第7回社会保障審議会生活保護基準部会最高裁判決への対応に関する専門委員会 議事録
日時
令和7年10月23日(木) 15:00~17:00
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 19階 共用第8会議室
厚生労働省 19階 共用第8会議室
出席者(五十音順)
・岩村 正彦 東京大学名誉教授
・太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・興津 征雄 神戸大学大学院法学研究科教授
・新保 美香 明治学院大学社会学部教授
・嵩 さやか 東北大学大学院法学研究科教授
・永田 祐 同志社大学社会学部教授
・別所 俊一郎 早稲田大学政治経済学術院教授
・村田 啓子 立正大学大学院経済学研究科教授
・若林 緑 東北大学大学院経済学研究科教授
・太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・興津 征雄 神戸大学大学院法学研究科教授
・新保 美香 明治学院大学社会学部教授
・嵩 さやか 東北大学大学院法学研究科教授
・永田 祐 同志社大学社会学部教授
・別所 俊一郎 早稲田大学政治経済学術院教授
・村田 啓子 立正大学大学院経済学研究科教授
・若林 緑 東北大学大学院経済学研究科教授
議題
平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決を踏まえた検討について
議事録
- (議事録)
- ○岩村委員長 皆様、こんばんは。定刻でございますので、ただいまから第7回「社会保障審議会生活保護基準部会 最高裁判決への対応に関する専門委員会」を始めさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただき、誠にありがとうございます。
まず、事務局から、今日の委員の出欠状況と資料の確認をお願いしたいと思います。また、今日はほとんどの方がオンラインで御出席ということでございますので、改めてということにはなりますけれども、会議での発言方法等について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部社会・援護局保護課総括調整官 事務局でございます。
本日も、対面及びオンラインを組み合わせての実施とさせていただきます。また、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承ください。
続けて、本日の委員の出席状況でございますけれども、永田委員が遅れて参加と思われますけれども、それ以外の委員の皆様におかれては御出席いただいているという状況でございます。
会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと存じます。恐縮ではございますが、カメラの皆様は御退室をお願い申し上げます。
(カメラ退室)
○阿部社会・援護局保護課総括調整官 それでは、事務局より、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきたく存じます。
本日の資料でございますけれども、議事に関して資料「今後の論点(案)について」、また、参考資料として、参考資料1「いのちのとりで裁判全国アクション 提出資料」、参考資料2「伊藤参考人 提出資料」を御用意してございます。参考資料につきましては、原告関係者から御提出されたものでありますが、こちらの資料も踏まえながら御議論いただけますと幸いでございます。
本日は、委員長以外の委員の皆様はオンラインにて御出席でございますけれども、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですがホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願い申し上げます。
次に、発言方法について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、委員長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願い申し上げます。
以上でございます。
○岩村委員長 ありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと存じます。お手元の議事次第を御覧いただきますと、今日の議事は、「平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決を踏まえた検討について」ということになっております。
前回の委員会では、主に判決の趣旨・内容と、これまでの議論とを踏まえた今後の対応の在り方を検討するに当たりまして、平成25年当時の生活扶助基準改定について、再度、ゆがみ調整及び高さ、つまり水準の調整を行うということにつきまして、先生方から御意見をいただいたところでございます。こうした御意見を踏まえまして、今日は事務局のほうで改めて資料を御用意いただいているところであります。
今日の議論の進め方でありますけれども、まずは経済系の論点について先生方の御意見を頂戴したいと考えております。そこで、まず事務局から資料「今後の論点(案)について」のうち、論点(1)の部分についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 社会・援護局保護課の榎でございます。
それでは、資料「今後の論点(案)について」、このうち論点(1)の部分について御説明をさせていただきます。
1ページを御覧いただければと思います。
第5回の専門委員会でお示しをしました今後の論点(案)になります。このうち「1.判決の趣旨・内容及びこれまでの議論を踏まえた今後の対応の在り方」の部分について、次ページ以降で関連する資料をお示ししてございます。
少し飛びまして、4ページ目を御覧いただければと思います。論点(1)として、「一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準の乖離をどのように評価するか」と設定しております。
5ページを御覧ください。
前回までの議論を踏まえて、乖離の評価に関する検討の方向性を整理してございます。まずは「生活扶助相当支出額の補正方法について」でございます。
3つ目の○を御覧いただければと思いますが、補正方法につきましては、「評価時点を考慮する方法」と「他の所得階層の消費動向を反映する方法」の2つがございました。このうち、家計調査の変動率を用いる評価時点を考慮する方法の方がより適切との御意見がこれまで多数あったところでございます。そうしたことも踏まえて、3つ目の○のように記載をさせていただいているところでございます。
それから、4つ目の○については、家計調査の変動率の終点について、平成25年の改定当時に参照可能であった最新のデータということで、平成24年がまず考えられるところでございます。このほか平成25年や平成24年と25年の平均なども考えられるところでございますけれども、これらの選択肢についてどのように考えるか、御議論をお願いできればと思います。
続いて、5つ目の○でございます。「世帯分布調整値の扱いについて」でございます。世帯分布調整値は、家計調査の2人以上勤労者世帯の変動率を用いる上で、世帯の年齢構成や人員構成等の変化による影響を除去したものになりますけれども、これを積極的に採用すべきか否か、御議論をお願いしたく思います。
それから、一番下、6つ目の○は「外れ値処理について」でございます。より安定した変動率を得る観点なども踏まえてどのように考えるか、御意見を頂戴したく思います。
6ページを御覧ください。乖離の評価についておまとめをしてございます。
前回お示しした補正方法に係る試算結果では、いずれの方法でも消費水準が上昇する一方で、それでも依然として平成16年の水準には満たない状況が確認されたところでございます。
また、補正後の消費水準と比べてみましても、平成25年改定前の基準額、それからゆがみ調整のみを反映した基準額、これらの方がなお上回っているという状況が確認されております。
以上を踏まえまして、乖離の評価として、平成25年改定前の生活扶助基準の水準は、仮にゆがみ調整2分の1処理を反映するとした場合を含め、いずれの補正方法を取るとしても、一般低所得世帯の消費水準に対して不均衡が生じていたと、このように評価すべきではないかと考えてございます。この点について御意見を頂戴できればと思います。
7ページを御覧いただければと思います。前回の専門委員会における各委員の主な御意見をまとめてございます。
上から順に御紹介をいたしますと、補正方法としては評価時点を考慮する方法が適切。
それから、いつまでの変動率を考慮するかについては、平成25年改定時点で利用できた平成24年までの変動率を考慮することが妥当。
外れ値はあまり大きな影響はないのではないか。複数年の平均値を取るということも考えられる。
そして、平成24年、25年までの変動を見るパターンについても、トップコーディング、世帯分布調整による調整を行った場合の試算結果を示してほしい。
このような御意見をいただいていたところでございます。
8ページを御覧ください。前回の専門委員会で委員よりお求めのあった資料を用意しております。
家計調査の変動率を用いる補正方法について、終点を平成24年や平成25年とした上で、トップコーディング、それから世帯分布調整値を組み合わせたパターンの結果をお示ししてございます。
これに加えて、平成24年と25年の平均値を基にした変動率を用いるパターンについても同様にお示ししてございます。
終点の取り方、世帯分布調整値や外れ値処理の各論点について、この結果も踏まえまして、御議論をお願いできればと思います。
続いて、9ページを御覧いただければと思います。世帯分布調整値についての補足資料でございます。
世帯分布調整値につきましては、総務省の世帯消費動向指数においても採用されている調整方法でございまして、世帯主年齢と世帯員数を組み合わせてできる24の区分ごとに、1世帯当たり平均値と世帯数ウエイトを計算し、加重平均を取ることで計算したものでございます。
真ん中のウエイト部分の表を御覧いただきますと、例えばでございますが、平成24年では平成21年に比べまして60歳代のウエイトが高くなっていることが分かるかと思います。こうした点につきまして、世帯分布を平成21年で固定するということによって、このような年齢構成の変化などが平均値に及ぼす影響を除去することができます。これが世帯分布調整値の特徴でございます。
一方で、年齢区分を6つの区分で分ける場合は、左にある表で御覧いただくとお分かりになるかと思いますけれども、サンプルが存在せず、バーとなる区分が発生してまいります。
次の10ページを御覧いただければと思います。
