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第5回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」 議事録
日時
令和7年10月22日(水)10:00~11:30
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 17階 専用第21会議室
厚生労働省 17階 専用第21会議室
議題
1.高額療養費制度について
議事
- 議事内容
○佐藤保険課長 それでは、定刻より若干早うございますけれども、皆さんおそろいでございますので、ただいまから第5回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございます。
本日の会議は、傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、菊池委員、島委員より、御欠席の御連絡をいただいております。
大黒委員、城守委員にオンラインで御出席をいただいております。北川委員、佐野委員からは、途中で退席をなされる御予定と承っております。
また、村上委員の代理といたしまして、林参考人にお越しをいただいております。山内委員の代理といたしまして、青山参考人にオンラインで御出席をいただいております。参考人の御出席につきまして、委員会の御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。(「異議なし」の声あり)
○佐藤保険課長 ありがとうございます。
なお、本日も、健康・生活衛生局がん・疾病対策課及び難病対策課もオンラインで参加をしておりますことを併せて御報告を申し上げます。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方の御提出をお願いいたします。
(カメラ退室)
○佐藤保険課長 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、資料1「高額療養費制度について」、大黒委員からの提出資料、以上でございます。過不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
それでは、以後の議事運営につきましては、田辺委員長にお願いいたします。
○田辺委員長 早速、議事に入ってまいりたいと思います。
本日は、「高額療養費制度について」を議題といたします。
まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○佐藤保険課長 保険課長でございます。
資料1を御覧ください。「高額療養費制度について」というファイルでございます。
まず、この専門委員会でもお話がございましたけれども、社会保障審議会の医療保険部会がこの専門委員会の上にございますけれども、そちらのほうで医療保険制度全体に関わる議論のキックオフをしていただいております。その状況について簡単に御報告を申し上げたいと思っております。
資料の3ページ目以降でございます。恐縮でございますけれども、医療保険部会の資料をそのまま掲載するような形でございます。
前回この委員会を開催したのが9月16日であったかと思いますけれども、9月18日から医療保険部会において議論を始めております。3ページ目、「医療保険制度改革に向けた議論の進め方」ということでございます。
骨太の方針において、現役世代が急速に減少し、高齢者がピークを迎える2040年頃を見据えた中長期的な時間軸も視野に入れて、全世代型社会保障の構築が不可欠であるとされておりますので、そういう中長期的にあるべき姿から逆算をした必要な政策や理念、全体像を示していくことが必要であろうということでございまして、そういうあるべき将来像とそれを実現するための方策について議論をしていこうということで、医療保険部会において議論を開始していただいております。
4ページ目がスケジュールでございます。年末に向けて議論を深めていくということでございます。
5ページ目以降に、医療保険部会においてどういう議論が行われているのかということを、議事概要のエッセンス的な形で恐縮でございますけれども、資料として添付をしてございます。こちらは、9月18日と9月26日に開催されました医療保険部会におきまして、どういう形で議論が行われているかというポイントでございます。
例えば5ページ目で申し上げますと、世代間・世代内のより公平性を確保した全世代で支え合う仕組みの整備という観点から様々な御意見を頂戴しております。
また、6ページ目でございますけれども、医療保険制度の持続可能性を確保するための保険給付の在り方ということで、こちらもいろいろな御指摘をいただいております。
7ページ目も、今申し上げた保険給付の在り方についての続きでございます。
8ページ目でございます。大きな3点目として、現役世代からの予防や健康づくりを促進していく、あるいはヘルスリテラシーの促進、それから、制度の理念、これは社会保障教育という観点でございますけれども、こういう理念についての理解を促進していくことの重要性、こういう観点からも御指摘をいただいております。
9ページ目でございますけれども、医療現場を取り巻く環境の変化ということでございまして、足元の物価あるいは人件費の上昇とかDXの必要性、こういう観点からも御議論をいただいております。
そういう中において、10ページ目、「今後の議論の進め方について」でございまして、こちらは10月2日の医療保険部会にお示ししておりますけれども、論点風に整理をしております。一番下の○に、「こうしたことから、以下の4つの視点を踏まえ、医療保険部会での議論を進めていくこととしてはどうか」ということで、4つほど論点を記載しております。
全世代型社会保障の構築を一層進めていくという観点、高度な医療を取り入れつつセーフティーネット機能を確保し命を守る仕組みを持続可能とする観点、予防・健康づくり等々の観点、必要な医療を提供しつつ効率的な給付とする観点、こういう観点から議論を進めていただいております。
資料を添付しておりませんけれども、先週も医療保険部会を開催いたしまして、例えば長期収載品の選定療養の話、バイオシミラーの話、OTCの関係、こういった議論も深めていただいているという状況でございます。
