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2023年9月22日 費用対効果評価専門組織 第6回議事録
日時
令和5年9月22日13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、石原 寿光専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
議題
○ ケレンディア錠に係る総合的評価について
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
まずは「ケレンディア錠に係る総合的評価について」の御議論をいただきます。
公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について先生方に御議論をいただきたいと思います。
では、ケレンディア錠について、まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
続きまして、科学院から御説明をよろしくお願いいたします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料のほうは費用-1-2の「フィネレノンに関する公的分析の結果概要」というものを御参照ください。
めくりまして3ページ目ですけれども、こちらは諸外国の医療技術評価機関におけるフィネレノンの評価結果をまとめております。イギリス、NICEですとか、あるいはカナダ、オーストラリア等では条件つきの推奨が出されているというところであります。
一方、ドイツなどでは既存の療法に比べて追加的有用性がないというような判断が出ている。そういう国もあるという状況であります。
続いて、この「フィネレノンの追加的有用性評価」についてですけれども、5ページ目を御参照ください。
「追加的有用性の評価」ですが、心血管複合エンドポイントにつきましては追加的有用性がありだというふうに判断しておりますが、腎複合エンドポイントについては「追加的有用性なし」、あるいは「ありとは判断できない」というような結果をお示ししています。
腎複合エンドポイントについては、追加的有用性を有すると判断できる明確な根拠に欠けているけれども、心血管複合エンドポイントについては追加的有用性を有するものというふうに判断したところであります。
その根拠につきましては、6ページ目です。
まず、心血管複合エンドポイントにつきましてはFIDELITYの全体集団のデータ、あるいは日本人集団のデータを見ても、点推定値ではプラセボに対するフィネレノンの有効性、ハザード比が1を下回っているということから、追加的有用性があるものというふうに判断いたしました。
一方、7ページ目ですけれども、腎複合エンドポイントについては日本人集団のサンプルサイズというのは限られたものであり、得られた結果の不確実性は大きいということでありますが、一方でFIDELITY試験では、日本人集団において複合エンドポイントもその構成要素も一貫性を持ったハザード比が1以上であるということから、結果の一定の解釈が可能なのではないかと考えているところです。
8ページ目ですけれども、また、統合解析であるFIDELITY試験において、それらを構成する2つの無作為化比較試験においても、全体集団と比べて日本人集団におけるハザード比は一貫して大きくなっておりまして、添付文書上においても腎不全への進展効果が日本人集団よりは弱い可能性があるというような注意喚起がなされているところであります。
また、日本人集団で点推定値が1を下回っているFIDELIO-DKD試験を参照しても、得られたハザード比の点推定値というのは0.91であって、治療効果として必ずしも大きなものとは言えないというような状況になっています。
続きまして、「フィネレノンの費用対効果評価の結果について」、10ページ目ですけれども、こちらは製造販売業者による基本分析の結果となっております。先ほど事務局から御説明がありましたように、FIDELITY解析全体集団ではICERの値が約200万円であるとされているところです。
11ページ目から、公的分析における再分析の主要な点についてお示ししていきます。
まず1点目ですけれども、「ベースラインの心血管イベント既往歴に関する患者分布について」ということでありまして、製造販売業者はモデルに組み入れられた患者が心血管イベント既往のない状態で、いずれかのCKDステージの健康状態に入るということを仮定しているわけでありますが、12ページ目になりますけれども、一方でモデルのパラメータ推定の主な根拠となっているFIDELITY試験では、約半数の患者がベースライン時にCVDの既往を有していたということが報告されています。このようなCVDの既往というものを調整して解析をしたほうがいいのではないかというのがこの点であります。
2点目ですけれども、13ページ目、「腎イベントを含むパラメータの設定について」ということで、先ほど追加的有用性のところで検討させていただきましたが、日本人集団におけるデータでは、腎複合エンドポイントについては必ずしも追加的有用性を有するということが示されていないということを公的分析では評価いたしました。
このことから、モデルにおいて腎イベントに関連した治療効果のハザード比を全て1.0という形に置換して分析を実施したところであります。
15ページ目になりますけれども、こちらは「公的分析の結果」になりますが、以上、パラメータ等々を変更した結果、基本分析としてはICERが約680万円/QALYというような結果になったところであります。
16ページ目は「患者数の割合と結果のまとめ」になりますけれども、患者数の割合は100%、ICERの区分としては500万円/QALYから750万円/QALYには有用なところに所属するのではないかと考えているところです。