10ページでは、このような空になってしまう区分が発生しないように、60歳以降の区分を一括りに統合した場合の結果をお示ししてございます。区分を統合しても大きな変化は見られないことが確認されてございますが、世帯分布調整値を参照する場合には、このような区分の設定方法に留意が必要になろうかと思います。
続きまして、11ページを御覧いただければと思います。生活扶助相当支出額を令和4年検証と完全に同じ方法である1人当たりで集計をしてみたものでございます。
前回お示しした家計調査の変動率につきましては、世帯の年収で見た第1・十分位について、1世帯当たりの支出額を集計したものでございました。
次の12ページを御覧いただければと思います。
12ページの一番下、※3部分でございます。令和4年検証では、新型コロナウイルスの影響を確認するに当たって、家計調査の変動率を参照していたわけでございますが、2人以上勤労者世帯については、第1・十分位のところは世帯の年収で見るのではなく、世帯員1人当たりの年収に基づいておりました。また、平均支出額につきましても、1世帯当たりの支出額ではなく、世帯員1人当たりの支出額としていたところでございます。いずれも異なる規模の世帯が混ざった集団の動向を見る上で、世帯の規模を調整して評価するために、このような設定をしていたものでございます。
11ページにお戻りいただければと思います。
先ほど御紹介しました集計方法につきまして、令和4年検証の方法に完全に合わせた場合の変動率をお示ししております。
前回お示しした結果から大きな傾向の変化は見られてございません。前回の専門委員会におきましては、令和4年検証と整合性のある方法が望ましいとの御意見をいただいていたところでございます。令和4年検証の方法に完全に準拠するとすれば、このような方法に基づく数値を参照する必要があろうかと思います。前回までにお示ししてきた集計方法とどちらが適切か、この点についても御意見を頂戴できますと幸いでございます。
13ページを御覧いただければと思います。令和4年検証と同じ、1人当たりで計算をした場合の補正結果をお示ししてございます。
8ページでお示しをした結果とおおむね同様の結果となってございます。なお、ここでの世帯分布調整値につきましては、1人当たりとしていることによりまして、世帯人員の調整は不要と考えられますことから、世帯主年齢のみを調整しているものとなってございます。この点に御留意をいただければと思います。
また、年齢区分を60歳以上で一括りにした場合の結果につきましては、下側、※の4つ目においてお示しをしてございます。1人当たりで集計をする場合であっても論点としては同様でございまして、終点の取り方、世帯分布調整値、外れ値処理の取扱いということでございます。この結果も踏まえまして、御議論をお願いできればと思います。
論点(1)につきまして、事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、何卒よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございました。
前回の委員会におきましては、生活扶助相当支出額の補正方法に係る試算結果として、先生方から幾つかの資料のお求めがありました。それを受けまして、今日の資料では事務局のほうで御準備をいただいているということかと思います。そういうことで、今日の資料を受けてどのような方法が妥当と考えられるかについての御議論を頂戴したいと思います。
論点が基本的には経済なり統計の問題ということになりますので、まずは経済系の先生方から御意見を伺えればと思います。どなたからでも結構ですが、よろしくお願いいたします。
それでは若林先生、お願いします。
○若林委員 ありがとうございます。若林です。
丁寧に計算をしていただき、ありがとうございます。
13ページを見せていただけますでしょうか。今回、データを詳細に整理していただき、1人当たりベースで「調整なし」「トップコーディングあり」「世帯分布調整値あり」として、それぞれ24年まで、25年まで、平均値と出していただきました。
私個人としては、さまざまな方法が考えられるとは思いますが、現時点では「調整なし」が最も適切ではないかと考えています。これは前回も申し上げた点と重なりますが、特に今回は世帯分布調整値について意見を述べたいと思います。
世帯構成や年齢構成の変化による影響を除去するという考え方は非常に重要です。ただ、これまで取り入れてこなかった手法を今回新たに導入するのは、専門委員会で急に実施するよりも、今後、基準部会で慎重に検討していくのが適切ではないかと思います。
また、今回初めて令和4年の計算方法に従って1人当たりベースを算出していただきましたが、これは単純に世帯人数で割る方法と伺っております。もっとも、消費には規模の経済が働く可能性があり、家族共用の支出(お風呂、台所など)を考えると、単純な人数割りには検討の余地があると思います。
一方で、1人当たりで見ること自体は非常に重要です。世帯ベースですと実感がつかみにくく、生活保護受給世帯の多くが高齢者や単身世帯であることを踏まえると、1人当たりでの把握は意義が大きいと思います。
最後に、生活保護受給者の年齢構成などを考慮すると、世帯分布調整値を用いて年齢構成の変化の影響を把握することも今後の課題として重要ではないかと考えています。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
それでは、別所先生、よろしければお願いしたいと思います。
○別所委員 別所です。
論点の方向性としては、若林さんのおっしゃったことでいいのではないかなと思っています。
1人当たりへの修正というか変更については、論点としては若林さんが挙げてくれたとおりです。今回の委員会でということになると、令和4年検証をそのままフォローするという方針に従うとすると、1人当たりに直してもいいかなというところで、どっちにしてもピンポイントでの正解がない話ですので、幅を持ってみるというか、ほかと比べてこれぐらいという話にはなると思うのですが、もし一つ挙げるとすると、13ページの10番と振ってあるのがいいのかなとは個人的には思います。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
村田先生はいかがでしょうか。
○村田委員 村田でございます。
私も、今回の資料で今まで色々やってきた作業を整理していただいて、非常に分かりやすく整理されたかと思っております。
意見につきましても、若林先生、別所先生がおっしゃったことと特に大きな差はありません。
今、別所先生も13ページで言うと10番とおっしゃいましたけれども、いわゆるこれが令和4年報告書のやり方にも沿った、ある意味スタンダードケース、標準的なケースということが言えるわけで、ただ、そうはいっても、このスタンダードケースが正しいかどうかという、妥当性というか、そういう確認したということで、外れ値の確認とか、あるいは世帯分布調整の確認とか、考え得る知恵を絞って、データの制約や時間的制約もある中で確認作業を行った末、大体このスタンダードケース、10番が大きく外れるような結果にはなっていない、中位所得比で見ても7割程度となっているということで、一つということであれば、この数字がどこまでぎりぎり、例えば0.1%水準まで厳密性があるのかというとまたそこはあるかと思いますけれども、このケースを一つ標準として考えていただくということでよろしいのではないかと思っております。
○岩村委員長 大変ありがとうございました。
1つだけ確認をさせていただきたいのですが、8ページと13ページというのが同じような資料として出ているのですが、8ページのほうが夫婦子1人世帯をベースにしていて、13ページのほうは1人当たりの金額に着目しているというところがあるのですが、今、経済系の先生方は、13ページの10番というお話をおっしゃっていたようですので、1人当たりに着目した数値で見るということでよろしいという理解でしょうか。そこだけ確認をさせていただければと思います。
どなたでも結構なのですが、さっきの順番で、若林先生、申し訳ないのですがお願いできればと思います。
○若林委員 若林です。
基本的にはそのとおりです。私たちの中では、最新の令和4年検証をベースに話をしたほうがいいので、その点で1人当たりベースのほうがいいのではないかというのが意見です。
○岩村委員長 ありがとうございました。
事務局、お願いします。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 色々と御意見いただきまして、ありがとうございました。
幾つか細かな点で少し確認をさせていただければと思いますけれども、まずは終点をどこにするかというところにつきましては、今、3人の先生方から、24年、13ページで言えば項番10番が一番よいのではないかということでございました。
他方で、少し幅を持ってみてもよいのではないかというようなコメントもあったかと思います。そうした視点に立ったときに、もう一つ選ぶとすればどういったものが考えられ得るかと、この点についてももし可能であればお考えなどをお聞かせいただけるとありがたいと思います。
それから、もう一つ、非常に細かな点で大変恐縮でございますけれども、世帯分布調整値につきましては、今回、年齢区分を少しまとめるようなパターンもお示しをしてございます。この点についても、その計算方法について、どのやり方がより妥当と考えられるか、もし何かコメント等がございましたら、いただけるとありがたく思います。よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 先生方、いかがでございましょうか。2つ事務局のほうから質問がございました。
では、別所先生、お願いいたします。
○別所委員 もう一つということですが、そうすると終点を変えるということがいいのかなと思うので、13枚目で言うと13が妥当かなと思います。
世帯分布の調整の仕方については、サンプルサイズが小さいので、今、計算していただいた方法でよいと思います。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかの先生方、追加的に御意見ございますでしょうか。太田先生、どうぞ。
○太田委員 御説明ありがとうございました。また、経済の先生方の御議論もありがとうございました。
3点ほど、そこはどう考えるのか、お伺いしておきたいと思います。
1点目は、私、若林先生の御発言を聞いていて、若林先生御自身は、割ったりするのは単純だし、1人当たりで考えることは重要なのだけれども、単純に割るというのはむしろ親部会でちゃんと考えたほうがいいことで、今回やるのはどうかとおっしゃっていたようにも聞こえました。私は、8ページの1番が若林先生にとってのベストなのかなと思っていたのですが、それは私の誤解で、先生御自身の個人的な考えとしても、13ページの10番だと理解してよろしいのですかというのが1点目です。
