2025年10月21日 第30回社会保障審議会福祉部会 議事録

1.日時

令和7年10月21日(火)12:30~15:00

2.場所

TKP新橋カンファレンスセンター15D

3.出席者

出席委員(五十音順)
  • 井口委員
  • 石踊委員
  • 稲垣委員(代理出席:杉浦参考人)
  • 及川委員
  • 小笠原委員
  • 鏑木委員
  • 菊池委員
  • 佐保委員(代理出席:永井参考人)
  • 新保委員
  • 鈴木委員
  • 高橋英委員
  • 髙橋秀委員
  • 谷村委員
  • 鳥田委員
  • 中村委員
  • 沼尾委員
  • 則武委員
  • 樋口委員
  • 堀田委員
  • 松原委員
  • 宮本委員
  • 山下委員
  • 山本委員(代理出席:高橋参考人)
  • 吉田委員

4.議題

(1)災害に備えた福祉的支援体制について
(2)社会福祉法人制度・社会福祉連携推進法人制度の在り方について
(3)共同募金事業の在り方について

5.議事録

○菊池部会長 定刻となりましたので、ただいまより、第30回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
 皆様、こんにちは。大変お忙しい中、本日も御出席賜りまして、誠にありがとうございます。会場に大勢の委員の皆様、お越しいただいております。ありがとうございます。本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。
 それでは、まず、事務局より、新たに就任された委員の御紹介と、本日の委員の出欠状況についての御説明、そして事務局の人事異動の御紹介をお願いいたします。
○池上総務課長 それでは、前回開催時から新たに就任された委員の御紹介をさせていただきます。
 10月1日付で、全国町村会の豊郷町長 伊藤定勉委員に新たに当部会委員に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、全国市長会の刈谷市長、稲垣委員、前日本労働組合総連合会総合政策推進局長の佐保委員、全国知事会の群馬県知事 山本委員から御欠席の御連絡をいただいております。
 また、慶應義塾大学の堀田委員、早稲田大学の松原委員は遅れて御出席なさる予定です。それと、会場お越し予定の新保部会長代理におかれましては、遅れておりますけれども、本日御出席の御連絡をいただいているので、間もなくお見えかと思います。そのほか、堀田委員、松原委員、埼玉県立大学の吉田委員は途中で退席される予定です。
 また、稲垣委員の代理といたしまして、刈谷市福祉健康部政策監の杉浦参考人に、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋参考人にオンラインで御参加いただいております。加えて、佐保委員の代理といたしまして、日本労働組合総連合会総合政策推進局長の永井参考人に、遅れてオンラインで御参加いただく予定となっております。
 杉浦参考人、永井参考人及び高橋参考人の御出席につきまして、部会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○池上総務課長 ありがとうございます。それでは、異議なきものとさせていただきます。
 本日は御出席の委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 次に、前回の福祉部会以降、事務局にも人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 大臣官房審議官の伊澤でございます。
○伊澤審議官 伊澤です。よろしくお願いいたします。
○池上総務課長 事務局からは以上となります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 報道関係のカメラは入っておりませんね。
 続きまして、議事に入る前の資料の確認、会議の運営方法について、引き続き事務局からお願いします。
○池上総務課長 それでは、まずは資料の確認をいたします。会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。オンラインにて御出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 事務局からの提出資料といたしまして、
 資料1「災害に備えた福祉的支援体制について」
 資料2「社会福祉法人制度・社会福祉連携推進法人制度の在り方について」
 資料3「共同募金事業の在り方について」
 の3点がございます。
 併せまして、委員からの御提出資料といたしまして、井口委員提出資料の1点がございます。こちらは、本日の議題の災害の関連で参考となる資料として配布の御依頼があったものでございます。
 欠落等、もしございましたら、後ほどでも結構ですので、係の者におっしゃっていただければと存じます。
 次に、発言方法等についてです。オンラインで御参加の委員の皆様には、会議の進行中、マイクはミュートにしていただきます。御発言の際は、「リアクション」の「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言後は、「リアクション」の「手を下ろす」をクリックいただき、再度、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、時間が限られておりますので、発言は極力簡潔にお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、早速議事に入らせていただきます。前回から具体的な制度改正に関わる議論に入ってございます。本日もその議論を続けたいということでございます。
 まずは、議題1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 私からは、資料1の「災害に備えた福祉的支援体制について」、説明させていただきます。
 3ページです。能登半島地震における対応の教訓を踏まえまして、令和7年7月に災害対策基本法等の改正法が施行されまして、赤囲みにありますとおり、在宅被災者など多様な支援ニーズに対応するため、災害救助法の救助の種類に福祉サービスが追加されたところでございます。
 続きまして、4ページでございます。地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめ概要です。災害への対応の部分につきましては、赤囲みのとおりでございますが、包括的な支援体制の整備に当たっての防災分野との連携、平時からの関係者との連携体制の構築。それから、DWATの平時からの体制づくり・研修等の実施という点が課題であるとして意見を取りまとめていただきました。
 5ページは、その詳細ですので、説明は割愛させていただきます。
 6ページをお願いします。地域共生検討会の中間とりまとめにも記載されましたとおり、まず、平時の連携体制の構築というものが重要でございます。
 上段ですが、社会福祉法第106条の3第2項には災害・防災に関して規定がありませんが、この規定に基づきまして、包括的な支援体制の整備に関する指針において、包括的な支援体制について、災害等の影響によって発生する多様なニーズにも有効であることや、災害の発生を想定して支援体制を構築しておくことの重要性等について規定しております。
 7ページを御覧ください。自治体が、平時から福祉の支援体制の検討を行う1つのツールとして地域福祉計画があり、上段にありますように、社会福祉法上の記載事項には災害福祉支援に係る内容は規定されておりませんが、下段の計画の策定ガイドラインにおいて、計画に盛り込むべき事項の例として防災が挙げられております。
 8ページをお願いします。ここからはDWATに係る現状の御説明となります。
 左が平時における取組ですが、災害時における必要な支援体制を確保することを目的として、都道府県ごとに災害福祉支援ネットワークが組織されており、様々な関係者の皆様に参画いただいております。
 右が災害時における取組ですが、DWATを編成し、要配慮者に対する福祉支援を行うこととなっております。
 9ページをお願いします。DWATの詳細となります。DWATは現在、全都道府県で編成されておりまして、6年度末時点で約1.1万人が登録されております。
 真ん中の黄色い枠の部分が派遣実績となっておりますが、令和6年能登半島地震で、初めて全ての都道府県からDWATを派遣いただきました。
 10ページをお願いいたします。中央防災会議の能登半島災害対応検討ワーキンググループにおいて意見が取りまとめられた内容のうち、DWATに関連する部分を抜粋したものです。DWATは初めての全県からの派遣ということもありまして、DWATの支援の遅れ、在宅避難者等への支援の在り方などが指摘され、それぞれ見直し等に取り組むべきとされております。
 11ページをお願いします。これらの御指摘を踏まえまして、冒頭で御説明しました災害救助法の改正がなされたことに併せまして、避難所以外の避難者等への支援を行うことが出来るよう、令和7年6月にDWATのガイドラインも改正いたしまして、その活動範囲の拡大を図ったところです。
 12ページをお願いします。今お話ししましたDWATのガイドラインの改正のポイントですので、説明は割愛させていただきます。
 13ページ以降が現状・課題と論点になります。
 14ページです。平時からの連携体制の構築に係る現状・課題でございます。
 上段には、1つ目の○として、災害時には、福祉的支援ニーズが増大することを記載、また、2つ目の○として、能登半島地震で災害時の福祉的支援の重要性が認識されたということを記載させていただいております。
 下段には、課題の1つ目として、災害時に適切な対応を取ることができるよう、平時からの福祉的支援体制づくりが重要であることや、2つ目の○として、先ほど申し上げました包括的な支援体制の整備に当たって、指針には規定がありますが、法律上では防災との連携規定が置かれていないことを記載しております。
 3つ目の○は地域福祉計画についてですが、これも法律ではなく、通知で規定されているものですが、さらに記載すべき防災関係の内容が不明瞭であるということを上げております。
 15ページが論点でございます。
 1つ目の○ですが、平時からの福祉的支援の体制づくりを推進するため、国及び地方公共団体は、包括的な支援体制の整備に当たって、関係施策との連携に配慮するよう努めることが社会福祉法で規定されておりますが、これに「防災」との連携を加えることについて、どのように考えるか、とさせていただいております。
 2つ目の○ですが、地方自治体が作成する地域福祉計画の記載事項は社会福祉法で規定されておりますが、これに災害福祉に関する事項を追加するとともに、通知である策定ガイドラインを改定し、例えば1から3にあるように、具体的な項目について列挙させていただくことについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 16ページをお願いします。DWATの平時からの体制づくり・研修等に係る現状・課題でございます。
 1つ目の○は、現行、DWATについては、法的な根拠がなく、通知に基づき行われていること。
 2つ目の○ですが、能登半島ワーキンググループの報告書あるいは地域共生検討会の報告書でも、平時から災害時の福祉支援に係る体制の確保、研修や訓練も含めて必要であるとされていること。
 3つ目の○ですが、DWATとして派遣されるために、所属する法人等から、より理解・協力が得られやすい方策が必要であること。
 4つ目の○ですが、災害時にDWATが活動するに際して必要となる要配慮者の個人情報について、地方自治体が提供を躊躇するような例があるということを課題として上げております。
 17ページを御覧ください。論点です。
 1つ目の○として、DWATについて、法制度として整備することについてどう考えるかとさせていただいております。
