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- 2025年8月21日 第33回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議
2025年8月21日 第33回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議
日時
令和7年8月21日(木)18:00~20:00
場所
オンライン会議
(オンライン会議場)
厚生労働省 専用第22~24会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2
(オンライン会議場)
厚生労働省 専用第22~24会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2
出席者
出席構成員
- 五十嵐構成員
- 磯部構成員
- 上村構成員
- 小野寺構成員
- 笠貫構成員
- 佐藤構成員
- 宗林構成員
- 髙野構成員
- 富永構成員
- 橋本構成員
- 原構成員
- 平野構成員
- 堀構成員
- 松野構成員
- 間藤構成員
- 宮川構成員
- 宮園構成員
- 宮地構成員
- 湯浅構成員
- 和田構成員
議題
- パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策について
- 候補成分のスイッチOTC化について
- その他
議事
○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第33回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。本日の出欠状況ですけれども、清水構成員、矢口構成員から御欠席との御連絡をいただいております。また、間藤構成員、宮川構成員が遅参されることになってございます。現在、18名の構成員に御出席をいただいてございます。前回、令和7年5月23日開催以降に、日本女性薬剤師会副会長の渡邊美知子構成員が会務御多忙のため退任をされてございます。また、新たに2名の構成員に御参画いただくことになりましたので、御紹介をさせていただきます。日本女性薬剤師会副会長宮地和子構成員でございます。
○宮地構成員 よろしくお願いします。
○事務局 よろしくお願いいたします。また、本日御欠席ですけれども、クオール株式会社薬局事業推進室室長の清水潤構成員にも御参画をいただいてございます。清水構成員御参画の経緯については、後ほど御説明をいたします。宮地構成員、清水構成員、以降、どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、前回開催以降、厚生労働省での人事異動がございまして、医薬局長に、本日欠席ですけれども、宮本が、また、医薬品審査管理課長に、本日遅参しておりますけれども、紀平が着任をしてございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日ですけれども、オンラインの調子が少しよくなく、YouTubeについては現在流れてございません。ですので、本日は録画をさせていただいて、一定期間厚生労働省のサイトに掲載するということで対応させていただきたいと思います。
会議を開始するに当たって、注意事項を御説明いたします。web参加の方が御発言される際は、システム上で挙手をいただきまして、座長に指名されるまでお待ちください。発言の際は、ミュートを解除した上でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いします。また、発言されないときはマイクをミュートにするようお願いします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局まで御連絡をお願いします。会場参加の方が発言される際には、挙手していただきまして、座長の御指名をお待ちいただき、座長の御指名をお待ちください。カメラ撮影のほうは、ここまででお願いいたします。それでは、笠貫座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
○笠貫座長 笠貫です。よろしくお願いします。まず本日の配付資料の確認について、事務局からお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施してございまして、オンライン参加の方は送付済みの電子資料を、会場参加の方はお手元のタブレットで御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付されております。ほかの資料を画面に表示する際は、画面左上のファイルを指で一回軽くタップした上で御覧ください。本日の資料として、ファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料となります。会議資料につきましては、資料1つのPDFファイルとしており、議事次第、配付資料一覧、パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策に関する資料として資料1-1及び資料1-2、候補成分のスイッチOTC化に関する資料として資料2-1から資料3-3、その他に関する資料として資料4及び5です。参考資料は、参考資料1~3を配付してございます。また、タブレットには、各個別の会議資料及び参考資料もフォルダに入れてございます。適宜御活用をお願いします。配付資料の説明は以上となります。御不明な点等ございましたら、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。それでは、本日の議題に入ります。まず、ジクアホソルナトリウムのパブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。ジクアホソルナトリウムについて、御説明をいたします。
まず、1ページ、資料1-1を御覧ください。ジクアホソルナトリウムにつきましては、本年2月の評価検討会議におきまして、一度御検討いただいておりまして、その内容をまとめた資料がこちらになってございます。
続いて、4ページ、資料1-2を御覧ください。パブリックコメントで寄せられた7件の御意見について、簡単に御紹介いたします。御意見のうち、5件はそのスイッチ化に肯定的な御意見でしたが、2件は「本成分の使用には医師の関与が必要である」と、スイッチ化に否定的な御意見でございました。パブリックコメントで寄せられた御意見の中から、疾患の特性の項に、ファーストライン以外の薬剤のOTCとしての必要性に関する御意見を1つ、また、適正仕様の項に、1日の使用回数が異なる製剤をOTC化することの意義に関する御意見を1つ、計2つの御意見を資料1-1に反映してございます。追加した御意見を踏まえ、構成員の方から御意見がありましたら、いただければと思います。また、ほかにも資料1-1に反映させるべき御意見ありましたら、御意見いただければと思います。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、スイッチOTC化の課題とその対応策について、御意見があればお願いします。事務局からお話にありましたように、自己判断が困難な疾患であるため、スイッチOTC化は適さないという御意見もあったということですが、それを踏まえて、御意見がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。これについても、前回議論がされましたし、パブコメでも御意見をいただいたということで、特段御意見がないようでしたら、今日御説明いただいた御意見を踏まえて、事務局で検討会議結果案を作成していただき、それを構成員の先生方に御確認するという形で進めてよろしいでしょうか。どうぞ。
○富永構成員 薬剤師会の富永ですが、ジクアスと言わせてください。すみません。前回、ジクアスについて、その意見を言ったわけですけれども、ヒアレインをまず使って、無効な場合にジクアスを使うというアクセスができれば、もちろん有害事象等が出ないという前置きで、ジクアスをOTC化したらいいのではないかなということを言いました。しかし、実際、医療用のジクアスを投与してみると、刺激感とか、目やにとかで離脱する患者さんも結構いらっしゃるわけです。ただ、ヒアレインでまだドライアイの感覚がある患者さんが、「ジクアスでよくなったわ」とおっしゃる方もいらっしゃる。そこで、ジクアスをスイッチOTC化した上で、薬剤師の説明の中で、ちゃんとしたそういう副作用的なものが出るんだよと納得した上で点眼されれば、結局、効果は得られるということを思ったところです。そこをちゃんと押さえないと、OTC化がすんなり進むというのはいかがなものかなと思っております。
○笠貫座長 宮地構成員、お願いします。
○宮地構成員 私も同意見ですけれども、3種類調べてみたら、防腐剤、添加物がそれぞれ違うのですね。そうなると、特にジクアスのジェネリックの場合は、塩化べンザルコニウム系で、少し刺激もありますし、パラベンとかほかのと競合すると、目の中で相互作用がある可能性が出てきます。そういったものをきちんと明記していただくとか、そういう条件をつけていただければなと。感想です。ジクアスLX3%のほうが確かに治るというか、ドライアイの効果は実感できるのではないかなと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにございませんか。適正使用のため、薬剤師の十分な説明などの対応策については、ここで十分議論させていただきましたので、本評価検討会議結果としてまとめさせていただき、構成員の先生方にもう一度御確認いただくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。
特段ありませんでしたら、次の議題に移りたいと思います。候補成分のスイッチOTC化についてです。ボノプラザンについて、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
ボノプラザンについて、御説明をいたします。7ページ、資料2-1を御覧ください。ボノブラザンのスイッチOTC化した際の効能・効果としては、「胸やけ、胃痛、げっぷ、胃部不快感、吐き気、むかつき、もたれ、喉のつかえ、苦い水、胃酸が上がってくる」となってございます。対応する医療用医薬品は、タケキャブ錠10mg及び同OD錠10mgとなっており、効能・効果は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎等となっております。要望者は、本成分の主な要望理由として、ガスターより効きがよく、1日1回で済む薬剤を使用したいことを挙げています。
9ページを御覧ください。タケキャブ錠10mgですけれども、2014年に承認されておりまして、再審査結果は2024年に通知、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断をされてございます。
11ページ御覧ください。本剤には、禁忌に本材の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者が設定されてございまして、また、重要な副作用としては、ショック、アナフィラキシー等が設定されてございます。
13ページを御覧ください。推定使用者数等として、逆流性食道炎の有病率は10%と推定されてございます。次に、同種同効薬でございます。本邦において、ファモチジン、シメチジン等のH2ブロッカーやラベプラゾール等のPPIが既にスイッチOTC化をされてございます。
14ページを御覧ください。海外での承認状況について、本成分が一般用医薬品として承認されている国はありません。医療用医薬品としては、アメリカを含めた10か国以上で承認されてございます。
続いて29ページ、資料2-2を御覧ください。日本消化器病学会、日本臨床内科医会及び日本OTC医薬品協会から、それぞれ見解が提出されておりますので、簡単に御紹介をさせていただきます。
まず、日本消化器病学会です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいてございます。その根拠として、H2ブロッカーや古典的なPPIなどより、胃酸分泌抑制が強力であることから、優れた有効性を示す薬剤であること。PPIと比較して、薬理学的な即効性には優れていることから、短期使用に限っては、より治療効果を感じる患者さんが多いこと。胃酸分泌抑制剤と同様の2週間の投与期間とすることでも大きな問題は生じないこと。本成分は、PPIと異なり、非びらん性胃食道逆流症の効能を有していないけれども、ほかのPPIと同様の効能・効果で大きな問題にはなっていないことを挙げていただいています。
続いて、31ページを御覧ください。日本臨床内科医会の御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、2週間程度の短期の使用に限定するのであれば、安全性のリスクはかなり低いと考えられるため、設定根拠は存在する医療用の用量と同一の用量を設定することが適切であるということをいただいてございます。
続いて、32ページを御覧ください。OTCとする際の課題点について、薬局で購入する場合、インターネット等で購入する場合、いずれにおいても、2週間の服用を繰り返さないようにすることとの御意見をいただいてございます。
続いて、33ページを御覧ください。日本OTC医薬品協会からの御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、再審査期間中に収集された副作用症例報告を踏まえると、多くが併発疾患とか合併症を有する患者さんにおいて発現しており、OTCの使用対象になる患者とは考えにくい方々に重大な副作用が起こっているため、適切な条件下であれば副作用のマネジメントは十分に可能なものと考えられる。本薬の効能・効果は、既存のPPIと同様の「胃痛、胸やけ、もたれ」と想定をしており、一般消費者が理解しやすいものであること。既存PPI同様の「チェックシート」や「胃のお悩み症状相談ガイド」を使用することで漫然とした使用を防げることを挙げていただいています。
37ページ、資料2-3を御覧ください。御意見募集において16件の御意見が寄せられてございます。簡単に御紹介します。既にスイッチOTC化されたPPIと同様の適正使用対策を講ずることにより、適正に使用できる可能性があるとの御意見を頂戴しております。なお、御意見募集をした期間においては、いずれのPPIもスイッチOTCとして承認がなされていなかったことに御留意いただければと思います。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本消化器病学会の見解について、上村構成員から御意見、補足をお願いします。
○上村構成員 それでは、私からは、日本消化器病学会からの意見書にあるように、この薬はH2ブロッカーやPPIに比べて、より強力な胃酸分泌抑制力を持っております。これの副作用が1つございまして、血中のガストリン値が物すごく上昇します。そうすると、カルチノイドを惹起する可能性があることが1点。それから、これは一般の方からのパブコメでも見られたのですけれども、最近、昨年から除菌後胃がん、ピロリ菌を除菌した後の胃がんのリスクが、これはPPIでも同じですけれども、ボノプラザンも非常に上昇するという報告がなされております。こういうことがあります。それと、もう一つ一番大きな点は、これはこの評価検討会議でどういうふうに対処するかをお聞きしたいのですけれども、これは、私ども医者が処方するときに、保険適用になっているのは、ボノプラザンは逆流性食道炎です。これは、内視鏡的に食道炎を認めた場合に、ボノプラザンを使うことができるということなのですね。OTC化の場合に、これは症状でやっていますから、これはいわゆるNERDという非びらん性の逆流症ということで、これを保険適用になってない病名でOTC化することは、原則はどうなのかと。OTC化する場合に、逆食でしか保険適用になっておりません。したがって、逆流性食道炎という診断なしで、いわゆる非びらん性の逆流症で、NERDというのですけれども、これでOTCとして採用できるのかというのが私の疑問です。賛成する点は、先ほどから言われていますように、圧倒的に、これは物すごく有用性が高い薬剤だと思います。特に、病院に行けない、若い方、中年の方、仕事をしている方が、胸やけで困っていて、仕事場で、病院に行けないけれども、これを飲めば、大体3時間で胃の中のpHがほぼ7になります。したがって、PPIと違って、PPIは相当時間かかるのですけれども、このボノプラザンは3時間ぐらいで一遍でその症状が取れるということでございますから、非常にいいと思うのですけれども、先ほどお話しした点を議論していただければと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。日本臨床内科医会の見解について、湯浅構成員から御意見、補足等をお願いします。
○湯浅構成員 ありがとうございます。上村構成員がお話しされたことと少し重複してしまうと思いますけれども、PPIをOTC化するときに、私どものほうでは副作用のお話をさせていただいたと思います。ただ、そのときもことわっておりますけれども、その副作用は、短期間使用ではほとんど問題にならないこと、それから、どちらかというと観察研究が中心ですので、エビデンスレベルとしては少し落ちることをお話しさせていただきました。除菌後のPPIやP-CAB使用者と胃がん発症との関連性を示す論文、つまりPPI使用者で胃がんリスクが増えるという報告がされています。その論文では、PPI使用患者を除菌療法の有無別に2つのコホートに分けて胃がん発症率を比較し、除菌療法を受けている群で胃がん発症リスクが高かったという結果でした。PPIの使用の有無というよりは、除菌治療を行うことが胃がんのリスクの増加に影響することが述べられていたと思います。話がそれてしまいましたが、副作用の観点からは、投与期間は長くても2週間、ここは厳守していただきたいと思います。また、日本臨床内科医会のOTC委員会の先生からは、10mgで販売してほしいという要望がございましたので、申し添えておきます。上村構成員からお話がありましたが、ボノプラザンの医療用保険の適応は、胃の内視鏡を施行したうえで、診断のつく逆流性食道炎に限られます。胃内視鏡を行っても炎症所見を認めず、有症状のみの非びらん性の胃食道逆流症の適応はありません。したがって、ボノプラザンをOTC化する際に、医療用保険に適応のない症状病名をつけてよいのかという問題があると思います。そのことについては、議論の余地があると考えております。