2点目は多少意見にわたりますが、25年まで見るということについてです。最初の改定のときには、25年のデータは使えずに、24年までしか見れずに、かつ、1回目、25年改定は、それを3年に割って改定したわけです。そうすると、25年まで見ると、前回間違えたところだけ純粋にやり直すというのからずれていく感じがして、かつ、当時は使えなかったデータを使って遡及的にやるという感じになって、法学的には心配が増してくるのですが、その点はあまり気にしなくてよいのでしょうか。これが、事務局か経済系の先生にお伺いしたい2点目です。
3点目は、経済系の先生方は特に必要ないとおっしゃっていたので、ベストではない、必要ないということだと思いますが、事務局がこだわられたのでついでにお伺いしておきたいと思います。世帯分布調整値の使い方で、今回どうも21年の分布で固定するということのようですが、これは21年の家計調査のウエイトで固定するということですよね。そうすると、全国消費実態調査のウエイトと一緒なのかということと、一緒でないとしたときに、時期が一緒である以上に、平成21年度のウエイトで固定するという意味はどこにあるのかというのがちょっとよく分からなくて、お伺いしたく存じます。平成21年で固定するというのは、そこに何か特別な意味を認めるということになるのだろうと思うのですが、それは何でなのかと。むしろ、そこがないのであったら、ランダムのままでよく、調整をやらなくてもいいのではないかという感じはして、教えていただければ幸いでございます。
以上、よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございます。
○若林委員 若林です。
太田先生、御質問ありがとうございます。
まず、家族人数の調整についてですが、これには「正解」と言える方法はありません。OECDなどでは、世帯規模を調整する際に単純に人数で割るのではなく、家族人数の平方根で割る方法が代表的です。ただ、令和4年の計算の際、私はその議論には関わっておらず、また当時は単純に人数で割る方法が採用されていたと理解しています。したがって、比較可能性の観点からは、今回も令和4年の方法をそのまま用いるのが適切ではないかと思います。調整方法の見直しは、将来的に改めて検討していくべき課題だと考えています。
次に、対象期間を24年までとするか25年までとするかという点ですが、この点も難しいところです。法律の観点から見ても、これまでと異なる基準年を採用することは慎重であるべきだと思います。一方で、13ページの結果を拝見すると、24年までのケースと25年までのケースでは数値の差が大きく、25年の値が下がる点が気になります。ただし、経済学的に見れば、年度を1年ずらすことで値が変わるということはよくあることであり、どちらが「正解」とは言えません。その意味で、別所先生がおっしゃったように、24年と25年の平均を用いるというのは現実的な対応かと思います。
とはいえ、どの年度を採用するか、どの手法を用いるかによって値が変わってしまうことは、データを扱う私たちから見ても避けがたい現象です。そのうえで、最終的には法的な観点や政策上の目的を踏まえて、どの値を採用するのかを議論していく必要があると考えています。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
3番目は事務局でお答えいただければと思います。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 3番目につきまして、世帯分布調整値のウエイトの時点をなぜ平成21年で固定するのかといった御質問であったかと思います。
まず、事実関係としましては、先生御指摘のとおり、ここで使っているウエイトについては家計調査の世帯数に基づくウエイトでございまして、全国消費実態調査のものにはなっておりません。実際、全国消費実態調査とどこまでずれが出ているのかというところまでは確認しておりませんけれども、平成21年で固定した趣旨としましては、なるべく21年の全国消費実態調査に近いところでウエイトを固定するのが適切ではないかということで、時点としましては全国消費実態調査に合わせて平成21年としていたところでございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
太田先生、いかがでしょうか。
○太田委員 経済系の先生方からさらにお教えいただいたほうがいいと思いますが、今の説明だと、同じ年にやったから以上の意味がなくて、私には21年のウエイトを使い続ける積極的な理由がよく分かりません。ただ、私が分からなくても、それは素人だから、分からないおまえが不合理なだけだという可能性は高いと思うので、どうなのでしょう。せめてそうおっしゃるなら、全国消費実態調査のウエイトとどうずれているのか、どの程度一緒なのかぐらいは確認していただいたほうが、やるときに安心できるのではないのですか。
○岩村委員長 ありがとうございます。
事務局のほうは、その作業はできるのでしょうか。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 データはございますので、作業してみたいと思います。
○岩村委員長 それでは、その点、事務局のほうでまたデータを整理していただいて、お示しいただくということにさせていただきたいと思います。
別所先生、よろしくお願いします。
○別所委員 今の点ですが、この趣旨は夫婦子1人世帯の支出額を補正するというところにあるので、夫婦子1人世帯は必ず世帯人員は3名ですから、そこで1人当たりの計算をする意味はあまりなくて、ここでやりたいのは、そこからどう変化しているかということです。だから、本当は夫婦子1人世帯のデータが十分にあれば、その平均値を追っていくだけでいいのですが、残念ながらそんなにない。なので、似たような世帯を幾つか集めたものしか取れない。ただ、似たような世帯の構成というのが変わっていくから、それをちょっと補正した形で、純粋な伸び率みたいなものも決めたいというのがここでやりたいことです。
ウエイトをどっちに置くかですが、別に最初に置いても最後に置いてもどっちでもいいと思います。指数のつくり方の話になるのでどっちでもいいのですが、別に最初を取っても最後を取っても、分布の平均みたいなものを取っても別に何でもいいのですが、計算が楽だということで21年を取っているという、それだけの理由だと思います。ウエイトの置き方が違えば当然結果も変わるとは思うのですが、そこで色々パターン分けしてやるとえらい結果が変わるかというと、今回については多分そんなに変わらないのではないかと思うので、最初のウエイトをそのまま使うということでいいのではないかなと思っています。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
村田先生、どうぞ。
○村田委員 村田です。ありがとうございます。
今の別所先生の説明を一つ補足しますと、最初おっしゃった夫婦子1人世帯のデータは十分にないのでこれを使っているというところなのですが、その場合に、2人以上の勤労者世帯の収入の第1・十分位を使っているということです。そうすると、例えば2年目にたまたま人数の多い家計がいたりとか、あるいは、9ページにも赤で書いてあったりしますけれども、年齢が違うと消費支出額も違いますので、たまたまそういう消費が多い世帯構成の世帯とか少ない世帯構成の世帯が入ってくると、それによって影響を受けてしまうというのを除いてみたいという思いで作ったということだと思います。
基準年は、何年でもいいというのもそのとおりなのですけれども、ほかの年にすると、何でその年にしたのかという議論も起こるということを考えれば、全消の2009年を基準にやったというのも一つの判断かと考えます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
今の議論を受けて、事務局のほうで一応データは整理していただいたほうがよろしいかなと思いますので、時間が大分切迫しているのですが、すみませんがよろしくお願いしたいと思います。
ほかにはいかがでございましょう。
それでは、経済関係の論点についてはこの辺りということにさせていただきたいと思います。
そこで事務局から、資料中の残りの論点、論点(2)だと思いますが、それについての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 社会・援護局保護課の千田でございます。
資料「今後の論点(案)について」の14ページ以降を私のほうから御説明いたします。
資料の15ページを御覧ください。
前回の委員会において、判決の効果を踏まえた対応の在り方について、今後の論点及び検討の方向性を御議論いただきましたが、その際にいただいた御意見について整理を行ったものでございます。
順次御説明申し上げますが、まず15ページの内容につきましては、興津委員のほうからいただいた御意見の概要となってございます。
5つ○がございますけれども、以降、ポイントを絞って御説明させていただきたいと思います。
まず1点目の○については、判決の効力を原告と原告以外で分けて考えることが議論の出発点という趣旨の御指摘を頂戴いたしました。その上で、判決によってその処分が取り消された原告への対応と、一方で、理由中の判断で違法性が指摘された告示の違法性の是正をどうするかという話があるということ。
2つ目の○といたしましては、告示の違法性を是正する一つの解決策として、単純な方法として、当時の基準改定告示自体を廃止するという案が一番単純だが、それをしてしまうと生活保護法8条2項に抵触するおそれがあるという趣旨の御指摘がございました。
その観点から言うと、適切な水準に遡及的に改定するという方法が考えられると。その結果として、原告以外については、満額ではないけれども追加給付を行うということになると。
この点について、3点目の御指摘ですけれども、そうすると原告の権利が減ってしまうのではないかという点が問題になってくるということで、その解決策としては、原告には満額支払い、原告以外には一部支払いが考えられるということ。
ただ、これについては、区別について正当化できるのかどうかという点について難しいとも思えるが、あり得ないわけでもないという趣旨の御指摘がございました。この点については、やはり生活保護法8条2項との関係など、幾つかの論点を関連して整理をしていく必要があるという趣旨の御指摘でありました。
4点目につきましては、経済学的な議論を踏まえて、やはり8条2項との関係を詰めて整理する必要があると。
最後の点でございますけれども、仮に経済的な議論を踏まえて高さ調整を行うべきとなった場合にも、原告との関係ではそれが蒸し返しにならないか、あるいは法的安定性の観点から慎重に考えることが必要という御指摘でございました。
続いて、16ページでございます。
