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社会保障審議会障害者部会(第151回)議事録
日時
令和7年10月20日(水)10:00~12:00
場所
ベルサール飯田橋駅前
(東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階)
(東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階)
出席者
- 委員(五十音順)
-
- 阿部委員
- 安藤委員
- 伊豫委員
- 江澤委員
- 岡田委員
- 叶委員
- 沖倉委員
- 川手委員(代理:大坪参考人)
- 菊池委員
- 小阪委員
- 小﨑委員
- 小林委員
- 酒井委員
- 櫻木委員
- 佐々木委員
- 清水委員
- 白江委員(代理:三浦参考人)
- 新保委員
- 田中参考人
- 冨岡委員
- 永松委員(代理:渡辺参考人)
- 中村委員(代理:一政参考人)
- 丹羽委員
- 野澤委員
- 樋口委員
- 藤井委員
- 山本委員
- 吉泉委員
- 吉野委員
議題
- (1)障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直しについて
- (2)その他
議事
○菊池部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第151回「社会保障審議会障害者部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、本日も大変御多忙のところ、朝から御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の会議については、こちらの会場で原則対面としつつオンラインも併用して開催いたします。事務局においては資料を説明できる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員からの御発言について、いつもながらお願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので会場の方は挙手をお願いします。オンラインの方に御意見を募りますので、ZOOMの手を挙げる機能を使用してお知らせください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言をいただきたいと思います。御発言の際は、まず、お名前を名乗っていただき、できるだけゆっくり分かりやすくお話しください。その際、資料の記載内容について御発言される場合には、資料番号と記載内容の位置について御教示ください。また、今日は会場に御参加の方が多く来ていただいておりますが、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
また、本日は、障害福祉サービスの地域差について議論するに当たって、統計などに関して専門的な御知見を有しておられる駒沢大学経済学部准教授の田中先生にお越しいただきました。先生、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしければ、一言お願いいたします。
○田中参考人 駒沢大で教員をしております田中聡一郎と申します。専門は格差とか貧困のデータ分析になりまして、厚労省のほうでは、2021年の障害児通所支援の在り方に関する検討会というところで構成員を務めたこともございます。データと障害、皆様方ほど現場のことも分かりませんけれども、そういったことで今回お招きいただいたものと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局より本日の委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○乗越企画課長 事務局でございます。本日の委員の出席状況ですが、御欠席の御連絡はいただいておりません。
続いて、委員の代理について、川手委員の代理として日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪参考人を、白江委員の代理として全国身体障害者施設協議会副会長の三浦参考人を、永松委員の代理として杵築市福祉事務所長の渡辺参考人を、中村委員の代理として愛媛県保健福祉部生きがい推進局長の一政参考人を出席させたいとの申し出がありましたが、皆様、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○乗越企画課長 ありがとうございます。
また、本日は、先ほど部会長からも御紹介ありましたが、駒澤大学の田中先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
本日の資料につきましては、議事次第、資料1、2、それから、参考資料1~3となります。会場にお越しの方で、これらの資料の不足などがございましたら事務局にお申しつけください。
なお、カメラ撮りはここまでとなります。御協力をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
今回は進行の都合上、資料1につきまして事務局、そして、田中先生からも御説明をいただいた後、資料1に関する質疑応答の時間を取らせていただきます。資料2につきましては、資料1の議論が終わった後、事務局からの報告とさせていただきます。
それでは、資料1に関しまして、まずは4ページまで事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 事務局企画課長でございます。本日は、基本指針につきまして、前回に引き続き地域差の是正について、また、事業所指定の在り方に関しまして、就労系サービスの指定等に関するガイドラインについて御議論いただきます。地域差については企画課長から、それから、ガイドラインにつきましては障害福祉課長から説明を申し上げます。
1ページについては、前回までにお示しをしております論点の資料になります。
3~4ページになりますけれども、地域差につきまして前回の部会で御議論いただきました論点が3ページになります。それから、前回の部会におきまして委員の皆様からいただいた御意見、地域差の考え方に関するもの、地域差の捉え方に関するもの、また、地域差の是正に係る対応に関するもの、これらのカテゴリーに分類をいたしまして、いただいた御意見をまとめたものになります。御確認いただければと思います。
4ページまでは以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
前回、地域差の是正に関していろいろ御意見をいただいたところでございまして、その際にも専門家の先生からぜひ次回お伺いしたいといった御意見もいただいたところでございます。5ページに御質問をまとめていただいておりまして、あらかじめ田中先生にお伝えさせていただき、御用意いただいていると伺っておりますので、まず、この点につきまして田中先生からお願いできますでしょうか。
○田中参考人 今回の部会に先立ちまして事務局の方と何回か打合せをさせていただきました。主には今回のデータの基になります障害福祉デーやベースの構造、どういう要素が入っているか、2点目はこの後に出てくるところですが、地域差を測るときの指標のつくり方、3点目は地域差の考え方、そのようなことについてお話しいただきました。
ただ、データ分析などをやっているとよく分かると思うのですけれども、直接データを携わらないと分からない部分も結構あったりするところでありまして、今回は私自身は触れていないので、いろいろ理解不足の点もあるかと思いますが、聞き取ったお話をベースに少しお話ししていきたいと思います。
主にここに挙がっている質問のポイントというのは、地域差がどういう要因で生じているのかといったことについて御関心があって、それがどうやってデータに反映されるのかという部分だと思います。ただ、障害福祉データベースの中に全てのデータが入っているわけでないというのが、何よりも非常に大事なポイントかと思います。また、別のデータとくっつけたりとかしていくとなりますと、複雑になってきたり、データを取れるタイミングとかもありますし、そういった問題が生じるだろうと思います。
したがいまして、障害福祉データベースを中心に、それをのみを使ってどのようにやっていくのかということが考え方として一つポイントなのではなかろうかと思っております。
5ページの1つ目の○のところですけれども、人口の伸び率や人口に占める利用者数割合が低いからといって不適切という評価にはならないというところがございます。これも今言ったことと関連するのですけれども、例えば利用者数割合、利用率みたいなことを考えたときも確かに分母が人口になっていて、分子が利用者数になってくるわけです。この後の話にも関連してきますが、人口構造の年齢については今回調整されているということなのですけれども、例えば都市部になると割と健康な方、働ける方が入ってくるわけなので、人口だけではない要素もきっと入ってくると思います。そうなりますと、都市部のほうが利用者割合は低くなるとか、そういったことがありますので、そのような意味でも一律に不適切とか、そういったことの評価にはならないかなと思います。
2点目、地域差はどういうものを是正すべきなのかというところであります。これもまさに書かれているとおりですけれども、その要因がどういう原因によるかということに依存すると思います。基本的には、全国どこに住んでいても同じ状態の方が同じようなサービスを受けられるのが望ましい形だと思います。その町の人口構造とか、健康状態とかの影響を除去した上で、残った部分を地域差として見ていくということはそのとおりだと思っております。ただ、それをどのように是正するのかということになりますと、その要因のところまで詳しい情報が必要になってまいりまして、そこについては一言では申し上げられないかなと思っております。
3点目、都市部と地域というのは、どこを対象にしていくかということは、都市部の中でも例えばサービスがあまり充実しない地域とか、いろいろあると思いますので、ここはスキップさせていただきます。
4点目は、情報をどのように取ったらいいのかという部分です。どこに行っても必要なサービスを受けられるべきだけれども、サービス利用が制約されていることの情報をどうやって入手したらいいのかというところになります。ここの点は、例えば福祉アクセスに関する研究などは多くはないのですが多少あります。提供体制の問題だけではなくて、移動距離とか、情報提供の格差とか、そういった問題もはらんでまいります。そうなりますと、利用者の方が市町村内のどこに住んでいるのかという、市町村単位でよりもっと細かい情報が、この問題を解くには必要になってくると思っておりまして、これはなかなか今の段階では難しいのかもしれません。本来であれば、そういった地図情報と合わせたようなデータが必要だと思います。
5点目は、人口に占める割合ではなくて、手帳ベースのところのほうがいいのではないのかというような御議論であります。確かに分母を手帳ベースの障害者の方で考えるというのも一つのアイデアとしてあると思います。まさに障害とか健康の度合いについてコントロールされたような指標になるわけですから、そのような方々の中でどれだけサービスを利用しているのかということが明らかになりますので、それも一つの指標だと思います。
ただ、今知りたいことというのは、恐らくはまさに地域差という部分で、その自治体でどの程度利用されているのかということなのかなと、その自治体の障害者の方がどれぐらいたくさん利用しているのかということよりは、その自治体の中でどのように利用されているのかということが知りたいのかなと思っておりまして、人口ベースで考えるのも妥当なのではなかろうかと考えております。
6番目のところ、人口規模が大きければ、それに比例して障害者数が大きくなる前提であれば、今回のような分析の手法が格差を見る手がかりになるのではないかというところですけれども、こちらは事務局のほうでつくっていただいて見せていただきました。市町村人口とサービスの利用者数につきましては、相関関係が認められておりましたので、そういう意味では今回の指標のつくり方というのは、格差を見る際の手がかりになるのではなかろうかと思いました。
その次、直ちに理解するのはなかなか難しいのですけれども、利用者割合が小さい自治体で伸び率が高ければ格差の縮小につながりますが、利用者割合が大きい自治体の伸び率が高いということになれば、むしろ格差が拡大してしまうのではないかというような議論がされております。まさに大きな自治体のところで利用者割合が大きかったりすると伸び率が高くなったりとか、その伸び率と利用者割合の2つの要素がどのように関連しているのかというような御質問かと思いました。ただ今回、こちらは事務局のほうで検討していただいたのですけれども、利用者割合と伸び率の間には相関関係はなかったと確認していただいたところになります。
最後のところ、これはなかなかアイデアが浮かびませんでしたけれども、規模の大きい都道府県のようなところであれば、極端に大きい、もしくは小さい数字は算出されないで、規模が小さい自治体の場合は極端な数字が出てくる可能性があるのではないか。そういう状況についても除去できないのかというようなことです。まさにこの後にお話しするところですけれども、非常に懸念しているところでして、今回の指標になったときに、そういう小さな自治体のところ、たまたま障害者の方が多く住んでいるような地域だったときに非常に高く出てしまうような可能性もゼロではないと思いますし、そういう傾向が起き得るのではないかと懸念しております。そういったことについて何らかの対応が必要なのではないかと思います。
超過してしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいまの田中先生のお話に関しましてもさらにお聞きしたいことがあるかと思いますが、後ほどまとめて質疑を行わせていただきます。
それでは、戻りまして6ページ以降について、再度事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 6ページになります。こちらは基本指針ですとか、これまでの御議論を踏まえまして、地域差是正に関する基本的な考え方について事務局の方でまとめたものとなります。6点にまとめております。
まず1つ目、あらゆる地域におきまして必要なサービスを受けられるように、サービスの均てん化を図る必要がある。
そのために、計画を策定して地域の実情に即した総合的かつ計画的なサービス提供体制を図っているという状況にあります。
その際、利用者のニーズに対して供給が追いついていない地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図る必要があること。また、高齢化や人口減少が進む中では、地域の需要に応じたサービス提供体制の整備の推進を図っていく必要があるということ。
その一方で、これまでも部会の中で説明をしておりますけれども、近年、自治体が障害福祉サービスに定めるサービスの見込み量を上回り、サービス提供量が増加し続けているサービスや地域もあり、多くの事業所が参入し、また、人材確保が喫緊、かつ重要な課題となっている中で、利用者のニーズに合致した障害福祉サービス等の提供を行うことが重要であること。
また、障害福祉サービス等におきましては、給付費がほぼ全額公費で賄われていること。
また、国費に係る自治体間の公平性の観点を踏まえれば、一定程度の地域差の是正が重要であるとまとめさせていただいております。
地域差を是正して供給を計画的、かつ効率的に行うための方策を御議論いただいておりますけれども、その重要な要素といたしまして必要量の見込み量の見直しについて御議論いただいているところでございます。
7ページ、この地域差の是正の対応に当たりましては、まず、対応する必要がある地域差の考え方を整理する必要があるのではないかということで、具体的にその整理が必要となる事項について3つまとめております。
1つ目、サービス利用に関する地域差を見るための指標ということで、どういった数字でこれを比較していくか。
2つ目、サービスの利用に関する地域差の基準点、何と比べて差があるかということを考えていく。
3つ目、対応する必要がある地域差の対象ラインということで、どこからを対応の対象とするのか。
この3点についての整理が必要ではないかということで、以降のページでそれぞれについて案をまとめております。
8ページ、まず、1つ目のサービス利用に関する地域差を見る指標でございます。これは利用量の実績を見ることができる指標である利用者数というものが考えられるところですけれども、人口規模の違いによる影響を考慮するため、利用者数そのものではなく、人口や手帳所持者を分母として、それらに占める利用者数の割合といった方法で見る必要があるのではないのかということでございます。それぞれ人口と手帳所持者につきましては、人口の場合は全てのサービス利用者を含んでいる一方で、手帳所持者の場合は必ずしも手帳の所持がサービスの利用に直結しているとは言えないということから、人口に占める利用者の割合を用いるほうが、より公平なものとなるのではということです。
9ページ、人口に関しましては、地域ごとに若年層や高齢者層の多寡といった年齢層の相違が影響を与える可能性があることから、地域差をより公平に捉えるために、そのような影響を除去する必要があるのではないか。具体的には、下にポンチ絵を描いておりますけれども、地域ごとの年齢層の違いについて全国平均の年齢層にそろえるという、いわゆる年齢調整を行うこととして、地域差を見るための指標につきましては、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合とすることが適当と考えらるがどうかということで提案をしております。
10ページ、2つ目のサービス利用に関する地域差の基準点に関しましては、平均値や中央値といった指標が考えられるところでございますけれども、平均値につきましては全ての利用量の実績を反映できるという指標である一方で、中央値につきましては、全ての利用量を反映することができない極端に大きいものとか小さいもの、これを反映することができない指標であるということで、こうしたことを踏まえまして、サービス利用に関する地域差の基準点につきましては平均値を用いることが適当ではないかと考えられますが、これがどうかということで提案をしております。
11ページ、3つ目の対応する必要がある地域差の対象とライン、どこから対応の対象とするのかを考えるに当たりましては、データにつきまして平均値からの指標のばらつき具合も考慮する必要があるということで、そういったばらつきを見るものといたしまして標準偏差を用いることが考えられます。標準偏差はこのようなそのばらつき具合を示すものでありまして、他分野でも活用されている事例もありますので、対象ラインといたしましては、例えば全国平均プラス標準偏差といった基準が考えられるがどうかということで御提案をしております。また、ほかに対象ラインとして考えられるものがあるかということでございます。
12ページにつきましては、標準偏差について簡単にお示しをしたものでございます。標準偏差につきましては平均値からの各データのばらつきの度合いを示した指標ということで、ばらつきが小さいほど標準偏差が小さく、また、平均値と各データのばらつきが大きいほど標準偏差が大きくなるといったような指標となってございます。
13ページは活用例ということで参考でございます。
14ページにつきましては、改めて対応する必要がある地域差の基本的な考え方の案をまとめてお諮りをしているものでございます。
15ページにつきましては、前ページでお示ししております考え方に基づいて、これはイメージでございますが、2024年度の人口や利用者数のデータを用いまして、共同生活援助を例としまして、地域差が大きい自治体についてお示ししたものとなります。
16ページ以降は、前回の御指摘を踏まえまして、事務局のほうでデータを御用意したものでございます。先ほど田中先生からもお話がありました。
17ページにつきましては、利用者数割合と利用者数の伸び率の関係を見たものということで相関関係は認められなかったということ。
18ページは、事業所数と利用者数の相関関係について見たものということで、これらはいずれも正の相関関係が認められたものになります。
引き続きまして、障害福祉課長から説明いたします。
○大竹障害福祉課長 19ページ以降、サービスの質の確保に係る取組についてということでございます。
20ページ、こちらは7月の部会にお示しした資料になりますけれども、サービスの質の確保向上のために事業者指定の適切な運用に向けた取組を進める必要があるということで、この下に2つ挙げておりますけれども、サービス横断的な取組と、あとは個別サービスに係る取組ということで幾つか挙げております。そのうち、赤枠で囲ってございますけれども就労継続支援における支援の質の確保ということで、6年度に調査研究を行っておりましたけれども、この調査結果を基にガイドラインを策定予定としておったところでございます。この点につきまして、ある程度まとまったということでお示しをさせていただくものでございます。
21ページ、ガイドラインの案の概要ということになります。このガイドラインの主なもの、概要といたしましては丸の枠の中のマル1マル2としてお示しをしておりますけれども、マル1のように新規指定時において確認をする事項という点と、マル2にございますけれども、指定や指導をするときのツールを提供するという大きく2点に分かれております。
現状と課題として記載をしております。現状といたしまして、障害者の方の就労能力の向上に寄与しない事業を就労継続支援サービスとして行っている事業者の参入があるのではないかと御指摘を受けております。その課題としては、書類自体がそろっていれば指定自体を不受理にできないという課題であったり、あるいは2つ目のポツにございますけれども、その指定や指導の事務の担当職員が必ずしも知見を有していないことがあるという課題があるということかと思います。
それを踏まえて、このガイドラインでございますけれども、チェックが4つ並んでおります。円滑な障害福祉サービスの提供に必要不可欠な知識等を有しているかということであったり、事業運営に必要不可欠な知識等を有しているか、そういった点をチェックするものでございます。
内容としてマル1マル2ございますけれども、マル1といたしましては新規指定時の確認ということでございまして、事前の説明を行うことのみならず、計画書の審査においては、開所予定地がある市町村に説明を行っているかどうかということであったり、ニーズの把握を行っているかどうかということであったり、どのような形で利用者の募集を行うか、生産活動の具体的な内容といったもの、また、それを確認する生産活動シートというものもお示しすることにしております。あるいは会計知識のある専門家の方にチェックをいただくというような会議の設定もお願いしているということでございます。
また、マル2として運営状況の把握ということで、指定後の確認においても確認すべき事項といったものもお示ししているということでございますし、ここでも生産活動シートの活用を御提案しているということでございます。
こういった内容のガイドラインをお示しできればと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今のガイドライン、参考資料2にありますけれども、これがその案ということですか。
○大竹障害福祉課長 そのとおりでございます。
○菊池部会長 その抜粋をお話しいただいたということでよろしいですか。
○大竹障害福祉課長 概要を今御説明させていただきました。
○菊池部会長 分かりました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、田中先生から改めてお話しいただけますでしょうか。
○田中参考人 7ページ、今課題として挙げられているのは3つあります。1つ目はサービス利用に関する指標です。そして、その地域差をどうやって判断するのかと、対応の基準といったところかと思います。その1番目のところと、まとめて2、3のところでお話をさせていただければと思います。
8ページ目からですけれども、今、課長からも御説明いただきましたとおり、人口割合について調整した利用者数を出していると、分母のほうは各自治体によって人口構造が異なってしまうので、その影響を除去するようなことをやっていまして、それは望ましい作業かなと考えております。
ただ、先ほども申し上げたところですけれども、それだけだと、どうしても健康状態などが踏まえられていません。例えば人口減少がすごく進んでいるような自治体があって、健康で働けるような方々がその自治体の外にどんどん出ていくというようなことがまさに今起きていることかもしれません。もう少し将来的なところも考えていきますと、障害者、高齢者の方々も含めてですけれども、そういった方々がそこに割と多く残るようなことなども考えられるかもしれません。今申し上げたようなことが一つの例でして、健康に関することなどについても考慮するというようなことなども求められるかもしれません。
また、分子のほうですけれども、利用のほうも様々な影響が実際にあります。提供体制におきましても、割と歴史のある団体とか施設とかがあるようなところでは、活発なサービスが提供されていることなどもあるかもしれませんし、交通アクセスのことなどもきっと多く影響するかと思います。そういった利用の背景・原因といったものについても、なかなか捉えきれないということはあります。
ただ、データの中でそれを全て表現することはなかなか難しいと先ほど申し上げました。市町村単位で集計されていることもあります。そうなってまいりますと、どうしても国ができる作業は全国一律の利用状況の分布みたいなものを提示して、そしてその評価については現場の自治体の方々で判断してもらうような形が考えられるのではないかと思っております。いろいろデータを積み上げていけば可能かもしれませんけれども、先ほど言いましたとおり、データを取るときはタイミングの問題が非常に大きくて、リアルタイムで地図情報に反映されるというのは、将来できるかもしれませんけれども、今はなかなか難しいということになりますと、情報についてよく知っている自治体の意見をしっかり聞いていく必要があるのではないかと考えています。
続いて、まとめの2つの部分ですけれども、今回は平均値と標準偏差を一つの基準として見るということで提案をされています。厳密に全てのデータが正規分布であるかということは多分言えないと思いますけれども、集計したものですが、多少見せていただいたりすると、双峰になっているわけではなくて単峰型のものになっておりまして類似性はあるかとおもいます。ただ、正規性に関する検定とかもあって、本来であれば、そういったこともやったほうがいいと思います。
また、実際のデータにおいて厳密な正規分布はなかなか観察されないということもあります。それで今回は平均値と標準偏差で基準をつくるところでありまして、御説明いただきましたとおり、標準偏差というのは、平均からの散らばりの程度を表す指標になります。最も用いられる正規分布を仮定いたしますと、3σの範囲外には片側だと0.13%。2σだと2.3%、1σだと16%弱といった具合になることが知られております。
どれぐらいのところで区切り位置をつくるかというところになってきますけれども、例えば2σぐらいのところで分布の形状によりますが、例えば数%とか、そんな具合だったときに数十の自治体のところだけが選定されることになっていく。そこの中に、先ほども言いましたけれども、小さい自治体とかが入ってきてしまうようなことなども考えられるかもしれません。数はそれほど多くない自治体に地域差の是正といったものの役割というか、そこを担うのも対象としては結構狭いのかなという気がいたします。そういう意味では、もう少し広めに取ることが一つ考えられるのかなと思いました。
反対の考え方で、例えばトップ10%みたいなところの自治体が含まれるようにしたらどうかという考え方もあると思いますけれども、そうすると、今度は平均値からの乖離みたいなことは踏まえなくなってしまいます。また、どうして10%の自治体なのかということとか、基準のつくり方に恣意性みたいなものを感じるような気がします。そういうことを考えますと、平均値+標準偏差というところ以外の基準を示すということもかなり難しさが残るのかなと思います。
先ほどから申し上げているとおりですけれども、そういう意味ですごくシンプルなつくり方にはなっているところでありまして、その分、利用者割合のところだけでは把握されないような小規模自治体の問題とか、あるいは人手不足のこととか、何らかの地理的な個別事情に配慮したりとか、そういったようなことも併せて検討する必要があるのかと思います。そういったものを踏まえた上でということが前提ですけれども、今回の平均値プラス標準偏差という考え方は、何か特定の決め方とか、特定の自治体を対象にしたようなものにはなってなくて、そういう意味では一つの基準として合理的なものと私は考えました。
長くなってしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見・御質問がございましたらお願いいたします。御質問の際には、どなたへの御質問か、事務局への質問か、あるいは田中先生への御質問かをお示しいただいた上でお願いできればと思います。
それでは、小阪委員からお願いできますでしょうか。
○小阪委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門研修機構の小阪と申します。特に質問というわけではなくて意見ということでも大丈夫ですか。
○菊池部会長 もちろん大丈夫です。
○小阪委員 地域差の指標について、今回の資料の11ページに記載のある「対応の必要がある地域差の対象ラインについて」として示されている事柄について、算出すること自体は参考値としてであれば別段構わないのではないかなと思っています。ただし、本来形で言うと、適切な形で障害福祉サービスの利用を希望されている方がいる場合に、その方たちがきちんと自治体においてサービスを受けられているか、適切なニーズに対してそのニーズを満たすサービスが提供されているか、そこに地域差がないかについてというのが、いわゆる「本来の地域差」であるべきで、単純な利用者数の差異だけでは、本来必要とされる的確な地域差を捉えきれないではないかという問題意識は持っています。
また、厚生労働省からの提案に対応する必要がある地域差の対象ラインについて、導入して推し量ったとしてどう是正するかなど、具体的な事柄等について今回は触れられていませんので、まずは現状把握という観点でお示しいただく。その上で、具体的な税制の在り方や必要性については、別途丁寧な議論が必要ではないかと思っています。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小崎委員、お願いします。
○小崎委員 全国肢体不自由施設運営協議会の小崎です。まず、田中先生から大変分かりやすい御説明をいただいたことに感謝を申し上げます。
事前の説明でも実際の元データの分布に正規性があるかどうかということについて私も疑問があったのですが、ただ、今、先生のほうからいわゆる正規分布を前提とした議論をしても構わないのではないかというコメントをいただいたのは、私としては納得感があってよかったと思います。
それを踏まえて、今度は厚生労働省のほうに質問したいのですが、11ページのイメージ図が平均プラス標準偏差のみを示していますが、実はこれマイナス側も当然あって、実際に議論しなくてはいけないのはプラスとマイナスの両側ではないかと思うので、この図は若干ミスリーディングではないかなと思いましたので、その辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局に対してということです。
○乗越企画課長 企画課長でございます。御質問ありがとうございます。
11ページの資料につきまして、プラスの側のところにだけ線が引いてあるということでございました。我々といたしましては、今回御説明した資料におきましても、資料の6ページのところで基本的な考え方というところでまとめさせていただいておりますけれども、委員の御指摘のようなマイナスのところ、利用者の割合が小さく、また、サービスの提供体制がニーズに合っていない可能性があるような地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図っていく必要があるというような認識でございます。
一方で、今回の資料でお示ししておりますところにつきましては、これまで見てきたとおり、必要な見込みを上回ってサービスの提供量が増加し続けている地域についてどのように考えるか、こういった地域差についての対応の必要性を検討していく必要があるのではないのかといった前提におきまして、こちらのプラスのほうの地域差の対応を考えるということで、今回の検討におきましては、こちらの地域差がプラスの面で大きいほうに着目するという意味で、こちらの資料を用意させていただいているということです。マイナスの側を考えないということで用意をしているということではないということでございます。
○小崎委員 ありがとうございます。
これは先ほどの小阪委員の御指摘とも多分重なると思うのですけれども、結局プラスの側とマイナスの側で、恐らく地域差の意味合いが違うということは共通認識を持つ必要があるのではないかなと思っておりますので、その点をよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今の乗越課長の答えは、低いほうは今回はとりあえず上げなかったけれども、この一連の議論において取り上げないという意味ではないということでいいのですか。
○乗越企画課長 今回の議論は基本指針、計画についての議論におきまして、こうしたサービスの供給が追いついていない地域への対応については、この指針の中でもこれまでも対応してきているところですけれども、引き続きサービス提供体制の整備を図っていくという点において重要な課題であるということで認識をしております。
○小崎委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 日本精神科病院協会の櫻木です。田中先生、丁寧に御説明いただいてありがとうございました。
私は医学部の統計学に落第したものですから、なかなかこの辺のことは分からなくて、本当に基本的な質問になると思います。9ページの地域差を見るための指標について、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数の割合が適当だということですけれども、例えば高齢化が進んでいる地域だとかを考える、あるいは若者が仕事でどんどん都会に出ていってしまうということで偏っているそれぞれのところも修正をした上で割合を出すという意味合いで取ってよろしいでしょうか。
○菊池部会長 田中先生、お願いします。
○田中参考人 分子のほう、簡単に言うと、Aというサービスを使っている利用率と、それに掛ける人口があって、それで町の中で使っている利用者数が出てくると思うのです。ただ、利用率のほうは自治体によって、まさに使っているということについて把握するものですから、その自治体の生の数字を使うと思うのですけれども、一方で、人口の分布というのは自治体によって違いますので、そこを全国平均に入れるとすると、自治体の利用者の利用率の状態はそのままで、人口構造だけを全国平均のものに変えていくと、人口の影響を除去したものができるというものです。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○櫻木委員 にわかには分かりませんけれども、勉強させていただきます。
○田中参考人 私自身も実際にデータを触っていれば、もう少しうまく説明できると思います。定かでない部分もあるのですけれども、そのように私は認識しております。
○櫻木委員 ありがとうございます。
あと、多分事務局のほうに聞いたほうがいい質問になるかと思うのですけれども、今回1ページのところで、実効性のある計画を作成するために障害福祉サービスデータベースを活用すると書いてありますけれども、具体的に言うと、障害福祉サービスのデータベースというのはどういうものがあるのでしょうか。例えば医療などだとナショナルデータベース、いわゆるレセプトデータを活用することがあるみたいですけれども、それはどういうものがあるのでしょうか。障害支援区分に関する資料は使われているのでしょうか。あれは主治医の意見書も入っていますし、それから、訪問調査でかなり精密というか、細かくいろいろなことを調査しているので、その辺が使われているかどうか。ただ、訓練等給付の場合には障害支援区分を使わないということなので、そういう意味ではデータとして偏るというか、落っこちていると思います。
それから、1次判定と2次判定のいわゆる訂正というか、それがかなり大きいです。その大きいのが、なおかつ3障害とか、あるいは難病の間で差がある。それから、実態の間でも差があるということで、そういった意味では、データとしてはかなり使いづらいデータかもしれませんけれども、この機会に障害支援区分をどのように活用していくかということが必要なのではないでしょうか。
もう1点、小阪さん、あるいは小崎さんもおっしゃいましたけれども、結局サービスを供給する側の部分、それから、必要としてサービスを受ける側の部分というのはきちんと峻別していかないと、基本的な考え方のところにも一部触れられていますけれども、量的な拡大を必要とする部分と質の担保、本当に必要とした人に必要としたサービスが供給されているかどうか、この辺の調査というか、確認というか、それをどのようにしていくのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 事務局からお願いします。
○乗越企画課長 まず、障害福祉のデータベースについて、どのような情報が入っているかというお尋ねであったかと思います。障害福祉サービスのデータベースにおきましては、基となるデータといたしまして事業所の台帳の情報ですとか、受給者の台帳の情報、これは自治体が保有をしておるものです。また、給付費についての明細のデータ、支援区分の認定のデータなどについても、このデータベースの中に保有をされております。つまり、事業者の情報ですとか、利用者の情報、どういったサービスを受給しているのか、また、支援区分の情報についてもデータベースの中に含まれているところでございます。これらを国のほうで解析して必要な情報を自治体のほうに提供しているという現状でございます。
それから、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、サービスの供給を受けている側の区分をしています。量的拡大の対応についても検討する必要があるという点につきましては、我々も御指摘のとおりであると考えております。これらにつきましては引き続き国としての対応、支援も考えていく必要がある点でございます。
また、地域の実情によってそれぞれ状況が異なりますので、地域の計画を策定するに当たりまして、地域のニーズを踏まえて、どういったサービスが必要とされていて、どういった供給が足りていないのか、こういったことを計画の策定に当たって、各自治体におきまして十分に検討いただいて整備計画を策定していただいて、それを推進していただく。それに必要な国としての支援、対応を行っていく。基本的な大きな方針としてはそのようなことであると考えております。
また、そうした対応につきまして、この部会での議論を踏まえて国としての対応を考えていきたいというところでございます。
以上でございます。
○櫻木委員 これは多分資料2の中でまた触れられると思いますけれども、サービスの給付のあれを考えるときに、今まではそれぞれのサービスのいわゆる収益の差みたいなものは資料として我々に見せていただいているのですけれども、今おっしゃったようなサービスのデータベースについて国としていろいろ解析をされた部分というのは、多分見ていないような気がするのですけれども、これからの議論のときにそういうのを示していただければと思います。
それから、障害支援区分も使っているということですけれども、障害支援区分を考える上でいろいろな問題点が出ると思うので、そこの部分もまた議論の場をつくっていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見・御要望ということで承らせていただきます。
それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。田中先生、丁寧な御説明をどうもありがとうございました。
サービス量に関する地域差の基準点とか、対応する必要がある地域差の対象ラインについては御説明で、私はただの母親ですので、完全にとは思いませんが理解することができました。もし、可能であれば、全国平均と並んで、例えば都道府県別といった地域特性を踏まえた比較が今後できるといいのかなと感じているところです。
また、この後のことになると思いますけれども、都市部と地方部における地域差については、社会保障審議会の介護保険部会において地域別の考え方が示されたところでありまして、大都市、一般市、中山間人口減少地域の3類型に分別し、中山間人口減少地域に関しては報酬の月払い化も提案されたようですので、こういった方向感で障害のほうも国の制度設計を検討いただければと思いました。
事業所指定のことも今言ってよろしいのでしょうか。今日、就労系のサービスのガイドラインも示していただいたところであります。前回も申し上げましたけれども、書類がきちんとそろっているとなかなか却下できないこともあると思うのですけれども、事業所指定の最初の有効期間を3年程度として、市町村の意見を聞くことができるようになりましたので、3年後に市町村の意見を聞いて総合的に更新の可否を判断していただけるような仕組みを御検討いただければと思っています。
あと、グループホームに関しましては、毎回申し上げて申し訳ないのですけれども、総量規制に関しては、本当に重度の人たちを受け入れてくれるグループホームが各地域にどこに行っても会員の皆さんから要望が出ておりますので、障害支援区分の重い人がグループホームを利用できなくなることのないように御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、清水委員、お願いします。
○清水委員 国立障害者リハビリテーションセンター病院の清水です。御説明ありがとうございました。
意見といいますか確認になるのかも分からないのですけれども、この地域差を考えていく場合に一つ気になっているのが、私は眼科医ですので視覚障害の方によくお会いしますし、盲聾の方とか、そういう数の少ない障害者に対してどのようなアプローチを御検討していただけるのか、するおつもりがあるのか、その辺りを確認できたらと思っております。
○菊池部会長 事務局への質問ということでよろしいですか。
○乗越企画課長 今、視覚障害など、特定の分野への対応につきましては、これからの議論も踏まえまして私どものほうでも対応策といったものも御提示をして、また御議論いただきたいと考えております。そうした中で、特定の分野への対応の必要性という御意見を今もいただいておりますけれども、そうした御意見も踏まえて、どういった対応が考えられるのかということを引き続き御議論いただき、また、我々も検討したいと考えております。
○清水委員 ありがとうございます。
数が少ない障害はどうしても漏れてしまいやすい傾向があるかと思いますので、常に意識をしていただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、冨岡委員、お願いします。
○冨岡委員 日本相談支援専門員協会の冨岡と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど御説明のありました地域差の是正に関する基本的な考え方については、私たちは賛成です。しかしながら、相談支援の立場から申し上げますと、一定のサービス量が確保されていなければ、利用希望者が福祉サービスを利用できない、あるいは選択肢が限られてしまうという事態が生じかねませんので、ニーズに応じた必要な量の確保ということについても重点的に御配慮いただきたいと考えております。
続いて、全国平均と比べて大きく乖離している自治体について、先ほど先生からも話がありましたけれども、様々な事情が入り組んでいて、ただ単に地域が大きいとか、小さいとか、そういうことだけでは考えきれないところがあるかと思います。ですので、一度、地域の実情に合わせて福祉計画が作成されていることを前提に、なぜその福祉計画の中で上回ってしまうのかということ、その要因を調べた上で、ある意味で、また地域事業についても考えていく必要があると感じております。
また、量ということを考えるときに、量を抑制することをどうしても思ってしまいがちですが、それを進めてしまう場合、丁寧に支援をしている事業所にも影響が起きてしまうことがないように、そこは十分な配慮が必要かと思いますので、そちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。
