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2025年10月27日 第204回労働政策審議会労働条件分科会 議事録
労働基準局労働条件政策課
日時
令和7年10月27日(月) 13:30~15:30
場所
厚生労働省専用第22~24会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階)
出席者
- 公益代表委員
- 川田委員、首藤委員、原委員、水島委員、山川委員
- 労働者代表委員
- 亀田委員、櫻田委員、佐藤(好)委員、椎木委員、冨髙委員、松田委員
- 使用者代表委員
- 鬼村委員、佐久間委員、鈴木委員、田中委員、鳥澤委員、兵藤委員、松永委員
- 事務局
- 岸本労働基準局長、尾田審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、松下総務課長、川口労働条件政策課長、田邉労働条件確保改善対策室長、中島労働条件政策課長補佐、来嶋企画調整専門官、下田労働条件企画専門官
議題
労働基準関係法制について
議事
○山川分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第204回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会は会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で開催させていただいております。
本日の委員の御出欠ですが、労働者代表の春川徹委員、古川大委員、使用者側代表の佐藤晴子委員、公益代表の安藤至大委員、黒田祥子委員、神吉知郁子委員が御欠席と承っております。
それでは、カメラ撮影につきましては、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
では、本日の議事に入りたいと思います。議題は、「労働基準関係法制について」となります。では、まず、資料について事務局から御説明をお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
資料No.1、資料No.2について、通しで御説明させていただきます。
まず、資料1を御覧ください。資料1は論点に関する資料でございまして、内容ごとに1ページ目から2ページ目まで、大きく4つに区分してございます。順に御説明させていただきます。
まず初めに、「法定休日」に関する論点でございます。読み上げさせていただきますと、法定休日を特定して与えることは、休日に関する予見可能性を高めることが考えられるが、第35条(休日)に関する規定の保護法益の変化、特定や変更(振替)の手続きを含め、どう考えるか。
続きまして、「連続勤務規制」に関する論点でございます。
2つ丸がございますが、1つ目の丸は、原則についての論点でございます。現行の休日規制では、4週4休(変形週休制)のほか、36協定と休日労働の割増賃金の支払いによって、相当の日数連続して労働させることも可能である。精神障害の労災認定基準も踏まえ、長期間の連続勤務を防ぐ観点から、どのような措置を講ずべきか。
2つ目の丸は、例外についての論点でございます。災害等の場合に限らず、特に必要な場合においては連続勤務を生じさせる休日労働を認める仕組みを設けるべきか。また、そのような場合においても、他の健康確保措置も参考に、労働者の健康を確保する観点から、どのような措置を講ずべきか。
続きまして、2ページ目を御覧ください。「勤務間インターバル」についての論点でございます。2つ丸を設けてございます。
1つ目の丸についてでございます。勤務間インターバル(終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間を確保する仕組み)については、労働時間等設定改善法の努力義務とされている。各企業において勤務間インターバルを確保するための様々な取組が行われていることを踏まえ、勤務間インターバル制度のより実効性ある導入促進のために、どのような措置を講ずべきか。
2つ目の丸についてでございます。勤務間インターバルの導入促進に向け、周知や助成金の活用を含め、現行の導入企業の割合等も踏まえた対応として、どのような措置を講ずべきか。
最後に、「つながらない権利」についての論点でございます。業務時間外の連絡に関し、労働者が業務時間外に安心して休める観点から、一部の国においていわゆる「つながらない権利」を法制化する例も見られるが、どう考えるか。
資料No.1の御説明は、以上でございます。
続きまして、資料No.2の御説明をさせていただきます。資料No.2につきましては、今回のテーマについて、前回御議論いただきました第199回会議の資料No.2を修正する形で御用意させていただいたものでございます。
主な修正点について、順に御説明させていただきます。
まず、6ページ目を御覧ください。「連続勤務の心理的負荷について」のスライドでございますが、内容としましては、右下の図、「直近5年の精神障害の支給決定件数」において、令和6年度の数字を新たに記載してございます。
続きまして、7ページ目、8ページ目を御覧ください。こちらでは2ページにわたりまして、労働基準関係法制研究会で使用した資料を追加してございます。
続きまして、11ページ目を御覧ください。こちらは、「労働基準法における健康・福祉確保措置」についてのスライドでございます。内容としましては、左から、「一般労働者」、「企画業務型裁量労働制適用者」、「高度プロフェッショナル制度適用者」における健康・福祉確保措置について、それぞれ整理したものでございます。
続きまして、15ページ目を御覧ください。こちらは、第199回会議の資料で2枚になっていた図表を1枚にまとめたものでございます。内容的な変更は、ございません。
続きまして、少しページが飛びますけれども、41ページ目から43ページ目を御覧ください。こちらの3ページについては、出典を各ページの一番下に記載してございますけれども、厚生労働省の雇用環境・均等局で、令和2年以降、作成をしております「勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル」から、勤務間インターバル制度を導入している企業の事例を抜粋したものでございます。
内容としましては、例えば、41ページ目の一番上の例を御覧いただければと思いますけれども、「業種」、「適用対象」、「インターバル時間数」、「インターバルを確保できなかった場合の対応」、「適用除外となるケース」、「制度の導入による効果」などといった点について、3ページにわたりまして整理したものでございます。
資料No.1、資料No.2について、事務局からの御説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
資料No.1、資料No.2といたしまして、法定休日等の労働時間法制の具体的課題について、本日御議論いただきたい論点、それから各論点に関係する現行制度やデータの資料をお示しいただきました。ただいまの説明を踏まえて議論を進めていきたいと思いますが、4つの本日御議論いただきたい論点の順序として、まず、「法定休日」について御議論いただきまして、残る3つの論点につきましては、それぞれ時間を区切って、その後に議論いたしたいと思います。
それでは、まず、御質問、御意見等がありましたら、お願いいたします。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
本日説明いただいた内容ではありませんが、直近で高市総理が、厚労大臣に労働時間規制緩和の検討を指示されたことについて、一言コメント申し上げたいと思います。
本件については、本分科会の議論に直接的な影響を及ぼすものではないと考えておりますし、また及ぼすべきではないと考えておりますが、報道後、多くの働く仲間から、強い懸念であったり、不安の声が寄せられているという状況です。
この間、何度となく労働側から申し上げておりますけれども、働き方改革の元となった2017年の労使合意において、長時間労働に依存した企業文化、また職場風土の抜本的な見直しを図ることで、過労死・過労自殺ゼロを実現していくということ。また、女性や若者・高齢者など、多様な人材が活躍できる社会の構築に不退転の決意で取り組むということを確認して、現在に至るまで取り組んできております。けれども、残念ながら、過労死や過労自死はなくなっていないどころか、労災の請求件数は増加しておりますし、連合にも、働き過ぎで心身に不調を来しているといった労働者からの声も多く寄せられている状況です。
政府は、こういう状況を極めて重く受け止めるべきだと考えておりますし、過労死ラインぎりぎりの水準である現行の上限規制の緩和を促すなど、働き方改革を逆行させるようなことは断じてあってはならないと考えております。これまでも申し上げておりますけれども、柔軟な働き方は、現行法上、既に対応可能だと考えておりますし、今以上に規制を緩和する必要はないと考えております。労使に厳然たる力関係の差がある中で、労働者の意思に基づいていれば良い、あるいは健康確保さえできればいいということでは決してないと考えているところでございます。
