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- 2025年10月29日 中央社会保険医療協議会 総会 第623回議事録
2025年10月29日 中央社会保険医療協議会 総会 第623回議事録
日時
令和7年10月29日(水)薬価専門部会終了後~
場所
航空会館 7階大ホール
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 飯塚敏晃委員
- 笠木映里委員
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 城山英明委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 高町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 茂松茂人委員
- 江澤和彦委員
- 黒瀬巌委員
- 池端幸彦委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 小松和子専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 薬価基準から削除する品目について
- 入院について(その3)
- 個別事項について(その4)移植医療
- 医療機関を取り巻く状況について
議事
○小塩会長
それでは、ただいまより第623回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、鈴木委員、伊藤委員、岡本専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこのあたりとさせていただきます。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに「薬価基準から削除する品目について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長です。
資料総-1を御覧ください。
薬価基準から削除する品目について御報告をいたします。
医療上の需要がなくなる等の理由により、製造販売業者が供給の停止、それから薬価基準からの削除を希望する場合には、製造販売業者から提出される事前報告書等に基づきまして、厚生労働省において、関係学会の意見を聞いた上で、薬価削除等の可否を判断しているところでございます。
昨年の8月には、薬価削除の手続の明確化が行われておりまして、この手続においては、薬価削除に係る経過措置告示の約1か月前に中医協に御報告することとされております。
今回の報告の対象期間につきましては、昨年の12月1日から今年の9月12日までに薬価削除願いが提出されたものとなっております。
別添に506品目掲載しておりますけれども、これらにつきましては、関係学会から薬価基準からの削除について了承が得られ、厚生労働省においても削除して差し支えないと判断した品目でございます。
この506品目の内訳につきまして、このうち468の品目につきましては、薬価削除後も同一の成分のほかの医薬品が存在するものとなっております。
残りの38につきましては、成分単位で削除されるものではございますが、他の成分での代替薬が存在するなどの理由によりまして、関係学会から了承が得られているものでございます。
この506品目につきましては、11月頃をめどに経過措置に移行する予定でございます。経過措置期間は来年の3月末までとさせていただいております。
御報告は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
薬価基準から削除する品目に関しては、異論はありません。ただ、今、事務局からの資料の総-1の左下に書いてありますけれども、今回削除する品目の経過措置期間が来年の3月末ということになっています。
正直、11月に経過措置に移行して3月末までに期限を迎える、それ以後使えなくなるというのは、現場感覚とすると、かなり短過ぎると思います。
今年、薬剤師会で調査した中で、一薬局平均1,300品目ほどの医薬品を備蓄していました。その中で約2割の医薬品が半年間使われていませんでした。経過措置を過ぎると使用できなくなり、結果的に残薬は薬局と医療機関の負担になるとともに、使われずに捨てられるということは、医薬品の無駄ということにもつながります。
また、現在、安定供給に大きな支障を来している中に、今日入っている品目の中でも限定出荷となっているものもあるのではないかと思います。
そういうことを考えますと、国民への必要な医薬品へのアクセスの観点からも、経過措置を延ばしていただきたいこと。
それから、以前もお願いしましたけれども、経過措置期間については、最終ロットの使用期限までにしていただきたいと思います。また、医療機関、薬局で経過措置のため残薬となり、最終的に使えなくなったものに関しては、企業から回収することも検討いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま御要望ございましたが、事務局はいかがでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長です。
今回、品目数も多くなっておりまして、品目ごとに状況は異なってくる部分があると思いますけれども、まず、この11月告示の品目につきましては、一旦来年3月末までとさせていただいているところでございますが、先生御指摘の使用期限ですとか、あるいは市場の流通の状況などを踏まえまして、延長が必要な場合には、製造販売業者からの申出をいただきまして延長することが可能としておりますので、また、製造販売業者とよく話をしていきたいと考えております。
○小塩会長
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
今回は令和8年3月末という期限を設定することに関しては承知しました。ただ、製造販売業者の判断できちんと延ばせるようにしていただきたいこと。それから、次回からは、この短い期間で設定するのかどうかというのは十分に検討していただきたい。はっきり言えば、変えていただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
続きまして「入院について(その3)」を議題といたします。
事務局より資料が退出提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
事務局です。医療課長です。
総-2「入院について(その3)慢性期入院医療・身体拘束」についてでございます。
時間が押しぎみでございますので、恐縮ですけれども、非常に簡略な説明をさせていただきたいと思います。
2ページが目次となってございます。
そして、そこから15ページまでは、おおむね既存の資料でございますので、説明を割愛させていただいて、16ページから個別の論点等に関して御説明させていただきます。
17ページが「療養病棟における医療区分2・3の算定日数」ということで、現行の基準をどのような形で満たしているかを示しています。
18ページ~21ページまで、前回の改定で医療区分2・3の定義に一部変更がございましたけれども、どれぐらいの患者さんが、それらの定義を満たしているかということをお示ししているものでございます。
22ページ、23ページが、療養病棟入院料の1と2における医療区分ごとの医療資源投入量を表したものでございます。
24ページは、処置の医療区分につきまして、このようなものがございますけれども、感染症の治療、創傷処置といったものを一旦ここで定義させていただいて、それらを両方満たす方が、どういった医療資源投入量になっているかというのを見たのが25ページでございます。
請求点数については、同じような医療区分でございますので、おおむね同じでございますけれども、右側にあります、包括内出来高点数で見ますと、この2つを両方持っていらっしゃる患者さんというのは高いという結果になってございます。
26ページからが「経腸栄養や摂食嚥下機能回復の取組について」でございます。
27、28が、これまでの改定の概要、そして、29ページが療養病棟において、栄養管理、経鼻経管栄養、中心静脈栄養等を受けていらっしゃる患者さんの割合です。
30ページが、届出状況となってございます。
31ページ、32ページが、これらの加算の届出が難しい理由等をまとめさせていただいてございます。
33ページ、論点でございますけれども、療養病棟入院基本料の医療区分につきましては、医療区分2・3の患者の割合、それから例示したような異なる治療を行う病態が重複した場合の医療資源投入量、こうしたものを踏まえて、評価の在り方についてどのように考えるか。
そして、経腸栄養等につきましては、経腸栄養管理加算や摂食嚥下機能回復体制加算について、実績要件等の施設基準についてどのように考えるか、このようにまとめさせていただいております。
続いて、障害者施設等入院基本料と特殊疾患病棟入院料についてでございます。
42ページまでが、現状の評価や病床数などをまとめたものでございます。
43ページが、対象疾患ごとの該当の割合を表しております。
44ページが、現行の評価の複雑な内容をできるだけ簡単にまとめたものでございまして、障害施設等入院基本料で、基本的には出来高の病棟でございますけれども、黄色で書かれている患者さんにつきましては、療養病棟入院基本料に準じた体系で評価をすることとなってございます。
45ページは、障害者施設においても、療養病棟においても廃用症候群の患者さんが一定程度入院されているというデータ、そして46ページ、それらの患者さんの状況が大きくは変わらないというデータでございます。
47ページは、御参考として肢体不自由の定義、障害者施設入院料に入院される基準となっている部分の定義についてお示ししております。
48ページでございますけれども、課題と論点として、主たる病名が廃用症候群である患者さんの入院が多い中での評価の在り方といったことを挙げさせていただいております。
49ページからが身体拘束についてでございます。
50ページ、51ページ、52ページは現行の評価の内容、そして、53ページ、54ページが、前回の改定で設けられた指針の策定といったことの現在の状況を表しております。
55ページが、認知症ケア加算の概要でして、身体的拘束を実施した日は減算をするということになっております。
また、56ページ、この算定の状況の中で身体拘束を実施した割合の推移を併せて表しております。
この後、身体的拘束の実施状況等でございますけれども、58ページ~60ページ、実施状況の可視化に関する取組や、診療報酬上の評価について表しております。
61ページが、入院料ごとの身体的拘束の実施状況でございますけれども、一部の病棟におきまして、非常に高い割合で身体的拘束が行われている病棟があるということでございます。
62ページが、回リハ病棟の求められる役割、そして、63ページが、入院料ごとの身体拘束の時間となってございまして、常時、四肢・体幹の抑制が行われているという部分が赤くなってございます。
64ページが、身体拘束の実施理由として、ライン・チューブ類の自己抜去防止や、転倒・転落防止が多いというデータ、そして、65ページが入院料ごとの身体拘束の実施日数で、7日中7日というのが濃い青で示されてございます。
66ページが、患者の状態別の身体的拘束の実施の有無。
67ページは、入院料ごとの認知症の有無ということで、68ページが、認知症の有無ごと、そして患者の処置ごとの身体拘束の実施率ということでございます。認知症ありや、の様々な処置があるものが多くなってございますが、69ページを御覧いただきますと、そうしたカテーテルなどと認知症がある患者さんであっても身体拘束が非常に少ない病棟、あるいはそういったものがない患者さんでも身体拘束が非常に多い病棟があるという内容でございます。
70ページからが、身体拘束を減らすための取組ということで、71ページ、72ページが、介護施設向けの資料でございますけれども、医療機関で取り組んでおられる方々でも身体拘束を減らされている方については、同じような取組をされているという認識をしておりまして、73ページ~76ページに、そうした事例を載せております。
また、77ページが、現在取り組んでおられる内容について医療機関のほうにお伺いをした内容ということでございます。
79ページ、論点でございますが、認知症ケア加算の算定につきまして、身体的拘束を実施した日の評価の在り方、また、身体的拘束の最小化に向けた取組について積極的に取り組んでいる施設の評価、また、回復期リハビリテーション病棟や療養病棟で身体拘束を実施した場合の評価、こうしたことを論点として挙げさせていただいてございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、33ページの療養病棟入院基本料に関わる論点についてでございます。
最初の○の医療区分の論点のうち、1つ目のポツでは、入院料2における医療区分2・3の患者割合に着目されていますが、2040年に向けて、医療と介護の複合的ニーズを有する85歳以上の高齢者の増加が見込まれ、診療報酬上の基準を厳格化することにより、医療提供体制に支障を来さないようにすることが肝要であります。
仮に患者割合を見直すことを検討するのであれば、経過措置の設定は必須であること。また、医療区分の処置等には、発熱や嘔吐を伴う状態に限るもの、連続する測定が3日間に限るものなどの要件があり、同一の患者さんの医療区分が、状態により日々変わることは珍しくなく、患者割合を引き上げた場合には、一時的に基準を満たさなくなることもあり得るかもしれないので、一時的な逸脱に対する救済措置なども検討する必要があろうかと思います。
続きまして、2つ目のポツにつきまして、処置区分2の項目が複数重複した場合には、医療区分2から医療区分3に該当するように評価を引き上げるべきと要望いたします。
続いて、2つ目の○については、論点にも示されているとおり、経腸栄養や嚥下機能の回復について積極的に取り組んでいる医療機関が適切に評価されるようにするためにも、中心静脈栄養の実施に係る要件については、緩和すべきでございます。
続きまして、48ページの障害者施設等入院基本料等に係る論点についてコメントいたします。
10対1から15対1の障害者施設等入院基本料において、廃用症候群の患者割合が多く、療養病棟と類似していることが指摘されております。
しかし、障害者施設等入院基本料の該当患者は、身体障害者障害程度等級の1級、2級相当とされており、脊髄損傷などの障害が固定した状態にあり、廃用症候群からの回復が困難な場合も多く、一方で、器質的障害のない廃用症候群は、ときを経てもしばしば改善するなど、同じ廃用症候群にであっても病態により異なるため、評価の在り方については、より詳細な分析が必要と考えております。
また、本日の論点にはございませんが、障害者病棟は、他の病棟に比べて、介護の必要度が極めて高く、平均在院日数も著しく長いにもかかわらず、看護補助加算の評価が高くない上に、算定期間が30日以内に限定されております。
期間限定に関しては、一部の急性期病棟では導入されていますが、その他の一般病棟や地域包括ケア病棟では、算定期間が限定されておらず、障害者病棟の特性を踏まえて、看護補助加算の評価を高めるとともに、算定期間の限定を廃止する見直しを行うべきと要望いたします。
続きまして、79ページの身体拘束の最小化に係る論点についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の○の認知症ケア加算の算定についてでございます。
56ページを見ますと、特に認知症ケア加算1においては、前回改定で減算割合が4割から6割に引き上げられたことで、身体拘束が4%減少したことが記載されております。
これは、前回改定における認知症ケア加算の見直しが有効であったことを示しており、さらには入院料の通則により、身体的拘束を最小化する取組の強化の改定もなされており、医療現場では、身体的拘束を防止するための変革が起きており、現状の仕組みのまま今後の推移を見ていくことが重要であることを申し上げます。
続いて、2つ目の○について、今回の資料に示されているような身体的拘束を予防し、最小化するための様々な好事例を参考に、個々の医療機関が、管理者が主体となった意識醸成や組織風土の構築、あるいは委員会の設置、院内ラウンドの実施、カンファレンスの実施、職員研修の開催、アドバイザーの招聘などに取り組むことを推進することが重要であり、そうした取組が積極的に推進されるような評価を行うことも検討する必要があるかと思います。
3つ目の○についてでございます。
最初のポツでは、回復期リハビリテーション病棟において、比較的身体的拘束を実施している病棟が多いことが指摘されております。
これについては、過去の入院外来分科会でも指摘されたことかと思いますが、回復期リハビリテーション病棟において、身体的拘束を実施している患者さんは、脳梗塞や心原性脳塞栓症を主病名とする患者さんが多く、例えば、片麻痺になった場合に、これくらいはできるだろうと思って、転倒されてしまうケースなどがあります。そういった危険性もあるため、やむを得ず、身体的拘束をせざるを得ない事情が背景にはあります。
そして、御注意いただきたいのは、ここで言う身体的拘束には、抑制帯等で物理的に四肢を固定するようなものではなく、クリップセンサーや離床センサーといった、むしろ患者さんが動けることを前提に、未然に転倒、転落を防止する見守りのために行っているものも含まれているところです。
実際、63ページのリード文のところでは、回復期リハビリテーション病棟では衣服などに装着して患者の離床等を把握するクリップセンサー等を使用している割合が高かったと記載されております。
したがいまして、クリップセンサー等については、身体的拘束に該当しないとすることも一考の余地があると考えております。
2つ目のポツについては、認知症の有無やデバイスの有無にかかわらず、施設によって身体拘束の有無に差があることが指摘されておりますが、身体的拘束がなされている患者さんの状態、認知症の程度や使用しているデバイスなども施設によって異なると思いますので、その辺りをもう少し詳しく見てみないと、これだけではなかなか判断が難しいかと思います。
68ページには、療養病棟における認知症有無別の処置ごとの身体的拘束実施率が示されていますが、最近の傾向として、胃瘻よりも経鼻経管栄養あるいは中心静脈栄養を希望されることが増えていることも背景にあり、身体的拘束に対してどのように取り組んでいるかなどの、より詳細な分析が先決と考えております。
私からは以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を求めることにつきまして、御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます、池端でございます。
私も論点に沿って何点かコメントをさせていただきたいと思います。
まず、33ページの療養病棟入院基本料に係る論点ですが、1つ目の○、療養病床入院基本料の医療区分に関しては、前回の令和6年度に合計30区分に大きく見直されました。資料を見る限り、療養1、2とも医療区分2・3の割合は若干増加が見られるものの大きな変動はなく、前回の見直しについては、さほど大きな影響なかったと推察されるかと思います。
また、17ページにありますように、療養2においても医療区分2・3の割合が6割を超える医療機関が98%以上あるということから、療養2の医療区分の基準5割を一定程度上げるということ、例えば、6割に上げるということについては、調査の結果からは一定程度の整合性があることは理解できます。
ただ、一方で、18ページ以降にありますように、療養2の平均稼働率は、療養1に比べて1割以上低くなっており、かつ療養病棟においては療養1も2も看護配置基準は、同じ20対1であることを鑑みると、ただでさえ非常に厳しい経営状況にあることは間違いなく、もしも今回、この施設基準を大きく見直すことであれば、それに対応できず、突然病棟や病院がなくなったり、入院患者の行き場所がなくなることだけは避けなければいけないと思いますので、十分な聞き取りをした上で、一定期間の経過措置等の準備もぜひお願いしたいと思います。
次に、2つ目の論点である医療区分2の中で複数の項目を併せ持つ、いわゆる高齢者のマルチモビリティ、多疾患併存状態の患者さんが、この療養病床に多く入院されています。
25ページのグラフで明らかなように、医療資源投入量に明らかな差が見られているということから考えても、このような状態の患者像に対して、何らかの新たな加算もしくは医療区分3の評価をいただくことは妥当ではないかと考えております。
2つ目の療養病棟における経腸栄養に関する取組、あと、在宅復帰に関する取組についてですが、まず、中心静脈栄養の1か月実施が、実施要件になっていることについての緩和については、そもそもこの栄養管理とか嚥下訓練を推進するという趣旨からすれば、理にかなった対応ではないかと思いますので、是非ともお願いしたいと思っております。
また、今回の論点の資料にはありませんが、入院して一定期間治療をしながら、やはり地域へ帰っていただく、つまり在宅復帰を目指すという機能は、療養病棟といえども病院の機能ですので、非常に重要ということで、在宅復帰に対する新たな評価等々も考えていただければ、ありがたいことかと思います。
次に、48ページの障害者の論点に関しては、以前に特殊疾患と療養病床の整合性を図ったことがあります。江澤委員がおっしゃったように、廃用症候群と療養病棟が、ほぼ医療資源投入量もあまり変わらないとなれば、一物二価になる可能性はあります。
ただ、やはり障害者病棟は、それぞれの疾患によってかなり違った対応もしなくてはいけないこともあり得るということなので、もう少し精緻に、内容そのものはしっかり把握しながら、一律に廃用症候群と言っても長期に廃用症候群になってしまっている場合と、そうではない場合もあるかと思いますので、その辺もしっかり検証しながら議論を進めていただければと思っています。
次に、身体拘束に関してです。
身体拘束に関しては、特に私ども慢性期医療を担う病院協会としては、以前から取組を推進していた立場からも、ぜひこの推進も進めていただければと思っています。
一方で、身体拘束の好事例もいろいろ上がっていますが、デバイスがあったり、認知症があったりということを、頑張って頑張って拘束を外そうと思うと、何が一番大変かというと人手がかかるのです。特に夜勤帯に2人、3人の夜勤で、40人、50人を見るときに、かなり苦労することと、それと、御家族に御理解いただくこと、リスクも含めて御理解いただくことは非常に大変な手間もあります。だから一概に、これだけできるねということは言えないところも、ぜひ御理解いただきたい。