○笠貫座長 ありがとうございました。次に日本OTC医薬品協会の見解について、磯部構成員から、御意見、補足をお願いします。
○磯部構成員 ありがとうございます。OTC医薬品協会の磯部でございます。上村構成員、湯浅構成員、ありがとうございます。まず最初に、今の適応の関係をどう考えるか。多分、これは一番ポイントの議論だと思います。実は、上村構成員が先ほど議論してほしいというコメントございましたが、上村構成員のほうの日本消化器病学会の御見解の中にそのことに触れておられるわけですが、結論から言うと、ほかのPPIより効果はどうも強力だと。酸性下でなくてもかなり効果が出るということもあるのですが、同種同効薬であるのは事実で、最初に非びらん性の胃食道逆流性をどうして取らなかったのかというのは、製造販売業者の方とも接触できないので、詳細は分からないのですが、ただ、症状で考えると日本消化器病学会のコメントもありますが、「胃痛、胃もたれ、胸やけ」ということで考えていった場合に、それは確かに厳密にはおっしゃるとおりだということは理解もするわけでございます。このような形で考えたときには、この効能的に捉えると、私は許容範囲なのではないかと思っております。その上で、結局、実際に医療用のほうでも、臨床実態をレセプトで調べると、逆流性食道炎で圧倒的に使われておりますが、症状を確認しながら臨床の先生方もお使いになっているのではないかと思っております。そういった状況も考えて、OTCで効能を考える場合に、今ある「胃痛、胃もたれ、胸やけ」ということで、少し広く考えてもいいのではないかと、同種同効薬であることと、そういった臨床実態を考えたときには、そういうふうに考えてもいいのではないかと思っております。また、その場合に、用量については、10mgがいいのか、20mgがいいのかというのは議論があると思います。その点については、また、審査の中でも少し議論をしなければいけない問題だと思いますので、私としては、今回のものが、特に10mgが維持療法でということになっているものですから、逆に、10mgで使ってどうも効かないじゃないかということで、先ほど湯浅構成員から御指摘いただいた、長期に使わない方がいいと。これは絶対守らなければいけないと、私もそういうふうに思っておりますので、今の初期用量の20mgで使うことで、逆に、期限をしっかり守っていくということのほうがいいのではないかと考えております。そういう意味で、10mg、20mg問題は、一応論点としては、湯浅構成員が10mgのほうがいいのではないかという御指摘と、私のほうからは、逆に、初期用量20mgをしっかり使って、2週間をしっかり守ることに力点を置くべきではないかということも、論点の整理の中では記載をしていただくと、ありがたいなと思っております。また、たくさん使われているお薬でありますので、いろいろな副作用も出ておりますけれども、我々の分析の中では、OTCの適応になるであろう生活者の方々、そういう症状を有している方々では、副作用マネジメント的にはでき得る範囲ではないかと私どものほうの分析としては思っているところでございます。以上でございます。
○笠貫座長 ありがとうございました。構成員の方々から、御意見等がありましたら、お願いします。
○上村構成員 すみません、上村ですけど、いいですか。
○笠貫座長 上村構成員お願いします。
○上村構成員 まず、先ほどの湯浅構成員の発言に非常に大きな間違いがあるので、訂正させてもらいます。結局、PPIとかボノプラザンによって、ピロリ菌の除菌によって胃がんのリスクが下がるというのは世界的な常識です。しかしながら、その中で、ピロリ菌の除菌をしても、PPIとかボノプラザンによって酸分泌抑制してしまうと、胃内の細菌層が変わって、その中で胃がんのリスクが除菌の中では上がるということで、除菌治療自体が胃がんのリスクを上げるなんていうのは、世界的には本当にそういう常識は全くないですから、それは訂正してもらってください。それから、もう一つは、今、日本OTC医薬品協会の磯部構成員が言われたことですけれども、今聞いていると、初期治療とか維持療法とか言われているけれども、これは逆流性食道炎なんです。逆流性食道炎の初期治療は、内視鏡で見て、食道炎があって、それに対する初期治療が20mgのほうがいいよ、維持療法は10mgのほうがいいよという話であって、この症状だけのいわゆるNERDに対する臨床治験は行われていません。したがって、NERDに対する有用性と安全性を担保する臨床治験が行われてないために、PMDAでこれを承認してないわけです。これは、僕は厚生労働省のほうに聞きたいです。こういう保険適用になってないものをOTC化するということが、事務局として、これは承認できるのですか。
○事務局 事務局でございます。上村構成員、御指摘ありがとうございます。今、この場は、あくまで詳細なデータを見ているわけではないので、これが実際にスイッチ化として申請をされたときに、承認できる、承認できないというところを断定するところまではできないのですけれども、当然、実際にスイッチの申請が来たときに、今、御指摘いただいた点も含めて審査をさせていただいて、最終的には判断をするというところまでしか、すみません、この場では申し上げられません。
○上村構成員 そうですね。それは次の部会での問題だと思うのですけどね。OTC化するという場合の大きな前提の問題になるので、これはきちんと厚生労働省のほうも意見を整えておいたほうがいいような気がいたしました。もう一つだけ言わせてもらうと、湯浅構成員が言われた、除菌後胃がんのリスクをPPIが上げるというのは、2018年の香港グループのGATTの論文と、それから、昨年、東京大学から出ています。全く同じような大規模なデータベースを用いた形の臨床試験で、それが言われております。日本でも明らかなものだということが。ただ、これはもちろん今後確認しなければいけないのですけれども、報告はもうなされている次第です。
○湯浅構成員 よろしいですか。
○笠貫座長 湯浅構成員、どうぞ。
○湯浅構成員 今、上村構成員からお話をいただきましたが、除菌治療を行ったから胃がんが増えるという発言は、明らかに間違いであり、訂正させていただきます。先ほどご紹介した論文の内容をもう少し詳しく説明すると、潜在的交絡因子を検証するために、PPI使用患者の除菌の有無による胃がん発生率を比較したところ、除菌治療を受けている群で胃がん発生率が高いという結論でした。除菌治療を受けていないPPI使用者のマッチングコホートにおける胃がん発生率と比較することで、胃がんリスクの決定要因は、PPIの使用よりも、既感染を含むヘリコバクタピロリ感染のほうがより重要な因子であると結論づけていますので、付け加えさせていただきます。
○笠貫座長 ほかにございますか。磯部構成員。
○磯部構成員 OTC医薬品協会の磯部でございます。1つ私は上村構成員にぜひお伺いしたいことがございまして、我々の分析では、PPIのグループ、このボノプラゾンもそうですが、ボノプラゾンは非びらん性をとってないのであれですが、ほかのPPIでも、逆流性食道炎の診断で使われている先生方が非常に多いと認識をしていて、医療用のほうでは、非びらん性のほうは、レセプトの分析では、逆流性食道炎に比べれば、かなり少ないというのが、我々としては見て取れているわけでございます。先ほど上村構成員からお話があったように、内視鏡を使って見ることが基本形だということも理解をしているのですが、実際に、これはもう本当に臨床の実態をぜひ教えていただきたいと思うのですけれども、症状を訴えられる患者さんがお見えになったときに、例えば、特に初見の方の場合には、内視鏡を撮ってどうするというのは、現実には非常に手間のかかる診療にもなりますし、内視鏡がすぐできるというのは現実には非常に大変だろうと思っております。そういう意味では、症状をお聞きすることで、逆流性食道炎だと判断をして、現実には使われている患者さんもかなり多いのではないかと私は推測しておりまして、そのような臨床の実態がどうなのか。そういうようなことがもしあるとすれば、先ほどの用量に関しても、20mgから始めていくということが出てくるので、そこら辺の状況を、上村構成員から御指南いただけるとありがたいなと思いました。
○上村構成員 では、上村が回答いたします。まず、日本の国民皆保険制度で、今、磯部構成員がおっしゃったように、胸やけ等々で内視鏡をやらずに、逆流性食道炎とレセプトに病名をつけるという悪しき慣習があるわけです。消化器内科の私どもは必ず内視鏡をやります。内視鏡をやって、逆流性食道炎というものを確認した上で、初期治療20mgから使ったほうがいいなということで使うことが多い。しかしながら、それをやらずに20mg使っているということは、僕には理解できません。それは循環器とか整形外科とかが使っているかもしれないのですけれども。だから、その辺は、日本の保険医療制度の問題かなと私は。いわゆるレセプト病名ですね。今おっしゃったNERDのほうが少ない、逆流性食道炎が多いというのはなぜかというと、これはまさしくPPIは保険適用になっているのですね、NERDは4週間までということで。しかしながら、6週間、8週間使いたいがために、逆流性食道炎という病名をつける方が消化器内科以外で多いわけです。そういう日本の医療の実態があるのですね。これは、もうここで話してもあんまり仕方ないかもしれないのですけれども。だから、私どもは消化器内科として、原則としては、内視鏡で逆流性食道炎がないと、それで症状があるという方、こういう方にはボノプラザンではなくてPPIを処方するわけです。それが保険適用になっている、なってないという薬剤に対する使用方法。なぜなら、ボノプラザンはすばらしい薬ですけれども、日本で保険適用、先ほどお話しましたけれども、いわゆる有用性と安全性を担保するための臨床治験が行われてないわけですね。それはいい薬は間違いない、学問的に考えてそうです。だから、日本消化器病学会はああいう書き方をしているわけです。ということで、いわゆるNERD、この場合の症状だけのNERDをそのままOTC化するということでいいのかと。もちろん、現実的には、これをOTC化して救われる人、福音をもたらせる方はいっぱいいるから、僕もいいなと思うのですけれども、原則論をどう考えるかということは、ちょっと違うと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○平野構成員 日本チェーンドラッグストア協会の平野でございます。長期服用に対する懸念があるということで、それについて、販売の現場を預かる立場からの考え方です。先ほど御指摘あったように、3時間程度で極めて顕著に効果が出る。ほかの従来のPPIに比べて、極めて効果が分かりやすい。これは、実は長期連用を防ぐという意味では非常に大きな特徴だと思っています。3時間たって効果が出ないということであれば、これはもう中止してくださいという話が極めて簡単にできるということで、長期連用を防ぐという意味で非常にやりやすい薬であると私たちは思っております。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○松野構成員 日本保険薬局協会の松野です。私も、スイッチOTC化は「賛成」の立場です。この薬は、今、医療用医薬品市場で、たしかベスト10に入るほどよく売れている。それは効き目がいいから、切れ味もいいですし、使いやすい薬だからだというところから来ていると思います。まだ発売されて間もなく、ジェネリックも登場していない段階ですが、スイッチOTC化されて、医療費の削減に繋がる可能性もあると考えています。また、それを販売する側の薬剤師の役割として、説明して状況を確認するという意味でも、役割が果たせる方向にも持っていけるように思います。そういう点では非常に将来性がある薬、スイッチOTC化できる薬ではないかなと思います。
○笠貫座長 ほかにはいかがですか。
○堀構成員 COMLの堀です。消費者の立場から提言させていただきたいのですけれども、今、松野構成員がおっしゃったように、タケキャブという薬は、処方薬においては、一般の方たちは、いろいろな症状があった場合、大体胃薬というものをいただくので、一度は服薬をしたことがある、割と聞き慣れた薬ではないかと思います。だからこそ、OTC化になったときに、販売されたら、割と買いやすい薬ではないかと。そのときに、20mgと10mgということが先ほどから議論になっていると思うのですけれども、私たち消費者としては、先ほど平野構成員がおっしゃったように、早く即効性がある薬ということを求めた場合、今までのPPIよりは、どうしてもこのボノプラザンのほうを購入しやすいと思うんです。そのときに、先ほど平野構成員がおっしゃったことはすごく大切で、今回、2週間ということだったのですが、購入するときに、即効性があるからこそ、即効性が3時間、4時間たったとき、まだ痛みがある場合は、実際に、ただの胸やけ、胃痛、もたれとかだけではなく、違う病気、先ほどおっしゃっていた逆流性食道炎のような、そういう隠れた病気があることを消費者側に伝えることがすごく必要ではないかと思います。ですので、2週間が医師の先生方が妥当ということであれば、2週間で私はいいと思うのですけれども、長期服用することで、この薬を飲んだことによって違う病気の発見が遅くなるということがあるのであれば、もう少し期間を短くするなり、または、その20mgというものが、10mgと比較した場合、私たち消費者にしてみるとどれくらい即効性が違うのかということも分からないので、その部分に関しても併せて御検討いただけたらと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。
○湯浅構成員 よろしいでしょうか。
○笠貫座長 はい。湯浅構成員。
○湯浅構成員 繰り返しになりますが、非びらん性胃食道逆流症という症状での適応が医療用にはございませんので、その点については、スルーするのではなくて、議論をしていただきたいと思っております。もちろん、それをもってOTC化できないということを言っているわけではありません。現在、PPIが3剤OTC化されておりますが、本来であれば、PPIのOTC化に対する検証を行ったうえで、ボノプラザンのOTC化の議論にはいることが手順ではないかと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございますか。磯部構成員どうぞ。
○磯部構成員 ありがとうございます。OTC医薬品協会の磯部でございます。今の湯浅構成員の関係で、2つコメントさせていただくと、1つは、これは2014年に最初に出ていまして、その専門家の先生方を見て、あくまでPPIと同種同効薬であると。実際の確かにNERDはないのですが、ほかの分野は全部、ランソプラゾールと非劣性で見ていて、それと劣らないということを見てきていて、確かに他のPPIとは違うところの細胞チャネルに効いて、構造的な工夫もあるので、効果がいいのではないかというのが臨床家の見立てだと思うのですが、あくまで同種同効薬であることははっきりしているものだろうと思っております。かつ、この薬、先ほど松野構成員もお話があったのですが、多分、特許期間中の新薬であり、まだジェネリックも出ていない。そういう中で、じゃ、いつ出せるのかと。今回も多分これは企業の要望というよりは、一般の方の要望として受け止められているので、現実問題として、すぐに出てこられるのかというのもあると思います。そのときに、再度、製造販売後調査の結果を見てどうするというのを、評価検討会議でまたやるのかというのもあるので、検討するポイントとしては、今、湯浅構成員がおっしゃったことも入れ込むことにした上で、いつ出てくるかということもありますので、そこも見ながら考えていくということで、今回はもうこれでいいのではないかなと思ってございます。
○笠貫座長 ほかにございますか。佐藤構成員、どうぞ。
