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2022年11月25日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第8回議事録
日時
令和4年11月25日13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、朝野 和典専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
議題
○ ラゲブリオカプセルに係る分析枠組みについて
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、ラゲブリオカプセルに係る分析枠組みについて御議論をいただきます。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
それではよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ラゲブリオカプセルに係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
ありがとうございます。それでは、陳述をさせていただきます。冒頭の目次に沿って進めさせていただきます。
スライドの番号になりますが、まず4ページを御覧ください。本剤の適応症は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でございます。病原体は動物由来のコロナウイルスでございまして、ヒト-ヒト感染可能な性質を獲得したこと、あるいは飛沫・エアロゾル感染で人から人へ感染するといったこと、また、潜伏期あるいは発症から間もない時期に感染があるという性質が市中感染の広がりやすさの原因でございまして、この点において過去に流行しましたSARSやMERSといったものとは異なると言われております。
次に5ページに参ります。国内の感染状況でございます。11月中旬現在、累計の感染者数が2340万人、死亡者が5万人近い報告がございます。グラフのとおり、現在に至るまで変異株の置き換わりを伴った感染者数の急増が繰り返されておりまして、回数を追うごとにピークの増大が見られている状況でございます。特に前回の第7波のところでは、国内のワクチン接種がこのグラフにあるとおり相当程度進んだ状態であるにもかかわらず、過去最も多い感染者数が報告されたということでございます。
続きまして、6ページ目でございます。こちらは新型コロナウイルス感染症診療の手引きからの引用でございますが、COVID-19の重症度は左側の表にありますとおり4段階に分類されておりまして、重症度別に右の表にあるようなマネジメントが推奨されてございます。その中で、本剤は抗ウイルス薬として重症化リスク因子のある軽症及び中等症Ⅰの患者への投与が推奨されております。
また、本剤は経口薬でございまして、特に患者数として大きな割合を占めます非入院の患者が診断後速やかに自宅等で服用することがしやすいというところ。そういった点で注射剤であるレムデシビルとは異なります。
また、現時点で併用禁忌あるいは併用注意となる相手の薬剤はございません。また、腎機能障害や肝機能障害のある患者さんに対しても用量調整不要ということで、同じく経口薬であるニルマトレルビル/リトナビルとは異なる性質を持ってございます。
また、感染拡大時の病床確保といった観点からも、軽症及び中等症Ⅰで推奨される経口薬は今後も引き続き高い社会的なニーズがあると考えております。
続きまして、8ページに移らせていただきます。対象品目の概要となります。本剤は、昨年12月24日、特例承認を受けまして、その後、一般流通は行われませんで、厚生労働省が所有した上で医療機関及び薬局からの依頼に基づき無償で配付されてきましたが、8月18日の薬価収載の後、9月16日より一般流通が開始されたところでございます。
薬価は類似薬効比較方式で算定されまして、有用性加算10%が適用されております。
市場規模はピーク時138億円と見込んでいることから、費用対効果評価、H1該当ということで評価対象品目として選定されております。
続きまして、9ページを御覧ください。こちらは本剤の作用機序を模式的に表した図となります。本剤はプロドラッグ体でございまして、吸収された後、まず1段階目として生体内のエステラーゼによって速やかに加水分解を受けまして、N-ヒドロキシシチジン(NHC)というものになりまして、細胞内に取り込まれた後、3番目ですけれども、リン酸化を受けまして、NHC三リン酸となります。これがウイルスの一本鎖ゲノムRNAに取り込まれた結果、ウイルスRNAの複製エラーが増加してくるということでございます。これによって、4番にありますとおり、ウイルスの増殖が阻害されるというメカニズムです。この現象はエラーカタストロフと呼ばれまして、本剤はこの現象を誘導することによって抗ウイルス活性を発現いたします。
続きまして、10ページ目でございます。こちらは本剤の活性代謝物NHCの各種変異株に対するin vitroの抗ウイルス活性をお示ししております。右の表はオミクロン株を対象とした試験でございますが、これに対しても従来株に近いEC50値を示しておりまして、ほぼ同等の抗ウイルス活性を示すことが確認されております。
また、ここにはお示ししておりませんが、現在流行中のBA.5を含む、さらに新しい変異株に対しても従来株と同等の抗ウイルス活性を有することが学術雑誌に報告されてございます。こういったことで、変異株に対しても有効性が保たれた抗ウイルス薬がCOVID-19の診療における薬物治療の選択肢として今後も重要なポジションになるのではないかと考えております。
続きまして、12ページ目を御覧ください。こちらは主たる臨床試験でございます国際共同第Ⅱ/Ⅲ試験、MOVe-OUT試験の概要でございます。本剤を投与した際の有効性、安全性を評価することを目的として行われております。本試験は18歳以上で1つ以上の重症化リスクを有する入院を必要としない軽症・中等症の患者を対象といたしました。
第Ⅱ相パートにおける包括的な評価結果に基づきまして、本剤は800mgを1日2回、5日間の経口投与という治療を選択されまして、第Ⅲ相パートが行われました。こちらは21か国146施設で実施されております。
なお、第Ⅲ相パートでは事前設定された中間解析によって早期有効性の基準を満たしたということで、外部のデータモニタリング委員会の勧告よりまして、以降の組み入れが中止されております。これによりまして、中間解析の結果が本剤の有効性、安全性に関する主たる試験成績とされました。これ以降は中間解析に関する成績をお示しいたします。
13ページ目、主要有効性評価項目でございますが、無作為化29日目までの理由を問わない全ての入院または死亡が認められた被験者の割合となります。