5年後見直しのこの機会に、いま一度、労働基準法が強行法規であることの意味を改めて強く認識し、労働者の命と健康を守る、また豊かな生活時間を確保することを大前提に議論を行うべきだと考えております。また、その観点からすれば、上限規制の段階的・計画的な引下げ、連続勤務規制、また勤務間インターバルといった労働からの解放規制などの充実を図って、働き方改革をさらに推し進めていくことが極めて重要だと考えておりますので、その点、意見として改めて申し上げておきたいと思います。
その上で、本日のテーマにつきまして、まず、法定休日の部分について意見申し上げたいと思います。労基法35条の原則は毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないというものでございまして、資料No.2の3ページにありますように、週休2日制はもう既に広く定着しております。こうした中にあって、業種・業態にかかわらず、少なくとも週休1日の原則を徹底していくことが必要であると考えております。
これも繰り返し申し上げているところですが、国際的な労働基準であるILOの各条約においても、週休制の原則は明記されておりますし、欧州各国をはじめ、諸外国でも週1日の休日がルール化されております。労働者の心身の回復を図るためには、1週間単位での休日を確実に取得していく必要があると思いますし、それで生活のリズムを整えていくことが重要だと考えております。
その上で、単に1週間のうちに1回休めればよいということではなくて、豊かな生活時間を確保する観点からも、いつが休日なのかということをしっかり労働者が前もって知るということも、非常に重要だろうと考えておりまして、法定休日を特定すべきことを法律上に規定するべきだと考えております。規定に当たりましては、法定休日の特定、また時間外・休日労働の上限規制との関係について、時間外労働の上限規制の原則的な上限には休日労働は含まれませんので、使用者が恣意的に時間外労働の一部を休日労働に振り替えるといった運用がなされないことが重要です。
そういった点を踏まえると、あらかじめ特定した法定休日の事後的な変更は認めないという仕組みにすべきですし、また、振替の手続をしっかり明確化することが重要です。振替期間を限定するなど、必要な対策を講じるということも含めて検討することが必要ではないかと考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
○山川分科会長 最初に全体的な点、それから法定休日について御発言をいただきました。
ほか、何か御意見ございますか。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
私も初めに総理指示の関係で一言述べさせていただきました後、各論について意見をさせていただければと思っております。
このたび、高市総理大臣が、心身の健康の維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行うよう指示されたということは、私どもとしては時宜にかなったものだと受け止めているところでございます。厚生労働省におかれましては、早期に検討をお願いしたいと思っております。
上限規制については、自律的に働く方にも一律に適用されている点が問題ではないかということをこれまでも申し上げてきましたけれども、改めてその点を強調させていただきたいと思います。労働側委員からも再三おっしゃっていただいておりますとおり、労働組合は労使対等性が確保されておりますので、労働組合、とりわけ過半数労働組合がある企業における裁量労働制の対象業務の見直しの検討は、ぜひ前向きに進めていただきたいと思っているところでございます。
続きまして、各論の休日の特定についてです。ある企業の話ですけれども、労働基準監督署から、労働協約で定めた休日に労働させた場合であったとしても、同じ週でほかの日に休日があれば時間外労働扱いになると指摘がされて、結果、是正勧告を受けたという事例があったと聞いております。このことは、休日の振替を行って、特定の週に休日が1日もなくなったとしても、この休日の振替の場合には休日労働扱いにならないとする厚生労働省の解釈と矛盾するだけではなく、労使で定めた休日が休日と認められない、扱われないという点で大きな問題があるというふうに考えております。
法定休日の特定は、繰り返しですが、労使で決めた休日は休日と認めてもらうという意味で、労使自治を担保することにもつながり、労使双方にメリットがあると考えております。
論点にございます保護法益の変化についてです。今回の見直しの内容が、1週間の中で事前に休日を特定する仕組みにするということであれば、一定周期の休息の確保という休日規制の保護法益に実質的な変化はないと理解しております。
次に、手続についてでございますが、このうち、いつまでに法定休日を特定するかにつきましては、十分に実態を踏まえた検討が必要であり、昨今の人手不足の状況や、とりわけ離職率の高いサービス産業などの実態を踏まえますと、当然、なるべく早く特定することが望ましい旨、周知することはあってよいと思います。しかし、いつまでに特定しないといけないといったルール化については、慎重な議論が必要だと思っております。加えて、時間外労働の上限規制の遵守が求められ、また人手不足の中で、突発的な業務への対応や、あるいはお子さんの急な発熱などによる欠勤の際の代替要員の確保は、程度の差こそあれ、多くの企業で共通の課題になっていると思っております。要員確保の手段としては様々ありますが、例えば振替休日の重要性というのは、そういった意味からも従来よりも高まっていると考えますので、振替手続の強化には強く反対いたします。
なお、論点にはございませんが、暦日休日規制の見直しについて、簡単に発言させていただきたいと思います。以前にも佐藤委員から発言ございましたが、鉄道のメンテナンスの工事は、列車が運行していない夜間時間帯に行われる公共性・公益性の高い業種であります。自動車運転業、宿泊業と並び、鉄道保守業務についても、連続33時間以上の休息をもって休日とするということは、週休2日制の確保が容易になるというメリットもありますので、前向きに検討いただきたいと思います。
少し長くなりましたけれども、私からは以上であります。ありがとうございました。
○山川分科会長 法定休日につきまして特定すべきであるということは、基本的に労使共通の方向かと思いますが、特定の時期あるいは上限規制の関係、休日振替等について、見解になおかなりの差があるという感じかなというふうにお見受けしました。
ほかに御意見、または御質問等ございますでしょうか。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
まず、法定休日の特定のタイミングについて、シフト勤務など、様々な場合もあるかと思いますけれども、あまりにも直前に変更するような運用については、先ほど申し上げましたが、労働者の予見可能性を高めることには逆行するところです。この部分については極めて慎重に検討していくべきだと思っておりますし、その点につきましては、使用者の恣意的な運用がなされないようなルール化が重要ではないかと思っているところでございます。
それから、法定休日を特定して、週1、所定休日などの休みが取れている場合の柔軟な対応につきまして、例えば週休2日制を採用しているような企業で、それを認めてしまうと、週1日の最低基準を認めることを理由に、1日だけお休みを取得できれば良いとして休日数を減少させてしまうことにもつながりかねないと思います。その点については慎重に取り扱いを検討すべきだと考えているところでございます。
それから、暦日休日の規制のところでございますけれども、労働者がしっかりと心身の健康、疲労回復を図るために、働き方とか業種・業態ごとに例外を増やすということは本旨にそぐわないものだと考えております。例外を増やすのではなくて、労働環境の改善を図り、しっかりと休みが取れるような形で取り組んでいくことが、人手不足対策の観点からも人材の定着にもつながるものですし、見直しの趣旨に沿うものだと考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかに御意見等ございますでしょうか。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ただいまの冨髙委員のご指摘は大変重要な論点だと思います。繰り返しになるところもありますが、コメントをさしあげたいと思っております。
これまで休日の特定がされていない中で、具体的にどういう形かというのはこれからの議論かと思いますが、事前特定のルールを設けようという方向感を持って議論していることの意義は大きいと思っております。ただ、事前の休日の変更とかについては、先ほども申し上げましたとおり、お子さんが急に熱発して、同僚の方が、シフト勤務であればシフトを延長するとか、場合によっては休日の振替で対応をお願いせざるを得ないというケースもございます。直前の変更規制とか事前の特定期間の設定というのは、事業の円滑な運用に大きな障害になりかねないということは、強調させていただきたいと思っております。
また、休日が週1日だけになってしまうのではないかという点の御指摘もいただきました。私の感覚的なものでありますが、現下の人手不足の中で、週何日休めるのかは、学生さんなど求職者の強い関心事項ですので、当然、週休1日であれば、そこは選ばれない会社になるということもあろうかと思っております。したがって、今の局面で例えば週休1日につながるようなことになるというのは、私はちょっと想像しにくいのかなと思っております。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
