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- 中央社会保険医療協議会薬価算定組織 議事録令和7年度第7回・第8回
中央社会保険医療協議会薬価算定組織 議事録令和7年度第7回・第8回
日時
第8回:令和7年9月29日(月)
場所
出席者
<委員>
第7回
弦間昭彦委員長、小方賴昌委員、下井辰徳委員、立石敬介委員、福田謙一委員、森山光彦委員、諸井雅男委員、井上真専門委員、岩田淳専門委員、佐藤陽治専門委員、古田淳一専門委員
第8回
弦間昭彦委員長、小方賴昌委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、立石敬介委員、福田謙一委員、眞野成康委員、三澤園子委員、諸井雅男委員
<事務局>
清原薬剤管理官 他
議題
議事
ボルズィ錠2.5㎎、同錠5㎎、同錠10㎎
○薬価算定組織委員長
日時:令和7年9月16日(火) ※企業の意見陳述あり
「ボルズィ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg」でございます。
特に意見を伺う委員としては、三澤先生、下井先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の御意見を踏まえ、簡単に説明いただきたいと思います。
本件につきましては、企業の意見陳述がございます。
よろしくお願いします。
○事務局
(薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いしたいと思います。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私のほうでは、事務局案が妥当という回答をさせていただいております。
まず、ほかの薬剤との比較、使い分けというところに関しましても、審査報告書もそうではあるのですけれども、明確なほかの薬剤との比較がある内容ではございませんでしたので、あくまでほかの薬剤が使えない、もしくは何かしらの問題がある方に使えるというところではないかなと評価しております。
もう一点、今回の添付文書の注意書きのところとして、運転等を考える人にも使わないようにといったような注意書き自体がなくなっているというところは、この薬剤の強みであるということを感じておりますし、実際の運転シミュレーターの研究というのはあったところでございますけれども、同様の運転シミュレーターでの検討というのはデエビゴでもございますし、そちらは8夜連続で評価をしていたり、こちらは1日目、8日目だけだったということや、もしくは運転の20mg単回での統計学的な投与における悪化の傾向みたいなものは見てとれたりして、実際、論文を見てみますと、本当にそこまで完全に運転をする方に安全に投与ができるからどんどん使ってくださいねというところまで言えないなということを感じた次第もございまして、今回の注意書きがないことをもって有用性加算の該当というところまではなかなか言い難いと考えての結論でございます。
○薬価算定組織委員長
では、委員の先生方、ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、企業から意見の聴取を行いたいと思います。
事務局は企業を入室させていただきたいと思います。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に、「ボルズィ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg」についての意見を5分以内で説明いただきたいと思います。なお、終了1分前にベルを1回、それから終了時にベルを2回鳴らします。
続いて、委員側から質問をさせていただきますので、御回答をいただきたいと思います。
○申請者
よろしくお願いいたします。
大正製薬でございます。
弊社、ボルズィ錠につきまして、意見陳述させていただきたいと存じます。
2ページを御覧ください。
本剤は、PMDAの審査の結果、服薬に際し運転の中止を求める必要がないと評価された初めての睡眠薬でございます。本剤は、不眠治療のために運転を中止せざるを得ない患者様を含めまして、全ての不眠症の患者様に使用していただけるような、安全性の高い睡眠薬であることから、本剤に有用性加算を算定していただきたいと考えております。
3ページを御覧ください。
まず、現在の睡眠薬ですけれども、いずれも睡眠効果は十分でございます。
しかしながら、服用翌日の日中の眠気、ふらつき、倦怠感といった持ち越し効果が懸念され、新しい睡眠薬におきましても治療上の課題になっております。
4ページを御覧ください。
その持ち越し効果ですが、その懸念から睡眠薬は全て服用期間中の運転中止が求められておりまして、患者様の多くは、通勤、通学、就労、通院など、社会生活におきまして制限を強いられております。
また、運転が中止できない患者様などは、睡眠不足のまま運転していることになります。
5ページを御覧ください。
