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2024年2月22日 費用対効果評価専門組織 第10回議事録
日時
令和6年2月22日13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、岩田 敏専門委員、朝野 和典専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
議題
○ ケレンディア錠に係る総合的評価について
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、前回、先生方に御議論いただきましたラゲブリオカプセルに係る総合評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
製造販売業者の不服意見に対する公的分析の見解について御説明申し上げます。
まず1点目ですけれども、PANORAMICにおける入院のアウトカムは外的妥当性が低い。また、死亡のアウトカムについては検出力不足であるから、これによって追加的有用性の有無を判断することは妥当でないという点でありますけれども、もともと製造販売業者は観察研究ではなくRCTの結果に基づいて評価を行っているところであります。リアルワールドエビデンスがエビデンスとして不適切であるというふうに判断しておきながら、現時点においてリアルワールドエビデンスを参照すべきとすることは当初の企業分析と矛盾しているものと考えています。
また、PANORAMIC試験は、製造販売業者の主張するような課題を有している、このことは事実でありますけれども、オミクロン株環境下において、ワクチン接種者を対象として実施されており、製造販売業者の用いたワクチン未接種下、あるいはデルタ株以前のRCTの結果に比べて、我が国の現状で用いるに当たって妥当であると考えています。また、PANORAMIC試験では、背景因子による効果の異質性は明確には示されておりません。
海外におけるリアルワールドエビデンスの取扱いについてですけれども、これらの背景情報においても、日本における患者集団と比べて乖離する、つまり外的妥当性の問題が生じるのは避けられないのではないかなと考えているところです。例えば海外では、ラゲブリオはパキロビッドが使用できない患者集団に使用されるのが一般的であり、状況が異なっております。
よって、RCTにおける外的妥当性の問題よりも、観察研究によるバイアスや患者集団の偏りのほうが課題であるという判断が前回の専門組織で示されたものと認識されています。議論されているリアルワールドエビデンスについては、新たなものも提出されておらず、前回の議論の再検討が必要な内容は、製造販売業者からは提出されていないものと認識しております。
また、公的分析ではPANORAMIC試験から重症化リスク因子を保有している症例のみを抽出して再分析を行っているため、解析対象集団の重症化リスク因子保有割合は100%であり、製造販売業者が主張しているようなPANORAMICは重症化リスク因子保有割合が低いというのは事実ではないというふうに認識しております。
また、2点目ですけれども、こちらはシステマチックレビューを実施してリスクオブバイアスの評価を行ったとしても、観察研究に基づく結果の本質的な問題点を解決するものではないのではないかと考えております。
それから、3点目、QOLで優越性が示されたのではないかという点についてですけれども、各時点におけるQOL値の群間差は0.01を大きく下回るものでありまして、症例数が2万5000例程度と大きいため、極めて小さい誤差のような差を検出したというふうに解釈するのが妥当ではないかと考えています。EQ-5D-5Lの臨床的に意味のある最小差というのは必ずしも確立したものではないかもしれませんが、0.05前後と言われています。また、そもそもこのQOLの値が抗ウイルス薬の評価指標として適切であるかどうか、本来の役割は重症化予防ということでありますから、その点を補うものではないのではないかと考えています。
以上から、4点目ですけれども、再分析に関する必要性はないものというふうに認識しております。
科学院からは以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず、本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でラゲブリオの総合的評価に対する不服意見について御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
ありがとうございます。MSDでございます。
初めに3ページを御覧ください。
前回の専門組織後、ラゲブリオの費用対効果に関して示されました決定事項につきまして、弊社としては重大な懸念がございますことから、先般、不服意見書を提出させていただいた次第でございます。
決定の主要部分を読み上げさせていただきますと、「製造販売業者が提示したリアルワールドエビデンス(RWE)は、選択バイアス等のバイアスが大きいため、解釈には注意が必要であり、RCTで日本人に即したデータを入手して再分析を行った公的分析の分析結果がより妥当である」と、こういったものでございました。
これに対する弊社の見解といたしましては、不服意見としてここにお示しいたします4点となります。