ただ、17ページ目以降になりますけれども、企業側からは追加的有用性の評価結果や論点(b)については同意するものの、論点(a)、つまりベースラインの心血管イベント既往歴に関する患者分布については、公的分析側の見解について御批判をいただいているところであります。
論点(a)に対する企業側の見解の紹介については、後ほど企業側から陳述していただくことになっておりますけれども、この点については企業側の見解は妥当であり、公的分析としても企業側の見解を受入れ可能であると考えております。そのため、公的分析の結果は修正が必要であるというふうに判断しているところです。
一方で、FIDELITY試験の日本人サブ解析結果では、日本人集団における各種イベントの発生リスク、特に心血管イベントの発生リスクにつきましては全体集団よりも一貫して小さい、かなり小さい値という結果が示されているところです。
この値については、18ページ目にお示ししております「FIDELITY試験における全体集団と日本人集団におけるイベント発生率の差異」という表を御参照いただければと思います。
いずれにしても、論点(a)について企業見解を受け入れた場合、提出いただいたモデルというものがFIDELITY解析集団全体集団をトレースしたものであるということから、仮に日本人集団におけるフィネレノンの相対的な有効性、ハザード比等々がFIDELITY全体集団と同一であったとしても、ベースラインのイベント発生リスクを過大に推計することになるのではないか。すなわち、費用対効果が過剰に改善しているのではないかということを懸念しておりまして、こちらは企業の見解、公的分析の見解、再検討するお時間をいただければと考えているところです。
科学院からは以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でケレンディアの総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、お願いいたします。
○意見陳述者
私、バイエル薬品の○○と申します。
本日は、意見陳述のお時間をいただきましてありがとうございます。
8月10日にいただきました公的分析の結果につきまして、弊社から意見を述べさせていただきます。
それでは、2ページ目を御覧ください。
今回の公的分析結果につきまして、弊社の行った企業分析との相違点が2つございました。
1つ目は、腎イベントを含むパラメータの設定でございます。追加的有用性の評価におきまして、弊社の分析では臨床試験の全体集団のデータを基に評価を行い、心血管複合エンドポイントと腎複合エンドポイントの2つで追加的有用性があると評価いたしましたが、公的分析では臨床試験が国際(通信不良)になりますので、日本人サブ集団のデータを考慮に入れて検討され、心血管複合エンドポイントでは追加的有用性を認めたものの、腎複合エンドポイントでは追加的有用性なし、すなわちプラセボと同等と評価されております。
サンプル数が限定的でございまして、日本人サブ集団ではプラセボ群よりも結果が悪く出ておりますけれども、公的分析の中におきましてフィネレノンの追加的有用性が認められないからと言って、一方で現時点においてフィネレノンが腎機能を悪化させることも想定し難いとの評価もいただいております。
モデル内で用いられている腎関連の有効性パラメータは、臨床試験から得られた点推定値をそのまま用いず、フィネレノンとプラセボ群の有効性が同等となるようにハザード比を1として分析していただいております。
この点につきまして、弊社も科学的に、または合理的に理解できるものと考え、この分析方法に同意いたします。
企業分析と公的分析の相違点の2つ目としましては、公的分析に用いられた臨床試験データの心血管既往歴の有無と、それに伴うCVイベント発現率の関連性についての認識でございました。
フィネレノンの第Ⅲ相臨床試験では、過去1か月に心血管の事象を発現しなかった患者が組み入れられるように設計されておりまして、臨床試験の中で治験薬の投与開始後に初めてCVイベントを発現した場合、First CVイベント、もしくは初回CVイベントとして取り扱われております。
今回の費用対効果モデルにおきましても、臨床試験データとの科学的な整合性を考慮いたしまして、企業分析におきましては当該臨床試験に組み入れられた患者の既往の有無を問わない全体集団での初回のCVイベントの発現率のデータを用いております。
一方で、FIDELITY論文の中で、心血管疾患の既往のある患者は治験参加者の45.6%いたといった記載がなされておりましたために、公的分析ではベースライン時におきましてCVの既往があったか、なかったかで層別し、既往がなかった患者には初回CVイベントの発現率を適用、ベースライン時にCV既往のあった患者にはモデル内での最初に発現するCVイベントも初回として取り扱わず、2回目以降の発現率を適用するように分析されておりました。この点につきまして、弊社として合意できないものとして今回陳述させていただきます。
口頭では少し理解しにくいかと存じましたので、次の3ページ目から詳細に説明させていただきます。
次のページを御覧ください。
こちらは、前回のケレンディア錠の専門組織Ⅱの際に、弊社から提示し、説明させていただいたものでございます。スライドの下の方にFirst CVとして説明させていただいておりますが、今回のCKDモデルにおきまして、患者は図Aからスタートし、図Aの中でのCVイベントの発現は1回目のみ観察され、1回発現した患者様は図Bに移行するような設計がなされております。
モデルに用いられている疾患ステージの移行確率や発現率などは、全てFIDELITYの全体集団のCVイベントの発現率が適用されております。
そのことを踏まえて、次の4ページを御覧ください。
ただいま説明いたしましたモデルの中での患者の動きを、上段右の枠で囲んだ中に再度示させていただいております。そして、下段に四角の枠で囲ってございますとおり、モデルのCVイベントのパラメータは臨床試験ではベースライン時のCV既往の有無にかかわらず組み入れられた患者全体でのデータで初回CV発現率が算出されておりまして、今回のモデル内の全ての患者はそれらのパラメータを適用の上、図Aから開始する条件で設定しなければなりませんでした。
