第4回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」 議事録

日時

令和7年9月16日(火)15:00~16:30

場所

東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 17階 専用第21会議室

議題

1.高額療養費制度について

議事

議事内容
  
○佐藤保険課長 それでは、定刻より若干早うございますけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまから第4回の「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議は、傍聴希望者向けにYouTubeにおいてライブ配信を行っております。アーカイブ配信はいたしません。あらかじめ御了承くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、島委員、山内委員のお二方からオンラインで御出席なさるとの御連絡をいただいております。
 また、城守委員におかれましては、途中からオンラインで御出席なさるという形で御連絡をいただいております。
 なお、本日も、健康・生活衛生局がん・疾病対策課及び難病対策課もオンラインで参加しておりますことを併せて御報告申し上げます。
 会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきたいと存じます。カメラの皆様は御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○佐藤保険課長 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきたいと存じます。
 本日の資料でございますけれども、資料1「高額療養費制度について」を御用意しております。
 また、参考資料という形で、第1回のこの専門委員会にお出しした提出資料、専門委員会資料を参考資料という形で配付してございます。
 過不足、落丁等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
 それでは、以後の議事運営は田辺委員長にお願いいたします。
○田辺委員長 それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は、「高額療養費制度について」を議題といたします。
 まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 では、よろしくお願いいたします。
○佐藤保険課長 保険課長でございます。
 お手元のタブレットの資料1、高額療養費制度のファイルをお開きください。
 右下にページ番号をつけてございますけれども、まず1ページ目でございます。
 この専門委員会についての概要でございますけれども、1ページ目の左下に開催日を記載してございます。この専門委員会でこれまで3回、今日で4回目でございますけれども、御議論をいただいております。
 過去の2回、第2回目と第3回目、前回、前々回にはヒアリングということでございまして、患者団体等の皆様、また、保険者、そして、医療関係者、学識経験者の皆様からヒアリングという形で御意見を頂戴いたしました。1ページ目の左下にヒアリング先と書いてございますけれども、いずみの会、日本アレルギー友の会、血液情報広場・つばさ、COMLの方々から第2回のヒアリング、第3回として日本航空健保さん、計機健保さん、それから、国立がんセンターの後藤先生、また、東京大学の康永先生から第3回目にヒアリングという形で御意見を頂戴いたしました。
 それで、具体的なヒアリングで出された意見、主な御意見ということで、これは事務局の分析でございますけれども、2ページ目から5ページ目まで具体的な御意見を整理してございます。
 右下の2ページ目と3ページ目は、患者団体等からのヒアリングにおける主な御意見でございます。
 まず2ページ目、患者の置かれている状況についてということでございまして、○を3つ記載しておりますけれども、薬剤費は非常に高額であり、治療を続けないと命に関わる。したがって、高額療養費制度が生きることに直結している。今の制度においても所得や家族構成によっては生活が大きく制限されており、生活が限界にあるという患者・御家族の方もいらっしゃる。
 また、2つ目の○でございますけれども、慢性骨髄性白血病の治療は高額な分子標的薬を生涯にわたって服薬する前提であるので、25年近く治療を続けておられる方もいる。
 3つ目の○でございますけれども、症状の重い患者にとっては、近年登場した生物学的製剤等の新薬の効果が高く、副作用も比較的少ないということで、生活の質が大きく改善をしている。他方で、薬代が高額で家計の負担が大きいという不安も感じておられるという御意見がございました。
 また、2ページ目の下半分、高額療養費制度の在り方についてということでございますけれども、現行制度に対する認識ということで、こちらは○を5つ御用意しておりますけれども、一番最初に、高額療養費は重要なセーフティーネットですので、制度の維持を強く望む。他方で、現行制度でも長期療養者には十分な役割が果たされてはいないのではないかという御意見がございました。
 2つ目の○でございますけれども、この高額療養費制度は10年以上にわたり当たり前の制度となっていて、なくてはならない制度である一方で、諸外国と比べてもこのような恵まれている制度を擁している国はほとんどなく、その点をもう一回自覚する必要があるのではないか。
 それから、3つ目の○として、以前は一旦自己負担分3割、この方は3割でありましたけれども、3割をお支払いいただいた上で、その後に償還されるという仕組みであったので、自分がどれくらい医療費を支払っているのか患者御自身も自覚していたけれども、現物給付化によって患者の利便性はもちろん増したものの、全体の医療費を意識することが少なくなっているような感じがあると。
 それから、保険者が変わった場合に多数回該当が継続されないという課題があったり、あるいは高額療養費制度の多数回該当4万4400円でございますけれども、ここの年収幅が非常に広いと。非課税を上回る水準から年収770万円ぐらいの方々が多数回該当4万4400円ということでございますので、この辺については見直しを要望してきたのだという御意見がございました。
 右下3ページ目でございますけれども、制度の見直しについてということで○を7個書いてございますけれども、まず、高額療養費制度の見直しについては、長期療養者の命であったり生活、あるいは人生に直結するという課題である点を認識すべきではないか。
 それから、自己負担の限度額の引上げは家計への影響を考慮し、現在の治療継続が可能となるようにすべきではないかと。
 それから、自己負担限度額の引上げによって、多数回該当にぎりぎり届かない事例を増加させるおそれがあるのではないか。
 それから、4つ目の○でございますけれども、負担能力に応じたきめ細かい制度設計という場合には、治療期間が十分考慮されていないのではないかという御意見もございました。
