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第7回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」 議事録
日時
令和7年12月8日(月)10:30~12:00
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 17階 専用第21会議室
厚生労働省 17階 専用第21会議室
議題
1.高額療養費制度について
議事
- 議事内容
○佐藤保険課長 それでは、定刻より若干早うございますが、皆様おそろいでございますので、ただいまから第7回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御参加賜りまして、誠にありがとうございます。
本日の会議でございますが、傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承くださいますよう、お願い申し上げます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菊池委員より御欠席の連絡を頂戴してございます。
また、井上委員、城守委員、島委員、原委員にはオンラインで御出席いただいております。
また、林委員の代理といたしまして、平山参考人にオンラインで御出席いただいております。
参考人の御出席につきまして、委員会の御承認をいただければと存じますが、いかがでございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○佐藤保険課長 よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
なお、本日も、健康・生活衛生局がん・疾病対策課及び難病対策課もオンラインで参加しておりますことを併せて御報告申し上げます。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきたいと存じます。
カメラの方は御退出をお願いいたします。
(カメラ退室)
○佐藤保険課長 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますが、資料1といたしまして「医療保険部会における議論の状況について」。
資料2といたしまして「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(案)」。
委員提出資料として、菊池委員の御提出資料。
参考資料1として「高額療養費制度について(参考資料)」。
以上でございます。
過不足、落丁等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと存じます。
それでは、以降の議事運営は、田辺委員長にお願いいたします。
○田辺委員長 それでは、早速、議事に入ってまいりたいと思います。
本日は「高額療養費制度について」を議題といたします。
なお、本日は、御欠席の菊池委員から資料が提出されておりますので、後ほど事務局から簡単に御紹介いただければと思います。
では、まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○佐藤保険課長 保険課長でございます。
それでは、事務局から資料の御説明を申し上げたいと思います。
まず、先に、菊池委員から御提出いただいております「委員提出資料1」のファイルをお開きください。
こちらは、菊池先生から提出されている資料をポイントのみ読み上げる形になりますので、その点については御容赦いただければと存じます。
全体で2ページにわたっておりますが、最初の○は、患者の生命を救いQOLの向上をもたらす優れた医薬品が次々に登場していると。
3行目からでございますが、他方、これらの医薬品は往々にして高額であり、今後も続々と登場することが見込まれることからすれば、医療保険、ひいては社会保障制度の持続可能性の観点から何らかの対応策を考えざるを得ないということでございます。
その上で、2つ目の○でございますが、高額療養費制度の在り方は、単体ではなく医療保険制度改革全体の中で議論していく必要性があることが、この委員会での共通合意であったと。
そういう中で、共有されているのが「全世代型社会保障」とその具現化としての「負担能力別負担」であると。
3つ目の○でございますが、このことを前提とすれば「外来特例の限度額の引き上げ」と「よりきめ細かい所得区分の設定」という方向性は適切であると。
あわせて「外来特例の対象年齢の引き上げ」についても積極的に評価したい。
引き上げるとすれば、新たな基準は、他の制度との整合性を考えれば、75歳とすることが望ましいように思われるが、引上げに当たっては、対象者の急激な負担増にならないような配慮が必要であると。
その上で、4つ目の○でございますが、他方で、高額療養費が長期療養患者に及ぼす累積的な影響に鑑みれば、多数回該当の限度額の引上げについては配慮が必要であると。
また、以下、省略しますが、同じ○の最後の部分でございますが、現状を据え置くにとどまらず、低所得層の上限額を引き下げることで「負担能力別負担」の趣旨を徹底することが適切であると。
1ページ目の一番下の○でございますが、この点で検討を要するのが、高額長期疾病(特定疾病)に係る高額療養費の特例の在り方であると。第1回で指摘したものの、今回の検討では、高齢者を対象とする外来特例が検討対象となるにとどまって、特定疾病に係る議論には至らなかったということでございまして、2ページ目の最後、高額療養費の在り方は、高額長期疾病の医療費負担を全体としてどう考えていくかという視点で、今後とも継続的に行われるべきものであると。
こういう趣旨の資料を御提出いただいております。
それでは、資料1に戻らせていただきます。
資料1「医療保険部会における議論の状況について」のファイルをお開きください。
これは1枚物でございますが、前回の専門委員会が11月21日でございましたものですから、医療保険制度全体の議論が、上の審議会、医療保険部会においてどのように行われているのか、御紹介申し上げたいと思っております。
