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第15回循環器病対策推進協議会 議事録
厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課
日時
令和7年10月17日(金)10:00~12:00
場所
新橋ビジネスフォーラム(オンライン開催)
議題
- 1開会
- 2 コア指標の選定及び今後の中間評価の進め方について
- 3 脳卒中・心臓病等総合支援センターについて
- 4その他
議事
- 2025-10-17 第15回循環器病対策推進協議会
- ○松浦課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第15回「循環器病対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
私は事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の松浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、本日の協議会は、YouTubeにてライブ配信しておりますので、御承知おきください。
ウェブより御参加の委員におかれましては、ウェブ会議システムのカメラは常にオンの状態にしていただきますようお願いいたします。
また、御発言されないときは、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。御発言の際には、Zoomの「手を挙げる」機能にて挙手いただき、会長もしくは事務局から指名がございましたら、ミュートを解除し、初めにお名前をいただいてから御発言いただきますようお願いいたします。
なお、本日、チャット機能は使用いたしませんので、御了承をお願いいたします。
また、会場にて参加されている委員におかれましては、御発言の際には、挙手いただき、会長もしくは事務局から指名がございましたら、初めにお名前いただきまして、御発言いただきますようお願いいたします。
それでは、委員の出欠状況につきまして、御報告いたします。
本日、2名の委員より欠席の御連絡をいただいております。阿彦委員、木澤委員です。
また、大橋委員は遅れて参加されるとの御連絡をいただいております。
出席の委員につきましては、名簿をもって代えさせていただきます。
なお、本日は委員20名のうち、現在17名の方に御出席いただいており、1名遅れて参加されるとのことではございますけれども、定足に達していることを御報告申し上げます。
また、本日は、2名の参考人に御出席いただいております。
京都大学医学部附属病院脳卒中療養支援センター・もやもや病支援センターセンター長、循環器病総合支援委員会委員長の宮本享参考人、国立循環器病研究センター循環器病対策情報センターセンター長の飯原弘二参考人、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、資料を確認させていただきます。
議事次第、座席表、委員名簿、資料1、2、参考資料1から5までがございますので、御確認ください。
なお、資料につきましては、厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
事務局からは以上となります。
これからの進行は、永井会長にお願いいたします。
○永井会長 おはようございます。それでは、早速議事に入ります。
最初に「コア指標の選定及び今後の中間評価の進め方について」、資料1について事務局から説明をお願いいたします。
○松浦課長補佐 事務局でございます。
では、資料を1枚おめくりいただきまして、前回協議会において、コア指標案の選定の議論について、こちらにおまとめしております。
厚労科研「循環器病対策の推進評価法の確立を目指した研究班」である飯原班によって、第2期循環器病対策推進基本計画と第8次医療計画の指標の中からコア指標が選定され、協議会に提案されました。
血圧に関しましては、循環器病予防の最も重要な因子でございますけれども、研究班の選定によって、受療率よりコントロール割合のほうが重要であることから、高血圧性疾患患者の年齢調整外来受療率につきましては、コア指標から除外されたこととなっております。
また、前回協議会では、慶應大学の岡村参考人より、脳卒中、心血管疾患に資する危険因子について御発表いただきました。
その中で、国内の地域コホート研究24報のナラティブレビューより、危険因子の中で脳卒中、心血管疾患に対する人口寄与危険割合が最も大きいものが高血圧であるということが示されております。
そして、コア指標の選定に関する議論におきましては、岡村参考人の発表を聞いた中で、指標の中に高血圧そのものが含まれていないことが非常に気になったであるとか、例えば、健康日本21であれば、血圧の平均値というものを指標にしているものであり、検討いただくことがいいのではないかと思うという御意見がございました。
また、循環器病対策基本法では、予防というところが強調されており、予防として高血圧、脂質異常症、糖尿病等の指標をひとまとめにするという意見はあったか、あったのだけれども、点数化すると上位にこなかったのかという御質問であったりですとか、また、心疾患と脳卒中を発症するリスク因子の中で極めて重要性が高いため、血圧に関しては指標として採用すべきであるという議論がなされたことから、再度検討しております。
ページをおめくりください。
現在、血圧に関する指標等につきましては「高血圧管理・治療ガイドライン2025」「特定健診」「健康日本21」等において定められております。
「高血圧管理・治療ガイドライン2025」におきましては、本邦での一般集団のコホート研究に基づき、脳卒中、心血管疾患の発症及び死亡のリスクが有意に上昇するため、診断基準として医療機関で測定した血圧が140/90mmHg以上と設定されております。
また、高血圧患者におけるシステマティック・レビュー、メタ解析の結果として、脳卒中、心血管疾患の発症リスクを有意に抑制するというところから、降圧目標として、医療機関で測定した血圧が130/80mmHg未満というところも設定されているところでございます。
そのほか、特定健診(第4期)ですとか、健康日本21(第三次)におきましても、お示ししているような形で、血圧の指標というものが用いられているところでございます。
ページをおめくりください。
高血圧患者を対象とした脳卒中、心血管疾患発症に及ぼす血圧の影響についてでございます。
左の図にお示ししているのは、高血圧患者を対象としたシステマティック・レビュー、メタ解析の結果でございます。
血圧130/80mmHg未満を目標とした降圧が、脳卒中、心血管疾患の発症リスクを有意に抑制するということが示されております。
また、右の図におきましては、一般集団を対象とした、脳卒中、心血管疾患による死亡のリスクに及ぼす血管の影響について示されているものでございまして、こちらにつきましても130/80mmHg以上というところで、心血管疾患の発症、死亡リスクが有意に上昇することが示されております。
ページをおめくりください。
指標につきまして検討いたしましたところ、前回の協議会においては、日本人の脳卒中、心血管疾患への人口寄与危険割合が最も大きい危険因子が高血圧ということが示されております。
また「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標となっている血圧130/80mmHgを超えると、脳卒中、心血管疾患に関する発症及び死亡のリスクが増大するということが確認されております。
そこで、対応案といたしまして、NDB特定健診のオープンデータをデータソースとして用いまして、特定健診受診者における収縮期血圧130mmHg以上の割合及び拡張期血圧80mmHg以上の割合を、脳卒中及び心血管疾患の予防発症の指標としてはいかがかというところ。
また、この指標につきましては、第2期循環器病対策推進基本計画における全体目標である脳卒中、心血管疾患の年齢調整死亡率の減少に対するプロセス評価というところで位置づけてはいかがかというところで、御提案させていただきたいと思います。
ただし、こちらのデータソースといたしましては、特定健診のデータを用いることとなりますので、40歳以上75歳未満のデータとなること、また、治療中でないものが含まれる健診データであるということ。
特定健診につきましては、保険者間で受診率に差があるデータであることという留意点がございます。
また、「高血圧管理・治療ガイドライン2025」におきまして、降圧目標の年齢区分が撤廃されたというところもございますので、循環器病対策としては、今回全年齢において130/80mmHg以上の割合を減らしていくというところを考えておりますので、今回の中間評価においては、年齢調整は行わない数値というところを考えております。
ページをおめくりください。
血圧に関する指標を採用する場合、脳卒中に関する指標を全てこちらにお示ししております。全部で32指標となりまして、そのうち色つきでお示ししている11指標がこのコア指標となります。
次のページをお願いいたします。
また、同様に血圧に関する指標を採用する場合、心血管疾患に関する指標全てで29指標あるうち、色つきの部分8指標がコア指標となります。
次のページをお願いいたします。
今後の循環器病対策推進協議会の検討スケジュール案でございます。
令和8年春頃に予定している第16回協議会において、循環器病対策推進基本計画の中間評価の骨子案を御議論いただき、令和8年夏頃に予定している第17回協議会において、中間評価の取りまとめについてお諮りし、その後、中間評価報告書及び概要を公表する予定となっております。
ページをおめくりください。
こちらにお示ししているものにつきましては、今後検討すべき指標として、前回協議会及びその後に委員からの御意見として寄せられたものでございます。
