- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働政策審議会(労働政策審議会) >
- 2025年10月3日 第56回労働政策審議会 議事録
2025年10月3日 第56回労働政策審議会 議事録
1.日時
令和7年10月3日(金)10:00~12:00
2.場所
厚生労働省省議室(9階)
3.出席者
- 公益代表委員
- ・岩村会長 ・小畑委員 ・中窪委員
・阿部委員 ・玄田委員 ・山本委員
・植村委員 ・髙田委員 - 労働者代表委員
- ・安達委員 ・中川委員 ・則松委員 ・山中委員
・北野委員 ・永島委員 ・堀谷委員
・清水委員 ・成田委員 ・安河内委員 - 使用者代表委員
- ・内田委員 ・西周委員 ・藤原委員
・小山田委員 ・長澤委員 ・村上委員
・小松委員 ・野村委員 ・芳井委員 - 事務局
- ・鰐淵厚生労働副大臣 ・田中雇用環境・均等局長
・山田厚生労働審議官 ・宮本人材開発統括官
・青山総括審議官 ・辺見政策統括官(総合政策担当)
・伊藤会計管理官 ・河野政策立案総括審議官
・岸本労働基準局長 ・岡政策統括官付参事官
・古舘審議官(職業安定、労働市場政策担当)
4.議題
- (1)令和8年度予算概算要求について
- (2)分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議結果について
- (3)その他
5.議事
議事内容
○岩村会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第56回「労働政策審議会」を始めさせていただきます。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、審議会の開会に当たりまして、鰐淵副大臣から御挨拶を頂戴いたしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○鰐淵厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。厚生労働副大臣の鰐淵洋子でございます。第56回労働政策審議会の開催に当たりまして、一語御挨拶を申し上げます。
本日は、大変お忙しい中、御参集を賜りまして、感謝申し上げます。
また、皆様には、日頃より厚生労働行政に格別の御理解と御協力を賜り、重ねて感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
さて、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、今、政府を挙げて賃上げにつきましては取組をさせていただいておりますが、最重要課題の一つということで進めさせていただいております。8月に公表いたしました令和7年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況では、令和7年の賃上げ率は5.52%と33年ぶりの高水準となった昨年をさらに上回るものとなっております。これはひとえに労使の皆様双方の真摯な交渉のたまものでもあり、この場をお借りいたしまして、改めて御礼を申し上げます。
本日の審議会では、令和8年度の予算概算要求の内容等を皆様に御報告をさせていただき、御議論をお願いすることとしております。この予算概算要求では、物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革の推進と、多様な人材の活躍促進のための施策を柱に、重点的な要求を行っております。本日は、こうした取組やこれまでの分科会などにおける審議状況を御報告するとともに、皆様から幅広い御意見をいただいて、今後の予算編成や政策の立案に生かしていきたいと考えております。
労働政策は、その政策立案に当たっては、現場を熟知されている皆様の参画を得て議論を深めていくことが大変重要であると考えております。私も5月にこの審議会に参加をさせていただきまして、議論を直接拝聴させていただきましたが、その重要性を改めて実感しているところでございます。
委員の皆様におかれましては、本審議会におきまして、幅広い御見識と豊かな御経験に基づき、活発な御議論をお願いしたいと思っております。限られた時間ではございますが、どうか最後までよろしくお願い申し上げます。
改めまして、本日は大変にありがとうございます。
○岩村会長 鰐淵副大臣、どうもありがとうございました。
副大臣は他の公務があるということですので、ここで御退席でございます。どうもありがとうございました。
○鰐淵厚生労働副大臣 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
(鰐淵厚生労働副大臣 退室)
○岩村会長 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、今日の審議会につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に御不明な点がございます場合は、事務局にお申しつけいただければと思います。
それから、オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただければと思います。御発言の際は、挙手のボタンを押していただきまして、指名がございましたら、ミュートを解除して御発言いただければと思います。
それから、機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、あるいは事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡をいただければと思います。
通信遮断などが生じた際には、進行を一時中断させていただく場合がございますので、御承知おきいただければと思います。
続きまして、8月29日付で委員の交代がございましたので、新たに就任されました委員を御紹介させていただきます。資料1の労働政策審議会委員名簿を御覧いただければと思います。
まず、労働者代表委員のうち2名の方が新たに就任されましたので、順に御紹介いたします。
日本郵政グループ労働組合中央執行委員長の安達委員です。
○安達委員 今、御紹介を賜りました安達でございます。初めての出席になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 情報産業労働組合連合会中央執行委員長の北野委員です。
○北野委員 御紹介いただきました北野です。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 次に、使用者代表委員のうち1名の方が新たに就任されましたので、御紹介いたします。
日本郵船株式会社取締役会長の長澤委員です。
○長澤委員 長澤でございます。よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 また、事務局にも本年7月に異動がございましたので、御報告いたします。
厚生労働審議官の山田です。
○山田厚生労働審議官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 人材開発統括官の宮本です。
○宮本人材開発統括官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 政策統括官の辺見です。
○辺見政策統括官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 会計管理官の伊藤です。
○伊藤会計管理官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 なお、本年7月に職業安定局長に就任いたしました村山は、本日、公務により欠席しております。代理として古舘審議官が出席しております。
また、辺見政策統括官は、公務により会議の途中で退室させていただきます。
なお、本日、武石委員、山川委員、川﨑委員が所用により御欠席となっております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと存じます。
お手元の議事次第を御覧ください。まず、資料2「令和8年度予算概算要求について」、資料3「分科会及び部会等の審議状況について」、資料4「法案の国会審議結果について」、それぞれ事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤会計管理官 それでは、会計管理官をしております伊藤から、資料2に基づきまして、令和8年度予算概算要求について、ポイントを絞って御説明させていただきます。
資料2のまず1ページを御覧ください。
例年どおり、8月末に財務省に対して提出しております。
全体像としてはここにあるとおりなのですが、厚労省全体では約5000億増なのですが、例年、年金・医療等、社会保障費が多くなってございますので、それ以外の裁量的経費、義務的経費はそれぞれ約1000億、約300億の増ということで要求しております。
それから、労働特会をはじめとする特会は下のところですが、それぞれ特会ごとに所要額を要求し、若干の増という形になっております。
2ページをお願いします。
2ページは財務省が作成する政府全体の概算要求基準、いわゆるシーリングと呼ばれる文書です。今年の予算編成の大きな方針としまして、上段のところですが、賃金ですとか物価上昇に対応したインフレ対応型の予算編成をしていくということが大きなところかなと。中ほどの裁量的経費、黄色のところにつきましても、例年ですと10%削減というところからスタートするというのが数年来続いておったのですが、今年は削減ではなくて、物価上昇等も踏まえて、20%プラスの要望可になっていると。さらに、その1つ下の義務的経費につきましても、これまでは前年同ということがシーリングだったわけですけれども、必要な額を積むことができるということになっておりまして、厚労省としましても、それぞれの方針に従って要求したということになっております。
3ページをお願いします。
厚労省はどうしてもいろいろな所管分野が広いので、総花にはなるのですが、厚労省の概算要求の全体のコンセプトを1枚にまとめたのが3ページになります。
ここには書いていないのですけれども、政府の予算編成、当然政府全体の方針に沿って対応しております。すなわち、毎年6月に骨太の方針ですとか新しい資本主義のグランドデザイン実行計画といった閣議決定がございます。これに基づいて厚労省としても施策を立案しているということです。
今年の骨太方針等の最大のテーマ、一丁目一番地のテーマはまさに賃上げ支援ということになっております。例えば新しい資本主義の実行計画なんかで言いますと、1行目から、賃上げこそが成長戦略の要であるというところから始まります。賃上げ支援というのが副大臣からもございましたが、政府全体で取り組む一丁目一番地の政策となっていると。あわせて、三位一体の労働市場改革ですとか多様な人材の活躍促進なんかも、こういった骨太や新しい資本主義の閣議決定にきちんと明記されているということです。
そういったことに基づきまして、3ページの上段ですが、厚労省としましても、労働供給制約社会に突入するという中で、1つ目は社会構造の変化に対応した保健・医療・介護、本審議会のテーマではないかもしれませんが、医療・介護・障害福祉といった公定価格の分野における処遇改善なんかもここに含まれるわけですが、それとともに2つ目の○、物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革、多様な人材の活躍促進ということを全体のコンセプトにして、以下、大きいⅠ、Ⅱ、Ⅲとまとめております。特に雇用・労働分野は真ん中のⅡの緑色のところになりますので、以下、個別に御説明します。
飛んでいただいて、7ページをお願いします。
まずは繰り返しになりますが賃上げ支援が一番大事ということで、最初に持ってきております。ちょうど令和7年度、今年度からなのですが、最賃の引上げに対応した業務改善助成金をはじめとする各種助成金を賃上げ支援の助成金パッケージということでまとめて、周知、活用いただいているというのが最初です。
この助成金とかに関連しては、書いていないのですけれども、今、米国の通商政策の影響なんかが議論されておりまして、自動車をはじめとする中小の製造業等における影響なんかが懸念されているという状況があると思います。
政府としましても、今年の4月に米国の関税措置に対応する対応パッケージをまとめております。当然その中でも雇用分野は一つの柱として厚労省が対応しているということです。その中では、こういった助成金の活用ですとか、手続の迅速化、それから全国の労働局、ハローワークにおける丁寧な相談対応等をやっておりまして、状況を注視しているという状況にございます。
それから、7ページの右側ですが、三位一体の労働市場改革、教育訓練給付や公共職業訓練をはじめとしたリ・スキリング、ジョブ型人事、労働移動の円滑化という3本柱で進めております。
8ページをお願いします。
8ページは、人手不足の中での人材確保ですとか多様な人材の活躍促進の関係です。医療・介護、それから建設や運輸なども含まれると思いますが、人手不足分野への人材確保ですとか、高齢者、障害者、それから外国人の方の活躍の促進に向けて、ハローワークにおける機能強化などを盛り込んでおります。
右側は、両立支援ですとか共働き・共育て推進に向けた給付などをまとめております。さらには、カスタマーハラスメントをはじめとするハラスメント対策予算なんかを計上しております。
雇用・労働分野では最後になりますが、9ページの上段が女性の活躍推進、マザーズハローワーク等です。
さらに最後、後段のところですが、就職氷河期世代支援ということで、金額的には再掲になるのですが、こちらも政府全体として就職氷河期世代の支援のプログラムをまとめておりまして、その中でもやはり就労関係、就労支援が柱になっておりまして、こういった形でまとめてございます。
予算の関係は駆け足ですが以上になります。ありがとうございました。
○岸本労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
労働基準局関係の分科会などにおける主な審議状況、それから法案の状況について、資料3及び資料4を用いまして御報告申し上げます。
まず資料3でございます。3ページを御覧ください。
労働基準関係は複数分科会がございますが、まず労働条件分科会におきましては、働き方改革関連法施行後5年が経過したこと等を踏まえまして、労働時間制度や過半数代表制など、労働基準法制の見直しについて御議論をいただいております。これまでの御議論は参考資料2-1に整理をさせていただいておりますが、引き続き各論点について具体的な議論を進めてまいりたいと考えております。
次に4ページを御覧ください。
労災保険部会でございます。労災保険部会におきましては、7月末に取りまとめを行っていただきました労災保険制度の在り方に関する研究会の中間報告書の内容を報告いたしますとともに、同報告書も踏まえまして、労災保険制度の適用関係、給付関係などについて、引き続き具体的な御議論をお願いしております。
それから、同じページ一番下の○ですけれども、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会につきましては、平成27年に成立をいたしました電気事業法等の一部を改正する法律の附帯決議等を踏まえ、電気事業及び石炭鉱業の争議行為の方法の規制に関する法律の在り方について御議論をいただいております。
5ページを御覧ください。
一番上の○です。組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会についてです。この部会におきましては、令和6年に成立しました事業性融資の推進等に関する法律に基づき、企業価値担保権が創設されたこと等を踏まえ、事業譲渡等指針、厚労省の指針の見直しについて御議論いただきました。
続きまして、安全衛生分科会でございます。
先の通常国会で改正労働安全衛生法が整備したことを踏まえまして、その施行に向けて関係の政省令案について御議論をいただいております。具体的には、6ページの一番上の○のとおり、改正法に基づいて、個人事業者等の業務上災害の報告制度を規定する省令の改正、それからその次のページの上から3つ目の○にありますとおり、改正法によって統括安全衛生責任者による管理の対象に労働者以外の作業従事者を含めることに合わせました政令改正などについて御審議をいただいております。
その他、改正法関係以外にも、電離放射線対策や化学物質対策などについて省令等改正がございまして、こういったものについても御審議をいただきました。
最後に9ページ、じん肺部会でございます。
じん肺標準エックス線写真集やじん肺診査ハンドブックの改訂について御報告をいたしました。
各分科・会部会についての開催実績は、9ページの下段にありますとおりです。
資料4でございますが、関係法案の国会審議結果につきましてです。
労働基準局関係では、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案を先の通常国会に提出をいたしまして、記載のような経緯をたどって成立をしたところでございます。
労働基準局からは以上です。
○古舘審議官(職業安定、労働市場政策担当) 続きまして、職業安定局でございます。
資料3の10ページからになります。
職業安定局所管の分科会における審議状況等につきまして、一部抜粋になりますが御説明を申し上げます。
まず1つ目の○の雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきましては、令和6年能登半島地震による被災地域の雇用機会の確保を図るため、当該地震の発生後、石川県の七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋郡志賀町、鳳珠郡穴水町または能登町におきまして事業所を設置・整備し、求職者を雇い入れる事業主を対象とする地域雇用開発助成金の特例措置につきまして、その期限を延長するため、雇用保険法施行規則を改正することについて御審議をいただいたものでございます。
それから、2つ目の○、雇用調整助成金に係るコロナ特例の効果検証結果につきましては、コロナ禍における雇用調整助成金の特例につきまして、JILPT、所管の独立行政法人が独自に行った効果検証調査の結果について御報告をしたものでございます。
3つ目の○、将来を見据えたハローワークにおけるAI活用については、ハローワークにおける今後のAIの活用方針について御報告をしたものでございます。
令和7年度におきましては、ハローワークの窓口職員向けのより効果的なマッチング支援の実現のための実証事業を9月から開始しておりますほか、令和7年度から8年度にかけまして、ハローワークインターネットサービスの利用者からの求職活動の進め方などの質問に対して、チャットボットによる応答などを行う実証事業を実施する予定といたしております。これら実証事業の結果を踏まえて、ハローワークにおけるAI活用の在り方について、引き続き検討をしていきたいと考えております。
1つ飛ばしまして、5つ目の○の令和6年能登半島地震等後の石川県内事業所における出向・休業の状況につきましては、能登半島地震における雇用調整助成金の特例による休業支援、それから在職型出向の活用状況について御報告をしたものです。能登半島地域における今後の雇用対策の在り方につきましては、今後、職業安定分科会で御審議をいただきたいと考えております。
その他の議題につきましては、参考資料2-2の別紙4、6、それから7に内容を記載しております。
職業安定分科会、それから障害者雇用分科会における2024年度の評価、それから2025年度の目標設定につきましては、別紙8に具体的な数値状況、評価の動向などを記載させていただいております。お時間のあるときにまた御参照いただければと存じます。
以上でございます。
○田中雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等分科会関係につきまして御説明させていただきます。
まず、資料4の法案のほうから御説明をさせていただこうと思います。
2つありますが、下のほうの労働施策の総合的な推進の関係の法律案でございますが、3月11日に国会に提出をいたしまして、衆議院でカスタマーハラスメント対策についての例示の追加といった若干の修正がございまして、6月4日に成立、法律は6月11日に公布をしております。
現在、雇用環境・均等分科会では、資料3に戻っていただきまして、12ページですけれども、この法律が成立をいたしましたので、この法律の施行につきまして、各種指針、省令といったようなことの議論を行っております。
資料3の2番目の○になりますけれども、このほか年収130万円の壁への対応の当面の間の措置といたしまして、キャリアアップ助成金に短時間労働者労働時間延長支援コースを新設いたしておりますので、この省令案の諮問を行い、おおむね妥当との答申をいただいております。
13ページに行っていただきまして、同一労働同一賃金部会です。
3つ目の○になりますけれども、働き方改革関連法における施行5年後の見直しの検討規定に基づきまして、同一労働同一賃金に関する必要な制度の見直しについて御議論を進めていただいているところでございまして、引き続き御審議をいただく予定となってございます。
以上でございます。
○宮本人材開発統括官 続きまして、人材開発統括官でございます。
資料3の14ページに基づきまして、人材開発統括官所管の分科会等における審議状況について御説明いたします。
以下、人材開発分科会についてでございますけれども、まず、1つ目の○は2024年度の目標に対する実績評価及び2025年度の目標設定を御報告したものでございます。
2つ目の○でございますが、こちらは今後の人材開発政策の在り方に関する研究会にて取りまとめました報告書を御報告したものでございます。
次に3つ目の○でございますが、我が国の愛知県で開催されます2028年技能五輪国際大会の組織委員会の設立について御報告をしたものでございます。
4つ目の○についてでございます。本年度末に終期を迎える職業能力開発基本計画及び青少年雇用対策基本方針につきまして、次期計画等の策定に向けた議論を開始するため、現行の第11次職業能力開発基本計画の実施状況のフォローアップについて御報告をしたものでございます。
