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第3回 医療扶助・健康管理支援等に関する検討会 議事録
日時
令和7年11月17日(月) 13:00~15:00
場所
東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング
TKP新橋カンファレンスセンター ホール14A
TKP新橋カンファレンスセンター ホール14A
出席者(五十音順)
石川 雅重 兵庫県福祉部地域福祉課長
今村 英仁 日本医師会常任理事
大杉 和司 日本歯科医師会常務理事
尾形 裕也(座長) 九州大学名誉教授
小塩 隆士 一橋大学経済研究所特任教授
竹内 智雄 東大阪市生活支援部長
津下 一代 女子栄養大学教授
西岡 大輔 京都大学大学院医学研究科特定准教授
松本 珠実 日本看護協会常任理事
村杉 紀明 日本薬剤師会常務理事
横田 正明 千葉市保健福祉局次長
今村 英仁 日本医師会常任理事
大杉 和司 日本歯科医師会常務理事
尾形 裕也(座長) 九州大学名誉教授
小塩 隆士 一橋大学経済研究所特任教授
竹内 智雄 東大阪市生活支援部長
津下 一代 女子栄養大学教授
西岡 大輔 京都大学大学院医学研究科特定准教授
松本 珠実 日本看護協会常任理事
村杉 紀明 日本薬剤師会常務理事
横田 正明 千葉市保健福祉局次長
議題
医療扶助・健康管理支援等に関する議論の整理 等
議事録
- 以下のとおりです。
- ○今井保護事業室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第3回「医療扶助・健康管理支援等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
事務局から本検討会の取扱いについて御説明をいたします。
本検討会の議事につきましては、原則として公開することとさせていただいております。
また、本日、報道関係者の会場傍聴及びYouTubeにおけるライブ配信による一般公開を行ってございます。アーカイブ配信はございませんので、あらかじめ御了承ください。
よろしければ、カメラ撮りはそろそろとさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
最初に、本日の構成員の皆様の出欠状況を御報告させていただきます。
対面で御出席の皆様におかれましては、御多忙の折、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
また、オンラインにて、石川構成員、大杉構成員、竹内構成員、松本構成員、横田構成員に御出席いただいております。
また、小塩構成員及び松本構成員におかれましては、所用のため、会議終盤で御退席される可能性があると伺ってございます。
また、他の公務のため、社会・援護局長の鹿沼及び総務課長の池上におきましては欠席とさせていただきます。御了承いただければと思います。
それでは、事務局よりお手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますけれども、資料「医療扶助・健康管理支援等に関する議論の整理(たたき台)」、参考資料集、以上でございます。
会場にお越しの皆様におかれましては、机上のタブレットに資料を御用意してございます。過不足等がございましたら事務局にお申しつけください。
また、オンラインで御出席の構成員におかれましては、電子媒体で事前にお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料を厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ウェブサイトからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
次に、発言方法でございますけれども、オンラインで御参加の構成員の皆様におかれましては、画面の下のマイクのアイコンをクリックしていただいて、基本的に会議の進行中はマイクをミュートにしていただければと思います。御発言をされる際には、リアクションから「手を挙げる」をクリックいただき、座長の御指名を受けてからマイクのミュート機能を解除いただき、御発言ください。御発言が終わりました後は、同様にリアクションから「手を下ろす」をクリックいただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、議事の内容に対して御賛同いただく際などには、カメラに向かってうなずくなどのリアクションをいただければ幸いでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
これからの議事運営につきましては尾形座長にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。尾形でございます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
議事「医療扶助・健康管理支援等に関する議論の整理」につきまして、これまでの議論を踏まえ、事務局において議論の整理(たたき台)というものに整理をしていただいております。
今回も前回に引き続きまして、3つのパートに分けて御議論いただければと思います。
まずは「総論(検討に当たっての視点)と「各論1(効果的な健康管理支援)」の部分につきまして、事務局から資料の御説明をお願いいたします。資料につきましては皆様に事前に共有いただいておりますので、ポイントを絞った説明をお願いいたします。
○小川保護事業室長 保護事業室長でございます。
では資料を御説明いたします。
まず、資料3ページを御覧いただければと思います。
総論(検討に当たっての視点)に関しましては、前回資料をベースに一部赤字部分を追記しております。前回の御議論を踏まえまして、生活保護分野だけで対応を検討していくのではなく、健康づくりや医療費適正化に関する一般施策、各種事業や診療報酬など、これらの状況を踏まえながら、こうした施策の活用に向けて関係者との連携を一層推進していく視点が不可欠といった趣旨を追記しております。
続きまして、4ページでございますが、これは前回までの御議論をまとめたものでございまして、赤字が前回の御発言でございます。
5ページでございます。前回いただいた御指摘を踏まえまして、生活保護受給者につきまして、福祉事務所の取組、また、関連分野の取組を整理したものでございます。
左から、保健分野に関しましては、健診・保健指導やがん検診等の各種検診、こうしたものにつきましては健康増進事業としまして市町村の努力義務として実施されているというものでございます。
また、健診受診勧奨とか保健指導、重症化予防、医薬品の適正使用や適正受診の取組に関しましては福祉事務所で実施しているということでございます。
医療分野でございますけれども、給付は医療扶助でございます。提供体制に関する御指摘もいただいたところでございますが、こちらは医療保険・医療扶助を問わず地域医療構想や医療計画に基づき対応されているという状況でございます。
介護・福祉分野でございますが、これは介護保険制度、障害福祉制度、子ども・子育て支援制度など、各種制度を活用していくということでございます。介護に関しましては、自己負担分に係る給付などを中心に介護扶助もあるという状況でございます。
6ページでございます。こちらも前回の御指摘を踏まえまして、医療保険と医療扶助との関係を整理しております。
左側から診療報酬、診療方針に関しましては、基本的に医療保険と医療扶助は共通でございます。1点、診療方針のところ、後発医薬品の使用原則のみ、医療扶助の追加的な取扱いとなっております。医療機関等に対する指導等に関しましては指導主体が異なるということでございます。
一番右側の「患者側」のところでございますが、医療保険は「自己負担あり」、「フリーアクセス」であるのに対しまして、医療扶助は「自己負担なし」、「フリーアクセスではない」と、具体的には福祉事務所が選定した医療機関を受診する、こうした取扱いとなっているということでございます。
7ページ以降でございます。各論「1.効果的な健康管理支援」でございます。
8ページ、「現状・課題」に関しましては前回から修正はございません。
9ページ以降が「議論の整理(たたき台)」ということになります。
9ページ、前置き的な内容でございまして、1つ目の○では「健康日本21」を参考に健康づくりの考え方を整理しております。2つ目の○は医療保険の取組、3つ目、4つ目の○で生活保護分野の取組の考え方を整理しております。特に4つ目の○でございますが、ケースワーカーの訪問調査など、既存の取組をベースにした効果的な支援方策の検討が重要、また、各種施策や地域資源に積極的につなぐ視点が重要という形で記載をしております。
10ページ以降でございます。具体的な取組に関する内容でございます。
まず、10ページは健康管理支援事業の枠組みでございます。中長期的な視点を持ちつつ、事業の企画・実施や効果評価が進められるよう、事業の枠組みを標準化すること。また、国による丁寧な技術的支援を行う必要があること。この2点を記載しております。
この事業の枠組みに関しましては、11ページに前回と同じ資料を挟んでおりますが、調査研究事業で並行して見直しに向けた詳細な検討を進めてもらっているという状況でございます。次回の検討会では、この最新の検討状況も御報告させていただければと思っております。
11ページを飛ばしていただきまして、12ページでございます。
上段では「健康状態・生活習慣の把握等」としまして、1つ目に、健診受診率向上に効果的であった取組事例の共有、2つ目に、ケースワーカーによる生活習慣の把握を健康管理支援の取組の一つ、選択肢の一つとして位置づけてはどうかといったところ、また、標準的なシートを周知普及してはどうかといった内容を記載しております。
下段でございますが、「健康意識向上・動機づけ等」としまして、1つ目に、効果的な取組事例の共有、2つ目に、健康インセンティブやボランティアポイントなど各種取組の活用を、こちらも健康管理支援の取組の一つ、選択肢の一つとして位置づけてはどうかといった内容を記載しております。
13ページでございます。関係部門・関係機関等との連携でございます。まず1つ目、国保・健康増進部門等との連携。2つ目、福祉事務所内での各種事業との連携、これも健康管理支援の取組の一つとして位置づけてはどうかといった内容。また、3つ目でございますけれども、地域で健康維持・増進を支援している関係機関との連携。例えば健康サポート薬局など、この連携を健康管理の取組の一つとして位置づけてはどうかといった内容を記載しております。
14ページから18ページは前回までの議論、赤字が前回の御意見となっております。
19ページ、20ページは、補足資料としまして福祉事務所の取組事例を御紹介しております。
19ページ、新潟県妙高市の事例でございますが、保健部門との連携をはじめとする庁内連携や市内医療機関との連携が進められているという取組でございます。
20ページでございますが、福島県福島市の事例でございます。左下にございます「健康だよりの発行」や、右上にございます「健康サポート薬局との連携」、また、右下、就労準備支援事業との連携といった様々な連携が進められているという事例でございます。
御説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 ありがとうございます。
ただいま御説明いただいた趣旨に賛同するものでございますが、連携というのは言葉で書くのは簡単ですけれども、実際には非常に難しい局面があります。例えば国保と保険者との連携ということにおいても、保険者としては加入者の健康づくりとか予防ということに注力している中で、なぜ医療扶助受給者まで関わらなければいけないのかという抵抗感や、それから、その姿が見えないだけに何か特殊なことが必要なのではないかという心配事があるのではないかなと思います。国保の部門から見てこの事業がどう見えるのかという観点も勘案していく必要があるのかなと思います。