また、主要安全性評価項目は投与中止に至った有害事象とされました。
その他、ここにお示ししますような副次評価項目等も評価されております。
続きまして、14ページから17ページの4ページにわたって患者背景を列挙しております。背景①に関しましては性別、年齢、人種等でございますが、おおむね群間でバランスされていたという結果でございます。
患者背景②のページでは、実施地域、あるいは重症化リスク因子の割合も群間で大きな偏りが見られておりません。また、ほぼ全ての患者で1つ以上の重症化リスク因子を有していました。99%超ということでございます。
続きまして、16ページ目、患者背景③でございますが、ベースラインの重症度です。軽症が6割弱、中等症が4割強ということで、こちらも群間に大きな偏りはないということです。また、本試験は昨年、2021年に行われた試験でございまして、変異株として現在主流となっているオミクロン株は含まれておりませんで、デルタ株、ミュー株、ガンマ株といったところが多かったということでございます。また、これらの割合についても群間で偏りは見られておりません。
18ページ目が有効性の主要成績でございます。無作為化29日目までの入院または死亡でございますが、こちらは本薬群7.3%、プラセボ群14.1%でございまして、本薬群で有意に低い結果でございました。
続きまして、19ページ目は先ほどの入院または死亡のイベントに至るまでのTime-to-event解析、カプラン・マイヤー曲線でございます。こちらの指標、イベント発生率という指標でございますが、こちらを用いた場合も先ほどの結果を支持するような結果が得られております。
続きまして、20ページ、安全性の主要成績でございます。安全性の評価結果は全体としまして、本薬群とプラセボ群において有害事象等の発現割合に大きな差異は認められなかったという結論に至っております。お示しします表は、いずれかの群で1%に認められた有害事象、副作用の発現状況となります。
以上が治験に関するデータでございます。
続きまして、22ページ目でございます。こちらは諸外国におけるモルヌピラビルのHTA状況の概況でございます。把握している範囲でNICEとPBACによる評価について情報が公開されてございます。NICEにおきましては、複数技術に関してMultiple Technology Appraisal (MTA)が実施されているところでございます。先週、11月16日にドラフトガイダンスが公開されまして、こちらで断定的なリコメンデーションとして非推奨ということが明らかになっております。
また、オーストラリアのPBACについては、年齢及びリスク別にお示しする対象患者集団で推奨が行われております。
続きまして、23ページの表は今回NICEから公表された結果の一覧となります。モルヌピラビルに関しては、英国での適用ですね。重症化リスクを有する軽症・中等症の成人患者ということですけれども、これにおいて非入院のケアセッティングにおきまして非推奨ということが暫定ガイダンスで示されております。こちらは今後、ドラフトガイダンスですので、幅広いステークホルダーを含めた議論のベースになるものでして、最終的なリコメンデーションは異なる可能性もございます。
最後に25ページ目になります。こちらは弊社で今後実施する費用対効果分析の枠組みについて、C2H及び公的分析機関の先生方と分析前協議において合意に至っているものでございます。
表で示しますような分析対象集団、比較対照技術に関しては、先ほどのNICEのMTAにおける本剤に関する設定とかなり近いものではないかと考えております。
弊社からの陳述は以上となります。御清聴ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
では、○○委員、どうぞ。
○○○委員
○○と申します。よろしくお願いします。
PBACが年齢によって推奨度を分けていますよね。これは何かオーストラリアにそういうデータがあるのですか。
○意見陳述者
我々の把握している範囲では、こちらは概略が1枚公表されているだけで、例えば費用対効果、ICERを基に何かを判定したとか、そういった事実については確認できていないので、かなり急いでといいますか、1回リビジョンがあったのですけれども、公表物からは議論の中身がよく把握できなかったということでございます。
○○○委員
少なくとも製造販売業者としては、鍵になった臨床研究で、年齢で効き目が違うというようなサブ解析とかがあるわけではないのですか。
○意見陳述者
はい。恐らく推奨の中身を見ましても、オーストラリア独特だと思うのですけれども、先住民に関する推奨が書いてあったということもありますので、総合的にオーストラリアの設定も考慮して決められたのではないかなと推測をしております。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
私も同じ質問を考えていましたが、今ので納得いたしました。ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○でございます。イギリスのドラフトガイダンスのことを御紹介いただいたのですが、推奨、非推奨の判断の根拠というのは何か示されているのか。臨床的な有効性のことなのか、費用対効果の観点なのか、それ以外のことなのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○意見陳述者
○○先生、ありがとうございます。英国のドラフトガイダンスについては、もちろん有効性については認定をいただいているという状況でございます。データの詳細はコンフィデンシャルな部分が多くあまり公開されていないのですけれども、有効性は認定されていると。ただし、これも非公開なのですけれども、今回使われた価格の設定においてはICERが閾値を上回る可能性が高いといったような記述がございまして、ICERの数値が示されている訳ではないのですけれども、そういったことから非推奨ということになると考えております。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
では、○○先生、先にお願いします。
○○○委員
1点教えてください。今回、分析の枠組みの中で、この薬剤プラス標準療法と標準療法の比較が検討される枠組みになっていますが、薬事承認時の国際第Ⅱ/Ⅲ相試験の中で、実際に対症療法というか、標準治療の治療方法としてどういうものが含まれていたのかが、提出された資料の中では拝見できなかったので、御存じの範囲でどういう治療が併用されていたのか教えていただければ幸いです。
○意見陳述者
ありがとうございます。こちらは正確を期すために開発担当の○○のほうから御説明させていただきたいと思っていますが、○○さん、可能でしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。少し根拠を見る時間があると助かるのですが、もしほかの質問がございましたら先に動かしていただけますでしょうか。その間に手元の資料を確認いたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生、いかがでしょうか。よろしいですか。
