第73回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局雇用開発企画課建設・港湾対策室

日時

令和7年10月23日(木)15:00~17:00

場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)

出席者

公益代表
勇上座長、中村委員、小野委員

労働者代表
西委員、髙橋委員、松葉委員、横澤委員

使用者代表
岩田委員、堀川委員、吉田委員、若鶴委員

オブザーバー
田端国土交通省不動産・建設経済局国際市場課建設産業海外ビジネス戦略官
小川国土交通省不動産・建設経済局参事官(建設人材・資材)付建設キャリアアップシステム推進官
石井国土交通省不動産・建設経済局建設振興課長補佐

事務局
藤川高齢・障害者雇用開発審議官
和田山建設・港湾対策室長、大原建設・港湾対策室長補佐、熊谷建設・港湾対策室長補佐

議題

(1)建設雇用改善計画(第十一次)の策定について
(2)その他

議事

○大原補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第73回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。私は事務局を務めます、建設・港湾対策室の大原と申します。よろしくお願いいたします。
 ここからは座って進行させていただきます。まずは、毎回のお願いですが、マスコミの方への留意事項として、カメラ等の撮影をされる場合は、議事が始まる前までとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 今日は、髙橋委員が少し遅れるということなので、間もなくいらっしゃるかと思います。公益委員の小野委員、中村委員、使用者代表の吉田委員がオンラインでの参加となっております。よろしくお願いいたします。恐れ入りますが、質疑の際はカメラをオンにしてお願いできますと幸いです。
 次に、配布資料の確認をいたします。本日の資料は、議事次第、配布資料が資料1及び資料2、参考資料として参考資料1~3、これらを今回は紙で配布しております。参考資料1は、これまで開催した建設労働専門委員会において、各委員から頂戴した主な御意見をまとめたものですので、御参考にしていただければと思います。
 ここから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでといたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益者代表の蟹澤委員が御都合により御欠席となっております。それでは、以後の進行は勇上座長からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○勇上座長 勇上です。本日はお忙しい中、御出席賜りありがとうございます。本日も活発な御議論をよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入ります。本日は、議事次第にあるとおり、議題は2つあります。1つ目は、「建設雇用改善計画(第十一次)の策定について」、2つ目は、「その他」となっております。前回、前々回は、「建設業の現状と課題」と題して、国土交通省、労働者団体及び使用者団体よりヒアリングを受けたところです。今回は、「建設雇用改善計画(第十一次)の策定について」と題して、次期計画の策定に向けた論点整理と、第11次計画の項目作成の議論に入りたいと思います。それでは、事務局から資料の御説明をお願いします。
 
○熊谷補佐 厚生労働省の熊谷と申します。よろしくお願いいたします。説明は私からさせていただきます。着座にて説明いたしますので、よろしくお願いいたします。
 早速ですが、資料1、建設雇用改善計画(第十一次)策定に関する論点に沿って説明いたします。こちらの資料については、現行の第10次計画の実施状況、その評価や課題、そして次期第11次計画策定に向けた論点ということで、建設業界の現状、前2回にわたる委員会において各団体様から御説明いただいた内容、また、これまでの委員会における議論の中で、委員の皆様方から頂いた御意見などを踏まえ、論点として事務局でまとめました。
 それでは、ポイントを絞って説明いたします。初めに、1ページを御覧ください。第11次計画の総論となっております。まず、①ですが、5年前の第10次計画策定時においては、世界的な経済活動の停滞を招いた新型コロナウイルス感染症により、住環境の意識変化や業務効率化の必要性が明確になった契機となりましたが、建設業においては、現在においても、労働力人口の減少や若年入職者の減少などもあいまって、担い手不足への懸念が依然として変わっていないという認識を記載しております。
 次に②です。第10次計画期間中においては、CCUSの普及促進が図られ、現在の登録者数は約170万人と、一定程度の普及が進んでいること。今後は、CCUSを活用し、若い世代がキャリアパスの見通しをもてるよう、関係者間での連携したスキルアップ支援や、処遇改善に向けた環境整備の必要性があること。また、登録率が低い分野へのアプローチやメリットの拡大に課題があることを記載しております。
 次に③です。現下の建設産業を取り巻く環境としては、公共投資では、インフラ整備や更新需要が底堅い一方で、供給面においては、建設技能者の高齢化と若年入職者の減少、また、資材高騰が続いていることから、国土・地域づくりの担い手である建設業の持続可能な構築に課題があること。
 次に④です。第10次計画策定時と現在との比較においては、罰則付き時間外規制の適用を踏まえた「工期に関する基準」の改定、建設業法改正に伴う「労務費に関する基準」制度の今後の創設、また、週休2日制の確保など、……。
 
○和田山室長 すみません。今、オンラインの音声が途切れているようなので、一旦中断させていただきます。
                                 
    (中断)