 また、高額療養費制度を長期にわたって利用する患者や御家族の声を踏まえるべきだという御意見であったり、他方で、高齢化が進み、高額なレセプトが増える中で財源がいつまで持つのかと。負担限度額の引上げによって困る方がいるのは承知しているけれども、引上げを先延ばしにした結果、突然はしごを外されると困る患者さんがもっと増えるので、そういった事態は避けなければいけない。
 また、若いうちから長期に当たって高額な治療が必要な方には対応が必要であるけれども、そうでない方の負担額を増やしていくということは避けられないのではないかといった御意見もございました。
 それから、3ページ目の一番下、制度の運用・その他というところでございますけれども、処方日数の上限に都道府県ごと・医療機関ごとの差があるということ。
 それから、高額化している医薬品の効果検証も必要ではないだろうか。
 それから、保険者から医療費の通知は来るけれども、費用全体がどうなっているかを分かるような仕組みに工夫をしてほしいという御意見もございました。
 4ページ目、5ページ目は、保険者及び医療従事者・学識経験者からのヒアリングということでございまして、4ページ目は保険者からのヒアリングの御意見を整理してございます。
 保険事業との関係ということでございますけれども、○を2つ書いてございますが、健康保険組合の保健事業の中には、データに基づいた健康増進事業やジェネリックの医薬品の活用、婦人科検診など、国の保健事業をリードしているものもあるということで、健康寿命の延伸あるいは医療費の抑制に貢献しているけれども、財政悪化が大変大きな課題となっている。
 また、保険者は、保険事業を通じて、加入者の生活の安定と福祉の向上を目指して医療保険の効率化を図り、給付内容と費用負担の適正化に努めている。保険事業の実施は保険者機能として最重要事項である。現状の過度な支援金を含めて、医療保険制度改革の先送りは保険事業財政を圧迫し、結果として保険制度の持続可能性を損なわせるという御意見がございました。
 また、高額療養費制度をはじめとした医療保険制度改革についてということでございますけれども、一番最初の○でございますけれども、高額療養費は現役世代にとっても重要なセーフティーネットであるが、医療費が増大し、現役の保険料負担が限界にある中で、この制度を維持していくためにも、高額療養費制度を含めた幅広い項目について負担と給付の全体の見直しは避けられないのではないかと。
 それから、高額療養費制度を維持していくために、どのように見直すことが長期にわたり継続して治療を受けておられる方々への負担を最小限に抑え、かつ国民全体の納得感を得られるかについて丁寧な議論を期待したいということ。また、高額療養費制度にとどまらず、現役世代の保険料負担の抑制あるいは軽減を図るための制度改革に早急に取り組み、また、現役世代に納得してもらうための説明に力を入れていただきたいという御意見。
 それから、高額療養費制度あるいは医療保険制度はセーフティーネット機能として重要な役割を担っている一方で、医療の高度化であったり高額薬剤の保険適用が医療保険制度を圧迫している。これをどういうふうに考えていくのか、いま一度検討すべきではないかという御意見。
 また、現役世代に偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底、給付と負担の見直しといったものを図ることによって、高額療養費制度に限らず、保険料負担の増加の抑制を図り、持続可能な医療保険制度にするための制度改革は喫緊の課題ではないかという御意見。
 また、医療費を支える財源は自己負担、保険料、公費の3つしかない。そういう中において給付を受ける側と負担する側のバランスをどう取るか。これについて丁寧な議論が必要ではないかという御意見がございました。
 右下5ページ目でございますけれども、こちらは医療従事者・学識経験者の方の御意見でございます。
 日本の医療についてということで○が4つございますけれども、医療保険制度を治療の公的負担をどれくらいにするのか、また、誰の治療を対象とするのか、どのような治療を対象とするのかという3つの軸で考えた場合には、諸外国と比較して日本の医療保険制度は最も恵まれた制度になっているが、持続可能性という観点から課題である。海外には患者負担が0%の国もあるけれども、こういった国では治療薬の種類、使えるものが限られている。他方で、日本の場合にはほとんどの薬が保険で使用できる。
 それから、2つ目の○として、2014年以降、薬効別の薬剤費では悪性腫瘍が1位となっていて、当時年間7400億円であった薬剤費が現在では1兆円を超えるなど、非常に速いスピードで増加している。
 また、日本は医療費抑制のために薬価の引下げを行ってきたものの、マーケットの魅力が低下することによって、日本で薬を開発しない、あるいは薬が届かないという問題が起きている。新しい薬を使いたいということと同時に薬の価格を安くしたいというのは、非常に難しいのではないだろうかという御意見。
 また、現行の高額療養費制度の課題としては、暦月単位であるということ、あるいは制度が複雑であるということ、あるいは負担上限額が固定されているということなどがあるのではないだろうかと。
 当事者意識を持たせるという観点からは、実際に幾ら払って、また、保険から幾ら償還されるという明細を示すとか、こういう見えるようにするということが考えられるかもしれないという御意見がございました。
 また、5ページ目の下でございますけれども、高額療養費制度をはじめとした医療保険制度改革についてということでございまして、持続可能性という観点から、やはり現在の制度は課題があり、高額療養費制度をどう維持しながら、新しい薬も含めてよりよい治療を患者に提供できるようにするかという課題がある。
 また、世代全体の自己負担割合の引上げというのは医療費の適正化に一定程度寄与し、患者の健康状態への影響は限定的であったことが研究で示されている。一方で、高額療養費については特定の患者層の受診抑制や治療中断という悪影響は否定できないのではないだろうかと。低所得者への配慮も必要ではないか。
 また、費用対効果分析であったり、低価値医療の利用の抑制といった対策も今後の課題ではないだろうかという御意見がございました。
 こういう御意見を踏まえて、右下6ページ目でございますけれども、これまでの専門委員会における主な御意見を踏まえた今後の議論ということで論点風に整理をしているものでございます。
 ○が3つございますけれども、上2つの○については認識の一致あるいは共通ということで整理をしてございます。
 一番最初の○でございますけれども、この専門委員会のこれまでの議論において、高額療養費制度はセーフティーネット機能として患者にとってはなくてはならない制度である。また、諸外国と比べてもこういう恵まれている制度を擁している国はほとんどなく、今後もこの制度を堅持していく必要性については認識の一致が見られているのではないかと。
 こういう共通認識の下で、高齢化の進展であったり医療の高度化、高額医薬品の開発などが今後見込まれる中で、また、現役世代の保険料負担に配慮する必要がある中で、制度改革の必要性は理解するが、その際には、この専門委員会の所掌を超えることになるわけでございますけれども、高額療養費だけではなく、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要ではないかと。こういう点についても共通していたものと考えられます。
