2025年8月28日 薬事審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和7年8月28日(木)10:00~

出席者

出席委員(8名)五十音順 

 (注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者​
  •  宮本直樹 (医薬局長)
  •  佐藤大作 (大臣官房審議官)
  •  小園英俊 (監視指導・麻薬対策課長) 他

議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、「令和7年度第3回薬事審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。委員の先生方には、大変御多用のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
 それでは、初めに人事異動について御報告させていただきます。7月8日付けで、医薬局長に宮本が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬局長 どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 本日はWeb併用開催ですが、池田部会長、田中委員、舩田委員には会場にお越しいただいております。現在のところ、当部会の委員11名のうち、合川委員、青山委員、松本委員より御欠席の連絡を頂いております。丸井委員はWebへの入室が遅れているようですが、7名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、部会を開始する前に本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 それでは、以後の議事進行は池田部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○池田部会長 おはようございます。池田でございます。それでは、本日の部会資料の確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いします。
○事務局 本日の部会資料については、事前に各委員宛てに送付しております。
また、会場出席の委員はタブレットで御確認をお願いします。資料については、資料1、2、3、文献1~12、また参考資料1~3を送付しております。部会資料についての御説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有いたしますので、併せて御覧ください。
○池田部会長 ありがとうございました。本日の議題は、「指定薬物の指定について」です。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料を御覧ください。資料No.1は、本日審議いただく3物質の名称、構造式、通称名等を記載しております。資料No.2は、御審議いただく3物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて、一覧表としてまとめております。資料No.3は、審議物質の動物実験の結果等について取りまとめたものになります。それでは、DMT系化合物である審議物質マル1について説明いたします。
 審議物質マル1については、まずは資料No.2の1ページ、2-1を御覧ください。資料No.2-1には、DMT(ジメチルトリプタミン)系である審議物質マル1、通称名NBoc-DMT及び、これに構造が類似する指定薬物について、症状観察、モノアミントランスポーター阻害等のデータをまとめております。NBoc-DMTは、行動及び症状観察やモノアミンへの作用が過去に指定した指定薬物と比較して非常に弱いものになります。流通している製品は加熱を示唆するパッケージ等とアルミホイルやガラス器具を合わせて販売していることから、製品を加熱し、吸引して使用する乱用実態が確認されています。資料No.2-1は以上です。
 続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の1ページを御覧ください。NBoc-DMTは、指定薬物である4-MeO-DMTとなっておりますが、申し訳ございませんが、5-MeO-DMTの誤りです。5MeO-DMTや麻薬であるDMTと類似した構造を持つ化合物です。
 続いて、2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスを用いた吸入暴露試験では、NBoc-DMT20mgを添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼してマウスに薬物を暴露させる方法で、燃焼開始15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状について、観察された症状を記載しております。吸入暴露試験では、吸殻やインピンジャー中にDMTを検出し、マウスはDMTを吸入していると考えられますが、薬物群とコントロール群との間で行動変化に顕著な差は認められませんでした。その理由として、DMTは速やかに代謝される旨の研究論文があり、NBoc-DMTから熱分解したDMTを吸入したものの、速やかに生体内で代謝された可能性があります。
 そこで、燃焼終了後ではなく暴露開始直後から最初の行動及び燃焼終了後15分の中枢・自律神経症状観察時刻までの特徴的な行動を再観察したところ、網にもたれかかった様子や、呼吸が速く荒い様子、開瞼するなど、被験物質の作用を疑う特徴的な行動が一部のマウスで観察されました。
 また、3ページの表1~3に、NBoc-DMTに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、4ページには、観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
 ここで写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は四つございます。まず一つ目の動画になります。こちらは、暴露開始4分~4分半のマウスですが、網にもたれかかり、深く早い呼吸が観察されました。