以上が医療保険部会における全体の議論の状況でございます。
続きまして、高額療養費制度に関してでございます。
12ページは、前回の専門委員会でお出しした資料でございます。これまでヒアリングあるいは専門委員会においていろいろな形で御議論いただいておりますけれども、こちらについては重複する部分ございますが、一番上の○に、セーフティーネットとしての高額療養費制度の重要性については皆さん認識が一致されておるということ。
それから、2つ目の○でございますけれども、高額療養費制度だけではなく、他の改革項目も含めて医療保険制度改革全体の中で全体感を持った議論が必要ではないかという形で、認識は一致をしているだろうと。
その上で、論点風に12ページの下に整理をしておりまして、前回の専門委員会でも御議論いただきましたけれども、この専門委員会における議論の状況を9月26日の医療保険部会にも御報告を申し上げました。その際における議論のポイントが13ページでございます。
13ページは、「令和7年9月26日 医療保険部会における主なご意見」でございまして、こんな御意見がありましたということを事務局のほうで御意見の趣旨を踏まえて抜粋をしたものでございます。
多岐にわたる御意見を頂戴いたしました。個々には読み上げませんけれども、例えば、高額化している医薬品の効果検証を図ることも必要ではないだろうかという話、あるいは高額な薬剤が登場するなど、高額療養費制度の創設時には想定していなかった状況を考えるため、社会変化も踏まえつつ全体の中で議論していく必要があるのではないか、あるいは不正や不適切な利用を防ぐための対応が必要ではないか、あるいは急激な変化が生じないような見直しの必要性、また、社会全体での納得感が得られるような丁寧な検討、また、必要な医療への受診抑制につながらないように、特に低所得者に十分配慮した制度の在り方を検討すべきではないかという御意見、外来特例に関する御意見、高額薬剤に関する御意見、下から2つ目の○でございますけれども、制度のすばらしさがなかなか伝わっていないのではないかという御意見、一番下の○、他方で、外来特例については御高齢の方の受診頻度があるということを踏まえた認識が必要ではないか、有用性の評価の話、あるいは例えば個々のケースについて治療の効果がないために薬剤の使用を保険適用しないということが我が国の医療保険制度上あるいは倫理上、国民の理解を得るのがなかなか難しいのではないだろうか、こんな御意見もございました。
そういうこれまでの専門委員会における御意見、あるいは医療保険部会における御意見等々も踏まえまして、14ページ目でございますけれども、「本日ご議論いただきたい事項」ということで大きく3点整理をしてございます。14ページ目の【】で囲っている部分でございます。
【高齢化の進展や医療の高度化等により増大する医療費への対応】でございます。今でも医療費負担が厳しいという御意見もある一方で、他方で、医療保険制度、なかんずく高額療養費制度を将来にわたって維持していくためには、また、現役世代の保険料負担への配慮を考える上では、自己負担の一定の見直しも必要ではないかという御意見もありました。そういった御意見を踏まえて、高額療養費制度の負担の在り方をどう考えていくのかという点がまず1点目に御議論いただきたい事項でございます。
2点目は、【年齢にかかわらない負担能力に応じた負担】でございます。70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例の在り方をどう考えていくのか。また、負担能力に応じた負担という観点から、現行制度において大くくりとなっている所得区分の在り方に関する意見がありました。他方で、現在でも、一定の所得を有する方は応分の保険料を御負担いただいている中において、給付面の応能負担をこれ以上強めることはどうなのだろうかという御意見もありましたので、そういった点も踏まえつつ、所得区分の在り方をどう考えるかが2点目です。
3点目は、【セーフティーネット機能としての高額療養費制度の在り方】でございます。この制度の重要性は認識が一致しているわけでもありますし、仮に自己負担の見直しを行っていく場合であったとしても、医療費負担が重い長期にわたって継続して治療を受けておられる方、あるいは所得が低い方への配慮が必要ではないかといった御意見も多かったわけでありますので、仮に自己負担の見直しを行っていく場合であっても、患者の経済的な負担に配慮したセーフティーネット機能の在り方としてどう考えるか、こういう観点で論点を整理しております。
15ページ目以降は、基本的にはバックデータ的なものになりますので、説明はポイントのみ御紹介申し上げます。
15ページ目は、高額療養費の支給件数・支給金額の推移で、御覧のとおりになります。
16ページ目は、高額療養費と実効給付率の推移、これも御覧のとおりになりまして、これも専門委員会の初回で御説明した内容になります。
17ページ、18ページは医療費の動向でございます。17ページは、全体の医療費は48兆円でございますけれども、そういう過去の推移。
18ページは、傷病分類別医科診療医療費構成割合でございまして、上位5つをピックアップしてございます。医科全体で34.5兆円でございます。これは主傷病により分類をしているものでございますけれども、全体でどうなっているのか、男女別でどうなっているのか。一番多いのが循環器系の疾患で、2番目に多いのが新生物。これは男女ともに同じでございます。3位以下が若干男女によって違いますけれども、こういう状況になっているというものが18ページの状況でございます。
19ページ目から21ページ目は、健保組合における1000万円以上の高額レセプトの件数の推移でございます。
19ページ目は健保連さんが公表している資料でございますけれども、高額レセプトの件数が非常に伸びているということで、1000万円以上の件数が平成22年(2010年)以降では13倍ぐらい伸びている、10年前からでは6倍ぐらい伸びているというものでございます。
20ページ目は、健保組合における高額なレセプトの上位100位がどういう状況かというものでございまして、10年前、平成27年度(2015年度)と直近の令和6年度(2024年度)を比較したものでございます。上位100位の平均が10年前は約2000万円弱だったものが直近では4250万円、最高の薬が4200万円だったものが直近では1億7000万弱になっているというものでございます。
