つ目がコンプライアンスチェックです。コンプライアンスチェックとは、統計調査員の業務の履行状況を国が直接確認する取組とされており、令和5年度に策定した実施計画に基づき計画的に実施しています。令和6年度に実施した賃金構造基本統計調査については、調査票を回収した事業所のうち、統計調査員によって調整票を回収した6事業所に対してアンケート調査を実施し、調査票への記入状況や統計調査員の応接状況等を確認しました。今回の結果からは統計調査員によるメイキングは確認されず、アンケート調査の結果については都道府県労働局へ提供を行っております。
令和7年度は家庭の生活実態及び生活意識に関する調査、公的年金加入状況等調査を対象に実施することとしており、このうち前者の調査については7月にアンケート調査を実施しております。後者の調査については10月のアンケート調査の実施に向け、アンケート事項の作成など準備を行ったところです。
続きまして、同じ資料の5ページを御覧ください。今後の予定です。1つ目が標準ガイドライン・業務マニュアル等に基づく業務遂行です。各統計所管課室において、業務マニュアルの整備を順次行い、整備された業務マニュアル等に基づき業務を遂行します。また、整備状況についてはPDCAの点検・評価においても確認する予定としております。今後も随時標準ガイドラインの改正を行う予定としております。
2つ目はPDCAサイクルに基づく点検・評価です。令和7年度下期におけるPDCAによる点検・評価の対象は12調査となっており、調査計画の整合性等の確認を進めていきます。
3つ目はコンプライアンスチェックです。令和6年度の対象調査である世帯動態調査については、本体調査の結果と併せまして、都道府県へのアンケート結果の提供を行う予定としております。また、令和7年度の対象調査である家庭の生活実態及び生活意識に関する調査、公的年金加入状況等調査については、アンケート結果を取りまとめ、こちらも都道府県等への提供を行う予定としております。
4つ目は統計作成プロセス診断です。令和7年度の統計作成プロセス診断は医療施設調査、患者調査が対象とされており、令和8年1月に総務省の統計監理官による実地ヒアリングが実施され、3月までに結果が取りまとめられる予定となっております。
続きまして、情報システムの適正化について、同じ資料2の7ページからとなります。まず、取組実績ですが、1つ目が厚生労働省統計処理システムの見直しです。厚生労働省統計処理システムとは、統計を所管しています政策統括官組織において実施される統計調査の審査・集計・データ保管などを行うシステムで、令和8年1月から次期統計処理システムの運用を開始する予定としております。このシステム更改では、クラウド化による運用経費の削減効果などを踏まえ、クラウド利用の推進を最優先事項とした更改作業を進めているところです。この次期統計処理システムの更改スケジュールは資料に記載のとおりとなっております。
また、現行統計処理システムについては、次期統計処理システムとの並行稼働期間も含め、令和7年度まで稼働しますので、引き続き運用・保守業務を行いました。また、デジタル庁では業務用PCやネットワーク環境などを政府共通の標準的な業務実施環境として提供するガバメントソリューションサービス、いわゆるGSSの提供を開始しており、厚生労働省では令和11年度以降にGSSへの移行を予定しているところです。こうした状況を踏まえ、統計処理システムについては、汎用プログラミング言語への移行に向けて移行計画の検討や検証環境の整備、職員研修などの取組を進めており、GSSの業務用PCへのスムーズな移行やシステム運用の効率化を検討しているところです。2つ目が毎月勤労統計システムの見直しです。こちらのシステムにつきましては、令和5年度からC++へ完全移行していまして、毎月の集計を行っているところです。
続きまして、8ページの取組予定です。1つ目が厚生労働省統計処理システムの見直しです。先ほど申しましたように令和8年1月の更改に向けて引き続きクラウド利用の推進を最優先事項として更改作業を進めていきます。次期統計処理システムに係る主なスケジュールは資料のとおりとなっていまして、令和8年1月から稼働する予定としているところです。また、現行統計処理システムについても引き続き運用・保守を行っていきます。
ドキュメントの適正管理についても統計調査に係る審査、集計ドキュメント作成等に関するガイドラインにより、プログラム一覧や修正履歴なども含め、ドキュメントを適正に管理していくこととしています。また、汎用プログラミング言語への移行やノンプログラミングツールの活用について、引き続き検討を進め、移行計画の策定や職員研修を実施することとしております。
2つ目の毎月勤労統計システムの見直しは、先ほど申しましたとおり、引き続きC++により、毎月の集計を行っていくこととしております。
それでは、組織改革・研修の拡充等について御説明いたします。資料は同じ資料2の10ページからとなります。1つ目が組織改革・体制整備です。開かれた組織とするため、民間の企画官や総務省から派遣された統計品質管理官を配置するとともに、政策部局や総務省との人事交流を実施しました。また、社会保障審議会統計分科会や厚生労働統計の整備に関する検討会の開催等を通じ、外部有識者と相談できる体制を確保しております。
統計データアナリスト・アナリスト補につきましては、令和5年3月に閣議決定された第Ⅳ期公的統計基本計画において、統計データアナリスト及び統計データアナリスト補の確保・育成・配置の加速に引き続き取り組むこととされており、当省においては令和8年度までにアナリスト10名、アナリスト補34名を配置することとしております。この統計データアナリスト・アナリスト補になるためには、実務経験要件と研修要件を満たした者の中から、総務省が認定することになりますが、9月5日現在の認定者数は統計データアナリスト14名、統計データアナリスト補49名となっております。なお、先ほど申しました総務省から派遣されています統計品質管理官は、基本的に統計データアナリストやアナリスト補の認定を受けており、PDCAの点検や統計作成プロセス診断などに対応しているところです。
次に、誤りの発見、報告及び対応を適切に行った者への評価の検討、実施です。第Ⅳ期公的統計基本計画では、誤りの発見、報告及び対応を適切に行った職員も積極的に評価するような品質優先の風通しのよい組織風土の定着を図ることとされており、当省におきましても統計部局において、誤りの発見等を適切に行った者への人事評価を試行的に実施しているところです。
2つ目が人材育成・研修の充実です。厚生労働省では令和3年6月に、厚生労働省における統計の人材育成基本方針を定めており、これに基づく統計研修方針により、体系的に研修を実施しております。また、職員が研修を受講しやすい環境を整備するため、令和6年度に実施した統計研修をeラーニング教材として職員に提供するとともに、各部局へ令和6年度分の統計研修の受講履歴を提供しております。また、昨年度の統計改革検討会において、委員から統計研修と希望のキャリアのマッチングなどを見るために、統計研修受講者に対して数年後にアンケート調査を実施してはどうかとの御意見をいただきました。これについては、令和7年度のスキルレベル別研修の受講者に対して、受講後アンケート調査を依頼する際に、併せて数年後に受講アンケート調査を実施する旨の協力依頼を行いました。
続きまして、取組予定です。同じ資料の11ページとなります。1つ目が組織改革・体制整備です。引き続き民間の企画官や統計品質管理官の配置、政策部局や総務省との人事交流を継続するとともに、厚生労働統計の整備に関する検討会や人口動態統計のICD-11準拠の統計分類適用に係るワーキンググループの開催等を通じて、外部有識者と相談できる体制を確保していきます。また、統計データアナリスト・アナリスト補の育成等や、統計部局において誤りの発見等を適切に行った者への人事評価についても、引き続き実施していきます。