○○○委員
すぐに出ないのであれば、また実際の分析の中身で確認させていただければ十分です。臨床試験ではプラセボが対照になっていたので、実際にどういう標準治療と比較されるのかというところが気になっただけですので、詳細については、今後行われる分析結果を確認させていただくことにします。
○意見陳述者
今すぐにお答えできる中身としては、プロトコルの規定を御説明しますと、いわゆる対症療法に当たる薬の併用は可能というデザインで試験を実施しております。実際に何が使われたというところは今直ちに情報がありませんので、また今後、打合せ等ありましたらそこで対応させていただくかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいでしょうか。
その他の先生、よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。失礼いたします。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ラゲブリオカプセルに係る分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。○○先生、コメントがあればお願いできますでしょうか。
○○○委員
○○でございます。よろしくお願いいたします。
今回この試験、MOVe-OUT試験というのは中間解析が出されましたので、もう既に全部の解析が終わっておりまして、中間解析の段階では5割ぐらい入院や死亡を減らすということがあったのですけれども、最終的にはこれが3割ぐらいまで縮んでしまって、全部のランダマイズド化されたものの解析というのは中間解析の2倍ありまして、ちょっと効果がその分縮小されてきたという経緯がございます。
もう一つは、なぜそうなったかというのはよく分かっていないのですけれども、1つ興味深い論文を御紹介したいと思います。これは今年10月にオックスフォード大学が企業とは別に独立してラゲブリオの臨床研究をやったのですけれども、そのときにはオミクロン株が主流だったのです。つまり、今の解析のところはデルタ株からベータ株ぐらいですか。日本ではベータ株ははやらなかったのですけれども、その辺りを中心にやられたので、今度は今年になってからというものなので、オミクロン株を中心としてイギリスでやられた解析がございます。この場合、ラゲブリオを使っておりますが、入院や死亡は有意差なしになりました。というのは、入院、死亡というのは0.8%しか起こらなかったのです。先ほどの中間解析のところは14%程度、コントロール群、プラセボ群で起こっておりますので、そういう意味で言うとかなり株による違いが出てくるという前提がございます。今回のオックスフォードの場合はランダマイズド化されたオープンラベルですのでちょっと違いますし、ただ、背景はやはり高齢というか50歳以上、もしくは18歳以上の基礎疾患、リスク因子のある方ということですので、大体背景も似ているところで行われたものであります。
では、死亡や入院に影響を与えないなら何の価値があるのという話になると、、症状の改善を4日早くしたということと、ウイルス量を3ログ落としたというので、これはちょっと○○さんよりもいい成績だなと思うのですけれども、背景が違いますので単純には比較できませんが、このように今の中間解析で行われたものは現在のオミクロン株を含めたCOVIDの臨床とは全く別次元に進んでいるということで、これを基に将来にわたる費用対効果を検証するというのは、コロナ感染症あるいはウイルス感染症というものについては少し無理が出てきているのではないかと感じます。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
先生、新しい情報のアップデートと、あとウイルスというか感染症における費用対効果の考え方についてコメントいただきまして、ありがとうございます。
今の先生のコメントなども踏まえながら、その他の先生方、いかがでしょうか。御意見、もしくは先生に対する御質問等でもよろしいかと思います。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○でございます。
比較対照に関しまして、現在のこの分析を行う上での取り決めでは、薬価収載されていないものは分析の比較対照には基本ならないということで理解していますし、そういうことでやるしかないと思うのですが、とはいえ、治療上の位置づけが類似しているものが薬価未収載とはいえ存在していて、なおかつイギリスでの分析、まだドラフトガイダンスですが、ドラフトを見る限り、その薬価未収載のものが推奨になっていて、今回の品目は非推奨という位置づけにある中で、今回、比較対照を対症療法とした場合の費用対効果の結果を見て何か意思決定するということが、仮にそれで費用対効果がとてもいいですなどというのが出たとしましたら、果たしてそれで何らかの価格への反映なりの意思決定をしてよいものかどうか、ちょっと悩ましいところがあると思います。
ルールはルールなので、ルール上やるしかないですけれども、それに関連しての質問としては、これは事務局のほうに伺えばいいのでしょうか。ニルマトレルビル/リトナビルは、何かの理由があって今後も保険での使用が認められるものにはならないのか、あるいはこれに薬価がついて、この比較対照というような考え方になり得るのか。その辺りでもし情報などがありましたら教えていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、事務局さん、もし答えられるようでしたらお願いいたします。
○事務局
事務局でございます。貴重なご意見をいただきありがとうございます。
ニルマトレルビル/リトナビルについて、現時点で薬価収載はされていないところでございます。今後これがどのようになっていくか、また、薬価収載される可能性があるかどうかは、現時点では何とも言えないというところでございます。
また、例示として適切かどうかというところはございますが、指定区分としてH3区分、評価終了後に重要な影響を与える知見が得られると判断されたものについて指定する区分もございますが、今後必要に応じて、そういったものを含め総合的に検討されていくものと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいでしょうか。
○○○委員
分かりました。ただ、何となく、そういうものが世の中に存在しているのに、それを除外した上で分析をして何らかの意思決定をするというのは、イギリスとは違った方法の結論が出やしないかということで、ちょっとそこは懸念事項かなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
