第5回福祉人材確保専門委員会 議事録(2025年10月20日)

日時

令和7年 1 0 月 2 0 日 ( 月 )16:00 ~ 18:00

場所

TKP 新橋カンファレンスセンターホール 14G(14 階)

出席者

委員(五十音順)
松原 由美(委員長)
石踊 紳一郎(委員)
及川 ゆりこ(委員)
小笠原 靖治(委員)
川井 太加子(委員)
佐保 昌一(委員)
鈴木 俊文(委員)
髙橋 秀親 (委員)
中村 和彦(委員)
堀田 聰子(委員)
山下 康(委員)
山田 雅人(委員)
山本 一太 (委員)
(代理:高橋淳参考人)

議題

  1. 介護福祉士養成施設卒業者の国家資格の取得の在り方について
  2. 国家試験受験資格に関する仕組み等について
  3. 地域の実情に応じた人材確保策としてのプラットフォーム機能の充実について

議事

○岡本福祉人材確保対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第5回「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
 続きまして、事務局より、本会議の取扱いについて御説明いたします。
 本会議の議事については公開となってございますが、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。なお、開催案内でも御案内のとおり、本会議では、これ以後の録音、録画を禁止させていただいておりますので、傍聴されている方は御留意ください。
 会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ撮り終了)
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 最初に、本日の委員の皆様の出欠状況についてお伝えいたします。
 本日は、川井委員、堀田委員がオンラインでの御出席となります。
 そのほか、中村委員の代理として、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟常務理事の伊藤新一郎参考人に御参加いただいております。また、佐保委員の代理として、日本労働組合総連合会総合政策推進局長の永井幸子参考人に、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。伊藤参考人、永井参考人、高橋参考人の御出席につきまして、委員会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(首肯する委員あり)
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 ありがとうございます。では、御異議なきものとさせていただきます。
 本日は御出席の委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 前回の専門委員会以降、事務局に人事異動がございましたので紹介いたします。
 大臣官房審議官の伊澤でございます。
○伊澤大臣官房審議官 よろしくお願いいたします。
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 その他の事務局からの出席者につきましては、配付させていただいている座席表をもちまして紹介に代えさせていただきます。
 続きまして、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 資料名の読み上げは割愛させていただきますが、本日の資料は、資料1から3を配付させていただいております。
 会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。もし欠落等ございましたら、お知らせいただければと存じます。
 また、オンラインにて出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等ございましたら、恐縮でございますが、ホームページからダウンロードしていただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、発言方法等について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、委員長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。
 御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 それでは、これからの議事進行につきましては、松原委員長にお願いしたいと存じます。
 委員長、お願いいたします。
○松原委員長 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 まず、議事「(1)介護福祉士養成施設卒業者の国家資格の取得の在り方について」、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○芦田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長の芦田でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 資料1を御覧ください。
 こちらの議事は、前回、9月17日の続きでございまして、「介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務付けの経過措置について②」でございます。
 6ページ目までは、前回までにいただいた御意見をヒアリングも含めましてまとめたものとなっておりますので、割愛をいたします。
 8ページ目を御覧ください。論点でございます。
 上の部分、これまでの主な意見ということでまとめております。
 経過措置について、上から5つポツを並べておりますけれども、様々な御意見をいただきました。
 1つ目は、経過措置の終了によって、国家資格の取得方法を一元化することにより、介護現場において中核的な役割を担う介護福祉士の専門性・質の担保や資格の信頼性の向上を図っていくことが必要である。
 2つ目、令和2年法改正時の附帯決議において、経過措置の終了に向けてできる限り速やかに検討を行っていくこととされており、それに向けた養成施設や国の対策も行われてきている。
 3つ目、経過措置を終了した場合には、外国人留学生の減少が見込まれることから、介護人材確保のために再度の延長が必要である。
 4つ目、介護人材の不足状況・地域福祉の教育基盤の維持・介護福祉士養成施設の厳しい運営状況等を考慮すれば、介護福祉士養成施設への一定の配慮が引き続き必要である。
 5つ目、資格の価値の維持・向上の観点から、試験合格を資格取得の必須要件とすることは目指すべき方向性であるが、現状の人材不足を解消するために、パート合格や外国人の語学支援などの工夫が必要。人材の質・量両面での確保の観点から議論すべきであり、経過措置の延期という二者択一の判断に論点を矮小化すべきではない。
 あと2つほど記載しておりますけれども、養成施設の役割等についても御意見をいただきました。
 1つ目、養成施設において、ICT教育の推進などの教育の質の向上、地域の担い手への研修や介護職員へのリカレント教育の推進、介護福祉士国家試験の受験対策講座の実施など、地域での役割の再整理・これからの方向性を示していくべき。
 2つ目、介護現場の切迫した人材不足・養成校の学生確保・資格の信頼性確保という3つの課題が交差しており、これらの対応課題をどのように両立させる対応策が検討できるのかという議論が本質になるべき。
 こういった御意見を踏まえまして、その下が改めまして論点でございます。
 1つ目は、経過措置については、規定どおり令和8年度卒業者までで終了すべきといった御意見や、再度の延長が必要といった御意見、終了か延長かの二者択一の議論では不十分といった御意見など、様々な御意見がある中で、前回の議論の内容も踏まえまして、今後の取扱いについてどのように考えるか、改めて御議論いただきたいと思います。
 2つ目です。あわせて、介護福祉士養成施設については、今後、地域においてどのような役割を担っていくことが期待されると考えるか。例えば、教育の質の更なる向上を図りつつ、既卒者や実務経験者も対象として、事業者や職能団体と連携した国家試験合格を支援する取組や、地域の介護人材確保に資する研修・リカレント教育の推進など、これまで以上に幅広い役割を担っていくことも考えられるのではないか。
 この2点でございます。
 それ以降の参考資料はこれまでお示ししてきたものがほとんどでございますが、前回の議論も踏まえまして少し追加した部分がございます。
 27ページ目を御覧ください。
 こちらのページは、養成施設の令和6年度の国家試験受験率及び合格率という資料を新たに作成しております。その前の26ページ目の資料はこれまでもお示しをしてきたところでございますけれども、養成施設の入学者数、卒業者数、受験者数、そしてその割合という関係を整理したグラフ等になっておりまして、入学者のうち国家試験を受験するのは8割程度と資料でお示ししてまいりましたけれども、26ページにもありますように、卒業者の数ですと入学者に比べてもう少し分母が小さくなってまいります。26ページは令和5年度までの数字になっておりますが、27ページ目が令和6年度の数字となっております。情報のソースが26ページと違うので数字のずれが少しあるかもしれませんが、こちらを御覧いただきますと、留学生以外、留学生ともに受験率は90%台半ばとなっておりまして、留学生についても96.8%となっております。ただ、その中で合格率という形になりますと、留学生以外では95.5%、留学生は48.1%と、このような形になっているところでございます。
 もう一枚、次の28ページ目を御覧ください。
 こちらの資料も、これまでお示ししたものに少し情報を付け加えた形になっております。こちらの資料は、介護福祉士の国家試験受験者数、平成30年から令和7年までの数を基にして流れを整理した資料になっておりますけれども、資格の取得ルートを見ますと、実務経験ルートと福祉系高校ルートが9割程度、養成施設ルートは1割弱、そして養成施設ルートで資格取得された方も、試験に合格して資格取得された方が8割弱、経過措置に基づいて資格を登録した方が2割程度、こういったような資料でございました。
 今回情報を追加しているのが右のほうの黄色い部分でございます。卒業後5年間の経過措置に、本年4月時点で登録している方、5,774人は以前にもお示ししていた数字でございますけれども、この内訳が今回新しく記載をしておりまして、そのうち国家試験の受験者は5,114人、未受験者は660人ということでございます。
 また、その下、過去にこの5年間の経過措置に登録していた方の現在の状況ということでございますが、この中で実務経験5年による資格取得1,024人の内訳としまして、試験の受験者849名、未受験者が175人という内訳です。また、資格消除582人のうち、受験者は500人、未受験者は82人、このような形で事実関係を整理させていただきました。
 私からの説明は以上でございます。
○松原委員長 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見のある委員はよろしくお願いしたします。いかがでしょうか。
 及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。公益社団法人日本介護福祉士会の及川でございます。
 資料1について御意見申し上げます。
 まず、日本介護福祉士会としましては、これまでも何度も繰り返しお話ししてまいりましたけれども、介護福祉士資格取得方法の一元化の完全実施を主張させていただきます。このような経過措置の延期の議論を今回の議論で終わらせることこそが、介護人材確保策として何よりも重要ではないかと考えております。
 また、介護福祉士養成施設が今後、地域においてどのような役割を担っていくことが期待されると考えられるかについては、記載のように、養成施設、事業者の皆様、職能団体が連携して取組を進めていくことが重要であると考えます。
 あわせて、この関連で、前回の委員会の中でお伝えしなかったのですが、准介護福祉士として登録されている方の対応についても発言させていただきたいです。
 当会といたしましては、准介護福祉士については、撤廃の主張は変わりありません。その上で、准介護福祉士として登録されている方の対応について、准介護福祉士が介護福祉士資格取得を目指す存在であると承知しており、日本介護福祉士会としましてはその方の介護福祉士資格取得をぜひ応援させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 そのほか御意見、御質問があれば。
 髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 全国福祉高等学校長会の髙橋でございます。発言させていただきます。