こちらにつきましては、第3期循環器病対策推進基本計画の策定に当たって、参考としながら検討を進めてまいるものと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
資料1の説明は以上でございます。
○永井会長 ありがとうございました。
では、委員の皆様から御質問、御意見をいただきますが、その前に、本日御欠席の阿彦委員からの御意見について、事務局より代読をお願いいたします。
○松浦課長補佐 事務局でございます。
阿彦委員の御意見を頂戴しておりますので、代読させていただきます。
資料1につきまして、血圧130/80mmHgというのは「高血圧管理・治療ガイドライン2025」における高血圧患者の降圧目標ではございますが、一般集団においても、血圧130/80mmHgを超えると心血管疾患の死亡リスクが増大するという最近の研究結果を基に示された上での提案ということなので、予防啓発のプロセス評価として、こちらの指標を追加する案には賛成いたします。
ただし、これをコア指標に追加した場合、特定健診受診者の中から特定保健指導の対象者を選定する際の判定値、130/85mmHgとの違いが問題になるとも考えます。
今回のコア指標の公表時期に合わせて、特定保健指導の対象者の選定の判定値も同じになるように修正したほうがよいと考えます。標準的な健診保健指導プログラムの改定を含めて御検討いただければと存じますということで御意見を頂戴しております。
以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの件につきまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○永井会長 横山委員、どうぞ。
○横山委員 横山です。
指標を御検討いただいてありがとうございます。
血圧を指標に入れることは賛成なのですけれども、このNDBオープンデータの場合は、130/80以上の組み合わせが公表されていないので、ここで示されているものは、130以上、及び80以上と書いてあるのですけれども、基準のアンド・オアではないという問題がありますので、そこはちゃんと認識しておいたほうがいいかなと思います。
また、もし可能であれば、今後NDBオープンデータの中でも130/80のアンド・オアの割合というものが示されるようになるといいなと思います。
もう一つ、年齢調整についてですけれども、年齢区分が撤廃されたということで、130/80というのはいいと思うのですが、ただ、高齢者の割合が増えると基本的に、これは悪化する方向に力が働きますので、何らかの対策によって、実は改善しているけれども、その改善が見えないということも起こり得るかと思うので、短い期間であれば、中間評価であれば、さほど影響はないと思うのですが、今後、長期的には、どうするかということは検討していったほうがいいかなと思います。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
事務局、その点、よろしいですね。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長の鶴田です。御意見ありがとうございます。
先生に御指摘いただいたように、NDBの中では、130/80のアンド条件での割合は出ていなくて、130で何割、80で何割と、それぞれに数字が出ている形になりますので、今回指標としてはそれを用いるということを考えています。
横山先生からは、将来的にアンドも数値として出せるようにしたほうがいいのではないかという御意見だったと認識しておりますので、それについても担当部局ともよく相談したいと思います。
私からは以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。時間は十分に取ってありますので、少しでもお聞きになりたいことがありましたら、御発言をお願いいたします。
よろしいでしょうか。今、治療目標をどうするかということで、高血圧学会等いろいろなガイドラインが出ております。治療目標としてどうするかということよりも、むしろ、まずは疫学的に130以上アンド・オアの80以上がどのくらいかと、オアの割合ですね、これをしっかり把握して、しかもこれをアウトカム指標とするのではなくて、むしろプロセス指標として位置づけているということが今回のポイントではないかと思いますが、したがって、これは時代とともに表示の仕方とか、位置づけも変わってくる可能性は十分にございますね。
それから、何よりも高血圧の診断としては140/80という指標がありますけれども、心血管病あるいは脳卒中の防止という意味での位置づけということ、そこを重視しているということではないかと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。御意見がございませんでしたら、提案された指標を、コア指標とすることを決定したいということでございます。御意見がなければ、事務局で中間評価を進めてまいります。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井会長 それでは、また、何か御意見があるかもしれませんが、一応会長一任とさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井会長 ありがとうございます。
では、続きまして議事の2にまいります。「脳卒中・心臓病等総合支援センターについて」でございます。
第7回循環器病総合支援委員会の開催報告ということで、資料の2「脳卒中・心臓病等総合支援センターの進捗と今後について」、循環器病総合支援委員会委員長の宮本参考人から説明をお願いいたします。
○宮本参考人 皆様、おはようございます。宮本でございます。
それでは、9月4日に開催されました、循環器病総合支援委員会の報告と現状について、私のおります京都府での現状を少し御紹介したいと思います。
資料を次にお願いいたします。
これは、御存じのように、令和4年度に始まりました脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業で、2のところに書かれておりますポンチ絵が、この事業を大変よく示している図になっております。都道府県の行政、それから地域の病院、かかりつけ医、医師会、そして、医療団体、様々な職種団体、そして患者団体と連携しながら、その県の患者支援の施策を進めていくことがミッションです。
次をお願いいたします。
令和7年度をもちまして、47都道府県に総合支援センターが全て認定されたということになっております。
次をお願いいたします。
各都道府県のハブとなって、行政、地域医療機関、各団体と連携を進めるということが大事なコンセプトです。
次をお願いいたします。
循環器病対策推進基本計画、第1期も第2期も2.のところに「保健、医療福祉に係るサービス提供体制の充実」ということで、マル1からマル10までの個別重点施策が掲載されております。
この中でマル1、そしてマル4からマル10というのは、患者支援に関する重点施策でして、一言で申し上げますと、相談支援あるいは情報提供ということになります。
次をお願いいたします。
初年度は、この事業をモデル事業として実施されますので、その実施の累積でございますが、ミッションが普及・啓発、医療連携体制の構築、人材育成、相談支援となっております。
上にまとめが書いておりますけれども、これまでの実績報告書から総合支援センターで包括的な支援体制が構築され、地域全体の患者支援体制の充実に資する取組を実施しているということは報告されております。
しかし、一方で、対応の内容の充実については、各総合支援センターにおいて、かなり都道府県差があるということが示されております。
次をお願いいたします。
総合支援センターは、日本循環器学会も日本脳卒中学会も採択されましたら、その初年度に事業責任者といいますか、総合支援センターのそれぞれの領域の責任者を集めてどういう事業をやっていただくかを説明しているわけですけれども、その際にしばしば認められる誤った認識というのがあります。情報提供については、県独自の啓発動画やパンフレットを作成するという意見がしばしばあるわけですけれども、情報提供資材は、既に多数いろいろな先行県で作成されており、それを厚労省がまとめていただいて、ホームページにも掲載されておりますので、総合支援センターが個別作成に予算を使うのはもはや無駄だと考えております。
一方、相談支援についても、総合支援センターが県民全ての相談窓口と支援を行わなければならないというプレッシャーがかかっていることもあるのですけれども、決してそうではなくて、総合支援センターが全県の患者・家族等をカバーすることは不可能でございます。
そうなりますと、ネットワーク構築が一番大事なのですけれども、既に地域連携パス会議等のネットワークがありますと答えられることもあるのですけれども、決して転院のための情報共有ではなくて、どの医療機関でも標準化された情報提供や支援が可能とするためのネットワーク構築が必要なわけでございます。
次をお願いいたします。
これは、京都府での取組、京大病院の脳卒中部門での直近1年間の取組ですけれども、左側に様々な支援内容の実施状況が書かれておりまして、1年間で支援件数211件となっております。
これは各県どこも同じなのですけれども、総合支援センターに相談窓口を設けましても、生活期の外来患者さんがそこに来られて相談されるということはかなり少ないわけです。やはり、患者さんにとりましては、大病院の相談窓口というのは、一旦離れてしまうと結構ハードルが高いものです。
京大病院も急性期脳卒中は、年間二百数十名入院されますので、ほとんどが入院患者さんを対象として支援を行っているという結果になっております。
