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- 2025年10月8日 中央社会保険医療協議会 総会 第619回議事録
2025年10月8日 中央社会保険医療協議会 総会 第619回議事録
日時
令和7年10月8日(水)薬価専門部会終了後~
場所
全国都市会館大ホール 2階
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 飯塚敏晃委員
- 笠木映里委員
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 城山英明委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 髙町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 鈴木順三委員
- 伊藤徳宇委員
- 茂松茂人委員
- 江澤和彦委員
- 黒瀬巌委員
- 池端幸彦委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 小松和子専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて
- 診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」 からの報告について
- 入院について(その2)
議事
○小塩会長
それでは、ただいまより第619回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、佐保委員、岡本専門委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはこの辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-1-1の2ページ目を御覧ください。
再生医療等製品エレビジス点滴静注の医療保険上の取扱いにつきましては、6月18日の中医協において、条件及び期限付き承認がなされた後、新たな安全性情報に関する発表があったことを御報告し、まずは新たな安全性情報に関して、さらなる情報を収集した上で、医療保険上の取扱いについて議論することとしてはどうかとさせていただいたところでございます。
その際、3ページ目にお示ししておりますとおり、前提となる安全性についてしっかりと確認、整理することが必要との御意見をいただいたところでございます。
その後の対応につきましては、医薬局医薬安全対策課長より御説明をさせていただきたいと思います。
○安川医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。資料総-1-2を御覧ください。
エレビジス点滴静注の安全対策に関する資料をまとめております。
「1.背景」の記載は、総-1-1の資料と重複する内容を含みますが、中医協で本品の安全対策に関する指摘をいただいたので、今回資料を作成したものでございます。
6月の中医協で報告した海外の症例につきましては「2.安全性情報の概要」にまとめており、これまでに判明している海外の急性肝不全の死亡例は2例でございます。
いずれも国内の適用である歩行可能な患者ではなく、歩行不能患者における報告ですが、具体的な症例経過は別紙1として、この資料の5ページから7ページに示しております。
次に、2ページ目の「3.死亡例を踏まえた薬事上の対応」でございます。
今回のような肝機能障害は、承認時から注意すべき副作用として添付文書等で注意喚起されておりましたが、今回の海外の症例を受けて、さらなる安全対策の必要性を検討したところ、肝機能に係る定期検査を確実に行い、異常が生じた場合は速やかに対応できるよう、8月28日に添付文書を改訂して、具体的な検査の明記あるいは肝機能障害発現時の対応等を明記することにしました。
これらの対応について、より具体的な内容を医療従事者や患者家族に周知するため、この資料の参考1の医療従事者向けの適正使用ガイド、あるいは参考2の患者・家族向け資材も関連箇所を改訂する予定ということで、資料でマーカーを引いている部分が今回改訂を予定している部分でございますが、これらの対応により、肝機能障害に対する安全対策を徹底することとしております。
これらの対応に関しては、2ページ目の(1)から示している観点を踏まえて対応しているものでございます。
(1)として、本品が適用される患者においては、疾患自体を原因として肝機能検査値が正常範囲を超えている場合があること、また、本品投与後の肝機能障害の発生機序として考えることを明記しているところでございます。
また(2)として、本品のベクターの投与で免疫反応が発現することがあるので、投与前と投与後にステロイドであるプレドニゾロンの投与を行うことや、投与後に肝機能異常が発現した場合のステロイドの用法・用量調節方法を示しております。
また、ステロイドの投与で、今度は感染症が発生する可能性があるということで、十分な観察を行うことの注意喚起あるいは患者家族にもワクチン接種等の感染防止対策の必要性、こういったことも記載しているところでございます。
また、3ページ目の(3)として肝機能障害、急性肝不全を含む重大な副作用のマネジメントのため、重篤な副作用が発現した場合に、他科や他施設と連携が取れるような体制確保をあらかじめお願いするとともに、製造販売業者においては、小児神経や小児肝臓内科など、専門の医師で構成される専門家チームの体制を確保しており、副作用等が生じた場合は、このチームに相談するなど、万全な体制の確保というものを促しているところでございます。
また(4)として肝機能の障害の早期発見、早期対応を行うために必要な検査項目や検査頻度、症状が回復、軽快した後の検査の方法等も明記しているところでございます。
(5)としては、臨床試験における肝機能障害の発生状況に関して、ガイドでも明記しているところでございます。
この資料の(2)(3)で示しているようなステロイドの追加投与等の処置により、臨床試験の評価時点で肝機能障害が生じた患者の大半が回復しており、その時点で未回復の症例も、その後全て回復していたとのことで、早期対応を行うことで、重篤化は防止し得るものと考えております。
これは、海外の症例においても、今回の2例の症例でも、検査を確実に行って早期に受診して治療を行うことで死亡に至るような重篤化は防止できたのではないかということで、今回添付文書の改訂等の裏づけになると考えているところでございます。
8ページ目から9ページ目の別紙2は、今回の添付文書改訂までの経緯を触れておりますが、1で肝機能障害は審査の段階で既に確認されたもので、審査のまとめである審査報告書に明記した上で、薬事審議会でも議論を経て承認されたこと、また、今回の2の添付書改訂についても医薬品医療機器総合機構において改訂内容を専門家の先生の意見を聞いた上で方針をまとめ、その方針は市販後の安全対策を担当する審議会の担当部会である、医療機器・再生医療等製品安全対策部会の委員に報告した上で、改訂した旨、記載しているところでございます。
10ページ目から16ページ目の別紙3と4は、具体的な添付文書の改訂内容でございます。
さらに、17ページ、18ページ目の別紙5は、参考1と2で示した関連資材において、先ほど説明した内容に基づき、改訂する内容の概略をまとめたものでございます。
以上が薬事における安全対策の対応状況であり、承認当時から判明していた肝機能障害のリスクに関しては、今回の海外症例を踏まえ、肝機能障害をより早期に発見できる検査や留意事項を明記することで、肝機能障害が生じても重篤化せず、対処可能であると考えていることから、このような対応を行ったものでございます。
薬事上の手続につきましては、本来は、別紙2で記載した添付文書改訂の手続で完了しているところでございますが、今回、これまで中医協のほうでも、本品の安全対策の徹底が指摘されている状況でございますので、本日お示しした関連の資材、参考資料に示しております、こういった改訂内容に関しても、専門家や審議会等での確認も得ていきたいと考えているところでございます。
本日は、現時点の対応状況ということで報告いたしましたけれども、最終的な状況は、また、改めて中医協の場でも報告させていただきたいと考えているところでございます。
説明は以上です。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
総-1-1にお戻りいただきまして、5ページ目を見ていただければと思います。
本日は、前回の中医協で御指摘いただきました安全性に関する内容について御報告させていただき、今後も5月14日の中医協でお示しされました課題に沿って、エレビジスの医療保険上の取扱いについて、引き続き議論を進めていくこととしてはどうかと考えております。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
詳細な説明をありがとうございます。本剤につきましては、海外での死亡例を踏まえて、6月18日の中医協総会において、安全性については、薬事で再検討していただくことも含め、丁寧で慎重な検討が必要であると指摘をされております。
本日の資料では、臨床試験における肝毒性に該当する有害事象は、解析集団207例のうち約4割に相当する80例に認め、また、重篤なものについても10例であり、死亡の2例も遅発型肝障害と自己免疫性肝障害の異なる機序によるものであります。
現状、肝障害への明確な対処方法が定まっておらず、本来であれば、臨床試験を中断すべき状況とも察しております。
したがいまして、専門学会の有識者に肝障害の分析や安全性の評価を行っていただくプロセスは不可欠と考えております。
また、PMDAにおける専門協議や薬食審における安全対策部会における議論を踏まえ、8月末に添付文書が改訂され、今後、さらなる安全対策を徹底するため、医療従事者向けの適正使用ガイドや、患者家族向け資材を作成されるということであります。
ただ、これらの資料は、企業が主体となって作成するものと理解しております。そこで、ややイレギュラーではございますが、その内容が公的にも確認されたものであり、安全性の裏づけが単なる1企業の見解にとどまらず、公的に確認されていることが対外的にも明らかになるように、これらの資材についてもPMDAによる専門家や薬食審における安全対策部会においてチェックしていただくことを提案いたします。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。御説明いただき、ありがとうございました。
保険上の取扱いの議論を進めるに当たり、1点事務局に質問をさせていただきたいと思います。
まず、条件・期限付き承認を受けた再生医療等製品は、安全性が担保されていることが前提になりますけれども、エレビジスの安全性は崩れていないという理解でよろしいでしょうか。これが1点。
2点目は、肝機能障害に関して既知のリスクでしたので、今回、そのリスクを最小化するような対応を行ったという理解でいいかどうかを教えていただきたいと思っております。
○小塩会長
2点御質問がありました。よろしくお願いいたします。
○安川医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。
最初の安全性に関してでございますけれども、今回の海外症例につきまして、急性肝不全でございますが、肝機能障害自体は、承認時点から明らかになっていたリスクでございます。
今回の改訂に基づく検査や処置を行うということで、発生した副作用のマネジメントは可能ということで、承認当時からの安全性が確認されていることは変わらないものと認識しているところでございます。
2つ目の点に関しましても、こういった既知という範囲にはなりますけれども、そういったリスク管理の方法というところを、こういった形の改訂内容を踏まえてしっかりとやるということが、より重要ということで、今回改訂に至ったものでございます。
ということなのですが、先ほど江澤委員からも御指摘をいただいたように、一定の確認作業は終えておりますけれども、先ほどのガイドの内容とか、そういったところは、改めてきちんと処置のところの対応も確認をさせていただきながら、また中医協でも報告させていただきたいと思っておりますけれども、万全の体制を組みながら、本品の適正使用につなげていきたいと考えているところでございます。
○小塩会長
森委員、よろしいでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
安全性が確認され、担保されているという前提が崩れていないということであれば、5ページ目で示されている今後の進め方の案について異論ありません。
再生医療等製品は、条件及び期限付き承認であるかどうかにかかわらず、市販後の安全対策は不可欠だと思っています。
特に条件・期限付きであるものに関しては、より慎重に今後も安全対策を進めていくべきと考えます。
その上で、江澤委員からも、医療従事者向けのガイドを公的というものにして、しっかりと現場に伝えるようにというお話がありました。
エレビジスは、入院した医療機関で投与が行われることになりますけれども、治療前の経口コルチコステロイドの投与、また、退院後の経口コルチコステロイドの投与は薬局で行うことになります。
もし、エレビジスが薬価収載されることになった場合には、増量や漸減療法への対応、また、エレビジス投与患者のステロイド服用等における服薬管理が重要になってきます。
しっかりと取り組んでいきたいと思いますので、企業から薬局へも適正使用に関しての情報提供をいただけるように御対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうも御説明ありがとうございました。
説明をいただきました、使用上の注意の8月28日付での改訂、さらには、今後、医療機関や患者向けのガイドが整備され、医師や患者にも有害事象の可能性をしっかり周知し、何らかの兆候があれば、速やかに対応することを前提として、医療保険上の取扱いについて、議論を進めることには異論ございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
私からは2点、質問をさせていただきたいと思います。
まず1点目ですが、6月18日の中医協で示された方針案では、新たな安全性情報に関して、さらなる情報を周知した上で、保険医療上の取扱いについて議論するとなっていましたが、この新たな安全性情報に関しまして、懸念等は生じていないのでしょうか。
2点目ですが、このエレビジスの使用は、予想によりますと、ピーク時は2年目の100人で、その後は落ち着いて30人程度ということですが、ということは、条件・期限付き承認の間に使用のピークを迎えるということになります。
このエレビジスは、高額である上に、重篤な副作用の懸念が払拭されていないと言わざるを得ない状況だと思います。このような状況で、条件・期限付き承認の間に使用のピークを迎えるということには、やはり違和感があります。条件・期限付き承認の間は使用を制限して、安全性が確保されて本承認されてから、より多くの患者が使用できるようにすることはできないものなのでしょうか。
以上2点、お教えください。
○小塩会長
ありがとうございました。
事務局、いかがでしょうか。
○安川医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。
まず、1点目の質問に関しまして、新たな安全性情報の収集に関してでございます。
こちらは、今回、海外症例の2例を基に改訂を行ったものでございますが、1例目の報告は、審査中に確認しているということで、この症例を踏まえて、添付文書の注意喚起等の安全対策を実施したものでございます。
また、2例目のところが市販後に生じた報告で、6月の中医協でも報告をさせていただいたものでございます。
これは、承認時に注意喚起していた肝機能障害の範囲内ではありましたが、今回の添付書改訂の対応に関しては、6月の中医協以降に、これらの2例の症例経過等の情報を得た上で、より確実な安全対策を講じるために必要な措置を添付文書等で対応するということで、必要な検査、留意点等を明確にする対応を行ったということで、情報としては、この症例に基づく、症例経過の情報が新しい情報でございますし、そのほかの情報に関して、海外の情報で、こういった安全性措置を検討すべき、懸念すべきものはなかったと認識しているところでございます。
○清原薬剤管理官
2つ目でございます。薬剤管理官でございます。
御質問は、条件・期限付きの間は、投与患者をある程度制限してはどうかという御提案かと思います。
本品の対象疾患は、デュシェンヌ型の筋ジストロフィーという大変重篤な疾患で、遺伝子変異による変性の神経筋疾患であり、8歳までにほとんどの患者が起き上がれることができなくなり、10歳から14歳までには歩行ができなくなって、最終的には心筋及び呼吸筋の筋力が低下するため、致死的な転帰になるという進行性の重篤な疾患でございます。
患者さんは、非常に少ないものではあるものの、現在、本疾患に対応する治療方法というのは、本当に対症療法とか限定されておりまして、また、承認のところでも決まっておりますが、本品は3歳以上から8歳未満の投与対象と、かなり投与患者も限定されておりますので、そう考えますと、患者の治療薬へのアクセス、これを適切に確保する観点から、御指摘のような制限の措置というのは、難しいのではないかなと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
高町委員、いかがでしょうか。
○高町委員
ありがとうございます。
患者は、新薬を待ち望んでいます。しかし、それは、あくまで安全性が確保されていることが前提になります。安全性が確保されずに、安心して使用することが難しい新薬を患者が望んでいるものではないということは、改めてお伝えしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。
同分科会の飯塚分科会長より御報告をいただきまして、その後で、引き続き、事務局より補足をお願いいたします。
それでは、最初に飯塚分科会長、よろしくお願いいたします。
○飯塚分科会長
本日開催いたしました、第25回「医療機関等における消費税負担に関する分科会」について、御報告をいたします。
分科会では、事務局から医療機関における控除対象外消費税に係る診療報酬による補塡状況について、令和3年度及び5年度に実施した令和2年度、3年度、4年度の消費税補塡率の集計に誤り等があったことについて報告がありました。
資料の総-2-1、補塡状況の修正について、3ページを御覧ください。
上段に、これまで公表された補塡状況、下段に、集計し直した結果が示されております。
これについて、事務局より、誤りの内容や再発防止策についての説明があり、謝罪がありました。
次に、事務局より、今年度における診療報酬による消費税補塡状況の把握の進め方について説明がありました。
資料総-2-2「今後の進め方等について」の3ページを御覧ください。
こちらは、令和5年度、6年度に係る診療報酬による消費税補塡状況の把握について、事務局より前回同様の手法により実施してはどうかと提示されたものとなります。
検証結果については、今年12月めどで報告することとされておりますが、令和元年の消費税率引上げ以降、税率が変わっていない一方、診療報酬改定を重ねてきていること、収支双方に新型コロナウイルス感染症の影響を受けていること、さらに、近時は物価の上昇により課税経費が増加していること等も踏まえた上で、補塡の在り方の議論に資するよう、補塡状況をどのように評価するかという論点としております。
これについては資料に示された形で、消費税補塡状況の把握のための調査を行うことについて、分科会として了承いたしました。
また、再発防止に取り組むよう、多くの委員から要望があったことも重ねて申し添えます。
報告は以上となります。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
今の分科会長の御説明に補足をさせていただければと思います。
まず、総-2-1を御覧いただければと思います。
こちらは、総-2-1に基づきまして、過去の補塡状況の修正について御説明をさせていただきます。
2ページを御覧ください。
過去の消費税負担の補塡率については、令和2年度分を令和3年12月に、令和3年度分、4年度分を令和5年12月に公表してまいりました。
今般の令和5年度、6年度の補塡率の状況把握の作業準備を進めていく中で、過去公表分の計算過程において複数の誤りがあることを把握いたしたというものでございます。
具体的な誤りの内容についてでございますが、まず、消費税に係る支出の把握に関し、令和3年度、4年度分について、水道光熱費を消費税負担額の計算過程において計上しておりませんでした。
課税対象経費のうち、水道光熱費分が支出から除外される形となっており、これを補正することにより、補塡率は下がることとなります。
次に、収入の把握に関しまして、令和2年度分、3年度分について、生活保護法等の公費負担医療にかかる収入分を計上しておりませんでした。
支出の把握では、公費負担医療分を含んで計算をしておりますので、分母と分子をそろえるために公費負担医療にかかる収入分も計上する必要があります。これを補正することにより、補塡率は上がることとなります。
さらに、保険薬局に関しまして、令和3年度分の収入について、誤って令和4年度分の数字を用いていたというミスがございます。実際には、令和3年度分の数字はもう少し低い数字となっておりまして、これを補正いたしますと、補塡率が下がることとなります。
3ページを御覧いただければと思います。
上段の表が、これまで令和3年、令和5年に公表したものをまとめたものとなり、今、御説明したような誤りを補正したものが下段の表となります。
一番右側、参考といたしまして、全体補塡率というものがございます。これは、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局それぞれの値から国民医療費の構成比率等によって算出したものでありますが、これを見ますと、令和2年度については補塡率が上がるという形になっている一方、令和3年度、4年度については補塡率が下がる形になっております。
今一度2ページのほうに戻っていただければと思います。
一番下のところに「今後について」ということで、再発防止策について記載をしております。
複層的なチェック体制ということで、二重、三重のチェックを行うということはもちろんでございますが、現在の手法に比べ、もう少しシンプルでエラーの起きにくい手法が採用できないかと考えております。
ただ、新たな手法と、これまでの手法との整合性を検証する必要がありますので、令和5年度、6年度分の調査については、複層的にチェックを行うことは当然といたしましても、従来どおりの手法により実施をしたいと考えているということでございます。
いずれにいたしましても、これまでの調査において誤った数字をお示ししていたということにつきましては、中医協委員の皆様をはじめとしまして、関係者の皆様に改めて深くおわびをする次第でございます。申し訳ありませんでした。
説明を続けさせていただきます。
その上で、先ほど消費税分科会におきまして、令和5年度分、6年度分の補塡状況の把握に係る調査を実施することについて御承認をいただきました。こちらについて、総-2-2により御報告をさせていただければと思います。
2ページのほうを御覧いただきますと、これは、これまでの社会保険診療報酬に関する消費税の取扱いについての経緯でございます。
令和元年に消費税10%引上げに対応した診療報酬上の対応というのをいたしまして、その後、令和4年度診療報酬改定、令和6年度診療報酬改定においては、上乗せ点数の見直しは行わなかったといったことを記載しております。
3ページに移っていただきまして、令和5年度、6年度分の調査についてでございます。
先ほど御承認をいただきましたので、こちら(案)が取れたものとして御覧いただければと思っておりますが、前回令和5年度に実施した方法と同様の手法により、補塡状況を把握するものということでございまして、この後、調査に取りかかりまして12月を目途に御報告をさせていただくことを想定しているということでございます。
最後に一番下、この調査に関する論点でございますが、令和元年に行われた税率の引上げ以降、消費税率は変わっていない一方、診療報酬改定を重ねてきていること、収支双方に新型コロナウイルス感染症による影響を受けていること、近時は物価の上昇により課税経費が増加していること等も踏まえて、補塡の在り方の議論に資するよう、補塡状況をどのように評価するかということにしております。
4ページに移っていただきますと、補塡状況把握や医療経済実態調査に係るスケジュール、それから12月以降の診療報酬改定に係るスケジュールのイメージについて、お示しをしているものでございます。
説明については以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
まず、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
