2024年3月22日 費用対効果評価専門組織 第11回議事録

日時

令和6年3月22日13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、弦間 昭彦専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他

議題

○ 企業分析の内容・公的分析による再分析結果の審査、費用対効果評価案の策定について

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 では、次の品目、テゼスパイア皮下注について、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査、並びに費用対効果評価案の策定について、先生方に御議論いただきたいと思います。
 
(事務局より説明)
 
○国立保健医療科学院
 国立保健医療科学院です。
 資料ですけれども費の2-2の資料を御覧ください。テゼペルマブに関する公的分析の結果概要という資料になります。
 2ページ目ですけれども、諸外国の医療技術評価機関における評価結果をお示ししております。
 条件つき推奨などの国が多いようですけれども、例えばドイツでは、追加的有用性なし、あるいは、カナダなどでは価格の引下げなどが検討されているようであります。
 4ページ目、こちらは、テゼペルマブの追加的有用性の評価でありますけれども、分析対象集団(a-1)(a-2)(b)につきまして、(a-1)については、追加的有用性がなし、あるいは判断できないとしておりますが、その他2つの集団については、追加的有用性がありだと考えております。
 5枚目、こちらが製造販売業者における追加的有用性の評価の結果をまとめておりますけれども、基本的に公的分析の評価と一致しているものと意識しております。
 6ページ目ですけれども、こちらは、公的分析で追加的有用性の評価をした判断の根拠になりますけれども、公的分析のシステマティックレビューは、製造販売業者のものとおおむね一致し、基本分析における製造販売業者の評価方法並びに結果は妥当であると考えております。
 その根拠となりましたのが、6ページ目の下側にあるデュピルマブのLIBERTY ASTHMA QUEST試験、これのサブグループ解析、それから、7ページ目にありますように、ネットワークメタアナリシスのサブグループ解釈の結果、こういったものを参照して、Menzies-Gowの主張が妥当なのではないかと考えているところです。
 続いて、費用対効果評価の結果につきましては、9ページ目になります。
 こちらは、製造販売業者における分析の結果ですけれども、分析対象集団(a-1)については費用増加、(a-2)については約1100万円、(b)については約900万円という結果が出されております。
 10ページ目、こちらが公的分析における再分析の主要な点についてですけれども、一番大きいのは、総死亡率に対する補正係数についてということでありまして、製造販売業者は、分析モデルから推計された各分析対象集団の総死亡率というのが、フランスの観察研究を大きく下回っているということで、後者に整合するように分析モデルを補正しております。
 しかし、日本の人口動態統計では、それよりも低い値が報告されておりますし、様々な報告を参照しても少し高過ぎるのではないかと考えているところです。
 また、前回第1回専門組織において御審議いただいた際にも、専門家の先生から少し8%は高過ぎるのではないかというコメントをいただいたものと認識しています。
 以上から、公的分析では、この死亡率の補正というのを行っておりません。
 その結果として、11ページ目になりますけれども、基本分析として分析対象集団(a-1)は、費用増加、(a-2)また(b)というのは、いずれも1000万円/QALYを超過しているという結果になっているところです。
 続きまして、12ページ目ですけれども、テゼペルマブの分析枠組みにおいては、シナリオ分析の結果についても一定の配慮をするということでありましたので、シナリオ分析の結果を精査したものについて、御報告差し上げたいと思っております。
 13ページ目ですけれども、製造販売業者におけるシナリオ分析の追加的有用性の評価ですけれども、こちらはベースケースの分析結果と異なっていて、(a-1)(a-2)の集団で追加的有用性があるのだという結果が提出企業より提出されております。
 これについて、公的分析といたしましては、14ページ目になりますけれども、シナリオ分析の(a-2)の集団、すなわち2型喘息の集団の評価結果は妥当であると考えております。
 しかし、シナリオ分析の(a-1)の集団、つまりベンラリズマブと比較する好酸球性の集団については、課題があるのではないかなと考えておりまして、そもそもIL-5抗体に該当する薬剤としては、ベンラリズマブとメポリズマブの2剤が存在するわけでありますけれども、比較対照技術のベンラリズマブについては、メポリズマブと効果はほぼ同等であるとの前提のもとで、より安価なものとしてベンラリズマブが選択されたという経緯があります。
 しかし、製造販売業者の使用したネットワークメタアナリシスの結果、これは、有効性を推計するときに用いたものですけれども、ベンラリズマブの治療効果というのは、メポリズマブと比べて明らかに劣っている傾向にあります。ベンラリズマブがテゼペルマブに対して0.63であるのに対して、メポリズマブは0.94ということで、明らかにメポリズマブのほうが、治療効果が高いという結果を用いて、費用対効果を検討していくというところです。
 しかし、こうであるならば、デュピルマブの治療効果がメポリズマブと同様であるという枠組み設定時の製造販売業者の主張にも疑問がありますし、これは費用対効果評価における比較対照技術を選定する際の前提に反するものであり、下記のネットワークメタアナリシスの結果を使用するのであれば、ベンラリズマブの素推定値をそのまま使用することは不適切なのではないかと考えています。
 そこで、15ページ目ですけれども、公的分析におけるシナリオ分析の再分析として、分析対象集団(a-1)の分析において、ベンラリズマブではなくて、比較対照技術をメポリズマブに変更した場合の再分析を実施しました。
 メポリズマブというのは、製造販売業者の使用したネットワークメタアナリシスの結果が信頼できるという前提であれば、点推定値の観点から比較対照技術として選定されるべきものであります。
 このような比較対照技術を変更しますと、結果、ICERは4000万円強という結果になっています。
 効果は同等であるはずの比較対照技術を入れ替えると、治療効果の推定値によって、結果が大きく変わるということから、最もICERの小さい値がシナリオ分析の結果として提出されているわけですけれども、やはり結果の解釈においては、企業側の推計値というのは少なくとも、かなりのベストケースであると考えるのが適切ではないかと考えております。
 16ページ目、このシナリオ分析の位置づけについて、念のための御確認ということですけれども、これまでの公的分析においては、企業側の提示する感度分析やシナリオ分析の結果については、必ずしもその妥当性というのを厳密には精査してきいておりません。
 そもそも感度分析やシナリオ分析においては、費用対効果評価の分析枠組み設定時に、製造販売業者の希望に沿って設定されることが多いものである。分析前協議や専門組織においても感度分析やシナリオ分析については、企業側が希望する分析としての位置づけであれば、その内容について必ずしも厳しく精査されるわけではありません。
 一方で、意思決定の参考情報として感度分析やシナリオ分析を用いる目的であれば、そのような問題はないわけでありますけれども、一方で、感度分析やシナリオ分析の結果を基本分析として活用するということであれば、基本分析と同様に、その分析枠組みや、その評価結果というのは精査される必要があるのではないかと考えるところです。
 以上をまとめたものが、17ページ目の患者数の割合の結果のまとめという表にまとめております。
 いずれもICERは1000万円以上ということになっております。
 こちらからは以上になります。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、まず、本品目に関わる公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
 