 その上で、これまでの議論を踏まえると、高額療養費制度の在り方の検討に当たっては、例えばということで3点ほどさらに議論を深める必要があるのではないかということで整理をしてございます。
 まず1点目、現行制度においても患者の医療費負担は極めて厳しい状況にあるという御意見がございました。他方で、医療費が増大する中において、制度を将来にわたって維持し、かつ現役世代の保険料負担への配慮の必要性なども踏まえると、低所得者の方あるいは長期にわたって継続して治療を受けておられる患者の負担に配慮しつつ、負担額の一定の見直しが必要ではないか。こういう御意見もございました。また、高額療養費制度における応能負担の在り方、また、制度を見直す際には仮のモデルを設定した負担のイメージやデータを踏まえる必要があるのではないかという御意見もございました。こういった点を踏まえて、高額療養費制度における給付と負担の在り方についてどのように考えるべきかというのが1点目の論点であります。
 それから、2点目、仮に自己負担額を引き上げるとした場合には、限度額に到達せず、多数回該当に該当しなくなって、負担が急激に増加する事例が発生する可能性がある。また、長期にわたって継続して治療を受ける患者さんの経済的な負担に配慮し、例えば患者さんの負担に年間上限を設けてはどうか。こういった御意見もございました。これらを踏まえて、高額療養費制度を見直す場合に留意すべき点として、どのような制度的配慮が必要だろうと考えられるかという点が論点の2点目でございます。
 それから、3点目、現行の高額療養費制度においても、例えば加入する保険者が変わった場合に多数回該当のカウントが引き継がれない、あるいは現物給付化されているため、費用総額が見えにくくなっているため、制度を意識する機会が少ない、また、コスト意識の面での課題を指摘するという御意見もございました。こういった点を踏まえつつ、現行制度における課題への対応として、運用面を含めてどういう対応が考えられるか。これが3点目でございます。
 これらの点について、また、これまでのヒアリングで出された御意見を踏まえて、議論をさらに深めていただければと考えてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして御意見、御質問等がございましたら、挙手にてお願いいたします。また、オンラインで御参加の皆様方におかれましては、挙手機能を使いましてお知らせいただければ幸いでございます。
 では、どなたからでも構いません。
 では、天野委員、よろしくお願いします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
 議論の前提として2点申し上げておきたいと思います。
 まず、資料の今お示しいただいた中で、資料1の最後の6ページになりますが、最初の2つのポツについてそれぞれ指摘させていただきます。
 まず1点目ですが、諸外国と比べてもこのような恵まれている制度を擁している国はほとんどなく、今後もこの制度を堅持していく必要性についての認識の一致が見られたという記載がございます。これはまさにここに書かれているとおりで、日本は非常にすばらしい医療制度を持っておりますし、また、いわゆる医療制度におけるコストとアクセスと質という3つの要素を同時に高い水準で満たしているという意味においては非常に優れた制度を有していると感じます。また、私もがん患者の一人として、そういった制度があることに心から感謝をしている次第でございます。
 一方で、今回、高額療養費の専門委員会では、議論の焦点の一つとしては特に患者の自己負担に関してということがあるかと思いますので、その点について意見を一言申し上げます。海外と比較するということに関して申し上げますと、例えば欧州が日本の制度に比較的近い制度を持っているかと思いますが、ドイツであれば自己負担の上限額は世帯年収の2%程度ですし、フランスについては抗がん剤等の代替性のない高額医薬品は自己負担がないという状況にあります。先ほども申し上げたように、あくまでこれは医療のアクセスや質などの他の要素を考慮せずに、自己負担だけについて申し上げているところでございますが、自己負担だけに関して言えば、日本が突出して海外より低いというわけではないですし、現状でも高額療養費の適用があっても年収の大体2割から3割程度の負担になっている可能性がある状況であるということは指摘させていただきたいと思います。
 2点目になりますが、2ポツ目について、これは特に前回の委員会で多くの委員の方から、高額療養費制度だけでなく、ほかの改革項目も含め、医療保険制度全体の中で全体感を持って議論していくことが必要という点も共通していたという指摘が確かにございました。
 この点についてでございますが、私も第1回のこちらの委員会で、そもそも保険とは大きなリスクに備えるものであり、大きなリスクは共助中心であり、高額療養費制度は大きなリスクに備えるものであることから、まさに公的医療保険制度の根幹を成すものであるということを申し上げた次第でございます。
 それと併せて、医療費全体で考える際には、もちろんこの委員会自体は高額療養費について議論する委員会ですので、ほかの項目について議論することは当然ないと承知しておりますが、ただ、ほかはどういった議論が進んでいるのか、医療費全体の中でどういった議論が進んでいるのかということについては、可能であれば事務局からお示しいただいたほうが望ましいと考えています。高額療養費だけが議論が先行するとなってきますと、そもそも保険の本旨を見失ってしまう可能性がありますので、その点についてお願いできればと思います。
 以上、前提条件ということで2点申し上げました。
○田辺委員長 ありがとうございました。今のは後々報告等でこちらにフィードバックするということの要請ですね。分かりました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、大黒委員、よろしくお願いします。
○大黒委員 よろしくお願いします。日本難病疾病団体協議会の大黒です。
 今、天野委員からあったお話と重複するのですけれども、この委員会でも諸外国のという議論はずっと出てきて、その中でデータを示していただきたいというのがあったと思うのです。ですから、諸外国が保険制度としてどのような形でされているのかというのが私たちもなかなか分かりにくいので、そこら辺は共通認識としてデータをお示ししていただければありがたいかと思います。
 また、2点目のところですけれども、ここにも書いてあるとおりで、日本の医療保険制度改革全体でという形の議論になると、この専門委員会の所掌を超えることになるということだと思うのですけれども、その場合にどのような形で議論を進めていくのか。どこで議論を進めるのか、また、その場合にこの委員会の位置づけというのはどうなるのかというのを教えていただければと思います。
 また、その上でというところであるのですけれども、以下の諸点についてはさらに議論を深める必要があるというところで、例えば低所得者の方や長期にわたり継続して治療を受けている方に配慮しつつというのはあるのですけれども、その部分以外のところはやはりこの高額療養費の在り方の委員会の中で高額療養費の改革の部分を検討していくのかどうかというのを確認いただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺委員長 では、よろしくお願いします。