右下1ページ目になりますが、2025年11月27日、12月4日の2回にわたって、前回の高額療養費の専門委員会が開催された後に、医療保険部会において議論いただいているところでございます。
11月27日につきましては、5点ございましたが、薬剤自己負担の見直しの在り方。
国民健康保険制度の取組強化の方向性。
医療費適正化計画における医療資源の効果的・効率的な活用について。
国民健康保険の保険料(税)の賦課限度額について。
業務効率化・職場環境改善のさらなる推進に関する方向性ということで、幅広い御議論をいただいているところでございます。
また、12月4日におきましても、医療保険制度における出産に対する支援の強化。
世代内、世代間の公平のさらなる確保による全世代型社会保障制度の構築。
入院時の食費・光熱水費。
令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要(案)ということでございまして、こちらも多岐にわたる御意見を頂戴している状況でございます。
こういう形で、医療保険制度全体の議論は、引き続き医療保険部会において行われている状況でございます。
それでは、タブレットの資料2のファイルをお開きください。
「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(案)」でございます。
今日が第7回の専門委員会でございますが、これまでの御意見等を踏まえまして「見直しの基本的な考え方(案)」という形で整理させていただいたものでございます。
ポイントを御紹介させていただきます。
まず、1ページ目でございます。
左側に行数を書いてありますので、行数を適宜読み上げながら御紹介させていただきたいと思いますが、まず、1ページ目の6~13行目までは、専門委員会における議論の状況について御紹介させていただいているものでございます。
同じ1ページ目の15~23行目までのパーツでございますが、これは、この委員会でも繰り返し確認されているところでございますが、第4回の専門委員会で改めて確認されたところであるが、高額療養費制度は、セーフティーネット機能として患者、あるいは御家族にとってなくてはならない制度である。今後ともこの制度を堅持していく必要があると。
「その上で」ということでございますが、制度改革の必要性は理解するが、その際には、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要である。この点については、各委員の認識が一致しているものと思われます。
そういう認識に立って、25行目以降でございますが、この専門委員会の状況を医療保険部会に定期的に御報告申し上げるとともに、医療保険部会における議論の状況を専門委員会にも適時報告を求めるなど、全体感を持った議論が行われるように意識しつつ、本専門委員会において議論を深めてきたという形にしてございます。
2ページ目でございます。
2ページ目の1~5行目のパーツでございます。
先ほど申し上げたとおり、依然として、医療保険部会におきましては、医療保険制度改革全体の議論が行われている現状でございます。
そういう中において、具体的な金額の方向性を含む形でこの専門委員会において議論する段階には至っていないわけでございますが、全体感を持って医療保険制度の見直しが行われることを前提とした上で、高額療養費制度についても見直しを行っていく場合の基本的な考え方として、これまでのこの委員会での議論を踏まえると、以下のように整理されるとしてございます。
7行目以降でございます。
8~12行目については、先ほど申し上げたことと重複しますが、制度のセーフティーネット機能である高額療養費制度を将来にわたって堅持していくためには、制度の不断の改革に取り組んでいかなければいけないと。
13行目、14行目は、繰り返しになりますが、制度全体の改革を進めながら、高額療養費の在り方についても検討していくことが必要であるということを繰り返し記載してございます。
15行目からでございますが、医療保険部会において「世代内、世代間の公平をより確保し、全世代型社会保障の構築を一層進める視点」。
「高度な医療を取り入れつつセーフティーネット機能を確保し命を守る仕組みを持続可能とする視点」。
「現役世代からの予防・健康づくりや出産等の次世代支援を進める視点」。
「患者にとって必要な医療を提供しつつ、より効率的な給付とする視点」という4つの視点に基づいて、医療保険部会において議論が深められているわけでありますが、高額療養費に関しても、こういう制度全体の議論と歩調を合わせつつ、他方で、高額療養費制度を取り巻く上記の課題、あるいは将来への制度の継承を確かなものとするためには、近年の高額療養費の伸び等に一定程度対応した形での自己負担限度額の見直しを行っていくことの必要性は理解するとしてございます。
同じ2ページ目の25~30行目のパーツでございますが、これも繰り返し、この委員会でも多くの委員から御指摘いただいておりますが、長期にわたって療養される方の経済的な負担の在り方には十分配慮すべきであると。
それから「加えて」というところでございますが、医療保険制度全体の改革を進める中で、療養期間が短期の方を中心に限度額を見直す場合であっても、所得が低い方については、適切な配慮を行うことが必要であるとしております。
3ページ目でございます。
2行目からでございますが「年齢にかかわらない応能負担に基づく制度の在り方」でございます。
まず、3~7行目は、現在の所得区分の関係でございます。
今ですと、年収約370万円の方と年収約770万円の方が同じ区分に整理されて、限度額も同じになっていると。
その上で、所得区分が一段階変更になるだけで、限度額が2倍程度に増加するなど、あまりにも大くくりな制度になっていると言わざるを得ず、応能負担の考え方を含めた制度設計という観点からは、改善の余地があるとしてございます。
その上で、8~15行目まででございますが「そのため」というところが8行目でございますが、所得区分を細分化、例えば住民税非課税区分を除く各所得区分を3区分に細分化し、所得区分の変更に応じて、限度額ができる限り急増、または急減しないようにする制度設計とすることが適当としてございます。