まず1点目として、決定事項におけるRCTで日本人に即したデータを入手という点についてですが、この点は実際のデータからは支持されないと考えております。すなわち公的分析で用いられましたPANORAMICの事後解析における入院のアウトカムは、国内の使用成績調査等で報告された実態に比べまして重症化リスク保有割合がかなり低い集団に関するものである点において、PANORAMICの主解析、すなわち元のランダム化集団での解析と同様に外的妥当性が低く、日本人に即したものとはなっておりません。また、死亡単独のアウトカムにつきましては、そもそも検出力不足であることも含めまして、全体としてPANORAMICのみに基づき本剤の追加的有用性の有無を判断することは適切ではない、不適切だというふうに考えております。
4ページの参考資料1を御覧いただきますと、国内の本剤使用患者における重症化リスクの保有割合は95%を超えるということに対しまして、PANORAMICでは7割弱と、ここは相違が顕著であるということ。中でも最も重要な高齢者の割合につきましては、12ページの補足資料1にございますとおり、相当程度、国内外の臨床実態との乖離が見られます。
さらに、13ページ以降の補足資料2から5には種々の重症化リスクと入院・死亡のアウトカムの関連に関する代表的な報告例を御参考としてお示ししておりますが、併存疾患やリスクの保有割合がコホート全体におけるCOVID-19の重症化割合にも強く関連するものと考えております。
続いて、3ページに戻っていただき、2点目を御覧ください。前回弊社から御提案したnon-RCT由来の一連のエビデンス、いわゆるリアルワールドエビデンス(RWE)におきまして、これを考慮しない理由として挙げられております「選択バイアス等のバイアスが大きいため」という御見解につきましては、個々の臨床研究についてバイアス評価を行った上での考察ではなく、あくまでRCTとの比較を前提とした一般論であろうかというふうに理解しております。バイアスの種類、その大きさ、またアウトカムへの影響といったことにつきましては、個々の臨床研究について個別に吟味される必要があり、その結果、これらの影響が許容レベルと考えられるRWEがある場合には、最も目的適合性、いわゆるフィットネスフォーパーパスが高く、重視すべき追加的有用性のエビデンスとなり得ます。
具体的には、個々の臨床研究に関するバイアス評価手順として、通常行われております系統的レビュー、システマチックリテラチャーレビュー(SLR)とリスクオブバイアス(RoB tool)を用いた評価を行うことによって初めてバイアスのリスクと目的適合性のバランスについて評価、判断することが可能になるというふうに考えます。
このプロセスは、エビデンスの採否に関連する判断の妥当性と透明性を確保する観点からも不可欠であると考えられますので、必要性をお認めいただける場合には、まず弊社のほうで最新の報告を含めたSLRのアップデート、リスクオブバイアス評価、また必要に応じてネットワークメタアナリシス等を実施いたしまして、公的分析用に提出させていただく用意がございます。
5ページの参考資料2には、リスクオブバイアスツールの例といたしまして、GRADEガイドラインに含まれますROBINS-Iとその評価項目をお示ししています。
また、6ページの参考資料3にお示しいたしますとおり、2023年3月10日までの公表文献に関しましては同様の評価を弊社の社内で実施した経験がございます。
再び3ページに戻っていただきまして、3点目を御覧ください。こちらは不服意見書提出後の状況の変化となりますが、PANORAMICの本剤使用群におけるQOL値の改善が新たに報告されたことに伴いまして取られるべき対応となろうかと思います。すなわち仮にバイアスの評価の結果、RWEが使用できない、考慮できない場合におきましても、QOL値の改善という結果におきまして、本剤の追加的有用性があるものと判断される状況となりましたため、公的分析として実施済みの費用最小化分析ではなく、費用効果分析を実施する必要が新たに生じたものと考えております。
7ページの参考資料4にデータをお示ししておりますが、PANORAMICの患者集団に関しまして、ランダム化時、ランダム化後14日、28日、3か月及び6か月後に測定されたEQ-5D-5Lスコアによる効用値の加重平均に関しまして、本剤使用群におきまして有意に高いQALYが報告されております。
ただし、この数値は1点目のポイントでも述べましたとおり、あくまで重症化リスクがもともと低い集団についてのものでございまして、重症化に至らなかった患者集団における本剤服用時の症状改善のデータにつきましては、8ページの参考資料5に示しておりますけれども、こういったことを主に反映するものとは考えられます一方、事前に設定された費用対効果の分析対象集団であります重症化リスクの高いCOVID-19患者における本剤の価値、すなわち重症化の予防といったことは十分に反映しないと考えられますことから、結果の解釈には注意が必要だというふうに考えてございます。
再びまた3ページに戻っていただきまして、4点目を御覧ください。
これまでにお示しした3つの論点を踏まえまして、新たな追加的有用性のエビデンスを反映するための公的分析、追加分析を実施する必要があり、その結果に基づく費用対効果評価案を検討する必要があると考えております。