原委員、お願いします。
○原委員 原です。ありがとうございます。
休日の特定をしていくことは望ましい方向だと思うのですね。その上で、直前に誰かの子供の発熱で、応援が必要になった場合には、それはもちろん休日の振替といった形もありますけれども、やむを得ない場合であるならば、36協定の範囲内で休日労働を命じて対応する、それは結局、割増賃金で報いるわけですね。それによって金銭的に報いる。会社によっては、例えば代休の仕組みがあるかもしれません。代休を与えても割増分はなくなりませんから、休日は特定するという前提で、直前に何らかのアクシデントで要員が必要になった場合には、そこは休日の変更・振替ではなくて、休日労働・休日出勤をお願いして対応して、その分、出てくれた方には経済的に報いるといったアプローチもあり得るかと思います。
ですので、急な要員の確保は確かに重要な論点かと思うのですけれども、休日の振替・変更だけで対応するわけではなくて、そういった様々な取り得るアプローチも考えながら検討していくことが重要であって、休日労働の場合には、少なくとも金銭的には報いる部分が出てくる。もちろん、やむを得ない範囲に限り、また36協定の範囲内ということが大前提でありますけれども、そういったこともあるかなと思って発言させていただきました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
事務局から局長、どうぞ。
○岸本労働基準局長 労働基準局長でございます。
冒頭、総理指示について御発言がございましたので、事務局から一言申し上げます。
本日は、法定休日、連続勤務規制、勤務間インターバル、つながらない権利を議題とさせていただいて御議論いただいているところでございます。御指摘の総理指示につきましては、就任会見におきまして厚生労働大臣から、労働時間規制については、総理から、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行う。働き方改革を推進するとともに、安心して働くことができる環境を整備するという指示があったと答弁しているところでございます。
その際、また厚生労働大臣からは、労働時間規制については、様々な声があることは承知、誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、上限規制は過労死認定ラインであるということも踏まえて検討する必要がある、いずれにせよ、労働基準関係法制の見直しについては、総理からの指示も踏まえて、今後、総点検の結果を精査しながら審議会で議論を深めてまいりたいと申し上げているところでございまして、今後とも委員の皆様の御意見をお伺いしつつ、引き続き御議論いただきたいと考えております。
以上です。
○山川分科会長 局長から経緯の御説明もいただきました。ありがとうございました。
何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、特段ございませんでしたら、2番目、「連続勤務規制」の論点について、御質問、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
週休1日の例外である4週4休という仕組みにつきまして、今回、改めて資料も示していただきましたけれども、現行では、最長48連勤が可能となってしまうのが実情です。また、上限規制の範囲内であることを前提にすれば、36協定を締結して休日労働させるということも可能だと思っています。こうした異常な働かせ方ができる仕組みは早急に変えていくべきだということ自体は、おそらく委員の皆さんの共通認識だと思っておりますし、資料No.2の8ページの下段にあるような、36協定による休日労働を含めて禁止をする、連続勤務日数の規制を罰則付で設けていくことが必要ではないかと考えているところでございます。
また、過労死等防止の観点で申し上げれば、6ページの精神障害の労災認定における心理的負荷の判断要素である、2週間以上の連続勤務との整合性を踏まえた設定も考え得るのではないかと思っております。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
オンラインでお二方、御発言希望がございます。
まず、鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。
私のほうからも2点、コメントさせていただきたいと思います。
連続勤務でございますけれども、健康管理の観点から一定の抑制をしていくという必要性は、もちろん理解するところでございますが、一定の柔軟性をしっかり確保していかないと、企業の実態を踏まえたものにはならないのではないかなと考えます。14日以上、連続勤務を仮に行うという場合、休日も含まれることになると思うのですが、例えば休日に在宅で30分とか、ごく短時間働いた場合でも、形式的に14日の内数にカウントして、それに基づいて一定の規制を加えるということについては、やや疑問があるのだろうと思います。
また、代替措置についても、企業の実効性を高めていくためにも、高プロや裁量労働制と同様に、代償休日の取得に限らず、医師や産業医からの面接指導であるとか、あるいは相談窓口の設置など、幅広い代替措置を選択できるようにすることが重要であろうと思います。こうした医師や産業医による、労働者の疲労とか睡眠あるいはメンタルヘルスなどの状況に基づく医学的な指導は、脳や心臓疾患、精神障害の予防にもつながると思いますし、また相談窓口の設置は、継続的に労働者の健康支援ができるという点において、意味のある措置であろうと思います。
このように、各健康確保措置について、それぞれ利点がございますので、労働者の健康確保措置は代休のみということに限らず、企業の実態に合わせて設定できるようにするべきではないかなと考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
続きまして、オンラインの田中委員、よろしくお願いします。
○田中委員 ありがとうございます。
資料No.2の9ページにございました、13日を超える連続勤務を行っているという割合は1.9%と、それほど多くはないという中ですが、連続勤務の抑制に向けた取組は、健康確保の観点から重要であるというふうに考えています。
しかし、企業の実態を踏まえると、やむを得ず連続勤務をせざるを得ないというケースは数多くあります。例えば、災害の復旧、自社内の事故の復旧を行う場合であったり、サイバー攻撃を含むシステムトラブルへの対応には、連続勤務が生じ得るというふうに予測します。システムトラブルについては、復旧期間が予測できず、また特定の部署だけではなく、全社的に影響する場合があります。さらに、顧客ニーズの変化やビジネスのグローバル化への対応など、様々な面から新規業務の立ち上げというものが積極的に行われていると思います。新規業務を立ち上げる際は、集中的な対応がどうしても必要となるという例は、当社でも実際にございます。
さらに、毎年、春季労使交渉をしておりますが、その限られた期間の中でコンセンサスを得るということが求められます。最近は、社員のエンゲージメント向上の観点から、組合側から賃金以外の要望・要求を受けることもありますし、会社側から将来の経営の在り方にまで踏み込んだ話し合いを持ち掛けたり、労働条件について逆提案をしたりといったケースもあります。労使交渉に当たっては、会社側の思いを理解していただけるよう、資料などを十分に準備して、また社内の報告や説得なども行いながら、実りある交渉に向けて取り組んでいます。相当な時間をかけております。
連続勤務もそれほど珍しいことではありません。実際、1か月程度、連続勤務になっている企業もあるというふうに聞いたこともございます。これ以外にも、やむを得ず連続勤務が発生するケースがあろうかと思います。そうした場合の対応として、連続勤務の抑制ルールを置いた上で例外を認めるという対応も考えられますが、そもそも例外的に連勤を認めるべき事例は法で規定し切れるほど限定的ではなく、予測できない突発的な事象もあり得ることから、法律などで限定して記載することは難しいと考えます。
また、仮に労使協定などで例外を労使に委ねるとしたとしても、想定し得ない事象も起こり得るところ、短期間に労使協定を締結し直すということも難しい場合があると思います。各企業の労使が実態を十分に踏まえて柔軟に運用ができるような実効性のある仕組みを考えることが必要と考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
今、お手が挙がっておりますが、オンラインで御希望がございましたので、まず鳥澤委員からお願いいたします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。鳥澤です。
資料の取りまとめ及び御説明もありがとうございます。私からも意見を申し上げます。
連続勤務規制につきましては、労働者の健康確保の観点が重要であることは大前提ですが、中小企業においてはサプライチェーンの多層構造の中で、外的な要因でやむを得ず連続勤務が必要となる可能性も存在することから、労働基準法第35条2項に定められた4週4休については、一定の上限を設定した上で存続すべきと考えます。また、緊急の対応が求められることも想定しますと、一定の健康確保措置を実施した上で、例外的に上限を超えることを可能とすべきではないかと考えます。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、失礼しました、亀田委員、どうぞ。