右側に書きましたように、日本脳卒中学会の年次報告データでは、京都府の急性期脳卒中患者数というのは、年間6,000人を超えております。そうなりますと、先ほど申し上げましたように、総合支援センター単一機関で実施可能な相談支援というのは、疾患発生数と比較すれば限られているわけです。そうなりますと、やはりコンセプトどおりなのですけれども、総合支援センターがハブとなって、県内の各医療機関がそれぞれの自院かかりつけ患者に対して、標準化された情報提供・相談支援をできる体制を構築するということが総合支援センターのミッションです。
次をお願いします。
まとめますと、情報提供相談支援については、総合支援センターといえども、主に自院かかりつけ患者・家族を対象とするとともに、一般患者や市民を対象とした市民公開講座、あるいは啓発動画・資料などを紹介する。
それよりも大切なのは、県内施設のハブとして支援情報の標準化・共有ということでありまして、どの医療機関においても、それぞれのかかりつけ患者・家族等に対して、同じ情報、同じ支援ができる体制を整備する。つまり、ネットワーク構築が一番大事です。つまり、地域多職種連携による情報共有を社会実装することこそが、脳卒中・心臓病等総合支援センターのミッションです。
次をお願いいたします。
京都府では、疾患別、脳卒中と心臓病の2つに分けました2センタービジネスモデルになっております。共有部分は強調しながら、疾患特有部分は個別化するという形で進んでおります。
次をお願いいたします。
これは、先ほどの重点個別施策10個のうち青で囲みました、健診の普及や取組の推進、適切な情報提供・相談支援というところは、同じ血管の病気ですので、脳卒中と心臓病では共通でして、協調整備が可能であります。
一方で、下の絵にありますように、回復期以降の医療システム・臨床像というのは、脳卒中と心臓病でかなり異なっておりまして、どうしても個別の整備が必要になります。
心臓病では、主な対象が慢性心不全ということになるのだと思いますけれども、御存じのように慢性心不全は、増悪をどうしても段階的に繰り返して悪くなっていくという病気です。
しかしながら、心臓リハビリテーションは、多くの急性期施設において行われておりまして、回復期以降になると実施がまだなかなか少ないという現状がございます。
一方で、脳卒中は急性期には2週間程度の入院、そして、回復期リハビリテーション病院に最大6か月入院して、しっかりリハビリテーションを行うというシステムが、医療システムとしても確立しております。再発もあり得ますけれども、必ずしも段階的に増悪するという病気ではなくて、急性期を乗り越えれば、生活期という言葉のように、様々な悩み、苦しみとつき合いながら生きていくという特徴があります。
次をお願いいたします。
京都府では、京都府、京都府医師会、そして、総合支援センターであります両大学病院が共催で、公開市民講座も毎年行っております。
しかし、皆さん御存じのように、公開講座というのに、参加されるのは健康志向の高い中高年の方がメインでありまして、働き盛りの方になかなか情報が届かないというところの問題でございます。
次をお願いします。
京都府では、脳卒中部門で京都さんサンナイ会という患者さんへの伝達システム、ある意味、患者会がございまして、これは脳卒中にならない予防、そして手遅れにならないというナイ、これは急性期治療、そして脳卒中に負けないのナイ、リハビリテーション、この3つの意味を込めて、3つのナイからサンナイ会と名づけているのですけれども、右側にありますように、現在のところ、11の脳卒中病院が、それぞれの自院かかりつけ患者さんを対象として、この患者会を組織しております。
次をお願いいたします。
つまり、各病院が自院かかりつけ患者とキーパーソン家族を対象として、それぞれの脳卒中サンナイ会を持っておりますので、ここで標準化した情報を提供すると、それぞれの病院から、それぞれのかかりつけ患者会に対して、同じ情報を提供することができるというシステムです。
次をお願いいたします。
定期的にニューズレターというのをこの会員に対して発信することになっておりまして、今回は最近の話題として動画による解説、そして、右側は、既に脳卒中学会、脳卒中協会が厚生労働省の支援でつくりました様々な啓発動画がありますので、その動画についての説明文、こういうものを2か月に1回、それぞれの医療機関が担当しながら出していく、それで、京都府内の患者さん、キーパーソン家族に情報が届くという形になっております。
次をお願いいたします。
心不全のほうでは、京都心不全ネットワークというのがありまして、総合支援センターである京都府立医大病院をハブとした病院、クリニックの連携が行われており、介護サービスも含めたオール京都の心不全指導チームが活動しています。
次をお願いします。
そして、多施設多職種共通の心不全手帳により、疾患管理指導が行われています。決して医師だけではなくて看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士が共同して、この手帳を使って指導しています。
右側にございますように、そういう指導をする在宅支援対象、支援者を対象とした講演会も総合支援センターがハブとなって行っています。
次をお願いいたします。
脳卒中領域では、左側にありますPSCというのは、一次脳卒中センター、急性期病院ですけれども、京都府内には21病院が学会から認定されております。
右側は、回復期リハビリテーション病院が28ございまして、それぞれの診療責任者、診療部長あるいは病院長が出て、大体3か月に一度ぐらいミーティングを行っております。
京都府には、大学病院は2つしかないのですけれども、京都府の脳卒中医療機関に医師を派遣している大学は、実は5大学あり、それに加えて診療科も内科と脳神経外科に分かれています。さらに急性期と回復期に施設は分かれているわけですけれども、そういう大学医局や診療科あるいは病気のステージに関わらない京都府脳卒中one teamが、このように確立されておりまして、その事務局となっているのが総合支援センターということになります。
次をお願いします。
こういうことで、かなり連携を深めてまいりましたので、1年半ぐらい前から京都府医師会との連携で、脳卒中生活期の連携主治医制というものがシステマティックに導入されており、脳卒中生活期かかりつけ医登録というものが始まっております。
赤で囲みましたように、この登録していただく内容は、医院の基本状況だけではなくて、リハビリテーションをその医院ではできるのか、あるいは患者さんが終末期になったときに対応していただけるのか、さらに、訪問診療、往診の対応エリア、時間帯はどんなものか、そして、経管栄養を行っている患者さんの場合に在宅栄養管理にも関与していただけるのか、という情報を入力していただきまして、その情報が検索ツールとともに京都府内49病院、急性期・回復期の病院の脳卒中相談窓口で共有できているわけです。
ですから、例えば、この4つの条件の中で、この3つの条件を満たす登録医が例えば京都市左京区にどれぐらいいるかとソートをしますと、すぐに11医療機関がありますと示されます。と、この中から、患者さんに、どの病院でも御紹介できるという体制です。
次をお願いいたします。
同じかかりつけ医の情報を全ての病院の脳卒中相談窓口で情報可能になっているということでございます。
次をお願いいたします。
連携主治医制というのは、各病院あるいは様々な領域で推進されておりますけれども、京都府における脳卒中生活期における連携主治医制が、それとどう違うのかという特徴をお話しいたしますと、1つは、ただいまお話ししました、脳卒中生活期のかかりつけ医登録というのが行われている点。
2番目として、決して単一医療機関と、関係するかかりつけ医だけの連携主治医制ではなくて、京都府医師会と京都府内全ての脳卒中医療機関が連携しているという点でございます。
さらに、3番に書きましたように、医師の紹介状だけではなくて、この情報連携をしているのが医療ソーシャルワーカーで、脳卒中相談担当の医療ソーシャルワーカーによる情報連携ができているというところが特徴です。先ほどお話ししましたように、総合支援センターだけでは、県民全てをサポートすることは決してできません。回復期を過ぎた脳卒中生活期においては、かかりつけ医の先生に、患者さんに最も近い脳卒中相談窓口になっていただくというコンセプトです。
その整備とか、連携のハブとなるのが総合支援センターです。
次をお願いいたします。
こういう脳卒中連携のプラットフォームの中心を担うのが、各病院から指名されて集まっている医療ソーシャルワーカーで、その方々が集まる会議、脳卒中相談窓口連携会議というものが稼働しています。
これが非常に有効でして、3、4か月に一度定例ミーティングを行っているのですけれども、これはいわゆる地域連携パス会議とは異なり、単に患者さんの情報をどのように伝えていこうかという問題点をディスカッションするだけではなくて、日々医療ソーシャルワーカーが患者支援をしていく中で、こういう情報がないから困るねと、そういう課題を明らかにして、では、必要な情報をつくりましょうと前向きに動いていくことができるわけです。
次をお願いいたします。
例えば1つの例をお示ししますと、回復期に人工装具をつくることがあります。しかし、人工装具をつくっても、耐用年数の問題があり、数年たつと劣化して、なかなか合わなくなってくるわけです。その時点になって、患者さんが、かかりつけ医の先生に御相談されても、果たしてどこの業者に頼んでいいのだろう、どこの病院に頼んだらいいのだろうということがなかなか分からない。そして、入院していた回復期リハビリテーション病院に連絡しても、いや、うちでは装具に関する外来はしていないのですよと、どこかでつくってくださいねという形になって、これは、理学療法の世界では、装具難民、装具に関する難民と呼ばれているとお聞きしております。
そこで、先ほどの医療ソーシャルワーカーが集まる会議でつくりましたのが、補装具に関する資源リストというもので、装具作成外来をしているのか、していないのか。している場合にはどこに連絡すれば、受診できるのか、対応可能な患者さんは、その病院にかかりつけ、の患者さんだけなのか、あるいはかかりつけ患者さんでなくても対応できるのか、作成可能な装具は、どんなものかと、こういう情報を49病院全てから出してもらい、マップとリスト化したものがこのリストでございます。