そこで弊社は、臨床課題であります持ち越し効果を低減させるために、血中半減期の短い製品を目指しました。半減期を短くするために、化合物の脂溶性を低くするのですが、脂溶性と受容体への結合活性のバランスが理想的な化合物を見いだすことは非常に困難でございました。構造内にオキサアジナン環を導入することによりまして、類薬と同程度の受容体活性を維持したまま、血中半減期を約2時間まで短くすることに成功いたしました。
6ページを御覧ください。
その結果、本剤は、第Ⅲ相試験におきまして、投与翌日の眠気や認知機能に対して悪化する傾向はないとPMDAでも評価をいただきました。
7ページを御覧ください。
さらに、自動車運転技能評価の結果をお示しいたします。
試験は運転シミュレーターを用いて行い、60分間、時速100キロで走行し、車線からのずれを評価するものであり、なかなか過酷な試験でございます。
試験の結果、本剤は承認用量の2倍量におきましても、臨床的に意義のある運転技能への影響は認めないとPMDAより評価をいただきました。
8ページを御覧ください。
本剤は、以上の試験結果を踏まえて、PMDAより、一律に自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう注意喚起する必要はないと評価いただき、本剤は運転等の中止が求められない国内で初めての睡眠薬となりました。
PMDAの運転可否の判断は、この運転試験に加えまして、日中の眠気と認知機能の程度も加味して判断されており、つまりは、本剤は類似薬や他の睡眠薬より副作用が少ない睡眠薬と考えられるため、運転等を行う必要がある患者様だけではなく、全ての不眠症患者様に有用な薬剤であると考えております。
9ページを御覧ください。
2010年以降承認された睡眠薬におきまして、自動車運転試験は実施されておりますが、承認用量の2倍量を投与しても、臨床的に意義のある運転技能への影響が認められなかったと評価された薬剤は本剤が初めてでございます。
10ページを御覧ください。こちらが最後のスライドになります。
ボルズィ錠は、持ち越し効果の副作用を低減することによりまして、服薬に際し運転中止を求める必要がないと評価された初めての睡眠薬でございます。
これまで、不眠の治療のために運転等を中止せざるを得ない患者様や、生活上運転が必須で服薬できなかった患者様だけではなく、運転の要否にかかわらず全ての不眠症患者様に使用していただけるような安全性の高い薬剤であることから、本剤に有用性加算を算定いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上で陳述を終わりにいたします。
○薬価算定組織委員長
それでは、委員の先生方から御質問をいただければと思います。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
大変有用な睡眠導入剤と理解いたしました。
御質問としましては2点ございまして、まず今回のシミュレーターにおける運転なのですけれども、こちらのほうの車線からのずれがなくなるということは、すなわち自動車運転における事故の減少というものに直接関係するということはもう既に分かっているものなのでしょうか。
○申請者
ありがとうございます。
こちらにつきましては、直接事故へのというところはつながってはないかと思いますけれども、この評価系につきましては、FDAのガイドラインに準じて、国内で初めて名古屋大学で整備したものでございまして、事故との関連性についても、しっかり考察した上で評価系がバリデーションされているものと我々は考えております。
○○○委員
あと、既存のほかの薬剤との使い分けに関しまして、海外のガイドラインや、もしくは国内のガイドライン等、何かの公的な資料において明確化されているものはございますでしょうか。
○申請者
国内のガイドライン、明確なものはございませんけれども、各関連学会より手引きが出されていると認識しております。その中で、オレキシン受容体拮抗薬に関しましては、新しい薬剤として、これまでのベンゾジアゼピン系睡眠薬で懸念されていた依存性であったり耐性、退薬症状は全くないというところで、そういった薬剤を求める患者様に対しては使用される。つまりは、患者様の状態に応じて、その必要に応じて使い分けられるものと考えております。
ただ、1点明らかに違うのは、自動車を運転するに当たりまして、その注意書きが全く異なるというところを今回主張させていただきました。その点、御認識いただければ幸いでございます。
○□□委員
あと1点だけ、私、論文のほうを拝見したのですけれども、Psychiatry and Clinical Neurosciencesという論文のほうで、まさに運動モニタリングの試験の内容が書かれていたかと思います。研究のほうでは、内服してから9時間後の研究だったかなと思うのですけれども、そして審査報告書等でも書かれているのは9時間後ということなのですが、それよりも短時間であった場合に、運転に関する影響がないかどうかというところに関してはいかがでいらっしゃいますでしょうか。
○申請者
残念ながら、そのデータは持ち合わせていないというのが事実でございます。
ただ、9時間後であれば運転が可能というものではありません。しっかり患者様の状態を見極めて処方していただく、使用を許可いただくというところで、9時間以前であっても、9時間以降であっても、患者様の状態をしっかり見極めた上で御指導いただくのがよろしいかと思っております。