最後、5つ目の○でございますが、監理団体審査部会におきまして、技能実習制度の監理団体の許可申請について、定期的に御議論いただいたものでございます。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を頂戴したいと存じます。前回同様、今回も一通り委員の皆様から御意見を伺った後に、事務局からまとめて御回答いただくという形で進めていきたいと存じます。
それでは、御意見のある方は御自身の名前の札を立てていただきたいと存じます。また、オンラインで御出席の方々で御意見がある方は、挙手のボタンを押していただくようお願いいたします。
それでは、清水委員からお願いいたします。
○清水委員 資料3の最初の3ページ、労働基準関係法制の見直しについて発言をいたします。
自動車運転者、医師、建設業で働く者も対象とした働き方改革がスタートして1年半が経過をいたしました。長時間・過重労働対策や雇用形態間の不合理な格差の是正など、一定の成果が得られていると思いますが、労使をはじめ、社会全体で取り組んできた過労死あるいは過労自死ゼロの達成は、いまだ実現されておらず、職場への定着も十分に進んだとはなかなか言えない実態であるということをまず御指摘したい。
そうした現状にある中で、労働条件分科会で働き方改革関連法の施行5年後の検討規定を踏まえて、労働基準法などの見直し論議が進められています。労働側としては、職場の実態を踏まえて、時間外の労働時間等の上限規制について、段階的な引下げなど真に働く者のための働き方改革が加速するよう、実効性を高める法改正を求めたいと思っています。
一方で、使用者側からは、過半数労働組合などとの合意で、裁量労働制の対象業務を大きく拡大できるようにすべきという意見が出されています。さらには長時間労働を容認・促進するような政策提言などがなされていたり、過労死ラインである現行の上限規制すらも緩和を求める意見が見られ、労働側としては非常に懸念をしています。
これらは、過労死等のゼロの取組に逆行するものです。5年前に働き方改革がなぜ不退転の決意で行われたのかということを、労政審としても委員の皆さんに再度確認をいただきたいと思います。
働き方改革を契機とする制度の見直しにおいては、連続の勤務日数の規制、過半数代表者の運用の適正化、勤務間インターバルの義務化など、働き方改革の一層の定着を促す方向での法改正を見据えた前向きな議論に注力すべきだと思っています。働く者全体の安心・安全の拡充につながるものとしていただきたいということを労働側として強く申し上げておきたいと思います。
私からの意見は以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の野村委員、よろしくお願いいたします。
○野村委員 全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私のほうからは2点、意見を申し上げます。
1点目は、令和8年度予算概算要求における賃上げ支援についてです。ここ数年間の最低賃金の大幅引上げが中小企業・小規模事業者に大きな影響を及ぼしていることは明らかであります。負担に耐えられずに事業縮小や設備投資の見直しなどを行うことにならないよう、中小企業・小規模事業者に対する価格転嫁の推進と、生産性向上に向けた政府の支援策は必要不可欠であります。
令和8年度厚生労働省予算概算要求のポイントには、全国津々浦々で物価上昇に負けない賃上げを早急に実現・定着させるため、中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画に集中的に取り組むと記載されております。しかしながら、賃上げ支援についての概算要求額は、非正規雇用労働者への支援との合算において、昨年度から僅か19億円増の2022億円となっております。この規模では十分と言えないと思います。中小企業・小規模事業者が最低賃金、賃金引上げに十分に対応できる環境となるように、「賃上げ」支援助成金パッケージのほか、具体的な施策を早急に示して取り組んでいただきますよう、切にお願いいたします。
2点目は働き方改革についてです。新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025の改訂版には、働き方改革関連法施行後5年の総点検を行い、働き方の実態とニーズを踏まえた労働基準法制の見直しについて、労働政策審議会で検討すると記載されております。
前回の本会議におきましても私のほうから、令和元年施行の働き方改革関連法で定められた労働時間の上限規制により、中小企業においても働き方が変化してきた一方で、成長意欲の高い人やさらに経験を積みたいと考えている人が希望する働き方ができなくなっている側面も生じており、恒常的な人手不足の要因の一つになっているとの意見もあるので、労働時間の上限規制の効果検証と必要な改善策の御検討をお願いしたいところであります。
既に労働条件分科会において活発な議論が行われているようですが、改めて、労働時間の上限規制が中小企業・小規模事業者の恒常的な人手不足へ与える影響と、また、様々な業界事情や個々の職種の労働者の実態に即した内容となっていたのか、十分に検証し、必要な見直しを行っていただきたいと思います。
そして、より働きたいと考える労働者の柔軟な雇用の促進を図り、中小企業・小規模事業者の人手不足の解消につなげていただくようお願いいたします。
私のほうからは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、続けてオンラインで御参加の永島委員、お願いいたします。
○永島委員 資料3、8ページ、同一労働同一賃金の実現についてです。
同一労働同一賃金の5年後見直しの議論が進められておりますが、使用者側からは、法改正によってパート・有期・派遣で働く者の処遇改善は進んでいるため、見直しは不要という意見が呈されています。確かに労働組合としても、法改正もテコとしてパート・有期・派遣で働く者の処遇改善の取組を進め、2025年の春季生活闘争では、パート・有期雇用で働く者の賃上げが正規雇用の者を上回るなど、成果も出ていることは事実です。
しかし、現状を見れば、フルタイムの有期契約で働く者でも、賃金水準は正規雇用の者の賃金水準の67.4%にとどまっています。また、派遣労働者についても、法改正後も半数近くの者の待遇が変わらないというデータもございます。
さらに賃金面だけではなく、連合の労働相談には、契約社員と正規雇用ではなぜ諸制度、休暇制度なども違うのかといった制度的格差の是正を訴える相談も多く寄せられております。さらに、待遇差に納得できない労働者が意を決して司法救済に訴えても、その差が不合理とまでは言えないと、労働者に厳しい判決も出ている事実がございます。
こうした状況を踏まえると、どのような働き方であっても公正な処遇を受けられるようにするという同一労働同一賃金の目的達成は道半ばと言わざるを得ません。最低賃金も上昇局面にあることも含めて、賃上げの動きが定着しつつある中、雇用形態間の格差の問題を放置すべきではないと考えます。今こそ不合理性の立証責任の転換や待遇者の説明義務の強化といった抜本的な規制強化を行い、パート・有期・派遣で働く者の待遇改善の動きを強力に進めるべきであると考えます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、長澤委員、お願いをいたします。
○長澤委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料2の7ページにあります労働移動の円滑化と、8ページの多様な人材の活躍促進について申し上げたいと思います。
経団連は近年、賃金引上げの力強いモメンタムを継続し、その定着を図るべく、各企業に賃金引上げの積極的な対応を呼びかけております。この流れを我が国全体に波及させ、賃金引上げのモメンタム定着を確実なものとするためには、その原資の安定的な確保に向けて、成長分野等への労働移動の円滑化を通じた生産性の向上が不可欠と考えます。
政府におかれましては、労働移動推進型の雇用のセーフティーネットへの移行を加速するとともに、AIとデジタル技術を活用した雇用のマッチング機能の強化・高度化を図り、労働移動の円滑化に適した環境整備に引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
また、人口減少が進行する我が国において、生産性の向上を安定的に実現するためには、外国人や女性、若年者、高齢者、障害者、有期雇用労働者など、多様な人材の労働参加率を高めて、労働力の量を確保するとともに、能力開発とスキルアップを通じて労働力の質を高める必要があります。
政府におかれましては、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランス施策、リ・スキリングを含む人材育成に積極的に取り組む企業への支援策のさらなる充実をお願いいたしたいと思います。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加の安河内委員、お願いいたします。
○安河内委員 ありがとうございます。安河内でございます。
私のほうからは、2点についてお話をさせていただきたいと思います。
まずは外国人労働者の権利の保護・強化について。2027年に育成就労制度の施行が予定されております。改正法の施行により、外国人技能実習機構は外国人育成就労機構に改組され、技能実習制度に係る業務に加え、育成就労制度への対応が必要となります。両制度を適正に運用するためには、機構による実習実施者や監理団体への実地検査など、監督指導や外国人労働者の相談支援は不可欠であり、機構の機能・役割はこれまで以上に大きくなります。
私どもJAMでは、ミャンマー出身の方を中心に労働相談を受けておりますが、毎月100件を超える相談が寄せられており、それらは賃金未払いやセクハラ・パワハラなど多岐にわたっています。相談内容を一つ一つ見ると、日本人が日本人に対しては決して行わないようなセクハラ・パワハラ、賃金未払いがあり、背景には、アジア人に対する日本人の差別意識があるのではないかと思わざるを得ません。こうした状況から見ても相談支援は不可欠ですので、さらなる強化をお願いしたいと思います。
令和8年度予算概算要求において、外国人技能実習機構交付金は増額されています。ビジネスと人権の観点も踏まえ、政府一体となって必要な体制を整備するためにも、制度所管省庁だけでなく、受入分野の業所管省庁も巻き込んで、必要な予算を確保するような対応が必要ではないかと考えています。
また、政府は2025年7月15日に「外国人との秩序ある共生社会推進室」を設置し、各種制度や運用の見直しなどに取り組むとしています。さきの参議院選挙においても、外国人への差別や排除するかのような意見が一部ございましたが、日本国籍の有無にかかわらず全ての人々が健康で文化的な生活を送るためには、包摂的な社会の実現が不可欠であり、そのためにも外国人政策に対する国民的な議論が必要ではないかと考えています。
共生社会の実現に向けて、日本語教育の充実や日本の各種制度・生活ルールの周知など、厚労省だけでなく、政府横断的な取組を実施していただくとともに、地域における対策について、措置を講じていただきたいと思っております。
2点目は、先ほど時間外労働等の上限規制の緩和についての御発言がありました。現在の時間外労働等の上限規制は、過労死ラインの水準であり、その緩和は労働者の命と健康を脅かすものです。過労死ラインは、様々な悲惨な事例の上に設けられた基準であり、緩和は言語道断です。
また、男性の家庭を顧みない長時間労働がこの国の人口減少を加速させたという事実を見ても、たとえ上限規制を超えない範囲内であっても、長時間労働を奨励するような見直しは行うべきではないことも強調しておきたいと思います。
2017年の労使合意を踏まえ、過労死・過労自殺ゼロに向けて、労働時間の短縮などの取組を進めるとともに、実効性を一層進めるための制度の見直しこそ進めるべきであると考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、会場から内田委員、お願いいたします。
○内田委員 ありがとうございます。
私からは、資料2の7ページ、リ・スキリングに関して申し上げます。
経団連は近年、人への投資を推進する観点から、賃金引上げとともに、総合的な処遇改善とリ・スキリング等による人材育成の積極的な検討と実行を呼びかけております。各企業においては、競争力強化と生産性向上に必要な知識やスキルなどを社員に習得させるべく、リ・スキリングを通じた人材育成に取り組んでいると承知をしております。
こうした中で、昨年成立いたしました改正雇用保険法において、教育訓練給付の給付率引上げに加え、教育訓練休暇給付が創設されるなど、働き手個人への直接的な支援を拡充されたことは非常に有益と考えております。教育訓練給付の給付率が引き上げられてちょうど1年が経過をいたしました。政府には、引き続き周知と給付率の引上げによる効果検証を行っていただきたいと思います。
他方で、働き手が企業の休暇制度を利用してリ・スキリング等を行った場合に支給される教育訓練休暇給付は、この10月1日から施行されたと承知しております。この新制度を多くの働き手が活用し、リ・スキリングの機会を得て能力開発・スキルアップを実現することが重要です。そのためには、働き手による自発的な意思に加え、企業側の対応が不可欠となります。経団連は改正法成立以降、会員企業にこの新制度の周知とともに、教育訓練休暇制度の創設・拡充を呼びかけてまいりました。政府におかれましては、引き続きの周知に加え、今後は好事例の収集と横展開に努めていただきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、中川委員、お願いをいたします。
○中川委員 ありがとうございます。中川です。
私のほうからは、参考資料1の92ページ、地域別最低賃金、業務改善助成金について発言をさせていただきます。
2025年度の地域別最低賃金額は、目安制度の運用開始以来、初めてCランクの目安額がA、Bランクを上回り、格差是正に向け、中央最低賃金審議会としての強いメッセージが発せられたと思っております。地方最低賃金審議会における審議の結果、全国加重平均は1,121円、引き上げ率は6.3%、47都道府県全てで1,000円を突破し、連合が掲げてきた誰でも時給1,000円を達成、今後も地域間格差の是正を進めながら、連合の中期目標である一般労働者の賃金中央値の6割水準を目指し、さらなる引上げを図ることが大変重要だと思っております。
今年の中賃では、最低賃金の近傍で働く労働者の生活の実態、実感、の改善を最大の論点として、データに基づいて公労使による真摯な議論を積み重ね、取りまとめられました。地域別最低賃金の引上げについては、最低賃金法に基づき、公労使三者構成の法定プロセスで決めるべきであると思っております。
その上で、業務改善助成金の活用・拡充が非常に重要になってきます。2023年度から継続的に支給件数が2022年度は5,672件、2023年度は1万3400件、2024年度は1万7616件と年々増加しており、今後も最低賃金を継続的に引き上げていくためには、助成金などによる中小企業・小規模事業者の皆様方への支援策が最大に重要であると考えます。
2026年度の概算要求額では、前年度の当初予算額15億円に対して、35億円となっているものの、前年度は297億円の補正予算実績となっています。この間、予算の大半を補正予算で手当てする対応が継続していることを踏まえ、しっかりと当初予算で確保すべきであると考えております。
業務改善助成金は、拡充されています。宮崎県では、9月29日、9月定例宮崎県議会本会議で、議員発議の意見書を可決しました。最低賃金引上げに伴う中小企業などへの支援拡充を国に求める議員発議の意見書です。宮崎県の市町村では、自治体ホームページに業務改善助成金の紹介をしております。ぜひとも国の責任として、さらなる支援・後押しを講じていただきますよう、強く要望いたします。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の村上委員、お願いをいたします。
○村上委員 それでは、村上より、資料3の13ページ、同一労働同一賃金の施行5年後見直しについて申し上げます。
働き方改革関連法により、同一労働同一賃金に関する法制度が施行されて以来、企業労使は真摯に話し合い、有期雇用等労働者の待遇改善に取り組んでまいりました。各社の状況に応じて、基本給や賞与、手当、休暇などの拡充・新設が行われ、その結果として、雇用形態間の賃金格差は現在縮小傾向にございます。
弊社でも、契約社員の待遇改善に向けまして、社内外の類似業務の水準と比較しての報酬の見直し、適正化、あるいは正社員登用の機会の提供等に取り組んでおるところでございます。とはいえ、格差是正は道半ばでありまして、今後、有期雇用等労働者の活躍を一層推進していくためには、待遇改善の動きを着実に継続させていくことが欠かせません。
今回の見直しに当たって、まず法的安全性の観点などから、現行法の枠組みは維持すべきであると考えております。その上で、説明義務の運用改善や、近年の最高裁判例等を踏まえたガイドラインの記載の充実などにより、労使コミュニケーションを改めて促しまして、これによってさらなる待遇改善につなげていくことが適切であると、このように考えております。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、会場から北野委員にお願いをしたいと思います。
○北野委員 ありがとうございます。
2点について意見を申し上げたいと思います。
まず1点目、今春の国会で成立した社会保険労務士法の改正法について申し上げたいと思います。
今般の改正は、社労士の業務範囲の明確化を主眼とする改正であったと認識しておりますが、助成金の不正受給、さらには不当労働行為といった問題が生じているような現状を踏まえれば、そうした行動までも「労務監査」として正当化されたり、さらには労働審判への出席によって、審判実務に混乱が生じる懸念が拭い切れないと思っております。
これらの課題払拭に向けては、厚労省としても、社労士業務の品質保持、さらには能力担保、例えば社労士試験における労働組合法の科目化などの方策を講じることと、問題事例への指導や懲戒などの措置を講じるべきだと考えております。その上で、社労士業務の現場に与える影響を踏まえれば、社労士法の改正に当たっては、労政審の議を得るべきだと、強く申し上げておきたいと思います。
それから、2つ目、労災保険制度の見直しについてです。労災保険法は近年、制度全体の検証などが行われず、その結果として、制度がフリーランスの増加、共働き世帯の増加といった環境変化に対応し切れていないという問題意識を持っています。
現在、労災保険部会で、労災保険制度の見直しに向けた議論が進められているところですが、フリーランスを含む特別加入制度の適正化、さらには遺族補償年金の夫婦間の要件の差の解消など、セーフティーネット機能の強化の観点から見直しを行うべきであるということを申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場から小松委員、お願いをいたします。
○小松委員 ありがとうございます。
私からは2点申し上げます。
1点目は、令和8年度予算概算要求から、人材育成、多様な働き方について申し上げます。深刻な人手不足は、中小企業にとって最大かつ共通の課題となっております。その中で、デジタル化などによる省力化、人材育成、多様な人材の活躍に徹底して取り組み、少人数でも事業を継続・成長させていくことが不可欠です。今年度の概算要求において、労働者の能力向上に資するリ・スキリング、多様な働き方の実現に向けた環境整備に重点措置をいただいており、まずもって感謝申し上げます。
その上で、リ・スキリングにつきましては、労働移動の円滑化という観点だけではなく、在職者の能力開発・強化にも資する取組として、教育訓練給付など各施策の推進をお願いしたいと存じます。
多様な働き方につきましては、現在、総点検が進められております働き方改革関連法の効果や課題を踏まえながら、各業界・企業の現場実態に即した形で支援を進めていただきますようお願い申し上げます。
2点目は、令和7年5月8日に成立した労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律におけるストレスチェック制度の50人未満の中小企業への実施義務化について申し上げます。
中小企業にとっても、従業員のメンタルヘルス対策は喫緊の課題であり、重要な経営課題の一つと認識をしております。他方、中小企業には、産業医を選任していない企業も多く、これまでストレスチェック制度が実施されてきた企業とは、環境、人的リソースにおいて大きな隔たりがあり、プライバシー確保の視点からも、現行制度をそのまま50人未満の中小企業へ過大適用することは困難であると考えます。
従業員10名以下のような小規模事業者も含む中小企業の実態を念頭に、シンプルで実効性のある仕組みを構築いただくよう、引き続き検討会にて議論を行っていただきますようお願い申し上げます。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の堀谷委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○堀谷委員 JEC連合の堀谷です。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、倒産・事業再編時における労働債権および労働者の保護強化について意見をさせていただきます。
今年、譲渡担保契約等に関する法律が成立し、譲渡担保権等に関するルールが明確化され、集合財産譲渡担保権の場合については、労働債権などの保護につながるルールが整備されたものの、倒産時全般における労働債権保護の実効性の課題は残されたままです。倒産時の労働債権に関する実態について、法務省と連携し調査等を実施した上で、厚労省としても、労働債権保護の強化に向けて検討する場を早急に設けていただきたいと思います。
また、現在、組織再編部会において、組織再編時の労働者保護について検討が進められていますが、特に事業譲渡においては、雇用や労働協約が承継されないなどの課題が残されています。現在の指針だけでは、労働者保護の実効性が確保されていないことから、法的ルールを早急に整備すべきと考えます。加えて、あらゆる組織再編のパターンを念頭において、使用者責任の明確化を図るとともに、労働組合等へ事前の情報提供や協議等のルールを課すべきと考えます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、小山田委員、よろしくお願いします。
○小山田委員 ありがとうございます。
それでは、私から2点、御意見を申し上げたいと思います。
