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第200回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和7年10月16日(木)9:59~11:38
場所
航空会館7階 大ホール
議題
1.医療保険制度改革について
2.マイナ保険証の利用促進等について
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻前でございますけれども、皆様おそろいですので、ただいまより第200回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
また、委員の異動がございましたので、御紹介いたします。
横尾俊彦委員が退任なさり、本日は御欠席ですが、新たに全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、實松尊徳委員が就任されております。
では、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、實松委員、島委員、前葉委員、村上委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、伊奈川委員より、途中退席との御連絡もいただいております。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして佐藤みゆき参考人、實松委員の代理といたしまして馬場文則参考人、前葉委員の代理といたしまして前川近子参考人、村上委員の代理といたしまして林鉄兵参考人、以上4名の出席につき、御承認を賜れればと思いますが、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。本日は「医療保険制度改革について」「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
では、まず「医療保険制度改革について」を議題としていきたいと思います。
事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○姫野課長 ありがとうございます。
それでは、資料1「薬剤給付の在り方について」について御説明いたします。
資料の2ページ目からですけれども、これまでの議論の経過を添付してございます。まず、これまで3回医療保険部会において論点の整理をいただきましたが、その中でいただいた御意見を記載してございます。太字にしているところでございますけれども、費用対効果や経済性を考慮した医薬品の使用促進やOTC類似薬の保険適用除外、また「例えば」ということで次の行ですが、長期収載品の選定療養のさらなる見直し、バイオ後続品の使用促進なども検討課題という御指摘をいただいてございます。一方で、バイオ後続品の使用促進につきましては、後発医薬品と異なるアプローチが必要という御指摘もいただいていますし、次のページでございますが、OTC類似薬の見直しに当たっては、必要な受診の確保、患者負担の議論に加えまして、薬の過剰摂取や飲み合わせリスクなども考慮した慎重な検討が必要という御指摘もいただきました。また、次の行ですが、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、特に低所得者に十分配慮した検討が必要という御意見をいただいてございます。
次のページは、政府の様々な文書の中でどのような記載をされているかという御紹介でございます。全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、いわゆる改革工程の中でありますが、この表の左側、2024年度に実施する取組ということで、中段の5つ目のポツになりますが、イノベーションの適切な評価などのさらなる薬価上の措置を推進するための長期収載品の保険給付の在り方の見直しということは、既に実施をしたところであります。一方で、右側の2028年度までに検討する取組ということで、中段の上から5つ目になりますけれども、イノベーションの推進、安定供給の確保と薬剤保険給付の在り方の見直しということが課題として記載されてございます。
次のページは、これまでの医療保険部会における議論に供した資料を再掲したものでございますが、2年前に薬剤の自己負担の見直しについて議論いただいたときに、4つの選択肢をベースに議論いただいております。1つ目が、薬剤の定額一部負担、外来診療や薬剤支給の際に一定額の負担を求めるという選択肢、2つ目が、薬剤の種類に応じた自己負担の設定ということで、フランスの例なども参考に記載しておりますけれども、有効性など医療上の利益に基づいて薬剤を分類し、自己負担割合をカテゴリーごとにつくっていくという手法、3つ目が、市販品類似薬、OTC類似薬の医薬品の保険給付の在り方を見直すという手法、4番目が、長期収載品の保険給付の在り方を見直すという方法でございます。
1番目から3番目については、それぞれ下に記載しておりますような課題、例えば平成14年健保法等改正法附則において7割給付を維持すると記載されていることとの関係をどう考えるか、また2番目の薬剤の種類に応じた自己負担の設定という方法については、疾病ごとに区分を設けることの是非といった課題、また3番目のOTC類似薬の見直しについては、医薬品の選択を担保できるかどうか、あるいは市販品の有無で取扱いを変えることの是非、そういった課題もありました。結果的に、④にあります長期収載品の保険給付の在り方の見直しということで検討を進めたという経過でございます。
次の6ページが、2年前、令和6年の診療報酬改定の際に導入した長期収載品の選定療養の仕組みを用いた新たな制度の概要でございます。1つ目の四角の中に書いておりますように、長期収載品について、患者の希望により長期収載品を処方・調剤した場合ですとか、一般名処方の場合は選定療養の対象とするということにしてございます。幾つかただし書で限定した留意事項もありますけれども、基本的な構造としましては、一番下の四角にありますように、こういった選定療養の対象とした上で長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の3までは保険給付としつつ、残りの4分の1については保険外のものとして追加的な負担をいただくという形にしてございます。
次の7ページ、この新たな仕組みを導入した際の中医協での附帯意見であります。後発医薬品の使用促進ですとか、長期収載品の選定療養の仕組みを用いた制度の運用方法などに関して必要な検証を行う、また薬価制度についても引き続き検討するといったことが留保事項として記載されてございます。
続きまして、8ページ、これは昨年の冬でありますけれども、厚生労働大臣、財務大臣との大臣折衝で決められたものでありますが、今回導入いたしました長期収載品の選定療養の仕組みを用いた仕組みについて、さらなる活用に向けて引き続き検討するということとしてございます。
次、9ページからが、今年の6月に様々政府で閣議決定した文書での記載であります。1つは、新しい資本主義のグランドデザインの中でありますが、赤字にしておりますように、バイオ後続品について、2024年10月から施行された長期収載品の選定療養を参考にしながら検討を行うとしてございます。
また、10ページにつきましては、骨太の方針でありますが、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しということが課題とされております。一番下に注釈の212ということで、詳細については「自民党、公明党、日本維新の会合意」を参照とされておりますが、次のページにその合意内容を記載してございます。類似のOTC医薬品が存在する医療用医薬品、いわゆるOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについて、医療の質、アクセスの確保、患者の利便性に配慮しつつ、医療保険制度の持続可能性確保を目指すことを基本とし、令和7年末までの予算編成過程で十分な検討を行うということとされてございます。
続きまして、それぞれ後発医薬品・バイオ後続品などについての現状の御紹介でございます。
まず13ページですけれども、令和6年10月に先ほど申し上げました長期収載品の選定療養の制度が開始されておりますが、それを機に後発医薬品の数量ベースの割合が8割強から9割を超えるという形で大きく伸びてございます。
次の14ページにつきましては、後発医薬品の安定供給についてもいろいろ懸念のお声もいただいておりましたが、令和7年8月の時点で見ますと13.9%ということでございます。全体的な傾向としましても、悪化している状況ではないことを見てとれるかと思います。
続きまして、15ページ、バイオシミラーの特徴についてまとめた資料でございます。バイオ医薬品につきましては、遺伝子組換え技術や細胞培養技術などを応用して製造される医薬品ということであります。下の段にありますように、薬事承認におきましては、後発医薬品、低分子の医薬品につきましては、先発医薬品との有効成分の同一性や血中濃度の推移で評価することができておりますが、一方で、バイオ医薬品につきましては、複雑な構造、不安定性等、品質特性が異なるということで、先行バイオ医薬品との有効成分の同一性等の検証がなかなか難しいため、臨床試験によって効能・効果、用量・用法などを検証するという過程になってございます。