例えば、次のようなことが考えられます。医療扶助受給者に対する健康支援においても、国保と連続した面があり、例えば重症化予防とか健診受診とか、同じような事業についてはその延長上で考えることができます。例えば糖尿病の重症化予防もそうなのですけれども、腎不全になり透析が始まると仕事が続けられなくて医療扶助になる方も増える印象があります。そうなると、国保の保健事業や被用者保険の取組次第によっては、医療扶助になるのを予防できたというか、抑制できた可能性があると捉えることも可能で、国保の加入者のうちに何をしておけばよかったのかということが見えてくると思うのです。今、国保でのデータ分析をしていて、国保から抜けてしまった人が見えない状況です。国保から生保に移行した人のことがみえない状況です。そこで食い止められなかった可能性がある事例を知ることで、自分たちの仕事の質も考えていくことができます。一方では、頻回受診に対する対策など、医療扶助の部門が経験値を持っている部分もあると思うのです。国保や高齢者の一体的受診でも薬剤に対する支援というのがなかなか踏み込みにくいというような局面もあって、そういう意味でいくと、医療扶助でできていることの中で自分たちにも参考になることがあるのではないかとか、同じ仕組みで国保のほうも取り組んでいけばいいのねというような共通理解が生まれるのではないかなと思います。双方にとって連携がどういうメリットを持つのかという辺りをよりしっかりと議論していく。医療扶助のほうから保険者とつながりたいとかそういうことだけではなくて、相手からどう見えるかを考えることが必要かと思いました。
健康日本21からいうと、第三次では誰一人取り残さないとか、より実効性のあるということを言っているのですけれども、実際に健康増進事業に参加する人は一部の方になっていて、取り残しがあるのではないか。そういう面でいうと、医療扶助の対象者も含んで地域全体が見えるようになるというのは、健康増進部門にとっても大きな視野の広がりと受け止めていただけるといいのではないかと。そんなような具体的な連携に向けてのステップ、何が必要かということについて、より具体的な作戦を立てていくということが必要ではないかなと感じました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
大変ごもっともな御指摘だと思いますけれども、事務局、いかがでしょうか。
○小川保護事業室長 御指摘ありがとうございます。
まさしくおっしゃるとおりで、医療扶助から見てどうかということだけではなく、連携ですので、連携先から見てどういうふうに見えるのかというところは大事にしながら、前回の検討会でもいただきましたけれども、国のほうでもちゃんとその辺を考えた上で自治体に周知を、という御指摘もありましたので、しっかり検討していきたいと思います。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
西岡構成員、どうぞ。
○西岡構成員 京都大学の西岡大輔です。ありがとうございます。
先ほど津下先生の御意見に非常に賛同するものでして、前回の検討会のときにも私は述べさせていただいたのですが、生活保護を受けられるようになってから、利用されるようになってから、そこから健康に向けての取組が始まるという被保護者健康管理支援事業の位置づけは、位置づけとしてちょっと変かなと感じていまして、むしろその前から国民全体として健康づくりというものがより浸透していく中で、それが難しい状況に陥って、何らかの理由ですね。経済的なことかもしれません。疾病かもしれませんけれども、何らかの理由で生活保護を受けるということに至ったその人たちの健康支援をさらに重層的に行うという位置づけであるべきなのかなと思っているところが一つです。
実際にこれは私たちが今進めようとして、まだ論文としてパブリッシュされているものではないので、すぐに提示できるものではないのですが、被保護者の健康状態等を例えばある自治体とかで見ていくということをしたときに、被保護者の方々の例えば受療行動の実態とか、予防接種の実態とか、健診受診の実態とか、様々なそういった医療に関わる諸活動というものは、どうやら市全体の医療的な課題だったり社会的な課題を反映していそうだというところが見えてきているのです。つまりは、先ほどの困難な状況になって生活保護を利用するというところに至ったという人たちを見てみると、その背景にいる、まだ生活保護を利用するには至っていないけれども、その地域の中で健康状態が厳しかったり、経済状況が厳しかったり、様々な原因で健康を損なうリスクのある人たちがそこの集団に存在している。つまりは、国保とか社保とか被用者保険とか様々ありますけれども、その前のタイミングに既に、言い方としては少し変かもしれませんけれども、生活保護を受けて健康支援を必要とするような人たち、リスク集団がそこにあるというようなところだと思うのです。ですので、被保護者から見える健康課題というものを、市全体だったり都道府県全体の健康課題を最も反映している社会的に不利な集団なのだという位置づけで、例えばデータを取ったり様々分析をしてみていただいて、市全体の施策へと応用していただきたい。都道府県の施策全体へと応用していただきたい。そのようなスキームができるといいなと思っているところです。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで参加されている方、横田構成員、松本構成員、石川構成員の順番でお願いいたします。
では、横田構成員、どうぞ。
○横田構成員 千葉市の横田です。
今回説明いただきました内容につきましてコメントさせていただきます。
今回説明いただきました内容につきましてコメントさせていただきます。
まず、9ページでございます。4つ目の○についてでございますけれども、3ページのスライドの下には「業務の効率化や、業務の重点化を進めていく視点も重要」とありまして、8ページのスライドの2ポツ目にも「体制面に課題」があるという話がございました。また、9ページのスライドのタイトルは、「効果的な健康管理支援」とありますが、効果的な取組を進めていくことは大事ではあるものの、やはり現状の多忙などの課題がある状況を踏まえれば、より「効率的な取組」というのを進めていく必要があるのではないかと考えます。つまり、既存の取組の簡素化や廃止等を進めていく必要があると思っています。そのため、9ページの○の4つ目に「既存の取組をベースにした効果的な支援方策」とありますけれども、その後に、例えば「取組の簡素化や一部廃止などの効率的な業務の実施を検討していく視点も重要」と加筆等をしていただければと思っております。
続きまして、10ページ1つ目の○の「事業の枠組みの標準化」でございます。こちらは、先ほどの津下先生のご意見にも重なるところがあると思いますが、チェックリストを拝見し、事業の進め方が記載されているのを確認させていただきました。この取組を進めていくのは重要ですが、やはり取組を進めていくに当たっては、「なぜ、この取組が重要なのか」というところを共有していくというのが大事かなと思っております。つまり、取組の進め方は分かったものの、我々にとって「どういうメリットがあるのか」などを、関係者に説明していく必要もございます。そのため、○の1つ目、2つ目に、「事業実施の目的や得られる具体的な効果を踏まえながら」という内容と「取組の重要性の認識を共有していくことが重要」ということを書いていただければと思っております。
また、2つ目の○に「取り組みやすい内容・方法等が異なり得る点にも配慮する必要がある」とありますが、専門職の配置の有無ですとか、医師会、薬剤師会など地域の関係者の協力体制がどこまで得られるかによって、取組の進め方は変わってくると思っております。ですので、例えば、標準的な枠組みにおいては、専門職の配置がないケースや、医療関係団体の協力が得られないケースなどの最低限の取組しかできない場合、つまり、当然に体制が整っていることを前提とした取組の進め方ではなく、そうではないパターン、最低限のストーリーの場合にどういう進め方ができるのかということも、併せて書いていただければと思っております。
12ページに進みまして、(健康状態・生活習慣の把握等)丸2の部分です。「健診のみならず、ケースワーカーによる訪問調査時における「生活習慣の把握」について、健康管理支援に係る取組の1つとして位置付ける」とあります。そこについては、15ページに、前回の検討会における委員の方々からのご指摘があり、医療機関に既につながっていることが多く、特定健診の項目を既に検査しているケースにおけるアプローチ方法について検討いただきたいという意見が、ほかの自治体からあったと記憶しております。マイナポータルやマイナ保険証等によって、健診情報や診療情報を医療機関等と共有できる状況にありますので、例えば、既にかかりつけ医等とつながっている場合には、医療機関において既に健康状態の管理等がなされているとみなすなどにより対応済みとするなど、結果的に重複しているような事務の効率化を進めていただきたいと考えておりますので、ぜひ、「重複する事務の効率化・簡素化を進める」と記載していただきたいと思っております。
続いて、13ページになりますけれども、こちらは連携の部分について、コメントさせていただきます。こちらも先程の委員のご意見にもございましたが、やはり生活保護だけという視点ではなく、一般の健康医療関連施策の中で、生活保護を含めてどうやって取組を推進していくのかを検討していくべきと思っております。「連携する」という言葉だけだと、やはりなかなか難しくて、例えば、この資料にありますけれども、(関係部門・関係機関等との連携)の丸1のところも「積極的な連携を検討する」とされていますが、どのような目的に向けて、という連携の方向性が記載されておりません。例えば、「一般の健康・医療関連施策の中で、被保護者も含めて対応をしていく取組を推進する」などのように追記いただき、連携の方向性を記載していただければ、私どもも取組について説明しやすいと思っております。
丸3の部分についても、18ページや29ページ、30ページのこれまでの委員のご意見で、地域の薬剤師会とか医師会、歯科医師会、看護協会と福祉事務所等が情報を連携するという意見などが様々ございました。これまでの委員のご意見を踏まえれば、丸3にも「積極的に連携を検討する」と書いてありますけれども、これもなるべく方向性を出していただきたいと思います。例えば、「関係機関が、効率的に健康支援や医療機関の受診勧奨や受診案内などをできるようにする」など、積極的な連携の方向性を記載していただきたいと思っております。
また、その際には、ほかの委員からもございましたけれども、個人情報保護法の関係もございまして、どこまで共有していいのかというところも、自治体としては悩むところもございます。個人情報保護法の法令上問題ないということ、例えば、こういった方法であれば問題ないと示していただくなど、福祉事務所も安心して地域の関係者に情報共有できる仕組みを検討いただければと思っております。
以上となります。
○尾形座長 ありがとうございました。
具体的な加筆修文について御提案いただきましたので、事務局のほうでも検討していただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 日本看護協会の松本でございます。
今回3ページのほうに検討に当たっての視点ということで、まとめも示していただきましてありがとうございました。
1点、追加いただけたらどうかという点でございます。被保護者の方々には、やはり仕事に就いていただくということが第一義的な目標であると思っておりますので、被保護者の健康支援の検討に当たっての視点としましては、就労に向けての健康づくりも重要な視点ではないかなと思っております。特に女性の健康につきましては、月経に関するものとか更年期障害とか様々特有なものがあって、今、国としても進めているところでございますので、こういった各種相談につなぐといったことも必要だと思っております。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 ありがとうございます。兵庫県の石川でございます。
私からも何点か申し上げます。
まず10ページのところでございますけれども、○の2つ目です。具体的なガイドラインを作成いただけるということですので、ありがたいなと思っています。期待しているところです。
12ページのところで、効果的な健康管理支援は全体に言えるのかもしれませんけれども、ケースワーカーが今まで以上に密接に関わるというようなことが必要になってくるのではないかなという気がしています。その中で実際に訪問は年間に3回とか4回ぐらいしか現実的にできない。それすらもできていないような自治体も幾つかあったりするというような状況の中で、どんなふうに把握をうまくしていくかというようなところは千葉市さんがおっしゃった効率化というところにも関わってくるのだろうと思いますので、その辺りも御配慮いただけたらなと思っています。
