第1回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成ワーキンググループ」議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和7年10月10日(金)15:00~17:00

場所

経済産業省別館2階218号会議室(東京都千代田区霞が関1-3-1)

議題

(1)「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成に係る論点等について
(2) その他

議事

議事内容
 ○加藤中央労働衛生専門官 定刻となりましたので、「第1回「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成ワーキンググループ」を開催いたします。本日は御多忙のところ、御参集いただき誠にありがとうございます。座長選出まで、議事進行を担当いたします事務局の加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 報道関係者の皆様にお願いがございます。カメラ撮りはここまでとしていただきますようお願いいたします。
 机上の構成員名簿の順に構成員の皆様を御紹介いたします。全国中小企業団体中央会常務理事の及川様、及川様は本日御欠席でございます。株式会社大木組名誉会長の大木様、日本労働組合総連合会労働法制局部長の金子様、東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座特任教授の川上様、JAMサトーラシ労働組合執行委員長の菊池様、日本商工会議所産業政策第二部担当部長の清田様、清田様はオンラインで御参加いただいております。続いて、一般社団法人新潟県労働衛生医学協会理事 業務部長の今藤様、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹の坂下様、坂下様は本日御欠席でございます。株式会社杉戸自動車代表取締役社長の泰楽様、泰楽様はオンラインで御参加いただいております。株式会社タニタハウジングウェア代表取締役社長の谷田様、谷田様は本日御欠席でございます。公益社団法人日本医師会常任理事の松岡様、近畿大学法学部教授/一般社団法人日本産業保健法学会副代表理事の三柴様、UAゼンセン政策サポートセンター部長の宮島様、独立行政法人労働者健康安全機構京都産業保健総合支援センター運営主幹の森口様、独立行政法人労働者健康安全機構神奈川産業保健総合支援センター所長の渡辺様。今回、オブザーバーで御参加いただいております労働者健康安全機構勤労者医療・産業保健部調査役の稲毛様。
 続きまして、本日の出欠状況でございますが、及川構成員、坂下構成員、谷田構成員が御欠席となります。清田構成員、泰楽構成員がオンラインでの御参加となります。
 次に、事務局を紹介いたします。佐々木労働衛生課長、富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長、藤井産業保健支援室長補佐です。
 続いて、資料の確認を行います。本日の資料は、議事次第に記載しております資料1~3となります。参考資料としまして、検討会開催要綱と現行の「ストレスチェック実施マニュアル」を机上配布しております。資料の不足等ございましたら事務局までお申し出ください。
 それでは、議事に入る前に座長の選出を行います。事務局といたしましては、検討会のほうでも座長をしていただいている川上構成員に、議論の継続の点からもお願いしたいと思っておりますが、皆様、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○加藤中央労働衛生専門官 ありがとうございます。それでは、以降の議事進行につきましては川上座長にお願いいたします。
○川上座長 ワーキンググループのほうも座長を賜りまして、大変重要な役目と思っておりますが、頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の「第1回「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成ワーキンググループ」を開催したいと思いますが、メンタルヘルス等に関する検討会と比べて、こちらでは実質的にどのような手順で、50人未満でストレスチェック制度が実施できるかというところ、知恵をたくさん出していただくことがかなり大事かと思っておりますので、是非、いろいろなお知恵を頂いて、実際に試行的に小規模事業場でストレスチェックができるような形にしたいと思っております。検討会のほうからも大変期待がかかっているところでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議事に入ります。「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成に係る論点等について、事務局から御説明をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 富賀見です。お手元の資料1について御説明をいたします。資料1の1ページを御覧ください。「小規模事業場マニュアルの基本的な考え方」です。1つ目の○にありますとおり、ストレスチェックのマニュアル、これは現行もございます。ただし現行のマニュアルは50人以上の事業場の実施体制、産業医が選任されている衛生委員会がある、産業保健スタッフやしっかりした人事労務もあるといった前提で書かれており、分量も200ページにわたるものとなっております。
 2つ目の○にあるものを今回この場で50人未満の事業場に即した現実的で実効性のある実施体制や実施方法について検討を行っていくことになるわけですが、考え方としては、基本的に基となる法令や指針に変わりはございませんので、基本的には、この現行のマニュアルがベースとなります。ただ、下の図を見ていただきますと、現行のマニュアルは各項目で左の青の図のように、上から法令、指針、その解説というように法令から読み下していくような構成となっており、少し難解な構成となっております。
 検討会でも、構成員の方からも分かりやすさの点で御指摘も頂いておりますので、この小規模事業場マニュアルについては、まず、右側の赤のところにありますイメージで、具体的な実施事項(TO DO)を読みやすく簡潔に示していく。留意事項として、この50人未満の事業場で特に留意すべき点、50人未満の事業場独自の留意点、そういったものを中心に記載する。現行マニュアルは巻末に規定例、様式例が大量についておりますが、これも必要なものを本文の中でシンプルに示していくというように、分かりやすさ、シンプルさを意識して進めていければと思っております。
 見開きの2ページです。ここから本ワーキンググループに対する検討会からの申し送り事項ということで説明させていただきます。この2ページは目次のようなイメージで御理解いただくとよろしいかと思います。上半分は、このストレスチェック制度の実施の流れになっており、1~5は、正に実施の流れに沿った各手続のイメージで、6~9は、横断的な留意事項となっております。その中で、特に今回、マニュアル作成において留意すべき点ということで、論点として下の1~7を挙げており、検討会でも議論を行いました。次の3、4ページ、見開きで構成しておりますが、3ページ以降、論点ごとに上下見開きになっており、上半分は8月に行われました検討会の資料、下半分はそれぞれの論点に対して、この検討会で出された主な意見、その一番下にその対応案という構成で、以降、見ていただければと思います。
 では、3ページ、「【論点1】関係労働者の意見を聴く機会の活用」です。マニュアル作成に向けた検討事項ということで、検討会で検討事項として、衛生委員会の設置義務や産業医の選任義務のない労働者数50人未満の事業場においても、労働者が安心してストレスチェックを受検できるよう、予め労働者の意見を聴くことが重要となるという前提です。その上で、この50人未満の事業場にも、この労働安全衛生規則第23条の2に基づく関係労働者の意見の聴く機会がありますので、これを活用することも考えられますが、どのような方法があるかという論点です。
 4ページは検討会においての主な意見です。労働安全衛生規則第23条の2の現場での運用実態というのはどうなっているのかというのが、専らの御意見として頂戴いたしました。ここで、お手元の資料3を御覧いただきたいのですが、これが労働安全衛生規則第23条の2の関係労働者に意見を聴く機会の現状について、1ページ、これは現場の労働局、監督署に我々のほうからヒアリングを行った結果です。事業場における例として、以下のような活用例がみられたということで、活用例等のところを御覧いただきますと、上から、例えば、定例の業務ミーティングの場を活用して同業種の災害事例等について共有する場を設け労働者からの意見を聴いている。朝礼などの打合せの場等、いろいろな事業場があります。こういった環境・消防・交通安全などの他の委員会、運送業ですと毎月の運行管理関係の安全会議といった、様々な開催と併せる形で、安全衛生関係のコミュニケーションの機会を設けている。そういった事例が、我々の現場が、立ち入って事業場を拝見するときにありましたという報告を得ております。