 2つ目の○に具体的な内容を記載しておりますが、1つ目のポツにおいて、DWATの登録制度と研修及び訓練の規定を設けること。
 2つ目のポツですが、国が登録名簿の管理や研修を実施することとし、DWATの養成・派遣を円滑に行うためには、引き続き都道府県災害福祉支援ネットワークにも関与いただく必要があることから、その旨を記載させていただいています。
 3つ目のポツですが、現在でも都道府県がDWATに必要な共通の知識を得るために、地域の特性に応じた研修等も様々行っていただいておりますので、引き続き実施いただけるよう、都道府県においても研修・訓練の努力義務を課すこと。
 4つ目のポツですが、DWATチーム員が所属する法人・事業所の使用者に対しまして、都道府県知事の派遣要請に対応できるよう配慮する努力義務を課すこと。
 最後、5つ目のポツですが、災害時にDWATの活動に必要な要配慮者等の個人情報を適切に入手・活用することができるよう、DWATのチーム員に秘密保持義務を課すことについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 以上、申し上げました論点と考えられる点について御議論のほど、よろしくお願いいたします。
 説明は以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問など、お願いできればと存じます。前回も同様でしたが、限られた時間の中で多くの委員の皆様に御発言いただくため、簡潔な御発言をお願いできれば幸いです。2分半を経過した時点でベルを鳴らしますので、おまとめいただけますよう御協力をお願いいたします。
 それでは、まず、私の左手側で井口委員から髙橋秀親委員までで御発言おありの方、お手をお挙げいただいて。分かりました。
 それでは、井口委員からよろしいでしょうか。
○井口委員 小田原福祉会の井口です。
 本日提供させていただきました「介護福祉士被災地派遣ガイドブック」というのを作成しました。こちらは、社会福祉法人6法人のボランティアで能登半島地震の時に入った経験をまとめたものになっております。本日の議題の中にあります平時の備えというところに関して、介護福祉士として大切なコンピテンシーについて、オンラインで参加されている堀田委員も調査担当として関わっていただいています。ガイドブックの内容としては、平時にどのような備えをするべきかということをまとめております。
 私自身も、今回、能登半島地震はかなり長期化したというところで、3月に能登半島に入りました。そのとき感じたところに関して言うと、介護福祉士の持っている専門性、生活を整えて在宅復帰していく。そして、高度なストレス下にありますが、そういった中で自立支援の介護をしながら在宅復帰を目指してやっていくという形が必要であるということを痛感しました。能登半島においては、避難所生活が長期化したということもあり、備蓄の食料を食べている中、食事量がなかなか上がらなかったり、食べる意欲を失っていく中でも、食支援の重要性も感じました。JDA-DATという日本栄養士会が作っている被災地支援団体もあります。管理栄養士、栄養士が食支援を支え、あとは次の行き先を決める場の調整に社会福祉士が必要であったり、本当に福祉分野の支援は、必要性があると感じているところでもあります。また、平時の備えとしては、地域住民も含めて防災キャンプをするとか、そういう自治活動も含めてやっていくことが必要ではないかと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 石踊委員、お願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。全国老施協の石踊でございます。
 全国老施協では、能登半島地震において被災地への全国老施協DWAT、これは避難所派遣と同じ名称で紛らわしいのですが、被災施設への介護職員を派遣する施設間応援派遣事業でございます。これを令和6年1月12日に開始し、施設からの依頼要請がなくなった令和7年5月30日まで、約16か月間の長きにわたり支援を継続して実施してまいりました。派遣期間中には、被災施設及び被災者受入施設に対し、132チーム、延べ363名を派遣いたしました。
 前例のない、長期かつ広域的支援が必要だった能登半島震災の経験を踏まえて、意見を申し上げたいと思いますが、その前に質問がございまして、資料には施設間応援派遣に関する記載がないように見受けられますが、本福祉部会における検討では議論の射程外なのかをお聞きしたいというふうに思います。
○菊池部会長 よろしければ御意見の後でもよろしいですか。御質問はまとめてで。すみません。
○石踊委員 はい。
 それで、資料15ページの2番目の②に、福祉サービスの提供体制維持やサービスが途絶えた場合の代替サービスの確保方策とありますが、冒頭申し上げましたとおり、全国老施協DWATは、まさに福祉サービスの維持のために行ってきた活動であり、高い効果を上げていると考えます。施設間応援派遣も地域福祉計画に載せるべきではないかというふうに思いますが、御検討をお願いしたいというふうに思います。
 また、資料17ページ、2のDWATの平時からの体制づくり・研修等についての2番目の○の1番目のポツに、災害時における福祉従事者の確保が可能となるよう、福祉的支援従事者の登録制度の整備と、研修及び訓練実施に関する規定を設けるとございます。しかし、福祉従事者の確保が必要なのは避難所だけではございません。大規模災害が起きたときは、避難所への人材需要も施設間応援派遣への人材需要も同時に発生します。そして、その供給主体はどちらも同じ施設・事業所でございます。施設間応援派遣も併せて考慮しないと、登録者名簿をつくっても全てが避難所に割けられるとは限らないため、不完全な名簿になります。
 能登半島地震の際は、施設間応援のつもりでエントリーしたのに、避難所へ行くように指示されたなどの混乱が生じました。派遣調整をする際の混乱を避けることも重要であるというふうに考えます。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 冒頭、御質問ございましたので、事務局からお願いします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 まず、全国老施協の皆様におかれましては、老施協DWATとして、能登半島地震において多大な御支援をいただいたことに改めて御礼を申し上げます。
 施設間応援派遣につきましては、災害時の福祉的支援の一つとして大変重要であると考えておりますけれども、今回は災害時の福祉的支援を進めるために、まず第一歩として、法律に位置づけることを想定した包括的な支援体制、それから、平時からの連携体制、DWATの体制づくりを検討することとして論点に上げさせていただいております。施設間応援派遣につきましても、今回のDWATの法制化等をお認めいただいた場合、そのDWATの運用の検討に併せて、当然検討しなければならない事項と考えておりますので、関係者の御意見も伺いながら検討していきたいと考えております。
 以上です。
○菊池部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川でございます。
 論点2つに沿って御意見申し上げます。
 まず、平時からの福祉的支援の体制づくりは、ぜひ推進いただきたいと思います。DWATにつきましても、論点に示されましたように、枠組みを法制度として整備することについてもぜひお願いしたいです。
 その上で、気になるのが初動でございます。資料12ページに記載のあるように、令和7年6月改正のガイドラインで初動チームについて触れられておりますが、この初動が最も重要だと考えています。発災した際、施設・事業所には介護提供体制を確保するニーズが発生します。避難所においても、要介護者等の支援ニーズが発生します。正式にDWATによる福祉サービスの提供が開始されるまでには、一定の日数を要するのではないかと考えられ、その間、被災された当事者の皆様に対応を委ねるのではなく、その間の介護等のニーズにも適切に対応できる体制を担保する仕組みが必要だと考えます。
 つまり、発災し、避難所が設置された段階で、あるいは介護サービスの提供体制が揺らいだ段階で、自動的に発動される介護等のニーズへの対応体制を確保しておくことが必要だと考えております。このことについてもぜひとも御検討をお願いいたします。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 平時からの体制づくりという点で言うと、17ページにも記載されておりますが、研修及び訓練の機会、特にこの訓練の機会をどのように設けるかということが非常に重要になってまいるかと思います。訓練においても、ある一部の者だけじゃなく、地域ぐるみで行っていく訓練というのが非常に重要になってまいります。
 例えば、福祉的な部分ではありませんが、原子力災害においては、原子力発電所から30キロ圏内に住む人たちの避難訓練であったり、地域の方々との訓練支援というものが行われております。これには、例えば九州で言うと原子力発電所としては玄海原子力発電所がございますが、これは国・佐賀県・福岡県・長崎県が連携して広域で訓練をやっているということがあります。どうしても災害については県内で収まるということがありませんので、広域的な訓練をどのようにやっていくかということも非常に重要かと思います。
 併せて、養成校としては、例えば熊本地震については、熊本学園大学が避難所になって、学生・教員がその支援を行ったという事例がございますし、能登半島の地震においても、教員や学生たちが被災地に行って支援させていただいたという事例があります。そういう訓練の中に、介護に限らず、様々な養成校を組み込むことによって、実際、学生たちが支援に赴くこともできますし、その学生たちが卒業して現場に出たときには、その経験を生かして災害支援に取り組める即戦力の人材になるというところも、併せてあるかと思いますので、その訓練の中に、養成校も含めて地域ぐるみでやっていくということをぜひ御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 ありがとうございます。
 私からは3点ございます。
 まず、1点目ですけれども、平時の福祉の支援現場は、職員をDWATに派遣する余力が不足しているところも多いです。内閣府や今後設置される見込みである防災庁と連携しながら、DWATを組成する事業者などに、配置基準や公定価格などの面で余力をもたらす方策を検討する必要があると考えます。
 2点目ですけれども、DWATは従来型の相談支援や資源調整のみを中心的な役割と考えるのではなく、災害時の福祉施設やサービスの機能回復も役割として位置づけ、それを担うことのできる人材についても検討する必要があります。
 また、特に相談支援の部分に関しては、住宅や法律なども含む災害ケースマネジメントと密接に連動するため、個別の福祉分野だけで人材の育成を検討するのではなく、内閣府や今後設置される見込みである防災庁などの他省庁とも密接に連携して検討すべきでないかと考えております。
 3点目です。平時からの福祉的な支援体制づくりを中心的に担う生活困窮者自立支援制度などの支援機関の支援員に対して、災害ケースマネジメントを中心とした被災者生活再建支援の知識の研修機会を確保する必要があると考えます。特に、被災経験が少ない地方自治体においても、適切な体制づくりにつながる知識や情報を提供する必要があります。その際、大規模災害時は地域だけではリソース不足に陥るため、他地域からの応援を受け入れるための受援の体制づくりについても研修の中で重視すべき視点だと考えます。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 私、静岡県で静岡DWATのアドバイザーとして、平成28年度の発足から関わっております。静岡DWATでは、これまで西日本豪雨災害と伊豆山の土石流災害、また能登半島、そして近年、直近では静岡県牧之原市で発生した突風・竜巻被害の支援と、発足以来、既に四度の大規模な災害派遣支援活動に関わっています。こうした経験から考えたときに、平時からの地域連携体制の構築についての必要性は、改めて感じているところです。