それから、連携につきましては皆さんおっしゃられたとおりで、生活保護だけの視点で見ていても仕方がないというのはそうだと思いますので、医療全体の視点で見たようなことで、できましたら通知とか、こんな成功事例があるとか、こうやれば効果が上がるというような通知をそれぞれ我々のほうの通知だけではなくて、健康・生活衛生局ですとか、医政局とか、その辺りからも同じように出していただけたら、現場はもう少し動きやすくなるのではないかなという気がしております。
私からは以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、竹内構成員、どうぞ。
○竹内構成員 ありがとうございます。東大阪市の竹内でございます。
私からは少し具体的な話になるのですけれども、まず11ページで被保護者健康管理支援事業の手引きについて触れていただいているのですが、我々も数年前からこの手引きに従って取り組んではおるのですけれども、なかなか福祉事務所としては具体の活用がしづらいところもありますので、できましたら、他の自治体さんの取組の成功事例の事例集みたいなものを示していただけるとありがたいのかなと感じております。
続きまして、12ページでございますけれども、1つ目の○の健康状態や生活習慣を把握することが重要であると。まさしくこれは本当にそう思うところでありまして、まず、何をもっても予防というところが大事なのかなと感じております。その中で、特に特定健診を原則は受けることにするというような強制力をもう少し持つような形で何とか進められないのかなと感じております。東大阪市でも取り組んではおるのですけれども、この10年ほどはずっと5%あるなしというところで推移しておりまして、やはり健診を受けていただいて、その結果が潜在化してくると、例えば糖質異常であるとか、脂質異常であるといったことが数字上出てくると、本人の意識も変わってくるのかなとも感じておりますので、重症化する前に防ぐと、本人にとってももちろんいいですし、医療費も抑制につながってくる。そういうことで、例えば既に糖尿病ですとか常日頃医療にかかっている人、この人たちは特定健診の対象から除いて、その辺の取組も工夫すれば特定健診率も上がってくるのかなと具体的には考えております。
それから、マル2にフェイスシートのことが書かれているのですけれども、これは大賛成なのですが、それぞれのケースワーカーが訪問するに当たって、より聞き取りのしやすい、ケースの管理がしやすい内容にできればなと考えております。幾つかいろいろな項目があるのですけれども、それを全て網羅的に聞いておるのでは時間もかかりますし、一定の高齢者になってくると、例えばですけれども、最近同じようなことを繰り返し言うと指摘されているとか、そういうことが聞き取れれば、ひょっとしたらMCIの疑いがあるのかなということも潜在化していきますし、そういったものであればケース記録の中に挟み込みをしていけるとも感じております。
その前提となって、ケースワーカーの健康管理、ケースに対する指導ですね。この辺の知識というところで、うちもケースワーカー向けに研修事業をしているのですけれども、その辺りの充実も図っていければなと感じております。
それから、同じく12ページですけれども、インセンティブのところで触れていただいているのですけれども、例えばいろいろな特定健診ですとかそういったもの、健康管理に対する取組に取り組んでいくことによってマイレージみたいなものがたまっていって、それで、例えば9,000などでヘルスメーターですとか血圧計が当たるというような特典があっても進みやすいのかなと感じております。
今までのところは以上です。ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ほかはいかがでしょうか。
村杉構成員、どうぞ。
○村杉構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の村杉でございます。
議論の整理についてきれいにおまとめいただきまして、おおむね賛同いたします。
その上で、2点だけ意見を申し上げます。
1点目については、9枚目の資料の2つ目の○ですとか13枚目にも記載いただいておりますが、構成員の皆様からもお話がありました、部門間での連携についてでございます。国保ですとか健康増進の部門などにおいては、既にデータヘルス計画など様々計画に基づいた取組が実施されているところですが、先ほど構成員の方からも御指摘がございましたように、厚生労働省内の部局内調整も含めて、市町村の庁内調整がスムーズに図られるように、分かりやすい通知や手引書への記載が必要と考えておりますので、ぜひこちらもよろしくお願いいたします。
また、その際に、例えばですけれども、福祉事務所の役割と地域の医療資源の方々との役割の違いというのを明確にして、重複した対応をするのではなくて、役割をしっかりと分担することによって負担が減って、効果的・効率的な対応ができるというような趣旨で記載をすることも重要かと考えております。
それから、同じ資料、13枚目下段のほうに地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する役割を担っている関係機関の例として、健康サポート薬局を記載いただいております。この点については健康サポート薬局が自ら対応するということも想定されますが、資料にもございました健康サポート薬局が地域のつなぎ役、軸となって地域の薬局を束ねるような関係性というか、そういうことも想定されてございますので、そういった位置づけ、健康サポート薬局だけではなくて、健康サポート薬局がほかの薬局も支援するような形での書きぶりをしていただければと思います。
2点目でございますけれども、前回、松本構成員より統括保健師の御紹介をいただきました。本検討会においてもその役割や期待が示されていたところでございますけれども、庁内連携のみならず、地域の医療資源の活用というのを考えてまいりますと、統括保健師の役割というのは非常に重要だと思っております。ほかの医療や介護福祉の分野でも既に対応されていらっしゃって、様々な地域の資源の方々と顔を合わせて関係者をつなぐ役割を担っていただいておりますので、そういった体制整備も含めてお示しいただければと思います。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小塩構成員、どうぞ。
○小塩構成員 前回の会議で健康増進事業と被保護者健康管理支援事業の違いを整理してくださいとお願いしたので、それに対応していただいて、5ページ目、6ページ目に非常に分かりやすい表を作っていただいて、ありがとうございました。
それで、5ページ目を拝見すると、役割分担がはっきりし過ぎているようなところがあって、特に健康診断のようなものは健康増進事業で包括的に展開していただいたほうがいいのかなという気がいたします。その中に被保護者の人たちに対する限定的なサービスというのも含まれる形のほうがすっきりするのかなという気がいたしました。それが1つ目です。
それから、6ページ目にも非常に分かりやすい形で医療保険と医療扶助の違いを整理されていて、そこで気になったのはいわゆる選定療養の扱いなのですよね。普通の保険医療の場合は、選定療養の場合は追加的な費用が必要なのですけれども、医療扶助は必要でないという場合もありますよということですよね。そこで、入院の場合はいいと思うのですけれども、紹介状なしで大病院に入ってくる被保護者の人たちに対してどういうふうに対応するのか、ちょっと気になるのですよね。被保護者でない人だったら、追加的なお金をもらったら医療サービスを提供できるのですけれども、被保護者の人たちはどうなのでしょうかというのが気になるのです。右のところに紹介状を持ってきてくださいというようなことがありますし、それから、緊急の場合は対応しますけれども、それ以外は困りますというニュアンスで書いてあるのですけれども、実際はどうなのかなという気がするのですよ。飛び入りで入ってきた被保護者の人たちを門前払いするのか、しないのかというのは地域によって差があると思うのですけれども、そこら辺がふわっとしていて、どういうふうな対応をなさっているのかお聞きしたいなと思っています。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○小川保護事業室長 ありがとうございます。
まず、選定療養等の保険外併用療養費につきましては基本的には医療扶助の対象外という状況で、長期入院の選定療養だけは例外的に医療扶助の対象内としていますので、ちゃんと医療扶助の給付はできるという形になっています。
一部、一番左側の※に書いていますように、大病院の初再診に係る選定療養のみ、公費負担医療制度の受給対象者はそもそも当該選定療養の対象外となっていますので、医療扶助も給付できますし、本人から料金を徴収することもないという形になっています。記載は分かりにくいかもしれませんが、そういう状況でございます。
その上で、御指摘いただきました一番右側のところ、運用上、200床以上の医療機関を受診する際には、基本的には紹介状があるとか、緊急でやむを得ないといった場合のみ福祉事務所のほうからここを受診してくださいと選定する形にしています。飛び込みで行かれた場合につきましては例外的といいますか、本来的には想定しているものではございませんが、実態としては、状況を見て受けていただいているといいますか、そういうケースもどうしても出てくるのではないかなと思っております。実態としてどれぐらいの割合があるかとか、件数がどれぐらいあるかというところはつかめていないのが実際のところでございます。
○尾形座長 よろしいですか。
今のお話に関連してなのですけれども、今、ご質問があった200床以上の医療機関について書いてあるのですけれども、紹介受診重点医療機関というわけではないですね。200床以上だったら全てこういう扱いということですね。
○小川保護事業室長 医療扶助の通知で書いてあるのですけれども、そこは紹介受診重点医療機関ではなく、200床以上と病床数だけで規定しています。
○尾形座長 そうすると、200床以上ということは、必ずしも理屈の上では選定療養費を取らなくていいところも入ってきているわけですね。
○小川保護事業室長 そこは、ずれているという状況です。
○尾形座長 分かりました。
ほかはいかがでしょうか。
津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 2回目ですみません。
先ほど千葉市さんのほうから効率的な運用という話があって、また、重複したことではなく、という話もありました。
一つの提案があるのですが、例えば糖尿病、高血圧、脂質異常症については、生活習慣病管理料として、療養計画書を作成することやか指導するということがセットになっているので、健康支援を重ねて実施する必要はないのだろうと思います。一方、整形外科とかほかの病気でかかっているときに、血液検査をする意味は、お薬の副作用が出ていないかとか、経過を見るためも目的であって、生活習慣病の予防や療養指導に活用していない場合も多くあるのではないかと思います。そこで、特定保健指導のように糖尿病、高血圧、脂質異常症、これは原則として医療の中で生活習慣の改善とか健康支援を受けている対象者ということで、特に療養計画書を出しているようなところは健康支援から除外できるのではないかなと思いました。
一方、健診の検査項目だけだと生活習慣の聞き取りというか質問票を実施していないということがあります。なので、先ほどアセスメントの話もありましたが、フェイスシートの中に入れたほうがいいのではないかという話もあったのですけれども、74歳未満は特定健診の質問票、75歳以上は後期高齢者の15問の質問票が全国で使われているので、それを医療扶助の受給者にもやっていただくのはいかがでしょうか。例えば医療機関で受診している検査データをみなし健診として取り込む場合においても、生活習慣の質問票だけは、例えば健康伺いとか、また、訪問のときにやっていただいて、それを併せて健康支援につなげるという方法があり得るかなと思いました。