21ページ目は、令和6年度(2024年度)で薬価の使用合計額が高い上位4品目をピックアップした上で、薬価の使用合計額がピンクの棒グラフ、対象のレセプトの件数が折れ線グラフになっていて、こういう形で推移をしているというものでございます。
22ページは、がんの治療費に係る調査研究でございます。こちらは、ヒアリングに後藤先生にお越しいただきましたけれども、後藤先生も参画をしておられるJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の調査研究によると、医療の高度化によってがんの治療費が10~15年前と比べて10~15倍まで増加をしているという研究でございまして、こういう状況になっているというものでございます。
23ページ、24ページでございますけれども、こちらは高額療養費制度に該当する主な疾患としてこんなものがありますというものを、レセプトをベースに分析をしたものでございます。こちらは、令和4年度(2022年度)の1年間のデータを整理してございます。23ページが協会けんぽ、健保組合、24ページが市町村国保、後期高齢者医療制度でございます。高額療養費を1回使う方、12回まで使う方、もちろんいろいろといらっしゃるわけでございますけれども、最も医療費が高い傷病名を表示した上で整理をしているものでございます。
赤と青と白で分かれておりますけれども、赤いものは入院比率が66%を超えている傷病名で整理をしております。入院比率が33%未満、3分1未満のものを青で整理をしております。協会とか健保組合に関しては、入院費率が高いものが高額療養費に該当するケースで、1~3回が大半を占めているというものでございます。国保とか後期高齢になると若干様相が変わってくるのですけれども、こういう状況であるということを御覧いただければと思っております。
25ページ目以降は、協会けんぽにおけるある月のデータをベースに、協会けんぽの患者でこういう患者がいらっしゃいましたよというモデルケースといいましょうか、サンプル的なケースを整理しているものでございます。もちろんこれが代表例ということではないのですけれども、こういう患者がいらっしゃいましたという整理でございますので、そういう前提で御覧いただければと思っております。
例えば25ページで申し上げますと、胃がん患者の医療費負担の例でございます。ケースのところに書きましたけれども、40代の男性、標準報酬が30万円ですので年収410万円ぐらいの患者で、主な傷病・治療は胃がんと内視鏡手術と書いてございますけれども、この方の場合にはこうでしたというものでございます。
1月から12月の医療費の受診動向ということで下に棒グラフを描いておりますけれども、薄いグレーと青っぽい棒グラフがありますけれども、薄いグレーの部分が高額療養費制度には該当しない医療費の支払いになっています。濃い青になっている棒グラフが高額療養費制度に該当する部分になっています。例えば、25ページの方であったら、2月に高額療養費制度に該当する医療費がありました。全体で63万円弱のところで、自己負担は10万円で、残りが高額療養費ですと。このようなイメージであります。3月以降は高額療養費に該当する事例はありませんでしたということで、総医療費300万弱で、高額療養費制度を使っていただいて自己負担が結果的にこの方の場合には年間で36万円であったというものでございます。
右側に【家計調査】と書いておりますけれども、年間収入400万~450万円の方の家計の状況というところで家計調査を引用しております。ですので、このケースの方がこのとおり使ったというわけではないのですけれども、実際にどのような形でこの方が年間収入を使っているかというデータまでは分からないものですから、家計調査のデータを援用しております。
年間収入400~450万円の方の家計の状況で、こちらは※の1個目に書きましたけれども、2人以上の勤労者世帯の場合には平均的にこう使っていますよという統計データを12倍にした上で年額換算をしているものでございます。年間収入400~450万円の方であったら、食費、光熱水費、住居費、税・社会保険料で半分ぐらい使っておられて、その他で239万円ぐらい残っているという状況でございます。その他の中に、例えば預貯金とか、様々な交際費とか、いろいろな支出が入っているわけでございますけれども、そういう形の状況であるというものでございます。
26ページ以降も同じような形で整理しております。26ページであれば、胃がん患者で、50代の男性で標準報酬が38万円の方であります。その場合の年間収入の家計の支出状況は26ページの右側で、こちらもその他というところで半分ぐらいになっておりますけれども、こういう患者がいらっしゃいましたというものでございます。
27ページ目は、胃がんの患者の医療費で、60代で標準報酬15万円ぐらいの方です。こういう患者がいらっしゃいましたという御紹介になります。
28ページから30ページは、乳がんの患者の医療費の負担の例ということで整理をしてございます。こちらも、こういう事例がありましたということで3つの事例を御紹介申し上げるものでございます。
28ページで申し上げると、40代女性で、標準報酬32万円の方で、こういう形で治療を受けておられる方がいらっしゃったというものです。この場合にも、家計との関係ではこんな感じだということで、右側に家計調査の円グラフをつけております。
29ページであれば、同じように40代で標準報酬41万円の方はこうでしたという事例でございます。この方の場合には、年に8回ぐらい、多数回に該当するような方になっている。
30ページの方の場合には、40代、標準報酬15万円の女性で、前年から継続で多数回該当を受けておられるので、1月から4.4万円という自己負担になっておりますけれども、こういう患者もいらっしゃるという状況でございます。
31ページから33ページが、白血病の患者の事例でございます。白血病の患者の方も、もちろん年代、性別、標準報酬は千差万別でございますけれども、こういう患者がいらっしゃったということで、31ページ、32ページ、33ページにそれぞれ事例を整理してございます。