 これまで委員の皆様が重ねて発言されておりますとおり、地域の連携においては、自助や互助や共助という観点は欠かすことができませんし、また派遣支援だけに限らず、受援という形で、どのように支援体制を受け入れ、整えていくかといった体制も必要になってきます。これにおいては、災害福祉を地域福祉等の文脈に位置づけながら、皆で検討していくということは不可欠であるというふうに考えています。
 また、DWATの活動を救助法の範囲で、枠組みで考えた場合に、災害フェーズで言う、いわゆる応急期という期間の支援に特化されやすいことも今後想定されるのではないかと考えます。その点において、長期的な支援期間を確保する意味でも、福祉計画等に位置づけながら検討していくということは欠かすことができない観点だと思います。
 次に、2つ目ですけれども、DWATの法制度の整備と研修等についての意見を申し上げます。先ほど申し上げましたとおり、静岡DWATは、発足以来、既に4つの大規模災害に対応してきましたが、これらは万が一に備えるというか、毎年のように派遣要請がかかってくるというような状況にあります。常にこういった初動が求められる状況にあっては、この支援を実現できる法制度の整備ということは不可欠であると考えますし、この初動を整える上では、DWATというのは日頃から社会福祉法人等に勤務する職員を中心に構成されていますので、派遣体制の実現には非常に足踏みになりやすいということも考えられると思います。
 また、牧之原の直近の支援では、在宅訪問でDWATが1500軒回りました。これはこれまでにはなかった支援です。災害支援においては、例えば能登のときには1.5次避難所という、1次避難所と2次避難所の間の避難所施設。それから、牧之原では在宅避難者といったような、災害福祉支援の事例性・個別性がかなり強い特徴もありますので、こうした経験を派遣支援活動の各都道府県の経験者のみに集中されやすいというところも含めながら、研修等の整備が必要だと思います。
 一方で、すみません、長くなりましたけれども、既に都道府県では主体的に登録員の養成研修やスキルアップ、フォローアップ研修などを体系的に整えている県もあります。こうした県は、県が持っている主体性と県が持つ独自の特性の中で成り立っていることもありますので、ぜひ今後もこういった主体性が損なわれることがないように進めていただきたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 あとは、こちらのサイドはよろしいですか。
 それでは、反対サイド、谷村委員から山下委員まででいかがでしょうか。了解しました。
 それでは、谷村委員からお願いできますでしょうか。
○谷村委員 ありがとうございます。
 全国社会福祉法人経営者協議会も、DWATの組成、そしてまたその質の向上に努めてきたところであります。また、最近では、その組成、登録者数をさらに増やしていくというような意味で、生活圏域・市町村圏域での社会福祉法人の連携組織単位でDWATを組成してほしいと呼びかけています。その理由は、いわゆる研修なども受けやすく、質の向上に進みやすいということと、また、初めましてということではなくて、ふだんはお互いにソーシャルワークをやって、保育士さん、生活指導員さんなどということが分かっている関係性の中で、いざというときにすぐ効率的に取り組めるというようなことから、生活圏域での社会福祉法人の連携組織で、DWATを組成していってほしいということを推進している状況です。
 併せて、10月1日に全社協も災害福祉支援センターをスタートさせましたが、今、12都道府県しかない支援センターを各都道府県社協に設置しようということの推進も併せて後押ししている状況の中で、それぞれの都道府県社協も都道府県に対して、言い換えると専任職員の配置に向けて、県に対して経済的支援を求めている中で、この15ページのような形で地域福祉計画の記載事項、特に③、都道府県地域福祉支援計画において、しっかりと位置づけていくことによって、専任職員の配置を後押ししていただけるのではないかと思いますので、結論としては、この地方自治体が作成する地域福祉(支援)計画の記載事項に、このようなことを追加することは賛成であるということです。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 鳥田委員、お願いします。
○鳥田委員 災害基本法などの一部改正につきまして、福祉の防災ということが加えられたことは非常によかったなというふうに思っています。昨年の能登半島の地震や過去の災害においても、包括支援センターや生活困窮者の自立支援相談機関などが、ふだんは福祉の相談をしているのですけれども、災害が発生したときにはなかなかそれが十分に機能していないということが見受けられました。災害時の高齢者や障害者・困窮者等への支援は、それぞれの組織が自らの仕事という認識が若干乏しかったのかなというところが原因の一つではないかと思っています。
 被災した高齢者や障害者・困窮者等の自立や生活再建に向けては、平時の包括的支援体制が災害時も有効に機能するように、地域福祉計画への災害福祉に関する事項の追加記載、防災との連携による平時からの研修・訓練など、こちらで御提案されたことに十分期待してまいりたいというふうに思っております。
 もう一つ、DWATのことですけれども、能登半島の地震においては、全都道府県から初めて避難所等への災害派遣チーム、DWATが派遣されて、延べ6000人を超える方々が支援に伺ったというふうに聞いております。職員派遣に当たりましては、厚生労働省さんと、そこから依頼を受けた全社協が、災害福祉支援ネットワークの中央センターというような形で協力して実施したというふうに認識しております。
 そうした中で、近い将来、南海トラフの地震とか首都圏の直下型の地震とか、非常に大きな災害が広範囲にわたるというようなことも想定されているわけでございますが、そうしたときに、中央のセンターだけではなかなか厳しいという場面も出てくるのではないかというふうに考えています。そうした国全体に影響を与えるような巨大な災害に対しては、中央並びに都道府県の災害福祉支援の拠点を設けることが非常に重要だと思っておりまして、平時から災害を想定した準備を行うとともに、各災害時における調整などを行うことが不可欠だと思っております。
 このために、中央並びに都道府県におきましても、災害福祉支援センターを法制化していただきまして、その設置の促進、あるいはその地域の実情に応じた対応みたいなことができるようなことが求められているのではないかというふうに考えております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、中村委員、お願いします。
○中村委員 ありがとうございます。日本ソーシャルワーク教育学校連盟の中村でございます。
 地域で暮らしを支えるソーシャルワーカー養成の立場から、災害に備えた福祉的支援体制について意見を申し上げます。
 令和元年の養成教育内容の見直しによって、災害時における福祉的支援の内容が含められ、複数の基幹科目において災害救助法や災害対策基本法の内容、また、DWATをはじめとする支援体制の内容を学んでいるところです。一方で、高齢者福祉・障害者福祉などの分野別科目では、災害によって日常のサービスが途絶した際の代替資源の確保や支援体制づくりといった教育内容が十分とは言えない状況にあります。今後においては、平時からの災害を想定した支援体制の整備を推進していく。そういう意味でも、教育のさらなる充実を進めてまいりたいと考えています。
 そこで、論点1、平時からの連携体制の構築につきましては、社会福祉法上に防災との連携を明記する方向を強く支持いたします。市町村地域福祉計画策定ガイドラインを改定し、災害時の福祉的支援やボランティア活動に関する章を明確に位置づけ、福祉・防災・教育の三者が平時から協働できる仕組みを整えることが重要と考えます。福祉系大学等は、学生や教員を通じて地域の支援活動に参加できる存在であり、地域福祉計画の策定段階から教育機関を関与主体として明記することをぜひ御検討いただきたく存じます。
 次に、DWATの平時からの体制づくりについて、法制度化の方向を支持いたします。災害時に福祉的支援を担う人材を安定的に確保するためには、登録制度や研修の体系化に加え、福祉系大学等、教育機関との連携により、平時から将来のDWATメンバーとなる若い世代が地域のDWAT活動を理解し、補助員として関わる仕組みを整えることが有効と考えます。現に熊本県では、学生がDWATに帯同し、その活動を補助した例があり、能登半島地震でも、石川県内の会員校をはじめ、全国の福祉系大学が現在も継続的に支援活動を行っております。
 災害対応と人材養成を一体として捉え、平時から備える教育と実践の継続を制度的に支えることが求められていると考えます。本部会として、災害時における福祉サービスの提供体制の一層の強化に向け、福祉系大学と教育との連携も含め、災害対応体制の構築を力強く推進していただきたく存じます。
 長くなりました。以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、宮本委員、お願いします。
○宮本委員 平時のDWAT活動について法整備を進めることについては、賛成であります。ただ、委員の皆さんの御意見を承りながら、改めて思うのは、DWATという名称で行う活動の範囲については、少し整理していく必要があるのではないかと思います。DWATというのは、言うまでもなくDMATに倣って出てきた言葉ですけれども、その活動の現場における完結性という点では、DWATとは全く対照的な活動といっても過言ではないわけです。ともかく空間的に居住支援等も含みます。それから法整備をすると、都道府県が送り込むDMATと、老施協のお話ございましたけれども、老施協DWAT等、専門職が施設に送り込むDWATと、きちんと法律で区分けしてしまうようなことになっていくのかもしれません。
 しかし、実態としては緊密な連携が、まさに空間軸で必要になってくるわけですね。また、時間軸でも、平時から、さらには被災地が平時に戻っていく支援ということで、非常に射程が長いわけですね。そうなってくると、ましてや今度、災害救助法の改正で人への支援、場所にとらわれない支援ということになってくると、余計、空間軸・時間軸でのつながりが長くなってくるというふうに思います。つまり、プレDWATといいますか、あるいはポストDWAT、あるいは広義のブロードセンスDWATとでも言うべきものが非常に大事になってきて、特に平時での活動は何かというと、当該地域での防災活動、つまり災害に備える活動。それから、受援力を高める活動、そしてさらに派遣力を高める活動、この三重になっていくわけですね。これを全部DWATという言葉で括っていいのだろうかというふうに思います。
 ただ、DWATという言葉において行われてきた輝かしい実績がありますし、非常にテンションを高める、よい言葉であると思います。乗り込んでいく人たちを大いに勇気づける意味のある言葉だというふうに思いますので、この言葉は大切にしていただいたほうがいいのですけれども、同時に長期にわたる活動においては、受入自治体とか被災者にとって、ちょっと分かりにくい面もあったりするということも含めて、この法整備をする以上、DWATという言葉の範囲をどう確定していくのか。いつまでもDMATに乗っかっていくのではなくて、ここまで実績を重ねてきたわけですから、これまでの実績に乗って、もうちょっと新しい言い方と組み合わせていくということも必要ではないかなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会 山下です。