最後になりますが、先生がおっしゃっておられましたが、国は全国一律である程度の基準を設ける、それはとても大事なことだと思います。しかし、地域の実情に応じてその評価をどう行うのかということについては、市町村がしっかり意見を申し上げられるように、そして、その意見を交わした上で、その数を考えられるような、データだけではない、話し合いによる数をどうしていくのかという考え方・仕組みをどのように考えていくのかというのはこれからの課題かと思いますので、そちらのほうの検討についても、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。1点意見を申し上げます。
何人かの委員の御意見と重なる部分もあるのかもしれませんが、資料1の6ページ、赤い枠と網かけされている部分で、障害福祉サービスの地域差を是正し、供給が計画的かつ効率的に行われる方策として必要量の見込み方法を見直すとされています。この中で、サービス利用に関する地域差を見るための指標については、11ページにあるように利用実績の全国平均プラス標準偏差で判断されようとしていると理解しています。
しかしながら、もし、必要量の見込み方法を見直すのであれば、実績ベースではなく計画の目標値と、それに対する実績との差を基準とすべきではないでしょうか。計画値と大きな乖離がなく、地域における必要な利用量を確保している場合、全国平均と比較して多い実績があったとしても、それはその市町村にとって必要な利用量であり、問題はないと考えられます。利用実績のみを基準とすると、必要量の見込み方法を見直すという趣旨から離れてしまうのではないかと懸念しております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 国立精神神経医療研究センターの藤井です。私は冨岡委員とほとんど同じような御意見になってしまうのですけれども、田中先生の御説明は非常に分かりやすく、ありがとうございました。御説明を伺いまして、対応する必要がある地域差の基本的な考え方については、非常に納得感を持つことができました。
基本的にはこの考え方で賛成ですけれども、先ほど冨岡委員やほかの委員もおっしゃっていましたが、その自治体でなければ分からないような特殊事情は多々あるかと思いますので、この考え方を適用した場合、その自治体で障害福祉計画等を立てる際に何か不具合・不都合があるのかどうか、この考え方で問題ないかどうかという辺りは、実際にこの指標なり考え方を適用する前には、一定程度は自治体側の意見を伺っておく必要があるのではないかと思いました。
その上で、今後、このような考え方を適用した上で、実際に自治体の中でその考え方を適用してどのような課題が生じたかといったことについては継続的に確認した上で、この考え方についてもこれで確定するのではなく、場合によっては見直していくというようなことを織り込んだ上で、この考え方で一旦は進めていくというのでよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、吉泉委員、お願いします。
○吉泉委員 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。まず、私は一番気になっている点を申し上げます。
11ページの対応する必要がある地域差の対象ラインについてというところで、地域差が大きいことへの対象ラインについて、平均値プラス標準偏差が適当であると考えられるという件についてです。これについては4つ疑問な点がありまして、にわかには賛同しかねるというのが率直なところです。
疑問の一つは、社会調査では平均値±2標準偏差、2SD、この範囲に含まれない5%に注目して有意性を検証するのが一般的だと思います。それに対して、2SDだと対象が極端に少なくなってしまうのではないかというようなことですとか、1SDを採用した前例があるということで、そういった理由で平均値+1SDにすることが妥当なのかどうか、これは可能でしたら田中先生に統計の知見から御意見を伺えればと思います。
2つ目の疑問は、平均値+SDからはみ出す自治体が、この資料によりますと329自治体となっています。全国に1,700強の自治体がありますので、329というのは約19%、2割に近いことになります。いわば5つの自治体があれば1つの割合で地域差が大きいほうとして認定されることになりますけれども、ここに何らかの抑制策を取るということになりますと、どうなのだろうというのが懸念材料です。
視覚障害者の立場からしますと、都市部であってもなかなか対応してもらえる事業所が少ないという現状がありますので、そこに総量規制のようなことがかけられてしまった場合にどうなるかが心配です。
3つ目の疑問は、視覚障害者の立場からすると、サービスを受けられずに困っている地域の話というのはよく聞くのです。その観点からしますと、先ほどほかの委員からも発言がありましたけれども、平均値+SDだけではなくて、平均値-SDのほうにも着目したいというのがこちらの立場です。平均値と標準偏差だけではなくて、できれば最小値、中央値、最大値を含む四分位点の情報を示していただきたい。これは意見として申しておきたいと思います。特に私の場合、グラフが見えませんので、こういったものを数字で示していただくことによって、例えば正規分布から今回取り上げているデータがどのぐらい乖離しているのかというのを知りたいと思います。それが分かった上で、そのラインを考えたいというのが希望です。
4つ目の疑問は、16、17ページ、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係が認められないということが資料にありました。それから、次の18ページで事業所数と利用者数の間にかなり強い正の相関関係が認められることが示されています。これ自体、興味深い結果ではあるのですが、ただし、ここから地域差の実態・実像が見えてくるかというと、そうではないと思うのです。そういう中で、単に利用者割合の全国平均と標準偏差を手がかりにして地域差、特に地域差が大きいほうを検証することが果たして妥当なのかどうか、率直に言って妥当ではないと考えております。
以上がラインの考え方についての質問と意見です。
それと、細かいことになるのですが2つあります。
一つは、先ほどのやり取りでもありましたけれども、市町村の利用者割合を算出するときに、全国の年齢分布に合わせて調整するということをやられています。これが本当に妥当なのかどうかという疑問を持っています。年齢分布以外、例えば一人暮らし世帯が多いと、その利用者数が増えるのではないかとか、あるいは事業所へのアクセスのよしあし、地理的なものとか、交通機関の影響、それから、実際に事業所があったとしても、そこで自分が必要とするサービスを受けられないのではないかということで諦めてしまうケースもあると思います。これは視覚障害者の間では時々聞く話ですので、そういった中で年齢分布に合わせて調整する、実態から乖離する形で比較することが本当に妥当なのかどうかと思っています。
これについては先ほど事務局から御説明がありましたので、改めて御説明していただく必要はないですが、利用者数そのものを見たほうがいいのではないかというのが意見です。
もう一つ、これは単純な確認ですけれども、事業所数と利用者数の相関を見る場合に平均という言葉が出てきているのですが、これが私にはよく分からないです。それぞれの自治体の事業所数と利用者数の相関を見るのであれば、別に平均を取る必要はないと思うのですが、ここで平均と言ってらっしゃるのは、例えば何か複数の自治体をまとめた障害福祉圏域みたいなものを想定して、その平均を取って相関を見たのかどうかという辺りは事務局に御確認したいと思います。
長くなりましたけれども、最後にサービスの質の確保に係る取組のところです。指定事務に係る運用の実態把握と適正化のための研究とガイドライン作成というのは、ぜひやっていただきたいのですけれども、その際に障害種別への対応をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。地域に事業所があったとしても視覚障害者支援のノウハウがないために通所を断られたり、受け入れてもらったとしても施設内で孤立するケースというのは聞きます。ですので、事業所指定の際は、地域の各障害種別の専門機関と連携する要因があるということです。また、問題の事案が発生したときに相談体制をちゃんと整えているというようなことをガイドラインにぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御質問、御意見、御要望がございました。
1点確認させていただきたいのですが、最初に4点挙げられた中で4点目、妥当ではないという御意見でした。その理由について私は聞き漏らしたかもしれないですけれども、どういった理由で妥当ではないか、もし、補足いただけるようであればお願いします。
○吉泉委員 妥当ではないと思った理由ですか。
○菊池部会長 私は聞き漏らしてしまったかもしれないのですが。
○吉泉委員 4点目、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係がないということと、事業所数と利用者数の間には強い正の相関関係があるということですよね。この結果だけを見ても、地域差がどうなのかということは見えてこないというのが私の捉え方です。例えば事業所数と利用者数が強い相関関係があるということであれば、これを素直に取れば、障害者側のサービス利用の需要を満たすべく事業所数が増えているというのはある面で健全なことだと思うのです。実際に、現実の場面で需要が満たされるかどうかというのは、いろいろ斑模様にはなると思うのですが、この数字だけだと、ある意味で制度がちゃんと機能しているのではないかということになると思うので、ここから地域差があって、何を是正すべきなのかというのは、この結果から見えてこないということです。
○菊池部会長 ありがとうございます。長くなっていますので、ここで一旦切らせていただきます。
1点、田中先生に対する御質問、それから、事務局に対する確認がありました。
田中先生からお願いいたします。
○田中参考人 コメントをありがとうございました。
今いただいたコメントの中で有意水準5%が基本的によく使われるのではないかというところで御質問がありまして、確かに統計の有意差の検証のときには5%水準で分析することは非常に多くございます。そのような意味では確かにそれが一つ基準になるのも事実だと思います。
私のほうから今日お話をしてきたものは、繰り返しになってしまうのですけれども、基本的に幾つかのベンチマークはあるのだろう。それで統計に基づいて恣意的ではないものの基準はどうなるのかというところを考えていまして、そのときに統計をベースにしながら、基になるデータから特定の自治体とかを対象としないような形ですと、これも一つの見方になってくるかなといったところになります。
そういう意味で、統計学的に一般によく行われている検証と違うのではないかというところにつきましては、確かにそういう意見もあって、その幅のところについてはいろいろ議論があるのかなと今考えております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
引き続きまして、事務局からお願いします。
○乗越企画課長 御指摘・御質問をありがとうございます。
まず、標準偏差のマイナスのほうも着目していく必要があるのではないのかということで、さらなる別の視点での分析も示していただきたいというお話があったかと思います。これにつきましては、どのような形でお示しできるのかということを検討させていただきたいと思います。
引き続きまして、利用者数そのものについて見るべきではないのかというような御指摘もございましたので、これについても御意見として受け止めさせていただきます。
それから、資料の関係で。
○菊池部会長 最後の点の確認についてお願いします。
○乗越企画課長 最後の18ページの資料について、平均というものについての考え方ということでございました。こちらの平均については、利用者数ですとか、事業所数、これらの年度の平均ということで書いておるものなのですけれども、2024年度の平均というところで書いておるものでございますので、これにつきましては2024年度の各月のデータを足しまして、それを12で割っているということで、各月で見ますとそれぞれ上下動がありますけれども、各データについて月の平均を出すということで、各月を足して12で割る作業をしているということで、2024年度平均という形で記載をさせていただいておるところでございます。
○菊池部会長 吉泉委員、よろしいでしょうか。
○吉泉委員 平均のこと、とてもよく分かりました。あと、分布を知りたいと思いますので、先ほど申し上げましたけれども、平均値と標準偏差のほかに四分位点の情報をぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。事務局で検討していただくことにします。
それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野です。聞こえない立場から意見を申し上げたいと思います。
まず、聞こえない、聞こえにくい人だけではなく、そこに加えまして、盲聾者や、知的障害、発達障害、また、精神障害を併せ持つような聾重複の方がいらっしゃいます。また、強度行動障害の方も中にはいらっしゃいます。数的には非常に少ないと思いますが、データベースの中では恐らくそこは省かれている状況になっていると思います。そういう意味から私は意見を申し上げたいと考えております。
聞こえない人の場合は、地域間格差というのは障害福祉サービスだけではありません。つまり、手話言語での対応ができるか、きちんと情報が提供できているかも地域間格差が生じていると考えております。障害福祉サービスだけでなく意思疎通支援事業や日常生活用具の補助等に関しても地域間格差は全国において非常に多くあります。特に意思疎通支援事業に関しましては手話通訳に絡みます。聞こえない当事者に対し手話で対応できる人、その数によって障害福祉サービスの提供ができるかどうかに大きな格差が生じます。
意思疎通支援事業と、聞こえない、聞こえにくい人たちに対応できる人材の配置やその提供数にも関わりがありますし、福祉サービスのほうにも影響します。データを見える化してきちんと示してほしいです。しかし、そういうデータがありません。ざっくりしたデータだけで判断をされてしまうと、我々聞こえない立場から見ると、なかなか納得できない、咀嚼しきれない部分もあります。意思疎通支援事業、それから、手話で対応できているかどうかもきちんと盛り込んだ上での議論を深めてほしいというのが意見・要望でもあります。
ですので、対応できる人材や、事業所がどれぐらいあるのか数を示していただきたいです。それを示していただかないと、本当の意味で聞こえない人たちが使えているのかどうか、使いにくいのかどうかなど、また、相談支援事業所において対応があるのかないのか、そこに格差があれば、その地域にいる方たちにとってはサービスが受けられない、取り残されてしまうということが起きるわけです。そういうことがないように、格差を是正することが非常に必要になってきます。
それから、資料の21ページに指定事業所について掲載されております。ガイドラインが出ておりますが、こちらは当然必要なことだと思いますけれども、1点、意見を申し上げたいです。もし、聞こえない、聞こえにくい人たちがいらした場合、その対応ができるのかどうか、この評価も盛り込んでいただきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 御意見ありがとうございました。
それでは、オンラインで、今日は途中退席の御予定があり得るということで承っていますので、まず、山本委員からお願いいたします。
○山本委員 日本看護協会山本でございます。まず、資料1のサービス利用に関する地域差を見るための指標について意見を申し上げます。
18ページの事業所数と利用者数の相関関係を見ますと、正の相関関係が認められていることからも、各地の現在のサービスの利用者数は、現在の事業所数や各地での現在のサービス提供状況など、外的な要因にも左右されるものと考えております。にもかかわらず、9ページにおいて「サービス利用に関する地域差を見るための指標」を「人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合」のみに絞ることに違和感がまだございます。
今回、御専門の先生に丁寧に御説明いただきありがとうございました。9ページの御説明でどのようなデータになっていくのか、まだ理解が十分ではないのですけれども、御説明の中にありました障害福祉者データベースのデータに限界があって検討しきれないということであれば、現在の障害福祉データベースありきで議論を進めること自体、検討が必要ではないかと考えます。今後どのようなデータを使うのか、あるいはどのようなデータの取り方をすべきなのかということを含めてしっかり検討する必要があり、このやり方を今後も継続することには大きな懸念を感じております。
続きまして、11ページにおいて今回はサービス利用が過多であるところについて議題に挙げておりますけれども、サービスが不足しているところへの対応についても引き続き重要な論点として議論を行っていく必要があると考えます。
3つ目ですけれども、21ページのガイドラインについてです。ガイドラインを示すことは重要と考えますので、ぜひ進めていただきたいと考えております。その一方で、可視化することがさらなる質の評価や改善につながると考えるため、アウトカム、あるいはポイントとなる把握事項の指標化・定量化による可視化の点も含めて御検討いただけたらと思います。
資料1については以上でございます。
資料2についても、今のうちにお話してしまってもよろしいですか。
○菊池部会長 基本的に報告事項なのですが、どうしてもということであればどうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。
5~6ページについて、各サービスの1人当たり利用額と利用者数、事業所数の伸び率が示されておりますけれども、例えば施設入所支援ですとか、就労継続支援B型などのようにほかのサービスとは非常に異なる傾向の見られるサービスについては数値で示すだけではなく、なぜこのような状況になっているのか、問題や要因などの実態を把握し、対応策を検討する必要があるのではないかと考えております。今後、サービスの持続可能性の観点からも喫緊の課題であると考えるため、調査研究などの対応を含め、御検討いただけたらと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、伊豫委員、お願いします。
○伊豫委員 事務局に確認したいのですけれども、まず、資料1の3ポツ目で、人口に占める利用者数の割合や手帳所持者数に占める利用者の割合といった指標を見る必要があるということに関して、全てのサービス利用者を人口の場合は含んでいる、手帳の場合は一部のサービス利用者を含んでいない可能性があるということなのですが、この手帳所持者を見ることによって、サービス利用者の相関とか、サービス利用者とこの手帳保持者の間に相関はないのか、所持していても利用する人、しない人、所持していなくても利用する人、しない人がいるわけです。それが一定の分布であるとすれば、相関があっておかしくないはずなので、もし、それを調べていたら教えていただきたいということです。
それから、資料1の18ページで、こちらの利用者数と事業所数ですが、こちらのほうも手帳所持者数と事業所数に相関があるのかないのか。また、そこから大きく外れているような地域があれば、そこが何らかの課題を持っていることになるのではないかというような気がします。そういう前提で考えていくと、9ページの人口を年齢階層で補正していくというのでもいいのですが、そちらと手帳所持者などとの相関も最終的には出てくるのではないかと思います。ということで、利用者数と手帳保持者数の相関を基準にした場合の解析が何か行われているのであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料のお求めというような趣旨もおありかもしれませんが、事務局から今日の時点で答えられる部分があればお願いできますか。
○乗越企画課長 ありがとうございます。
手帳の所持者とその利用の相関ということでございますが、今の時点におきましては、そういった相関があるのかないのかということについては、事務局のほうでは分析をしておるものがないところでございます。手帳所持と事業所の関係といったようなことについても同じでございます。今回の資料でお示しをしておりますように、手帳所持については実際に精神障害などの方についての手帳がなくてもサービスを利用することができるということで、手帳の所持とサービスの利用に直結をしているということは言えないといった点を考慮いたしまして、各地域を公平に見るための指標といたしましては、現在の利用可能なデータを考えますと、手帳の所持者数より人口のほうがより適切な指標ではないかということで提案をさせていただいたということでございます。
○菊池部会長 伊豫委員、いかがでしょうか。
○伊豫委員 ありがとうございます。
もし、お時間があれば、そういったものも取っておいていただくと、かなり理解が進むという印象でしたので、お願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。御要望として承らせていただきます。伊豫委員はそのデータを取ることに意味があるのではないかという御趣旨かと思いますので、そこはまた事務局で検討していただければと思います。
叶委員、お願いします。
○叶委員 全国社会就労センター協議会の叶です。地域差については多くの意見が出されているので、私のほうからは就労支援の充実に取り組んでいる団体として、就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握について意見を申し上げます。
基本的には就労継続支援について様々な事業所が参入して、障害者の働く場としてはふさわしくない事業所の参入等、まさに今、就労支援の質が問われていると思っております。そのような状況の中で、適切な事業運営に向けて新規指定の在り方や運営状況をきちんと把握することは極めて重要であると考えますし、そのためにガイドラインを作成して就労支援の質の向上を目指すことについては全く異論ありません。
その上で、参考資料2のガイドラインのチェック項目として幾つか意見を述べたいと思います。
一つは、就労継続支援事業B型の開所時間や利用時間についてですが、本人の意向や障害の特性ではなく、事業所の都合によって極端に短時間にしていたり、あるいは利用時間を短くしているところについては、きちんとガイドラインの中でチェックをしていく必要があると考えています。
2つ目は、ガイドラインの中には、新規指定の際に専門家会議による審査が示されていますけれども、協議会等を構成する団体や地域の模範となる事業所が入ることは有効かと思っております。さらに専門家である中小企業診断士や社会保険労務士や税理士等、複数の専門家によりチェックをすることも効果的であるとは思います。その際に、各専門家については就労支援事業等への知識があって第三者的な立場で関われる人を人選することが重要であると考えております。また、それぞれの専門家の見地から、何をチェックするのかという具体的な役割を示すことも重要であると考えております。
3つ目、職員配置についてですけれども、収益を上げるために常勤の週の労働時間を極端に短くしたり、非常勤職員として雇用したりして人件費を削減することによって処遇の低下につながることがないよう、これもガイドラインの中できちんとチェックすることも重要だと思っています。
最後に、資料2で示されている就労継続支援B型の総費用額の伸び率が20.1%という非常に高い数値が示されています。これは不適切な運営を行っている事業所の増加にも関連する事項であると思うので、新規指定の在り方や運営指導等の充実によって、前述した不適切な運営を行っているところを改善していくことによって対応していくことが重要であると考えます。1人当たりのB型の事業所の報酬単価は、就労移行やA型と比べても決して高い報酬とはなっておらず、この伸び率だけで判断することがないよう対応していくことが重要であると考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料1以下に関してということでお願いできればと思います。
野澤委員、お願いします。
○野澤委員 意見を2点申したいと思います。
一つは、地域格差の是正という問題提起の意義は分かっているつもりですけれども、端的に言って、あるサービスが多すぎる地域と足りない地域があるとして、多すぎる地域のサービスを参入規制する、これは自治体ができると思うのです。ところが、足りない地域のサービスを増やしていくのはなかなか難しいと思うのです。自治体が直営で何か事業をやるような時代ではないので、民間のサービスを自治体でどうやって増やしていけるのかと考えると、下手をすると、全国展開の得意なフランチャイズ制などによる収益目的のビジネスが跋扈してしまうのではないかと思っているのです。足りないところをどうやって増やしていくのかというのは、もっときちんと考えないと失敗に終わってしまうのではないかという気がしてならないです。
もう一つ言いたいのは、現時点ですごく多いところと足りないところがあるという比較です。ところが、ニーズは時代とともに変わってくるので、女性の社会参加・進出が増えていって、あるいは重度の障害者が増えていったり、家族の機能が弱くなっていったりすると、もっと福祉サービスが必要になると思います。現時点で全国の平均より多いところでも、将来的には全然足りないのかもしれないです。少ないところは全然話にならないぐらい少ないのかもしれないです。
何を言いたいかというと、先ほど丹羽委員がおっしゃっていたと思うのですけれども、実績ベースで物事を考えると限界があると思っていて、丁寧な計画を一つのベースにしないと、将来的に時間軸で見たときの正確な事業数の是正につながっていかないのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口です。御説明ありがとうございました。
既に御説明いただいたこととも重なりますが、地域差の是正は必要であると考えています。でも、一律に是正すべきではないということも同時に思います。人口減少地域だけではなくて急速な人口増加地域もありますので、その時間軸といいますか、いつまでにどのぐらい必要かという評価も必要かと思います。
次に、グループホームの総量規制についての議論の中でも申し上げましたが、最大の課題は事業所指定の在り方ではないかと考えています。指定就労継続支援事業所の新規指定等に関するガイドラインが示されていますが、指定権者である都道府県は障害福祉サービスの指定を受けたい事業所がある際には、開設予定の市町村の障害福祉計画の進捗状況を確認することを必須とするべきです。
また、サービスの実績や経験のない事業者からの事業指定の申請も増えており、指定を受けた後、地域との連携を一切取らないで事業運営を行っている事業所もあります。障害福祉サービスにおいては地域との連携が不可欠であり、また、限りある財源の中で地域のニーズに合致し、かつ一定の質を担保された事業者に指定して行うべきと考えます。そのためには新規の事業指定を希望する事業者は、都道府県だけでなく市町村、または地域の自立支援協議会の就労部会などに説明を行うことを必須とし、その説明を受けた市町村が指定権者である都道府県に意見を出し、それを踏まえて都道府県が指定の可否を判断する。このような丁寧な仕組みとすべきではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、三浦参考人お願いします。
○三浦参考人 三浦です。よろしくお願いします。
意見になりますけれども、障害者支援施設の在り方の議論のまとめの中でも目標とする地域移行の推進のネックになっているのは地域の居住資源やサービス提供体制の未充足ということになります。今日の議論を伺っておりますと、事業所を均てん化していこうということが目標としてあると思うのですが、全く足りないところがあって、施設からもなかなか出ていけないという実情がある中で、同じ計画の中で矛盾が生じないような内容の示し方にしていただきたいというのが一つです。
それから、医療的ケアを伴う方々など、最重度の機能障害者の地域生活支援には24時間のホームヘルプを行える事業所などが必要なのですけれども、極めて少ないので、その事業所があるところを求めて希望者の方は引っ越ししていかれます。そういう実態も地域にはあるということを踏まえた上での計画への落とし込みをお願いしたいと思います。
それから、20ページですが、共同生活援助における支援の質の確保のところで、ガイドラインが早く策定されて、それが厳格に運用されていくことを願います。障害福祉サービス等の情報開示は義務づけられたのですけれども、その項目を見ると、これは利用者にとって知りたい情報なのかというところに疑問があります。利用希望者にとってもう少し分かりやすいもの、例えば個人の居住スペースの広さであるとか、利用量であるとか、その辺りを明確に情報開示していくことも重要なのかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。1点、感想と意見です。
今回の途中で、私は基本指針の見直しというところで何が議論されているのかだんだん分からなくなってきていて、今日はきっと量的分析の話が、心理学の研究者でありながら統計とかが苦手で申し訳ございません。櫻木先生の話を聞きながらとてもうれしくなってしまったのですけれども、研究法とか統計分析の話になってくると、量的分析の中でも限界があるのだろうと思っていますので、そういう意味では、ここまでは量的分析でできることだということで整理しておく。でも、すごく大きな地域差が生じているところなどの話について、皆さんのお話を伺いながら質的な分析をしていかないと、とても現状把握には至らないのだろうなと思ってお話を伺っていました。
そういう意味では、質的な分析はすごく時間のかかることだろうと思いますけれども、例えば一番差のないところ、一番差の多いところ、中間点のところなどを取り出して、そこについてどのような状況なのかというインタビュー調査とかを行っていくみたいな形をしていくとか、そういう方法を取っておいて現状把握をしておく必要があるのではないかなということを考えていました。感想と意見です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 まず、11ページの就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインはすごく大事なことだと思いますし、併せて参考資料も見させていただきました。とても大事な検討だと思います。このように指定時、それから、運営状況を把握していくことはとても大事なことだと思います。
ただ、現在存在しているA型事業所については、資料2の6ページを見ると減ってきているし、利用者も減ってきているということで、昨年の報酬改定、さらには最低賃金の上昇などによって廃業せざるを得ないところも出てきているのかなと思います。さて、説明いただきましたこのガイドラインは新規だけの対応なのか、それとも運営状況について様々な示唆、現存するA型事業所への行政のそのような示唆とか指導とかあるものなのかということ、並びにこのガイドラインはいつ完成するのかということなども併せて教えていただきたいと思います。
次の質問ですけれども、10月から就労選択支援事業が地域で開始されるということをお聞きしています。10月の20日の時点ではありますけれども、この状況について把握されていることがあれば、お答えいただければと思います。まだ、これからの把握かもしれませんけれども、もし、お答えいただければよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御質問とおっしゃられたその前もお問い合わせがあったかと思います。それも併せてお願いします。
○大竹障害福祉課長 ガイドラインそのものは新規指定に対してでもございますし、指定後の指導監査の時点も対象とするものでございます。いつこれが完成するのかという話でございますけれども、本日いただいた御意見を踏まえて、今後自治体に対して発出していければと考えております。
また、御質問いただいた就労選択支援の状況につきましては、現時点で正確には把握しておりませんけれども、今後その運用状況などについては把握をしていければと考えてございます。
以上でございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 それでは、資料について意見を述べさせていただきます。
まず、我が国は2割の国土面積に8割の人口が居住している人口偏在の強い状況にあります。したがいまして、新たな地域医療構想や「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会においても人口100万人以上の大都市、人口10万~20万未満の人口過少地域、その他の一般都市部に分けて議論をしているところでございます。したがいまして、9ページの資料につきましても各地域の年齢階級別の人口構成の特性は必ず生かすべきであり、9ページの考え方については反対でございます。
また、障害福祉サービスの提供体制は医療・介護と比べても均てん化できておらず、コンサルタントの誘導などもあり、地域によってまだまだ不規則な提供体制となっております。現に供給が需要に影響することが多く、18ページの資料のグラフも矛盾しないものと考えております。
次に、標準偏差の活用が示されておりますが、標準偏差は正規分布に近い集団において平均値を用いてばらつきの指標となるものであり、先ほど吉泉委員もおっしゃっておられましたが、不規則分布であれば中央値や四分位偏差を活用するほうが望ましい場合も多々ございます。したがいまして、資料にございます地域の基準点を平均値とするかどうか検証の必要があり、現時点においては時期尚早と考えております。
現状の各自治体における利用者の分布がどうであるのか確認していく必要があると思います。その際、人口推計を踏まえた地域別やサービス類型別に丁寧に精緻に検討していく必要もございます。今回の資料の対応する必要がある地域差の対象ラインを平均プラス標準偏差、すなわち平均+1SDとしていることは大いに疑問であり、仮に正規分布と仮定すると、サービス利用の大きい16%の地域が該当することとなりますが、16%が対応する必要がある地域であるかどうかという根拠を示すデータは全くなく、対象ラインを平均+1SD、1標準偏差とすることについては反対であります。
医療・介護でもこのような手法は活用しておらず、各地域の需要推計を行い、自らの地域を最もよく分かっている地域の行政や関係者で議論して提供体制を検討しております。まずは各地域の足下の現状を把握することから始めるべきであり、内閣府においては医療のレセプト数、性・年齢を調整したスコアである標準化レセプト出現比、すなわちSCRと呼ばれるものですけれども、そういったSCRが詳細に示されておりまして、今後、介護のSCRも活用していこうという方向にもなっており、障害福祉分野においても、まずはSCRに着手すべきことを提案いたします。
さらに対応する地域の定義は何であるのか、提供過剰地域であるのか、あるいは必要以上に過剰なサービスを提供している問題のある事業所やサービス提供の質が低い事業所があるのであればピンポイントに対応していく必要もあると思います。何を対応するのか、何が問題なのか、明確にしていくべきと考えます。
サービス類型によっては、提供体制について市町村単位で検討したほうが望ましいもの、より広域の福祉圏域で検討したほうが望ましいものもあり、きめ細かい対応が必要であり、また、複数の構成員もおっしゃられておりましたが、サービス利用の少ない地域への対応も極めて重要であると考えております。
最後に、全体的に全国各地域を一律の提供体制にしていこうという考え方にも見えますが、人口偏在、人口減少速度や人材確保の状況、過疎地域においては近隣の自治体との連携の必要性など、様々な地域の実情が存在しており、地域の特性を踏まえた対応を最優先すべきであり、単に平均値と標準偏差を用いて全国一律に評価する手法は地域に支障をきたすことも想定され、最適な提供体制の構築にはなじまないものであり、活用すべきではなく、14ページの本日の提案には反対であると意見を申し上げます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。私からは2点ほど意見をさせていただきます。
まずは資料1の今日の本題ですけれども、サービスの均てん化、それから、地域差を是正していくという方向性について一定は理解しているつもりですし、今回のこの数字の出し方ということも一定は理解いたします。これを参考として示すことには賛成なのですけれども、今回をもってサービスの必要量の見込みを自治体に検討させていくというところまでは時期早々なのではないかと思います。
18ページにありますように、先ほど来の皆さんの意見にもありましたが、事業所数、利用者数の相関関係は認められるとありますけれども、事業者自身が運営の効率性からも人口の多いところで運営をしていこうという流れがあります。そういう中で、事業所はできるけれども、また、運営の合理化を図ってから自分たちのサービスの特徴を売りにということもあるのでしょう。あるいは一定の障害別、あるいは一定の障害層のみを対象としたサービスというのも都市部ではたくさん見受けられ、グループホームの話が委員の方からもありましたけれども、本来サービスを必要とされる方がサービスを受けられないようなミスリードにならないように配慮が必要なのではないかなと思います。
2点目が、就労継続支援事業所の新規指定に関するガイドラインですけれども、これはすごく賛成です。すぐにでも取り組んでいただきたいですし、加えて言うならば、これを自治体等に発出して、例えば1年後、2年後、その影響がどうなったのか、その辺りもしっかり調査をしていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これでお手をお挙げいただいた委員の皆様には御発言いただけたかと思います。よろしいでしょうか。
様々な観点から御意見を賜りまして、また、御要望などもございまして、それは事務局で御検討いただければと思います。7ページの整理が必要な事項という3点を巡っての御意見、あるいは評価も承りましたが、それを超えた地域差を巡る論点につき、かなり広い範囲でさらに御意見をいただいたかと思います。これらも含めて事務局のほうでどう整理するかということをお考えいただければと思います。
本日、田中先生にお忙しい中お越しいただきまして、御意見を賜ったわけですが、その後、いろいろ議論ございましたが、もし、最後に何かございましたらいただければと思います。
○田中参考人 本日はいろいろ議論いただきまして誠にありがとうございました。
途中でも地域ごとの複雑な事情があると、今回の指標ではそこは取りきれていない部分があるということを申し上げたつもりでありましたけれども、もう少しはっきり強調しておくべき点だったかなと思いました。分布の形状につきましてもいろいろな形があるということは途中でも少し述べましたけれども、そういったこともありますので、さらにエビデンスを重ねていくことの必要性は間違いないことだと思っておりますので、その点については非常に同感しているといったところでございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、資料1に関しては以上とさせていただきます。
予定の時間を過ぎてございますが、もう一つ、資料2に関して、報告事項ということでございますので、もう少しお時間を頂戴できればと存じます。
それでは、資料についての御説明お願いします。
○乗越企画課長 資料2についてでございます。こちらの資料につきましては、本日も参考資料3としてお示しをしておりますけれども、これまでも障害福祉サービス等の費用額や利用者数、それから、1人当たりの費用額などにつきましてお示しをしてきたところでございます。今回、それらの最近の状況についてまとめた資料を改めて報告をさせていただきたいということで用意をしたものでございます。
1ページは障害福祉サービス関係の政府の予算額についてでございます。こちらにつきましては19年間で約4倍に増加をしている状況ということで、令和7年度におきましては2兆円を超える規模となっておりまして、最近は約5%、6%の伸びという状況となっております。
2ページは障害福祉サービスの総費用額の動向になります。直近の5年間を見ますと持続的に伸びているという状況でございますが、特に令和5年度から6年度にかけて伸びが大きくなっておりまして12.1%の伸びとなっております。1か月の平均利用者数と1人当たりの費用額について分けてみたものが右側のグラフになります。1か月の平均利用者数については5年間でおおむね6%前後で伸びてきておるということ、一方で、1人当たり費用額につきましては、令和4年度までの伸びに比べて令和5年度から令和6年度の伸びが6%と大きくなっているという状況が見られます。
3ページ、先ほど申し上げました令和5年度と令和6年度の費用の伸び、この12.1%の伸びに着目した資料になります。先ほど申し上げましたように、政府の予算の伸びが対前年度比で5~6%の伸びであることに比べますと、それを大きく上回る費用の伸びとなっております。右側のほうが令和5年度から6年度の給付費の伸びの変化を1人当たり利用者の伸びと1人当たり総費用額の伸びとして図示をしたものになります。利用者の伸びについては5.8%の伸び、1人当たり総費用額の伸びにつきましては6%の伸びということで、この6%の伸びにつきましては令和6年の報酬改定の改定率1.12%を大きく上回っているという状況になっております。こうしたことを踏まえますと、制度の持続可能性の観点からの検討が必要であると認識をしております。
4ページは年間の総費用額につきましてサービスごとの状況を見たものでございます。こちらは全体に占める割合が1%以上のサービス類型について見たものになります。サービスごとの状況は様々でございますけれども、額の伸び幅で大きなものとしましては、就労継続支援のB型や放課後等デイサービス、共同生活援助などが額としては大きくなっております。それから、伸び率を見ますと、B型、施設入所支援、短期入所、放課後等デイサービス、こういったところが大きくなっているところでございます。
5~6ページにつきましては1人当たりの費用額の伸び率と利用者数の伸び率、また、事業者数の伸び率について、この関係を見たものになります。利用者数の伸び率の資料で言いますと、右側にあります就労継続支援のB型、また、児童発達支援、放課後等デイサービス、共同生活援助、こういったサービス類型につきましては費用の伸び率も高いですし、一方で、利用者の伸び率がほかのサービスに比べても非常に大きく伸びているということで、費用の増への影響について利用者数の伸び率などが影響しているところが見て取れるところでございます。
一方で、左側の上にあります施設入所支援などにつきましては、利用者数については伸び率がマイナスということで減少しておりますけれども、1人当たり費用が大きく伸びているところが見て取れるところでございます。
簡単ではございますが、最近の費用の状況につきまして皆様と共有をさせていただくという趣旨で資料を用意させていただき、また、説明をさせていただきました。
簡単ですが以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
以上でございますが、多分これについてもいろいろお聞きになりたい点がおありかと思うのですけれども、時間が10分経過している状況でございます。現状の報告ということでございますけれども、どうしてもこの点は今日聞かないと帰れないといったことがございましたら承りたいと思います。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員 御配慮いただいてありがとうございます。
確認ということではなくて、今後の検討に当たってぜひとも一言申し添えたいと思いました。障害福祉サービス費が増大し続けることについては、確かに持続性の観点から議論の必要性はあると私も思います。
一方で、障害福祉サービスの増大、いわゆる負担増の観点ばかりではなく、障害福祉サービスの利用によって生活の質向上や経済的自立等につながった等、障害福祉サービスによってもたらされた波及的効果を同時並行で見ていかないと、削減の方向性ばかりに着眼点が偏ってしまって、障害福祉サービス等の費用の状況について、正確な議論がなし得ないのではないかという点を問題意識として皆さんと共有したいと思います。
障害福祉サービス等の費用の状況について削減や抑制の意図を持った議論を行うのであれば、今申し上げたような観点も含めて、厚生労働省には障害福祉サービス等にかかる費用と、その費用対効果等を合わせた両輪の資料を御提示いただくように工夫してくださると、国民にとってどういう在り方が望ましいかの議論をしやすくなると思いますし、分かりやすくなると思います。