1点目は、資料2、7ページの賃上げ支援、最低賃金についてです。御案内のとおり、中小企業の約6割が業績が厳しい中で賃上げを行わざるを得ないという、いわゆる防衛的賃上げを行っている状況であり、なかなか賃上げを実施することができない企業も一定数ございます。
最低賃金については、全国加重平均で6.3%、66円の引き上げが行われ、これは春闘の結果も上回っており、中小企業・小規模事業者の支払能力を踏まえますと極めて厳しい状況です。
賃金の引上げというのは非常に重要であり、成長戦略の一つの要だと思います。物価上昇に負けない賃上げを早急に実現するという記載については、そのとおりだと思いますが、物価上昇に負けないということは、物価上昇以上の生産性の上昇を伴っていることが重要です。賃金と物価の好循環か、悪循環か、今まさに岐路に立っていると思います。
様々な御指摘がございましたが、賃金向上推進5か年計画は極めて大事だと思います。具体的に2029年までにそれぞれの業種で何%生産性を引き上げるかが明示されていますが、本当に生産性の向上が実現できているかどうか、2029年に向けてしっかりトレースをしていかなければならないと思います。政府を挙げて取り組んでいると思いますけれども、厚労省におかれましては、最低賃金制度を所管する省庁として、本プランが実績を上げられるよう、イニシアチブを発揮していただき、フォローしていただきたいと思います。
例えば来年、生産性がどこまで改善したのか、業務改善助成金の効果がどうであったのかを紐づけていただきたいと思います。先ほど中川委員、それから野村委員からも御意見がありましたけれども、金額がこれで十分なのか、本当に効果を上げているのか、現在、1万7000件の中小企業が利用しているということですが、これは本来、対象者がどのくらいあるのか、その中で実績がどう上がっているのか、それぞれ見える化しなければ、賃上げと生産性の上昇が目に見えてこないと思います。下手をするとコストプッシュインフレのような悪循環に入る可能性もあり、極めて重要な点ですので、ぜひフォローのほどよろしくお願いしたいと思います。
実際、中小企業や小規模事業者の実態を聞きますと、最低賃金を上げるために、賃金カーブを寝かしてしまう、ほかの従業員の賃金をなかなか上げられない、あるいは設備投資そのものを削減しなければいけないといった声が聞こえてきますが、これでは矛盾しています。本来、生産性を上げるために設備投資しなければいけないのに、それがなかなかできないという実態もあるということを踏まえた対応が必要ではないかと思います。
2点目は、8ページにある、中小企業の人材確保、多様な人材の活躍促進、職場環境の改善、多様な働き方についてです。中小企業もこれらを実践していかなければなりませんが、正直言って中小企業というのは人事部もなく、あるいは人事担当者もいない企業が非常に多いです。前回の労政審でも申し上げましたが、地域が様々な支援機関が共創して中小企業をバックアップしていくようなプラットフォームや、地域が共創して人材を育成していく、あるいはマッチングをしていくプラットフォームをつくる必要があるのではないか、という考えのもと、東京商工会議所・日本商工会議所では、レポート「「少数精鋭」×「地域共創」で人手不足を乗り越える(これからの労働政策に関する懇談会 最終レポート)」を今回とりまとめました。ハローワーク、ポリテクセンター、働き方改革センター等の機関と、プラットフォームの構築に関して一緒に取り組ませていただければ大変ありがたく思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場で山中委員、お願いいたします。
○山中委員 ありがとうございます。電機連合の山中です。
私からは、人材育成、人への投資について発言をさせていただきたいと思います。
まず人材育成につきましては、企業規模や雇用形態、障害の有無などにかかわりなく、全ての労働者に幅広く実施されることが重要です。令和8年度の概算要求では、非正規雇用で働く者が働きながら学びやすい職業訓練の本格実施など、これまで機会が少なかった非正規雇用で働く者へのオンラインを活用した支援強化が図られる内容であり、望ましい方向だと考えております。
また、次年度以降5年間の第12次能力開発基本計画の策定を見据えた研究会報告書が7月に取りまとめられました。報告書では、企業における人材開発の促進は、離職防止や人材獲得に資することが示されたほか、配置転換や処遇への反映といった周辺の仕組みの連動が有効とされております。また、スキル向上の機会が少ない非正規雇用労働者なども含めて育成を進めることに言及されていました。
労働者が安心して働き、能力を十分に発揮することはもとより、企業の持続的成長にもつながるよう、キャリア形成や能力開発について、個人任せとするのではなく、企業が責任を持って取り組むことが不可欠であり、国としても、そうした企業の取組を後押しする支援策を維持・拡充していただきたいと思います。
現在、大手企業を中心に、キャリア形成支援の取組が進められていると思います。個別労使において労使協議を積み重ね、スキルの適切な評価と処遇改善の仕組みを整えるとともに、非正規雇用で働く者も含めた長時間労働の是正や休暇制度導入による時間の確保など、能力開発に取り組みやすい環境整備を進める必要があります。今後の人材開発政策におきましては、これらの視点を踏まえて取組を進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、西周委員、お願いをいたします。
○西周委員 ありがとうございます。
私からは、資料3の5ページ、職場における熱中症対策の強化に関連して発言いたします。
近年、熱中症による深刻な労働災害が発生している状況を踏まえ、本年6月、企業に熱中症対策を義務づける改正省令が施行されました。経団連では、その重要性に鑑み、熱中症対策に関する緊急セミナーを開催し、義務化の内容の周知徹底と適切な対応を呼びかけてきました。
今後は、新たな検討会が設置され、効果的な熱中症の予防策とさらなる措置義務について検討されると聞いております。予防の取組が一層広まることを期待する一方で、拙速な義務化についての懸念もあります。特に今年6月の義務化は、異常な暑さを背景にやむを得なかったとは思いますが、3か月という極めて短期間で罰則つきの義務化が決まりました。弊社でも急ぎ対応しておりますが、自助努力が届かない領域があることも痛感しております。例えば夏場の急性の熱中症患者が激増する時期でも、全国どこでも熱中症患者の搬送がちゅうちょなく迅速にできるだけの救急病院の受入体制整備と、救急車と救急隊の数の確保がなされればと切に願うところでございます。
今後の検討会においては、熱中症による災害状況、事業場の対応状況などのエビデンスに基づき、真に効果があり、現場からの理解・協力が得られる対策が検討されることを強く期待いたします。企業によっては、共に事業に携わっている取引先事業者の従業員や個人事業主の熱中症対策を直接行ったり、間接的に支援したりするような、よりレベルの高い取組をされていますが、そのような取組も含めて、企業の熱中症対策に対して、規制だけでなく助成金の交付、利子補給、税制優遇など、支援措置も御検討いただければと存じます。経済界としても、引き続き取組を進め、熱中症による災害の防止に努めてまいります。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、成田委員、お願いいたします。
○成田委員 成田でございます。
私からは、ハラスメント対策について申し上げたいと思います。本年6月、労働施策総合推進法等の改正により、ハラスメントを行ってはならない旨が明確化され、啓発活動について国の責務を定めたほか、事業主に、カスタマーハラスメント対策、求職者等へのセクシュアルハラスメント対策が義務づけをされました。
特にカスタマーハラスメントについては、業種・業態により対応が異なることから、厚生労働省が主導し、業所管省庁と業界団体が連携しつつ、各事業分野の特性に応じた対応マニュアルの策定・周知等が必要であると考えています。
私たちの職場である物流業界においても、トラックドライバーのアンケートによりますと、荷主企業から受ける事例としては、直前のオーダーの変更、また悪天候時の運行の強要、状況の説明がない長時間の荷待ち、さらには料金を頂けていない荷役の強制などの声もいまだ上がっているのも事実であります。加えて、一般消費者を含む一般のドライバーから受ける事例としては、過剰なクレーム、暴言なり無理な作業の要求、運行者や集配者に対する嫌がらせ、いわゆるあおり運転などがあるのも実態であります。したがって、対応マニュアル等の策定に当たっては、現場をよく知る労働組合も参画することが重要だと考えています。
カスタマーハラスメントは、事業主が雇用する労働者以外の者から受けるハラスメントであり、事業主の取組だけでは防止が難しいことから、国として、消費者や取引先への周知啓発等により、ハラスメントは行ってはならないという規範意識の醸成にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後に、あらゆるハラスメントのない社会実現のために、厚生労働省主導により、関係省庁が連携し、起業家をはじめ、労働者以外の者へのハラスメントへと範囲を広げて対策を講じるとともに、ILOの第190号条約の批准に向けた検討を進めていただきたいと考えています。
以上であります。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場で芳井委員、お願いいたします。
○芳井委員 私からは、資料2の8ページの右にあります多様な働き方の実現に向けた環境整備、仕事と育児・介護の両立支援、ワーク・ライフ・バランスの促進に関連して発言をさせていただきます。
企業各社は、働き方関連法の施行をきっかけに、過重労働の防止などの取組を強化し、結果、長時間労働は確実に減っていると考えています。しかし、働き方改革については、単に労働時間の短縮だけを目的とするような風潮や受け止め方も出ていると感じております。ほかの委員のお話もありましたが、もっと成長したい、もっと働きたいといった若手社員の声にどのように向き合っていくかが、我々は喫緊の大きな課題と考えております。
働き方改革の本質は、社員が、働きがいがある、また働きやすさを感じるといったことを後押しすることになると考えています。当社、大和ハウス工業でも、自立した働き方、生産性の高い働き方を実現するために、フレックスタイム制度やサテライトオフィス、自由に利用できるサードオフィスの創設など、時間と場所にとらわれない働き方を推進しております。
労働条件分科会では、労働時間法制の在り方が様々審議される中、裁量労働制の対象業務の拡大についても議論されていると聞いております。同制度は、適用労働者の約8割が満足し、自立的な働き方を促し、働き手一人一人がその持てる能力を存分に発揮してもらう上で有効な仕組みであると考えています。もちろん働かせたいという改革に誤解されないように、丁寧に向き合うことは当然大事だと思っておりますし、このことが前提で、急激に人口が減少する我が国の経済成長をさせていくためには、多様で柔軟な働き方の選択肢を広げる改革が不可欠です。
企業として、一層の環境整備に取り組んでまいりますので、これを政策的に後押ししていただきますよう、裁量労働制をはじめ、制度の大胆な見直しを強くお願い申し上げたいと思います。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、安達委員、お願いいたします。
○安達委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料にはございませんが、ワークルール教育の推進と退職代行について申し上げたいと思います。
最近は、スポットワークや隙間バイト、フリーランスといった働き方が増えておりますが、現在の労働法制は、そうした働き方をする者に対する保護が不十分であるという課題認識を持っております。例えば連合が1月に公表した調査でも、スポットワークで働く者の半数弱が仕事上で何らかのトラブルを経験したとの結果も出ております。こうした状況を踏まえれば、スポットワークに係る規制の整備や労働者概念の拡大など、現下の状況に即した実効性ある法整備が必要です。
また、トラブルが生じている背景には、働き手と企業双方の労働法や働くことに関する知識不足の問題も大きいと考えております。ワークルール教育推進に関する法整備も進め、企業や働く者双方の働くことに関する意識と知識の醸成を図るべきであります。
その上で、最近はハラスメントが横行している企業からの退職や、働くことに関する知識が必ずしも十分ではない若者を中心に、退職代行業者を使うケースも少なくありません。民間企業調査では、退職代行の利用割合は16.6%に上るとの結果もあります。そうした中で、代行業者が介在することで、例えば代行業者が有給休暇の買取りを会社側と交渉したことにより、かえって退職条件がこじれてしまうなどのトラブルも生じていると聞いております。そもそも退職条件の交渉などは、労働組合による交渉または弁護士の代理業務の範疇であり、非弁行為に該当する可能性もあります。退職代行の問題については、厚生労働省としてもまずは実態把握をしていただき、必要に応じて規制整備などを検討いただきたく要望いたします。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
この後は、則松委員、そして藤原委員という順番でお願いしたいと思います。
では、則松委員、どうぞ。
○則松委員 ありがとうございます。
私からは、資料2の9ページにあります雇用の分野における女性活躍推進に関わって発言をします。
女性活躍推進法は、期限を10年間延長した上で、実効性の向上を図る、そして取組のさらなる推進を図るために改正されたと認識しております。国会審議においては、企業規模にかかわらず全ての企業への男女間賃金差異の公表義務化や、男女間賃金差異が一定以上の企業への原因分析及び是正計画の策定、公表義務化を含めた実効的な対策も重要である旨、附帯決議に示されております。
今回の改正で、常時雇用する労働者の数が101人以上の企業に、男女間賃金格差、女性管理職比率、これらの状況把握、分析、公表が義務づけられることから、状況把握、分析の結果を踏まえた行動計画を策定し、数値の公表にとどまらず、改善に向けた具体的な取組を推進することが重要となります。
そのためには、企業に対して一連の取組を促すとともに、アドバイザーによる企業向けのコンサルティング強化、情報公表、取組の一覧化のための企業データベースでの情報公開を積極的に促すことなども必要となります。厚生労働省におかれましては、全ての企業に対し積極的な取組を促すとともに、支援をお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 2点申し上げます。
1点目は、先ほど堀谷委員から御発言があった点について申し上げます。組織再編につきましては、事業の最適化や企業価値の向上を図るために活発に行われておりますが、事業譲渡などにつきましては、財務状況の悪化を背景にして、事業を存続、再生させる目的で行われる場合が非常に多くございます。過度なルールや画一的なルールを設けてしまいますと、そもそもスポンサー企業の成り手が現れにくくなりまして、かえって労働者の保護に欠ける懸念もあると考えております。
円滑な組織再編の実現には、労使の丁寧なコミュニケーションが重要ですが、その手法については、好事例の横展開などによる促進策も含めまして、実務に即した検討が進むよう期待いたします。
2点目は、先ほど中川委員が触れられました最低賃金についてでございます。今年の春の労働政策審議会におきまして、岸本局長から、現行の最低賃金決定プロセスの骨格は堅持するというお言葉がございました。その後、中央最低賃金審議会での審議の過程では、大変な横風が吹いていたのではないかという報道が随分されておりまして、御苦労がかなりあったのではないかと思います。目安小委員会も、例年にない回数を重ねたと伺っております。
そうした横風が激しい中で、最低賃金決定プロセス、公労使による真摯な議論が行われて、非常に適切な結論を出していただいたと思っております。中央最低賃金審議会の委員の皆様には大変な敬意を表したいと思いますし、それをお支えいただいた岸本局長には感謝を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、各委員からいただいた御意見につきまして、事務局から回答をお願いしたいと思います。時間も押しておりますので、回答のほうは簡潔にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、労働基準局長からということで、よろしくお願いいたします。
○岸本労働基準局長 労働基準局でございます。
数々の御意見、御指摘を賜りまして、ありがとうございます。
時間の制約もございますので、幾つかの類似のテーマに関する御意見について、まとめてお答えする部分がありますことをお許しください。
まず、清水委員、野村委員、安河内委員、芳井委員から、働き方改革や労働時間制度、労働基準法制全般について御意見をいただきました。働き方改革につきましては、その趣旨が平成29年の働き方改革実行計画に一定整理をされておりますとおり、生産年齢人口減少という日本社会の条件の下で、誰もが働きやすい労働環境を整えることによって、女性や高齢者など多様な人材が職場に参加していただくことをより促す、こういった意図を持って行ったものと承知をしております。
働き方改革関連法施行後5年が経過いたしまして、週60時間以上労働者の割合の低下ですとか、女性や高齢者の労働参加の拡大といった傾向が見られる一方で、精神障害関係事案の増加もありまして、過労死等の件数が高止まっていることですとか、また人手不足との関係など、様々な御意見、御指摘をいただいているものと承知をしております。そうした中で、健康やワーク・ライフ・バランス、人手不足との関係、多様で柔軟な働き方へのニーズなど、様々な観点から議論が必要と考えております。
労働条件分科会におきましては、施行から5年が経過したことから、本年1月から、労働基準関係法制の課題について議論を行っていただいております。御指摘の時間外労働の上限規制、裁量労働制、連続勤務日数規制、インターバル規制、過半数代表の適正化など、幅広く御議論いただいております。
なお、裁量労働制につきましては、専門業務型の対象業務の追加などの改正が令和6年4月から施行されております。この改正内容の周知、また適切な運用のための必要な監督指導などを行ってまいりたいと考えております。
さらに、政府の骨太方針等では、働き方改革関連法施行後5年の総点検を行うということが盛り込まれました。これを受けまして、労働者の労働時間に関するニーズや、企業、労働者の上限規制の対応状況、課題認識などについて把握するための調査を現在実施しているところでございます。その結果については、関係分科会にも御報告をして、御意見をいただきたいと考えております。引き続き、労使それぞれのお立場から、労働時間法制、労働基準法制について、職場の実情も踏まえた御議論をお願いしたいと考えております。
次に、最低賃金に関してでございます。最低賃金に関しまして、野村委員、中川委員、小山田委員、藤原委員から、最低賃金引上げに関する支援策の問題ですとか、決定プロセスの問題などについて御指摘をいただきました。
まず支援策のほうについて申し上げます。厚生労働省では従来から、業務改善助成金を柱として、最賃引上げに対応いただく中小企業・小規模事業者の支援に取り組んでまいりましたが、今年度から「賃上げ」支援助成金パッケージというものを取りまとめて、業務改善助成金以外の助成金についても、最賃引上げに対応するための設備投資費用などを見ることができるような制度改正を行って、令和7年度から施行しているところでございます。令和8年度概算要求においても必要な予算を要求しております。
また、府省を超えた横串的な取組についての御指摘もいただきました。本年9月、お名前も挙げていただきました中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の一環として、業務改善助成金の拡充なども行っております。対象事業者の範囲の拡大などを行ったところでありまして、この施行も進めてまいります。
また、対策全体の金額規模でございますが、令和6年度までは専ら業務改善助成金によって対応してまいりました。令和6年度は当初、補正を合わせて約300億円の規模でございましたが、今年度から「賃上げ」支援助成金パッケージということで、業務改善助成金以外の助成金も使っていただけるようにしたことで、全体の金額規模は令和6年度から7年度にかけて大幅に増額をさせていただいたと考えております。
また、業務改善助成金につきましては、毎年度そうなのですが、近年想定を上回るペースで年度当初から御利用いただいておりまして、結果的に年度途中で補正予算で積み増しを行うということが続いております。今後とも、当初予算の確保とともに、実績を見ながら年度途中の対応も含め、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
また、賃上げのためには原資が必要というのはおっしゃるとおりでございます。業務改善助成金などは、設備投資を補助することによりまして労働生産性を高めることを支援するという取組でございますが、それ以外に政府全体として、価格転嫁の推進、事業承継の後押しなど、府省横断的な取組が必要なテーマであると考えております。横串を主として刺していただいているのは内閣官房のほうになりますが、厚労省としても内閣官房と連携しながら、政府全体の取組をきちんとフォローしていきたいと思います。
最低賃金の決定プロセスについても御指摘いただきました。公労使三者構成の最低賃金審議会で、最低賃金法で定める労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力の3要素に基づいて、引上げ額を議論するというのが枠組みでございます。今後ともこの枠組みに則ってまいりたいと考えております。
地域間格差については、今回、中央最低賃金審議会の目安で、Cランクを上げるという目安をいただきました。これもありまして今年度は、最高額に対する最低額の比率は83.4%となりまして、11年連続で地域間格差は改善しているところでございます。
また、フルタイム労働者の賃金の中央値の6割というEUの考え方につきましては、今年度の公益委員見解において日本に当てはめた試算を行っていただきつつ、日欧の制度、雇用慣行に異なる点があることや、比較対象とする賃金の範囲をどうするかといった点について議論があるとされまして、今後の検討課題であるとされたところと承知しておりまして、そのように受け止めているところでございます。