16ページにつきましては、太田委員からの御意見の概要でございます。○が8つございます。
1点目については、従前議論されてきました遡及改定の根拠というのは、生活保護法8条2項以外にないのではないか。
2点目については、論点マル3ということで生活保護法の理念や実務との整合性というのを事務局で挙げてございましたが、この点については、第一次藤木訴訟に基づくと、遡及的な給付が必要と。その上で現実的な運用を考えるのではないかという御指摘でありました。
3つ目の○につきましては、消費を念頭に改定をすることの検討自体、前訴で主張することが容易だったのではないかと。そういった観点で、後々蒸し返しというふうに指摘されないようにリスクの慎重な検討が必要という趣旨の御発言でありました。
4点目については、裁量行使の観点から、平成24年当時よりはよりよい裁量行使であるということをこの専門委員会が言えることの確認が必要であると。その点に関連して、令和4年の検証手法が、訴訟当時、主張できたのではないかという点は慎重に検討が必要という点でありました。
5つ目でございますけれども、最低生活の水準を上回っているということを認識した以上は、8条2項に基づきやり直しが必要と。
このやり直しを考えるときに、原告以外の方にとっては利益的な処分となる一方で、原告の方との関係では既得権との関係が問題になると。ただ、これについては、生活保護受給権がその時々変動するということを含んだ権利なので、そのことによって削られるというのは正当化できるのではないかということ。
その下の6個目の○ですけれども、ただ、これまで訴訟で争ってきた期間によって強い期待が生じているかどうかは確認が必要と。しかしながら、ゆがみ調整まで実施できなくなる期待まではなく、ゆがみ調整を再度行うことは、8条2項に沿うと考える。
7点目としては、反復禁止効だけを考えるのであれば、原告にだけ処分前の状態に戻すという解決策は言えるけれども、しかしながら、保護基準改定の一部が違法と言われた以上においては、原告でない者との関係でも、保護基準の改定、そして職権変更処分を考える必要があると。その観点からは、高さ調整のやり直しが要請されていると言えるのではないかと。
最後の○については、原告には、ゆがみ調整分も含めて処分前に戻るというある種の過剰な救済が与えられていると。ただ、一旦前の状態に回復しているということは間違いがないので、その部分をどうするかというのが論点という御意見でございました。
17ページにつきましても、太田委員からの発言の概要の続きとなってございます。
17ページ、2個の○がございますけれども、1点目につきましては、8条2項に基づいて高さ調整を再度実施すべきことを裏づけるデータが出たにもかかわらず、それを妨げるべき理由があるのかどうかという点に関して、原告との関係においては、紛争の蒸し返しの防止の要請であるということ。その観点からは、原告に8条2項の要請を貫徹するのは控えたほうがよいという御意見でございました。
最後の○については、他方で、原告以外との関係では、高さ調整を含めて、フルスペックの遡及改定はやりやすいのではないかと。そうすると、原告と原告以外で2種類の基準をつくることがあり得るとも思えるけれども、他方で、無差別平等原則などを考えると難しいのではないかと。今回の訴訟がある種の代表訴訟的な性格であると考えると、結果において原告だけ多い給付が行われるのは適切ではないという御意見もございました。
続きまして、18ページでございます。
18ページにつきましては、嵩委員からの御意見の概要でございます。
18ページは5つの○で整理をさせていただいております。
まず1点目につきましては、原告、原告以外を区別しない前提において遡及改定を行う場合に関する御意見でございますけれども、原告については処分前の状態に戻っているので、既得権や期待権の問題が生じる可能性があると。ただ、ゆがみ調整と2分の1処理については、最高裁で裁量権の逸脱・濫用が認められていないので、適法な制約を再度具体化することは違法な侵害にならないのではないかという御意見でありました。
2つ目の○として、他方でということで、デフレ調整については最高裁で違法と判断されているので、ゆがみ調整と同様に判断することはできないと。それを再度新たな高さ調整を遡及的に行うということは、法的安定性や権利の悪影響を慎重に検討する必要があると。
その点に付言いただいた格好ですけれども、生活保護法8条2項の解釈・運用については、1条に規定された目的や基本原理に沿って解釈・運用される必要があるということで、そうした観点からは、最低限度の生活水準を定めるプロセスを含めた保護の実施や権利救済というのは安定的かつ実効的である必要があるということで、一度何らかの影響が生じたものを再度変更するということは、慎重に考慮、あるいは慎重な手続が必要ではないかという御意見でありました。
3点目につきましては、デフレ調整について再度新たな視点でやり直すという選択肢自体排除はされないけれども、前述の保護の実施の安定性の要請との関係では慎重に考えるべきという御意見でございました。
4点目につきましては、遡及的にデフレ調整に相当するものを実施することについては、生活保護法の目的に照らして慎重に検討していく必要があるけれども、他方で、補正を行った上で、一般国民の生活水準との格差がどのくらいあるかの確認については、現状や当時の状況を正しく理解するために不可欠であるということで、この検証については専門委員会で引き続き検討していきたいという御発言、御意見を頂戴いたしました。
続きまして、20ページ以降に基づきまして、前々回お示しをしておりました論点のうち、仮に平成25年の生活扶助基準改定を再度実施する場合の各種論点について、今後の検討の方向性を説明してまいります。
22ページを御覧ください。
論点の1つ目でございます。基準の中に含まれる各種加算等の取扱いでございます。
22ページは、上段が論点、下段が検討の方向性となってございます。
上段の論点につきましては、この論点について詳細に書き下したものになってございますけれども、説明申し上げますと、1点目において、生活扶助基準の本体は、平成30年10月に平成25年検証を踏まえた改定が行われてございます。
2点目の○として、一方、各種加算、あるいは期末一時扶助等については、平成25年改定において、生活扶助基準本体と同様にデフレ調整による改定が行われてございます。
ただ、これは2つに分かれてございまして、1つは、25年の改定以降、水準の検証やそれに基づく改定は行われていないもの。そしてもう一つは、その後、水準の検証や改定が行われているものと区別がされてございます。
最後、4点目の○ですけれども、仮に今回、最高裁判決の対応として、平成25年改定のうち、デフレ調整に相当する水準調整を実施する場合には、今申し上げました加算等について、その取扱いをどうするかということが論点になってまいります。
これにつきまして、検討の方向性でございます。3つ○がございます。
1点目につきましては、これまでの専門委員会の議論を踏まえて、仮に消費の実態に基づく本体についての水準調整を行うという場合においては、上述の加算等についても同様の水準調整を行うということが必要ではないかと、このように考えてございます。
2点目の○につきましては、論点ということで、その上で、追加給付の対象期間、すなわち、仮に追加給付を行う場合、その給付額の算定の基礎に加算等を含める期間をどうするかと、これについては検討が必要な論点と考えてございます。
それについての対応の例ということで、考えられるものを記載してございますが、まずマル1について、現在まで検証あるいは改定が行われていない加算等については、2つの考え方があろうかと思ってございます。
1つ目としては、平成25年改定後、仮に再度行うとすれば、再度の改定の時点までを対象期間とすると。あるいは、生活扶助基準本体と同様に、29年検証を踏まえた改定が行われる平成30年9月までを対象期間とすると。いずれかの考え方が取り得るのではないかと考えております。
他方で、マル2につきましては、過去、デフレ調整の適用があったけれども、その後、水準の検証やそれに基づく改定が行われている加算につきましては、当該期間、つまりデフレ調整の適用があった期間を対象期間とすることが適当ではないかと、このように考えております。
最後の○につきましては、仮に最高裁判決を踏まえた追加給付を行う場合における今申し上げました各種加算の具体的な取扱いについては、追加給付の性質や実務上の課題等も考慮して検討が必要ではないかと考えてございます。
続きまして、23ページでございます。
23ページは参考資料でございますけれども、最低生活費を構成する各種扶助及び各種加算の類型を示した資料でございます。
続けて、24ページにつきましては、直近、令和7年10月時点における各種扶助・加算の概要を説明した資料になってございます。
25ページを御覧ください。
先ほど論点ということで申し上げましたけれども、2つの類型があるということで、デフレ調整の適用があって、平成25年の改定後、現在まで水準の検証やそれに基づく改定は行われていない加算と、過去一定期間において適用があった加算、それぞれにつきまして、それぞれの扶助・加算ごとに対象者あるいは支給人数といったようなものをまとめた資料になってございます。適宜、御参照いただきますようにお願いを申し上げます。
それから、26ページにつきましては、各種加算の検証の在り方等に関するこれまでの審議会における各種報告内容をまとめたスライドになってございます。こちらも参考資料でございます。
続きまして、27ページを御覧ください。
27ページにつきましては、平成29年検証に基づく平成30年生活扶助基準見直しにおける生活扶助基準額の算出方法を示したものになってございます。
平成30年の見直しにおいては、激変緩和の観点から、見直し前の基準額からの減額幅をマイナス5%以内に抑えるための経過的加算を設定しておりました。また、平成25年の見直しによる減額幅をマイナス10%以内とする激変緩和措置を講じていたことも踏まえて、平成24年度基準額に0.855を乗じた額と、平成30年の見直し後の基準額を比較して、高いほうの額を算定することとしてございました。
これらはいずれも平成30年9月までに実際に適用されていた基準額からの減額幅を一定に抑えることによって、平成30年からの3年間で急激に下がらないようにするために講じた激変緩和措置でございますことから、今回仮に最高裁判決を受けて平成25年の改定を何らかの形で再度行うといった場合においても、平成30年見直しによって適用されていた基準との差額というのは、既得権ではなくて、遡及的に支給を要するものではないと、このように整理ができるのではないかと考えてございます。
29ページを御覧ください。
29ページにつきましては、論点の2つ目でございますが、再検討後の基準を適用するものの範囲につきまして、これまでの議論と、それから関係する判例の抜粋の資料でございます。