以上になります。
○菊池部会長 建設的な御意見をありがとうございました。
ほかの委員からもうなずかれる御様子がございましたので、今御発言いただいた点も踏まえて今後御検討いただければと思います。
それでは、時間が参ってございますので、本日はここまでとさせていただきます。
田中先生、改めまして本当に今日はありがとうございました。
次回に向けまして事務局からお願いします。
○乗越企画課長 本日は、御多忙の中、御議論をいただきましてありがとうございました。
また、田中先生におかれましては本日御参加をいただきまして、御意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
次回の日程につきましては追って事務局から連絡をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
皆様、お忙しい中、どうもありがとうございました。
2025-10-20 社会保障審議会障害者部会(第151回)
○菊池部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第151回「社会保障審議会障害者部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、本日も大変御多忙のところ、朝から御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の会議については、こちらの会場で原則対面としつつオンラインも併用して開催いたします。事務局においては資料を説明できる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員からの御発言について、いつもながらお願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので会場の方は挙手をお願いします。オンラインの方に御意見を募りますので、ZOOMの手を挙げる機能を使用してお知らせください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言をいただきたいと思います。御発言の際は、まず、お名前を名乗っていただき、できるだけゆっくり分かりやすくお話しください。その際、資料の記載内容について御発言される場合には、資料番号と記載内容の位置について御教示ください。また、今日は会場に御参加の方が多く来ていただいておりますが、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
また、本日は、障害福祉サービスの地域差について議論するに当たって、統計などに関して専門的な御知見を有しておられる駒沢大学経済学部准教授の田中先生にお越しいただきました。先生、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしければ、一言お願いいたします。
○田中参考人 駒沢大で教員をしております田中聡一郎と申します。専門は格差とか貧困のデータ分析になりまして、厚労省のほうでは、2021年の障害児通所支援の在り方に関する検討会というところで構成員を務めたこともございます。データと障害、皆様方ほど現場のことも分かりませんけれども、そういったことで今回お招きいただいたものと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局より本日の委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○乗越企画課長 事務局でございます。本日の委員の出席状況ですが、御欠席の御連絡はいただいておりません。
続いて、委員の代理について、川手委員の代理として日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪参考人を、白江委員の代理として全国身体障害者施設協議会副会長の三浦参考人を、永松委員の代理として杵築市福祉事務所長の渡辺参考人を、中村委員の代理として愛媛県保健福祉部生きがい推進局長の一政参考人を出席させたいとの申し出がありましたが、皆様、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○乗越企画課長 ありがとうございます。
また、本日は、先ほど部会長からも御紹介ありましたが、駒澤大学の田中先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
本日の資料につきましては、議事次第、資料1、2、それから、参考資料1~3となります。会場にお越しの方で、これらの資料の不足などがございましたら事務局にお申しつけください。
なお、カメラ撮りはここまでとなります。御協力をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
今回は進行の都合上、資料1につきまして事務局、そして、田中先生からも御説明をいただいた後、資料1に関する質疑応答の時間を取らせていただきます。資料2につきましては、資料1の議論が終わった後、事務局からの報告とさせていただきます。
それでは、資料1に関しまして、まずは4ページまで事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 事務局企画課長でございます。本日は、基本指針につきまして、前回に引き続き地域差の是正について、また、事業所指定の在り方に関しまして、就労系サービスの指定等に関するガイドラインについて御議論いただきます。地域差については企画課長から、それから、ガイドラインにつきましては障害福祉課長から説明を申し上げます。
1ページについては、前回までにお示しをしております論点の資料になります。
3~4ページになりますけれども、地域差につきまして前回の部会で御議論いただきました論点が3ページになります。それから、前回の部会におきまして委員の皆様からいただいた御意見、地域差の考え方に関するもの、地域差の捉え方に関するもの、また、地域差の是正に係る対応に関するもの、これらのカテゴリーに分類をいたしまして、いただいた御意見をまとめたものになります。御確認いただければと思います。
4ページまでは以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
前回、地域差の是正に関していろいろ御意見をいただいたところでございまして、その際にも専門家の先生からぜひ次回お伺いしたいといった御意見もいただいたところでございます。5ページに御質問をまとめていただいておりまして、あらかじめ田中先生にお伝えさせていただき、御用意いただいていると伺っておりますので、まず、この点につきまして田中先生からお願いできますでしょうか。
○田中参考人 今回の部会に先立ちまして事務局の方と何回か打合せをさせていただきました。主には今回のデータの基になります障害福祉デーやベースの構造、どういう要素が入っているか、2点目はこの後に出てくるところですが、地域差を測るときの指標のつくり方、3点目は地域差の考え方、そのようなことについてお話しいただきました。
ただ、データ分析などをやっているとよく分かると思うのですけれども、直接データを携わらないと分からない部分も結構あったりするところでありまして、今回は私自身は触れていないので、いろいろ理解不足の点もあるかと思いますが、聞き取ったお話をベースに少しお話ししていきたいと思います。
主にここに挙がっている質問のポイントというのは、地域差がどういう要因で生じているのかといったことについて御関心があって、それがどうやってデータに反映されるのかという部分だと思います。ただ、障害福祉データベースの中に全てのデータが入っているわけでないというのが、何よりも非常に大事なポイントかと思います。また、別のデータとくっつけたりとかしていくとなりますと、複雑になってきたり、データを取れるタイミングとかもありますし、そういった問題が生じるだろうと思います。
したがいまして、障害福祉データベースを中心に、それをのみを使ってどのようにやっていくのかということが考え方として一つポイントなのではなかろうかと思っております。
5ページの1つ目の○のところですけれども、人口の伸び率や人口に占める利用者数割合が低いからといって不適切という評価にはならないというところがございます。これも今言ったことと関連するのですけれども、例えば利用者数割合、利用率みたいなことを考えたときも確かに分母が人口になっていて、分子が利用者数になってくるわけです。この後の話にも関連してきますが、人口構造の年齢については今回調整されているということなのですけれども、例えば都市部になると割と健康な方、働ける方が入ってくるわけなので、人口だけではない要素もきっと入ってくると思います。そうなりますと、都市部のほうが利用者割合は低くなるとか、そういったことがありますので、そのような意味でも一律に不適切とか、そういったことの評価にはならないかなと思います。
2点目、地域差はどういうものを是正すべきなのかというところであります。これもまさに書かれているとおりですけれども、その要因がどういう原因によるかということに依存すると思います。基本的には、全国どこに住んでいても同じ状態の方が同じようなサービスを受けられるのが望ましい形だと思います。その町の人口構造とか、健康状態とかの影響を除去した上で、残った部分を地域差として見ていくということはそのとおりだと思っております。ただ、それをどのように是正するのかということになりますと、その要因のところまで詳しい情報が必要になってまいりまして、そこについては一言では申し上げられないかなと思っております。
3点目、都市部と地域というのは、どこを対象にしていくかということは、都市部の中でも例えばサービスがあまり充実しない地域とか、いろいろあると思いますので、ここはスキップさせていただきます。
4点目は、情報をどのように取ったらいいのかという部分です。どこに行っても必要なサービスを受けられるべきだけれども、サービス利用が制約されていることの情報をどうやって入手したらいいのかというところになります。ここの点は、例えば福祉アクセスに関する研究などは多くはないのですが多少あります。提供体制の問題だけではなくて、移動距離とか、情報提供の格差とか、そういった問題もはらんでまいります。そうなりますと、利用者の方が市町村内のどこに住んでいるのかという、市町村単位でよりもっと細かい情報が、この問題を解くには必要になってくると思っておりまして、これはなかなか今の段階では難しいのかもしれません。本来であれば、そういった地図情報と合わせたようなデータが必要だと思います。
5点目は、人口に占める割合ではなくて、手帳ベースのところのほうがいいのではないのかというような御議論であります。確かに分母を手帳ベースの障害者の方で考えるというのも一つのアイデアとしてあると思います。まさに障害とか健康の度合いについてコントロールされたような指標になるわけですから、そのような方々の中でどれだけサービスを利用しているのかということが明らかになりますので、それも一つの指標だと思います。
ただ、今知りたいことというのは、恐らくはまさに地域差という部分で、その自治体でどの程度利用されているのかということなのかなと、その自治体の障害者の方がどれぐらいたくさん利用しているのかということよりは、その自治体の中でどのように利用されているのかということが知りたいのかなと思っておりまして、人口ベースで考えるのも妥当なのではなかろうかと考えております。
6番目のところ、人口規模が大きければ、それに比例して障害者数が大きくなる前提であれば、今回のような分析の手法が格差を見る手がかりになるのではないかというところですけれども、こちらは事務局のほうでつくっていただいて見せていただきました。市町村人口とサービスの利用者数につきましては、相関関係が認められておりましたので、そういう意味では今回の指標のつくり方というのは、格差を見る際の手がかりになるのではなかろうかと思いました。
その次、直ちに理解するのはなかなか難しいのですけれども、利用者割合が小さい自治体で伸び率が高ければ格差の縮小につながりますが、利用者割合が大きい自治体の伸び率が高いということになれば、むしろ格差が拡大してしまうのではないかというような議論がされております。まさに大きな自治体のところで利用者割合が大きかったりすると伸び率が高くなったりとか、その伸び率と利用者割合の2つの要素がどのように関連しているのかというような御質問かと思いました。ただ今回、こちらは事務局のほうで検討していただいたのですけれども、利用者割合と伸び率の間には相関関係はなかったと確認していただいたところになります。
最後のところ、これはなかなかアイデアが浮かびませんでしたけれども、規模の大きい都道府県のようなところであれば、極端に大きい、もしくは小さい数字は算出されないで、規模が小さい自治体の場合は極端な数字が出てくる可能性があるのではないか。そういう状況についても除去できないのかというようなことです。まさにこの後にお話しするところですけれども、非常に懸念しているところでして、今回の指標になったときに、そういう小さな自治体のところ、たまたま障害者の方が多く住んでいるような地域だったときに非常に高く出てしまうような可能性もゼロではないと思いますし、そういう傾向が起き得るのではないかと懸念しております。そういったことについて何らかの対応が必要なのではないかと思います。
超過してしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいまの田中先生のお話に関しましてもさらにお聞きしたいことがあるかと思いますが、後ほどまとめて質疑を行わせていただきます。
それでは、戻りまして6ページ以降について、再度事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 6ページになります。こちらは基本指針ですとか、これまでの御議論を踏まえまして、地域差是正に関する基本的な考え方について事務局の方でまとめたものとなります。6点にまとめております。
まず1つ目、あらゆる地域におきまして必要なサービスを受けられるように、サービスの均てん化を図る必要がある。
そのために、計画を策定して地域の実情に即した総合的かつ計画的なサービス提供体制を図っているという状況にあります。
その際、利用者のニーズに対して供給が追いついていない地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図る必要があること。また、高齢化や人口減少が進む中では、地域の需要に応じたサービス提供体制の整備の推進を図っていく必要があるということ。
その一方で、これまでも部会の中で説明をしておりますけれども、近年、自治体が障害福祉サービスに定めるサービスの見込み量を上回り、サービス提供量が増加し続けているサービスや地域もあり、多くの事業所が参入し、また、人材確保が喫緊、かつ重要な課題となっている中で、利用者のニーズに合致した障害福祉サービス等の提供を行うことが重要であること。
また、障害福祉サービス等におきましては、給付費がほぼ全額公費で賄われていること。
また、国費に係る自治体間の公平性の観点を踏まえれば、一定程度の地域差の是正が重要であるとまとめさせていただいております。
地域差を是正して供給を計画的、かつ効率的に行うための方策を御議論いただいておりますけれども、その重要な要素といたしまして必要量の見込み量の見直しについて御議論いただいているところでございます。
7ページ、この地域差の是正の対応に当たりましては、まず、対応する必要がある地域差の考え方を整理する必要があるのではないかということで、具体的にその整理が必要となる事項について3つまとめております。
1つ目、サービス利用に関する地域差を見るための指標ということで、どういった数字でこれを比較していくか。
2つ目、サービスの利用に関する地域差の基準点、何と比べて差があるかということを考えていく。
3つ目、対応する必要がある地域差の対象ラインということで、どこからを対応の対象とするのか。
この3点についての整理が必要ではないかということで、以降のページでそれぞれについて案をまとめております。
8ページ、まず、1つ目のサービス利用に関する地域差を見る指標でございます。これは利用量の実績を見ることができる指標である利用者数というものが考えられるところですけれども、人口規模の違いによる影響を考慮するため、利用者数そのものではなく、人口や手帳所持者を分母として、それらに占める利用者数の割合といった方法で見る必要があるのではないのかということでございます。それぞれ人口と手帳所持者につきましては、人口の場合は全てのサービス利用者を含んでいる一方で、手帳所持者の場合は必ずしも手帳の所持がサービスの利用に直結しているとは言えないということから、人口に占める利用者の割合を用いるほうが、より公平なものとなるのではということです。
9ページ、人口に関しましては、地域ごとに若年層や高齢者層の多寡といった年齢層の相違が影響を与える可能性があることから、地域差をより公平に捉えるために、そのような影響を除去する必要があるのではないか。具体的には、下にポンチ絵を描いておりますけれども、地域ごとの年齢層の違いについて全国平均の年齢層にそろえるという、いわゆる年齢調整を行うこととして、地域差を見るための指標につきましては、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合とすることが適当と考えらるがどうかということで提案をしております。
10ページ、2つ目のサービス利用に関する地域差の基準点に関しましては、平均値や中央値といった指標が考えられるところでございますけれども、平均値につきましては全ての利用量の実績を反映できるという指標である一方で、中央値につきましては、全ての利用量を反映することができない極端に大きいものとか小さいもの、これを反映することができない指標であるということで、こうしたことを踏まえまして、サービス利用に関する地域差の基準点につきましては平均値を用いることが適当ではないかと考えられますが、これがどうかということで提案をしております。
11ページ、3つ目の対応する必要がある地域差の対象とライン、どこから対応の対象とするのかを考えるに当たりましては、データにつきまして平均値からの指標のばらつき具合も考慮する必要があるということで、そういったばらつきを見るものといたしまして標準偏差を用いることが考えられます。標準偏差はこのようなそのばらつき具合を示すものでありまして、他分野でも活用されている事例もありますので、対象ラインといたしましては、例えば全国平均プラス標準偏差といった基準が考えられるがどうかということで御提案をしております。また、ほかに対象ラインとして考えられるものがあるかということでございます。
12ページにつきましては、標準偏差について簡単にお示しをしたものでございます。標準偏差につきましては平均値からの各データのばらつきの度合いを示した指標ということで、ばらつきが小さいほど標準偏差が小さく、また、平均値と各データのばらつきが大きいほど標準偏差が大きくなるといったような指標となってございます。
13ページは活用例ということで参考でございます。
14ページにつきましては、改めて対応する必要がある地域差の基本的な考え方の案をまとめてお諮りをしているものでございます。
15ページにつきましては、前ページでお示ししております考え方に基づいて、これはイメージでございますが、2024年度の人口や利用者数のデータを用いまして、共同生活援助を例としまして、地域差が大きい自治体についてお示ししたものとなります。
16ページ以降は、前回の御指摘を踏まえまして、事務局のほうでデータを御用意したものでございます。先ほど田中先生からもお話がありました。
17ページにつきましては、利用者数割合と利用者数の伸び率の関係を見たものということで相関関係は認められなかったということ。
18ページは、事業所数と利用者数の相関関係について見たものということで、これらはいずれも正の相関関係が認められたものになります。
引き続きまして、障害福祉課長から説明いたします。
○大竹障害福祉課長 19ページ以降、サービスの質の確保に係る取組についてということでございます。
20ページ、こちらは7月の部会にお示しした資料になりますけれども、サービスの質の確保向上のために事業者指定の適切な運用に向けた取組を進める必要があるということで、この下に2つ挙げておりますけれども、サービス横断的な取組と、あとは個別サービスに係る取組ということで幾つか挙げております。そのうち、赤枠で囲ってございますけれども就労継続支援における支援の質の確保ということで、6年度に調査研究を行っておりましたけれども、この調査結果を基にガイドラインを策定予定としておったところでございます。この点につきまして、ある程度まとまったということでお示しをさせていただくものでございます。
21ページ、ガイドラインの案の概要ということになります。このガイドラインの主なもの、概要といたしましては丸の枠の中のマル1マル2としてお示しをしておりますけれども、マル1のように新規指定時において確認をする事項という点と、マル2にございますけれども、指定や指導をするときのツールを提供するという大きく2点に分かれております。
現状と課題として記載をしております。現状といたしまして、障害者の方の就労能力の向上に寄与しない事業を就労継続支援サービスとして行っている事業者の参入があるのではないかと御指摘を受けております。その課題としては、書類自体がそろっていれば指定自体を不受理にできないという課題であったり、あるいは2つ目のポツにございますけれども、その指定や指導の事務の担当職員が必ずしも知見を有していないことがあるという課題があるということかと思います。
それを踏まえて、このガイドラインでございますけれども、チェックが4つ並んでおります。円滑な障害福祉サービスの提供に必要不可欠な知識等を有しているかということであったり、事業運営に必要不可欠な知識等を有しているか、そういった点をチェックするものでございます。
内容としてマル1マル2ございますけれども、マル1といたしましては新規指定時の確認ということでございまして、事前の説明を行うことのみならず、計画書の審査においては、開所予定地がある市町村に説明を行っているかどうかということであったり、ニーズの把握を行っているかどうかということであったり、どのような形で利用者の募集を行うか、生産活動の具体的な内容といったもの、また、それを確認する生産活動シートというものもお示しすることにしております。あるいは会計知識のある専門家の方にチェックをいただくというような会議の設定もお願いしているということでございます。
また、マル2として運営状況の把握ということで、指定後の確認においても確認すべき事項といったものもお示ししているということでございますし、ここでも生産活動シートの活用を御提案しているということでございます。
こういった内容のガイドラインをお示しできればと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今のガイドライン、参考資料2にありますけれども、これがその案ということですか。
○大竹障害福祉課長 そのとおりでございます。
○菊池部会長 その抜粋をお話しいただいたということでよろしいですか。
○大竹障害福祉課長 概要を今御説明させていただきました。
○菊池部会長 分かりました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、田中先生から改めてお話しいただけますでしょうか。
○田中参考人 7ページ、今課題として挙げられているのは3つあります。1つ目はサービス利用に関する指標です。そして、その地域差をどうやって判断するのかと、対応の基準といったところかと思います。その1番目のところと、まとめて2、3のところでお話をさせていただければと思います。
8ページ目からですけれども、今、課長からも御説明いただきましたとおり、人口割合について調整した利用者数を出していると、分母のほうは各自治体によって人口構造が異なってしまうので、その影響を除去するようなことをやっていまして、それは望ましい作業かなと考えております。
ただ、先ほども申し上げたところですけれども、それだけだと、どうしても健康状態などが踏まえられていません。例えば人口減少がすごく進んでいるような自治体があって、健康で働けるような方々がその自治体の外にどんどん出ていくというようなことがまさに今起きていることかもしれません。もう少し将来的なところも考えていきますと、障害者、高齢者の方々も含めてですけれども、そういった方々がそこに割と多く残るようなことなども考えられるかもしれません。今申し上げたようなことが一つの例でして、健康に関することなどについても考慮するというようなことなども求められるかもしれません。
また、分子のほうですけれども、利用のほうも様々な影響が実際にあります。提供体制におきましても、割と歴史のある団体とか施設とかがあるようなところでは、活発なサービスが提供されていることなどもあるかもしれませんし、交通アクセスのことなどもきっと多く影響するかと思います。そういった利用の背景・原因といったものについても、なかなか捉えきれないということはあります。
ただ、データの中でそれを全て表現することはなかなか難しいと先ほど申し上げました。市町村単位で集計されていることもあります。そうなってまいりますと、どうしても国ができる作業は全国一律の利用状況の分布みたいなものを提示して、そしてその評価については現場の自治体の方々で判断してもらうような形が考えられるのではないかと思っております。いろいろデータを積み上げていけば可能かもしれませんけれども、先ほど言いましたとおり、データを取るときはタイミングの問題が非常に大きくて、リアルタイムで地図情報に反映されるというのは、将来できるかもしれませんけれども、今はなかなか難しいということになりますと、情報についてよく知っている自治体の意見をしっかり聞いていく必要があるのではないかと考えています。
続いて、まとめの2つの部分ですけれども、今回は平均値と標準偏差を一つの基準として見るということで提案をされています。厳密に全てのデータが正規分布であるかということは多分言えないと思いますけれども、集計したものですが、多少見せていただいたりすると、双峰になっているわけではなくて単峰型のものになっておりまして類似性はあるかとおもいます。ただ、正規性に関する検定とかもあって、本来であれば、そういったこともやったほうがいいと思います。
また、実際のデータにおいて厳密な正規分布はなかなか観察されないということもあります。それで今回は平均値と標準偏差で基準をつくるところでありまして、御説明いただきましたとおり、標準偏差というのは、平均からの散らばりの程度を表す指標になります。最も用いられる正規分布を仮定いたしますと、3σの範囲外には片側だと0.13%。2σだと2.3%、1σだと16%弱といった具合になることが知られております。
どれぐらいのところで区切り位置をつくるかというところになってきますけれども、例えば2σぐらいのところで分布の形状によりますが、例えば数%とか、そんな具合だったときに数十の自治体のところだけが選定されることになっていく。そこの中に、先ほども言いましたけれども、小さい自治体とかが入ってきてしまうようなことなども考えられるかもしれません。数はそれほど多くない自治体に地域差の是正といったものの役割というか、そこを担うのも対象としては結構狭いのかなという気がいたします。そういう意味では、もう少し広めに取ることが一つ考えられるのかなと思いました。
反対の考え方で、例えばトップ10%みたいなところの自治体が含まれるようにしたらどうかという考え方もあると思いますけれども、そうすると、今度は平均値からの乖離みたいなことは踏まえなくなってしまいます。また、どうして10%の自治体なのかということとか、基準のつくり方に恣意性みたいなものを感じるような気がします。そういうことを考えますと、平均値+標準偏差というところ以外の基準を示すということもかなり難しさが残るのかなと思います。
先ほどから申し上げているとおりですけれども、そういう意味ですごくシンプルなつくり方にはなっているところでありまして、その分、利用者割合のところだけでは把握されないような小規模自治体の問題とか、あるいは人手不足のこととか、何らかの地理的な個別事情に配慮したりとか、そういったようなことも併せて検討する必要があるのかと思います。そういったものを踏まえた上でということが前提ですけれども、今回の平均値プラス標準偏差という考え方は、何か特定の決め方とか、特定の自治体を対象にしたようなものにはなってなくて、そういう意味では一つの基準として合理的なものと私は考えました。
長くなってしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見・御質問がございましたらお願いいたします。御質問の際には、どなたへの御質問か、事務局への質問か、あるいは田中先生への御質問かをお示しいただいた上でお願いできればと思います。
それでは、小阪委員からお願いできますでしょうか。
○小阪委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門研修機構の小阪と申します。特に質問というわけではなくて意見ということでも大丈夫ですか。
○菊池部会長 もちろん大丈夫です。
○小阪委員 地域差の指標について、今回の資料の11ページに記載のある「対応の必要がある地域差の対象ラインについて」として示されている事柄について、算出すること自体は参考値としてであれば別段構わないのではないかなと思っています。ただし、本来形で言うと、適切な形で障害福祉サービスの利用を希望されている方がいる場合に、その方たちがきちんと自治体においてサービスを受けられているか、適切なニーズに対してそのニーズを満たすサービスが提供されているか、そこに地域差がないかについてというのが、いわゆる「本来の地域差」であるべきで、単純な利用者数の差異だけでは、本来必要とされる的確な地域差を捉えきれないではないかという問題意識は持っています。
また、厚生労働省からの提案に対応する必要がある地域差の対象ラインについて、導入して推し量ったとしてどう是正するかなど、具体的な事柄等について今回は触れられていませんので、まずは現状把握という観点でお示しいただく。その上で、具体的な税制の在り方や必要性については、別途丁寧な議論が必要ではないかと思っています。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小崎委員、お願いします。
○小崎委員 全国肢体不自由施設運営協議会の小崎です。まず、田中先生から大変分かりやすい御説明をいただいたことに感謝を申し上げます。
事前の説明でも実際の元データの分布に正規性があるかどうかということについて私も疑問があったのですが、ただ、今、先生のほうからいわゆる正規分布を前提とした議論をしても構わないのではないかというコメントをいただいたのは、私としては納得感があってよかったと思います。
それを踏まえて、今度は厚生労働省のほうに質問したいのですが、11ページのイメージ図が平均プラス標準偏差のみを示していますが、実はこれマイナス側も当然あって、実際に議論しなくてはいけないのはプラスとマイナスの両側ではないかと思うので、この図は若干ミスリーディングではないかなと思いましたので、その辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局に対してということです。
○乗越企画課長 企画課長でございます。御質問ありがとうございます。
11ページの資料につきまして、プラスの側のところにだけ線が引いてあるということでございました。我々といたしましては、今回御説明した資料におきましても、資料の6ページのところで基本的な考え方というところでまとめさせていただいておりますけれども、委員の御指摘のようなマイナスのところ、利用者の割合が小さく、また、サービスの提供体制がニーズに合っていない可能性があるような地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図っていく必要があるというような認識でございます。
一方で、今回の資料でお示ししておりますところにつきましては、これまで見てきたとおり、必要な見込みを上回ってサービスの提供量が増加し続けている地域についてどのように考えるか、こういった地域差についての対応の必要性を検討していく必要があるのではないのかといった前提におきまして、こちらのプラスのほうの地域差の対応を考えるということで、今回の検討におきましては、こちらの地域差がプラスの面で大きいほうに着目するという意味で、こちらの資料を用意させていただいているということです。マイナスの側を考えないということで用意をしているということではないということでございます。
○小崎委員 ありがとうございます。
これは先ほどの小阪委員の御指摘とも多分重なると思うのですけれども、結局プラスの側とマイナスの側で、恐らく地域差の意味合いが違うということは共通認識を持つ必要があるのではないかなと思っておりますので、その点をよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今の乗越課長の答えは、低いほうは今回はとりあえず上げなかったけれども、この一連の議論において取り上げないという意味ではないということでいいのですか。
○乗越企画課長 今回の議論は基本指針、計画についての議論におきまして、こうしたサービスの供給が追いついていない地域への対応については、この指針の中でもこれまでも対応してきているところですけれども、引き続きサービス提供体制の整備を図っていくという点において重要な課題であるということで認識をしております。
○小崎委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 日本精神科病院協会の櫻木です。田中先生、丁寧に御説明いただいてありがとうございました。
私は医学部の統計学に落第したものですから、なかなかこの辺のことは分からなくて、本当に基本的な質問になると思います。9ページの地域差を見るための指標について、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数の割合が適当だということですけれども、例えば高齢化が進んでいる地域だとかを考える、あるいは若者が仕事でどんどん都会に出ていってしまうということで偏っているそれぞれのところも修正をした上で割合を出すという意味合いで取ってよろしいでしょうか。
○菊池部会長 田中先生、お願いします。
○田中参考人 分子のほう、簡単に言うと、Aというサービスを使っている利用率と、それに掛ける人口があって、それで町の中で使っている利用者数が出てくると思うのです。ただ、利用率のほうは自治体によって、まさに使っているということについて把握するものですから、その自治体の生の数字を使うと思うのですけれども、一方で、人口の分布というのは自治体によって違いますので、そこを全国平均に入れるとすると、自治体の利用者の利用率の状態はそのままで、人口構造だけを全国平均のものに変えていくと、人口の影響を除去したものができるというものです。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○櫻木委員 にわかには分かりませんけれども、勉強させていただきます。
○田中参考人 私自身も実際にデータを触っていれば、もう少しうまく説明できると思います。定かでない部分もあるのですけれども、そのように私は認識しております。
○櫻木委員 ありがとうございます。
あと、多分事務局のほうに聞いたほうがいい質問になるかと思うのですけれども、今回1ページのところで、実効性のある計画を作成するために障害福祉サービスデータベースを活用すると書いてありますけれども、具体的に言うと、障害福祉サービスのデータベースというのはどういうものがあるのでしょうか。例えば医療などだとナショナルデータベース、いわゆるレセプトデータを活用することがあるみたいですけれども、それはどういうものがあるのでしょうか。障害支援区分に関する資料は使われているのでしょうか。あれは主治医の意見書も入っていますし、それから、訪問調査でかなり精密というか、細かくいろいろなことを調査しているので、その辺が使われているかどうか。ただ、訓練等給付の場合には障害支援区分を使わないということなので、そういう意味ではデータとして偏るというか、落っこちていると思います。
それから、1次判定と2次判定のいわゆる訂正というか、それがかなり大きいです。その大きいのが、なおかつ3障害とか、あるいは難病の間で差がある。それから、実態の間でも差があるということで、そういった意味では、データとしてはかなり使いづらいデータかもしれませんけれども、この機会に障害支援区分をどのように活用していくかということが必要なのではないでしょうか。
もう1点、小阪さん、あるいは小崎さんもおっしゃいましたけれども、結局サービスを供給する側の部分、それから、必要としてサービスを受ける側の部分というのはきちんと峻別していかないと、基本的な考え方のところにも一部触れられていますけれども、量的な拡大を必要とする部分と質の担保、本当に必要とした人に必要としたサービスが供給されているかどうか、この辺の調査というか、確認というか、それをどのようにしていくのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 事務局からお願いします。
○乗越企画課長 まず、障害福祉のデータベースについて、どのような情報が入っているかというお尋ねであったかと思います。障害福祉サービスのデータベースにおきましては、基となるデータといたしまして事業所の台帳の情報ですとか、受給者の台帳の情報、これは自治体が保有をしておるものです。また、給付費についての明細のデータ、支援区分の認定のデータなどについても、このデータベースの中に保有をされております。つまり、事業者の情報ですとか、利用者の情報、どういったサービスを受給しているのか、また、支援区分の情報についてもデータベースの中に含まれているところでございます。これらを国のほうで解析して必要な情報を自治体のほうに提供しているという現状でございます。
それから、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、サービスの供給を受けている側の区分をしています。量的拡大の対応についても検討する必要があるという点につきましては、我々も御指摘のとおりであると考えております。これらにつきましては引き続き国としての対応、支援も考えていく必要がある点でございます。
また、地域の実情によってそれぞれ状況が異なりますので、地域の計画を策定するに当たりまして、地域のニーズを踏まえて、どういったサービスが必要とされていて、どういった供給が足りていないのか、こういったことを計画の策定に当たって、各自治体におきまして十分に検討いただいて整備計画を策定していただいて、それを推進していただく。それに必要な国としての支援、対応を行っていく。基本的な大きな方針としてはそのようなことであると考えております。
また、そうした対応につきまして、この部会での議論を踏まえて国としての対応を考えていきたいというところでございます。
以上でございます。
○櫻木委員 これは多分資料2の中でまた触れられると思いますけれども、サービスの給付のあれを考えるときに、今まではそれぞれのサービスのいわゆる収益の差みたいなものは資料として我々に見せていただいているのですけれども、今おっしゃったようなサービスのデータベースについて国としていろいろ解析をされた部分というのは、多分見ていないような気がするのですけれども、これからの議論のときにそういうのを示していただければと思います。
それから、障害支援区分も使っているということですけれども、障害支援区分を考える上でいろいろな問題点が出ると思うので、そこの部分もまた議論の場をつくっていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見・御要望ということで承らせていただきます。
それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。田中先生、丁寧な御説明をどうもありがとうございました。
サービス量に関する地域差の基準点とか、対応する必要がある地域差の対象ラインについては御説明で、私はただの母親ですので、完全にとは思いませんが理解することができました。もし、可能であれば、全国平均と並んで、例えば都道府県別といった地域特性を踏まえた比較が今後できるといいのかなと感じているところです。
また、この後のことになると思いますけれども、都市部と地方部における地域差については、社会保障審議会の介護保険部会において地域別の考え方が示されたところでありまして、大都市、一般市、中山間人口減少地域の3類型に分別し、中山間人口減少地域に関しては報酬の月払い化も提案されたようですので、こういった方向感で障害のほうも国の制度設計を検討いただければと思いました。
事業所指定のことも今言ってよろしいのでしょうか。今日、就労系のサービスのガイドラインも示していただいたところであります。前回も申し上げましたけれども、書類がきちんとそろっているとなかなか却下できないこともあると思うのですけれども、事業所指定の最初の有効期間を3年程度として、市町村の意見を聞くことができるようになりましたので、3年後に市町村の意見を聞いて総合的に更新の可否を判断していただけるような仕組みを御検討いただければと思っています。
あと、グループホームに関しましては、毎回申し上げて申し訳ないのですけれども、総量規制に関しては、本当に重度の人たちを受け入れてくれるグループホームが各地域にどこに行っても会員の皆さんから要望が出ておりますので、障害支援区分の重い人がグループホームを利用できなくなることのないように御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、清水委員、お願いします。
○清水委員 国立障害者リハビリテーションセンター病院の清水です。御説明ありがとうございました。
意見といいますか確認になるのかも分からないのですけれども、この地域差を考えていく場合に一つ気になっているのが、私は眼科医ですので視覚障害の方によくお会いしますし、盲聾の方とか、そういう数の少ない障害者に対してどのようなアプローチを御検討していただけるのか、するおつもりがあるのか、その辺りを確認できたらと思っております。
○菊池部会長 事務局への質問ということでよろしいですか。
○乗越企画課長 今、視覚障害など、特定の分野への対応につきましては、これからの議論も踏まえまして私どものほうでも対応策といったものも御提示をして、また御議論いただきたいと考えております。そうした中で、特定の分野への対応の必要性という御意見を今もいただいておりますけれども、そうした御意見も踏まえて、どういった対応が考えられるのかということを引き続き御議論いただき、また、我々も検討したいと考えております。
○清水委員 ありがとうございます。
数が少ない障害はどうしても漏れてしまいやすい傾向があるかと思いますので、常に意識をしていただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、冨岡委員、お願いします。
○冨岡委員 日本相談支援専門員協会の冨岡と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど御説明のありました地域差の是正に関する基本的な考え方については、私たちは賛成です。しかしながら、相談支援の立場から申し上げますと、一定のサービス量が確保されていなければ、利用希望者が福祉サービスを利用できない、あるいは選択肢が限られてしまうという事態が生じかねませんので、ニーズに応じた必要な量の確保ということについても重点的に御配慮いただきたいと考えております。
続いて、全国平均と比べて大きく乖離している自治体について、先ほど先生からも話がありましたけれども、様々な事情が入り組んでいて、ただ単に地域が大きいとか、小さいとか、そういうことだけでは考えきれないところがあるかと思います。ですので、一度、地域の実情に合わせて福祉計画が作成されていることを前提に、なぜその福祉計画の中で上回ってしまうのかということ、その要因を調べた上で、ある意味で、また地域事業についても考えていく必要があると感じております。
また、量ということを考えるときに、量を抑制することをどうしても思ってしまいがちですが、それを進めてしまう場合、丁寧に支援をしている事業所にも影響が起きてしまうことがないように、そこは十分な配慮が必要かと思いますので、そちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。