 平時からの連絡体制に関してですけれども、地方自治体が作成する地域福祉計画の中に災害に関する事項を追加するということは必要だというふうに考えておりますけれども、どう具体化していくかということも併せて考えていかなければいけないし、実効性をどう確保するかが大事だと思っています。計画だけつくっても駄目というふうに思っています。
 例えば、発災して、高齢者とか障害者をどう守っていくのか、命をどう守るのかという観点に立ったときに、ケアマネさんであるとか支援者がついていれば、それはそれでいいですけれども、別のところの議論になっていますように、身寄りのない、例えば孤立した高齢者をどう支援していくのか、どう命を守っていくのかという観点に立ったときに何ができるかということだと思うのですね。まさに地域住民の活躍も必要ですし、地域連携体制も必要だと思っております。
 それから、地域包括支援センターがございます。私ども社会福祉士が配置されておりますけれども、1つの例として、包括支援センターのスタッフが、個人情報の問題やプライバシーの問題はあるにしても、独り暮らしの高齢者が家の中でどこに住んでいるのか。間取りも全部頭の中に入っていて、夜はこの場所で多分寝ているだろうと。もちろんトイレに起きたりとか、いろいろあるにしても、昼間はこのリビングで過ごしているだろうということであるとか、そういう生活全体を把握していて、もし何かあったときには、家が潰れてしまったときには、その部屋ということをぱっと思ってみんなで支援に行くというような、本当に命をどう具体的に守っていくのかということも併せて考えていかなければいけないと思っております。そういう点と。
 時間がないので、もう一件。DWATの法整備については、社会福祉士会としては賛成いたします。法整備で派遣の流れがスムーズになっていくということで、派遣の担保ができるということについては非常にいいことだと思っております。今、宮本先生からありましたように、DMAT、災害時の医療派遣チームについてですけれども、これは医療法第30条に規定されています。それから、地方自治体と医療機関との連携というところで派遣要請もできるということになっておりますし、このDMATのほうに関しては、指揮命令系統が非常にはっきりしております。
 それに比べて、私たちのDWATのほうに関しては、それぞれ登録されている社会福祉士やケアマネさんや介護福祉士、機能がばらばらです。この機能をどういうふうな形で整理していくのかということも非常に大事だと思いますし、それぞれの職種のこれまでの役割とか特性があると思いますけれども、そういったことを踏まえて、そういった機能をどういうふうにまとめてDWATを進めていくのかということが大事だと思っています。
 それから、DWATに関しては、応急期の支援が中心になってきますけれども、災害支援の流れの中で、いずれはDWATも引いていくわけです。引いていく中で、支え合いセンターによる支援等に移っていくわけですけれども、DWATの部分だけ法整備をするということにはならないと思うのです。一連の流れの中でDWATをどう位置づけて法整備をしていくのかということになってくるのかなと思っております。いずれにしても、福祉支援の体制の継続性は大事ですし、シームレスな継続性を担保していくということが大切かと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、一旦、オンライン参加の皆様にお願いできればと思いますので、合図をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 樋口委員、お願いします。
○樋口委員 災害派遣については、今回の法改正で福祉サービスが位置づけられたことは大変よかったのではないかと思います。私は、京都府のDWATに10年近く関わってきましたが、年々、研修体制等も充実して、今回の能登半島地震の災害派遣に際しても、京都府さんと連携して迅速に対応できました。体制整備には都道府県格差があると思いますので、国がリードして研修制度等を統一し、標準化していくことが必要だと思います。DWATチームも相当の人員が必要だと思いますので、私どもの協会も含めて、今あるいろいろな組織が連携して、その体制を迅速に組むというネットワークの構築が必要だと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 全国町村会の滋賀県豊郷町長の伊藤でございます。
 災害に備えた福祉的支援体制についてであります。市町村地域福祉計画における災害福祉に関する事項の記載と、それに伴う事務負担の軽減についてでございます。平時から災害時を見据えた体制づくりをする重要性はもっともですけれども、計画の策定や変更作業自体が新たな事務負担にならないように。また、既存の計画の記載を引用できるなど、事務負担を軽減する配慮をお願いいたしたいと思っております。
 それとともに、きちんと記載したとしても、今、小規模町村には福祉人材が集まりにくい状況が続いておりますので、そういった中でしっかりと人材が集まるような方策も、またできたらお願いいたしたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。最初に御挨拶、申し遅れましたが、伊藤委員、本日から委員御就任ということで、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○伊藤委員 お願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、永井参考人、お願いします。
○永井参考人 ありがとうございます。連合の永井でございます。
 私からも、15ページの論点につきまして意見申し上げたいと思います。
 災害時であっても、切れ目のない福祉サービスが提供されるよう、平時からの確実な体制確保が求められると考えます。したがって、国・公共団体における包括的な支援体制の整備のための必要な措置の推進に当たり、防災との連携を加えることや、自治体が作成する地域福祉支援計画の記載事項に災害福祉に関する事項を追加すること、DWATについての法制度を整備することなどに異論はございません。
 なお、令和7年の災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議では、「防災、復旧・復興に関する意思決定の場及び防災・危機管理部局等の防災現場への女性参画の強化など、「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」に沿った取組を全ての地方公共団体に徹底するとともに、取組の進捗状況を把握・公表し、必要な改善に努めること。」とされており、災害対策における女性参画の強化について言及されております。災害に備えた福祉的支援体制を構築するためには、女性の参画の強化は必要不可欠であると考えます。取りまとめの際には、女性参画の必要性についても言及いただきたいと思っております。
 また、論点のほうの市町村地域福祉計画において記載を求める事項では、防災関連施策として、個別避難計画の作成・活用、災害ケースマネジメントの実施等との記載がございます。個別避難計画の策定状況は、2025年6月に公表された避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果では、未作成の団体は前回の調査の141団体から50団体と減少しているものの、作成している団体のうち作成率2割以下の団体は5割超とされております。自治体の御苦労も察するところでございますが、ガイドライン改定の際には、個別避難計画の策定が進むような記載を御検討いただきたいと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 東洋大学の沼尾でございます。
 まず、論点の1つ目で、平時からの福祉的支援の体制づくりを推進するというところについては、賛同いたしますし、そこで社会福祉法で規定されているところに防災との連携というのを加えるということについても、大変重要なことだなというふうに考えております。ただ、その際に、既に例えば自治体の側では、地域防災計画とかコミュニティを単位とした地区防災計画を策定するというようなスキームがあると。その中に、例えば地区防災計画の中で地元の社会福祉法人と連携して避難訓練をするとかいったところで、福祉の視点というものを入れて計画を策定しているようなケースもあるということを聞いております。
 今回、地域福祉計画の中に防災という観点を入れたときに、それぞれの福祉部署とコミュニティの部署で縦割りに計画をつくってしまって、そこの整合性がなくなってしまうということがないように、そこをどういうふうに連携しながら平時の支援体制というのを考えていくのかという視点がとても大切だと思いますし、そういった観点というものをぜひ取り入れていくことが大切と思います。
 あともう一点としましては、平時に想定される福祉的支援の対象者に対する対応に加えて、当然、災害が起きたときには、より支援が必要な人たちが新しく出てくる。そこのところが見えない中で、当然、域外からのサポートというのはとても大切だと思います。そこの横の連携の仕組みをどのように考えていくかというところも、重要と思います。
 それから、2点目のDWATにつきましても、全都道府県で整備されたということで、能登半島の地震のときには47都道府県全部が出たというところでの広域的な支援の必要性と、その成果が出たということは大変大きいことと思っています。そこで気になっているのが、先ほど登録者の制度という話もありましたけれども、災害時には福祉の従事者の方も被災者になるというような懸念もございまして、その辺りも含めて、先ほど鏑木委員のほうからも、マンパワーの確保がなかなか難しいというような御指摘がございましたけれども、この仕組みを本当に円滑に動かしていくためにも、必要な人員の確保と、それに対する財政支援というものは、ぜひ考えていく必要があると思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 吉田委員、お願いします。
○吉田委員 吉田でございます。
 今回の法改正については、大いに賛成でございます。私は東日本大震災で現場に入って、全国の理学療法士等を集めた派遣制度を民間の活力で取り扱った経験があるものですから、こういうふうに福祉専門職の災害時の支援が法に定められるということは、迅速に福祉サービスの支援を届けるという観点から、本当にいいことだと思います。
 さて、資料の16ページの上から3つ目のポツの現状・課題のところでございます。理解や協力が得られるように方策を検討していかねばならないというのは、まさにそのとおりでございます。特に、発災しまして協力要請の期間が長期化するということになりますと、協力する側の事業所や法人は協力の見通しが立つのかどうか、これは経営判断にとっては極めて重要になるわけです。特に、人材を派遣する協力をするということになりますと、協力施設側でのケアの質、職員の負担の増加、福祉事業の減収のリスクなどが考えられます。
 人員や施設の基準の緩和によって、吸収できる負担や機会損失がほとんどかもしれないですけれども、例えば出来高に基づくような収入構造があるような場合では、一時的な基準緩和では吸収できない影響が残存するのではないかということも考えなければなりません。こういった協力側の施設、事業所、法人の負担のリスクをどうやって分散していくのか。長期的に持続可能な協力支援体制を維持していくのに、国としてどうあるべきか、あるいは協力事業所のある地域で、どうやってそのリスクを分散していくか。平時のときから知り得て検討していくことは大変重要かと思われます。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 お手をお挙げいただいた皆様、一通り御発言いただけたかと思いますが、いかがでしょうか。さらに追加で御発言いただける方がいらしたら、少し時間の余裕がございますし、遠慮なくお手をお挙げいただきたいと思います。オンラインの皆様は、挙手ボタンでお知らせください。