言い換えれば、公的分析で実施されたようなCV既往の有無によって層別して分析するのでございましたら、CV既往の有無によって発現率等のデータも実際の患者個別のデータから計算し直して、それぞれ層別された値を適用するべきでございますが、実際にはそうでなかったために分析結果に不整合が生じております。
次のページ、5ページ目を御覧ください。
ただいまの説明を少しイメージ的にお示しするため、このような図で整理させていただきました。
左側の図ですが、丸の中で囲まれているように、ベースライン時の患者をCV既往の有無で層別化したとしても、結果的にはその矢印で示してございますようにFIDELITY全体集団から算出されたベースラインのCV既往に関連しない一律のパラメータが用いられております。
本来は、ベースライン時のCV既往による層別にて分析するのであれば、ベースライン時の割合だけでなくハザード比、発現率、または移行率なども層別して算出された値が用いられるべきでございます。
また、右にございます表は企業分析と公的分析の違いを示しておりまして、企業分析では臨床試験での患者の取扱いをそのままモデルに用いて整合性が取れておりますが、公的分析では不整合となってございますことを御理解いただければと存じます。
6ページ目を御覧ください。
最後となりますが、今回の陳述のまとめとなります。
公的分析において、腎関連のエンドポイントは追加的有用性がないものの、プラセボよりも悪くなることも考えにくいとの御判断をいただきまして、日本人サブ集団のデータを用いることはせず、プラセボと同等であるということでハザード比を1として分析することには我々企業側も同意いたします。
一方で、ベースライン時において、実際の臨床的なCV既往の有無によるベースラインでの患者分布を層別化する方法には、弊社として同意し難い部分があると考えます。これは、臨床試験の有効性パラメータがどのように算出されているかを考慮いたしますと、ベースライン時にCV既往の有無によって層別するだけでの分析手法は科学的に整合性が取れておらず、論理的ではない結果が得られてしまうのではないでしょうか。
弊社としましては、臨床試験で得られている結果に基づきまして、企業分析で行ったようなベースラインでの患者分布を用いて分析することが妥当であると考えております。万が一、ベースライン時のCV既往のみならず、パラメータを臨床試験の患者個別のデータに遡って種々のパラメータを分析し直すには、今後さらに多くの時間を要しますことも懸念いたしますので、最終的には腎イベントのハザード比を1に置き換え、CV既往を考慮しないという日本人集団の患者背景を用いた上で分析し、すなわち下の方に示させていただいておりますけれども、こちらの分析結果で御検討いただければと考えております。
以上で、弊社からの意見陳述を一旦、終わらせていただきたいと思います。
御清聴、どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
では、○○委員お願いします。
○○○委員
○○です。説明ありがとうございました。
CVイベントということなのですけれども、ベースラインで把握されている約45%に認められていたというCVと、その後のアウトカムとしてFirst CVのイベントとして発生されるCVというのは同じような定義のものなのでしょうか。
つまり、明らかな片麻痺があるような脳卒中、脳梗塞というようなものがベースラインでもアウトカムでも同じように捉えているのか、それともちょっと別の定義があるのか、そこを教えていただければと思います。
○意見陳述者
ベースライン時での組み入れ基準のアウトカムとしましては同じものを定義しておりますけれども、このFIDELITYの45.6%の発現、既往があったというところにつきましては、CV疾患のものも全て含めた、イベントも含めたものとして45.6%あったというふうに。
○○○委員
そうですか。では、アウトカムの定義と同じということなんですかね。
○意見陳述者
スクリーニング時においては、そのように。
○○○委員
そういった既往があるということなんですね。では、そういった人が明らかな脳梗塞であったら、2回目の脳梗塞がファーストイベントとして捉えられるということになるわけですか。
○意見陳述者
さようでございます。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、先生方いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして企業からの公的分析について御意見がございましたので、科学院から何か御意見等ございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど我々の方の説明でも述べさせていただきましたけれども、企業さんが問題だとおっしゃっているCV既往歴の有無に関する取扱いについては、企業さん側の見解が妥当なものだというふうに我々も認識しておりますので、その点については受け入れたいと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、当該品目について改めて御議論をお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的に確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただけますようお願い申し上げます。
御専門の先生、〇〇先生いかがでしょうか。御意見があればお願いします。
○○○委員