「その際」というのが11行目でございますが、年収約400万円の方と年収約750万円の方であれば、現在は同じ限度額となってございますが、応能負担の考え方によるならば、所得区分の細分化によって、年収約750万円の方は限度額が相対的に大きく増加することになるわけでありますが、他方で、今の限度額から著しく増加することのないよう、応能負担の考え方とのバランスを踏まえた適切な金額設定とすべきであるとしてございます。
3ページ目の17行目からでございます。
「また」というところでございますが、70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例については、加齢に伴って疾病リスクが増すことによって、受診機会が増えることが多いという高齢者の特性を踏まえると、制度の必要性自体は理解できるものの、医療費全体が増加している中で、現役世代の保険料負担の軽減という観点からも、制度の見直し自体は避けられないのではないかと。こういう方向性でおおむね一致したとしてございます。
22行目以降に「具体的には」と書いてございますが、月額上限・年額上限のそれぞれについて、応能負担という視点を踏まえた限度額の見直しを行うとともに、外来特例の制度創設から20年以上が経過している中で、制度創設当時と比較して健康寿命が延びている、また、受療率も低下していること等を考慮すれば、これも繰り返しになるところでございますが、医療保険部会における高齢者の負担の在り方の議論の状況を踏まえた上で、対象年齢の引上げも視野に入れた検討をすべきではないかと記載してございます。
「ただし」というところでございますが、その際には、これも繰り返しになりますが、医療保険部会における議論の動向を見極めた上で、慎重な議論が必要ではないかという御意見もございました。
また「他方で」というところで、現役世代との公平性の観点からも、将来的には制度の廃止も含めて検討すべきではないかという意見もあったので、このように記載してございます。
4ページ目でございますが、1行目、2行目、いずれにせよ、これも繰り返しになりますが、制度全体の議論が行われている中で、全体感を持った検討を進めて、高齢者の経済的負担に急激な変化が生じないような制度の在り方とすべきであるとしてございます。
4ページ目の4行目以降でございます。
「セーフティーネット機能としての高額療養費制度の機能強化」でございます。
5~7行目は、基本的な考え方を記載しているところでございます。
療養期間が長期にわたる患者にとって、高額療養費制度はなくてはならない制度であるということを確認した上で、8行目、9行目でございますが、こうした観点から、長期にわたって継続して医療費負担がかさむ長期療養者の方に配慮し、多数回該当の限度額については、現行水準を維持すべきであるとしてございます。
10行目からでございます。
「加えて」というところでございますが、仮に多数回該当以外の限度額を見直した場合、限度額に到達しなくなって、その結果、長期療養が必要であるにもかかわらず、多数回該当から外れてしまう方が発生するため、そのような方の医療費負担が過重なものとならないよう、新たに患者負担に年間上限を設けることも考えられるとしてございます。
このような趣旨を踏まえると、年間上限の対象とするのは、例えば年に1回以上、現在の限度額に該当した方とすることなどが考えられるとしてございます。
16~18行目でございます。
「加えて」というところでございますが、実務的な面でも精査が必要となるが、保険者におけるシステム面での対応が制約条件にならないように、患者本人からの申出を前提とした運用で開始することを含めて、実現に向けた制度設計の詳細や課題を早急に整理すべきであるとしてございます。
また、同じく4ページ目の20~24行目のパーツでございます。
事務局から提出された資料からも明らかになったように、例えば年収200万円未満で「仕事と治療を両立しつつ、長期にわたり療養されているような方」の経済的負担は、現行制度でも大変厳しい状況にあると。
「そのため」ということで、例えば所得区分を細分化し、よりきめ細かい制度とする際には、そのような方の経済的負担に特に配慮することも検討すべきという御意見がございましたので、このようにしてございます。
4ページ目の一番下から「その他」でございます。
27~29行目、限度額に関わる意見からは離れるが、保険者や医療従事者からだけではなく、当事者の方からのヒアリングにおいても、高額療養費が現物給付化されていることで、費用総額が見えにくくなっているという御意見がございました。
5ページ目でございます。
1~3行目は、前回、大黒委員からも御紹介を頂戴しましたが、難病・疾病団体協議会が実施したアンケート調査では、難病患者・家族の約8割が医療費総額を把握しているという結果も御紹介いただきました。
4行目からでございますが、高額療養費制度の意識を改めて喚起し、関係者に対し、制度への理解をさらに深めていただく観点から、全体として高額療養費制度を使うと、どれぐらいの医療費がかかっているのか、あるいはどの程度の金額が還付されているのかといった全体像の見える化を進めていくこと自体は重要であるということで、実務的な可能性も含めて検討を深めていくべきであるとしてございます。
5ページ目の10~12行目、それ以外にも、現行の高額療養費制度に対する様々な課題が指摘されております。それぞれの課題について、実務的に対応可能かどうかなど、さらに詰めていく必要があるが、可能なものから順次対応していくことを求めたいとしてございます。
14~18行目、高額療養費制度における特定疾病に係る特例の在り方についても検討が必要であるという御指摘がありました。この点については、今後、制度全体を議論する場において、さらに検討を行うことが必要であると考えられるとしております。
5ページ目の一番下、21~26行目の「まとめ」でございますが、以上が、これまでの議論を踏まえた基本的な考え方でありますが、具体的な金額等については、制度全体の議論を踏まえて設定すべきであると。
また、施行時期については、関係者への周知、準備等を考慮すると、一定の期間が必要である。来年夏以降、順次施行できるよう、丁寧な周知等を求めたいとしてございます。