(意見陳述者 入室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内で、テゼスパイア皮下注の総合的評価について説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
 
○意見陳述者
 ありがとうございます。
 ○○の○○です。
 本日は、お時間をいただき、ありがとうございます。
 それでは、早速、始めさせていただきます。なお、資料の右下にページ番号をつけておりますので、御参照ください。
 まず、2ページ目を御覧ください。
 本日は、増悪後の死亡率の補正に関する御指摘に対する意見、感度分析の比較対照技術に関する御指摘に対する意見、そして、感度分析の取扱いについて意見を述べさせていただきます。
 3ページ目にお進みください。
 まず、弊社が死亡率の調整を行った背景を記載しております。
 英国本社が分析モデルを作成した当初は、本剤の適用となるコントロール不良な難治性喘息患者の死亡率データが存在しなかったため、比較的重症度の低いコントロール良好な患者を含むデータでモデルが構築されております。
 しかし、その後、フランスのリアルワールドデータからコントロール不良な難治性喘息を対象とした死亡率のデータが得られましたので、その死亡率に整合するように補正したモデルを、日本を含む各国のHTA機関に提出した経緯がございます。
 これに対しまして、公的分析より、死亡率を補正することは妥当ではないとの御指摘があり、その理由として、表の左側にお示ししたように、補正を行う前の死亡率が欧州4か国の重症喘息患者の死亡率と同程度であること、補正に利用したフランスのリアルワールドデータの一般集団の死亡率が日本人一般集団の死亡率よりも高いので、過大な推計となっていることなどが挙げられています。
 これらの公的分析の御指摘に対する弊社の意見を表の右側に記載しております。
 まず、最初の御指摘ですが、公的分析が参照している欧州の死亡率はコントロール良好な患者を含む重症喘息患者のものであり、左下の図で、濃いピンクと薄いピンクを合わせた患者に相当いたします。
 一方、本剤の対象患者は、濃いピンクのコントロール不良の患者となりますので、これは一致するものではありません。
 加えて、コントロール不良な患者ほど死亡率が高いという報告がございますので、重症患者の死亡率とコントロール不良の難治性の患者を同程度と考えるのは適切ではなく、重症喘息に比べてコントロール不良な難治性喘息の死亡率が高くなってしかるべきと考えております。
 続きまして、表の下段、リアルワールドデータの一般集団の死亡率が日本人一般集団の60歳から64歳の死亡率に比べて高いので、過大推計になっているという御指摘です。
 リアルワールドデータのほうは、死亡率が飛躍的に高くなる高齢者も含んだ幅広い年齢で構成されていますので、その平均死亡率と、60歳から64歳という特定の年齢層の死亡率を横並びに比較することは妥当ではないと考えます。
 右下の図2のグラフに、年齢区分ごとの日本人一般集団の死亡率をオレンジのラインでお示ししていますが、これにリアルワールドデータのベース構成比を当てはめて、加重平均した死亡率は3.6%となり、リアルワードデータの一般集団の値と同程度になることから、リアルワールドデータが死亡率を過大推計しているという指摘は当たらず、このデータを用いることは妥当と考えます。
 4ページ目にお進みください。こちらに死亡率の補正についてまとめております。
 1ポツ目、2ポツ目は、先ほど御説明したとおりですが、3ポツ目に記載のとおり、今回用いたリアルワールドデータは、コントロール不良な難治性喘息の唯一のデータであり、信頼性も高いことから、同様の補正を行ったモデルは、ほかの国のHTA機関にも提出され、その妥当性が認められております。
 当初モデルの死亡率パラメータは、本来の適用患者にマッチしたものではありませんでしたので、モデルの外的妥当性を高め、費用対効果を適切に評価するためには、本剤の適用患者の死亡率データを用いた補正を行うべきと考えます。
 5ページ目を御覧ください。
 感度分析の比較対照に対する公的分析の指摘について意見を述べさせていただきます。
