第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課

日時

令和7年10月23日(木)11:00~12:30

場所

オンライン及び対面のハイブリッド会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて
(2)予防接種に関する普及啓発及び広報活動の検討について
(3)その他

議事

議事内容
○佐野予防接種課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第71回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
 本日は御多忙のところ、委員の皆様におかれましては、御出席いただき誠にありがとうございます。
 本日の議事は、公開、頭撮り可です。また、前回と同様、議事の様子はユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 また、傍聴される方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
 次に、本日の出欠状況について御報告いたします。本日は磯部委員、清山委員、宮入委員より御欠席の連絡をいただいております。
 現在、委員14名のうち11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
 続きまして、資料の確認をいたします。本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号06の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○佐野予防接種課長補佐 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。分科会から続けて御参加の先生方もいらっしゃると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 まずは事務局から審議参加に関する遵守事項等についての御報告をお願いいたします。
○佐野予防接種課長補佐 事務局でございます。
 本日の審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席の委員から、予防接種ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請書類への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況について申告をいただきました。委員からの申告内容については番号06の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
 天羽委員より、MSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りについて申告をいただいておりますので、議題1の高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについての審議の際、意見を述べることはできますが、議決に加わることができないに該当いたします。
 なお、このほかの委員で「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当の方はいらっしゃいませんでした。
 また、毎回のお願いで恐縮ですが、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 事務局からは以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ってまいります。議事次第を御覧ください。今日は議題が2点です。1番目が「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」、2番目が「予防接種に関する普及啓発及び広報活動の検討について」とさせていただいております。
 まず、議題1の「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」、資料1がありますので、そちらの説明を事務局からお願いいたします。
○竹内予防接種課主査 事務局でございます。
 事務局より、資料1「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」を御説明いたします。
 資料1を御覧ください。おめくりいただきまして、2ページを御覧ください。今回の議題は「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンについて」であり、これまでの経緯、小委におけるとりまとめ等、定期接種に用いるワクチン、対象者及び接種方法等について、経過措置について、運用上の各規定について、最後にまとめと議論を進めてまいりたいと思います。
 続きまして、4ページを御覧ください。4ページ目では、現状の高齢者に対する肺炎球菌ワクチン定期接種の目的、対象者等についておまとめしております。現在、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種は個人の発病・重症化予防を目的に、65歳の方等を対象に実施しているところでございます。また、これまで審議会における技術的検討におきましては、定期接種の目的を踏まえまして侵襲性肺炎球菌感染症の予防効果を重視して評価されてきたところです。
 続きまして、5ページを御覧ください。5ページ目では、「成人に使用可能な肺炎球菌ワクチンについて」として、現在成人に対して販売されている各ワクチンの添付文書の記載等をおまとめしてございます。現在定期接種に用いられている肺炎球菌ワクチンをはじめとした各ワクチンの効能または効果、用法及び用量、成人・高齢者に対する薬事承認等についてお示ししておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 続きまして、6ページを御覧ください。6ページ目では、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンのこれまでの経緯についておまとめしております。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンは、平成26年10月から予防接種法上のB類疾病に追加されまして、65歳の方等を対象にPPSV23を用いて定期接種が開始されるとともに、令和5年度までの約10年間、65歳以上の方にも接種機会を付与するために経過措置を実施されてきたところでございます。
 令和4年9月、令和6年8月にPCV15及びPCV20の高齢者に対する使用が薬事承認されまして、本年7月に第30回ワクチン評価に関する小委員会において御議論いただいたところでございます。
 また、今年8月に、21価肺炎球菌結合型ワクチンの高齢者に対する使用が薬事承認されております。
 続きまして、7ページ目を御覧ください。7ページ目以降では、先ほど御説明させていただきました第30回ワクチン評価に関する小委員会における高齢者に対する沈降15価及び20価肺炎球菌結合型ワクチンについての技術的な観点からの議論のおまとめについてお示しさせていただいてございます。7ページ目では、知見の評価といたしまして疾病負荷等、ワクチンの有効性、ワクチンの安全性、費用対効果についてお示ししてございます。
 続きまして、8ページ目を御覧ください。8ページ目では、先ほど7ページ目で御紹介させていただきました知見の評価を踏まえまして技術的観点から評価し、とりまとめいただいた内容をお示ししております。各ワクチンにおけるカバーする血清型の割合、有効性、安全性及び費用対効果の知見を踏まえ、定期接種で使用するワクチンをPPSV23からPCV20に変更することが妥当である。
