第32回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和7年10月22日(水) 13:00~15:00

場所

オンライン及び対面のハイブリッド開催
航空会館ビジネスフォーラム 7F

議題

  1. (1)高用量インフルエンザワクチンについて 
  2. (2)小児におけるRSウイルス感染症の予防について

  3. (3)その他

議事

議事内容
○佐野予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第32回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催します。
 本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開・頭撮り可です。また、前回と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
 次に、本日の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、近藤委員、原委員より、御欠席の連絡をいただいております。
 現在、委員9名のうち7名に出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 また、本日は参考人として、岡田賢司福岡看護大学客員教授に御出席いただいております。
 本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元の配付資料で閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から、番号08の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がございましたら事務局までお申し出ください。
 申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(頭撮り終了)
○佐野予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行は、鈴木委員長にお願いいたします。
○鈴木委員長 鈴木です。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項等について御報告をよろしくお願いいたします。
○佐野予防接種課課長補佐 事務局でございます。
 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請書類への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号08、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 なお、本日は議事内容に関して「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はおりませんので、御報告申し上げます。
 また、毎回のお願いで恐縮ですが、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 事務局からは以上となります。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は2つあります。「高用量インフルエンザワクチンについて」「小児におけるRSウイルス感染症の予防について」となっています。
 それでは、まず、1つ目「高用量インフルエンザワクチンについて」。令和7年2月の本委員会における議論を踏まえて、国立感染症研究所、現在の国立健康危機管理研究機構に対して、ファクトシートの作成を依頼することとされまして、今般、ファクトシートが作成されました。
 今回は、作成されたファクトシート、それから、前回一部御議論をいただきました研究班の費用対効果分析の結果に基づいて、議論を進めていきたいと思っております。
 それでは、まず、ファクトシートの内容につきまして、国立健康危機管理研究機構の森野委員から御説明をよろしくお願いいたします。
○森野委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 このたびの高用量インフルエンザワクチン、高齢者に対するインフルエンザワクチンファクトシートになりますけれども、このたびも疾患の特性、疫学、使用可能な製剤、ワクチンの有効性・安全性、費用対効果に関する文献レビュー及び諸外国の導入状況という構成で作成させていただいております。
 内容につきまして、事務局資料にも多くを詳細に抜粋いただいておりますので、ここでは、かいつまんでの御紹介とさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、疾患の特性として、インフルエンザの臨床像をよく知られているところになりますが、加えて、細菌性肺炎、心疾患、脳炎、ギラン・バレー症候群、筋炎など多様な合併症を引き起こし得る疾患になります。
 国内におけるインフルエンザの疫学状況として、感染症発生動向調査に基づく定点当たりの受診患者報告数の推移が11ページに掲載されております。
 新型コロナウイルス感染症の流行があった2020/21、2021/22シーズンは、報告数が大きく減少したものの、その後、再び高いピークを示しております。
 12ページの図3を御覧いただきますと、入院例の年齢分布は、小児及び高齢者で多く、図4、人口動態統計に基づく年齢群別人口10万当たりの死亡数は、特に80歳以上の方々で多くなっている状況です。
 高用量インフルエンザワクチンは、60才以上に承認が得られており、従来用いられてきた標準用量の不活化インフルエンザワクチンの抗原量が、各ワクチン株15μg以上であるのに対して、60μg以上を含有しており、筋肉内接種を行うワクチンになります。
 高用量インフルエンザワクチンの免疫原性の観点では、多くの臨床試験において高用量が標準容量に比べて、ワクチン接種後のHI抗体価、GMTやHI抗体の陽転率が高く、抗体の持続性も長いことが示されております。
 ファクトシート内で複数の試験結果が紹介されておりますが、18から19ページ及び表4に、国内60歳以上を対象とした第III相試験のデータとして、ワクチン株ごと、標準用量と比較したHI抗体、GMT比が2.25から3.12倍、抗体陽転率の差が28.1から35.4%と示されています。
 有効性については、20から24ページにまとめられております。
 システマティックレビューやメタ解析を含め、高齢者において標準用量ワクチンと比較して、一貫した高用量ワクチンの高い予防効果が示されております。
 特に、肺炎、インフルエンザ関連入院、全入院、心配疾患の低下において有効性が示されており、また、22ページの表10-2にありますように、年齢が高くなるほど高用量、インフルエンザワクチンの相対的有効性が上昇する傾向が示されております。また、前年のワクチン接種歴や慢性疾患の有無によらない結果が得られている状況です。
 安全性の観点は、25ページからの記載になります。
 国内外の臨床試験において、標準用量ワクチンと比較して抗原量が多く、局所反応や筋肉痛、頭痛、発熱などの全身症状を、高用量ワクチンでより多く報告される傾向にありますが、多くは軽度から中等度の一過性のものであったこと。また、重篤な有害事象SAE及び注目すべき有害事象、AESIの発現割合は、高用量ワクチンと標準用量で同等であったとされています。
 ファクトシートに掲載の5つの国内外の臨床試験において認められた、AESI、SAEのうち、急性散在性脳脊髄炎、ADEM1例は、因果関係が否定されなかった旨の記載がなされておりますが、補足としまして、審査報告書に基づきますと、転帰は回復、ADEMがワクチン接種後に発生し得る有害事象として既知のリスクであることを、本件を踏まえ添付文書の記載の必要が、審査報告書のほうに記されているという状況になっています。
 ほか、27から28ページに特定のAESI、注目すべき有害事象についてまとめられており、中でもギラン・バレー症候群については、複数の検討が示されておりますが、示された寄与リスクの95%信頼区間はいずれも1をまたぐ結果となっています。
 医療経済学的な観点は31から32ページに表14として、高齢者を対象に高用量と標準用量ワクチンを直接比較し、効果指標として質調整生存年、QALYを用いた研究10件についておまとめいただいております。
 全ての研究で高用量ワクチンが標準用量ワクチンに比べて、費用対効果が良好であることを示唆する結果であったこと。ただし、多くが企業資金による研究である点、医療制度、価格、分析視点、閾値設定の差異等を考慮した慎重な解釈が求められることが留意点となっています。
 最後に、諸外国の導入状況としまして、35ページの表15にまとめられております。
 現在、諸外国では、標準用量、高用量不活化ワクチンのほか、組換えタンパクワクチン、アジュバント添加の不活化ワクチン、細胞培養不活化ワクチンなど、複数のワクチンが導入されております。
 各国で有効性や費用対効果の検証を踏まえ、高齢者に対して、より免疫原性の高い高用量不活化ワクチンやアジュバント添加のワクチンの推奨が広がってきている状況になります。
 以上になります。ありがとうございます。
○鈴木委員長 御説明どうもありがとうございました。
 また、ファクトシートの取りまとめ、非常に大変な作業だったと思います。お疲れさまでした。
 それでは、続きまして、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○上野予防接種課主査 よろしくお願いいたします。
 資料1-2「高用量インフルエンザワクチンについて」の御説明をいたします。
 まず、3ページ目「高用量インフルエンザワクチンについて」「(1)これまでの経緯」でございます。
 インフルエンザワクチンにつきましては、令和6年12月に高用量インフルエンザワクチンが60歳以上の方を対象として薬事承認されたことを踏まえ、令和7年2月の第29回ワクチン小委におきまして、高齢者のインフルエンザワクチンに係るファクトシートの作成を現在の国立健康危機管理研究機構に依頼させていただきました。
 そして、令和7年9月の第31回ワクチン小委におきまして、現行の標準量インフルエンザワクチンと比較した高用量インフルエンザワクチンの費用対効果について、年齢階層別の解析など、より詳細な費用対効果の解析に進むことについて了承されたところです。
 次に、5ページ目「(2)ファクトシートにおける知見等」でございます。
 6ページ目でございます。
 まずは「高用量インフルエンザワクチンの有効性についての知見」です。
 65歳以上を対象とした海外第IIIb/IV相臨床試験におきまして、高用量インフルエンザワクチンの標準量インフルエンザワクチンに対する発症予防効果の相対的な有効性が24.2%であることが示されました。
 7ページ目でございます。
 海外において、高用量インフルエンザワクチンは標準量インフルエンザワクチンと比較して、優れた発症・入院予防効果が確認されております。
 2023年に発表されたシステマティックレビューでは、65歳以上の高齢者において、高用量インフルエンザワクチンは標準量インフルエンザワクチンと比較して、優れた発症予防効果、インフルエンザ関連入院、肺炎による入院、肺炎とインフルエンザの合併入院、呼吸器疾患・心血管疾患・心肺疾患・全原因による入院に対する予防効果を示しました。
 続きまして、先ほどと同様のシステマティックレビューにおいて、高用量インフルエンザワクチンは、ワクチン抗原と流行株の一致・不一致にかかわらず、標準量インフルエンザワクチンと比較して優れた発症・入院予防効果を示しました。
 また、表にお示ししているとおり、年齢が高いほど相対的有効性が高い傾向が見られました。
 9ページ目、10ページ目では、国内における有効性の知見をお示ししております。
 高用量インフルエンザワクチンの有効性・安全性が検討された国内第III相臨床試験において、高用量インフルエンザワクチンの標準量インフルエンザワクチンと比較した免疫原性の優位性が示されました。
 主要評価項目として、ワクチン接種後28日の免疫応答を評価したところ、高用量インフルエンザワクチン群は、標準量インフルエンザワクチン群と比較して、ワクチンに含まれる全てのインフルエンザ株において、抗体価の点で優れた免疫応答を誘導し、高い抗体陽転率を示しました。