 続いて二つ目の動画になります。こちらは、暴露開始5分20秒~6分15秒の動画になっております。こちらは、網にもたれかかっている状態が確認されております。
 続いて、三つ目の動画を御覧ください。こちらは、暴露開始7分~8分の様子を示したものになっております。呼吸が速く荒い様子が観察されました。
 最後の動画を御覧ください。暴露開始10分20秒~11分15秒のマウスを示したものになります。こちらは開瞼する様子が確認されました。動画は以上になります。
 続いて、5ページの(2)モノアミントランスポーターに対する機能影響評価を御覧ください。NBoc-DMTのモノアミントランスポーターに対する阻害作用評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。結果は、表4及び図1のとおりになります。NBoc-DMTは、ノルアドレナリントランスポーター、ドーパミントランスポーター、セロトニントランスポーターに対するIC50は算出されませんでした。
 続いて、6ページ(3)ヒトセロトニン受容体に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果になりますが、NBoc-DMTのEC50値は算出できませんでした。
 続いて、7ページの(4)NBoc-DMTの分解を御覧ください。NBoc-DMTは加熱し、乱用する実態があるものの、NBoc-DMTがDMTに熱分解することを検証した論文はありません。 
 そのため、既存の吸入暴露試験の装置を用いて、NBoc-DMTが麻薬であるDMTに熱分解するかの燃焼実験を実施しました。条件としましては、20mgのNBoc-DMTを含むサンプルを燃焼させて発生した煙を600cc/分程度の流量で動物暴露用ボックスに15分間吸引し、ボックス下流のインピンジャー内アセトニトリルに捕足しました。図2のLC分析結果に示すとおり、吸殻とアセトニトリル中からNBoc-DMT及びDMTが検出され、NBoc-DMTが加熱によりDMTに熱分解することが確認できました。
 以上の結果から、NBoc-DMTは、流通している製品の形状及び使用方法等から加熱による乱用実態を確認していることを踏まえ、本化合物の燃焼実験を行ったところ、麻薬であるDMTに熱分解することが確認され、さらに、燃焼後の煙を暴露させたマウスの行動観察において、一部の個体で特徴的な行動が観察されました。以上のことから、NBoc-DMTを加熱して使用することで、中枢神経系に作用することが化学的に類推でき、その作用は、医薬品医療機器等法に基づき指定されている指定薬物と同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えられます。
 続いて、(7)海外での流通事例についてですが、確認はされておりません。また(8)海外での規制状況については、ロシアでの規制が確認されております。
 審議物質マル1は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員、お願いします。
○□□委員 本化合物につきまして、□□□□での検出事例はございませんでした。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは、委員の先生方に、改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。表現型のスコアとしては、かなり低いですが、ビデオで見ていただいて、明らかに特徴的な行動は出ているかと思います。また、燃焼実験でDMTが出来ていることも確認できていますので、やはり指定するのが適当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、特に御異論がないようですので、審議をまとめさせていただきたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手をお願いします。
 離席されている先生がいらっしゃるようですが、これは全会一致である必要はありましたか。
○事務局 薬事審議会令では、出席したものの過半数で決することができるとされておりますので、大丈夫だと思います。
○池田部会長 半数以上の御賛同を頂けましたので、それでは、決議させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 続きまして、審議物質マル2については、資料No.2の2ページ、2-2を御覧ください。資料No.2-2は、審議物質マル24F-4- MARと、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、行動観察結果、モノアミントランスポーター阻害活性等のデータをまとめています。
 審議物質マル2である4F-4-MARは、症状観察、自発運動への影響、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを増加させ、過去に指定した指定薬物と同程度の作用を持つことを確認しています。資料No.2-2は以上です。
 続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の8ページを御覧ください。4F-4-MARは、麻薬である4,4’-DMARと類似した構造を持つ化合物です。
 続いて、9ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに4F-4-MARを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、10ページ、11ページの表1~表3に、4F-4-MARに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は高用量マウス群を除き、各群マウス5匹のスコアの平均値になります。
 9ページに戻っていただいて、高用量群である100mg/kg投与群のうち、1匹が1日目の投与後30分の観察時に死亡、もう1匹が投与後2時間の観察時に死亡しました。そのため、投与後30分及び1時間の観察はN=4、投与後2時間の観察はN=3で観察しました。なお、4F-4-MAR100mg/kg投与群のうち残りの3匹については、投与後2時間の観察終了直後に1匹、投与後4時間経過時に1匹が死亡しました。投与後6時間経過した時点で、残る1匹も状態が著しく悪く、回復が見られないため安楽死させました。