 会場からは石踊委員ですね。お願いします。
○石踊委員 すみません。福祉部会の守備範囲ではないというふうに承知しておりますけれども、災害救助費について要望をちょっと申し上げたいと思います。同じ応援派遣でも、避難所に派遣された場合には、1日1万3000円余りの人件費が災害救助費から支給されております。しかし、施設間応援派遣の場合には、介護報酬から手当てされているということで、派遣元施設から派遣先施設へ請求する施設間求償の仕組みになっております。
 しかし、心情的には、被災施設へ請求することには抵抗があり、全国老施協DWATの例では、実際に請求した施設は確認できておりません。被災して将来の経営に不安を抱える被災施設にとっては、追加費用を請求されるなら、必要な応援要請をちゅうちょする可能性があり、また派遣職員にとっては、日給の格差から避難所または福祉避難所を選ぶ可能性があります。これでは需要と供給のアンマッチにより、要介護高齢者に必要な支援が行き届かないというような不都合が生じかねません。このため、派遣費用の統一的な対応を図るべきだというふうに考えております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 これらは内閣府に事務局から調整というか、御意見をお伝えすることは。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 今の石踊委員からのご意見つきましては、事実関係は基本的にそのようになっております。私どもとしましては、能登半島地震の状況も踏まえまして、社会福祉施設が被災して他の施設へ避難が必要な状況であり、やむを得ず当該施設に施設利用者が留まっているような場合も含めて、内閣府と今後も災害救助法の取扱いについては調整してまいりたいと考えておりますので、今日の御意見は受け止めさせていただきたいと思います。
○菊池部会長 内閣府に伝えるだけではなく、事務局としても当事者意識を持って受け止めつつ、連携を図ってみるという御趣旨でよろしいですか。
○小野福祉基盤課長 具体的に内閣府と我々が調整するということでございます。
○菊池部会長 ということでございます。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、議事1については以上とさせていただきます。
 続きまして、議事2と3でございます。まとめて御議論いただきたいと思ってございますので、御説明をお願いいたします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 続きまして、資料2の「社会福祉法人制度・社会福祉連携推進法人制度の在り方について」、御説明させていただきます。
 まず、資料の3ページをお願いいたします。平成28年3月に社会福祉法等の一部を改正する法律が成立しまして、社会福祉法人制度改革の具体的な内容ということで、次の4ページに1から5の5本柱で内容を示させていただいております。各事項の詳細な説明は割愛させていただきますが、この改正法におきまして、法律の公布後5年を目途として施行の状況を勘案し、改正後の各規定について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものと規定されていたところでございます。
 この規定に基づきまして、2021年、令和3年1月の第26回福祉部会において、施行状況について御報告させていただきました。当時、部会として、平成28年の改正社会福祉法で講じた措置は、社会福祉法人においておおむね順調に実施されていると認められたところでございます。当時の部会において、コロナ禍でもございましたので、コロナ禍終息後に改めて本部会に報告をという部会長の御指示がございましたので、本日、御報告させていただくものです。
 その内容が5ページでございます。字が少し小さくて恐縮ですが、右側の措置状況・評価というところが直近の実績でございます。
 幾つか説明させていただきますと、2の事業運営の透明性の向上の点でございますが、財務諸表や現況報告書を財務諸表等電子開示システムにより公表している法人につきましては、ほぼ100%である99.7%となっております。
 また、4の地域における公益的な取組を実施する責務のところでございますけれども、現況報告書に記載されている法人の割合については、現在、71%となっております。
 続きまして、6ページから8ページにつきましては、今の各項目についての具体的な説明、それぞれの仕組みの内容ですので、ここの説明は省略させていただきます。
 続きまして、9ページでございます。もう一つ報告させていただきたいと思っておりまして、9ページは2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめの抜粋でございまして、社会福祉法人等に対する経営支援についてとりまとめていただいた部分でございます。
 10ページ以降、直近で行っております福祉医療機構の融資の関係が、10、11ページでございます。
 それから、12ページが経営サポート事業でございます。
 それから、13ページが分析用スコアカードでございますが、法人の経営支援の一環ということで、まず、各社会福祉法人の皆様が、自分たちの経営の状況を全国平均あるいは都道府県平均といったものと比較できるようにということで、この10月から自らの法人の分析用スコアカードについて、ここからダウンロードして見ることができるように改正を行っております。
 それから、14ページも福祉医療機構の関係になりますが、この4月から合併を検討・希望する社会福祉法人から登録していただきまして、そのマッチングを行う事業というのを新たに始めているところでございます。
 以上が報告に関する事項でございます。
 15ページ以降が今回御議論いただきたい内容となります。
 まずは、16ページでございますが、「地域共生社会の在り方検討会議」の中間とりまとめでございます。
 17ページは、2040検討会のとりまとめの内容でございます。
 それぞれ表現について違いはありますけれども、大きく申しますと、社会福祉連携推進法人が社会福祉事業を行うこと、あるいは社員法人が保有する土地・建物の有効活用の方法といったことなどについて意見をとりまとめいただきましたので、抜粋させていただいております。
 これに基づきまして、18ページをお願いいたします。現状と課題でございます。社会福祉連携推進法人制度をより使いやすい仕組みとしていく観点から、現行では社会福祉連携推進業務以外の業務は、事業規模が全体の過半に満たないものであることとしているほか、社会福祉事業を行うことはできないとしていることにつきまして、一定の要件を満たす場合は社会福祉事業を行うことを可能とすることや、事務負担の軽減の必要性について言及されているところでございます。
 これを受けまして、19ページでございます。論点です。
 一番上からでございますが、地域住民に必要不可欠な社会福祉事業等を維持し、利用者を保護する観点から、一定の要件を満たす場合には、社会福祉連携推進法人が社会福祉事業を行うことを可能とすることや、その要件の設定、実施を可能とする場合の事業の範囲及び要件を満たすことの確認方法について、どのように考えるかとさせていただいております。
 また、事務負担の軽減の関係、一番下でございますが、代表理事再任時の手続を緩和することについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 続きまして、20ページをお願いします。既存施設の土地・建物の有効活用についてでございます。
 具体的には24ページをお願いいたします。現状と課題になります。
 現在、社会福祉法人が社会福祉事業を行うに当たっては、一部例外がございますが、原則として土地・建物の所有権を有する必要がございます。しかしながら、特に中山間・人口減少地域において不可欠な福祉サービスを維持する観点から、土地・建物の有効活用や、解散した社会福祉法人の施設の帰属先などについて、必要な検討を行っていくべきとの意見がございます。
 25ページを御覧ください。論点でございます。
 1つ目です。中山間・人口減少地域において、土地・建物について貸与を受けた新たなサービス主体が、当該地域の社会福祉事業等への参入が図られるように、これも一定の要件を満たす場合には、社会福祉連携推進法人が社員法人間の土地・建物の貸付けに関する支援業務を行うこと、また、その要件の設定や要件を満たすことの確認方法、及び法人外流出の例外的な取扱いについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 最後に、一番下の社会福祉法人の解散時における土地・建物の有効活用についてでございます。ここにつきましても、社会福祉法人の解散時において、土地・建物の有効活用という観点から、社会福祉事業を現に行っていない地方公共団体であっても、地域に不可欠な社会福祉事業の維持のために有効活用するという場合には、残余財産の帰属を受けることができることとすることについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 これら論点と考えられる点につきまして、御議論のほど、よろしくお願いいたします。
 説明は以上でございます。
○池上総務課長 続きまして、資料3に基づきまして、「共同募金事業の在り方について」、資料の御説明をさせていただきます。
 3ページからが事業の概要になっております。
 4ページを御覧いただければと思います。
 事業概要に書いてありますとおり、共同募金とは、都道府県の区域を単位として、毎年1回、現在ですと10月1日から翌年3月31日までに行う寄附の事業となってございます。使い道といたしましては、社会福祉事業、更生保護事業その他の社会福祉を目的とする事業を経営する方に配分することとなっております。今もまさに取組がこの10月から始まっているところでございます。御協力いただいている関係者の皆様、それから何より募金に応じていただいている皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げたいと思います。
 募金の実績が表にありますけれども、足元では低下傾向になっております。自治会活動の低下などに応じて、残念ながら募金額は減少傾向となっています。
 それから、下のほうは募金の配分についてのルールをお示ししています。支出先、配分委員会の承認等々、既存のルールがあるところでございます。
 5ページを御覧いただきますと事業の内容になりますけれども、右側のほうに団体への配分事例をお示ししています。送迎用車両の整備の事業でございますとか、あるいは声かけ・見守りなどについて、高齢者対策としての取組についてのサポートなどもしているところでございます。
 左下に表がございます。1団体当たりの平均配分額ですけれども、直近ですと、団体の種類によってちょっと幅がありますけれども、20万円から60万円くらいということで、そこまでの金額にはなっていません。基本的には、ワンショットの費用をお出ししているというような状況になってございます。
 これにつきまして、7ページですけれども、地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめの中でも、地域共生の推進に大きな役割を果たしている共同募金事業の在り方を見直すべきという御意見をいただいているところです。
 続きまして、8ページ以降に「共同募金事業の見直しについて」の現状・課題等を載せてございます。こちらの内容につきましては、実施していただいています中央共同募金会の方とも話をしながらつくったものになっています。
 9ページ、現状・課題で2点上げております。
 1つ目が寄附募集の禁止規定についてです。社会福祉法の中では、共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後1年間は、寄附金を募集してはならないという定めがございます。これは寄附を受ける方同士の公平性を考慮して、共同募金を受けた方は、その他の方からの寄附は遠慮してもらうというような考え方で定められているものでございます。