 先ほどの資料1に戻り、御意見としては、50人未満の事業場においてコミュニケーションの方法はこのように非常に多様である。懇談会やミーティングなど、いろいろな場で意見聴取を行うことも可能にするとか、分かりやすさ、取り組みやすさを重視した多様な手段を用意すべきといったような御意見を頂いております。一番下に、こういった御意見を踏まえた対応案として、一般的なことですが、1つ目の○は、この労働安全衛生規則第23条の2に基づく関係労働者の意見を聴く機会等を活用して、それぞれの事業場の実情に応じて、できるだけ様々な現場や立場の労働者の方の意見を聴くこととしてはどうか。2つ目、実施方法については、必ずしも会議体の形をとる必要はなく、労働者が参加する何らかの場で意見交換を行うことや、事業場内に周知して労働者に意見を募る形を取る等、様々な方法があり得るのではないかとしております。
 5ページ、「【論点2】事業者の関わり方及び外部委託先の適切な選定」です。検討事項としては、このストレスチェックの実施を外部委託する場合であっても、事業者として主体的に取り組んでいくための実施体制、実施方法についてどのように考えるか。また、少し視点が変わり、事業者が外部委託先を適切に選定できるようにするためには、この外部機関のストレスチェック実施体制、個人情報の保護体制、費用面、開示情報等の外部機関が備えるべき水準をどう考えるか。また、これらの水準を事業者が把握しやすくするためにはどうすればよいかというものでした。
 見開き6ページは、検討会においていただいた主な意見です。全体的に現行のチェックリストは余り活用されていない、形骸化しているというのが専らの御意見でした。下にありますように、さらに国で登録制や認定制、事前審査にしていけばどうかといった御意見まで頂いておりますが、こういった仕組みの検討については、後ほど御説明いたしますが、今後の検討課題とさせていただこうとは思っております。こういった意見を踏まえた対応案として3つ挙げております。事業者の責任において実施、ストレスチェックを実施するものですから、委託先も含めて実施体制の在り方を具体的にどのように示していくか。外部機関のチェックリストですが、実施体制や費用、情報管理に関する項目を検討すべきではないかということです。ちなみに、現行のチェックリストは費用に関する事項は入っておりません。オプションの有無、別途料金になっていないか等、実効性をもって確認できる仕組みを示していく必要があるのではないかという論点です。最後、外部委託せずに、あえて自社内で実施する場合には特に留意が必要となる点があると思いますが、これを具体的に記載することとしてはどうかとしております。
 7ページ、「【論点3】調査票(項目数、調査形態等)」についてです。検討事項としては2つの観点があり、1つは調査票の項目数、57項目、23項目というところ。もう1つは調査形態、紙やWebという観点です。まず、項目数についてですが、現在、どのようにお示ししているかを御覧いただきたいと思います。9ページを御覧ください。これは現在お示ししている抜粋です。上がストレスチェックの指針ですが、指針では、57項目を用いることが望ましいと。下は現行のマニュアルですが、57項目が推奨されます。その簡略版の23項目も示しますと。そういった形で基本57項目を推奨していると、現状はそういったことになっております。
 8ページにお戻りいただき、検討会においての主な御意見は、これまでどおり、57項目を推奨していいのではないかといった御意見、集団分析や職場環境改善のことを踏まえると57項目を推奨していることを基本とすべき。一方で、この23項目は時間がかからず簡便に実施できる点ではメリットもあるのですが、やはり57項目と比べると内容的に不十分ではないか。時間がかからないといっても数分の違いしかないと。職場環境改善を目的とした場合には相当デメリットがあるのではないかといった御意見もあり、一応、両論あったところなので、引き続き、この場でも御意見を頂戴できればと思います。座長にも項目の検討会に御参加いただき、その御知見もございますので、必要なコメントを頂ければと存じます。もう1つの観点の調査形態の紙、Webの点です。検討会では御議論はそれほどなかったのですが、この後、このワーキングでも実施機関のヒアリングなどもございますので、そういったものを通じて事業場の状況に応じた選択の仕方をマニュアルでお示しできればと思っております。
 10ページ、「【論点4】面接指導」についてです。検討事項としては、1つ目は面接指導の対象者が安心して申出をすることができるように、プライバシー保護の観点を含めて、どのような環境整備が必要かといった点。2つ目は地産保等の活用も含めて、外部機関への依頼手続や情報提供の仕方など、適切に面接指導を実施するためにはどのようなことに留意する必要があるか。3つ目は面接指導以外の相談を選択する方に対して、こころの耳の活用等どのような対応が考えられるかといった点でした。
 11ページ、検討会における主な意見として、例えば、4つ目の○のように、事業者を巻き込んだ相談というところに申出のハードルがあると思われるという御意見もございました。一方、最後から2つ目の○のように、地産保に依頼しての面接指導の実施に関しては、この面接指導のフォロー体制、依頼手続、こういった中でのプライバシー保護、マニュアル化することが必要ではないかといった御意見、こういったいろいろな御意見がございました。こういった御意見を踏まえた対応案として、まず1つ目が、安心して申出をしやすくするための環境整備についてです。面接指導の申出先を、直接事業者にではなく委託先を経由して行うことなど考えられれば、具体的なそういった方法も記載していけばどうかといった点。2つ目は地産保等への面接指導の依頼手続において、求められる情報の種類や内容、また、それらの情報の取扱い、提供方法や情報の保管等について、しっかりマニュアルに記載することとしてはどうか。最後は、面接指導以外の相談先として、こころの耳等の活用につなげていけばどうかとしております。
 12ページ、「【論点5】集団分析・職場環境改善の対応」です。検討事項としては、集団分析については、労働者のプライバシー保護の観点から、個人が特定されない形での集団分析の実施について、実際、50人未満の事業場においては、具体的にどのような実施方法が考えられるか。このページの下に2つある※の下の※を御覧ください。これは指針の書きぶりですが、集計単位が10人を下回る場合には、全ての労働者の同意を得ない限り集団分析をしてはいけないということ。基本、やらないでいただきたいというニュアンスだと思いますが、そのように示しております。再度お戻りいただき、もう一方の職場環境改善についてですが、これはこの小規模事業場の事業場の規模等も踏まえ、50人未満ではどのような方法が考えられるかといった点を検討事項としておりました。
 13ページは検討会での意見です。特に小規模の場合、プライバシー保護の徹底の必要性がある、会社や事業場全体を集団単位として集計する方法が考えられるといった御意見等もありました。また、職場環境改善では、例えば、取組の典型例をマニュアルで提示していけばどうかといった御意見もございました。御意見も踏まえた対応案としては、集団分析のほうでは、小規模事業場においても集団分析を行うことは望ましいとしつつ、ただ、事業場規模や集計・分析の単位が10人未満の場合には、プライバシー保護の観点から、原則として集団分析結果の提供を受けてはいけないといったことを明記していけばどうかということ。もう一方の職場環境改善については、事業場において実施の参考となるような取組例、典型例というものを記載していけばどうかとしております。
 この取組例の関連で別の資料を御覧いただきたいのですが、本日の資料2の取組事例についてです。1ページは厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」に掲載されているストレスチェックの取組事例といったことで、この検討会でもこういったものは議論の参考にもなりますし、示していけばどうかといった御提案もありましたので、我々で50人未満の事業場、ないしは比較的小規模の事業場のストレスチェックの事例を抜き出しておりますので参考にしていただければと思います。先ほどの職場環境改善は、2ページの下のところに3つほど事例がございました。これは50人未満ではありませんが、こういった小規模の中小事業場で取り組まれている実例がございます。これに限らずですが、マニュアルでも参考になるようなものを例示していけばどうかというものです。
 また資料1にお戻りいただき、14ページ、「【論点6】労働者のプライバシー保護」です。これは横断的な課題になりますが、検討事項として、1つ目は50人未満の事業場でのストレスチェック実施の各段階において、労働者のプライバシー保護の観点からどういった対応が適切か。2つ目は、先ほどもありましたが、あえて自社内でストレスチェックを実施しようとする場合に、プライバシー保護は本当に大丈夫かという点です。特に留意すべき点についてどう考えるかという点。最後は不利益取扱の禁止、どのように明示していくかという、こういった点を挙げておりました。
 見開き15ページ、検討会において、この点は特に議論は多くありませんでしたが、やはりプライバシー保護は最も重要な点であるという御意見もあり、対応案としては、個人のストレスチェック結果の生データについて、本来、これを事業者が提供を受ける必要があるというのは非常に限定的であると考えられます。実は、この現行の50人以上向けのマニュアルでは、この面接指導の申出の際には、この事業者に基本的にストレスチェック結果を提出させるといいでしょうみたいな言い方もあるのですが、50人未満の場合、このマニュアルは可能な限りプライバシー保護の観点を考えると、事業者を経由せず、例えば、外部の実施者から直接提供する、また、本人が直接持参するといった考えられることを示していけばどうかという点を書いております。そのほか、2つ目は外部委託せずに自社で実施する場合、社内で要配慮個人情報を取り扱うことになりますので、それができるだけの体制、極めて慎重な運用が求められるといったことを警告的に具体的に記載していくこととしてはどうかということ。最後は、この事業者は個人のストレスチェック結果について、当該情報を保有している外部機関の実施者などに提供を強要する、不正に入手するなど、あってはならないことですが、こういったことも改めて分かりやすく明示するといったことを書いております。
