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第92回がん対策推進協議会(議事録)
健康局がん・疾病対策課
日時
令和7年10月6日(月)16:00~18:00
場所
ハイブリッド開催
議題
- (1)報告事項
・2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化について
・第6回がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの報告について
(2)第4期がん対策推進基本計画について
・「がん医療」分野のコア指標について
・「がん医療」分野の中間評価について
(3)その他
議事
○大井課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第92回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日事務局を務めます健康・生活衛生局がん・疾病対策課の大井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本協議会はYouTubeにて配信をしております。ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にマイクをミュートにしていただき、御発言の際には挙手ボタンで挙手いただきまして、事務局もしくは会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただきましてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。また、会場から参加されている委員の皆様方におかれましては、挙手いただき、事務局もしくは会長から指名がございましたら、同じく初めにお名前をいただきまして御意見、御発言いただくようお願いいたします。
それでは、委員の方々の出席状況について御報告いたします。
本日、南委員が遅れて出席されるとの御連絡をいただいております。また、木澤委員、間野委員より途中での御退席との御連絡をいただいております。
また、本日は参考人として、前回協議会でロジックモデルを活用した評価方法について御説明いただきました国際医療福祉大学大学院の埴岡健一参考人にも御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1-1から資料2-3及び参考資料1から8がございますので、御確認ください。
以上をもちまして撮影は終了とさせていただきますので、これ以降の映像等の使用はお控えいただきますよう、御協力をお願いいたします。
この後の進行は、土岐会長、よろしくお願いいたします。
○土岐会長 会長の土岐でございます。本日は皆様方、大変お忙しい中、第92回になりますが「がん対策推進協議会」に参加いただきましてありがとうございます。
しかし、時間も限られておりますので、注意点を申し上げたいと思います。これは2点ございます。
一つは、今回、皆様の御意見を、日本のがん対策を推進するに当たって、これだけは申し上げなければいけないといった意見をぜひこの場で発言いただきたいと思います。
もう一点は、意見につきましては、ただ評論するのではなく、可能な限り、御自身としての、あるいは有識者として、こういうやり方があるのではないかという具体的な解決法がもしございましたら一緒に提示していただけるとありがたいと思います。
それでは、議事次第に従って進めたいと思います。本日は、第4期がん対策推進基本計画の「がん医療」分野についての中間評価が議題となっております。
まず、議題1の「報告事項」に移りたいと思います。まずは、資料1-1について、事務局より報告をよろしくお願いいたします。
○吉原がん・疾病対策推進官 よろしくお願いいたします。がん・疾病対策課がん・疾病対策推進官の吉原でございます。それでは、資料1-1「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化について」を御報告させていただきます。
おめくりいただきまして、2ページ目でございます。こちらは医療に関して、これまで議論してまいりました検討会の議論の報告でございます。
2ページ目にありますとおり、第4期基本計画において取り組むべき施策といたしまして、がん医療が高度化する中で、引き続き質の高いがん医療を提供するため、地域の実情に応じ、均てん化を推進するとともに、持続可能ながん医療の提供に向け、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を推進するとなっておりまして、これを踏まえ、検討会において昨年12月から議論を開始しております。
3ページ目でございます。2040年を見据えたがん診療提供体制の在り方に関するこれまでの検討会開催状況と取りまとめ、課長通知の発出の流れでございます。
先ほども申し上げましたとおり、昨年12月より本会議を開始いたしまして、令和7年8月1日に「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に関するとりまとめ」を公表、また、令和7年8月29日に「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に係る基本的な考え方及び検討の進め方について」の課長通知を都道府県に発出しております。
おめくりいただきまして、4ページ目以降は検討会における議論の流れでございます。まず、本スライドは2040年の人口構成についてお示ししております。
2040年には、85歳以上の人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が見られるということでございます。
5ページ目でございます。こちらは、がん罹患者数の将来推計を全国レベルで行ったものでございます。
2040年に向けて、生産年齢人口の減少により、65歳以下のがん罹患者数は減少するものの、65歳から84歳のがん罹患者数は横ばいで推移いたしまして、85歳以上のがん罹患者数は団塊の世代の高齢化により増加が見込まれ、がん罹患者数の総数は横ばいからやや増加すると見込まれております。
おめくりいただきまして、6ページ目はがん患者様における3大療法の需要推計でございます。
手術療法が青、緑が放射線療法、黄色が薬物療法でございますが、手術療法は減少し、放射線療法と薬物療法は増加すると見込まれております。
また、7ページ目は、この検討会におきまして日本がん治療学会様より発表いただきました、日本消化器外科学会の65歳以下の会員数の将来予測でございます。
現在、65歳以下の会員数は1万5200名になりますが、2040年には65歳以下の日本消化器外科学会の会員数は約40%減少すると予測されております。
おめくりいただきまして、8ページ目でございます。こちらも、この検討会におきまして日本放射線腫瘍学会様より発表いただきました、放射線治療専門医の将来推計でございます。
放射線治療専門医数は一年当たり40名の増加となっておりますために、2040年においては放射線治療専門医数が2,000名と推計されております。
9ページ目は、放射線治療装置についてでございます。
放射線療法については人員以外にも装置の観点がございまして、この図表にお示ししておりますように、我が国では、諸外国と比較して人口10万人当たりの放射線治療装置の台数は平均的であるものの、放射線治療施設当たりの放射線治療装置台数は少なくなっているということでありまして、多くの医療機関に分散して放射線治療装置が配置されているという状況になっております。
10ページ目以降が、ここまでの議論のまとめでございます。まず、10ページ目はがん医療における3大療法の需給推計でございます。
手術療法は、2040年に向けて需要が95%に減少する一方で、日本消化器外科学会に所属する医師は60%まで減少することが予想され、2040年の需要に対して0.52万人不足すると予測されております。また、放射線療法については、2040年に向けて需要が124%に増加する一方で、放射線治療専門医数は、需要の増加を上回り、143%まで増加することが予想されております。また、薬物療法については、2040年に向けて需要が115%に増加する一方で、薬物療法は、薬物療法専門医のほか、必ずしも薬物療法専門医ではない、ほかの診療科の専門医によっても提供されているため、現状、薬物療法を何人の医師が提供し、2040年に向けてどのように変化するか、定量的に評価することは困難でございます。
また、11ページ目は、手術療法に関する提供体制の課題・対応のまとめでございます。
リード文のとおりでございますが、2040年に向けて、手術療法の需要は2025年比で95%に減少することが見込まれる中、日本消化器外科学会によると、65歳以下の消化器外科医の数は60%に減少すると予想されております。また、手術療法は、複数の外科医がチームとなって提供される必要があるところ、外科医の減少が見込まれる中で、これまでと同様のがん医療提供体制を維持した場合、手術療法を提供するために必要な医師数を確保できず、現在提供できている手術療法ですら継続できなくなるおそれがございます。このため、一定の集約化を含めた検討が必要です。また、手術療法を担う外科医について、がん以外にも、虫垂炎や胆嚢炎等の様々な疾病について手術を担う必要があること等から、がん医療提供体制の検討に当たっては、地域医療構想や医療計画を踏まえた、がん以外も含めた地域の医療提供体制を維持・確保する観点についても留意が必要でございます。また、高度な手術に関しましては、手術件数の多い医療機関で手術を提供することによって、より質の高いがん医療の提供が可能であるといったデータがございます。
また、12ページ目でございます。こちらは放射線療法に関する提供体制の課題・対応でございます。
放射線療法は、2040年に向けて、需要は2025年比で124%に増加することが見込まれる一方で、医師数は需要の増加を上回り、2040年に0.2万人まで増加する、43%の増加ということが見込まれております。一方で、放射線治療装置は、2019年時点で、全国に約1,100台配置されておりますが、分散して配置されているということ、また、放射線治療装置一台当たりの患者数にばらつきが大きいという現状がございます。また、日本放射線腫瘍学会によりますと、放射線治療装置一台当たりの年間治療可能数は250人から300人であるということを基にしますと、2040年に向け、1,190台から1,428台、対2019年比で8~30%増加の治療装置が必要と見込まれております。このため、地域ごとに放射線療法の需要を予測し、集約化を含めた、適切な放射線療法の提供体制を検討することが必要と考えております。
また、13ページ目は、薬物療法に関する提供体制の課題・対応のまとめでございます。
薬物療法については、薬物療法専門医のほか、様々な診療科の専門医が中心となって提供されております。また、消化器外科医等の薬物療法の提供者が減少している診療領域もあることに鑑みると、現状の薬物療法の提供体制の位置には薬物療法を担う医師の確保が必要でございます。また、過疎地域では薬物療法の需要が減少する地域もある一方、手術療法等とは異なり、がん患者さんが定期的に通院して治療を受ける必要があることから、がん患者さんのアクセスを踏まえると、拠点病院等以外でも質を確保しながら、一定の薬物療法が提供できるよう遠隔医療を組み合わせるなどして、均てん化に取り組むことが望ましいと考えられます。このため、都道府県は、薬物療法を提供する拠点病院等以外の医療機関と拠点病院等が連携できる提供体制の構築を進める必要があると考えます。また、ゲノム医療につきましても、近年のゲノム医療の進歩を踏まえ、関係学会と連携し、その運用面の改善を図りながら、がん診療連携拠点病院等において質の高いがんゲノム医療が提供できる体制の構築が必要と考えられます。
これらを踏まえまして、14ページでございますが、2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方について整理しております。
2040年に向けて、がん医療の需要変化等が見込まれる中で、引き続き適切ながん医療を受けられることができるよう均てん化の促進に取り組むとともに、持続可能ながん医療提供体制となるよう再構築していく必要があると考えております。また、医療技術の観点からは、広く普及された医療について均てん化に取り組むとともに、高度な医療技術については、症例数を集積して質の高いがん医療提供体制を維持できるよう一定の集約化を検討していくといった医療機関及び関係機関の機能の役割分担及び連携を一層推進することとしております。また、医療需給の観点から、医療需要が少ない地域や医療従事者等の不足している地域等においては、効率性の観点から一定の集約化を検討していくこと。また、がん予防や支持療法・緩和ケア等については、できる限り多くの診療所・病院で提供されるよう取り組んでいくということでございます。
15ページは、こちらの考え方を踏まえまして、がん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方に基づいた医療行為の例でございます。
16ページ目でございますけれども、こちらは2040年を見据えた都道府県がん診療連携協議会を活用した均てん化・集約化の検討の進め方でございます。
上の箱に、都道府県がん診療連携協議会の体制といたしまして、都道府県及び都道府県がん診療連携拠点病院が、事務局として都道府県協議会の運営を担うこと等を記載しております。また、下の箱にありますとおり、都道府県がん診療連携協議会における協議事項を以下のとおり整理しております。
おめくりいただきまして、17ページ目でございます。こちらは、2040年を見据えた検討の進め方において、都道府県がん診療連携協議会の役割を記載しているところでございます。
また、18ページ目にありますとおり、都道府県がん診療連携協議会での均てん化・集約化の検討においての留意事項を記載しております。
最後に、19ページ目でございます。こちらは、2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に向けて、国が取り組む事項を記載しております。国といたしましては、都道府県への継続的な好事例の共有や進捗状況の把握、財政支援についての検討などをすることとしております。
事務局からは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいまの資料1-1につきまして、御質問等ございましたら挙手のほうをよろしくお願いいたします。
黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 御丁寧な御説明ありがとうございました。日本医師会の黒瀨でございます。
まず、均てん化と集約化という考え方、その方向性については異論ございません。中でも、どうしても地域によって人口構成の変化のスピード、具合、あるいは幅がかなり違いますし、また、それに伴う医療のニーズの変化というものも地域によって大きく異なってくる。その中で、御指摘いただいたように、都道府県の協議会を介して、いわゆる新しい地域医療構想とのすり合わせをしていく。これも重要な点だと思います。その中で特に、どうしても都道府県境を超えた人の流れというものは今後無視できないところも多いと思いますし、特に希少がん等に関しては1つの県内だけではとても賄い切れないことも想像できるので、やはりそこを柔軟に運用していただけるような制度設計を考えていただきたいと思います。
また、私も手術を受けた立場でございますので、その経験から申し上げても、自分の手術をしてくれた先生とどうしても遠く離れてしまうとなかなかアクセスが難しくて、場合によっては、18ページにもお示しいただいたように、D to P with Dのような形で診療を受けざるを得ない地方の患者さんも多いかと思いますけれども、こういったところでより均てん化されるように、できる限り国からの支援をしていただいて、どの地域でD to P with Dを受けたとしても、主治医の、執刀医の先生とそれ以外の先生との間できちんと意思の疎通ができるように、国内で均てん化していただければと願っております。
もう一点、外科医不足というものは多分、2040年に終わることはないと思います。それから先ももっと不足していく可能性が高いと思いますので、ここ10年を目安とした外科医不足あるいは診療科偏在ないしは地域偏在、こういった対策ももちろん重要でございますけれども、もっと長期的な目で見ると、やはり中高生に対する医学教育あるいは社会保障教育というものは極めて重要な国策になろうかと思います。
今、せっかく、がん教育という機会をもって現場の医師が中高生の皆さんと接する機会があるわけでございますので、こういった場で将来の医師を育てる、あるいは外科医を育てる、本当に診療科の偏在に資するような、いろいろな診療科を希望するような医師になろうという人間が医学部に行くような教育の視点が重要です。医学部に入ってからの教育では遅過ぎると思います。もちろん、卒業してからはもっと遅いと思いますので、そういった意味では文科省等との連携も必要になってこようかと思いますけれども、ぜひそういった長い視点、もっと30~40年先の日本を見据えた教育ということの視点も重要な視点として御考慮いただければと思います。
以上、質問というよりは私の意見でございます。ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。集約化に関しましては、アクセスの問題、そして、医療連携の問題、それから、2つ目のほうの外科医のほうは、私は外科医ですけれども、ちょうど先々週、外科学会がかなり大々的な勧誘イベントを若手に対して行ったそうで、すごい人気があったそうですので、そういう機運は高まっているものがあるというふうに考えております。
それでは、先に挙がりましたので、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 島根県の谷口です。
先ほど黒瀨先生がおっしゃったことと若干重なるのですけれども、2040年といったら大分先ですけれども、ただ、そんな先でもないということで、均てん化・集約化については大筋で私もそうあるべきだろうとは思いますが、例えば先ほどの外科医の不足の話でも、ニーズは11%だけれども、数は40%減るという話があったりとか、それから、放射線治療も、いわゆる需給バランスがどうのこうのとかという話があるのですけれども、そういうことは今の制度の延長線上でやったときにそういう問題が起こってくる。例えば診療科偏在をどういうふうに変えていくのかという、私も具体策を持っているわけではないのですけれども、施策をやったときに、それがどう変わるのかとか、あと、診療報酬の、今の前提で考えるのではなく、少し変えたときにどうなるのかとか、長期の見通しを考えるのであれば、医療提供体制の在り方とか、それを支える、いわゆる診療報酬の部分ですよ。その辺りも含めて、今のままでいいのか、それとも、少しこの辺をこういうふうに変えるべきではないかという議論も一緒に進んでいかないと、なかなか難しい面があるのかなと思いながら、この報告を聞いておりました。
とりわけ、島根県などは、島根県というよりも多くの地方は日本全体の平均のスピードよりも早く人口減少が進んでいまして、そういうところでどういう医療提供体制をバランスを取りながら提供していくかというものは、都道府県が主体的に考えるべきことではあるかもしれませんが、どちらにしても、全体の医療提供体制と離れて考えるわけにはいきませんので、そういったことも将来、2040年とか2050年を見据えたときにはやはり論点としてはあってもいいのかなと思いましたので、コメントをさせていただきました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局からよろしいですか。
○吉原がん・疾病対策推進官 はい。
○土岐会長 貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、河田委員、どうぞ。
○河田委員 ありがとうございます。慢性骨髄性白血病患者・家族の会の河田です。こちらとしては事務局への質問が1点と、患者の視点からのコメントがあります。
まず、質問としましては、今回いただいた資料の中で、小児であるとか希少がんに関して特に集約化が必要であると御指摘がありました。一方でAYA世代に関しての記載がございませんでして、AYA世代に関しましてもやはり同様の特性、ある程度、治療が限定されていたりといった問題があるかと思います。AYAについてはどのような方針でこの集約化を行うのかという点について、まず御質問をさせてください。
次に、コメントとなります。もちろん、持続可能な医療体制が必要であることは重々承知しておりますし、大切なことです。一方で、機械的な算定によって、特に医療需要が低いとされているところで、再びがん対策基本法ができる前のような、がん難民と呼ばれるような人たちが生まれないということは強く願っております。また、この集約化に関しましてですけれども、もちろん、高度で質の高い医療を受ける上で、我々、希少疾患の、希少ながんの患者にとって非常にありがたいことなのですが、一方で、これは集約化に伴う時間毒性の増大が危惧されます。つまりは、治療に係る時間、通院に係る時間も含めて長くなりますと、例えば就労や就学との両立が非常に難しくなってまいります。
ですので、せっかく集約化するのであれば、その拠点となる病院のスケールメリットを生かしまして、教育の支援であるとか就労の支援であるとか、そういった社会生活に関する、サバイバーシップに関することの支援についても、そうした集約のスケールメリットを生かした形で行っていただきたい。そこでしか受けられない医療が、ネガティブな意味ではなく、ポジティブな意味で集約が行われることを期待しております。
以上となります。
○土岐会長 2点目については、貴重な御意見として、どうもありがとうございました。
1点目は質問ということでしたけれども、事務局からよろしいでしょうか。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。
今回御説明した資料1-1の14枚目のところに、均てん化・集約化の考え方を示させていただいております。特に集約化に関しましては、医療技術の観点、医療需給の観点ということは示しておりますけれども、いわゆる難易度の高いものですとか高額の医療機器ですとか、医療需給の観点ですと、症例数が少ない場合、医療従事者が不足している場合ということを書かせていただいております。
AYA世代のところに関しましては、当然、その中には希少がんの方もいらっしゃると思いますので、需要の少ないところはやはり集約化の検討が必要になるかと思いますし、数が多い部分に関しては必ずしも集約化の検討という対象ではないのだと思いますけれども、AYAに関しては両方の要素があると思いますので、AYAだけで十把一絡げに何か物を言うということは難しいと思いましたので、今回、この例示のところには書いていない。そのような形で御理解いただければと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、時間もございますので、次に移りたいと思います。
次は、ゲノム医療のほうでございます。資料1-2につきまして、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○吉原がん・疾病対策推進官 よろしくお願いいたします。引き続きまして、がん・疾病対策課がん・疾病対策推進官の吉原でございます。資料1-2に沿いまして御説明申し上げます。「第6回がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの報告」でございます。
おめくりいただきまして、まず、こちらは本年6月16日に開催いたしました第6回がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの報告でございますが、7月25日に親会であります第19回がん診療提供体制のあり方に関する検討会においても報告した内容でございます。
上段でございますが、今後のがんゲノム医療の方向性について、遺伝子変異に基づく治療薬の開発が広がるとともに、標準治療の中にそれらの治療薬が組み込まれてきている現状でございます。実際に、遺伝子変異に着目した薬事承認薬の数が増え、またがん遺伝子パネル検査の薬事審査の過程を経て、検査の分析性能が担保された遺伝子変異の項目数も増えてきております。これらについては、エキスパートパネルでの検討を経ずとも、質の高いがんゲノム医療を提供することが可能となりつつあるとされているところでございます。また、がんの標準治療を実施することが求められる医療機関として位置づけられているがん診療連携拠点病院等において、がんゲノム医療が実施できるよう、関連学会等と連携し、その運用面の改善を図りながら、質の高いがんゲノム医療の提供体制を構築していくことが重要であるとされております。
また、この具体的な方針について、以下のとおり、整理しているところでございます。
1つ目には、エキスパートパネル省略可能な症例の考え方についてでございまして、こちらの詳細は次のページでお伝えいたします。
また、その次には、エキスパートパネル開催に関する考え方についてでございまして、エキスパートパネルは、持ち回り協議にて構成員の意見の一致ができる場合には、リアルタイム開催を必ずしも必要としない運用となるよう、課長通知でございます「エキスパートパネルの実施要件について」等の一部改正で明確化するとしたところでございます。
その次のエキスパートパネル構成員の要件についてでございますが、こちらは固形がん及び造血器腫瘍におきましてエキスパートパネル構成員については、関連学会の示す運用について、課長通知である「エキスパートパネルの実施要件について」の一部改正で明確化したところでございます。
また、下の2つの点、つまり、がん遺伝子パネル検査を行える施設についてと、臨床情報収集項目の見直しに関する考え方につきましては、令和8年度の改定を予定している「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」の指定要件等に合わせて検討するというところでございます。
おめくりいただきまして、3ページ目でございますが、こちらが固形がんのエキスパートパネル省略可能な症例の考え方についての整理でございます。
表の右側にありますとおり、主治医判断でEP省略可でありますとか、また、主治医判断の下、学会の示すリストに基づき、検査の分析性能が担保されている場合は、EP省略可といったところに記載しているとおり、こういった状況であればEPの省略が可能でございます。
また、下のところでありますけれども、エキスパートパネル構成員の要件(固形がん)についてでございますが、専門領域の異なる構成員が参加し意見交換ができる場合においては、診療現場の状況に即した柔軟な対応ができるよう、構成員の要件を次のとおり明確化するというところでございまして、以下の4者、4つの先生につきましては、独立した見解が望ましいため、ア、ウ、エ、キは独立した構成員として、ほかは兼務を可能とするということを明確化したところでございます。
また、4ページ目につきましては、先ほども申し上げました課長通知の改正事項について記載させていただいているものです。1月7日付で一部改正を行っております。
リード文に記載しておりますとおり、がん遺伝子パネル検査の結果解釈を行うためのエキスパートパネルの構成員が重複可能な要件を明確化しております。また、がん遺伝子パネル検査の結果解釈のために行うエキスパートパネルを全症例持ち回り協議で開催可能とするようにしております。
具体的な記載については、下の箱の中に記載しているとおりでございます。
5ページ目でございます。こちらは参考資料でございまして、現行のエキスパートパネル構成員の要件についてを記載しております。
以上、資料1-2の説明でございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいまの資料1-2につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしければ、続きまして、議題2のほうに移りたいと思います。「第4期がん対策推進基本計画について」でございます。