枠組みのいわゆる比較対照のところですけれども、標準治療と書いてありますね。今、○○委員はくしくも対症療法とおっしゃったのですけれども、その標準治療のところに適応を取っているものは除くとありますね。どなたに確認したらいいのか、医療課の人に確認するのがいいのかもしれないですけれども、デキサメタゾンみたいなものはそういう意味で適応になっているのでしょうか。あれを対症療法と言うのか、病態で起きた炎症を抑える治療薬と言うのか、いかがでしょうか。
○事務局
事務局でございます。
分析枠組みの内容ですので、まずは科学院のほうから御回答をいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
科学院です。
デキサメタゾンについて、保険が通っているかどうかという問題については、我々のほうでは分かりかねるところなのですが、治療の位置づけが少し異なっているのかなと思っていまして、本品、抗ウイルス薬でございますので、デキサメタゾンなどよりは手前のラインで使われるので、対症療法と言われる中にデキサメタゾンが入るかどうかというのは非常に微妙なところなのかなと考えているところです。
○○○委員
対症療法、言葉をきちんと使うという意味で言うと標準治療と言ったので、標準治療なのでしょうけれども、治療のガイドラインを見るときちんと位置づけられているし、私の認識では、デキサメタゾンも適応が通っているというふうに聞いています。それから、IL-6の抗体も同じところ位置づけられていると思うのですけれども、申し上げたいのは、IL-6のほうは高いのであれですけれども、デキサメタゾンは安いので、実臨床としては、開業医の先生なんかも簡単に手に入るということなので、取りあえず使用されるという話もお聞きしているのです。
何を申し上げたいかと言うと、適応があるものを除く標準療法を定義してしまうと、実態と乖離するのではないかなということです。何となく適応というのは抗ウイルス薬というふうに決めてかかっているようなところもあるようですけれども、もうちょっと広く適応が取れているものが、要はホストの側の炎症を抑えるという形の薬が適応になっているのではないのでしょうか。そこは確認していただきたいのですけれども、そこを踏まえた上で、適応のあるものを除くというアスタリスクのただし書きがいいのかどうか、御検討いただけたらと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、今の追加のコメントに関して何かコメントございますか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。先ほど事務局より御説明がありました資料を御覧いただければと思います。軽症、中等症でリコメンデーションが出ているもののうち、抗ウイルス薬以外ということになりますと中和抗体という形になるかと思っていますので、この中和抗体については除いている、中和抗体とその他の抗ウイルス薬については除いているというふうに整理しているところであります。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがですか。
○○○委員
○○先生もおっしゃるように、あまりこういうところに労力を使わないほうがいいのではないかと。オミクロンがこれぐらいになっているときに、そもそも臨床実態との乖離を議論するのもどうかというのはあります。今言われたようにガイドラインに沿って中等症Ⅰまでにはステロイドは使わないという整理でいくのだったら、ガイドラインに基づく枠組みにするとかというのもあるのかなと思って伺っておりました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。今の議論は、どちらかというと比較対照技術名のところの治療の適応の薬剤を除くというところでありますけれども、枠組み全体は決めて、この表現方法とかは少し科学院さんのほうで御議論いただくというのも考えられます。あと、○○先生からも少しコメントがありましたけれども、臨床実態とかデータ自体の解釈は株との対応とかもあるということですので、さらに少し議論しないといけないかなと思います。いずれにしても、ガイドラインとかも考慮すると、枠組み自体は多分こういうアプローチになるのかなと思って伺っていたのですが、この辺りについて、先生方でコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、○○委員、お願いします。お待たせしました。
○○○委員
今まで聞いた議論なのですけれども、専門の先生方に聞きたいのですけれども、確かにレムデシビルはもちろん重症にも使うことになっているのですが、事実上、プレオミクロンの段階では、初期には効くということだったと思うのです。プレオミクロンでは急速に肺の奥で増殖して全身炎症性になるから、結局はアクテムラみたいなものとかステロイドで抑えるという治療法だったと思うのですけれども、当時、初期段階ではレムデシビルが早いうちだったら効くという、そのときどうだったか知らないですけれども、そうなので、注射薬とオーラルの違いはあっても、臨床実態の抗ウイルスの考え方の効果としては、保険収載されていないいわゆるリトナブーストのニルマトレルビルはできないとしても、サブ的にレムデシビルと比較するというのはありかなという気が素人的にはしたのですけれども、専門の臨床の先生の感覚的にはどうなのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
レムデシビルを使うときはどうしても入院が1日必要になってきて、外来というか在宅でもできるのですけれども、やはりそこは患者さんの層が違ってくるのですね。自分で飲めて外来に来る人と注射しようかなという人は、1日入院してねというとかなりバイアスがかかりますので、ちょっとそこは比べにくいと思います。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○田倉委員長
いかがでしょうか。この辺りについてのコメントですが。
先ほども少し申し上げたのですが、枠組みはおそらくこのまま了承していただいて、少し詳細な点について、表現も含めて整理をしていただくしかないかなと思っているのですが、先生方の御意見はいかがでしょうか。そういう方向性でよろしいですか。変遷の早いウイルス系の薬の評価ですので、少し複雑ですが、こういった形で整理をさせていただければと思います。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の退室が確認できましたので、お願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