最後になりますが、先生がおっしゃっておられましたが、国は全国一律である程度の基準を設ける、それはとても大事なことだと思います。しかし、地域の実情に応じてその評価をどう行うのかということについては、市町村がしっかり意見を申し上げられるように、そして、その意見を交わした上で、その数を考えられるような、データだけではない、話し合いによる数をどうしていくのかという考え方・仕組みをどのように考えていくのかというのはこれからの課題かと思いますので、そちらのほうの検討についても、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。1点意見を申し上げます。
何人かの委員の御意見と重なる部分もあるのかもしれませんが、資料1の6ページ、赤い枠と網かけされている部分で、障害福祉サービスの地域差を是正し、供給が計画的かつ効率的に行われる方策として必要量の見込み方法を見直すとされています。この中で、サービス利用に関する地域差を見るための指標については、11ページにあるように利用実績の全国平均プラス標準偏差で判断されようとしていると理解しています。
しかしながら、もし、必要量の見込み方法を見直すのであれば、実績ベースではなく計画の目標値と、それに対する実績との差を基準とすべきではないでしょうか。計画値と大きな乖離がなく、地域における必要な利用量を確保している場合、全国平均と比較して多い実績があったとしても、それはその市町村にとって必要な利用量であり、問題はないと考えられます。利用実績のみを基準とすると、必要量の見込み方法を見直すという趣旨から離れてしまうのではないかと懸念しております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 国立精神神経医療研究センターの藤井です。私は冨岡委員とほとんど同じような御意見になってしまうのですけれども、田中先生の御説明は非常に分かりやすく、ありがとうございました。御説明を伺いまして、対応する必要がある地域差の基本的な考え方については、非常に納得感を持つことができました。
基本的にはこの考え方で賛成ですけれども、先ほど冨岡委員やほかの委員もおっしゃっていましたが、その自治体でなければ分からないような特殊事情は多々あるかと思いますので、この考え方を適用した場合、その自治体で障害福祉計画等を立てる際に何か不具合・不都合があるのかどうか、この考え方で問題ないかどうかという辺りは、実際にこの指標なり考え方を適用する前には、一定程度は自治体側の意見を伺っておく必要があるのではないかと思いました。
その上で、今後、このような考え方を適用した上で、実際に自治体の中でその考え方を適用してどのような課題が生じたかといったことについては継続的に確認した上で、この考え方についてもこれで確定するのではなく、場合によっては見直していくというようなことを織り込んだ上で、この考え方で一旦は進めていくというのでよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、吉泉委員、お願いします。
○吉泉委員 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。まず、私は一番気になっている点を申し上げます。
11ページの対応する必要がある地域差の対象ラインについてというところで、地域差が大きいことへの対象ラインについて、平均値プラス標準偏差が適当であると考えられるという件についてです。これについては4つ疑問な点がありまして、にわかには賛同しかねるというのが率直なところです。
疑問の一つは、社会調査では平均値±2標準偏差、2SD、この範囲に含まれない5%に注目して有意性を検証するのが一般的だと思います。それに対して、2SDだと対象が極端に少なくなってしまうのではないかというようなことですとか、1SDを採用した前例があるということで、そういった理由で平均値+1SDにすることが妥当なのかどうか、これは可能でしたら田中先生に統計の知見から御意見を伺えればと思います。
2つ目の疑問は、平均値+SDからはみ出す自治体が、この資料によりますと329自治体となっています。全国に1,700強の自治体がありますので、329というのは約19%、2割に近いことになります。いわば5つの自治体があれば1つの割合で地域差が大きいほうとして認定されることになりますけれども、ここに何らかの抑制策を取るということになりますと、どうなのだろうというのが懸念材料です。
視覚障害者の立場からしますと、都市部であってもなかなか対応してもらえる事業所が少ないという現状がありますので、そこに総量規制のようなことがかけられてしまった場合にどうなるかが心配です。
3つ目の疑問は、視覚障害者の立場からすると、サービスを受けられずに困っている地域の話というのはよく聞くのです。その観点からしますと、先ほどほかの委員からも発言がありましたけれども、平均値+SDだけではなくて、平均値-SDのほうにも着目したいというのがこちらの立場です。平均値と標準偏差だけではなくて、できれば最小値、中央値、最大値を含む四分位点の情報を示していただきたい。これは意見として申しておきたいと思います。特に私の場合、グラフが見えませんので、こういったものを数字で示していただくことによって、例えば正規分布から今回取り上げているデータがどのぐらい乖離しているのかというのを知りたいと思います。それが分かった上で、そのラインを考えたいというのが希望です。
4つ目の疑問は、16、17ページ、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係が認められないということが資料にありました。それから、次の18ページで事業所数と利用者数の間にかなり強い正の相関関係が認められることが示されています。これ自体、興味深い結果ではあるのですが、ただし、ここから地域差の実態・実像が見えてくるかというと、そうではないと思うのです。そういう中で、単に利用者割合の全国平均と標準偏差を手がかりにして地域差、特に地域差が大きいほうを検証することが果たして妥当なのかどうか、率直に言って妥当ではないと考えております。
以上がラインの考え方についての質問と意見です。
それと、細かいことになるのですが2つあります。
一つは、先ほどのやり取りでもありましたけれども、市町村の利用者割合を算出するときに、全国の年齢分布に合わせて調整するということをやられています。これが本当に妥当なのかどうかという疑問を持っています。年齢分布以外、例えば一人暮らし世帯が多いと、その利用者数が増えるのではないかとか、あるいは事業所へのアクセスのよしあし、地理的なものとか、交通機関の影響、それから、実際に事業所があったとしても、そこで自分が必要とするサービスを受けられないのではないかということで諦めてしまうケースもあると思います。これは視覚障害者の間では時々聞く話ですので、そういった中で年齢分布に合わせて調整する、実態から乖離する形で比較することが本当に妥当なのかどうかと思っています。
これについては先ほど事務局から御説明がありましたので、改めて御説明していただく必要はないですが、利用者数そのものを見たほうがいいのではないかというのが意見です。
もう一つ、これは単純な確認ですけれども、事業所数と利用者数の相関を見る場合に平均という言葉が出てきているのですが、これが私にはよく分からないです。それぞれの自治体の事業所数と利用者数の相関を見るのであれば、別に平均を取る必要はないと思うのですが、ここで平均と言ってらっしゃるのは、例えば何か複数の自治体をまとめた障害福祉圏域みたいなものを想定して、その平均を取って相関を見たのかどうかという辺りは事務局に御確認したいと思います。
長くなりましたけれども、最後にサービスの質の確保に係る取組のところです。指定事務に係る運用の実態把握と適正化のための研究とガイドライン作成というのは、ぜひやっていただきたいのですけれども、その際に障害種別への対応をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。地域に事業所があったとしても視覚障害者支援のノウハウがないために通所を断られたり、受け入れてもらったとしても施設内で孤立するケースというのは聞きます。ですので、事業所指定の際は、地域の各障害種別の専門機関と連携する要因があるということです。また、問題の事案が発生したときに相談体制をちゃんと整えているというようなことをガイドラインにぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御質問、御意見、御要望がございました。
1点確認させていただきたいのですが、最初に4点挙げられた中で4点目、妥当ではないという御意見でした。その理由について私は聞き漏らしたかもしれないですけれども、どういった理由で妥当ではないか、もし、補足いただけるようであればお願いします。
○吉泉委員 妥当ではないと思った理由ですか。
○菊池部会長 私は聞き漏らしてしまったかもしれないのですが。
○吉泉委員 4点目、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係がないということと、事業所数と利用者数の間には強い正の相関関係があるということですよね。この結果だけを見ても、地域差がどうなのかということは見えてこないというのが私の捉え方です。例えば事業所数と利用者数が強い相関関係があるということであれば、これを素直に取れば、障害者側のサービス利用の需要を満たすべく事業所数が増えているというのはある面で健全なことだと思うのです。実際に、現実の場面で需要が満たされるかどうかというのは、いろいろ斑模様にはなると思うのですが、この数字だけだと、ある意味で制度がちゃんと機能しているのではないかということになると思うので、ここから地域差があって、何を是正すべきなのかというのは、この結果から見えてこないということです。
○菊池部会長 ありがとうございます。長くなっていますので、ここで一旦切らせていただきます。
1点、田中先生に対する御質問、それから、事務局に対する確認がありました。
田中先生からお願いいたします。
○田中参考人 コメントをありがとうございました。
今いただいたコメントの中で有意水準5%が基本的によく使われるのではないかというところで御質問がありまして、確かに統計の有意差の検証のときには5%水準で分析することは非常に多くございます。そのような意味では確かにそれが一つ基準になるのも事実だと思います。
私のほうから今日お話をしてきたものは、繰り返しになってしまうのですけれども、基本的に幾つかのベンチマークはあるのだろう。それで統計に基づいて恣意的ではないものの基準はどうなるのかというところを考えていまして、そのときに統計をベースにしながら、基になるデータから特定の自治体とかを対象としないような形ですと、これも一つの見方になってくるかなといったところになります。
そういう意味で、統計学的に一般によく行われている検証と違うのではないかというところにつきましては、確かにそういう意見もあって、その幅のところについてはいろいろ議論があるのかなと今考えております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
引き続きまして、事務局からお願いします。
○乗越企画課長 御指摘・御質問をありがとうございます。
まず、標準偏差のマイナスのほうも着目していく必要があるのではないのかということで、さらなる別の視点での分析も示していただきたいというお話があったかと思います。これにつきましては、どのような形でお示しできるのかということを検討させていただきたいと思います。
引き続きまして、利用者数そのものについて見るべきではないのかというような御指摘もございましたので、これについても御意見として受け止めさせていただきます。
それから、資料の関係で。
○菊池部会長 最後の点の確認についてお願いします。
○乗越企画課長 最後の18ページの資料について、平均というものについての考え方ということでございました。こちらの平均については、利用者数ですとか、事業所数、これらの年度の平均ということで書いておるものなのですけれども、2024年度の平均というところで書いておるものでございますので、これにつきましては2024年度の各月のデータを足しまして、それを12で割っているということで、各月で見ますとそれぞれ上下動がありますけれども、各データについて月の平均を出すということで、各月を足して12で割る作業をしているということで、2024年度平均という形で記載をさせていただいておるところでございます。
○菊池部会長 吉泉委員、よろしいでしょうか。
○吉泉委員 平均のこと、とてもよく分かりました。あと、分布を知りたいと思いますので、先ほど申し上げましたけれども、平均値と標準偏差のほかに四分位点の情報をぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。事務局で検討していただくことにします。
それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野です。聞こえない立場から意見を申し上げたいと思います。
まず、聞こえない、聞こえにくい人だけではなく、そこに加えまして、盲聾者や、知的障害、発達障害、また、精神障害を併せ持つような聾重複の方がいらっしゃいます。また、強度行動障害の方も中にはいらっしゃいます。数的には非常に少ないと思いますが、データベースの中では恐らくそこは省かれている状況になっていると思います。そういう意味から私は意見を申し上げたいと考えております。
聞こえない人の場合は、地域間格差というのは障害福祉サービスだけではありません。つまり、手話言語での対応ができるか、きちんと情報が提供できているかも地域間格差が生じていると考えております。障害福祉サービスだけでなく意思疎通支援事業や日常生活用具の補助等に関しても地域間格差は全国において非常に多くあります。特に意思疎通支援事業に関しましては手話通訳に絡みます。聞こえない当事者に対し手話で対応できる人、その数によって障害福祉サービスの提供ができるかどうかに大きな格差が生じます。
意思疎通支援事業と、聞こえない、聞こえにくい人たちに対応できる人材の配置やその提供数にも関わりがありますし、福祉サービスのほうにも影響します。データを見える化してきちんと示してほしいです。しかし、そういうデータがありません。ざっくりしたデータだけで判断をされてしまうと、我々聞こえない立場から見ると、なかなか納得できない、咀嚼しきれない部分もあります。意思疎通支援事業、それから、手話で対応できているかどうかもきちんと盛り込んだ上での議論を深めてほしいというのが意見・要望でもあります。
ですので、対応できる人材や、事業所がどれぐらいあるのか数を示していただきたいです。それを示していただかないと、本当の意味で聞こえない人たちが使えているのかどうか、使いにくいのかどうかなど、また、相談支援事業所において対応があるのかないのか、そこに格差があれば、その地域にいる方たちにとってはサービスが受けられない、取り残されてしまうということが起きるわけです。そういうことがないように、格差を是正することが非常に必要になってきます。
それから、資料の21ページに指定事業所について掲載されております。ガイドラインが出ておりますが、こちらは当然必要なことだと思いますけれども、1点、意見を申し上げたいです。もし、聞こえない、聞こえにくい人たちがいらした場合、その対応ができるのかどうか、この評価も盛り込んでいただきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 御意見ありがとうございました。
それでは、オンラインで、今日は途中退席の御予定があり得るということで承っていますので、まず、山本委員からお願いいたします。
○山本委員 日本看護協会山本でございます。まず、資料1のサービス利用に関する地域差を見るための指標について意見を申し上げます。
18ページの事業所数と利用者数の相関関係を見ますと、正の相関関係が認められていることからも、各地の現在のサービスの利用者数は、現在の事業所数や各地での現在のサービス提供状況など、外的な要因にも左右されるものと考えております。にもかかわらず、9ページにおいて「サービス利用に関する地域差を見るための指標」を「人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合」のみに絞ることに違和感がまだございます。
今回、御専門の先生に丁寧に御説明いただきありがとうございました。9ページの御説明でどのようなデータになっていくのか、まだ理解が十分ではないのですけれども、御説明の中にありました障害福祉者データベースのデータに限界があって検討しきれないということであれば、現在の障害福祉データベースありきで議論を進めること自体、検討が必要ではないかと考えます。今後どのようなデータを使うのか、あるいはどのようなデータの取り方をすべきなのかということを含めてしっかり検討する必要があり、このやり方を今後も継続することには大きな懸念を感じております。
続きまして、11ページにおいて今回はサービス利用が過多であるところについて議題に挙げておりますけれども、サービスが不足しているところへの対応についても引き続き重要な論点として議論を行っていく必要があると考えます。
3つ目ですけれども、21ページのガイドラインについてです。ガイドラインを示すことは重要と考えますので、ぜひ進めていただきたいと考えております。その一方で、可視化することがさらなる質の評価や改善につながると考えるため、アウトカム、あるいはポイントとなる把握事項の指標化・定量化による可視化の点も含めて御検討いただけたらと思います。
資料1については以上でございます。
資料2についても、今のうちにお話してしまってもよろしいですか。
○菊池部会長 基本的に報告事項なのですが、どうしてもということであればどうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。
5~6ページについて、各サービスの1人当たり利用額と利用者数、事業所数の伸び率が示されておりますけれども、例えば施設入所支援ですとか、就労継続支援B型などのようにほかのサービスとは非常に異なる傾向の見られるサービスについては数値で示すだけではなく、なぜこのような状況になっているのか、問題や要因などの実態を把握し、対応策を検討する必要があるのではないかと考えております。今後、サービスの持続可能性の観点からも喫緊の課題であると考えるため、調査研究などの対応を含め、御検討いただけたらと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、伊豫委員、お願いします。
○伊豫委員 事務局に確認したいのですけれども、まず、資料1の3ポツ目で、人口に占める利用者数の割合や手帳所持者数に占める利用者の割合といった指標を見る必要があるということに関して、全てのサービス利用者を人口の場合は含んでいる、手帳の場合は一部のサービス利用者を含んでいない可能性があるということなのですが、この手帳所持者を見ることによって、サービス利用者の相関とか、サービス利用者とこの手帳保持者の間に相関はないのか、所持していても利用する人、しない人、所持していなくても利用する人、しない人がいるわけです。それが一定の分布であるとすれば、相関があっておかしくないはずなので、もし、それを調べていたら教えていただきたいということです。
それから、資料1の18ページで、こちらの利用者数と事業所数ですが、こちらのほうも手帳所持者数と事業所数に相関があるのかないのか。また、そこから大きく外れているような地域があれば、そこが何らかの課題を持っていることになるのではないかというような気がします。そういう前提で考えていくと、9ページの人口を年齢階層で補正していくというのでもいいのですが、そちらと手帳所持者などとの相関も最終的には出てくるのではないかと思います。ということで、利用者数と手帳保持者数の相関を基準にした場合の解析が何か行われているのであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料のお求めというような趣旨もおありかもしれませんが、事務局から今日の時点で答えられる部分があればお願いできますか。
○乗越企画課長 ありがとうございます。
手帳の所持者とその利用の相関ということでございますが、今の時点におきましては、そういった相関があるのかないのかということについては、事務局のほうでは分析をしておるものがないところでございます。手帳所持と事業所の関係といったようなことについても同じでございます。今回の資料でお示しをしておりますように、手帳所持については実際に精神障害などの方についての手帳がなくてもサービスを利用することができるということで、手帳の所持とサービスの利用に直結をしているということは言えないといった点を考慮いたしまして、各地域を公平に見るための指標といたしましては、現在の利用可能なデータを考えますと、手帳の所持者数より人口のほうがより適切な指標ではないかということで提案をさせていただいたということでございます。
○菊池部会長 伊豫委員、いかがでしょうか。
○伊豫委員 ありがとうございます。
もし、お時間があれば、そういったものも取っておいていただくと、かなり理解が進むという印象でしたので、お願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。御要望として承らせていただきます。伊豫委員はそのデータを取ることに意味があるのではないかという御趣旨かと思いますので、そこはまた事務局で検討していただければと思います。
叶委員、お願いします。
○叶委員 全国社会就労センター協議会の叶です。地域差については多くの意見が出されているので、私のほうからは就労支援の充実に取り組んでいる団体として、就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握について意見を申し上げます。
基本的には就労継続支援について様々な事業所が参入して、障害者の働く場としてはふさわしくない事業所の参入等、まさに今、就労支援の質が問われていると思っております。そのような状況の中で、適切な事業運営に向けて新規指定の在り方や運営状況をきちんと把握することは極めて重要であると考えますし、そのためにガイドラインを作成して就労支援の質の向上を目指すことについては全く異論ありません。
その上で、参考資料2のガイドラインのチェック項目として幾つか意見を述べたいと思います。
一つは、就労継続支援事業B型の開所時間や利用時間についてですが、本人の意向や障害の特性ではなく、事業所の都合によって極端に短時間にしていたり、あるいは利用時間を短くしているところについては、きちんとガイドラインの中でチェックをしていく必要があると考えています。
2つ目は、ガイドラインの中には、新規指定の際に専門家会議による審査が示されていますけれども、協議会等を構成する団体や地域の模範となる事業所が入ることは有効かと思っております。さらに専門家である中小企業診断士や社会保険労務士や税理士等、複数の専門家によりチェックをすることも効果的であるとは思います。その際に、各専門家については就労支援事業等への知識があって第三者的な立場で関われる人を人選することが重要であると考えております。また、それぞれの専門家の見地から、何をチェックするのかという具体的な役割を示すことも重要であると考えております。
3つ目、職員配置についてですけれども、収益を上げるために常勤の週の労働時間を極端に短くしたり、非常勤職員として雇用したりして人件費を削減することによって処遇の低下につながることがないよう、これもガイドラインの中できちんとチェックすることも重要だと思っています。
最後に、資料2で示されている就労継続支援B型の総費用額の伸び率が20.1%という非常に高い数値が示されています。これは不適切な運営を行っている事業所の増加にも関連する事項であると思うので、新規指定の在り方や運営指導等の充実によって、前述した不適切な運営を行っているところを改善していくことによって対応していくことが重要であると考えます。1人当たりのB型の事業所の報酬単価は、就労移行やA型と比べても決して高い報酬とはなっておらず、この伸び率だけで判断することがないよう対応していくことが重要であると考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料1以下に関してということでお願いできればと思います。
野澤委員、お願いします。
○野澤委員 意見を2点申したいと思います。
一つは、地域格差の是正という問題提起の意義は分かっているつもりですけれども、端的に言って、あるサービスが多すぎる地域と足りない地域があるとして、多すぎる地域のサービスを参入規制する、これは自治体ができると思うのです。ところが、足りない地域のサービスを増やしていくのはなかなか難しいと思うのです。自治体が直営で何か事業をやるような時代ではないので、民間のサービスを自治体でどうやって増やしていけるのかと考えると、下手をすると、全国展開の得意なフランチャイズ制などによる収益目的のビジネスが跋扈してしまうのではないかと思っているのです。足りないところをどうやって増やしていくのかというのは、もっときちんと考えないと失敗に終わってしまうのではないかという気がしてならないです。
もう一つ言いたいのは、現時点ですごく多いところと足りないところがあるという比較です。ところが、ニーズは時代とともに変わってくるので、女性の社会参加・進出が増えていって、あるいは重度の障害者が増えていったり、家族の機能が弱くなっていったりすると、もっと福祉サービスが必要になると思います。現時点で全国の平均より多いところでも、将来的には全然足りないのかもしれないです。少ないところは全然話にならないぐらい少ないのかもしれないです。
何を言いたいかというと、先ほど丹羽委員がおっしゃっていたと思うのですけれども、実績ベースで物事を考えると限界があると思っていて、丁寧な計画を一つのベースにしないと、将来的に時間軸で見たときの正確な事業数の是正につながっていかないのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口です。御説明ありがとうございました。
既に御説明いただいたこととも重なりますが、地域差の是正は必要であると考えています。でも、一律に是正すべきではないということも同時に思います。人口減少地域だけではなくて急速な人口増加地域もありますので、その時間軸といいますか、いつまでにどのぐらい必要かという評価も必要かと思います。
次に、グループホームの総量規制についての議論の中でも申し上げましたが、最大の課題は事業所指定の在り方ではないかと考えています。指定就労継続支援事業所の新規指定等に関するガイドラインが示されていますが、指定権者である都道府県は障害福祉サービスの指定を受けたい事業所がある際には、開設予定の市町村の障害福祉計画の進捗状況を確認することを必須とするべきです。
また、サービスの実績や経験のない事業者からの事業指定の申請も増えており、指定を受けた後、地域との連携を一切取らないで事業運営を行っている事業所もあります。障害福祉サービスにおいては地域との連携が不可欠であり、また、限りある財源の中で地域のニーズに合致し、かつ一定の質を担保された事業者に指定して行うべきと考えます。そのためには新規の事業指定を希望する事業者は、都道府県だけでなく市町村、または地域の自立支援協議会の就労部会などに説明を行うことを必須とし、その説明を受けた市町村が指定権者である都道府県に意見を出し、それを踏まえて都道府県が指定の可否を判断する。このような丁寧な仕組みとすべきではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、三浦参考人お願いします。
○三浦参考人 三浦です。よろしくお願いします。
意見になりますけれども、障害者支援施設の在り方の議論のまとめの中でも目標とする地域移行の推進のネックになっているのは地域の居住資源やサービス提供体制の未充足ということになります。今日の議論を伺っておりますと、事業所を均てん化していこうということが目標としてあると思うのですが、全く足りないところがあって、施設からもなかなか出ていけないという実情がある中で、同じ計画の中で矛盾が生じないような内容の示し方にしていただきたいというのが一つです。
それから、医療的ケアを伴う方々など、最重度の機能障害者の地域生活支援には24時間のホームヘルプを行える事業所などが必要なのですけれども、極めて少ないので、その事業所があるところを求めて希望者の方は引っ越ししていかれます。そういう実態も地域にはあるということを踏まえた上での計画への落とし込みをお願いしたいと思います。
それから、20ページですが、共同生活援助における支援の質の確保のところで、ガイドラインが早く策定されて、それが厳格に運用されていくことを願います。障害福祉サービス等の情報開示は義務づけられたのですけれども、その項目を見ると、これは利用者にとって知りたい情報なのかというところに疑問があります。利用希望者にとってもう少し分かりやすいもの、例えば個人の居住スペースの広さであるとか、利用量であるとか、その辺りを明確に情報開示していくことも重要なのかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。1点、感想と意見です。
今回の途中で、私は基本指針の見直しというところで何が議論されているのかだんだん分からなくなってきていて、今日はきっと量的分析の話が、心理学の研究者でありながら統計とかが苦手で申し訳ございません。櫻木先生の話を聞きながらとてもうれしくなってしまったのですけれども、研究法とか統計分析の話になってくると、量的分析の中でも限界があるのだろうと思っていますので、そういう意味では、ここまでは量的分析でできることだということで整理しておく。でも、すごく大きな地域差が生じているところなどの話について、皆さんのお話を伺いながら質的な分析をしていかないと、とても現状把握には至らないのだろうなと思ってお話を伺っていました。
そういう意味では、質的な分析はすごく時間のかかることだろうと思いますけれども、例えば一番差のないところ、一番差の多いところ、中間点のところなどを取り出して、そこについてどのような状況なのかというインタビュー調査とかを行っていくみたいな形をしていくとか、そういう方法を取っておいて現状把握をしておく必要があるのではないかなということを考えていました。感想と意見です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 まず、11ページの就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインはすごく大事なことだと思いますし、併せて参考資料も見させていただきました。とても大事な検討だと思います。このように指定時、それから、運営状況を把握していくことはとても大事なことだと思います。
ただ、現在存在しているA型事業所については、資料2の6ページを見ると減ってきているし、利用者も減ってきているということで、昨年の報酬改定、さらには最低賃金の上昇などによって廃業せざるを得ないところも出てきているのかなと思います。さて、説明いただきましたこのガイドラインは新規だけの対応なのか、それとも運営状況について様々な示唆、現存するA型事業所への行政のそのような示唆とか指導とかあるものなのかということ、並びにこのガイドラインはいつ完成するのかということなども併せて教えていただきたいと思います。
次の質問ですけれども、10月から就労選択支援事業が地域で開始されるということをお聞きしています。10月の20日の時点ではありますけれども、この状況について把握されていることがあれば、お答えいただければと思います。まだ、これからの把握かもしれませんけれども、もし、お答えいただければよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御質問とおっしゃられたその前もお問い合わせがあったかと思います。それも併せてお願いします。
○大竹障害福祉課長 ガイドラインそのものは新規指定に対してでもございますし、指定後の指導監査の時点も対象とするものでございます。いつこれが完成するのかという話でございますけれども、本日いただいた御意見を踏まえて、今後自治体に対して発出していければと考えております。
また、御質問いただいた就労選択支援の状況につきましては、現時点で正確には把握しておりませんけれども、今後その運用状況などについては把握をしていければと考えてございます。
以上でございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 それでは、資料について意見を述べさせていただきます。
まず、我が国は2割の国土面積に8割の人口が居住している人口偏在の強い状況にあります。したがいまして、新たな地域医療構想や「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会においても人口100万人以上の大都市、人口10万~20万未満の人口過少地域、その他の一般都市部に分けて議論をしているところでございます。したがいまして、9ページの資料につきましても各地域の年齢階級別の人口構成の特性は必ず生かすべきであり、9ページの考え方については反対でございます。
また、障害福祉サービスの提供体制は医療・介護と比べても均てん化できておらず、コンサルタントの誘導などもあり、地域によってまだまだ不規則な提供体制となっております。現に供給が需要に影響することが多く、18ページの資料のグラフも矛盾しないものと考えております。
次に、標準偏差の活用が示されておりますが、標準偏差は正規分布に近い集団において平均値を用いてばらつきの指標となるものであり、先ほど吉泉委員もおっしゃっておられましたが、不規則分布であれば中央値や四分位偏差を活用するほうが望ましい場合も多々ございます。したがいまして、資料にございます地域の基準点を平均値とするかどうか検証の必要があり、現時点においては時期尚早と考えております。
現状の各自治体における利用者の分布がどうであるのか確認していく必要があると思います。その際、人口推計を踏まえた地域別やサービス類型別に丁寧に精緻に検討していく必要もございます。今回の資料の対応する必要がある地域差の対象ラインを平均プラス標準偏差、すなわち平均+1SDとしていることは大いに疑問であり、仮に正規分布と仮定すると、サービス利用の大きい16%の地域が該当することとなりますが、16%が対応する必要がある地域であるかどうかという根拠を示すデータは全くなく、対象ラインを平均+1SD、1標準偏差とすることについては反対であります。
医療・介護でもこのような手法は活用しておらず、各地域の需要推計を行い、自らの地域を最もよく分かっている地域の行政や関係者で議論して提供体制を検討しております。まずは各地域の足下の現状を把握することから始めるべきであり、内閣府においては医療のレセプト数、性・年齢を調整したスコアである標準化レセプト出現比、すなわちSCRと呼ばれるものですけれども、そういったSCRが詳細に示されておりまして、今後、介護のSCRも活用していこうという方向にもなっており、障害福祉分野においても、まずはSCRに着手すべきことを提案いたします。
さらに対応する地域の定義は何であるのか、提供過剰地域であるのか、あるいは必要以上に過剰なサービスを提供している問題のある事業所やサービス提供の質が低い事業所があるのであればピンポイントに対応していく必要もあると思います。何を対応するのか、何が問題なのか、明確にしていくべきと考えます。
サービス類型によっては、提供体制について市町村単位で検討したほうが望ましいもの、より広域の福祉圏域で検討したほうが望ましいものもあり、きめ細かい対応が必要であり、また、複数の構成員もおっしゃられておりましたが、サービス利用の少ない地域への対応も極めて重要であると考えております。
最後に、全体的に全国各地域を一律の提供体制にしていこうという考え方にも見えますが、人口偏在、人口減少速度や人材確保の状況、過疎地域においては近隣の自治体との連携の必要性など、様々な地域の実情が存在しており、地域の特性を踏まえた対応を最優先すべきであり、単に平均値と標準偏差を用いて全国一律に評価する手法は地域に支障をきたすことも想定され、最適な提供体制の構築にはなじまないものであり、活用すべきではなく、14ページの本日の提案には反対であると意見を申し上げます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。私からは2点ほど意見をさせていただきます。
まずは資料1の今日の本題ですけれども、サービスの均てん化、それから、地域差を是正していくという方向性について一定は理解しているつもりですし、今回のこの数字の出し方ということも一定は理解いたします。これを参考として示すことには賛成なのですけれども、今回をもってサービスの必要量の見込みを自治体に検討させていくというところまでは時期早々なのではないかと思います。
18ページにありますように、先ほど来の皆さんの意見にもありましたが、事業所数、利用者数の相関関係は認められるとありますけれども、事業者自身が運営の効率性からも人口の多いところで運営をしていこうという流れがあります。そういう中で、事業所はできるけれども、また、運営の合理化を図ってから自分たちのサービスの特徴を売りにということもあるのでしょう。あるいは一定の障害別、あるいは一定の障害層のみを対象としたサービスというのも都市部ではたくさん見受けられ、グループホームの話が委員の方からもありましたけれども、本来サービスを必要とされる方がサービスを受けられないようなミスリードにならないように配慮が必要なのではないかなと思います。
2点目が、就労継続支援事業所の新規指定に関するガイドラインですけれども、これはすごく賛成です。すぐにでも取り組んでいただきたいですし、加えて言うならば、これを自治体等に発出して、例えば1年後、2年後、その影響がどうなったのか、その辺りもしっかり調査をしていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これでお手をお挙げいただいた委員の皆様には御発言いただけたかと思います。よろしいでしょうか。
様々な観点から御意見を賜りまして、また、御要望などもございまして、それは事務局で御検討いただければと思います。7ページの整理が必要な事項という3点を巡っての御意見、あるいは評価も承りましたが、それを超えた地域差を巡る論点につき、かなり広い範囲でさらに御意見をいただいたかと思います。これらも含めて事務局のほうでどう整理するかということをお考えいただければと思います。
本日、田中先生にお忙しい中お越しいただきまして、御意見を賜ったわけですが、その後、いろいろ議論ございましたが、もし、最後に何かございましたらいただければと思います。
○田中参考人 本日はいろいろ議論いただきまして誠にありがとうございました。
途中でも地域ごとの複雑な事情があると、今回の指標ではそこは取りきれていない部分があるということを申し上げたつもりでありましたけれども、もう少しはっきり強調しておくべき点だったかなと思いました。分布の形状につきましてもいろいろな形があるということは途中でも少し述べましたけれども、そういったこともありますので、さらにエビデンスを重ねていくことの必要性は間違いないことだと思っておりますので、その点については非常に同感しているといったところでございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、資料1に関しては以上とさせていただきます。
予定の時間を過ぎてございますが、もう一つ、資料2に関して、報告事項ということでございますので、もう少しお時間を頂戴できればと存じます。
それでは、資料についての御説明お願いします。
○乗越企画課長 資料2についてでございます。こちらの資料につきましては、本日も参考資料3としてお示しをしておりますけれども、これまでも障害福祉サービス等の費用額や利用者数、それから、1人当たりの費用額などにつきましてお示しをしてきたところでございます。今回、それらの最近の状況についてまとめた資料を改めて報告をさせていただきたいということで用意をしたものでございます。
1ページは障害福祉サービス関係の政府の予算額についてでございます。こちらにつきましては19年間で約4倍に増加をしている状況ということで、令和7年度におきましては2兆円を超える規模となっておりまして、最近は約5%、6%の伸びという状況となっております。
2ページは障害福祉サービスの総費用額の動向になります。直近の5年間を見ますと持続的に伸びているという状況でございますが、特に令和5年度から6年度にかけて伸びが大きくなっておりまして12.1%の伸びとなっております。1か月の平均利用者数と1人当たりの費用額について分けてみたものが右側のグラフになります。1か月の平均利用者数については5年間でおおむね6%前後で伸びてきておるということ、一方で、1人当たり費用額につきましては、令和4年度までの伸びに比べて令和5年度から令和6年度の伸びが6%と大きくなっているという状況が見られます。
3ページ、先ほど申し上げました令和5年度と令和6年度の費用の伸び、この12.1%の伸びに着目した資料になります。先ほど申し上げましたように、政府の予算の伸びが対前年度比で5~6%の伸びであることに比べますと、それを大きく上回る費用の伸びとなっております。右側のほうが令和5年度から6年度の給付費の伸びの変化を1人当たり利用者の伸びと1人当たり総費用額の伸びとして図示をしたものになります。利用者の伸びについては5.8%の伸び、1人当たり総費用額の伸びにつきましては6%の伸びということで、この6%の伸びにつきましては令和6年の報酬改定の改定率1.12%を大きく上回っているという状況になっております。こうしたことを踏まえますと、制度の持続可能性の観点からの検討が必要であると認識をしております。
4ページは年間の総費用額につきましてサービスごとの状況を見たものでございます。こちらは全体に占める割合が1%以上のサービス類型について見たものになります。サービスごとの状況は様々でございますけれども、額の伸び幅で大きなものとしましては、就労継続支援のB型や放課後等デイサービス、共同生活援助などが額としては大きくなっております。それから、伸び率を見ますと、B型、施設入所支援、短期入所、放課後等デイサービス、こういったところが大きくなっているところでございます。
5~6ページにつきましては1人当たりの費用額の伸び率と利用者数の伸び率、また、事業者数の伸び率について、この関係を見たものになります。利用者数の伸び率の資料で言いますと、右側にあります就労継続支援のB型、また、児童発達支援、放課後等デイサービス、共同生活援助、こういったサービス類型につきましては費用の伸び率も高いですし、一方で、利用者の伸び率がほかのサービスに比べても非常に大きく伸びているということで、費用の増への影響について利用者数の伸び率などが影響しているところが見て取れるところでございます。
一方で、左側の上にあります施設入所支援などにつきましては、利用者数については伸び率がマイナスということで減少しておりますけれども、1人当たり費用が大きく伸びているところが見て取れるところでございます。
簡単ではございますが、最近の費用の状況につきまして皆様と共有をさせていただくという趣旨で資料を用意させていただき、また、説明をさせていただきました。
簡単ですが以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
以上でございますが、多分これについてもいろいろお聞きになりたい点がおありかと思うのですけれども、時間が10分経過している状況でございます。現状の報告ということでございますけれども、どうしてもこの点は今日聞かないと帰れないといったことがございましたら承りたいと思います。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員 御配慮いただいてありがとうございます。
確認ということではなくて、今後の検討に当たってぜひとも一言申し添えたいと思いました。障害福祉サービス費が増大し続けることについては、確かに持続性の観点から議論の必要性はあると私も思います。
一方で、障害福祉サービスの増大、いわゆる負担増の観点ばかりではなく、障害福祉サービスの利用によって生活の質向上や経済的自立等につながった等、障害福祉サービスによってもたらされた波及的効果を同時並行で見ていかないと、削減の方向性ばかりに着眼点が偏ってしまって、障害福祉サービス等の費用の状況について、正確な議論がなし得ないのではないかという点を問題意識として皆さんと共有したいと思います。
障害福祉サービス等の費用の状況について削減や抑制の意図を持った議論を行うのであれば、今申し上げたような観点も含めて、厚生労働省には障害福祉サービス等にかかる費用と、その費用対効果等を合わせた両輪の資料を御提示いただくように工夫してくださると、国民にとってどういう在り方が望ましいかの議論をしやすくなると思いますし、分かりやすくなると思います。