○佐藤保険課長 大黒委員から御質問としては2点いただいたかと思っております。
 まず1点目、高額療養費以外の医療保険制度改革全体の議論をどこで行っていくのか。また、これは天野委員との関係でもございましたけれども、この委員会におけるフィードバックの話がありました。
 まず、どこで議論していくのかということでございますけれども、この専門委員会自体が社会保障審議会の医療保険部会の下に設置されている専門委員会でございます。ですので、医療保険制度全体の話は社会保障審議会の医療保険部会において議論していくことが中心になるだろうと考えております。当然、全体感を持った議論というものを医療保険部会において今後行っていく必要があるのだろうと思っておるのですけれども、その議論の状況というものはこの専門委員会にも適宜フィードバックといいましょうか、御報告をしていくことになるのだろうと思っております。これが1点目でございます。
 それから、2点目でございますけれども、6ページ目の3つ目の○の1つ目のポツの関係だと思いますけれども、ここで現行制度においても云々というくだりの中で、低所得者あるいは長期にわたり継続して治療を受けておられる方々の負担に配慮しつつという形で例示をしてございますけれども、これはこれまでの第1回目から第3回目までにおけるヒアリングであったり、あるいは各委員の先生方からいただいた御意見の例示としてお示ししているわけでございますけれども、様々な御意見がございましたし、また、これから議論を深めていくに従ってそれ以外の論点も出てくるのだろうと思います。現時点でこれとこれということで議論を絞るつもりではございませんでして、幅広い観点から忌憚のない御意見を賜ればと考えてございます。
 事務局からは以上でございます。
○田辺委員長 大黒委員、よろしゅうございますか。
 では、ほかはいかがでございますか。
 佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 これまで申し上げてきたコメントと重なる部分もあるかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
 まず、前々回の患者団体等のヒアリング、また、前回の保険者等からのヒアリングという機会を設けていただき、患者の方々が直面している厳しい立場も改めて理解できましたし、保険者としての苦しい立場も説明させていただきました。また、医療従事者や学識経験者の方からもお話を聞くなど、様々な立場の方の御意見を集めながら、この難題について非常に丁寧な議論を進めていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 これまでのヒアリングを聞いて、高額療養費制度が大変重要であるということを改めて認識しましたし、制度を見直すことの難しさも改めて感じたところでございます。
 ただ、やはり人口構造の変化や医療費の高騰等の状況を考えると、現行の制度のままで維持していくことは難しいということも確かだと思いますので、一定の見直しは必要であると感じております。
 そういった中で、今回6ページに今後の議論の案をお示しいただきましたが、それぞれについてコメントしたいと思います。
 まず、1つ目の○に高額療養費制度はセーフティーネット機能として患者にとってなくてはならないとございますが、そもそも保険の本旨というのは高いリスクをカバーするということにあると思いますので、今後の検討に当たっては、当然ながらこの制度を堅持しなければならないということが大前提になろうかと思います。
 また、2つ目の○ですが、高齢化の進展や医療の高度化が見込まれ現役世代の負担軽減が不可欠な状況にある中では、高額療養費制度だけでなく、医療保険制度全体の中で見直しを行っていくということも、言わば共通認識になっていると考えております。
 そういった中で、前回のヒアリングにおいて、医療費の適正化に向けて、費用対効果の分析や低価値医療の利用の抑制といった対策、また給付と負担のバランス、さらには公費、保険料、自己負担といった財源のバランス等について検討するとともに、やはり国民の納得感がある見直しを進めていくべきであると思います。その際には、費用の見える化、透明化も含めた国民全体へのコスト意識の喚起も考慮しなければならないと思っています。
 そして、3つ目の○に議論を深める点として3点示されておりますが、それぞれについてコメントしたいと思います。
 まず、1点目の高額療養費制度における給付と負担の在り方については、患者の方々、特に長期にわたり継続して治療を受けておられる方々の負担が過重なものとならないように配慮しつつも、負担能力に応じたきめ細かい制度設計、具体的には現行の所得区分を細分化すること。また、年齢ではなく能力に応じた全世代の支え合い、例えば、長期にわたって高齢者に配慮して組み込まれている外来特例の精査等といった観点での見直しが必要であると考えます。そういう意味で、厚生労働省事務局におかれましては、やはり仮のモデルを設定した負担のイメージやデータを整理いただくときに考慮いただければと思います。
 また、ポツの2点目、3点目については、長期療養者への配慮に関する課題が指摘されていますが、高額療養費制度を見直す際の制度的配慮については、例えば年間上限の設定といった考え方は理解できます。一方で、運用面の対応については、多数回該当のリセット問題は検討すべきだと思いますけれども、その際には保険者におけるシステム等の課題も伴いますので、関係者の事務負担等も考慮した制度設計をお願いしたいと思っています。
 最後に、前回ヒアリングにおいて、康永先生、後藤先生から費用対効果分析や低価値医療の利用抑制の対策、コスト意識等、医療の適正化に向けたお話がございまして、今後の検討において大変示唆に富んだものだと感じました。
 同じ有識者の立場で、菊池先生が前回のこのお話をどのように受け止められたのか、今後の議論においても大変重要なポイントではないかと思っておりますので、委員間で質問して恐縮でございますが、御意見をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
○田辺委員長 それでは、菊池委員、リクエストがございましたので、公益というか学識経験者というスタンスからだと思いますけれども、何か御発言があったらよろしくお願いいたします。
○菊池委員 まさか御指名いただくとは思わず、本当に筋書きも何もないのですけれども、ありがとうございます。
 前回、学識の先生方からお話しいただいた際にコメントというか発言させていただいた際の発言がほぼ私の考えているところで、中身というよりは手続も含めて、その辺りが私の考え方でございまして、今日まさに今後の議論案でもまとめていただいていますけれども、やはりこの専門委員会の所掌はあるので、そこで今回どういうふうに見直すかという議論はしっかりしなければいけませんが、私も全く見直さないということは、全体の医療の高度化を前提とした今の状況からすると難しいだろうと思っていますし、これも以前お話しさせていただきましたが、数年前、もっと前ですかね。一度この高額療養費を見直そうという機運がございましたけれども、その際にはできなかったのです。そこでは見直しの必要性の中で、特に低所得の方々とか、やはり負担能力がなかなか厳しい方もおられるという認識がその時点でかなり広くあったと思いますので、その辺りはやはりしっかり今回も受け止めながら、見直しの議論を進めなければいけないとは思っておりますが、しかし、全世代型社会保障の中でも負担能力別負担ということをうたっておりますし、その方向性というのは一定の範囲で尊重すべきだと私も思っておりますので、見直しは必要だと思っております。その中でどうバランスを取った全体としての見直しをしていくかと。保険料負担者も含めて納得を得られるか改革をしていくかということだと思います。