34ページから36ページは、アトピー性皮膚炎の患者のケースでございます。こちらも、20代、30代、男性、女性、それぞれ標準報酬も違いますけれども、こういう方々がいらっしゃいましたということで事例として御紹介をしております。
アトピー性皮膚炎の場合には、こちらも受診行動はもちろん一人一人の患者によって様々であろうかと思いますけれども、年に4回あるいは3回ぐらい高額療養費に該当するケースが今回ピックアップをした事例としては多かったというものでございます。
37ページ、38ページには、超高額医薬品使用の例ということで事例をお示ししております。もちろん超高額医薬品の使用がいいとか悪いということを評価するものではございませんけれども、事例として整理をしているものでございます。
例えば、37ページはルクスターナを使った患者の例として整理をしております。40代で標準報酬41万円の方であったら、8万円を超える部分に1%の医療費がかかりますので自己負担が57万円になりますけれども、残りの部分が高額療養費ということで保険のほうから出るということになっております。
38ページはイエスカルタの事例でございますけれども、これも同じように自己負担は40万円で、残り900万円強が高額療養費から支弁される、こういう整理になっております。
39ページ以降は、基本的なデータを御用意しております。39ページでありますと、年齢階級別の外来の受診率、1人当たり医療費、1人当たり負担額、医療サービスの国際比較。
40ページは、後期高齢者医療制度における受診率、1人当たり医療費の推移です。コロナがあったものですから令和2年のところは下がっている形になっていると思うのですけれども、ファクトとしてはこういうふうになっているということを御紹介しているものでございます。
41ページが、がん治療における経済的負担の影響ということで、もちろん千差万別でしょうから統計だけで物を語ることは難しいと思うのですけれども、調査結果によるとこういう状況になっていましたということでございます。
42ページは、医療分野についての国際比較で、人口当たりの病床数、医療費、こういうものを御紹介しているものでございます。日本の場合には、1人当たり医療費、あるいは総医療費の対GDP比は高齢化率に対しては、アメリカあるいはヨーロッパ4国と比べても決して高くはない。こういうものが42ページの状況でございます。
43ページ以降、国際比較といいましょうか、後藤先生がヒアリングにお越しいただいた際にお出しいただいた資料をそのまま参考資料という形で使わせていただきました。いろいろな国がそれぞれどういう形で制度を守っていくのかという観点でいろいろと考えておられるという状況でございますけれども、その辺りの状況を参考資料として添付させていただいております。
長くなりましたけれども、事務局からの説明は以上でございます。
○田辺委員長 御説明ありがとうございました。
次に、資料を御提出いただいておりますので、大黒委員から御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○大黒委員 ありがとうございます。
本日は貴重な時間をいただきありがとうございます。
私、今日は体調不良によって自宅からのZoomになっています。失礼いたします。
私は、日本難病・疾病団体協議会の大黒です。
本日提示いただいた「本日ご議論いただきたい事項」の中で、医療の高度化などによる医療費の増大が取り上げられています。この点について、希少疾患患者の立場から心配な意見が上がっておりますので発言させていただきます。
一言で言いますと、高額療養費の見直しの議論が希少疾患のお薬の開発に影響するのではないかという懸念です。
提出した資料に示したように、希少疾患は約7,000疾患あると言われていまして、その95%には治療法が存在しないと言われています。ようやくここ数年、一部の疾患で新薬が生まれ始めた段階です。医薬品の高コスト化の一因には、希少疾患を対象とした新薬の増加も挙げられています。患者数が少ないために開発費を回収するには単価を高く設定せざるを得ず、それが価格高騰につながっているという状況になっています。ようやく開発が進み始めた中で自己負担が増せば、継続治療が困難となりますし、逆に単価を下げ過ぎると新薬開発の意欲や投資が損なわれるおそれもあると言われています。これらの薬剤は、これまで救えなかった命を救うものであり、医療の進歩を象徴する成果でもあります。
ようやく開発された高額な新薬が唯一の選択肢となる希少疾患の患者にとって、治療の可否が生命に関わることがあります。受益者負担と言われる医療費の自己負担は、公的保険制度の公平性を保つ仕組みとされていますけれども、希少疾患を患った責任はその人にはありませんし、この場合、医療の受益は選べるものではなくて、病気になった人が必要に迫られて利用するものです。過度な負担は、国民が等しく受けるべき社会的権利としての公的保険制度の公平性を損なうおそれがあるのではないかとも考えています。
今回配られている資料の19ページにも、高額レセプトの件数が増えているという現状が出ています。私たちは、費用対効果の視点は大事だと思っていますし、有効性に関して評価を見直すことを否定する立場にもありません。ただ、薬剤の高コスト化を一律に問題とする議論が広がると、新たな治療薬を待つ患者は希望を失いかねないと思います。高額療養費制度は、医療の進歩を受け止めるためのセーフティーネットでもあると思っています。
ぜひ希少疾患の薬剤開発の光を消すことなく、未来の患者さんの命の選択肢を広げる方向も考えて制度設計をお願いしたいと思っています。
以上です。時間を取っていただきありがとうございました。
○田辺委員長 御発言ありがとうございました。
それでは、大黒委員への御質問でも構いませんし、もしくは事務局への質問でも構いませんけれども、これらの資料に関しまして御意見、御質問等がございましたら挙手にてお願いいたします。また、オンラインで御参加の皆様方は挙手の機能を使ってお知らせいただければ幸いです。
天野委員、よろしくお願いします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
事務局からお示しいただいている資料の14ページ、「本日ご議論いただきたい事項」に沿って3点意見を申し述べたいと思います。