○熊谷補佐 それでは、再開いたします。1ページ目の総論の④まで進んでいますので、引き続き説明させていただきます。
 また、週休2日制の確保や担い手確保に向けた取組が進められてきていますが、今後も、技能者の処遇改善や生産性向上など、引き続き施策を講じる必要があること。
 最後に⑤ですが、外国人材について非常に重要で、次期計画に盛り込む必要性があることということで、整理させていただいています。
 2ページ目については、建設業の現状などのデータを踏まえたものとなっていますので、本日は割愛させていただきます。
 それでは、3ページからは、計画の個別テーマごとに論点を整理させていただいている資料となります。まず、一番上の黒文字が計画における大項目、その下の括弧が個別のテーマとなっています。そのテーマごとに、緑の枠の左に第10次計画の取組、右側に5年間の評価と課題、下の青枠にそれらを踏まえた11次計画の論点ということで整理させていただいています。
 それでは、初めに大項目1番、若年者等の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成について説明します。まず、10次期間中の取組としては、1つ目、事業主への助成金支援、2つ目、高等学校の生徒などと建設業界がつながる機会の提供を実施してきたところです。
 右側、評価と課題です。2つ目になりますが、つなぐ化事業については、この取組によって建設業に関心を持ったと答えていただいた人数の割合が半数近くなるなど、一定の事業成果があったものの、依然として入職3年以内の離職率は全産業平均を上回っていることからも、3つ目、引き続き魅力の発信や入職・定着支援を充実していくことが課題と考えています。
 これらを踏まえた論点としては、1つ目と2つ目、3Kイメージの払拭、新4K浸透の必要性。3つ目と4つ目、教育機関、関係行政機関と連携したキャリア教育の充実。5つ目、入職から定着まで一体的に取組を行う企業に対する支援の仕組み構築の必要性について整理しています。
 4ページを御覧ください。CCUSです。まず、10次計画の取組状況ですが、1つ目と2つ目、国交省において各種会議での普及促進に向けて周知広報を実施してきたところです。また、3つ目と4つ目、助成金によりCCUSを活用して賃上げを行った事業者への支援などを行ってきているところです。最後のポツですが、スマホアプリ、いわゆる「建キャリ」のリリースなど、利便性の向上にも取り組んできたところです。
 右側、評価や課題については、2つ目と3つ目、登録が伸びていない分野がある現状もあり、また、履歴の蓄積など運用面で課題もあることから、更なる活用促進に努める必要があると考えています。また、4つ目、スマホアプリで資格情報が閲覧可能となるなど、利便性の向上に向けた取組が進んでいる一方で、国等が保有する資格情報との真正性の確保が課題と考えています。
 これらを踏まえました論点としては、1つ目、CCUSにおいては、業界共通のインフラとしての位置付けの確立を目指し、活用促進フェーズへと移行して取り組む必要があること。また、2つ目と3つ目、取得メリットの拡大として、能力評価に対応した処遇改善の更なる推進など整理させていただいています。また、5つ目、本委員会でも様々な御議論を頂いていますが、利便性の向上に向けては、スマホアプリに表示された資格情報を、安衛法で携行義務のある免許証や技能講習修了証の原本として認めるかの検討を行うことなどを整理させていただいています。また、最後ですが、適正な額の退職金が受け取れるよう建退共との完全連携、そして登録の推進ということも整理させていただいています。
 次に5ページを御覧ください。女性労働者の活躍・定着の促進についてです。まず、10次計画期間中の取組ですが、1つ目、改正育児・休業法の施行、5つ目、女性専用トイレ・更衣室等の整備に対する助成金により、事業主へ支援を行ってきているところです。6つ目、国交省において、「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」を令和7年3月に策定しまして、取組を進めているところです。
 右側、評価と課題についてです。1つ目、改正法の取組を進めるために、引き続き制度周知に取り組んでいく必要があること。また、2つ目から4つ目、各種助成金や国交省が策定しました実行計画の引き続きの推進を課題として考えています。
 これらを踏まえました論点です。女性活躍については、本委員会でもこちらも様々な御意見等を頂いていますが、就業しやすく、定着できる環境の整備の必要性と、全ての人がライフステージを尊重した働き方を目指す必要性があると整理させていただいた上で、1つ目、仕事と家庭の両立しやすい職場づくりのメリットを伝えていく必要性、5つ目、定着促進に向けては、女性労働者との職場内でのコミュニケーション能力の向上に向けた取組の検討の必要性についても整理させていただいています。
 次に6ページを御覧ください。高年齢労働者の活躍の推進についてです。10次計画期間中の取組ですが、1つ目、各労働局・ハローワークにおいて、継続雇用制度導入等の措置義務に関する指導・助言などを行っているところです。
 右側、評価と課題については、1つ目と2つ目ですが、建設業における65歳までの雇用確保措置がされている割合は99.9%と達成されていますが、70歳までの就業確保措置の状況は43%台と5割を下回っている状況です。
 これらを踏まえた論点としては、1つ目、65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業機会の確保に向けた企業への周知啓発などを行っていく必要性を整理させていただいています。
 次に7ページです。ハローワークにおける支援についてです。10次計画期間中の取組としては、主要なハローワークに設置しています「人材確保対策コーナー」における人材不足分野の求人充足に向けた助言・指導など、取組を行ってきたところです。
 右側、評価と課題としては、1つ目、職種別で見ても、建設躯体工事などは依然として5倍を超える高い有効求人倍率となっており、2つ目と3つ目、人材確保対策コーナーにおけるサービスの継続実施の必要があると整理しています。
 これらを踏まえた論点としては、1つ目と2つ目になりますが、未充足求人へのフォローアップや、「人材確保対策コーナー」における求人者、求職者に対する助言・相談など、継続的に実施することが必要であると整理させていただいています。
 次に8ページを御覧ください。ここからは大項目2番、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備になります。まず、10次計画期間中の取組ですが、2つ目と3つ目、雇用管理責任者などに対する各種講習会を実施してきたほか、4つ目、一人親方対策としては、労働基準関係法令遵守について、適切な指導を行ってきたところです。また、最後のポツ、雇用の安定を図るため、就業機会確保事業の適正な事業運営を実施してきたところです。
 右側、評価と課題です。1つ目、雇用管理研修については、受講者の97%の方から役立ったと高評価を頂いており、事業効果が表れている一方で、2つ目、依然として重層下請構造により雇用関係や労働条件が不明確になるなど、課題が残っているほか、3つ目と4つ目、一人親方については、労働関係法令等の規制逃れなどの懸念や、働き方を確認するチェックリストの活用率が低いことが課題として挙げられています。また、5つ目、就業機会確保事業が適正に活用されるよう、制度の趣旨説明を引き続き行っていく必要があることも課題として整理しています。
 これらを踏まえました論点としては、まず1つ目と2つ目、雇用関係の明確化などが適正に行われるよう、引き続き関係法令の遵守に向け取り組む必要性があること。また、4つ目と5つ目、一人親方対策については、実態把握の必要性や、「一人親方の取組に関する申し合わせ」の進捗を踏まえた取組の推進。また、一番下のポツですが、本委員会でもたくさん意見を頂いている案件ですが、就業機会確保事業の適正な活用促進について、引き続き必要な見直しを検討という形で整理させていただきました。
 次に9ページを御覧ください。働き方改革の基本的取組です。10次計画期間中における取組としては、1つ目、令和6年度からの罰則付き時間外規制の適用を踏まえた「工期に関する基準」が改定されたほか、3つ目、長時間労働の改善や必要経費の支払などについて、発注者へ要請を行ってきているところです。また、4つ目、週休2日制の確保に向けて地方公共団体にも要請などを行ってきたところであり、一番下、建設業における1年単位の変形労働時間制のポイントも周知してきたところです。
 右側、評価と課題については、2つ目、実際の価格転嫁が機能すること、3つ目、週休2日制については、民間工事における適正な工期設定に向けた働きかけが重要であること。また、一番下のポツですが、労基法32条、いわゆる労働時間違反が全事業場の3、4%台で推移していることからも引き続き指導などが必要であることも、課題として整理させていただいています。
 これらを踏まえました論点としては、まず1つ目、建設Gメンによる監視活動の強化の必要性、3つ目、週休2日制の導入への働きかけ、4つ目、猛暑や降雪などに対する変形労働時間制の適切な活用について、周知や支援を継続する必要性について整理させていただいています。
 次に10ページを御覧ください。賃金の改善になります。まず、10次計画期間中における取組としては、1つ目、CCUSの能力評価に応じたレベル別年収を公表してきたほか、2つ目と3つ目、建設助成金による支援を行ってきているところです。また、一番下のポツ、「労務費に関する基準」を作成し、本年12月に勧告する予定となっています。
 右側、評価と課題としては、1つ目と2つ目、賃金水準は上昇傾向にありますが、中小・零細事業者などに恩恵が届いていない状況も見受けられていることが挙げられています。
 これらを踏まえた論点としては、まず1つ目と2つ目、若年層の入職・定着を促すためには、賃金水準の改善や安定した収入を目指す必要があり、継続的な取組が必要とさせていただいています。また、2つ目、CCUSのレベル別年収による官民一体となった賃上げや適正価格での受発注の促進、3つ目、「労務費に関する基準」を踏まえ、適正な労務費を確保し、CCUSレベル別年収の支払を促していくことが必要であると整理しています。
 次に11ページを御覧ください。ここからは労働災害の防止についてです。10次計画期間中の取組としては、1つ目、本足場の原則化などを内容とする労働安全衛生規則の改正、3つ目、熱中症対策としては、職場における熱中症予防情報を周知するポータルサイトを運営してきたところです。また、4つ目以降になりますが、石綿防止対策をはじめ、高年齢労働者、外国人労働者、一人親方などに対する安全確保の取組を行ってきたところです。
 右側、評価と課題としては、1つ目、死亡災害は年々減少してはいるものの、業種別では依然として最多となっています。また、3つ目、熱中症による労働災害については、昨今の気温の上昇などもあり、死傷者数はここ3年で増加傾向であることから、更なる取組の必要が課題となっています。4つ目以降については、石綿ばく露防止対策の徹底に向けた取組、高年齢労働者、外国人労働者の安全対策の継続した取組の実施について整理しています。
 論点については、12ページを御覧ください。まず、1つ目と2つ目として、墜落・転落防止を徹底するための指導や、改正労働安全衛生法によるストレスチェックの義務化を踏まえたメンタルヘルス対策に、一層取り組む必要があること。また、4つ目、安全衛生経費の適切な確保と支払が必要であること。5つ目と6つ目、こちらも本委員会において議論いただいていますが、猛暑による熱中症の防止に向けては、重篤化防止に向けた改正労働安全規則の周知徹底と予防対策の充実、作業中止基準の見直し、また、発注者にも一定の責任や役割があることから、無理のない工期設定などが必要であることを、論点として整理させていただいています。8つ目以降は、石綿ばく露防止対策の取組状況の把握による防止対策の徹底、また、高年齢労働者や外国人労働者に対する引き続きの安全対策に向けた取組、最後ですが、改正労働安全衛生法令の円滑な施行に向けた周知・指導の徹底などを整理させていただいています。
 13ページを御覧ください。大項目3番、職業能力開発の促進、技能継承になります。10次計画期間における取組としては、1つ目と2つ目、認定訓練などによる技能向上に向けた取組、また、3つ目と4つ目、建設助成金による支援などを通じて職業能力開発の促進に取り組んできたところです。
 右の評価と課題としては、助成金の活用が教育訓練実施の契機となった割合が高いことから、継続した支援が必要と考えているところです。
 これらを踏まえた論点としては、1つ目、求職者や新規学卒者、在職者、それぞれの目的に合った訓練の充実、また、5つ目ですが、本年10月から開始されています教育訓練休暇給付金制度などの活用促進が必要であることを整理しています。
 最後に14ページです。外国人材の活用についてです。10次計画期間中における取組としては、まず、2つ目、技能実習生の保護に関する基本方針に基づいて、法令等の遵守に向けた周知・指導を行ってきたほか、3つ目、特定技能の受入れに当たっての計画、また、それの遵守について巡回指導を行ってきたところです。また、4つ目、新たな「育成就労制度」の施行に向けた育成・受入れ環境の制度の検討をスタートしたところです。
 右側の評価と課題です。建設業においては外国人労働者が年々増加していますが、特定技能外国人に対する巡回指導、また、3つ目として、言語や文化等に関するコミュニケーションの確立が課題となっているところです。
 これらを踏まえた論点としては、1つ目、外国人労働者については、建設業界の持続可能性を左右する大きなテーマと考えていることから、人材として適切に受入れ・育成・定着をさせることが必要であること。また、2つ目と3つ目、育成就労制度について、受入れ企業におけるキャリア育成プランの策定や、賃金上昇の見える化の必要性について整理させていただいています。また、4つ目、会社内における外国人労働者との円滑なコミュニケーションを図るための研修会の実施の検討、適正就労の観点から、巡回指導等の対応強化などについて、論点としてまとめさせていただいています。
 以上、第11次建設雇用改善計画の策定に当たっての重要項目として盛り込む必要があると考える論点について説明させていただきました。本資料に基づきまして御意見や御指摘を頂いた点も踏まえまして、次期計画の策定を進めていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、引き続き資料2、項目構成案の説明に移らせていただきます。こちらの資料ですが、第11次計画の策定に当たりまして大枠となる項目の構成案について、現行の第10次計画と比較する形で事務局でまとめさせていただきました。資料の表の左側は、現行の10次計画の項目、右側に次期第11次計画の案を記載しています。赤字、下線部分は追加や削除をしたものとなっています。
 では、変更点を説明させていただきます。はじめにⅡ、建設雇用等の動向についてです。現行の第10次計画策定時は、新型コロナウイルス感染症について6番として項目を記載していましたが、感染症が落ち着いた現状も踏まえまして、右側、第11次計画では項目から削除させていただこうと考えています。
 次にⅢ、雇用の改善等を図るために講じようとする施策に関する基本的事項についてです。まず、論点資料でも説明させていただきましたが、裏面になりますが、外国人労働者については、建設業界の持続可能性を左右する大きなテーマと考えていることから、現行の第10次計画では、項目6番として、外国人労働者への対応という項目で整理させていただいていましたが、表面に戻っていただきまして、こちらについては、上段のほうに移動させまして、1番の若年者等の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成に移動させて、重要な担い手として若年者や女性労働者と並べて、外国人労働者の適正な受入れ・育成という形で整理させていただこうと考えています。
 次に、本委員会でも様々な御意見を頂いており、こちらも重要な項目として整理する必要がある熱中症の関係についてです。裏面になりますが、項目2番の中で、夏の暑い時期の働き方という意味も込めまして、猛暑対策という文言で追加で整理させていただこうと考えています。
 次にCCUS関連についてです。現行の第10次計画においては、CCUSに関する項目は立てておらず、各項目別にばらばらに記載されていましたが、CCUSをめぐる状況はこの5年間で大きな動きを見せているところでもあり、また、業界共通のインフラとして、担い手の確保や技能労働者の処遇改善の推進に当たって、非常に重要な項目となることから、大項目として新たに4番、CCUSの活用促進という形で追加させていただこうと考えています。
 次に5番と6番については、CCUSを追加したことによる番号のずれと適正な文言について整理させていただいています。最後に一番左下、10次計画の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応についても、先ほどの説明と同様、削除させていただこうと考えています。
 以上が第11次建設雇用改善計画策定に当たっての項目構成案の説明となります。こちらも、本資料に基づきまして御意見や御指摘を頂いた点も踏まえまして、次期計画の策定を進めていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました第11次建設雇用改善計画策定に関する論点と項目構成案について、これから御意見を頂きたいと思います。本日は、全委員に御発言をお願いしたいと考えておりますので、御協力のほど、よろしくお願いします。それでは、御意見や御質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。先ほど御説明いただいた内容は、10次計画の振り返りもございましたし、それを踏まえた11次計画に盛り込むべき論点が網羅されているかという視点もあるかと思います。それから、11次計画の項目構成案として、特にCCUSを特出ししたり、外国人労働者を人材確保の項目に入れたりなどの案を御提案いただいているところです。そのほかにつきましても様々に網羅していただいているところですが、いかがでしょうか。最終的には皆さんに御意見を伺うということで、よろしいですか。松葉委員、お願いします。
 