具体的な評価スキームとして弊社が望ましいと考えるイメージを9ページにお示ししております。まず前提として、本剤の追加的有用性のエビデンスは、複数報告されているRWEのアウトカム、入院・死亡のアウトカムでございますが、これとPANORAMICのQOLアウトカムの2つに大別されますので、どちらかを選択する必要があると考えます。具体的には、初めにRWEの系統的レビューとリスクオブバイアスツールによる評価を行います。その結果、青でお示しします方法ですけれども、事前に合意された基準に基づきバイアスが許容レベルと判断された場合には、日本の臨床実態により近いRWEのアウトカム、入院・死亡のアウトカムを用いた費用効果分析を追加分析として実施するということ。一方、赤で示す方法ですけれども、RWEのバイアスが許容レベルと判断できない場合には、PANORAMICのQOLアウトカムを用いた費用効果分析を実施いたします。ただし、その場合、1から3に挙げるような前提条件や分析の限界を伴いますため、解釈には注意が必要であり、報告書の中でそこの点については明確に述べられる必要があろうかというふうに考えております。
最後に10ページの参考資料6を御覧ください。意思決定のためのエビデンスとしてバイアスの懸念のないRCTを用いる場合におきましても、評価の対象となる患者の特徴が大きく異なるなど、目的適合性、フィットネスフォーパーパスが低い場合には、より適合性の高いnon-RCT由来のエビデンスを考慮する必要性が通常以上に高い状況かと考えております。
参考資料6でお示しするNICEのリアルワールドエビデンスフレームワークの中でも、意思決定におけるデータの活用に当たりましては、データの由来や質についての吟味は当然のことながら、データの目的適合性、フィットネスフォーパーパスも十分に検討されるべきポイントであるというふうにされております。
本剤に関しましては、残念ながらこれまでこの点についての議論が十分に行われないまま検討が進められてきたと考えておりますので、改めてPANORAMICの適否、また、これをやむなく用いた場合の分析結果の不確実性、それに伴う決定エラーのリスク等につきまして御検討いただくようにお願いいたします。
十分な検討を行っていただいた結果、国内の臨床実態に適合するエビデンスに依拠した公的分析、費用効果分析が行われまして、これに基づく適切な意思決定が行われることを重ねてお願いする次第でございます。
MSDからの陳述は以上となります。御清聴いただきありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、企業から意見陳述があったように、公的分析に対する指摘がございましたので、これらの指摘に対して公的分析からさらに御意見があればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
先ほどお話しした以上のことは、特に我々は持ち合わせていないところであります。
○費用対効果評価専門組織委員長
続いて、委員の方々から御質問をいただきます。先生方、いかがでしょうか。
では、私のほうから、やや些末な御質問なのですけれども、7ページのQOLのところの文章を読むと、6か月後の割り付け後のEQ-5D-5Lでは有意差がなくて、VASでは差が出ているような内容であります。これは、実測のデータとして差がないものを、シミュレーションか何か処理をしてQALYに換算して、こちらの表のような結果が出たという理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
御質問ありがとうございます。こちらは全く論文から何も変えることなく載せておりますので、若干分かりにくかったものと思いますけれども、こちらについては観測ポイントがランダム化時と2週間後、4週間後、3か月後、6か月後というふうに多点で測定を行っております。そのデータをまとめる際には台形法ですね。それに恐らくAUCを使った加重平均を用いまして解析を行っていることから、6か月後という1つのポイントについて見た場合に、感染あるいは症状があったときから半年離れたポイントにおきましては、こういった効用値の差が出ていないのかなと思いますが、VASのほうでは差がついていたということで、微妙なところだったのかなと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
論文の情報以上の内容が無いことが分かりました。ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、繰り返しになりますが、改めて、科学院から追加で御意見はございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
企業からいただいた点に対して、こちらから追加で付け加える点はございません。
○費用対効果評価専門組織委員長
了解しました。
では、当該品目について御議論を先生方にお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた、企業からの提案と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようお願い申し上げます。
長らく議論してきた品目でありますけれども、意見書もいただいておりますなか、御専門の臨床の先生が御参加されていますので、まず、○○先生からコメントいただいてよろしいでしょうか。
○○○委員
どうも、○○でございます。ありがとうございます。
具体的なリアルワールドエビデンスが日本と海外でどこがどのくらい違うかというのを少し意見させていただきました。このリアルワールドエビデンスというのが、企業様がお使いになっているような退役軍人のデータの一連のものでございますので、これがいわゆる今回不服申請の基になっているところでございます。そこに書きましたように、これは公的分析のほうでも言われておりますが、日本とパキロビッドとラゲブリオの使用実態が違うのだと。患者集団の間に乖離があるということを公的分析のほうでもお話しされておりますので、私は実際にどのくらい違うかということをちょっと調べてまいりました。