次をお願いいたします。
かかりつけ医登録あるいは装具外来のリストのほかにも、みんなが共通して持つことができればいいと思われる情報、例えば、地方都市であれば、自動車運転の免許の再開ができないと、なかなか復職できないわけでございますけれども、これも再開支援のリハビリテーションをしてくれる病院は全てではございません。作業療法士の先生がシミュレーターを使ってサポートして、自動車教習所と連携しながら再開支援をしていく、そのような病院がどこなのかという情報を脳卒中相談窓口連携会議でつくり共有しています。
そうしますと、連携会議に参加したそれぞれの医療ソーシャルワーカーが、それぞれの病院の脳卒中相談窓口で、同じ情報を患者さんに提供できる。うちの病院ではできないですけれども、D病院に行ったらできますよと、そういう情報提供ができるということです。どの病院でも同じ情報提供をするという体制をつくっていく、そのハブとなるのが総合支援センターでございます。
次をお願いいたします。
このように、脳卒中生活支援に向けた各種職種の連携の展開が進んでおりまして、そのプラットフォームとして重要なのが医療ソーシャルワーカーが集まる脳卒中相談窓口連携会議です。医師のほうでは、先ほどお話ししたかかりつけ医登録、そして、看護師のほうでも、急性期から回復期、回復期から在宅生活期に向けての患者サマリーの記載項目の標準化というのが行われ、看護師の領域でもモチベーションが上がっており、患者の思いというものが伝わるようになったと報告を受けております。
薬剤師のほうでも、薬剤情報の連携、さらに、今年の春からは、医師登録と同じように脳卒中生活期かかりつけ薬局登録と、いうものが、京都府薬剤師会との連携で始まっております。
現在、まだ半年ですけれども、すでに46の薬局が登録していただいており、医師の登録と同じように、在宅への訪問指導をやっていただけるのか等、様々な情報を登録していただいてます。
栄養士においても、急性期から回復期に情報提供するときの項目の標準化というのが既に進んでおります。
次をお願いいたします。
直近の1年間において総合支援センターでもあります京大病院脳卒中療養支援センターがハブとなって、京都府内医療機関を対象として開催した各種の会議のセミナー件数です。マル1のところに書かれておりますように、相談窓口連携会議、PSC責任者会議、回復期責任者会議、薬剤師会議、看護師会議、栄養士会議、そして多職種連携のSCPA-Kyotoが全部で1年間で22回の会議を開催しており、延べ参加者数は695名でございます。
さらに、両立支援などに関するセミナー、これも2回開催しておりますし、それ以外に職種連携の地域連携公開講座、これは8回開催しておりまして、全部合わせますと、1年間で32回、その参加者人数合計は2,010名を超えておりまして、これを1回ずつ行ったら、アンケート調査を行ったり、資料をつくったりしておりますので、決して兼任ではできない仕事でございます。ハブとなるには、右下にございますように、絶対に専従職員が必要なわけでございます。
次をお願いいたします。
さらに、ハブとなるには、脳卒中と心臓病それぞれ特徴がありますので、京都府のように分けるとしますと、各1名、分けないでも1つのセンターとしても脳と心臓を分けないとなかなか進められないと思います。
そういうことになりますと、学会としましては、脳と心臓各1名の専従職員の雇用人件費がどうしても必要だと考えております。
事務補佐員を雇用するだけでも三百数十万はかかります。ここに専門的な職種を採用するということになりますと、500万近くかかります。そうなりますと、脳と心臓で1人ずつということになりますと、最低限1000万の予算をいただかないと、本日お示ししましたような事業は進められないわけでございまして、京大病院も全くの持ち出しでございまして、なかなか現在の事業予算だけでは総合支援センターとしての活動ができないわけでございます。
次をお願いいたします。
総合支援センター事業は、初年度は、モデル事業として国が100%大体1800万ぐらい出していただいたわけですけれども、2年目以降の予算は循環器病特別対策事業費として、これは、国と都道府県が50:50でございます。
赤で書きましたように補助先、都道府県、補助率2分の1と書いてございますように、県が予算を出せば、それに対して同じ額を国が出すという仕組みになっております。
この特別対策事業は、決して総合支援センター事業だけではなく、下のマル1からマル7までございます。ほかのところで予算をつけていただきましても、マル7で予算をつけていただかないと総合支援センター事業は進まないわけです。
次をお願いいたします。
そこで学会のほうで、令和7年度の総合支援センター事業費を、令和4年度から令和6年度に採択された37都道府県、すなわち2年目以降で国と県が50:50になっている総合支援センター事業予算を調べました。これは9月4日の第7回循環器病総合支援委員会の資料に、もう少し詳しく県別のデータも掲載されておりますので御覧いただければと思います。
先ほどお話ししましたように、事業継続には最低1000万以上はどうしても必要です。ただ、それが確保されているのは37都道府県の中で13都道県のみでして、1000万から500万の間というのが12府県、ここでは専従職員を2名雇用しますと、全く予算が残りませんし、赤字も出ます。
そして、500万から100万の間、ここでは、専従職員を雇うことがまずできません。それが6県。
さらに100万円以下あるいは事業費がなしという県もございまして、そこでは予算に基づく総合支援センターとしての事業は、まず不可能でございます。それが5つの府県でございます。
次をお願いいたします。
総合支援センターの事業進捗が難渋している県と特徴をまとめます。行政が2年目以降の事業予算をしっかり確保していただけないということになりますと、現在、大学病院は軒並み大赤字でございます。そのような大赤字で、持ち出しでこの事業をやれと言われましても、なかなか病院執行部はそれを認めることができない状況にございます。さらに医師や医療スタッフの働き方改革ということもありまして、今でも手一杯なのに、それ以上の業務を兼任させてはならないという形で抑制がかかります。
担当部署のほうも大変忙しいので、新規専従職員がいないのであれば、これ以上は仕事できませんという形になりますと、総合支援センターが病院一丸として動きません。
一方で、総合支援センター側の問題としまして、脳卒中領域と心臓病領域の本事業に関する認識や連携が不十分な場合もございますし、また、その総合支援センターの力量といいますか、県全体を動かすことができない、県全体の関連施設、団体の積極的協力が得られないという場合には、県全体の医療施設、団体が動かず、ローカルな相談事業、支援事業にとどまってしまいます。つまり、総合支援センターがある2次医療圏で説明会をしているとか、支援事業をしているということにとどまってしまいます。
そうなりますと、右に赤で書きましたように、県の健康部局が幾らこの事業のことを理解していただいていましても、総合支援センターがうまく動いていないではないかと言われますと、財政部局を説得できません。そうなりますと、さらに、それ以降の事業予算が確保されないという悪循環に陥るわけでございます。
次をお願いいたします。
総合支援センター事業が持続可能であるためには、やはり都道府県行政から支援、適切な事業予算を組んでいただくということが不可欠でございまして、もう一つは、ハブとなっている総合支援センター自体の力量というものでございまして、これが、飛行機で言いますと両翼のエンジンになりまして、いずれが欠けても、片肺飛行で長持ちはしませんし、いずれもなければ全く飛べていないということになります。そういう県もあるわけでございます。
次をお願いいたします。
現在、私が主任研究者をしております回復期以降の循環器病に対する多職種連携による患者支援体制の充実・普及に資する研究というのは、総合支援センターが設置されている県において様々な実態調査を行っております。これがその1つで、両立支援調査2023、これは医療ソーシャルワーカーの方が頑張っていただいて県内全ての患者さんを対象に、脳卒中患者さんの復職率あるいは両立支援の実施状況を調べているというものですけれども、次をお願いいたします。
本日は、そのデータをお示しする時間はございませんけれども、両立支援調査2023、さらに次は8県を対象として2024、さらに、今年度は12道県を対象として両立支援調査2025というのを行っておりまして、この調査を行うことによりまして、今日プラットフォームであると御紹介した急性期、回復期全ての医療ソーシャルワーカーが集まる脳卒中相談窓口が立ち上がるということになります。
現在47都道府県の中で、31道県で、この連携会議が立ち上がって活動してくれております。
それ以外にも、就労支援リハビリテーション調査というのも行われていて、ここは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の皆さんが連携をしてくれていますし、意思決定支援調査というのでは看護師連携が進んでおりまして、こちらも9つの府県で急性期、回復期の看護師連携が進んでおります。
さらに、今年の11月ですけれども、左下にあります薬剤退院時指導調査というのが16府県で行われる予定でございまして、京都府でかかりつけ薬局登録が進んでいるということも御紹介しましたけれども、そのような薬剤師連携が、この16府県で進む予定になっております。
次をお願いいたします。
この総合支援センター事業が行われた効果として、これは日本脳卒中学会の調査なのですけれども、総合支援センター以外にも、全国の300あまりの一次脳卒中センターコア施設、および一次脳卒中センターでは脳卒中相談窓口を開設しております。それが、総合支援センターが始まった2022年度と比べますと、相談件数、支援患者数が非常に増えているということが示されています。これこそ総合支援センターがハブとなって相談支援が県内で伸びているという証拠です。