先ほどの分科会で長島委員からもコメントがありましたが、今回の結果は、過去の事例も含めまして、非常に深刻なものとして受け止めております。補塡の仕組みの信頼を大きく失墜させるものであり、大変遺憾に感じております。
消費税分科会におきましては、正確に調査分析を行い、それを踏まえて、より精緻かつ十分な補塡の在り方を検討していただくよう強く求めます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
分科会からの報告ありがとうございました。ただ今報告がありました総-2-1で、いわゆる2回目の補塡計算の誤りがあったということ、この問題に関しましては、病院団体として非常に遺憾に思います。
さらに、我々病院団体も消費税に関して独自の調査を行っておりますが、補塡状況に関しては、病院種別、また、病院ごとで非常に大きなばらつきが生じているということも判明しております。
今回判明した補塡状況の把握というのが非常に複雑で困難だということ、また、医療機関において、大きなばらつきが存在しているということそのものを考えますと、診療報酬で、この消費税そのものを補塡していく、それ自体が制度としての許容範囲というものを、もう超えているのではないかと、個人的には思います。
今回、補塡状況を確認していただくというのは、もちろんではありますけれども、今後この医療機関の控除対象外消費税の問題をどのように抜本的に解決していくのか、これは、分科会の所掌範囲ではないということで聞いてございますが、医療の支払制度そのものを検討していく中医協として、抜本的解決を図るよう、国に働きかけていく必要があるのではないかと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます、池端です。
私も太田委員と全く同じ視点ですが、3ページに論点とありますように、補塡をどう評価するかということはありますけれども、ここまで来ると、もう診療報酬で補塡をすること、そのものの仕組みが、もう限界に来ているのではないかということ。
それから、今、太田委員もおっしゃったように、全体としての補塡率をそろえることは、ある程度これでできたとしても、今、これだけ物価が急激に上昇しているインフレ状況の中で、控除対象外消費税を全体で見ても、各個別の医療機関にとっては大きな差が出てしまって、これが直接経営に影響してしまうということがあるので、このやり方であっても、かなりばらつきが出てしまうということになると、そろそろこれを抜本的に考える時期に来ているのではないかと。
もちろん、これは分科会、あるいは中医協マターでもないことは重々承知をしておりますが、そういう問題点を挙げていくことは、この中医協でもできるのではないかということで、それも含めて、1号側の先生方も含めて、しっかりどうあるべきかということを検討できればと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
本日、補塡状況の修正について御報告をいただきました。3ページの論点に示されておりますように、消費税の診療報酬の補塡については、診療報酬が2年ごとに改定され、また、この間、様々な要素が影響することから、補塡率は経年的に変化し得るものなので、精緻に計算を行うことは限界があることは理解しておりますが、今回のようなミスはあってはならないことと思います。
総-2-2に示されました、今後の補塡状況の把握及びスケジュール案は了解いたしますが、今後の集計については、記載されていますように、これまでの方法を踏まえつつ、ヒューマンエラーができるだけ少なく、かつ、我々医療従事者にも分かりやすい計算方法等について御検討いただき、今回のようなことがないようにお願いいたします。
また、今回の対応は、スケジュールの関係からお示しいただいている内容で進めざるを得ないと思いますけれども、昨今の物価が高騰している中、消費税のみならず、物価や水道光熱費等への診療報酬での対応も含め、総合的に考える時期に来ているのではないかと考えますので、今後どのような検証方法がベターなのか、併せて御検討をお示しいただければ、ありがたいです。
よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
消費税の補塡状況調査は、診療報酬による消費税の補塡が的確に機能しているかどうかを確認する重要な調査となります。今後、このようなことが発生しないように取り組んでいただければと思います。
その上で、現在の補塡の仕組みは、どんなに精緻に見込んでも、設備投資の状況や物価変動により課税経費率が変化すること、また、患者動向等により、補塡項目の算定回数が変化すること、マクロ的には補塡されても、施設ごとに見ると、ばらつきが生じることなどの課題があります。
消費税率が3%、5%、8%、10%と変化をしてきました。税率が大きくなると、マクロ的な補塡への影響だけではなく、個々の薬局、医療機関が受ける振れ幅、つまり控除対象外消費税への影響も大きくなると考えます。
この消費税の対応は非常に難しい問題ですけれども、先ほど太田委員、池端委員からもありましたけれども、抜本的解決に向けて検討する必要があると考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、資料にございました誤りでございますけれども、これについては、各委員から出ておりますけれども、診療報酬を決める非常に重要なデータに誤りがあったということですので、我々も非常に遺憾に感じるところでございます。
また、各委員から御意見がたくさん出ておりますけれども、この方法論について、今、意見でもありましたけれども、医療機関の種類による格差、本当に個別による格差というのも指摘がされておりますし、これは先ほど来述べられておりますけれども、今の基本診療に上乗せするという方法の限界ということも感じざるを得ないと思います。
具体的な検討については、調査結果を見てからということになりますけれども、別の方法で補塡するのであれば、どのような方法があるのかということも含めて、事務局には今後の議論の準備をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
それでは、次に「入院について(その2)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
事務局、医療課長でございます。総-3をお願いいたします。「入院(その2)」ということでございます。
前回から個別改定項目につながる議論を始めていただいておりますけれども、中医協の場は、これまでどおり改定率の水準などについては内閣で決まった後に、改定の内容を決めていくということでございますので、その報酬改定の水準といったものとは独立して、この算定の構造であるとか、報酬のそれぞれの項目の在り方等を議論していただく場と考えてございます。
それでは、説明を始めていただきますけれども、まず、2ページは目次となっておりまして「1.急性期入院医療」「2.高度急性期入院医療について」ということでございます。
急性期入院医療のほうは、3ページから12ページぐらいまで、これまで御覧いただいている資料が並んでおります。
13ページ「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」の中では、今回、医療機関機能というものが取り上げられてございまして、ここにあるような5つの医療機関機能が、そこに挙げられているということでございます。
こうしたことも頭に置いていただいた上で、14ページから報酬の内容に関する資料をまとめてございます。
16ページでございますけれども、急性期一般入院料の算定病院における救急搬送の受入件数別の施設数ということで、急性期一般の1のところの救急搬送件数、非常に多いところから少ないところに多様性があるということでございます。
17ページは、救急搬送件数別に見た病院の許可病床数であるとか、医師数であるとか、そういった病院の特性をまとめてございます。これも差があるということでございます。
18ページは、病床当たりの収支の状況ということで、これは病院の病床数で割っておりますので、急性期一般入院料1以外の病床を含んでいることに留意する必要がありますが、救急搬送件数の多い病院と少ない病院においては、医業費用そのもの、あるいは医業収益そのものに大きな差があるということでございます。
19ページは、それを割合で見ることができるようにしてございますけれども、どうしても医業利益のところに目が行きがちでございますけれども、それ以外にも、例えば材料費の割合といったところに大きな差が出ているということでございます。
20ページは、急性期1の算定病床における1日当たりの包括範囲出来高点数ということで、これもどのような差があるかということをお分かりいただけるかと思います。
21ページは、全身麻酔手術件数の分布をお示ししております。
22ページ、ここまでの論点でございます。
急性期一般入院料では、病棟の機能を評価しておりますけれども、ここに挙げたような病院の機能、特性を踏まえて、急性期における病院機能を踏まえた評価の在り方について、どのように考えるかということでまとめさせていただいております。
続いて「1-3.重症度、医療・看護必要度について」でございます。
25ページに現行の制度の概要を示しております。
26ページは、手術なし症例と手術あり症例で、A項目やC項目については、手術あり症例のほうが高い点数となる傾向にあり、Bの点数については、手術なし症例のほうが高い点数にある傾向にあることをお示ししております。
27ページは、救急搬送と手術のあり、なし別における重症度、医療・看護必要度の該当割合ということでございます。
救急搬送後の手術のない症例が最も低くなっておりまして、救急搬送以外の手術あり症例が最も高いという傾向になってございます。
28ページは、救急搬送からの入院と手術の有無で分けてございますけれども、救急搬送からの入院は、手術のなしの症例の割合が高くなっており、救急搬送以外の入院についてみれば半々ぐらいで、やや手術ありの症例が多いという傾向になってございます。
29ページ、内科系患者割合が高い医療機関に関して、評価の基準の見直しについての要望もいただいているところでございます。
30ページ、入院・外来分科会のほうでは、こうしたことを受けて、指標についての調査研究、検討を行っていただいたところでございます。
幾つか考えられる対応を挙げた上で検討をいただきましたけれども、その中で、ここに4つあるうちの現行のA・C項目の修正が可能か、あるいは緊急入院などの負荷の高い項目を評価できるかといったところを中心に御議論をいただきました。
31ページ、32ページは、このA・C項目に追加し得る項目として、どのようなものがあり得るか、あるいはその影響について学会等の御提案をまとめてございます。
32ページには、その候補のリストを挙げさせていただいております。
また、33ページは、救急搬送後の患者の評価に関する経緯と課題でございます。
これまで救急搬送後の患者について、入院から日数を限って重症度、医療・看護必要度の該当項目として評価をするということで行ってまいりました。
救急搬送を評価することのメリットもありますけれども、該当期間が長くなり過ぎると、入院日数の延長の要因となり得るのではないかといったことも懸念されるところでございます。
34ページは、そういう中で、そういった入院期間延長へのインセンティブを生まないためには、例えば②にあるように、救急搬送の受入れを指数化して該当患者割合に合算するという形で、入院日数によらない形で救急搬送を反映させる方法もあるのではないかという例でございます。
また、救急搬送へのインセンティブそのものを生じさせないためには、救急搬送患者だけではなくて、例えば協力施設入所者入院加算の対象患者を加えて評価するといった方法もあるのではないかということでございます。
35ページは、1床当たりの救急搬送件数と、それから手術のなし症例が多いか、あり症例が多いかということで、病院ごとの分布をまとめてございますけれども、救急搬送件数が多い病院ほど、手術のない症例が多いという全体的な傾向がございます。
36ページからは、B項目の測定に関してまとめてございます。ここの業務負担の緩和についての御要望もいただいているところでございます。
38ページ、B項目の得点を見ますと、特定機能病院や急性期1では比較的低い傾向、急性期病棟でも、ほかの病棟のほうがより高い傾向にあるという全体的な傾向がございます。
39ページ、前回改定でございますけれども、幾つか変更がございましたが、急性期1や特定機能病院の7対1においては、B項目の基準からは除外し、引き続き評価のみを行うということが、前回改定で見直しが行われました。
また、40ページ、B項目の評価に当たって、根拠となる記録を別に記録するということについては、令和2年度の改定において、不要と見直されております。
41ページ、この記録について、病棟の看護管理者が課題に感じていること、特にないという回答もございますが、記録忘れなどのほかに、職員研修への手間や、必要度の記録による時間外勤務などのお答えも出てございます。
また、42ページ、簡素化の必要があるものとして、幾つかある中での上位に挙がっているということでございます。
一方、43ページ、評価を続けることになっている理由としては、43ページに通知を抜粋してお示ししておりますけれども、経営者配置などに当たって、各病棟における看護職員の適正な配置数の確保の根拠として測定をしていただいているという考え方でございます。
44ページが実際の活用例、そして、45ページは、このデータそのものをまとめた上での活用例ということでございます。
46ページ、看護職員の配置数を決めるに当たって参考にしている指標として、A、B、C項目等を参考にしているというお答えが、半数程度あったということでございます。
47ページでございますけれども、B得点の状況でございまして、左側にありますように、要介護度と大きな相関があるということでございますけれども、入院時と退院時を比べますと、上がる方、下がる方がいらっしゃって、その差分の中央値ということでいうと、ゼロに近いということでございます。
48ページは、B項目の特定の入院期間における変化を毎日の変化の増分として、お示しをしているものでございまして、全員の平均を取りますと、最初は動きがありますけれども、だんだん上がる方と下がる方の数が同じになってくるということでございます。
49ページは、Kコードの手術のあり、なしで分けてございますけれども、Kコードの手術のある方は1日目と8日目での差が大きいということ、だんだんこうした手術のあり、なしによる差ということで見ると、7日目と14日目の差辺りでいうと、手術のない患者と変わらなくなってくるということになります。
その他、入院・外来分科会でいろいろ分析いただきましたけれども、50ページに、その概要をまとめてございまして、このB点数は何を評価しているかということでいうと、発症前からの身体機能によるケアの必要性と、それから疾患による療養上の世話の必要性といったものを併せて評価するような点数になっているのではないかということでございます。
左側にありますように、急性期の入院で、もともとのケアの必要性の低かった方に関しては、この疾患に伴うケアの必要性がだんだん改善してくることになりますし、また、高齢者あるいは包括期といった方で見ると、もともとのケアの必要性が高かった中で、場合によっては入院中に、むしろ悪化してくる方もいらっしゃるということでございます。
51ページ、仮にということでございますけれども、B得点を入院後4日間ないし7日間までは毎日を測定し、それ以後は7日ごとと測定の回数を減らした場合に、病院全体での該当患者割合がどの程度変化するかというのをまとめてございますけれども、こういったシミュレーションにおいては、該当患者割合の変化が1%未満という医療機関が大半であったということでございます。
また、こうした見直しを仮に行った場合には、測定日数が4割ないし6割程度減少するというのが右側の結果でございます。
53ページ、論点をまとめてございます。
重症度、医療・看護必要度について、手術なし症例が救急搬送による入院の多くを占めることなどを踏まえまして、手術なし症例や救急搬送後の症例における密度の高い医学的管理の適切な評価を図る観点から、重症度、医療・看護必要度の評価についてどのように考えるか。
また、B項目の測定の診療報酬上の評価における有用性やB項目測定に係る負担軽減の観点について、どのように考えるか。
急性期一般入院料1や特定機能病院入院基本料において、B項目が評価基準の対象から削除されましたが、引き続き継続を測定することになっております。こうした測定の意義、また、負担を踏まえて、施設基準において求める測定の在り方をどのように考えるかと、まとめさせていただいております。
続いて、54ページからは「1-4.総合入院体制加算と急性期充実体制加算について」ということでございます。
56、57に施設基準をまとめてございます。特に58に、それぞれの加算の1を比較できるようにまとめさせていただいておりまして、おおむね共通の施設基準も多くございますが、急性期充実体制加算のほうが、手術の実績を重く求めておりまして、総合入院体制加算のほうが、総合的な診療体制を重く求めているという、そういった関係になってございます。
59ページは、消化器外科の医師数、医療機関別の医師数と消化器外科の手術件数を比較できるようにまとめてございます。
医師数が、外科医数が増えていくと、手術の件数は比例的にというよりは、累進的に伸びていくということでございます。
60ページは、心臓血管外科の手術件数についても同様であるということでございます。
61ページは、心臓血管外科手術件数の分布をまとめてございますけれども、それと併せて、総合入院体制加算の対象と急性期充実体制加算の施設基準の対象においては、定義が若干異なっておりまして、それを左右に比べておりますけれども、若干、そうした定義によっても、この件数の扱いが変わってくるということになります。
62ページが、二次医療圏と、この加算の病院の属性を表してございます。
左側、急性期充実加算を取っている病院を地域別に分類しておりますけれども、人口の少ない地域において、加算を取っている病院というのはあまり多くなく、総合入院体制加算3の辺りに少し出てくるということになります。
63ページは、以前にもお示しをしておりますけれども、二次医療圏における最大の救急搬送件数のある病院と、その件数を、横軸のほうに病院が所属する二次医療圏の人口を置いて、プロットをさせていただいております。
人口が多い医療圏のほうが、救急搬送件数の多い病院があり、そういったところが加算を取っておられるということが分かります。
64ページは、縦軸のほうを変えておりまして、救急搬送件数の地域シェア率というのを縦軸にすると、人口20万人以下の二次医療圏においては、その地域においては、非常に集約的に救急搬送を受けていらっしゃる病院があるということが分かります。
65ページは「各医療圏における加算の届出病院数」でございまして、人口20万人未満の二次医療圏においては、これらの加算を届け出ている医療機関のない医療圏が多いということが分かります。
小規模な二次医療圏において、手術等以外に、いろいろ大規模な病院に求められる機能があるかと考えておりますけれども、そうしたものの例として、へき地診療所等への支援、そういった中での巡回診療であるとか、オンライン診療、そういったものを挙げさせていただいております。
67ページは、へき地医療拠点病院における、そうした事業の実施状況をということでございまして、巡回診療や医師派遣、代診医派遣などが行われております。これをへき地医療拠点病院の属する二次医療圏の人口規模別にまとめてございますので、人口20万人未満の二次医療圏におけるへき地医療拠点病院においても、そうしたことが行われていることが分かります。
68ページからは、精神と身体の合併症についてでございまして、68ページは、その診療体制の在り方ということで、横軸に身体症状の重症度、縦軸に精神症状の重症度、両方重症度が高い方においては、総合病院の精神病床が必要であるということが書かれております。
69ページ、総合病院精神科に係る主な診療報酬上の現行の評価となってございます。
70ページは、これらの加算を取っている病院における精神科等の入院医療の提供割合でございますけれども、精神科の病床を持っているところというのは、小児科・産婦人科と比べて低いという傾向にございます。
また、71ページ、精神病床は減少傾向に全体としてございますけれども、精神科病院よりも一般病床と両方持っている一般病院のほうが、この減少のスピードが速いということでございます。
72ページは、総合入院体制加算と急性期充実体制加算の算定病院における精神病床の届出数をお示ししておりますけれども、同じ病院で比較したものが下の箱になってございまして、特に急性期充実体制加算を届け出た病院で、やや減少の傾向が見られてございます。
こうしたことを踏まえまして、74ページに論点をまとめてございます。
総合入院体制加算と急性期充実体制加算では、類似しているが異なる施設基準が設定されており、そうした評価の趣旨、地域医療における意義等を踏まえまして、その評価の在り方についてどう考えるか。
また、人口規模の少ない医療圏等で、拠点的な機能を果たしている病院がございますけれども、そうした地域で救急医療や、総合的な診療体制を確保するために不可欠な病院もあることを踏まえ、そうした地域の拠点的な機能を果たす病院に求められる機能や、その評価の在り方についてどう考えるか。
また、精神症状と身体症状を一元的に対応できる医療機関の確保を図る観点から、総合入院体制加算と急性期充実体制加算における精神科の入院医療に係る評価の在り方について、どのように考えるか。このようにまとめさせていただいております。
「1-5.DPC制度について」でございます。
76ページは、基本的な事項をまとめてございます。
77ページ、DPCの算定を行い得る病床であっても、出来高算定病院となっているところがありまして、そういったところの病床の規模等についてまとめてございます。
78ページは、一般病棟の入院基本料別に、DPCにおける位置づけの度合いをまとめてございまして、左側3つ、大学病院本院群、特定病院群、そして、標準病院群までがDPC算定が行われている病院ということになります。
79ページ、80ページは、医療機関別係数の概要をまとめたもの。
81ページが、基礎系数の意義をまとめたものとなってございます。
82ページは、DPC病院群別の包括点数に対する包括範囲出来高点数の比ということでございます。
大学病院本院群と、DPC特定病院群と、そして、その他の病院では、こうした同じ包括点数を使っていても、実際の診療密度が異なるということが分かりまして、それに応じた基礎係数が設定されているところでございます。
今回新たにお示しをしているのは、緑とグレーの差でございまして、救急搬送件数が1,200件以上と1,200件未満のところで、実際の包括範囲出来高点数が、この程度に違っているということをお示ししております。
83ページ、ここまでの論点でございます。
まず1つ目、急性期一般入院料の評価方法とDPC制度の対象範囲の関係性の観点から、急性期における病院の機能や特性を踏まえた急性期入院医療の評価の在り方について、どのように考えるか。
また、DPC標準病院群においても、救急搬送受入件数の多い病院ほど、包括点数に対する包括範囲出来高点数が高い傾向にあり、こうした傾向を踏まえた基礎係数の設定の在り方について、どのように考えるかとさせていただいております。
84ページからは「2.高度急性期入院医療について」ということで、ICU、そしてHCU、脳卒中ケアユニットの3つについてお示ししております。
少し飛びますが、88ページ、届出医療機関数の推移でございます。後でも出てまいりますが、今回、前回の改定の影響もあってか、特定集中治療室管理料の3、4が減り、5、6が増えるということになってございます。
89ページは病床数で見たもの、そして、90ページはそれを割り算した1施設当たりの平均病床数ということでございます。
そして、94ページ、ICUの入室経路でございます。左側の茶色い部分が救急外来から、真ん中の青いところが手術室から、そして、紫、右側のほうが急変による一般病棟からの入室ということで、こうしたところが多くなってございます。
95ページは、集中治療室を有する病院の年間救急搬送件数ということで、非常に多い病院も、もちろんたくさんございますけれども、少ない病院もあるということでございます。
96ページは、同じことを年間の全身麻酔実施件数で見ております。
97ページは、それらを縦軸と横軸に置いて、一つ一つのICUがどういった分布を示しているかということをお示ししています。
98ページは、年間救急搬送件数別に、1日当たりの医療資源投入量を見てございますけれども、年間救急搬送件数1,000件未満の病院において、1日当たりの医療資源投入量が低い傾向がございます。
そして、99ページから医師配置に関してでございます。
102ページは、先ほど御覧いただいたのと同じグラフとなってございます。
103ページ、特定入院料を算定する治療室、とりわけここで議論していただきたい特定集中治療室管理料の5や6において、宿日直許可を得ているという病院が多くなってございます。