 疾病負荷、ワクチンの有効性及び費用対効果の知見を踏まえ、PCV20を定期接種に導入する場合の接種年齢について、現行の65歳は適切である。
 また、PPSV23の効果の持続が漸減すること及びPPSV23の接種歴のある者を含め、70歳においても費用対効果の観点では良好であることも踏まえ、対象年齢について制度上の検討が必要である。PCV20を定期接種に導入する場合でも、目的は現行どおり個人の発病またはその重症化を防止し、併せてこれによりその蔓延の予防に資することとして定期接種を継続することが妥当である。
 上記の技術的なとりまとめを踏まえ、定期接種で使用するワクチン及び接種対象年齢等については引き続き予防接種・ワクチン分科会、予防接種基本方針部会等で審議をすることが妥当であるととりまとめいただきました。
 続きまして、9ページ目以降の「定期接種に用いるワクチン、対象者及び接種方法等について」、御説明してまいります。
 10ページ目から12ページ目では、参考として15歳以上における侵襲性肺炎球菌感染症の疾病負荷として、侵襲性肺炎球菌感染症の罹患の状況、侵襲性肺炎球菌感染症の2014年から2024年における血清型分布、侵襲性肺炎球菌感染症の血清型の割合の状況について、それぞれお示ししてございます。
 続きまして、13ページ目では、参考としてPCV15及びPCV20の免疫原性についての知見についてお示ししてございます。
 次いで14ページ目では、参考といたしまして研究班において実施いただきました現行の定期接種対象者である65歳に対して、現行の定期接種で用いるワクチンであるPPSV23の接種を含む各戦略を実施することについての費用対効果の基本分析の結果についてお示ししてございます。
 その結果、現行の定期接種対象者である65歳に対してPCV20を接種する戦略は、現行の定期接種プログラムと比較し効果は向上し、費用は削減する、費用対効果としてDominantであり、最も費用対効果に優れる戦略とされました。
 続きまして、15ページを御覧ください。15ページ目では、定期接種に用いるワクチンについての論点についてお示ししてございます。上の枠囲みにこれまで事務局から御説明させていただきました、ワクチン小委における知見の評価、議論のとりまとめについておまとめしてございます。
 それらを踏まえ、下の枠囲みに事務局案をお示ししてございます。高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種で用いるワクチンについては、小委員会でのとりまとめを踏まえ、PCV20を定期接種に用いるワクチンに位置づけてはどうか。その際、薬事上の承認内容に合わせ、関係規定を見直してはどうか。
 加えて、現在の高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種に用いられているPPSV23については、15歳以上のIPD由来肺炎球菌における各ワクチンで予防される血清型の割合やワクチンの有効性、費用対効果等を踏まえ、定期接種に位置づけるワクチンから除いてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、16ページ目を御覧ください。16ページ目では、参考として研究班において実施いただきました基本分析で最も費用対効果に優れていたPCV20の接種について、接種年齢に係る追加分析についてお示ししてございます。PCV20を現行の定期接種の対象年である65歳から、そして80歳までの5歳刻みで接種した場合の費用対効果について推計した結果、現行の65歳が最も費用対効果が良好であったというものでございます。
 続きまして、17ページ目を御覧ください。17ページ目では、定期接種の対象者についての論点についてお示ししてございます。上の枠囲みに、これまで事務局から御説明させていただきました現行の高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種の対象者、ワクチン小委における知見の評価や議論のとりまとめについておまとめしてございます。
 それらを踏まえ、事務局案として、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種の対象年齢については、現行の定期接種の対象年齢等に係る規定や小委員会でのとりまとめを踏まえ、現行規定のとおりとしてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、18ページ目を御覧ください。18ページ目では、「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの接種方法について」として、従来の定期接種で用いられていたPPSV23と、今般御議論いただいてございますPCV20とでは用法及び用量の記載が異なっていることを踏まえまして、事務局案として、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種に用いるワクチンからPPSV23を除き、新たにPCV20を定期接種に用いるワクチンとして位置づけることとした場合、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの接種方法等については、省令・通知ともに0.5ミリを1回筋肉内に注射する旨としてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、19ページ目を御覧ください。19ページ目では、「他のワクチンとの接種間隔及び同時接種について」として、上の枠囲みに現在の予防接種実施要領におけるほかのワクチンとの接種間隔及び同時接種に係る規定、そして、添付文書上のPPSV23、そしてPCV20の規定をお示ししております。
 それらを踏まえ、事務局案として、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種に用いるワクチンからPPSV23を除き、新たにPCV20を定期接種に用いるワクチンとして位置づけることとした場合であっても、ほかのワクチンとの接種間隔については現行規定のとおり接種間隔の定めは置かないこととしてはどうか。また、同時接種についても、現行規定のとおり医師が特に必要と認めた場合に行うことができることとしてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、20ページ目以降の「経過措置について」、御説明してまいります。
 21ページ目を御覧ください。21ページ目では参考として、先ほど事務局より御説明させていただきました、研究班において実施いただいた基本分析で最も優れていたPCV20の接種について、接種年齢に係る追加分析についてお示ししてございます。PCV20の接種年齢に係る追加分析を実施したところ、65歳が費用対効果が最も良好であったものの、70歳に接種する場合であっても費用対効果は良好であったとされたところでございます。
 続きまして、22ページを御覧ください。22ページ目では参考といたしまして、既に65歳等に対してPPSV23を用いた定期接種を実施していること等を踏まえまして、65歳でPPSV23を接種済みの方に対してさらにPCV20を接種することを想定した場合の費用対効果についての追加分析についてお示ししてございます。65歳でPPSV23を接種済みの70歳から85歳にさらにPCV20を接種することを想定した場合、65歳でPPSV23を接種済みの70歳に対してPCV20を導入する場合、費用対効果が良好であったとされました。
 続きまして、23ページ目を御覧ください。23ページ目では参考といたしまして、「より年齢が高い方に対するPCV20の有効性に係る科学的知見」といたしまして、製造販売業者が実施した研究においてPCV20の全てのIPD及び肺炎に対する有効性が示されたものの、接種時年齢の上昇に伴いその有効性が減少していくことが示されてございますので、御紹介させていただきます。