 ただ、近年、クラウドファンディングなど寄附の形態も多様化しております。共同募金による配分を受けた方の状況を見ますと、1団体当たりの配分額は少額となっております。また、受けたところは小規模な団体が多く、必ずしも財政的に安定的な基盤があるわけではございません。そういうことを考えますと、共同募金の配分を受けた方に対する寄附募集の制限は、時代にそぐわなくなってきているのではないかと考えております。社会福祉以外の寄附も様々ある中で、社会福祉に対する寄附というパイを広げていく努力を重視してはどうかという問題意識に基づくものでございます。
 それから、2点目は準備金の使途についてです。法律上、原則として募金を実施した翌年度末までに募金を配分することとなっております。一方で、災害時に活用することを目的として、3年以内を限度として準備金の積立てを認めております。募金の3%までを認めているところでございます。こうした中、地域の課題が非常に複雑化・複合化しており、地域における民間主体の柔軟な取組の充実が求められているところです。
 なお、中央募金金においては、共同募金とは別のスキームになりますけれども、平成28年から「赤い羽根福祉基金」という仕組みをつくりまして、社会課題への先駆的な取組に対して、最大3年間の助成を実施しておられます。
 こうしたことを受けての論点が10ページです。
 1つ目、寄附募集禁止規定の見直しについて、どのように考えるか。付随的に書いておりますが、税制上の取扱いについても留意する必要があるのではないか。今、税制上の優遇措置がございますので、それを維持することを条件にしつつ、寄附募集禁止規定の在り方について見直してはどうかという御提案です。
 それから、準備金の使途の見直しについては、災害発生時の活用に使途が限定されていますけれども、近年の複雑化・複合化した地域の課題にきめ細かく対応できるよう、一定規模の継続事業に対して準備金を活用して重点的な配分を行うことについて、どのように考えるか。その際には、配分の透明性や取崩額の上限なども併せて考える必要があるのではないか。以上を論点として上げさせていただいております。
 資料の御説明は以上となります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、以上2つの資料、議事2及び3につきまして、併せて御議論をお願いできればと存じます。いずれについての御発言でも、両方でももちろん構いませんので、お願いいたします。大分順調に議事進行させていただいておりますが、いつもどおりといいますか、2分半経過時点で一旦ベルを鳴らさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、本日、松原委員、堀田委員、吉田委員が途中退席を御予定されていると伺っておりますので、もしお三方の中で御意見ございましたら、先にお願いできればと存じますが、松原委員、よろしくお願いします。
○松原委員 ありがとうございます。
 今回の例えば規制緩和の中でも、土地や建物の有効活用の地域のニーズがどんどん変わってきますので、そのニーズ変化に合わせて有効活用していくという点は非常に重要なことだと思います。2040の検討会でもずっと当初から主張させていただいたことですが、時代と地域のニーズにあわせた資産の有効活用を進める制度にしていただきたいと考えております。
 一方で、規制緩和はもちろん重要なのですけれども、それだけではなくて、重要な意思決定、ガバナンスが適切に行われるように、必要なルールもあると考えております。社会福祉法人制度改革の見直しに関わる件ですが、現在、評議員会の決議事項は、法律で定められた事項と定款で定めた事項に限定されています。事業譲渡は法律の定めがありませんので、各法人が定款で決議事項に定めない限りは、評議員会に決議事項はないということになります。理事会の決議事項としては、法律では重要な意思決定は理事会でしなければならないとされておりますけれども、では何を重要と位置づけるか。これは各法人の理事会の判断に委ねられています。この点、指導監査では、この線引きには口を出せない状況です。
 そういたしますと、各法人の理事会にて事業譲渡は重要ではないとして、理事長の専決事項にすることも理論上可能だということになっておりまして、その場合は理事長1人の判断で事業譲渡できるという状況にあります。この点は、ぜひ法的に事業譲渡に関して評議員会の決議事項に含める必要があると考えております。こうした対応は、株式会社とか一般財団法人とのバランスを考えても適切なものだと考えます。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 吉田委員、お願いします。
○吉田委員 吉田でございます。
 今回の社会福祉連携推進法人について、事業の範囲を緩和していく、要件を緩和していくということは、2040年の諸課題を考えれば、あってもいいような緩和だというふうに考えております。
 そこで、事務局のほうに質問させていただきたいのですけれども、資料2の19ページ、論点のところにあります。ここでマルポツの2つ目、「一定の要件」というところがございます。そこに黒文字ゴシックで、当該地域において、福祉ニーズを充足できていない、かつ他のサービス事業主体の参入が期待できないこととあります。これはこれで大変重要な視点であると思いますが、実際の運用に落とし込んだときに、この要件を明らかにしながら、希望する法人さんとどのように調整するのでしょうか。認可・認定していく手続の中にそういった要件を具体的に落とし込めていける見通しがあるかどうか、現状で結構ですので、御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 御質問でございますので、お願いします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 今、御意見いただいた点については、具体的には運用の段階で検討することとしていますが、福祉ニーズの充足については、それぞれ福祉分野の計画がございますので、そういったものに照らし合わせてニーズを充足できているか、できていないかという辺りを判断していくことになるかと考えております。
 また、他のサービス事業主体の参入が期待できないことについても、具体的にどういった基準でということまでは、今の段階では申し上げるものはございませんけれども、他の社会福祉法人も含めて、地域の状況から見て、連携推進法人が事業をするしかないというような場合について判断いただくという基準を考えていきたいと思っています。
 以上です。
○菊池部会長 吉田委員、いかがでしょうか。
○吉田委員 ありがとうございます。
 こういう制度は大変良い制度で、これからもいろいろな可能性があると思います。制限するための要件づけというより、将来の課題解決に対して可能性をさらに実現させていく、地域を活性化していくような方向性でのチェック体制となっていけばというふうに願っております。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、堀田委員、資料1に関してもまとめてで結構ですので、どうぞ。
○堀田委員 すみません、移動中で資料1のところで発言できなかったので、それでは、今、お言葉に甘えて資料1のほうに対してコメントさせていただきたいと思います。
 基本的には、論点に示されていた地域福祉計画への記載の案ですとか、登録制度などについては賛成です。ただ、ほかの委員の皆様の御意見にもあったかと思うのですが、DWATにつきまして、機能回復まできちんと含めた形で役割を位置づけるということ。それから、平時から予算手当てがされることも重要ではないかなと思います。
 もう一つ、これまで様々な仕組みがつくられつつあっても、なかなか機動的に動きにくかったというところがある中で、冒頭に井口委員からもFamSKO(ふぁむすこ)の取組なども御紹介があったかと思いますけれども、社会福祉連携推進法人とか、何らか連携共同体のような形でも設置できるとかも含めて、つくり方についてのバリエーションみたいなものもある程度想定してもよいのではないかと思いました。
 併せて、これはこの部会の中で議論ということではないのかもしれませんけれども、今、BCPをつくることを義務化していくという中で、例えば社会福祉法人などは圏域を超えたBCPの連携みたいなものを位置づけていくことも、併せて検討していただくことも有効になるのかもしれないというふうに思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、一旦、会場に戻らせていただきまして、先ほどと逆サイドというか、谷村委員から山下委員までで御発言いただける方は。分かりました。
 それでは、先ほどと逆で山下委員からでよろしいでしょうか。山下委員、宮本委員の順で。
○山下委員 社会福祉連携推進法人に関して、視点という上では地域だと思うのですね。質の高い地域での福祉サービスの提供とか、地域共生社会の実現とか、実効性のある政策の展開とか、そういったことが求められていて、地域をどう支援していくのかというときに、この社会福祉連携推進法人というものが出てくるのかなと私は思っているのですね。
 それで、私の今、関わっている施設があるのですけれども、神奈川県の山間部です。大きい法人が3つあるのですけれども、それぞれ老朽化して入所者も高齢化していて、職員もなかなか採用できない。経営的にもかなり厳しいという中で、1つずつの法人が努力するというよりも、地域課題として行政にも入っていただいて、いろいろな関係団体が入って、地域での勉強会というものを中心にやっております。中心になるのは自立支援協議会ということになってきますけれども、そういう中で、今、このお互いの課題をどう解決していくかという中では、連携推進法人のようなものが必要かなというような議論にはなりつつあるのですけれども、なかなか踏み込めないというのがあります。
 今もお話があったみたいに、最後のページの論点にありますように、一定の要件を満たす場合にはということがあるのですけれども、この一定の要件というものを少し整理していただいて、もう少し連携推進法人の立ち上げがしやすくなるようにしていただきたいというのが、大きな希望としてはあります。
 それから、今、地域ということを申し上げましたけれども、地域の中では多機関が連携した形で、この社会福祉法に絡みますけれども、総合相談機能も必要じゃないかなと私は思っています。総合相談機能も立ち上げた上で、その中で例えば認定社会福祉士を活用してもらうとか、そんなような方法もあるのではないかなと思っています。いずれにしても、実効性のある制度見直しをぜひ進めていっていただきたいなと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 宮本委員、お願いします。
○宮本委員 連携推進法人については、ちょうどこの制度を立ち上げるときの福祉部会に参加させていただいた記憶があるのですけれども、そのときは、この制度の趣旨というのは、人材を確保し育成するとか、経営効率を上げていく、研修を一緒に行っていく等々、どちらかというと経営を持続させる、厳しい環境の中で踏みとどまるための守りの制度という面が強かったというふうに思います。その後、日本全体の人口減少等、厳しさはより増しているのですけれども、この連携推進法人独自の事業を始めるようにしてもらう、あるいは既存の事業に着手できるようにする。さらには、土地・建物等の有効活用に関わるようにしていく。このことの意義が増しています。