○佐藤構成員 産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。販売してから約10年がたつ薬で、極めて広く使われた薬だと理解しています。今回のような、症状が保険適用されていないという原則は、そのとおりかもしれませんが、実際に臨床現場で、悪しきケースとは言いながら、そのような使われ方が広くされてきたのであれば、その現状があるにもかかわらず、原則を盾にOTC化に適さないとするのはなかなか理解しにくいところです。広くそう使われてきて、10年を経たのであれば、そういう使い方もあり得ると考えるのが自然かと思います。もちろん、実際にそう使われてないし、保険適用もそうではありませんというのであれば、もちろん原則にならうという話だと思いますけれども、実際にこう使われてきましたということだと、原則を盾に駄目というのはなかなか難しいのではないかという気がいたします。10mg、20mgという話がありましたが、10mgにする根拠は拝見した資料ではよく分からない感じがしました。症状の軽減のために使うのであれば、20mgを使うのが妥当であって、気休め的に量を減らすことが適切かというと、そこは納得しかねました。一方で、当然、ほかの疾患をマスクするようなことがあってはいけない薬ですので、薬局で、短期の使用が担保できるようにすることはきっちりお約束というか、必ず守っていただくべきことであって、そこはきっちりしていただきたいと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。いろいろ議論がありました。そういう様々な矛盾点が存在するということをしっかりと記録していただいて、進めていただければ幸いかなと思っております。それから、今お話があったように、あしき習慣も含めてやっているわけですけれども、それは、その中でも医療という範疇の中で、それをバックアップして解消しているという現状があると。医療の中でそれが行われているけれども、その医療の中でそれを修復し、患者さんが様々な困窮する状態にないように、また戻しているという状態は、それは医療の中である、範疇であるということは、しっかりと認識していただきたいと思います。ですから、医療用から要指導・一般用への転用という感じになったときに、医療から距離がどんどん出てくるということをしっかりと考えていかなければいけないと。そのときに、それに対して、患者に対して、法的なことも含めてですけども、誰が責任を負うのかということが、非常に大事であるということだろうと思います。ですから、症状から始まって、その症状が消えたからいい、それを抑えられたからいいというだけではなくて、そこには、病名としてどうなったのかという、その後の医療の問題に変わってくるという形だろうと思っています。これは、全てにわたっての原則だろうと思っております。先ほど、平野構成員から受診勧奨のお話がありましたけれども、いまだかつて、その受診勧奨もちゃんとされていない状況があります。それは、一般の薬剤師の方がしっかりとした関与の中でやられている場合には、受診勧奨としても、何かあったらお医者さんに行きなさいとか、医療機関に行きなさいという、そういうような軽々とした文言でしゃべられているわけではなく、こういう症状があったら、どこそこ行きなさいとか、消化器内科に行きなさいとか、そういうような形をしっかりと指導されていることが原則であるということで、ただの受診勧奨という簡単な4文字の熟語で問題が解決しているわけではないということは、当然のことだろうと思います。そういうことがされてなければ、いつも私が申し上げますように、法的責任は必ずそこに存在するんだということの中で、しっかりとした受け止め方をしていただければよいのではないかなと思っています。ですから、様々問題があって、各医会から学会からありましたけれども、「賛成」という形で2文字の漢字で出されましたけれども、問題があるのであれば、本来からすると賛成ではないと。条件付きな問題あるということも含めて、学会の先生たち、医会の先生たちも、それに対して責任をしっかりと負っていただければと思います。それが、この医療用から要指導、そして、一般用へのそういう転用の中で、様々な問題が起こることをしっかり理解していただきながら、議論を進めていただければ幸いかなと思っております。以上です。
○笠貫座長 それでは、ここで、座長としてまとめさせていただきます。本成分は消費者からの要望ということですか。
○事務局 事務局でございます。申請なのか、要望なのかということについては明らかにしていないところです。
○笠貫座長 今の議論を踏まえて、会議のまとめについてお話させていただきます。消費者のニーズと医学的観点からの課題から意見の違いがあると思います。そういう意味で、OTC化の課題とその対応策を挙げ、まとめることは本評価検討会議のミッションです。本成分は既存のPPIとの同種同効薬であり、従来のOTC化されたPPIよりも、即効性があって、効果が強いことが特徴です。消費者としては、PPIと同種同効薬で、有用性が高い薬に対してニーズが高いことは容易に理解されると思います。一方で、先ほどから議論されたように、対応策として、期間を1週間から2週間にするか、用量を10mgか20mgにするかなどの問題は、部会に上げることになります。先ほど新たな論点として出されたのは、消費者のニーズの高い薬を、保険適用の病名には入っていないNARDの症状を含めてOTC化することについて、どこまでの科学的根拠を求めるのか、また、実際、臨床現場ではレセプト病名という習慣により使用されていることも指摘されました。こうした状況では、消費者と医師を結ぶ薬剤師による受診勧奨が大事で、本評価検討会議で強調してきた連携強化が重要になります。今後は医療DXが進めば、この連携はさらに強くなると思います。こうした消費者からのニーズが高い成分で、企業から申請されるか分からないという成分についてスイッチOTC化を図ることについての議論をまとめることは意味があると思います。本日議論された課題点と対応策については、事務局に整理していただき、それを構成員の先生方にお送りし、ご確認いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本成分については会議結果のまとめの前にパブリックコメントが必要だという御意見がある方は、挙手をいただき、御意見をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。特段ないようですので、次に進めたいと思います。
よろしいでしょうか。これは本評価検討会議の新しい進め方ですので、皆さんの確認をとりながら進めたいと思っております。特段御意見がなければ、これで事務局にまとめて、それを各構成員の方々に御確認をいただいた後に公表するとことにいたします。それでは、続きまして、メトクロプラミドについて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
メトクロプラミドに入る前に、冒頭、システムトラブルでオンラインの配信ができていないというお話をさしあげましたけれども、18時半頃から復旧してございまして、今この瞬間流れてございます。今、オンラインで見られている方、冒頭の30分については、また、改めて、何らかの方法で見られるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたしました。続いて、メトクロプラミドについて、御説明をさしあげます。
43ページ、資料3-1を御覧ください。メトクロプラミドのスイッチOTC化した際の効能・効果は「吐き気」となってございます。対応する医療用医薬品は、プリンペラン錠5となっておりまして、効能・効果は、次の場合における消化器機能異常(悪心、嘔吐、食欲不振・腹部膨満感)、胃炎、胃・十二指腸潰瘍等となってございます。要望者は、本成分の主な要望理由として、効果のある吐き気止めを使用したいが、ドンペルドンはQT延長が「中リスク」のところ、メトクロプラミドは(リスク不確定-注意)であることを挙げてございます。
44ページを御覧ください。プリンペラン錠5は、1966年に承認をされてございます。
45ページを御覧ください。本剤には禁忌に、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、褐色細胞腫またはパラガングリオーマの疑いのある患者、消化管に出血、穿孔または器質的閉塞のある患者が設定されてございまして、重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー、悪性症候群等々が設定されてございます。
47ページを御覧ください。推定使用者数等として、機能性消化管疾患診療ガイドライン2021によりますと、日本人の機能性ディスペプシアの有病率は、その定義や対象者、解析手法により異なると考えられますが、有病率は11~17%と報告をされてございます。次に、同種同効薬についてです。本邦において、本薬と同じ受容体に作用する消化管運動機能を改善する薬剤としては、イトプリド塩酸塩がスイッチOTC化されておりまして、作用機序が異なるものとしては、トリメブチマレイン酸塩がスイッチOTC化されているところでございます。
48ページ御覧ください。海外での承認状況ですけれども、本成分が一般用医薬品として承認されている国はございません。一方、医療用医薬品としては掲載されている6か国全てで承認されています。
53ページ、資料3-2を御覧ください。日本消化器病学会、日本臨床内科医会及び日本OTC医薬品協会から、それぞれ見解を提出していただいてございます。まず、日本消化器病学会の見解を御紹介させていただきます。スイッチOTC化については「反対」との御意見をいただいております。その根拠として、D2受容体拮抗薬に特徴的な副作用として、悪性症候群、意識障害、けいれん及び遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状が考えられ、本薬は他のD2ブロッカーと比較して脳への移行性が高いこと、また、短期間の使用にとどめた解熱剤、鎮咳薬のような頓用での使用が適切であることを挙げていただいています。
55ページ御覧ください。続いて、臨床内科医科会の御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、古くから制吐剤としての使用実績があり、医師の指示の下、安全に使用されていること。本薬は、QT延長によるトルサード・ド・ポワンツ(TdP)等致死性不整脈の発現頻度について、添付文書上特段の記載はされていないこと。妊婦への使用についても治療上の有益性がリスクを上回れば使用可能であり、有用であること。急性胃腸炎に対する制吐剤として、短期間の使用であれば国民のセルフメディケーションに資すると考えられることとの御意見のほか、注意事項として、悪性症候群での死亡例が報告されていることもあり、スイッチOTC化に際し注意が必要である。オーバードーズの危険性があり、適正使用を推進する必要があるとの御意見もいただいてございます。
57ページ御覧ください。日本OTC医薬品協会の御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、同種同効薬である「イトプリド塩酸塩」がスイッチOTCとして既に承認をされており、本剤をスイッチOTCとした際の要望の効能・効果「吐き気」は既にOTC医薬品として対象疾患となっていることから、セルフメディケーションの選択肢の一つとなり得ることとの御意見をいただいております。
58ページを御覧ください。OTCとする際の課題点として、過量服用による錐体外路症状、意識障害等が現れることがあること、長期連用により遅発性ジスキネジアが現れることがあることから、過量服用や長期連用を防ぐために最大包装量の制限あるいは薬剤師や使用者に対して注意喚起を徹底する必要がある。眠気、めまいが現れる可能性があるため、服用後に乗り物または機械類の操作を避けるよう注意喚起をする必要があるとの御意見をいただいております。
60ページ、資料2-3を御覧ください。御意見募集において8件の御意見が寄せられております。うち簡単に御紹介します。錐体外路症状などの副作用が現れる可能性があること、吐き気を抑えることにより、中毒、脳腫瘍等の原因疾患の発見が遅れる可能性があることから、要指導医薬品にとどめ置く必要があるとの御意見をいただいております。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本消化器病学会の見解について、上村構成員から御意見、補足をお願いします。
○上村構成員 日本消化器病学会からの意見書では「反対」になっているのですけれども、その理由は、メトクロプラミド、プリンペランはドーパミン受容体の阻害薬であって、医学的に考えると、中枢性の副作用である錐体外路症状ないしはプロラクチン血症が出ておかしくない可能性があるために、OTC化するには注意が必要だからということが一番大きな理由だと思います。ただ、その中で1つ、海外ではまだOTC化されてないと思うのですけれども、特にアメリカのFDAは2009年に遅発性ジスキネジアの発現リスク、この当時は大体5%ぐらいと言われていたのですけれども、これを理由にブラックボックスの警告を発出している点がございます。したがって、アメリカのFDAの15年前の報告判断では、これは絶対駄目だということだったのですけれども、その後に臨床研究がなされまして、いろいろな報告がございましたけれども、現在では、こういった遅発性ジスキネジアなんかの発現リスクは、大体0.1~0.5%ぐらいと報告されております。私、学会のあれとは少し違うのですけれども、これは古くから日本で使用されている薬で、急性胃炎とか吐き気に対して短期間の使用が、非常に有用性が高いということもございます。したがって、OTCには向いているのではないかなと思いました。これは、日本消化器病学会の意見書を書かれた先生に確認して、この会議でそういう発言をしてもいいということを確認しております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。次に日本臨床内科医会の見解について、湯浅構成員から御意見や補足をお願いします。
○湯浅構成員 ありがとうございます。我々は「賛成」という立場を取らせていただいておりますけれども、これをOTC化する上での絶対条件は、短期使用に限ることです。先ほどボノプラザンのときに、期間を2週間に限定というお話をさせていただきましたけれども、メトクロプラミドに関しても、その部分が絶対条件ということであります。メトクロプラミドにより、悪性症候群での死亡例が1例報告されています。また、QT延長によるTdPについては、確かに、添付文書上の記載はありませんが、記載がなければ大丈夫なのかというところは気になるところです。さらに、D2受容体を遮断することによる、錐体外路症状を含む中枢神経系の副作用には注意しなければなりません。錐体外路症状を薬剤師が見極められるかと考えると難しいと思いますし、症状がはっきりせず長期連用していたというケースもありますので、形だけの医薬連携では対応できないのではないかと思います。OTC化により、医師の管理下を離れるわけですから、その中でどうやって適正使用の対策を構築できるかというところが一つポイントになってくると思います。それから、もう一つ重要な点として強調しておきますが、この薬は、眠気が来ますので、車の運転をしてはいけません。本薬をどういう方に使うかということになると、ウイルス性の急性胃腸炎、例えば、ノロウイルス等の患者さんに短期間使うことが一つ考えられると思います。ただ、薬局に患者さんが行った際に、その時点では、医師の診察を受けてはいないわけですから、本当に急性胃腸炎なのかどうか分かりません。症状が増悪するような場合は、医療機関への受診が必要になります。そういう観点からも、短期間の使用に限ることを改めて要望したいと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。日本OTC医薬品協会の見解について、磯部構成員から、御意見・補足をお願いします。
○磯部構成員 日本OTC医薬品協会の磯部でございます。今、上村構成員、湯浅構成員から御指摘いただきました。私としては、ほぼ同意見でございます。見ていただければ分かるのですが、今認められているほかのスイッチOTC化された吐き気止めの関係でも、長期連用はしないと。特にこれは中枢性に効いて、錐体外路症状という問題、長期連用するとそういう議論があるということでございますので、長期連用しないことを前提でのスイッチOTC化であろうと思います。また、そういう意味での過量副用を防ぐための課題については、これまでもほかの部会でもいろいろな議論もされてきています。実際に、薬局やドラッグストアでも、その対策をいろいろ考えていただいているので、我々メーカーサイドとしても、当然いろいろ考えていかないといけない課題でありますが、そういう対策をしっかりとって、過量服用にならないようにして、長期連用しないということは前提で考えていくべきことだと思います。それから、湯浅構成員が先ほどもおっしゃられた運転の問題ですね。これについても非常に重要な問題、眠気の問題がありますので、これについても十分注意してやっていくということで、吐き気も、湯浅構成員からノロウイルスの話とかいろいろな場面で吐き気を催す場面等がいろいろありまして、対症療法的にいろいろな吐き気止めを使われて、これは60年も使っている薬でございますので、どういうものかよく分かっておられる医師、薬剤師の方は多いと思いますので、そういった方々のアドバイスをいただきながらできればいいなと思っております。また、これからのスイッチOTCは、確かに一回一回の販売については、薬局、ドラッグストアでの販売となりますが、私は受診勧奨という言葉はちょっと足らないなと。医師との連携をどういうふうに考えて、実際、どういうときには相談をしながら、医療の保険診療の枠ではありませんけれども、その人に新しい形での地域のチーム医療をどのように提供するのかを考えながら、こういったスイッチOTCをうまく使っていくのかということも、日本社会の大きな課題だと思っております。そのため、私どもとしても、そういった意味での適正使用のプロトコルについて、少しでも貢献できればいいと思ってやっていきたいと思います。以上でございます。
○笠貫座長 ありがとうございました。高野構成員お願いします。
○高野構成員 日本中毒情報センターの高野です。ありがとうございます。本日の議論と少し外れてしまうのですけれども、資料の中に「中毒情報センター」と記載されている箇所が複数ございます。この記載の基になっているのは、当法人のウェブサイトで提供しております「医師向け中毒情報データベース」であります。このサイトに掲載されている情報は、医師・薬剤師・看護師等の医療従事者の方、または、テロや火災現場で救助活動に従事される消防職員を対象に、急性中毒事故が発生し、実際に患者の治療もしくは救助に携わっている方を対象に、必要な情報をまとめたものになります。中毒情報センターでは、提供情報を目的以外に利用することを認めておりませんので、本日、資料の該当箇所の内容に関する議論は、当方は差し控えさせていただきたいということをお伝えさせていただきたく、お時間を頂戴いたしました。ありがとうございました。
