2024年3月22日 費用対効果評価専門組織 第11回議事録

日時

令和6年3月22日13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、大久保 ゆかり専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他

議題

○ 企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 では、続きましてソーティクツ錠について、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について、先生方に御議論いただきたいと思います。
 ソーティクツ錠について、まずは事務局から説明をお願いいたします。
 
(事務局より説明)
 
○国立保健医療科学院
 国立保健医療科学院です。
 資料ですけれども費-3-2、デュークラバシチニブに関する公的分析の結果概要、こちらを御覧ください。
 2ページ目になりますけれども、こちらが諸外国の医療技術評価機関における評価結果ということになります。
 各国で評価が分かれているという感じだなと認識しております。
 続きまして、追加的有用性の評価につきましてですけれども、4ページ目、こちらは、集団が2つに分かれていまして、比較対照技術が、イキセキズマブ、リサンキズマブ、ビメキズマブのうち最も安価なもの、これと比べた場合、追加的有用性はなし、効果が劣るという結果になっております。
 また、アプレミラストという既存の経口剤と比べた場合、追加的有用性はありと判断しております。
 その根拠といたしましては、5ページ目になりますけれども、全身療法終了後の患者さんにつきましては、製造販売業者が実施したネットワークメタアナリシスの結果におきましても、リサンキズマブに対するPASI達成のオッズ比というのは1を下回っておりました。
 感度分析として実施したアジア人データのみを用いた結果においても、同様にPASI達成オッズ比は1を下回っていたというところであります。
 一方、全身療法歴のない患者につきましては、デュークラバシチニブとアプレミラストを直接比較した臨床試験の結果から、16週時点のPASI達成割合がアプレミラスト群より有意に高かったため、追加的有用性は、ありと判断しております。
 続きまして、費用対効果の結果につきましてですけれども、7ページ目のようになっております。
 製造販売業者による基本分析の結果といたしましては、分析対象集団(a)につきましては、ICERが約2500万円、ただし、これは、第3象限に入ってくるものでありますので、費用対効果としては、よいというサジェスチョンかと思っていますけれども、ICERの2500万円/QALY。
 分析対象集団(b)につきましては、ICERが174万円という結果が提出されております。
 8ページ目以降、公的分析におけるレビューと再分析の結果について、まとめております。
 まず、分析対象集団(a)につきまして、こちらは、追加的有用性の評価において、効果が劣ると判断されているものでありますことから、ガイドラインに従いまして、費用対効果の分析は実施しておりません。
 結果として効果が劣るという形でお示ししているところです。
 9ページ目以降は、分析対象集団(b)に関しての再分析になりますけれども、2点ありまして、1点目がQOL値ということになります。製造販売業者は、ベースケースのQOL値を算出するために、臨床試験内で取ったEQ-5D-3Lのデータをプールして、日本語版を用いて換算しております。
 しかし、このデータが存在するにもかかわらず、算出された値が日本の一般集団のQOL値より高いということをもって、NICEにおける感染領域の過去の費用対効果分析データと統合して分析に用いるという手法を用いております。
 これについて、公的分析としては、必ずしも適切ではないのではないかと考えておりまして、1点目は、TA511、350で報告されたQOL値というのは、そもそも日本語版換算表を用いて換算されていないというものでありまして、これらを統合することは適当ではないのではないか。
 過去の品目の整合性という観点から、過去の感染領域のデータを統合したということを主張されていますけれども、これは、あくまでNICEにおけるブロダルマブとセクキヌマブの評価で用いられた値でありまして、日本における費用対効果評価制度において両者はそもそも対象品目となっていないものであって、何ら関係がないのではないか。
 あるいは、日本における40歳代の国民標準値は、EQ-5D-3Lで測定しますと、0.948/0.917、男性、女性ということですけれども、男性が0.948、女性が0.917ということでありますから、測定されたQOL値が国民標準値を下回っているということは、事実とは異なるのではないかということで、臨床試験において測定されたEQ-5D-3Lのデータをそのまま用いたほうがいいのではないかと考えているところです。
 10ページ目になりますけれども、こちらは、費用の点です。治療終了後のBSCの費用として、製造販売業者は、デルファイ調査に基づいて、年1回入院を仮定してBSCの年間入院費を32万円と計上していますけれども、NDB等を用いた結果、入院の年間リスクというのは、13%程度と推定されましたので、この値を用いてBSCの費用を算定し直しました。
 また、11ページ目ですけれども、患者割合ということでありまして、製造販売業者は、先行研究を基に、経口全身療法から新たな生物学的製剤またはその他の従来の経口療法に変更した経験がある感染患者を9.9%と推計して、それを分析対象集団(a)の割合と置いております。
 しかし、この推計方法については、なぜその切り換えの割合をもって経口の全身療法終了後、既存の生物学的製剤を使用していない(a)の患者と考えてよいのかというのは、少々理解が困難であります。
 ですので、公的分析としては、NDBのデータを用いて、デュークラバシチニブを処方された患者の12か月間の内服薬処方の有無を推計することから、11ページ目の一番下のような患者数割合、こちらを推定しているところになります。
 結果といたしまして、12ページ目になりますけれども、公的分析の基本分析の結果といたしましては、分析対象集団(a)については、比較対照技術であるリサンキズマブに対して、追加的有用性がない、効果が劣ると判断したため、費用効果分析はガイドラインに従って実施しておりません。
 また、全身療法のない関係につきましては、先ほどの点を反映することによって、ICERが604万円/QALYという結果になっております。
 13ページ目、こちらに患者数の割合と結果をまとめております。
 科学院からは以上になります。
 