先ほど地域の関係機関との連携という中でも、ほかの保険者の方々と医療扶助とやり方があまりに違うと、対応が非常に難しくなるのだろうという気がします。ある程度共通項でできるものは共通の方式で行うような形で行うと、自治体には負担がなく、また、地域の関係機関への説明の際にも、その話は国保だけでなく医療扶助にもやるのねということで容易に受け止められるのではないかと。これまで保健指導も、保険者を見て、この人は検査値から見ると該当者だけれども医療扶助だから対象ではないのよねということで、今は外しているという状況になっているのですよね。そういう意味では、医療機関で一定の検査値や状況の場合にスムーズに実施できるとか、そういうことが必要かなと思いました。それから、検査データについてはある程度見直し健診のように活用可能なのだけれども、質問票の活用というのは、新たに健康支援の中に入れていただけるといいのかなと思いました。
それから、統括保健師の話も、やはり顔の見える関係で今までつながりがあったところと医療扶助、生活保護の担当者が一緒に行くことで、関係者もつながり感を持って受け止められると思いますので、ぜひその方向で御検討いただければと思いました。
ケースワーカーの役割の中で、兵庫県の石川さんから年3回ぐらいしか訪問できないとかの話がありました。自治体では健康伺いの手紙でやっている自治体もあります。高齢者の一体的実施で、健康状態の不明な方、健診も医療も介護も受けていない方に、まずはお手紙を出して返事を待つ。それで反応がないところは訪問するみたいな形で、マンパワーに合わせた実施方法を工夫しているような取組もあるので、そんなようなことも参考になるのかなと思いました。
もう一つ、個人情報保護法は、高齢者の一体的実施のときに、介護保険と医療保険を一体的に実施するに当たっても個人情報保護法でデータが共有できないという話が最初はあったのですけれども、法律上それは問題ないように整備していただいた。大丈夫ですという国からの後押しがあって、そこは問題なくできるようになったという経緯がありますので、個人情報保護法に関することも明確にしていただくと良いと思います。関係団体との関係は委託と情報保護契約に基づく形で実施するのかなと思うので、庁内でまず連携することが大事かなと感じました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、ほかに特に御意見、御質問がないようですので、先に進みたいと思います。
続きまして、各論2でございます。「薬品の適正使用や適正受診に向けた取組等」ということですが、これもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○小川保護事業室長 事務局でございます。
まず21ページ以降、各論「2(1)医薬品の適正使用」の関係から御説明いたします。
22ページでございますけれども、「現状・課題」は前回から修正ございません。
23ページ以降が「議論の整理(たたき台)」となります。
23ページは前置き的な内容でございまして、1つ目の○では医薬品のリスクなど、2つ目の○では、高齢者の医薬品適正使用の指針や医療費適正化基本方針など、一般的な施策の内容を中心に整理しております。3つ目の○では生活保護分野の取組の考え方を整理しております。
24ページ以降が具体的な取組内容でございます。
まずは、福祉事務所による重複・多剤投与対策、現在は同一月内に15種類以上、対面指導等がメインという形でやっていただいておりますが、これにつきまして、福祉事務所における実施体制に留意の上、薬学的リスクに応じた段階的なアプローチを行うこととしてはどうかと。その際、国における財政的支援・技術的支援を行う必要があるのではないかとした上で、具体的な取組の内容を2つ記載しております。
まず24ページの中ほど、1つ目でございますが、文書を活用した対応ということでございます。幅広く薬物有害事象のリスクに関する注意喚起、また、医師・薬剤師への相談勧奨を行う観点から、文書を活用した対応を実施ということでございます。対象者は重複投薬者、また、多剤投与者に関しましては同一月内に6週以上かつ複数医療機関受診を基本に抽出という形にしております。
丸1の3行目のところに記載のとおり、対象者が大幅に増加することを踏まえまして、一定の優先順位づけの考え方も具体的に提示としております。
もう一つでございますが、25ページ、重点的な対応と。より確実に医師・薬剤師への相談につなげる観点から、特にリスクが高い方々につきましては対面指導や薬局への同行支援等を実施するといった内容でございます。
対象者でございますが、中ほどより下、重複投薬者は従来どおりの基準でございます。また、多剤投与者につきましては、同一月内に15種類以上かつ複数医療機関受診を基本に抽出としておりまして、複数医療機関受診という要件を追加しております。より絞り込むという形で御提案をしております。
ただ、丸2の3行目にございますように、それでも対象者が多い自治体、ケースも想定されると考えております。この検討会でも御指摘いただきました薬学的リスクに関するさらなる優先順位づけの考え方も具体的に提示と記載しております。
26ページは医療現場における取組ということで整理しております。患者の受診時、来局時のタイミングで投薬、服薬状況を確認の上、専門職の皆様において適正使用に向けた対応を講じていただくことこそが重要ということで、その観点からの取組内容ということでございます。
1つ目、生活保護受給者につきまして、受診時/薬局利用時に1冊に限定しましたお薬手帳を持参することを原則とすること。あわせて、医療機関・薬局につきまして、持参されたお薬手帳、また、特に薬局では導入が進んでおります電子処方箋の活用によりまして服薬状況等を確認し、必要な対応を行うこととすること。この2点を明確にしていくことを記載しております。
2つ目としまして、医療機関・薬局における対応となりますので、診療報酬におけるポリファーマシー対策の評価も積極的に活用していく。この2点を記載しておるところでございます。
27ページから30ページは前回までの議論ということでございまして、31ページ以降は補足資料という形になっております。
まず31ページでございますけれども、前回の村杉構成員からの御発言を踏まえまして、文書通知の実例を御紹介しております。多剤リスクの注意喚起、左側の中ほどでございます。また、右側が薬局にそのまま持参すれば服薬状況が確認可能なリストでございます。こういうものをお送りしているのはもちろんのこと、通知後の行動変容につながるように、薬の効果、副作用や市販薬、サプリなど、薬局に相談に行ってみようというようなきっかけ作りになるようなチェック欄、これは左下でございますが、こうしたチェック欄を設けるなど、文面の作り方を工夫されているという実例でございます。
32ページでございますが、お薬手帳の概要、33ページは電子版のお薬手帳の概要でございます。
34ページ、生活保護法に基づく指定医療機関の診療方針でございます。既にいわゆる療担規則や薬担規則の例によるという形で、医療機関・薬局とも患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならないという形でルール化されているところでございます。
今回、医療扶助に関しまして、お薬手帳の持参を原則化していくといったことをする場合、お薬手帳を見ていくとか、そういった内容をより具体化しまして、医療機関・薬局の皆様に御対応いただくことが重要ではないかといった趣旨で、今回この参考資料を載せさせていただいております。
35ページはポリファーマシー対策に係る診療報酬上の評価、これは現行の内容でございまして、令和8年の診療報酬改定の議論も踏まえていくことが重要と考えております。
36ページ以降が各論「2(2)適正受診等」に関する内容でございます。
37ページは「現状・課題」で、こちらは前回から修正ございません。
38ページ以降が「議論の整理(たたき台)」という形になります。
38ページはまず頻回受診対策として2点記載しております。これまでの検討会でもいただいております受診行動の背景にある課題が重要だということで、これに早期に対応していく観点からも、オンライン資格確認を活用しまして、頻回受診の傾向、こちらは例えば同一月内に15日以上の受診を目安にして把握という形に記載しておりますが、一定の目安で把握をしまして、受診理由の確認等を行うこと。
2つ目でございますけれども、頻回受診の可能性のある方、また、傾向のある方につきましては、受診回数の見直しに係る指導につきましては、嘱託医、主治医との協議を経ることは従来どおりかと考えておりますが、その他、社会参加、社会とのつながりを促していくような支援に関しましては、嘱託医等との協議を必ずしも要件とせずに柔軟に実施していくといった内容を記載しておるところでございます。
39ページでございますが、長期入院対策につきましては、まず関係分野、関係機関との連携推進につきまして記載しております。
中ほどより下でございますが、医薬品の適正使用や適正受診など全体に関わる内容を2つほど記載しております。まず効率的・効果的な実施に向けた枠組みとしまして、被保護者健康管理支援事業との一体的な運用、地域の状況に応じた取組の重点化を可能とするような、そういったより効率的・効果的な枠組みを国として検討する必要があるのではないかと記載しております。
また、最後、今後に向けた新たな取組というところでございますが、これまでも御指摘いただいていますとおり、データ分析結果などを通じて根拠を明確にした上で、給付や医療提供に係る一定のルール・基準を設定していくといった内容を記載しております。前回御指摘いただいておりました訪問看護に関しましても、実態把握が重要であるといった旨を記載しております。
40ページから42ページは前回までの御議論ということでございます。
御説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見や御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
村杉構成員、どうぞ。
○村杉構成員 日本薬剤師会の村杉でございます。
まず、基本的な考え方ですとか、前回、前々回の検討会も踏まえ、24ページから26ページまでで反映いただきましたことに、感謝を申し上げます。特に、一律に剤数が多いことが課題であると評価するだけではなくて、根本にある薬学的な問題がどうなのかということにも言及いただいたところは非常に重要な点だと考えております。
その上で、資料の24枚目あたりでまとめていただいている、特に50歳以上で服薬の剤数が増えていくことや、現に剤数が多い人への対応というのが重要になってきているところで、その中で文書を活用した対応が効果的と考えておりますので、ここもしっかりと御記載いただきました。
加えて、文書による注意喚起をした後に、医師や薬剤師の相談勧奨につなげるような仕組みも重要ですので、この辺り、しっかりとイメージができるように市町村担当者に分かるような対応の御検討を引き続きお願いいたします。
さらに、資料25枚目あたり、丸2の重点対応についてですが、嘱託医や薬剤師の協議等によって重点的な対応を負担なく円滑にできるような案内や通知等での書きぶりが重要と考えますので、その辺りも御検討をお願いしたいと思います。市町村からそのような協力依頼があった場合については、地域の薬剤師会や都道府県薬剤師会に対して、日本薬剤師会からも積極的に対応を協力するように周知等をいたしますので、併せてこちらはよろしくお願い申し上げます。
それから、資料31枚目に一体的実施について、私のおります滋賀県栗東市の事例をお示しいただいたところでございます。少し補足をさせていただきますと、前回もお話をさせていただきました75歳以上の2医療機関、複数医療機関を受診していて、6剤以上薬剤を服用している方の中で、特養に入所されている方は除いて発送したという状況です。対象者は7,000名ほどおりまして、発送した人数は約880名でございました。この事業は3か年継続してやっているような状況でございます。資料でお示ししているのが2年目でございまして、今年度、最後の3年目を実施しているところです。
実際にこの事業のポイントというのは、通知をして終わりではなく、そこに興味、関心、意識を持っていただいて、行動変容を促したり、フォローアップをしたりしていくというようなところです。実際の通知でも工夫しておりまして、資料左下のところにお気づきのことはないですかとか、心配なことはないですかというようなことを示した上で、薬局へ相談に規定くださいと促しています。通知本文にもこのことは記載しておりまして、薬が多いことによる相談を薬局にしてくださいという勧奨することもこだわった事業でございます。