 私どもも及川会長と同じように、まずは一元化の完全実施、こちらのほうを速やかに実施していただきたいということを主張させていただきます。というのも、全国福祉高等学校長会は、以前も資料を添付してお話しさせていただきましたが、そもそも221校あった養成校の数が109校までこの制度の導入によってなくなってしまったということをぜひ忘れないでいただきたいと思っております。これまで1,100時間ちょっとから1,800時間に増え、そこに対応できずに泣く泣く福祉の養成を諦めた学校が112校あり、その犠牲の上に現在の制度というものが成り立っているということをぜひ忘れずに、今後の議論をしていっていただきたいとこちらとしては考えております。
 また、前回の会議の中で、経営の部分に触れておりました御意見もありましたけれども、私も学校法人の経営者の一人でございます。本当に経営は大変。特に私の学校法人でも、保育の専門学校をやっております。今の状況でいけば多分来年度の生徒募集は停止しなければいけないというような、そういう状況にある中で、やはり共通したルールにのっとった上での経営というところ、ここをしっかりとやっていかなければ、業界の発展というのは、私はないのではないかと思っております。
 もちろん生徒募集を停止しても、その後どのようにまた教育として展開するか、そこまで考えるのが経営と私は考えておりますので、そういう部分はしっかりと総合的に考えて発言させていただいておるということで、ぜひ御承知おきいただければと思っております。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 では、続いて、永井参考人、お願いいたします。
○永井参考人 ありがとうございます。佐保委員の代理で出席させていただいております連合の永井でございます。よろしくお願いいたします。
 私からも、8ページの論点につきまして意見を申し上げます。
 まず、○の1つ目の経過措置につきまして、改めて申し上げたいと思います。この間繰り返されてきました経過措置のさらなる延長につきましては、国家資格そのものの信頼性を損なうものと認識しており、介護福祉士の専門職としての地位の向上と確立のために、延長すべきではないと考えております。
 論点の2つ目につきまして、今後の介護福祉士養成制度の役割等につきまして、論点にあります既卒者や実務経験者も対象に国家資格合格を支援する取組や、地域の人材確保に資する研修、リカレント教育の推進など、これまで以上に幅広い役割を担っていくという方向性につきましては賛同するところでございます。
 一方で、留学生について言えば、資料の25ページを見ると、最近では定員の半数程度が留学生だということですし、27ページにある合格率を見ますと、留学生の合格率は48.1%と、半数に満たない状況にございます。留学生の合格率をもっと高めることが必要だと考えております。例えば語学力が課題となっているのであれば、既に日本語能力向上のための事業が実施されているのに合格率が低いということを踏まえ、内容の見直しやさらなる支援が必要だと考えております。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 小笠原委員、お願いいたします。
○小笠原委員 養成施設協会の小笠原でございます。
 私たちは、これまで主張してきたとおり、延期を求めるという立場でございます。2040年までに57万人介護人材を増やさないといけない。この数字は非常に重い意味があると思います。介護保険料を40歳以上になれば支払っているのに、人材不足によってサービスが利用できないということについては、この制度の根幹に関わる課題であると考えます。
 ただ、もちろん皆様がおっしゃるように、質の部分も当然私たちは担保しないといけないわけで、そう考えると、量というか人材確保の人数というところと、介護人材の質というところの両立が当然必要ということになってまいります。経過措置が延期されなければ、以前もお話ししたとおり、例えば養成校に今、7,500人ぐらい在校生がいる中で、これを日本人も増やす施策、そして留学生をこのまま維持して増やし続けるような施策があれば、将来的に1万人にすることも可能だと思います。それを2040年まで続ければ14万人の介護人材が創出できると考えると、量、人材の数という部分についてもやっていかないといけないのですが、ここの担保ができなくなるという状況がございます。延期しながら量を確保していき、その期間に質を上げることをやっていくということが最善ではないかと考えます。
 そのために、私たち養成校としては、先ほど御意見をいただきましたとおり、合格率を上げるということを当然やっていかないといけないということになります。現在、先ほど御紹介いただいたように、95%前後の者が受験をしているところでございますが、例えば全員必ず受けるようにするということであったり、以前から言われているとおり、合格率の高い学校とそうでない学校がありますので、高い学校の好事例を研究して、全国の養成校が合格率を上げていくための施策を講じるということであったり、また、卒後、10%しか合格していないということが以前、既卒者に対する国家試験の合格率で言われてまいりました。既卒者に対しての国家試験対策講座についても、養成校として責任を持ってやっていくということも必要になってまいると思います。
 また、今後の養成校に求められる役割についても、ICTやAIなどのDXの推進、デジタルリテラシー教育ということも当然必要になりますし、以前から言われている自立支援介護的なものもしっかり教育をしていくということで、カリキュラムについては後の国家試験受験に関する仕組みについて、もう少しカリキュラムについてお話をさせていただきたいと思いますが、そういう改善も必要になります。
 また、今後、リスキリング教育やリカレント教育の推進ということで、例えば実務者研修など短期養成で介護福祉士になっている方々のフォローアップというところで、聴講制度をより積極的に取り入れて、リカレント教育の支援を行っていくということであったり、介護現場や一般企業でも介護の技術・スキルを持った者というのは当然必要になってまいりますので、そういうところと提携してリスキリング教育をやっていくということも、私たち養成校の役割として必要かと思いますし、また、地域課題が中山間部と都市部、そしてそうでないところでこれからどんどん課題が差別化されていくというか変わってまいりますので、その地域地域の課題を解決できる、施設に就職したとしても、施設の中にとどまっているのではなく、地域に出ていって地域の課題を解決していく介護福祉士の養成ということも、今後の養成校の役割であると感じています。
 そう考えると、やはり地域地域に養成校が存立しているということが非常に重要な役割になってまいりますので、そういう整理、また、養成校がその地域の中でしっかり生き残っていけるように、先ほど高校のお話もいただきましたが、養成校が半減してしまうような状況になれば、地域のそのような役割も果たせないということになりますので、その5年間の間に養成校の役割もしっかり確立して、存立していけるような努力をしてまいりたいと思います。そういうところも含めて延期の意見を申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございます。
 山田委員、お願いいたします。
○山田委員 繰り返しお話ししてきていることでありますけれども、福祉・介護ニーズが多様化・複雑化・困難化してきている中で、人材確保というのは量の確保と同時に質の確保、また、向上がますます必要になるわけです。そうすると、国家資格である介護福祉士の質の向上を図っていくためにも、試験を必須とするということは重要であって、度重なる経過措置の安易な延期というのは避けないといけないと思っております。
 ただ、これは全国経営協として最初から繰り返しお話ししておりますが、二者択一的な議論に終始するべきではないのだろうと思っております。本来その前にやるべきことがあるのではないかと考えます。次回からパート合格などが導入されるわけですけれども、養成校の学生さんの多くを占める留学生の日本語支援ですとか、在留期間の見直しのことですとか、あとは修学資金の返済の問題・課題などがみんな絡んでくる形になります。先ほども指摘されましたが、資料の25ページ目を見ますと、やはり養成校への入学者は留学生が半数を上回って、逆転しているわけです。この留学生がしっかり国家資格を取得できて、現場の戦力となっていける仕組みづくりですとか支援を真剣に考えないといけないのではないかと思います。あわせて、国家資格に見合うだけの賃金になっていないという課題もあるかと思いますけれども、これらが全て経過措置の課題に関係してくるだろうと考えているところになります。ですから、それらを踏まえたマクロの議論ですとか取組をしなければ、ミクロ的な議論や取組に終始していては絶対課題の解決にならないだろうと感じております。
 しかし、経過措置の延長が令和8年度までだったと思いますけれども、そうすると来年の入学者にも支障が出始めるという時間的な問題も一方ではあると思います。正直、検討が遅過ぎるではないかなと感じているところですが、となると、現実的には今回は不本意ながらも延長を考えざるを得ないのかもしれないのですけれども、先ほどお話ししたとおり、様々な課題への対処を早急に進めて、もし延長するとしても、今までのような3年とか5年といった長い期間ではなくて、もっと短期にした延長にするのが現実的ではないのかなと思います。
 とにかく二極化の議論ではなくて、包括的な議論、取組にして、スピーディーに進めていくことが必要ではないのかなということを繰り返し全国経営協としては主張させていただきたいと思います。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 石踊委員、お願いいたします。
○石踊委員 全国老施協の石踊でございます。
 私もこれまでいろいろな発言をさせていただいたのですが、重複になるかもしれませんけれども、介護福祉士の経過措置については、留学生の資格取得が課題であろうと私は思っているわけでございます。外国人介護人材というのは、生産年齢人口が減少していく中、慢性的な人材不足である我々介護保険施設にとっては本当に貴重な存在で、今、事業運営に必要不可欠な存在でもあります。介護福祉士を目指して養成校に入学してくる留学生は年々増加傾向にあり、入学者の約半数を占めると先ほどからも言われているとおりであります。しかし、一方、養成校卒業者の合格者のうち日本人は91.9%あるわけです。しかし、留学生は35.1%と非常に低いのですが、介護の日本語学習支援事業や外国人介護人材のための国家資格取得支援事業など支援体制が整備されているものの、留学生にとっては本当に日本語の修得状況が合否の鍵であるということがうかがえます。
 経過措置により不合格でも資格が得られる状況には、介護福祉士の専門性や質の確保も懸念されると思われますが、養成校で教育を受けて卒業することで、介護に関する一定の質は担保されていると考えます。ただ、介護福祉士資格の取得が介護福祉士としての専門性や質を担保する目安である以上、試験を受験するということが必須であろうと思います。
 また、不合格で、5年間の介護業務に継続的に従事して資格を取得する特例措置の留学生に対しましては、年数回、日本語教育などの研修の受講を義務づけるというような条件を付すことを見直すことも必要ではないかなと考えております。
 国は、留学生の合格率の向上に対する様々な支援・助成や、今回導入されますパート合格の仕組みなど、環境・制度整備を進めておられます。これらの効果検証を国において行い、その結果が出るまでの間、これまでも度々申していますが、経過措置の延長をすることも妥当ではないかなと考えているところでございます。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 山下委員、お先にどうぞ。次は川合委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会の山下です。
 議論はもう出尽くしているのではないかなと思うのです。論点も明確になってきていますし、私ども日本社会福祉士会も、これまでお話をしてきた考え方に変わりはありません。国家資格ということをしっかりと考えていったときに、どういう答えが出てくるかは必然なことですし、5年前の附帯決議の中で、経過措置の終了に向けてできる限り速やかに検討を行っていくということであるとか、経過措置はあくまでも暫定的なものだという決議がされています。やはりそれは5年前の議論を尊重しなくてはいけないのではないかなと思っています。
 ただ、その5年間の間になかなか解決できなかったことが今、課題になっているということがあるのですけれども、とにかく暫定的な経過措置については一度終了させて、新たに今お話が出ているようなパート合格の仕組みであるとか、留学生の方の支援であるとか、そういったことを具体的にどう進めていくかという別の課題で議論をしっかりとしていかなければいけないのではないかなと思っています。
 日本社会福祉士会としては、これまでの態度、考え方は変わっておりませんので申し上げておきます。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 お待たせいたしました。川合委員、お願いいたします。
○川合委員 ありがとうございます。
 1つ目の論点について発言させていただきたいと思います。