○亀田委員 ありがとうございます。
先ほど冨髙委員からもありましたとおり、36協定を結んで休日割増しを払いさえすれば、上限規制の範囲内であれば、48日すらも超える連続勤務が可能となっていることは大きな問題であると思います。実際、9ページの調査結果においても、28日以上の連続勤務を経験した労働者が存在することは明らかとなっています。そうした実態を是正するためには、36協定による休日労働も含めた絶対的な連続勤務日数を制限する規制を設けるべきであると考えております。
また、使用者側からは、災害復旧の場合やシステムトラブル等の大きな突発事象があったときには、労使合意で例外を認めるべきとの主張がされておりますが、そもそも1人の労働者が2週間以上にわたって連続勤務をせざるを得ない事象がどれほどあるのか、疑問を感じるところであります。加えて、システムトラブルのように緊急対応を求められる場合においては、1日の労働時間もそもそも相当長時間となっていることが想定される中、さらなる連続勤務まで認めてしまえば、当事者の心身にさらに大きな不調を来しかねませんし、さらなる業務上のトラブルにもつながりかねないと思っております。
大きな突発事象への対応は、企業全体で取り組むべき課題であり、労働者個人に過重な負担を強いることは、健康確保の観点からも行うべきではないと強く考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
松田委員、どうぞ。
○松田委員 御指名ありがとうございます。
資料No.2の3ページにもありますように、国全体で週休2日制の普及・促進が図られており、完全週休2日制ですらも6割近くが導入されており、現在、厚労省としても選択的週休3日制を促進するなど、社会情勢は大きく変化していると考えております。
そうした中で、過剰な連勤を可能とする現行の仕組みを早急に廃止すべきことは言うまでもないと考えておりますし、ほかの委員からも発言があったとおり、36協定による休日労働を含めて制限する連続勤務規制は、早急に導入すべきだと考えております。よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
川田委員。
○川田委員 ありがとうございます。
まず、1つは、この連続勤務規制という論点の性質として、これは労働からの解放という視点に主眼を置いた制度的な提案と見た上で、現行の労基法上の制度との関係でいうと、ひとつには1つ前に出てきた休日の規定、具体的には付与義務、休日の配置とか特定なども含めた休日制度、今の条文で言うと労基法35条の中で、連続勤務に歯止めをかけていくという面があるといえると思います。それから、この35条に加えて36条1項、36協定とか、場合によっては33条の休日労働に対する規制の中で歯止めをかけていくというものもあり得ると見た上で、さらにその両方を通じて、どんな形であっても連続勤務をすることについての原則的な上限を設けるという、今の制度との関係で言うと、いろいろなところに関わる問題として論点が整理されるべきかなというのが1点目です。
これは何のために連続勤務規制をかけるのかという趣旨にも関わってきて、一番大きいのは健康確保、これは間違いないことですし、その際に、今の労災認定基準の御紹介がありましたが、これは背景に医学的な知見があるものだと考えられますので、そこで出てきている2週間程度を原則的な上限とするという考え方というのは、1つ重要な出発点になり得るのかなというふうに思っているところです。
ちょっと長くなってしまってすみませんが、同時に、生活設計の見通しを立てるということも制度の趣旨としては入ってくるのかなと思います。1つ前の休日のところで保護法益という言葉が出てきましたが、これはややもすると刑事罰の関係が前面に出ているようにも取られ得るのではないか、35条のところで出てきた点に関するこれまでの議論というのも、実際に使用者が労働者に休日労働などの労働をさせるという行為が行われた段階で、こうした事実に基づいて事後的に刑事罰を成立させるときの考え方の影響を受けているところがあるような気がして、契約段階での事前的な連続勤務の抑制という視点なども加味したさらによりきめ細かく制度の趣旨を考慮に入れた議論が必要になっていくのかと考えています。
最後に、いずれにしても、何らかの規制を設けた場合には、原則に対する例外の検討というのは常に必要になってくるかなと思います。これは手続面、それから実態的な内容面が基本になると思いますが、論点にも出てくる健康確保措置というのも重要な点かなと思っています。この点については、基本的には連続勤務規制が労働からの解放のためのものだということを考えると、健康確保措置の具体的内容としては現実的な労働からの解放が図られるものというのが中心になるのかなと思いますが、同時に、例えば連続勤務が続いている段階で医学的に問題が起きていないかどうかをチェックする。その連続勤務状態が終わったら、それによるダメージを回復できるようなその時点での労働からの解放を保障するというような、その時々の状況に応じた対応というのも可能性としては考えられるのかなと思っております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
先ほどからの皆さん方の御意見を拝聴させていただきましたが、最初の議論に関連するため戻ってしまうのですけれども、法定休日については、私は「特定すべき」ではないかなと思います。この前提として、現在、連続の勤務日数については、形式的には、法定休日に働かせると48日間も連続して実際に勤務させられるというのは、させられるという言い方もおかしいですけれども、仕事の内容によっては連続勤務がずっと続いてしまうということも、それは考えられるわけで、非常に過酷な日数だと思います。
ですから、今、最高13日間までの連続勤務というのを可能としながら、過半数の労働組合とか過半数代表者の同意によって設定できるような仕組みというのが適当ではないのかと考えます。突発的な仕事が入る場合、また事故が起こる場合など、例外的な事象の場合は、代替できる人員が確保できれば良いと思うのですが、なかなか中小企業の場合には代替人員を入れようとしても、すぐに見つかるわけではありません。また、実際の取引に当たっては、取引先の納期とか、顧客対応、それから、先ほどおっしゃられましたシステムに異常が出たとか、事故が起こったとか、さらには、繁忙期に休日を分散させざるを得ない実態も多く見られてきます。現場の実情というのを踏まえずに一律に規制を強化すれば、結果として人員不足の企業に過大な負担というのが出てくるのではないかと思います。
ここはむしろ労使で協議を行って、勤務計画というのを事前に明示して、突発とか事故の場合の判断は難しいですけれども、健康確保措置というのを十分に講じることで、過度の連続勤務というのを防止する実効的な運用が望ましいと言わざるを得ないのではないかと思います。
すみません、中途半端な意見ですけれども、以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
まず、原委員からお願いします。
○原委員 原です。
先ほど川田委員が整理してくださいましたけれども、この連続勤務規制は様々な趣旨があるわけです。その中で最も大事なものは健康、ということで考えますと、資料No.2の12ページにありますように、労働基準関係法制研究会報告書が述べている、13日を超える連続勤務をさせてはならないといった規定を設けるべきといった提言・提案には重みがあるわけで、これは重く受け止めるべきと考えます。ただ、その上で、原則に対する例外は考えるべきであって、その例外は日常的な例外というわけではなく、例えばごく限定的に、災害とか事故とか、つまり、誰かの命に関わるようなことが起きた場合には、やむを得ず例外を設けてよいといったことで、限定的な形で例外を設けることはあり得ると思うのです。
ただ、そういったことがなければ、日常的に例外ルールの下に13日を超える勤務ができることは望ましくないわけで、誰かの命を守るためであれば、その例外を設けるといったことはあり得るかと思うのですが、この労働基準関係法制研究会の報告書の内容は重要なものと考えられると思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
先ほどより使用者側から連続勤務日数制限の代替措置、また適用除外について、法律で過度なルールを設けるべきではなく、労使での話し合いによる例外等を認めるべきとの意見が複数出されております。
そもそも代替措置さえ取れば連続勤務を認めていいのかというところが極めて疑問でございますし、高度プロフェッショナル制度などでも、代替措置の中で相談窓口の設置を選択している事業場が多いのが実態です。十分な休息の確保が重要であることを踏まえると、健康・福祉確保措置窓口だけでは、あまり効果がないのではないかと考えるところでございます。
それから、先ほど労働からの解放についての御発言がございましたけれども、まさにそのとおりだと思っておりまして、使側委員からは、休日に在宅で30分だけ仕事をするといいた例が挙げられましたが、そうしたことはマネジメントとして防げるものであって、メリハリをつけて、労働者を休ませるためにはどのような工夫ができるのか知恵を絞ることこそ、企業が行うべき働き方改革ではないかと思いますので、その点、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