1点目は、資料にあります【高齢化の進展や医療の高度化等により増大する医療費への対応】に関してです。今、日本難病・疾病団体協議会の大黒委員からも指摘がありましたが、今まで専門委員会で5回にわたり皆様に議論していただいてきたところでございますが、私たちがんの患者団体においても、この5回の議論の期間に、患者や御家族、がん治療に関わる医療者の方々から様々な御意見をいただいておりますが、現場の声ということで率直な患者や御家族から多くいただいているコメントを改めて紹介申し上げますと、「まだ上げるつもりなのですか」、「本当に上げるのですか」、「上げられたらもう治療を受けられなくなってしまいます」という切実な声をいただいているということを、改めてこの場で強調しておきたいと思います。
一方で、資料の14ページにありますように、制度の持続可能性、現役世代の保険料負担への配慮という観点から考えた場合、引上げはやむを得ないという意見も当然あるわけでございまして、これについては我々患者団体としても、第1回でも申し上げたように、高額療養費というものが高いリスクに備える、大きなリスクに備えるものであり、公的保険の根幹的な制度であるという観点から、ほかの代替手段についても十分考えていただきたいということを申し上げておりました。
また、ちょうど昨日、政権が交代しまして、これを受けて患者や家族からも、政権が交代したことによって高額療養費の議論はどうなるのかという御指摘をいただいています。例えば、今回新しく政権に入られた日本維新の会も今年の3月に高額療養費について、この制度は国民の命と健康を守るセーフティネットとして重要な役割を果たしており、国民皆保険制度の中核中の中核であることから、医療改革の文脈では最後に手をつけるべき制度だという声明を出されています。こういった観点から、本日も医療保険部会の議論をお示ししていただいていますが、制度全体の中で議論いただきたいというのを改めて申し上げたいというのが1点目になります。
2点目、事務局がお示しいただいた論点の【年齢にかかわらない負担能力に応じた負担】という部分についてでございます。資料の5ページにおいても、医療保険部会のほうで、国民の理解を得る上では、現役世代の負担の軽減と能力に応じた全世代の支え合い、相互共助が重要であると。一方で、特に75歳以上の後期高齢者にとっては、健康状態の悪化が深刻な問題となる、医療費の負担も大きくなるため配慮が必要だというコメントが掲載されています。
私たち全国がん患者団体連合会が今年の初めに実施したアンケートで、3,000名以上の方から回答をいただいていますが、それぞれの世代に応じた課題とか負担の厳しさが述べられているわけでございます。
一方で、高額療養費に関して私たちが要望活動を行っていた際に、特にがん治療に関わる医療者の方々から多く寄せられたコメントを改めて紹介いたしますと、例えば、最近、抗がん剤治療を外来で行われることが増えているわけですが、あるレジメンがあったとします。そのレジメンが、高齢の方であれば外来特例などの制度がありますから、外来治療で一定の負担の中で受けることができていて、高齢の方はその治療を受けることができる。一方で、現役世代、特に子育て世代、子育てをされている方とおっしゃってもいいかもしれませんが、そういった方々においては、相当厳しい経済状態の中で、高齢の方が受けられている治療が現役世代では受けることができていないという現状がある。これは公平性の観点からどう考えればいいのかという趣旨の御指摘を医療者の方々から多数いただいていて、葛藤を抱えながら日々治療しているというコメントもいただいています。
そういった観点から、先ほど社会保障審議会医療保険部会でもあったように、相互共助、能力に応じた全世代での支え合いということを考えた場合、現在、現役世代が特にがんにおいて高齢者の方であれば受けられているレジメンが現役世代は受けることはできない場合があるということはこの場で申し上げておきたいと考えております。
最後3点目、【セーフティーネット機能としての高額療養費制度の在り方】についてでございます。これについては事務局からモデルケースを多数お示しいただいて、これは大変な御尽力をいただいたと思って参考にさせていただいているところでございますが、特に私が着目しましたのが30ページになります。乳がん患者の医療費負担の例ということで、40歳代の女性で標準報酬15万円、年収約200万円未満の患者さんになります。
以前こちらでも御説明申し上げたように、世界保健機関(WHO)は、手取り額から食費や住居費などの基本的生活費を差し引いた医療費支払い能力の40%を医療費が超えた場合を「破滅的医療支出」と定義しています。その定義に基づいて考えると、30ページの患者は、分母が恐らく右側の円グラフの「その他」に該当するかと思いますが、「その他」を分母として見た場合、この患者の医療費支払い能力における医療費の支払いは、概算になりますけれども、50%を超えています。既に、現在の制度においても破滅的医療支出を大きく超えてしまっている患者が生じていることは、今後の持続可能性もありますけれども、患者の過重な負担にならないということを考えた場合、こういった患者が既に存在していることを十分に配慮しながら制度の検討を行う必要があると考えております。
私からは以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
外せない用事がありまして途中で退席することをお許しいただければと思います。
まず、今までもずっと申し上げてきたことですけれども、高額療養費制度の見直しについては、当然ながら低所得の方や長期にわたって継続して治療を受けている方に対する配慮をして、この制度がセーフティーネットとして機能することが極めて重要であると考えております。一方で、この制度を維持していくこと、現役世代の負担軽減、保険料負担の上昇抑制を図っていくことが不可欠だということが健保連としての基本的な考え方でございます。
そういった中で、今回お示しいただきました14ページの論点について意見を申し上げたいと思います。
1点目の増大する医療費への対応につきましては、人口構造の変化や、医療費が高騰しているという状況を踏まえれば、現行の制度のままで維持していくことは難しいということは確かであると思います。