CVイベントが過去にあったかどうかというのは、少なくとも1か月はないということで入れていて、その前にあったか、ないかというのは、この病気とか合併症がどうして起こるかとか、そういうことを研究していく上では重要かもしれないけれども、こういった実臨床でどういうものがどういうふうに起こっているか、それに対して費用対効果はどういうことかと考えるときには、別にそれは分けなくてもいいのかなと思っているので、もう一回解析をお願いして、その結果を見て考えたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生は御欠席ですので、その他の先生方からコメント、御意見はございますでしょうか。
今回は、ベースラインの患者さんの取扱い、特に心血管イベントの取扱いの論点がありますが、これについては科学院のほうからも再度見直しをしたいというようなお話でもありました。組織としては丁寧な議論をしていくためにも、もう一度御専門の方に見ていただくということは意味があると思って伺っております。
○○先生、どうぞ。
○○○委員
公的分析による再解析が行われるときは、CVの既往ありなしで発生率を分けずに、CVの既往は無視して全体の発生率で解析が行われるという理解なのですけれども、それは層別のデータが入手できないからという理由でしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先生がおっしゃるとおりで、FIDELITY全体の試験から導き出された推移確率、モデル上のパラメータしか我々は現在持っていないところでして、そこは日本人のほうがリスクが低いんですけれども、それを反映させた具体的な数値を入れ込むということがなかなか難しい状況なのですが、一方でそのことによって費用対効果を少し過剰に推計しているのではないかという懸念は我々も持っていますので、その辺りは少し検討させていただいて、こちらでも知恵を絞りたいなと考えているところです。
○○○委員
ありがとうございます。
企業さん側は、全体の値でいいというようなことはおっしゃっていましたので、そこは合意されているものだと理解をしました。ありがとうございます。
そういう理解でよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
全体の集団のデータを使うしかないという点は同意しているのですが、ただ、それをそのまま使ってモデルに入れていいのか、どういうふうに検討したらいいかというのは、一旦引き取らせていただいて検討させていただければと考えているところです。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、先生いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、科学院さんから追加でどうぞ。
○国立保健医療科学院
科学院のほうから臨床の先生方に少しお伺いしたい点がありまして、このケレンディア錠につきましては企業の側も腎複合エンドポイント、つまり腎保護効果についてはプラセボと変わりないと、日本人集団においては追加的有用性を有しないということを合意しているということになっているのですけれども、公的分析においてはCVイベントについては差がついているので、フィネレノン全体として追加的有用性を認めているというような判断をさせていただいているところなのですが、一方でCKDの患者さんに投与する薬なのに腎保護効果がないというものを臨床上どう考えたらいいのか。
そういうことをもって、追加的有用性をどう評価していいのかというのは非常に悩んだところなのですけれども、その辺りでCKDの患者さんなのに腎保護効果がない医薬品というのをどう評価したらいいのか、どう判断したらいいのかということについて、もし臨床の先生からコメントをいただければと思ったりするのですけれども。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お答えできる範囲でお願いいたします。
○○○委員
そうなんですよね。そこが何ともすっきりしないというか、やはり腎症の進展を抑えるような薬はほとんどない中で期待してはいたのですけれども、これは日本人に対してはあまり芳しいデータでなくて、臨床の現場では全体としての評判はあまり高まらなかったかなというところなんです。
心臓のほうはいろいろな薬も出てきているし、そちらを使えばいいし、これは追加的には少しあるから、まあ使おうかというところもあるけれども、やはり腎臓に対する期待ということであって、効能効果のところにあのような書き方がされている中で、現場では評価が物すごく高くなっていくような感じではなくて、むしろ今はSGLT2阻害薬のほうが腎症に対する効果がいいのではないかとか、そういうような感じのほうが強いので、この薬全体として追加的有用性があるというのはちょっと違和感があるかなという気はします。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、いかがですか。よろしいですか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。大丈夫です。
○費用対効果評価専門組織委員長
臨床現場の見方という点については、さらに伝わってきたと思って伺っておりました。
その他の先生方はよろしいですか。よろしければ議決のほうに入らせていただきます。
それでは、議決に入らせていただきますので、○○委員、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退席)
○費用対効果評価専門組織委員長
では、先生方の御意見を参考に、ケレンディアに関する費用対効果評価については追加分析を必要とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、ベースラインの心血管イベント既往歴の取扱いなどを中心に、公的分析による追加分析を実施するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析は追加分析を実施した上で、速やかに報告書を次回10月27日の費用対効果評価専門組織に提出するということでよろしくお願いいたします。皆様方、こちらもこれでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては委員長に一任していただくということで、こちらもお願いいたします。ありがとうございます。