今回、改定後に変更した理由として104ページ、1、2から5、6への変更の理由として、宿日直等を行っており、交代勤務体制は組めないというのが上位になっておりますし、105ページ、3、4から5、6の変更の理由についても同様でございます。
106ページ「治療室に配置されている専任の医師」ということでございますけれども、ICUの1、2、3、4は夜勤の医師を置いているというところでございますが、そうしたところでは、集中治療の経験を5年以上有する医師が置かれている以外にも、様々な医師が置かれているという内容でございます。
107ページは「特定集中治療室管理料を算定する治療室の患者受入方針」でございまして、1、2、3、4、5、6ということで、対比できるように挙げさせていただいております。大きな傾向の違いはないのではないかと見ております。
そして、重症度、医療・看護必要度についてでございます。110ページが現行の評価、左側が特定集中治療室管理料ということで、Aというとこに書いてある項目を評価し、2点以上の場合に基準を満たすということ、そして、それらの満たす患者さんの割合が8割以上ないし7割以上の場合に、治療室として施設基準を満たすというルールになってございます。
111ページ、112ページは、こうしたICUにおける算定対象となる患者の状態あるいは入退室指針ということでございます。
113ページは、入室する患者さんの疾患名でございまして、様々な病気がございますけれども、循環器の病気が上位を占めてきております。
114ページは、不整脈の治療についてまとめてございます。
115ページでございます。算定患者における該当割合ということでございます。
まず、青く打っておりますけれども、動脈圧測定、中心静脈圧測定、こうしたものは2点という項目でございますので、こうしたことをやっていれば、測定のみにて2点を満たすということで、基準を満たすということになります。
それから、右のほう、現行の評価項目でないものということでございます。入院・外来分科会調査のほうで、こうした項目の該当割合についても、併せて調査をいただいたところでございます。
116ページから個別の加算についてでございます。
119ページ、遠隔支援加算というものが前回改定でつくられてございます。
この中には、医療資源の少ない地域または医師少数区域に所在する医療機関が、支援先として含まれていないといけないとなっておりますので、120ページ、現行、この報酬を活用されている医療機関というのは、医師少数区域の被支援医療機関というのを1つ以上見つけてこないと、この支援ができないことになっているということでございます。
121ページは、特定集中治療室管理料の5と6の医師少数区域かどうかということにおいての分布を示しております。
122ページから「重症患者対応体制強化加算」ということで、その内容については、124ページ、125ページにまとめてございます。
届出状況が126ページ、127ページが届け出ていない理由ということで、一般的には看護師や臨床工学技士の体制が確保できないところが多いのですけれども、128ページ、特定機能病院においては、急性期充実体制加算を届け出ていないためというのが上位になってございます。
特定機能病院は、急性期充実体制加算を届け出ることができないため、ほかの要件を満たしていても届出ができないということになってございます。
129ページ、臨床工学技士の配置については、特定機能病院の治療室では、相当に行われているということでございます。
続いて「広範囲熱傷特定集中治療管理料」でございますけれども、132ページに、現在の救命救急入院料や特定集中治療室管理料の区分をまとめてございますが、この赤で囲んでいるところが、広範囲熱傷特定集中治療を行っている場合の区分ということになります。
ただ、救命救急入院料の1と3あるいは2と4、また、ICUの1と2、3と4、5と6を比べていただくと、それ以外の部分について違いがないということでございますので、このために1つ区分を設けて、こういった掛け算でスケジュールの数を増やしておく必要があるかどうかということが、ここでお示ししている内容でございます。
すみません、ページ数が1ページずれているということでございましたので、続いて、ハイケアユニットに関してでございます。
資料の構造は、ICUと同じになってございまして、140ページが治療室への入室経路に関する内容、そして、その後、年間救急搬送件数や全身麻酔の実施件数に関する分布をお示しさせていただきます。
143ページを見ていただきますと、ICUと同様にHCUにおいても、年間麻酔件数や救急搬送件数について大きなばらつきがあるということでございます。
また、その後、145ページでありますけれども、医療資源投入量においては、年間救急搬送1,000件未満の病院においては、低い傾向がございました。
それから、重症度、医療・看護必要度についてでございますけれども、148ページに、現行の右側に、ハイケアユニットの評価をまとめてございます。
こうしたもので1点という評価が行われまして、そこの下にございますように、基準①と②がございますけれども、例えば入院医療管理料1であると、基準①に1割5分以上が該当、また、基準②に8割以上が該当ということが求められてございます。
そして、150ページが疾患名ということで、こちらのほうも循環器の患者さんなど、様々な患者さんが入っておられるということになります。
152ページ、これもICUの資料と同じ構造になってございますけれども、現行の評価項目でないものについても、入院・外来分科会調査のほうで、該当の割合を調査いただいたということでございます。
154ページに論点をまとめてございまして、次のような点等を踏まえ、ハイケアユニット入院医療管理料の評価の在り方について、どのように考えるか。
救急搬送件数に応じて、ハイケアユニット入室患者の医療資源投入量に差があったこと。
また、重症者に行われるが、重症度、医療・看護必要度において、現在評価されにくい処置等があること。
また、現行のハイケアユニット用重症度、医療・看護必要度の基準に該当する患者割合の現状を踏まえ、要件割合の適切な水準について、どのように考えるか。このようにまとめさせていただきます。
「2-3.脳卒中ケアユニット入院医療管理料について」でございます。
ポイントとなるのは、159ページ、これを算定する病院において、超急性期脳卒中加算や経費的脳血栓回収率の算定状況に差があるということでございます。
そして、160ページ、例えば脳梗塞に対する血栓溶解療法を受けた患者においても、自院の他の治療室に入室するという病院もある、となってございます。
161ページでございますけれども、論点といたしまして、この脳卒中ケアユニット入院医療管理料の評価の在り方について、どのように考えるか。
とりわけ超急性期脳卒中加算、経皮的脳血栓回収術に関する実績について、病院間で大きな差があること。こうしたことを論点として挙げさせていただいているところでございます。
すみません、説明が長くなりましたけれども、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。ページ数は、よろしいですか、皆さん、先ほど少しずれがあったようですけれども、よろしいですか。画面を見ていただくと、正確に対応しているということでよろしいですね。
○林医療課長
はい、申し訳ありません。116ページを私が、画面のほうで追加されているのを見ておりませんで、1ページずれて、その辺りから10ページぐらい御説明をさせていただいてしまったと思いますので、すみません、おわびを申し上げます。
それから、136ページについて、すみません、論点ところを読み飛ばしてしまったような気がいたしますので、そこについては、資料を御覧いただければ幸いでございます。
○小塩会長
分かりました。ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿って意見を述べさせていただきます。まず、22ページの論点についてでございます。
まず、これまでの病棟単位での急性期機能ではなく、病院としての急性期機能を評価する方向性が示され、大変大きな見直しとなります。
現在、病院の経営状況は、過去に経験のない瀕死の重症状態にある中で、大きな見直しや適正化を行うと、容易に病院は倒れる状況にあるため、大きな見直しや適正化は厳に慎むべきであります。
実際に、18ページと19ページには、許可病床1床当たり及び1施設当たりの救急搬送受入件数の項目において、医業利益は全ての項目でマイナス、赤字となっており、緊急に診療報酬による支援が必要な状況が明らかとなっております。
したがいまして、適正化はないものと確信して申し上げますが、病院における急性期機能を救急搬送件数や、全身麻酔手術で評価する方向性も見え隠れしており、仮に検討するのであれば、詳細かつ精緻なシミュレーションを行い、1か所残らず、全ての病院がプラスとなるよう確認することは不可欠であり、絶対条件であると強く申し上げます。
新たな地域医療構想では、医療機関機能報告を行う方向となっていますが、これは、あくまでも国民に分かりやすく示すことを目的としており、複数の機能を有する医療機関は複数の報告ができる仕組みも想定されております。
最適な医療提供体制を構築するために、各医療機関が現状の機能を報告するものであり、診療報酬で評価することを想定したものではありません。
診療報酬で医療機関機能を誘導し、地域医療構想の中にパズルのごとくはめ込むことは不可能であり、現状の病院は全く余力がなく潰れてしまいます。
入院(その1)の議論でも強く要望いたしましたが、次回診療報酬改定は、医療機関の経営をまさに直し支える改定であることが不可欠であり、このことを念頭に置き、第一義的に考えていくべきであることを申し上げます。
次に、53ページの論点について申し上げます。
重症度、医療・看護必要度の評価において、これまで内科系疾患の評価が低いとの従前からの指摘があったところであり、手術なし症例をより反映する指標や、救急搬送患者の評価の重みを増す方法の検討がなされ、これらの密度の高い医学的管理の適切な評価を図ることに異論はありませんが、新たな評価を加えることにより、他の評価が適正化や減額化されることがあってはならず、あくまでも付加するのみであることを要望いたします。
なお、34ページと35ページに協力対象施設入所者入院加算について示されていますが、令和6年度診療報酬・介護報酬同時改定において、介護保険施設と医療機関の連携を推進するために新設された加算であり、介護保険施設との連携が推奨される在支病や地域包括ケア病棟を有する200床未満の医療機関などが主に算定すると想定されております。
したがって、本加算は急性期機能より、包括期機能になじむものであり、急性期と包括期の救急搬送の整理も必要と考えております。
さらには、本加算の算定に当たっては、介護保険施設側と毎月1回以上の会議もしくはICT連携体制を構築し、平素から入所者の医療情報をやり取りした上で、年3回以上の会議を行うことが要件であり、介護保険施設の協力が不可欠ですけれども、多忙で人手不足の介護現場の協力を得ることは厳しく、算定状況も低調であり、検討が必要でございます。
次に、B項目の評価については、様々な活用の実態もある一方で現場の負担も生じており、測定や評価の頻度、タイミングなどによる影響を踏まえつつ、現場の声も聞きながら、さらに継続的に検討していくべきと考えております。
また、今後、介護を要する高齢の患者さんが確実に増えてきますので、病棟における相当なマンパワーを要します。
現状、介護の必要性を見ている看護必要度が、重症度の指標に含まれておりますが、介護は、多くの患者に必要性があるため、介護必要度を重症度評価ではなく、看護補助加算とは別に、入院基本料に加えて新たに評価する仕組みの導入を検討すべきと意見いたします。
続きまして、74ページの論点について申し上げます。
総合入院体制加算は、幅広い総合的な診療体制を評価するものであるのに対して、急性期充実体制加算は高度あるいは専門的な医療の提供体制を評価するものとして、それぞれ趣旨が異なるものですが、両加算の点数設定などの事情もあり、地域の総合病院の精神科病床数などが減少するという弊害が生じてしまったと理解しております。
両者の一本化の方向性も見受けられますが、次回改定に向けては、それぞれの加算の趣旨を生かしつつ、かつ、施設基準のハードルを上げることなく、柔軟に手直しを図っていくべきであると考えます。
また、2つ目の○にある人口規模の少ない医療圏などで、拠点的な機能を果たしている病院の評価としては資料に示されているとおり、地域シェア率の考え方を導入することも検討すべきと考えますが、地域の設定などについては、丁寧な検討が必要であると考えます。
3つ目の○について、急性期充実体制加算に精神科を充実する体制加算が設定されておりますが、精神病床の減少が見られており、施設基準ではなく、現行の加算に上乗せして評価する仕組みが求められると思っております。
続きまして、83ページの論点について申し上げます。
DPC制度について基礎係数の設定を見直すのであれば、救急搬送件数が多い医療機関など、よりコストがかかっている病院を手厚く評価することを検討すべきである。
一方で、厳しい経営状況に鑑み、82ページのグレーのドットなどの病院が一切不利益を被らないように、詳細にシミュレーションすべきであります。
また、77ページにありますように、DPC制度に参加していない医療機関の大半は、DPC算定可能病床数が100床未満の医療機関であることが示されております。こういった現状を把握し、手当を検討する必要がある。
一方で、1か月当たりのデータ数が90未満である病院については、次回の令和8年度改定より、何らかの対応がなされる見込みですが、小規模な病院であっても、脳や循環器疾患など、専門性に特化し、地域において重要な急性期機能を果たしている病院もございますので、そうした病院を強制的にDPC制度から退出させるようなことは慎むべきであると考えております。
続きまして、136ページの論点について意見を申し上げます。
救急搬送件数に応じて特定集中治療室に入室する患者の医療資源投入量が異なるという分析が、98ページに示されておりますが、件数依存性に顕著な差があるわけではなく、94ページ目にも示されているとおり、特定集中治療室管理料への入室経路は、手術室からの入室が最多となっております。また、救急搬送の件数は、病院の規模によっても異なります。
したがいまして、救急搬送件数に応じてICUの評価を行うことを決め打ちするのではなく、各病院における実際のICUの利用実態についても十分に踏まえた上で検討すべきであると考えております。
また、前回改定では、治療室に常時配置される医師は、宿日直を行う医師ではないことが明確化され、その結果として地域の病院は、人員の追加確保が迫られ、対応できない病院は、特定集中治療室の廃止の検討が余儀なくされるなど、地域の救急医療の提供体制に混乱が生じております。
しかしながら、今回の調査結果では、ICUの3、4や宿日直を行う場合でもよいICUの5、6とでは、提供している医療の内容に大きな差がないことが示されております。
したがいまして、次回改定では、医師の宿日直に固執することなく、特定集中治療室が実際に果たしている機能についてもしっかりと評価されるような手直しが必要であると考えております。
それから、特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度については、今回、評価項目の見直しが提案されていると受け止めておりますが、変更後のイメージやシミュレーション等をお示しいただいた上で、こちらも地域の救急医療提供体制に混乱が生じないよう、慎重に検討する必要があると考えます。
特定集中治療室管理料5、6について、新たに特定集中治療室管理料を届け出る場合には対象とならないことについては、地域の実情に応じたICUの設置を促すという意味で、新規の届出についても認める方向で検討すべきであると考えております。
次に、重症度、医療・看護必要度における重症者に行われるけれども、現在は評価されにくい処置などを新たに加えることに異論はございませんが、厳格化することのないようにお願いしたいと思います。
特定集中治療室遠隔支援加算については、医療資源の少ない地域や医師少数区域に限らず、医師を含め、深刻な人材不足に陥っている地域もありますので、今後の人口減少社会も踏まえ、地域の医療提供体制を確保するためにも、この要件は緩和すべきであると考えます。
重症患者対応体制強化加算についても、この加算は集中治療領域における重症患者対応の強化のみならず、人材育成の重要性を踏まえたものであることを踏まえれば、それは、特定機能病院の意義とも合致しておりますので、制度の趣旨に合致する方向で検討してはどうかと考えております。
最後の救命救急入院料1から4、特定集中治療室管理料1から6を広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって区分されている点については、それぞれの算定日数や点数、施設基準に違いもあるため、簡素化を検討するということであれば、もう少し具体的なイメージを示していただければと思います。
続きまして、154ページの論点についてでございます。
救急搬送件数に応じてハイケアユニットに入室する患者の医療資源投入量が異なるという点については、先ほどの特定集中治療室管理料と同様、各病院における実際のHCUの利用実態などについて十分に踏まえた上で検討すべきであると考えますし、重症度、医療・看護必要度の評価項目や要件割合の見直しについても、十分にシミュレーションを行い、慎重に検討する必要があると考えております。
最後に161ページの論点でございます。
超急性期脳卒中加算、経皮的脳血栓回収術に関する実績について、病院間で大きな差があることが指摘されておりますが、実績が少ない医療機関において、どのような医療が提供されているのか、もう少し詳しく見た上で検討する必要があると考えております。
長くなりましたが、発言は以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員の意見を聞く機会について御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
本日、第2ラウンドでの入院医療に関しての個別の検討が始まったということですが、各論点に関しての意見の前に、入院(その1)でも少し発言させていただきましたが、今回の入院医療に関する改定に関しての全体的な意見を述べさせていただきたいと思います。
一昨日、日本病院会をはじめ、四病院団体で実施している病院経営調査の中間報告を公表させていただきました。
これは、直近2024年度の通年での病院の経営状況に関して、初めて出てきた数字ということになりますが、2024年度は、先日、中医協でMCDB資料として報告されました2023年度と比較し、医業利益率、経常利益率ともさらに悪化し、医業利益の赤字病院割合は73.8%まで上昇してございました。
また、病院種別でも急性期などの一般病院、ケアミックスの病院、精神病院を含め、全ての病院種別で医業利益率、経常利益率とも赤字に転落という過去最悪の結果でございました。
次回、2026年改定における病院診療報酬改定においては、まず、全ての病院機能において大幅な底上げが必要であるということを強く主張いたします。
その十分な底上げが保証されない限りにおいては、ぎりぎりで支えている地域医療を破綻させる可能性が高いことから、制度の見直しは、できる限り小幅に慎重に行うべきと考えます。
我々医療者も患者を治療する際に、どれぐらいの治療に患者が耐えられるかを考慮して、治療法を選択いたします。体力の非常に落ちている患者に侵襲性が高い治療を行い、患者が死亡してしまうということはあってはなりません。その点は、今回改定に際して、中医協委員全員が留意すべきことであると思っております。
その観点から、制度の変更においては、現在、地域医療を支えている病院の維持運営にプラスになる改定に関しては、総論として賛成いたしますが、その制度変更により、逆にマイナスになる病院類型が生じる可能性のある改定に関しては、慎重にシミュレーションを行い、地域の医療機関への影響をしっかり確認してからでないと、非常に危険であると思います。
地域では、急性期を拠点的に支える病院も、高齢者救急に対応する病院も、地域包括ケアを支える病院も、慢性期医療を支える病院も全て機能して地域医療を支えております。どの機能が欠けても地域の医療提供体制は維持できないということを御理解いただきたいと思います。
ここから各論に関しての意見に移ります。
まず、22ページ、急性期一般入院基本料における論点です。
救急搬送の受入れを頑張っている医療機関ほど、19ページ、20ページに示されているように経営状況が悪く、包括範囲の出来高点数が高くなる傾向にあります。
そのため、それら救急搬送の受入件数の多い病院群を支える改定を行うこと、その方向性に関しては、異論はございません。
ただ、それを入院基本料でやるのか、救急関連の点数、すなわち救急医療管理加算や夜間休日救急搬送医学管理料などで対応すべきか、そのメリット、デメリットを含め、慎重に検討していく必要があると思います。
全身麻酔手術件数に関しても、その件数をもって入院基本料での手厚い評価を行うべきなのか、手術料そのものを大幅に引き上げるべきなのか、同様に検討が必要であると思います。
続きまして、53ページ、重症度、医療・看護必要度ですが、まず、1つ目の○、現行の重症度、医療・看護必要度に関しては、内科系症例に関する評価が非常に低く、急性期病院の機能を評価する指標として不十分であり、改善を求める声が29ページにあります日本病院会だけでなく、多くの病院団体から出されております。
今回、入院分科会において、救急搬送を評価することで、内科系の必要性を評価しようという検討をされた経緯が30ページから35ページに示されております。
今回提案のあった内科系症例の評価を充実するための34ページに示された案に関しては、①、②どちらも内科系症例の評価の改善に資すると思います。
また、新たに提案されている②に関しても、方向性としては、特に異論はございません。ただ、これに関してもどの程度の配慮がどのような病院に行われるのか、具体的なシミュレーションの結果を見て判断していきたいと思います。
2つ目の○、B項目の測定に関してです。入院当初の4日または7日間、その後1週間ごとの測定ということで、病棟における看護ケアの程度をおおよそ測定できるということでございます。
このままやるかどうかはともかく、この測定の簡素化の方向性に関しては、特に異論はございません。
ただ、3つ目の○、いわゆる急性期一般入院料においてどうするか、今後とも病棟における看護ケアの程度を測定していくということそのものは、急性期だとしても非常に重要だと思います。
入院基本料は、前回改定時にも主張いたしましたが、基本、病棟における医学管理及び適切な看護ケアを行うのに必要なコストを包括しているものであり、それが正しく設定されているかどうかを検証していくことができるデータ収集は、維持していく必要があると思います。
病棟での看護負荷が今後も急性期病院だとしても、入院患者の層の変化により重くなっていくことは考えられます。
その際には、その程度に適切に見合った入院基本料を設定していく必要があり、それを評価していくことは、適切な支払制度を維持していく上で非常に重要であると思います。
続きまして、74ページ、総合入院体制加算等でございます。
1つ目の○ですが、新たな地域医療構想を視野に入れ、拠点的な急性期機能を評価していくという観点から、総合入院体制加算、急性期充実体制加算の評価を一本化していく方向が提案されていると理解いたしました。
その方向での検討そのものは否定しないものの、この2つの加算は、地域の拠点的な急性期機能において非常に重要な点数となっております。
今回検討される見直しにより、地域の拠点病院が大きな影響を受けることがあってはなりません。
ですので、これに関しても見直しの案と、それによる影響のシミュレーションを確認しないことには、賛否は意見できないと思います。
2つ目の○、地方部における拠点機能の病院に対する評価でございます。
それらの病院を評価していく方向性自体には、異論はございません。ただ、今後も医療圏の見直しなども想定されております。今、二次医療圏の人口で提案されてございますが、そのまま行くべきなのかどうなのか慎重な検討が必要だと思いますし、また、制度がより複雑になるということもございます。
ですので、1つの案として総合入院体制加算などを地方部の病院でも対応できるように、基準そのものを緩和していく方向での対応も検討に値するのではないかと思います。
例えば、これらの加算には分娩件数100件や、様々な手術件数などの基準がありますが、今後これらの件数が減少していく地域も多く、維持が困難になることも想定されます。より基準を緩和した基準を設定し、地方部の医療機関を評価する方向も検討いただければと思います。
3つ目の精神科に関してです。特に急性期充実体制加算において、精神科病床が減少する傾向であることが、72ページで示されております。
前回の改定で、急性期充実体制加算に関しては、総合性の評価は加算という形で整理されましたが、この結果を見ると、設定された加算による評価が十分ではなかったということではないかと思います。