 また、観察された特徴的な症状も示した写真も12ページに載せています。ここで写真と併せて動画で実際の様子を御確認ください。動画は三つあります。こちらは、4F-4-MAR100mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスになります。立ち上がりと網蓋へもたれかかるような動きや流涎、けいれんと跳躍する様子が確認されました。
 こちらは、100mg/kg投与群の投与後60分経過したマウスですが、姿勢保持が困難で、腹ばいで歩く、また、涎、けいれんが見られる様子が確認されています。
 こちらは、100mg/kg投与群の投与後120分経過したマウスですが、姿勢保持が困難で、腹ばいで歩く様子や、小刻みに震える様子、また、眼球が突出し、色が暗い様子が確認されました。動画は以上です。
 続きまして、13ページの(2)を御覧ください。自発運動における運動量を測定した結果です。自発運動における運動量について、マウスに4F-4-MARを20mg/kgを経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しています。総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離は有意に増加しました。
 続いて、13ページの(3)病理組織学的解析を御覧ください。20及び100mg/kg投与群で、図2のマル1~マル4に示すように、肝臓の肝細胞の空胞化が認められました。また、100mg/kg投与群で図2のマル5、マル6に示すように、顎下腺の腺房萎縮及び顆粒管の顆粒増加、図2のマル7に示すように肺実質における出血が認められました。また、100mg/kg投与群では図3のマル1~マル3に示すとおり、心筋細胞の顆粒状変性が観察され、投与6時間後に解剖したところ、図3のマル3に示すとおり、心筋細胞の変性・壊死・出血等が認められました。
 続いて、16ページの(4)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。4F-4-MAR投与群、約16mg/kg経口投与群マウス5匹、コントロール群マウス6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン全てが有意に増加することが確認されました。
 続いて、17ページ、モノアミントランスポーターに対する機能影響評価を御覧ください。4F-4-MARのモノアミントランスポーターに対する阻害作用評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。表4及び図5のとおり、4F-4-MARのノルアドレナリントランスポーターに対するIC50は、4.0×10-mol/Lでコカイン塩酸塩の約1.3倍、ドーパミントランスポーターに対するIC50は1.0×10-mol/Lでコカイン塩酸塩の約3.8倍でした。セロトニントランスポーターに対するIC50は算出できませんでした。
 続いて、19ページの(6)ヒトセロトニン受容体に対するアゴニスト活性EC50の算出結果を御覧ください。4F-4-MARは、ヒトセロトニン2C受容体で6.92×10-mol/Lが示されました。
 以上の結果から、4F-4-MARは、動物の行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びヒトセロトニン受容体に対するアゴニスト活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
 続いて、(7)海外での流通事例についてですが、中国、エストニア、ドイツ、ハンガリー、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、イギリス、アメリカで流通が確認されています。また、(8)海外での規制状況については、イタリア、スイス、ポーランド、ロシア、韓国で規制されていることを確認しています。審議物質マル2の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 
○池田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。最初に、流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2025年1月に1件、2025年3月に2件、いずれも形態としては白色の粉末です。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。それでは改めまして、そのほかの委員の先生方からも御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。かなり強い症状が出ていますし、標的分子等への作用もはっきり分かっているということがありますので、指定するのが適当かと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、特に御異論がないようですので、審議をまとめさせていただきたいと思います。ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手をよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。それでは決議させていただきました。
 続きまして、事務局より次の御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、続きましてLSD系化合物である審議物質マル3について説明します。審議物質マル3については、資料No.2の3ページ、2-3を御覧ください。資料No.2-3には、LSD系である審議物質マル3、通称名1Bz-LSD及び、これに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響、首振り反応試験等のデータをまとめています。1Bz-LSDは、行動及び症状観察や、首振り反応・累積首振り回数は増加傾向を示し、中枢自律神経系への作用が類推されることを確認しています。資料No.2-3は以上です。