○松葉委員 この間の委員会等で、私も含めて委員から出た意見は、主なご意見や、先ほど御説明いただいた策定に関する論点にも反映していただいていると受け止めています。ですから、ここに出ている部分に改めて重ねて言うことになってしまうのですが、余りにも委員から何もないのはいかがかなと思いましたので、冒頭、発言させていただきます。
 主な意見の所でも入っていましたけれども、まず今年度から新設された人確金のCCUS等活用促進コース、これは技能者の能力を適切に評価して、処遇改善、人材育成につなげるという、CCUSの本来目的に向けたステップアップの支援ですので、非常に評価できると考えています。今後、どのように拡充を含めて制度を見直していくかは、今年度の活用実績などを踏まえて効果検証を行っていくことになると思いますが、普及促進に課題がある町場での活用が特に広がるような検討を期待しています。
 また、若者に魅力があり、選ばれる産業となるために、新4Kの魅力の発信や雇用の安定化、賃金改善、雇用改善など、この11次計画の論点でもしっかり掲げていただいていますが、担い手の受け皿となる地域の中小建設事業主、事業所では、若者を雇用したくても育成をする余裕がないから難しい。なかなか一歩踏み出せない事業者が多いのも実態として感じています。そのため、雇用改善などの助成金はありますが、実際に雇用をして担い手確保、育成、そして定着に尽力している中小事業主に対して、例えば助成金などで上乗せをするなど、是非、そういったインセンティブを与えることを検討していただければと思っています。処遇改善、休日確保で業界自体の魅力を高めていくことは、大前提になってきますが、先ほどのキャリア教育など、学生や求職者に対して魅力を発信して業界を選んでもらうようにする。そのことと、受け皿となる事業所に動機づけ、インセンティブを提供して、技能者育成に取り組んでもらえるような中小事業者をもっともっと増やしていく。この両輪で働き掛けていく必要があるのではないかと考えていますので、是非、この計画の中にも盛り込んでいただければと思います。
 CCUSに関連して少し細かいところを幾つか発言させていただくと、資格者証のことについて、原本と認めるか検討を行うと書かれています。真正性のことが言われていますが、技能者登録の申請を確認して登録することは建設業振興基金が責任を持ってやられていることですから、十分に真正性はあると考えていますので、是非、更に強く計画では訴えていただければと考えています。
 もう1つ、CCUSで言いますと、施工能力の見える化、いわゆる企業評価と言われるところの推進も強く打ち出していただければと思います。見える化評価は、CCUSを活用して技能者を育成している事業所が評価される仕組みと受け止めています。そのようにCCUSを活用して技能者を育成している事業所が評価をされて、それが受注につながるということになれば、それが更に技能者の雇用改善につながる、そういうCCUS本来目的の好循環というのが生まれてくると受け止めています。是非、この見える化が一段と進むように、運用改善を目指すと記載されていますけれども、例えば元請発注者への理解促進に加え、町場の発注者は消費者になりますので、そうした消費者への理解促進というのも、この運用改善の中に含めていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
 