2つ目の人材育成・研修の充実です。令和7年度統計研修方針に基づき、引き続き体系的に研修を実施していきます。また、令和7年度に実施した統計研修のeラーニング教材を提供するとともに、省内各部局へ統計研修の受講履歴の提供、統計部局の職員を対象とした令和7年度統計人材のプロファイルの更新、令和8年度の統計研修方針の策定を行うこととしております。さらに、人材育成基本方針は、対象期間が令和3年度から7年度であることから、令和8年度以降も計画的な統計の人材育成を図るために、人材育成基本方針の一部改正を予定しているところです。
また、先ほど申しました事後アンケート調査についても、引き続き本年度のスキルレベル別研修受講者に対して、数年後に事後アンケート調査を実施する旨の協力依頼を行うとともに、既に協力依頼した受講者に対して、事後アンケート調査は2、3年後になりますので、実施を忘れないよう、リマインドを行っていきたいと思っております。私からの説明は以上です。
○篠山室長
続きまして資料13ページ、データの利活用、一元的な保存の推進の進捗状況について御説明いたします。まず、取組実績です。丸1の二次的利用の促進の1つ目の○、個票データの二次利用に係る手続の効率化、情報提供の充実についてです。規制改革実施計画にて調査票情報の提供の迅速化、円滑化が求められたことを踏まえて、令和5年7月から申出様式の記載例のホームページ掲載、決裁の効率化等を継続して行い、迅速化に努めてまいりました。参考資料3-16ページに載せておりますが、令和6年度の平均審査日数は10日となっております。手元の集計で令和7年度上期の平均が9日となっております。
資料に戻って2番目ですが、各省庁が個別に行ってきた手続を一元的に処理することができるようにオンサイト利用システムの機能拡張が行われて、今年の3月31日から運用が開始されました。総務省と連携して利用者に周知したところです。このシステムで多くのデータが利用できるように登録を行って、現在、33の統計調査でシステムが利用可能となっていて、二次利用が多い統計調査については利用可能となっております。具体的な調査名は参考資料3の19ページ以降に載せておりますので、後ほど御確認いただければと思います。2つ目の○、匿名データの作成・提供です。平成27年、平成28年の賃金構造基本統計調査の匿名データについて、令和7年8月に提供を開始いたしました。
続いて、丸2の行政記録情報の活用等についてです。1つ目の○、統計調査における行政記録情報の活用の検討・実施です。介護サービス施設・事業所調査の更なる負担軽減のために、昨年度に介護保険総合データベース等の行政記録活用による代替可能性を把握・検証する調査研究を行いました。2つ目の○、統計調査の連結やマッチングキーの検討・実施です。来年10月に実施予定の令和8年医療施設静態調査において、他の医療機関の関連データとの連結によって、より詳細な分析が可能となるように医療機関コードを調査項目とすることを検討してまいりました。
14ページにいきまして、今後の取組予定です。まず、丸1の二次的利用の促進については、システム未登録の統計調査のデータ登録を進めるとともに、登録されている統計調査の最新年次の結果が公表され次第、データ登録作業を進めてまいります。また、令和4年国民生活基礎調査、それから令和2年以降の賃金構造基本統計調査の匿名データの作成に向けて検討を進めていく予定です。
丸2の行政記録の活用等です。1つ目の介護サービス施設・事業所調査については、先ほどの調査研究の事業報告書で、介護保険総合データベース等により介護サービス施設・事業所調査の調査項目を直接的に代替することができるものであるとは言えないとされたところですが、その他の行政記録情報等を活用できる可能性があるとされたことを踏まえて、データ確認や補正による統計調査の改善に向けた対策を検討してまいりたいと思っております。
2つ目の医療施設静態調査について、医療機関コードを調査項目として設けることについては、その方向で総務省に申請する予定です。私からは以上です。
○菊池推進官
それでは、EBPMの実践を通じた統計の利活用の促進ということで、厚生労働省全体のEBPMの推進の取組について御報告いたします。大きく2つ行っておりまして、丸1のEBPMの実践と丸2の省内若手・中堅プロジェクトチームについてになります。16ページを御覧ください。
丸1のEBPMの実践の令和6年度下期です。1つ目の矢ですが、年度始に定めた厚生労働省の令和6年度のEBPM取組方針に基づき、以下のEBPMの取組を実施ということで、1つ目のポツですが、全ての予算事業について行政事業レビューシートを活用した基礎的なEBPMを実践しております。ここではレビューシートの確認を行って、事業担当に修正案を提示しております。2つ目のポツですが、令和5年度以前は毎年10事業ほどを選定した実践事業において、3年計画でEBPMを実践していたのですが、その過年度事業について、半期ごとにフォローアップ、状況確認をしておりまして、その中の重点フォローアップ事業については、専門家による効果検証に関する助言等を行っています。3つ目のポツですが、過年度事業のうち、2事業について事業担当と共働して、専門家による効果検証を実際に実践しているということです。
2つ目の矢ですが、EBPM推進に係る有識者検証会は、厚生労働省のEBPMの推進の取組に関して、有識者に検証していただくということで2回開催し、令和6年度の推進の取組については、おおむね妥当ということで令和7年3月に検証結果を取りまとめて、それを厚生労働省のホームページで公表しているところです。
3つ目の矢ですが、よろず相談窓口を設けており、毎月全職員に開催案内をして、EBPMに関するいろいろな困り事の相談に応じることで、アウトプット・アウトカム指標の精緻化や、効果検証方法等の理解促進を図っているところです。
4つ目の矢ですが、EBPMの基礎研修と応用研修を実施しておりまして、職員の知識向上に努めております。
5つ目の矢ですが、新しい資本主義の実行計画を踏まえて、雇用保険と厚生年金のデータを学術利用できる環境を早期に整備するということについて、関係各所と協力して検討を継続しているところです。
令和7年度の上期ですが、1つ目のポツ、年度始に定めた厚生労働省の令和7年度のEBPM取組方針に基づき、引き続き全ての予算事業について、行政事業レビューシートを活用した基礎的なEBPMを実践しております。3つ目のポツなのですが、各予算事業のEBPMの担当者を対象としたEBPM実践担当者研修を実施しております。
17ページに移って、厚生労働省のEBPMの推進の取組のもう1つの柱である丸2の省内若手・中堅プロジェクトチームになります。これは省内の有志の方、自分で効果検証をやってみたいという方が30人から40人ほど集まっていただいて、今、いろんな分析を行っているものでして、成果は厚生労働省のホームページ等で公表しております。あと、JILPTと連携してEBPMセミナーを実施しており、当プロジェクトのメンバーが参加しているところです。
17ページの下の(2)令和7年度下期の取組予定についてです。丸1のEBPMの実践ですが、厚生労働省の令和7年度の取組方針に基づき、これまで説明させていただいたメニューを引き続き実施するとともに、3つ目の矢ですが、今年度の取組について、EBPM推進に係る有識者検証会の御意見を伺う予定になっております。今年度は効果検証について、過年度事業がなくなってきていて、今までのスキームですと効果検証の対象がなくなってきているということになるのですが、効果検証について検証会の評価が高く、引き続き来年度以降も効果検証をする方向で考えており、よく検証していただく予定にしております。丸2の省内若手・中堅プロジェクトについても、引き続き活動を続けてまいります。説明は以上になります。