まず、背景にあるのは何かというと、日本の医療制度の問題がございます。これは日本が医療費削減のために医薬分業を進めてきたというのはもう先生方御理解のとおりでございますけれども、そのために、コロナの診療というのはほとんどが診療所レベルで行われていて、入院は病院、外来は診療所というふうにやっておりますが、大きな問題は何かというと、エビデンスとしてはパキロビッドのほうが非常に有効であるということが分かっておりますので、ガイドライン上では、もうこれは前回、前々回からもお話ししておりますように、優先的に使われるべきはパキロビッドであり、それが使えないときの代替薬としてラゲブリオを使うことになっておりまして、それができないのはどうしてかというと、診療所では薬剤師さんがいらっしゃらなくて、併用禁忌薬がたくさんあるパキロビッドを処方することの難しさがあるということになるわけです。
でも、簡単に申しますと、退役軍人の病院で使われているラゲブリオとパキロビッドの比率は1対4であるということで、4分の1しか選ばれていない。これはガイドラインどおりにやると多分そうなるのだろうなと思います。日本ではどうかというと、日本の使用実態は、ここにありますように、厚労省の発表によりますとラゲブリオのほうが14倍使われているというのが使用実態でありまして、リアルワールドが全然違うリアルワールドであるということで、リアルワールドエビデンスはこの差を埋めることが実際に統計的な処理でできるのかどうかということがちょっと疑問でありまして、やはりRCT、もしくは日本人のリアルワールドのデータがないと、再分析には値しないのではないかという意見を書かせていただきました。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、データとかをお調べいただいて大変ありがとうございます。リアルワールドという観点から日米の差について理解が深まりました。重ねてありがとうございます。
それでは、○○先生からも意見書でコメントいただいておりますので、よろしいでしょうか。お願いします。
○○○専門委員
ありがとうございます。○○でございます。
リアルワールドデータに対する考え方については、公的分析の先生方のお考えのとおりだと、今、○○先生からお話がありましたけれども、やはり国内のリアルワールドデータというのが出てこないとなかなか難しい面はあるのかなと思いました。
PANORAMICスタディーに関しては、前のときも言いましたけれども、サブ解析で高齢者のところでは重症化を少し防げるようなデータが出ているのですけれども、いかんせん対象がすごく少ないということで、あまり統計学的に意味のあるデータではなかったということだと思うのです。
今回、主要な評価にしているのが重症化、死亡とか入院とかいうことなので、ワクチン接種下、オミクロン株流行下では、なかなか抗ウイルス薬のそういったことへの効果は相当リスクの高いところで見ないと出にくいのではないかなと思うのです。今回のPANORAMICでも2次的な評価項目としては、先ほど企業の方もおっしゃっていましたけれども、例えば解熱が早いとか、症状が早くよくなるとか、あとウイルス量が早く減るとか、そういった効果は確かに示されてはいるので、抗ウイルス薬としての効果としてはそういったところに出てくるのかなと思って見ておりました。ただ、評価の対象が重症化予防ということで限定すると、やはり今回の公的分析の結果のとおりなのかなと思っています。
ただ、今後また同じようなお薬がこういった評価に上がってくるかと思うのですけれども、そのとき、そのデータによっても違うかなと思うのですが、大事なのは確かに重症化予防ということなのですけれども、症状の軽減とかウイルスが減少するとかいったことも臨床的には意義のあることかなと思うので、その辺の評価の仕方をどうしたらいいのかということを一応考えていく必要はあるのかなと思っておりました。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今のお二人の御専門の先生方の御意見も踏まえて、先生方、コメントとかございますでしょうか。
では、○○委員、お願いします。
○○○委員
先ほどの○○先生の御意見に対して、統計的に選択バイアスを克服できるような手法がない限りということを言っていただいたのですけれども、統計的にはそういう手法はないと私も考えております。交絡バイアスに関しては、背景調整等である程度バランスを取ることは可能なのですけれども、選択バイアス自体はもう統計的には処理できるものではないというところで、スタディーデザインでデータを収集するときに留意することが一番重要であるというところだと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。御専門の立場からの追加のコメントであったかなと思います。
先生方、いかがでしょうか。
意見書を拝見しますと、先生方全員、公的分析を支持されておりますので、では、その形で議決をさせていただきたいと思います。
議決に入らせていただきますので、○○委員、○○委員には、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、○○委員、○○委員を除く先生方の御意見を参考に、ラゲブリオに関する費用対効果評価については、公的分析案を採用するという形で、ラゲブリオに係る総合的評価について、専門組織で決定された総合評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価として中央社会保険医療協議会に報告をいたします。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