次をお願いいたします。
これは、日本循環器学会から資料をいただきましたが、総合支援センター事業の代表者が、集合して情報共有を行って、連携会議を行って、この事業を進めていこうとしているということです。日本脳卒中学会も同じような会議を毎年開催しております。
次をお願いします。
そして、日本循環器学会と日本脳卒中学会は、毎年の年次総会で、合同でこの総合支援センターの事業について取り扱っており、この事業の進むべき在り方をしっかりと会員に対して教育しているところです。これは脳卒中側だけのシンポジウムのデータですけれども、同じように、日本循環器学会も毎年1回行っていただいております。
次をお願いいたします。
まとめです。脳卒中・心臓病等総合支援センター事業というのは、患者支援・情報提供・多職種連携のハブとなることが重要です。
本日お話ししましたように、決して総合支援センターだけではなくて、どの病院でも急性期・回復期・生活期どのステージでも、標準化された支援・情報提供をすることが大事です。
そのためには、2に書きましたように、事業予算を確保するということが本当に重要でございまして、現在のシステムでは、循環器病特別対策事業で補助が2分1、国からいただけるわけでございますが、そもそも県が十分予算を取ってくれませんと、国も同額しか出せませんということになります。このままでは本事業の均てん化、持続は可能かというところに不安を覚えております。
3番目として、本日述べましたように、総合支援センター事業の適切な進捗には、やはり、日本循環器学会、日本脳卒中学会両学会との連携が不可欠です。
次に、4番目に、研究班事業に参加することで、脳卒中相談窓口連携会議がいろいろな県で進んでいることを御紹介しましたが、こういう調査に参加することによって地域多職種連携が社会実装できます。
5番目として、総合支援センター事業の適切な評価、今日御紹介しました1年目のモデル事業の実績報告書というのは、どうしても相談件数ということが対象になるのですけれども、単に総合支援センター単施設だけの相談件数ではなくて、むしろ、そのコンセプトであります地域多職種連携のハブとなっていることを示す評価項目が必要であろうと思います。6に書きましたように、総合支援センター事業の進捗にはかなりの都道府県差、格差がありますので、それを報告/評価する機会、そこには当該県行政もぜひ参加していただいて、他県の好事例を共有したり、実験事業を見直すことをしていくことが必要になるのではないかと考えております。
以上でございます。
○永井会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
中山委員、どうぞ。
○中山委員 榊原記念病院の中山と申します。
宮本参考人の大変心強いといいますか、問題点を赤裸々にあぶり出していただいて、本当に感謝申し上げます。
私どもは令和6年度に、東京都の代表施設の1つとして採択いただきまして、まさに今おっしゃっていたような内容と重なる部分が多くございまして、私どもの施設は心臓専門病院ですから、主に心臓の関係に関してですけれども、先ほどおっしゃっていただいたような患者さんの相談窓口と、あと市民公開講座、我々は都民と呼んでおりますが、それとネットワークですね、心リハネットワークと、両立支援ネットワークと、4つの4本柱というところで稼働しております。
先ほどおっしゃっていただいた、当初、都民が1400万人の人口がおりますので、大変な責任があると、押しつぶされそうな気分に代表施設としては、一時なったのですけれども、おっしゃったとおり、ハブ施設として機能すると、そういう役割ということであれば、役割を果たすことができるのではないかと、先ほど考えさせていただきました。
かいつまんで、追加ということで、それぞれのポイントを簡単に、こちらのほうの情報提供とさせていただければですが、患者相談に関しましては、我々医療相談として、電話相談自体は毎月1万件いただいておりまして、医療相談は年間1万2000件いただいております。
その中で、メール相談は140件というところでございますけれども、やはりがんと違って、急性疾患のメール相談となりますと、メール相談している場合ではなくて、直ちに受診してくださいというケースがありますので、そこら辺の医療安全の部分というのが、疾患の状況によっては違うのかなというのが問題点と挙がっております。
そこで、東京都においては、去年もやったのですが、今年度も脳卒中・心臓病等総合支援センターの主に心臓に関しては、都内の84基幹病院に対して大規模なアンケートを行っておりまして、この前4月にやったばっかりなのですが、回答率98%と日本医大の先生方は多く御尽力いただいて、一番相談事業で問題となったのが、おっしゃったとおり、人材の確保と挙げた施設さんが91%ございまして、人がいないというのが大きな問題に挙がっておりました。
こちらは、ほかの市民公開講座も同様でして、先ほど京都府のほうで1,000人近く市民公開講座にトータルで参加されたということで、大変すばらしいなと驚きましたけれども、東京都は、この1年で市民公開講座、我々病院のほうでも10回行いまして1,200人と、トータルで来ていただいているところですが、やはりアンケートの結果でも一番上がりましたのがスタッフですね、市民公開講座は、医療関係者、メディカルスタッフが多くコラボレーションしていただいているのですけれども、87%の施設がメディカルスタッフの確保が難しいと答えていらっしゃいます。
あとは独自のノウハウとか、それぞれ広報をどうするか、我々は医療従事者には連絡できるけれども、一般市民に向けてどう広報するかというのが、都庁とも相談事項に挙がっておりますので問題点と。
あと、公共事業であるがために、これは都道府県によって違うようなのですが、企業が協賛できないという問題もありまして、お金の問題はどうしても発生すると挙がっております。
最後、ネットワークに関しましては、おっしゃるとおり、ネットワークに大きな意味があると考えておりまして、東京都のほうは先々月、東京都心リハネットワークを立ち上げまして、こちらは42施設が参画していただいておりますけれども、年間30万件以上の心リハ実施数になりますので、世界中の先生方と心リハの関係者とお話ししても、世界最大の心リハネットワークであると、数字だけですけれども、いただいておりまして、そのネットワークに関しては、ネットワークのネットワークも必要なのではないかということで、東京都のネットワークだけに限らない横のつながりというのが必要になってくると挙がっております。
こちらに関しても、アンケートで94%もの、ほぼほぼ100%に近い施設が、心リハスタッフの確保が十分ではないというのを問題点と挙げておりまして、先ほど、お示しいただいたコア指標の、そのうち2つ占めている入院心リハ施設数と、外来心リハ施設数に関しましては、入院は、都内は90%導入しておりまして、外来が半分にすぎないと、54%ですね。全国ではまだいいほうかもしれませんが、コア指標の数字でいうと、半分しか満たしていないというところが問題になっております。
あと、ちらっと出た連携パスに関しましては、使っている施設さんがほとんどなくて、1割未満という状況でして、最後に、両立支援ネットワークに関しまして言いますと、心臓病は、多分脳卒中の皆様方よりはかなり遅れているのではないかと思いますけれども、この前、研修会をやりましたら800名近い参加者の方々からいただきましたけれども、なかなか情報が行き届いていないというところもありまして、我々の病院で年間400名以上の両立支援をしておりますが、そのうち保険収載で算定できたのが10件というところなので、保険収載の条件自体にも問題があるのではないかという話と、あと、やはりこちらもスタッフの問題がございまして、90%以上の施設さんが、やはりスタッフがいないという課題を挙げていただいております。
最後に緩和に関しては、算定していると答えた施設が、ほぼゼロに近かったというところだけ、追加しておきます。
以上になります。
○永井会長 ありがとうございました。
続いて、横田委員、お願いいたします。
○横田委員 横田です。
宮本先生、どうもありがとうございました。
多職種で総合支援センターを動かしている京都府の例は非常に参考になりました。
また、最後に継続への課題というのは、まさにそのとおりだと思っております。ありがとうございます。
実は私も、委員の中山先生からお話がありましたけれども、東京都の総合支援センターに関わっております。
東京都には、循環器病対策推進協議会という会議体がありまして、この委員会の委員であります平野委員、それから川勝委員もそのメンバーなのですが、先月8月4日に東京都循環器病対策推進協議会で総合支援センターのヒアリングをさせていただいたときに、非常に普及啓発あるいは治療に関して積極的に行っているということなのですが、行政も絡めて難しいところが、患者さん側の代表のほうから指摘を受けました。
患者さん支援という立場でいうと、就業支援が、なかなか難しいのではないかというところが協議会では話題になりました。これは、行政のほうのサポートも非常に必要ですので、何か宮本先生のところで、就業支援というところの好事例があったら、ぜひ教えていただきたいというのが1点です。
あと、小児の循環器病というのは、就学支援あるいは通学ということも含めて、その辺の課題もその協議会では指摘をされたので、その2つの好事例があったら、ぜひ教えてほしいと思っての質問です。
以上です。よろしくお願いします。
○永井会長 宮本先生、いかがでしょうか。
○宮本参考人 では、後ろのほうからお答えしますと、小児期発症の循環器病に対する支援というのは、重点施策の1つになっております。