最低賃金は以上でございます。
次に、北野委員から社会保険労務士制度について御指摘をいただきました。社会保険労務士は、中小企業を中心に、労務管理のサポートとして非常に重要な役割を果たしていただいているところでございます。その前提として、当然でございますが関係法令の知識を十分に有し、職業倫理に基づいて公正な業務を行っていただくことが必要です。全国社会保険労務士会連合会において、労働法を体系的に学ぶための研修を行っていただいたり、職業倫理に係る研修を行っていただいております。また、厚労省としても、不正事案等を把握した場合には、事実関係を確認の上、懲戒事由に該当する場合には懲戒処分を行っております。引き続き、全国社会保険労務士会連合会とも連携をしながら、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
なお、社会保険労務士法は歴代、議員立法で制定をされ、議員立法によって改正をされております。これについては国会の御判断でございますが、改正については8月の労働条件分科会に御報告をさせていただいたところでございます。
労災保険制度の見直しについても御指摘をいただきました。御指摘の特別加入制度ですとか、遺族補償年金における男女差の問題の見直しも含めて、現在、労災保険部会において議論を行っていただいているところでありまして、引き続き議論を深めていただきたいと考えております。
小松委員から、ストレスチェック制度について御指摘をいただきました。ストレスチェック制度は、先の通常国会における労働安全衛生法の改正において、施行まで3年の猶予期間を取った上ででございますが、50人未満事業場に義務化をするという改正を行いました。施行までの準備期間の確保と併せまして、この間に無料で面接指導を利用していただける地域産業保健センターの体制整備ですとか、小規模事業場に即した御指摘のプライバシー保護などが図られる実施体制・実施方法についてのマニュアルの整備をこの準備期間で進めていきたいと考えております。
現在、そのマニュアルについては、労使及び有識者による検討会を開催しているところでございまして、ぜひ検討会でこういった議論も深めてまいりまして、実効性のあるものとなるよう、中小企業・小規模事業者の実態にも合ったものとなるようにしてまいりたいと考えております。
堀谷委員、藤原委員から、労働債権、組織再編について御指摘をいただきました。労働債権保護に関しましては、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律において、倒産時に一定額を破産財団に組み入れることなどを通じて、労働債権の保護を図るという仕組みができたものと承知をしております。
その上で、労働債権と他の債権との優先関係については、各種債権の性格なども踏まえた広範な観点からの検討が必要な問題でございまして、現在、法務省において、倒産局面における各債権者の債権の満足の状況等についての実態調査を行うことも検討をしていると承知をしております。そういった動きも踏まえながら、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
組織再編時の労働者保護につきましては、事業再編時の労働者の保護は重要な課題でございますが、一方で、多種多様な形態がある事業再編に関するルールをどのように設定していくか、それが事業再編の円滑化や、それを通じた将来の雇用確保にどういう影響を与えるかといった観点も含めて、両面を見据えた丁寧な検討が課題であると考えております。
現在、組織再編部会におきまして、まずは企業価値担保権の創設を踏まえた事業譲渡等指針の必要な見直しについて議論いただいているところでございますけれども、今後、御指摘の事業再編に伴う労働者保護に関する諸問題について、幅広く御議論をお願いしたいと考えております。
西周委員から、熱中症対策について御指摘いただきました。6月の労働安全衛生規則改正におきましては、熱中症で亡くなる方の大半が、初期症状の放置、対応の遅れによっておりますことを捉えまして、緊急連絡網や初期症状発生時の身体冷却、緊急搬送などの実施手順を作成していただいて、周知をしていただくということをお願いする省令改正をさせていただきました。
私どもとしましては、お金をかけなければいけない措置ではないような措置で、初期症状への対応の遅れに対して何がしかできないかということで、こういった改正をさせていただいたところでありますが、短期間の施行に対して御協力いただいた各職場の労使の皆様には深く感謝をしております。
来年の夏に向けて、エビデンスに基づく熱中症対策の検討についてさらなる検討会の開催を調整しておりますが、ここではこの夏の熱中症による災害状況、あるいは事業場における取組状況なども可能な範囲でお示しをしながら、エビデンスに基づく議論をしてまいりたいと考えております。また、支援策としては、エイジフレンドリー補助金の中で、令和8年度要求で熱中症対応のコースを新設することを現在要求しておりまして、費用の一部の補助について、令和8年度要求をしっかり当局と議論していきたいと考えております。
最後に、安達委員から労働法教育や退職代行サービスについて御指摘をいただきました。労働法教育につきましては、新しい働き方に対応して、例えばスポットワークに関しましては、留意点を示したリーフレットを使用者向け、労働者向けそれぞれ用意をして、7月に発行し、周知を図っているところでございます。
フリーランスに関しましては、昨年11月のフリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に合わせて、自らの働き方が労働者に該当するかどうかについての相談窓口を全国の労働基準監督署に設けたところでございます。
まずはこういった取組を推進し、それぞれ適切な労働法の保護を受けられるよう、そういった認識が広まるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
また、ワークルール教育につきましては、漫画形式のハンドブックの動画版、クイズ形式で労働関係法令について学習できるスマートフォンアプリの作成などの取組を進めております。ワークルール教育推進法案については、超党派の議連で検討を進めているところでございまして、その動きを注視してまいりたいと考えております。
退職代行につきましては、御案内のとおり民法上退職に関するルールは契約期間の定めがない場合は、2週間の予告期間を経て、契約期間の定めがある場合は、やむを得ない事由があるときは直ちに退職できるというルールがございまして、退職代行サービスは労働者の退職の意思を本人に代わって伝達するものと承知をしております。退職代行サービスが、そういった範囲を超えたサービスを提供することによってかえって混乱を招いているという事案は報道などで承知をしておりますが、この問題に関しては、弁護士法におきまして、非弁行為の禁止ということで、法整備としては対応されていると考えております。
現時点で御指摘の実態調査は考えてございませんが、全国の総合労働相談コーナーでは、退職に関する職場のトラブルを含めて相談を受け付けておりまして、引き続き丁寧に相談に応じてまいりたいと考えております。
最後に一言申し上げますが、最低賃金の今年度の審議に当たりましては、事務局としても、中央最低賃金審議会、地方最低賃金審議会の公労使の委員の皆様に深く感謝をしている次第でございます。
長くなりましたが以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、続けて職業安定、労働市場政策審議官、よろしくお願いいたします。
○古舘審議官(職業安定、労働市場政策担当) 職業安定局でございます。
私のほうから3点、御説明させていただきます。
まず、長澤委員のほうから労働移動の円滑化について御指摘をいただきました。御指摘いただきましたとおり、持続的な賃上げを実現するためにも、成長分野に円滑な労働移動を進めていくことは重要なことと考えております。
このため、希望される方が主体的、それから安心して労働移動を行うことができるように、まず令和7年4月より、自己都合で退職された方が自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行われた場合に、給付制限を行わずに雇用保険の基本手当を受給するということが可能となっております。また、雇用のマッチング機能の強化のために、ハローワークにおけるAI活用に向けた実証事業の実施でありますとか、職業情報の提供サイト、job tagと称しておりますが、こうしたサイトによる職業情報の充実を通じた労働市場の見える化、こういったことに取り組んでおります。引き続き、そうした取組の着実な実施に努めていきたいと考えております。
それから、内田委員からリ・スキリングについて御指摘をいただいております。先般の改正雇用保険法によりまして、昨年10月から教育訓練給付金の支給率を最大70%から80%に引上げを行っております。引き続き、こうした制度の周知、それからアンケート調査などを通じた効果検証のほうにも取り組んでいきたいと考えております。
また、本年10月から創設いたしました教育訓練休暇給付金につきましては、労働者の方が離職することなく自発的に教育訓練を受けるために休暇を取得された場合に、基本手当に相当する給付として賃金の一定割合を支給するという制度でございます。就業規則などの社内制度に基づいて、教育訓練を受講するための一定の休暇を取得した場合が対象になります。
私どもといたしましては、労働者の方への周知に加え、事業主の皆様への周知も重要であると考えておりまして、就業規則の規定例ですとか、Q&Aなどを記載したパンフレットの作成、あるいは事業主の方向け及び労働者の方向けの動画、リーフレットの作成などを通じて周知をしております。今後は、教育訓練休暇制度を導入された企業様にもヒアリングを行って、事例集を作成するということも検討していきたいと考えております。こうした周知の取組を含めて、制度の円滑な施行を図ってまいりたいと考えております。
最後に、小松委員から人手不足対策、それから小山田委員からも地域の支援機関の連携について御指摘をいただきました。御指摘のとおり、人手不足への支援策の推進に当たっては、自治体あるいは地域の関係機関と連携をしていくことが重要なことと考えております。
私どもでは、地域の雇用問題に対して、各都道府県労働局におきまして、地方公共団体と雇用対策協定というものを締結して、自治体さんとも連携協力しながら、様々な取組を進めております。
また、地域の様々な雇用の課題を解決するために、一つは都道府県のレベルで、経済団体を含めて地域の関係者で構成された協議会を設置いただいて、そうした協議会と連携して取組を進めていただく地域活性化雇用創造プロジェクトというものに取り組んでおります。また、市町村のレベルになりますが、同じく地域の関係者による協議会が主体となって行う自発的な取組をバックアップする地域雇用活性化推進事業というものにも取り組んでおります。
引き続き、私どもといたしましても、地域の関係機関の皆様と連携をして、各地域の特性、課題に応じた取組を推進するとともに、各地域の機関の皆様の取組にも積極的に御協力できればと考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、雇用環境・均等局長、よろしくお願いいたします。
○田中雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局です。
私からは4点、お答えをしたいと思います。
まず1点目が、永島委員、村上委員から御意見を頂戴いたしました同一労働同一賃金の見直し検討についてでございます。同一労働同一賃金部会で現在検討を進めておりますけれども、3月、4月には有識者や労使関係団体等からのヒアリングを行わせていただきました。また、5月以降はパートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法、それから同一労働同一賃金ガイドライン等々の各論点につきまして、各種統計データなども参照しながら御議論をいただいております。いわゆる立証責任、それから待遇差の説明義務につきましても、現在、部会で御議論をいただいておるところでございまして、こうした論点も含めまして引き続き各委員の御意見を丁寧にお伺いしながら、非正規雇用労働者の待遇改善につながるよう、検討を進めてまいりたいと思います。
2点目、長澤委員、それから芳井委員からありました柔軟な働き方、ワーク・ライフ・バランスについてでございます。特に育児期の柔軟な働き方を実現するということで、先般、育児・介護休業法も改正をさせていただきまして、本年4月、それから10月から段階的に施行をしてございます。改正法の着実な施行に取り組んでまいりたいと思います。
また、加えまして、多様な正社員でございますとか、勤務間インターバルや選択的週休3日制の普及促進といった様々な働き方を支援していくということで、シンポジウム、セミナーの開催や好事例の収集、周知のほか、働き方改革推進支援センターと連携をいたしまして、企業への導入支援などを実施してございます。これらの取組によりまして、引き続き、多様で柔軟な働き方、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む企業を支援してまいりたいと考えております。
3点目が、ハラスメントについて成田委員から御意見を頂戴いたしました。カスタマーハラスメント対策を中心として施策の強化をするということで、改正法を成立させていただきまして、今そのために必要なガイドライン、省令等々の議論を雇用環境・均等分科会で行っていただいてございます。特に言及のございましたカスタマーハラスメントですけれども、その対応は業種・業態等によって様々に異なります。ですので、各業界の実態を踏まえた対策を進めるということが非常に重要でございまして、改正法の中でも、各事業分野の特性を踏まえた広報・啓発活動等を行うということを国の責務として定めております。
その具体化として、関係省庁とカスタマーハラスメント対策に係る情報共有を行うということで、関係省庁連携会議も開催をしているところであります。また、業種別対応のマニュアルの策定を促すために、委託事業、総合的ハラスメント防止対策事業におきまして対策マニュアルの策定手順を公開しておりまして、その中では、実態を踏まえるということで、業界団体を中心に、労働組合等の参画を得て検討するというようなこともお示しをしていっております。
労働法制でございますので、起業家等の労働者以外の者へのハラスメントは、労働者を保護することを目的とする現行のハラスメント法制の対象にはなりませんけれども、社会全体でハラスメントが行われることのないような職場づくりが進められていく中で、全体として、そうした社会の実現に向けた取組に資するものになると考えております。
最後に、第190号条約ですけれども、引き続き国内法制との整合性を確保する観点から、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと考えております。
4点目が女性活躍推進法の関係で、則松委員から御意見を頂戴いたしました。則松委員から御指摘のありましたように、国会審議を経て今般成立をしてございまして、今、男女間賃金差異の公表に対して、説明欄のさらなる活用を促すことですとか、女性の活躍推進企業データベースの利用が最も適切であることを示すこと等々につきまして、これも雇用環境・均等分科会で御議論をいただいております。
このほかにも事業主の自主的な取組を推進するために、各企業で男女間賃金差異の要因を簡易に分析することのできる男女間賃金差異分析ツールの提供でございますとか、個々の企業の状況に応じたコンサルティングの実施、また、女性の活躍推進企業データベースにおける情報公表の促進などに取り組んでいるところでございます。審議会の議論も含めまして、これらの取組を通じて、引き続き企業における女性活躍推進のための取組を推進していきたいと考えております。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、人材開発統括官、よろしくお願いいたします。
○宮本人材開発統括官 人材開発統括官でございます。
私からは3点、お答えいたします。
まず1点目、長澤委員からリ・スキリングにつきまして御発言をいただきました。リ・スキリングを含みます人材育成に積極的に取り組む企業への支援策といたしましては、人材開発支援助成金によりまして、企業が雇用する労働者に対して職務に関連した職業訓練等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成しているところでございます。また、中小企業等に対しましては、全国のポリテクセンター等におきまして、人材育成に関する相談から、企業の要望に応じたオーダーメイドの職業訓練の提供まで、一貫した支援を実施しているところでございます。引き続き、リ・スキリングを含みます人材育成に積極的に取り組む企業の支援を充実してまいりたいと考えてございます。
続きまして、2点目、安河内委員より外国人労働者につきまして御発言を頂戴いたしました。御指摘のように、外国人技能実習機構を改組して設立します外国人育成就労機構におきましては、新たに育成就労外国人の転籍支援や、特定技能外国人への相談援助業務を行うこととしてございます。「骨太方針2025」におきましても、「外国人育成就労機構を含め必要な体制を整備する」とされたところでございます。制度の円滑な施行に向けまして、労働基準監督署やハローワークとの連携も含めまして、監督指導機能や支援・保護機能を強化しますとともに、必要な体制整備が図られますように、必要な予算確保に努めてまいりたいと考えてございます。
また、分野所管省庁につきましても、労使も御参画いただいている有識者会議におきまして、現在、連携して分野別運用方針を検討しているところでございます。引き続き、育成就労制度の施行に当たりましても、分野別協議会などを通じまして、連携して取り組んでいきたいと考えてございます。
3点目でございます。山中委員より、非正規雇用労働者への支援と今後の人材開発施策の在り方について御発言を頂戴いたしました。
まず非正規雇用労働者でございますけれども、企業規模や雇用形態、障害の有無などにかかわらず、全ての労働者に幅広く人材育成が実施されることは重要であると考えてございます。御指摘のございました非正規雇用労働者などが働きながら学びやすい職業訓練につきましては、本格実施に向けまして、令和8年度予算要求に盛り込んでいるところでございます。
また、今後の人材開発行政でございますけれども、「今後の人材開発施策の在り方に関する研究会」報告におきましては、「企業の人材開発への支援の充実」として、セルフ・キャリアドックの普及促進や企業の人材育成に対する伴走支援、「労働市場でのスキル等の見える化の促進」として、団体等検定や認定社内検定に取り組む企業・団体に対する支援の充実、「個人のキャリア形成と能力開発支援の充実」といたしまして、教育訓練休暇制度の普及に向けた支援などの施策の方向が示されたところでございます。本報告書も踏まえまして、今後、人材開発分科会におきまして、第12次職業能力開発基本計画の策定に向けて議論を行いますとともに、今後の人材開発施策にも反映してまいりたいと考えてございます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、これで最後だと思いますけれども、政策立案総括審議官、よろしくお願いします。
○河野政策立案総括審議官 私からは1点でございます。
安河内委員から、外国人との共生社会実現に向けた政府横断的な取組について御意見をいただきました。
厚生労働省としましては、関係省庁と連携をしながら、本年6月に決定をされました外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策や、委員にも言及いただきましたけれども、7月に内閣官房に設置をされました外国人との秩序ある共生社会推進室における議論に基づきまして、日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心して暮らせる共生社会の実現を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
ただいま各局長などから御回答いただいたところでございますが、委員の皆様、よろしゅうございましょうか。
ありがとうございます。
厚生労働省におかれましては、今後の予算編成や政策立案におきまして、本日、委員の皆様から頂戴しました御意見を踏まえて取り組んでいただければと存じます。
それでは、以上をもちまして本日予定していた議事は全て終了ということになります。最後、委員の皆様のほうから何か御意見、御質問などがあればと思いますけれども、いかがでございましょうか。
それでは、清水委員、どうぞ。
○清水委員 本日、各委員からの御意見を拝聴させていただきました。労働者側と使用者側という立場の違いはありますが、それぞれの立場から5年前の働き方改革の進展の状況や課題、見直すべき点など、多岐にわたった議論であったかと思います。
いずれにしても、施策を進めるためには予算が必要でございますから、概算要求の項目について、労政審での議論も踏まえ要求額を「確保」できるよう、厚生労働省としても国会での予算の審議を丁寧に行っていただきたいと思っています。
連合としては、賃金の引上げについて、この4年間、特に直近2年間は5%を超えて引上げられ、これは真摯な労使交渉によって築かれたものと思っています。最低賃金についても、連合が目指してきた全国誰でも1,000円は達成されたものの様々な課題があるということも御指摘のとおりだと思います。
様々な働き方の労働者が、企業とウィン・ウィンの関係で共に生産性を上げていくことは大事だろうと思っています。働き方の改革が進展すること、賃金が引き上げられることは、生産性の向上にも非常に大きく関わっていくと思っておりますので、賃金の引上げの面でも私たちの主張も大事にしていただきたいと思っています。
そして、産業構造が大きく変わり、一人一人の働き方についても多様化していると言われています。また、ますフリーランスとして働く方の課題や、参院選や党の総裁選などでも話題になりましたが、外国人労働者への対応をどうしていくかも大きな課題であると思っています。例えばフリーランスについては、1985年以来、長らく労働者性について議論されていなかったということがあります。そうした労政審での議論を、国会での議論につなげていくことも必要なのではないのかと思っています。