○小峰座長
ありがとうございました。それでは質疑に入ります。説明は全部していただいたのですが、質疑のほうは幾つかに分けまして、まず最初は説明していただいたうちの資料1、省内ビジョン連絡会議、それから資料2の1番、ガイドラインとPDCA、2番の情報システム、3番の組織改革・研修、ここまでについて何か御意見があれば委員の皆様から出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○梶木委員
よろしいでしょうか。
○小峰座長
どうぞ。
○梶木委員
今回のシステムでは、各事業者からの回答が電子データでここに入ってくるというふうに伺っております。マルウェアの侵入防止とか、あるいはハッキングの防止ということの実情についてお伺いしたいのですが、最近でもかなり防止対策をとった所でも深く侵入されて事業活動がストップする事例が生じております。そこで、割と新しいところでは、外から来たデータについては、本体の内部のLANから切り離した所で一旦貯めて、そして、しっかりチェックをするというようなワンランク上のチェック体制を構築するようなことをやっておられるわけですが、この厚生労働省の賃金統計では、外から入ってきたデータというのは、内部LANにつながったシステムの一部に直に入ってくると、こういうことなのでしょうか。
○飯島室長
すみません。今の御質問は、統計処理システムそのものはオンラインなどにつながっているものではなく、その後の審査・集計、データ保管などを行うものなので、先生がおっしゃられているのは毎月勤労統計システムのことでしょうか。
○梶木委員
そうです。
○渡邉室長
資料の準備等しておりませんので、はっきりとしたお答えはできないのですが、調査票については、政府統計のオンラインシステムがあり、そちらを通じて行う形になっているかと思います。後日、まとめてお答えしたいと思います。
○梶木委員
こういう時代で電子データのいろんな意味での価値が高まっているために、ちょっと二重三重に防御装置をお考えになっておかれる必要があるのかなという印象を持ちました。以上です。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
○美添委員
端からいきます。すばらしい資料の報告、ありがとうございました。大変充実した活動で、考えてみると今日が8回目になるのですね。そもそものきっかけは不適切な処理をしたということですけれども、その当時を今から思い返してみると、直接の担当者は私が昔から親しかった方で、この方は実は熱意を持って統計を作成していて、これで正しいと確信していたのです。不適切な処理をしようなどとは絶対に思ってない方です。でも、結果的には、言いたくないけれど、ある地方自治体から調査の負担が重いという苦情を受けて、サンプルサイズを減らすなどの工夫をした。間違ってないと本人は確信していたのですけれども、その内容を公表しなかったところが最大の問題だったと思うのです。
その問題点が指摘された後の対応も後手を引いてしまいました。直ちに詳細内容を公表して、こういう理由ですとおっしゃっていただければ、大事にはならなかったと思うのですが、それはそれとして、この経験を踏まえてこのような品質改善の取組をなさっていることは、我が国の役所、幾つか私もお付合いしていますけれども、その中でもしっかりした取組であることがよく分かります。特にホームページ上にいろいろと公開されている点は高く評価したいのですが、細かいことを幾つか質問させていただいていいですか。
順番に言いますと、資料2の4ページにあるガイドラインの作成。ガイドラインとか業務マニュアルを作成するのは大変だと思いますけれども、担当者が数年ごとに変わっていくときに、前任の方が何をしていたのかが明確に分かる業務マニュアルが必要ですね。その改定は大変だと思いますけれども本当に大事なことなので、今、なさっているように、これからも続けていただけると将来の統計の改善に極めて有効だと思います。先ほどおっしゃった統計の数、87統計ですか、これは、基幹統計と一般統計全てをカバーしているという理解でよろしいでしょうか。
○飯島室長
令和5年度に点検を行ったのは86統計ですが、これは基幹統計、一般統計全てをカバーしております。
○美添委員
大変な手間だと思いますけれども、そうやっていただくと引き継ぎもスムーズにいくし、そもそも何か改善すべき余地があるのかどうかも分かるということで、二度と失敗は繰り返さないのだと思います。ついでですが、業務マニュアルをせっかく作って、どういうふうに利用されているのか、簡単な事例でもお伺いできれば安心できるのですが、例えば引き継ぎのときにそれを皆さんにチェックしていただいて、ここが分からないというコメントがあるのか。その辺の改善をなさったとおっしゃったので、後で聞かせてください。反対しているわけではありません。
それから、5ページに大事な話がありましたね、コンプライアンスチェックです。これもとても大事なことで、正確に聞き損なったのですが、アンケートの対象はどなただったのですか。都道府県の統計担当部局なのか、更にその下なのか。その結果の還元は都道府県になさっているということで、そこから下の調査組織とか調査担当者への情報提供は都道府県経由でなされると思いますが、そこは私が聞き損なってしまったかと思います。
それから、7ページでシステムに関して見直しをなさっていると、これも大変だと思いますが、そもそも毎勤ではコボルだったので修正が大変だったというお話もありました。今回はGSSなので、お任せするのはデジタル庁だということになるのでしょうが、省内で移行テストをなさっている。スケジュールで私が理解できなかったのは、いろいろなテストをなさっていますよね。そのテストとGSSで、7ページの真ん中辺りに移行テストから総合テストまで入っているのですが、これとGSSとの関係が分からなかったのです。GSS以前にこういうシステムを作っておいて、令和11年以降はGSSにそのまま接続して、うまくつながるようなことをお考えなのだろうと思いますが、聞き損なってしまいました。8ページもこのテストですね。総合テスト、受入テストというのが令和7年に予定されているか、既に終わったのですけれども、これとGSSの関係が私が理解できていないだけなのかもしれませんが、分かれば安心できます。
3.だと10ページ、組織改革がとても大事だということをはっきり認識していただいて、人事交流をなさっていること、高く評価したいと思います。忘れずに今後も開かれた組織を作っていただくと、個人名は出しませんが、この辺に優秀な方を囲い込んでいるのはすばらしいことだと思います。できれば研究機関の先生方とも交流をもうちょっと深めていただいて省内のデータを分析していただく。あるいは職員を研究機関や大学に出向させて、お互いに厚労データに関する利用を深めて理解を促進することは大事だと思います。
私自身のことを言うと、大学院生の頃に厚生省のデータを大分いじらせていただいて、そのとき随分勉強したのです。職員は私の先生だったわけです。そういう人たちに教わりながらデータをいじっていると少しずつ分かってきて、結局、そういう人は私だけではないのですが、これは大事だ、だからよくしようと統計のファンになるわけです。さらにお手伝いもしたくなるわけで、ここにいる先生方はそうだと思いますが、人材育成と併せて先生方との交流を深めていただくことを今後も是非、お続けいただきたいと思います。