これについて、委員の皆様からの御意見等をいただければと思っております。
事務局からの説明は、以上でございます。
○田辺委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、挙手にてお願いいたします。
オンラインで御参加の皆様方におかれましては、挙手ボタンを使ってお知らせいただければ幸いでございます。
では、まず、天野委員、よろしくお願いします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
今、事務局から御説明いただいた資料2「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(案)」について、少し多くなりますが、私からは5点意見を申し述べさせていただきたいと思います。
1点目は、資料2の4ページの8行目からになります。
「長期にわたって継続して医療費負担が嵩む長期療養者の方に配慮し、多数回該当の限度額については現行水準を維持する」という記載がございます。
また、加えて「多数回該当から外れてしまう方が発生するため、そのような方の医療費負担が過重なものとならないよう、新たに患者負担に『年間上限』を設ける」と記載いただいています。
この2点については、ぜひ入れていただきたいと考えております。
特に多数回該当に該当するか否かによって、長期療養を必要とせざるを得ない患者さんの負担額は全く異なってきますので、特に年間上限については、多数回該当の年間の金額を一つの基準と考えた上で、新たに年間上限を設定していただきたいと考えております。
なお、14行目から「『年間上限』の対象とするのは、例えば、年に1回以上、現在の限度額に該当した方とすることなどが考えられる」と記載いただいていますが、この条件については外していただきたいと考えております。
なぜかと申しますと、そもそも年間上限を設ける趣旨は、限度額に達しないが、高額な治療費を長期にわたって支払わざるを得ない患者さんを救済することを目的としているので、限度額に該当することを条件としてしまうと、そもそもそういった患者さんの救済に寄与しなくなってしまう可能性があるためでございます。
2点目について、同じく資料2の4ページの20行目からです。
この専門委員会事務局から提出していただいた資料の中でも、いわゆる世界保健機関(WHO)が定義する「破滅的医療支出」に該当する患者さんが既にいらっしゃることが明らかになりましたし、また、私から前回提出した委員提出資料においても、例えばがんの患者さんにおいては、区分エ、あるいは区分オの所得が低い方を中心に、いわゆる「破滅的医療支出」に該当する可能性がある患者さんが既に2~4割程度いらっしゃる可能性があることを指摘させていただいております。
こういった観点から考えますと、こういった特に区分エや区分オに該当するような所得が低い方を中心に、限度額を引き上げることについては、相当程度抑制的であることが必要であろうと考えます。
先日、一部メディア等におきましても、今回の高額療養費制度の見直しの基本方針について報道がございましたが、この報道を御覧になった患者さんなどから、例えば「このままでは治療を継続できなくなる」あるいは「命に関わる高額療養費制度へ手をつけないでほしい」あるいは現役世代の方からは「既に高額な社会保険料を支払っているにもかかわらず、これ以上限度額を引き上げられてしまっては、何のために高額な社会保険料を払っているのか、意味が分からなくなってしまう」などの声が既に寄せられている状況にありますので、限度額を仮に引き上げることになった場合には、相当程度抑制的な対応が必要であると考えております。
3点目につきましては、資料2の中で、外来特例についての指摘がございました。
これについては、かねてより指摘があるように、例えば外来の同じ抗がん剤治療においても、現役世代が高い負担を強いられている一方で、高齢の方が外来特例によって比較的低い負担で治療を受けられているという現状は、公平性の観点から問題ではないかという指摘があることは理解いたします。
一方で、高齢の方が外来特例によって低い負担に抑えていただいているのは、申し上げるまでもなく、高齢の方は加齢に伴い受診頻度が増えるということもありますし、年金生活を中心として収入が限られている方がいらっしゃるという現状を踏まえた上で、現状の外来特例が設けられているという趣旨も踏まえますと、これも過重な負担増、特に現在議論されています社会保障に関わる高齢者の方の負担増に関わるような議論と、いわゆる合わせ技という言い方で申し上げますが、合わせ技となって過重な負担となり、高齢者の方が支払うことができないような負担になってしまう可能性がありますので、慎重な議論が必要であると考えます。
4点目になりますが、5ページで「高額療養費制度における特定疾病に係る特例の在り方についても検討が必要」という意見が出ています。
特定疾病に係る特例につきましては、複数の委員から意見が出ているわけではないと承知しておりますし、また、この専門委員会においても議論になったとは承知しておりません。
加えて、特定疾病に係る疾患の患者さん、例えば透析、あるいは血友病、HIV感染といった当事者の方の意見も全く聞いていない状況で、特定疾病に係る特例の在り方について、論点であるかのように提示することについては反対いたします。
最後に、5点目になります。
資料2では出ておりませんが、これについては複数の委員から指摘が出ていたかと思いますが、退職や転職に伴い、所属健康保険組合が変更となり、多数回該当に関わる履歴がリセットされてしまう問題について、何らかの対応が必要であるということについては、複数の委員から対応が必要であるという意見が出ていたと考えます。
制度設計等、今後、技術的にすぐの実施は難しい可能性はあるかと思いますが、これについては、将来的に導入することを前提として、今後の検討課題として、今回の基本的な考え方に加えていただきたいと考えます。
私からは以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、大黒委員、御発言いたしますか。後にしますか。
○大黒委員 いいです。
○田辺委員長 では、よろしくお願いします。