 それと、中長期的な課題といいますか、まさに医療の高度化をめぐる医療保険制度における給付と負担の在り方をどう考えていくか。これは前回もかなり先生方からお話がございましたけれども、費用対効果をどう考えていくか。あるいは薬事承認と保険収載の関係ですとか、その他、様々な論点がありますので、せっかくいろいろな御意見があってこの専門委員会が設けられたのですから、逆に言うと、この機会がなければさらに議論する場が持てずにいたかもしれないというか、佐野委員も御案内のとおり、私も委員ですが、医療保険部会は忙しいので、常に毎月毎月直近の課題で動かざるを得ないので、やはりじっくり腰を据えて議論するのは難しい面もございますので、もちろん医療保険部会が上にありますから、そこが基本ですけれども、これを契機にじっくりと腰を据えて、大きなテーマにも向き合って議論していく必要があるのではないかということで、中身のある議論ではないのですが、方向性としてはそのように考えている次第でございます。
 あと、その中で、先ほども外国の制度のお話が出てきておりましたけれども、参考にはなりますが、何をどう比較するのかというのはとても難しいところで、私はドイツ、フランスの専門家ではありませんけれども、例えばドイツの疾病保険は自己負担率2%と承知していますが、日本と比べてどうなのかというと、例えば被保険者の範囲が違う。高額所得者はドイツでは入っていないとか、例えばドイツの医療保険制度の保険収載の仕方、手続まで含めてどこまで日本で研究されているかというと、私の承知する限り法学研究者で3人しか専門家がいない。なので、厚生労働省はもちろん研究されているでしょうけれども、どこまで深く調べられているか分からないので、あくまで参考にはなりますけれども、この国がこうだから日本は劣っているとか優れているとかと一概には言えないので、やはり全体を見なくてはいけないので、そこは外国を研究する際には留意する必要があるとは思ってございます。ただ、経済的な部分については医療経済の先生方の御知見というのは参考になると思っています。
 以上です。
○田辺委員長 不意の御指名にもかかわらずお答えいただきまして、ありがとうございました。
 では、佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 すみません。突然のむちゃ振りにもかかわらず、お答えいただきましてありがとうございました。
 今の先生のコメントで、海外のデータのところについては私も同じような感覚を持っていまして、医療提供体制におけるアクセスの問題や状況も加味して比較しないと、いわゆる給付のほうだけを見てああだこうだと言うのは危ない部分もあるのかなということで、先生の御意見に賛成でございます。
 いずれにしても、ありがとうございました。
○田辺委員長 ほかはいかがでございましょうか。
 では、井上委員、よろしくお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
 6ページにまとめてあるとおり、今後の高齢化の進展や医療の高度化、高額化という中で、やはり制度自体を持続可能なものにしていくというために一定の何らかの見直しが必要ではないかというところは皆さん共通しているのかなと思います。
 特に我々の立場からすると、前回議論がありましたけれども、やはり現役世代の負担が少し重過ぎるということで、それを考えていくということは全体の中で大変重要だと思っております。
 6ページの2つ目にありますけれども、高額療養費制度だけでなく他の改革項目も含めて全体感を持って見直していくというのは極めて重要なことだと思います。特に将来を見据えますと、今後の高額な医療へのアクセスをどういうふうに考えていくのかというのは非常に大きな問題になってきていると思いますので、先ほども御意見がありましたけれども、この専門委員会ということではなくて、様々なところでこの問題について真剣に議論をしていく時期に来ていると思います。
 今後、社会保障審議会でも様々な議論が進められると思いますけれども、この専門委員会ともぜひ連携を図りながら、また、今回患者団体の皆様の直接の御意見を聞くという機会は我々にとっても非常に意義深いものだと思いますので、こういう形を取りながら、この高額療養費制度について具体的に検討していくことが重要だと思います。また御指摘の中にもありましたけれども、やはり納得感とか、これは患者団体の当事者の皆様ということだけではなくて、国民全体のコスト意識ですとか、そういうことも高めていかないとなかなか議論は進んでいかないと思いますので、そのためには、もちろん数字で表せるというものばかりではないのですけれども、やはり見える化をするということと、科学的な根拠を示して皆さんに理解していただくという活動も重要だなと思います。
 それと、今、全世代型社会保障改革で様々な改革が進んでいるわけですけれども、このスピードがスローダウンすることがないように、納得とか合意を丁寧に得ながら、できるものから優先的に議論して効率的に進めていくということが重要であると思います。
 以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 ほかに。
 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 今の井上委員とかぶる面があると思うのですが、国民の納得というのをどう考えるか。高額療養費制度は非常に重要で、セーフティーネットとして欠かせないものであるということは確かなのですけれども、このたびの参議院選挙で社会保険料を下げる、あるいは消費税を下げる、ないしやめるとか、そういう負担を減らすということを提唱した政党がかなりの支持を得たということは、国民の間で負担をこれ以上増やしてほしくないという要望がすごく強いと思うのです。ですから、どういう形でこれを分かってもらうのかということは非常に難しい。
 それで、私もまだ時々大学の学生に教えたりすることもあるのですが、今の若い人たちは社会保障制度をほとんど知らないのです。どこでもあまり習ってきていないということです。医療に限らず、年金にしろ、介護にしろ、システム自体をあまり分かっていないので、国民の納得ということを言う場合に、若い世代にどう分かってもらうのかということは非常に重要かと思います。
 それから、費用対効果についてですが、前回の康永先生の話にあった低価値医療という言葉を私は本当に知らなくて、衝撃だった。効果がないにもかかわらず、ずっと高額な医療を続けているということもかなりあるというお話で大変びっくりしました。この辺の検証もぜひやっていただきたいと考えております。