これまでの議論におきましては、既に死亡している原告の取扱い、それから保護を途中から離脱した方への追加給付の必要性に関する御意見、それから外国人に対する給付の必要性に関する御意見がございました。
これに関連しまして、下段で参考となる関連判例ということで、昭和42年の朝日訴訟判決、一身専属的という部分の抜粋、それから下のほうですけれども、外国人に関して、平成26年に最高裁から示されている判決ということで、外国人については、生活保護法の適用を受ける者ではないけれども、行政措置として生活保護制度を準用するとされているといった言及がございます。
30ページを御覧いただきますようお願いします。
これらを踏まえまして、今後の検討の方向性でございます。大きく5つの項目がございます。
1つ目につきましては、死者の取扱いでございます。これにつきましては、意見がこれまでございましたとおり、一身専属的な権利であるという判例法理がございますことから、それに照らせば、仮に追加給付を行う場合であっても、既に死亡している者については権利が消滅しており、遺族等に関する給付は行わないことが適当ではないかということでございます。
2つ目でございますが、既に保護廃止されており、現に最低生活の保障を要しない者の取扱いでございます。これにつきましては、今回の判決を踏まえて、仮に何らかの追加給付を行う場合においては、このような既に保護廃止されていて、現在は最低生活の保障を要しない方の取扱いについても、生活扶助費の性質や追加給付の性質も踏まえて、その取扱いについて検討を進めることが適当と考えております。
ただ、その具体的な方法については、実務上の課題等も考慮して検討することが必要ではないかと考えております。
3点目につきましては、平成25年の改定後に被保護者となった方の取扱いでございますけれども、これについても仮に追加給付を行う場合には、平成29年の検証を踏まえて改定を行うまでの平成30年9月までの間に被保護者であった期間については、その対象期間に含めることが適当ではないかと考えてございます。
4つ目の現在国内にいない方の取扱いについては、2つ目の既に保護廃止されている方の取扱いを踏まえつつ、実務上の課題等も考慮して検討するのではないかと。
最後の外国人については、行政措置として生活保護制度を準用するとされている法令上の位置づけや平等原則の観点等を考慮して検討が必要であると考えてございます。
31ページにつきましては、関連資料ということで、生活保護の関連文書の保存期間に関する我々が示しているルールというものでございますので、こちらは参照いただきますようにお願いをいたします。
続きまして、33ページ、論点の3つ目でございます。
33ページで今後の検討の方向性を示してございますが、2つ項目がございます。
1つ目については、当時の基準改定により保護の対象外となった方等の取扱いでございます。2点目は省略申し上げて、3点目でございますけれども、こうした方については、今回の最高裁判決を踏まえた対応の在り方、そして法的安定性の観点、あるいは実務上の課題を踏まえて検討することが適当と考えてございます。
2つ目の論点であります他制度の扱いでございます。これについては○の1個目で記載がございますけれども、平成25年の基準の改定を行う際の対応ということで、当時は3つにカテゴライズして整理をしてございますけれども、1つ目の個人住民税の非課税限度額、それから2つ目の生活扶助基準を参考としている主な国の制度、そして地方単独事業に区別した上で、1つ目については変更を行わず、2つ目の点については、生活保護と同様の給付を行っているような制度を除いて、できる限りその影響が及ばないように、各制度の所管省庁で対応を行ってございました。したがいまして、今回の最高裁判決を踏まえた対応において、このように生活保護と同様の給付を行っている制度の対応の在り方というのがどうかという点は論点ということで考えてございます。
36ページからは、論点の4つ目、最後でございますけれども、時効との関係、それから遅延損害金との関係の資料でございます。
37ページにつきましては、時効との関係に関する資料でございます。
端的にポイントのみ申し上げると、時効の法的根拠につきましては、生活保護法には時効の規定はございませんけれども、今回、原告の処分が取り消されたということで、それによって生じた権利については公法上の債権ということで、民法ではなくて地方自治法の適用があると整理することが適当ではないかと考えてございます。
2点目について、時効の起算点でございますけれども、基本的には時効の権利を行使する際の法律の障害がなくなった時点ということが起算点と考えられてございますので、原則として、最高裁判決によって処分の取消しが確定した時点と考えるということが適当ではないかと考えてございます。
続きまして、次のページでございます。遅延損害金との関係性の資料でございます。
検討の前提といたしましては、1個目の○でございますけれども、取消判決の形成力が生じているのは、個別の保護変更決定のみであるということで、原告以外に対する保護変更決定は、行政処分の公定力によって引き続き有効であると、このように考えております。
その上で、2つ目の○で、原告については、判決の形成力によって取り消された処分前の状態に戻るということから、それによって遅延損害金が発生するかどうかと。発生する場合には、その根拠をどのように考えるかが問題というふうに問題提起をしてございます。なお、民法上の法定金利につきましては、2020年4月に年5%から3%に引下げがされておりますけれども、改正法の附則に経過措置がございますので、今回問題になっている対象期間においては、民法上の遅延利息については、年5%のほうが適用されるということで、その発生時点というのは、民法上は債務が履行遅滞になった時点からと整理をされてございます。
その上で、今回の原告との関係あるいは原告以外との関係における整理でございますけれども、まず原告との関係においては、本専門委員会の議論を踏まえて、新たな基準によって再処分を行う場合については、当該再処分の時点から遅滞の問題が生じるものと整理することが適当ではないか。
2点目については、仮にでございますけれども、判決の形成力に基づき処分前の状態との差額を返還する場合には、生活保護における通常の実務の対応、あるいは一般法の規律というものを踏まえて検討することが適当と考えてございます。
他方で、原告以外との関係につきましては、当時の保護変更決定処分が引き続き有効であると。このことから、遅滞の問題というのは観念されないのではないかと。
その上で、仮に原告以外にも追加給付を行う場合においては、再度職権による処分を行った時点から遅滞の問題が生ずると整理をするのではないかと考えてございます。
以上が事務局からの説明でございまして、冒頭申し上げました15ページから18ページの前回の御意見の内容について、もし御発言いただいた委員の先生から補足あるいは追加の御意見がございましたら、この場で御発言をお願いしたいと思います。それから、今申し上げました4つの論点について、事務局から提示をさせていただきました検討の方向性に記載の内容について、御意見、御審議のほどよろしくお願いいたします。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局のほうで論点(2)についての御説明をいただいたところでありますけれども、資料の14ページからは、前回の委員会で議論がありました今回の最高裁判決の法的効果や紛争の一回的解決の要請との関係性、また平成25年当時の生活扶助基準を再度改定して遡及適用するといったようなことについて、各論点に関して事務局で整理いただいております。
さらに19ページからは、ある意味、今日御議論をいただきたいところでもあるのですけれども、仮に平成25年生活扶助基準改定を再度実施する場合の各種の論点についての整理をいただいているということであります。
これらにつきまして、委員の先生方からの御意見をいただきたいと思いますが、今、事務局のほうで最後にありましたように、前回の委員会で御議論いただいた点について、何か補足があれば。特に原告と原告以外とを法的に分けるということについて、前回御議論いただいた点に何か補足があれば、まずその点について御発言をいただければと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
特に追加の御発言はないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、今日挙げていただいた論点のマル1からマル4について、御意見や、あるいは場合によっては御質問を頂戴できればと思いますので、どなたからでも結構ですが、よろしくお願いいたします。
では、太田先生、お願いします。
○太田委員 太田です。
どうも御説明をありがとうございました。
論点が多岐にわたるので、順番に気づいたことだけ取りあえず申し上げたいと思います。
まず22ページの加算の問題です。対応の例で、デフレ調整の適用があって、25年改定後、現在まで水準の検証やそれに基づく改定が行われていない加算等の取扱いについて、第1の選択肢と第2の選択肢、29年検証を使って30年9月までを対象期間とするというのがありますが、そこの※印にもあるように、29年検証そのものは、加算についてきちんと検証はしていないとなっています。
最高裁判決を見る限り、29年検証を最高裁はそんなに信用していないという感じがいたします。それは、過誤・欠落を認めた後、なお書きなので、どの程度のものと評価するかというのは一つの問題ではございますが、29年報告書において、本件改定後の夫婦子1人世帯における生活扶助基準額が一般低所得世帯の生活扶助相当支出額とおおむね均衡することが確認されたと評価されているが、デフレ調整における過誤・欠落を別に否定するわけではないし、否定できるようなものでもないし、デフレ調整が大きな影響を及ぼすものでもあることを考えると、過誤・欠落があるという評価が左右されることはないと言っているわけです。
つまり、何か判断過程に過誤があったけれども、下がった結論として一旦保障した額は取りあえず法が要求する範囲であったというような言い方はしてくれていないわけでして、29年検証を頼りに、ここで大丈夫だろうと考えるのはちょっと危ないのではないかなというか、やめておいたほうがいいのではないかなという気がいたします。したがって、25年改定後、再度の改定時点まで、あるいは、現在までやっていなければ、そのミスは影響が続いていると考えるべきではないかと思います。
それから、27ページの平成30年生活扶助基準見直しなのですが、これはちょっとよく分からないところがあって、よく分からないというのは書き方で、「平成30年見直しにより適用されていた基準との差額は既得権ではなく」というのは、どういう趣旨で、何を既得権と考える議論を考えて、それを蹴飛ばそうとされているのかよく分からないところがあります。