○大黒委員 日本難病・疾病団体協議会の大黒です。よろしくお願いします。
今回の基本的な考え方(案)について、確認も含めて発言させていただきたいと思います。
今回の基本的な考え方の中で、長期療養者への配慮とか、低所得者層への配慮が盛り込まれたことは評価させていただきます。
その上で「応能負担」と言いますが、現状でも低所得者の自己負担は非常に大きいもので、資料にもかなりこういうことが出てきていると思います。
そのような方の経済的負担に特に配慮すべきだと思っています。菊池委員からの資料にもありますように、限度額を引き下げることも含めて考慮いただきたいと思います。今でも低所得者の方は、かなり大変な状況になっていると思います。
また、所得区分について、確かにあまりにも大くくりな制度になっていると私も思いますので、所得区分を細分化して、その際にも、限度額ができる限り急増しないというような書きぶりについては、お願いしたいと思っています。
また、外来特例については、高齢患者の外来利用は、生活維持の側面も非常に大きくて、性急な変更は生活の破綻リスクにつながる可能性がありますので、見直しに当たって、段階的かつ丁寧にお願いしたいと思っています。
さらに、仮に限度額を上げる場合であっても、長期療養者の方に配慮して、多数回該当の限度額については、現行水準を維持するべきであるという意見については支持いたします。
さらに、新たに患者負担に年間上限を設けることについても、ぜひ希望いたします。
この基本的な考え方には、年間上限の対象として「年に1回以上、現在の限度額に該当した方とすることなどが考えられる」とありますが、現在でも、限度額に達せずに多数回該当から外れてしまう方々が大きな負担となっています。
今回、このような条件を設けると、同じようなことになってしまいますので、年間上限の対象を絞らないでいただきたいと思っています。
さらに「患者本人からの申出を前提とした運用で開始する」とあります。
申出が難しい難病患者も実際に多くおられますので、医療機関や保険者のシステムの準備期間を考慮して、段階的に始めることは理解しますので、原則、自動適用ということを目指していただいて、申請漏れによって不利益を受けることは避けていただきたいと考えています。
また、先ほど天野委員からもありましたように、特定疾病が出てきていることに関しては、こういうことに関して、患者は非常に敏感になります。
「高額療養費制度における特定疾病に係る特例の在り方についても検討が必要」という指摘があったとありますが、私自身も、確かにそういうことは言われましたが、議論にはなっていない状況の中で、このように書かれますと、この文だけで、患者はどのような内容なのかも分からないですし、どのような方向なのかも理解できないということで、大変困惑している状況にあります。
実際、こういうことが議論されて、どういう内容なのかがはっきりした上で書かれるべき内容であると思いますので、ぜひここは配慮いただきたいと思います。
以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
高額療養費制度に関しましては、これまで申し上げてまいりましたが、短期間で入院や施設により高額な医療費となった方より、長期にわたって制度利用が必要な方のほうが、家計に及ぼす影響が大きいことを勘案した見直し案となっていると受け止めております。
高齢化や医療の高度化によって、高額療養費の支給件数や支給金額、1件当たりの金額が年々増加している現状を踏まえると、制度の維持のためには、自己負担限度額の見直しについては避けられない状況だと考えております。
そうした中で、取りまとめいただいた案は、低所得者への配慮や所得区分の細分化など、高額療養費制度のセーフティーネット機能への配慮が十分になされていると認識しております。この方針で見直しを進めていただければと考えております。
一方、外来特例につきましては、これまで示されたデータから、高齢者の受診状況や健康状態が改善傾向にあり、就業率も年々増加しており、所得額も増加傾向にあることが見てとれております。
そうした中で、現役世代との公平性を踏まえれば、外来特例自体、本来、廃止に向けて議論を進めていくべきと考えております。
ただ、今回の見直しの中で、少なくとも健康寿命の延伸等によって、高齢者の医療の受療行動が変化している中、対象年齢の引上げについては、先送りできない対応ではないかと考えている次第でございます。
なお、施行時期につきましては、保険者のシステム改修についても触れていただいておりますが、これに必要な期間をきちんと取っていただけるよう、配慮をお願いしたいと思っております。足元のシステム改修は、大変逼迫しております。
かつ、皆さんあまり御存じないかもしれませんが、国保さんと協会けんぽは、政府調達を行っていますので、民間の組合さんと比べても、ざっくり言ってもプラス6か月ぐらいは余分に手続に時間がかかるということも御理解いただければと思います。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本日提示いただきました高額療養費制度の見直しの基本的な考え方につきまして、事務局におかれては、これまでの多様な意見を取りまとめていただいて、感謝申し上げたいと思います。
見直しの基本的な考え方については、これまでの議論を踏まえたものであって、異論はございません。
それでも、何点かコメントさせていただきます。
まずは、高額療養費制度は、言うまでもなく、なくてはならない重要なセーフティーネットであって、この制度を将来にわたって持続可能なものにするためには、長期に治療を継続されている方、また、低所得の方への配慮をしつつ、必要な見直しを進めるべきだと考えております。
そういった中で、最後に北川委員からもお話がございました外来特例については、前回の委員会において、患者団体の方からも、現役世代には適用されない一方で、高齢者であれば適用されることについて、公平性の観点からも問題があるのではないかという御指摘がございました。
そういった点を踏まえれば、外来特例の見直しは不可避であって、将来的には廃止も含めて検討すべきだと考えております。