○事務局
 続きまして、今回、ソーティクツ対象集団(a)の取扱いについてということで、費-3-4に資料をまとめておりますので、御説明させていただきます。
 まず、本薬剤の費用対効果評価の経緯としまして、まとめております。
 1つ目の○ですが、2022年の11月に中医協において、H1の品目として本費目は指定されております。
 2つ目の○は、先ほど御説明したとおり、分析対象集団を書いております。
 3つ目の○で、分析対象集団(a)の比較対照技術は、乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス上、各生物学的製剤の選択方法として世界的に確立された基準は存在しないとされており、インフリキシマブ、イキセキズマブ、リサンキズマブ、ビメキズマブは、ほかの生物学的製剤と比較して効果が高く、これらの4剤の間に有効性の違いは見られないと報告されているため、そのうち最も安価なリサンキズマブが選択されたという経緯を書かせていただいております。
 4つ目の○、今回の専門組織で、公的分析からアウトカムが比較対照技術であるイキセキズマブと比べて劣ると判断されたため、費用対効果の分析を実施しないと、公的分析側は結論づけております。
 5つ目の○ですが、一方で、企業側は増分効果をマイナス0.28と劣るものの、費用が約○○万円削減されると分析しております。
 公的分析側は参考分析として、報告書の中で増分効果マイナス0.17と劣るものの、費用が○○万円削減されるという分析を出しております。
 そんな中で、本品目のように費用対効果評価において、いわゆる第3象限、効果が劣り、費用削減となるに位置する品目の取扱いについては、通知上の明確な規定がないところでございます。
 これらの経緯を受けまして、論点として書かせていただいております。比較対照技術について、分析ガイドライン上、評価を行う際の比較対照技術は、評価対象技術が分析対象集団への治療として導入された時点で、臨床的に幅広く使用されており、評価対象技術によって代替されると想定されるもののうち、治療効果がより高いものを1つ選定することが原則的な考え方であるというガイドライン上に記載していることを踏まえ、当該集団の取扱いをどのように考えるかということで書かせていただいております。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、まず、本品目に関わる公的分析の再分析結果に対する企業の意見聴取を行いますので、事務局は、企業を入室させてください。
 
(意見陳述者 入室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でソーティクツ錠の総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
 