でもその上で、推進することは私としてもやぶさかではないと思っています。1つ目の○の認知症ケア加算についても、非常に有効なデータが出ていますので、引き続きこの状況で継続していただくことは、いいのではないかと思っています。
2つ目の好事例を参考に推進することもいいと思いますが、先ほどの、実は人の手間が非常にかかるのだということも御理解いただいて、ケースによって、一言に認知症と言っても、本当にちょっと目を離すとすぐ柵を外してしまったり、うろうろ廊下に出ようとして転倒したりということもある。デバイスがなくてもそういうことはあり得るので、そういうこともあるということで、100%そこを外せるということではないということも御理解いただけるとありがたいと思います。
それと、先ほど江澤先生からありましたように、回リハ等も含めてですけれども、身体的拘束と身体拘束の違い、身体的拘束の中で、身体又は衣服に直接触れるものが身体的拘束だけれども、例えば、先ほど言ったクリップセンサーなどは、むしろ、それをつけることによって、身体拘束をなくす、どんどん活動を上げていくこともできる。そういったものもありますので、単に衣服に触れているか触れていないかだけで判断ではなく、もう少し身体的拘束の定義も見直していただくと、より本当の意味の身体拘束をなくすことができるのではないか、そういうことも、ぜひ併せて御理解いただければと思っています。
以上、私のほうからコメントをさせいただきました。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からも、今、池端先生、江澤先生がおっしゃられましたけれども、この身体的拘束の定義というものに関しては、今回の改定でぜひとも見直しをいただきたいということだけ触れさせていただきたいと思います。
50ページに、診療報酬上、今、使われている身体的拘束の定義が示されております。多分、お話を聞かれていらっしゃる方は、何でこれが身体的拘束になるのだと思われるのだと思います。本当にモニタリングのための服につけるためのセンサーのデバイスが、この定義でいうと、「患者の身体または衣服に触れる何かしらの用具を使って使用して」に触れてしまうのでということで、これが、今、非常に大きな問題になってございます。
当然、これは見守りセンサーだとか、睡眠センサーだとか、離床センサー、いろいろなものを使って、患者さんを縛りつけないような形で、各現場は頑張っているのですけれども、衣服につけるデバイスだけは、とにかくこの定義一本で駄目ですという扱いが診療報酬の解釈上されておりますので、これに関しては、今回の改定でぜひとも見直しをいただきたいということだけ、強く要望いたします。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、先ほど江澤委員から看護の観点からの発言を専門委員からお願いしたいという御要望がありましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
療養病棟入院料におきましては、常時管理が必要な疾患、状態の患者さんや処置等も増えており、資料にもあるとおり、そうした要素が複数重なった場合には、特に医療資源投入量が増え、連動して看護ケアの必要性も増しております。
評価の在り方については、重症度の高い患者の受入れや、そのために必要な体制を整備している病棟について、適切に評価していくことが重要と考えております。
次に、資料の79ページの論点にあります、身体的拘束の最小化に向けた取組について、意見を述べさせていただきます。
資料の66、68ページを見ますと、認知症がある場合や、デバイスや処置を要する場合に、身体的拘束の実施率が高い傾向がありますが、69ページの左上のグラフでは、デバイスありで、認知症ありの患者に対しても、身体的拘束0%を実現している病棟が3割あり、手厚い見守りや様々な工夫が行われているものと考えられます。
令和6年度診療報酬改定で、身体的拘束最小化の基準が、入院料の通則に入ったことも後押しとなり、急性期から回復期、慢性期まで、より多くの病院で身体的拘束最小化の取組が進められているところです。
実際に身体的拘束を減少させる上で、環境づくりや医療処置の方法を見直すなど、具体的な工夫と併せて、周知や意識改革をいかに組織的に行っていくかが非常に重要です。
75、76ページの事例でも、様々な職種や部署で意識を統一していくための横断的な取組を、非常に丁寧にプロセスを踏んで実施している様子が見て取れます。
看護師をはじめとした数百人規模のスタッフをまとめていくために、看護部長や看護師長などの、看護管理者が非常に御苦労されていると聞いており、身体的拘束の最小化に積極的に取り組んでいる施設をより手厚く評価することが、こうした取組を広げていくために重要と考えております。
また、身体的拘束の定義につきましても、御検討いただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、1号側の委員の御意見を伺います。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
療養病棟につきましては、経過措置も終了し、介護療養病棟との棲み分けに一定の区切りがついたと思いますので、在宅医療や介護施設との役割分担をし、医療の必要性が高い患者が入院する病棟であるという位置づけをより明確にすることや、前回改定で医療区分を疾患・状態と処置に分けて入院料体系を精緻化したことを踏まえまして、患者の状態や医療資源投入量をより反映した、メリハリの効いた評価にすべきと考えております。
それでは、まず、33ページの療養病棟入院基本料についてですけれども、資料の17ページを見てみますと、先ほど来、ほかの委員からも言及がございましたけれども、入院料2につきましては、98.5%の施設で医療区分2・3の患者が6割以上になっていることから、最低でも患者割合の基準を6割以上とすべきだと考えます。
また、入院料1につきましても、相当数の施設、86%程度の施設がクリアしておりますので、9割まで患者割合の基準を引き上げることも検討の余地があると考えております。
さらに、医療区分2・3の患者の受入れを積極的に推進するためには、入院料2を廃止して入院料1に一本化するということも検討すべきだと認識しております。
次に、先に述べました医療資源投入量に見合った評価という観点で見てみますと、8ページには実際の点数が、22ページには出来高の点数が比較されております。
22ページのグラフでございますけれども、グラフの下の項目のところを見ていただきますと、入院料が、先ほど来話が出ています30の区分が出ております。その下には疾患、状態の区分が3、2、1と、アスタリスクは、スモンの状態となります。
下に処置が、おのおのに対して3、2、1、3、2、1という形で区分されたグラフになっておりますけれども、例えば、実際の点数が高いADL区分の3の入院料を見ている中で、例えば入院料の4番とか7番とかいうところで、出来高点数が低いことが見て取れます。出来高に必ずしも換算できないケアに留意する必要性は十分理解しておりますが、点数設定そのものが妥当なのかについては疑問を感じざるを得ないというところでございます。
さらに、ADL区分の3以外のところで、例えば、疾患状態が3や2で処置が1の場合や、疾患・状態が1で処置が2の場合など、出来高点数がかなり低くなっており、実際の点数の階段とは開きがありますので、医療資源投入量に見合った水準に適正化すべきと考えております。
一方で、24ページに示されております処置区分2のうち、異なる治療を行う病態が重複した場合については、25ページを見てみますと、出来高点数が高いということで、医療資源投入量に見合った評価に見直すことには、異論はございません。
次に、中心静脈栄養については、資料の29ページを見てみますと、説明にございます中心静脈栄養や胃瘻、経鼻経管栄養については前回改定から変化があまりないようでございますけれども、一方、31ページ、32ページを見てみますと、経腸栄養管理加算や摂食嚥下機能回復体制加算については、算定対象となる患者がいないという理由で、あまり活用されておらず、やや中心静脈栄養の実態とは齟齬があるような印象を受けております。
中心静脈栄養からの早期の離脱を推進する方向で実績要件を見直すことには、異論はございません。
続きまして、障害者施設等入院基本料についてでございますけれども、廃用症候群を療養病棟に準じた包括評価とするという方向性については賛同するものでございます。
次に、身体的拘束についてですけれども、資料の61ページを見てみますと、どの入院料においても、それなりの患者に実施されていることは見て取れます。
患者の状態としては、認知症やせん妄の場合に実施率が高いことが66ページに示されておりますけれども、56ページの一番下のグラフを見てみますと、認知症ケア加算に占める身体拘束の割合が、令和5年から6年にかけて低下しており、前回改定で減算を導入した効果が出ているものだと理解しております。
したがいまして、次回改定で評価をより厳格化することもあり得るのではないかと思います。
また、身体拘束の最小化の取組につきましては、53ページから54ページを見てみますと、入院料の通則の改正により、指針の策定や体制整備は進んだものと受け止めております。
今後は71ページ以降で紹介されているような取組に期待しておりますが、人手やコストもかかることだと思いますので、病棟で様々な職種が協力して効果的に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、回復期リハビリテーション病棟入院料や、療養病棟について、患者の安全のために身体拘束が必要な場面があることは、先ほど来、各委員からも出ておりますので否定はいたしませんけれども、例えば、65ページには、身体的拘束を毎日実施している患者、これはグラフでいうと紺色で示されておりますけれども、それが結構多いというのは、いささか疑問を感じるところでもございますので、身体的拘束を実施した日の減算というのも検討すべきではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
身体的拘束の最小化に関して申し上げます。
回復期リハビリテーションは、身体機能の回復に向けてリハビリを行う場ですので、常時、手指・四肢・体幹抑制をしているといった事象があるというのはどういうことなのか、そもそも入院している患者像とマッチしているのかといった疑問がございます。
先ほど来、御意見をいただいておりますが、患者の安全を守るといったこと、医療上の必要性がある場合もあろうかとは思いますが、患者の尊厳を守る観点から、現場で最小化に向けた取組がさらに進むよう、必要な見直しに向けて検討をしていく必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
今、松本委員から療養1に関する医療区分の御意見がございましたので、少しコメントをさせていただきたいと思います。
これまで前回、今回の中医協での改定の議論の中で、医療資源投入量と点数設定という話がよく出てきています。もちろん、これに全面的に反対するつもりはありませんが、今、療養病床1が8割の基準、では、80%が2・3の範囲で、では、残りの2割は、どういう患者さんがいるかというと、例えば、肺炎で治療して、抗生剤を点滴して炎症反応も取れてX線写真もオーケー、そろそろ退院できそうであるとして、抗生剤を切ります。するとその時点で、医療区分が1になります。ただ、さすがにその翌日に退院はできません。これから、さらに経過をながら、退院調整をし、そして、本当に大丈夫かどうか、2、3日様子を見ながら、再度いろいろな検査で確認をして、大丈夫と判断してようやく退院する。その遊びの期間、遊びというか、遊んでいるわけではないですよ、その猶予の期間が非常に重要なので、これを9割、10割にすればいいではないかという議論は、全く私たち現場感覚からすると、とんでもない話になります。
例えば、ブレーキを踏むと、ぱっと急に止まったら追突はしないかもしれませんけれどもけがをしますね。それと同じように、ある程度の遊びがないといけない、その遊びは2割が、私はぎりぎりだと思います。
そして、もう一つ、医療区分資源投入量の基準だけで、ADL区分3が少し高いのはおかしいではないかとおっしゃいますけれども、これも医療資源投入量ではなくて、このADL区分で、何に違いがあるかというと、そこには、ADLが上がることによってケアの仕方や量が重くなってくる、医療区分もそうですけれども、あるいは指示とか実際に診察をする時間とか、そういうことが多くなって、それを観察する時間、医師、看護師がちゃんとケアをする時間、あるいは指示を変更する時間、いろいろそういう人の手間が、実は医療区分資源投入量以外のところに入っている。これがADL区分によって変わっているということから、このADL区分が、(1分間タイムスタディで考えられた)医療区分の最初のスタートのときから入ってきたわけですから、そこは、ぜひ御理解いただきたいなと思っています。
特に療養1についての8割の基準をさらに上げるということに対しては、これは、本当に大変なことが起きると私は思っていますので、ぜひ、その辺は御理解をいただきたいなと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
先ほど1号側のほうから、医療区分の2・3の割合を90%のカテゴリーをどうかという御提案もあったところですけれども、もう90%というのは、もはや基準とか要件ではなくなってしまいます。例えば10人、医療区分の2・3の方が9人に対して、それ以外が1人でも、これでぎりぎりになってしまうので、そうすると、やはり入院に支障を来す患者さんが続出してしまいますし、もともと90%というラインは、要件とか基準に設けるべきではない数値だと思っておりますので、これまでどおり、入院医療の1と2は、ぜひ継続していただきたいと思っております。
また、22ページの医療資源投入量、そこに当然介護などの労力は入っておらず、現状、療養病棟の入院患者さんの約半数が要介護4と5です。したがって、そういった方が、なおかつ医療区分の2とか3は、22ページのグラフの方も大半が満たしているわけなので、そういったことを踏まえた上での評価でありますし、そもそも現行の医療区分は、さかのぼること平成18年の診療報酬改定で導入されたと思いますけれども、あのときに入念な議論を積み重ねて、いろいろ研究事業を行って、今の医療区分ができておりますから、それなりのバックグラウンドはあるわけでございますので、まずは、こういったことについては尊重していただきたいと思っております。
あと、認知症のケア加算については、非常に効果が出ているということで、我々もそこは共有しております。
現場で、まず、御理解いただきたいのは、我々医療従事者の中で、身体拘束をしたいと思っている人は、私はゼロだと思っています。意図的にしたいとかはあり得ないし、恐らくせざるを得ない環境があるのだろうとは思っています。
医療現場は、まだまだ身体拘束に対して改善の余地はあるとは認識しておりますし、私自身も長年、尊厳の保障というのをライフワークにして、尊厳の保持とか、身体拘束の廃止には、かなり力を込めて取り組んできた自負もありますので、そういった立場で申し上げますけれども、例えば、胃瘻ですけれども、初めて胃瘻を入れたときの本当の急性期は、それを抜いてしまうと、命に関わる致死性の腹膜炎を生じますから、そこは絶対に抜いてはいけない時期があり、一方で、落ち着いた状態の胃瘻というのは、別に抜いても、また、再挿入すればいいわけなので、必ずしも身体拘束すべき状態ではないとは認識しています。
したがって、いろいろな局面がある中で、やむを得ない状況もあったりということで、前回の診療報酬改定で入院料の通則に入ったことは、私も大変好意的に思っていますし、非常に医療現場の取組が推進されることになったかと思っておりますので、取りあえず、今の認知症ケア加算についても、今、効果が出始めておりますから、取りあえず、現状の状況を見ながら、今後何が必要なのか、そして、好事例はしっかりと評価して、そちらに誘導してくことも大事だと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
先ほど私のほうから述べました、17ページの入院料1に関して、お二人の先生からコメントをいただきましたけれども、江澤先生からは、この率で言うと、9割ということを設けることに、あまり意味がないのではないかという御意見でした。
一方で、池田先生からは、これを上げることは危ないと、この2つのコメントの関係性といいますか、ちょっと私は理解ができないものですから、少し御説明をいただけるとありがたいのですが。
○小塩会長
江澤委員、お願いできますか。
○江澤委員
逆に、池端委員と私は全く同じことを申し上げており、まずは医療区分2・3が大前提にありますから、医療区分2・3がない患者さんというのが、もう入院できない病棟になっていいのかどうか、そういったリスクを池端委員も危惧されておられますし、90%になると、施設基準というのはぎりぎりだと、いつ基準割れするか、我々も当然、その辺りはベンチマークしますから、もうほぼ100%が医療区分2・3の患者さんがないといけないという状況になるので、それは、今の状況とか、実際に医療区分1の方も一部いらっしゃるわけで、その方を排除するわけにはいかないと、当然、別に入院の必要性がなくて入院している方は、医療区分1の中にもいらっしゃらないということは御理解いただきたいということで、池端委員と私の言ったことは、全くそごがないと思っております。
○池端委員
私も言い方は多少違ったかもしれませんけれども、同じことをお話しさせていただいたつもりです。
現在、私の病院も療養1で管理していますけれども、ほぼ、入院患者は全医療区分2・3があることを前提に入院しています。ただ、その中で、やむを得ず、例えば、しょっちゅう入退院を繰り返している方が、たまたま、2・3に当てはまらない、喀痰が少し多いけれども、肺炎でもないけれども、少し入院が必要だということ、1だと分かっていっても、ほかは行きたくない、でも入院が必要だということを受け入れる、それがごく一部あることはある。でも、それはすぐに帰さなくてはいけないということで、全部2・3、8割以上ということを考えると、全ての入院患者は2・3をクリアしていることが、絶対条件だということを入退院支援看護師も、あるいはケアマネジャーも全部分かっています。それでも受けなくてはいけない地域のニーズがあるので、そこを受けるということで、何とか2割をオーバーしないように受けている。
そして、もう一つ最初に言ったように、2・3で入った方が1になってすぐ退院できない、このハンドルの遊びの部分というところも入れると2割が限界だというところ、これ以上それが短くなってしまったら、本当に療養病棟全体の運営が難しくなるということで、とても無理なのですということをお話しさせていただいたつもりなので、多分、同じことを言っているのだと思うのですけれども、以上です。
○小塩会長
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
非常に分かりやすい御説明をありがとうございました。
あくまでも入院を排除しないということで理解をしておきます。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
あと1点、9ページを見ていただきますと、例えば脱水でも発熱を伴う状態の患者に対するものに限るとか、全部括弧書きがあって、では、例えば脱水とか頻回の嘔吐で発熱がなかったら受け入れないかということは、我々はないのですね。こういった方々もいろいろ急患として入院に来られますから、したがって、別に医療区分2・3が全てを網羅している万能の指標ではなくて、実際入院が必要な方は医療区分2・3以外にもたくさんいらっしゃるということを、ぜひ、御理解いただければ大変ありがたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
もう一つ具体で言いますと、うちの病院は2・3に当てはまらない患者の入院に関しては、全て私に連絡が来ます。院長の許可がなかったら入れないということになっていても、うちは大体80数パーセントから、多いときは、90%ぐらいなる、こんな管理をしていても、そういう感じなので、そういうぎりぎりの管理をしていて、8割を何とかみんな各病棟がクリアしているということだと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。飯塚委員、お手が挙がっています。
○飯塚委員
ありがとうございます。
79ページの身体的拘束に関してですけれども、私も今後も、こういった取組を促すことが重要と考えていますけれども、その方法について、例えば介護においては、介護のサービス情報公表システムで、個別の介護施設別に拘束について、どのような取組を行っているかといった情報を一般に公開しています。
病院についても、今後こういった拘束を減らすといった取組を促すためにも、病院別に拘束の状況ですとか、あるいは取組の内容等を公開して、そういった取組を促すということも重要と考えています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、ほかには特に御質問、御意見ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた、御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「個別事項について(その4)移植医療」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3を御覧ください。移植医療についてでございます。こちらも、ここではポイントのみ御説明させてだきます。
2ページ、目次でございます。
移植医療の現状等、それから臓器移植と臍帯血移植がテーマでございます。
資料の14ページまでは、臓器移植と臍帯血移植に関しての現状や制度等についての資料を入れております。
16ページから御説明させていただきます。
脳死臓器提供管理料という点数がございますが、臓器提供に当たって、ドナーに対して実施された脳死判定及びコーディネート等にかかる費用につきましては、ドナーの自己負担や、ドナーの保険で払っていただくというわけにいきませんので、レシピエントのほうに、このような管理料を設けてございます。