脳卒中では、これは、主にもやもや病という難病が対象になるわけですけれども、約2割弱の患者さんが、ADLは自立しても、就学あるいは就労困難を抱えるということが分かっております。私はもやもや病の難病研究班の班長も以前にしていたのですけれども、そのときに就学支援マニュアルというのを、医療従事者あるいは教育関係者を対象としてつくりました。
これを総合支援センターとして普及啓発をしているわけで、例えば京都府においては、京都府と京都市の教育委員会が総合支援センター事業として動いてくれて、各学校の何年生に難病の子が在籍しているかということを調べてくれまして、その学校の担当教員あるいは養護教諭の先生、あるいは校長の先生方と、私どものような医療従事者、作業療法士なども含めまして、定期的にウェブで懇談会をするということが、もう既に8回ぐらい行われております。
患者・家族を介さない教育現場と医療の連携というのは、いわゆる社会連携の1つとして大変注目されておりまして、京都府で始まりました試みは、別の研究班の班長を私がしているということもございまして、現在、複数の県で今年度から展開しておりますので、その部門では進んでおります。
同じ研究班で、心臓グループのほうで先天性心疾患の患者さんに対して、どのように移行期医療を進めていくかという検討も行っていただいておりますので、これから2年間ぐらいの間にかなりのことが、心臓のほうでも進むのではないかなと期待しております。
就労支援のほうですけれども、これは先ほど少し紹介しました研究班のほうで、両立支援に関する調査あるいは就労支援リハビリテーション調査をしております。
両立支援調査2023では、急性期脳卒中の患者さんの中で、大体10%が69歳以下であって、自宅に帰ることができて、そして発病前に就労していた、つまり潜在的な復職対象者であるというサイズ感が、かなり悉皆性の高いデータで出ております。
この10%ぐらいの患者さんが、自宅に退院されて半年たっても、約半数しか復職されていない、4分の1は復職できていない、4分の1がフォローアップできていないという結果でございました。
となりますと、元気で就労世代にあって発病前に働いていたという方で、復職しても問題ないはずの方が、実は復職できていない、それが脳卒中全体の3%であるということが規模感として分かっております。
日本全体で、脳卒中患者さんは年間30万人でございますので、その3%と言われますと、1万人弱ということになります。その1万人弱を対象として、脳卒中において、その3%をどのように取りこぼさないで支援していくかということが大事であるということが分かっております。
さらに、恐らくその多くの原因が、実は、ADLは自立しても、本人も気づかないような高次脳機能障害、注意障害とか、遂行機能障害とか、そういうものがあって、なかなか復職のハードルになっているのだろうということまで分かっておりまして、現在就労支援リハビリテーション調査というのが行われているのですけれども、目指すべき方向性としては、既に京都府で、そういう軽い高次脳機能障害の方を対象とした退院前のスクリーニング検査の導入というトライアルが総合支援センターを中心に始まっております。
その研究結果が出ますと、自宅に退院される前に、高次脳機能障害があるかないかをスクリーニングして、その結果によって一般雇用としての就職を目指されるか、あるいは障害者としての障害者雇用を目指されるかと、これは、確実な線引きはなかなかできませんけれども、その職種あるいは職業内容によって、しっかりと御本人も理解した上で、復職に向かっていくという体制が整えられるのではないかと思っております。復職は、実は医療と患者の中だけでは済まない話で、受け入れる企業側がこのことについてしっかり分かっていただかないといけないということで、現在、産業界との連携も進めておりまして、これは総合支援センターがあるからこそできることなのですけれども、ピアサポートの会など来年予定しています。それに対しては関西経済連合とか、京都商工会議所とか、京都経済同友会とか、経済団体がもろ手を挙げて後援していただいておりまして、経済界と医療の連携という社会連携の取組が進んでおります。何かそこで糸口が見えてくるかなとは思っております。
○横田委員 ありがとうございます。
ぜひ、そのような好事例もさらに紹介いただければと思います。ありがとうございました。
○永井会長 では、続いて、佐々木委員、どうぞ。
○佐々木委員 ありがとうございます。宮本先生、ありがとうございました。聖マリアンナの佐々木と申します。
非常にこのハブとして、標準化に向けた取組として必要不可欠ですし、非常にすばらしい取組だと思います。ハブがしっかり機能すれば、今後のSociety5.0に向けて正しいきれいなデータ蓄積もトップダウン、ボトムアップともに役立つ取組と思います。
ただ、御存じのとおり、リハビリというのは非常にバリアンスが大きい世界で、心疾患のリハビリテーションは、まだ、大分標準化されてきていると思うのです。V(dot)O2とかATポイント、では、どのように有酸素運動を負荷しましょうみたいな感じでいけるのですけれども、脳卒中のほうは、例えば、施設によって使う機材とか治療方針も全然違いますし、そもそも脳リハを担当する医療者の知識も全然違う。
例えば、同じ右麻痺の患者を見て、この人はMMTが3だから筋トレをしましょうとか、ブルンストロームステージ3だから脱力をしましょうとか、全く正反対のことをやってしまうような、そういう標準化の難しさはあると思うのですけれども、今の一番の問題は、標準化するためには、こういう場合にはこうしなくてはいけないというものをデータとして集めて、それを啓発するような取組ができればいいと思うのですけれども、そのコード化ができていないというのが一番の問題かなと思います。
例えば、筋力増強訓練を、こういう場合にはするのですと言ったときに、それが筋トレなのか、麻痺の改善なのか、筋持久力なのかとか、そういうのが施設によってばらばら、特に生活期ではそういうところがあるかと思いますので、標準化する取組の上で、リハビリのコード、ICDのようなコード化、そういうのを併せて進めていく必要があるかなと思いました。その前に、まず、お金と人員の問題が先決ではあると思いますが、一意見として、よろしくお願いします。
○永井会長 ありがとうございました。
続いて、齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 日本医療ソーシャルワーカー協会の齋藤でございます。宮本先生、ありがとうございました。何度も聞いておりますが、改めて感銘を受けております。
私ども日本医療ソーシャルワーカー協会でも、総合支援センターに所属をしている医療ソーシャルワーカーを対象とした意見交換会を何度か開催しておりまして、その中でも個別支援ですとか、出張サロンとか公開講座を積極的にやっているという意欲的な取組の御報告がある一方、そこに参加している約8割が兼任になっておりまして、もっともっとたくさん活動したいのだけれども、日常の業務とどうやって折り合いをつけていったらいいのかというところが多くの課題として出ておりまして、やはり財源の問題や、行政との連携、協働というところが1つ課題であると認識しているところでございます。
また、御発表の中にもございましたが、循環器病の患者さんというのは必ずしも急性期がかかりつけ医の先生ではなく、急性期、回復期、維持期と患者さんが移行されていく中で、対応する専門職も変わっていきますけれども、人生そのものは続いているわけですから、この人生に伴走できるような継続した相談支援の体制を整えていくところが重要であると認識しております。そのためには、ネットワークというお話がありましたが、つなぐ力と活用できる力というところで、担当者の人材育成や、地域全体における相談支援の質の標準化というところは非常に大事だと認識しておりまして、当協会としましても、その辺りを重点的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
最後にもう一点なのですけれども、これは、先ほどの項目にもなるかもしれませんが、循環器病の患者さんの再発ですとか、重症化予防というところに関しましては、日常生活そのものが疾病予防になったりすると思いますので、日常の支援をしていくところが重要かと思いますが、この相談支援の先に暮らしを支援している福祉や介護のサービスが、必要な方にきちんと届いているのかというところも評価の1つになるのではないのかなと考えておりまして、コメントをさせていただきました。
以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
続いて、美原委員、お願いします。
○美原委員 全日病の美原です。宮本先生、どうもありがとうございました。
お話をお伺いして、京都はすごいなと思いました。お話にもありましたけれども、このような対策については非常に地域差が大きい。その地域差の要因は一体何なのだろうかと思うわけです。
例えば、京都では経済界との社会的な連携も取れていると、あるいは行政との連携もすごく取れている。では、どうしてほかの進んでいない地域では、そのような連携が取れていないのだろうか、あるいは連携を取るための方法というか、具体的な対策は何かあるのだろうかと思った次第です。
そのような中で、相談窓口連携会議というのがハブとして機能しているということをお話から伺いました。
相談窓口連携会議に専任の担当者がいなくてはならないということは十分承知しているのですが、その担当者が、例えば医師会だとか、MSWの会だとか、家族看護協会であるとか、様々な関連のところにお声がけをしているのではないのかなと想定しているのですが、実際にそうなのだろうか。
というのは、私は群馬県なのですが、群馬県にも、総合相談窓口というのは群馬大学に設置されているのですけれども、そこから様々なメッセージがそれぞれの病院というか、それぞれの医療機関に必ずしも届いているとは、思えないのです。相談窓口連携会議が機能している地域ではどうやって周知徹底させているのだろうかと疑問に思うのです。基幹病院だけに情報提供しても、あまり意味がない話だろうと思うのです。以上、どうやって行政や経済界との連携、地域との連携を取っていったらいいのだろうかということでず。
