中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第239回議事録(2025年10月8日)

日時

令和7年10月8日(水) 診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」 終了後~

場所

全国都市会館大ホール 2F

出席者

構成員等
  • 城山英明部会長
  • 小塩隆士委員
  • 本田文子委員
  • 笠木映里委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 奥田好秀委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 藤原尚也専門委員
  • 越後園子専門委員
  • 荒川隆治専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 令和8年度薬価改定について

議事

○城山部会長
ただいまより、第239回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、佐保委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○城山部会長
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
本日は「令和8年度薬価改定について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料薬-1の2ページを御覧ください。
今回から個別項目について議論を進め、今日は新薬に関わる内容について御議論いただきます。
3ページ、本日御議論いただく内容でございます。
4ページ、まず、新規モダリティ等の革新的新薬のイノベーション評価についてでございます。
5ページは、業界団体から柔軟な類似薬の選定に関して意見が出され、6ページは、類似薬の選定のルールと作用機序等に共通性があれば、効能・効果が違っても類似薬を選定している例を示しております。
7ページは、現在、厚生労働省の補助金による研究班において、革新的な医薬品に対する薬価上の評価指標等を検討しており、8ページでは、業界団体からも、この研究班における検討も踏まえ、引き続き議論が必要との意見が出されております。
9ページ、論点といたしまして、研究班の結果も踏まえて、類似性の判断等について議論することとしてはどうかということとしております。
10ページからは、原価計算方式についてでございます。
11ページは変遷、12ページはイノベーション評価の経緯の模式図です。
平成30年度から算定価格全体への加算とした一方、原価の開示度に応じた加算係数の設定が行われ、令和4年度からは、開示度が50%未満の場合は、加算係数がゼロに引き下げられております。
13ページでは、開示度の現状を示し、製造原価の開示度が50%未満の割合は、平成30年度以降の全体で63%、そのうち加算係数をゼロに見直した令和4年度以降は73%でございました。
14ページは、補正加算率と開示度の関係。
15、16ページは、業界団体からは、製造原価の開示が難しい理由が示されております。
論点といたしましては、原価計算方式における薬価の原価の開示は重要であるところ、開示度が低いため、補正加算が薬価に反映されない例がある一方、医薬品のサプライチェーンの複雑化等により、原価の詳細な開示が難しくなっているという状況がある中、薬価の透明性の確保についてどう考えるかというものでございます。
17ページからは、原価計算方式における販売費及び一般管理費、いわゆる販管費についてでございます。
販管費は、医薬品製造業の平均的な係数の3年平均を上限として用いることとしておりますが、18ページ、業界団体からは、低分子医薬品について、希少疾病用医薬品の場合は、販管費の係数の上限70%というのがございますが、これを撤廃してほしいという意見が出ております。
19ページは、販管費の係数が上限70%と設定された経緯。
20ページは、現行ルールでは、妥当とされる場合には、係数の上限を超えることを認めており、平成30年度以降、2成分について認められております。
論点といたしましては、原価計算方式による販管費の計上では、特例的な上限である70%を超えて計算することも可能であるところ、過去は2品目で80%程度であったという中、この取扱いについてどう考えるのかについてでございます。
21ページは、先ほど説明した論点が記載されております。