 がん研の後藤先生にそういう患者さんはどのぐらいいるのか、効果がないにもかかわらず、患者や家族の要望で続けているというケースはどのくらいあるのですかと聞いたら、かなりあるとおっしゃった。だから、その辺をどう考えるか。例えば複数の医者によって判断するとか、一人の医者でこれはやめましょうと言うわけにはいかないと思うのですけれども、その辺りももうちょっと厳密にしてもいいのではないか。
 日本の医療制度はとてもいいのですが、患者の要望でつい薬を出してしまうということもかなりある。私自身も時々やってしまうのです。医者からは要らないと言われたのに、解熱剤とかそんなのをもらってしまったりしたこともあります。その辺、患者自身にも甘えがあるかと思うのですが、もう少し費用対効果とかそういうことを厳密にしたほうがいいと思います。
 それから、今回の高額療養費の限度額引上げですが、最初に申し上げたと思うのですが、今は時期が悪いという感じもする。今、日本の経済状況は非常に厳しいですし、家計に占める食費の割合であるエンゲル係数も非常に高くなっている。国民が物価高に物すごく苦しんでいるときに、限度額引上げというのは難しい。その辺、制度改革待ったなしということは分かるのですけれども、国民的な感情、庶民的な感情から言って、今直ちにしなくてはならないかということについては疑問に思っております。
 以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
 私ども地域保険グループとしても、この高額療養費の見直しに当たりましては、セーフティーネットとしての高額療養費の役割を維持するという観点、そして、医療保険制度の持続可能性を堅持するという観点、このバランスをどのように取るかということが重要だということを申し上げてきました。
 本日、6ページの今後の議論案の整理の前段部分を見ますと、この総括的な整理も同じような趣旨でまとめていただいているのではないかと思っております。
 それから、本専門委員会で患者団体の方々等からの意見でも明らかになったように、とりわけ何年もの間、長期にわたって治療を要する方々の負担、ここはやはりこれまで視点としては弱かったのかなと思いますので、こういったことに十分配慮していく必要があるということも確認できたのではないかと受け止めておりまして、これらの点については委員の多くの皆様はあまり異論はないのではないかと私自身は受け止めております。
 そういう中で2つほど意見を申し上げますと、1点目は個別の論点ということになりますけれども、6ページの最後の黒ポツのところに関係するのだと思いますが、高額療養費制度の具体案の検討に当たっては、この委員会でもどなたかから意見が出ていましたが、制度が複雑過ぎて医療現場でも混乱している、医療側も患者側も双方がよく理解できていないというようなことをおっしゃっていた。そういった意見もありましたが、実は高額医療費制度というのは医療だけではなくて介護保険でもございます。定率負担でございますので、一定の額を超えた場合には支給されるという仕組みですが、さらには医療と介護と両方受けている場合も、それぞれの負担を合算して、一定額を超えたら後ほど費用を償還する。医療保険と介護保険で按分して負担するという仕組みができております。
 これは利用者の負担を考えたときには大変有意義な制度であると思いますけれども、制度が複雑になっておりますので、関係者が十分理解できていないというのが現状ではないかと思っております。このため、今回の具体の作成に当たりましては、できるだけ分かりやすい制度にするということが必要ではないかと思っております。
 また、私ども国保中央会は市町村国保や後期高齢者医療制度の事務処理標準システムの開発を厚生労働省より受託しておりますけれども、迅速で誤りのないシステム開発の実施というためにも、ぜひ分かりやすい制度にしていくということが重要であり、十分御留意いただきたいということでございます。
 それから、2つ目は先ほど来出ています今後の進め方みたいな議論になると思いますけれども、一つは、高額療養費制度の議論の進め方としては、まだ9月でございますので、今日も含めて論点を議論していただく必要もあるでしょうし、いろいろデータの確認とかも必要だと思いますけれども、どこかの段階で何か具体的なたたき台みたいなものを厚生労働省のほうから提示していただいて、そのたたき台をベースにまた欠けている論点はないのかとか、そういう議論の仕方のほうが有効ではないかなという気がしております。昨年、医療保険部会ではその辺があまりできなかったのかなという反省も私自身はあるものですから、やはりどこかで具体案というもののたたき台を出していただいて議論をしていくということをぜひお考えいただければと思います。それは医療保険部会の議論でもあるかもしれませんけれども、政治が今こんな状況で、役所の立場からいうといろいろなことを考えなくてはいけないので、タイミングといいますか、難しいのはよく分かるのですけれども、ぜひ厚生労働省にはそのタイミング等も含めて御検討いただきたいと思っております。
 それから、もう一つは、いわゆる高額療養費制度以外のところで対応していかなくてはいけない。先ほど出ていました薬剤給付の在り方だとか、医療費適正化をどうするかとか、特に高額の薬剤の給付の問題とか、これはやはりこの委員会を超えた議論ですので、医療保険部会なり他の審議会、部会での議論も併せてやっていく必要がありますけれども、そのときにこの専門委員会とそういった関係する審議会、部会との役割分担みたいなところも整理が必要なのかなと聞いていて思った次第でございます。
 以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
 本日は議論を整理いただきましてありがとうございます。
 患者団体の皆様などからのヒアリングでは、高額療養費制度の見直しは長期に療養されている方々の命や生活に直結する課題であるということがありましたし、一方で、その制度の維持に向けては社会を視野に入れて考えることが不可欠というお話もございました。
 また、前回のヒアリングでは、康永先生から、70歳を境に医療利用が急に増えており、低額利用できる医療を過剰消費する現象があるということ。また、後藤先生から、高額療養費制度の不公平さの例として、有料個室の利用は高齢者が多いとして、これは応能負担に従っているのかという御指摘もあったところです。
 こうした御意見も受け止めて、持続可能な医療保険制度に向けて、高齢者中心の社会保障から全世代支援型社会保障へ再構築することが必要と考えております。また、高額療養費制度を含めて、年齢で区切っている今の制度の在り方を見直すことが重要と考えます。
 本日6ページでお示しいただいたところでございますが、○の3つ目で高額療養費制度の検討に当たっての論点が出ております。このことに関しまして、今後議論を深めるに当たりまして幾つか要望を申し上げます。これまでも申し上げてきた点と重なりますが、御容赦いただければと思います。
 一つは、各所得区分における家計への影響を分析した上で丁寧に検討を行っていただき、見直し後においても必要な医療へのアクセスが阻害されないよう、とりわけ長期に継続的な治療が必要な患者への配慮が必要だということです。
 2つ目に、高額療養費制度における年齢区分を廃止し、外来特例については支給範囲の縮小に向けて検討が必要と考えます。
