2025年11月28日 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(医療機関等における消費税負担に関する分科会) 第26回議事録

日時

令和7年11月28日(金)9:00~

場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

出席者

構成員等
  • 飯塚敏晃分科会長
  • 野口晴子委員
  • 安部和彦委員
  • 川原丈貴委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 佐保昌一委員
  • 間利子晃一委員
  • 鈴木順三委員
  • 伊藤徳宇委員
  • 長島公之委員
  • 宮川政昭委員
  • 川瀬弘一委員
  • 須田雅人委員
  • 寺島多実子委員
  • 豊見敦委員
  • 尾形龍紀委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 控除対象外消費税の診療報酬による補てん状況の把握等について

議事

○飯塚分科会長
ただいまより、第26回「診療報酬調査専門組織 医療機関等における消費税負担に関する分科会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
ここで、前回の令和7年10月8日の開催の後、委員におきまして異動がございました。
1号側委員ですが、佐保昌一委員におかれましては11月18日付で退任され、後任として永井幸子委員が11月19日付で発令されております。
続きまして、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、枝廣委員が御欠席です。
では、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「控除対象外消費税の診療報酬による補てん状況の把握等について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
まず、診調組 税-1を御覧いただければと思います。
おめくりいただきまして2ページになりますが、前回の分科会において消費税補てん状況の把握についてということでお諮りをして、お認めいただいたこの手法に基づきまして、今回御報告をするということになっております。
4ページを御覧いただければと思います。
具体的な補てん状況の把握方法について改めまして御説明したいと思います。
まず、消費税に係る支出ということでありますが、先日公表いたしました第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)に回答いただきました医療機関等を対象としまして、それらの令和5年度、6年度の課税対象経費、ここについては5%から10%分ということで、平成26年度以降の対応分というところの把握になりますので、そちらを使用しているということでございます。
収入につきましては、NDBを用いまして、それらの医療機関についての消費税上乗せ項目の算定回数を抽出するという形によって合計を算出しているということでございます。令和6年度改定により改正されている項目につきましては、改定前の同様の項目と同程度の上乗せ点数が含まれるものとしているということになっております。
それから、その他のほうに行きますと、医療機関等種別ごとの平均補てん率を算出するに当たっての計算の仕方であります。病院は病院種別ごとの施設数による加重平均、一般診療所は有床診かどうかということによる加重平均、それぞれの種別につきまして加重平均を行っているというようなことを記載してございます。
次の5ページを御覧いただければと思います。
この補てん状況の把握に関しての留意点というものを幾つか御紹介したいと思います。
まず、支出については医療経済実態調査ということで2年に1度実施しているもの、抽出調査を基にしておりますので、調査ごとに対象医療機関等は異なるということでございます。収入についてもそれらの医療機関を対象にしているということになります。
その次の○でありますけれども、診療報酬による補てんについては個々の医療機関等ごとに消費税負担が異なる状況を踏まえつつ、類型ごとに平均的な医療機関等について補てんできるように配点しているということでありますけれども、改定後の時間の経過とともにそういった状況が変化していく。それから、初・再診料等の算定回数も変化するということであります。
3つ目の○でありますけれども、消費税分を上乗せした項目の一部というのはその後の通常の改定の中で改定されております。その中で、その次の○にもありますけれども、プラス改定といったものを本体に引き続いてやっているわけですけれども、計算上はそこを例えば令和2年度の0.55というのを掛けるといったことはしておりませんでして、そういったところには一定の留意点が必要かなというところを御紹介させていただきます。
その上で6ページを御覧いただければと思いますけれども、まず全体ということで補てん状況把握結果を御紹介しております。