○薬価算定組織委員長
ほかの先生方からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、企業意見の聴取を終了したいと思います。
企業の方は御退室をお願いしたいと思います。
○申請者
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見を踏まえて御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
それでは、□□先生からお願いできますか。
○□□委員
企業にお伺いしたところではありますけれども、他剤との使い分け、すみ分けが明確化されているものではないのかなということと、ほかの薬剤が使えない対象に使える薬剤ではないというところはあるのかなと思いました。
また、一方で、ほかの薬剤と比べて、自動車の運転に関してはより安全性が高そうだということは、データとして示されておるところではあるのですけれども、それも完全にほかの薬剤と比べて運転が安全というわけではなくて、9時間以下の睡眠で運転がどうかといったようなデータもないところではございますので、みんなにみんな運転が大丈夫と言える話でもないところからしますと、有用性加算でばちっと評価ができるまでの明確なデータとはなかなか言い難いかなと思っております。
ということで、事務局案のまま、有用性加算に関しては評価されないというところに賛同させていただきます。
○薬価算定組織委員長
ほかの先生方いかがでしょうか。
評価の段階でのシミュレーション等についてのセンシティビティーみたいなことは、さっき聞けばよかったとは思うのですが、比較を直接しているわけではないということはあります。
よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、算定案どおりとさせていただきます。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
ボルズィ錠2.5㎎、同錠5㎎、同錠10㎎
日時:令和7年9月29日(月) ※企業の意見陳述あり
○薬価算定組織委員長
「ボルズィ錠2.5㎎、同錠5㎎、同錠10㎎」でございます。
特に意見を伺う委員として、三澤先生、下井先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見を踏まえて簡単に説明していただきたいと思います。
○事務局
(不服意見及び薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いしたいと思います。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
基本的には、田舎にいる方たちにとっては、車の運転が全くできないというのは大変だというところで一応意見を述べさせていただきましたが、薬価上の評価に結びつかないという事務局からの回答で納得しております。
○薬価算定組織委員長
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私は、前回と変わってはいないのですけれども、事務局案に賛同ということで回答させていただきました。ちょっとそのシミュレーターで評価をするしかないというのは理解しておるわけですけれども、今回どうしても9時間以上開いてからでないとシミュレーターでの評価がされていないということで、様々な睡眠の患者さんがいる中で、一律運転に特化できる薬剤というところまでの位置づけでないのではないかというところもございましたのと、ほかのオレキシン受容体拮抗剤との使い分けに関しても、どうしても比較試験がないこともあって明確化が難しいと考えまして、同率の評価の中で、最終的には本剤が車の運転を考える方でも選ばれていくというふうに選択がされていくのではないかと考えまして、薬価上の評価の差異というところはなくてもいいのかなと考えた次第です。
○薬価算定組織委員長
それでは、ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。
それでは、企業から意見の聴取を行いたいと思います。
事務局、企業を入室させていただきたいと思います。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
最初に「ボルズィ錠2.5㎎、同錠5㎎、同錠10㎎」について、意見を10分以内で御説明いただきたいと思います。
なお、終了1分前にベルが1回、それから終了時にベルが2回鳴りますので、よろしくお願いしたいと思います。
続いて、委員側から質問させていただきますので、御回答をお願いしたいと思います
○申請者
大正製薬でございます。本日は、弊社、ボルズィ錠につきまして2回目の意見陳述をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
1回目の意見陳述で、弊社は、ボルズィ錠は睡眠薬の副作用である持ち越し効果を低減し、必ずしも運転中止を求める必要がない初めての睡眠薬であるということを理由に、有用性加算を希望いたしました。しかしながら、内示薬価では本剤の有用性を認めていただけませんでした。