その流れでいくと、11ページに人材プロファイルとありましたけれども、そこもどのように利用されているのか実績として挙がっていると思います。もしこんな使い方ができて、うまい具合に人材プロファイルを使っている事例があったら、お聞かせいただけると有り難いと思います。長くなりましたが、そのくらいです。
○飯島室長
ありがとうございます。それでは、今、幾つか御指摘いただきましたので回答させていただければと思います。まず、ガイドラインの所で業務マニュアルの改善例というお話をいただいたかと思います。こちらにつきましては、この個別統計調査の業務マニュアルの元となります厚生労働省統計標準ガイドラインを作っていまして、今回であれば問合せ対応の記録とか、秘匿処理や結果表審査とありますが、その前ですと変更管理や遅延調査票への対応などを改正しておりまして、そういったものが個別の業務マニュアルのほうにしっかりと反映されているか確認しています。あと、個別の統計誤りがあった際に、その再発防止策をしっかりと業務マニュアルに書き込んでいくことも個別事例ごとに行っています。そういった意味では、業務マニュアルは統計調査のためのマニュアルがメインですが、統計誤りなどを防ぐという意味の観点からの整備も推進しているところです。
2つ目は、コンプライアンスチェックのアンケート調査の対象はどこかという御質問と思います。説明を端折ってしまって恐縮でしたが、令和6年度の賃金構造基本統計調査につきましては、実際に調査員によって回収した事業所に対してアンケート調査を行っているところです。事業所調査の場合には所在地が分かりますので、改めて国に提出された事業所に対して、国から直接アンケートの調査票を送れますから、そこで確認します。例えば、国に調査票があるにもかかわらず誰も回答していないという回答があると、それは調査員が書いたのではないかといった推測が働きますので、いわゆるメイキング的な確認もできることになります。
次にシステムの御質問だったと思いますが、総合テストという部分とGSSの話を同じページの中で書いていますけれども、前半の総合テスト、あるいは稼働という令和8年1月に向けた取組は、次期統計処理システムの更改の記載となっていまして、ここは先ほどのクラウド利用ということで進めているところです。GSSは令和11年度以降ということで次々期統計処理システムの更改に向けた記載をさせていただいたということで、そこに移行するに当たっては、現在、独自で使っているプログラミング言語を汎用化していくとか、もう少し標準化していかないと費用対効果等の面で問題が出てくるということで、話が2つ混じってしまっているのですが、次期と次々期の統計処理システムを記載した資料の構成になっているところです。
組織改革の所でいただきました御質問ですが、人事交流等は引き続き行っていきますということで、私からはその程度しかお答えできないのですけれども、あと、人材プロファイルも私の室では特に統計研修等を実施していますが、その情報も含め人事サイドにお渡しをして、業務の経験年数なども含めた人材プロファイルとして整備していますので、そこはいろいろな人事の中で使われています。具体的な事例は手元にないのですが、使っているというふうには聞いているところです。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかに何か。
○神林委員
少々お時間を頂きます。コメントと質問と要望のようなものがございます。上から順番にいきますと、まず4ページ目で、今、話題になった業務マニュアルですが、標準ガイドラインを改定し、それが業務マニュアルに反映されて、今、徐々に新しいマニュアルを使いつつあるのだと思います。この新しいマニュアルが2番目のPDCAサイクルで点検したときに過年度、去年点検したものに関しては新しい業務マニュアルが反映されていない状況になっていると思いますので、この業務マニュアルが改定され、それをPDCAサイクルに基づく点検評価をするときに遡って点検をすることは、多分、わざわざしておらず、次回のサイクルのときに新しいマニュアルを使うことになると思います。その次回の点検をするときと前に点検したときの間は、新しい基準で点検してないことになりますから、この部分の整理をしておいたほうがいいと思います。
例えば、現在、問合せ対応の記録というのが、多分、今回のマニュアルで成文化されたと思います。だとすると、前回、PDCAサイクルの中で評価している調査に関しては、この問合せ対応の記録をどういうふうにしたのかが反映されていないはずなので、その調査に関しては、今、調査記録を見ても、問合せ対応の記録をどう取っていたのか分からない状況になっていると思います。なので、本来であればマニュアルが改定されたときに、それを遡って全部、現時点での状況で評価するのが理想と言えば理想なのですが、これができない、スタッガードでやらないといけないので。そういうシステマティックな欠点があるのだということを認識した上で、この調査は過年度調査なのでこの部分は調査できていませんということを意識できるように、システムを構築しておいたほうがいいかなと思います。これはコメントです。
次に、7ページ目のGSSとの関連ですが、これは要望です。GSSに乗り換えるに当たって、7ページ目の一番下の○、令和11年度以降のGSSの最初のポツに、統計調査ごとの移行計画を検討するための情報収集と書いてあって、ここに業務フローの全量調査、ヒアリング等を行うと書いてあります。この情報があると、ある統計調査をGSSに載せたときにどれぐらい労力が減少するのか、業務量が減少するのか。増加してしまうとまずいと思いますが、減少するのかというのが分かると思います。この情報は恐らくデジ庁は持っていない情報ですので、是非、デジ庁のほうと共有していただいて、GSSを稼働させることによって、この部分がこれぐらい省力化できますという情報を政府の中で共有できるようにしておいていただくと、双方にとって望ましいのかなと思います。
3番目が、組織改革・研修等の話で10ページ目です。これは去年もちょっと聞いたかもしれないですが、統計部局において誤りの発見等を適切に行った者への人事評価を試行的に実施しているということですけれども、差し支えなければ実際にこういう事例があったのかどうか、もしこの場で公表できるのであれば教えていただければと思います。
最後に、11ページ目の統計データアナリスト・アナリスト補の育成ですが、多分、来年度が完成年度になっていると思います。来年度に向けてこれだけ養成して、これだけ配置しますという数字が出ていると思いますが、再来年度以降の話をそろそろ考えないといけないと思いますので、どのような形で近い将来を考えているのか。恐らく総務省との話合いの中で決まっていくと思いますが、厚生労働省のほうはどんな腹案を持っているのか。これも差し支えなければ教えていただければと思います。以上、4点です。
○飯島室長
ありがとうございます。それでは、今の御指摘につきまして御回答させていただきたいと思います。1つ目の業務マニュアルの所、標準ガイドラインの関係かと思いますけれども、例えば、問合せ対応の記録などが前回の点検の中では反映されていない、今回の点検との間に空白ができてしまうという御指摘かと思います。確かにそういう点もあるかと思います。ただ、周期調査で毎年調査の場合ですと、多分、タイムラグというのがあるかと思いますが、5年周期のような調査ですと、その間、調査がないのでタイムラグは生じてこないというのもあります。業務マニュアル自体はこの標準ガイドラインがなくても、ある程度整備されていますので、調査の中身に応じながら不十分であれば手厚く確認していきたいと思います。
○神林委員
実査に反映されるのはすぐ反映されると思いますが、今は多分、PDCAサイクルの統計の評価パターンに、3年に1回ぐらいのサイクルでやっていると思います。
○飯島室長
そうです。
○神林委員
