中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第240回議事録(2025年10月29日)

日時

令和7年10月29日(水) 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会 終了後~

場所

航空会館 7階大ホール

出席者

構成員等
  • 城山英明部会長
  • 小塩隆士委員
  • 本田文子委員
  • 笠木映里委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 佐保昌一委員
  • 奥田好秀委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 藤原尚也専門委員
  • 越後園子専門委員
  • 荒川隆治専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 令和8年度薬価改定について

議事

○城山部会長
ただいまより、第240回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、全委員が御出席となっております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきたいと思います。
(カメラ退室)
○城山部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「令和8年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料薬-1の3枚目を御覧ください。ページ数を振っていませんが、2ページ目の次になります。
本日は、長期収載品、オーソライズド・ジェネリック、いわゆるAG、バイオAG、後発医薬品の価格帯集約、薬価の下支えについて御議論いただければと考えております。
飛んで8ページを御覧ください。
こちらは、後発品が収載された新薬である、いわゆる長期収載品の薬価の適正化の全体像でございます。
後発品への置換え率に基づき、段階的に薬価を下げるものであり、後発品収載後5年後からZ2として、後発品の置換え率別に薬価を引下げ、さらに5年後から、置換え率別にG1、G2として後発品の加重平均値またはその1.5倍に向けて段階的に引き下げていきます。
このG1/G2ルールは、バイオ医薬品に対しては、バイオAGが収載された場合を除き、対象外となっております。
9ページ、業界団体からは、特許期間中の薬価を維持する一方、特許期間満了後は、価格を引下げ、後発品への速やかな置換えを促進との意見が出されております。
10ページ、調剤における後発品の数量ベースの使用割合は、昨年10月の長期収載品の選定療養導入により9割以上となっております。
11ページは、先発品と後発品の逆転の状況でございます。後発品収載後10年以上の品目で多くあり、令和5年及び6年での不採算品再算定によるものが多い結果でございました。
12ページは、長期収載品の薬価の引下げの下限と円滑実施係数の概要でございます。
こちらは、長期収載品の引下げによる激変緩和策であり、過去6年では、毎回数品目あるいは数社が対象でございました。
14ページの論点を御覧ください。
製薬産業の構造をより高い創薬力を持つものへと転換する観点、後発品への置換え率が高くなっている状況等を踏まえ、1点目、後発品価格への引下げまでの10年間の猶予について、2点目、G2ルールの継続について、3点目、Z2及びCルールにおける引下げ率の差について、4点目、G1ルールにより、後発品の加重平均値まで価格が引き下げられた長期収載品のその後の引下げのルールについてどう考えるかとしております。
また、引下げの下限、円滑実施係数に関して、制度の継続についてどう考えるか。
そして、バイオシミラーが収載されているバイオ先行品に対して、G1/G2ルールの適用についてどう考えるかとしております。
続いて、15ページからは、AGとバイオAGでございます。
16ページは、新規後発品の薬価算定時のルールで令和6年度から内用薬について7品目を超えた場合には、さらに引き下げるルールとなっております。
17ページは、AG等の価格帯の集約の模式図。
18ページは、バイオシミラーの特徴。
19ページは、バイオAGの収載時の薬価の取扱いでございます。
20ページ、業界団体からは、バイオAGとバイオシミラーが市場で競争できるような薬価制度とすることが要望されております。
21ページでは、バイオAGの収載時の薬価の考え方について整理をしております。
現在は、真ん中のバイオシミラーと同様に、先行品の薬価の0.7倍で薬価が設定されます。バイオAGは先行品と同一という利点があり、バイオシミラーと価格競争の条件を同様にした場合、高い市場占有率を獲得することから、バイオAGの存在が後発品より開発期間及び経費がかかるバイオシミラーの開発の阻害要因となっております。