続きまして、前回、先生方に御議論いただきましたラゲブリオカプセルに係る総合評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より説明)
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
製造販売業者の不服意見に対する公的分析の見解について御説明申し上げます。
まず1点目ですけれども、PANORAMICにおける入院のアウトカムは外的妥当性が低い。また、死亡のアウトカムについては検出力不足であるから、これによって追加的有用性の有無を判断することは妥当でないという点でありますけれども、もともと製造販売業者は観察研究ではなくRCTの結果に基づいて評価を行っているところであります。リアルワールドエビデンスがエビデンスとして不適切であるというふうに判断しておきながら、現時点においてリアルワールドエビデンスを参照すべきとすることは当初の企業分析と矛盾しているものと考えています。
また、PANORAMIC試験は、製造販売業者の主張するような課題を有している、このことは事実でありますけれども、オミクロン株環境下において、ワクチン接種者を対象として実施されており、製造販売業者の用いたワクチン未接種下、あるいはデルタ株以前のRCTの結果に比べて、我が国の現状で用いるに当たって妥当であると考えています。また、PANORAMIC試験では、背景因子による効果の異質性は明確には示されておりません。
海外におけるリアルワールドエビデンスの取扱いについてですけれども、これらの背景情報においても、日本における患者集団と比べて乖離する、つまり外的妥当性の問題が生じるのは避けられないのではないかなと考えているところです。例えば海外では、ラゲブリオはパキロビッドが使用できない患者集団に使用されるのが一般的であり、状況が異なっております。
よって、RCTにおける外的妥当性の問題よりも、観察研究によるバイアスや患者集団の偏りのほうが課題であるという判断が前回の専門組織で示されたものと認識されています。議論されているリアルワールドエビデンスについては、新たなものも提出されておらず、前回の議論の再検討が必要な内容は、製造販売業者からは提出されていないものと認識しております。
また、公的分析ではPANORAMIC試験から重症化リスク因子を保有している症例のみを抽出して再分析を行っているため、解析対象集団の重症化リスク因子保有割合は100%であり、製造販売業者が主張しているようなPANORAMICは重症化リスク因子保有割合が低いというのは事実ではないというふうに認識しております。
また、2点目ですけれども、こちらはシステマチックレビューを実施してリスクオブバイアスの評価を行ったとしても、観察研究に基づく結果の本質的な問題点を解決するものではないのではないかと考えております。
それから、3点目、QOLで優越性が示されたのではないかという点についてですけれども、各時点におけるQOL値の群間差は0.01を大きく下回るものでありまして、症例数が2万5000例程度と大きいため、極めて小さい誤差のような差を検出したというふうに解釈するのが妥当ではないかと考えています。EQ-5D-5Lの臨床的に意味のある最小差というのは必ずしも確立したものではないかもしれませんが、0.05前後と言われています。また、そもそもこのQOLの値が抗ウイルス薬の評価指標として適切であるかどうか、本来の役割は重症化予防ということでありますから、その点を補うものではないのではないかと考えています。
以上から、4点目ですけれども、再分析に関する必要性はないものというふうに認識しております。
科学院からは以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず、本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でラゲブリオの総合的評価に対する不服意見について御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
ありがとうございます。MSDでございます。
初めに3ページを御覧ください。
前回の専門組織後、ラゲブリオの費用対効果に関して示されました決定事項につきまして、弊社としては重大な懸念がございますことから、先般、不服意見書を提出させていただいた次第でございます。
決定の主要部分を読み上げさせていただきますと、「製造販売業者が提示したリアルワールドエビデンス(RWE)は、選択バイアス等のバイアスが大きいため、解釈には注意が必要であり、RCTで日本人に即したデータを入手して再分析を行った公的分析の分析結果がより妥当である」と、こういったものでございました。
これに対する弊社の見解といたしましては、不服意見としてここにお示しいたします4点となります。
まず1点目として、決定事項におけるRCTで日本人に即したデータを入手という点についてですが、この点は実際のデータからは支持されないと考えております。すなわち公的分析で用いられましたPANORAMICの事後解析における入院のアウトカムは、国内の使用成績調査等で報告された実態に比べまして重症化リスク保有割合がかなり低い集団に関するものである点において、PANORAMICの主解析、すなわち元のランダム化集団での解析と同様に外的妥当性が低く、日本人に即したものとはなっておりません。また、死亡単独のアウトカムにつきましては、そもそも検出力不足であることも含めまして、全体としてPANORAMICのみに基づき本剤の追加的有用性の有無を判断することは適切ではない、不適切だというふうに考えております。
