- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 >
- 2023年12月22日 費用対効果評価専門組織 第9回議事録
2023年12月22日 費用対効果評価専門組織 第9回議事録
日時
令和5年12月22日13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、弦間 昭彦専門員、山口 正雄専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
議題
○ 企業分析報告及び公的分析レビュー結果について
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、テゼスパイア皮下注用に係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論をいただきたいと思います。
まずは、事務局は御説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でテゼスパイア皮下注用に係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
○○の○○です。
本日は意見陳述のお時間をいただき、ありがとうございます。
では、早速始めさせていただきます。
各スライドの右下にページ番号をつけておりますので、そちらを御参照ください。
まず、2ページ目を御覧ください。
専門組織Ⅰで決定した基本分析と感度分析の枠組みを示しております。
上段の基本分析は2型ぜんそくについて、まず生物学的製剤の中で最も安価なオマリズマブが投与可能なIgE抗原感作陽性集団を切り出すものです。
一方、下段の感度分析は、投与されている生物学的製剤の作用機序に基づいて2型ぜんそくを好酸球性とアトピー型に分類するものです。
3ページ目を御覧ください。
こちらは諸外国の主なHTA評価結果をお示ししております。
では、4ページ目にお進みください。
追加的有用性を検討するために実施したシステマティックレビューの概要をお示ししております。御覧のリサーチクエスチョンを設定し、MEDLINEと医中誌を中心に本年6月に検索を実施いたしました。
中ほどに結果をおまとめしております。
結果の1ポツ目のとおり、生物学的製剤と生物学的製剤を含まない標準療法を比較したRCTの文献は複数あったのですが、生物学的製剤同士を直接比較したRCTの文献は存在いたしませんでした。
しかし、2ポツ目にございますとおり、それらのRCデータを用いて、間接比較を行ったネットワークメタアナリシスの文献は3報ございました。
そして、3ポツ目にございますとおり、これらの文献のうち、有効性の検証を目的とした第Ⅲ相試験やネットワークメタアナリシスの主要評価項目は全て年間ぜんそく増悪率となっておりました。
これらの結果を踏まえ、まず標準療法が対象技術になっている集団(b)、これは非2型ぜんそくですが、非2型ぜんそくについては、本剤と標準療法を直接比較した第Ⅲ相試験がございますので、その試験の非2型ぜんそくサブグループの年間ぜんそく増悪率によって評価を行いました。
一方、本剤とほかの生物学的製剤を直接比較したRCTはありませんでしたので、生物学的製剤が比較対象となっている2型ぜんそくの各集団については、ネットワークメタアナリシスの年間ぜんそく増悪率に基づいて評価を行っております。
5ページ目を御覧ください。
システマティックレビューで特定された3つのネットワークメタアナリシス論文のぜんそく増悪率の比及び解析に使用されたRCTの情報を対象集団ごとにまとめております。
まず、集団ごとのデータの有無ですが、Menzies-Gowの論文は3つの集団のデータを有しているのに対して、AndoとNopsoponの論文はa-3、つまり、好酸球性ぜんそく集団のデータのみとなっております。
次に、複数のデータが存在する集団a-3についてですが、解析に使用されたベンラリズマブのRCTが少々異なっており、Menzies-Gowでは使用されていないANDHI試験がAndoとNopsoponの論文では含められております。このANDHI試験はほかの試験と対象患者が異なっておりまして、好酸球性ぜんそくであることに加え、経口ステロイドの維持療法を受けている、鼻茸を併発しているといった組み入れ条件が設定されていますので、ANDHI試験を加えることは患者の異質性の問題が生じると考えております。
これらの点を踏まえまして、より多くの患者集団をカバーしており、さらに、集団a-3の結果の信頼性が最も高いMenzies-Gowのデータにより、有用性を評価することにいたしました。
6ページ目を御覧ください。
対象集団ごとに比較対照技術、年間ぜんそく増悪率、追加的有用性の判断、そして、分析方法をお示ししております。集団a-2、a-3、a-4及び(b)では、本剤と比較対照技術との年間ぜんそく増悪率の比は0.5~0.63であり、臨床的意義のある低下が示されていることから、追加的有用性を有すると判断いたしました。
一方、表の一番上の集団a-1と一番下の集団a-5では比較可能なデータが存在せず、追加的有用性があると判断できなかったため、費用のみを比較することにいたしました。
7ページ目を御覧ください。