ぜひ日本の社会や経済が持続的にしっかり発展していくために、労使が共に、また行政も入った上で、そして公益委員の皆さんにも御理解いただきながら、すばらしい日本の国にしていくことは大事なのだろうと思っています。
ぜひ厚生労働省にも頑張っていただきたいということを最後に申し上げさせていただきました。
ありがとうございました。
○岩村会長 ほかにはいかがでございましょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日の会議は以上で終了とさせていただきたいと思います。
お忙しい中、今日は御参加いただきまして、大変ありがとうございました。
○岩村会長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第56回「労働政策審議会」を始めさせていただきます。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、審議会の開会に当たりまして、鰐淵副大臣から御挨拶を頂戴いたしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○鰐淵厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。厚生労働副大臣の鰐淵洋子でございます。第56回労働政策審議会の開催に当たりまして、一語御挨拶を申し上げます。
本日は、大変お忙しい中、御参集を賜りまして、感謝申し上げます。
また、皆様には、日頃より厚生労働行政に格別の御理解と御協力を賜り、重ねて感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
さて、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、今、政府を挙げて賃上げにつきましては取組をさせていただいておりますが、最重要課題の一つということで進めさせていただいております。8月に公表いたしました令和7年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況では、令和7年の賃上げ率は5.52%と33年ぶりの高水準となった昨年をさらに上回るものとなっております。これはひとえに労使の皆様双方の真摯な交渉のたまものでもあり、この場をお借りいたしまして、改めて御礼を申し上げます。
本日の審議会では、令和8年度の予算概算要求の内容等を皆様に御報告をさせていただき、御議論をお願いすることとしております。この予算概算要求では、物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革の推進と、多様な人材の活躍促進のための施策を柱に、重点的な要求を行っております。本日は、こうした取組やこれまでの分科会などにおける審議状況を御報告するとともに、皆様から幅広い御意見をいただいて、今後の予算編成や政策の立案に生かしていきたいと考えております。
労働政策は、その政策立案に当たっては、現場を熟知されている皆様の参画を得て議論を深めていくことが大変重要であると考えております。私も5月にこの審議会に参加をさせていただきまして、議論を直接拝聴させていただきましたが、その重要性を改めて実感しているところでございます。
委員の皆様におかれましては、本審議会におきまして、幅広い御見識と豊かな御経験に基づき、活発な御議論をお願いしたいと思っております。限られた時間ではございますが、どうか最後までよろしくお願い申し上げます。
改めまして、本日は大変にありがとうございます。
○岩村会長 鰐淵副大臣、どうもありがとうございました。
副大臣は他の公務があるということですので、ここで御退席でございます。どうもありがとうございました。
○鰐淵厚生労働副大臣 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
(鰐淵厚生労働副大臣 退室)
○岩村会長 カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、今日の審議会につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただけます。操作方法に御不明な点がございます場合は、事務局にお申しつけいただければと思います。
それから、オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしていただければと思います。御発言の際は、挙手のボタンを押していただきまして、指名がございましたら、ミュートを解除して御発言いただければと思います。
それから、機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、あるいは事前に事務局からお送りしております電話番号まで御連絡をいただければと思います。
通信遮断などが生じた際には、進行を一時中断させていただく場合がございますので、御承知おきいただければと思います。
続きまして、8月29日付で委員の交代がございましたので、新たに就任されました委員を御紹介させていただきます。資料1の労働政策審議会委員名簿を御覧いただければと思います。
まず、労働者代表委員のうち2名の方が新たに就任されましたので、順に御紹介いたします。
日本郵政グループ労働組合中央執行委員長の安達委員です。
○安達委員 今、御紹介を賜りました安達でございます。初めての出席になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 情報産業労働組合連合会中央執行委員長の北野委員です。
○北野委員 御紹介いただきました北野です。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 次に、使用者代表委員のうち1名の方が新たに就任されましたので、御紹介いたします。
日本郵船株式会社取締役会長の長澤委員です。
○長澤委員 長澤でございます。よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 また、事務局にも本年7月に異動がございましたので、御報告いたします。
厚生労働審議官の山田です。
○山田厚生労働審議官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 人材開発統括官の宮本です。
○宮本人材開発統括官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 政策統括官の辺見です。
○辺見政策統括官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 会計管理官の伊藤です。
○伊藤会計管理官 よろしくお願いいたします。
○岡政策統括官付参事官 なお、本年7月に職業安定局長に就任いたしました村山は、本日、公務により欠席しております。代理として古舘審議官が出席しております。
また、辺見政策統括官は、公務により会議の途中で退室させていただきます。
なお、本日、武石委員、山川委員、川﨑委員が所用により御欠席となっております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと存じます。
お手元の議事次第を御覧ください。まず、資料2「令和8年度予算概算要求について」、資料3「分科会及び部会等の審議状況について」、資料4「法案の国会審議結果について」、それぞれ事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤会計管理官 それでは、会計管理官をしております伊藤から、資料2に基づきまして、令和8年度予算概算要求について、ポイントを絞って御説明させていただきます。
資料2のまず1ページを御覧ください。
例年どおり、8月末に財務省に対して提出しております。
全体像としてはここにあるとおりなのですが、厚労省全体では約5000億増なのですが、例年、年金・医療等、社会保障費が多くなってございますので、それ以外の裁量的経費、義務的経費はそれぞれ約1000億、約300億の増ということで要求しております。
それから、労働特会をはじめとする特会は下のところですが、それぞれ特会ごとに所要額を要求し、若干の増という形になっております。
2ページをお願いします。
2ページは財務省が作成する政府全体の概算要求基準、いわゆるシーリングと呼ばれる文書です。今年の予算編成の大きな方針としまして、上段のところですが、賃金ですとか物価上昇に対応したインフレ対応型の予算編成をしていくということが大きなところかなと。中ほどの裁量的経費、黄色のところにつきましても、例年ですと10%削減というところからスタートするというのが数年来続いておったのですが、今年は削減ではなくて、物価上昇等も踏まえて、20%プラスの要望可になっていると。さらに、その1つ下の義務的経費につきましても、これまでは前年同ということがシーリングだったわけですけれども、必要な額を積むことができるということになっておりまして、厚労省としましても、それぞれの方針に従って要求したということになっております。
3ページをお願いします。
厚労省はどうしてもいろいろな所管分野が広いので、総花にはなるのですが、厚労省の概算要求の全体のコンセプトを1枚にまとめたのが3ページになります。
ここには書いていないのですけれども、政府の予算編成、当然政府全体の方針に沿って対応しております。すなわち、毎年6月に骨太の方針ですとか新しい資本主義のグランドデザイン実行計画といった閣議決定がございます。これに基づいて厚労省としても施策を立案しているということです。
今年の骨太方針等の最大のテーマ、一丁目一番地のテーマはまさに賃上げ支援ということになっております。例えば新しい資本主義の実行計画なんかで言いますと、1行目から、賃上げこそが成長戦略の要であるというところから始まります。賃上げ支援というのが副大臣からもございましたが、政府全体で取り組む一丁目一番地の政策となっていると。あわせて、三位一体の労働市場改革ですとか多様な人材の活躍促進なんかも、こういった骨太や新しい資本主義の閣議決定にきちんと明記されているということです。
そういったことに基づきまして、3ページの上段ですが、厚労省としましても、労働供給制約社会に突入するという中で、1つ目は社会構造の変化に対応した保健・医療・介護、本審議会のテーマではないかもしれませんが、医療・介護・障害福祉といった公定価格の分野における処遇改善なんかもここに含まれるわけですが、それとともに2つ目の○、物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革、多様な人材の活躍促進ということを全体のコンセプトにして、以下、大きいⅠ、Ⅱ、Ⅲとまとめております。特に雇用・労働分野は真ん中のⅡの緑色のところになりますので、以下、個別に御説明します。
飛んでいただいて、7ページをお願いします。
まずは繰り返しになりますが賃上げ支援が一番大事ということで、最初に持ってきております。ちょうど令和7年度、今年度からなのですが、最賃の引上げに対応した業務改善助成金をはじめとする各種助成金を賃上げ支援の助成金パッケージということでまとめて、周知、活用いただいているというのが最初です。
この助成金とかに関連しては、書いていないのですけれども、今、米国の通商政策の影響なんかが議論されておりまして、自動車をはじめとする中小の製造業等における影響なんかが懸念されているという状況があると思います。
政府としましても、今年の4月に米国の関税措置に対応する対応パッケージをまとめております。当然その中でも雇用分野は一つの柱として厚労省が対応しているということです。その中では、こういった助成金の活用ですとか、手続の迅速化、それから全国の労働局、ハローワークにおける丁寧な相談対応等をやっておりまして、状況を注視しているという状況にございます。
それから、7ページの右側ですが、三位一体の労働市場改革、教育訓練給付や公共職業訓練をはじめとしたリ・スキリング、ジョブ型人事、労働移動の円滑化という3本柱で進めております。
8ページをお願いします。
8ページは、人手不足の中での人材確保ですとか多様な人材の活躍促進の関係です。医療・介護、それから建設や運輸なども含まれると思いますが、人手不足分野への人材確保ですとか、高齢者、障害者、それから外国人の方の活躍の促進に向けて、ハローワークにおける機能強化などを盛り込んでおります。
右側は、両立支援ですとか共働き・共育て推進に向けた給付などをまとめております。さらには、カスタマーハラスメントをはじめとするハラスメント対策予算なんかを計上しております。
雇用・労働分野では最後になりますが、9ページの上段が女性の活躍推進、マザーズハローワーク等です。
さらに最後、後段のところですが、就職氷河期世代支援ということで、金額的には再掲になるのですが、こちらも政府全体として就職氷河期世代の支援のプログラムをまとめておりまして、その中でもやはり就労関係、就労支援が柱になっておりまして、こういった形でまとめてございます。
予算の関係は駆け足ですが以上になります。ありがとうございました。
○岸本労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
労働基準局関係の分科会などにおける主な審議状況、それから法案の状況について、資料3及び資料4を用いまして御報告申し上げます。
まず資料3でございます。3ページを御覧ください。
労働基準関係は複数分科会がございますが、まず労働条件分科会におきましては、働き方改革関連法施行後5年が経過したこと等を踏まえまして、労働時間制度や過半数代表制など、労働基準法制の見直しについて御議論をいただいております。これまでの御議論は参考資料2-1に整理をさせていただいておりますが、引き続き各論点について具体的な議論を進めてまいりたいと考えております。
次に4ページを御覧ください。
労災保険部会でございます。労災保険部会におきましては、7月末に取りまとめを行っていただきました労災保険制度の在り方に関する研究会の中間報告書の内容を報告いたしますとともに、同報告書も踏まえまして、労災保険制度の適用関係、給付関係などについて、引き続き具体的な御議論をお願いしております。
それから、同じページ一番下の○ですけれども、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会につきましては、平成27年に成立をいたしました電気事業法等の一部を改正する法律の附帯決議等を踏まえ、電気事業及び石炭鉱業の争議行為の方法の規制に関する法律の在り方について御議論をいただいております。
5ページを御覧ください。
一番上の○です。組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会についてです。この部会におきましては、令和6年に成立しました事業性融資の推進等に関する法律に基づき、企業価値担保権が創設されたこと等を踏まえ、事業譲渡等指針、厚労省の指針の見直しについて御議論いただきました。
続きまして、安全衛生分科会でございます。
先の通常国会で改正労働安全衛生法が整備したことを踏まえまして、その施行に向けて関係の政省令案について御議論をいただいております。具体的には、6ページの一番上の○のとおり、改正法に基づいて、個人事業者等の業務上災害の報告制度を規定する省令の改正、それからその次のページの上から3つ目の○にありますとおり、改正法によって統括安全衛生責任者による管理の対象に労働者以外の作業従事者を含めることに合わせました政令改正などについて御審議をいただいております。
その他、改正法関係以外にも、電離放射線対策や化学物質対策などについて省令等改正がございまして、こういったものについても御審議をいただきました。
最後に9ページ、じん肺部会でございます。
じん肺標準エックス線写真集やじん肺診査ハンドブックの改訂について御報告をいたしました。
各分科・会部会についての開催実績は、9ページの下段にありますとおりです。
資料4でございますが、関係法案の国会審議結果につきましてです。
労働基準局関係では、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案を先の通常国会に提出をいたしまして、記載のような経緯をたどって成立をしたところでございます。
労働基準局からは以上です。
○古舘審議官(職業安定、労働市場政策担当) 続きまして、職業安定局でございます。
資料3の10ページからになります。
職業安定局所管の分科会における審議状況等につきまして、一部抜粋になりますが御説明を申し上げます。
まず1つ目の○の雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきましては、令和6年能登半島地震による被災地域の雇用機会の確保を図るため、当該地震の発生後、石川県の七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋郡志賀町、鳳珠郡穴水町または能登町におきまして事業所を設置・整備し、求職者を雇い入れる事業主を対象とする地域雇用開発助成金の特例措置につきまして、その期限を延長するため、雇用保険法施行規則を改正することについて御審議をいただいたものでございます。
それから、2つ目の○、雇用調整助成金に係るコロナ特例の効果検証結果につきましては、コロナ禍における雇用調整助成金の特例につきまして、JILPT、所管の独立行政法人が独自に行った効果検証調査の結果について御報告をしたものでございます。
3つ目の○、将来を見据えたハローワークにおけるAI活用については、ハローワークにおける今後のAIの活用方針について御報告をしたものでございます。
令和7年度におきましては、ハローワークの窓口職員向けのより効果的なマッチング支援の実現のための実証事業を9月から開始しておりますほか、令和7年度から8年度にかけまして、ハローワークインターネットサービスの利用者からの求職活動の進め方などの質問に対して、チャットボットによる応答などを行う実証事業を実施する予定といたしております。これら実証事業の結果を踏まえて、ハローワークにおけるAI活用の在り方について、引き続き検討をしていきたいと考えております。
1つ飛ばしまして、5つ目の○の令和6年能登半島地震等後の石川県内事業所における出向・休業の状況につきましては、能登半島地震における雇用調整助成金の特例による休業支援、それから在職型出向の活用状況について御報告をしたものです。能登半島地域における今後の雇用対策の在り方につきましては、今後、職業安定分科会で御審議をいただきたいと考えております。
その他の議題につきましては、参考資料2-2の別紙4、6、それから7に内容を記載しております。
職業安定分科会、それから障害者雇用分科会における2024年度の評価、それから2025年度の目標設定につきましては、別紙8に具体的な数値状況、評価の動向などを記載させていただいております。お時間のあるときにまた御参照いただければと存じます。
以上でございます。
○田中雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等分科会関係につきまして御説明させていただきます。
まず、資料4の法案のほうから御説明をさせていただこうと思います。
2つありますが、下のほうの労働施策の総合的な推進の関係の法律案でございますが、3月11日に国会に提出をいたしまして、衆議院でカスタマーハラスメント対策についての例示の追加といった若干の修正がございまして、6月4日に成立、法律は6月11日に公布をしております。
現在、雇用環境・均等分科会では、資料3に戻っていただきまして、12ページですけれども、この法律が成立をいたしましたので、この法律の施行につきまして、各種指針、省令といったようなことの議論を行っております。
資料3の2番目の○になりますけれども、このほか年収130万円の壁への対応の当面の間の措置といたしまして、キャリアアップ助成金に短時間労働者労働時間延長支援コースを新設いたしておりますので、この省令案の諮問を行い、おおむね妥当との答申をいただいております。
13ページに行っていただきまして、同一労働同一賃金部会です。
3つ目の○になりますけれども、働き方改革関連法における施行5年後の見直しの検討規定に基づきまして、同一労働同一賃金に関する必要な制度の見直しについて御議論を進めていただいているところでございまして、引き続き御審議をいただく予定となってございます。
以上でございます。
○宮本人材開発統括官 続きまして、人材開発統括官でございます。
資料3の14ページに基づきまして、人材開発統括官所管の分科会等における審議状況について御説明いたします。
以下、人材開発分科会についてでございますけれども、まず、1つ目の○は2024年度の目標に対する実績評価及び2025年度の目標設定を御報告したものでございます。
2つ目の○でございますが、こちらは今後の人材開発政策の在り方に関する研究会にて取りまとめました報告書を御報告したものでございます。
次に3つ目の○でございますが、我が国の愛知県で開催されます2028年技能五輪国際大会の組織委員会の設立について御報告をしたものでございます。
4つ目の○についてでございます。本年度末に終期を迎える職業能力開発基本計画及び青少年雇用対策基本方針につきまして、次期計画等の策定に向けた議論を開始するため、現行の第11次職業能力開発基本計画の実施状況のフォローアップについて御報告をしたものでございます。
最後、5つ目の○でございますが、監理団体審査部会におきまして、技能実習制度の監理団体の許可申請について、定期的に御議論いただいたものでございます。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を頂戴したいと存じます。前回同様、今回も一通り委員の皆様から御意見を伺った後に、事務局からまとめて御回答いただくという形で進めていきたいと存じます。
それでは、御意見のある方は御自身の名前の札を立てていただきたいと存じます。また、オンラインで御出席の方々で御意見がある方は、挙手のボタンを押していただくようお願いいたします。
それでは、清水委員からお願いいたします。
○清水委員 資料3の最初の3ページ、労働基準関係法制の見直しについて発言をいたします。