○笠貫座長 構成員の方々から、御意見を伺いたいと思います。堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 ありがとうございます。私は、この薬をOTC化するに当たって、使用可能な方々が、現在の処方薬では、今資料を見ますと、乳幼児の嘔吐にも使えるということですので、小児0~14歳、それから、成人と、いろいろな方たちの年齢に該当されると理解はしました。ですけれども、OTC化になった場合に関しては、ある特定の方々に関しては、その使用を制限するような、そういう基準を新たに検討していただきたいと思いました。というのは、今、添付文書の9のところの「特定の背景を有する患者に関する注意」というところで、妊婦のところを拝見しますと、「妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されています。現在、現場、特に産婦人科におきましても、医師が実際につわりなどにおいて、本当に治療上の有益性があると判断した場合においては、この当該薬を処方していると聞いております。しかしながら、OTC化した場合は、その判断は本人に託せられる、または薬局薬剤師の方に託せられると思います。その判断をどのようにしたらいいのかということは、私は消費者の立場から不安です。また、9.7の小児などにおきましても、「過量投与にならないよう注意すること」ということで、注意喚起が発せられている点。それから、高齢者に関しましても、「慎重投与」という記載がある点におきましても、今までの処方薬では、いつも、受診によって、その医師が判断をして、その方々に合った薬を処方していたと思うのですけれども、それがOTC化になった場合、これらの方たちに対して、どのように販売をしていったらいいのかということは、ぜひ御検討いただきたいと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございますか。宗林構成員お願いします。
○宗林構成員 岐阜医療科学大学の宗林です。私も、同じような観点になりますけれども、この薬は、吐き気ではあるものの、短期間というお話が出ましたが、それもありますが、どういう場合に使用できるのか。薬剤投与時の吐き気であるとか、妊婦さんに対して、効果が上回るというような判断があった場合という言葉があります。これをOTC化した場合は、例えば、どこかで胃腸炎だと診断されたとか、それから、明らかに下痢しているとか、妊婦であるということでない、こういう場合はOTCで使わないということを極めて明確にする必要があって、そうでないと消費者は適切に使えないお薬じゃないかなと思いますので、使える用途、どういう場合にというのを、逆に言うと、どういう場合はOTCの説明文の中に、こういう場合は除くというようなことを明確にしていただくのが必要かと思っています。おおむねそんなような意見ですが、要するに、「短期間」というのを頓服的に、こういう場合を除いて使えるという文書が必要じゃないかなと思っています。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。宮園構成員お願いします。
○宮園構成員 NACSの宮園です。私も、今お話がありました、堀構成員と宗林構成員とほぼ同じことを考えておりまして、この薬で妊娠しているつわりのある者が使えるという部分ですね。確かにつわりは非常に苦しいので、こういった薬があると、そのときは楽になるのだろうと思うのですが、つわりの期間、個人差はありますが、やはり短期ではないと思うのですね。そうすると、飲んで楽になる、結果的に長期になってしまうことはありがちではなかろうかと思いますので、このあたりで妊娠や授乳期に使う、その影響は赤ちゃんにないのかもしれませんが、もしかしたら長く飲んで、赤ちゃんにまで影響が出るかもしれないとか、私はこのあたり非常に不安に感じておりますので、課題として御検討をいただければと思います。以上です。
○笠貫座長ありがとうございます。ほかにはございませんか。高野構成員、どうぞ。
○高野構成員 ありがとうございます。日本中毒情報センターの高野です。今回、この薬剤に関して、PubMedとか医中誌とか、ざっくり調べまして、いわゆる錐体外路症状が懸念になっております件に関しては、多くの報告が、医原性、いわゆる医療上の治療の中での静注剤だとかそういったときに出てきている事例が多いのかなという印象がございます。ただ、通常医療でも、相互作用の関係とかで、錐体外路症状は出ているという報告もありますので、錐体外路症状を比較的一般の方が自身の症状として伝えるのがなかなか難しいのかなというところで、そのサインをどう薬剤師が捉えて、それを医療に結びつけるのかというところに関しては、いろいろ考えていくとなかなか難しいのかなと思いますし、また、薬剤師の学会報告とかでも、結局、何が原因で起こっているか分からなかったのですけれども、薬剤を切ってみたら、症状が軽減したとかそういった部分も報告がございますので、このあたり、市販化していくときに、どう対処していくのかというところに関しては、議論の余地があるのかなと思いました。発言させていただきました。ありがとうございます。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。磯部構成員、どうぞ。
○磯部構成員 今の堀構成員のお話とか伺っていて、吐き気というのは、いろいろな場面で、いろいろな疾患がベースにあったものが多いと思います。特に、先ほどの宮園構成員からのお話も、つわりの問題をどう考えるのかということですが、例えば、実際にこれの承認を取って販売するということになった場合は、どういうときに使える薬だということを、PMDAや厚生労働省とも相談しながらになると思います。そういった情報提供は大事になるのだろうなと。あとは、あくまで短期使用だということかと思います。妊娠後期のつわりの問題は、私が簡単に言えるわけではありませんが、60年使っている薬ですので、同様な形なのかというのも、一度ちゃんとレビューをして、どうなのかと確認する必要があると思います。かなり古い薬だとそのままになっているのが多いので、こういう機会に、もう一度どうなのかというのをきちんとレビューすることが大事なのではないかなと。本人にとっては非常につらい状態なので、少しでも状態が改善するのであれば、特につらくなってすぐにお医者さんに行ける、行けないという場面もあるでしょうから、まず、こういうところで症状が少しでも楽になればというようなことはあると思いますので、そういう生活者の方々の悩みにどこまで寄り添える形にできるのかということを、情報提供する形ではっきりしていくことが、この薬の価値に応じた使い方になるのではないかなと思った次第であります。
○笠貫座長 ありがとうございます。堀構成員、お願いします。
○堀構成員 御説明いただき、ありがとうございました。私自身、今お話を聞いていて思ったのが、つらいと、どうしても薬に頼ってしまう。そのときに過量服用してしまう。そこが非常に心配です。消費者とか患者さんもそういう方がいらっしゃると思うのですけれども、処方薬に関してと、OTC化、要するに一般用医薬品と比べたときに、一般用医薬品のほうが処方薬よりも効能・効果が割と少ないと感じていらっしゃる消費者の方は少なからずいらっしゃるのではないかと思うのです。そうすると、処方薬でもらった吐き気止めよりは、一般用医薬品で買ってしまった吐き気止めのほうをたくさん飲んでしまいがちになってしまうという不安を感じます。特につわりの場合は、本当につらいので服用してしまう。しかしながら、それがなかなか治らないといったときに、どこで過量服用に歯止めをかけるかということが、薬局薬剤師の方たちも、そこをウォーニングしていただくことが特に大切ではないかと思いました。また今、錐体外路症状を、患者が、消費者がどのように伝えるかが非常に難しいということを教えていただいたのですけれども、確かにどういうふうに伝えたらいいかを考えると、とても難しいのではないかと思います。その際に、いろいろなチェックリストとか、こういうふうな症状があったときには伝えてくださいとか、そういう資料が薬局にもしあれば、そしてそれを参照しながら患者に伝えていただければ、オーバードーズはよくないんだということを、消費者は理解できるのではないかなと思いましたので、その点も、もしOTC化になったときには御検討いただけたら、ありがたいと思いました。以上です。ありがとうございます。
○笠貫座長 お願いします。
○富永構成員 薬剤師会の富永です。長年、メトクロプラミドは病院で出していたのですけれども、宮川構成員もおっしゃったように、医療のやり取りの中で、結局、これを使うのかどうかということになってくるわけです。外来で、もし妊婦さんがお見えになって、妊娠の時期にもよると思いますけれども、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合というのは、ドクターが判断されるわけですよね。妊娠しているということで、「先生、これでいいんですか」という問い合わせをするわけです。本人の同意をして、そこで投与をするという形になります。病院でそういう経験をしている薬剤師は、多分、そういうことがよく分かると思いますけれども、今の時代、そのまま病院勤務の経験なしに薬局に勤めて、御自分の判断で働いているという人も結構おられますので、その辺の薬剤師のリテラシーをどう上げていくかというところが一つの課題かと思います。だから、どこが治療上の有益性が危険性を上回るかというのは、その判断が、ドクターでも違うわけです。経験から言えば、漢方薬とか小半夏加茯苓湯とかありますから、そういうのを投与して、それでも収まらない、これは衰弱しているなというところでプリンペランを投与されるということがあります。だから、これは簡単に片づけるべき判断ではなくて、これはあくまで消費者が同意の下で服薬をするということを考えていかなければならないと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。大事な問題を御指摘いただいたと思いますが、ほかには御意見ありますか。どうぞ。
○松野構成員 日本保険薬局協会の松野です。皆さんのおっしゃることを、誠に、私も同じ思いで拝聴させていただいていますが、ただ、この薬が妊婦による吐き気に使われることが多いというよりは、胃部不快感とか消化器症状の不調によって処方されることが多い薬だと思います。あるいはがん患者の吐き気を止めるために長期で服用されることも多いと思います。ただ、錐体外路症状を含む、中枢性の副作用が出る可能性を考えれば、最初の議論にありましたように、短期での服用の制限も必要だと思います。さらに、妊婦さんへの懸念される状況があれば、制限をつける検討も必要です。しかしながら、今、市販されている吐き気止めはほぼないに等しいと思いますので、この安全性が高い、長期に使われていて、たくさんのエビデンスがある中では、スイッチOTC化をする意義も非常に高いのではないかと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかには御意見ございますか。宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 宗林です。先ほどもお話ししましたけれども、私はスイッチ化には反対はしていません。ですから、吐き気止めがスイッチされて市場に出ることは、どちらかというと賛成です。ただし、今、皆さんがおっしゃっているように、例えば、今、がんの薬の副作用で飲むというような場合は長期にはなりますが、これは市販のOTCのものを使うべきではないと思うので、医師の判断の下、飲むべきものだと思っています。なので、胃腸の不快感がそれほど長く続くというのは、もし長く続くのであれば、それはちゃんと診てもらったほうがいいわけで、本当に一時的に頓服的に、飲み過ぎたからとか、ちょっと何かがあったからということで、頓服的に飲むのにこの薬があると、とても消費者にとってはありがたい薬だなと思うので、スイッチ化には反対しないのですが、短期間と言っても、頓服的に普通の一時的な胃腸の不調に対して、吐き気があった場合に対応するお薬という位置づけをしっかり議論して、出していっていただければと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。どうぞ、お願いします。
○宮地構成員 女性薬剤師会の宮地です。このプリンペランに関して、市販に頓服で出していただきたいと私は思っております。例えば、近い将来、緊急避妊薬がOTC化になった場合に、その場で、吐き気がある場合は止めないといけない。そういった場合にも使えると思うので、できたら、頓服という限定付きでも、OTC化には賛成をしたいと思っています。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。それでは、本評価検討会議としての方向性をまとめたいと思います。吐き気という症状には、幅広い背景があり、吐き気に対してOTC化された薬のニーズは高いと思います。その中で、本成分は古くから使用されていますが、副作用としての錐体外路症状は、頻度が必ずしも高くないものの、その診断が難しいことが指摘されました。消費者と薬剤師が判断することは難しいという副作用があることです。湯浅構成員から御指摘があったように、本成分は短期間使用とし、長期使用は絶対しないという条件については、皆さん一致したように思います。これを頓服か、1~2週間にするのか等については、部会の判断をいただくことになると思感います。もう一つの問題は、妊婦の方をどうするかです。吐き気という症状に対して具体的にどのような制限をかけるのか、どのような適応にするのかについては、薬剤師の教育・研修や適正使用としては厳しい条件が必要になり、受診勧奨と医師の連携強化が大事な薬だと思います。妊婦の方は、多くは産婦人科の先生にもかかりますので、医師との連携を深めながら使用することになると思います。一般の人たちに対しても、使用期間と過量投与をどうするのかについて、薬剤師による適正使用の説明が大事であり、企業側も資料を含めて研修などの協力・連携が必要だと思います。これまで議論された多くの課題点とその対応策についての議論をまとめる方向でよろしいでしょうか。特に追加あるいは御意見がありましたら、お願いします。
ありがとうございます。それでは、本成分について、パブリックコメント及び2回目の評価検討会議での議論が必要という方がおられましたら、御意見をいただきたいと思います。特にありませんでしたら、先ほどの成分と同じように、本日の御意見を事務局でまとめ、それを構成員の先生方に御確認いただいた後に、公表とすることにいたします。それでは、本日の議題は以上ですが、その他、事務局から何かありましたら、お願いします。
○事務局 事務局でございます。最後になりますが、議題「その他」として配付しております資料について、簡単に御説明をさせていただきます。まず、「候補成分の取り扱いについて」ということで御説明をいたします。
64ページ、資料4を御覧ください。令和3年度に候補成分となっておりました「エメダスチンフマル酸塩」については、対応する医療用医薬品の再審査報告書が公表されていなかったため、当会議での取り扱いを保留にしておりました。今般、報告書が公開されたことを受け、検討準備を進めていたところ、要望者より、本成分を候補成分から取り下げたい旨の希望が示されたため、今回、これを受け入れることにしたいと考えております。
続いて、65ページを御覧ください。「エストラジオール」ですけれども、要望内容と合致する「エストラジオール」を有効成分として、その効能・効果に「更年期障害諸症状」を持つ一般用医薬品は既に承認されていますが、その承認が昭和42年の基本方針適用前であったため、薬事の観点からは承認の前例がないものと判断をしまして、令和5年当時、候補成分として受け入れていたものです。しかし、実態として、当該成分は一般用医薬品として長らく既に使用されてきたという状況に鑑みると、改めてスイッチOTC化した際の課題とその対応策をこの評価検討会議で御議論いただく必要性は高くないと考えまして、「エストラジオール」を候補成分から取り消すこととしたいと考えております。対応方針について、御意見があれば、お願いいたします。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、2つの成分について、御意見がありましたらお願いします。「エメダスチンフマル酸塩」については、再審査報告書の公開後の取下げですが、御質問がありますか。次に「エストラジオール」は、御説明の理由で取消すことについて、御意見はありますか。ないようですので、以上とさせていただきます。事務局から、ほかにありますか。
○事務局 事務局でございます。続いて、構成員の追加について、御報告をさせていただきます。
68ページ、資料5を御覧ください。昨年閣議決定されております「規制改革実施計画」におきまして、スイッチOTC化を加速させるために、スイッチOTCの適正な販売に係る議論に資するよう、評価検討会議の構成員に要指導・一般用医薬品のインターネット販売事業者を追加することが計画に盛り込まれてございました。これを踏まえて、今回の評価検討会議から新たに、OTCのインターネット販売を実際に行っていらっしゃるクオール株式会社の清水先生に構成員として御参画いただくこととしておりますので、御報告を申し上げます。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。今回から、インターネット販売企業の方が御参画されることについて、御質問はございませんか。本評価検討会議が始まった頃、厚生労働省の実態調査で、インターネット販売調査の成果について、ここで議論されたと思います。その後、10年を経てインターネット販売は進化しているとおもいますし、さらに議論を深めていくために、構成員として参加していただくことは歓迎すべきことだと思います。それでは、特に御質問がないようでしたら、最後に、私から本評価検討会議結果のまとめ方の方法について提案です。これまでは、事務局でまとめたものについて、構成員の方々から、ニーズについての必要性、課題点についての重要性、それから、対応策についての重要性、それから、中長期的・短期的課題について、賛成などの具体的な御意見を記載していただき、その結果として多数の意見の場合は太字記載にしてきました。貴重な御意見をいただいた方と全くご提出いただいてない方がいらっしゃいました。本検討会議では、長時間にわたり、皆さんに非常に真摯かつ活発な議論を重ねていただいてきたという経緯を踏まえまして、新たな進め方において、今後の新しい会議結果の最終まとめの方法についても検討していただきたいと考えています。どのような取りまとめの方法がいいのか、事務局にこれまでの経緯を整理していただき、検討して、次回に案を出していただけたらと思いますこれだけ熟議した成果として、多くの構成員の方々の意見を反映した評価検討会議としての重みづけを次の部会にお伝えできたらという願いを含めまして、その方法を検討していただきたくことをお願いします。構成員の方から、御意見がありましたら、お聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御質問がなければ、事務局で御検討いただけたらと思います。よろしくお願いします。それでは、事務局から何かございますか。