○勇上座長 松葉委員、ありがとうございました。ほかの委員からの御発言、御質問等、いかがでしょうか。吉田委員、小野委員の順番でよろしければ、吉田委員からお願いいたします。
 
○吉田委員 ありがとうございます。私から資料1について幾つか発言させていただきます。まず、4ページにございますキャリアアップシステムについてですが、□の7つ目です。「適正な額の退職金」という表現においては、ちょっと「適正な額」というのが抽象的な表現かなと思います。例えば「複数掛金制度の導入」とか「上限日額引上げの検討」といった、もうちょっと具体的な記載にできないか検討いただけたらと思います。
 それと、9ページ目の働き方改革の基本的取組について、一番下の4つ目の□の所です。前回、建設業では猛暑や降雪等の気象条件に対応する必要があるため、1年単位の変形労働時間制は活用がなかなか難しいといった意見があったと思いますが、今回の論点整理では「適切な活用について、建設事業者への周知、支援」と表現されていて、現行の制度の活用にとどまっている感じがあります。そのため、「必要な見直しを検討」などの文言を入れることはできないか御検討いただけたらと思います。また、仮に30日前までの勤務カレンダー作成と通知といった制度改正が困難なのであれば、例えば、カレンダーを定めた後も、ある一定の範囲で変更運用できるような見直しがあれば、建設業として使いやすくなると思われます。そういった意味でも、変形労働時間制については少し文言の修正を検討いただきたいと思います。
 それと、10ページ目です。賃金の改善についてですけれども、一番上の□、「継続的な取組が必要」という表現については、業界の努力だけというような印象があります。「継続的な取組や支援が必要」というふうに記載いただければ、日給制から月給制への移行を支援する助成金の措置などを念頭に置いた検討がなされるのではないかと感じます。
 最後になりますが、13ページ目の建設業を担う人材に対する職業訓練の所です。これは全般的なことですけれども、若年労働者の確保や次世代への技能伝承、DXの推進、こういったことを進める前提として、今ある日本が世界に誇るような匠の技や熟練の技をデジタル化して残すということが前提にあるのではないかと思います。ただ、多くの匠とか熟練労働者は高齢の方が多く、デジタル化とは遠い所にいる場合が多いので、そういった匠の方の判断や動き、品質などを残すための支援といった観点を盛り込んだらどうかと感じました。以上です。
 