以上になります。
○菊池部会長 建設的な御意見をありがとうございました。
ほかの委員からもうなずかれる御様子がございましたので、今御発言いただいた点も踏まえて今後御検討いただければと思います。
それでは、時間が参ってございますので、本日はここまでとさせていただきます。
田中先生、改めまして本当に今日はありがとうございました。
次回に向けまして事務局からお願いします。
○乗越企画課長 本日は、御多忙の中、御議論をいただきましてありがとうございました。
また、田中先生におかれましては本日御参加をいただきまして、御意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
次回の日程につきましては追って事務局から連絡をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
皆様、お忙しい中、どうもありがとうございました。
委員の皆様におかれましては、本日も大変御多忙のところ、朝から御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の会議については、こちらの会場で原則対面としつつオンラインも併用して開催いたします。事務局においては資料を説明できる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員からの御発言について、いつもながらお願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので会場の方は挙手をお願いします。オンラインの方に御意見を募りますので、ZOOMの手を挙げる機能を使用してお知らせください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言をいただきたいと思います。御発言の際は、まず、お名前を名乗っていただき、できるだけゆっくり分かりやすくお話しください。その際、資料の記載内容について御発言される場合には、資料番号と記載内容の位置について御教示ください。また、今日は会場に御参加の方が多く来ていただいておりますが、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
また、本日は、障害福祉サービスの地域差について議論するに当たって、統計などに関して専門的な御知見を有しておられる駒沢大学経済学部准教授の田中先生にお越しいただきました。先生、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしければ、一言お願いいたします。
○田中参考人 駒沢大で教員をしております田中聡一郎と申します。専門は格差とか貧困のデータ分析になりまして、厚労省のほうでは、2021年の障害児通所支援の在り方に関する検討会というところで構成員を務めたこともございます。データと障害、皆様方ほど現場のことも分かりませんけれども、そういったことで今回お招きいただいたものと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局より本日の委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○乗越企画課長 事務局でございます。本日の委員の出席状況ですが、御欠席の御連絡はいただいておりません。
続いて、委員の代理について、川手委員の代理として日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪参考人を、白江委員の代理として全国身体障害者施設協議会副会長の三浦参考人を、永松委員の代理として杵築市福祉事務所長の渡辺参考人を、中村委員の代理として愛媛県保健福祉部生きがい推進局長の一政参考人を出席させたいとの申し出がありましたが、皆様、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○乗越企画課長 ありがとうございます。
また、本日は、先ほど部会長からも御紹介ありましたが、駒澤大学の田中先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
本日の資料につきましては、議事次第、資料1、2、それから、参考資料1~3となります。会場にお越しの方で、これらの資料の不足などがございましたら事務局にお申しつけください。
なお、カメラ撮りはここまでとなります。御協力をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
今回は進行の都合上、資料1につきまして事務局、そして、田中先生からも御説明をいただいた後、資料1に関する質疑応答の時間を取らせていただきます。資料2につきましては、資料1の議論が終わった後、事務局からの報告とさせていただきます。
それでは、資料1に関しまして、まずは4ページまで事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 事務局企画課長でございます。本日は、基本指針につきまして、前回に引き続き地域差の是正について、また、事業所指定の在り方に関しまして、就労系サービスの指定等に関するガイドラインについて御議論いただきます。地域差については企画課長から、それから、ガイドラインにつきましては障害福祉課長から説明を申し上げます。
1ページについては、前回までにお示しをしております論点の資料になります。
3~4ページになりますけれども、地域差につきまして前回の部会で御議論いただきました論点が3ページになります。それから、前回の部会におきまして委員の皆様からいただいた御意見、地域差の考え方に関するもの、地域差の捉え方に関するもの、また、地域差の是正に係る対応に関するもの、これらのカテゴリーに分類をいたしまして、いただいた御意見をまとめたものになります。御確認いただければと思います。
4ページまでは以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
前回、地域差の是正に関していろいろ御意見をいただいたところでございまして、その際にも専門家の先生からぜひ次回お伺いしたいといった御意見もいただいたところでございます。5ページに御質問をまとめていただいておりまして、あらかじめ田中先生にお伝えさせていただき、御用意いただいていると伺っておりますので、まず、この点につきまして田中先生からお願いできますでしょうか。
○田中参考人 今回の部会に先立ちまして事務局の方と何回か打合せをさせていただきました。主には今回のデータの基になります障害福祉デーやベースの構造、どういう要素が入っているか、2点目はこの後に出てくるところですが、地域差を測るときの指標のつくり方、3点目は地域差の考え方、そのようなことについてお話しいただきました。
ただ、データ分析などをやっているとよく分かると思うのですけれども、直接データを携わらないと分からない部分も結構あったりするところでありまして、今回は私自身は触れていないので、いろいろ理解不足の点もあるかと思いますが、聞き取ったお話をベースに少しお話ししていきたいと思います。
主にここに挙がっている質問のポイントというのは、地域差がどういう要因で生じているのかといったことについて御関心があって、それがどうやってデータに反映されるのかという部分だと思います。ただ、障害福祉データベースの中に全てのデータが入っているわけでないというのが、何よりも非常に大事なポイントかと思います。また、別のデータとくっつけたりとかしていくとなりますと、複雑になってきたり、データを取れるタイミングとかもありますし、そういった問題が生じるだろうと思います。
したがいまして、障害福祉データベースを中心に、それをのみを使ってどのようにやっていくのかということが考え方として一つポイントなのではなかろうかと思っております。
5ページの1つ目の○のところですけれども、人口の伸び率や人口に占める利用者数割合が低いからといって不適切という評価にはならないというところがございます。これも今言ったことと関連するのですけれども、例えば利用者数割合、利用率みたいなことを考えたときも確かに分母が人口になっていて、分子が利用者数になってくるわけです。この後の話にも関連してきますが、人口構造の年齢については今回調整されているということなのですけれども、例えば都市部になると割と健康な方、働ける方が入ってくるわけなので、人口だけではない要素もきっと入ってくると思います。そうなりますと、都市部のほうが利用者割合は低くなるとか、そういったことがありますので、そのような意味でも一律に不適切とか、そういったことの評価にはならないかなと思います。
2点目、地域差はどういうものを是正すべきなのかというところであります。これもまさに書かれているとおりですけれども、その要因がどういう原因によるかということに依存すると思います。基本的には、全国どこに住んでいても同じ状態の方が同じようなサービスを受けられるのが望ましい形だと思います。その町の人口構造とか、健康状態とかの影響を除去した上で、残った部分を地域差として見ていくということはそのとおりだと思っております。ただ、それをどのように是正するのかということになりますと、その要因のところまで詳しい情報が必要になってまいりまして、そこについては一言では申し上げられないかなと思っております。
3点目、都市部と地域というのは、どこを対象にしていくかということは、都市部の中でも例えばサービスがあまり充実しない地域とか、いろいろあると思いますので、ここはスキップさせていただきます。
4点目は、情報をどのように取ったらいいのかという部分です。どこに行っても必要なサービスを受けられるべきだけれども、サービス利用が制約されていることの情報をどうやって入手したらいいのかというところになります。ここの点は、例えば福祉アクセスに関する研究などは多くはないのですが多少あります。提供体制の問題だけではなくて、移動距離とか、情報提供の格差とか、そういった問題もはらんでまいります。そうなりますと、利用者の方が市町村内のどこに住んでいるのかという、市町村単位でよりもっと細かい情報が、この問題を解くには必要になってくると思っておりまして、これはなかなか今の段階では難しいのかもしれません。本来であれば、そういった地図情報と合わせたようなデータが必要だと思います。
5点目は、人口に占める割合ではなくて、手帳ベースのところのほうがいいのではないのかというような御議論であります。確かに分母を手帳ベースの障害者の方で考えるというのも一つのアイデアとしてあると思います。まさに障害とか健康の度合いについてコントロールされたような指標になるわけですから、そのような方々の中でどれだけサービスを利用しているのかということが明らかになりますので、それも一つの指標だと思います。
ただ、今知りたいことというのは、恐らくはまさに地域差という部分で、その自治体でどの程度利用されているのかということなのかなと、その自治体の障害者の方がどれぐらいたくさん利用しているのかということよりは、その自治体の中でどのように利用されているのかということが知りたいのかなと思っておりまして、人口ベースで考えるのも妥当なのではなかろうかと考えております。
6番目のところ、人口規模が大きければ、それに比例して障害者数が大きくなる前提であれば、今回のような分析の手法が格差を見る手がかりになるのではないかというところですけれども、こちらは事務局のほうでつくっていただいて見せていただきました。市町村人口とサービスの利用者数につきましては、相関関係が認められておりましたので、そういう意味では今回の指標のつくり方というのは、格差を見る際の手がかりになるのではなかろうかと思いました。
その次、直ちに理解するのはなかなか難しいのですけれども、利用者割合が小さい自治体で伸び率が高ければ格差の縮小につながりますが、利用者割合が大きい自治体の伸び率が高いということになれば、むしろ格差が拡大してしまうのではないかというような議論がされております。まさに大きな自治体のところで利用者割合が大きかったりすると伸び率が高くなったりとか、その伸び率と利用者割合の2つの要素がどのように関連しているのかというような御質問かと思いました。ただ今回、こちらは事務局のほうで検討していただいたのですけれども、利用者割合と伸び率の間には相関関係はなかったと確認していただいたところになります。
最後のところ、これはなかなかアイデアが浮かびませんでしたけれども、規模の大きい都道府県のようなところであれば、極端に大きい、もしくは小さい数字は算出されないで、規模が小さい自治体の場合は極端な数字が出てくる可能性があるのではないか。そういう状況についても除去できないのかというようなことです。まさにこの後にお話しするところですけれども、非常に懸念しているところでして、今回の指標になったときに、そういう小さな自治体のところ、たまたま障害者の方が多く住んでいるような地域だったときに非常に高く出てしまうような可能性もゼロではないと思いますし、そういう傾向が起き得るのではないかと懸念しております。そういったことについて何らかの対応が必要なのではないかと思います。
超過してしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいまの田中先生のお話に関しましてもさらにお聞きしたいことがあるかと思いますが、後ほどまとめて質疑を行わせていただきます。
それでは、戻りまして6ページ以降について、再度事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 6ページになります。こちらは基本指針ですとか、これまでの御議論を踏まえまして、地域差是正に関する基本的な考え方について事務局の方でまとめたものとなります。6点にまとめております。
まず1つ目、あらゆる地域におきまして必要なサービスを受けられるように、サービスの均てん化を図る必要がある。
そのために、計画を策定して地域の実情に即した総合的かつ計画的なサービス提供体制を図っているという状況にあります。
その際、利用者のニーズに対して供給が追いついていない地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図る必要があること。また、高齢化や人口減少が進む中では、地域の需要に応じたサービス提供体制の整備の推進を図っていく必要があるということ。
その一方で、これまでも部会の中で説明をしておりますけれども、近年、自治体が障害福祉サービスに定めるサービスの見込み量を上回り、サービス提供量が増加し続けているサービスや地域もあり、多くの事業所が参入し、また、人材確保が喫緊、かつ重要な課題となっている中で、利用者のニーズに合致した障害福祉サービス等の提供を行うことが重要であること。
また、障害福祉サービス等におきましては、給付費がほぼ全額公費で賄われていること。
また、国費に係る自治体間の公平性の観点を踏まえれば、一定程度の地域差の是正が重要であるとまとめさせていただいております。
地域差を是正して供給を計画的、かつ効率的に行うための方策を御議論いただいておりますけれども、その重要な要素といたしまして必要量の見込み量の見直しについて御議論いただいているところでございます。
7ページ、この地域差の是正の対応に当たりましては、まず、対応する必要がある地域差の考え方を整理する必要があるのではないかということで、具体的にその整理が必要となる事項について3つまとめております。
1つ目、サービス利用に関する地域差を見るための指標ということで、どういった数字でこれを比較していくか。
2つ目、サービスの利用に関する地域差の基準点、何と比べて差があるかということを考えていく。
3つ目、対応する必要がある地域差の対象ラインということで、どこからを対応の対象とするのか。
この3点についての整理が必要ではないかということで、以降のページでそれぞれについて案をまとめております。
8ページ、まず、1つ目のサービス利用に関する地域差を見る指標でございます。これは利用量の実績を見ることができる指標である利用者数というものが考えられるところですけれども、人口規模の違いによる影響を考慮するため、利用者数そのものではなく、人口や手帳所持者を分母として、それらに占める利用者数の割合といった方法で見る必要があるのではないのかということでございます。それぞれ人口と手帳所持者につきましては、人口の場合は全てのサービス利用者を含んでいる一方で、手帳所持者の場合は必ずしも手帳の所持がサービスの利用に直結しているとは言えないということから、人口に占める利用者の割合を用いるほうが、より公平なものとなるのではということです。
9ページ、人口に関しましては、地域ごとに若年層や高齢者層の多寡といった年齢層の相違が影響を与える可能性があることから、地域差をより公平に捉えるために、そのような影響を除去する必要があるのではないか。具体的には、下にポンチ絵を描いておりますけれども、地域ごとの年齢層の違いについて全国平均の年齢層にそろえるという、いわゆる年齢調整を行うこととして、地域差を見るための指標につきましては、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合とすることが適当と考えらるがどうかということで提案をしております。
10ページ、2つ目のサービス利用に関する地域差の基準点に関しましては、平均値や中央値といった指標が考えられるところでございますけれども、平均値につきましては全ての利用量の実績を反映できるという指標である一方で、中央値につきましては、全ての利用量を反映することができない極端に大きいものとか小さいもの、これを反映することができない指標であるということで、こうしたことを踏まえまして、サービス利用に関する地域差の基準点につきましては平均値を用いることが適当ではないかと考えられますが、これがどうかということで提案をしております。
11ページ、3つ目の対応する必要がある地域差の対象とライン、どこから対応の対象とするのかを考えるに当たりましては、データにつきまして平均値からの指標のばらつき具合も考慮する必要があるということで、そういったばらつきを見るものといたしまして標準偏差を用いることが考えられます。標準偏差はこのようなそのばらつき具合を示すものでありまして、他分野でも活用されている事例もありますので、対象ラインといたしましては、例えば全国平均プラス標準偏差といった基準が考えられるがどうかということで御提案をしております。また、ほかに対象ラインとして考えられるものがあるかということでございます。
12ページにつきましては、標準偏差について簡単にお示しをしたものでございます。標準偏差につきましては平均値からの各データのばらつきの度合いを示した指標ということで、ばらつきが小さいほど標準偏差が小さく、また、平均値と各データのばらつきが大きいほど標準偏差が大きくなるといったような指標となってございます。
13ページは活用例ということで参考でございます。
14ページにつきましては、改めて対応する必要がある地域差の基本的な考え方の案をまとめてお諮りをしているものでございます。
15ページにつきましては、前ページでお示ししております考え方に基づいて、これはイメージでございますが、2024年度の人口や利用者数のデータを用いまして、共同生活援助を例としまして、地域差が大きい自治体についてお示ししたものとなります。
16ページ以降は、前回の御指摘を踏まえまして、事務局のほうでデータを御用意したものでございます。先ほど田中先生からもお話がありました。
17ページにつきましては、利用者数割合と利用者数の伸び率の関係を見たものということで相関関係は認められなかったということ。
18ページは、事業所数と利用者数の相関関係について見たものということで、これらはいずれも正の相関関係が認められたものになります。
引き続きまして、障害福祉課長から説明いたします。
○大竹障害福祉課長 19ページ以降、サービスの質の確保に係る取組についてということでございます。
20ページ、こちらは7月の部会にお示しした資料になりますけれども、サービスの質の確保向上のために事業者指定の適切な運用に向けた取組を進める必要があるということで、この下に2つ挙げておりますけれども、サービス横断的な取組と、あとは個別サービスに係る取組ということで幾つか挙げております。そのうち、赤枠で囲ってございますけれども就労継続支援における支援の質の確保ということで、6年度に調査研究を行っておりましたけれども、この調査結果を基にガイドラインを策定予定としておったところでございます。この点につきまして、ある程度まとまったということでお示しをさせていただくものでございます。
21ページ、ガイドラインの案の概要ということになります。このガイドラインの主なもの、概要といたしましては丸の枠の中のマル1マル2としてお示しをしておりますけれども、マル1のように新規指定時において確認をする事項という点と、マル2にございますけれども、指定や指導をするときのツールを提供するという大きく2点に分かれております。
現状と課題として記載をしております。現状といたしまして、障害者の方の就労能力の向上に寄与しない事業を就労継続支援サービスとして行っている事業者の参入があるのではないかと御指摘を受けております。その課題としては、書類自体がそろっていれば指定自体を不受理にできないという課題であったり、あるいは2つ目のポツにございますけれども、その指定や指導の事務の担当職員が必ずしも知見を有していないことがあるという課題があるということかと思います。
それを踏まえて、このガイドラインでございますけれども、チェックが4つ並んでおります。円滑な障害福祉サービスの提供に必要不可欠な知識等を有しているかということであったり、事業運営に必要不可欠な知識等を有しているか、そういった点をチェックするものでございます。
内容としてマル1マル2ございますけれども、マル1といたしましては新規指定時の確認ということでございまして、事前の説明を行うことのみならず、計画書の審査においては、開所予定地がある市町村に説明を行っているかどうかということであったり、ニーズの把握を行っているかどうかということであったり、どのような形で利用者の募集を行うか、生産活動の具体的な内容といったもの、また、それを確認する生産活動シートというものもお示しすることにしております。あるいは会計知識のある専門家の方にチェックをいただくというような会議の設定もお願いしているということでございます。
また、マル2として運営状況の把握ということで、指定後の確認においても確認すべき事項といったものもお示ししているということでございますし、ここでも生産活動シートの活用を御提案しているということでございます。
こういった内容のガイドラインをお示しできればと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今のガイドライン、参考資料2にありますけれども、これがその案ということですか。
○大竹障害福祉課長 そのとおりでございます。
○菊池部会長 その抜粋をお話しいただいたということでよろしいですか。
○大竹障害福祉課長 概要を今御説明させていただきました。
○菊池部会長 分かりました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、田中先生から改めてお話しいただけますでしょうか。
○田中参考人 7ページ、今課題として挙げられているのは3つあります。1つ目はサービス利用に関する指標です。そして、その地域差をどうやって判断するのかと、対応の基準といったところかと思います。その1番目のところと、まとめて2、3のところでお話をさせていただければと思います。
8ページ目からですけれども、今、課長からも御説明いただきましたとおり、人口割合について調整した利用者数を出していると、分母のほうは各自治体によって人口構造が異なってしまうので、その影響を除去するようなことをやっていまして、それは望ましい作業かなと考えております。
ただ、先ほども申し上げたところですけれども、それだけだと、どうしても健康状態などが踏まえられていません。例えば人口減少がすごく進んでいるような自治体があって、健康で働けるような方々がその自治体の外にどんどん出ていくというようなことがまさに今起きていることかもしれません。もう少し将来的なところも考えていきますと、障害者、高齢者の方々も含めてですけれども、そういった方々がそこに割と多く残るようなことなども考えられるかもしれません。今申し上げたようなことが一つの例でして、健康に関することなどについても考慮するというようなことなども求められるかもしれません。
また、分子のほうですけれども、利用のほうも様々な影響が実際にあります。提供体制におきましても、割と歴史のある団体とか施設とかがあるようなところでは、活発なサービスが提供されていることなどもあるかもしれませんし、交通アクセスのことなどもきっと多く影響するかと思います。そういった利用の背景・原因といったものについても、なかなか捉えきれないということはあります。
ただ、データの中でそれを全て表現することはなかなか難しいと先ほど申し上げました。市町村単位で集計されていることもあります。そうなってまいりますと、どうしても国ができる作業は全国一律の利用状況の分布みたいなものを提示して、そしてその評価については現場の自治体の方々で判断してもらうような形が考えられるのではないかと思っております。いろいろデータを積み上げていけば可能かもしれませんけれども、先ほど言いましたとおり、データを取るときはタイミングの問題が非常に大きくて、リアルタイムで地図情報に反映されるというのは、将来できるかもしれませんけれども、今はなかなか難しいということになりますと、情報についてよく知っている自治体の意見をしっかり聞いていく必要があるのではないかと考えています。
続いて、まとめの2つの部分ですけれども、今回は平均値と標準偏差を一つの基準として見るということで提案をされています。厳密に全てのデータが正規分布であるかということは多分言えないと思いますけれども、集計したものですが、多少見せていただいたりすると、双峰になっているわけではなくて単峰型のものになっておりまして類似性はあるかとおもいます。ただ、正規性に関する検定とかもあって、本来であれば、そういったこともやったほうがいいと思います。
また、実際のデータにおいて厳密な正規分布はなかなか観察されないということもあります。それで今回は平均値と標準偏差で基準をつくるところでありまして、御説明いただきましたとおり、標準偏差というのは、平均からの散らばりの程度を表す指標になります。最も用いられる正規分布を仮定いたしますと、3σの範囲外には片側だと0.13%。2σだと2.3%、1σだと16%弱といった具合になることが知られております。
どれぐらいのところで区切り位置をつくるかというところになってきますけれども、例えば2σぐらいのところで分布の形状によりますが、例えば数%とか、そんな具合だったときに数十の自治体のところだけが選定されることになっていく。そこの中に、先ほども言いましたけれども、小さい自治体とかが入ってきてしまうようなことなども考えられるかもしれません。数はそれほど多くない自治体に地域差の是正といったものの役割というか、そこを担うのも対象としては結構狭いのかなという気がいたします。そういう意味では、もう少し広めに取ることが一つ考えられるのかなと思いました。
反対の考え方で、例えばトップ10%みたいなところの自治体が含まれるようにしたらどうかという考え方もあると思いますけれども、そうすると、今度は平均値からの乖離みたいなことは踏まえなくなってしまいます。また、どうして10%の自治体なのかということとか、基準のつくり方に恣意性みたいなものを感じるような気がします。そういうことを考えますと、平均値+標準偏差というところ以外の基準を示すということもかなり難しさが残るのかなと思います。
先ほどから申し上げているとおりですけれども、そういう意味ですごくシンプルなつくり方にはなっているところでありまして、その分、利用者割合のところだけでは把握されないような小規模自治体の問題とか、あるいは人手不足のこととか、何らかの地理的な個別事情に配慮したりとか、そういったようなことも併せて検討する必要があるのかと思います。そういったものを踏まえた上でということが前提ですけれども、今回の平均値プラス標準偏差という考え方は、何か特定の決め方とか、特定の自治体を対象にしたようなものにはなってなくて、そういう意味では一つの基準として合理的なものと私は考えました。
長くなってしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見・御質問がございましたらお願いいたします。御質問の際には、どなたへの御質問か、事務局への質問か、あるいは田中先生への御質問かをお示しいただいた上でお願いできればと思います。
それでは、小阪委員からお願いできますでしょうか。
○小阪委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門研修機構の小阪と申します。特に質問というわけではなくて意見ということでも大丈夫ですか。
○菊池部会長 もちろん大丈夫です。
○小阪委員 地域差の指標について、今回の資料の11ページに記載のある「対応の必要がある地域差の対象ラインについて」として示されている事柄について、算出すること自体は参考値としてであれば別段構わないのではないかなと思っています。ただし、本来形で言うと、適切な形で障害福祉サービスの利用を希望されている方がいる場合に、その方たちがきちんと自治体においてサービスを受けられているか、適切なニーズに対してそのニーズを満たすサービスが提供されているか、そこに地域差がないかについてというのが、いわゆる「本来の地域差」であるべきで、単純な利用者数の差異だけでは、本来必要とされる的確な地域差を捉えきれないではないかという問題意識は持っています。
また、厚生労働省からの提案に対応する必要がある地域差の対象ラインについて、導入して推し量ったとしてどう是正するかなど、具体的な事柄等について今回は触れられていませんので、まずは現状把握という観点でお示しいただく。その上で、具体的な税制の在り方や必要性については、別途丁寧な議論が必要ではないかと思っています。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小崎委員、お願いします。
○小崎委員 全国肢体不自由施設運営協議会の小崎です。まず、田中先生から大変分かりやすい御説明をいただいたことに感謝を申し上げます。
事前の説明でも実際の元データの分布に正規性があるかどうかということについて私も疑問があったのですが、ただ、今、先生のほうからいわゆる正規分布を前提とした議論をしても構わないのではないかというコメントをいただいたのは、私としては納得感があってよかったと思います。
それを踏まえて、今度は厚生労働省のほうに質問したいのですが、11ページのイメージ図が平均プラス標準偏差のみを示していますが、実はこれマイナス側も当然あって、実際に議論しなくてはいけないのはプラスとマイナスの両側ではないかと思うので、この図は若干ミスリーディングではないかなと思いましたので、その辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局に対してということです。
○乗越企画課長 企画課長でございます。御質問ありがとうございます。
11ページの資料につきまして、プラスの側のところにだけ線が引いてあるということでございました。我々といたしましては、今回御説明した資料におきましても、資料の6ページのところで基本的な考え方というところでまとめさせていただいておりますけれども、委員の御指摘のようなマイナスのところ、利用者の割合が小さく、また、サービスの提供体制がニーズに合っていない可能性があるような地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図っていく必要があるというような認識でございます。
一方で、今回の資料でお示ししておりますところにつきましては、これまで見てきたとおり、必要な見込みを上回ってサービスの提供量が増加し続けている地域についてどのように考えるか、こういった地域差についての対応の必要性を検討していく必要があるのではないのかといった前提におきまして、こちらのプラスのほうの地域差の対応を考えるということで、今回の検討におきましては、こちらの地域差がプラスの面で大きいほうに着目するという意味で、こちらの資料を用意させていただいているということです。マイナスの側を考えないということで用意をしているということではないということでございます。
○小崎委員 ありがとうございます。
これは先ほどの小阪委員の御指摘とも多分重なると思うのですけれども、結局プラスの側とマイナスの側で、恐らく地域差の意味合いが違うということは共通認識を持つ必要があるのではないかなと思っておりますので、その点をよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今の乗越課長の答えは、低いほうは今回はとりあえず上げなかったけれども、この一連の議論において取り上げないという意味ではないということでいいのですか。
○乗越企画課長 今回の議論は基本指針、計画についての議論におきまして、こうしたサービスの供給が追いついていない地域への対応については、この指針の中でもこれまでも対応してきているところですけれども、引き続きサービス提供体制の整備を図っていくという点において重要な課題であるということで認識をしております。
○小崎委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 日本精神科病院協会の櫻木です。田中先生、丁寧に御説明いただいてありがとうございました。
私は医学部の統計学に落第したものですから、なかなかこの辺のことは分からなくて、本当に基本的な質問になると思います。9ページの地域差を見るための指標について、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数の割合が適当だということですけれども、例えば高齢化が進んでいる地域だとかを考える、あるいは若者が仕事でどんどん都会に出ていってしまうということで偏っているそれぞれのところも修正をした上で割合を出すという意味合いで取ってよろしいでしょうか。
○菊池部会長 田中先生、お願いします。
○田中参考人 分子のほう、簡単に言うと、Aというサービスを使っている利用率と、それに掛ける人口があって、それで町の中で使っている利用者数が出てくると思うのです。ただ、利用率のほうは自治体によって、まさに使っているということについて把握するものですから、その自治体の生の数字を使うと思うのですけれども、一方で、人口の分布というのは自治体によって違いますので、そこを全国平均に入れるとすると、自治体の利用者の利用率の状態はそのままで、人口構造だけを全国平均のものに変えていくと、人口の影響を除去したものができるというものです。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○櫻木委員 にわかには分かりませんけれども、勉強させていただきます。
○田中参考人 私自身も実際にデータを触っていれば、もう少しうまく説明できると思います。定かでない部分もあるのですけれども、そのように私は認識しております。
○櫻木委員 ありがとうございます。
あと、多分事務局のほうに聞いたほうがいい質問になるかと思うのですけれども、今回1ページのところで、実効性のある計画を作成するために障害福祉サービスデータベースを活用すると書いてありますけれども、具体的に言うと、障害福祉サービスのデータベースというのはどういうものがあるのでしょうか。例えば医療などだとナショナルデータベース、いわゆるレセプトデータを活用することがあるみたいですけれども、それはどういうものがあるのでしょうか。障害支援区分に関する資料は使われているのでしょうか。あれは主治医の意見書も入っていますし、それから、訪問調査でかなり精密というか、細かくいろいろなことを調査しているので、その辺が使われているかどうか。ただ、訓練等給付の場合には障害支援区分を使わないということなので、そういう意味ではデータとして偏るというか、落っこちていると思います。
それから、1次判定と2次判定のいわゆる訂正というか、それがかなり大きいです。その大きいのが、なおかつ3障害とか、あるいは難病の間で差がある。それから、実態の間でも差があるということで、そういった意味では、データとしてはかなり使いづらいデータかもしれませんけれども、この機会に障害支援区分をどのように活用していくかということが必要なのではないでしょうか。
もう1点、小阪さん、あるいは小崎さんもおっしゃいましたけれども、結局サービスを供給する側の部分、それから、必要としてサービスを受ける側の部分というのはきちんと峻別していかないと、基本的な考え方のところにも一部触れられていますけれども、量的な拡大を必要とする部分と質の担保、本当に必要とした人に必要としたサービスが供給されているかどうか、この辺の調査というか、確認というか、それをどのようにしていくのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 事務局からお願いします。
○乗越企画課長 まず、障害福祉のデータベースについて、どのような情報が入っているかというお尋ねであったかと思います。障害福祉サービスのデータベースにおきましては、基となるデータといたしまして事業所の台帳の情報ですとか、受給者の台帳の情報、これは自治体が保有をしておるものです。また、給付費についての明細のデータ、支援区分の認定のデータなどについても、このデータベースの中に保有をされております。つまり、事業者の情報ですとか、利用者の情報、どういったサービスを受給しているのか、また、支援区分の情報についてもデータベースの中に含まれているところでございます。これらを国のほうで解析して必要な情報を自治体のほうに提供しているという現状でございます。
それから、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、サービスの供給を受けている側の区分をしています。量的拡大の対応についても検討する必要があるという点につきましては、我々も御指摘のとおりであると考えております。これらにつきましては引き続き国としての対応、支援も考えていく必要がある点でございます。
また、地域の実情によってそれぞれ状況が異なりますので、地域の計画を策定するに当たりまして、地域のニーズを踏まえて、どういったサービスが必要とされていて、どういった供給が足りていないのか、こういったことを計画の策定に当たって、各自治体におきまして十分に検討いただいて整備計画を策定していただいて、それを推進していただく。それに必要な国としての支援、対応を行っていく。基本的な大きな方針としてはそのようなことであると考えております。
また、そうした対応につきまして、この部会での議論を踏まえて国としての対応を考えていきたいというところでございます。
以上でございます。
○櫻木委員 これは多分資料2の中でまた触れられると思いますけれども、サービスの給付のあれを考えるときに、今まではそれぞれのサービスのいわゆる収益の差みたいなものは資料として我々に見せていただいているのですけれども、今おっしゃったようなサービスのデータベースについて国としていろいろ解析をされた部分というのは、多分見ていないような気がするのですけれども、これからの議論のときにそういうのを示していただければと思います。
それから、障害支援区分も使っているということですけれども、障害支援区分を考える上でいろいろな問題点が出ると思うので、そこの部分もまた議論の場をつくっていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見・御要望ということで承らせていただきます。
それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。田中先生、丁寧な御説明をどうもありがとうございました。
サービス量に関する地域差の基準点とか、対応する必要がある地域差の対象ラインについては御説明で、私はただの母親ですので、完全にとは思いませんが理解することができました。もし、可能であれば、全国平均と並んで、例えば都道府県別といった地域特性を踏まえた比較が今後できるといいのかなと感じているところです。
また、この後のことになると思いますけれども、都市部と地方部における地域差については、社会保障審議会の介護保険部会において地域別の考え方が示されたところでありまして、大都市、一般市、中山間人口減少地域の3類型に分別し、中山間人口減少地域に関しては報酬の月払い化も提案されたようですので、こういった方向感で障害のほうも国の制度設計を検討いただければと思いました。
事業所指定のことも今言ってよろしいのでしょうか。今日、就労系のサービスのガイドラインも示していただいたところであります。前回も申し上げましたけれども、書類がきちんとそろっているとなかなか却下できないこともあると思うのですけれども、事業所指定の最初の有効期間を3年程度として、市町村の意見を聞くことができるようになりましたので、3年後に市町村の意見を聞いて総合的に更新の可否を判断していただけるような仕組みを御検討いただければと思っています。
あと、グループホームに関しましては、毎回申し上げて申し訳ないのですけれども、総量規制に関しては、本当に重度の人たちを受け入れてくれるグループホームが各地域にどこに行っても会員の皆さんから要望が出ておりますので、障害支援区分の重い人がグループホームを利用できなくなることのないように御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、清水委員、お願いします。
○清水委員 国立障害者リハビリテーションセンター病院の清水です。御説明ありがとうございました。
意見といいますか確認になるのかも分からないのですけれども、この地域差を考えていく場合に一つ気になっているのが、私は眼科医ですので視覚障害の方によくお会いしますし、盲聾の方とか、そういう数の少ない障害者に対してどのようなアプローチを御検討していただけるのか、するおつもりがあるのか、その辺りを確認できたらと思っております。
○菊池部会長 事務局への質問ということでよろしいですか。
○乗越企画課長 今、視覚障害など、特定の分野への対応につきましては、これからの議論も踏まえまして私どものほうでも対応策といったものも御提示をして、また御議論いただきたいと考えております。そうした中で、特定の分野への対応の必要性という御意見を今もいただいておりますけれども、そうした御意見も踏まえて、どういった対応が考えられるのかということを引き続き御議論いただき、また、我々も検討したいと考えております。
○清水委員 ありがとうございます。
数が少ない障害はどうしても漏れてしまいやすい傾向があるかと思いますので、常に意識をしていただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、冨岡委員、お願いします。
○冨岡委員 日本相談支援専門員協会の冨岡と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど御説明のありました地域差の是正に関する基本的な考え方については、私たちは賛成です。しかしながら、相談支援の立場から申し上げますと、一定のサービス量が確保されていなければ、利用希望者が福祉サービスを利用できない、あるいは選択肢が限られてしまうという事態が生じかねませんので、ニーズに応じた必要な量の確保ということについても重点的に御配慮いただきたいと考えております。
続いて、全国平均と比べて大きく乖離している自治体について、先ほど先生からも話がありましたけれども、様々な事情が入り組んでいて、ただ単に地域が大きいとか、小さいとか、そういうことだけでは考えきれないところがあるかと思います。ですので、一度、地域の実情に合わせて福祉計画が作成されていることを前提に、なぜその福祉計画の中で上回ってしまうのかということ、その要因を調べた上で、ある意味で、また地域事業についても考えていく必要があると感じております。
また、量ということを考えるときに、量を抑制することをどうしても思ってしまいがちですが、それを進めてしまう場合、丁寧に支援をしている事業所にも影響が起きてしまうことがないように、そこは十分な配慮が必要かと思いますので、そちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。
最後になりますが、先生がおっしゃっておられましたが、国は全国一律である程度の基準を設ける、それはとても大事なことだと思います。しかし、地域の実情に応じてその評価をどう行うのかということについては、市町村がしっかり意見を申し上げられるように、そして、その意見を交わした上で、その数を考えられるような、データだけではない、話し合いによる数をどうしていくのかという考え方・仕組みをどのように考えていくのかというのはこれからの課題かと思いますので、そちらのほうの検討についても、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。1点意見を申し上げます。