(A)と書いてありますのが報酬の上乗せ分、(B)と書いてありますのが消費税の相当負担額ということでありまして、これらの差額、プラスの場合、マイナスの場合がございます。それらを割り算したものがこの補てん率となっております。
上の段が令和6年度、下の段が令和5年度でありまして、令和6年度、直近の数字で御紹介申し上げますと、医科全体でいいますと補てん率というものが101.5%、その中でも病院が104.9%、一般診療所は93.5%となっているということであります。歯科診療所につきましては90.1%、保険薬局については103.7%という数字が出たということでございます。
7ページ以降、例えば病院について種別ごとの補てん率の把握結果というものを御紹介してございます。
8ページは開設主体別とか、その後、DPCかどうか、それから、届出入院基本料別といったものが以降続いてまいります。
14ページに行っていただきますと、今度は一般診療所につきまして個人か医療法人等ということで、そちらの結果について掲載してございます。
15ページが歯科診療所、同様の切り口で御覧いただいているということになります。
16ページ、保険薬局についても同様に個人、法人ということで掲載をしてございます。
その上で、税-2のほうに移っていきたいと思います。
税-2、まず下のほうの表、先ほどの資料と同じようなものでありますけれども、一番右側、全体補てん率というところがございます。これらの各種別ごとのものをそれぞれの課税経費率などを掛け合わせて、いわゆるマクロの全体補てん率ということで算出したものでございまして、令和6年度が100.3%、それから、令和5年度に戻りますが103.1%という数字をこちらに掲載してございます。
上側の箱のほうを御説明させていただきたいと思いますけれども、令和7年度の第25回医療経済実態調査に回答いただいた医療機関、これらを対象としまして、消費税負担の診療報酬の補てん状況を把握しました。これら全体の補てん率を計算いたしますと、令和5年度が103.1%、令和6年度が100.3%という形で100%近傍となったという結果を得ております。このため、令和8年度診療報酬改定、今回の改定の中において診療報酬の上乗せ点数の見直しについては行わないこととしてはどうかというのが1つ目の点でございます。
その一方で、令和元年に行われた消費税率10%への引上げ以降、診療報酬改定を重ねてきております。先ほども御説明したとおり、3回の改定を挟んでおります。そういった中で、補てんの把握という制度といったところについてもいろいろと論点があるかと思いますけれども、今後も補てん状況の把握、そういったものを行っていくべきなのかどうか、行う場合に他のやり方はあるのかどうか、どのように把握を行うのか、それから、この間指摘されております個別の医療機関間でのバラつき、そういったものに対応できる診療報酬上の対応の方法があるのかといったことにつきまして、引き続き議論を行うこととしてはどうかということで御提案を申し上げている次第でございます。
事務局からの説明は一旦以上でございます。
○飯塚分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明について何か御質問などがございましたらお願いします。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員
日本医師会の宮川でございます。
まず、文脈について御指摘したいと考えてございます。資料の税-2の2つ目の○は最後に持っていくのが本筋ではないでしょうか。つまり、3つ目の○の下のほうに、この事項が全て検討された後に、どうかと投げかけるのが本筋ではないでしょうか。つまり、そのようなことがしっかりと検討されるということをお約束された後に、行わないこととしてはどうかと書かれるのが本筋だろうと私は考えておりますけれども、これは微細なことだと考えてございます。
一般診療所の上乗せ率は、前回の調査で令和3年度が87%、令和4年度が89.5%、今回の調査で令和5年度が96.8%、令和6年度が93.5%と補てん不足が続いております。さらに、法人立の一般診療所においては特に補てん率が大きくマイナスの状況が続いているということを認識しております。
したがって、今回事務局の対応案を了承するにしても、今後は資料税-1に示されているような医療機関等の各区分での補てん率が100%に近づくよう、しっかりと検討していく必要があろうかなと考えてございます。特に物価高騰を含めていろいろな因子がそこに存在するということを考えて、それが大きく影響している可能性もあるということを考えれば、もっと詳細に考えていかなくてはいけないと考えてございます。
資料の税-2の3つ目の○ですが、これらについて引き続き検討を行うことはもちろん異存ありません。1つ目の今後の補てん状況の把握を行うべきかという点について、今後も疑う余地なく必要であると考えてございますので、しっかりと検討していただきたいと考えてございます。
