2023年9月22日 費用対効果評価専門組織 第6回議事録

日時

令和5年9月22日13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、岩田 敏専門委員、朝野 和典専門員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他

議題

○ ラゲブリオカプセルに係る企業分析の報告及び公的分析レビュー結果について

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 では、続きまして、「ラゲブリオカプセルに係る企業分析の報告及び公的分析レビュー結果について」の御議論をいただきます。
 対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論をいただきたいと思います。
 まずは、事務局から説明をお願いいたします。
 
(事務局より説明)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る企業分析に対する企業の意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
 
(意見陳述者入室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でラゲブリオカプセルに係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
 
○意見陳述者
 承知いたしました。
 意見陳述者でございます。それでは、早速ですが、お手元の資料の3ページ目を御覧ください。
 本剤ラゲブリオでございます。本剤は昨年の8月に薬価収載されまして、当時のピーク時市場規模予測に加えまして有用性加算10%が付与されていることから、H1品目として指定されております。
 その他の概要は御覧のとおりとなります。
 次に、4ページでございます。
 その後の分析前協議を経まして、令和4年、昨年の11月25日の当専門組織におきまして分析対象集団を重症化リスクを有する18歳以上のCOVID-19患者とすること、また比較対照技術をCOVID-19治療薬を含まない標準治療とすること、その他お示しするような分析条件とする旨、決定いただいております。
 次の5ページとなります。
 分析ガイドラインにのっとりまして、初めに標準治療に対するモルヌピラビルの追加的有用性についてのシステマティックレビューを実施いたしまして、お示しするようなクリニカルクエスチョンに該当する文献につきましてPRISMAのフローチャートに沿ったものを実施いたしました。
 続いて、6ページでございます。
 その結果、重症化リスクを有する患者の入院、または死亡に対する有効性の検証を主要目的としたモルヌピラビルのRCTといたしましては唯一、MOVe-OUT試験が同定されまして、これを追加的有用性の根拠とすることが適切であると考えております。
 7ページ目でございます。
 使用した分析モデルにおきましては、図に示しますとおり、30日間の急性期には中央のところですね。この4つの健康状態から成る決定木モデルを用いまして、その急性期からの回復後から最長100歳までに関しましては1サイクル1年のマルコフモデルを使用しております。
 分析対象集団は、事前に決定されたとおりの重症化リスクを有する18歳以上のCOVID-19患者としております。
 続きまして、8ページでございます。
 分析対象となる患者及び疾患の特性を、以下2ページにわたってお示ししております。
 分析モデルでは、日本の実態を可能な限り反映させるために、患者や疾患特性に関するパラメータとしてMDVデータベース調査から得られました集計値を主に使用しております。そのデータベース調査で十分なデータが得られなかった一部の項目につきましては、政府の公表データや文献値等を用いております。
 9ページも続きでございまして、続いて10ページでございます。
 こちらはQOL値をお示ししております。本分析では、英国で実施した調査で得られましたEQ-5D-5L質問票への回答結果、こちらが今お示ししているようなモデルで設定された健康状態別の値となりますが、これを日本人のバリューセットで換算した値を使用しております。
 続きまして、11ページでございます。
 こちらは、費用のパラメータをお示しいたします。医療費についてはMDVデータベース調査の集計値を使用しましたが、一部、十分なデータが得られなかったものがございまして、こちらはICU+MV、またはECMOといったところですけれども、こちらの健康状態につきましては文献値を用いております。