 続きまして、同試験において副次評価項目である年齢階層別の解析においても、高用量インフルエンザワクチン群が標準量インフルエンザワクチン群と比べて、抗体価及び抗体陽転率で優れている傾向が認められましたが、両群ともに年齢が上がると抗体価が下がる傾向にありました。
 続きまして、11ページ目、12ページ目では、国内における安全性の知見をお示ししております。
 国内第III相臨床試験における高用量インフルエンザワクチンの筋肉注射と標準量インフルエンザワクチンの皮下注射の安全性の比較において、高用量インフルエンザワクチン群が発熱等の有害事象の頻度が高い傾向にありましたが、重篤な有害事象の頻度は同等でありました。
 また、同試験において、両群とも年齢が高いほど、有害事象の頻度が低いという傾向にありました。
 13ページ目でございます。
 高用量インフルエンザワクチンの供給につきましては、企業より2026年度から定期接種化された場合においても、安定供給を行うための準備を進めている旨が表明されております。
 14ページ目以降は、研究班における費用対効果分析についてお示しをしております。まず、年齢階層別の分析についてです。
 高用量インフルエンザワクチンの価格を5,000円、高用量インフルエンザワクチンの選択率は100%とした上で、65歳、70歳、75歳、80歳以上に高用量インフルエンザワクチンを導入する各方針について、費用対効果分析を実施しました。
 その結果、75歳以上に高用量インフルエンザワクチンを導入する方針が最も費用対効果が良好でありました。
 15ページ目は、全ページの解析結果を費用対効果平面に図示したものでございます。
 16ページ目でございます。
 年齢階層別の分析において、高用量インフルエンザワクチンが投与可能な年齢の80%が高用量インフルエンザワクチンを接種すると仮定し、費用対効果分析を実施いたしました。
 その結果、先ほどの解析と同様に、75歳以上に高用量インフルエンザワクチンを導入する方針が最も費用対効果が良好でありました。
 17ページ目は、全ページの解析結果を、費用対効果平面に図示をしたものでございます。
 続きまして、18ページ目でございます。
 最も費用対効果が良好であった75歳以上に高用量インフルエンザワクチンを導入する方針について、呼吸器疾患等の類縁疾患の予防効果を組み込んだ解析を行いました。
 類縁疾患や合併症の予防効果は文献によって幅があることを考慮し、高用量インフルエンザワクチンに有利な数値を用いた解析と不利な数値を用いた解析を行いました。
 肺炎のみを組み込む場合、肺炎に加え、その他の呼吸器疾患を組み込む場合、また、呼吸器疾患、循環器疾患を組み込む場合の3通りについて解析を行ったところ、高用量インフルエンザワクチンに有利な数値を用いた場合においては、組み込む疾患によらずドミナントという結果でありましたが、高用量インフルエンザワクチンに不利な数値を用いた場合は、必ずしもドミナントではないという結果になりました。
 続きまして、19ページ目「(3)今後の方針」についてでございます。
 20ページ目でございます。
 これまでの小委員会での御議論及び近年における知見を整理し、お示ししております。
 インフルエンザの疾病負荷としては、高齢者や基礎疾患を有する者において、特に重症化するリスクが高いということがあります。
 高用量インフルエンザワクチンの有効性としては、標準量インフルエンザワクチンと比較した相対的な発症予防効果の有効性は24.2%であり、標準量インフルエンザワクチンと比較して、優れた発症・入院予防効果を示し、また、年齢が高いほど相対的な有効性が高い傾向が見られました。
 安全性としては、現時点で重大な懸念は示されておりません。
 費用対効果としては、年齢階層別に導入年齢を検討したところ、75歳以上に高用量インフルエンザワクチンを導入する方針が最も費用対効果に優れるという結果でありました。
 21ページ目でございます。
 高用量インフルエンザワクチンの使用に関する論点として、以下のとおり、おまとめしております。
 まず、論点1、定期接種に用いるワクチン・接種対象者について、高齢者に対するインフルエンザの疾病負荷、また、高用量インフルエンザワクチンの有効性、安全性、費用対効果に係る知見や標準量インフルエンザワクチンが普及しているという現状を踏まえ、以下の技術的な論点について提示をさせていただきます。
 まず、用いるワクチンとして、高用量インフルエンザワクチンの有効性・安全性・費用対効果結果を踏まえ、従来の標準量インフルエンザワクチンに、高用量インフルエンザワクチンを追加することについて、どう考えるかという点。
 次に、接種対象者について、高用量インフルエンザワクチンの標準量インフルエンザワクチンと比較した相対的有効性は年齢が上がるほど高い傾向にあること、75歳以上に高用量インフルエンザワクチンを導入する場合に費用対効果が最も良好であるといったことを踏まえ、標準量インフルエンザワクチンよりも高用量インフルエンザワクチンを接種することが望ましい対象者について、どう考えるかという点です。
 次に、論点2として、高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの接種目的について、引き続き「個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資すること」としてよいかということ。
 論点3として、本委員会における論点1、2の検討結果を踏まえつつ、具体的な運用を含め、さらに予防接種基本方針部会において検討することとしてはどうかという点について、提示をさせていただきます。
 次のスライドからは参考資料です。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 資料の御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、森野委員からのファクトシートに関する説明、それから、今、事務局から説明をいただきました資料を踏まえて、21ページの各論点につきまして、委員の皆様からの御意見を伺いたいと思います。
 まずは、論点1について、用いるワクチン、それから、接種の対象者に関して、このような資料等を含めて、御意見をいただきたいと思います。もし、御質問があれば、それも含めてよろしくお願いいたします。御意見ありましたら、挙手をいただければと思います。
 それでは、まず、大藤委員からよろしくお願いいたします。
○大藤委員 ファクトシートの作成、本当にありがとうございました。
 用いるワクチンというところなのですけれども、高用量インフルエンザワクチンは免疫原性も高いですし、あと、インフルエンザの発症とか入院に対して標準量のワクチンを上回る予防効果がありますし、また、安全性に関しても、ほかの定期接種ワクチンと同程度かなとも思っております。
 あと、現行の定期接種の対象者に対して、費用対効果も500万未満というところですので、標準量ワクチンに加えて、高用量のワクチンを定期接種に加えることについては、特に異論がないところであります。
 ただ、接種対象者につきましては、年齢が上がるほど、相対的有効性は高いということで、費用対効果も75歳以上で最も良好ということなのですけれども、だからといって高用量ワクチンの接種対象として、75歳以上というところに限らなくてもいいのではないかと思っています。
 やはり65歳以上の高齢者でもインフルエンザの発症とか入院に対して、標準量ワクチンを上回る有効性もありますので、接種の適用がある人には、それを選択する機会を提供することが必要かなと、私は思っております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 宮﨑委員、よろしくお願いします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
 私も、まず、用いるワクチンについてですが、これまで示していただいた免疫原性の観点、また、それに基づく有効性の観点を見ますと、強い免疫原性があって、臨床的な効果も認められているということ。
 一方で、副反応は一過性のものが高用量のほうで多く出るということはあるようですけれども、このワクチンの原理を考えますと、抗体誘導能が高く、有効性があるワクチン効果を誘導するために、一過性の発熱等があることは生理的な反応だと受け取れますので、十分説明を行った上で接種することで問題ないと思いますので、用いるワクチンとしては、現在のワクチンに加えて、高用量インフルエンザワクチンを追加することが適当だと思います。
 一方、接種者に対してですけれど、私もデータを見させていただいて、有効性は高い、一方、コストを見たときに、全部の条件で、高用量と標準量で比較した場合に、ICERがドミナントになっている場合ではないのですけれども、ワーストケースの場合でも、そのコストが300程度だったと、今、お見受けしました。ので、基本的には65歳以上の方に有効でありますし、適用の機会を与えることが適当ではないかと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 続いて、氏家委員、よろしくお願いいたします。
○氏家委員 御説明いただき、ありがとうございます。
 今回検討されているインフルエンザは、日本にとって新しいタイプの製剤で、これまで複数社、日本でのインフルエンザワクチン製剤供給がございますが、全て鶏卵培養でのワクチン、これを高用量で製造したという製剤で、有効性に関する追加でのメリットというのが見られている。
 一方で、価格のところで、現在使われているワクチンよりも高いということで、新たな製剤であることをしっかりと議論しておくべきだろうと考えています。
 特に種類と価格、安全性・有効性及び価格が異なる製剤が選択肢になった際、これまでも定期接種の中で複数製剤から接種者が選択することはありますけれども、分かりやすい説明というのが特に必要になってくるだろうと思います。
 また、定期接種としてのインフルエンザワクチンは、非常に毎年多くの方が接種を受ける製剤で、毎年2000万人程度の定期接種者の使用がありますので、安定供給というところに関しても、この小委員会で議論する内容ではないかもしれませんけれども、きちんと吟味しておく必要があるだろうと思います。
 現在使われている鶏卵培養の標準用量ワクチン製剤以外の製剤というのが、日本で初めて入る1製剤だけですので、これがうまくいかなかったときの代替製剤というのが、標準用量の現在使われているワクチンしかないという状況ですので、そういったことも含めて考えておく必要があるだろうと思います。
 有効性、安全性の観点から、特段これを選択肢として用いることに特段の異論はないところですので、製剤の選択としては柔軟に選べるようにしておくことが重要だろうと思いますし、同時に、分かりやすい説明が重要になってくるだろうと思います。
 事務局から御説明いただいた75歳以上での費用対効果が最も高いという点については、海外を見ると、スイスなどでは、基礎疾患のない高齢者の定期接種自体は、75歳を区切り接種を導入している国もありますので、1つの選択肢にはなり得るかなとは思いますが、65歳から75歳においても、有効性、そして、費用対効果も認めているところですので、高用量インフルエンザワクチンの選択自体を排除するということ自体は、なかなか難しいのかなとも思います。
 私からは以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、どうもありがとうございました。
 それでは、森野委員、よろしくお願いいたします。
○森野委員 ありがとうございます。
 私も、論点1の1つ目、定期接種に用いるワクチンに関して、高用量インフルエンザワクチンの有効性・安全性及び費用対効果分析の結果を踏まえて、定期予防接種に用いるワクチンとして位置づけることに異論ございません。
 事務局案にも追加等を御記載いただいており、今後も、先ほど氏家委員からの御指摘にもあったように、標準用量インフルエンザワクチンも引き続き選択肢として使用可能、両方用いることができるのがよいのかなと考えております。
 要素として、高用量インフルエンザワクチンの有効性の観点で優れている一方で、やはり安全性の観点で、若干の発熱や局所反応の頻度が高いということであったり、費用の面で、B類疾病ということでは自己負担額が発生を考慮して、選択の幅があるということは、結果として接種率の維持や向上に寄与するものなのではないかなと考えたところです。