結果、バイオシミラーの開発自体が行われず、先行品企業と関係が深いバイオAG製造販売業者は薬価収載をせず、先行品のみが薬価上存在し、価格が維持されることとなり得ます。
22ページは、化成品であるAGについてであり、その定義や特徴、23ページはAGについて、先発品企業がAG製造販売業者からライセンス料を得るなどのケースが多く、形を変えた先発品企業の長期収載品依存となっていることが指摘されていること。
24ページは、AGの収載時期にかかわらず、後発品に比べてシェアが高くなる傾向があるという資料でございます。
25ページは、論点でございます。
1つ目は、バイオAGの収載時薬価等についてどう考えるか。
また、化成品のAGについては、バイオAGの検討を踏まえ、適切な競争環境の維持のための制度についてどう考えるかとしております。
その際、様々な様態のあるAGは、最終的には企業間の契約によって決まるものであり、第三者が客観的にAGかどうか全てを判断することは困難という課題があることを記載しております。
26ページからは、後発品の価格帯集約についてでございます。
27ページ、後発医薬品等の価格帯集約に関するルールで、3価格帯集約のほか、※の2つ目に、後発品上市後、12年経過後に原則1価格帯に集約するというルールを記載しております。
28ページ、令和7年度改定における価格帯集約の状況で、最大7価格帯があること。
29ページ、企業指標を活用した価格帯集約の特例に関する算定ルール。
30ページでは、この特例ルールの適用状況でございます。
31、32ページは、価格帯集約に関する業界団体からの意見であり、後発品、バイオシミラー、いずれも製品ごとの価格設定が要望されております。
33ページは、後発品における同一規格内の品目数で、注射薬に関しては、8以上が全体の1%に満たない3規格のみでございました。
34ページは、バイオシミラーにおける同一規格内の品目数は最大5でございました。
35ページは、論点でございます。
市場実勢価を薬価に反映させ、企業が継続して安定供給を確保できる体制を構築する観点から、まず、3価格帯集約について品目数が限られている注射薬、バイオシミラーの3価格帯集約の実施についてどう考えるか。
仮に、価格帯集約を行わないとした場合でも、最高価格の30%を下回る算定額となる品目の価格帯集約は引き続き実施することについてどう考えるか。
他方、品目数の多い内用薬、外用薬の価格帯集約についてどう考えるかとしております。
次に、後発品上市後から12年経過以降、原則1価格帯集約について、他の薬価改定ルールの適用により価格帯数が集約していない例を踏まえ、3価格帯集約とは別の、この取扱いを行う必要性についてどう考えるかとしております。
最後に、A評価を受けた企業品目に関する価格帯集約の特例について、要件を満たす品目については、価格帯集約を行わず、品目ごとの改定とすることについてどう考えるかとしております。
36ページからは、薬価の下支えでございます。
37ページは、令和6年から7年度における医療用医薬品の供給状況。
38ページは、基礎的医薬品に関するルールと令和7年度の実績。
40ページは、不採算品再算定に関するルールと過去の実績。
41ページは、これまでの不採算品再算定における特例的な対応の経緯でございます。
42ページは、令和6年度不採算品再算定を受けた品目の供給量が増加しているという資料。
43ページは、これらの品目の適正な価格で流通するよう求めた通知でございます。
44ページは、安定確保医薬品の概要。
45ページは、安定確保医薬品の見直しである供給確保医薬品・重要供給確保医薬品のカテゴリー分類案をお示ししております。
46ページは、不採算品再算定の要件について。
47ページは、後発医薬品の供給社数の状況。
48ページは、後発品業界各社の数量シェアをお示ししております。
49ページは、剤形区分ごとの最低薬価であり、50ページは、最低薬価の新規設定に関する考え方をお示ししております。
51ページ、論点でございます。
まずは、基礎的医薬品について、新たに令和6年度、令和7年度に不採算品再算定を受けた品目、安定確保医薬品Aの追加品目が基礎的医薬品となり得ることから、さらに基礎的医薬品の対象範囲を広げるかどうかについてどう考えるかとしております。
次に、不採算品再算定について、医療上の必要性が高い品目の考え方、その際に、平均乖離率を超える品目への不採算品再算定の実施の適否についてどう考えるかとしております。
最後に、最低薬価について、新たな剤形の設定も含めどう考えるかとしております。
52ページ以降は参考資料となっております。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○城山部会長
どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、御意見等ございましたら、お願いいたします。
江澤委員、お願いします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿って意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、14ページの長期収載品に関わる論点についてでございます。
今回は、後発医薬品への置換え率が高まっていることを踏まえ、長期収載品の価格引下げルールについては簡素化し、また、早期に適用することを御提案いただいたと受け止めております。
総論としまして、こうした方向性は、長期収載品への依存から脱却し、より高い創薬力を目指す方向にも合致していることから異論ありません。
ただし、必要な医薬品が安定的に供給されることを大前提とした上で進めるべきことであると考えております。
以上を前提といたしまして、各論についてコメントをさせていただきます。
まず、長期収載品の価格引下げルールについてでございます。
1つ目のポツのG1、G2ツールの適用が、原則として後発品市場後、10年を経過してからとなっていることについては、後発品置換え率が高まっている現状も考慮したZ2の在り方も踏まえ、10年の期間がどこまで短縮できるのか検討してはどうかと考えております。
2つ目のポツです。
G2ルールについては、現在適用されている品目数など、このルールの運用状況を確認した上で、継続の要否を検討すべきと考えております。
3つ目のポツにつきまして、Z2やCにおいて、後発品置換え率により引下げ率を2段階に設定することについても、同じく現行の運用状況を見た上で、一本化が可能かどうかを検討してはどうかと思います。
続きまして、4つ目のポツにつきまして、G1の適用が完了した長期収載品について、薬価に配慮する必要性の有無、例えば長期収載品メーカーが有していた有効性、安全性等に関する情報の提供義務などを確認した上で検討すべきと考えております。
次に、引下げの下限、円滑実施係数についてでございます。
12ページの資料では、両者の適用事例は極めて少数であり、これらのルールの必要性については、廃止する方向でやむを得ないものと考えております。
続いて、バイオ先行品への引下げルールの適用につきましては、特許期間終了後は、先発品の価格を引下げ、後発品に置き換えを進めていくというG1、G2の政策目標からすれば、バイオAGとバイオシミラーで、G1、G2の適用を区別する必要性があるのかどうか、この点については、事務局にお伺いしたいと思っております。
続きまして、25ページのAG、バイオAGに係る論点についてコメントをさせていただきます。
1つ目のポツ、バイオAGについて、医療保険財政的には、バイオシミラーを普及させる必要性があることは理解しておりますが、その一方で、臨床現場としては、バイオAGが選択されやすい素地にあると察しております。
この問題を解決するためには、バイオAGの価格に対し、一定程度価格を抑えたバイオシミラーの薬価を設定することが必要と考えております。
あくまで現行のバイオAGの薬価の設定を維持した上で、医療保険の持続や患者負担も踏まえて、どういった対応がふさわしいのか、事務局には御検討いただきたいと思っております。
24ページに、AGの収載によるシェアの推移が示されておりますが、AGと後発品の在り方自体が問われている問題と認識しております。
AGの薬価は、当然先発品より低く抑えられるべきであり、一方で、先発品企業へのライセンス料といった複雑な背景もあり、後発品との市場バランスを踏まえた対応は、幅広い視野で検討していくべき重要な課題であり、引き続き検討していくべきものであります。
また、後段については、企業間の契約であるために、客観的にAGであるか否かを判断することが困難ということですが、これは薬価で対応すべき問題なのか、あるいは薬機法等の関連する法規で対応すべきものなのか、その辺りの整理については、この点についても事務局にお伺いしたいと思います。
続きましてさ、35ページの後発品の価格帯集約に関わる論点についてコメントいたします。
今回は、価格帯を集約するルールに該当しづらい品目も出てきている実態を踏まえ、例外の存在を実態に即して認めてはどうかという提案がなされているものと理解しております。
1つ目のポツにつきまして、注射薬、バイオシミラーの品目数が少ないことを踏まえると、価格帯集約が行えない実態も理解はいたしますが、そもそも価格帯の集約を行ったのは品目数が多く、価格がばらついていることが後発品の普及を妨げている点にあったかと理解をしております。