続きまして、22ページ「薬価算定時の加算と薬価改定時の加算の整合性」についてでございます。
23ページ、薬価算定組織からは、算定時期の違いによる加算の適否に関して、3つの意見が出されております。
24ページ、まず1つ目「規格間調整のみによる新薬算定における補正加算」で、25ページは、規格間調整のみによる新薬算定時の加算項目と、改定時の加算項目の比較。
26ページは、規格間調整のみによる薬価算定では、比較薬である既収載品と加算項目に違いが生じる例。
27ページは、令和6年度以降、規格間調整のみで算定された例でございます。
仮に、効能追加が海外より早く、迅速導入加算の要件を満たす場合には、比較薬は改定時加算の対象となり得る一方、規格間調整のみにより算定された場合では、直接これを評価する項目がないため、加算されないということになります。
論点といたしましては、規格間調整のみで算定される新薬と比較薬である既収載品とで加算に違いが生じることがあるが、このことについてどう考えるかとしております。
28ページ、2つ目「標準的治療法に関する改定時加算の評価」についてでございます。
29ページは、現行ルールで標準的治療法、つまり国内ガイドラインに一定程度評価され、記載された場合には加算をするという評価がございますが、30ページ、令和6年度に運用の見直しを行いまして、海外のガイドラインに記載されている場合も加算の対象として評価を行ってまいりました。
太字の部分が海外ガイドラインを参考にしたものでございます。
31ページは、薬価算定組織での議論の抜粋でございます。
革新的な新薬であるほど、薬価算定時の時点で臨床的位置づけは決まっていないケースが多くあり、薬価収載後に国内のガイドラインに標準療法として位置づけられる場合であっても加算の対象となり得ないということになります。
論点といたしましては、薬価収載後に標準的治療法となることもあるが、その場合の薬価上の評価についてどう考えるのかとしております。
32ページ、3つ目「市場性加算及び小児加算の併加算」についてでございます。
33ページは、新規収載時の補正加算の概要で、市場性加算(Ⅰ)、いわゆるオーファン効能を追加した場合の加算でございます。それと、小児加算の併加算は認められておりません。
34ページ、下の左側でございますが、薬価収載時に市場性加算(Ⅰ)を受けている品目は、小児の用法・用量等が追加された場合、薬価改定時に小児加算の適用となりますが、右側、希少疾病の効能を成人と小児で同時開発した場合には、算定時には、市場性加算(Ⅰ)と小児加算の併加算は認められておりません。
論点としては、このことについてどう考えるかということにしております。
次、35ページについては、これに附随してでございますが、近年、小児適用の早期開発が進んでおりますが、算定薬が小児加算の要件に該当しない場合でも、小児加算を含めた比較薬の薬価と1日薬価合わせが行われ、その後、小児用の用法・用量が追加されない場合でも、算定薬の薬価はそのままでございます。
論点としては、このような場合における1日薬価合わせの方法についてどう考えるかでございます。
36ページは、以上の論点をまとめて記載したものでございます。
37ページからは「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」、いわゆる新創加算についてでございます。
38ページは本加算の経緯、39ページは令和6年度の改革において、市場実勢価格に基づく算定値から薬価までの加算を行い、薬価を完全に維持できる制度となっております。
40、41ページでは、業界団体から分かりやすく薬価を維持する制度とすること、特許期間中は薬価を維持し、期間満了後は価格を下げて後発への速やかな置き換えを促進するようなもの等の要望が出され、42ページ、論点といたしましては、現在、新薬創出等加算について、より伝わりやすいメッセージとするための方策についてどう考えるのか。
そして、後発品上市後、または収載15年後の価格について、これまで加算の累積額を控除して引き下げていたが、これについて、どう考えるかとしております。
43ページからは、市場拡大再算定についてでございます。
44ページは、その経緯、45ページは、現在の制度の概要、46ページからは、業界団体からの意見で4つございました。
まずは、47ページ、市場拡大再算定の類似品について、業界団体からは、これの価格調整の廃止が要望されております。
48ページは、現行ルール。
49ページは、令和6年度に導入いたしました、中医協であらかじめ特定した領域を類似品の適用除外とするルールで、PD-1/PD-1リガンド結合阻害作用、それから、ヤヌスキナーゼ阻害作用が設定されております。