また、3つ目のポツには個別の医療機関間でのバラつきとあります。税-1に示されているような医療機関の機能別等の種別ごとのバラつきの是正についても、今後、当然ここに含めてしっかりと研究していただくことが必要であろうと。しかしながら、ずっと引き続き検討する、検討すると言っても、その検討の中身がしっかりと示されておられないということが非常に問題だろうと考えてございます。バラつきの是正については大変難しい課題があるということは重々承知をしております。そのところは分かりますけれども、その内容がつまびらかでないと私たちも一緒に検討することができないわけです。ですから、まず事務局で検討し、それをしっかりとこの場で提案していただくことが必要であると思いますので、ぜひそのことをここで示していきたいと考えてございます。
私からは以上ですけれども、引き続き長島委員からの発言をお許しいただきたいと思います。
○長島委員
長島でございます。
前回も申し上げましたけれども、医療機関の危機的な経営状況もある中で、消費税の負担の中でも特に高額な投資の際のキャッシュフローの悪化は喫緊の課題です。したがって、医療機関の高額な投資に対する何らかの手当てを国において至急別途検討することが必要と思います。この分科会のミッションの範囲には必ずしも収まらない方策、医療保険制度以外の対応も含めて、厚生労働省として改めて検討していただきたいと強く要望いたします。
事務局への質問です。3つ目の○については「引き続き議論を行うこととしてはどうか」とありますが、近年のこの分科会は診療報酬改定前に2回開催されるにとどまっています。このようなスケジュールでは、とてもしっかりと検討することはできないと考えております。現時点で事務局としてはいつ頃からどのような頻度でこの分科会での議論を行うことを考えているのでしょうか。ここに記載されているバラつきの問題を含め、様々な課題をしっかり検討できるようなスケジュールで開催していただきたいと希望しています。
私からは以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
御質問いただきましたけれども、事務局からお願いします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
今の長島委員からの御質問でありますけれども、まず現状の調査の把握というのは実調の結果が出てからでないとなかなか難しいというスケジュール上の制約がございます。他方で実調のスケジュールは、これまでのところからいうと、これを前倒すというのは経営状況の直近の把握というところの難しさとの兼ね合いもあると思います。そういった意味で、少しそういった制約もある中ではありますけれども、これまで確かに2回程度の御議論の中でこういう形の対応をお決めいただいているということにつきましては御指摘のとおりかと思いますので、もう少しどういった対応ができるかということについては検討したいと考えております。
その上で、宮川委員からの御指摘にも関連するかと思いますけれども、8年度改定の取扱いというところはもちろん一つの論点としてございます。その上で、この3つ目の○の論点というのは大変難しい論点であると思っておりまして、ここからさらに改定の議論が本格化する中で、この点を短期間の中でさらに詰めていくというのはなかなか難しいのかなと思っております。そういったこともありますので、8年度改定の対応はそれはそれとしてお決めいただくといった上で、その後、改定の議論が一段落しましたら、できるだけ速やかに3点目の論点について御議論いただくような場をつくっていくというのが現実的ではないかなと考えているところでございます。
以上でございます。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
令和8年度診療報酬改定に関してもあまり期間がないということは理解しますけれども、またしっかり時間もかけて丁寧に検討すべきこともあるので、そこのところはしっかりとそれはそれとしてスケジュールをつくっていただきたいと思います。
私からは以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員
宮川でございます。
今、長島委員がお話ししましたけれども、実調の値が出るというのはその年度の話ですね。しかしながら、このような精緻化をするというのは、前々から問題があったことをどのように考えていくのかということをしっかりと検討するということですので、殊さらそれは実調の数字が出てからということは、私は納得できない。その中の精緻化をするということは、どのようなことが過去にあったのかということをしっかりと調べて検討するという形なので、それは年度のどこの時期であってもできることなので、その言葉はおかしいのではないかなと私は考えますので、しっかりとやり方を皆さんで検討していくことが必要であろうかなと考えてございます。
以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
では、引き続き御質問等はございますか。