相談窓口連携会議が適切に機能することは極めて重要だと理解したのですが、地方において、具体的にどのように関係者に話を進めていったらいいのだろうかというのが分かれば、我々のところにも参考になると思うのですが、以上です。よろしくお願いいたします。
○永井会長 宮本先生、何かコメントはありますか。
○宮本参考人 実は京都も始めるときに、毎日の業務で忙しいのに、例えば、脳卒中相談窓口連携会議にMSWを指名してくれと言っても、総論は賛成でも各論ではなかなかできませんよという雰囲気だったのです。急性期病院については、私は京大病院の病院長もしていましたし、それから、脳卒中学会、脳神経外科学会の理事長もしていましたので、宮本が言ったらちょっと付き合おうかなみたいな感じだったたのですけれども、回復期リハビリテーション病院には、これまで患者さんを紹介するという関係しかありませんでした。そこで、実は私、京都の28の回復期リハビリテーション病院の病院長と全部お伺いしたりとか、ウェブとかで面談してお願いいたしました。
それで、ようやく始まったのですけれども、始まってみて、先ほどお話ししたような、つながることができてきたら、参加しているメンバーのモチベーションが上がっていくのですね。それでいろいろなことができていく。ただし、始めは何か仕掛けをやらないと動かないので、その仕掛けとなるのが、研究班調査なのです。
群馬県も両立支援調査2025に今年から参加していただいてますので、今から動き出します。私もその説明会などにも出ておりますので、もうしばらくしたら、先生のところにも医療ソーシャルワーカーを指名してくれというお話が行くと思います。
あとは、経済界とかというのは、やはりそれなりの活動を総合支援センターとしてやってきて、その蓄積が1年、2年あって、それを基に、やはり私がそれぞれの団体のとこへ出向いて説明すると、就業者を大切にするというのは、実は産業界にとってもすごく大事なテーマですので、方向性は必ず合うわけなのです。そこに本当に同じ気になっていただけるかどうかというのは熱意次第なのですけれども、ただ、私のように、もう大学病院長を定年退職して、この仕事だけを専従でやっているという総合支援センターはなかなかございませんので、実は今日は医療ソーシャルワーカーの話だけ言いましたけれども、それプラス中心となる何か、センター長が専従でないと、実はなかなか進まないのではないかなと思います。今、31道府県で進んでいますと言いましたけれども、それは学会でずっと一緒にやってきた後輩たちの教授ですので、みんな引きずられて一緒にやっているかなという感じで、進んでいきます。
以上です。
○永井会長 よろしいでしょうか。
では、木幡委員、お願いします。
○木幡委員 フジ・メディア・ホールディングスの木幡と申します。
メディアの立場から普及啓発、一般の方へどうリーチするかという点について、少しお話しできたらと思います。
背景として、日本はすごく健康に対する情報の入手とか理解とか活用する力、ヘルスリテラシーとも言いますけれども、それが非常に低いというデータがありますし、私自身もすごくそれは感じております。
そんな中、今、インターネットの普及で、いろいろな情報がネット上にあふれていて、中には、間違った情報というのもたくさんあるわけです。変な話、そういう間違ったものほど拡散されてしまうという非常に危険な状況にあるわけで、その中で、この総合支援センターというのは、お話を伺っていますと、非常に信頼性の高いというか、ここに行けば大丈夫だよというところをみんなに知らせること、これがすごく大事だと思うのです。意外と総合支援センターと、ただ名前だけを聞いても、それがきちんと国がやっていて、法律に基づいてつくっていて、みたいなことは分からないと思うので、そこを積極的に、まずはアピールすべきかなと思いました。
それから、一般の人に訴えるのは大変と、皆さんおっしゃっていると思うのですけれども、やはり医療界全体に言えることだと思うのですけれども、古いやり方をずっとやり続けている感じがいたします。ポスターとかリーフレットとか、最近は動画も作成されたり、でも、それをそれぞれの団体がばらばらにつくって、それぞれのホームページにあげてと、すごくやっていらっしゃるのですが、そこへまずたどり着かないのです。ぜひたくさんつくっているものを、メディアとかPR会社とか、やはりそういうプロに少し委ねて、いろいろな形で、全くリーチできていない一般の方へ届ける方法というのを考えたほうがいいのではないかと思います。
例えば、今ぱっと思いつくと、インターネット上のバナー広告であるとか、タクシーの中のモニターであるとか、LINEニュースとかウェブニュース、こういったものの有料出稿というのもあります。そういったものをどんどん活用していく、そうしないといつまでたってもなかなか、せっかくいいものをつくっても届かないのではないかと考えております。
市民公開講座というのも、本当にこのワードをなぜみんな使い続けるのだろうと思っていますが、一般の人にとっては、それが出ている段階で、多分、若者は特にシャッターが下りてしまうと思いますので、もっとキャッチーなタイトルをつけるとか、そういった発信の工夫をしたほうがいいのではないかなと思います。
あと、そもそも総合支援センターに、今、行くということも大変な人もたくさんいると思いますので、AIなどを活用して、医師の働き方改革というのもあるようですので、AIにまずは相談して、全てネット上で完結するみたいなことだって、行く行くは考えていったほうがいいのではないかなと思いました。
以上です。
○永井会長 ありがとうございました。
坂本委員、どうぞ。
○坂本委員 日本医師会の坂本でございます。宮本先生、丁寧な好事例の説明、本当にありがとうございます。京都は、すばらしいなと思ってお聞きしておりました。
全日病の美原委員とも重なるところがございますけれども、3点ほど教えていただきたいと思います。
非常に京都大学も経営の厳しい折、持ち出しで頑張っていただいて本当にありがとうございます。先生が病院長をしていたということもあるのかと思いますが、質問としては、47都道府県設置されて、実際に今、13都道府県、金額だけでいくと1000万以上のところがあるというデータを見させていただきましたが、まず、予算ですね、がん対策とかに比べて非常に循環器病は予算が少ないと思っております。もっともっと増やしていただかないといけないということは、いつも要望しておりますが、予算が、1000万ではとても足りないのだろうということは、もちろん分かっておりますが、流れとして、県が2分の1、国が2分の1ということも非常に問題なのか、県が2分の1出すということが、かなり都道府県の地域差があると思いますので、この辺は順番として、1番は、国がもっと出してほしいのか、2番目、県が2分の1というのはちょっと難しいのか、3番目、行政も大学も病院協会、医師会も含めて、どなたかキーマンがいないと、その辺は一番難しいのか、キーマンと予算の問題になってくるのか、これが1点目、2点目の質問でございます。
3点目は、私は小児在宅、医ケア児とかも担当しておりまして、今、小児在宅、これは文科省も入っていただかないと、なかなか就学児の問題もございますので、医ケア児移行期の支援も含めまして、その辺も、また課題としてどんどん挙げていただいたらと思います。
最後になりますけれども、ぜひ、宮本先生に全国の行政、医師会に御講演いただいて、この好事例を広げていただきたいと思います。ありがとうございます。
○永井会長 ありがとうございます。
宮本先生、どうぞ。
○宮本参考人 宮本です。先ほど、私、説明のスライドを、実は途中で最後間違って止めてしまいまして、今の御質問に関係するのが2枚ぐらい残っておりましたので、画面を共有していただきましたらありがたいです。
これで、先日の総合支援委員会で、現状についてまとめまして、それで、今後の整備指針を作成していくということが決まっております。
次のスライドをお願いいたします。
ここで、総合支援センター、そして、都道府県、そして国の役割がそれぞれここでは、厚労省案としては書き込まれておりまして、4つの普及啓発、医療提供体制の構築、人材育成、相談支援について、それぞれ細かく書かれているのですけれども、横に書いてあるところだけ読みますと、総合支援センターとしては、都道府県全体の循環器病対策における中心的な役割を担う医療機関として都道府県と連携しながら、県内の循環器病に関わる医療機関、患者団体等と連携体制を構築する、これは、ミッションそのものがございまして、そして都道府県のところで、総合支援センターが安定的に運営できるよう、脳卒中・心臓病等の特別対策費等を活用して必要な予算を確保し、都道府県の循環器病対策推進協議会とも連携し、都道府県の循環器病対策を推進すると。
ここに、初めてといいますか、予算をしっかり都道府県も確保してくださいということは書き込んでいただいております。
それで、特別対策費等ということで書かれておりますけれども、先ほど御質問にありましたように、私自身、個人的な考えではございますが、各県の財政状況もございますので、現在の特別対策費、すなわち県が出した同じ分を国が出す、県がつくった予算の半分を国が支援するという形では、なかなか安定的に進めることは難しいのではないかなとも思っておりまして、ぜひ御議論いただければと思います。
やはり、イニシアティブを国が取っていただいて、総合支援センターのモデル事業は、令和7年度で終了いたしましたので、そこに今まで投資してきたお金があろうかと思いますので、ぜひそういうものを利用して、何らかの形で総合支援センターが安定的に運用できるような仕組みを考えていただければと希望しております。
さらに、下のところ、国あるいは国循が関係学会と連携しながらということを書かれておりますけれども、総合支援センターや都道府県が役割を最大限に発揮できるように、最新の科学的な知見を収集するとともに、各都道府県の取組を評価分析し、好事例の横展開などを通じて国の循環器病対策を推進するということでありまして、やはり何らかの形での評価というのは、必要ではないかなと考えておりまして、ここで各都道府県にも評価に入っていただくというのが大事ではないかなとは考えております。