4ページの参考資料1を御覧いただきますと、国内の本剤使用患者における重症化リスクの保有割合は95%を超えるということに対しまして、PANORAMICでは7割弱と、ここは相違が顕著であるということ。中でも最も重要な高齢者の割合につきましては、12ページの補足資料1にございますとおり、相当程度、国内外の臨床実態との乖離が見られます。
さらに、13ページ以降の補足資料2から5には種々の重症化リスクと入院・死亡のアウトカムの関連に関する代表的な報告例を御参考としてお示ししておりますが、併存疾患やリスクの保有割合がコホート全体におけるCOVID-19の重症化割合にも強く関連するものと考えております。
続いて、3ページに戻っていただき、2点目を御覧ください。前回弊社から御提案したnon-RCT由来の一連のエビデンス、いわゆるリアルワールドエビデンス(RWE)におきまして、これを考慮しない理由として挙げられております「選択バイアス等のバイアスが大きいため」という御見解につきましては、個々の臨床研究についてバイアス評価を行った上での考察ではなく、あくまでRCTとの比較を前提とした一般論であろうかというふうに理解しております。バイアスの種類、その大きさ、またアウトカムへの影響といったことにつきましては、個々の臨床研究について個別に吟味される必要があり、その結果、これらの影響が許容レベルと考えられるRWEがある場合には、最も目的適合性、いわゆるフィットネスフォーパーパスが高く、重視すべき追加的有用性のエビデンスとなり得ます。
具体的には、個々の臨床研究に関するバイアス評価手順として、通常行われております系統的レビュー、システマチックリテラチャーレビュー(SLR)とリスクオブバイアス(RoB tool)を用いた評価を行うことによって初めてバイアスのリスクと目的適合性のバランスについて評価、判断することが可能になるというふうに考えます。
このプロセスは、エビデンスの採否に関連する判断の妥当性と透明性を確保する観点からも不可欠であると考えられますので、必要性をお認めいただける場合には、まず弊社のほうで最新の報告を含めたSLRのアップデート、リスクオブバイアス評価、また必要に応じてネットワークメタアナリシス等を実施いたしまして、公的分析用に提出させていただく用意がございます。
5ページの参考資料2には、リスクオブバイアスツールの例といたしまして、GRADEガイドラインに含まれますROBINS-Iとその評価項目をお示ししています。
また、6ページの参考資料3にお示しいたしますとおり、2023年3月10日までの公表文献に関しましては同様の評価を弊社の社内で実施した経験がございます。
再び3ページに戻っていただきまして、3点目を御覧ください。こちらは不服意見書提出後の状況の変化となりますが、PANORAMICの本剤使用群におけるQOL値の改善が新たに報告されたことに伴いまして取られるべき対応となろうかと思います。すなわち仮にバイアスの評価の結果、RWEが使用できない、考慮できない場合におきましても、QOL値の改善という結果におきまして、本剤の追加的有用性があるものと判断される状況となりましたため、公的分析として実施済みの費用最小化分析ではなく、費用効果分析を実施する必要が新たに生じたものと考えております。
7ページの参考資料4にデータをお示ししておりますが、PANORAMICの患者集団に関しまして、ランダム化時、ランダム化後14日、28日、3か月及び6か月後に測定されたEQ-5D-5Lスコアによる効用値の加重平均に関しまして、本剤使用群におきまして有意に高いQALYが報告されております。
ただし、この数値は1点目のポイントでも述べましたとおり、あくまで重症化リスクがもともと低い集団についてのものでございまして、重症化に至らなかった患者集団における本剤服用時の症状改善のデータにつきましては、8ページの参考資料5に示しておりますけれども、こういったことを主に反映するものとは考えられます一方、事前に設定された費用対効果の分析対象集団であります重症化リスクの高いCOVID-19患者における本剤の価値、すなわち重症化の予防といったことは十分に反映しないと考えられますことから、結果の解釈には注意が必要だというふうに考えてございます。
再びまた3ページに戻っていただきまして、4点目を御覧ください。
これまでにお示しした3つの論点を踏まえまして、新たな追加的有用性のエビデンスを反映するための公的分析、追加分析を実施する必要があり、その結果に基づく費用対効果評価案を検討する必要があると考えております。
具体的な評価スキームとして弊社が望ましいと考えるイメージを9ページにお示ししております。まず前提として、本剤の追加的有用性のエビデンスは、複数報告されているRWEのアウトカム、入院・死亡のアウトカムでございますが、これとPANORAMICのQOLアウトカムの2つに大別されますので、どちらかを選択する必要があると考えます。具体的には、初めにRWEの系統的レビューとリスクオブバイアスツールによる評価を行います。その結果、青でお示しします方法ですけれども、事前に合意された基準に基づきバイアスが許容レベルと判断された場合には、日本の臨床実態により近いRWEのアウトカム、入院・死亡のアウトカムを用いた費用効果分析を追加分析として実施するということ。一方、赤で示す方法ですけれども、RWEのバイアスが許容レベルと判断できない場合には、PANORAMICのQOLアウトカムを用いた費用効果分析を実施いたします。ただし、その場合、1から3に挙げるような前提条件や分析の限界を伴いますため、解釈には注意が必要であり、報告書の中でそこの点については明確に述べられる必要があろうかというふうに考えております。