今回の高さ調整まで含めて仮にやり直したときに、基準額マル1が上がってしまうと。基準額マル1と基準額マル2を比べて、基準額マル1のほうが高くて、選定したときにさらに加算する必要があるかという問題意識かなと思うのですが、しかしそれは要するに平成30年見直しの経過措置の適否の問題であって、そもそも問題が違うのではないのかという感じがします。だから、お書きになっていることの趣旨がよく分からないので、誤解していないかの確認のために御説明をお願いしたいと思いますが、私が今言ったようなことであれば、それだけの話ではないかなという気がした次第です。
次に、30ページですが、保護を廃止して、現に今は最低生活の保障を要しない者の取扱いにつき、はっきりお書きでないのでよく分からないのですが、例えば生活保護を申請して、拒否されたので訴訟を起こしているケースで、1か月、2か月してから仕事が見つかったので、今は保護は要らないというときでも、取消訴訟の訴えの利益は失われずに、その1、2か月は追給しないといけなくなるはずなのです。これが今の実務の取扱いです。
そうすると、現在の困窮に対応する生活扶助費の性質や追加給付の性質も踏まえて検討するというのは何を言おうとしているのか。払うか払わないかも含めて検討しようというのであれば、それはおかしい。払うことを前提に検討するべきだと思います。ただ、そのときにケース記録とか住所の把握とか、ものすごく細かい話が必要になりますから、それはぜひ検討していただきたいと思います。なので、お話を聞いているときは、払うつもりなのかなと思ったのですけれども、そこは確認をしていただきたいと思います。
それから、外国人の取扱いも、行政措置として生活保護制度を準用するとされている法令上の位置づけというのが、これを考慮することで何を目指されるのかがよく分かりませんでした。なお書きであることは間違いありませんが、要するに準用するということは、基本、外国人であること特有の問題があるのでない限りは、そのままやるということです。少なくとも日本は外国においてやっていませんが、外国にいる国籍保有者に対しても本国政府が生活保護に値するものをやってくれているのであったら、我々は多分払わないで済む。そういう取扱い方はしていたと思いますけれども、給付の額について準用するというときに、行政措置として行っているのだから、そこは8掛けでいいだろうとかそういうことはやってこなかったし、それをやると平等原則の問題があると思うのです。だから、その点においてはやっぱり払うのだろうと考えなければならず、行政措置として生活保護制度を準用するのだからというのがどういう意味を持つのかというのはちょっと疑問に思いました。
次に、33ページでございますが、○の3つ目です。実務上の課題があるのは十分分かります。ケース記録も、面接のときの記録等も拒否してしまったら拒否した際の記録しかありませんので、翌月以降の生活状況を把握していない可能性が高い、そういうケースは少なくないと思います。だから、せいぜい拒否したその月分ぐらいしか違法だったのではないかということも分からないというのは、そのとおりだと思うのですが、そこでお書きの法的安定性の観点というのは一体何を言っておられるのかというのがよく分かりません。何かをしてしまって、法律関係をつくってしまって、今さら変えられないというときに法的安定性を保障しましょうと言うのですけれども、今回は遡及改定をやるのであったら、もうそこで法的安定性は崩れて、もう一度やり直すという状況なので、どういうことを考えておられるのか。
申請をした人との間では、申請して拒否したというだけのことなので、守るべき法的安定性のようなものがないのではないかという気がして、何を考えておられるのかよく分からなかったので、もし可能だったら御説明をお願いします。
それから、次に37ページと38ページです。時効の起算点なのですが、原則としてというところに何を読み込むかによりますが、原則として最高裁判決により処分の取消しが確定した時点を時効の起算点とすると、今、我々がこうやって議論して、再度改定する可能性があるから待ってちょうだいと言って、言わば待ってもらっているわけですよね。待ってもらっているうちに時効は走り出していることになってしまって、それは行政としてはどういう態度なのかということになりかねないと思います。むしろ、基準改定して、再度の処分をしたときから時効も走り出すというふうに考えておかないといけないのではないか。今の解釈で行けば、時効も走り出しているからさっさと訴えてくださいと言っているようなものですよね。給付訴訟を起こしてくださいと言っているようなものなので、首尾一貫しない態度ではあるまいかと思います。
38ペーシにある遅延損害金に関し、原告との関係について、新たな基準により再処分を行う場合には、そこから遅滞になるというのは、時効の起算点との関係の記述と比べると、随分行政に都合がいい、首尾一貫しない態度だと思うのですが、他方、原告との関係で本当にそれでいいのかというのは、私はやはり疑問はあります。保護を変更して、減額して、取消訴訟を起こされているという状況でした。ということは、行政処分が間に挟まっていますので、民法が考えるような履行の請求をしているわけではないのですが、取消訴訟の提起というのは、実体的な債権・債務関係を考えれば、仮に行政行為で法律関係を動かすとかそういう話を考えなければ、要するに履行請求しているようなものなのです。取消訴訟というのは、本件だと履行請求をしているようなものだと思います。なので、再処分のときから遅滞の問題が生ずると整理するというのが本当にいいのかというのは疑問があります。
ただ、そこから先、ほかの社会保障法とかを考えると、一般に遅延利息をつけてこなかったはずだという気がいたします。例えば年金なんていうのは要保障事故、要するに老齢の到達とか障害の発生ということをもって給付を受ける権利が発生すると。しかし、申請して、行政行為としての裁定を受けて初めて権利が行使されるようになる。そのときには、言わば遡る形で要保障事故発生時から、保険事故発生時から給付が行われるわけですが、給付拒否処分の取消訴訟を起こして勝って裁定をもらったときに、保険事故発生時から利息をつけてきたかというと、つけていなかったのではないかなという気がして、その点は確認をしていただきたいというのと、そのこととの整合性というのは考えておく必要があります。
ただ、払わない方向、今まで払ってこなかったから払わないことにしようとすると、多分訴訟を起こされて、最高裁が決めてくれればそれでいいやという立場もありますが、そこら辺も含めて議論しておいたほうがいいのではないかなという気がいたしました。
原告以外との関係については、私はそういう整理で割り切る以外ない、この部分については原告と原告以外で差ができてしまうのですけれども、それは多分において仕方ないという感じがする、そういうものなのかなと思っている次第でございます。
取りあえず議論の手がかりとして発言いたしました。
以上でございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
御質問があったので、事務局のほうから質問にお答えいただくというのを先にやりたいと思います。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 まず資料の27ページで、経過的加算についての御質問があったかと思います。どういう趣旨のことだったかということで、改めて御説明をさせていただければと思います。
意図しているところとしましては、仮に今回、最高裁判決を受けて、平成25年改定を何らか再度実施するとした場合に、30年改定のときに措置をしていた経過的加算にどういう影響が起こり得るかというところの整理でございます。具体的に申し上げますと、27ページの図を御覧いただくと、2か所ほど影響し得るところがあろうかと思います。
1つ目は、基準額マル1と書いているところで、0.855という係数を乗じるような形になってございますが、この0.855は、※にございますとおり、平成25年の見直し時の激変緩和措置が10%以上減らないようにするという下限措置でございました。それに加えて、30年の下限としましては、減額するとしても5%以内、10%と5%それぞれ掛け合わせるということで、0.9掛ける0.95で0.855となっていると。
今回、25年の改定を仮にやり直すということを考えた場合に、これはまた仮の話でございますけれども、10%の下限というものに何らか影響するとすれば、0.855という数字が変わり得るというのが一つございます。
それから、もう一つ、図の中の一番右側のところで、見直し前の基準額からの減額幅をマイナス5%以内に調整を図るということがございます。ここで言う見直し前の基準額というのが何を意味するかですけれども、平成30年の改定前の基準額になりますので、言わば平成25年改定、デフレ調整も含めて実施をした基準額を指すことになります。すなわち、25年改定の基準額を仮にやり直すとすれば、ここの見直し前の基準額にも影響が出てくるということでございます。
ただ、資料の中で整理したかった点としましては、これらはあくまで、当時、実際に生活をされていた方の基準額が平成30年改定によって下がってしまうという場合において、急激に下がらないように、激変緩和措置として講じた措置でございます。今回、仮に25年改定をやり直すとしたとしても、実態として何か生活が急変してしまうというようなことはおよそ想定されないということかと思いますので、こういった激変緩和措置への影響まで勘案する必要はないのではないかと、このような趣旨で御用意をさせていただいたものでございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
それでは、続けてお願いします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 続きまして、残りの質問について回答申し上げたいと思います。
まず30ページの2つ目の既に保護廃止されている方の取扱いの1つ目の○の「生活扶助費の性質や追加給付の性質も踏まえ」というところについての趣旨ということでありました。
今回、平成25年基準改定について、再度何らかのやり直しをした上で、追加給付をするとなった場合には、ある種の遡及的な対応ですので、今はもう保護の状態にはないけれども、当時その状態にあったという方についての追加給付の可能性というのは当然あると考えています。
その上で、具体的な取扱いについてどうするかという点については、現在に対応するという生活扶助費の性質や、あるいは追加給付を行うということであれば、その追加給付をどういう性質のものにするかというところも踏まえて、その法的な取扱いを詰めていく必要があるのではないかという趣旨の記載でございますというのがまず1点目でございます。
それから、30ページの一番下の外国人のところで、行政措置として準用することとされている法令上の位置づけの趣旨でございます。