 また、対象年齢に関しては、高齢になるほど、入院リスク、死亡リスクが高まる疾患であること。標準用量ワクチンと比較した相対的有効性が上がるということで、高齢者の方により推奨されるところではあると認識しながらも、今まで、先生方のコメントがありましたように、同じく65歳から74歳の方に関しても、選択肢となり得るとよいのではないかと思います。
 その点、65から74歳の方々にも、インフルエンザの重症化のリスクとなり得る基礎疾患を持っておられる方も一定数いらっしゃるところを思いますと、やはり、そうした方において、より積極的な予防の選択肢という意味での提供というのを、1つ予防手段の有効活用という点でもよいのではないかと考えたところです。
 以上です。ありがとうございます。
○鈴木委員長 森野委員、どうもありがとうございました。
 それでは、池田委員、よろしくお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
 先生方の御意見のとおり、65歳以上の全ての方に高用量ワクチンの使用をすることにより、有効性での点では望ましい結果が得られるということは事実であると思います。
 一方で、事務局のほうから説明いただいた、例えば、15枚目のスライドのところが、縦軸が費用、横軸がQALYということで、費用対効果の平面を示していただいているのですが、何歳から高用量ワクチンを導入するかということを、年代ごとに切った形で示してみますと、現状の高用量ワクチンが使えていない現状、65歳以上がSD接種という現状に比べまして、75歳以上の方に高用量のインフルエンザワクチンを使うということについては、それに対して追加でかかるお金に対して得られる効果が、ある意味、費用対効果の基準を下回っている、すなわち費用対効果がよいということで、お金の使い方として非常に効率がいいということになるわけでございますが、それよりも下の年代により広げていくということによって、追加でかかるお金に比べて得られるQALYですね、健康価値というものは、若干効率が悪くなってくるということがございます。
 有効性あるいは安全性という観点だけを見れば、全ての対象となる方に、高用量インフルエンザワクチンを使えるようにということは、十分理解できるところでございますが、一方、費用対効果であるとか、いわゆるバジェット・インパクトですね、財源への影響ということを勘案した上でどうするかというのは、なかなか難しい判断になるのかなと考えているところでございます。
 もし、15ページの分析結果を一定程度参考にしていただくとなりますと、若い世代、70歳や65歳といった年代まで高用量インフルエンザワクチンを適用していくことにより、若干お金の使い方としては効率が悪くなるということは、一応推計のほうで出ておりますので、念のため、追加で申し上げました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 今、池田委員から14ページ、15ページについて追加的に御説明いただきました。そのほかの委員からも御意見があったように、14ページで、65歳以上に導入した場合に、ICERは標準量と比較して470.9万という数値が出ているので、これを見て、65歳以上で費用対効果はいいのではないかといった評価もできるのではないかと、私も思います。一方で、15ページを見ると、75歳で358万ということで、この数値が一番低い。この辺りどのように切り分けて評価をしていけばいいのか、なかなか医療経済が専門ではないと分かりにくいのですけれど、池田先生から、もう少し追加で解説をいただけますでしょうか。
○池田委員 池田でございます。
 14ページのところに書いてございます数字というのは、15ページのグラフのところの一番左下の「非接種」というところから線を引いた場合あるいは現状の標準量でやっている「60歳以上がSD接種(現状)」というところから線を引っ張った場合の傾きが示された数字でございます。
 実際には、今回検討すべき方針、戦略というのは、各年齢ごとに切った場合の、例えば80歳以上に高用量を導入する場合に対して、より低い75歳以上にした場合にどうなるのか、70歳にしたらどうか、65歳にしたらどうかという順番に治療方針というのを考えていくといたしますと、15ページのような形での構成につながるということでございますので、当然、費用対効果のよい高年齢も含めて、全体として65歳以上に導入した場合の平均的な費用対効果の数字はいい値ですけれども、そこを細かく60から70、70から75、75歳から80歳以上と集団を分けて、次々に対象を広げていった場合というのを考えますと、やはり若い方に広げていくごとに費用対効果の追加的な費用や、追加的な効果は、効率が悪くなってくるということになるというのが、15ページのグラフでございます。
○鈴木委員長 池田先生、御説明どうもありがとうございました。
 今の池田先生の解説も含めて、そのほか、委員の先生方から御意見あるいは御質問はありますでしょうか。
 氏家委員。
○氏家委員 ありがとうございます。
 今後の議論の中での話かもしれませんけれども、ワクチン製剤によっては、プレファレンスと申しますか、優先順位みたいなところを明確に実施要領等で示しているワクチン製剤もございますので、先ほど発言にもありましたような分かりやすさという観点で、どこまで異なる製剤を書き分けるのか、優先性などを設定するのかどうかみたいなことについても論点になり得るだろうと思います。
 また、安全性・有効性の観点とは異なる点ですが、先ほど申し上げたように、安定供給という観点と、国内での産業が急に変化が起きてしまうと、かなり影響も大きいと考えられますから、そういった産業保護のことなども踏まえて、施策としての検討を進めていくことが必要になってくるだろうと思いますので、この場で決める内容ではないと思いますが、追加で発言、コメントをさせていただきたいと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 岡田先生、お願いします。
○岡田参考人 すみません、参考人で申し訳ありませんけれども、これは年齢のところ、現場の者としては、大藤先生や森野先生が言われたように、もし75歳以上と限定してしまうと、75歳未満の方に接種をしたときに、接種間違いということが市町村から指摘される可能性もありますから、できればインフルエンザワクチンとしては、年齢は65歳以上として、実施規則などで標準的な接種年齢を高用量のワクチンの場合には、75歳以上など、このような法的な整備を基本方針部会のほうでしていただければ、現場としては助かると思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 今、岡田参考人から御意見がございましたけれども、その点も含めて、これまで挙がってきた御意見等含めて、事務局から何かコメントはありますでしょうか。
○上野予防接種課主査 事務局でございます。
 接種対象者の年齢に関しまして、様々御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、今回の小委員会におきましては、年齢が上がるほど高用量インフルエンザワクチンの相対的な有効性が高いということと、先ほど池田委員より解説いただきましたけれども、75歳以上に導入する場合に費用対効果が最も良好であるということをお示ししたものでございます。
 これらの小委員会における疾病負荷、有効性・安全性費用対効果についての科学的知見を、今後とりまとめをいただいた場合、基本方針部会のほうに報告いたしまして、現在、標準量ワクチンが普及しているという現状であったり、あるいは自治体の事務負担などを考慮した上で、一般的な流れとしては、具体的な接種プログラムについては、基本方針部会において検討いただくものと考えております。
 また、氏家委員からもコメントがあったところでございますけれども、現在、広く普及している標準量の不活化インフルエンザワクチンがあるというインフルエンザという感染症に対して、新たなワクチンの導入を検討する際の判断基準というものがどういったものが考えられるかということについても、今後、検討が必要と考えております。
 また、具体的な運用につきまして、どのように接種対象者を定めるのか、定期接種実施要領などで通知にするのかといった御意見もいただいたところでございますけれども、対象者を定める手段を含めた具体的な運用についても、今後、基本方針部会のほうで議論をいただくことを想定しております。
 また、その際に、法令上どのように定めるかというところで、75歳未満に接種した場合に、間違い接種になるのかといった点も含め、どういった運用になるのかというところも基本方針部会のほうで、今後、議論をいただくことを想定しております。
 以上でございます。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
 お願いします。
○前田予防接種課長 予防接種課長でございます。
 様々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。重ねて感謝を申し上げます。
 今回、有効性・安全性、そして費用対効果、安定供給の観点から様々御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 特にこれまで、ワクチンの新しい導入ということを考えた場合に、多くは、これまでの経験からしますと、完全に新しいワクチンに置き換えていくと、前のワクチンの使用は終わりまして、新しいワクチンを入れるというパターンと、今回、直近で御記憶もあるかと思いますが、帯状疱疹ワクチンみたいに、アプローチが違うというところがあるので併存という形で、それぞれ特性、メリット、デメリットがあるというところで入れさせていただいたと、それで、費用も大きく異なるといったものを並存して入れたりとか、これは様々入れ方について御議論をいただいてきたところだと思います。
 今回のワクチンについては、既に、ある程度国民に広く使われて、費用対効果も非常によいというワクチンが既に存在する中で、同じようなアプローチのワクチンで、かつ費用はかかるけれども効果は高そうだということで、これは、様々こういう並存パターンというところが増えてきているというところが感覚でございます。
 我々は、最終的に予防接種を入れる際には、予防接種基本部会でも御議論をいただくのですが、そのときの前提として、予防接種基本計画にも書かせていただいていますけれども、予防接種に関する費用については、多く公費による支援を行っているところがございますので、可能な限り少ない費用で望ましい効果を得ることを1つの目標にしております。
 その観点でいった場合に、既に効果が高い、低廉なワクチンがある前提で、さらに効果が高いワクチンについて入れる際に、個別のものを入れる前に、その議論をいただく前に、どういったルールで入れていくのが望ましいかというところ、現実味を帯びて課題として出てきているところもありますので、この辺は、また引き続き、まず総論として御意見をいただいた上で、また個別に当てはめていくというところは、引き続きお願いしたいと思ってございます。
 私からは以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 今、事務局、それから前田課長からもお話がありましたように、いずれ基本方針部会でも、また、議論されることになろうと思いますので、この小委員会では、技術的といいますか、エビデンスに関して研究者あるいは医療の専門家としての意見を出していくと、そういう場であると理解しているところです。
 そうした観点から言いますと、前田課長からありましたように、特に費用対効果分析の結果の解釈について、今回の15ページにあるような解析は、例えば、帯状疱疹ワクチンのときには、同じ方法では評価をしていなかったように記憶しているのですが。今回は、既存の標準量ワクチンがプログラムとなっていて、そこに追加的に高用量ワクチンを導入するかどうかという点で、少し違うのではないかと理解しているのですけれども。すみません、また、こちらから勝手に振りますが、池田委員に、そうした観点から帯状疱疹ワクチンのときの議論と、今回の議論とで、費用対効果分析のアプローチは違っているという認識でよろしいでしょうか。
○池田委員 池田でございます。
 帯状疱疹ワクチンのときにも、年齢によって罹患率の違いや、あるいは有効性の違いがあったので、こうした年齢層ごとの解析というのも実施はしております。