16ページ、バイオシミラーの成分の一覧と置き換えの状況を示したものでございます。右側のグラフにありますように、8割を超える置き換えがある品目も少数ながらありますけれども、一方で、まだ置き換えがあまり進んでいない品目もある状況であります。
17ページ、バイオシミラーの使用率の推移と医療費の適正化効果ということで、全体で見ますと30%強の使用率ということになってございます。
続きまして、後発医薬品・バイオ後続品についての使用促進についての主な施策の御紹介であります。
19ページからですが、こちらは診療報酬上の取扱いということであります。まず、一般名処方を行っていただきます医療機関などについての加算を設け、順次見直しをしているというところであります。さらに、後発医薬品の使用体制を整えているところについての加算、こちらも診療報酬上評価をしてございます。
続きまして、20ページ、バイオシミラーの使用促進ということでありますが、1点目は、入院医療においてバイオシミラーを使用している保険医療機関についての評価というものを令和6年度改定において新設をしたということでございます。
また、21ページ、外来におけるバイオシミラーについてでありますが、対象患者を外来化学療法を算定している場合だけではなく、外来の患者さん全てに見直すという拡張もしてございます。
続いて、22ページ、診療報酬以外も含めた全体のロードマップを整理したものでございます。後発医薬品の使用促進のためのロードマップということでは、2013年に策定をしておりますが、昨年の9月にこちらを改定してございます。その中で、バイオ後続品の取組方針についてもロードマップの別添という形で整理をしております。数値目標については、主目標といたしまして、後発医薬品の数量シェアを2029年度までに全国平均ではなく全ての都道府県単位で80%以上にするということを主目標にいたしまして、副次目標として、バイオシミラーについても数値目標を記載し、また②でありますが、金額シェアについても記載をしてございます。
具体的な取組といたしましては、下にありますように、品質確保のための立入検査の実施など、また安定供給の取組、そして右側になりますが、使用環境の整備についての様々な情報提供、また医療保険制度上の取組ということで、先ほど御紹介いたしました選定療養の仕組みの導入などが盛り込まれてございます。
次のページ、バイオ後続品についての別添の取組方針であります。この中でも、下の欄にありますが、取組施策といたしましては、1つ目、普及啓発活動に関する取組ということで、バイオ後続品は比較的高いお薬がございますので、高額療養費制度の対象となり、自己負担額が変わらず患者様にメリットが見えないということで、医療保険制度の持続性を高める観点からの周知を含めた活動が必要であるということであります。そういった意味で、この箱の中の一番下にありますように、保険者における取組なども御協力をお願いしているところであります。2番目、安定供給体制という意味では、海外製品の依存度が高いという特性も踏まえた取組、また右側でありますが、使用促進に向けた医療保険制度上の対応ということで先ほど御紹介したような診療報酬上の各種加算、こういったものも盛り込んでいるところであります。
続いて、24ページから、医薬品の安定供給に向けた政府としての取組であります。後発医薬品産業につきましては、少量多品目生産といった構造的課題もある中、また様々な新型コロナウイルス感染拡大による需要増などもありまして、安定供給という課題がクローズアップされてございます。こういった課題に対する対応といたしまして、足元の対応としては、1つ目、製薬企業に対する働きかけということで、増産対応、24時間の生産体制への移行、そういったものの要請あるいは財政的な支援を行っております。また、病院・薬局等への働きかけということで、供給状況に関する情報の公表、買い込みを控えることの要請など、また卸売業者についても相談窓口の設置ですとか、目安としての販売上限量などの設定を要請しているところであります。そのほか、構造的な課題といたしまして、検討会におきまして報告書をまとめ、制度的な対応もしているところであります。
具体的には、次のページにございますが、薬機法の改正の中で企業における製造販売業者の中での供給体制管理責任者の設置を求めたり、また需給状況の把握のために供給状況の報告届出義務を課す、また供給不安時の報告徴収権限あるいは協力要請の権限などの強化を行ってございます。
そのほか、26ページからは、後発医薬品の安定供給に向けた産業構造改革のための財政支援の概要、また次の27ページにつきましては、同様に後発医薬品の事業の再編などを後押しするための設備投資のための基金の創設、そういったことを紹介してございます。
次に、OTC類似薬についての関連資料でありますが、29ページは骨太の方針の再掲になります。注釈の208というところで医療機関における必要な受診の確保、あるいはこども、慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮するといった留意事項も記載をされているところであります。
次の30ページ、いわゆる3党合意の詳細でありますが、この中でも検討を行って実行していくというその際には、医療機関における必要な受診の確保、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担に配慮するということ、また成分や用量がOTC医薬品と同等のOTC類似薬をはじめとするOTC類似薬を検討対象とするのだということも記載されてございます。
続きまして、31ページでありますが、医薬品の分類を示してございます。まず、医療用医薬品につきましては、医師・歯科医師によって使用され、処方箋・指示によって使用されることを念頭に置いた医薬品ということであります。その中に、厳密に申し上げますと、法律上処方箋がないと薬局等で販売できないということが罰則つきで義務づけられている処方箋医薬品と、処方箋は原則でありますけれども、例外的にやむを得ない場合に処方箋なしで販売できる処方箋医薬品以外の医療用医薬品と2種類ございます。それとまた別に、OTC医薬品でありますけれども、こちらは医師・歯科医師による指示ではなく、薬剤師等からの情報に基づいて患者が選択して薬局等で購入できる医薬品ということでございます。今回、議論の俎上に載っておりますのは、こういったOTC医薬品と類似している医療用医薬品についての保険給付をどうするかということでございます。
最後、論点として1枚整理してございます。33ページでありますが、まず前提の認識を最初の2つのパラグラフに記載をしてございます。創薬イノベーションの推進ですとか、革新的な医薬品の開発強化、そういったことを促進しつつ、後発医薬品を中心とした安定供給の課題を解消していくことが大きな課題となっておりますが、こういったものと医療保険制度の持続可能性の確保、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を図るといったことも目指しながら、どうやって両立していくのかが大きな課題であるという認識を示してございます。
その上で、まず、長期収載品につきましては、選定療養の対象とした後の状況といったものを見ながら、今後の保険給付の在り方をどのように考えるのかということを論点として示させていただいております。
また、バイオ医薬品につきましては、低分子医薬品とバイオ医薬品の差異、また先行バイオ医薬品とバイオ後続品との差異、バイオ後続品の使用率、使用促進に向けた報酬上の措置なども踏まえて、その保険給付の在り方をどのように考えるのかということでございます。
最後、OTC類似薬につきましては、先ほど御紹介いたしました骨太方針ですとか、公党間の合意におきまして、医療機関における必要な受診を確保するということ、またこどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担に配慮するということ、また成分や用量といった点を踏まえてOTC類似薬一般について保険給付の在り方を見直すとされていること、こういったことを踏まえて保険給付の在り方をどのように考えるのかという形で論点として示させていただいております。
資料の説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンを使ってお知らせいただければ幸いです。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
この33ページの論点に沿ってコメントしたいと思いますけれども、最初のポツ2つについては、全く異論ございません。既に現役世代の保険料負担は限界に達している中で、今後も医療費の増加は確実であって、国民皆保険制度の持続可能性、これを確保するためには保険給付に関する全般的な議論が必要であると考えていますし、その1つとして今回のテーマである薬剤給付も極めて重要な課題だと考えております。