先生方の御意見をまとめますと、ラゲブリオカプセルに係る費用対効果評価に係る分析枠組み案を了承するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、事務局は○○委員に入室をさせてください。
(○○委員入室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の入室が確認できましたので、お願いいたします。
続きまして、ラゲブリオカプセルに係る分析枠組みについて御議論をいただきます。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
それではよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ラゲブリオカプセルに係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
ありがとうございます。それでは、陳述をさせていただきます。冒頭の目次に沿って進めさせていただきます。
スライドの番号になりますが、まず4ページを御覧ください。本剤の適応症は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でございます。病原体は動物由来のコロナウイルスでございまして、ヒト-ヒト感染可能な性質を獲得したこと、あるいは飛沫・エアロゾル感染で人から人へ感染するといったこと、また、潜伏期あるいは発症から間もない時期に感染があるという性質が市中感染の広がりやすさの原因でございまして、この点において過去に流行しましたSARSやMERSといったものとは異なると言われております。
次に5ページに参ります。国内の感染状況でございます。11月中旬現在、累計の感染者数が2340万人、死亡者が5万人近い報告がございます。グラフのとおり、現在に至るまで変異株の置き換わりを伴った感染者数の急増が繰り返されておりまして、回数を追うごとにピークの増大が見られている状況でございます。特に前回の第7波のところでは、国内のワクチン接種がこのグラフにあるとおり相当程度進んだ状態であるにもかかわらず、過去最も多い感染者数が報告されたということでございます。
続きまして、6ページ目でございます。こちらは新型コロナウイルス感染症診療の手引きからの引用でございますが、COVID-19の重症度は左側の表にありますとおり4段階に分類されておりまして、重症度別に右の表にあるようなマネジメントが推奨されてございます。その中で、本剤は抗ウイルス薬として重症化リスク因子のある軽症及び中等症Ⅰの患者への投与が推奨されております。
また、本剤は経口薬でございまして、特に患者数として大きな割合を占めます非入院の患者が診断後速やかに自宅等で服用することがしやすいというところ。そういった点で注射剤であるレムデシビルとは異なります。
また、現時点で併用禁忌あるいは併用注意となる相手の薬剤はございません。また、腎機能障害や肝機能障害のある患者さんに対しても用量調整不要ということで、同じく経口薬であるニルマトレルビル/リトナビルとは異なる性質を持ってございます。
また、感染拡大時の病床確保といった観点からも、軽症及び中等症Ⅰで推奨される経口薬は今後も引き続き高い社会的なニーズがあると考えております。
続きまして、8ページに移らせていただきます。対象品目の概要となります。本剤は、昨年12月24日、特例承認を受けまして、その後、一般流通は行われませんで、厚生労働省が所有した上で医療機関及び薬局からの依頼に基づき無償で配付されてきましたが、8月18日の薬価収載の後、9月16日より一般流通が開始されたところでございます。
薬価は類似薬効比較方式で算定されまして、有用性加算10%が適用されております。
市場規模はピーク時138億円と見込んでいることから、費用対効果評価、H1該当ということで評価対象品目として選定されております。
続きまして、9ページを御覧ください。こちらは本剤の作用機序を模式的に表した図となります。本剤はプロドラッグ体でございまして、吸収された後、まず1段階目として生体内のエステラーゼによって速やかに加水分解を受けまして、N-ヒドロキシシチジン(NHC)というものになりまして、細胞内に取り込まれた後、3番目ですけれども、リン酸化を受けまして、NHC三リン酸となります。これがウイルスの一本鎖ゲノムRNAに取り込まれた結果、ウイルスRNAの複製エラーが増加してくるということでございます。これによって、4番にありますとおり、ウイルスの増殖が阻害されるというメカニズムです。この現象はエラーカタストロフと呼ばれまして、本剤はこの現象を誘導することによって抗ウイルス活性を発現いたします。
続きまして、10ページ目でございます。こちらは本剤の活性代謝物NHCの各種変異株に対するin vitroの抗ウイルス活性をお示ししております。右の表はオミクロン株を対象とした試験でございますが、これに対しても従来株に近いEC50値を示しておりまして、ほぼ同等の抗ウイルス活性を示すことが確認されております。
また、ここにはお示ししておりませんが、現在流行中のBA.5を含む、さらに新しい変異株に対しても従来株と同等の抗ウイルス活性を有することが学術雑誌に報告されてございます。こういったことで、変異株に対しても有効性が保たれた抗ウイルス薬がCOVID-19の診療における薬物治療の選択肢として今後も重要なポジションになるのではないかと考えております。
続きまして、12ページ目を御覧ください。こちらは主たる臨床試験でございます国際共同第Ⅱ/Ⅲ試験、MOVe-OUT試験の概要でございます。本剤を投与した際の有効性、安全性を評価することを目的として行われております。本試験は18歳以上で1つ以上の重症化リスクを有する入院を必要としない軽症・中等症の患者を対象といたしました。
第Ⅱ相パートにおける包括的な評価結果に基づきまして、本剤は800mgを1日2回、5日間の経口投与という治療を選択されまして、第Ⅲ相パートが行われました。こちらは21か国146施設で実施されております。
なお、第Ⅲ相パートでは事前設定された中間解析によって早期有効性の基準を満たしたということで、外部のデータモニタリング委員会の勧告よりまして、以降の組み入れが中止されております。これによりまして、中間解析の結果が本剤の有効性、安全性に関する主たる試験成績とされました。これ以降は中間解析に関する成績をお示しいたします。
13ページ目、主要有効性評価項目でございますが、無作為化29日目までの理由を問わない全ての入院または死亡が認められた被験者の割合となります。
また、主要安全性評価項目は投与中止に至った有害事象とされました。
その他、ここにお示ししますような副次評価項目等も評価されております。
続きまして、14ページから17ページの4ページにわたって患者背景を列挙しております。背景①に関しましては性別、年齢、人種等でございますが、おおむね群間でバランスされていたという結果でございます。