 介護保険制度というのは、公費と保険料によって支えられていますけれども、したがいまして、介護サービスの質と安全性を確保することがその制度の信頼を守る上で欠かせないと思っています。しかし、介護福祉士養成施設の経過措置によって、国家試験に合格していない者も介護福祉士として加算の対象に含まれていると認識しています。
 本来、介護福祉士は、国家試験に合格して、専門的知識と技術を備えた国家資格ということになります。不合格や未受験者の人を同列に扱うということは、資格制度の信頼を損なうということ、そして利用者が安心してサービスを受けられる体制を揺るがしかねないのではないかと思います。
 経過措置の延長を繰り返すというのではなくて、これまで経過措置をしてきた。これに加えて教育支援体制も整えてきたわけですけれども、そういう全ての養成施設修了者が国家試験を受験・合格できるような仕組みへと、やはり早急に移行すべきだと思っています。
 資料1の22ページにありますとおり、留学生の合格率は75%の養成施設が4割ある一方で、25%から50%の養成施設がそれぞれ2割ずつという状況にあります。介護福祉士の質の向上というのは重要で、その観点から、留学生についても国家試験の合格が必要と考えます。既に養成施設の入学者の半数以上と先ほどから言われているとおり、留学生が増えてきていて、留学生の合格率を向上させるということが必須の課題だと思っています。
 これまでも日本語支援の充実とか、学習時間を確保するための制度的な支援とか、模擬試験制度の整備や、教員研修の充実や、いろいろやってきています。前年度に実施されたヒアリング調査の中でも、やはり外国人留学生に対して日本語と専門用語を併用した事業の実施や、日本語補助体制の整備、これらによって合格率の改善が見られたという養成校からの報告も上がっています。
 このように既にもう好事例も出てきているわけですから、こういうことをちゃんと取り入れながら今後進めていく必要があると思います。さらには好事例をもっともっと集めて、皆さんが目にしやすいように、使いやすいような形に持っていく必要があると思います。
 日本語能力が高いほど国家試験の合格率が高いというデータもあります。ですから、日本語教育を充実させるための取組というのは、今後も引き続き行われる必要があると思います。
 さらに、令和2年の法改正時の附帯決議において、養成施設の実態把握が求められたことを受けて、養成施設ごとの合格率を公表しています。この公表について、留学生自身やその周辺の方々が養成施設の選択の材料とできるように、日本語以外の多言語による公表ということも検討すべきではないかと考えます。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 今までの委員の皆様から出た議論と私は重複するところがたくさんあると思っておりますけれども、これまで同じように繰り返し議論してきましたとおり、現場の人材不足、それから資格の価値という意味、また、介護福祉士養成施設の学生確保という観点で皆さん共通しているところは、介護福祉士の社会的地位の向上というところを目指しているという点では変わらないと思っています。
 この社会的地位の向上と今回の議論がどのように結びつくかと考えたときに、現在新しく介護福祉士養成施設における留学生の数が非常に増えている中、また、介護福祉士の国家試験の合格に対する課題が明らかになっている中では、介護福祉士という国家資格有資格者を介護福祉士養成施設が確実に輩出していくために、新しい課題に直面していることをこの議論の中に載せるべきだと考えています。
 といいますのも、やはり2040年に向けて多様な介護人材が活躍できるようにするためには、中核的介護人材の位置づけが極めて重要で、そのためにこれまでも、2040の検討会をはじめとして、山脈型として、介護福祉士の資格を基盤にしたその後のキャリア開発についても議論が進んでいるところです。この議論でそこを止めてしまうと、キャリア開発にも影響を与えることにもつながることが懸念されますので、私はやはり介護福祉士養成施設としての重要な役割に介護福祉士の国家試験合格があるということを前提に考え、その中で今直面している留学生等に対する教育的支援の在り方、それから地域において様々な、多様な介護士資格取得を目指すためのルートが存在していることを強みに、地域における人材が介護福祉士養成施設を活用しながら、どのように資格取得につなげられるのか、こういったことをリカレントやリスキリングの概念も加えながら整えていくということがこれからは重要になってくると考えています。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 では、お待たせいたしました。伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 日本ソーシャルワーク教育学校連盟の伊藤でございます。
 中村の代理としまして、2点御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず論点の1点目でございますけれども、この経過措置についてでございますが、今後、パートごとの合否判定の仕組みが導入されるということも踏まえますと、やはり介護福祉士の国家資格制度をより安定的に運用していくという段階にあるのだろうと考えております。国家資格制度への社会的な信頼の確保と、資格の取得を目指す方々が資格取得に対するモチベーションを減じないために、再度の経過措置の延長については行うべきではないと私どもは考えているということでございます。
 それから、論点の2点目についてでございますけれども、地域において介護福祉士養成施設が担う役割は大変大きく、事業者や職能団体と連携しながら、養成校在籍者に加えて、既卒者の方ですとか実務経験をお持ちの方々に対して資格取得を支援していく。そういった意味で、介護福祉士資格の取得者の確保に向けた様々な工夫を講じることで、幅広い役割を担っていくことができるのではないかと思っております。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 ほかにいらっしゃいますか。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 先ほどの鈴木委員の発言に絡めての話になりますけれども、国家資格の社会的地位の向上が必要なのだという話がありました。これは以前から全国経営協としても、介護福祉士の信頼性ですとか、社会的な評価ですとか、実際の支援の質の向上のためにも必要なのだという話をしてきているところであります。単純に介護福祉士という国家資格を取得しているから中核的な人材として役割が担えるのだという、そんな単純なことではないですけれども、やはり大切な必要条件になるということです。そこは押さえておかなければいけない。
 それから、先ほども少し発言しましたけれども、社会的な国家資格の地位の向上といったときに、処遇といいますか、国家資格に見合うだけの賃金になっていないということを、ただ処遇の改善ということと切り離すのではなくて、今のようなものと絡んでいることなのだということは十分認識した上で、処遇改善、賃金の向上を図っていかないと、質の向上は図っていけないのではないかなと考えております。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 資料1について、よろしいでしょうか。
 小笠原委員、どうぞ。
○小笠原委員 先ほどから、まさに今の課題というのは、外国人留学生の国家試験をどう合格させていくかという課題になります。私も先週モンゴルに行ったり、先日もタイに行ってまいりましたが、以前からもお話しているとおり、日本語を選ぶというような機運が非常にしぼんでいると感じます。その一つはやはり円安等によるもの、また、先ほどおっしゃられましたように賃金が非常に低いというところ。この間インドネシアに行った方に話を聞くと、この金額ではもう日本に行くことはできない。つまり、相手の国がドイツであったり、オーストラリアであったり、カナダであったりということになっていく。韓国であったりというふうになっていくと、非常に賃金で負けている状況の中で、何で日本に来ているかというと、安全・安心ということと、あとは必ず在留資格が取れるという状況で来ている。つまり、賃金では負けているけれども、在留資格はしっかり取れるということで日本に来ている。その魅力が今この瞬間に失われるというのは、外国人材を日本で活躍させていくということにとっては非常に大きな支障になっていくのだなというのを改めて感じたところ。
 もう一点は、現場の団体から、やはり留学生は連帯保証人の支援を受けて修学資金を受けているということになります。この要件が必ず介護福祉士であるということになっていますので、つまり、奨学金が借りられても返済しなければならない可能性が高いというところも課題になっておりますので、併せて奨学金の課題も、先ほどから意見の中にも出ていますが、これも解決しないことには、本当に介護人材が確保できなくなる。特にこれから重要になってくる外国人介護人材の確保というところについては非常に大きな影響を与えると。そこについて、私たちももし延長されればしっかり取り組んで合格率を上げていくということで、できるだけ目指す方々が現実まだ今後も増えていくというところは必要になりますが、令和8年というこの瞬間において、既にもう今、学生募集に影響が出てきているという意見を聞きますが、そこに対して、延期してもう少し準備の期間をもって、先ほど申し上げたところでありますが、質も確保でき、人材も確保できるという両立の期間は必要でないかというところの意見でございます。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 堀田委員、お願いいたします。
○堀田委員 ありがとうございます。
 論点の2つ目について申し上げたいと思います。
 介護福祉士の養成施設ですけれども、これまで何人かの委員からもお話がありましたし、過去のこの委員会の中でも議論があったことかなと思いますが、一つは中核的な介護人材について、改めてどういった役割を地域の中で発揮すべきなのか、それが発揮できるためにはどういったコンピテンシーを身につけているべきなのかといったことを議論した上で、介護福祉士の養成施設においても、地域の事業者とか関係団体と連携しながら、中核的な介護人材をより効果的にどのようにして育てることができるのかということを積極的に検討して、養成に携わるということはぜひ役割を担っていただけるとよいのではと思います。
 あわせて、もう一つ裾野を広げるというほうについても、既に養成施設の中でそういった役割も担っているところがあるように承知していますけれども、こうしたところについても、中核的な介護人材の役割ともしかすると接続する部分もあるのではと思いますが、地域資源開発といったようなところにも役割が果たせるような環境整備、場合によっては後方支援というところもあってよいのではと思います。
 あわせて、随分地域によって社会環境が今もこの先も変わっていくということが予測されていますし、それに伴って支援のニーズというものも地域ごとに違ってくるところもさらに広がってくるのではないかと思いますので、地域の社会の変化というところを踏まえた形で、どのように将来的に介護福祉士が身につけているべき力というものが変わっていくのだろうかということについても、養成施設の方々がそれぞれの地域でまなざしを今も持たれていると思いますが、そのまなざしを今後の介護福祉士の養成の中でも生かしていける。それを集約して国レベルでも反映するといったような循環についても、もしかすると今日の3つ目のプラットフォームにも関連してくるかもしれませんが、介護福祉士養成施設が果たす役割もあるのではないかと思っています。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 資料1に関連しまして、委員長ではなくて一委員としての私の意見ですけれども、養成施設の新たな役割というのをこの資料の中で示していただいて、それは非常に重要な視点だと考えております。私自身、2040検討会の委員でしたけれども、その中で、人材の多機能化ということについて何度か発言させていただきました。この次の議題でも、複数資格を取得しやすくする仕組みについて御議論いただきますけれども、例えば他分野の資格を有する人材に対するリカレント教育という視点で、養成施設の資源を活用することが考えられると思います。こういった養成施設の新たな役割ということを併せて考えることが非常に重要だと認識しております。
 また、地域の中核人材ということなのですけれども、これも非常に重要な点で、その際にはやはり組織だったり地域だったりをマネジメントしていく能力も重要になってくると思いますが、社会福祉士と比べて、そういうマネジメントに関する項目が足りない、ないかなと思いますので、そういった項目も中に入れていく必要もあるのだろうと思っております。
 最後に、全ての出発点としては、ちゃんと賃金を充実させていくと。これが全ての出発点になると認識しております。
 では、次の議題、「(2)国家試験受験資格に関する仕組み等について」、事務局より説明をお願いいたします。
○芦田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