○意見陳述者
 ありがとうございます。BMS株式会社の○○と申します。
 本日は、陳述の機会をいただき、本当にありがとうございます。
 ソーティクツ錠の公的分析班による総分析結果について、弊社の見解を述べさせていただきます。
 本費用対効果分析では、本剤の効能・効果である尋常性乾癬患者を対象とし、全身療法歴のある患者を分析対象集団(a)、全身療法歴のない患者を分析対象集団(b)として分析を行っております。
 初めに、分析対象集団(b)における費用対効果評価について、弊社の見解を述べさせていただきます。
 3ページ目に公的分析結果をお示ししております。
 弊社の基本分析では、分析集団(b)におけるICERは約175万円/QALYでありましたが、公的分析では、分析に用いるQOL値及びベストサポーティブケアにかかる費用を変更し、最終的にICERは約605万円/QALYと算出しております。
 こちらについて、QOL値の変更について、弊社の見解をお示しします。
 4ページ目に各分析で用いたQOL値と、その根拠をお示ししております。
 まず、基本分析では、本剤の第3相試験であるPOETYK試験におけるQOL値を、日本語版換算表を用いて換算した値に加え、NICEが感染領域で生物学的製剤の費用対効果分析を行った際に用いたQOL値をプールした値を用いました。
 その根拠としては、POETYK試験のベースラインQOL値が高く、QOL値の変動幅の天井効果が見られること、また、海外の分析機関では、過去の感染領域の分析との整合性を考慮し、生物学的製剤の分析で用いたQOL値を含めて、本剤の費用対効果分析を行っていることがあります。
 一方、公的分析では、日本語版換算表をPOETYK試験のQOL値のみを分析で用いております。
 その根拠としては、弊社がプールしたNICEのQOL値が日本語版換算表を用いて換算された値ではないこと、また、PBACでは、POETYK試験のQOL値のみを用いて分析を行ったことの2点を挙げております。
 5ページ目で、公的分析班が挙げた根拠の1つ目、NICEのQOL値が日本語版換算表を用いた値ではないことについて、弊社の見解を示しています。
 弊社が基本分析を行った時点では、過去に日本国内でも乾癬領域における費用対効果分析はありませんでしたが、2023年にビメキズマブの尋常性乾癬患者に対する費用対効果分析が実施されております。
 各国では、過去の評価と整合性を考慮し、過去の評価に用いたQOL値を引用していることを考慮しますと、ビメキズマブで用いられたQOL値とPOETYK試験のQOL値をプールして本剤の評価を行うことが適切であると考えます。
 なお、公的分析班では、NICEのQOL値は、日本語版換算表を用いていない値であることを指摘しておりましたが、国の表に示しますとおり、POETYK試験について英国で換算表を用いたQOL値と日本語版換算表を用いたQOL値に大きな違いは見られませんでした。
 このことから、ビメキズマブの分析結果がなかった基本分析の時点では、NICEで用いられたQOL値とPOETYK試験のQOL値をプールした値を用いたことは妥当であると考えます。
 6ページ目に、公的分析班が挙げた根拠の2つ目、PBACでPOETYK試験のQOL値を用いた点についてお示ししております。
 左の表で示しますとおり、各国の評価機関のうち、PBACのみが生物学的製剤の評価に用いられたQOL値を考慮しておりません。
 背景としては、PBACを除く各評価機関では、日本と同様に経口薬に加え、生物学的製剤、比較対照技術として評価を行っており、生物学的製剤の過去の評価との整合性が考慮されております。
 一方、PBACでは、アプレミラストとの比較のみを実施しており、結果として、生物学的製剤の評価との整合性を考慮されませんでした。
 このような背景から、生物学的製剤を比較対照薬も含めた費用対効果分析では、PBACは参考として適切ではなく、過去の生物学的製剤の評価との整合性を考慮し、POETYK試験のQOL値と生物学的製剤を用いたQOL値をプールすることが妥当であると考えます。
 7ページ目に、分析対象集団(b)に対する弊社の見解をまとめております。
 これまでお示ししましたとおり、同一疾患における過去の評価との整合性が必要であること。本疾患においては、英国と日本のQOL値換算表の影響が少ないことを鑑みると、国内におけるビメキズマブの評価時のQOL値を求めて再分析を行う、あるいはQOL値は、基本分析の結果を用いることが妥当であると考えます。
 基本分析のQOL値を用いる場合、公的分析班に指摘されたベストサポーティブケアの変更があったとしても、ICERは約○○万円/QALYであり、本剤のアプレミラストに対する費用対効果は閾値である500万以下になると考えます。
 続いて、患者割合について、9ページ目に各分析で用いた値を示しています。
 基本分析では、JMDCを用いた先行研究の結果及び臨床専門家の意見聴取を基に、分析対象集団(a)(b)の割合は、10対90%として分析を行いました。
 公的分析班による再分析では、NDBを用い、本剤の処方された尋常性乾癬患者で処方開始前12か月内服薬を服用している患者を対象集団(a)、それ以外を(b)として患者割合を算出し、66.7対33.3%という結果になっております。
 10ページ目に弊社の見解を示しております。
 NDBを用いた処方分析では、本剤が14日処方制限下にある2022年8月から2023年7月のデータを用いており、長期使用実態と異なる可能性が高いと言える。感染患者の治療では、3つの観点から、ほかの薬剤と比べても、特に14日処方の影響が大きいと考えられます。
 1つ目には、右の表で示しますとおり、既存治療での処方頻度は、○○から○○か月に1回となっております。処方頻度が患者の治療選考に影響を与えることも示されていることから、14日ごとの通院は患者にとって大きな負担になると考えます。
 2つ目は、本疾患は慢性疾患のため、長期の治療が必要であることが挙げられます。
 3つ目は、発症時期が比較的早く、治療中の患者の年齢層も働き盛りの世代が多いことが影響を与えると考えております。
 さらに、シクロスポリンやメトトレキサートは、本疾患以外の適用を有しており、本疾患の治療を目的としているか明確ではないため、分析対象集団(a)の患者割合を過大評価している可能性があると考えます。
 以上のことから、NDBを用いた分析は、必ずしも長期の実臨床における患者割合に反映していないことが示唆されると考えております。
 
○意見陳述者
 ここからはBMSの○○が分析対象集団(a)、全身療法歴のある患者における費用対効果評価について、弊社の見解を述べさせていただきます。
 12ページ目を御覧ください。
 分析対象集団(a)全身療法歴のある患者についてですが、基本分析の結果を左側に、公的分析班に再分析いただいて結果を右側にお示ししております。
 弊社としましては、本剤はリサンキズマブに対する追加的有用性があると考え、ICERは約2500万円/QALY、foregoneであると提出しました。
 公的分析班は、NMAの結果において、本剤はリサンキズマブに対して追加的有用性がないとし、費用対効果分析を実施しませんでしたが、仮にベストサポーティブケアやQOL値のデータの変更を考慮した場合、参考分析としてお示しいただいた分析結果では、ICERが約4300万円/QALY、foregoneと算出されました。
 13ページ目を御覧ください。
 公的分析班の結果より、分析対象集団(a)においては、本剤のリサンキズマブに対して、より低い費用でより少ない健康上の利益をもたらす技術として位置づけられると考えます。
 左側を御覧ください。
 こちらでは、本剤の位置づけを示すために、費用対効果平面の図を示しております。
 平面の原点に対象治療Cを置き、X軸で効果、Y軸で費用を示しております。二次元の平面においてX軸とY軸、こちらで区切られた区間を右上から時計回りに北東区分、南東区分、南西区分、北西区分と呼んでおります。
 南東区分に新治療が位置する場合は、新治療の導入によって対象治療よりも高い効果が得られる旨、費用も節約されることになるため、費用対効果がよいと言われています。
 北東区分は、支払意思額の閾値を下回る場合、一般的に費用対効果があると言われております。
 南西区分、こちらは左下でございますが、費用対効果を議論される領域であると考えており、北東区分と同様の支払意思額を用いて判断すると、薄紫色で示している領域は、費用対効果の視点から、忍容性の範囲にあると考えます。
 これまでにNICEのガイダンスでは、「関連する比較薬と比較して、新治療が南西区分に位置する場合、費用対効果の考察において、NICEの通常の支払意思額の閾値である1QALY当たり2万から3万ポンド考慮すべきである」としています。
 NICEと同様の判断を考慮すると、本剤は1QALY当たりの喪失範囲である500万円を大幅に上回っており、費用対効果の視点からも、忍容性の範囲であると考えます。
 以上となります。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、委員の方から御質問はございますでしょうか。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
 ○○委員、お願いします。
 