川瀬委員、お願いいたします。
○川瀬委員
ありがとうございます。
今回、5~10%分の消費税の現在の補てん状況というものを資料で確認できました。ありがとうございます。
また、病院あるいは診療所別の補てん状況の資料も示していただいて、本当にありがとうございます。
資料の中で気になる点は、やはり特定機能病院というもの、病院全体では104.9%、特定機能病院も101.2%と100%以上補てんされているという結果でございました。ただ、ここのところでどうしても%が非常に強調されてしまうところですが、例えば病院全体でいいますと補てん1%というのが44万円に相当するかなと思います。一方、特定機能病院ではこの1%分というのは500万円に相当する金額だと思います。やはり病床数の大きい病院ほど、この1%分というのが非常に高額になっているというところがすごく気になる点でございます。
それから、特に病床数が大きな病院、高度な医療を担う病院ではその負担も大きくなっているというところもございますし、今後、どういう形でこのバラつきに対して対応するかが大切と考えております。
以上でございます。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
ほかにはございますでしょうか。
須田委員、お願いいたします。
○須田委員
ありがとうございます。
各種ニュースとか記事でも取り沙汰されているとは思いますが、非常に今、病院経営の危機ということは皆様知っていただけたと思います。
そういう中で、ここに示された病院の補てん率が100%を超えているということと、我々の病院の経営危機というものは非常に理解が乖離してしまっているのではないかなということを心配しています。100%を超えているからということで、この令和8年度の診療報酬改定案というものが大きな改定なくこのまま進んでしまうことは、本当に地域医療の崩壊がガラガラと起こってくる。そういったことを惹起するのではないかなと危惧しております。
今まで私も長くここの委員会には関わっていたわけではないのですが、これまで見てきまして、診療報酬自体の構造というのが今まで何回も誤りの訂正とかそういったことがあり、そして、病院側と現状の把握に相違があるところもあると思うので、診療報酬自体、病院団体としては、四病協としては課税方式の抜本的な診療報酬の改定というのを今後求めたいと考えております。
以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございました。
寺島委員、お願いいたします。
○寺島委員
ありがとうございます。
私は歯科医師会から参っておりますので、歯科のことに関しまして申し上げさせていただきますと、全体補てん率が歯科の場合は90%程度ということで、10%足りないということはかなり大きなものだと驚きを持って受け止めております。
また、医科におかれましても、全体としては良好であっても、かなりのバラつきがあり、また、先ほど川瀬委員からお話がありましたように、率のみで見るべきではないという部分もあるかと考えております。
また、補てん率のブレというものがどういった原因で出てくるのかというような分析を精緻に行うことこそがこの分科会の目的なのではないかと思います。
この点につきまして、経費の増大、特に設備投資が必要な医療機関において大きく出てくるというようなことは容易に想像できるところではございますし、また、宮川委員がおっしゃいましたように、物価高騰の影響というのも非常に大きいという部分は理解するところではございますが、そういった大枠のお話以外に、この分析をさらに精緻に行っていくということがどうしても次の対応を考える上で必要だからこそ、こういう分科会を設けているのと思いますので、その点について今回どう分析されていくのかというようなことをお聞きしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○飯塚分科会長
御質問ということでしょうか。
では、事務局、お願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
まず、大枠以外のところの分析の手法は様々あるかと思います。今の時点で事務局としてこういった形がということを具体的に子細に申し上げるということではなくて、どちらかというと今日いただいた御意見や、この後、総会などでもいろいろ御意見をいただくようなこともあるかと思いますので、そういったところを踏まえて改めて分析の仕方というのを考えてみるのかなというところではございます。
一方で、バラつきというところでいいますと、例えば医療機関間のバラつきというのは現にその年の中でもあります。一方で、それを今の8年度改定に向かってのということで実調の数字を用いた単年とか2年間の分析というのはありますけれども、一方で縦に長くというか、一つの医療機関を経年的に見たときに、例えば低いときもあれば高いときもあるのか、それとも低い医療機関はずっと低いのかとか、横だけではなくて縦とかそういった分析の手法というのも考え得るかと思いますので、そういったいろいろな形のものを皆さん方の御意見をいただきながら事務局のほうでも考えてみるということをこの作業としてはここからはやっていくのかなと。お答えにはなっていないかもしれませんが、例えばそういったことも考え得るかなというようなことは今思っているところでございます。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