この点については、仮に今回、追加給付をするとした場合に、その追加給付を外国人に対しても行うかどうかということを考えるときには、やはり生活保護法の法律の適用は外国人にはないと。ただ、準用措置として、行政措置としてやっているということを踏まえて、法的な取扱いは決めていく必要があるだろうという趣旨で、準用するとされている法令上の位置づけというふうに書かせていただいております。
続きまして、33ページの1つ目の当時の基準改定により保護の対象外となった方等の取扱いの○の3つ目の法的安定性の観点とはどういう趣旨かという御質問でありました。
これについては、当時の生活保護の最低生活費のラインというものを遡及的に変えるということをするのであれば、ある種、法の適用関係みたいなものが当時から巻き戻して変わるという側面があると。それによってこの問題も当然発生してくる問題だと考えますので、そこを法的安定性の観点でどう考えるのかというのは一応考慮要素の一つではあろうと考えましたので、法的安定性の観点と書かせていただいたというものでございます。
その他、37ページの時効の起算点のところについては、再処分時点からではないかという御指摘、御意見については承りました。御意見として検討の材料にさせていただきたいと考えております。
それから、その次のページの遅延損害金の原告との関係の部分で、履行請求的なことを訴訟によってしていると言えるのではないかということの関係であったり、あるいは他の社会保障法の取扱いということも踏まえて検討が必要という、これも御指摘だったかと思いますので、事務局のほうの検討の材料に、考慮要素にさせていただきたいと考えております。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
太田先生、いかがでしょうか。
○太田委員 1点よろしいですか。27ページ、おっしゃることは、要するに後ろの遡及的な支給をさらに30年以降の経過的加算もしないといけないのではないかという問題意識ですね。そうすると、私、「差額は既得権ではなく」というところに引っ張られているのかなという気はしました。既得権の侵害をするわけではないわけです。そこまで一緒に下がって、経過的加算を返せとかそういう話ではないのであれば、既得権の侵害という感じにはならないのではないかという気がしました。用語の問題だという理解でいいのかどうか、ほかの先生方が理解できているのであれば、その先生方の意見も聞いてちょっと考えます。
どうもありがとうございました。
○岩村委員長 ありがとうございます。
事務局のほう、何かありますか。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 1点補足させていただきます。
27ページの関係でございますが、問題意識としては、30年の改定で措置をした激変緩和措置に対してまで、25年改定を仮に再改定をした場合に影響を及ばせる必要があるかどうかという点に関して、影響を及ぼす必要はないのではないかと考えております。すなわち、少なくとも経過的加算については再改定の影響が及ぶ範囲からは除外して考えてよいのではないかという趣旨でございます。
○岩村委員長 ここは分かりにくいので、もう少し整理をしていただいたほうがいいかなという気がいたします。
ありがとうございます。
そのほかの先生方、いかがでしょうか。
興津先生、お願いいたします。
○興津委員 興津です。どうもありがとうございます。
私も27ページのところなのですけれども、まず、太田先生が御指摘された既得権というところは、要するに受給者に期待的な利益、保護に値する期待が生じているかどうかという趣旨で既得権という言葉を使われたのかなと思いました。保護に値する期待的利益が存在するのだとすると、25年改定をやり直した場合、それに基づいて基準額マル1を計算し直すべきだということになるのだけれども、そのような保護に値する期待はないので、その必要がないというのが事務局の御説明だと承りました。今の時点でそれがいいとか悪いとか断言することは私にはできないのですけれども、ただ、そういう趣旨の御説明だとすれば、その内容自体は理解できたということが一つです。
それから、この点は昨日付で提出されたいのちのとりで裁判全国アクションの意見書のほうでも同じ論点が取り上げられて主張されていて、その意見書のほうでは、25年改定が取り消されて満額支給されることになったら、この基準額マル1は掛ける0.855と現在なっているところが、掛ける0.95で計算し直されるべきだという御主張が書かれていたかと思います。
昨日の今日で資料のほうにも反映できていないでしょうし、私も現時点ではまだ定見が定まらないところですので、そういう意見書の記述もあったということを指摘させていただいて、さらに検討を詰めていければというのが、まず27ページについてのコメントであります。
それから、もう一つ、時効についても、太田先生のおっしゃったことに賛成ですので、特に付け加えるという趣旨ではないのですけれども、恐らく実務的には、25年改定をやり直して追加支給をするということになった場合には、時効が問題にならない期間内に全て事務処理を終えるということが前提になっているのではないのかなと思います。事務処理が遅れて時効にかかっちゃったからもう払いませんということは多分しないという前提で、しかし法的な論点として詰めておくという趣旨ではないかと承りましたので、実際には時効にかかったということのないように処理をお願いしたいということと、しかしながら、現場で色々と時間がかかって時効がかかるようになった場合であっても、太田先生がおっしゃったような事情からすると、国の側で時効の主張をするということが信義則に反するという評価をされることもあり得るということは含めて考慮された上で検討されるとよいのではないかと思いました。
取りあえず以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょう。
嵩先生、お願いいたします。
○嵩委員 御説明ありがとうございました。
27ページのところ、私もまだよく理解できていないので、また追加で整理をしていただけるとありがたく存じます。
30ページのところで、既に保護を廃止されている方とかについては、31ページにデータや文書の保存状況という資料もありまして、そちらで廃止後5年ということで標準保存期間が設定されていて、現時点でひょっとしたらもう資料がないという方も少なくないかなと思います。
他方で、ケース番号登載簿というほうは、世帯主の氏名と住所と開始年月日と保護停廃止・却下年月日等ということですけれども、お聞きしたいのですが、ここには世帯主以外の方の情報というのはないということなのでしょうか。というのは、誰が受給権者であったのかとかというのはケース番号登載簿に記載がないのかということなのですけれども、もしないとなると、例えば実施機関のところで今もう保存期間が過ぎている方について資料がないとなると、今から誰に幾ら追加支給すべきかと判断するのは非常に難しいと思うのですけれども、そうしますと、御本人からの申出などを起点として調査する必要が出てくるかなと思います。
そのときに、まずは保存期間が標準なので、自治体によって資料があるところとないところで結構差が出てきてしまうのがどうかと思いますので、そういった差が結構生じているのかということと、ある程度差が生じているという可能性もありますけれども、御本人から申出を受けて調査をしていくということになったときに、仮に各自治体でそれぞれ判断をしていくということになったときには、どの程度の証明を求めるかとか、どういった資料の提出を求めるかなどについて、実施機関ごとに対応や判断にばらつきが生じないように、国のほうで一定程度指針とか考え方を示していくということが今後必要になってくるのではないかと思っております。
あと、加入者の情報は、例えば医療保険と連動したりしますので、そういったところで把握していくことができるのかという気もします。
最後の遅延損害金のところも、色々な考え方があり得るのだと思いますけれども、1点だけ、年金の記録訂正のときにはたしか遅延の加算というのがあった。特別法かなんかで作ったような気がするので、そういう対応がほかのところであったような気がしますので、そういったものも参考にしていただいて、ただ、年金と生活保護は権利の構造とかが異なるので、直ちに一緒にはならないかもしれませんが、そういうのも調べていただくといいかなと思いました。
以上になります。
○岩村委員長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 嵩先生、ありがとうございます。
1点目の御質問です。31ページの永久保存とされているケース番号登載簿に世帯員の情報があるのかというお尋ねでありました。
これについては、基本的には世帯主の情報がベースでありますので、原則は世帯主のみでありますけれども、場合によっては世帯員情報も含まれているようなケースがあると承知をしております。ですので、世帯員情報については、永久保存以外の文書を活用して把握をしていくということが基本になってくると考えております。
それから、申出をするのかとか、どういった挙証資料を求めるのかとか、あとはデータがあるところ、ないところの差異をどういうふうに捉えるのかという点については、まさに今、地方自治体の実務者の仮に追加給付をするとなった場合の事務的なフローの在り方については、実務的に協議を進めているところでございますので、そういったところでしっかり検討していきたいと考えております。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
嵩先生、よろしいでしょうか。
○嵩委員 ありがとうございます。大丈夫です。
○岩村委員長 ほかにはいかがでございましょう。
私から1点だけ、資料30ページの検討の方向性の2番目の、既に保護廃止されており、現に最低生活の保障を要しない者の取扱いについてというところで、追加給付を行う場合について、現在の困窮に対応する生活扶助費の性質や、追加支給のところは除いてもいいかもしれないのですが、それも踏まえて取扱いについて検討を進めるとなっていますが、現在の困窮に対応する生活扶助費の性質というのを強調してしまうと、そもそも今回の原告の人たちについても同じことが言えてしまうということになるので、この問題を検討するに当たって、現在の困窮に対応する生活扶助費の性質というのを強調するというのはちょっといかがかなと思います。そこもまた事務局のほうで御検討いただければと思います。
それから、もしできればということなのですが、興津先生、遅延損害金についてはどのようにお考えかということについて簡単に御発言いただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○興津委員 分かりました。