○○○委員
 今、説明いただいた分析対象集団(a)で、費用が安くなり、あと効果も劣っているというか、少ないということですが、効果が劣っているのに、この薬剤が使われる、選択されるということについて、御説明いただいているかもしれませんが、改めて、その理由というか、考えられることを教えていただけますか。
 
○意見陳述者
 ありがとうございます。御説明させていただきます。
 尋常性乾癬患者の間では、効果だけではなく、注射薬がいいか、経口薬がいいかといった志向性がありまして、患者さんによっては、効果が劣っても経口薬のほうを服用したいという患者さんが多く見られております。こういった点で、こういった新技術が入ることが、患者さんに新たな治療の選択肢を与える機会になると、我々としては考えております。
 以上になります。
 
○○○委員
 分かりました。そういう場合には、果たして、費用対効果評価の比較対照として適切だったのですかね。結局、これはもちろん、2社からどっちを選ぶかという点では比較対照かもしれませんが、そもそも注射剤を好まないという方にとっては、もしかしたら、どちらを選ぶか、二択になっていないわけですね、多分、だから、比較対照薬として、これを費用対効果評価で選択したこと自体が適切でないような気もいたします。患者さんにとっては、選択肢から消えているわけですね、それについては、いかがですかね。
 
○意見陳述者
 これは、患者さんによっては、セカンドラインの治療として、経口薬をどうしても好まれるという方もいれば、経口薬と注射薬のどちらから選びたい、その中で、効果と利便性とか、そういった項目を様々考慮して選択されるというところがありまして、注射薬を比較対照技術として除外することも難しいのではないかなと考えております。
 
○○○委員
 お考えは分かりました。ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、これで質疑応答を終了いたします。
 企業の方は、御退室ください。お疲れさまでした。
 
○意見陳述者
 ありがとうございました。
 
(意見陳述者 退室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析について御意見がございましたが、科学院から何か御意見等ございますでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。国立保健医療科学院です。
 先ほど述べさせていただいた以上に付け加えることはございませんので、御審議よろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 すみません、私から1点、科学院さんに御確認なのですけれども、先ほど企業さんが申し上げていたNICEにおいて、第3象限は第1象限の閾値を当てはめた意思決定をされるということは、事実として理解していてよろしいでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 はい、そのように認識しています。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、御議論をしていただきたいと思いますが、当該品目について御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて、御議論を進めていただきますようお願いいたします。
 臨床の御専門の先生方が御参加されておりますので、コメントがもしございましたら、いただけますでしょうか。
 
○○○委員
 なかなか細かいところは、やはり企業さんがおっしゃっていることは、少し納得がいかないところも多いのですけれども、総合的に考えたときには、公的分析の先生方が出されたものでいいと思うのですが、企業さんがおっしゃっていたQOLについては、直接あまり関係ないかもしれませんけれども、なぜか日本人は、いつも海外の人に比べて、QOLをはかると比較的QOLが低下していないのですね、健常人に近い値が常に出てしまって、特にEQ-5Dの3Lとか5Lでやった場合は、1に近いことが割と多くて、なかなかそれで、この根拠にするというのが、海外のデータに比べると、日本のデータは難しくなるところがあります。
 ですので、今回は、ビメキズマブも本邦の評価の部分であれば、用いても問題ないと思いますけれども、全体としてグローバル試験での評価を対象に用いると、QOLについては、なかなか根拠にならないような、要するに、もともとQOLがあまり低下していないと出てしまうので、その結果として、有効性の評価の中にQOLを入れるのが、この手法だと難しくなるかなとは思います。ただ、これがデュークラバシチニブに限ったことではないと思います。
 それから、患者割合については、やはり分析対象集団の患者割合が(a)が10%というのは、やはり企業さんが言っているのは、少な過ぎると思います。既にいろいろな内服薬も出ているところで、そういった既存のものに対する治療の反応性が不十分な方が、デュークラバシチニブを選ぶわけなので、やはり公的分析班から出た6割、結構6割、7割は結構高いなと思いましたけれども、少なくとも5割ぐらいはあるのではないかなと思いますので、その10%という根拠も少し私としては、納得がいかないなと思いました。
 やはり、リサンキズマブが、費用の点でコストが安いから、最初の集団対象に選んだということだったのですけれども、やはりリサンキズマブは、どうしても効果が、有効性が高いので、ちょっと比べる相手としては、少し適当ではなかったのかなとは思います。
 例えば、過去からのデータであれば、ほかのチルドラキズマブとか、グセルクマブとかを選んだほうが、よかったのかなとは感じました。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、いかがでしょうか。意見書にいろいろとコメントをいただいておりますが。
 