 続きまして、12ページでございます。
 有効性のパラメータは、システマティックレビューの結果に基づきましてMOVe-OUT試験、第Ⅲ相パートの結果を使用しております。この表にお示しします設定値につきましては、モデルの決定木パートに対応させるために実施しました同試験、同データからのPost hoc解析により算出した値となっております。
 13ページ目です。
 こちらは基本分析の結果となります。モルヌピラビル+標準治療につきましては標準治療単独に比べまして患者1人当たり0.044QALYを獲得しまして、増分費用は8万4391円となりました。したがいまして、ICERといたしましては193万円余り/QALYとなっております。
 続きまして、14ページでございます。
 こちらは一元感度分析の結果を示しておりますが、ICER値への影響が大きかったパラメータは割引率、それから入院割合ですね。標準治療のもの、それからベースラインのQOL値、モルヌピラビルの入院に対する有効性のリラティブリスク、5番目としては一般病棟における死亡割合となっております。
 その他、お示ししますとおりとなっておりますが、いずれもICERにつきましてはこのページのとおり500万円を下回るような値にとどまっているという結果でございます。
 続きまして、15ページ目でございます。
 こちらは、確率的感度分析の結果をお示ししております。左の費用効果平面におきまして、試行結果の多くはICERイコール500万円の直線よりも低い領域に分布いたしまして、また右の費用効果受容曲線でお示ししますとおり、モルヌピラビルプラス標準治療が標準治療単独に比べまして費用効果的である確率が極めて高いという結果でございました。
 最後に、シナリオ分析の結果を16ページに示しております。
 シナリオ1から3につきましては新たな変異株がデルタ株相当、これはMOVe-OUT試験が行われた当時に流行していた株ということでございますけれども、その株相当の感染性、あるいは病原性を獲得し、かつ免疫等、人によってワクチンが効かないという最悪の想定をしておりまして、入院割合等の疾患パラメータにつきましてはMOVe-OUTで得られたデータを用いております。これは、日本人の先ほどのMDVの結果の代わりにMOVe-OUTのデータを使った場合となっております。
 この場合、シナリオ2、3のように、比較的重症化リスクが低い患者集団に限定したシナリオも含めまして、ICERは基本分析よりも大幅に低値となっております。
 また、シナリオ4につきましては、基本分析の設定に加えまして入院による短期的な労働生産性損失を加味した場合となりますが、こちらは結果に対する影響は限定的でございました。
 最後に17ページ、18ページで分析結果の妥当性につきましてお示ししております。
 まず本分析の妥当性といたしましては、十分にバリデートされましてピアレビューを受けました公表論文と同じ分析モデルを用いたというところ、パラメータに日本人のデータを最大限に組み入れているということ、それから有効性のパラメータとしてはエビデンスレベルが高いスタディーからの結果を用いておりまして、かつその結果につきましては得られた大規模なリアルワールドの観察研究の結果で支持されているということが挙げられると考えております。
 最後に18ページでございますが、「分析の限界」をお示ししております。
 COVID-19の流行と、新たな変異株の出現がいまだに継続しているということから、将来の重症化割合、入院割合、死亡割合等につきましては、御存じのとおり非常に不確実性が高いことに注意が必要と考えております。
 また、外来患者の疾病は、外来だけにとどまった患者につきましても罹患後症状、あるいは労働生産性損失等が想定されるわけですけれども、こちらにつきましては今回用いましたMDVのデータベース調査等々からは十分なデータを得ることができませんでしたので、最大限の想定、すなわち入院、外来については外来医療費というところで、外来の治療期間の長さであるとか重症度とか、そういったものは一切考慮していないということが挙げられると思います。
 簡単ではございますが、弊社からは以上でございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 委員の方々から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 では、○○委員お願いします。
 