左側に今回の分析に使用した5つのステートから成るマルコフモデルをお示しし、右側にモデルの詳細や分析を行う際の仮定や条件を記載しております。
左側のモデルですが、患者はコントロール良好とコントロール不良の状態を推移し、一定確率で増悪が発生いたします。増悪が起きますと、その間、効用値の低下と追加の医療費が発生し、また、一定確率でぜんそく死亡が生じます。
こちらのモデルは海外のHTA評価機関にも提出されたもので、モデルの妥当性は各評価機関から認められております。
8ページ目を御覧ください。
費用効果分析の結果をまとめております。
上段の基本分析ですが、まず集団a-1は追加的有用性があるとは判断できませんでしたので、費用のみを比較しており、本剤で約141万円の費用の増加となっております。それ以外の基本分析の集団のICERは、a-2が約1121万円、集団(b)が約897万円となっております。
次に、下段の感度分析のICERですが、集団a-3が約118万円、a-4が約1121万円となっております。一番下の集団a-5は難治性ぜんそく患者に占める割合が非常に少なく、長期費用の推計に必要なデータが存在しなかったことから、弊社としては分析不能と判断いたしました。
9ページ目を御覧ください。
感度分析の扱いについてまとめております。
まず上段に専門組織Ⅰにおける感度分析の扱いに関する御意見を記載し、下段に弊社の見解をまとめております。
弊社見解の1ポツ目ですが、専門組織Ⅰにおきましては、投与されている生物学的製剤の作用機序に基づいて2型ぜんそくを好酸球性とアトピー型に分類する枠組みを感度分析として実施した上で、その内容や結果も考慮しながら総合的評価を御議論いただくことになったと理解しております。
次に、2ポツ目ですが、今回の専門組織Ⅱは、弊社が実施した分析の方法や妥当性、並びに公的分析によるレビューの妥当性について審査がなされるもので、感度分析の扱いも含めた総合的評価につきましては、専門組織Ⅲで御議論いただくものと認識しております。
最後のポツにお書きしたとおり、現在、弊社では本剤発売後の診療実態や処方動向のデータを精査し、専門組織Ⅲにおける総合的評価の御検討に参照可能なデータをお示しできるよう検討を進めているところでございます。
弊社からの説明は以上となります。それでは、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特にございませんか。
では、○○先生、お願いいたします。
○○○委員
a-5に関して質問します。好酸球数が1,500以上かつIgE抗原感作陰性のグループは3.3%ですが分析の対象にならないぐらいのパーセントなのでしょうか。もう少し高ければ良いのか、あるいは何らかの推計をすることも難しいでしょうか。3.3%の意味づけが分からないので、教えていただけませんか。
○意見陳述者
御質問いただきありがとうございます。
3.3%ですが、こちらは実はリアルワールドデータ社のデータベースから推計したパーセントになっております。一方、モデルのほうに使用しましたステートの推移確率というのは、本剤の第Ⅲ相試験から取っております。第Ⅲ相試験では1,500以上の患者さんのデータがさらに少なくて1%にも満たないということで、長期的な費用を推計する場合の患者さんの基本的な情報、年齢ですとか男女比率、それから、状態の推移確率、そういったデータも十分なものが取れなかったものですから、我々としては長期的な費用の推計も難しいということで、分析不能と判断させていただきました。
○○○委員
説明ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院から、テゼスパイア皮下注に係る企業分析についての公的分析のレビュー結果の御説明をお願いいたします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料のほうですけれども、費-2-4の資料、「テゼペルマブ(テゼスパイア)に関する公的分析のレビュー結果」を御参照ください。
1ページ目ですけれども、課題として2点挙げさせていただいております。
1点目が追加的有用性の評価に用いるデータについて、2点目が死亡の遷移確率の補正についてという点であります。
1点目の追加的有用性の評価に用いるデータについてという点ですけれども、2ページ目を御覧ください。
製造販売業者は、追加的有用性の評価にMenziesらのネットワークメタアナリシスの論文を利用しております。
製造販売業者は、a-1の集団について比較可能なデータが存在しないため、追加的有用性があるとは判断できなかったと結論づけられています。
しかし、Menziesらの論文では、血中好酸球数150以上の2型ぜんそく集団における比較の結果が報告されていて、このようなデータの利用可能性について検討する必要があるのではないかと考えているところです。
また、2点目、死亡の遷移確率の補正についてですけれども、製造販売業者は、経済評価において死亡の健康状態を設定して分析を実施しており、既存の研究報告の情報等に基づきその遷移確率を算出しております。
設定された遷移確率に基づいて分析モデルから算出される、増悪のあった重症患者の死亡割合が、フランスにおける観察研究で報告される2年間で8.0%を大きく下回るとして、製造販売業者は死亡割合がこの値に近づくように補正しております。