○○○委員
 ○○です。よろしくお願いします。
 ○○先生が大分言ってくださいましたけれども、1個目のQOLですけれども、確かに死なない病気ですので、QOLで分母にするしかないのは分かりますし、皮膚科みたいのなのをつくるためにそうなるのだと思いますけれども、あまり僕も詳しくないので、こういうときに、国際共同治験でやっている治験のQOLの比較で、日本内の世界というので、どのぐらいQOLの違いがあるのかという論文を読んでみたかったところです。これによっても少し。
 常にコンスタントにいろいろな薬で、やはり日本は係数を掛けたほうがいいのだったら、やはり掛けてもいいのではないかと思います。言語の違いはあるし、国民性の違いが結構あると思います。
 特に沖縄ですと、外人の患者さんを結構診るので、違いがあるなと感じているところであります。これは、ただの医者の印象です。
 あと、僕も企業が言うとおり思ったのですけれども、患者さんの想定をするのに、今の日本の医療の制度で2週間縛りがある1年以内で患者さんの数を占うのは、相当何か実臨床とは違うなと思います。
 企業さんは遠慮して書いているのでしょうけれども、通院が負担になるのではなくて、お金の支払いが負担になるだけです。高額医療ですので、3か月処方になった瞬間に患者さんの範囲は3分の1になるので、沖縄では、とても2週間処方のついている高額なお薬を出すことはないので、院内の採用も全部1か月待ってもらう、いや1年間待ってもらうぐらいなので、こういうのに上げるのだったら、僕は、今回思いましたけれども、1年超えてからの数字でないと、どっちに働くか分かりません、いいほうに働くのか、悪いほうに働くのか分からないですけれども、実臨床は対象にしないのだと思いました。
 あと、注射と内服ですけれども、患者さんのハードルと、患者さんだけではなくて、医者のハードルも結構違ったりする、医者のハードルは、処方に対してではないですけれども、注射やはり保存のものもありますし、在庫ストックの問題もあるので、相当気持ちのハードルが違います。内服は気楽ですし、それと、やはり注射というのは、医者の抵抗もあるから、だから、普通、そんなにシリアスでなければ、抗生物質で内服を選んでしまいますけれども、これは駄目だと思ったときは、判断して注射を使うというのもあるし、最近のも、少しだけ効きが悪いけれども、GLP-1というのは、内服も無理やり出しているぐらいなので、やはり内服と注射は、大分違いがあるのではないかなという気がしたのと、この(a)に関しても、全身療法が駄目で、次に移行する患者群というのも、全身療法には、内服薬は、今までのネオーラルとか、今回のシクロホスプレインとかが入るので、あれらから見ると、はるかに長期に入ってしまうわけですね。だから、比較対照が少し違うかなという印象は受けました。
 そんなところです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 ○○先生、どうぞ。
○○○委員
 集団(a)のことについては、もともと想定していたのが、全診療歴が、例えば、アプレミラストでうまくいかなかった方とか、特に、そういった方がデュークラバシチニブを選ぶ、そのほうに移行していく、生物製剤でなく、デュークラバシチニブに移行していくということが比較的を想定されていたお薬だったのですけれども、現在、1年ぐらいたって、状況としては、アプレミラストは、前にほかの、例えば光線療法をやったり、ほかのエトレチナートとか、シクロスポリンとかで治療して、その後、通常、アプレミラストに行くことが多いですけれども、そのときに、ややアプレミラストでは効果が足りない方が、デュークラバシチニブに直接、内服療法の全身療法として移行する方が、思ったよりも多いように感じているので、恐らく、実際の使い方は、アプレミラストを使う前に、もうデュークラバシチニブを選択することが、やや中等症から重症に近いような方を、そういう選択になる可能性が高いなと思っています。
 ですので、リサンキズマブかデュークラバシチニブかという選択よりも、アプレミラストか、デュークラバシチニブかという選択のほうが現実的には起こり得るのかなと思いました。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生のほうからも、意見書でそのようなコメントがあったのですが、先生、追加で御説明ございますか。
 
○○○専門委員
 いや、○○先生の言ってくれたとおり、次の内服も結構あるものなので、内服だけを選んでいる患者さんも多いし、内服で我慢できる僕たちの段階もあるので、そういう比較も本来だったらあったほうが、本来そういう比較の対象になる薬のような気もするのですけれども、何か両極端に飛んでしまったかなという気がしました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 今のお話を整理させていただくと、(a)の分析対象集団にアプレミラストを比較対照技術として考慮すべき集団が入っているという御指摘かと思います。臨床実態として、そういう状況と伺った訳ですが、科学院さんは、その辺りについて、何かコメントはございますでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 国立保健医療科学院です。ありがとうございます。
 少し復唱になるかもしれないのですけれども、ソーティクツの評価をするための分析の枠組みを立てる段階の前提ですけれども、アプレミラストというよく使われている経口剤を起点したときに、ソーティクツというのは、その前にもその後にも使用する可能性がある薬剤であるということについては、企業側も先生方の合意のもとでスタートした話ではないかなと考えているところです。
 アプレミラストの前に使う場合というのは、比較対照技術としてアプレミラストだし、後に使うのであれば、比較対照技術としては、注射剤のバイオロジクスというのは、比較対照技術の選定の考え方からしても、そんなにおかしい話ではないのかなと思うのですけれども、やはり、これは結果の解釈の問題なのかなと考えていて、確かにソーティクツ錠というのは、注射剤のバイオロジクスと比べて確かに効果が劣るということは事実だと思うのですけれども、この薬剤というのは、その効果が劣ることというのを承知の上で使う薬剤なわけでありまして、効きの悪い薬剤、要は効かないことをもってして駄目だという薬剤とは、少し位置づけが違うのではないかなと。
 そういう特殊な位置づけを持つ医薬品であるということを前提に、恐らく御議論いただくというのが、一番自然なのかなと考えた次第であります。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○委員、どうぞ。
 