これも必ずしも定見があるというわけではないのですけれども、現在の所見をお話しいたしますと、まず、最高裁判決に従って減額変更処分が取り消されて、改定前の水準で満額を追加支給するということになったら、やはり処分が遡って取り消されておりますので、25年当時から遅滞が発生して、そこから遅延損害金もかかるということになるのかなと思います。
そうではなくて、基準を改定して、その改定された基準に従って再処分を打って、追加支給をするということになった場合には、処分は、現在、令和7年であり、11月か12月か分かりませんけれども、あるいは来年になるかもしれませんけれども、その時点の日付で処分がなされると思うのですけれども、ただ、それは結局25年当時に基準を遡らせて、そのときに払うべきであったお金を今払うことを今決定するということですので、やはり遅延損害金は25年当時に遡って発生するという考え方もあり得るのかなという気がいたします。ただ、ここは取り消されて、再処分をせずに満額支給するというほどはっきりした根拠ではありませんので、そういう可能性もあるのではないかという指摘にとどめておきます。
もう一つの考え方は、再処分をして、それに基づいて支払う場合ですけれども、あくまで請求権は再処分をした時点で発生すると考えた場合、遅延損害金は遡らないという考え方もあり得ると思うのですが、ただ、その場合であっても、例えば民法上の法定利息に基づく遅延損害金が発生しないとしても、25年当時にもらえるはずだった金額の現在価値を今支払うという考え方で、遅延損害金に相当する何か特例的な加算を上乗せするということもあると思います。これは立法が必要なのか、告示だけで対応できるのかというのは検討する必要があると思いますけれども、そういった遅延損害金に相当する部分を特例的に上乗せして今支払うというようなやり方もあるのかなと考えましたので、そういった選択肢も含めて御検討いただくとよろしいのではないかと思いました。
取りあえずは以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○池上社会・援護局総務課長 興津先生、コメントどうもありがとうございました。総務課長、池上でございます。
今、前段でお話しいただいたのは、原告と原告以外でも変わってくる部分があるかもしれないなと思ったのですけれども、原告以外についてはどういったふうに考えればよいか、コメントがあればお願いいたします。
○興津委員 失礼しました。今お話ししたのは、専ら原告についてを念頭に置いておりました。原告以外の方については、太田先生が既に指摘されたことですけれども、やはり裁判を起こしていないということですので、現在基準を改定して、再処分をして、現在から請求権が発生する。したがって、それまでは遅延損害金も発生しない。その場合、私が2番目の選択肢として申し上げた特例的な加算というのは、原告以外の人についても政策的な配慮から加算するという判断もあり得ると思うのですけれども、しかし、そこは分けて考えるとまた再三問題になっている告示の一般性のようなところに抵触するおそれがありますので難しいところなのですけれども、分けて考えるという余地もあるのかなと思います。
これでお答えになっていますでしょうか。
○池上社会・援護局総務課長 どうもありがとうございました。
○岩村委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでございましょうか。
太田先生、どうぞ。
○太田委員 興津委員にお伺いしたいのですが、遅延利息をつけるというのと、現在価値へ換算する特例をつけるというのは、やはり違うものなのですか。私としては、どちらかというと一般法に従って遅延利息をつけるのが、現在価値へ換算することだと割り切って説明して、もちろん5%と高いのですけれども、そういうふうに考えていたのですが、そこは区別されているのかというのがお伺いしたいことでございます。
それから、ついでに2点、この際だからということを言っておきたいことがあります。
一つは、今、前半の論点でやっていたように、高さ調整をやり直すということが予想されていて、一つの選択肢にはまだ残っていて、改めて保護基準改定をするとしますよね。その場合には、改定の際に、改定した後の生活費は、生活保護法の3条とか8条2項の要請を満たしているというチェックは必要だと思うのです。究極的には憲法25条1項だと思うのですけれども、これはどういうふうにやるつもりなのか。水準均衡方式の一つの理論的背景としては、変曲点を超えていない、要するに第1・十分位の生活水準をちゃんと守っていれば、変曲点を超えていなくてがんと落ちたりしていないはずだと。落ちていないだろうという推定は、今やっている第3・五分位とかを見たときの7割近く確保されているから大丈夫だということでやったことになるのか、別途やらないといけないのか、そこはどういうふうに今後の議論を整理されているのかというのは、この際お伺いしておきたいことの一点です。
もう一点は、もっと早めに言っておけばよかったのですが、ひょっとすると誤解をされるとまずいなと思うので申し上げます。私の発言をまとめてくださった17ページの2番目の○ですが、「原告にだけ多い給付が行われるのは適切でない」というのは、この文脈では、だから原告も削れということではなくて、ということは、1番目の○のほうの原告との関係で貫徹できない以上、原告でない人との関係でも原告に合わせる形で上げざるを得ない、そこは諦めざるを得ないと、こういう趣旨の発言であるということは確認しておきたいと思います。
以上でございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
一番最初の御質問については、事務局、今反応できるようでしたら、その限度でお願いいたします。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 ありがとうございます。
高さ調整をやり直した場合で、改定後の最低生活費を満たしているかどうかと、ここをどう保障するのだといった御指摘だったかと思います。
この点については、通常、定期検証の中では、まず第1・十分位の生活扶助相当支出額との高さを比較しているわけですけれども、その際に第1・十分位で適切なのかというところも併せて検証してきてございます。平成24年の検証当時には、第1・十分位の適切性については既に確認済みという状況かと理解しておりますので、そういう意味では、その点については改めてやる必要はないと考えております。
それに加えまして、太田委員からも御指摘がありましたとおり、中位所得との対比の比率、ここもまた勘案すべき要素の一つかと思います。この点については、今回御用意している資料の中でも数字としてお示しをしてございまして、平成16年との比較においては、平成21年で比較すれば下がってしまうわけですけれども、補正した後の水準で見ますと、もちろんどの選択をするか次第ではございますけれども、中には平成16年を上回るようなものも入っております。こういった点を踏まえますと、特段これ以上の何か検証をする必要はないのではないかと考えてございます。
以上でございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
あと、興津先生への質問があったと思うので、興津先生、お願いいたします。
○興津委員 ありがとうございます。
御質問は、私が申し上げた特例的な加算というやり方が、民法の法定利息に基づく遅延損害金を支払うのとそもそも違うのかというような御質問だったと思いますが、私は違うものと考えております。
どういうことかといいますと、民法の法定利息で遅延損害金を支払うためには、やはり25年当時において既に民法上の法的な意味での遅滞に陥っていたと性質決定できることが必要だと思うのですけれども、ただ、果たして本当にそう考えることができるのかというのは、今、議論になっているとおり、直ちには分かりません。様々な法技術的な理由であるとか、あるいはほかの類例との対比によって、法的な意味で25年当時遅滞に陥っていたと考えることが仮にできなかったとしても、しかしながら、実質的にもらえるはずだった給付の現在価値を現在において支払う必要があるというような判断に至れば、厚生労働大臣の裁量権の行使として、その分を特例的に加算して、民法の法定利息とは法的な根拠は違うのだけれども、実質的にはその分を保障するという趣旨で支払うというやり方もあるのではないかという趣旨で申し上げました。
よろしいでしょうか。
○岩村委員長 ありがとうございます。
太田先生、いかがでしょうか。
○太田委員 御説明ありがとうございました。
つまり、私のようにブルータルに取消訴訟の提起を履行請求と見るのが難しい場合であってもそこは対応する必要があり、そのための特例であるという理解でよろしいですね。
○興津委員 もちろん対応する必要があるということ自体も検討した上で判断をする必要があると思うのですが、その判断に至った場合にはそういうやり方もあるのではないかという提案として申し上げました。
○太田委員 どうもありがとうございました。よく理解できました。
○岩村委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでございましょうか。
ありがとうございました。
今日は、先生方から、経済・統計の関係、そして法学的な関係につきまして、貴重な御意見などを多くいただいたと思います。
次回以降は取りまとめの段階に移ろうと考えております。そこで、事務局におかれましては、今日の議論で各委員からいただいた御意見等の内容を踏まえながら、それぞれの論点について整理をしていただいて、次回以降の取りまとめに向けた議論につなげていただきたいと考えます。時間の制約が非常に厳しい中で、事務局には連日、大変御苦労いただいているところではありますけれども、事務局のほうでは資料等の準備をよろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、時間もありますので、本日の審議はここまでということにさせていただきたいと思います。
次回の開催につきましては、事務局のほうから説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 事務局でございます。
次回の開催日程につきましては、追って皆様方に御連絡を差し上げたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございました。
それでは、委員会の本日の審議はこれをもちまして終了とさせていただきたいと思います。
本日は、お忙しい中を、先生方、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。また、貴重な御意見等も頂戴しまして、大変感謝しております。
それでは、これをもちまして散会といたします。どうもありがとうございました。