そういった中で、ポツ3つ目の長期収載品については、選定療養の導入と同時に後発品への置き換えはかなり進んだが、その後ほとんど変化がない状況だと考えております。今後、後発品の使用をさらに推進するためには、より積極的に選定療養を活用すべきであると考えます。その方法としては、選定療養の対象範囲を拡大する方法と、選定療養の負担額を拡大する方法の2つに大きく分かれると思いますが、事務局におかれましては、これらの方法それぞれについて、足元の状況を踏まえて課題を整理いただきたいと思います。特に今、申し上げた2つのうち1点目の対象範囲については、現在は選定療養が免除されている医療上の必要があると認められる場合、これは厳格に精査する必要があると思います。また、2つ目の負担額については、長期収載品と後発品の価格差の全額まで拡大することも検討すべきではないかと考えております。
ポツ4つ目のバイオシミラーについては、一般的な後発品に比べて全体として置き換えが進んでおりません。先ほど御説明がございましたけれども、さらに品目によっても格差がある中で、今後は診療報酬や薬価制度によるさらなる対応と併せて、バイオシミラーへの置き換えが一定程度進んでいる先行バイオ医薬品については、選定療養の対象とすべきだと考えております。
最後のポツのOTC類似薬については、そもそもは個人で対応できないリスクをカバーすることが社会保険の本来の役割であると思います。また、大きなリスクへの備えを見直す前に小さなリスクを見直すべきとの声が多く出ていると考えておりますので、そういう点も踏まえて保険給付の在り方を見直すべきであると考えています。もちろんお子さんや慢性疾患を抱えている方、低所得者の方については配慮しつつ、できるだけ広い範囲を対象として追加の自己負担を求める方法ですとか、また保険給付の対象から除外する方法などについて、具体的な検討を進める必要があると思っております。その際には、必要なときにOTC医薬品を購入できる環境の整備というセルフメディケーション、この適切な推進にも一体的に取り組むべきだと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 ありがとうございます。
革新的な医薬品のイノベーションを適切に評価し、制度の持続可能性を確保する観点から、長期収載品などについて給付や負担の在り方の見直しを進める必要があると考えます。具体的には、長期収載品について選定療養導入後の状況を検証しつつ、今後さらにこの仕組みを進めていくことを考えていく必要があると思います。
また、OTC類似薬の保険適用の見直しについても検討を進めていくことが必要と考えます。ただし、論点にもあるように、こどもや慢性疾患の患者、低所得者などに配慮することは前提と考えております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
前々回でもいろいろ議論が出ていましたけれども、少子高齢化と人口減少が進み、人材不足が進む中で、若い世代を中心に保険料負担をこれ以上増やさないといった状況を考えますと、世界トップクラスの我が国の医療保険制度を持続可能なものにしていくためには、患者の選択による公的保険でカバーするサービスと民間保険を活用しながら保険外でカバーするサービスを適切に組み合わせていく、こういう考え方が1つの有効な方策ではないかと個人的には思っております。
そのためには前提があって、1つは、医療機関による丁寧な説明と患者の納得、同意をちゃんと確保する。昔、インフォームド・コンセントという言葉が大分はやりましたけれども、それとは意味合いが違うかもしれませんが、それが1つある。2つ目が、患者自身も医療機関の説明をきちんと理解できるような医療保険リテラシーというのでしょうか。患者教育の問題がこの間出ていましたけれども、こういうものをしっかりと向上させることが大事ではないかと思います。3番目は、そういったリテラシー向上のためにも複雑過ぎる制度はよろしくないので、できるだけ分かりやすい制度にしていくことが大事ではないかと思っています。
以上が私自身が考えている基本的な考え方なのですけれども、こういうことを考えたときに、今日の資料の13ページ、長期収載品の選定療養制度が導入されて、このグラフを見ると一挙に上がっているので、恐らく政策の効果かとは思いながらも、説明では明確にございませんでしたので、その辺、事務当局はどのように思っておられるのか。たまたまこのときに後発品の供給が安定し出したということでもないような気もしますので、制度改正の影響かと思うのですが、その辺はどのように見ればいいのか、御当局の見解をお聞きしたいと思います。
また、これは今日の場で即答でなくても後日でもいいと思いますが、長期収載品の選定療養制度が導入されたときに長期収載品の使用が進んだ、後発品の使用が進んだ理由として、主に医療提供者側にこれが効いたのか、あるいは患者側に自己負担が増えるということで効いたのか、その辺はどのように見たらいいのか。論点に書いてございましたけれども、この制度が導入されたことで医療機関の現場で何か混乱が生じなかったのか。長期収載品が使えないことで医療上支障が出たのか出なかったのか。その辺も分かる範囲でどこかで確認をしておく必要があるのかと思っており、これは事務局への要望でございます。
なぜこれを言っているかというと、先ほど申し上げた基本的な考え方に立ったときに、1つのやり方としてこういった選定療養みたいなものをもうちょっと活用していくことが1つのヒントになっていくのではないかと思ったものですから、長期収載品に係る選定療養費制度については少しその分析をお願いしたいと思った次第でございます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
何点か御質問がございましたので、事務局、お願いいたします。
○吉田室長 保険局医療課保険医療企画調査室長でございます。
選定療養の導入後の影響ということでございますけれども、この数字が例えば13ページの数量ベースの推移で伸びているということについては、様々な影響、当然制度の入った影響もあると考えておりますけれども、その中でどういったことが具体的に効いているのかといったところは、まだ詳細には分析ができていない状況でございます。現在、令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る調査をやっておりますので、そちらでも選定療養の導入に伴う影響は医療現場、患者さんを含め調査をしておりますので、またその結果が出てきましたら、そういったところを見ながら御議論いただければと考えております。
○田辺部会長 原委員、よろしゅうございますでしょうか。今、調査をやっているので、その結果をいずれ報告するということだと思います。
○原委員 了解しました。ありがとうございます。
○田辺部会長 それでは、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。
私からは薬剤の関係で2点ございます。
1点は、OTC類似薬の関係であります。この議論は前からありますけれども、保険対象か対象外かという二者択一的な議論が多いわけですけれども、今の医療の関係は医薬分業も進んできていますし、あるいはセルフメディケーションといったこともよく言われるわけですから、もう少しグラデーションといいましょうか、一刀両断ではない対応も考えられるのではないかと思っております。
特に、医療用医薬品の中にも処方箋医薬品とそれ以外の医療用医薬品があったり、あるいはさらにOTCの関係ではスイッチOTCといったものもあったりするわけですので、そういった点からいいますと、かつてのように処方薬であれば診療所や病院、あるいはOTCであれば薬局ということではない、いろいろな医療面も含めて考えていく必要があるのではないかと思っておるところであります。
そういう点からいいますと、逆にOTC類似薬の負担が顕在化しやすいといった面もありますので、長期収載品の場合もそうでありますけれども、薬の位置づけによって負担にかなり差が生じてくるといった負担の公平性といった点についても考えながら、オール・オア・ナッシングではない対応も今後考えていく必要があるのではないかと思っております。
2点目は、先ほどフランスの医薬品について償還率に差があるという話がありましたけれども、割とそのところだけ注目されるわけですけれども、フランスの場合は薬に限らずほかの部分でも償還率に差がありますから、薬だけではないということが1点と、もう一つ重要な点は、一部負担の部分は別途共済やあるいは民間保険がカバーしている部分がありますので、そのまま患者さんの負担になってくるわけではないのだというところも含めてトータルに考えていく必要があるのではないかと思っておるところであります。
私からは以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
医療保険制度改革の議論に当たりまして、これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直しを行うに当たりましては、過度な負担や急激な変化が生じないよう十分な配慮を行うとともに、社会全体で納得感を得られるよう患者団体をはじめとした関係団体等との協議を行うなど、丁寧に検討を進めてくださいますようお願いいたします。