最後に10ページの参考資料6を御覧ください。意思決定のためのエビデンスとしてバイアスの懸念のないRCTを用いる場合におきましても、評価の対象となる患者の特徴が大きく異なるなど、目的適合性、フィットネスフォーパーパスが低い場合には、より適合性の高いnon-RCT由来のエビデンスを考慮する必要性が通常以上に高い状況かと考えております。
参考資料6でお示しするNICEのリアルワールドエビデンスフレームワークの中でも、意思決定におけるデータの活用に当たりましては、データの由来や質についての吟味は当然のことながら、データの目的適合性、フィットネスフォーパーパスも十分に検討されるべきポイントであるというふうにされております。
本剤に関しましては、残念ながらこれまでこの点についての議論が十分に行われないまま検討が進められてきたと考えておりますので、改めてPANORAMICの適否、また、これをやむなく用いた場合の分析結果の不確実性、それに伴う決定エラーのリスク等につきまして御検討いただくようにお願いいたします。
十分な検討を行っていただいた結果、国内の臨床実態に適合するエビデンスに依拠した公的分析、費用効果分析が行われまして、これに基づく適切な意思決定が行われることを重ねてお願いする次第でございます。
MSDからの陳述は以上となります。御清聴いただきありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、企業から意見陳述があったように、公的分析に対する指摘がございましたので、これらの指摘に対して公的分析からさらに御意見があればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
先ほどお話しした以上のことは、特に我々は持ち合わせていないところであります。
○費用対効果評価専門組織委員長
続いて、委員の方々から御質問をいただきます。先生方、いかがでしょうか。
では、私のほうから、やや些末な御質問なのですけれども、7ページのQOLのところの文章を読むと、6か月後の割り付け後のEQ-5D-5Lでは有意差がなくて、VASでは差が出ているような内容であります。これは、実測のデータとして差がないものを、シミュレーションか何か処理をしてQALYに換算して、こちらの表のような結果が出たという理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
御質問ありがとうございます。こちらは全く論文から何も変えることなく載せておりますので、若干分かりにくかったものと思いますけれども、こちらについては観測ポイントがランダム化時と2週間後、4週間後、3か月後、6か月後というふうに多点で測定を行っております。そのデータをまとめる際には台形法ですね。それに恐らくAUCを使った加重平均を用いまして解析を行っていることから、6か月後という1つのポイントについて見た場合に、感染あるいは症状があったときから半年離れたポイントにおきましては、こういった効用値の差が出ていないのかなと思いますが、VASのほうでは差がついていたということで、微妙なところだったのかなと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
論文の情報以上の内容が無いことが分かりました。ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、繰り返しになりますが、改めて、科学院から追加で御意見はございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
企業からいただいた点に対して、こちらから追加で付け加える点はございません。
○費用対効果評価専門組織委員長
了解しました。
では、当該品目について御議論を先生方にお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた、企業からの提案と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようお願い申し上げます。
長らく議論してきた品目でありますけれども、意見書もいただいておりますなか、御専門の臨床の先生が御参加されていますので、まず、○○先生からコメントいただいてよろしいでしょうか。
○○○委員
どうも、○○でございます。ありがとうございます。
具体的なリアルワールドエビデンスが日本と海外でどこがどのくらい違うかというのを少し意見させていただきました。このリアルワールドエビデンスというのが、企業様がお使いになっているような退役軍人のデータの一連のものでございますので、これがいわゆる今回不服申請の基になっているところでございます。そこに書きましたように、これは公的分析のほうでも言われておりますが、日本とパキロビッドとラゲブリオの使用実態が違うのだと。患者集団の間に乖離があるということを公的分析のほうでもお話しされておりますので、私は実際にどのくらい違うかということをちょっと調べてまいりました。