 資料2「国家試験受験資格に関する仕組み等について」を御覧ください。
 まず1ページ目を御覧いただください。
 上半分のところにありますように、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」の中でも、福祉・介護の分野で働く人材が、それぞれの資格の専門性を踏まえつつ、複数の資格を取りやすくするといった福祉サービス間における資格の取扱いをどう考えるかという課題もあると指摘をされているところでございます。
 また、本専門委員会におきましても、これまで関連する御意見をいただいてまいりました。第1回におきましては、専修学校において時間制から単位制となる流れは、身につけたものを読み替えて、将来にわたって専門職として高めていくベースを考える上でも、コンピテンシー基盤型の教育の実現のために意味があるといったような御意見をいただいております。
 また、第3回の委員会におきましては、2040検討会では、分野を越えた連携が強調されている。多様なニーズに柔軟に対応し、協働化・大規模化を進めていくには、介護分野にとどまらない幅広い専門性を有する人材の確保が不可欠。直接介護に従事する介護職員だけでなく、福祉サービスを支える多様な専門職の確保といった視点が福祉サービスの継続には必要。
 また、別の御意見として、介護人材の高齢化は、一方で経験豊富な人材を多く確保できる側面もあり、複合的なサービスや多機能に適した人材育成の強みもある。人口減少が進む中で、複合的役割に対応できる人材育成に向けた公的な支援策を講じることが重要といった御意見をいただきました。
 ちなみに、福祉部会におきましても複数の委員から、複数の資格を取りやすくする仕組みについて検討が必要である旨の御意見をいただいているところでございます。
 こういった中で、まず現状の養成課程の概要などについて資料をおつけしております。
 3ページ目、4ページ目は介護福祉士の資格の取得方法についての資料でございます。
 5ページ目にございますように、平成30年に養成課程の教育内容の見直しを行いまして、6ページ目、第1号養成施設についての資料でございますが、こういった教育内容、時間数で養成を行っていただいているというところでございます。
 7ページ目は、今の養成課程・教育内容を踏まえて、国家試験が行われているという資料でございます。
 8ページ目からは社会福祉士の関係です。
 8ページ目、9ページ目、社会福祉士の資格取得の方法でございます。
 10ページ目、社会福祉士につきましても、令和元年に教育内容等の見直しが行われまして、11ページ目に記載のとおり、こういった教育内容、時間数によりまして、養成課程、教育を行っていただいているところでございます。
 12ページ目以降は、現在行われている科目免除等の仕組みについて整理したものでございます。
 13ページ目を御覧ください。
 今度は社会福祉士のほうの話になっておりますけれども、赤で囲んでおりますが、社会福祉士の養成課程における実習時間につきまして、介護福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている方については、この実習の時間の一部免除を行うという形にしております。
 また、14ページにございますように、社会福祉士の養成課程と精神保健福祉士の養成課程におきましては、共通科目化というものを順次行ってきております。
 さらに、15ページ目でございますけれども、両者の国家試験の受験科目について、免除の仕組みもございます。
 16ページ目からが、同じ福祉の分野の中で言いますと保育士との関係です。
 16ページ目の真ん中から下の辺り、保育士資格取得の際の具体的方策という辺りでございますけれども、保育士試験の科目につきまして、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の資格を有している方については、試験科目の一部免除がございます。
 また、その下ですが、保育士養成施設の履修科目につきましても、介護福祉士養成施設を卒業した介護福祉士につきましては、履修科目の一部免除が行われているという状況にございます。
 ページを飛んでいただきまして19ページ目を御覧ください。
 改めて介護福祉士養成施設についてでございます。第1号養成施設については先ほど御覧いただいた資料にも記載しておりましたが、第2号等養成施設、大学で社会福祉士に関する科目を修めて卒業した方などが入学することができる施設でございますが、大学で社会福祉士に関する科目を修めて卒業した、あるいは社会福祉士の養成施設を卒業した方、こういった方が介護福祉士の養成施設で学ぶ際には、一部の教育内容が短縮されるという形になっておりますし、第3号養成施設というのは、保育士養成施設等を卒業した方が入学することができる施設でございますが、こちらについても一部の教育内容が短縮されるという形になっております。
 一方で、20ページ目を御覧ください。
 こちらは、介護福祉士の資格取得ルートのうち実務経験ルートに関するものでございまして、介護業務の実務経験3年以上に加えまして、実務者研修を修了し、国家試験に合格することで、介護福祉士の資格を取得できるという形になっておりますが、実務者研修の科目等につきましては、21ページ目に記載しておりますけれども、ほかの介護に関する研修を修了した方については、この実務者研修の科目について、一部免除するような仕組みになっております。
 もう一点、現状につきまして、22ページ目からですけれども、学校教育法の改正が行われまして、専修学校について単位制が導入されます。
 見ていただきたいのは23ページ目の真ん中辺り、マル2の辺りでございますけれども、学習時間に関する基準、単位数により定めることができるようにするという形で制度改正が行われているところでございます。
 こういった状況も踏まえまして、26ページ目、論点のページでございます。改めて御覧ください。
 現状・課題の部分、重複するところがございますが、改めて申し上げます。
 まず、資格保有者等に係る他資格養成課程の一部免除等という見出しをつけております。
 平成30年の本専門委員会における議論を踏まえたカリキュラム改正により、社会福祉士の養成課程におきましては、介護福祉士養成課程における「介護実習」や、精神保健福祉士養成課程における「ソーシャルワーク実習」、これらを履修している者について、実習時間の一部免除を行っております。
 また、保育士養成課程につきましては、介護福祉士養成施設等卒業者であれば一部科目免除を行っているほか、試験についても、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の国家資格所有者について、保育士試験科目の一部免除が行われております。
 加えまして、介護福祉士養成課程におきましては、保育士養成課程を修了した者に対しまして、養成課程を一部短縮し修業年限については1年以上、時間数1,205時間としております。また、社会福祉士養成課程を修了した者などにつきましては、修業年限1年、時間数1,220時間としております。
 一方で、例えば介護福祉士国家試験の実務経験ルートにおける受験資格要件である実務者研修につきましては、他の介護関係の研修の修了により科目免除は行われているものの、他の国家資格の取得状況ですとか、他の資格の養成課程の修了状況といったものを踏まえた時間免除等は行われていないというところが現状でございます。
 また、学校教育法改正による専修学校への単位制の導入ということで、専修学校におきましては、修了認定を時間制で行っているところ、大学等との制度の整合性の観点から、令和8年4月から単位制による修了認定を導入することになっております。一方で、例えば介護福祉士養成課程の修了認定につきましては、現行制度において1,850時間の履修を求めておりまして、時間制での認定となっているといったところでございます。
 その下、論点でございます。
 1つ目は、生産年齢人口の減少が進んでいく中で、福祉分野で働く個人が複数の領域で活躍できる人材となるための多機能化を進めていくことが必要であることから、資格を取得しやすくするために、例えば、実務者研修の一部免除や、養成施設のカリキュラムを時間制から単位制にすることなどを検討することについてどう考えるか。
 2つ目です。既に行われている実習時間の一部免除や養成課程の短縮について、さらに免除や短縮することについてどう考えるか。
 この2点が論点として御議論いただきたい内容でございます。
 その後ろは参考資料でございます。福祉部会のほうで菊池部会長からも少し言及があったのですが、28ページ目にございますように、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)におきましては、医療分野も含めてですけれども、医療・介護・福祉の国家資格に係る複数資格の取得促進、こういったことについて触れられているところでございます。その下、新資本実行計画2024年改訂版でも触れられております。
 こういったような閣議決定に基づきまして、最後、29ページ目でございますけれども、こちらは横断的な部分でございますので、部局としては政策統括官のほうで担当しておりますが、こういった閣議決定に基づきまして、順次、調査研究などを行っているところでございます。
 こちらは参考としてお載せいたしましたが、本専門委員会におきましては、先ほど26ページ目にございましたような論点についてまずは御議論いただきたいと考えているところでございます。
 私からの説明は以上です。
○松原委員長 では、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問をお願いいたします。
 山田委員、お願いいたします。
○山田委員 複数資格の取得の推進については、福祉部会においても全国経営協で度々繰り返し提案をさせていただいている内容であります。
 今、説明にもありましたけれども、2040検討会でも示されているように、今後ますます分野を越えた連携が必要となってきますし、地域の多様な福祉ニーズに対応していかなければいけません。また、一方では、大規模化・協働化といった議論も進められているところであります。となったときに、幅広い専門性や幅広い視点を持った人材を育てていかないといけないし、増やしていかないといけないというところがあります。複数の資格を取得していく必要性がより高まっていきますし、問題意識の高い、また意欲のある人材は、そのようなキャリアアップを望んだり、取組をしていこうと努力している状況があります。
 しかし、問題意識、意欲を持ちながらも、現実問題、働きながら複数資格の取得、キャリアアップを図っていくということは、とても大きな負担、時間的な余裕が厳しいですよね。30代、40代の人たちが、ますますキャリアアップを図っていこうという意欲的な人が多いのですが、それらの方々というのは、仕事だけではなくて、子育て世代も多いのです。そうするとさらに時間的な余裕がないところであります。
 今までも、既に説明がありましたとおり科目免除がされてきてはいますけれども、まだ短縮、免除する余地があると思われるので、検討を進めていかないといけないなと。逆に、先ほど松原委員長からも話があったように、これからの役割として増やさなければならないような科目といったものもあるのではないかと思います。質が落ちてしまっては元も子もありません。
 ただ、今、資料の26ページの論点の1つ目の○の2行目の真ん中辺りに「資格を取得しやすくするため」とあるのですが、この表現はもしかすると一部誤解して受け取る方々もいるかもしれないので、表現は見直したほうがいいかなと個人的には感じております。この表現ですと、楽して簡単に取れるようにするみたいな捉え方をする方がいるかと思うのですが、そうではなくて、共通する基礎的な科目や内容については、履修等の重複を避けていくと。効果的に取得できるように改善していくんだみたいな、例えばですけれどもそういう表現にして、意味ある改善にしていかないといけないのかなと感じているところです。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 そのほか御意見、御質問があればお願いいたします。
 及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。
 資料2について御意見申し上げます。
 人口減少が進む中で、複数資格を取得しやすくする方策ということにつきましては、否定はいたしません。ただし、既に保育士の養成施設卒業者につきましては、600時間以上の短縮がなされているなど、必要な対応は行われていると考えています。また、介護福祉士の養成課程としましては、介護福祉士の専門性に必要な教育を受けていただく必要があると考えております。これ以上の短縮については慎重な検討が必要と考えます。
 また、単位制につきまして、単位制にすることで学びの実時間が減ってしまう可能性があることを懸念しています。少なくとも介護技術、生活支援技術の実習時間であるとか、介護現場での実習の時間につきましては、実際の学びの時間が少なくならないように、学びの時間が規定以上確実に担保できるようにしていただきたいと考えております。
 私も行政のほうに少し携わることがあるのですけれども、本当に短縮されている中で、どうやって生徒になっていらっしゃる方々に理解していただくかということについては、教員の先生方も結構苦労されているところではないかなと思うので、慎重に進めていただきたいと思います。