 続きまして、24ページ目を御覧ください。24ページ目では、「高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの経過措置について」といたしまして、上の枠囲みにこれまで事務局から御説明させていただきました高齢者に対する肺炎球菌ワクチンのこれまでの経緯、ワクチン小委における議論のとりまとめについてお示ししておりまして、それらを踏まえ、事務局案として、仮に高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種の対象年齢について現行どおりとした場合、それを超える年齢の者についてはPPSV23の接種機会を既に提供していることや、ワクチン小委における議論のとりまとめ等を踏まえ、70歳でPCV20の接種機会を設けることを軸に検討することとしてはどうか。具体的な年齢については、改めて本部会において現在定期接種化に向けた議論が行われているほかのワクチンを含めた予防接種施策全体の中で議論を行うこととしてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、25ページ目以降の「運用上の各規定について」、御説明してまいります。
 26ページ目では、長期療養特例の概要についてお示ししてございます。
 27ページ目を御覧ください。27ページ目では、「長期療養特例に関する疾病別の対応」についてといたしまして、長期療養特例の対象及び対象期間については高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種に用いるワクチンからPPSV23を除き、新たにPCV20を定期接種に用いるワクチンとして位置づけることとした場合であっても、現行規定のとおりとしてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、29ページ目を御覧ください。29ページ目では、「PCV20の定期接種対象者から除かれる者等について」として、PCV20の添付文書の記載や現行の予防接種法上の規定を踏まえ、定期接種の対象者から除かれる者等につきましては、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種に用いるワクチンからPPSV23を除き、新たにPCV20を定期接種に用いるワクチンとして位置づけることとした場合であっても、現行規定のとおりとしてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、31ページ目を御覧ください。31ページ目では、「高齢者用肺炎球菌ワクチンの予診票について」といたしまして、高齢者用肺炎球菌ワクチンの予防接種予診票については、高齢者肺炎球菌感染症の定期接種に用いるワクチンからPPSV23を除き、新たにPCV20を定期接種に用いるワクチンとして位置づけることとした場合であっても、現行規定のとおりとしてはどうかとお示ししてございます。
 続きまして、33ページ目を御覧ください。33ページ目では、これまで事務局より御説明してまいりました内容をおまとめいたしておりまして、高齢者の肺炎球菌感染症に用いるワクチンとして、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種で用いるワクチンとして位置づけることとし、この際、定期接種の対象者や実施方法については以下のとおりとしてはどうかとお示ししてございます。
 34ページ目以降では、参考資料といたしまして「PCV20の定期接種化にむけたスケジュールについて」といたしまして、製造販売業者における供給の準備状況、そして、36ページ目では21価肺炎球菌結合型ワクチンに係る今後の議論について、37ページ目以降ではPCV20の有効性や安全性といった科学的知見についてお示ししてございますので、適宜御参照いただければと思います。
 事務局からは以上になります。
○脇田部会長 御説明どうもありがとうございました。
 高齢者に対する肺炎球菌ワクチンは、現在、定期接種としてはPPSV23が使用されております。それがワクチン小委員会での議論も踏まえて今回、PPSV23からコンジュゲート型のPCV20に変更してはどうかといった御提案ということになります。こちらはワクチン小委員会でも議論をしていただいているということですので、小委員会に参加されている先生もいらっしゃると思いますので、そちらで何か論点があれば御紹介をしていただくとして、委員の皆様から御意見、御質問等があれば、お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。どうも御説明ありがとうございます。
 ポリサッカライドからコンジュゲートに変えていくというのは、やはり効果の観点からも一つの時代の流れかなと思いまして、根本的に変えていくということに関しては賛成です。
 ただ、これは毎回市町村として申し上げるのですが、その時期をどうするかということなのですが、ポリサッカライド、コンジュゲートで値段の差がどれぐらいあるかというのは、少しコンジュゲートのほうが高いのかなということもあって、少なくとも市町村としては予算を新たにまた立てるという作業をしなくてはいけないということが一つと、それからもう一つが、いわゆる自己負担の在り方をもう一度考え直す必要があるかもしれません。なぜかというと、現在行われているポリサッカライドのワクチンの高齢者の自己負担が無料の自治体もあれば、5,000円という自治体もあって、本当に市町村ごとにばらばらだということで、それぞれ各市町村には恐らく住民の方からいろいろな苦情が持ち込まれているという形で、今回ワクチンが変わることを契機に恐らく自己負担を考え直すという市町村も出てくるかと思います。
 それからもう一つは、ほとんどの市町村が高齢者の肺炎球菌ワクチンに対して個別通知を行っていると思いますので、どこで変わるかということに対しては非常にセンシティブな問題になると思うのですね。例えば来年の4月1日から始めるとなりますと、3月31日までで65歳が終わってしまう人は打てないとか、もうちょっと待てばコンジュゲートが打てるとか、いろいろなケースが出てくるので、どのタイミングでやるかということも非常に重要だと思います。つまり、総括的には市町村としては、切替えに関しては毎回のお願いなのですが、相当の準備を要するということを踏まえまして、しっかり市町村のほうの説明と、しっかり準備ができる時期、間隔を持っていただきたいというお願いでございます。
 もう一つ、それから70歳ということなのですが、確かにポリサッカライドのワクチンの減衰を考えると、5年たったらもう一回打ったほうがいいかなという議論は分かるのですが、市町村として70歳は費用対効果が高いけれども75歳は低いからやらないよというのは、専門家相手にはいいのですけれども、一般住民への説明としてはかなり苦しいと思います。多くの市町村がそうだと思うのですけれども、住民の方からなぜ65歳だけなのだという苦情は既にたくさん受けている中で、じゃあ70歳までということを広げることは悪くはないのですけれども、そうするとなぜ75歳はやらないのだとか、こういう問題も発生しますので、年齢拡大ということに対しては慎重な議論が必要ではないかと思っております。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 会場からの御意見もあるかもしれませんので、それは会場からまた教えていただいて、まずはリモートで手が挙がっている伊東亜矢子委員と伊藤澄信委員の順番でお願いします。
○伊東委員 ありがとうございます。
 御提案につきましては特に異議はないのですけれども、お尋ねさせていただきたいのは、PCV21が既に薬事承認を通っているということで、参考資料にも挙げていただいていましたが、これから位置づけていくのかどうかというのは議論になると思うのですけれども、お答えいただける範囲でどのようなスケジュール感になるのかということをお聞きしたく、なぜなら、新しいものが出るならそれを待てばいいやということで今回位置づける20の打ち控えということになってはいけないかなと思っていて、その辺りの広報も含めて工夫が必要なのかなと思いましてお尋ねです。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