論点といたしましては、令和6年度に導入したルールも踏まえ、市場拡大再算定の類似品の取扱いについて、どう考えるかとしております。
50ページからは市場拡大再算定の特例で、業界団体からは特例の廃止が要望されております。
51ページ、市場拡大再算定の特例につきましては、平成28年度改定におきまして、イノベーションの評価と国民皆保険の維持を両立する観点から、既存制度の延長線上ではなく、年間販売額が極めて大きい品目に対する特例的な取扱いとして設けられております。
52ページ、平成30年度以降、特例再算定の対象品目の一覧でございます。
論点といたしましては、設定趣旨も踏まえ、年間販売額が極めて大きい品目の取扱いに係る特例の在り方についてどう考えるかとしております。
53ページからは「希少疾患、小児の効能追加等における市場拡大再算定」でございます。
業界団体からは開発促進に取り組んでいる希少疾患や、小児の効能追加を市場拡大再算定の適用要件から除外することが要望されております。
54ページ、これまで原則、小児、希少疾病の効能追加のみをもって、市場拡大再算定の対象品である当該既収載品の使用実態が著しく変化した既収載品に該当するとは判断しておりませんが、算定ルールには、その旨を明記していない状況でございます。
論点としては、これまで適用要件について柔軟な対応を行ってきたが、これについてどう考えるかとしております。
55ページ、また、業界団体からは、再生医療等製品については、医薬品と異なり、大量生産ができず、スケールメリットが得られないため、市場拡大再算定の対象から除外することが要望されております。
論点といたしましては、再生医療等製品と医薬品の特徴の違いを踏まえ、再生医療等製品における市場拡大再算定の適否についてどう考えるかとしております。
56ページからは「有用な効能追加に対する引き下げ率の緩和」でございます。
業界団体からは、新薬収載時と同様に、有用性系の加算を市場拡大再算定時にも適用すべきということが要望されております。
57ページは、令和6年度改定時の論点や業界団体からの意見で、58ページが新薬収載時の補正加算で、左の赤枠の囲みが、有用性系の加算に該当いたします。
59ページ、有用な効能及び効果等が追加された場合には、改定時加算と同様の補正加算を行うこととしており、収載時の有用性加算に相当するものは、補正加算の対象とは、現在されておりません。
論点といたしましては、有用な効能追加に対する補正加算について、改定時加算との整合性を踏まえてどう考えるかとしております。
60ページは、先ほどの市場拡大再算定の論点をまとめて記載したものでございます。
61ページ以降は参考資料となります。
説明は以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、御意見等ございましたら、お願いいたしたいと思います。
江澤委員、お願いします。
○江澤委員
ありがとうございます。
まず、論点に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、9ページの論点につきまして、現在進められている研究の結果を踏まえて、その活用をするかどうかも含め、今後、中医協で議論したいと考えております。
続きまして、21ページの論点でございます。
まず、補正加算と開示度の関係ですけれども、サプライチェーンの複雑化などの要因は理解いたしますが、内訳が不明確な価格を基に加算をつけることは、薬価の透明性を確保するという取扱いとは相入れないものであると考えております。
現状、具体的にどういった取組を行った結果、どうであったのかという事実関係もよく分かっておりません。
一企業の対応として難しいということであれば、業界全体として、原価の開示に向けた環境を整備していただくなど、現行ルールの中で開示度向上のための努力を継続していただくのが、公的医療保険制度における薬価の在り方として、目指すべきところではないかと考えております。
次に、販売費及び一般管理費の上限については、現行でも特例的な上限である70%を超えて計算することも可能ということであり、その上で、業界から上限緩和の要望が出るということは、その取扱いが関係者に周知されていないという点にも問題があるようにも思いますので、ルールの明確化を検討してはどうかと考えております。
続きまして、36ページの論点について、意見を申し上げます。