 ただ、今回の場合には、現状の非常によく普及したワクチンがあり、それも恐らくは、そのまま継続的に供給されるという前提のもとでの議論になりますので、よりこうした年齢別の解析は、使い分けというのが重要な課題となり、そんな中で、こうした経済的な影響というものについても、同時に考慮いただく必要があるかなと思っているところでございます。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 まだ、御意見もあろうかと思いますが、まず、論点の2のほうも押さえておきたいと思います。
 資料の21ページの論点2として「高齢者に対する高用量インフルエンザワクチンの接種目的について」ですが「引き続き『個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資すること』としてよいか」となっております。
 つまりB類相当かと、ありていに言えば、それが問われているのかなと思いますが、こういった観点から、先生方から御意見、御質問をいただければと思います。
 氏家委員。
○氏家委員 ありがとうございます。
 今回、新しい議論をしている製剤については、既存のワクチンと大きくプラットフォームが異なるものではなく、扱う用量が高くなったことによって、有効性、安全性、そして価格に変化が生じたものですので、感染伝播等に関わる大きな変化に関するエビデンスというのは十分にないということから、これまでどおりの整理を変更させるほどのものではないと考えています。
 つまり、事務局の提案のとおりでよろしいのではないかと考えています。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほか、この点につきまして、いかがでしょうか。
 特に強く、いわゆるA類相当にしなくてはいけないという科学技術的な観点からの意見は、あまりないのかなと思うところです。首肯をいただいております。
 それでは、論点3として、今後の対応方針として、論点1、2の検討結果を踏まえつつ、予防接種基本方針部会において検討することとしてはどうかということです。エビデンスという観点から、今日いろいろと御意見をいただきましたけれども、それを踏まえて、基本方針部会で引き続き議論をしてもらうということでよいのか、あるいは引き続き、いやいやまだもう少し小委員会で議論すべきなのか、そういったところが問われていると思いますが、いかがでしょうか。
 宮﨑委員、お願いいたします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。
 エビデンスあるいはファクトシートまでできて、見させていただいて、このワクチンの有効性や安全性あるいは今日のお話を、皆さんの御意見を聞いても、これを使って適用していくことについては、大きな問題がないところかなと思いますし、接種目的についても大きな変更がないという点で、あまり大きな、違うという意見はないようですので、基本方針部会のほうで、具体的にどういう運用をするかということに早く進めていくのが適当かなと感じました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 おおむね、そういう方向でよろしいですかね。
(委員首肯)
○鈴木委員長 それでは、今後の基本方針部会に議論をつないでいくという観点から、一応小委員会としての見解をまとめておきたいと思います。
 まず、論点1のほう、定期接種に用いるワクチン接種対象者について、まず、用いるワクチンとして、今回、ファクトシート、それから、事務局資料を踏まえて、有効性、安全性、それから疾病負荷という観点、加えて、費用対効果分析の結果を踏まえて、小委員会としては、定期接種で用いるワクチンに、現在の標準量インフルエンザワクチンに加えて、高用量インフルエンザワクチンを対象とするということについて、それは妥当であるという意見であったかと思いますが、そういったことでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 はい、御首肯をいただいたかと思います。
 一方で、対象者に関してですけれども、有効性、それから費用対効果分析の結果を踏まえて、定期接種に対して、現在は65歳以上の方、それから60歳から64歳までの特定の基礎疾患のある方を対象として、標準量のインフルエンザワクチンが接種されているわけです。
 費用対効果の結果からすると、65歳以上を対象として高用量インフルエンザワクチンを導入した場合についても、費用対効果は悪くないという結果ではございましたが、一方で、年齢階層別に見ていくと、75歳に限定した場合に最も費用対効果がよいという結果であった、数値上はそういうことであったと思います。
 とはいえ、複数の委員から、やはり、65歳以上の方々についても、接種の機会は担保すべきではないかといった意見はあったかと思います。恐らくこの小委員会の場で対象年齢を完全に限定する必要はなくて、そこは基本方針部会で実際の運用を踏まえてどう導入していくのかという判断に委ねるという形でよいかと思います。
 少なくとも、小委員会としては費用対効果の結果として、1つには65歳以上でも費用対効果は悪くなく、一方で、75歳以上に限定した場合に、より費用対効果がよかったという結果については、数字として出ていますので、おおむね異論がないのではないかと思うのですが。すみません、勝手に私のほうでまとめていますが、そういった取りまとめでよろしいでしょうか。
 森野先生、お願いします。
○森野委員 すみません、ありがとうございます。鈴木委員長のおまとめいただいたことに同意いたします。
 加えてで、ちょっと手を挙げさせていただきました。もし、今後の、先ほども少しワードとして出ましたプリファレンスあるいは対象者の方への検討に資するかもしれないと思い、すみません、池田委員へのお尋ねになりますが、18ページ、75歳以上の方を想定した費用対効果分析の解析の結果をお示しいただいているものと理解しておりますが、類縁疾患を組み込んだ場合に、標準用量と高用量を比べて、ベストケースであると、いずれドミナントという結果というのをお示しいただいているところと思います。このドミナントの理解として、逆説的に、この選択をしないことはあまり望ましくないと捉えるべきなのか、費用対効果分析における解釈として、500万円以下であれば良好、それを超えると、良好とは言えないという、そのまた反対の部分に関して、どのように捉えればいいかといったところを、この期にもしお伺いできればと思ったところです。
 すみません、この点は、65歳から75歳未満の方における基礎疾患で、こういった類縁疾患を発症し得る、重症化しやすいような要素をお持ちの方に関しては、1つ考えとして適用すべき部分になるかと思ったところです。
 すみません、以上です。ありがとうございます。
○鈴木委員長 池田先生、コメントをよろしいですか。
○池田委員 すみません、ハイリスク者に関してということでよろしいですか。
○森野委員 申し訳ありません、ありがとうございます。
 最後、補足的に申し上げてしまいましたが、その点は少し横に置いていただければと思います。類縁疾患の考慮に入れた場合、ドミナントという結果に関しての解釈はどのように受け取ればよいかというところが、御質問の趣旨になります。申し訳ありません。
○池田委員 分かりました。では、私のほうから回答してよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 お願いします。
○池田委員 また、事務局から何かあればと思いますけれども、今回、類縁疾患や合併症についての解析でございますが、これは、あくまでも参考までに御提示したという扱いとしてございます。
 基本的には、実は、ワクチン製造メーカーのほうの費用対効果の論文でも、そうしているのですけれども、基本分析では、インフルエンザに関する患者の罹患や、入院減少に関する効果のみを考慮するということにいたしております。
 もちろん、類縁疾患に対する効果を組み込みますと、ドミナント、つまり費用対効果は大変よいということにはなるのですが、この基になった臨床的なデータというのが、非常に数が限られている、あるいは日本にそのまま当てはまるかどうかという点で、やや不確実なところがございます。
 これらの類縁疾患や合併症に対する、このワクチンの効果に関する、より確実なデータが、もし日本で今後出てきた場合には、もちろん、それも含めた解析を行うと、それを主にして議論するということも可能かとは思いますが、現状では、そうしたデータのほうが、こちらでは把握できておりませんので、もし、そのようなものを御存じの先生方がいらっしゃいましたら、また、御指導をいただければと思います。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 森野委員、いかがですか、大丈夫ですか。
○森野委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ということで、すみません、もう一回、費用対効果分析の結果だけではありませんが、マル2の対象年齢に関しては、費用対効果分析の結果も踏まえて、65歳以上に導入した場合の費用対効果自体は悪くないと。
 一方で、既に標準量のワクチンが定期接種化されている中で、追加的に高用量インフルエンザワクチンを加えるときにという観点から、75歳以上に導入した場合の費用対効果が最も良好であるという数字が出ているということに関しては、小委員会として、そのような数値が出ているということについては、コンセンサスということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯をいただいて、ありがとうございます。
 実際の運用において、どのように判断するのかについては、引き続き、基本方針部会等で御議論いただくということについて、これも御異論ないということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯いただきました。ありがとうございます。
 それでは、今、申し上げた方向性で異論はなかったかと思いますので、本日の御意見いただいたものについて、取りまとめの資料をまとめていただきまして、各委員で回覧、確認の上で、基本方針部会へ報告という方向でいきたいと思います。よろしいですかね。
(委員首肯)
○鈴木委員長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議論2のほうに移りたいと思います。今度は、小児におけるRSウイルスワクチンについてとなっております。
 こちらは、令和6年11月の本委員会における議論を踏まえまして、国立感染症研究所、現在、国立健康危機管理研究機構に対して、ファクトシートの作成を依頼しております。
 それで、今回ファクトシートが作成されました。また、研究班において費用対効果分析を実施していただいております。
 今回は、作成されましたファクトシート、それから、研究班の費用対効果分析の結果に基づきまして、同様に議論を進めたいと考えております。
 それでは、まず、ファクトシートにつきまして、森野委員から御説明をよろしくお願いいたします。
○森野委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 こちらの「RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤ファクトシート」につきまして、全体の構成は、先ほどの高齢者インフルエンザワクチンと同様で、今回、母子免疫ワクチン、抗体製剤両方に関する情報を取りまとめたものとなっております。
 8ページ目から参ります。
 疾患の特性として、RSV感染症は、特に低月齢児で重症化する重要な呼吸器感染症となっております。
 まれに脳症や心筋炎の報告、また、長期的には、反復性喘鳴のリスクとなることが指摘されております。
 抗ウイルスは、現行、日本で用いられるものは存在いたしません。
 RSウイルスの感染初期における細胞侵入、感染成立にRSウイルスの持つFタンパク質が関与しており、このFタンパク質が、中和抗体の標的となる抗原部位を有していること、構造的に保存されていることから、ワクチン及び抗体製剤の標的として高い適性を持っております。
 12ページから、疫学状況のまとめになります。
 国内のRSV感染症に関するサーベイランスは、感染症発生動向調査、5類感染症、小児科定点把握疾患として、サーベイランスが実施されております。