そのときに、前にやったものに関しては新しいマニュアルで、マニュアルが改定されたので前にやったけれども、今、もう一度やり直しましょうということはしないのですね。
○飯島室長
これまでの点検ではしていないです。
○神林委員
ですね。なので、次回のPDCAサイクルのときに新しいマニュアルで評価をすることになると思います。
○飯島室長
PDCAの中でも、調査計画との不整合というPDCAの確認と、あと、この業務マニュアルの改善等は品質向上の観点からの確認があり、いわゆる調査計画との不整合は明確に決まりがあり、それに対して不整合を解消するということになりますが、業務マニュアルというのは、ある意味、答えがない世界で常に見直しているものなので、不整合というよりは、どちらかというとより品質向上の取組ができているかという観点で、大体3年というサイクルで確認しているところです。
○神林委員
なので、今回の新しいマニュアルは、前回のサイクルでの評価のときには反映されていない形になっているわけですね。
○飯島室長
そうです。
○神林委員
ですよね。なので、その部分にラグがあるということは認識できるようにしておいたほうがよいということです。
○飯島室長
はい、ありがとうございます。そういう観点も含めて今後、進めていきたいと思います。
2つ目のGSSの関係ですけれども、こちらも令和11年度以降、GSSに切り替えていくというのは、実は統計処理システムが単独でGSSへ移行するのではなく、この統計処理システムは厚生労働省のLANシステムが提供するパソコンとか周辺機器を使わせていただいて、その中で運用しているものとなります。実際には、そのLANシステムが移行するタイミングで統計処理システムも移行することになりますので、そこはシステム全体を所管している部署と連携しながら、デジタル庁とも連携して進めていきたいと思っています。
3点目が組織の所かと思いますが、よろしいですか。
○髙橋参事官
それでは私のほうから、御指摘いただいた誤りの発見、報告及び対応を適切に行った者の評価の取組状況について説明いたします。まず、先ほど資料の説明にもございましたように、公的統計の整備に関する基本的な計画におきまして、誤りの発見、報告及び対応を適切に行った職員を積極的に評価することをやっていくべきということが指摘されました。そのため、令和5年の上半期から私ども統計の担当の部局内におきまして、人事評価の際に、誤りの発見、報告及び対応を適切に行った職員の評価を行う取組をしているところです。
私どもの人事評価全般の仕組みとしては、年に2回、上半期と下半期という形で分けまして、それぞれの期首に業務に関する目標を立てて取り組みます。評価の際にはその目標を立てたことに対する取組と、その期間中に当初予定していなかったことが発生した場合の対応を書く欄がございます。それぞれに対してどういった取組をしたかを自己申告してもらい、それを基に評価者が評価を行う。自己申告の中で誤りの発見、報告、対応などをした場合には自己申告として書かれます。あるいは書いていなくても評価者のほうが把握していれば、それについて、評価を行う。ただ、その評価というのは個々に行われるのではなくて、全体トータルとして総合評価を行うという仕組みです。したがって、その中で誤りの発見、報告、対応といったものについても、全体評価の一要素という形で評価されていく形でやっているところです。
お尋ねは、そういった評価を実際にしているのか否かということだと思います。実際にやっていまして、件数で申し上げると令和5年度は26件、令和6年度は48件ということで合計74件ございます。この件数は、誤りが1件あったとして、それに携わる職員は必ずしも1人とは限りませんので、そういったものが複数計上されている数になっています。評価の際に、そういったことが評価ポイントの一要素であるという周知も含めて、引き続き、継続的に取り組んでまいりたいと考えています。
○飯島室長
それでは、最後にアナリスト・アナリスト補の今後の計画についての御質問と思います。現在、アナリスト・アナリスト補につきましては、令和2年6月に変更された第Ⅲ期公的統計基本計画の中で、育成目標数を定めることになっておりまして、これに基づき、各府省は育成目標数を定めています。現在の計画は令和3年度から令和7年度までの計画になっていまして、正に先生がおっしゃるとおり、今年度が一番後ろということになっています。今、総務省のほうで、令和8年度以降どうするのかという議論を始めたところで、まだ方針が示されていない状況にあります。私どもとしましては、その方針をまず確認し、それに沿った形で令和8年度から育成目標数も含めて何年計画にするのか検討していきたいと考えております。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかは、いかがでしょうか。どうぞ。
○美添委員
先ほど褒めるのを忘れていたのですけれども、ごめんなさいということで。アナリストですね、アナリストとアナリスト補、これだけの人数がいるのは、ほかの省庁では多分ないと思います。一番多いのだと思います。この点について褒めている記録を残したい。こういう人たちが次の担当者を指導して経験を引き継ぐという、ローテーションと言うのか、PDCAサイクルの一環が実現すれば、更に厚労省の統計が信頼できるものになると思いますので、ここは今までの取組を是非お続けください。
もう少し言いますと、統計に関する一般常識というのは、公務員の皆さん全員が持たなければいけない最低限の知識がありますね。公的統計に関する知識。実は、日本統計学会が実施している統計検定の中の統計調査士という資格は、正にそれなのです。新人であろうが、統計調査に関わる職員であろうが、公的統計とは何か、どういう役に立つのかを理解するための資格なので、それも踏まえて、今設けていらっしゃるコースの中のカリキュラムのすり合わせをやっていただけると、更にいい組織になるかと思います。
ついでに今の神林先生の発言を聞いていて思い出したのですが、2つ言わせてください。1つ、誤り発見の件なのですけれども、厚労省は発生時点で、不適切でないと御本人が確信していたので、誤り発見とは違います。どちらかと言うと、統計委員会でおかしい動きが指摘されたことから始まった問題ですね。
でも、役所の名前を出したほうがいいかな。国土交通省で同じようなことがありました。この後でもってひどくたたかれた。あれは統計委員会が気付く前に、某新聞社がスクープとして出した、私は少しおかしいスクープだと思うのですけれども、これも言ってしまいますけれども、担当部署が2つあって、両方とも善意で統計を良くしようと考えながら、ただ、ばらばらにやったので、両方で良くし過ぎると二重計算になってしまった。これは実はある時点で気が付いていたのですが、前任者をかばうために言えなかったということでした。国交省では、今、そういうときに勇気を持って発言しようという風土を作ろうとしています。
今後そういうことがあったら、前任者を批判するのはつらいと思うのですけれども、正しい統計を目標にすると、統計の誤りは見付かったらすぐに公表することが最善の対応です。ほかの役所のことも肝に銘じて、この誤り発見に対する対応は本当に難しいと思うのですけれども、そこは風土として隠さない、勇気を持って誤りを自ら指摘するという姿勢は、是非作っていただきたいと思います。
もう1つ、マニュアルの件なのですけれども、これも国交省の例で言うと、最低限記入しなければいけないことと、こちらの業務ガイドラインと同じようなものを作って、統計調査はいろいろありますから、細かくする必要があるのも、大雑把でいいのもあるけれども、レベル1、2、3の評価基準を作って、それぞれどこまで達成したかという評価を毎年やっています。それと、こちらもPDCAサイクルで、多分同じようなことをなさると思うけれども、問題はそのガイドラインと業務マニュアルがきちんと対応しているかという点、先ほど飯島さんがおっしゃったけれども、そういうチェックをするというのが業務マニュアルの肝ですよね。だから、これをやれば、神林先生が心配されたようなPDCAサイクルで見落とされると言うか、少し古いですねということも多分なくなると思うのです。また余計なことを言いましたけれども、よろしくお願いします。