自動車運転者、医師、建設業で働く者も対象とした働き方改革がスタートして1年半が経過をいたしました。長時間・過重労働対策や雇用形態間の不合理な格差の是正など、一定の成果が得られていると思いますが、労使をはじめ、社会全体で取り組んできた過労死あるいは過労自死ゼロの達成は、いまだ実現されておらず、職場への定着も十分に進んだとはなかなか言えない実態であるということをまず御指摘したい。
そうした現状にある中で、労働条件分科会で働き方改革関連法の施行5年後の検討規定を踏まえて、労働基準法などの見直し論議が進められています。労働側としては、職場の実態を踏まえて、時間外の労働時間等の上限規制について、段階的な引下げなど真に働く者のための働き方改革が加速するよう、実効性を高める法改正を求めたいと思っています。
一方で、使用者側からは、過半数労働組合などとの合意で、裁量労働制の対象業務を大きく拡大できるようにすべきという意見が出されています。さらには長時間労働を容認・促進するような政策提言などがなされていたり、過労死ラインである現行の上限規制すらも緩和を求める意見が見られ、労働側としては非常に懸念をしています。
これらは、過労死等のゼロの取組に逆行するものです。5年前に働き方改革がなぜ不退転の決意で行われたのかということを、労政審としても委員の皆さんに再度確認をいただきたいと思います。
働き方改革を契機とする制度の見直しにおいては、連続の勤務日数の規制、過半数代表者の運用の適正化、勤務間インターバルの義務化など、働き方改革の一層の定着を促す方向での法改正を見据えた前向きな議論に注力すべきだと思っています。働く者全体の安心・安全の拡充につながるものとしていただきたいということを労働側として強く申し上げておきたいと思います。
私からの意見は以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の野村委員、よろしくお願いいたします。
○野村委員 全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私のほうからは2点、意見を申し上げます。
1点目は、令和8年度予算概算要求における賃上げ支援についてです。ここ数年間の最低賃金の大幅引上げが中小企業・小規模事業者に大きな影響を及ぼしていることは明らかであります。負担に耐えられずに事業縮小や設備投資の見直しなどを行うことにならないよう、中小企業・小規模事業者に対する価格転嫁の推進と、生産性向上に向けた政府の支援策は必要不可欠であります。
令和8年度厚生労働省予算概算要求のポイントには、全国津々浦々で物価上昇に負けない賃上げを早急に実現・定着させるため、中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画に集中的に取り組むと記載されております。しかしながら、賃上げ支援についての概算要求額は、非正規雇用労働者への支援との合算において、昨年度から僅か19億円増の2022億円となっております。この規模では十分と言えないと思います。中小企業・小規模事業者が最低賃金、賃金引上げに十分に対応できる環境となるように、「賃上げ」支援助成金パッケージのほか、具体的な施策を早急に示して取り組んでいただきますよう、切にお願いいたします。
2点目は働き方改革についてです。新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025の改訂版には、働き方改革関連法施行後5年の総点検を行い、働き方の実態とニーズを踏まえた労働基準法制の見直しについて、労働政策審議会で検討すると記載されております。
前回の本会議におきましても私のほうから、令和元年施行の働き方改革関連法で定められた労働時間の上限規制により、中小企業においても働き方が変化してきた一方で、成長意欲の高い人やさらに経験を積みたいと考えている人が希望する働き方ができなくなっている側面も生じており、恒常的な人手不足の要因の一つになっているとの意見もあるので、労働時間の上限規制の効果検証と必要な改善策の御検討をお願いしたいところであります。
既に労働条件分科会において活発な議論が行われているようですが、改めて、労働時間の上限規制が中小企業・小規模事業者の恒常的な人手不足へ与える影響と、また、様々な業界事情や個々の職種の労働者の実態に即した内容となっていたのか、十分に検証し、必要な見直しを行っていただきたいと思います。
そして、より働きたいと考える労働者の柔軟な雇用の促進を図り、中小企業・小規模事業者の人手不足の解消につなげていただくようお願いいたします。
私のほうからは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、続けてオンラインで御参加の永島委員、お願いいたします。
○永島委員 資料3、8ページ、同一労働同一賃金の実現についてです。
同一労働同一賃金の5年後見直しの議論が進められておりますが、使用者側からは、法改正によってパート・有期・派遣で働く者の処遇改善は進んでいるため、見直しは不要という意見が呈されています。確かに労働組合としても、法改正もテコとしてパート・有期・派遣で働く者の処遇改善の取組を進め、2025年の春季生活闘争では、パート・有期雇用で働く者の賃上げが正規雇用の者を上回るなど、成果も出ていることは事実です。
しかし、現状を見れば、フルタイムの有期契約で働く者でも、賃金水準は正規雇用の者の賃金水準の67.4%にとどまっています。また、派遣労働者についても、法改正後も半数近くの者の待遇が変わらないというデータもございます。
さらに賃金面だけではなく、連合の労働相談には、契約社員と正規雇用ではなぜ諸制度、休暇制度なども違うのかといった制度的格差の是正を訴える相談も多く寄せられております。さらに、待遇差に納得できない労働者が意を決して司法救済に訴えても、その差が不合理とまでは言えないと、労働者に厳しい判決も出ている事実がございます。
こうした状況を踏まえると、どのような働き方であっても公正な処遇を受けられるようにするという同一労働同一賃金の目的達成は道半ばと言わざるを得ません。最低賃金も上昇局面にあることも含めて、賃上げの動きが定着しつつある中、雇用形態間の格差の問題を放置すべきではないと考えます。今こそ不合理性の立証責任の転換や待遇者の説明義務の強化といった抜本的な規制強化を行い、パート・有期・派遣で働く者の待遇改善の動きを強力に進めるべきであると考えます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、長澤委員、お願いをいたします。
○長澤委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料2の7ページにあります労働移動の円滑化と、8ページの多様な人材の活躍促進について申し上げたいと思います。
経団連は近年、賃金引上げの力強いモメンタムを継続し、その定着を図るべく、各企業に賃金引上げの積極的な対応を呼びかけております。この流れを我が国全体に波及させ、賃金引上げのモメンタム定着を確実なものとするためには、その原資の安定的な確保に向けて、成長分野等への労働移動の円滑化を通じた生産性の向上が不可欠と考えます。
政府におかれましては、労働移動推進型の雇用のセーフティーネットへの移行を加速するとともに、AIとデジタル技術を活用した雇用のマッチング機能の強化・高度化を図り、労働移動の円滑化に適した環境整備に引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
また、人口減少が進行する我が国において、生産性の向上を安定的に実現するためには、外国人や女性、若年者、高齢者、障害者、有期雇用労働者など、多様な人材の労働参加率を高めて、労働力の量を確保するとともに、能力開発とスキルアップを通じて労働力の質を高める必要があります。
政府におかれましては、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランス施策、リ・スキリングを含む人材育成に積極的に取り組む企業への支援策のさらなる充実をお願いいたしたいと思います。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加の安河内委員、お願いいたします。
○安河内委員 ありがとうございます。安河内でございます。
私のほうからは、2点についてお話をさせていただきたいと思います。
まずは外国人労働者の権利の保護・強化について。2027年に育成就労制度の施行が予定されております。改正法の施行により、外国人技能実習機構は外国人育成就労機構に改組され、技能実習制度に係る業務に加え、育成就労制度への対応が必要となります。両制度を適正に運用するためには、機構による実習実施者や監理団体への実地検査など、監督指導や外国人労働者の相談支援は不可欠であり、機構の機能・役割はこれまで以上に大きくなります。
私どもJAMでは、ミャンマー出身の方を中心に労働相談を受けておりますが、毎月100件を超える相談が寄せられており、それらは賃金未払いやセクハラ・パワハラなど多岐にわたっています。相談内容を一つ一つ見ると、日本人が日本人に対しては決して行わないようなセクハラ・パワハラ、賃金未払いがあり、背景には、アジア人に対する日本人の差別意識があるのではないかと思わざるを得ません。こうした状況から見ても相談支援は不可欠ですので、さらなる強化をお願いしたいと思います。
令和8年度予算概算要求において、外国人技能実習機構交付金は増額されています。ビジネスと人権の観点も踏まえ、政府一体となって必要な体制を整備するためにも、制度所管省庁だけでなく、受入分野の業所管省庁も巻き込んで、必要な予算を確保するような対応が必要ではないかと考えています。
また、政府は2025年7月15日に「外国人との秩序ある共生社会推進室」を設置し、各種制度や運用の見直しなどに取り組むとしています。さきの参議院選挙においても、外国人への差別や排除するかのような意見が一部ございましたが、日本国籍の有無にかかわらず全ての人々が健康で文化的な生活を送るためには、包摂的な社会の実現が不可欠であり、そのためにも外国人政策に対する国民的な議論が必要ではないかと考えています。
共生社会の実現に向けて、日本語教育の充実や日本の各種制度・生活ルールの周知など、厚労省だけでなく、政府横断的な取組を実施していただくとともに、地域における対策について、措置を講じていただきたいと思っております。
2点目は、先ほど時間外労働等の上限規制の緩和についての御発言がありました。現在の時間外労働等の上限規制は、過労死ラインの水準であり、その緩和は労働者の命と健康を脅かすものです。過労死ラインは、様々な悲惨な事例の上に設けられた基準であり、緩和は言語道断です。
また、男性の家庭を顧みない長時間労働がこの国の人口減少を加速させたという事実を見ても、たとえ上限規制を超えない範囲内であっても、長時間労働を奨励するような見直しは行うべきではないことも強調しておきたいと思います。
2017年の労使合意を踏まえ、過労死・過労自殺ゼロに向けて、労働時間の短縮などの取組を進めるとともに、実効性を一層進めるための制度の見直しこそ進めるべきであると考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、会場から内田委員、お願いいたします。
○内田委員 ありがとうございます。
私からは、資料2の7ページ、リ・スキリングに関して申し上げます。
経団連は近年、人への投資を推進する観点から、賃金引上げとともに、総合的な処遇改善とリ・スキリング等による人材育成の積極的な検討と実行を呼びかけております。各企業においては、競争力強化と生産性向上に必要な知識やスキルなどを社員に習得させるべく、リ・スキリングを通じた人材育成に取り組んでいると承知をしております。
こうした中で、昨年成立いたしました改正雇用保険法において、教育訓練給付の給付率引上げに加え、教育訓練休暇給付が創設されるなど、働き手個人への直接的な支援を拡充されたことは非常に有益と考えております。教育訓練給付の給付率が引き上げられてちょうど1年が経過をいたしました。政府には、引き続き周知と給付率の引上げによる効果検証を行っていただきたいと思います。
他方で、働き手が企業の休暇制度を利用してリ・スキリング等を行った場合に支給される教育訓練休暇給付は、この10月1日から施行されたと承知しております。この新制度を多くの働き手が活用し、リ・スキリングの機会を得て能力開発・スキルアップを実現することが重要です。そのためには、働き手による自発的な意思に加え、企業側の対応が不可欠となります。経団連は改正法成立以降、会員企業にこの新制度の周知とともに、教育訓練休暇制度の創設・拡充を呼びかけてまいりました。政府におかれましては、引き続きの周知に加え、今後は好事例の収集と横展開に努めていただきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、中川委員、お願いをいたします。
○中川委員 ありがとうございます。中川です。
私のほうからは、参考資料1の92ページ、地域別最低賃金、業務改善助成金について発言をさせていただきます。
2025年度の地域別最低賃金額は、目安制度の運用開始以来、初めてCランクの目安額がA、Bランクを上回り、格差是正に向け、中央最低賃金審議会としての強いメッセージが発せられたと思っております。地方最低賃金審議会における審議の結果、全国加重平均は1,121円、引き上げ率は6.3%、47都道府県全てで1,000円を突破し、連合が掲げてきた誰でも時給1,000円を達成、今後も地域間格差の是正を進めながら、連合の中期目標である一般労働者の賃金中央値の6割水準を目指し、さらなる引上げを図ることが大変重要だと思っております。
今年の中賃では、最低賃金の近傍で働く労働者の生活の実態、実感、の改善を最大の論点として、データに基づいて公労使による真摯な議論を積み重ね、取りまとめられました。地域別最低賃金の引上げについては、最低賃金法に基づき、公労使三者構成の法定プロセスで決めるべきであると思っております。
その上で、業務改善助成金の活用・拡充が非常に重要になってきます。2023年度から継続的に支給件数が2022年度は5,672件、2023年度は1万3400件、2024年度は1万7616件と年々増加しており、今後も最低賃金を継続的に引き上げていくためには、助成金などによる中小企業・小規模事業者の皆様方への支援策が最大に重要であると考えます。
2026年度の概算要求額では、前年度の当初予算額15億円に対して、35億円となっているものの、前年度は297億円の補正予算実績となっています。この間、予算の大半を補正予算で手当てする対応が継続していることを踏まえ、しっかりと当初予算で確保すべきであると考えております。
業務改善助成金は、拡充されています。宮崎県では、9月29日、9月定例宮崎県議会本会議で、議員発議の意見書を可決しました。最低賃金引上げに伴う中小企業などへの支援拡充を国に求める議員発議の意見書です。宮崎県の市町村では、自治体ホームページに業務改善助成金の紹介をしております。ぜひとも国の責任として、さらなる支援・後押しを講じていただきますよう、強く要望いたします。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の村上委員、お願いをいたします。
○村上委員 それでは、村上より、資料3の13ページ、同一労働同一賃金の施行5年後見直しについて申し上げます。
働き方改革関連法により、同一労働同一賃金に関する法制度が施行されて以来、企業労使は真摯に話し合い、有期雇用等労働者の待遇改善に取り組んでまいりました。各社の状況に応じて、基本給や賞与、手当、休暇などの拡充・新設が行われ、その結果として、雇用形態間の賃金格差は現在縮小傾向にございます。
弊社でも、契約社員の待遇改善に向けまして、社内外の類似業務の水準と比較しての報酬の見直し、適正化、あるいは正社員登用の機会の提供等に取り組んでおるところでございます。とはいえ、格差是正は道半ばでありまして、今後、有期雇用等労働者の活躍を一層推進していくためには、待遇改善の動きを着実に継続させていくことが欠かせません。
今回の見直しに当たって、まず法的安全性の観点などから、現行法の枠組みは維持すべきであると考えております。その上で、説明義務の運用改善や、近年の最高裁判例等を踏まえたガイドラインの記載の充実などにより、労使コミュニケーションを改めて促しまして、これによってさらなる待遇改善につなげていくことが適切であると、このように考えております。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、会場から北野委員にお願いをしたいと思います。
○北野委員 ありがとうございます。
2点について意見を申し上げたいと思います。
まず1点目、今春の国会で成立した社会保険労務士法の改正法について申し上げたいと思います。
今般の改正は、社労士の業務範囲の明確化を主眼とする改正であったと認識しておりますが、助成金の不正受給、さらには不当労働行為といった問題が生じているような現状を踏まえれば、そうした行動までも「労務監査」として正当化されたり、さらには労働審判への出席によって、審判実務に混乱が生じる懸念が拭い切れないと思っております。
これらの課題払拭に向けては、厚労省としても、社労士業務の品質保持、さらには能力担保、例えば社労士試験における労働組合法の科目化などの方策を講じることと、問題事例への指導や懲戒などの措置を講じるべきだと考えております。その上で、社労士業務の現場に与える影響を踏まえれば、社労士法の改正に当たっては、労政審の議を得るべきだと、強く申し上げておきたいと思います。
それから、2つ目、労災保険制度の見直しについてです。労災保険法は近年、制度全体の検証などが行われず、その結果として、制度がフリーランスの増加、共働き世帯の増加といった環境変化に対応し切れていないという問題意識を持っています。
現在、労災保険部会で、労災保険制度の見直しに向けた議論が進められているところですが、フリーランスを含む特別加入制度の適正化、さらには遺族補償年金の夫婦間の要件の差の解消など、セーフティーネット機能の強化の観点から見直しを行うべきであるということを申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場から小松委員、お願いをいたします。
○小松委員 ありがとうございます。
私からは2点申し上げます。
1点目は、令和8年度予算概算要求から、人材育成、多様な働き方について申し上げます。深刻な人手不足は、中小企業にとって最大かつ共通の課題となっております。その中で、デジタル化などによる省力化、人材育成、多様な人材の活躍に徹底して取り組み、少人数でも事業を継続・成長させていくことが不可欠です。今年度の概算要求において、労働者の能力向上に資するリ・スキリング、多様な働き方の実現に向けた環境整備に重点措置をいただいており、まずもって感謝申し上げます。
その上で、リ・スキリングにつきましては、労働移動の円滑化という観点だけではなく、在職者の能力開発・強化にも資する取組として、教育訓練給付など各施策の推進をお願いしたいと存じます。
多様な働き方につきましては、現在、総点検が進められております働き方改革関連法の効果や課題を踏まえながら、各業界・企業の現場実態に即した形で支援を進めていただきますようお願い申し上げます。
2点目は、令和7年5月8日に成立した労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律におけるストレスチェック制度の50人未満の中小企業への実施義務化について申し上げます。
中小企業にとっても、従業員のメンタルヘルス対策は喫緊の課題であり、重要な経営課題の一つと認識をしております。他方、中小企業には、産業医を選任していない企業も多く、これまでストレスチェック制度が実施されてきた企業とは、環境、人的リソースにおいて大きな隔たりがあり、プライバシー確保の視点からも、現行制度をそのまま50人未満の中小企業へ過大適用することは困難であると考えます。
従業員10名以下のような小規模事業者も含む中小企業の実態を念頭に、シンプルで実効性のある仕組みを構築いただくよう、引き続き検討会にて議論を行っていただきますようお願い申し上げます。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の堀谷委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○堀谷委員 JEC連合の堀谷です。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、倒産・事業再編時における労働債権および労働者の保護強化について意見をさせていただきます。
今年、譲渡担保契約等に関する法律が成立し、譲渡担保権等に関するルールが明確化され、集合財産譲渡担保権の場合については、労働債権などの保護につながるルールが整備されたものの、倒産時全般における労働債権保護の実効性の課題は残されたままです。倒産時の労働債権に関する実態について、法務省と連携し調査等を実施した上で、厚労省としても、労働債権保護の強化に向けて検討する場を早急に設けていただきたいと思います。
また、現在、組織再編部会において、組織再編時の労働者保護について検討が進められていますが、特に事業譲渡においては、雇用や労働協約が承継されないなどの課題が残されています。現在の指針だけでは、労働者保護の実効性が確保されていないことから、法的ルールを早急に整備すべきと考えます。加えて、あらゆる組織再編のパターンを念頭において、使用者責任の明確化を図るとともに、労働組合等へ事前の情報提供や協議等のルールを課すべきと考えます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、小山田委員、よろしくお願いします。
○小山田委員 ありがとうございます。
それでは、私から2点、御意見を申し上げたいと思います。
1点目は、資料2、7ページの賃上げ支援、最低賃金についてです。御案内のとおり、中小企業の約6割が業績が厳しい中で賃上げを行わざるを得ないという、いわゆる防衛的賃上げを行っている状況であり、なかなか賃上げを実施することができない企業も一定数ございます。
最低賃金については、全国加重平均で6.3%、66円の引き上げが行われ、これは春闘の結果も上回っており、中小企業・小規模事業者の支払能力を踏まえますと極めて厳しい状況です。
賃金の引上げというのは非常に重要であり、成長戦略の一つの要だと思います。物価上昇に負けない賃上げを早急に実現するという記載については、そのとおりだと思いますが、物価上昇に負けないということは、物価上昇以上の生産性の上昇を伴っていることが重要です。賃金と物価の好循環か、悪循環か、今まさに岐路に立っていると思います。