また、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、特に低所得者に十分配慮した制度の在り方を検討していただきますようお願いいたします。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
まず、長期収載品の選定療養に関してですけれども、制度を導入して1年たったということで、動きとしては、先ほど原委員から今後のさらに詳細な分析ということもありましたが、一定の成果が出ているのではないかと考えております。また、この観点で申し上げると、今回の選定療養制度はソフトランディングという観点で自己負担の一定額を抑える目的の4分の1の負担ということを導入されたと理解しております。制度導入1年が経過し、国民に制度が徐々に浸透してきていると考えておりますので、ゴールであるこの差額の全額を適用するという方向性をもって制度の見直しをお願いできればと考えております。
2点目のバイオシミラーについては、協会としてもこの促進に関して全国で働きかけを強めているところでございます。バイオシミラーのさらなる使用促進という観点から、特にバイオシミラーのある先行バイオ医薬品の選定療養制度も検討の俎上にのせていただきたいと考えているところでございます。ただ、先ほど来説明もございましたが、いろいろ課題も多くございます。制度設計においては丁寧に議論を進めていただければと考えております。
3点目のOTC類似薬に関しては、我々保険者全体の厳しい財政を踏まえ、OTCの保険適用からの除外ということもぜひ検討していただきたいと考えております。いきなり完全な除外は課題が多いとは考えておりますけれども、せめて一部の保険適用除外による自己負担の導入、こういったことについて前向きに御検討をお願いしたいと考えております。もちろん論点にもありましたような配慮すべきケース、こういったことについて丁寧な議論の整理を行った上でということだと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 2点申し上げたいと思いますが、1つは、OTC類似薬を保険適用から外すこと。医療保険財政が逼迫していることを考えるとこれは無理もないかと思いますが、専ら議論されているのが個人負担の増加ということですが、私は利用者として安全性の確保ということをもうちょっと考える必要があるのではないかという気がします。市販薬を買う場合はマイナ保険証にひもづけることは難しいと思います。できればそうすべきだと思うのですが、
そういうことが技術的に難しいとしたら例えばお薬手帳を活用するとか、そういうことをしないと、自己判断で買ってしまって飲んで、飲み合わせとか、過剰摂取とか、そういう問題が起こるのではないかということで、できれば医師の指示の下に市販薬を買ったほうがいいと思うのですが、それが難しいとしたら安全性の確保のための手段を講じていただきたいと思います。
もう一点は、後発医薬品のことですが、私はあまり後発医薬品のことについて知らなかったのですが、事務方に調べていただいたら、日本の場合、後発医薬品の原薬を物すごく海外に依存しているのですね。食料品の海外依存について危機が叫ばれていますが、医薬品についても日本の場合、非常に危ういのではないかと感じております。厚労省はこの辺をどのように考えていらっしゃるのか、あるいはなぜこういうことになってしまったのか、素人にも分かりやすく御説明いただけたらということ、お願いいたします。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ジェネリックの海外依存等に関する質問でございますけれども、お答えをお願いいたします。
○安中課長 医政局医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。
どういう構造で海外依存になってきているのかというお尋ねでございますが、特にジェネリック医薬品、化学合成で作られる低分子の医薬品につきましては、ある程度製法も確立していることもあり、また大量生産することでコストが抑えられるということもございまして、いわゆる中国ですとか、インドとか、そういった国々に工場が移転し、そちらで生産が進んでいる、世界的に供給されている現状がございます。
一方で、先生御指摘のとおり、特に抗菌薬をはじめとしまして医療上必要性の高い医薬品について、過度に海外に依存することは安全保障上のリスクにもなるということがございますので、そうした医薬品につきましては、一部国産化についても進めているところでございます。それ以外につきましても、供給源が1つに限られているということは、そこで何かトラブルがあったりいたしますと必要なものが入ってこないというリスクもございますので、供給源を複数化する、そのための探索をするといった事業に対しても国として財政支援を行う、こうした取組を通じましてサプライチェーンの強靱化に努めていきたいと考えております。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますか。
○袖井委員 ありがとうございます。
○田辺部会長 では、林参考人、よろしくお願いします。
○林参考人 林でございます。
3点、長期収載品、バイオシミラー、OTC類似薬について挙げていただいてます。他の委員から指摘などもありましたが、長期収載品については選定療養の対象とした後の状況について分析がこれからされるということ。私からも重ねての要望となりますが、地域や品目などについての違いもあるのではないかと思っておりますので、しっかり分析をお願いしたいということは申し上げます。
それから、バイオシミラーについては、資料16ページに、成分ごとに置き換え状況が随分違うことが示されておりますので、これはそれぞれの医薬品の特性なのか、置き換えやすいということなのか、また地域の違いがあるのかなど、頂いた資料から読み取れないところもございますので、どうしてこのような差が生じているのかについても分析をお願いできればと考えます。
最後、3点目のOTC類似薬についてです。前回も代理で参加した者から発言をさせていただいたとおり、慎重な検討が必要だと考えています。「こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担への配慮」とありますが、それだけではなく、先ほど他の委員から指摘もありましたが、市販薬の過剰摂取の課題、飲み合わせのリスクもありますので、まずは医薬品の適正な使用や副作用などについて国民への情報発信や意識啓発を強化するとともに、専門職などに相談できる体制の構築を進めていくべきだと考えます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
3点ございます。
1点目は、長期収載品への選定療養費というのは、本来は先発品を使用した場合の後発品との価格差は患者の全額負担とすべきではないかと思います。後発品が先発品に対して劣っているというエビデンスがないわけですから、医療保険でそれを給付すべきではないだろうと思います。また、医療上の必要性があると医師が認めた場合には選定療養費の対象外となるということですけれども、医療上の必要性が生じ得るというエビデンスが調べた限りでは全く出てこないのです。もしこの医療上の必要性で選定療養費の対象外とするという制度を維持するのであれば、本当に医療上の必要性が生じ得る場合があるのだという明確なエビデンスを示すべきではないかと思います。
2点目、バイオ後発品については高額療養費が適用されることが多くあって、そうしますと、どんなに薬が高くても患者にとっての追加費用はゼロになってしまうので、患者にとっては使用するメリットが少ないという指摘を資料で拝見しました。高額療養費の制度の維持が非常に大事ではないかと思うので、高額療養費制度がこれからも持続可能なものになるように、これも選定療養の対象として検討すべきではないかと考えました。
それから三点目、OTC類似薬ですね。確かに受診が減ってセルフメディケーションが増えるという可能性がOTC類似薬を保険給付の対象から外すとあり得るわけですけれども、ただ、今までも例えば忙しいとか、日曜日で医療機関が開いていないとか、そういう理由でセルフメディケーションでこういう薬を使用してきた人はいたわけですね。もしそこで今まで問題が認められていないということであれば、OTC類似薬を保険給付の対象から外してセルフメディケーションが増えたからといって問題が生じるとはあまり考えにくいように思われます。ですから、逆に言えば、もしある薬についてセルフメディケーションが問題なのだったら、その薬はそもそもOTCとすべきではなかったということになるのではないでしょうか。
こどものいる世帯や低所得世帯への配慮が大事だということですけれども、本来はこどものいる世帯や低所得世帯への医療給付にだけ配慮するのではなくて、医療費が払えず必要な医療も受けられないほど困窮しているということであれば、それはあまりにも所得水準が低過ぎて衣食住いろいろなところに支障が出ている状況だと思われますから、現物給付ではなくて所得の再分配によって配慮する問題ではないかと思います。慢性疾患などで大量にOTC類似薬を必要としている方について、もし制度変更が行われた場合に非常に金銭的負担が大きくなるというのが一番の問題だと思います。その場合は何らかの補償が必要かもしれません。例えば今あるセルフメディケーション税制の拡充とか、この制度を利用しやすくするような工夫とかがもっとあってもいいのかもしれないと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