寺島委員、お願いします。
○寺島委員
ありがとうございます。ただ、縦分析というのは、個別の医療機関を追っていくというのはかなり難しい部分もあるのかなと考えるところでございます。
それから、今回というか例年ですけれども、実調が出てからだと検討時間が短いので、今回の改定に反映できないというような御説明ですけれども、改定のための検討でもあるかと思いますので、難しいことは重々承知しておりますが、その辺り、毎年毎年時間がない、時間がないという形で過ぎていってしまうというのですと、存在意義自体が疑われてしまうところになってしまいますので、その部分についてもよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○飯塚分科会長
ありがとうございました。
ほかには御意見等はございますか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
事務局におかれましては、詳細な分析をどうもありがとうございます。
医療機関・薬局の消費税負担につきましては、データの示すとおり、令和5年度、6年度ともにマクロで見ますと十分に補てんがされており、令和8年度診療報酬改定においては診療報酬の上乗せ点数の見直しを行わないという事務局の提案には賛同するものでございます。
ただ、3つ目にありますとおり、あと、各委員からも出ておりますが、補てん状況の把握方法や診療報酬上の対応について引き続き速やかに議論することにつきましては異論はございません。
先ほど来、各委員から経営に関する御発言あるいは取引の形態に関する御発言も出ておりまして、医療機関や薬局の経営リスクというものも理解はしておりますが、診療報酬で対応するということは、保険診療は非課税取引と言いながらも最終的には患者の窓口負担や保険料で充当するということを意味しております。したがいまして、補てん不足だけではなく、過度な補てんも好ましくないということも意識して今後の対応を検討すべきだということは指摘させていただきます。
私からは以上でございます。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
間利子委員、お願いいたします。
○間利子委員
ありがとうございます。
今回、調査を取りまとめていただきましてありがとうございました。
先ほども御説明がありましたけれども、マクロでは補てん率が100%を超えているということで、この点を踏まえれば、対応案に示されておりますとおり、上乗せ点数の見直しを行わないという方向には賛同いたします。また、今後も補てん状況の確認自体は引き続き行っていくべきだと考えます。
私からは以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
私も今回の考え方で見直しを行わないということには賛同させていただきます。
表現につきましても、結論を言っていただいて、なぜならばという表現になっておりますので、非常に分かりやすいのかなと思っています。
ただ、その中で1点事務局にお伺いしたいのは、結局、ここで補てん率に精緻にとか言っていろいろなことを言っているのですが、これをこの中医協の消費税の中でずっと論議するのか。先ほど2号側の委員から課税方式についても御意見がありましたように、この中でずっと話合いができるのか。また、課税方式について何かを考える、提案をしたときに、ここの場での提案で正しいのかどうか。こういった形で、今後のここの検討というか、この辺について事務局のほうはどういうふうにお考えなのかお聞かせいただければと思います。
以上でございます。
○飯塚分科会長
事務局、お願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
まず、この医療機関等における消費税負担に関する分科会というものでありますけれども、この分科会としては医療機関等における消費税課税等の状況を把握するとともに、消費税引上げに対する診療報酬制度等における対応等について検討を行うとされているところでございます。そういった意味にありましては、まず一義的には診療報酬調査専門組織でありますので、診療報酬における対応というところが議論の主眼になってくるということかとは思います。他方で、そこの中での対応が難しいということであれば、例えば消費税分科会としての総意がまとまりますれば、そういった提言をするということは可能ではあると思います。