 肺炎球菌が原因になっているのは市中肺炎の2割程度しかないです。後期高齢者に多い誤嚥性肺炎の原因ではないので、肺炎球菌ワクチンを接種すれば肺炎を防げるという誤解が生じないようにしないといけないと思っています。
 さらに、肺炎球菌というのはもともと鼻腔に常在しているのと、血清型が100種類あるので、ワクチンで肺炎球菌を根絶させることはできないということを前提として理解しておく必要があると思います。
 また、小児への肺炎球菌ワクチン接種によって高齢者の肺炎球菌感染者が減少していることと、ワクチンが対応している血清型の感染が減少して他の血清型が増える血清型置換が起きていることも理解しておくべきと思います。変異型ジフテリア毒素タンパク質結合型のPCVはメモリー細胞を誘導することから、米国では2012年にPCV接種1年後にPPSVの23価を接種するというのが推奨されていたのが、現在はそのコンビネーションではなくてPPSV単独接種になってきていると認識しているのですが、それについてもきちんとした説明をしないと、PPSVをやめてPCVに取り替えると言い切るのもなかなか難しいのではないかなという気がします。
 もちろん今までも提示されたように観察研究ではPCVのほうがワクチンエフェクティブネス、有効性が高いというのは分かりますので、今回の選択に関して反対するものではありませんが、米国の動きに関してもう少し丁寧な説明をしていただいたほうがいいのではないかなという気がします。
 それからもう一点、現場でPPSVの肺炎球菌ワクチンは5年以内に再接種すると局所反応が強くなると添付文書にも書かれていることなので、再接種に関して戸惑いを持つ医療関係者も多かったと思っていますが、こういったことも踏まえて、今回、PCVを接種するということに関して丁寧な説明が必要ではないかと思います。
 聞きたいのは、米国の動向についてもう少し丁寧に説明していただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 会場からだと思いますけれども、笹本委員、お願いいたします。
○笹本委員 ありがとうございます。笹本でございます。丁寧な説明をありがとうございます。
 今回は定期接種の対象者が65歳で、今後、70歳の接種機会について検討することが書かれていますけれども、有効性を考えると65歳以上の方、65歳から74歳までのデータが出てきていますので、対象者の拡大を考えていただきたいと考えております。現場でもかなり多くの年齢の方が希望されているという話を聞いておりますので、供給も含めて御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、一通り手が挙がった方にはお話しいただきましたが、よろしいですかね。そうしましたら、事務局からレスポンスをいただければと思います。よろしくお願いします。
○竹内予防接種課主査 御質問ありがとうございます。事務局でございます。
 いただいた質問についてお答えさせていただきます。
 まず坂元先生から、仮に高齢者肺炎球菌の定期接種に用いるワクチンが切り替わるとして、その場合、自治体において相当な準備の時間を要するのでという御意見をいただきました。こちらにつきましては、丁寧な情報提供をさせていただければと思っているところでございます。御意見ありがとうございます。
 続いて、坂元先生及び笹本先生等からも御意見いただきました、経過措置の年齢についてでございます。こちらの経過措置の年齢については、今回はPPSV23接種歴のある方も含めて70歳においても費用対効果が良好であるという小委員会のとりまとめを踏まえて御意見をいただいているものでございます。したがいまして、今回につきましては65歳を超える年齢の者に係る規定については、今回いただいた御意見を整理いたしまして改めて本部会において御議論いただくこととしたいと考えているところでございます。
 次いで、伊東亜矢子委員から御意見いただきました、PCV21の取扱いについてお答えさせていただきます。先生に御指摘いただきましたとおり、21価肺炎球菌結合型ワクチンが令和7年8月に高齢者等に対して薬事承認されているところでございます。ただし、令和7年7月のワクチン評価小委員会におきまして、今後、PCV21が薬事承認された場合、ワクチン評価に関する小委員会において検討を開始するとされたとりまとめ等を踏まえまして、まずは今後、ワクチン小委において技術的な観点からの議論を行った上で、本部会において高齢者に対する肺炎球菌感染症の定期接種におけるPCV21に係る論点について御議論いただきたいと考えているところでございます。
 次いで、伊藤澄信先生からいただきました御意見につきまして、丁寧な情報提供が必要だというところでございました。本当におっしゃるとおりでございまして、御意見を踏まえまして、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種ないしは今後の取扱いについて適切な情報提供ができるよう、内容を検討してまいりたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 米国の動向に非常に注意が必要ではないかという御意見もあったと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○佐野予防接種課長補佐 事務局でございます。
 米国の動向につきましては、先ほど伊藤澄信委員からも詳細に御紹介いただいたところでございます。小委員会においても諸外国の状況も踏まえて検討していただいたところでございまして、今後、もし仮にPCV20を定期接種として行っていく場合につきましては、そういった諸外国の状況等も踏まえながら、どのように対象者の方にメッセージを出していくのか、正しい情報、判断に資する情報を出していけるのかということにつきましては、事務局としても検討させていただきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、鈴木基委員、お願いいたします。
○鈴木委員 鈴木です。ありがとうございます。
 資料の7ページ目の小委員会での議論のとりまとめにまとまっているところですが、小委員会の委員長として補足的に説明をしておきたいと思います。
 7ページ目の有効性に関して、PCV15及び20について、臨床的な有効性を評価した知見はないと記載されています。実際に高齢者を対象として、無作為比較試験で臨床的なアウトカムを使ってワクチンエフィカシーを出したトライアルは、PCV13についてはありますが、PCV15及び20についてはありません。ただ、PCV13の有効性が確立されている状況で、プラセボを対象とする大規模トライアルを実施することが現実的に困難であることもあって、PCV13と比較して免疫原性、免疫応答を評価した免疫ブリッジングトライアルが行われ、それらの結果をもって承認がされています。各国においてもそれで定期接種のプログラムに組み込まれています。こうした背景も踏まえて、PCV15及び20は、PCV13と比較して非劣性もしくは十分な免疫原性を有していることから有効性があると言うことは妥当であると評価した次第です。
 一方で、小委員会の中で非常に大きな議論となったのが、費用対効果の結果のところです。資料の後半にもありましたけれども、現行のPPSV23に比べてPCV20に切り替えたときにICERはDominantになることから、まずはここに注目するわけですが、それ以外のPCV15及びPPSV23の連続接種、あるいはPCV15単独のみにおいても費用対効果は悪くないという結果になっています。
 そうした意味で言うと、この3つのプログラムはどれも費用対効果は良好であると言うことができますが、プログラムとしてのシンプルさということも考えてPCV20がよいのではないかといった議論になったと理解しております。