何人かの委員の御意見と重なる部分もあるのかもしれませんが、資料1の6ページ、赤い枠と網かけされている部分で、障害福祉サービスの地域差を是正し、供給が計画的かつ効率的に行われる方策として必要量の見込み方法を見直すとされています。この中で、サービス利用に関する地域差を見るための指標については、11ページにあるように利用実績の全国平均プラス標準偏差で判断されようとしていると理解しています。
しかしながら、もし、必要量の見込み方法を見直すのであれば、実績ベースではなく計画の目標値と、それに対する実績との差を基準とすべきではないでしょうか。計画値と大きな乖離がなく、地域における必要な利用量を確保している場合、全国平均と比較して多い実績があったとしても、それはその市町村にとって必要な利用量であり、問題はないと考えられます。利用実績のみを基準とすると、必要量の見込み方法を見直すという趣旨から離れてしまうのではないかと懸念しております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 国立精神神経医療研究センターの藤井です。私は冨岡委員とほとんど同じような御意見になってしまうのですけれども、田中先生の御説明は非常に分かりやすく、ありがとうございました。御説明を伺いまして、対応する必要がある地域差の基本的な考え方については、非常に納得感を持つことができました。
基本的にはこの考え方で賛成ですけれども、先ほど冨岡委員やほかの委員もおっしゃっていましたが、その自治体でなければ分からないような特殊事情は多々あるかと思いますので、この考え方を適用した場合、その自治体で障害福祉計画等を立てる際に何か不具合・不都合があるのかどうか、この考え方で問題ないかどうかという辺りは、実際にこの指標なり考え方を適用する前には、一定程度は自治体側の意見を伺っておく必要があるのではないかと思いました。
その上で、今後、このような考え方を適用した上で、実際に自治体の中でその考え方を適用してどのような課題が生じたかといったことについては継続的に確認した上で、この考え方についてもこれで確定するのではなく、場合によっては見直していくというようなことを織り込んだ上で、この考え方で一旦は進めていくというのでよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、吉泉委員、お願いします。
○吉泉委員 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。まず、私は一番気になっている点を申し上げます。
11ページの対応する必要がある地域差の対象ラインについてというところで、地域差が大きいことへの対象ラインについて、平均値プラス標準偏差が適当であると考えられるという件についてです。これについては4つ疑問な点がありまして、にわかには賛同しかねるというのが率直なところです。
疑問の一つは、社会調査では平均値±2標準偏差、2SD、この範囲に含まれない5%に注目して有意性を検証するのが一般的だと思います。それに対して、2SDだと対象が極端に少なくなってしまうのではないかというようなことですとか、1SDを採用した前例があるということで、そういった理由で平均値+1SDにすることが妥当なのかどうか、これは可能でしたら田中先生に統計の知見から御意見を伺えればと思います。
2つ目の疑問は、平均値+SDからはみ出す自治体が、この資料によりますと329自治体となっています。全国に1,700強の自治体がありますので、329というのは約19%、2割に近いことになります。いわば5つの自治体があれば1つの割合で地域差が大きいほうとして認定されることになりますけれども、ここに何らかの抑制策を取るということになりますと、どうなのだろうというのが懸念材料です。
視覚障害者の立場からしますと、都市部であってもなかなか対応してもらえる事業所が少ないという現状がありますので、そこに総量規制のようなことがかけられてしまった場合にどうなるかが心配です。
3つ目の疑問は、視覚障害者の立場からすると、サービスを受けられずに困っている地域の話というのはよく聞くのです。その観点からしますと、先ほどほかの委員からも発言がありましたけれども、平均値+SDだけではなくて、平均値-SDのほうにも着目したいというのがこちらの立場です。平均値と標準偏差だけではなくて、できれば最小値、中央値、最大値を含む四分位点の情報を示していただきたい。これは意見として申しておきたいと思います。特に私の場合、グラフが見えませんので、こういったものを数字で示していただくことによって、例えば正規分布から今回取り上げているデータがどのぐらい乖離しているのかというのを知りたいと思います。それが分かった上で、そのラインを考えたいというのが希望です。
4つ目の疑問は、16、17ページ、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係が認められないということが資料にありました。それから、次の18ページで事業所数と利用者数の間にかなり強い正の相関関係が認められることが示されています。これ自体、興味深い結果ではあるのですが、ただし、ここから地域差の実態・実像が見えてくるかというと、そうではないと思うのです。そういう中で、単に利用者割合の全国平均と標準偏差を手がかりにして地域差、特に地域差が大きいほうを検証することが果たして妥当なのかどうか、率直に言って妥当ではないと考えております。
以上がラインの考え方についての質問と意見です。
それと、細かいことになるのですが2つあります。
一つは、先ほどのやり取りでもありましたけれども、市町村の利用者割合を算出するときに、全国の年齢分布に合わせて調整するということをやられています。これが本当に妥当なのかどうかという疑問を持っています。年齢分布以外、例えば一人暮らし世帯が多いと、その利用者数が増えるのではないかとか、あるいは事業所へのアクセスのよしあし、地理的なものとか、交通機関の影響、それから、実際に事業所があったとしても、そこで自分が必要とするサービスを受けられないのではないかということで諦めてしまうケースもあると思います。これは視覚障害者の間では時々聞く話ですので、そういった中で年齢分布に合わせて調整する、実態から乖離する形で比較することが本当に妥当なのかどうかと思っています。
これについては先ほど事務局から御説明がありましたので、改めて御説明していただく必要はないですが、利用者数そのものを見たほうがいいのではないかというのが意見です。
もう一つ、これは単純な確認ですけれども、事業所数と利用者数の相関を見る場合に平均という言葉が出てきているのですが、これが私にはよく分からないです。それぞれの自治体の事業所数と利用者数の相関を見るのであれば、別に平均を取る必要はないと思うのですが、ここで平均と言ってらっしゃるのは、例えば何か複数の自治体をまとめた障害福祉圏域みたいなものを想定して、その平均を取って相関を見たのかどうかという辺りは事務局に御確認したいと思います。
長くなりましたけれども、最後にサービスの質の確保に係る取組のところです。指定事務に係る運用の実態把握と適正化のための研究とガイドライン作成というのは、ぜひやっていただきたいのですけれども、その際に障害種別への対応をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。地域に事業所があったとしても視覚障害者支援のノウハウがないために通所を断られたり、受け入れてもらったとしても施設内で孤立するケースというのは聞きます。ですので、事業所指定の際は、地域の各障害種別の専門機関と連携する要因があるということです。また、問題の事案が発生したときに相談体制をちゃんと整えているというようなことをガイドラインにぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御質問、御意見、御要望がございました。
1点確認させていただきたいのですが、最初に4点挙げられた中で4点目、妥当ではないという御意見でした。その理由について私は聞き漏らしたかもしれないですけれども、どういった理由で妥当ではないか、もし、補足いただけるようであればお願いします。
○吉泉委員 妥当ではないと思った理由ですか。
○菊池部会長 私は聞き漏らしてしまったかもしれないのですが。
○吉泉委員 4点目、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係がないということと、事業所数と利用者数の間には強い正の相関関係があるということですよね。この結果だけを見ても、地域差がどうなのかということは見えてこないというのが私の捉え方です。例えば事業所数と利用者数が強い相関関係があるということであれば、これを素直に取れば、障害者側のサービス利用の需要を満たすべく事業所数が増えているというのはある面で健全なことだと思うのです。実際に、現実の場面で需要が満たされるかどうかというのは、いろいろ斑模様にはなると思うのですが、この数字だけだと、ある意味で制度がちゃんと機能しているのではないかということになると思うので、ここから地域差があって、何を是正すべきなのかというのは、この結果から見えてこないということです。
○菊池部会長 ありがとうございます。長くなっていますので、ここで一旦切らせていただきます。
1点、田中先生に対する御質問、それから、事務局に対する確認がありました。
田中先生からお願いいたします。
○田中参考人 コメントをありがとうございました。
今いただいたコメントの中で有意水準5%が基本的によく使われるのではないかというところで御質問がありまして、確かに統計の有意差の検証のときには5%水準で分析することは非常に多くございます。そのような意味では確かにそれが一つ基準になるのも事実だと思います。
私のほうから今日お話をしてきたものは、繰り返しになってしまうのですけれども、基本的に幾つかのベンチマークはあるのだろう。それで統計に基づいて恣意的ではないものの基準はどうなるのかというところを考えていまして、そのときに統計をベースにしながら、基になるデータから特定の自治体とかを対象としないような形ですと、これも一つの見方になってくるかなといったところになります。
そういう意味で、統計学的に一般によく行われている検証と違うのではないかというところにつきましては、確かにそういう意見もあって、その幅のところについてはいろいろ議論があるのかなと今考えております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
引き続きまして、事務局からお願いします。
○乗越企画課長 御指摘・御質問をありがとうございます。
まず、標準偏差のマイナスのほうも着目していく必要があるのではないのかということで、さらなる別の視点での分析も示していただきたいというお話があったかと思います。これにつきましては、どのような形でお示しできるのかということを検討させていただきたいと思います。
引き続きまして、利用者数そのものについて見るべきではないのかというような御指摘もございましたので、これについても御意見として受け止めさせていただきます。
それから、資料の関係で。
○菊池部会長 最後の点の確認についてお願いします。
○乗越企画課長 最後の18ページの資料について、平均というものについての考え方ということでございました。こちらの平均については、利用者数ですとか、事業所数、これらの年度の平均ということで書いておるものなのですけれども、2024年度の平均というところで書いておるものでございますので、これにつきましては2024年度の各月のデータを足しまして、それを12で割っているということで、各月で見ますとそれぞれ上下動がありますけれども、各データについて月の平均を出すということで、各月を足して12で割る作業をしているということで、2024年度平均という形で記載をさせていただいておるところでございます。
○菊池部会長 吉泉委員、よろしいでしょうか。
○吉泉委員 平均のこと、とてもよく分かりました。あと、分布を知りたいと思いますので、先ほど申し上げましたけれども、平均値と標準偏差のほかに四分位点の情報をぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。事務局で検討していただくことにします。
それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野です。聞こえない立場から意見を申し上げたいと思います。
まず、聞こえない、聞こえにくい人だけではなく、そこに加えまして、盲聾者や、知的障害、発達障害、また、精神障害を併せ持つような聾重複の方がいらっしゃいます。また、強度行動障害の方も中にはいらっしゃいます。数的には非常に少ないと思いますが、データベースの中では恐らくそこは省かれている状況になっていると思います。そういう意味から私は意見を申し上げたいと考えております。
聞こえない人の場合は、地域間格差というのは障害福祉サービスだけではありません。つまり、手話言語での対応ができるか、きちんと情報が提供できているかも地域間格差が生じていると考えております。障害福祉サービスだけでなく意思疎通支援事業や日常生活用具の補助等に関しても地域間格差は全国において非常に多くあります。特に意思疎通支援事業に関しましては手話通訳に絡みます。聞こえない当事者に対し手話で対応できる人、その数によって障害福祉サービスの提供ができるかどうかに大きな格差が生じます。
意思疎通支援事業と、聞こえない、聞こえにくい人たちに対応できる人材の配置やその提供数にも関わりがありますし、福祉サービスのほうにも影響します。データを見える化してきちんと示してほしいです。しかし、そういうデータがありません。ざっくりしたデータだけで判断をされてしまうと、我々聞こえない立場から見ると、なかなか納得できない、咀嚼しきれない部分もあります。意思疎通支援事業、それから、手話で対応できているかどうかもきちんと盛り込んだ上での議論を深めてほしいというのが意見・要望でもあります。
ですので、対応できる人材や、事業所がどれぐらいあるのか数を示していただきたいです。それを示していただかないと、本当の意味で聞こえない人たちが使えているのかどうか、使いにくいのかどうかなど、また、相談支援事業所において対応があるのかないのか、そこに格差があれば、その地域にいる方たちにとってはサービスが受けられない、取り残されてしまうということが起きるわけです。そういうことがないように、格差を是正することが非常に必要になってきます。
それから、資料の21ページに指定事業所について掲載されております。ガイドラインが出ておりますが、こちらは当然必要なことだと思いますけれども、1点、意見を申し上げたいです。もし、聞こえない、聞こえにくい人たちがいらした場合、その対応ができるのかどうか、この評価も盛り込んでいただきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 御意見ありがとうございました。
それでは、オンラインで、今日は途中退席の御予定があり得るということで承っていますので、まず、山本委員からお願いいたします。
○山本委員 日本看護協会山本でございます。まず、資料1のサービス利用に関する地域差を見るための指標について意見を申し上げます。
18ページの事業所数と利用者数の相関関係を見ますと、正の相関関係が認められていることからも、各地の現在のサービスの利用者数は、現在の事業所数や各地での現在のサービス提供状況など、外的な要因にも左右されるものと考えております。にもかかわらず、9ページにおいて「サービス利用に関する地域差を見るための指標」を「人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合」のみに絞ることに違和感がまだございます。
今回、御専門の先生に丁寧に御説明いただきありがとうございました。9ページの御説明でどのようなデータになっていくのか、まだ理解が十分ではないのですけれども、御説明の中にありました障害福祉者データベースのデータに限界があって検討しきれないということであれば、現在の障害福祉データベースありきで議論を進めること自体、検討が必要ではないかと考えます。今後どのようなデータを使うのか、あるいはどのようなデータの取り方をすべきなのかということを含めてしっかり検討する必要があり、このやり方を今後も継続することには大きな懸念を感じております。
続きまして、11ページにおいて今回はサービス利用が過多であるところについて議題に挙げておりますけれども、サービスが不足しているところへの対応についても引き続き重要な論点として議論を行っていく必要があると考えます。
3つ目ですけれども、21ページのガイドラインについてです。ガイドラインを示すことは重要と考えますので、ぜひ進めていただきたいと考えております。その一方で、可視化することがさらなる質の評価や改善につながると考えるため、アウトカム、あるいはポイントとなる把握事項の指標化・定量化による可視化の点も含めて御検討いただけたらと思います。
資料1については以上でございます。
資料2についても、今のうちにお話してしまってもよろしいですか。
○菊池部会長 基本的に報告事項なのですが、どうしてもということであればどうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。
5~6ページについて、各サービスの1人当たり利用額と利用者数、事業所数の伸び率が示されておりますけれども、例えば施設入所支援ですとか、就労継続支援B型などのようにほかのサービスとは非常に異なる傾向の見られるサービスについては数値で示すだけではなく、なぜこのような状況になっているのか、問題や要因などの実態を把握し、対応策を検討する必要があるのではないかと考えております。今後、サービスの持続可能性の観点からも喫緊の課題であると考えるため、調査研究などの対応を含め、御検討いただけたらと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、伊豫委員、お願いします。
○伊豫委員 事務局に確認したいのですけれども、まず、資料1の3ポツ目で、人口に占める利用者数の割合や手帳所持者数に占める利用者の割合といった指標を見る必要があるということに関して、全てのサービス利用者を人口の場合は含んでいる、手帳の場合は一部のサービス利用者を含んでいない可能性があるということなのですが、この手帳所持者を見ることによって、サービス利用者の相関とか、サービス利用者とこの手帳保持者の間に相関はないのか、所持していても利用する人、しない人、所持していなくても利用する人、しない人がいるわけです。それが一定の分布であるとすれば、相関があっておかしくないはずなので、もし、それを調べていたら教えていただきたいということです。
それから、資料1の18ページで、こちらの利用者数と事業所数ですが、こちらのほうも手帳所持者数と事業所数に相関があるのかないのか。また、そこから大きく外れているような地域があれば、そこが何らかの課題を持っていることになるのではないかというような気がします。そういう前提で考えていくと、9ページの人口を年齢階層で補正していくというのでもいいのですが、そちらと手帳所持者などとの相関も最終的には出てくるのではないかと思います。ということで、利用者数と手帳保持者数の相関を基準にした場合の解析が何か行われているのであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料のお求めというような趣旨もおありかもしれませんが、事務局から今日の時点で答えられる部分があればお願いできますか。
○乗越企画課長 ありがとうございます。
手帳の所持者とその利用の相関ということでございますが、今の時点におきましては、そういった相関があるのかないのかということについては、事務局のほうでは分析をしておるものがないところでございます。手帳所持と事業所の関係といったようなことについても同じでございます。今回の資料でお示しをしておりますように、手帳所持については実際に精神障害などの方についての手帳がなくてもサービスを利用することができるということで、手帳の所持とサービスの利用に直結をしているということは言えないといった点を考慮いたしまして、各地域を公平に見るための指標といたしましては、現在の利用可能なデータを考えますと、手帳の所持者数より人口のほうがより適切な指標ではないかということで提案をさせていただいたということでございます。
○菊池部会長 伊豫委員、いかがでしょうか。
○伊豫委員 ありがとうございます。
もし、お時間があれば、そういったものも取っておいていただくと、かなり理解が進むという印象でしたので、お願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。御要望として承らせていただきます。伊豫委員はそのデータを取ることに意味があるのではないかという御趣旨かと思いますので、そこはまた事務局で検討していただければと思います。
叶委員、お願いします。
○叶委員 全国社会就労センター協議会の叶です。地域差については多くの意見が出されているので、私のほうからは就労支援の充実に取り組んでいる団体として、就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握について意見を申し上げます。
基本的には就労継続支援について様々な事業所が参入して、障害者の働く場としてはふさわしくない事業所の参入等、まさに今、就労支援の質が問われていると思っております。そのような状況の中で、適切な事業運営に向けて新規指定の在り方や運営状況をきちんと把握することは極めて重要であると考えますし、そのためにガイドラインを作成して就労支援の質の向上を目指すことについては全く異論ありません。
その上で、参考資料2のガイドラインのチェック項目として幾つか意見を述べたいと思います。
一つは、就労継続支援事業B型の開所時間や利用時間についてですが、本人の意向や障害の特性ではなく、事業所の都合によって極端に短時間にしていたり、あるいは利用時間を短くしているところについては、きちんとガイドラインの中でチェックをしていく必要があると考えています。
2つ目は、ガイドラインの中には、新規指定の際に専門家会議による審査が示されていますけれども、協議会等を構成する団体や地域の模範となる事業所が入ることは有効かと思っております。さらに専門家である中小企業診断士や社会保険労務士や税理士等、複数の専門家によりチェックをすることも効果的であるとは思います。その際に、各専門家については就労支援事業等への知識があって第三者的な立場で関われる人を人選することが重要であると考えております。また、それぞれの専門家の見地から、何をチェックするのかという具体的な役割を示すことも重要であると考えております。
3つ目、職員配置についてですけれども、収益を上げるために常勤の週の労働時間を極端に短くしたり、非常勤職員として雇用したりして人件費を削減することによって処遇の低下につながることがないよう、これもガイドラインの中できちんとチェックすることも重要だと思っています。
最後に、資料2で示されている就労継続支援B型の総費用額の伸び率が20.1%という非常に高い数値が示されています。これは不適切な運営を行っている事業所の増加にも関連する事項であると思うので、新規指定の在り方や運営指導等の充実によって、前述した不適切な運営を行っているところを改善していくことによって対応していくことが重要であると考えます。1人当たりのB型の事業所の報酬単価は、就労移行やA型と比べても決して高い報酬とはなっておらず、この伸び率だけで判断することがないよう対応していくことが重要であると考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料1以下に関してということでお願いできればと思います。
野澤委員、お願いします。
○野澤委員 意見を2点申したいと思います。
一つは、地域格差の是正という問題提起の意義は分かっているつもりですけれども、端的に言って、あるサービスが多すぎる地域と足りない地域があるとして、多すぎる地域のサービスを参入規制する、これは自治体ができると思うのです。ところが、足りない地域のサービスを増やしていくのはなかなか難しいと思うのです。自治体が直営で何か事業をやるような時代ではないので、民間のサービスを自治体でどうやって増やしていけるのかと考えると、下手をすると、全国展開の得意なフランチャイズ制などによる収益目的のビジネスが跋扈してしまうのではないかと思っているのです。足りないところをどうやって増やしていくのかというのは、もっときちんと考えないと失敗に終わってしまうのではないかという気がしてならないです。
もう一つ言いたいのは、現時点ですごく多いところと足りないところがあるという比較です。ところが、ニーズは時代とともに変わってくるので、女性の社会参加・進出が増えていって、あるいは重度の障害者が増えていったり、家族の機能が弱くなっていったりすると、もっと福祉サービスが必要になると思います。現時点で全国の平均より多いところでも、将来的には全然足りないのかもしれないです。少ないところは全然話にならないぐらい少ないのかもしれないです。
何を言いたいかというと、先ほど丹羽委員がおっしゃっていたと思うのですけれども、実績ベースで物事を考えると限界があると思っていて、丁寧な計画を一つのベースにしないと、将来的に時間軸で見たときの正確な事業数の是正につながっていかないのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口です。御説明ありがとうございました。
既に御説明いただいたこととも重なりますが、地域差の是正は必要であると考えています。でも、一律に是正すべきではないということも同時に思います。人口減少地域だけではなくて急速な人口増加地域もありますので、その時間軸といいますか、いつまでにどのぐらい必要かという評価も必要かと思います。
次に、グループホームの総量規制についての議論の中でも申し上げましたが、最大の課題は事業所指定の在り方ではないかと考えています。指定就労継続支援事業所の新規指定等に関するガイドラインが示されていますが、指定権者である都道府県は障害福祉サービスの指定を受けたい事業所がある際には、開設予定の市町村の障害福祉計画の進捗状況を確認することを必須とするべきです。
また、サービスの実績や経験のない事業者からの事業指定の申請も増えており、指定を受けた後、地域との連携を一切取らないで事業運営を行っている事業所もあります。障害福祉サービスにおいては地域との連携が不可欠であり、また、限りある財源の中で地域のニーズに合致し、かつ一定の質を担保された事業者に指定して行うべきと考えます。そのためには新規の事業指定を希望する事業者は、都道府県だけでなく市町村、または地域の自立支援協議会の就労部会などに説明を行うことを必須とし、その説明を受けた市町村が指定権者である都道府県に意見を出し、それを踏まえて都道府県が指定の可否を判断する。このような丁寧な仕組みとすべきではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、三浦参考人お願いします。
○三浦参考人 三浦です。よろしくお願いします。
意見になりますけれども、障害者支援施設の在り方の議論のまとめの中でも目標とする地域移行の推進のネックになっているのは地域の居住資源やサービス提供体制の未充足ということになります。今日の議論を伺っておりますと、事業所を均てん化していこうということが目標としてあると思うのですが、全く足りないところがあって、施設からもなかなか出ていけないという実情がある中で、同じ計画の中で矛盾が生じないような内容の示し方にしていただきたいというのが一つです。
それから、医療的ケアを伴う方々など、最重度の機能障害者の地域生活支援には24時間のホームヘルプを行える事業所などが必要なのですけれども、極めて少ないので、その事業所があるところを求めて希望者の方は引っ越ししていかれます。そういう実態も地域にはあるということを踏まえた上での計画への落とし込みをお願いしたいと思います。
それから、20ページですが、共同生活援助における支援の質の確保のところで、ガイドラインが早く策定されて、それが厳格に運用されていくことを願います。障害福祉サービス等の情報開示は義務づけられたのですけれども、その項目を見ると、これは利用者にとって知りたい情報なのかというところに疑問があります。利用希望者にとってもう少し分かりやすいもの、例えば個人の居住スペースの広さであるとか、利用量であるとか、その辺りを明確に情報開示していくことも重要なのかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。1点、感想と意見です。
今回の途中で、私は基本指針の見直しというところで何が議論されているのかだんだん分からなくなってきていて、今日はきっと量的分析の話が、心理学の研究者でありながら統計とかが苦手で申し訳ございません。櫻木先生の話を聞きながらとてもうれしくなってしまったのですけれども、研究法とか統計分析の話になってくると、量的分析の中でも限界があるのだろうと思っていますので、そういう意味では、ここまでは量的分析でできることだということで整理しておく。でも、すごく大きな地域差が生じているところなどの話について、皆さんのお話を伺いながら質的な分析をしていかないと、とても現状把握には至らないのだろうなと思ってお話を伺っていました。
そういう意味では、質的な分析はすごく時間のかかることだろうと思いますけれども、例えば一番差のないところ、一番差の多いところ、中間点のところなどを取り出して、そこについてどのような状況なのかというインタビュー調査とかを行っていくみたいな形をしていくとか、そういう方法を取っておいて現状把握をしておく必要があるのではないかなということを考えていました。感想と意見です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 まず、11ページの就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインはすごく大事なことだと思いますし、併せて参考資料も見させていただきました。とても大事な検討だと思います。このように指定時、それから、運営状況を把握していくことはとても大事なことだと思います。
ただ、現在存在しているA型事業所については、資料2の6ページを見ると減ってきているし、利用者も減ってきているということで、昨年の報酬改定、さらには最低賃金の上昇などによって廃業せざるを得ないところも出てきているのかなと思います。さて、説明いただきましたこのガイドラインは新規だけの対応なのか、それとも運営状況について様々な示唆、現存するA型事業所への行政のそのような示唆とか指導とかあるものなのかということ、並びにこのガイドラインはいつ完成するのかということなども併せて教えていただきたいと思います。
次の質問ですけれども、10月から就労選択支援事業が地域で開始されるということをお聞きしています。10月の20日の時点ではありますけれども、この状況について把握されていることがあれば、お答えいただければと思います。まだ、これからの把握かもしれませんけれども、もし、お答えいただければよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御質問とおっしゃられたその前もお問い合わせがあったかと思います。それも併せてお願いします。
○大竹障害福祉課長 ガイドラインそのものは新規指定に対してでもございますし、指定後の指導監査の時点も対象とするものでございます。いつこれが完成するのかという話でございますけれども、本日いただいた御意見を踏まえて、今後自治体に対して発出していければと考えております。
また、御質問いただいた就労選択支援の状況につきましては、現時点で正確には把握しておりませんけれども、今後その運用状況などについては把握をしていければと考えてございます。
以上でございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 それでは、資料について意見を述べさせていただきます。
まず、我が国は2割の国土面積に8割の人口が居住している人口偏在の強い状況にあります。したがいまして、新たな地域医療構想や「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会においても人口100万人以上の大都市、人口10万~20万未満の人口過少地域、その他の一般都市部に分けて議論をしているところでございます。したがいまして、9ページの資料につきましても各地域の年齢階級別の人口構成の特性は必ず生かすべきであり、9ページの考え方については反対でございます。
また、障害福祉サービスの提供体制は医療・介護と比べても均てん化できておらず、コンサルタントの誘導などもあり、地域によってまだまだ不規則な提供体制となっております。現に供給が需要に影響することが多く、18ページの資料のグラフも矛盾しないものと考えております。
次に、標準偏差の活用が示されておりますが、標準偏差は正規分布に近い集団において平均値を用いてばらつきの指標となるものであり、先ほど吉泉委員もおっしゃっておられましたが、不規則分布であれば中央値や四分位偏差を活用するほうが望ましい場合も多々ございます。したがいまして、資料にございます地域の基準点を平均値とするかどうか検証の必要があり、現時点においては時期尚早と考えております。
現状の各自治体における利用者の分布がどうであるのか確認していく必要があると思います。その際、人口推計を踏まえた地域別やサービス類型別に丁寧に精緻に検討していく必要もございます。今回の資料の対応する必要がある地域差の対象ラインを平均プラス標準偏差、すなわち平均+1SDとしていることは大いに疑問であり、仮に正規分布と仮定すると、サービス利用の大きい16%の地域が該当することとなりますが、16%が対応する必要がある地域であるかどうかという根拠を示すデータは全くなく、対象ラインを平均+1SD、1標準偏差とすることについては反対であります。
医療・介護でもこのような手法は活用しておらず、各地域の需要推計を行い、自らの地域を最もよく分かっている地域の行政や関係者で議論して提供体制を検討しております。まずは各地域の足下の現状を把握することから始めるべきであり、内閣府においては医療のレセプト数、性・年齢を調整したスコアである標準化レセプト出現比、すなわちSCRと呼ばれるものですけれども、そういったSCRが詳細に示されておりまして、今後、介護のSCRも活用していこうという方向にもなっており、障害福祉分野においても、まずはSCRに着手すべきことを提案いたします。
さらに対応する地域の定義は何であるのか、提供過剰地域であるのか、あるいは必要以上に過剰なサービスを提供している問題のある事業所やサービス提供の質が低い事業所があるのであればピンポイントに対応していく必要もあると思います。何を対応するのか、何が問題なのか、明確にしていくべきと考えます。
サービス類型によっては、提供体制について市町村単位で検討したほうが望ましいもの、より広域の福祉圏域で検討したほうが望ましいものもあり、きめ細かい対応が必要であり、また、複数の構成員もおっしゃられておりましたが、サービス利用の少ない地域への対応も極めて重要であると考えております。
最後に、全体的に全国各地域を一律の提供体制にしていこうという考え方にも見えますが、人口偏在、人口減少速度や人材確保の状況、過疎地域においては近隣の自治体との連携の必要性など、様々な地域の実情が存在しており、地域の特性を踏まえた対応を最優先すべきであり、単に平均値と標準偏差を用いて全国一律に評価する手法は地域に支障をきたすことも想定され、最適な提供体制の構築にはなじまないものであり、活用すべきではなく、14ページの本日の提案には反対であると意見を申し上げます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。私からは2点ほど意見をさせていただきます。
まずは資料1の今日の本題ですけれども、サービスの均てん化、それから、地域差を是正していくという方向性について一定は理解しているつもりですし、今回のこの数字の出し方ということも一定は理解いたします。これを参考として示すことには賛成なのですけれども、今回をもってサービスの必要量の見込みを自治体に検討させていくというところまでは時期早々なのではないかと思います。
18ページにありますように、先ほど来の皆さんの意見にもありましたが、事業所数、利用者数の相関関係は認められるとありますけれども、事業者自身が運営の効率性からも人口の多いところで運営をしていこうという流れがあります。そういう中で、事業所はできるけれども、また、運営の合理化を図ってから自分たちのサービスの特徴を売りにということもあるのでしょう。あるいは一定の障害別、あるいは一定の障害層のみを対象としたサービスというのも都市部ではたくさん見受けられ、グループホームの話が委員の方からもありましたけれども、本来サービスを必要とされる方がサービスを受けられないようなミスリードにならないように配慮が必要なのではないかなと思います。
2点目が、就労継続支援事業所の新規指定に関するガイドラインですけれども、これはすごく賛成です。すぐにでも取り組んでいただきたいですし、加えて言うならば、これを自治体等に発出して、例えば1年後、2年後、その影響がどうなったのか、その辺りもしっかり調査をしていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これでお手をお挙げいただいた委員の皆様には御発言いただけたかと思います。よろしいでしょうか。
様々な観点から御意見を賜りまして、また、御要望などもございまして、それは事務局で御検討いただければと思います。7ページの整理が必要な事項という3点を巡っての御意見、あるいは評価も承りましたが、それを超えた地域差を巡る論点につき、かなり広い範囲でさらに御意見をいただいたかと思います。これらも含めて事務局のほうでどう整理するかということをお考えいただければと思います。
本日、田中先生にお忙しい中お越しいただきまして、御意見を賜ったわけですが、その後、いろいろ議論ございましたが、もし、最後に何かございましたらいただければと思います。
○田中参考人 本日はいろいろ議論いただきまして誠にありがとうございました。
途中でも地域ごとの複雑な事情があると、今回の指標ではそこは取りきれていない部分があるということを申し上げたつもりでありましたけれども、もう少しはっきり強調しておくべき点だったかなと思いました。分布の形状につきましてもいろいろな形があるということは途中でも少し述べましたけれども、そういったこともありますので、さらにエビデンスを重ねていくことの必要性は間違いないことだと思っておりますので、その点については非常に同感しているといったところでございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、資料1に関しては以上とさせていただきます。
予定の時間を過ぎてございますが、もう一つ、資料2に関して、報告事項ということでございますので、もう少しお時間を頂戴できればと存じます。
それでは、資料についての御説明お願いします。
○乗越企画課長 資料2についてでございます。こちらの資料につきましては、本日も参考資料3としてお示しをしておりますけれども、これまでも障害福祉サービス等の費用額や利用者数、それから、1人当たりの費用額などにつきましてお示しをしてきたところでございます。今回、それらの最近の状況についてまとめた資料を改めて報告をさせていただきたいということで用意をしたものでございます。
1ページは障害福祉サービス関係の政府の予算額についてでございます。こちらにつきましては19年間で約4倍に増加をしている状況ということで、令和7年度におきましては2兆円を超える規模となっておりまして、最近は約5%、6%の伸びという状況となっております。
2ページは障害福祉サービスの総費用額の動向になります。直近の5年間を見ますと持続的に伸びているという状況でございますが、特に令和5年度から6年度にかけて伸びが大きくなっておりまして12.1%の伸びとなっております。1か月の平均利用者数と1人当たりの費用額について分けてみたものが右側のグラフになります。1か月の平均利用者数については5年間でおおむね6%前後で伸びてきておるということ、一方で、1人当たり費用額につきましては、令和4年度までの伸びに比べて令和5年度から令和6年度の伸びが6%と大きくなっているという状況が見られます。
3ページ、先ほど申し上げました令和5年度と令和6年度の費用の伸び、この12.1%の伸びに着目した資料になります。先ほど申し上げましたように、政府の予算の伸びが対前年度比で5~6%の伸びであることに比べますと、それを大きく上回る費用の伸びとなっております。右側のほうが令和5年度から6年度の給付費の伸びの変化を1人当たり利用者の伸びと1人当たり総費用額の伸びとして図示をしたものになります。利用者の伸びについては5.8%の伸び、1人当たり総費用額の伸びにつきましては6%の伸びということで、この6%の伸びにつきましては令和6年の報酬改定の改定率1.12%を大きく上回っているという状況になっております。こうしたことを踏まえますと、制度の持続可能性の観点からの検討が必要であると認識をしております。
4ページは年間の総費用額につきましてサービスごとの状況を見たものでございます。こちらは全体に占める割合が1%以上のサービス類型について見たものになります。サービスごとの状況は様々でございますけれども、額の伸び幅で大きなものとしましては、就労継続支援のB型や放課後等デイサービス、共同生活援助などが額としては大きくなっております。それから、伸び率を見ますと、B型、施設入所支援、短期入所、放課後等デイサービス、こういったところが大きくなっているところでございます。
5~6ページにつきましては1人当たりの費用額の伸び率と利用者数の伸び率、また、事業者数の伸び率について、この関係を見たものになります。利用者数の伸び率の資料で言いますと、右側にあります就労継続支援のB型、また、児童発達支援、放課後等デイサービス、共同生活援助、こういったサービス類型につきましては費用の伸び率も高いですし、一方で、利用者の伸び率がほかのサービスに比べても非常に大きく伸びているということで、費用の増への影響について利用者数の伸び率などが影響しているところが見て取れるところでございます。
一方で、左側の上にあります施設入所支援などにつきましては、利用者数については伸び率がマイナスということで減少しておりますけれども、1人当たり費用が大きく伸びているところが見て取れるところでございます。
簡単ではございますが、最近の費用の状況につきまして皆様と共有をさせていただくという趣旨で資料を用意させていただき、また、説明をさせていただきました。
簡単ですが以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
以上でございますが、多分これについてもいろいろお聞きになりたい点がおありかと思うのですけれども、時間が10分経過している状況でございます。現状の報告ということでございますけれども、どうしてもこの点は今日聞かないと帰れないといったことがございましたら承りたいと思います。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員 御配慮いただいてありがとうございます。
確認ということではなくて、今後の検討に当たってぜひとも一言申し添えたいと思いました。障害福祉サービス費が増大し続けることについては、確かに持続性の観点から議論の必要性はあると私も思います。
一方で、障害福祉サービスの増大、いわゆる負担増の観点ばかりではなく、障害福祉サービスの利用によって生活の質向上や経済的自立等につながった等、障害福祉サービスによってもたらされた波及的効果を同時並行で見ていかないと、削減の方向性ばかりに着眼点が偏ってしまって、障害福祉サービス等の費用の状況について、正確な議論がなし得ないのではないかという点を問題意識として皆さんと共有したいと思います。
障害福祉サービス等の費用の状況について削減や抑制の意図を持った議論を行うのであれば、今申し上げたような観点も含めて、厚生労働省には障害福祉サービス等にかかる費用と、その費用対効果等を合わせた両輪の資料を御提示いただくように工夫してくださると、国民にとってどういう在り方が望ましいかの議論をしやすくなると思いますし、分かりやすくなると思います。
以上になります。
○菊池部会長 建設的な御意見をありがとうございました。
ほかの委員からもうなずかれる御様子がございましたので、今御発言いただいた点も踏まえて今後御検討いただければと思います。
それでは、時間が参ってございますので、本日はここまでとさせていただきます。
田中先生、改めまして本当に今日はありがとうございました。