今回改めて類似薬との違いを説明させていただくとともに、後半は、□□□□先生より、添付文書記載により運転の中止が求められない睡眠薬の臨床的意義とその評価のために構築された自動車運転技能評価試験の特徴について発表させていただきます。
2ページ目をお願いいたします。こちらはオレキシン受容体拮抗薬の自動車運転技能評価試験について示しております。いずれも試験は論文化されたものでございます。本剤は日本で開発し、自動車運転試験も国内で実施いたしました。本剤は運転技能への影響をしっかり日本人で評価したものでございます。
一方、ベルソムラ錠、クービビック錠はPMDAより運転技能への影響が認められたとされております。また、デエビゴ錠につきましては、用量依存的に運転技能への影響のリスクが増加していること、また、承認された用量を上回る高曝露時の影響が不明であることを理由に運転禁止となっております。
3ページを御覧ください。こちらは本剤の自動車運転試験の結果を示しております。本試験の用量設定に当たりましては、FDAのガイダンスに加えまして、2.5㎎投与時にベラパミル等のCYP阻害剤を使用した場合、20㎎投与時と同程度の血中濃度になることから、それを高曝露群と設定し実施いたしました。
承認された最高用量の2倍量投与時において、PMDAより単回・反復投与のいずれも臨床的に意味ある運転技能への低下は認められなかったとされました。
4ページを御覧ください。以上、本剤は持ち越し効果を低減し、PMDAより、必ずしも運転中止を求める必要がないと初めて評価された睡眠薬です。これまで薬物治療のために運転を回避したり、逆に服薬を諦めたりした患者様に使用していただける薬剤になると考えます。さらに現在の睡眠薬より持ち越し効果が少ないことから、全ての不眠症患者様にとって有用な薬剤になると考えます。よって、何とぞ、加算を算定いただきたいと考えます。
5ページを御覧ください。内示薬価は新規性に乏しい類Ⅱの算定でございました。睡眠薬の課題は副作用の克服です。睡眠効果はどの薬剤も十分効果がございます。我々は原薬の工夫によりまして、血中半減期を短くし、副作用低減を目指した結果、どの薬剤も超えることができなかった自動車などの運転禁止という高いハードルを超えることができた唯一の睡眠薬です。運転が求められる類似薬より安価に算定されるということはどうしても容認できるところではございません。改めて有用性加算をお願いいたします。
次のページから、□□□□先生より、添付文書記載により運転の中止が求められる睡眠薬の臨床的意義とその評価のために構築された自動車運転技能評価試験の特徴について御発表いただきます。先生、お願いいたします。
○申請者(専門家)
□□□□のほうからお話をさせていただきます。
上段のほうに、2010年で少し前になります国勢調査の結果ですが、利用交通手段が自家用車だけの割合、各県別でございます。左のほうの都道府県は8割近くの方々が、運転ができないと生活に支障が生じる。確かに右の端の東京、大阪、神奈川なら何とかなるとは思うのですが。もう少し最近、2017年の国民意識調査がございます。居住地域に対する不安の割合、一番下の段でございますね。「公共交通が減り自動車が運転できないと生活できない」、これも赤、あるいはピンクのところ、5万人以上の市町村、あるいは5万人未満の市町村におかれましては半分弱の方が懸念されている。
ということは、一部の大都市圏は別といたしまして、自動車運転は社会生活に不可欠でございます。不眠が治療薬で改善されたとしても、添付文書に基づき、日中の生活上の制限が生じるようでは本末転倒ではないかと、私は臨床医として感じている次第でございます。
では睡眠の問題があった際には、どのような、例えば運転を含めた我々の機能が落ちるかを、2010年に論文化しております。注意の維持ができない、飛び出し課題でブレーキ反応時間が遅くなってしまう、そのときの脳の状態をNIRSで確認しておりますが、睡眠不足時は前頭葉の賦活化が落ちてしまう、こういったことを確認しておりました。
実際、不眠症患者さんにおいて様々な運転技能の低下や自動車事故との関連が報告され、不眠症そのものと同時に睡眠薬による運転事故リスク上昇も近年報告が改めて為されております。
うつ病患者は、例えば300万人以上、日本におられます。その方々の8割以上は不眠症状がある。かつまた、治療薬寛解状態に達しても、睡眠障害が最も残ってしまう。したがって、うつ病学会のガイドラインの記載内容によると、この残っている睡眠障害を積極的に治療することは重要です。
寛解状態でも、睡眠障害が残っていらっしゃる患者さんにとって、添付文書上、運転が不可であるというようなことになってしまいますと、社会復帰ができません。睡眠薬で有効性と運転可否への影響を確認する必要は大きいと考えたわけです。
例えば諸外国はどうやっているかですが、例えばレンボレキサントはオランダでの実車を用いて影響を確認しています。世界中でオランダでしか実車による検討はできないのです。オランダの高速道路はフラットです。さらに、薬剤の影響に人種差があっても、ほとんど日本人が組み入れられていないのです。日本で実車試験を実施するには、倫理的、法的にも無理です。日本以外の各国も実情は同じで、米国でもこういったドライビングシミュレーターの開発が着目されておりました。