前にも申し上げましたけれども、私はまず大枠の問題として税の問題あるいは保険料の問題、非常に逆進的な方向にずっと歴史的に進んできたわけです。そういう中で応能負担がかなり阻害されてきたと。そういう点では、所得再分配機能が税においても社会保障においてもかなり阻害されていると。ここの点についてきちんとした議論、評価を置き去りにして医療保険の枠の中だけでの改正、見直し、これについては限界があると私は思っております。
少し前回の議論に戻る点もありますけれども、保険料負担についても、これについては一律に現役世代の負担が大きくなるという問題ではないと思うのです。先ほど申し上げた税や保険料の逆進的なところを改善すれば、高額所得者についてはそれなりに応能負担で負担いただかなければならないと。しかし、中間層以下については、逆に負担が軽減される、そういう効果が期待されるのではないかと思っております。申し上げるまでもなく、累進課税がかなり後退した、あるいは法人税の大幅な軽減と、こういったところの一定程度見直しをしていただかないと、この財源問題、医療保険の在り方について大きな禍根を残すのではないかと思っております。
次に、この薬の問題について、患者側が割合と気軽に医師のところに行く、また、医療機関側も患者側の求めであまり効果が適正かどうか分からない形で薬剤が投与されるという御指摘がございましたけれども、私は国民、患者は医療の専門家ではないわけですので、こういう人たちが医療機関にかかる、これはある意味では当然の行為だと思うのです。むしろこういった医療についてあまりよく分からない患者、セルフメディケーションを高めるということをいろいろ言いますけれども、専門家ではないわけですので、医療の人たちから比べれば、かなりそういった医療あるいは薬剤の知識について後れた存在ということはやむを得ないのだと思います。この人たちに対して負担の強化で抑制を図るということは、私はやるべきものではないと思います。負担の強化によってむしろ適正な医療へのアクセスが阻害されるのだと思います。
それから、医療の側がかなり無批判に患者さんの求めに応じて投薬等がされているというお話ですけれども、この点については、一番大事なのは医療の側が専門家ですので、こういった適正でない対応事例があるとすると、何が問題なのか。私は全般的には分かりませんけれども、先日、たしか大学病院協会の発表だったでしょうか、大学病院の80%が経営上赤字だと。こういった医療の経営の問題が非常に困難になってきている、不安定であると。こういったことが背景にあれば、言い方が悪いのかもしれませんけれども、やむを得ずやや緩い形で薬剤投与ということも出てくる可能性があるのだと思うのです。そういう意味では、適正な診療報酬、これを大幅に改善することで、むしろそういった医療の側が患者の求めに応じて薬剤投与ということをなくしていくような形で進めていかないと、問題が残るのではないかと思います。
OTC薬剤の問題ですけれども、ここのところは先ほども少しそれに関連したお話がございましたけれども、医師の診察を受けないで薬を求める、これは必ずしも患者自身が窓口に行かないで薬を求めるという例も多いのだろうと思います。そういう意味でいうと、健康上あるいは買っていただいた薬剤の効果、これがどうなのかについてもチェックがあまり働かない。こういった在り方が本当に国民にとって望ましいのかどうなのか大変疑問を持っておりますので、OTC類似医薬品について保険から外すことは、私はやるべきではないと思っております。
私からは以上でございます。どうもありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
医療保険制度改革において、医療費適正化の取組は必要不可欠であります。医療機関の経営状況の見える化と病床の見直しなど、制度改革の論点の1つとして後発品の利用促進やOTC医薬品の活用により医療制度への負担を減らしていくという考え方も重要でございます。また、国民一人一人がヘルスリテラシーを高めるとともに、薬剤の適正な利用、医療機関の適切な受診についての認識を深める必要があると考えております。
月末の月曜日にある健康番組の放映が予定されておりまして、その中で多久市の取組が紹介される予定になっております。お子さんのうちから採血をして、その結果によって親御さんと同席の下に保健師さんがお子さんの将来についての保健指導、健康指導を行う、現役世代については検査の結果によって新たなしっかりした保健指導を行う、あるいは高齢世代についてはフレイル予防と、世代ごとに適切な取組をされており、なかなか全国でも珍しい取り組みなのではないかと思います。ぜひこういった取組をほかの地域にも広げるような努力をしていただきたいと思います。
その上で、2点意見を申し上げたいと思います。
1点目、後発品でございます。持続可能な制度構築に向けては、医療費の適正化とともにサービス水準の維持も重要でございます。医療従事者の確保維持だけでなく、医薬品の安定供給も国民の命と健康を守るために不可欠の要素でございます。後発品については、原料材料の高騰や資料にあるような構造的な問題もあり、国内メーカーの経営環境は厳しい状況にあることは申し上げておきたいと思います。医療費適正化に当たっては、医薬品の安定供給が大前提となります。供給安定化に向け、必要な施策の検討をお願いしたいと思います。先ほど袖井委員から、後発医薬品の原薬を海外に依存していることへのリスクについてご発言がございましたが、そのとおりだと思います。国内では後発医薬品を作れなくなったために撤退し、海外に生産拠点を移すことが進んでおりますが、カントリーリスクがかなり現実的になった現在、基礎的な医療を過度に海外に頼ることは非常に危険ではないかと思っております。
業界全体の安定化ということで、先ほど基金の話もございました。このような取組は重要だと思っていますが、24時間稼働でコストが下がるというわけではありません。たとえ24時間稼働しても、製品が売れなければ意味はないのです。基本的には自由競争の世界であり、24時間稼働するということはかなりの設備投資が必要となります。メーカーはそれを回収するために商品を売らなくてはいけませんが、作っても回収ができないとなると二の足を踏んでしまいます。ぜひ、こういった事情にもご配慮をお願いしたいと思います。
2点目、OTC類似薬についてでございます。OTC医薬品といっても色々あり、OTCの中の1、2、3類と、リスク分類化されているわけでございます。特にスイッチOTC化については、医療用と同じ成分が含まれており、非常に注意が必要ではないかと思っております。OTC医薬品をうまく活用することは重要ですが、スイッチOTC化により、単に保険給付の対象から外すということでは、セルフメディケーションの実施は、なかなか難しいのではないかと思っております。例えば、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師と相談しながら薬歴の管理をする、OTC医薬品で対応できる方はそちらに促すなど、段階的に薬歴管理をしながら誘導していくことが妥当ではないかと思います。あまりリスクの高くないと思われるOTC医薬品については、例えば処方箋に、以前申し上げたとおりOTC化というチェック項目を設け、相互作用や重複投与の危険性が低いものは、現場の薬剤師の裁量でOTCで対処したり、あるいはかかりつけ医の判断で処方薬から薬を変えてもらったら困る、危険であるからちゃんと管理すべきだというものについてはチェックをつけないなど、薬歴を管理しながらやっていただくことが必要ではないかと思います。
消費者保護の観点から見ても、日々お客さんを相手にすると、残念ながら服薬状況への意識が薄い方もいらっしゃいます。そういった方が事故を起こす、健康被害を起こすということは何としても避けなければなりません。特にOTC類似薬、スイッチOTCの服薬状況を医療提供側が正確に把握できるということが大切でございます。相互作用や併用禁忌のリスクを避けるためにも、マイナポータルでOTC医薬品の購入履歴も確認できるようにする必要があると思います。技術的に難しいのではないかというお話もございましたが、OTC医薬品もデータベースを完備しておりますので、リンクすることは可能だろうと考えます。
こういった安全性の確保はもとより、医療の効率化を推進するためにも、DXの推進による環境整備も急ぐ必要があると思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
本日は、この薬剤給付の在り方の議論のキックオフということであろうと思いますが、33ページの論点に沿ってお話をさせていただきたいと思います。まず全般についてコメントをさせていただきたいと思います。