今回、資料の19ページ、20ページで私どもの資料を示していただいておりますけれども、やはり高額の医療費については、医療の高度化、高額薬剤の普及等によって件数も大きく伸びておりますし、金額も高額化が進んでおります。また、内容的にもここ数年で大きく変化をしているということでございまして、このことはまさに高額療養費制度の重要性がより増している一方で、加入者の保険料負担の増につながっている点を考えますと、もちろん低所得の方や長期療養の方々への影響に配慮しつつ、自己負担を見直すことは避けられないのではないかと考えております。
2つ目の負担能力に応じた負担につきましては、全世代型社会保障を目指して、年齢ではなく能力に応じた全世代の支え合いの観点で考えますと、給付と負担のバランス、世代間のバランスを踏まえて、高齢者の外来特例については見直しが必要だと考えております。
また、負担能力に応じたきめ細かい制度設計をしていく観点でいいますと、低所得者に配慮した自己負担の設定は前提だと思いますけれども、所得区分の細分化も必要だと考えております。
3つ目の高額療養費制度の在り方については、今回、疾病ごとに年代別、収入別に家計に与える影響を丁寧に分析していただいたことについては感謝を申し上げたいと思います。そういう中で、患者の皆さんの家計に与える影響についても一定の差があることは理解できましたけれども、その中でも低所得者の方とか長期にわたって継続して治療を受けている方への配慮はもちろん必要でございますが、この制度がセーフティーネットとして機能するように、現行の自己負担の在り方や仕組みも含めて必要な見直しを行うべきだと考えております。
最後に、全体的な部分でございますが、全世代型社会保障の構築、最重要課題である現役世代の負担軽減に向けては、高額療養費制度の見直しに限らず、医療保険制度全体の中で給付と負担のバランス、また、公費、保険料、自己負担といった財源のバランス等について検討することが重要であると考えております。
先ほど御説明がありましたように、医療保険部会のほうでも議論が開始されておりますけれども、薬剤給付の在り方等、保険給付範囲の見直しも含めて総合的な検討をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、井上委員、よろしくお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
昨日、新しい政権が発足したわけですけれども、連立に係る合意書にも示されているとおり、増加する現役世代の保険料を軽減していくことが非常に重要であることが示されております。この観点から、医療保険制度全体の改革を進めていくことが不可欠と考えておりまして、高額療養費制度につきましても、その際の改革項目の一つとして、利用者の方々の家計に十分配慮しながら一定程度見直しをしていくべきだと考えております。
具体的にどこまで見直すかにつきましては、他の項目も含めて全体のバランスがありますけれども、まず、年齢にかかわらず負担能力のある方に御負担をいただくということから始めて、公平な制度にしていくことを重点的に考えていくべきではないかと思います。また、医療保険制度全体の改革項目全体の中で優先順位をつけながら判断をしていくことが必要だと思います。
今後の検討に当たりまして、本日いろいろなデータが示されておりますけれども、国民全体にとって必要なセーフティーネットですのでなるべく分かりやすく詳細なデータを示しながら丁寧に議論を進めていただきたいと思います。
本日お示しいただきました家計ごとの状況は非常に参考になる資料だと思います。ただ、収入の面でも金融所得などは含まれていないとか、負担能力という面からいうと、所得のみならず資産も勘案しなければならないとか、そういうこともございますので、こういう辺りにつきましても、これは医療保険制度全体の話になりますけれども、今後も引き続き検討を進めていただきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
それでは、大黒委員、よろしくお願いします。
○大黒委員 ありがとうございます。
先ほど医療の高度化等については発言しましたので、「本日ご議論いただきたい事項」の中で2点目と3点目について発言させていただきたいと思います。
まず、外来特例の在り方ですけれども、一定の年齢になるとかかる疾病の数が増えて、医療機関にかかる回数が多くなるという文章がありましたけれども、私もそう思っています。ですから、高齢者の特性を踏まえた仕組みは何らか必要ではないかと思います。つまり、現役世代と全く同じ制度ではなかなか難しいと思います。
これは私たちもずっと言っていますけれども、低所得者の方や長期にわたり継続して治療を受けている患者の負担の中に高齢者も含まれる可能性があります。そういう方を配慮するという方向性は一致していると思いますので、今のままでは無理かもしれませんけれども、何らかの方策は必要ではないかと思いました。
また、一定の所得を有する方は応分の保険料を負担している中において、給付面の応能負担をこれ以上強めることは制度への納得性を損なうという文章もありましたけれども、私自身もそう思っています。
私自身も、難病になった時点では一般的な収入はあったのですけれども、病気になった途端に働けなくなりました。その際にも、一定の所得を有する方に自分も含まれますので、医療費の自己負担は大変なものでした。よって、病気になった後にも所得を維持できているという前提で負担を考えるとなると、実態とは合わないのではないかと思います。ですから、病気後の負担は果たして本当に応能負担になるのかというのは少し疑問に思いますので、給付面の応能負担は何らかの配慮が要るのではないかと実体験を基に考えています。
3点目のセーフティーネットのことですけれども、今回資料を見せていただいて、15ページに2021年から2022年度の高額療養費の支給金額が出ていますけれども、その伸びは0.12兆円でした。一方、17ページに示されている国民医療費の同じ期間の伸びは1.7兆円になっています。増額の高額療養費の寄与は7%ほどしかありません。
一方、60ページの以前の見直し案において高額療養費の自己負担額をかなり引き上げたとしても、その場合でも加入者1人当たりの保険料の軽減額は年間1,100~5,000円と書かれています。これは、以前私も発言しましたけれども、月額にすると90~400円程度になってしまいます。