 公的分析の御指摘を右下の赤囲みに記載していますが、ネットワークメタアナリシスによる間接比較の結果に基づけば、ベンラリズマブの有効性がメポリズマブに劣っているとして、感度分析の(a-3)集団の比較対照技術にベンラリズマブを用いることの妥当性に疑義が呈されております。
 弊社としましては、この御指摘は重大な問題をはらんでいるのではないかと考えております。
 まず、スライド上部の1ポツ目に記載のとおり、本来の分析枠組みは、既存の生物製剤を直接比較したデータがないことを理由として、生物製剤間の有効性に明確な優劣がないという前提で決定されております。
 具体的には、スライド中ほどの2つの青い四角囲みに記載していますが、生物製剤間に有効性の優劣がないということを大前提として、最も安価なオマリズマブが使用可能なIgE陽性患者とそれ以外に対象集団が分けられ、さらに、各分析対象集団の比較対照技術は、各集団で最も安価なものが選ばれております。
 このような前提に反し、間接比較であるネットワークメタアナリシスの結果のみにより、生物製剤の効果に優劣をつけるのであれば、そもそもの枠組みの設定が適切であったのか、また、基本分析(a-2)集団の設定や、そこでオマリズマブを比較対照としたことは妥当ではなかったのではないかという疑念も生じかねません。
 また、スライド上部の2ポツ目に記載のとおり、メポリズマブとベンラリズマブで患者背景をそろえたMAICによる間接比較では、ベンラリズマブの有効性はメポリズマブと同等以上と報告されていることも踏まえますと、事後的に1つのネットワークメタアナリシスの結果のみに基づいて、ベンラリズマブの有効性を過小に評価した公的分析の考察は分析の大前提を覆し、本剤に対する正当な評価を損ないかねないと考えますので、専門組織Ⅰで決定された分析枠組みにのっとった評価を行っていただくようお願いいたします。
 次の6ページ目には、補足資料として、患者背景の補正の有無によって、ベンラリズマブとメポリズマブの有効性の優劣は逆転し、ネットワークメタアナリシスとは異なって、患者背景をそろえた場合には、ベンラリズマブがメポリズマブと同等以上の有効性を有することを示した間接比較の結果をお示ししております。
 7ページ目を御覧ください。
 感度分析の取扱いについてのお願いです。
 スライド上段に専門組織Ⅰにおける主な御意見を記載しております。
 基本分析の枠組みは使用実態が少ないオマリズマブを2型喘息の60%に相当する集団で比較対照に置くものであり、臨床実態との乖離を懸念される御意見が複数挙がっておりました。
 実際に、本剤上市後のデータを確認したところ、2ポツ目に記載しておりますとおり、他剤から本剤に切り換えた患者のうち、オマリズマブからの切換えはわずか11%であり、基本分析枠組みと、臨床実態の乖離は本剤上市後においても解消されておりません。
 実臨床における本剤の費用対効果を正しく評価いただくため、臨床実態をより反映した枠組みである感度分析に重きを置いた評価を行っていただきますようお願いいたします。
 最後に8ページ目を御覧ください。
 これまで述べました弊社の意見の要点をまとめております。
 まず1点目ですが、死亡率の補正について、当初モデルでは使用された死亡率パラメータは、本剤が適用となる患者とマッチしたものではないため、モデルの外的妥当性を高め、費用対効果の適切な評価を行うためには、リアルワードデータ研究の死亡率データを用いた補正を行うべきと考えます。
 2点目、分析枠組みですが、ネットワークメタアナリシスの結果のみに基づいて、ベンラリズマブの有効性を過小に評価した公的分析の考察は、生物学的製剤の有効性に優劣がないとした枠組み決定の前提を覆すもので、基本分析の比較対照技術の設定根拠や選定根拠を含む枠組み全体の妥当性や、本剤に対する正当な評価を損なうことになりますので、決定した分析枠組みにのっとった評価を行っていただくようお願いするところです。
 最後に感度分析の扱いにつきましては、実臨床における本剤の費用対効果が正しく評価されますよう、臨床実態をより反映した枠組みである感度分析のほうに重きを置いた評価を行っていただくようお願いいたします。
 弊社からの説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、委員の方から御質問はございますでしょうか。
 いかがでしょうか、○○先生、どうぞ。
 