単に経営持続ではなくて、例えばその事業というのは、恐らくは保育と介護と、例えば医療をつなげていくとか、地域共生社会の在り方検討会議では、例えば機能集約型といったような新しい事業にこそ、連携推進法人はふさわしい。様々な事業に関わってきた法人が連携していくことの意義というのは、これまでにも増して高まっているというふうに思うのですね。したがって、経営持続というよりも地域持続、踏みとどまるというよりも足を踏み出す、守りというよりも攻勢的な制度としての意味をより強く持っていくという流れではないかなというふうに思います。
 ぜひその辺りを配慮した制度設計にしていただきたい。後ろ向きではなくて前向きな制度。専門職にとっても元気が出る制度ですね。開かれた専門職として、いろいろなことに関わっていける条件を提供するのが連携推進法人であるという流れにしていただくことが非常に大事ではないかなというふうに思っております。
 それから、共同募金についてですけれども、恐らくこれからクラウドファンディング、ネット上の募金などがどんどん比重を増してくる。共同募金自体、ネット上の募金が今、10%ぐらいになっていると思うのですけれども、このままでいくと多様な募金のワン・オブ・ゼムになっていってしまう。赤い羽根共同募金の歴史とシンボル的遺産というのは大きいのではないかなというふうに思うのです。こうした中で、これがワン・オブ・ゼムじゃなくて、特別な募金として形を残していくための算段。ここでする議論じゃないと思うのですけれども、例えばバーチャルな赤い羽根をつくるとか、お金の使い方がよりよく見えるようなファンディングのシステムを考えるとか、ぜひこの共同募金に長生きし次のステージに達してほしいと思いますので、その辺りも御配慮いただければと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 鳥田委員、お願いします。
○鳥田委員 1つ意見を申し上げさせていただいて、1つお伺いしたいことがあるのですけれども、まず1つ、意見として申し上げたいのですけれども、社会福祉法人が持続可能にやっていけるためには、それぞれの法人の本部機能というのですか、そこのマネジメントの部分の強化が非常に必須だと思っておりまして、幾つかの施設を持っているところには法人本部の機能があって、そうした法人本部への委託金の繰り入れが制限されているというところがございます。
 この連携法人を推進していくためには、そうした本部機能の部分についての資金の移動というのですか、そういうものの制限を少し柔軟にしていただいて、本部が意思決定しない限り、連携法人とか、そういうところになかなか行かないと思いますので、本部機能の強化の方策を幾つか連携法人制度の見直しの基準の中に入れていただけると、より進むのではないかなと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。これが1つの意見でございます。
 あと、お伺いしたいのは、連携法人の制度を進めていこうというふうにお考えだと思うのですが、現在、参考資料のほうにも31法人というのが7月末の時点で出ているのですけれども、もしこの制度を変えたり、あるいは不動産のことに関しての柔軟なことをやって、どれくらいの数というのですか、そういうところができるという見込みなのか。あるいは、それに基づいて、先ほど地域の中の福祉のサービスということがあったのですけれども、幾つぐらいの規模の、100なのか、1000なのか、そういうところの地域がこういうことによってつくられることを想定しているのか、その辺というのは厚生労働省さんのほうで少し試算とか、そういうことをされているのでしょうか。されているなら教えていただきたいなと思います。
○菊池部会長 事務局からお願いします。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 今のお話に端的にお答えしますと、厚生労働省のほうで具体的に連携推進法人の数を幾つにするとかいう目標については、現在定めていないところでございます。
○菊池部会長 よろしいですか。ありがとうございます。
 では、谷村委員、お願いします。
○谷村委員 ありがとうございます。
 全国社会福祉法人経営者協議会として、福祉部会で発言した立場でありますので、19ページのことに関しては、当然、この方向性で進めていただくというのが結論であります。
 連携推進法人が社会福祉事業を行うことについてということでありますが、連携推進法人制度というのは、連携・協働によって経営基盤の強化を図るということと、それと地域における適切な福祉サービスの提供、そして地域共生の取組の推進ということがそもそもの目的でありましたので、その連携推進法人が地域の実情に応じて福祉サービスを提供することで、地域のセーフティネット機能の維持・拡充が図られる場合には、社会福祉事業の実施を可能とすべきだと強く申し上げたいと思います。
 特に、先ほど宮本委員からも御発言がありましたけれども、保育・障害・高齢等の例えば複合的な事業であったり、また、現在検討されている身寄りのない高齢者を対象にした事業であったり、また、どこかの県で認められなかったそうですが、利用者ではなく、地域を対象とした法人後見・権利擁護に関する事業など、連携することによって効果的な実施が見込まれるような事業は、促進を図るべきではないかと考えています。
 ただ一方で、第一種社会福祉事業の実施は可能とすべきではないのではないかということを申し上げておきたいと思います。第一種社会福祉事業は、第二種社会福祉事業と違って、経営適正を欠いた場合に、利用者の人権擁護の観点から非常に問題が大きいのではないか。ですので、確実・公正な運営確保の必要性が高い事業として位置づけられて、そのために実施主体が制限されているという今の状況の中では、人権擁護・利用者保護の観点からは、その現行ルールを維持すべきだと考えますので、第一種社会福祉事業の実施は可能とすべきではないというのが全国経営協としての意見であります。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、反対サイドから御発言、お手を。分かりました。
 それでは、高橋英治委員、お願いします。
○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
 社会福祉連携推進法人制度の在り方について意見を述べさせていただきます。実は、この参考資料33ページに、先ほどありましたように、全部で31法人ということですけれども、ここの14番の乳幼児教育ユニティというのがあるのですけれども、そこは私たちの仲間がやっている連携推進法人なので、ここが令和5年から新潟県知事の認可を受けてスタートしておりまして、今まであった課題を少し聞いておりましたので、そこを含めてちょっと意見をさせていただきたいと思います。
 一般社団法人が成り立ちであります、この社会福祉連携推進法人ですけれども、基本、課税対象法人ということになりますので、税務負担が生じて事務負担が非常に大きいというふうに聞きます。また、業務認定や課税対象かどうかの判断基準が明確に示されておりませんで、様々な業務において具体的な行動を取ることが難しいというふうにも聞いております。例えば、昨今の複雑な処遇改善の関係資料の作成とか、事業経費の見直しにおけるアドバイザーのような形で介入して、加盟法人の経営支援を行ってアドバイザー料などを頂く場合は、それは請負業に該当して課税対象になるというふうに税務署から言われたということでございます。
 そうしますと、ちょっと言い方がおかしいのですけれども、ここも全部、社会福祉法人の仲間が10か園集まってやっているのですけれども、社会福祉法人でございますので、今まであまり課税慣れしていないといいましょうか、課税に対する会計処理を行おうとすると、事務体制に非常に無理が来るというふうな現実があるようでございます。そういったことも含めて、資料19ページにありますように、一定の要件を満たす場合には、連携推進法人が社会福祉事業を可能とすることとありますけれども、その際の税制面での優遇措置はどうなるのか、また、社会福祉法人同士が連携推進法人を運営する場合など、少し検討が必要ではないかなというふうに思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 私は介護福祉士の養成校におります。社会福祉法人も今、赤字の法人が非常に増えてきて、学生を就職で送り出すに当たっては、財務諸表を見るということも最近、増えてきております。もちろん、あまりひどい状況じゃなければ、赤字だから学生が希望しているのを止めるということはないわけです。ただ、この社会福祉連携法人ができることによって、多少赤字の施設であっても、こういう連携をしているのであれば大丈夫じゃないかという考え方にも当然なってまいります。様々な可能性を持っている制度だと思います。
 私が所属しているところは社会福祉法人の養成校ですので、今、他県の2法人さんと一緒に介護人材募集のため、社会福祉連携推進法人の設立準備をしております。社会福祉法人で介護福祉士の養成校を持っている学校が30校弱、全国にありますので、養成校を持っている社会福祉法人で連携推進法人をつくって、留学生を募集しようと思えば可能なわけです。一般的にはエージェントを使うわけですが、エージェントにどんどんお金が流れていくと、学生募集の費用としては非常にかさんでいきますので、連携法人として一緒にある特定の国に対して募集していく、先ほど宮本委員がおっしゃられたような、一歩踏み出す活動ということもできるようになっております。
 論点にあります社会福祉事業を行うということについては、こちらに書かれてあるとおり、福祉ニーズが充足できていない地域ということについては必要だと思いますが、例えばこれが、今まではM&Aが非常に多かったわけですが、その前段階として社会福祉連携法人を使うことによって、M&Aまでいかなくても維持できるという防衛的にも使えますが、性善説で見ればそうなのですけれども、逆にM&Aの前段階の温床みたいになってしまって、社会福祉事業を認めたのだけれども、その後にすぐなくなってしまうとか、そういうことがないように、社会福祉事業を認めた後についても継続できるような経営計画であったり、継続計画というのを確認しながら、長期的にその地域において福祉ニーズが消滅しないような配慮というか、見守りということも必要になってくるのではないかというふうに思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 石踊委員、お願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。
 社会福祉連携推進法人について、お話しをさせていただきたいと思いますが、一定の要件を満たす場合には、連携推進法人が社会福祉事業あるいは公益事業を行うことを可能にすることにつきましては、地域の福祉サービスを維持する主体を増やして、2040年問題の解決策の一つになり得るのであれば賛成であります。ただし、実務上、非常に難しい問題があるのではないかというふうに思います。
 まず、1点目ですが、一定の要件。先ほども出ましたけれども、当該地域において福祉ニーズを充足できていない。かつ、ほかのサービス事業主体の参入が期待できないことを満たすことに関しまして、誰がどのように判断するのか、当地が所轄庁でない場合にどのように判断するのか、どの程度の厳しさで運用するのかなど、国が具体的な指針を示す必要があるというふうに思っております。
 また、社会福祉連携推進法人に社会福祉事業に参入するインセンティブが働くようにすることが本当に重要だと思います。地域に必要だからという理由で、果たして採算が合わずに事業者が撤退した中山間・人口減少地域に参入してくれるのかが、本当に気がかりでございます。
 また、連携推進法人の土地・建物の有効活用につきまして、2点ほど質問がございます。
 まず、26ページのスキームの図を見ますと、社員法人間の貸付けのようですが、中山間・人口減少地域の社員でない法人を支援するためには、ターゲットの貸付対象法人に新たに社員法人になってもらった上で貸し付けるということになろうかと思うのですが、その理解でよろしいでしょうかということです。であれば、右の四角の中にある意思決定手続が煩雑ではないかというふうに思います。急を要する場合が多いと思いますので、可能な限り円滑に進むように簡素化をお願いできればというふうに思います。