しかし、既存の研究報告や本邦の比較データを参照すると、8.0%/2年という死亡割合は過大な可能性があり、補正が妥当であるかについて検討する必要があるのではないかと考えております。
4ページ目ですけれども、以上の2点につき、さらなる検討が必要かと考えておりますので、今後再分析を実施させていただければと考えているところです。
こちらからは以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方から御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。
御専門の先生、○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
基本的に2型ぜんそくの部分でオマリズマブについて対象の技術として、結構議論されていると考えていますけれども、感度分析と基本分析で患者の区分けが異なっていて、オマリズマブを対象とする対照群が両方で異なっているというところもすごく大きいところでありまして、その辺りについては追加の部分でやっていただけそうなので、私はそれでよろしいのかなと思いました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
私も全く同意見です。公的分析でa-1集団に関して追加的有用性があるとは判断できなかったという結論に対して製造販売業者が再分析することは、妥当だと思います。恐らくデータはあるのだろうと思います。
死亡に関しても、2年で8%は高過ぎますので、これも再分析の結果、数字が変更可能であれば、ぜひこの部分も再分析をお願いしたいと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
論点として、科学院さんから死亡確率と感度分析の取扱いについて御指摘いただいているところでありますが、その他の先生方、いかがでしょうか。御意見はございますでしょうか。
ないようでしたら、提示されている論点に基づいて、科学院さんのほうで再分析をしていただくということで整理を進めさせていただきます。
それでは、議決に入らせていただきます。○○委員、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきまして、決定された枠組みに沿って分析がされているということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
続いて、企業の分析データ等の科学的妥当性は妥当でないと考える部分があるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
こちらもありがとうございます。
最後になりますが、公的分析によるレビュー実施により再分析を実施するという結果の妥当性はおおむねよろしいということで、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析において感度分析を含めて再分析を実施していただくといたします。
続きまして、テゼスパイア皮下注用に係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論をいただきたいと思います。
まずは、事務局は御説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でテゼスパイア皮下注用に係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
○○の○○です。
本日は意見陳述のお時間をいただき、ありがとうございます。
では、早速始めさせていただきます。
各スライドの右下にページ番号をつけておりますので、そちらを御参照ください。
まず、2ページ目を御覧ください。
専門組織Ⅰで決定した基本分析と感度分析の枠組みを示しております。
上段の基本分析は2型ぜんそくについて、まず生物学的製剤の中で最も安価なオマリズマブが投与可能なIgE抗原感作陽性集団を切り出すものです。
一方、下段の感度分析は、投与されている生物学的製剤の作用機序に基づいて2型ぜんそくを好酸球性とアトピー型に分類するものです。
3ページ目を御覧ください。
こちらは諸外国の主なHTA評価結果をお示ししております。
では、4ページ目にお進みください。
追加的有用性を検討するために実施したシステマティックレビューの概要をお示ししております。御覧のリサーチクエスチョンを設定し、MEDLINEと医中誌を中心に本年6月に検索を実施いたしました。
中ほどに結果をおまとめしております。
結果の1ポツ目のとおり、生物学的製剤と生物学的製剤を含まない標準療法を比較したRCTの文献は複数あったのですが、生物学的製剤同士を直接比較したRCTの文献は存在いたしませんでした。
しかし、2ポツ目にございますとおり、それらのRCデータを用いて、間接比較を行ったネットワークメタアナリシスの文献は3報ございました。
そして、3ポツ目にございますとおり、これらの文献のうち、有効性の検証を目的とした第Ⅲ相試験やネットワークメタアナリシスの主要評価項目は全て年間ぜんそく増悪率となっておりました。
これらの結果を踏まえ、まず標準療法が対象技術になっている集団(b)、これは非2型ぜんそくですが、非2型ぜんそくについては、本剤と標準療法を直接比較した第Ⅲ相試験がございますので、その試験の非2型ぜんそくサブグループの年間ぜんそく増悪率によって評価を行いました。