こちらについて、相談割合については発送した人数の5%程度の人数ということで、実は1年目よりも2年目のほうが多かったという状況です。今は実施中でございますけれども、2年目よりも3年目、今年度のほうが薬局に相談される方は多いときいています。
来局される方の相談対応時間で多かったのはおおむね10分前後というところがほとんどでございまして、その内容については左下のチェックにあるようなところがほとんどなのですが、特に飲み合わせや薬剤自体が多いことに対しての不安を御相談されるというケースが多かったです。効果や副作用、サプリメントといったところについても御相談がございまして、相談対応の効果といたしましては、アドヒアランスが高まるというのはほとんどの場合で確認できています。それから、目的でもありましたようなフォローアップをしていく、つながりを持っていくというところの部分についても効果があったということが確認できました。
今回提供した資料についてですけれども、引き続き実施状況などをフォローアップしてまいります。加えてですが、対象者を幅広く抽出する、いわゆる15剤以上に広げることも全く否定はいたしませんけれども、薬局への相談へ繋げたり、薬局への相談者を増やしていくような取組、そこで得られた相談者の意見などをしっかりと福祉事務所にフィードバックすることなどについても、効果的な事例収集、分析、それらを踏まえた見直しも含めて、今後検討していくことが重要ではないかなと考えておりますので、御検討をお願いします。
適正受診に向けた取組については、1点意見がございます。資料38ページにありますような頻回受診対策についてですが、オンライン資格確認の活用や頻回受診傾向がある方の早期の把握、それから、ハイリスク者の多様な社会参加への機会の案内など、勧奨の重要性については強く賛同いたします。
その中で、ハイリスク者については、医療機関や薬局に可能な限り情報提供いただきたいということが一点でございます。別途となるとなかなか手間になってしまいますので、医療機関あるいは薬局で、例えばケースワーカーに対応していただき、なるべく負担のない方法で重要な情報をしっかりと把握、共有できるようにしていきたいという要望でございます。
以上、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで出席されている方、横田構成員、石川構成員、松本構成員の順番でお願いします。
横田構成員、どうぞ。
○横田構成員 千葉市でございます。
最初は24ページ、25ページのところでございます。先ほどの村杉構成員からのご指摘と同様でございますけれども、私どもも、やはり医療機関や薬局とも連携した取組を進めていきたいと思っており、薬剤師とともにどうやって効果的に取り組めるかと、今まさに検討しているところでございます。その中において、薬局等との連携の協力をお願いできればと思っています。
先ほど津下先生からもありましたが、個人情報保護法における関係の整理などが、もしありましたら共有いただければと思います。また、先ほど村杉構成員からもありましたが、フィードバックの事例などもありましたら、ご恵与いただければ、私どもも活用させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に26ページでございます。丸1のお薬手帳のところでございます。6ページの資料にもありましたけれども、生活保護法上の後発医薬品の関係について、法律上の整理がなされた背景などについて記載がありました。ここについて、抑制する動機づけが働きにくいというところは、適正使用に関しても類似している部分もあるかと思っております。そして現在は、マイナ保険証や電子処方箋の活用によって、医療機関・薬局において、これまで以上に受診者の行動などが把握しやすい状況にあると思っておりますので、重複処方などについては、後発品と同じように法令上の規定などで対応できると感じております。
また、多剤については、複数の種類の医薬品の投与の適否は一概には言えないところありますけれども、ただ、何らかの基準を設けることなどを含めて、やっていく必要があるのかなと。42ページの各構成員のご意見においても、「ある程度のガイドラインはつくっていいのではないか」であるとか、「患者ではなく構造にアプローチしないと大きな成果は得られない」であるとか、「指針を出して医師・薬剤師がそれに対応して行動するというような仕掛けが必要」との意見もあります。こういった構成員のご意見も踏まえまして、適正使用についても法令改正などによって、後発と同様な対応ができるようにしていただきたいと思っております。
また、26ページの丸1(受診時/薬局利用時のお薬手帳の持参)に併せてでございますけれども、これまでの議論にもありました「薬局の一本化」についても、やはりお薬手帳を忘れてしまったりする可能性もございまして、何らかの根拠を設けて一本化していくためには、こういった根拠でやっていく、指導していくということをお示しいただければ現場で動きやすいと思っておりますので、整理・対応をよろしくお願いいたします。
次に38ページ、適正受診の関係でございます。2つ目の○にございます、「(頻回受診対策について)取組を強化していくことが重要」だと記載がございますけれども、取組の重要性はありつつも、参考資料でいうと159、160ページを見ていただければと思いますが、「既に取組が進んでいる」などの理由によって「得られる効果が低い」と多くの福祉事務所が判断しているところであります。
また、取組を進めたとしても、参考資料の169ページにもありますが、「レセプト抽出により候補者となったものの、最終的に指導対象者としなかった」ということで、その多くは「客観的に頻回な通院が必要であると判断されたため」という理由で、結局は指導対象になっていないということが現実にあります。
ですから、取組を強化していく方向性はあるものの、やはり限られたマンパワーの状況においては、取組を強化という方向性よりはむしろ「最小限の取組でどういう効果を見込むのか、最低限どこをやるべきなのか」という点を記載していただきたいと思っております。例えば、「取組を強化していくことが重要である」のところに、「取組の優先順位をつけながら、その中で取組内容の強化をしていく」など、取捨選択をしていくとか、重点化するとか、福祉事務所におけるリソースが限られていることを踏まえた記述としていただければと思っているところでございます。
以上になります。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 ありがとうございます。兵庫県の石川です。
私から、まず25ページです。薬学的リスク等で国において優先順位づけの考え方を示していただけるということなので、ありがたいのですけれども、できる限り機械的に選べるよう、ぱっと見てぽんぽんと選んでいけるようにしておいていただけたらありがたいなと思っております。
それから、その次のページのお薬手帳の持参を求めるのは原則というのは、ぜひ打ち出していただけたらなと思っています。
それから、38ページです。多様な社会参加、そんなにたくさんの方がここに乗っかってくるとは思えないのですけれども、例えば隣の駅、電車に乗らなければいけないとか、参加するのに幾ばくかの費用がかかるという事態が生じたときに、その経費を移送費とかで見るのかとかという経費に関して、少し整理だけしておいていただけたらなと思います。
私からは以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 日本看護協会の松本でございます。
39ページのところで意見を申し上げたいと思います。
まず、39ページの2つ目の効果的・効率的な実施に向けた枠組みといったところでございますけれども、ここに対象者が少ない取組の停止とか中断ということが例示として書いてございます。ここにつきまして、取組の重点化が必要だということは理解しておりますので、効率的・効果的な実施には賛同いたしますけれども、対象者が少ないからという理由だけで取組を停止・中断することには懸念も持っておるところでございます。こういった場合につきましても、ほかの事業やサービス、関連する取組や各部署、関係機関との連携などにより、必要な支援が途切れることがないように調整するといったことも必要であると思っております。最近はピアサポーターなどの存在が非常に有効だったりしておりますので、他の専門家である保健所につなぐだとか、ほかのリソースがある関係機関と連携する。こういったことで、中止ということでなく転換ということができればいいのではないかと思っております。
同じく39ページの訪問看護のところでございますけれども、前回も申し上げましたが、訪問看護におきましては個別の利用者へのアセスメントなどに基づいて、訪問看護の内容やタイミングなども判断しております。より質の高い訪問看護の提供に向けては、課題と成果について実態を把握して、適正化を図っていただくことが必要だと考えております。 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
続きまして、竹内構成員、どうぞ。
○竹内構成員 ありがとうございます。
24ページの課題の文書活用というところですけれども、もちろんこれは賛成というか異論はないのですが、また少し具体的な話になるのですけれども、東大阪市の場合、少し調べてみましたら、同月内に30種類の薬剤を使っている方が約750ケースありまして、それが15に絞ったとしても倍ほどになってきます。仮にここに同月内に6種類ということになりましたら、調べてみますと1万3320という数字にもなってきて、6種類以上となるとかなり数が多いものですから、煩雑になってきますので、この辺りは種類数をもう少し広げてもらうほうが事務的には楽かなというところがありますし、もし6種類ということであれば、全件発送のときに全てのケースに送ってしまうというのも一つの手かなと少し具体的に感じました。
あと、26ページのお薬手帳の電子版も含めた活用というところなのですけれども、ここでそもそもマイナンバーカードの活用なども触れておいてもいいのかなという気はしています。といいますのは、我々、いよいよ保険証がなくなるというところで、当然、健康保険証とひもづけというのは当たり前のようになってきて、ある意味それは普遍性があるからというところになるのですけれども、マイナンバーの取得に当たっては、我々も促進するのですけれども、受給者の方がいまだに率でいうと50%を少し超えたぐらいで止まってしまっているということもありますので、これを機会にマイナンバーカードを利用した薬のデジタル管理というのも触れておいてもいいのかなという気はしました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 ありがとうございます。
まず、医薬品の適正使用なのですけれども、医療扶助は自己負担がないだけに残薬が多いという現状があります。残薬があったときに、これは後期高齢者で包括の方の話なのですけれども、医療機関から出されたお薬だからちゃんと飲まなくてはいけないですよという指導が入ったことがあって、そうすると、高齢者はそれ全部飲んでしまうと体調が悪くなるのですよね。間引いて飲んでいる。要は、本当は要らない薬まで手元にあったということになりますので、やはり残薬の状態について確認するとか、自己負担の在り方というのも、原理原則はそうなのですけれども、過剰な場合、どうしても患者・医療側の両者に歯止めがかからない。医療機関でも窓口負担がないだけに簡単に出しやすいということもあるし、本人もせっかくもらったのだから受け取ろうみたいなことによる多剤もあるのではないかということも考えなくてはいけないのかなと思います。残薬があるからワーカーさんが全部飲んでねと言わないようにお願いしたほうがいいのかなと思ったりしています。