 続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の20ページを御覧ください。1Bz-LSDは、指定薬物である1S-LSDと類似した構造を持つ化合物になります。
 続いて、21ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスの行動観察では、1Bz-LSDを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに特徴的な行動が観察されました。
 また、22ページ、23ページの表1~3に、1Bz-LSDに関する行動及び中枢・自律神経症状の観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値になります。
 また、24ページには、観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。ここで写真と併せて実際の動画を御確認ください。動画は二つあります。こちらは、1mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、自発運動が低下し、不安定な姿勢や腹ばい姿勢でスニッフィングやしゃっくり様の動き、震えが確認されました。続いて、二つ目の動画です。これは、10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、自発運動が低下し、不安定な姿勢や腹ばい姿勢でスニッフィングやしゃっくり様の動きの繰り返し、震えが確認されました。動画は以上です。
 続いて、25ページの(2)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1Bz-LSD約9mg/kg腹腔内投与群を5匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては増加作用が確認されました。
 続いて、26ページの(3)では、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、1.1mg/kg投与群において、5分~15分の間に増加しましたが、以降は減少傾向にありました。3.3mg/kg投与群においては5分~10分の間に首振り回数が増加し、15分以降は減少傾向にありました。10mg/kg投与群においては、5分~10分の間に首振り回数が増加し、15分には減少傾向が認められ、以降は横ばいで推移しました。また、累積首振り回数は、1.1mg/kg投与群と3.3mg/kg投与群の10分~30分において、対照群に比べ有意に増加しました。10mg/kg投与群では、5分~30分において、対照群に比べ有意に累積首振り回数が増加しました。
 続いて、27ページの(4)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。いずれの値も算出されませんでした。
 続いて、(5)1Bz-LSDのマウス体内での代謝について、本審議物質1Bz-LSDは体内で代謝されるプロドラッグ型のLSD化合物と考えられることから、マウスに投与後、その血清を採取し、LC-MS/MSによって分析しました。28ページの図3、赤枠で示しているとおり、マウス体内ではその代謝物である麻薬、LSDが検出されることが明らかとなっています。
 以上の結果から、1Bz-LSDは動物の行動観察、首振り反応試験の結果、マイクロダイアリシス試験の結果において、有意な影響が認められ、更にマウス体内での代謝実験で麻薬であるLSDに代謝されることが確認されたため、中枢神経系の作用を科学的に類推でき、医薬品医療機器等法に基づき規制されている指定薬物と同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
 続いて、(6)海外での流通事例についてですが、こちらは確認されていません。また、(7)海外での規制状況については、ドイツ、スイスでの規制が確認されています。審議物質マル3は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2024年9月に5件、2024年10月に1件、2025年1月に1件。製品の形態としては、黄色い錠剤となっています。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に、改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。かなり強い症状が出ていますし、体内でLSDになることも確認できているということですので、指定するのが適当かと思いますが、いかがでしょうか。特に御意見がないようです。
 それでは、審議をまとめさせていただきます。ただいま御審議いただいた物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手をよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。それでは、決議させていただきました。引き続きまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、今後のスケジュール等について説明いたします。本件の結果については、次回、開催の薬事審議会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日、御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されていません。いずれにしても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応します。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は終了しました。事務局から、次回の予定について御連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、改めて御連絡します。以上です。
○池田部会長 それでは、以上をもちまして、令和7年度第3回指定薬物部会を閉会します。ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 飯島 (2779)