もともと国民医療費が48兆円規模で高額療養費が3兆円規模ですから、高額療養費は6%程度にすぎなくて、高額療養費の見直しで国民医療費全体を抑制するのはかなり無理が生じると思います。
これは全体で見直していこうという皆さんの意見と同じなのですけれども、高額療養費の伸びが無視できないというのも分かりますので、高額医療費の自己負担額の引上げの議論よりは、費用対効果の見直しなどで高額療養費の伸びがどのように抑制できるかというのを考えることも賢明ではないかと思っています。
以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
それでは、青山参考人、よろしくお願いいたします。
○青山参考人 日本商工会議所でございます。
御説明ありがとうございます。患者負担のモデルをはじめ、データをお示しいただき感謝いたします。
モデル生計費は2人以上世帯となっておりますが、患者の家族構成などは様々だと思います。例えば現役世代、子育て世代を考えたときに重い負担であることがイメージできると思います。一方で、検討の余地があるケースもあるかと思います。今後の制度設計に当たっては、御提示いただいたモデルも参考に、限度額、制度設計について、実態を踏まえて丁寧に検討をいただきたいと思います。
その際には、医療の質を落とさずに、患者が長期にわたって治療を継続でき、負担が過剰になってしまう人については十分な配慮を行うことが前提になるかと思います。
同時に、これまで議論されていることですが、高額医療、高額薬剤が急激な増加をしている現状がありますので、低価値・無価値医療の指摘など、現状を分析して、改めるべきは改めていただきたいと思います。
今後、医療制度改革全体の中で議論が進むと思いますが、どのように制度を維持していくか、国民全体で考えられるよう、情報発信、制度設計が重要だと思いますので、今後も分かりやすいデータ等をお示しいただければありがたいと思います。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、袖井委員からお願いいたします。
○袖井委員 これまでも、年齢ではなく負担能力に応じた負担という話が度々出ていまして、確かに高齢者優遇の面もないわけではないのですが、その辺りについては慎重に検討していく必要があると思います。
1つは、高齢者の外来特例です。これもいろいろ考え方があると思うのですが、私自身の体験によると、数か月前にすごく分厚い封筒が来まして、何なのだろうと見たら、外来特例に当たって還付されるというので、その金額を見たら67円と書いてあるのです。えっと思った。郵便料金が110円で、どういう根拠でこの制度があるか、どうなっているか、いろいろな資料がついていて、何なのだろうかと。外来特例についてもいろいろ問題があると思うのですが、この辺で1度見直したほうがいいのではないかということを感じております。
ただし、年齢ではなくということが何度も出ていますけれども、高齢者の場合は若い世代と違って、失った所得を働いて回復できるとか、これから収入増やすことがかなり難しいので、その辺りも考慮しなければいけない。
この前、医療保険部会にも出ていましたが、高齢になるとどうしても病気になる確率が高いし、転倒骨折も多いので、病気になりやすいということも考えて、確かに高齢者優遇にメスを入れざるを得ない事情にはなっているとは思いますけれども、その辺は考慮が必要ではないかと思います。
もう一つ、高額療養費の問題ですが、大黒委員からも御指摘があったように、高額療養費の限度額を引き上げることで現役世代の保険料がどのぐらい下がるかというと、本当に微々たるものです。ですから、困っている人を締めつけることで全体のわずかな部分を下げるのがいいのだろうかということを感じます。もっとほかにできることがあるのではないかということで、私は高額療養費をターゲットにすることについてはもう少し慎重に考えたほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
今日、モデルケースの負担例を出していただきまして、大変参考になると思います。ありがとうございます。
低所得者が非常に多い国保制度から見ましても、例えば先ほど天野委員からも指摘のあった30ページのケースは、低所得者の負担がかなり重くなっているというのが推察できます。それから、多数回該当制度が一応あるのですけれども、30ページの資料を見ても、これも事務処理の問題があるのでなかなか難しいところもあるのですけれども、多数回該当の限界みたいなものも感じられて大変参考になったところでございます。
私どもとしては、従来から申し上げていますように、基本的な考え方としては、高額療養費の見直しに当たっては、セーフティーネットとしての役割の維持という観点と、医療保険制度の持続可能性の堅持という観点のバランスをどのように確保するか、こういうことが大変重要であると考えております。
今日、資料の14ページで論点を出していただきましたけれども、これにつきましては、まず基本的には年齢ではなく負担能力と給付の必要性を指標として制度の見直しを行っていくことが望ましいと考えております。
給付の必要性という点では、本日の資料にもありましたけれども、難病、がんなどの慢性疾患を有する方で長期間療養を必要とする方への配慮が、先ほど申し上げましたように、現行の多数回該当制度だけでは弱いと考えております。この委員会でも患者負担に年間上限を設けてはどうかといった意見もございましたけれども、そのような配慮は必要ではないかと考えております。
一方、負担能力という観点から言えば、昨年の厚生労働省の案にもありましたように、所得区分の細分化をするという方向は合理的な考え方であると思います。ただ、細分化し過ぎたり、複雑なものにし過ぎますと、国民にも分かりにくいということもございますし、住民の方と接する市町村の窓口などの現場で混乱が生じることにもなりかねないので、制度設計に当たってはその点にも十分留意をして考えていく必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
それでは、林参考人、お願いします。