したがいまして、単に価格帯の統一が難しくなったから元に戻すということではなく、例外的な扱いを認める必要性や、例外を許容できる取扱いなどの判断基準について、十分に検討した上で対応すべきと考えます。
したがいまして、最高価格の30%を下回る算定額となる後発品の価格帯集約や、内用薬、外用薬の価格帯集約の実施は維持すべきと思います。
次に、2つ目のポツにつきまして、G1、G2品目に関わる後発品について、後発品市場から12年経過以降、原則1価格帯とすることに関しても、実態がそぐわないから見直す方向が示されておりますが、付け焼き刃的な対応ではなく、今後に与える影響も含めて総合的に検討していただきたいと思います。
また、3つ目のポツにつきまして、令和6年度改定において、企業努力を反映するために試行的に導入されたA区分として評価された企業の後発品を価格帯集約とは別の価格帯とすることについては、異論ございません。
最後に、51ページの薬価の下支えに係る論点についてコメントいたします。
まず、基礎的医薬品の対象範囲ですが、過去に不採算品再算定を受けた品目についても対象とされているところ、令和5年度から7年度の薬価改定にかけて、3回連続で不採算品再算定の範囲を拡大しているところですので、その影響を踏まえた上で検討する必要があろうかと思います。
次に、不採算品再算定についてでございます。
1つ目のポツにつきまして、以前に業界ヒアリングなどでも議論があったところですが、不採算品再算定の対象となっても、供給状況が悪化している品目もあり、その原因は原材料費の高騰のみならず、他社製品の動向や製造上のトラブルなど、医薬品の供給不安には様々な要素があり、採算面だけで供給不安が生じているわけではないということでございました。
そうしたことも踏まえますと、不採算品再算定の対象については、臨床現場のニーズも踏まえた上で、供給改善に効果的に資する範囲で検討するのがよいと考えております。
なお、平均乖離率を超える品目については、流通の改善を図る取組を継続していくべきであり、再算定の対象とする必要については全くないと考えております。
2つ目のポツについて、撤退予定の企業からの要望を不要とすることについて異論ございません。
また、撤退するのであれば、不採算品再算定についても適用する必要はないのではないかと思っております。
一方で、資料にありますように、後発医薬品1成分に対する供給者数が多い状況を踏まえますと、企業の要望は一定以上のシェアを要件とすることは検討する必要があると考えております。
最後の最低薬価について、現在は対象となっていない剤形について要望があることは理解いたしましたが、実勢を勘案し、必要性について詳細な検討が必要かと思っております。
私からは以上でございます。
○城山部会長
ありがとうございました。
幾つか御質問もあったかと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
バイオAGとバイオシミラーとの区別が必要かということなのですが、バイオシミラーは臨床試験を行いまして、有効性、安全性については先行品と同等同質という確認がされておりますので、承認されている範囲内では、バイオ先行品と変わり得るかと考えております。
あと、AGのほうで、ケミカルの場合は、企業のほうから契約されているかどうか、第三者で分かりにくいと書いております。これは薬事の問題かというところでございますが、薬事のほうも、個社の状況までは分からないと思います。ただ、薬事法上のところで、生物学的同等性という試験が普通ジェネリックに課せられます。ただ、バイオAGの中で先発品と全く同じものを小分けするというものは、製品までは全く同じでございますので、これは免除されております。これが一応添付文書等から見られますので、こういうものについては、一部我々としても判断ができるというものになっています。
あとは、あるとすれば、先発品の特許期間中という期間の中に、後発品を薬価収載する、あるいは承認されるという手続がなされる場合については、これは個社の間で許諾が得られているということが分かるものでございます。ただ、全てが分かるような状況ではないというものでございます。
以上でございます。
○城山部会長
江澤委員、お願いします。
○江澤委員
ありがとうございます。
まず、1点目の質問は、バイオAGとバイオシミラーでG1、G2の適用を区別するべきか、同じとしていいのかという質問でございましたので、よろしくお願いします。
○清原薬剤管理官
すみません、私、中途半端でございました。申し訳ございません。
我々としては、同じでもよろしいかなと思っています。先ほど説明したような形で、臨床上では同じという形で承認をされているということですので、適用してもいいかなと思っております。
○城山部会長
どうぞ。
○江澤委員
そうであれば、また、G1、G2の適用について、引き続きそういった観点で御検討いただければと思います。