○勇上座長 吉田委員、ありがとうございました。引き続き、小野委員から御意見をお願いします。
 
○小野委員 ありがとうございます。働き方改革の件です。厚労大臣も代わって、政権も変わって、労働時間規制の緩和みたいなことが言われています。建設業界に関しては、しっかり稼げる環境であって、しかもちゃんと休めることは両輪だと私は思っています。統計で見ても、労働日数、労働時間が長いというのは依然として変わらない問題であると思いますので、そこについては、引き続きしっかり休めるような取組み、そして週2日休みを目標としてやっていただきたい。そうしないと、結局のところ、人が入って来ないと思うのです。基本的には産業間、労働市場の中で人の取り合いになっているので、この業界がそこの部分で少し遅れを取っているというのであれば、キャッチアップするまでは頑張っていただきたいと思って発言させていただきました。以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございます。いかがですか。このまま一通りお伺いするということで、今日はよろしいですか。特に厚生労働省にお答えいただく必要はないですか。
 
○和田山室長 今時点でお応えします。
 
○勇上座長 では、今時点でということでお答えをお願いいたします。
 
○和田山室長 現時点で幾つか委員の皆様から御意見を頂きました。我々もこれまでの議論を踏まえまして論点を整理させていただきましたが、引き続き、本日、頂いた意見を踏まえて、本文のほうに盛り込んでいけるところは盛り込んでいきたいと思っています。その中で魅力の発信についてはとても重要な課題だと思っていまして、私どもの一丁目一番地かなと思っています。担い手確保、定着の促進というところは大事と思っています。現状の支援として、国交省における担い手3法の適正な履行であるとか、長時間労働の是正、休日確保、働き方の推進、それから賃上げ、CCUSの活用、こういった取組を一層充実していくことが重要かと思いますので、そういった観点を基に次の計画のほうに盛り込んでいければと思っています。また、インセンティブというところも重要かと思っています。これは私ども厚労省の助成金を活用していただくということで、令和8年度要求のほうにも盛り込ませていただきました。引き続き、御意見を頂きながら助成金の活用も考えていきたいと思っています。
 それから、変形労働制のところで御意見がございました。1年単位ということで、現行、今は30日前となっているわけですが、この理由というか、こうなっているところを担当の部局に確認したところ、労働組合であるとか労働者の代表者の同意を得て、労働日や労働時間を定めなければならないという、変形労働時間の内容を定めている労働基準法の中で、これは定められているということです。30日前という期限を設けている理由につきましては、労働者の生活の予定を立てられるようにするため、いわゆる労働者保護の観点というところで期限を設けているということでした。
 事後申請というところのお話がございました。制度として使い勝手を良くしてほしいという意見につきましては、引き続き担当部局のほうにも伝えていきたいと思っています。いずれにしましても、計画への盛り込み方につきましては、また御相談をさせていただきながらと思っています。よろしくお願いいたします。
 それから、主立ったところで言うとCCUSの登録者証ですが、現行、キャリアアップシステムでスマートフォンアプリをリリースして、その中で資格情報を登録できるところまでは進んでいることは承知しています。しかしながら、CCUSの資格情報の真正性の確保というところになってきますが、その真正性の確保に課題があると思っています。その点をしっかり考えていかなければならないということで、次期計画においても利便性の向上に向けた取組について内容のほうは盛り込んでいきたいと思っています。
 それから、小野委員からありました労働時間の規制緩和のところですが、総理のほうから上限規制について指示があったということで承知しているところです。直接の担当でないので、私から何か見解を述べるものではございませんが、昨日、厚労大臣からも議論を深めてまいりたいという御発言があったことを踏まえて、今度、議論が進むのではないかと思っています。主立ったところの御回答については以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、引き続き御意見、御質問等がありましたらよろしくお願いいたします。若鶴委員、お願いします。
 
○若鶴委員 では、幾つか意見を述べさせていただきます。項目構成案の中身のことになるかと思いますが、まず、Ⅲの1の(2)女性労働者の活躍・定着の促進の所です。
 前回、発言させていただきましたが、坑内労働、トンネルの中の作業につきましては、かつては女性全員が駄目だったものが、あるときから女性技術者だけは働けるようになりましたが未だに女性技能者は坑内に入れません。現在、トンネル現場が本当にそれほど危険かと言うと、大昔の「黒部の太陽」の石原慎太郎ではありませんで、今はあんな手掘りでもありませんし、大きなマシンが勝手に掘っていって、掘った瞬間にもうコンクリートを吹き付けて落盤なんかはないようにする、そういう環境が今どんどん増えてきております。
 今、足元で何が困っているかと言いますと、資材や機材を運ぶトラックのドライバーの女子の方が物を運ぶケースです。大体、トンネルの中の10mか20mぐらい先に行った所、そこに仮置場がありまして、そこに入って物を納めて、そこに仮置きしてある物を今度は帰りに持って帰るということが多いのですが、その10m、20mが入れないのです。それで非常に皆さんが困っているという声を聞いておりますので、そこを、是非、見直すように検討いただけないかと思います。女性の方に言わせると、これは本当に差別だとおっしゃる方もおりますので、是非、検討していただければと思っております。
 あと、猛暑対策と書いていただいたことは、これは本当にありがとうございます。この中にもしできれば猛暑日の作業中止みたいなことを法制化していただけると有難いと思っています。法的なバックアップがあると作業を中止した場合でも非常に発注者に物が言いやすくなります。猛暑日が明らかに体に良くないのは分かっておりますので、健康面からの配慮という意味でも検討していただきたいと思っております。
 あと、最後は労働者の流動性の確保に伴ってなのですが、今こちらで就業機会確保事業の活用促進となっているのですが、これと併せて、日給月給から月給制への移行を二本柱で進めていかないと実現は難しいものですから、月給制へ移行した場合の補助金などのインセンティブも併せてこの中に書いていただけると、非常に有り難いと考えております。私からは以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございました。横澤委員、お願いします。
 
○横澤委員 横澤です。今、若鶴委員から熱中症のことがありましたので、私からも一言、申し上げさせていただきます。こちらの先ほどの資料の中の12ページの所に熱中症の部分が書かれているわけなのですが、その中に「熱中症に関する作業中止基準の見直しや、熱中症対策の徹底」という所があります。「作業中止基準の見直し」とありますが、今のところ作業中止にかかる法的な基準が制定されているわけではないと思いますので、見直しというより、法律にもとづく基準やルールを作っていただけるようなことをお願いしたいところです。
 我々の業界は電気産業を担っております。ライフラインを支える業種においては、特に夏場は電力需要が非常に高まる時期であり、安全供給のためのメンテナンスを欠かすことができない状況です。また、自然災害が発生した際には、迅速な復旧なども行っているところもあります。電気工事、電柱の工事、電線の工事に関しては、道路上、公共の道路の所で仕事をする、要するに真っ昼間に炎天下で一日作業をするような業種です。非常に過酷な状況で仕事をしておりますので、強制力のある一定のルールがあれば、熱中症の健康被害を少なくしていけるのではないかと考えているところです。以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、西委員、お願いいたします。
 