種々御意見いただきまして、川田委員からも整理していただきましたけれども、まず、休日労働にならずに済ませるといいますか、休日労働にならないようなアレンジメント、平均計算の仕組みみたいなものがどの程度認められるか。それは例外としては、割増賃金と36協定を結べば、それが可能になるというような段階でのお話です。
もう一つは、これもお話がありましたけれども、休日労働としても上限が設定される、絶対的上限といいますか、そちらのお話の2段階に分かれて、それぞれについて論理的には例外があって、どういう場合に例外を認めるかと、それから、認める場合にどのような代替措置があるかという2つにさらに分かれるかと思います。その点にも様々な御意見をいただきました。例外については2つあるのですけれども、それは2つの例外とするか、1つの例外で全てまとめるかというところも、さらなる論点になろうかと思います。
休日規制との関係があって、細かい議論が必要になるかもしれませんので、念のため改めてちょっと整理してみた次第でございます。
ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、3番目の論点、「勤務間インターバル」のお話に移りたいと思います。御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
櫻田委員、どうぞ。
○櫻田委員 ありがとうございます。
勤務間インターバル制度ですけれども、これは過労死等を生じさせないための歯止めになり得るものでありますし、実効的ある導入促進のためには、法律での義務化を図って、企業規模や業種にかかわらずに労働者の休息時間を保障していくということが重要であると考えています。
資料No.2の44ページにございますが、EU指令では11時間とされておりまして、日本でもインターバルが12時間を下回るとストレス反応が高くなるという研究結果も示されております。また、インターバルが短いことによる睡眠不足が労働生産性の低下につながるという研究報告も少なくないと思っています。私たちの生活というのは1日単位が基本でありますし、家庭や地域社会などで豊かな生活時間とともに、睡眠時間を含めた休息を確保することは極めて重要なことですので、インターバルの確保というのは不可欠であると思います。
資料No.2の19ページを見ますと、既に制度導入を行っている企業では、インターバル時間数を11時間以上と設定する企業が合わせて44.9%ということで、半数近くに上っています。
それから、21、22ページのところでは、適用労働者の割合でも、企業規模や業種によるばらつきはありますけれども、全体では労働者全員に適用して、適用除外なしとするところが7割以上という結果が示されています。
また、44ページについて、繰り返しになりますけれども、諸外国でも休息時間を11時間とする制度設計がなされているということを踏まえますと、必要十分な睡眠や生活時間の確保のためにも、11時間を基本として勤務間インターバル制度の義務化を検討していくべきではないかと考えておりますので、意見として申し上げます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインで兵藤委員から御発言希望がございます。どうぞ。
○兵藤委員 ありがとうございます。
勤務間インターバルの導入状況を見てみましたところ、資料No.2の15ページで示されている、厚生労働省調査による、「勤務時間インターバル制度を導入している企業規模別割合」を見ても、1000人未満の中小企業において、特に導入割合が低いことが見てとれると思います。
そして、資料No.2の28ページの表からも分かりますとおり、勤務間インターバル制度を導入している企業であったとしても、中小企業の約3割が勤務間インターバル制度を導入した効果を特に感じていないという回答をしております。
あわせて、資料No.2の40ページのとおり、労働者については、全体の約6割が勤務間インターバル制度の適用に特に効果を感じていないと回答しています。
これらの結果からしましても、勤務間インターバル制度を導入・促進する場合、まずはその導入による効果を企業と労働者に対して理解を促すことが重要であると考えております。よって、現時点において、画一的な義務化を図るというよりも、企業と労働者にとって効果を感じやすいように、インターバル時間数と例外事由、代替措置などの運用方法を自社の状況に応じて導入することを促すことのほうが先決ではないかと考えております。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
同じくオンラインで鳥澤委員から御希望があります。お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
勤務間インターバルについて意見を申し上げます。
現在、中小企業は厳しい人手不足の中、時間外上限規制の対応に懸命に取り組んでいる状況でございます。従業員の健康確保は重要であり、優先されるべきことは理解しておりますが、現行の時間外上限規制においても、年・月単位で労働時間が管理されている中で、さらなる規制強化には慎重であるべきと考えます。労働管理・マネジメント上は、労働者の労働時間・休息を確実にコントロールすべきというのはそのとおりでございますが、中小企業の多くはサプライチェーンの下層に位置し、他律性が高いことから、発注元の急な要請への対応に伴う突発的な業務など、自社での業務コントロールが難しい場面が多いのが現状です。また、その場合の代替要員の確保が困難である中で、現状では一律に勤務間インターバルの対応を求めることは困難であり、中小企業の理解を得ることは難しいと考えます。
また、別の視点でいいますと、地方の中小企業においては、都市部と大きく異なり、通勤時間等も短く、それに伴い実質的な拘束時間も短くなります。テレワークの利用など、企業ごとに状況も異なります。資料No.2の15ページに記載のとおり、規模が小さくなるほど必要性を感じない企業も多いことを鑑みれば、一律でのインターバル義務化は時期尚早ではないかと考えます。
これまでの主張と重なりますが、まずは勤務間インターバルが特に有効であると考えられる業界を中心に、利用促進につながるインセンティブを設定した上で、過労死等防止対策大綱で定められた令和10年度までの導入企業割合を15%以上とするという目標達成に全力を尽くすべきではないかと考えます。その上で、導入の効果・蓄積を図った上で検討を進めるべきではないかと考えます。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
続きまして、オンラインの鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。
勤務間インターバルについて、私のほうからも一言申し上げたいと思います。
先ほどの資料の41ページ以降のところで、幾つか企業事例を紹介いただいていたかと思いますが、現状、勤務間インターバルと一口に申し上げましても、企業での運用実態は様々であろうと思います。こうした中で画一的に制度を導入する、義務化していくということは、労使の自治を脅かしかねない話になるのではないかと懸念します。
例えば、弊社では、フレックスタイム制で、育児をしながら在宅勤務している社員というのは相当数おりますけれども、こうした方々は多くの場合、夕方に家に帰って、家事・育児等をして、子供を寝かしつけて、夜9時や10時ぐらいから深夜まで勤務するという場合もございます。こうした方々においても、業務上、何らかトラブル等、出た場合は、管理職だったり、職場のリーダーのような存在の者が深夜まで相談に応じるというようなことも当然ございます。
一方で、こういう管理を行う者やリーダーの者は、翌朝には通常どおり勤務を開始しなければ、通常の時間に勤務するメンバーもたくさんおりますので、そちらの面倒見もございますから、そういう時間にまた勤務しなければならないということになるわけですね。管理を行う者は、こうした社員の相談対応から、それ以外の通常業務といったものをこなしながら、さらに突発事案があれば、そこにまた対応していくということが求められていくということになります。従業員の多様性に基づいて多様な働き方を整備していけば、こういった面が出てくるのは、実態としてはある程度必然的なことで、多くの企業で起きていることではないかなと思います。
したがいまして、こうした状況がある中で勤務間インターバルを画一的に導入するということは、事業運営にも大きく支障を来たしますし、従業員一人一人のキャリアのつくり方にも影響を与えることで、現実的ではないかなと思います。
一方で、こうした管理を行う者だけ、勤務間インターバルの適用から外してしまえばいいのではないかという考え方もあろうかと思いますけれども、一部の従業員にだけ、いわば負担を強いるような格好になることは、企業内で理解を図っていく上でも非常に難しいと考えます。