まずは「がん医療」分野のコア指標につきまして、資料2-1について、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 「がん医療」分野のコア指標につきまして御説明します。
おめくりいただきまして、前回7月の協議会では、国立がん研究センターの井上参考人よりコア指標案について御報告させていただきました。今回、3つの選定方針によりまして、既に設定されている指標、296指標のうち93指標を選定し、御提示させていただきました。前回皆様に御議論いただきまして、スライドに掲載の4指標についてコア指標として追加する意見をいただいております。
今回は、この後「がん医療」分野について中間評価を行うため、この4指標のうち、一番上段の「がん医療」に関連したコア指標案の追加について御報告します。
3ページを御覧ください。
「がん医療」分野では、既に設定されている129指標のうちコア指標として、43指標を選定し、御提示しております。
スライドは「がん医療」分野のがんゲノム医療のロジックモデルを掲載しておりますが、真ん中の中間アウトカム指標の「(212205)ゲノム情報を活用したがん医療についてがん患者が知っていると回答した割合」の追加意見をいただいております。
追加理由としましては、左下に記載しておりますが、ゲノム医療のパネル検査については、実施医療機関が限られており、こういう治療があるとの情報が患者に届いていない可能性があるということ。こういう存在を知らないと受けたいと言えないので、患者目線でのアウトカム指標としてコア指標にできないかという御意見をいただいております。
事務局の対応案としましては、右下に記載をしております。がんゲノム医療へのアクセシビリティーの観点では「がん診療連携拠点病院等の整備指針」におきまして「がんゲノム医療についても、自施設で提供できる場合や連携して実施する場合はその旨を広報すること」と定めておりまして、がん患者がゲノム医療を正しく知り、必要な患者ががんゲノム医療にアクセスすることは、最終アウトカムに影響を及ぼす指標と考えられるため、今回、コア指標として追加してはどうかと考えております。
説明は以上となります。
○土岐会長 ありがとうございます。
こちらのほうを、コア指標のほうは、前回の協議会では基本的には既に決定している93のものでいきますということだったのですけれども、その後、委員の先生から御意見を頂戴しまして、本日は、この「がん医療」のところのコア指標の追加として、こちらのゲノム情報を活用した「がん医療」について、がん患者が知っていると回答した割合を追加してはどうかという提案でございます。
よろしければ、事前に皆様には御説明させていただいておりますが、よろしければこちらを追加させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○間野委員 よろしいでしょうか。
○土岐会長 間野先生、どうぞ。
○間野委員 この指標はとてもいいと思うのですけれども、日本でがんゲノム医療が保険でスタートしたのが令和元年ですので、ベースラインの年の設定をそれより前に置くと、あまり指標として不適切かなというふうに思っていますので、令和元年以降の指標をベースラインとして今のものを比べるという形になればよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局のほう、今の間野先生からのコメントはよろしいですか。
間野先生、令和元年以降のベースライン指標があれば参考にできるということでしょうか。
○間野委員 はい。それが参考になると思うのです。
○土岐会長 では、そのようにまた考慮していきたいと思います。よろしいですか。
○大井課長補佐 はい。
○土岐会長 それでは、次に移りたいと思います。続きまして、本日は「がん医療」分野の中間評価について議事を進めたいと思います。まずは、資料2-2について、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 続きまして「第4期がん対策推進基本計画中間評価(案)作成の流れ」について御説明させていただきます。
次のページをおめくりください。前回7月の協議会では、埴岡参考人より、ロジックモデルを活用した評価といたしまして、プログラム評価の考え方について御説明いただきました。今回から始まります各分野の議論としまして、プログラム評価の手順で中間評価を行うこととしております。
スライドは、プログラム評価ではステップ1からステップ5を記載しておりまして、今回、中間評価では、ステップ3のプロセス評価、ステップ4のインパクト評価を中心に評価を行うこととしております。
次のページを御覧ください。こちらはプロセス評価(実行評価)についてです。プロセス評価としては、第4期がん対策推進基本計画の各分野に記載されている「取り組むべき施策」が実行できているかを確認します。
左上のマル1個別施策の進捗状況の確認としまして、参考資料6にお示ししていますように、第4期計画に記載の「取り組むべき施策」と、第4期での具体的な取組、第4期中に今後予定している取組を記載しております。
また、右下のマル2ロジックモデルで施策と対応するアウトプットの確認としまして、参考資料7でお示ししていますように、施策と紐付くアウトプット指標を、Aの改善傾向、Bの変化なし、Cの後退傾向、Dの判定不能の4段階で判定をしております。
次のページを御覧ください。次に、インパクト評価としまして、マル3アウトプットがアウトカムに対して、インパクト効果を発揮しているかについて確認します。
次のページを御覧ください。こちらは前回の協議会でお示しした報告書のイメージとなっておりますので、説明は割愛させていただきます。
次のページを御覧ください。今回、左上の取組一覧、右上の指標結果一覧を基に、取組に対する評価点・改善点を特定しております。
また、事前に委員の皆様に取組一覧、指標結果一覧を御確認いただき、御意見をいただいております。
次のページを御覧ください。委員の皆様から事前にいただきました御意見を参考に、コア指標を中心として中間評価(案)を作成しております。
いただきました御意見につきましては、第4期計画中にさらに取組が必要な事項に関する御意見について、この後、御説明します中間評価報告書(案)を作成する上で参考とさせていただいております。
また、次期計画の見直しに向けての御意見につきましては、参考資料8として御意見を掲載しております。
今回は、中間評価(案)を見直すに当たり「がん対策推進協議会として関係学会・団体等と連携してさらに推進が必要と考える事項」を中心に議論を行うこととしております。
次のページを御覧ください。中間報告書の記載例として、分野ごとに設定されている全ての指標の判定を行い、公表すること。また、中間評価報告書では、コア指標を中心に判定結果を掲載することとしております。
報告書の構成としましては、左にも記載をしておりますが、最初に分野ごとの個別目標を第4期計画から引用して記載し、その下の判定一覧につきましては分野ごとの全指標の判定を掲載、分野別アウトカムはコア指標以外も全ての指標を記載、中間アウトカム、アウトプット指標はコア指標を中心に記載、また、C判定の後退傾向であった指標についても記載をしております。
次のページを御覧ください。進捗状況の評価の欄につきましては、上から分野別・中間アウトカム指標のまとめ、次にコア指標のまとめ、その下にアウトプット指標のまとめを記載しております。施策の評価につきましては、コア指標と設定されているアウトプット指標に紐づく施策に関する評価と、また、C判定であった指標に紐づく施策に着目して評価を記述しております。
今後、さらに推進すべき事項につきましては、がん対策推進協議会として関係学会・団体等と連携してさらに推進が必要と考える事項に記載をしております。
説明は以上となります。
○土岐会長 ありがとうございます。ただいまの説明にございましたように、これが第4期のがん対策推進基本計画の中間評価の報告書の概要でございます。
委員の先生から御質問等ございますでしょうか。
河田委員、どうぞ。
○河田委員 中間評価の報告書の取りまとめ方針について御説明いただきありがとうございました。今回、中間評価は、この協議会の中ではプロセス評価を中心に実施するというふうに理解しております。
その一方で、ニーズ評価であるとかセオリー評価も引き続き必要であることは、前回の協議会において埴岡参考人からの御指摘にもありました。また、埴岡参考人のほうからはロジックモデルの改善であるとか、それを支える評価文化の形成が重要であると御指摘を受けております。その観点から、ニーズ評価やセオリー評価、さらにはコスト評価に関しましても、単に次期の委員に先送りをしてしまうということではなく、今期の協議会の中でも委員の中で蓄積された知見というものを積み上げていく必要があると考えております。
したがいまして、中間報告書を取りまとめる際に、このロジックモデルの改善に向けた今期委員からのコメントを何らかの形で申し送り事項として報告書と一緒に、あるいは別に取りまとめていただくことを事務局にお願いしたいと思います。
○土岐会長 いかがでしょうか。大丈夫ですか。
○大井課長補佐 ありがとうございます。
今回いただきました御意見、非常にたくさんいただいたところではございますが、今回の中間評価の報告書につきましては、今後、4期中に推進すべき事項を中心に掲載したいと考えております。
ただ、5期に向けましての、河田委員からいただきました観点の御意見もたくさんいただいておりますので、そちらは今回、参考資料8として公表しております。報告書への掲載は予定しておりませんが、意見としてはまとめることは考えております。
○土岐会長 櫻井委員、どうぞ。
○櫻井委員 櫻井です。今、河田委員が言ってくださったことは、私も意見書を書きながらも思っていたことですので、ぜひ第5期につなげていく形として残していただけるようお願いしたいと思います。
それから、全体の中で気になったところがあります。現時点で判定ができないものと、評価項目そのものがつくられていないものが6分野にわたってありました。これについてのコメントが本文の中に反映されていません。プロセス評価という意味ではまだ取組がなされていないというものも重要なことで、だから、この後、2年頑張らなければいけない、次も頑張らなければいけないと続くためのワンステップにとても大事なことだと思います。ですので、D判定のもの、あるいは評価項目が設定されていないものについてのコメントの見直しもお願いしたいと思います。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○大井課長補佐 櫻井委員、ありがとうございます。
まず、グレーアウトの指標につきましては厚労科研で研究をしておりまして、またそちらは指標を設定できるように努力していきたいと思っております。あと、未測定のものにつきましては現段階では算定ができておりませんが、公表できる段階になればデータを入れて皆さんに御提示させていただきたいと思っております。
あと、中間評価の時点でD判定となっているものにつきましては測定不能なデータになっておりまして、例えば、この後、御説明しようと思っておりましたが、小児患者体験調査につきましては現段階で調査を実施しているところでございますので、中間評価の段階ではデータをお出しすることができません。ただ、今回取っておりますデータを最終評価の際にはデータとして使うこととしておりますので、そのときには御提示する予定としております。
以上となります。
○土岐会長 大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。がんサポートコミュニティー/がん対策総合機構の大井です。河田委員、櫻井委員の発言に関しては賛同いたします。
それと、やはり中間評価ということで、この評価でこのまま進んでいっていいのだろうかという課題に関して、これが第4期の評価にとして、回っていくのだということは、それはそれで評価ということでいいとは思うのです。ただ、第5期に向けて、これでは回らないでしょうという評価項目は、先ほど河田委員が何らかの形で意見を残してほしい、あるいは我々も今後の議論の中で、これは紐づかないのではないかということに関しては、今回はこれでいくけれども、第5期に向けて、ここの部分は見直していくべきではないかということは残していっていただきたいと思っています。
そうでないと、また第5期のときに同じ評価項目で評価するのであれば、結局、評価できないのではないか。でも、これは決まっているので、このまま評価を続けていかなければいけないと固執して、同じような議論を進めるのではなくて、やはり少しずつステップ・バイ・ステップしていくような仕組みづくりというものをこの中間評価の中でも示していただけたらと思っております。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。その点につきましては、十分対応していくということで考えていきたいと思います。
ほかはよろしいですか。
それでは、いよいよ本文のほうでございますけれども、資料2-3のほうに移りたいと思います。まずは、事務局のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 そうしましたら、資料2-3「『がん医療』分野の中間評価(案)について」を御説明します。この分野はたくさん分野が広くございますが、一旦、一通り全て御説明したいと思っております。
次のページを御覧ください。こちらは、中間評価報告書のイメージとして、トップページには、第4期がん対策推進基本計画の分野ごとの計画から概要のほうを抜粋して掲載することとしております。
「がん医療」分野につきましては、左のがん医療提供体制等、右側の希少がん及び難治性がん対策、その下の小児がん及びAYA世代のがん対策、高齢者のがん対策、一番下の医療実装から構成されております。
次のページを御覧ください。基本計画におきましては3つの柱ごとに分野別目標を設定しておりまして、こちらはがん医療提供体制の分野別目標を上の四角に記載をしております。
その下に、それを測る指標としまして最終アウトカム指標を記載しております。最終アウトカムにつきましては全ての指標がコア指標となっておりますので、右側に★を掲載させていただいております。
上から、がんの死亡率の減少につきましては、右側に記載しておりますが、全てA判定となっております。また、難治性がんの年齢調整死亡率の減少につきましては、代表例として膵がんを記載しておりますが、B、C判定となっております。その下の5年生存率につきましては、現在、全国がん登録のデータが5年出そろいましたので算定中でございまして、今回は未測定となっておりますが、今後の協議会で算定ができ次第、皆様に御提示させていただく予定となっております。その下にQOLを示す指標が3つ入れておりますが、そちらについても全てA判定という状況になっております。
次のページを御覧ください。ここからは、下の四角の<がん対策推進協議会として関係学会・団体等と連携してさらに推進が必要と考える事項>を中心に御説明します。こちらは、事前に委員の皆様からいただきました御意見を参考に記載をしております。
こちらは、最終アウトカム指標の推進事項として記載をしております。QOLに関する指標は大きく改善してきておりまして、評価をいただいておりますが、希少がんや若年がんの患者さんにつきましてはまだ75%台ということもありまして、さらに支援体制の強化が必要というような記載になっております。
次のページを御覧ください。こちらは、がん医療提供体制等の分野になっております。個別目標につきましては、計画から引用したものを掲載しております。
その下に判定一覧、分野別アウトカム、中間アウトカムを記載しておりますが、こちらはスライドのとおりです。
次のページを御覧ください。こちらは、先ほどの分野のアウトプット指標となっております。
こちらもスライドのとおりとなっております。ここでは、コア指標となっている、「がん治療前にセカンドオピニオンに関する話を受けたがん患者の割合」がC判定、後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱について御説明します。
先ほどのアウトプット指標の判定を受けまして、セカンドオピニオンの情報提供の充実に関する事項を記載しております。また今後、都道府県での集約化・均てん化の議論が進む中では、国は地域ごとの取組状況を把握し、進捗管理をしていくことや、特に希少がん、小児がん等では、都道府県単位にとどまらず、より広域的な医療圏での議論や調整の必要性についても記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、がんゲノム医療についてのページでございます。
中間アウトカムの2つ目、「がん遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、エキスパートパネルの結果治療薬の選択肢が提示された割合」と、その下の「エキスパートパネルで推奨された薬剤が投与された割合」、また、その下の、先ほどコア指標として追加しました指標として、「ゲノム情報を活用したがん医療についてがん患者が知っていると回答した割合」については、いずれもC判定、後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
先ほどの後退傾向に紐づく施策に関する取組を記載しておりまして、治療経過の中でがんゲノム検査実施の機会が逸されることのないように、がんゲノム医療中核拠点病院等以外の医療機関の医師への教育等の取組等を記載しております。
次のページを御覧ください。続きまして、手術療法についてです。
指標及び判定結果はスライドのとおりです。中間アウトカム指標としまして術後短期死亡率を指標としておりますが、こちらは大腸がん、胃がん等で後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
先ほどの指標の改善に向けましては、NCD等を活用してのリスク調整や、術後合併症の発生率、回復までの期間やQOLなどの観点を含めた評価についての取組を記載しております。
次のページを御覧ください。続きまして、放射線療法についての指標と判定等の結果についてはスライドのとおりです。
こちらは、アウトプット指標でコア指標としております、IMRTを提供しているがん診療連携拠点病院の割合は改善傾向となっており、また、その下の専門資格を持つ看護師の配置状況は後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
IMRTなど、高度な放射線治療を安全に提供するためにも、医師の適正配置や専門資格を持つ看護師の養成の取組について記載をしております。
次のページを御覧ください。薬物療法についての指標及び判定についてはスライドに記載のとおりです。
1点、中間アウトカム指標の、「遅滞なく化学療法が行えているか」の胃がんにつきましては精査中に変更しておりますので御了承ください。
中間アウトカム指標のコア指標で、「化学療法/薬物療法関連QIにおける標準的治療の実施割合」では大腸がんと胃がん等で後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
こちらも、標準治療の実施割合が低いことに関しまして、高齢化により標準治療ができていないのか、また、治験や臨床試験等の先進的な治療を実施しているのか等の詳細な分析の必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。続きまして、チーム医療の推進について、指標の判定についてはスライドのとおりです。
中間アウトカム指標は大きく改善しておりました。アウトプット指標としましては、緩和ケア診療加算の算定回数は大きく改善しておりましたが、栄養サポートチームに関する加算は後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の四角でございます。
栄養サポートチーム加算が後退傾向であったことから、栄養管理の実態把握についての記載をしております。また、主治医以外にも相談しやすいスタッフがいた割合は大きく改善してきておりますが、さらに、医療・心理・栄養など多面的な相談体制の整備の促進についても記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、がんのリハビリテーションについての指標及び判定はスライドのとおりとなっております。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
こちらは、さらなる取組としまして、必要な患者が確実にリハビリを受けられる仕組みの整備や、患者自身がリハビリの重要性を理解しやすい説明・相談体制の確保について記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、支持療法の推進についての指標及び判定についてはスライドのとおりです。
アウトプット指標としまして、「がん相談支援センターにおけるアピアランスに関する相談件数」が大きく改善傾向となっております。中間アウトカム指標のコア指標は改善傾向、「外見の変化に関する悩みを医療スタッフに相談できた割合」、「支持療法に関する標準診療を実施された患者の割合」が後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱についてです。
外見の変化に関する相談環境の改善に関する取組や、アピアランスケアについて十分な知識等を持つ医療従事者のさらなる養成の取組について記載をしております。また、支持療法に関する標準診療については後退傾向であったことから、支持療法の均てん化の促進についても記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進について、指標と判定についてはスライドのとおりとなっております。
次のページを御覧ください。こちらは、アウトプット指標のコア指標は改善傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。
もう一ページおめくりいただいて、25ページを御覧ください。こちらも下の箱でございます。
さらなる取組について、緩和ケアについては、拠点病院等に限らず、地域の病院においても苦痛の把握のための「苦痛のスクリーニング」の導入医療機関を増やすなどの必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、妊孕性温存療法についての指標及び判定はスライドのとおりです。
中間アウトカム指標の、「治療前に、生殖機能への影響に関する説明を受けたがん患者・家族の割合」は改善傾向となっております。1点、アウトプット指標にあります「日本がん・生殖医療登録システムへの登録症例数」については、事前資料からデータの見直しを行っており、精査中と変更しておりますので御了承ください。
次のページを御覧ください。こちらも四角の箱でございます。
さらなる取組としまして、小児・AYA世代や将来の妊娠・出産を希望するがん患者が必要とする情報が適切なタイミングで得られるよう、妊孕性温存に関する情報提供の強化について記載のほうをしております。
次のページを御覧ください。こちらは、希少がん及び難治性がん対策についてでございます。指標及び判定はスライドのとおりです。
次のページを御覧ください。アウトプット指標につきまして、指標及び判定についてはスライドのとおりです。コア指標につきましては、概ね改善傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。30ページとなります。下の箱でございます。
さらに推進が必要な事項としまして、希少がんに関して高度かつ専門的な医療へのアクセシビリティーの観点から、情報提供のみならず医療機関同士のさらなる連携の取組の必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。小児がん及びAYA世代のがん対策についての指標及び判定についてはスライドのとおりです。
こちらは、判定値中間につきましてはD判定となっているものが多くはございますが、こちらは小児患者体験調査となっておりまして、現在調査中のため、中間値は判定不能ということになっております。
次のページを御覧ください。こちらは、アウトプット指標についての指標及び判定はスライドのとおりです。
「小児がん拠点病院での専門的な医療従事者の配置」についてはC判定、後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。
もう一ページおめくりいただきまして、34ページを御覧ください。小児がん拠点病院等における専門的な医療従事者の人数が後退傾向であったことから、実態の把握と再構築の必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、高齢者のがん対策についてでございます。指標及び判定はスライドに記載のとおりです。
次のページを御覧ください。こちらは、「患者と医師との間で最後の療養場所について話合いがあったと回答した人の割合」の指標が改善傾向となっておりましたが、まだ53%にとどまっているということで、実態把握の必要性について記載をしております。
続きまして、新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実装についてでございます。こちらの指標及び判定はスライドのとおりとなっております。
次のページを御覧ください。こちらも下の箱についてでございます。
患者が自ら臨床試験を探せるなど、分かりやすい治験情報提供のさらなる取組の必要性について記載をしております。
説明については以上となります。
○土岐会長 ありがとうございます。かなり大量の資料でございました。なかなか量が多かったので、皆様の御意見の数も踏まえまして、2つのパートに分けて御意見を頂戴したいと思います。
まず最初に、3ページから27ページ、27ページは妊孕性のところです。ここをまずは最初で、あと、後ほど希少がん・難治性がんから御意見を頂戴したいと思います。
それでは、まず最初の27ページのところまでの部分で御意見がある先生はぜひ挙手のほうをよろしくお願いいたします。
吉野委員、どうぞ。
○吉野委員 日本癌治療学会理事長の吉野でございます。
今回は、例えばセカンドオピニオンが先ほど減っているということで、ベースライン値より今回の測定値が減っているということなのですけれども、例えばコミュニティーで病院が、非常に病院間で連携がうまくいっていると、目の前の患者さんに対して主治医が専門病院のほうに電話をかけてきて、どういう治療をしたほうがいいかなと言って、そこで解決して、患者さんが実際、セカンドオピニオンに行かないで済んでいる。医師法的にはグレーなところもあるのかもしれませんが、実際、目の前の患者さんのテーマとか病状によっては医師間でコミュニケーションすると、そういうものは減る方向に行ってしまうわけで、減っているから駄目だということではないというふうに思いまして、そういう交絡因子もしっかり議論したほうがいいのかなと思って見ていました。
以上です。
○土岐会長 では、続きまして、黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
10ページ目にお示しいただきましたように、胃がん・大腸がんに関しての術後の短期死亡率が悪化しているという現状を驚いて見ていたのですけれども、こちらの11ページ目に書いていただいているとおり、NCD等を使いまして、年齢調整とか緊急手術の有無とか術式等で詳細に検討していただくのも大切だと思います。
また一方で、我々、この今期の第4期のがん対策推進基本計画の評価をするにあたり、大きな変化が2点あります。一つはコロナ禍の影響がどうだったのか。要するに、ベースライン値がコロナ禍の前のものなのか、あるいはコロナ禍の中のものなのか。中のものの場合にも、そのフェーズによって、例えばデルタ株のはやっていた頃のものが使われているのかどうか。こういったことの影響というものは、もちろん、病院側としては、十分な体制を取っていたとしても、その中でも何らかの影響があったという可能性が考えられるのが一つ。
もう一つは、これは今回のこの中間評価には直接影響ないかと思いますけれども、それでもやはり働き方改革によってかなり体制が変わってしまっている。数は同じだとしても、人員配置や体制が変わってしまっている可能性は十分にあろうかと思いますので、そういったところが今後どういう影響を与えてくるのか。それは事前に我々も、ある程度分析をしておいて、その影響をあらかじめ見越しておく必要はあろうかなと感じて聞いておりました。特に、この胃がん・大腸がんの結果を見たときに少し、その影響が危惧されるなと思って聞かせていただきました。