いずれにしても、セーフティーネット機能の維持と、保険料負担者の納得感の2つを両立させることは極めて難しい問題であると思いますが、現役世代の負担軽減に向けて、高額療養費制度だけではなく、他の改革項目も含めて、医療保険制度改革全体の中で議論していくことが重要であると考えております。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、お願いできますか。
よろしくお願いします。
○袖井委員 今回のまとめは、基本的には賛成でございます。
それから、患者団体の方の意見を聞かせていただいたことは非常に有益であった。厚労省などでも、ほかの役所の委員会でも、当事者の声を聴く機会はあまりないので、本当に感謝いたします。
基本的な路線は賛成でございまして、セーフティーネット機能として、高額療養費制度を堅持するとか、所得の細分化には賛成いたします。
一つ申し上げたいのは、70歳以上の外来特例ですが、これは私自身も適用を受けたことがあるのですが、よく分からない制度です。該当者になっても、何でこのお金が戻ってくるのか、よく分からないということと、月単位にすると、非常に額が少ないのです。
医療保険部会に出された資料を見ても、該当している人は非常に少ないということで、もし当分は維持するとしても、事務負担を考えたら、年単位にしていいのではないかと考えております。
それから、将来的な廃止を考えてもいいかもしれませんが、急激に変化することは、高齢者の生活に多大な影響を与えますので、少しずつ変えていく。
例えば年齢を上げる、70歳から75歳にするのも、いきなり5歳上げるのではなくて、1年に1歳とか、2年に1歳というようなゆっくりしたプロセスで変えていっていただきたい。そして、将来的には廃止することも考えてもいいのではないかと思っております。
2番目に、低所得者への配慮ということで、菊池先生の文書にもありましたように、私も低所得者については、限度額をむしろ引き下げたほうがいいのではないかと。
これまでも、この委員会に提出された資料で、低所得者にとって、医療費が非常に負担になっていることは明らかだったので、むしろ引き下げて、そして、上のほうはかなり細分化するとしてはいかがかと思います。
3番目に、現役世代にかかる負担を減らして、全世代型社会保障制度を実現するために、高額療養費制度の見直しは必要かもしれませんが、前からも申し上げているように、今、直ちにということはやめていただきたい。
基本的には見直すことが必要かもしれませんが、もう少し国民の生活が安定してから。今のような経済状態が逼迫しているときに、これをする必要があるのかと感じております。
それから、今日、患者団体の方が言われた、5ページ目の「特定疾病に係る特例の在り方について」は、私もよく分からなかったのです。
天野委員から透析とかHIVと言われて、そうなのかと分かったのですが、確かにこの問題については、当事者の意見も聞いていませんし、この委員会でも具体的に論議したこともないので、この文章については削除したほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、山内委員、よろしくお願いします。
○山内委員 まず、事務局の皆様には、今回の取りまとめに向けまして、大変な御苦労をいただき、誠にありがとうございます。
また、天野委員、大黒委員をはじめ、皆様から課題、貴重な御意見を賜りまして、改めまして厚く御礼申し上げます。
高額療養費制度は、言うまでもなくセーフティーネット機能、医療保険の制度の根幹でございます。我が国の社会のインフラとして、制度維持は極めて重要だと考えております。
その持続可能性を確保するためにも、公費、あるいは社会保険料の増加に歯止めをかけ、現役世代の負担軽減を図ることも必要ですので、医療保険制度全体の中で議論すべき問題であるということでありますが、応能負担など、給付と負担の在り方の見直しは、本制度においても避けられないものであると考えております。
そういった意味からも、今回の御提案の見直し案につきましては、客観的なデータに基づいて、様々な立場の方の御意見が反映されました。長期療養される方のご負担が過重とならないようにするなど、こういった点にも配慮された現実的な内容、方向性でまとめられているものではないかと思っております。
今まで出ておりました外来特例の在り方につきましても、踏み込んでいただいたことは評価しておりますが、報道を見まして、様々な声が私どもにも寄せられております。
より踏み込んだ対応が必要であるという声とか、過重な負担となる点には配慮が必要だというような声などでございますが、先ほども廃止を含めて検討という御意見も出ました。これも必要だと考えております。少なくとも対象年齢の見直しは必要ではないかと思っております。
現在の御提案は、全体として、大変バランスの取れているものだと感じておりますので、ぜひこの提案の方向性で改革への具体化を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
それでは、今まであいうえお順で来たので、オンラインもあいうえお順で行きましょうか。
井上委員、よろしくお願いします。
○井上委員 本日は、オンラインで失礼いたします。
また、この後、中座させていただきますが、お許しください。
今年5月以来、この委員会で多岐にわたる議論がございましたが、今回、丁寧に事務局に整理いただいて、感謝申し上げます。
いよいよこの専門委員会として取りまとめを行う時期に来ましたが、本日提示されました基本的な考え方には、これまでの様々な意見が丁寧に反映されていると考えております。
医療保険制度改革全体の中で、所得区分の細分化や外来特例、これは将来的には廃止すべきと思いますが、限度額の見直し、あるいは対象年齢の見直しを行っていくこと。
また、多数回該当につきましては、年間上限を設定するなどの見直しを行うといったことで、いずれもやむを得ない措置ですが、適切な方向性だと私は考えております。
医療保険制度の持続可能性と、長期療養あるいは所得の低い方々への十分な配慮を両立させていくためには、今回示された考え方に基づいて、本日も御意見がありましたが、最終的な細かい調整を図っていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