患者背景②のページでは、実施地域、あるいは重症化リスク因子の割合も群間で大きな偏りが見られておりません。また、ほぼ全ての患者で1つ以上の重症化リスク因子を有していました。99%超ということでございます。
続きまして、16ページ目、患者背景③でございますが、ベースラインの重症度です。軽症が6割弱、中等症が4割強ということで、こちらも群間に大きな偏りはないということです。また、本試験は昨年、2021年に行われた試験でございまして、変異株として現在主流となっているオミクロン株は含まれておりませんで、デルタ株、ミュー株、ガンマ株といったところが多かったということでございます。また、これらの割合についても群間で偏りは見られておりません。
18ページ目が有効性の主要成績でございます。無作為化29日目までの入院または死亡でございますが、こちらは本薬群7.3%、プラセボ群14.1%でございまして、本薬群で有意に低い結果でございました。
続きまして、19ページ目は先ほどの入院または死亡のイベントに至るまでのTime-to-event解析、カプラン・マイヤー曲線でございます。こちらの指標、イベント発生率という指標でございますが、こちらを用いた場合も先ほどの結果を支持するような結果が得られております。
続きまして、20ページ、安全性の主要成績でございます。安全性の評価結果は全体としまして、本薬群とプラセボ群において有害事象等の発現割合に大きな差異は認められなかったという結論に至っております。お示しします表は、いずれかの群で1%に認められた有害事象、副作用の発現状況となります。
以上が治験に関するデータでございます。
続きまして、22ページ目でございます。こちらは諸外国におけるモルヌピラビルのHTA状況の概況でございます。把握している範囲でNICEとPBACによる評価について情報が公開されてございます。NICEにおきましては、複数技術に関してMultiple Technology Appraisal (MTA)が実施されているところでございます。先週、11月16日にドラフトガイダンスが公開されまして、こちらで断定的なリコメンデーションとして非推奨ということが明らかになっております。
また、オーストラリアのPBACについては、年齢及びリスク別にお示しする対象患者集団で推奨が行われております。
続きまして、23ページの表は今回NICEから公表された結果の一覧となります。モルヌピラビルに関しては、英国での適用ですね。重症化リスクを有する軽症・中等症の成人患者ということですけれども、これにおいて非入院のケアセッティングにおきまして非推奨ということが暫定ガイダンスで示されております。こちらは今後、ドラフトガイダンスですので、幅広いステークホルダーを含めた議論のベースになるものでして、最終的なリコメンデーションは異なる可能性もございます。
最後に25ページ目になります。こちらは弊社で今後実施する費用対効果分析の枠組みについて、C2H及び公的分析機関の先生方と分析前協議において合意に至っているものでございます。
表で示しますような分析対象集団、比較対照技術に関しては、先ほどのNICEのMTAにおける本剤に関する設定とかなり近いものではないかと考えております。
弊社からの陳述は以上となります。御清聴ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
では、○○委員、どうぞ。
○○○委員
○○と申します。よろしくお願いします。
PBACが年齢によって推奨度を分けていますよね。これは何かオーストラリアにそういうデータがあるのですか。
○意見陳述者
我々の把握している範囲では、こちらは概略が1枚公表されているだけで、例えば費用対効果、ICERを基に何かを判定したとか、そういった事実については確認できていないので、かなり急いでといいますか、1回リビジョンがあったのですけれども、公表物からは議論の中身がよく把握できなかったということでございます。
○○○委員
少なくとも製造販売業者としては、鍵になった臨床研究で、年齢で効き目が違うというようなサブ解析とかがあるわけではないのですか。
○意見陳述者
はい。恐らく推奨の中身を見ましても、オーストラリア独特だと思うのですけれども、先住民に関する推奨が書いてあったということもありますので、総合的にオーストラリアの設定も考慮して決められたのではないかなと推測をしております。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
私も同じ質問を考えていましたが、今ので納得いたしました。ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○でございます。イギリスのドラフトガイダンスのことを御紹介いただいたのですが、推奨、非推奨の判断の根拠というのは何か示されているのか。臨床的な有効性のことなのか、費用対効果の観点なのか、それ以外のことなのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○意見陳述者
○○先生、ありがとうございます。英国のドラフトガイダンスについては、もちろん有効性については認定をいただいているという状況でございます。データの詳細はコンフィデンシャルな部分が多くあまり公開されていないのですけれども、有効性は認定されていると。ただし、これも非公開なのですけれども、今回使われた価格の設定においてはICERが閾値を上回る可能性が高いといったような記述がございまして、ICERの数値が示されている訳ではないのですけれども、そういったことから非推奨ということになると考えております。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
では、○○先生、先にお願いします。
○○○委員
1点教えてください。今回、分析の枠組みの中で、この薬剤プラス標準療法と標準療法の比較が検討される枠組みになっていますが、薬事承認時の国際第Ⅱ/Ⅲ相試験の中で、実際に対症療法というか、標準治療の治療方法としてどういうものが含まれていたのかが、提出された資料の中では拝見できなかったので、御存じの範囲でどういう治療が併用されていたのか教えていただければ幸いです。
○意見陳述者
ありがとうございます。こちらは正確を期すために開発担当の○○のほうから御説明させていただきたいと思っていますが、○○さん、可能でしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。少し根拠を見る時間があると助かるのですが、もしほかの質問がございましたら先に動かしていただけますでしょうか。その間に手元の資料を確認いたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生、いかがでしょうか。よろしいですか。
○○○委員