○○○委員
 モデルの組込みの平均年齢が43.3歳ということになっているのですが、実際にラゲブリオを処方するのは重症化リスクがあるという方で、御高齢の方とか基礎疾患のある方で、どちらかというとかなり高齢の方に使っているようですが、この43.3歳というのは実際にラゲブリオを処方された方がこういう年齢だったということなのでしょうか。
 
○意見陳述者
 お答えいたします。
 先生、ありがとうございます。こちらは重要な点かと思うのですけども、今回、分析の事前設定の枠組みに従いまして対象者を外来に限定するということがございましたために、今回MDVのデータベース調査で外来に限定した集団の平均値というものを使っております。
 御指摘のとおり、本剤で治療中の患者さんにつきましては使用後の使用成績調査等でも示されているとおり、平均年齢はこれよりも大幅に高い値の年齢になっておりますので、少しこの設定については若いところに今回設定しているということで、若いほど入院割合等は低いわけでございますけれども、入院割合のデータが少し得られにくいという状況で、今回厚生労働省の公表されたデータというものを使っておりまして、2022年の一般の療養者の平均として使っているのですけれども、こちらには多く若年の患者さんが含まれているということも勘案いたしまして、分析においては保守的というか、費用対効果が悪くなるほうに設定したつもりではございますが、非常にそこは控えめな値というか、重症度の低いような設定に、あるいは年齢も低いような設定に全体として合わせているということがございますので、こちらについては実際に使用されている患者よりも明らかに低い設定になっているというふうには我々も認識しているところでございます。
 以上でございます。
 
○○○委員
 ありがとうございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか、
 よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。
 続きまして、科学院からラゲブリオカプセルに係る企業分析についての公的分析のレビュー結果の御説明をお願いいたします。こちらについても、続いて質疑応答させていただきます。では、始めてください。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 資料のほうですけれども、費-2-4の「モルヌピラビルに関する公的分析のレビュー結果」を御参照いただければと思います。
 1ページ目ですけれども、提出いただいた分析に関する課題について4点お示ししております。a)、b)、c)、d)と4点ありますけれども、順に御説明させていただければと考えています。
 2ページ目で、まず1点目ですけれども、「追加的有用性の評価および有効性パラメータについて」ということでありまして、製造販売業者から御提出いただいた費用対効果の分析というのは基本的にMOVe-OUT試験から得られたデータを用いて評価がなされているというところであります。
 しかし、当該試験というものはデルタ株、ミュー株及びガンマ株等の環境下におけるコロナワクチン未接種患者を対象にした臨床試験であり、現状の本邦の臨床実態とは状況が少し異なっているのではないかと考えているところです。
 そこで、本邦の臨床実態に即した費用対効果評価を行うために、追加的有用性及び有効性パラメータについて再分析を検討する必要があるのではないかと考えているところであります。
 2点目ですけれども、「ベースラインの患者背景について」ということで、先ほど〇〇先生の方から御指摘のあったところと認識していますが、分析モデルに組み込むベースラインの患者背景の分析パラメータの算出のために、重症化リスク因子の有無にかかわらず、COVID-19と診断された患者を保険データベースから抽出して分析を行っているというところであります。
 しかし、費用対効果評価専門組織において決定された分析枠組みにおける分析対象集団は、重症化リスク因子を有するCOVID-19患者ということでありまして、ベースラインの患者背景について企業の皆さんが使用されたデータソースの妥当性を含めて検討させていただければと考えているところです。
 それから、4ページ目になりますけれども、長期の後遺症、いわゆるLong COVIDについてですが、製造販売業者の分析では、分析に組み入れられた患者がCOVID-19罹患後に一定の確率で長期の後遺症を発生する、Long COVIDを発症するということを仮定していて、後遺症の発症確率というのは重症度の高い状態になるほど高くなるという設定をされていたというところであります。
 しかし、このモルヌピラビルの有用性において主な根拠となっているMOVe-OUT試験では、長期の後遺症発生について調査が行われておらず、設定された仮定あるいは効果の妥当性等についてはやはり検討を行う必要があるのではないかと考えているところです。
 それから4点目、最後になりますけれども、「QOL値について」ということで、製造販売業者の皆さんというのはQOL値はなかなか取り難いところもあったのだと思いますけれども、ビネットに基づいてQOL調査のデータを用いたというところであります。
 これは、英国の一般人を対象にビネットに基づいてEQ-5D-5Lの調査を行ったというものであり、一般の方にシナリオを読んでいただいて、それに基づいてEQ-5D-5Lにチェックしていただくというようなやり方だと認識しているところでありますが、このようなやり方、このような調査方法というのは必ずしも一般的ではないというか、学術的に妥当ではないと考えられる側面もあることから、QOL値のデータソースについてその妥当性等々を検討し直す必要があるのではないかと考えているところになります。
 以上から、6ページ目になりますけれども、公的分析としては再分析の実施が必要になるのではないかと考えているところです。
 以上になります。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、今、科学院から御説明のあった点について、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。
 企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
 