規格間調整のみによる新薬に対する補正加算の件については、過去の算定例ももう少し詳しく見せていただければと思いますが、新たな効能を別製品として開発するのか、あるいは既存薬の規格追加で対応するのか選択するのは、企業の開発戦略の問題でもあり、既収載品と新規収載品で加算に違いを生じ得るものともなり、慎重に検討すべきであるとも思っております。
また、収載後、標準的治療法となった場合における改定時加算の件については、標準的な治療法を変えるような革新的な新薬を開発しても評価されないという側面があるということは理解いたしておりますが、標準的な治療と位置づけられれば、当然、市場が拡大してくるはずですので、その点も踏まえた評価方法についても検討すべきと考えております。
希少疾病用医薬品を成人と小児で同時開発した場合に、市場性加算(Ⅰ)と小児加算の併加算が認められない、この件につきましては、小児用製剤の開発を促進するという意味でも、併加算を認めてよいのではないかと思っております。
小児加算を受けている品目を比較薬としたものの、小児の用法・用量が追加されなかった場合については、比較薬に加算をつけて評価した趣旨を逸脱しているものでもありますので、適正化を図るべきと思っております。
続きまして、42ページの論点についても意見を申し上げます。
現行の新薬創出・適応外薬解消等の促進加算は、平成22年度薬価制度改革から試行的に導入され、現在に至るまで10年以上の歳月をかけて検討され、現在の形に至ったものですので、累積額の控除も含めて、これまでの経緯も踏まえ、変更できるものではないと考えております。
ただ、この加算が通称として新創加算などと呼ばれているように、用語やその内容が分かりにくいということであれば、国による丁寧な情報発信をするなど、制度の趣旨を損なわない面での対応は検討してもよいのではないかと思っております。
続きまして、60ページの論点について意見を申し上げます。
まず、市場拡大再算定の類似品、いわゆる共連れの件ですけれども、現在のPD-1/PDL-1やJAK阻害のほかに、今後どのような事例が想定されるのか、検討する必要もあると考えております。
あわせまして、類似品としての再算定の適用を除外する領域について、基準あるいはルール設定も必要ではないかと思っております。
2つ目の市場拡大再算定の特例につきましては、市場が大幅に拡大した場合における薬剤費の適切な配分メカニズムとして、現在も非常に重要な役割を果たしており、国民皆保険維持のため、今後も必要な制度であると考えております。
3つ目の希少疾患、小児の効能追加における市場拡大再算定については、資料に示されているとおり、これまでの運用として、原則、小児希少疾病の効能等の追加のみをもって、市場拡大再算定の対象品目に該当とは判断していないとのことですので、そうした実績をしっかりと公表していくべきであると考えております。
4つ目の再生医療等製品における市場拡大再算定については、業界団体が説明されているとおり、再生医療等製品は医薬品と異なり、大量生産ができないという状況において、予想販売額を大きく上回るという事態が起きることがあるのかどうか、そういった点にも疑問もございますので、もう少し状況を見ていく必要があると考えております。
最後に、5つ目の市場拡大再算定時に有用系加算を適用してはどうかという点につきましては、有用性系加算、すなわち医薬品の画期性や有用性を評価するものと、市場拡大再算定における補正加算、すなわちドラッグ・ロスを解消する企業の取組を評価するもの、これらの趣旨の違いを踏まえた検討が必要であると考えております。
以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかに御意見いかがでしょうか。
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
お示しいただいた論点などについて、幾つかコメントと質問をさせていただければと思います。
まず、9ページ目に示された論点について異論はありません。
その上で、類似薬の選定の仕方によっては大きな影響がありますので、より適切な評価となるように研究結果を参考にして議論を進めていくべきだと考えます。
2点目ですけれども、原価計算方式の開示度について、まず、事務局に質問になりますが、薬価の透明性を確保する観点から、令和4年度の改革で開示度の50%未満の加算係数をゼロに引き上げました。それ以降で、開示度の向上につながったのか、特に50%未満の中での開示度の動きなど、分かれば教えていただきたいと思います。
次に、36ページ目に示された論点についてですけれども、どれも整合を取る形で見直していくべきと考えます。