それから、本人自身が多剤とか同一薬効のお薬を重ねて飲んでいることの害というのを自覚できるということも必要かなと思います。特にさらさら系の薬、血液の凝固抑制剤ですね。これをいろいろな医療機関からもらっていて、自分自身も健康食品で飲んでいるという場合にかなり出血しやすくなっていて、打ったところに紫斑ができていたりする方も少なくないのです。そういうことで気づいていただいて相談したほうがいいよということにつなげるとか、それから、睡眠薬についてもふらつきとか転倒しやすさなどの症状や、眠れないから睡眠薬を夜9時に飲むという習慣の方がいて、9時に寝床に入っても寝られないのは当たり前なので、昼間活動的に動いて、できるだけ飲まずに寝られるようにするというのが本来の姿ではないかと。ぐっすりガイドとか健康局が作ったものにもしっかり掲載されていますので、睡眠薬を常用している方に対しての具体的な情報提供も可能と思います。これが転倒につながるということもあります。剤数のことも大事なのですけれども、具体的に何が困るかということを薬剤を使用中の方には情報提供してもいいのかなと思いました。
それから、15剤の話なのですけれども、実は後期高齢者の保健事業で6剤でやろうとしたらとてもコンピューターが回らないというほど人数が多い状況で、対象者抽出までできないと。なので、基準を上げなくてはいけないという経緯もございました。そういう中で、まずは15剤というのは一つ動かせる範囲ということはあると思うのですけれども、啓発とか、広く多剤の害といいますか心配事については高齢者全体に知らせていくポピュレーションアプローチの手段というのを合わせ技でやっていくといいのかなと思いました。
それから、頻回受診に関しては、医療機関の側も頻回に来られて、診療の妨げなどの支障が出る場合も少なからずあります。そういう意味では、どういう方を対象にするかという点については、医療機関が、病状が変化しているから頻回に来てもらわないといけないと考える場合もあるし、こんなに来なくていいのに、という場合もあります。その場合には、医療機関以外の居場所とか必要とされる場面につなげるとか、そういう社会的処方と合わせ技で活躍していただけるといいのかなと。医療機関にこれだけ通えるのであれば、もっとほかのこともできそうだなというような感想を持ったこともありますので、絞り込みとかそういう観点でいうと、医療機関と連携を進めてはどうかと思いました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
西岡構成員、どうぞ。
○西岡構成員 ありがとうございます。京都大学の西岡です。
幾つかありまして、まずは医薬品の適正使用の話のところ、少し根本的というか現場の実践と離れる話にはなるのですけれども、医薬品の適正使用をすることで何を目指すのかというところをもうちょっとはっきりしたほうがいいのだろうなと思っていまして、つまりは被保護者一人一人の方に生じるポリファーマシーの害を例えば小さくして、その人の健康維持に努めていくのだということを背景に置いているのであれば、医療扶助のレセプトの中とか医療扶助で処方される中だけで議論していると、それは被保護者の方々一人一人を全て記述できているというか、把握できているわけではありませんので、例えば自立支援医療を受けられている方においては、自立支援医療のレセプトも併せて点検するというような仕組みが整わないと、結局、医療扶助内の多剤処方対策、医療扶助内の重複処方対策みたいな形になってしまうので、ここをうまくどうブリッジできるか、橋渡しできるかということが大事なのだろうなと思っています。
そういう意味では、それこそ医療扶助の電子処方箋やオンライン資格確認、マイナンバーカードの活用、様々な方法で、その人個人に処方している薬が使っている制度をまたいで全て集まってくるという仕組みになれば、それは理想的なのだろうなと思うのですけれども、すぐにそれが実現するというわけではないので、これは実態把握という意味の提言ですが、例えば医療扶助を利用されている方が他制度でどれぐらいの薬の重複が存在しているのかなどの実態の把握を進めていくことがまず重要ではないかなと思います。それが例えば30%とかで生じていますとかという話なのであれば、対策を打たなければいけないですし、1%ぐらいしか存在しませんというのであれば、そんなに手間暇をかけなくてもいいのかなと思ったりするところでもあります。政令市さんとかですと、その辺は自立支援医療で担当されているところで、同じ市の中でデータをもし個人情報保護の関係等を乗り越えてつなぐことができるのであれば確認ができる話だと思いますので、そういったことを実験的にといいますか、データを集めて調査をしてみようということはあってもいいのかなと思います。
それがまず1つ目で、次に受療行動のことに関してですけれども、頻回受診の対策みたいな感じのところは、今、津下先生からも様々御意見がありましたけれども、あとは、様々な自治体の方々からも御意見がありましたが、今さんざんやってきて、ある程度し尽くしていて、対象者ももうあまりいないし、うまくいっているなみたいな感じのところだと思うのです。ここにエフォートを割いても得られるベネフィットがどの程度あるのかというところはきちんと把握しておくべきかなと思っていまして、例えば被保護者の方が頻回受診をしているから、その場、そのつながりがとても健康に保護的で、入院の発生を防いでるみたいな感じのことになれば、その人の健康にとっても医療扶助の費用にとってもウィン・ウィンだと思うのです。反対に、頻回受診することで例えば医療従事者のバーンアウトが生じているみたいな感じのことが証明されるのであれば、これは制度の仕組みの設計上何とかしたほうがいいということになるのだと思います。その辺りを頻回受診に関連する様々なステークホルダーがどのような影響を受けているのか、どうすべきなのかということを議論する根拠は今足りないのではないかなと思いました。
あとは、先ほどの制度をまたいだ薬のレセプトだと把握しづらいですよという課題の中で、薬局が一本化されて、例えばお薬手帳が1枚になってというようなかかりつけ薬局のような形が出来上がっていくことも理想だと思いますし、あとは、これは少し挑戦的な話になるのかもしれませんけれども、医療機関のかかりつけ医機能みたいなものが被保護者の方々にもう少し機能するようになっていくと、例えば複数の医療機関で複数の医者が複数の処方を出すから多剤だったり重複だったりが起きるというところを、医療従事者のほうにちゃんとお薬手帳を見てやってくださいねというようなところで努力に任せるという仕組みでは、今の忙しい医療機関の中、外来診療の中ではなかなかうまくいかないところもあると思いますので、そういった方が自分の社会生活状況も含めて相談が可能な、例えば地域のかかりつけ医、総合診療医のような方ができるというようなところで、処方者が基本的にそこになっていくみたいなことになっていけば、重複や多剤の問題、もしくは服薬の薬物相互作用の問題等をクリアしたり、薬局だったり福祉事務所とかの連携といいますか、情報共有なども取りやすくなったりするのではないかなと思って、一つの提案といいますか、そういう考え方もあるのではないかということを提示させていただきました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
村杉構成員、どうぞ。
○村杉構成員 1点論点の整理の補足でございます。
1つ目、東大阪市の実態からもたくさんの抽出をすると大変だというような御意見等がございました。それはまさにそのとおりだと思いますし、ポピュレーションアプローチとして広く知っていただくということが目的になっておりますが、やはり地域の実態、実情に応じた対応、視点というのが極めて重要と思います。例えば糖尿病の重症化予防をしたいとか、CKDの対応をしていきたいとか、心不全の再入院を防ぎたいとか、様々に課題等があろうかと思いますので、その辺のところを加味した対応が必要になってこようかと思います。その辺のところについては、例えば、自治体で地域の医師会の先生方や我々薬剤師会などと課題を一緒に検討することによって、非常に手間が少なく整理ができやすいのではないかなと思います。
あともう一点、お薬手帳のお話がございます。お薬手帳とマイナンバーなど、この辺のところが誤解されてしまってはいけないかなと思います。資料32ページにもおまとめいただいているところでございますが、まずお薬手帳の意義について、それから、マイナンバーカードとの違いについてを明確にしておく必要性があろうかと思います。これは福祉事務所の方々にもしっかりとお伝えいただきたい部分でございます。
まず、お薬手帳の意義なのですけれども、右上に赤囲みで記載をしていただいておりますが、下のほうはいわゆる相互作用や副作用などを防ぎましょうというような意味でございます。1つ目の上側の○というのが、利用者自身が健康や受けている医療に対して興味・関心を持って主体的に行動ができるように、いわゆるリテラシーを上げましょうというのが目的なのですよね。
振り返ってみますと、お薬手帳というのが社会実装されていく歴史経緯の中にこのような話がございます。外来でがんの治療を行っている医師と患者がいらっしゃって、医師がその患者に対してこのように言うわけですよね。外来でがんの化学療法を行っていくに当たっては、当然のことながら、副作用が出る。種類、時期、程度も違うと。速やかに受診をしないといけないケースもあるし、それは御自身がしっかりと健康管理をしていかないと治療が継続できないのだと。ということで、主治医がその患者に対して売店に行ってノートを買ってこいと。ノートを買ってきたら、僕がそこに全部処方の内容と、注意すべき事項を書いてあげる。その代わり、あなたは毎日ここで下痢の回数だとか、皮膚の症状だとかを全部書かないと、僕は責任を持って診療できないよと。だからこのような方法をとってみよう、ということでお薬手帳が始まった。そのお薬手帳の効果というのは、御自身が体調に対して向き合ったり、自身が飲んでいるお薬について把握したり、今どういう状況になっているのか、医師に対してどのような情報を今度伝えようと思っているのかを記録するのがお薬手帳で、これはマイナンバーカードで代替できるものではないのですよね。
他にもマイナンバーカードとの違いということについては、労災レセプトや交通事故のレセプトなどには反映されませんし、また、副作用の情報やアレルギーの情報というのはお薬手帳にはありますけれども、マイナンバーカードにはない。それから、津下先生からも御指摘がありましたけれども、もらったお薬の情報はマイナンバーカードには入っているかもしれないけれども、いざもらっってみたら使っていないお薬だったというのも挙がってしまうわけですよね。
ですので、お薬手帳とマイナンバーカードは、性質上少し違うものであるというような理解も非常に重要になってこようかなと思いますので、この点も少し周知を図っていただきたいと思います。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小塩構成員、どうぞ。
○小塩構成員 私は34ページの生活保護法の話をさせていただきたいのですが、ここでも指定医療機関の診療行為や報酬は国民健康保険の例に従うと書いてあります。法体系としてはこれでいいと思し、整合的なのですが、実際に指定医療機関の人たちが療担規則あるいは薬担規則まで遡って意識するかと言われると、よくわかりません。医療扶助の人たちは保険医療の人たちと扱いを変えてもいいと思われるかもしれません。
ただ、先ほど表にありましたように、診療報酬や医療の提供体制は、医療保険と医療扶助で基本的に同じです。それをもう少し認識していただきたいと思います。特に下のほうの療担・薬担規則には、投薬履歴をちゃんと確認しないとしっかりと書いてあるわけですから、医療扶助の場合もその点をしっかり認識してくださいと、何かほかの仕掛けで働きかけることはできないのかと思います。私は法律のことはよく分からないのですが、省令ではないかもしれないのですが、何らかの形でより明確にするということは少なくとも必要かなと思います。
もう一つは、先ほど西岡構成員がおっしゃったかかりつけ医についてです。私もかかりつけ医は非常に重要と思って、今日配っていただいた資料の中でかかりつけ医はどれぐらいあるかと文字検索してみたら、1つだけしかヒットしませんでした。しかし、保険医療の分野では、かかりつけ医はやはり重要です。もちろん日本はフリーアクセスですから、厳密な形でかかりつけ医を設定するのはなかなか難しいのですが、どういうお薬を飲んでいるかとか、どういう診療を受けているかを全体的に把握するお医者さんがいると、頻回受診の問題も多剤投与の問題も解決しやすいのではないかなと思います。