○林参考人 ありがとうございます。
皆さまからもありましたけれども、モデルケースを示していただきありがとうございます。大変参考になりました。
治療や家計の状況などはそれぞれ異なりますので、一概に言えるものではありませんが、現役世代においても高額療養費制度が活用されており、この制度が家計に対する医療費の自己負担が過重なものにならないようにする重要なものであるということが改めて分かったと思っています。
医療の高度化により今後も高額療養費の支給は増加が見込まれる中で、一定程度の見直しを含め検討することは理解できるところです。資料の14ページに論点ということでいただいていますけれども、これまでの意見を踏まえながら議論をさらに深めていくことに異論はございません。
個々の点につきましては、これまで村上委員から発言させていただいていますので、この場では繰り返しませんが、見直しに当たっては、必要な医療へのアクセスが阻害されないよう、とりわけ長期に継続的な医療が必要な患者への配慮が必要ということは改めて申し上げます。
以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
まずは、今回、事務局におかれましては、様々なモデルケースや国際比較のデータ等を集めていただきましてありがとうございます。
資料の42ページの医療分野についての国際比較等を見せていただきますと、我が国の医療の提供状況やコストのかかり方に関しては、諸外国に比べますとかなり効率よく、丁寧な医療が提供される体制になっていることが見てとれるかなと思っております。
その上で、今回14ページに論点を整理していただきましたが、これに関しましては、3点とも皆さんが既にコメントされておられますように大変重要な視点であろうと思います。
これは、専門委員会でも以前からお話をさせていただいてございますが、高額療養費制度の見直しの議論をするに当たりましては、医療保険制度全体の負担と給付の考え方に一定の道筋が見えないと、本制度の方向性も詳細にわたってはまだ見えにくい状態だろうと思います。
現在、医療保険部会においても、年末の予算編成に向けて様々な事項について議論が行われているところでございますけれども、その中でも、皆さんがおっしゃるとおり、高額療養費制度は国民の方々にとっての重要なセーフティーネットであるという視点とともに、本制度を含めた医療保険制度の持続可能性、さらには現役世代の保険料の負担軽減という大変難しい点を議論していくことになるわけでございますので、今後もなかなか難しい議論が繰り広げられることになると思います。
しかし、その中においても、皆さんがおっしゃっておられますように、今回様々なケースを示していただきました悪性腫瘍、難病の患者さんのような長期療養を必要とする方々がしっかりとした医療へのアクセスが妨げられないような制度設計にすべきであろうと思います。
また、外来特例においても、先ほどからお話がございますように、もともとこの制度ができたのは、高齢者の方々は多くの疾患を抱える、それに対してそれぞれの医療機関に日々かかって治療を受けることが多いということで、所得の状況もさほど十分ではない高齢者においては特別な対応が必要であろうということで制度設計されたということでございますので、この制度の見直しをするということであれば、それぞれの患者さんの自己負担がございますので、自己負担の問題と併せて議論をしていただかなければいけないかなと思っております。
いずれにいたしましても、国民の方々、もちろん患者さんも含めて、皆さんがしっかりと理解をしていただけるような制度の見直し等となるように議論をしていきたいと思ってございます。
私からは以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
14ページの論点につきましては、先ほど来、佐野委員、井上委員、原委員からコメントがありましたような基本的な考え方は私どもも同感するものでございます。
今後の議論に当たってコメントをさせていただくならば、25ページ以降にお示しいただきましたモデルケースの中で、年に何回も高額療養費制度に該当するような治療を継続して受けられるケースについては、自己負担額の引上げを行った場合にその影響が非常に大きくなるなと。こういう点は留意すべきだと考えております。他方、1回手術を受けられた月のみ高額療養費に該当するようなケースもあると。この辺は、今後の制度設計に当たってきめ細かく検討を加えていただきたいという点が私からのコメントでございます。
また、部会のほうでも申し上げましたが、39ページの医療保険制度改革全体の議論の中で、右上のグラフ、年齢階級別1人当たり医療費が年齢とともに増えている一方で、左下の自己負担額については特に65歳以上の辺りで大きく減っている。この辺りに関しては、年齢の境目で自己負担の在り方に差が生じているというのが現状でございますので、この点について、世代間の公平性、あるいは負担の在り方、こういった議論が進められることを大きく期待しているところでございます。
以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
一応皆様方から御発言を賜ったと思いますけれども、時間はまだまだありますので、2巡目をどうぞよろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。
今回、モデルケースが出てまいりまして、従来の議論よりは具体に即して考えられるようになった部分があります。それを踏まえて、今後の制度設計等に反映するような考え方を打ち出していくのだろうと思いますけれども、よろしゅうございますか。
それでは、予定の時間よりも若干早うございますけれども、本日の議事は終了といたします。貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。
次回の日程等について、事務局から連絡をお願いいたします。
○佐藤保険課長 保険課長でございます。
次回の日程につきましては、改めて御連絡を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田辺委員長 それでは、本日は御多忙の折、また急激に寒い中、御参加をいただきましてありがとうございます。
これにて閉会いたします。