○事務局 事務局でございます。本日も長時間にわたり御議論をいただき、ありがとうございました。本日、以上となります。次回の評価検討会議ですけれども、詳細が決まり次第、改めて御連絡いたします。御多用のところ恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
○笠貫座長 それでは、これで、第33回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終了します。どうも御協力ありがとうございました。
○宮地構成員 よろしくお願いします。
○事務局 よろしくお願いいたします。また、本日御欠席ですけれども、クオール株式会社薬局事業推進室室長の清水潤構成員にも御参画をいただいてございます。清水構成員御参画の経緯については、後ほど御説明をいたします。宮地構成員、清水構成員、以降、どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、前回開催以降、厚生労働省での人事異動がございまして、医薬局長に、本日欠席ですけれども、宮本が、また、医薬品審査管理課長に、本日遅参しておりますけれども、紀平が着任をしてございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日ですけれども、オンラインの調子が少しよくなく、YouTubeについては現在流れてございません。ですので、本日は録画をさせていただいて、一定期間厚生労働省のサイトに掲載するということで対応させていただきたいと思います。
会議を開始するに当たって、注意事項を御説明いたします。web参加の方が御発言される際は、システム上で挙手をいただきまして、座長に指名されるまでお待ちください。発言の際は、ミュートを解除した上でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いします。また、発言されないときはマイクをミュートにするようお願いします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局まで御連絡をお願いします。会場参加の方が発言される際には、挙手していただきまして、座長の御指名をお待ちいただき、座長の御指名をお待ちください。カメラ撮影のほうは、ここまででお願いいたします。それでは、笠貫座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
○笠貫座長 笠貫です。よろしくお願いします。まず本日の配付資料の確認について、事務局からお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施してございまして、オンライン参加の方は送付済みの電子資料を、会場参加の方はお手元のタブレットで御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付されております。ほかの資料を画面に表示する際は、画面左上のファイルを指で一回軽くタップした上で御覧ください。本日の資料として、ファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料となります。会議資料につきましては、資料1つのPDFファイルとしており、議事次第、配付資料一覧、パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策に関する資料として資料1-1及び資料1-2、候補成分のスイッチOTC化に関する資料として資料2-1から資料3-3、その他に関する資料として資料4及び5です。参考資料は、参考資料1~3を配付してございます。また、タブレットには、各個別の会議資料及び参考資料もフォルダに入れてございます。適宜御活用をお願いします。配付資料の説明は以上となります。御不明な点等ございましたら、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。それでは、本日の議題に入ります。まず、ジクアホソルナトリウムのパブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。ジクアホソルナトリウムについて、御説明をいたします。
まず、1ページ、資料1-1を御覧ください。ジクアホソルナトリウムにつきましては、本年2月の評価検討会議におきまして、一度御検討いただいておりまして、その内容をまとめた資料がこちらになってございます。
続いて、4ページ、資料1-2を御覧ください。パブリックコメントで寄せられた7件の御意見について、簡単に御紹介いたします。御意見のうち、5件はそのスイッチ化に肯定的な御意見でしたが、2件は「本成分の使用には医師の関与が必要である」と、スイッチ化に否定的な御意見でございました。パブリックコメントで寄せられた御意見の中から、疾患の特性の項に、ファーストライン以外の薬剤のOTCとしての必要性に関する御意見を1つ、また、適正仕様の項に、1日の使用回数が異なる製剤をOTC化することの意義に関する御意見を1つ、計2つの御意見を資料1-1に反映してございます。追加した御意見を踏まえ、構成員の方から御意見がありましたら、いただければと思います。また、ほかにも資料1-1に反映させるべき御意見ありましたら、御意見いただければと思います。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、スイッチOTC化の課題とその対応策について、御意見があればお願いします。事務局からお話にありましたように、自己判断が困難な疾患であるため、スイッチOTC化は適さないという御意見もあったということですが、それを踏まえて、御意見がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。これについても、前回議論がされましたし、パブコメでも御意見をいただいたということで、特段御意見がないようでしたら、今日御説明いただいた御意見を踏まえて、事務局で検討会議結果案を作成していただき、それを構成員の先生方に御確認するという形で進めてよろしいでしょうか。どうぞ。
○富永構成員 薬剤師会の富永ですが、ジクアスと言わせてください。すみません。前回、ジクアスについて、その意見を言ったわけですけれども、ヒアレインをまず使って、無効な場合にジクアスを使うというアクセスができれば、もちろん有害事象等が出ないという前置きで、ジクアスをOTC化したらいいのではないかなということを言いました。しかし、実際、医療用のジクアスを投与してみると、刺激感とか、目やにとかで離脱する患者さんも結構いらっしゃるわけです。ただ、ヒアレインでまだドライアイの感覚がある患者さんが、「ジクアスでよくなったわ」とおっしゃる方もいらっしゃる。そこで、ジクアスをスイッチOTC化した上で、薬剤師の説明の中で、ちゃんとしたそういう副作用的なものが出るんだよと納得した上で点眼されれば、結局、効果は得られるということを思ったところです。そこをちゃんと押さえないと、OTC化がすんなり進むというのはいかがなものかなと思っております。
○笠貫座長 宮地構成員、お願いします。
○宮地構成員 私も同意見ですけれども、3種類調べてみたら、防腐剤、添加物がそれぞれ違うのですね。そうなると、特にジクアスのジェネリックの場合は、塩化べンザルコニウム系で、少し刺激もありますし、パラベンとかほかのと競合すると、目の中で相互作用がある可能性が出てきます。そういったものをきちんと明記していただくとか、そういう条件をつけていただければなと。感想です。ジクアスLX3%のほうが確かに治るというか、ドライアイの効果は実感できるのではないかなと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにございませんか。適正使用のため、薬剤師の十分な説明などの対応策については、ここで十分議論させていただきましたので、本評価検討会議結果としてまとめさせていただき、構成員の先生方にもう一度御確認いただくことにしたいと思います。よろしいでしょうか。
特段ありませんでしたら、次の議題に移りたいと思います。候補成分のスイッチOTC化についてです。ボノプラザンについて、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
ボノプラザンについて、御説明をいたします。7ページ、資料2-1を御覧ください。ボノブラザンのスイッチOTC化した際の効能・効果としては、「胸やけ、胃痛、げっぷ、胃部不快感、吐き気、むかつき、もたれ、喉のつかえ、苦い水、胃酸が上がってくる」となってございます。対応する医療用医薬品は、タケキャブ錠10mg及び同OD錠10mgとなっており、効能・効果は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎等となっております。要望者は、本成分の主な要望理由として、ガスターより効きがよく、1日1回で済む薬剤を使用したいことを挙げています。
9ページを御覧ください。タケキャブ錠10mgですけれども、2014年に承認されておりまして、再審査結果は2024年に通知、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断をされてございます。
11ページ御覧ください。本剤には、禁忌に本材の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者が設定されてございまして、また、重要な副作用としては、ショック、アナフィラキシー等が設定されてございます。
13ページを御覧ください。推定使用者数等として、逆流性食道炎の有病率は10%と推定されてございます。次に、同種同効薬でございます。本邦において、ファモチジン、シメチジン等のH2ブロッカーやラベプラゾール等のPPIが既にスイッチOTC化をされてございます。
14ページを御覧ください。海外での承認状況について、本成分が一般用医薬品として承認されている国はありません。医療用医薬品としては、アメリカを含めた10か国以上で承認されてございます。
続いて29ページ、資料2-2を御覧ください。日本消化器病学会、日本臨床内科医会及び日本OTC医薬品協会から、それぞれ見解が提出されておりますので、簡単に御紹介をさせていただきます。
まず、日本消化器病学会です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいてございます。その根拠として、H2ブロッカーや古典的なPPIなどより、胃酸分泌抑制が強力であることから、優れた有効性を示す薬剤であること。PPIと比較して、薬理学的な即効性には優れていることから、短期使用に限っては、より治療効果を感じる患者さんが多いこと。胃酸分泌抑制剤と同様の2週間の投与期間とすることでも大きな問題は生じないこと。本成分は、PPIと異なり、非びらん性胃食道逆流症の効能を有していないけれども、ほかのPPIと同様の効能・効果で大きな問題にはなっていないことを挙げていただいています。
続いて、31ページを御覧ください。日本臨床内科医会の御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、2週間程度の短期の使用に限定するのであれば、安全性のリスクはかなり低いと考えられるため、設定根拠は存在する医療用の用量と同一の用量を設定することが適切であるということをいただいてございます。
続いて、32ページを御覧ください。OTCとする際の課題点について、薬局で購入する場合、インターネット等で購入する場合、いずれにおいても、2週間の服用を繰り返さないようにすることとの御意見をいただいてございます。
続いて、33ページを御覧ください。日本OTC医薬品協会からの御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、再審査期間中に収集された副作用症例報告を踏まえると、多くが併発疾患とか合併症を有する患者さんにおいて発現しており、OTCの使用対象になる患者とは考えにくい方々に重大な副作用が起こっているため、適切な条件下であれば副作用のマネジメントは十分に可能なものと考えられる。本薬の効能・効果は、既存のPPIと同様の「胃痛、胸やけ、もたれ」と想定をしており、一般消費者が理解しやすいものであること。既存PPI同様の「チェックシート」や「胃のお悩み症状相談ガイド」を使用することで漫然とした使用を防げることを挙げていただいています。
37ページ、資料2-3を御覧ください。御意見募集において16件の御意見が寄せられてございます。簡単に御紹介します。既にスイッチOTC化されたPPIと同様の適正使用対策を講ずることにより、適正に使用できる可能性があるとの御意見を頂戴しております。なお、御意見募集をした期間においては、いずれのPPIもスイッチOTCとして承認がなされていなかったことに御留意いただければと思います。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本消化器病学会の見解について、上村構成員から御意見、補足をお願いします。
○上村構成員 それでは、私からは、日本消化器病学会からの意見書にあるように、この薬はH2ブロッカーやPPIに比べて、より強力な胃酸分泌抑制力を持っております。これの副作用が1つございまして、血中のガストリン値が物すごく上昇します。そうすると、カルチノイドを惹起する可能性があることが1点。それから、これは一般の方からのパブコメでも見られたのですけれども、最近、昨年から除菌後胃がん、ピロリ菌を除菌した後の胃がんのリスクが、これはPPIでも同じですけれども、ボノプラザンも非常に上昇するという報告がなされております。こういうことがあります。それと、もう一つ一番大きな点は、これはこの評価検討会議でどういうふうに対処するかをお聞きしたいのですけれども、これは、私ども医者が処方するときに、保険適用になっているのは、ボノプラザンは逆流性食道炎です。これは、内視鏡的に食道炎を認めた場合に、ボノプラザンを使うことができるということなのですね。OTC化の場合に、これは症状でやっていますから、これはいわゆるNERDという非びらん性の逆流症ということで、これを保険適用になってない病名でOTC化することは、原則はどうなのかと。OTC化する場合に、逆食でしか保険適用になっておりません。したがって、逆流性食道炎という診断なしで、いわゆる非びらん性の逆流症で、NERDというのですけれども、これでOTCとして採用できるのかというのが私の疑問です。賛成する点は、先ほどから言われていますように、圧倒的に、これは物すごく有用性が高い薬剤だと思います。特に、病院に行けない、若い方、中年の方、仕事をしている方が、胸やけで困っていて、仕事場で、病院に行けないけれども、これを飲めば、大体3時間で胃の中のpHがほぼ7になります。したがって、PPIと違って、PPIは相当時間かかるのですけれども、このボノプラザンは3時間ぐらいで一遍でその症状が取れるということでございますから、非常にいいと思うのですけれども、先ほどお話しした点を議論していただければと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。日本臨床内科医会の見解について、湯浅構成員から御意見、補足等をお願いします。
○湯浅構成員 ありがとうございます。上村構成員がお話しされたことと少し重複してしまうと思いますけれども、PPIをOTC化するときに、私どものほうでは副作用のお話をさせていただいたと思います。ただ、そのときもことわっておりますけれども、その副作用は、短期間使用ではほとんど問題にならないこと、それから、どちらかというと観察研究が中心ですので、エビデンスレベルとしては少し落ちることをお話しさせていただきました。除菌後のPPIやP-CAB使用者と胃がん発症との関連性を示す論文、つまりPPI使用者で胃がんリスクが増えるという報告がされています。その論文では、PPI使用患者を除菌療法の有無別に2つのコホートに分けて胃がん発症率を比較し、除菌療法を受けている群で胃がん発症リスクが高かったという結果でした。PPIの使用の有無というよりは、除菌治療を行うことが胃がんのリスクの増加に影響することが述べられていたと思います。話がそれてしまいましたが、副作用の観点からは、投与期間は長くても2週間、ここは厳守していただきたいと思います。また、日本臨床内科医会のOTC委員会の先生からは、10mgで販売してほしいという要望がございましたので、申し添えておきます。上村構成員からお話がありましたが、ボノプラザンの医療用保険の適応は、胃の内視鏡を施行したうえで、診断のつく逆流性食道炎に限られます。胃内視鏡を行っても炎症所見を認めず、有症状のみの非びらん性の胃食道逆流症の適応はありません。したがって、ボノプラザンをOTC化する際に、医療用保険に適応のない症状病名をつけてよいのかという問題があると思います。そのことについては、議論の余地があると考えております。
○笠貫座長 ありがとうございました。次に日本OTC医薬品協会の見解について、磯部構成員から、御意見、補足をお願いします。