薬剤の保険給付につきましての基本的な考え方でございますが、必要かつ適切な医療を保険給付で行うという皆保険の理念は基本としつつ、医療費財源である公助、共助、そして自助の3つのバランスを取りながら、患者負担のみが大きく上がることがないような考え方です。2点目は、これは何人かの委員からも話がございましたが、制度変更によって患者さんの健康に悪影響が出ないという、この2点をしっかり踏まえた上で議論をしていただければと思います。
その上で、この33ページの論点ですけれども、長収品の保険適用の在り方につきましては、前回の長収品の選定療養の適用の影響ですが、現状では医療現場において大きな問題が起こっているという報告はお聞きしてございません。その結果として後発医薬品割合ですね。13ページにございますように、令和6年10月、この制度開始に合わせて割合が上昇しているということになると思います。また、後発医薬品の使用に関しましては、診療報酬上の評価においても使用を促進する点数設定が従来から執り行われてございまして、この体制をしっかり維持していくためには、その評価の継続をぜひともしていただきたいと思ってございます。
一方、後発医薬品の安定供給の問題でございますが、現在もこれは解消されてございません。いまだに医療現場においては在庫の状況や入荷の予定、こういうものを見ながら毎日その日の処方可能な薬剤の確認を行うなど、医療機関の負担は解消されてございません。この後発医薬品の供給の不安は既に何年にもわたっているわけでございまして、これに向けた取組は厚生労働省はしてございますが、急を要する対応でございますので、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。本日の資料の24ページから27ページにかけて、例えば産業構造の改革も含めた対応を取っていただいているわけでございますが、しっかりとした実現可能性の高い検討をさらによろしくお願いしたいと思います。
4点目のバイオ後続品についてでございますが、これは本日の資料にございますように化学合成品、いわゆる化成品である後発医薬品とは異なりまして、製造工程上も例えば細胞株由来のばらつきが出たりなど、様々な課題がございます。また、先発品と同質・同等性ではあるものの、同一性は認められないということ、さらには保存や運搬等に関しても様々な課題があるという点で、安定した供給がなかなか難しいという状況がございます。さらには、先行品と同一ではないということで、化成品のように先発品から治療の途中でバイオシミラーに切り替えることがなかなか難しいというのも御理解していただければよろしいかと思います。様々な問題もございますので、このバイオ後続品の推進は必要とは考えてございますが、拙速な推進はまだまだ難しいと考えます。
そして、最後のOTC類似薬の保険適用の見直しということでございますが、これはこのOTC類似薬の保険適用外しという観点であれば、これから述べます3つの観点から当然時期尚早、当会としては反対であるということを明確に述べさせていただきたいと思います。
具体的な問題点は改めて3点ほどこれから御説明しますが、まず1点目ですね。これは袖井委員からもお話がございましたが、医学的な見地からということになります。患者さんがOTC類似薬を薬局で購入をするということをしなければならなくなった場合、自己判断、また自己責任で服用することになります。そうしますと、臨床的なリスクが出てくるということになるわけです。例えば、そのお薬をどれぐらいの量、そしてどれぐらいの期間飲めばよいのかとか、さらにはそのほかのお薬との飲み合わせはどうなのか、いわゆる重複ですね。そして、その相互作用はどうなのか、さらには禁忌項目はどうなのかということを全て御自身で判断されなければなりませんし、それに伴ってのリスクが十分に出てしまうということでございます。そして、結果的に最初は軽症であっても重篤な疾患が隠れていたりしますと、重篤な疾患の早期発見、早期治療、そういう機会を失うことにもなりますし、これは医療機関への受診遅延による健康被害ということであろうと思います。これが1点目です。
2点目ですが、これはよく言われているとおり、患者さんや御家族の経済的な、また物理的な負担の問題ということであろうと思います。医療用の医薬品であれば1割から3割の負担でございますが、一般用医薬品ではその10倍以上の価格になることもございますし、保険適用外しということになりますと、その全額が自己負担になるということになります。特に影響が大きいのは、よく言われているように、難病の方であるとか、心身障害者や生活保護受給者の方々、小児の医療費助成の方々、こういう方々に関しては全部負担ということになって、その負担が非常に重くなってくるという点でございます。
3つ目に関しましては、保険適用の除外ということになりますと、例えば僻地等で医療機関にアクセスができたとしても、その地域に薬局がないという地域もございますので、そこでは患者さんにお薬が届かないということにもなりかねません。ですから、そういう意味からOTC類似薬の保険の適用除外には反対をしているわけでございますが、以前よりこの発言をさせていただいておりますOTC医薬品の活用というものは、ヘルスリテラシーの向上と皆さんはおっしゃいます。確かにそのとおりでございます。それと一体的に進めていくべきものであろうと思いますが、それには相当の時間がかかるということもしっかりと理解をした上で議論すべきであろうと思います。
1点、OTC薬を使うことによって問題が生じている例があるのかというお話でございますが、これは現場の医師にしてみればよく経験することでございまして、例えば総合感冒薬を飲むことによっておしっこが出にくくなる、出なくなる、いわゆる尿閉というのですけれども、そういうことが起こったり、さらには白癬、白癬菌によっての皮膚の疾患に対して自分の判断でステロイド剤を塗って症状が悪化するとか、挙げればかなりいろいろなことがございます。あるメディアのアンケート調査によりますと、一般用医薬品によってその患者さんの症状が出ている可能性が非常に高いという経験をした医師が2割はいるという結果もございますので、いろいろな意味において健康被害に対しての影響が非常に大きい問題であるという認識はしっかり持っていただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
私からは論点に沿ってコメントをさせていただきたいと思います。
1つ目の長期収載品に関してなのですけれども、先ほど原委員から現場への影響という部分が出ていましたけれども、これに関しては選定療養が導入された時点で実際に費用を負担される薬局においてはかなり説明等々に時間を要したということに関しては御理解をいただきたいと思っています。また、供給不安に関してもずっと現場に負荷がかかっている状態ですので、その辺りは一定の現場の負荷という部分に関しても御理解をいただきたいと思っております。
2つ目は、バイオシミラーに関してなのですけれども、バイオシミラーに関しては従来から丁寧な対応が必要だという部分に関しては発言させていただいている部分なのですけれども、今回16ページのスライドのところにもそれぞれの成分によっての違いや置き換えの状況が書かれていますけれども、これはそもそもの薬剤への一定の理解が必要と思います。急性の部分で一時的に集中的に治療に用いるお薬、院内で用いるお薬と、自己注射のように継続して御本人が使われているお薬とでは、使われ方が違います。後者に関しましては、各製品によって患者の使用方法等まで、これらのデバイス等々の使い方まで変わる状況になりますので、拙速な変更による患者の不利益という部分はしっかりと避けるような進め方の調整が必要なのかと思っています。
もう一つは、OTC類似薬と表記されている部分ですけれども、これに関してはそもそも前提としてどの範囲を対象としているのかという部分が明確ではないとは思いますので、その上で、対象となる医療用医薬品の保険給付の在り方についての議論と認識しておりますので、必要な受診、こども、慢性疾患の方等への配慮は当然必要な部分かと思いますけれども、検討に当たっては保険給付の範囲という部分での検討とOTC医薬品の活用という部分とは別の話だと思います。併せてOTC医薬品に関してのコメントもしておきたいと思います。我々が使っている大多数のOTC医薬品は基本的に複数の成分が入っている配合剤であることはかなり認知されていると思うのですけれども、そのほかにも包装単位が決まっています。ということは、今までの調剤等々で対応するように、患者個々の量を処方日数等々に対応して出せるわけではないという部分、一定の量でしか出せず、その価格もそれぞれによってまちまちの価格がついているということもあります。
また、OTC医薬品に関しては、流通経路も全て一定に全薬局に安定的に確保されているものではありません。ですから、全薬局で同じ品目がそろえられるのかといえば、そろえられません。それが今の流通の状況になりますので、この辺の課題等々を踏まえて、全薬局が一律な対応ができるわけではないという部分を踏まえた上で、医療保険制度の枠組みの中で話をしていく必要があるのかと思いますので、今後の議論にぜひその辺りも併せて考えていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
薬剤給付の在り方について、33ページの論点の中のOTC類似薬の保険適用の見直しについてコメントをさせていただきます。