それと、税の体系の話でありますので、ここでまとまったからといって、それが即政府の対応としてつながるかどうかというところはまた別のことかと思いますけれども、ただ一方で、診療報酬の調査専門組織という位置づけの中で診療報酬での対応が難しいという取りまとめをするということ自体は理論的にはもちろん不可能ではないというようなことではないかと考えております。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
ほかには御質問、御意見はございますか。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
先ほど松本委員からも御指摘がありましたけれども、一つは、どうしても診療報酬上の補てんというのには限界がありますということで、これだけで対応するのが難しいというところが、特に医療機関の経営が危機的な状況でさらにあぶり出されたということではないかと思います。例えば先ほど例示しましたけれども、高額な投資をした際に、減価償却期間で按分して補てんされていますので、その1年分しかその年には補てんされません。そうすると、それ以外のところはその時点で持ち出しになってしまう。結果として、その年においてはキャッシュフローが極めて悪化する、危機的な状況になるというのが特に高額な投資をした際の消費税を診療報酬上で補てんする際の限界あるいは課題であります。
したがって、先ほど申しましたけれども、その場合には、この分科会のミッションの範囲に収まらない方法、つまり、医療保険制度以外の対応も含めて国としてぜひ至急検討していただきたいというのが医療現場の悲鳴でございます。
私からは以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
ほかには御質問、御意見等はございますか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
先ほど須田様から病院団体としては課税取引云々という御発言があったかと思いますけれども、これはいろいろな経緯があって非課税取引になったという経緯は十分御承知かと思いますけれども、これは病院団体としてそういうふうに今後ずっと希望していくという御発言として受け止めるべきなのか、個人的な御発言として受け止めるべきなのか、そこを確認させていただきたいと思います。
○飯塚分科会長
須田委員、お願いいたします。
○須田委員
四病協団体としては、課税方式を今後も希望していくように考えております。
○飯塚分科会長
ありがとうございました。
それでは、ほかには。
オンラインで永井委員、お願いいたします。
○永井委員
ありがとうございます。
全体で補てん率が100%を超えておりますので、今回の見直しを行わないということに異論はございません。
一方、病院の種別で見ますと、こども病院、開設主体別では公立病院など、令和7年度だけでなく、令和5年度の把握結果を見ても補てん率が100%を下回っており、金額も大きいところですので、補てん不足が続いているものについては解決策の検討が必要ではないかと考えております。消費税の負担を公平に補てんできるような方法について粘り強く継続して分析し、検討するとともに、実態把握に向けて、医療経済実態調査の回答率の向上という方法もあろうと思いますが、そのほかの方策はないのかという点も含めて中長期的な視点で考えていくことが必要ではないかと考えております。
以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございました。
ほかには御質問等はございますか。
野口委員、お手が挙がっていますか。お願いいたします。
○野口委員
今、永井委員がおっしゃったことは非常に重要で、やはり有効回答率をどうやって上げるかというのを考えていかないと、このアンケート調査に答えてくれている病院の属性はかなり偏っていると思うのです。ですので、自動的にデータを吸い上げていくような、義務化はちょっときついかもしれませんけれども、非常に重要なデータですので、回答率を100%に近づけていくということが非常に重要だと思います。
以上です。
○飯塚分科会長
ありがとうございます。
他にはよろしいですか。
そうしましたら、本日、御意見を様々いただきましたけれども、今回の補てん状況の把握状況を踏まえまして、今回の結論ということですけれども、令和8年度改定においては消費税上乗せ分の見直しは行わないこととし、引き続き消費税負担額と診療報酬の補てん状況を把握して検証を行うということが適当という対応案が示されておりましたけれども、これについて基本的な方向性はおおむね一致していると思います。様々な御意見を本日いただきましたことを含めて、その旨をこの後開催される総会に報告したいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○飯塚分科会長
ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局から御連絡いたします。
それでは、本日の分科会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。