○○○委員
 委員の○○です。大変いろいろ詳細に説明をいただいて、ありがとうございました。
 最初の死亡率のデータに関して、リアルワールドの死亡率の結果に関して、少し質問をさせていただきたいのですが、通常我々が臨床で診ている患者さんの死亡と比べて、やはり2年で8%と、かなり高いと思うのです。ほとんどの論文を見てみたのですが、かなりその中で死亡が非常に多いということを、少し懸念に思ったというのが実際です。
 具体的には、フランスの国民の100分の1くらいの数の、この2つに関する研究なのですけれども、実際に死亡率というのは、もし喘息死だけで説明できるとすると、国の喘息死の恐らく10分の1あるいはそれ以上、だから100分の1の人たちから国の喘息の10分の1以上の数を生み出しているのは、やはり違和感があるのかなと思いました。
 ですので、まずはそこまで膨れ上がっている背景というのは、ただ、初めてのデータで評価ができていない、私どもどのように意味づけたらいいか分からないところかと思います。
 逆にそれは喘息とどの程度関係があるから、薬剤にそれをリバースできるのか、その辺、もし、企業の方から、その死亡のデータの背景に関して、もし御存じでしたら教えていただければと思います。
 
○意見陳述者
 御質問ありがとうございます。
 弊社といたしましても、文献に載っているデータ以上のことは分かりかねます。ただ、弊社の意見といたしましては、やはり先生方が御覧になっている重症喘息患者の中でも、やはりテゼスパイアが対象となるのは、コントロールが不良な患者、重症中の重症であるというところです。
 それで、私どももいろいろデータを探したのですが、重症中の重症、コントロール不良な患者様のデータというのは、本当にこのフランスのデータしかないという状況でございます。
 それで、フランスの全体の喘息死と比べても、少し割合が多いのではないかという御指摘をいただきました。このロシュの論文を見ますと、もちろん喘息による死亡が上がるということもございますが、その他、例えば、経口ステロイド薬に伴う死亡率の上昇ですとか、そういったものも総合的に影響して死亡率が高まっているのではないかと、たしか文献にもございましたし、私どもの臨床の先生方からも、そういう御意見をいただいておりますので、そういった死亡率全体を見ますと、やはり、かなり死亡率は高くなるのではないかというのが弊社の意見でございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○先生、よろしいでしょうか。
 
○○○委員
 はい。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、これで意見聴取を終了させていただきたいと思います。
 企業の方は、御退室をお願いいたします。
 
○意見陳述者
 ありがとうございました。失礼いたします。
 
(意見陳述者 退室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析についての御意見がございましたので、科学院から何か御意見等がございましたらお願いします。
 