以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
もうお一方、御意見を伺ってからお答えしたいと思います。中山委員、どうぞ。
○中山委員 京都大学の中山です。どうもありがとうございました。
10枚目のスライドの、これは200005の、治療決定までに医療スタッフから治療に関する十分な情報を得られた患者の割合のところについてです。これは数字だけ見ると、75.0%から88.5%でよくなっている。これはこれですばらしいことだと思います。ただ、もちろん、情報は患者さんの命綱だというふうなことで申しますと、今、大元の情報はエビデンスに基づくガイドラインを各学会がつくっている。その各学会のバックアップをしているのが、日本医療機能評価機構や日本医学会連合がそれをバックアップして、各学会がガイドラインをつくっていますが、これはかなり大きな労力を要しております。それで、各学会のモチベーション、バックアップ体制をぜひ国としてもお願いしたいということを一言申し上げたいと思います。
それと併せて、実際にインフォームドコンセント、既に新しい抗がん剤が多く開発されていくことによって、現場はさらに、よく多様性、選択肢は増えましたけれども、かえってそれで選択が難しくなってきている。そのような状況の中で、今、御存じのように、シェアード・ディシジョン・メイキングの時代になってきているわけです。医者が答えを知っているインフォームドコンセントから、患者さんと医療者が探していくシェアード・ディシジョン・メイキングの時代になる。そのときには、さらに必要な人員またはAIの活用などが当然入ってくるかと思われますから、こういった数字的によくなることだけではなくて、その背景のことについても、これからまた議論ができればというふうに願っております。
最後は、患者さんへの一般のがん情報サービス自体もよくなっているのですけれども、どんどん、今、アップデートする人員が追いついていかないということもありますので、そういった情報基盤の支援体制も議論できればと思いました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局のほうから、今、3名の委員のほうから御質問、御意見ございましたけれども、追加のほうはよろしいですか。何かあれば。
よろしいですか。
○大井課長補佐 はい。
○浅香委員 すみません。日本看護協会のほうから意見をよろしいでしょうか。
○土岐会長 浅香委員、どうぞ。
○浅香委員 ありがとうございます。
スライド12にありますがんの放射線療法のアウトプット指標におきまして、専従の放射線治療に関する専門資格を持つ常勤看護師の配置についての項目になりますけれども、評価としましては5割を切っている状況がありまして、この部分に関しましては、今後の安全な医療提供という点に鑑みますと、がん対策推進協議会として、関係団体と連携して、さらなる推進が必要と考える事項になります。対策としましても、この専門性の高い看護師の養成をさらに進めていくというところに関しまして、日本看護協会としてもさらに推進していきたいと考えております。
日本看護協会では、現在、質の高い医療提供を目的としまして、資格認定制度を運営しておりまして、その中にがん分野というものがございます。本会が認定しております認定看護師教育機関ですとか日本看護系大学協議会(JANPU)が認定した教育機関で、専門看護師や認定看護師の輩出を今後も強化していきたいと思っており、特に、質は維持しながらも、受講しやすい体制を検討しております。今後も認定看護師のさらなる養成に向けて尽力し、また、関係団体の方々と協力しながら育成に努めていきたいと思っております。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
では、続きまして、河田委員、どうぞ。
○河田委員 では、先に失礼いたします。資料を前から順番に、私のほうから医療提供体制、ゲノム、そして、妊孕性について、3点についてコメントさせていただきます。
まず、6ページ目の医療提供体制の部分の中で、211102、がん治療前にセカンドオピニオンに関する話を受けたがん患者の割合が31.7%であるという点です。先ほど中山委員からもあったように、現状、シェアード・ディシジョン・メイキングが重要な中で、患者自身の意思決定であるとか、安心して納得した医療を受けるためには、こうしたセカンドオピニオンの利用というものは非常に重要であると考えております。
そうした中で、現状、3人に1人という、そもそもの31.7%という数字自体が、これはAとか減少しているかどうかということ以前に、課題になるのではないかが一つの問題提起です。特に患者会には、主治医にセカンドオピニオンをお願いするのは非常にためらわれるという声が今でも多く寄せられております。主治医からのセカンドオピニオンの提案というものは非常に患者の心理的ハードルを下げるものですので、ぜひとも、こちらの数値の向上というものは実行に移していただきたいと思います。
次に、8ページ目のゲノム医療に関してですが、先ほど間野委員のほうからも、ゲノムに関してのパネル検査の保険適用が令和元年以降という話もありました。それ以降もやはりゲノムを使った遺伝子パネル検査を含めて、遺伝子パネル検査自体の数、また、治療に使える薬剤の数というものは大きく増えてきているものと認識しております。
そうしますと、今回のようにパーセンテージだけ見ていても、実際のところ、なかなか患者側としても評価が難しく、実数としてどれくらいの遺伝子パネル検査があるのかとか、その中で適用されている薬がどの程度の数なのかといった実数ベースの議論というものが同時にないと、少し評価が難しいというのが実際のところかと思います。患者にとっては、どの検査がどれくらい行われているかということを知ること自体が信頼感であるとか選択の納得感につながるということから、こうした数の提示を求めたいところです。
最後に、27ページの妊孕性に関してです。こちらは妊孕性に関して、218103ですが、日本がん・生殖医療登録システムへの登録症例数が大幅に増加している。285件から1,153件というものは非常にありがたいことだなと思う一方で、これは登録の地域差や施設間のばらつきというものが見えてこなく、また、非常に重要な課題かと思います。
私たちのAYA世代の仲間の中でも、やはり主治医から情報を受けても、自分の近くの施設で実際には妊孕性温存の治療が受けられなかったという声であるとか、インターネットや様々な情報によって、治療法、妊孕性温存ができる施設があることを知りながら、アクセスの問題からたどり着けていないという声を多く聞きます。そうした地域の実情であるとか、現実的なアウトカム、患者自身がどれくらい実際の治療に結びついたのかといったアウトカムとの関連の評価というものが必要かと思います。
以上となります。
○土岐会長 それでは、まず先に、大井委員の御意見を賜りたいと思います。
○大井委員 どこで発言するかというものを少し迷いながら、がんサポートコミュニティー/がん対策総合機構の大井です。スライドでいくと、6ページの均てん化・集約化、15ページの薬物療法、それに関連するものとして29ページの希少がん・難治性がんの情報提供について、それとは別に、13ページの放射線療法についてと2件、意見といいますか、質問したいと思います。
一つは、情報に関して様々なところで追及されています。先ほど来、中山委員、それから、河田委員からも、シェアード・ディシジョン・メイキングという形で、患者さんたちが自己決定として自ら受ける医療に参画していくということは非常に重要であるという御指摘があったかと思います。
第4期がん対策推進基本計画では、国立がん研究センターや関係学会と連携し、国民が薬物療法等に関する正しい情報を得ることができるよう、科学的根拠に基づく治療法に関する情報提供及び普及啓発を推進するというように記載されています。その指標として、今回、コアにはなっておりませんけれども、自施設で対応できるがんについて、提供可能な診療内容を病院ホームページ等で分かりやすく広報している拠点病院等の割合というように用いられています。そこは、ベースライン値は100%で、測定値も100%とされています。しかし、判定はBにとどまっているというのは何かなということが一点です。
実際にここで、先ほどのシェアード・ディシジョン・メイキングという観点からしますと、重要なのは、病院ホームページに情報が掲載されているかではなくて、患者や家族が実際にそこへアクセスして情報を利用しているかという点だと思います。例えば2024年、がん情報の均てん化を目指す会が公表したアンケートでは、患者や家族が情報を探す入り口は、検索エンジンが94%、YouTubeが30%、SNSが17%ということで、正しい情報がホームページに掲載されていても、そこに直接たどり着く人は非常に限られていることが伺われました。
それから、2023年の内閣府の世論調査でも同じように、がんの治療法や病院に関する情報源としては、がん情報サービスを挙げた人は22.8%、一方でインターネットやSNSが26.2%ということなので、患者や家族の方たちの複数の入り口から情報にたどり着いているということが実際であると思います。他方、先ほどの内閣府の世論調査の中で、患者や家族の45%がオンラインでの情報収集に非常に困難を感じているというようなことも言われていて、情報が分散しているとか、専門用語が多いとか、自分に合った情報が見つからないといったことが8割近くに達しています。そういったことから考えますと、形式的な達成と実際の患者体験との間に非常に乖離があるのではないかと推察しています。
さらに、情報提供の在り方そのものですけれども、病院ごとに情報を発信しているということよりは、均てん化・集約化という中で、どこかに集約していくことを検討すべきではないでしょうか。このコア指標を含めて見ていますと、がん情報サービスを指標にしていこうということを見据えているように思いますので、そこに集約していくというのであれば、そこに集約していくということが非常に重要かと思います。実際には、いろいろな分散化とか不統一のために比較が難しくて、健康リテラシーが高い患者や家族とそうでない患者や家族との非常に格差を広げていくような現状もあるのではないでしょうか。患者や家族としてどこを見ればよいかということを明確にしていくことが非常に重要ではないでしょうか。
第4期がん対策基本計画は、誰一人取り残さないがん対策を推進して、全ての国民とがんの克服を目指すということを全体目標として掲げてきています。アメリカでも1971年にNational Cancer Actが成立しました。それ以前は情報提供に関しては合理的医師基準ということで、一般的な医師であれば提供するだろう情報を標準としましょうと社会合意して進めてきましたけれども、1971年のNational Cancer Act成立後に関しましては合理的患者基準ということで、一般的な患者が必要と求める情報に関しては提供しなければならないということになっています。今回、病院側が一方的に提供している診療に関して発信するということではなくて、何が患者の求めている情報なのかということをぜひ検討いただきたいと思います。そういった視点も、今後、第5期に向けて指標として検討いただきたいと思います。
実際に、2004年の厚生労働省の医療分野における規制改革に関する検討会の報告書では、患者に対し適切に情報を伝え、患者自身が自己決定に責任を負えるようにすべきであるとして、2007年の医療法第五次改正で、インフォームドコンセント条項として、医療法1条の4に追加されたという経緯があります。そういった中で、やはり今後必要なのは、病院ホームページの掲載率を指標とするのではなくて、患者や家族が求め情報が分散する現状を是正すること。信頼できる情報を1か所に集約すること。そして、行政や医師が患者や家族にはこの情報が必要だろうと判断するのではなくて、患者や家族にとって求める情報を届けるということを指標にしていくことが大事ではないでしょうか。そのためにも、がん情報サービスに集約して、ワンストップで、一般薬剤名であったりとか商品名であったりとか、全ての情報が提供されていく。
例えば、これはがん情報サービスにあった、最近出された『フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病について』という冊子ですけれども、この中は結局、一般の方も見られるということで、分子標的薬とのみ書かれていて、一体、具体的な治療薬は何なのかということは書かれていないのです。そういうことではなくて、やはり具体的なものを患者さんは求めていますし、患者療養申出制度は患者による療養の申出から始まるということであれば、そういった情報を、この情報社会の時代なので、正しい情報はがん情報サービスに集めていく。要するに、がん情報サービスが情報の中核的な拠点となっていただければと思います。
こういった点に関しても、2018年12月の規制改革推進会議の中で患者会とかCSRプロジェクトから、適正使用を目的とする勉強会や市民講座では商品名を使用できるようにすべきだという要望が出されていたかと思います。こういった公的な教育の場においては、誤解を避けるルールが必要だとは思いますけれども、一般名と商品名を併記するとか、患者さんに誤解が生じないような環境というものをつくり上げていただきたいと思います。
最後に、情報アクセスの全体像を把握して見える化してほしいです。病院内の調査だけでは不十分で、患者や家族というものは、実際にはSNSとか様々な患者体験から自分の場合はどうだろうかということを考えたりしていますので、ぜひ、がん情報の均てん化を目指す会、その他の国立がん研究センターを含めて、様々なヒアリングを行っていただいて、何が患者さんが求めている情報なのかということを把握していく。その上で、その情報が十分に提供されているかということを評価していただきたいといったことが意見となります。
もう一点、すみません。放射線に関してですけれども、放射線のIMRTの普及率ということが先ほどの13ページのところに記載されていたかと思うのですけれども、その先の新規医薬品とか医療機器のところとも関わってくる話になるので、どちらかと思いましたけれども、まとめて質問させていただきます。
IMRTの次に、今、MRリニアックという形で、2021年には千葉大学、2022年には東北大学、大阪公立大学に導入されています。それによると、患者さんの放射線の治療期間というものが20日間から2日間に減っています。導入費用的に機器としては非常に高いけれども、患者さんにとっては非常に負担が少ないという療法になります。
ですので、科学技術がどんどん進歩していくという状況からいくと、これまであったものを指標とするのではなくて、次に新しいものが出たら新しいものを患者さんに届けていくのだ、それに集約していくのだ、あるいは均てん化していくのだというような議論にしていただけないか。これは現状のIMRTの指標を変えてくださいということではなくて、第5期に向けてぜひ検討いただきたいと思います。
以上、情報ということと放射線ということの2点になります。
○土岐会長 今、浅香委員のほうから放射線と看護師、河田委員のほうからセカンドオピニオン、ゲノム医療、妊孕性、そして、大井委員のほうから情報提供の在り方、患者さんの必要としている情報、また、放射線治療における新しい治療等の御説明がございましたけれども、事務局のほうから特に追加はございますでしょうか。
事務局からは特によろしいですか。
○大井課長補佐 はい。
○土岐会長 それでは、すみません。先に、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。私のほうから3点、一つはがんゲノム医療について、もう一つは薬物療法について、それから、支持療法について申し上げたいと思います。
まず、がんゲノム医療についてです。中間アウトカムのがん遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、エキスパートパネルで推奨された薬剤が投与された割合が8.2%であったものが7.8%に下がっています。これに限らず、これらのデータ全て、必ずしも上がればいいというものではないのが難しいところですけれども、そうはいっても、8.2%、7.8%はいずれも低いのではないかと思っています。何が障害になっているのか、ということを、ぜひ深掘りしていただきたいです。
深掘りをするに当たっては、患者さんの状態像によって推奨された薬剤が投与できなかったのか、希望によってできなかったのか、例えば治験は行われていたけれども、治験へのアクセスが確保できなかったのか、あるいは患者申出療養しかないけれども、それが難しかったのか。何がハードルになったのかが分かるような深掘りをしていただけないかと思いました。それが一点です。
次に薬物療法についてです。14ページ、15ページですか。これもやはり深掘りのお願いです。この中間アウトカムがいずれも、Aであるものも含めてですけれども、標準的な薬物治療を行っている医療機関が半分ぐらい、遅延なく化学療法が行えている医療機関も半分ぐらいです。これも上がればいいというものではないですけれども、これでいいのか疑問です。原因が患者の希望によるのか、支持療法が適切に行われていないのか、あるいは支持療法が行われたのだけれども奏功しなかったのか、理由を深掘りしていただきたいところです。
薬物療法のアウトプット指標で、がん薬物療法の専門資格を持っておいでの常勤の看護師さんの割合が下がっていますので、一つはこれが原因の可能性があることを考え合わせますと、この充実が望まれます。後のほうに支持療法が出てきますが、薬物療法と支持療法は組み合わせて考える必要があるのではないかと思っています。
その支持療法に移ります。中間アウトカムの支持療法の均てん化のところが91.5%から81.7%に10ポイント落ちています。この10ポイントの低下はかなり大きな低下だと思っており、やはり理由を深掘りしていただきたいところです。ここでもアウトプット指標に専門資格を持っている常勤の看護師さんの割合の項目がCで上がっていますので、この部分を強化すると、支持療法がよくなって薬物療法の標準的な実施も上がっていく可能性があるのではないかと思いました。その辺りを組み合わせて考える必要があると思います。
特に支持療法については、中間アウトカムの上2つ、副作用への見通しの改善であるとか、身体的なつらさに関する相談環境の改善の項目はいずれも10ポイント以上上がっており、現場の皆様の御努力はいかばかりかと思います。一方で分野別アウトカムを見ますと、身体的な苦痛を抱えるがん患者さんが3人に1人、精神心理的な苦痛を抱えるがん患者さんが4人に1人と深刻な事態です。21Pで、支持療法で推進が必要な事項の表記のところでは1番目と2番目にアピアランスが上がっておりますけれども、副作用をいかに軽減し、闘病中のつらさを軽減して、標準治療ができる環境を整えていくか、あるいは標準治療への理解が得られるかどうかということが、支持療法の重要な点だと思いますので、よろしくお願いしたいところです。
以上です。
○土岐会長 それでは、続きまして、吉野委員、どうぞ。
○吉野委員 今、結局、このデータはすごく客観的なものが出てきているのですけれども、そのデータの解釈のところが恣意的になりやすくて、例えばベースラインが5%で、測定値が4%で、1%下がってCとしたときに、その1%が下がったと取るのか、いや、そうではなくて、分母が小さいからぶれやすいデータだと捉えるのかが分からないまま、これは全体的に議論が進んでいるのですよ。そうすると、例えば言えるのは、分母が大きいと1%の意味は大きいし、分母が小さいとぶれやすいので、その1%は別に考えなくてもいいということになるので、これだと、まず、全項目は分母が違うでしょうから、分母がどれくらいあるのかというものがはっきりすること。
それと、よく科学論文とかでやるのは、95%信頼区間を出して、両方の値がオーバーラップしていない。そうすると、統計学的な変化であると、これは放っておけないねと。例えばPが0.05とかでやるという、0.1でもいいと思うのです。完全にこれは悪くなっている指標だという捉え方を、やはり統計検定をしないと、全部下がっているから、では、ここは介入が必要だというと、本来やらなくてもいいところに医療資源が使われることになって、結局、無駄が多くなってしまうのではないか。だから、データの解釈の仕方を、ちゃんとした統計検定を入れたほうがいいのではないかというものが全体的な議論に対するコメントになります。
○土岐会長 米田委員、どうぞ。
○米田委員 私も全体的なことで意見を申し上げたい。
私は小児血液・がん学会を代表しているのですが、一応、小児外科医なので、例えばこの手術療法の測定値については解釈を慎重にしないといけないなというものがあって、例えばこの短期死亡率というものは、ベースライン値が令和3年で、測定値が令和4年ですね。ちょうどコロナ真っただ中の頃の医療体制も大きく影響を受けているときに、この1年の違いが本当に手術療法のリスクが上がっているのか下がっているのかという評価ができるのかということとか、あるいは乳がんとか前立腺がんは100人のうち2人とか1人とか3人とか、そのぐらいの死亡率になっています。
ですので、こういう非常に低い死亡率の1年の違いを見てよくなっている悪くなっていると単純に判断するというのは、今、吉野先生がおっしゃったように、これは統計学的にはほとんど意味がないように僕は思いますので、やはり数字だけを見るということのリスクというものを考えながら評価する必要があるかなと思いました。
ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいまの、全体の1%が意味があるのかとか、1年の違いが意味があるのかとか、もちろん、そういうものは重々承知した上で、今回、例えばA、B、Cという非常に、ある意味、乱暴な評価。やはり吉野委員が言われるように、統計的な検定もできていないのですけれども、この数字は数字として、ぜひ、これを評価とか、一番大事な最後「さらに推進が必要と考える事項」にどういうふうに反映させるかというものがこの協議会の意義ですので、もちろん、その中には意味のある1%もあるでしょうし、意味の少ない1%もあると思いますので、ぜひそういうことについて、皆さんの意見を聞くことにより判断できるようになりますので、ある程度、そういうリスクがあるものを承知の上で、あえて皆様の御意見をぜひ聞いていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、服部委員、どうぞ。
○服部委員 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジの服部と申します。チーム医療と支持療法について述べさせていただきます。
まず、チーム医療です。中間アウトカムで主治医以外にも相談しやすいスタッフがいた患者の割合が10ポイントも上がっていて、これは大変すばらしいことだと思います。一方、このチーム医療を集学的治療という意味合いで捉えたとき、チーム医療の良し悪しや各分野の専門家集団によって健全に治療内容が検討されているかということを、患者さん自身が判断するのはかなり難しいのではないでしょうか。集学的治療であれば、カンファレンスの実施やそのプロセスが尺度になると思います。ケース全体における実施割合や、専門家としての判断、例えばチームを構成する医療者が議論を尽くしたのか、合意形成ができたのか、という観点で測る必要があるのではないかと考えます。
そして、次に、先ほど佐藤委員からもお話がありました支持療法です。アウトプットではアピアランスの相談件数が1.6倍に増加していますが、アウトカムでは相談できた患者割合が低下しています。この矛盾した結果は、アピアランスに関しては医療機関以外の外部リソースで解決できるようになったからではないでしょうか。いま、院外のNPOやウィッグメーカー、またYouTubeなどでタレントさんや一般の人が発信する機会が非常に多くなっています。私が受けている相談でも、そうした発信がとても役立っているという話をよく聞くようになりました。
アピアランスの悩みが外部リソースによって解消される現状がありながら、アピアランス件数のみが院内相談の尺度になっていると、その他の痛みや苦しみなどに対する支持療法の相談が医療機関で十分に受けられているのかという問題を見誤る恐れがあります。
また、他にも院内だけでなく社会的に解決すべき相談が含まれている可能性があります。院内では低調に見えても、実は社会的には相談支援が進んでいることもありますので、可能な限り院外も含めた広い視野で見ていけたらと思います。次のがんとの共生分野では、さらにそうした院外との連携が広がると思います。医療機関内だけではなく、多様な社会的リソース全体でどう解決していくかということに注意を向けていただけたらと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
ほかは。
辻本委員、どうぞ。
○辻本委員 患者会はーべすとの辻本です。私からは2点申し上げます。
まず一点なのですが、先ほど大井委員からご説明がありましたけれども、放射線療法において、高度な医療があるということでしたが、私自身、20日間にわたって放射線治療を受けております。その際に、治療と仕事の両立について大変苦労いたしました。2日で済むのであれば、経済毒性だけでなく、時間毒性も軽減できる可能性があるのではないかと考えております。
一方、高額な機器ということですので、均てん化が難しいようであっても、患者が必要な治療に迅速につながれるように、集約化も含めた配置や評価の方法を、ご検討いただければと思います。
2点目、緩和ケアについて申し上げます。資料25ページです。
下段の「推進が必要と考える事項」にも記載のとおり、緩和ケアは、会議冒頭でお示しいただいた「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化」でも、さらなる均てん化が求められる領域とされています。また、今回の中間評価においてもC評価が多い項目であり、取組は重要で引き続きの推進を期待しております。
一方で、現場では、患者や家族が希望しても、主治医の判断により結果として終末期まで専門的な緩和ケアにつながらない例が少なくありません。こうした状況を踏まえると、資料下段の「苦痛のスクリーニング」導入医療機関の増加や、緩和ケア研修参加者数の拡大のみでは、十分とは言えないと考えます。例えば、研修参加者への継続的な学習機会の提供などを通じ、必要とする患者に適切な時期に緩和ケアが届く仕組みと、その評価の検討が必要だと考えます。
また、櫻井委員からもご指摘があったとおり、今回の資料には直接記載されていませんが、緩和ケアに関しては3項目がグレーアウトされております。その中には、「専門的な緩和ケアの質の評価等の方策について研究を行う」「患者体験調査や遺族調査等により、患者や家族に適切な緩和ケアが提供されているかを定期的かつ継続的に把握する」など、とても重要な内容が含まれています。測定可能な指標として具体化することが不可欠と考えます。
先ほど、検討を進める旨のご説明がありましたが、現場に届くまでには時間を要するのではないかと危惧しています。つきましては、グレーアウトしている指標について、迅速に具体的なスケジュールと進捗、そして公表を進めていただければと思います。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、ウェブのほうから、早坂委員、どうぞ。
○早坂委員 よろしくお願いします。日本医療ソーシャルワーカー協会の早坂です。私も、今、御発言のあった緩和ケアのところなのですが、22ページで2点あります。
一点は、中間アウトカムのところで、つらい症状に速やかに対応していると感じる割合が成人とその下の遺族がAとCということで違っているのと、あと、その項目の一番下で、コア指標にはなっていないのですが、家族の悩みや負担を相談できる支援が十分であると感じている患者・家族の割合が半数以下というところを鑑みると、このつらい症状に対応できたかどうかというものが、AとCという差がある。数を見るとそんなに大きなものではないかもしれないのですが、やはり患者自身の感じ方とそれを見ている御家族の感じ方との差というものがあるのかなと思うと、そこを少し、家族のケアということの必要性も鑑みて分析していただけたらなというところが一点あります。