地域の拠点的な病院において、総合性の確保は重要です。地域の精神疾患を有する患者の受入れ体制に支障を来さないよう配慮されるべきであると思います。
続きまして、83ページ、DPCでございます。
今回、2つの論点ですが、DPC制度においても、救急搬送件数の多い病院をより評価していくことを提案されたと理解いたしました。その方向性に関しては特に異論はありませんが、82ページで資料が示されておりますが、基礎係数を救急搬送件数により差をつけることになると、上がる病院と下がる病院が出てくることになります。
これに関しては、最初の総論でも触れましたが、どこまで全体を底上げした状態で行うことができるのか、それで許容できるかどうかということが決まってくるかと思います。
また、救急搬送件数の多い病院を基本診療料及びDPC係数で評価すべきか、他の救急関連点数で評価すべきかと、先ほども述べましたけれども、そちらも1回検討する必要がございますし、また、全体に関してはシミュレーションの結果を見て判断させていただきたいと思います。
続きまして、136ページ、特定集中治療室管理料に関してです。
1つ目の○ですが、98ページに示されるように、救急搬送件数に応じて特定集中治療室入院患者の医療資源投入量に差があったとのことであり、評価することに反対ではありませんが、しかし、救急搬送件数により、新たな評価体系をつくるほどの差があるのか、また、特定集中治療室管理料そのものの点数設定を修正することで対応できないのかは、検討する必要があると思います。小まめに点数で配慮することも必要ですが、制度が複雑になり過ぎないような配慮も必要であると思っております。
また、2つ目のポツです。私一番重要だと思っておりますが、特定集中治療室1から4においては、宿日直でない専任の医師を治療室内に常時配置する必要がありますが、3、4、5、6について、処置モニタリング患者状況に関する項目による患者受入れ方針に大きな差がなかったということが、今回明らかとなりました。
前回改定で特定集中治療室管理料の5、6を新設したわけですが、これそのものが提供している医療機能の違いがないにもかかわらず、点数を減じた不合理な改定ではなかったかと考えます。
この宿日直でない専任の医師の常時配置による区分は廃止し、より医療機関に自由度を与えて、必要な医療を適切に行う工夫する余地を認めることが重要ではないかと思います。
蘇生術、抗不整脈剤、緊急ペーシングなどの項目の新たな設定をすることそのものに関しては、すぐに否定はいたしませんが、それにより基準値の見直しも行い、現行管理料を算定している病院が管理料を取れなくなるような制度変更は行ってはなりません。
また、CCUと併設しているICUの存在も視野に入れて、慎重な検討が必要であると思います。
特定集中治療室の遠隔支援加算に関しては、被支援側医療機関に医療資源の少ない地域などが含まれている場合に限られるということの要件に関しては、緩和してよいと思います。
ただ、その場合でも、いわゆる先ほど言いました集中治療室5、6とは関係なく算定可能となるよう検討すべきではないかと思います。
重症患者対応体制強化加算の算定を特定機能病院に拡大することに関しても、特に異論はございません。
2つ目の○です。広範囲熱傷特定集中治療への対応に関しては、区分の簡素化という観点から、加算での評価に変更することに関しても大きな問題はないかと考えますが、より具体的な案を見させていただければと思います。
154ページ、ハイケアユニット入院医療管理料に関しての論点でございます。
1つ目の○の救急搬送件数による評価に関してですが、これは先ほどの特定集中治療室と同じでございますが、評価することそのものに反対ではありませんが、救急搬送件数による新たな評価体系をつくるほどの差が実際にあるのか、制度が複雑になり過ぎないよう、そのバランスを取る必要があるかと思っております。
また、項目の変更に関しても、現在管理料を算定している病院が管理料を取れなくならないような配慮が必要だと思います。
2つ目の○、152ページに該当患者割合は一応示されてございますが、①の15%、②の80%及び65%に関しては、これで見る限り、特に現状の数字上、変更する必要はないのではないかと思います。
最後に、161ページ、脳卒中ケアユニットの入院医療管理料に関しての論点でございます。
確かに159ページにおきまして、超急性期脳卒中加算、脳血栓回収術があまり算定されていない病院があるということが示されておりますが、そのような病院の治療室がどのような使用状況になっているのか、より詳細な情報をいただかないと、見直しの必要性に関しては少し判断をしかねると思われます。
以上でございます。長くなりました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私からも総論的な話を1つ、各論を2点だけ簡単にお話ししたいと思います。
まず、急性期を中心にした今回の入院(その2)ですけれども、御案内のとおり、新たな地域医療構想の中で医療機関機能というのを求めるようになった、それにある程度寄り添おうとしているような内容ということは、一定理解できるかなと思っております。
その中で、特に今回は救急搬送、手術件数ということを中心にした医療資源投入量について、急性期の入院医療をどう評価するかということのデータがいろいろ出ております。
これまでの流れは、こういうことで適正化と評価とを分けて、いわゆるめり張りのついた報酬体系に持っていくという流れだと思いますけれども、今、太田委員あるいは江澤委員もおっしゃったように、今の現状を考えますと、めり張りの「めり」をやると、一気に経営難に陥ってしまうところがあるので、今回だけは、言い方は悪いですけれども、「張り」の部分で評価する、そういう流れにしていただかないと幾らいい制度設計をしても、地域医療が崩壊する流れになってしまうのではないかということで、ここは冒頭にしっかりお話ししていきたいと思いますし、しっかりしたシミュレーションを行った上で、ぜひ、そういう検討を行っていただければと思っています。
それから、2点目ですけれども、今回初めてだと思います。介護保険のほうでもそうですけれども、いわゆる大都市圏と20万等々の中都市、それから、人口が少ないところと3つに分けて、一定のいろいろな資料が出ていますが、ここは非常に大きなことで、やはり課題がそれぞれ違ってくるということを、しっかり把握しながら落とし込んでいかなくてはいけないのではないかということで、ここも十分な配慮をしていただきたいなと思っています。
その上で、各論的には、今、太田委員もおっしゃったように、内科的重症度については、前回から非常に厳しくなったところだと思いますので、いろいろシミュレーションも出ていますが、そこをしっかり評価していただければと思っています。
それから、これは、地方の基幹病院から私はよく聞くのですけれども、これも太田委員がおっしゃったように、ICUに関して、特定集中治療室に関しての5、6に関しては、本当にプロセスやアウトカムはほとんど変わらないのに、こういう5、6という低い点数のものに持っていかざるを得ない、いわゆる宿日直体制を取らざるを得ないところです。
ここは、ただ単に点数が下がっただけではなくて、宿日直許可を外そうと思うと、医師が必要となってくるが、医師不足の地方では、非常にこれが困難であり、やむを得ず、5、6に落としながらでも、しっかりした患者を診なくてはいけないということで、頑張って疲弊しながらやっているということが数字に出たのだと思いますので、ぜひ、5、6については廃止も含めた抜本的な検討をしていただきたいと思っています。
この2点、各論について、私もお話しさせていただきました。
以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
2号側の委員の方々、よろしいですか。
次に、1号側の委員の御意見も伺いますけれども。
どうぞ。
○林医療課長
資料のおわびをさせていただきたいのですけれども。
○小塩会長
では、事務局、お願いします。
○林医療課長
すみません、医療課長です。おわびばっかりで、今日は申し訳ありません。
先ほどから、資料のページ数について、ちょっと混乱が生じておりまして、おわび申し上げます。
タブレットの資料だけが、116ページ以降、1ページ多い数字になっているということでございます。事前に配付した資料や、それから傍聴の方が御覧いただいているホームページの資料などは、余計なページは入っていないということでございますので、タブレットで御覧いただく方が116ページ以降の資料を御覧いただくときだけ、1ページ数字が多くなっているということです。すみません、今日は本当におわび申し上げます。
○小塩会長
ということですので、御注意ください。
次に、1号側の委員の御意見を伺うのですけれども、すみません、その前に、先ほど江澤委員から看護の観点からの意見を伺いたいという御意見がございましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
重症度、医療・看護必要度について発言させていただきます。
診療報酬上に位置づいている様々な入院機能と、そこに入院している患者像とを対応させ、機能分化を推進していく観点が重要です。
病棟においては、個々の患者の状態変化はもとより、病棟全体の状況も日々変化しており、その変化をデータで把握し、安全・適切に管理することが必要となります。
例えば、看護配置のことで言いますと、入院基本料通則の中でも、病棟や患者像の状況に応じて、看護職員の傾斜配置が可能となっており、その際にも看護の適正な配置数が確保されるための入院患者の状態評価の根拠として、重症度、医療・看護必要度を用いて患者の状況を評価することとなっています。
資料の46ページの調査結果でも、病棟では看護職員の配置数を決めるに当たって、A項目、B項目、C項目を合わせて総合的に判断していることが分かります。
病棟全体の患者像を把握することが重要であり、手術なし症例や救急搬送後の症例における密度の高い医学的管理を適切に評価するためにも、A、C項目の見直しを図るとともに、B項目による評価も引き続き実施し、総合的に判断する根拠データとして活用すべきと考えております。
一方で、B項目の測定に係る負担軽減について、入院後、一定期間を経過するとB得点が変化しない割合が高いこと等のデータを踏まえれば、測定頻度の見直しにつきましては一定理解いたします。具体的な頻度につきましては、引き続き十分に検討していただきたいと考えております。
なお、記録や研修方法については、令和2年度改定時にかなり簡素化が図られていますが、現場での理解が十分に浸透しておらず、運用面での問題がある可能性も考えられるため、改めてその点の周知徹底が求められるものと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
冒頭ちょっと本題に入る前に、2つほど申し上げたいと思います。
医療機関をめぐる経営状況につきましては、この中医協においても、2回ほど時間を取りまして、かなり説明がなされております。
そういった過程を経て、第1ラウンド、第2ラウンド、今、第2ラウンドに入っておりますけれども、そういったところに入っておりますので、冒頭、林課長からもありましたけれども、そういった個別の議論に入りましたので、そこに議論が集中できるように、ぜひ御配慮を賜りたいということは、まず、申し上げたいと思います。
それと、江澤委員のほうから適正化はあり得ないという御意見がありましたけれども、議論の結果、評価するものもあれば、当然、適正化のものもあります。ですので、そういった御意見にはくみしませんということを、まず申し上げたいと思います。
それでは、本題に入りたいと思います。
入院医療につきましては、引き続き機能分化や連携の推進が不可欠だと考えておりますけれども、最適な入院医療体制を構築するためには、地域で病院の役割分担を明確にする観点から、診療報酬においても病床機能だけではなく、13ページに示されております医療機関機能に着目することが重要だと認識しておりますし、これについては、池端委員からも同様の御意見があったと理解しております。
特に、本日のテーマである急性期につきましては、医療資源を集約化、重点化し、より効果的で効率的な医療を目指すべきだと考えております。
それでは、以上の基本認識に基づきまして、各論点にコメントいたします。
まず、急性期、22ページの入院基本料の在り方についてでございますが、資料の16ページの救急搬送件数あるいは21ページの全身麻酔手術の状況を見ますと、入院料1の病院でも、一番左にあります、一番少ないゾーンにピークが立っており、少なくとも救急搬送や全身麻酔手術という切り口で見た場合、入院料の2から6とほぼ同じような機能で入院料1を算定する病院が相当数あることが分かります。
また、資料の17ページに目を移しますと、救急搬送件数が多いほど、病床規模が大きく、常勤医師の配置が手厚く、全身麻酔手術や夜間救急の実績が多いことが分かります。
こうしたことを念頭に置きますと、やはり入院料1については、救急搬送や全身麻酔手術の実績に応じた基準を設定することが考えられます。
さらに、本日は詳細なデータが示されておりませんが、入院料の2から6の再編も必要だと考えております。
令和6年度改定の附帯意見で、地域包括医療病棟の新設を踏まえ、10対1病棟の在り方を検討することになっていたと思いますので、事務局には今後の議論に向けた資料の準備をお願いしたいと思います。
次に、53ページの重症度、医療・看護必要度については、資料の27ページを見てみますと、各委員からも御意見ございましたが、救急搬送入院で手術なしの場合に該当割合が低いことが示されております。
また、28ページに目を移しますと、救急搬送からの入院や緊急入院の場合に手術なしの症例が多く、予定入院の場合には手術ありの症例が多いことが分かります。
医療機関機能として救急搬送を重視するという考え方で、手術のバランスを考慮することは、一定の理解ができます。
その上で、30ページの対応案を見てみますと、どれも当然メリット、デメリットがあるようですけれども、例えば、A、Cの修正の例にあります緊急入院の該当日数を延ばす方法については、前回の改定で医療資源投入量を踏まえて救急搬送後の日数を短縮したことや、34ページの①に示されているように、入院日数の延長につながる懸念があることを踏まえますと、現段階ではよい方法とは考えにくいと感じます。
また、30ページの上から2つ目にございます、医療資源投入量の評価では、医療費の増加を招く可能性のある検査や、その次の疾病差における評価にあるアップコードが懸念される疾患名による加点は、保険者としては否定的と言わざるを得ません。
31ページで、内科学会が提案している方法や、34ページにある②の救急搬送患者数を指数化する方法についても懸念がないわけではございませんが、相対的に医療機関がコントロールしにくい印象を受けますので、これらの方法を軸にシミュレーションをして、その結果を見ながら議論を進めてはどうかと思います。
また、B項目の取扱いについては、一定の間隔を空けて測定することや、7対1病棟で測定を不要とすることで、看護職の負担を軽減することに異論はございません。
続きまして、74ページの総合入院体制加算と急性期充実体制加算については、統合する方向には、異論はございません。
共通点は多いですが、どんな病気も断らない幅広さと、難しい手術を一手に引き受けるといった性格の違い、成り立ちの違いも踏まえて、急性期の拠点機能を評価するための指標や重みづけについて、今後議論させていただきたいと考えます。
人口の少ない地域については、救急搬送等の実績をシェア率で見るといった一定の配慮はあり得ると思いますが、その代わりに、ほかの医療機関を支援する機能を求めるといった工夫も必要だと考えます。
また、精神科については、身体症状と精神症状を一体的に見ることができる機能を地域で確保する観点も必要なことだと考えております。
次に、83ページ以降のDPC制度についてですが、資料の76から78ページを見てみますと、急性期の病棟でありながら、急性期医療の標準化を目的とするDPC制度に参加していない病院が一定数あるということですが、急性期の病院は、DPC制度に参加するのは当然であり、10対1病棟の再編にも関連することで、もしDPCに参加しないのであれば、包括期の病棟に機能転換することも必要だと考えます。
また、DPCの標準病院群について、資料の82ページを見てみますと、救急搬送の1,200件以上でグリーンとグレーに分けられておりますけれども、救急搬送の多いグリーンの病院群は、救急搬送の少ないグレーの病院群より、包括範囲出来高点数が高いことが分かっております。収益性の違いを踏まえて、基礎係数を分けることは十分にあり得るものだと考えます。
続きまして、84ページ以降の高度急性期についてですが、93ページや139ページにございます、分科会の取りまとめで指摘がありますとおり、ICUやHCUは救急搬送後や手術後の管理を行うことが重要な役割であるにもかかわらず、救急搬送や全身麻酔手術が少ない病院が一定数あるということです。具体的には、ICUについては97ページ、HCUについては142ページに示されております。
こうしたことから、本来の機能を十分に果たしているのか疑問であり、医療資源集約といった観点からも課題があると思っております。
救急搬送の受入件数によって医療資源投入量に差があることも示されておりますので、ICUとHCUいずれも一定の救急搬送や手術の実績を求めることや、救急搬送件数に応じて評価にメリハリをつけるべきだと考えております。
また、ICU、HCUにおける重症度、医療・看護必要度ですけれども、それぞれ項目を見直した場合のシミュレーション結果を見て、該当患者割合の水準は検討させていただきたいと思います。
次に、136ページに示されております、ICUの個別の課題ですけれども、先ほど来御意見が出ておりますけれども、常時配置と宿日直の関係で、資料の107ページを見てみますと、常時配置の管理料3、4と宿日直の管理料5、6で、三次救急の対応以外大きな差がないという整理になっておりますが、例えば、SOFAスコアとの関係を調べてみるとか、あるいは安全性に問題はないのかといった観点で、事務局には、もう少し詳しい実態分析をお願いいたします。
重症患者対応体制強化加算については、必ずしも特定機能病院を除外しないことや、広範囲熱傷の取扱いをすることには異論はございません。
最後に160ページの脳卒中ケアユニットについても、これも156ページにある分科会の取りまとめのとおり、SCUに求められている機能を果たしている病院が持つべきユニットということを明確にして、実績に応じて評価にメリハリを利かせるべきだと考えます。
長くなりましたが、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
入院につきましては、新たな地域医療構想を念頭に議論していくべきであり、急性期入院医療については、地域で必要な手術や救急医療等を担えることを適切に評価していくべきと考えております。
急性期一般入院基本料について、同じ基本料であっても救急搬送受入件数や、全身麻酔手術件数に違いがある点について、医療資源の投入量も異なることから、めり張りのついた評価を行っていくべきだと考えます。
また、総合入院体制加算と急性期充実体制加算について共通する基準がある中で、地域で必要な急性期医療を集中的に担う医療機関を分かりやすく評価するためにも、一方の加算のみにある施設基準を組み合わせた評価を確立するなど、見直す必要があるのではないかと考えております。
高度急性期入院医療につきましては、手厚い医療資源の投入が必要である患者を対象とするためにも、重症度、医療・看護必要度の在り方については、見直す必要があると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか
伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
伊藤です。よろしくお願いします。
74ページの総合入院体制加算等における部分で発言したいと思います。
やはり人口の少ないエリアで、全て一手に引き受けて救急も全てやって、この地域医療の崩壊を本当に防ぐために頑張っている病院というのに対しては、やはりしっかりと報いるような形の評価をしていくべきではないかと思っています。
やはり総合入院体制加算であるとか、急性期充実体制加算の1、2とかを見ていますと、やはり要件がかなり厳しい部分があって、どうしても、そのエリアの人口からすると、その加算をなかなか自分たちは届出することができないので、今、総合の3を申請しているところが多いのかなと思っていますけれども、やはりそこの医療の崩壊をまさに防いでいる病院に対して、しっかり評価をしていくべきだと思います。
ただ、その一方で、やはりプラスして、66ページのような二次医療圏の支援のイメージというのは、大変私も理解ができますので、そのような形で、しっかりと人口が少ないエリアでも適切に医療が受けられるような形になるようにしていくべきではないかと思っています。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
では、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
本日の資料が救急とか手術に集中しているので、どうしても話題がそちらに向かいますけれども、急性期医療の現場は、決して救急とか手術のみではないのは御理解いただいていると思います。いろいろ循環器疾患の救急医療搬送ではない、手術を要しない循環器疾患、脳血管疾患、あるいは消化器、肝臓、腎臓疾患、それから感染症など様々な急性期の疾患がございますので、そういったものを含めて、現場でどう対応しているのか、特にその中の仕事のボリュームで、ちなみに10対1の看護配置でそこが賄えるのかどうか、職員の現場の負担感、いろいろ総合的に考えていかないといけないと思っております。
先ほどの発言で申し上げましたけれども、当然急性期はDPCに参入するのが望ましいというのは理解しておりますけれども、規模によって、例えば前回の改定で1か月当たり90というデータ要件が入り、例えばケアミックス病院とか、一病棟急性期を持って、地域で貢献している医療機関はたくさんあります。
そういった中で、いろいろな附随した要件がクリアできないと、あるいは単科専門病院もございますし、そういったところは御理解いただきたいと思っております。
あと、松本委員から御発言がありまして、適正化はないというのは、私が決める立場では当然ございませんので、私が申し上げたのは、適正化は慎むべきではないか、それから、適正化はないということを確信しているということを申し上げた次第でございます。
我々の医療の、本当に献身的な現場を、あまり性悪説的に、いつも御意見を言われると、我々としても、もう少し我々の医療の現場の実態を、本当に職員はなりふり構わず精一杯努力していること、精一杯患者さんのために日々献身的に努力して取り組んでいるということは御理解いただきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
オンラインで、奥田委員のお手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
私は、先ほど松本委員が冒頭に意見を言われたことと同じようなところですけれども、22ページの課題と論点に関しまして、やはり効率的・効果的な提供体制を構築する観点から、機能分化を進めていくことが、一層重要ではないかなと思います。
本日の説明にもありましたけれども、急性期一般入院料1算定の病院によっては、救急搬送の受入件数や、全身麻酔の手術件数に大きな違いがあることが分かりました。
これらの違いを踏まえつつ、機能を果たしているところ、また、機能を果たしていないところの評価にめり張り、先ほどもめりではなくて張りではないかというお話もありましたけれども、やはりめり張りをつけて機能分化を進めていくことが重要ではないかと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ここ数年の経過を見ていますと、やはり消費者物価指数、そして、診療報酬改定率、ここの差を見ますと、やはり8%から9%の差が出ていると、これは、もう現実的なことであります。
その中で我々は、患者さんの安心・安全につながる医療を献身的に頑張っているということを御理解いただきたいと、それが江澤先生の意見であるということを御理解いただきたいと思います。
1号側から、松本先生から厳しい御意見をいただきます。適正化といただきますが、実際、現状これだけのことが抑えられてきたということと、その制度の改正に伴って我々は、それに素直に体制を整える、そこにまた費用は取られてきたということの積み重ね、そして、急激なインフレということが、こういう事情につながっているということで、やはり、医療というものが何であるかということをしっかり考えていただいて、今、壊すわけにいかない、人口減少の少ないところで、本当に小さな病院が頑張ってくれている、これは1号側からも御意見がありました。これは非常に重要なことでありまして、その中で対応しているということを、皆様方に御理解をいただきたいと。