○松原委員長 ありがとうございました。
 髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 26ページの論点の部分の1つ目の○の単位制にすることを検討するというところで、私としましては、単位制というのはそもそも時間数が基になって単位制というのがあると認識しておりますので、単位制にした場合に、時間数がどれだけちゃんと確保できるのかという担保は必要になってくると思います。例えば、いざやってみたら足りなくて、35時間やって1単位のところを30時間で終わらせましたとか、それを認めてくださいとか、そのようなことがあってはいけないと思います。しっかりとこれまでの時間というものを担保できる単位制というものであれば、私としては特段問題ないのではないかと考えております。
 そう思っているきっかけというのは、先ほども申し上げましたように、福祉系高校が半分になった理由は、1,100時間から1,800時間まで増えた、この時間数によって若い者の学びの場が摘まれてしまったという立ち位置で私は考えておりますので、時間数はしっかりと確保した上で、様々な取組ができるような柔軟な制度というものは私は大賛成でございますので、よろしくお願いいたします。
○松原委員長 ありがとうございました。
 永井参考人、お願いいたします。
○永井参考人 ありがとうございます。
 私からも、26ページの論点につきまして意見申し上げます。
 1つ目の養成施設のカリキュラムを時間制から単位制にすることにつきましては、修得する内容に差が生じないということであれば問題はないのかなと考えておりますが、ただし、実務者研修の一部免除や養成課程の短縮につきましては、先ほども御意見がございましたが、単に資格を取得しやすくするということだけが目的であるのであれば、いかがなものかと考えております。地域を支える福祉人材のありようについて、現場で働く方々の声も把握しながら、丁寧な検討をお願いしたいと思っております。
 2つ目につきましては、既に行われている実習時間の一部免除や養成課程のさらなる短縮についても、学んだ内容がきちんと身についているということが重要であり、研修や教育の質がきちんと担保されるべきと考えております。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 まず論点の1つ目の単位制ということについては、皆様がおっしゃっているとおり、時間が確保できるのであれば特に問題がない。特に専門課程、現時点では大学編入、専門士が取得できれば4年大に編入できるということになり、単位の互換性が既にあります。その場合、現在、時間数でいっているわけですが、それを単位に置き換えて、大学のほうにシラバスと一緒にお渡しして、そこで認められれば、時間数であっても単位に変換して、その科目についての実習が認められるということが既にありますので、そこを考えると、今までの時間数は一回一回変換していかないといけなかったわけですが、そこについて、単位制になれば、大学の編入等についてもスムーズにいくと考えておりますので、特段問題ないのではないかと思っております。
 実習時間の一部免除や、養成課程の短縮について、平成19年にカリキュラムの大幅改正があって、そこから医療的ケアで50時間が増えたり、教育に含むべき事項の変更があったりということはありましたが、平成19年の変更からの検証は行われていないわけではありませんが、大きくそこに手を加えたということはありませんので、一つは本当に適正な時間になっているのかどうかというところの検討は必要ではないかと思います。
 例えば、介護課程は今、150時間授業をするようになっています。私も介護課程の指導は以前しておりましたが、介護課程の150時間というのは正直言って長いと思います。なぜ長いかというと、結局介護課程というのは実践で学ぶべきものなのです。例えば学内で学ぶに当たっては、立て方を教える。事例で学ばせる。でも、事例で学んでも、環境設定もない中で事例で教えるというのは非常に困難が伴います。それよりは、実際介護現場に行って、そこで介護実習で実習課程を経ながら、実際の利用者の方に関わって、そこで教員が巡回に行ったとき、ラウンドに行ったときに指導をする。また、実際に利用者と関わっている職員が、そこで教員と学生と一体になって指導していく。これが非常に効果ある介護課程の指導ということになっていることを考えると、学内でやれることが非常に限られているということで、介護課程の学内時間はちょっと長過ぎるよねという意見は以前から聞こえているところです。これは介護課程をないがしろにするということではなく、本当に質を保つ必要時間になっているかどうかというところを検証していくということは当然必要になっていく。
 あわせて、医療的ケアについても、50時間プラス演習プラス実地研修、これは恐らく医療職でない介護職に医療的なケアを担わせるには、かなり厳しい指導を課さなければならないというところが背景にあったのだろうと思いますが、正直、喀痰吸引、経管栄養、そして心肺蘇生、これだけに50時間をかけるということについては、例えば看護師の養成をしている方に聞いても、看護師でもそこまでの時間はやらないよという話です。もちろん医療専門職ではない介護福祉士がやるわけですから、それ相応の時間は必要になると思いますが、それが適正な時間であるかということの確認も必要になってまいりますし、その後の実地研修の在り方も、単位を渡す学校として見ると、かなり細かい指示の下、あまり学校での判断ができないような、がんじがらめの状況でやっています。例えば、今の形でやると、うちの学校で言うと、看護教員1人で1日実地研修ができる人数は、決められたとおりであれば2人が限界というところです。そこを少し柔軟にというのがいいかどうか、表現は迷いますけれども、言っても3人が限界ということになると、うちの場合は、40人の学生を指導するに当たって、1日4人の教員が担当して、それでも12名ということで、2人の場合には8名、8名であれば5日間かかる。そこに対して非常勤として来ていただきますので、経営的な費用も大幅にかかるということで、非常に運営するに当たって、結果的には現場で実地研修をして、そこでクリアしないとできないと考えると、そこについても検証が必要になってくるのではないかなと思います。
 介護実習についても、非常に施設での受入体制の差があって、以前はなかなか実習を受け入れてくれる施設がなかったというところが、今は人材確保につながるからということで、非常に実習を受けたい施設が増えてきていますが、施設に対しての指導力の差というのが非常に大きく出ているところがございます。
 そう考えると、例えば、地域支援をしているところとそうでないところによって実習の質も変わってまいります。また、現場の人手不足により指導する人がいずに、学生の言い方を借りると、私は放置されていましたみたいなところもやはりあったりしますので、そこについても、時間の短縮云々ということがいいかどうかは別として、本当に均一な質が保たれているのかということ。ある意味、450時間の実習というのは、受け入れる施設に対しては非常に重い負担になっているところがありますので、質と時間をどう両立させていくのか、その代わり質を維持しながら実習をどう考えていくかということについても考える機会になっていくのかなと。
 いずれにしても、複数資格というのは、今後、特に中山間部で働く養成校の学生については、当然幅広い知識・技術・スキルを身につけ、見識を持った者が行かないと支え切れないという現実は目の前に迫っていますので、複数領域で活躍できる者を養成していくというのは、都市部はそうニーズがないかもしれませんが、中山間部を今後支えていく上では非常に必要なことであると捉えているところでございます。
 長くなりました。以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 お待たせしました。堀田委員、お願いいたします。
○堀田委員 ありがとうございます。
 26ページの論点に関連して、2点申し上げたいと思います。
 1つ目は、今、各委員のお話を伺っていると、まだ今というよりも将来的な検討ということになるのかなと思うのですが、今回の論点で、時間制から単位制でと書かれています。私自身はこの方向でよいのではないかと思っていますが、そもそも時間だの単位だのを決めるというよりも、一定の単位なりを取得した上で、求められているコンピテンシーをきちんと身につけていることが重要で、現状ではなかなかそのラーニングアウトカムの評価が行われていないということが、ヘルスもですけれども、実は医療介護福祉士関係共通で現状の課題でもあって、例えば御参考までにフィンランドなどでは、1990年代には日常ケアに携わるヘルスケアとソーシャルケアの共通する中卒レベルの資格として、御存じの方も多いラヒホイタヤという資格がつくられていますけれども、この資格に関しては、随分歴史があるということですが、2018年の改正以降は、単位制、クレジットというものから、コンピテンスポイント、職業能力ポイントということに考え方が変わっていて、修了年限も撤廃しているということになっています。
 ですので、現状では、皆様のお話を伺っているとまだまだ早いのではと思いますけれども、その時間なり単位なりということ、それはそれでベースで必要となることはあるかもしれないのですが、最終的にどのようなコンピテンシー、職業能力を身につけているかということの評価で、本来は将来的には考えていけるようにすることがとても大事ではないかと思っています。
 2つ目ですけれども、ここに書かれている、あるいは様々な検討会でも議論されている多機能化を進めるということは、これも賛成いたしますけれども、そもそも地域共生社会の実現に向けてという方向性の下で、2016年にはニッポン一億総活躍プランの中でも、対人支援職種に共通して求められる共通基礎課程を創設するということが書かれています。それに向けて、対人支援職種に共通して求められるコンピテンシーの案ですとか、それをどのように身につけるかといったモデルカリキュラムのようなものも、全国各地あるいは多くの関係団体の方々から御協力をいただきながらつくられてきているものです。ですので、そもそも多機能化ということのベース、一つの資格しか持たないとしても、よりこの社会が変わっていく中で求められる力をどうベースの資格で身につけておくことができるかという観点での検討が進められているものを止めては本当はならないのではと思っています。今回のペーパーには十分にその点が入っていなかったのではと思いますので、ここで意見を申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 山下委員、お願いいたします。
○山下委員 日本社会福祉士会、山下です。
 今の時代に福祉を語るというときに、キーワードというか本当に共通認識になっているものとしては、人口減少社会、担い手不足であるとか、2040、多職種連携であるとか、意思決定支援、重層的支援体制整備事業であるとか、まとめた形で地域共生社会の実現、そういう社会的な課題がある中で、複数資格の取得ということに関しては、一定程度効果があるのではないかなと思っています。複数資格を持っていることによって複眼的な視点になりますし、幅広い視点を持って地域での支援を担っていけると考えると、こういう方向性はありかなとは思っています。
 ただし、山田委員はじめ多くの委員の方からもありましたように、資格を取りやすくするという観点では、これは間違いだと思っています。そうではなくて、本当に地域共生社会をどう担っていくかという観点に立った上での資格をどうしていくのかということが大事かなと思っています。
 それから、この資格制度、複数の取得ということになると非常に大掛かりな作業が必要になってきますし、例えば新カリキュラムが大学で導入されれば、結果が出るのは4年後ですよね。4年後、5年後の地域の中での展開というところで結果が見えてくると。非常に時間軸もあります。そういう意味で、今回この問題に関しては慎重に議論を進めていくべきではないかなと思っています。冒頭申し上げたように、方向性を否定するものではありませんけれども、かなり慎重な議論が必要かと思っています。
 それから、30ページにありますように、研究調査の概要の中で、対象者として看護師以下、理学療法士、作業療法士等々、7つの職種が挙げられています。この職種を見ていけば、当然ながら、ボディータッチ、直接ケアを行う職種と、あと私たち社会福祉士はじめそうではない職種の違いがあると思います。この辺で、医療と福祉というような切り分け方だけでは不十分だと思っておりますし、もう少し検討していく余地があるのかなと思っています。
 最後にもう一点だけ、実習のことについても多くの方が触れられていましたけれども、本当に実習は大事なのです。学生が現場に来て実習すると本当に変わります。学校の先生方、皆さんおっしゃるところだと思います。実習というのは、これまで学んできた価値や知識や技術といったものを現場の中でぶつけていく。そしていろいろなものを吸収していくというような、本当に大事なものになっています。
 この実習というものをどういうふうに実現していくのか。各専門職を目指していく学生ごとによって、実習で得たいものは違ってくると思うのです。そういった意味で、実習の在り方についても慎重な議論が必要ではないかなと思っております。