 2点目でありますが、25ページには当該土地・建物を見積価格以下で貸し付けるとあります。これは一般社会福祉法人同士の貸付けよりも緩和されているというふうな理解でよろしいでしょうか。貸付原資、いわゆる提供社員法人にインセンティブが働くことがポイントではないかというふうに思いますので、その問題意識から質問させていただきました。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 2点にわたる御質問ですが、いかがでしょうか。
○小野福祉基盤課長 福祉基盤課長でございます。
 まず、1点目の御質問が2つあったと思いますが、貸付対象法人に新たに社員法人になってもらう必要があるかということですが、これは社員法人間の貸付けでございますので、お見込みのとおりでございます。
 それから、意思決定手続が煩雑ではないかというような向きのお話だったと思いますが、この土地・建物の貸付けに関しては、現在、社会福祉連携推進法人で資金の貸付けが、既に法定化されています。それを参考にすることを考えて、同じような仕組みというものを今、想定しております。この資金の貸付けもそうですが、社員法人あるいは連携推進法人の経営に影響を与える可能性があることから、慎重な意思決定手続が必要と考えていますので、このような仕組みを取らざるを得ないかと思っていますが、今日、御意見いただいたことも踏まえまして、引き続きよく検討していきたいと思っています。
 それから、もう一点、土地・建物の関係が社会福祉法人同士の貸付けより緩和されているのかという御質問だったと思いますが、この社会福祉連携推進法人を介しての土地・建物の貸付けにつきましては、一般的な社会福祉法人同士の貸付けですと、資産の法人外流出ということにならないように、土地・建物の見積価格で基本的に貸し借りをしていただくということになりますが、この連携推進法人を介する場合には、御指摘のとおり、地域でのサービスの継続の必要性といったことを行政で確認するということで、それをもって、例えば見積価格以下で貸すことも可能とするといったような緩和をしてはどうかと考えています。
 以上です。
○菊池部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、井口委員、お願いします。
○井口委員 人口減少社会の中で、地域持続と前向きにということで、宮本委員がおっしゃられたのはまさにその通りであると思っていることと、谷村委員がおっしゃっているように、第一種社会福祉事業をやるのはかなりハードルが高いのではないかと感じる所存です。まず、第二種からスタートすべきではないかと思っております。
 そして、先ほどの一番初めの議論でもありますが、、平時からのつながり、そして有事のときに連携していくというところでも、こういった連携というのはとても大切であるように思っております。実は、私、昨日、神奈川県の経営協の青年部で宿泊研修して、そこから今日来たわけでありますけれども、普段からのつながりが、こういった連携推進法人を進めていくためにもとても必要ではないかと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、再びオンライン参加の皆様から、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の樋口でございます。
 社会福祉連携法人制度の仕組みは、障害福祉の分野の約6割が小規模法人であるということから、その事業継続や地域の福祉ニーズの大きな変化に応えようと、新たな事業を立ち上げるに際して、1法人だけではなかなか担い切れず、断念しているケースが多いことから、その発展に大いに期待するものです。
 その上で、社会福祉連携法人については、期待していたほどに進捗していないということや形骸化しているという声もあります。その中で、今回の第二種社会福祉事業に限って社会福祉事業ができるという法改正が示されたことは、非常にいいことではないかと思います。地域において既存の事業を新たな事業に変換するというか、変更するというケースも出てきておりますので、先ほどもお話があったように、第二種事業に限ってというのは、第一種事業は入所施設に限られるということでもありますので、それは慎重にやるべきだと思います。
 また、社員である社会福祉法人と連携して社会福祉事業を行えるという前提であれば、連携推進法人が行える業務の一つである貸付業務の貸付けの内容や手続などを丁寧に議論していくことが必要になるのではないかと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 全国町村会の豊郷町の伊藤でございます。ありがとうございます。
 社会福祉法人制度についてでございますけれども、町村については、行政並びに事業者も小規模であることが大変多く、担い手並びに専門人材の不足や、そしてまた財政的な制約により、社会福祉事業の実施が大変困難になってきているところが多くあります。そのために、社会福祉連携推進法人が社会福祉事業を行うことを可能とする見直しについては、人材の確保と経営の安定により、福祉サービスの安定供給につながるものと、大変期待しております。
 以上でございます。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 杉浦参考人 お願いします。
○杉浦参考人 それでは、全国市長会を代表しまして、議題2に関して御意見を申し上げさせていただきます。
 資料の25ページ、既存施設の土地・建物の有効活用についてですけれども、資料の下段のほうに、社会福祉法人が解散する場合に、社会福祉事業を現に行っていない地方公共団体であっても、その残余財産を活用し、自ら社会福祉事業を実施する場合等においては、その残余財産の帰属を受けることができることとすることについて、どのように考えるかとの記載がございます。しかしながら、例えば中山間地域あるいは人口減少地域等を想定した場合に、当該自治体の人材や財政状況等を踏まえますと、当該自治体が事業を実施することが困難な場合や、担い手となる人材の減少により、委託等の手法を用いた事業の実施も難しい場合が想定されるなど、この制度の実効性が懸念されるところでございます。
 つきましては、制度の設計やその運用に当たりましては、社会福祉事業の担い手の問題のほか、自治体の財政状況等にも十分留意する必要があるというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 社会福祉連携推進法人についてなのですけれども、これまで人材確保とか経営の効率化というところを中心に、この制度をつくって対応してきたというところですが、これから地域の中で安定的に福祉のサービスを提供するための環境をどのように整えるかというふうになると、分野横断的に1法人が地域課題に様々に対応していく中に、福祉のサービスの提供体制を考えていくということも大切かと思っています。その中で、社会福祉連携推進法人というのが、いわば1つの可能性を持っているものと思うところですけれども、実際に福祉の分野に精通している方々でないと、実はこの連携推進法人制度は全然知られていなくて、それが広がっていないというところにも大きく関わっていると思っているところです。
 ですので、今回、福祉サービスについても提供できるようにというところもあるのですけれども、この制度自体をどういうふうに地域で活用していくのかというところも含めて、これを幅広く伝えていくというところも大切ではないかと感じたところです。ですので、今回の案については基本的には賛同しますし、ぜひこれをきちんと広めていくというところについて御配慮いただけたらと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはオンライン参加の皆様、よろしいでしょうか。
 2つ目、3つ目に関しまして、一通り御意見いただけたかと思いますが、さらに御発言、今日全体を通じてでも結構でございますが、何かございましたら、どうぞ御自由に御発言いただければと思います。
 それでは、谷村委員からお願いします。
○谷村委員 全体ではないです。先ほどの続きですが、25ページです。先ほど御発言がありました社会福祉法人の解散時における土地・建物の有効活用について。これは経営協が発言させていただいた内容であります。結論を言うと、このような形で進めていただきたいというのが結論なのですが、先ほどお話がありましたことについて申し上げたのは、地方公共団体も1つの選択肢として入れたらどうかということで、国が責任を持たないという意味では決してないということでありますので、我々民間からすれば、地方公共団体もこのことに責任を持ってくださいという思いもあります。
 それから、当然、その事業が、利用者保護の観点から、また地域で維持・継続する必要があるか否かというのは、常識的に考えて、国よりは地方公共団体のほうが分かるわけでありますので、ぜひともその候補の一つとして地方公共団体を入れていただきたいというのが意見であります。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
 どうぞ。
○小野福祉基盤課長 部会長、すみません、福祉基盤課長でございます。先ほどの石踊委員の御質問に関して、補足を1点だけさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 土地・建物の貸与の関係で、その法人が社員になってもらわなければいけないのかという御質問のところで、当然、社員法人間なのでという説明をしたところでございますけれども、誤解なきよう御説明をさせていただきますと、土地・建物の貸し借りをするために、新たに社員法人になってもらうことを想定しているというよりも、現行、連携推進法人の中で社員法人が一定程度、信頼関係等が構築されてくる中で、地域のニーズを踏まえて、例えばA法人からB法人に土地・建物、そして事業を継続・継承するというような場合を想定しています。念のため、補足させていただきます。
○菊池部会長 石踊委員、何かございますか。よろしいですか。
 ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。ありがとうございます。
 本日は2時間半コースのところを、ちょうど2時間でということでございますが、お忙しい皆様でございますので、議論も尽きたということで、本日はここまでとさせていただきます。
 次回ですが、「地域共生社会の在り方検討会議中間とりまとめ」で提示された項目につきまして、これまでこの部会におきまして、あとヒアリングも通しまして、皆様から様々な御意見を頂戴したところでございます。事務局におかれましては、こうした御意見を踏まえ、さらに論点整理を深めていただくことにしたいと存じますが、それも踏まえて、次回の部会でさらに議論を深めるという形にさせていただければと考えてございます。
 また、併せて、松原委員が委員長をされております「福祉人材確保専門委員会」でも活発な御議論が続けられていると承知してございます。この委員会の議論状況についても本部会で御報告いただいて、併せて皆様の御意見を頂戴できればと考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次回の開催について、事務局からお願いします。
○池上総務課長 次回は、今、部会長からもお話ありましたとおり、さらに議論を深められるよう、事務局としても資料の整理を行ってまいりたいと思います。
 次回の具体的な日時、開催場所につきましては、追って調整の上、御連絡させていただきます。
○菊池部会長 それでは、これにて本日の審議を終了させていただきます。本日も大変お忙しい中、御参集賜り、また貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。