17ページでございますけれども、臓器移植のコーディネートの業務でございますけれども、今回、若干変更がございまして、臓器のあっせんに該当する行為の中で、家族への臓器提供に関する説明等につきましては、ネットワークのコーディネーターだけではなくて、各医療機関のコーディネーターができるという形で変更が行われております。
この業務ができるのは、認定ドナーコーディネーターということございますけれども、18ページにありますように、院内にこういう方がいらっしゃることによって、臓器提供が促進され、また、時間が短縮されるということになります。
19ページ、その認定にかかる要請等の状況でございます。
20ページは、こうした臓器提供の提供に取り組むことに関するこれまでの評価を、DPCの体制評価指数についてお示ししております。
21ページでございますけれども、ドナーの治療ではなくて移植のために必要なドナーの検査や処置について、最近ですと脳血流消失検査でありますとか、あるいは補助循環、こういったものがあるということでございますけれども、こうしたものにつきましても、ドナーのほうの保険に請求するわけにはいかないという中で、どう扱うかということをお諮りしたいと思っております。
続いて、抗HLA抗体スクリーニング検査についてでございますけれども、23ページ、前回の改定で輸血歴や妊娠歴等の感作歴のある症例のみ、これが保険適用となりましたが、24ページにありますように、それ以外の方についても、検査の有用性があるということでございます。
それから、25ページから臍帯血移植についてでございますが、26ページ、臍帯血移植が、この点数でございますけれども、HLA遺伝子型タイピング検査に当たりまして、従来法と、それからよりコストのかかるNGS法というのがあり、27ページを御覧いただきますと、このNGS法を利用したタイピングを行ったほうが、再発率が低いといった効果があるということでございます。
29ページに論点をまとめてございます。
臓器移植につきましては、認定ドナーコーディネーターの院内配置を踏まえた脳死臓器提供管理料等の評価の在り方について、また、補助循環装置や脳血流消失判定検査などの費用の評価について、抗HLA抗体検査の対象となる患者の要件について、臍帯血移植につきましては、NGS次世代シーケンサー法を利用したタイピングなどを踏まえた評価の在り方についてということで、論点を示させていただきます。
御審議のほど、お願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、29ページの論点に沿ってコメントさせていただきます。
まず、1つ目の○にありますような、今後導入が予定されている認定ドナーコーディネーターや、2つ目の○にあるような新しい脳死判定の方法についても、脳死臓器提供管理料等で対応できるようにする方向性について、異論はございませんが、現行の4万点の評価の内訳についても確認しながら、適切な評価となるようにしていくべきであろうと考えております。
また、3つ目の○の抗HLA抗体検査や、4つ目の○のNGS法を利用した臍帯血のHLA検査についても、検査の有効性に関する最近のエビデンス等も踏まえながら、対象拡大する方向で異論ございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかには、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
それでは、29ページの論点に沿ってコメントをいたします。
まず、認定ドナーコーディネーターにつきましては、実際に行った業務は、脳死臓器提供管理料に包括して評価し、配置については、DPCの体制評価係数に反映することも選択肢になり得ると思います。
次に、補助循環装置等による脳死判定については、脳死臓器提供管理料で評価することが考えられます。
また、臓器生着率を向上させる観点で、抗HLA抗体検査の対象を拡大することには、異論はございません。
最後でございますが、次世代シーケンサー法の普及を踏まえまして、評価体系を見直すことも理解できますが、メリット、デメリットを考慮した従来法との適切な使い分けも必要だと考えております。
事務局には、適切な評価の御検討と御提案をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特にほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとします。
今後事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「医療機関を取り巻く状況について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-4を基に御説明させていただきます。
この医療機関を取り巻く状況につきましては、4月、それから8月に中医協の場に御提示をしたということで、今回3度目ということになっております。
今回の資料につきましては、MCDBのデータの2024年度版データというものが上がってきておりますので、そちらをベースとして分析を試みているということでございます。
7ページを御覧いただければと思いますが、まず、この前提、いろいろな切り口で見ておりまして、病院類型、それから地域分類、機能分類ということでございます。こちらは、8月に行った分析と同じものを用いているということでございます。
8ページを御覧いただければと思いますが、まず、右上側の3つ目のポツにありますけれども、こちらは、2024年度のデータを使っているところでありますが、今、順次更新がされているところでありまして、我々の今回の分析というのは2025年の7月末の時点で収集されているデータを使用しているということでございます。
様々な分析がありまして、なかなか直近のデータというところで置き直すところが難しいということもありまして、7月末ということでやっているということでございます。
そういうこともありまして、まず、病院のほうは下のほうの円グラフですけれども、1,515施設のデータということで見ているということで、全体の27%でございます。
8月に2023年度データでお示ししたときは3,000施設でしたので、その半分程度という中での限定的な分析であるということを御念頭に置いていただければと思います。
他方で、医科診療所、歯科診療所につきましては、それぞれ医科診療所で言いますと、2023年度で1万6000施設、それから歯科診療所では5,000施設ということで、収集時点は比較的短い期間になるわけですが、かなり診療所のほうは出てきている数が増えているということで、制度の浸透といったこともあろうかと思いますが、そういった状況であるということでございます。
8月のデータにつきましては、総-4参考ということでお示しをしておりますので、必要に応じて、そちらを御覧いただければと思っております。
以降、例えば9ページを御覧いただければと思いますが、こういったものは2023年のデータと同じような切り口で分析をしているということでありますが、今、客体の部分が異なりますので、これを2023と単純に比較するということはしておりません。そちらの単体データというところで言いますと、数字はもちろん変わっていますが、大きな傾向というか、中身の部分というのは、大きなトレンドは変わっていないと思っておりますので、そういったところは、比較はしておりませんけれども、今日ここの場では、説明は割愛させていただきたいと思っております。
そういったこともありまして、以降、比較可能なデータを中心に説明させていただくということでございます。
具体的には、11ページを御覧いただければと思います。
資料の右上に「両年度データのある医療機関のみの場合」と書いてございます。これは、2023年度、2024年度両方同じ医療機関についてデータが取れるものを用いて比較をしているということでありまして、客体がそろっているということでありますので、この比較可能性が高いということで考えているということでございます。
それを基に、実際に病院などから分析を始めておりますけれども、いずれも2024年度は、2023年度よりも医業利益率、経常利益率の平均値、中央値が下がっているということでありますし、右側、黒字、赤字割合ということでありますけれども、どの類型においても赤字割合が大きくなっているということでございます。
12ページ、こちらは、ヒストグラムにしているものでございまして、両年を比較しているものでございます。2023年度が青、2024年度が白の四角ということでございまして、多少数字が下がるということになりますと、この山が左側にずれると、そういったようなことになるということでございます。
13ページを御覧いただければと思います。
この収益、それから費用の増減というところを比較したということでございまして、この一般病院に関して言いますと、医業収益がプラスになっているのですけれども、それを上回る伸びで医業費用が伸びている。
療養型病院、精神科病院につきましては、医業収益が減少している一方で、この医業費用が伸びているということで、この医業利益が減少していることになっているということでございます。
14ページを御覧いただければと思いますが、費用の内訳などをここにお示ししておりまして、いずれの分類におきましても材料費の比率が上がっている、それから、人件費の部分で、実額が増えている、ないし比率も上がっていると、そういった状況が見られるということでございます。
飛びまして、19ページのほうを御覧いただければと思います。
こちらは、機能大分類別ということで、高度急性期から慢性期にかけていろいろと、それを同じように比較可能なものとしてやっておりますが、先ほどの一般、療養、精神と同様の傾向が全体として見られるかと思います。全体として赤字割合が大きくなっており、医業利益率、経常利益率が下がっているという傾向が見られるということでございます。
20ページ、21ページは、両年の比較をしているということでございまして、こちらについては、説明を割愛させていただきますが、22ページでございます。
機能大分類別で収支構造の概要を見ているということでございまして、収益が伸びているが、費用がそれ以上に伸びている。それから、収益が下がっているが費用が伸びている、そういった様々な動きをしておりますけれども、おおむねそういった傾向が見て取れるということだと思います。
23ページを御覧いただければと思います。
23ページは、また、機能大分類別に様々な収支の内訳のところを見ておりますけれども、材料費や給与費といったところに着目いたしますと、比率が増えているか、または収益の伸び程度、収益も増えている中で、それと同等程度に費用が実額として伸びていると、そういったところもあると考えております。
続きまして、飛びまして、27ページを御覧いただければと思っております。
これは、病院の地域分類別の経営状況ということでございまして、これまでの説明と同様の傾向になっているということかと思います。
大都市型の地域の病院のみ医業利益率の平均値がやや上がっているというところでありますけれども、マイナス0.2から0.0ということで、ほぼ横ばいということかと思いますが、全体としての傾向というものは同様かと思っております。
28ページは、それをヒスト化したものでございます。
29ページでございます。
同じように収益費用の増減というものを見ているものでございまして、大都市型については、収益の部分が増えていると、それと同等か、やや下回る程度に費用が伸びているということでございますが、人口少数地域型では、収益が減少しており、費用が増えているという状況になっているということでございます。
30ページは、同様に、収支構造の比較ということでございまして、こちらも同様ということになっています。比率が増えている、またはその収益の伸び程度には費用のほうも増えているといったトレンドが見られるということでございます。
続きまして、31ページ、これからは参考ということになります。
そのスライドの一番下のところに※印がありますけれども、両年比較可能なMCDBデータがある医療機関について、医療費の動向調査、メディアスの調査票情報から数字を取ってきているということでございまして、別の調査物を掛け合わせておりますので、あくまで参考ということになりますが、こちらは、収入面をどういう構成になっているのかを分解を試みたものでございます。
一番右側の1日当たり医療費というところ、入院、外来がございますが、そこがある意味単価ということであります。
真ん中の入院または外来の受診延べ日数というものが、患者数というところがございまして、掛け合わせることで左側の入院医療費、外来医療費の1施設当たりが出るという構造になっております。
増減率で言いますと、例えば一般病院の一番上ですけれども、一番右の+2.2%というものと真ん中の+1.5%、こちらを掛け合わせる、つまり足すということになると、一番左+3.7%、そういった計算になるということでございます。
実際にこれを見てみますと、入院医療費、上のほうの表の段で言いますと、右側の単価は上昇しているということであります。
一方で、単価の部分の外来を御覧いただきますと、マイナスまたは微増というところでありまして、ここに大きなトレンドの違いがあるということで、それに患者数の掛け合わせというところで、それぞれの区分ごとの違いが出てくるということでございます。
32ページは、同様のものを機能大分類別にやっているということであります。
33ページ、地域分類別でございますけれども、こちらは同様の傾向と言えるかと思いますけれども、真ん中のところで、人口少数地域型に関しましては、患者数が減少しているというのが、入院、外来ともに見られるということでありまして、こちらは入院医療費、外来医療費1施設当たりの状況に影響してきている状況が見て取れるということかと考えております。
34ページでございます。
8月にお示しした現預金回転期間、手元にキャッシュがどれぐらいあるかということでございまして、23年度は青い箱でございます。24年度が白い箱でございますけれども、左側に落ちているゼロ~1か月、それから、1~2か月の法人が増加しているということで、資金繰りが悪化しているという状況が伺えるということでございます。
35ページ、こちらからは、自治体病院の経営状況ということでございまして、こちらは、総務省の地方財政状況調査を基に作成しております。
同様の傾向が見られると思いますが、医業収益が増加しており、その増加を上回る形で医業費用が増加しているということかと考えております。
36ページでございますが、収支構造ということでございますけれども、自治体病院ということで職員給与費の部分が相当上がっているというところ、比率・額というところを見ていただければと考えております。
37ページは、黒字、赤字割合ということでございまして、状況はかなり悪い、悪化しているところが見て取れるかなということでございます。
自治体病院につきましても同じような分析をしておりますけれども、時間の都合上、割愛をさせていただきたいと思います。
47ページまで飛んでいただきまして、今度は医科診療所の経営状況ということでございますが、これは、また、24年度単年のものでございますので、48ページのほうから御説明させていただきたいと思います。
両年度データがある医療機関で比較をしておるということでございまして、全体として非常に落ちていると、赤字割合が増えているということでございます。
50ページのほうに移っていただきますと、そちらは、また、収益、費用の分解というものをしているということでございまして、病院のほうは、例えば一般病院でいいますと、収益も増加しているが、それを上回る形で費用が増加していたということでございますが、診療所に関して言いますと、収益のほうも減少しており、いずれも減少しており、費用のほうが増加しているということで、医業利益の悪化が厳しいということになるのかなと思っております。
51ページでございます。
こちらは、また同様に収支構造ということで御覧いただければと思いますけれども、収益減の中で費用が増えているということが、個別の費目にも出ていることが見て取れるかなと考えております。
55ページまで飛んでいただきまして、診療科別をこれから見ていきますが、8月にもお示ししましたとおり、2023年度というのは感染症などが増えたということがあるかと思いますが、少し特異な動きをしているところがございますので、そういったところを御紹介させていただきましたが、今回も改めて御紹介させていただきます。
その上で、56ページでございますけれども、各診療科ごとの状況を見ているということでありまして、特に上段右側のほう小児科というところがありますけれども、先ほどの資料とも関連をいたしますが、2023年度は20%近い利益率だったところが、ある意味では、この1桁のところまで下がってきているというところが、患者の動向とも一致しているのかなと考えております。
57ページでございまして、黒字、赤字の割合というところでお示しをしておりますけれども、全ての診療科において赤字の診療所の割合が増えているということでございます。
58ページ以降、診療科ごとに医業利益率、経常利益率についてのヒストグラムの比較したものを置いているということでございます。
64ページは、同様に収益費用の部分の分析を診療科ごとにやっているということでございまして、申し訳ありませんが、説明は割愛させていただきます。
72ページまで飛んでいただきたいと思います。
地域分類ごとで見ているということでございまして、こちらも傾向としては同様ということでありますし、医業利益も赤字割合が大きくなっているということでございます。
73ページのヒストグラムでも、山が左側に移っていることは見て取れるところでありまして、74ページを御覧いただきますと、収支増減率の比較ということで、やはり人口少数地域の方で収益が大きく落ち込んでいるということ。それから、費用については大都市型のほうが、増加が激しいということが見て取れるということでございます。
75ページについては、同じように収支の中の費用の費目を見ておりますけれども同様の傾向かなと言えるかと思います。
76ページ、こちらは、メディアスとの掛け合わせということでありまして、増減率というところで言いますと、同様の傾向ということでございます。
単価のところが、入院のほうは増えている、それから、外来のほうは減っているという中で、延べ日数の状況も併せて、全体のトレンドが決まっているということかと思っているということでございます。
次に、81ページまで飛んでいただきまして、今度は歯科診療所のお示しをしております。こちらも両年度データのある医療機関のみで比較をしておりますけれども、こちらは全体として横ばい、ないし微増、同程度ということかなと思っています。右側の数字を御覧いただいても、黒字、赤字の割合は変わっていないということであります。
83ページ、地域分類別に切ってみましても、今、申し上げたような歯科診療所のトレンドと同様の傾向ということが言えるかなと思っております。
86ページ、費用の中を見てみますと、材料費に関しましては、横ばいないし、やや下がっているということでありますが、一方で、実額ベースで給与費が増えているところが見て取れるということでございます。
最後に、89ページのほうに移っていただきまして、賃上げの状況ということでございますけれども、令和6年度のベースアップ評価料を届け出ていただいた医療機関の賃金増率、実績値について御紹介したいと思っております。
全医療機関のほうで御紹介させていただきますが、医療機関数3万7000弱というところで、中央値で2.59という数字で出てきておりますけれども、実際に、この職員数と掛け合わせた加重平均で見ますと、3%強の賃上げをしていただいているという実績が出てきたということでございます。
90ページを御覧いただきますと、計画書、それから実績報告書をいずれも提出していただいた医療機関における計画値、実績の差分というものを取っておるということでございまして、全医療機関で申し上げますと、計画値では、加重平均値で2.7%だったものが、実績値で2.93%ということで、差分としては0.23%、計画を上回る賃上げをしていただいているといったことが全種別について言えるのかなと考えております。
92ページ、93ページにつきましては、今、申し上げたようなことを改めてまとめたということでございまして、94ページ、最後、課題ということでございますけれども、4月、8月、そして24年度の数字を用いた、いろいろな分析をしてまいりましたので、近年の医療機関の経営状況等に対して、これをどのように対応することが考えられるかということについて、御審議をお願いできればと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
ただいま事務局から説明がございましたように、今回の調査結果を見ましても、医療機関を取り巻く状況は極めて厳しく、過去に例のない危機的な経営状況に陥っていることが改めて明らかになっております。
医療法人の病院については、2023年度と2024年度の両年度のデータがある医療機関の経営状況を見ますと、医業利益率、経常利益率のいずれも、2024年度は2023年度よりもさらに低下しており、医業利益の赤字施設の割合も53.2%から58.3%へと拡大しております。
これは、物価高騰や賃金上昇に対し、経費削減努力を精一杯行っているにもかかわらず、このような結果になっているものと認識しております。
また、自治体病院においては、2024年度の医業利益が赤字施設の割合は95.4%となっております。
2024年度に経営が悪化したのは、同年4月のコロナ補助金などの廃止に加え、物価高騰によるものと分析でき、現状の診療報酬では、病院経営が成り立たない事態に陥っております。
いずれの開設主体においても、物価高騰、人件費上昇の影響を大きく受け、公私ともに極めて厳しい状況にあることは明白であります。
また、診療所についても、2024年度は、前年度から大幅に悪化しており、減収減益となっております。
医業利益赤字の施設の割合も、2023年度と比較すると12.1ポイント増加し、43.4%の診療所が赤字となっているなど、病院だけでなく診療所においても物価高騰、人件費上昇に加え、コロナ補助金、診療報酬上の特例措置、診療報酬改定を含む影響が大きく、経営悪化が進んでいることから、多くの診療所の事業継続が困難に陥っております。