そんな中で、本日は非常に細かいところまで意見が出たと思いますけれども、我々は本当に頑張ってやっているということを御理解いただいて、いろいろな意見を出していただくことも御理解をいただければと思っております。
以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには特に御意見、御質問ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日、何人かの委員から追加的なデータの提供、それからシミュレーションの実施ということの御要望もいただきましたので、今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。
それでは、ただいまより第619回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、佐保委員、岡本専門委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはこの辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-1-1の2ページ目を御覧ください。
再生医療等製品エレビジス点滴静注の医療保険上の取扱いにつきましては、6月18日の中医協において、条件及び期限付き承認がなされた後、新たな安全性情報に関する発表があったことを御報告し、まずは新たな安全性情報に関して、さらなる情報を収集した上で、医療保険上の取扱いについて議論することとしてはどうかとさせていただいたところでございます。
その際、3ページ目にお示ししておりますとおり、前提となる安全性についてしっかりと確認、整理することが必要との御意見をいただいたところでございます。
その後の対応につきましては、医薬局医薬安全対策課長より御説明をさせていただきたいと思います。
○安川医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。資料総-1-2を御覧ください。
エレビジス点滴静注の安全対策に関する資料をまとめております。
「1.背景」の記載は、総-1-1の資料と重複する内容を含みますが、中医協で本品の安全対策に関する指摘をいただいたので、今回資料を作成したものでございます。
6月の中医協で報告した海外の症例につきましては「2.安全性情報の概要」にまとめており、これまでに判明している海外の急性肝不全の死亡例は2例でございます。
いずれも国内の適用である歩行可能な患者ではなく、歩行不能患者における報告ですが、具体的な症例経過は別紙1として、この資料の5ページから7ページに示しております。
次に、2ページ目の「3.死亡例を踏まえた薬事上の対応」でございます。
今回のような肝機能障害は、承認時から注意すべき副作用として添付文書等で注意喚起されておりましたが、今回の海外の症例を受けて、さらなる安全対策の必要性を検討したところ、肝機能に係る定期検査を確実に行い、異常が生じた場合は速やかに対応できるよう、8月28日に添付文書を改訂して、具体的な検査の明記あるいは肝機能障害発現時の対応等を明記することにしました。
これらの対応について、より具体的な内容を医療従事者や患者家族に周知するため、この資料の参考1の医療従事者向けの適正使用ガイド、あるいは参考2の患者・家族向け資材も関連箇所を改訂する予定ということで、資料でマーカーを引いている部分が今回改訂を予定している部分でございますが、これらの対応により、肝機能障害に対する安全対策を徹底することとしております。
これらの対応に関しては、2ページ目の(1)から示している観点を踏まえて対応しているものでございます。
(1)として、本品が適用される患者においては、疾患自体を原因として肝機能検査値が正常範囲を超えている場合があること、また、本品投与後の肝機能障害の発生機序として考えることを明記しているところでございます。
また(2)として、本品のベクターの投与で免疫反応が発現することがあるので、投与前と投与後にステロイドであるプレドニゾロンの投与を行うことや、投与後に肝機能異常が発現した場合のステロイドの用法・用量調節方法を示しております。
また、ステロイドの投与で、今度は感染症が発生する可能性があるということで、十分な観察を行うことの注意喚起あるいは患者家族にもワクチン接種等の感染防止対策の必要性、こういったことも記載しているところでございます。
また、3ページ目の(3)として肝機能障害、急性肝不全を含む重大な副作用のマネジメントのため、重篤な副作用が発現した場合に、他科や他施設と連携が取れるような体制確保をあらかじめお願いするとともに、製造販売業者においては、小児神経や小児肝臓内科など、専門の医師で構成される専門家チームの体制を確保しており、副作用等が生じた場合は、このチームに相談するなど、万全な体制の確保というものを促しているところでございます。
また(4)として肝機能の障害の早期発見、早期対応を行うために必要な検査項目や検査頻度、症状が回復、軽快した後の検査の方法等も明記しているところでございます。
(5)としては、臨床試験における肝機能障害の発生状況に関して、ガイドでも明記しているところでございます。
この資料の(2)(3)で示しているようなステロイドの追加投与等の処置により、臨床試験の評価時点で肝機能障害が生じた患者の大半が回復しており、その時点で未回復の症例も、その後全て回復していたとのことで、早期対応を行うことで、重篤化は防止し得るものと考えております。
これは、海外の症例においても、今回の2例の症例でも、検査を確実に行って早期に受診して治療を行うことで死亡に至るような重篤化は防止できたのではないかということで、今回添付文書の改訂等の裏づけになると考えているところでございます。
8ページ目から9ページ目の別紙2は、今回の添付文書改訂までの経緯を触れておりますが、1で肝機能障害は審査の段階で既に確認されたもので、審査のまとめである審査報告書に明記した上で、薬事審議会でも議論を経て承認されたこと、また、今回の2の添付書改訂についても医薬品医療機器総合機構において改訂内容を専門家の先生の意見を聞いた上で方針をまとめ、その方針は市販後の安全対策を担当する審議会の担当部会である、医療機器・再生医療等製品安全対策部会の委員に報告した上で、改訂した旨、記載しているところでございます。
10ページ目から16ページ目の別紙3と4は、具体的な添付文書の改訂内容でございます。
さらに、17ページ、18ページ目の別紙5は、参考1と2で示した関連資材において、先ほど説明した内容に基づき、改訂する内容の概略をまとめたものでございます。
以上が薬事における安全対策の対応状況であり、承認当時から判明していた肝機能障害のリスクに関しては、今回の海外症例を踏まえ、肝機能障害をより早期に発見できる検査や留意事項を明記することで、肝機能障害が生じても重篤化せず、対処可能であると考えていることから、このような対応を行ったものでございます。
薬事上の手続につきましては、本来は、別紙2で記載した添付文書改訂の手続で完了しているところでございますが、今回、これまで中医協のほうでも、本品の安全対策の徹底が指摘されている状況でございますので、本日お示しした関連の資材、参考資料に示しております、こういった改訂内容に関しても、専門家や審議会等での確認も得ていきたいと考えているところでございます。
本日は、現時点の対応状況ということで報告いたしましたけれども、最終的な状況は、また、改めて中医協の場でも報告させていただきたいと考えているところでございます。
説明は以上です。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
総-1-1にお戻りいただきまして、5ページ目を見ていただければと思います。
本日は、前回の中医協で御指摘いただきました安全性に関する内容について御報告させていただき、今後も5月14日の中医協でお示しされました課題に沿って、エレビジスの医療保険上の取扱いについて、引き続き議論を進めていくこととしてはどうかと考えております。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
詳細な説明をありがとうございます。本剤につきましては、海外での死亡例を踏まえて、6月18日の中医協総会において、安全性については、薬事で再検討していただくことも含め、丁寧で慎重な検討が必要であると指摘をされております。
本日の資料では、臨床試験における肝毒性に該当する有害事象は、解析集団207例のうち約4割に相当する80例に認め、また、重篤なものについても10例であり、死亡の2例も遅発型肝障害と自己免疫性肝障害の異なる機序によるものであります。
現状、肝障害への明確な対処方法が定まっておらず、本来であれば、臨床試験を中断すべき状況とも察しております。
したがいまして、専門学会の有識者に肝障害の分析や安全性の評価を行っていただくプロセスは不可欠と考えております。
また、PMDAにおける専門協議や薬食審における安全対策部会における議論を踏まえ、8月末に添付文書が改訂され、今後、さらなる安全対策を徹底するため、医療従事者向けの適正使用ガイドや、患者家族向け資材を作成されるということであります。
ただ、これらの資料は、企業が主体となって作成するものと理解しております。そこで、ややイレギュラーではございますが、その内容が公的にも確認されたものであり、安全性の裏づけが単なる1企業の見解にとどまらず、公的に確認されていることが対外的にも明らかになるように、これらの資材についてもPMDAによる専門家や薬食審における安全対策部会においてチェックしていただくことを提案いたします。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。御説明いただき、ありがとうございました。
保険上の取扱いの議論を進めるに当たり、1点事務局に質問をさせていただきたいと思います。
まず、条件・期限付き承認を受けた再生医療等製品は、安全性が担保されていることが前提になりますけれども、エレビジスの安全性は崩れていないという理解でよろしいでしょうか。これが1点。
2点目は、肝機能障害に関して既知のリスクでしたので、今回、そのリスクを最小化するような対応を行ったという理解でいいかどうかを教えていただきたいと思っております。
○小塩会長
2点御質問がありました。よろしくお願いいたします。
○安川医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。
最初の安全性に関してでございますけれども、今回の海外症例につきまして、急性肝不全でございますが、肝機能障害自体は、承認時点から明らかになっていたリスクでございます。
今回の改訂に基づく検査や処置を行うということで、発生した副作用のマネジメントは可能ということで、承認当時からの安全性が確認されていることは変わらないものと認識しているところでございます。
2つ目の点に関しましても、こういった既知という範囲にはなりますけれども、そういったリスク管理の方法というところを、こういった形の改訂内容を踏まえてしっかりとやるということが、より重要ということで、今回改訂に至ったものでございます。
ということなのですが、先ほど江澤委員からも御指摘をいただいたように、一定の確認作業は終えておりますけれども、先ほどのガイドの内容とか、そういったところは、改めてきちんと処置のところの対応も確認をさせていただきながら、また中医協でも報告させていただきたいと思っておりますけれども、万全の体制を組みながら、本品の適正使用につなげていきたいと考えているところでございます。
○小塩会長
森委員、よろしいでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
安全性が確認され、担保されているという前提が崩れていないということであれば、5ページ目で示されている今後の進め方の案について異論ありません。
再生医療等製品は、条件及び期限付き承認であるかどうかにかかわらず、市販後の安全対策は不可欠だと思っています。
特に条件・期限付きであるものに関しては、より慎重に今後も安全対策を進めていくべきと考えます。
その上で、江澤委員からも、医療従事者向けのガイドを公的というものにして、しっかりと現場に伝えるようにというお話がありました。
エレビジスは、入院した医療機関で投与が行われることになりますけれども、治療前の経口コルチコステロイドの投与、また、退院後の経口コルチコステロイドの投与は薬局で行うことになります。
もし、エレビジスが薬価収載されることになった場合には、増量や漸減療法への対応、また、エレビジス投与患者のステロイド服用等における服薬管理が重要になってきます。
しっかりと取り組んでいきたいと思いますので、企業から薬局へも適正使用に関しての情報提供をいただけるように御対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうも御説明ありがとうございました。
説明をいただきました、使用上の注意の8月28日付での改訂、さらには、今後、医療機関や患者向けのガイドが整備され、医師や患者にも有害事象の可能性をしっかり周知し、何らかの兆候があれば、速やかに対応することを前提として、医療保険上の取扱いについて、議論を進めることには異論ございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
私からは2点、質問をさせていただきたいと思います。
まず1点目ですが、6月18日の中医協で示された方針案では、新たな安全性情報に関して、さらなる情報を周知した上で、保険医療上の取扱いについて議論するとなっていましたが、この新たな安全性情報に関しまして、懸念等は生じていないのでしょうか。
2点目ですが、このエレビジスの使用は、予想によりますと、ピーク時は2年目の100人で、その後は落ち着いて30人程度ということですが、ということは、条件・期限付き承認の間に使用のピークを迎えるということになります。
このエレビジスは、高額である上に、重篤な副作用の懸念が払拭されていないと言わざるを得ない状況だと思います。このような状況で、条件・期限付き承認の間に使用のピークを迎えるということには、やはり違和感があります。条件・期限付き承認の間は使用を制限して、安全性が確保されて本承認されてから、より多くの患者が使用できるようにすることはできないものなのでしょうか。
以上2点、お教えください。
○小塩会長
ありがとうございました。
事務局、いかがでしょうか。
○安川医薬安全対策課長
医薬安全対策課長でございます。
まず、1点目の質問に関しまして、新たな安全性情報の収集に関してでございます。
こちらは、今回、海外症例の2例を基に改訂を行ったものでございますが、1例目の報告は、審査中に確認しているということで、この症例を踏まえて、添付文書の注意喚起等の安全対策を実施したものでございます。
また、2例目のところが市販後に生じた報告で、6月の中医協でも報告をさせていただいたものでございます。
これは、承認時に注意喚起していた肝機能障害の範囲内ではありましたが、今回の添付書改訂の対応に関しては、6月の中医協以降に、これらの2例の症例経過等の情報を得た上で、より確実な安全対策を講じるために必要な措置を添付文書等で対応するということで、必要な検査、留意点等を明確にする対応を行ったということで、情報としては、この症例に基づく、症例経過の情報が新しい情報でございますし、そのほかの情報に関して、海外の情報で、こういった安全性措置を検討すべき、懸念すべきものはなかったと認識しているところでございます。
○清原薬剤管理官
2つ目でございます。薬剤管理官でございます。
御質問は、条件・期限付きの間は、投与患者をある程度制限してはどうかという御提案かと思います。
本品の対象疾患は、デュシェンヌ型の筋ジストロフィーという大変重篤な疾患で、遺伝子変異による変性の神経筋疾患であり、8歳までにほとんどの患者が起き上がれることができなくなり、10歳から14歳までには歩行ができなくなって、最終的には心筋及び呼吸筋の筋力が低下するため、致死的な転帰になるという進行性の重篤な疾患でございます。
患者さんは、非常に少ないものではあるものの、現在、本疾患に対応する治療方法というのは、本当に対症療法とか限定されておりまして、また、承認のところでも決まっておりますが、本品は3歳以上から8歳未満の投与対象と、かなり投与患者も限定されておりますので、そう考えますと、患者の治療薬へのアクセス、これを適切に確保する観点から、御指摘のような制限の措置というのは、難しいのではないかなと考えております。
以上でございます。
○小塩会長
高町委員、いかがでしょうか。
○高町委員
ありがとうございます。
患者は、新薬を待ち望んでいます。しかし、それは、あくまで安全性が確保されていることが前提になります。安全性が確保されずに、安心して使用することが難しい新薬を患者が望んでいるものではないということは、改めてお伝えしたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして「診療報酬調査専門組織『医療機関等における消費税負担に関する分科会』からの報告について」を議題といたします。
同分科会の飯塚分科会長より御報告をいただきまして、その後で、引き続き、事務局より補足をお願いいたします。
それでは、最初に飯塚分科会長、よろしくお願いいたします。
○飯塚分科会長
本日開催いたしました、第25回「医療機関等における消費税負担に関する分科会」について、御報告をいたします。
分科会では、事務局から医療機関における控除対象外消費税に係る診療報酬による補塡状況について、令和3年度及び5年度に実施した令和2年度、3年度、4年度の消費税補塡率の集計に誤り等があったことについて報告がありました。
資料の総-2-1、補塡状況の修正について、3ページを御覧ください。
上段に、これまで公表された補塡状況、下段に、集計し直した結果が示されております。
これについて、事務局より、誤りの内容や再発防止策についての説明があり、謝罪がありました。
次に、事務局より、今年度における診療報酬による消費税補塡状況の把握の進め方について説明がありました。
資料総-2-2「今後の進め方等について」の3ページを御覧ください。
こちらは、令和5年度、6年度に係る診療報酬による消費税補塡状況の把握について、事務局より前回同様の手法により実施してはどうかと提示されたものとなります。
検証結果については、今年12月めどで報告することとされておりますが、令和元年の消費税率引上げ以降、税率が変わっていない一方、診療報酬改定を重ねてきていること、収支双方に新型コロナウイルス感染症の影響を受けていること、さらに、近時は物価の上昇により課税経費が増加していること等も踏まえた上で、補塡の在り方の議論に資するよう、補塡状況をどのように評価するかという論点としております。
これについては資料に示された形で、消費税補塡状況の把握のための調査を行うことについて、分科会として了承いたしました。
また、再発防止に取り組むよう、多くの委員から要望があったことも重ねて申し添えます。
報告は以上となります。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
今の分科会長の御説明に補足をさせていただければと思います。
まず、総-2-1を御覧いただければと思います。
こちらは、総-2-1に基づきまして、過去の補塡状況の修正について御説明をさせていただきます。
2ページを御覧ください。
過去の消費税負担の補塡率については、令和2年度分を令和3年12月に、令和3年度分、4年度分を令和5年12月に公表してまいりました。
今般の令和5年度、6年度の補塡率の状況把握の作業準備を進めていく中で、過去公表分の計算過程において複数の誤りがあることを把握いたしたというものでございます。
具体的な誤りの内容についてでございますが、まず、消費税に係る支出の把握に関し、令和3年度、4年度分について、水道光熱費を消費税負担額の計算過程において計上しておりませんでした。
課税対象経費のうち、水道光熱費分が支出から除外される形となっており、これを補正することにより、補塡率は下がることとなります。
次に、収入の把握に関しまして、令和2年度分、3年度分について、生活保護法等の公費負担医療にかかる収入分を計上しておりませんでした。
支出の把握では、公費負担医療分を含んで計算をしておりますので、分母と分子をそろえるために公費負担医療にかかる収入分も計上する必要があります。これを補正することにより、補塡率は上がることとなります。
さらに、保険薬局に関しまして、令和3年度分の収入について、誤って令和4年度分の数字を用いていたというミスがございます。実際には、令和3年度分の数字はもう少し低い数字となっておりまして、これを補正いたしますと、補塡率が下がることとなります。
3ページを御覧いただければと思います。
上段の表が、これまで令和3年、令和5年に公表したものをまとめたものとなり、今、御説明したような誤りを補正したものが下段の表となります。
一番右側、参考といたしまして、全体補塡率というものがございます。これは、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局それぞれの値から国民医療費の構成比率等によって算出したものでありますが、これを見ますと、令和2年度については補塡率が上がるという形になっている一方、令和3年度、4年度については補塡率が下がる形になっております。
今一度2ページのほうに戻っていただければと思います。
一番下のところに「今後について」ということで、再発防止策について記載をしております。
複層的なチェック体制ということで、二重、三重のチェックを行うということはもちろんでございますが、現在の手法に比べ、もう少しシンプルでエラーの起きにくい手法が採用できないかと考えております。
ただ、新たな手法と、これまでの手法との整合性を検証する必要がありますので、令和5年度、6年度分の調査については、複層的にチェックを行うことは当然といたしましても、従来どおりの手法により実施をしたいと考えているということでございます。
いずれにいたしましても、これまでの調査において誤った数字をお示ししていたということにつきましては、中医協委員の皆様をはじめとしまして、関係者の皆様に改めて深くおわびをする次第でございます。申し訳ありませんでした。
説明を続けさせていただきます。
その上で、先ほど消費税分科会におきまして、令和5年度分、6年度分の補塡状況の把握に係る調査を実施することについて御承認をいただきました。こちらについて、総-2-2により御報告をさせていただければと思います。
2ページのほうを御覧いただきますと、これは、これまでの社会保険診療報酬に関する消費税の取扱いについての経緯でございます。
令和元年に消費税10%引上げに対応した診療報酬上の対応というのをいたしまして、その後、令和4年度診療報酬改定、令和6年度診療報酬改定においては、上乗せ点数の見直しは行わなかったといったことを記載しております。
3ページに移っていただきまして、令和5年度、6年度分の調査についてでございます。
先ほど御承認をいただきましたので、こちら(案)が取れたものとして御覧いただければと思っておりますが、前回令和5年度に実施した方法と同様の手法により、補塡状況を把握するものということでございまして、この後、調査に取りかかりまして12月を目途に御報告をさせていただくことを想定しているということでございます。
最後に一番下、この調査に関する論点でございますが、令和元年に行われた税率の引上げ以降、消費税率は変わっていない一方、診療報酬改定を重ねてきていること、収支双方に新型コロナウイルス感染症による影響を受けていること、近時は物価の上昇により課税経費が増加していること等も踏まえて、補塡の在り方の議論に資するよう、補塡状況をどのように評価するかということにしております。
4ページに移っていただきますと、補塡状況把握や医療経済実態調査に係るスケジュール、それから12月以降の診療報酬改定に係るスケジュールのイメージについて、お示しをしているものでございます。
説明については以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
まず、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
先ほどの分科会で長島委員からもコメントがありましたが、今回の結果は、過去の事例も含めまして、非常に深刻なものとして受け止めております。補塡の仕組みの信頼を大きく失墜させるものであり、大変遺憾に感じております。
消費税分科会におきましては、正確に調査分析を行い、それを踏まえて、より精緻かつ十分な補塡の在り方を検討していただくよう強く求めます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
分科会からの報告ありがとうございました。ただ今報告がありました総-2-1で、いわゆる2回目の補塡計算の誤りがあったということ、この問題に関しましては、病院団体として非常に遺憾に思います。
さらに、我々病院団体も消費税に関して独自の調査を行っておりますが、補塡状況に関しては、病院種別、また、病院ごとで非常に大きなばらつきが生じているということも判明しております。