後段については、やはりいかに透明性を確保していくかということが重要なので、どこが責任の所掌の会議体であるかどうかとか、どこの担当なのかということよりも、いろいろ実際に患者さんの体内に入っていく薬剤ですから、その辺りの審議というのは大変重要なので、しっかりとその辺りの透明性が確保できるように、前向きに取り組んでいただければと思います。
○城山部会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
論点に沿って幾つかコメントをさせていただければと思います。
まずは、14ページ目の長期収載品に係る論点についてですが、8ページ目のG1、G2ルールが導入された当時と現在では、後発品の使用環境が大きく異なっているのではないかと思います。
また、長期収載品の選定療養の施行により、後発品への置換えが進んでいること、製薬産業の構造転換を推進する観点から、Z2、G1、G2、Cルール全体を見直して、シンプルなルールに見直すタイミングが来ているのではないかと考えております。
具体的には、例えば、G1、G2ルールを一本化した上で、段階的な引下げ期間や引下げ率の見直しなどが考えられると思います。
ただし、安定確保医薬品AとB、また、その他、特に安定供給が求められるような医薬品については、別に考えてもいいのではないかと思います。
重要なことですけれども、これらの見直しを進めるに当たっては、特許期間中の革新的新薬のイノベーションの評価とセットで行うべきと考えます。
また、バイオ先行品についても特許が切れた新薬の適正化を図るという観点から、バイオAGの収載の有無にかかわらず、引下げルールの適用を検討すべきと考えます。
検討に当たっては、化学合成品との違いを踏まえて、どのようなルールとするのがいいかということは、慎重な検討が必要であると考えます。
次に、25ページ目のAG、バイオAGに係る論点についてです。
AGは、先発医薬品メーカーの許諾のもとで製造されるため、後発医薬品の使用促進の当初は、後発医薬品の使用に不安を抱く患者に勧めやすい製品で、AGならではの役割を果たしてきたところですが、24ページ目にあるように、AGのシェアは後発医薬品に比べて大きく、先発医薬品企業は特許期間中研究開発投資を回収し、後発医薬品の上市後は市場から撤退し、後発医薬品企業に安定供給等の役割を譲るという目指すべき医薬品のライフサイクルに鑑みると、これらの状況などを踏まえた、AGの在り方を検討する必要があると考えます。
次に、35ページ目の後発医薬品の価格集約に係る論点についてです。
論点の2つ目については、企業区分のような他の薬価改定のルールにより、価格帯数が増加していることを踏まえると、価格帯集約の在り方の検討を行う必要があると考えます。
また、後発医薬品については、価格帯の多さが課題となり、価格帯を集約した経緯がありますが、現在、安定供給に係る企業指標が導入され、努力している企業や安定供給に取り組む企業が市場での評価が反映されるような形にすべきと考えます。そのため、3つ目の論点については賛成いたします。
次に、51ページ目の薬価の下支えに係る論点についてです。
安定確保医薬品Aの追加など、必要と考えられるものについては、基礎的医薬品とすることに異論ありません。
安定確保医薬品Aのみならず、Bについても検討の余地があると思います。
また、最低薬価は医薬品の安定供給確保のために設けられたものであり、剤形を問わず設定していく方向で対応をお願いできればと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
ありがとうございました。
基本的には御意見ということでよろしいでしょうかね。
ほかは、いかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
本日のテーマにつきましては、医薬品のライフサイクルという観点で言いますと、中盤以降の対応になると思っております。
先発品から後発品、先行品から後続品にしっかり置換えをしつつ、医療現場で真に必要な医薬品の薬価を支えることで、国民皆保険の持続性と安定供給の確保を両立する、このバランスが重要だということでございます。
それでは、各論点についてコメントしたいと思います。
まず、14ページの長期収載品についてでございますが、8ページの全体像に示されているとおり、最初は「価格差をもって後発品への置換えを進める期間」があり、その後は「長期収載品の薬価を引き下げて新薬メーカーに市場から撤退してもらう期間」になると認識しております。
最初の置換え期間については、現在は10年間でございますけれども、昨年10月からは5年たてば後発品が一般化しているという判断のもとで、選定療養が導入されました。