○磯部構成員 ありがとうございます。OTC医薬品協会の磯部でございます。上村構成員、湯浅構成員、ありがとうございます。まず最初に、今の適応の関係をどう考えるか。多分、これは一番ポイントの議論だと思います。実は、上村構成員が先ほど議論してほしいというコメントございましたが、上村構成員のほうの日本消化器病学会の御見解の中にそのことに触れておられるわけですが、結論から言うと、ほかのPPIより効果はどうも強力だと。酸性下でなくてもかなり効果が出るということもあるのですが、同種同効薬であるのは事実で、最初に非びらん性の胃食道逆流性をどうして取らなかったのかというのは、製造販売業者の方とも接触できないので、詳細は分からないのですが、ただ、症状で考えると日本消化器病学会のコメントもありますが、「胃痛、胃もたれ、胸やけ」ということで考えていった場合に、それは確かに厳密にはおっしゃるとおりだということは理解もするわけでございます。このような形で考えたときには、この効能的に捉えると、私は許容範囲なのではないかと思っております。その上で、結局、実際に医療用のほうでも、臨床実態をレセプトで調べると、逆流性食道炎で圧倒的に使われておりますが、症状を確認しながら臨床の先生方もお使いになっているのではないかと思っております。そういった状況も考えて、OTCで効能を考える場合に、今ある「胃痛、胃もたれ、胸やけ」ということで、少し広く考えてもいいのではないかと、同種同効薬であることと、そういった臨床実態を考えたときには、そういうふうに考えてもいいのではないかと思っております。また、その場合に、用量については、10mgがいいのか、20mgがいいのかというのは議論があると思います。その点については、また、審査の中でも少し議論をしなければいけない問題だと思いますので、私としては、今回のものが、特に10mgが維持療法でということになっているものですから、逆に、10mgで使ってどうも効かないじゃないかということで、先ほど湯浅構成員から御指摘いただいた、長期に使わない方がいいと。これは絶対守らなければいけないと、私もそういうふうに思っておりますので、今の初期用量の20mgで使うことで、逆に、期限をしっかり守っていくということのほうがいいのではないかと考えております。そういう意味で、10mg、20mg問題は、一応論点としては、湯浅構成員が10mgのほうがいいのではないかという御指摘と、私のほうからは、逆に、初期用量20mgをしっかり使って、2週間をしっかり守ることに力点を置くべきではないかということも、論点の整理の中では記載をしていただくと、ありがたいなと思っております。また、たくさん使われているお薬でありますので、いろいろな副作用も出ておりますけれども、我々の分析の中では、OTCの適応になるであろう生活者の方々、そういう症状を有している方々では、副作用マネジメント的にはでき得る範囲ではないかと私どものほうの分析としては思っているところでございます。以上でございます。
○笠貫座長 ありがとうございました。構成員の方々から、御意見等がありましたら、お願いします。
○上村構成員 すみません、上村ですけど、いいですか。
○笠貫座長 上村構成員お願いします。
○上村構成員 まず、先ほどの湯浅構成員の発言に非常に大きな間違いがあるので、訂正させてもらいます。結局、PPIとかボノプラザンによって、ピロリ菌の除菌によって胃がんのリスクが下がるというのは世界的な常識です。しかしながら、その中で、ピロリ菌の除菌をしても、PPIとかボノプラザンによって酸分泌抑制してしまうと、胃内の細菌層が変わって、その中で胃がんのリスクが除菌の中では上がるということで、除菌治療自体が胃がんのリスクを上げるなんていうのは、世界的には本当にそういう常識は全くないですから、それは訂正してもらってください。それから、もう一つは、今、日本OTC医薬品協会の磯部構成員が言われたことですけれども、今聞いていると、初期治療とか維持療法とか言われているけれども、これは逆流性食道炎なんです。逆流性食道炎の初期治療は、内視鏡で見て、食道炎があって、それに対する初期治療が20mgのほうがいいよ、維持療法は10mgのほうがいいよという話であって、この症状だけのいわゆるNERDに対する臨床治験は行われていません。したがって、NERDに対する有用性と安全性を担保する臨床治験が行われてないために、PMDAでこれを承認してないわけです。これは、僕は厚生労働省のほうに聞きたいです。こういう保険適用になってないものをOTC化するということが、事務局として、これは承認できるのですか。
○事務局 事務局でございます。上村構成員、御指摘ありがとうございます。今、この場は、あくまで詳細なデータを見ているわけではないので、これが実際にスイッチ化として申請をされたときに、承認できる、承認できないというところを断定するところまではできないのですけれども、当然、実際にスイッチの申請が来たときに、今、御指摘いただいた点も含めて審査をさせていただいて、最終的には判断をするというところまでしか、すみません、この場では申し上げられません。
○上村構成員 そうですね。それは次の部会での問題だと思うのですけどね。OTC化するという場合の大きな前提の問題になるので、これはきちんと厚生労働省のほうも意見を整えておいたほうがいいような気がいたしました。もう一つだけ言わせてもらうと、湯浅構成員が言われた、除菌後胃がんのリスクをPPIが上げるというのは、2018年の香港グループのGATTの論文と、それから、昨年、東京大学から出ています。全く同じような大規模なデータベースを用いた形の臨床試験で、それが言われております。日本でも明らかなものだということが。ただ、これはもちろん今後確認しなければいけないのですけれども、報告はもうなされている次第です。
○湯浅構成員 よろしいですか。
○笠貫座長 湯浅構成員、どうぞ。
○湯浅構成員 今、上村構成員からお話をいただきましたが、除菌治療を行ったから胃がんが増えるという発言は、明らかに間違いであり、訂正させていただきます。先ほどご紹介した論文の内容をもう少し詳しく説明すると、潜在的交絡因子を検証するために、PPI使用患者の除菌の有無による胃がん発生率を比較したところ、除菌治療を受けている群で胃がん発生率が高いという結論でした。除菌治療を受けていないPPI使用者のマッチングコホートにおける胃がん発生率と比較することで、胃がんリスクの決定要因は、PPIの使用よりも、既感染を含むヘリコバクタピロリ感染のほうがより重要な因子であると結論づけていますので、付け加えさせていただきます。
○笠貫座長 ほかにございますか。磯部構成員。
○磯部構成員 OTC医薬品協会の磯部でございます。1つ私は上村構成員にぜひお伺いしたいことがございまして、我々の分析では、PPIのグループ、このボノプラゾンもそうですが、ボノプラゾンは非びらん性をとってないのであれですが、ほかのPPIでも、逆流性食道炎の診断で使われている先生方が非常に多いと認識をしていて、医療用のほうでは、非びらん性のほうは、レセプトの分析では、逆流性食道炎に比べれば、かなり少ないというのが、我々としては見て取れているわけでございます。先ほど上村構成員からお話があったように、内視鏡を使って見ることが基本形だということも理解をしているのですが、実際に、これはもう本当に臨床の実態をぜひ教えていただきたいと思うのですけれども、症状を訴えられる患者さんがお見えになったときに、例えば、特に初見の方の場合には、内視鏡を撮ってどうするというのは、現実には非常に手間のかかる診療にもなりますし、内視鏡がすぐできるというのは現実には非常に大変だろうと思っております。そういう意味では、症状をお聞きすることで、逆流性食道炎だと判断をして、現実には使われている患者さんもかなり多いのではないかと私は推測しておりまして、そのような臨床の実態がどうなのか。そういうようなことがもしあるとすれば、先ほどの用量に関しても、20mgから始めていくということが出てくるので、そこら辺の状況を、上村構成員から御指南いただけるとありがたいなと思いました。
○上村構成員 では、上村が回答いたします。まず、日本の国民皆保険制度で、今、磯部構成員がおっしゃったように、胸やけ等々で内視鏡をやらずに、逆流性食道炎とレセプトに病名をつけるという悪しき慣習があるわけです。消化器内科の私どもは必ず内視鏡をやります。内視鏡をやって、逆流性食道炎というものを確認した上で、初期治療20mgから使ったほうがいいなということで使うことが多い。しかしながら、それをやらずに20mg使っているということは、僕には理解できません。それは循環器とか整形外科とかが使っているかもしれないのですけれども。だから、その辺は、日本の保険医療制度の問題かなと私は。いわゆるレセプト病名ですね。今おっしゃったNERDのほうが少ない、逆流性食道炎が多いというのはなぜかというと、これはまさしくPPIは保険適用になっているのですね、NERDは4週間までということで。しかしながら、6週間、8週間使いたいがために、逆流性食道炎という病名をつける方が消化器内科以外で多いわけです。そういう日本の医療の実態があるのですね。これは、もうここで話してもあんまり仕方ないかもしれないのですけれども。だから、私どもは消化器内科として、原則としては、内視鏡で逆流性食道炎がないと、それで症状があるという方、こういう方にはボノプラザンではなくてPPIを処方するわけです。それが保険適用になっている、なってないという薬剤に対する使用方法。なぜなら、ボノプラザンはすばらしい薬ですけれども、日本で保険適用、先ほどお話しましたけれども、いわゆる有用性と安全性を担保するための臨床治験が行われてないわけですね。それはいい薬は間違いない、学問的に考えてそうです。だから、日本消化器病学会はああいう書き方をしているわけです。ということで、いわゆるNERD、この場合の症状だけのNERDをそのままOTC化するということでいいのかと。もちろん、現実的には、これをOTC化して救われる人、福音をもたらせる方はいっぱいいるから、僕もいいなと思うのですけれども、原則論をどう考えるかということは、ちょっと違うと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○平野構成員 日本チェーンドラッグストア協会の平野でございます。長期服用に対する懸念があるということで、それについて、販売の現場を預かる立場からの考え方です。先ほど御指摘あったように、3時間程度で極めて顕著に効果が出る。ほかの従来のPPIに比べて、極めて効果が分かりやすい。これは、実は長期連用を防ぐという意味では非常に大きな特徴だと思っています。3時間たって効果が出ないということであれば、これはもう中止してくださいという話が極めて簡単にできるということで、長期連用を防ぐという意味で非常にやりやすい薬であると私たちは思っております。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○松野構成員 日本保険薬局協会の松野です。私も、スイッチOTC化は「賛成」の立場です。この薬は、今、医療用医薬品市場で、たしかベスト10に入るほどよく売れている。それは効き目がいいから、切れ味もいいですし、使いやすい薬だからだというところから来ていると思います。まだ発売されて間もなく、ジェネリックも登場していない段階ですが、スイッチOTC化されて、医療費の削減に繋がる可能性もあると考えています。また、それを販売する側の薬剤師の役割として、説明して状況を確認するという意味でも、役割が果たせる方向にも持っていけるように思います。そういう点では非常に将来性がある薬、スイッチOTC化できる薬ではないかなと思います。
○笠貫座長 ほかにはいかがですか。
○堀構成員 COMLの堀です。消費者の立場から提言させていただきたいのですけれども、今、松野構成員がおっしゃったように、タケキャブという薬は、処方薬においては、一般の方たちは、いろいろな症状があった場合、大体胃薬というものをいただくので、一度は服薬をしたことがある、割と聞き慣れた薬ではないかと思います。だからこそ、OTC化になったときに、販売されたら、割と買いやすい薬ではないかと。そのときに、20mgと10mgということが先ほどから議論になっていると思うのですけれども、私たち消費者としては、先ほど平野構成員がおっしゃったように、早く即効性がある薬ということを求めた場合、今までのPPIよりは、どうしてもこのボノプラザンのほうを購入しやすいと思うんです。そのときに、先ほど平野構成員がおっしゃったことはすごく大切で、今回、2週間ということだったのですが、購入するときに、即効性があるからこそ、即効性が3時間、4時間たったとき、まだ痛みがある場合は、実際に、ただの胸やけ、胃痛、もたれとかだけではなく、違う病気、先ほどおっしゃっていた逆流性食道炎のような、そういう隠れた病気があることを消費者側に伝えることがすごく必要ではないかと思います。ですので、2週間が医師の先生方が妥当ということであれば、2週間で私はいいと思うのですけれども、長期服用することで、この薬を飲んだことによって違う病気の発見が遅くなるということがあるのであれば、もう少し期間を短くするなり、または、その20mgというものが、10mgと比較した場合、私たち消費者にしてみるとどれくらい即効性が違うのかということも分からないので、その部分に関しても併せて御検討いただけたらと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。
○湯浅構成員 よろしいでしょうか。
○笠貫座長 はい。湯浅構成員。
○湯浅構成員 繰り返しになりますが、非びらん性胃食道逆流症という症状での適応が医療用にはございませんので、その点については、スルーするのではなくて、議論をしていただきたいと思っております。もちろん、それをもってOTC化できないということを言っているわけではありません。現在、PPIが3剤OTC化されておりますが、本来であれば、PPIのOTC化に対する検証を行ったうえで、ボノプラザンのOTC化の議論にはいることが手順ではないかと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございますか。磯部構成員どうぞ。
○磯部構成員 ありがとうございます。OTC医薬品協会の磯部でございます。今の湯浅構成員の関係で、2つコメントさせていただくと、1つは、これは2014年に最初に出ていまして、その専門家の先生方を見て、あくまでPPIと同種同効薬であると。実際の確かにNERDはないのですが、ほかの分野は全部、ランソプラゾールと非劣性で見ていて、それと劣らないということを見てきていて、確かに他のPPIとは違うところの細胞チャネルに効いて、構造的な工夫もあるので、効果がいいのではないかというのが臨床家の見立てだと思うのですが、あくまで同種同効薬であることははっきりしているものだろうと思っております。かつ、この薬、先ほど松野構成員もお話があったのですが、多分、特許期間中の新薬であり、まだジェネリックも出ていない。そういう中で、じゃ、いつ出せるのかと。今回も多分これは企業の要望というよりは、一般の方の要望として受け止められているので、現実問題として、すぐに出てこられるのかというのもあると思います。そのときに、再度、製造販売後調査の結果を見てどうするというのを、評価検討会議でまたやるのかというのもあるので、検討するポイントとしては、今、湯浅構成員がおっしゃったことも入れ込むことにした上で、いつ出てくるかということもありますので、そこも見ながら考えていくということで、今回はもうこれでいいのではないかなと思ってございます。
○笠貫座長 ほかにございますか。佐藤構成員、どうぞ。
○佐藤構成員 産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。販売してから約10年がたつ薬で、極めて広く使われた薬だと理解しています。今回のような、症状が保険適用されていないという原則は、そのとおりかもしれませんが、実際に臨床現場で、悪しきケースとは言いながら、そのような使われ方が広くされてきたのであれば、その現状があるにもかかわらず、原則を盾にOTC化に適さないとするのはなかなか理解しにくいところです。広くそう使われてきて、10年を経たのであれば、そういう使い方もあり得ると考えるのが自然かと思います。もちろん、実際にそう使われてないし、保険適用もそうではありませんというのであれば、もちろん原則にならうという話だと思いますけれども、実際にこう使われてきましたということだと、原則を盾に駄目というのはなかなか難しいのではないかという気がいたします。10mg、20mgという話がありましたが、10mgにする根拠は拝見した資料ではよく分からない感じがしました。症状の軽減のために使うのであれば、20mgを使うのが妥当であって、気休め的に量を減らすことが適切かというと、そこは納得しかねました。一方で、当然、ほかの疾患をマスクするようなことがあってはいけない薬ですので、薬局で、短期の使用が担保できるようにすることはきっちりお約束というか、必ず守っていただくべきことであって、そこはきっちりしていただきたいと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。宮川構成員、どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。いろいろ議論がありました。そういう様々な矛盾点が存在するということをしっかりと記録していただいて、進めていただければ幸いかなと思っております。それから、今お話があったように、あしき習慣も含めてやっているわけですけれども、それは、その中でも医療という範疇の中で、それをバックアップして解消しているという現状があると。医療の中でそれが行われているけれども、その医療の中でそれを修復し、患者さんが様々な困窮する状態にないように、また戻しているという状態は、それは医療の中である、範疇であるということは、しっかりと認識していただきたいと思います。ですから、医療用から要指導・一般用への転用という感じになったときに、医療から距離がどんどん出てくるということをしっかりと考えていかなければいけないと。そのときに、それに対して、患者に対して、法的なことも含めてですけども、誰が責任を負うのかということが、非常に大事であるということだろうと思います。ですから、症状から始まって、その症状が消えたからいい、それを抑えられたからいいというだけではなくて、そこには、病名としてどうなったのかという、その後の医療の問題に変わってくるという形だろうと思っています。これは、全てにわたっての原則だろうと思っております。先ほど、平野構成員から受診勧奨のお話がありましたけれども、いまだかつて、その受診勧奨もちゃんとされていない状況があります。それは、一般の薬剤師の方がしっかりとした関与の中でやられている場合には、受診勧奨としても、何かあったらお医者さんに行きなさいとか、医療機関に行きなさいという、そういうような軽々とした文言でしゃべられているわけではなく、こういう症状があったら、どこそこ行きなさいとか、消化器内科に行きなさいとか、そういうような形をしっかりと指導されていることが原則であるということで、ただの受診勧奨という簡単な4文字の熟語で問題が解決しているわけではないということは、当然のことだろうと思います。そういうことがされてなければ、いつも私が申し上げますように、法的責任は必ずそこに存在するんだということの中で、しっかりとした受け止め方をしていただければよいのではないかなと思っています。ですから、様々問題があって、各医会から学会からありましたけれども、「賛成」という形で2文字の漢字で出されましたけれども、問題があるのであれば、本来からすると賛成ではないと。条件付きな問題あるということも含めて、学会の先生たち、医会の先生たちも、それに対して責任をしっかりと負っていただければと思います。それが、この医療用から要指導、そして、一般用へのそういう転用の中で、様々な問題が起こることをしっかり理解していただきながら、議論を進めていただければ幸いかなと思っております。以上です。