それでは、私からも事務局が提示されました基本的な考え方の案に沿って、何点かコメントさせていただきたいと思います。
まず、皆さんがお話ししているように、重要なセーフティーネットの機能でございます高額療養費制度を将来的にも持続させるためには、現在、医療保険部会で検討されている制度全般に対して、改革の議論と歩調を合わせるということ。
そして、高額療養費制度の見直しを併せた形で検討していただく必要があろうかと思います。
もちろん、その際には、皆さんおっしゃっているように、長期に療養される方や、前回、特にお話ししましたが、所得の低い方等には、十分な配慮が必要であろうと思います。
3ページの「年齢にかかわらない応能負担に基づく制度の在り方」についてですが、所得区分の細分化につきましては、応能負担という考え方を踏まえますと、現在の区分はやや大くくりになっているために、区分変更によって、大きな負担増になってしまうところがございます。
しかし、応能負担という観点もございますので、区分変更によっての変動が大きくなり過ぎないように、細分化を検討する必要はあろうかと考えますが、併せて区分変更によっての影響が大きくなり過ぎないような適切な金額設定は必要であろうと思いますし、その辺りに関してはしっかりと対応をお願いしたいと思います。
また、70歳以上の外来特例につきましては、委員の方々から様々な御意見がございますが、年齢に関わらない応能負担とした場合、高齢者の健康寿命が延伸しておりまして、受診率が低下してきているというデータがございます。
とはいいながらも、それでも、生産年齢人口に比べれば、70歳以上の受診率は、入院・外来ともに、かなり高い水準になっていることがファクトであるわけでございますので、しっかりとした配慮が必要であろうと思いますし、外来特例そのものの継続は、今後も必須であろうと我々は考えてございます。
また、対象年齢の引上げという御議論もございますが、基本的には多くの疾患を抱える高齢者の特性を踏まえれば、引き上げるべきではないと我々は考えてございます。
ただし、参考資料1の47ページにもございますが、外来特例の創設時に比べれば、健康寿命が一定程度延びていっていることは見てとれるかと思います。
しかし、先ほど菊池委員から75歳までというお話もございましたが、健康寿命が延びているといっても、2歳程度でございますので、その辺りもしっかりと見た上で、制度変更を行うことが万が一あったとしても、その辺りを踏まえた上で、さらには、現行、医療保険部会において行われております高齢者の窓口負担等、負担の在り方という議論が行われておりますので、その検討内容と整合性を取る必要もあるのではないかと考えてございます。
あと、4ページに「セーフティーネット機能としての高額療養費制度の機能強化」とあるわけですが、ここに関しては、年間上限の設定には賛同したいと思います。
その際、対象となるケースは、先ほど天野委員からもございましたように、できるだけ幅広く対応できる、実態に合った形で対応していただけるよう、慎重な制度設計が必要であろうと思いますので、その点もよろしくお願いしたいと思います。
さらに、患者本人からの申出を前提とする運用につきましては、先ほどお話もございましたが、保険者の事務負担等を考慮すれば、一定厳しい部分もあろうとは思いますが、できるだけ早期に運用が開始できるような対応をしていただければと思ってございます。
最後になりますが、同じく4ページの「その他」ですが、医療費のコスト意識については、難病患者さんのアンケート結果でも、8割の方は医療費総額を把握しているという報告もいただいてございます。
また、高額療養費制度を利用すれば、医療費控除の申請を行うなど、医療費の総額を意識する機会は増えてきているわけですが、先ほど大黒委員もおっしゃいましたように、申請の操作そのもの、行為そのものが困難な方もいらっしゃいますので、その点に関しては、しっかりとした、配慮のある制度設計としていただきたいと思いますし、加えて、現在、マイナンバーカードのスマホ対応などによって、マイナポータルへのアクセスの簡便化、スマホに入っていると、マイナポータルへのアクセスは非常に簡便化されております。
こういったツールを利用して、国民一人一人の方が御自身の医療費を意識するきっかけとなるように、これまで以上に、国からもこの点の周知を行っていただきたいと考えてございます。
私からは以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
一通り皆様方に御発言いただきたいということと、あいうえお順ということで、挙手ボタンは挙がっておりませんが、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
事務局におかれましては、今回の取りまとめ、非常に御苦労さまでございました。
年々増加する医療費に対して、今回の議論は極めて重要であり、高齢者特例に関しては、将来的廃止も含め、年齢の引上げはやむを得ないのではないかと思いますが、袖井委員とか城守委員がおっしゃったように、実態に合わせて、ゆっくりとした制度改革を考慮する必要があるのではなかろうかと思います。
それから、限度額に関しましては、所得区分の細分化を行った上で、当然、上げざるを得ない区分も、下げざるを得ない区分もあると思いますが、そういうことをきちんと考慮して、制度設計をする必要があるのではなかろうかと思います。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
本日提示されております「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(案)」につきましては、私どもがこれまで意見を申し上げてきたこと、例えば長期にわたって療養される方や低所得者の方への配慮、あるいは外来特例の見直し、多数回該当の限度額の維持、患者負担の年間上限の設定といった点について、基本的には反映されていると考え、評価したいと思います。