○○○委員
 これは、分析枠組みの段階でも効果が劣るのは、明らかに分かっていたことなのですかね。そうだとしたら、その先、進める必要はなかったような気もするのですが。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 おっしゃるとおりですね、科学院さん、どうですか。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 もちろん、おおよそ予測されることではあったわけですけれども、企業側がどういう見解を出してくるか、あるいは、確かに単剤、単剤で見れば、効果が劣るわけですけれども、いろいろな薬剤があるわけですから、長期のスパンで見たら、本当に劣るのかどうかというのは、またそこは難しい論点かなと思いましたので、企業さんがどういう見解をお持ちかということをお待ちしていたという次第であります。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 データを一度見させていただいたということに関しては、この専門組織にとっては意味があったということなので、分析枠組みの考え方に基づいて、今回ここに至っていることは、多分方向としてはよかったのではないかなと思って伺っております。ただし、蓋を開けてみた結果の内容について、改めて整理をさせていただくという状況かと思っております。臨床の御専門の先生方から、まず、注射薬と経口剤の点で患者さんの選択等の行動が違ってくる可能性があって、集団として大きく偏るというわけではないけれども比較の方法がどうなのかという御意見がありました。あと臨床実態として、そもそも今回比較対照技術として、(a)の集団においても、アプレミラストというのが集団としてあり得るという話もありました。さらに、○○先生の意見書の中にもありますが、かなり多様な集団が入っているので、(a)の集団については、もう少し整理をしないといけないという話を伺いました。そういう背景の中で、今回、第3象限にも関わる、効果が落ちるという内容も提示されております。それを踏まえ、この辺の取扱いについて、先生方と御議論というか、確認をしていきたいと思います。この点について、いかがでしょうか、委員の先生から御指摘いかがでしょうか。
 ○○先生にお尋ねしますが、HTAという枠組みで費用対効果評価をするということを鑑みたときに、集団特性と臨床実態、あと、お薬としての特性も含めて考えたときに、どう整理をしたらよいと思われますでしょうか。あえてお聞きして申し訳ありませんが。
 
○○○委員
 やはり臨床家の先生に、この薬剤の位置づけとか、役割とか、そういうところを御教示いただいての判断だとは思うのですが。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 改めて先生方の御意見を踏まえながら、費用対効果の考え方というところも多少議論させて頂きたいと思います。○○先生にお尋ねしたいと思います。第3象限という効果が落ちて費用も下がるという内容の解釈や整理はなかなか難しいところがあるなか、あえて御質問をさせていただくとすると、臨床科の先生方から見て、この薬の評価の在り方として、どのような位置づけがよいと思われるのか、もしコメントがあれば、この機会にいただいておきたいなと思います。
 
○○○委員
 いや、なかなか専門的なところは難しいですけれども、効果が多少劣ったとしても、生物製剤よりは安いのは確実ですし、あと、効果が劣るといっても、これまでの比較的長期にわたってうまく使える、コントロールできるアプレミラストに比べると、デュークラバシチニブは、明らかに効果は高いということは確かですので、やはり非常にアプレミラストでうまくいかなかった方、あるいは、そもそもがアプレミラストでは、コントロールが難しいだろうと最初から分かっているような方に、無駄にアプレミラストを投与した後に、例えば、デュークラバシチニブあるいはバイオに行くというような、そういう選択になるよりは、デュークラバシチニブは明らかにアプレミラストよりも効果が高いことが分かっていますから、そちらに投与するという方法ができれば、患者さんにとっては、非常にハッピーなわけですし、いろいろ高額療養費の問題もありますけれども、ただ、注射が嫌いな方とか、あとは高額療養費に当たらないような方もいらっしゃるので、必ずしも注射がいいという人ばかりではないですから、このデュークラバシチニブの位置づけというのは、第3象限にあったとしても、非常に有意義なお薬であることは確かだと思います。
 何よりも、アプレミラストは副作用が少ないのですけれども、デュークラバシチニブも比較的、今の4、5年のデータを見ると、副作用も少ないという観点から考えると、比較的ほかのJAK阻害薬と比べると非常に少ないという、非常に特異的な薬ですので、そういった意味でも価値ある重要な薬だと思いますので、先ほど先生方がおっしゃったように、ある程度予測できた結果ではありますけれども、これは有意義で、認めるべきことだと思っています。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、いかがでしょうか。
 