最後に、60ページ目に示されている市場拡大再算定に関する論点についてです。
イノベーションの評価と国民皆保険の堅持を両立する観点は重要であり、イノベーション評価の観点から、市販後臨床現場で真の有用性が評価されたものについては、再算定時に一定の評価をする仕組みが既に設けられていると承知しています。
一方、市場拡大再算定は、医療保険制度における薬剤費の適正な配分メカニズムでありますが、真に有用性が評価された場合の仕組みについて、今後も必要であれば、適宜見直しが必要であると考えます。
また、市場拡大再算定の類似品についてですけれども、江澤委員からありましたけれども、今後一定のルールを設けた中で、どういうものを扱うのかということを検討すべきと考えます。
以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
最初のほうの原価の開示について御質問ございましたので、事務局、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
薬-1の13ページを御覧いただければと思います。
こちらのほうは、平成30年度から現在まで原価計算で算定されました108成分、全体として63%が50%未満であったと記載をしており、そのうち令和4年度以降が、73%が50%未満とあります。
この差分を見ますと、平成30年度から令和3年度までの間でございますが、差分といたしまして59成分あって、32成分が開示度50%未満ということで、約54%ということで比較をしますと、令和4年度以降のほうが、開示度が低い、50%未満の品目が増えているという形になっております。
内訳でございますが、50%未満でもいろいろ状況がございまして、半数以上が20%未満のものになっているという状況でございます。
こちらも、大体輸入が多いのですが、日本にどの段階で来るのかということで、完全完成品で来ますと、国内での費用というのは非常に少のうなりますので、その中のもともとの原価が開示されないと低くなってしまうと。
原末とかの段階で入ってくると、日本での製造工程が入ってきますので、そういうこともあり、国内での製造比率が高いと企業としては把握しやすい原価率が出てくるということで、そういう工程のところも違いになっているのかなと思っております。
以上です。
○城山部会長
森委員、追加でどうぞ。
○森委員
御回答ありがとうございます。
ということは、令和4年度に薬価の透明性を確保する観点から、開示度による係数の引下げを行ったのですけれども、それから効果がないということでしょうか。
○城山部会長
事務局、お願いします。
○清原薬剤管理官
事務局でございます。
効果がないというか、1つは大きな評価ができるように令和6年度はお認めいただいておりまして、これを企業が、やはり薬価に反映したいと思えば努力をしていくというような形になっておりますので、今、めり張りということで、50%未満はゼロという大きな違いを設けておりますので、これが各企業それぞれどのように考えて取り組んでいくのかによるのかなと思っていますので、恐らく、ルールが令和4年度から今まで多少時間がかかっておりますが、改善しようという企業については、開発当初から原価のほうの積上げについて努力もされているところもあるのではないかなと思います。
○城山部会長
森委員、どうぞ。
○森委員
ありがとうございました。
まずは開示度の向上に向けて、各企業は努力をしていただきたいと考えます。それが基本になるかと思います。
ただ、16ページに示されている課題の通り、同一グループによる移転価格の場合と、独立系の企業による独立企業間価格の場合の基準というものは、今後も同じ基準でよいのか、また開示度が低いと、先駆加算や迅速導入加算などが評価をされても反映されません。ドラッグ・ラグ/ロスが進行してしまうのかなどの視点も踏まえて、引き続き議論をしていくべきと考えます。
以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
本日のテーマにつきましては、イノベーションの評価と国民皆保険の持続性のうち、市場拡大再算定ですので、新薬の世界でのこの2つのバランスという視点で、最初に基本認識を申し上げたいと思います。
まず、イノベーションの評価については、令和6年度薬価制度改革で、かなりの充実をした結果、企業の方針や戦略にポジティブな影響が出ているとは受け止めておりますけれども、実際の開発には、まだ十分に結びついているとは必ずしも言えない状況だと理解をしております。