 一方で、8ページ目、2ポツ目にある、PCV20を定期接種に導入する場合の接種年齢について、現行の65歳は適切であるけれども、複数の委員、あるいは参考人から、既にPPSVを打った方についてはワクチンの効果が5年以内に減弱するということを考え、また、費用対効果の結果においても、70歳においても費用対効果が良いのであれば、こうした方々についても接種の機会があることが望ましいのではないかといった意見もありました。
 ただ、こういったことは技術的観点からだけでなく、総合的に判断をする必要があることから、小委員会において判断し切れるものではなく、基本方針部会での議論を待つと、このようにまとめているということになります。
 補足的に説明をさせていただきました。以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。ワクチン小委員会での議論のポイントについても御紹介をいただいたということでございます。
 そのほか、委員の先生方からいかがでしょうか。
 天羽先生、よろしくお願いします。
○天羽委員 御説明ありがとうございました。
 2点お願いなのですけれども、先ほど供給のお話もちゃんとあったのですけれども、1社だけなので、小児の定期接種でいつも何かトラブルがあると供給がすごく困ることが多くて、供給の問題だけ接種者が増える分お願いしたいなというのが一点です。
 もう一点は、今回の議論とは全然話が変わるのですけれども、PPSVよりもPCVのほうがもちろん長持ちするということも効果もよく分かっているので、今後、無脾症や脾摘後の方にもPPSVからPCVの保険適用などの議論をどんどん進めていただけたらなと思います。
 以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 供給の問題を御指摘いただきました。特に経過措置が入ってくるということになるとさらに需要が広がるということになりますので、先ほど御紹介いただいたところで供給はできるみたいなお話があったかと思いますけれども、あとは適用拡大のお話がございました。事務局から何かレスポンスはございますか。
○竹内予防接種課主査 事務局でございます。
 天羽先生、御質問、御意見をありがとうございます。供給につきましても企業と調整いたしながら、仮に令和8年度から定期接種に指定された場合であっても十分供給できるよう適切な準備を進めてまいります。ありがとうございます。
○脇田部会長 それでは、続いて宮﨑委員、白井委員の順番でお願いします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。
 今日御説明いただいた内容で、対象者やワクチンをPPSV23からPCV20に移行するという点に関して、特に効果の点、免疫原性の点などからはこのことが適正なのだろうということは言えると思いますので、賛成です。
 1点気になりましたのは、先ほど伊藤先生からも御指摘がありましたけれども、現実、世の中の肺炎球菌の血清型はこれらのPCV20に対しても置換が起こっていて、例えば35Bとか、そういったものが増えてきているというのはデータでもお示ししていただいたとおりです。こちらを増えてきたワクチンに対してカバーをするようなPCV21が既に承認されたばかりであるということを踏まえて、今後、その新しく承認されたワクチンの取扱いをどうするかということについても今後の議論が重要だなと思いましたので、コメントさせていただきます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。
 既に坂元委員が自治体の立場からということで丁寧な説明をとお願いしておりますが、同じような内容にはなるかもしれませんけれども、いろいろワクチンが変わっていくときにどのワクチンをどの時期に打つかとか、あとはいろいろ被接種者のほうでも混乱があったり、医師会の先生にお願いするときの説明にも注意をする必要があると思いますので、その辺の混乱をどうやって防ぐかといったところもいろいろな御配慮をいただきたいなとは思っております。
 それと、伊藤澄信先生がおっしゃいましたように、どのワクチンでもそうですけれども、肺炎球菌のワクチンが肺炎を必ずしも防ぐものではなくて、死亡を減らすということにはなるかと思いますけれども、この機会に肺炎の予防ということについて一般市民の方々に口腔ケアであるとか、基礎体力の温存ということも併せて啓発するというチャンスになるかなと思いますので、そういった形での情報提供ということも必要なのではないかなと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 確かにここはワクチンの予防接種の部会なので、ワクチンの使い方に関する議論をしていますけれども、基本的に肺炎をどのように防いでいくかといった説明といいますか、コミュニケーションというのは非常に重要だという白井先生の御指摘だったかと思います。
 宮﨑先生からはまた重ねてPCV21に関する議論が今後どのようになっていくかということですけれども、先ほどもお話があったとおり、今後、この基本方針部会でも議論されていくということだと思いますが、事務局から今のお二人の先生方からのコメントに関して何かございますか。
○竹内予防接種課主査 事務局でございます。先生方、御意見、御質問をありがとうございます。
 宮﨑委員からの御指摘につきましては、繰り返しになりますけれども、PCV21につきましては、まず今後、ワクチン小委において技術的な観点からの議論を行った上で、改めて本部会におきましてPCV21に係る論点について御議論いただきたいと考えているところでございますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 そして、白井委員からその情報提供の内容について御意見がございました。御意見を踏まえまして、高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種ないしは今後の取扱い等につきまして適切な情報提供ができるよう、内容を検討してまいりたいと思いますので、御意見ありがとうございます。
 事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。
 鈴木基委員、お願いします。
○鈴木委員 鈴木です。何回もすみません。
 先ほどは小委員会の委員長として、議論のとりまとめの補足ということでコメントをさせていただきましたが、今回は基本方針部会の一委員として発言をさせていただきたいと思います。先ほど費用対効果分析の結果を踏まえて、小委員会ではPCV20、PCV15単独、あるいは23との連続接種、いずれも費用対効果は悪くないけれども、プログラムのシンプルさ等も考えてPCV20に切り替えるということでよいのではないかといった議論に達したということは説明させていただきました。
 では、最終的にどのようにするのかということは、費用対効果の結果だけではなくて総合的に判断をしていく必要があると思います。その中で我が国の場合とても大事なのが、B類に指定した場合に、先ほど坂元委員からコメントがあったように、自己負担がどうなるのかというところで、これはとても重要なポイントだと思っています。実際にこの費用対効果分析に使われた価格で言うと、16ページの最下段にありますけれども、PCVの場合は7,200円、PPSVの場合は4,735円で計算をしたという記載があります。このとおりだとすると、PPSVをなくしてPCVに切り替えた場合には約2,500円上がるということになろうかと思います。もちろん自治体ごとにそれぞれカバーをしてくださるところがあろうと思いますけれども、恐らくは自己負担がこれまでよりは幾らか上がってくるのではないかと推測はするところです。
 それを踏まえても、PCV20に切り替えていく方針でよいのではないかと私個人的には考えていますが、ほかの委員の先生方、特に自治体の現場等で関わっていらっしゃる方々もそのような御意見なのかどうか、私は委員長ではありませんけれども、そういうことをお伺いしたいなと思った次第です。