○西委員 8ページの最後に就業機会確保事業の適正な活用推進のことがありましたし、前回でもこのことについて議論がありました。翌日の業界紙にも、本部会の内容として、そうしたことが議論になったと取り上げられたことも承知をしております。そもそも就業機会確保事業に定める建設雇用改善法は、建設労働者の雇用の安定を図ることが目的とされていて、景気によって建設業が大きく下がったときに、一時的に余剰となった労働者を他の事業種に送り出すことで雇用の維持をしていくことが目的とされています。人手不足のときに活用されるものとして想定された事業ではないので、現在の技能者不足の解消を目的とした活用の緩和を図ることになると、私どもとしては少し慎重にならざるを得ないと思って、前回もこの場で発言しましたが、今回もこの場で発言をさせていただきます。以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございます。岩田委員、お願いいたします。
 
○岩田委員 こういうふうになるのだろうと思いながら出たのですが、3つあります。1つ目は新4Kについてですが、現場の3Kは変わらないので、余り4K、4Kと打ち出しても、一丁目一番地と言われましたがそれにフィーが伴っていって、高い収入が可能となり初めて新4Kになる。そういう意味では、この10ページの「労務費に関する基準」という一番盛り込むべき論点の所で、一番下の部分ですが、「労務費・法定福利費等」とありますが、これは、我々経営者側からするとこれらの経費が、しっかり払われることが前提で労務費が流れていく、今までは総額が決まって下に払っていくという構造でしたが、それを、労務費と経費としっかり頂いてやっていくということですので、この法定福利費というのは、その経費の中の一部なわけですね。ですので、雇用に係る経費、国交省ではそういう表現をされたりしていますが、そういうような表現にして労務費と合わせてしっかり確保し、また、経営者側も事業者側も、しっかり経費を、見積りとして明示して、それが尊重されているか確認するという意味で、この「法定福利費等」という部分を、「必要経費」だとか「雇用に係る経費」だとか、そういう表現にして労務費(賃金原資)とともに確保するべき経費としていただけると、より分かりやすいのではないかなというのが1つです。
 もう1つは、蟹澤委員からもありましたが、国が関与する教育というようなスキームをそろそろ検討すべきではないかということが出ていたと思うのですが、11次の計画は、私だけかも分からないのですが、これは業界がやるのだというように受け取れるのですね、「必要がある」とか。ですので、これからの議論の方向性として、何か表現を、国も全体で、個社とか団体では限界に来ているので、そういうような教育の方向性をちょっと踏み込んだような表現にしていただければと感じました。
 あと、今、西委員からありましたが、就業機会確保事業のことについてです。引き続き検討するということで載せていただいているのですが、これができたときの要件は恐らくそういうことだと思うのですね。でも、前回もちらっと説明しましたが、忙しくても雇用が確保できない状況が今既にマーケットであるわけですね。東京においても相当暇なわけですね。ですので、その繁閑差が非常に激しくなってピッチが短くなっている。そういう状況にこの制度をどう活用するかというような視点をという意味で、この「引き続き」という所、「引き続き」というのは恐らく前回もそうだったと思うのですが、それで活用が今ぐらいしかないのであれば、活用できるようもう一歩踏み込んだ表現にしていただければなと、これはお願いです。以上、3つです。
 
○勇上座長 ありがとうございます。先に堀川委員にご発言頂き、その後、髙橋委員にお願いいたします。
 
○堀川委員 それでは、堀川から発言させていただきます。おまとめいただいて、ありがとうございます。ちょっとだけ違和感があるなと思う所だけ発言させていただきます。
 今までもそうなのですが、このような計画において、やはり女性労働者の活躍・定着と働き方改革が別立てになることが多いのですが、前回の会議においても小野委員から御発言がありましたが、やはり全ての人がライフステージに応じた、それを尊重した働き方ができるというのは、別に女性だけではなくて、若年者も高齢者も同じく必要で、そこが、働き方改革の基本的取組、魅力ある労働環境づくりにも反映されないのかと、少しだけ疑問に思ったところです。女性の箇所にだけそのような文言があるのが、違和感がありました。
 あと、私が理解不足で申し訳ないのですが、5ページの女性労働者の活躍・定着の促進の盛り込むべき論点の所、5つ目の□の「女性労働者の定着に資するものとするため、女性労働者とのコミュニケーション等に関する講習の実施」なのですが、これは、率直な疑問ですが、誰に向けた実施なのだろうかというところです。経営者ですか、それとも一般の労働者なのかといったところ。女性労働者とコミュニケーションが取りづらいのか、もうちょっと女性労働者の意見を聞くという取組みなのか、そこのところが曖昧かなというふうに思われました。すみません、細かい所で気になってしまいまして。
あと、皆様、多分これは分かっていて何もおっしゃらないと思うのですが、前回までの専門委員会の所で、産別賃金にも着手していく、検討していくという所もありましたので、それは賃金の改善に何か盛り込んでいただけるのかなといったところもお問合せをさせていただきたかったところです。以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございます。今、4名の委員に御意見を頂きました。現状についての御質問、あるいは資料についての御質問、御確認もありましたので、一旦、ここで厚生労働省よりコメントを頂ければと思います。
 