日本医師会が行った調査においても、診療所は減収減益で、診療科や地域にかかわらず、経営が悪化していることが明らかになりました。
利益率は半減し、さらに中央値は平均値よりも大幅に低く、また、決算月が直近になるほど利益率が低くなっており、経営環境の悪化が、現在も進んでいることが示唆されております。
本日の参考資料においても、令和7年7月末収集時点よりも、令和7年8月末時点収集の速報値のほうが、病院、無床診療所、有床診療所の医業利益、医業利益・経常利益はいずれも悪化しています。
この状態が続けば、令和7年度は診療所も、医療法人の半数で経常利益が赤字になることが予想されております。
診療所は小規模で経営体力も乏しく、資金調達ができなくなると、事業継続を突然に断念することに追い込まれます。
結論として、多くの病院や診療所が自助努力では太刀打ちできない経営困難に直面し、地域医療の崩壊が始まっております。
先日の高市総理の所信表明演説にもありましたとおり、国民の皆様の命を守り、安心して必要なサービスを受けていただくためにも、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしの状況であることからすれば、国民の命と健康を守り、地域医療を支えるためには適正化を行うことは全くの論外であり、物価高騰賃金上昇に見合った診療報酬上の高い評価を強力に推し進め、実現するしか選択肢はないことを明確に申し上げたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
過去、病院の経営状況が非常に厳しいというのは何度も資料を出していただきまして、その都度御説明してきました。今回も非常に詳細な分析、ありがとうございました。
先ほど江澤先生からもありましたが、前回データ2023年のデータよりも、2024年のほうがさらに悪化しているということが、これで明らかになったということと、今回参考2につけていただいておりますけれども、7月末までの収集と、8月末までの収集を比べるだけで、500病院増えているのですけれども、さらに悪化が大きくなっているというデータでございます。
医療法人で、もう5割を超える病院が2期連続で赤字になっている状況は、やはり重く受け止めていただかなければいけないと思います。
資金繰りのデータも出ておりますけれども、ご承知のといり、民間の病院と言っても企業ですので、2期連続経常赤字を出しますと、金融機関からの運転資金の貸出しというのは、ほぼ滞ってまいります。今、必死に各地域の病院は資金繰りをしながら、何とか医療を継続しているという状況でございます。今回、2026年改定におきましては、様々な病院種別がございますけれども、全てにおいて、この数値をしっかりと見ていただきながら、御対応をいただく必要があるだろうということだけ、再度、申し述べさせていただきます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
簡単に私も、今、太田委員、江澤委員がおっしゃったように、本当に2024年のデータ見てみる限り、さらに悪化しているということを、十分御理解いただけるのではないかと思っています。
今、金融機関の話が出ましたけれども、私、今日最後なので言わせていただきますけれども、県の医師会の中で医師信用組合という金融機関を持っています。この会員からの問い合わせが、ものすごく増えてきて、でも状況を見ると、なかなか貸出しができないぐらい厳しい状況が目に見えて分かっています。そんな状況、しかも今回は、病院がさらに悪化して、さらに診療所も悪化しています。盛んにこの中医協で病診連携を図りましょう、外来を地域に返しましょうといっていますが、その返す診療所が元気でなかったら、この病診連携は成り立たないわけですが、今回は病院も診療所も大変厳しい状況であるということを、ぜひ御理解いただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
大杉委員、続きまして、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
本日は、医療法人経営情報データベースシステムの令和7年7月時点でのデータを迅速におまとめいただきまして、ありがとうございます。
これまでも何度も発言していますように、歯科診療所においては、個人立の歯科診療所が約75%を占めており、日本歯科医師会が今年8月、9月に実施した歯科診療所の緊急経営調査において、法人立よりも個人立のほうが、経営実態はさらに厳しい状況であることが明らかになっております。
なお、MCDBを用いた分析は、規模が大きい法人率の歯科診療所のデータですが、この分析においても、医業利益が赤字である歯科診療所は4割を超えており、経営実態が厳しい状況であることは改善されておりません。
歯科医療機関の経営分析については、個人立を含む医療経済実態調査の結果も踏まえた上で、今後さらなる分析が行われると思いますけれども、ほかの医療機関と同様に、物価高騰や賃上げの状況下で、医業費用部分の増加は明らかであり、様々な部分を削って自己努力をしているのが実態でございます。
このような状況下では、スタッフの確保、定着や設備投資も難しい状況となってきております。
こうした状況を御理解いただき、歯科医療の提供が存続できるよう、対応を御検討いただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
最終的には、医療経済実態調査の発表を見てからということになると思いますけれども、早い段階で直近の状況を大枠で把握できたこと、さらには様々な切り口で分析できることが、カバー率が完全ではないにしても、このMCDBの成果だと思っております。
データを拝見して、各委員からも言及がございましたけれども、2023年度から2024年度にかけて、全体として医療機関の経営状況が悪化していることは事実として受け止めております。
ただ、一方で、病院と診療所や歯科診療所の格差、また、病院の中でも医療法人と自治体病院や機能による格差、さらに同じ機能に分類した病院や診療所の中で格差が依然あることも分かっております。
したがいまして、94ページの課題に対するコメントといたしましては、一律の対応ではなく、やはり経営状況の格差を踏まえたメリハリのある対応が必要であるということを、改めて指摘させていただきます。
既に地域の医療ニーズに合った形に機能を転換した医療機関や、経営努力で黒字を出している、あるいは高い利益率を確保している医療機関もございます。補助金や税制も活用して医療機能の分化、連携や病院の再編・統合により、最適な医療提供体制を実現する中で経営基盤を安定化させることや、各医療機関の経営マネジメントを強化する視点も重要だと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
賃上げの状況に関して申し上げます。93ページの論点において、2024年度の賃金増率は、加重平均で3.07とありますが、90ページの令和6年度計画書及び実績報告書をいずれも提出した医療機関における実績値を見ますと、2.93となっておりますので、医療経済実態調査も含め、賃上げ状況につきましては、より詳細な分析をお願いしたいと考えております。
今後も物価や賃金の上昇が見込まれる中、人材確保に向けた処遇改善、地域に必要な医療提供体制の確保というのは重要である一方、医療保険財政には限りがございますので、総合的に勘案していく必要があると考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、御質問等ございますでしょうか。
奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
今回は、2024年度のデータを集計されたということで、事務局には、詳細なデータをどうもありがとうございました。
先ほどの冒頭の説明の際にもありましたように、傾向自体は大きく変わっていないということで、前回も指摘をさせていただいておりますけれども、診療所と病院間では利益率に差があるということ、また、病院の中でも入院機能による違いや、診療所の中でも診療科による違いがあるということが分かります。
また、さらに言いますと、同じ機能を持つ医療機関の中でも、赤字の医療機関がある一方、高い利益率を確保している医療機関が存在しているということも、今回明確になっております。
こうしたいろいろな違いがあるということを踏まえれば、一律の対応ではなく、めり張りのある評価としていくことが重要ではないかと考えております。
この点、松本委員が指摘したところと同じでございます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
今回の調査で、病院経営は、従前から瀕死の状態であり、今回明らかとなったのは、診療所の経営が足元火の車になっており、非常に診療所の運営の存続が危ぶまれるということが、今回明白になったと思っております。
その上で、松本委員からは、格差、前回も処方箋料の格差という御指摘をいただいたところですけれども、奥田委員からも病院、診療所の差とか、そういう御意見がありました。
まず、地域医療提供体制を考えるときに、病診なくては成り立たないわけです。その上で、診療所は、パーセンテージだけ見ているわけですけれども、実額、金額に換算すれば、診療所のパーセンテージに伴う金額は極めて小さい額でありますから、要は逆風が吹けば、いつでも吹き飛ぶような状態が診療所であると、そういった脆弱な経営にあるという状況。
そして、病院は、もう既に運営しながら、ある日突然倒産するということが、全国で起きているわけです。
そういった危機的な状況を、ぜひ共有していただき、先ほど、池端委員と私の発言とか、いろいろ御指摘もありましたが、我々は医療界として、一致団結してこの危機を乗り越えようというところで、そういった思いで一糸乱れず取り組んでおりますので、病院とか診療所とかの格差という段階では、もうないという状況はお分かりいただきたいし、既に病院、診療所、そして、先ほど歯科の診療も赤字割合の話がありましたので、今、非常にある意味では、国民に不可欠なインフラである医療の存続が大変な危機に瀕しているということを共有した上で、我々としては、一致団結して、ぜひこういった局面をどうにか乗り切りたいと思っておりますので、そういった形で御理解いただきたいと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も、今、格差の話が出ましたけれども、例えば、病院に関して言えば、自治体病院と公私の格差というお話が若干あったかと思いますけれども、自治体病院は補助金が入って、なおかつ赤字でも補塡がされます。民間病院は、それはできません。それをやった途端につぶれます。という状況があって、そのデータということを、ぜひ、バックグラウンドが違う、自治体病院等々とも比べて、それでも自治体病院があれだけ赤字で、同じ給与、人勧どおりやれば、民間病院はさらに赤字が増えることは間違いないと思っています。そういうバックグラウンドをぜひ御理解いただきたい。
病院は、どの病院種別でも赤字、ほぼ全ての病院が赤字体質にあるということ。それから、黒字のところがあるから云々という話をしましたけれども、そうすると、今回、大都市、地方都市、人口の少ないところ、人口の少ないところはほとんど赤字です。ここを全部切り捨てることになります。そういう議論にならざるを得ないので、その辺は少し慎重に御意見を賜りたいなと思っていますし、ぜひ今回は、そういうレベルではないということを、コメントさせていただきます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
やはり物価が上がっているのですね。御存じのように、2022年から大体3%ぐらいずつ消費者物価は、我が国で上がっています。その中で、ベースアップの資料が最後に出ています。これは令和6年、去年のデータです。昨年はベースアップ評価料があって、何とか実績値3%という話になっていますけれども、令和7年は、先日、一般の他産業は5%を超える賃上げ、ベアだけでも3%を超えるものをやっている中で、医療界は、ほとんど今年は賃上げができていないという数字も出ています。
奥田先生から、いろいろとおっしゃれましたけれども、それでは一般企業で物価が上がっていく中で、価格転嫁していないところは、どれぐらい生き延びているのでしょうか。物価が上がれば人件費も上げなければいけない、様々な調達するものも上がる、同じ医療を提供していても、医療提供コストが上がっている、その認識は、ぜひとも持っていただきたいと思います。持続可能な医療提供体制は、もう無理な状況まで来ているという認識は、ぜひとも1号側の先生方も、もう分かってはいらっしゃると思うのですけれども、よろしくお願いしたいなと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには、特に御質問、御意見等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上ですが、今回をもちまして佐保委員、それから、池端委員が御退任となります。お二人に一言ずつ御挨拶を頂戴したいと思います。
それでは、まず、佐保委員からお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。着座のままで御挨拶をさせていただきます。
退任に当たりまして、発言の機会をいただき、感謝を申し上げます。
今回の診療報酬改定の議論を含めまして、4回の診療報酬改定の議論に参画をさせていただきましたが、この間、1号側委員の皆様、2号側委員の皆様、小塩会長をはじめ、公益委員の皆様、専門委員の皆様、事務局の皆様に大変お世話になりました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
先週24日の中医協の会場が厚労省講堂に戻ったことが感慨深く思っております。小塩会長から講堂での議論を知っているのは私だけではと言われたときに、内心うれしく思いました。ありがとうございます。
2019年10月に中医協委員になったときには、厚労省講堂でも中医協が開催されておりましたが、その後、新型コロナで講堂は対策本部となり、しばらく全面ウェブで中医協も開催されておりました。講堂でたくさんの傍聴者がいる中での議論、あの空気感というのは、今も忘れておりません。
被保険者の立場で中医協の議論に参画してまいりましたが、診療報酬改定の議論では、とりわけ、医療現場で働く全ての労働者の処遇改善や働き方改革、流通を含めた医薬品等の安定供給とイノベーションの促進、ドラッグ・ラグ/ロス、デバイス・ラグの縮小など、患者の安全・安心と医療関係労働者の環境改善につながるよう、これまで発言をしてまいりました。こうした点は今後も重要と考えております。
中医協として、目下の課題について議論することは、もちろん重要ではありますが、今後、少子高齢化が進む中で、医療保険制度の持続可能性、地域包括ケアなど、医療提供体制の今後の在り方、医療関係労働者の処遇改善と人材確保など、中長期的な視点に立っての議論、これは医療部会や医療保険部会など、他の審議会でも議論が必要でありますが、中医協でもそうした視点での議論が必要と思っております。
終わりになりますが、中医協でのますますの活発な議論と、委員関係者の皆様方のますますの御健勝と御活躍を祈念いたします。
6年間どうもありがとうございました。(拍手)
○小塩会長
佐保委員、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。ありがとうございました。
続きまして、池端委員、御挨拶をお願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
非常に貴重なお時間を頂戴して、ありがとうございます。小塩会長からお許しいただきましたので、一言御挨拶を申し上げたいと思いますが、一言では、済まないかもしれません、少し長くなるかもしれませんけれども、最後だということでお許しいただければと思います。
ただいま御紹介いただきましたように、私は本日をもって任期満了で中央社会保険医療協議会委員を退任することになりました。
私は、これまで入院・外来医療等調査評価分科会に6年、日医の副会長に就任のため、中途退任された前任の猪口雄二先生の後任として、2020年の8月にこの委員を拝命させていただきまして、それから5年たちました。合わせて11年間、この中医協に関わらせていただきました。
この間、多くの委員の皆様方や事務局の皆様方と活発な議論をさせていただき、そして、その議論を通じて、私自身も多くの勉強をさせていただきました。まずもって、関わらせていただいた全ての先生方、事務局の皆様方に心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
思い返せば、2020年8月、私が委員に就任したときは、今、佐保委員からもありましたように、まさにコロナ禍の真っただ中であり、それまで会場の定番であった厚労省2階大講堂ではありませんでした。、ただ、これもくしくも先週初めて私も改修を終えた講堂で総会に参加できたこと、大変感激いたしました。
最初の数回は、省外の施設を利用して対面会議でしたが、それからほどなくして、完全ウェブ会議となりました。改定の審議が佳境に入ると、週2回ペースになり、私の地元福井から上京することを考えると助かった部分もあるのかもしれませんが、ただ、どうしても完全ウェブ会議だと、十分な議論が尽くせない感がありました。令和6年改定からは、ようやく対面が原則になって、やはり会場のこの空気感を感じながら対面で議論することの重要さをひしひしと感じました。
私自身は、日本慢性期医療協会副会長の立場で、日本病院団体協議会から御推薦をいただき、この中医協委員を拝命しました。ただ私自身は、県の医師会長のお役もいただきながら、地元福井県の片田舎で、地域密着型の小さな病院の理事長、院長として今なお、外来、在宅、入院等、現場の第一線で地域医療に携わっている現役ばりばりの医師でもあります。
私が縁あって、この中医協委員を拝命したときに、どういう立場、立ち位置で、何をどうお話しすればいいか、いろいろ考えましたが、もし私にしかできないことがあるとすれば、やはり、今でも直接患者さんを診ている現場の医師として、映画のセリフではありませんが、今、現場で何が起きているのかということを、どういう状況にあるのかということを少しでも、この場で、臨場感を持って皆さん方にお伝えすることが、それこそ私しかできない使命の1つと肝に銘じ、この5年間務めてまいりました。
ただもとより、不精なもので、この場での私の発言は、実はほとんど読上げ原稿なしで臨みました。この場で事務局の説明をしっかりお聞きし、そして、各委員の御意見もしっかり拝聴した上で、それと私の現場感覚と照らし合わせながら、湧いてきた思いをこの場で伝えることに徹してきました。
そのため、ときには情緒的であったり、的外れであったり、言葉が詰まりお聞き苦しい点も多々あったかと思いますが、それは反省しており、改めてこの場を借りておわび申し上げたいと思います。
今日は、ちゃんと読上げ原稿をつくってまいりました(笑)。ただ、そんな舌足らずでお聞き苦しかったであろう私の発言にも、各委員の皆様方は真摯にお聞きいただいたことには、心から感謝申し上げるとともに、特に、いつも私の目を見て、顔を見て傾聴することに徹し、私が発言しやすい雰囲気をつくっていただいた小塩会長には、改めて心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
最初は、この大役をどうこなければいいか、不安もいっぱいでありましたが、皆様のお支えで、今、こうして取りあえず無事に任期を終えることができました。ほっとしていると同時に、少し寂しい思いをしております。
ただ、やはり、先ほど議論がありましたように、まさに病院、診療所等も、医療機関は恐らく皆様が想像していらっしゃる以上に未曾有の危機的状況にあることは間違いありません。
そして、この令和8年度の診療報酬改定の結果は、まさに医療機関の存亡に関わる大事な改定となります。そんな中、その改正の議論がまさに佳境に入ったこの時期に退任しなければいけないことは、正直残念な気持ちもあります。
さて、最後ですから、大変僭越ではございますが、少し中医協に関して気になる点を申し述べさせていただきたいと思います。
就任当時、私は、診療報酬改定は、内閣府で改定率を決定し、社会保障審議会医療部会、医療保険部会で医療政策方針を決定、そして、それに基づいて、この中医協で医療費の分配を決定すると伺っておりました。
しかし、近年は改定率の決定とともに、大臣合意で様々な具体的な指示が示されるようになった点については、中医協の形骸化とまでは言い切りませんが、少し違和感を覚えております。
また、遅々として解決の糸口が見いだせないでいる後発医薬品の不安定供給問題、今後まだまだ続くと思われる高額医薬品に対する対応や、費用対効果の在り方、さらに控除対象外消費税の問題等々、2年に1回の改定の議論では到底解決し切れない問題も山積しております。
中医協も1950年に始まって75年が経ち、もちろんこの間、いろいろな改革はありましたが、もう少し中長期的な大きな視野に立って、抜本的にこれらの問題が対応できる体制を検討する時期に来ているのではないか、そんな気がしております。
最後に、ここで一つ御紹介したいことがあります。東京大学名誉教授で法哲学者の井上達夫氏が提唱された、私の大好きな言葉、正義の定義を御紹介させてください。
「正義とは、自分の他者に対する行動が、たとえ相手の視点に立ったとしても正当化できるか、その反転可能性を自己批判的に吟味してみることである」とおっしゃっています。
中医協は、保険者代表、診療者代表、公益代表、さらには臨時委員や業界代表の皆様、そして事務方の皆様方が、それぞれ皆様は、我が国の医療を守るという同じ目標に向かって自分の立場で正しいと思っていることを、この場でぶつけ合っています。しかし、総論においても、各論においても、自分が正しいと思っていても、確かに相手の視点に立つと必ずしもそうは言えないという理解ができることも多々あります。ただ、その中から苦労しながらも、大きな共通の目標のために、皆が常に相手の立場を理解し合いながら、より正しいと思える結論を何とか導き出していくことこそが、この会議の一番重要な点ではないかと信じております。