したがいまして、1つの企業の中でも様々な働き方がなされている中で、画一的な勤務間インターバルを導入するということになると、事業継続というのは言い過ぎですけれども、事業の運営、個々人の働き方やライフスタイル等々に非常に制限・影響を与えることになろうかと思います。労働者ニーズに基づく多様な働き方を阻害しかねないものになる勤務間インターバルの導入には、反対したいと思います。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤(好)委員 ありがとうございます。
勤務間インターバル制度の導入を進めていく観点からしますと、制度のさらなる周知や各種助成金の拡充等、活用促進なども重要な取組ではありますけれども、資料No.2の15ページにあるように、残念ながら実際の制度導入は6%程度にとどまっているというのが現状だと認識しています。そういったことを踏まえますと、これまでと同じレベルでの取組ではなく、先ほど櫻田委員からも発言があったとおり、法律による義務化という一段上の措置を講じていくべきであると考えております。
先ほど導入による効果の話がありましたけれども、実態調査でも、資料No.2の27ページにおいて、企業が捉える効果としては、「健康の維持・増進」が51.7%、「ワーク・ライフ・バランスの向上」が36%と高く、36ページ目の労働者側でも、「睡眠の確保」、「心身の健康の改善」が一定の割合を占めているということを踏まえれば、労働者の健康や生活時間の確保に一定の効果があると言えるのではないかと考えております。
24ページに具体的なインターバル確保の方法の選択肢もありますけれども、インターバルの趣旨を踏まえますと、翌日の勤務時間の後ろ倒しではなくて、翌日の開始時間から実際の勤務時間までの時間分を働いたものとみなす方法を原則にすべきと考えております。
以上のことから、一定の効果と導入の仕方というところに対して意見をさせていただきました。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
それでは、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
資料のほうでも御紹介いただいておりますけれども、既に勤務間インターバル制度を導入している先進的な企業は6%ということですが、こうした6%の企業実態を見ましても、多種多様な仕組みで運用されていると理解できると思っております。特に、勤務時間数、適用労働者の範囲、例外事由、インターバルを確保できなかったときの代替措置など、制度のあらゆる面で、それぞれ実態に即した形で制度運用がされていると私どもは理解しておりますので、画一的な勤務間インターバル制度の促進・導入については、反対の立場であるということを強調させていただきます。
私ども経団連が把握しております、会員企業の導入例を少し御紹介したいと思います。例えば例外事由に関しましては、先ほど来、少し出ております、大規模災害対応とか突発的な設備・生産トラブルの対応、品質問題など重大なクレーム対応、顧客対応の準備作業、顧客事情による納期対応、海外との会議、育児・介護と仕事の両立による深夜勤務を行う場合、行政への各種申請時、当局からの指示対応、時差勤務・交替勤務の時間帯変更など、実に様々、既に導入している企業でも認めています。
また、代替措置や対応策も多様な仕組みで運用されております。翌日の始業時間の調整や代替休暇の取得促進の措置だけではなく、例えばひと月の中でインターバルの時間の超過回数が一定を超えた場合に、翌日に代休を付与する措置、割り込むことができる上限回数を設ける措置。それから、前月の割り込みが一定回数を超えた場合に、人事部が管理職に、本人の健康状態とか理由をヒアリングして、改善策を人事部に提出してもらうというような措置。それから、安全衛生委員会等において審議する措置、本人に注意喚起する措置、上司に報告し、注意を促す措置、事前または事後の届出をする措置など、実に様々、既に導入されている企業で行われております。
インターバル時間数についても、先ほど労働側の委員から11時間という御示唆があったと思いますし、これまでもおっしゃっていただいているところでございますが、導入企業におけるインターバル時間数はばらばらであるという認識でございます。これも前に申し上げたように、勤務間インターバルを導入する場合の厚生労働省の助成金対象、これは9時間以上となっております。11時間以上でなくても、意味のあるインターバル、効果があるということで、恐らく公的な支給がされていると私自身は考えております。
また、資料No.2の39ページ、40ページを見ましても、インターバル時間が11時間以上なのか、それとも11時間未満かによって、健康状態の認識とか睡眠時間の確保に大きな差があるとは見てとれません。そのため、11時間が望ましいとする必然性はないと考えております。そのほかにも、交替勤務制を運用している企業におきましては、突発的な班員の欠員に伴い、代替要員の確保が難しく、例えば3交替制で連続したシフトに入った場合に、翌日に通常どおりのシフトに入るためには、どうしてもインターバル時間が短くなってしまう。そうしたケースも実際にあると聞いております。このように、業種・業態によって働き方、実態が大きく異なる中で、勤務間インターバル制度の導入状況や捉え方も当然、各社・各職場によっても異なってくると思っております。
一方で、制度の実効性を高める工夫も各社ではされていると理解しておりまして、例えば本人がインターバル時間をタイムリーに把握できるように、各社が配付しているパソコンに表示させている例や、これは制度導入時でございますが、最初は一部部門で試験的に導入して、改善を図ってから全社展開するという例もあると承知しております。そうしたノウハウ的な運用事例を横展開しながら制度導入を進めるべきであり、拙速な画一的な法的な規制というのは、制度の実効性が上がらないおそれがあり、強く反対したいと思っております。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインで水島委員のお手が挙がっておりますので、まず、水島委員からお願いいたします。
○水島委員 ありがとうございます。
労働者の健康確保のためには、労働時間の上限、いわゆる労働のオンに着目するだけでなく、労働のオフに着目して、労働者が適切に休みを取れることが重要と考えます。私自身は、勤務間インターバル制度の労働基準法への導入と義務化が適切と考えますが、使用者側からの多数の御意見を伺い、実現は容易でないと感じたところではございます。
一方で、労働時間等設定改善法に条文があり、努力義務であり、かつ時間数の言及がないことは、法律の規定のつくり自体が勤務間インターバル制度の導入に非常に消極的であるように感じられます。現行の法規定を前提として、幾ら周知を行っても、限界があるのではと思わざるを得ません。労働時間等設定改善法に規定を残すとしましても、現在の2条1項から外して単独の条項に独立させることや、勤務間インターバルの時間数の目安を法律上、示すなどの対応を望むところです。
以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。椎木委員、どうぞ。
○椎木委員 御指名ありがとうございます。
勤務間インターバルについて、今し方も使側の委員から、画一的な規制に対する御懸念、あるいは災害やトラブル時などにおける柔軟な対応といった例外措置あるいは代替措置等を求める御意見がございましたが、労働者の健康確保を図るという観点から、一定時間以上のインターバルを確保することが有効であることについては、多くの知見も蓄積されておりますし、その点は共通理解に立っているものと認識してございます。現在も厚生労働省でも様々に取り組みいただいておりますが、勤務間インターバルの導入をさらに進めるためには、一律のインターバルを義務化していく必要があると考えてございます。
資料No.2の37ページ、インターバル制度が導入されている企業で働く労働者の7割以上が、「インターバル時間の確保に当たり、業務上で困難を感じていることはない」と回答しています。さらに、同じ資料28ページでございますが、勤務間インターバル制度を導入した結果というところで、中小企業におきましても、「従業員の健康の維持・増進が図られた」という評価が、300人未満においても4割以上、全体でも5割です。「休日労働時間が減った」、「ワーク・ライフ・バランスが向上した」という選択肢も、かなり高い割合となってございます。さらに、労働時間制度等実態調査の結果におきましても、前日の勤務終了から翌日の勤務開始までの時間は、中小零細企業においても11時間以上確保できているところが多い傾向が示されてございます。
これらの調査結果も踏まえましても、勤務間インターバルをさらに進めるという観点からは、一律の義務化が必要だと考えてございます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
では、佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 勤務間インターバル制度については、労働者が仕事から離れ、心身を休めるための時間を確保するという仕組み、これは本当に重要だと思いますし、私は制度自体に賛成しております。ただ、今回の働き方改革5年後の見直しに併せて、労働基準法に明記し、制度の導入を図るということは、まだちょっと早いのではないかと考えております。