○小峰座長
ありがとうございます。特に何か。コメントというか、何かありますか。どうぞ。
○飯島室長
2点目だけ少し補足します。統計誤りに関しましては、人事評価として評価をするという仕組みもございますが、そもそものところとしましては、省内ルールというのを作っていて、誤りが疑われる又は誤りを発見した場合には、3開庁日以内に私どもの統計企画調整室に一報していただくことにしております。
それにつきましては、統計幹事のほうにも御報告しており、そのルールについては頻繁に省内に周知しております。また、研修の中では誤りそのものが悪ではなくて、誤りに対して速やかに対応しないこと、これが悪であるというようなことも研修テキストなどにも入れて、特に幹部研修ですとか、統計調査所管課室長等研修の中にも入れて、なるべく報告しやすいと言いますか、誤りを隠さないというような意識付けができるよう、そのようなことを意識して、取り組んでいるところでございます。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかはよろしいですか。では次に行きまして、御説明いただいた資料2の4番、データの利活用・一元的な保存の推進、この部分について御意見を頂きたいと思います。お願いいたします。
○美添委員
何回も、ですけれども、いいですか。1人で話しているみたいで気が引けるのですけれども。データの利活用について、しっかりした取組をされていて、これは先生方が多分喜んでくださるような適切な活動だと思います。二次的利用とは、吉川先生が統計法改正に関わったときに入れていただいた二次利用が世の中で定着している。これが研究者から非常に高い評価を受けていることは、吉川先生はよく御存じのとおりで、二次利用のためにここに書いてあるのは2つあって、1つは昔で言う個票データの提供ですよね。目的外利用申請という、昔あった手続がいろいろと簡素化されて充実してきたというところ。
ただ、これは担当者はよくお分かりだと思いますけれども、研究目的でこういうデータが欲しいというところの審査は、従来大変だったのですよね。このデータがなぜ必要か説明を求めて何回もやり取りをして、貸すまでに何箇月も掛かる。その点に対する批判が研究者側から出て、処理が次第に早くなってきて、それで職員の負担が増えたと思うのですが、これに関しては、次第に手続が一般化され、公式化されて、安定してきたと思います。ですから、あとは省内のしっかりしたデータベースを作って提供するという、従来どおりの運用でいいと思います。
もう1つは匿名データなのですが、実は、私はまだ統計研修所のほうでの審査に関わっているので、そのうち賃構も来るのかと思いますけれども、これは意外と大変です。実はこれが大変でなくなるような方法というのを統計研究研修所のほうに私が提案しています。ところが、統計の秘密は守りながら効果的に使える方法は、話すわけにはいかないのです。匿名化方法を話してしまうと破られますので、具体的な方法については話せないのですが、実際にそういう方法は分かっているし、実務的にも負担を軽減して、利用者に対しても役に立つ統計を作る方法は、既に統計研究研修所で持っています。御存じだと思いますけれども、引き続き連携して、いいデータを作っていただけると有り難いと思います。では以上です。
○小峰座長
何かありますか。
○篠山室長
ありがとうございます。調査票情報の提供の取組につきましては、参考資料3の13ページに、先ほど少し簡単に触れましたけれども、取組をさせていただいていた内容は書かれておりまして、引き続き短縮、迅速化に努めてまいりたいと思っております。
それから、匿名データにつきましては、今回の平成27、28年の賃金構造基本統計での匿名データの提供に関して、総務省統計研究研修所で短期間で確認していただきました結果、当初より早く提供することができました。引き続き連携してまいりたいと思っております。以上でございます。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかに何かありますか。いいですか。それでは最後の資料2の5番、EBPM、この部分について、何か御意見がありましたらお願いします。
○美添委員
1人で話すのは気が引けるのですけれども、取りあえず一応、統計関係者ということでお話させていただきます。EBPMは、内閣官房で統計改革推進会議を実施したときに、各省ともEBPMの視点が必要という認識を共有しました。内閣府以外でEBPMをきちんとやっているのは、総務省統計局と厚労省が目立ちますね。そういう意味ですばらしい取組をしているので、しかもホームページにもその内容を紹介しているのは、本当にすばらしいと思います。この点は褒めている人がいたと議事録に残してください。
それで、EBPMの何がいいかと言うと、統計の作成担当者は作ることが大変だから、その日常業務に追われていて、この統計はどういう役に立つのか、なかなか考える余裕がないわけです。それを使って見せて、こんなに役に立つということをフィードバックすると、作成者たちが、ここは大事な所だから、仮に簡素化や速報化が要求されても、どの部分が肝だからしっかり守る必要があるということが分かります。私が関わっているほかの役所でもそうやっています。
そういうことなので、EBPM、すばらしい学識経験者、先生方と一緒に作っていらしたので、今後も継続していただきたいと思います。ただ、ほかの役所で言うと、EBPMの素材はそんなにたくさんないということがあるのですが、そのようなことはなくて、厚労省で言えば、過去のEBPMを何年かたって、また同じテーマでやればいいのです。データが変わっているわけだし、世の中で知りたいことも変わっているわけだから。そうすると、いつまでもEBPMの種があるし、もしEBPMをやらない統計があったら、その統計は役に立ってないわけではないですか。役に立つとおっしゃるわけだから、そのためには、こういう使い方ができるということを示すのは、報告者に対しても責任ある者の立場として、最低限のEBPMはやっていただきたいと思います。是非、今後ともお続けください。よろしくお願いします。
○菊池推進官
事業担当のほうで効果検証する場合があるのですけれども、その効果検証というのは、多分1回限りではなくて、新しい実績などが出てきたら、また測るということが考えられますので、そういったことだろうと考えております。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかは。どうぞ。
○川口委員
よろしいですか。ありがとうございます。このEBPM基礎研修とEBPM応用研修をそれぞれ受けている方がいらっしゃるということで、前半の部分の統計のほうはアナリスト補の資格みたいなものを作っていて、それを管理されて、人事のほうに提供しているというようなお話があったのですけれども、これらの研修を受けた人の実績みたいなものは、統計人材と同じように管理されているのでしょうか。
○菊池推進官
この研修も統計改革の中に入っておりまして、研修の担当が統計のほうの研修担当になっていますので、そこに含まれてくるというように理解しています。
○小峰座長
では、神林先生。
○神林委員