今の制度に不備があるとすれば、議論すること自体は否定いたしませんけれども、単純にもっとイノベーションを評価するという観点では、時期尚早ではないかと考えております。
一方で、市場拡大再算定は、新薬において患者負担、国民負担の軽減に貢献していただくための仕組みです。
基本的には現行の仕組みを守り、さらには高額医薬品が増加している状況も踏まえますと、将来に向けて国民皆保険の持続性を高めるために、ぜひとも御協力いただきたいと思っております。
それでは、各論点に沿ってコメントいたします。
まず、9ページの新規モダリティ等の評価についてですけれども、現在でも類似薬については柔軟に判断している部分もあり、業界が主張されているように革新的新薬は、原価計算方式の算定が多いから、価値に見合った薬価にならないというだけで、類似薬の範囲を広げることは正直難しいと考えます。
ただ、科学的合理性があるのであれば、それを示していただく必要がありますので、論点のとおり、研究結果を踏まえた議論には、異論はございません。
次に、21ページの原価計算方式についてですけれども、サプライチェーンの複雑化もあり、先ほどの評価にもリンクいたしますけれども、原価の開示が難しいという側面があることは、一定程度理解をいたしますけれども、一方で各委員が申し上げているとおり、透明性の確保が極めて重要だということは改めて指摘させていただきます。
また、販管費の取扱いについては、一定の制約は当然あるべきで、青天井というのはなかなか難しいと言わざるを得ないと感じております。
次に、36ページの算定時と改定時の整合性についてですけれども、小児適用のない場合でも、小児加算を含めて薬価をそろえるルールを是正するなど、適正化とセットで整理すべきだと考えております。
次に、42ページの新薬創出等加算についてですけれども、医薬品のライフサイクルに応じたメリハリだと考えております。
分かりやすさということでは、特許が切れた後も分かりやすく、それまでの実勢価と薬価の累積乖離部分につきましては、後発品の上市に合わせて直ちに解消していただきたいと思っております。
最後に、60ページの市場拡大再算定については、先ほども申し上げましたけれども、国民皆保険の持続性には不可欠な仕組みでございます。
類似品については、49ページにありますとおり、中医協の合意事項に従い、除外する領域の追加を検討することに異論はございませんが、共連れルール自体は、現段階では必要だと考えております。
また、市場規模拡大の基準についても、改めて検討する余地があると考えます。保険者の立場といたしましては、個々の製品だけではなく、市場を分け合いながら領域全体を拡大する場合、あるいは単価が高い薬剤の対応等も課題であると思っております。
再生医療については、そろそろ再生医療製品の薬価算定そのものを検討する時期だと思いますが、市場拡大再算定の中で特別な取扱いをする合理性は必ずしもないと思います。
私からは以上でございます。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
最初に市場拡大再算定の特例について、業界団体の皆様から御意見をいただいておりましたが、年間販売額が極めて大きい品目のみを対象としているものであり、国民皆保険の持続可能性を確保するに当たって、薬剤費の適切な配分メカニズムとして維持が妥当であると考えております。
また、新薬創出等加算の在り方について、論点が示されておりますが、どういった方策が取られるにしても、現行制度の要件を満たすもののみが対象であり、また、特許期間が終われば、後発品に市場を譲るという考え方のもと、現行の制度と同様に、加算の累積分相当の控除が行われることを前提とするべきと考えております。
以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
そうしましたら、先に奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
すみません、どうもありがとうございます。
私は、個別論点については触れずに、全体として考えるべきところとして、今までも国民皆保険の持続性とイノベーションの推進のバランスを取ることが重要であると申し上げてまいりましたけれども、ドラッグ・ラグ/ロスの解消が課題となる中で、国民負担の軽減はもちろん踏まえつつ、一方で、創薬イノベーションの促進に向けた配慮は必要であり、そうしたバランスを取っていく点も踏まえて検討していくことが重要であると考えております。
私からは以上です。
○城山部会長
ありがとうございました。
続きまして、笠木委員、お願いします。
○笠木委員
ありがとうございます。