 最後は16ページ、「【論点7】10人未満等の特に小規模な事業場におけるストレスチェック制度の実施」についてです。検討事項としては、プライバシー保護の観点、実施体制の実態も踏まえて、現状に即した取組可能な実施内容、10人未満の事業場でも実施取組可能な実施内容についてどのように考えるか。何か工夫して書けることがあるかという点でした。これも余り多く意見を頂いてはいないのですが、この中で、例えば、10人未満などの特に小規模な事業場については、地域の商工会や協同組合など、業界団体に所属している場合、また、工業団地や商店街など、地域的にまとまっているような場合などもあるので、ストレスチェックの実施や集団分析などを共同で行うことなども考えられるのではないかといった御意見もございましたので、対応案はそこを拾わせていただき、そういったことも記載していくこととしてはどうかと書いております。
 もともと特別に論点として用意していた御意見はこのような感じですが、18ページはマニュアル全体に対する御意見の形で頂いたものです。ストレスチェックへの理解を深めるための内容をマニュアルの冒頭で提示すればどうかとか、可能な限りシンプルな制度設計にすべきといった御意見を頂戴しておりますので、こういったものを全体に努めて反映していきたいと思っております。
 最後の19、20ページは、マニュアルの範囲にとどまらないストレスチェック制度全体に係る御意見として頂いている内容になっております。例えば、19ページの下にありますのは、先ほども御紹介しましたが、そもそもこの外部機関を国で登録制、認定制、事前審査制など、そういった仕組みを検討すればどうかといった御意見とか、20ページは、ストレスチェックの対象者の範囲を見直すなり検討すべきではないかといった御意見でしたので、こういったものは対応案にもございますが、ストレスチェック制度全体に係るこのような御意見は、今後の検討会、今後の検討会といいますと、今回このマニュアルを作成した後、来年度になりますが、またメンタルヘルス対策全般の議論を始めてまいりますので、そういった中で引き続き課題として検討していくこととすると一旦はさせていただいております。少し雑駁ですが、事務局からの説明は以上です。
○川上座長 ありがとうございました。意見交換に入りたいと思いますが、本日、御欠席の坂下構成員からコメントを書面で頂いていますので、事務局から冒頭に御紹介いただけますか。よろしくお願いいたします。
○加藤中央労働衛生専門官 本日、御欠席の坂下構成員から御意見を頂いておりまして、御紹介させていただきます。まず資料1の論点1、関係労働者の意見を聴く機会の活用の所について、事務局の対応案に賛同いたします。資料3で明らかなとおり、労働者数50人未満の事業場における労使コミュニケーションの実態は多様である。資料1の1ページの基本的な考え方に示されているとおり、労働者数50人未満の事業者の実態を踏まえた現実的で実効性のある実施体制・実施方法を示すべきであるという御意見を頂いています。
 続いて、資料1の論点2、事業者の関わり方及び外部委託先の適切な選定の所についてです。現行のストレスチェック実施マニュアルの「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」は、そもそもチェックの項目が多岐にわたり、かつ外部機関に確認しなければ得られない情報も多く、事業者が外部機関を選定する際のツールではなく、外部機関が自ら体制が適切であるかをチェックする際に有用な内容になっているという印象がある。仮に事務局案のとおり、実施体制や費用、情報管理に関する項目を含めたとしても、労働者数50人未満の事業場がチェックリスト例を利用することで適切な外部機関を選定できるかどうかは大いに疑問がある。このため、チェックリスト例の作成・周知だけではなく、当面の間、労働者数50人未満の事業場が気軽に利用できる相談窓口のようなものを設置することに注力した検討をすべきではないかという御意見を頂いています。
 最後に、資料1の論点4、面接指導についてです。労働者数50人未満の事業場が地産保等の外部機関に面接指導の依頼をする際、必要な手続のフローや当該外部機関、医師に提供することが望ましい情報などを分かりやすく示すことが重要である、というような御意見を頂いています。以上です。
○川上座長 御紹介ありがとうございました。それでは、構成員の皆様方から御意見を賜りたいと思います。手を挙げていただければ、私が順番に指して当てていきますので、前の方が御発言中でも手を挙げていただいて結構です。それからオンラインの清田構成員、泰楽構成員におかれましては。手を挙げるボタンでお知らせいただければ私のほうで見つけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。論点がたくさんありますので、一応、大きく2つに分けて御意見を頂こうと思います。まずは最初に論点1から3、そのあとに論点4以降と2つに分けていきます。論点1から3について御意見、御提案、御質問などを頂ける方がいらっしゃったら、どうぞお願いいたします。では、松岡構成員、お願いいたします。
○松岡構成員 日本医師会の松岡です。論点2について、意見したいと思います。先ほど坂下構成員からお話がありましたが、この外部委託先の適切な選定中でチェックリストが出ています。チェックリストは、項目数が多く、判断基準が難しく事業場が個別に判断するのは困難であると考えます。坂下構成員から、外部機関自らチェックリストの内容を事業場に示すのはいかがとご意見がございましたが、その方針はいかがでしょうか。外部機関が事業場にチェックリストについて示す時、質問に回答を付けるだけでなく、外部委託先のコメントや裏付け資料を提示することが可能となるようなフォーマットで複数の外部機関からの相見積り等ができるようにしていただきたいと考えています。こういったチェックリストの記載方法を細かくしていただくのはいかがでしょうか。
 また、外部委託先が作成したチェックリストの結果をどこか1つの所にまとめて、例えば厚労省のホームページ等で公開いただいき、比較ができるような形はいかがかと思っております。
○川上座長 ありがとうございました。事務局、今すぐには特にあれですかね。もう少し伺ってからですかね。分かりました。オンラインの清田構成員、手を挙げていらっしゃいます。お願いいたします。
○清田構成員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田です。各論点の前に全般的なところを少し申し上げますが、規模が小さい小規模事業場で今回のストレスチェック制度を設けるに当たり、そもそも規模が小さいということは当たり前ですがマンパワーが少なく、その中で業績の確保、向上や賃上げなど、様々な経営課題に取り組んでいるという点は考慮すべきと考えます。そうした事業場では、専任の担当者などもいない状況となりますので、経営者がストレスチェックをどのように実施するか検討する状況になろうかと思います。こうした実態を踏まえ、小規模事業場で円滑に実施をしていくという視点においては、運用を可能な限りシンプルにしていかなければ現実的ではないのではないかと思います。全事業所への義務化となりますので、全ての50人未満の事業場が実施可能な内容としなければなりません。優れた取組や好事例の横展開、これも非常に重要なことだと承知していますが、現実的に実施可能な方策を今後検討していくべきだと考えます。複雑で分かりづらい制度となれば、この取組の期待している効果が得られず、義務的な受止めが強まることにより、なかなか労働者の健康確保が進まないのではないかという点に加え、情報管理の面で無用なトラブルが発生する可能性が高まりかねないと思います。今回の検討会で重視すべきは、従業員のセルフチェックによる一次予防機会を提供するということと、プライバシーの保護、この2点を重視して検討を進めるべきではないかと考えます。
 その上で、論点1について申し上げます。関係労働者の意見を聴く機会の活用という点、前回のストレスチェック検討会でも申し上げましたが、50人未満の中小企業においては、コミュニケーション方法も多様であり、画一的な規定はなじまないと思います。今回、御提示いただいているとおり、懇談会、ミーティングや公示による意見収集なども想定をされているという点、こちらの点について非常に実態を踏まえた内容で御検討いただいているのではないかと考えます。
 他方で、小規模事業場の多くには労働組合や衛生委員会がない中、こうした意見聴取の機会が実質的にどの程度機能するのかについては、状況を注視する必要があるように思います。厚労省として、実施方法の推奨モデルのようなものを提示いただき、それに従う形であれば意見聴取の機会が免除できるのかということについても、今後、検討できるのではないかと考えます。