もう一つが、その下の番号で言うと217205なのですが、がんと診断されてから病気や療養生活について相談できたと感じるがん患者の割合がここで減っていて、これはコロナの前と後ということを考えると、これだけがん相談支援センターというものを置いて、かなり宣伝といいますか、広報をしながらやっているのですが、実際に緩和ケアという段階になると、一般の拠点以外の病院で治療を受ける方がかなり多くなってきていると思うのです。それこそ均てん化といいますか、そういう状況になったりすると、一般の外来とか在宅とか、そういうところで病気や療養生活について相談できるという仕組みが必要なのではないか。特に、今、外来での相談が実感しているのは、すごく入院中よりも増えているというものが現場で感じているところですので、一般の医療機関での外来での相談支援というものの充実がやはり望まれているということが示唆されているのではないかなと思う意見です。
すみません。以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいま、服部委員、辻本委員、早坂委員と御意見を頂戴いたしましたが、事務局のほうはよろしいですか。
特に追加はございませんか。
○鶴田がん・疾病対策課長 はい。
○土岐会長 引き続きまして、委員の先生から、まだ今日御発言されていない先生方からも御意見を頂戴したいと思います。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 ありがとうございます。小児脳腫瘍の会の山崎でございます。私からは3点、ゲノムと薬物医療とリハビリについて、少し一気に述べさせていただきます。
先ほど佐藤委員からもありましたように、ゲノムに関しましては、投与率低下の背景の分析がもう少し深掘りが必要ということがありました。特に子供たち、小児がんの場合はエキスパートパネルで推奨された薬剤が見つからないというケースがございますので、こういったところも原因の一つかなと思いますので、改善策として何とか新規医薬品の速やかな医療実装をお願いしたいというところでございます。
それから、薬物療法のところにつきましてですが、こちらも同じように、安定供給の部分の深掘りのことになりますけれども、今、薬剤が国内で安定供給問題が起きてきていると思います。標準治療に使われる抗がん剤も、1社提供で代替品がないといった理由で治療が行われないという現象が小児がんでも起きております。こういった供給停止などの事態が起きないように、国を挙げての取組が必要だと思います。そのための指標や評価が必要ではないかというふうに考えております。
最後に、リハビリの部分になります。こちらは中間アウトカムでは215201になるかと思いますけれども、やはり成長期にある子供たちのリハビリは非常に重要になってまいります。発達や退院後の学校生活でしたり社会生活に大きな影響が出てきます。また、晩期合併症になります高次脳機能障害は特にリハビリとの関連性もありますので、こちらの評価は非常に重要と考えておりますので、仕組みの整理をお願いしたいところです。
以上になります。
○土岐会長 ありがとうございます。
鶴岡委員、どうぞ。
○鶴岡委員 ありがとうございます。日本在宅医療連合学会から参加しております鶴岡です。
25ページをお願いできますでしょうか。
先ほどの早坂委員の御意見に重なる部分もありますが、25ページの下の箱のところです。「拠点病院等にかぎらず、地域の病院においても」と書いてあるのですけれども、全ての文言が病院に集中しているので、ここはやはり地域の医療機関というような大きな枠組みの言葉で記していただきたいと思いました。
また、36ページを見ていただいてもよろしいでしょうか。
最後の療養の場に関して、今、すごく在宅医療も地域医療構想の中で大きなプレゼンスを示してきていると思うのです。そうすると、先ほどの病院だけではないというところを強調しておかないと、市民も専門職も想像ができない、選択肢として挙がってこないので、ぜひ文言を工夫していただきたいと思いました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
今の鶴岡委員の後半のところは、今から議論に入りたいと思いますので、まずはこの妊孕性のところまでは以上とさせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、今の鶴岡委員の意見でもございましたけれども、28ページのところから、希少がんから最後までの部分につきまして御意見等を賜りたいと思います。
櫻井委員、どうぞ。
○櫻井委員 櫻井です。希少がんのところで思ったところを申し述べます。
30ページに中間評価報告書の記載例ということでおまとめくださっています。これを読みますと、大変施策がうまくいっているような形に見えてきますけれども、一番上の四角の中の5つ目の○、こちらは広く情報提供について全体のコメントというふうに読めまして、特に希少がん・難治性がんについても述べられたようなものではないように思います。
参考資料6の施策に対する取組一覧の9ページのところからの引用になってきていると思うのですけれども、それであれば、ここで取り上げるべきは、希少がんに対してはドラッグラグ・ドラッグロスへの対策ですとか、難治性がんに対しては早期発見手法の開発ですとか、こういった文言が入ってくるほうがふさわしいように思えますので、御検討いただきたいと思います。
なお、このページに難治性がんについて一言も言及されていません。これは難治性がんそのものの言葉の定義がまだ決まっていないから、そこから進んでいないというようなことに思えます。このままになってしまいますと、この期、6年間は何も進まなかったということになりかねないと危惧されますので、ぜひ、ここは言葉の定義のことでしたらば何か決めていただいて、少しでも進むように、今期あと2年半で取り組んでいただきたいと思いました。
以上です。
○土岐会長 服部委員、どうぞ。
○服部委員 ありがとうございます。服部です。希少がんと高齢者のがん対策の2点についてお話ししたいと思います。
希少がんは、がん情報サービスや希少がんセンターのホームページのページビューが減っているとして、C判定です。しかし、希少がんセンターでは、Facebookで積極的に発信されています。ホームページを訪れて、そこからFacebookに登録した人は、何度もホームページを見に行くより、Facebookで配信されてくる情報を受け取っている可能性も大きいのではないでしょうか。ポータルサイトの存在は重要ですが、Facebookページのフォロワー数や「いいね」の数もカウントすると、もっと正確に把握できるのではないかと思います。
次に、高齢者のがん対策ですが、アウトプットでガイドラインに沿った対応をしている拠点病院は既に100%で、これ以上には上がりようがありません。でも、アウトカムの多職種連携、外部の医療者との連携の満足度は下がっていて、連動していません。先ほど鶴岡委員の発言と重なりますが、やはり外部の医療機関や、在宅、老健、ホスピスなどの連携先まで把握すべきだと思います。連携をどこで測定するかは非常に難しいとは思いますが、何か外部データとリンケージすることによって見えてくるものはあるのではないかと思います。
これから地域共生社会による課題解決を目指していくことになりますから、この測定方法をかなり真剣に、領域に横串を刺すような取り組みとして考えていく必要があるのではないでしょうか。場合によっては、ブロードリスニングなどを活用して、声なき声を拾う取り組みも必要になってくるかもしれません。医療機関だけでは得られない幅広い意見を、その周りに広がる社会全体からどのように拾うのか、考えていく必要があると思います。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
ほかは、あとはよろしいですか。
大井委員、どうぞ。
○大井委員 がんサポートコミュニティー/がん対策総合機構の大井です。
服部委員の先ほどの希少がん・難治性がんのところのページビューの話で、SNSということの指摘があったと思うのですけれども、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&Aの中で、医療者であっても個別具体的な相談をしてはいけないという回答になっていて、患者さんたちが情報を発信する場合には、病気の概要みたいなことはいいけれども、個別具体的には発信してはいけないという回答になっていたかと思います。
実際には、希少がんとか、非常に経験された方が少ないとなると、情報が非常に少ないという状況であるということを考えると、例えば企業、患者会や支援団体から申請されたホームページの中でそれが正しい情報なのかどうかみたいなことを、優、良、可ではないのですけれども、これは見ても大丈夫ですといった評価をしていくことによって、これは正しい情報なのだ、偏った情報ではないのだということを患者さんが確認して閲覧できるよう、SNSとか、そういった個人のページに関しても申請いただいて評価していこうとしていけば、それも評価項目として扱ってもいいのではないかなと思いましたので、発言させていただきました。
○土岐会長 私からコメントで、最近、いろいろな病院の評価をやっていますけれども、サイトビジットといいますか、ページのビューは減っていますね。みんな、AIに吸い取られてしまって、AIのところだけみんな検索して、AIのコメントだけ見て、それで終わってしまう人が多くなっていて、どの病院もホームページを見てくれないといいますか、減っていると悩んでおられたので、そういうところもあって、患者さんがどこから情報を得るのか分からないのですけれども、SNSがいいのか、AIのコメントでいくのか。その辺りは今後どんどん複雑になりそうな気がしました。
私からのコメントでございます。
ほかはよろしいでしょうか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 山崎でございます。31ページの小児がんの分野で少し意見を述べさせていただきたいと思います。
先に、長期フォローアップのことをお話しさせていただきたいと思います。長期フォローアップについて知っていると回答した小児がん患者の割合だけが用いられておりますけれども、実際、晩期合併症も含めた、いわゆるトランジットの治療は成人医療の領域となってきますので、成人医療との連携が不可欠になりますので、成人医療のほうの認知と受入れの実態評価も必要と考えております。もちろん、晩期合併症の情報収集も必要であると思いますので、こちらをお願いしたいと思います。
それから、230204です。この研究開発の推進の部分に関しましては、拠点病院に関する治験数というところの評価になっております。それで、落ちているのですけれども、積極的な取組、拠点病院の指定要件を考えると、治験数というものは積極的な取組の一つで評価することも妥当なのですけれども、がん対策の観点からは、希少がん、小児がんを含むものについては、拠点病院だけではなく、全国の治験実施状況を一元的に把握して、治療や研究開発の進展のためにも評価として反映させることが重要ではないかなというふうに思います。
また、患者申出療養制度、小児の場合、特定臨床研究として実施していただいておりますけれども、それらの申請資料というものは薬事承認に利活用ができないという問題もありますので、データが少ない小児がん、希少がん領域の研究開発推進のためには、次期の基本計画にはぜひ具体的な指標と評価が必要ではないかというふうに考えております。
以上になります。
○土岐会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
では、先に、河田委員、どうぞ。
○河田委員 ありがとうございます。小児のところと、少し全体的なところでコメントさせていただきます。
同じく32ページですが、小児がんに関しまして、若干、やはり気になるところとしまして、特に支援職の方を中心に、こちらはベースライン値から測定値に対して人数のほうが大幅に減少しているという現象についてです。どのような要因が考えられるのか、どういったことが起こっているのかといった実態調査は必要ではないでしょうか。特に、これは小児に関しましては、先ほど来、拠点の集約化という議論が行われている中で、実際に患者さん自身の全体数が減少したとしても、拠点に集まる患者さんの数自体が大きく減るということはないように思われます。そうした中で、適正な医師あるいは支援職の数というものがどの程度なのかといった議論がまず必要であり、それに基づいて、さらにこうした人数の増減に関する評価というものが必要にはなるのではないでしょうか。
ただ、現状の中間アウトカムなので、まだベースライン値しか見えないものではありますが、十分な、例えば小児がん相談支援の実際に悩みが相談できているかとか、フォローアップができているかといった数字が決して高くない数値であることを考えますと、現状ですら、まだ支援が行き届いていない状況で、スタッフが減っているということに関しては憂慮しております。
次に、高齢者の件等につきまして、先ほど服部委員からもありましたが、既に100%になっている指標というところに関してです。こちらはそれ以外の場所についても既に100%、指定要件に既に入っているものであるとか、そうしたものを残していくのかというものは非常に議論が必要かと思います。
特にこの高齢者のことにつきましても、やっていないという施設がこれから出てくるとは考えられない中で、どのような地域連携が実際に行われているのかということを評価していくことが、具体的な高齢者のがん患者の方のQOLの改善や治療率の改善といったアウトカム指標、その後のアウトカム、最終アウトカムに向けたところに影響するかと思いますので、その点は指標の再検討についてお願いいたします。
以上となります。
○土岐会長 ありがとうございました。
米田委員、どうぞ。
○米田委員 小児血液・がん学会を代表しておりますので、その立場から一言。
まず、全体的なこととして、AYA世代のがん対策ということについては、最初のときにいろいろ御意見もありましたが、いわゆる成人のがんに罹患しているAYAの若年成人というものと思春期の人とは疾患内容も違いますし、悩んでいらっしゃることも違う。やはりそれに応じた対応をしていかなければならないので、例えば15歳から39歳という幅広い年代ではなく、もうちょっと小さく区切る、15歳から29歳とかというAYA世代の定義もありますので、そういう観点からの検討も必要かなというふうに思います。
もう一つ、先ほど河田委員からも御指摘のあった32ページの、もろもろの医師の数、看護師の数、専門家の数というところなのですが、これはベースにやはり少子化というものがあって、小児科ユニットがどんどん減っているという現況で、単なる人数の比較はどうかという点。それから、これは我々の拠点病院の現況報告の集計の問題もあって、例えば私が担当する小児外科の手術は、この上から2番目の、拠点病院等で小児の手術に携わる、小児がん手術に関して専門的な知識及び技術を有する医師の人数というものが問われているのですが、これはNCDという手術のデータベースで私が概算したところ、年間、日本中で行われている小児がん、小児外科医が担当する小児外科の手術というものは400か500ぐらいです。そこにこの593人とか581人という専門家がどういう意味を示しているかというもので、実は恥ずかしながら、成育の現況報告書を見ますと、我々の外科チーム全員をカウントしているのです。小児外科チームは8人おるのですけれども、それを全員カウントしていることになります。恐らく全ての小児がん拠点病院、連携病院で同じことが行われていると思いますので、これはその実態を表しているものではないということは言えると思います。
ただ、現況報告というものは客観的な数字ですので、これを集計していただいて、今日、小児がんセンターのほうで集計しているデータで、外科医で、小児がん認定外科医という、うちの学会が認定している認定医の数だけ見ていきますと、拠点病院で38名、連携病院で73名で、合計すると112名というものは、大体、その辺が妥当な数字かなというふうに思いますので、これは薬物療法もそうですし、放射線療法に至ると、大学病院で、ちょっとでも小児の放射線治療をした方を全員集計しているので、これはすごい数字になっているのですが、小児の放射線療法はそもそも、それほどの数はありませんので、こういうところの評価というものが全部Cになっているのでびっくりするのですけれども、ここは慎重に評価しないといけないかなというふうに、これを見て、小児がんの医療体制が下がってきて、クオリティーが下がってきているとは私自身、肌感覚とは合わないものがあるので、データはデータですが、その評価については注意が必要かなというふうに思いました。
以上です。
○土岐会長 大変貴重な御意見ありがとうございます。
どうぞ。先に早坂委員のほうが手を挙げておられましたので、よろしくお願いします。
○早坂委員 すみません。早坂です。私は1点です。
31ページで、コア指標以外のところで、230205で載っているAYA世代のことなのですが、社会制度等がないと書いてあって、34ページの一番最後のところに書いてはあるのですが、もう一回強調してお願いしたいのは、やはり本当にAYA世代の方の社会資源がないです。これは市町村とか都道府県によって、あるところもあります。障害者のサービスを使えるようになったりとか、そういうところもあるので、ぜひ都道府県ごとといいますか、行政の単位といいますか、そういうところで、どのようにAYA世代の方の、主に在宅の社会資源について提供しているかということをぜひ調べていただいて、好事例を出していただくとかして、それこそ、ここに書いてあるように、急ぎ制度を整えていただきたいと思いまして、一言、意見を言わせていただきます。
すみません。以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、服部委員、どうぞ。
○服部委員 ありがとうございます。先ほどの米田委員のお話に賛同するところがあり、発言させていただきたく思いました。
小児がんと若年成人はやはりあり方が全く違うと思っています。私は就労支援をしていて感じることが多いのですが、特に社会に出る前にがんになった人と、社会に出てからがんになった人では、対応も支援内容も全然違うのです。AYA世代という一括りとなると、どうしてもその違いが曖昧になり、小児・A世代・YA世代、それぞれに必要な取り組みが行われないところがあります。
さまざまな医療機関でAYAチームが結成されています。しかし、取り組みのターゲットはニーズの高いYA世代の妊孕性やアピアランスであることが多く、例えば小児がん経験者の長期的な心理社会的な課題などはなかなか取り組みが進まないと感じています。AYA世代としての大きな括られ方が、少数の課題を埋没させているのではないでしょうか。ここはもう少し細分化し、丁寧に課題を扱っていくことが必要ではないかと思います。
以上です。
○土岐会長 大井委員、どうぞ。
○大井委員 今の服部委員の発言に追加です。
AYA世代といったときにも、妊孕性という課題は、結婚する前であったりとか、結婚して間もなくであったりとか、そういった状況の人たちと、今、実は我々が国立がん研究センター東病院と関わりを持って取り組もうとしているのが、AYA世代の中でも、子育て世代のAYA世代というものも存在していて、その人たちの支援です。実際、国立がん研究センター東病院には月に50人ぐらいそうした患者さんが来られているということです。そういった人たちの支援というものは全くここに記載されていないので、やはり状況に応じて、小児であったりAYA世代のこれから将来を設計していくような人たち、それから、将来設計はあるのだけれども、その途中にがんになってしまって先が見えなくなってきてしまった人たちということにかけて、非常に細かく分けて、いろいろ評価をしていただけるような指標立てというものをお願いしたいと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
大分、議論も出てまいりましたが、よろしいでしょうか。
皆様、まだまだ御意見がおありだと思うのですけれども、恐らく会議の時間とかを気にしておられて発言を遠慮されている方も多いと思いますので、ぜひ追加の御意見につきましてはメールで、およそ1週間以内をめどにして事務局のほうに送っていただけましたら、またそちらのほうを参考にさせていただきたいと思っております。
それでは、今日は埴岡参考人に、各論についてはかなり、なかなか御理解が難しいところもあるかもしれませんけれども、総論的な問題も大分出てまいりましたので、もし御助言等いただけましたら幸いでございます。埴岡参考人、よろしくお願いいたします。
○埴岡参考人 それでは、参考人として控えておりましたけれども、せっかく出席させていただいておりますので、少しコメントをさせていただきたいと思います。
私は1期からこの協議会を見ております。以前、がん対策は「量の時代から質の時代」ということで変わっていかなければいけないという話がありました。今は、さらに「効果の時代」ということ。特に、もともとがん対策推進基本法の趣旨から、がん患者さんのため、家族のためにということですので、ロジックモデルの右側に患者さんの状態を置いて、それに全てがつながっていくような形で追い求めていこうということ。皆さんの取組に敬意を表するところです。
このプログラム評価というものを資料2-2にあるように進めていくということで、局長、課長以下、皆さん、委員の方々、取り組まれており、大変意義があることです。一方、これは一朝一夕にはできないことで、過渡期を経てつくり上げていくというところがあると思います。皆さん、今回、資料を見て作業されたときも、とても多く新たな情報が得られたところと、今日も委員の方々の議論がございましたけれども、だからどう考えればいいのかという、かえって迷いが増えるところも出てきたかと思います。これは一つの過渡期でございますので、ここを乗り切っていかなければいけないところかなというふうに感じた次第です。
プロセス評価におきましては、皆さん、資料を御覧になって、見る観点としては、施策は実施されたか、アウトプットは生まれているか、関係者はどう感じているかということだったのですけれども、もう少し情報が欲しいと思われたところもあるかもしれません。2点観測であっても、十分にその活動自体がされていないという疑いがあるというようなことなど、たくさんの発見もあったかと思います。けれども、いろいろな質的情報、どういう内情なのかとか、そういうところも知りたいところがあったかもしれません。そういうことの情報はだんだん増やしていかなければいけない。
インパクト評価に関しては、これもまたさらに難しかったのではないかと思うのです。アウトカム自体、高ければいいものが低いとか、より下がっているということで、かなり疑いがあると思われたこともあるかもしれません。一方で、3点観測の情報がないとトレンドが分からないから判断しにくいというところもあったかもしれません。さらに複合的な判断としては、アウトプットが上がっているのにアウトカムが下がっているとか、アウトプットも下がってアウトカムも下がっているとか、かなり問題点を感じるところもあったでしょう。それでも右サイドのアウトカムも左サイドのアウトプットもデータが不十分ということで、想像はできるけれども、断定できないとかというところがあったかと思います。前回の協議会で私がお話ししたように、情報を読み取るという事実認定の段階から価値判断をするというところにおいて、過渡的な御苦労が大分あったのではないかなと思います。
ただ、懸念の洗い出しとしては、第3期の中間評価のときに比べて格段に情報量が多くて、建設的な意見集約になっているというのが、僭越ではありますが、私の感想でございます。
冒頭、ロジックモデルの改定の話が河田さんから出ました。今回はプロセス評価とインパクト評価に注力をするということです。けれども、当然、次に4期計画から5期計画をつくるわけですね。私が想像するのは、1期、2期、3期、4期と計画の内容を大幅に変えてきましたので、当然、5期計画では一定の変更が行われるのだろう。それで、今回はロジックモデルを導入したわけですから、5期をつくるときは、ロジックモデルをつくってから計画文をつくるというプロセスになっていくのが自然だと思います。そのときは計画変更、すなわちロジックモデルの改定・改修というものが、指標の改定も伴って行われるのだろうというのが、一人の観察者の見立てでございます。今回、皆さんの御意見を参考資料8で見ますと、ロジックモデルと指標自体に関するご意見も多々あって、それが記録に残って、5期改定のプロセスに引き継がれていくのではないかと思っております。
指標に関しまして。ロジックモデルを4期で入れたことは大変よかったのですけれども、やはり時間不足の中で過渡的なものになっている部分もあると思います。5期に向けてつくりこんでいく。そうすると、ロジックが入れ替わると指標も入れ替わるということになります。もともと開発が必要な指標に関して暫定的に代理的な指標をあてがっているということもあって、指標の開発なども頑張っていかなければいけない。
今回、コア指標を決めたということは、やはり暫定的なところが残らざるをえない。指標を測る中で、解析をして分かってくることもあるとおっしゃった委員がおられました。ロジックモデルが安定して、かつ指標も安定してきた中で、かつ47都道府県の2点観測がある中で、このアウトプットがすごく上がる地域はアウトカムがよく上がっているみたいなことが見えてくれば、これもスクリーニングであってクリアカットに解釈が分かるものではないと思うのですけれども、ロジックモデルの各要素の寄与度が見えてくる時期がやってくる。そうした流れの中で、いわゆる評価文化を醸成するためにステップを踏んでいかなければいけないということだと理解しております。
これは島根県の谷口先生の御関心のところだと思います。今回、都道府県向けのデータ集を国が出してくださって、47都道府県は多くの指標において大きな差があるということが分かりやすく示されました。47都道府県の中でアウトカムが悪いところがよくなると国全体がよくなるはずです。国の都道府県へのメッセージとしては、今回、中間評価の仕方を率先垂範したこと。また、都道府県へのメッセージとしては、かなり指標の数値に差のあるところがよいところに収れんするということが国全体を上げる、ということです。そういうガイダンスも、今後さらにともなっていくのかなと思ったところです。
長くなって恐縮です。ファーストラウンドで、今回、プロセス評価、インパクト評価されて、御苦労はあったとは思うのですけれども、少し感触がつかめたのではないかと思います。資料2-3にある各ページの「進捗状況の評価」「さらに推進が必要と考える事項」の箱のところで取りまとめが行われており、これが報告書にまとまっていくと思います。これで十分なのかということ、セカンドラウンド、サードラウンドでどういうふうに皆さんが意見を集約されていくのか、着目していきたいと思っているところです。
以上、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
○土岐会長 埴岡参考人、大変ありがとうございました。委員一同を代表しまして、本当に深くお礼を申し上げます。
それでは、皆様、よろしいでしょうか。
最後、また私からコメントということなので、できる限り協議会の前に委員の先生からの御意見をたくさん頂戴したいと思っております。もっと具体的に、例えばこの部分を加えてほしいとか、この部分はどうなのかとか、今回、四角のところが多分問題になってくると思いますので、明確にこういうふうにしてほしいというものはできる限り事前にいただけますと、こちらのほうでしっかり検討してまいりますので、それをまた、この協議会の場でもう一度発言していただく。そういうふうにしますと非常に理解がしやすいので、皆様の希望がかないやすい有意義な検討会になると思っております。
なので、また次回以降も続いていきますけれども、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 本日は、活発に御議論いただきましてありがとうございました。
今回、5期に向けましての御意見も頂戴しているところではございますが、4期の中で取り組むべき事項というところにつきましては、土岐会長とも相談しながら反映させていきたいというふうに思っております。