最後に一言、故長嶋茂雄さんではありませんが、「中医協は永遠に不滅」です。我々医療を携わる者にとって。中医協は、やはり今でも非常に重要かつ大変責任の重い組織であることに間違いありません。目前に迫ったR8改定の議論はもちろん、今後とも国民の命と暮らしと尊厳を守るためにも、世界に冠たる日本の国民皆保険を死守し、地域医療を守り抜くための議論を尽くしていただき、よりよい医療を提供できる体制を堅持していただくことを心から切にお願い申し上げ、少し長くなりましたが、私からの退任の御挨拶とさせていただきます。
本当に長い間ありがとうございました。(拍手)
○小塩会長
池端委員、どうもありがとうございました。お世話なりました。
それでは、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。皆さん、お疲れさまでした。
それでは、ただいまより第623回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、鈴木委員、伊藤委員、岡本専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこのあたりとさせていただきます。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに「薬価基準から削除する品目について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長です。
資料総-1を御覧ください。
薬価基準から削除する品目について御報告をいたします。
医療上の需要がなくなる等の理由により、製造販売業者が供給の停止、それから薬価基準からの削除を希望する場合には、製造販売業者から提出される事前報告書等に基づきまして、厚生労働省において、関係学会の意見を聞いた上で、薬価削除等の可否を判断しているところでございます。
昨年の8月には、薬価削除の手続の明確化が行われておりまして、この手続においては、薬価削除に係る経過措置告示の約1か月前に中医協に御報告することとされております。
今回の報告の対象期間につきましては、昨年の12月1日から今年の9月12日までに薬価削除願いが提出されたものとなっております。
別添に506品目掲載しておりますけれども、これらにつきましては、関係学会から薬価基準からの削除について了承が得られ、厚生労働省においても削除して差し支えないと判断した品目でございます。
この506品目の内訳につきまして、このうち468の品目につきましては、薬価削除後も同一の成分のほかの医薬品が存在するものとなっております。
残りの38につきましては、成分単位で削除されるものではございますが、他の成分での代替薬が存在するなどの理由によりまして、関係学会から了承が得られているものでございます。
この506品目につきましては、11月頃をめどに経過措置に移行する予定でございます。経過措置期間は来年の3月末までとさせていただいております。
御報告は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
薬価基準から削除する品目に関しては、異論はありません。ただ、今、事務局からの資料の総-1の左下に書いてありますけれども、今回削除する品目の経過措置期間が来年の3月末ということになっています。
正直、11月に経過措置に移行して3月末までに期限を迎える、それ以後使えなくなるというのは、現場感覚とすると、かなり短過ぎると思います。
今年、薬剤師会で調査した中で、一薬局平均1,300品目ほどの医薬品を備蓄していました。その中で約2割の医薬品が半年間使われていませんでした。経過措置を過ぎると使用できなくなり、結果的に残薬は薬局と医療機関の負担になるとともに、使われずに捨てられるということは、医薬品の無駄ということにもつながります。
また、現在、安定供給に大きな支障を来している中に、今日入っている品目の中でも限定出荷となっているものもあるのではないかと思います。
そういうことを考えますと、国民への必要な医薬品へのアクセスの観点からも、経過措置を延ばしていただきたいこと。
それから、以前もお願いしましたけれども、経過措置期間については、最終ロットの使用期限までにしていただきたいと思います。また、医療機関、薬局で経過措置のため残薬となり、最終的に使えなくなったものに関しては、企業から回収することも検討いただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま御要望ございましたが、事務局はいかがでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長
医薬産業振興・医療情報企画課長です。
今回、品目数も多くなっておりまして、品目ごとに状況は異なってくる部分があると思いますけれども、まず、この11月告示の品目につきましては、一旦来年3月末までとさせていただいているところでございますが、先生御指摘の使用期限ですとか、あるいは市場の流通の状況などを踏まえまして、延長が必要な場合には、製造販売業者からの申出をいただきまして延長することが可能としておりますので、また、製造販売業者とよく話をしていきたいと考えております。
○小塩会長
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
今回は令和8年3月末という期限を設定することに関しては承知しました。ただ、製造販売業者の判断できちんと延ばせるようにしていただきたいこと。それから、次回からは、この短い期間で設定するのかどうかというのは十分に検討していただきたい。はっきり言えば、変えていただきたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
続きまして「入院について(その3)」を議題といたします。
事務局より資料が退出提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
事務局です。医療課長です。
総-2「入院について(その3)慢性期入院医療・身体拘束」についてでございます。
時間が押しぎみでございますので、恐縮ですけれども、非常に簡略な説明をさせていただきたいと思います。
2ページが目次となってございます。
そして、そこから15ページまでは、おおむね既存の資料でございますので、説明を割愛させていただいて、16ページから個別の論点等に関して御説明させていただきます。
17ページが「療養病棟における医療区分2・3の算定日数」ということで、現行の基準をどのような形で満たしているかを示しています。
18ページ~21ページまで、前回の改定で医療区分2・3の定義に一部変更がございましたけれども、どれぐらいの患者さんが、それらの定義を満たしているかということをお示ししているものでございます。
22ページ、23ページが、療養病棟入院料の1と2における医療区分ごとの医療資源投入量を表したものでございます。
24ページは、処置の医療区分につきまして、このようなものがございますけれども、感染症の治療、創傷処置といったものを一旦ここで定義させていただいて、それらを両方満たす方が、どういった医療資源投入量になっているかというのを見たのが25ページでございます。
請求点数については、同じような医療区分でございますので、おおむね同じでございますけれども、右側にあります、包括内出来高点数で見ますと、この2つを両方持っていらっしゃる患者さんというのは高いという結果になってございます。
26ページからが「経腸栄養や摂食嚥下機能回復の取組について」でございます。
27、28が、これまでの改定の概要、そして、29ページが療養病棟において、栄養管理、経鼻経管栄養、中心静脈栄養等を受けていらっしゃる患者さんの割合です。
30ページが、届出状況となってございます。
31ページ、32ページが、これらの加算の届出が難しい理由等をまとめさせていただいてございます。
33ページ、論点でございますけれども、療養病棟入院基本料の医療区分につきましては、医療区分2・3の患者の割合、それから例示したような異なる治療を行う病態が重複した場合の医療資源投入量、こうしたものを踏まえて、評価の在り方についてどのように考えるか。
そして、経腸栄養等につきましては、経腸栄養管理加算や摂食嚥下機能回復体制加算について、実績要件等の施設基準についてどのように考えるか、このようにまとめさせていただいております。
続いて、障害者施設等入院基本料と特殊疾患病棟入院料についてでございます。
42ページまでが、現状の評価や病床数などをまとめたものでございます。
43ページが、対象疾患ごとの該当の割合を表しております。
44ページが、現行の評価の複雑な内容をできるだけ簡単にまとめたものでございまして、障害施設等入院基本料で、基本的には出来高の病棟でございますけれども、黄色で書かれている患者さんにつきましては、療養病棟入院基本料に準じた体系で評価をすることとなってございます。
45ページは、障害者施設においても、療養病棟においても廃用症候群の患者さんが一定程度入院されているというデータ、そして46ページ、それらの患者さんの状況が大きくは変わらないというデータでございます。
47ページは、御参考として肢体不自由の定義、障害者施設入院料に入院される基準となっている部分の定義についてお示ししております。
48ページでございますけれども、課題と論点として、主たる病名が廃用症候群である患者さんの入院が多い中での評価の在り方といったことを挙げさせていただいております。
49ページからが身体拘束についてでございます。
50ページ、51ページ、52ページは現行の評価の内容、そして、53ページ、54ページが、前回の改定で設けられた指針の策定といったことの現在の状況を表しております。
55ページが、認知症ケア加算の概要でして、身体的拘束を実施した日は減算をするということになっております。
また、56ページ、この算定の状況の中で身体拘束を実施した割合の推移を併せて表しております。
この後、身体的拘束の実施状況等でございますけれども、58ページ~60ページ、実施状況の可視化に関する取組や、診療報酬上の評価について表しております。
61ページが、入院料ごとの身体的拘束の実施状況でございますけれども、一部の病棟におきまして、非常に高い割合で身体的拘束が行われている病棟があるということでございます。
62ページが、回リハ病棟の求められる役割、そして、63ページが、入院料ごとの身体拘束の時間となってございまして、常時、四肢・体幹の抑制が行われているという部分が赤くなってございます。
64ページが、身体拘束の実施理由として、ライン・チューブ類の自己抜去防止や、転倒・転落防止が多いというデータ、そして、65ページが入院料ごとの身体拘束の実施日数で、7日中7日というのが濃い青で示されてございます。
66ページが、患者の状態別の身体的拘束の実施の有無。
67ページは、入院料ごとの認知症の有無ということで、68ページが、認知症の有無ごと、そして患者の処置ごとの身体拘束の実施率ということでございます。認知症ありや、の様々な処置があるものが多くなってございますが、69ページを御覧いただきますと、そうしたカテーテルなどと認知症がある患者さんであっても身体拘束が非常に少ない病棟、あるいはそういったものがない患者さんでも身体拘束が非常に多い病棟があるという内容でございます。
70ページからが、身体拘束を減らすための取組ということで、71ページ、72ページが、介護施設向けの資料でございますけれども、医療機関で取り組んでおられる方々でも身体拘束を減らされている方については、同じような取組をされているという認識をしておりまして、73ページ~76ページに、そうした事例を載せております。
また、77ページが、現在取り組んでおられる内容について医療機関のほうにお伺いをした内容ということでございます。
79ページ、論点でございますが、認知症ケア加算の算定につきまして、身体的拘束を実施した日の評価の在り方、また、身体的拘束の最小化に向けた取組について積極的に取り組んでいる施設の評価、また、回復期リハビリテーション病棟や療養病棟で身体拘束を実施した場合の評価、こうしたことを論点として挙げさせていただいてございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、33ページの療養病棟入院基本料に関わる論点についてでございます。
最初の○の医療区分の論点のうち、1つ目のポツでは、入院料2における医療区分2・3の患者割合に着目されていますが、2040年に向けて、医療と介護の複合的ニーズを有する85歳以上の高齢者の増加が見込まれ、診療報酬上の基準を厳格化することにより、医療提供体制に支障を来さないようにすることが肝要であります。
仮に患者割合を見直すことを検討するのであれば、経過措置の設定は必須であること。また、医療区分の処置等には、発熱や嘔吐を伴う状態に限るもの、連続する測定が3日間に限るものなどの要件があり、同一の患者さんの医療区分が、状態により日々変わることは珍しくなく、患者割合を引き上げた場合には、一時的に基準を満たさなくなることもあり得るかもしれないので、一時的な逸脱に対する救済措置なども検討する必要があろうかと思います。
続きまして、2つ目のポツにつきまして、処置区分2の項目が複数重複した場合には、医療区分2から医療区分3に該当するように評価を引き上げるべきと要望いたします。
続いて、2つ目の○については、論点にも示されているとおり、経腸栄養や嚥下機能の回復について積極的に取り組んでいる医療機関が適切に評価されるようにするためにも、中心静脈栄養の実施に係る要件については、緩和すべきでございます。
続きまして、48ページの障害者施設等入院基本料等に係る論点についてコメントいたします。
10対1から15対1の障害者施設等入院基本料において、廃用症候群の患者割合が多く、療養病棟と類似していることが指摘されております。
しかし、障害者施設等入院基本料の該当患者は、身体障害者障害程度等級の1級、2級相当とされており、脊髄損傷などの障害が固定した状態にあり、廃用症候群からの回復が困難な場合も多く、一方で、器質的障害のない廃用症候群は、ときを経てもしばしば改善するなど、同じ廃用症候群にであっても病態により異なるため、評価の在り方については、より詳細な分析が必要と考えております。
また、本日の論点にはございませんが、障害者病棟は、他の病棟に比べて、介護の必要度が極めて高く、平均在院日数も著しく長いにもかかわらず、看護補助加算の評価が高くない上に、算定期間が30日以内に限定されております。
期間限定に関しては、一部の急性期病棟では導入されていますが、その他の一般病棟や地域包括ケア病棟では、算定期間が限定されておらず、障害者病棟の特性を踏まえて、看護補助加算の評価を高めるとともに、算定期間の限定を廃止する見直しを行うべきと要望いたします。
続きまして、79ページの身体拘束の最小化に係る論点についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の○の認知症ケア加算の算定についてでございます。
56ページを見ますと、特に認知症ケア加算1においては、前回改定で減算割合が4割から6割に引き上げられたことで、身体拘束が4%減少したことが記載されております。
これは、前回改定における認知症ケア加算の見直しが有効であったことを示しており、さらには入院料の通則により、身体的拘束を最小化する取組の強化の改定もなされており、医療現場では、身体的拘束を防止するための変革が起きており、現状の仕組みのまま今後の推移を見ていくことが重要であることを申し上げます。
続いて、2つ目の○について、今回の資料に示されているような身体的拘束を予防し、最小化するための様々な好事例を参考に、個々の医療機関が、管理者が主体となった意識醸成や組織風土の構築、あるいは委員会の設置、院内ラウンドの実施、カンファレンスの実施、職員研修の開催、アドバイザーの招聘などに取り組むことを推進することが重要であり、そうした取組が積極的に推進されるような評価を行うことも検討する必要があるかと思います。
3つ目の○についてでございます。
最初のポツでは、回復期リハビリテーション病棟において、比較的身体的拘束を実施している病棟が多いことが指摘されております。
これについては、過去の入院外来分科会でも指摘されたことかと思いますが、回復期リハビリテーション病棟において、身体的拘束を実施している患者さんは、脳梗塞や心原性脳塞栓症を主病名とする患者さんが多く、例えば、片麻痺になった場合に、これくらいはできるだろうと思って、転倒されてしまうケースなどがあります。そういった危険性もあるため、やむを得ず、身体的拘束をせざるを得ない事情が背景にはあります。
そして、御注意いただきたいのは、ここで言う身体的拘束には、抑制帯等で物理的に四肢を固定するようなものではなく、クリップセンサーや離床センサーといった、むしろ患者さんが動けることを前提に、未然に転倒、転落を防止する見守りのために行っているものも含まれているところです。
実際、63ページのリード文のところでは、回復期リハビリテーション病棟では衣服などに装着して患者の離床等を把握するクリップセンサー等を使用している割合が高かったと記載されております。
したがいまして、クリップセンサー等については、身体的拘束に該当しないとすることも一考の余地があると考えております。
2つ目のポツについては、認知症の有無やデバイスの有無にかかわらず、施設によって身体拘束の有無に差があることが指摘されておりますが、身体的拘束がなされている患者さんの状態、認知症の程度や使用しているデバイスなども施設によって異なると思いますので、その辺りをもう少し詳しく見てみないと、これだけではなかなか判断が難しいかと思います。
68ページには、療養病棟における認知症有無別の処置ごとの身体的拘束実施率が示されていますが、最近の傾向として、胃瘻よりも経鼻経管栄養あるいは中心静脈栄養を希望されることが増えていることも背景にあり、身体的拘束に対してどのように取り組んでいるかなどの、より詳細な分析が先決と考えております。
私からは以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に意見を求めることにつきまして、御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます、池端でございます。
私も論点に沿って何点かコメントをさせていただきたいと思います。
まず、33ページの療養病棟入院基本料に係る論点ですが、1つ目の○、療養病床入院基本料の医療区分に関しては、前回の令和6年度に合計30区分に大きく見直されました。資料を見る限り、療養1、2とも医療区分2・3の割合は若干増加が見られるものの大きな変動はなく、前回の見直しについては、さほど大きな影響なかったと推察されるかと思います。
また、17ページにありますように、療養2においても医療区分2・3の割合が6割を超える医療機関が98%以上あるということから、療養2の医療区分の基準5割を一定程度上げるということ、例えば、6割に上げるということについては、調査の結果からは一定程度の整合性があることは理解できます。
ただ、一方で、18ページ以降にありますように、療養2の平均稼働率は、療養1に比べて1割以上低くなっており、かつ療養病棟においては療養1も2も看護配置基準は、同じ20対1であることを鑑みると、ただでさえ非常に厳しい経営状況にあることは間違いなく、もしも今回、この施設基準を大きく見直すことであれば、それに対応できず、突然病棟や病院がなくなったり、入院患者の行き場所がなくなることだけは避けなければいけないと思いますので、十分な聞き取りをした上で、一定期間の経過措置等の準備もぜひお願いしたいと思います。
次に、2つ目の論点である医療区分2の中で複数の項目を併せ持つ、いわゆる高齢者のマルチモビリティ、多疾患併存状態の患者さんが、この療養病床に多く入院されています。
25ページのグラフで明らかなように、医療資源投入量に明らかな差が見られているということから考えても、このような状態の患者像に対して、何らかの新たな加算もしくは医療区分3の評価をいただくことは妥当ではないかと考えております。
2つ目の療養病棟における経腸栄養に関する取組、あと、在宅復帰に関する取組についてですが、まず、中心静脈栄養の1か月実施が、実施要件になっていることについての緩和については、そもそもこの栄養管理とか嚥下訓練を推進するという趣旨からすれば、理にかなった対応ではないかと思いますので、是非ともお願いしたいと思っております。
また、今回の論点の資料にはありませんが、入院して一定期間治療をしながら、やはり地域へ帰っていただく、つまり在宅復帰を目指すという機能は、療養病棟といえども病院の機能ですので、非常に重要ということで、在宅復帰に対する新たな評価等々も考えていただければ、ありがたいことかと思います。
次に、48ページの障害者の論点に関しては、以前に特殊疾患と療養病床の整合性を図ったことがあります。江澤委員がおっしゃったように、廃用症候群と療養病棟が、ほぼ医療資源投入量もあまり変わらないとなれば、一物二価になる可能性はあります。
ただ、やはり障害者病棟は、それぞれの疾患によってかなり違った対応もしなくてはいけないこともあり得るということなので、もう少し精緻に、内容そのものはしっかり把握しながら、一律に廃用症候群と言っても長期に廃用症候群になってしまっている場合と、そうではない場合もあるかと思いますので、その辺もしっかり検証しながら議論を進めていただければと思っています。
次に、身体拘束に関してです。
身体拘束に関しては、特に私ども慢性期医療を担う病院協会としては、以前から取組を推進していた立場からも、ぜひこの推進も進めていただければと思っています。
一方で、身体拘束の好事例もいろいろ上がっていますが、デバイスがあったり、認知症があったりということを、頑張って頑張って拘束を外そうと思うと、何が一番大変かというと人手がかかるのです。特に夜勤帯に2人、3人の夜勤で、40人、50人を見るときに、かなり苦労することと、それと、御家族に御理解いただくこと、リスクも含めて御理解いただくことは非常に大変な手間もあります。だから一概に、これだけできるねということは言えないところも、ぜひ御理解いただきたい。
でもその上で、推進することは私としてもやぶさかではないと思っています。1つ目の○の認知症ケア加算についても、非常に有効なデータが出ていますので、引き続きこの状況で継続していただくことは、いいのではないかと思っています。
2つ目の好事例を参考に推進することもいいと思いますが、先ほどの、実は人の手間が非常にかかるのだということも御理解いただいて、ケースによって、一言に認知症と言っても、本当にちょっと目を離すとすぐ柵を外してしまったり、うろうろ廊下に出ようとして転倒したりということもある。デバイスがなくてもそういうことはあり得るので、そういうこともあるということで、100%そこを外せるということではないということも御理解いただけるとありがたいと思います。