まずは「ケレンディア錠に係る総合的評価について」の御議論をいただきます。
公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について先生方に御議論をいただきたいと思います。
では、ケレンディア錠について、まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
続きまして、科学院から御説明をよろしくお願いいたします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料のほうは費用-1-2の「フィネレノンに関する公的分析の結果概要」というものを御参照ください。
めくりまして3ページ目ですけれども、こちらは諸外国の医療技術評価機関におけるフィネレノンの評価結果をまとめております。イギリス、NICEですとか、あるいはカナダ、オーストラリア等では条件つきの推奨が出されているというところであります。
一方、ドイツなどでは既存の療法に比べて追加的有用性がないというような判断が出ている。そういう国もあるという状況であります。
続いて、この「フィネレノンの追加的有用性評価」についてですけれども、5ページ目を御参照ください。
「追加的有用性の評価」ですが、心血管複合エンドポイントにつきましては追加的有用性がありだというふうに判断しておりますが、腎複合エンドポイントについては「追加的有用性なし」、あるいは「ありとは判断できない」というような結果をお示ししています。
腎複合エンドポイントについては、追加的有用性を有すると判断できる明確な根拠に欠けているけれども、心血管複合エンドポイントについては追加的有用性を有するものというふうに判断したところであります。
その根拠につきましては、6ページ目です。
まず、心血管複合エンドポイントにつきましてはFIDELITYの全体集団のデータ、あるいは日本人集団のデータを見ても、点推定値ではプラセボに対するフィネレノンの有効性、ハザード比が1を下回っているということから、追加的有用性があるものというふうに判断いたしました。
一方、7ページ目ですけれども、腎複合エンドポイントについては日本人集団のサンプルサイズというのは限られたものであり、得られた結果の不確実性は大きいということでありますが、一方でFIDELITY試験では、日本人集団において複合エンドポイントもその構成要素も一貫性を持ったハザード比が1以上であるということから、結果の一定の解釈が可能なのではないかと考えているところです。
8ページ目ですけれども、また、統合解析であるFIDELITY試験において、それらを構成する2つの無作為化比較試験においても、全体集団と比べて日本人集団におけるハザード比は一貫して大きくなっておりまして、添付文書上においても腎不全への進展効果が日本人集団よりは弱い可能性があるというような注意喚起がなされているところであります。
また、日本人集団で点推定値が1を下回っているFIDELIO-DKD試験を参照しても、得られたハザード比の点推定値というのは0.91であって、治療効果として必ずしも大きなものとは言えないというような状況になっています。
続きまして、「フィネレノンの費用対効果評価の結果について」、10ページ目ですけれども、こちらは製造販売業者による基本分析の結果となっております。先ほど事務局から御説明がありましたように、FIDELITY解析全体集団ではICERの値が約200万円であるとされているところです。
11ページ目から、公的分析における再分析の主要な点についてお示ししていきます。
まず1点目ですけれども、「ベースラインの心血管イベント既往歴に関する患者分布について」ということでありまして、製造販売業者はモデルに組み入れられた患者が心血管イベント既往のない状態で、いずれかのCKDステージの健康状態に入るということを仮定しているわけでありますが、12ページ目になりますけれども、一方でモデルのパラメータ推定の主な根拠となっているFIDELITY試験では、約半数の患者がベースライン時にCVDの既往を有していたということが報告されています。このようなCVDの既往というものを調整して解析をしたほうがいいのではないかというのがこの点であります。
2点目ですけれども、13ページ目、「腎イベントを含むパラメータの設定について」ということで、先ほど追加的有用性のところで検討させていただきましたが、日本人集団におけるデータでは、腎複合エンドポイントについては必ずしも追加的有用性を有するということが示されていないということを公的分析では評価いたしました。
このことから、モデルにおいて腎イベントに関連した治療効果のハザード比を全て1.0という形に置換して分析を実施したところであります。
15ページ目になりますけれども、こちらは「公的分析の結果」になりますが、以上、パラメータ等々を変更した結果、基本分析としてはICERが約680万円/QALYというような結果になったところであります。
16ページ目は「患者数の割合と結果のまとめ」になりますけれども、患者数の割合は100%、ICERの区分としては500万円/QALYから750万円/QALYには有用なところに所属するのではないかと考えているところです。
ただ、17ページ目以降になりますけれども、企業側からは追加的有用性の評価結果や論点(b)については同意するものの、論点(a)、つまりベースラインの心血管イベント既往歴に関する患者分布については、公的分析側の見解について御批判をいただいているところであります。