すぐに出ないのであれば、また実際の分析の中身で確認させていただければ十分です。臨床試験ではプラセボが対照になっていたので、実際にどういう標準治療と比較されるのかというところが気になっただけですので、詳細については、今後行われる分析結果を確認させていただくことにします。
○意見陳述者
今すぐにお答えできる中身としては、プロトコルの規定を御説明しますと、いわゆる対症療法に当たる薬の併用は可能というデザインで試験を実施しております。実際に何が使われたというところは今直ちに情報がありませんので、また今後、打合せ等ありましたらそこで対応させていただくかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいでしょうか。
その他の先生、よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。失礼いたします。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ラゲブリオカプセルに係る分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。○○先生、コメントがあればお願いできますでしょうか。
○○○委員
○○でございます。よろしくお願いいたします。
今回この試験、MOVe-OUT試験というのは中間解析が出されましたので、もう既に全部の解析が終わっておりまして、中間解析の段階では5割ぐらい入院や死亡を減らすということがあったのですけれども、最終的にはこれが3割ぐらいまで縮んでしまって、全部のランダマイズド化されたものの解析というのは中間解析の2倍ありまして、ちょっと効果がその分縮小されてきたという経緯がございます。
もう一つは、なぜそうなったかというのはよく分かっていないのですけれども、1つ興味深い論文を御紹介したいと思います。これは今年10月にオックスフォード大学が企業とは別に独立してラゲブリオの臨床研究をやったのですけれども、そのときにはオミクロン株が主流だったのです。つまり、今の解析のところはデルタ株からベータ株ぐらいですか。日本ではベータ株ははやらなかったのですけれども、その辺りを中心にやられたので、今度は今年になってからというものなので、オミクロン株を中心としてイギリスでやられた解析がございます。この場合、ラゲブリオを使っておりますが、入院や死亡は有意差なしになりました。というのは、入院、死亡というのは0.8%しか起こらなかったのです。先ほどの中間解析のところは14%程度、コントロール群、プラセボ群で起こっておりますので、そういう意味で言うとかなり株による違いが出てくるという前提がございます。今回のオックスフォードの場合はランダマイズド化されたオープンラベルですのでちょっと違いますし、ただ、背景はやはり高齢というか50歳以上、もしくは18歳以上の基礎疾患、リスク因子のある方ということですので、大体背景も似ているところで行われたものであります。
では、死亡や入院に影響を与えないなら何の価値があるのという話になると、、症状の改善を4日早くしたということと、ウイルス量を3ログ落としたというので、これはちょっと○○さんよりもいい成績だなと思うのですけれども、背景が違いますので単純には比較できませんが、このように今の中間解析で行われたものは現在のオミクロン株を含めたCOVIDの臨床とは全く別次元に進んでいるということで、これを基に将来にわたる費用対効果を検証するというのは、コロナ感染症あるいはウイルス感染症というものについては少し無理が出てきているのではないかと感じます。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
先生、新しい情報のアップデートと、あとウイルスというか感染症における費用対効果の考え方についてコメントいただきまして、ありがとうございます。
今の先生のコメントなども踏まえながら、その他の先生方、いかがでしょうか。御意見、もしくは先生に対する御質問等でもよろしいかと思います。
○○委員、お願いします。
○○○委員
○○でございます。
比較対照に関しまして、現在のこの分析を行う上での取り決めでは、薬価収載されていないものは分析の比較対照には基本ならないということで理解していますし、そういうことでやるしかないと思うのですが、とはいえ、治療上の位置づけが類似しているものが薬価未収載とはいえ存在していて、なおかつイギリスでの分析、まだドラフトガイダンスですが、ドラフトを見る限り、その薬価未収載のものが推奨になっていて、今回の品目は非推奨という位置づけにある中で、今回、比較対照を対症療法とした場合の費用対効果の結果を見て何か意思決定するということが、仮にそれで費用対効果がとてもいいですなどというのが出たとしましたら、果たしてそれで何らかの価格への反映なりの意思決定をしてよいものかどうか、ちょっと悩ましいところがあると思います。
ルールはルールなので、ルール上やるしかないですけれども、それに関連しての質問としては、これは事務局のほうに伺えばいいのでしょうか。ニルマトレルビル/リトナビルは、何かの理由があって今後も保険での使用が認められるものにはならないのか、あるいはこれに薬価がついて、この比較対照というような考え方になり得るのか。その辺りでもし情報などがありましたら教えていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、事務局さん、もし答えられるようでしたらお願いいたします。
○事務局
事務局でございます。貴重なご意見をいただきありがとうございます。
ニルマトレルビル/リトナビルについて、現時点で薬価収載はされていないところでございます。今後これがどのようになっていくか、また、薬価収載される可能性があるかどうかは、現時点では何とも言えないというところでございます。
また、例示として適切かどうかというところはございますが、指定区分としてH3区分、評価終了後に重要な影響を与える知見が得られると判断されたものについて指定する区分もございますが、今後必要に応じて、そういったものを含め総合的に検討されていくものと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいでしょうか。
○○○委員
分かりました。ただ、何となく、そういうものが世の中に存在しているのに、それを除外した上で分析をして何らかの意思決定をするというのは、イギリスとは違った方法の結論が出やしないかということで、ちょっとそこは懸念事項かなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
枠組みのいわゆる比較対照のところですけれども、標準治療と書いてありますね。今、○○委員はくしくも対症療法とおっしゃったのですけれども、その標準治療のところに適応を取っているものは除くとありますね。どなたに確認したらいいのか、医療課の人に確認するのがいいのかもしれないですけれども、デキサメタゾンみたいなものはそういう意味で適応になっているのでしょうか。あれを対症療法と言うのか、病態で起きた炎症を抑える治療薬と言うのか、いかがでしょうか。