それと、先ほど江澤先生からありましたように、回リハ等も含めてですけれども、身体的拘束と身体拘束の違い、身体的拘束の中で、身体又は衣服に直接触れるものが身体的拘束だけれども、例えば、先ほど言ったクリップセンサーなどは、むしろ、それをつけることによって、身体拘束をなくす、どんどん活動を上げていくこともできる。そういったものもありますので、単に衣服に触れているか触れていないかだけで判断ではなく、もう少し身体的拘束の定義も見直していただくと、より本当の意味の身体拘束をなくすことができるのではないか、そういうことも、ぜひ併せて御理解いただければと思っています。
以上、私のほうからコメントをさせいただきました。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からも、今、池端先生、江澤先生がおっしゃられましたけれども、この身体的拘束の定義というものに関しては、今回の改定でぜひとも見直しをいただきたいということだけ触れさせていただきたいと思います。
50ページに、診療報酬上、今、使われている身体的拘束の定義が示されております。多分、お話を聞かれていらっしゃる方は、何でこれが身体的拘束になるのだと思われるのだと思います。本当にモニタリングのための服につけるためのセンサーのデバイスが、この定義でいうと、「患者の身体または衣服に触れる何かしらの用具を使って使用して」に触れてしまうのでということで、これが、今、非常に大きな問題になってございます。
当然、これは見守りセンサーだとか、睡眠センサーだとか、離床センサー、いろいろなものを使って、患者さんを縛りつけないような形で、各現場は頑張っているのですけれども、衣服につけるデバイスだけは、とにかくこの定義一本で駄目ですという扱いが診療報酬の解釈上されておりますので、これに関しては、今回の改定でぜひとも見直しをいただきたいということだけ、強く要望いたします。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、先ほど江澤委員から看護の観点からの発言を専門委員からお願いしたいという御要望がありましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
療養病棟入院料におきましては、常時管理が必要な疾患、状態の患者さんや処置等も増えており、資料にもあるとおり、そうした要素が複数重なった場合には、特に医療資源投入量が増え、連動して看護ケアの必要性も増しております。
評価の在り方については、重症度の高い患者の受入れや、そのために必要な体制を整備している病棟について、適切に評価していくことが重要と考えております。
次に、資料の79ページの論点にあります、身体的拘束の最小化に向けた取組について、意見を述べさせていただきます。
資料の66、68ページを見ますと、認知症がある場合や、デバイスや処置を要する場合に、身体的拘束の実施率が高い傾向がありますが、69ページの左上のグラフでは、デバイスありで、認知症ありの患者に対しても、身体的拘束0%を実現している病棟が3割あり、手厚い見守りや様々な工夫が行われているものと考えられます。
令和6年度診療報酬改定で、身体的拘束最小化の基準が、入院料の通則に入ったことも後押しとなり、急性期から回復期、慢性期まで、より多くの病院で身体的拘束最小化の取組が進められているところです。
実際に身体的拘束を減少させる上で、環境づくりや医療処置の方法を見直すなど、具体的な工夫と併せて、周知や意識改革をいかに組織的に行っていくかが非常に重要です。
75、76ページの事例でも、様々な職種や部署で意識を統一していくための横断的な取組を、非常に丁寧にプロセスを踏んで実施している様子が見て取れます。
看護師をはじめとした数百人規模のスタッフをまとめていくために、看護部長や看護師長などの、看護管理者が非常に御苦労されていると聞いており、身体的拘束の最小化に積極的に取り組んでいる施設をより手厚く評価することが、こうした取組を広げていくために重要と考えております。
また、身体的拘束の定義につきましても、御検討いただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、1号側の委員の御意見を伺います。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
療養病棟につきましては、経過措置も終了し、介護療養病棟との棲み分けに一定の区切りがついたと思いますので、在宅医療や介護施設との役割分担をし、医療の必要性が高い患者が入院する病棟であるという位置づけをより明確にすることや、前回改定で医療区分を疾患・状態と処置に分けて入院料体系を精緻化したことを踏まえまして、患者の状態や医療資源投入量をより反映した、メリハリの効いた評価にすべきと考えております。
それでは、まず、33ページの療養病棟入院基本料についてですけれども、資料の17ページを見てみますと、先ほど来、ほかの委員からも言及がございましたけれども、入院料2につきましては、98.5%の施設で医療区分2・3の患者が6割以上になっていることから、最低でも患者割合の基準を6割以上とすべきだと考えます。
また、入院料1につきましても、相当数の施設、86%程度の施設がクリアしておりますので、9割まで患者割合の基準を引き上げることも検討の余地があると考えております。
さらに、医療区分2・3の患者の受入れを積極的に推進するためには、入院料2を廃止して入院料1に一本化するということも検討すべきだと認識しております。
次に、先に述べました医療資源投入量に見合った評価という観点で見てみますと、8ページには実際の点数が、22ページには出来高の点数が比較されております。
22ページのグラフでございますけれども、グラフの下の項目のところを見ていただきますと、入院料が、先ほど来話が出ています30の区分が出ております。その下には疾患、状態の区分が3、2、1と、アスタリスクは、スモンの状態となります。
下に処置が、おのおのに対して3、2、1、3、2、1という形で区分されたグラフになっておりますけれども、例えば、実際の点数が高いADL区分の3の入院料を見ている中で、例えば入院料の4番とか7番とかいうところで、出来高点数が低いことが見て取れます。出来高に必ずしも換算できないケアに留意する必要性は十分理解しておりますが、点数設定そのものが妥当なのかについては疑問を感じざるを得ないというところでございます。
さらに、ADL区分の3以外のところで、例えば、疾患状態が3や2で処置が1の場合や、疾患・状態が1で処置が2の場合など、出来高点数がかなり低くなっており、実際の点数の階段とは開きがありますので、医療資源投入量に見合った水準に適正化すべきと考えております。
一方で、24ページに示されております処置区分2のうち、異なる治療を行う病態が重複した場合については、25ページを見てみますと、出来高点数が高いということで、医療資源投入量に見合った評価に見直すことには、異論はございません。
次に、中心静脈栄養については、資料の29ページを見てみますと、説明にございます中心静脈栄養や胃瘻、経鼻経管栄養については前回改定から変化があまりないようでございますけれども、一方、31ページ、32ページを見てみますと、経腸栄養管理加算や摂食嚥下機能回復体制加算については、算定対象となる患者がいないという理由で、あまり活用されておらず、やや中心静脈栄養の実態とは齟齬があるような印象を受けております。
中心静脈栄養からの早期の離脱を推進する方向で実績要件を見直すことには、異論はございません。
続きまして、障害者施設等入院基本料についてでございますけれども、廃用症候群を療養病棟に準じた包括評価とするという方向性については賛同するものでございます。
次に、身体的拘束についてですけれども、資料の61ページを見てみますと、どの入院料においても、それなりの患者に実施されていることは見て取れます。
患者の状態としては、認知症やせん妄の場合に実施率が高いことが66ページに示されておりますけれども、56ページの一番下のグラフを見てみますと、認知症ケア加算に占める身体拘束の割合が、令和5年から6年にかけて低下しており、前回改定で減算を導入した効果が出ているものだと理解しております。
したがいまして、次回改定で評価をより厳格化することもあり得るのではないかと思います。
また、身体拘束の最小化の取組につきましては、53ページから54ページを見てみますと、入院料の通則の改正により、指針の策定や体制整備は進んだものと受け止めております。
今後は71ページ以降で紹介されているような取組に期待しておりますが、人手やコストもかかることだと思いますので、病棟で様々な職種が協力して効果的に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、回復期リハビリテーション病棟入院料や、療養病棟について、患者の安全のために身体拘束が必要な場面があることは、先ほど来、各委員からも出ておりますので否定はいたしませんけれども、例えば、65ページには、身体的拘束を毎日実施している患者、これはグラフでいうと紺色で示されておりますけれども、それが結構多いというのは、いささか疑問を感じるところでもございますので、身体的拘束を実施した日の減算というのも検討すべきではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
身体的拘束の最小化に関して申し上げます。
回復期リハビリテーションは、身体機能の回復に向けてリハビリを行う場ですので、常時、手指・四肢・体幹抑制をしているといった事象があるというのはどういうことなのか、そもそも入院している患者像とマッチしているのかといった疑問がございます。
先ほど来、御意見をいただいておりますが、患者の安全を守るといったこと、医療上の必要性がある場合もあろうかとは思いますが、患者の尊厳を守る観点から、現場で最小化に向けた取組がさらに進むよう、必要な見直しに向けて検討をしていく必要があると考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
今、松本委員から療養1に関する医療区分の御意見がございましたので、少しコメントをさせていただきたいと思います。
これまで前回、今回の中医協での改定の議論の中で、医療資源投入量と点数設定という話がよく出てきています。もちろん、これに全面的に反対するつもりはありませんが、今、療養病床1が8割の基準、では、80%が2・3の範囲で、では、残りの2割は、どういう患者さんがいるかというと、例えば、肺炎で治療して、抗生剤を点滴して炎症反応も取れてX線写真もオーケー、そろそろ退院できそうであるとして、抗生剤を切ります。するとその時点で、医療区分が1になります。ただ、さすがにその翌日に退院はできません。これから、さらに経過をながら、退院調整をし、そして、本当に大丈夫かどうか、2、3日様子を見ながら、再度いろいろな検査で確認をして、大丈夫と判断してようやく退院する。その遊びの期間、遊びというか、遊んでいるわけではないですよ、その猶予の期間が非常に重要なので、これを9割、10割にすればいいではないかという議論は、全く私たち現場感覚からすると、とんでもない話になります。
例えば、ブレーキを踏むと、ぱっと急に止まったら追突はしないかもしれませんけれどもけがをしますね。それと同じように、ある程度の遊びがないといけない、その遊びは2割が、私はぎりぎりだと思います。
そして、もう一つ、医療区分資源投入量の基準だけで、ADL区分3が少し高いのはおかしいではないかとおっしゃいますけれども、これも医療資源投入量ではなくて、このADL区分で、何に違いがあるかというと、そこには、ADLが上がることによってケアの仕方や量が重くなってくる、医療区分もそうですけれども、あるいは指示とか実際に診察をする時間とか、そういうことが多くなって、それを観察する時間、医師、看護師がちゃんとケアをする時間、あるいは指示を変更する時間、いろいろそういう人の手間が、実は医療区分資源投入量以外のところに入っている。これがADL区分によって変わっているということから、このADL区分が、(1分間タイムスタディで考えられた)医療区分の最初のスタートのときから入ってきたわけですから、そこは、ぜひ御理解いただきたいなと思っています。
特に療養1についての8割の基準をさらに上げるということに対しては、これは、本当に大変なことが起きると私は思っていますので、ぜひ、その辺は御理解をいただきたいなと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
先ほど1号側のほうから、医療区分の2・3の割合を90%のカテゴリーをどうかという御提案もあったところですけれども、もう90%というのは、もはや基準とか要件ではなくなってしまいます。例えば10人、医療区分の2・3の方が9人に対して、それ以外が1人でも、これでぎりぎりになってしまうので、そうすると、やはり入院に支障を来す患者さんが続出してしまいますし、もともと90%というラインは、要件とか基準に設けるべきではない数値だと思っておりますので、これまでどおり、入院医療の1と2は、ぜひ継続していただきたいと思っております。
また、22ページの医療資源投入量、そこに当然介護などの労力は入っておらず、現状、療養病棟の入院患者さんの約半数が要介護4と5です。したがって、そういった方が、なおかつ医療区分の2とか3は、22ページのグラフの方も大半が満たしているわけなので、そういったことを踏まえた上での評価でありますし、そもそも現行の医療区分は、さかのぼること平成18年の診療報酬改定で導入されたと思いますけれども、あのときに入念な議論を積み重ねて、いろいろ研究事業を行って、今の医療区分ができておりますから、それなりのバックグラウンドはあるわけでございますので、まずは、こういったことについては尊重していただきたいと思っております。
あと、認知症のケア加算については、非常に効果が出ているということで、我々もそこは共有しております。
現場で、まず、御理解いただきたいのは、我々医療従事者の中で、身体拘束をしたいと思っている人は、私はゼロだと思っています。意図的にしたいとかはあり得ないし、恐らくせざるを得ない環境があるのだろうとは思っています。
医療現場は、まだまだ身体拘束に対して改善の余地はあるとは認識しておりますし、私自身も長年、尊厳の保障というのをライフワークにして、尊厳の保持とか、身体拘束の廃止には、かなり力を込めて取り組んできた自負もありますので、そういった立場で申し上げますけれども、例えば、胃瘻ですけれども、初めて胃瘻を入れたときの本当の急性期は、それを抜いてしまうと、命に関わる致死性の腹膜炎を生じますから、そこは絶対に抜いてはいけない時期があり、一方で、落ち着いた状態の胃瘻というのは、別に抜いても、また、再挿入すればいいわけなので、必ずしも身体拘束すべき状態ではないとは認識しています。
したがって、いろいろな局面がある中で、やむを得ない状況もあったりということで、前回の診療報酬改定で入院料の通則に入ったことは、私も大変好意的に思っていますし、非常に医療現場の取組が推進されることになったかと思っておりますので、取りあえず、今の認知症ケア加算についても、今、効果が出始めておりますから、取りあえず、現状の状況を見ながら、今後何が必要なのか、そして、好事例はしっかりと評価して、そちらに誘導してくことも大事だと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
先ほど私のほうから述べました、17ページの入院料1に関して、お二人の先生からコメントをいただきましたけれども、江澤先生からは、この率で言うと、9割ということを設けることに、あまり意味がないのではないかという御意見でした。
一方で、池田先生からは、これを上げることは危ないと、この2つのコメントの関係性といいますか、ちょっと私は理解ができないものですから、少し御説明をいただけるとありがたいのですが。
○小塩会長
江澤委員、お願いできますか。
○江澤委員
逆に、池端委員と私は全く同じことを申し上げており、まずは医療区分2・3が大前提にありますから、医療区分2・3がない患者さんというのが、もう入院できない病棟になっていいのかどうか、そういったリスクを池端委員も危惧されておられますし、90%になると、施設基準というのはぎりぎりだと、いつ基準割れするか、我々も当然、その辺りはベンチマークしますから、もうほぼ100%が医療区分2・3の患者さんがないといけないという状況になるので、それは、今の状況とか、実際に医療区分1の方も一部いらっしゃるわけで、その方を排除するわけにはいかないと、当然、別に入院の必要性がなくて入院している方は、医療区分1の中にもいらっしゃらないということは御理解いただきたいということで、池端委員と私の言ったことは、全くそごがないと思っております。
○池端委員
私も言い方は多少違ったかもしれませんけれども、同じことをお話しさせていただいたつもりです。
現在、私の病院も療養1で管理していますけれども、ほぼ、入院患者は全医療区分2・3があることを前提に入院しています。ただ、その中で、やむを得ず、例えば、しょっちゅう入退院を繰り返している方が、たまたま、2・3に当てはまらない、喀痰が少し多いけれども、肺炎でもないけれども、少し入院が必要だということ、1だと分かっていっても、ほかは行きたくない、でも入院が必要だということを受け入れる、それがごく一部あることはある。でも、それはすぐに帰さなくてはいけないということで、全部2・3、8割以上ということを考えると、全ての入院患者は2・3をクリアしていることが、絶対条件だということを入退院支援看護師も、あるいはケアマネジャーも全部分かっています。それでも受けなくてはいけない地域のニーズがあるので、そこを受けるということで、何とか2割をオーバーしないように受けている。
そして、もう一つ最初に言ったように、2・3で入った方が1になってすぐ退院できない、このハンドルの遊びの部分というところも入れると2割が限界だというところ、これ以上それが短くなってしまったら、本当に療養病棟全体の運営が難しくなるということで、とても無理なのですということをお話しさせていただいたつもりなので、多分、同じことを言っているのだと思うのですけれども、以上です。
○小塩会長
松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員
非常に分かりやすい御説明をありがとうございました。
あくまでも入院を排除しないということで理解をしておきます。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
あと1点、9ページを見ていただきますと、例えば脱水でも発熱を伴う状態の患者に対するものに限るとか、全部括弧書きがあって、では、例えば脱水とか頻回の嘔吐で発熱がなかったら受け入れないかということは、我々はないのですね。こういった方々もいろいろ急患として入院に来られますから、したがって、別に医療区分2・3が全てを網羅している万能の指標ではなくて、実際入院が必要な方は医療区分2・3以外にもたくさんいらっしゃるということを、ぜひ、御理解いただければ大変ありがたいと思っております。
以上です。
○小塩会長
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
もう一つ具体で言いますと、うちの病院は2・3に当てはまらない患者の入院に関しては、全て私に連絡が来ます。院長の許可がなかったら入れないということになっていても、うちは大体80数パーセントから、多いときは、90%ぐらいなる、こんな管理をしていても、そういう感じなので、そういうぎりぎりの管理をしていて、8割を何とかみんな各病棟がクリアしているということだと思います。よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。飯塚委員、お手が挙がっています。
○飯塚委員
ありがとうございます。
79ページの身体的拘束に関してですけれども、私も今後も、こういった取組を促すことが重要と考えていますけれども、その方法について、例えば介護においては、介護のサービス情報公表システムで、個別の介護施設別に拘束について、どのような取組を行っているかといった情報を一般に公開しています。
病院についても、今後こういった拘束を減らすといった取組を促すためにも、病院別に拘束の状況ですとか、あるいは取組の内容等を公開して、そういった取組を促すということも重要と考えています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
それでは、ほかには特に御質問、御意見ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた、御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「個別事項について(その4)移植医療」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-3を御覧ください。移植医療についてでございます。こちらも、ここではポイントのみ御説明させてだきます。
2ページ、目次でございます。
移植医療の現状等、それから臓器移植と臍帯血移植がテーマでございます。
資料の14ページまでは、臓器移植と臍帯血移植に関しての現状や制度等についての資料を入れております。
16ページから御説明させていただきます。
脳死臓器提供管理料という点数がございますが、臓器提供に当たって、ドナーに対して実施された脳死判定及びコーディネート等にかかる費用につきましては、ドナーの自己負担や、ドナーの保険で払っていただくというわけにいきませんので、レシピエントのほうに、このような管理料を設けてございます。
17ページでございますけれども、臓器移植のコーディネートの業務でございますけれども、今回、若干変更がございまして、臓器のあっせんに該当する行為の中で、家族への臓器提供に関する説明等につきましては、ネットワークのコーディネーターだけではなくて、各医療機関のコーディネーターができるという形で変更が行われております。
この業務ができるのは、認定ドナーコーディネーターということございますけれども、18ページにありますように、院内にこういう方がいらっしゃることによって、臓器提供が促進され、また、時間が短縮されるということになります。