論点(a)に対する企業側の見解の紹介については、後ほど企業側から陳述していただくことになっておりますけれども、この点については企業側の見解は妥当であり、公的分析としても企業側の見解を受入れ可能であると考えております。そのため、公的分析の結果は修正が必要であるというふうに判断しているところです。
一方で、FIDELITY試験の日本人サブ解析結果では、日本人集団における各種イベントの発生リスク、特に心血管イベントの発生リスクにつきましては全体集団よりも一貫して小さい、かなり小さい値という結果が示されているところです。
この値については、18ページ目にお示ししております「FIDELITY試験における全体集団と日本人集団におけるイベント発生率の差異」という表を御参照いただければと思います。
いずれにしても、論点(a)について企業見解を受け入れた場合、提出いただいたモデルというものがFIDELITY解析集団全体集団をトレースしたものであるということから、仮に日本人集団におけるフィネレノンの相対的な有効性、ハザード比等々がFIDELITY全体集団と同一であったとしても、ベースラインのイベント発生リスクを過大に推計することになるのではないか。すなわち、費用対効果が過剰に改善しているのではないかということを懸念しておりまして、こちらは企業の見解、公的分析の見解、再検討するお時間をいただければと考えているところです。
科学院からは以上になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でケレンディアの総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、お願いいたします。
○意見陳述者
私、バイエル薬品の○○と申します。
本日は、意見陳述のお時間をいただきましてありがとうございます。
8月10日にいただきました公的分析の結果につきまして、弊社から意見を述べさせていただきます。
それでは、2ページ目を御覧ください。
今回の公的分析結果につきまして、弊社の行った企業分析との相違点が2つございました。
1つ目は、腎イベントを含むパラメータの設定でございます。追加的有用性の評価におきまして、弊社の分析では臨床試験の全体集団のデータを基に評価を行い、心血管複合エンドポイントと腎複合エンドポイントの2つで追加的有用性があると評価いたしましたが、公的分析では臨床試験が国際(通信不良)になりますので、日本人サブ集団のデータを考慮に入れて検討され、心血管複合エンドポイントでは追加的有用性を認めたものの、腎複合エンドポイントでは追加的有用性なし、すなわちプラセボと同等と評価されております。
サンプル数が限定的でございまして、日本人サブ集団ではプラセボ群よりも結果が悪く出ておりますけれども、公的分析の中におきましてフィネレノンの追加的有用性が認められないからと言って、一方で現時点においてフィネレノンが腎機能を悪化させることも想定し難いとの評価もいただいております。
モデル内で用いられている腎関連の有効性パラメータは、臨床試験から得られた点推定値をそのまま用いず、フィネレノンとプラセボ群の有効性が同等となるようにハザード比を1として分析していただいております。
この点につきまして、弊社も科学的に、または合理的に理解できるものと考え、この分析方法に同意いたします。
企業分析と公的分析の相違点の2つ目としましては、公的分析に用いられた臨床試験データの心血管既往歴の有無と、それに伴うCVイベント発現率の関連性についての認識でございました。
フィネレノンの第Ⅲ相臨床試験では、過去1か月に心血管の事象を発現しなかった患者が組み入れられるように設計されておりまして、臨床試験の中で治験薬の投与開始後に初めてCVイベントを発現した場合、First CVイベント、もしくは初回CVイベントとして取り扱われております。
今回の費用対効果モデルにおきましても、臨床試験データとの科学的な整合性を考慮いたしまして、企業分析におきましては当該臨床試験に組み入れられた患者の既往の有無を問わない全体集団での初回のCVイベントの発現率のデータを用いております。
一方で、FIDELITY論文の中で、心血管疾患の既往のある患者は治験参加者の45.6%いたといった記載がなされておりましたために、公的分析ではベースライン時におきましてCVの既往があったか、なかったかで層別し、既往がなかった患者には初回CVイベントの発現率を適用、ベースライン時にCV既往のあった患者にはモデル内での最初に発現するCVイベントも初回として取り扱わず、2回目以降の発現率を適用するように分析されておりました。この点につきまして、弊社として合意できないものとして今回陳述させていただきます。
口頭では少し理解しにくいかと存じましたので、次の3ページ目から詳細に説明させていただきます。
次のページを御覧ください。
こちらは、前回のケレンディア錠の専門組織Ⅱの際に、弊社から提示し、説明させていただいたものでございます。スライドの下の方にFirst CVとして説明させていただいておりますが、今回のCKDモデルにおきまして、患者は図Aからスタートし、図Aの中でのCVイベントの発現は1回目のみ観察され、1回発現した患者様は図Bに移行するような設計がなされております。
モデルに用いられている疾患ステージの移行確率や発現率などは、全てFIDELITYの全体集団のCVイベントの発現率が適用されております。
そのことを踏まえて、次の4ページを御覧ください。
ただいま説明いたしましたモデルの中での患者の動きを、上段右の枠で囲んだ中に再度示させていただいております。そして、下段に四角の枠で囲ってございますとおり、モデルのCVイベントのパラメータは臨床試験ではベースライン時のCV既往の有無にかかわらず組み入れられた患者全体でのデータで初回CV発現率が算出されておりまして、今回のモデル内の全ての患者はそれらのパラメータを適用の上、図Aから開始する条件で設定しなければなりませんでした。