今回判明した補塡状況の把握というのが非常に複雑で困難だということ、また、医療機関において、大きなばらつきが存在しているということそのものを考えますと、診療報酬で、この消費税そのものを補塡していく、それ自体が制度としての許容範囲というものを、もう超えているのではないかと、個人的には思います。
今回、補塡状況を確認していただくというのは、もちろんではありますけれども、今後この医療機関の控除対象外消費税の問題をどのように抜本的に解決していくのか、これは、分科会の所掌範囲ではないということで聞いてございますが、医療の支払制度そのものを検討していく中医協として、抜本的解決を図るよう、国に働きかけていく必要があるのではないかと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます、池端です。
私も太田委員と全く同じ視点ですが、3ページに論点とありますように、補塡をどう評価するかということはありますけれども、ここまで来ると、もう診療報酬で補塡をすること、そのものの仕組みが、もう限界に来ているのではないかということ。
それから、今、太田委員もおっしゃったように、全体としての補塡率をそろえることは、ある程度これでできたとしても、今、これだけ物価が急激に上昇しているインフレ状況の中で、控除対象外消費税を全体で見ても、各個別の医療機関にとっては大きな差が出てしまって、これが直接経営に影響してしまうということがあるので、このやり方であっても、かなりばらつきが出てしまうということになると、そろそろこれを抜本的に考える時期に来ているのではないかと。
もちろん、これは分科会、あるいは中医協マターでもないことは重々承知をしておりますが、そういう問題点を挙げていくことは、この中医協でもできるのではないかということで、それも含めて、1号側の先生方も含めて、しっかりどうあるべきかということを検討できればと思っています。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
本日、補塡状況の修正について御報告をいただきました。3ページの論点に示されておりますように、消費税の診療報酬の補塡については、診療報酬が2年ごとに改定され、また、この間、様々な要素が影響することから、補塡率は経年的に変化し得るものなので、精緻に計算を行うことは限界があることは理解しておりますが、今回のようなミスはあってはならないことと思います。
総-2-2に示されました、今後の補塡状況の把握及びスケジュール案は了解いたしますが、今後の集計については、記載されていますように、これまでの方法を踏まえつつ、ヒューマンエラーができるだけ少なく、かつ、我々医療従事者にも分かりやすい計算方法等について御検討いただき、今回のようなことがないようにお願いいたします。
また、今回の対応は、スケジュールの関係からお示しいただいている内容で進めざるを得ないと思いますけれども、昨今の物価が高騰している中、消費税のみならず、物価や水道光熱費等への診療報酬での対応も含め、総合的に考える時期に来ているのではないかと考えますので、今後どのような検証方法がベターなのか、併せて御検討をお示しいただければ、ありがたいです。
よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
消費税の補塡状況調査は、診療報酬による消費税の補塡が的確に機能しているかどうかを確認する重要な調査となります。今後、このようなことが発生しないように取り組んでいただければと思います。
その上で、現在の補塡の仕組みは、どんなに精緻に見込んでも、設備投資の状況や物価変動により課税経費率が変化すること、また、患者動向等により、補塡項目の算定回数が変化すること、マクロ的には補塡されても、施設ごとに見ると、ばらつきが生じることなどの課題があります。
消費税率が3%、5%、8%、10%と変化をしてきました。税率が大きくなると、マクロ的な補塡への影響だけではなく、個々の薬局、医療機関が受ける振れ幅、つまり控除対象外消費税への影響も大きくなると考えます。
この消費税の対応は非常に難しい問題ですけれども、先ほど太田委員、池端委員からもありましたけれども、抜本的解決に向けて検討する必要があると考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、資料にございました誤りでございますけれども、これについては、各委員から出ておりますけれども、診療報酬を決める非常に重要なデータに誤りがあったということですので、我々も非常に遺憾に感じるところでございます。
また、各委員から御意見がたくさん出ておりますけれども、この方法論について、今、意見でもありましたけれども、医療機関の種類による格差、本当に個別による格差というのも指摘がされておりますし、これは先ほど来述べられておりますけれども、今の基本診療に上乗せするという方法の限界ということも感じざるを得ないと思います。
具体的な検討については、調査結果を見てからということになりますけれども、別の方法で補塡するのであれば、どのような方法があるのかということも含めて、事務局には今後の議論の準備をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
それでは、次に「入院について(その2)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
事務局、医療課長でございます。総-3をお願いいたします。「入院(その2)」ということでございます。
前回から個別改定項目につながる議論を始めていただいておりますけれども、中医協の場は、これまでどおり改定率の水準などについては内閣で決まった後に、改定の内容を決めていくということでございますので、その報酬改定の水準といったものとは独立して、この算定の構造であるとか、報酬のそれぞれの項目の在り方等を議論していただく場と考えてございます。
それでは、説明を始めていただきますけれども、まず、2ページは目次となっておりまして「1.急性期入院医療」「2.高度急性期入院医療について」ということでございます。
急性期入院医療のほうは、3ページから12ページぐらいまで、これまで御覧いただいている資料が並んでおります。
13ページ「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」の中では、今回、医療機関機能というものが取り上げられてございまして、ここにあるような5つの医療機関機能が、そこに挙げられているということでございます。
こうしたことも頭に置いていただいた上で、14ページから報酬の内容に関する資料をまとめてございます。
16ページでございますけれども、急性期一般入院料の算定病院における救急搬送の受入件数別の施設数ということで、急性期一般の1のところの救急搬送件数、非常に多いところから少ないところに多様性があるということでございます。
17ページは、救急搬送件数別に見た病院の許可病床数であるとか、医師数であるとか、そういった病院の特性をまとめてございます。これも差があるということでございます。
18ページは、病床当たりの収支の状況ということで、これは病院の病床数で割っておりますので、急性期一般入院料1以外の病床を含んでいることに留意する必要がありますが、救急搬送件数の多い病院と少ない病院においては、医業費用そのもの、あるいは医業収益そのものに大きな差があるということでございます。
19ページは、それを割合で見ることができるようにしてございますけれども、どうしても医業利益のところに目が行きがちでございますけれども、それ以外にも、例えば材料費の割合といったところに大きな差が出ているということでございます。
20ページは、急性期1の算定病床における1日当たりの包括範囲出来高点数ということで、これもどのような差があるかということをお分かりいただけるかと思います。
21ページは、全身麻酔手術件数の分布をお示ししております。
22ページ、ここまでの論点でございます。
急性期一般入院料では、病棟の機能を評価しておりますけれども、ここに挙げたような病院の機能、特性を踏まえて、急性期における病院機能を踏まえた評価の在り方について、どのように考えるかということでまとめさせていただいております。
続いて「1-3.重症度、医療・看護必要度について」でございます。
25ページに現行の制度の概要を示しております。
26ページは、手術なし症例と手術あり症例で、A項目やC項目については、手術あり症例のほうが高い点数となる傾向にあり、Bの点数については、手術なし症例のほうが高い点数にある傾向にあることをお示ししております。
27ページは、救急搬送と手術のあり、なし別における重症度、医療・看護必要度の該当割合ということでございます。
救急搬送後の手術のない症例が最も低くなっておりまして、救急搬送以外の手術あり症例が最も高いという傾向になってございます。
28ページは、救急搬送からの入院と手術の有無で分けてございますけれども、救急搬送からの入院は、手術のなしの症例の割合が高くなっており、救急搬送以外の入院についてみれば半々ぐらいで、やや手術ありの症例が多いという傾向になってございます。
29ページ、内科系患者割合が高い医療機関に関して、評価の基準の見直しについての要望もいただいているところでございます。
30ページ、入院・外来分科会のほうでは、こうしたことを受けて、指標についての調査研究、検討を行っていただいたところでございます。
幾つか考えられる対応を挙げた上で検討をいただきましたけれども、その中で、ここに4つあるうちの現行のA・C項目の修正が可能か、あるいは緊急入院などの負荷の高い項目を評価できるかといったところを中心に御議論をいただきました。
31ページ、32ページは、このA・C項目に追加し得る項目として、どのようなものがあり得るか、あるいはその影響について学会等の御提案をまとめてございます。
32ページには、その候補のリストを挙げさせていただいております。
また、33ページは、救急搬送後の患者の評価に関する経緯と課題でございます。
これまで救急搬送後の患者について、入院から日数を限って重症度、医療・看護必要度の該当項目として評価をするということで行ってまいりました。
救急搬送を評価することのメリットもありますけれども、該当期間が長くなり過ぎると、入院日数の延長の要因となり得るのではないかといったことも懸念されるところでございます。
34ページは、そういう中で、そういった入院期間延長へのインセンティブを生まないためには、例えば②にあるように、救急搬送の受入れを指数化して該当患者割合に合算するという形で、入院日数によらない形で救急搬送を反映させる方法もあるのではないかという例でございます。
また、救急搬送へのインセンティブそのものを生じさせないためには、救急搬送患者だけではなくて、例えば協力施設入所者入院加算の対象患者を加えて評価するといった方法もあるのではないかということでございます。
35ページは、1床当たりの救急搬送件数と、それから手術のなし症例が多いか、あり症例が多いかということで、病院ごとの分布をまとめてございますけれども、救急搬送件数が多い病院ほど、手術のない症例が多いという全体的な傾向がございます。
36ページからは、B項目の測定に関してまとめてございます。ここの業務負担の緩和についての御要望もいただいているところでございます。
38ページ、B項目の得点を見ますと、特定機能病院や急性期1では比較的低い傾向、急性期病棟でも、ほかの病棟のほうがより高い傾向にあるという全体的な傾向がございます。
39ページ、前回改定でございますけれども、幾つか変更がございましたが、急性期1や特定機能病院の7対1においては、B項目の基準からは除外し、引き続き評価のみを行うということが、前回改定で見直しが行われました。
また、40ページ、B項目の評価に当たって、根拠となる記録を別に記録するということについては、令和2年度の改定において、不要と見直されております。
41ページ、この記録について、病棟の看護管理者が課題に感じていること、特にないという回答もございますが、記録忘れなどのほかに、職員研修への手間や、必要度の記録による時間外勤務などのお答えも出てございます。
また、42ページ、簡素化の必要があるものとして、幾つかある中での上位に挙がっているということでございます。
一方、43ページ、評価を続けることになっている理由としては、43ページに通知を抜粋してお示ししておりますけれども、経営者配置などに当たって、各病棟における看護職員の適正な配置数の確保の根拠として測定をしていただいているという考え方でございます。
44ページが実際の活用例、そして、45ページは、このデータそのものをまとめた上での活用例ということでございます。
46ページ、看護職員の配置数を決めるに当たって参考にしている指標として、A、B、C項目等を参考にしているというお答えが、半数程度あったということでございます。
47ページでございますけれども、B得点の状況でございまして、左側にありますように、要介護度と大きな相関があるということでございますけれども、入院時と退院時を比べますと、上がる方、下がる方がいらっしゃって、その差分の中央値ということでいうと、ゼロに近いということでございます。
48ページは、B項目の特定の入院期間における変化を毎日の変化の増分として、お示しをしているものでございまして、全員の平均を取りますと、最初は動きがありますけれども、だんだん上がる方と下がる方の数が同じになってくるということでございます。
49ページは、Kコードの手術のあり、なしで分けてございますけれども、Kコードの手術のある方は1日目と8日目での差が大きいということ、だんだんこうした手術のあり、なしによる差ということで見ると、7日目と14日目の差辺りでいうと、手術のない患者と変わらなくなってくるということになります。
その他、入院・外来分科会でいろいろ分析いただきましたけれども、50ページに、その概要をまとめてございまして、このB点数は何を評価しているかということでいうと、発症前からの身体機能によるケアの必要性と、それから疾患による療養上の世話の必要性といったものを併せて評価するような点数になっているのではないかということでございます。
左側にありますように、急性期の入院で、もともとのケアの必要性の低かった方に関しては、この疾患に伴うケアの必要性がだんだん改善してくることになりますし、また、高齢者あるいは包括期といった方で見ると、もともとのケアの必要性が高かった中で、場合によっては入院中に、むしろ悪化してくる方もいらっしゃるということでございます。
51ページ、仮にということでございますけれども、B得点を入院後4日間ないし7日間までは毎日を測定し、それ以後は7日ごとと測定の回数を減らした場合に、病院全体での該当患者割合がどの程度変化するかというのをまとめてございますけれども、こういったシミュレーションにおいては、該当患者割合の変化が1%未満という医療機関が大半であったということでございます。
また、こうした見直しを仮に行った場合には、測定日数が4割ないし6割程度減少するというのが右側の結果でございます。
53ページ、論点をまとめてございます。
重症度、医療・看護必要度について、手術なし症例が救急搬送による入院の多くを占めることなどを踏まえまして、手術なし症例や救急搬送後の症例における密度の高い医学的管理の適切な評価を図る観点から、重症度、医療・看護必要度の評価についてどのように考えるか。
また、B項目の測定の診療報酬上の評価における有用性やB項目測定に係る負担軽減の観点について、どのように考えるか。
急性期一般入院料1や特定機能病院入院基本料において、B項目が評価基準の対象から削除されましたが、引き続き継続を測定することになっております。こうした測定の意義、また、負担を踏まえて、施設基準において求める測定の在り方をどのように考えるかと、まとめさせていただいております。
続いて、54ページからは「1-4.総合入院体制加算と急性期充実体制加算について」ということでございます。
56、57に施設基準をまとめてございます。特に58に、それぞれの加算の1を比較できるようにまとめさせていただいておりまして、おおむね共通の施設基準も多くございますが、急性期充実体制加算のほうが、手術の実績を重く求めておりまして、総合入院体制加算のほうが、総合的な診療体制を重く求めているという、そういった関係になってございます。
59ページは、消化器外科の医師数、医療機関別の医師数と消化器外科の手術件数を比較できるようにまとめてございます。
医師数が、外科医数が増えていくと、手術の件数は比例的にというよりは、累進的に伸びていくということでございます。
60ページは、心臓血管外科の手術件数についても同様であるということでございます。
61ページは、心臓血管外科手術件数の分布をまとめてございますけれども、それと併せて、総合入院体制加算の対象と急性期充実体制加算の施設基準の対象においては、定義が若干異なっておりまして、それを左右に比べておりますけれども、若干、そうした定義によっても、この件数の扱いが変わってくるということになります。
62ページが、二次医療圏と、この加算の病院の属性を表してございます。
左側、急性期充実加算を取っている病院を地域別に分類しておりますけれども、人口の少ない地域において、加算を取っている病院というのはあまり多くなく、総合入院体制加算3の辺りに少し出てくるということになります。
63ページは、以前にもお示しをしておりますけれども、二次医療圏における最大の救急搬送件数のある病院と、その件数を、横軸のほうに病院が所属する二次医療圏の人口を置いて、プロットをさせていただいております。
人口が多い医療圏のほうが、救急搬送件数の多い病院があり、そういったところが加算を取っておられるということが分かります。
64ページは、縦軸のほうを変えておりまして、救急搬送件数の地域シェア率というのを縦軸にすると、人口20万人以下の二次医療圏においては、その地域においては、非常に集約的に救急搬送を受けていらっしゃる病院があるということが分かります。
65ページは「各医療圏における加算の届出病院数」でございまして、人口20万人未満の二次医療圏においては、これらの加算を届け出ている医療機関のない医療圏が多いということが分かります。
小規模な二次医療圏において、手術等以外に、いろいろ大規模な病院に求められる機能があるかと考えておりますけれども、そうしたものの例として、へき地診療所等への支援、そういった中での巡回診療であるとか、オンライン診療、そういったものを挙げさせていただいております。
67ページは、へき地医療拠点病院における、そうした事業の実施状況をということでございまして、巡回診療や医師派遣、代診医派遣などが行われております。これをへき地医療拠点病院の属する二次医療圏の人口規模別にまとめてございますので、人口20万人未満の二次医療圏におけるへき地医療拠点病院においても、そうしたことが行われていることが分かります。
68ページからは、精神と身体の合併症についてでございまして、68ページは、その診療体制の在り方ということで、横軸に身体症状の重症度、縦軸に精神症状の重症度、両方重症度が高い方においては、総合病院の精神病床が必要であるということが書かれております。
69ページ、総合病院精神科に係る主な診療報酬上の現行の評価となってございます。
70ページは、これらの加算を取っている病院における精神科等の入院医療の提供割合でございますけれども、精神科の病床を持っているところというのは、小児科・産婦人科と比べて低いという傾向にございます。
また、71ページ、精神病床は減少傾向に全体としてございますけれども、精神科病院よりも一般病床と両方持っている一般病院のほうが、この減少のスピードが速いということでございます。
72ページは、総合入院体制加算と急性期充実体制加算の算定病院における精神病床の届出数をお示ししておりますけれども、同じ病院で比較したものが下の箱になってございまして、特に急性期充実体制加算を届け出た病院で、やや減少の傾向が見られてございます。
こうしたことを踏まえまして、74ページに論点をまとめてございます。
総合入院体制加算と急性期充実体制加算では、類似しているが異なる施設基準が設定されており、そうした評価の趣旨、地域医療における意義等を踏まえまして、その評価の在り方についてどう考えるか。
また、人口規模の少ない医療圏等で、拠点的な機能を果たしている病院がございますけれども、そうした地域で救急医療や、総合的な診療体制を確保するために不可欠な病院もあることを踏まえ、そうした地域の拠点的な機能を果たす病院に求められる機能や、その評価の在り方についてどう考えるか。
また、精神症状と身体症状を一元的に対応できる医療機関の確保を図る観点から、総合入院体制加算と急性期充実体制加算における精神科の入院医療に係る評価の在り方について、どのように考えるか。このようにまとめさせていただいております。
「1-5.DPC制度について」でございます。
76ページは、基本的な事項をまとめてございます。
77ページ、DPCの算定を行い得る病床であっても、出来高算定病院となっているところがありまして、そういったところの病床の規模等についてまとめてございます。
78ページは、一般病棟の入院基本料別に、DPCにおける位置づけの度合いをまとめてございまして、左側3つ、大学病院本院群、特定病院群、そして、標準病院群までがDPC算定が行われている病院ということになります。
79ページ、80ページは、医療機関別係数の概要をまとめたもの。
81ページが、基礎系数の意義をまとめたものとなってございます。
82ページは、DPC病院群別の包括点数に対する包括範囲出来高点数の比ということでございます。
大学病院本院群と、DPC特定病院群と、そして、その他の病院では、こうした同じ包括点数を使っていても、実際の診療密度が異なるということが分かりまして、それに応じた基礎係数が設定されているところでございます。
今回新たにお示しをしているのは、緑とグレーの差でございまして、救急搬送件数が1,200件以上と1,200件未満のところで、実際の包括範囲出来高点数が、この程度に違っているということをお示ししております。
83ページ、ここまでの論点でございます。
まず1つ目、急性期一般入院料の評価方法とDPC制度の対象範囲の関係性の観点から、急性期における病院の機能や特性を踏まえた急性期入院医療の評価の在り方について、どのように考えるか。
また、DPC標準病院群においても、救急搬送受入件数の多い病院ほど、包括点数に対する包括範囲出来高点数が高い傾向にあり、こうした傾向を踏まえた基礎係数の設定の在り方について、どのように考えるかとさせていただいております。
84ページからは「2.高度急性期入院医療について」ということで、ICU、そしてHCU、脳卒中ケアユニットの3つについてお示ししております。
少し飛びますが、88ページ、届出医療機関数の推移でございます。後でも出てまいりますが、今回、前回の改定の影響もあってか、特定集中治療室管理料の3、4が減り、5、6が増えるということになってございます。
89ページは病床数で見たもの、そして、90ページはそれを割り算した1施設当たりの平均病床数ということでございます。
そして、94ページ、ICUの入室経路でございます。左側の茶色い部分が救急外来から、真ん中の青いところが手術室から、そして、紫、右側のほうが急変による一般病棟からの入室ということで、こうしたところが多くなってございます。
95ページは、集中治療室を有する病院の年間救急搬送件数ということで、非常に多い病院も、もちろんたくさんございますけれども、少ない病院もあるということでございます。
96ページは、同じことを年間の全身麻酔実施件数で見ております。
97ページは、それらを縦軸と横軸に置いて、一つ一つのICUがどういった分布を示しているかということをお示ししています。
98ページは、年間救急搬送件数別に、1日当たりの医療資源投入量を見てございますけれども、年間救急搬送件数1,000件未満の病院において、1日当たりの医療資源投入量が低い傾向がございます。
そして、99ページから医師配置に関してでございます。
102ページは、先ほど御覧いただいたのと同じグラフとなってございます。
103ページ、特定入院料を算定する治療室、とりわけここで議論していただきたい特定集中治療室管理料の5や6において、宿日直許可を得ているという病院が多くなってございます。
今回、改定後に変更した理由として104ページ、1、2から5、6への変更の理由として、宿日直等を行っており、交代勤務体制は組めないというのが上位になっておりますし、105ページ、3、4から5、6の変更の理由についても同様でございます。
106ページ「治療室に配置されている専任の医師」ということでございますけれども、ICUの1、2、3、4は夜勤の医師を置いているというところでございますが、そうしたところでは、集中治療の経験を5年以上有する医師が置かれている以外にも、様々な医師が置かれているという内容でございます。
107ページは「特定集中治療室管理料を算定する治療室の患者受入方針」でございまして、1、2、3、4、5、6ということで、対比できるように挙げさせていただいております。大きな傾向の違いはないのではないかと見ております。