○和田山室長 ご意見に対して幾つか御回答させていただきます。まず、若鶴委員からありました女性の坑内労働のことですが、安全衛生の観点から決められているものですので、これは担当部局と確認をして、計画に盛り込めるのか若しくは、見直しの方向性のところで議論ができるのかということになると思います。この女性の坑内労働については、担当に確認をして御相談させていただければと思います。そういった御意見があったということは、前回も伝えておりますが、またそこは御相談させていただければと思います。
 それから、同じく熱中症対策ということで横澤委員からもありましたが、これについては計画本文にどのように盛り込んでいけるかは御相談しながらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、幾つかあったのは就業機会確保事業のところです。それぞれ、慎重にすべきというご意見と、繁閑での活用ということでの双方で御意見を頂いております。前回もありましたので、改めてこの就業機会確保事業ができた経緯を御説明させていただきます。建設業は、皆様御承知のとおり、重層下請構造の中で業務が行われ、もともとその中間搾取などが行われるおそれがあることから、建設業自体が派遣法の禁止がされています。その中で、この就業機会確保事業では、この禁止に対する特別の例外措置として、一時的な労働力の過不足を調整して、就業の場の確保を通じた労働者の雇用の安定を図る観点から、中間搾取の防止などの労働者を保護する仕組みを厳格に設けた上で、一定の派遣行為を認めているということです。当時、厳格な仕組みを設けたことについては、制度創設時、労働者団体の御理解を頂きながらこの仕組みができたと、私どもとしては理解しております。
 これまでのこの委員会のヒアリングでもろもろ御意見を頂きましたが、例えば、この隘路になっている財産要件であるとか、構成員ではなくて一定の協力会社も加えることについてはどうかという簡素化のお話もありました。当方としては、この制度の適正な活用に向けて、労働者の雇用の安定に資するような必要な見直しは具体的に考えていきたいと思っております。これまでの経緯を踏まえると、しつこくなりますが、見直しに当たっては、現実に大きなニーズがあるということ、それから、見直し実施がされれば明らかに就業の場の確保を通じた労働者の雇用の安定が図られること、規制緩和を行う場合には、抽象的ではなくて具体的な現在の規制ごとに代償措置を講ずることを含めて、労働者の保護が十分確保されていることについて、労働者団体の御理解も頂きながら考えていかなければならないと思っております。
 いずれにしても、今後、国交省や事業主団体等と引き続きこの見直しのニーズや課題の対応については議論を進めさせていただくとともに、労働者側の団体の御意見も聞きつつ、必要な見直しの検討は進めさせていただきたいと思います。また、本文の内容についても次回で御相談させていただければと思っております。
 それから、御質問というところで言うと、堀川委員からありました女性労働者とのコミュニケーションのところです。現在、当室では雇用管理者向けに事業として研修会などを実施しておりまして、若者と雇用管理者や指導者とのコミュニケーションに向けて、講師を呼んで研修会などを実施しているのですが、その中で、女性というテーマで何か考えられないかということで、ハラスメントなどに関しての研修会をできないかと思っております。
 
○勇上座長 ありがとうございます。よろしいですか。
 
○和田山室長 あと、すみません、産別賃金のところです。これも前回申し上げたように、多分、建設業界は、いろいろ就業の場というか、いろいろ業種ごとの働く形態や、先ほどちょっとお話がありましたが、日給制であるとか請負契約、そういうところで産別賃金がすぐ出せないというところなのかなと思いつつ、いずれにしても産別賃金は労使間の交渉や合意に応じて決まるものと承知していることと、もう1つ、その中で今回は適正な労務費単価というところもあるので、直接ここの産別賃金というわけではないですが、そういった関連も踏まえまして、ここは考えていかなければいけない議論かなと思っております。
 
○勇上座長 ありがとうございます。髙橋委員、先ほどご発言をお待ちいただいていたところ、お待たせして申し訳ありません。
 
○髙橋委員 御安全に。髙橋です。資料1の10ページで、CCUSのレベル別年収についてです。こちらは就業歴の蓄積とともに分かりやすいと思うのですが、実際の技能労働者と賃金で、ちょっと離れがあるかと思われます。なので、CCUSのレベル別年収を見て入職した技能労働者が、実際とちょっと違うという形で離職しないようにしていただきたいと思います。先ほど産別賃金について返答があったのですが、そちらもこちらとしては取り組んでいただきたいという形で発言させていただきます。
 あと、14ページの外国人の人材の受入れについてです。建設業の担い手不足で、確保だったり建設業の持続性に重要な施策の1つだと思います。でも、外国人の方を受け入れることによって、日本人の労働者の就労機会の損失や、産別の最賃がない中で、低賃金で雇用されることによって建設業の賃金が上がらないことにつながらないようにしていただきたいと思います。以上です。
 
○勇上座長 ありがとうございます。産業別賃金については、前回議論がありましたので、2人の委員から御発言を頂きました。ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。もし差し支えなければ、中村委員のご意見はいかがでしょうか。すみません、皆さんにご発言を頂きたいと思いますので。
 
○中村委員 私、いろいろと細かな実態を知らないで発言するのが怖いと言いますか、ちょっと遠慮しているところがありまして。ただ、いろいろと伺っていて、雇用や賃金の話がとても大事なのはそうなのですが、私は公益代表ということなので、言ってみれば、建設業界から離れた所で見たときに、こういう話はどうなのかという視点でずっと伺っていました。そうすると、一番重要なのは、建設業界の方々の全体的なスキルアップとでも言いますか、生産性の上昇のようなところなのかなということで、ここで出されている施策についての計画がどのように効いてくるかという視点で話を伺っておりました。
 私のほうでまだ十分消化しきれていないところがあるのですが、お話を伺っていて、どの委員の方も、能力開発は大事だけれども、なかなかそれが難しいのでというところをおっしゃっているのかなと思って聞いていました。その難しさがどこにあるのか、私自身がまだ整理しきれていないのですけれども、例えば、すごく一般的なことしか言えないのですが、能力開発をやったことのメリットが誰にどう行くのかということですよね。これは労働者自身にもあるはずですし、使用者の方にもあるはずですし、当然、受注する一般のほうにもあるはずなので、そのメリットを誰にどう認識してもらって、そういうメリットがあるからには、それなりの負担をして、労働者側であれば、時間を確保しないといけないということがあるでしょうし、使用者側でいきますと、訓練する期間は仕事に就けないというようなところがあるとすると、そこのところは我慢していただく必要があったりすると。そのような形で、良いものができるからには、例えば、成果に対して発注者側はそれだけの経費とでも言いますか、それを出すことで報いるというか、そういうことが必要かと思います。
 そのバランスをどこでどう取るかという話になるのだろうと思っているのですが、いかんせん私自身でうまく消化しきれていないので。政策的にいろいろと後押しが必要だということがあるのかもしれませんけれども、まず第一に、そういうメリットが誰の所にどのぐらいあるのかを意識しながら、なおもどこかで背中を押さなければいけない所を政策的に後押しするという考え方が、すっきりするかとは思いながら聞いておりました。抽象的なところで申し訳ないのですが。
 あと1点、いろいろ伺っていて、CCUSのところが十分理解できていないのですが、例えば、一時期建設業界で働いて、CCUSの登録があったと。それで、何か理由があって、一旦、建設業界を離れた方が、もう一度建設業界で働こうかとなったときに、過去の蓄積されたものがどのぐらい生かせるのかというところです。伺っていると、建設業界は離職率も高いし、定着が大事だというのはそのとおりなのですが、ただ、どなたかがおっしゃったかもしれませんけれども、今は全ての業界で人材の取り合いになっていますので、何らかの理由で別の業界にという人がいることは前提として考えるのだろうと思います。そうしたときに、ほかの業界を見た人が建設業界に何らかの魅力を感じて戻ってくるというのは、考えてみればかなり貴重な戦力なのではないかと、傍目で見てということですが、そのように思うところです。そうであれば、CCUSのような仕組みをしっかりと整えようという話の中で、一旦離職して、また戻ってくる人が戻ってくるメリットを感じられるような仕組みを作っておくのも大事かと、雑感的にですが感じておりましたので、何かそういったことがあるとよいと思います。
 というのも、最初の話に戻りますが、何らかのスキルや能力を磨くというのは、それなりに時間を掛けなければいけない話なので、この業界には短期間しかいないという感じでいると、そもそも一番インセンティブを持たなければいけないはずのスキルを身に付ける人自身が、余りスキルを伸ばしたいと思わないのではないかと思います。そうであれば、長くいてもらえるというのが理想かもしれませんが、一旦離れたけれどもまた戻ってくる人が戻ってきやすい仕組みも、全体の能力を上げる意味でも、意味のある施策になるかもしれないと考えながら伺っておりました。大変雑ぱくなコメントで恐縮ですが、取りあえず私からは以上です。どうもありがとうございました。
 