連絡事項としまして、前回の協議会にて御報告しております「がん情報サービス」に掲載しております「第4期がん対策推進基本計画 ロジックモデル/評価指標(都道府県単位)」のデータを公表しておりますが、10月2日付でダウンロード用データに中間測定値を追加したものを公表しておりますので、御報告いたします。
また、今後の協議会の予定でございますが、次回は「がん予防・基盤整備」、その次につきましては「がんとの共生」の議論を予定しております。各分野の議論の後に、本日の議論も踏まえまして、協議会で全体を反映したものを御提示し、御議論いただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
次回以降の日程につきましては、また追って御調整させていただければと思います。本日は長時間、どうもありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日事務局を務めます健康・生活衛生局がん・疾病対策課の大井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本協議会はYouTubeにて配信をしております。ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にマイクをミュートにしていただき、御発言の際には挙手ボタンで挙手いただきまして、事務局もしくは会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただきましてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。また、会場から参加されている委員の皆様方におかれましては、挙手いただき、事務局もしくは会長から指名がございましたら、同じく初めにお名前をいただきまして御意見、御発言いただくようお願いいたします。
それでは、委員の方々の出席状況について御報告いたします。
本日、南委員が遅れて出席されるとの御連絡をいただいております。また、木澤委員、間野委員より途中での御退席との御連絡をいただいております。
また、本日は参考人として、前回協議会でロジックモデルを活用した評価方法について御説明いただきました国際医療福祉大学大学院の埴岡健一参考人にも御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1-1から資料2-3及び参考資料1から8がございますので、御確認ください。
以上をもちまして撮影は終了とさせていただきますので、これ以降の映像等の使用はお控えいただきますよう、御協力をお願いいたします。
この後の進行は、土岐会長、よろしくお願いいたします。
○土岐会長 会長の土岐でございます。本日は皆様方、大変お忙しい中、第92回になりますが「がん対策推進協議会」に参加いただきましてありがとうございます。
しかし、時間も限られておりますので、注意点を申し上げたいと思います。これは2点ございます。
一つは、今回、皆様の御意見を、日本のがん対策を推進するに当たって、これだけは申し上げなければいけないといった意見をぜひこの場で発言いただきたいと思います。
もう一点は、意見につきましては、ただ評論するのではなく、可能な限り、御自身としての、あるいは有識者として、こういうやり方があるのではないかという具体的な解決法がもしございましたら一緒に提示していただけるとありがたいと思います。
それでは、議事次第に従って進めたいと思います。本日は、第4期がん対策推進基本計画の「がん医療」分野についての中間評価が議題となっております。
まず、議題1の「報告事項」に移りたいと思います。まずは、資料1-1について、事務局より報告をよろしくお願いいたします。
○吉原がん・疾病対策推進官 よろしくお願いいたします。がん・疾病対策課がん・疾病対策推進官の吉原でございます。それでは、資料1-1「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化について」を御報告させていただきます。
おめくりいただきまして、2ページ目でございます。こちらは医療に関して、これまで議論してまいりました検討会の議論の報告でございます。
2ページ目にありますとおり、第4期基本計画において取り組むべき施策といたしまして、がん医療が高度化する中で、引き続き質の高いがん医療を提供するため、地域の実情に応じ、均てん化を推進するとともに、持続可能ながん医療の提供に向け、拠点病院等の役割分担を踏まえた集約化を推進するとなっておりまして、これを踏まえ、検討会において昨年12月から議論を開始しております。
3ページ目でございます。2040年を見据えたがん診療提供体制の在り方に関するこれまでの検討会開催状況と取りまとめ、課長通知の発出の流れでございます。
先ほども申し上げましたとおり、昨年12月より本会議を開始いたしまして、令和7年8月1日に「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に関するとりまとめ」を公表、また、令和7年8月29日に「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に係る基本的な考え方及び検討の進め方について」の課長通知を都道府県に発出しております。
おめくりいただきまして、4ページ目以降は検討会における議論の流れでございます。まず、本スライドは2040年の人口構成についてお示ししております。
2040年には、85歳以上の人口を中心とした高齢化と生産年齢人口の減少が見られるということでございます。
5ページ目でございます。こちらは、がん罹患者数の将来推計を全国レベルで行ったものでございます。
2040年に向けて、生産年齢人口の減少により、65歳以下のがん罹患者数は減少するものの、65歳から84歳のがん罹患者数は横ばいで推移いたしまして、85歳以上のがん罹患者数は団塊の世代の高齢化により増加が見込まれ、がん罹患者数の総数は横ばいからやや増加すると見込まれております。
おめくりいただきまして、6ページ目はがん患者様における3大療法の需要推計でございます。
手術療法が青、緑が放射線療法、黄色が薬物療法でございますが、手術療法は減少し、放射線療法と薬物療法は増加すると見込まれております。
また、7ページ目は、この検討会におきまして日本がん治療学会様より発表いただきました、日本消化器外科学会の65歳以下の会員数の将来予測でございます。
現在、65歳以下の会員数は1万5200名になりますが、2040年には65歳以下の日本消化器外科学会の会員数は約40%減少すると予測されております。
おめくりいただきまして、8ページ目でございます。こちらも、この検討会におきまして日本放射線腫瘍学会様より発表いただきました、放射線治療専門医の将来推計でございます。
放射線治療専門医数は一年当たり40名の増加となっておりますために、2040年においては放射線治療専門医数が2,000名と推計されております。
9ページ目は、放射線治療装置についてでございます。
放射線療法については人員以外にも装置の観点がございまして、この図表にお示ししておりますように、我が国では、諸外国と比較して人口10万人当たりの放射線治療装置の台数は平均的であるものの、放射線治療施設当たりの放射線治療装置台数は少なくなっているということでありまして、多くの医療機関に分散して放射線治療装置が配置されているという状況になっております。
10ページ目以降が、ここまでの議論のまとめでございます。まず、10ページ目はがん医療における3大療法の需給推計でございます。
手術療法は、2040年に向けて需要が95%に減少する一方で、日本消化器外科学会に所属する医師は60%まで減少することが予想され、2040年の需要に対して0.52万人不足すると予測されております。また、放射線療法については、2040年に向けて需要が124%に増加する一方で、放射線治療専門医数は、需要の増加を上回り、143%まで増加することが予想されております。また、薬物療法については、2040年に向けて需要が115%に増加する一方で、薬物療法は、薬物療法専門医のほか、必ずしも薬物療法専門医ではない、ほかの診療科の専門医によっても提供されているため、現状、薬物療法を何人の医師が提供し、2040年に向けてどのように変化するか、定量的に評価することは困難でございます。
また、11ページ目は、手術療法に関する提供体制の課題・対応のまとめでございます。
リード文のとおりでございますが、2040年に向けて、手術療法の需要は2025年比で95%に減少することが見込まれる中、日本消化器外科学会によると、65歳以下の消化器外科医の数は60%に減少すると予想されております。また、手術療法は、複数の外科医がチームとなって提供される必要があるところ、外科医の減少が見込まれる中で、これまでと同様のがん医療提供体制を維持した場合、手術療法を提供するために必要な医師数を確保できず、現在提供できている手術療法ですら継続できなくなるおそれがございます。このため、一定の集約化を含めた検討が必要です。また、手術療法を担う外科医について、がん以外にも、虫垂炎や胆嚢炎等の様々な疾病について手術を担う必要があること等から、がん医療提供体制の検討に当たっては、地域医療構想や医療計画を踏まえた、がん以外も含めた地域の医療提供体制を維持・確保する観点についても留意が必要でございます。また、高度な手術に関しましては、手術件数の多い医療機関で手術を提供することによって、より質の高いがん医療の提供が可能であるといったデータがございます。
また、12ページ目でございます。こちらは放射線療法に関する提供体制の課題・対応でございます。
放射線療法は、2040年に向けて、需要は2025年比で124%に増加することが見込まれる一方で、医師数は需要の増加を上回り、2040年に0.2万人まで増加する、43%の増加ということが見込まれております。一方で、放射線治療装置は、2019年時点で、全国に約1,100台配置されておりますが、分散して配置されているということ、また、放射線治療装置一台当たりの患者数にばらつきが大きいという現状がございます。また、日本放射線腫瘍学会によりますと、放射線治療装置一台当たりの年間治療可能数は250人から300人であるということを基にしますと、2040年に向け、1,190台から1,428台、対2019年比で8~30%増加の治療装置が必要と見込まれております。このため、地域ごとに放射線療法の需要を予測し、集約化を含めた、適切な放射線療法の提供体制を検討することが必要と考えております。
また、13ページ目は、薬物療法に関する提供体制の課題・対応のまとめでございます。
薬物療法については、薬物療法専門医のほか、様々な診療科の専門医が中心となって提供されております。また、消化器外科医等の薬物療法の提供者が減少している診療領域もあることに鑑みると、現状の薬物療法の提供体制の位置には薬物療法を担う医師の確保が必要でございます。また、過疎地域では薬物療法の需要が減少する地域もある一方、手術療法等とは異なり、がん患者さんが定期的に通院して治療を受ける必要があることから、がん患者さんのアクセスを踏まえると、拠点病院等以外でも質を確保しながら、一定の薬物療法が提供できるよう遠隔医療を組み合わせるなどして、均てん化に取り組むことが望ましいと考えられます。このため、都道府県は、薬物療法を提供する拠点病院等以外の医療機関と拠点病院等が連携できる提供体制の構築を進める必要があると考えます。また、ゲノム医療につきましても、近年のゲノム医療の進歩を踏まえ、関係学会と連携し、その運用面の改善を図りながら、がん診療連携拠点病院等において質の高いがんゲノム医療が提供できる体制の構築が必要と考えられます。
これらを踏まえまして、14ページでございますが、2040年を見据えたがん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方について整理しております。
2040年に向けて、がん医療の需要変化等が見込まれる中で、引き続き適切ながん医療を受けられることができるよう均てん化の促進に取り組むとともに、持続可能ながん医療提供体制となるよう再構築していく必要があると考えております。また、医療技術の観点からは、広く普及された医療について均てん化に取り組むとともに、高度な医療技術については、症例数を集積して質の高いがん医療提供体制を維持できるよう一定の集約化を検討していくといった医療機関及び関係機関の機能の役割分担及び連携を一層推進することとしております。また、医療需給の観点から、医療需要が少ない地域や医療従事者等の不足している地域等においては、効率性の観点から一定の集約化を検討していくこと。また、がん予防や支持療法・緩和ケア等については、できる限り多くの診療所・病院で提供されるよう取り組んでいくということでございます。
15ページは、こちらの考え方を踏まえまして、がん医療の均てん化・集約化に係る基本的な考え方に基づいた医療行為の例でございます。
16ページ目でございますけれども、こちらは2040年を見据えた都道府県がん診療連携協議会を活用した均てん化・集約化の検討の進め方でございます。
上の箱に、都道府県がん診療連携協議会の体制といたしまして、都道府県及び都道府県がん診療連携拠点病院が、事務局として都道府県協議会の運営を担うこと等を記載しております。また、下の箱にありますとおり、都道府県がん診療連携協議会における協議事項を以下のとおり整理しております。
おめくりいただきまして、17ページ目でございます。こちらは、2040年を見据えた検討の進め方において、都道府県がん診療連携協議会の役割を記載しているところでございます。
また、18ページ目にありますとおり、都道府県がん診療連携協議会での均てん化・集約化の検討においての留意事項を記載しております。
最後に、19ページ目でございます。こちらは、2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に向けて、国が取り組む事項を記載しております。国といたしましては、都道府県への継続的な好事例の共有や進捗状況の把握、財政支援についての検討などをすることとしております。
事務局からは以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいまの資料1-1につきまして、御質問等ございましたら挙手のほうをよろしくお願いいたします。
黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 御丁寧な御説明ありがとうございました。日本医師会の黒瀨でございます。
まず、均てん化と集約化という考え方、その方向性については異論ございません。中でも、どうしても地域によって人口構成の変化のスピード、具合、あるいは幅がかなり違いますし、また、それに伴う医療のニーズの変化というものも地域によって大きく異なってくる。その中で、御指摘いただいたように、都道府県の協議会を介して、いわゆる新しい地域医療構想とのすり合わせをしていく。これも重要な点だと思います。その中で特に、どうしても都道府県境を超えた人の流れというものは今後無視できないところも多いと思いますし、特に希少がん等に関しては1つの県内だけではとても賄い切れないことも想像できるので、やはりそこを柔軟に運用していただけるような制度設計を考えていただきたいと思います。
また、私も手術を受けた立場でございますので、その経験から申し上げても、自分の手術をしてくれた先生とどうしても遠く離れてしまうとなかなかアクセスが難しくて、場合によっては、18ページにもお示しいただいたように、D to P with Dのような形で診療を受けざるを得ない地方の患者さんも多いかと思いますけれども、こういったところでより均てん化されるように、できる限り国からの支援をしていただいて、どの地域でD to P with Dを受けたとしても、主治医の、執刀医の先生とそれ以外の先生との間できちんと意思の疎通ができるように、国内で均てん化していただければと願っております。
もう一点、外科医不足というものは多分、2040年に終わることはないと思います。それから先ももっと不足していく可能性が高いと思いますので、ここ10年を目安とした外科医不足あるいは診療科偏在ないしは地域偏在、こういった対策ももちろん重要でございますけれども、もっと長期的な目で見ると、やはり中高生に対する医学教育あるいは社会保障教育というものは極めて重要な国策になろうかと思います。
今、せっかく、がん教育という機会をもって現場の医師が中高生の皆さんと接する機会があるわけでございますので、こういった場で将来の医師を育てる、あるいは外科医を育てる、本当に診療科の偏在に資するような、いろいろな診療科を希望するような医師になろうという人間が医学部に行くような教育の視点が重要です。医学部に入ってからの教育では遅過ぎると思います。もちろん、卒業してからはもっと遅いと思いますので、そういった意味では文科省等との連携も必要になってこようかと思いますけれども、ぜひそういった長い視点、もっと30~40年先の日本を見据えた教育ということの視点も重要な視点として御考慮いただければと思います。
以上、質問というよりは私の意見でございます。ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。集約化に関しましては、アクセスの問題、そして、医療連携の問題、それから、2つ目のほうの外科医のほうは、私は外科医ですけれども、ちょうど先々週、外科学会がかなり大々的な勧誘イベントを若手に対して行ったそうで、すごい人気があったそうですので、そういう機運は高まっているものがあるというふうに考えております。
それでは、先に挙がりましたので、谷口委員、どうぞ。
○谷口委員 島根県の谷口です。
先ほど黒瀨先生がおっしゃったことと若干重なるのですけれども、2040年といったら大分先ですけれども、ただ、そんな先でもないということで、均てん化・集約化については大筋で私もそうあるべきだろうとは思いますが、例えば先ほどの外科医の不足の話でも、ニーズは11%だけれども、数は40%減るという話があったりとか、それから、放射線治療も、いわゆる需給バランスがどうのこうのとかという話があるのですけれども、そういうことは今の制度の延長線上でやったときにそういう問題が起こってくる。例えば診療科偏在をどういうふうに変えていくのかという、私も具体策を持っているわけではないのですけれども、施策をやったときに、それがどう変わるのかとか、あと、診療報酬の、今の前提で考えるのではなく、少し変えたときにどうなるのかとか、長期の見通しを考えるのであれば、医療提供体制の在り方とか、それを支える、いわゆる診療報酬の部分ですよ。その辺りも含めて、今のままでいいのか、それとも、少しこの辺をこういうふうに変えるべきではないかという議論も一緒に進んでいかないと、なかなか難しい面があるのかなと思いながら、この報告を聞いておりました。
とりわけ、島根県などは、島根県というよりも多くの地方は日本全体の平均のスピードよりも早く人口減少が進んでいまして、そういうところでどういう医療提供体制をバランスを取りながら提供していくかというものは、都道府県が主体的に考えるべきことではあるかもしれませんが、どちらにしても、全体の医療提供体制と離れて考えるわけにはいきませんので、そういったことも将来、2040年とか2050年を見据えたときにはやはり論点としてはあってもいいのかなと思いましたので、コメントをさせていただきました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局からよろしいですか。
○吉原がん・疾病対策推進官 はい。
○土岐会長 貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、河田委員、どうぞ。
○河田委員 ありがとうございます。慢性骨髄性白血病患者・家族の会の河田です。こちらとしては事務局への質問が1点と、患者の視点からのコメントがあります。
まず、質問としましては、今回いただいた資料の中で、小児であるとか希少がんに関して特に集約化が必要であると御指摘がありました。一方でAYA世代に関しての記載がございませんでして、AYA世代に関しましてもやはり同様の特性、ある程度、治療が限定されていたりといった問題があるかと思います。AYAについてはどのような方針でこの集約化を行うのかという点について、まず御質問をさせてください。
次に、コメントとなります。もちろん、持続可能な医療体制が必要であることは重々承知しておりますし、大切なことです。一方で、機械的な算定によって、特に医療需要が低いとされているところで、再びがん対策基本法ができる前のような、がん難民と呼ばれるような人たちが生まれないということは強く願っております。また、この集約化に関しましてですけれども、もちろん、高度で質の高い医療を受ける上で、我々、希少疾患の、希少ながんの患者にとって非常にありがたいことなのですが、一方で、これは集約化に伴う時間毒性の増大が危惧されます。つまりは、治療に係る時間、通院に係る時間も含めて長くなりますと、例えば就労や就学との両立が非常に難しくなってまいります。
ですので、せっかく集約化するのであれば、その拠点となる病院のスケールメリットを生かしまして、教育の支援であるとか就労の支援であるとか、そういった社会生活に関する、サバイバーシップに関することの支援についても、そうした集約のスケールメリットを生かした形で行っていただきたい。そこでしか受けられない医療が、ネガティブな意味ではなく、ポジティブな意味で集約が行われることを期待しております。
以上となります。
○土岐会長 2点目については、貴重な御意見として、どうもありがとうございました。
1点目は質問ということでしたけれども、事務局からよろしいでしょうか。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。
今回御説明した資料1-1の14枚目のところに、均てん化・集約化の考え方を示させていただいております。特に集約化に関しましては、医療技術の観点、医療需給の観点ということは示しておりますけれども、いわゆる難易度の高いものですとか高額の医療機器ですとか、医療需給の観点ですと、症例数が少ない場合、医療従事者が不足している場合ということを書かせていただいております。
AYA世代のところに関しましては、当然、その中には希少がんの方もいらっしゃると思いますので、需要の少ないところはやはり集約化の検討が必要になるかと思いますし、数が多い部分に関しては必ずしも集約化の検討という対象ではないのだと思いますけれども、AYAに関しては両方の要素があると思いますので、AYAだけで十把一絡げに何か物を言うということは難しいと思いましたので、今回、この例示のところには書いていない。そのような形で御理解いただければと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、時間もございますので、次に移りたいと思います。
次は、ゲノム医療のほうでございます。資料1-2につきまして、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○吉原がん・疾病対策推進官 よろしくお願いいたします。引き続きまして、がん・疾病対策課がん・疾病対策推進官の吉原でございます。資料1-2に沿いまして御説明申し上げます。「第6回がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの報告」でございます。
おめくりいただきまして、まず、こちらは本年6月16日に開催いたしました第6回がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループからの報告でございますが、7月25日に親会であります第19回がん診療提供体制のあり方に関する検討会においても報告した内容でございます。
上段でございますが、今後のがんゲノム医療の方向性について、遺伝子変異に基づく治療薬の開発が広がるとともに、標準治療の中にそれらの治療薬が組み込まれてきている現状でございます。実際に、遺伝子変異に着目した薬事承認薬の数が増え、またがん遺伝子パネル検査の薬事審査の過程を経て、検査の分析性能が担保された遺伝子変異の項目数も増えてきております。これらについては、エキスパートパネルでの検討を経ずとも、質の高いがんゲノム医療を提供することが可能となりつつあるとされているところでございます。また、がんの標準治療を実施することが求められる医療機関として位置づけられているがん診療連携拠点病院等において、がんゲノム医療が実施できるよう、関連学会等と連携し、その運用面の改善を図りながら、質の高いがんゲノム医療の提供体制を構築していくことが重要であるとされております。
また、この具体的な方針について、以下のとおり、整理しているところでございます。
1つ目には、エキスパートパネル省略可能な症例の考え方についてでございまして、こちらの詳細は次のページでお伝えいたします。
また、その次には、エキスパートパネル開催に関する考え方についてでございまして、エキスパートパネルは、持ち回り協議にて構成員の意見の一致ができる場合には、リアルタイム開催を必ずしも必要としない運用となるよう、課長通知でございます「エキスパートパネルの実施要件について」等の一部改正で明確化するとしたところでございます。
その次のエキスパートパネル構成員の要件についてでございますが、こちらは固形がん及び造血器腫瘍におきましてエキスパートパネル構成員については、関連学会の示す運用について、課長通知である「エキスパートパネルの実施要件について」の一部改正で明確化したところでございます。
また、下の2つの点、つまり、がん遺伝子パネル検査を行える施設についてと、臨床情報収集項目の見直しに関する考え方につきましては、令和8年度の改定を予定している「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針」の指定要件等に合わせて検討するというところでございます。
おめくりいただきまして、3ページ目でございますが、こちらが固形がんのエキスパートパネル省略可能な症例の考え方についての整理でございます。
表の右側にありますとおり、主治医判断でEP省略可でありますとか、また、主治医判断の下、学会の示すリストに基づき、検査の分析性能が担保されている場合は、EP省略可といったところに記載しているとおり、こういった状況であればEPの省略が可能でございます。
また、下のところでありますけれども、エキスパートパネル構成員の要件(固形がん)についてでございますが、専門領域の異なる構成員が参加し意見交換ができる場合においては、診療現場の状況に即した柔軟な対応ができるよう、構成員の要件を次のとおり明確化するというところでございまして、以下の4者、4つの先生につきましては、独立した見解が望ましいため、ア、ウ、エ、キは独立した構成員として、ほかは兼務を可能とするということを明確化したところでございます。
また、4ページ目につきましては、先ほども申し上げました課長通知の改正事項について記載させていただいているものです。1月7日付で一部改正を行っております。
リード文に記載しておりますとおり、がん遺伝子パネル検査の結果解釈を行うためのエキスパートパネルの構成員が重複可能な要件を明確化しております。また、がん遺伝子パネル検査の結果解釈のために行うエキスパートパネルを全症例持ち回り協議で開催可能とするようにしております。
具体的な記載については、下の箱の中に記載しているとおりでございます。
5ページ目でございます。こちらは参考資料でございまして、現行のエキスパートパネル構成員の要件についてを記載しております。
以上、資料1-2の説明でございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいまの資料1-2につきまして、御質問等ございますでしょうか。
よろしければ、続きまして、議題2のほうに移りたいと思います。「第4期がん対策推進基本計画について」でございます。
まずは「がん医療」分野のコア指標につきまして、資料2-1について、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 「がん医療」分野のコア指標につきまして御説明します。
おめくりいただきまして、前回7月の協議会では、国立がん研究センターの井上参考人よりコア指標案について御報告させていただきました。今回、3つの選定方針によりまして、既に設定されている指標、296指標のうち93指標を選定し、御提示させていただきました。前回皆様に御議論いただきまして、スライドに掲載の4指標についてコア指標として追加する意見をいただいております。