まず、背景にあるのは何かというと、日本の医療制度の問題がございます。これは日本が医療費削減のために医薬分業を進めてきたというのはもう先生方御理解のとおりでございますけれども、そのために、コロナの診療というのはほとんどが診療所レベルで行われていて、入院は病院、外来は診療所というふうにやっておりますが、大きな問題は何かというと、エビデンスとしてはパキロビッドのほうが非常に有効であるということが分かっておりますので、ガイドライン上では、もうこれは前回、前々回からもお話ししておりますように、優先的に使われるべきはパキロビッドであり、それが使えないときの代替薬としてラゲブリオを使うことになっておりまして、それができないのはどうしてかというと、診療所では薬剤師さんがいらっしゃらなくて、併用禁忌薬がたくさんあるパキロビッドを処方することの難しさがあるということになるわけです。
でも、簡単に申しますと、退役軍人の病院で使われているラゲブリオとパキロビッドの比率は1対4であるということで、4分の1しか選ばれていない。これはガイドラインどおりにやると多分そうなるのだろうなと思います。日本ではどうかというと、日本の使用実態は、ここにありますように、厚労省の発表によりますとラゲブリオのほうが14倍使われているというのが使用実態でありまして、リアルワールドが全然違うリアルワールドであるということで、リアルワールドエビデンスはこの差を埋めることが実際に統計的な処理でできるのかどうかということがちょっと疑問でありまして、やはりRCT、もしくは日本人のリアルワールドのデータがないと、再分析には値しないのではないかという意見を書かせていただきました。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、データとかをお調べいただいて大変ありがとうございます。リアルワールドという観点から日米の差について理解が深まりました。重ねてありがとうございます。
それでは、○○先生からも意見書でコメントいただいておりますので、よろしいでしょうか。お願いします。
○○○専門委員
ありがとうございます。○○でございます。
リアルワールドデータに対する考え方については、公的分析の先生方のお考えのとおりだと、今、○○先生からお話がありましたけれども、やはり国内のリアルワールドデータというのが出てこないとなかなか難しい面はあるのかなと思いました。
PANORAMICスタディーに関しては、前のときも言いましたけれども、サブ解析で高齢者のところでは重症化を少し防げるようなデータが出ているのですけれども、いかんせん対象がすごく少ないということで、あまり統計学的に意味のあるデータではなかったということだと思うのです。
今回、主要な評価にしているのが重症化、死亡とか入院とかいうことなので、ワクチン接種下、オミクロン株流行下では、なかなか抗ウイルス薬のそういったことへの効果は相当リスクの高いところで見ないと出にくいのではないかなと思うのです。今回のPANORAMICでも2次的な評価項目としては、先ほど企業の方もおっしゃっていましたけれども、例えば解熱が早いとか、症状が早くよくなるとか、あとウイルス量が早く減るとか、そういった効果は確かに示されてはいるので、抗ウイルス薬としての効果としてはそういったところに出てくるのかなと思って見ておりました。ただ、評価の対象が重症化予防ということで限定すると、やはり今回の公的分析の結果のとおりなのかなと思っています。
ただ、今後また同じようなお薬がこういった評価に上がってくるかと思うのですけれども、そのとき、そのデータによっても違うかなと思うのですが、大事なのは確かに重症化予防ということなのですけれども、症状の軽減とかウイルスが減少するとかいったことも臨床的には意義のあることかなと思うので、その辺の評価の仕方をどうしたらいいのかということを一応考えていく必要はあるのかなと思っておりました。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今のお二人の御専門の先生方の御意見も踏まえて、先生方、コメントとかございますでしょうか。
では、○○委員、お願いします。
○○○委員
先ほどの○○先生の御意見に対して、統計的に選択バイアスを克服できるような手法がない限りということを言っていただいたのですけれども、統計的にはそういう手法はないと私も考えております。交絡バイアスに関しては、背景調整等である程度バランスを取ることは可能なのですけれども、選択バイアス自体はもう統計的には処理できるものではないというところで、スタディーデザインでデータを収集するときに留意することが一番重要であるというところだと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。御専門の立場からの追加のコメントであったかなと思います。
先生方、いかがでしょうか。
意見書を拝見しますと、先生方全員、公的分析を支持されておりますので、では、その形で議決をさせていただきたいと思います。
議決に入らせていただきますので、○○委員、○○委員には、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、○○委員、○○委員を除く先生方の御意見を参考に、ラゲブリオに関する費用対効果評価については、公的分析案を採用するという形で、ラゲブリオに係る総合的評価について、専門組織で決定された総合評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価として中央社会保険医療協議会に報告をいたします。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。