○勇上座長 ありがとうございます。スキルアップの点については、CCUSと連動した能力評価など、活用面も見据えた一体的な取組が必要だという御意見を頂いたものと思います。後半にお話された、他業界を経験された方がそのCCUSのシステムにもう一度入られた場合についてですが、歴史的にはCCUSの普及が今進んでいる途中ですが、実際にはどのようになりますでしょうか。この点、国土交通省よりお願いいたします。
 
○小川推進官 先生、ありがとうございます。国土交通省で建設キャリアアップシステム推進官をしております小川と申します。貴重な御意見をありがとうございます。もともとCCUS自体は建設業界の中でいろいろな所を回る方を想定して設計されておりますが、技能者の登録されている情報自体は10年間有効ですので、10年の度に更新しなければいけない仕組みになっています。その間、ほかの業界に一時的に転職されて、また戻ってくるときには、その技能者の情報自体はそのまま残っておりますので、そういった形で再度活用することは可能です。
 また、10年たっていたとしても、仮にほかの業界にいたとしても、更新するかしないはその方御自身の判断ですが、少なくとも一定期間、きちんと技能者としての資格情報やこれまでの就業履歴などは蓄積されますので、今まで余りそういった視点はありませんでしたが、先生がおっしゃるように、他業界を経験して建設業界に戻るときにCCUSがあることは有効なアピールになるのではないかと思いました。貴重な御意見をありがとうございます。
 
○勇上座長 ありがとうございます。中村先生、よろしいですか。委員の皆さんに御発言いただいたと思うのですが、今日、御欠席の蟹澤委員からは、何か御意見を頂いておりますでしょうか。
 
○和田山室長 事前に蟹澤先生にも御説明させていただいて、幾つか御意見を頂いております。全体的には、たたき台としてはきれいに整理していただきましたということで評価いただきました。CCUSのところでは、安衛法の携行義務の原本証明についてお話があったのと、熱中症について特出ししていただいたことは評価するということも頂きました。それから、就業機会確保事業の所はもう少し書けないかという御意見がありました。蟹澤先生からの主だった御意見は以上です。
 
○勇上座長 御説明ありがとうございました。出席の委員の皆様からは、一通り御意見を頂いたものと思いますが、私も委員ですので、1点だけよろしいですか。この計画自体は、建設業における労働者の状況の改善や、より一層のスキルアップというか質の向上、あるいは技能の継承といったものがテーマになっていると思います。一方で、先ほど賃金の向上は稼ぐ力があってこそという趣旨のご発言や生産性について触れられたご発言もありました。
 前回の委員会で、髙橋委員からの御説明にデジタル化やDXに関わるお話がありました。業務のデジタル化は、職場改善とともに生産性の向上に資する取組として期待されています。様々な職種のコアの作業やその周辺作業にデジタル化できる部分があり、たとえ労働集約的な仕事であっても、デジタル化で省力化することで、労働時間の削減や生産性の向上に結び付いている事例が多く出てきています。技術の進歩は激しくなっていて、事務管理系の分野や生産や建設の現場の作業でも、そのようになってきていると思います。
 この計画と関連する点で言えば、DXやデジタル人材の育成というのが第10次計画から入りました。先ほど述べた通り、技術革新は人手不足の解消策の1つになっていますので、第11次計画としては、恐らくデジタルを使いこなす人の育成、あるいはデジタル投資と一体となった能力開発などの取組が考えられます。デジタル人材の育成は、既に項目としては入っていますけれども、より一層そういった取組が必要になるのではないかということを、感想として申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに御発言はございますか。それでは、1つ目の議題の審議は、この辺りとしたいと思います。今回、御議論いただいた中での御意見も踏まえて、事務局で整理の上、計画策定を進めてもらい、次回、素案を出していただく形で進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。お認めいただいたものと思います。では、そのような形で進めさせていただきます。本日、予定していました1つ目の議題は以上です。
 2つ目の議題は「その他」ですが、各委員から御意見、御質問など御発言はありますか。ほかに御発言がないようでしたら、本日の議題はこの辺りとさせていただきます。
 それでは、今後の日程等について、事務局よりお願いいたします。
 
○大原補佐 本日は、長時間にわたり、ありがとうございました。改めまして、本日は映像トラブル、音声トラブルでお時間を要してしまったこと、議論が落ち着かない状況になってしまったと思いますので、大変申し訳ございませんでした。おわび申し上げます。本日の議事録については、後日、委員の皆様に御確認いただきますので、よろしくお願いいたします。
 次回の委員会は、12月3日(水)10時から12時で開催いたします。第11次計画の素案をお示しして、皆様に御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○藤川審議官 最後に一言だけ。先ほどありましたように、Web環境が非常に混乱してしまって、本当に申し訳なかったので、私からもおわび申し上げたいと思います。
 今までのヒアリングや今日の御意見を通して、相当、個別論点が煮詰まってきたような感じがあります。うちが所管している制度もあれば、厚労省でもいろいろな部局にまたがっておりますので、それぞれの制度になりますと、いろいろな経緯や論点や趣旨などということがあると思いますが、これはあくまでも5年に1度の計画ですので、それぞれの論点について、難しいところでも、どう進めたというようなものを書き込めないかとか、こういう課題があるから、ここを詰めていかなければいけないなど、できるだけ皆さんの貴重な御意見を踏まえて、それが計画ににじみ出るようなものに調整させていただきたいと思います。
 厚労省内でも所管が多岐にわたっておりますのであれなのですが、正に今、例えば熱中症もそうですし、人手不足の話など、5年たって相当切迫してきた問題があります。こういうものに対して、しっかりと踏まえた計画を作っていきたいと思いますので、引き続き御指導いただければと思います。どうも、本日はありがとうございました。
 
○勇上座長 それでは、本日の専門委員会はこれで終了させていただきます。本日は、お忙しいところ御参加、御発言いただきまして、ありがとうございました。オンラインで御参加の皆様におかれましては、適宜御退室をお願いいたします。ありがとうございました。
 
(了)