患者側から見ても、この点は重要です。私は、訪問医療をされている先生と一緒に論文を書いたことがあり、かかりつけ医を持っているか持っていないかで健康行動がどう変化するかを調べたことがあります。結果はプライマリーケア系のジャーナルに出ています。もちろん、そこで調べているのは、ふわっとした認識です。かかりつけ医であることを文書で契約したわけでは決してなくて、「あのお医者さんは、ずっと通っているから私のことをよく知っている」と、そのように認識している人ほど、栄養バランスのとれた食事をするように気をつけるとか、時間があったらジョギングをするとか、そういう健康行動をしやすい傾向が、いろいろな要因をコントロールしても有意に出てきます。
被保護者の人も、「あのお医者さんは私の健康のことを心配してくれている」という気持ちがあると非常に安心、健康にも気をつけると思います。安心しないから、いろいろなお医者さんにかかってたくさんお薬をもらうという面がある。それを考えると、指定医療機関がかかりつけ医的な役割を果たすべきだと思うのです。
今回の報告書にはかかりつけ医という概念は表面的に出てこないのですが、被保護者から見ると、かかりつけ医的な機能を指定医療機関が持っていただくと非常にいいと思いました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、ほかに特に御意見、御質問がないようですので最後のパートに進みたいと思います。「各論3(デジタル化・データ活用)」と「各論4(実施体制の構築・強化)」をひとまとめにしまして扱いたいと思います。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○小川保護事業室長 事務局でございます。
43ページ以降でございます。「各論3(デジタル化・データ活用)」でございます。
44ページ・45ページは「現状・課題」でございまして、前回から修正ございません。
46ページ以降が「議論の整理(たたき台)」ということでございます。
46ページ、まずは「給付手続のデジタル化等」と題しまして、業務効率化、被保護者自身による健康管理等を進める観点から、さらなるデジタル化が重要としております。その際に、医療機関側の事情にも配慮しつつ、オンライン化を原則的な取扱いとすることで事務コストを最小限に抑えていく。また、質の高い安全な医療提供につなげていくといった内容を記載しております。
医療扶助関係の各論を丸1から丸3まで記載しております。まず丸1でございますが、医療扶助オンライン資格の運用改善、丸2としまして要否意見書のオンライン化に向けた具体的な検討、丸3としまして医療券・調剤券・要否意見書に関する現行運用の精査と必要な見直しという形で記載しております。
47ページでございます。冒頭、介護扶助でございますが、こちらも同様に現行運用の精査と必要な見直し、また、令和8年度から順次運用が開始される介護情報基盤につきまして、介護扶助に係る取扱いについて引き続き検討としてはどうかと記載しております。詳細は次ページで御説明いたしたいと思います。
下段でございますが、健康・医療データの利活用等という形で、1つ目の○では、NDB等の有効活用に向けまして、健診情報等の登録推進、国のデータ分析支援ツールの機能拡充などを記載しておるところでございます。
2つ目の○でございますが、福祉事務所が管理する健康・医療データ等のさらなる効率的・効果的な活用方策につきまして、幾つか方法論はあると思いますけれども、コスト、業務負荷等にも留意しつつ、引き続き検討という形にしております。
48ページでございますが、先ほど申し上げた介護情報基盤でございます。
上段の四角囲みに記載のとおり、まずは介護扶助の給付手続につきまして、効率化が可能な部分はないか精査した上で、1つ、まず仮に接続した際に、どの程度「さらなる効率化」ができるかどうか。2つ目としまして、システム改修等のコストはどの程度か。3つ目としまして、事務コストが増加しないか等の観点から、介護情報基盤の運用状況を踏まえつつ、引き続きの検討が必要なるものと考えております。
介護情報基盤の運用状況といいますのは、例えば医療機関・介護事業所が実際にどれぐらい介護情報基盤に接続されるのかどうかといった様々な状況があるのかなと考えております。
49ページ、50ページでございますけれども、前回までの議論をまとめたものでございます。
51ページ以降は「各論4(実施体制の構築・強化)」ということでございます。各論2、各論3にまたがる内容などを整理するために新たに設定した項目でございます。
52ページ、まず一つでございますが、医療・健康の側面と生活の両面からのアプローチには、庁内の保健師等の専門職により積極的に関わっていただくことが重要だろうということでございます。例えば庁内の保健師等の協働体制の中でフォローいただくこと、国としましても統括保健師に対する生活保護分野の課題・取組等の普及啓発であったり、生活保護分野に関わる専門職同士が情報交換できるような場を設定していくこと、こういったことが考えられるのではないかと記載しております。
2つ目としまして、福祉事務所の事務職員、ケースワーカーの方でも、専門職との円滑な協働、また、円滑なつなぎを促進する観点からは、健康・生活管理に関する一定の知識理解を一歩深めていただくような取組を実施することが考えられるのでないかと記載をしております。
3つ目としまして、今年度施行されました「都道府県による市町村支援」につきまして、より有効な取組となるように、国としても必要な検討・研修など、都道府県に対する国からの支援を引き続き実施していくこととしてはどうかといった内容を記載しております。
53ページでございますが、前回までの議論をまとめたもの、54ページ以降が補足資料でございます。
54ページは、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」という文章の中で統括保健師の配置について記載されておりますので、抜粋をつけております。
55ページでございますが、統括保健師の役割や求められる能力が整理された概要資料でございます。
56ページでございますが、福祉事務所における取組事例でございます。統括保健師による諸々の調整、また、ケースワーカー向け研修会の開催など、職種間連携を進められている事例ということでおつけしております。
57ページ、58ページは市町村支援の事例でございます。
57ページ、大阪府の事例でございますが、データ分析や市町村の取組把握といったことを積極的に進められている事例でございます。
58ページの宮崎県では、データ分析につきまして、右下にありますように県立大学との連携の下で進められているという事例でございます。
御説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等を賜りたいと思います。いかがでしょうか。
では、津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 ありがとうございます。
このようにデータ化が急速に進んでいく中で、この事業が深化するということは非常にタイミングがいいなと思います。また、介護情報基盤とか、NDBとか、それから、KDBなどもそうなのですけれども、かなり使われてきている段階になってきていますので、医療扶助においてはまたもう少し複雑な局面もありますけれども、進めていただくということは非常に重要かなと思っています。
その中で、今は健康支援の事業をこれからやりましょうということですが、5年たつと健康支援をやったことの効果を評価するようにいわれます。効果が出ていないと事業仕分けみたいに言われてしまうことが想定されるのです。その際に備えて何が必要かというと、その人に関わったかどうかの記録があることです。健康リスクは検査データとか健診データとの突合とか、そういうことで何とかやれるのですけれども、その方にどのような関わりをしたのか、の情報が不可欠です。例えば特定健診・保健指導であれば、特定健診の該当者であること、それから、保健指導として積極的支援か動機づけ支援かどちらかの介入をしたということが記録に残っているので、介入したかどうかの効果を後追いでも分析することができます。ところが、市町村が単独でその事業をやりましたというときに、担当者が変わるとその事業をどのように実施したかということについて、引き継ぎが不十分ということもあって、事業評価の段になって大変苦労するということがあります。5年もたつと資料は廃棄されたりします。データ基盤を強化する中で、また、健康支援が進んでいく中で、健康支援の対象者に対してどれぐらい関われたか、これはアウトプット評価だし、その人たちが関わったことでどう変化したか、これはアウトカム評価ですが、そのような評価分析が将来必要になることも視野に入れて、データを整備されるといいのかなと思いました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、オンラインのほうから松本構成員、横田構成員、石川構成員の順番でお願いいたします。
松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 日本看護協会長常任理事の松本でございます。
52ページに統括保健師のところを取り上げていただきまして、ありがとうございます。こちらの統括保健師ですけれども、今、一般市町村ではまだ3割程度が未配置ということでございますので、統括保健師の役割の重要性に鑑みまして、配置や力量形成を図っていただくことが重要ですので、統括保健師の育成なども含めた配置について各自治体で取り組むことが必要だと思っております。
また、当初申しましたように、保健師活動の一環として、被保護者についても関わっていくことが重要だと考えておりまして、生活保護受給者の方に個別的な支援を保健師が担うといったところになりますと、保健師の適正な配置数についても自治体ごとに検討いただく必要も出てくると思っております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、横田構成員、どうぞ。
○横田構成員 千葉市です。
まず、3の医療扶助・健康管理支援等のデジタル化・データ活用についてでございます。46ページの丸1から丸3まで具体的な取組を記載していただいておりますけれども、丸2や丸3についてよく見ると、医療券や調剤券、要否意見書だけデジタル化に取組むように見えてしまうので、49ページのご意見にもありますが、例えば、移送や就労の可否等を確認するための病状調査などもオンライン化するなども案としてございますので、「医療券・調剤券・要否意見書のみならず、病状調査など、その他の事務についてもデジタル化に向けて対応する」というような形で、これ以外の事務についても検討を進めていくような記載にしていただければと思っております。
次に52ページになります。4の実施体制の構築・強化の部分でございまして、今までの議論にもございますけれども、医療扶助や健康管理支援に関する取組を進めるために当たっては、専門職の関与というのが重要であると思います。ただ、保健師や薬剤師などを実際に職員として雇用するというのは、なかなか一自治体では難しいという現状がございます。ですので、もう一つの資料の参考資料174ページにもございますけれども、第1回の検討会において、福祉事務所アンケート結果というのをまとめていただきましたが、そこにおいて、市町村が希望する支援について、都道府県が確保したアドバイザーの派遣や関係団体と連携した専門職の確保支援というところが回答としてございます。
こちらの52ページに研修等の記載もございますけれども、市町村が求める内容と都道府県が実際に受けている内容の差が大きいところが、今申し上げましたアドバイザーの部分や専門職の確保の部分でございますが、ここの部分について都道府県は実施の予定なしとなっているところも多いところでございます。こここそ、国が重点的に都道府県を通じた支援として市町村に対しての支援をてこ入れすべきかと思っておりますから、52ページの丸3にはデータ分析、市町村とのコミュニケーション、技術的支援ということが書いてありますが、ここに例えば、「アドバイザーの派遣や専門職の確保支援など、市町村が希望する取組を進める」というような形での記載をしていただければと思っております。
意見としては以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、石川構成員、どうぞ。
○石川構成員 ありがとうございます。