○笠貫座長 それでは、ここで、座長としてまとめさせていただきます。本成分は消費者からの要望ということですか。
○事務局 事務局でございます。申請なのか、要望なのかということについては明らかにしていないところです。
○笠貫座長 今の議論を踏まえて、会議のまとめについてお話させていただきます。消費者のニーズと医学的観点からの課題から意見の違いがあると思います。そういう意味で、OTC化の課題とその対応策を挙げ、まとめることは本評価検討会議のミッションです。本成分は既存のPPIとの同種同効薬であり、従来のOTC化されたPPIよりも、即効性があって、効果が強いことが特徴です。消費者としては、PPIと同種同効薬で、有用性が高い薬に対してニーズが高いことは容易に理解されると思います。一方で、先ほどから議論されたように、対応策として、期間を1週間から2週間にするか、用量を10mgか20mgにするかなどの問題は、部会に上げることになります。先ほど新たな論点として出されたのは、消費者のニーズの高い薬を、保険適用の病名には入っていないNARDの症状を含めてOTC化することについて、どこまでの科学的根拠を求めるのか、また、実際、臨床現場ではレセプト病名という習慣により使用されていることも指摘されました。こうした状況では、消費者と医師を結ぶ薬剤師による受診勧奨が大事で、本評価検討会議で強調してきた連携強化が重要になります。今後は医療DXが進めば、この連携はさらに強くなると思います。こうした消費者からのニーズが高い成分で、企業から申請されるか分からないという成分についてスイッチOTC化を図ることについての議論をまとめることは意味があると思います。本日議論された課題点と対応策については、事務局に整理していただき、それを構成員の先生方にお送りし、ご確認いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、本成分については会議結果のまとめの前にパブリックコメントが必要だという御意見がある方は、挙手をいただき、御意見をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。特段ないようですので、次に進めたいと思います。
よろしいでしょうか。これは本評価検討会議の新しい進め方ですので、皆さんの確認をとりながら進めたいと思っております。特段御意見がなければ、これで事務局にまとめて、それを各構成員の方々に御確認をいただいた後に公表するとことにいたします。それでは、続きまして、メトクロプラミドについて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
メトクロプラミドに入る前に、冒頭、システムトラブルでオンラインの配信ができていないというお話をさしあげましたけれども、18時半頃から復旧してございまして、今この瞬間流れてございます。今、オンラインで見られている方、冒頭の30分については、また、改めて、何らかの方法で見られるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたしました。続いて、メトクロプラミドについて、御説明をさしあげます。
43ページ、資料3-1を御覧ください。メトクロプラミドのスイッチOTC化した際の効能・効果は「吐き気」となってございます。対応する医療用医薬品は、プリンペラン錠5となっておりまして、効能・効果は、次の場合における消化器機能異常(悪心、嘔吐、食欲不振・腹部膨満感)、胃炎、胃・十二指腸潰瘍等となってございます。要望者は、本成分の主な要望理由として、効果のある吐き気止めを使用したいが、ドンペルドンはQT延長が「中リスク」のところ、メトクロプラミドは(リスク不確定-注意)であることを挙げてございます。
44ページを御覧ください。プリンペラン錠5は、1966年に承認をされてございます。
45ページを御覧ください。本剤には禁忌に、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、褐色細胞腫またはパラガングリオーマの疑いのある患者、消化管に出血、穿孔または器質的閉塞のある患者が設定されてございまして、重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー、悪性症候群等々が設定されてございます。
47ページを御覧ください。推定使用者数等として、機能性消化管疾患診療ガイドライン2021によりますと、日本人の機能性ディスペプシアの有病率は、その定義や対象者、解析手法により異なると考えられますが、有病率は11~17%と報告をされてございます。次に、同種同効薬についてです。本邦において、本薬と同じ受容体に作用する消化管運動機能を改善する薬剤としては、イトプリド塩酸塩がスイッチOTC化されておりまして、作用機序が異なるものとしては、トリメブチマレイン酸塩がスイッチOTC化されているところでございます。
48ページ御覧ください。海外での承認状況ですけれども、本成分が一般用医薬品として承認されている国はございません。一方、医療用医薬品としては掲載されている6か国全てで承認されています。
53ページ、資料3-2を御覧ください。日本消化器病学会、日本臨床内科医会及び日本OTC医薬品協会から、それぞれ見解を提出していただいてございます。まず、日本消化器病学会の見解を御紹介させていただきます。スイッチOTC化については「反対」との御意見をいただいております。その根拠として、D2受容体拮抗薬に特徴的な副作用として、悪性症候群、意識障害、けいれん及び遅発性ジスキネジアなど錐体外路症状が考えられ、本薬は他のD2ブロッカーと比較して脳への移行性が高いこと、また、短期間の使用にとどめた解熱剤、鎮咳薬のような頓用での使用が適切であることを挙げていただいています。
55ページ御覧ください。続いて、臨床内科医科会の御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、古くから制吐剤としての使用実績があり、医師の指示の下、安全に使用されていること。本薬は、QT延長によるトルサード・ド・ポワンツ(TdP)等致死性不整脈の発現頻度について、添付文書上特段の記載はされていないこと。妊婦への使用についても治療上の有益性がリスクを上回れば使用可能であり、有用であること。急性胃腸炎に対する制吐剤として、短期間の使用であれば国民のセルフメディケーションに資すると考えられることとの御意見のほか、注意事項として、悪性症候群での死亡例が報告されていることもあり、スイッチOTC化に際し注意が必要である。オーバードーズの危険性があり、適正使用を推進する必要があるとの御意見もいただいてございます。
57ページ御覧ください。日本OTC医薬品協会の御見解です。スイッチOTC化については「賛成」との御意見をいただいております。その根拠として、同種同効薬である「イトプリド塩酸塩」がスイッチOTCとして既に承認をされており、本剤をスイッチOTCとした際の要望の効能・効果「吐き気」は既にOTC医薬品として対象疾患となっていることから、セルフメディケーションの選択肢の一つとなり得ることとの御意見をいただいております。
58ページを御覧ください。OTCとする際の課題点として、過量服用による錐体外路症状、意識障害等が現れることがあること、長期連用により遅発性ジスキネジアが現れることがあることから、過量服用や長期連用を防ぐために最大包装量の制限あるいは薬剤師や使用者に対して注意喚起を徹底する必要がある。眠気、めまいが現れる可能性があるため、服用後に乗り物または機械類の操作を避けるよう注意喚起をする必要があるとの御意見をいただいております。
60ページ、資料2-3を御覧ください。御意見募集において8件の御意見が寄せられております。うち簡単に御紹介します。錐体外路症状などの副作用が現れる可能性があること、吐き気を抑えることにより、中毒、脳腫瘍等の原因疾患の発見が遅れる可能性があることから、要指導医薬品にとどめ置く必要があるとの御意見をいただいております。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。日本消化器病学会の見解について、上村構成員から御意見、補足をお願いします。
○上村構成員 日本消化器病学会からの意見書では「反対」になっているのですけれども、その理由は、メトクロプラミド、プリンペランはドーパミン受容体の阻害薬であって、医学的に考えると、中枢性の副作用である錐体外路症状ないしはプロラクチン血症が出ておかしくない可能性があるために、OTC化するには注意が必要だからということが一番大きな理由だと思います。ただ、その中で1つ、海外ではまだOTC化されてないと思うのですけれども、特にアメリカのFDAは2009年に遅発性ジスキネジアの発現リスク、この当時は大体5%ぐらいと言われていたのですけれども、これを理由にブラックボックスの警告を発出している点がございます。したがって、アメリカのFDAの15年前の報告判断では、これは絶対駄目だということだったのですけれども、その後に臨床研究がなされまして、いろいろな報告がございましたけれども、現在では、こういった遅発性ジスキネジアなんかの発現リスクは、大体0.1~0.5%ぐらいと報告されております。私、学会のあれとは少し違うのですけれども、これは古くから日本で使用されている薬で、急性胃炎とか吐き気に対して短期間の使用が、非常に有用性が高いということもございます。したがって、OTCには向いているのではないかなと思いました。これは、日本消化器病学会の意見書を書かれた先生に確認して、この会議でそういう発言をしてもいいということを確認しております。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございました。次に日本臨床内科医会の見解について、湯浅構成員から御意見や補足をお願いします。
○湯浅構成員 ありがとうございます。我々は「賛成」という立場を取らせていただいておりますけれども、これをOTC化する上での絶対条件は、短期使用に限ることです。先ほどボノプラザンのときに、期間を2週間に限定というお話をさせていただきましたけれども、メトクロプラミドに関しても、その部分が絶対条件ということであります。メトクロプラミドにより、悪性症候群での死亡例が1例報告されています。また、QT延長によるTdPについては、確かに、添付文書上の記載はありませんが、記載がなければ大丈夫なのかというところは気になるところです。さらに、D2受容体を遮断することによる、錐体外路症状を含む中枢神経系の副作用には注意しなければなりません。錐体外路症状を薬剤師が見極められるかと考えると難しいと思いますし、症状がはっきりせず長期連用していたというケースもありますので、形だけの医薬連携では対応できないのではないかと思います。OTC化により、医師の管理下を離れるわけですから、その中でどうやって適正使用の対策を構築できるかというところが一つポイントになってくると思います。それから、もう一つ重要な点として強調しておきますが、この薬は、眠気が来ますので、車の運転をしてはいけません。本薬をどういう方に使うかということになると、ウイルス性の急性胃腸炎、例えば、ノロウイルス等の患者さんに短期間使うことが一つ考えられると思います。ただ、薬局に患者さんが行った際に、その時点では、医師の診察を受けてはいないわけですから、本当に急性胃腸炎なのかどうか分かりません。症状が増悪するような場合は、医療機関への受診が必要になります。そういう観点からも、短期間の使用に限ることを改めて要望したいと思います。
○笠貫座長 ありがとうございます。日本OTC医薬品協会の見解について、磯部構成員から、御意見・補足をお願いします。
○磯部構成員 日本OTC医薬品協会の磯部でございます。今、上村構成員、湯浅構成員から御指摘いただきました。私としては、ほぼ同意見でございます。見ていただければ分かるのですが、今認められているほかのスイッチOTC化された吐き気止めの関係でも、長期連用はしないと。特にこれは中枢性に効いて、錐体外路症状という問題、長期連用するとそういう議論があるということでございますので、長期連用しないことを前提でのスイッチOTC化であろうと思います。また、そういう意味での過量副用を防ぐための課題については、これまでもほかの部会でもいろいろな議論もされてきています。実際に、薬局やドラッグストアでも、その対策をいろいろ考えていただいているので、我々メーカーサイドとしても、当然いろいろ考えていかないといけない課題でありますが、そういう対策をしっかりとって、過量服用にならないようにして、長期連用しないということは前提で考えていくべきことだと思います。それから、湯浅構成員が先ほどもおっしゃられた運転の問題ですね。これについても非常に重要な問題、眠気の問題がありますので、これについても十分注意してやっていくということで、吐き気も、湯浅構成員からノロウイルスの話とかいろいろな場面で吐き気を催す場面等がいろいろありまして、対症療法的にいろいろな吐き気止めを使われて、これは60年も使っている薬でございますので、どういうものかよく分かっておられる医師、薬剤師の方は多いと思いますので、そういった方々のアドバイスをいただきながらできればいいなと思っております。また、これからのスイッチOTCは、確かに一回一回の販売については、薬局、ドラッグストアでの販売となりますが、私は受診勧奨という言葉はちょっと足らないなと。医師との連携をどういうふうに考えて、実際、どういうときには相談をしながら、医療の保険診療の枠ではありませんけれども、その人に新しい形での地域のチーム医療をどのように提供するのかを考えながら、こういったスイッチOTCをうまく使っていくのかということも、日本社会の大きな課題だと思っております。そのため、私どもとしても、そういった意味での適正使用のプロトコルについて、少しでも貢献できればいいと思ってやっていきたいと思います。以上でございます。
○笠貫座長 ありがとうございました。高野構成員お願いします。
○高野構成員 日本中毒情報センターの高野です。ありがとうございます。本日の議論と少し外れてしまうのですけれども、資料の中に「中毒情報センター」と記載されている箇所が複数ございます。この記載の基になっているのは、当法人のウェブサイトで提供しております「医師向け中毒情報データベース」であります。このサイトに掲載されている情報は、医師・薬剤師・看護師等の医療従事者の方、または、テロや火災現場で救助活動に従事される消防職員を対象に、急性中毒事故が発生し、実際に患者の治療もしくは救助に携わっている方を対象に、必要な情報をまとめたものになります。中毒情報センターでは、提供情報を目的以外に利用することを認めておりませんので、本日、資料の該当箇所の内容に関する議論は、当方は差し控えさせていただきたいということをお伝えさせていただきたく、お時間を頂戴いたしました。ありがとうございました。
○笠貫座長 構成員の方々から、御意見を伺いたいと思います。堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 ありがとうございます。私は、この薬をOTC化するに当たって、使用可能な方々が、現在の処方薬では、今資料を見ますと、乳幼児の嘔吐にも使えるということですので、小児0~14歳、それから、成人と、いろいろな方たちの年齢に該当されると理解はしました。ですけれども、OTC化になった場合に関しては、ある特定の方々に関しては、その使用を制限するような、そういう基準を新たに検討していただきたいと思いました。というのは、今、添付文書の9のところの「特定の背景を有する患者に関する注意」というところで、妊婦のところを拝見しますと、「妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されています。現在、現場、特に産婦人科におきましても、医師が実際につわりなどにおいて、本当に治療上の有益性があると判断した場合においては、この当該薬を処方していると聞いております。しかしながら、OTC化した場合は、その判断は本人に託せられる、または薬局薬剤師の方に託せられると思います。その判断をどのようにしたらいいのかということは、私は消費者の立場から不安です。また、9.7の小児などにおきましても、「過量投与にならないよう注意すること」ということで、注意喚起が発せられている点。それから、高齢者に関しましても、「慎重投与」という記載がある点におきましても、今までの処方薬では、いつも、受診によって、その医師が判断をして、その方々に合った薬を処方していたと思うのですけれども、それがOTC化になった場合、これらの方たちに対して、どのように販売をしていったらいいのかということは、ぜひ御検討いただきたいと思いました。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございますか。宗林構成員お願いします。