次回に向けまして事務局からお願いします。
○乗越企画課長 本日は、御多忙の中、御議論をいただきましてありがとうございました。
また、田中先生におかれましては本日御参加をいただきまして、御意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
次回の日程につきましては追って事務局から連絡をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
皆様、お忙しい中、どうもありがとうございました。
2025-10-20 社会保障審議会障害者部会(第151回)
○菊池部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第151回「社会保障審議会障害者部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、本日も大変御多忙のところ、朝から御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
本日の会議については、こちらの会場で原則対面としつつオンラインも併用して開催いたします。事務局においては資料を説明できる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員からの御発言について、いつもながらお願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので会場の方は挙手をお願いします。オンラインの方に御意見を募りますので、ZOOMの手を挙げる機能を使用してお知らせください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言をいただきたいと思います。御発言の際は、まず、お名前を名乗っていただき、できるだけゆっくり分かりやすくお話しください。その際、資料の記載内容について御発言される場合には、資料番号と記載内容の位置について御教示ください。また、今日は会場に御参加の方が多く来ていただいておりますが、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
また、本日は、障害福祉サービスの地域差について議論するに当たって、統計などに関して専門的な御知見を有しておられる駒沢大学経済学部准教授の田中先生にお越しいただきました。先生、どうぞよろしくお願いいたします。
よろしければ、一言お願いいたします。
○田中参考人 駒沢大で教員をしております田中聡一郎と申します。専門は格差とか貧困のデータ分析になりまして、厚労省のほうでは、2021年の障害児通所支援の在り方に関する検討会というところで構成員を務めたこともございます。データと障害、皆様方ほど現場のことも分かりませんけれども、そういったことで今回お招きいただいたものと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局より本日の委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○乗越企画課長 事務局でございます。本日の委員の出席状況ですが、御欠席の御連絡はいただいておりません。
続いて、委員の代理について、川手委員の代理として日本難病・疾病団体協議会事務局長の大坪参考人を、白江委員の代理として全国身体障害者施設協議会副会長の三浦参考人を、永松委員の代理として杵築市福祉事務所長の渡辺参考人を、中村委員の代理として愛媛県保健福祉部生きがい推進局長の一政参考人を出席させたいとの申し出がありましたが、皆様、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○乗越企画課長 ありがとうございます。
また、本日は、先ほど部会長からも御紹介ありましたが、駒澤大学の田中先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
本日の資料につきましては、議事次第、資料1、2、それから、参考資料1~3となります。会場にお越しの方で、これらの資料の不足などがございましたら事務局にお申しつけください。
なお、カメラ撮りはここまでとなります。御協力をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
今回は進行の都合上、資料1につきまして事務局、そして、田中先生からも御説明をいただいた後、資料1に関する質疑応答の時間を取らせていただきます。資料2につきましては、資料1の議論が終わった後、事務局からの報告とさせていただきます。
それでは、資料1に関しまして、まずは4ページまで事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 事務局企画課長でございます。本日は、基本指針につきまして、前回に引き続き地域差の是正について、また、事業所指定の在り方に関しまして、就労系サービスの指定等に関するガイドラインについて御議論いただきます。地域差については企画課長から、それから、ガイドラインにつきましては障害福祉課長から説明を申し上げます。
1ページについては、前回までにお示しをしております論点の資料になります。
3~4ページになりますけれども、地域差につきまして前回の部会で御議論いただきました論点が3ページになります。それから、前回の部会におきまして委員の皆様からいただいた御意見、地域差の考え方に関するもの、地域差の捉え方に関するもの、また、地域差の是正に係る対応に関するもの、これらのカテゴリーに分類をいたしまして、いただいた御意見をまとめたものになります。御確認いただければと思います。
4ページまでは以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
前回、地域差の是正に関していろいろ御意見をいただいたところでございまして、その際にも専門家の先生からぜひ次回お伺いしたいといった御意見もいただいたところでございます。5ページに御質問をまとめていただいておりまして、あらかじめ田中先生にお伝えさせていただき、御用意いただいていると伺っておりますので、まず、この点につきまして田中先生からお願いできますでしょうか。
○田中参考人 今回の部会に先立ちまして事務局の方と何回か打合せをさせていただきました。主には今回のデータの基になります障害福祉デーやベースの構造、どういう要素が入っているか、2点目はこの後に出てくるところですが、地域差を測るときの指標のつくり方、3点目は地域差の考え方、そのようなことについてお話しいただきました。
ただ、データ分析などをやっているとよく分かると思うのですけれども、直接データを携わらないと分からない部分も結構あったりするところでありまして、今回は私自身は触れていないので、いろいろ理解不足の点もあるかと思いますが、聞き取ったお話をベースに少しお話ししていきたいと思います。
主にここに挙がっている質問のポイントというのは、地域差がどういう要因で生じているのかといったことについて御関心があって、それがどうやってデータに反映されるのかという部分だと思います。ただ、障害福祉データベースの中に全てのデータが入っているわけでないというのが、何よりも非常に大事なポイントかと思います。また、別のデータとくっつけたりとかしていくとなりますと、複雑になってきたり、データを取れるタイミングとかもありますし、そういった問題が生じるだろうと思います。
したがいまして、障害福祉データベースを中心に、それをのみを使ってどのようにやっていくのかということが考え方として一つポイントなのではなかろうかと思っております。
5ページの1つ目の○のところですけれども、人口の伸び率や人口に占める利用者数割合が低いからといって不適切という評価にはならないというところがございます。これも今言ったことと関連するのですけれども、例えば利用者数割合、利用率みたいなことを考えたときも確かに分母が人口になっていて、分子が利用者数になってくるわけです。この後の話にも関連してきますが、人口構造の年齢については今回調整されているということなのですけれども、例えば都市部になると割と健康な方、働ける方が入ってくるわけなので、人口だけではない要素もきっと入ってくると思います。そうなりますと、都市部のほうが利用者割合は低くなるとか、そういったことがありますので、そのような意味でも一律に不適切とか、そういったことの評価にはならないかなと思います。
2点目、地域差はどういうものを是正すべきなのかというところであります。これもまさに書かれているとおりですけれども、その要因がどういう原因によるかということに依存すると思います。基本的には、全国どこに住んでいても同じ状態の方が同じようなサービスを受けられるのが望ましい形だと思います。その町の人口構造とか、健康状態とかの影響を除去した上で、残った部分を地域差として見ていくということはそのとおりだと思っております。ただ、それをどのように是正するのかということになりますと、その要因のところまで詳しい情報が必要になってまいりまして、そこについては一言では申し上げられないかなと思っております。
3点目、都市部と地域というのは、どこを対象にしていくかということは、都市部の中でも例えばサービスがあまり充実しない地域とか、いろいろあると思いますので、ここはスキップさせていただきます。
4点目は、情報をどのように取ったらいいのかという部分です。どこに行っても必要なサービスを受けられるべきだけれども、サービス利用が制約されていることの情報をどうやって入手したらいいのかというところになります。ここの点は、例えば福祉アクセスに関する研究などは多くはないのですが多少あります。提供体制の問題だけではなくて、移動距離とか、情報提供の格差とか、そういった問題もはらんでまいります。そうなりますと、利用者の方が市町村内のどこに住んでいるのかという、市町村単位でよりもっと細かい情報が、この問題を解くには必要になってくると思っておりまして、これはなかなか今の段階では難しいのかもしれません。本来であれば、そういった地図情報と合わせたようなデータが必要だと思います。
5点目は、人口に占める割合ではなくて、手帳ベースのところのほうがいいのではないのかというような御議論であります。確かに分母を手帳ベースの障害者の方で考えるというのも一つのアイデアとしてあると思います。まさに障害とか健康の度合いについてコントロールされたような指標になるわけですから、そのような方々の中でどれだけサービスを利用しているのかということが明らかになりますので、それも一つの指標だと思います。
ただ、今知りたいことというのは、恐らくはまさに地域差という部分で、その自治体でどの程度利用されているのかということなのかなと、その自治体の障害者の方がどれぐらいたくさん利用しているのかということよりは、その自治体の中でどのように利用されているのかということが知りたいのかなと思っておりまして、人口ベースで考えるのも妥当なのではなかろうかと考えております。
6番目のところ、人口規模が大きければ、それに比例して障害者数が大きくなる前提であれば、今回のような分析の手法が格差を見る手がかりになるのではないかというところですけれども、こちらは事務局のほうでつくっていただいて見せていただきました。市町村人口とサービスの利用者数につきましては、相関関係が認められておりましたので、そういう意味では今回の指標のつくり方というのは、格差を見る際の手がかりになるのではなかろうかと思いました。
その次、直ちに理解するのはなかなか難しいのですけれども、利用者割合が小さい自治体で伸び率が高ければ格差の縮小につながりますが、利用者割合が大きい自治体の伸び率が高いということになれば、むしろ格差が拡大してしまうのではないかというような議論がされております。まさに大きな自治体のところで利用者割合が大きかったりすると伸び率が高くなったりとか、その伸び率と利用者割合の2つの要素がどのように関連しているのかというような御質問かと思いました。ただ今回、こちらは事務局のほうで検討していただいたのですけれども、利用者割合と伸び率の間には相関関係はなかったと確認していただいたところになります。
最後のところ、これはなかなかアイデアが浮かびませんでしたけれども、規模の大きい都道府県のようなところであれば、極端に大きい、もしくは小さい数字は算出されないで、規模が小さい自治体の場合は極端な数字が出てくる可能性があるのではないか。そういう状況についても除去できないのかというようなことです。まさにこの後にお話しするところですけれども、非常に懸念しているところでして、今回の指標になったときに、そういう小さな自治体のところ、たまたま障害者の方が多く住んでいるような地域だったときに非常に高く出てしまうような可能性もゼロではないと思いますし、そういう傾向が起き得るのではないかと懸念しております。そういったことについて何らかの対応が必要なのではないかと思います。
超過してしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいまの田中先生のお話に関しましてもさらにお聞きしたいことがあるかと思いますが、後ほどまとめて質疑を行わせていただきます。
それでは、戻りまして6ページ以降について、再度事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 6ページになります。こちらは基本指針ですとか、これまでの御議論を踏まえまして、地域差是正に関する基本的な考え方について事務局の方でまとめたものとなります。6点にまとめております。
まず1つ目、あらゆる地域におきまして必要なサービスを受けられるように、サービスの均てん化を図る必要がある。
そのために、計画を策定して地域の実情に即した総合的かつ計画的なサービス提供体制を図っているという状況にあります。
その際、利用者のニーズに対して供給が追いついていない地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図る必要があること。また、高齢化や人口減少が進む中では、地域の需要に応じたサービス提供体制の整備の推進を図っていく必要があるということ。
その一方で、これまでも部会の中で説明をしておりますけれども、近年、自治体が障害福祉サービスに定めるサービスの見込み量を上回り、サービス提供量が増加し続けているサービスや地域もあり、多くの事業所が参入し、また、人材確保が喫緊、かつ重要な課題となっている中で、利用者のニーズに合致した障害福祉サービス等の提供を行うことが重要であること。
また、障害福祉サービス等におきましては、給付費がほぼ全額公費で賄われていること。
また、国費に係る自治体間の公平性の観点を踏まえれば、一定程度の地域差の是正が重要であるとまとめさせていただいております。
地域差を是正して供給を計画的、かつ効率的に行うための方策を御議論いただいておりますけれども、その重要な要素といたしまして必要量の見込み量の見直しについて御議論いただいているところでございます。
7ページ、この地域差の是正の対応に当たりましては、まず、対応する必要がある地域差の考え方を整理する必要があるのではないかということで、具体的にその整理が必要となる事項について3つまとめております。
1つ目、サービス利用に関する地域差を見るための指標ということで、どういった数字でこれを比較していくか。
2つ目、サービスの利用に関する地域差の基準点、何と比べて差があるかということを考えていく。
3つ目、対応する必要がある地域差の対象ラインということで、どこからを対応の対象とするのか。
この3点についての整理が必要ではないかということで、以降のページでそれぞれについて案をまとめております。
8ページ、まず、1つ目のサービス利用に関する地域差を見る指標でございます。これは利用量の実績を見ることができる指標である利用者数というものが考えられるところですけれども、人口規模の違いによる影響を考慮するため、利用者数そのものではなく、人口や手帳所持者を分母として、それらに占める利用者数の割合といった方法で見る必要があるのではないのかということでございます。それぞれ人口と手帳所持者につきましては、人口の場合は全てのサービス利用者を含んでいる一方で、手帳所持者の場合は必ずしも手帳の所持がサービスの利用に直結しているとは言えないということから、人口に占める利用者の割合を用いるほうが、より公平なものとなるのではということです。
9ページ、人口に関しましては、地域ごとに若年層や高齢者層の多寡といった年齢層の相違が影響を与える可能性があることから、地域差をより公平に捉えるために、そのような影響を除去する必要があるのではないか。具体的には、下にポンチ絵を描いておりますけれども、地域ごとの年齢層の違いについて全国平均の年齢層にそろえるという、いわゆる年齢調整を行うこととして、地域差を見るための指標につきましては、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合とすることが適当と考えらるがどうかということで提案をしております。
10ページ、2つ目のサービス利用に関する地域差の基準点に関しましては、平均値や中央値といった指標が考えられるところでございますけれども、平均値につきましては全ての利用量の実績を反映できるという指標である一方で、中央値につきましては、全ての利用量を反映することができない極端に大きいものとか小さいもの、これを反映することができない指標であるということで、こうしたことを踏まえまして、サービス利用に関する地域差の基準点につきましては平均値を用いることが適当ではないかと考えられますが、これがどうかということで提案をしております。
11ページ、3つ目の対応する必要がある地域差の対象とライン、どこから対応の対象とするのかを考えるに当たりましては、データにつきまして平均値からの指標のばらつき具合も考慮する必要があるということで、そういったばらつきを見るものといたしまして標準偏差を用いることが考えられます。標準偏差はこのようなそのばらつき具合を示すものでありまして、他分野でも活用されている事例もありますので、対象ラインといたしましては、例えば全国平均プラス標準偏差といった基準が考えられるがどうかということで御提案をしております。また、ほかに対象ラインとして考えられるものがあるかということでございます。
12ページにつきましては、標準偏差について簡単にお示しをしたものでございます。標準偏差につきましては平均値からの各データのばらつきの度合いを示した指標ということで、ばらつきが小さいほど標準偏差が小さく、また、平均値と各データのばらつきが大きいほど標準偏差が大きくなるといったような指標となってございます。
13ページは活用例ということで参考でございます。
14ページにつきましては、改めて対応する必要がある地域差の基本的な考え方の案をまとめてお諮りをしているものでございます。
15ページにつきましては、前ページでお示ししております考え方に基づいて、これはイメージでございますが、2024年度の人口や利用者数のデータを用いまして、共同生活援助を例としまして、地域差が大きい自治体についてお示ししたものとなります。
16ページ以降は、前回の御指摘を踏まえまして、事務局のほうでデータを御用意したものでございます。先ほど田中先生からもお話がありました。
17ページにつきましては、利用者数割合と利用者数の伸び率の関係を見たものということで相関関係は認められなかったということ。
18ページは、事業所数と利用者数の相関関係について見たものということで、これらはいずれも正の相関関係が認められたものになります。
引き続きまして、障害福祉課長から説明いたします。
○大竹障害福祉課長 19ページ以降、サービスの質の確保に係る取組についてということでございます。
20ページ、こちらは7月の部会にお示しした資料になりますけれども、サービスの質の確保向上のために事業者指定の適切な運用に向けた取組を進める必要があるということで、この下に2つ挙げておりますけれども、サービス横断的な取組と、あとは個別サービスに係る取組ということで幾つか挙げております。そのうち、赤枠で囲ってございますけれども就労継続支援における支援の質の確保ということで、6年度に調査研究を行っておりましたけれども、この調査結果を基にガイドラインを策定予定としておったところでございます。この点につきまして、ある程度まとまったということでお示しをさせていただくものでございます。
21ページ、ガイドラインの案の概要ということになります。このガイドラインの主なもの、概要といたしましては丸の枠の中のマル1マル2としてお示しをしておりますけれども、マル1のように新規指定時において確認をする事項という点と、マル2にございますけれども、指定や指導をするときのツールを提供するという大きく2点に分かれております。
現状と課題として記載をしております。現状といたしまして、障害者の方の就労能力の向上に寄与しない事業を就労継続支援サービスとして行っている事業者の参入があるのではないかと御指摘を受けております。その課題としては、書類自体がそろっていれば指定自体を不受理にできないという課題であったり、あるいは2つ目のポツにございますけれども、その指定や指導の事務の担当職員が必ずしも知見を有していないことがあるという課題があるということかと思います。
それを踏まえて、このガイドラインでございますけれども、チェックが4つ並んでおります。円滑な障害福祉サービスの提供に必要不可欠な知識等を有しているかということであったり、事業運営に必要不可欠な知識等を有しているか、そういった点をチェックするものでございます。
内容としてマル1マル2ございますけれども、マル1といたしましては新規指定時の確認ということでございまして、事前の説明を行うことのみならず、計画書の審査においては、開所予定地がある市町村に説明を行っているかどうかということであったり、ニーズの把握を行っているかどうかということであったり、どのような形で利用者の募集を行うか、生産活動の具体的な内容といったもの、また、それを確認する生産活動シートというものもお示しすることにしております。あるいは会計知識のある専門家の方にチェックをいただくというような会議の設定もお願いしているということでございます。
また、マル2として運営状況の把握ということで、指定後の確認においても確認すべき事項といったものもお示ししているということでございますし、ここでも生産活動シートの活用を御提案しているということでございます。
こういった内容のガイドラインをお示しできればと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今のガイドライン、参考資料2にありますけれども、これがその案ということですか。
○大竹障害福祉課長 そのとおりでございます。
○菊池部会長 その抜粋をお話しいただいたということでよろしいですか。
○大竹障害福祉課長 概要を今御説明させていただきました。
○菊池部会長 分かりました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、田中先生から改めてお話しいただけますでしょうか。
○田中参考人 7ページ、今課題として挙げられているのは3つあります。1つ目はサービス利用に関する指標です。そして、その地域差をどうやって判断するのかと、対応の基準といったところかと思います。その1番目のところと、まとめて2、3のところでお話をさせていただければと思います。
8ページ目からですけれども、今、課長からも御説明いただきましたとおり、人口割合について調整した利用者数を出していると、分母のほうは各自治体によって人口構造が異なってしまうので、その影響を除去するようなことをやっていまして、それは望ましい作業かなと考えております。
ただ、先ほども申し上げたところですけれども、それだけだと、どうしても健康状態などが踏まえられていません。例えば人口減少がすごく進んでいるような自治体があって、健康で働けるような方々がその自治体の外にどんどん出ていくというようなことがまさに今起きていることかもしれません。もう少し将来的なところも考えていきますと、障害者、高齢者の方々も含めてですけれども、そういった方々がそこに割と多く残るようなことなども考えられるかもしれません。今申し上げたようなことが一つの例でして、健康に関することなどについても考慮するというようなことなども求められるかもしれません。
また、分子のほうですけれども、利用のほうも様々な影響が実際にあります。提供体制におきましても、割と歴史のある団体とか施設とかがあるようなところでは、活発なサービスが提供されていることなどもあるかもしれませんし、交通アクセスのことなどもきっと多く影響するかと思います。そういった利用の背景・原因といったものについても、なかなか捉えきれないということはあります。
ただ、データの中でそれを全て表現することはなかなか難しいと先ほど申し上げました。市町村単位で集計されていることもあります。そうなってまいりますと、どうしても国ができる作業は全国一律の利用状況の分布みたいなものを提示して、そしてその評価については現場の自治体の方々で判断してもらうような形が考えられるのではないかと思っております。いろいろデータを積み上げていけば可能かもしれませんけれども、先ほど言いましたとおり、データを取るときはタイミングの問題が非常に大きくて、リアルタイムで地図情報に反映されるというのは、将来できるかもしれませんけれども、今はなかなか難しいということになりますと、情報についてよく知っている自治体の意見をしっかり聞いていく必要があるのではないかと考えています。
続いて、まとめの2つの部分ですけれども、今回は平均値と標準偏差を一つの基準として見るということで提案をされています。厳密に全てのデータが正規分布であるかということは多分言えないと思いますけれども、集計したものですが、多少見せていただいたりすると、双峰になっているわけではなくて単峰型のものになっておりまして類似性はあるかとおもいます。ただ、正規性に関する検定とかもあって、本来であれば、そういったこともやったほうがいいと思います。
また、実際のデータにおいて厳密な正規分布はなかなか観察されないということもあります。それで今回は平均値と標準偏差で基準をつくるところでありまして、御説明いただきましたとおり、標準偏差というのは、平均からの散らばりの程度を表す指標になります。最も用いられる正規分布を仮定いたしますと、3σの範囲外には片側だと0.13%。2σだと2.3%、1σだと16%弱といった具合になることが知られております。
どれぐらいのところで区切り位置をつくるかというところになってきますけれども、例えば2σぐらいのところで分布の形状によりますが、例えば数%とか、そんな具合だったときに数十の自治体のところだけが選定されることになっていく。そこの中に、先ほども言いましたけれども、小さい自治体とかが入ってきてしまうようなことなども考えられるかもしれません。数はそれほど多くない自治体に地域差の是正といったものの役割というか、そこを担うのも対象としては結構狭いのかなという気がいたします。そういう意味では、もう少し広めに取ることが一つ考えられるのかなと思いました。
反対の考え方で、例えばトップ10%みたいなところの自治体が含まれるようにしたらどうかという考え方もあると思いますけれども、そうすると、今度は平均値からの乖離みたいなことは踏まえなくなってしまいます。また、どうして10%の自治体なのかということとか、基準のつくり方に恣意性みたいなものを感じるような気がします。そういうことを考えますと、平均値+標準偏差というところ以外の基準を示すということもかなり難しさが残るのかなと思います。
先ほどから申し上げているとおりですけれども、そういう意味ですごくシンプルなつくり方にはなっているところでありまして、その分、利用者割合のところだけでは把握されないような小規模自治体の問題とか、あるいは人手不足のこととか、何らかの地理的な個別事情に配慮したりとか、そういったようなことも併せて検討する必要があるのかと思います。そういったものを踏まえた上でということが前提ですけれども、今回の平均値プラス標準偏差という考え方は、何か特定の決め方とか、特定の自治体を対象にしたようなものにはなってなくて、そういう意味では一つの基準として合理的なものと私は考えました。
長くなってしまいましたけれども、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見・御質問がございましたらお願いいたします。御質問の際には、どなたへの御質問か、事務局への質問か、あるいは田中先生への御質問かをお示しいただいた上でお願いできればと思います。
それでは、小阪委員からお願いできますでしょうか。
○小阪委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門研修機構の小阪と申します。特に質問というわけではなくて意見ということでも大丈夫ですか。
○菊池部会長 もちろん大丈夫です。
○小阪委員 地域差の指標について、今回の資料の11ページに記載のある「対応の必要がある地域差の対象ラインについて」として示されている事柄について、算出すること自体は参考値としてであれば別段構わないのではないかなと思っています。ただし、本来形で言うと、適切な形で障害福祉サービスの利用を希望されている方がいる場合に、その方たちがきちんと自治体においてサービスを受けられているか、適切なニーズに対してそのニーズを満たすサービスが提供されているか、そこに地域差がないかについてというのが、いわゆる「本来の地域差」であるべきで、単純な利用者数の差異だけでは、本来必要とされる的確な地域差を捉えきれないではないかという問題意識は持っています。
また、厚生労働省からの提案に対応する必要がある地域差の対象ラインについて、導入して推し量ったとしてどう是正するかなど、具体的な事柄等について今回は触れられていませんので、まずは現状把握という観点でお示しいただく。その上で、具体的な税制の在り方や必要性については、別途丁寧な議論が必要ではないかと思っています。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小崎委員、お願いします。
○小崎委員 全国肢体不自由施設運営協議会の小崎です。まず、田中先生から大変分かりやすい御説明をいただいたことに感謝を申し上げます。
事前の説明でも実際の元データの分布に正規性があるかどうかということについて私も疑問があったのですが、ただ、今、先生のほうからいわゆる正規分布を前提とした議論をしても構わないのではないかというコメントをいただいたのは、私としては納得感があってよかったと思います。
それを踏まえて、今度は厚生労働省のほうに質問したいのですが、11ページのイメージ図が平均プラス標準偏差のみを示していますが、実はこれマイナス側も当然あって、実際に議論しなくてはいけないのはプラスとマイナスの両側ではないかと思うので、この図は若干ミスリーディングではないかなと思いましたので、その辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局に対してということです。
○乗越企画課長 企画課長でございます。御質問ありがとうございます。
11ページの資料につきまして、プラスの側のところにだけ線が引いてあるということでございました。我々といたしましては、今回御説明した資料におきましても、資料の6ページのところで基本的な考え方というところでまとめさせていただいておりますけれども、委員の御指摘のようなマイナスのところ、利用者の割合が小さく、また、サービスの提供体制がニーズに合っていない可能性があるような地域につきましては、引き続きサービス提供体制の整備を図っていく必要があるというような認識でございます。
一方で、今回の資料でお示ししておりますところにつきましては、これまで見てきたとおり、必要な見込みを上回ってサービスの提供量が増加し続けている地域についてどのように考えるか、こういった地域差についての対応の必要性を検討していく必要があるのではないのかといった前提におきまして、こちらのプラスのほうの地域差の対応を考えるということで、今回の検討におきましては、こちらの地域差がプラスの面で大きいほうに着目するという意味で、こちらの資料を用意させていただいているということです。マイナスの側を考えないということで用意をしているということではないということでございます。
○小崎委員 ありがとうございます。
これは先ほどの小阪委員の御指摘とも多分重なると思うのですけれども、結局プラスの側とマイナスの側で、恐らく地域差の意味合いが違うということは共通認識を持つ必要があるのではないかなと思っておりますので、その点をよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今の乗越課長の答えは、低いほうは今回はとりあえず上げなかったけれども、この一連の議論において取り上げないという意味ではないということでいいのですか。
○乗越企画課長 今回の議論は基本指針、計画についての議論におきまして、こうしたサービスの供給が追いついていない地域への対応については、この指針の中でもこれまでも対応してきているところですけれども、引き続きサービス提供体制の整備を図っていくという点において重要な課題であるということで認識をしております。
○小崎委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 日本精神科病院協会の櫻木です。田中先生、丁寧に御説明いただいてありがとうございました。
私は医学部の統計学に落第したものですから、なかなかこの辺のことは分からなくて、本当に基本的な質問になると思います。9ページの地域差を見るための指標について、人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数の割合が適当だということですけれども、例えば高齢化が進んでいる地域だとかを考える、あるいは若者が仕事でどんどん都会に出ていってしまうということで偏っているそれぞれのところも修正をした上で割合を出すという意味合いで取ってよろしいでしょうか。
○菊池部会長 田中先生、お願いします。
○田中参考人 分子のほう、簡単に言うと、Aというサービスを使っている利用率と、それに掛ける人口があって、それで町の中で使っている利用者数が出てくると思うのです。ただ、利用率のほうは自治体によって、まさに使っているということについて把握するものですから、その自治体の生の数字を使うと思うのですけれども、一方で、人口の分布というのは自治体によって違いますので、そこを全国平均に入れるとすると、自治体の利用者の利用率の状態はそのままで、人口構造だけを全国平均のものに変えていくと、人口の影響を除去したものができるというものです。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○櫻木委員 にわかには分かりませんけれども、勉強させていただきます。
○田中参考人 私自身も実際にデータを触っていれば、もう少しうまく説明できると思います。定かでない部分もあるのですけれども、そのように私は認識しております。
○櫻木委員 ありがとうございます。
あと、多分事務局のほうに聞いたほうがいい質問になるかと思うのですけれども、今回1ページのところで、実効性のある計画を作成するために障害福祉サービスデータベースを活用すると書いてありますけれども、具体的に言うと、障害福祉サービスのデータベースというのはどういうものがあるのでしょうか。例えば医療などだとナショナルデータベース、いわゆるレセプトデータを活用することがあるみたいですけれども、それはどういうものがあるのでしょうか。障害支援区分に関する資料は使われているのでしょうか。あれは主治医の意見書も入っていますし、それから、訪問調査でかなり精密というか、細かくいろいろなことを調査しているので、その辺が使われているかどうか。ただ、訓練等給付の場合には障害支援区分を使わないということなので、そういう意味ではデータとして偏るというか、落っこちていると思います。
それから、1次判定と2次判定のいわゆる訂正というか、それがかなり大きいです。その大きいのが、なおかつ3障害とか、あるいは難病の間で差がある。それから、実態の間でも差があるということで、そういった意味では、データとしてはかなり使いづらいデータかもしれませんけれども、この機会に障害支援区分をどのように活用していくかということが必要なのではないでしょうか。
もう1点、小阪さん、あるいは小崎さんもおっしゃいましたけれども、結局サービスを供給する側の部分、それから、必要としてサービスを受ける側の部分というのはきちんと峻別していかないと、基本的な考え方のところにも一部触れられていますけれども、量的な拡大を必要とする部分と質の担保、本当に必要とした人に必要としたサービスが供給されているかどうか、この辺の調査というか、確認というか、それをどのようにしていくのかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 事務局からお願いします。
○乗越企画課長 まず、障害福祉のデータベースについて、どのような情報が入っているかというお尋ねであったかと思います。障害福祉サービスのデータベースにおきましては、基となるデータといたしまして事業所の台帳の情報ですとか、受給者の台帳の情報、これは自治体が保有をしておるものです。また、給付費についての明細のデータ、支援区分の認定のデータなどについても、このデータベースの中に保有をされております。つまり、事業者の情報ですとか、利用者の情報、どういったサービスを受給しているのか、また、支援区分の情報についてもデータベースの中に含まれているところでございます。これらを国のほうで解析して必要な情報を自治体のほうに提供しているという現状でございます。
それから、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、サービスの供給を受けている側の区分をしています。量的拡大の対応についても検討する必要があるという点につきましては、我々も御指摘のとおりであると考えております。これらにつきましては引き続き国としての対応、支援も考えていく必要がある点でございます。
また、地域の実情によってそれぞれ状況が異なりますので、地域の計画を策定するに当たりまして、地域のニーズを踏まえて、どういったサービスが必要とされていて、どういった供給が足りていないのか、こういったことを計画の策定に当たって、各自治体におきまして十分に検討いただいて整備計画を策定していただいて、それを推進していただく。それに必要な国としての支援、対応を行っていく。基本的な大きな方針としてはそのようなことであると考えております。
また、そうした対応につきまして、この部会での議論を踏まえて国としての対応を考えていきたいというところでございます。
以上でございます。
○櫻木委員 これは多分資料2の中でまた触れられると思いますけれども、サービスの給付のあれを考えるときに、今まではそれぞれのサービスのいわゆる収益の差みたいなものは資料として我々に見せていただいているのですけれども、今おっしゃったようなサービスのデータベースについて国としていろいろ解析をされた部分というのは、多分見ていないような気がするのですけれども、これからの議論のときにそういうのを示していただければと思います。
それから、障害支援区分も使っているということですけれども、障害支援区分を考える上でいろいろな問題点が出ると思うので、そこの部分もまた議論の場をつくっていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見・御要望ということで承らせていただきます。
それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。田中先生、丁寧な御説明をどうもありがとうございました。
サービス量に関する地域差の基準点とか、対応する必要がある地域差の対象ラインについては御説明で、私はただの母親ですので、完全にとは思いませんが理解することができました。もし、可能であれば、全国平均と並んで、例えば都道府県別といった地域特性を踏まえた比較が今後できるといいのかなと感じているところです。
また、この後のことになると思いますけれども、都市部と地方部における地域差については、社会保障審議会の介護保険部会において地域別の考え方が示されたところでありまして、大都市、一般市、中山間人口減少地域の3類型に分別し、中山間人口減少地域に関しては報酬の月払い化も提案されたようですので、こういった方向感で障害のほうも国の制度設計を検討いただければと思いました。
事業所指定のことも今言ってよろしいのでしょうか。今日、就労系のサービスのガイドラインも示していただいたところであります。前回も申し上げましたけれども、書類がきちんとそろっているとなかなか却下できないこともあると思うのですけれども、事業所指定の最初の有効期間を3年程度として、市町村の意見を聞くことができるようになりましたので、3年後に市町村の意見を聞いて総合的に更新の可否を判断していただけるような仕組みを御検討いただければと思っています。
あと、グループホームに関しましては、毎回申し上げて申し訳ないのですけれども、総量規制に関しては、本当に重度の人たちを受け入れてくれるグループホームが各地域にどこに行っても会員の皆さんから要望が出ておりますので、障害支援区分の重い人がグループホームを利用できなくなることのないように御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、清水委員、お願いします。
○清水委員 国立障害者リハビリテーションセンター病院の清水です。御説明ありがとうございました。
意見といいますか確認になるのかも分からないのですけれども、この地域差を考えていく場合に一つ気になっているのが、私は眼科医ですので視覚障害の方によくお会いしますし、盲聾の方とか、そういう数の少ない障害者に対してどのようなアプローチを御検討していただけるのか、するおつもりがあるのか、その辺りを確認できたらと思っております。
○菊池部会長 事務局への質問ということでよろしいですか。
○乗越企画課長 今、視覚障害など、特定の分野への対応につきましては、これからの議論も踏まえまして私どものほうでも対応策といったものも御提示をして、また御議論いただきたいと考えております。そうした中で、特定の分野への対応の必要性という御意見を今もいただいておりますけれども、そうした御意見も踏まえて、どういった対応が考えられるのかということを引き続き御議論いただき、また、我々も検討したいと考えております。
○清水委員 ありがとうございます。
数が少ない障害はどうしても漏れてしまいやすい傾向があるかと思いますので、常に意識をしていただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、冨岡委員、お願いします。
○冨岡委員 日本相談支援専門員協会の冨岡と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど御説明のありました地域差の是正に関する基本的な考え方については、私たちは賛成です。しかしながら、相談支援の立場から申し上げますと、一定のサービス量が確保されていなければ、利用希望者が福祉サービスを利用できない、あるいは選択肢が限られてしまうという事態が生じかねませんので、ニーズに応じた必要な量の確保ということについても重点的に御配慮いただきたいと考えております。
続いて、全国平均と比べて大きく乖離している自治体について、先ほど先生からも話がありましたけれども、様々な事情が入り組んでいて、ただ単に地域が大きいとか、小さいとか、そういうことだけでは考えきれないところがあるかと思います。ですので、一度、地域の実情に合わせて福祉計画が作成されていることを前提に、なぜその福祉計画の中で上回ってしまうのかということ、その要因を調べた上で、ある意味で、また地域事業についても考えていく必要があると感じております。
また、量ということを考えるときに、量を抑制することをどうしても思ってしまいがちですが、それを進めてしまう場合、丁寧に支援をしている事業所にも影響が起きてしまうことがないように、そこは十分な配慮が必要かと思いますので、そちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。
最後になりますが、先生がおっしゃっておられましたが、国は全国一律である程度の基準を設ける、それはとても大事なことだと思います。しかし、地域の実情に応じてその評価をどう行うのかということについては、市町村がしっかり意見を申し上げられるように、そして、その意見を交わした上で、その数を考えられるような、データだけではない、話し合いによる数をどうしていくのかという考え方・仕組みをどのように考えていくのかというのはこれからの課題かと思いますので、そちらのほうの検討についても、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。1点意見を申し上げます。