したがって、今後は後発品への置換え期間は5年間と認識し、そこから先は、後発品価格まで薬価を引き下げる期間に入るのが自然と考えられ、そう考えますと、Z2は廃止すべきだと考えております。
これに併せて、選定療養の負担を後発品との価格差の今の4分の1から拡大し、患者にインセンティブを効かせつつ、後発品の増産準備を早期から進めていただき、新薬メーカーが速やかに長期収載品の依存から抜け出せるようにすべきだということでございます。
次に、G2の扱いですけれども、後発品が普及している現状では、時間をかけて価格差を縮小し、なおかつ最終的に、まだ、一定の価格差を残す必要性は乏しく、価格差が2.5倍以下の場合に適用するCと同様に、一定率で薬価を引き下げることもあり得ると考えております。
また、価格差による置換えを5年間で終了した後は、必ずしも薬価の逆転を防止する必要性はないと考えます。
さらに、特許期間中に投資を回収する考え方に立てば、特許切れから5年以降まで長期収載品による収益の減少に配慮する必要性もないと考えております。
そのため、現在の下げ止めや円滑実施係数については、もう廃止すべきだと考えております。
バイオ先行品につきましては、バイオシミラーへの置換えが一定程度進んでいるものもありますので、バイオAGが収載されている場合だけでなく、G1ルールを適用すべきだと考えております。
続きまして、25ページにありますAGに関してでございますが、まず、バイオAGは、実質的には先行品と同じ製品で、むしろ先行品とは似て非なるバイオシミラーと同じ扱いをすることには違和感を感じております。
したがいまして、バイオAGの薬価の扱いについては、先行品と同じとすべきだと思います。
次に、化成品のAGにつきましては、客観的な判断が困難というコメントがありましたけれども、技術的な課題をしっかり検討していただきたいですが、基本的には長期収載品と同様に扱うべきです。
また、新薬メーカーはAGの発売がほぼ確実に予見できると思いますので、長期収載品の取扱いを工夫することもあり得ると思っております。
続きまして、35ページにあります価格帯の集約についてですが、そもそも品目数が多いことが議論の発端だと思いますけれども、品目数の少ない注射剤やバイオシミラーは、価格帯を集約する必要性が乏しいですけれども、品目数の多い内服薬と外用薬は現行の取扱いを継続すべきと考えております。
また、次は、G1、G2の後発品を原則1つの価格帯に集約する仕組みについては、長期収載品に代わって後発品を増産する動きにつながらないのであれば、廃止に異論はございません。
企業指標に基づく特例につきましては、安定供給の確保や産業の構造転換への影響を注視しつつ、試行は継続すべきだと考えております。
最後に、51ページの薬価の下支えについてですけれども、安定確保医薬品の見直し等を踏まえまして、基礎的医薬品や不採算品再算定の対象品目を検討することには異論ございません。
ただ、不採算品再算定につきましては、臨時的な特例を繰り返すのではなく、一度本則としての考え方を整理すべきだと考えます。
その際には、下支えの仕組みが薬価差益の調整弁になる懸念もありますので、平均乖離率を超える品目については、対象から除外するということは明確化すべきです。
この関係で1つ質問がございますけれども、全企業が要望を提出する要件について、どういった企業が逆に要望を提出しないのか、実態が分かれば、後ほど教えていただきたいと思います。
最後に、最低薬価につきましては、令和7年度の引上げの際にも、「物価上昇等に連動して自動的に引き上げるものではない」と指摘させていただいておりますけれども、その認識は今も変わっておりません。剤形の追加も含めまして、データに基づいて慎重に判断すべきと考えております。
私からは以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
御質問の部分がありましたので、事務局、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
不採算品再算定における全社手挙げ方式で、手を挙げない企業についてということで御質問があったと思います。
恐らく多くは、個社の優先度の話ですが、多くは撤退を考えているという形で、不採算をして安定供給までは考えていないという企業が多かろうかと思っております。
以上でございます。
○城山部会長
よろしいでしょうか。
○松本委員
ありがとうございました。
○城山部会長
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
まず、長期収載品の価格引下げルールにつきましては、特許期間が終われば、後発品に市場を譲るという考え方のもと、選定療養制度の導入により、後発医薬品の使用割合がさらに増加している状況を踏まえ、論点に記載されているように、価格引下げを前倒して、例外なく進めていけるように見直しを進めていくことには賛成です。