 以上です。
○脇田部会長 鈴木委員、どうもありがとうございました。
 自己負担の問題は非常に大きな問題で、なるべく低廉な自己負担のほうがより接種をしていただきやすくなるということもありますが、それぞれの自治体でも予算上の負担というものがありますから、各自治体で異なる自己負担というものを今は設定されている。特にコロナワクチンなどでもかなり差があるといったところがあろうかと思いますが、それでは、自治体の坂元委員からお話をしていただければと思います。
○坂元委員 鈴木先生、どうも自治体にお気遣いをありがとうございました。ポリサッカライドからコンジュゲートに変わったときに幾らになるかというのはまだ分からない段階なのですが、これが3倍、4倍になると相当大きな議論になるのですけれども、ポリサッカライドからコンジュゲートになったときに住民の皆様の負担が違ってくるときには必ず、1,000円上がってもやはり非常に生活が厳しい人にとっては1,000円上がるということも非常に大変なことなので、なぜこんなに上げるのだというときに、ポリサッカライドよりコンジュゲートのほうが効きますという説明は自治体からはちょっとできにくい説明なのですね。
 以前あったように、帯状疱疹で不活化と生ワクチンとあったときに、厚生労働省のほうでちゃんとした資料を出してもらって、どうしてこんなに値段が違うのだということは出していただいたのですが、今回はポリサッカライドが廃止されてしまうということでコンジュゲートのほうしか選択肢がないのですけれども、多分多くの自治体が悩むのは、値段を上げてもいいものかどうかということと、現時点においても無料の自治体があるというところも含めると、最近住民間の情報というのはすごいので、なぜうちはこんなに高いのだという苦情が日々市町村の役場には寄せられていると思うのですね。これは予防接種そのものが自治事務に根ざしているということから仕方ないのかもしれないのですけれども、やはりその辺の丁寧な説明とか、なぜこんなに住むところによって予防接種の値段が違うのだということに対してしっかり考えていく必要はあるのではないかと私自身は思っています。
 コロナワクチンに関しても0円のところから1万2000円のところまで市町村によって差があるというのは、やはり住民の目から見ると命と健康に関わる問題がこんなに価格差があっていいのかというのは当然の疑問だと思いますので、ここは制度というのをしっかり考え直していく時期ではないかと思います。今後、いろいろな良いワクチンが出てきたときに、当然高価格のワクチンが出てくるときにこの問題というのは常に再燃する問題なので、市町村としてもそこは自治体と国と一緒になってしっかり考えていきたいと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 非常に自治体においても悩ましい問題で、自治体においては値上げできるかどうか悩むというところもありますし、住民にとっても格差があるということに不公平感を覚えるというところで非常に大きな問題だということですけれども、この肺炎球菌ワクチンだけの問題ではなくて予防接種事業全体の問題ということになりますので、今後、ここはしっかりと議論をしていく必要性があって、今回にわかに解決をすぐにできるというところでもないだろうなと思います。
 もしこの点について御意見をさらにいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。
 この点についてというのはあえて重ねてお話をするような形にはなるのですけれども、B類ということができるだけ個人の疾病予防であったりリスクの高い方に勧めるということになった場合には、自治体でそのリスクの高い方を把握しているわけではございませんので、それは新型コロナのときにもそういう話題があったと思うのですが、かかりつけの先生であったり基礎疾患をお持ちの方がどのように考えるかといったときには医療としての扱いといったことの意味合いも含んでくるのではないかなと思いますが、これは以前から予防接種法の中での議論ではないということは言われておりますけれども、この際、住むところによって、特に地域性のあるような疾患であれば仕方ないなということもあるのですけれども、具体的に言うと隣の市での比較をすると個人負担が何千円も違ったり市境に住んでいる方は町や村の隣り合わせで全然違ったりということで、広域で連携しているところもありますけれども、やはり不公平感というか、健康に対する意識がその市町村によって、議会が決定するということもありますが、優先順位がかなり違うということを現状として国のほうでも考えていただき、それを何とか平準化するという方法を考えていく必要があると思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 伊藤澄信委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 この話はさっきの分科会でも出そうかどうしようか迷ったのですけれども、ワクチンは集団防衛、例えば麻疹や風疹みたいに根絶を目指すワクチンと、今回のような個人防衛を目指すワクチンでは本質的に違っていて、個人防衛を目指すワクチンは医療保険の中に移さない限りなかなかこの議論は落ち着かないのではないかと思います。
 生命保険を買う人も買わない人もいるわけですから、それと同じだというのはかなり暴論かもしれませんけれども、このお金の問題を考えるとそこまで踏み込まないといけないのではないかなという気はします。
 これは意見です。以上です。
○脇田部会長 伊藤委員、ありがとうございます。
 まだありますか。そろそろ最後にしたいと思いますので、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 伊藤委員のおっしゃった医療保険は私は妥当な考え方だと思います。欧米は医療保険でやっていて、国が立てた接種プログラムの対象者に関しては医療保険でやって自己負担なしで無料でやっているというのが欧米の制度で、我が国だけがよく中身が分からない地方交付税という、もちろんこれは自治事務だからやむを得ないという点もあるのですが、やはり伊藤委員がおっしゃったことは暴論ではなくて、今後、高価なワクチンが入ってくる中においてA類、B類という考え方もなかなか矛盾が出てきてしまうので、基本的な仕組みの考え直し、医療保険というのは一つの方法かもしれないということで私もかなり重要な意見だと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 この議論は結論が出ませんのでここで一応締めさせていただいて、事務局から今の皆さんの意見に対しての反応を伺って、その後、結論に行きたいと思いますので、事務局、お願いします。
○佐野予防接種課長補佐 事務局でございます。委員の先生方、御意見いただきありがとうございます。
 まず目先の話をさせていただきますと、肺炎球菌の今回のPCV20がもし仮に定期接種化するとなった場合についてですが、委員の先生方から御意見をいただきましたように、この有効性の観点一本で自己負担額の増額というのを説明するというのはなかなか難しいという現場の御知見をお伺いすることができて、我々は非常にありがたいと思っております。
 そういった御意見も踏まえまして、実際に接種者の方々と相対される市町村の皆様でしたり医療現場の皆様が、もし仮に入る場合ですけれども、今回新しく入るPCV20についてその有用性でしたり、接種するかどうかの判断に資する情報というのをより伝えていただきやすくするような工夫というのを我々としてもできればと思います。
 また、大きな話になってくるところですが、自治体間での平準化でしたり、そういった論点というのは従前からあるというのは我々としても承知しているところでございまして、今年度、価格の調査を行ったり、我々としてできる取組を行っているところです。