 全体的なことを申し上げていますけれども、方向性はいいかもしれないけれども、慎重な議論が必要だ。それから、資格取得、取りやすくということを前提とするのはどうなのかというような意見です。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 石踊委員、お願いいたします。
○石踊委員 ありがとうございます。全国老施協の石踊でございます。
 いろいろと意見が出ておりますけれども、私は、多様な福祉ニーズに対応するためには、社会福祉士とか、介護福祉士とか、各資格に共通する内容の部分については、免除、短縮することが、複数の領域で活躍できる多機能な人材を育成するということになるかなと思います。資格を取りやすくするということは非常に大事なことだと考えております。
 質の担保という話が出ていますけれども、それは資格を取られた後、我々事業所でどういうふうにその人を育てていくかということが一番大事なことではないかなと考えております。継続的に研修等を含めて、いかにこの資格を取られた方を事業所で育成して、その方がいろいろなことに対応できるようにしていくということが大事で、それが我々事業所の使命かなと考えております。
 私のほうからは以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 山田委員、どうぞ。
○山田委員 現実的な話を一つ話させていただきたいと思います。
 複数資格の取得の推進の目的、狙いから考えたときに、現実に有意義に機能していくためには、処遇の問題が壁になってくるはずです。全てがということではないですが、同じ法人で複数の種別の事業を行っている場合、このような複数資格を持っている職員が多くいるということはとても機能していくことになるのですが、今ある処遇改善の制限がありますので、それがあると人事異動もできないという課題もあったりします。法人の裁量が認められておりません。それは財源の問題があるからというような説明がいつも繰り返されるのですが、不可能ではないはずであります。
 そういう現実的な問題もクリアしていかないと、せっかく複数資格の取得を推進し、キャリアアップを図っても、実務の上においてキャリアアップを図っていけない壁もあるということは、やはり改善していかなければいけない課題ではないかなと思います。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
 お待たせしました。伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 日本ソーシャルワーク教育学校連盟の伊藤でございます。
 ソーシャルワーカー養成教育の立場から、2点申し上げたいと思います。
 まず前提として、今回お示しいただいている課題や論点については、人材確保が困難だということが背景にあって、それへの対応ということかと承知をしていますけれども、この話は必ずしも各国家資格の教育の内容を共通化していくという話とは別のものかなという認識をしています。
 その上で、論点の1点目ですけれども、単位制につきましては、ほかの皆様からも出ていたように、学びの時間や内容が確保される場合には、単位制にしていくということは差し支えがないのではないかと考えてございます。
 論点の2つ目でございますけれども、既に実習時間の一部免除については複数資格において行われているわけですけれども、それぞれの国家資格の養成教育というのは、それぞれの資格が持っている専門性や専門職性ということを担保するために教育課程が組まれていると理解をしておりますので、例えば科目名が同じだったり、教育内容に同じような文言が入っている等々、それから狙い等々の重なりということは当然科目によってあるわけですけれども、その教育の文脈ですとか目的みたいなことについての違いがあるということについてはやはり留意が必要かなと思います。
 したがいまして、各国家資格の専門職性ということを踏まえますと、資格の固有性あるいは特性というものについて重要視するということは前提として大事だと思いますので、その意味で安易な教育内容の共通化ということになっていかないような、極めて慎重な検討をしていただく必要があるのではないかと考えてございます。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございます。
 ほかにいらっしゃいますか。
 小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 先ほど言い忘れた部分がありますが、医療的ケアについては実時間で50時間となっています。学校は御存じのようにスクールアワーという形で、2時間だけれども90分で指導している、1時間だけれども50分で指導しているということが多いと思いますが、ただ、医療的ケアだけは実時間50分でやりなさいとなると、もし単位制にするとなった場合に、同じ時間数を単位に変えていくわけですが、考え方が違うものがあるとなかなかそこが難しくなっていくというところがあります。スクールアワーにすれば、恐らく50時間だけれども67時間ぐらい教えているような形になるというところで言うと、そういうところの整理もやはり必要になってくるかなと思います。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
 ほかにいらっしゃいますか。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
 これまでの議論と私自身は特に大きく変わるところはないのですが、例えば近年では社会課題として災害が発生し、災害時における福祉の提供というのは災害救助法の改正にも関わってきている内容です。この場面で考えたときに、例えば介護福祉士が災害時においては個別に相談支援に関わることもありますし、保育士が高齢者を対象にする場面もあります。また、社会福祉士においては、相談支援を実施する中で、歩行や移動に関する支援や、ADLといった日常生活動作と生活環境をアセスメントするスキルも求められます。
 これらは全て介護福祉士や社会福祉士や保育士という専門職制の上にさらに幅広く期待されるものであって、期待されるものを必要として考える場合においては、養成教育における科目内容との関係の中で、一歩踏み込んだ議論が今まさに必要になっているのではないかと考えています。
 つまり、単純に読み替えるという発想以前に、科目内容というものを今の時代において、それから今の福祉人材が福祉サービス提供体制において幅広く役割を拡大している役割の拡大において、どのように科目内容の整合性が取れているかという観点も議論においては重要だと考えます。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 私自身、社会福祉士養成校にいるのですけれども、学生を送り出す身としましては、実習に行ったら学生が生まれ変わって、すごくよかったという学生がほとんどではあるのですが、中には二度と行きたくないと泣いて帰ってくること、本当にひどかったなというときもありまして、たった半日でもすばらしい人に会って、絶対この道でいくんだと決めてくる学生もいて、まさに何ができるかということが重要で、時間でもないかなと。個人的な意見でございます。
 続きまして、資料3の説明を事務局よりお願いいたします。議事の「(3)地域の実情に応じた人材確保策としてのプラットフォーム機能の充実について」、お願いいたします。
○芦田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。
 資料3を御覧ください。「地域の実情に応じた人材確保策としてのプラットフォーム機能の充実について」でございます。
 最初のほうのページ、2040検討会の取りまとめにおいても、このプラットフォームについて多く割かれているということで、2ページ目、3ページ目はその御紹介でございます。
 4ページ目以降でございますけれども、本専門委員会におきましても、今回の議論に先立ちまして、既に様々御意見をいただいておりますので、5ページ目、6ページ目、そちらの御紹介の資料でございます。
 8ページ目を御覧ください。こちらが論点のページでございます。
 改めて現状と課題でございますけれども、人材の確保に当たっては、人口減少や高齢化の状況、地域における人材の供給量など、地域差や地域固有の問題が存在するため、地域の状況を分析し、関係者間で課題を認識・共有して議論する場を設けた上で、関係者の共通認識の下、地域の実情に応じた実践的な取組を講じていくことが重要です。
 介護人材の確保施策につきましては、都道府県が主体となり、地域医療介護総合確保基金を活用して、参入促進等に資する事業を進めております。
 この基金におきましては、連携・協働の推進を図るための協議会等の設置ですとか、人材確保のための各種取組が活用可能となっておりますけれども、実践的な取組やPDCAサイクルにつながるプラットフォームとしての取組は、全国的な実施には至っていないところでございます。
 そうした上で、その下、論点でございます。
 まず、改めてではございますが、人材確保のためのプラットフォームについて、制度として仕組みを構築するということについてどのように考えるか、こちらがまず論点でございます。
 そしてその際、プラットフォーム機能の仕組みを検討する上で、以下の1から6までについてどのように考えるかということで、幾つか挙げさせていただいております。
 マル1、設置主体についてです。地域の実情を分析するデータを保有し、かつ、地域医療介護総合確保基金を用いて人材確保に係る事業を実施している都道府県が設置主体となることが考えられるのではないか。
 マル2、役割・機能です。福祉人材確保を主たる目的とした上で、人材確保・定着など、地域ごとの個別の課題に応じたプロジェクトを創設し、実践的な取組につなげる仕組みとしてはどうか。
 その際、小規模法人における受入れを含め、外国人材の確保・定着の体制を地域で整備するための機能も併せて考えるべきではないか。
 また、関係者間で人材確保のための課題を認識・共有して議論する場としての第1層と、現場の意欲ある関係者が集まり、具体的な取組の内容を議論・推進し、地域の実情に応じた取組を行う場としての第2層による重層構造とすることで、現場に近い実践的な取組を推進するとともに、PDCAサイクルを回して、組織的にその評価をする仕組み、このようにしてはどうか。
 3つ目が対象区域(設置単位)です。第2層につきましては、それぞれの地域の実情に応じた取組を促すため、都道府県単位より狭い地域、例えば市町村単位ですとか複数市町村の圏域単位など考えられますが、こうした地域で設置することも可能とすべきではないか。
 4つ目がコーディネーター的役割(事務局機能)についてです。個々の取組に連動性を生み出すことで、地域での人材確保施策をより効果的に実施するため、コーディネーター的役割(事務局機能)が必要ではないか。この役割は福祉人材確保を目的としている福祉人材センターが担うことが考えられるのではないか。
 5つ目は構成メンバーについてです。第1層と第2層につきまして、それぞれどういった関係者が、どういった役割で参加することが想定されるか。
 6番目、福祉人材全体の確保のための場ということでございまして、介護人材だけでなく、福祉人材全体のためのプラットフォームとするには、どのような課題が考えられるか。
 これらが論点と考えております。
 次の9ページ目は、これまでもお示ししてきたようなイメージ図に今御説明いたしました論点を連動させるような形で絵を作っておりますので、こちらは適宜御参考としていただければと思います。
 あともう少しだけですが、その次のページ以降、参考資料でございます。
 こちらもこれまでお示ししてきた資料が多くございますけれども、13ページ目を御覧ください。12ページ目のほうで介護職員数の推移、いつもの資料を載せておりますけれども、13ページ目は今回新しく作っている資料でございます。
 介護職員数については、この約20年間で約4倍に伸びているところでございまして、左のグラフは全産業となっておりますけれども、全産業では、2000年から2023年の間で約1.05倍の伸びということでございますので、介護職員についてはとりわけ就業者数が増えてきているというところかと思います。
 ただ、先ほど申しました前のページの12ページにございますように、直近、令和5年度は、前の年に比べまして少し職員数が減ったという状況がございますので、こうした中で、引き続き人材確保をしっかり進めていくためにはどういうふうにしていくべきかというところかと存じます。
 16ページ目を御覧ください。
 各地における協議会等の取組例の御紹介でございます。5つの都道府県を参考に挙げさせていただいております。
 少しだけ御紹介いたしますと、1つ目は京都府です。きょうと介護・福祉ジョブネットというものを設置いたしまして、その中に幾つかのプロジェクトチームを設ける形で、関係者が連携して取組を行っております。例えば高齢化率、福祉ニーズが高い地域において、福祉人材を養成・確保し、職場定着の支援、魅力発信等に取り組むということを行っておりまして、大学生を対象とした福祉体験、資格実習受入プログラムの構築などを行ったりですとか、小・中学生を対象にいたしまして、授業を通して福祉の仕事の魅力に触れ、福祉の仕事についての理解を深め、興味を持ってもらうことを目的としたような事業、こういったことを行われていると承知しております。