前回も発言しておりますけれども、多くの歯科診療所では院内処方での対応をしており、加えて使用する薬剤の種類や量が限られているがゆえに、安定供給がない中、在庫管理の点からも決して影響は小さくありません。また、これまでは歯科治療受診時に1つの歯科診療所で完結していた患者さんが、一部薬剤のために薬局等に足を運ぶことになることで患者負担も増えますし、さらにかかりつけ薬局が近くにある患者さんはよいのですけれども、僻地や中山間地においてはアクセスが大変であり、患者さんの利便性にも大きく影響して、受診控え等も招きかねないと懸念をしております。対象とする薬剤を決める議論では、患者目線での丁寧な議論をお願いするとともに、長期収載品の選定療養も含めた対象薬剤の情報を医療機関が把握しやすい仕組みづくりの視点もお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきたいと存じます。
本日いただいた御意見も踏まえつつ、さらに議論を深めていければと思います。
次に「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料2「マイナ保険証の利用促進等について」の1ページです。オンライン資格確認の本年9月の利用状況です。真ん中の赤いグラフですが、利用率は35.62%。オンライン資格確認の利用件数は約2.5億回、薬剤情報閲覧の利用件数は9月の1か月で5300万回、診療情報閲覧の利用件数は2100万回となっています。これらの数字は、いずれも過去と比べますと最大値となっております。
めくっていただきまして、目次です。1.8月の市町村国保の保険証切替え時の報告、2.スマートフォンのマイナ保険証利用の報告、3.その他の各種取組の状況の御報告となっております。
4ページをお願いします。8月の市町村国保の保険証切替え時の状況調査です。制度別に見ていただきますと、直近でも市町村国保の利用率が最も高くなっておりましたが、令和7年7月末に国保の保険証の多くの期限が切れました。それによりまして、市町村国保における利用率の上昇が顕著に見られております。左側の図の青線が市町村国保ですが、7年8月で利用率43.6%となっております。うち7月末で期限が切れた国保保険者に限って見ますと、1か月でプラス10ポイント上昇しております。右側はレセプトの件数に占めますマイナ保険証の利用率です。7月に期限が切れた国保保険者を見ますと、プラス22%という伸びになっております。
5ページです。レセプト枚数に占めるマイナ保険証利用人数の割合を見ると、令和7年8月では43.17%となっております。また、医療機関・薬局にアンケートを実施してみました。質問は、「従来の健康保険証の有効期限満了に伴い、マイナ保険証などの利用者数に変化はありましたか」。複数選択可でアンケートを取ってみました。保険証の期限が切れましたので、例えば「②資格確認書の利用者が増えた」という回答も半分弱ありました。また「①マイナ保険証の利用者が増えた」という回答は3分の2強の医療機関・薬局からございました。
6ページです。国民に向けたアンケートでありますが、「マイナンバーカードを保険証として利用したことがありますか」という質問に対しまして「利用したことがある」と回答いただいた方が6割ぐらい。「利用したことがある」と回答いただいた方に「どれぐらいの頻度で利用していますか」という質問をしたところ「毎回利用している」という方が約8割となっておりました。
8月の国保の保険証切替え、大きな混乱なく進むことができました。医療機関・薬局・保険者をはじめ関係者の皆様の御尽力、御協力に改めて感謝申し上げます。
2点目でありますが、スマートフォンのマイナ保険証利用の状況であります。
8ページをお願いします。現時点でスマートフォンにマイナンバーカードを搭載している件数は、iPhoneで約250万件、Androidで約35万件となっております。スマートフォンのマイナ保険証利用に当たりましては、キヤノン製の顔認証付カードリーダー、これは累計で約4万台売れておりますが、このキヤノン製以外のカードリーダーの場合には、汎用カードリーダーを設置していただく必要があります。医療機関・薬局での補助金申請の手続負担を軽減し、購入した時点で補助が受けられるように、アマゾンを通じた汎用カードリーダーの購入補助を実施しております。現時点、このアマゾンを通じた購入台数は約3万台となっております。
一方、どの医療機関・薬局でスマホ保険証が使えるのかが分かるように、厚生労働省のホームページに検索ページを作っております。掲載されている施設が約3.1万件、このホームページへのアクセス数は約3.7万件となっております。例えば「キヤノン製の顔認証付カードリーダーを買っているのだけれども、まだスマホの利用実績がない」ですとか、「汎用カードリーダーを買ったのだけれども、まだ接続していない」といった施設は、このホームページの検索では出てこないようにしております。今後、どのようにアマゾンで購入するのか、またどのように接続するのか、医療機関や薬局の職員の方に分かりやすいような資料を改めて作成し、周知してまいります。
9ページです。スマートフォンに対応していただいた医療機関・薬局に関しまして、アンケートを行いました。質問としましては、「患者にとってどのようなメリットがあると感じますか」。複数選択可です。9割弱の施設で患者のメリットを感じるという回答をいただきました。中でも多かったのが「実物のマイナンバーカードがなくても資格確認ができる」ことが患者にとってのメリットですねという回答がありました。患者からの声でも「スマホは必ず持ち歩くので便利だ」という声がございました。
3つ目、その他各種取組の状況であります。
11ページをお願いします。本年4月より目視モードの運用を簡便にいたしまして、この運用に対応いただいている医療機関・薬局の数は全体の約6割、13.5万となっております。顔認証や暗証番号の入力が難しい場合でも、職員が目で見ましてマイナ保険証を使えるという環境が広がりつつございます。目視モードを利用する医療機関・薬局の声を拾ってみました。「顔認証や暗証番号の入力が難しい患者であってもお薬の情報は確認したい」という声、「認知症の方に対しましては、基本的に目視モードを使っている」、「患者が暗証番号を間違えると不安になるので、そういったときに目視でもできますよと言うと安心していただける」といった声がありました。
12ページです。レセプトの請求状況についてです。レセプトを請求する際に資格情報の記載に不備などがある場合には、一旦医療機関等に返戻いたします。その件数はオン資、マイナ保険証の普及に伴いまして、減少傾向にあります。レセプトの請求件数は毎月約1億4000万件ございます。令和3年4月頃はこのうち約17万超の件数を返戻しておりました。それがオン資、マイナ保険証の普及に伴いましてだんだんと減ってまいりまして、最近では3万件を下回り、当初の5分の1以下になっております。オン資やマイナ保険証の普及につれ、レセプトの再請求作業などが軽減されていると考えております。
13ページ以降、マイナ救急についてです。マイナ救急とは、救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用しまして、病院の選定などに資する情報を把握する取組でありますが、救急隊からの声を幾つか紹介します。「医療機関に情報共有し、早期に緊急手術を行うことができ、一命を取り留めた」、「高齢者夫婦のみで情報収集が困難だったが、マイナ保険証から情報を取得できた」、こういった声をいただいております。
また、この10月1日から全国一斉に開始されております。全国全て720の消防本部、また救急隊の98%におきまして、マイナ救急が始まっております。14ページ、15ページはその広報でございますが、ユーチューブ、X、テレビ、ラジオ、ポスター、リーフレット、こういったものを活用しまして、マイナ救急について広報を実施してまいりたいと思います。
以降は参考資料ですので、説明は省略させていただきます。
以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら挙手にてお願いいたします。
佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
資料の4ページについてコメントさせていただきます。
今回、保険制度別の利用率の推移が示されておりますけれども、正直、国保や後期高齢者のほうが大きく利用率を伸ばしている中で、健保組合の利用率がそれほど伸びていないということは、大変残念だと思っております。もちろん健保組合も懸命に取り組んでおるわけですが、まだまだ加入者に対する浸透が不十分であると考えております。まだ詳細な分析はできておりませんけれども、参考資料の年齢階級別の利用率を見ても、未成年世代を含む、健保組合でいいますと被扶養者へのより強力な働きかけが必要だと考えております。健保連としても若年層向け、また子育て世代向けの動画提供等も含めて、12月までの残り1か月半、より一層の取組の強化に努めてまいりたいと思っております。