そして、重症度、医療・看護必要度についてでございます。110ページが現行の評価、左側が特定集中治療室管理料ということで、Aというとこに書いてある項目を評価し、2点以上の場合に基準を満たすということ、そして、それらの満たす患者さんの割合が8割以上ないし7割以上の場合に、治療室として施設基準を満たすというルールになってございます。
111ページ、112ページは、こうしたICUにおける算定対象となる患者の状態あるいは入退室指針ということでございます。
113ページは、入室する患者さんの疾患名でございまして、様々な病気がございますけれども、循環器の病気が上位を占めてきております。
114ページは、不整脈の治療についてまとめてございます。
115ページでございます。算定患者における該当割合ということでございます。
まず、青く打っておりますけれども、動脈圧測定、中心静脈圧測定、こうしたものは2点という項目でございますので、こうしたことをやっていれば、測定のみにて2点を満たすということで、基準を満たすということになります。
それから、右のほう、現行の評価項目でないものということでございます。入院・外来分科会調査のほうで、こうした項目の該当割合についても、併せて調査をいただいたところでございます。
116ページから個別の加算についてでございます。
119ページ、遠隔支援加算というものが前回改定でつくられてございます。
この中には、医療資源の少ない地域または医師少数区域に所在する医療機関が、支援先として含まれていないといけないとなっておりますので、120ページ、現行、この報酬を活用されている医療機関というのは、医師少数区域の被支援医療機関というのを1つ以上見つけてこないと、この支援ができないことになっているということでございます。
121ページは、特定集中治療室管理料の5と6の医師少数区域かどうかということにおいての分布を示しております。
122ページから「重症患者対応体制強化加算」ということで、その内容については、124ページ、125ページにまとめてございます。
届出状況が126ページ、127ページが届け出ていない理由ということで、一般的には看護師や臨床工学技士の体制が確保できないところが多いのですけれども、128ページ、特定機能病院においては、急性期充実体制加算を届け出ていないためというのが上位になってございます。
特定機能病院は、急性期充実体制加算を届け出ることができないため、ほかの要件を満たしていても届出ができないということになってございます。
129ページ、臨床工学技士の配置については、特定機能病院の治療室では、相当に行われているということでございます。
続いて「広範囲熱傷特定集中治療管理料」でございますけれども、132ページに、現在の救命救急入院料や特定集中治療室管理料の区分をまとめてございますが、この赤で囲んでいるところが、広範囲熱傷特定集中治療を行っている場合の区分ということになります。
ただ、救命救急入院料の1と3あるいは2と4、また、ICUの1と2、3と4、5と6を比べていただくと、それ以外の部分について違いがないということでございますので、このために1つ区分を設けて、こういった掛け算でスケジュールの数を増やしておく必要があるかどうかということが、ここでお示ししている内容でございます。
すみません、ページ数が1ページずれているということでございましたので、続いて、ハイケアユニットに関してでございます。
資料の構造は、ICUと同じになってございまして、140ページが治療室への入室経路に関する内容、そして、その後、年間救急搬送件数や全身麻酔の実施件数に関する分布をお示しさせていただきます。
143ページを見ていただきますと、ICUと同様にHCUにおいても、年間麻酔件数や救急搬送件数について大きなばらつきがあるということでございます。
また、その後、145ページでありますけれども、医療資源投入量においては、年間救急搬送1,000件未満の病院においては、低い傾向がございました。
それから、重症度、医療・看護必要度についてでございますけれども、148ページに、現行の右側に、ハイケアユニットの評価をまとめてございます。
こうしたもので1点という評価が行われまして、そこの下にございますように、基準①と②がございますけれども、例えば入院医療管理料1であると、基準①に1割5分以上が該当、また、基準②に8割以上が該当ということが求められてございます。
そして、150ページが疾患名ということで、こちらのほうも循環器の患者さんなど、様々な患者さんが入っておられるということになります。
152ページ、これもICUの資料と同じ構造になってございますけれども、現行の評価項目でないものについても、入院・外来分科会調査のほうで、該当の割合を調査いただいたということでございます。
154ページに論点をまとめてございまして、次のような点等を踏まえ、ハイケアユニット入院医療管理料の評価の在り方について、どのように考えるか。
救急搬送件数に応じて、ハイケアユニット入室患者の医療資源投入量に差があったこと。
また、重症者に行われるが、重症度、医療・看護必要度において、現在評価されにくい処置等があること。
また、現行のハイケアユニット用重症度、医療・看護必要度の基準に該当する患者割合の現状を踏まえ、要件割合の適切な水準について、どのように考えるか。このようにまとめさせていただきます。
「2-3.脳卒中ケアユニット入院医療管理料について」でございます。
ポイントとなるのは、159ページ、これを算定する病院において、超急性期脳卒中加算や経費的脳血栓回収率の算定状況に差があるということでございます。
そして、160ページ、例えば脳梗塞に対する血栓溶解療法を受けた患者においても、自院の他の治療室に入室するという病院もある、となってございます。
161ページでございますけれども、論点といたしまして、この脳卒中ケアユニット入院医療管理料の評価の在り方について、どのように考えるか。
とりわけ超急性期脳卒中加算、経皮的脳血栓回収術に関する実績について、病院間で大きな差があること。こうしたことを論点として挙げさせていただいているところでございます。
すみません、説明が長くなりましたけれども、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。ページ数は、よろしいですか、皆さん、先ほど少しずれがあったようですけれども、よろしいですか。画面を見ていただくと、正確に対応しているということでよろしいですね。
○林医療課長
はい、申し訳ありません。116ページを私が、画面のほうで追加されているのを見ておりませんで、1ページずれて、その辺りから10ページぐらい御説明をさせていただいてしまったと思いますので、すみません、おわびを申し上げます。
それから、136ページについて、すみません、論点ところを読み飛ばしてしまったような気がいたしますので、そこについては、資料を御覧いただければ幸いでございます。
○小塩会長
分かりました。ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
それでは、論点に沿って意見を述べさせていただきます。まず、22ページの論点についてでございます。
まず、これまでの病棟単位での急性期機能ではなく、病院としての急性期機能を評価する方向性が示され、大変大きな見直しとなります。
現在、病院の経営状況は、過去に経験のない瀕死の重症状態にある中で、大きな見直しや適正化を行うと、容易に病院は倒れる状況にあるため、大きな見直しや適正化は厳に慎むべきであります。
実際に、18ページと19ページには、許可病床1床当たり及び1施設当たりの救急搬送受入件数の項目において、医業利益は全ての項目でマイナス、赤字となっており、緊急に診療報酬による支援が必要な状況が明らかとなっております。
したがいまして、適正化はないものと確信して申し上げますが、病院における急性期機能を救急搬送件数や、全身麻酔手術で評価する方向性も見え隠れしており、仮に検討するのであれば、詳細かつ精緻なシミュレーションを行い、1か所残らず、全ての病院がプラスとなるよう確認することは不可欠であり、絶対条件であると強く申し上げます。
新たな地域医療構想では、医療機関機能報告を行う方向となっていますが、これは、あくまでも国民に分かりやすく示すことを目的としており、複数の機能を有する医療機関は複数の報告ができる仕組みも想定されております。
最適な医療提供体制を構築するために、各医療機関が現状の機能を報告するものであり、診療報酬で評価することを想定したものではありません。
診療報酬で医療機関機能を誘導し、地域医療構想の中にパズルのごとくはめ込むことは不可能であり、現状の病院は全く余力がなく潰れてしまいます。
入院(その1)の議論でも強く要望いたしましたが、次回診療報酬改定は、医療機関の経営をまさに直し支える改定であることが不可欠であり、このことを念頭に置き、第一義的に考えていくべきであることを申し上げます。
次に、53ページの論点について申し上げます。
重症度、医療・看護必要度の評価において、これまで内科系疾患の評価が低いとの従前からの指摘があったところであり、手術なし症例をより反映する指標や、救急搬送患者の評価の重みを増す方法の検討がなされ、これらの密度の高い医学的管理の適切な評価を図ることに異論はありませんが、新たな評価を加えることにより、他の評価が適正化や減額化されることがあってはならず、あくまでも付加するのみであることを要望いたします。
なお、34ページと35ページに協力対象施設入所者入院加算について示されていますが、令和6年度診療報酬・介護報酬同時改定において、介護保険施設と医療機関の連携を推進するために新設された加算であり、介護保険施設との連携が推奨される在支病や地域包括ケア病棟を有する200床未満の医療機関などが主に算定すると想定されております。
したがって、本加算は急性期機能より、包括期機能になじむものであり、急性期と包括期の救急搬送の整理も必要と考えております。
さらには、本加算の算定に当たっては、介護保険施設側と毎月1回以上の会議もしくはICT連携体制を構築し、平素から入所者の医療情報をやり取りした上で、年3回以上の会議を行うことが要件であり、介護保険施設の協力が不可欠ですけれども、多忙で人手不足の介護現場の協力を得ることは厳しく、算定状況も低調であり、検討が必要でございます。
次に、B項目の評価については、様々な活用の実態もある一方で現場の負担も生じており、測定や評価の頻度、タイミングなどによる影響を踏まえつつ、現場の声も聞きながら、さらに継続的に検討していくべきと考えております。
また、今後、介護を要する高齢の患者さんが確実に増えてきますので、病棟における相当なマンパワーを要します。
現状、介護の必要性を見ている看護必要度が、重症度の指標に含まれておりますが、介護は、多くの患者に必要性があるため、介護必要度を重症度評価ではなく、看護補助加算とは別に、入院基本料に加えて新たに評価する仕組みの導入を検討すべきと意見いたします。
続きまして、74ページの論点について申し上げます。
総合入院体制加算は、幅広い総合的な診療体制を評価するものであるのに対して、急性期充実体制加算は高度あるいは専門的な医療の提供体制を評価するものとして、それぞれ趣旨が異なるものですが、両加算の点数設定などの事情もあり、地域の総合病院の精神科病床数などが減少するという弊害が生じてしまったと理解しております。
両者の一本化の方向性も見受けられますが、次回改定に向けては、それぞれの加算の趣旨を生かしつつ、かつ、施設基準のハードルを上げることなく、柔軟に手直しを図っていくべきであると考えます。
また、2つ目の○にある人口規模の少ない医療圏などで、拠点的な機能を果たしている病院の評価としては資料に示されているとおり、地域シェア率の考え方を導入することも検討すべきと考えますが、地域の設定などについては、丁寧な検討が必要であると考えます。
3つ目の○について、急性期充実体制加算に精神科を充実する体制加算が設定されておりますが、精神病床の減少が見られており、施設基準ではなく、現行の加算に上乗せして評価する仕組みが求められると思っております。
続きまして、83ページの論点について申し上げます。
DPC制度について基礎係数の設定を見直すのであれば、救急搬送件数が多い医療機関など、よりコストがかかっている病院を手厚く評価することを検討すべきである。
一方で、厳しい経営状況に鑑み、82ページのグレーのドットなどの病院が一切不利益を被らないように、詳細にシミュレーションすべきであります。
また、77ページにありますように、DPC制度に参加していない医療機関の大半は、DPC算定可能病床数が100床未満の医療機関であることが示されております。こういった現状を把握し、手当を検討する必要がある。
一方で、1か月当たりのデータ数が90未満である病院については、次回の令和8年度改定より、何らかの対応がなされる見込みですが、小規模な病院であっても、脳や循環器疾患など、専門性に特化し、地域において重要な急性期機能を果たしている病院もございますので、そうした病院を強制的にDPC制度から退出させるようなことは慎むべきであると考えております。
続きまして、136ページの論点について意見を申し上げます。
救急搬送件数に応じて特定集中治療室に入室する患者の医療資源投入量が異なるという分析が、98ページに示されておりますが、件数依存性に顕著な差があるわけではなく、94ページ目にも示されているとおり、特定集中治療室管理料への入室経路は、手術室からの入室が最多となっております。また、救急搬送の件数は、病院の規模によっても異なります。
したがいまして、救急搬送件数に応じてICUの評価を行うことを決め打ちするのではなく、各病院における実際のICUの利用実態についても十分に踏まえた上で検討すべきであると考えております。
また、前回改定では、治療室に常時配置される医師は、宿日直を行う医師ではないことが明確化され、その結果として地域の病院は、人員の追加確保が迫られ、対応できない病院は、特定集中治療室の廃止の検討が余儀なくされるなど、地域の救急医療の提供体制に混乱が生じております。
しかしながら、今回の調査結果では、ICUの3、4や宿日直を行う場合でもよいICUの5、6とでは、提供している医療の内容に大きな差がないことが示されております。
したがいまして、次回改定では、医師の宿日直に固執することなく、特定集中治療室が実際に果たしている機能についてもしっかりと評価されるような手直しが必要であると考えております。
それから、特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度については、今回、評価項目の見直しが提案されていると受け止めておりますが、変更後のイメージやシミュレーション等をお示しいただいた上で、こちらも地域の救急医療提供体制に混乱が生じないよう、慎重に検討する必要があると考えます。
特定集中治療室管理料5、6について、新たに特定集中治療室管理料を届け出る場合には対象とならないことについては、地域の実情に応じたICUの設置を促すという意味で、新規の届出についても認める方向で検討すべきであると考えております。
次に、重症度、医療・看護必要度における重症者に行われるけれども、現在は評価されにくい処置などを新たに加えることに異論はございませんが、厳格化することのないようにお願いしたいと思います。
特定集中治療室遠隔支援加算については、医療資源の少ない地域や医師少数区域に限らず、医師を含め、深刻な人材不足に陥っている地域もありますので、今後の人口減少社会も踏まえ、地域の医療提供体制を確保するためにも、この要件は緩和すべきであると考えます。
重症患者対応体制強化加算についても、この加算は集中治療領域における重症患者対応の強化のみならず、人材育成の重要性を踏まえたものであることを踏まえれば、それは、特定機能病院の意義とも合致しておりますので、制度の趣旨に合致する方向で検討してはどうかと考えております。
最後の救命救急入院料1から4、特定集中治療室管理料1から6を広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって区分されている点については、それぞれの算定日数や点数、施設基準に違いもあるため、簡素化を検討するということであれば、もう少し具体的なイメージを示していただければと思います。
続きまして、154ページの論点についてでございます。
救急搬送件数に応じてハイケアユニットに入室する患者の医療資源投入量が異なるという点については、先ほどの特定集中治療室管理料と同様、各病院における実際のHCUの利用実態などについて十分に踏まえた上で検討すべきであると考えますし、重症度、医療・看護必要度の評価項目や要件割合の見直しについても、十分にシミュレーションを行い、慎重に検討する必要があると考えております。
最後に161ページの論点でございます。
超急性期脳卒中加算、経皮的脳血栓回収術に関する実績について、病院間で大きな差があることが指摘されておりますが、実績が少ない医療機関において、どのような医療が提供されているのか、もう少し詳しく見た上で検討する必要があると考えております。
長くなりましたが、発言は以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員の意見を聞く機会について御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
ありがとうございます。
本日、第2ラウンドでの入院医療に関しての個別の検討が始まったということですが、各論点に関しての意見の前に、入院(その1)でも少し発言させていただきましたが、今回の入院医療に関する改定に関しての全体的な意見を述べさせていただきたいと思います。
一昨日、日本病院会をはじめ、四病院団体で実施している病院経営調査の中間報告を公表させていただきました。
これは、直近2024年度の通年での病院の経営状況に関して、初めて出てきた数字ということになりますが、2024年度は、先日、中医協でMCDB資料として報告されました2023年度と比較し、医業利益率、経常利益率ともさらに悪化し、医業利益の赤字病院割合は73.8%まで上昇してございました。
また、病院種別でも急性期などの一般病院、ケアミックスの病院、精神病院を含め、全ての病院種別で医業利益率、経常利益率とも赤字に転落という過去最悪の結果でございました。
次回、2026年改定における病院診療報酬改定においては、まず、全ての病院機能において大幅な底上げが必要であるということを強く主張いたします。
その十分な底上げが保証されない限りにおいては、ぎりぎりで支えている地域医療を破綻させる可能性が高いことから、制度の見直しは、できる限り小幅に慎重に行うべきと考えます。
我々医療者も患者を治療する際に、どれぐらいの治療に患者が耐えられるかを考慮して、治療法を選択いたします。体力の非常に落ちている患者に侵襲性が高い治療を行い、患者が死亡してしまうということはあってはなりません。その点は、今回改定に際して、中医協委員全員が留意すべきことであると思っております。
その観点から、制度の変更においては、現在、地域医療を支えている病院の維持運営にプラスになる改定に関しては、総論として賛成いたしますが、その制度変更により、逆にマイナスになる病院類型が生じる可能性のある改定に関しては、慎重にシミュレーションを行い、地域の医療機関への影響をしっかり確認してからでないと、非常に危険であると思います。
地域では、急性期を拠点的に支える病院も、高齢者救急に対応する病院も、地域包括ケアを支える病院も、慢性期医療を支える病院も全て機能して地域医療を支えております。どの機能が欠けても地域の医療提供体制は維持できないということを御理解いただきたいと思います。
ここから各論に関しての意見に移ります。
まず、22ページ、急性期一般入院基本料における論点です。
救急搬送の受入れを頑張っている医療機関ほど、19ページ、20ページに示されているように経営状況が悪く、包括範囲の出来高点数が高くなる傾向にあります。
そのため、それら救急搬送の受入件数の多い病院群を支える改定を行うこと、その方向性に関しては、異論はございません。
ただ、それを入院基本料でやるのか、救急関連の点数、すなわち救急医療管理加算や夜間休日救急搬送医学管理料などで対応すべきか、そのメリット、デメリットを含め、慎重に検討していく必要があると思います。
全身麻酔手術件数に関しても、その件数をもって入院基本料での手厚い評価を行うべきなのか、手術料そのものを大幅に引き上げるべきなのか、同様に検討が必要であると思います。
続きまして、53ページ、重症度、医療・看護必要度ですが、まず、1つ目の○、現行の重症度、医療・看護必要度に関しては、内科系症例に関する評価が非常に低く、急性期病院の機能を評価する指標として不十分であり、改善を求める声が29ページにあります日本病院会だけでなく、多くの病院団体から出されております。
今回、入院分科会において、救急搬送を評価することで、内科系の必要性を評価しようという検討をされた経緯が30ページから35ページに示されております。
今回提案のあった内科系症例の評価を充実するための34ページに示された案に関しては、①、②どちらも内科系症例の評価の改善に資すると思います。
また、新たに提案されている②に関しても、方向性としては、特に異論はございません。ただ、これに関してもどの程度の配慮がどのような病院に行われるのか、具体的なシミュレーションの結果を見て判断していきたいと思います。
2つ目の○、B項目の測定に関してです。入院当初の4日または7日間、その後1週間ごとの測定ということで、病棟における看護ケアの程度をおおよそ測定できるということでございます。
このままやるかどうかはともかく、この測定の簡素化の方向性に関しては、特に異論はございません。
ただ、3つ目の○、いわゆる急性期一般入院料においてどうするか、今後とも病棟における看護ケアの程度を測定していくということそのものは、急性期だとしても非常に重要だと思います。
入院基本料は、前回改定時にも主張いたしましたが、基本、病棟における医学管理及び適切な看護ケアを行うのに必要なコストを包括しているものであり、それが正しく設定されているかどうかを検証していくことができるデータ収集は、維持していく必要があると思います。
病棟での看護負荷が今後も急性期病院だとしても、入院患者の層の変化により重くなっていくことは考えられます。
その際には、その程度に適切に見合った入院基本料を設定していく必要があり、それを評価していくことは、適切な支払制度を維持していく上で非常に重要であると思います。
続きまして、74ページ、総合入院体制加算等でございます。
1つ目の○ですが、新たな地域医療構想を視野に入れ、拠点的な急性期機能を評価していくという観点から、総合入院体制加算、急性期充実体制加算の評価を一本化していく方向が提案されていると理解いたしました。
その方向での検討そのものは否定しないものの、この2つの加算は、地域の拠点的な急性期機能において非常に重要な点数となっております。
今回検討される見直しにより、地域の拠点病院が大きな影響を受けることがあってはなりません。
ですので、これに関しても見直しの案と、それによる影響のシミュレーションを確認しないことには、賛否は意見できないと思います。
2つ目の○、地方部における拠点機能の病院に対する評価でございます。
それらの病院を評価していく方向性自体には、異論はございません。ただ、今後も医療圏の見直しなども想定されております。今、二次医療圏の人口で提案されてございますが、そのまま行くべきなのかどうなのか慎重な検討が必要だと思いますし、また、制度がより複雑になるということもございます。
ですので、1つの案として総合入院体制加算などを地方部の病院でも対応できるように、基準そのものを緩和していく方向での対応も検討に値するのではないかと思います。
例えば、これらの加算には分娩件数100件や、様々な手術件数などの基準がありますが、今後これらの件数が減少していく地域も多く、維持が困難になることも想定されます。より基準を緩和した基準を設定し、地方部の医療機関を評価する方向も検討いただければと思います。
3つ目の精神科に関してです。特に急性期充実体制加算において、精神科病床が減少する傾向であることが、72ページで示されております。
前回の改定で、急性期充実体制加算に関しては、総合性の評価は加算という形で整理されましたが、この結果を見ると、設定された加算による評価が十分ではなかったということではないかと思います。
地域の拠点的な病院において、総合性の確保は重要です。地域の精神疾患を有する患者の受入れ体制に支障を来さないよう配慮されるべきであると思います。
続きまして、83ページ、DPCでございます。
今回、2つの論点ですが、DPC制度においても、救急搬送件数の多い病院をより評価していくことを提案されたと理解いたしました。その方向性に関しては特に異論はありませんが、82ページで資料が示されておりますが、基礎係数を救急搬送件数により差をつけることになると、上がる病院と下がる病院が出てくることになります。
これに関しては、最初の総論でも触れましたが、どこまで全体を底上げした状態で行うことができるのか、それで許容できるかどうかということが決まってくるかと思います。