19ページ、その認定にかかる要請等の状況でございます。
20ページは、こうした臓器提供の提供に取り組むことに関するこれまでの評価を、DPCの体制評価指数についてお示ししております。
21ページでございますけれども、ドナーの治療ではなくて移植のために必要なドナーの検査や処置について、最近ですと脳血流消失検査でありますとか、あるいは補助循環、こういったものがあるということでございますけれども、こうしたものにつきましても、ドナーのほうの保険に請求するわけにはいかないという中で、どう扱うかということをお諮りしたいと思っております。
続いて、抗HLA抗体スクリーニング検査についてでございますけれども、23ページ、前回の改定で輸血歴や妊娠歴等の感作歴のある症例のみ、これが保険適用となりましたが、24ページにありますように、それ以外の方についても、検査の有用性があるということでございます。
それから、25ページから臍帯血移植についてでございますが、26ページ、臍帯血移植が、この点数でございますけれども、HLA遺伝子型タイピング検査に当たりまして、従来法と、それからよりコストのかかるNGS法というのがあり、27ページを御覧いただきますと、このNGS法を利用したタイピングを行ったほうが、再発率が低いといった効果があるということでございます。
29ページに論点をまとめてございます。
臓器移植につきましては、認定ドナーコーディネーターの院内配置を踏まえた脳死臓器提供管理料等の評価の在り方について、また、補助循環装置や脳血流消失判定検査などの費用の評価について、抗HLA抗体検査の対象となる患者の要件について、臍帯血移植につきましては、NGS次世代シーケンサー法を利用したタイピングなどを踏まえた評価の在り方についてということで、論点を示させていただきます。
御審議のほど、お願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、29ページの論点に沿ってコメントさせていただきます。
まず、1つ目の○にありますような、今後導入が予定されている認定ドナーコーディネーターや、2つ目の○にあるような新しい脳死判定の方法についても、脳死臓器提供管理料等で対応できるようにする方向性について、異論はございませんが、現行の4万点の評価の内訳についても確認しながら、適切な評価となるようにしていくべきであろうと考えております。
また、3つ目の○の抗HLA抗体検査や、4つ目の○のNGS法を利用した臍帯血のHLA検査についても、検査の有効性に関する最近のエビデンス等も踏まえながら、対象拡大する方向で異論ございません。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかには、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
それでは、29ページの論点に沿ってコメントをいたします。
まず、認定ドナーコーディネーターにつきましては、実際に行った業務は、脳死臓器提供管理料に包括して評価し、配置については、DPCの体制評価係数に反映することも選択肢になり得ると思います。
次に、補助循環装置等による脳死判定については、脳死臓器提供管理料で評価することが考えられます。
また、臓器生着率を向上させる観点で、抗HLA抗体検査の対象を拡大することには、異論はございません。
最後でございますが、次世代シーケンサー法の普及を踏まえまして、評価体系を見直すことも理解できますが、メリット、デメリットを考慮した従来法との適切な使い分けも必要だと考えております。
事務局には、適切な評価の御検討と御提案をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特にほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりとします。
今後事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「医療機関を取り巻く状況について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-4を基に御説明させていただきます。
この医療機関を取り巻く状況につきましては、4月、それから8月に中医協の場に御提示をしたということで、今回3度目ということになっております。
今回の資料につきましては、MCDBのデータの2024年度版データというものが上がってきておりますので、そちらをベースとして分析を試みているということでございます。
7ページを御覧いただければと思いますが、まず、この前提、いろいろな切り口で見ておりまして、病院類型、それから地域分類、機能分類ということでございます。こちらは、8月に行った分析と同じものを用いているということでございます。
8ページを御覧いただければと思いますが、まず、右上側の3つ目のポツにありますけれども、こちらは、2024年度のデータを使っているところでありますが、今、順次更新がされているところでありまして、我々の今回の分析というのは2025年の7月末の時点で収集されているデータを使用しているということでございます。
様々な分析がありまして、なかなか直近のデータというところで置き直すところが難しいということもありまして、7月末ということでやっているということでございます。
そういうこともありまして、まず、病院のほうは下のほうの円グラフですけれども、1,515施設のデータということで見ているということで、全体の27%でございます。
8月に2023年度データでお示ししたときは3,000施設でしたので、その半分程度という中での限定的な分析であるということを御念頭に置いていただければと思います。
他方で、医科診療所、歯科診療所につきましては、それぞれ医科診療所で言いますと、2023年度で1万6000施設、それから歯科診療所では5,000施設ということで、収集時点は比較的短い期間になるわけですが、かなり診療所のほうは出てきている数が増えているということで、制度の浸透といったこともあろうかと思いますが、そういった状況であるということでございます。
8月のデータにつきましては、総-4参考ということでお示しをしておりますので、必要に応じて、そちらを御覧いただければと思っております。
以降、例えば9ページを御覧いただければと思いますが、こういったものは2023年のデータと同じような切り口で分析をしているということでありますが、今、客体の部分が異なりますので、これを2023と単純に比較するということはしておりません。そちらの単体データというところで言いますと、数字はもちろん変わっていますが、大きな傾向というか、中身の部分というのは、大きなトレンドは変わっていないと思っておりますので、そういったところは、比較はしておりませんけれども、今日ここの場では、説明は割愛させていただきたいと思っております。
そういったこともありまして、以降、比較可能なデータを中心に説明させていただくということでございます。
具体的には、11ページを御覧いただければと思います。
資料の右上に「両年度データのある医療機関のみの場合」と書いてございます。これは、2023年度、2024年度両方同じ医療機関についてデータが取れるものを用いて比較をしているということでありまして、客体がそろっているということでありますので、この比較可能性が高いということで考えているということでございます。
それを基に、実際に病院などから分析を始めておりますけれども、いずれも2024年度は、2023年度よりも医業利益率、経常利益率の平均値、中央値が下がっているということでありますし、右側、黒字、赤字割合ということでありますけれども、どの類型においても赤字割合が大きくなっているということでございます。
12ページ、こちらは、ヒストグラムにしているものでございまして、両年を比較しているものでございます。2023年度が青、2024年度が白の四角ということでございまして、多少数字が下がるということになりますと、この山が左側にずれると、そういったようなことになるということでございます。
13ページを御覧いただければと思います。
この収益、それから費用の増減というところを比較したということでございまして、この一般病院に関して言いますと、医業収益がプラスになっているのですけれども、それを上回る伸びで医業費用が伸びている。
療養型病院、精神科病院につきましては、医業収益が減少している一方で、この医業費用が伸びているということで、この医業利益が減少していることになっているということでございます。
14ページを御覧いただければと思いますが、費用の内訳などをここにお示ししておりまして、いずれの分類におきましても材料費の比率が上がっている、それから、人件費の部分で、実額が増えている、ないし比率も上がっていると、そういった状況が見られるということでございます。
飛びまして、19ページのほうを御覧いただければと思います。
こちらは、機能大分類別ということで、高度急性期から慢性期にかけていろいろと、それを同じように比較可能なものとしてやっておりますが、先ほどの一般、療養、精神と同様の傾向が全体として見られるかと思います。全体として赤字割合が大きくなっており、医業利益率、経常利益率が下がっているという傾向が見られるということでございます。
20ページ、21ページは、両年の比較をしているということでございまして、こちらについては、説明を割愛させていただきますが、22ページでございます。
機能大分類別で収支構造の概要を見ているということでございまして、収益が伸びているが、費用がそれ以上に伸びている。それから、収益が下がっているが費用が伸びている、そういった様々な動きをしておりますけれども、おおむねそういった傾向が見て取れるということだと思います。
23ページを御覧いただければと思います。
23ページは、また、機能大分類別に様々な収支の内訳のところを見ておりますけれども、材料費や給与費といったところに着目いたしますと、比率が増えているか、または収益の伸び程度、収益も増えている中で、それと同等程度に費用が実額として伸びていると、そういったところもあると考えております。
続きまして、飛びまして、27ページを御覧いただければと思っております。
これは、病院の地域分類別の経営状況ということでございまして、これまでの説明と同様の傾向になっているということかと思います。
大都市型の地域の病院のみ医業利益率の平均値がやや上がっているというところでありますけれども、マイナス0.2から0.0ということで、ほぼ横ばいということかと思いますが、全体としての傾向というものは同様かと思っております。
28ページは、それをヒスト化したものでございます。
29ページでございます。
同じように収益費用の増減というものを見ているものでございまして、大都市型については、収益の部分が増えていると、それと同等か、やや下回る程度に費用が伸びているということでございますが、人口少数地域型では、収益が減少しており、費用が増えているという状況になっているということでございます。
30ページは、同様に、収支構造の比較ということでございまして、こちらも同様ということになっています。比率が増えている、またはその収益の伸び程度には費用のほうも増えているといったトレンドが見られるということでございます。
続きまして、31ページ、これからは参考ということになります。
そのスライドの一番下のところに※印がありますけれども、両年比較可能なMCDBデータがある医療機関について、医療費の動向調査、メディアスの調査票情報から数字を取ってきているということでございまして、別の調査物を掛け合わせておりますので、あくまで参考ということになりますが、こちらは、収入面をどういう構成になっているのかを分解を試みたものでございます。
一番右側の1日当たり医療費というところ、入院、外来がございますが、そこがある意味単価ということであります。
真ん中の入院または外来の受診延べ日数というものが、患者数というところがございまして、掛け合わせることで左側の入院医療費、外来医療費の1施設当たりが出るという構造になっております。
増減率で言いますと、例えば一般病院の一番上ですけれども、一番右の+2.2%というものと真ん中の+1.5%、こちらを掛け合わせる、つまり足すということになると、一番左+3.7%、そういった計算になるということでございます。
実際にこれを見てみますと、入院医療費、上のほうの表の段で言いますと、右側の単価は上昇しているということであります。
一方で、単価の部分の外来を御覧いただきますと、マイナスまたは微増というところでありまして、ここに大きなトレンドの違いがあるということで、それに患者数の掛け合わせというところで、それぞれの区分ごとの違いが出てくるということでございます。
32ページは、同様のものを機能大分類別にやっているということであります。
33ページ、地域分類別でございますけれども、こちらは同様の傾向と言えるかと思いますけれども、真ん中のところで、人口少数地域型に関しましては、患者数が減少しているというのが、入院、外来ともに見られるということでありまして、こちらは入院医療費、外来医療費1施設当たりの状況に影響してきている状況が見て取れるということかと考えております。
34ページでございます。
8月にお示しした現預金回転期間、手元にキャッシュがどれぐらいあるかということでございまして、23年度は青い箱でございます。24年度が白い箱でございますけれども、左側に落ちているゼロ~1か月、それから、1~2か月の法人が増加しているということで、資金繰りが悪化しているという状況が伺えるということでございます。
35ページ、こちらからは、自治体病院の経営状況ということでございまして、こちらは、総務省の地方財政状況調査を基に作成しております。
同様の傾向が見られると思いますが、医業収益が増加しており、その増加を上回る形で医業費用が増加しているということかと考えております。
36ページでございますが、収支構造ということでございますけれども、自治体病院ということで職員給与費の部分が相当上がっているというところ、比率・額というところを見ていただければと考えております。
37ページは、黒字、赤字割合ということでございまして、状況はかなり悪い、悪化しているところが見て取れるかなということでございます。
自治体病院につきましても同じような分析をしておりますけれども、時間の都合上、割愛をさせていただきたいと思います。
47ページまで飛んでいただきまして、今度は医科診療所の経営状況ということでございますが、これは、また、24年度単年のものでございますので、48ページのほうから御説明させていただきたいと思います。
両年度データがある医療機関で比較をしておるということでございまして、全体として非常に落ちていると、赤字割合が増えているということでございます。
50ページのほうに移っていただきますと、そちらは、また、収益、費用の分解というものをしているということでございまして、病院のほうは、例えば一般病院でいいますと、収益も増加しているが、それを上回る形で費用が増加していたということでございますが、診療所に関して言いますと、収益のほうも減少しており、いずれも減少しており、費用のほうが増加しているということで、医業利益の悪化が厳しいということになるのかなと思っております。
51ページでございます。
こちらは、また同様に収支構造ということで御覧いただければと思いますけれども、収益減の中で費用が増えているということが、個別の費目にも出ていることが見て取れるかなと考えております。
55ページまで飛んでいただきまして、診療科別をこれから見ていきますが、8月にもお示ししましたとおり、2023年度というのは感染症などが増えたということがあるかと思いますが、少し特異な動きをしているところがございますので、そういったところを御紹介させていただきましたが、今回も改めて御紹介させていただきます。
その上で、56ページでございますけれども、各診療科ごとの状況を見ているということでありまして、特に上段右側のほう小児科というところがありますけれども、先ほどの資料とも関連をいたしますが、2023年度は20%近い利益率だったところが、ある意味では、この1桁のところまで下がってきているというところが、患者の動向とも一致しているのかなと考えております。
57ページでございまして、黒字、赤字の割合というところでお示しをしておりますけれども、全ての診療科において赤字の診療所の割合が増えているということでございます。
58ページ以降、診療科ごとに医業利益率、経常利益率についてのヒストグラムの比較したものを置いているということでございます。
64ページは、同様に収益費用の部分の分析を診療科ごとにやっているということでございまして、申し訳ありませんが、説明は割愛させていただきます。
72ページまで飛んでいただきたいと思います。
地域分類ごとで見ているということでございまして、こちらも傾向としては同様ということでありますし、医業利益も赤字割合が大きくなっているということでございます。
73ページのヒストグラムでも、山が左側に移っていることは見て取れるところでありまして、74ページを御覧いただきますと、収支増減率の比較ということで、やはり人口少数地域の方で収益が大きく落ち込んでいるということ。それから、費用については大都市型のほうが、増加が激しいということが見て取れるということでございます。
75ページについては、同じように収支の中の費用の費目を見ておりますけれども同様の傾向かなと言えるかと思います。
76ページ、こちらは、メディアスとの掛け合わせということでありまして、増減率というところで言いますと、同様の傾向ということでございます。
単価のところが、入院のほうは増えている、それから、外来のほうは減っているという中で、延べ日数の状況も併せて、全体のトレンドが決まっているということかと思っているということでございます。
次に、81ページまで飛んでいただきまして、今度は歯科診療所のお示しをしております。こちらも両年度データのある医療機関のみで比較をしておりますけれども、こちらは全体として横ばい、ないし微増、同程度ということかなと思っています。右側の数字を御覧いただいても、黒字、赤字の割合は変わっていないということであります。
83ページ、地域分類別に切ってみましても、今、申し上げたような歯科診療所のトレンドと同様の傾向ということが言えるかなと思っております。
86ページ、費用の中を見てみますと、材料費に関しましては、横ばいないし、やや下がっているということでありますが、一方で、実額ベースで給与費が増えているところが見て取れるということでございます。
最後に、89ページのほうに移っていただきまして、賃上げの状況ということでございますけれども、令和6年度のベースアップ評価料を届け出ていただいた医療機関の賃金増率、実績値について御紹介したいと思っております。
全医療機関のほうで御紹介させていただきますが、医療機関数3万7000弱というところで、中央値で2.59という数字で出てきておりますけれども、実際に、この職員数と掛け合わせた加重平均で見ますと、3%強の賃上げをしていただいているという実績が出てきたということでございます。
90ページを御覧いただきますと、計画書、それから実績報告書をいずれも提出していただいた医療機関における計画値、実績の差分というものを取っておるということでございまして、全医療機関で申し上げますと、計画値では、加重平均値で2.7%だったものが、実績値で2.93%ということで、差分としては0.23%、計画を上回る賃上げをしていただいているといったことが全種別について言えるのかなと考えております。
92ページ、93ページにつきましては、今、申し上げたようなことを改めてまとめたということでございまして、94ページ、最後、課題ということでございますけれども、4月、8月、そして24年度の数字を用いた、いろいろな分析をしてまいりましたので、近年の医療機関の経営状況等に対して、これをどのように対応することが考えられるかということについて、御審議をお願いできればと考えております。
事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
ただいま事務局から説明がございましたように、今回の調査結果を見ましても、医療機関を取り巻く状況は極めて厳しく、過去に例のない危機的な経営状況に陥っていることが改めて明らかになっております。
医療法人の病院については、2023年度と2024年度の両年度のデータがある医療機関の経営状況を見ますと、医業利益率、経常利益率のいずれも、2024年度は2023年度よりもさらに低下しており、医業利益の赤字施設の割合も53.2%から58.3%へと拡大しております。
これは、物価高騰や賃金上昇に対し、経費削減努力を精一杯行っているにもかかわらず、このような結果になっているものと認識しております。
また、自治体病院においては、2024年度の医業利益が赤字施設の割合は95.4%となっております。
2024年度に経営が悪化したのは、同年4月のコロナ補助金などの廃止に加え、物価高騰によるものと分析でき、現状の診療報酬では、病院経営が成り立たない事態に陥っております。
いずれの開設主体においても、物価高騰、人件費上昇の影響を大きく受け、公私ともに極めて厳しい状況にあることは明白であります。
また、診療所についても、2024年度は、前年度から大幅に悪化しており、減収減益となっております。
医業利益赤字の施設の割合も、2023年度と比較すると12.1ポイント増加し、43.4%の診療所が赤字となっているなど、病院だけでなく診療所においても物価高騰、人件費上昇に加え、コロナ補助金、診療報酬上の特例措置、診療報酬改定を含む影響が大きく、経営悪化が進んでいることから、多くの診療所の事業継続が困難に陥っております。
日本医師会が行った調査においても、診療所は減収減益で、診療科や地域にかかわらず、経営が悪化していることが明らかになりました。
利益率は半減し、さらに中央値は平均値よりも大幅に低く、また、決算月が直近になるほど利益率が低くなっており、経営環境の悪化が、現在も進んでいることが示唆されております。
本日の参考資料においても、令和7年7月末収集時点よりも、令和7年8月末時点収集の速報値のほうが、病院、無床診療所、有床診療所の医業利益、医業利益・経常利益はいずれも悪化しています。
この状態が続けば、令和7年度は診療所も、医療法人の半数で経常利益が赤字になることが予想されております。