今回は、この後「がん医療」分野について中間評価を行うため、この4指標のうち、一番上段の「がん医療」に関連したコア指標案の追加について御報告します。
3ページを御覧ください。
「がん医療」分野では、既に設定されている129指標のうちコア指標として、43指標を選定し、御提示しております。
スライドは「がん医療」分野のがんゲノム医療のロジックモデルを掲載しておりますが、真ん中の中間アウトカム指標の「(212205)ゲノム情報を活用したがん医療についてがん患者が知っていると回答した割合」の追加意見をいただいております。
追加理由としましては、左下に記載しておりますが、ゲノム医療のパネル検査については、実施医療機関が限られており、こういう治療があるとの情報が患者に届いていない可能性があるということ。こういう存在を知らないと受けたいと言えないので、患者目線でのアウトカム指標としてコア指標にできないかという御意見をいただいております。
事務局の対応案としましては、右下に記載をしております。がんゲノム医療へのアクセシビリティーの観点では「がん診療連携拠点病院等の整備指針」におきまして「がんゲノム医療についても、自施設で提供できる場合や連携して実施する場合はその旨を広報すること」と定めておりまして、がん患者がゲノム医療を正しく知り、必要な患者ががんゲノム医療にアクセスすることは、最終アウトカムに影響を及ぼす指標と考えられるため、今回、コア指標として追加してはどうかと考えております。
説明は以上となります。
○土岐会長 ありがとうございます。
こちらのほうを、コア指標のほうは、前回の協議会では基本的には既に決定している93のものでいきますということだったのですけれども、その後、委員の先生から御意見を頂戴しまして、本日は、この「がん医療」のところのコア指標の追加として、こちらのゲノム情報を活用した「がん医療」について、がん患者が知っていると回答した割合を追加してはどうかという提案でございます。
よろしければ、事前に皆様には御説明させていただいておりますが、よろしければこちらを追加させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○間野委員 よろしいでしょうか。
○土岐会長 間野先生、どうぞ。
○間野委員 この指標はとてもいいと思うのですけれども、日本でがんゲノム医療が保険でスタートしたのが令和元年ですので、ベースラインの年の設定をそれより前に置くと、あまり指標として不適切かなというふうに思っていますので、令和元年以降の指標をベースラインとして今のものを比べるという形になればよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局のほう、今の間野先生からのコメントはよろしいですか。
間野先生、令和元年以降のベースライン指標があれば参考にできるということでしょうか。
○間野委員 はい。それが参考になると思うのです。
○土岐会長 では、そのようにまた考慮していきたいと思います。よろしいですか。
○大井課長補佐 はい。
○土岐会長 それでは、次に移りたいと思います。続きまして、本日は「がん医療」分野の中間評価について議事を進めたいと思います。まずは、資料2-2について、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 続きまして「第4期がん対策推進基本計画中間評価(案)作成の流れ」について御説明させていただきます。
次のページをおめくりください。前回7月の協議会では、埴岡参考人より、ロジックモデルを活用した評価といたしまして、プログラム評価の考え方について御説明いただきました。今回から始まります各分野の議論としまして、プログラム評価の手順で中間評価を行うこととしております。
スライドは、プログラム評価ではステップ1からステップ5を記載しておりまして、今回、中間評価では、ステップ3のプロセス評価、ステップ4のインパクト評価を中心に評価を行うこととしております。
次のページを御覧ください。こちらはプロセス評価(実行評価)についてです。プロセス評価としては、第4期がん対策推進基本計画の各分野に記載されている「取り組むべき施策」が実行できているかを確認します。
左上のマル1個別施策の進捗状況の確認としまして、参考資料6にお示ししていますように、第4期計画に記載の「取り組むべき施策」と、第4期での具体的な取組、第4期中に今後予定している取組を記載しております。
また、右下のマル2ロジックモデルで施策と対応するアウトプットの確認としまして、参考資料7でお示ししていますように、施策と紐付くアウトプット指標を、Aの改善傾向、Bの変化なし、Cの後退傾向、Dの判定不能の4段階で判定をしております。
次のページを御覧ください。次に、インパクト評価としまして、マル3アウトプットがアウトカムに対して、インパクト効果を発揮しているかについて確認します。
次のページを御覧ください。こちらは前回の協議会でお示しした報告書のイメージとなっておりますので、説明は割愛させていただきます。
次のページを御覧ください。今回、左上の取組一覧、右上の指標結果一覧を基に、取組に対する評価点・改善点を特定しております。
また、事前に委員の皆様に取組一覧、指標結果一覧を御確認いただき、御意見をいただいております。
次のページを御覧ください。委員の皆様から事前にいただきました御意見を参考に、コア指標を中心として中間評価(案)を作成しております。
いただきました御意見につきましては、第4期計画中にさらに取組が必要な事項に関する御意見について、この後、御説明します中間評価報告書(案)を作成する上で参考とさせていただいております。
また、次期計画の見直しに向けての御意見につきましては、参考資料8として御意見を掲載しております。
今回は、中間評価(案)を見直すに当たり「がん対策推進協議会として関係学会・団体等と連携してさらに推進が必要と考える事項」を中心に議論を行うこととしております。
次のページを御覧ください。中間報告書の記載例として、分野ごとに設定されている全ての指標の判定を行い、公表すること。また、中間評価報告書では、コア指標を中心に判定結果を掲載することとしております。
報告書の構成としましては、左にも記載をしておりますが、最初に分野ごとの個別目標を第4期計画から引用して記載し、その下の判定一覧につきましては分野ごとの全指標の判定を掲載、分野別アウトカムはコア指標以外も全ての指標を記載、中間アウトカム、アウトプット指標はコア指標を中心に記載、また、C判定の後退傾向であった指標についても記載をしております。
次のページを御覧ください。進捗状況の評価の欄につきましては、上から分野別・中間アウトカム指標のまとめ、次にコア指標のまとめ、その下にアウトプット指標のまとめを記載しております。施策の評価につきましては、コア指標と設定されているアウトプット指標に紐づく施策に関する評価と、また、C判定であった指標に紐づく施策に着目して評価を記述しております。
今後、さらに推進すべき事項につきましては、がん対策推進協議会として関係学会・団体等と連携してさらに推進が必要と考える事項に記載をしております。
説明は以上となります。
○土岐会長 ありがとうございます。ただいまの説明にございましたように、これが第4期のがん対策推進基本計画の中間評価の報告書の概要でございます。
委員の先生から御質問等ございますでしょうか。
河田委員、どうぞ。
○河田委員 中間評価の報告書の取りまとめ方針について御説明いただきありがとうございました。今回、中間評価は、この協議会の中ではプロセス評価を中心に実施するというふうに理解しております。
その一方で、ニーズ評価であるとかセオリー評価も引き続き必要であることは、前回の協議会において埴岡参考人からの御指摘にもありました。また、埴岡参考人のほうからはロジックモデルの改善であるとか、それを支える評価文化の形成が重要であると御指摘を受けております。その観点から、ニーズ評価やセオリー評価、さらにはコスト評価に関しましても、単に次期の委員に先送りをしてしまうということではなく、今期の協議会の中でも委員の中で蓄積された知見というものを積み上げていく必要があると考えております。
したがいまして、中間報告書を取りまとめる際に、このロジックモデルの改善に向けた今期委員からのコメントを何らかの形で申し送り事項として報告書と一緒に、あるいは別に取りまとめていただくことを事務局にお願いしたいと思います。
○土岐会長 いかがでしょうか。大丈夫ですか。
○大井課長補佐 ありがとうございます。
今回いただきました御意見、非常にたくさんいただいたところではございますが、今回の中間評価の報告書につきましては、今後、4期中に推進すべき事項を中心に掲載したいと考えております。
ただ、5期に向けましての、河田委員からいただきました観点の御意見もたくさんいただいておりますので、そちらは今回、参考資料8として公表しております。報告書への掲載は予定しておりませんが、意見としてはまとめることは考えております。
○土岐会長 櫻井委員、どうぞ。
○櫻井委員 櫻井です。今、河田委員が言ってくださったことは、私も意見書を書きながらも思っていたことですので、ぜひ第5期につなげていく形として残していただけるようお願いしたいと思います。
それから、全体の中で気になったところがあります。現時点で判定ができないものと、評価項目そのものがつくられていないものが6分野にわたってありました。これについてのコメントが本文の中に反映されていません。プロセス評価という意味ではまだ取組がなされていないというものも重要なことで、だから、この後、2年頑張らなければいけない、次も頑張らなければいけないと続くためのワンステップにとても大事なことだと思います。ですので、D判定のもの、あるいは評価項目が設定されていないものについてのコメントの見直しもお願いしたいと思います。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
どうぞ。
○大井課長補佐 櫻井委員、ありがとうございます。
まず、グレーアウトの指標につきましては厚労科研で研究をしておりまして、またそちらは指標を設定できるように努力していきたいと思っております。あと、未測定のものにつきましては現段階では算定ができておりませんが、公表できる段階になればデータを入れて皆さんに御提示させていただきたいと思っております。
あと、中間評価の時点でD判定となっているものにつきましては測定不能なデータになっておりまして、例えば、この後、御説明しようと思っておりましたが、小児患者体験調査につきましては現段階で調査を実施しているところでございますので、中間評価の段階ではデータをお出しすることができません。ただ、今回取っておりますデータを最終評価の際にはデータとして使うこととしておりますので、そのときには御提示する予定としております。
以上となります。
○土岐会長 大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。がんサポートコミュニティー/がん対策総合機構の大井です。河田委員、櫻井委員の発言に関しては賛同いたします。
それと、やはり中間評価ということで、この評価でこのまま進んでいっていいのだろうかという課題に関して、これが第4期の評価にとして、回っていくのだということは、それはそれで評価ということでいいとは思うのです。ただ、第5期に向けて、これでは回らないでしょうという評価項目は、先ほど河田委員が何らかの形で意見を残してほしい、あるいは我々も今後の議論の中で、これは紐づかないのではないかということに関しては、今回はこれでいくけれども、第5期に向けて、ここの部分は見直していくべきではないかということは残していっていただきたいと思っています。
そうでないと、また第5期のときに同じ評価項目で評価するのであれば、結局、評価できないのではないか。でも、これは決まっているので、このまま評価を続けていかなければいけないと固執して、同じような議論を進めるのではなくて、やはり少しずつステップ・バイ・ステップしていくような仕組みづくりというものをこの中間評価の中でも示していただけたらと思っております。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。その点につきましては、十分対応していくということで考えていきたいと思います。
ほかはよろしいですか。
それでは、いよいよ本文のほうでございますけれども、資料2-3のほうに移りたいと思います。まずは、事務局のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 そうしましたら、資料2-3「『がん医療』分野の中間評価(案)について」を御説明します。この分野はたくさん分野が広くございますが、一旦、一通り全て御説明したいと思っております。
次のページを御覧ください。こちらは、中間評価報告書のイメージとして、トップページには、第4期がん対策推進基本計画の分野ごとの計画から概要のほうを抜粋して掲載することとしております。
「がん医療」分野につきましては、左のがん医療提供体制等、右側の希少がん及び難治性がん対策、その下の小児がん及びAYA世代のがん対策、高齢者のがん対策、一番下の医療実装から構成されております。
次のページを御覧ください。基本計画におきましては3つの柱ごとに分野別目標を設定しておりまして、こちらはがん医療提供体制の分野別目標を上の四角に記載をしております。
その下に、それを測る指標としまして最終アウトカム指標を記載しております。最終アウトカムにつきましては全ての指標がコア指標となっておりますので、右側に★を掲載させていただいております。
上から、がんの死亡率の減少につきましては、右側に記載しておりますが、全てA判定となっております。また、難治性がんの年齢調整死亡率の減少につきましては、代表例として膵がんを記載しておりますが、B、C判定となっております。その下の5年生存率につきましては、現在、全国がん登録のデータが5年出そろいましたので算定中でございまして、今回は未測定となっておりますが、今後の協議会で算定ができ次第、皆様に御提示させていただく予定となっております。その下にQOLを示す指標が3つ入れておりますが、そちらについても全てA判定という状況になっております。
次のページを御覧ください。ここからは、下の四角の<がん対策推進協議会として関係学会・団体等と連携してさらに推進が必要と考える事項>を中心に御説明します。こちらは、事前に委員の皆様からいただきました御意見を参考に記載をしております。
こちらは、最終アウトカム指標の推進事項として記載をしております。QOLに関する指標は大きく改善してきておりまして、評価をいただいておりますが、希少がんや若年がんの患者さんにつきましてはまだ75%台ということもありまして、さらに支援体制の強化が必要というような記載になっております。
次のページを御覧ください。こちらは、がん医療提供体制等の分野になっております。個別目標につきましては、計画から引用したものを掲載しております。
その下に判定一覧、分野別アウトカム、中間アウトカムを記載しておりますが、こちらはスライドのとおりです。
次のページを御覧ください。こちらは、先ほどの分野のアウトプット指標となっております。
こちらもスライドのとおりとなっております。ここでは、コア指標となっている、「がん治療前にセカンドオピニオンに関する話を受けたがん患者の割合」がC判定、後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱について御説明します。
先ほどのアウトプット指標の判定を受けまして、セカンドオピニオンの情報提供の充実に関する事項を記載しております。また今後、都道府県での集約化・均てん化の議論が進む中では、国は地域ごとの取組状況を把握し、進捗管理をしていくことや、特に希少がん、小児がん等では、都道府県単位にとどまらず、より広域的な医療圏での議論や調整の必要性についても記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、がんゲノム医療についてのページでございます。
中間アウトカムの2つ目、「がん遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、エキスパートパネルの結果治療薬の選択肢が提示された割合」と、その下の「エキスパートパネルで推奨された薬剤が投与された割合」、また、その下の、先ほどコア指標として追加しました指標として、「ゲノム情報を活用したがん医療についてがん患者が知っていると回答した割合」については、いずれもC判定、後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
先ほどの後退傾向に紐づく施策に関する取組を記載しておりまして、治療経過の中でがんゲノム検査実施の機会が逸されることのないように、がんゲノム医療中核拠点病院等以外の医療機関の医師への教育等の取組等を記載しております。
次のページを御覧ください。続きまして、手術療法についてです。
指標及び判定結果はスライドのとおりです。中間アウトカム指標としまして術後短期死亡率を指標としておりますが、こちらは大腸がん、胃がん等で後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
先ほどの指標の改善に向けましては、NCD等を活用してのリスク調整や、術後合併症の発生率、回復までの期間やQOLなどの観点を含めた評価についての取組を記載しております。
次のページを御覧ください。続きまして、放射線療法についての指標と判定等の結果についてはスライドのとおりです。
こちらは、アウトプット指標でコア指標としております、IMRTを提供しているがん診療連携拠点病院の割合は改善傾向となっており、また、その下の専門資格を持つ看護師の配置状況は後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
IMRTなど、高度な放射線治療を安全に提供するためにも、医師の適正配置や専門資格を持つ看護師の養成の取組について記載をしております。
次のページを御覧ください。薬物療法についての指標及び判定についてはスライドに記載のとおりです。
1点、中間アウトカム指標の、「遅滞なく化学療法が行えているか」の胃がんにつきましては精査中に変更しておりますので御了承ください。
中間アウトカム指標のコア指標で、「化学療法/薬物療法関連QIにおける標準的治療の実施割合」では大腸がんと胃がん等で後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
こちらも、標準治療の実施割合が低いことに関しまして、高齢化により標準治療ができていないのか、また、治験や臨床試験等の先進的な治療を実施しているのか等の詳細な分析の必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。続きまして、チーム医療の推進について、指標の判定についてはスライドのとおりです。
中間アウトカム指標は大きく改善しておりました。アウトプット指標としましては、緩和ケア診療加算の算定回数は大きく改善しておりましたが、栄養サポートチームに関する加算は後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の四角でございます。
栄養サポートチーム加算が後退傾向であったことから、栄養管理の実態把握についての記載をしております。また、主治医以外にも相談しやすいスタッフがいた割合は大きく改善してきておりますが、さらに、医療・心理・栄養など多面的な相談体制の整備の促進についても記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、がんのリハビリテーションについての指標及び判定はスライドのとおりとなっております。
次のページを御覧ください。下の箱でございます。
こちらは、さらなる取組としまして、必要な患者が確実にリハビリを受けられる仕組みの整備や、患者自身がリハビリの重要性を理解しやすい説明・相談体制の確保について記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、支持療法の推進についての指標及び判定についてはスライドのとおりです。
アウトプット指標としまして、「がん相談支援センターにおけるアピアランスに関する相談件数」が大きく改善傾向となっております。中間アウトカム指標のコア指標は改善傾向、「外見の変化に関する悩みを医療スタッフに相談できた割合」、「支持療法に関する標準診療を実施された患者の割合」が後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。下の箱についてです。
外見の変化に関する相談環境の改善に関する取組や、アピアランスケアについて十分な知識等を持つ医療従事者のさらなる養成の取組について記載をしております。また、支持療法に関する標準診療については後退傾向であったことから、支持療法の均てん化の促進についても記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進について、指標と判定についてはスライドのとおりとなっております。
次のページを御覧ください。こちらは、アウトプット指標のコア指標は改善傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。
もう一ページおめくりいただいて、25ページを御覧ください。こちらも下の箱でございます。
さらなる取組について、緩和ケアについては、拠点病院等に限らず、地域の病院においても苦痛の把握のための「苦痛のスクリーニング」の導入医療機関を増やすなどの必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、妊孕性温存療法についての指標及び判定はスライドのとおりです。
中間アウトカム指標の、「治療前に、生殖機能への影響に関する説明を受けたがん患者・家族の割合」は改善傾向となっております。1点、アウトプット指標にあります「日本がん・生殖医療登録システムへの登録症例数」については、事前資料からデータの見直しを行っており、精査中と変更しておりますので御了承ください。
次のページを御覧ください。こちらも四角の箱でございます。
さらなる取組としまして、小児・AYA世代や将来の妊娠・出産を希望するがん患者が必要とする情報が適切なタイミングで得られるよう、妊孕性温存に関する情報提供の強化について記載のほうをしております。
次のページを御覧ください。こちらは、希少がん及び難治性がん対策についてでございます。指標及び判定はスライドのとおりです。
次のページを御覧ください。アウトプット指標につきまして、指標及び判定についてはスライドのとおりです。コア指標につきましては、概ね改善傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。30ページとなります。下の箱でございます。
さらに推進が必要な事項としまして、希少がんに関して高度かつ専門的な医療へのアクセシビリティーの観点から、情報提供のみならず医療機関同士のさらなる連携の取組の必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。小児がん及びAYA世代のがん対策についての指標及び判定についてはスライドのとおりです。
こちらは、判定値中間につきましてはD判定となっているものが多くはございますが、こちらは小児患者体験調査となっておりまして、現在調査中のため、中間値は判定不能ということになっております。
次のページを御覧ください。こちらは、アウトプット指標についての指標及び判定はスライドのとおりです。
「小児がん拠点病院での専門的な医療従事者の配置」についてはC判定、後退傾向となっておりました。
次のページを御覧ください。
もう一ページおめくりいただきまして、34ページを御覧ください。小児がん拠点病院等における専門的な医療従事者の人数が後退傾向であったことから、実態の把握と再構築の必要性について記載をしております。
次のページを御覧ください。こちらは、高齢者のがん対策についてでございます。指標及び判定はスライドに記載のとおりです。
次のページを御覧ください。こちらは、「患者と医師との間で最後の療養場所について話合いがあったと回答した人の割合」の指標が改善傾向となっておりましたが、まだ53%にとどまっているということで、実態把握の必要性について記載をしております。
続きまして、新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実装についてでございます。こちらの指標及び判定はスライドのとおりとなっております。
次のページを御覧ください。こちらも下の箱についてでございます。
患者が自ら臨床試験を探せるなど、分かりやすい治験情報提供のさらなる取組の必要性について記載をしております。
説明については以上となります。
○土岐会長 ありがとうございます。かなり大量の資料でございました。なかなか量が多かったので、皆様の御意見の数も踏まえまして、2つのパートに分けて御意見を頂戴したいと思います。
まず最初に、3ページから27ページ、27ページは妊孕性のところです。ここをまずは最初で、あと、後ほど希少がん・難治性がんから御意見を頂戴したいと思います。
それでは、まず最初の27ページのところまでの部分で御意見がある先生はぜひ挙手のほうをよろしくお願いいたします。
吉野委員、どうぞ。
○吉野委員 日本癌治療学会理事長の吉野でございます。
今回は、例えばセカンドオピニオンが先ほど減っているということで、ベースライン値より今回の測定値が減っているということなのですけれども、例えばコミュニティーで病院が、非常に病院間で連携がうまくいっていると、目の前の患者さんに対して主治医が専門病院のほうに電話をかけてきて、どういう治療をしたほうがいいかなと言って、そこで解決して、患者さんが実際、セカンドオピニオンに行かないで済んでいる。医師法的にはグレーなところもあるのかもしれませんが、実際、目の前の患者さんのテーマとか病状によっては医師間でコミュニケーションすると、そういうものは減る方向に行ってしまうわけで、減っているから駄目だということではないというふうに思いまして、そういう交絡因子もしっかり議論したほうがいいのかなと思って見ていました。
以上です。
○土岐会長 では、続きまして、黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
10ページ目にお示しいただきましたように、胃がん・大腸がんに関しての術後の短期死亡率が悪化しているという現状を驚いて見ていたのですけれども、こちらの11ページ目に書いていただいているとおり、NCD等を使いまして、年齢調整とか緊急手術の有無とか術式等で詳細に検討していただくのも大切だと思います。
また一方で、我々、この今期の第4期のがん対策推進基本計画の評価をするにあたり、大きな変化が2点あります。一つはコロナ禍の影響がどうだったのか。要するに、ベースライン値がコロナ禍の前のものなのか、あるいはコロナ禍の中のものなのか。中のものの場合にも、そのフェーズによって、例えばデルタ株のはやっていた頃のものが使われているのかどうか。こういったことの影響というものは、もちろん、病院側としては、十分な体制を取っていたとしても、その中でも何らかの影響があったという可能性が考えられるのが一つ。
もう一つは、これは今回のこの中間評価には直接影響ないかと思いますけれども、それでもやはり働き方改革によってかなり体制が変わってしまっている。数は同じだとしても、人員配置や体制が変わってしまっている可能性は十分にあろうかと思いますので、そういったところが今後どういう影響を与えてくるのか。それは事前に我々も、ある程度分析をしておいて、その影響をあらかじめ見越しておく必要はあろうかなと感じて聞いておりました。特に、この胃がん・大腸がんの結果を見たときに少し、その影響が危惧されるなと思って聞かせていただきました。
以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
もうお一方、御意見を伺ってからお答えしたいと思います。中山委員、どうぞ。
○中山委員 京都大学の中山です。どうもありがとうございました。