 また、3つ目で、保険料を応能負担している中で、給付においても応能負担をこれ以上強めるということについてです。こちらについては、これまでも申し上げてきておりますが、被保険者の制度への納得性を損なう、高額所得層だけでなく中間所得層の負担も強まる、高額所得層としてイメージしている世帯の就労生活実態にも目を配る必要があるという点から問題と考えております。
 最後に、患者団体の皆様から御要望のあった1か月単位となっている算定期間の柔軟化や、保険者が変わっても通算可能な多数回該当の仕組みとすること、また、同一保険者である場合は自己負担限度額が2万1000円未満であっても合算を可能とすることについても、ぜひ検討を深めていただきたいと考えております。
 以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、山内委員、よろしくお願いいたします。
○山内委員 商工会議所の山内でございます。
 ヒアリングや議論の整理に感謝申し上げます。
 今回のヒアリングを通じまして、患者の皆様の思いや現場の状況を非常によく理解することができました。少し感想的なところもありますが、意見を申し上げます。
 資料に記載されました今後の議論の案、方向性につきまして異論はございません。
 高額療養費制度は非常に重要な制度で維持していかなければなりませんので、やはり給付と負担の見直しにつきましては検討が必要だと思っております。
 全世代型支援型社会保障という御意見がありましたが、高額療養費制度も含めて、医療保険全体で考えるべきだというところも改めて認識を深くしたところでございます。
 企業の経営者と、私自身のように経営支援をしている立場からすると、社会保険料負担はどうしても重いので、負担軽減という面に着目してしまいがちでありますが、今回の議論でも医療の質が大事だということもよく分かりました。
 保険自体は大きなリスクに備えるために皆さんで支え合うもので、今、皆様からありましたように、納得性とか国民の理解を深めていくことが重要であり、大きなリスクを受診控えで抑制するというようなことは、保険制度の意義を失わせることにもなりかねないということも分かりました。
 破滅的な支出の考えもヒアリングで出ておりましたが、こうした観点も踏まえて、議論がありましたように、国民全体で意見交換、議論できるような情報提供や、発信、見える化などと合わせて見直しの議論を深めていただければと思います。
 制度全体について申し上げると、現役世代の保険料負担は増えており、軽減は不可避だと思っておりますので、ここに配慮した制度設計も引き続き議論の中で深めていただければと思います。
 小さなリスクについてはセルフメディケーションで対応する。費用対効果を踏まえた給付の適正化という視点も必要になってくるのだろうとは思います。
 医療給付費の増加につきましては、会議でも御指摘があったかと思いますが、モラルハザードが起こっていないか、不審な受診やあるいは薬剤の投与、こういったものがないだろうかということについてはまた引き続き分析の徹底をお願いしたいと思います。
 繰り返しになりますけれども、可能な限り具体的なデータに基づいて、国として適正な情報提供と、これに伴う厳正な運用制度改善をお願いしたいと思います。
 分かりやすい制度にしていくという議論もありました。ぜひこうした議論で、制度の持続性、納得性の向上につながる議論を、引き続きこの会議あるいは医療保険部会でもお願いできればと思っております。
 以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 それでは、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 この高額療養費制度の専門委員会において、今後どのように議論を進めていくのかということに関しては、確かに今、各委員がおっしゃったように様々な点からの議論が今後も必要だろうとは思うのですが、まず、この議論がスタートしたといいますか、起こった原因といいますかきっかけは、やはり保険医療財源が大変厳しいということ、そして、現役世代の保険料負担が限界に来ているという点だろうと思います。そういうことを考えますと、特にこの高額療養費制度の今後の議論を進めるに当たっても、負担の議論ということになりますと、医療保険財源を含めた制度全体の議論を踏まえた上で、連携しながら議論を進めていく必要があると思います。全体の議論ということになりますと、多くの委員がおっしゃっておられるように、やはりこれは医療保険部会等での議論が必要になってくるのであろうと思います。それを踏まえた上で、この高額療養費制度の見直しの議論をしていくに当たっては、全体の負担と給付の考え方の議論に一定の道筋が見えないと、本制度の特に負担と給付の方向性も見えにくくなるということを考えますと、なかなか事務局としてもたたき台は出しにくいだろうなと思います。
 しかし、6ページに整理していただいているように、3つ目の○にあるそれぞれのポツに記載してあるとおり、特にこれまでの参考人の方々、また、委員の方々の御意見から、特定の非常に医療費がかかる疾患にかかっておられる方、さらにはなかなか負担できないような低所得の方々に対しては特段の配慮が必要であるという点は、この委員会の皆様方全員の共通した認識になっていると思いますので、こういう認識の下に、例えばこの2つ目のポツにありますように、患者さんの負担の年間の上限の設定等、こういう考え方も含めて、基本的な見直しの考え方というものを厚労省のほうから示していただければよいのではないかなと思います。
 その際、先ほど何人かの委員からもお話がございましたが、諸外国の例という点については、医療の保険制度、そして、医療提供体制も異なりますし、その成り立ちも違うというのは前回もお話ししました。その中で医療の質とアクセスとコスト、この全てを示した上で、その中において例えば自己負担はどうなのかという示し方をしていただかないと、恐らく間違った判断に導く材料になりかねないものです。もし材料を示していただくならば、なかなか難しいとは思いますが、その辺りも含めた資料提供をお願いしたいと思います。
 この全体的な話の中で、前回もお話ししましたが、医療保険財源というのは公費と保険料と自己負担の3つしかないのだということで、それ以外からは財源は出てこないということです。そして、保険料負担を軽減したり、先ほどお話がありましたが、消費税減税等、そうすれば皆さん一番うれしいわけですけれども、結果的には医療費財源が少なくなります。そうしますとどうなるかというと、皆さんが保険で受けられる医療の範囲が少なくなるとか、質が下がることになるのだということをお示ししてもらった上で、国民の方にどうしますかと問うこととなります。先ほどからいろいろな委員から出ておられる納得感というものを、いかに国民の方々に許容していただきながら、少しでも納得していただきながらこの見直しをするのかということが必要になりますので、本当にこの制度は難しいですので、厚労省を含めて国には国民が理解しやすいような説明というものをしっかりと、時間もあまりありませんので、粘り強くアナウンスメントしていただければなと思います。