 2つ目、富山県の例です。富山県では、富山県福祉人材確保対策・介護現場革新会議という会議を設置いたしまして、介護福祉士養成校の学生、卒業生が、地域住民等へ介護の魅力発信を行いまして、地域からの介護人材の掘り起こしや参入促進を図っております。地域住民等への出前講座、そして介護に対する入門的研修の実施等からマッチングまでの一体的実施、こういったことを組み合わせて行っております。
 また、外国人の関係でも、特定技能外国人のマッチングから定着までの一体的サポート体制を構築する、こういったような取組が行われております。
 3つ目が広島県の例でございます。広島県福祉・介護人材確保等総合支援協議会というものが設けられておりまして、県内の学校を訪問したり、出前講座を実施するといったことを関係者で行っておりまして、介護の仕事の魅力発見を通じまして、県内の養成施設等へ進学する若者を輩出しているという状況です。
 4つ目が静岡県です。こちらは福祉人材確保・定着実践研究会というものを設けまして、県内の福祉施設の採用担当者、介護福祉士養成施設の教員、そして福祉人材センターが連携いたしまして、主体的に参加する有志のネットワークが構築されております。それぞれのリソース、強みを生かしまして、大学への出前講座ですとか、大学と福祉施設等の意見交換会、福祉の魅力発信、就職相談会等の様々な取組が実施されていると承知しています。
 5つ目、最後になりますが、茨城県の「ちいすけ」イバラキという取組でございまして、こちらは介護助手を普及することを目的に、地域のNPO法人と福祉人材センターが協働して実施しておりまして、事業所向けに介護助手活用のための説明会を実施するとともに、介護助手の養成講座を実施いたしまして、福祉の仕事に興味がある地域住民と事業所を結びつけているということでございます。ちなみに「ちいすけ」というのは、地域の助っ人の略ということでございます。
 詳しい資料は次のページ以降につけておりますが、私からの説明は以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 福祉人材、特に介護人材が不足で、それは施策が不十分と言われている中、他産業が約1.05倍に対して介護は約4倍に伸びているということで、関係者の努力の成果が出ているのだなと、この数字を見て思いました。足りないのは、それ以上に高齢者が増えているというところで、足りないのだなということが分かりました。
 では、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。
 山田委員、お願いします。
○山田委員 今、説明していただいたプラットフォーム機能について、制度化していくことについては賛成なのですけれども、これも以前、意見を言わせてもらいましたが、形をつくるだけに終わってはいけないというところがポイントになると思います。形をつくらせて、あとは都道府県、各地域で工夫して頑張れよみたいな、そのようにならないようにしていくことが絶対条件になるのではないかと思います。それでは現実的には機能しないと思います。
 厚労省のほうでもある程度把握はしているのだと思いますけれども、先ほど16ページのところで取組例などを御紹介されておりますけれども、一応各都道府県では、福祉人材確保に向けたプラットフォームの類いがもうそれなりに既にあるわけですよね。これは外部公開はしていないようですけれども、全社協でまとめたものもあります。ただ、それを見ると、社協や人材センターだけではなくて、都道府県ですとか労働局が主体となっているケースもあるようですけれども、具体的なアクションを考えて取り組むというよりは、情報交換ですとか、労働局やハローワークに対する要望等を行う程度のところがかなり多い感じが見てとれるところであります。
 具体的な取組を進めていくためには、これも前に言いましたけれども、やはりお金と人の問題があるのではないかと思います。それらのバックアップ、サポートを考えていかないと、現実的に機能していかないのかなと思います。
 お金という話になったときに、ここの論点のところにも書かれておりますけれども、地域医療介護総合確保基金の考えだけでいくと偏りが出ます。論点の一番下のところに、介護人材だけでなくて、福祉人材全体の確保とうたわれておりますので、この確保基金だけではなくて、ほかのものも用意していかないと、障害、保育のところに使えない。
 現実的に、この基金の活用というところもありますので、全国のプラットフォームも介護関係を主軸にしたプラットフォームが多いですよね。ですから、論点に挙がっているところは大切だと思いますけれども、そうなったときの有意義に機能するための仕組みなどを工夫していかないと、形ばかりになってしまうのかなと思います。設置主体が都道府県、またコーディネーター的なものが人材センターということについて異論はないのですけれども、そこが十分に現実的に機能するようなサポートを併せて早急に考えていただければよろしいのかなと。
 そして、関係者が主体的に参加していかないと、人材センターが何とかしてくれるかなとかということではなくて、単なる協力ではなくて、主体的な参画者となっていかないといけないのではないのかなと考えているところであります。
 以前、私の群馬でもあったのですが、今は違いますけれども、労働局、ハローワークにも参画してもらうことが重要になってきますけれども、以前言われたのは、特定の業種に対してそのような場に参加することはできないということで、参加を拒否されたときがあったりしました。それは中立性という意味合いもあるのだと思いますけれども、やはりそこら辺もクリアしながら、現実問題、労働局、ハローワークさんも一緒になって参画してもらわないと実務が進まないので、そこら辺の課題もクリアできるようにしていただきたいなと思います。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 では、高橋参考人、お願いいたします。
○高橋参考人 ありがとうございます。
 人材確保策としてのプラットフォーム機能につきましては、都道府県にも非常に大きい影響を与える部分でございますので、各都道府県に意見照会を実施いたしました。以下、各都道府県から寄せられた意見を御紹介したいと思います。
 まず、論点マル1の設置主体についてでございますけれども、現状においても、資料の第1層に類似した会議を実施している、人材確保を総合的に進めていくに当たって、県が設置主体となることは適当であると考えるという意見をいただきました。そのほかにも、より地域に密着した人材の確保には、市町村の主体的な取組が求められるところであり、都道府県を単位とする広域の会議体で実効性を担保することは難しい。都道府県が設置主体となる場合であっても、市町村が保険者等として人材確保を進められるよう、市町村の責務も明確にした上で予算措置を行っていただきたい、こういった意見もございました。
 続いて、論点マル2の役割・機能についてでございます。第1層の会議は、各論まで深く議論することが難しいことに加え、地域差等へのきめ細やかな対応は難しいことから、地域を限定した第2層の会議を実施することにより、基礎自治体も巻き込んで、地域ごとの個別の課題に応じた議論が可能、こういった意見や、地域によっては重層構造としないほうが効果的・効率的な取組が可能となる場合もあることから、階層の設定についても地域の特性や実情を考慮して柔軟に行えるようにしてほしい、こういった意見がありました。
 続いて、論点マル3の対象区域(設置単位)についてでございますけれども、一つの都道府県の中でも、都市部や中山間地、離島などによっては、各福祉分野を取り巻く環境が大きく異なり、率先して取り組むべき課題も異なってくるため、地域の課題解決に向けたプロジェクトの創設・実行に当たっては、より狭い圏域での議論が重要、こういった意見や、介護を取り巻く課題は地域により様々であり、その課題に対する的確な対応策を議論する場としての機能を高めるためにも、第1層、第2層の在り方については柔軟な対応が可能となる自由度の高いものにしてほしい、こういった意見がございました。
 続いて、論点マル4のコーディネーター的役割(事務局機能)については、各地域の連携や好事例の横展開はコーディネーターのスキルによるところが大きいことから、事前のスキルアップ研修等により、しっかりと地域をコーディネートできる人材の育成が必要、こういった意見や、福祉人材センターは多くの都道府県で社会福祉協議会が担っているが、マンパワーなどが不足し、事務局を担うことは困難な状況であることから、まずは職業紹介や相談支援といった本来の役割を適切に果たせるよう、人材センターの位置づけや本来業務との関係性をしっかり整理するとともに、体制を強化すべきとの意見もございました。
 続いて、論点マル5の構成メンバーについてでありますけれども、第2層には、市町村、当該地域のハローワーク、地域にある事業者団体等、地域の実情、現場感覚がある者が構成メンバーに入ったほうがいいという意見や、第1層、第2層の構成メンバーは、柔軟な対応が可能となる自由度の高いものにしてほしい、この部分でも自由度の高いものにしてほしいという意見がありました。
 そして、論点マル6の福祉人材全体の確保のための場についてでございますけれども、介護・障害・保育は、国も県も組織や予算が縦割りになっており、現実的には難しいのではないか。全体のプラットフォームを実現するためには、横串を刺すための司令塔となる組織が必要、こういった意見や、福祉という共通の枠組みとはいえ、例えば介護と保育とでは必ずしも課題内容が同一ではなく、また、それぞれの関係者が一堂に会すると会議体が過大になることがある。こういったことも踏まえると、福祉人材のプラットフォームは現実的には難しいのではないか。また、様々な分野の関係者を集めても、想定されるような具体的な課題について議論することは難しく、会議自体が形骸化する可能性が極めて高いのではないか。分野ごとに活用可能な財源、これは補助金とか基金のことを指しているのだと思いますが、これが異なっており、仕分けが難しいのではないか、こういった御意見がございました。
 その他の意見といたしましては、国に十分な財源措置を求める意見、地域医療介護総合確保基金について柔軟な活用をすることができるメニュー整備を求める意見、国において可能な限り各省庁の各都道府県別、市町村別の詳細な介護人材に係るデータ等の整理と情報提供を求める意見、既存の会議をうまく活用し、連携させることも可能ではないかといった意見、プラットフォームについて、ある程度地域に定着してから、介護以外の分野に対象範囲を広げるなど、段階的に範囲を広げながら構築していくことも認められるようにしてほしい、こういった意見、さらには、プラットフォームだけでなく、一つの資格で分野横断的な従事を可能とすることや、資格の受験科目で重複する科目も、科目の免除を可能とするなど、資格要件緩和の観点も踏まえて、人材の他分野への移行が容易となるように検討してほしい、こういった意見がございました。
 長くなって申し訳なのですが、以上が各都道府県の意見でございますけれども、最後に群馬県としての意見も述べさせていただきたいと思います。
 今回のプラットフォームのポイントは、これまで進めてきた介護分野に限定した人材確保でなく、広く分野を越えた福祉人材全体の確保を進めることと、高齢化や人口減少のスピードなどが地域によって異なることから、全国画一な取組ではなく、地域の実情に応じた人材確保を進めること、この2点がポイントだと考えています。
 この2点のポイントを踏まえ、プラットフォームがしっかりと機能し、効果を発揮するためには、市町村の協力や、地域医療介護総合確保基金をはじめとした補助金や基金などの国の財源等を柔軟に活用できるメニューの整備、この2つが重要だと考えています。
 また、福祉の分野ごとに活用可能な財源も異なっておりまして、現状では地域医療介護総合確保基金は障害・福祉分野が対象となっていないなど分野ごとの差もあることから、そういった点も含めて、都道府県が困ることのないような方策の御検討をお願いしたいと思っています。
 さらに、地域によっては既に今回のプラットフォームと似たような会議体や取組を行っているものもあると承知しています。そういった別の会議体との一体的な運営など、適切な連携・役割分担が可能となるような制度設計が必要ではないかと思っておりまして、このような条件がしっかり整備されるのであれば、都道府県が設置主体になることは適当であると考えております。
 長くなりましたが以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 お待たせしました。永井参考人、お願いいたします。
○永井参考人 ありがとうございます。
 8ページの論点につきまして、まず特に異論はないと申し上げた上で御意見申し上げたいと思います。
 関係者が地域の現状を共有し、協働して問題解決に取り組むため、プラットフォーム機能を充実させていくということは必要であると考えており、実効性ある組織にしていくための議論をお願いしたいと思っております。関係団体がそれぞれの分野で貢献しているものを有機的につなげて、人材確保の実効性の向上を図ることが必要であると考えております。