そういった中で、1点、今後に向けたさらなる利用促進においては、先ほど御説明のあったスマホ活用はもちろんなのですが、こどもの医療等に使われている医療費助成の受給者証、また診察券等のマイナ保険証への一体化、これは重要な取組になると考えております。例えば地方単独医療費助成においては、当然、自治体ごとにばらつきがあるという課題もあると思いますし、既に一部自治体ではいろいろ取組の先行事業が実施されているということも聞いておりますので、国としてもより加速した取組をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
マイナ保険証の利用が進展していることは喜ばしいことでございますが、依然として多くの方が資格確認書を利用されている点は課題であると認識しております。中には資格確認書があれば問題ないと誤解されている方もいらっしゃいます。資格確認書はあくまでもやむを得ない場合の過渡的、限定的な措置であり、マイナ保険証の機能の全てを代替するものではないという点を、政府として明確に周知していただきたいと思います。何度も申し上げておりますけれども、マイナ保険証は災害や緊急搬送といった緊急時にも真価を発揮する命を守るカードでございますので、国民一人一人に対し、この命のカードを利用せず携行しないことは御自身や御家族の生命に関するリスクを抱え込むことになると危機感に訴えて、行動変容を促すような踏み込んだ広報をお願いしたいと思います。
これから年末を迎えますが、年末には帰省等で非常に人が動きます。こういった機会を捉えて、例えば帰省した先にはかかりつけ医はいないので、御自身の命を守るためにもマイナ保険証が必要だと、広報していくべきです。各地には必ず観光協会があります。私も千代田区観光協会の会長ですが、セミナーでマイナ保険証の話をすると、非常に感度が高いです。保険に入っていればどこに行っても今までの医療を受けられると誤認をしていることに気づき、みなさんびっくりされます。保険証だけでは情報が不完全である、だから、このカードが必要だと申し上げていますし、先ほどのマイナ救急のお話も、これまでできなかったのだと話すと大変驚かれます。このメリットを皆さんで享受できるようにしましょうと、ぜひ訴えかけていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、林参考人。
○林参考人 ありがとうございます。
今ほどご意見がありましたように、メリットだと思います。マイナ救急の広報について、本日資料に掲載いただいていますが、国民の多くがマイナ保険証のメリットを感じられるよう、具体的な内容を分かりやすく周知していくことが重要です。
それから、マイナ保険証の利用が質の高い医療につながっているというメリットを実感できるよう、電子処方箋や電子カルテなど医療DXをさらに進めていくことが必要だと考えています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
8月の市町村国保の保険証の切替えのときの状況に関しての御報告ですが、これは自治体、厚生労働省、そして各医療機関等がしっかりと声かけ、情報提供など、十分な周知をしたことによって、当初心配された混乱もそう起きておらないということで、これがさらには利用率の上昇にもつながっているということであろうと思います。これから年末に向けて保険証の切替えを迎える自治体や被用者保険が残っております。また、この暫定的な取扱いは令和8年3月31日までとされておりますけれども、令和8年4月以降、現場で混乱が生じる可能性もまだまだあろうと思いますので、引き続いて資格情報のお知らせと資格確認書の違いを正しく理解いただけるように、併せてマイナ保険証に切り替えていただけるように、先ほどからお話にも出てございますが、より一層、周知広報を国にもお願いしたいと思います。
次に、外来診療等においてのスマホの活用ということになりますが、これに関してはマイナ保険証の利用率アップにも資する取組であろうと考えておりますが、一方、医療機関においてスマホ対応は任意でございまして、かつ一部の先ほど説明のありましたメーカーを除いては、新たにスマホ用のカードリーダーを購入することが必要になります。また、今後発売される次期カードリーダーということであれば、ほぼ全てスマホ対応のカードリーダーになっているということであるとも現場の人も聞いてございますので、そういう意味では、各医療機関において現時点で新たに汎用のカードリーダーを購入すべきかどうか非常に迷う時期であろうとも考えてございます。そういった点を考慮いたしますと、医療機関に無理にスマホ対応を促すことがないようにお願いをしたいと思います。
あわせて、このたびスマホ用のカードリーダーを購入した医療機関あるいは購入しようとしている医療機関においては、購入方法を今日御説明いただきましたけれども、一部補助の使用方法について混乱が生じておりますので、これもさらなる周知をお願いしたいと思います。
最後に、マイナ救急についてでございますが、これは現時点では先ほどからお話があるように実証段階ということにございますが、医療現場においてはこの事実に対しての理解が十分ではない状況にもございます。ですから、分かりやすい周知をお願いできればと思いますし、救急の現場においては患者さんの意識がないという中において、御本人のマイナンバーカードを取り出すことが非常に難しいということも想定は十分にしていただけるかと思いますので、この辺りも本人の同意の扱いの問題、そしてまだまだ検証が必要な項目が多くあろうと思いますので、都度丁寧な検証をしていただきながら進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
今回の市町村国保等の切替えの時期にトラブルなくこのように数字が上がったことは、大変対応が丁寧だったのかと思います。
今後の推進施策の部分ですけれども、城守先生からもありましたが、汎用カードリーダーに関する部分は、現場ではどうしても次期型が視野に入っていますので、今、これを追加で費用を出すというのは、ここに書いてあるアンケートの母数を見ていただいても分かると思うのですけれども、なかなか進まない状況にあり、ここは配慮をしていただきたいと思います。スマホでの保険証ということだけを先行して広報が打たれると、患者さんが行ったところによって使えるところと使えないところが生じてきますので、その辺のトラブルがないようにお願いしたいと思います。
今後の推進の中で1点だけお願いなのですけれども、電子証明書の期限切れ、更新については、窓口に足を運ぶことを強制されると全く止まってしまいますので、これだけはマイナポータル上で操作ができるようにするなど、何らかの手当がないと、現在使えている方も資格確認書に移行してしまいますので、ここは改めてお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、北川委員、よろしくお願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
マイナ保険証につきましては、4ページにありますように、協会けんぽはほかの保険者と比べて低い利用率となっております。さらなる利用促進に向けて、この12月に向けまして、加入者や事業主の方に対してチラシやパンフレットを郵送するとともに、ウェブ広報を10月、11月に集中して取り組む等、さらなる対応に努めてまいりたいと考えております。
他方で、こうした12月の経過措置期間が終了した後も、加入者の方に混乱なく保険診療を受けていただくことが極めて重要だという認識の下で、特に資格確認書の加入者のお手元への行き渡りにも我々は大変腐心をして進めているところございます。その意味で、まだ過渡期という位置づけでもよろしいかと思っておりますが、今後一層マイナ保険証の利用率を向上させるべく、協会としても全力を尽くしてまいりたいと思っております。
また、御紹介がありましたスマホ保険証、これにつきましては、利便性の向上といった点で非常に大きなアドバンテージがあると思いますので、その促進に向けてもぜひ進めていっていただければと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。
本日の資料では、8月の市町村国保の保険証切替え時の状況調査及び9月19日よりスタートしたスマホ保険証利用の状況、また10ページ目からの各種取組も詳細に整理をしていただき、ありがとうございます。
また、12ページ目には、レセプトの返戻件数がオンライン資格確認本格運用前の17万件から、7年4月には3万件まで減少していることが示されており、これは患者さんには分かりづらい部分ですけれども、資格過誤についてよい効果が出ていることも分かりました。
17ページ目には、マイナ保険証の利用等に関する現状が示されており、約7割の国民の方々がマイナ保険証の登録はできておりますけれども、医療機関において声かけをするにしても、何らかの媒体を持参していただくことが前提ですので、スマホ対応なり国民の方々に常にマイナ保険証を携帯していただき、マイナ保険証の利用がさらに増える方策を御検討願いたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見もないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございました。
それでは、これにて閉会いたします。