様々な御指摘がございましたが、賃金向上推進5か年計画は極めて大事だと思います。具体的に2029年までにそれぞれの業種で何%生産性を引き上げるかが明示されていますが、本当に生産性の向上が実現できているかどうか、2029年に向けてしっかりトレースをしていかなければならないと思います。政府を挙げて取り組んでいると思いますけれども、厚労省におかれましては、最低賃金制度を所管する省庁として、本プランが実績を上げられるよう、イニシアチブを発揮していただき、フォローしていただきたいと思います。
例えば来年、生産性がどこまで改善したのか、業務改善助成金の効果がどうであったのかを紐づけていただきたいと思います。先ほど中川委員、それから野村委員からも御意見がありましたけれども、金額がこれで十分なのか、本当に効果を上げているのか、現在、1万7000件の中小企業が利用しているということですが、これは本来、対象者がどのくらいあるのか、その中で実績がどう上がっているのか、それぞれ見える化しなければ、賃上げと生産性の上昇が目に見えてこないと思います。下手をするとコストプッシュインフレのような悪循環に入る可能性もあり、極めて重要な点ですので、ぜひフォローのほどよろしくお願いしたいと思います。
実際、中小企業や小規模事業者の実態を聞きますと、最低賃金を上げるために、賃金カーブを寝かしてしまう、ほかの従業員の賃金をなかなか上げられない、あるいは設備投資そのものを削減しなければいけないといった声が聞こえてきますが、これでは矛盾しています。本来、生産性を上げるために設備投資しなければいけないのに、それがなかなかできないという実態もあるということを踏まえた対応が必要ではないかと思います。
2点目は、8ページにある、中小企業の人材確保、多様な人材の活躍促進、職場環境の改善、多様な働き方についてです。中小企業もこれらを実践していかなければなりませんが、正直言って中小企業というのは人事部もなく、あるいは人事担当者もいない企業が非常に多いです。前回の労政審でも申し上げましたが、地域が様々な支援機関が共創して中小企業をバックアップしていくようなプラットフォームや、地域が共創して人材を育成していく、あるいはマッチングをしていくプラットフォームをつくる必要があるのではないか、という考えのもと、東京商工会議所・日本商工会議所では、レポート「「少数精鋭」×「地域共創」で人手不足を乗り越える(これからの労働政策に関する懇談会 最終レポート)」を今回とりまとめました。ハローワーク、ポリテクセンター、働き方改革センター等の機関と、プラットフォームの構築に関して一緒に取り組ませていただければ大変ありがたく思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場で山中委員、お願いいたします。
○山中委員 ありがとうございます。電機連合の山中です。
私からは、人材育成、人への投資について発言をさせていただきたいと思います。
まず人材育成につきましては、企業規模や雇用形態、障害の有無などにかかわりなく、全ての労働者に幅広く実施されることが重要です。令和8年度の概算要求では、非正規雇用で働く者が働きながら学びやすい職業訓練の本格実施など、これまで機会が少なかった非正規雇用で働く者へのオンラインを活用した支援強化が図られる内容であり、望ましい方向だと考えております。
また、次年度以降5年間の第12次能力開発基本計画の策定を見据えた研究会報告書が7月に取りまとめられました。報告書では、企業における人材開発の促進は、離職防止や人材獲得に資することが示されたほか、配置転換や処遇への反映といった周辺の仕組みの連動が有効とされております。また、スキル向上の機会が少ない非正規雇用労働者なども含めて育成を進めることに言及されていました。
労働者が安心して働き、能力を十分に発揮することはもとより、企業の持続的成長にもつながるよう、キャリア形成や能力開発について、個人任せとするのではなく、企業が責任を持って取り組むことが不可欠であり、国としても、そうした企業の取組を後押しする支援策を維持・拡充していただきたいと思います。
現在、大手企業を中心に、キャリア形成支援の取組が進められていると思います。個別労使において労使協議を積み重ね、スキルの適切な評価と処遇改善の仕組みを整えるとともに、非正規雇用で働く者も含めた長時間労働の是正や休暇制度導入による時間の確保など、能力開発に取り組みやすい環境整備を進める必要があります。今後の人材開発政策におきましては、これらの視点を踏まえて取組を進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、西周委員、お願いをいたします。
○西周委員 ありがとうございます。
私からは、資料3の5ページ、職場における熱中症対策の強化に関連して発言いたします。
近年、熱中症による深刻な労働災害が発生している状況を踏まえ、本年6月、企業に熱中症対策を義務づける改正省令が施行されました。経団連では、その重要性に鑑み、熱中症対策に関する緊急セミナーを開催し、義務化の内容の周知徹底と適切な対応を呼びかけてきました。
今後は、新たな検討会が設置され、効果的な熱中症の予防策とさらなる措置義務について検討されると聞いております。予防の取組が一層広まることを期待する一方で、拙速な義務化についての懸念もあります。特に今年6月の義務化は、異常な暑さを背景にやむを得なかったとは思いますが、3か月という極めて短期間で罰則つきの義務化が決まりました。弊社でも急ぎ対応しておりますが、自助努力が届かない領域があることも痛感しております。例えば夏場の急性の熱中症患者が激増する時期でも、全国どこでも熱中症患者の搬送がちゅうちょなく迅速にできるだけの救急病院の受入体制整備と、救急車と救急隊の数の確保がなされればと切に願うところでございます。
今後の検討会においては、熱中症による災害状況、事業場の対応状況などのエビデンスに基づき、真に効果があり、現場からの理解・協力が得られる対策が検討されることを強く期待いたします。企業によっては、共に事業に携わっている取引先事業者の従業員や個人事業主の熱中症対策を直接行ったり、間接的に支援したりするような、よりレベルの高い取組をされていますが、そのような取組も含めて、企業の熱中症対策に対して、規制だけでなく助成金の交付、利子補給、税制優遇など、支援措置も御検討いただければと存じます。経済界としても、引き続き取組を進め、熱中症による災害の防止に努めてまいります。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、成田委員、お願いいたします。
○成田委員 成田でございます。
私からは、ハラスメント対策について申し上げたいと思います。本年6月、労働施策総合推進法等の改正により、ハラスメントを行ってはならない旨が明確化され、啓発活動について国の責務を定めたほか、事業主に、カスタマーハラスメント対策、求職者等へのセクシュアルハラスメント対策が義務づけをされました。
特にカスタマーハラスメントについては、業種・業態により対応が異なることから、厚生労働省が主導し、業所管省庁と業界団体が連携しつつ、各事業分野の特性に応じた対応マニュアルの策定・周知等が必要であると考えています。
私たちの職場である物流業界においても、トラックドライバーのアンケートによりますと、荷主企業から受ける事例としては、直前のオーダーの変更、また悪天候時の運行の強要、状況の説明がない長時間の荷待ち、さらには料金を頂けていない荷役の強制などの声もいまだ上がっているのも事実であります。加えて、一般消費者を含む一般のドライバーから受ける事例としては、過剰なクレーム、暴言なり無理な作業の要求、運行者や集配者に対する嫌がらせ、いわゆるあおり運転などがあるのも実態であります。したがって、対応マニュアル等の策定に当たっては、現場をよく知る労働組合も参画することが重要だと考えています。
カスタマーハラスメントは、事業主が雇用する労働者以外の者から受けるハラスメントであり、事業主の取組だけでは防止が難しいことから、国として、消費者や取引先への周知啓発等により、ハラスメントは行ってはならないという規範意識の醸成にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後に、あらゆるハラスメントのない社会実現のために、厚生労働省主導により、関係省庁が連携し、起業家をはじめ、労働者以外の者へのハラスメントへと範囲を広げて対策を講じるとともに、ILOの第190号条約の批准に向けた検討を進めていただきたいと考えています。
以上であります。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場で芳井委員、お願いいたします。
○芳井委員 私からは、資料2の8ページの右にあります多様な働き方の実現に向けた環境整備、仕事と育児・介護の両立支援、ワーク・ライフ・バランスの促進に関連して発言をさせていただきます。
企業各社は、働き方関連法の施行をきっかけに、過重労働の防止などの取組を強化し、結果、長時間労働は確実に減っていると考えています。しかし、働き方改革については、単に労働時間の短縮だけを目的とするような風潮や受け止め方も出ていると感じております。ほかの委員のお話もありましたが、もっと成長したい、もっと働きたいといった若手社員の声にどのように向き合っていくかが、我々は喫緊の大きな課題と考えております。
働き方改革の本質は、社員が、働きがいがある、また働きやすさを感じるといったことを後押しすることになると考えています。当社、大和ハウス工業でも、自立した働き方、生産性の高い働き方を実現するために、フレックスタイム制度やサテライトオフィス、自由に利用できるサードオフィスの創設など、時間と場所にとらわれない働き方を推進しております。
労働条件分科会では、労働時間法制の在り方が様々審議される中、裁量労働制の対象業務の拡大についても議論されていると聞いております。同制度は、適用労働者の約8割が満足し、自立的な働き方を促し、働き手一人一人がその持てる能力を存分に発揮してもらう上で有効な仕組みであると考えています。もちろん働かせたいという改革に誤解されないように、丁寧に向き合うことは当然大事だと思っておりますし、このことが前提で、急激に人口が減少する我が国の経済成長をさせていくためには、多様で柔軟な働き方の選択肢を広げる改革が不可欠です。
企業として、一層の環境整備に取り組んでまいりますので、これを政策的に後押ししていただきますよう、裁量労働制をはじめ、制度の大胆な見直しを強くお願い申し上げたいと思います。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、安達委員、お願いいたします。
○安達委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料にはございませんが、ワークルール教育の推進と退職代行について申し上げたいと思います。
最近は、スポットワークや隙間バイト、フリーランスといった働き方が増えておりますが、現在の労働法制は、そうした働き方をする者に対する保護が不十分であるという課題認識を持っております。例えば連合が1月に公表した調査でも、スポットワークで働く者の半数弱が仕事上で何らかのトラブルを経験したとの結果も出ております。こうした状況を踏まえれば、スポットワークに係る規制の整備や労働者概念の拡大など、現下の状況に即した実効性ある法整備が必要です。
また、トラブルが生じている背景には、働き手と企業双方の労働法や働くことに関する知識不足の問題も大きいと考えております。ワークルール教育推進に関する法整備も進め、企業や働く者双方の働くことに関する意識と知識の醸成を図るべきであります。
その上で、最近はハラスメントが横行している企業からの退職や、働くことに関する知識が必ずしも十分ではない若者を中心に、退職代行業者を使うケースも少なくありません。民間企業調査では、退職代行の利用割合は16.6%に上るとの結果もあります。そうした中で、代行業者が介在することで、例えば代行業者が有給休暇の買取りを会社側と交渉したことにより、かえって退職条件がこじれてしまうなどのトラブルも生じていると聞いております。そもそも退職条件の交渉などは、労働組合による交渉または弁護士の代理業務の範疇であり、非弁行為に該当する可能性もあります。退職代行の問題については、厚生労働省としてもまずは実態把握をしていただき、必要に応じて規制整備などを検討いただきたく要望いたします。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
この後は、則松委員、そして藤原委員という順番でお願いしたいと思います。
では、則松委員、どうぞ。
○則松委員 ありがとうございます。
私からは、資料2の9ページにあります雇用の分野における女性活躍推進に関わって発言をします。
女性活躍推進法は、期限を10年間延長した上で、実効性の向上を図る、そして取組のさらなる推進を図るために改正されたと認識しております。国会審議においては、企業規模にかかわらず全ての企業への男女間賃金差異の公表義務化や、男女間賃金差異が一定以上の企業への原因分析及び是正計画の策定、公表義務化を含めた実効的な対策も重要である旨、附帯決議に示されております。
今回の改正で、常時雇用する労働者の数が101人以上の企業に、男女間賃金格差、女性管理職比率、これらの状況把握、分析、公表が義務づけられることから、状況把握、分析の結果を踏まえた行動計画を策定し、数値の公表にとどまらず、改善に向けた具体的な取組を推進することが重要となります。
そのためには、企業に対して一連の取組を促すとともに、アドバイザーによる企業向けのコンサルティング強化、情報公表、取組の一覧化のための企業データベースでの情報公開を積極的に促すことなども必要となります。厚生労働省におかれましては、全ての企業に対し積極的な取組を促すとともに、支援をお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 2点申し上げます。
1点目は、先ほど堀谷委員から御発言があった点について申し上げます。組織再編につきましては、事業の最適化や企業価値の向上を図るために活発に行われておりますが、事業譲渡などにつきましては、財務状況の悪化を背景にして、事業を存続、再生させる目的で行われる場合が非常に多くございます。過度なルールや画一的なルールを設けてしまいますと、そもそもスポンサー企業の成り手が現れにくくなりまして、かえって労働者の保護に欠ける懸念もあると考えております。
円滑な組織再編の実現には、労使の丁寧なコミュニケーションが重要ですが、その手法については、好事例の横展開などによる促進策も含めまして、実務に即した検討が進むよう期待いたします。
2点目は、先ほど中川委員が触れられました最低賃金についてでございます。今年の春の労働政策審議会におきまして、岸本局長から、現行の最低賃金決定プロセスの骨格は堅持するというお言葉がございました。その後、中央最低賃金審議会での審議の過程では、大変な横風が吹いていたのではないかという報道が随分されておりまして、御苦労がかなりあったのではないかと思います。目安小委員会も、例年にない回数を重ねたと伺っております。
そうした横風が激しい中で、最低賃金決定プロセス、公労使による真摯な議論が行われて、非常に適切な結論を出していただいたと思っております。中央最低賃金審議会の委員の皆様には大変な敬意を表したいと思いますし、それをお支えいただいた岸本局長には感謝を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、各委員からいただいた御意見につきまして、事務局から回答をお願いしたいと思います。時間も押しておりますので、回答のほうは簡潔にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、労働基準局長からということで、よろしくお願いいたします。
○岸本労働基準局長 労働基準局でございます。
数々の御意見、御指摘を賜りまして、ありがとうございます。
時間の制約もございますので、幾つかの類似のテーマに関する御意見について、まとめてお答えする部分がありますことをお許しください。
まず、清水委員、野村委員、安河内委員、芳井委員から、働き方改革や労働時間制度、労働基準法制全般について御意見をいただきました。働き方改革につきましては、その趣旨が平成29年の働き方改革実行計画に一定整理をされておりますとおり、生産年齢人口減少という日本社会の条件の下で、誰もが働きやすい労働環境を整えることによって、女性や高齢者など多様な人材が職場に参加していただくことをより促す、こういった意図を持って行ったものと承知をしております。
働き方改革関連法施行後5年が経過いたしまして、週60時間以上労働者の割合の低下ですとか、女性や高齢者の労働参加の拡大といった傾向が見られる一方で、精神障害関係事案の増加もありまして、過労死等の件数が高止まっていることですとか、また人手不足との関係など、様々な御意見、御指摘をいただいているものと承知をしております。そうした中で、健康やワーク・ライフ・バランス、人手不足との関係、多様で柔軟な働き方へのニーズなど、様々な観点から議論が必要と考えております。
労働条件分科会におきましては、施行から5年が経過したことから、本年1月から、労働基準関係法制の課題について議論を行っていただいております。御指摘の時間外労働の上限規制、裁量労働制、連続勤務日数規制、インターバル規制、過半数代表の適正化など、幅広く御議論いただいております。
なお、裁量労働制につきましては、専門業務型の対象業務の追加などの改正が令和6年4月から施行されております。この改正内容の周知、また適切な運用のための必要な監督指導などを行ってまいりたいと考えております。
さらに、政府の骨太方針等では、働き方改革関連法施行後5年の総点検を行うということが盛り込まれました。これを受けまして、労働者の労働時間に関するニーズや、企業、労働者の上限規制の対応状況、課題認識などについて把握するための調査を現在実施しているところでございます。その結果については、関係分科会にも御報告をして、御意見をいただきたいと考えております。引き続き、労使それぞれのお立場から、労働時間法制、労働基準法制について、職場の実情も踏まえた御議論をお願いしたいと考えております。
次に、最低賃金に関してでございます。最低賃金に関しまして、野村委員、中川委員、小山田委員、藤原委員から、最低賃金引上げに関する支援策の問題ですとか、決定プロセスの問題などについて御指摘をいただきました。
まず支援策のほうについて申し上げます。厚生労働省では従来から、業務改善助成金を柱として、最賃引上げに対応いただく中小企業・小規模事業者の支援に取り組んでまいりましたが、今年度から「賃上げ」支援助成金パッケージというものを取りまとめて、業務改善助成金以外の助成金についても、最賃引上げに対応するための設備投資費用などを見ることができるような制度改正を行って、令和7年度から施行しているところでございます。令和8年度概算要求においても必要な予算を要求しております。
また、府省を超えた横串的な取組についての御指摘もいただきました。本年9月、お名前も挙げていただきました中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の一環として、業務改善助成金の拡充なども行っております。対象事業者の範囲の拡大などを行ったところでありまして、この施行も進めてまいります。
また、対策全体の金額規模でございますが、令和6年度までは専ら業務改善助成金によって対応してまいりました。令和6年度は当初、補正を合わせて約300億円の規模でございましたが、今年度から「賃上げ」支援助成金パッケージということで、業務改善助成金以外の助成金も使っていただけるようにしたことで、全体の金額規模は令和6年度から7年度にかけて大幅に増額をさせていただいたと考えております。
また、業務改善助成金につきましては、毎年度そうなのですが、近年想定を上回るペースで年度当初から御利用いただいておりまして、結果的に年度途中で補正予算で積み増しを行うということが続いております。今後とも、当初予算の確保とともに、実績を見ながら年度途中の対応も含め、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
また、賃上げのためには原資が必要というのはおっしゃるとおりでございます。業務改善助成金などは、設備投資を補助することによりまして労働生産性を高めることを支援するという取組でございますが、それ以外に政府全体として、価格転嫁の推進、事業承継の後押しなど、府省横断的な取組が必要なテーマであると考えております。横串を主として刺していただいているのは内閣官房のほうになりますが、厚労省としても内閣官房と連携しながら、政府全体の取組をきちんとフォローしていきたいと思います。
最低賃金の決定プロセスについても御指摘いただきました。公労使三者構成の最低賃金審議会で、最低賃金法で定める労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力の3要素に基づいて、引上げ額を議論するというのが枠組みでございます。今後ともこの枠組みに則ってまいりたいと考えております。
地域間格差については、今回、中央最低賃金審議会の目安で、Cランクを上げるという目安をいただきました。これもありまして今年度は、最高額に対する最低額の比率は83.4%となりまして、11年連続で地域間格差は改善しているところでございます。
また、フルタイム労働者の賃金の中央値の6割というEUの考え方につきましては、今年度の公益委員見解において日本に当てはめた試算を行っていただきつつ、日欧の制度、雇用慣行に異なる点があることや、比較対象とする賃金の範囲をどうするかといった点について議論があるとされまして、今後の検討課題であるとされたところと承知しておりまして、そのように受け止めているところでございます。
最低賃金は以上でございます。
次に、北野委員から社会保険労務士制度について御指摘をいただきました。社会保険労務士は、中小企業を中心に、労務管理のサポートとして非常に重要な役割を果たしていただいているところでございます。その前提として、当然でございますが関係法令の知識を十分に有し、職業倫理に基づいて公正な業務を行っていただくことが必要です。全国社会保険労務士会連合会において、労働法を体系的に学ぶための研修を行っていただいたり、職業倫理に係る研修を行っていただいております。また、厚労省としても、不正事案等を把握した場合には、事実関係を確認の上、懲戒事由に該当する場合には懲戒処分を行っております。引き続き、全国社会保険労務士会連合会とも連携をしながら、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