そこで我々は、まず、文献的なレビューにより、どのようなドライビングシミュレーターがよいのかを検討しました。その上でドライビングシミュレーターの開発を、大正製薬との産学連携で行い、論文化しております。ドライビングシミュレーターの信頼性、妥当性、感度まで世界ではじめて検証したもので、厚労省の2020年に出しましたガイドラインに準拠したものでございます。
ここで大正に今一度お願いいたします。
○申請者
□□先生、ありがとうございました。
こちら、最後のスライドになります。弊社、ボルズィ錠につきましては、化合物の工夫によりまして、まずは短半減期の化合物を見出したということが重要です。それに加えまして、□□先生が携わられました自動車運転試験の環境整備がまずあって、それが必須で、結果、運転試験、運転の中止を求める必要がないという化合物まで見出すことができたと我々は考えております。
本剤は、これまで睡眠薬を服薬するために社会生活が制限されている患者様、あるいは社会生活をやはり優先するために睡眠薬による治療を見送られた方、こういった患者様方に非常に有用な薬剤になるのではないかと考えております。
さらに言えば、現在の睡眠薬より持ち越し効果が少ないという観点では、全ての患者様に使っていただけるのではないかと我々は考えている次第でございます。
よって、本剤に有用性加算を算定いただきますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○薬価算定組織委員長
それでは、委員の先生方から質問があればと思いますけれども、いかがでしょうか。
□□先生、お願いします。
○□□委員
大変分かりやすく教えてくださってありがとうございました。本剤の睡眠に対する影響が非常に少ないという点がほかの薬剤よりもより示されてきているということは実感したところではございますけれども、その上で2点教えていただきたく思います。特に□□先生に御回答をお願いしたいところでございますけれども、前回もお伺いした点で、今回、シミュレーター、9時間以上たってからの被験者が評価されているということで、それの運転に対する影響が評価されているかと思うのですけれども、それ以下の睡眠の方における運転の安全性という点に関しまして、一律皆に勧められるものと言えるかどうか、ここに関しては、先生のほうでの御見解はいかがでいらっしゃいますでしょうか。
○申請者(専門家)
ありがとうございます。私からお答えさせていただきます。できましたら、先ほどのボルノレキサントの運転試験のページも出しておいていただくといいかもしれません。
これです。3枚目ですね。この試験ですが、私が大正製薬とともに計画し実施をした試験でございます。この場合、前日の夜に、健常者に服薬をしていただいて、9時間後に試験を実施するという形をとりました。先ほどの実車試験の場合も全て9時間になっているのですね。9時間というのをゴールドスタンダードのようにされている。あえてこの試験だけ、ほかの実車試験よりも短い間隔で行うということはしておりませんでした。要するに、これまでの多くの実車試験のデザインに則って9時間後に実施したということでございます。
加えて、では9時間より前の影響はどうなのか。実車試験なり、あるいはドライビングシミュレーター試験では服薬9時間後というようなデザインになっておりましたが、ほかの例えば眠気等とか、あるいは起きたときの重心動揺計に対する影響とかいうのはもう少し短い時間でデータを捉えている場合もあろうと思います。とはいえ、それらは運転技能の要素的なものです。認知機能にしろ、眠気にしろ、重心動揺計にしろ、これを総合的に必要とする運転とはまた違ってくるのはもちろんですけれども、でも、要素ではそういうのは捉えていて、そこは大正がもう少し短い時間で捉えたデータもあろうと思うのです。
そういう試験結果も勘案すると、9時間よりも少し前であっても大丈夫。本来の睡眠時間は何時間というのはなかなか議論のあるところですけれども、健常者の3~4時間の睡眠にしますと、明らかに運転技能が悪いと。睡眠薬が残る残らないよりも、睡眠が取れないがために運転技能が落ちてしまうということも起こりますから、3~4時間の睡眠では不十分だろう。では何時間がいいのか、なかなかゴールドスタンダードないですけれども、7時間、8時間ぐらいのところは考える。
海外の例えばアメリカの添付文書で7時間の睡眠ということを、例えばレンボレキサントの場合ですと書いてあります。ここは大正から、運転以外の機能検査で何時間後のデータをどういうものを出したかということをおっしゃってくださるとありがたいですけれども、いかがでしょうか。僕の理解だと、もう少し短い時間の8時間ぐらいで行った注意機能等があったようには思います。
以上でございます。私からはこんなところです。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。企業側からその部分についてはいかがですか。
○申請者
□□先生、ありがとうございます。
少しお待ちください。
弊社の9時間というところは、特に9時間に定めて皆様に伝達するという向きではございませんで、やはり不眠薬というところでは眠気はついてまわるものと承知しております。実際の臨床の先生方には、患者様と向き合っていただき、しっかり患者様の病態を見て御指導いただくのが一番よろしいかと思っておりますし、そのために弊社もしっかり指導いただけるようなガイドを臨床の先生方に御提供してまいりたいと考えております。