よろしいですか、2点あります。1点目はEBPMよろず相談なのですが、9月30日現在16件ということで、この数字を多いと見るか、少ないと見るかというのは、まちまちだと思いますが、例えばこの厚労省でやっている基礎的なEBPMですか、行政事業レビューを使ったもので、これをEBPMと呼ぶかどうかというのは、いろいろあると思いますが、でも、これであれば各行政部局が全部持っているものですので、16件というのは少し少ないのかなと思います。ですので、その基礎的なEBPMというのに限定すれば、日常的に各部局がやっていることですので、もうちょっと宣伝すればここは増えてくるのではないかなと、あるいは行政事業レビューと絡めて、何か分からないことがあればこちらのほうに相談してくださいというようなことで、相談を増やすことができるのではないかと思います。それがコメントの1点目です。
それと、もう1点は質問です。EBPM推進に関わる有識者検証会を開催されたと思いますが、そこで多分、過年度の効果検証対象がどんどん少なくなっているというようなコメントが付いたというお話がありました。過年度の効果検証というのは、先ほどの基礎的なEBPMと比べると、もう少しきちんとしたEBPMの枠組みでやりましょうというものだと思います。そうしたものがむしろ少なくなっているというのは、ちょっと問題かなと思っています。この過年度の事業が少なくなっている原因というのは、どこにあるとお考えでしょうか。あるいは、それを解消するためには何が必要だと考えていらっしゃいますか。
○菊池推進官
これは令和5年度以前は、毎年10事業ぐらい選定して、ちょっと本格的な効果検証をやろうということで、選定して効果検証をやるということだったのですが、令和6年度から全事業で基礎的なEBPMというふうに方針が変わってきましたので、そうすると、この選定するということが令和6年度からなくなってしまいました。過年度事業というのは3年スキームで、3年間で効果検証をやって、それでフォローの対象から外れていくという仕組みだったものですから、自然減になったということです。
○神林委員
よろしいですか。それはある意味、行政事業レビューを使っているから数は増やせるのだけれども、浅くなってしまうという理解でよろしいですか。
○菊池推進官
行政事業レビューは全予算事業でやるので、厚生労働省だと1,100とかでやります。他方、実践事業ですか、年に10事業、厚生労働省だと10事業ぐらい選んでやっていたのですが、広がりがなかなかないということで基礎的なEBPMのほうに移っていったと私は理解しています。
○神林委員
逆ではなくて、基礎的なEBPMをどんどん広げてしまっているので、これはもうちょっと長期的に基礎的なEBPM、つまり行政事業レビューを越えて、きちんと分析しないといけないというものが、余りそこに手が回らなくなっている。意識が回らなくなっているというようなことはありますか。方向がどっちが先なのかということ。
○菊池推進官
方向はバランスよくということだと思いますが、今の我が国の取組方針ですと、効果分析については必要に応じて行うという書き方になっています。それでマストでやるのは、行政事業レビューの基礎的なEBPMで、まずは基礎的なEBPMをやって、しっかりとロジックモデルなど、そういったところの知識を付けてもらって、それでPDCAサイクルを回してもらってというところがある。他方では、因果推論というか、効果検証のニーズが低くなったわけではないので、必要に応じてきちんとやると。私どもとしては研修であったり、若手プロジェクトであったり、今やっている効果検証事業であったり、そういったことで人材育成を図っていくといったことで進めているということです。
○川口委員
どうもありがとうございます。もうEBPMの重要性は、ますます上がっているなと感じました。2つ例を挙げると、1つは最低賃金です。この議論が始まった頃から比べて、毎年すごく上がるペースが速くなっているわけです。その中で、雇用あるいは企業の営業状態、開業、閉業など、こういったことに対してのインパクト評価のようなことを行うことは、この議論が始まったときよりもずっと上がっていると思います。
その一方で、中央最低賃金審議会での資料などを見ていると、真の意味でのEBPMみたいなものが反映された資料というのが、政策形成において余りいかされていないなという感想を率直に言って持っているのです。そこは厚生労働省として、ちょっと一歩踏み込んで効果検証をしっかりとされるということを考えてもいいのかなとは思います。それで政府全体の方針としては、10億円以上の新規事業に関してEBPMで集中的にやるという話があると思いますが、労働行政だと規制の部分が大きいわけです。ですから、別に予算などは付けていないのだけれども、その規制が一体どういうふうに実体経済に影響を及ぼしているかということを判定して、それを次の政策形成にいかしていくということがすごく大切なのだろうなと。それで毎年、最低賃金は改定されますので、美添先生も御指摘になったように、古くなることはなくて、どんどんそういうEBPMのようなことをやっていく必要があるのだろうなと思います。
それと、これも規制なのですが、労働時間に関して、これは2019年の4月からですか。労働時間の上限規制が厳しくなって、それから5年たったのでもう1回見直しますという話が今、政治的に出てきていると思います。こういう話が出てきたときに、厚生労働省としては、あるいはJILPTでもいいのかもしれないのですが、こういう振り返りというのは今までやっているので、それが全てでは当然ないわけですが、判断材料のうちの1つとして提供する。これからいろいろな法律ができていくときに、これぐらいの期限でレビューしますよということが、立法の時点で予定されているケースはあると思いますが、そういったものも取り入れながらEBPMを進めていくと、このカバーされる範囲がどんどん広がっていくという感じがするのです。どうもありがとうございます。
○小峰座長
ちょっと今更な質問で恐縮です。この基礎的なEBPMというのは、本来あるべきEBPMに比べて簡素化していると思いますが、その基礎的なEBPMはロジックモデルは当然あると思いますが、効果検証のようなデータによる確認はできない、そういうイメージですか。
○菊池推進官
政策の効果を測るという意味では、一応、そのアウトカムの目標と実績を比べて、進捗具合など、そういったことを見るということになるのですが、もう明らかにそのアウトカムが施策によって出ているということであれば、多分、因果効果の分析というか、そういうものはしなくてもいいのだと思いますが、いろいろな状況があって、本当にその介入で全部説明できるのかという問題もありますので、そうなってくると本当は効果検証したほうがいいよねという、そういう議論があるということだと思います。
○小峰座長
ありがとうございます。恐らく基礎的なEBPMとして、ロジックとアウトカムは必ずあるということですか。アウトカム指標は。
○菊池推進官
アウトカム指標はレビューシートの中に書き込むことになっています。
○小峰座長
それは広く薄くということで、最低限それをやるということで、恐らく先生方が言っているのは、それをもっと深めて数値検証まで含めた部分が、本来のEBPMなのだから、そこをなるべく広げていってほしい、そういう要望だと思いますが、そこは是非、検討していただければと思います。
○神林委員
その点で恐らく過去のこういう検証事業というか、本格的なEBPMに関しては、その現場から出てきた幾つかの事業の中から選んでという、ちょっとパッシブと言いますか、何か問題が出てきたのでそれをやりましょうというような態度だったと思いますが、そろそろ省として戦略的に、こことここはきちんとエビデンスを固めてポリシーを作るというようなことを、もっと積極的にと言いますか、ポジティブにできるような、人材も徐々に育ってきていると思いますので、そういうステージに切り替わっていくというような、ちょっと中長期的な将来構想を作りながら、この種は消してはいけないと自分は思いますので、是非、消えかかっているのだったら、それをやるのが管理職だと思いますので、何とかして、その火を絶やさないように着々とやっていくということが必要だと自分はかなり強く思います。是非、考慮していただきたいと思います。