なお、社会保険労務士法は歴代、議員立法で制定をされ、議員立法によって改正をされております。これについては国会の御判断でございますが、改正については8月の労働条件分科会に御報告をさせていただいたところでございます。
労災保険制度の見直しについても御指摘をいただきました。御指摘の特別加入制度ですとか、遺族補償年金における男女差の問題の見直しも含めて、現在、労災保険部会において議論を行っていただいているところでありまして、引き続き議論を深めていただきたいと考えております。
小松委員から、ストレスチェック制度について御指摘をいただきました。ストレスチェック制度は、先の通常国会における労働安全衛生法の改正において、施行まで3年の猶予期間を取った上ででございますが、50人未満事業場に義務化をするという改正を行いました。施行までの準備期間の確保と併せまして、この間に無料で面接指導を利用していただける地域産業保健センターの体制整備ですとか、小規模事業場に即した御指摘のプライバシー保護などが図られる実施体制・実施方法についてのマニュアルの整備をこの準備期間で進めていきたいと考えております。
現在、そのマニュアルについては、労使及び有識者による検討会を開催しているところでございまして、ぜひ検討会でこういった議論も深めてまいりまして、実効性のあるものとなるよう、中小企業・小規模事業者の実態にも合ったものとなるようにしてまいりたいと考えております。
堀谷委員、藤原委員から、労働債権、組織再編について御指摘をいただきました。労働債権保護に関しましては、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律において、倒産時に一定額を破産財団に組み入れることなどを通じて、労働債権の保護を図るという仕組みができたものと承知をしております。
その上で、労働債権と他の債権との優先関係については、各種債権の性格なども踏まえた広範な観点からの検討が必要な問題でございまして、現在、法務省において、倒産局面における各債権者の債権の満足の状況等についての実態調査を行うことも検討をしていると承知をしております。そういった動きも踏まえながら、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
組織再編時の労働者保護につきましては、事業再編時の労働者の保護は重要な課題でございますが、一方で、多種多様な形態がある事業再編に関するルールをどのように設定していくか、それが事業再編の円滑化や、それを通じた将来の雇用確保にどういう影響を与えるかといった観点も含めて、両面を見据えた丁寧な検討が課題であると考えております。
現在、組織再編部会におきまして、まずは企業価値担保権の創設を踏まえた事業譲渡等指針の必要な見直しについて議論いただいているところでございますけれども、今後、御指摘の事業再編に伴う労働者保護に関する諸問題について、幅広く御議論をお願いしたいと考えております。
西周委員から、熱中症対策について御指摘いただきました。6月の労働安全衛生規則改正におきましては、熱中症で亡くなる方の大半が、初期症状の放置、対応の遅れによっておりますことを捉えまして、緊急連絡網や初期症状発生時の身体冷却、緊急搬送などの実施手順を作成していただいて、周知をしていただくということをお願いする省令改正をさせていただきました。
私どもとしましては、お金をかけなければいけない措置ではないような措置で、初期症状への対応の遅れに対して何がしかできないかということで、こういった改正をさせていただいたところでありますが、短期間の施行に対して御協力いただいた各職場の労使の皆様には深く感謝をしております。
来年の夏に向けて、エビデンスに基づく熱中症対策の検討についてさらなる検討会の開催を調整しておりますが、ここではこの夏の熱中症による災害状況、あるいは事業場における取組状況なども可能な範囲でお示しをしながら、エビデンスに基づく議論をしてまいりたいと考えております。また、支援策としては、エイジフレンドリー補助金の中で、令和8年度要求で熱中症対応のコースを新設することを現在要求しておりまして、費用の一部の補助について、令和8年度要求をしっかり当局と議論していきたいと考えております。
最後に、安達委員から労働法教育や退職代行サービスについて御指摘をいただきました。労働法教育につきましては、新しい働き方に対応して、例えばスポットワークに関しましては、留意点を示したリーフレットを使用者向け、労働者向けそれぞれ用意をして、7月に発行し、周知を図っているところでございます。
フリーランスに関しましては、昨年11月のフリーランス・事業者間取引適正化等法の施行に合わせて、自らの働き方が労働者に該当するかどうかについての相談窓口を全国の労働基準監督署に設けたところでございます。
まずはこういった取組を推進し、それぞれ適切な労働法の保護を受けられるよう、そういった認識が広まるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
また、ワークルール教育につきましては、漫画形式のハンドブックの動画版、クイズ形式で労働関係法令について学習できるスマートフォンアプリの作成などの取組を進めております。ワークルール教育推進法案については、超党派の議連で検討を進めているところでございまして、その動きを注視してまいりたいと考えております。
退職代行につきましては、御案内のとおり民法上退職に関するルールは契約期間の定めがない場合は、2週間の予告期間を経て、契約期間の定めがある場合は、やむを得ない事由があるときは直ちに退職できるというルールがございまして、退職代行サービスは労働者の退職の意思を本人に代わって伝達するものと承知をしております。退職代行サービスが、そういった範囲を超えたサービスを提供することによってかえって混乱を招いているという事案は報道などで承知をしておりますが、この問題に関しては、弁護士法におきまして、非弁行為の禁止ということで、法整備としては対応されていると考えております。
現時点で御指摘の実態調査は考えてございませんが、全国の総合労働相談コーナーでは、退職に関する職場のトラブルを含めて相談を受け付けておりまして、引き続き丁寧に相談に応じてまいりたいと考えております。
最後に一言申し上げますが、最低賃金の今年度の審議に当たりましては、事務局としても、中央最低賃金審議会、地方最低賃金審議会の公労使の委員の皆様に深く感謝をしている次第でございます。
長くなりましたが以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、続けて職業安定、労働市場政策審議官、よろしくお願いいたします。
○古舘審議官(職業安定、労働市場政策担当) 職業安定局でございます。
私のほうから3点、御説明させていただきます。
まず、長澤委員のほうから労働移動の円滑化について御指摘をいただきました。御指摘いただきましたとおり、持続的な賃上げを実現するためにも、成長分野に円滑な労働移動を進めていくことは重要なことと考えております。
このため、希望される方が主体的、それから安心して労働移動を行うことができるように、まず令和7年4月より、自己都合で退職された方が自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行われた場合に、給付制限を行わずに雇用保険の基本手当を受給するということが可能となっております。また、雇用のマッチング機能の強化のために、ハローワークにおけるAI活用に向けた実証事業の実施でありますとか、職業情報の提供サイト、job tagと称しておりますが、こうしたサイトによる職業情報の充実を通じた労働市場の見える化、こういったことに取り組んでおります。引き続き、そうした取組の着実な実施に努めていきたいと考えております。
それから、内田委員からリ・スキリングについて御指摘をいただいております。先般の改正雇用保険法によりまして、昨年10月から教育訓練給付金の支給率を最大70%から80%に引上げを行っております。引き続き、こうした制度の周知、それからアンケート調査などを通じた効果検証のほうにも取り組んでいきたいと考えております。
また、本年10月から創設いたしました教育訓練休暇給付金につきましては、労働者の方が離職することなく自発的に教育訓練を受けるために休暇を取得された場合に、基本手当に相当する給付として賃金の一定割合を支給するという制度でございます。就業規則などの社内制度に基づいて、教育訓練を受講するための一定の休暇を取得した場合が対象になります。
私どもといたしましては、労働者の方への周知に加え、事業主の皆様への周知も重要であると考えておりまして、就業規則の規定例ですとか、Q&Aなどを記載したパンフレットの作成、あるいは事業主の方向け及び労働者の方向けの動画、リーフレットの作成などを通じて周知をしております。今後は、教育訓練休暇制度を導入された企業様にもヒアリングを行って、事例集を作成するということも検討していきたいと考えております。こうした周知の取組を含めて、制度の円滑な施行を図ってまいりたいと考えております。
最後に、小松委員から人手不足対策、それから小山田委員からも地域の支援機関の連携について御指摘をいただきました。御指摘のとおり、人手不足への支援策の推進に当たっては、自治体あるいは地域の関係機関と連携をしていくことが重要なことと考えております。
私どもでは、地域の雇用問題に対して、各都道府県労働局におきまして、地方公共団体と雇用対策協定というものを締結して、自治体さんとも連携協力しながら、様々な取組を進めております。
また、地域の様々な雇用の課題を解決するために、一つは都道府県のレベルで、経済団体を含めて地域の関係者で構成された協議会を設置いただいて、そうした協議会と連携して取組を進めていただく地域活性化雇用創造プロジェクトというものに取り組んでおります。また、市町村のレベルになりますが、同じく地域の関係者による協議会が主体となって行う自発的な取組をバックアップする地域雇用活性化推進事業というものにも取り組んでおります。
引き続き、私どもといたしましても、地域の関係機関の皆様と連携をして、各地域の特性、課題に応じた取組を推進するとともに、各地域の機関の皆様の取組にも積極的に御協力できればと考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、雇用環境・均等局長、よろしくお願いいたします。
○田中雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局です。
私からは4点、お答えをしたいと思います。
まず1点目が、永島委員、村上委員から御意見を頂戴いたしました同一労働同一賃金の見直し検討についてでございます。同一労働同一賃金部会で現在検討を進めておりますけれども、3月、4月には有識者や労使関係団体等からのヒアリングを行わせていただきました。また、5月以降はパートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法、それから同一労働同一賃金ガイドライン等々の各論点につきまして、各種統計データなども参照しながら御議論をいただいております。いわゆる立証責任、それから待遇差の説明義務につきましても、現在、部会で御議論をいただいておるところでございまして、こうした論点も含めまして引き続き各委員の御意見を丁寧にお伺いしながら、非正規雇用労働者の待遇改善につながるよう、検討を進めてまいりたいと思います。
2点目、長澤委員、それから芳井委員からありました柔軟な働き方、ワーク・ライフ・バランスについてでございます。特に育児期の柔軟な働き方を実現するということで、先般、育児・介護休業法も改正をさせていただきまして、本年4月、それから10月から段階的に施行をしてございます。改正法の着実な施行に取り組んでまいりたいと思います。
また、加えまして、多様な正社員でございますとか、勤務間インターバルや選択的週休3日制の普及促進といった様々な働き方を支援していくということで、シンポジウム、セミナーの開催や好事例の収集、周知のほか、働き方改革推進支援センターと連携をいたしまして、企業への導入支援などを実施してございます。これらの取組によりまして、引き続き、多様で柔軟な働き方、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む企業を支援してまいりたいと考えております。
3点目が、ハラスメントについて成田委員から御意見を頂戴いたしました。カスタマーハラスメント対策を中心として施策の強化をするということで、改正法を成立させていただきまして、今そのために必要なガイドライン、省令等々の議論を雇用環境・均等分科会で行っていただいてございます。特に言及のございましたカスタマーハラスメントですけれども、その対応は業種・業態等によって様々に異なります。ですので、各業界の実態を踏まえた対策を進めるということが非常に重要でございまして、改正法の中でも、各事業分野の特性を踏まえた広報・啓発活動等を行うということを国の責務として定めております。
その具体化として、関係省庁とカスタマーハラスメント対策に係る情報共有を行うということで、関係省庁連携会議も開催をしているところであります。また、業種別対応のマニュアルの策定を促すために、委託事業、総合的ハラスメント防止対策事業におきまして対策マニュアルの策定手順を公開しておりまして、その中では、実態を踏まえるということで、業界団体を中心に、労働組合等の参画を得て検討するというようなこともお示しをしていっております。
労働法制でございますので、起業家等の労働者以外の者へのハラスメントは、労働者を保護することを目的とする現行のハラスメント法制の対象にはなりませんけれども、社会全体でハラスメントが行われることのないような職場づくりが進められていく中で、全体として、そうした社会の実現に向けた取組に資するものになると考えております。
最後に、第190号条約ですけれども、引き続き国内法制との整合性を確保する観点から、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと考えております。
4点目が女性活躍推進法の関係で、則松委員から御意見を頂戴いたしました。則松委員から御指摘のありましたように、国会審議を経て今般成立をしてございまして、今、男女間賃金差異の公表に対して、説明欄のさらなる活用を促すことですとか、女性の活躍推進企業データベースの利用が最も適切であることを示すこと等々につきまして、これも雇用環境・均等分科会で御議論をいただいております。
このほかにも事業主の自主的な取組を推進するために、各企業で男女間賃金差異の要因を簡易に分析することのできる男女間賃金差異分析ツールの提供でございますとか、個々の企業の状況に応じたコンサルティングの実施、また、女性の活躍推進企業データベースにおける情報公表の促進などに取り組んでいるところでございます。審議会の議論も含めまして、これらの取組を通じて、引き続き企業における女性活躍推進のための取組を推進していきたいと考えております。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、人材開発統括官、よろしくお願いいたします。
○宮本人材開発統括官 人材開発統括官でございます。
私からは3点、お答えいたします。
まず1点目、長澤委員からリ・スキリングにつきまして御発言をいただきました。リ・スキリングを含みます人材育成に積極的に取り組む企業への支援策といたしましては、人材開発支援助成金によりまして、企業が雇用する労働者に対して職務に関連した職業訓練等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成しているところでございます。また、中小企業等に対しましては、全国のポリテクセンター等におきまして、人材育成に関する相談から、企業の要望に応じたオーダーメイドの職業訓練の提供まで、一貫した支援を実施しているところでございます。引き続き、リ・スキリングを含みます人材育成に積極的に取り組む企業の支援を充実してまいりたいと考えてございます。
続きまして、2点目、安河内委員より外国人労働者につきまして御発言を頂戴いたしました。御指摘のように、外国人技能実習機構を改組して設立します外国人育成就労機構におきましては、新たに育成就労外国人の転籍支援や、特定技能外国人への相談援助業務を行うこととしてございます。「骨太方針2025」におきましても、「外国人育成就労機構を含め必要な体制を整備する」とされたところでございます。制度の円滑な施行に向けまして、労働基準監督署やハローワークとの連携も含めまして、監督指導機能や支援・保護機能を強化しますとともに、必要な体制整備が図られますように、必要な予算確保に努めてまいりたいと考えてございます。
また、分野所管省庁につきましても、労使も御参画いただいている有識者会議におきまして、現在、連携して分野別運用方針を検討しているところでございます。引き続き、育成就労制度の施行に当たりましても、分野別協議会などを通じまして、連携して取り組んでいきたいと考えてございます。
3点目でございます。山中委員より、非正規雇用労働者への支援と今後の人材開発施策の在り方について御発言を頂戴いたしました。
まず非正規雇用労働者でございますけれども、企業規模や雇用形態、障害の有無などにかかわらず、全ての労働者に幅広く人材育成が実施されることは重要であると考えてございます。御指摘のございました非正規雇用労働者などが働きながら学びやすい職業訓練につきましては、本格実施に向けまして、令和8年度予算要求に盛り込んでいるところでございます。
また、今後の人材開発行政でございますけれども、「今後の人材開発施策の在り方に関する研究会」報告におきましては、「企業の人材開発への支援の充実」として、セルフ・キャリアドックの普及促進や企業の人材育成に対する伴走支援、「労働市場でのスキル等の見える化の促進」として、団体等検定や認定社内検定に取り組む企業・団体に対する支援の充実、「個人のキャリア形成と能力開発支援の充実」といたしまして、教育訓練休暇制度の普及に向けた支援などの施策の方向が示されたところでございます。本報告書も踏まえまして、今後、人材開発分科会におきまして、第12次職業能力開発基本計画の策定に向けて議論を行いますとともに、今後の人材開発施策にも反映してまいりたいと考えてございます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、これで最後だと思いますけれども、政策立案総括審議官、よろしくお願いします。
○河野政策立案総括審議官 私からは1点でございます。
安河内委員から、外国人との共生社会実現に向けた政府横断的な取組について御意見をいただきました。
厚生労働省としましては、関係省庁と連携をしながら、本年6月に決定をされました外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策や、委員にも言及いただきましたけれども、7月に内閣官房に設置をされました外国人との秩序ある共生社会推進室における議論に基づきまして、日本人と外国人が互いに尊重し、安全・安心して暮らせる共生社会の実現を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
ただいま各局長などから御回答いただいたところでございますが、委員の皆様、よろしゅうございましょうか。
ありがとうございます。
厚生労働省におかれましては、今後の予算編成や政策立案におきまして、本日、委員の皆様から頂戴しました御意見を踏まえて取り組んでいただければと存じます。
それでは、以上をもちまして本日予定していた議事は全て終了ということになります。最後、委員の皆様のほうから何か御意見、御質問などがあればと思いますけれども、いかがでございましょうか。
それでは、清水委員、どうぞ。
○清水委員 本日、各委員からの御意見を拝聴させていただきました。労働者側と使用者側という立場の違いはありますが、それぞれの立場から5年前の働き方改革の進展の状況や課題、見直すべき点など、多岐にわたった議論であったかと思います。
いずれにしても、施策を進めるためには予算が必要でございますから、概算要求の項目について、労政審での議論も踏まえ要求額を「確保」できるよう、厚生労働省としても国会での予算の審議を丁寧に行っていただきたいと思っています。
連合としては、賃金の引上げについて、この4年間、特に直近2年間は5%を超えて引上げられ、これは真摯な労使交渉によって築かれたものと思っています。最低賃金についても、連合が目指してきた全国誰でも1,000円は達成されたものの様々な課題があるということも御指摘のとおりだと思います。
様々な働き方の労働者が、企業とウィン・ウィンの関係で共に生産性を上げていくことは大事だろうと思っています。働き方の改革が進展すること、賃金が引き上げられることは、生産性の向上にも非常に大きく関わっていくと思っておりますので、賃金の引上げの面でも私たちの主張も大事にしていただきたいと思っています。
そして、産業構造が大きく変わり、一人一人の働き方についても多様化していると言われています。また、ますフリーランスとして働く方の課題や、参院選や党の総裁選などでも話題になりましたが、外国人労働者への対応をどうしていくかも大きな課題であると思っています。例えばフリーランスについては、1985年以来、長らく労働者性について議論されていなかったということがあります。そうした労政審での議論を、国会での議論につなげていくことも必要なのではないのかと思っています。
ぜひ日本の社会や経済が持続的にしっかり発展していくために、労使が共に、また行政も入った上で、そして公益委員の皆さんにも御理解いただきながら、すばらしい日本の国にしていくことは大事なのだろうと思っています。
ぜひ厚生労働省にも頑張っていただきたいということを最後に申し上げさせていただきました。
ありがとうございました。
○岩村会長 ほかにはいかがでございましょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日の会議は以上で終了とさせていただきたいと思います。
お忙しい中、今日は御参加いただきまして、大変ありがとうございました。
照会先
政策統括官付政策統括室
調整第一係 内線(7728、7749)
代表: 03-5253-1111