過労死等防止対策推進協議会の大綱では、令和10年度までに30人以上の企業で導入率15%以上と。それから、制度を知らない企業を5%未満とするという目標が掲げられて、これは当初目標からいったら高すぎるのではないかということを、かねてから私は申し上げてきたところです。現状では中小企業を中心に、まだまだ周知が不十分で、実現には相当な時間や努力が必要ではないかなと感じています。中小企業では、時間外労働が平均10時間程度、私どもが毎年7月に実施している中小企業労働事情実態調査の令和7年度結果では、9.77時間ぐらいだったのですね。10時間より少なくなったという時間外労働時間数なのですけれども、比較的少ないことから勤務間インターバルについては、自社には関係ないというように考える企業というのも少なくないのではないかと思います。
中小企業は数が多いですから、残業というのをかなり強いているところもあると思うのですけれども、労働時間の長短にかかわらず、従業員の健康確保とか、今、言われているワーク・ライフ・バランスの観点からも、制度導入の意義というのは実際には大きいのだと思います。まずは、指導や施策の周知・普及に当たる各地の労働局さんとか関係機関というのが、企業に対していろいろな施策や事業を周知・説明するのも項目が多くて大変なのですけれども、「勤務間インターバルを導入してみませんか」ということを訴えていただきたいなと思っております。
制度設計に当たっても、理想的なインターバルというのは11時間を超えたものというのがあるのでしょうが、企業の実態を踏まえて、9時間から11時間の範囲内で労使協議により決定できるようにする、また、柔軟な仕組みが望まれると思います。就業規則への明記を促進しつつ、これは実際にまだ、うちの事業所は関係ないな、そんなに残業しているわけじゃないから関係ないなといっても、支援策とか、そういうものも併せて、就業規則へ入れましょう、ということで働きかけていくこと。それによって中小企業も広がりが出てくるのではないかなと思います。
1つの企業に勤務間インターバル制度が就業規則等に明記されれば、地域に存する同業他社企業等に影響が出てくると思いますし、人手不足への対応、人材確保の観点でも、今のところ関係ないといっても、勤務間インターバル制度の規定が入っているということが重要になるのではないかと思います。
また、受注型、下請型の企業では、突発的な発注や納期対応というのが避けられない場合もあって、一律的な制度化では混乱を招いてくる状況もあります。なお、一部の労働者だけに対応させていく勤務間インターバル制度には、私は反対したいと思っています。ですから、今ある助成金制度では、先ほど鈴木本部長から発言がありましたように、9時間となっています。これを基本として、導入促進というのを、私たちも含めてですけれども、労働局さんのほうからも、就業規則を変えてもらうような努力をするということがまず必要であって、法制化までは、労働時間の設定改善法等には明記されていますけれども、労働基準法への明記というのは、時期尚早ではないか、というように考えております。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 私からもコメントさせていただきたいと思います。先ほど労側委員から、導入企業の7割は業務困難を感じていないという御指摘があったと思いますけれども、私は別の見方をしております。強調したいことは、現在、先行して制度導入している約6割の企業の多くは、社内上のルールとして努力義務的な扱いをしていたり、インターバル時間が割り込むことを厳格に禁止していない例が多いと私は理解しておりますし、先ほど私からちょっと長い時間かけて申し上げたとおり、既に入れている導入企業も、決して厳格な制度ではないという実態がございます。インターバル時間を割り込んだときの措置が、次の時間は労働を禁止するといった厳格な内容でなければ、業務上の困難は発生しにくいと思っております。
それから、インターバルに一定の効果はあると私も思っております。過重労働防止の一つの選択肢だと思っておりますが、先ほど兵藤委員から御指摘がございましたとおり、インターバルの効果がなかなか知られていない。どういう目的で行うのかというところが知られて初めて、その実効性も担保できると思っておりますので、まずは、その周知が先決ではないかと思っております。
また、既に導入している企業で効果があるということは実態としてあるのだと思います。繰り返しですが、既に導入している企業は、多様な運用をしているからこそ効果が上がっているという見方も、私はできるのだと思っております。むしろ、画一的な制度を入れるということになりますと、効果が損なわれかねない、そういうことを強く懸念するところでございます。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
原委員、どうぞ。
○原委員 ありがとうございます。
勤務間インターバル制度を社会で進めていくことが難しいということでは、労使に大きな隔たりはないと思うのですね。ただ、そこで資料No.2の16ページの現行規定を見てみますと、先ほど水島委員の御指摘にもありましたけれども、この書きぶりでは行政が周知・啓発を行っても限界がありそうですから、何らかの強化をすることは必要かなと感じます。
そうしますと、資料No.2の49ページに労働基準関係法制研究会報告書の概要がありますけれども、下のほうの「また」のところに様々なアイディアが出ています。こういったものも考えていくのがいいと思っておりまして、下から2行目にある、現行の抽象的な努力義務規定の具体化、これは先ほど水島委員もおっしゃっていましたが、要は努力義務のまま、労働時間等設定改善法の中でいわば特出しをして、明確な形、具体的な形で努力義務として規定するという考え方もあると思います。
また、この段落の下から4行目、事業主に勤務間インターバルを確保できるよう配慮を求める配慮義務の規定があります。例えば、問題は全く違いますけれども、セクシュアルハラスメント(セクハラ)に関しましては、かつて防止措置になる前に配慮義務だった時代があるわけですね。そういった過去のことなども振り返りながら、努力義務よりも一段強い形で、事業主に配慮を求める規定をまず設けて、強力に周知・啓発を進めていく。将来的なことは、その普及の度合いを見ながら引き続き検討していくといった形もあると思うのです。ですので、資料No.2の49ページにありますように、努力義務としてより明確に定めるとか、あるいは配慮を求める配慮義務といった形でアプローチする。それを基に、より強くプッシュしていくといったことなどもありますので、そういった考え方は選択肢として具体的にあり得るかなと感じました。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
佐藤好一委員、どうぞ。
○佐藤(好)委員 改めてになりますけれども、先ほどあったように、インターバル制度の導入促進や、一層の周知を図るためにも、我々としては義務化をぜひ進めていきたいと考えております。私自身も、インターバル制度がある企業でもともと働いておりましたので、前もってインターバル制度を入れておくことで、実際の経験からしますと、日常的に計画的な人員の確保や人材育成が図られることにもつながっておりました。たとえ突発的なことが起きたときにも、その代替要員の役割を果たしうる人材がしっかりと育成できている、そうした効果もみられると考えております。
これは私の経験として感じているところでありますので、こうした実態をベースとして、しっかりと検討を進めていくということが非常に重要ではないかと感じていますので、改めて意見として申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
川田委員、どうぞ。
○川田委員 ありがとうございます。
ここまで議論の中心になっている義務化の是非に関しましては、私、今、御意見伺ったところで、特に労使のそれぞれを代表される委員が、それぞれの立場からの現状認識に基づいて御発言されていると思います。そういう方向での議論を深めるということが、まずは大事だろうと思っているところですが、義務化以外の点で2点ほど考えているところを述べたいと思います。
1つは、これまでの話の中で、たしか佐久間委員が上げられていたかと思いますが、就業規則への記載に関しては、義務化する、しないとは別に考えられるところかなと思います。義務化するのであれば、恐らく必要的記載事項として関係することを書くことになると思いますが、義務化しない場合でも、いわゆる相対的・必要的記載事項として、一定のことについて定めを置く場合には、それに関する一定のことを就業規則で定めることを必要とするというような仕組みに現状なっていますので、そういう中で、まずは導入する企業・事業場において、インターバルというのはこういうものだということを就業規則上はっきりさせていくことを促進するというのは、1つあり得ることだと思います。
それから、もう一つは、どのような制度設計をするにしても、これまでの話の中で、それぞれの企業の具体的な状況に合ったものを、少なくとも細かい部分では考えていく必要があるということになり、どういう制度にするにせよ、当該企業・事業場で労使でよく話し合うということは必要になってくると思いますので、これも義務化の是非とは別に、そういうインターバルに関する、例えば方針などについて、当該企業あるいは事業場の労使で話し合うことを促進するような仕組みを何らかの形で設ける、あるいは、その話し合いの仕組みを誘導するということも考えられるかと思います。