 13ページ、14ページの図で御覧いただけますように、従来、秋から冬季に流行する季節性が見られていたところ、新型コロナウイルス感染症流行後、流行のパターンに変化が観察されていること、また、国内でも大きく地域差がございます。
 16ページの疾病負荷に関しては、RSVは特に生後6か月未満の乳児における疾病負荷が高く、また、入院例の90%はRSV感染症重症化のハイリスクとされる基礎疾患等を有していないお子さんであったという結果で、全乳児にとって重篤となり得ることが、こちらからも見受けられます。
 次に、有効性に関しまして、第III相試験の結果を、21ページの表にまとめております。
 重症RSV関連下気道感染症に対する有効性は、90日以内で81.8%、180日以内で69.4%となっております。
 母体の接種時期に関する情報として、母体接種から出産までの期間が14日未満であると、それ以上の群に比較して、出生児におけるGMTが低値であったこと。また、母体妊娠週数別に見ますと、生後180日以内のRSV関連下気道感染症に対する有効性が28週から31週で67.4%、32から36週で57.3%であったのに対して、24から27週ですと、20.7%低値であったことが示されております。
 抗体製剤の有効性については、25ページにから記載がございます。
 在胎35週以上の乳児を対象とした検討で、150日までのRSV下気道感染症に対して、74.5%、在胎週数29週以上の健康乳児における180日、6か月時点までのRSVの入院に対する有効性は82.7%、酸素需要になった重症入院例に対しては75.3%と報告されています。
 ワクチン、抗体製剤ともにリアルワールドデータも見られてきておりまして、同様の高い有効性が示されてきているところです。
 なお、ニルセビマブの効果に影響する要因として、体内における抗薬物抗体及び標的になるFタンパク質の耐性変異株の出現についても、24ページ、26ページにおいて言及されておりますが、それぞれ抗薬物抗体の有無にかかわらず、150日目までのニルセビマブの血中濃度が同様の経時的変化をたどったこと。
 また、逃避株は、現在のところ、極めてまれとされており、変異株に対するサーベイランスが、今後、重要であろうと考えられるところです。
 母子免疫ワクチンの安全性は、27ページ目からとなっております。
 最も多い副反応が、注射部位の痛みなどの局所反応で、多くが軽度から中等度でありました。
 注目される有害事象として、早産については、30ページに米国とVSDの解析及び後向きコホート研究の結果が示されており、ワクチン接種と早産リスクの上昇の間には関連性が認められませんでした。
 一方で、妊娠高血圧症候群に関しては、ややリスク増加の方向の結果でありましたが、そのコホート研究の中でも保険の種類や医療機関による階層別解析で異なる結果であったということで、さらなる解析が必要との見解になっており、市販後調査などを通じて、積極的な安全性監視の継続が、米国でも実施されている状況になっています。
 抗体製剤の安全性は、32ページにございます。ニルセビマブの局所の副反応として、発赤や紫斑、あるいは可能性のある全身性反応の例として、発熱やアナフィラキシー等を含む過敏反応等が挙げられていますが、一般的に安全で忍容性の高い製剤となっています。
 医療経済学的な観点に関しては、35ページの表5に、2つの製剤を解析対象とし、質調整生存年、QALYを効果指標として、費用対効果の検討がなされた研究18件の文献レビューの結果をおまとめいただいています。
 価格設定の部分の影響が非常に大きく、これらの文献で統一的な結論を導くことは困難であったという形になりまして、国内の実態に即した評価を行うことが望ましいとまとめていただいております。
 諸外国の導入状況を、最後に40ページでまとめられております。
 妊婦さんへのワクチン接種は、米国、英国、フランス、オーストラリアなどで推奨されている一方で、カナダ、ドイツでは、薬剤としては承認されていますが、現在のところ推奨には至っていない状況で、抗体製剤が用いられています。
 ワクチンの接種週数は、上限はいずれも36週になりますが、下限が24週以降、28週以降、32週以降と、各国様々になっています。
 また、妊娠ごとの再接種については、英国でのみ推奨が示されておりますが、米国は抗体製剤の選択肢があることも踏まえ、データがまだ得られていないということから、推奨しない立場を取っています。
 41ページの表7が、抗体製剤の推奨状況のまとめとなっております。対象月齢に各国違いがありまして、生後初回シーズンの全乳児を対象とするドイツ、フランスに対し、米国、カナダ、オーストラリアは8か月未満の乳児、英国は12か月未満のハイリスク乳児に限定しています。
 母体接種後の乳児への投与は不要であるとしている点、あるいは2シーズン目の投与は、ハイリスク児に限られる点は、多くの国で共通している点となっております。
 以上になります。すみません、少々長くなりました。ありがとうございます。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。また、先ほどの高用量インフルエンザも含めて、2つのファクトシートの準備、本当に大変だったと思います。お疲れさまでした。
 続きまして、費用対効果分析につきまして、研究班で実施をしていただいております。池田委員から御説明をよろしくお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
 それでは、資料2-2を御覧いただけますでしょうか。
 我々の研究班で行いました、小児RSウイルス感染予防に関する費用対効果の分析の結果の概要を御紹介させていただきます。
 2枚目を御覧ください。今回のモデルの概形でございます。
 分析の視点は、保健医療費支払者の立場ということで、生産性損失などは含んでおりません。
 主な仮定としては、対象者は、母子免疫ワクチンの接種、妊婦に対しての接種率が80%、抗体製剤に関しましては、新生児に対してRSV流行期に接種をする、接種率100%と仮定しております。
 効果の持続期間は1シーズン、ただし、亡くなった新生児に関しましては、死亡損失については生涯を考慮しております。
 後遺症は考慮せず、死亡と罹患中のQOLの低下について考慮しております。
 ワクチンの効果としては、RSV感染症の罹患減少効果について考慮しております。
 3枚目を御覧ください。
 モデルにおいて使用した罹患率やQOLの値につきまして、使用したデータとデータソースをまとめてございます。こちらは、また、後ほど詳しく御確認いただければと思います。
 4枚目でございます。
 モデルにおいて使用したワクチン有効性のパラメータでございますが、母子免疫ワクチンにつきましては、米国のACIPのミーティングで、企業が分析した資料に基づいて、このデータを使用しております。詳しくは、次のページのグラフのほうに、データを記載しております。
 抗体製剤に関しましては、これは文献データ、RCTのデータのほうを参考としております。
 5枚目はグラフでございます。
 6枚目を御覧ください。
 モデルにおいて使用したその他のパラメータでございます。感染症の治療費、入院の治療費、ワクチンの接種費用、また、高リスク児に用いますシナジスの費用、これは、日本のコストを利用して計算しております。
 結果が7ページとなっております。基本分析の結果でありますけれども、3つの方針について、今回、比較しておりまして、まずはワクチンの接種がない。ただし、高リスクの方にはシナジスを投与するという現行のものとなっております。
 2つ目の方針というのが、母子免疫ワクチンを接種する、シナジスについては、同様の高リスクの者には使うというものが方針の2となっておりまして、方針の1に対して、方針の2というのはドミナント、すなわち結果的に費用は削減になると、そして、QALYとしては改善するということで、これはドミナント優位という状態になります。
 次に、方針の3でございますが、抗体製剤を全員に投与すると、そして、この場合には高リスク者に対してのシナジスの投与は行わないと、この代わりになるものが抗体製剤だという考えでございます。
 この方針3につきましては、方針2に比べますと、右下にありますように、ICERの値は2595.9万円/QALYということで、一般的な費用対効果の基準値500万円を上回る費用対効果がよくないということでございます。
 現行の方針1、ワクチンを接種しないというものに比べて、この3番目の抗体製剤の投与、これに関しましては、ICERの値が643.8万円、これも一般的な基準値である500万円を超えますので、費用対効果としては、やや悪いという結果でございました。
 そして、この関係をグラフにしましたのが、8枚目となります。
 繰り返しなりますけれども、一番左が現行のワクチンの接種を行わないという方針でございまして、それに対して、少し下がった矢印、現状VS母子免疫ワクチン、ドミナントとありますが、御覧いただきますように、縦軸が費用なのですが、費用としては下がります。そして、横軸がQALYですが、QALYとしては改善しますということで、これはドミナントという結果でございました。
 一方、抗体製剤の投与というのは、右上の点がそれでございまして、一番左の現状に比べると、ICERの値は643.8万円ということです。お金が増える、そしてQALYの改善もあるわけですけれども、費用対効果の一般的な基準よりも効率は悪いということになります。
 そして、紫色になっております、抗体製剤VS母子免疫ワクチンというところでございますが、母子免疫ワクチンの代わりに抗体製剤に切り換えたと、代わりに使うということを想定しますと、お金が増えて、そして、QALYも改善をするのですが、費用対効果、掛けたお金に対してのQALYの改善というのが、少し効率が悪いという結果となっております。
 続きまして、9枚目ですが、こちらは、今回分析に使いましたパラメータを変更した場合の結果への影響を見たものでございます。
 一番上の抗体製剤投与タイミングの最良というのは、流行期直前に対象者全員に、同時に打てたという最も抗体製剤の効き目がよく現れるようなタイミングでの投与となります。
 こうしますと、非常に抗体製剤の費用対効果よく出てくるわけでございまして、274.0万円と大きく改善をいたします。
 現状の基本分析では、抗体製剤は生後初回のRSウイルス流行期の2か月前から1か月後にかけて投与すると、そういう現実的な仮定を置いているところでございますが、仮に全員にいいタイミングで投与したとなりますと、抗体製剤の費用対効果は、大いに改善をいたします。
 ただ、一方、2行目にありますように、抗体製剤の投与のタイミングが一番よろしくないタイミング、流行終息時に接種したとなりますと、当然費用対効果としては、大きく悪化するということになります。
 その他、ワクチンの効果の減衰をCDCのほうの提示したデータに変えてみる、あるいは流行の高さ、かなり流行する年と、そうでない年、ピークの高さを±50%動かしてみるということなどを行っております。これによっても抗体製剤の費用対効果の値は、500を上回っているという状況でございました。
 また、介護者のQOLの低下、これについて、仮に入れた場合には、費用対効果の値が多少変動いたしますが、大きな影響はないということでございます。
 10枚目ですが、今回の分析、様々なデータの制約等による限界点や留意点がございます。
 まず1点目は、RSVの流行のトレンドの補足でございまして、先生方御承知のように、流行は、なかなか山が年によって変わったり、ピークの高さ、流行時期というものの不確実性というものが非常に大きいところでございまして、本来、流行の直前に効果を得るためには、投与すべき抗体製剤の投与のタイミング、接種のタイミングがずれるということがありますと、結果に大きな影響が出てくるということになります。
 母子免疫ワクチンでは、出生の時期によってワクチン効果も変化し得るということも考慮する必要がございます。
 2つ目には、抗体製剤と母子免疫ワクチンを、今回単独で評価した上で比較をしておりますが、実際には、母子免疫ワクチンを接種しなかったケースに対して、抗体製剤を使うというケースも将来あるかとは思います。あるいは双方を複合して接種することもあるかと思います。
 そうした様々な組み合わせというのもあり得るのかと思います。これについては、もし、このような方法ということがあれば、今後検討してまいりたいと思います。