ただ「医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要である」と1ページに書いてございますが、これは、当初からこういう方向でこの委員会でも認識を合わせてきたことでありますので、異論はございませんが、特に高齢者については、現在、並行して進められている介護保険制度の見直しも視野に入れて検討していくことが大事ではないかと思いますので、この点については改めて申し上げておきたいと思います。
また、私ども国保連合会、国保中央会は、国保や後期高齢者医療制度の給付に係る標準システムの開発・改修を行っているものでございまして、その立場から改めて申し上げたいことは、所得区分の見直しを含め、制度の見直しを行う場合には、それがあまり複雑なものとなると、国民に分かりにくいばかりでなく、システム開発等のコストや準備期間が増大することにもなるので、これらの点をぜひ考えて、重視して進めていただくよう、お願いしたいと思います。
基本的考え方の原案においても、実務への配慮や施行時期への配慮といったことが数か所に書かれてございまして、文章としてはこれで結構でございますが、これから年末の予算編成になっていきますと、どうしても財政当局からのいろいろな要請とかもございます。厚生労働省は交渉が大変かもしれませんが、この点はぜひ頑張ってやっていただければと思います。これは要望でございます。
最後でございますが、5ページの「まとめ」でございます。
「具体的な金額(限度額)等については、医療保険制度改革全体の議論を踏まえて設定すべきである」という記載がございまして、これに全く異論はございませんが、これは事務局への質問でございますが、金額も含めた具体的な見直し案は、いつ、どこに提示され、議論されることになるのか。予算編成との関係もあって、答えにくい質問かもしれませんが、今の段階でお考えがあるのであれば、お聞かせいただきたい。
昨年の高額療養費の見直しのときに、その辺が何となくすっきりしなかったように私自身は感じているものですから、その辺でもしはっきりしているお考えが何かあるのであれば、お聞かせ願えればと思います。これは質問でございます。
以上です。
○田辺委員長 1点御質問がございましたので、答えられる範囲でお願いいたします。
○佐藤保険課長 保険課長でございます。
これは、繰り返しこの委員会で話題となり、今日もいろいろと御指摘いただきましたが、医療保険制度全体の議論については、今、医療保険部会で実施していただいております。
その上で、最終的にどういう形で整合性をとり、高額療養費制度についても着地させていくのかというのが一番大きな課題になってくるわけでございますが、確かに高額療養費制度自体は最終的には何千何百何円という形で決まってくるわけでございますので、そこ自体は予算の中でどのように着地させていくのかという形になると思いますが、今日、基本的な考え方(案)ということでお示しさせていただいて、今日いただいた御指摘を踏まえてどのように整理していくのかは、座長とも御相談しないといけないと思っておりますが、それをベースとした上で、仮に見直しを行っていく場合には、こういう考え方ではないだろうかという点については、何らかの形で一定フィードバックさせていただきながら、御議論といいましょうか、御意見を賜るような形になるのかなと思っております。
いずれにしましても、よく事務局でも整理した上で、座長ともよく御相談しながら、御意見を賜るようにしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺委員長 原委員、よろしゅうございますでしょうか。
○原委員 了解いたしました。
ありがとうございました。
○田辺委員長 それでは、平山参考人、よろしくお願いいたします。
○平山参考人 連合の平山です。
これまでの議論、意見をまとめていただき、ありがとうございます。
「年齢にかかわらない応能負担に基づく制度の在り方」に関して「現在の限度額から著しく増加することのないよう、応能負担の考え方とのバランスを踏まえた適切な金額設定とすべき」とある点については、各所得区分における自己負担限度額については、保険料を支払う時点で応能負担をしており、重ねての負担となりますから、社会保険への加入に対する信頼や納得性を損なうことがないよう、応能負担を強めることには問題があると考えています。
他方、「セーフティーネット機能としての高額療養費制度の機能強化」に関して、年間上限が挙げられておりますが、1か月単位となっている算定期間の柔軟化、保険者が替わっても通算可能な多数回該当の仕組みとすることや、同一保険者である場合は、自己負担限度額が2万1000円未満であっても、合算を可能とすることについても、今後の実現に向けた制度設計の中で検討いただきたいと考えております。
私からは以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
一通り皆様方からお話を承りましたが、残された論点、これを言い忘れたというような御意見があれば、よろしくお願いいたします。
では、天野委員、よろしくお願いします。
○天野委員 1点追加で意見を申し上げます。
外来特例が今回議論になっておりますが、外来特例を実際に使っている患者さんがどういう患者さんであるのか、もし分かれば、事務局のほうで今後、資料等を提示いただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
○田辺委員長 それは要望ということで承ります。
ほかはいかがでございましょう。
よろしゅうございますでしょうか。
それでは、皆様方の御意見を賜りましたので、予定の時間よりも若干早いと思いますが、本日の議事に関しては、これで終了したいと思います。
本日、幾つかの意見が出たと思いますので、その意見も踏まえまして、事務局と相談の上、この案について、必要な修正を検討していきたいと思います。
その上で、次回の会議で改めて見直しについての案を御確認いただきたいと思います。
次回の日程について、事務局から御連絡をお願いいたします。
○佐藤保険課長 次回の日程につきましては、また改めて調整の上、御連絡申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺委員長 それでは、本日は御多忙の折、御参加いただきまして、また、貴重な意見を賜りまして、ありがとうございました。
それでは、これで閉会いたします。