○国立保健医療科学院
 国立保健医療科学院です。
 先ほど申し上げた以上のことは、特にありませんので、御審議いただければと思います。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。
 なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらかが、より科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて、御議論を進めていただきますようお願いいたします。
 委員の先生方から御意見、いかがでしょうか。論点は死亡率の取扱と、あとはシナリオを含めた感度分析のところというお話になろうかと思います。○○先生、改めて伺いますけれども、死亡率は、先生からご覧いただいていかがなのですか。
 
○○○委員
 これは大変重要なポイントだと思います。結論から申し上げると、この死亡率にすぐ飛びついて、国の統計データを変えるのは少し尚早、これに飛びつくのは得策ではないし、尚早であろうと思っています。
 私、こういうデータを初めて見て、その意味づけが、私自身よく分からないところが多いと、喘息による死亡の恐らく10倍ぐらい高い死亡数が、このように表れてくるというのは、学会あるいは専門家の中でも集まって、これがどういうことで起こっているのか、呼吸器の医者の目の前で起こった死亡ではないものがかなり多いと思います。ちょっと意味づけを学会で十分議論して、初めて受け入れ方が分かってくる数字かと思います。
 ですので、この数値をそのまま採用するのはよくないのではないかと感じています。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 死亡率の解釈が、不確実性が高いということで、利用に当たっては慎重にという御意見かと思います。
 その他の先生方、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
 
○○○委員
 私は気が弱いので、イギリスにこの死亡率のデータを出したと書いてあると、イギリスは、このデータを採用したのかと思うのですけれども、最初に海外のHTA機関のがありましたけれども、イギリスは、コマーシャル何とかとなっていましたけれども、数字として出ているのでしょうか、ICERとかが、NICEのほうで、この死亡率扱いで大分動くように見えるのですけれども、企業の出したデータを使ったイギリスが、そういう数字になっているでしょうか、科学院に教えていただけたらと思うのですけれども。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 ICERの点は、今、調べているところなのですけれども、喘息の死亡率の辺りで結果がかなり変わるのではないかという御指摘は、○○先生の御指摘のとおりでありまして、先ほど御説明を飛ばしてしまったのですけれども、先ほどの費-2-2の資料の19ページ目に、感度分析の結果を載せさせていただいておりますけれども、こちらにあるように、総死亡率に振りますと、やはりICERが高いというのは、比較的動くような結果になっております。
 ただ、2年で6.5%を超えてくると1000万を超えてくるという結果でありますので、その辺りの6.5%という値の解釈というのも1つ重要なところなのかなと思うところであります。
 以上です。
 
○○○委員
 ありがとうございます。
 臨床の○○先生の実感とかを考えても、それから解釈が慌て過ぎているということも含めて、この数字は、そのまま当てはめるわけにいかないというのは、完全に私も同意するのですけれども、今、補強意見としては6.5ぐらいでも、1000万ぐらいというのを伺ったので、かなり参考になりました。ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他いかがでしょうか。
 科学院さん、1点確認いたします。先ほど企業さんが3つ、8ページ目でまとめていらっしゃいましたが、分析枠組みに関わるところについてですけれども、これは、理論的かつ合理的な説明という観点から、結果として、対象の整理がされたという理解でよろしいわけですね。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 このシナリオ分析の枠組みについては、企業側の御希望に沿って設定したものだと認識しているのですけれども、ただ、これをもし本分析するのであれば、やはりベンラリズマブをそのまま比較対照技術として用いて、かつ、先ほどのネットワークメタアナリシスの結果を有効性のソースとして使うということは、なかなか少し難しいのではないかなと考えているところです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。いずれにしても、分析の枠組みというか、その位置づけにおいて、この辺の整理も変わってくるということかと思います。
 先生方、その点、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきたいと思いますが、その前に、○○委員、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
 
(○○委員、○○委員 退室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 先生方の意見書とかを踏まえて、今の御議論を伺いますと、基本分析で宜しいということで理解しております。その流れでまとめさせていただきたいと思いますが、先生方の御意見を参考に、テゼスパイア皮下注に関する費用対効果については、公的分析による分析結果を費用対効果評価として決定するということで、よろしいでしょうか。
 
(異議なしの意思表示あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、以上の再分析結果を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。
 なお、内示及び中医協に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくようにお願い申し上げます。よろしいでしょうか。
 
(異議なしの意思表示あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。