 その上で、各論のマル4ですけれども、コーディネーター的役割(事務職機能)が必要であり、福祉人材センターが担うことが考えられるとありますが、新たな役割を担っていただくという上では、人材確保であったり財政的な支援というものが必要だと考えますので、議論、検討をお願いしたいと思っております。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 山下委員、お願いいたします。
○山下委員 日本社会福祉士会、山下です。
 今の資料の9ページに、ポンチ絵という図が出ています。すごく分かりやすいなと思いました。論点もこういった形で押さえられていて、一目瞭然で見やすいなと思いました。
 この図を見ながら、論点の総論のところですけれども、制度として仕組みを構築することについてどのように考えるかということになってくるかと思いますけれども、プラットフォーム機能の仕組みを考えたときに、多くの委員の方からも出ておりましたけれども、幅広い構成メンバーが必要だと思っております。行政や介護事業者や教育機関、福祉専門職、そういった機関の連携が大事だなと思っています。
 そして、地域での介護人材であるとか福祉課題、こういったものを共有化して、解決をする場というのがイメージとしてあります。あくまでも解決をしていく場でなければいけないと思っております。全部解決をしていく方向によって、課題を地域全体で支えていける仕組みになってくれればと思っています。
 そんな中で、政策提言であるとか、事業のいろいろな設計、こういったものが出てくるかと思いますけれども。そんな中で社会福祉士というのは、相談援助であるとか包括支援センター、そういったところを通じて、大いにこのプラットフォームの中でも貢献できるのではないかなと思っております。
 政策決定であるとか、現場の実践、支援を持つ機能へどんどん進化をしていく。解決する機関であるし、進化をしていく。ソーシャルアクションであるとか、アウトリーチであるとか、そういったことを意識した機関でなければいけないのではないかなと思っております。
 以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 及川委員、お願いいたします。
○及川委員 日本介護福祉士会の及川でございます。
 1点御意見申し上げます。
 プラットフォーム機能の中で、職能団体を含む関係団体と都道府県の福祉人材センターの関係が強化されることを期待いたします。
 前回の議題で取り扱っていただきました介護福祉士に係る届出制度において、現任者が登録するためのメリットが必要である旨の意見がございましたが、関係者が有する研修の情報を福祉人材センターが入手し、その情報をプッシュ型でお知らせしていくことなどは、介護現場で中核的な役割を担う介護福祉士の研修の機会の充実にもつながると考えます。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 石踊委員、お願いします。
○石踊委員 全国老施協の石踊でございます。
 都道府県が設置主体となって介護人材確保に関するプラットフォームを制度として構築する。そして、その関係機関がそれぞれの役割の下で連携強化を図っていくということは非常に重要なことだと思います。第1層、第2層に分けて、それぞれの地域の実情に合わせて多様な主体が参画することで、具体的で実効性の高い機能が発揮できると考えます。
 ただ、実効性のあるネットワークを推進していくためには、コーディネートの役割を誰が担うかということが重要でありまして、第1層を都道府県とするのであれば、各都道府県に設置されている福祉人材センターが適当であると思われますが、各都道府県の活動に地域差が出ないように、必要な機能を強化したり、あるいは好事例の横展開を図るなどの取組が本当に必要ではないかなと思います。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 よろしくお願いします。
 9ページの図を使いながら、私も御意見を述べさせていただきます。
 これまでの多くの委員からの発言でもありましたとおり、私自身も実施主体は都道府県であることが適当だと考えます。例えば介護人材の例で言えば、需給推計を基に様々な施策や事業が進んでいく中で、PDCAサイクルを検証的・効果的に回していくことが可能になると考えるためです。
 一方で、先ほど高橋参考人も御発言されておりましたとおり、論点の対象区域については柔軟な考え方が必要だと思っています。例えばプラットフォームの上段についての都道府県等に対するネットワークについては、恐らく会議体ということが想定されると思いますが、第2層以下については、ハローワークや人材センターに限定されない人材確保の動線がいかに生まれるかというものが第2層レベルでは求められると考えています。このことを言い換えますと、これはプロジェクトであるべきで、そのプロジェクトをどのように機能させるかと考えたときには、単に人と場が集まるだけでない、機能が生み出されるような制度設計が必要だと考えております。
 また、もう一点、静岡の例を先ほど芦田室長からも御紹介いただきましたけれども、静岡県の取組の中では、本学で介護初任者研修を第2層レベルの一番左、人材確保と定着のところで、介護福祉士養成施設が学部としての教育に限定しない初任者研修を地域貢献事業として展開しています。その結果、効果が見られ始めていることは、地域におけるボランティア等の参画者、これは重層的支援等に関わっている地域の活動者です。これらの人たちが、介護の知識や技術を得ることによって、地域における高齢者の見守りや、介護予防という考え方を持って活動に関わるような変化も見られています。つまり、第2層レベルの活動というものは、新しい取組を起こすということ以上に、タスク・シフト/シェアに代わるような、新しい機能を生み出すということにも期待できると考えています。
 ただ、これまでの多くの委員の皆様も御発言されておりますとおり、そのためにはやはりコーディネート機能が大変重要で、静岡の場合においては人材センターがコーディネート機能を発揮していますが、これは人材センターが日頃から様々な事業において現場に顔を出し、会議参加だけでなく、事業を協働している成果であるとも考えています。こうした人材センターのマンパワー的な役割を支えるというような制度設計もやはり必要になるということは、私自身も皆様の議論を通して感じました。
 発言は以上です。
○松原委員長 ありがとうございました。
 伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 日本ソーシャルワーク教育学校連盟の伊藤でございます。
 ソーシャルワーカー養成教育の立場から御意見申し上げたいと思います。
 まず設置主体でございますけれども、都道府県が主体となる場合、第2層の市町村単位の状況をしっかり把握するということが肝要ではないかと思っています。
 それから、地域を分析するデータを都道府県が保有する場合に、他の都道府県ですとか全国的な人材確保の動向、それから学生等を含めた求職者の方々の就職トレンド、そういったものをしっかりと勘案して、見ながら取り組んでいくということが重要かと思っています。これは他の地域の条件がよいと、隣の県等に人材が流出していくということも当然あり得るということでございまして、そういう意味では、都道府県が情報の集約をしっかりしていく際に、全国的な動向ですとか、他の都道府県の動向との比較においてどうなっているかということが把握できるような把握の仕方が必要ではないかということでございます。
 それにおいては、全国的なデータ、都道府県のデータ、それから場合によっては市町村のデータもしっかりと把握をしていくということが必要ですので、そういったことの情報共有のために、場合によっては必要な財源をしっかり確保していただくということも必要かと思っています。
 それから、役割・機能についてでございますけれども、介護福祉士や社会福祉士等の養成で行っている実習に関する内容を扱うような協議体もぜひこのプラットフォームの中に含めるということをお考えいただきたいということでございます。実習というのは、学生や勉強している方々が実践現場と接触をする非常に重要な機会でありますし、そういった意味でもインターフェースとして非常に重要だと思っています。
 その場合には、当然法人等の経営をされている方々の御理解をいただきながら、養成校と現場の方々で実習を充実させることがチャンネルの一つとして人材確保にも寄与するのではないかと思っています。
 3番の対象区域でございますけれども、先ほど申し上げたように、全国、都道府県、市町村、そういった情報が有機的につながっているということが必要だと思いますので、その点について改めて申し上げたいと思います。
 4番目のコーディネーター的役割ですけれども、このプラットフォームの目的は、福祉人材確保の仕組みとして機能するということを前提としますと、福祉人材センターがコーディネーター機能を果たす場合に、効果や成果を定期的に検証していただいて、継続した実効性が確保できるような仕組みになることが必要だと思っています。全社協さんのほうで福祉のお仕事という求職サイトがありますけれども、例えばそこに先ほど申し上げた実習との関係で言いますと、実習の受入情報ですとか、受入れの実績等の情報、こういうものが載ると、現役の学生もそういったサイトを今よりも利用する可能性が高まるのではないかと。やはり学生からすると、実習先というのは一定の安心感というのはあるというようなことは感じているところでございます。
 最後、5番、6番の構成メンバーと福祉人材確保全体についてのところですけれども、今回は介護人材確保を例として資料をお示ししていただいておりますけれども、広く福祉人材の確保を目的とするという場合におかれましては、構成メンバーについて相当幅広い団体・組織の方々や専門職等に関与いただく必要があるのではないかと。それが望ましいと思ってございます。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 時間が来ていますので、手短に論点マル2とマル3のみですが、こういう取組は、先ほど鈴木委員もおっしゃったように、実践的取組であるべきと思います。実践的な取組であるということは、当然お互いがプラットフォームの中で同じプロジェクトを共有してやっていく、つまり顔の見える関係がつくられるということが重要かと思います。
 コーディネーターは非常に重要になってまいりますが、最初はコーディネーターのリーダーシップで進めていく部分が多いかもしれませんが、最終的には顔の見える関係になり、課題を共有し、その課題ごとに必要な団体が必要な形でアメーバ状に集まっていき、課題を解決していくということが必要になってまいりますので、将来的には課題によって自走していく取組になっていくということを目指すプラットフォームになることが望ましいし、その中で学生たちもふだんから関わることで、就職したときには、その課題に自分たちが取り組んでいくのだということを自認していくということも必要になってくるかと思います。
 以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、時間となりましたので、本日の審議を終了したいと思います。
 最後、私の一委員としての感想なのですけれども、先ほど中核人材という話がありましたけれども、今回の参議院の結果によって、非常に二項対立で批判し合って、支援する側、支援される側と分断させるような議論がすごく多かったのが非常に気になっておりまして、私、学生を現場に連れていくと、元気づけるつもりが元気をもらっちゃったと、これは高齢者の施設でも子供の施設でも必ず言う言葉なのです。だから、ケアする側とか、支援される側とか、支援する側と固定的でないというのは、現場を見ている方はみんな御存じ、体験なさっていることで、そういうことをちゃんと伝えていって、ケアし合う文化と言うのですか、幾ら施設をつくっても、制度をつくっても、そういう文化がないと切りがなく幾らでも必要になってくるので、ケアし合う文化をつくる、そういう中核人材というのが今後は必要ではないかなという感想でございます。
 これまで、本専門委員会におきましては、関係団体の皆様からヒアリングを行った上で、個別の論点について、委員の皆様に大変闊達に御議論をいただいてまいりました。これまでいただいた御意見も踏まえて、事務局とも相談の上、次回は取りまとめの議論ができるよう、資料を準備したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○松原委員長 ありがとうございます。
 次回の開催について、事務局より御説明をお願いいたします。
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 次回の開催については、事務局にて改めて開催日程を調整させていただき、追って皆様方に御連絡させていただきます。
○松原委員長 それでは、本日の審議を終了いたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、また活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。