(意見陳述者退室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。
 感染症の御専門の先生方がいらっしゃっておりますので、臨床現場の状況も含めながら御意見をいただければと思いますが、○○先生いかがでしょうか。
 
○○○専門委員
 ○○でございます。ありがとうございます。
 もうこれは前々回というか、以前から申しておりますように、オミクロン株になって全く違う感染症というふうにお考えになったほうがよろしいかと思いますので、過去のデータを分析しても今のデータの分析には当たらないというのはもう皆様共通の認識と思います。ワクチンもできてきましたし、オミクロン株という病原性の非常に低くなったものを対象としていますので、入院、死亡ということのアウトカムが全く違ってきているということで、違う感染症のことを今、議論しているということになるかと思います。
 また、今度MOVe-OUT試験と今の日本における現状とを考えますと、先ほど御説明がありましたように年齢的なものは全然違うわけですね。日本ではやはり重症化するというのは高齢者の方、例えば死亡率の9割以上は70歳以上です。そういうことで、あとの10%が60歳代を主にしていますけれども、今までは日本は全員入院させてしまうので入院というのはあまりアウトカム評価としては日本では対象となりませんけれども、死亡というところだけに絞っていきますと、日本では90%以上が70歳以上であるという前提を立てますと、40歳代の集団を解析するということが日本に当てはまるかというと、当てはまりません。
 では、なぜ海外で40歳代とかがリスクファクターありになるかというと、感染症の論文を読んでいますとびっくりすることが多々ありますが、例えば肺炎の予後解析をするときにDM、糖尿病がめちゃめちゃ多いんですよ。
 それで、例えばMOVe-OUTで言うと、糖尿病が15%ぐらい入っているんです。だから、60歳以下でも糖尿病の人が入ってくると、糖尿病の比率が全く違う。これはコロナにおいても感染症の重大なリスク因子になりますけれども、日本とは全く違う状態である。
 さらに、MOVe-OUT試験では75%が肥満です。この体形の差というのも日本とは全く違うということで、確かにMOVe-OUT試験しか対象とするものが当時なかったということで、これを解析されるというのは時間的な遅れと背景の遅れ、感染症においては非常に重要な宿主の状況の違いというものが入っていて、これをそのまま日本に外挿するというのはまず無理の話であると、何重の意味でも無理な話を今しているということになります。
 また、PANORAMICスタディーというのが新たにブラインドでランダム化されて行われておりまして、この結果については治療群に有意差がなかったというデータも出てきておりますが、このときの平均年齢も56歳ということで、これもそうは言ってもなということでやはり日本に外挿するのは難しいということがあります。
 一方で、エミュレーションスタディーなどで、例えば高齢者施設に入っている方などはやはり従来どおりの効果がオミクロン株のワクチン下でも見られたというデータも、これはエミュレーションですのでエビデンスレベルの問題がありますけれども、エミュレーションで出てきております。
 それから、先ほどのポストアキュートの問題は最近非常にLong COVIDとか、コロナ後遺症とか言われていますので、それをポストアキュートという言葉で表現するようになっているのですけれども、それでもやはり効くのではないかというふうなデータも出ていますが、これは実はコロナに限らないというデータも出ているんです。コロナを疑われた人と、陽性と陰性と比べてみたら、結果変わらなかった。ポストアキュートは変わらなかったというデータもあって、これも非常に面白いなと思って、やはり風邪は治すべきだと思うんですけれども、様々な問題がまだございますので、科学院さんの御意見というのは妥当であるというふうに私は理解いたしております。
 以上でございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 ○○先生、よろしいでしょうか。
 