10枚目のスライドの、これは200005の、治療決定までに医療スタッフから治療に関する十分な情報を得られた患者の割合のところについてです。これは数字だけ見ると、75.0%から88.5%でよくなっている。これはこれですばらしいことだと思います。ただ、もちろん、情報は患者さんの命綱だというふうなことで申しますと、今、大元の情報はエビデンスに基づくガイドラインを各学会がつくっている。その各学会のバックアップをしているのが、日本医療機能評価機構や日本医学会連合がそれをバックアップして、各学会がガイドラインをつくっていますが、これはかなり大きな労力を要しております。それで、各学会のモチベーション、バックアップ体制をぜひ国としてもお願いしたいということを一言申し上げたいと思います。
それと併せて、実際にインフォームドコンセント、既に新しい抗がん剤が多く開発されていくことによって、現場はさらに、よく多様性、選択肢は増えましたけれども、かえってそれで選択が難しくなってきている。そのような状況の中で、今、御存じのように、シェアード・ディシジョン・メイキングの時代になってきているわけです。医者が答えを知っているインフォームドコンセントから、患者さんと医療者が探していくシェアード・ディシジョン・メイキングの時代になる。そのときには、さらに必要な人員またはAIの活用などが当然入ってくるかと思われますから、こういった数字的によくなることだけではなくて、その背景のことについても、これからまた議論ができればというふうに願っております。
最後は、患者さんへの一般のがん情報サービス自体もよくなっているのですけれども、どんどん、今、アップデートする人員が追いついていかないということもありますので、そういった情報基盤の支援体制も議論できればと思いました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
事務局のほうから、今、3名の委員のほうから御質問、御意見ございましたけれども、追加のほうはよろしいですか。何かあれば。
よろしいですか。
○大井課長補佐 はい。
○浅香委員 すみません。日本看護協会のほうから意見をよろしいでしょうか。
○土岐会長 浅香委員、どうぞ。
○浅香委員 ありがとうございます。
スライド12にありますがんの放射線療法のアウトプット指標におきまして、専従の放射線治療に関する専門資格を持つ常勤看護師の配置についての項目になりますけれども、評価としましては5割を切っている状況がありまして、この部分に関しましては、今後の安全な医療提供という点に鑑みますと、がん対策推進協議会として、関係団体と連携して、さらなる推進が必要と考える事項になります。対策としましても、この専門性の高い看護師の養成をさらに進めていくというところに関しまして、日本看護協会としてもさらに推進していきたいと考えております。
日本看護協会では、現在、質の高い医療提供を目的としまして、資格認定制度を運営しておりまして、その中にがん分野というものがございます。本会が認定しております認定看護師教育機関ですとか日本看護系大学協議会(JANPU)が認定した教育機関で、専門看護師や認定看護師の輩出を今後も強化していきたいと思っており、特に、質は維持しながらも、受講しやすい体制を検討しております。今後も認定看護師のさらなる養成に向けて尽力し、また、関係団体の方々と協力しながら育成に努めていきたいと思っております。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
では、続きまして、河田委員、どうぞ。
○河田委員 では、先に失礼いたします。資料を前から順番に、私のほうから医療提供体制、ゲノム、そして、妊孕性について、3点についてコメントさせていただきます。
まず、6ページ目の医療提供体制の部分の中で、211102、がん治療前にセカンドオピニオンに関する話を受けたがん患者の割合が31.7%であるという点です。先ほど中山委員からもあったように、現状、シェアード・ディシジョン・メイキングが重要な中で、患者自身の意思決定であるとか、安心して納得した医療を受けるためには、こうしたセカンドオピニオンの利用というものは非常に重要であると考えております。
そうした中で、現状、3人に1人という、そもそもの31.7%という数字自体が、これはAとか減少しているかどうかということ以前に、課題になるのではないかが一つの問題提起です。特に患者会には、主治医にセカンドオピニオンをお願いするのは非常にためらわれるという声が今でも多く寄せられております。主治医からのセカンドオピニオンの提案というものは非常に患者の心理的ハードルを下げるものですので、ぜひとも、こちらの数値の向上というものは実行に移していただきたいと思います。
次に、8ページ目のゲノム医療に関してですが、先ほど間野委員のほうからも、ゲノムに関してのパネル検査の保険適用が令和元年以降という話もありました。それ以降もやはりゲノムを使った遺伝子パネル検査を含めて、遺伝子パネル検査自体の数、また、治療に使える薬剤の数というものは大きく増えてきているものと認識しております。
そうしますと、今回のようにパーセンテージだけ見ていても、実際のところ、なかなか患者側としても評価が難しく、実数としてどれくらいの遺伝子パネル検査があるのかとか、その中で適用されている薬がどの程度の数なのかといった実数ベースの議論というものが同時にないと、少し評価が難しいというのが実際のところかと思います。患者にとっては、どの検査がどれくらい行われているかということを知ること自体が信頼感であるとか選択の納得感につながるということから、こうした数の提示を求めたいところです。
最後に、27ページの妊孕性に関してです。こちらは妊孕性に関して、218103ですが、日本がん・生殖医療登録システムへの登録症例数が大幅に増加している。285件から1,153件というものは非常にありがたいことだなと思う一方で、これは登録の地域差や施設間のばらつきというものが見えてこなく、また、非常に重要な課題かと思います。
私たちのAYA世代の仲間の中でも、やはり主治医から情報を受けても、自分の近くの施設で実際には妊孕性温存の治療が受けられなかったという声であるとか、インターネットや様々な情報によって、治療法、妊孕性温存ができる施設があることを知りながら、アクセスの問題からたどり着けていないという声を多く聞きます。そうした地域の実情であるとか、現実的なアウトカム、患者自身がどれくらい実際の治療に結びついたのかといったアウトカムとの関連の評価というものが必要かと思います。
以上となります。
○土岐会長 それでは、まず先に、大井委員の御意見を賜りたいと思います。
○大井委員 どこで発言するかというものを少し迷いながら、がんサポートコミュニティー/がん対策総合機構の大井です。スライドでいくと、6ページの均てん化・集約化、15ページの薬物療法、それに関連するものとして29ページの希少がん・難治性がんの情報提供について、それとは別に、13ページの放射線療法についてと2件、意見といいますか、質問したいと思います。
一つは、情報に関して様々なところで追及されています。先ほど来、中山委員、それから、河田委員からも、シェアード・ディシジョン・メイキングという形で、患者さんたちが自己決定として自ら受ける医療に参画していくということは非常に重要であるという御指摘があったかと思います。
第4期がん対策推進基本計画では、国立がん研究センターや関係学会と連携し、国民が薬物療法等に関する正しい情報を得ることができるよう、科学的根拠に基づく治療法に関する情報提供及び普及啓発を推進するというように記載されています。その指標として、今回、コアにはなっておりませんけれども、自施設で対応できるがんについて、提供可能な診療内容を病院ホームページ等で分かりやすく広報している拠点病院等の割合というように用いられています。そこは、ベースライン値は100%で、測定値も100%とされています。しかし、判定はBにとどまっているというのは何かなということが一点です。
実際にここで、先ほどのシェアード・ディシジョン・メイキングという観点からしますと、重要なのは、病院ホームページに情報が掲載されているかではなくて、患者や家族が実際にそこへアクセスして情報を利用しているかという点だと思います。例えば2024年、がん情報の均てん化を目指す会が公表したアンケートでは、患者や家族が情報を探す入り口は、検索エンジンが94%、YouTubeが30%、SNSが17%ということで、正しい情報がホームページに掲載されていても、そこに直接たどり着く人は非常に限られていることが伺われました。
それから、2023年の内閣府の世論調査でも同じように、がんの治療法や病院に関する情報源としては、がん情報サービスを挙げた人は22.8%、一方でインターネットやSNSが26.2%ということなので、患者や家族の方たちの複数の入り口から情報にたどり着いているということが実際であると思います。他方、先ほどの内閣府の世論調査の中で、患者や家族の45%がオンラインでの情報収集に非常に困難を感じているというようなことも言われていて、情報が分散しているとか、専門用語が多いとか、自分に合った情報が見つからないといったことが8割近くに達しています。そういったことから考えますと、形式的な達成と実際の患者体験との間に非常に乖離があるのではないかと推察しています。
さらに、情報提供の在り方そのものですけれども、病院ごとに情報を発信しているということよりは、均てん化・集約化という中で、どこかに集約していくことを検討すべきではないでしょうか。このコア指標を含めて見ていますと、がん情報サービスを指標にしていこうということを見据えているように思いますので、そこに集約していくというのであれば、そこに集約していくということが非常に重要かと思います。実際には、いろいろな分散化とか不統一のために比較が難しくて、健康リテラシーが高い患者や家族とそうでない患者や家族との非常に格差を広げていくような現状もあるのではないでしょうか。患者や家族としてどこを見ればよいかということを明確にしていくことが非常に重要ではないでしょうか。
第4期がん対策基本計画は、誰一人取り残さないがん対策を推進して、全ての国民とがんの克服を目指すということを全体目標として掲げてきています。アメリカでも1971年にNational Cancer Actが成立しました。それ以前は情報提供に関しては合理的医師基準ということで、一般的な医師であれば提供するだろう情報を標準としましょうと社会合意して進めてきましたけれども、1971年のNational Cancer Act成立後に関しましては合理的患者基準ということで、一般的な患者が必要と求める情報に関しては提供しなければならないということになっています。今回、病院側が一方的に提供している診療に関して発信するということではなくて、何が患者の求めている情報なのかということをぜひ検討いただきたいと思います。そういった視点も、今後、第5期に向けて指標として検討いただきたいと思います。
実際に、2004年の厚生労働省の医療分野における規制改革に関する検討会の報告書では、患者に対し適切に情報を伝え、患者自身が自己決定に責任を負えるようにすべきであるとして、2007年の医療法第五次改正で、インフォームドコンセント条項として、医療法1条の4に追加されたという経緯があります。そういった中で、やはり今後必要なのは、病院ホームページの掲載率を指標とするのではなくて、患者や家族が求め情報が分散する現状を是正すること。信頼できる情報を1か所に集約すること。そして、行政や医師が患者や家族にはこの情報が必要だろうと判断するのではなくて、患者や家族にとって求める情報を届けるということを指標にしていくことが大事ではないでしょうか。そのためにも、がん情報サービスに集約して、ワンストップで、一般薬剤名であったりとか商品名であったりとか、全ての情報が提供されていく。
例えば、これはがん情報サービスにあった、最近出された『フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病について』という冊子ですけれども、この中は結局、一般の方も見られるということで、分子標的薬とのみ書かれていて、一体、具体的な治療薬は何なのかということは書かれていないのです。そういうことではなくて、やはり具体的なものを患者さんは求めていますし、患者療養申出制度は患者による療養の申出から始まるということであれば、そういった情報を、この情報社会の時代なので、正しい情報はがん情報サービスに集めていく。要するに、がん情報サービスが情報の中核的な拠点となっていただければと思います。
こういった点に関しても、2018年12月の規制改革推進会議の中で患者会とかCSRプロジェクトから、適正使用を目的とする勉強会や市民講座では商品名を使用できるようにすべきだという要望が出されていたかと思います。こういった公的な教育の場においては、誤解を避けるルールが必要だとは思いますけれども、一般名と商品名を併記するとか、患者さんに誤解が生じないような環境というものをつくり上げていただきたいと思います。
最後に、情報アクセスの全体像を把握して見える化してほしいです。病院内の調査だけでは不十分で、患者や家族というものは、実際にはSNSとか様々な患者体験から自分の場合はどうだろうかということを考えたりしていますので、ぜひ、がん情報の均てん化を目指す会、その他の国立がん研究センターを含めて、様々なヒアリングを行っていただいて、何が患者さんが求めている情報なのかということを把握していく。その上で、その情報が十分に提供されているかということを評価していただきたいといったことが意見となります。
もう一点、すみません。放射線に関してですけれども、放射線のIMRTの普及率ということが先ほどの13ページのところに記載されていたかと思うのですけれども、その先の新規医薬品とか医療機器のところとも関わってくる話になるので、どちらかと思いましたけれども、まとめて質問させていただきます。
IMRTの次に、今、MRリニアックという形で、2021年には千葉大学、2022年には東北大学、大阪公立大学に導入されています。それによると、患者さんの放射線の治療期間というものが20日間から2日間に減っています。導入費用的に機器としては非常に高いけれども、患者さんにとっては非常に負担が少ないという療法になります。
ですので、科学技術がどんどん進歩していくという状況からいくと、これまであったものを指標とするのではなくて、次に新しいものが出たら新しいものを患者さんに届けていくのだ、それに集約していくのだ、あるいは均てん化していくのだというような議論にしていただけないか。これは現状のIMRTの指標を変えてくださいということではなくて、第5期に向けてぜひ検討いただきたいと思います。
以上、情報ということと放射線ということの2点になります。
○土岐会長 今、浅香委員のほうから放射線と看護師、河田委員のほうからセカンドオピニオン、ゲノム医療、妊孕性、そして、大井委員のほうから情報提供の在り方、患者さんの必要としている情報、また、放射線治療における新しい治療等の御説明がございましたけれども、事務局のほうから特に追加はございますでしょうか。
事務局からは特によろしいですか。
○大井課長補佐 はい。
○土岐会長 それでは、すみません。先に、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。私のほうから3点、一つはがんゲノム医療について、もう一つは薬物療法について、それから、支持療法について申し上げたいと思います。
まず、がんゲノム医療についてです。中間アウトカムのがん遺伝子パネル検査を実施した患者のうち、エキスパートパネルで推奨された薬剤が投与された割合が8.2%であったものが7.8%に下がっています。これに限らず、これらのデータ全て、必ずしも上がればいいというものではないのが難しいところですけれども、そうはいっても、8.2%、7.8%はいずれも低いのではないかと思っています。何が障害になっているのか、ということを、ぜひ深掘りしていただきたいです。
深掘りをするに当たっては、患者さんの状態像によって推奨された薬剤が投与できなかったのか、希望によってできなかったのか、例えば治験は行われていたけれども、治験へのアクセスが確保できなかったのか、あるいは患者申出療養しかないけれども、それが難しかったのか。何がハードルになったのかが分かるような深掘りをしていただけないかと思いました。それが一点です。
次に薬物療法についてです。14ページ、15ページですか。これもやはり深掘りのお願いです。この中間アウトカムがいずれも、Aであるものも含めてですけれども、標準的な薬物治療を行っている医療機関が半分ぐらい、遅延なく化学療法が行えている医療機関も半分ぐらいです。これも上がればいいというものではないですけれども、これでいいのか疑問です。原因が患者の希望によるのか、支持療法が適切に行われていないのか、あるいは支持療法が行われたのだけれども奏功しなかったのか、理由を深掘りしていただきたいところです。
薬物療法のアウトプット指標で、がん薬物療法の専門資格を持っておいでの常勤の看護師さんの割合が下がっていますので、一つはこれが原因の可能性があることを考え合わせますと、この充実が望まれます。後のほうに支持療法が出てきますが、薬物療法と支持療法は組み合わせて考える必要があるのではないかと思っています。
その支持療法に移ります。中間アウトカムの支持療法の均てん化のところが91.5%から81.7%に10ポイント落ちています。この10ポイントの低下はかなり大きな低下だと思っており、やはり理由を深掘りしていただきたいところです。ここでもアウトプット指標に専門資格を持っている常勤の看護師さんの割合の項目がCで上がっていますので、この部分を強化すると、支持療法がよくなって薬物療法の標準的な実施も上がっていく可能性があるのではないかと思いました。その辺りを組み合わせて考える必要があると思います。
特に支持療法については、中間アウトカムの上2つ、副作用への見通しの改善であるとか、身体的なつらさに関する相談環境の改善の項目はいずれも10ポイント以上上がっており、現場の皆様の御努力はいかばかりかと思います。一方で分野別アウトカムを見ますと、身体的な苦痛を抱えるがん患者さんが3人に1人、精神心理的な苦痛を抱えるがん患者さんが4人に1人と深刻な事態です。21Pで、支持療法で推進が必要な事項の表記のところでは1番目と2番目にアピアランスが上がっておりますけれども、副作用をいかに軽減し、闘病中のつらさを軽減して、標準治療ができる環境を整えていくか、あるいは標準治療への理解が得られるかどうかということが、支持療法の重要な点だと思いますので、よろしくお願いしたいところです。
以上です。
○土岐会長 それでは、続きまして、吉野委員、どうぞ。
○吉野委員 今、結局、このデータはすごく客観的なものが出てきているのですけれども、そのデータの解釈のところが恣意的になりやすくて、例えばベースラインが5%で、測定値が4%で、1%下がってCとしたときに、その1%が下がったと取るのか、いや、そうではなくて、分母が小さいからぶれやすいデータだと捉えるのかが分からないまま、これは全体的に議論が進んでいるのですよ。そうすると、例えば言えるのは、分母が大きいと1%の意味は大きいし、分母が小さいとぶれやすいので、その1%は別に考えなくてもいいということになるので、これだと、まず、全項目は分母が違うでしょうから、分母がどれくらいあるのかというものがはっきりすること。
それと、よく科学論文とかでやるのは、95%信頼区間を出して、両方の値がオーバーラップしていない。そうすると、統計学的な変化であると、これは放っておけないねと。例えばPが0.05とかでやるという、0.1でもいいと思うのです。完全にこれは悪くなっている指標だという捉え方を、やはり統計検定をしないと、全部下がっているから、では、ここは介入が必要だというと、本来やらなくてもいいところに医療資源が使われることになって、結局、無駄が多くなってしまうのではないか。だから、データの解釈の仕方を、ちゃんとした統計検定を入れたほうがいいのではないかというものが全体的な議論に対するコメントになります。
○土岐会長 米田委員、どうぞ。
○米田委員 私も全体的なことで意見を申し上げたい。
私は小児血液・がん学会を代表しているのですが、一応、小児外科医なので、例えばこの手術療法の測定値については解釈を慎重にしないといけないなというものがあって、例えばこの短期死亡率というものは、ベースライン値が令和3年で、測定値が令和4年ですね。ちょうどコロナ真っただ中の頃の医療体制も大きく影響を受けているときに、この1年の違いが本当に手術療法のリスクが上がっているのか下がっているのかという評価ができるのかということとか、あるいは乳がんとか前立腺がんは100人のうち2人とか1人とか3人とか、そのぐらいの死亡率になっています。
ですので、こういう非常に低い死亡率の1年の違いを見てよくなっている悪くなっていると単純に判断するというのは、今、吉野先生がおっしゃったように、これは統計学的にはほとんど意味がないように僕は思いますので、やはり数字だけを見るということのリスクというものを考えながら評価する必要があるかなと思いました。
ありがとうございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいまの、全体の1%が意味があるのかとか、1年の違いが意味があるのかとか、もちろん、そういうものは重々承知した上で、今回、例えばA、B、Cという非常に、ある意味、乱暴な評価。やはり吉野委員が言われるように、統計的な検定もできていないのですけれども、この数字は数字として、ぜひ、これを評価とか、一番大事な最後「さらに推進が必要と考える事項」にどういうふうに反映させるかというものがこの協議会の意義ですので、もちろん、その中には意味のある1%もあるでしょうし、意味の少ない1%もあると思いますので、ぜひそういうことについて、皆さんの意見を聞くことにより判断できるようになりますので、ある程度、そういうリスクがあるものを承知の上で、あえて皆様の御意見をぜひ聞いていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、服部委員、どうぞ。
○服部委員 仕事と治療の両立支援ネット-ブリッジの服部と申します。チーム医療と支持療法について述べさせていただきます。
まず、チーム医療です。中間アウトカムで主治医以外にも相談しやすいスタッフがいた患者の割合が10ポイントも上がっていて、これは大変すばらしいことだと思います。一方、このチーム医療を集学的治療という意味合いで捉えたとき、チーム医療の良し悪しや各分野の専門家集団によって健全に治療内容が検討されているかということを、患者さん自身が判断するのはかなり難しいのではないでしょうか。集学的治療であれば、カンファレンスの実施やそのプロセスが尺度になると思います。ケース全体における実施割合や、専門家としての判断、例えばチームを構成する医療者が議論を尽くしたのか、合意形成ができたのか、という観点で測る必要があるのではないかと考えます。
そして、次に、先ほど佐藤委員からもお話がありました支持療法です。アウトプットではアピアランスの相談件数が1.6倍に増加していますが、アウトカムでは相談できた患者割合が低下しています。この矛盾した結果は、アピアランスに関しては医療機関以外の外部リソースで解決できるようになったからではないでしょうか。いま、院外のNPOやウィッグメーカー、またYouTubeなどでタレントさんや一般の人が発信する機会が非常に多くなっています。私が受けている相談でも、そうした発信がとても役立っているという話をよく聞くようになりました。
アピアランスの悩みが外部リソースによって解消される現状がありながら、アピアランス件数のみが院内相談の尺度になっていると、その他の痛みや苦しみなどに対する支持療法の相談が医療機関で十分に受けられているのかという問題を見誤る恐れがあります。
また、他にも院内だけでなく社会的に解決すべき相談が含まれている可能性があります。院内では低調に見えても、実は社会的には相談支援が進んでいることもありますので、可能な限り院外も含めた広い視野で見ていけたらと思います。次のがんとの共生分野では、さらにそうした院外との連携が広がると思います。医療機関内だけではなく、多様な社会的リソース全体でどう解決していくかということに注意を向けていただけたらと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
ほかは。
辻本委員、どうぞ。
○辻本委員 患者会はーべすとの辻本です。私からは2点申し上げます。
まず一点なのですが、先ほど大井委員からご説明がありましたけれども、放射線療法において、高度な医療があるということでしたが、私自身、20日間にわたって放射線治療を受けております。その際に、治療と仕事の両立について大変苦労いたしました。2日で済むのであれば、経済毒性だけでなく、時間毒性も軽減できる可能性があるのではないかと考えております。
一方、高額な機器ということですので、均てん化が難しいようであっても、患者が必要な治療に迅速につながれるように、集約化も含めた配置や評価の方法を、ご検討いただければと思います。
2点目、緩和ケアについて申し上げます。資料25ページです。
下段の「推進が必要と考える事項」にも記載のとおり、緩和ケアは、会議冒頭でお示しいただいた「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化」でも、さらなる均てん化が求められる領域とされています。また、今回の中間評価においてもC評価が多い項目であり、取組は重要で引き続きの推進を期待しております。
一方で、現場では、患者や家族が希望しても、主治医の判断により結果として終末期まで専門的な緩和ケアにつながらない例が少なくありません。こうした状況を踏まえると、資料下段の「苦痛のスクリーニング」導入医療機関の増加や、緩和ケア研修参加者数の拡大のみでは、十分とは言えないと考えます。例えば、研修参加者への継続的な学習機会の提供などを通じ、必要とする患者に適切な時期に緩和ケアが届く仕組みと、その評価の検討が必要だと考えます。
また、櫻井委員からもご指摘があったとおり、今回の資料には直接記載されていませんが、緩和ケアに関しては3項目がグレーアウトされております。その中には、「専門的な緩和ケアの質の評価等の方策について研究を行う」「患者体験調査や遺族調査等により、患者や家族に適切な緩和ケアが提供されているかを定期的かつ継続的に把握する」など、とても重要な内容が含まれています。測定可能な指標として具体化することが不可欠と考えます。
先ほど、検討を進める旨のご説明がありましたが、現場に届くまでには時間を要するのではないかと危惧しています。つきましては、グレーアウトしている指標について、迅速に具体的なスケジュールと進捗、そして公表を進めていただければと思います。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
続きまして、ウェブのほうから、早坂委員、どうぞ。
○早坂委員 よろしくお願いします。日本医療ソーシャルワーカー協会の早坂です。私も、今、御発言のあった緩和ケアのところなのですが、22ページで2点あります。
一点は、中間アウトカムのところで、つらい症状に速やかに対応していると感じる割合が成人とその下の遺族がAとCということで違っているのと、あと、その項目の一番下で、コア指標にはなっていないのですが、家族の悩みや負担を相談できる支援が十分であると感じている患者・家族の割合が半数以下というところを鑑みると、このつらい症状に対応できたかどうかというものが、AとCという差がある。数を見るとそんなに大きなものではないかもしれないのですが、やはり患者自身の感じ方とそれを見ている御家族の感じ方との差というものがあるのかなと思うと、そこを少し、家族のケアということの必要性も鑑みて分析していただけたらなというところが一点あります。
もう一つが、その下の番号で言うと217205なのですが、がんと診断されてから病気や療養生活について相談できたと感じるがん患者の割合がここで減っていて、これはコロナの前と後ということを考えると、これだけがん相談支援センターというものを置いて、かなり宣伝といいますか、広報をしながらやっているのですが、実際に緩和ケアという段階になると、一般の拠点以外の病院で治療を受ける方がかなり多くなってきていると思うのです。それこそ均てん化といいますか、そういう状況になったりすると、一般の外来とか在宅とか、そういうところで病気や療養生活について相談できるという仕組みが必要なのではないか。特に、今、外来での相談が実感しているのは、すごく入院中よりも増えているというものが現場で感じているところですので、一般の医療機関での外来での相談支援というものの充実がやはり望まれているということが示唆されているのではないかなと思う意見です。