以上です。
○薬価算定組織委員長
すみません。9時間以前のデータがあるかというお話だったと思いますが。
○申請者
すみません。今のところ、お示しできるデータはない状況でございます。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。それでは、ほかの先生、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
○□□委員
すみません。もう一点お伺いしてもよろしいでしょうか。
もう一点お伺いしたいのは、今後のガイドライン上の位置づけというところに関して、もし□□先生の御見解がございましたら教えていただければと思っております。具体的には、運転を考えるような方における睡眠導入剤の使用というようなことが、今後、CQとして、クリニカルクエスチョンとしてガイドライン上も位置づけられ、そしてその場合には、本剤のみが強く推奨されるような薬剤として位置づけられる可能性が高いのかどうか、その点の将来像に関して教えていただけませんでしょうか。
○申請者(専門家)
ありがとうございます。現行の睡眠学会のガイドラインが出たのが2013年です。そこからアップデートがずっと止まっています。その間に多くのオレキシン受容体ブロッカー等も上市されたのですが。現在、睡眠学会のガイドライン更新中でございまして、そこにどういう形でこの薬剤が位置づけられるのか、まだ不明なところでございますが、先生が御指摘のとおりのことになるのではないかと予測します。それから、うつ病学会のガイドラインも現在更新中です。その中には、うつ病の睡眠障害の項がございまして、多分アップデートされた形で載るのではないかとは思います。ともに今アップデートの真っ最中なものですから確定的なことは申し上げられませんが、そういう可能性はあるということでお許しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
それからもう一点申し上げます。例えば少し前、2016年に、SNRIというタイプの抗うつ薬は、添付文書記載上、運転がそれまで不可であったのが可になったときに、精神神経学会、うつ病学会は学会員に注意喚起を発出しました。要するに添付文書記載上は可能になったが、飲み初めや、あるいはシトクロムP450のブロッカーを併用しているような患者さんにおいてはきちんと注意すべきという注意喚起を発出しました。
翌日の運転について、睡眠薬で初めてこの薬剤が運転が可になったということを契機に、学会員には、注意喚起は発出すべきであろうと考えているところでございます。学会側の動きを少しお伝えしました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。□□先生、よろしいでしょうか。
○□□委員
はい。ありがとうございます。今の□□先生の御見解からすると、恐らくその運転を常時考えるような患者さんに対してのクリニカルクエスチョンというところは今依然として世の中あって、そしてそれがガイドラインで位置づけられ、そして本剤がそのときに唯一の強い推奨になるのではないかというような御意見だったと承ったのですが、そこは合っておりますでしょうか。
○申請者(専門家)
はい。まだ確定的でないものですから曖昧なことしか申し上げられませんが、そういう可能性があるというふうにはお伝えできるかと思います。
○申請者
大正製薬でございます。先ほどお時間の視点で情報提供が適切ではございませんでしたので、改めて回答させていただきます。
先ほどお答えできなくてすみませんでした。企業のほうから、先ほど□□先生よりコメントのありました試験につきまして御説明をさせていただきます。
□□先生からお話がありましたのは、自動車運転試験は投与後9時間のデータで取っておりますけれども、それとは異なりまして、305試験という試験で平衡機能を見た試験というものがございます。台の上に立ちまして、薬を飲んだ状態で立ってどれぐらい体が揺れてしまうかというところを見る試験ということになっております。
こちらの平衡機能を見た試験はそれより1時間早い投与8時間後のデータで持っております。こちらにつきましても、陽性対照にゾピクロンを使いまして試験系が成り立っていることを確認した上で本剤を投与しているということになります。こちらにおきましては、翌朝の平衡機能に本剤を投与することで機能が低下するというところの所見は認められておりません。こちらの試験の内容につきましては、添付文書の17.3.2というところ、自動車運転よりも1つ下のほうになりますけれども、そちらの結果のほうを記載させていただいております。
○申請者(専門家)
□□から追加をさせていただきます。私、重心動揺計を用いたと申し上げましたけれども、それがまさに今の試験結果の平衡機能の結果でございまして、8時間後に確認されたというデータがあるというのはこの件でございます。