診療所は小規模で経営体力も乏しく、資金調達ができなくなると、事業継続を突然に断念することに追い込まれます。
結論として、多くの病院や診療所が自助努力では太刀打ちできない経営困難に直面し、地域医療の崩壊が始まっております。
先日の高市総理の所信表明演説にもありましたとおり、国民の皆様の命を守り、安心して必要なサービスを受けていただくためにも、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしの状況であることからすれば、国民の命と健康を守り、地域医療を支えるためには適正化を行うことは全くの論外であり、物価高騰賃金上昇に見合った診療報酬上の高い評価を強力に推し進め、実現するしか選択肢はないことを明確に申し上げたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
過去、病院の経営状況が非常に厳しいというのは何度も資料を出していただきまして、その都度御説明してきました。今回も非常に詳細な分析、ありがとうございました。
先ほど江澤先生からもありましたが、前回データ2023年のデータよりも、2024年のほうがさらに悪化しているということが、これで明らかになったということと、今回参考2につけていただいておりますけれども、7月末までの収集と、8月末までの収集を比べるだけで、500病院増えているのですけれども、さらに悪化が大きくなっているというデータでございます。
医療法人で、もう5割を超える病院が2期連続で赤字になっている状況は、やはり重く受け止めていただかなければいけないと思います。
資金繰りのデータも出ておりますけれども、ご承知のといり、民間の病院と言っても企業ですので、2期連続経常赤字を出しますと、金融機関からの運転資金の貸出しというのは、ほぼ滞ってまいります。今、必死に各地域の病院は資金繰りをしながら、何とか医療を継続しているという状況でございます。今回、2026年改定におきましては、様々な病院種別がございますけれども、全てにおいて、この数値をしっかりと見ていただきながら、御対応をいただく必要があるだろうということだけ、再度、申し述べさせていただきます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
簡単に私も、今、太田委員、江澤委員がおっしゃったように、本当に2024年のデータ見てみる限り、さらに悪化しているということを、十分御理解いただけるのではないかと思っています。
今、金融機関の話が出ましたけれども、私、今日最後なので言わせていただきますけれども、県の医師会の中で医師信用組合という金融機関を持っています。この会員からの問い合わせが、ものすごく増えてきて、でも状況を見ると、なかなか貸出しができないぐらい厳しい状況が目に見えて分かっています。そんな状況、しかも今回は、病院がさらに悪化して、さらに診療所も悪化しています。盛んにこの中医協で病診連携を図りましょう、外来を地域に返しましょうといっていますが、その返す診療所が元気でなかったら、この病診連携は成り立たないわけですが、今回は病院も診療所も大変厳しい状況であるということを、ぜひ御理解いただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
大杉委員、続きまして、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
本日は、医療法人経営情報データベースシステムの令和7年7月時点でのデータを迅速におまとめいただきまして、ありがとうございます。
これまでも何度も発言していますように、歯科診療所においては、個人立の歯科診療所が約75%を占めており、日本歯科医師会が今年8月、9月に実施した歯科診療所の緊急経営調査において、法人立よりも個人立のほうが、経営実態はさらに厳しい状況であることが明らかになっております。
なお、MCDBを用いた分析は、規模が大きい法人率の歯科診療所のデータですが、この分析においても、医業利益が赤字である歯科診療所は4割を超えており、経営実態が厳しい状況であることは改善されておりません。
歯科医療機関の経営分析については、個人立を含む医療経済実態調査の結果も踏まえた上で、今後さらなる分析が行われると思いますけれども、ほかの医療機関と同様に、物価高騰や賃上げの状況下で、医業費用部分の増加は明らかであり、様々な部分を削って自己努力をしているのが実態でございます。
このような状況下では、スタッフの確保、定着や設備投資も難しい状況となってきております。
こうした状況を御理解いただき、歯科医療の提供が存続できるよう、対応を御検討いただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
最終的には、医療経済実態調査の発表を見てからということになると思いますけれども、早い段階で直近の状況を大枠で把握できたこと、さらには様々な切り口で分析できることが、カバー率が完全ではないにしても、このMCDBの成果だと思っております。
データを拝見して、各委員からも言及がございましたけれども、2023年度から2024年度にかけて、全体として医療機関の経営状況が悪化していることは事実として受け止めております。
ただ、一方で、病院と診療所や歯科診療所の格差、また、病院の中でも医療法人と自治体病院や機能による格差、さらに同じ機能に分類した病院や診療所の中で格差が依然あることも分かっております。
したがいまして、94ページの課題に対するコメントといたしましては、一律の対応ではなく、やはり経営状況の格差を踏まえたメリハリのある対応が必要であるということを、改めて指摘させていただきます。
既に地域の医療ニーズに合った形に機能を転換した医療機関や、経営努力で黒字を出している、あるいは高い利益率を確保している医療機関もございます。補助金や税制も活用して医療機能の分化、連携や病院の再編・統合により、最適な医療提供体制を実現する中で経営基盤を安定化させることや、各医療機関の経営マネジメントを強化する視点も重要だと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
賃上げの状況に関して申し上げます。93ページの論点において、2024年度の賃金増率は、加重平均で3.07とありますが、90ページの令和6年度計画書及び実績報告書をいずれも提出した医療機関における実績値を見ますと、2.93となっておりますので、医療経済実態調査も含め、賃上げ状況につきましては、より詳細な分析をお願いしたいと考えております。
今後も物価や賃金の上昇が見込まれる中、人材確保に向けた処遇改善、地域に必要な医療提供体制の確保というのは重要である一方、医療保険財政には限りがございますので、総合的に勘案していく必要があると考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、御質問等ございますでしょうか。
奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
今回は、2024年度のデータを集計されたということで、事務局には、詳細なデータをどうもありがとうございました。
先ほどの冒頭の説明の際にもありましたように、傾向自体は大きく変わっていないということで、前回も指摘をさせていただいておりますけれども、診療所と病院間では利益率に差があるということ、また、病院の中でも入院機能による違いや、診療所の中でも診療科による違いがあるということが分かります。
また、さらに言いますと、同じ機能を持つ医療機関の中でも、赤字の医療機関がある一方、高い利益率を確保している医療機関が存在しているということも、今回明確になっております。
こうしたいろいろな違いがあるということを踏まえれば、一律の対応ではなく、めり張りのある評価としていくことが重要ではないかと考えております。
この点、松本委員が指摘したところと同じでございます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
今回の調査で、病院経営は、従前から瀕死の状態であり、今回明らかとなったのは、診療所の経営が足元火の車になっており、非常に診療所の運営の存続が危ぶまれるということが、今回明白になったと思っております。
その上で、松本委員からは、格差、前回も処方箋料の格差という御指摘をいただいたところですけれども、奥田委員からも病院、診療所の差とか、そういう御意見がありました。
まず、地域医療提供体制を考えるときに、病診なくては成り立たないわけです。その上で、診療所は、パーセンテージだけ見ているわけですけれども、実額、金額に換算すれば、診療所のパーセンテージに伴う金額は極めて小さい額でありますから、要は逆風が吹けば、いつでも吹き飛ぶような状態が診療所であると、そういった脆弱な経営にあるという状況。
そして、病院は、もう既に運営しながら、ある日突然倒産するということが、全国で起きているわけです。
そういった危機的な状況を、ぜひ共有していただき、先ほど、池端委員と私の発言とか、いろいろ御指摘もありましたが、我々は医療界として、一致団結してこの危機を乗り越えようというところで、そういった思いで一糸乱れず取り組んでおりますので、病院とか診療所とかの格差という段階では、もうないという状況はお分かりいただきたいし、既に病院、診療所、そして、先ほど歯科の診療も赤字割合の話がありましたので、今、非常にある意味では、国民に不可欠なインフラである医療の存続が大変な危機に瀕しているということを共有した上で、我々としては、一致団結して、ぜひこういった局面をどうにか乗り切りたいと思っておりますので、そういった形で御理解いただきたいと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も、今、格差の話が出ましたけれども、例えば、病院に関して言えば、自治体病院と公私の格差というお話が若干あったかと思いますけれども、自治体病院は補助金が入って、なおかつ赤字でも補塡がされます。民間病院は、それはできません。それをやった途端につぶれます。という状況があって、そのデータということを、ぜひ、バックグラウンドが違う、自治体病院等々とも比べて、それでも自治体病院があれだけ赤字で、同じ給与、人勧どおりやれば、民間病院はさらに赤字が増えることは間違いないと思っています。そういうバックグラウンドをぜひ御理解いただきたい。
病院は、どの病院種別でも赤字、ほぼ全ての病院が赤字体質にあるということ。それから、黒字のところがあるから云々という話をしましたけれども、そうすると、今回、大都市、地方都市、人口の少ないところ、人口の少ないところはほとんど赤字です。ここを全部切り捨てることになります。そういう議論にならざるを得ないので、その辺は少し慎重に御意見を賜りたいなと思っていますし、ぜひ今回は、そういうレベルではないということを、コメントさせていただきます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
やはり物価が上がっているのですね。御存じのように、2022年から大体3%ぐらいずつ消費者物価は、我が国で上がっています。その中で、ベースアップの資料が最後に出ています。これは令和6年、去年のデータです。昨年はベースアップ評価料があって、何とか実績値3%という話になっていますけれども、令和7年は、先日、一般の他産業は5%を超える賃上げ、ベアだけでも3%を超えるものをやっている中で、医療界は、ほとんど今年は賃上げができていないという数字も出ています。
奥田先生から、いろいろとおっしゃれましたけれども、それでは一般企業で物価が上がっていく中で、価格転嫁していないところは、どれぐらい生き延びているのでしょうか。物価が上がれば人件費も上げなければいけない、様々な調達するものも上がる、同じ医療を提供していても、医療提供コストが上がっている、その認識は、ぜひとも持っていただきたいと思います。持続可能な医療提供体制は、もう無理な状況まで来ているという認識は、ぜひとも1号側の先生方も、もう分かってはいらっしゃると思うのですけれども、よろしくお願いしたいなと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには、特に御質問、御意見等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上ですが、今回をもちまして佐保委員、それから、池端委員が御退任となります。お二人に一言ずつ御挨拶を頂戴したいと思います。
それでは、まず、佐保委員からお願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。着座のままで御挨拶をさせていただきます。
退任に当たりまして、発言の機会をいただき、感謝を申し上げます。
今回の診療報酬改定の議論を含めまして、4回の診療報酬改定の議論に参画をさせていただきましたが、この間、1号側委員の皆様、2号側委員の皆様、小塩会長をはじめ、公益委員の皆様、専門委員の皆様、事務局の皆様に大変お世話になりました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
先週24日の中医協の会場が厚労省講堂に戻ったことが感慨深く思っております。小塩会長から講堂での議論を知っているのは私だけではと言われたときに、内心うれしく思いました。ありがとうございます。
2019年10月に中医協委員になったときには、厚労省講堂でも中医協が開催されておりましたが、その後、新型コロナで講堂は対策本部となり、しばらく全面ウェブで中医協も開催されておりました。講堂でたくさんの傍聴者がいる中での議論、あの空気感というのは、今も忘れておりません。
被保険者の立場で中医協の議論に参画してまいりましたが、診療報酬改定の議論では、とりわけ、医療現場で働く全ての労働者の処遇改善や働き方改革、流通を含めた医薬品等の安定供給とイノベーションの促進、ドラッグ・ラグ/ロス、デバイス・ラグの縮小など、患者の安全・安心と医療関係労働者の環境改善につながるよう、これまで発言をしてまいりました。こうした点は今後も重要と考えております。
中医協として、目下の課題について議論することは、もちろん重要ではありますが、今後、少子高齢化が進む中で、医療保険制度の持続可能性、地域包括ケアなど、医療提供体制の今後の在り方、医療関係労働者の処遇改善と人材確保など、中長期的な視点に立っての議論、これは医療部会や医療保険部会など、他の審議会でも議論が必要でありますが、中医協でもそうした視点での議論が必要と思っております。
終わりになりますが、中医協でのますますの活発な議論と、委員関係者の皆様方のますますの御健勝と御活躍を祈念いたします。
6年間どうもありがとうございました。(拍手)
○小塩会長
佐保委員、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。ありがとうございました。
続きまして、池端委員、御挨拶をお願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
非常に貴重なお時間を頂戴して、ありがとうございます。小塩会長からお許しいただきましたので、一言御挨拶を申し上げたいと思いますが、一言では、済まないかもしれません、少し長くなるかもしれませんけれども、最後だということでお許しいただければと思います。
ただいま御紹介いただきましたように、私は本日をもって任期満了で中央社会保険医療協議会委員を退任することになりました。
私は、これまで入院・外来医療等調査評価分科会に6年、日医の副会長に就任のため、中途退任された前任の猪口雄二先生の後任として、2020年の8月にこの委員を拝命させていただきまして、それから5年たちました。合わせて11年間、この中医協に関わらせていただきました。
この間、多くの委員の皆様方や事務局の皆様方と活発な議論をさせていただき、そして、その議論を通じて、私自身も多くの勉強をさせていただきました。まずもって、関わらせていただいた全ての先生方、事務局の皆様方に心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
思い返せば、2020年8月、私が委員に就任したときは、今、佐保委員からもありましたように、まさにコロナ禍の真っただ中であり、それまで会場の定番であった厚労省2階大講堂ではありませんでした。、ただ、これもくしくも先週初めて私も改修を終えた講堂で総会に参加できたこと、大変感激いたしました。
最初の数回は、省外の施設を利用して対面会議でしたが、それからほどなくして、完全ウェブ会議となりました。改定の審議が佳境に入ると、週2回ペースになり、私の地元福井から上京することを考えると助かった部分もあるのかもしれませんが、ただ、どうしても完全ウェブ会議だと、十分な議論が尽くせない感がありました。令和6年改定からは、ようやく対面が原則になって、やはり会場のこの空気感を感じながら対面で議論することの重要さをひしひしと感じました。
私自身は、日本慢性期医療協会副会長の立場で、日本病院団体協議会から御推薦をいただき、この中医協委員を拝命しました。ただ私自身は、県の医師会長のお役もいただきながら、地元福井県の片田舎で、地域密着型の小さな病院の理事長、院長として今なお、外来、在宅、入院等、現場の第一線で地域医療に携わっている現役ばりばりの医師でもあります。
私が縁あって、この中医協委員を拝命したときに、どういう立場、立ち位置で、何をどうお話しすればいいか、いろいろ考えましたが、もし私にしかできないことがあるとすれば、やはり、今でも直接患者さんを診ている現場の医師として、映画のセリフではありませんが、今、現場で何が起きているのかということを、どういう状況にあるのかということを少しでも、この場で、臨場感を持って皆さん方にお伝えすることが、それこそ私しかできない使命の1つと肝に銘じ、この5年間務めてまいりました。
ただもとより、不精なもので、この場での私の発言は、実はほとんど読上げ原稿なしで臨みました。この場で事務局の説明をしっかりお聞きし、そして、各委員の御意見もしっかり拝聴した上で、それと私の現場感覚と照らし合わせながら、湧いてきた思いをこの場で伝えることに徹してきました。
そのため、ときには情緒的であったり、的外れであったり、言葉が詰まりお聞き苦しい点も多々あったかと思いますが、それは反省しており、改めてこの場を借りておわび申し上げたいと思います。
今日は、ちゃんと読上げ原稿をつくってまいりました(笑)。ただ、そんな舌足らずでお聞き苦しかったであろう私の発言にも、各委員の皆様方は真摯にお聞きいただいたことには、心から感謝申し上げるとともに、特に、いつも私の目を見て、顔を見て傾聴することに徹し、私が発言しやすい雰囲気をつくっていただいた小塩会長には、改めて心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
最初は、この大役をどうこなければいいか、不安もいっぱいでありましたが、皆様のお支えで、今、こうして取りあえず無事に任期を終えることができました。ほっとしていると同時に、少し寂しい思いをしております。
ただ、やはり、先ほど議論がありましたように、まさに病院、診療所等も、医療機関は恐らく皆様が想像していらっしゃる以上に未曾有の危機的状況にあることは間違いありません。
そして、この令和8年度の診療報酬改定の結果は、まさに医療機関の存亡に関わる大事な改定となります。そんな中、その改正の議論がまさに佳境に入ったこの時期に退任しなければいけないことは、正直残念な気持ちもあります。
さて、最後ですから、大変僭越ではございますが、少し中医協に関して気になる点を申し述べさせていただきたいと思います。
就任当時、私は、診療報酬改定は、内閣府で改定率を決定し、社会保障審議会医療部会、医療保険部会で医療政策方針を決定、そして、それに基づいて、この中医協で医療費の分配を決定すると伺っておりました。
しかし、近年は改定率の決定とともに、大臣合意で様々な具体的な指示が示されるようになった点については、中医協の形骸化とまでは言い切りませんが、少し違和感を覚えております。
また、遅々として解決の糸口が見いだせないでいる後発医薬品の不安定供給問題、今後まだまだ続くと思われる高額医薬品に対する対応や、費用対効果の在り方、さらに控除対象外消費税の問題等々、2年に1回の改定の議論では到底解決し切れない問題も山積しております。
中医協も1950年に始まって75年が経ち、もちろんこの間、いろいろな改革はありましたが、もう少し中長期的な大きな視野に立って、抜本的にこれらの問題が対応できる体制を検討する時期に来ているのではないか、そんな気がしております。
最後に、ここで一つ御紹介したいことがあります。東京大学名誉教授で法哲学者の井上達夫氏が提唱された、私の大好きな言葉、正義の定義を御紹介させてください。
「正義とは、自分の他者に対する行動が、たとえ相手の視点に立ったとしても正当化できるか、その反転可能性を自己批判的に吟味してみることである」とおっしゃっています。
中医協は、保険者代表、診療者代表、公益代表、さらには臨時委員や業界代表の皆様、そして事務方の皆様方が、それぞれ皆様は、我が国の医療を守るという同じ目標に向かって自分の立場で正しいと思っていることを、この場でぶつけ合っています。しかし、総論においても、各論においても、自分が正しいと思っていても、確かに相手の視点に立つと必ずしもそうは言えないという理解ができることも多々あります。ただ、その中から苦労しながらも、大きな共通の目標のために、皆が常に相手の立場を理解し合いながら、より正しいと思える結論を何とか導き出していくことこそが、この会議の一番重要な点ではないかと信じております。
最後に一言、故長嶋茂雄さんではありませんが、「中医協は永遠に不滅」です。我々医療を携わる者にとって。中医協は、やはり今でも非常に重要かつ大変責任の重い組織であることに間違いありません。目前に迫ったR8改定の議論はもちろん、今後とも国民の命と暮らしと尊厳を守るためにも、世界に冠たる日本の国民皆保険を死守し、地域医療を守り抜くための議論を尽くしていただき、よりよい医療を提供できる体制を堅持していただくことを心から切にお願い申し上げ、少し長くなりましたが、私からの退任の御挨拶とさせていただきます。
本当に長い間ありがとうございました。(拍手)
○小塩会長
池端委員、どうもありがとうございました。お世話なりました。
それでは、次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。皆さん、お疲れさまでした。