 続いて、論点2について申し上げます。外部委託を中心とした実施体制を考える点については、特段異論はありません。他方で、外部委託先のチェックリストの項目検討なども当然必要ですが、そもそも外部委託を前提とした制度の義務化を課すということを考えれば、実効性確保の観点から一歩踏み込んで、マニュアル上に信頼できる外部機関というものを厚労省として認定して記載をするという方策が必要なのではないかと考えます。こうした点も是非検討していただければと思います。
 最後に調査票の項目数について申し上げます。費用が大きく変わるということがないのであれば、実施することによる企業側の負担も特に変わらないと考えます。他方で、労働者側が負担をどのように考えるのかというところを踏まえますと、可能かどうか判断がつきませんが、労働者がどちらかを選択、2つを提示しながら労働者が選択できるような調査票の設定が可能なのかという点も、今後検討してもよいのではないかと思います。私からは以上です。
○川上座長 ありがとうございました。そのほかの御意見はいかがでしょうか。では、金子構成員、お願いいたします。
○金子構成員 ありがとうございます。連合の金子です。論点2について、発言させていただきます。関係労働者の意見を聴く機会はストレスチェックの実効性を高めるとともに、個々の職場に合わせたストレスチェック制度としていくために、非常に重要なものと受け止めており、特段の異論はありません。
 その上で、資料3にあります関係労働者の意見を聴く機会の活用についてですが、親検討会において、山脇構成員の「現状、適切に実施されてないのであれば、仕組みの在り方を含め、実効性を確保していく方策を今後考えていくことが必要だ」といった発言を踏まえたものと理解しています。この関係労働者の意見を聴く機会について、どの程度行われているのかについて、統計などがあればそのデータを示すなどで明らかにしてほしいという趣旨であったと受け止めています。今回、マニュアルの内容について検討を行っていく上で、この関係労働者の意見を聴く機会というものが、どの程度の割合で実態として活用されているのかについて、厚生労働省に伺いたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 ありがとうございます。この安衛則の23条の2に関して、これまでにそういった統計など、網羅的に調査したものはないと承知しています。そういった中で、あればそういうものもお出しできたのですが、ないということで、先ほど御説明しましたが、資料3のように今回、我々で現場にヒアリングして、監督署の職員が50人未満の事業場に立ち入ったときに、この23条の2の設置状況、活用状況ということで把握しているものを挙げさせていただいています。
 御意見の趣旨もきちんと分かっているつもりです。今回このワーキングは、とりあえずこのヒアリングで把握した実態を踏まえまして、この衛生委員会がない事業場においても、労働者の方が安心してストレスチェックを受検できるためにということで、この関係労働者の意見をどう聴くのが効果的かといった内容、それをどうマニュアルに盛り込むべきかということは、資料3のこういった実態をベースに、まずはこの御議論は進めていただきたいと思っています。その上で、検討会のほうでも山脇構成員から頂いた今後の実施状況に係る調査という面ですが、これはきちんと受け止めて考えたいと思います。ただ、メンタルヘルスに関係する対策に限らない安全衛生全般に係る意見聴取の機会という、そういわたなっていく必要が出てきますので、御指摘は踏まえまして、これから検討していきたいと思います。
○川上座長 金子構成員、もう少しご発言がございますか。
○金子構成員 ありがとうございます。今回の安衛法改正を踏まえまして、ほかの検討会等においても、関係労働者に意見を聴く機会の活用が促されていますので、これをよりワークさせていくために、先ほど室長からの回答にもあった調査の結果なども踏まえつつ現行の仕組みの改善も含めて、より実効性のある制度にしていただきたいと思います。
 もう1点、○の2つ目の実施方法について、様々な方法があり得るのではないかとう記載にとどまっていますが、こちらについて、事業者と労働者がどのようにストレスチェックを実施していくのか、その実施方法について、望ましい方法を示すなど、より具体的に基準となる考え方を記載頂ければと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。宮島構成員、それから森口構成員の順でお願いいたします。
○宮島構成員 UAゼンセンの宮島と申します。労働者の立場で発言します。論点2の外部委託先についてです。外部委託先では、一定以上の水準を有する機関であるということが労使コミュニケーション、労使双方にとって重要だと考えているのですが、この第8回検討会における発言で、外部機関に関して登録制、優良認定などはどうかとする中島構成員、山脇構成員の意見にあるように、外部機関に関して登録制や優良認定のような仕組みを設けることが有効ではないかと考えています。
 それを踏まえまして、対応案にあります2つ目の○の外部機関のチェックリストです。こちらは例えば厚労省において外部機関の実績等を一覧にするなり、公表するといった形で事業者が一定の水準以上の外部機関を適切に選択できる。そういった仕組みにするということが重要ではないかと考えています。
 また、3つ目の○についてです。外部委託をせず自社で実施する場合について、こちらは第8回親検討会の発言ですが、山脇構成員から「自社内で実施する場合、クリアしなければならない基準(実施体制の明確化、守秘義務の徹底等)を明確にし、仮にその基準を満たせないのであれば外部委託をしてもらうという形に持っていかないと、やり方が曖昧になってしまうのではないか」という意見がありました。安全衛生分科会の報告においては、50人未満の事業場については、労働者のプライバシー保護を理由に、原則として外部委託を推奨することが適当とされていることからも、あくまでも外部委託先を前提とした上で、仮に自社で実施するという場合には、実施体制の明確化や実施者・実施事業従事者の適切な選定と守秘義務の徹底など、労働者のプライバシー保護、こちらについて確実に図られるために、必要な基準というものを示していただき、それをクリアした場合にのみ実施する仕組みとしてはどうかと考えます。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。2点ありましたが、最初の論点は外部機関のリストですか、それともチェックリストですか。どちらの意図の御発言でしたか。
○宮島構成員 外部機関をリスト化するような提示の仕方ができないかというような趣旨です。
○川上座長 外部機関のリストですね。分かりました、ありがとうございます。これは事務局からはよろしいですか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 ありがとうございます。本当にいろいろと考えられると思います。先の検討としては、認定制、登録制や優良制など、チェックリストでそれを満たしている所や、そのチェックリストで満たしていることを厚労省のホームページの場で開示していくなど、仕組みということでしたら、いろいろと検討アイディアはあろうかと思います。今回はマニュアルの作成ということなので、この場でそこは議論していかないということで御理解いただければと思います。この先の検討では、また御意見を踏まえて、しっかり何ができるか、反映していきたいと思います。
 2つ目の御意見ですが、山脇構成員のおっしゃったような、まず自社内で実施するときのクリアしなければならない基準のようなもの、それがクリアできなければという、手順という話ですが、構成員がおっしゃられたように、安全衛生分科会でも、そのクリアしなければならない基準が、相当小規模の事業場だとハードルが高いものと、前提で議論されましたし、やはり可能な限り、事業場内で個人情報を持たない外部機関で管理して、保存してということが、プライバシー保護、小規模事業場でやっていこうという場合は、前提になるのではないかということで議論があったところです。そこのクリアしなければならない基準とか相当ハードルが高いところは、しっかりとマニュアルで示していきたいと思います。ですので、その辺りの案を織り込んで御検討いただきますが、そういった観点で御意見を頂戴できればと思います。
○川上座長 ありがとうございます。では、森口構成員、お願いいたします。
○森口構成員 京都産保の森口でございます。1番の論点1の所で、意見を聴くという所なのですけれども、労働者の中には多分、余り意見を積極的に出したくないであったりとか、新しく始まった義務化されたストレスチェック、最初の年は受けたくないとか、いろいろ考えがあるのかというように思いますので、そういった強制されるものではないというか、そういったところも少しこのマニュアルの中でにじませていただくと、余りぐいぐい行くと、かえって浸透しにくいというところもあるかもしれませんので、そのほうがいいのではないかというところが1つ、私の意見です。
 あと今、外部機関の所で、様々意見があって、そうすると当然、外部機関側は、準備等でコストも相当掛かるというところになっていくと思います。逆に小規模事業場側としては当然、安いほうがいいというところになっていくと思いますので、その辺りは、マニュアルに書くことではないのかもしれませんけれども、何か助成金、その外部機関側に対してというようなところで、うまく補填していただくと、こういう事業に乗ってくる良質な機関というのが増えるのではないかというように思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。どうぞ、大木構成員、お願いいたします。