言い換えれば、公的分析で実施されたようなCV既往の有無によって層別して分析するのでございましたら、CV既往の有無によって発現率等のデータも実際の患者個別のデータから計算し直して、それぞれ層別された値を適用するべきでございますが、実際にはそうでなかったために分析結果に不整合が生じております。
次のページ、5ページ目を御覧ください。
ただいまの説明を少しイメージ的にお示しするため、このような図で整理させていただきました。
左側の図ですが、丸の中で囲まれているように、ベースライン時の患者をCV既往の有無で層別化したとしても、結果的にはその矢印で示してございますようにFIDELITY全体集団から算出されたベースラインのCV既往に関連しない一律のパラメータが用いられております。
本来は、ベースライン時のCV既往による層別にて分析するのであれば、ベースライン時の割合だけでなくハザード比、発現率、または移行率なども層別して算出された値が用いられるべきでございます。
また、右にございます表は企業分析と公的分析の違いを示しておりまして、企業分析では臨床試験での患者の取扱いをそのままモデルに用いて整合性が取れておりますが、公的分析では不整合となってございますことを御理解いただければと存じます。
6ページ目を御覧ください。
最後となりますが、今回の陳述のまとめとなります。
公的分析において、腎関連のエンドポイントは追加的有用性がないものの、プラセボよりも悪くなることも考えにくいとの御判断をいただきまして、日本人サブ集団のデータを用いることはせず、プラセボと同等であるということでハザード比を1として分析することには我々企業側も同意いたします。
一方で、ベースライン時において、実際の臨床的なCV既往の有無によるベースラインでの患者分布を層別化する方法には、弊社として同意し難い部分があると考えます。これは、臨床試験の有効性パラメータがどのように算出されているかを考慮いたしますと、ベースライン時にCV既往の有無によって層別するだけでの分析手法は科学的に整合性が取れておらず、論理的ではない結果が得られてしまうのではないでしょうか。
弊社としましては、臨床試験で得られている結果に基づきまして、企業分析で行ったようなベースラインでの患者分布を用いて分析することが妥当であると考えております。万が一、ベースライン時のCV既往のみならず、パラメータを臨床試験の患者個別のデータに遡って種々のパラメータを分析し直すには、今後さらに多くの時間を要しますことも懸念いたしますので、最終的には腎イベントのハザード比を1に置き換え、CV既往を考慮しないという日本人集団の患者背景を用いた上で分析し、すなわち下の方に示させていただいておりますけれども、こちらの分析結果で御検討いただければと考えております。
以上で、弊社からの意見陳述を一旦、終わらせていただきたいと思います。
御清聴、どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
では、○○委員お願いします。
○○○委員
○○です。説明ありがとうございました。
CVイベントということなのですけれども、ベースラインで把握されている約45%に認められていたというCVと、その後のアウトカムとしてFirst CVのイベントとして発生されるCVというのは同じような定義のものなのでしょうか。
つまり、明らかな片麻痺があるような脳卒中、脳梗塞というようなものがベースラインでもアウトカムでも同じように捉えているのか、それともちょっと別の定義があるのか、そこを教えていただければと思います。
○意見陳述者
ベースライン時での組み入れ基準のアウトカムとしましては同じものを定義しておりますけれども、このFIDELITYの45.6%の発現、既往があったというところにつきましては、CV疾患のものも全て含めた、イベントも含めたものとして45.6%あったというふうに。
○○○委員
そうですか。では、アウトカムの定義と同じということなんですかね。
○意見陳述者
スクリーニング時においては、そのように。
○○○委員
そういった既往があるということなんですね。では、そういった人が明らかな脳梗塞であったら、2回目の脳梗塞がファーストイベントとして捉えられるということになるわけですか。
○意見陳述者
さようでございます。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、先生方いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして企業からの公的分析について御意見がございましたので、科学院から何か御意見等ございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど我々の方の説明でも述べさせていただきましたけれども、企業さんが問題だとおっしゃっているCV既往歴の有無に関する取扱いについては、企業さん側の見解が妥当なものだというふうに我々も認識しておりますので、その点については受け入れたいと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、当該品目について改めて御議論をお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的に確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただけますようお願い申し上げます。
御専門の先生、〇〇先生いかがでしょうか。御意見があればお願いします。
○○○委員
CVイベントが過去にあったかどうかというのは、少なくとも1か月はないということで入れていて、その前にあったか、ないかというのは、この病気とか合併症がどうして起こるかとか、そういうことを研究していく上では重要かもしれないけれども、こういった実臨床でどういうものがどういうふうに起こっているか、それに対して費用対効果はどういうことかと考えるときには、別にそれは分けなくてもいいのかなと思っているので、もう一回解析をお願いして、その結果を見て考えたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生は御欠席ですので、その他の先生方からコメント、御意見はございますでしょうか。