一方、本剤とほかの生物学的製剤を直接比較したRCTはありませんでしたので、生物学的製剤が比較対象となっている2型ぜんそくの各集団については、ネットワークメタアナリシスの年間ぜんそく増悪率に基づいて評価を行っております。
5ページ目を御覧ください。
システマティックレビューで特定された3つのネットワークメタアナリシス論文のぜんそく増悪率の比及び解析に使用されたRCTの情報を対象集団ごとにまとめております。
まず、集団ごとのデータの有無ですが、Menzies-Gowの論文は3つの集団のデータを有しているのに対して、AndoとNopsoponの論文はa-3、つまり、好酸球性ぜんそく集団のデータのみとなっております。
次に、複数のデータが存在する集団a-3についてですが、解析に使用されたベンラリズマブのRCTが少々異なっており、Menzies-Gowでは使用されていないANDHI試験がAndoとNopsoponの論文では含められております。このANDHI試験はほかの試験と対象患者が異なっておりまして、好酸球性ぜんそくであることに加え、経口ステロイドの維持療法を受けている、鼻茸を併発しているといった組み入れ条件が設定されていますので、ANDHI試験を加えることは患者の異質性の問題が生じると考えております。
これらの点を踏まえまして、より多くの患者集団をカバーしており、さらに、集団a-3の結果の信頼性が最も高いMenzies-Gowのデータにより、有用性を評価することにいたしました。
6ページ目を御覧ください。
対象集団ごとに比較対照技術、年間ぜんそく増悪率、追加的有用性の判断、そして、分析方法をお示ししております。集団a-2、a-3、a-4及び(b)では、本剤と比較対照技術との年間ぜんそく増悪率の比は0.5~0.63であり、臨床的意義のある低下が示されていることから、追加的有用性を有すると判断いたしました。
一方、表の一番上の集団a-1と一番下の集団a-5では比較可能なデータが存在せず、追加的有用性があると判断できなかったため、費用のみを比較することにいたしました。
7ページ目を御覧ください。
左側に今回の分析に使用した5つのステートから成るマルコフモデルをお示しし、右側にモデルの詳細や分析を行う際の仮定や条件を記載しております。
左側のモデルですが、患者はコントロール良好とコントロール不良の状態を推移し、一定確率で増悪が発生いたします。増悪が起きますと、その間、効用値の低下と追加の医療費が発生し、また、一定確率でぜんそく死亡が生じます。
こちらのモデルは海外のHTA評価機関にも提出されたもので、モデルの妥当性は各評価機関から認められております。
8ページ目を御覧ください。
費用効果分析の結果をまとめております。
上段の基本分析ですが、まず集団a-1は追加的有用性があるとは判断できませんでしたので、費用のみを比較しており、本剤で約141万円の費用の増加となっております。それ以外の基本分析の集団のICERは、a-2が約1121万円、集団(b)が約897万円となっております。
次に、下段の感度分析のICERですが、集団a-3が約118万円、a-4が約1121万円となっております。一番下の集団a-5は難治性ぜんそく患者に占める割合が非常に少なく、長期費用の推計に必要なデータが存在しなかったことから、弊社としては分析不能と判断いたしました。
9ページ目を御覧ください。
感度分析の扱いについてまとめております。
まず上段に専門組織Ⅰにおける感度分析の扱いに関する御意見を記載し、下段に弊社の見解をまとめております。
弊社見解の1ポツ目ですが、専門組織Ⅰにおきましては、投与されている生物学的製剤の作用機序に基づいて2型ぜんそくを好酸球性とアトピー型に分類する枠組みを感度分析として実施した上で、その内容や結果も考慮しながら総合的評価を御議論いただくことになったと理解しております。
次に、2ポツ目ですが、今回の専門組織Ⅱは、弊社が実施した分析の方法や妥当性、並びに公的分析によるレビューの妥当性について審査がなされるもので、感度分析の扱いも含めた総合的評価につきましては、専門組織Ⅲで御議論いただくものと認識しております。
最後のポツにお書きしたとおり、現在、弊社では本剤発売後の診療実態や処方動向のデータを精査し、専門組織Ⅲにおける総合的評価の御検討に参照可能なデータをお示しできるよう検討を進めているところでございます。
弊社からの説明は以上となります。それでは、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特にございませんか。
では、○○先生、お願いいたします。
○○○委員
a-5に関して質問します。好酸球数が1,500以上かつIgE抗原感作陰性のグループは3.3%ですが分析の対象にならないぐらいのパーセントなのでしょうか。もう少し高ければ良いのか、あるいは何らかの推計をすることも難しいでしょうか。3.3%の意味づけが分からないので、教えていただけませんか。
○意見陳述者
御質問いただきありがとうございます。