○大木構成員 大木でございます。論点3の調査票の項目数でございますが、57項目、23項目とありますが、大企業と違って総務部や人事部があるわけではないので、事業主そのものが直接タッチするかと思います。そうすると事業主が、かなりいろいろなことをしなければ、現場管理だとか営業など、いろいろなことをしないと。
 そのときに煩雑であると、そもそもやりたくなくなってしまうということもありますので、できるだけ実効性を高めるという意味でも、簡便な方法でやってもらったほうがいいかと思っております。
○川上座長 ありがとうございました。私、ストレスチェック制度を作るときに調査票の検討会にも入っておりまして、少し検討した経緯があって、その後もその調査票のことについては継続的に検討している立場ですが、現時点で57項目と23項目を比べて、まず高ストレス者の判定については、ほぼ遜色がないので、そういう意味では同じかと思います。それから23項目と57項目を比べて、仕事のストレス判定度はどちらも計算ができるので、その点でも遜色はないかと思います。
 ただ、個人へのフィードバックに関して、57項目のほうが、たくさん情報を個人にフィードバックいたしますし、それから職場環境改善で、より項目が多いというのは多少、57項目のほうがメリットがあるかと思いますが、実際に2つの調査票を比べた研究がないので、今のところ、はっきり言えないかなというところでありまして、個人的な印象としては今回、資料にありますように、ストレスチェックの現在のマニュアルに事業場が選べるようになっているという書き方になっておりますが、それを超えて何かどちらかにというのを強く言うような状況ではないのかなというのが個人的な意見であります。事業者の方が選べるというのを優先していくのがいいのかというように思ったりもしているところです。ほかにはございますでしょうか。菊池構成員、お願いいたします。
○菊池構成員 サトーラシ労働組合の菊池です。論点3について、私としては、やはり57項目版の調査票を使うことによって、職場の雰囲気や作業環境といった項目も見られるようになるので、親会の意見としても、特に57項目というものを否定するような意見もなかったことも踏まえれば、57項目版を推奨すべきではないかと考えます。
 もう1つ、同じ対応案②になるのですが、2つ目の調査形態という所について、事業場の実態に即した調査形態を採用することが望ましく、それぞれの利点を示せばどうかというものについて、必要な時間であったり、費用面についても併せて示していただけると、より参考になるのではないかと考えます。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。ほかに御意見いかがでございましょうか。渡辺構成員、お願いいたします。
○渡辺構成員 神奈川産業保健総合支援センターの渡辺です。2番に関しましてですけれども、小規模事業場が、先ほど、外部委託するか自分のところで実施するかということですけれども、多くの事業所は自分のところで実施するのはハードルが高くて、まず無理ではないかと思います。まず産業医がいないので実施者がいませんし、保健師もいませんから、自分のところでできないわけです。従ってもう外部委託しか最初からないのではないかと。
 そうすると問題になるのは、どういう業者を選ぶかということです。そこで先ほどあったように、ある程度リスト化してもらわないと難しいかと。事業者が選ぶ場合、どこの業者がいいか悪いかというのは、多分分からないと思いますので、やはり何らかの方法で、リストアップしてもらうほうがいいかと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。論点1~3につきまして、もう少しお時間を取って意見交換できればと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫そうでしょうか。では、もし論点1~3までで今すぐにということがなければ、次の論点に移ろうと思います。最後に時間があれば、また全体を通じて御意見いただいてもいいかというように思いますので。それでは論点4~7について御意見を。では三柴構成員、お願いいたします。
○三柴構成員 私個人はストレスチェック制度から、本当は人事労務に影響するような、人の定着につながるような制度の再編が必要だと思っているのですけれども、ただ、まず今のストレスチェック制度を中小零細のほうに拡大するということに賛成しています。
 その前提でのお話なのですけれども、やはり中小で余り複雑なことができない、労働者のプライバシーも守らなければいけないということを考えると、やはり業者に、もう任せていく方向が、皆様の御意見を伺っていても妥当だろうと思います。
 そうすると、やはり業者に必要な情報を集めるという方向になると思います。それが実はマクロ視点で見ると、今後いろいろな情報を突き合わせてプレシジョンヘルスを進めるというような、そういうところにも、ゆくゆくはつながってくるだろうというように思います。
 そうすると、縷々、これまでも御意見あったように、ちゃんとした業者を、ある程度使えるような体制が必要だろうと。そうすると、諸外国の例を見ていても、行政がそのまま審査するというよりも、いろいろな団体の上部団体が、どういう団体、どういう組織だったら大丈夫だよということを認証審査、審査認証するような仕組みが求められるように思います。
 その上でポイントを2つだけ申し上げますけれども、まず集団分析については、せっかくの集団分析の制度なんで、10人未満だったらできないで終わりというのはもったいなかろうというように思っています。実施者を持つ業者のほうで結果を見て、どういうことをやってもらったら、その事業場のためになるかということはちゃんとアドバイスするという、どこまで具体化して伝えるかはともかくとして、そういう活用の方法というのは、やはり必要なのではないかというように思います。
 もう1つは、どちらかと言うと、逆に秘密を守るほうについてが、もう1つの提案ですけれども、現行の50人以上対象の制度では、面接指導の申出者というのは事業者に伝わることになっていますよね。そうしないと事業者も、申出を慫慂するなどというようなこともできないということで。
 しかし、中小でこれをやると少し回らない感じがするので、とことん、要するに業者委託で労働者に選ばせる、つまり、面接指導の申出の時点で労働者が事業者に伝えるかどうかも決めさせる。さらに、最後に面接指導した結果について、どこまで事業者に伝えるかというところも、医師の判断でいいと思いますけれども、やはり本人の意向も聞くというような形で、なるべく業者に情報を握らせて、それで要点だけが事業者に伝わるように持っていくというような設計がスムーズに行くのではないかというように考えます。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。2点御提案を頂いております。いずれもこれに値するものと思いますが、後半のほうが現在のストレスチェック指針の中でとは整合性が取れた形と思ってよろしいでしょうか。
○三柴構成員 現行でも確かに、面接指導を担当した医師に対して、事業者が意見を聴く際に、医師が述べる意見は情報加工される前提なので、その意味で、ある程度秘密は守られます。つまり、その意見聴取の際に、どこまで医師が意見を上げるか、本人がこういうことを言っていたから、こういう措置が必要ではないかというようなところというのは、ある種のプライバシーになってくるわけです。そこでのプライバシーというのは、医師に面談を受けると、いろいろ言ったことがばれてしまうから嫌だというようなところまで含まれてくる。そう考えると、面接指導を受けました、だけれども、もう限りなく情報を隠してほしいという選択肢まで労働者に与えてしまっていいのではないかと。
 ただし医師が、これは言わないとまずいというように良識的に判断する場合があり得るので、そこは本人の意向を踏まえた上での医師の判断ということになるでしょうが、要するに現行制度よりも、もう少し労働者の意向を重視してあげるということです。
○川上座長 ありがとうございました。森口構成員、お願いいたします。
○森口構成員 森口です。今の三柴構成員のお話に近い話として、私は自分で、50人未満では余りやらないですけれども、面接指導をやるときに、実際に労働者の方とお話をして面接だと思って話し出しても、よくよく聴くと、会社に意見書は出してほしくないなどということを話し出してから言われるということはよく、結構経験することだと思います。
 そういう場合は、もう健康相談ということにして、もうストレスチェックを持ってきた社員さんの健康相談をするというような形に切り替えてというか、やっているというようなこともありますし、もう安全衛生委員会等で、50人以上の規模であれば、あらかじめ周知をしておいて、別に面接指導という形でなくても、ストレスチェックを持ってきてくれたら話に乗りますよということをしているということがあります。
 今、三柴構成員がおっしゃったように、実際、では話をしてみて、これは会社にちゃんと伝えたほうが、あなたの健康にとってもメリットがありそうですよということを、必要があれば説明をして、それで意見書を書いたりということに上乗せしていくということをしているということがございますので、そういうやり方もあるのかと思ってお聞きしておりました。
 あと、6番の所と少し関連したお話をついでにさせていただきますと、プライバシー保護の観点からとして、現行では確かにストレスチェックの生データが事業者のところに行くような制度になっていると思うのですけれども、もうそれは恐らくいらないというように私は思います。なくてもいいだろうというように思います。