すみません。以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
ただいま、服部委員、辻本委員、早坂委員と御意見を頂戴いたしましたが、事務局のほうはよろしいですか。
特に追加はございませんか。
○鶴田がん・疾病対策課長 はい。
○土岐会長 引き続きまして、委員の先生から、まだ今日御発言されていない先生方からも御意見を頂戴したいと思います。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 ありがとうございます。小児脳腫瘍の会の山崎でございます。私からは3点、ゲノムと薬物医療とリハビリについて、少し一気に述べさせていただきます。
先ほど佐藤委員からもありましたように、ゲノムに関しましては、投与率低下の背景の分析がもう少し深掘りが必要ということがありました。特に子供たち、小児がんの場合はエキスパートパネルで推奨された薬剤が見つからないというケースがございますので、こういったところも原因の一つかなと思いますので、改善策として何とか新規医薬品の速やかな医療実装をお願いしたいというところでございます。
それから、薬物療法のところにつきましてですが、こちらも同じように、安定供給の部分の深掘りのことになりますけれども、今、薬剤が国内で安定供給問題が起きてきていると思います。標準治療に使われる抗がん剤も、1社提供で代替品がないといった理由で治療が行われないという現象が小児がんでも起きております。こういった供給停止などの事態が起きないように、国を挙げての取組が必要だと思います。そのための指標や評価が必要ではないかというふうに考えております。
最後に、リハビリの部分になります。こちらは中間アウトカムでは215201になるかと思いますけれども、やはり成長期にある子供たちのリハビリは非常に重要になってまいります。発達や退院後の学校生活でしたり社会生活に大きな影響が出てきます。また、晩期合併症になります高次脳機能障害は特にリハビリとの関連性もありますので、こちらの評価は非常に重要と考えておりますので、仕組みの整理をお願いしたいところです。
以上になります。
○土岐会長 ありがとうございます。
鶴岡委員、どうぞ。
○鶴岡委員 ありがとうございます。日本在宅医療連合学会から参加しております鶴岡です。
25ページをお願いできますでしょうか。
先ほどの早坂委員の御意見に重なる部分もありますが、25ページの下の箱のところです。「拠点病院等にかぎらず、地域の病院においても」と書いてあるのですけれども、全ての文言が病院に集中しているので、ここはやはり地域の医療機関というような大きな枠組みの言葉で記していただきたいと思いました。
また、36ページを見ていただいてもよろしいでしょうか。
最後の療養の場に関して、今、すごく在宅医療も地域医療構想の中で大きなプレゼンスを示してきていると思うのです。そうすると、先ほどの病院だけではないというところを強調しておかないと、市民も専門職も想像ができない、選択肢として挙がってこないので、ぜひ文言を工夫していただきたいと思いました。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
今の鶴岡委員の後半のところは、今から議論に入りたいと思いますので、まずはこの妊孕性のところまでは以上とさせていただいてよろしいでしょうか。
それでは、今の鶴岡委員の意見でもございましたけれども、28ページのところから、希少がんから最後までの部分につきまして御意見等を賜りたいと思います。
櫻井委員、どうぞ。
○櫻井委員 櫻井です。希少がんのところで思ったところを申し述べます。
30ページに中間評価報告書の記載例ということでおまとめくださっています。これを読みますと、大変施策がうまくいっているような形に見えてきますけれども、一番上の四角の中の5つ目の○、こちらは広く情報提供について全体のコメントというふうに読めまして、特に希少がん・難治性がんについても述べられたようなものではないように思います。
参考資料6の施策に対する取組一覧の9ページのところからの引用になってきていると思うのですけれども、それであれば、ここで取り上げるべきは、希少がんに対してはドラッグラグ・ドラッグロスへの対策ですとか、難治性がんに対しては早期発見手法の開発ですとか、こういった文言が入ってくるほうがふさわしいように思えますので、御検討いただきたいと思います。
なお、このページに難治性がんについて一言も言及されていません。これは難治性がんそのものの言葉の定義がまだ決まっていないから、そこから進んでいないというようなことに思えます。このままになってしまいますと、この期、6年間は何も進まなかったということになりかねないと危惧されますので、ぜひ、ここは言葉の定義のことでしたらば何か決めていただいて、少しでも進むように、今期あと2年半で取り組んでいただきたいと思いました。
以上です。
○土岐会長 服部委員、どうぞ。
○服部委員 ありがとうございます。服部です。希少がんと高齢者のがん対策の2点についてお話ししたいと思います。
希少がんは、がん情報サービスや希少がんセンターのホームページのページビューが減っているとして、C判定です。しかし、希少がんセンターでは、Facebookで積極的に発信されています。ホームページを訪れて、そこからFacebookに登録した人は、何度もホームページを見に行くより、Facebookで配信されてくる情報を受け取っている可能性も大きいのではないでしょうか。ポータルサイトの存在は重要ですが、Facebookページのフォロワー数や「いいね」の数もカウントすると、もっと正確に把握できるのではないかと思います。
次に、高齢者のがん対策ですが、アウトプットでガイドラインに沿った対応をしている拠点病院は既に100%で、これ以上には上がりようがありません。でも、アウトカムの多職種連携、外部の医療者との連携の満足度は下がっていて、連動していません。先ほど鶴岡委員の発言と重なりますが、やはり外部の医療機関や、在宅、老健、ホスピスなどの連携先まで把握すべきだと思います。連携をどこで測定するかは非常に難しいとは思いますが、何か外部データとリンケージすることによって見えてくるものはあるのではないかと思います。
これから地域共生社会による課題解決を目指していくことになりますから、この測定方法をかなり真剣に、領域に横串を刺すような取り組みとして考えていく必要があるのではないでしょうか。場合によっては、ブロードリスニングなどを活用して、声なき声を拾う取り組みも必要になってくるかもしれません。医療機関だけでは得られない幅広い意見を、その周りに広がる社会全体からどのように拾うのか、考えていく必要があると思います。
以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
ほかは、あとはよろしいですか。
大井委員、どうぞ。
○大井委員 がんサポートコミュニティー/がん対策総合機構の大井です。
服部委員の先ほどの希少がん・難治性がんのところのページビューの話で、SNSということの指摘があったと思うのですけれども、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&Aの中で、医療者であっても個別具体的な相談をしてはいけないという回答になっていて、患者さんたちが情報を発信する場合には、病気の概要みたいなことはいいけれども、個別具体的には発信してはいけないという回答になっていたかと思います。
実際には、希少がんとか、非常に経験された方が少ないとなると、情報が非常に少ないという状況であるということを考えると、例えば企業、患者会や支援団体から申請されたホームページの中でそれが正しい情報なのかどうかみたいなことを、優、良、可ではないのですけれども、これは見ても大丈夫ですといった評価をしていくことによって、これは正しい情報なのだ、偏った情報ではないのだということを患者さんが確認して閲覧できるよう、SNSとか、そういった個人のページに関しても申請いただいて評価していこうとしていけば、それも評価項目として扱ってもいいのではないかなと思いましたので、発言させていただきました。
○土岐会長 私からコメントで、最近、いろいろな病院の評価をやっていますけれども、サイトビジットといいますか、ページのビューは減っていますね。みんな、AIに吸い取られてしまって、AIのところだけみんな検索して、AIのコメントだけ見て、それで終わってしまう人が多くなっていて、どの病院もホームページを見てくれないといいますか、減っていると悩んでおられたので、そういうところもあって、患者さんがどこから情報を得るのか分からないのですけれども、SNSがいいのか、AIのコメントでいくのか。その辺りは今後どんどん複雑になりそうな気がしました。
私からのコメントでございます。
ほかはよろしいでしょうか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 山崎でございます。31ページの小児がんの分野で少し意見を述べさせていただきたいと思います。
先に、長期フォローアップのことをお話しさせていただきたいと思います。長期フォローアップについて知っていると回答した小児がん患者の割合だけが用いられておりますけれども、実際、晩期合併症も含めた、いわゆるトランジットの治療は成人医療の領域となってきますので、成人医療との連携が不可欠になりますので、成人医療のほうの認知と受入れの実態評価も必要と考えております。もちろん、晩期合併症の情報収集も必要であると思いますので、こちらをお願いしたいと思います。
それから、230204です。この研究開発の推進の部分に関しましては、拠点病院に関する治験数というところの評価になっております。それで、落ちているのですけれども、積極的な取組、拠点病院の指定要件を考えると、治験数というものは積極的な取組の一つで評価することも妥当なのですけれども、がん対策の観点からは、希少がん、小児がんを含むものについては、拠点病院だけではなく、全国の治験実施状況を一元的に把握して、治療や研究開発の進展のためにも評価として反映させることが重要ではないかなというふうに思います。
また、患者申出療養制度、小児の場合、特定臨床研究として実施していただいておりますけれども、それらの申請資料というものは薬事承認に利活用ができないという問題もありますので、データが少ない小児がん、希少がん領域の研究開発推進のためには、次期の基本計画にはぜひ具体的な指標と評価が必要ではないかというふうに考えております。
以上になります。
○土岐会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
では、先に、河田委員、どうぞ。
○河田委員 ありがとうございます。小児のところと、少し全体的なところでコメントさせていただきます。
同じく32ページですが、小児がんに関しまして、若干、やはり気になるところとしまして、特に支援職の方を中心に、こちらはベースライン値から測定値に対して人数のほうが大幅に減少しているという現象についてです。どのような要因が考えられるのか、どういったことが起こっているのかといった実態調査は必要ではないでしょうか。特に、これは小児に関しましては、先ほど来、拠点の集約化という議論が行われている中で、実際に患者さん自身の全体数が減少したとしても、拠点に集まる患者さんの数自体が大きく減るということはないように思われます。そうした中で、適正な医師あるいは支援職の数というものがどの程度なのかといった議論がまず必要であり、それに基づいて、さらにこうした人数の増減に関する評価というものが必要にはなるのではないでしょうか。
ただ、現状の中間アウトカムなので、まだベースライン値しか見えないものではありますが、十分な、例えば小児がん相談支援の実際に悩みが相談できているかとか、フォローアップができているかといった数字が決して高くない数値であることを考えますと、現状ですら、まだ支援が行き届いていない状況で、スタッフが減っているということに関しては憂慮しております。
次に、高齢者の件等につきまして、先ほど服部委員からもありましたが、既に100%になっている指標というところに関してです。こちらはそれ以外の場所についても既に100%、指定要件に既に入っているものであるとか、そうしたものを残していくのかというものは非常に議論が必要かと思います。
特にこの高齢者のことにつきましても、やっていないという施設がこれから出てくるとは考えられない中で、どのような地域連携が実際に行われているのかということを評価していくことが、具体的な高齢者のがん患者の方のQOLの改善や治療率の改善といったアウトカム指標、その後のアウトカム、最終アウトカムに向けたところに影響するかと思いますので、その点は指標の再検討についてお願いいたします。
以上となります。
○土岐会長 ありがとうございました。
米田委員、どうぞ。
○米田委員 小児血液・がん学会を代表しておりますので、その立場から一言。
まず、全体的なこととして、AYA世代のがん対策ということについては、最初のときにいろいろ御意見もありましたが、いわゆる成人のがんに罹患しているAYAの若年成人というものと思春期の人とは疾患内容も違いますし、悩んでいらっしゃることも違う。やはりそれに応じた対応をしていかなければならないので、例えば15歳から39歳という幅広い年代ではなく、もうちょっと小さく区切る、15歳から29歳とかというAYA世代の定義もありますので、そういう観点からの検討も必要かなというふうに思います。
もう一つ、先ほど河田委員からも御指摘のあった32ページの、もろもろの医師の数、看護師の数、専門家の数というところなのですが、これはベースにやはり少子化というものがあって、小児科ユニットがどんどん減っているという現況で、単なる人数の比較はどうかという点。それから、これは我々の拠点病院の現況報告の集計の問題もあって、例えば私が担当する小児外科の手術は、この上から2番目の、拠点病院等で小児の手術に携わる、小児がん手術に関して専門的な知識及び技術を有する医師の人数というものが問われているのですが、これはNCDという手術のデータベースで私が概算したところ、年間、日本中で行われている小児がん、小児外科医が担当する小児外科の手術というものは400か500ぐらいです。そこにこの593人とか581人という専門家がどういう意味を示しているかというもので、実は恥ずかしながら、成育の現況報告書を見ますと、我々の外科チーム全員をカウントしているのです。小児外科チームは8人おるのですけれども、それを全員カウントしていることになります。恐らく全ての小児がん拠点病院、連携病院で同じことが行われていると思いますので、これはその実態を表しているものではないということは言えると思います。
ただ、現況報告というものは客観的な数字ですので、これを集計していただいて、今日、小児がんセンターのほうで集計しているデータで、外科医で、小児がん認定外科医という、うちの学会が認定している認定医の数だけ見ていきますと、拠点病院で38名、連携病院で73名で、合計すると112名というものは、大体、その辺が妥当な数字かなというふうに思いますので、これは薬物療法もそうですし、放射線療法に至ると、大学病院で、ちょっとでも小児の放射線治療をした方を全員集計しているので、これはすごい数字になっているのですが、小児の放射線療法はそもそも、それほどの数はありませんので、こういうところの評価というものが全部Cになっているのでびっくりするのですけれども、ここは慎重に評価しないといけないかなというふうに、これを見て、小児がんの医療体制が下がってきて、クオリティーが下がってきているとは私自身、肌感覚とは合わないものがあるので、データはデータですが、その評価については注意が必要かなというふうに思いました。
以上です。
○土岐会長 大変貴重な御意見ありがとうございます。
どうぞ。先に早坂委員のほうが手を挙げておられましたので、よろしくお願いします。
○早坂委員 すみません。早坂です。私は1点です。
31ページで、コア指標以外のところで、230205で載っているAYA世代のことなのですが、社会制度等がないと書いてあって、34ページの一番最後のところに書いてはあるのですが、もう一回強調してお願いしたいのは、やはり本当にAYA世代の方の社会資源がないです。これは市町村とか都道府県によって、あるところもあります。障害者のサービスを使えるようになったりとか、そういうところもあるので、ぜひ都道府県ごとといいますか、行政の単位といいますか、そういうところで、どのようにAYA世代の方の、主に在宅の社会資源について提供しているかということをぜひ調べていただいて、好事例を出していただくとかして、それこそ、ここに書いてあるように、急ぎ制度を整えていただきたいと思いまして、一言、意見を言わせていただきます。
すみません。以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
それでは、服部委員、どうぞ。
○服部委員 ありがとうございます。先ほどの米田委員のお話に賛同するところがあり、発言させていただきたく思いました。
小児がんと若年成人はやはりあり方が全く違うと思っています。私は就労支援をしていて感じることが多いのですが、特に社会に出る前にがんになった人と、社会に出てからがんになった人では、対応も支援内容も全然違うのです。AYA世代という一括りとなると、どうしてもその違いが曖昧になり、小児・A世代・YA世代、それぞれに必要な取り組みが行われないところがあります。
さまざまな医療機関でAYAチームが結成されています。しかし、取り組みのターゲットはニーズの高いYA世代の妊孕性やアピアランスであることが多く、例えば小児がん経験者の長期的な心理社会的な課題などはなかなか取り組みが進まないと感じています。AYA世代としての大きな括られ方が、少数の課題を埋没させているのではないでしょうか。ここはもう少し細分化し、丁寧に課題を扱っていくことが必要ではないかと思います。
以上です。
○土岐会長 大井委員、どうぞ。
○大井委員 今の服部委員の発言に追加です。
AYA世代といったときにも、妊孕性という課題は、結婚する前であったりとか、結婚して間もなくであったりとか、そういった状況の人たちと、今、実は我々が国立がん研究センター東病院と関わりを持って取り組もうとしているのが、AYA世代の中でも、子育て世代のAYA世代というものも存在していて、その人たちの支援です。実際、国立がん研究センター東病院には月に50人ぐらいそうした患者さんが来られているということです。そういった人たちの支援というものは全くここに記載されていないので、やはり状況に応じて、小児であったりAYA世代のこれから将来を設計していくような人たち、それから、将来設計はあるのだけれども、その途中にがんになってしまって先が見えなくなってきてしまった人たちということにかけて、非常に細かく分けて、いろいろ評価をしていただけるような指標立てというものをお願いしたいと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
大分、議論も出てまいりましたが、よろしいでしょうか。
皆様、まだまだ御意見がおありだと思うのですけれども、恐らく会議の時間とかを気にしておられて発言を遠慮されている方も多いと思いますので、ぜひ追加の御意見につきましてはメールで、およそ1週間以内をめどにして事務局のほうに送っていただけましたら、またそちらのほうを参考にさせていただきたいと思っております。
それでは、今日は埴岡参考人に、各論についてはかなり、なかなか御理解が難しいところもあるかもしれませんけれども、総論的な問題も大分出てまいりましたので、もし御助言等いただけましたら幸いでございます。埴岡参考人、よろしくお願いいたします。
○埴岡参考人 それでは、参考人として控えておりましたけれども、せっかく出席させていただいておりますので、少しコメントをさせていただきたいと思います。
私は1期からこの協議会を見ております。以前、がん対策は「量の時代から質の時代」ということで変わっていかなければいけないという話がありました。今は、さらに「効果の時代」ということ。特に、もともとがん対策推進基本法の趣旨から、がん患者さんのため、家族のためにということですので、ロジックモデルの右側に患者さんの状態を置いて、それに全てがつながっていくような形で追い求めていこうということ。皆さんの取組に敬意を表するところです。
このプログラム評価というものを資料2-2にあるように進めていくということで、局長、課長以下、皆さん、委員の方々、取り組まれており、大変意義があることです。一方、これは一朝一夕にはできないことで、過渡期を経てつくり上げていくというところがあると思います。皆さん、今回、資料を見て作業されたときも、とても多く新たな情報が得られたところと、今日も委員の方々の議論がございましたけれども、だからどう考えればいいのかという、かえって迷いが増えるところも出てきたかと思います。これは一つの過渡期でございますので、ここを乗り切っていかなければいけないところかなというふうに感じた次第です。
プロセス評価におきましては、皆さん、資料を御覧になって、見る観点としては、施策は実施されたか、アウトプットは生まれているか、関係者はどう感じているかということだったのですけれども、もう少し情報が欲しいと思われたところもあるかもしれません。2点観測であっても、十分にその活動自体がされていないという疑いがあるというようなことなど、たくさんの発見もあったかと思います。けれども、いろいろな質的情報、どういう内情なのかとか、そういうところも知りたいところがあったかもしれません。そういうことの情報はだんだん増やしていかなければいけない。
インパクト評価に関しては、これもまたさらに難しかったのではないかと思うのです。アウトカム自体、高ければいいものが低いとか、より下がっているということで、かなり疑いがあると思われたこともあるかもしれません。一方で、3点観測の情報がないとトレンドが分からないから判断しにくいというところもあったかもしれません。さらに複合的な判断としては、アウトプットが上がっているのにアウトカムが下がっているとか、アウトプットも下がってアウトカムも下がっているとか、かなり問題点を感じるところもあったでしょう。それでも右サイドのアウトカムも左サイドのアウトプットもデータが不十分ということで、想像はできるけれども、断定できないとかというところがあったかと思います。前回の協議会で私がお話ししたように、情報を読み取るという事実認定の段階から価値判断をするというところにおいて、過渡的な御苦労が大分あったのではないかなと思います。
ただ、懸念の洗い出しとしては、第3期の中間評価のときに比べて格段に情報量が多くて、建設的な意見集約になっているというのが、僭越ではありますが、私の感想でございます。
冒頭、ロジックモデルの改定の話が河田さんから出ました。今回はプロセス評価とインパクト評価に注力をするということです。けれども、当然、次に4期計画から5期計画をつくるわけですね。私が想像するのは、1期、2期、3期、4期と計画の内容を大幅に変えてきましたので、当然、5期計画では一定の変更が行われるのだろう。それで、今回はロジックモデルを導入したわけですから、5期をつくるときは、ロジックモデルをつくってから計画文をつくるというプロセスになっていくのが自然だと思います。そのときは計画変更、すなわちロジックモデルの改定・改修というものが、指標の改定も伴って行われるのだろうというのが、一人の観察者の見立てでございます。今回、皆さんの御意見を参考資料8で見ますと、ロジックモデルと指標自体に関するご意見も多々あって、それが記録に残って、5期改定のプロセスに引き継がれていくのではないかと思っております。
指標に関しまして。ロジックモデルを4期で入れたことは大変よかったのですけれども、やはり時間不足の中で過渡的なものになっている部分もあると思います。5期に向けてつくりこんでいく。そうすると、ロジックが入れ替わると指標も入れ替わるということになります。もともと開発が必要な指標に関して暫定的に代理的な指標をあてがっているということもあって、指標の開発なども頑張っていかなければいけない。
今回、コア指標を決めたということは、やはり暫定的なところが残らざるをえない。指標を測る中で、解析をして分かってくることもあるとおっしゃった委員がおられました。ロジックモデルが安定して、かつ指標も安定してきた中で、かつ47都道府県の2点観測がある中で、このアウトプットがすごく上がる地域はアウトカムがよく上がっているみたいなことが見えてくれば、これもスクリーニングであってクリアカットに解釈が分かるものではないと思うのですけれども、ロジックモデルの各要素の寄与度が見えてくる時期がやってくる。そうした流れの中で、いわゆる評価文化を醸成するためにステップを踏んでいかなければいけないということだと理解しております。
これは島根県の谷口先生の御関心のところだと思います。今回、都道府県向けのデータ集を国が出してくださって、47都道府県は多くの指標において大きな差があるということが分かりやすく示されました。47都道府県の中でアウトカムが悪いところがよくなると国全体がよくなるはずです。国の都道府県へのメッセージとしては、今回、中間評価の仕方を率先垂範したこと。また、都道府県へのメッセージとしては、かなり指標の数値に差のあるところがよいところに収れんするということが国全体を上げる、ということです。そういうガイダンスも、今後さらにともなっていくのかなと思ったところです。
長くなって恐縮です。ファーストラウンドで、今回、プロセス評価、インパクト評価されて、御苦労はあったとは思うのですけれども、少し感触がつかめたのではないかと思います。資料2-3にある各ページの「進捗状況の評価」「さらに推進が必要と考える事項」の箱のところで取りまとめが行われており、これが報告書にまとまっていくと思います。これで十分なのかということ、セカンドラウンド、サードラウンドでどういうふうに皆さんが意見を集約されていくのか、着目していきたいと思っているところです。
以上、コメントさせていただきました。ありがとうございます。
○土岐会長 埴岡参考人、大変ありがとうございました。委員一同を代表しまして、本当に深くお礼を申し上げます。
それでは、皆様、よろしいでしょうか。
最後、また私からコメントということなので、できる限り協議会の前に委員の先生からの御意見をたくさん頂戴したいと思っております。もっと具体的に、例えばこの部分を加えてほしいとか、この部分はどうなのかとか、今回、四角のところが多分問題になってくると思いますので、明確にこういうふうにしてほしいというものはできる限り事前にいただけますと、こちらのほうでしっかり検討してまいりますので、それをまた、この協議会の場でもう一度発言していただく。そういうふうにしますと非常に理解がしやすいので、皆様の希望がかないやすい有意義な検討会になると思っております。
なので、また次回以降も続いていきますけれども、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事は以上となりますので、進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大井課長補佐 本日は、活発に御議論いただきましてありがとうございました。
今回、5期に向けましての御意見も頂戴しているところではございますが、4期の中で取り組むべき事項というところにつきましては、土岐会長とも相談しながら反映させていきたいというふうに思っております。
連絡事項としまして、前回の協議会にて御報告しております「がん情報サービス」に掲載しております「第4期がん対策推進基本計画 ロジックモデル/評価指標(都道府県単位)」のデータを公表しておりますが、10月2日付でダウンロード用データに中間測定値を追加したものを公表しておりますので、御報告いたします。
また、今後の協議会の予定でございますが、次回は「がん予防・基盤整備」、その次につきましては「がんとの共生」の議論を予定しております。各分野の議論の後に、本日の議論も踏まえまして、協議会で全体を反映したものを御提示し、御議論いただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
次回以降の日程につきましては、また追って御調整させていただければと思います。本日は長時間、どうもありがとうございました。
照会先
健康局がん・疾病対策課
代表03-5253-1111(内線2066)