以上でございます。すみません。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。それでは、ほかの委員の先生方から、よろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。それでは、企業の聴取は終了とさせていただきます。企業の方、退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
それでは、企業の意見も踏まえて御意見をお願いしたいと思います。
それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私は意見変わらずで、事務局案に賛同いたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。それでは、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私のほうも変わらずでございますけれども、もしガイドラインで位置づけられた場合には、後にガイドライン上の位置づけをもちまして再度加算の申請をしていただけるのかなとは思いますので、そこはそういう形で御検討をまたできる余地があればいいのかなと思いました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。ほかの先生方、御意見いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
今までの9時間というのは残ることを前提としたような感じで、残らないという話になってくるともうちょっと早めのものも欲しいとは思いましたけれども、また目的により変わってくるのかなと思いました。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
この算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目につきましても、「事務局の見解」が適当ということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
ありがとうございます。それでは、算定案どおりとさせていただきます。当該企業が了承すれば、中医協に報告させていただきます。
マグミット錠100mg
○薬価算定組織委員長
日時:令和7年9月16日(火)
「マグミット錠100mg」です。
特に意見を伺う委員としては、立石先生と森山先生にお願いしております。
それでは、事務局から、事務局算定案について、欠席委員の意見を含めて、説明をいただきたいと思います。
○事務局
(薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いしたいと思います。
□□先生、お願いします。
○□□委員
これは酸化マグネシウムで非常によく使われる便秘の薬でありまして、マグミット自体も330mgなどがある中で、これが100mgということになっています。そういった意味からすると、小児の用法・用量追加に伴って開発されたというところも分かりますので、小児の用法・用量に基づいた平均による一日薬価合わせを行ったということは妥当ではないかなと考えます。
また、剤形間比は、最初、マグミットを使われていたので、それでいいのかなとは思ったのですが、新規後発品であるということを存じ上げなかったので、それが使えないということ。
一見、ネキシウム、全く関係ない薬だと、おやと思うのですが、この薬は制酸薬としても登録されているということでありまして、事務局の御説明でも仕方ないのかなと考えております。
有用性加算については事務局のおっしゃるとおりでよろしいと思っておりまして、また、さらに小児の加算をつけていただいているということで、全体を通して事務局案に賛同いたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
今、□□先生がおっしゃったことでもうほぼ言い尽くされていると思います。
私も、小児加算の5%のみで、事務局案のままでよろしいと思います。
確かに投与回数とかを考えると、老人ばかり最近診ていますけれども、老人の場合、非常に用量調整が頻回なことが多いので、100mgとかはすごく助かるなというのはあります。ただ、それをもって薬価にというのはちょっとないなと思うので、私は5%でいいと思います。
あと、剤形間比も、今、□□先生がおっしゃったように、あれネキシウムかなと思ったのですけれども、例えばほかの薬剤でと考えると、非常に高額な薬剤とかが多かったり、いろいろな作用機序も違ったりするので、これはもうネキシウムでいいのかなと思いました。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
ありがとうございます。
それでは、算定案どおりとさせていただきます。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
ヨビパス皮下注168µgペン、同皮下注294µgペン、同皮下注420µgペン
○薬価算定組織委員長
日時:令和7年9月16日(火)
「ヨビパス皮下注168µgペン、同皮下注294µgペン、同皮下注420µgペン」でございます。
特に意見を伺う委員は、田﨑先生と鈴木先生にお願いしております。