 また、時期について明言することはできませんけれども、予防接種制度全体を今後見直していく機会というのも出てくるかと思います。そういった中で本日いただいたような論点を含めて幅広く議論をしていければと考えてございます。
 事務局としては以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 それでは、大分時間もかけて議論をいたしましたので、結論を出したいと思います。
 皆様から御意見を多くいただきました。どうもありがとうございます。ただ、その中で様々なコメント、御指摘がございましたが、大きな反対意見はなかったと思います。
 したがいまして、高齢者の肺炎球菌感染症に用いるワクチンについてはPCV20を定期接種に用いるワクチンとして位置づけるということについては事務局案の方向で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 また、接種対象者の経過措置については今後改めて検討していくということにさせていただきたいと思います。
 また、PCV20を定期接種で用いるというときに、今日も御意見がいろいろございましたが、供給の問題とか、それから来年度から行うということになると、また自治体のほうの準備等々、御指摘があったところであります。予算措置の問題もあろうかと思います。したがって、そこは事務局においては丁寧に進めていただきたいと、今日の御指摘も踏まえてお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ということを申し上げましたけれども、それでよろしいでしょうかというのを皆さんにお伺いしなくてはいけないですので、委員の皆さん、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田部会長 どうもありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 ありがとうございました。
 続きまして、議題2について議論をしたいと思います。「予防接種に関する普及啓発及び広報活動の検討について」、資料2について事務局から御説明をお願いいたします。
○松下予防接種課長補佐 事務局でございます。
 こちらは今年度実施しております事業の周知ということで、重要なトピックと考えておりますので、事業の御報告ということで今回議題として上げさせていただいております。
 スライド2を御覧ください。そもそもということで、予防接種法等における普及啓発及び広報活動の検討についてどのように記載されているかをお示ししたものになります。予防接種法第23条においては、「国は、国民が正しい理解の下に予防接種を受けるよう、予防接種に関する啓発及び知識の普及を図るものとする」と記載がございまして、基本計画のほうには、下段に下線を引いておりますけれども、「国は、被接種者及びその保護者等にとって分かりやすい情報提供の在り方並びに普及啓発及び広報活動の有効性の検討もあわせて行う」と記載しているところになります。
 スライド3から5までは、その中でも特に新型コロナワクチン、HPVワクチンのこれまでの情報発信の取組を載せております。
 スライド3につきましては、先般行いました9月5日予防接種ワクチン分科会の資料を改めてお示ししております。説明は割愛させていただきますけれども、今年度の方針として昨年度との取組の違いとしては、新たに定期接種の対象者の方々に新型コロナワクチンの有効性、安全性等の情報を伝えることを目的とした動画を作成しておりまして、もう間もなく公開させていただこうと考えております。
 また、ワクチン製造販売企業との連携として、企業が取り扱うワクチンを接種することができる医療機関の情報を接種希望者からの問合せに対して個別に提供する問合せフォームや、コールセンターの仕組みを各企業が実施されておられますけれども、それに当たりまして厚生労働省から適宜連携させていただいております。
 スライド4は、今年の新型コロナワクチンのリーフレットとポスターを載せさせていただいておりますので、自治体、あるいは医療機関等で御活用いただければ幸いです。
 スライド5は、HPVワクチンの情報発信の取組ということで、こちらもリーフレット、あるいはSNSでの発信をしておるほか、対象者が中高生ということで若年の女性となりますので、Instagramでの広告の配信や中高生向けの新聞の広告の掲載等をこれまで実施してきたところになります。
 ただ、これまで従来の周知やSNSでの広告もだんだんと活用してきたところではありますけれども、先ほどの肺炎球菌のところでも広報ということが議論として出ておりましたが、昨今のデジタル広告やSNS、あるいは生成AI等のテクノロジーの発展を踏まえまして、いま一度予防接種の普及啓発に関する知見を整理したいと考えているところになります。
 スライド6が、今年度当課で実施しております予防接種の普及啓発に関する国際比較調査・戦略策定事業となります。背景・目的としましては、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえまして、感染症、あるいは予防接種に関して平時から有事へと切れ目なく対応できる広報、あるいはリスクコミュニケーションの体制を整備することが重要であること。また、様々な情報が多様な情報媒体やネット空間を通じて発信されているという社会経済的な背景を踏まえまして、自治体、職能団体、製薬企業等が予防接種に関する情報提供、普及啓発、広報活動を行う上で参考となる事項、好事例等をまとめることを目的として実施させていただいております。
 具体的な事業内容としては、中段に書いておりますけれども、国際比較調査として諸外国、あるいは地域の広報手法を分析したり、広報・リスクコミュニケーションといった分野はなかなかエビデンスの創出、あるいは蓄積が難しい分野にはなりますけれども、その中でも科学的なエビデンスに基づいて実施している先進事例といったものを調査・分析したり、あるいは先ほど申し上げたようなSNS、生成AI等のテクノロジーを踏まえてどのように迅速に情報収集を行うべきかといった検討、こういった先ほど申し上げました知見を一定程度整理した上で、今後の広報戦略の在り方について、有識者検討会を実施して知見を整理させていただきたいと考えております。
 私からの説明は以上になります。またこの事業の成果物等についてはどこかのタイミングで委員の先生方にも共有させていただければと考えております。
 以上になります。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。予防接種に関する普及啓発及び広報活動の検討について御報告をいただきました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして御意見、あるいは御質問等があれば、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 この普及啓発活動というのを推進していくというのは私も大賛成で、良いことだと思います。ただ、コロナのワクチンが出て以来、あまり科学的データに基づかないものが出回ってきているということと、予防接種を推進するという立場の人に対してかなり攻撃的とも思えるいろいろな問題が出ている。そういう意味ではこの委員の中にも迷惑などを被っている方もいらっしゃると思うのですね。委員会で発言するたびにそういう攻撃が来たりということ、もちろん民主主義の国家なので批判というのはお互いに自由にすべきだと思いますが、ちょっと度を超えたものが出てくることがあるということです。啓蒙普及のときに最大のネックになるのが、俗に言われるフェイクニュースみたいなものをどうやって捉えて、これに対して対処していくかというのはしっかり考えていかなければいけないと思います。特に今の若い人がこういう自治体や国が出すパンフを見るということはあまりなく、そういうSNSだけを見てこのワクチンはやばいみたいよとか、安易にそういう情報をつかんできてしまうので、その辺りの問題をしっかり考えていく必要があると思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。