○○○委員
 ○○です。
 今、○○先生が言ってくださったとおりですけれども、今、乾癬の内服というと、チガソン、レチノールは少し特殊ですけれども、オーラルがちゃんと残っていて、あとはアプレミラストと、このソーティクツとなって、ソーティクツ並みにアプレミラストを効かせることは、多分できないと思うのですけれども、アプレミラスト並みにシクロホスプレインを効かせようとすると、相当きつい副作用が出るので、結局、内服の中では、一番使いやすいことは使いやすいのですね、圧倒的にね、ほかのJAKよりも。
 だけれども、確かにおっしゃるとおり、このソーティクツを抗体並みに効かせることもできないので、それと比較すると、確かに両方とも落ちてしまうなというところはあります。そんな感じですね。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 そうすると、(a)の集団の取扱いですけれども、いわゆる用途というか目的が違った形のものが混在してしまっているというのが、多分、臨床の先生方が懸念としてお示しされていらっしゃることかと改めて理解をいたしました。そうすると、さらにこの(a)の集団を細かく分けて分析をするのかどうかという話になるかどうかなのですけれども、科学院さん、その辺りについて、負担も含めてなのですけれども、現実性があるかどうかも含めて、もしコメントがあったら、いただけますでしょうか、議論をするための材料として、まずはいただきたいと思います。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 (a)の集団をさらに細かく臨床実態に合わせて分析するというのは、かなり困難なのではないかなと認識しているところです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その理由はデータがないという話ですね。
 
○国立保健医療科学院
 そうですね、データもないですし、患者をどう分けたらいいかというところもなかなかはっきりしないところですので、なかなか難しいのではないかなと考えているところです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 もう一つ、これは過去にさかのぼって中医協の議論にも関わりますが、閾値を1QALY当たり500万円と決めるのは、結構苦労があり、この第3象限での閾値というものは明確には議論していなかったと記憶しております。NICEのように、他の象限の基準を当てはめることができるような議論であったかどうかというと、当時御参加されていた○○委員とか、コメントを何かいただけたらと思うのですが、いかがでしょうか。
 また、例えば、WTPという通常の調査においては、効果がプラスになる前提に対して、追加で最大費用を幾らにすべきかというのを聞くのが一般的なので、下がってもよいとかという話のデータというのは、基本的に取り扱わないはずです。日本においても、そういったような観点の議論はなかったと思いますし、GDPとか経済実態を考慮した議論についても、この第3象限についての他の閾値を当てはめるということが、技術的に論じてはいないと推察します。
すなわち、第3象限での閾値の議論は、専門組織の枠組みを超えてしまっているかどうかという話を含めて、宜しければお聞きしたいと思います。
 
○○○委員
 ○○でございます。ありがとうございます。
 先生、今、御指摘のとおりで、閾値の基準値、500万を決めるときには、支払い意思額の調査でありますとか、1人当たりGDPとか、幾つかのものを推計と、まさに今おっしゃっていただいたとおりで、追加的に効果が得られるものに対してということでの議論だったと思います。
 一般的な言い方をすると、支払意思額というのは、確かに調査をしたりしますけれども、左下、第3象限に来る場合には、下がるものに対して幾ら、こうすればいいかということなので、Willingness to Payではなくて、WTAですね、Willingness to Acceptだと思うのですね、一般的な言い方をすると、WTPよりもWTAのほうが大きいというのは多く見られますので、同じ基準値でするのが適切かどうかというのは、少し議論があるのではないかと思います。しかも、前の専門部会とか中医協の段階では、その議論は全くしていないと認識していますから、この段階で、組織でこれをそのまま延長したものを当てはめていくかは、私は慎重にする必要があるのではないかと思っているところであります。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 当時御参加されていた○○先生からも、もしコメントがあったらと思いますが、いかがですか。
 
○○○委員
 多分、こういう状況は想定していなかったと思いますが、基本的には、先生が言われたような、本来は、閾値は、こんな数字ではなくて、第三者のところでもっときつく傾いているというのが一般的な考えだとは思います。
 これは、結局、効果が多少劣っても非常に安くなるのだったら、それは受け入れていいではないかという考えに基づくのですが、今回の場合には、安かろう悪かろうでこれを選ぶのではないのですね、患者さんの選好というか、患者さんが選択するときに、違う価値を求めて、これを選ぶわけですから、そもそもこの第3象限のICERの値を上回っている、下回っているので、これをよしあしつけるようなものではない、それにはあまりなじまないような薬剤かなとは感じました。
 もう一つは、これは多分、この薬剤についてどうしようということではなくて、今後出てきたときに、また同じルールを適用していくとなると、かなり慎重に検討する必要があると。
 特にこの閾値を今、線の下側にあるから費用対効果がよさそうだと言えてしまうのですが、これがもし上にあったとき、価格調整をどうするのだというと、また非常に悩ましいところがあると思うのですね。
 それも含めまして、やはり、こういう状況というのは、諸外国でも頻繁に出てくるものではございませんし、よく検討した上でいろいろルールを決めていく必要があるように思いました。
 いずれにしましても、今回に関しては、これは、科学院が御提案のとおり、やはり分析対象としない、本来は事例だったのかなとは感じております。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 先ほど、臨床の先生方がおっしゃっている臨床実態としての選択肢があるべきお薬でという話の中において、今の費用対効果の考え方自体は、相反するものではなくて、適切な患者さんには御活用、つまり選択していただくということを念頭に、もう少し整理しておくべきものと理解しております。そうしないと、多分、分析としての結果や解釈がきれいに整理されないかと思って伺っておりました。
 ○○先生、どうぞ。
 