そして、その際には、これも既に出てきた目安、例えば標準的なものとして考えられるものはこういうもので、例えば時間数で言うと、睡眠時間なんかを含めた健康確保という観点からの時間、さらに余暇の確保ということを考慮に入れた時間など、今、出てくる9時間とか11時間等には、それぞれの理由があることだと思いますので、例えばそういう考え方の筋道をある程度ガイドとして示していくというようなことで、話し合いを促進するということも考えられるかなと思っているところです。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
この論点は、労使で、促進を超えた部分でかなり見解の相違があるかと思いますが、法律による対応の在り方とか内容について、なお議論を行う余地はあるのではないかというふうに感じております。
では、最後になりますが、「つながらない権利」という論点について、御質問、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
松田委員、どうぞ。
○松田委員 御指名ありがとうございます。
資料No.2の56ページ、労基研報告でも、総合的な社内ルールを労使で検討とあり、具体的には、ガイドラインの策定等の検討が必要とされております。使側からも、ガイドラインの一部修正等、周知との意見もあったところです。しかしながら、働く場所などを含め、柔軟に働けるようになっていることを踏まえれば、このつながらない権利をより強く意識していくことが重要であり、労働者が勤務時間外に心身ともに仕事から離れることを実効性あるものとすべきと考えてございます。
先ほども仕事のオフみたいな話もありましたし、勤務時間中以外のところでも仕事を意識しないといけないという状況が継続的にありますと、従業員の方々の健康というところが阻害されますし、常に緊張感を持って生きていかないといけないということになりますので、これは非常に重要な観点ではないかと思ってございます。企業内だけではなくて、顧客や取引先との関係を含めて、社会全体での取組を前進させるためには、しっかりと法制化を進めることが必要であると考えております。そのことを通じて、つながらない権利の確保の重要性について、社会規範を醸成することにもつながると認識してございます。
また、実態調査においても、約2割が何らかのルールを設けているという結果も示されていることから、勤務時間外の連絡に関するルールを労使で協議して導入を検討することを、事業主の措置義務とすることも考えられるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
オンラインの松永委員からの御発言希望がございます。
○松永委員 ありがとうございます。松永でございます。
私のほうからも一言発言させていただきます。まず、終業後とか休日、会社の上司とか顧客などからメール、電話があって、それにどのように対応するかというのは非常に大きな課題であるというふうに認識しています。かつ、会社側としては、終業後とか休日につながらなくてもよい働き方、業務プロセスみたいなものもきちんと考えていくことが重要なのだなというふうに考えています。
その前提でということなのですけれども、例えば資料No.2の51ページ、諸外国でのつながらない権利に関しての制度の有無ということをお示ししていただいていますけれども、これはある、なしということも重要なのですけれども、その先に、ある場合にどういう運用をしているのかというのも、きちんと把握していく必要があるのかなと思っています。というのも、運用の実態の中には、それぞれ労働することへの意識とか商慣行みたいなものが現れてくると思いますので、そういうことを理解するためにも、制度がある国に関して、どういう運用をしているのかというのも非常に重要なのかなというふうに考えています。例えば、天災事変とかシステムのダウンとかサイバー攻撃を受けるみたいなことも新聞報道でもありますけれども、上司から部下に対して、どうしてもやむを得ず連絡する必要があるというのも、多くの会社でも見られる傾向かと思います。
あと、少し観点が違うのですけれども、お客様と就業カレンダーが違う場合です。例えば、一般的には土日が休日というところもあるでしょうけれども、違うところで休日を取られる会社さんもあります。そういうところで、お客様から電話やメールが来るというのも想定されるかなというふうに思っています。ということでございまして、時間外における連絡というのは、社内・社外、いろいろなケースがあるのかなというふうに思っていますけれども、その連絡方法というのも様々あろうかというふうに思っています。
あと、業務の内容とかレベルというものとか、仕事の進め方みたいなものも個人ごとに異なるという部分もあろうかと思っていますので、この問題は、どちらかというと業務遂行方法に関わる面が強いのかなというふうに考えていますので、基準法で画一的に義務化するということではなくて、業務実態というのをきちんと想定しながら議論を進めていくことが重要ではないかというふうに考えています。
私のほうから以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
椎木委員、どうぞ。
○椎木委員 御指名ありがとうございます。
つながらない権利についてでございます。情報通信技術などの発展などにより、連絡手段が非常に高度化・多様化しております。このような中で、いつでも、どこでも業務上の連絡が舞い込んでくる可能性が多いという環境の中で、真に労働から解放されるというところをしっかり労働者に保障していくことは、重要だと考えてございます。各委員から御発言もありましたが、こうした取り組みを前進させていくためには、事業所あるいは企業の社内のルールだけにとどまることなく、顧客や取引先を含めた商慣行の是正も必要ですし、社会的な規範意識の醸成が大変重要になってくると考えてございます。
前段の勤務間インターバル制度、現在は努力義務として位置づけられておりますが、この導入がなかなか広がらないという現状もございます。つながらない権利に関する実効性ある取組を進めるためには、法的あるいは制度的な裏づけが必要と考えてございます。資料No.2の51ページに一覧が出てございますが、諸外国の事例なども参考にしながら、つながらない権利に関する法整備を前進させるべきであると強く感じているところでございます。
以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。
私からもつながらない権利について発言させていただきたいと思います。取引先からの連絡もあるということもあって、法的規制が必要ではないかという御意見もございました。労働側委員がおっしゃられたように、社会的な意識醸成を図っていくことの必要性は、私どもも大変重要だと思っているところでございます。ただ、この商慣行の是正について、ある1つのルールを設けたことで解決するかというと、それほど簡単なものではないと思っております。
上限規制が適用されました運送業界や建設業界で取り組んでおります荷待ち時間対策、4週8閉所の進捗状況をみますと、労働時間法制で対応できる次元というよりは、官民挙げて地道な取組が求められて、徐々に動いているようなところも強く感じるところでございます。
それで、この問題については、権利という言葉が気になっておりまして、権利というと、何か労働者の労働条件のニュアンスを想起させがちです。これも前に発言させていただきましたが、仮に労働条件という位置づけであれば、厚生労働省が調査された過半数労働組合がある事業場で、労働協約として、このつながらない権利の取り決めがされているところが多いはずですが、実際には決してそうではなくて、過半数組合のみがある事業場において、労働協約でルール化しているところは0.7%に過ぎません。先ほど御紹介にあった、就業規則でルールを定めている事業場は18.6%であり、就業規則では一定程度、定められているものの、それは労働条件として団交が行われた結果ではない、そうした可能性を示唆しているものと考えます。
この終業後の連絡の有無とか取り方そのものについては、労働条件の問題というよりは、先ほど使用者側の委員からも御指摘ございましたように、業務遂行方法に関わる問題で、当然、権利乱用になってはいけないと思っているところでございますが、果たして労基法上の規制の問題として捉えることがなじむのかということについては、私はなじまないと考えております。
私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
それでは、本日予定されておりました4つの論点について、一わたり、御質問、御意見をいただいたところでございます。非常に貴重な御意見をいただきまして、また真摯な御議論をいただきました。御意見をいただきました観点は非常に重要なものだと思いますので、事務局では、本日の議論も踏まえまして検討を進めて、さらに次回以降の資料の御準備をお願いしたいと思います。
特段ございませんでしたら、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。
最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。
次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○山川分科会長 それでは、これで第204回「労働条件分科会」を終了いたします。
お忙しい中、活発な御議論をいただきまして、大変ありがとうございました。