3.3%ですが、こちらは実はリアルワールドデータ社のデータベースから推計したパーセントになっております。一方、モデルのほうに使用しましたステートの推移確率というのは、本剤の第Ⅲ相試験から取っております。第Ⅲ相試験では1,500以上の患者さんのデータがさらに少なくて1%にも満たないということで、長期的な費用を推計する場合の患者さんの基本的な情報、年齢ですとか男女比率、それから、状態の推移確率、そういったデータも十分なものが取れなかったものですから、我々としては長期的な費用の推計も難しいということで、分析不能と判断させていただきました。
○○○委員
説明ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院から、テゼスパイア皮下注に係る企業分析についての公的分析のレビュー結果の御説明をお願いいたします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料のほうですけれども、費-2-4の資料、「テゼペルマブ(テゼスパイア)に関する公的分析のレビュー結果」を御参照ください。
1ページ目ですけれども、課題として2点挙げさせていただいております。
1点目が追加的有用性の評価に用いるデータについて、2点目が死亡の遷移確率の補正についてという点であります。
1点目の追加的有用性の評価に用いるデータについてという点ですけれども、2ページ目を御覧ください。
製造販売業者は、追加的有用性の評価にMenziesらのネットワークメタアナリシスの論文を利用しております。
製造販売業者は、a-1の集団について比較可能なデータが存在しないため、追加的有用性があるとは判断できなかったと結論づけられています。
しかし、Menziesらの論文では、血中好酸球数150以上の2型ぜんそく集団における比較の結果が報告されていて、このようなデータの利用可能性について検討する必要があるのではないかと考えているところです。
また、2点目、死亡の遷移確率の補正についてですけれども、製造販売業者は、経済評価において死亡の健康状態を設定して分析を実施しており、既存の研究報告の情報等に基づきその遷移確率を算出しております。
設定された遷移確率に基づいて分析モデルから算出される、増悪のあった重症患者の死亡割合が、フランスにおける観察研究で報告される2年間で8.0%を大きく下回るとして、製造販売業者は死亡割合がこの値に近づくように補正しております。
しかし、既存の研究報告や本邦の比較データを参照すると、8.0%/2年という死亡割合は過大な可能性があり、補正が妥当であるかについて検討する必要があるのではないかと考えております。
4ページ目ですけれども、以上の2点につき、さらなる検討が必要かと考えておりますので、今後再分析を実施させていただければと考えているところです。
こちらからは以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方から御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をお願いいたします。
御専門の先生、○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
基本的に2型ぜんそくの部分でオマリズマブについて対象の技術として、結構議論されていると考えていますけれども、感度分析と基本分析で患者の区分けが異なっていて、オマリズマブを対象とする対照群が両方で異なっているというところもすごく大きいところでありまして、その辺りについては追加の部分でやっていただけそうなので、私はそれでよろしいのかなと思いました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
私も全く同意見です。公的分析でa-1集団に関して追加的有用性があるとは判断できなかったという結論に対して製造販売業者が再分析することは、妥当だと思います。恐らくデータはあるのだろうと思います。
死亡に関しても、2年で8%は高過ぎますので、これも再分析の結果、数字が変更可能であれば、ぜひこの部分も再分析をお願いしたいと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
論点として、科学院さんから死亡確率と感度分析の取扱いについて御指摘いただいているところでありますが、その他の先生方、いかがでしょうか。御意見はございますでしょうか。
ないようでしたら、提示されている論点に基づいて、科学院さんのほうで再分析をしていただくということで整理を進めさせていただきます。
それでは、議決に入らせていただきます。○○委員、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきまして、決定された枠組みに沿って分析がされているということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
続いて、企業の分析データ等の科学的妥当性は妥当でないと考える部分があるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
こちらもありがとうございます。
最後になりますが、公的分析によるレビュー実施により再分析を実施するという結果の妥当性はおおむねよろしいということで、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析において感度分析を含めて再分析を実施していただくといたします。