 最後に、介護者の影響でございまして、子供が病気になった場合の親などが介助した場合、看護した場合の生産性損失や、介護による様々な不安などのQOLへの影響、こちらを考慮した分析というのも検討の必要があるかと考えております。
 以上でございます。
○鈴木委員長 池田委員、御説明ありがとうございました。
 こちらも、次々と複雑な費用対効果分析、どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。
 それでは、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○幕内予防接種課課長補佐 では、よろしくお願いいたします。
 では、資料2-3を御覧ください。まず、4ページ目でございます。
 小児におけるRSウイルス感染症の予防に関するこれまでの経緯について、お示ししてございます。
 直近の議論としましては、昨年11月に第28回ワクチン小委員会におきまして、知見の一定の集積を踏まえまして、ファクトシートの作成を当時の国立感染症研究所に依頼させていただいたところでございます。
 次に、RSウイルス感染症予防に関する制度上の論点について、御説明させていただきます。
 6ページ目からでございます。
 ワクチンと抗体製剤について整理してございます。こちらは、ワクチンと抗体製剤の違いといたしまして、ワクチンは投与することで体に病原体に対する抗体産生等を促し、感染症に対する免疫を獲得させるものであるとする一方、抗体製剤は、特定の病原菌などの異物に有効な抗体を体内に直接投与することで、免疫の機能を人工的に獲得させるものであるという点がございます。
 予防接種法においては、予防接種とは、疾病に対して免疫の効果を得させるために、疾病の予防に有効であるということが確認されているワクチンを、人体に投与または接種するということとしてございます。
 引き続きまして、7ページ目、8ページ目でございます。
 薬事に係るガイドラインや、広辞苑、南山堂の医学大辞典といった一般あるいは医学の辞典においても、ワクチンと抗体製剤というのを区別されている例を示してございます。
 引き続きまして、9ページ目でございます。
 こちらは、RSウイルス感染症の予防に関する論点といたしまして、昨年3月の小委員会の資料を再掲してございます。
 当時の小委員会におきましては、疾病負荷や有効性・安全性等の技術的検討を行うところといたしまして、制度の論点等については、基本方針部会で検討するものと整理いただいたところでございます。
 次の10ページ目でございます。
 こちらは、小委員会における議論の進め方をお示ししてございます。
 抗体製剤は、一般的なワクチンとは作用機序が異なるところ、予防接種法との関係も含めまして、制度上の論点について、さらなる検討が必要であるが、この点が今後整理された場合を念頭に、今回の小委員会においては、母子免疫ワクチンと抗体製剤の両者に関する医学的・科学的視点からの検討を行っていただければと存じます。
 引き続きまして、ファクトシートにおける知見をお示しさせていただきます。
 12ページ目でございます。疫学についての知見でございます。
 RSウイルスの流行期は、近年、冬季から夏季に変化してございます。空間的な流行の推移もあることから、一律の流行予測というのは困難であるケースもあると考えられています。
 次のページでございます。
 RSウイルスによる疾病負荷の知見についてでございます。
 生後12か月未満の児における、国内の推定のRSウイルス感染症の罹患率は約5から10%程度という情報がございまして、高い疾病負荷が指摘されているところでございます。
 引き続きまして、14ページ目から22ページ目までは、母子免疫ワクチンに関する知見をおまとめしてございます。
 まず、有効性ですけれども、国際共同第III相試験の結果でございます。こちらは、生後半年までの乳児のRSウイルス下気道感染症による受診に対する有効性というのは52%程度、重症例であれば69%程度とされてございます。
 また、接種時の妊娠週数別の有効性では、28週から31週及び32週から36週というところでは、特に重症例におきましては、88.5%及び76.5%と、24週から27週までの有効性よりも良好な結果でございました。
 また、妊婦に対する再接種に関する知見というのは十分ではないものの、一方、健常成人における再接種の知見といたしまして、初回接種時よりも低いものの、有意な抗体価上昇というのが既に示されてございまして、かつ、安全性にも問題を認めないという報告もございます。
 こういったことから、妊婦に対して複数回の接種を許容している国というのも諸外国の中ではあるところでございます。
 続いて、安全性についての知見でございます。15ページ目を御確認ください。
 国際共同第III相試験の日本人部分集団の評価を行ってございます。
 全身反応の発現率は、筋肉痛を除きまして、低出生体重児を含め、ワクチン群と対照群で大きな差を認めてございません。
 次のページでございます。
 こちらは、早産や産前産後の児の死亡についてもワクチン群で明らかな増加を認めませんでした。
 他方、妊娠高血圧症や妊娠高血圧腎症に関しては、統計学的有意差を認めないものの、ワクチン群に多い傾向を認めておりまして、これは、日本人部分集団でも同様でございました。
 17ページ目でございます。市販直後調査の結果です。
 2024年5月31日から同年11月30日までの間に接種を受けた、約2万5680例について評価をしてございます。
 こちらは、ワクチン被投与者における早産・死産・低出生体重児・妊娠高血圧症の発症率というところは、18ページ目、次のページ目にお示しいたします、本邦のベースライン値を上回るものはございませんでした。
 続きまして、19ページ目及び20ページ目におきまして、米国ACIPにおける議論をお示ししてございます。
 19ページ目は、昨年11月の小委員会でもお示しいたしました、2024年10月のACIPでの議論でございます。
 母子免疫ワクチンは、早産や在胎週数に比して少ない体重での出生児のリスクとは関連しないまでも、死産、妊娠高血圧症候群との関連は評価中であるということでございました。
 次の20ページ目でございますけれども、こちらで本年6月のACIPの議論におきまして、急性の副反応や早産・出生時の低出生体重児・死産との関連が認めなかったと報告されてございます。
 一方、表にお示しするとおりですけれども、軽度ながら統計学的に有意な妊娠高血圧症候群のリスク増加との関連が指摘されてございます。
 21ページ目でございます。本邦の副反応検討部会での評価でございます。
 妊婦に加え高齢者を含むという点に解釈の注意が必要でございますが、本年1月から3月までの約1万8900例の接種において重篤例が13例ございました。この会議では、安全性に関する懸念というのは示されてございません。
 引き続きまして、22ページ目でございます。
 こちらは、先ほど池田委員からもお示しいただきました、費用対効果分析の結果を載せさせてもらってございます。
 母子免疫ワクチンを導入した場合、現行のものと比べまして、ドミナントの効果が期待できるという結果でございました。
 引き続きまして、23ページ目から26ページ目までは、抗体製剤に関する知見をおまとめしてございます。
 まず、RSウイルスに関する外来受診に対する有効性について、健康な後期早産児及び1歳未満の正期産児を対象とした国際共同第III相試験の結果でございます。
 投与150日目までのRSウイルス関連下気道感染による受診に対する有効率というのは、74.5%でございました。これは対照群に比して良好な結果でございます。
 次の24ページ目でございますけれども、こちらは、RSウイルスに関する入院に対する有効性について、国際共同第III相試験について結果をお示ししてございます。
 投与180日目までのRSウイルス関連下気道感染による入院に対する有効率は82.7%、重篤例であっても75%あまりでございまして、対照群に比して良好でした。
 割付時の月齢別のサブグループ解析においては、特に3か月未満の児に関して統計学的な有効性が報告されてございます。
 次のページでございます。
 安全性について、国際共同第III相試験や市販直後調査の結果から重篤な副反応の報告に関して、有意な報告というのはございませんでした。
 26ページ目でございます。費用対効果分析の結果でございます。
 これも先ほど池田委員からお示しいただきましたとおり、抗体製剤を導入した場合、現行と比べましてICRが643.8万円/QALYという結果でございました。
 続きまして、27ページ目、供給に関してでございます。
 こちらは、母子免疫ワクチン及び抗体製剤について、いずれも企業からは定期接種になった場合にも十分な供給が可能になるような準備をしているといった趣旨の発言というのが表明されてございます。
 次のページ「(4)今後の方針」でございます。
 29ページ目に論点をおまとめしてございます。
 まず、論点1として技術的な論点といたしまして、提出されたファクトシートを踏まえて、抗体製剤については制度上の論点が整理された場合を念頭においた上で、母子免疫ワクチンと抗体製剤の両者について、仮に定期接種化する場合の点で、次の技術的論点についてどのように考えるかという点でございます。
 まず、1つ目、接種の目的としましては、RSウイルスに罹患した場合の蔓延を予防するためのものとして考えてよいかどうかということ。
 2つ目でございますが、対象者といたしましては、有効性等の知見を踏まえて、特に望まれる対象者としては、母子免疫ワクチンについては、妊娠28から36週、抗体製剤については、生後1年以内におけるRSウイルス流行期の者とするのはどうかという点。
 そして、3つ目、母子免疫ワクチンについては、安全性の観点から妊娠高血圧症候群の発症リスクの高い方に対する接種をどのように考えるか、また、同じ方における妊娠ごとの再接種についてどう考えるかということ。
 また、抗体製剤につきましては、費用対効果分析の結果を踏まえて、どのように考えるか、また、RSウイルス流行期という点をどのように定めるかといった点が論点と認識してございます。
 また、論点2といたしまして、今後の対応方針について、次のようにお示しさせていただいてございます。
 小委員会では、これまで母子免疫ワクチン、抗体製剤いずれにつきましても、有効性、安全性、費用対効果等について技術的な検討を行っていただいたところでございます。
 論点1の検討結果を踏まえつつ、母子免疫ワクチンにつきましては、具体的な運用も含め、さらに基本方針部会において検討することとしてはどうかということで提示させていただいてございます。
 また、抗体製剤につきましては、今回の検討結果を基本方針部会に報告した上で、同部会における制度上の論点に係る議論を注視しつつ、必要に応じて費用対効果について、本委員会において引き続き検討することとしてはどうでしょうかという形で提示させていただいてございます。
 以上が今回の論点でございます。
 以降、参考資料といたしまして、昨年11月の小委員会でお示しいたしました科学的知見等について、お示ししてございます。
 これらを踏まえまして、御議論のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
 それでは、森野委員からファクトシート、それから、池田委員からは研究班による費用対効果分析の結果、そして、ただいま事務局から資料の説明がございました。
 これらを踏まえまして、29ページ目の各論点に従って、委員の皆様、参考人の皆様からの御意見を伺っていきたいと思います。
 まず、論点1に関してです。
 マルの1、2、3として、母子免疫ワクチン及び抗体製剤の両者に関して、定期接種化する場合には、その接種の目的、対象者、それから用いる各製剤についてという観点から、御意見あるいは御質問がありましたら、挙手をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 大藤委員、よろしくお願いいたします。
○大藤委員 ありがとうございます。
 まず、接種の目的というところですけれども、やはりRSウイルスは低月齢で罹患すると、入院率が高くなるということもございますし、また、0-1歳の罹患率を考えますと、現行のA類疾病に匹敵するような疾病負荷があると考えておりますので、ですので、接種の目的はお示しいただいた内容でよろしいかと思っております。
 あと、対象者につきましては、母子免疫ワクチンは、子供さんへの抗体価を期待するワクチンでありますので、早過ぎても、遅過ぎてもよくないかなと思っています。