また、オーソライズド・ジェネリックやバイオAGにつきましては、後発医薬品やバイオシミラーの市場における健全な競争を守ることは、最終的に患者さんの自己負担の軽減につながることから、特別な対応を検討していくべきだと考えております。
また、価格帯集約につきまして、企業指標のA区分について、さらに特別扱いをしていくという方針には賛成です。7月のヒアリングでも業界から企業指標をうまく活用し、A区分の企業を増やしていきたいといった趣旨の御発言があったものと認識しており、当方も同じ意見です。
最後になりますが、不採算品再算定につきましては、論点に記載されている課題があることは理解するものの、これまで何度も適用している中で再算定を行った品目の供給量は実際に増加しているのか、42ページにあるような合計ではなく、企業別や品目別のように、もう少し詳細を確認した上で、その在り方を議論していくべきと考えております。
今後、再度の業界ヒアリングがあると思いますので、詳細なデータが示されることを期待したいと考えております。
以上です。
○城山部会長
御意見ということでよろしいですかね。どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか
佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
長期収載品と薬価の下支えに関する論点について申し上げます。
長期収載品について、長期収載品依存から、より高い創薬力を持つものへ転換する方向性に異論はございませんが、G2は、後発品への置換えが困難であり、市場からの退場が困難な長期収載品が適用されているとのことですので、患者への影響については見ていく必要があると考えます。
薬価の下支えについて、不採算で生産や流通に支障が出ることのないよう、安定供給の確保と国民負担の軽減双方の観点から、業界の意見を踏まえつつ、適切な見直しを図る必要があると考えております。
私からは以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
もし、専門委員のほうからも御意見等ございましたら、お願いいたします。
藤原専門委員、お願いします。
○藤原専門委員
発言の機会を賜りまして、ありがとうございます。
私から長期収載品に係る論点と、薬価の下支えに係る論点について幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
スライドの14ページ、長期収載品に係る論点でございます。
先発品企業にとっては、大変厳しい内容が含まれていると認識しております。長期収載品から後発品への速やかな置換えを行うことに異論はございませんけれども、その際には、特許期間中の薬価維持に向けた検討を確実に進めていただくとともに、後発品の安定供給に支障を来さない形で御対応いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
次に、スライド51、薬価の下支えに関する論点でございます。
まず、物価上昇等の影響につきましては、全ての医薬品に多大なる影響を及ぼしております。国民の健康を支える医薬品を継続的に届けるためにも、ぜひ、物価上昇分等を適切に薬価へ反映する仕組みの構築について、御検討をお願い申し上げます。
その上で、基礎的医薬品については、対象範囲の拡大をお願いしたいと考えております。
具体的には、収載後15年未満であっても、不採算品再算定が適用された品目や、基礎的医薬品の薬理作用類似薬として収載される品目、また、薬機法改正により、重要供給確保医薬品として位置づけられる安定確保医薬品、カテゴリーBに該当する成分などについても対象としていただくよう御検討をお願い申し上げます。
最後に、不採算品再算定についてでございます。
2ポツ目に記載のあります類似薬に係る全ての企業が要望を提出する要件につきましては、安定供給の中心を担う品目が、不採算品再算定を希望した場合には適用しないなど、柔軟な対応を御検討いただけますと幸いでございます。
私からは以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、ほかに意見もないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとして、今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえ、御対応いただくようお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡させていただきますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。