○美添委員
よろしいですか。因果推論は、川口先生や神林先生なら、すぐついてくるけれども、普通の統計学者や経済学者はなかなかついてこないぐらい難しいことなのです。それを厚労省で最初のうちにやったというのは、先生方が入ってくれたからできたわけで、そういうことは大事だけれども、省内だけでできるわけではないでしょう。内閣府で統計改革をやったときのEBPMは、少なくともその行政レビューシートにあるようなものを最低限やりましょうということで、その部分で手を抜かれては困るのですが、それを越えて今、川口先生や神林先生がおっしゃったような、本当に因果推論まで含めた議論をするためには、先生方の協力が必要です。ですから、先ほども開かれた組織と書いてありましたが、そういう研究会のようなものを作って、そこで役所の中だけで、これができたら本当に信じられないくらいレベルが高いと思います。
言っておきますが、因果推論は1970年代に始まったのです。私がハーバードの大学院生だったときに、ドナルド・ルービンという人が書いた1972年の論文が最初ですが、それと僕の同級生だったローゼンバウムなどが中心になって開発した手法です。今、データサイエンス系の人はちょっと違う系統の因果推論もあるけれども、データ解析系の人、少なくとも医療データ系の人はルービン流の因果推論を使っています。これは決して易しくはないのです。
だから、川口先生、神林先生を含めて、できればお弟子さんも含めた組織を継続的に、常設的な研究委員会、勉強会、若手の厚生労働省職員が入って、一緒に勉強する場というものを是非作ってください。そうすると、大学関係の研究者も厚労統計のファンが増えるし、厚生労働省の中の実力も高まる。過去に作っていただいたEBPMの事例はそうですよね、すばらしい結果が出ているではないですか。それを今後とも絶やさないようにというお二人の意見に私も賛成です。ただ、そちらのほかに基礎的EBPMも大事なので、その部分はしっかり守りながら、更にレベルの高い因果推論まで書ける。そこまで決意表明していただけると有り難いですね。
○菊池推進官
一応、効果検証を絶やさないということもあったと思いますが、過年度事業がなくなっていって、効果検証の対象が少なくなっているということなのですが、そこから効果検証の事業を抽出するということではなくて、よろず相談であるとか、効果検証が必要だと言ってくる事業がありますので、そういったところからきちんと私どもの効果検証の事業に参加していただいて、引き続きやっていくということを考えています。これを今年の検証会の委員の方々に検証していただくことになっていますので、今までやってきていた私どものほうの効果検証の事業と同程度のものは、これからもずっとやっていくということで、絶えるということではないということです。
○小峰座長
ありがとうございました。ほかは何かありませんか。よろしいでしょうか。それでは、予定していた議事は終わったのですが、何かもし全体を通して御発言があれば、どうぞ。
○吉川委員
何も発言しないというのも、ちょっとストレスなので、番外編でちょっとだけ発言をお許しいただきたいのですが、もちろん統計に関係したことです。とりあえず今日の議題の、こちらの厚生労働省での統計改革はきちっと進められているということは十分に御説明で分かりました。納得と言いますか、このような形で進めていただければと思います。それはそれとして、番外発言のほうなのですが、新しい政権の下で新総理が誕生して、新総理は安倍政権の嫡流ということを自らそういう形で、政策運営されるということだと理解していますが、そこで20年くらい前の昔話になるのですが、思い出話を1つだけさせていただければと思います。
2005年から2006年くらいだったでしょうか、先ほど美添先生がちらっとおっしゃったのですが、小泉政権の最後の仕事の1つとして、統計法の改革という仕事がありました。当時の川崎さんという統計局の局長さん、それからもちろん美添さん、その他の統計学者と一緒に私も改革の仕事に1年以上関わったと思います。いろいろやって、いよいよ最後に統計法の改正ということで、それを小泉総理の所に説明に行く。役回りとして、私がやりました。総理への説明の前段階として、官房長官にも説明ということで、当時、安倍晋三氏がまだ総理になる前、官房長官だったので、官房長官への説明も総理大臣への説明も同じ資料で説明をしたわけです。その説明資料というのはA4、2枚くらいでしたか。1枚目は難解だ、肝は2枚目だったのですが、それは明治以降の統計のスカスカの年表。
明治以降の日本の統計で、日本政府の組織としては確か記憶では明治2年、当時の大蔵省に統計司というものが作られて、そこの長が伊藤博文。明治2年、伊藤博文。それから次に、今度は大分飛んで、昭和21年から旧統計法が作られて、これも旧統計委員会が作られて、初代の統計委員会の委員長が吉田茂内閣総理大臣。明治2年、伊藤博文、昭和21年、内閣総理大臣吉田茂。平成、小泉純一郎というこの三段飛びのスカスカ年表。
この説明を当時、安倍さんにしたときに大いに納得されて、統計というのは地味な感じがするけれども、大事なものなのですねと、やはり統計は大事なのだなというのが、安倍晋三氏、当時はお話しているとおり、総理大臣になる前の官房長官だったのですが、やはり統計は大事ですねという話が出ました。実際、統計法が改正されて成立したのは、ひょっとすると第一次安倍内閣だった、準備は小泉さんのときだったと思いますが、そういうようなことがありました。
全くの思い出話なのですが、今の総理大臣はこの安倍晋三氏の流れをくむということですから、当然、統計は大事というお考えを持っていていいはずなので、何かのときには新しい大臣に統計が大事だということを是非、皆さんで頑張っていただければと思います。すみません、どうも。番外編の発言です。以上です。
○小峰座長
貴重なお話をありがとうございました。ほかに全体で何か追加的にありませんか。ないようですので、最後に事務局から連絡事項などがあれば、お願いいたします。
○原口統括官
本日は、闊達な御議論を賜りまして誠にありがとうございました。この統計改革検討会については、御案内のとおり令和2年に第1回を開催し、これまで計8回開催しています。委員皆様の御意見を賜りながら、着実に統計改革の取組を進めてまいりました。また、統計改革の取組は工程表に基づき進めてまいりましたが、現在の工程表は、期間としては令和8年度までとなっています。このような状況を踏まえまして、工程表の改定や今後の検討会の在り方を含めまして、後日、委員の皆様に個別にお伺いしたいと考えておりますので、是非、御協力を賜ればと思います。よろしくお願い申し上げます。
○髙橋参事官
私から続けてよろしいでしょうか。本日の議事録についてですが、後日、事務局から皆様へ御確認をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、次回の開催と統括官からお話がありました今後の在り方などについて、委員の皆様に個別に御相談する日程についても、また改めてさせて相談させていただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○小峰座長
ありがとうございました。それでは、本日は活発な議論を頂きまして、大変ありがとうございました。これで検討会を閉会させていただきます。
照会先
政策統括官付参事官付統計・情報総務室企画法令係 菊地
代表03-5253-1111 内線7345

