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第13回 日中韓少子高齢化セミナーについて
1 経緯
2 これまでの実績
日中韓3か国が持ち回りで開催し、第8回以降は少子高齢化対策に係るセミナーを行っています。テーマはセミナー毎に3か国間で協議して決定しています。
- 第10回2022年7月 オンライン開催「結婚・出産に関するイデオロギーの変化と少子化」「高齢者向けケアサービスへのスマート・デジタル技術の活用」
- 第11回2023年7月 韓国(ソウル)開催「少子化政策の評価と効果的なフィードバックシステム及び司令塔について」「高齢者の社会参画及び健康管理政策」
- 第12回2024年10月 日本(東京)開催「未婚化と少子化対策」地域包括ケア(医療・介護の連携と高齢者の健康づくり)」
3 第13回日中韓少子高齢化セミナーの概要
(1)プログラム
- 開会挨拶
- 日本、中国、韓国代表による基調講演
- セッション1「晩婚化・非婚化現象の原因と政策対応」
- セッション2「高齢者認知障害の予防とコミュニティの支援」
- 閉会挨拶
(2)出席者
(3)概要
■バイ会談の実施
本年8月、日韓両首脳は、両国が直面する共通の社会課題について、互いの知見を共有し、協力して解を見つけていくため、両政府間の協議の枠組みを立ち上げることで一致しました。これを受け、日中韓少子高齢化セミナーの開催に合わせて、厚生労働省とこども家庭庁、韓国保健福祉部との会談を実施しました。
会談では、「未婚化・晩婚化」、「認知症施策」、「エイジテック産業の活性化」、「研究機関の協力」をテーマに意見交換が行われました。
■基調講演
中国の王培安健康と人口発展戦略研究員学術委員会主席、李熙燮・中日韓協力秘書処秘書長による開会挨拶の後、3か国の代表による基調講演が行われました。
日本の水田功こども家庭庁長官官房審議官(総合政策等担当)からは、少子化の背景には、若い世代の所得・雇用の問題、出会いの少なさ、子育てに係る経済的・身体的・精神的負担、仕事と子育ての両立の難しさ、など様々な要因が複雑に絡み合っており、結婚、出産、子育ての不安を希望に変える環境の整備を強力に進めていく必要があることを説明しました。対策としては、こども未来戦略の「加速化プラン」に基づき、若い世代の所得の向上や、全てのこども・子育て世帯の支援の拡充、育児期を通じた柔軟な働き方の推進を含む共働き・共育てを推進していることや、地域の結婚支援等の推進、若い世代の価値観の多様化、人生設計の変化に対応したライフデザインの支援等にも取り組んでいることが説明されました。
高齢化については75歳以上・85歳以上人口の増加が続き、介護保険制度の負担増が課題であることや、地域包括ケアを維持しつつ、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を開催し、地域の実情を踏まえたサービス体系の構築に取り組んでいるとの発表がありました。
中国の柳清海国家衛生健康委員会人口監視・家庭発展司副司長からは、中国においての結婚件数の減少、初婚年齢の上昇により出生率が2020年以降低下していること、3歳以下の子どもへの育児補助や、出産・育児休暇の延長、医療サービス強化、託児サービス充実など、包括的な少子化対策を実施しているとの発表がありました。
また、中国の斉新傑・国家衛生健康委員会高齢健康司二級巡視員からは、中国では60歳以上の認知症有病率は約6%、患者数は約1500万人に達しているとし、2024~2030年の認知症国家行動計画を策定し、予防を重視しながら介護サービス強化と高齢者の社会参加を推進しているとの発表がありました。
韓国の金尚熙・韓国保健福祉部人口政策局長からは、韓国の出生率が2024年時点で0.75と世界最低水準であり、要因は高い就職・住宅コスト、教育競争などの社会構造にあると説明がありました。韓国政府はこれらを受け、既婚家庭支援の政策から社会全体の構造改革へ政策をシフトし、ワークライフ実現を目指すとの発表がありました。
また、韓国の張洪俊・韓国保健福祉部高齢者保健処副処長からは、2025年には高齢者の約9.25%が認知症を患い、2026年には患者数が約101万人に達する見込みであること、第4次認知症対策総合計画(2021~2025)では、予防と早期発見を重視し、全国に「認知症安心センター」を設置したことにより、認知度向上など成果が出ているとの発表がありました。

■セッション1「晩婚化・非婚化現象の原因と政策対応」
日本は、鈴木貴士国立社会保障・人口問題研究所研究員から、日本では1975~2005年までの「晩婚化」が2015年に一旦下げ止まり、2023年には全年齢で低下する「非婚化」となったことや、未婚化の原因として、「女性の経済力が高まり、経済的合理性の観点から結婚しなくなった」と考える説と「将来も含めた不確実性から結婚できなくなった」と考える説があること等の説明がありました。さらに、出会いのきっかけとして近年はネット経由が増加しているほか、2010年代まで減少していた見合い結婚も再び増加していることから、経済的側面だけにとらわれず、幅広い視点での結婚支援が必要になってくると考えられると発表がありました。

韓国は、金恩廷韓国保健社会研究院副研究員から、婚姻率と出生率の変化及びその原因(晩婚化の進行、労働市場の二重構造と良質な雇用不足、住宅価格の高騰)を説明した上で、こうした状況に対応するために進めている政策(労働市場改革と住宅政策)について言及がありました。

中国は、斉嘉楠中国人口・発展研究センター調査評価部長から、中国の出生率の低下及び婚姻遅延の現状と原因(急激な都市化による住宅価格の高騰や労働力の供給過多、女性の経済的独立)について説明した上で、価値観の多様化に対応して結婚の管理から優れたサービス提供への切り替えも図っているとの説明がありました。

なお、セッション1の司会は、中原茂仁こども家庭庁長官官房参事官(総合政策等担当)が務めました。
■セッション2「高齢者認知障害の予防とコミュニティの支援」
日本は、林俊宏厚生労働省大臣官房審議官より、日本で認知症の高齢者が増加している状況への対応策として、認知症予防を、一次予防(社会参加)、二次予防(早期発見)、三次予防(進行遅延)の三段階で推進していることの説明がありました。また、認知症施策推進基本計画に基づき、認知症になっても希望を持って自分らしく暮らすことができるという「新しい認知症観」を提示するとともに、認知症の人の社会参加や相談体制の整備等を推進していくとの発表がありました。
中国は、賀鵬飛中国人口・発展研究センター情報ネットワーク部長より、中国が長寿社会に突入し、増加する高齢者の認知症への予防策について説明がありました。また、AI活用による診断効率向上、薬の服薬管理、脳トレゲーム、転倒防止ロボットなどを検討し、医療従事者の負担軽減を目指すとの発表がありました。
韓国は、呉武霊・韓国国立認知症院副院長より、韓国が認知症対策として、管理総合計画を作成し、サービス伝達システムを構築しているとの説明がありました。また、全国に「認知症安心センター」を設置し、身近で様々な支援を行っているなど、認知症患者と家族双方を支える包括的な地域連携モデルを目指すとの発表がありました。