今回は、ベースラインの患者さんの取扱い、特に心血管イベントの取扱いの論点がありますが、これについては科学院のほうからも再度見直しをしたいというようなお話でもありました。組織としては丁寧な議論をしていくためにも、もう一度御専門の方に見ていただくということは意味があると思って伺っております。
○○先生、どうぞ。
○○○委員
公的分析による再解析が行われるときは、CVの既往ありなしで発生率を分けずに、CVの既往は無視して全体の発生率で解析が行われるという理解なのですけれども、それは層別のデータが入手できないからという理由でしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先生がおっしゃるとおりで、FIDELITY全体の試験から導き出された推移確率、モデル上のパラメータしか我々は現在持っていないところでして、そこは日本人のほうがリスクが低いんですけれども、それを反映させた具体的な数値を入れ込むということがなかなか難しい状況なのですが、一方でそのことによって費用対効果を少し過剰に推計しているのではないかという懸念は我々も持っていますので、その辺りは少し検討させていただいて、こちらでも知恵を絞りたいなと考えているところです。
○○○委員
ありがとうございます。
企業さん側は、全体の値でいいというようなことはおっしゃっていましたので、そこは合意されているものだと理解をしました。ありがとうございます。
そういう理解でよろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
全体の集団のデータを使うしかないという点は同意しているのですが、ただ、それをそのまま使ってモデルに入れていいのか、どういうふうに検討したらいいかというのは、一旦引き取らせていただいて検討させていただければと考えているところです。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、先生いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、科学院さんから追加でどうぞ。
○国立保健医療科学院
科学院のほうから臨床の先生方に少しお伺いしたい点がありまして、このケレンディア錠につきましては企業の側も腎複合エンドポイント、つまり腎保護効果についてはプラセボと変わりないと、日本人集団においては追加的有用性を有しないということを合意しているということになっているのですけれども、公的分析においてはCVイベントについては差がついているので、フィネレノン全体として追加的有用性を認めているというような判断をさせていただいているところなのですが、一方でCKDの患者さんに投与する薬なのに腎保護効果がないというものを臨床上どう考えたらいいのか。
そういうことをもって、追加的有用性をどう評価していいのかというのは非常に悩んだところなのですけれども、その辺りでCKDの患者さんなのに腎保護効果がない医薬品というのをどう評価したらいいのか、どう判断したらいいのかということについて、もし臨床の先生からコメントをいただければと思ったりするのですけれども。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お答えできる範囲でお願いいたします。
○○○委員
そうなんですよね。そこが何ともすっきりしないというか、やはり腎症の進展を抑えるような薬はほとんどない中で期待してはいたのですけれども、これは日本人に対してはあまり芳しいデータでなくて、臨床の現場では全体としての評判はあまり高まらなかったかなというところなんです。
心臓のほうはいろいろな薬も出てきているし、そちらを使えばいいし、これは追加的には少しあるから、まあ使おうかというところもあるけれども、やはり腎臓に対する期待ということであって、効能効果のところにあのような書き方がされている中で、現場では評価が物すごく高くなっていくような感じではなくて、むしろ今はSGLT2阻害薬のほうが腎症に対する効果がいいのではないかとか、そういうような感じのほうが強いので、この薬全体として追加的有用性があるというのはちょっと違和感があるかなという気はします。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、いかがですか。よろしいですか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。大丈夫です。
○費用対効果評価専門組織委員長
臨床現場の見方という点については、さらに伝わってきたと思って伺っておりました。
その他の先生方はよろしいですか。よろしければ議決のほうに入らせていただきます。
それでは、議決に入らせていただきますので、○○委員、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員、○○委員退席)
○費用対効果評価専門組織委員長
では、先生方の御意見を参考に、ケレンディアに関する費用対効果評価については追加分析を必要とするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、ベースラインの心血管イベント既往歴の取扱いなどを中心に、公的分析による追加分析を実施するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析は追加分析を実施した上で、速やかに報告書を次回10月27日の費用対効果評価専門組織に提出するということでよろしくお願いいたします。皆様方、こちらもこれでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては委員長に一任していただくということで、こちらもお願いいたします。ありがとうございます。