それでは、事務局から、事務局算定案について、欠席委員の意見を含めて、説明をお願いします。
○事務局
(薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
ただいまの御説明を踏まえて、意見がございましたらお願いしたいと思います。
□□先生、□□先生とも、特に御質問もないという回答でございましたけれども、先生方、よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果につきまして、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
ありがとうございます。
それでは、算定案どおりとします。当該企業が了承すれば、中医協に報告したいと思います。
スピジア点鼻液5mg、同7.5mg、同10mg
○薬価算定組織委員長
日時:令和7年9月16日(火)
「スピジア点鼻液5mg、同7.5mg、同10mg」でございます。
特に意見を伺う委員としては、三澤先生、岩田先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席の委員の意見を含め、簡単に説明いただきたいと思います。
○事務局
(薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
まず、□□先生、御意見いただければと思います。
○□□委員
ありがとうございます。
事務局案が妥当と考えておりましたので、意見として申し上げたいと思います。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
それでは、そのほかの先生方、御意見があれば御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
ありがとうございます。
それでは、算定案どおりとします。当該企業が了承すれば、中医協に報告したいと思います。
セタネオ点眼液0.002%
○薬価算定組織委員長
日時:令和7年9月16日(火)
「セタネオ点眼液0.002%」でございます。
特に意見を伺う委員としましては、眞野先生、井上先生にお願いしております。
算定案についての説明をお願いしたいと思います。
○事務局
(薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
ただいまの算定案の説明を踏まえて、先生方のほうで御意見いかがでしょうか。
それでは、特にコメントはないという記載もありましたので、ほかに御意見がなければ、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
それでは、算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
ありがとうございます。
それでは、算定案どおりとさせていただきます。当該企業が了承すれば、中医協に報告したいと思います。
バイジュベックゲル
日時:令和7年9月16日(火)○薬価算定組織委員長
「バイジュベックゲル」でございます。
特に意見を伺う委員として、斎藤先生、佐藤先生、古田先生にお願いしております。
事務局から、事務局算定案について、欠席委員の意見を含め、簡単に説明をいただきたいと思います。
○事務局
(薬価算定原案について説明)
○薬価算定組織委員長
それでは、事務局算定案に対する意見をお願いしたいと思います。
まず、□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
私も事務局案が妥当だと存じます。要件①-fと③-bに該当しないという判断と、それから市場性加算に関する事務局の見解に同意いたします。
あと、申請者から新薬創出等加算についての主張がなかったのはなぜなのか理由がよく分からないのですけれども、これに該当するという事務局の見解自体には同意いたします。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
事務局案が適当であると考えます。
有用性加算の要件イの①-fにつきましては、事務局の御説明のとおり、a、cに加えてさらに臨床上著しく有用というエビデンスまでは示されていないのかなと考えます。
また、同じく要件ハの③-bにつきましても、非常に画期的なお薬であることはもう間違いがないのですけれども、やはり患者ごとの重症度や状況に応じてほかの治療法も引き続き重要ですので、直ちにこれが標準的治療法と位置づけられるとまでは言えない状況かなと考えております。
いずれにしても、画期的で非常に患者さんからも期待されているお薬ですので、適切な評価がなされているのではないかと考えた次第です。
○薬価算定組織委員長
ありがとうございます。
ほかの先生方からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。
算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
ありがとうございます。
それでは、算定案どおりとします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。