 その中で1点だけ、ヒアリング等で低価値医療というお話がございました。確かに先ほどお話が出ていたように、医療保険、保険というのは高いリスクをみんなでシェアする、カバーするという考えの下に成り立つものではありますけれども、一方、患者さんというのは、要するに日常で何か障害、支障が出たり、または体調に不安を感じたりして医療機関をまず受診されるわけです。その場合に、初期症状というものと病気、疾患の重症度というものは必ずしも一致しないというのは皆さん方も何となく御理解されると思います。要は、初期症状が非常に軽くても、後々に非常に重篤化、重症化するという例は間々ございます。ですので、そういう意味から申しますと、我々としては必要かつ適切な医療というものは保険診療で給付するという基本的な国民皆保険の理念、こういうことも国には示していただきながら、これを堅持するのかどうかと。当然我々はこれを守るべきであろうと思っておりますが、その辺りの議論も必要になるのではないかなと思っております。
 私のほうからは以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 それでは、島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 高額療養費制度の持続といったことに関しては、これは基本認識だろうと思いますが、現役世代の保険料の負担を軽減するということになれば、先ほどから城守委員が力説されているように、自己負担額の引上げか公費負担の増額という形しかあり得ない。もともとこの話はトータルして高額療養費そのものが増大してきているといったところに端を発しているはずですが、自己負担額を引き上げるという話で医療保険部会のところである程度方向は決まったけれども、そこに対してのいろいろな反対があってこの専門制度ができているという話です。
 それで、この辺のバランスをどうするかといったこと、それから、ヒアリングで明らかになった諸課題も含めて、やはり事務局からのある程度の素案というか検討案を作っていただいて、しっかり検討していく必要があるのではなかろうかと思います。
 それから、井上委員とか袖井委員がおっしゃっていたように、城守委員もおっしゃっていましたけれども、国民への理解といったところが非常に重要だろうと思います。我々は医療の話を一生懸命しておりますけれども、社会保障料、保険料を支払っている現役世代の方たち、病院には全く行かない、縁がないといった方たちにとっては、こういう負担は生活上もかなり厳しいのではなかろうかという気がします。ですから、そこも含めて、この制度自体の本来の意味というのを国民にしっかり理解してもらうのはかなり至難のわざと思いますが、そこも含めてしっかりやっていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 では、菊池委員からお願いします。
○菊池委員 1点補足なのですけれども、先ほど私、医療保険部会が忙しいので議論できませんよねという趣旨で伝わってしまったかのようにも思うのですが、この専門委員会で議論すべき高額療養費についてはここで議論する。これを超える部分については、次回制度改正に向けた議論が必要な部分があるかもしれませんので、そこは医療保険部会なり医療部会なりで議論する。ただ、やはり非常に大きな論点がいろいろあって、医療の高度化に伴う負担と給付をめぐる問題について、少し落ち着いて、中期的ぐらいのスパンで議論できる場を、医療保険部会の下にか、あるいは医療部会と両方相乗りか分かりませんが、何か別にそういう場を設けてもよろしいのではないかという趣旨でございまして、補足させていただきます。
 以上です。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 私からも総論ということで、今回の議論を含めて、高額療養費制度というのは患者さんにとってなくてはならないセーフティーネットである。これを維持、継続していくということが大目的であるということは全く同感でありますし、ただ、この議論を進めるに当たって、先ほど島委員からも御指摘があったように、もともとのスタートラインから考えたときに、それではこの高額療養費制度をどう考えるのかということについて、もう少し多角的、多方面から検討を加えた必要があるのではないかという議論は全くそのとおりだと思っております。今回出された論点も含め、どのようにこの制度全体の持続可能性を確保していくのか、この辺りについての議論を、こういうことはまた場を変える必要が出てくるのかと思いますけれども、そうした広い観点でぜひ議論を進めていっていただければと思っております。
 各論で1点だけ御参考までにということなのですが、先ほどドイツの給付の例がございましたが、私の知る限りで、ドイツの保険者の保険料というのは、水準から申し上げると16%程度になっております。逆に言うと、まさにそうした負担と給付のバランスがそれぞれの国で違っているということでありますので、諸外国のデータというのも興味のあるところではありますけれども、やはり重要視すべきはどういう考え方でそれをつくっているのかと。その中で、考え方として我が国の制度にプラスアルファとして追加できるものがないかというような論点が大事ではないかなと思っておりますので、資料を整備されるに当たっては、ぜひそういう観点も考慮していただければと考えております。
 以上でございます。
○田辺委員長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。一通り御発言いただいたかと思いますけれども、さらに御意見等を申し上げたいという方はお願いいたします。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、一通り御発言いただいたということでございますので、本日の議論に関する案に関する意見等はお伺いしたということで、本日の議事はこれで終了させていただきたいと思います。
 本専門委員会におきまして、これまで様々な観点から御議論いただいたところではございますけれども、制度の検討に当たっては、この高額療養費制度だけではなく、他の改革項目も含めて医療保険制度改革全体の中で議論していくことが重要だという点に関しましては、この6ページの一番上の○のところで皆様共通した認識であるということだと思います。
 また、本専門委員会は医療保険部会の下に設置されている会議体でもありますので、本専門委員会の議論の状況に関しましては医療保険部会のほうにも適宜報告することとなっております。そこで、本専門委員会での議論の状況というものを、今後、医療保険部会にも報告していただきたいと存じますけれども、この点、よろしゅうございますでしょうか。また、医療保険部会での議論で本専門委員会に関わるものに関しては、それもフィードバックするということなのだろうと思います。この点、御了解いただければと思います。
 では、次回の日程等に関しまして、事務局のほうから連絡をお願いいたします。
○佐藤保険課長 次回の日程でございますけれども、こちらにつきましてはまた追って調整の上、御連絡を申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田辺委員長 それでは、本日は御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございました。
 それでは、これにて散会いたします。