 もう1つは7番の所で、商工会等の関わりというところのお話があったと思いますけれども、そこで私も1つ、いいアイディアだと思いつつですけれども、そういう団体が入ったときに、プライバシーとか、そういう部分が逆にリスクにさらされる可能性はあり得るのではないかというところが少し気になるところですので、そこはしっかり押さえておくべきところかと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。では宮島構成員、お願いいたします。
○宮島構成員 UAゼンセンの宮島と申します。論点4の面接指導について、労働者、対象者が安全に面接指導の申出ができる環境の整備ということですけれども、やはり面接指導の申出や、その結果によって不利益な取扱いがされないということ。例えば、仕事を休んで相談に行ったとか職場を抜けて相談にということになりますと、相談者が非常に不安がるといった点もありますので、そういった不安を取り除くということが重要だと考えています。
 そのためには、事業者から労働者に対して積極的に面接指導を勧奨するということや、プライバシーの保護や不利益の取扱禁止について、周知広報するということが必要だと考えます。
 また、第8回の検討会におきましても、山脇構成員の「プライバシーの保護や不利益の取扱いの禁止について、法違反の具体例も含め周知すべき」という発言にありますように、どのようなことが法違反になるのかということについて、具体例も含めてマニュアルに明示していただければと考えます。
 そこで対応案の2点目の○の所ですが、地産保等の外部機関への面接指導の依頼手続ですとか、情報の取扱いについては、労働者のプライバシー保護を徹底するという視点から記載することとしていただければと考えます。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。渡辺構成員、お願いいたします。
○渡辺構成員 すみません。面接指導のところで、今、地産保のことが書いてあったのですけれども、実際に地産保で登録している産業医がいますけれども、この制度を外部委託した場合には、ほとんど面接指導に来る方はいないのではないかと思います。もともと、最初から実施者ではありませんので、依頼があれば面接指導をしますけれども、外部委託した場合は、ほとんどそこの産業医がやることが前提で、一括で契約するのではないかと思います。自分の所で万が一やった場合には、面接指導を地産保に頼むということはあるかもしれません。ただ、地産保の場合はちょっと問題がありまして、今、登録産業医が神奈川だけで180名ほどいますけれども、ほとんどの方がもう手一杯で、ここにストレスチェック後の高ストレス者の面談を入れた場合、大体最初は30分以上掛かりますので、今のマンパワーではとても無理です。さらに、産業医の先生は大体が内科系、あるいは外科の先生が多くて、メンタル専門の先生はいなくて、最初からメンタルの面接は無理なので回さないでくれと拒否されることが多いので、頼むのが難しいです。だからと言って、これ以上産業医を増やせるかというと、手を挙げてくれる先生はすでに手を挙げてくれていますので、なかなか難しいというのが現状です。
 あと、コーディネーターも、今の1日5時間という勤務内容でやっていますと、これ以上面接が増えますとやっていけないので、やはり何かほかの対策、人数を増やすか勤務時間を増やすなどの措置が必要ではないかと思います。
○川上座長 ありがとうございます。ストレスチェックサービス事業者が、内部に医師を持って医師面接をするケースは余り多くないかもしれないという可能性もあり、ストレスチェック事業者から地産保に面接をお願いするというケースがほとんどになる可能性というのはあり得るのかなと思っています。今の御指摘に関しては、事務局のほうで何かお考えのことがありますでしょうか。
○渡辺構成員 多分、面接だけ地産保にということは余りないのではないかと思ったので。面接指導の依頼は、労働者本人は依頼できませんから、事業者が行います。従って、事業者には誰が高ストレス者かということが全部分かってしまいます。最初に外部委託する場合は、誰がするか事業者は知りません。直接本人に、ストレスチェックの結果が来ますから。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 一応は、今の取扱いも高ストレス者本人が面接指導を受けたい旨の申出をしたら、やはりその申出をしたことは会社のほうには伝わりますし、それを会社が面接指導を担当している医師に日程調整してやるという、それはもう基本的な流れで、そのときに、地産保は小規模だと無料で使えますので、その相手を、お医者さんを地産保にということです。渡辺構成員がおっしゃられた地産保の現状も、そこは承知ですし、この検討を行ってきた検討会もそうですし、安全衛生分科会のほうでも、その点は十分に御指摘を頂戴して、そこの体制を、厚生労働省としても施行までの3年間で整えるということで、そこはやれるように整えてまいります。それを前提に地産保にできるだけ、コーディネーターも含めてです。
○渡辺構成員 よろしくお願いします。
○川上座長 ありがとうございます。地産保の拡充については事務局のほうで御検討いただいていると思いますが、ストレスチェックサービス事業者が医師面接は切り離しておいて、御本人が申し出たらサービス事業者の実施者が事業者に連絡をして、事業者が地産保にというケースは少なくないかもしれないという、その辺の認識はしておいたほうがいいかなと思います。その前提で、また御議論いただければと思います。松岡構成員、多分御意見があるのではないかと思います。お願いいたします。
○松岡構成員 地域産業保健センターの登録産業医を輩出している日医の立場でお話をさせていただきたいと思います。マニュアルに入れるということではないが、登録産業医を増やすことについては、マッチングみたいな形を今後考えていきたいと思いますし、まだ産業医として活動していない方たちが多いので、そういった方たちに活動していただけるようなシステムを作りたいと思っている次第です。今後、事業者にとっては無料で使えるというところはすごく大きな魅力ではないかと思いますので地産保は多く活用されることが見込まれますが、今、お話に出ていた地産保をどのように活用されるか。ただ外部委託の事業者自体がチェックリストを示す際、面接指導は当事業所ではどういうふうに実施するか、チェックリストの確認項目とするべきだと考えます。面接指導も対応できますが、やりますかということも、チェックリストの中に入ってくるのではないかと思います。例えば、ストレスチェック実施後には地産保のほうに誘導するという形が、組み込まれる形もありかと思っております。その場合、地産保にあらかじめ、地産保と事業者とのタイアップのような連携の可能性も、頭に入れる必要があると思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインの清田構成員、お願いいたします。
○清田構成員 ありがとうございます。今の面接指導に関する議論ですが、事業場を経ずに面接指導を申し込める仕組みというのがないと、やはり労働者からすれば面接に対して躊躇するという状況は必ずあると思います。今の御発言にもございましたが、外部委託した際に、ストレスチェックを実施するのは1人当たりいくら、という形で金額が示されるものと思います。一方で、仮に面接指導が発生した場合、恐らく、一人当たり1万円・2万円といった、一定程度高額なコストとなることが想定されます。そうしたことを踏まえれば、一定の公的な機関で適切に面接指導が受けられる体制整備を作っていただくということが、この小規模事業場に対するストレスチェック導入に当たっての、ある種前提であったのではないかと思ってございます。この点については、是非何かしらの機関で、この面接指導を含めたサポート体制というのは整備をしていただきたいと思います。
 加えて、これは1つ質問となりますが、仮に事業者を経由せずに面接指導を申し込みたいとなった場合に、就業時間中の面接の受診はどのような扱いになるのでしょうか。就業時間の受診となれば、事業者に言わざるを得ない状況になるようにも思いますので、その点も含めた御案内が必要なのではないかと思います。
 続いて集団分析について申し上げます。10人以下の事業場が原則実施不可というところは、当然明記をすべきだとは思いますけれども、11人以上についての記載ぶりについても慎重に記載をしたほうがいいと思います。「望ましい」という書きぶりは、確かに望ましいのですが、しっかりと運用した上で分析することが望ましいという前提があることを考えれば、単に集団分析しなければならないからという形で実施をした場合、11人・12人といった10人に近い人数であれば、個人の特定をしかねない状況でもございますので、プライバシー保護の観点からも個人が特定されないという観点が重要なのだということを十分に理解した上での実施が求められる点については、丁寧に記載をしていくべきだと思います。
 その上で、10人未満の事業場に対するストレスチェックの実施について申し上げます。私どもは商工会議所でございますので、商工会とはまた違う組織ではございますが、商工会議所においては非常に事務局自体が人手不足な状況もございますので、どこまでサポートができるのかなという点は懸念としてございます。まとめて実施をすることを商工会議所の一つのサービスとして選択する所もあるかもしれませんが、そうした状況からそう多くはないのではないかと思います。少なくとも、まとめて実施をするという観点からも、いわゆるまとめて申込みを受けて、特定の委託事業者にまとめて申込みをするという程度にとどまるのかなというところが感想でございます。