 あと、これまでの研究結果を見ますと、早産との関連というのはなさそうなのですけれども、それでも早産のリスクを軽減するためにも、妊娠28から36というところが適当かなと思っております。
 あと、抗体製剤については、RSウイルスの流行期に投与するというのが、やはり理想的だとは思うのですけれども、最近の流行を見てみますと、一定した季節性がなくなってきているようにも思いますので、そうすると、何月から何月までと設定するのが、かなり難しくなってくるかと思います。
 また、抗体製剤の有効性を見ますと、接種後180日までのデータで高い有効性があって、それ以降の有効性のデータは限られているかなと思いますけれども、でも、抗体が1年後でもベースライン値より7倍高いという報告もございますので、それらを考えますと、生後1年以内だったらいつでも接種可として、流行前に接種するのが望ましいという形でもいいのかなと思っております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 氏家委員、よろしくお願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。
 技術的論点についてということで、ワクチンと抗体製剤について、論点を提示いただいたところだと思います。
 まず、2つの製剤が違うことは、最初、事務局の説明でも説明があったところですけれども、ワクチンは、妊娠中に接種を行う、そして、中和抗体製剤は、出産後の児に接種を行うということで、タイミングがワクチンのほうが先というところは、1つの大きな特徴かなと思います。
 安全性のところでデータがかなり蓄積されてきたところで、日本でも承認されているということで、母子免疫ワクチンを有効的に活用していくという方針は賛同できるところだろうと思います。
 一方で、抗体製剤の在り方のところであるように、ワクチンが打ちたくても打てない方というのが、禁忌者というのが一定数いらっしゃるであるとか、打ち忘れてしまったという人も当然出てきますし、中には、打ったけれども、早産で十分に抗体が産生される接種後2週間以内に出産されるような妊婦の方もいらっしゃいますので、そういったところをしっかりとカバーするという意味では、なかなか費用対効果のところだけでは、中和抗体製剤の必要性というのは、なくならないところがあるのかなとは思います。
 費用対効果に関しては、いろいろ抗体製剤の価格であるとか、接種時期によって、かなり評価もばらつきがあるところだと思いますので、この評価には、多面的な分析が必要になってくるだろうと思います。
 日本小児科学会が出している、ニルセビマブのQ&Aでは、流行の初期に接種することを推奨しているわけですけれども、実際には流行の判断が難しいであるとか、沖縄のように通年性に流行があるという地域もありますので、なかなかその判断や運用の観点で、年間を通じての接種を認める自治体というのが増えている実情があるようですので、そういったことに関して言えば、流行期をどのように定義するのかということも併せて考えていく必要があるだろうと思います。
 さらには、中和抗体製剤に関して、現在、ハイリスク者に関して保険でカバーされているところですけれども、そういったハイリスク者に対しては、生後1年を超えて接種が推奨されるようなケースもありますので、現在カバーされているような保険適用の対象者との調整というか、役割の整理が必要になってくるだろうと思います。
 あと、今回の議論とは関係ありませんが、ファクトシートに記載されているように、Tdap、日本では承認されていない製剤ですが、破傷風、百日咳、ジフテリアの3種混合ワクチンと同時接種した場合に、百日咳の抗体の免疫の反応が非劣性だったという報告もあり、イギリスでは接種のタイミングを妊婦さんで分けて接種を行っています。
 一方で、妊婦で同時接種が必要な人への対応でありますけれども、日本の今年の百日咳の流行状況、実際に乳児死亡なども報道等で報告されているところですので、実際に臨床をやっていますと、妊婦さんでRSVワクチンだけでなく、百日咳予防のための予防接種を希望されて受診される方も増えてきている現状ですので、そういった定期接種の制度とは異なるかもしれませんが、任意接種のワクチンとの同時接種の在り方というのも併せて、一定の考え方を示すということは必要になるのではないかと考えています。
 あと、妊娠ごとの接種をどう考えるかについても少し発言しようと思ったのですが、欧米で妊婦に推奨されているTdapなどでは、開発された当初は10歳以上で1回しか打てないという整理だったわけですけれども、徐々に安全性、有効性が蓄積されるに伴って、推奨の在り方というのも変わってきました。現在では、妊娠ごとの接種というのが推奨されているという現状に鑑みると、アメリカでは、今、母子免疫で2回目のRSVワクチンの接種が推奨されていないということ、もちろん、2回目の接種までの期間が短いと1回目の接種により免疫が高い状態にあって、ブースターがかかりにくいというところがあるだろうとは思います。一方で、イギリスなどでは、毎回、妊娠ごとの接種が推奨され、認められているというところがありますので、今後のデータの蓄積を待ちつつ、そういった状況を踏まえて、適宜、判断していくことが必要になるだろうと思います。医学的には、毎回の接種についても問題ない方向に行くのではないかとは考えている次第です。
 私からは以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、ありがとうございました。
 大藤委員、お願いします。
○大藤委員 ありがとうございます。
 すみません、1個教えていただきたいのですけれども、抗体製剤の費用対効果の分析があったと思うのですけれども、実際、最終的には多分、母子免疫ワクチンか抗体製剤か、どちらかを接種していく、例えば、母子免疫ワクチンを打っていたら、もう抗体製剤は接種しなくてもいいとか、ワクチンを打てなかったら抗体製剤を選ぶとか、そういう形になってくるのかなと思うのですけれども、その場合に、費用対効果のICERというのは、今、母子免疫ワクチンを80%打ったときのICERと、あと、抗体製剤100%を打ったときのICERを示していただいていたと思うのですけれども、どちらかを選ぶような形になった場合には、ICERというのは、その中間ぐらいのところになるのかどうかを、池田先生に教えていただきたかったです。
○鈴木委員長 池田先生、お願いします。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
 今、御指摘のとおりでありまして、例えば半々だと、母子免疫ワクチンを選択される方が半数で、残りの方が抗体製剤となりますと、例えば、私の分析のほうのグラフの8ページのところの抗体製剤とワクチンを結んだ線のちょうど真ん中のところに点が来るというのは、単純に考えれば、そんな形になります。
 ただ、どういう方が母子免疫ワクチンを選び、どういう方が抗体製剤を選ぶか、つまり、よりハイリスクの方がどちらを選ぶとか、そういうことがありますと、もちろん結果は変わってまいりますけれども、基本的にはそのような形に、この線上のいずれかのところに点が来るというのが、現状の分析結果から言えることになるかと思います。
 以上です。
○大藤委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 菅沼先生、よろしくお願いします。
○菅沼委員 よろしくお願いいたします。
 論点のほうで挙げていただいたものですけれども、接種の目的というのは、先ほどもありましたが、こちらに示されているものに関して、それは個人の予防という形でよろしいかなと思います。
 それから、対象者につきましても、こちらに書いてあるとおりでありますが、先ほどもありましたけれども、アメリカのほうでは、かなり時期と、それから、季節というのを狭めたという形で、打つタイミングをかなりはかった上でという形になっていると思いますが、なかなか今の疫学の状況だと難しいかなと思いますので、添付文書上にも特にそういった季節の限定については載っていないかなと思いますし、現状の疫学の状況だと、季節を絞るのは難しいかなというところで、このように季節を絞らないで、こういった妊娠週だけで決めるという形のほうが、現実的なのかなと思いました。
 懸念としましては、妊娠高血圧と、それから再接種については、まだ、画一的なところが出ていないというところは、やはり留意すべきかなと思いますが、そこは、メリット、デメリットの説明を十分行うという形で、現状では進めていかざるを得ないのかなと考えます。
 それと、1つ質問なのですけれども、抗体製剤のところで、価格のところがかなり大きな問題になると思うのですが、先ほど見ましたらば、抗体製剤が、たしか4万5000円で出ていたなと思うのですが、多分、現在の市販されている価格とすると、かなりギャップがあるのかなと思ったのですが、これの担保をされるというのは、薬剤のメーカーのほうとの話であったという形なのですが、そこら辺がどうなのかなというのが、1つ疑問として残っております。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 今、御指摘の価格の部分は、あくまで想定で計算をしていただいたものかなと。私はそう思っていますけれども、もし、何か事務局からコメントがあれば、よろしくお願いします。
○幕内予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
 先ほどの菅沼委員からの御質問に関してでございます。明確にお答えするという観点では、恐縮でありますが、池田委員に御説明いただきました資料2-2の6ページ目の表のところにも記載のあるとおりでございます。この4万5000円という数字自体は、これは池田委員の解析においては、こちらに記載されています既に出されている論文に書かれております費用を御参考にしていただいたものであると、我々としては承知してございます。
○菅沼委員 分かりました。ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 岡田先生、お願いします。
○岡田参考人 参考人の岡田です。
 池田先生に少しお伺いをしたいのですけれども、先生の最後のところで、抗体製剤のところは、今回は公的医療の立場で分析をされたと伺いましたけれども、御存じのようにRSウイルス感染症というのは、特に乳児が入院などをした場合には、やはり保護者の生産性損失というのは、かなり高いものですから、将来的でもいいのですけれども、もし、今後できるのだったら、社会の立場で抗体製剤のをと思いました。いかがでしょうか。
○鈴木委員長 岡田先生、ちょっと途中で音声が途切れましたが、社会の立場での分析も追加をしてはいかがかという御意見かと思いますが、池田先生、いかがでしょうか。
○池田委員 貴重な御指摘、ありがとうございます。
 先生のお考えのとおりでございまして、こうした子供が急に病気になるという疾患については、子供自身のもちろんQOLへの影響も大きいわけですけれども、それと同様に、あるいはそれにも増して、介護者の生産性の損失やQOLの影響というところは無視できないものかと考えております。
 今回、可能な限り介護者のQOLの部分は組み込んだのですが、生産性損失というのもより広い社会の立場からの分析で検討する意味はあるものと思います。
 ただ、実際、これをやるとなりますと、まず、解析に必要なデータをどう収集するかということも課題でございますし、また、実は、例えば子供の急病のために親が有給休暇を取得したとなりますと、それはある意味、将来の休日を前倒して利用したにすぎないので、長期的には、これは社会的立場から見ても生産性損失は発生していないという考えもあるのですね。ですので、なかなか単純にはいかないところがございますので、一定の仮定を置いた上で、こうした分析にも今後取り組んでいきたいと思っております。
 以上です。
○岡田参考人 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 もう一点、鈴木先生、よろしいですか。
○鈴木委員長 はい、もちろんです。