何人かの委員の御意見と重なる部分もあるのかもしれませんが、資料1の6ページ、赤い枠と網かけされている部分で、障害福祉サービスの地域差を是正し、供給が計画的かつ効率的に行われる方策として必要量の見込み方法を見直すとされています。この中で、サービス利用に関する地域差を見るための指標については、11ページにあるように利用実績の全国平均プラス標準偏差で判断されようとしていると理解しています。
しかしながら、もし、必要量の見込み方法を見直すのであれば、実績ベースではなく計画の目標値と、それに対する実績との差を基準とすべきではないでしょうか。計画値と大きな乖離がなく、地域における必要な利用量を確保している場合、全国平均と比較して多い実績があったとしても、それはその市町村にとって必要な利用量であり、問題はないと考えられます。利用実績のみを基準とすると、必要量の見込み方法を見直すという趣旨から離れてしまうのではないかと懸念しております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
藤井委員、お願いします。
○藤井委員 国立精神神経医療研究センターの藤井です。私は冨岡委員とほとんど同じような御意見になってしまうのですけれども、田中先生の御説明は非常に分かりやすく、ありがとうございました。御説明を伺いまして、対応する必要がある地域差の基本的な考え方については、非常に納得感を持つことができました。
基本的にはこの考え方で賛成ですけれども、先ほど冨岡委員やほかの委員もおっしゃっていましたが、その自治体でなければ分からないような特殊事情は多々あるかと思いますので、この考え方を適用した場合、その自治体で障害福祉計画等を立てる際に何か不具合・不都合があるのかどうか、この考え方で問題ないかどうかという辺りは、実際にこの指標なり考え方を適用する前には、一定程度は自治体側の意見を伺っておく必要があるのではないかと思いました。
その上で、今後、このような考え方を適用した上で、実際に自治体の中でその考え方を適用してどのような課題が生じたかといったことについては継続的に確認した上で、この考え方についてもこれで確定するのではなく、場合によっては見直していくというようなことを織り込んだ上で、この考え方で一旦は進めていくというのでよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、吉泉委員、お願いします。
○吉泉委員 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。まず、私は一番気になっている点を申し上げます。
11ページの対応する必要がある地域差の対象ラインについてというところで、地域差が大きいことへの対象ラインについて、平均値プラス標準偏差が適当であると考えられるという件についてです。これについては4つ疑問な点がありまして、にわかには賛同しかねるというのが率直なところです。
疑問の一つは、社会調査では平均値±2標準偏差、2SD、この範囲に含まれない5%に注目して有意性を検証するのが一般的だと思います。それに対して、2SDだと対象が極端に少なくなってしまうのではないかというようなことですとか、1SDを採用した前例があるということで、そういった理由で平均値+1SDにすることが妥当なのかどうか、これは可能でしたら田中先生に統計の知見から御意見を伺えればと思います。
2つ目の疑問は、平均値+SDからはみ出す自治体が、この資料によりますと329自治体となっています。全国に1,700強の自治体がありますので、329というのは約19%、2割に近いことになります。いわば5つの自治体があれば1つの割合で地域差が大きいほうとして認定されることになりますけれども、ここに何らかの抑制策を取るということになりますと、どうなのだろうというのが懸念材料です。
視覚障害者の立場からしますと、都市部であってもなかなか対応してもらえる事業所が少ないという現状がありますので、そこに総量規制のようなことがかけられてしまった場合にどうなるかが心配です。
3つ目の疑問は、視覚障害者の立場からすると、サービスを受けられずに困っている地域の話というのはよく聞くのです。その観点からしますと、先ほどほかの委員からも発言がありましたけれども、平均値+SDだけではなくて、平均値-SDのほうにも着目したいというのがこちらの立場です。平均値と標準偏差だけではなくて、できれば最小値、中央値、最大値を含む四分位点の情報を示していただきたい。これは意見として申しておきたいと思います。特に私の場合、グラフが見えませんので、こういったものを数字で示していただくことによって、例えば正規分布から今回取り上げているデータがどのぐらい乖離しているのかというのを知りたいと思います。それが分かった上で、そのラインを考えたいというのが希望です。
4つ目の疑問は、16、17ページ、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係が認められないということが資料にありました。それから、次の18ページで事業所数と利用者数の間にかなり強い正の相関関係が認められることが示されています。これ自体、興味深い結果ではあるのですが、ただし、ここから地域差の実態・実像が見えてくるかというと、そうではないと思うのです。そういう中で、単に利用者割合の全国平均と標準偏差を手がかりにして地域差、特に地域差が大きいほうを検証することが果たして妥当なのかどうか、率直に言って妥当ではないと考えております。
以上がラインの考え方についての質問と意見です。
それと、細かいことになるのですが2つあります。
一つは、先ほどのやり取りでもありましたけれども、市町村の利用者割合を算出するときに、全国の年齢分布に合わせて調整するということをやられています。これが本当に妥当なのかどうかという疑問を持っています。年齢分布以外、例えば一人暮らし世帯が多いと、その利用者数が増えるのではないかとか、あるいは事業所へのアクセスのよしあし、地理的なものとか、交通機関の影響、それから、実際に事業所があったとしても、そこで自分が必要とするサービスを受けられないのではないかということで諦めてしまうケースもあると思います。これは視覚障害者の間では時々聞く話ですので、そういった中で年齢分布に合わせて調整する、実態から乖離する形で比較することが本当に妥当なのかどうかと思っています。
これについては先ほど事務局から御説明がありましたので、改めて御説明していただく必要はないですが、利用者数そのものを見たほうがいいのではないかというのが意見です。
もう一つ、これは単純な確認ですけれども、事業所数と利用者数の相関を見る場合に平均という言葉が出てきているのですが、これが私にはよく分からないです。それぞれの自治体の事業所数と利用者数の相関を見るのであれば、別に平均を取る必要はないと思うのですが、ここで平均と言ってらっしゃるのは、例えば何か複数の自治体をまとめた障害福祉圏域みたいなものを想定して、その平均を取って相関を見たのかどうかという辺りは事務局に御確認したいと思います。
長くなりましたけれども、最後にサービスの質の確保に係る取組のところです。指定事務に係る運用の実態把握と適正化のための研究とガイドライン作成というのは、ぜひやっていただきたいのですけれども、その際に障害種別への対応をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。地域に事業所があったとしても視覚障害者支援のノウハウがないために通所を断られたり、受け入れてもらったとしても施設内で孤立するケースというのは聞きます。ですので、事業所指定の際は、地域の各障害種別の専門機関と連携する要因があるということです。また、問題の事案が発生したときに相談体制をちゃんと整えているというようなことをガイドラインにぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御質問、御意見、御要望がございました。
1点確認させていただきたいのですが、最初に4点挙げられた中で4点目、妥当ではないという御意見でした。その理由について私は聞き漏らしたかもしれないですけれども、どういった理由で妥当ではないか、もし、補足いただけるようであればお願いします。
○吉泉委員 妥当ではないと思った理由ですか。
○菊池部会長 私は聞き漏らしてしまったかもしれないのですが。
○吉泉委員 4点目、利用者割合と利用者の伸び率の間に相関関係がないということと、事業所数と利用者数の間には強い正の相関関係があるということですよね。この結果だけを見ても、地域差がどうなのかということは見えてこないというのが私の捉え方です。例えば事業所数と利用者数が強い相関関係があるということであれば、これを素直に取れば、障害者側のサービス利用の需要を満たすべく事業所数が増えているというのはある面で健全なことだと思うのです。実際に、現実の場面で需要が満たされるかどうかというのは、いろいろ斑模様にはなると思うのですが、この数字だけだと、ある意味で制度がちゃんと機能しているのではないかということになると思うので、ここから地域差があって、何を是正すべきなのかというのは、この結果から見えてこないということです。
○菊池部会長 ありがとうございます。長くなっていますので、ここで一旦切らせていただきます。
1点、田中先生に対する御質問、それから、事務局に対する確認がありました。
田中先生からお願いいたします。
○田中参考人 コメントをありがとうございました。
今いただいたコメントの中で有意水準5%が基本的によく使われるのではないかというところで御質問がありまして、確かに統計の有意差の検証のときには5%水準で分析することは非常に多くございます。そのような意味では確かにそれが一つ基準になるのも事実だと思います。
私のほうから今日お話をしてきたものは、繰り返しになってしまうのですけれども、基本的に幾つかのベンチマークはあるのだろう。それで統計に基づいて恣意的ではないものの基準はどうなるのかというところを考えていまして、そのときに統計をベースにしながら、基になるデータから特定の自治体とかを対象としないような形ですと、これも一つの見方になってくるかなといったところになります。
そういう意味で、統計学的に一般によく行われている検証と違うのではないかというところにつきましては、確かにそういう意見もあって、その幅のところについてはいろいろ議論があるのかなと今考えております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
引き続きまして、事務局からお願いします。
○乗越企画課長 御指摘・御質問をありがとうございます。
まず、標準偏差のマイナスのほうも着目していく必要があるのではないのかということで、さらなる別の視点での分析も示していただきたいというお話があったかと思います。これにつきましては、どのような形でお示しできるのかということを検討させていただきたいと思います。
引き続きまして、利用者数そのものについて見るべきではないのかというような御指摘もございましたので、これについても御意見として受け止めさせていただきます。
それから、資料の関係で。
○菊池部会長 最後の点の確認についてお願いします。
○乗越企画課長 最後の18ページの資料について、平均というものについての考え方ということでございました。こちらの平均については、利用者数ですとか、事業所数、これらの年度の平均ということで書いておるものなのですけれども、2024年度の平均というところで書いておるものでございますので、これにつきましては2024年度の各月のデータを足しまして、それを12で割っているということで、各月で見ますとそれぞれ上下動がありますけれども、各データについて月の平均を出すということで、各月を足して12で割る作業をしているということで、2024年度平均という形で記載をさせていただいておるところでございます。
○菊池部会長 吉泉委員、よろしいでしょうか。
○吉泉委員 平均のこと、とてもよく分かりました。あと、分布を知りたいと思いますので、先ほど申し上げましたけれども、平均値と標準偏差のほかに四分位点の情報をぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。事務局で検討していただくことにします。
それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野です。聞こえない立場から意見を申し上げたいと思います。
まず、聞こえない、聞こえにくい人だけではなく、そこに加えまして、盲聾者や、知的障害、発達障害、また、精神障害を併せ持つような聾重複の方がいらっしゃいます。また、強度行動障害の方も中にはいらっしゃいます。数的には非常に少ないと思いますが、データベースの中では恐らくそこは省かれている状況になっていると思います。そういう意味から私は意見を申し上げたいと考えております。
聞こえない人の場合は、地域間格差というのは障害福祉サービスだけではありません。つまり、手話言語での対応ができるか、きちんと情報が提供できているかも地域間格差が生じていると考えております。障害福祉サービスだけでなく意思疎通支援事業や日常生活用具の補助等に関しても地域間格差は全国において非常に多くあります。特に意思疎通支援事業に関しましては手話通訳に絡みます。聞こえない当事者に対し手話で対応できる人、その数によって障害福祉サービスの提供ができるかどうかに大きな格差が生じます。
意思疎通支援事業と、聞こえない、聞こえにくい人たちに対応できる人材の配置やその提供数にも関わりがありますし、福祉サービスのほうにも影響します。データを見える化してきちんと示してほしいです。しかし、そういうデータがありません。ざっくりしたデータだけで判断をされてしまうと、我々聞こえない立場から見ると、なかなか納得できない、咀嚼しきれない部分もあります。意思疎通支援事業、それから、手話で対応できているかどうかもきちんと盛り込んだ上での議論を深めてほしいというのが意見・要望でもあります。
ですので、対応できる人材や、事業所がどれぐらいあるのか数を示していただきたいです。それを示していただかないと、本当の意味で聞こえない人たちが使えているのかどうか、使いにくいのかどうかなど、また、相談支援事業所において対応があるのかないのか、そこに格差があれば、その地域にいる方たちにとってはサービスが受けられない、取り残されてしまうということが起きるわけです。そういうことがないように、格差を是正することが非常に必要になってきます。
それから、資料の21ページに指定事業所について掲載されております。ガイドラインが出ておりますが、こちらは当然必要なことだと思いますけれども、1点、意見を申し上げたいです。もし、聞こえない、聞こえにくい人たちがいらした場合、その対応ができるのかどうか、この評価も盛り込んでいただきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 御意見ありがとうございました。
それでは、オンラインで、今日は途中退席の御予定があり得るということで承っていますので、まず、山本委員からお願いいたします。
○山本委員 日本看護協会山本でございます。まず、資料1のサービス利用に関する地域差を見るための指標について意見を申し上げます。
18ページの事業所数と利用者数の相関関係を見ますと、正の相関関係が認められていることからも、各地の現在のサービスの利用者数は、現在の事業所数や各地での現在のサービス提供状況など、外的な要因にも左右されるものと考えております。にもかかわらず、9ページにおいて「サービス利用に関する地域差を見るための指標」を「人口の年齢階級の分布を全国平均並みと仮定した場合の利用者数割合」のみに絞ることに違和感がまだございます。
今回、御専門の先生に丁寧に御説明いただきありがとうございました。9ページの御説明でどのようなデータになっていくのか、まだ理解が十分ではないのですけれども、御説明の中にありました障害福祉者データベースのデータに限界があって検討しきれないということであれば、現在の障害福祉データベースありきで議論を進めること自体、検討が必要ではないかと考えます。今後どのようなデータを使うのか、あるいはどのようなデータの取り方をすべきなのかということを含めてしっかり検討する必要があり、このやり方を今後も継続することには大きな懸念を感じております。
続きまして、11ページにおいて今回はサービス利用が過多であるところについて議題に挙げておりますけれども、サービスが不足しているところへの対応についても引き続き重要な論点として議論を行っていく必要があると考えます。
3つ目ですけれども、21ページのガイドラインについてです。ガイドラインを示すことは重要と考えますので、ぜひ進めていただきたいと考えております。その一方で、可視化することがさらなる質の評価や改善につながると考えるため、アウトカム、あるいはポイントとなる把握事項の指標化・定量化による可視化の点も含めて御検討いただけたらと思います。
資料1については以上でございます。
資料2についても、今のうちにお話してしまってもよろしいですか。
○菊池部会長 基本的に報告事項なのですが、どうしてもということであればどうぞ。
○山本委員 ありがとうございます。
5~6ページについて、各サービスの1人当たり利用額と利用者数、事業所数の伸び率が示されておりますけれども、例えば施設入所支援ですとか、就労継続支援B型などのようにほかのサービスとは非常に異なる傾向の見られるサービスについては数値で示すだけではなく、なぜこのような状況になっているのか、問題や要因などの実態を把握し、対応策を検討する必要があるのではないかと考えております。今後、サービスの持続可能性の観点からも喫緊の課題であると考えるため、調査研究などの対応を含め、御検討いただけたらと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、伊豫委員、お願いします。
○伊豫委員 事務局に確認したいのですけれども、まず、資料1の3ポツ目で、人口に占める利用者数の割合や手帳所持者数に占める利用者の割合といった指標を見る必要があるということに関して、全てのサービス利用者を人口の場合は含んでいる、手帳の場合は一部のサービス利用者を含んでいない可能性があるということなのですが、この手帳所持者を見ることによって、サービス利用者の相関とか、サービス利用者とこの手帳保持者の間に相関はないのか、所持していても利用する人、しない人、所持していなくても利用する人、しない人がいるわけです。それが一定の分布であるとすれば、相関があっておかしくないはずなので、もし、それを調べていたら教えていただきたいということです。
それから、資料1の18ページで、こちらの利用者数と事業所数ですが、こちらのほうも手帳所持者数と事業所数に相関があるのかないのか。また、そこから大きく外れているような地域があれば、そこが何らかの課題を持っていることになるのではないかというような気がします。そういう前提で考えていくと、9ページの人口を年齢階層で補正していくというのでもいいのですが、そちらと手帳所持者などとの相関も最終的には出てくるのではないかと思います。ということで、利用者数と手帳保持者数の相関を基準にした場合の解析が何か行われているのであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料のお求めというような趣旨もおありかもしれませんが、事務局から今日の時点で答えられる部分があればお願いできますか。
○乗越企画課長 ありがとうございます。
手帳の所持者とその利用の相関ということでございますが、今の時点におきましては、そういった相関があるのかないのかということについては、事務局のほうでは分析をしておるものがないところでございます。手帳所持と事業所の関係といったようなことについても同じでございます。今回の資料でお示しをしておりますように、手帳所持については実際に精神障害などの方についての手帳がなくてもサービスを利用することができるということで、手帳の所持とサービスの利用に直結をしているということは言えないといった点を考慮いたしまして、各地域を公平に見るための指標といたしましては、現在の利用可能なデータを考えますと、手帳の所持者数より人口のほうがより適切な指標ではないかということで提案をさせていただいたということでございます。
○菊池部会長 伊豫委員、いかがでしょうか。
○伊豫委員 ありがとうございます。
もし、お時間があれば、そういったものも取っておいていただくと、かなり理解が進むという印象でしたので、お願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。御要望として承らせていただきます。伊豫委員はそのデータを取ることに意味があるのではないかという御趣旨かと思いますので、そこはまた事務局で検討していただければと思います。
叶委員、お願いします。
○叶委員 全国社会就労センター協議会の叶です。地域差については多くの意見が出されているので、私のほうからは就労支援の充実に取り組んでいる団体として、就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握について意見を申し上げます。
基本的には就労継続支援について様々な事業所が参入して、障害者の働く場としてはふさわしくない事業所の参入等、まさに今、就労支援の質が問われていると思っております。そのような状況の中で、適切な事業運営に向けて新規指定の在り方や運営状況をきちんと把握することは極めて重要であると考えますし、そのためにガイドラインを作成して就労支援の質の向上を目指すことについては全く異論ありません。
その上で、参考資料2のガイドラインのチェック項目として幾つか意見を述べたいと思います。
一つは、就労継続支援事業B型の開所時間や利用時間についてですが、本人の意向や障害の特性ではなく、事業所の都合によって極端に短時間にしていたり、あるいは利用時間を短くしているところについては、きちんとガイドラインの中でチェックをしていく必要があると考えています。
2つ目は、ガイドラインの中には、新規指定の際に専門家会議による審査が示されていますけれども、協議会等を構成する団体や地域の模範となる事業所が入ることは有効かと思っております。さらに専門家である中小企業診断士や社会保険労務士や税理士等、複数の専門家によりチェックをすることも効果的であるとは思います。その際に、各専門家については就労支援事業等への知識があって第三者的な立場で関われる人を人選することが重要であると考えております。また、それぞれの専門家の見地から、何をチェックするのかという具体的な役割を示すことも重要であると考えております。
3つ目、職員配置についてですけれども、収益を上げるために常勤の週の労働時間を極端に短くしたり、非常勤職員として雇用したりして人件費を削減することによって処遇の低下につながることがないよう、これもガイドラインの中できちんとチェックすることも重要だと思っています。
最後に、資料2で示されている就労継続支援B型の総費用額の伸び率が20.1%という非常に高い数値が示されています。これは不適切な運営を行っている事業所の増加にも関連する事項であると思うので、新規指定の在り方や運営指導等の充実によって、前述した不適切な運営を行っているところを改善していくことによって対応していくことが重要であると考えます。1人当たりのB型の事業所の報酬単価は、就労移行やA型と比べても決して高い報酬とはなっておらず、この伸び率だけで判断することがないよう対応していくことが重要であると考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料1以下に関してということでお願いできればと思います。
野澤委員、お願いします。
○野澤委員 意見を2点申したいと思います。
一つは、地域格差の是正という問題提起の意義は分かっているつもりですけれども、端的に言って、あるサービスが多すぎる地域と足りない地域があるとして、多すぎる地域のサービスを参入規制する、これは自治体ができると思うのです。ところが、足りない地域のサービスを増やしていくのはなかなか難しいと思うのです。自治体が直営で何か事業をやるような時代ではないので、民間のサービスを自治体でどうやって増やしていけるのかと考えると、下手をすると、全国展開の得意なフランチャイズ制などによる収益目的のビジネスが跋扈してしまうのではないかと思っているのです。足りないところをどうやって増やしていくのかというのは、もっときちんと考えないと失敗に終わってしまうのではないかという気がしてならないです。
もう一つ言いたいのは、現時点ですごく多いところと足りないところがあるという比較です。ところが、ニーズは時代とともに変わってくるので、女性の社会参加・進出が増えていって、あるいは重度の障害者が増えていったり、家族の機能が弱くなっていったりすると、もっと福祉サービスが必要になると思います。現時点で全国の平均より多いところでも、将来的には全然足りないのかもしれないです。少ないところは全然話にならないぐらい少ないのかもしれないです。
何を言いたいかというと、先ほど丹羽委員がおっしゃっていたと思うのですけれども、実績ベースで物事を考えると限界があると思っていて、丁寧な計画を一つのベースにしないと、将来的に時間軸で見たときの正確な事業数の是正につながっていかないのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口です。御説明ありがとうございました。
既に御説明いただいたこととも重なりますが、地域差の是正は必要であると考えています。でも、一律に是正すべきではないということも同時に思います。人口減少地域だけではなくて急速な人口増加地域もありますので、その時間軸といいますか、いつまでにどのぐらい必要かという評価も必要かと思います。
次に、グループホームの総量規制についての議論の中でも申し上げましたが、最大の課題は事業所指定の在り方ではないかと考えています。指定就労継続支援事業所の新規指定等に関するガイドラインが示されていますが、指定権者である都道府県は障害福祉サービスの指定を受けたい事業所がある際には、開設予定の市町村の障害福祉計画の進捗状況を確認することを必須とするべきです。
また、サービスの実績や経験のない事業者からの事業指定の申請も増えており、指定を受けた後、地域との連携を一切取らないで事業運営を行っている事業所もあります。障害福祉サービスにおいては地域との連携が不可欠であり、また、限りある財源の中で地域のニーズに合致し、かつ一定の質を担保された事業者に指定して行うべきと考えます。そのためには新規の事業指定を希望する事業者は、都道府県だけでなく市町村、または地域の自立支援協議会の就労部会などに説明を行うことを必須とし、その説明を受けた市町村が指定権者である都道府県に意見を出し、それを踏まえて都道府県が指定の可否を判断する。このような丁寧な仕組みとすべきではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、三浦参考人お願いします。
○三浦参考人 三浦です。よろしくお願いします。
意見になりますけれども、障害者支援施設の在り方の議論のまとめの中でも目標とする地域移行の推進のネックになっているのは地域の居住資源やサービス提供体制の未充足ということになります。今日の議論を伺っておりますと、事業所を均てん化していこうということが目標としてあると思うのですが、全く足りないところがあって、施設からもなかなか出ていけないという実情がある中で、同じ計画の中で矛盾が生じないような内容の示し方にしていただきたいというのが一つです。
それから、医療的ケアを伴う方々など、最重度の機能障害者の地域生活支援には24時間のホームヘルプを行える事業所などが必要なのですけれども、極めて少ないので、その事業所があるところを求めて希望者の方は引っ越ししていかれます。そういう実態も地域にはあるということを踏まえた上での計画への落とし込みをお願いしたいと思います。
それから、20ページですが、共同生活援助における支援の質の確保のところで、ガイドラインが早く策定されて、それが厳格に運用されていくことを願います。障害福祉サービス等の情報開示は義務づけられたのですけれども、その項目を見ると、これは利用者にとって知りたい情報なのかというところに疑問があります。利用希望者にとってもう少し分かりやすいもの、例えば個人の居住スペースの広さであるとか、利用量であるとか、その辺りを明確に情報開示していくことも重要なのかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。1点、感想と意見です。
今回の途中で、私は基本指針の見直しというところで何が議論されているのかだんだん分からなくなってきていて、今日はきっと量的分析の話が、心理学の研究者でありながら統計とかが苦手で申し訳ございません。櫻木先生の話を聞きながらとてもうれしくなってしまったのですけれども、研究法とか統計分析の話になってくると、量的分析の中でも限界があるのだろうと思っていますので、そういう意味では、ここまでは量的分析でできることだということで整理しておく。でも、すごく大きな地域差が生じているところなどの話について、皆さんのお話を伺いながら質的な分析をしていかないと、とても現状把握には至らないのだろうなと思ってお話を伺っていました。
そういう意味では、質的な分析はすごく時間のかかることだろうと思いますけれども、例えば一番差のないところ、一番差の多いところ、中間点のところなどを取り出して、そこについてどのような状況なのかというインタビュー調査とかを行っていくみたいな形をしていくとか、そういう方法を取っておいて現状把握をしておく必要があるのではないかなということを考えていました。感想と意見です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 まず、11ページの就労継続支援事業所の新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインはすごく大事なことだと思いますし、併せて参考資料も見させていただきました。とても大事な検討だと思います。このように指定時、それから、運営状況を把握していくことはとても大事なことだと思います。
ただ、現在存在しているA型事業所については、資料2の6ページを見ると減ってきているし、利用者も減ってきているということで、昨年の報酬改定、さらには最低賃金の上昇などによって廃業せざるを得ないところも出てきているのかなと思います。さて、説明いただきましたこのガイドラインは新規だけの対応なのか、それとも運営状況について様々な示唆、現存するA型事業所への行政のそのような示唆とか指導とかあるものなのかということ、並びにこのガイドラインはいつ完成するのかということなども併せて教えていただきたいと思います。
次の質問ですけれども、10月から就労選択支援事業が地域で開始されるということをお聞きしています。10月の20日の時点ではありますけれども、この状況について把握されていることがあれば、お答えいただければと思います。まだ、これからの把握かもしれませんけれども、もし、お答えいただければよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御質問とおっしゃられたその前もお問い合わせがあったかと思います。それも併せてお願いします。
○大竹障害福祉課長 ガイドラインそのものは新規指定に対してでもございますし、指定後の指導監査の時点も対象とするものでございます。いつこれが完成するのかという話でございますけれども、本日いただいた御意見を踏まえて、今後自治体に対して発出していければと考えております。
また、御質問いただいた就労選択支援の状況につきましては、現時点で正確には把握しておりませんけれども、今後その運用状況などについては把握をしていければと考えてございます。
以上でございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 それでは、資料について意見を述べさせていただきます。
まず、我が国は2割の国土面積に8割の人口が居住している人口偏在の強い状況にあります。したがいまして、新たな地域医療構想や「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会においても人口100万人以上の大都市、人口10万~20万未満の人口過少地域、その他の一般都市部に分けて議論をしているところでございます。したがいまして、9ページの資料につきましても各地域の年齢階級別の人口構成の特性は必ず生かすべきであり、9ページの考え方については反対でございます。
また、障害福祉サービスの提供体制は医療・介護と比べても均てん化できておらず、コンサルタントの誘導などもあり、地域によってまだまだ不規則な提供体制となっております。現に供給が需要に影響することが多く、18ページの資料のグラフも矛盾しないものと考えております。
次に、標準偏差の活用が示されておりますが、標準偏差は正規分布に近い集団において平均値を用いてばらつきの指標となるものであり、先ほど吉泉委員もおっしゃっておられましたが、不規則分布であれば中央値や四分位偏差を活用するほうが望ましい場合も多々ございます。したがいまして、資料にございます地域の基準点を平均値とするかどうか検証の必要があり、現時点においては時期尚早と考えております。
現状の各自治体における利用者の分布がどうであるのか確認していく必要があると思います。その際、人口推計を踏まえた地域別やサービス類型別に丁寧に精緻に検討していく必要もございます。今回の資料の対応する必要がある地域差の対象ラインを平均プラス標準偏差、すなわち平均+1SDとしていることは大いに疑問であり、仮に正規分布と仮定すると、サービス利用の大きい16%の地域が該当することとなりますが、16%が対応する必要がある地域であるかどうかという根拠を示すデータは全くなく、対象ラインを平均+1SD、1標準偏差とすることについては反対であります。
医療・介護でもこのような手法は活用しておらず、各地域の需要推計を行い、自らの地域を最もよく分かっている地域の行政や関係者で議論して提供体制を検討しております。まずは各地域の足下の現状を把握することから始めるべきであり、内閣府においては医療のレセプト数、性・年齢を調整したスコアである標準化レセプト出現比、すなわちSCRと呼ばれるものですけれども、そういったSCRが詳細に示されておりまして、今後、介護のSCRも活用していこうという方向にもなっており、障害福祉分野においても、まずはSCRに着手すべきことを提案いたします。
さらに対応する地域の定義は何であるのか、提供過剰地域であるのか、あるいは必要以上に過剰なサービスを提供している問題のある事業所やサービス提供の質が低い事業所があるのであればピンポイントに対応していく必要もあると思います。何を対応するのか、何が問題なのか、明確にしていくべきと考えます。
サービス類型によっては、提供体制について市町村単位で検討したほうが望ましいもの、より広域の福祉圏域で検討したほうが望ましいものもあり、きめ細かい対応が必要であり、また、複数の構成員もおっしゃられておりましたが、サービス利用の少ない地域への対応も極めて重要であると考えております。
最後に、全体的に全国各地域を一律の提供体制にしていこうという考え方にも見えますが、人口偏在、人口減少速度や人材確保の状況、過疎地域においては近隣の自治体との連携の必要性など、様々な地域の実情が存在しており、地域の特性を踏まえた対応を最優先すべきであり、単に平均値と標準偏差を用いて全国一律に評価する手法は地域に支障をきたすことも想定され、最適な提供体制の構築にはなじまないものであり、活用すべきではなく、14ページの本日の提案には反対であると意見を申し上げます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。私からは2点ほど意見をさせていただきます。
まずは資料1の今日の本題ですけれども、サービスの均てん化、それから、地域差を是正していくという方向性について一定は理解しているつもりですし、今回のこの数字の出し方ということも一定は理解いたします。これを参考として示すことには賛成なのですけれども、今回をもってサービスの必要量の見込みを自治体に検討させていくというところまでは時期早々なのではないかと思います。
18ページにありますように、先ほど来の皆さんの意見にもありましたが、事業所数、利用者数の相関関係は認められるとありますけれども、事業者自身が運営の効率性からも人口の多いところで運営をしていこうという流れがあります。そういう中で、事業所はできるけれども、また、運営の合理化を図ってから自分たちのサービスの特徴を売りにということもあるのでしょう。あるいは一定の障害別、あるいは一定の障害層のみを対象としたサービスというのも都市部ではたくさん見受けられ、グループホームの話が委員の方からもありましたけれども、本来サービスを必要とされる方がサービスを受けられないようなミスリードにならないように配慮が必要なのではないかなと思います。
2点目が、就労継続支援事業所の新規指定に関するガイドラインですけれども、これはすごく賛成です。すぐにでも取り組んでいただきたいですし、加えて言うならば、これを自治体等に発出して、例えば1年後、2年後、その影響がどうなったのか、その辺りもしっかり調査をしていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これでお手をお挙げいただいた委員の皆様には御発言いただけたかと思います。よろしいでしょうか。
様々な観点から御意見を賜りまして、また、御要望などもございまして、それは事務局で御検討いただければと思います。7ページの整理が必要な事項という3点を巡っての御意見、あるいは評価も承りましたが、それを超えた地域差を巡る論点につき、かなり広い範囲でさらに御意見をいただいたかと思います。これらも含めて事務局のほうでどう整理するかということをお考えいただければと思います。
本日、田中先生にお忙しい中お越しいただきまして、御意見を賜ったわけですが、その後、いろいろ議論ございましたが、もし、最後に何かございましたらいただければと思います。
○田中参考人 本日はいろいろ議論いただきまして誠にありがとうございました。
途中でも地域ごとの複雑な事情があると、今回の指標ではそこは取りきれていない部分があるということを申し上げたつもりでありましたけれども、もう少しはっきり強調しておくべき点だったかなと思いました。分布の形状につきましてもいろいろな形があるということは途中でも少し述べましたけれども、そういったこともありますので、さらにエビデンスを重ねていくことの必要性は間違いないことだと思っておりますので、その点については非常に同感しているといったところでございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、資料1に関しては以上とさせていただきます。
予定の時間を過ぎてございますが、もう一つ、資料2に関して、報告事項ということでございますので、もう少しお時間を頂戴できればと存じます。
それでは、資料についての御説明お願いします。
○乗越企画課長 資料2についてでございます。こちらの資料につきましては、本日も参考資料3としてお示しをしておりますけれども、これまでも障害福祉サービス等の費用額や利用者数、それから、1人当たりの費用額などにつきましてお示しをしてきたところでございます。今回、それらの最近の状況についてまとめた資料を改めて報告をさせていただきたいということで用意をしたものでございます。
1ページは障害福祉サービス関係の政府の予算額についてでございます。こちらにつきましては19年間で約4倍に増加をしている状況ということで、令和7年度におきましては2兆円を超える規模となっておりまして、最近は約5%、6%の伸びという状況となっております。
2ページは障害福祉サービスの総費用額の動向になります。直近の5年間を見ますと持続的に伸びているという状況でございますが、特に令和5年度から6年度にかけて伸びが大きくなっておりまして12.1%の伸びとなっております。1か月の平均利用者数と1人当たりの費用額について分けてみたものが右側のグラフになります。1か月の平均利用者数については5年間でおおむね6%前後で伸びてきておるということ、一方で、1人当たり費用額につきましては、令和4年度までの伸びに比べて令和5年度から令和6年度の伸びが6%と大きくなっているという状況が見られます。
3ページ、先ほど申し上げました令和5年度と令和6年度の費用の伸び、この12.1%の伸びに着目した資料になります。先ほど申し上げましたように、政府の予算の伸びが対前年度比で5~6%の伸びであることに比べますと、それを大きく上回る費用の伸びとなっております。右側のほうが令和5年度から6年度の給付費の伸びの変化を1人当たり利用者の伸びと1人当たり総費用額の伸びとして図示をしたものになります。利用者の伸びについては5.8%の伸び、1人当たり総費用額の伸びにつきましては6%の伸びということで、この6%の伸びにつきましては令和6年の報酬改定の改定率1.12%を大きく上回っているという状況になっております。こうしたことを踏まえますと、制度の持続可能性の観点からの検討が必要であると認識をしております。
4ページは年間の総費用額につきましてサービスごとの状況を見たものでございます。こちらは全体に占める割合が1%以上のサービス類型について見たものになります。サービスごとの状況は様々でございますけれども、額の伸び幅で大きなものとしましては、就労継続支援のB型や放課後等デイサービス、共同生活援助などが額としては大きくなっております。それから、伸び率を見ますと、B型、施設入所支援、短期入所、放課後等デイサービス、こういったところが大きくなっているところでございます。
5~6ページにつきましては1人当たりの費用額の伸び率と利用者数の伸び率、また、事業者数の伸び率について、この関係を見たものになります。利用者数の伸び率の資料で言いますと、右側にあります就労継続支援のB型、また、児童発達支援、放課後等デイサービス、共同生活援助、こういったサービス類型につきましては費用の伸び率も高いですし、一方で、利用者の伸び率がほかのサービスに比べても非常に大きく伸びているということで、費用の増への影響について利用者数の伸び率などが影響しているところが見て取れるところでございます。
一方で、左側の上にあります施設入所支援などにつきましては、利用者数については伸び率がマイナスということで減少しておりますけれども、1人当たり費用が大きく伸びているところが見て取れるところでございます。
簡単ではございますが、最近の費用の状況につきまして皆様と共有をさせていただくという趣旨で資料を用意させていただき、また、説明をさせていただきました。
簡単ですが以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
以上でございますが、多分これについてもいろいろお聞きになりたい点がおありかと思うのですけれども、時間が10分経過している状況でございます。現状の報告ということでございますけれども、どうしてもこの点は今日聞かないと帰れないといったことがございましたら承りたいと思います。
小阪委員、お願いいたします。
○小阪委員 御配慮いただいてありがとうございます。
確認ということではなくて、今後の検討に当たってぜひとも一言申し添えたいと思いました。障害福祉サービス費が増大し続けることについては、確かに持続性の観点から議論の必要性はあると私も思います。
一方で、障害福祉サービスの増大、いわゆる負担増の観点ばかりではなく、障害福祉サービスの利用によって生活の質向上や経済的自立等につながった等、障害福祉サービスによってもたらされた波及的効果を同時並行で見ていかないと、削減の方向性ばかりに着眼点が偏ってしまって、障害福祉サービス等の費用の状況について、正確な議論がなし得ないのではないかという点を問題意識として皆さんと共有したいと思います。
障害福祉サービス等の費用の状況について削減や抑制の意図を持った議論を行うのであれば、今申し上げたような観点も含めて、厚生労働省には障害福祉サービス等にかかる費用と、その費用対効果等を合わせた両輪の資料を御提示いただくように工夫してくださると、国民にとってどういう在り方が望ましいかの議論をしやすくなると思いますし、分かりやすくなると思います。
以上になります。
○菊池部会長 建設的な御意見をありがとうございました。
ほかの委員からもうなずかれる御様子がございましたので、今御発言いただいた点も踏まえて今後御検討いただければと思います。
それでは、時間が参ってございますので、本日はここまでとさせていただきます。
田中先生、改めまして本当に今日はありがとうございました。
次回に向けまして事務局からお願いします。
○乗越企画課長 本日は、御多忙の中、御議論をいただきましてありがとうございました。
また、田中先生におかれましては本日御参加をいただきまして、御意見を頂戴いたしまして誠にありがとうございました。
次回の日程につきましては追って事務局から連絡をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
皆様、お忙しい中、どうもありがとうございました。