 最後に1点申し上げます。前半の議論と関連をしますけれども、これまで各事業所で行われてきた取組をしっかりとヒアリングや調査をした上で検討すること、これも重要ではございますが、これまでの取組をしている事業場というのは、比較的前向きに意欲を持って取り組んでいる事業所ということを前提に、つまり平均的な事業所ではないという点を踏まえて検討することが重要ではないかと思います。私からは以上です。
○川上座長 幾つか御意見をありがとうございました。いずれも重要と思いますが、本人が事業者に申し出ずに受ける医師面談の流れについては、まだここでも十分に検討できておりませんので、少しまた指針に立ち返りながら整理する必要があると思いますので、現時点で、事務局のほうで何かお考えがございますか。本人が事業者には言いたくないけれども医師面談を受けたいみたいなことを言われたような場合というのは、地産保には流れが取れないので、難しいですか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 ヒアリングでストレスチェックの実施機関のお話も聞きながらとは思っているのですけれども、やはり、問題意識として、申出先を直接事業者にすると、やはりそこに申出の心理的なハードルがあるというのはそのとおりのようです。そのための対策として、やはりストレスチェックの実施機関が申出は代行してというか、実施機関を通じて申し出るということで心理的なハードルを下げるということはサービスとしてやっているそうです。
 なので、特に、Webでやるような場合だと、そこに、高ストレス者の方、面接指導対象者と判断される方の所にはボタンが出てきて、面接指導を申し出しますかみたいなのがあって、一応申出はそこでやってみようかなと気軽にポチっと押せるような、そういう対応でやっていらっしゃる所はあるそうです。やはり、その運用は、申出があったことは事業者には伝わるというのは、あらかじめ労働者さんにもちゃんとお伝えした上でボタンを押すということで運用しているそうです。そこはやはり事業者にとってお金が掛かることなどもありまして、事業者の責任で面接指導を実施するということもあって、その機関の方は現状そういう運用なのだそうです。この第2回でお聞きする事業者さんはどんなタイプかは、また別途お聞きしたいと思いますが、そういった例もあります。
 ただ、そこをどこまで事業者に後からお伝えできるかというのは、一律に完全に済んだ後にお伝えすることが望ましいとかということまでは書けないのだろうと思います。現実はいろいろなやり方を取っていらっしゃる機関もあるようですから、よく聞きながら、そういった取り得るパターンみたいなものも研究しながらマニュアルのほうに反映していきたいと思います。最終的に結果のチェックの生データとか、また面接指導結果といった情報も、やはり最後、どこまで事業者にバックするのかというところも、現状の指針でもマニュアルでも、面接指導結果は必要最小限の情報に限定して事業者に提供することがまず前提なので、生データなどは提供してはいけませんということがマニュアルの解説でも現状はあります。なので、特にストレスチェック結果などは、最終的に結果そのものがバックしていかなくても、就業上の措置は、その措置の内容が医師の翻訳した内容で伝われば、その措置はできますので、そのときに参考になる付加する情報も生データでなくてもよろしいかと思います。そういったところの事例なども聞きつつ、その辺が正確に伝わるように工夫してマニュアルを変えていきたいと思います。また御意見を頂戴できればと思います。
○川上座長 では、検討をよろしくお願いいたします。三柴構成員、お願いいたします。
○三柴構成員 面接指導に関する議論の言い出しっぺは私ですので、コメントさせていただきますと、まず、事務局に伺えればと思うのは、地産保に面接指導を積極的に振りたいのかどうかということです。要は、もともとのこの制度の設計では、集団分析と医師の面接指導を通じて、要は職場のストレス状況を把握して、そしてその職場改善につなげてもらう。職場改善への流れというのは決して集団分析だけではなく、その後の面接指導で気付いたことも医師からフィードバックしてもらうということだったと思います。だから、外に振るのだったら振り切ったほうが面倒もないし、情報管理も進むからよいと申し上げたのです。それが、ひいてはその情報を別の情報と突合してうまく使うことにもなるかもしれないというのが、一貫した私の立場です。
 しかし、もし地産保での面接指導を積極的に推進するということになると、地産保は事業場を把握したうえでの系統的な面接指導は恐らく難しくなりますよね。だから、本当は1つの業者が集団分析の結果から面接指導の結果まで一元的に把握して、そして職場に何かアドバイスができるのだったらするというスタイルのほうが一貫しているのかなと思います。というのは、中小企業もそれぞれ個性を持って事業を営んでいらっしゃるわけで、そこに面接指導担当医が教科書的でピント外れなことを言っても、かえって制度の信用を失ってしまうのではないかということを心配しています。そこは、もしお考えがあれば、また、まだ浮かばれてなければ御検討いただきたいと思います。
○川上座長 ありがとうございます。佐々木課長、お願いいたします。
○佐々木労働衛生課長 労働衛生課長の佐々木でございます。活発な御議論ありがとうございます。今の三柴構成員の御指摘に対してなのですが、基本的に外に思い切り振るというのが今回のスタンスです。その外の先の中で、外部委託機関が関わっている医師による面接指導を受けるのか、はたまた地域産業保健センターの登録産業医が対応するのかというところは、一つオプションとしてあると思っています。いずれの場合も、今、事務局として考えておりますのは、確かに個別の事業場をどこまで把握して、適切に職場環境につなげていくかというのは課題だと思っていますので、それなりの情報提供の在り方というのはあるだろうと思っています。やはり、専属でそこにずっといらっしゃる産業医でない限りは、事業場のことを把握するのは難しい、嘱託であってもひょっとしたら制約はあるかもしれないということなのですが、そういう限りにおいては、ある程度情報のインプットというものをしっかりしていくことも大事ですので、併せてこの中で御検討いただけたらと思っております。
 もう1つは、必ずしも職場の環境改善にぴたっと結び付くものではないのですが、本当に御自身が気付きがあって、何とか解決をしたいというときの相談先としては、もちろん医師というのは考えられるので、それは何もこの制度における面接指導ということではなく、制度の外になりますけれど、任意の形の相談の仕組みというのは大事になってくると思っています。
 そういう意味で、今回、論点4の面接指導の検討事項で、3点目として「こころの耳等の活用」を挙げさせていただいております。こころの耳等の活用の「等」というのは、ひょっとしたら民間のサービスで今も提供している、あるいはこれから提供される医師による相談事業というのもあるかもしれません。それによって、気付きによって、それに対処して、またストレスを減らすということも、一つには最終的に本人のストレス等の軽減に資するところはあるかもしれませんので、必ずしもそれを任意の形で事業者に提供ということは現実的ではないのかもしれませんし、そこから職場環境改善に結び付くとは限らないかもしれませんけれども、一つの解としてはあり得るかと思っています。
○川上座長 ありがとうございました。松岡構成員、お願いいたします。
○松岡構成員 日本医師会の松岡です。今、面接指導医が、職場の状況についてどのように情報を得て、面接指導をするかということ、そしてフィードバックするかという問題だったと思います。地域産業保健センターと外部委託がどうつながるかというところも1つ問題であると思いますが、面接指導の対象者が非常に多く増えるのではないかと考えており、そこだけで今回の面接指導が全部賄えるかどうかは、とても大きな問題ではないかと思います。また、日本医師会の茂松副会長が本会で話をしましたが、地域においては、かかりつけが、患者本人のかかりつけでかつ、場合によっては産業医を持つ方もいるため、本人の状況をよく知り、本人から別個に情報を頂くこともあるので、かかりつけ医の活用というのも1つあるのかなと思っております。制度設計をどのようにするかということはありますが、一つずつ、幅広くできることを考えていくべきかと思います。
○川上座長 ありがとうございます。少し時間が押してきましたが、是非御発言をと思います。金子構成員、お願いします。
○金子構成員 連合の金子です。先ほどの清田構成員の発言に関連して、事務局に確認したいと思います。論点7の10人未満の小規模事業場について、商工会とか協同組合といったところが共同で実施するということも有効な施策ではないかと受け止めていますが、厚労省として、共同で実施する場合についても外部機関による実施を基本と考えているのか確認したいと思います。
○川上座長 事務局、よろしいですか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 それは当然、外部機関を想定しています。外部機関側からしても、まとまってやることで個々の事務負担が減ったり、あとはスケールメリットで金額の上でもあるかもしれませんが、団体で構成することでの双方のやりやすさとか、そういったところで、まとまりがあって共同で行うなどということは考え得るかなとは思います。いずれにしても、外部機関との共同での契約実施でということで想定しています。