そこには、やはり行政とか医療関係者だけではなくて、本日のような患者代表の委員であるとか、市民代表の委員であるという方も入っていただいて、意見を言っていただければいいなと個人的には考えております。
資料は多分これだけだったと思います。資料は結構です。
○永井会長 ありがとうございました。
今の予算の問題、事務局から一言お願いします。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課です。
宮本先生から、今、補足していただきましたが、宮本先生の発表資料の最後の2枚のところで、本日、総合支援センターモデル事業の総括ということで、9月4日の総合支援委員会でまとめたものを本日御報告していただき、今後、整備指針というものをつくって、それに沿って総合支援センターが各都道府県で運営するように、国としてもしっかり支援していくという、そういった方向性を本日の協議会において御議論いただき、内容について御確認いただければと思って資料を出させていただいております。
また、予算につきましては、本日の参考資料の5に資料を出させていただいておりますが、今、話題になっています特対費については、今年度は2.6億ですけれども、次年度は3.1億ということで増額要求もさせていただいているところです。
この事業では、2分の1が都道府県負担ということになるわけですけれども、基本的に医療政策の責任主体は都道府県ということになりますので、通常都道府県が半分、国が半分という形になります。
ただ、実態としては、補助の半分を国に要求していますが、その裏負担の部分につきましては、交付税措置という形で総務省に要求させていただいていますので、最終的には都道府県が必要な事業規模というものを、事業を設計していただき、事業の必要規模を見積もっていただき、それを県として予算を組み立てていただくというのが基本になりますので、どういう事業が必要なのかということを都道府県と総合支援センターでよく相談していただき、事業を組み立てていただくというのが第一歩ということになります。
ただ、実際、都道府県に話を聞いてみますと、総合支援センターが何をやるところなのか、京都の取組は、今日すばらしい取組を発表していただいたわけですが、全ての都道府県でそういった取組が理解されているわけではないのかなという、私は印象を持っていますので、今回整備指針という形で、本来総合支援センターが何をやるべきなのかということをしっかり整理してお示ししすることが、まず第一歩になろうかと考えているところです。
本日の資料としては、宮本先生の資料の最後の2枚のところで、整備指針のポイントというものを示させていただいておりますので、そこについて、一度総合支援委員会でもんでいただき、また両学会にも見ていただいている内容になりますけれども、ここについても、もし御意見があればいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○永井会長 よろしいでしょうか。
それでは、最後に湯野川委員、お願いします。
○湯野川委員 心臓病経験者の湯野川と申します。宮本先生、御説明いただき、ありがとうございました。
患者視点、センターのユーザー視点でのコメントをさせていただければなと思います。
先ほど横田委員との質疑応答の際におっしゃっていた、就労支援の取組のお話に関して、患者視点で本当にそういった仕組みがあるとありがたいなと思いながら聞いておりました。
私自身、過去、2回入院をしておりまして、復職の交渉を職場としなければいけないという機会も2回ありました。
特に直近だと、補助人工心臓を入れまして、その際も復職の交渉をしなければいけないという場面がありました。自分の病状をちゃんと理解していても、その自分の病状を、ちゃんと職場に説明して、これはできる、これはできない、配慮がほしいというのをちゃんと説明する、そして、会社がそれを理解するというのを、医療の専門知識がない者同士が会話して、ちゃんと働く場所を考えていきましょうとするのは、とても難しいなと当事者として思っているところであります。
ですので、いつもその間に立ってくれる、ちゃんと知識のある方がいてくれれば、本当にありがたいのになとずっと思っております。
ですので、今回、京都の事例を聞かせていただいて、本当にすばらしい取組をなさっているのだなと思いましたので、今後、就労支援というものに関しても、京都からそういう好事例が出てきて、全国に広がっていってくれると、本当に患者としてうれしいなと思って聞いておりましたので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
ほかは、よろしいでしょうか。
大津委員。
○大津委員 国立循環器病センターの大津でございます。宮本先生、すばらしい好事例の御紹介をありがとうございました。
脳卒中患者一人一人に届けるために総合支援センターがハブになり、ネットワークをつくって個人個人に届くというすばらしい取組だったと思います。
先生もおっしゃいましたけれども、心臓病と脳卒中は疾病特性も違いますし、医療体制も違うというところで、今日、先生がお示しになったネットワークのいろいろな組織ですけれども、それは、そのまま心臓病にも当てはまるのか、あるいは心臓病では、ある程度のモディファイする部分があるのか、その辺を少し教えていただきたいです。
○宮本参考人 ありがとうございます。
京都府では、今日お示ししましたモデルは、脳卒中と心臓病がそれぞれ個別に動いておりますので、心臓病のほうは、心不全ネットワークというのが府立大を中心に行っておりまして、それ以外の脳のシステムは、脳だけで動いております。
先生おっしゃるように、全部を共通して動かすというのは無理だと思いますので、やはり双方でハブが必要だと思います。それで、共有する部分は共有して、協調してやっていくということかなと思います。ありがとうございます。
それから、もう一つ、永井先生、よろしいでしょうか、先ほどのコメントに対しての御意見です。
○永井会長 では、手短にお願いします。
○宮本参考人 はい。やはり企業で間に入っていただく企業在籍型のジョブコーチという方がいらっしゃいますので、その方を増やしていくと、先ほど御心配になったように、企業にいながら病気のことも分かっていただいて、患者さんとの間に入っていただくということですので、京都ではそういうことを企業と連携しながら増やしていこうかなとは考えております。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
では、最後に中山委員。
○中山委員 中山からです。手短にお話しさせていただきます。
宮本参考人に、最後のお聞きしたいのは、労働者健康安全機構との連携といいますか、いわゆるJOHASという機構、両立支援コーディネーターをこちらで発行していただいているところがございまして、このセンター事業の関連でお願いしたこともあるのですが、一からやはり説明しなくてはいけないというところもございましたので、京都では、どのような形で連携を取っていらっしゃるか、御説明いただければ参考にさせていただきたいと思います。
○宮本参考人 京都府では産業保健総合支援センターと十分連携しているというところで、まだ、JOHASと十分連携しているとこまでは行っていません。私は幾ら専従だといっても、なかなか時間に限りがありますので、そこまでは、まだ手を出せていませんが、そろそろ急性期、回復期はかなり連携ができたので、ようやく生活期に向けて少し踏み出したところというところになります。
以上です。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。いろいろ御意見をいただきましたが、基本的にこの整備指針の作成というのは、この形で進めていくということでよろしいでしょうか。
また、御意見等をいただければとは思いますけれども、最終的には会長一任ということで、事務局で整備指針の作成を進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○永井会長 ありがとうございます。
では、最後に、その他について事務局から説明をお願いいたします。
○松浦課長補佐 事務局でございます。
先ほど鶴田より少し触れておりますけれども、令和8年度循環器病対策事業につきまして御紹介させていただきます。
資料につきましては、参考資料5となりますけれども、現在、概算要求を実施しているところでございますので、内容につきまして、スライドの4枚目でございますけれども、脳卒中・心臓病等の対策に係る総合推進事業費ということで、新規事業というものを要求しているところでございますので、こちらも一度御確認ください。
事務局からは以上となります。
○永井会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。予定した議事は以上でございます。
本日は、コア指標の選定、中間評価を進めるということと、整備指針の作成について御議論をいただきました。非常に内容の濃い議論だったと思います。それ以外にも、いろいろなお気づきの点がありましたら事務局のほうへお知らせいただければと思います。
以上でございます。大変精力的な御議論をありがとうございました。
では、事務局からお願いいたします。
○松浦課長補佐 永井会長、委員の皆様、ありがとうございました。
次回の協議会につきましては、令和8年春頃を予定しております。詳細につきましては、事務局より改めて御案内申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で本日の協議会を終了いたします。委員の皆様、長時間にわたり御参加いただきましてありがとうございました。
○永井会長 ありがとうございました。