 ワクチンについては、それぞれの個別のワクチンの普及啓発ということだけではなくて、ワクチンがなぜ大事かということを分かっていただくという必要があるかと思うのですけれども、ワクチンが過去には痘瘡であるとか、麻疹も日本の中では根絶宣言が出されましたし、風疹も昨今土着のものがなくなりましたという表明があったのですが、それはワクチンの成果としても国民を守るというA類のワクチンだと思いますけれども、そういう効果があるということ、ワクチンによって疾患というのはコントロールできるということもお伝えしていただく必要がありますし、また、日本ではBCGもまだやっていますけれども、乳幼児の結核が激減しているということはBCGの成果もあるかなとは思っています。
 そういった意味でのワクチンの重要性ということも何らかの形でこの啓発の中に入れていっていただくことが重要なのではないかなと思いますし、学校教育の中でもぜひワクチンの科学的な意味というか、そういうことを生物であったり化学であったり、今は免疫のことなども私が学生のときに習った以上に細かくなっていると思いますので、そういったところで全ての方が教育の段階でワクチンということを当たり前のようにこういうものだと認識できるような仕組みがあればいいなと思っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 確かに免疫学、ワクチン学の重要性は非常に重要で、日本は基礎免疫学も国際的にも非常に評価をされていて、利根川先生、本庶先生、最近は坂口先生がノーベル賞を取られたというところもありますから、しっかりと免疫・ワクチンの重要性というものを教育の中に取り込んでいただくことは私も大事だなと感じています。
 一方で、ワクチンに関しては様々な反対されるような意見もあって、前回のワクチン学会でもかなりセッションによっては大きな議論があったと伺っているところです。
 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 広報、コミュニケーションの重要性は論をまたないところですけれども、特に私が今回の資料で注目したのが3ページ目の学会との連携した情報発信というところで、こちらにもあるように、先日、感染症学会、呼吸器学会、ワクチン学会等と連携して新型コロナワクチンに関する見解が出されています。
 ただ、これは連携となっていますけれども、このステートメント自体に厚生労働省の名前は入っていましたか、いないですね。それはそれでそういうやり方でいいと思うのですが、ぜひ国、あるいは厚生労働省とアカデミアが連携して一つのワンボイスでコミュニケーションを行っていくということが重要だと思いますので、また次以降の機会でいいと思うのですが、何かそういったフォーマルな連携という形を探っていただくのがいいのかなと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 ワクチン学会での議論もありましたから、中野委員にも何かコメントいただければありがたいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。
 私、本部会の委員でございますけれども、今、ワクチン学会の理事長を担当させていただいております。アカデミアという立場で発言させていただければ、アカデミアとしてはエビデンスに基づいたいろいろな最新のもの、正しいことを国民の皆様の健康を守るために発信していく。ワクチン学会であれば、そのターゲットは学会名のとおりワクチンでございますので、もちろんこれは有用であれば一生懸命発信したいと思っておりますし、万が一リスク、何らかの安全性のシグナルがあれば、それももちろん発信していかないといけないと思っています。両方必要であると思っています。
 そんな中で、予防接種行政というものは常日頃動いていて、そしてそこは厚労省にやっていただいているわけでございますけれども、アカデミアからいつも情報を発信するにしても、やはり国民の皆様には国がどうおっしゃっているかはとても大きいです。彼らが最終的に判断を下すのにとても大きい。アカデミアだけではやはり不十分な点もあると思うのですね。私たちアカデミアは、今、申し上げたように有効性についても安全性についても常にアップデートして正しい情報に基づいて分かりやすいメッセージを発していくことが大事だと思っています。
 先ほど鈴木委員から御指摘いただきましたが、今回の3学会の合同の提言も、確かに厚労省という名前は前面には出ていないわけでございますけれども、連携はもちろんさせていただいております。何らかの形で例えば市民公開講座とか、SNSなのか、テレビなのか、一定の時間枠を設けてそこで常に予防接種に関する情報を発信していくとか、国のメッセージとしてはこういうことなのだよと、アカデミアも協力しているのだよといったものが我が国の中でも、先ほどの御説明の中でも諸外国の事例も参考にしてというお話がございました。そういったものが出来上がっていくといいなと思っておりますし、私も現在この部会の委員であるとともにアカデミアの活動も継続しておりますので、ぜひ協力して進めていきたいというのが今の思いでございます。
 御指名をどうもありがとうございました。
○脇田部会長 中野委員、どうもありがとうございました。
 アカデミア、そして厚生労働省、それに加えて我々国立健康危機管理研究機構、今はJIHSと言っていますけれども、JIHSからもそういった情報発信が連携してできればいいと考えておりますので、我々としてもしっかりとその点については取り組んでいきたいと考えているところです。
 という感じになりましたけれども、今、皆さんから御意見をいただきましたけれども、事務局から何かございますか。
○松下予防接種課長補佐 先生方、御意見ありがとうございます。
 まず、今回基本方針部会で先生方からいただきました御意見については、この事業の事業者、あるいは事業の中で行う有識者検討会にも共有させていただければと考えております。
 また、アカデミアとの連携というお話が出ましたけれども、先ほど脇田先生からも御発言がありましたが、国からはアカデミアというと、まずはJIHS(国立健康危機管理研究機構)に期待する部分も非常に大きいかと考えておりますので、そちらに関しては脇田先生や鈴木先生と非常に密にやり取りさせていただければと考えております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 今日御紹介いただいたチラシであったりホームページ、それから見解を出すといったリーフレット等々の取組もありますし、また、今日、委員の先生方から御提案があったような公開講座であったり、様々な取組が可能だと思いますので、どういったものが有効なのか、今回の調査事業でもよく検討していただいて、諸外国の取組等もしっかりと調査をしていただいて、日本でどういったことを今後進めていくのかということを我々も一緒に考えさせていただければ非常にありがたいというところであります。
 それでは、さらに御意見はございますでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。この普及啓発及び広報活動についてはまたさらに適切にしっかりと進めていきたいということでありますので、事務局、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
 それでは、議事は以上になりますけれども、そのほか、何か委員の皆様、あるいは事務局からございますでしょうか。
 ないようでしたら、事務局に戻したいと思います。
○佐野予防接種課長補佐 ありがとうございます。
 本日も活発な御意見、御議論をいただきましてありがとうございました。
 次回の開催については、追って御連絡をさせていただきます。
 事務局からは以上です。
○脇田部会長 それでは、基本方針部会はこれで終了したいと思います。本日も活発な御議論をどうもありがとうございました。