○宗林構成員 岐阜医療科学大学の宗林です。私も、同じような観点になりますけれども、この薬は、吐き気ではあるものの、短期間というお話が出ましたが、それもありますが、どういう場合に使用できるのか。薬剤投与時の吐き気であるとか、妊婦さんに対して、効果が上回るというような判断があった場合という言葉があります。これをOTC化した場合は、例えば、どこかで胃腸炎だと診断されたとか、それから、明らかに下痢しているとか、妊婦であるということでない、こういう場合はOTCで使わないということを極めて明確にする必要があって、そうでないと消費者は適切に使えないお薬じゃないかなと思いますので、使える用途、どういう場合にというのを、逆に言うと、どういう場合はOTCの説明文の中に、こういう場合は除くというようなことを明確にしていただくのが必要かと思っています。おおむねそんなような意見ですが、要するに、「短期間」というのを頓服的に、こういう場合を除いて使えるという文書が必要じゃないかなと思っています。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。宮園構成員お願いします。
○宮園構成員 NACSの宮園です。私も、今お話がありました、堀構成員と宗林構成員とほぼ同じことを考えておりまして、この薬で妊娠しているつわりのある者が使えるという部分ですね。確かにつわりは非常に苦しいので、こういった薬があると、そのときは楽になるのだろうと思うのですが、つわりの期間、個人差はありますが、やはり短期ではないと思うのですね。そうすると、飲んで楽になる、結果的に長期になってしまうことはありがちではなかろうかと思いますので、このあたりで妊娠や授乳期に使う、その影響は赤ちゃんにないのかもしれませんが、もしかしたら長く飲んで、赤ちゃんにまで影響が出るかもしれないとか、私はこのあたり非常に不安に感じておりますので、課題として御検討をいただければと思います。以上です。
○笠貫座長ありがとうございます。ほかにはございませんか。高野構成員、どうぞ。
○高野構成員 ありがとうございます。日本中毒情報センターの高野です。今回、この薬剤に関して、PubMedとか医中誌とか、ざっくり調べまして、いわゆる錐体外路症状が懸念になっております件に関しては、多くの報告が、医原性、いわゆる医療上の治療の中での静注剤だとかそういったときに出てきている事例が多いのかなという印象がございます。ただ、通常医療でも、相互作用の関係とかで、錐体外路症状は出ているという報告もありますので、錐体外路症状を比較的一般の方が自身の症状として伝えるのがなかなか難しいのかなというところで、そのサインをどう薬剤師が捉えて、それを医療に結びつけるのかというところに関しては、いろいろ考えていくとなかなか難しいのかなと思いますし、また、薬剤師の学会報告とかでも、結局、何が原因で起こっているか分からなかったのですけれども、薬剤を切ってみたら、症状が軽減したとかそういった部分も報告がございますので、このあたり、市販化していくときに、どう対処していくのかというところに関しては、議論の余地があるのかなと思いました。発言させていただきました。ありがとうございます。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。磯部構成員、どうぞ。
○磯部構成員 今の堀構成員のお話とか伺っていて、吐き気というのは、いろいろな場面で、いろいろな疾患がベースにあったものが多いと思います。特に、先ほどの宮園構成員からのお話も、つわりの問題をどう考えるのかということですが、例えば、実際にこれの承認を取って販売するということになった場合は、どういうときに使える薬だということを、PMDAや厚生労働省とも相談しながらになると思います。そういった情報提供は大事になるのだろうなと。あとは、あくまで短期使用だということかと思います。妊娠後期のつわりの問題は、私が簡単に言えるわけではありませんが、60年使っている薬ですので、同様な形なのかというのも、一度ちゃんとレビューをして、どうなのかと確認する必要があると思います。かなり古い薬だとそのままになっているのが多いので、こういう機会に、もう一度どうなのかというのをきちんとレビューすることが大事なのではないかなと。本人にとっては非常につらい状態なので、少しでも状態が改善するのであれば、特につらくなってすぐにお医者さんに行ける、行けないという場面もあるでしょうから、まず、こういうところで症状が少しでも楽になればというようなことはあると思いますので、そういう生活者の方々の悩みにどこまで寄り添える形にできるのかということを、情報提供する形ではっきりしていくことが、この薬の価値に応じた使い方になるのではないかなと思った次第であります。
○笠貫座長 ありがとうございます。堀構成員、お願いします。
○堀構成員 御説明いただき、ありがとうございました。私自身、今お話を聞いていて思ったのが、つらいと、どうしても薬に頼ってしまう。そのときに過量服用してしまう。そこが非常に心配です。消費者とか患者さんもそういう方がいらっしゃると思うのですけれども、処方薬に関してと、OTC化、要するに一般用医薬品と比べたときに、一般用医薬品のほうが処方薬よりも効能・効果が割と少ないと感じていらっしゃる消費者の方は少なからずいらっしゃるのではないかと思うのです。そうすると、処方薬でもらった吐き気止めよりは、一般用医薬品で買ってしまった吐き気止めのほうをたくさん飲んでしまいがちになってしまうという不安を感じます。特につわりの場合は、本当につらいので服用してしまう。しかしながら、それがなかなか治らないといったときに、どこで過量服用に歯止めをかけるかということが、薬局薬剤師の方たちも、そこをウォーニングしていただくことが特に大切ではないかと思いました。また今、錐体外路症状を、患者が、消費者がどのように伝えるかが非常に難しいということを教えていただいたのですけれども、確かにどういうふうに伝えたらいいかを考えると、とても難しいのではないかと思います。その際に、いろいろなチェックリストとか、こういうふうな症状があったときには伝えてくださいとか、そういう資料が薬局にもしあれば、そしてそれを参照しながら患者に伝えていただければ、オーバードーズはよくないんだということを、消費者は理解できるのではないかなと思いましたので、その点も、もしOTC化になったときには御検討いただけたら、ありがたいと思いました。以上です。ありがとうございます。
○笠貫座長 お願いします。
○富永構成員 薬剤師会の富永です。長年、メトクロプラミドは病院で出していたのですけれども、宮川構成員もおっしゃったように、医療のやり取りの中で、結局、これを使うのかどうかということになってくるわけです。外来で、もし妊婦さんがお見えになって、妊娠の時期にもよると思いますけれども、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合というのは、ドクターが判断されるわけですよね。妊娠しているということで、「先生、これでいいんですか」という問い合わせをするわけです。本人の同意をして、そこで投与をするという形になります。病院でそういう経験をしている薬剤師は、多分、そういうことがよく分かると思いますけれども、今の時代、そのまま病院勤務の経験なしに薬局に勤めて、御自分の判断で働いているという人も結構おられますので、その辺の薬剤師のリテラシーをどう上げていくかというところが一つの課題かと思います。だから、どこが治療上の有益性が危険性を上回るかというのは、その判断が、ドクターでも違うわけです。経験から言えば、漢方薬とか小半夏加茯苓湯とかありますから、そういうのを投与して、それでも収まらない、これは衰弱しているなというところでプリンペランを投与されるということがあります。だから、これは簡単に片づけるべき判断ではなくて、これはあくまで消費者が同意の下で服薬をするということを考えていかなければならないと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。大事な問題を御指摘いただいたと思いますが、ほかには御意見ありますか。どうぞ。
○松野構成員 日本保険薬局協会の松野です。皆さんのおっしゃることを、誠に、私も同じ思いで拝聴させていただいていますが、ただ、この薬が妊婦による吐き気に使われることが多いというよりは、胃部不快感とか消化器症状の不調によって処方されることが多い薬だと思います。あるいはがん患者の吐き気を止めるために長期で服用されることも多いと思います。ただ、錐体外路症状を含む、中枢性の副作用が出る可能性を考えれば、最初の議論にありましたように、短期での服用の制限も必要だと思います。さらに、妊婦さんへの懸念される状況があれば、制限をつける検討も必要です。しかしながら、今、市販されている吐き気止めはほぼないに等しいと思いますので、この安全性が高い、長期に使われていて、たくさんのエビデンスがある中では、スイッチOTC化をする意義も非常に高いのではないかと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかには御意見ございますか。宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 宗林です。先ほどもお話ししましたけれども、私はスイッチ化には反対はしていません。ですから、吐き気止めがスイッチされて市場に出ることは、どちらかというと賛成です。ただし、今、皆さんがおっしゃっているように、例えば、今、がんの薬の副作用で飲むというような場合は長期にはなりますが、これは市販のOTCのものを使うべきではないと思うので、医師の判断の下、飲むべきものだと思っています。なので、胃腸の不快感がそれほど長く続くというのは、もし長く続くのであれば、それはちゃんと診てもらったほうがいいわけで、本当に一時的に頓服的に、飲み過ぎたからとか、ちょっと何かがあったからということで、頓服的に飲むのにこの薬があると、とても消費者にとってはありがたい薬だなと思うので、スイッチ化には反対しないのですが、短期間と言っても、頓服的に普通の一時的な胃腸の不調に対して、吐き気があった場合に対応するお薬という位置づけをしっかり議論して、出していっていただければと思います。以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。どうぞ、お願いします。
○宮地構成員 女性薬剤師会の宮地です。このプリンペランに関して、市販に頓服で出していただきたいと私は思っております。例えば、近い将来、緊急避妊薬がOTC化になった場合に、その場で、吐き気がある場合は止めないといけない。そういった場合にも使えると思うので、できたら、頓服という限定付きでも、OTC化には賛成をしたいと思っています。
○笠貫座長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。それでは、本評価検討会議としての方向性をまとめたいと思います。吐き気という症状には、幅広い背景があり、吐き気に対してOTC化された薬のニーズは高いと思います。その中で、本成分は古くから使用されていますが、副作用としての錐体外路症状は、頻度が必ずしも高くないものの、その診断が難しいことが指摘されました。消費者と薬剤師が判断することは難しいという副作用があることです。湯浅構成員から御指摘があったように、本成分は短期間使用とし、長期使用は絶対しないという条件については、皆さん一致したように思います。これを頓服か、1~2週間にするのか等については、部会の判断をいただくことになると思感います。もう一つの問題は、妊婦の方をどうするかです。吐き気という症状に対して具体的にどのような制限をかけるのか、どのような適応にするのかについては、薬剤師の教育・研修や適正使用としては厳しい条件が必要になり、受診勧奨と医師の連携強化が大事な薬だと思います。妊婦の方は、多くは産婦人科の先生にもかかりますので、医師との連携を深めながら使用することになると思います。一般の人たちに対しても、使用期間と過量投与をどうするのかについて、薬剤師による適正使用の説明が大事であり、企業側も資料を含めて研修などの協力・連携が必要だと思います。これまで議論された多くの課題点とその対応策についての議論をまとめる方向でよろしいでしょうか。特に追加あるいは御意見がありましたら、お願いします。
ありがとうございます。それでは、本成分について、パブリックコメント及び2回目の評価検討会議での議論が必要という方がおられましたら、御意見をいただきたいと思います。特にありませんでしたら、先ほどの成分と同じように、本日の御意見を事務局でまとめ、それを構成員の先生方に御確認いただいた後に、公表とすることにいたします。それでは、本日の議題は以上ですが、その他、事務局から何かありましたら、お願いします。
○事務局 事務局でございます。最後になりますが、議題「その他」として配付しております資料について、簡単に御説明をさせていただきます。まず、「候補成分の取り扱いについて」ということで御説明をいたします。
64ページ、資料4を御覧ください。令和3年度に候補成分となっておりました「エメダスチンフマル酸塩」については、対応する医療用医薬品の再審査報告書が公表されていなかったため、当会議での取り扱いを保留にしておりました。今般、報告書が公開されたことを受け、検討準備を進めていたところ、要望者より、本成分を候補成分から取り下げたい旨の希望が示されたため、今回、これを受け入れることにしたいと考えております。
続いて、65ページを御覧ください。「エストラジオール」ですけれども、要望内容と合致する「エストラジオール」を有効成分として、その効能・効果に「更年期障害諸症状」を持つ一般用医薬品は既に承認されていますが、その承認が昭和42年の基本方針適用前であったため、薬事の観点からは承認の前例がないものと判断をしまして、令和5年当時、候補成分として受け入れていたものです。しかし、実態として、当該成分は一般用医薬品として長らく既に使用されてきたという状況に鑑みると、改めてスイッチOTC化した際の課題とその対応策をこの評価検討会議で御議論いただく必要性は高くないと考えまして、「エストラジオール」を候補成分から取り消すこととしたいと考えております。対応方針について、御意見があれば、お願いいたします。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。それでは、2つの成分について、御意見がありましたらお願いします。「エメダスチンフマル酸塩」については、再審査報告書の公開後の取下げですが、御質問がありますか。次に「エストラジオール」は、御説明の理由で取消すことについて、御意見はありますか。ないようですので、以上とさせていただきます。事務局から、ほかにありますか。
○事務局 事務局でございます。続いて、構成員の追加について、御報告をさせていただきます。
68ページ、資料5を御覧ください。昨年閣議決定されております「規制改革実施計画」におきまして、スイッチOTC化を加速させるために、スイッチOTCの適正な販売に係る議論に資するよう、評価検討会議の構成員に要指導・一般用医薬品のインターネット販売事業者を追加することが計画に盛り込まれてございました。これを踏まえて、今回の評価検討会議から新たに、OTCのインターネット販売を実際に行っていらっしゃるクオール株式会社の清水先生に構成員として御参画いただくこととしておりますので、御報告を申し上げます。事務局からの御説明は以上です。
○笠貫座長 ありがとうございます。今回から、インターネット販売企業の方が御参画されることについて、御質問はございませんか。本評価検討会議が始まった頃、厚生労働省の実態調査で、インターネット販売調査の成果について、ここで議論されたと思います。その後、10年を経てインターネット販売は進化しているとおもいますし、さらに議論を深めていくために、構成員として参加していただくことは歓迎すべきことだと思います。それでは、特に御質問がないようでしたら、最後に、私から本評価検討会議結果のまとめ方の方法について提案です。これまでは、事務局でまとめたものについて、構成員の方々から、ニーズについての必要性、課題点についての重要性、それから、対応策についての重要性、それから、中長期的・短期的課題について、賛成などの具体的な御意見を記載していただき、その結果として多数の意見の場合は太字記載にしてきました。貴重な御意見をいただいた方と全くご提出いただいてない方がいらっしゃいました。本検討会議では、長時間にわたり、皆さんに非常に真摯かつ活発な議論を重ねていただいてきたという経緯を踏まえまして、新たな進め方において、今後の新しい会議結果の最終まとめの方法についても検討していただきたいと考えています。どのような取りまとめの方法がいいのか、事務局にこれまでの経緯を整理していただき、検討して、次回に案を出していただけたらと思いますこれだけ熟議した成果として、多くの構成員の方々の意見を反映した評価検討会議としての重みづけを次の部会にお伝えできたらという願いを含めまして、その方法を検討していただきたくことをお願いします。構成員の方から、御意見がありましたら、お聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御質問がなければ、事務局で御検討いただけたらと思います。よろしくお願いします。それでは、事務局から何かございますか。
○事務局 事務局でございます。本日も長時間にわたり御議論をいただき、ありがとうございました。本日、以上となります。次回の評価検討会議ですけれども、詳細が決まり次第、改めて御連絡いたします。御多用のところ恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
○笠貫座長 それでは、これで、第33回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終了します。どうも御協力ありがとうございました。
( 了 )
照会先
厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)