○○○専門委員
 ○○でございます。
 ○○先生が大変詳しく解説いただいたので、私の方から特別に追加することはないですけれども、私は判定のところで企業分析はおおむね妥当というふうにさせていただいているのですが、それは今この段階で使えるデータを使って行っていただいたという上での妥当ということで、○○先生がおっしゃったように、企業が使った分析の結果とはバックグラウンドが全然変わってきているので、そういう意味で公的分析の結果は全く妥当なものだと考えております。
 ただ、国内のデータを集めるのはかなり難しいところもあるとは思うのですけれども、そろそろデータが出てきていますし、または先ほどのLong COVIDに関しても、それも解析の仕方でいろいろ問題はあるかもしれませんが、それを使ったほうが少なかったというデータも確かに出てきているのは出てきているので、その辺も少し情報をいろいろ集めて解析していただければ大変ありがたいと思います。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 今のお二人の先生の御意見を踏まえて、科学院さんのほうからデータのソースの話とかございますか。よろしいですか。
 なかなかデータがないという限界もある中で、どのようなアプローチをされるのかなという論点もあるかと思います。
 
○国立保健医療科学院
 今、検討中でありまして、実はPANORAMIC試験等々をオックスフォード大学等々にもコンタクトを取って、もう少し日本の状況に合ったデータなどを出してもらえないかということを少し交渉していたりするような状況ですので、もう少しお待ちいただけると詳細な結果はお出しできるかもしれないなと考えているところです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。いろいろと御苦労されているというのはよく分かりました。
 その他の先生、コメント、御意見はいかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
 
○○○委員
 QOL値の4番目の論点なのですけれども、まずお伺いしたいのは、ビネットを使うのはあまり望ましくないということがあるのと、もう一つ、イギリスで取ったものをそのまま日本のバリューセットに当てているというのも何か問題があるように思うのですけれども、どちらがより問題なんでしょうか。科学院にお伺いします。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 コロナの患者さんということで、なかなかちゃんとQOLが取れないという状況があるのではないかとは推測するのですけれども、まずそのビネットに基づいて評価を行うというのはライフライン上はセカンドベストというような位置づけでありまして、できればきちんと患者さんに取っていただきたいというのが基本的な方針かと認識しています。
 次の問題点としては、このビネットに基づいた場合というのは、通常はタイムトレード法ですとかスタンダードギャンブル法といった標準的な手法を用いて価値づけを行うのが一般的なのですが、これをEQ-5D-5Lの質問紙に答えていただいているということは、なかなかその方法論的に難しい部分もあるのかなと認識していて、そこが少し難点なのかなと思うところもあります。
 それから、御指摘のように、その結果を用いて日本に換算しているというところで、この点についてはたびたび議論になるのですけれども、現状では受け入れざるを得ないのかなと考えているところです。
 以上です。
 
○○○委員
 もう一つお伺いしたいのですけれども、今はそういう問題含みの分析なのですが、今後、現時点で少しめどというか、何かいい方法があるのでしょうか。それとも、これからそれも含めて検討されるのでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 QOLの値については正直言って実際の調査が難しいというか、コロナの患者さんが入院されているところに行ってQOLの調査票を回収してくるというのは、なかなか研究においても難しいのかなと思っていて、その他のデータですね。インフルエンザのデータとか、いろいろ参照しながら、もしかしたら再分析できるかもしれないですし、そのまま企業の結果を受け入れざるを得ないのかなというふうに考えているところです。
 
○○○委員
 ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入らせていただきます。○○委員、○○委員におかれましては議決の間、一時御退席をお願いいたします。
 
(○○委員、○○委員退席)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきまして決定された分析枠組みに沿って分析がなされているということでよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 次に、企業の分析データなどの科学的妥当性は十分ではないと考えられる部分があるということでよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 最後になりますけれども、公的分析によるレビュー実施により再分析を実施するという結果の妥当性は、おおむね適当ということでよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、公的分析において再分析を実施していただくといたします。こちらもよろしいですね。ありがとうございます。