○○○委員
 ○○です。
 考えてみますと、ほかの領域で関節リウマチについても、これまでは生物学的製剤の注射剤のTNF阻害薬が中心であったりしたのですけれども、メトトレキサートプラスTNF阻害薬という形でしたけれども、最近でもないですね、この数年はJAK阻害薬の内服薬が相当出てきていると思うのです。そのときの費用対効果分析と似ていると思うのです。
 つまり、関節リウマチにおいても、TNF阻害薬のほうがもともと抑制したり、あるいは治すという力は強いはずなので、それよりも劣るけれども内服でも痛みは取れるとか、そういうことでJAK阻害薬も相当な種類が出ています。
 ですので、そのときに生物製剤と比べないで、恐らく費用対効果を出されているのではないかなと思うのです。あるいは生物製剤と比べて、もしJAK阻害薬の費用対効果を出しているとすれば、それに準ずるような形を、この乾癬についてのバイオと内服薬の新しいものも比べていくことが必要になってくるというか、重要になってくるのではないかなと思います。
 実際に、今後、乾癬領域でも、内服薬で生物製剤に類似したような効果のあるものが、かなり臨床治験に載ると言われていますし、実際に始まりかけているものもありますので、これから、そういった対象品目が増えていくことが予想されますので、ほかの領域でどのようにされているかということも確認が必要かと思いました。
 もし、分かれば教えていただければと思います。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 まずは御意見として伺うのと、もし、今の○○先生の御質問に対して、事例とかお持ちの先生とかがいらっしゃったらご発言頂ければと思うのですけれども、科学院さん、そのような情報とかはお持ちではないですか。今まで組織でもその薬剤については、そのような視点で評価をしたことはないと思いますが。
 
○国立保健医療科学院
 そうですね、関節リウマチに関しては、我々は、まだ評価経験がありませんので、状況等を把握していないところです。申し訳ありません。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 御意見として伺っておきます。いずれにせよ、多分こういう議論はしておかないといけないのですけれども、まずは足元を見て、今回の品目をどうするかという整理に戻っていきたいと思いますが、その他、先生方から御意見はございますでしょうか。
 ○○先生、どうぞ。
 
○○○委員
 第3象限のことについては、別途、研究的なことも含めて検討したほうが、○○先生の言われるよう良いと思います。
 この薬に関して、今までの取り決めでいうと、追加的有用性がないのだから、一番低い区分のものを当てるというのが、普通ならそうなると思うのですけれども、先ほど科学院からも示唆がありましたように、いわゆる効かない上に値段が上がっているというものと同じように扱っていいのかというのは、これは違うと思うので、それをこの価格調整とか、この費用対効果評価専門組織に委ねられた権能の範囲で、どう評価するかというところが、この薬についての議論だと思うのですけれども、何かいい方法はあるのですかね。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 今の○○委員の話も含めて、ここまでの議論を一旦まとめさせていただくと、ガイドライン上は、費用対効果第3象限については、今まで議論してきておらず、閾値の関係もあるので、今回は取扱いがやや難しいという話かと思います。さりとて、お薬としての臨床的な意義も含めて、全く評価をしないとか、最低の評価にするということについても、いろいろな異論があるという話にもなってきております。そこで、今、○○委員がおっしゃったとおり、では、どういうような評価としていくべきかということになろうかと思うのですけれども、○○委員、そのような話で進めさせていただきますが、よろしいですか。
 
○○○委員
 はい、そこへ論点を絞られたらいいのではないかと思います。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 今の点について、何か先生方から御意見ございますでしょうか。
 分析対象集団も(a)のほうが問題で、(b)のほうは、ある程度分かり易い結果が出ていますので、(b)の結果を基本に、あとは(a)の結果をどのように考慮するのかということになろうと思います。そうすると、患者割合のインパクトがどうなるのかというのを確認したいということになろうかと思いますが、いかがでしょうか。
 特に御意見がなければ、先生方の御意見を踏まえた私のほうの判断としては、基本的には、分析対象集団(a)の取扱いについては、費用対効果評価を対象として、当該集団から除いて、本品目を評価するということが、1つ選択肢であるのかと思っています。これが一番分かりやすい話ですが、その場合は臨床実態としての患者割合とかに留意が必要になります。10%から60%という幅がある中において、そこの評価はある程度よいという説を前提にするのだったら、今回は外してしまっても、どちらにせよ、企業さんもおっしゃっているとおり、全体の議論として大きく方向性は変わらないという解釈になるのかなと思って伺っていたところです。つまり、(b)の集団の評価をそのまま適用するような方向で先生方から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか、科学院さんのほうで、何か追加で、この点に関してございますか。
 
○国立保健医療科学院
 特にありませんけれども、以前、抗うつ薬剤の評価をした際に、集団が分析不能になった際に、同様の取扱いをした経験があるのかなと理解しております。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 同様な考え方での評価があったということですので、今までの品目の評価との整合性もある程度取れているという御意見かなと思いました。
 その他、いかがでしょうか。よろしいですか。
 御議論ありがとうございました。
 それでは、議決に入る前に、○○委員、もう出られましたでしょうか、退席をお願いいたします。
(○○委員 退室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 先生方の御意見を参考にソーティクツ錠に関わる費用対効果評価については、公的分析による案を費用対効果評価案として、まずは決定させていただくということについて、ご了承いただきたいと思います。
 その上で、先ほど少し話に出た分析対象集団(a)の取扱いですが、こちらは費用対効果評価案の対象としての当該集団を除くという形で、本品目の評価とさせていただくということで、こちらもよろしいでしょうか。
 
(異議なしの意思表示あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告します。
 なお、企業に対する内示及び中医協に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
 
(異議なしの意思表示あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。