○岡田参考人 抗体製剤のところのRSウイルスの流行期に関しては、今、保険適用でハイリスクの子供たちにも、ニルセビマブが接種されていますけれども、日本全国の状況を見ますと、季節性にやっている、流行期を都道府県内で多くの医療機関を集めて、いつから接種しようとかというのを予測してやっているところは、47都道府県の中で、12、13ぐらいしかなくて、多くの都道府県は通年性と考えて、ハイリスクの赤ちゃんが生まれたときに、退院時にニルセビマブを接種している医療機関が多いと聞いていますから、今後とも、このRSウイルスの流行期というのは分かりませんけれども、都道府県によってかなり違うことを考えると、通年性の接種、そういう意味では、もし将来、接種を国として制度化する場合には、産婦人科を退院時に接種するというのも、1つの方策かなと思いました。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 既に御意見を幾つかいただいていますが、まだまだあろうかと思います。非常に技術的な論点が複雑でして、母子免疫ワクチンと抗体製剤、それぞれの接種のタイミング、季節性についても異なりますし、マル2の対象者についても異なります。母子免疫ワクチンについて、対象を妊娠28週から36週にするということでよいのか、あるいは抗体製剤については、生後1年以内における流行期のものとするということにしてはどうかという観点から、既に幾つか御意見をいただいておりますけれども、特に追加で、あるいはまだ御発言をいただいていない先生方から御意見をいただければありがたいと思います。
 宮﨑委員、お願いします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。
 おおむね皆さんがおっしゃったことに同意いたしますが、接種目的自体は、事務局提案どおりで問題ないのかなと思います。
 あと、対象者ですが、対象者の母子免疫ワクチンについて、こちらが有効性等のことを考えると、28週から36週、この辺りに落ち着くと思いますし、抗体製剤についても使っていくという方針自体は、ありなのだろうと思います。
 この母子免疫と抗体製剤を両方使っていくというやり方自体が、これまでにはなかったような予防の在り方だと思いますので、制度上の整理が今後なされると思いますので、流行期にあるということは、現実的には非常に流行予測は難しいということなので、この辺りの文言は、今後、多少修正があるかもしれないけれども、原則的に生まれた赤ちゃんに、生後1年以内程度をめどに使っていくということは適当なのだろうと思いました。
 もう一つ、恐らくこちらの母子免疫ワクチンが中心になっていくのだろうと想像いたしますが、そのときに、妊婦さんに再接種をしていくかどうかということについても、もちろん、これは今後の調査がさらに必要なところではあると思いますが、予想されるところとしては、妊娠ごとに妊婦さんが母子免疫ワクチンを接種されるという方向になるものとして、議論を継続していくことになるのかなと思ったところです。
 以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 森野委員、お願いします。
○森野委員 ありがとうございます。
 私も既に委員の先生方が御発言くださったような方向で、同様に思っております。
 接種の目的としては、RSVで、特に早期乳児のお子さんにとっては非常に蔓延しやすく、かつ重篤となるという感染症でありますので、この接種の目的に関しては合致するものと思っております。
 また、対象者の方に関して、母子免疫ワクチンはより高い有効性が期待される妊娠28週から36週の方にという記載が添付文書にも、また、臨床試験の結果からも後ろ盾としてあるところかと思いますので、その点で、この対象者という形で示すことは、1つ理にかなった部分であろうかと思います。
 そして、抗体製剤に関しては、これも既にコメントをいただいているように、流行を捉え難い部分から、文言としてRS流行期のものと記載をするかどうかは、論点になるかなと思いました。
 そして、各製剤に関しては、特に抗体製剤に関しては、母子免疫ワクチンが、何らかの理由で接種できなかった方が、すみません、私がファクトシートの内容を御説明の際に1つを漏らしてしまったものがありまして、諸外国においても、母体の免疫ワクチンを接種された方においても、接種から14日以内に生まれた方に関しては、免疫原性が低かったという臨床試験のもとに、諸外国においても、この方に関しては、抗体製剤を使用することが包含されております。
 ですので、そういった接種後14日以内に生まれたお子さんであったり、あるいは妊娠中のワクチンという特性もあって、接種を受けないということを選ばれた妊婦さんも一定数、やはりいらっしゃると思いますし、期間が決まっているだけに、接種機会を逃された方、例えば、再接種に関しても、今、議論になっているところでありますが、このデータの蓄積を待つという意味では、第2子以降も予防の機会を提供するということでも、抗体製剤が、やはり、併せて期待されるところかなと思います。
 すみません、以上になります。ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 すみません、森野委員、最後の点、再接種に関しては、再接種ではなくて、抗体製剤のほうに期待すると、そういった意見ですか、すみません、もう一回確認をお願いします。
○森野委員 ありがとうございます。不明瞭で申し訳ありません。
 現行では、情報、データの蓄積が待たれるところと認識しております。米国でのACIPで参考として引用されていた文献に関しても、ファクトシートで少し触れさせていただいておりますが、健康成人において再接種をしたときに、再接種時のピークのうちGMTが初回ほどは上がらなかったという形になっております。その影響が、母子免疫の観点において、お子さん免疫原性あるいは有効性にどのように影響していくのかというのは、まだ未知のところかなと感じております。
 諸外国において、特に英国においては、そういった運用がなされて、接種の方法が取られていますので、今後、そういった検討の結果、情報が得られる可能性も十分あると思っておりますが、そうした結果は、1つ踏まえた検討というのも望ましいかなと思っているところです。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 ついでに聞いて申し訳ないのですが、その再接種のポイントの1つ前に、妊娠高血圧症候群の発症リスクを踏まえて、もともと、そういった発症リスクの高い方に対して接種を何らか考慮すべきかどうか、そうした観点からファクトシートをおまとめになった立場として、何かコメントをいただけますか。
○森野委員 ありがとうございます。
 やはり安全に予防の方法を選択していくという点で、特にリスクが想定される方について選択肢があるならば、1つ検討の余地として残していただけると、一医療従事者としては非常にありがたいなと思います。
 それと、ファクトシートにおいては、妊娠高血圧症候群との関連というのは、リアルワールドデータが出てきて、少し注目されるようになってきた点であると思います。
 特に、非常に大きくリスクが上がっているわけではない。わずかにリスク比が1を超えたという、1をまたいでいない、1.01といったような、そこであったかと思います。非常に心配されるような状況と言えるかは、また、今後、日本においても見ていく必要があろうかと思いますけれども、米国が再接種に関して、ほかに抗体製剤という選択肢があるならばという立場を取って、少し慎重に方向性を決めていらっしゃるのと同様に、複数の選択肢がある中において余地が残されるのは、1つ理にかなった方法かなと思っております。
 すみません、まとまらずに申し訳ありません。
○鈴木委員長 いえいえ、ありがとうございます。
 たくさん御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 ここまでのところで、事務局から何か追加でコメントとか、特にございませんかね。
 ありがとうございます。
 すみません、まだまだ議論があるところかと思いますが、時間が迫っております。
 論点2として、これまで挙がって来た議論を踏まえても、やはり母子免疫ワクチンと抗体製剤は、制度上ということだけではなくて、切り分けて考えていくほうがいいのかなという感じがしています。
 それも前提として、論点2として、2ポツ目ですけれども、本委員会での議論を踏まえて、母子免疫ワクチンについては、具体的な運用に関しては、今後は基本方針部会のほうで検討していただく。
 一方で、抗体製剤については、先ほど費用対効果分析の結果も含めて、もう少し解析が必要なのではないかといった御意見もありましたので、これについては、引き続き制度上のことに関しては、部会で議論していただくと同時に、本委員会でも引き続き議論していくといった大まかな方針は、そういった方向でよろしいですかね。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯をいただいたかと思います。ありがとうございます。
 それでは、両方とも、いずれにせよ基本方針部会で御議論いただきますので、小委員会としての見解をまとめていきたいと思います。
 まず、論点1のマル1の接種の目的として、RSウイルスに罹患した場合、人から人に伝染することによる、その発生及び蔓延を予防するためとするという整理でよろしいかということで、これまで異論はなかったかと思いますが、その方向でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それから、接種の対象者に関して、母子免疫ワクチンについては、妊娠28週から36週とするということ、これについては、エビデンス、それから添付文書上の推奨もそうなっているということから、こちらも特に異論はなかったのかなと思いますが、よろしいですかね。
(委員首肯)
○鈴木委員長 はい。
 一方で、抗体製剤については、こちらは、生後1年以内における流行期に生まれた者ということとしてはどうかということですが、これも異論がない一方で、実際にどのように流行を判断するのかというのが、特に最近の状況を踏まえると難しいといった御意見もいただいたかと思いますので、少し文言はまた整理しますけれども、そういった認識でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 ありがとうございます。
 それから、マル3として母子免疫ワクチンです。妊娠高血圧症候群の安全性という観点から、今、特に米国等でのリアルワードデータも整ってきているところで、おおむね大きな問題はないかもしれないけれども、慎重に我が国においてもモニタリングをしていく必要があろうということと、実際に接種に際しては、きちんとしたコミュニケーションが必要であろうということについても、おおむね異論がなかったのかなと思います。
 一方で、再接種に関しては、幾つか御意見をいただきましたが、現状で明確に、これを支持するエビデンスはそろい切っていないので、引き続き情報を集める必要があるのか、あるいは現状として、それを否定するエビデンスもないので、その方向性で進めていくという方向でよいのか、こちらのほうは、いかがでしょうか。
 再接種の可能性も含めて、基本方針部会で検討していただくということでよろしいですかね。
(委員首肯)
○鈴木委員長 御首肯をいただいたかと思いますので、もちろんエビデンスについては、引き続き収集していくとして、引き続き基本方針部会のほうで議論していただくという方向で行きたいと思います。
 すみません、今、私が口頭でまとめておりますが、おおむね御首肯いただいたかと思いますので、文言をもう少し整理して、事務局とも調整をした上で基本方針部会に諮っていくという方向でいきたいと思います。よろしいですかね。
(委員首肯)
○鈴木委員長 それでは、すみません、ちょっと時間がオーバーしてしまいました。
 それでは、本日の2つの議論に関しては、以上とさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局、委員、参考人の方々から追加で何か御意見等ございますでしょうか。
 よろしいですかね。それでは、議事を事務局にお返ししたいと思います。
○佐野予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
 本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、ありがとうございました。次回の開催については、追って御連絡をさせていただきます。
 事務局からは以上です。
○鈴木委員長 それでは、本日も活発な御意見をありがとうございました。
 本日の小委員会は以上となります。お疲れさまでした。ありがとうございました。