私からは、市場拡大再算定の特例という制度について、1点だけ申し上げたいと思います。
こちらの特例については、文字どおりではございますけれども、市場が大きく拡大した場合、つまり薬剤の年間販売額が大きくなった場合に、特例的に価格を引き下げる、そういった特例制度という名称に現在なっておりますけれども、これですと、国民皆保険の維持のための特例的な引下げというような、この制度の本来の趣旨が十分に示せていない面があるように思われます。
先ほど新薬創出・適応外薬解消等促進加算につきまして、よりその制度の趣旨が伝わりやすいメッセージをどう出していくかという議論がありましたけれども、これと同様に、市場拡大算定の特例につきましても、あくまで国民皆保険制度維持のための特例的な価格引下げの仕組みであるといった趣旨を改めて明確にしていくとともに、そのような趣旨がよりよく伝わるような名称変更なども検討することも一案として検討に値するかと思います。
私からは以上です。
○城山部会長
どうもありがとうございました。
まず、委員のほうから、ほかに何かございますでしょうか。
よろしいでしょうか。そうしましたら、専門委員の方々からも御意見等ございましたら、いただければと思います。
では、藤原専門委員、よろしくお願いします。
○藤原専門委員
ありがとうございます。
私から3点コメントをさせていただきます。
1点は、先ほど委員の先生方から御質問いただいた、原価の開示度向上に向けた企業の努力という点でございます。
製薬企業といたしましても、例えば、製剤や原薬等を輸入している場合は、その当該企業に対して、日本の薬価算定ルールを説明して、利益を含めた原価構成を当局に開示してもらうようお願いしているところでございます。
しかしながら、取引先にとっては、その原価構成を外部に開示するというのは、なかなか一般的な商習慣としては難しいと認識しておりまして、特に外国企業の場合は、日本独自の薬価算定ルール、開示のルールというものを理解していただくことが難しいため、開示を断られるケースが多いと認識しております。
また、新薬の開発は国際的に進められているものが多く、委託なども含めて様々な企業が関わりながら進められているということですので、申請企業が自社の責任において開示できる費用の原価構成を全て開示しても、全ての原価情報を明らかにするということは困難でございまして、結果的に開示度が低くなってしまっているというのが実態でございます。
業界としては、こうした原価計算方式の課題も鑑みた上で、スライド9に記載があります研究班の検討結果も踏まえながら議論を進めていただきたいと考えております。
2点目でございます。スライド42に、新薬創出等加算に係る論点ということで、論点の1つ目に、より伝わりやすいメッセージと記載をいただいておりますけれども、製薬企業としても大変重要な観点だと考えております。
現在、多くのシーズを生み出している海外のスタートアップの企業等が、現行のような市場実勢価改定による引下げ分を、加算によって改定前の水準まで戻すという仕組みについて理解することは大変難しいという声をたくさん聞いております。
制度を設けたときの趣旨を踏まえつつ、革新的新薬については、特許期間中はシンプルに分かりやすく薬価を維持する仕組みとしていただき、そうしたメッセージを発信することは、日本市場の魅力度を向上し、ドラッグ・ラグ/ロスの解消につながるものと考えております。
最後3点目でございます。スライド60の市場拡大再算定に係る論点でございます。
希少疾患、小児の効能追加における市場拡大再算定については、これまでも柔軟な対応を行ってきたということでございますけれども、使用実態が著しく変化した既収載品には該当しないという旨を明確化いただくことで、企業にとっては予見性が高まりますので、希少疾患、小児のさらなる開発を促進することにつながると考えております。
私からは以上でございます。
○城山部会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見等もないようでしたら、本件に係る議論はこの辺りにしたいと思います。
最後、幾つかの文脈で名称のような課題もありましたが、全体的に整理していただいて、本日の御議論も踏まえて、事務局においては対応をいただければと思います。よろしくお願いします。
本日の議題は以上であります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の「薬価専門部会」は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。