○川上座長 よろしゅうございますか。
○金子構成員 ありがとうございます。共同で外部委託する場合においても、プライバシーの保護が徹底されるということが大前提でありますので、その点記載をいただきたいと思います。
 続けて、論点6について、15ページから労働者のプライバシー保護についてですが、対応案の1つ目にあるとおり、ストレスチェック制度において労働者のプライバシー保護は最も重要な点であり、個人のストレスチェック結果は、厳格に取り扱うべきと考えています。対応案の○の2つ目ですが、外部委託しないケースについて、親検討会において、山脇構成員から「法違反があった際の罰則の適用の可能性について、周知することや外部窓口について広報することが重要」といった意見がありました。適正な実施体制を確立した上で極めて慎重な運用が求められるところですので、事業者による法違反があった場合には、罰則が適用される可能性があることについて明記していただきたいと考えます。以上です。
○川上座長 はい、ありがとうございました。森口構成員、お願いいたします。
○森口構成員 森口でございます。論点4のこころの耳を記載することについての所なのですが、私は、こころの耳のSNSとかの相談・評価の部分にも少し関わらせていただいているので、SNS相談とかメール相談、電話相談というのは非常に品質もしっかり管理されていて、いい受け皿だというように思っています。相談としては、そこで一つ落ち着く場合もあると思いますけれども、やはり先ほどの、ちょっと前の議論と同じように職場環境を改善したほうが結局いいのではないかというようなものが、そこで明らかになっていく場合もあると思いますので、そういうときに地産保なのか、外部機関の所属医師なのかというようなところにつなぐような、こころの耳のカウンセリングを担当する方たちが、ちゃんとそのあたりをうまく誘導できるようなノウハウもきっちり整えておくとうまく回るというように思います。以上です。
○川上座長 はい、ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。はい、菊池構成員、お願いいたします。
○菊池構成員 菊池です。ストレスチェックを毎年受検しているという立場で発言させていただきます。
 論点5の集団分析・職場環境改善の対応なのですが、やはり、今回検討している小規模事業場という特性上、調査対象の労働者は集団分析されると個人が特定されてしまうのではないかといった疑問を持ってしまって、ストレスチェックの受検自体にためらいが生じてしまうことがあるのではないかと考えています。そのため、マニュアル等にプライバシーの保護について丁寧に記載をしていただいて、初めて展開されるときに制度対象の労働者が安心して受けられるような記載でマニュアルを作成いただきたいと思います。以上です。
○川上座長 はい、ありがとうございます。この辺りは論点1の労働者への説明の辺りでもう少し丁寧にやるというのはあるかもしれませんね。ありがとうございます。大木構成員、お願いいたします。
○大木構成員 50人未満ということですが、10人未満だと40人の会社とは全く違うかなと思います。我々建設業で言いますと、重層下請で3次下請、4次下請となると、親子、兄弟でやっているような親方、子方の関係がある。そのときに、協同組合とか業界団体とかに所属していない小さな会社が大多数だと思います。建設業で言えば40万社くらいありますが、入っているのは本当のごく一部で、ほとんど入っていない。その人たちがどこにどう相談したらいいのかというのが分からない労働者が。あるいは、個人事業主だと労働者なのか事業主なのか、その辺の境目も分からない人たちもいる。個人事業者自身がストレスを感じてしまったら、どこに相談したらいいのかということもあります。その辺、ストレスチェックが必要だということの重要性とか必要性ということをもっと周知徹底するような広報活動というか、その辺を広めていってもらいたいと思います。
○川上座長 はい、ありがとうございました。その他、御意見はいかがでしょうか。三柴構成員、お願いいたします。
○三柴構成員 可否については、また事務局で検討して頂きたいと思うのですが、先ほどの面接指導の申入れの情報の取扱いの件について一言だけ申し上げます。今の健診制度などは、要は事業者の費用で事業者が実施するから、情報も事業者に帰属して当然であるという建付けなのですが、今回検討されているスキームでは、そもそも対象事業場での従業員規模が小さいので情報が漏れやすいということと、それから労働者の同意や医師の良識的判断を前提として、原則として加工情報にはなりますが、最終的に事業者の手に入るということがあるので、その限りで情報の帰属性を余り気にしなくてもいいのかなというようには考えます。以上です。
○川上座長 はい、ありがとうございました。その他、御意見はいかがでしょうか。冒頭、坂下構成員の御意見を御紹介しましたが、十分議論できていない点が2か所あって、1つは事業者の関わり方、及び外部委託先の適切な選定に関して、チェックリストの作成だけではなくて、50人未満の事業場が気軽に利用できる相談窓口の設置が望ましいのではないかということを頂いておりますが、この辺りは何か事務局のほうでお考えになっていることはございますでしょうか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 坂下構成員の御意見にもあったように、最終的に、まずチェックリストがそれで機能するのか大いに疑問があると。そのため、そのことについて気軽に来ている相談窓口などはという展開でおっしゃっていたように思います。まず、確かに坂下構成員もおっしゃられた、チェックリストで事業者側がチェックするということで、本当に機能するのかという点ですけれども、そこは本日も松岡構成員からも正に御指摘もございました。事業者側からどれだけチェックリストが整っても、実施機関側、外部機関側の開示している情報とかの限界もありますし、できるのかという疑問はやはりそのとおりかなと思います。同時に、松岡構成員がおっしゃられたような、委託する外部機関の側から必要な内容を分かりやすく説明するというほうが現実的・実効的なのではないかというようにも思いますので、坂下構成員の疑問もチェックリストのところを改善して、まず外部機関のほうから説明するという仕組みで行けるかどうか。これからマニュアル案の示し方も、検討してみたいと思います。
○川上座長 ありがとうございます。窓口としては地産保か何か、総合支援センターかなという感じがちょっといたしますが、それはそれとして。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 はい。その上で、今もそうですが、都道府県単位の産保センターのほうは、よろず御相談いただけますし使えますので、既にありますので。そこはそういった形で、まだ体制も拡充していきますし使えるツールになろうかと思います。
○川上座長 坂下構成員から頂いたのは、50人未満の事業場が地産保等の外部機関に面接指導を依頼するときに必要な手続のフローとか、あるいは事業場が外部機関の医師に提供することが望ましい情報のリストとか、そういうものを少し整理してほしいという意見を頂いていますので、これは今、いろいろ意見交換の中で、フローをちゃんと作っていくという方法で対応できそうな感じがいたしました。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 そのとおりです。正に今日も御議論があったように、地産保もそうですし外部機関の面接指導を担当する医師に、この面接指導を効果的にやってもらえるように、事前にどのような情報を提供すればいいかとか、特に地産保になると、提供する情報の内容とか、その情報を渡す手続とか、正に渡辺構成員の御不安もそういったところにあると思います。今、なかなかそこも統一的でなかったりとかしますので、それで今回、機構の方にオブザーバーで来てもらっていますし、地産保への情報提供の内容、手続の在り方、そういったものをちょっと精査するようなことも進めながら、マニュアルにしっかり書いていけるように、その手続のフローも含めて坂下構成員の御指摘にも応えられるように整えていきたいと思います。
○川上座長 ありがとうございます。もう、あと15分くらいになってまいりましたので、1から7まで、どの課題でも結構ですが、追加の御意見があれば是非お願いしたいと思います。いかがでしょうか。今のところ、オンラインのほうも手は挙がっていないですね。
 それでは、少し時間より早いのですが、一旦御意見を頂いたということで、これで今日のワーキング第1回を閉じさせていただこうと思います。この後、少し考えてみて思い付いた御意見があれば、事務局のほうに是非メールでお送りいただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。事務局のほうで、今日頂いた御意見を踏まえながら、具体的なマニュアル準備を進めていただこうというように考えております。非常に活発な御議論を今日はありがとうございました。また次回以降、よろしくお願いいたします。事務局のほうから、連絡事項がございましたらお願いいたします。
○加藤中央労働衛生専門官 連絡事項が2点ございます。本日の議事録につきましては、構成員の皆様に内容を御確認いただいた上で厚生労働省ホームページに掲載いたしますので、追って御連絡させていただきます。
 また、次回は10月15日(水)の開催を予定しております。第2回につきましてはヒアリングを実施するため、会議自体は非公開とさせていただく予定でございます。以上でございます。