○事務局
事務局でございます。
分析枠組みの内容ですので、まずは科学院のほうから御回答をいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
科学院です。
デキサメタゾンについて、保険が通っているかどうかという問題については、我々のほうでは分かりかねるところなのですが、治療の位置づけが少し異なっているのかなと思っていまして、本品、抗ウイルス薬でございますので、デキサメタゾンなどよりは手前のラインで使われるので、対症療法と言われる中にデキサメタゾンが入るかどうかというのは非常に微妙なところなのかなと考えているところです。
○○○委員
対症療法、言葉をきちんと使うという意味で言うと標準治療と言ったので、標準治療なのでしょうけれども、治療のガイドラインを見るときちんと位置づけられているし、私の認識では、デキサメタゾンも適応が通っているというふうに聞いています。それから、IL-6の抗体も同じところ位置づけられていると思うのですけれども、申し上げたいのは、IL-6のほうは高いのであれですけれども、デキサメタゾンは安いので、実臨床としては、開業医の先生なんかも簡単に手に入るということなので、取りあえず使用されるという話もお聞きしているのです。
何を申し上げたいかと言うと、適応があるものを除く標準療法を定義してしまうと、実態と乖離するのではないかなということです。何となく適応というのは抗ウイルス薬というふうに決めてかかっているようなところもあるようですけれども、もうちょっと広く適応が取れているものが、要はホストの側の炎症を抑えるという形の薬が適応になっているのではないのでしょうか。そこは確認していただきたいのですけれども、そこを踏まえた上で、適応のあるものを除くというアスタリスクのただし書きがいいのかどうか、御検討いただけたらと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、今の追加のコメントに関して何かコメントございますか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。先ほど事務局より御説明がありました資料を御覧いただければと思います。軽症、中等症でリコメンデーションが出ているもののうち、抗ウイルス薬以外ということになりますと中和抗体という形になるかと思っていますので、この中和抗体については除いている、中和抗体とその他の抗ウイルス薬については除いているというふうに整理しているところであります。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがですか。
○○○委員
○○先生もおっしゃるように、あまりこういうところに労力を使わないほうがいいのではないかと。オミクロンがこれぐらいになっているときに、そもそも臨床実態との乖離を議論するのもどうかというのはあります。今言われたようにガイドラインに沿って中等症Ⅰまでにはステロイドは使わないという整理でいくのだったら、ガイドラインに基づく枠組みにするとかというのもあるのかなと思って伺っておりました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。今の議論は、どちらかというと比較対照技術名のところの治療の適応の薬剤を除くというところでありますけれども、枠組み全体は決めて、この表現方法とかは少し科学院さんのほうで御議論いただくというのも考えられます。あと、○○先生からも少しコメントがありましたけれども、臨床実態とかデータ自体の解釈は株との対応とかもあるということですので、さらに少し議論しないといけないかなと思います。いずれにしても、ガイドラインとかも考慮すると、枠組み自体は多分こういうアプローチになるのかなと思って伺っていたのですが、この辺りについて、先生方でコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、○○委員、お願いします。お待たせしました。
○○○委員
今まで聞いた議論なのですけれども、専門の先生方に聞きたいのですけれども、確かにレムデシビルはもちろん重症にも使うことになっているのですが、事実上、プレオミクロンの段階では、初期には効くということだったと思うのです。プレオミクロンでは急速に肺の奥で増殖して全身炎症性になるから、結局はアクテムラみたいなものとかステロイドで抑えるという治療法だったと思うのですけれども、当時、初期段階ではレムデシビルが早いうちだったら効くという、そのときどうだったか知らないですけれども、そうなので、注射薬とオーラルの違いはあっても、臨床実態の抗ウイルスの考え方の効果としては、保険収載されていないいわゆるリトナブーストのニルマトレルビルはできないとしても、サブ的にレムデシビルと比較するというのはありかなという気が素人的にはしたのですけれども、専門の臨床の先生の感覚的にはどうなのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
レムデシビルを使うときはどうしても入院が1日必要になってきて、外来というか在宅でもできるのですけれども、やはりそこは患者さんの層が違ってくるのですね。自分で飲めて外来に来る人と注射しようかなという人は、1日入院してねというとかなりバイアスがかかりますので、ちょっとそこは比べにくいと思います。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○田倉委員長
いかがでしょうか。この辺りについてのコメントですが。
先ほども少し申し上げたのですが、枠組みはおそらくこのまま了承していただいて、少し詳細な点について、表現も含めて整理をしていただくしかないかなと思っているのですが、先生方の御意見はいかがでしょうか。そういう方向性でよろしいですか。変遷の早いウイルス系の薬の評価ですので、少し複雑ですが、こういった形で整理をさせていただければと思います。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の退室が確認できましたので、お願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
先生方の御意見をまとめますと、ラゲブリオカプセルに係る費用対効果評価に係る分析枠組み案を了承するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、事務局は○○委員に入室をさせてください。
(○○委員入室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の入室が確認できましたので、お願いいたします。