また、救急搬送件数の多い病院を基本診療料及びDPC係数で評価すべきか、他の救急関連点数で評価すべきかと、先ほども述べましたけれども、そちらも1回検討する必要がございますし、また、全体に関してはシミュレーションの結果を見て判断させていただきたいと思います。
続きまして、136ページ、特定集中治療室管理料に関してです。
1つ目の○ですが、98ページに示されるように、救急搬送件数に応じて特定集中治療室入院患者の医療資源投入量に差があったとのことであり、評価することに反対ではありませんが、しかし、救急搬送件数により、新たな評価体系をつくるほどの差があるのか、また、特定集中治療室管理料そのものの点数設定を修正することで対応できないのかは、検討する必要があると思います。小まめに点数で配慮することも必要ですが、制度が複雑になり過ぎないような配慮も必要であると思っております。
また、2つ目のポツです。私一番重要だと思っておりますが、特定集中治療室1から4においては、宿日直でない専任の医師を治療室内に常時配置する必要がありますが、3、4、5、6について、処置モニタリング患者状況に関する項目による患者受入れ方針に大きな差がなかったということが、今回明らかとなりました。
前回改定で特定集中治療室管理料の5、6を新設したわけですが、これそのものが提供している医療機能の違いがないにもかかわらず、点数を減じた不合理な改定ではなかったかと考えます。
この宿日直でない専任の医師の常時配置による区分は廃止し、より医療機関に自由度を与えて、必要な医療を適切に行う工夫する余地を認めることが重要ではないかと思います。
蘇生術、抗不整脈剤、緊急ペーシングなどの項目の新たな設定をすることそのものに関しては、すぐに否定はいたしませんが、それにより基準値の見直しも行い、現行管理料を算定している病院が管理料を取れなくなるような制度変更は行ってはなりません。
また、CCUと併設しているICUの存在も視野に入れて、慎重な検討が必要であると思います。
特定集中治療室の遠隔支援加算に関しては、被支援側医療機関に医療資源の少ない地域などが含まれている場合に限られるということの要件に関しては、緩和してよいと思います。
ただ、その場合でも、いわゆる先ほど言いました集中治療室5、6とは関係なく算定可能となるよう検討すべきではないかと思います。
重症患者対応体制強化加算の算定を特定機能病院に拡大することに関しても、特に異論はございません。
2つ目の○です。広範囲熱傷特定集中治療への対応に関しては、区分の簡素化という観点から、加算での評価に変更することに関しても大きな問題はないかと考えますが、より具体的な案を見させていただければと思います。
154ページ、ハイケアユニット入院医療管理料に関しての論点でございます。
1つ目の○の救急搬送件数による評価に関してですが、これは先ほどの特定集中治療室と同じでございますが、評価することそのものに反対ではありませんが、救急搬送件数による新たな評価体系をつくるほどの差が実際にあるのか、制度が複雑になり過ぎないよう、そのバランスを取る必要があるかと思っております。
また、項目の変更に関しても、現在管理料を算定している病院が管理料を取れなくならないような配慮が必要だと思います。
2つ目の○、152ページに該当患者割合は一応示されてございますが、①の15%、②の80%及び65%に関しては、これで見る限り、特に現状の数字上、変更する必要はないのではないかと思います。
最後に、161ページ、脳卒中ケアユニットの入院医療管理料に関しての論点でございます。
確かに159ページにおきまして、超急性期脳卒中加算、脳血栓回収術があまり算定されていない病院があるということが示されておりますが、そのような病院の治療室がどのような使用状況になっているのか、より詳細な情報をいただかないと、見直しの必要性に関しては少し判断をしかねると思われます。
以上でございます。長くなりました。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私からも総論的な話を1つ、各論を2点だけ簡単にお話ししたいと思います。
まず、急性期を中心にした今回の入院(その2)ですけれども、御案内のとおり、新たな地域医療構想の中で医療機関機能というのを求めるようになった、それにある程度寄り添おうとしているような内容ということは、一定理解できるかなと思っております。
その中で、特に今回は救急搬送、手術件数ということを中心にした医療資源投入量について、急性期の入院医療をどう評価するかということのデータがいろいろ出ております。
これまでの流れは、こういうことで適正化と評価とを分けて、いわゆるめり張りのついた報酬体系に持っていくという流れだと思いますけれども、今、太田委員あるいは江澤委員もおっしゃったように、今の現状を考えますと、めり張りの「めり」をやると、一気に経営難に陥ってしまうところがあるので、今回だけは、言い方は悪いですけれども、「張り」の部分で評価する、そういう流れにしていただかないと幾らいい制度設計をしても、地域医療が崩壊する流れになってしまうのではないかということで、ここは冒頭にしっかりお話ししていきたいと思いますし、しっかりしたシミュレーションを行った上で、ぜひ、そういう検討を行っていただければと思っています。
それから、2点目ですけれども、今回初めてだと思います。介護保険のほうでもそうですけれども、いわゆる大都市圏と20万等々の中都市、それから、人口が少ないところと3つに分けて、一定のいろいろな資料が出ていますが、ここは非常に大きなことで、やはり課題がそれぞれ違ってくるということを、しっかり把握しながら落とし込んでいかなくてはいけないのではないかということで、ここも十分な配慮をしていただきたいなと思っています。
その上で、各論的には、今、太田委員もおっしゃったように、内科的重症度については、前回から非常に厳しくなったところだと思いますので、いろいろシミュレーションも出ていますが、そこをしっかり評価していただければと思っています。
それから、これは、地方の基幹病院から私はよく聞くのですけれども、これも太田委員がおっしゃったように、ICUに関して、特定集中治療室に関しての5、6に関しては、本当にプロセスやアウトカムはほとんど変わらないのに、こういう5、6という低い点数のものに持っていかざるを得ない、いわゆる宿日直体制を取らざるを得ないところです。
ここは、ただ単に点数が下がっただけではなくて、宿日直許可を外そうと思うと、医師が必要となってくるが、医師不足の地方では、非常にこれが困難であり、やむを得ず、5、6に落としながらでも、しっかりした患者を診なくてはいけないということで、頑張って疲弊しながらやっているということが数字に出たのだと思いますので、ぜひ、5、6については廃止も含めた抜本的な検討をしていただきたいと思っています。
この2点、各論について、私もお話しさせていただきました。
以上です。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
2号側の委員の方々、よろしいですか。
次に、1号側の委員の御意見も伺いますけれども。
どうぞ。
○林医療課長
資料のおわびをさせていただきたいのですけれども。
○小塩会長
では、事務局、お願いします。
○林医療課長
すみません、医療課長です。おわびばっかりで、今日は申し訳ありません。
先ほどから、資料のページ数について、ちょっと混乱が生じておりまして、おわび申し上げます。
タブレットの資料だけが、116ページ以降、1ページ多い数字になっているということでございます。事前に配付した資料や、それから傍聴の方が御覧いただいているホームページの資料などは、余計なページは入っていないということでございますので、タブレットで御覧いただく方が116ページ以降の資料を御覧いただくときだけ、1ページ数字が多くなっているということです。すみません、今日は本当におわび申し上げます。
○小塩会長
ということですので、御注意ください。
次に、1号側の委員の御意見を伺うのですけれども、すみません、その前に、先ほど江澤委員から看護の観点からの意見を伺いたいという御意見がございましたので、木澤専門委員、お願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
重症度、医療・看護必要度について発言させていただきます。
診療報酬上に位置づいている様々な入院機能と、そこに入院している患者像とを対応させ、機能分化を推進していく観点が重要です。
病棟においては、個々の患者の状態変化はもとより、病棟全体の状況も日々変化しており、その変化をデータで把握し、安全・適切に管理することが必要となります。
例えば、看護配置のことで言いますと、入院基本料通則の中でも、病棟や患者像の状況に応じて、看護職員の傾斜配置が可能となっており、その際にも看護の適正な配置数が確保されるための入院患者の状態評価の根拠として、重症度、医療・看護必要度を用いて患者の状況を評価することとなっています。
資料の46ページの調査結果でも、病棟では看護職員の配置数を決めるに当たって、A項目、B項目、C項目を合わせて総合的に判断していることが分かります。
病棟全体の患者像を把握することが重要であり、手術なし症例や救急搬送後の症例における密度の高い医学的管理を適切に評価するためにも、A、C項目の見直しを図るとともに、B項目による評価も引き続き実施し、総合的に判断する根拠データとして活用すべきと考えております。
一方で、B項目の測定に係る負担軽減について、入院後、一定期間を経過するとB得点が変化しない割合が高いこと等のデータを踏まえれば、測定頻度の見直しにつきましては一定理解いたします。具体的な頻度につきましては、引き続き十分に検討していただきたいと考えております。
なお、記録や研修方法については、令和2年度改定時にかなり簡素化が図られていますが、現場での理解が十分に浸透しておらず、運用面での問題がある可能性も考えられるため、改めてその点の周知徹底が求められるものと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
冒頭ちょっと本題に入る前に、2つほど申し上げたいと思います。
医療機関をめぐる経営状況につきましては、この中医協においても、2回ほど時間を取りまして、かなり説明がなされております。
そういった過程を経て、第1ラウンド、第2ラウンド、今、第2ラウンドに入っておりますけれども、そういったところに入っておりますので、冒頭、林課長からもありましたけれども、そういった個別の議論に入りましたので、そこに議論が集中できるように、ぜひ御配慮を賜りたいということは、まず、申し上げたいと思います。
それと、江澤委員のほうから適正化はあり得ないという御意見がありましたけれども、議論の結果、評価するものもあれば、当然、適正化のものもあります。ですので、そういった御意見にはくみしませんということを、まず申し上げたいと思います。
それでは、本題に入りたいと思います。
入院医療につきましては、引き続き機能分化や連携の推進が不可欠だと考えておりますけれども、最適な入院医療体制を構築するためには、地域で病院の役割分担を明確にする観点から、診療報酬においても病床機能だけではなく、13ページに示されております医療機関機能に着目することが重要だと認識しておりますし、これについては、池端委員からも同様の御意見があったと理解しております。
特に、本日のテーマである急性期につきましては、医療資源を集約化、重点化し、より効果的で効率的な医療を目指すべきだと考えております。
それでは、以上の基本認識に基づきまして、各論点にコメントいたします。
まず、急性期、22ページの入院基本料の在り方についてでございますが、資料の16ページの救急搬送件数あるいは21ページの全身麻酔手術の状況を見ますと、入院料1の病院でも、一番左にあります、一番少ないゾーンにピークが立っており、少なくとも救急搬送や全身麻酔手術という切り口で見た場合、入院料の2から6とほぼ同じような機能で入院料1を算定する病院が相当数あることが分かります。
また、資料の17ページに目を移しますと、救急搬送件数が多いほど、病床規模が大きく、常勤医師の配置が手厚く、全身麻酔手術や夜間救急の実績が多いことが分かります。
こうしたことを念頭に置きますと、やはり入院料1については、救急搬送や全身麻酔手術の実績に応じた基準を設定することが考えられます。
さらに、本日は詳細なデータが示されておりませんが、入院料の2から6の再編も必要だと考えております。
令和6年度改定の附帯意見で、地域包括医療病棟の新設を踏まえ、10対1病棟の在り方を検討することになっていたと思いますので、事務局には今後の議論に向けた資料の準備をお願いしたいと思います。
次に、53ページの重症度、医療・看護必要度については、資料の27ページを見てみますと、各委員からも御意見ございましたが、救急搬送入院で手術なしの場合に該当割合が低いことが示されております。
また、28ページに目を移しますと、救急搬送からの入院や緊急入院の場合に手術なしの症例が多く、予定入院の場合には手術ありの症例が多いことが分かります。
医療機関機能として救急搬送を重視するという考え方で、手術のバランスを考慮することは、一定の理解ができます。
その上で、30ページの対応案を見てみますと、どれも当然メリット、デメリットがあるようですけれども、例えば、A、Cの修正の例にあります緊急入院の該当日数を延ばす方法については、前回の改定で医療資源投入量を踏まえて救急搬送後の日数を短縮したことや、34ページの①に示されているように、入院日数の延長につながる懸念があることを踏まえますと、現段階ではよい方法とは考えにくいと感じます。
また、30ページの上から2つ目にございます、医療資源投入量の評価では、医療費の増加を招く可能性のある検査や、その次の疾病差における評価にあるアップコードが懸念される疾患名による加点は、保険者としては否定的と言わざるを得ません。
31ページで、内科学会が提案している方法や、34ページにある②の救急搬送患者数を指数化する方法についても懸念がないわけではございませんが、相対的に医療機関がコントロールしにくい印象を受けますので、これらの方法を軸にシミュレーションをして、その結果を見ながら議論を進めてはどうかと思います。
また、B項目の取扱いについては、一定の間隔を空けて測定することや、7対1病棟で測定を不要とすることで、看護職の負担を軽減することに異論はございません。
続きまして、74ページの総合入院体制加算と急性期充実体制加算については、統合する方向には、異論はございません。
共通点は多いですが、どんな病気も断らない幅広さと、難しい手術を一手に引き受けるといった性格の違い、成り立ちの違いも踏まえて、急性期の拠点機能を評価するための指標や重みづけについて、今後議論させていただきたいと考えます。
人口の少ない地域については、救急搬送等の実績をシェア率で見るといった一定の配慮はあり得ると思いますが、その代わりに、ほかの医療機関を支援する機能を求めるといった工夫も必要だと考えます。
また、精神科については、身体症状と精神症状を一体的に見ることができる機能を地域で確保する観点も必要なことだと考えております。
次に、83ページ以降のDPC制度についてですが、資料の76から78ページを見てみますと、急性期の病棟でありながら、急性期医療の標準化を目的とするDPC制度に参加していない病院が一定数あるということですが、急性期の病院は、DPC制度に参加するのは当然であり、10対1病棟の再編にも関連することで、もしDPCに参加しないのであれば、包括期の病棟に機能転換することも必要だと考えます。
また、DPCの標準病院群について、資料の82ページを見てみますと、救急搬送の1,200件以上でグリーンとグレーに分けられておりますけれども、救急搬送の多いグリーンの病院群は、救急搬送の少ないグレーの病院群より、包括範囲出来高点数が高いことが分かっております。収益性の違いを踏まえて、基礎係数を分けることは十分にあり得るものだと考えます。
続きまして、84ページ以降の高度急性期についてですが、93ページや139ページにございます、分科会の取りまとめで指摘がありますとおり、ICUやHCUは救急搬送後や手術後の管理を行うことが重要な役割であるにもかかわらず、救急搬送や全身麻酔手術が少ない病院が一定数あるということです。具体的には、ICUについては97ページ、HCUについては142ページに示されております。
こうしたことから、本来の機能を十分に果たしているのか疑問であり、医療資源集約といった観点からも課題があると思っております。
救急搬送の受入件数によって医療資源投入量に差があることも示されておりますので、ICUとHCUいずれも一定の救急搬送や手術の実績を求めることや、救急搬送件数に応じて評価にメリハリをつけるべきだと考えております。
また、ICU、HCUにおける重症度、医療・看護必要度ですけれども、それぞれ項目を見直した場合のシミュレーション結果を見て、該当患者割合の水準は検討させていただきたいと思います。
次に、136ページに示されております、ICUの個別の課題ですけれども、先ほど来御意見が出ておりますけれども、常時配置と宿日直の関係で、資料の107ページを見てみますと、常時配置の管理料3、4と宿日直の管理料5、6で、三次救急の対応以外大きな差がないという整理になっておりますが、例えば、SOFAスコアとの関係を調べてみるとか、あるいは安全性に問題はないのかといった観点で、事務局には、もう少し詳しい実態分析をお願いいたします。
重症患者対応体制強化加算については、必ずしも特定機能病院を除外しないことや、広範囲熱傷の取扱いをすることには異論はございません。
最後に160ページの脳卒中ケアユニットについても、これも156ページにある分科会の取りまとめのとおり、SCUに求められている機能を果たしている病院が持つべきユニットということを明確にして、実績に応じて評価にメリハリを利かせるべきだと考えます。
長くなりましたが、以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
入院につきましては、新たな地域医療構想を念頭に議論していくべきであり、急性期入院医療については、地域で必要な手術や救急医療等を担えることを適切に評価していくべきと考えております。
急性期一般入院基本料について、同じ基本料であっても救急搬送受入件数や、全身麻酔手術件数に違いがある点について、医療資源の投入量も異なることから、めり張りのついた評価を行っていくべきだと考えます。
また、総合入院体制加算と急性期充実体制加算について共通する基準がある中で、地域で必要な急性期医療を集中的に担う医療機関を分かりやすく評価するためにも、一方の加算のみにある施設基準を組み合わせた評価を確立するなど、見直す必要があるのではないかと考えております。
高度急性期入院医療につきましては、手厚い医療資源の投入が必要である患者を対象とするためにも、重症度、医療・看護必要度の在り方については、見直す必要があると考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか
伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
伊藤です。よろしくお願いします。
74ページの総合入院体制加算等における部分で発言したいと思います。
やはり人口の少ないエリアで、全て一手に引き受けて救急も全てやって、この地域医療の崩壊を本当に防ぐために頑張っている病院というのに対しては、やはりしっかりと報いるような形の評価をしていくべきではないかと思っています。
やはり総合入院体制加算であるとか、急性期充実体制加算の1、2とかを見ていますと、やはり要件がかなり厳しい部分があって、どうしても、そのエリアの人口からすると、その加算をなかなか自分たちは届出することができないので、今、総合の3を申請しているところが多いのかなと思っていますけれども、やはりそこの医療の崩壊をまさに防いでいる病院に対して、しっかり評価をしていくべきだと思います。
ただ、その一方で、やはりプラスして、66ページのような二次医療圏の支援のイメージというのは、大変私も理解ができますので、そのような形で、しっかりと人口が少ないエリアでも適切に医療が受けられるような形になるようにしていくべきではないかと思っています。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
では、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
本日の資料が救急とか手術に集中しているので、どうしても話題がそちらに向かいますけれども、急性期医療の現場は、決して救急とか手術のみではないのは御理解いただいていると思います。いろいろ循環器疾患の救急医療搬送ではない、手術を要しない循環器疾患、脳血管疾患、あるいは消化器、肝臓、腎臓疾患、それから感染症など様々な急性期の疾患がございますので、そういったものを含めて、現場でどう対応しているのか、特にその中の仕事のボリュームで、ちなみに10対1の看護配置でそこが賄えるのかどうか、職員の現場の負担感、いろいろ総合的に考えていかないといけないと思っております。
先ほどの発言で申し上げましたけれども、当然急性期はDPCに参入するのが望ましいというのは理解しておりますけれども、規模によって、例えば前回の改定で1か月当たり90というデータ要件が入り、例えばケアミックス病院とか、一病棟急性期を持って、地域で貢献している医療機関はたくさんあります。
そういった中で、いろいろな附随した要件がクリアできないと、あるいは単科専門病院もございますし、そういったところは御理解いただきたいと思っております。
あと、松本委員から御発言がありまして、適正化はないというのは、私が決める立場では当然ございませんので、私が申し上げたのは、適正化は慎むべきではないか、それから、適正化はないということを確信しているということを申し上げた次第でございます。
我々の医療の、本当に献身的な現場を、あまり性悪説的に、いつも御意見を言われると、我々としても、もう少し我々の医療の現場の実態を、本当に職員はなりふり構わず精一杯努力していること、精一杯患者さんのために日々献身的に努力して取り組んでいるということは御理解いただきたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
オンラインで、奥田委員のお手が挙がっています。よろしくお願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
私は、先ほど松本委員が冒頭に意見を言われたことと同じようなところですけれども、22ページの課題と論点に関しまして、やはり効率的・効果的な提供体制を構築する観点から、機能分化を進めていくことが、一層重要ではないかなと思います。
本日の説明にもありましたけれども、急性期一般入院料1算定の病院によっては、救急搬送の受入件数や、全身麻酔の手術件数に大きな違いがあることが分かりました。
これらの違いを踏まえつつ、機能を果たしているところ、また、機能を果たしていないところの評価にめり張り、先ほどもめりではなくて張りではないかというお話もありましたけれども、やはりめり張りをつけて機能分化を進めていくことが重要ではないかと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ここ数年の経過を見ていますと、やはり消費者物価指数、そして、診療報酬改定率、ここの差を見ますと、やはり8%から9%の差が出ていると、これは、もう現実的なことであります。
その中で我々は、患者さんの安心・安全につながる医療を献身的に頑張っているということを御理解いただきたいと、それが江澤先生の意見であるということを御理解いただきたいと思います。
1号側から、松本先生から厳しい御意見をいただきます。適正化といただきますが、実際、現状これだけのことが抑えられてきたということと、その制度の改正に伴って我々は、それに素直に体制を整える、そこにまた費用は取られてきたということの積み重ね、そして、急激なインフレということが、こういう事情につながっているということで、やはり、医療というものが何であるかということをしっかり考えていただいて、今、壊すわけにいかない、人口減少の少ないところで、本当に小さな病院が頑張ってくれている、これは1号側からも御意見がありました。これは非常に重要なことでありまして、その中で対応しているということを、皆様方に御理解をいただきたいと。
そんな中で、本日は非常に細かいところまで意見が出たと思いますけれども、我々は本当に頑張ってやっているということを御理解いただいて、いろいろな意見を出していただくことも御理解をいただければと思っております。
以上です。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
ほかには特に御意見、御質問ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日、何人かの委員から追加的なデータの提供、それからシミュレーションの実施ということの御要望もいただきましたので、今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。