私からまずデジタル化とデータ活用でございますけれども、これにつきましては、これをどんどん進めていくということが健康管理支援が進むということになろうかと思いますので、ぜひ進めていっていただけたらなと思っています。
それから、実施体制の構築・強化で都道府県の支援も考えていただいているということで、ありがたいな、心強いなと思っている次第です。
1つだけ、現場の負担というところでお願い事なのですけれども、最高裁判決の件で、今日午前中に厚労省内で検討会をされていたかと思うのですけれども、どうも追加支給をなされるというようなことで話が出ておりまして、そうなってくると、現場のほうにはそれなりの負担が出てくるということ、それから、追加支給を新しい処分でやると、それに対して審査請求が都道府県のほうに上がってくるというようなところで、現場はこれでそれなりの負担が生じるというようなことが想定されますので、健康管理支援で何か現場に負担が生じるようなことがスタートするということであれば、最高裁判決の対応というものを現場に御配慮いただきながらスタートさせていただいたらなと思っています。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
西岡構成員、どうぞ。
○西岡構成員 京都大学の西岡です。ありがとうございます。
まずデジタル化のほうですけれども、これは進めていただくに当たり、既存の文書等でこれは本当に必要なのかと思われるような事務処理もあると思うのです。個人的に考えていたものとして一つあるとすれば、例えば移送費の請求の話において、タクシーを利用された場合はタクシーの領収書とともにみたいな形であっていいと思うのですけれども、公共交通機関で医療機関にかかりましたみたいな感じの行為をされている方は多くいらっしゃるわけですけれども、それは一般の方でも当たり前にそのようにして行って、そこに対して請求しなければならないみたいなところはなかったりもしますので、わざわざ医療機関にお伺いを立てて、医療機関に移送の要否意見書を書いてもらって、それをこちらが福祉事務所にまたチェックしてみたいな感じのプロセスとか、なくすことが合理的なものはなくしていけるといいのかなと思ったりしています。これは効率化という面での話です。
2つ目は4番の他部門との実施体制の構築・強化みたいな感じのところの話でして、一つはここにも挙げていただいたのですけれども、保健師や健康管理支援事業に関わる栄養士だったり、薬剤師さんだったり、そういった医療専門職の方々が福祉事務所の社会福祉の対人援助というものが一般的な規範といいますか、文化になっているところに入っていくというのは結構コミュニケーションが難しいことだと思うのです。そもそも目指しているものは同じはずなのに、見方が違うからなかなかコミュニケーションが進まないみたいな感じのところもあると思いますので、そういった保健師、栄養士、薬剤師と医療専門職が入ったときに、その人たちがうまくエンパワーされるといいますか、やってよかったと支援をうまく継続できるような仕組みというのが大切なのだろうなと思っています。
一般市ですごい熱意を持って入ってこられた栄養士の方々が、いろいろな栄養学に基づいたメニューを準備して被保護者の方々に指導していったわけなのですけれども、なかなかそれがうまく庁内で認められなくて辞めていってしまったみたいな事例も伺ったりすることもございますので、そういった保健師同士、栄養士同士、もしくは健康管理支援員同士がお互いに難しさだったり、達成できたこととかを共有できる場というものを研修を通じてつくっていっていただけるとよいのかなと思いました。
あとは、これは少し健康管理支援の枠組みと離れるかもしれませんけれども、ケースワーカーに対しても同様かなと思っていまして、ケースワーカーの方々は日々大変な中、様々なケースの方の対応をされて、その中でうまくその方の様々な自立を支援できたというようなケースもあろうかと思いますけれども、そういったことを例えば対外的に発表したり共有したりということはあまりなかったりすると思いますので、そういった機会が生まれていくと、健康管理にかかわらず、福祉事務所で職員が働き続けられる職場づくりにつながっていくのかなと思っています。
最後に、体制の強化という点につながるのかどうか定かではありませんけれども、例えば被保護世帯のお子さんたちに対する健康支援というものは、今後注目していかなければならないのではないかなと思っています。具体的には、被保護世帯のお子さんたちというのは、親が様々な事情で生活保護を利用されているわけですけれども、親がいらっしゃらない子もいますが、そういった方々で実は健康な暮らしに対するロールモデルをあまり持っていない子たちもいらっしゃいますので、そういった子供たちが健康に成長、発達して暮らしていくとはどういうことかというのを学べる機会というのをつくっていくことは非常に重要だと思います。
これは改正生活困窮者自立支援法との整合性を取りながらということになったりするのかなと思いますけれども、そういったときにいつも注目されやすいのは学校とかだったりするわけです。学校で食育しましょうとかいろいろなことが言われたりするわけですけれども、そういった学校との連携というのはうまくやってはいるのですけれども、例えばこれは福祉事務所で努力して学校、教育委員会やもしくは担当者の方々と連携してやっているというところが実情かなと思っていまして、複数の自治体さんで声を伺ったことがあるのですけれども、こういった子供の貧困だったり被保護世帯のお子さんの支援に関して、例えば学校での取扱いみたいな感じのことが文科省通知として下りてきてくれるといろいろやりやすいのだけれどもなみたいな感じのことをお話として伺ったこともございますので、そういった国レベルで省庁を超えた連携というものも踏まえた上で、この被保護者健康管理支援事業をまた位置づけていただけたらと思っています。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
村杉構成員、どうぞ。
○村杉構成員 まずデジタル化・データ活用についてでございますけれども、ケースワーカーの方々が把握している様々な生活に関する情報や聞き取っているような内容について、さらに、医療従事者、医師や薬剤師などが把握している医療的あるいは薬学的な観点、これらの情報の連携というのをDX、デジタル化で解決ができるようになればいいかなと思います。ただ、実装するには解決しないといけない問題があるというのは承知しておりますが、やはり重要な部分でございますので、1点意見を申し上げます。
続きまして、実施体制の構築・強化というところでございますが、資料の52ページに御記載いただきましたとおり、医療扶助・健康管理支援を担当する事務職員やケースワーカーが健康・生活管理に関する知識・理解を深めることは重要です。また、現場の方でもそのような意見が出ているということは承知しております。
また一方で、我々医療提供側といたしましても、やはり福祉の制度であったり、被保護者の特性であったり、そういうのに対してまだまだ理解が少ないところもございますので、相互にそのような理解を深めていく必要があるというところも言及いただけるといいかなと思いました。
さらに、顔の見える関係性の構築というのがやはり必要になってこようかと思います。健康増進部門ですとか高齢者障害福祉部門などでは、先ほど来お話がありますような体制が既にできております。そういったことをしっかりとやっていくというところですが、津下構成員からもお話がございましたとおり、アウトカム指標に加えて、ストラクチャー指標、アウトプット指標というところも、これでもいいのだよというところを出すことは非常に重要な領域だと感じております。例えば、地域の医療従事者等と意見交換ができるようになったよとか、連携体制をつくったよ、情報のやり取りを実際にしましたよということでも非常に効果は高いと思います。
やはりポイントとなるのは、お互いがそれぞれの知識を習得するということも重要ですけれども、さらに重要なのはつながりを持つことだと思うのですよね。知識を持っている。だから何かできるではなくて、つながりを持って、実際に困ったときに地域の医療専門職にすぐに電話ができるとか、例えば福祉事務所のケースワーカーにすぐに連絡ができる、相互にこのような関係性を構築していくというような意味でも、指標というのは大事だなと思いましたので、発言をさせていただきました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 日本医師会の今村です。
私からは、医療扶助・健康管理支援や介護扶助におけるデジタル化やデータ活用について一言述べさせてもらいます。
様々な構成員の皆さんからもデジタル化は必須であるとのお話がありました。これについては、私もデジタル化は必要だと考えておりますが、一方で、例えば医療機関側から見ますと、実際にデジタル化を進めても、それが現場のスタッフにとって本当に効率化や業務改善に繋がっているのかというと、必ずしもそう感じていないという状況が多いと言われています。
その最大の理由は、IT化(デジタル化)すれば解決とは限らない点にあります。中途半端なデジタル化はかえって作業量を増やす結果となる場合もあります。現場としては、全て情報がデジタル化され、管理されるのであれば、それは非常に便利ではありますが、現状のデジタル化は紙がなくなっただけで、結局入力作業などの労力は全く減っていないことが現実にあります。
さらにデジタル化が縦割の形で進められると、例えば医療側では、今回の医療扶助や介護扶助に関しては同じ内容を別の様式で入力し直さなければならないことが発生する。
実際に、医療機関では、先ほども少し意見がありましたが、医療扶助をお受けになる方の書類は、通常の患者の書類の大体3倍、4倍必要になっていると。それらを書くだけでも実はドクターが疲弊するということが生じています。そこの部分は必ずしもデジタル化だけで解決はできない点を踏まえた上でぜひデジタル化を検討していただきたいと思います。
それともう一点は、医療扶助、介護扶助に係る部分だけでなくて、デジタル化を進めるには様々なデジタルの機械を導入しないとデジタル化できない。もしくは機械だけの話でなくて、場合によってはそれに伴うソフトの導入が必要になります。それらが無料で提供され、無料で運用ができるのであれば、医療機関側も、喜んでとは言いませんけれども、導入しますが、現時点においては高額な費用がかかるというのが現実でございます。
ただでさえ医療機関の経営は厳しい中、拙速なデジタル化を進めると、結果として現場がついていけないという事態も生じかねません。デジタル化は確かに必須だとは思いますが、今お話ししたところを十分考慮いただいて進めていただければと、お願いでございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、私から構成員の一員として意見を申し上げます。
52ページの実施体制の構築・強化のところの最初の○ですが、2行目に地域の医療関係者との連携・協働と書いてあって、これは一般的に書かれているわけですが、やはりその中で特に公立の医療機関、県立や市町村立等の病院や診療所があるはずですので、そういったところに一定の役割を期待したいと思います。もし公立の医療機関が何らかの形で関わっているような好事例があれば、ぜひ紹介していただきたい。これは要望です。
よろしいでしょうか。
ちょうど時間になりましたので、本日の審議は以上としたいと思います。
本日も様々な御意見を頂戴いたしました。本検討会では、当面の取組と中長期的な方向性に関し、年内を目途に中間的な整理を行うということを目標としてこれまで検討を進めてきたところでございます。事務局におかれましては、次回の検討会までにこれまでの3回の会合の議論を踏まえ、その中間的な整理の案文を作成していただきたいと思います。次回はその案文について議論をしたいと思います。
それでは、次回の開催につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○今井保護事業室長補佐 事務局でございます。
次回第4回の検討会につきまして、日程、会場、開催方法等、詳細につきましては追って事務局より御連絡をさしあげます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。
長時間にわたりまして熱心な御議論をどうもありがとうございました。

